1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月四日(火曜日)
午後零時三十二分開会
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委員の異動
二月四日
辞任 補欠選任
大矢 正君 亀田 得治君
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出席者は左のとおり。
委員長 前田 久吉君
理事
赤間 文三君
上原 正吉君
近藤 信一君
委員
川上 為治君
岸田 幸雄君
剱木 亨弘君
豊田 雅孝君
吉武 恵市君
阿部 竹松君
亀田 得治君
中田 吉雄君
藤田 進君
鈴木 一弘君
奥 むめお君
国務大臣
通商産業大臣 福田 一君
国 務 大 臣 宮澤 喜一君
政府委員
総理府総務長官 野田 武夫君
経済企画政務次
官 倉成 正君
経済企画庁長官
官房会計課長 佐藤 二郎君
大蔵省銀行局長 高橋 俊英君
通商産業政務次
官 竹下 登君
通商産業大臣官
房長 川出 千速君
通商産業大臣官
房会計課長 金井多喜男君
通商産業省企画
局長 島田 喜仁君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
説明員
通商産業省企業
局商務課長 森口 八郎君
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本日の会議に付した案件
○産業貿易及び経済計画等に関する調
査
(昭和三十九年度通商産業省の施策
及び予算に関する件)
(昭和三十九年度経済企画庁の施策
及び予算に関する件)
(商品取引所に関する件)
○私的独占の禁止及び公正取引の確保
に関する法律の一部を改正する法律
案(内閣送付、予備審査)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/0
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001・前田久吉
○委員長(前田久吉君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
まず、委員長及び理事打ち合わせ会の協議事項について御報告をいたします。
本日は、昭和三十九年度の通商産業省及び経済企画庁の施策及び予算の説明を聴取し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由の説明を聴取し、商品取引所に関する件の質疑を行.ない、最後に阿部委員の質疑を行なうこととなりましたので御了承願います。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/1
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002・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 次に、委員の異動について御報告いたします。
本日大矢正君が辞任され、その補欠として亀田得治君が選任されました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/2
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003・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、昭和三十九年度通商産業省の施策及び予算に関する件、昭和三十九年度経済企画庁の施策及び予算に関する件について順次説明を聴取いたします。
まず、福田通商産業大臣から施策について説明を聴取いたします。通産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/3
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004・福田一
○国務大臣(福田一君) 今後の通商産業政策の方向と重点について御説明申し上げます。
昭和三十八年度のわが国経済は、一昨年末の引き締め政策の解除以降、予想以上に順調な回復過程をたどってまいりましたが、他方最近の内外経済情勢が、なお解決すべき多くの問題点を内蔵していることもまた事実であります。このような観点から、私は、昭和三十九年度の通商産業政策は、開放経済体制下における将来の繁栄のために早急な地固めを行なうことを中心に展開すべきであると考え、このため施策の最重点を、中小企業の近代化の促進、輸出の振興と経済協力の推進、産業の自由化即応体制の整備確立、国産技術の振興等に置いて所要の対策を強力に推進してまいる所存であります。
今国会において御審議いただく明三十九年度予算案の編成にあたりましては、ただいま申し上げました諸点に重一点を置いて必要な予算を計上するとともに、所要の法的措置を準備している次第であります。この結果、通商産業省の一般会計予算につきましては、本年度の約四百三十一億円に対しまして約八十三億円、比率にいたしまして二割弱増の約五百十四億円を計上いたしますとともに、通商産業省関係の財政投融資計画につきましても総額三千二百三億円を計画し、本年度当初計画に比べまして、三百三十五億円、一割二分の増額を行ないました。
これらの措置によりまして、今後、通商産業施策の一そうの充実を期することができるものと考えている次第でありますが、以下重要項目ごとに施策の概要について御説明申し上げます。
施策の重点の第一は、中小企業の近代化であります。
わが国の中小企業は、国民経済の中においてきわめて重要な地位を占めておりますものの、現状においてはいまだその近代化に立ちおくれを見せており、わが国産業全般の国際競争力強化のためにも、所得格差是正という見地からも、さらにまた物価上昇の抑制という観点からもその急速な近代化が必要となっております。
このため、通商産業省といたしましては、設備、技術、経営等のあらゆる面から、中小企業基本法の趣旨に即したきめこまかい施策をさらに強力に推進してゆく所存であります。
中小企業関係の一般会計予算につきましては、来年度は本年度予算を約三十億円上回る約百十五億円を計上することといたしました。その内容としては、中小企業設備近代化資金の大幅な拡充を行ない、また中小企業高度化資金につきましても、商店街造成資金の新設を含めて、その画期的拡充をはかることとしております。さらに、中小企業の技術の向上と経営の合理化を一段と強力に推進するための施策を充実することとし、小規模事業対策につきましては、経営改善普及事業の充実をはかるほか、金融、税制面からもきめこまかい配慮を講ずることとしております。
財政投融資計画におきましては、中小企業向け政府関係金融機関の資金量の拡大、商工組合中央金庫の金利の引き下げ等の措置を講ずることとし、このため、国民金融公庫分を含めて本年度当初計画を三百三十四億円上回る千六百十七億円の財政投融資を計上することとしております。また、これと同時に信用補完面におきまして中小企業信用保険公庫の手形保証保険制度の拡充強化を行ない、税制面におきまして各種の税負担の軽減を行なう等の諸措置を講じ、これら各般の施策を通じて、中小企業対策に遺憾なきを期することとした次第であります。
重点の第二は、輸出の振興と経済協力の推進であります。
開放経済体制への移行が本格化し、また国際競争がますます激化しつつある現在、申すまでもないことながら輸出伸長の必要性は、より一そう増大するに至っております。また、低開発国に対する経済協力促進の要請は、わが国に対しましてもますます強まっているところであり、他面、それはわが国の輸出の増大をはかる上からも目下の急務となっております。
このような観点から、来年度予算案におきましては、貿易振興及び経済協力費といたしまして、今年度比二割七分増に及ぶ約五十五億円を計上いたした次第であります。
貿易振興の面におきましては、日本貿易振興会の諸事業の拡充強化をはかることをはじめといたしまして、海外商品別貿易会議の開催、輸出貢献企業認定制度の創設、輸出振興国民運動の強化等所要の施策を予定いたしております。また、経済協力につきましても、低開発国からの一次産品の買い付け促進のための調査、技術指導、施設の供与等を充実するとともに、低開発国に対する技術協力施策の拡充強化をはかることといたしております。
また、税制面におきましては、本年三月末をもって輸出所得控除制度が廃止されることにかんがみまして、市場開拓準備金、中小企業輸出振興積立金、新開発国投資準備金の各制度の創設をはじめ、輸出特別償却制度の拡充、技術輸出所得控除制度の拡充延長を内容とする改正を行なう予定であります。
さらに、財政投融資計画におきましても、日本輸出入銀行の資金量を充実し、延べ払い輸出の促進と経済力の推進に特段の努力を払いたいと考えております。
重点の第三は、産業の自由化即応体制の整備確立を通じて産業の国際競争力を強化することであります。
わが国の産業は、開放経済に移行した場合には、欧米先進諸国の巨大産業と激しい競争をしなければならないことになるわけでありますが、いまなお多くの解決すべき問題点を残しておりますので、産業全般にわたってこれらを早急に解決する必要があると考えられます。
このための方策の一つとして、通商産業省といたしましては、特定産業振興臨時措置法案を今国会に提出するとともに、来年度におきましては、日本開発銀行による産業体制整備のための金融につきまして大幅な拡充を行なうことを予定いたしております。
次に、業種別の対策を御説明いたしますと、まず、国際競争力上問題の多い機械工業につきましては、特定機械、電子工業等の合理化を引き続き促進いたしますほか、輸入機械に対する国産機械の延べ払い条件上の不利を是正するため、国内延べ払い金融措置をさらに強化する方針であります。また、国産重機械の開発体制を確立するため、新たに開発銀行から試作一号機に対する長期低利の融資を行なうことといたしております。
さらに、非鉄金属鉱業につきましては、探鉱開発活動を一そう積極的に助成することとし、このため、金属鉱物探鉱融資事業団の業務の範囲を拡大して、みずから計.画的に地質構造の精密調査を実施させることを予定しております。また、海外鉱山開発の基礎調査の助成、国内鉱業の合理化の助成、離職者対策等にも遺憾なきを期する所存であります。
これらのほか、硫安工業につきましては、企業の体質改善のための施策を引き続き講ずるとともに、肥料二法失効後の法的措置につきましても、遺憾なきを期したいと考えております。また、繊維工業につきましては、過剰設備の処理、品種の転換等によって輸出産業としての体制の整備をはかるため、所要の新法制を準備いたしている次第であります。
重点の第四は、国産技術の振興であります。
技術水準の向上は、産業の国際競争力強化の重要なかぎであり、わが国も欧米諸国に伍して国産技術の効率的な開発を進める必要があります。この場合、総花的な施策は避け、産業面からその開発が特に急がれており、かつ技術面での波及効果の大きい技術を重点的に選んで、その開発体制を確立することが大切であると考えるのであります。
このため、来年度からこのような中核技術を選んで、その研究開発に対して税制、金融面における特段の措置を講ずるとともに、重要鉱工業技術の研究のために民間の研究機能を活用する目的をもって、国からの研究委託制度を創設することを予定しております。
さらに、国立試験研究機関における研究体制、研究内容の充実、民間の試験研究に対する助成の拡充についても大いに考慮を払っております。
さらにまた、遅延の著しい特許権等の出願処理につきましては、来年度におきまして、大幅な増員と機械化の推進を行ない、処理の促進を期することとしております。
以上の施策を中心として、来年度の一般会計予算案には、鉱工業技術振興費として、今年度を一割七分上回る約八十八億円を計上した次第であります。
以上申し述べましたほか、来年度におきましては、石炭対策を引き続き強力に推進いたしますとともに、経済成長の基礎固めないし産業活動と国民生活の調和という観点から、地域経済の振興と産業基盤の強化、鉱山における保安の万全の確保、流通消費対策の推進等の施策についてもその充実強化をはかる所存であります。
まず、石炭対策でありますが、来年度におきましては、本年度からその緒につきはじめました石炭対策大綱の継続実施を主眼として、一般会計予算において、ほぼ今年度並みの百十七億を計上しております。来年度から行なう新しい施策といたしましては、石炭の長期的需要確保対策として、電源開発株式会社によって石炭火力発電所を建設いたしますほか、産炭地域振興対策として、産炭地域振興事業団の業務を大幅に拡充するとともに、産炭地域における公共事業を促進するための所要資金を経済企画庁の予算計上した次第であります。
次に、地域経済の振興と産業基盤の強化につきましては、一方において工業の適正配置を通じてその合理的な地方分散を促進するため、新産業都市、工業整備特別地域等の建設を中核として工業用地の造成、工業用水道の建設等、産業立地条件の整備を行なうとともに、他方においては、工場排水、ばい煙、地盤沈下等の産業公害の防止に万全を期する所存であります。このような見地から、来年度におきましては、工業用地の先行的造成を推進するための地方債起債ワクを確保するとともに、工業用水道事業につきましては国庫補助金を大幅に増額し、地盤沈下対策事業についての補助率の引き上げを行なうほか、河口湖の開発調査を開始することとしております。また、電源開発資金につきましても、来年度財政投融資計画においてその確保に意を用いた次第であります。
鉱山保安につきましては、もとより人命の尊重はいかなる政策にも優先するものとして、その確保に万全を期してまいったところでありますが、先般不幸発生をみた三井三池炭鉱災害の経験にかんがみまして、監督体制を一段と強化するとともに、他方助成面においても所要の措置を講ずることとし、このため、鉱山保安法令に対して所要の改正を加え、また、保安施設整備のための無利子融資制度を大幅に拡充することといたしております。また、今国会に鉱業法の一部を改正する法律案を提案する方針でありますが、今回の改正は、鉱業監督面を通じての鉱山保安の確保を主要目的の一つとしているのであります。
また、流通消費対策につきましては、国の経済政策の最終目標が国民生活の向上にあることにかんがみ、これまでも所掌物資の生産、流通、消費の調和的発展をはかりつつ、流通部門の合理化、近代化の推進、消費者保護のための各種の対策を積極的に講じてきたところでありますが、特に最近における消費者物価の高騰は、流通消費対策充実の要請をさらに高めているところであります。このような事情から、通商産業省といたしましては、まず、物価の安定のために流通部門の合理化を推進するとともに、操短、共同行為の内容の適正化、生産性向上成果の価格面への的確な反映等についても十分な配慮を加える方針であります。そのほか、家庭用品品質表示法、計量法、工業標準化法等、消費者保護のための法令の厳正な運用、電気事業及びガス事業に対するサービス向上の指導等により、消費者保護のための施策に遺憾なきを期する所存であります。
以上、今後における通商産業政策の重点事項につきまして、基本的方向と具体的施策の概要を申し述べたのでありますが、私といたしましては、これらの方策を中心にわが国の通商、産業の発展のために全力を傾注する覚悟でございますので、今後とも一そうの御協力をお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/4
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005・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 次に、宮沢経済企画庁長官から施策につき、説明を聴取いたします。宮沢経済企画庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/5
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006・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 昭和三十八年度のわが国経済は、一昨年末の引き締め政策の解除以降、個人消費支出、政府支出、輸出等の堅調な伸び、在庫投資の増大、さらには設備投資のなだらかな回復に支えられまして、予想以上の回復過程をたどってまいりました。このような需要面の動きを反映して供給面におきましても、鉱工業生産はかなり大幅な上昇を示し、年度平均で前年度に比べて一三%以上の増加となる趨勢にございます。このため今年度の経済成長率は実質で八・二%に達する見込みとなっております。
しかしながら、国際収支面におきましては、前二回の国際収支の危機の際と異なりまして、在庫投資や設備投資の面で特に行き過ぎが見られたというのではないのにかかわらず、総需要の拡大を反映して輸入が輸出の増加を上回っております。さらに、貿易外収支の赤字幅の拡大が加わりまして、経常収支面の赤字は予想以上に増大し、資本収支の黒字を合わせましても、年度間総合収支は一億ドル程度の赤字になるものと見込まれるに至っております。
さらに物価の動向についてみますと、農水産物資、中小企業製品、サービス関係を中心とする消費者物価の騰勢は依然として衰えを見せておらず、なお問題を残しております。
したがって、これからの経済運営にあたりましては、開放体制のもとに経済の安定成長を確保することを目途として経済を引き締め基調で運用いたし、特に国際収支の改善と消費者物価の安定を期しますほか、さらには経済各分野の質的強化に一そう意を用い、わが国経済の均衡ある発展と国民生活の向上をはかることを基本的態度としてまいる所存でございます。
以上のような考え方のもとに、今後政府民間相協力して経済運営の慎重を期しますならば、明年度の経済成長率は名目で九・七%、実質で七%程度のものになると見込んでおります。-
また、このような着実で安定した成長の過程で国際収支も貿易収支の改善を軸として逐次均衡化の方向へ向かうとともに消費者物価につきましても安定基調を取り戻すようになるものと考えております。
国際収支につきまして申し上げます。IMF八条国への移行やOECDへの正式加盟などわが国経済はいよいよ本格的な開放体制へ移行するきびしい国際環境を迎えております。
今後、わが国が開放経済のもとで国際収支の安定を保ちつつ経済の成長力を維持してまいりますためには、何よりも輸出の拡大をはかることが肝要であります。このため産業構造の高度化、産業体制の整備などにより、わが国産業の国際競争力の一そうの強化をはかるとともに輸出秩序の確立、海外輸出環境の改善などを推進しながらあらゆる施策を集中して輸出の振興に努める必要がございます。
また、最近の国際収支の悪化が運賃支払いの増大などの貿易外収支の赤字幅の拡大によるところも大きいことにかんがみまして、外航船腹の増強による海運収支の改善対策などを強力に推進しなければなりません。
私ども経済企画庁といたしましても、関係各省の施策の調整に努め、その円滑な実施を極力推進してまいる考えでございます。
消費者物価の安定について申し上げます。
消費者物価につきましては、政府は、去る一月二十四日の閣議におきまして物価安定のための具体策を決定いたしましたが、今後これらの諸対策を強力に実施いたし三十九年度中に物価の安定基調を回復することを目途に努力してまいる所存でございます。
特に、公共料金その他政府の規制し得る範囲のものにつきましては、本年中に値上げを行なわない方針を堅持いたしますとともに、農業構造改善施策の強化、中小企業の近代化の促進、流通機構の改善などにつきまして財政金融面からも効果的な措置を講ずる考えでございます。これらの施策を通じて生産性の向上が積極的に推進され、価格の上昇原因がこれによって吸収されることを期待しておるものでございます。
このほか、財政金融政策の適切な運用、労働力の流動化、公正な価格決定を阻害するような要因の排除、供給不足物資の生産の増大、輸入政策の弾力的な運用など、これらの施策を一段と強化いたしまして、総合的な推進をはかることにより消費者物価の安定を期する決意でございます。
なお、政府としては、物価水準を長期にわたって安定させていくため、生産性向上の成果が、企業利潤、賃金、所得、価格のそれぞれに適正に配分されることを期待しており、今後長期的な課題として慎重に検討してまいる所存でございます。経済企画庁といたしましては、関係各省との連絡協調のもとに、これらの諸施策が円滑に推進され所期の成果をあげるよう努力する考えでございます。
中期の経済計画の策定について申し上げます。
国民所得倍増計画の策定以来、すでに三年を経過いたしました。この間、わが国経済は当初実現を期しました年率九%の成長を達成いたし、国民生活水準の顕著な向上と完全雇用の達成という目標に向かって著しい前進を遂げました。今後は経済成長の過程におきまして相対的に立ちおくれの目立っております農業、中小企業などの近代化を促進いたしますほか、産業基盤施設の拡充、生活環況施設の整備、社会保障の充実などの諸施策を一そう強化いたし、調和のとれた経済の発展と国民生活の向上をはかり福祉国家の実現に邁進することが必要でございます。このため、経済企画庁といたしましては、引き続き国民所得倍増計画に掲げる課題の達成を目標としつつ、今後の経済運営の指針として中期経済計画を策定し、経済構造の変化に対応する総合的な政策運営がはかられますよう努めてまいる所存でございます。
国民生活行政の強化につきましては、経済の成長政策の推進によりまして、わが国の経済の規模は飛躍的に拡大してまいりましたが、これに伴いまして、今後は第二段階として経済の質的改善に加えまして経済諸資源を国民福祉の向上の面にどのように適正に配分すべきかという課題にも従来以上に重点を置かなければならない段階に立ち至ったと思われます。
このような政策的要請に対処してまいりますためには、この際、独自の使命を持った国民生活行政が新しく展開されることが必要であると考えます。この国民生活行政の理念は、国民経済の発展の中で、完全雇用を達成し、所得の向上とその格差是正をはかりますとともに、物価の安定、生活環境施設の整備、社会保障の充実など、国民生活のあらゆる分野における福祉を均衡的に向上、発展せしめることにございます。
そのためには、第一にどのような国民福祉の水準が確保されるべきかを明らかにいたし、その実現のために各種の政策が果たすべき役割りと位置づけを行ない、総合的観点から政策の推進をはかっていくことが必要でございます。
第二に、消費者物価の引き続く上昇や、新製品の出現、販売競争の激化などによります商品選択の困難、生活環境施設の立ちおくれなど国民が消費者として日常生活の面で保護されるべき分野がきわめて多くございますので、この面におきましても総合的観点から消費者行政を積極的に推進し、国民の福祉向上に資することが必要でございます。
経済企画庁といたしましては、このような考え方のもとに各省の施策を調整いたしその斉合性を保持しつつ施策の推進をはかるため新たに国民生活局を設置し、福祉政策の展開に努めてまいる所存でございます。
地域開発の促進について申し上げます。
わが国経済の均衡ある発展と民生の向上、福利の増進をはかりますためには、今日見られる都市の過大化現象と地域格差の存在は、ゆるがせにできない問題でございます。
経済企画庁といたしましては、わが国に賦存する自然資源の有効な利用をはかりますとともに、資本、労働、技術などの各資源が全国各地域に適切に配分され、地域間の均衡ある発展が確保されますよう、引き続いて総合的な地域開発政策を積極的に講じてまいる所存でございます。
このため、全国総合開発計画に示された地域開発の基本構想のもとに、各地方開発促進計画の策定等を進めますほか、特に地方の開発発展の中核となるべき新産業都市並びに工業整備特別地域につきましては、長期的な視野のもとに道路、港湾の整備、用地用水の確保、住宅建設の促進などを計画的に推進してまいる所存でございます。
また、低開発地域につきましても税制、金融等所要の措置を通じて工業開発の促進をはかりますほか、農業、中小企業等の近代化施策の推進と相まって、積極的に地方産業の振興をはかってまいる考えでございます。
なお、離島振興、豪雪地帯対策などにつきましても、引き続き努力を傾注いたす考えでございます。
最後に、水資源行政の推進について申し上げます。
水資源の総合的な開発と合理的な利用を促進をいたしますため、さきに水資源開発促進法及び水資源開発公団法が制定されましたが、現在これらの法律に基づき利根川及び淀川の二水系を水資源開発水系として指定をいたし開発基本計画に沿って各種の開発事業を着々実施いたしております。
経済企画庁といたしましては、今後さらにこれらの事業を強力に推進いたしまするとともに、他の水系につきましても用水の緊急需要に対処して広域的な開発が必要と思われますものについて早急に水資源開発水系として指定してまいる所存でございます。
また、水利用の急激な増大に伴い、水質をめぐる公害問題が免じておりますので、経済企画庁としても水質の汚濁を防止しつつ、産業の相互協和と公衆衛生の向上に一そうの努力を傾注する考えでございます。
以上、経済企画庁の施策について所信の一端を申し述べたのでございますが、わが国経済の発展のために今後とも一そう微力を尽くしてまいる所存でございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/6
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007・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 次に、金井会計課長から通商産業省の予算について説明を聴取いたします。金井会計課長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/7
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008・金井多喜男
○政府委員(金井多喜男君) 通商産業省の会計課長でございます。
昭和三十九年度通商産業省予算について御説明申し上げます。詳細につきましては、お手元の予算関係資料を後ほどごらんいただきたいと思います。
まず、三十九年度通商産業省所管一般会計の予定経費要求額は五百十四億円でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/8
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009・吉武恵市
○吉武恵市君 ちょっと、どの資料だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/9
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010・金井多喜男
○政府委員(金井多喜男君) 袋の中に通商産業省関係の予算が入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/10
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011・吉武恵市
○吉武恵市君 ちょっと資料をはっきり示してからやって下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/11
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012・金井多喜男
○政府委員(金井多喜男君) 資料に、一般会計それから財政投融資、特別会計として入っております。
まず、最初に、一般会計について御説明を申し上げます。
三十九年度通商産業省所管一般会計の予定経費要求額は五百十四億円でございまして、これを三十八年度当初予算額四百三十億円に比較しますと、八十三億円の増で、一九・三%の伸びとなっております。
以下三十九年度予算を政策事項に分けまして、項目別に御説明申し上げます。
第一に、中小企業対策費でございますが、中小企業問題の重要性にかんがみまして、最重点項目として取り上げ、前年度に比し約三十億円増の百十五億円を計上いたしております。
そのうち中小企業の近代化、高度化につきましては、中小企業設備近代化の補助金として四十五億円、中小企業高度化資金は約四十四億円で、従来の貸し付け対象の増大のほか、新たに商店街造成を対象に加えることにいたしております。
このほか日本中小企業指導センターに対する出資及び補助として三億円、商工会等の事業補助として十四億円、中小企業管理者及び技術者研修費として約八千万円、中小企業に対する診断及び技術指導等を実施する経費として約四億円を計上しております。なお、形式的には大蔵省計上になっておりますが、中小企業信用保険公庫への出資四十五億円を計上いたしております。
第二に、輸出振興及び経済協力費につきましては、内外の経済情勢、国際収支の動向等も考慮いたしまして、前年度に比し約十二億円増の五十四億円を計上いたしております。
輸出振興につきましては、日本貿易振興会の事業運営に必要な経費として約三十一億円を計上し、海外市場の調査、トレードセンターの運営等、総合的な輸出振興事業を一そう強力に行なうこととしております。
その他、日本輸出雑貨センター事業、プラント類輸出振興費、工作機械輸出振興費としてそれぞれ必要額を計上してございます。
次に、経済協力費でございますが、主要な経費といたしましては、アジア経済研究所に対する補助金として約四億円、海外技術開発協力費として約一億円、低開発国一次産品買い付け促進費補助といたしまして五千万円等を計上いたしまして、未開発国との経済協力の推進をはかることとしております。
第三に、国際競争力の強化対策費でございますが、この点につきましては、一般会計よりもむしろ後に御説明申し上げます財政投融資による対策が重要な役割りを占めているということができるかと存じます。
一般会計からの国際競争力の強化対策費は、主として地下資源開発費でございまして、新規に金属鉱物探鉱融資事業団の行なう地質構造調査に対する補助金といたしまして八千万円を計上したこと等でございます。
第四に、技術振興費でございますが、開放経済体制下における技術振興の重要性にかんがみまして、前年度に比し約四億円増の八十八億円を計上しております。
そのおもなものは、新規項目といたしまして重要鉱工業技術試験研究委託費六千五百万円、九州工業技術試験所新設費五千万円、その他前年度に引き続き試験所の特別研究費として約十三億円、民間における試験研究の助成のための鉱工業技術研究費補助として約八億円等を計上しております。
また、特許行政の強化費といたしましては、特許等の審査、審判の促進をはかることを重点にいたしまして約十三億円計上いたしております。
第五に、エネルギー対策費でございますが、そのおもなものは石炭対策費でございます。
石炭対策費は前年度のほぼ横ばいで百十八億円でございます。
内容といたしましては、石炭鉱業近代化促進及び流通合理化等に要する資金として、石炭鉱業合理化事業団への出資金約四十九億円、産炭地域振興費約二十億円、炭鉱整理事業補助約三十九億円、その他保安不良炭鉱整理交付金、鉱害賠償基金出資、鉱害復旧費、石炭技術振興費補助等につきまして必要な経費を計上しております。
第六に、産業基盤の強化対策費でございますが、そのおもなものは工業用水道事業費補助でございまして、前年度に比し約十六億円増の七十億円を計上しております。そのうち地盤沈下防止対策事業につきましては補助率の引き上げを行なうこととしております。
第七に、鉱山保安対策でございすまが、さきに述べました石炭鉱業合理化事業団への出資金のうち約五億円は新たに大手を含めまして保安施設に対する無利子融資に向けられるべきものでございまして、これにより鉱山保安施設の整備強化をはかるほか、ボタ山崩壊防止対策、保安教育費等を含めまして約一億四千万円を鉱山保安対策費として計上しております。
以上をもちまして、当省所管の一般会計に関する説明を終わります。
次に当省所管の特別会計につきまして三十九年度歳入歳出予算の大要を御説明申し上げます。
まず、アルコール専売事業特別会計でございますが、歳入予定額は六十八億一千九百万円、歳出予定額は六十一億五百万円でございます。輸出保険特別会計につきましては、歳入予定額及び歳出予定額とも百四十六億三千八百万円でございます。機械類賦払信用保険特別会計につきましては、歳入予定額及び歳出予定額とも十一億六千八百万円でございますが、歳入予定額のうち、一億五千万円は一般会計から繰り入れでございます。また中小企業高度化資金融通特別会計につきましては、歳入予定額及び歳出予定額とも四十三億九千百万円でございます。
次に、当省関係の財政投融資計画について御説明申します。
昭和三十九年度におきます当省関係の財政投融資総額は、余剰農産物資金及び経済援助資金を含めまして約三千九百億円でありまして、前年に比べ伸び率にいたしまして二二・五%の増加となっております。なお、この金額の中には国民金融公庫分も含まれております。
以下、機関別にその概要を御説明いたします。
まず、日本開発銀行につきましては、重機械の試作、開発を進めるための融資十億円、繊維新法の制定に対応しての融資資金十億円をそれぞれ新規に計上いたしました。また、いわゆる戦略産業部門の産業体制の整備のためには、融資対象を拡大し、かつ金額も三十億円増加することといたしております。
したがって、日本開発銀行の運用総額は、三十八年度の当初計画に対し百五十八億円増の千二百八十八億円を確保するものといたし、このため財政資金八百九億円の融資と七十二億円の外債発行が予定されております。
次に、日本輸出入銀行でございますが、船舶、プラント等を中心とする輸出の伸長と経済協力を促進するため、三十八年度当初計画より三百億円増額しまして千六百億円の貸し付け計画を予定し、このため出資二百二十五億円、融資七百十二億円、計九百三十七億円の財政資金を投入する計画でございます。なお、三十八年度の補正といたしまして出資六十億円及び融資四十億円を追加し、運用規模を当初計画の千三百億円に対して千四百五十億円に改定いたすこととなっておりますので申し添えておきます。
次に、中小企業関係政府金融機関の御説明に移りますが、中小企業対策には、政府としても最重点を置いて各機関の融資機能の強化充実をはかることとしており、これらの貸し出し規模は、三十八年度に比べまして二一%前後増大する計画となっております。すなわち、中小企業金融公庫について財政資金から融資七百三十三億円、政府保証債百億円を計画し、商工組合中央金庫には出資三十億円及び財政資金による商中債の引き受け純増六十億円を確保することとしております。また、国民金融公庫につきましては、財政融資六百九十四億円を計画しております。なお、商工組合中央金庫につきましては、この予算措置の結果、長期年三厘程度、短期日歩五毛程度の金利引き下げを考慮しております。
次に、電源開発株式会社についてでございますが、三十九年度におきましては、新に石炭の長期引き取りを確保するため、三十九年度から石炭火力発電所の建設に着手することといたしまして、出資十億円及び余剰農産物資金を含めて融資三百十七億円、外貨債十二億円、合計三百二十九億円の財政投融資を予定しております。
次に、日本航空機製造株式会社につきましては、試作事業のための出資四億円、また量産事業について運転資金二十三億円を政府保証債によって調達することといたしております。
石油資源開発株式会社につきましては、海外における原油開発の重要性にかんがみ、新たにそれに要する資金二億円を出資する計画でございます。
次に、石炭鉱業合理化事業団でございますが、非能率炭鉱の終閉山と合理化に伴う炭鉱離職者に対する退職金支払いを円滑に行なわせるため、財政資金三十五億円の融資を行なう計画でございます。
次に、産炭地域振興事業団及び鉱害賠償基金につきましては、すでに一般会計において御説明したとおりでございますが、財政融資として、産炭地域振興事業団に三十億円、鉱害賠償基金に五億円を予定しております。
次に、金属鉱物探鉱融資事業団の融資業務につきましても拡充をはかり、これに必要な出資二億円及び融資十七億円を計画しております。
最後に、機械類延べ払い金融措置については、前年度に引き続き四十億円を予定することといたしました。
以上をもちまして、通商産業省所管の一般会計、特別会計の予算及び財政投融資計画の御説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/12
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013・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 次に、佐藤会計課長から経済企画庁の予算について説明を聴取いたします。佐藤会計課長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/13
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014・佐藤二郎
○政府委員(佐藤二郎君) 経済企画庁予算について御説明申し上げます。
昭和三十九年度の経済企画庁予定経費要求額は百五十六億六千二百万円でございまして、前年度予算額に比較しまして、四十五億四千七百万円の増加となっております。
これは大きく分けまして、行政部費と公共事業費とから成り立っておりますが、行政部費の要求額は十四億四千七百万円でございまして、前年度に比べまして、二億五千六百万円の増加になっております。これに対しまして、公共事業費のほうは百四十二億一千五百万円の要求でありまして、これは前年度に比べまして四十二億九千万円の増加になっております。
次に、以上の要求額の内容を申し上げます。
お手元にお配りしました昭和三十九年度予算事項別表という横に長い表がございますが、その三ぺ-ジ以下をごらん願いたいと思います。
最初に行政部費についてでございます。が、これは三つの項に分かれております。まず、経済企画庁の項でございますが、前年度の五億七千四百万円に対しまして、六億五千三百万円をお願いしております。その内訳を主要事項について申し上げますと、第一に、一般行政に関する経費は四億七千万円でありまして、前年度に比較しまして三千四百万円の増加になっおります。これは国民生活局の新設等に伴う定員増加による人件費の増加等によるものであります。
第二は、総合経済政策の樹立、調整に関する経費でありまして、前年度の七百万円に対しまして千二百万円を要求しております。この経費の増加は主として経済協力開発機構関係の経費増によるものであります。第三は、国民生活充実に関する経費でありまして、前年度の千六百万円に対しまして、四千万円を要求しております。これには特殊法人国民生活研究所に対する補助金三千二百万円をはじめ、国民生活の向上、物価の安定に関する経費が計上されております。
・第四は、長期経済計画に関する経費でありますが、前年度の千八百万円から二千九百万円に増額になっております。この増額のおもな理由は、三十九年度に長期の経済計画の策定を予定しているからでございます。
第五は、国土総合開発に関する経費でございます。(「ちょっと、その第二項とかなんとかというのはどこをやっているのかわからんのだ。あなたの原稿とこっちとちょっと合わぬのだ。」と呼ぶ者あり)いま四ページの下の長期経済計画の項です。(「ちょっとゆっくりひとつページを言いながらやってくれよ。」と呼ぶ者あり)
五ページ下の第五の国土総合開発に関する経費でございます。この経費は前年度とほぼ同額の二千八百万円となっております。
第六は、水資源に関する経費でありまして、前年度の三千百万円に対しまして、三十九年度は三千三百万円となっておりますが、増額になりましたのは、おもに水質保全のための水質調査費の増加によるものであります。
第七番目は、内外経済事情調査関する経費でございますが、前年度の三千九百万円に対しまして四千二百万円となっております。これは経済統計の整備及び経済観測に新しい手法の導入等に要する経費の増加によるものでございます。
次に、土地調査費の項でありますが、これは資料の九ページでございます。この経費は、前年度の五億五千五百万円に対しまして、三十九年度の予定経費の要求額は、七億二千五百万円でありまして、一億七千万円の増加となっております。増額になりましたおもな理由は、地籍調査に要する経費が一億六千万円増加したことによるものであります。
次は、経済研究所の項でございますが、これは資料の一〇ページにございます。これは、前年度の六千一百万円に対しまして、六千九百万円に増加しております。この増加は、主として国民経済計算関係の経費増によるものでございます。
以上が行政部費の関係でございますが、次に公共事業費関係について申し上げます。これは資料の一一ページ以下になっております。
まず、新産業都市等建設事業調整費の項でありますが、この要求額は十四億五千万円でありまして、前年度に比較しまして五億五千万円の増加になっております。
第二は、国土総合開発事業調整費でございますが、三十九年度は二十一億円の要求でございまして、前年度に比較しまして八億五千万円の増加になっております。
第三は、地域経済計画調査調整費の項でございますが、これは前年度と同額の五千万円を計上しております。
以上、地域開発関係の三つの調整費の合計額は三十六億円でございまして、前年度に比べまして十四億円の増加となっております。
第四は、離島振興事業費の項と揮発油税等財源離島道路整備事業費の項でございますが、この両者を合計しまして七十五億七千七百万円でありまして、前年度予算に比較しまして十二億七千九百万円の増加になっております。この増加は主として本土と離島、離島相互間並びに離島内の交通を確保のるために必要な港湾、漁港、空港、道路等の施設の整備に要する経費の増加によるものでございます。
第五は、水資源開発事業費の項でありますが、これは三十八年度の十四億二千七百万円に対しまして三十億三千九百万円に増加しております。この経費の増大は、水資源開発公団の事業の拡大に対応しまして、補助金及び交付金が増大したことによるものでございます。
以上が一般会計予算の概要でございますが、詳細はお手元に配付しました資料によってごらんいただきたいと思います。
最後に、当庁関係の財政投融資計画を簡単に申し上げます。資料の一六ページ以下になっております。東北開発株式会社につきましては、会社発足以来、経営内容が悪化の方向をたどっておりますので、再建資金の確保、セメント事業の販売組織の改善、関連事業の育成等を計画しております。そのための資金といたしまして、産投会計出資十四億円、公募債三十六億円を予定いたしております。
水資源開発公団につきましては、利根導水路、郡馬用水路の建設、印旛沼の開発、矢木沢、下久保、高山の三ダムの建設等百八十九億円の事業を計画しております。そのため資金運用部からの融資三十三億円、公募債二十五億円を予定しております。
北海道東北開発公庫につきましては、産投会計出資十億円、財政融資百二十億円、公募債百二十億円を予定しておりまして、これに自己資金四十億円を加えました二百九十億円が三十九年度の当公庫の資金運用計画になっております。
非常に簡単でございますが、以上で経済企画庁関係の予算の説明を終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/14
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015・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 以上で施策及び予算に関する説明は終了しました。施策及び予算に関する質疑は後日に譲ることにいたします。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/15
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016・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 速記を起こして。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/16
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017・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 次に、去る一月二十九日本委員会に予備審査のため付託されました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。政府から提案理由の説明を聴取いたします。野田総理府総務長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/17
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018・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) 総務長官でございます。今後いろいろ皆さんにお世話になります。よろしくお願いいたします。私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
本改正の内容は、公正取引委員会の事務局の機構を拡充し、定員を増加しようとするものでありまして、第一に本局に取引部を設置し、第二に地方支分部局として札幌に地方事務所を設置し、第三に定員を現行より十五名増加して二百六十六名としようとするものであります。
これは、第四十三回国会において私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律を成立させていただきました際の附帯決議の趣旨を尊重し、また最近における消費者物価対策の一環として、違法な価格協定等の取り締まりを強化する等私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の運用を強化するとともに、さらに下請代金支払遅延等防止法並びに不当景品類及び不当表示防止法の効果的な運用をはかろうとするものであります。
以上がこの法律を提出いたしました理由であります。
何とぞ慎重御審議案の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/18
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019・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 以上で提案理由の説明を終了いたしました。自後の審査は後日に譲ることといたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/19
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020・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 次に、商品取引所に関する件の調査を進めます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/20
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021・亀田得治
○亀田得治君 昨年の秋、名古屋の繊維取引所において、毛糸の十一月限相場が非常に暴騰しまして、十一月十五日には千八百四十円という高値が出たわけですが、このあと始末に関連して取引所の渡辺副理事長が買い方に味方をして、売買保証金調達のために銀行筋に働きをかけ、さらに、結局保証金の納入がきめられた日時よりも相当おくれたわけですが、結局違約処分ということをやらないで処理をしたわけです。この問題は中立公正であるべき取引所の理事者の行動としてははなはだ私たち遺憾な態度であると考えておるわけです。したがって、また取引関係者間でも大きな非難、批判が出ているわけです。今後こういうことがさらに行なわれるということであっては、取引所の根本的なやはり使命といいますか、そういうものにも関連してくるわけでありまして、そういう立場から本件の実態というものをこの委会員で明らかにしてほしいというふうに考えておるわけです。
そこで、まず最初に、通産当局から、昨年の十月から十一月にかけての名古屋繊維取引所における毛糸の十一月限相場の推移並びにその推移に対してどういう措置が取引所並びにまた監督官庁としてとられたか、その大体のひとつ経過を明らかにされたいと思います。それをお聞きしたあと、その中で特に重要な問題点について拾い上げて質疑をしていくことにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/21
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022・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) まず、いま御質問になった十一月以降の推移に関しまして、それからその後とった措置につきましては、担当の商務課長から説明をさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/22
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023・亀田得治
○亀田得治君 私は、この問題はすでに先週からちゃんと通告しておるわけでして、そんなことを一々商務課長に説明させるということじゃ困ると思います。だから大臣がおられないで局長が来ておられるわけですから、局長からまずやってもらって、そうしてなお足らぬところがあれば課長から補足するということがあってもよかろうと思うのです。やはり局長がどれほどこの問題の経過なり中身というものをつかんでおるかということも、これは私たちとしても監督官庁の態度として非常に参考になることなんです。だからまず局長から説明をしてほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/23
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024・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) 十一月限についてからの推移を御説明申し上げます。
まず、毛系の十一月限は、売買単位の引き上げ、それから受け渡し供用品の尾州地区在庫の漸減、それから受け渡し供用品は同一品をそろえる必要がありますので、買い占め好条件と見た買い方が買い進んだのに対しまして、売り方がこれに売り向かったために、次のような、相場は次第に高騰のきざしを示してまいりまして一ころよりも漸騰いたしてまいりました。
値段を十月十一日から申しますと、値段は千六百四十九円、それが十五日に千五百九十円、二十一日が千六百五円。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/24
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025・亀田得治
○亀田得治君 それは何月ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/25
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026・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) 十月。それから二十五日が千六百十円、三十一日が千六百二十円でございましたが、十 一月の一日からさらに申し上げますと、十一月の一日になりまして千五百八十円、それから上旬の六日でございますが千六百三十円、それから十一日が千七百五十円、それから十一月の十五日が千八百四十円、それから二十六日になりまして千五百五十円という状況に相なったわけでございます。以上が大体の相場の推移でございましたが、こういう状況に対しまして、通産省といたしましては、高値高騰を抑制するために常時取引所に対しまして、名古屋の通産局を通じまして委託者の状況を一斉に調査をさせますと同時に、取引所に対しましても売買証拠金の増徴、あるいは新規売買の抑制等の措置をとらせるようにいたしたわけでございます。ただ相当多量な売買取引が行なわれておるというような事態がございまして、遺憾ながら私どもの所期している効果に十分あげられなかったということは遺憾に思っております。なお、その後、そういう状況でございますので、取引所審議会におきまして、今後の取引所の運営に関しましては、相場の安定をはかるために、取引所における適時適切なる措置を行なうために種々な内容を決定をいたしたわけでございまして、その決定した内容につきましては、逐次これを実施をいたしつつあります。そのおもな内容を申し上げますと、とっぴ高または売買量が相当多量となったときには売買証拠金を徴収をする、それから建玉制限を強化いたしますと同時に、一定数量以上の受託の制限を設ける、それから理事長の権限を拡大いたしまして、適時適切なる規制措置を行ない得るような理事長の権限を強化をいたしました。その内容については、たとえば緊急の場合には理事会の決定を経ず、理事長限りの権限で行なえるようなことも、その一つの内容でございますが、そのほか十数項目につきまして、今後できるだけ取引所の運営がうまく行なえるような措置をとった次第でございます。以上簡単でございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/26
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027・亀田得治
○亀田得治君 十八日問題に入る前に、若干その間におけることをお聞きしておきますが、通産当局でどの程度の高値に抑えるべきだというふうな行政指導はなされましたか。なしたとしたらどういうふうに、どの時点でやられたか、明らかにしてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/27
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028・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) 十一月の四日でございますが、増加傾向にあるひところの高値を抑制するために、まず千六百五十円をこえる場合には売買証拠金を増額をするよう要望いたしまして、その励行をすることにまずいたしたわけでございます。それから十一月の七日、玉の整理過程においては、千八百四十円の高値を出しましたけれども、これ以上の高値は物価抑制の見地からも適当でないというので、強くこれを抑制をするように要望をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/28
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029・亀田得治
○亀田得治君 十一月四日になって、初めてその値段についての行政指導をされたわけでしょうか。もっと前にはやっていないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/29
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030・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) 値段の問題に対しまして、取引所に対しまして要望いたしましたのは、いま申し上げました十一月の四日からでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/30
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031・亀田得治
○亀田得治君 その際の千六百五十円という数字は、どういう根拠でお出しになったわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/31
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032・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) それは十一月の二日、いま申しました約千六百五十円というのは十一月の二日に、千六百四十九円という相場に相なりましたので、それを一つのめどにして要望をいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/32
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033・亀田得治
○亀田得治君 しかし現状が千六百四十九円までいっておるとしても、その現在の状態を認める前に、理論的にその数字が妥当なものかどうか。これは私は監督官庁が指導される場合には、その点の検討が必要だと思います。おそらくそれをおやりになっての数字だろうと思うわけですから、根拠はどういうことであったかということをお聞きするわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/33
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034・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) 実は本来、取引所における取引は今のたてまえからいいまして、取引所がみずからやることに実はなっておるわけでございます。したがって、この取引の内容、相場等につきましては、役所が直接タッチをする、あるいはその内容について指示をする、監督をするということにはたてまえがなっておりませんので、ただ全体の推移を見まして、非常にその相場が高くなる気配がある。あるいは相当高い相場の推移をしておるというようなことになりますと、それに対して私どもとして指導もし、あるいは要望もする。こういうたてまえに実はなっておりまして、先ほど推移を申しましたように、千六百五十円というのはその後のあれから見ますと、実は低い相場になっておりますが、こういう状況になりましたときに、これ以上高くならないようにという、そういう一つの方向でございます。個々の相場について幾らにしなければならないという、そういう立場でございませんので、本来は、取引所が要するに取引所の機能を本来の目的のために運用していくというたてまえになっておりますので、ただ、全体の物価に影響を与えるとか、あるいは取引所の相場が不当に暴騰をするというような場合には、それに対して指示をする、監督をするというたてまえになっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/34
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035・亀田得治
○亀田得治君 まあそういうたてまえは、これはちゃんと商品取引所法全体を見ればわかるわけです。ただ、いやしくも行政官庁が数字を出される以上は、その理由というものがいつも説明できるようにしておいてもらわぬといかぬですよ。それは現状、そこまでいっているからそれ以上高くするなという気持ちだったというなら、それも一つの理由かもしれぬし、ただ、いま局長のお答えになった中に、千六百五十円が何か低い数字のようなことをちょっとおっしゃったように私いま受け取ったんですが、それは逆じゃないですか。低い数字だったら何もほうっといたらいいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/35
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036・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) ちょっといまの私の申し上げましたのは訂正させていただきますと、ただいま申し上げましたような取引所のたてまえになっておりますので、まず千六百五十円という一つの目標を出しましたのは、千六百五十円を今後上回るような場合には保証金を要するに増徴するようにという要望をいたしたのであります。千六百五十円を維持しろとか、あるいはこの価格をどうしろという、そういう要望をしたわけではございませんので、その点ちょっと訂正をさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/36
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037・亀田得治
○亀田得治君 いや、さっきの御説明の中に、千六百五十円というのは何か低い数字のようなことをおっしゃったが、おそらくこれは勘違いをしておっしゃっているのではないかと思いますか……。ただ、後ほどの質疑に関連しているものですから、間違いなら間違いで訂正しておいてもらえばいいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/37
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038・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) 低いと申し上げましたのは訂正をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/38
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039・亀田得治
○亀田得治君 これも確かめておくわけですが、そういう行政官庁の指導というのは、法的にはどの条文でおやりになるんでしょうか。その程度の監督権のあることは私は大体常識的に考えておるわけですが、法的にね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/39
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040・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) いまの取引所法には、実はそういう価格の暴騰に対して具体的に法文といたしましては、指示をしたり、これを直接に規制をする条文は実はございません。ただ、もし非常に取引所の売買取引の状況が――これは百二十一条にございますが、監督規定として、売買取引の状況が公益上有害であると認めるときは売買取引を停止をさせることができる規定がございますが、この規定等を実は背景にいたしまして、ただいまの価格が非常に暴騰するというような場合には、できるだけそういう点のないように監督をする、こういうことに実はなっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/40
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041・亀田得治
○亀田得治君 百二十一条を背景にしてその精神をくんでやっておる。まあ百二十一条に書いてあるのは相当強い監督権の発動になるわけですが、その強くないやつもこの百二十一条に基づいてやってもいいのだ、こういう解釈でおやりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/41
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042・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) もう一度ちょっと質問を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/42
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043・亀田得治
○亀田得治君 つまり、百二十一条を背景にしておやりになると、こうおっしゃったわけだが、百二十一条で書かれておる処分は、これは相当強い処分ですわね。だからこれよりも弱い処分はこの精神に立脚してやるならばそれでいいのだという解釈なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/43
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044・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) 実は直接のそういう監督規定がございませんが、今のようなきつい処分をできるような法のたてまえになっておりますから、その前段階で行政指導としては、また一般的な監督規定として、できるだけ相場が混乱をしたり、あるいは暴騰したというような場合に、それに対して指導をするあるいは要望をする、こういう考え方でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/44
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045・亀田得治
○亀田得治君 つまり、百二十一条が発動された場合には、一定の法律的な効果がきちんとこう出てくるわけですね。またこれに対する違反につきましてもちゃんと規定されておるわけですね。そうすると、その前段階の弱い行政指導というものの効力ですね、効力はこれはどういうふうに考えておいていいわけですか。従わなければならぬものですか。それほどの意味は持たないのか。大事なところですわね。これは後ほどいろいろな問題出てくるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/45
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046・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) その要望どおりに実施をしなかった、あるいはできなかった場合でも、これに対する罰則規定がございませんので、その効力というものはやはり行政指導の範囲を出ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/46
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047・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、無視されても手の打ちようがないというわけですか、はっきり言えば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/47
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048・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) 法的にはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/48
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049・前田久吉
○委員長(前田久吉君) ちょっと速記待って下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/49
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050・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/50
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051・亀田得治
○亀田得治君 十一月の十二日に取引所のほうで緊急特別措置を決定したわけですね。この内容を明らかにしてほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/51
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052・森口八郎
○説明員(森口八郎君) 十一月の十二日に名古屋繊維取引所で決定いたしました毛糸十一月限緊急特別措置の内容は次のごとくでございます。まず第一に、十一月十五日の毛糸十一月限最終総建て玉一枚につきまして、売買双方ともに本所の――本所と申しますのは、名古屋繊維取引所でございますが、本所の受け渡しに供用できる毛糸の倉荷証券一通、または現金三十五万円を売買保証金として十一月十八日午前十時までに徴収するというのが主たる内容でございます。あとこまかい点はございますが、主たる内容は以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/52
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053・亀田得治
○亀田得治君 それから次に十一月十五日の取引状況ですね、これを御説明願いたいと思うのです。主として仲買い人の万栄の取引関係。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/53
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054・森口八郎
○説明員(森口八郎君) 前に申し上げましたように、十一月十五日現在の建て玉によりまして、十八日に現金三十五万円、または倉荷証券を取引所当局に提出しなければならないということになっておりましたので、十二日におきましては相当ございました建て玉か、急速に反対売買によりまして消滅いたしまして、結局一万二千七百枚という売買双方の数字が残ったわけでございます。一万二千七百枚のうち、買い方は万栄にかかわるものでございまして、売り方は万栄以外の約三十何社か、おのおの一万二千七百枚の玉を保持しておるというようなかっこうになったわけでございます。なお、そのときの価格は、先ほど申し上げましたように千八百四十円というような価格がついたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/54
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055・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、万栄一社で一万二千枚以上のものが残ったわけですね。その日の取引で万栄が、値段が上がるにつれて枚数をふやしていった、こういうふうな現象が出ておるわけですね。そういう点は確認しておるでしょうか。つまり、普通は値段が上がっていけば買いのほうは枚数を減らす、これが常識です。ところが幾ら値段が上がっても買いの枚数をふやしていく。ついに千八百四十円までいっておるわけですが、そういう買い方であったことは、これは御了承になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/55
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056・森口八郎
○説明員(森口八郎君) 私どもが聞いておりますところでは、いわゆる相場用語で万栄は買いハナを取ったと申すわけでございますが、千八百四十円になりましたときには、売り方が千八百四十円で売ってきましたものを七千枚程度一挙に買いとして受けておるというように聞いております。あるいは過程におきまして、先生がおっしゃいましたように、少しずつ上げていったというような過程もあったかもしれませんが、この日にふえました玉の大部分は、最後に買いハナを取った玉であるというふうに私どものほうでは承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/56
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057・亀田得治
○亀田得治君 それはもう少し段階的に調べてみてほしいと思います。十八日の仮納会が控えているわけですから、十五日は、普通の仲買人であれば、さっき御説明があったように、できるだけやはり自分の実力に見合うように整理していくわけです。ところが万栄だけが整理しないだけではない、逆にどんどん値段が上がるにつれて枚数をふやしていくといったようなことをやっているわけですね。これは非常にその点がやはり取引所の関係者からは批判を受けているわけです。だからもっとはっきり調べてほしいと思う、記録があるわけですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/57
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058・森口八郎
○説明員(森口八郎君) 調査いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/58
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059・亀田得治
○亀田得治君 それからこの万栄は、私が調べたところでは、十二月限から四月限までの買い付け枚数大体数百枚、少ないときには数十枚程度という状態のようです。そうすると、大体それが万栄としての実力ではないかというふうに仲間同士では言われているようですが、それに比較しますと、この十五日の一万二千七百というものは、これはべらぼうに大きいものです。それだけの、一枚について三十五万の保証金を十八日に積まなければならぬわけでしょう。だれが考えたって、これを過当投機といわないで、過当投機なんていうことばを適用するところは私はないと思うのですが、その点万栄の実力という立場と比較して、どういうふうに理解しておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/59
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060・森口八郎
○説明員(森口八郎君) 確かにおっしゃるように、万栄の実力から比べまして、非常に過当な買いではないかというようなお説も出ることとは存じますが、万栄は御存じのとおり仲買い人でございまして、結局委託者からの注文に従って買いを出すわけでございますから、委託者が当然それだけの金融力なり資力なりを持っており、かつ万栄を信用いたしますれば、あながちあり得ないケースでもないというふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/60
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061・亀田得治
○亀田得治君 それはけたが二つ一ぺんに飛び上がっているのですよ。平生数百枚程度やっておるものが、一挙に一万数千枚というようなことになって、その背後の委託者さえちゃんと筋が通っておれば、それでいいんだというふうなことでは、実情をよく知っておる人はやはり納得せぬ。
そこでお尋ねしますが、しからばその十五日における万栄の背後の委託者、これはどういうことになっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/61
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062・森口八郎
○説明員(森口八郎君) 私のほうで調査はいたしておりますが、その名前はつかんでおりますけれども、あまり聞いたことのないような名前でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/62
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063・亀田得治
○亀田得治君 それを明らかにおっしゃて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/63
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064・森口八郎
○説明員(森口八郎君) 柴木物産と当方の調査ではなっております。ただ、柴木物産というものが何であるかということは当方ではつかんでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/64
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065・亀田得治
○亀田得治君 それは柴木物産一社なんですか、ほかにあるんでしたら、全部おっしゃってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/65
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066・森口八郎
○説明員(森口八郎君) 一社ではございません。そのうち比較的大口であるものが柴木物産でございます。ほかに数社ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/66
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067・亀田得治
○亀田得治君 まあ、あれだけの大騒動を起こした問題であり、今後こういうことをさせてはいけないわけなんですから、そういう立場から見たら、もうちょっときちんと調べておいてもらわないと……。どうも課長さんのほうだったら大体頭に入っていると思ったんだが、もう一つ補助者が出てこないとそういうことがきちんとしておらぬというのじゃ、ちょっとぐあい悪いですね。――だから、それをおっしゃって下さい、柴木物産以外の。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/67
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068・森口八郎
○説明員(森口八郎君) 後日、資料にして提出いたしたいと思います。いま答える資料を持ち合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/68
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069・亀田得治
○亀田得治君 これだけの大取引に皆さんがあまり名前も聞いたことがないような柴木物産が一番大きな委託者らしいですが、やはりそういうことをもっと突っ込んで調べてほしいんですね。これは、仲買い人関係ではいろいろな憶測はありましても、きちんとしたことはやはりつかめないわけです。監督官庁のほうがちゃんと報告を受けることになっているわけですからね、調べようと思えばできるわけなんです。一体、柴木物産というものの実体も明らかにしてほしいと思うんですね。これがまた実質的には別な者が背後にいてやらしておるのかもしれないし、そこまで突っ込んで、こういう問題については、やはり監督の立場にあるものは調べてほしいと思う。それからさらに、それはついでに、千八百四十円の段階における売りのほうの委託者――背後関係ですね、これも同時に明らかにしてほしいと思うんです。――いいですな、次回でいいですから資料を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/69
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070・森口八郎
○説明員(森口八郎君) 調査をして報告いたしたとい存じますが、取引所の委託者の名前は仮名で行なわれている場合が相当ございます。これにつきましては、仲買い人に立ち入り検査をいたしましても、事実上なかなかつかめないというのが現状でございますので、できるだけの努力はいたしてみたいと思いますけれども、あるいは仮名のものが出てくるかもしれません。できるだけの手は尽くしてみますけれども、そうい資料でごかんべん願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/70
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071・亀田得治
○亀田得治君 一応それを拝見した上で、私のほうからみてさらにこの部分について、もっと突っ込んだ調査をすべきだという御意見は申し上げるかもしれませんから、一応できるだけやってみてほしいと思うのです。
そこで、この十八日の経過にいよいよ入るわけですが、十八日のその当日の午前十時までに、倉荷証券または建て玉に見合う現金を持って来いと、こうなっているわけですが、問題の万栄外の仲買い人は、全部午前十時までに納入したと聞いておりますが、間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/71
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072・森口八郎
○説明員(森口八郎君) 万栄以外の三十五社のうち、一社は遅延した。三十五社のうち三十四社が時限に間に合い、一社は遅延したと聞いております。申しわけありませんが、一社の名前は現在申し上げられません。私のほうでつかんでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/72
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073・亀田得治
○亀田得治君 その一社というのは、枚数はどれくらいなんですか。多いんですか。少ないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/73
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074・森口八郎
○説明員(森口八郎君) 確実に掌握いたしておりません。資料をつかんでおりません。一調査してお答えいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/74
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075・亀田得治
○亀田得治君 その点も万栄の処分がはたして妥当であったかどうかということにやはり関連するわけでして、したがって、遅延した一社の枚数……、それから結局、遅延してその日は納めなかったという意味なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/75
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076・森口八郎
○説明員(森口八郎君) 納めなかったという意味ではございません。納まっております。定刻にはおくれたというだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/76
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077・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、だいぶ理解が違うわけだが、どの程度おくれたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/77
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078・森口八郎
○説明員(森口八郎君) 私のほうで聞いております話では、一、二時間おくれたと聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/78
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079・亀田得治
○亀田得治君 次回にその点、もう少し明らかにしていただきます。そこで、この万栄の保証金納入の問題ですが、結局これは東海銀行が約四十八億余りの金を融資して、そうしてこの場をつくろった、こう結論はなっているわけですが、そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/79
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080・森口八郎
○説明員(森口八郎君) そういう風評は聞いておりますが、私のほうでは確認はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/80
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081・亀田得治
○亀田得治君 これは風評というようなものじゃないわけでして、当然あなたのほうで相当詳細に突っ込んで、その四十八億が東海銀行から融資された経過というものをつかんでおられると思ってお聞きしているわけですが、そういうことは風評程度にしか知っておらぬのですか。いろいろな文書があるんですよ、取引所からこの東海銀行に出されました陳情書ですね。これは公の文書ですから、当然あなたのほうに、もうこんなものは、調査される以上は渡っておらなければならぬはずだと思いますしね。渡辺副理事長の名前で、当時は理事長は欠員ですから、これは事実上の理事長、この人が十一月十八日付で東海銀行の頭取の金子さんあてに陳情書を出しておるわけなんです。その内容は、四十数億この万栄のために何とか融資してやってくれという陳情書を出しておるわけなのです。こんなことははっきり聞いておらぬですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/81
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082・森口八郎
○説明員(森口八郎君) 実はそういう、副理事長が融資のあっせんをしたという風評が当時相当強うございましたので、私のほうから取引所に、融資のあっせんをしたかどうかというような事実を再々聞き合わしておった次第でございます。そのときに、初めの段階では実は取引所当局から文書を出したというような明確な答弁は得られなかったわけでございますが、後に至りまして、そういう趣旨の文書が取引所から東海銀行あてに出ておるというような事実は最近聞いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/82
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083・亀田得治
○亀田得治君 銀行局長のほうは、東海銀行が四十八億本件のために融資したことは聞いておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/83
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084・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) もちろん、これは事前ではございませんが、最近に至りましてその事実を確かめております。その事実はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/84
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085・亀田得治
○亀田得治君 渡辺副理事長が東海銀行に行く前に、日銀の名古屋支店のほうにこの話を持ちかけたという、そういう関係は銀行局長は聞いておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/85
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086・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) その点につきまして、取引所の副理事長が行ったという事実は確かめておりませんが、東海銀行が日本銀行の支店にその融資について相談をしたということは聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/86
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087・亀田得治
○亀田得治君 その相談というのは、どういう中身の相談なんでしょうか。こういう融資をしていいだろうかどうだろうかということなのか、あるいは融資をしたいと思うが、日銀のこの支店のほうで応援をしてくれぬかというような意味のことなのか、どっちの意味なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/87
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088・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 私どもの聞いておるところでは、こういう融資の申し出があって、非常にせっぱつまった問題になっておるので、このことについて日本銀行はどう考えるでしょうか、こういった話がありまして、日本銀行の支店のほうでは、そのようなことは日本銀行がとやかく申すべきことではない、貴行の自主的な判断によって行なうべきだ、こう言って帰したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/88
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089・亀田得治
○亀田得治君 東海銀行はだれが来たわけでしょうか。そうして日銀の支店のほうはどなたがいまのお答えをきれたわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/89
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090・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 日本銀行のほうは、これは支店長であったそうですが、その点、だれかということははっきりしませんが、当然、その程度の話になりますれば、支店長のところにいったと思います。東海銀行側はだれが行ったということは、ちょっとまだ聞いておりませんが、かなり上の責任ある者が行ったものと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/90
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091・亀田得治
○亀田得治君 それは十八日の何時ころのお話でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/91
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092・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 東海銀行がその話を持ち込まれたのは、当日ということになっておりますから、金が出たのが午後四時五十分、ですから当日といいますと、おそらく早くてもその日の午前中ということになるのではないか。何時に日本銀行へ行ったとかいう時間のこまかいことまでは、これは聞けばわかりますけれども、そこまで確めておりませんが、当日ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/92
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093・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、局長のほうにお願いしておきますが、東海銀行のどなたが具体的にはその話を持ってきたか、それから十八日のその時間は何時であったかという二点を、これはひとつお調べいただいて、追って教えてほしいと思うんです。といいますのは、十八日午前十時納入、こういう約束ができておるわけですね、勝負事の場合に約束のルールを変えるということは、これは重大なやはり問題をはらんでおるわけなんです。そういうような点にも若干これは関連をするので、そういう点を知りたいわけですから、ひとつお調べの上でお願いしたいと思います。
そこで、企業局のほうにさらにお尋ねしますが、結局四十八億という大金が東海銀行から出されたわけですが、その出し方なり、それらの点についてはあまりはっきりつかんでおらぬのですか、企業局は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/93
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094・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) 先ほど商務課長からお答えいたしましたように、そういう風評が流れておりましたときに、取引所のほうに対しまして、そういう事実があったかどうかにつきまして厳重に報告をするようにいたしたのでございますが、先ほど申し上げましたように、最初は、東海銀行に出向いて取引所の諸般の情勢の経過について説明を行なったのだ。それから取引の円満な解決を行なうのが目的であったということでございまして、今のような事実のあったことはないと実は言っておったわけでございます。しかしごく最近に至りまして、商務課長からいま説明申し上げましたように取引所から副理事長から東海銀行に対しまして書類が出ておるということの事実が、取引所のほうから報告されたというようなことでございます。実際にそのときの情勢というものがなかなか正直申し上げましてつかみ得ないで実はまいったのがほんとうの実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/94
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095・亀田得治
○亀田得治君 これはあとから知ったことでもいいわけですが、どういう書類が銀行のほうに出されておるんだろうということは、当然報告さすべきじゃないですか。この間、課長が私に事前に多少打ち合わせに来られたときに、そんなふうなものはあなたのほうに当然あるものと思って、こういうつもりの質問だというふうな趣旨の話をざっくばらんにしておったんですよ。私のほうから資料をあなたのほうに見せなければならぬという、そんなことでは困るじゃないですか、こういう大問題を起こして。もちろんあなたが起こしているわけでないのだが、しかし責任の範囲内の重大なやはり問題ですからこれはちゃんと書類は銀行、取引所間にあるわけですから、もっときちんと調べて一括して資料として出してほしい。これは私は委員の皆さまにも実は見てもらいたいと思っているのです。なぜかといいますと、私のほうから申し上げますが、いやしくも四十八億の金を一人の仲買い人にぽんと出すということですから、これは非常なその裏づけなりそういう点が銀行としては大事なことでしょう。ところが、万栄には力がないし、また信用もないわけなんですね。そこで、この四十八億を引き出すためには、豊島という仲買い人が別におるわけです。これは実力者なんです。実際は豊島と万栄の裏の関係というものがあるわけですが、ともかく豊島が実力者なんです。で、豊島に四十八億貸しておるわけです。それを借りた豊島が、取引所に午後五時近く四十八億を万栄にかわって納めておるわけです。それでは一体担保はどうするのか、四十八億の、ここが問題なんです。担保は、つまり四十八億万栄の金が取引所に納まったわけですから、いずれこの売買の決済がついたらその保証金は万栄に返ってくるわけですね。もちろん、途中で売買上のいざこざがあれば、そのための保証金ですから、減ることはあるかもしれぬ。しかし、一応将来に万栄には取引所より納めた保証金を返してもらう返還請求権があるわけなんですね。この返還請求権を豊島に譲渡しているわけです。返還請求権を譲渡して、そうすると今度豊島が取引所に対して四十八億の返還請求権を将来持つ、こういうことになるわけです。その返還請求権を四十八億貸し出しの担保に入れておるわけです。こんな一体妙な担保の取り方なんということはおかしいじゃないですか、そうでしょう。四十八億を貸すのに、その四十八億の返還請求権を担保に入れておるのと一緒なんです。しかも、その四十八億は保証金なんですから、途中で傷がつくかもしれない。それはそういう打ち合わせでやっておれば普通は傷がつかぬかもしれぬが、保証金である以上は傷がつくことが法律的に言えば前提なんです。だから、これは保証金なんです。こういう操作でほかに不動産を担保に入れたところは何にもないのですよ。将来発生する返還請求権をこれから引き出そうとする四十八億の担保に入れてある。こんなことで銀行が何億という金を出せるのだったら、これはずいぶんうまく銀行と結託してやれば、べらぼうな金を動かせるということになりかねないわけです。これは銀行局長のほうで、もしその点もう少し詳細に知っておられたら、御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/95
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096・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 東海銀行から、この事件に関連いたしまして、この結果どういう貸し出しをしたかということを聞きました。その事柄の詳細の点につきましては、まだ確かめておりませんけれども、いまの担保の点は、確かに預託返還請求権万栄の分を豊島が譲り受けて、これですと、いまお話しのように、万一解け合いの結果――実は解け合いは全然なっていないので、解け合いの結果損をするというときには、担保不十分ではないか。東海銀行としては、豊島名義の別に通知預金で五億八千万ばかり積ましている。貸し付けとは別個に、預託返還請求権以外に、通知預金を数億円積ませまして、それを担保として取っている、ですからその限りにおいて預託金がほとんど返ってくる、一部傷がつきましても、そう大きな穴があくようなことがなければ、一ヵ月のうちには必ず全額の回収が可能である、回収の点だけについて申し上げればそういう見通しで、取引所のほうは、責任を持って月のうちに事態を解決する、必ず月内に解決いたします、できるならばその二日後の日には金を返します、こういうかたい約束を取りつけておるわけでございます、こういうふうに申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/96
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097・亀田得治
○亀田得治君 どうも銀行局のほうがよくお調べになっておるようですが、別に豊島から五億何がしかの担保を取っておるにいたしましても、主体は四十八億にあるわけですね、中心は。その中心の担保が、いまから貸し出そうとするその金の返還請求権を中心の担保とする――間違いのないように裏の話はありましても、そういう形態自体は、これは明らかに間違いだと私は思う。金は現実にそうして一文も動いていないわけですね。銀行の内部の帳簿操作だけでこういう融資がされているわけですね、実際に。これはもう浮き貸しの最たるものだと私は思うのですが、保証金を納めるというわけですから、やはりその万栄なら万栄の実力というものを背景にした措置じゃない、全然そこから浮いてしまっているわけです。いろいろな意味で、一体これは銀行局としては、こういう担保の取り方について、これこそもう企業局とは別個な立場で監督の立場にあるのだろうと思いますが、一体この融資を、裏でもいろいろ話がついておるし、豊島から別個の五億というものがあるから、これでよろしいのだというお考えなのかどうか。といいますのは、このものずばりの事例でなくても、いろいろなことが予想されるわけですね、あなたのほうの考え方一つによって、それでお聞きするわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/97
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098・高橋俊英
○政府橋員(高橋俊英君) 一般的に銀行行政上、投機的な資金の融資ということは一番慎まなければならないものだとして、私どもはそういう方針で指導してきております。
今回の事件につきましても、東海銀行としては、これはほんとうのことを申せば、決してこれにかかり合いになりたくなかった、それが本心であることは大体認めます。普通ならば、このような投機の決済資金と申しますか、証拠金といいましても、ほとんどまる代金そっくり出すわけですから、しかもこういった巨額のものを一人の買い方のほうに味方するような結果になる。そういうことで、非常に疑いを持たれる。銀行としては当然にこれはお断わりしたいケースであったと思います。ただ、何ぶんにも、通産局のいろいろな御苦心にもかかわらず、非常に取り組みの玉数が大きくなって、これを一歩解決を誤りますと、取引所の存立を危うくする。これは取引所側の陳情のことばでございますが、これをもし買い方のほうで違約ということになれば、その相場に対する影響も非常に大きゅうございますから、取引所が大混乱になる。地元の業者の主体になります繊維業者その他に対する影響もまた非常に大きい。つまり、地元業界の救済、取引所の存立を危うくするということを助ける、こういったそこに一種の取引所側から言うと大義名分、そういうところに押されてやむを得ず……。しかも、その裏として、もしこれが、買い方だけが一方的に利益を博して、売り方は非常な甚大なる損害をこうむるというふうなことであるとしますれば、これはまさに買い方に一方的に味方したということになって、世の指弾を受けるものと思います。しかし、そういうような極端なことにはしないように、取引所側においてもできるだけ解け合いのあっせんをする、必ず何とかうまくやりすまからというふうなことで、言ってみれば、泣きつかれたと、そういうことで、日本銀行に相談すれば、自主的判断でやれと言われるし、しかし事態は、その日に申し込まれてその日にこれだけの融資を決定するというようなことでございますので、銀行としては右するか左するか非常に迷ったのですけれども、結局はこういう結果になった。ですから、監督行政の上から言えば、きわめて好ましくないケースでございますが、さりとてこれをやらなかったとしたらいかなる事態になったであろうか、そういう点を考え合わせまして、今回の問題につきましては、非常に好ましくない点もあるが、ある程度無理もない点もないではない。しかし、今後このようなことにならないように、あらかじめ銀行側としては、ことに今回の場合も、あらかじめそういうものには銀行としては貸さないのだという態度は間接的には表明しておったのだそうであります。当日になって申し込まれて、せっぱ詰まった状態で行なった融資である。われわれも厳重に注意はいたしまして、このことについては、さしあたり非常な好ましくないこととして、一般的には今後の行政指導の一つのあれといたしますけれども、今回のことについて絶対的にいけなかったというふうに言い切れない点があった。その点ちょっと立場として私ども弱いのでございますが、どうぞその辺御勘案いただきまして、御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/98
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099・亀田得治
○亀田得治君 泣きつかれて四十八億も出すというようなことを聞きますと、このごろ中小関係でいろいろな倒産の多いときに、銀行というものはやはり、何というのか、人情味のあるものだという変な感じを実は持つと思うのですね。この融資をしなければ取引所が混乱して大問題になるというふうなことをよく金を引き出す側の人は言うわけですが、それは融資を受けるためのちょっと大げさな言い方ですね。それはそうでも言わなきゃ、そんなばく大な金を、しかも筋からいったら進まないものを出すわけがない。だから、あらかじめ、大混乱になるようなことをこの銀行に出した陳情書にも書いておりますが、私はその点だと思うのです、問題は。だから、これは通産省の関係になるのですよ、自分の力以上の取引をやって、結局はその十八日の午前十時に万栄はその金をつくれなかったわけなんだから。そこでやはり、業務規程の五十一条、五十四条、これは詳細に、しかも明確に書いてあるわけなんです、そういうときの処分は。その処分をやるべきなんです。その処分をやれば、当然それだけの買いが、処分に出るわけですから、相場が下がってくるわけなんです。相場が下がることがいいんでしょう。それが相当下がったっていいじゃないですか。そんな無理な投機をやったからそういう反動がくるわけなんだから、そのために損したって、これはしょうがない、その人が。そういうふうにやれば、今後はこういう無理な投機をしちゃいかぬ、こういうみせしめにもなるわけなんです。なぜそれに対して――これは通産省が指導したわけじゃないが、名古屋の取引所が違約処分ということに踏み切らなかったか、これは私は、法規にも違反するし、実際面から見ても不適当だと思うのですよ。こんなことが前例になれば、ともかくやるだけひとつ勝負してみようと、むちゃくちゃなことをやって、そうして最後に金がない、いやこれを何とかしてやらぬと混乱になるから…、こんなことがまた癖になりますよ。ここは非常に大事な点だと私は思うのですね。これは、繊維取引所の、名古屋でも初めての事件のようです。大きな事件でも、これだけの違約処分をやるかやらぬか、そこを役所というのはどうしても、自分の関係のあるところについては、やってしまったことは不適当であったがやむを得なかったのじゃないかというようなことになりがちでありますけれども、よほどこれは正否をはっきり出しておいてほしいと思うのです、今後の指導方針で。私はこれは実は大臣に実態が全部明らかになった上ではっきり聞きたいと思っておる点なんですが事務当局では一体この取引所が違約処分をしなかったことについてどんな見解を持っておるのか一応この段階においてひとつ意見を聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/99
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100・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) 預託時間が遅延をしたことは事実でございまして、十八日の十時ということの決定を理事会でいたしまして、十八日までに預託金を預託するということに実はなっておりましたが、約数時間おくれまして、預託をしたけれども時間がおくれた、これは重大問題でありましたので、理事会としても、緊急理事会を開きまして、そうして違約処分にするかしないかということを協議いたした結果、違約処分にはしないという決定をいたしたのであります。理事会といたしましては、そういう決定をいたしたのであります。それが緊急の場合でございまして、その後私どもといたしまして、それをどう判断するかということになるわけでございますが、従来、預託する時間につきましては、二、三時間おくれるという実は慣行があるわけでございます。それと、おくれたことがその後の取引その他にどういう影響があるかという問題が、実は実質問題としてあるわけでございます。十八日は、実は取引所が臨時休止ということになっておった関係から見まして、かりに数時間おくれましても、それに影響はないのではないかという考え方もあり得るわけでございます。
それから、実は、先ほども御質問がございまして、通産省の取引所に対する監督権限はどうなっておるかということのお話がございましたが、いまの取引所のたてまえは、大体定款あるいは業務規程によりまして、取引所が実は自主的にその運営を行なうたてまえになっておりまして、ただいまの、業務規程に違反するかどうか、預託の場合時間遅延につきましての解釈は、実は取引所が行なうことになっておるわけでございます。したがって、そういう決定を、その行為自体を取り消すという権限はないわけでございます。そういう実はたてまえが一つあることでございますが、私どもがいま判断をいたしますと、いま申し上げましたように、預託をした金の出所につきましては、いろいろいま御意見等ございましたけれども、とにかくその時間遅延というものがあとの取引にどう影響するかという問題があったのであります。おそらく、十八日は休止ということになっておりましたが、まあ数時間おくれたことは好ましくないわけでございますけれども、違反処分にするかどうかという点につきましては、あの際やむを得ない措置ではなかったかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/100
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101・亀田得治
○亀田得治君 それは全然答えの的をはずれていますね。
じゃ、大体事実関係をはっきりさせますが、午前十時から時間は何時間おくれたのです。課長でもいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/101
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102・森口八郎
○説明員(森口八郎君) 万栄株式会社が取引所に納入いたしました時間は、午後四時五十分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/102
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103・亀田得治
○亀田得治君 数時間とういことになるというと、二、三時間も数時間、四、五時間も数時間、ともかく働く時間一日もおくれてしまっているのですよ。それが一つ。
それから、従来二、三時間おくれてもやむを得ぬという慣習があるようなことをおっしゃったが、私は確かめてみたんだが、そんな慣習はないですね。非常にやかましいもののようです。それは一分か二分といったような場合はなんでしょうが、そんな、二、三時間おくれることが取引所の慣習だというようなことはないと思うのですが、それはどうなんでしょう。そんなことをあなたのほうで言われたら、どんどんルーズになっちゃう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/103
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104・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) 慣行といいますか、慣習といいますか、その言葉は多少訂正をしなければならぬと思いますが、いままで、そういう場合に、時間が多少の、いま申し上げました一時間おくれた場合に、許容された過去の事実があるということを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/104
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105・亀田得治
○亀田得治君 それは、二、三時間と一、二時間じゃ大きな違いですよ、こういう場合に。だから、慣例でも何でもないので、許容をしたという程度のことでしょう。しかし、その実例をあげてみてください。そんなによけいないはずです。これは資料として出してもらいたい。
それからもう一つ、先ほどの局長のお答えの中でふに落ちないのは、十八日は休止をしておるのだからそれほど影響ないのだという話ですが、これは相場の概念からいったら、全くピントがはずれておるわけなんです。十八日の午前十時ということはですね、つまりそれに先立つ相場の態度に影響してくるわけなんです。ともかく十八日午前十時には倉荷証券か金をそろえなければならぬのだ。この立場に立って、十五日も、その前も、そういう理事会の決定があった以上、仲買い人は動くわけなんです。だから、自分の現物なり現金の手当ができる程度のことということで、これは最初課長から御説明があったように、大部分の良識的な仲買い人はやはり整理していくようにしているわけなんです。だから、十八日の午前十時というものをあとのほうにくっつけるのじゃなしに、これはそこが決勝点だと、こういうふうにみんな考えておるわけなんで、その事前の段階にこれは問題があるわけなんです。おかしいじゃないですか、さっきの説明は。日と時間をきめるということの意味を一体どういうふうに理解しているわけですか。ともかくこれは、取引所というものはある程度の投機というものが伴うわけですが、ただそれが行き過ぎてはいかぬということはだれでもわかっている。行き過ぎない程度のことなら、商品の値段を平準化するとか、いろいろな意味でいい作用があるわけなんですね。そのために取引所というものは認めているわけなんです。商品取引所法の第一条にちゃんとある。そういういい作用というものは、ルールをきちっと守ると、これが前提ですよ。ルールがいつはずれるかわかぬというのじゃ、そんなものは価格の平準化作用なんというものはどうして起きてきますか。きめられた時点に向かって、いろいろな作用が双方から起こるわけでしょう。したがって、取引所がきめた時点というようなものをそんな軽く理解するということは、これはもう根本的に取引所法の精神に反する。これは、取引所法の専門家だれ呼んだって、みんなそうだと思う。一たん理事会でルールをきめたら、きめるまではそれは理事会はきめる権限持っています。しかし、きまった以上は、これは対外的な効力を持っておるわけなんです。法律みたいになものですよ。法律きめるのは、国会議員がああせい、こうせいと言う。きまってしまえば、これはもう客観的な存在ですよ。あれ都合が悪いからちょっと直してくれと、そんなことできますか。マラソンだってそうでしょうが。決勝点引いてある、そこへ向かってどういうふうに行ったほうがうまく力一ぱい使えるかということで行くわけでしょう。ところが、それが、決勝点が近づいたころに、二番目のやつが余力があるようだが、もう百メートル延ばしたら二番目のやつがどうも勝ちそうだから、ちょっとこう決勝ラインを百メートル延ばす、そんなことできますか。局長の話では、全然もう取引所の機構というものをそれは破壊しますよ。そこの認識があるかないかで、この名古屋の十八日の理事会の決定の価値判断というものは私は分かれると思う。これはどうですか。私の言うのが間違っていたら、ひとつ教えてもらいたい。自分の説は撤回します、間違っていると思えば。私は間違っていないと思う。そのかわり、そういう違約処分をやれば、相場は下がりますよ。下がって、買いあふった万栄は損する。しようがないです。それが今後の見せしめにもなるわけでしょう。あとからの無理な解け合いというようなことでやらぬでも、自然にそこで解決がついていくわけです。どういうふうにそこをあなたは理解しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/105
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106・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) いま、理事会の決定をした当時の状況判断につきましては、これはなかなか、もし違約処分をした場合にはどうなるであろうというような判断は、私はむずかしい判断だと思います。それと、当時のいろんな情勢というものも、実は理事会が判断をいたしたものと思いますが、確かにおくれたことは事実でございますけれども、要するに、おくれた、預託をした時間の遅延の問題というのは、実質的にも形式的にも判断をする必要がやはりあったのではないか。したがって、おくれたことは事実でありますし、おくれないことが本来当然でございますけれども、そのときの事態から見まして、おそらく違約処分をいたした場合の起こってくるいろんな情勢判断というものを理事会としてはしたのだろうと思いますが、その情勢を頭に置いて、そうして、預託はしたと、時間が、いま申し上げましたように四時五十分までおくれたという問題等を考えまして、どう判断するかということでございますが、私どもといたしましては、違約処分にしなければならぬと判断するのは困難ではないか、こういうふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/106
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107・亀田得治
○亀田得治君 局長、この名古屋の取引所の業務規程をごらんになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/107
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108・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) 見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/108
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109・亀田得治
○亀田得治君 第六章の五十一条、読んでみますよ。「五十一条理事長は会員が左の各号の一に該当するときは当該会員を違約者とし、直ちにその旨を当該会員に通告する。」その左のほうに二として、「売買保証金を預託しないとき」、これはもう処分のしかたがきちんと書いてあるわけなんです。それからさらに五十四条で、「違約玉の発生した場合には、それから二営業日内にその処分をする」、ちゃんと書いてある。これはみんな仲買い人はこれを頭に入れて取引やっているのですよ。法律ですよ。これは一種の法律なんです。それをこの条文には、場合によってはこういうふうにできるとか、そういうものじゃない、「する」とはっきり区切りをつけているんですよ。また、こういう問題について、できるというようなことじゃ、これは実際問題のルールになりませんよね。どうもいまの、なんですね、もっと研究してみるとかいうことなら、一応研究は願いたいわけですが、やむを得ぬというようなことを企業局が考えているようじゃ困りますね。
それではお聞きしますがね。企業局としては、しからばこれは業務規程どおり違約処分をされた場合にはどういうふうに相場がなったと感ずるのですか、それ言ってください。また、取引所のほうは、違約処分をした場合にはどうなったというふうに取引所ではその当時考こていたのか。両方――取引所の考え、それからあなたのほうの考えをここで言うてみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/109
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110・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) 私の申し上げますのは、まず、この業務規程にございますが、「預託しないとき」と、こう実は書いてありますから、厳格に言えば、定められた日の定められた時間に預託することが一番正しいと思います。ただその「預託しないとき」という中に、預託はしたけれどもその時間におくれたいとう問題は、私ども先ほど申し上げましたように、次の日が要するに立ち会いが臨時休止に実はなっておるという問題を頭に置いて預託したかしないか、預託しないという事項に該当するのかしないのか、おくれたことが、そういう判断をひとつする必要がある。それから、ただいまの問題は、要するに、もし違約処分にした場合にどういう状況になったかというその判断というものは、実は結果論でございまして、なかなか私どもその推定はむずかしいと思います。むずかしいけれども、おそらく相当な要するに混乱が起こったであろう、あるいは取引所に問題が起こったのであろうということは推定されますけれども、実はその推定が根拠になって、本問題が預託に違反であるか違反でないか、違約処分にしなければならぬかどうかという、そういう前提に実は立っているわけじゃございません。だから、この業務規程に違反をしたかどうかというその事実は、時間が必ずその時間でなければもう違約処分にするのだということになるかどうかの問題については、先ほど申し上げましたように、違反だから、違約処分にしなければならぬと、そういうことにはならないのではないか、こういう点を申し上げているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/110
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111・亀田得治
○亀田得治君 じゃ、こういう点を聞きましょう。この業務規程で規定しておる違約処分に関する規定は、これは客観的なルールだ、このことは認めますか、客観的なルールなんだと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/111
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112・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) これは業務規程にきまっておるわけですから、これを守るのが当然だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/112
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113・亀田得治
○亀田得治君 だから、その点がはっきりしてくれば、この時間がはなはだしくおくれた、預託の。この業務規程にいう預託があったものと見るかどうかということに関連してくるわけなんですよね。だから、時間のおくれていることは間違いないんですから、大幅におくれていることは。それをどう見るかの根拠は、この業務規程の値打ちというものをどう判断しているか、そこからきまってくる。しかし、いずれにしても、業務規程の価値をどう見るかということを関連が――直接関連ないかもしれませんが、違約処分にしたらどんなことが起きたろうかということは、これはだれでも考えるでしょう、どっちにしようかという相談の場合に。取引所のほうは、いやもう違約処分にしたらたいへんなことになる、たいへんなことになる、こう言うて、銀行のほうも盛んにわんわん言うとるわけだ。そして、金を引き出した。そこで、たいへんなことになるということの一体中身は何か、それを明らかにする必要あるでしょう、これが正当かどうかということを判断するために。そういう点、取引所のほうに突っ込んで聞いておらぬのですか。また、皆さん自身としても、私はその点についての検討をされておると思って聞いてるわけですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/113
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114・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) ただいま申し上げましたように、違反処分にいたしますというと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/114
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115・亀田得治
○亀田得治君 どんな混乱が起きるというのか、その中身、形容詞じゃなしに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/115
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116・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) そういう混乱の状況が起こると思いますけれども、これは推定でございまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/116
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117・亀田得治
○亀田得治君 推定であってけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/117
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118・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) 推定がなかなか困難でございますから、どういう事態が起こったであろうという具体的な事態を予想することは、私は困難だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/118
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119・亀田得治
○亀田得治君 じゃあ、これは調査を要求しておきましょう。一体取引所の理事会はどういう混乱が起こると思っていたのか。法規の解釈は別にしましょう。いやそんなことは全然相談しておらぬという返事は来ぬはずです。というのは、東海銀行で出しておる手紙ですね、ここにある手紙。この中にはそういう意味のことを書いておるんだから、株の専門家がこう言うんだから、そうじゃないかなあというふうに銀行のほうじゃ思ったかもしれぬし、だからそれを具体的にどういうことを一体混乱と言うてるのか。私に言わしめば、当然これは違約処分にすれば、いままでぐうっと上がってきておったやつですから、その反対現象が起こるにきまってるんです。これは当然のことなんです。そこに取引所の妙味が私はあると思っているんです、実は。そんなことを混乱というようなことを言うたら、おかしいですよ。だから、混乱ということは一体どういうことか、それをはっきりしてほしい。取引所のやつ、ひとつ見解を明確に出さしてください、できたら文書で。あとからああ言うたこう言うたじゃ困るから。それから、皆さんの見解もはっきりしてほしい、この点に関して。
それから、もう一点。渡辺副理事長と豊島の代表取締役塩谷又市という人ですが、この人は親戚関係だというようなことは調べついておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/119
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120・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) 全然存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/120
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121・藤田進
○藤田進君 大蔵省銀行局長の答弁あたりを聞いていると、まあ時間が何時かといっても、それは確かめていないが大体こうだうという、だれが聞いても、議事進行にもなるし、納得のいく答弁があったと思うんです。所管省であり、所管企業局長あるいは課長のところで、事前に指摘されての国会においての調査であり質疑応答であるにかかわらず、どうも聞いていて今後思いやられます。問題点がどこにある、議員としてはどこにポイントを置くだろうということは、あなた方しろうとでもないわけなんで、わかるはずなんです。まだまだたくさん調査したいし、私も関連して聞きたいことがあるけれども、これでは遠慮せざるを得ない、能率的に見て。まあ、少々多岐にわたるだろうし、この問題だけが専門の局長でないことはわかりますが、しかし、いやしくも国会の委員会において取り上げられるということに関する限り、もっと事前に精査されて出てきてもらいたいと思うのですね。ぜひそれを守ってもらいたい。なかなか進行しませんよ、これじゃ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/121
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122・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) その点は恐縮でございますが、非常に具体的な問題になりまして、たとえばいまのお話のように親戚であるかどうかというようなことを御質問いただきましても、ただいまのような御答弁を申し上げるよりしかたがないわけでございます。その質問の項目はよくわかっておりましたけれども、なかなかそういう点が答弁できないことは、はなはだ恐縮でございますが、いま御質問がございました点につきましては、至急に調べまして、この次には答弁をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/122
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123・亀田得治
○亀田得治君 いま藤田委員からもおっしゃったとおりで、まあそれに対して局長は親戚のことは急に聞かれてもわからぬと力を入れるけれども、これはどの程度皆さんが本件の問題について突っ込んで調べておるかということをちょっと当たってみたいと思って聞いたわけです。しかし、ほんとうに調べるのならそこまでやりますよ、それは。私たち弁護士がたとえばケースを扱う場合だって、みなそこまでいく。なぜそんな筋の通らぬことが起きたろうか、理屈で割り切れぬ場合には、やはりその背後を考える以外にない。
それからもう一つ聞きますが、この豊島は万栄を使って相場を張っている。これは名古屋では大体公然の秘密になっているようだが、そういうことは入手しておりませんか、情報は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/123
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124・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) もう一度ちょっと質問を、はなはだ恐縮でございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/124
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125・亀田得治
○亀田得治君 豊島が四十八億借り出した、それが万栄を使って相場をやっている、これはあちらの仲買い人の方に聞きますと、公然の秘密ですと、ほんとうかと私はこれを確めてみた。国会で発言する場合に、間違ったことをあとから突っ込まれるのかなわぬから。そう言うておりますよ。そういうことは皆さんの耳には入っておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/125
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126・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) その点は判断いたしかねますので、この点も調査いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/126
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127・亀田得治
○亀田得治君 そういううわさでも聞いたことはないですか。全然そんなうわさは入ってきませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/127
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128・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) そういううわさは私どもに入っているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/128
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129・亀田得治
○亀田得治君 だから、そこなんですよ。うわさが入っているのなら、火のないところに煙は出ぬのじゃから、何かそういう大きな勝負がやられた背後には、もっと深い事情があるのじゃないかということを突っ込んで調べてほしい。私なりにこれは見解を持っているわけですけれども、皆さんのほうでももっと調べてほしい。調査不足ですよ、それは。そうでしょうが。その万栄が四十八億借りた、向こうの銀行から。それを豊島が乗り出してきているのだ。それを借りてやっているわけなのです、豊島が万栄のかわりに。豊島が実力者なんだから、これが東海銀行から、それなら万栄、おまえのために引き出してやる、ぽんと出している。たいして関係のない者がそんなことをするものですか。しかも、十五日の売り買いの場合には、その豊島と万栄が相対になっているのですよ。一方が買う、一方が売りになっているのですよ。これはもうおそらく、その関係を明確に洗い出したら、売りと買いが通謀して、幾ら幾らでひとつおれが出すから、おまえもそれを承知せいといったような、取引所法で一番やかましく禁止しておる――八十八条でしたかね、何かありますね、そういう疑いが濃厚なのです。それで豊島が一生懸命金融のことでも奔走したし、で、豊島と渡辺副理事長とは親戚だ。わりあい近い親戚だ。それで、公正であるべき理事長がその買い方のための金づくりに一生懸命走り回っている。そういうことがあるので、違約処分ができないのです。違約処分に持っていけない。そうなると、理屈のいかんにかかわらずということになってしまう。そういう背後関係も調べて、もっと公正な見解を聞かしてほしいわけです。で、この審議会の結論などのことも先ほど言われましたが、これはまあ本件がもっと事態が明らかになった上で、私はあの審議会の結論にも必ずしもあれでいいと言えぬ点がたくさんあると思うのです。この事件が起きたから、あの審議会でああいうことをきめたわけでしょう。ところが、あの最後の項目なんか見てごらんなさい。理事長の権限を強化すると書いてある。これも、私相場のことはしろうとですから、少し専門家に聞いてみた。理事長の権限を現在以上に強化しなくても公平にやっていけば十分ですという答えを私は受けておる。理事長の権限を強化する前に、むしろ理事長には、公平な人だな、そのことがもっと大事なんじゃないですか、こういうことを関係者はやっぱり言うております。不公平な人が権限をよけい持ったら、今度のようなことをよけいやるのじゃないですか。だから、あんな審議会の結論で何か本件に対する対策ができたようなことに思っておったら、とんでもない間違いです。しかし、それはもっと先のこと、本件の事態が明らかになってからひとつそれは批判しましょう。
そこで、いま近藤理事さんからちょっと御注意もありましたので、本日はこの程度で一応質問を中止することにいたしますが、次回までに質問の途中でお約束願った資料をできるだけそろえてほしいと思います。
それから、この本件に関して、取引所から通産省に、報告書なり陳情書が何か来ておるはずです。来ているでしょう。それはこちらから求めたのか、あるいは向こうから持ってきたのか知らぬが、ともかく向こう側の報告書というものは来ておると思うのですが、それはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/129
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130・森口八郎
○説明員(森口八郎君) 理事会の議事録その他は当然入手いたしておりますが、本件の結末についての報告書というのは入手いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/130
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131・亀田得治
○亀田得治君 それでは、取引所としての正式の報告をひとつ求めてほしい。この問題について一体どう考えたのか。それから、いまおっしゃった理事会の決議録ですね、これもひとつ出してほしい。まあ聞くところによりますと、理事会の中でも、違約処分にすべしとい意見もあったやに聞くわけです。まあ、あるいは議事録には、そういうことは結論だけで、過程までは書いてないかもしれませんが、もしなかったら、そういう点も明らかにしてほしいと思います。
それから、万栄、豊島、取引所、銀行間で、この四十八億の融資のためにいろいろな文書が取りかわされたわけですが、これも一括して出してほしいと思う。私のほうには一部あるわけです。先ほど申し上げたような点に関して一部あるわけです。
それから、いずれこれはもう少し問題を明らかにしてもらった後に、銀行なり、あるいは、いまは理事長になっているようですが、前の副理事長なり、あるいは関係仲買い人、そういう諸君を一ぺん参考人として呼んでもらって、少し掘り下げて実態を明らかにしてほしい。これはまあ私の要求ですから、理事会のほうでひとつ御検討願いたい。まあ資料のほうだけは次回までにお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/131
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132・前田久吉
○委員長(前田久吉君) よろしゅうございますか。
他に御発言もなければ、本件に関する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれをもって散会いたします。
午後三時二十八分散会
――――・――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X00319640204/132
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