1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年六月十六日(火曜日)
午後一時四十七分開会
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委員の異動
六月十二日
辞任 補欠選任
阿具根 登君 中田 吉雄君
横川 正市君 鈴木 強君
六月十三日
辞任 補欠選任
中田 吉雄君 阿具根 登君
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出席者は左のとおり。
委員長 藤田藤太郎君
理事
亀井 光君
高野 一夫君
藤原 道子君
柳岡 秋夫君
委員
加藤 武徳君
紅露 みつ君
佐藤 芳男君
徳永 正利君
丸茂 重貞君
山下 春江君
杉山善太郎君
鈴木 強君
小平 芳平君
村尾 重雄君
林 塩君
衆議院議員
社会労働委員長
代理理事 小沢 辰男君
政府委員
厚生政務次官 砂原 格君
厚生大臣官房長 梅本 純正君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
説明員
厚生大臣官房審
議官 伊部 英男君
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本日の会議に付した案件
○環境衛生関係営業の運営の適正化に
関する法律の一部を改正する法律案
(衆議院提出)
○クリーニング業法の一部を改正する
法律案(衆議院提出)
○公衆浴場法の一部を改正する法律案
(衆議院提出)
○あん摩師、はり師、きゆう師及び柔
道整復師法等の一部を改正する法律
案(衆議院提出)
○社会保障研究所法案(内閣提出、衆
議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/0
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001・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) ただいまから開会いたします。
委員の異動についてお知らせいたします。六月十二日、横川正市君、阿具根登君が委員を辞任され、その補欠に鈴木強君、中田吉雄君が選任されました。六月十三日、中田吉雄君が委員を辞任され、その補欠に阿具根登君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/1
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002・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律案、クリーニング業法の一部を改正する法律案、公衆浴場法の一部を改正する法律案、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法等の一部を改正する法律案を一括議題といたします。
まず、以上四件に対する提案理由を、衆議院社会労働委員長代理理事小沢辰男君から聴取をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/2
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003・小沢辰男
○衆議院議員(小沢辰男君) ただいま議題となりました四法につきまして、その提案の理由を、衆議院社会労働委員会を代表いたしまして御説明申し上げたいと思います。
まず、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律案から順次説明を申し上げたいと思います。
環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につき申し上げます。
本法案は、業界が自主的に組織いたしました環境衛生同業組合に対し、組合員以外の者の事業活動によって生じました問題の解決のため、または取引業者との取引契約締結のために組合協約の締結を認め、さらに大企業の進出に対しましては、事業計画調整のための特殊契約の締結を認める等の方法により、ほとんどすべてが中小企業に属し、経済的基盤が脆弱でありますこの種営業につき、その自主的組織を通じまして、その安定を導き、サービスと環境御生の向上をはかろうとするものであります。
以下そのおもなる内容を申し上げますと、
第一に、環境衛生関係営業者の過度競争を防止する方法として、現行法は適正化規定により営業料金または価格を制限することができることとなっておりますが、これを組合員以外の者、すなわち、アウトサイダーにも順守させるため、環境衛生同業組合は、アウトサイダーと組合協約を締結することができることといたしますとともに、また、組合が、組合員の経済的地位を改善いたしますために、組合員と取引関係のあります事業者と組合協約を締結することができることといたしたことであります。
なお、アウトサイダーとの組合協約につきましては、利用者または消費者の利益を害する等行き過ぎた内容にならないよう厚生大臣の認可を受けなければならないことといたしますとともに、組合がアウトサイダー及び取引業者との間に組合協約の締結をいたします場合、これが容易にできますよう大規模業者は、組合協約を締結するための交渉の申し出には正当な理由のない限り、その交渉に応じなければならないことといたしておりますが、しかし、この場合、映画等のように特殊な企業もありますので、その交渉権を乱用し、事業者の活動を不当に拘束するものでない旨の規定をも設けたものであります。そういう趣旨を一項入れまして、事業者の活動を不当に拘束する趣旨のものではない、そういう趣旨で設けたものではないということを特に明記いたしたわけでございます。
なお、アウトサイダーとの組合協約の締結に関し、必要がある場合には厚生大臣があっせんを行なうことといたしたことであります。
第二に、大企業が環境衛生関係営業について大規模な事業の開始、または事業の拡張を行なおうとすることが、組合の事業の健全な経営の維持または適正な衛生措置の確保にはなはだ支障が生ずると思われます場合は、同業組合は、組合員の事業の合理化のために必要最少限の範囲内で期間を定め、その大企業の事業の開始または拡張を停止させるための特殊契約を締結することができことといたしたことであります。
なお、この場合についてても、その内容が不当なものとならないよう厚生大臣の認可を受けなければならないことといたしますとともに、大企業は、特殊契約の締結について組合より交渉の申し入れがあった場合は、これに応じなければならないこととし、かつ、必要があります場合は、厚生大臣があっせんまたは調停を行なうことといたしたことであります。この改正案は、御承知のとおり、中小企業団体法の本国会に政府が提案いたしております改正に合わせた改正点でございます。
第三に、勧告または規制命令に関しまして、組合から申し出があったときは、厚生大臣は遅滞なくこれを処理し、その結果を組合に通知しなければならないことといたしたことであります。この点は、勧告規制命令がまま非常に出がおそいということでいろいろな問題がありますので遅滞なくこれを処理して結果を報告しなければいかぬというふうに特に今回の改正でいたしました重要な点でございます。
第四に、行政庁が、本法律及び食品衛生法等の各母法の円滑な実施をはかるため、業者の行なうべき届け出または申請に関する指導、健康診断の実施等について、組合に協力させることができることといたしたことであります。
第五に、環境衛生同業組合は、その組合の組合員たる資格を有する者について事業者台帳の作成につとめなければならないことといたしたことであります。
第六に、中小企業近代化資金助成法を改正し、環境衛生同業組合連合会を同法による融資対象に加えたことであります。
以上がこの法律案の趣旨の概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
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次に、クリーニング業法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
クリーニング業法は、昭和二十五年の第七回国会において制定され、以来十余年を経過いたしておりますが、クリーニング業の発展もまた著しいものがあり、この際、実態に即した公衆衛生上の措置を講ずることが必要となってまいりましたので、現行法を整備し、クリーニング業の適正な経営を期そうとするのが本案提出の理由であります。
以下そのおもなる内容を申し上げますと、
第一に、繊維製品を貸与し、その使用済み後は、これを回収して洗たくし、さらにこれを貸与するといった、いわゆるリネンサプライ業及び洗たく物の受け取り、引き渡しのみを業といたします取り次ぎ店とを本法の適用対象といたしたことでありますが、その際、届け出義務及び健康診断の規定を除き、リネンサプライ業については一年、取り次ぎ店については三カ月間の猶予期間を設けたことであります。
第二に、クリーニング所の措置基準として、新たに、伝染病の疾病の病原体による汚染のおそれのあるものとして厚生省令で指定する洗たく物を取り扱う場合においては、その洗たく物は他の洗たく物と区別し、これを洗たくするときは、事前に消毒することを義務づけたことでありますが、その実施については、一年間の猶予期間を設けたことであります。
第三に、新たに確認の制度を設け、行政庁によって構造設備が措置基準に適合する旨の確認を受けた後でなければ、クリーニング所を使用することができないことといたしますとともに、これに違反した場合の罰則を新たに設けたことであります。
なお、この場合、既存のクリーニング所については、経過規定で確認を受けたものとみなすことといたしていること等であります。
以上が本法律案の趣旨の概要でありますが、何とど慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、公衆浴場法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
公衆浴場法は、公衆浴場に対する衛生上の取り締まり等をはかるため、昭和二十三年の第二回国会において制定されたものでありますが、その後、昭和二十四年の第七回国会において改正され、その際、公衆浴場の適正配置すなわち、国民大衆の利用に便宜を与えるとともに、乱立による衛生上及び経済上の弊害を防止するため、公衆浴場を設置する場合、その場所が配置の適正を欠くと認めるときは、都道府県知事は許可を与えないことができる旨の規定を設け、公衆浴場の距離制限等の規定を明確にいたした次第であります。しかし、近年、公衆浴場法による適正配置の基準の適用を受けないトルコ風呂及びヘルスセンターが漸増いたしており、しかも、これらのいわゆる特殊浴場は夜間においては低料金で一般に開放する傾向にあるため、適正配置の基準の適用を受けております一般の公衆浴場はその影響により、経営に支障を来たしているのであります。
かかる現状にかんがみまして、本案は、トルコ風呂、ヘルスセンター等の特殊浴場を新たに許可する場合は、公衆衛生の維持または一般公衆浴場の配置の適正の確保に資するため、必要な条件を付することができることといたしますとともに、その条件に違反した場合は、営業の停止または許可の取り消しができることとするものであります。
以上が本法律案の趣旨の概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
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次に、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為については、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法により、何人もこれを業としてはならないこととなっておりますが、昭和二十二年十二月二十日同法公布の際、引き続き三カ月以上あん摩、マッサージ、はり、きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為を業としていた者で、同法施行の日から三カ月以内に一定の事項を届け出たものについては、なお、昭和三十九年十二月三十一日までこれを業とすることができることとなっております。
しかるに、これらの届け出た業者に対する経過措置が本年末をもって終了することとなっておりますので、これらの業者の生活問題等を充分考慮するとともに、最近の情勢にかんがみ、所要の改正を行なわんとするものであります。以下そのおもなる内容を申し上げますと、まず第一に、さきに申し述べました本年末まで、その業務を行なうことができる期間の制限を撤廃することといたしますとともに、指圧を業とする者については、この間になお一定期間を限り特例試験を実施することにより、後に述べるあん摩、マッサージ、指圧師への転換の道をも講ずるようにしたことであります。
第二に、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法公布の際、引き続き三カ月以上あん摩、マッサージ、はり、きゅう、柔道整復以外の医業類似行為を業としていた者のうちには、同法施行当時真にやむを得ない理由により業務継続のための届け出でをすることができなかったと認められるものもありますので、これらの者のうち、この法律施行の日から六カ月以内に届け出た者に限り、昭和二十三年当時届け出た者と同様に当該業務を行なうことができることにしておりますが、この点は、特に厳密、厳格に運営する方針であり、一定の基準を行政庁でつくってもらい、その基準に従って都道府県知事が受理し、しかも、その受理にあたりましては、地方審議会に必ず諮問をするという措置をとる等、特に乱用にわたらないよう配慮し、実施することと考えております。また、この間に一定期間を限り、特例試験を実施することにより、あん摩、マッサージ、指圧師への転換の途をも講ずるようにしたことであります。
第三に、昭和三十年に、指圧をあん摩業務に含めるとともに、従来届け出でにより指圧を業としていた者については、特例試験を実施することとして、容易にあん摩師へ転換する途を講ずる措置がとられたのでありますが、これにもかかわらず、これらの者のうちには、あん摩師の名称を用いて指圧業務を行なうことを好まない傾向が強く、あん摩師免許を取得した者が少ない実情にかんがみまして、あん摩師の名称をあん摩マッサージ指圧師に改めるようにしたことであります。
第四に、あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復等中央審議会の権限として、あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為について調査審議することを加え、厚生大臣は、この調査審議の結果を参酌して必要な措置を講じなければならないようにしたことであります。
第五に、あん摩、マッサージ、指圧につきましては、いろいろ要望があり、特に身分及び業務等につきましては新らしい考え方についての要望がありましたが、いまだ、いろいろ検討を要する点がたくさんありますので厚生大臣は、あん摩、マッサージ、指圧についての業務内容及び業務を行なうことのできる者の免許資格等の事項に関し、あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅう柔道整復等中央審議会に諮問いたし、その審議の結果を参酌して必要な立法措置をすみやかに講じなければならないことといたしたことであります。
第六に、あん摩業は盲人にとって古来策も適当な職業とされてきたところでありますが、近時、交通難等により、晴眼者のためその職域を圧迫される傾向が著しい状況にかんがみ、あん摩業における盲人優先措置を講ずるため、当分の間、文部大臣または厚生大臣は、あん摩マッサージ指圧師のうちに晴眼者の占める割り合い、あんまマッサージ指圧師の学校または養成施設の生徒のうちに晴眼者の占める割合その他の事情を勘案して、盲人のあん摩マッサージ指圧師の生計の維持が著しく困難とならないようにするため必要があると認めるときは、晴眼のあん摩マッサージ指圧師の学校または養成施設の設置の認定または生徒の定員の増加の承認をしないことができるようにしたことであります。
以上がこの法律案の趣旨の概要でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/3
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004・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) ありがとうございました。
本四件は、本日は提案理由説明の聴取のみにとどめておきます。
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005・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 社会保障研究所法案を議題といたします。
本案の質疑に先立って御報告いたします。本案は、五月二十六日、衆議院本会議において修正議決され、同日本院に送付され、本審査の議案になりました。御承知のとおり、内閣提出案に対する衆議院の修正にかかる分は、第九条第四項「監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、所長又は所長を通じて厚生大臣に意見を提出することができる。」、この規定から「所長を通じて」を削除した点であります。これは医療金融公庫法の一部を改正する法律案や、中小企業退職金共済組合法の一部を改正する法律案等に対する衆議院修正の趣旨と同様の改正であり、内容も簡単明瞭なので、あらためて衆議院側からの修正点の説明を聴取する必要はないものと、本日、委員長及び理事打合会において決定いたしましたので、右御了承願います。
これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/5
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006・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 この法案の提出にあたって、三十七年八月の社会保障制度審議会の答申に基づいて提案をしたと、こういうふうにいわれております。しかし、三十七年に答申が出され、今国会にこれを提案をするということは、時期的にみて若干問題がひとつあります。それから、慎重に検討をしてここに提案をした、こういうことでございますので、そういう点から申しますと、はたして社会保障制度審議会の答申の内容に沿った真に有力な研究所ということに相なるのかどうか、私どもが内容を見てみますと、決して社会保障制度審議会が意図しているようなそういう研究所ではないと、こういうふうに私は感ずるのでございますが、こういう点について、立法咽過程における経過と、それから、いま私が申し上げました政府の考え方についてまずお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/6
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007・伊部英男
○説明員(伊部英男君) 柳岡先生御指摘のとおり、昭和三十七年の社会保障制度審議会の答申に基づきまして、本年度の予算で若干の経費が認められまして、ここに法案の御審議をお願いをいたしている次第でございますが、この内容につきまして、何ぶん発足早々でございますから、いろいろ不十分な点はあるわけでありますが、今後内容の充実をはかってまいりたい。なお、社会保障制度審議会におかれましては、この法案を提出する際に御諮問申し上げまして、審議会としても、本案は審議会の趣旨に沿うものとして了承するという御答申をいただいている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/7
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008・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 ちょっと内容が聞きとれなかったものですから、あれですが、厚生省として、当然、社会保障制度を拡充し、福祉国家を目ざしていくという立場からしてこういうものをつくって、そして総合的に、組織的に研究していくということについて私は賛成をするものでございますけれども、しかし、その内容が、単に社会保障制度審議会がそういう答申をしたのでつくらざるを得ないというようなおざなりな立場でつくられたのではないかというような気持ちがするわけです。まず、問題として、予算措置ですが、研究所を運営していくための予算措置が一体どういうふうになっているのか、その点をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/8
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009・伊部英男
○説明員(伊部英男君) 社会保障研究所の本年度の補助金は千六百万円でございます。これは設立準備に要します経費百七十六万円及び本年一月一日以降の三カ月分千四百二十三万円でございます。内容といたしましては、理事、監事等、非常勤の給与及び職員の給与、そのほか翻訳費等の事業費等から構成をされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/9
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010・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 この千六百万円という今年度の分でしょうが、政府が全額をもってこの運営に当たっていくと、こういうことになるのですね。しかも、特殊法人ですか、になるわけでございますが、その場合の予算的な項目ですね、これは一体出資という形になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/10
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011・伊部英男
○説明員(伊部英男君) 御指摘のとおり、特殊法人として設立をするわけでございますが、他の研究所等に多く見られますように、社会保障研究所は出資はいたしませんで、毎年度必要な経費を国庫が補助をするという考え方でおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/11
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012・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 出資をしないで、毎年度必要な経費を補助金をもって充てていくということになりますると、政府の予算的な制約によってこの研究所の運営に今後大きな影響を持ってくるのではないか、こういう気持ちがするんですが、どうして一般の他の政府関係機関のように、政府出資をもって自主的にこの研究所の運営をさせるということにしなかったのかどうか、まずこの点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/12
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013・伊部英男
○説明員(伊部英男君) 出資形式を社会保障研究所で採用いたさなかった理由といたしまして、実は厚生省から要求をした予算といたしましては、当初は出資の形で要求をしたわけでございますが、その後、財政当局といろいろ打ち合わせをいたしました結果、従来出資をしております研究所は、通常多くの場合、それが建物を建てる費用というようなことが多うございますのみならず、ファンドの利子収入で運営をしておりましても、その後の事業内容の拡張、あるいは人件費の増等によりまして、総収入に占めるファンドの基金の利子の割合が非常に少なくなってくる、つまり国庫補助金というものが非常に多くの比重を占めてこざるを得ない運用の状況になっておりますので、もしこういう状況ならば、社会保障研究所が設立当初において独立の建物がなければ仕事が運用できないという性格ではございませんので、むしろ国庫補助形式のほうがよろしいんじゃないかということでこういう形に落ちついた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/13
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014・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 もちろんこういう研究所でございますから、利潤をあげるとか、そういう組織ではもちろんないわけです。ですから、一定の政府の資金を出資するということになって、その出資された資金を毎年毎年食いつぶしていくということでは、やはり問題があることはわかります。しかし、一面では、非常にそのときの政府の意向と申しますか、政府の財政的な面から、あるいは政策的な面からこの研究所の運営に大きな影響をもたらすんではないかというような懸念も私は持たざるを得ないわけです。たとえば現在、労働協会等も、この前政府出資十五億円かをもってつくられたのでございますが、あの労働協会の活動等を見て、私は、別に労働協会が政府の御用機関的な組織になっているというふうには言い市せんけれども、やはり往々にしてこの予算の獲得のために、その研究所が自主的な立場で運営をしていくというよりは、政府に対して予算を幾らでも多くもらおうというような立場から、政府の意のままに動くというか、いわゆる御用的な私は研究所と申しますか、そういう仕事におちいる危険性があるのではないかというふうに心配をするのです。と申しますのは、この研究所の業務内容を見ましても、いわゆる基礎的、かつ、総合的な調査研究を行なうしいうものが第一にあります。さらに、また、資料の収集等もありますけれども、そのほか、「前各号に掲げる業務に係る成果を普及すること。」というようような面もありまして、結局いまの、たとえば池川内閣の社会保障放棄は、当面の政策としてはやむを得ないのだ、こういうような宣伝がこの研究所を通じてなされるのではないかというような懸念も私は持つわけです。それはいま言った、この政府の予算措置によって毎年毎年研究所が運営されていくということから、どうしても政府に対して第三者的なと申しますか、批判的な立場をなかなかとりにくいのではないか、まあこういう気持ちがするわけです。そういう点について、もちろん提案説明の中で、その「運営につきましては、その権威を高め、かつ、その独立性を保つよう配慮し、公正中立な立場から適切な調査研究活動が行なわれますよう、特に慎重を期してまいる所存であります。」と、こう書いてあるのですが、それじゃ一体具体的にどういうふうにしてこの独立性を保ち、公正中立な立場から調査研究をしていこうとするのか、これはあまりにも抽象的な内容でございますので、具体的にその政府のいま考えておられることをお聞きをしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/14
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015・梅本純正
○政府委員(梅本純正君) ただいまの点につきまして、まず、第一点としまして、この研究所が独立あるいは中立という点につきまして権威高いものにするということにつきまして考えましたのは、この研究所の性格をどういうものにするかということでございます。で、方法といたしましては、現在、厚生省が持っております各種の試験研究機関というのがございます。これはいわゆる国表行政組織法にいいます付属機関でございます。この研究川をまず付属機関にするかという問題、それから、もう一つ考えられますのは、これを特殊法人ということにするか、それから、もう一つ進みまして、民間の民法法人にするか、三つ考えられるわけでございます。まず、第一点の付属機関ということになりますと、これは完全に国家公務員の身分で研究をするということでございますので、これは研究所という性格から見まして不適当であろう。そういうことから見まして、今度は逆に、これを完全に民間団体にして補助金を出したらどうかという考え方をとったわけでありますが、この研究川につきまして、今後研究員の優秀な方を集めるに際しまして、やはり国立大学の教授の部面からもこういう研究員を獲得する必要があるというふうな観点をとりました場合に、例のいわゆる国家公務員の通算問題、そういうふうないろいろな問題が出てまいりまして、いわゆる通算が切れるというような観点からりっぱな方に来ていただけないというふうなことも予想されましたので、そういう観点からしまして、独立性の強い特殊法人ということでこの案をお願いしたわけであります。そうすることによりまして、給与その他の事業運営面で付属機関よりも弾力性が持てる、活動しやすいということと、今後国連その他国際機関からの援助の受け入れや、あるいは民間資金等の活用をはかるということも、付属機関ではできませんが、特殊法人という形では可能であるというふうな点から見まして特殊法人ということを考えたわけであります。で、この性格をきめますのも、先生御指摘の独立性、中立性という点から相当検討した結果でございます。
それから、そういう性格に応じまして、第二点は御指摘の財政の問題でございますが、これに領しました研究所、いわゆる特殊法人である研究所につきまして出資の制度が非常に多うございます。で、先ほど申しましたように、出資で要求いたしましたが、財政当局といろいろ相談の結果、一応全額国庫負担という形で出発するほうが有利ではなかろうかというのは先ほど説明したとおりでございまして、特殊のものとしまして、出資金がなく、いわゆる財団的な基礎のない特殊法人の例といたしましては、愛知用水公団、日本学校給食会、日本学校安全会、年金福祉事業団というのがございまして、法律制度的にいわゆる機能法人と呼ばれるものでございます。で、こういう形をとりまして、御指摘のように、財政規模によって、毎年々々の予算によってこの研究所の研究が非常に制約されるという御指摘でございますが、結局は、この研究所につきまして厚生省がどう考えるかということに帰着すると思いまして、われわれのほうとしては、その財政的な観点につきましては、今後はできるだけこの予算を伸ばすということに全力をあげてまいりたい、そういう意味で、むしろ予算は今後ふやしていかなければならないという観点から、大蔵省の財政当局の意向にも一応のりまして全額国庫補助の制度によったわけでございます。まあ先生十分御承知と思いますが、こういう制度の創設につきましては、なかなか予算措置その他につきまして十分なことができないのが役所の慣例でございますけれども、今後は予算の増額に全力をあげまして、その予算の削減によって研究が左右されるというふうなことのないように努力してまいりたいと存じますし、あわせて、社会保障制度審議会の勧告も、将来基金を設けてやるようにというふうな御指摘もございましたので、いわゆる基金出資金という点につきましては今後の問題として、一応これでやってみまして、並行して基金の問題も検討をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/15
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016・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 気持として、そういう考え方でこの研究所の運営をはかっていくということは一応了解できるわけでございますが、しかし、現実の問題として、やはり相当予算的な制約の面から、あるいはあとでまた触れてまいりたいと思いますけれども、その職員の構成の問題等、いろいろ考えてみますと、非常に社会保障制度審議会が考えておったような研究所とはほど遠い研究所にすぎないという感じを受けるわけでございまして、私は、これは法律的にどうなるかわかりませんけれども、社会保障制度審議会自身がこういう研究所を持って、そうして運営していくということのほうが、より独立性を保持し、そうして公正、中立的な立場での調査研究ができるんではないか、こういう気持ちもするわけでございますが、そういう点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/16
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017・梅本純正
○政府委員(梅本純正君) 社会保障制度審議会の答申におきまして、「完全な社会保障制度を計画的、組織的に確立するためには、まずもって有力な調査研究機関の設置を提唱する。」という勧告がございます。この勧告にもこの研究所は一面基づいておるわけでございますが、この研究所を構想しましたときに、これは正式ではございませんけれども、社会保障制度宿議会の委員の方々の中には、総理府にこういうものを設置するよりも、やはり現実の仕事をやっておる厚生省というふうなところでやったほうが、資料その他、いわゆる社会資源との関連におきまして便宜じゃなかろうかというような御議論があったように聞いております。そういう意味で、われわれといたしましては、やはり今後の社会保障制度の推進をやっていきますには、やはりわれわれ厚生省が中心にならなければならぬと思いますし、非常に極端に申し上げましたら、総理府でこういう研究所をお設けになったとしましても、われわれ厚生省としては、やはり行政の一番根源になる学問的な研究が非常に欠けておる点から見まして、厚生省自身でもやはり研究所を持ちたいというくらいな考え方でおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/17
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018・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 まあこの千六百かという予算でとりあえず発足をする。しかも、準備費として百七十六万ですか、こういう形で、建物も、おそらくこのような状態では、厚生省の一隅か、あるいはどこか間借りをしてやるというような形になるのではないかというふうに思うのですが、少なくとも、社会保障研究所というりっぱな名前がつく以上は、その研究所に行けば日本の国内における社会保障全体の問題、さらに、また、国際的な問題もすべて一目でわかる、資料が整っておる、こういうものでなければ私はならないのじゃないかというふうに思うのです。したがって、そういうのをやはり社会保障制度審議会としても考えておってこういう勧告になったのではないかというふうに私は思うのですが、非常にこの内容が貧弱で、しかも、わずかに千六百万、研究所の職員等も二十人くらいと、こういうことで、これから政府が本格的に福祉国家を目ざして社会保障の内容を拡充していこうという意気込みからすると、私たちとしては、どうも非常にもの足りない感じを受けざるを得ないのでございます。しかも、その内容がいま申し上げましたように、どうも政府の御用機関的な立場になる危険性を持っておるということからして、私は、この際、もう少し全国民からも信頼のおける、あるいは国際的立場から見ても、日本の社会保障研究所というものは非常にりっぱだといわれるようなものをこの際つくって、提案し直したほうがいいんじゃないかと、こういう気持ちもしておるわけでございます。そういう点、ひとつ再度厚生省の考えをまず聞いてから具体的な問題に入ってまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/18
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019・梅本純正
○政府委員(梅本純正君) ちょっと先生のおっしゃいました予算の点につきまして申し上げてみたいと思いますが、本年度の予算は、御承知かとも思いますが、わずかの期間の三カ月予算でございます。事務的に推算をしてみますと、平年度の予算としましては、大体三千七百万程度になろうかというふうに推計されます。それでその予算といたしまして御了解願えると思いますが、こういう種類の研究川、じみな研究所につきまして、当初の予算といたしましては、われわれとしては一応まあ努力をしたつもりでおります。たとえば人件費につきまして、所長は十六万円、理事は十四万円ということで、これは国立大学の各部長級、教授級の給料を予定いたしております。
それから、御指摘の建物にいたしましても、まあ坪単価は安いのでございますが、百坪ばかりの借料というものもこの中に組んでございます。まあそういう意味におきまして、一応最初のスタートとしましては、厚生省の一隅に間借りをするということでなしに、一応どこか外に百坪くらいの部屋を借りられるということと、それから、給料につきましても、先ほど申し上げましたような形の給料を一応組み込んでおります。で、人員にいたしましても、平年度に直しますと、おおむね三十名前後という形になりまして、初年度といたしましては十分努力したつもりでございますが、今後この研究所の実績を積み重ねまして、ますます拡充強化してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/19
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020・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 問題は、やはり設立をする当初が肝心でございまして、設立をして、とりあえずやってみて、そうしてその中で実績をつくってと、こういうことでございますが、やはりそのような形では、私は、いまの政府の社会保障に対する予算的な措置等をずっと年度別に見ましても、どうもたよりのないと申しますか、はたして研究所が厚生省の考えているように内容の充実したものになるかどうかということは問題があるんじゃないかというふうに思いますし、どうも日本のお役所というのは、お互いになわ張りと申しますか、仕事を自分のところからひとつ離さないでやっていこうと、そういう気持ちが非常に強いのじゃないか。したがって、同じ仕事をあらゆる省でもって少しずつ関係しておるということが多分に見られるわけです。そこで、まあ国民的な立場から見ると、非常にむだの多いと申しますか、一つの書類を持っていってもあっちに行ったりこっちに行ったりするというようなことがあるわけでして、また、現在の日本の国土開発なり、あるいはその他の面から見ましても、総合的な計画が一つも立たない、こういうことになっているのじゃないかというふうに思うのです。したがって、厚生省としても、もちろん社会保障というのは厚生省の大きな仕事でございますし、厚生省自身が当たるということはわかるのでございますけれども、しかし、国民の側から見れば、この社会保障というものは国民の生活に最も密着したものでございますから、政府のやはり統一した機関としてこれが確立をされるということを望んでいるのではないか、こういうように思うのでございます。そこで、こういういままで社会保障制度の問題を研究する機関としてどういうものが政府の中にあるか、もしないとすればないでいいんですけれども、あるとすればどういうものがあったのか、あるいはおそらくないということはないと思うのです、いままで相当社会保障の政策に対して厚生省は年々出しておるわけですから。したがって、それぞれ現在の日本の社会保障、あるいは国際的な問題について調査研究はしておったと思うのですが、そういうものがどういうところでやられておったのか、まずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/20
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021・梅本純正
○政府委員(梅本純正君) 社会保障制度ということばにいろいろまた厳密な定義をつければ別でございますけれども、御承知のように、人口問題研究所をはじめ、予防衛生研究所、その他厚生省が持っております十幾つの付属機関である試験研究機関、こういうところで一応総合的な、あるいは基礎的な研究、いわゆる総合的なという点におきましては欠けておるかもしれませんが、研究をしておったことは事実でございますし、一方、この研究所に近い形で申しますと、厚生科学研究費という制度を厚生省は持っておりまして、おのおのの学者に委託いたしまして、一定のテーマを選んで研究をしていただく、学者の方々はその一定のグループをつくられ、自分お弟子を集めて研究される、その研究成果をいただいて、それを行政に生かしていくというふうな一つの点がございました。まあそのほかにいろいろあると思いますが、要しますのに、そういう現在までございましたこういう研究機関は、社会保障制度の根本といいますよりも、日常の行政の根本になる研究ということにやはり非常に追われてきたきらいがございます。ひるがえって申しますと、厚生省の行政は、敗戦後二十年をたちましたけれども、ほかの省の行政と違いまして、貧困者と病人を相手にしておりますために、非常に日常の業務に追われたと申しますか、行き当たりばったりといいますか、さしあたり何とかしなければならないというふうな行政に追われてきて、やはり相当の高度の技術を要する行政でございますために、おのおのの行政に応じて試験研究機関を相当設けてまいりました。しかし、欠けておりますのは、その横に通じます基礎的、学問的な研究ということについて非常に不足した面があるわけであります。したがって、先生方からしょっちゅう指摘されますように、長期計画というものをもっと根本的に、学問的に、科学的につくれというふうなお話もございますが、その点、一応各局の行政を羅列したようなものはいつでも書けますけれども、もう少し西欧の社会保障制度の歴史と、そのいわゆる失敗、あるいは成功のあとを学問的に研究して、そういうことでそういう根本的なものを見出していくということに欠けておったわけでありまして、先ほど先生御指摘の、こういうものが過去にあったかと申されました場合に、まあずばりと言えば、こういう学問的な、基礎的な、総合的な研究をやっておったところは残念ながらございません。ただ、個々の点につきまして相当基本的な点に突っ込んだ研究所はございました。そういうふうにお答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/21
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022・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 そういう個々に研究をし、調査をして厚生省の社会保障政策を立てる上の一つの資料にしていったと思うのですが、そういうものが新しくできるこの社会保障研究所の中になぜ包含できないのか。私は、やはり基礎的、総合的な調査研究をするということになれば、当然人口問題も入るでしょうし、あるいは現在ある医療費基本問題研究会でやっておられるような仕事も入ってくるのではないか。いろいろそういう社会保障を進めていく上に基礎となる研究を当然進めなくちゃならぬわけですから、この研究川の中に私は統合してやっていって初めて総合的な、いわゆる統一的な研究所という、この社会保障制度審議会が答申の中にいっておるような研究所になるのではないかというふうに考えるのですけれども、そういう点、この研究所と、いま官房長の言われたような人口問題研究所なり、あるいはその他いろんな研究会があろうかと思いますけれども、そういうものとの関係は一体どういうふうになるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/22
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023・梅本純正
○政府委員(梅本純正君) 現在ございます試験研究機関につきましては、先ほど申しましたように、一応基礎的なものもやっておりますけれども、この研究所に比べまして、やはり非常に分野が狭いといいますか、一定の目的に応じまして、深く研究していくということでございますが、この研究所につきましては、横の面との関連におきまして、学問的に、あるいは総合的に研究をしていこうということでございまして、この研究所が、今後におきましては、他の現在あります研究所の研究結果なり資料なりというものは十分にそしゃくしながら総合的なものを研究していくということは当然でございまして、おわかり願うために、さしあたり社会保障研究所においてどういうような研究をやるかという二、三の例をあげてみますと、社会保障の国民経済への影響、それから消費、貯蓄、投資への影響、まあ分析しますと、そういうようなことについては、現在の研究所におきましては、どの研究所も任務としないというふうなところがございますし、それから、また、社会保障の所得格差是正機能であるとか、あるいは社会保障と企業の福利厚生施設の関連とか、もう少し根本になりますと、日本のいわゆる二軍構造の緩和と社会保障の構造改善的な役割りということはどういうことかというふうな点につきましては、現在の試験研究機関におきましてはやはり任務が広過ぎるというふうな感じがするわけであります。もう少し国際的な観点の比較から、日本の社会保障制度というものを全体の社会経済の構造の中においてその関連を見ていくというふうな点につきましては、この研究所が今後大いにやっていかなければならぬというふうに考えるわけでございまして、もちろんその中におきましては医療費について根本的な資料も要りましょうし、あるいは、また、予防衛生につきましての基本的な考え方も要りましょうし、あるいは人口構造の変化という意味におきまして、人口問題研究所の十分な検討の結果がなければこういう大きな研究もできないというふうな関連で、ほかの研究機関とこの研究所との関連をつけてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/23
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024・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 ほんとうに、何といいますか、根本的な調査研究をする研究所と、まあこういうふうにいまの御説明の中ではうかがえるわけですが、先ほど申された厚生科学研究費というものがあって、これは本年度の予算を見ますと三千五百万出ているわけですね。これは大体大学の教授に委嘱をしてそれぞれ研究をしてもらう、こういうことでございますが、この厚生科学研究費というものは、研究所の予算と比べてみますと、平年度三千七百万ということになりますと、大体とんとんの予算なんですね。しかも、研究所の職員は大体大学教授クラスを入れていくんだと、こういうことになりますと、何か厚生科学研究費というものとこの研究所との関連が、まあダブると申しますか、何か人口問題研究所なり、あるいはいま官房長の言われたようなものとは、ちょっと厚生科学研究費のほうは性格が違うんではないかというふうに思うし、どちらかというと、今度つくられる社会保障研究所のほうの性格に近いような気がするわけです。で、今後ともこの厚生科学研究費というものはずっと置いておくのかどうか。こういうものこそ私は今度の研究所の中に包含をして、そして予算をとるなら倍になるわけですから、もっと拡充していったほうがいいじゃないかというふうに思うのですが、そういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/24
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025・伊部英男
○説明員(伊部英男君) 厚生科学研究費は逐年増加をいたしまして、三十九年度約三千四百万円程度でございますが、厚生科学研究費は、いわば直接の行政目的のための応用研究でございます。そこで、たとえば赤痢が非常にふえてくる、赤痢の予防ワクチンをどうするかというような問題、あるいはいろんなワクチンの検定が問題である。検定方法をどう標準化するかといった直接行政につながる研究をお願いしているわけでございます。そこで、厚生省の性格上、いわば自然科学的な研究が非常に多いわけでございまして、したがいまして、そういう性格でございますので、厚生科学研究費は引き続きこれを拡充していかなくちゃならないのではないか、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/25
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026・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 どうも私は理解しにくいのですが、根本的、基礎的な調査研究というものと、その一つ一つ出てくる問題についての研究調査、これは私はやはり関連があるのじゃないかと思うのですよ。そのときそのときに問題が出たからこれをどうやっていくかということを研究させるといっても、それをやはり具体的に実施していく場合には、政策として立てていく場合には根本的な問題から出発しないと、いままで私どもが何回か指摘しておりますように、その場限りのおざなりの政策だということがいわれるのじゃないかと思うのですよ。ですから、私は、やはりこの基礎調査、総合的な調査と同じように、そこから具体的な問題が出発していくということを考えれば、今度できる研究所の中にこういうものを包含しても私は何ら一向支障はないし、当然なことではないかというふうに思うわけです。しかも、予算的に見て三千四百万といま申しましたですか、そういう大きな額、社会保障研究所のほうも三千七百万、同じくらいの予算を使ってやるのですから、これは研究所の中に入れて、そして総合的な立場で具体的な問題も検討していくという系統的な調査研究のほうが、よりベターではないかというふうに私は思うのですが、ちょっとそういう点が、先ほど申しましたように、何か厚生省として予算獲得のために、一つ一つ置かなければ予算がしぼられてしまうからというような考えがその中にあるのではないかというふうに考えられて、これは国民から見れば非常にむだなのではないかというふうに思わざるを得ないのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/26
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027・梅本純正
○政府委員(梅本純正君) ただいまの先生の御指摘ごもっともなことでございまして、率直に申し上げまして、いままで社会保障研究所というふうなしっかりしたまとまったものがございませんでしたので、日常の行政の必要から、厚生科学研究費の中から、いわゆる今後社会保障研究所で取り上げていきますような基礎的な問題も過去におきまして扱ってまいりましたことは事実でございます。ただ、厚生科学研究費のほうは、先ほど審議官も説明しましたように、自然科学と文化科学と二つにわけますと、自然科学的な分野の研究が非常に多いわけでございます。たとえば先ほど申しました予防接種のいろいろ技術的な問題、そういうふうなことが多いのでございますが、極端に、これは詭弁になるかもしれませんが、いままで研究所というふうなしっかりしたものがなかったために、そういう自然科学分野におきまして研究しなければならない。日常の行政に必要なさしあたりのそういう研究というもののうちからそういう基礎的な研究に金を回しておった、そういう面も確かにございます。そういう点は、今後研究所ができました暁におきましては、この厚生科学研究費も、できるだけ研究の項目を指定いたしまして整理いたしまして、自然科学系統の日常の行政に必要ないわゆる基礎的、学問的な問題というよりも、いわゆる制度的な、あるいは直接行政に必要な研究の課題のほうに重点を置いてまいりたいと存じますし、また、しつこいようでございますが、この厚生科学研究費の中からやっておりました基礎的な研究におきましても、広く研究所というものができましたという観点からながめました場合には非常に中途はんぱでございまして、それはおのおのの、たとえば例をあげますと、国民年金の障害年金の支給の範囲に内部疾患を取り入れる場合の疾病の認定方法に関する研究、あるいは医療保険における受診率の変化の要因というような研究自身も非常に具体的な分野の狭いものでありますし、しかも、そこへ流します費用というものがせいぜい数十万円、二、三十万円というふうな非常にこま切れの予算の施行をいたしておったわけでございます。そういう意味で、こういう科学研究費のそういうこま切れの日常の行政に必要な非常に小さい予算の研究ということでは十分でないということで、こういう研究所を一面構想をしたという理由にもなっておるわけでございまして、この点、御了承願いたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/27
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028・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 この厚生科学研究費というのは、いま具体的な問題でそれぞれ研究を依頼をして、それに対する報酬と申しますか、そういう補助金のような形になっておりますが、これはちょっと考えますと、大学の先生方に対するいわゆる補助金的な気持ちもせざるを得ないのですが、それは別として、もう一つ厚生省に社会保障研究所というものがありますね、これとこの研究所との関係は一体どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/28
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029・伊部英男
○説明員(伊部英男君) 社会保険研修所は社会保険庁に設けられております付属機関でございます。これは社会保険の関係職員は、直接の職員でも地方事務官一万数千名に及んでおりますし、さらに関係のあります健康保険組合、あるいは国民健康保険の事業に従事をしておる人を加えますと五万以上の数にのぼるわけでございますので、これらの職員の教養訓練のために、期間を定めまして、三月、あるいは一月寺のコースによりまして研修をしておる機関でございます。現任訓練機関でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/29
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030・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 社会保険研修所というのですか。社会保障研修所というのはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/30
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031・伊部英男
○説明員(伊部英男君) 社会保険でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/31
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032・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 それでは、次に、今度できる研究所の職員には、大体、大学の助教授なり教授なりという、日本の社会保障制度の問題の権威者を入れていこう、こういう考え方のようでございますけれども、大体、日本の学界にどれくらいこういう権威者がおるのか私よく知りませんけれども、その職員の給与なり、あるいは退職手当というようなものは一体どういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/32
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033・伊部英男
○説明員(伊部英男君) 所長及び常務理事は役員でございますので、若干給与が違うかもわかりませんが、その他の研究員につきましては、おおむね教育公務員に準じて考えたいと、かように考えております。したがいまして、教育公務員に準じたそういった内規を設けまして、大蔵大臣と厚生大臣が協議をして定めるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/33
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034・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 いま厚生省に嘱託のような形で大学の教授なんかおられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/34
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035・伊部英男
○説明員(伊部英男君) 嘱託というような形ではおられないと思います。審議会の委員等ではお願いしておる方はおられますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/35
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036・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) ちょっと委員長発言して恐縮ですが、健康保険改正の当時、厚生省から特定の社会保障の先生方を嘱託、顧問というようなかっこうで置いておられたことがあると記憶しておるのですけれども、相当な手当を出して。ちょっとその点どうでございましょう。関連でお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/36
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037・伊部英男
○説明員(伊部英男君) 委員長お尋ねのことは、いわゆる七人委員会といわれたものじゃないかと思いますが、これも健康保険制度がいろいろな意味でむずかしい局面に到達をした際に、七人の方々にそれぞれ御意見を承るという性格のものであろうと思います。厚生省の職員、あるいは嘱託という身分を持つものではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/37
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038・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 公務員に準じてそれらの職員の給与をきめると、こういうことでございますが、はたしてそういう給与で将来どうなるかわからぬ。しかも、予算も、政府のそのときの財政状態なりによってどうなるかわからぬ、こういうような研究所にりっぱな方が来るかどうかということを私は心配するのですがね。それは所長は十六万円だ、これは大学の教授並みだと、こういうことなんですが、所長とか常勝理事というのは、これは私は、やはりいままでの政府関係機関の人事等を見ますと、厚生省のおそらく古手の方がよくいく、あるいは厚生大臣が任命するのですから、厚生省に気に入りと申しますか、そういう方が入るのじゃないかと思うのです。こういう町長とか常務理事は問題ないとして、一般の研究調査をする職員が公務員に準ずるような給与で、はたしていられるのかどうか、その辺ですね、大学を出たての若手の、まあ学士と申しますか、そういう方が来て、自分の勉強のためにやっていくということでは、やはり研究所としての本来の趣旨を生かせるかどうか。しかも、そういう方は、おそらく二、三年たてばどこかへ出て行くということも考えられるわけでございまして、もう少し給与面については考えないと問題が起きはしないかというように私は思うのですが、その点をもうひとつお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/38
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039・伊部英男
○説明員(伊部英男君) この研究所はいろいろな御専門の方にお集まりいただきまして、総合的に広い意味での社会保障を基礎的、総合的に御勉強願おう、かように考えておる次第でございます。そこで、給与につきましても、もちろんなるべく待遇をよくすることは当然でありまして、教育公務員並みと申し上げましたが、最低教育公務員並みということでございまして、今後内規の制定に際しましては、つとめて待遇がよくなるように努力をいたしたい、かように考えております。この研究員の運用につきましては、それぞれの専門学科でございますので、なるべくその専門の、ある大学の研究室の人が適当な期間、三年なり五年この研究所にお見えになられて、その間に一つの業績を達成していただくというようなことを考えてまいりたい。そのために特殊法人として共済組合の通算も考えた次第でございますが、さような運用につきまして、実は社会保障制度審議会の大内先生の御意見も承ったのでありますが、大内先生も、そういうことは非常に見込みがあるであろうということでお許しを得たような次第でございますが、なるべく新しい人がここへ集まって研究をし、さらにそれぞれの大学に帰る、そういうことによって社会保障を将来とも関心を持ち、研究をしていただける人の数をもふやしていきたい、かような考え方でおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/39
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040・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 社会保障の専門家を養成する研究所というふうに、今度何かいまの御答弁ではそういうふうに受け取れるわけですね。結局、日本の社会保障制度の基礎的、総合的な調査研究をするという研究所ではなくて、いわゆる若い学校出の学士さんを二、三年そこでみっちり養成して、そうして数多くの専門家をつくっていくんだと、こういうことになると、この本来の趣旨とちょっと私は違ってくるんじゃないかと思うんです。少なくとも、先ほどから言われているような内容の仕事をしていくんだということになりますれば、現在日本の一流のそれぞれの社会保障関係の専門家をここに結集をして、そして基礎的な研究をしてもらう、総合的な調査をしてもらうということでなければ設立の趣旨というものが私は達せられないのではないか、こういうふうに思うんです。そこで、まあ先ほどの厚生科学研究費の問題とからんでくるんですが、そういう専門家に来てもらってやるんだということになれば、現在、厚生科学研究費を、いわゆる補助金をもらってそれぞれの具体的な研究をしておられる方々は、おそらく日本の中においてもそれぞれの一流の先生方がそれに当たっておられると思うんですね。ですから、そういう方々をこの研究員として委嘱をするということになれば、この厚生科学研究費とこの研究所の問題が、ちょっとどうもおかしくなってくるような気がするわけですが、先ほどからのお話では、厚生科学研究費のほうでは具体的な問題だというので、一応その点では理解をしますけれども、そういう方々が研究員として研究所におれば、これはことさらに研究費の補助金を出さなくても、その方々に具体的な問題についても仕事をしてもらうことができるわけですね。ですから、そういう面で予算的に組織的な使い方、効率的な使い方ができるんじゃないかということも考えられるわけなんです。その点で、どういう人をこの研究員として当てるのか、ひとつもう少しはっきりとしていただきたいんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/40
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041・梅本純正
○政府委員(梅本純正君) ただいま先生の御指摘になりました点につきまして、少しこちらの御説明が不十分であったと思いますが、御承知のように、この社会保障の専門家と申しましても、社会保障学というものは現在ないのでございます。どの大学でも、まとまった社会保障学として講義をしておるところはございません。したがいまして、今後のこの研究の専門家といいますものは、われわれが事務的にいま予定いたしておりますのは経済学の専門家、財政学、社会学、統計学、法律学、政治学、心理学、経営学、それから人口問題、公衆衛生、精神衛生、教育、労働、農村、中小企業、そういうふうな専門家というふうなものが予想されるわけでございます。したがいまして、この研究所の研究員につきましては、やはり非常に大きな研究題目でございますので、数カ月ごとに片っ端から項目をこなしていくというような考え方よりも、相当じっくりと研究をしていくというふうな形になろうかと思います。そうしました場合に、やはり所長、あるいは役員といいますところは、こういう分野からいろいろの方の御意見も参酌をして、りっぱないわゆる統率力のある学者を所長なり役員にお願いしておいて、そうしてやはり研究の必要によりまして、先ほど申しましたあらゆる分野の専門家を各大学から数年間お願いをするということが非常に効果があるのじゃなかろうかというふうに考えた次第でございます。決して社会保障のシンパを順番に養成するというふうな、率直に申しましてそういうことでなしに、研究の必要からそういう形になろうと予想いたしまして、まあ通算の問題とか、いろいろの問題を考慮したわけでございます。
それから、その厚生科学研究費との対比で、この職員の問題になりますと、大体先ほど申しましたように、非常に具体的な小分野のいわゆる項目につきまして、わずかな予算で一定の専門家にお願いしておりますけれども、この職員から見ますと一定の学問の分野の研究でございます。その点と対比しました場合に、研究所は、こういう専門家の方々がいわゆるディスカッションをしていただいて、そうして社会保障というものについて経済学的、財政学的、あるいは社会学的、心理学的の専門家と意見を戦わしていただいて、そこに総合したものを生み出していこうということも一つねらっておるわけでございまして、そういう意味で厚生科学研究費の分野とは相当広いものを考えておる次第でございます。その点、役員の構成につきましては、それに必要な専門家を期待いたしております。御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/41
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042・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 退職金については、これは通算できるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/42
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043・梅本純正
○政府委員(梅本純正君) この法律には直接に出ておりませんが、一応いろいろな細部の規定を設けまして、通算ができるようにはっきりいたしたいと思います。
それから、申しおくれましたが、退職金の問題につきましても、御趣旨に沿うような形になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/43
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044・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 やはりそれはやってもらわないと、いま言われたような研究員の採用の形にしていくということになれば、それがないと非常になかなか集まらない、こういう問題が出てきますから、ぜひその辺は入れていただきたいというふうに思います。
それから、これは政府関係機関ですから、当然職員は労働組合の結成ができるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/44
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045・梅本純正
○政府委員(梅本純正君) 特殊法人でございまするので、その職員は国家公務員ではございません。したがって、普通の労働関係法によって規制されるものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/45
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046・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 往々にして、こういうものは、いわゆるその採用される職員の思想なり考え方によって、その仕事がどういうふうに向くかということもきまるのじゃないかというように思うのですね。一般の現業的な仕事であれば、そういう思想的な、あるいは考え方によってどうこうということはないと思いますが、一つの定められた法律なり規定によって遂行するわけですから。しかし、こういう研究的な機関ということになりまするというと、その職員の気持ちによって、それが前向きの形であるか、あるいはうしろ向きの形であるか、保守的であるか革新であるか、こういうことが非常に影響してくるのではないかというふうに私は思うのです。ですから、研究員をどういう範囲でどういう人たちを採用するかということは、これは日本の今後の社会保障制度にとって、私は、大きな影響を及ぼすような気がしてならないのです。俗に御用学者といわれるような学者をここに入れれば、それはいわゆる保守的なと申しますか、いまの自民党さんのような保守的な社会保障制度の考え方が出てくるであろうし、革新的な学者を入れていけば、これはいわゆる前向きの形での社会保障制度というものに対する考え方が出てくるでしょうし、そういう点では、非常に職員を採用する場合にはむずかしいのじゃないかと思いますね。ですから、そういう点はどういうふうに厚生省は考えておられるか知りませんが、私としては、できるだけそういう一党一派と申しますか、偏重しない形で、ここに公正中立的な立場から適切な調査研究ができるようにということを言っているわけですから、この研究員の採用にあたっては、ひとつ厳正中立な立場で当たっていただきたいというように思うのです。ただ、問題は、その給与の問題だと思うのですよ。結局、給与の問題が公務員に準ずるというような給与では、そういう方がくるかどうかという問題もあるわけでございまして、そういう点では、ひとつ十分配慮をしていただきたいと思うのですけれども、厚生省の考え方をひとつお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/46
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047・梅本純正
○政府委員(梅本純正君) 先生御指摘のとおり、これは自然科学の分野でございませんで、社会科学の分野のほうが非常に多いということで、おっしゃる点につきましては十分に留意する必要があろうと思います。まず、この規定によりますれば、その所長は厚生大臣が任命すると、こういうふうになっておりますので、この所長の任命につきましては、厚生省といたしましても、先生御指摘のような観点で、片寄りのないように、りっぱな所長を、しかも、初代でございますので、十分に留意して人選を大臣にお願いしたいというふうに考えております。また、その所長によりまして、あとの理事の方方についても、あるいは研究員についても、独立、あるいは中立の研究ができますような形にできるだけ努力をしておさめたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/47
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048・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 あとこまかい問題につきましては、次の委員会でまた質疑をしてまいりたいと思いますが、以上、私が質問の中で申しましたように、政府の御用機関というようなことにならないように、そして、また、その職員の処遇の問題にいたしましても、原子力研究所みたいなああいう形になって、研究も十分できない、こういうことであっては、せっかくのつくった趣旨に沿わないわけでございますから、十分な給与面における配慮もしていただいて、そして、真に日本の社会保障研究所は、国際的に認められるりっぱなひとつ研究所として今後発展していくように厚生省としては考えてもらいたいと思います。特に予算面における問題は非常に問題が多いわけです。そのときそのときの毎年毎年の財政状況によってこれがどういうふうになるかわからぬわけですから、そうしますと、勢い、予算獲得のために厚生省なり大蔵省に顔のきく所長を任命するということに重点が置かれて、全然社会保障研究所として、そこの所長としての立場を重点にした任命のしかたというものでなくなってしまうというと私は問題があると思うのです。ですから、そういう点については、厚生省として今後十分考えてこの問題の運営に当たっていただきたい、こういうことを申し上げて、次の委員会に譲りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/48
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049・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) ほかに御発言はございませんか。それでは、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/49
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050・藤田藤太郎
○委員長(藤田藤太郎君) 本日はこれにて散会いたします。
午後三時十七分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614410X03319640616/50
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