1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月二日(木曜日)
午前十時五十分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 前田 久吉君
理事
赤間 文三君
上原 正吉君
近藤 信一君
田畑 金光君
委員
大谷藤之助君
岸田 幸雄君
剱木 亨弘君
豊田 雅孝君
八木 一郎君
吉武 恵市君
中田 吉雄君
藤田 進君
鈴木 一弘君
奥 むめお君
国務大臣
通商産業大臣 福田 一君
政府委員
通商産業政務次
官 竹下 登君
通商産業大臣官
房長 川出 千速君
通商産業大臣官
房参事官 宮澤 鉄藏君
工業技術院長 馬場 有政君
中小企業庁長官 中野 正一君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞壽君
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本日の会議に付した案件
○日本電気計器検定所法案(内閣送
付、予備審査)
○中小企業近代化資金助成法の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
○中小企業金融公庫法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○中小企業近代化促進法の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/0
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001・前田久吉
○委員長(前田久吉君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
まず、委員長及び理事打ち合わせ会の協議事項について御報告いたします。
本日は、日本電気計器検定所法案の提案理由の説明を聴取し、中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案及び中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案の審議を行なうことになりましたから、御承知を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/1
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002・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 次に、三月三十一日予備審査のため本委員会に付託されました、日本電気計器検定所法案を議題といたします。
政府から提案理由の説明を聴取いたします。福田通産大臣から説明を聴取します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/2
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003・福田一
○国務大臣(福田一君) 日本電気計器検定所法案につきまして、その提案理由及びその概要を御説明申し上げます。
電気の公正な取引を確保するため、家庭用の電気メーターをはじめとする取引用電気計器につきましては、電気測定法に基づきまして、一品ごとの検定を受けなければならないこととなっております。現在、通商産業省工業技術院電気試験所がこの検定を行なっているわけでありますが、検定のための一品ごとの試験の実施は、特定のものに委託できることとなっており、現在、東京都及び社団法人日本電気協会がこの委託を受けまして、電気試験所とともに、検定のための試験を実施しているわけであります。
このように試験が三機関において実施されておりますために、設備の重複その他の弊害も生じてまいっておりますし、年々増大の一途をたどり、かつ、その内容につきましても、精密化、多様化の傾向を見せております電気計器の検定の一そうの充実をはかりますためには、これらの機関を統合して、電気計器検定のための一元的機関を設置することが必要であるとの判断に至ったものであります。また、科学技術会議の答申その他におきましても、このような定型的、大量、かつ、機動性を要する業務は、国の試験所から分離して、特殊法人等に移すことが望ましいとの方向が示唆されております。
以上のような観点に立ちまして、電気試験所及び社団法人日本電気協会の検定部門を合体し、その資産、職員等を承継いたしまして、公正中立かつ能率的な運営が行なわれる特殊法人として日本電気計器検定所を設立し、電気計器検定の一元化をはかり、もって電気計器検定の効率的かつ近代的な体制を確立いたしたいと存じ、本法案を提出する次第であります。
次に、この法案の概要を御説明いたします。
第一に、日本電気計器検定所の資本金は、政府及び社団法人日本電気協会からの出資の合計額とし、いずれも現に検定等の用に供している資産を現物出資することとなっております。
第二に、検定所の行なう業務でありますが、その中心となりますものは、電気測定法に基づく電気計器の検定であります。このほか、検定と密接な関連を有する依頼試験、調査研究等を行なうことといたしております。
第三に、検定所は、通商産業大臣の監督を受けることとなりますが、その監督につきましては、役員の任命その他の人事面からする監督、業務方法書、監督命令等による業務に対する監督、予算、決算その他の財務会計上の監督等に関する規定を設けており、検定所の公正かつ堅実な運営をはかり得るものと確信しております。
以上のほか、設立手続、関係法規の改正等所要の規定を設けております。
以上、この法律案の提案理由及びその概要を御説明いたしました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/3
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004・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 以上で提案理由の説明は終了いたしました。自後の審査は後日に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/4
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005・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 次に、中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案、中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
質疑に入ります前に、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案については、衆議院において修正議決されておりまするので、政府委員から便宜その修正点の説明を聴取し、次に、三案の補足説明を聴取いたします。中野中小企業庁長官から説明聴取。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/5
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006・中野正一
○政府委員(中野正一君) 中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案の中で、衆議院におきまして議院修正がございましたので、その点はお手元に資料がお配りしてございますが、公庫法の一部を改正する法律案、第十条に次の一項を加える。「監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、総裁又は総裁を通じて主務大臣に意見を提出することができる。」、この原案の中で「総裁を通じて」というのが削除になっております。したがって、監事は総裁か、あるいは主務大臣に直接に意見を拠出することができる、こういうことに修正することになっております。
それから次に、三法案の補足説明をさしていただきます。
最初に、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案でございますが、一番上に要綱がございますが、一部改正でございますので、要綱で説正さしていただきます。
第一は、債券の発行でございまして、中小企業金融公庫が、主務大臣の認可を得まして、資本金の二十倍に相当する金額を限度として、中小企業債券を発行することができるということで、中小企業金融公庫の中小企業金融に対する役割りというものは、最近非常に増大してまいりまして、その資金ソースというものを、従来は狭い意味の財政投融資、資金運用部資金にもっぱら仰いでおったわけでありますが、その資金ソースをさらに広げまして、民間の金融機関からも債券の発行によりまして資金を調達しよう、それによりまして、公庫の資金ソースをふやそうという趣旨でございまして、資本金の二十倍に相当する金額まで公庫債を発行することができる、この二十倍というのは、他の政府機関と同じ、そのほかの実例にかんがみまして、大体資本金の二十倍まではできるというのが規定の通例でございます。
次に、債務保証、いま言いました公庫債を発行するわけでありますが、これを、元本の償還、利息の支払いについて政府は保証する、いわゆる政府保証債ということにすることができるという規定を置きまして、いま言いました中小企業債券の発行が、この計画どおりに順調に容易にできるようにしようという規定でございまして、これは一般的には、政府は、この債務保証を一般法人に対してしてはならぬという法律がございます。これは法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律というものがございますので、この制限からこれをはずす必要がございますので、この法律の第三条の規定にもかかわらず、国会の議決を得ました金額の範囲内におきまして、元本の償還と利息の支払いについて政府が保証することができる、こういう規定を置いておるわけであります。昭和三十九年度におきましては、予算におきまして百億の中小企業債券を発行いたしまして、これを政府保証債とする、したがいまして、百億の中小企業債券というものは、財政投融資計画に組まれた、いわゆる財投計画の中に入るわけでありまして、予算では、財政投融資計画では、中小企業金融公庫に対しましては、財政投融資を八百三十三億出すことになっておりまして、そのうちの百億は、この中小企業債券の発行ということになるわけであります。
その他、監事の権限に関する規定の整理ということは、先ほど申し上げました、最近の情勢にかんがみまして、監事の権限を強化する必要があるということで、監査の結果に基づきまして、総裁あるいは主務大臣に意見を提出することができるということに、監事の権限を強化しよう、この三点が公庫法の改正案でございます。
次に、中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案、これはごく簡単な、中小企業者の定義を改正するというものでございまして、実はあとで御説明する予定の中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案、これにも中小企業者の定義の改正の条項がございまして、これは同じ趣旨からでございますが、これは中小企業近代化促進法の現行の法律の附則に——要するにこの近代化促進法と資金助成法は、中小企業基本法ができる前に通った法律でございます。したがいまして、中小企業基本法でもって中小企業者の範囲が、従来の中小企業者の範囲と変わりましたので、したがいまして、基本法が通る前でございましたので、暫定的に、定義は法律できめずに政令できめるということに、両法案ともなっております。したがいまして、この近代化促進法、それから近代化資金助成法、両法とも、附則におきましてこういうふうに書いてございます。「第二条の規定により定められる中小企業者の範囲は、」というのは政令できめるということになっておりますが、これは「国の中小企業に関する施策について基本となるべき方策を定める法律」、すなわち、中小企業基本法のことでございますが、これが制定され、実施されるまでの暫定措置としてきめる、こういう趣旨のことがありまして、したがいまして、なるべく早い機会に基本法の趣旨にのっとって定義を規定すべきであるということが附則で書いてございますので、実は、これはこの前の基本法が通ったときの国会で修正することも一つの方法かと思いますが、いろいろ時間的な余裕もなかったようなこともあったんじゃないかと思いますが、基本法の通りました次の国会、すなわち、今国会において、この両法案を基本法の趣旨に従って法律に書こう、こういうことでございます。
それで、ここにありますように、基本法とこれは同じでございますが、資本金の額が五千万円(商業、サービス業については、一千万円)以下の会社及び従業員の数が三百人(商業、サービス業については、五十人)以下の事業者、それから政令で指定する業種につきましては、政令で定める資本金の額あるいは政令で定める従業員数以下の事業者ということで、特別の場合には、政令でもって例外をつくれるというように、原則は基本法の考え方と同じでございます。
それから次に、中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案、これもいま申し上げました中小企業者の定義を法律できめるということで、やはりここにありますように資本金でいうと五千万円、それから従業員でいうと三百人以下、それから商業につきましては五十人、一千万円、それからマイニング——鉱業につきましては、これは従業員が三百人ということではちょっと実情に合いませんので、五千万円あるいは従業員の数でいうと千人以下のものが中小企業者、これは従来からそういう取り扱いになっておりまして、これを特に法律でもってはっきりさせようという趣旨でございます。
こういうふうにちょっと近代化促進法と近代化資金助成法との定義の書き方が違っておりますが、これは近代化資金助成法の行き方のものが、先般御審議願いました中小企業保険法の規定と、それから中小企業金融公庫法の両法の中小企業者の定義は、この近代化資金助成法と同じようになっておりまして、全部法律でもってきめております。それから近代化促進法のような書き方のものもございまして、これは中小企業団体組織法、それから先般御審議願いました中小企業指導法、この三つがこのタイプでございまして、これは少しきめこまかい業種別対策をいろいろやっていくという必要がありますので、こういう法律につきまして、政令でもって、たとえば三百人というものを、業種によりまして、幾分これを四百人とか五百人とかに上げるという必要がある場合がございますので、そういう業種別に少しきめのこまかい対策をやる必要がある法律につきましては、政令に一部譲って例外を認める、こういうことになっております。
これが中小企業近代化資金助成法の改正の第一点でございまして、第二点は「第二」というところがありますが、商店街の改造事業の助成ということで、中小企業高度化資金——従来ありまする工場集団化資金、卸売り商の集団化資金あるいは小売り商の店舗共同化の助成資金というようなものと、あるいは共同施設の助成金と並びまして、今度新しく商店街近代化資金というものをこの予算でとりましたので、これをこの法律に書かないというと、予算の実行ができませんので、こういうふうに書いてございます。中小企業高度化資金として次の資金を追加する、「事業協同組合、事業協同小組合、協同組合連合会、商工組合、商工組合連合会、商店街振興組合又は商店街振興組合連合会の組合員又は所属員」——「所属員」といいますのは、連合会の組合員というのが組合になりますから、その組合の下の各メンバーは所属員ということになるわけであります。「組合員又は所属員が商店街の改造によりその経営の合理化を図るため、当該組合の作成する商店街近代化計画に基づいて店舗その他施設を設置する場合において、当該計画の内容が一定の基準に該当し、かつ、中小小売商業の近代化に著しく寄与するものであると認められるときには、共同施設の設置資金及び小売商業店舗共同化資金」——この二つは従来からある制度でございまして、いま申しました商店街全体の近代化計画の中で共同施設をつくるというときには、従来からある共同施設の助成金でまかなえるわけであります。それから、たとえばその中の一部が共同してスーパーをつくる、あるいは共同して寄り合い百貨店をつくるという場合には、従来からあります小売り商業店舗共同化の資金の助成が受けられるわけでありますが、それ以外に、次の「イ」、「ロ」に掲げるものを新しく助成できるということにいたしたいというわけでございまして、「計画組合がその組合員又は所属員たる中小企業者等の事業の用に供するため、店舗その他の施設を設置するのに必要な資金」、ここで「中小企業者等」と書いてございますのは、中小企業者だけでなくて、企業組合、協同組合、協同小組合というものをも入れたいということで「中小企業者等」というふうになっております。この「イ」のほうは、組合が、その組合の組合員のために、組合員の事業の用に供するために施設をする——たとえば、組合が共同店舗として共同の建物をつくって組合員に貸す、あるいはそれを三カ年計画なら三カ年計画で分譲をする、こういうふうなような店舗を組合自身が組合員のためにつくるという場合が「イ」でございます。
それから「ロ」のほうは、今度はそうでなくて、組合の組合員または所属員である中小企業者等がその事業の用に供するために、店舗その他の施設を設置するのに必要な資金ですから、これはメンバーが——組合員自身が自分のための店舗をつくる、これも助成の対象にしよう、こういうことでございまして、以上二点が中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案でございまして、法律の附則のところを見ていただきますと、先ほど読み上げましたいわゆる基本法ができるまでの定義は、暫定措置であるという附則がございましたが、それは今度この法律に書きますので、その附則は削除するということになっております。
以上、簡単でございますが、三法案の補足説明を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/6
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007・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 以上で修正点の説明並びに補足説明は終了いたしました。
それではこれより三案に対する質疑に入ります。
御質疑のおありの方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/7
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008・近藤信一
○近藤信一君 いま提案されましたこの三法案を見ますると、いろいろと説明の中にもございますが、特に中小企業関係の法律案の中に、字句の問題で、どうも私ども、解釈に迷うような点が相当あろうかと思うのです。といいますのは、今度提案されております近代化促進法でも、また、近代化資金助成法でもいろいろと字句が違う点がある。それは近代化という点もありまするが、さらにまた、高度化というふうな文字を使ってあるところもある。また、別に合理化というふうな字句もあるわけなんです。一体近代化というのと高度化というのと、また、合理化というもの、ところどころでちょいちょいと違っておるので、これは一体どういうわけでこういうふうな使い方がされておるのか、ちょっと私ども法案を見ましても、高度化とは一体どういうことであろうか、また、近代化ということはどういうことであろうか——合理化の問題はわかりますが、どうもそういう点があいまいであろうかと思うのですが、これは統一的な文字でできないものであろうか、こういう点ひとつ学識のあるところを長官から、私ども納得のいく御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/8
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009・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま御指摘のように、確かに基本法、関係法令等につきまして、近代化、合理化あるいは高度化というふうないろいろな文字が、そのときそのときの必要性に応じて使ってあるわけでありますが、これは特別、近代化の説明というものはないわけなのですが、これは一般に概念的に大体わかるということで書いてあるのだと思いますが、われわれはわれわれなりの解釈を申し上げて御参考に供したいと思うのですが、まず高度化の問題は、これはどちらかというと、中小企業基本法におきまして初めて法律的に使った用語ではないかと、私は記憶いたしております。これに関連して、いわゆる中小企業構造の両度化資金というものが中小企業近代化資金助成法に出てまいりますので、これもこの前の国会で、基本法と同じ国会で通っておるわけであります。ここにもそういうことばが出ておりまして、中小企業高度化資金というものを新しく設けたわけでありまして、したがいまして、高度化という問題は、これは法律に説明がありますとおりにわれわれ解釈するのが一番正しいのじゃないか、これは御承知のような基本法の第三条の第四号に「中小企業の企業規模の適正化」、それから「事業の共同化、工場、店舗等の集団化、事業の転換及び小売商業における経営形態の近代化」、これだけをつかまえて「(以下「中小企業構造の高度化」と総称する。)」といっておりますので、中小企業構造の高度化ということばも普通の人からいうとわかりにくいことばかと思いますが、しかし、法律に書きまして、しかも、高度化資金というものをつくって、いま言ったような、あとから資金助成法に出てまいりますが、工場とか商業の集団化に対しては、国が助成をする、それから小売り商業の店舗共同化計画に対しても、助成をする、それから、先ほどの商店街の近代化計画についても、助成するというようなことで、これはみな中小企業の高度化資金から助成をするということになりましたので、だんだん皆さま方にも御理解をいただけてきているのじゃないか。したがいまして、中小企業構造の高度化ということは、この内容をさすというふうにお考えいただければおわかり願えるのではないかというふうに考えております。
ただ、まあこれを少し理屈っぽく解釈しますと、なかなかむずかしいことになりますが、中小企業構造というものは一体何だということでございますが、これは業種内及び業種間におきまする中小企業の構成をいうのではないか。その高度化といいますのは、要するに、その中小企業者が生産性なり取引条件、つまり付加価値生産性というものを最も効率的に向上させることができるように、その構成を是正をするという意味合いにとっていいのではないか。したがいまして、中小企業構造の高度化というのは、設備の近代化、経営管理の合理化というふうな、中小企業の体質改善を進めてまいります上の前提をなす基盤でありますとともに、また、最も必要なその態様であるというふうに考えることができるのではないか。したがいまして、業種内の中小企業の構成を是正するものといたしましては、企業規模を適正化する、あるいは事業を共同化する、工場とか店舗を集団化する、また小売り商業の経営を近代化するというような近代化であるわけでありまして、業種間の構成を是正するということになると、業種的に転換を考えていくというようなふうなことが高度化になるのではないかと思います。
そういうふうに、一応高度化のほうはそういうふうなことで、あまりむずかしく考えると非常にわれわれもわからなくなりまして、法律に従ってさらっと解釈するのが一番いいのではないかというふうに考えております。
ただ、近代化と申しますと、いろいろのところに近代化ということばがでておりまして、なかなかちょっと解釈はむずかしいのでありますが、一口に申しますと、産業におきまする中小企業層という階層全体の近代化というふうに考えております。合理化ということばと広い意味において内容的にそう差があるわけではありませんが、まあ近代化というと、何といいますか、前近代的なもの、まあ日本の産業でも、御承知のように、経済には前近代的な要素が相当残っているということをいわれますが、そういうものからいわゆる現代的なものに移り変わっていくという、何といいますか、歴史的な意味を含めます動態的な現象をとらえた概念ではないかというふうに見ていいのではないかと思います。そういうふうな意味合いにおきまして、いわゆる前近代的な要素というものがいろいろございますので、これは何も中小企業だけにあるのではなくて、日本産業全体にそういう問題がなおなお残っているというふうに見ている人が多いのでありますが、そういうものを払拭いたしまして、近代的な中小企業層を確立するというのが中小企業の近代化の本旨ではないかというふうに考えます。したがいまして、個別企業の企業の中におきまする経営全般の前近代的なものを払拭する、たとえば経営のやり方、それから労使関係、それから技術ですね、そういうふうな面をいろいろ含めまして、企業内の経営全般の近代化ということもございます。さらに、それだけでなくて、企業閥あるいは業種間のいろいろな関係の近代化というものも含めた広い意味に解釈していいのではないかというふうに考えております。
ちょっとおわかりにくいかと思いますが、一応、法律でいろいろの扱い方をしておりますが、こんなふうにわれわれは解釈しております。合理化は大体近代化と同じ意味合いに使用しておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/9
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010・近藤信一
○近藤信一君 どうも長官の答弁もわかったようなわからぬようなことですけれども、いま長官が御説明になられました高度化ということには、いわゆる共同化、集団化、近代化、こういう面が含まれて、さらに近代化に対する説明があったわけですが、近代化されるということ自体が私は高度化されるのではないかとも思うのですが、私の考えとしてはですよ。ところが、いまの説明では、近代化集団が共同化の上にその高度化というものがあるような説明でございますけれども、私ども、やはりこの近代化と高度化ということの使い分けが、どうもそのときどきでまちまちで、政府のほうでは、文字だけごまかしていくというような感じもするわけなんです。では近代化とは何かということになると、いま長官が御説明になりましたように、現代的なもの、そういうようなことも言っておられますけれども、どうもこの点が、私どもいつも法案を見るときに、文字の点でそういう使い分けがしてあるので迷うことがある。これはなるほど、いま高度化という文字の問題は、基本法の中で初めて出てきたことばであって、しからば近代化とは何か、こういうことになって、詳しくその内容について説明していくと、今度は高度化ということはそれでは何ぞやということになって、これはダブってくるような感じがするわけですが、この点はどうですか。文字は別々でも、内容というものは同じものであるかどうか。いまの説明だけでは、私どうもまだ納得がいかないのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/10
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011・田畑金光
○田畑金光君 それに関連しまして、先ほど長官の説明されたいろいろな説明ですね、長くてどうも頭に残らないのですが、ひとつ書いたやつを出してくれませんか。書いたやつをなるべく早い機会に、ちょっと頭に残らぬから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/11
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012・中野正一
○政府委員(中野正一君) 私も、自分で説明しておってなかなかちょっと、実はなんですが、表現のしかたがなかなかむずかしいわけです。いまも相談したのですが、これは確かに御指摘のとおりでございますので、法制局とも相談しまして、ひとつ書きもので出さしていただきます。法制局へ聞いても、うまいものを書いてくれるかどうか——専門家ですから、ひとつ相談しまして——法制局の意見を聞いてわれわれのほうで書くという意味でございますが——はたしてりっぱなものができるかどうか自信もございませんが、できるだけ早く提出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/12
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013・豊田雅孝
○豊田雅孝君 関連して。中小企業庁のほうで、ここで近代化、合理化と同時に高度化について、有権解釈をこの際きめるというふうなことになってきたわけなんですが、したがって、法制局とも相談して有権解釈をちゃんとせられることもまことにけっこうだと思います。しかし、その際にまたあまりむずかしく解釈して、有権解釈のさらに説明解釈が必要だなんということになると、またわからなくなるおそれがありますから、有権解釈は有権解釈として、具体的な例等をあげて明確にせられるように、特にこの点は対象が中小企業であるだけに、ただいわゆる有権解釈的なものだけでなくて、理論的にははっきりすると同時に、具体的事実についてもはっきりするというような趣旨で完璧なものを出されるように、この際要望しておきたいと思います。それについて御意見どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/13
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014・中野正一
○政府委員(中野正一君) できるだけ御希望に沿えるようなものをつくりたいと思いますが、ちょっとこれはなかなか、かえってまた書きもので出したために、それからはみ出るものが出てきたりなんかして、実際上困ることが起こりはせぬかという気もいたしますが、しかし、御指摘の点はごもっともでございますので、できるだけ明確に、しかも、具体的に中小企業者側から見てわかりいいようなものをつくりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/14
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015・近藤信一
○近藤信一君 いま一つお尋ねしておきたいことは、この法案の中でも、これはずいぶん出てきて、また、長官が衆議院の質疑の中で答弁もしておられまするが、助成ですね、補助金と助成という問題。私どもそのものずばりで、私は頭が悪いのか知らぬけれども、考えますると、補助金というものは、これはたとえば事業を近代化するために、くれるものだ、もらうものだ、補助してもらうものだ、こういうふうにわれわれは解釈する。ところが、長官の答弁の中にもありますように、補助金という、盛んに補助ということを言っておられますけれども、無利子で五年年賦で払うのだとかなんとか、こういうことを盛んに言っておるのだが、補助金という性格は、ただでくれてもらえるものだと、こういうふうに私は解釈するのですけれども、その点はどうですか。
それから助成金の場合には、これは助けてやるのだから、金は完全なやつを貸し出す、貸し出しがうまくいくようにこれを助けていくというようなことにもなろうと思うが、この点はどういうことですか。一体、補助金というものは、貸してやるものであるという、あなたのほうでは答弁しておられるが、この点をひとつ解釈上の意味で、十分ひとつはっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/15
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016・中野正一
○政府委員(中野正一君) いまの御指摘の点もちょっと、ほんとうにこの法律を読んでみましても、非常にわかりにくいのですが、要するに、従来からございました設備近代化補助金という個個の業者に対する設備近代化に対して助成をするもの、それからこの前の国会を通りました、いま言った中小企業高度化資金ということで助成をする、この二つに国の助成の方法がなっておりまして、補助か助成かということばでございますが、援助を受けまする個々の業者あるいは組合等からいいまするというと、これは全部貸し付け金でございます。したがって、その意味では助成金といいますか、助成といいますと広い意味ですが、要するに、五カ年間の無利子の貸し付け金——それを受ける個個の業者あるいは組合からいいますというと、無利子の貸し付け金ということになりまして、しかも、それは全部府県を通じて、府県が貸し付けをする、組合あるいは個々の業者に。設備近代化の補助金であろうと、それから高度化資金であろうと、そういうことになる、これは同じわけです。その点を法律では、従来からありました、いわゆる通俗で設備近代化補助金、予算の項目などはそうなっております。これは法律では、中小企業設備近代化資金ということでいっております。中小企業設備近代化補助金ということばは使っておりません。業者に対しては近代化資金を貸し付ける、こういうことになる。それからもう一つの高度化資金のほうは、中小企業高度化資金ということばで言っております。
それではどうして補助金と助成とこういうようなふうな仕分けになるかといいますと、それは今度、この前の国会で法案が改正になりましてこういうことになったのでありますが、設備近代化資金のほうは、府県に対して国が補助をする、だからこれは、くれてやるわけです。府県に対して設備近代化資金を補助をして、その補助金と同額のものを、府県がまた金を出して、それを合わせまして、これを業者に対して貸し付けをする、こういうことになっております。それは資金助成法の三条の二に書いてございまして、国なり府県がそういう中小企業設備近代化資金を貸付けをする場合に、その一部の金を、実際これは半分でございますが、資金に充てるために補助金を府県に対して交付することができる、こうなって、ここに補助ということばが初めて出てくるわけです。しからば、高度化資金のほうはどうかというと、高度化資金といいますのは、国に高度化資金特別会計というものをつくっておきまして、ここから府県に貸し付けをする、貸し付けても府県からまた返してもらう、設備近代化補助金とは違いまして、そうして高度化資金という特別会計に資金をプールしておいて、そうして使っていこう。したがいまして、どうしてそういうことをやるかというと、たとえばことしは大阪に重点的に一つの共同化計画が出てきて、いい計画があれば、そこに集中的にやる、その次の年は、今度は北海道にいい計画が出てきた場合、今度は北海道に集中的にやる、これは一つの府県ではございませんが、そういうふうに国全体として、この高度化資金というものを有効に使おうという意味からそういうふうになったんだろうと思いますが、このほうは、国は、府県に対して、予算の範囲内において、その事業に必要な資金の一部を貸し付けることができる、こういうことになっておりまして、したがいまして、高度化資金のほうは府県に対する貸し付け金である。それから設備近代化資金のほうは府県に対する補助金である。ところが、業者からいうと、補助であろうと貸し付けであろうと、無利子の五カ年間の貸し付け金をもらって設備の近代化をやる、あるいは共同化のためのいろいろ施設をやる、こういう形になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/16
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017・近藤信一
○近藤信一君 それで政府のほうは、府県にくれてやるから補助でいい、これはもう私、そのものずばりだと思います。今度は、県からは、ただ貸し付けと、こういうことになるわけですね。国から県にこれずばりとやるんだから、県のほうも、これずばりと補助金ということでこれはやるということのほうが、私は、補助金の性格上からいけば妥当だと、こう思うのです。そこで、この直接中小企業に対するところの、まあくれてやる補助金のこと、この関係は一体何かほかにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/17
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018・中野正一
○政府委員(中野正一君) いまの設備近代化、いわゆる補助金と通称言っておりますもの、これをむしろそういう無利子の貸し付けで回収をするというようなことでなくて、補助金としたらどうかという御意見、これは一つの考え方だろうと思いますが、まあいままでの政府の考え方では、中小企業者にいきなり設備資金をくれてやるということは、ちょっと行き過ぎじゃないか、また、政府全体の政策からいっても、やはり貸し付けをして、それを府県が回収して、それをまたほかの業者に相当な——これは五カ年間の無利子の貸し付けといっても、相当の恩典でございまして、相当やはり要望も強いわけでありますから、金を有効に使うというような意味合い、また、中小企業者のたてまえからいっても、国から設備資金をもらってやるということが、はたして中小企業者の自主的な努力というものをうまく助成するかどうかというところに疑問があるというようなところから、そういうふうになっておると思います。
それからなお、これは御質問とあれじゃございませんが、というのは、これは無利子の貸し付けというのも行き過ぎであって、むしろこれは金利を取って、一種の金融なんだから金融ベースに直したらどうか、そのかわり貸し付け金をうんと金を多くしてと、そういう議論も実は政府部内でも毎年繰り返されるわけでありまして、そういう意味合いにおいて、補助金にこれをするという議論は、いままでの政府部内の討論ではあまりございません。
それから中小企業者に対して、実際に回収せずに助成しっきりの補助金ということになりますと、たとえば商工会の経営指導員等の活動費、あるいは人件費等につきましては、これは全額国と都道府県の補助金で、これはもうやりっぱなしということになっております。これは予算が大体十四億ございますが、これもやはり大体同額の金を府県が出して、これは商工会が非常に弱体でございますので、これらの経営指導をやる者の費用を国と都道府県で補助する、こういう形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/18
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019・近藤信一
○近藤信一君 ほかに出しているところは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/19
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020・中野正一
○政府委員(中野正一君) ほかに府県に対して、これは府県でございます。府県が公営試験研究機関の施設を改善させるための金ですね、こういうものは、いわゆる地方にあります公営試験研究機関の施設の改善費等は、これは府県に対して補助しっぱなしと、こういう形をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/20
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021・赤間文三
○赤間文三君 関連してお尋ねしたいと思うのでありますが、われわれは農業関係の補助金と商工業関係の補助金について、通産省、前の商工省関係は、金を貸してやればもうけっこうだ、無利子でなくてもういいんじゃないかという考え、これは戦前の意見としては非常にぴったりでしょう。ところが、戦後においては、日本の産業構造が変わったのである。農林関係のものは補助金を考え、通産関係のものは、ひどいことを言うならば、業者の向こうべき方針を示してやるということだけでもいいという考え、無利子の金でも貸してやれば非常にいいだろう、なお言うならば、安い金を貸してやればいいじゃないかという意見が、戦前の余波を受けて残っておるのであって、私は、そういう意味からしまして、通産行政においてもこの際ひとつ補助金の関係をもっと研究せられて、願わくば戦前と趣を異にしておるところの、思い切って補助金なんというものをやられるのでなければ、農林関係と通産関係というのが非常に不公平なような気がするのです。戦前においては、なるほどいまのような指導方針を示せばやっていける、商売人だから。金でも無利子でなくけっこう、利子を取ると。戦後はすっかり経済事情が変わったから、農林と商工とが行き方がどうも違うというようなのはおかしいのじゃないか。私はそれで、中小企業などには思い切ってやはり形を変えて補助金その他をやられるということが非常に必要になってきているという考え方を持っている。それで何も農林のほうにならえとは言わないけれども、少なくとも農業の指導と中小企業の指導との間に、指導のしかたにアンバランスが、厚薄があるのじゃないかという気がする。ましてや中小企業政策が大事なものである時にあたって、思い切って補助金なりを多く出されるということの御研究を願って、特に金詰まりの今日において、また、この開放経済の時代において、思い切った中小企業の革新的な政策ということになれば、農業と中小企業とのアンバランスを是正するというようなことができたら、これこそ画期的な、革新的なもんだと、私はその考えなんです。どうも、戦前の産業機構の変わらざるときの頭というものが、戦後においても払拭できておらぬで、どうも昔の頭とひとつも進歩がないのである。これがいわゆる補助金とか貸付金とかいう根本において、ましてや投融資の問題にも関係がある。それが、金の世話をやっておればいいじゃないか、商売はやっているのだから方角を示してやったらいい、これでは、今日の中小企業がこれほどやかましく論ぜられておるのに徹底を欠く一番大きな原因がある。現在のように、日本の中小企業が世界に太刀打ちするのには、ただ合理性だけで、商売はとにかく貸してやればいいのだという頭を払拭して、思い切って立て直しをされる、それにはやはり思い切った補助金政策というものが、農林よりおくれておる、いまではない、こういうように私はかねて考えておったという——私のことをなお言うならば、通産行政は、戦前の——大革新の行なわれた今日に対する認識というものが少しわれわれと違うのじゃないかということが非常にもとになっておる。いろいはな政策をやっても徹底を欠くという点があるのはそこに根本がある。この点をひとつ関連をしまして、ざっくばらんにひとつ、要するに、戦前のような頭ではいかぬ。今日のすっかり世界が変わって開放経済になり、世界を相手にしなければならないのに、世界相手の仕事をやらなければならないのに、ただ方角を示せばいいのだというようなことではなくて、根本的に通産省としては考えて予算を組む必要があるのじゃないか。私は特に農林予算がうまくいっているように思うが、これは非常にけっこうなんですが、どうも両者の間に——農林と通産の間に、私は少し考え方が違うと思う。関連しまして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/21
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022・竹下登
○政府委員(竹下登君) ただいまの問題について、私自身も、そうした疑問とでも申しましょうか、そういうものをかねて考えておって、いろいろ私なりの私見に属する点があろうかと思いますが、近藤先生、赤間先生の御意見について、私が考えてきたことを申し述べてみたいと思います。結局大ざっぱに言えば、重農軽商とでも申しましょうか、そういう国家の事実の方向というものについて歴史的な過程を考えてみますと、ただいま赤間先生の御意見のような、農業というものが、戦前においてはまた別の意味において非常にこれが低位にあったということから、大きな補助金政策というものが出てきたと思いますが、戦後におきまして、たとえば災害ひとつを見ましても、まあたんぼが流れればこれはもちろん補助金もございます。また、米麦等の災害については、これは災害補償制度というものが確立せられ、そしてまた、それの二分の一は国が負担するとか、こういこうとがございます。それがなされておる基本的なものの考え方なり、あるいはそれが法律の上ではどういう裏づけになっておるだろうかということを、いろいろ私なりに検討してみましたら、結局、今日食糧管理会計というものがあって、食糧というものが個々の農民の商品であるとともに、国が管理しておるものであるという立場においての公共性から、これに対しては補助金というものなり、そういう災害等の助成金なりというものを出す合理性がある、こういうふうに一般的に認識せられておるようであります。そこで、しかしながら、農業行政自体におきましては、昭和三十三年ころから、主としていわゆる補助金行政から融資行政へという方向の転換が打ち出されたということは事実でございますが、それにしても、今日なおそういう基盤の上に立った補助制度というものが非常に多くございます。私どもいろいろこれらを検討してまいりますと、社会保障とか公共事業とか、そうしたものは論をまたないところでありますけれども、農業と商工業における、この企業についての助成ということにおいては、私どもも一そうふんどしを締め直して指導あるいは研究あるいは試験あるいはこれが労務対策における共同施設と、そうした形においては、どういう観点から見ても補助金を出していくということに私も合理性があろうかと思いますので、そうした方向で努力を続けるべきではなかろうかと思います。率直に私が感じたことを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/22
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023・剱木亨弘
○剱木亨弘君 関連でちょっと一言。いま問題になっている点でございますが、農業関係とそれから中小企業関係を対比して見ますと、非常に観念的にも差があると思うのです。たとえば中小企業に対しまする売り掛け代金の問題つきましていろいろ論議した際に、私ども、中小企業の売り掛け代金は国策からきた中小企業の損害であるから、国がある程度——私は自分の案としては、その債権を国がある程度の値段で買い上げて肩がわりをしてやるという考え方を持ったのでございますが、それは中小企業の本質に反するというので、例の保険ということでやったのであります。ところが、たとえば農業のほうにいきますと、PCPですか、除草の薬を使って、それによって漁民に、漁獲高に損害が起こったという場合について、その漁獲の国家補償をやった。PCPを使うということは、これはもちろん農業の面からいえば、除草という労力でございますから、これは農民としては、その薬があれば使うということは当然だと思いますけれども、これはしかし企業形態の中の一つの便利手段であって、これを国策上使わせたものではないのです。しかるに、損失が起きた場合には国が補償している。石炭の場合においては、中小企業の損害は、国策上損害を受けても、国は単に保険をかけるということで、事実上は、現在私どもの福岡県においては、売り掛け代金については何ら救済しない。昔は農は、いま政務次官は、米を国が管理しているから、それに対して国が農民に対して援助する、こう言われますけれども、昔の農村に対する考え方は、日本の立国は農業によって立国しているということから、農民に対する手厚い一つの政策を行なわれてきた。これは私は農民に対する手厚い政策をやめよとは言いません。しかし、あまりに大きく——日本のいまや重大なこの社会構造の中で地位を占めている中小企業に対して、基本的な考え方は常に自由経済の線から抜けていないのです。これを何とか、私は、農村対策と中小企業対策というもののアンバランスといいますか、あまりに極端な違い、これは私自身も十分研究してみたいと思うのですけれども、中小企業庁としては、画期的な中小企業対策をやる以上は、やはり国民の大部分を占めておる中小企業に対してする場合に、農村との差異、これは当然もっと真剣に考えていい問題じゃないかと常にそう思っておりますが、この点に関しまして、大臣もお見えになりましたから、そういうことでひとつ御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/23
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024・赤間文三
○赤間文三君 ちょっと関連をしまして。私いま劔木委員の説に同感で、それは開放経済時代になった、外貨の関係でも世界的な経済になるときに、従来のような中小企業の指導をやるならば、基本法ができても何ができてもまことにけっこうなことであるが、思い切って世界経済と交渉していく点において、私は、ある意味からいうと非常に心配になる。せっかく基本法ができだので、今度はひとつ思い切ったいわゆる総理の言う革新的な政策というものをおいおい研究していただく必要があるのじゃないか、どうも見てみますと、革新的なというのは、わりあいにだいぶ進んではきておるが、一向、革新的というのが、われわれも地方でやりますが、なかなかできない。革新的なというのが、この開放経済に伍していくためには、世界に負けぬだけの産業経済をやるためには、思い切って産業に対して補助、助成、それから投融資等思い切った方策を講じてもらうのが必要じゃないか。いま劔木委員が言うたように、どうも私勉強が足らぬのかどうかしらないが、農業に比べて産業方面の指導が徹底を欠いておるというか、何かある意味でアンバランスの面があるような気がする。農業はあれで非常にけっこうなんですが、今度は産業が大成功するためには、やはり思い切った政策を講じていく、昔から、さっき言いましたように、方角を示せば大体いいんじゃないか、あるいは無利子の金を貸してやればいいのだ、低利の金を貸してやればいいのだというのが従来の考え方である。補助金なんかも思い切って多額のものを組んで、中小企業なり、産業がいくようにお願いしたらよいのじゃないか、そう感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/24
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025・福田一
○国務大臣(福田一君) ただいままでどんな御質問があったか前の質問は承っておりませんが、ただいま劔木さんとお二人の質疑をお伺いしまして、それについて私の感想をお話してみたいと思います。私はその考え方、そういう一つの革新的なというか、そういう考え方に基づく政策の研究をするということに私は非常に賛成でございます。そのこと自体は賛成でございます。ただ、なぜ農業との間にこういう差ができてきたかというと、これは歴史的な問題と、それからもう一つは、農業の画一性、中小企業の多数性といいますか、こういうところに一つの大きな原因がある。これは政治自体でも問題でありますが、やっぱり中小企業者自体の自覚、団結というようなものがまた非常に私は必要でなかろうか、現にたとえば商店街ぐるみの町づくりをしましょうというようなことを言っても、なかなか一緒にならない人が多いんですね。五十人のうちの四十人までは賛成だけれども十人は反対だ、こういう。これではなかなかできない。ところが、農業というものは米をつくる、麦をつくるというような、いままではそうだが、それに果実が加わって、それに今度牧畜関係が加わってということでありますが、業種自体も中小企業と比べたらずいぶん単純な、わりに数の少ないもので、それだけに内容の解明——たとえば畜産なら畜産というものに対しては、どういう策をとればうまくいくだろうかという一つの政策の打ち出し方がはっきり出てくるわけです。だからこれに対して手当てすることも非常にやりよいわけであります。ところが、どうも中小企業となりますと非常に種類が多い、そしてそればかりでなく、販売業と製造業と分けてみても、販売業の中でもいろいろとたくさんのものがある、衣服をつくっておる、衣服を売っておるといいますか、呉服屋さんの場合と、しょうゆ屋さんというか食料の関係とまたいささか違う面があって、隣にくさいものを置かれてはそんなもの売れやせぬというような——これは単なる一例ですが——というようなことがあったり、なかなかそういうところで一致しない。それから、もともと中小企業の人は、何も中小企業に甘んじていようという人はありやしません。うまくいって将来自分こそは大企業になるのだ、中小企業なんか、おれはこの仲間にいたいというわけじゃないと思います。中小企業やっておる人はもっと何か大きくなりたいということを考えておる。だからこそ、なかなかそこに一致がない、それが農村になりますと、自然的条件というものの制約を受けておるから一いまから、ここのたんぼをだれかが売ってくれれば別だが、一町歩のものを一町五反歩とか二町歩にしようとか、そういうことはなかなかできない。いまその問題も出てくるんですが、たとえば法制的にはそれができるようになっても、現実の問題としてはなかなかできないということもあります。だから私は、考え方として、こういうように開放体制に向かうときに、しかも、産業構造が変わりつつあるときに、何らかの革新的な方途を講じてやらなければいけないじゃないかということについては、これはもう私は非常に賛成でありますが、しからば、どういうふうにするか、そしてまた、それ自体、われわれが考えたことにみな協力するようになるのか、また、それを希望するのかどうか、こういう問題をいろいろ分析し、また、その内容の中へ入って解明をしないと、政策はなかなか簡単には立たないというところがある。これは私一般論を申し上げました。
劔木さんの言われたのは、たとえば産炭地の問題、石炭の問題については、こういうふうに話ができ、それについてどうやるかというお話なんで、一応の案はつくってこれを流しておったんですが、なかなかいかない。ここにも実は非常にむずかしい面があるのだと、事実あるのじゃないかと思うのは、たとえば商売しておる場合に売り掛け金がある、その売り掛け金のうちで一割は石炭山で商売しておったという人と、五割しておった人と七割しておった人とずいぶん違うのですね、実際を言えば。だから、それじゃパーセンテージでいくのがいいのか金額でいくのがいいのか、こういうことが画一的なものなら、あの問題を解明するとき、私はもっとはっきりしたことに踏み切れたと思うのです。そこら辺に対する、ここには前の石炭局長もおりますけれども、どっちがいいのであろうかというみな感じを持ってできなかった。一つはそういう問題が多分にある。すなわち、商売というものの持つ将来への発展性、対応性、それからそれ自体の商売の内容等々、いろいろやっていくとそこになかなかむずかしいものがある。販売業と今度製造業ではまた全然違う、まだ製造業のほうはいいんです。その系列化というものができる分はかなりまだやりいい、その一つの構造的な特徴が出てくる。ところが、独立のものでありますと、これはなかなかむずかしいものがあるのでございます。しかし、むずかしいからといってほうっておいていいかという、そういうような気持ちで私は申し上げておるのじゃないんだが、基本法ができてまだ半年、いまようやく業界、業態の実態を把握しようとしきりと努力をしておる段階でございますので、われわれとしては革命的、革新的政策を行なうための努力は今後も大いに続けるということでございますが、さしあたりの問題として、いまやっておるのはなっちゃいないじゃないかと言われれば、それはいま申し上げましたような事情で実態の把握に苦しみ、それから政策立案になかなかむずかしい面がある、政策を立てたということになれば、具体的に予算が必要なら金を出す、金を出すということになった場合には、これは国民全体から集めた金をそこへ投入するんですから、そこに一つの合理性がなければいけない、みんなが納得するものでなければいけないということに、われわれの一番の悩みがあるわけでございます。しかし、悩みがあっても、おまえたちぼやぼやしているからできないんじゃないかと言われれば、まことに不敏にして申しわけないと思うのであります。今後も大いにひとつそういう意味で努力いたしたいと思っているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/25
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026・上原正吉
○上原正吉君 関連して。よい機会だからこの機会にお尋ねをしたいと思っているんですが、通商産業省なり中小企業庁なりの中小企業に対する根本的な考え方ですね、これがどうも、何といいますか、プリンシプルが確立していないようにお見受けするところがある。というのは、中小企業に対して、これを保護育成して、中小企業は設備を近代化し、技術を高度化し、経営を合理化していく、つまり中、大企業に育成していこうとするのか、あるいは中小企業は中小企業のままでこれを保護、育成、指導していこうとするのか、どちらだかはっきりしない。承っておってもはっきりしない。どだい通商産業省、中小企業庁はどうお考えなのかということを、この機会に伺っておきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/26
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027・豊田雅孝
○豊田雅孝君 関連してこの際お尋ねをしておきたいと思うのでありますが、きょうは、非常に中小企業対策の基本的な問題に触れてきたものでありますから、この際私も一言通産大臣にお尋ねしておきたいと思うのでありますが、福田通産大臣は、中小企業問題に非常に御理解があり、また、熱心にこれに取り組んでおられますので、日ごろから敬意を表しておるところであります。したがって、きょうお話のありました点について、私は理解は一面しておるのでありますが、農業と中小企業の違う点、それからまた、中小企業には商と工とそれぞれ違う点、それから商工の中でもそれぞれ特異性があるという点を指摘せられたわけでありますが、もちろんそれはあるわけであります。しかし、その個別性を非常に強調し過ぎると、そこに中小企業対策の前進なくして、場合によれば後退が出てくることをおそれるのでありますので、特に質問をいたすのでありますが、私は、中小企業対策、中小企業問題については、それぞれの特異性はあるけれども、そこにまた最大公約数が厳然としてある、これに対して徹底的な対策を講ずる必要がある、そういう意味において、先ほどから各委員から質問も出ておりますが、あるいは革新的といい、あるいは革命的な対策も私はないじゃないと思うのであります。要は、あまりに個別性を強調するか、あるいは最大公約数としての問題に着目して勇敢に進んでいくかどうかのここに分かれ道があるだけのことだと思うのでありまして、
〔委員長退席、理事赤間文三君着席〕
そういう面において福田通産大臣の、日ごろ私はよく承知しておりますから、決してこの御本心を疑ったりするものではないのでありますが、この際個別性をあまりに強調せられることは、中小企業対策の前進、いわんや革新的な、あるいは総理すら、革命的な対策をと言っておる際に、非常に懸念をせられてくるがゆえに質問をいたすのでありますが、具体的な問題といたしまして、これは一例でありますけれども、農業については農業共済が非常に徹底しておるわけでありまして、風水害あるいは台風に対しまして、たとえば農機具に至る被害にまで共済が及んでおるわけであります。こういう点を考えると、同じく台風の被害を受ける中小企業、零細企業、町と村と接近しておる、場合によるというともう隣に住まっておりながら、一面農家なるがゆえに、非常に手の届いた共済によって救われる、農機具の被害にまで救われる。ところが、中小企業、零細企業は、商品あるいは店舗あるいは工場、これをいかにやられても何らそこに共済的な道すら開かれておらぬ。これは一例でありますけれども、事ほどさようにそこに最大公約数的な見方を中小企業に対してした場合に、農業と中小企業にあまりに格差があるのじゃないか。大企業と中小企業の格差はもとよりでありますけれども、農業と中小企業、特に零細企業を比べてみた場合には、実によく似た点があるが、それに対する対策について、あまりに格差があるのではないか。また、ある意味におきましても、不渡り手形の問題でありますが、何ら日ごろ自分には欠陥なき健全経営をしておりましても、社からくる不渡り手形、かりに五百万円にも及ぶ不渡り手形が出ますというと、健全経営をいかにやっておった中小企業でも もう一夜にしてつぶれる。これはもう全く風水害あるいは台風にやられるのと同じようなことなのでありますが、これらに対しても、何ら共済的な行き方というものがない。福田通産大臣御指摘になって、業界自身要望があるのかどうか、はたしてそういう熱意があるのであろうかどうかであろうかというような点についても、一まつ考えさせられるものがあるというお話でありましたが、業界としては、いまの台風に対する共済あるいは人的災害として最もはなはだしい不渡り手形等に対しての共済的な行き方というものに非常に熱望を持っておるのであります。これについては、むずかしい問題がそれぞれあることはもうよく知っておりまするけれども、しかし、これについてほんとうに、中小企業庁ともなれば、福田名通産大臣の指揮下において、真剣にこれを研究するその気魄があってもらいたいというふうに思うのであります。そういう点で日ごろ大いに敬意を表しております——たまたま、またきょうは基本的な問題になってきたものでありますから、その点を特に申し上げて御所見を伺っておきたいと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/27
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028・福田一
○国務大臣(福田一君) 順次お答えを申し上げたいと思うのであります。
これはまあ基本的な問題でございますから、私が何か言いわけのようになるとお思いになったら、これは実は私のことばの足りないところであって、私の本意ではないわけであります。これはやはり人間の性格というものが出まして、私はわりあい用心深いというか、そのかわり約束したことはやらなければいけない、言ったことはするのだというのが私の信念であります。だから言うことがあまり慎重過ぎるというか、それが非常に誤解を招く場合もなきにしもあらずだと思っておるので、私の不明のいたすところでございまして、おわびをいたさなければならないのですが、まず、先ほどもお話がございましたが、中小企業の持っておる性格というものも、大体中小企業というものがこれまたなかなかむずかしい。実は定義からして私は中小企業というのは非常にむずかしいと思っておるのは、よく二重構造ということを言われるのですが、私は二重構造という意味がよくわからない。中小企業というと、すぐ二重構造だとこういうことを言われる、大企業と中小企業の。これは下請企業だったら話はわかるのですけれども、下請企業がない中小企業だったら二重構造も何もありゃしないので、みんなただ並んでいる。資本金か人の関係で並んでいるというだけで、特に構造上の、二重の構造があるというような性格のものではない。もしあるとすれば、それは下請と親企業というならこれは確かに二重構造というものはあるのだが、中小企業というもののうちには、商売のようなものもあり、これもチェーン・ストア的なものとそうでないものと、こう分ければこれは一つの考え方が出てくると思うのであります。そこら辺に、大体中小企業問題を取り扱うといっても非常にむずかしいところがあるし、それからまた、中小企業というものの——農村の場合におきましては、先ほども申し上げましたが、これは食糧をつくる、その食糧というものは絶対的なものだ、これはもうどうしても必要なものだと、こういうことなんです。ところが、中小企業の場合には、やっておる人も、自分がこれをやれば金がもうかる、これで生計を立てるというのでおやりになるのだが、それでは、たとえば例をとってみると、町の中に二軒呉服屋さんがある。一軒でも済む。絶対に呉服屋さんが二軒なければいけないという理由というものは、そこに社会的に出てくるかというと、これはなかなかむずかしい。ところが食糧の場合は、それをつくらなければ非常に困るという問題があるのですが、呉服屋さんは、かりに町中に十軒ある、それを九軒にしたらどういうことになるか、それでも済むかもしれない。不便なところは出てくるかもしれないが、済むかもしれない。こういう問題がある。ここら辺に私は中小企業の場合いささか——そのかわり、農村の人なんか、そう急に金持ちになるとか、そういうふうなことはできません。企業をやっている人は、波に乗れば一ぺんに中小企業が大企業に伸びられるチャンスを持っている。これが非常に農村と違うところがあるのではないか、性格の違うところが。ここら辺にも農業関係者が団結するゆえんがある。自分らはこの程度しか伸びられないというので、みんな一緒になって団結しよう。けれども、中小企業の場合には、どうしても自分が大企業に伸びようという意欲があるから、ほかの人は落としてでも自分は伸びようという感じがあって、なかなかそこら辺の団結力がないこと等が私は一番大きな隘路になっているのではないかと、こう思っているわけでございます。いろいろそういうことを申し上げることは、では中小企業に熱を入れないのか、そういうことではないのであります。私はやはり中小企業というものも、時代の波に応じて、その時代にふさわしいものとして残していく、そしてそれに移り変わるような方途というものは、どうしてもこれは講じなければならない。それはわれわれの責務であると思いますから、これはやらなければいかぬと思っておるわけであります。
それから手形の問題がちょっといま出たわけでございますが、手形の問題も、実は一昨日中田さんから御注意がありました例の東京発動機の問題が、衆議院の商工委員会で実はありましたが、そこでもいろいろ私、話をしたわけなんですが、確かに罪なくして不渡り手形を受けた人はかわいそうじゃないかという問題、それはもうごもっともなことなんです。しかしながら、やはり一応どこと取引するかということは、これは自由になっているので、それを自由に選んだというのまでも、そこと取引しなければ不渡りはなかったじゃないか、そういうものまでも全部の責任を国が持つ、そうしてその不渡り手形に対しては何らかの措置をする、金融をつける、金融をつけるということになれば、銀行としてみればその会社へ——いま私は実はそういうことも何とかくふうがないものかと考えておるのでありますが、その手形の問題。そうすると、どこにやらせるかということなんですね。ここでたとえば公団なり公社なりに——一般の市中銀行にそれをやれといっても、これは命令権がございません。それでは政府関係機関がそういうことをできるかというと、これもできません。法律の範囲内でしかできませんから、できない、実際に。それじゃ金融でやる、金融でやる場合に、必ずこれは取れるかどうかわからない。わからないのに、日本銀行がある市中銀行に対してこれだけ金をつくってやるから、これをおまえらその分貸してやれ、こういうことをしたら、これはやはり法律でもつくらなければならぬわけです。そういうことをするならば。そこで、そういう法律をつくるというたてまえで考えてみた場合に、損害が起きたらどういうことになるか。損害が起きたら国が負うんだということにいたしますというと、その国が負う金は国が出すわけでありますが、その金はだれが出すんだということになると、労働者、とにかく税金から出すわけです。そういう場合に、金をもうけてどんどんもうかったときには、税金を納めているのではないかといいながらも、どんどん成長して中企業から大企業になったときには、そのおかげでなったんだということになれば、そういう人はもっと考えてもらわなければいけないのではないかという一つの理屈がつくかもしれないし、大体そういう税金で出したものを、企業の自由、営業の自由という原則を認めておいて、自分でやったことを全部負担していいことか、負担させることが正しいかどうかという問題が出てくると私は思います。私たちが政治をやる場合においては、法律で認められた限度においてやらなければならない。なかなかそこのところの具体的な内容がつかめない。だから、私としては発言は慎重にならざるを得ない。やりますと言って越権行為はわれわれとしてはできないわけですから、そこに非常に悩みがあるというわけで、無過失でやった人を何とか救ってやらなければしょうがないじゃないかという気持ちは、私もそういう気持ちを多分に持っておるということを申し上げたいと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/28
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029・豊田雅孝
○豊田雅孝君 台風関係の共済はどうです。中小企業の。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/29
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030・福田一
○国務大臣(福田一君) そこで先ほども、私は台風の場合においても、食糧をつくっておる人と商売をする人とは差がある。というのは、その商売が中小企業の持っている重要性というのは——重要性にもいろいろですけれども、みんな生活をする権利を持っております。そういう意味では重要なことは平等ですけれども、ただそれが絶対必要であるかどうかという認定の問題について、農業とそういう販売業、いささか相違があるんじゃないでしょうか。そこら辺に問題がある。そこに問題がある。それからその場合に、中小企業の人ならどんどんもうけてどんどんいけるあれがあるけれども、農業の場合は、その率が少ないというようなことが、これが法律の面でそういうことを議論したわけじゃないが、いままでそういうふうになっているのは、そういうことで、たとえば農業をやっている人はそれを売って商売をするということは非常にむずかしいけれども、商売する人は一ぺんどこか行って商売する、商売というものは土地とくっついていないから、移転の自由があるんじゃないか、こういうことも考えられる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/30
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031・上原正吉
○上原正吉君 私の質問にもひとつお答えいただきたい。
私が御質問申し上げたのは、政府の中小企業対策は、いろいろといまお話の国民の税金を使って、国民の膏血をしぼった税金を使って、中小企業にいろいろと金をつぎ込むそのつぎ込み方が、つぎ込んだ結果どうしようとするのかということがわからない。つまり零細商工業、それにどんどん金を貸して、あるいは補助して大企業に育て上げるというのが中小企業の対策なのか、あるいはそのまま、中小企業は中小企業のままで、あたかも農業のごとく中小企業は中小企業のままで、そのまま経営が成り立つような保護指導をやっていくのか、どちらなのかということを伺っておるんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/31
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032・福田一
○国務大臣(福田一君) 実はそれを申し上げないで失礼いたしました。
私は考え方は両方あると思います。その業種によって違うと思う。そうしてそれは時勢がそういうものを必要とする場合は、たとえば輸出産業のようなもので、中企業でちょっといま始めたばかりだ、だけれども、これは機械なら機械で優秀なものだ、伸ばせば幾らでも伸ばせるという場合は、当然どんどん伸ばして大企業まで伸ばす育成方法をやるべきだと思います。ところが、商売というようなことになりますと、町で商売をされているのをこれを大企業まで持っていこうといっても、とてもできぬのであります。だから、その形において安定してやはり生計が営まれるようなくふうをしてこれをやっていこう、こういうことになろうかと思う。私はその業態によると思っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/32
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033・上原正吉
○上原正吉君 まあそういうことになりましょうけれども、実際問題としては、ここにあらわれてくるこの中小企業六法なども、中小企業の中でもうっちゃっておいてもどんどん伸びていくような優秀な中小企業を保護することになる、結果において。ということは、ほんとうに零細な企業はこれのために滅びる。中小企業が百なら百あって、その中の二十か三十かの優秀な中小企業に、そこに政府の資金が、国民の税金が流れる、たださえ優秀な中小企業がますます強くなって発展する、そういう発展する仲間があるということは、それ以外の中小企業者は滅ぼされるという結果になる。それで、私はこういう政策がはたして真に中小企業救済育成の道になるかどうかということに常々疑問を持っておるのですが、これはどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/33
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034・福田一
○国務大臣(福田一君) 私は、その御議論も一つのりっぱなものの見方であると思います。しかし、必ずしもそうとばかりも言えないと思いますが、零細企業に対するもう少し手心といいますか、そういう問題を考えていかなければならぬものがあるのだ、こういうことでございますれば、ごもっともだと思います。ただ、零細企業の場合においては、零細企業をそのままにやはり認めておいてやらせたほうがいい場合もある。実際には、たとえば、だんなさんはおつとめに行っておって奥さんが店番をしているというような零細企業というものは、いなかなんかにはずいぶんあると思います。そういう場合には、また息子さんのほうは都会に出て働いておる、こういう場合等々となりますと、はたしてその企業をそのまま残すためにうんと努力するのがいいのかどうかということも、これは私は問題になってくるだろうと思うのです。おとうさん、お年寄りが死んでしまった場合に、息子がせっかく東京で働いているのをいなかに帰して仕事を継げなんというようなことがいいかどうか、私はそういうことにはならないと思うのです。そういうふうにいまやっている間は、とにかく一応生活を守るという意味でわれわれとしてはある程度のことをしなければならぬが、それがそれをそのまま育成するというたてまえになるかどうか。しかし、その場合にもそういう家が三軒なり五軒なり一地域にあり、それが全部なくなってしまったらその住民は困りますから、そうすると、また別の人が出てきてやる場合もあるだろう。あるいは東京からだれか帰ってきてやる場合もあるだろう。そこら辺にいろいろ問題があるだろうと思いますが、それがいま産業構造が変化しているときの姿だろうと思うのです。徳川時代なんかですと、おやじが二百年でも三百年でも酒屋をやっておれば、しかも、まじめにやっておれば、それでどうにかやっていけた、また、それ以外の道がなかったというときと、それといまとは時勢が違う。それが開放経済に向かっての一つの産業構造の変化が起こりつつあるのではなかろうかと思うのです。したがって、業種と業態によって政策を変えていかなければならない。また、地域によって変えていかなければならないというような、非常な複雑性が中小企業問題の中に含まれているのじゃないか。まあそれをあまり言うとおしかりを受けることになるのでもう申し上げませんけれども、そこに非常にわれわれの悩みがあるということを実は申し上げた次第であります。しかし、何とかしなければならぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/34
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035・上原正吉
○上原正吉君 大臣のおっしゃることはよくわかりますけれども、私が疑問に思うのは、実際に提案されてわれわれが審議しております法律案あるいは予算関係のその他のことごとくが、どちらを向いておるのかということがよくわからないときには、つまり中小企業対策というものは、これは産業の保護育成策なのか、あるいは社会政策なのか、両方のものを含んではおりましょうけれども、そのプリンシプルが確立されていない、こういうことを申し上げたわけなんです。
〔理事赤間文三君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/35
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036・福田一
○国務大臣(福田一君) これはわれわれとしては産業政策というたてまえをとっておるわけでありまして、社会政策とか、福祉政策とかという面からはこれは考えていない、こういう考え方でおるわけでありますが、しかし、先生の言われるように、中小の小の分に対する手当てが少し足りぬじゃないかということは、われわれもよくわかる。それで、これは今後大いにひとつ努力をしなければならぬと考えておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/36
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037・近藤信一
○近藤信一君 先ほど来関連質問で、与党の委員の方々がだいぶお尋ねになりましたが、特に私は、通産大臣が、みずから中小企業を営んでおられる方について、また、中小企業問題については熱心だと私は信じている。非常にこの中小企業問題が重要性を持っておるということも、大臣も御承知のとおりだと思うのです。先ほど来大臣が留守の間に、長官にもいろいろ基本的な問題でお尋ねしたのですが、それは高度化とは何ぞや、近代化とは何ぞやということと、もう一つは、補助金と助成金の問題、これでいろいろとお尋ねをしておるのですけれども、私頭が悪い関係か、どうも納得がいかない。先ほど来、関連質問の中でもいろいろと言われましたが、農林水産関係については、私ども聞くところによると、相当の補助金、この補助金とはくれてやるということで、これは相当与えている。ところが、事中小企業問題に対しては、これは新しい関係もあるかもしれませんけれども、なかなかもらうという補助金のほうは非常に少ない。また、そして近代化資金助成法の問題を見ましても、近代化と高度化との使い分けが非常に多い。たとえば高度化資金の貸し付けの問題に対しまして、これは同じ都道府県がやることでございまするが、工場やそれから店舗の集団化、それから団地の造成、こういうことに対しては、高度化資金のほうではこれは貸し付ける、こういうことになっておるわけですね。それから一方、今度は設備近代化資金の関係で言うと、同じ都道府県でやる仕事でございまするけれども、これはやはり同じような事業をやる上において今度補助金を交付する、こういうふうにもなっているのです。近代化のほうには都道府県へ金をやる、高度化のほうでは貸し付ける、こういうふうになる。その高度化と近代化の面について、先ほどいろいろと尋ねておったわけですが、この個人に何もくれてやれとは私は思わない。ただ、そういう団体に対してほんとうの補助金というものを出すような方法を考えたらどうか。いわゆる近代化させる、それから集団化をやれ、それ何をやれと言われるけれども、やりたくても実際補助金じゃございませんから、どうしても利子を払って借りなければならぬ、こういうことになると、なかなかやりにくいという感じもございます。特に通産関係におきましては、輸出関係だとか、またジェトロだとか、そういう面について補助金もやっておられまするけれども、私は実際中小企業が今日いろいろな方面から困っておって、やはり中小企業を実際に育成するということであるならば、貸し付け制度ではなくて、実際の補助金制度、こういうことで考えるべきではないかというふうに思うのです。先ほど来皆さんが、この点に農業関係と比較していろいろと御質問をしておられましたが、ひとつこの点について大臣から考え方を——先ほど政務次官は自分の意見というものを述べておられましたが、大臣のひとつ考え方をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/37
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038・福田一
○国務大臣(福田一君) これはまことに失礼なお答えになって恐縮ですが、私は、これはいろいろ予算を取る関係とか、あるいは従来の経緯とかというようなもので、ことばというものは使用されておる例が非常に多いと思うのでありまして、事務のほうで言うておるのに従って、私は、長官がお答えしたとおり、私としてもお認めを願いたい、こう思うわけであります。ただ、政策面についてこれは言われるのなら、これはまた別問題でございますが、こっちのほうは貸し付けをしておいて、こっちのほうはくれてやる、おかしいじゃないかというようなことは、これはまあいささか、私逃げるというわけじゃございませんが、事務のほうにまかせませんと、そこまで私のほうで一々こまかいことまで、法理論的な解明というものは、なかなかちょっと私としてはいまここでお答えいたしかねる、違ったお答えはいたしかねる、お答えをすることは、長官が申し上げたとおりでございますと、こうお答えをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/38
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039・中野正一
○政府委員(中野正一君) ちょっと私から申し上げますが、先ほど来、従来の助成のやり方では、まあ一種の政策的に行き詰まりにきているのじゃないか。もう少し新しい観点から、たとえば農業関係の予算のつけ方ですね、等等を参考にして中小企業対策も二歩前進するためには、新しい観点から見直すべきじゃないかというような御発言だろうと思うのでございまして、この点につきまして、私の、自分で実際仕事をして感じている点を御参考のために申し上げますと、従来の中小企業の助成政策というのは、ほとんど全部が府県を通じてやっておるわけです。したがって、くれてやるにしても、貸してやるにしても、府県がやはり国が出したと同額の金を出す、こういう形になっておる。ここが一つの問題でございまして、本年度の予算執行がどうなるか、これはいろいろとやってみなければわかりませんが、府県によりますと、国からそれだけ助成してもらっても、それと同額の金が、予算が取れないからお断わりする——全部断わるのじゃありませんが、そういうような府県も出てきはせぬかというふうに私は考えております。その意味におきまして、一つは、府県に対する補助率あるいは助成率というようなものについて、力のある県と力のない県、財政力の豊かな県とそうでない県、したがって、財政力の豊かな県はどんどん対策をやっていく。たとえば大阪府あたりはどんどん白金で国の助成以上にやってやっておる。この間もちょっと聞いたのですが、中小企業関係の予算が、本年度は九十億ぐらい、大阪府だけでなるという話を聞いてびっくりしたのでが、これは国から幾ら金を出しても、どんどん同額あるいはそれ以上の金をつけてやる。それですから、富裕でない県の中小企業対策をおろそかにしていいかというと、決してそうでない。むしろそういうところまで中小企業の振興を大いにやらなければならぬという問題が一つある、これをどうしていくかということ。それからもう一つは、いま言われた補助金制度ですね、こういうものはやはり農業関係なんかは相当手厚いやり方でやっておりますので、もう少し中小企業についても、やる余地がありはせぬか。ただその場合には、先ほど大臣がおっしゃったような中小企業全部についてこうやるということをわれわれ幾ら言いましても、これはなかなか政府の中でも、与党の中でも通りませんので、その点をやはりもう少し業種別にきめこまかく実態調査をして対策を立てる、たとえばの話でまことにあれで、いまちょっとこの間から気がついていることですが、業種別の近代化計画等をつくっていろいろやっていくと、私は必ず事業転換をせんといかぬという面が、これは何も頭から昔の、戦争中の企業整備でなくて、自主的にみな計画をつくって、政府にも相談して、組合としてやっていかれるわけですが、必ずその中で勝ち組と負け組が出てきて、脱落組が出てくる、これに対してどうするかということを考えないと、ほんとうの意味の近代化計画はできないのじゃないかというふうに考えております。そういう点については、もう少し国で従来のやり方と違った、これはアメリカあたりでは、アメリカの法律をごらんになるとよくわかりますが、わりかたそういう産業の転換という点については、しっかりした政策をケネディ時代に立てております。ああいうものを参考にしてわれわれはもっと考えていかなければいかぬのじゃないかというようなことでおります。
それから府県によって、いろいろ助成が違う、これも先ほどちょっとおっしゃったのですが、県によって、福岡県あたりはなかなか、商工予算をつけようとしても十分についてこないというような問題がございまして、そこらはちょっと府県の事情事情によって、中小企業対策の優劣というか、薄さ厚さがあるというようなことをなくすというような、そうなると国が直接何らかの機関をつくってやらなければならぬ。たとえば先般法律を通していただきました指導センターは、各府県につくって、国がもう少し直接の助成をふやしたらどうか、こういうふうな説をもって、そして統一的な中小企業対策をもう少し府県にまかせっきりにしないでやったらいいじゃないか、こういう点から反省してかかる必要があるんじゃないかと、こういうふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/39
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040・近藤信一
○近藤信一君 もう時間もだいぶん回ってまいりましたし、一時から石対委員会があるそうですから、最後に大臣にお尋ねするのですが、これは去る二月二十八日に衆議院において、わが党の島口委員の質問に対して、これは池田総理が答弁しておられるのですが、本来ならばこれは池田総理にお尋ねするのですけれども、まあ池田総理の信任が厚い通産大臣ですから、特に通産大臣にお尋ねをするのですが、池田総理は、近代化資金を無利子で貸し付けているのを二分か三分ぐらいの安い利子をつけることにして、そしてもっと資金を多くすることにしたいというふうな御答弁をしておられる。そういたしますると、やはりこの無利子云々という今度の法案がございますけれども、これは幾ら安い利子でも、利子を取るということになれば、これはまたそこに問題が起ころうかとも思うのです。農林関係の補助金の問題で、先ほど来いろいろと言われておる、そういう関係から中小企業関係については、なかなか無利子の問題、補助金の問題等もう少しめんどうを見れば、もう少し前進的な対策がとられるんじゃないかとも私ども思っておるのですが、こういう池田総理の考え方ですね、池田総理の考え方からいって、はたして中小企業が将来の前進というものがあり得るかどうか、こういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/40
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041・福田一
○国務大臣(福田一君) これは、池田総理がそういう御発言になったことは承知いたしておりますが、予算編成のときにも、このことはときどき実はわれわれの間においても問題にしたところであります。それはどういうことかといいますと、いまの中小企業は金に困っておる、金自体に困っておるので、無利子であろうと——利子が高くては困るけれども、無利子の金を五十億借りるよりは、二分か三分金利がついてもいいから百五十億貸してくれ、これほど金に困っておるんじゃないか、だから金融をよけいつけるという意味で金利をつけてもいいから、資金ワクのほうをふやすという考え方のほうが正しいじゃないか、こういう考え方と、やはりほんとうに近代化していくという意味では、金が足りないところにつけていってそうして近代化するということになる、だから無利子でやるほうがいいのだ、たとえばもう二百万か三百万、たしか限度があったかと思いますが、平均百万円なら百万円ということで無利子ということにいたしますと、そこへ今度は銀行からもう百万、九分の利子で借りれば四分五厘の金を使うことになりますね、まあそういうことになる。ところが、二分の金利で二倍の二百万たとえば貸してやったということになれば、そのほうが二分の金利だから安くなっていいじゃないか、こういう考え方もなきにしもあらず。そこで、それは資金ワクがとれるかどうかという問題に逆にかかってくるわけでございますから、そこで総理としては、いまの中小企業はどちらかといえば、金利もさることながら、無利子の金よりも何よりも、よけい金を貸してもらいたい、銀行金利より安く——安くといっても五分か六分よりもせめて二、三分くらいまでならまあいいじゃないか、融資ワクをよけいにしてもらったほうが喜ぶのじゃないかというような意味の発言をされたのではないかと私は理解しておるのでありまして、いわゆる補助金問題、中小企業に補助金を出すか出さないかの問題に関連をして発言をされたんじゃないと思いますから、その点はそのように御理解を賜わってけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/41
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042・近藤信一
○近藤信一君 もう一つ、先ほど来の字句の点で質問しておきたいのですが、これは法律を審議する中でこれまた出てくる問題ですが、合併だとか、共同、それから協業とあるんですね。協業化というのをちょいちょい中小企業関係で私見るんです。合併、協業化それから共同化、こういうふうな関係はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/42
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043・中野正一
○政府委員(中野正一君) 確かに、いろいろなことばを使っておりましてまぎらわしいんじゃないかという御指摘でございますが、いまおっしゃったうちで協業化ということばは、たしか法律では使ってないというふうに私は思っております。事業の共同化、たとえば高度化資金を貸す場合は、事業の共同化をするという場合、これはもちろん一部の事業を共同化する場合と全部とございますが、あるいは店舗とか、工場の集団化ということがあがっておりますが、まあ共同化と——この間もどこかで質問を受けたのですが、協業化ということばをよく——いままで共同化とか共同施設といっておったのですが、協業化というのはどういうことを言うのかというので、いろいろの見方がありまして、ある人は、共同化というのはどっちかというと、下のほうから盛り上がってみんながまとまって一緒に仕事をやろうという従来のやり方であって、協業化というのは、最近の情勢に応じて、むしろ理事長とかがリーダーシップをとって、たとえば、あるところで工場を集団化しまして移転をして、そうして分業化をさせる、機械なんかありますね。ある人は溶接専門にやる、ある人は機械加工を、ある人はプレスをというようなことで、しかも、全体として一つの機械関係の仕事、まとまった仕事をやるというふうな、そういう協同組合もございます。大阪方面に。これは近畿機械協同組合と言っておりますが——そういうもので、ポンプならポンプの仕事を請け負うとそれを分けまして、そうしてプレスの人はプレス、溶接の人は溶接と、こういうことをやって、そういうのが一種の協業化じゃないかと言っております。新しい。そういうことを言っておりますが、私のほうはそういう解釈を必ずしもとっていないのでございますが、いずれにしても、法律では共同化ということで、広くいま言ったような協業化、最近ある人が言った協業化も含めて共同化と言っております。それでたとえば予算のほうで商工業の協業化資金というふうに言っている場合には、これは法律ではありませんが、従来からいっております共同施設の資金、それから企業が合同する場合の金、合同の場合には、合併かあるいは両方が出資をして共同の別会社をつくる、こういう両方の場合がありますが、この金は、いまのところ企業合同をする場合の資金について助成をするという予算はありますが、中小企業はなかなかこういうことをいやがって、御承知のようにやらないのですね。それでこれは使っておりません、予算にはありますが。それから小売り商業の店舗共同化、これは全部使っておりますが、そういうものを含めて予算では協業化資金ということをいっておりますが、それ以外に商業、工業のいわゆる団地化ですね、これは集団化資金ということでいっております。そういうふうにいろいろことばを使い分けておりますから、おわかりにくいかと思いますが、そういうことでございますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/43
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044・近藤信一
○近藤信一君 私は、そういう新しい文字というのか、新しい熟語というのか、中小企業関係にずいぶん出てくるものだから、字引き引いて調べたのだけれども、共同化、合理化ということはあるけれども、協業化だとか、高度化だとか、そういうことは別にないわけですが、まあ池田総理の革新的というのは、そういう新しい熟語を使うことが革新的かどうか知りませんけれども、ただ熟語だけが革新されるのでなくして、私はもっとほんとうの中小企業が前進するそういう施策というものが必要だ、こういうふうに思うので、まあ、いつまでも字句の問題でお尋ねしておっても切りがございませんけれども、やはり私どもはこの法案を審議するにあたりましても、まぎらわしい点があるとどうも間違いやすい点もあるので、そういう点も十分ただしておいて、後日また法案の内容についてはいろいろ質問もいたしたいと思うのでありますが、きょうはこの程度で終わることといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/44
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045・前田久吉
○委員長(前田久吉君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/45
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046・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 速記をつけてください。
他に御発言もなければ、三案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、これをもって散会いたします。
午後零時四十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01819640402/46
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