1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年六月九日(火曜日)
午前十時四十五分開会
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委員の異動
六月八日
辞任 補欠選任
久保 等君 鈴木 強君
六月九日
辞任 補欠選任
鈴木 強君 横川 正市君
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出席者は左のとおり。
委員長 藤田藤太郎君
理事
亀井 光君
高野 一夫君
藤原 道子君
柳岡 秋夫君
委員
加藤 武徳君
鹿島 俊雄君
紅露 みつ君
徳永 正利君
丸茂 重貞君
山下 春江君
山本 杉君
横山 フク君
阿具根 登君
杉山善太郎君
小平 芳平君
村尾 重雄君
林 塩君
国務大臣
厚 生 大 臣 小林 武治君
政府委員
厚生政務次官 砂原 格君
厚生大臣官房長 梅本 純正君
厚生省医務局長 尾崎 嘉篤君
厚生省薬務局長 熊崎 正夫君
厚生省児童局長 黒木 利克君
労働省婦人少年
局長 谷野 せつ君
建設省住宅局長 前田 光嘉君
自治省行政局長 佐久間 彊君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
説明員
厚生省薬務局細
菌製剤課長 山形 操六君
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本日の会議に付した案件
○母子福祉法案(内閣提出、衆議院送
付)
○母性の保健及び母子世帯の福祉に関
する法律案(衆議院送付、予備審
査)
○母性福祉保障法案(衆議院送付、予
備審査)
○社会保障制度に関する調査
(輸血問題に関する件)
(ハンセン氏病患者の看護問題等に
関する件)
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001・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) ただいまより開会いたします。
委員の異動についてお知らせいたします。六月四日、鈴木強君が委員を辞任され、その補欠に久保等君が選任されました。六月八日、久保等君が委員を辞任され、その補欠に鈴木強君が選任されました。六月九日、鈴木強君が委員を辞任され、その補欠に横川正市君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/1
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002・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 母子福祉法案(閣法第九四号)、母性の保健及び母子世帯の福祉に関する法律案(衆第一八号)、母性福祉保障法案(衆第五二号)を一括議題といたします。
右三案に対し、御質疑のある方は、どうぞ順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/2
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003・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 この母子福祉法の内容、あるいはその孝え方等について、先般委員会の中で若干触れられたわけでございますが、それぞれきょうお願いしておりました方々の中でお忙しい方があるそうでございますので、まず、自治省の方に御質問をしていきたいと思うのですけれども、現在、母子家庭の福祉について母子相談員というものが置かれておるわけです。これが、たしか昭和二十八年でしたか、現行法ができましたときに、母子相談口については、少なくとも福祉事務所にそれぞれ一人ずつ配置をしなくちゃいけない、こういうような施行通達が出されているものと思います。しかし、現在の母子相談員の数、あるいは福祉事務所等の数を見てみますと、必ずしもそうなっておらない。一体これはどういうことでこうなっているのか。自治省として、そういう点について、もちろんこれは国の責任にもなろうかと思いますけれども、地方自治体に対する行政指導というものをどういうふうにやられてきているのか、そういう点をまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/3
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004・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 母子相談員につきまして、御指摘になりました内容の通達が厚生省から出されているように承知いたしております。ただ、この母子相談員のこの通達に基づく指導につきましては、厚生省が主管の役所といたしましてなさっているわけでございまして、私どものほうで格別の指導をいたしたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/4
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005・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 それでは厚生省にお伺いしますが、そういう通達を出しておりながら、それが守られておらないということについて、厚生省としてはどういう対処をしてきたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/5
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006・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 母子相談員のことにつきましては、議員立法の当初、できるだけ未亡人の中から適当な人たちを採用するというような方針でございまして、したがいまして、未亡人の中で母子相談の業務のできる人たちをいままで任命をしてきているのでありますが、その後、だんだん母子相談員の中で、大学を出た方であるとか、あるいは既婚の婦人とかいう人たちが採用されるようになりまして、だんだん一部では専門家が採用されるという傾向がございました。したがいまして、厚生省といたしましては、そういう場合にはできるだけ専門家として雇用するということが適当であろうというようなことで指導してまいったのでありますが、したがって、現に静岡県はじめ、三地区におきましては、母子相談員が専門の母子相談員とし、あるいは公務員として採用されており、それから、三県におきましては、一部資格のある人たちが専門家として、あるいは公務員として採用されておるというような傾向にあるのでありまして、厚生省としてはそういう方向を目標として指導してまいっておるわけであります。ただ、この制度の予算の裏づけが国庫補助でございませんので、交付税の中に取り入れられておりますので、自治省との関係では、主として交付税の単位といいますか、単価というものをできるだけよくしたいというようなことでいままで交渉をしてまいったのでありますが、自治省に対して、積極的にこの母子相談員をすべて常勤にしてほしいというような要望はかつてしたことはないのであります。適当な人で資格のある者が常勤になることは好ましい、できるだけそういう方向に持っていこうといりような指導はしておりましたけれども、今日までは母子相談員の性格を根本的に、いわゆる社会的な信望のあるボランティアから専門家に積極的に全部切りかえるというような方針で指導はしてまいっていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/6
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007・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 私の質問したいのは、福祉事務所の全国的な数と母子相談員の数が食い違っているじゃないか、初めの立法当時は、通達として、それぞれの福祉事務所に一人の相談員は必要であるという考え方で通達も出しておられるのですけれども、現在ではそうなっておらない。それは一体どういうことでそうなり、また、厚生省としてはどうしてそういうことがわかりながら積極的に対処していかなかったのか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/7
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008・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 実は、当初は母子相談員は都道府県の職員として考えられておったのでございます。御承知のように、福祉事務所というものが、都道府県のみならず、市に設置義務が課せられるようになりまして、母子相談員が都道府県の職員であるということと、市の福祉事務所の設置ということとのいろいろ関連がございまして、厚生省としては、各福祉事務所を持った市にそういう職員を置くということまでは指導はしておりません。積極的にそういう方針は打ち出していないのでありますが、ただ、必要に迫られて、そういうような市におきましても、大きな都市において置かれる例はあるのでございますけれども、母子相談員が県の職員であるというような性格から、福祉事務所の数と母子相談員との数のズレがあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/8
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009・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 いままでの取り組み方が非常に貧弱というか、消極的であった。そこで、今度はこういう母子福祉法という法律をつくって、いままで以上に積極的にやろうという気がまえがあってこういう法律をつくったんじゃないかと私は思うのです。したがって、そうすれば、当然現在のこの母子家庭の現状にマッチをした母子相談員の配置というものが考えられていかなければならない。ですから、そういう意味では、今度の法案を見ても、母子相談員は一体何人なければならないのかという点については何も書いていないし、一体その配置基準はどうなのかということも明らかにされておらない。したがって、この定数の基準というものを一体どういうふうに考えておられるのか、その点、自治省のほうでは交付税の関係でまた考え方があろうと思うのですけれども、この法律をつくるにあたって、厚生省の母子相談員の配置の問題について自治省とどういう協議をし、自治省はどのくらいが適当と考えておられるのか、そういう点、自治省、厚生省両当局からお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/9
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010・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 先ほどもお答え申し上げましたように、この法律でも、母子相談員は都道府県知事が任命をするわけでございまして、都道府県の職員でございます。したがって、都道府県の設置しております福祉事務所には必ず一名置くというような方針で厚生省としては指導しておるわけでありますが、ただ、御承知のように、福祉事務所の現在の状態が、市がだいぶできまして福祉事務所が独立をいたしましたために、必ずしも一つの福祉事務所に一人の母子相談員を置く必要がないというような事情もございまして、これは福祉事務所の再編成のことを社会局で考えておりますが、その問題とからんで、今後母子相談員の配置等については考慮してまいりたいと思います。なお、市の福祉事務所には、この法律のたてまえでは、母子相談員というものは設置はされていないのでありますが、そういう場合には、その地域を管轄する区域内の母子福祉事務所に配属された母子相談員がその地域を担当するというような指導で運営しておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/10
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011・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 財政措置の点は、私は所管の局長ではございませんので、正確には申しかねますが、厚生省からただいまお話のございましたような御相談をいただきまして、それに対応した措置をいたしておると思います。私の記憶いたしておりますところでは、標準の県におきまして、一県当たり十六人の母子相談員を計上いたしておるように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/11
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012・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 基本的には、この法案がいわゆる「母子福祉」という名称を使っておりますけれども、実際は母子家庭福祉だということは先般の委員会でも明らかにされております。私は、こういうせっかくつくる法律ならば、もっと総合的な、いわゆる母子家庭のみならず、一般母子の問題も含めて、そうして総合的な法律をつくって、そうしてもっと内容のあるものにしていくということが一番いいというふうに考えておるわけですが、この法案ではそういうものが入っておらない。非常に遺憾に思うのですけれども、そういう観点に立って申し上げますならば、母子相談員というものは、いま非常に福祉事務所が市の誕生等によってあちこちにできておるので、数が違うということをいいますけれども、しかし、もっと一般母子の問題も含めて、積極的にほんとうの母子福祉をはかっていこうというためには、私は、やはりそれぞれの福祉事務所に最低は一名の母子相談員は配置をしていく、そういう気がまえがなければいけないのではないか、こういうふうに思うのでございますが、それはそれとして、この母子相談員の処遇の問題でございますけれども、母子相談員は、一週間のうち、四日かあるいは五日、六日という形で、相当一般の労働者と変わりのない勤務条件の中にあるわけでございますが、その報酬は一体どうなっておるか、そういう点についてなぜこの法律の中で明確にしておらないのか、その辺をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/12
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013・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 母子相談員の処遇の問題は、先ほど自治省からも申されましたように、交付税の中で、標準県につきまして、現在では一人月額一万二千円程度が組まれておるのでございますが、現実には全国平均で一万四千円の給与が支給されておるようであります。平均と申しますのは、先ほど申しましたように、静岡のように、専門職としての処遇を認めておりますところでは二万円ベースの給与がなされておりますから、平均して交付税の一万二千円よりも高くなっておる次第でございます。そのほか、交付税にも一旅費等の活動費について組まれておるのでございます。そこで、この法律は、これは従来の法律を踏襲しておるわけでございますが、これは他のいろいろな、たとえば児童福祉司、あるいは社会福祉主事と同じように、単に資格要件、だけを書きまして、給与とか、その他身分的なことは、従来は立法例がないのでございますから、その例に従っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/13
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014・阿具根登
○阿具根登君 ちょっと関連質問しますが、母子相談員は、社会的に信望があり、職務を行なうに云々と書いてあるんだが、母子相談員にそういう該当する家庭の人を持ってくるという意思があるか、どうか。母子相談員となるならば、母子の方が一番その環境なんかわかっておるはずなんです。よそから持ってこないで、そういう方を相談員にするのが、まず母子家庭が救われるでしょう。そういうことをどう考えておられるか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/14
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015・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 先ほども申しましたように、この母子相談員の性格は、社会的信望云々というふうにうたっていまして、どちらかというと、公務員的なものよりも、いわばボランティア的なものを予想しておると思うのであります。したがいまして、未亡人の中で適当な人たちを優先的にお願いをするというような運営方針で今日まできたわけでございます。ただ、地域によりましては、だんだんやはり未亡人の問題も、ケースワークと申しますか、いろいろ複雑な問題がございまして、専門家が必要であるというような事情も出てまいりまして、だんだん大学出の、あるいは社会事業大学出の専門家が一部雇用されはじめておるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/15
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016・阿具根登
○阿具根登君 そういう専門家の方も必要ですが、たとえば炭鉱離職者が何十万と今度出た、その協力員は離職者でなければならないということがはっきり書いてあるわけです。その離職者がはっきり調査員となって、相談員となってやっておるわけなんです。母子家庭の相談員を、補助者でも何でもいいから、なぜ未亡人の方を充てるということを書かないのか。そうすれば、第一に未亡人が助かるじゃないですか。専門的な方が必要ならば、また専門家の方をやったらいいでしょう。炭鉱の離職者の場合はそうです。協力員は別個に二万八千円なり三万円の金をつけて、離職対策に数百人の人を雇っておるんです。ぼくはあとで質問しますけれども、この目的とか基本理念とかは非常にりっぱなことを書いておって、これでは実際に救われない。ほんとうに母子家庭を救うためにはどうあるべきかという問題が抜けておる。だから、こういう場合でも、まず未亡人を——未亡人でも、そんなあなた方が考えるように、そういうことができないものばかりがおるわけじゃないんです。だから、おられるならば、そういう方をまずこういう職に充ててやれば、まず一つの家族が救われる、こういうことになるわけなんです。そして、その方々が父親のない、主人のない生活で苦労されておるから一番わかると思うんです。そういう方をなぜこの法律の中に書かないか、私はこう思うんですが、あとでまだ質問がありますから、私の意見を述べておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/16
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017・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) おっしゃるとおりでございまして、従来とも、未亡人を優先的に母子相談員に充てておるのでございます。なお、協力員という制度、いろいろ名称はまちまちでございますが、各府県で実施いたしておりまして、その辺も、もちろん未亡人が優先的に就職をされておる実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/17
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018・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 そういう社会的な信望があって、しかも、熱意を持って一週間に四日なり五日なり、あるいは六日という形で勤務しておられる。そういう方が一万二千円、これは単価でしょうが、はたしてそれで報酬と言えるのかどうか。しかも、そういう一万二千円の単価で交付税が流されておりながら、県によっては九千円、八千円くらいしか支給されておらないという県がある。こういう点は、一体厚生省としてどういう行政指導をしているのか、あるいは自治省として交付税をおろす場合、仕事の内容、あるいはその人の知識、経験、あるいは、また、その方方の生活、そういうことをどういうふうに考えて一万二千円という額を出されたのか、そこをひとつお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/18
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019・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 先ほどもたびたび申しましたように、ボランティアと申しますか、これによって生計を立てているというのではなしに、一種の名誉職的な制度として発足いたしたのでございます。したがいまして、勤務の形態もそれにふさわしいようなものであったのでありますが、この法律ができまして十数年たちますというと、従来の母子相談員が依然として十数年勤務なさっておって、だんだん常勤的は形態になってきたのでございます。したがいまして、今日非常勤を常勤にすべきであるというような議論も出ているような次第でございますが、従来はあくまで非常勤であって、他の婦人相談員と同じように、一種のボランティアというたてまえで今日まできているのであります。
なお、給与の各県別の支給額の表がございますが、これによりますと、先生のおっしゃるような九千円、一万円以下という県はございません。最低が本俸一万円というのは、山梨等が一万円でございますが、高いところでは静岡、京都等は三万四千円、これは常勤化しているわけでございます。そのほか、年額で二万円以上の旅費等が出ているというようなことで、現実には、全国平均は、先ほど申しましたように、実際に支給されている給与は一万四千六百七十円になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/19
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020・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 一万二千円の根拠につきましては、実は、私、所管の局ではございませんので、正確にはお答え申し上げかねますが、ただいま厚生省から御説明がありましたが、ボランティア的な性格を考えまして、他とのバランスも考え、この程度が妥当であろうということで算定いたしたものと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/20
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021・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 いままでの考え方ならばそれで私も了解できるのですけれども、しかし、少なくとも、この法案には、「国及び地方公共団体は、母子家庭の福祉を増進する責務を有する。」とはっきり規定して、あらためて母子家庭の福祉についていろいろと並べているわけです。先ほど阿具根委員も言われましたように、りっぱなことを書いているわけですよ。そうすれば、当然この法案と同時に、この母子相談員の問題についても、もっとこの法案の趣旨に沿った積極的な考え方というものを打ち出してこなければいけないのじゃないか。それをいままでのように、単なる名誉職として、それでいいのだという考え方では、結局、法案をつくっても、内容はいままでの母子家庭に対する母子福祉資金の貸付等に関する法律と変わらない、そういうふうに私は言わざるを得ないわけです。したがって、もう一つ問題に私はなろうと思うのですが、この法文の中で、母子相談員の費用の支弁の条文は一つもないのです。一体われわれの納めた税金を使うのに、法令に従わないでかってに使えるのですか。一体どこにこの母子相談員のための費用を支弁する、そういうことを支出することができる条文がこの法案の中にあるのですか。それを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/21
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022・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) これは先ほど申しましたように、母子福祉資金の貸付等に関する法律をそのまま踏襲した部分が多いのでございますが、母子相談員につきましても、従来の法律をそのまま踏襲いたしておるのであります。この費用の規定につきましては、国庫補助の職員でありますと費用の規定を入れる例があるのでありますが、これは先ほども申しましたとおり、最初から交付税で費用は解決をするということになっておりますから、この法律においては、そういうような費用の規定は従来とも置いてなくて、今回も置かなかったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/22
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023・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 従来なかったと言いますけれども一、従来の母子福祉資金のあれの中には書いてあるわけですよ。第十五条の「都道府県に母子相談員を置く。」という中で、四項で「母子相談員は、非常勤とし、その職務を行うのに必要な費用の弁償を受ける。」というようなこと、それから、婦人相談員の問題につきましても、ちゃんと国庫負担の条文があるわけですよ。ですから、私は、交付税の中に入っているからそれでいいということでなしに、やはり国及び地方公共団体の責務ということではっきり規定をするならば、こういう費用の支弁についてもはっきり条文の中にうたうことのほうが、厚生省の所管としての仕事をやっていく上に、自治省あるいは大蔵省と協議をする上に非常に有利じゃないかと思うのですよ。それをこういうことで書かずに、交付税の中に、一般の交付税と同じように考えておるから、自治省は、金がないから、単価はこれでいいのだとか、こういうことで予算的に非常にしぼられてくるのじゃないか、こういうように思うのです。したがって、法文の中にその点はっきり書いて、そうして義務づける。大蔵省に対しても、あるいは自治省に対してもそういうことをなぜ考えなかったのか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/23
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024・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 実は、従来の法律を踏襲しましたけれども、この費用の規定の関係では次のような含みがあったのでございます。従来の法律ですと、先ほどお読み願いましたような「必要な費用の弁償を受ける。」という規定がございました。これははっきりと名誉職的なもので、実費弁償というか、費用の弁償を受けるという規定でございます。したがって、常勤になり得る余地がないようなこれはどうも感じがいたすのでございます。従来、民生委員等のボランティアにつきましてもこのような規定があるのでありますが、これはもう名誉職につきものの規定でございます。今回この規定を特に落としましたのは、常勤、非常勤の問題がやかましいものですから、一応非常勤とはいたしましたけれども、実費弁償の規定を除いたということは、常勤になり得るというか、名誉職的なものからだんだん専門的なものになり得るという、一歩改善になるというような実はニュアンスも考えましてこの費用の弁償規定を除いたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/24
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025・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 母子相談員の常勤化の道も一応考えておると、こういうことでございますが、自治省として、現在、各市町村、都道府県から、この母子相談員について、どういうようなその身分なり、あるいは処遇等について意見が出されておるか、そういうことがあるかどうか。また、まあこれは厚生省の所管といわれればそれまでなんですけれども、自治省としてはこの問題についてどういうお考えを持っておられるか、その点をお聞きしたいのですけれども、もし厚生省の所管ということになれば、厚生省としては、この新しい法案を提出するにあたって、さらに母子相談員を強化していくという立場から、現在のままでは非常に欠陥が多いということを認め、そうしてこれをおいおい専門化していくという考え方があるのかどうか、その点をひとつ明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/25
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026・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 母子相談員の常勤化の問題につきまして、自治省に対しまして、まあ二、三、現状が常勤化しつつあるということで、そういう方向で考慮をしてほしいというお話は耳にいたしたことがございますが、特に強くそういうことにつきましてのこれまで陳情というようなことはいただいたことは記憶をいたしておりません。ただ、衆議院の御審議の段階におきまして、この点につきましていろいろ御指摘をいただきまして、私どもも省内におきまして相談もいたしたわけでございますが、母子相談員の職務の内容の実態が、現実に常勤化しているものが相当ある。また、今後の制度といたしましても、たてまえがそういう常勤的なたてまえで持っていくことが制度としても適当であるというような御判断になりますれば、私どもといたしましては常勤化をはかるという方向で検討をいたしたいと、かような考え方を持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/26
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027・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 厚生省といたしましては、先ほども申しましたが、三県において母子相談員というものが常勤化されておる。あとの三県におきましては、一部常勤化されておるというようなことで、まあこれがやはりだんだん進歩の方向だというふうに感じておるのでありますが、ただ、年齢を調べてみますと、五十一歳以上の母子相談員が全体の四一%を占めるというような事情もございまして、常勤化して公務員にしますというと、将来定年制等の問題でやめざるを得ないような人たちも出てくるのではなかろうかということで、母子相談員を全面的に常勤に切りかえるという決心が実はつきかねておったのでございます。したがいまして、自治省に対しまして、これまで正式に母子相談員をすべて常勤化してほしいという要望はいたしていないのであります。ただ、待遇がいかにも低いものですから、これをできるだけ上げたい。特に交付税の一万二千円というのを倍額の二万四千円ぐらいにしたいということで自治省の財政当局に交渉したことはあるのでありますが、まあ従来はそういうような程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/27
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028・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 現在このほかにも、特別職として非常勤でいろいろなそういう名誉職的な仕事をやっている方がたくさんあると思うのですが、一週間に五日も六日も出勤をするというようなそういうものがあるかどうか、把握しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/28
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029・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) ちょっといま手元に資料がございませんが、勤務の形態で常勤的なもの、非常勤的なもの、その他というのは、たしかお手元の母子福祉法案参考資料に書いておきましたからごらんを願いたいと思いますが、大体常勤的なものがやはり約半数をこえつつあるという実情でございます。非常勤的なものは、あるいは一日おきとかというような日数制、あるいは午前中とか午後一ぱいとかという時間制というような形態になっておるのでございますが、ただいま詳細なものを持っておりませんから、あとで調べまして申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/29
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030・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 おそらく婦人相談員にしても、あるいはその他の指導員等にしても、私は、一週間に六日も出るというようなことはないのじゃないかと思います。母子相談員のみがこういう形態になっておるのではないかというふうに思いますし、少なくとも、労働基準法が適用される特別職としてこういう勤務形態をしているとなれば、当然これは特別職というよりも一般職として、これは地方公務員として実質的に処遇されてもしかるべきではないか、こういうふうに思うのでございます。そこで、この母子相談員の問題につきましては、いま局長の言われたような立場で、ここでこういう法案を提出した機会をとらえて、そして、より充実強化をしていくための処遇の問題について、ひとつ積極的な意欲を持っていただきたいということと、自治省に対しても、それに対する予算的な措置は十分にしていただくようにお願いをしておきたいと思います。
それから、次に、住宅問題について、建設省の方がおいでになると思いますので、お伺いをしたいわけでございます。この母子世帯向けの住宅の建設が一体どういうふうになっておるか。おそらく建設省が、公営住宅についてと申しますか、第二種住宅についてそれぞれの建設計画をお持ちになっておろうと思いますし、その計画の中で、母子家庭に対してどういう割り当てをしてまいったか。また、三十四年の一月に、厚生省、建設省両方の通知として、母子家庭に対する公営住宅の取り扱いについてということで流しております。この中では、当然厚生省、建設省はそれぞれ協議として、母子家庭に対する優先的な入居をするべきである、こういうようにはかるべきであるという内容が盛られておるわけでございますが、一体そういう通知に基づいて厚生省あるいは建設省が協議をしながらやってきたのかどうか、そういう点をお伺いをしたいと思いますし発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/30
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031・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 母子世帯の住宅につきましては、御指摘のとおり、公営住宅の第二種住宅割り当てをいたしております。これにつきましては、ただいまお話の厚生省と建設省の共同通達によりまして、地方公共団体の建設主管部局と福祉関係の主管部局が密接な連携をとりまして計画を立て、それに従って管理運営をいたしております。三十八年度の実績を申し上げますと、公共団体のほうで建設をいたしましたのが九百一戸でございましたが、三十九年度におきましては千五百ほどの母子世帯住宅を割り当てる計画にいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/31
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032・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 私の調べた調査によりますと、建設省としては、母子世帯向けの住宅の建設計画として、昭和三十四年から昭和三十八年度までの分ですが、それぞれ毎年度千五百戸づつつくる、こういう計画を立てておりますけれども、しかし、実際にははるかにそれより下回って、一千戸前後の建設しかしておらない、こういう内容でございますが、これは一体どういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/32
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033・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) ただいまの戸数につきまして、われわれも同じ資料を持っておりますが、いま申し上げましたように、その地区における地方公共団体の第二種公営住宅の建設計画の中で、母子世帯向けの計画が、実は建設省のわれわれがあらかじめ予想しておったものよりも少ない計画で来ております。これはそれぞれ地方の実態によりまして、あるいは財政の問題、あるいは母子世帯向けに対する公共団体の方針等にもよるかと存じますけれども、建設省といたしましては、少なくとも、この千五百戸の割り当て計画になるように各公共団体にも指導いたしまして、せっかくの予定の戸数が全部消化できることを期待をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/33
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034・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 この計画を立てる際に、厚生省と建設省は相談をしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/34
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035・前田光嘉
○政府委員(前田光嘉君) 第二種公営住宅の各府県の割り当てをいたします際に、本省の段階において協議いたしておりますが、さらに各地方公共団体が本省に対して申請をする事前に、各関係の部局同士で打ち合わせをさせております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/35
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036・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 厚生省はそういう相談にあずかったことがありますか。しかも、千五百戸というような計画をつくる、しかし、実際にはこれだけしかつくっていないということについて、厚生省として、この住宅問題についてどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/36
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037・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 母子住宅の問題につきましては、実は建設省と折衝をいたしまして、できるならば母子住宅の関係は厚生省の所管に移してもらいたいというような気持ちを持っておるのでありますが、いろいろ折衝の末、第二種公営住宅というものは厚生省にワクを与えるというようなことで、今日千五百戸の実績を持っておるのでありますが、ただ、現実に、御指摘のように、三分の二しか消化できないということについては、厚生省においても問題視しまして、建設省といろいろこれが原因と、これからの対策についても御相談申しておるのでありますが、母子世帯が希望しておりまする場所、これは働く場所の関係がございまして、その場所がなかなか地価が高くて土地が入手しにくいのでございます。結局市街地から離れたところに建設せざるを得ないのでありますけれども、それでもなかなか容易でないという事情がわかりました。したがいまして、今後はこの土地の問題がやはり根本的な隘路であるということで、これは建設省でいろいろ住宅を建てる場合に、やはり共通の悩みでございますが、建設省のほうでいろいろ対策を練っていただく。ただ、都道府県の声を聞きますというと、いろいろ建設の単価等の積算が低いとか、いろいろな理由で母子住宅はなかなか建設しにくい、あるいは家賃が安いためにいろいろ起債の償還等で隘路があるというようなことで、問題は、都道府県の、特に私のほうの民生部系統と土木建築部系統との母子住宅についての熱意と申しますか、理解に結局は根本の問題があるというようなことで、この法案が成立しました暁におきましては、そういう点をさらに理解を深めていただいて、この母子住宅の第二種公営住宅が全部消化できるように促進してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/37
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038・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 現在母子家庭で住宅に困っている人はどのくらいあるか、その点把握しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/38
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039・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) これは母子家庭の全数の調査はいたしておりませんが、母子寮に住んでおりまして、そこを出て第二種公営住宅その他住宅に入りたいというような希望、及び、退寮する時期にきたけれども、退寮先のない、つまり住宅がない世帯というような調査がございますが、特にこの退寮先のない世帯、住宅がないために退寮できないという世帯は、母子寮に入っておりまする母子世帯の全数のうちの三千二百四十世帯、二九・一五%あるという資料がございます。
それから、これは五年前の調査でございまして、新しい調査はことしやるつもりでおりますが、母子世帯の住宅の状況で、第二種公営住宅、あるいは自分の家、母子寮以外に住んでおる、つまり何らかの住宅が必要であるという世帯が九・二%ある。これは八万九千世帯になりますが、そういうような資料も五年前のがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/39
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040・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 いま申されましたように、住宅にお困りの方が非常に多いという現状の中で、三十九年度では千五百戸というようなお話でございますけれども、それくらいの計画でも、実際にはさらに三分の二くらいしか建たないということになりますと、一体いつになったら母子家庭の方がそういう住宅に入れるのかということに私は疑問を持つんですね。厚生大臣は、先般新聞でちょっと拝見をいたしますと、この第二種公営住宅については、ひとつ建設省の所管でなく、厚生省の所管に移してもらいたいというような意向をお示しになったようでございますが、これに対して建設省は、それは困るというようなことで反論をいたしておったようでございます。その辺のひとつ厚生大臣の御見解をお聞きしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/40
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041・小林武治
○国務大臣(小林武治君) この問題は、国会におきましても、小住宅、低所得者向けの住宅というのは、単に住宅としてよりか、社会保障の面を加味して考えるべきである、こういうふうな御意見がありまして、私も、この小住宅の問題につきましては、やはり社会保障の面から検討をしなければならぬ、また、計画もしなければならぬ、こういう考え方を持っております。その向きの意見を他の場合にも述べたことがありますが、厚生省の中でいろいろ相談した結果、この際としては、これらの問題の移管に入るよりか、実際問題としてそういう効果をあげる方法がないか、こういうふうな相談をいろいろいたしまして、おそらくお手元にお配りしたと思いますが、昨日、第二種公営住宅につきまして厚生省の希望を建設省に申し入れをしたのでございまして、さしむきこういう方法でひとつ相互の協力をしたらどうか、こういうふうなことになっておりますので、御了承をお願いしたいと存じます。
なお、この申し入れの内容につきまして御意見があれば、私のほうの事務当局からも、この際、御説明申し上げてよろしいと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/41
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042・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 その厚生省の建設省に対する申し入れの内容がありませんので、概略でけっこうですから、説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/42
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043・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 第二種公営住宅の建設の戸数、設置場所等の計画は、都道府県の民生主管部局において樹立することとする。入居者の募集とか選考等の管理、運営面も民生主管部局が担当するようにしたい。
次に、第二種公営住宅をほんとうに低所得階層のための施策とするために、敷金というようなものの撤廃とか、あるいは負担能力に応じた家賃決定方法の採用等の措置をとりたい。
それから、なお、この住宅の建設を促進するために、現行の建設費——これは土地取得費を含む——の補助単価を実情に沿うように引き上げをしていただきたい、こういうようなことを申し入れているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/43
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044・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 六月八日ですから、きのうですから、まだ建設省のほうでは、これに対する見解はこれから御検討なさると思いますが、しかし、いままでの母子家庭向きの住宅の建設について、必ずしもその母子家庭の福祉の方向に向かっての現況ではないということは明らかでございまして、この点については、ひとつ建設省も十分御検討いただいて、そうして、せっかく法案の中に住宅の問題等も入れてあるわけでございますから、厚生省との協議の面も積極的に強化してやっていただきたい、こういうふうに思います。
それから、次の問題として、貸し付けについての問題でございますが、いままでの法律でございますと、それぞれ貸し付ける内容が各項目にわたって書いてある。ところが、今度の法案ではそれがないわけでございますけれども、一体これを削除して政令にまかせたという理由はどこにあるのか、お聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/44
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045・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) これは従来の資金の貸し付けの規定とそんなに差があるわけではないのでございますが、基本的な問題は三項目に分けまして規定をいたしまして、これから新しく考慮してしかるべきようなものは政令事項に譲ったということでございまして、基本的なものは法律事項にして、その他のものは政令事項にして、予算措置だけで解決するようにしたほうが、貸し付けの種類等の今後の拡大のために有利であろうというようなことでこのような規定にいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/45
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046・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 拡大のために有利であろうということでございますが、今後拡大する意思があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/46
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047・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 実は、衆議院のほうで御承知のように修正がございまして、さっそく第十条の四号におきまして、この政令事項で入学支度金というような新しい種類の貸し付けを始めるようなことになったのでございまして、法律事項にいたしておきますと、国会が開かれておりますときにしかこういう機会がないのでありますけれども、政令事項にいたしておきますと、予算の範囲内で場合によっては運用ができるというような利点があろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/47
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048・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 私は、いままでのように、こういう場合にはこれだけ貸します、この場合にはこうしますというように、法律上にはっきり書いておいたほうが、これは見る人が見ればすぐわかるのですから、母子家庭の皆さん方に周知をする面でも非常にいいと思うのですが、それを政令で隠しておったのでは、一体どういう場合に借りられるのか、幾ら借りられるのか、さっぱりわからぬじゃないですか。そういう面に拡大する余地を持っておきたいと言いますけれども、それはそれで、また国会も毎年開かれておるのですから、そこで追加していけばいいのであって、予算が限られているわけですから、その年度年度の予算でもってちゃんときまっているわけでしょう、そうすればその中で拡大をするということになれば、どこかの分を減らしてそっちへ回すか、あるいは移流用ができるかどうか、その辺問題があろうと思いますけれども、私としては、その中にそれぞれいままでどおり書いたほうが母子家庭に対するサービスの面でも非常にいいのではないか、こういうふうに思うのです。いま言われたような御意見で削除をしたということになりますると、ちょっと納得のいかないところでございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/48
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049・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 実は、従来の既得権と申しますか、貸し付けの種類、内容につきましてはそのまま踏襲をいたすわけでございまして、これからどのようなものを拡大したらいいかということがこれからの問題でございますが、それを法律事項にするのも確かに一つの方法であろうと思いますけれども、先ほど申しましたように、政令事項または政令事項の予算の範囲内の運営の妙味というものもございますから、いろいろ利害得失を考えました結果、基本的なものは法律事項にして、今後予想されるようなもので予算だけで解決できるようなものは、むしろ政令事項にしたほうが便宜であり、また、拡大の可能性も多かろう、つまり小さな種類の貸し付けにつきましても、こちらの方法が非常に役に立つわけでございますが、なかなか法律改正とか法律事項ということになりますというと、そういう場合には、ついおっくうになりましたり、いろいろそういうことについて不便がございますから、それを政令で弾力的に解決をしてまいろう、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/49
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050・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 私は、別に法律万能主義者ではないわけですけれども、しかし、最近の各省の行き方を見てまいりますと、官僚独善というか、何でも政令にまかしてしまって、そうしてその面からひとつ権力を握っていこうというような動きが非常にあるのではないかと私は思うのです。やはり必要なことはなるべく法文化して、そうして個人の意思によってこれが左右されないように、かってな解釈ができないようにしていくということが私は必要ではないかと思うのです。したがって、この貸し付けの問題等についても、何か自由裁量が厚生省だけでできるようないまお答えでございますけれども、決してそういうもので私はないと思うのです。限られた予算の中でやるわけですから、やはり法文の中に明確にしておいたほうが、厚生省としても、対大蔵省との関係においても、もっと強力な予算獲得のこともできるのじゃないかというふうに思うのでございます。したがって、この点が私は問題ではないかと、こういうふうに思いますので、ひとつ御検討を願いたいというように思います。
それから、事務費の問題でございますが、この条文によりますと「収納済みとなったものの二分の一に相当する額」ということになっておるわけです。事務費に充てるわけです。こうなりますと、私は、その返済の取り立てが非常にきびしくなってくるのではないかというふうに思うのです。少なくとも、こういう福祉のための仕事をやる場合の事務費などというものはこういうところから出さずに、全部一般会計から支出をしていくということのほうがいいのではないかというように思うのですが、そういう点はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/50
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051・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) これはその他の貸し付けに関する法令の例にならったまででございますが、収納済みとなったものと一般会計からの繰り入れ、この会計額で運営費に充当するというような従来の貸し付けの法令の一般の慣例に従ったまででございます。ただ、現実には、この「収納済みとなったものの二分の一に相当する額」とありますが、従来は三分の一でございまして、つい数年前の改正で二分の一になったのでございますが、これを増加したがいいのか減らしたがいいのか、いろいろ問題はあるわけでございますが、ただ、事務を円滑に、しかも、すみやかにやるということが、また、貸し付けを受ける人たちのためにもなるのでございまして、大きな目で見れば、この費用が十分あるということは貸し付けを受ける人のためにもなるということから、この辺で過去の経験にかんがみまして押えておるのでございますが、しかし、お説のように、全部一般会計の繰り入れ等でやるということも考えられますので、他の法令等との関係もありますが、いろいろ検討もしてみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/51
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052・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 私が一番心配するのは、いま局長が言われましたように、事務費をたくさん持ったほうが円滑にその事務が処理できるということからしても、結局事務費をたくさん確保するために返済の取り立てをどんどんきびしくしていく、こういう傾向が出てくるのではないかということを心配するわけです。ですから、そういうことがない、とにかく返済についてはそれぞれ事情を十分考えてやっていくのだというようなことなのであればけっこうでございますけれども、しかし、事務費を確保するためにどんどんやっていくということになりますと、この母子福祉という本来の趣旨からいって問題が起きるわけですから、そういう点で、こういう事務費なんというのは一般会計でやっていくという方向をぜひとってもらいたい、こういうふうに思います。
それから、もう一つ、いままでの条文の中にもあるわけでございますが、第十四条の二項に「この法律による貸付金の貸付業務を廃止したときは」というようなことが書かれておるわけです。これは私は必要ないんじゃないかというように思うのです。第十条の「(資金の貸付け)」で、「貸し付けることができる。」ということになっておるからこういうふうになっておるのかどうか知りませんけれども、少なくとも、貸し付けをするということがはっきりしておるわけですから、これを廃止したときは廃止したときで、またそのときの新しい法律なりその他の政令によって十分できることであって、何かこれがあると、貸し付けそのものの条文が非常に消極的なような感じを受けざるを得ないのです。したがって、十四条の二項等については、私は、何か余分なような条文に感ずるのですけれども、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/52
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053・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 確かにこういうことは私もあり得ないと思いますが、しかし、法律ではあらゆる場合をやはり予想して規定をしなければなりませんので、従来の貸し付けに関するいろいろな法律の例にならって規定をいたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/53
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054・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 従来の例にならってというこれは、まあ法制上どうしてもこういうものを入れなければならないということであれば、私も不勉強であるから、その点はわかりませんけれども、しかし、何か先ほど申し上げましたように、貸し付けなど、その他一切の福祉に関する業務が、こういう条文によって積極性というものが、何か阻害と申しますか、そがれておるような感じを受けるわけでございます。
それから、保証人の問題でございますが、現在、連帯相互保証人の制度をとっておりますけれども、こういうものもやはり形式的に流れ過ぎるのではないか、こういう相互保証人制度についても、この際、改めていく必要があるのではないかというように思うのですけれども、その点もひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/54
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055・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 実は、この保証の問題は、未亡人団体からも、あるいは国会におきましても、保証制度というものは廃止してしかるべきではないかというような御意見がございますが、これも主として事務当局の御意見でございますけれども、あらゆる貸し付け制度には、やはりいわゆる担保とか保証とかいう制度が貸し付けであるからには必要であるというような原則に従って規定を置いておるのでありますが、しかし、実質的には保証人がないと同じような借りやすい条件をつくりたいというので、実は苦心したりして考え出しものが貸し付けを受ける人たちの相互保証ということでございます。確かに保証人制度というものがあり、保証人というのはやはり担保力があるということが前提でございますが、担保力を問わないで相互保証ということは、保証人がないと同じような結果になろうかと思います。従来の貸し付けの立法の運営、あるいは立法の措置でこうせざるを得なかった、むしろ未亡人団体等の御要望を入れてここら辺まで緩和してきたというのが実情でございますから、それを廃止しますと、やはり保証とか担保とかいうことに逆戻りをいたしますし、実質的に無保証というような結果になっておりますから、これはそのまま存続さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/55
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056・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 せっかくつくった法律でございますから、それが有効にそれぞれの母子家庭に十分利用され、あるいはそれが運用されるということが大事でございますから、そういう点で、あまり形式にこだわらずに、十分母子家庭の意見等も聞いて、そうして運用の妙というものを発揮をしていただきたい、こういうふうに思います。
最後に、私は、総合的に厚生大臣にお尋ねをして意見を申し上げたいと思いますが、結局、母子福祉法というものがつくられましたけれども、いままでの質疑の中で明らかのように、単に母子家庭に対する福祉を内容とした法案にしかすぎないということが明らかになってきたのでございまして、私は、やはりこういうせっかく新しい法律をつくるからには、もっと一般母子を含めた総合的な立法というものを考えるべきである。しかも、池田内閣は人づくりというような面を強調しておるわけでございますけれども、それには、やはり児童が一人の人間として尊重され、そうして社会が育成をしていくんだという、あの児童憲章に盛られた精神をまず厚生省としては基本としなければいけないんじゃないか、さらに、また、その母性に対する保護と申しますか、保健と申しますか、母性をもっと大事にしていく、そういうことがなければ、肢体不自由児の問題が出てきたから、これを何とか解決しなければならない、あるいは精薄児を何とかしなければならないという、あと始末の問題をやることも必要ですけれども、それより以前に、やはりそういう子供ができないように、根本的なところから積極的にいろいろな施策を講じていくということをまず考えていかなければならないんじゃないか、こういうように私は思うのです。したがって、こういう新しい法律をつくる場合には、そういう面を基本として、そうして、なおかつ現実に母子家庭というものがあるわけでございますから、その母子家庭に対する福祉の内容を規定していく、こういうのが本来あるべき姿ではなかったか、こういうふうに私は思うのですが、こういう点について、ひとつ厚生大臣の御見解をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/56
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057・小林武治
○国務大臣(小林武治君) 私もただいまの御意見には、もう全面的に共鳴いたすものでありまして、この際の法律としては、母子家庭からの非常な熱烈な御要望もあったので、とりあえずこういうふうな形の法律をお願いすることになったのでありますが、お話のように、一般母子につきましても、健康管理とか、あるいは栄養管理とか、いろいろの問題をこれから前進せしめなければならない、こういうふうに考えますので、この法律のほかに、あるいは母子保健法というものをつくるか、あるいはこれと一緒にして考えるか、こういう問題がありますが、これらにつきましても、ひとつ国会の方々ともよく御相談の上、適宜な方法をとって、そうして御意見のような方向に進むべきものであると、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/57
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058・阿具根登
○阿具根登君 二、三点質問いたします。
まず、この母子福祉法を見まして、一条、二条、三条、まことにけっこうなことが書いてあって、私も一賛成です。しかし、全般を通じて見ますと、何か訓辞規定を羅列されておるような気がするのです。非常に身がどこにあるのかわからない。いわゆる一条等を見てみますと、「母子家庭の福祉に関する原理を明らかにするとともに、」と、非常に最近のことばで書いてあるかと思うと、第三条には「責務を有する。」ということが書いてある。特に第二条等には、まあ憲法で書かれてあるから、これは憲法をまねられたのかどうか知りませんが、「文化的な生活とが保障されるものとする。」と、こういうふうに書いてあるわけなんです。これはだれも異存のないところで、厚生省がこういうことを書かれておるのは全くけっこうだと思うのです。しかし、それでは実際どうするのかという面になってまいりますと、たとえばさっき柳岡委員が言っておりました相談員の問題につきましては省きますが、どうもすっきりしておらない。どこを一体どうするのだということがすっきりしておらない。たとえば資金の貸し付けになってくると、これは何か中小企業の貸し付けをまねられたような、焼き直しのような感じがする。ここには事業を開始するのに必要な資金は貸し付けますぞとなっておる。それはどのくらいの範囲でどういうものが貸し付けられるのかということが明らかになっておらない。また、児童の修学についても貸し付けますぞとなっておるが、児童の修学にどれだけのものを貸し付けるのかということもはっきりしておらない。中小企業の場合も、一応金額は明示されておりましても、法律が出ました場合には、非常に零細企業が、資金がうまく借りられるぞと思って仕事にかかっても一つも借りられないというのが現状です。非常に借りられないのです。これを見ておって、この法律が通れば、母子家庭がこれですっかり救われるぞという気持ちを一条、二条、三条を見れば受けるわけです。しかし、次々に読んでいけば、この法律でほんとうにどういうふうな金が借りられるのだろうか、だれが査定してどういうふうにして幾ら借りられるのだろうかということがわからない。これは柳岡委員の御質問の中にもあったと思うのですが、その点もう少し明確にしてもらいたい。事業資金の場合にはどのくらい借りられるのか、母子家庭の事業というものはどのくらい政府は考えておられるのか。女だから、たいしたことはできないだろうといってわずかに考えておられるのか、あるいはりっぱにやっていける能力がある方にはこれだけの金を貸しますよというようなりっぱなものがあるのだろうか、それを査定するのはだれだろうか。中小企業等ではちゃんとその専門の銀行の人がおります。そうして、その計画を持ってきた場合、この計画じゃだめですといってぽんぽんけられるのです。それでは母子家庭で事業をやるという場合に無条件で貸すのか、だれかがまた中小企業のように、こういうことはだめだ、あれはだめだといって金を貸さないのかどうか。そういうことについてはっきりしてもらわないことには、みんな金を借りられるものだと思う。われわれに、かえってこういう考えを持たせますよ。本人が金を借りにいったら金は借りられない、こういうことになってくるわけです。これが零細企業の実態なんです。零細企業、中小企業の法律を読んで見ても、必ずこれは借りられる、この事業をやったら金が出てくるものと思ってやってみると、金が借りられないのが現実なんです。そうすれば、こういうときにどうしたら金が無条件で借りられるのか、あるいはどういう査定が行なわれるのか、幾らまでどういう場合に借りられるのか、こういう点をひとつお聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/58
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059・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) この母子福祉の貸し付けの条項は、十数年前に議員立法になりました母子福祉資金の貸付等に関する法律の条章を、あるいはその実体を大体において引き継いでおるのでありまして、貸し付け資金の種類、あるいは貸し付け対象、あるいはその限度額、貸し付け期間、据え置き期間、あるいは償還期限というようなものは、母子世帯の方も、この十数年やっておりますから、大体御存じのことだと思うのであります。たとえば事業開始資金で申しますと、貸し付け金額の限度が二十万円、据え置き期間が貸し付けの日から一年間、償還期限が六年以内というようなことで、詳細な内容は政令以下に譲られて明らかになっておるのでございます。それから、貸し付けの事務は、先ほど申しました母子相談員がいろいろ中心になってお世話をするのでございますが、県の福祉事務所が主としてこの事務に当たっておるというようなことでございまして、現在のところは、申請がありました場合に、母子世帯であり、条件を具備しておるものはほとんどが貸し付けられておる。却下の件数も少しございますが、この原因を調べてみましても、むしろ資金が欠乏しておる中小企業の金融と異なりまして、資金の欠乏よりも、むしろ貸し付けることのできない欠格条項と申しますか、子供が二十歳以上になっておるとかいうような欠格条項によるものが多いという現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/59
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060・阿具根登
○阿具根登君 事業開始の場合の資金は二十万というのは、中小企業、零細企業と一緒なんですね。十数年前つくったやつです。いま二十万円で何か事業ができると思いますか。十数年前は物価はどのくらいだったと思いますか。あなたがたがこういう法律案をおつくりになるなら、十数年前こういう法律ができておったが、いま物価はこれだけ高くなった、先のほうにたばこ小売とのことも出ておりますが、たばこ小売りも二十万円でできたらつくってもらいたいと思う。できますか、二十万円で。それなら、この際はもう少し上げてやるべきだという気持ちになるべきでしょう。私はそれを言うのです。二十万、それは借りるほうは少なくてできれば、返さなければならぬ金だから、少ないほうがいいかもしれないけれども、最近の物価高では、とてもそれじゃやっていけない、こう思うわけです。そうすると、こういう法律を改正する際こそ、十数年前つくった法律でございますから、その資金ではどうしても足りません。多ければ多いほどいいかもしれないけれども、百万円も二百万円も貸すというわけにはなかなかいかない、こういうことはあると思うのです。しかし、たとえば二十万が五十万——必要でない方は借りないでしょう、返えさなければならぬ金だから。しかし、このくらいの親心があって、それで一条、二条、三条の文章が生きてくると思う。一条、二条、三条のこういうりっぱな法律をつくるのに、十数年前につくった法律をこれに援用しておりますというのはおかしいじゃないですか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/60
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061・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 確かにお説のように、この貸し付ける内容は改善しなくちゃならないというので、この十数年間たびたび改善をいたしておるのでありますが、この事業の資金の問題も、事業開始資金と事業継続資金というのがございまして、これも最近では一回について十万円以内ということになっておりますが、これも一回きりではありませんので、運用を効果的にいたしておるつもりでございますが、この開始資金と継続資金でいろいろ事業の援助をしておる。しかし、最近未亡人団体のもっぱらの御要望が、子供の修学資金、あるいは入学支度金、それから住宅資金と申しますか、そちらのほうにだんだん要望が強くなりましたから、そちらのほうの改善のほうに努力を払いまして、事業開始資金の問題につきましては、ここ数年はあまりいじっていないのでございますが、これも未亡人団体の、あるいは未亡人家庭のいろいろな要望を聞きまして、それも最も緊要なものから改善をしていきたいということで考えておるわけでございます。ただ、この法案がおっしゃるように、プログラム的な、訓辞的な規定になってしまいましたのも、実は、予算の編成が一応済みまして、未亡人団体等の御要望から急にこの法案をつくることになったのでございまして、その内容の問題よりも、母子福祉法というような新しい法律をつくりまして、まあ母子福祉のリヴァイバルと申しますか、だんだん戦争未亡人の方たちが少なくなってまいりまして、母子世帯の実態もだんだん変わってまいりましたから、しかも、従来の施策がいささかマンネリズムになったきらいがございましたから、この法律の立法によってもう一度リヴァイバルをしよう、内容よりも、むしろそういうことで新しい法律をつくってこれから内容をよくしていこう、その先がけの意味で、内容よりも、こういう法律を新しくつくることに大きな意味を見出して立案をしたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/61
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062・阿具根登
○阿具根登君 いや、率直な御答弁で、さすがだと思います。私はまた違った答弁があるかと思って考えておったのですが、率直に、厚生省は予算編成前は出す気はなかったのだ、予算がきまって、母子福祉家庭からの非常な陳情があったから、内容はそろわなくても、まずまずこれで出しておいて、この次にこの内容を整備するということで書かれたと思うのです。ただいまの答弁でそういうふうに解釈いたします。そうなると、私はさっき申し上げましたように、訓辞規定か羅列規定であって、一つも実がないという感じがしておったのですが、そういう実情があれば、そういう実情で意見をまぜて申し上げていきます。ただいまの資金の問題でも十分御勘案を願いたいと思います。
それから「売店竹寺の設置の許可」ですね、事業内容に入っていきますが、これも非常にけっこうだと思うのです。そして「国又は地方公共団体の設置した事務所その他の公共的施設の管理者は、」となっておって、そのあとで、日本専売公社はたばこの小売りを優先的に許さねばならないと、こういうふうに書いておるのです。これもけっこうだと思うのです。ただ、一つ疑問に思いますことは、専売公社のたばこ小売りをやらせるとおっしゃるのは当然だと思うのですが、それで駅に関することは何もこれには書いていない。「公共的施設」ということは書いてある。しかし、現在の駅というものは民衆駅で、国鉄だけで建てている駅ではない。これは御承知のように、自治体が相当な金を出して、そうしてできた民衆駅です。ところが売店はほとんど弘済会がやっておる。汽車の中から、汽車の施設から、これはほとんど弘済会の独占事業です。なぜこういうところへ未亡人は入れられないか。現在、今度できた博多駅を見てごらんなさい、東京駅を見てごらんなさい、新宿の駅を見てごらんなさい。どえらい駅——駅というよりも、商店を一まとめにしたものなんです。売店なんです。そういうところへ優先的に入れろということをなぜここに書けないか。専売局には書けるけれども、なぜ国鉄には書けないか。そういうところは未亡人の職がうんと私はあると思う。どんな小さな駅でも週刊誌、新聞、牛乳、そういうものを売っておらないところはない。非常にそれは売れておる。ところが、たばこの専売局だけは出しておるけれども、一番だれでも感ずる駅の中に未亡人が入るようなことは書いてない。公共施設に入れておるというなら、そんならたばこ小売りも公共施設の中に入るわけで、私は旅から旅をしておりますが、汽車に乗るたびに思うのです。あれだけのりっぱな駅、あれだけのりっぱな店を一部の人たちだけがやっておるじゃないですか。こういうところにこそ未亡人をまっ先に使えという規定を入れられないかと、こう思うわけですが、いかがですか。どういうように国鉄とはお話し合いになるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/62
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063・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) この十六条の「公共的施設」の中には、当然国鉄の駅は入るわけでございますが、おっしゃるように、実績というものがないのでございます。ただ、たとえばお説のように、新宿の民衆駅等の売店等につきましても、資金の規模が大規模な規模でございますから、はたして未亡人個人としてこれを買い入れることができるかどうか、まあいろいろ問題があろうかと思いますが、ただ、この貸し付けの種類の中で、未亡人団体の母子福祉団体に対しまして百万円程度の事業開始資金を貸し付けるという規定がございまして、これとても百万円程度でございますから、大規模なものは無理かと思いますが、この程度でできるような施設で利用できるものにつきましては、今後も折衝を続けてまいりたいと思います。ただ、実情は、残念ながら先ほど申しました弘済会あるいは労働組合等の共済事業と申しますかの売店等と未亡人の売店等との競合がございまして、いろいろこういう職場の開拓については苦慮いたしておるのでございますが、関係方面の御協力を得て、母子福祉の御理解を得て、これについては、できるだけ厚生省としても職場開拓に力を尽くしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/63
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064・阿具根登
○阿具根登君 そういうことはわかっておるからこういう法律をつくるのでしょう。そういうことができれば未亡人は何ぼでも進出できますよ。そういうことができないから、ここに「母子福祉団体からの申請があったとき」としてあるのですね。それでは、この未亡人というのは少し大きな事業はできないのか、未亡人の団体がやろうとしてもできないのか、こういうことになるわけなんです。そうなると、駅なんか一部の人が独占しているじゃないか。利用しているのは一般国民全員です。そこになぜこういう方を入れられないか。だからこそ、私は、こういうやつこそこの法律に入れろと言うのです。そうしなかったら、あなた公共的施設と言われておるけれども、私が言うように、これじゃ駅に入れません、絶対。あなたが自信があるなら入れてください。駅に入れられません、こんなことでは。ここにちゃんと法律で、たとえば民衆駅なら民衆駅の売店等についても特に考慮を払うべしというような義務規定でも入れなかったら、だれがこれを交渉しますか。交渉したっていれられませんよ。だれもできませんよ、これは。だから「公共的施設の管理者」云々と書いてあるけれども、これはただ書いてあるだけで、これは利用できないのですよ。第一、一番利用の多いはずの国鉄に交渉ができぬようなことで「公共的施設」と書いて何になりますか。地方自治体の、あるいは市役所とか県庁でたばこを売るのもいいでしょう。それもいいでしょう。それは地方自治体だからいいでしょう。けれども、それじゃ国鉄だけなぜほかの人を入れないのか。市役所だって県庁だってみんなが使っておるところです。駅だってみんなが利用しておるからあるのです。その駅にだけなぜ未亡人を入れないのか。私はこの規定では絶対入れないと思う。だから、ここにたばこの専売局まで並べるなら、なぜ国鉄の構内売店等には優先的に未亡人を認めるということを入れられないか。そうしませんと、いいところは力の強い人が食ってしまって、結局は、また未亡人は何かに泣きついてこなければならぬのです。二十万円貸し付けられて、それで細々と生活しなければならぬから、いつまでも貸し付け資金を貸してくださいとか、修学資金を貸してくださいとか、事業資金を貸してくださいとか、こういうことになるのです。生活が安定しているならそういうものは要らないのです。だから、一条、二条、三条にいわれているのと中身が全く違うのです。たったこれだけの一条、二条、三条にいわれているようなりっぱなことをいわれているなら、それぐらいのことは当然やるべきです。
それから、住宅の問題でちょっとお尋ねしますが、これは住宅千五百戸を割り当てられて、三分の二しか消化できないとおっしゃる。これはあたりまえです。それは今度炭鉱離職者で一万数千戸建てたけれども、通うのに何十分も何時間もかかるところだから、それは低賃金で通えといったって無理ですよ。だから、池田さんが、もっと物価を上げぬでも、土地でもうんと下げる政策をやってくれればいいけれども、あの人ではだめですよ。だから、土地が上がるから、あなた方家を建てられぬというのでしょう。土地は上がりっぱなしですよ。いまの時の政府というのは土地ブローカーみたいなもので、土地ブローカーを押え切らぬですよ。上がるばかりですよ。肥料も何もやらぬ土地がなぜそんなに上がらなければいかぬですか。だから、そこに家を建てようと思っても、ちょっとそれは無理だから、これはたとえば市役所が持っておるとか、あるいは県が持っておるとか、国が持っておるとかというのは、優先的にこれはこういうところに土地を払い下げろというような強い意思がないと、とんでもない遠いところに家を建ててやると、せっかく建ててやった家に住まわれないのですよ。私も現地をずいぶん見てきました。だから、私の言うのは、おまえ調子のいいことばかり言うと言われるかもしれませんけれども、実際に家を建ててやるというなら、やはりそこから通勤できるようなところに狭いながらも楽しい家を建ててやるような親心がないなら、家を建ててやっても住む者がおらぬというようなことでは、細々通う人がたくさんの旅費をかけて通わなきゃいけないようだったら、これは家を建ててもらってありがた迷惑です。だから、まあ地方公共団体等が持っておる土地は、こういうのに優先的にひとつ払い下げてもらうように、これは何とかならぬものでしょうか。そして、そういうところに家を建ててもらう。そうしなければ、個人の土地ばかり考えていたのじゃ、これはとても母子福祉の家を建てるとか、炭鉱離職者の家を建てるとか、工場を持ってくるとか——きのう一万五千円しておったのが、きょうは二万円、あしたは二万五千円になりますよ。そういう人たちばかりですよ。何とかこういう方法は考えられぬものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/64
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065・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) この土地の取得の問題は、第二種公営住宅の関係では建設省の所管でございますが、先ほど厚生大臣からお話がありましたように、厚生事務次官から建設事務次官に申し入れました趣旨によりまして、厚生省もこの土地の獲得その他につきましては協力をいたすつもりでおるのでございますが、御意見を十分取り入れまして、建設省と交渉してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/65
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066・阿具根登
○阿具根登君 以上で私は質問を終わりますが、ただいま説明の中に言われましたように、とにかく母子福祉法というやつは母子家庭から非常に強い要望があって、予算はこれに伴っておらないけれども、こういう考え方で進まねばならぬという気持ちでつくったのだとおっしゃるし、私が何ぼここで主張しても、これを改正するとならば、おそらく今国会では間に合わないと思うのです。私はこれで不満足だけれども、これを改正するとなれば、やはり今国会では間に合わない。そうすると、せっかく希望されておった母子家庭の方々に、かえって失望を与える結果になる。だから、私はまあこれで賛成いたしますが、この一、二、三条を十分ひとつ勘案されまして、特に厚生大臣は、まあこれはこういう関係については非常に御熱心でございますから、この次にはこの内容を、ただいま私たちが申し上げたような問題を、もちろん私たちの言うとおりにばかりはならぬと思いますよ。しかし、できるだけ現実的に、たとえば家を建ててやるならば、それに喜んで住まわれる家を建ててやるとか、あるいは金を貸してやるならば、それで喜んで職場が持てるとか、あるいは特に私は国鉄の問題を力を入れて申し上げましたが、これはだれが考えても私はそうだと思うのです。国鉄なんか昔のように、ただ駅があるだけじゃないのです。駅の地下何階までも、もう多くの店があるわけなんです。で、そういうところは金がないならば入れないぞというなら、これはちょっと私はおかしいと思うのです。公共の施設ですね、公共の施設に、金がないならば店も出せないし、人も入れないということになれば、これは公共の施設じゃないように私はなるのじゃないかと思うのです。そういう点から大臣にひとつ御勘案願いまして、駅等でも、この母子家庭の方々が仕事ができますように、格段のひとつ御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/66
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067・小林武治
○国務大臣(小林武治君) ただいまの御意見、そのとおりでございまして、これはまあ私ども、ことしこういう立法をすることはどうかと思いましたが、とにかく形だけでも発足をしてもらいたい、こういうふうな強い御要望があったので、私どもも、やむなくその御要望に沿うたという、こういうことでありまして、内容は全くお粗末しごくでありまして、この一条、二条、三条などから見ましても、全く看板に偽りあり、こう言わざるを得ないのであります。御意見は私もり一々ごもっともと存じますので、できるだけその御趣旨に沿うように、これからこれをいいものにしていきたい、こういうふうに考えておりますし、また、来年の予算の要求ももう迫っておりまするから、皆さんの御意見をひとつ取り入れて、ぜひひとつこれを改正する方向へ持っていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/67
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068・小平芳平
○小平芳平君 簡単に一、二点お尋ねしたいのですが、いまの住宅のことですが、母子寮は、いま非常にぶっこわれそうで、まるっきりお話にならない。昼間行っても薄暗いような廊下であるとか、あるいは床が抜けていて、その抜けている床を補修するのに、わざわざつまずくように補修がしてあったり、そういうような非常に悪い母子寮が現にあるのですが、そういう点は、この第二種公営住宅の問題はわかりましたけれども、このことはあとでお尋ねしますが、その前に、現在の母子寮を建て直されるおつもりか、もっとどんどん積極的に建て直して、住みよい母子寮を建設していかれる予定か、それについてお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/68
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069・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 母子寮は、現在六百四十三施設あるのでございますが、戦前からのもの、あるいは終戦直後のものがかなりありまして、老朽化しておることは事実でございます。これは母子寮のみならず、児童福祉施設全般に通ずる問題でありますが、昨年から老朽施設の再建の予算化ができまして、本年度におきましては母子寮を十カ所、この老朽施設の更新の予算で措置をするということになっております。したがいまして、従来のもので老朽しておりますもので、一定の基準に合いますものは、これは更新をしてまいりたい。それから、なお、本年度は新しく母子寮を十三カ所つくるという予算措置が講ぜられておるのでありますが、老朽のものを復旧すると同時に、新しいものも増設してまいる、この二本立てでまいる考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/69
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070・小平芳平
○小平芳平君 それで、現在の老朽化した母子寮をさしあたりつくり直さなければ非常に環境が悪いというものを厚生省としてはどのくらいに見ておられるか、それは何年計画で、十分といかないまでも、新しく再建できる見通しかどうか、お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/70
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071・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) ただいま詳細なものは手元にございませんですが、社会局、児童局合わせまして、老朽施設として復旧をしなければならぬものが、たしか二七%程度ではなかったかと思うのでありますが、これを大体五カ年計画で復旧をしていこうというようなことで、昨年からこの予算化がなされたのであります。これは老朽施設の復旧のみならず、新設のものも合わせまして、本年度は二十五億円の予算が計上されておりますが、この予算によって復旧をしてまいりたいというような計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/71
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072・小平芳平
○小平芳平君 それで、その新しく建てたところには同じ条件で入れるわけですね、いままでと同じ条件で。それから、現在、母子寮にいる人たちが住宅問題で心配になるのは、新しく建ててくれる、改築もしてもらいたいけれども、第二種公営住宅と同じような扱いになって、そこで急に何千円の家賃を負担しなければならないということになったのでは非常に困る、それくらいなら、非常にきたないけれども、現状でもやむを得ないというようなこともあるわけですが、しかし、そういう現状にほうっておくというのは、非常に衛生上も、第一、安全上もこのままでは耐えられないわけですから、現在あるものを改築して、いままでどおりの条件でこの五カ年計画で改築を終わらせていく、こういうように理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/72
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073・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/73
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074・小平芳平
○小平芳平君 それから、厚生省のワクで千五百戸ですか、そのうち千戸できたというこの第二種公営住宅の扱いはどういうような特別扱いになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/74
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075・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) これは先ほどお答え申しました、厚生省から建設省に対する申し入れで御説明をしましたが、現状では第二種公営住宅の割り当てを建設省から厚生省がいただきまして、それを各府県に割り当てをするという程度のことを厚生省は主としてやっておるのでございまして、この事実上の建設、あるいは入居者の募集、あるいは家賃の決定、あるいは徴収等は、すべて建設省系統の主務部課でやっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/75
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076・小平芳平
○小平芳平君 この次官から次官に対する申し入れは、第二種公営住宅全体についての管理計画その他を民生関係でやるようにという申し入れですけれども、私がお尋ねしているのは、この第二種公営住宅の考えだけでは、とても現在母子寮にいる母子家庭の住宅問題の解決にはならないじゃないかと思うのです。この第二種公営住宅へ移っていかれるならいいです、そういう家庭ならまだいいのです。実際の問題としては、第二種公営住宅へさえも移れない、そういう人のための公営住宅の扱いは考えておられるかどうか、それをお尋ねしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/76
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077・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 実は、低所得者の住宅行政の問題になりますが、現在のところでは、第二種公営住宅以外にはこういう低所得者の住宅政策というものはないのでございますが、ただ、厚生省の関係では、御承知のように、生活保護関係の保護施設と、児童福祉法関係の母子寮というのがあるのでございます。今回はこの法案には母子寮の規定は入っておりませんが、次の改正の機会にはこの母子寮の規定を入れたいと思いますが、その場合に、従来の母子寮をそのまま入れるのではなしに、先ほどお説がありましたように、従来の母子寮はそのままにいたしておきますが、第二種母子寮と申しますか、母子アパート的なもので、第二種公営住宅よりももっと福祉的な色彩の強いものを考えて、それを法律で取り上げていきたいというようなことを実は考えておるのでございまして、先生のような構想というものを次回においては具体化したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/77
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078・小平芳平
○小平芳平君 ぜひその点を具体的に取り入れていただきたいと思うのです。公営住宅にも入れない、そういう階層の人が大多数じゃないかと思いますので、お願いしたいと思います。
それから、もう一つは、児童措置費といいますか、こういう形で市の母子寮にいる方が市に納付金を納めているようです、百円から千八百円までですか。これはどういう根拠でそういうものをおやりになっているのか。どうしても母子寮にいるような貧困な家庭からそういうお金を徴収しなければならないものかどうか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/78
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079・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) これは児童局、社会局共通の施設の経営の問題でございますが、実は、先ほど御指摘がありました措置費は、国が八割負担をするのでございます。国庫八割の負担ということは、結局は、本来は生活保護の国の負担が八割でございますから、生活保護、あるいはそれに準ずる家庭の人たちを母子寮に入れた場合には、その必要な経費の八割を国が負担するというたてまえでございます。それが最近では、だんだんいわゆる低所得階層までその八割の国庫負担の対象にいたしておるのでございますが、しかし、あくまでもやはり生活保護なり、あるいは低所得階層の人たちに対して、国の責任として八割負担するのだというたてまえでございますから、それ以上の収入のある階層に対しましては、八割を負担しておる以上は、所得のもっと高い者は必要な経費というものは実費を徴収するというたてまえにならざるを得ないのであります。したがいまして、国が八割を負担をしておる対象は、少なくとも低所得階層以下の所得の階層、それ以上の収入のある階層につきましては必要な費用は徴収をする、こういうような根拠でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/79
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080・小平芳平
○小平芳平君 まあそれは母子寮にいる家庭で、十分収入があってそれを負担する——まあだれが見ても負担しなければならないような家庭でそういう経費を負担するというのは、それはわかりますけれども、実際問題として、これは私がちょっと聞いたところですが、これは二人家族、三人家族、四人家族というふうに、家族構成によってきまっていますね。それで、しかも、どこにその収入があるか、あまりはっきりしない家庭はその負担をしないでも済むわけです。まあごまかしがきくと言っちゃあ変ですけれども、実際に、たとえば母子寮にいながら学校の給食のほうへ通っているとか、そういう確実なところへつとめている人は、わずかな一万何千円の収入にまあ多少なりともゆとりがあるなら、早く貯金でもして、それで母子寮からそれこそ第二種公営住宅へでもかわらせてあげるのが、それがたてまえでなくちゃならないと思うのです。それがちょっと私いま持ってこなかったのですが、どのくらいの人が納めているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/80
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081・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) これは実は母子寮だけでありませんで、ほかのあらゆる社会福祉施設に共通の問題ですが、徴収基準というのがございまして、八割の国庫負担をするためにこれはやむを得ない制度だと思いますが、A、B、C、D階層というふうに大まかに分けまして、A階層というのは被保護階層であります。これは全然無料であります。それから、B階層というのは住民税を納めていない階層であります。これも大体無料であります。それから、C階層というのは、これもいろいろ段階を設けておる場合がありますが、大体住民税を納めている。これは低額を徴収しておる。D階層というのは所得税を納めておる者、これは実費を徴収するというので従来やっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/81
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082・小平芳平
○小平芳平君 ですから、たてまえは、それは相当に所得のある人が税金も納めて、また、そういう公的に負担をするというたてまえは、それは私も当然だと思うのです。たて衰えは当然だと思うのですが、現実問題としまして、ちょっといま持ってこなかったのですが、たとえば三人家族で幾ら以上収入のある人が徴収されるわけですか。三人家族で、正権に——たとえば一万七千円ぐらいじゃなかったかと思うのですが、そのくらいの収入の人からどうしても徴収していかなければならないかどうか、ここに問題点があるということを申し上げているわけです。で、大体母子寮へ入りたくて入っているというよりも、これはもう公営住宅なら公営住宅で、もっとゆっくりした気持ちで子供を育てたいという希望は重々持っているのだが、現在母子寮にいざるを得ない、ときたまたま、ちょうどいい就職先があって一万何千円の給料をもらうようになったら、とたんにそういうふうに割り当ての納付金を収めなければならないというようなところはよくよく検討されて、どうしても取る場合でも、基準をうんと引き上げるなり、とにかく母子寮にいる人たちが、少しでもゆとりがあれば貯金をして、早く子供の将来のためにも貯金をするなり引っ越していくなり、道を構ずるようにしてあげてもらいたい、そういうことを申し上げているのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/82
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083・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 確かにおっしゃるとおりに、できるだけ負担は軽くしたいというようなことで、いままでも大蔵省方面と予算折衝をしまして、この徴収基準の改定をたびたびやってきたのでございますが、ただ、根本的には、生活保護基準とかというような問題、あるいはボーダーライン階層、いわゆる低所得階層というものをどの線で引くかというような、他の全般の施策との関連がございまして、母子寮だけを特別扱いはできないのでありますが、しかし、御趣旨は全く同感でございますから、できるだけ軽微な徴収をするように努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/83
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084・藤原道子
○藤原道子君 私は、先日も御質問申し上げましたし、いろいろお伺いしたいことを持っておりますけれども、先ほど来同僚議員からいろいろただしていただきましたので、特に一番問題にしておりました住宅の問題や入学支度金の問題、あるいは非常勤の問題、これらについてやや見通しがつきましたので、この点はかたく御信頼を申し上げまして、必ず実現をしてほしいということを、時間の関係もございますので、強く要望しておきます。特に私が先日の質問で、修学資金は、中途で試験に失敗した場合、次の年に試験に合格しても修学資金がいただけない。これはこの法律の趣旨にも反すると思いますので、その点は十分御考慮願いまして、何らかの措置でこの恩典に浴せるような御配慮を強く御要望しておきたいと思います。
それから、いま一つは、この第五条の定義のところでございますが、妊娠中に夫に死別する、あるいは生別する。ところが、もう胎児はすでに身ごもっているわけでございますので、通念からいって、私は、これは適用の範囲に入ると思うのでございます。少なくとも、いままでの世帯をたたんでどこかへ移らなければならない、こういうときには転宅資金も要るし、あるいはいろいろの問題もある、あるいはちょっとした技能習得資金ですか、これなんかも必要になるのじゃないか、こういうようなことで、従来はこれがはずれていたように思いますので、妊娠中の人にもこの法が通用されると私は思うのですが、それに対してあとで御答弁をいただきたい、こう思います。
それから、時間を急ぎまして、早口に重ねて言いますけれども、法律が通ったからつて、またあとでただすことはただせると思いますので、厚生省にはこの程度にいたしまして、労働省の婦人少年局長をお呼びしておきながら、時間がなくなってまことに残念でございますが、この母子世帯の就職の問題でございますが、これはぜひとも優先的に、もっと愛情ある御努力をお願いしたい。その母子世帯の未亡人の働く場所といたしまして、多くサービス業がこのごろふえているようでございますが、そういうところは固定給もないし、あるいは深夜の業務になるようでございますので、こういう点の御調査、あるいは御指導等を私はわずらわしたい、これを特にお願いしておきます。
それから、未亡人の就職の場所には、あるいは学校の給食婦なども入っていると思いますが、ビルの掃除婦とか、あるいは児童公園の指導員とか、あるいはまた緑のおばさん、保育所の助手など、いろいろ開発すれば幾らもあるように思いますので、そういう点でも、ぜひともあたたかい御配慮を私はわずらわしたい。
さらに、いま一つは内職の問題でございますが、このごろ内職の内容がだいぶ変わってまいりまして、団地の奥さんたちがやる高給の内職もございます。ところが、大資本の大企業あたりでも、いままでは雇用をした者がやっていたものでも、いろいろ労働法規等でうるさいものだから、このごろ内職に出している傾向が強い、弱電機などでもそうでございますが、そういうところで不当な搾取が行なわれる、こういうことを耳にいたします。子をかかえた未亡人が、常勤ができないために、内職で細々生活しようというような場合に、搾取が意のままに行なわれておるいまの内職の実態は、はなはだ遺憾でございますので、家内労働法をつくるとか、あるいは、また、内職の指導あっせん、こういうところへも特に力を入れていただきたいということを、きょうはその程度にして、またいずれ労働委員会でこの点についてはいろいろ御質問を申し上げたいと思うのであります。そういう点で、せっかくできた法律ですが、先ほど来お聞きのように、内容が非常に弱いのです。ですから、これをぜひとも実施の面においてカバーしてこれを推進していくというふうに私は労働省にも御協力を願い、さらに、厚生省にも特に要望申し上げて私の質問を終わりますから、いまの点についての御答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/84
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085・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 厚生省に先にお尋ねがございましたから、私からお答えいたしますが、実は、確かに二つの御質問は問題たるを失わないのでございますが、いろいろ法律的にむずかしい問題があるのでございます。第一の問題は、入学試験に落第をした、そういう理由で貸し付けの対象として不利に扱うというのではなしに、たまたま貸し付けの開始の時期が二十歳以上であったという場合には、残念ながら、この法律で二十歳以下の児童しか対象に入っておりませんから借りられない、欠格になるということでございます。ただ、例外として、十九歳で大学に入りまして、二十歳になりましても継続をしておる場合には貸し付けの対象にするという規定がようやくあるのでありまして、これは例外でございますが、例外規定のさらに例外というのはなかなか法律的に困難でございますが、また、さらに検討をさしていただきたいと思います。
それから、第二の問題の、「児童」の中にいわゆる胎児というものを含むかどうかという御質問でございますが、これは先ほど御指摘がありました第五条の定義に、ここで「「児童」とは、二十歳に満たない者をいう。」というふうに書いてございます。これは児童福祉法では、児童福祉法の「児童」は「十八歳に満たない者者をいい、児童を左のように分ける。」といって、乳児、幼児、少年というふうに規定があるのでございます。そこで、一般的な法律では、これは民法でもそうでありますが、「私権ノ享有ハ出生ニ始マル」ということで、一般に「児童」という場合には、どうしてもやはり生まれてから後のことでございまして、胎児を対象にする場合には、何かやはり特別の理由、特別の規定が必要になってまいるのでありますから、一般法でございますから、どうしてもやはり母子福祉法で積極的に胎児を含むというような規定をすることも、民法等の関係で、非常に無理であろうというので、現在は含んでいないのでございますが、確かに夫に死に別れてたまたま妊娠しておったという者をこの対象にするということは、したいものだとも思いますから、さらに法律的に検討をしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/85
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086・谷野せつ
○政府委員(谷野せつ君) ただいま先生から御指摘いただきました第一の、未亡人が好ましくない比較的サービス的な仕事に入ってまいります傾向がございます点につきましてのお尋ねでございますが、婦人少年局といたしましては、今後におきまして風俗営業に従事しております婦人の労働条件を調査いたしますことによって、労働条件を、不当に搾取されることがないように、その間において婦人なるがゆえに好ましくないことが行なわれるということのないように進めてまいりたい考えでございます。
第二点につきましては、未亡人のような家庭生活の責任を持っております婦人が、今後職業により多く使われてまいります傾向があると存じます。婦人少年局といたしましては、婦人少年問題審議会にただいま御研究をお願いいたしておりまして、婦人労働力の有効活用、とりわけ家庭に責任を持っている婦人をどのようにして有効に雇用市場において働いていただくかという点についてただいま研究をしていただいておりますのでございますが、未亡人のような家庭に責任のあられる、しかも、婦人が働かなければ家庭を維持していくことの困難なような方のために、条件を整えることによって適職といたすことができると存じますし、また、適当な保護とか訓練、あるいは社会施設などにつきましても、社会的な援助を整える問題について十分に御研究いただきますことによって何らかのお答えが出ました場合に、私どもといたしましては、できる限りその方針を進めるために努力をさせていただきたいと思っております。
それから、第三の内職者の問題でございますが、先生から御指摘いただきましたように、今日におきましては、確かに内職の実態が変わっておるのでございます。婦人少年局が所管しております内職公共職業補導所におきましては、最も生活に必要のある方々を優先的に、しかも、条件を不当に落とすことのないような形において内職の機会をあっせんする、そのような形において今日進めておるのでございますが、さらに内職の実態からいたしまして、今日では、なお内職者の保護の上におきましてもいろいろ問題があると存じますので、さらに私どもは調査を進めながら、可能な限りにおきまして家内労働法をつくります方向において私どもは努力をいたしてまいりたいと存じます。なお、内職公共職業補導所につきましては、現在全国に三十七カ所設けられておりまして、この施設を中心に、内職者の保護福祉をはかりますために努力をいたしてまいりたいと存じます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/86
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087・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/87
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088・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 速記を始めて。
それでは、母子福祉法案(衆議院送付)についての質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/88
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089・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 御異議ないものと認めます。
この際、おはかりいたします。母子福祉法案に対する修正案が紅露委員から委員長の手元に提出されておりますので、本修正案を議、題といたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/89
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090・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 御異議ないものと認めます。
それでは、修正案の提出者から趣旨説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/90
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091・紅露みつ
○紅露みつ君 私は、この際、母子福祉法案に対する修正案を提出いたしたいと存じます。
まず案文を朗読いたします。
母子福祉法案の一部を次のように修正する。
第七条第三項中「、非常勤とし」を削り、同条に次の一項を加える。
4 母子相談員は、非常勤とする。ただし、第二項に規定する職務につき政令で定める相当の知識経験を有する者については、常勤とすることができる。
附則第一条に次のただし書を加える。
ただし、第七条第四項ただし書の規定は、昭和四十年四月一日から施行する。
附則第四条中「この法律」の下に「(附則第一条ただし書に係る部分を除く。次条において同じ。)」を加える。
以上でございますが、次に提案理由の説明をいたしたいと存じます。
修正案について、その提案の理由と内容について御説明申し上げます。
母子相談員につきましては、この制度ができましてから十二年を経過しておりますが、近年、その業務につきましては、相当な知識経験をもって処理することを適当とするものも生じてまいっておりますので、これらのものにつきましては、政令で定める相当の知識経験を有する者によって処理させることとし、これらの者を常勤とする道を開こうとするものであります。
次に、修正案の内容でありますが、第七条第三項中、「非常勤とし、」とあるのを削り、「母子相談員は、非常勤とする。ただし、第二項に規定する職務につき政令で定める相当の知識経験を有する者については、常勤とすることができる。」こととし、「ただし書の規定は、昭和四十年四月一日から施行する。」というものであります。
何とぞ慎重に御審議の上、御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/91
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092・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 本修正案に対し、質疑のある方は、どうぞ御発言を願います。——別に御発言もなければ、修正案に対する質疑はないものと認めて、これより原案並びに修正案について討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/92
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093・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 御異議ないものと認めます。
母子福祉法案(閣法第九四号)(衆議院送付)の採決に入ります。
まず、紅露みつ君提出の修正案を問題に供します。本修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/93
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094・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 挙手総員と認めます。よって紅露みつ君提出の修正案は可決されました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除く残り原案全部を問題に供します。修正部分を除く原案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/94
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095・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 挙手総員と認めます。よって修正部分を除く原案は可決されました。
以上の結果、本案は、全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/95
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096・藤原道子
○藤原道子君 私は、この際、各党各派の申し合わせによりまして、母子福祉法案に対する附帯決議を附したいと思います。その案文を朗読させていただきます。
母子福祉法案に対する附帯決議案
母子福祉法の制定にあたり、政府は、すみやかに次の事項を実施するよう努力すること。
一、母子福祉法については、その問題が重要なるにもかかわらずその内容は十分と認められないので、雇用を促進し、自営等による自立の助長並びに住宅その他各般の問題につき更に強力な法的措置並びに行政措置を講ずること。
二、母子福祉資金の貸付制度については、更にわくの拡大、貸付条件の緩和改善等につき善処すること。
三、現在の母子相談員については、今日までの経験にかんがみ、つとめて常勤化するようその予算の確保に努めること。
右決議する。
以上でございます。
さらにいろいろの点につきまして、まだまだ不適当だと思います。先ほど阿具根委員からの御指摘もございましたように、やはり民衆駅の売店設置等は、とりわけひとつ政府で考慮されることもつけ加えまして、この附帯決議案を提案いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/96
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097・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) ただいま提出されました藤原道子君提出の附帯決議案を議題といたします。
藤原道子君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/97
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098・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 挙手総員と認めます。よって藤原道子君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
厚生大臣より発言を求められております。これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/98
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099・小林武治
○国務大臣(小林武治君) ただいまの御決議の趣旨に沿うよう努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/99
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100・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/100
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101・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
休憩いたします。
午後零時五十七分休憩
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午後二時二十八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/101
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102・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) ただいまより再開いたします。
社会保障制度に関する調査を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。藤原君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/102
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103・藤原道子
○藤原道子君 私は、前回に続きまして、輸血の問題について少し御質問をいたしたいと思います。採血及び供血あっせん業取締法、これによりますと、「この法律は、人の血液の利用の適正を期するとともに、血液製剤の製造等に伴う採血によって生ずる保健衛生上の危害を防止し、及び被採血者の保護を図ることを目的とする。」と、こういうふうに規定されております。ところが、今日の採血の状況を見ますと、一体この法律が生きているのかどうか疑わざるを得ないわけなのでございます。せんだっても御質問いたしましたように、いまの採血の制度は、ほとんどが九七%これが売血にたよっております。その売血も、売血者がほとんど固定化されまして、いまや瀕死の状態のものが売血を続けておる、こういうことを当局は御承知でおいでになるか、この法律の第一条の規定がどのように行なわれておるかということからまずお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/103
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104・熊崎正夫
○政府委員(熊崎正夫君) 現在の血液の供給源といいますものが、藤原先生御指摘のように、固定した売血者層にたよっておるということは誤りのない事実でございます。現在の状況といいますものが、先般も私申し上げましたように、決して好ましい状態でないという事実は、私ども十分これを認めておるわけでございまして、何とかして固定した売血者層から採血することを是正をしていくということに、今後とも積極的に努力をいたしてまいりたいと存じておりますが、何ぶんにも、近代医学の進歩発展に伴いまして、保存血液の需要といいますものが急激に伸びておりまして、これを数字的に申し上げますと、この法律ができましたのが昭和三十一年でございますけれども、昭和三十一年、三十二年ごろは製造量は二十二万から三万リッター程度でございましたが、これが現在は五十八万リッターということで、二倍半以上製造量が伸びておるわけでございます。これは片一方におきまして、手術に際しましての輸血量というものが非常に多くなったということもありますし、また、片一方におきまして、先生御存じと思いますけれども、健康保険、いわゆる社会保険制度の進歩発展に伴いまして、保存血の供給といいますものが、三十年以前はいわゆる個人負担ということになっておりましたが、これが全部保険の現物給付のほうに切りかえられることになりまして、少なくとも、患者自身が被保険者の場合には自己負担が伴わないということで、それ以前においては、手術の際等には、積極的に近親者、あるいは知人の方々から血を出していただいたのが、やはり保険制度の現物給付によりまして、簡単に保存血が手に入るということであって、これがコマーシャル・ベースの線に乗りまして、一般血液銀行のほうで大量に採血をしている。しかも、それが固定者層から採血を続けているという形になって今日の事態になっておることは、先生よく御存じのところだろうと思います。したがいまして、私どもとしましては、御指摘のとおり、法律に基づきました目的を十分達成するために努力いたしておるのでございますけれども、被採血者の保護の点につきましては、現在、国の予算でもって、血液銀行におきまする採血の監視等を、若干の予算でございますが、都道府県に委託をいたしまして、年に数回のそれぞれの検査を実行いたし、また、常時固定者層があらわれます、たとえば東京都の山谷地帯、その他のブラッド・バンクには、週に二回は必ず医療監視員が出かけて行って監視を続けるという形で鋭意努力いしておるのでございますけれども、何ぶんにも、全般的に私ども必ずしも自信を持って十分な監視が行なわれておるというふうなことは申し上げられませんので、この点は、やはり私どもとしましては、被採血者の十分な保護をはかるという問題も含めまして、やはりこのような固定化されました一般売血者層をどのようになくしていくか。片一方におきまして、日本赤十字社がやっております献血運動、あるいは預血運動のほうにこれを逐次切りかえていこうというような方向でもって、今後とも積極的に努力していく方向に十分な力を注ぎたい、こういうふうに考えておる次第でございます。きわめて弁解がましい申し上げようで恐縮ではございますが、現状としましては、先生御指摘の点は私ども十分承知をいたし、また、きわめて残念なこととは存じておりますが、これを一挙にそれじゃたとえば献血に切りかえるというようなことをやりましても、そうなりますと、片一方におきまして貴重な保存血の供給がなくなる、ストップするという事態になってしまい、医療のほうに重大な支障を来たすということも考えなければなりませんので、この際、先般大臣が御答弁いたしましたように、今後根本的にどういう方向でこの問題を打開していくかということで、鋭意検討をいたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/104
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105・藤原道子
○藤原道子君 私は、鋭意努力すると言われるのでございますが、この間速記録を広げて見ましたら、昭和二十三年、私がまだ衆議院の当時、輸血問題を取り上げているのであります。それからきょうまで何年かたってきた、ところが、好転するのじゃなくて、むしろ悪くなっている。問題になると鋭意努力いたしますでは、もうすでに最近の新聞紙上等をごらんになって、私はこれじゃいけないというふうにお考えになったと思うのでございますが、もう寸刻の猶予もできない状態に入っていると思います。
そこでお伺いいたしますが、週に二回は調査しているということでございますが、これは日本輸血学会の出しております雑誌によりますと、調査日には平均合格率が三一・一%、非調査日にはこれがぐっと合格率がふえて六二・八%になっている。それから日赤が出しております「救われて救って献血よい社会」、こうした雑誌によりますと、やはり非調査日には合格いたしますのが四七・一、調査目には一六・六と、がたっと落ちているのです。それで、かれらが言うところによると、調査日がいつかということは役所に行って黒板を見ればわかる、だから、そのときにはかげんすればいいのだということをぬけぬけと言っている。とにかくこうした調査日と非調査日の合格率が非常な格差があるということになれば、かれらが不合格品をどんどん合格の中に入れて売り払っているということは明らかじゃありませんか。これが私は問題だと思う。ところが、法律の中には、「営利を目的として採血しようとする者であるため」云々ということがあるのですね。こういう被採血者の保健に支障を来たすおそれがあるときは認可を取り消すことができるとか、いろいろある。こういう薄い血を売られた人は効果が薄いと同時に、売っている人の健康というものが破壊されているのは論をまたない。こういうことに対してきょうまで調査日と非調査日の合格率の格差ということについて何か調査なさったことがあるか、調査の結果処分されたことがあるか、この点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/105
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106・熊崎正夫
○政府委員(熊崎正夫君) 血液銀行に対します取り締まりの監視状況でございますが、これは大まかに分けまして、大体四つぐらいというふりに考えられるのでございまして、第一は、供血者の血液比重測定、硫酸銅液で血液の比重測定をいたすのでありますが、その硫酸銅液でどの程度が適当であるかどうかということを試験いたしますのが第一でございます。
それから、第二は、先生ただいま御指摘の供血者の血液比重合格率の調査ということで、これは調査日をきめまして、はたして合格者の状況が非調査日に比べてどのようになっておるかということを調査する血液比重合格率の調査、これが第二でございます。
それから、第三は、保存血液の血球沈層測定調査というのをやりまして、これは血球沈層の測定調査でございます。血球がどの程度沈層しておるかということを測定をいたしまして、結局低比重の供血者から採血をしておるのではないかということを防止するための調査でございますが、これが第三でございます。
第四は、健康診断等の実施状況をいたすわけでございまして、これが各都道府県に委託をして行なわせておる調査の概要でございます。それで、御指摘の、供血者の合格率の調査でございますが、一応私どもは年四回これを行なうということで、一回三日間の調査を行なっておりまして、先生の日赤のほうから出ました調査の中身と、これは全国平均になっておりますので、若干違うと存じますけれども、昨年の二月に行なわれました一斉調査の成績を申し上げてみますると、調査日の平均合格率は五二・二%、それから非調査日の平均の合格率は五〇・三%ということになりまして、差は一一九%になっております。結局、御指摘の点と多少違ってまいりますのは、これは地域的な分布の差と存じますけれども、全国平均で見ますとちょっと差が少ないわけでございますが、いずれにしても、調査日のときの合格率のほうが非調査日よりもいい、つまり調査したときにはなるべくいい合格率が出るという一般の血液銀行の態度をこの数字は示しておると思いますが、いずれにしましても、とにかく合格率が五〇%前後ということ自体が私どもは問題であると思うのでございまして、これはやはり何回も頻回採血をする供血者層というものが固定化されておるがために、合格率がきわめて低い状態になっておるということは偽りない事実でございますので、この点は全般的な、根本的な問題として検討しなければならないと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/106
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107・藤原道子
○藤原道子君 そういうことが明らかに出ているんですから、調査しなきゃならないというのではなくて、調査をされ、それに対して中止するなり、あるいは処罰された例がおありになるかどうかということを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/107
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108・熊崎正夫
○政府委員(熊崎正夫君) 調査の結果、違反の状態が出ます場合には、この血液比重合格率の調査だけにとどまらず、血球沈層測定調査の場合、あるいは硫酸銅液の収去試験の場合に不適格なものも出てきておるわけでございまして、これにつきましては、十分その血液銀行に対しまして警告を出しまして、そのすみやかなる是正につとめるようにいたしておるわけでございますけれども、ただ、それに基づいて行政処分、あるいは場合によっては業務停止とかいうふうなところまでいままで処分をいたした実例はないような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/108
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109・藤原道子
○藤原道子君 私はどうも納得がいかないのですよ。事は命に関係する問題ですから、違反はあるけれども処罰をしたことはない、これで済まされていたんじゃ、患者は一日も安心して生きることはできないと私たちは思うのです。ことに私は、最近取り上げられました読売新聞、あるいは朝日新聞、毎日にも出ておりましたね、ここに血液銀行の技師が身ぶるいがするということが出ているんですね。腐った輸血で死んだ人が出たとか、今後も必ず出るんじゃないか、きょうは出やしないかと思ってびくびくしている。ところが、血液銀行では、これをこの血は危険だからやめたほうがいいと思っても、業者に五百円で買った血が千六百幾らに売れるんですか、千六百五十円、これで売れるんだから、みすみす金を損するじゃないかというようなことを強要して、それを合格のほうに入れている。それから、それをやっているところは「シモタ屋で、台所か、フロ場に冷蔵庫を一つ置き、運転手を住まわせているだけ」だ。そして、その血液の申し込みがあったときに融合というんですか、する場合に運転手がやっている。それを私たちは輸血を受けるわけなんです。きたないふろ場の一隅に冷蔵庫を置いて、そこで命を守る輸血の操作がなされておる。これでまた病院に持って行った場合に、さらにこれの検査をしておる病院ばかりではないようでございます。たしか一定の資格が要るはずでございますが、それが資格のない運転手さん、車の運転は一人前でございましょうが、この人に輸血の検査だの融合するまぜ合わせる、交差試験というのですか、これを運転手がやっているところが現にある。これは血液銀行の技師長が言っているのでございますが、そういう例をお聞きになったことございますか。この新聞お読みになったことございましょうか。それが都内に現存している。これを一体どうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/109
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110・熊崎正夫
○政府委員(熊崎正夫君) 新聞にそのような記事が出ましたことは私ども承知をいたしておりますが、ただ、いわゆる採血をやります一般の血液銀行の採血場所で先生がいまお読み上げになりましたような事態というものが私どもは起こっておるとは考えておりませんので、一般血液銀行の採血を行なう場所は厳重な構造基準がきまっておりまして、無菌室、その他設備基準を十分順守するようにやっておりまして、いま先生のお読みになりましたようなところは、これは保存血液を採血いたしまして、これを医療機関に届けるまでの途中の段階で、交差試験その他行なわれる場所でそういう事実があったのではなかろうかと、こういうふうに私どもは考えておるわけでありますので、この点につきましては細菌製剤課長が詳細承知いたしておりまするので、山形課長のほうから答弁していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/110
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111・山形操六
○説明員(山形操六君) ただいまの藤原先生の交差試験に関する問題でございますが、御存じのとおり、A型、B型等の四つの型に分けました試験は血液型検査で簡単にできます。しかし、それ以外に、特殊なたん白体の検査をするためにこのごろ交差試験の試験法というのが非常に進歩してまいりました。これは普通病院で手術に立ち会うドクター自身が患者の血清、血球、それから、輸血される血球と合わせて、その異種たん自体があるかどうかを調べて、A型、B型等に加えて確かめる検査をやるわけでございます。ところが、現実問題として、たくさんの手術患者を控えた病院等では、なかなか昔のように外科のお医者さん自身が交差試験までやる時間がございませんで、しばしば血液銀行の技術者に依頼してしまうという傾向が出てまいりまして、これはあまりに血液銀行業務が分化して専門化したせいもございますし、やる件数がふえてきたということから、手術する先生自身が調べないで、技術的な人が調べるほうが、かえってなれてきたという、一つの血液銀行業務における医師側に対するサービスだと私は解釈しておりますが、そのような現実が出てまいったのであります。ことに最近は救急措置等の問題につきまして、夜中に急に小病院等へまいりました場合に、しばしば手術方面の仕事に手一ぱいのお医者さん、人数が少ないような場所におきましては、交差試験もガラス板で簡単にできるようにしてしまっておりますので、御指摘のような運転手という事実は私存じませんでしたが、技術者の方が簡単に処置して、異種たん白体の問題はないというような技術判定までサービスとしてやるというのが大体現状になりつつございます。これは確かに手術を担当するドクター自身が、すべて交差試験その他を、あらかじめ手術予定日のきまっておるものについてはやるのが常識でございますが、緊急問題のときは、しばしば銀行側の技術のサービスにたよるという現実が出ておることは、これは確かに御指摘のとおりでございますが、運転手が兼務してその技術をやっておるということは、私、寡聞にして存じ上げませんでしたが、技術的なサービスをやってるところが東京都内で各所にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/111
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112・藤原道子
○藤原道子君 それでは伺いますが、こうした新聞はごらんになった、ごらんになったら、そういうところがどういうところでやっているかくらいのことは調査されたと思う。運転手がやっているかどうかは知らないけれども、そういうところまでサービスしている傾向だとおっしゃるけれども、そんなサービスされたら全く困るんです。ぜひ一度見てその結果を報告してほしいんですよ。ここに出ておりますし、また、こうしたことも勉強してみましたけれども、専門の技師が調査しても一%くらいの誤差が出る。にもかかわらず、こういうことが現に行なわれているのに調査もなされないということになると、ますます私は責任を追及したくなるわけなんです。こういう新聞は見たけれども、見っぱなしでまだいらっしゃるわけなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/112
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113・山形操六
○説明員(山形操六君) 調べているいないという問題の前に、私の申し上げたかったのは、病院のほうの先生方にすべてこの交差試験等を頼むという昔どおりのやり方に私どもはしたいわけでございます。あまり血液銀行側のほうが技術サービスをしないで、あくまで手術をするお医者さん側のほうの責任において交差試験等はやっていただくのが常識だというのが私どものほうの薬務局の考え方であります。ところが、先ほど言いましたように、このごろは非常にむずかしい血液型の検査が簡単にできるように血清学、法医学のほうで進んでまいりましたので、そこで、血液型以外の交差試験の問題は、しばしば技術的なサービスを血液銀行があえてしておる。この点は、もし各病院等がすべて交差試験等は自分の責任においておやりくださるという昔のとおりのことになりますと、やはりこれくらいたくさんの輸血が行なわれるようになりますと、病院自身ではそれだけの検査技術者等を常時配置しておかなくてはならないという事態になると思います。私の申し上げたいのは、あまり血液銀行のほうが医療機関のほうにサービスをし過ぎるんではなかろうか。しかし、現実として、小病院等の夜中の手術患者、あるいは緊急事態というようなときには、病院自身にも手が足りないために、交差試験等はお手伝いする、こういう技術サービスを加えてあるということは承知してございます。そこで、どこの病院でどういうふうなサービスを受けておるか、あるいはどこの銀行の技術者が運転手を兼ねてそういうことをやっておるか、それについての具体的な銀行の調査は私どものほうではまだいたしておりませんが、技術的なサービスをしているということは事実のように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/113
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114・藤原道子
○藤原道子君 まことにたよりないわけですが、ぜひあなたのおっしゃるように、予算が足りないならば予算措置をして、やはり医者によって厳重な検査をするということを励行してほしいのです。さらに、そういうサービスが過剰になっているなら、こういう点に対しても厳重な指導がなされなければならない、こう思うのです。
そこで、お伺いいたしたいのは、さっき局長から採血の場所で云々ということがあった。採血の場所ではどういう状態で採血をしているかということを伺いたい。諸外国では採血車が回って献血している。日本ではそれをもっともっとやらなければならぬと思うのだけれども、なかなか基準がきびし過ぎるというふうなことを伺っている。そういう基準ばかりきびしくして、いま都内で行なわれております採血のあり方があれでいいのかどうか、まず局長から現場の様子をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/114
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115・熊崎正夫
○政府委員(熊崎正夫君) 採血の場所の基準につきましては、これは保存血液は医薬品ということにしておりまして、医薬品の製造をやっている場所の規制ということは薬事法上の規制に入るわけでございますが、構造設備につきましては、厳重な設備基準をつくりまして、余分なばい菌が入らないように、十分規制を厳重にいたしているところでございます。ただ、問題は、採血する場所の規制がいかに厳重であったにしましても、そこで採血される人が非常に健康状態が悪い、また、採血することによって健康状態を悪くしていくという現実の姿が私どもはきわめて遺憾な姿であるということは、先生御指摘のとおり、私どももこれを何とか改めていく必要があるのではないかということを考えているわけでございまして、それが片一方におきまして、日本赤十社によります愛の献血運動ということで、移動採血車を国庫補助をもって毎年五、六台ずつ増強いたしてきているのでございますけれども、しかし、何ぶんにも移動採血車の数が足りないという点は、非常に私どもの努力が足りないということは十分認めておりますが、やはり片一方において、そういう場所の規制を厳重にしなくても、いわゆるオープン方式と言いますか、簡単に採血されるような状態になれば、移動採血車でやる採血のほうは一日せいぜい百人ないし百五十人が限度であるから、もう少し大量に採血できるんではなかろうかというような学者の方々の御意見もございますけれども、すぐ直ちにそのような採血の場所の規制を、従来構造設備の基準できわめて厳格に縛っておりましたのを改めまして、この際オープン方式に切りかえるほうが適当かどうかという問題につきましては、なお私ども慎重に今後検討いたして、それに踏み切るかどうかという問題は、これは日本の現在の保存血液の需要供給の点も全部総合的ににらみ合わせまして、どのようにきめていくかということを慎重に検討してまいりたいというのが私どもの現在の気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/115
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116・藤原道子
○藤原道子君 移動採血車が少ないとか、いろいろお話でございますが、一体厚生省はこの採血に対してどれだけの費用を使っておいでになりますか、きょうまでどのくらい予算を費やしておいでになりますか、この点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/116
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117・熊崎正夫
○政府委員(熊崎正夫君) 昭和三十六年度までには、血液問題というものは、非常に問題として伏在はいたしておりましたけれども、まだまだ財政当局その他の認識も不足でございまして、毎年薬務局としては、予算要求の際にはこの点を議論してまいったのでございますが、どうしてもこれはやはり日本赤十字社のやります愛の献血運動を推進する必要があるという判断のもとに、三十七年度から移動採血車の整備補助金を予算で認められました。これが当初三十七年度の際には六台、二分の一の補助金でもって千五百万円を初めて計上いたしたわけでございます。それからあと、三十八年、三十九年と、大体千二、三百万から千七百万程度の移動採血単の補助金が認められておりまして、非常に零細な金額ではございますが、この移動採血車を日赤に補助することによりまして献血運動の促進の一助にするということで努力いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/117
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118・藤原道子
○藤原道子君 私が過日耳にしたところによると、まあ四千万円ぐらいだというのですね、いまは。それで、諸外国の例を見ますと、ほとんど国が補助している。国の責任でやっている。これだけ大事な事業に対して四千万円か五千万円、それも四年間にわたってですね。これで献血運動が十分にいかない、だからしかたがない、買血だ、基準をきびしくすれば血が足りなくなり、基準をきびしくいたしかねるというのでは、命というのは一体どうなるか、何のために国民は税金を納めているかということになると、この点はなかなか私には納得のいかない問題だ。それから、オーブン方式で云々と言われましたけれども、建物もさることながら、この法律で見ますと、非常に採血者の健康診断を十分行なわなければならないと書いてある。それから、貧血者からは採血してはならないということを規定してある。これを厳重にやっておいでになるかどうか、健康診断を一々やって採血しているかどうか、貧血者ははねておるかどうか、この点も伺いたいし、さらに、一日にきめられた採血の量はもう定まっておるわけですね、法律で。基準が定まっているはずです。ところが、それが守られていないということに対してどう考えておるか、打つ手はどういうふうに考えておいでになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/118
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119・熊崎正夫
○政府委員(熊崎正夫君) 移動採血車の補助金がきわめて少ないということは、私どもまことに努力が足りませんので、今後ともこの種の補助金といいますものは、最優先にひとつ来年度以降十分努力をいたしたいと思っておりますが、ただ、これは非常にこまかい点にわたって恐縮でございますけれども、移動採血車を出すということで日赤に補助するということですべてが解決する問題では必ずしもないわけでございます。といいますのは、日本赤十字社の現在の採血をやります技術陣営といいますものはきわめて貧弱でございまして、幾ら車を出したにしましても、技術者が伴わなければその車は動かないわけでございます。したがいまして、採血をいたす医師並びに看護婦の養成も積極的に片一方で考えなければならないという点を私ども考えまして、この辺、両者にらみ合わせまして、今後どのようにやっていくかということを検討してまいりたいと思っております。
それから、一般血銀におきましての採血の状況でございますが、採血の場合に健康診断その他基準がございまして、十分慎重にやるように厚生省から指示をいたしておるわけでございますが、御指摘のように、私どもの監視にまいりました際の健康診断の状況その他は、違反の状況がないというふうな形になっておりますが、しかし、伝えるところによりますと、十分な健康診断も行なわれてはおらないということも私どもは耳にいたしますし、また、新聞記者の方々がそのような現場を見たというふうな報告も聞いておるわけでございます。一般血液銀行も、わが国には全部で相当出てまいりまして、現在二十一カ所ぐらいあるわけでございますが、私が、たまたま薬務局長が現場に行くということを知らしては、これは普通の監視と同じ結果になりますので、私は朝行きがけに、全然前ぶれなしに都内の一銀行をたずねてみたことがございます。その際には、その銀行の特色であるかもしれませんが、私が全然前ぶれなしにたずねました血液銀行におきましては、健康診断その他はきわめて適正に行なわれておった事実を私は見てまいりましたが、しかし、一般血液銀行も、私が見ましたような血液銀行以外に、小さな銀行もごいますし、いろいろ多種多様であると思いますので、先生御指摘のように、健康診断その他について不十分な場所もあろうかと存じますが、この点は今後とも監視を十分にいたしまして、少なくとも、根本的な方針が確立されるまでの間は、やはり血液を途中で中断するわけにもまいりませんので、日々刻々そういう違反状況が起こることも予想されますので、今後とも各都道府県を督励いたしまして、私ども真剣に監視の適正化をはかるようにやってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/119
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120・藤原道子
○藤原道子君 営利会社ですから、人の血でもうけようと、いろいろな抜け道をやっていることは、もうまぎれもない事実なんです。私も行って見たけれども、こわいみたい。もうこの人の血を取るのかと思うほど貧血して人の顔色とも思えない人たちが、ああ、きょうも合格で二本取ったよ、こういうことで、そういう非常に基準が低い血をやはり売っているわけです。こういうことを思うと、私は、血を売りながら生きていくという人々のその、心境、境遇等にはたまらない気持ちがするものがございますと同時に、その血が輸血される、ここに一切のおそろしさを感じるわけなんです。で、もう新聞にも雑誌にも、そして、こうした学術雑誌にもその弊害がずいぶん指摘されているにもかかわらず、それが改善できない。一体この隘路はどこにあるのでしょう。結局、この前も申し上げましたけれども、終戦後はドイツも日本も同じ条件だったけれども、ドイツでは病気が買えるということばだそうですが、そういうことばで国が非常に力を入れて、結局いまではほとんど献血に切りかえられた。同じ敗戦の現実の中から、人命を尊重するという立場に立てば私はできる。やろうという意欲があれば、やろうとする努力があれば、私はこれはできないはずはないと思う。現にPRよろしきを得ているところ、こういうところでは献血が進んでいる。そういうところでは、むしろあまり待たされるのでいやになって帰ってきたという人さえいるのです。ところが、PRしない、まあ安易に流れて、血は売血者がいるからまあいいや、こういう状態に放置されるところにはそういうことが絶えない。いや、だんだん売血者が固定化してきて、ますます悪い血が横行しておる、こういうことになってきている。私は、こういう点について、どういう方法で献血に変えようとしておいでになるのか、あるいは預血ですか、こういうことをどういう構想を持っておいでになるかを一応聞かなければ、私は納得できない。非常にこわいのですよ、いま。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/120
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121・熊崎正夫
○政府委員(熊崎正夫君) 私、薬務局長に就任をいたしまして、実は前々から採血といいますか、保存血のあり方につきましては、非常に問題があるということは承知をいたしておったのでございますけれども、就任しまして、現状その他つぶさに細菌製剤課の課長以下の皆さん方に聞きまして、何とかこの現状を変えなければならないということで現在頭を悩ましておるところでございます。率直に申しまして、再三同じことを申し上げるようでございますけれども、私は、現状は決して好ましい状態でないということははっきり申し上げられるかと思います。したがいまして、現状をどのようにして改革していくかという、改革の方向づけをやるということは私のつとめでなければならないと思っているわけでございます。しかし、これを改革していく方向につきましては、片一方で膨大した血液の需要というものと供給というこのバランスをここで一挙に、何といいますか、需要供給のアンバランスを来たすというようなことになりますと、これはゆゆしい問題になるわけでございます。御指摘のとおり、固定した売血層から採血をしてきたという現状は確かに正しいことではございませんけれども、しかし、その血液は合格率は五〇%程度ではございますけれども、この使われた血液というものがどれだけ多数の手術その他に使われまして多数の人命を救ってきたかという事実も私は否定できないのじゃないかと思います。したがいまして、いわゆる固定化された売血者層から血をとるということをすみやかに改めていくという方法は、これは簡単でございます。一挙に禁止をするという方法もありましょう、あるいは登録制をしきまして、大体標準でいえば月に一回しか採血してはならないということになっておりますのに、毎日採血をするような人もあるというように聞いておりますし、これは登録制を厳重にやるということも一つの方法だろうと思います。しかし、登録制を厳重にやって、固定化されました売血層からの採血を防止するということは簡単にできましても、その防止されて不足した血液をそれじゃどこで求めるかという、求める方法が確立されなければ、これはただ実行したというだけで、効果があがらないわけでございます。ところが、その固定化されない供血者群といいますか、一般国民、これからどのように採血していくかという方法がきわめてむずかしい問題でございます。単なる愛の献血運動ということで、血を献血してくださいというふうに、ヒューマニズム的な考え方でやっている問は、私は、献血運動というものは、これは単なる美しい道徳運動というふうなことでありまして、恒常的に六十万リッターも必要な血液をとる供給源にはならないわけでございます。したがいまして、日赤がやる場合におきましても、相当システィマティックに、組織化された供血群といいますか、そういうグループをつくっていかなければならないわけでございます。場合によりましては一定の学生層とか、あるいは成人式を利用するとか、あるいは自衛隊の組織を利用するとか、一つの固定的な集団から定期的にとっていくということも考えなければならない問題でありましょうし、また、それを採血する場合に、これはお医者さんなり看護婦さんの方方がこういう採血だけを専門にやるということにつきましては、非常にいやがる風習があるわけでございます。つまりお医者さんにとっては臨床の外科なり内科の診断をするということがたてまえでございまして、毎日毎日採血だけの勤務に服するということは、お医者さんはなかなか好んでこの職場につくということをやらないわけでございます。また、看護婦さんも、そういう一定のきめられた仕事、採血の業務だけをやるということも看護婦さんは好まない方が多いわけでございます。したがいまして、そういう採血をいたします技術者の養成をどのようにしていくか、また、これをどのように確保していくかという問題もあるわけでございまして、その点で私どもは、いま非常にこの解決策につきまして、いろいろな長所、短所等をそれぞれ研究し合いまして、目下どのような方向でこの問題を抜本的に改正していくかということを検討いたしておるわけでございます。先般の当委員会におきましても、大臣は、いずれ成案を得まして世間に発表する時期があると、こういうふうに断言していただきましたけれども、私も大臣の命に従いまして、鋭意現在研究をいたしておるところでございまして、難点がどの辺にあるということは指摘はできますけれども、それじゃこれをどのようにして解決していくかというはっきりしたものは、まだ省内で研究段階でございまして、ここでこういうふうにしたいというところまでは、いずれ時日の余裕をかしていただきまして、その成案ができましたときに御発表いたしたい、こういうふうに存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/121
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122・林塩
○林塩君 関連して。いま非常に断片的なんですけれども、おことばにありました採血班の問題の技術職員の養成の問題で、医師も看護婦もそれを好まない傾向があると、こういうふうにおっしゃいましたので、少し伺ってみたいと思います。
私は、実は採血班にいた者です。おりましたし、それから、また、採血班の看護婦の養成もやっておりましたし、それから、血液銀行ができました当時にそういうチームのあれに加わった者であります。それから、アメリカ赤十字がそういう仕事をしておりますのにも参加しまして、そしてミシシッピー川のところの採血班に一緒に出まして、つぶさにアメリカ血液銀行のやり方なんかを見てまいりました。そして、そういうことから考えまして、そういういやがる傾向があると言われますが、それは、してみないでいやがる傾向があると言われることについて異論があるわけでございます。それで、当時日赤がそれをやりましたときに、なぜそれがうまくいかなかったかというところから考えてみまして、そういういやがる傾向があるからとか、あるいはそれだからできないとかいうようなことをお考えにならないでひとつ対策を進めていただきたいと思います。医師が全部それをとるのでございませんで、特別の訓練をしますれば、いまでもやっているのですが、ほんとうを言いますと医師がやっておりません。採血の場所に行ってみましたら、医師はただ監督をしておるだけで、お医者さん自体の声を聞いてみましても、医師がもっと発言権があるならば健康的な保健上のことはできるけれども、経営上の問題その他については医師は意見を十分に言うことができないということをさえ言っておられる。そういう状態でございますが、医師が監督してやればいい。それで、採血については医師が監督をして、よく訓練をされた看護がする、無菌操作もございますし、いろいろそれについてはむずかしいのがございます。そういうことをみんな省略してやっている状態なんで、それでございますので、それをしてみないで、ただそういう傾向があるからというようなことで片づけないで、将来、私は、ぜひそういう献血運動なんかを進めていくことと同時に、それから、その採血班について、これはもう予算を伴いますし、いろいろなことでお金が要る問題で、採血の車だけの問題でございませんで、運営費その他に関連する問題がありますので、そういうこともあわせて御検討願いたいと思います。そういたしますれば、全部の血液をそういういわゆる篤志家から得られないまでも、ある程度私は協力的な方針によってはできるというふうにも思うわけです。ところが、そのときに必要な予算がやはり足りないということでございます。当時のことは私はよく知っておりますので、それであえて申し上げますが、それにつきましていま起こっております問題、その当時もう少しきちっとしたシステムをつくり、そして、そういうものの訓練及び予算も十分にあって、そして、ただ薬務局だけの問題でございませんので、それを薬剤として取り扱わないで、やはり一つの健康運動として、厚生省全体がその問題と取り組んでもらったならば、あるいはそうしてもっと公衆衛生の上からも、総合的な一つの計画としてなされたならばよかったのじゃないかと思います。いまからでも決しておそくないと思います。そういう盛り上がりがきておりますので、ひとつこの点は、採血陣が決していやがっておるということはないということを申し上げて、いやがっているからしないとか、それだからできないという問題ではなくして、積極的に前向きで、みんな技術者にも、それからすべてに呼びかけていかれるならばできるということを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/122
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123・熊崎正夫
○政府委員(熊崎正夫君) 非常にありがたい御意見で、私がいやがっておるというふうに申し上げましたのは、先生の御説明で、私どもの単なる耳から入ったあるいは偏見であるかもしれませんし、私はそういうふうな印象を持ったということを申し上げておるだけでございまして、おそらく実情は先生のおっしゃるとおりだと思います。私どもは、この考え方は、先生の御意見のように、あくまでも前向きに、いままでがこうだったからこういうことはできないというようなことじゃなしに、きわめて建設的な、前向きな考え方でもって今後対処いたしていくつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/123
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124・藤原道子
○藤原道子君 なぜやらなかったかということを言っていてもきりがございません。いま林さんがおっしゃったように、根本は予算ですよ。PRも足りないし、予算も足りない、こういう点からできないのであって、これは日赤の出しておる中に出ておりますけれども、十六歳から六十五歳まで、この中の比率としても約五千万人です。この人が全部やるとすれば十年に一回でいいというのですね。全部というわけにもいくまいけれども、三百五十人の人が協力すれば云々たということがずっと詳しく出ている。私やればできると思うのです。現にこの問題が新聞紙等で取り上げられて、川崎等でだいぶん献血運動がテレビでも放送されましたが、だいぶん盛んに行なわれている。こんなにたくさん来てくれるとは思わなかった。やった人はびっくりしているのですね。だから、やらなかったのですよ、いままで。そういうことで、私は、この点については根本的に考えて直して、積極的に前向きでやってもらいたい。
そこで、ここにも、これは国立病院の関係でございますけれども、金沢病院では、被採血者の検査の結果が、約半数が軽比重で採血不能、京都病院は六三先、大阪病院は六〇%が採血不能であった、こういうデータが出ておる。そのために国立病院でもずいぶん困っていらっしゃる。それから、これは善通寺の病院など、しかたがないので、坂出その他へ出かけてPRして採血したらばずいぶん献血が集まってきた。ところが、これが非常に成績がいいのだけれども、諸般の事情で中止せざるを得なくなった。諸般の事情とは、おそらく予算その他の関係じゃないか、こういうふうに思うのです。とにかくこういうふうに方々で悪いということがもうわかっているのですから、どうしてもやってもらわなければならないと思います。その薄められた血液、さらに不潔な血液、こういうもので起こる医療上の災害、これが私は問題だと思います。
そこで、医務局長にお伺いしたい。国立病院でもずいぶんこうした困った実情が出ている。現に過日も申し上げましたけれども、そのために肝炎その他が非常に多いということは聞いておりましたが、この問題が起こりましてから、私の周囲の人の中にもずいぶんいるのです。参議院の職員の中にも血清肝炎にかかって困っていらっしゃるという方が数人いる、身近にずいぶん出ているのです。こういう状態であるのに、医務局長としてはこれに対しての打つ手、対策というようなものをお考えになっておられるのかどうか、これを私は伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/124
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125・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) 血液が医療上にはなはだ大きな役割りを果たしており、いろいろ医療技術の進歩、医療機械の進歩等による大量輸血等ができ出したことにより、戦後の外科手術もめざましい発展が保証せられております。また、内科系統その他におきましても、他人の血液を受けますことによりましてたくさんの人が助かっており、大きな貢献があります反面、その使用におきまして過誤が起こってよけい輸血が要るとか、あるいは、また、血液の質が悪くて事件が起こっているというようなこと、さらに、いま御指摘の血清肝炎の問題、いろいろマイナスの面も起こっているのが現状でございまして、血清肝炎は、私自身も自分の親類に一人、ガンの手術はうまくいきましたが、そのあとで血清肝炎のためになくなったという例もございますし、相当データも持っているわけでございます。国立病院におきまして現在十カ所、院内用の血液を得るという意味でブラッド・バンクを開設して実施しているのでございますが、先ほど先生のお話のような、ほかの一般血銀などと同じように、その基準に達しない、供血者が多く、また、固定しており、その運用も必ずしもうまくいっていないわけであります。しかし、この問題に関しまして、われわれも、もう少し何とかしなければならないというので、国立病院で血清肝炎の共同研究班をつくって、これは三、四年前だったと思いますが、つくって研究しておるわけでございます。その数字を申し上げますと、血清肝炎が、手術その他によりまして輸血をいたしました七千四百六十三例の中で、五・三%が血清肝炎を起こしており、ほかにいろいろたくさんのより大きなパーセントを出しているところもございますが、国立病院においては五・三%、ただし、これは黄だんを起こしているものでございまして、黄だんを起こしていないもので、やはり肝炎を起こしているというものが、いろいろ血液の検査をやるとか、バイオプシーをやるとかということをやりますとパーセンテージが上がってきまして、三〇%ないし五〇%の肝炎をおそらく起こしているらしい、こういうような数字になっております。ただ、この肝炎の防止につきましては、世界各国ともに頭を悩ましている問題でございますが、なかなか防止のいい方法がない、世界中これは困っている問題でございまして、ヨーロッパもアメリカにおきましても、血清肝炎に対する防止方法がない、ただ、明らかにいま私たちが多少でも効果があるだろうと思っておりますのは、健康診断をいろいろやることと一緒に、肝炎をわずらったことがないかということをいろいろ調べますと同時に、金沢大学の石川教授のおつくりになりました皮電計というような機械で、肝臓障害が多少でも見つかりはしないかということをいろいろデーターとして集めたりしておりますが、これが多少でも効果があるのではないかということを期待するくらいでありまして、現在のところ、これらの肝炎のビールスを殺す方法は残念ながら見つかっていない、いま世界中で皆が一生懸命研究している状況であります。それで、この肝炎の防止の問題とともに、いまお話の大量輸血をいたします場合の保存血が固定した供血源において行なわれているというのがどれほどの関連性があるかという問題でございますが、この点でも、統計的には保存血を使った者のほうが生血を使いました者よりも肝炎を起こしておることが多いというようなデータが出ております。たとえばアメリカ陸軍におきましては、生血のほうでは一・五%、それから保存血のほうが一〇%というようなデーターが出たりしておりますが、これなどにつきましても、ほんとうに保存血のほうが危険なのか、これはアメリカでは売血じゃないはずでございますが、それとも、保存血を使いましたほうは大量輸血があって、いろいろな種類のたくさんの人からのものを大量に使うためにいろいろの人からの血液が入る、したがって、そこに肝炎発生のチャンスが多いという意味なのか、この辺の分析がまだ必ずしもできてない、こういうような状態でございまして、われわれといたしましても、もう少しこの問題が早く解決せられることを望みますと同町に、われわれ自身も、薬務局の血液の行政に対しましても協力をする立場で、一緒になって勉強もし、研究もし、協力もしていきたいと、こういうふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/125
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126・藤原道子
○藤原道子君 外国でもこの肝炎の原因がよくわからないでやっているとおっしゃる、それはわかるのです。ところが、アメリカでも一・五%ですか、このくらいの肝炎の人が出ているとおっしゃるのだけれども、売血はないはずだとおっしゃるけれども、アメリカは売血が残っているのですよ。ヨーロッパにはないけれども、アメリカではまだ一〇%は売血にたよっている。だから、肝炎の率を見ましてもヨーロッパの倍ですよ、こういう数字が出ている。やっぱり売血の残っているところのほうが肝炎の発生率が多い。と同時に、日本の場合は外国に比べて非常に多いのですね。ある人は外国の十倍ぐらい、ある人は数十倍ぐらいと言う。私は専門家でございませんから、その数字は書いたものにたよる以外にはございません。けれども、信用のあるこうした学術雑誌にそういうことが出ている以上、これを信用せざるを得ない。したがって、アメリカは一〇%売血にたよっている、日本は九七%が売血にたよっている。したがって、肝炎が出てくるのがあたりまえだと私は思う。その肝炎というのは私にもよくわからないのですけれども、なかなかなおりにくいと言うじゃないですか。なるほど輸血したために病気はなおり、命はとりとめたけれども、その病気のために一生苦しめられるということは、また耐えられないことじゃないかと思うんです。と同時に、売血者の中には、あまり血液をとるので、いろんなことで肝炎や、あるいは心臓病、結核におかされている人が多い。その血をとり、さらに病気は悪化していくじゃありませんか。肝炎にかかっている人の血液を輸血すれば、それが働いて肝炎になってくるじゃないか、私はしろうとなりにそう思うんです。だから、からだが弱くて働けないから血を売って生きている。それでますますからだが悪くなる。結局、血をとることによって倒れていく人が相ついで出ておるということは、私は、この売血者側にとっても捨てておくわけにはいかないと思う。だから、売血者の中には、売血制度がやまってくれればいい、そうすればおれもやまるのだけれども、仕事に行こうと思って出かけても、売血を宣伝してくるバスがくると、ついふらふらとそれに乗ってしまう、売血をのろいながら売血を常習としている人がいるということは、さらにあわれな問題だと思うんです。私は、ドイツで言っておりますように、病気にかかってくる輸血というものはおそろしい、だから、これは慎重な対策を立てなければいけないんだというようなことが為政者の中に広まって、そうしていまのように献血制度に一〇〇%切りかえられてきた。しかも、血をとった人には栄養食を出すとか栄養剤を支給するとかといって、丈夫な人から血をとっても栄養補給を考えるというようなあたたかい政策がとられてこそ、私は一〇〇%の献血になってきたのだと思う。私は、きょうは時間を急がれておりますときに、あえてこの問題を取り上げましたのは、厚生省が日赤に言われたそうですけれども、害はあると思うけれども、あまり騒ぐと国民に不安を与えるから、だから、あまり騒がないようにということを言われたそうですけれども、もうそういう段階じゃない。いまでは社会の人は、非常に輸血に対して心配いたしておる。厚生省としては至急に対策を立てられて、そうして国民の不安を除き、病気のときに安心して輸血ができるような対策を立ててほしいと思います。で、何といいますか、健康保険に使うから云々ということについては、私は、すでに時間もそうございませんから、あらためてこの問題は質問していきたいと思います。これだけおそろしい問題を薬務局の問題だけとせずに、やはり医務局はその輸血によって病気をなおすという立場にあるのですから、よりいい血液を得るためにほんとうに努力をしてもらわなければならないと思います。私は、きょうお伺いしたいことがたくさんございますけれども、この程度で本日の質問は終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/126
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127・紅露みつ
○紅露みつ君 藤原委員から懇々と御質問やらいろいろお話がございましたし、林委員からも、アメリカの実情、あるいは国内においてもその方面に携わったというようなお話もございまして、たいへん問題が煮詰まってきたのでございますが、私は、政務次官お見えでございますので、申し上げて見たいと思うのですが、ほんとうにいまも言われましたとおり、これは薬務局の問題、あるいは医務局の問題というような問題ではなくなってきていると思うのですよ。たいへんにこれは輸血にいうことに恐怖を持って国民は対しておりますから、騒ぐとよけい国民が恐怖を持つからなんというほんとうに段階ではない、これはもっともっと私はこの問題は大きく広まっていくだろうと思っておりましたが、案外そうでもないようでございますけれども、捨てておけばたいへんなことになっていくのじゃないかと思うのですよ。それで薬勝局長もたいへん心配をしておられ、態勢が整わないで一挙にこれを打ち切ってしまったらすぐ輸血するのに困るのじゃないかという御心配、それは立場上よくわかるし、医務局長はまた医務局長の立場で、これがどんなふうに、病理的にといいますか、臨床的にといいますか、いろいろ研究をされるということもいいでしょう、それをしなくちゃならないことだと思いますけれども、焦眉の対策として何かなくてはならないのですね。で、どうも伺っていると、予算がなくてというところへどの問題でも落ちていきやすいのですが、この問題はそんなこと言っていてはいけないと思うのですよ。厚生省には、あるいは厚生省になければ、もっと大きく言えば政府にも予備金があるはずでございます。こんな問題にこそ予備金は使うものだと私は思いますが、政務次官はどう思われますか、これほんとうに医務局長を突き出し、薬務局長を突き出し、そうして両者にだけ責任があるようなことにしていくというような問題ではないと思うのですよ。これは厚生省全般の問題であり、政府全体の問題であると私は思う。予算が足りないならば予備金を支出して、そうして一度に打ち切れないまでも、一方ではあぶない人は採血をしない、それは登録を厳重にして、一カ月に一ぺんとか、あるいは二回というふうにできる人はいいですけれども、そういうことをやりながら、早く別な面をひとつ打ち出さなければならないと思うのですよ。これが強制できないというところに大きな問題があると思います。だから心配されると思うのですが、運動が盛んに展開されれば、これができないことではないと思う。まあ弱い人や老人や、子供や育ち盛りの人というのは、あるいは問題があろうと思いますけれども、そういうことならばというような、それは社会連帯的な考えを持った人が幾らもあると思うんですよ。ただ、それが予算のためにつかえてしまうというようなことがあっては、私はそれは言いわけにもならないし、よくないと思う。
それから、もう一つ問題がありますのは、血を売って生きなければならない、こういう人の立場でございますが、これだって血を売って生きていかなければならないというのは、それは一ぺんや二へんはとにかくといたしまして、そういうことを見過ごしていて、そうしてその血で病人を救う、しかも、それが完全でない。どの面からいってもこれはこのままではいかぬのじゃないでしょうかね。同時に、血を売らなければ生きていかれないというようなこと、少しぐらいならとにかく、それに耐えられないような人を送っているということは、これは政治ではないと思う。だから、やはり薬務局、医務局だけの問題ではない。厚生省はそういう人にはそれのような保護を加えなければならないと私は思うんですよ。売血をしなければ生活ができないというような人には、そんなことをしなくっても生きていかれる道を講じなければならない、それは社会政策のほうになるでしょう。まあいろいろ言っていけば問題は広がっていく。厚生省全体の問題であり、政府全体の問題である。予備費があるんですよ、予算なんかでそんなところでつかえてないで、確かにほんとうに純真な献血というところに持っていくには時間がかかるということはわかります。だから、両方でもって、片っ方はもう最小限度に不良な血を使わないような方法を講じることと、一方においては献血、純真な献血によるきれいな血を得るということ、それから、生活のできない人は保護するということ、これはもう問題が非常に多いと思うのでして、政務次官、それは大臣にもよく御相談になって、これはほんとうに捨ててはおかれない問題のように私どもも感じます。どんなにお考えでございますか。質問申し上げるまでもないと思うんですけれども、一応御質問申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/127
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128・砂原格
○政府委員(砂原格君) 紅露先生の御意見は、まことにごもっともの御意見でございます。省といたしましては、この血液の対策の問題は大きく破り上げておりまして、省議の中の重要な施策の一つの柱として目下検討をいたしておるのであります。先生のお話の、いわゆる予算の足りないためにそうなるのではないかという御意見でございますが、予算の面については、別段いまこの問題で金が足りないからどうというような事態ではないと思います。予算の面で足りないとすれば、もちろんそれに対する方法は幾らでも私はできると思います。ただいま申し上げましたように、省の大きな柱の一本としてこの対策を月下検討をいたしております。すみやかに御意見に沿うよう努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/128
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129・紅露みつ
○紅露みつ君 おっしゃったように、すみやかにとおっしゃいましたから、もう申し上げる必要はないと思いますが、よく使うことばでございますので、この場限りでございませんで、ほんとうにこれは捨てておきましたらたいへんな問題に発展していくと思います。たいへんに業務局長も医務局長も困っておられるんだけれども、それをいまおっしゃったように、すみやかにということをお間違いにならないように、二本立て、三本立てで、たいへん問題の広がりが大きいですから、容易なことではないと思いますが、重要な柱として検討しておられるということですから、まずまずと存じましたけれども、それはすみやかにということはを、どうかひとつ間違いなく実現なさるように御要望申し上げておきます。野党の質問も終わったようでございますので、私がかれこれあまり長く申し上げる筋合いではないけれども、どうも聞くに聞きかね、見るに見かねるという気持ちでございまして、どうぞ御善処をお願い申し上げ、要望にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/129
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130・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) いまの件はこの程度にして、ハンセン氏病の看護問題についてひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/130
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131・藤原道子
○藤原道子君 この問題では、金曜日からきょうまで全国のハンセン氏病の患者たちが厚生省へ来て、すわり込みで徹夜でやってまいりました、まあ医務局長とは、いやというほど交渉を繰り返してまいりました。結局私は、このハンセン氏病の問題につきましては、しばしば当委員会で申し上げてきた。このままにしておくと押しかけてくるような事態が起こりますよ、だから、何とか早くということでございましたが、結局こういう事態になりましたことは、はなはだ遺憾でございます。しかし、医務局長、そうしてきょうは大臣が患者代表と会って、一応納得して引き揚げることになりましたことは、まずまず私も安心をしたようなわけでございますが、患者が刈ったからいいのではなくて、約束しましたことを一日も早く実現していただきたいということを、この席を通じて、さらに医務局長、そうして政務次官に強く申し入れておきたいと思います。そこで、私は、いまハンセン氏病は、かつてとは非常に違ってきたというところに新たな問題ができてきたと思うのでございます。いままでは、らいはなおらないものなんだ、終生飼い殺しだということで、出かければ罰則までつけて収容をしてきたわけなんです。だから、当時は自分たちはなおらないのだという気持ちだから所内作業もやってきたわけです。ところが、今日ではなおるんだ、そうして社会復帰もできるのだということになりますと、やはり自分が無理をして働けば回復がおそくなる、だから自分は世話するよりも治療してほしいという気持ちになってくるのはあたりまえで、これは患者の言うとおりだと思う。したがって、まあ専門の職員を入れて正しい看病をし、正しい医療をして、一日も早く社会に復帰できるようなことを、私はほんとうに心から念じてやまないのであります。
そこで、私がきょう御質問申し上げたいと思いますのは、回復の希望が出てきた、したがって、患者の心がまえが非常に変わってきておりますことは申し上げたとおりなんです。ところが、いまの療養所内を見ますと、医者が足りないし、それから、いろいろの設備もまことに不十分だと思います。したがって、私は、この際、患者がなおって社会へ出ていくのだから、これに対してからだが変形しておりますので、くちびるの曲がった人とか、手の少々変になった人などに対して整形手術などということはできないものなのか。私は、病人に整形手術をして、社会復帰するならば、どうか人並みな姿になってぜひ社会から愛され、きらわれないような状態のもとに社会へ帰してやりたいと思う。それには整形手術が必要になってくる、あるいは物理療法が必要になってくる。それから、目の悪い人、あるいはその他からだの悪い人たちに対して、もっと医療が十分に行なわれなければならないのではないか、こういうふうに考えますが、これに対して医務局長はどのようにお考えになっているかをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/131
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132・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) 藤原先生は、らい療養所の内容をよく御存じのことでございまして、御指摘のような動き、これが胎動し、発展し、前進しておるわけでございますけれども、プロミンとかDDSとかいうふうな新しい治療薬の誕生、戦後におきましてこういった新薬ができましたことによりまして、らいが絶えず進行していく不治の病でなく、相当進んだものもその進行がとめられ、また、ことに早く治療すれば、もうほとんど一般の人と変わりない、一つの病気を病んだ後に回復したのと同じぐらいだというような考え方を相当強く主張していいような情勢になった。世界のらい学界の学者の方々もそういうような考え方に相当傾いておられる。したがいまして、日本のらい療養所が昔の行き方を少し考えなければならないというふうな事態であるということは御指摘のとおりだと思います。多少まだそこに疑問の余地は、たとえば、らい菌が培養ができない、だから伝播径路も、まだほかの結核菌その他のように、確実にこうだと言えないところも、まだ多少の問題点はございますが、しかし、全般的にはそういうふうな考え方をしてよろしいのじゃないかと思います。そして、そういう意味から、われわれも、らい療養所の運営につきまして漸次切りかえを考えており、療養所でなく、病院的な部分、あとは収容所といいますか、コロニーというような部門とにある程度分けて考えていくことを考えていったらどうだろうかというような考え方をしておりますが、いろいろそうしますと利害相錯綜いたしておりますので、まだそこら辺までをはっきりすることは差し控えておる状態でございます。しかし、そういうような動きを何とか現在においてでもやろうというので、五、六年前に、私は、すでに長島と邑久の二つの療養所、ああいうふうなもので、一つの島にありながら、おのおの二つの治療をやるのは意味がないんじゃないか。それより中央にすっきりした病院をつくり、大島青松園も集めてやればいい医者が集まるんじゃないか、こういう提案を患者さん方にしたことがあるわけでございますが、しかし、そのときには患者さん方が、まだなかなかそこまでの自覚と申しますか、理解がなくて反対を受けたのであります。それで現在の姿にとどまっておりますが、はなはだ残念だといまにしても思っております。つい三、四年前までは、どうしても療養所は生活の場だというふうな考え方が患者さん方にも強かった。たとえば病院の重症者を入れますところの病棟とか治療施設、診断施設というようなものを先に整備をし強化しようといたしましても、それよりも夫婦舎を整備しろとか、自分たちの住宅を整備しろ、また、劇場をというような要求というふうなものが強くて、はなはだ私たちは困っておりましたが、現在は皆さん方もそういうような点が少し変わってきた、こういうような点、われわれも、そう変わってきました以上、それに応じて、さらにそれを強く引っぱっていくくらいの考え方をやらなければいかぬと思います。そのためには、やはり施設をよくすると一緒に、医者にも来てもらわなければならぬのでありますが、なかなか医者が来ない。それでわれわれも悩んでおるわけでございます。ことに新進気鋭の医者がやって来てくれない。また、われわれがつかんでおります医者も実は逃げ出す。つい先日も、名前はちょっとはばかりますが、ある療養所の医者が、患者さんのあまりかってな言い分に、だめだといっていま辞表出されて弱っておる状態でございます。そういうふうないろいろ動きに、われわれとしても、何とかそのことを転換して、医者がやはり喜んで働いてもらうというような状態にしなければならないと考えております。
いま御指摘の整形手術の問題は、これもやはり六、七年前から手をつけ始め、特に藤楓協会にこの点ではえらく助力していただきまして、また、慶応大学のほうとか、ほかの二、三の大学からもいろいろ御助力はあったわけです。現在も整形関係のレベル向上につとめておりまして、つい三日ほど前も、草津で整形関係の医者の講習会を催しておった、こういうふうな状態でございまして、整形手術はかなり実施が進んでおります。患者さんの中でも、まゆ毛を植毛するとか、いろいろすでにごらんになりますとおりでございますが、ただ、最近は不自由者に対しての年金等も有利になっているとか、いろいろの問題で、多少それに対して受ける気持ちが少なくなっているというふうな面も患者さんのほうにあらわれているのじゃないかと心配しておりますが、この点はよくわからすように努力をし、同時に、われわれも、らい療養所の医者の中に、さらに外部の医者を動員して、らい療養所の医療全体の向上につとめていく必要がある。らい療養所が、いままでの療養所でなくて、この性格を、漸次、病院的な部門と、ほかのコロニー的な部門とに分かれていくというのが一つの趨勢だ、また、そういうふうに動かしていくべきだと、傾向としてそういう私は考え方を持って運営に努力していきたいと、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/132
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133・藤原道子
○藤原道子君 一時は患者さんたちも社会に出ることに不安を持っていたんですね、自信がなかったんです。なおるかなおらないかということにまた不安感がございましたから、そういうことに積極的でなかったわけです。ところが、このごろでは、まあいままで療養所と局長は言うけれども、収容所というつもりでおりましたからね、いままであの人たちは。ですから、なおるということになったのだが、さて、出て行ったっても、結局社会が受け入れてくれない、また、社会に根強い、らいに対する偏見がある。こういうことはまあはっきりしているわけなんです。そこで、いま局長が、コロニー的なものもと、こういうお考えがございましたが、それを私はきょう相談しようと思っていたのです。これをひとつ長島の愛生園、東京の多摩の全生園ですか、あそこあたりへセンターのようなものをつくって、そこでは社会復帰のための生活指導もしていく、あるいは、また、職業指導もしていく、一方においては、なるべく整形外科、あるいは物理療法等で社会復帰のための道を急いでいくというふうなセンターが私は一つほしいと思うのです。いままでは療養所だ、収容所だと、収容しておけばいいんだと、外界から遮蔽しておけばいいんだという考え方に立っておりましたから、医者の来手も少なかったと思います。新しい立場に立って、積極的に物理療法もする、あるいは整形手術もするというふうなことになれば医者を得ることも可能になってくるのじゃないか。と同時に、らいというものはなかなかうつるものじゃないのだと、こういうことがもっと理解されてくれば、医者を得るにしても、あるのじゃないかと思うのです。ある療養所で患者さんの暴言に耐えかねて医者が出て行ったというふうなことを私も耳にいたしておりますけれども、患者とすれば、明治四十二年以来閉じ込められて、社会から遮断されて、そうして肉親とも離れて、もう帰ってくれるな、手紙もくれるなというつもりで、所によればお葬式さえしたところがある、こういうような扱いの中でやってきたところが、いまになって見れば、あれは伝染病なんだと、しまったという気持ちが根性いものがあるのです。こういうことがふんまんやるかたのないものが爆発する、そういうことの気持ちも私にはよくわかりますので、そこは患者のやむにやまれない、押えようのない、何ものにぶっつけようか、ぶっつけるところのわからない怒りの気持ちというものもあるということを周囲の者が理解して、そうしてこの人たちにもっと理解ある愛の手を差し伸べてやってほしい、こういうふうに私は考えるわけなんです。で、センターのようなものをつくってやってみようと局長はお考えになっていますか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/133
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134・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) らいが前から伝染病だということは、そうだれも——少なくとも医学関係者は疑っていなかったと思うのでありますが、ただ、一般に天刑病だとか、遺伝病だとかいう偏見がなかなか抜き去りがたかった。さらに、伝染病であっても、それが現在のようにわりあいよく治療ができるというところでなかったという状態でございまして、それでいろいろある程度隔離をし、まあほかの伝染病でありましても、隔離をするのが普通のいままでのルールであると思いますが、それの隔離が一生続くというふうな考え方が強かったのではないかと思います。そこにいろいろな悲劇が生まれ、また、社会の偏見もまたこれについて助長していったというようなことではないかと思います。いまのお話のように、戦後入院せられた方々、若い方々にはどんどん社会に復帰するという自信もあり、そういう希望にも燃えておられるのでございまして、われわれといたしましても、その希望にこたえるという意味だけでなく、医者を充実さすこと、また、東南アジア等にはらいの関係の方々が相当あり、地域によりますと一%、二%の人口がらいに悩んでおられるという状態から見ましても、われわれとしましては、らいの専門家のたくさん日本に出ますことを望むという立場でも、いまお話のような医療センターというようなものを考えるということは、十分われわれとしてもいままでも考えておるところであります。先ほど申しました長島と邑久の二つを一緒にしてそこへつくろうという計画も、すでに五年ほど前に私も提案したことがございまして、十分われわれとしても考えてみたい問題であるわけであります。ちょっとここで委員長、速記をとめていただくわけにいきませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/134
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135・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/135
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136・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/136
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137・藤原道子
○藤原道子君 いろいろの困難はあろうと思いますが、暗いいままでのおりに閉じ込められておったようならい人たちのために、社会復帰へのあたたかい道を開いてやるということを私は、この際、特にお願いをしておきたいと思うのです。
それと、いま一つは、社会復帰へのPRというのでしょうか、社会全般は、お互いの中では伝染病ということはわかっておるのですが、まだまだ社会の人は、らいといえば非常におそろしがるのです。私たちが四、五日一緒にやっていますと、いやね、手を洗ったなんという人もいるのです。それが現実だと思うのです。しかし、これはおそろしいものじゃないのだ、伝染病だから、菌の出るうちは危険だけれども、菌が出なくなってくればそう心配はないのだという、いわゆる昔の天刑病意識をなくするためのPR、これが必要だと思う。それをぜひやってほしい。
それから、いま一つは、盲人対策です。あそこにいる人とここ四、五日一緒に暮らしてみて、ほんとうに気の毒だと思いました。ところが、病院に眼科の医者というのは相当足りないようですね。こういう点もひとつ積極的にその対策を進めてやってほしい。それから、園内にいるうちの不自由な盲人のために、何か歩くときに、施設によれば鈴をつけているとか、いろいろ患者が鈴の音をたよりに歩いたりいろいろしておりますけれども、やればもう少し患者に不自由者が少なくなるようなことも多々あるように、施設へ行くたびに私は考えておりますので、そういう点も考えてもらいたい。
時間がありませんので、また急ぎますけれども、けさほどのお約束の、こういう状態であるからこそ、職員化の問題を、ぜひ大臣が言われたように、急速に進めていただきたいということが一つ。それから、きょうも陳情の中にございましたけれども、ずいぶんよくなってきて、そんなことよりも施設をつくってほしい、夫婦舎がほしいというような要求でございました。この前のあの法案の改正のときにも大騒ぎになりましたけれども、夫婦でありながら雑居している。これは人道上ゆゆしき問題じゃないかというので、相当夫婦舎は進んできたと思って、もう夫婦舎の解決はついていると思っておりましたら、まだ長島愛生園等では、二組の不自由者の夫婦がやはり同じ部屋で起居をしておる。これは二組の夫婦が、四畳半だか六畳の部屋に二組もいるということは、やはり人間としていかがかと思う。こういうところからいろいろな被害ができれば問題が起きると思いますので、夫婦舎だけは、ぜひ一日も早く一組に一部屋ということで実現してほしい。私は実現していると思っていきましたら、きょうの陳情で、それが残っていて、とても耐えられないという陳情がございましたので、その点もお考えをいただきたい。私は、とにかくわれわれから見ればこうだったんだと言ってみたところで、四十二年以来、ただ収容隔離されてきた人たちの気持ちになれば、私は、どんなにあたたかく手を伸ばしてやっても伸ばし過ぎではないというふうに思います。年金の問題もあり、いろいろございますが、きょうはとりあえずこの程度でとどめたいと思いますが、最後に、局長のお答えと同時に、政務次官に申し上げたいことは、全国から百二十人厚生省にすわり込んでおりまして、ほとんど四、五日間局長は寝食を忘れてずいぶん苦労してこられたわけなんです。やっときょう引き揚げることになったんですけれども、こういう事情にございますので、以上私が申し上げましたようなことを責任を持って推進していただきたい。これに対しての政務次官の所信を最後にお伺いしておきたい。あわせて局長の答弁を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/137
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138・砂原格
○政府委員(砂原格君) 藤原先生の、らい患者対策についての御意見は、まことにわれわれも傾聴いたしておるわけであります。この問題は、国民一般の健康な方々の御理解をちょうだいすることも先決な問題であると同時に、らい患者として病院に、療養所に収容されておる方々のお立場もわれわれとしてはよく理解できるので、本日は大臣も患者の諸君とお会いになって、率直に対策に対して最善を尽くすということを患者諸君にもお伝えいたしたようでありますので、厚生省としては格段の努力をいたしまして、本件がすみやかに解決ができるように努力をいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/138
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139・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) 社会復帰の推進、これに対しまして、社会復帰ができますように、在院中において技能を習得してもらうとか、また、体力をつけるというふうな、さらに整形手術をするというふうな努力は前からやっておりましたが、ここ二、三年、この点に特に力を入れ始めておる分野でございますが、一そう努力を重ねていきたいと思いますし、また、その受け入れ側の社会におきましても、偏見をなくしてもらいますようなPR、努力をわれわれ一生懸命でこれはやらなければならない、こういうふうに思っております。
なお、医療センターの構想についてサゼスチョンがございましたが、ただ、らいの皮膚科と申しますか、らいの関係の専門医であるだけでなく、そこに先ほどお話がございました整形の関係の医者もいれば、眼科関係の専門の医者もいる。また、このごろ問題が少なくなりましたが、結核関係がらい療養所では猛威をふるっておりましたが、この結核関係の患者も、老人が多くなりました関係で、こういうふうないろいろな方面の医者が、らい患者に対して、ある程度専門的な目で見てあげるというふうなことが必要だ。そういう方々を全国の各療養所に備えるといっても、これは望ましいことではありますが、そう簡単なことではない。全国に一カ所か二カ所の中枢をつくって、同時に、勉強もしてもらうということがわれわれとして考えてやってきたことでもありますし、また、やっていかなければならないことだと思っております。
なお、盲人対策、盲人だけでなくて、不自由者に対しましての看護の職員によります方式というような問題、この点も、われわれとして、大臣のきょうお話がございましたとおり、来年度予算で十分努力をし、これまでの延長というぐあいでなく、一そうの馬力をかけた方法でやると同町に、本年度におきましてもいろいろ方法を講じてみる。大臣が、さらに普通ではわれわれとしてはできにくいと思っておりました予備費なり、または補正予算というような問題も考えて、ひとつ努力してみようというふうに、政治的にお考えになるそうでございますので、われわれもその御指示に従いまして努力をしてみたいと思います。ただ、この場合、先ほどちょっと砧が出ました、一般の盲人とか不自由者がらい関係の病気ではなくなったということから、一般の社会とのバランスというような問題も、いろいろ中にむずかしい問題として含んでおりますことは先生御存じだろうと思いますので、つべこべ申しませんし、われわれとしても、日本全体の患者さんによくするということがわれわれの仕事だと思いますので、努力していきたいと思います。
それから、夫婦舎の問題、私も六、七年前に長島を見ましたが、もう一カ所見たことがありますが一これはすぐ直すというようなことを言っておりました。もう直っておると思っておりましたが、きのうでしたか、患者さんに言われまして、はなはだはずかしく思っておるような状態でございます。これはことしの整備費もある程度きまったかと思いますが、できるだけ至急にこれはなくするように努力をいたしたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/139
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140・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 他に御発言もなければ、本件に関する調査は、本日のところ、この程度にとどめておきたいと思いますが、よろしうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03119640609/140
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141・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) それではこれにて散会をいたします。
午後四時十四分散会
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