1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月七日(火曜日)
午前十時三十三分開会
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委員の異動
四月二日
辞任 補欠選任
大森 創造君 大矢 正君
四月七日
辞任 補欠選任
小林 英三君 安井 謙君
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出席者は左のとおり。
委員長 前田 久吉君
理事
赤間 文三君
上原 正吉君
近藤 信一君
田畑 金光君
委員
岸田 幸雄君
剱木 亨弘君
豊田 雅孝君
八木 一郎君
安井 謙君
吉武 恵市君
阿部 竹松君
大矢 正君
椿 繁夫君
中田 吉雄君
藤田 進君
鈴木 一弘君
国務大臣
通商産業大臣 福田 一君
政府委員
大蔵省銀行局長 高橋 俊英君
通商産業政務次
官 竹下 登君
中小企業庁長官 中野 正一君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
参考人
中小企業金融公
庫総裁 舟山 正吉君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○中小企業近代化資金助成法の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
○中小企業金融公庫法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○中小企業近代化促進法の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/0
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001・前田久吉
○委員長(前田久吉君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
まず、委員長及び理事打ち合わせ会の協議事項について御報告いたします。
本日は、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案外二案審査のため、参考人の出席を求める件の御決定を願いました後、中小企業関係三案につきまして、政府側及び参考人に対して御質疑を願い、本日中には討論採決を行なうこととなりましたから、御承知願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/1
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002・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 次に、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案、中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案及び中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案、以上三案審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/2
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003・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 御異議ないものと認めます。
なお、その日時及び人選等につきまして、これを委員長に御一任願いたいと存じますか、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/3
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004・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/4
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005・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 次に、中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案及び中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。前回に引き続き質疑を行ないます。
なお、本日は政府側のほかに中小企業金融公庫総表舟山正吉君が参考人として出席されております。
御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/5
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006・大矢正
○大矢正君 私は、公庫に関係をして二、三お伺いをしたいと思います。
公庫から月報で業務の状況については出されておるようでありますが、この際参考のために、最近の中小企業金融公庫の業務の概況、特に三十八年度の業務状況等について、御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/6
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007・舟山正吉
○参考人(舟山正吉君) 中小企業金融公庫の最近の業務概況について申し上げます。
最近の資料と申しますと、二月の資料を手元に持っておりますが、本年度の貸し付け高は、二万六千三百六十七件、その金額は千百六十三億九千万円でございます。これを代理貸し付けと直接貸し付けに分けてみますと、便宜構成比で申し上げますが、直接貸し付けば三五・三%に相なっております。それから設備資金と運転資金の区別でございますが、これも比率——構成比で申し上げますと、運転資金が一三・九%、設備資金が八六・一%になっております。直接貸し付けをふやしますのは、公庫のここ数年来とっております方針でございまして、ことしは三五・三%になった次第でございます。それから運転資金のほうでございますが、昨年の暮れ以来、市中の金融が引き締まりましたため、元来設備資金の供給を公庫としては力を入れているのでございますが、便宜この長期運転資金につきましても、できるだけ便宜をはかります方針をとりまして、一三・九%という率になっている次第でございます。
それから最近の市中からの融資希望でございますが、これまた市中の金融の逼迫の影響を受けまして、融資相談もふえております。前年同期に比べまして八、九割はふえている。それから融資相談と申しますと、とにかく御相談にお見えになる件数を総計したのでありますが、公庫がどういう金を出せるかも御存じない方があるわけで、御説明の結果、まあ公庫から出せるということを確認いたしまして、借り入れの申し込みをなされた方々も、昨年同期あたりに比べますと、六割ぐらいはふえているといったような状況でございます。
最近の大きな傾向といったようなものを、一応御説明申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/7
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008・大矢正
○大矢正君 いまあなたの説明があった千百六十三億円の貸し付けというのは、三十八年度のことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/8
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009・舟山正吉
○参考人(舟山正吉君) そうでございます。これは二月末までの計数でございます。すなわち三十八年度四月から二月までの計数でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/9
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010・大矢正
○大矢正君 次に、この代理それから直接貸し付けの比率の推移でありますが、これは最近五カ年間の経過はどういうようになっているのか、それから設備資金、運転資金、これも同様に比率は五カ年間にどういう推移をたどっているかということが一つ。二番目は、三十九年度の事業計画はどういうことか。それからいま一つは、貸し出し金利の利率をひとつこの際、段階がいろいろあるでしょうが、お答えをいただきたいと思います。それから四番目には、国庫に対して、利益金が生じた場合には納付をするということになっているが、過去においてそういうことがあるかどうかということを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/10
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011・舟山正吉
○参考人(舟山正吉君) 第一のお尋ねの、代理貸し付け、直接貸し付けの比率——構成比の推移でございますが、ここ二、三年の間に直接貸し付けの比率がふえてきております。三十七年度はたしか直接貸し付けは三二、三%であったと思いますが、本年度は三十六%を目標にしてやってまいりましたが、代理貸し付けの需要も多かったので大体三五%見当に落ちつくと思います。それから来年度は、三十九年度は四〇%くらいに持っていきたい、行く行くは五〇%、つまり直接貸し付けと代理貸し付けを半々くらいに持っていきたいという計画でございます。過去の推移につきまして表もございますので、御質問に応じまして後に御説明申し上げたいと思います。
それから設備資金と運転資金の率でございますが、これは市中の景気の状況によりまして非常に波動を示す数字でございます。すなわち、経済が成長の度を高めまして、先行き設備投資が多く要求されるというときには、当公庫といたしましては、勢いその企業者からの借り入れ希望に応じまして、設備資金の比率が高くなるのでありますが、景気沈滞期あるいは調整期におきましては、将来に向かって設備投資をするよりも、さしあたっての経営安定のための長期運転資金の需要が多くなるので、これは大体運転資金は総貸し出しの一〇%から二〇%の間を財界の状況に応じまして波動するのでありますが、ただいまのところは一四%くらいになっている次第でございます。
それから来年度の資金計画でございますが貸し出し規模を千三百七十五億円とおきめいただきました。これを年間に割り振るのでございますが、年度後半につきましては、また資金の増加をお願いすることもあろうかと思いますので的確な計画は立て得ませんが、さしあたって第一四半期、すなわち四月から六月までの間の計画といたしましては、金融情勢をも勘案いたしまして、その二五%三百四十億円を第一四半期に割り振るということにいたしております。その後の情勢の変化がありますれば、さらに資金計画を改めまして、主務官庁の御認可を得たいというふうに考えております。
貸し出し金利につきましては、基準金利は年九分でございます。この基準金利は、ここ数年変わっておりませんが、しかし特定の政策目的を有します融資につきましては、実質七分五厘まで軽減するものもございますし、また六分五厘のものもございます。すなわち、例をあげて申しますれば、輸出振興のための融資でありますとか、あるいは特定機械工業の振興のための融資でありますとかは、基準金利は九分でありますけれども、実質七分五厘に軽減するように計算して、これを供給しておる次第でございます。それから六分五厘の例といたしましては、石炭鉱業その他につきまして例を見るのでありまして、また災害復旧融資といったようなものにつきましても、閣議の決定を経まして六分五厘までそれを軽減しておるような次第でございます。
それから公庫の国庫納付につきましては、大体仕組みは、公庫の償却前利益から固定資産の償却引き当て金を引き、さらに滞り貸し償却のための引き当て金を引いたゆとりがあれば、国庫にこれを納付することになっておるでございますが、現在のところ滞り貸し償却引き当て準備金に繰り入れます額が政府のお認めになります額以内でありますので、したがって国庫に納付することなく、この数年を経過しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/11
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012・大矢正
○大矢正君 先ほどのあなたの説明の中に直接貸しと代理貸し、特にこの中では直接貸しの比率をふやしていきたいというお説でありますが、そこで代理、直接を問わず、公庫が融資される場合には協調融資が原則であろうと私は思うのでありますが、で全額あなたのほうがお貸しになるということはないとは申しませんが、例が非常に少ないだろうと思う。そこであなたのほうで直接貸しを比率において高めていこうとする本意は一体どこにあるのか、この点お伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/12
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013・舟山正吉
○参考人(舟山正吉君) 中小企業金融公庫の与えられた使命といたしましては、長期の資金であって、市中金融機関が十分に供給し得ないものを補完するというたてまえでございます。その意味で公庫の融資は設備資金が中心になりまして、必要な運転資金はその大部分を市中金融機関でまかなってもらうということになるわけでございまして、この意味において協調融資ということばを使ってよろしいかと思いますが、大体長期の資金は公庫が低利でもって供給する、それから短期の非常に出入りの多い資金は常時当該企業に密着しております市中金融機関がこれを供給する、こういうたてまえでございまして、両々相待って企業の安定、振興に資してまいるたてまえであるのでございます。今後もそのたてまえは変わらぬわけでございますが、直接貸し付けをふやしていきたいという趣旨につきましては、代理貸しですと、全国に散在いたしております代理店を使いまして、中小企業者にとりまして非常に近寄りやすい、また比較的手軽に金を借り入れられるという特色もあるのでありますが、しかし、政府といたしまして、政府の資金を政策の目的に十分役立つように貸し出しますためには、何と申しましても公庫みずからの手で企業者の借り入れ希望を審査し、政府の政策に即応するかどうかということを確める必要があるのでございます。したがってそうなりますと、また金額も代理貸し付けで行なっておりますよりも多額の金額を供給しても差しつかえないということになるわけでございます。この意味で数年来直接貸しの構成比をふやすべきであるという御意見が多かったのでありまして、公庫は支店網の整備、また関連職員の養成ということと相まちまして、漸次直接貸しの比率を増していく方針でおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/13
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014・大矢正
○大矢正君 代理貸しの場合には、公庫としては、たとえば対象となる企業なり、個人の信用調査その他を直接行なう必要性がありませんから、そういう意味ではまあ手が省けるということにはなると思うのであります。反面直接貸しということになりますれば、そういう面で事務的な能力と機構というものが完備をしてこないとなかなか思うようにはまいりませんし、そういう意味でこれから直接貸し付けをあなたのほうでふやしていくということになりますれば、あなたのほうの機構の拡充なり強化なりという面でかなり思い切った措置を講じなければならないだろうというように私どもは察するわけであります。まあ代理貸しがいいか、あるいは直接貸しがいいかということになりますれば、これはいろいろそれぞれに長短ありまして、どちらが絶対的によくてどちらが悪いと一がいに判断を下すことはできないと思うのでありますが、ただ問題は、その直接貸しをふやしていくということになりますれば、先ほど来申しておりまするとおり、公庫としても十分な信用調査その他の機構の拡充ということが当然必要になってくるわけでありますが、その面についてあなたのほうで特別のお考えがあるのかどうか。まあかりに代理貸しを行なう相互銀行なり地方銀行というものの立場から見ますれば、代理貸しの比率を維持してもらいたいという希望があるだろうと思うのでありますが、しかし、その希望をあえてこの際否定して直接貸しに積極的に踏み切ろうということになってまいりますと、やはりそれなりの体制が必要であると、まああなたの説明の中には、直接貸しのほうがより政府の政策なり方針に密着をした形での金融ができるという考えがありましたが、たとえば代理貸しでも、あなたのほうで一件一件最終的には貸し付け先がどこであり、どういう目的と内容のものであるかということは審査をされるわけでありますから、あなたのほうの意に沿わないということはないと私は思うのでありますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/14
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015・舟山正吉
○参考人(舟山正吉君) 私のほうの考えでは、直接貸し、代理貸し、そのいずれもがそれぞれの意義を持っておると考えております。まあ代理貸しは個々の代理店の店舗の数は全国に五千八百近くございます。そこでこの金を借りられる中小企業者といたしましては、非常に近寄りやすいという関係になります。それから代理貸しでは、この政府の政策目的にそぐわないような貸し出しをやることがありはしないかという懸念もあるのではないかというお尋ねでありますが、これは公庫の職員によります代理店監査によりまして、これは事後でありますけれども、事前には送金依頼の場合にその目的等を十分審査いたします。それから事後には、監査部にまりまして事後監査をするというようなことで目的を達しておることははっきり申し上げることができるのでありますけれども、金額も大きくなるというようなことになりますと、やはり直接貸しの方式によりまして慎重を期する必要がある。そのほうがよりよく政府の政策の目的に沿い得ると、これは比較の問題でありますが、そういう効用があると思います。そこで、代理貸し、直接貸し、いずれもそれぞれ特色があることでございますから、行く行くはこれを半々くらいに持っていって、おのおのの利点を発揮させたいというふうに考えている次第ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/15
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016・大矢正
○大矢正君 代理貸し、直接貸し両方ありますが、あなたのほうで、かりに書類を受理してから実際に資金が貸し出されるまでの、代理貸しの場合、直接貸しの場合の平均的な日数はどのくらいかかっておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/16
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017・舟山正吉
○参考人(舟山正吉君) 直接貸しに伴います弊害といたしまして、審査日数が人手不足その他の関係で、非常におくれるじゃないかという御非難はここ数年来承っておるのでございます。そこで、直接貸しの場合の審査日数の短縮につとめました結果、三十八年度におきましては、申し込み受付から貸し付け決定までに大体平均いたしますと七十一日、そのうち審査に要します日数は六十五日というような統計になっております。これは早ければ早いほどいいのでありますが、中には複雑な案件もあり、また企業者のほうから書類をいただく場合にも、その書類の用意が整っておらないというような場合もございまして、こういうものを平均いたしますと、こういう数字になるのでございますが、また一面見方を変えて申しますと、三十八年度におきましては、借り入れ申し込みから貸し付け決定までに要します日数が三月以上のものが従来に比べまして非常に減りまして、大体一〇%くらいになっている現状でございます。これらは、三十七年度六年度には、これが三〇%以上もあったような状況であったので、これの短縮に努力した次第でございますが、今後もなおこの点につきましては努力を続けていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/17
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018・大矢正
○大矢正君 いま総裁から七十一日とかいうお話がございましたが、私ども聞いております限りにおいては、七十一日間程度で借りられるというようなことはあまり聞いていないのでありまして、早くても三カ月、長くなると半年というようなことを一応話としては聞いておるのであります。しかし、あなたのほうでせっかく御努力をされているのでありますから、さらに一そう御努力を願うこととして、ただ、この際希望しておきたいことは、かりに、希望の金額全額を借りられる場合もありましょうし、減額されることもありましょう。また、だめな場合もあると思いますが、そのいずれの場合を問わず、早急に公庫が結論を出して与えるということは、対象としての企業にとりましては重要なことでありますから、この際さらに一そう貸し付けまでに要する期間の短縮のためにひとつ御努力を願いたいと思います。
それから次に、金利の問題で御質問をしたいと思うのでありますが、いまあなたの御説明によりますと、基準金利は年九分、おおよそ九分程度が今日の公庫関係の金利のように私も承っておりますが、そこで、一例として輸出に対する金融、その金利が七・五%であるというお話であります。しかし、私ども調べてみますれば、たとえば、金額の多寡はありまするが、輸出入銀行の輸出に対する貸し出し金利というものは四%をわずか上回る程度ではなかったかと思っております。そういう面から見ますると、かなりこのお宅の公庫の金利というものは現実的には高いということが言えるのであります。それから基準金利の年九分にいたしましても、北海道東北開発公庫の金利は、私の記憶では年八分七厘だと思います。これらと比較しても、基準金利それ自身が高いということが言えるのであります。そこで、なぜ基準金利が高いかといいますれば、いまさら申すまでもなく、それは利子の伴わない、いうならば資本金が少ないということが一つにはあるだろうと思います。ですから、片や八分七厘の基準金利で貸し出しても、なお余裕が生じて国庫に納付をし、しかも、あらためてまた金利の引き下げをやりたいというような公庫もあれば、おたくのように年九分の金利を取りましても、なおかつまだ滞り貸しの積み立て限度に満たないから、当然の結果として国庫納付ができない——国庫納付の制度を私は言っているのじゃない、できない状態である。こういうような非常に均衡を失した形が、事実上国に関連をする金融機関の中であるわけです。
そこで、私は特にあなたにお尋ねをしたいのは、今日の政府の出資をもってして中小企業の満足のいくような金利で金を貸しておられるのかどうか。中小企業はあなたのほうの貸し出し金利で満足しているかどうか。そういう点についてのあなたの見解をこの際お伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/18
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019・舟山正吉
○参考人(舟山正吉君) お話のございましたとおり、中小企業の借りる金利は、低ければ低いほど好都合であると考えます。また貸すほうの立場といたしましても、日本の金利水準は諸外国に比べて高いのでありますから、国際競争力をつけるためにも、金利はできるだけ低い金利を出したいと考えておる次第でございます。それで私のほうのことだけ考えますれば、基準金利の九分をもう少し下げていただきたい。たとえば開発銀行の普通貸し付けの基準金利は八分七厘でございます。それ並みに下げていただきたいという希望を持っておるのでございますが、中小企業全体を考えますときは、私の想像でありますけれども、政府におかれましてもやはり政府関係三機関の均衡、そういう問題もあろうと思います。そこで特殊の目的をもちまして、たとえば輸出振興とかその他につきましては、特殊の金利をお認め願っておるわけでありますけれども、貸し出し基準金利としてはまだ九分の線が維持されておるという状況でございます。中小企業の立場で申しますと、先ほども申しましたように、金利は低いにこしたことはないのでありますけれども、これでも、政府機関から借ります資金というものは、例の問題になっております歩積み両建てというようなこともございませんし、長期の資金でございますので、さしあたりのところはもう少し政府資金の量をもっとふやしてもらいたいという希望のほうが優先しているように見受ける次第でございます。そう申しましたからといって、金利が現在のままでいいということを申し上げている趣旨ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/19
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020・大矢正
○大矢正君 開発銀行というのは、御存じのとおり主として大企業に資金を供給する金融機関でありますから、その金融機関の貸し出し金利が、もちろん基準でありますが中小企業金融公庫より安い、あるいはいま輸出の話がありましたが、あなたの説明のとおり、年間七・五%である。しかし、より大量の資金を供給する輸出入銀行の金利は四分ないしは四分をわずかに上回る程度である。もちろん中小企業はそれだけ危険率が高うございますから、公庫がかりに採算を考えたり、ないしはそういう危険を考えてものを見ますれば、なるほど大企業に金を貸す場合よりは金利が高くなければという理屈は成り立ちます。成り立ちますが、そういう考え方が根底に横たわっておる限りにおいて中小企業の金利というものを引き下げる方向は出てこないと思うのであります。ですから、私はやはりあなたのほうでもっと積極的に資本金というものをふやすために努力をする必要性があるのじゃないかと思います。そのことについてのあなたの見解をもう一回承っておきたい。どういうわけで、こういうような輸出入銀行とあなたのほうの同じ輸出に対する金融に差があるのかということ、それが一つと、それからいま一つは、私の記憶に間違いがなければ、あなたのほうの資本金というのは百六十億かその程度だったと思いますが、念のためにこの際お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/20
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021・舟山正吉
○参考人(舟山正吉君) 中小企業金融公庫の貸し出し金利は、設立当時は一割でございましたが、二回ほどの引き下げがございまして、現在基準金利九分ということになっておる次第でございます。それで先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、これはもっと下げていただきたいという希望は継続して持っておりますし、またこれを政府に機会あるごとにお願いしておる次第であることを申し上げておきます。それから資本金は、現在二百四十七億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/21
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022・大矢正
○大矢正君 あなたのほうの来年度の債券の発行ということに関連をしてお尋ねをいたします。もとよりこの法律が通って実行されることでありますが、いまのあなたの御説明によりますと、資本金は二百四十七億であると、そうすると資本金の二十倍ということになりますれば五千億近くになりますか、五千億近い言うなれば債券発行になる限度額というものが出てくるわけであります。そこで、三十九年度のこの法律が通った以降における債券の発行は、およそ百億円というふうに私聞いておりましたが、間違いがございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/22
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023・舟山正吉
○参考人(舟山正吉君) 三十九年度の中小企業債の発行予定額は百億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/23
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024・大矢正
○大矢正君 そこで、あなたのほうとしては——むしろ銀行局長にこの際お尋ねをしなければならぬのでありますが、債券の発行を認めて、言うならば貸し出しの資金量の増大をはかるということは、一見見た目には確かに中小企業に対する資金の供給が円滑になるということは言い得ると思うのであります。しかし、考えて見ますると、いま私が申し上げましたように、資本金の二十倍の額に相当する金額、これは単に中小企業金融に限らず、他の公庫でもおよそ二十倍ということが標準になっておりますが、五千億からの債券の発行を公庫に認めるということになりますと、それが日本の国の経済に及ぼす影響というものは、相当大きいと考えなければならぬのですがね。そこで、二十倍に当たる五千億に達する債券の発行というものは、およそ何年ぐらいで限度額にまで達するか。もちろん年々資本金がふえれば、それに伴ってふえていくと思うのでありますが、とりあえず二百四十七億ということを基準にして資本金の考え方を持っていった場合に、どの程度の年数を経て限度額に達するのか、その点銀行局長の金融全体の上から見た考え方をお伺いしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/24
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025・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) いまおっしゃいました五千億という限度でございますが、これは法律上の限度でございます。このような慣例といいますか、大体においては自己資本が五%というふうなことが金融上の一応のルールになっておるのです。つまり預金に対しても、大体自己資本金は五%程度を持つのが理想的であるということになっております。そういうことからしまして、通常債券発行をいたします場合に、発行額は逆に資本金の二十倍というような考え方をしておるわけでありますが、これはあくまで限度でございまして、そこまで是が非でも発行するというふうな目途を定めたものとも言えないわけでございます。中小公庫の場合に、さしあたり本年度百億というふうにきめましたのも、全体の政府保証債の発行の可能額、その中において従来いろいろ鉄道その他非常に大口の起債がございます。総額をどの程度に定めるべきかということが一応概計されまして、その中で中小公庫分を百億と一応定めた。これは他の一般事業債等の発行の許容量、本年度は昨年度に対しまして一般的に総額としてはあまりふやすことがむずかしい情勢にございます。実際にいま計画されておりますところのものは、大体昨年度の発行総額に対して総額ではほとんど変わらないというふうな見通しでございます。その中におきましては、実は政府保証債全体としては発行がふえておるわけでございます。そのかわり一方で電力債が減るとか、一般事業債が若干圧縮されるということになり、起債市場におきましては、今後も金融の正常化を進める上におきましてその拡大が非常に望ましいのでございますが、実際の発行としてはそのときどきの民間の金融市場の情勢を考えた上で適切な額に押えていく必要があると思います。そういうことでございまして、何年経てば五十億までふえるというふうな見通しは実際としては持っておらないわけでございます。ただ先ほど申しましたように、金融の正常化の一つのあり方として、民間における社債市場の拡大が望ましく、またそれにつれて政府保証債の増額もはかられていくものと思いますが、しかし、急速なる拡大ということは、いまのところ無理でありまするから、一応法律上の限度は二十倍と定めましたが、そこに非常に早く接近することが目的であるというふうなことではございません。現実の情勢を考えた上で年々発行を調整してまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/25
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026・大矢正
○大矢正君 いま公庫の総裁と私との間に、資本金が少ないことが基準金利の高い原因の——全部じゃありませんが、一つになっている、一つというよりは重要な柱ですね。やはり金利の要らない国の資本金というものがふえない限りにおいては基準金利は下がらないのだ、この立場は厳然としてあると思うのです。そこで、公庫の総裁はできる限り資本金もふやしてもらいたい、同時に金利も下げたいと思っているという意思の表明があったのですが、あなたのほうとしてはこの点についてどう思いますか。常に抑制の立場にあるのはあなたのほうでして、昔は一割だった、一〇%だったが、今度は九分になった、一%下げたから昔から見れば下がっているじゃないかという議論はあると思うのでありますが、しかし、最近の公定歩合の引き上げ問題は一時的な経済の現象として起こったことであるという判断があるとすれば、依然として低金利政策というものは国の基本的な政策として変わっていないはずなんで、中小企業金融公庫、すなわち政府関係金融機関等に対する低金利政策というものについて一体どう考えているのか、この際お伺いしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/26
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027・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 政府機関の、特に中小関係の政府機関の金利水準をどういう基準で考えておるかということになると思いますが、私どもといたしましては、いまの九分という基準金利はちょっと考えると高いようにも聞こえましたが、実際はそうではない。と申しますのは、御承知のとおり民間金融機関におきましてはどうしてもいまのところ、これはいまの現状から申しますれば、両建てのようなものがかなり含まれております。表面金利はたとえば二銭五厘といたしましても、両建て等を加味すれば、これが二銭九厘、三銭というふうな水準になっているのも非常に多いわけでございます。全体としての水準から考えますと、私は中小関係の金利はまだまだかなり高いのじゃないか。現にこれは両建てを全く含まない貸し出しというものが民間にあるかと申しますと、これは生命保険会社などが貸し出しをいたしております。これは両建てはございません。債券発行銀行でも厳格に申しますと、若干の両建てみたいなものがあるわけでございますが、生命保険会社は預金をとりませんから、貸し出しはいわば裸利回りでございます。この例などを調べてみますと、これはむろん長期の金利でございますが、超一流の企業でありましても、二銭五厘程度が普通になっておる。二銭五厘と申しますと、九分一厘何毛というようこなとになりますから、民間の非常な大企業であり、超一流企業と目されるものがその程度の実際の金利負担になっておる。保険会社の全体のこれは大体大企業でございますが、平均をとりましても九分五厘ないし六厘程度になっております。そういうところから申しますと、中小関係はむろんこれよりかなり高いと考えなければならないわけでございますが、そういったものを勘案いたしまして、あまりに民間金利と隔絶した低い金利にいたしますと、いたずらに民間資金によるべきものがすべて政府資金にたよるといいますか、非常に安いからたよるということ、あまりに多くの申し込みが殺到するというふうなことになりかねない。むろん、これは審査にあたりまして、民間資金により得ると思われるものは排除していいわけでございまするが、そういう点まああまり適切でない場合が——低くすればするほどいいとは言いますけれども、民間金利等を考えまして、あまり離れない、しかし、明らかに安い、そういう金利をまあ基準金利としていくのがいいのじゃないかというふうな観点から申しまして、ただ単にコスト問題という点だけでなしに、基準としては現在の金利水準が大体妥当ではないかというふうに思っております。
将来の問題としましては、民間の金利水準も長期的な意味におきましては、景気調整問題を離れて考えます場合には、漸次コストの低下とともに引き下げをはかっていかなきゃならぬ。そういたしますれば、それをにらんで政府の中小関係金利も引き下げをはかっていくということがもちろん必要になってまいります。私どもとしてはそのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/27
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028・大矢正
○大矢正君 かりに公定歩合がこのたびのように二厘上がったとすれば、市中の貸し出し金利は当然なこととして引き上げになるから、この公庫と比べてみた場合に、公定歩合が上がったからといって貸し出し金利が上がらない、そういうことを考えればそのつり合いはとれているのじゃないかという議論もありましたでしょう。あるいはまたあなたの言われるように、市中の実勢金利というものがおよそ九分五厘程度だから、そういう点からみても優遇をされているという御説もあるでしょう。それから、また考えようによりましては、歩積み両建てが行なわれない公庫の貸し付けというものはそれだけ実際の金利は低いはずだというような御説もあるでしょう。しかし、あなたの言われるように歩積み両建てを前提として中小企業金融公庫の金利は安いという考えの考え方は私にはうなずけない。あなたも盛んに取り締まり強化のために力を入れておられるということは、あらゆる報道その他を通じて私はよく存じております。ですが、いまのあなたの答弁のように歩積み両建てがあるから、それと比較をしてみた場合には中小企業金融公庫の金利は低いのだというものの判断のしかたは、私には理解できない。やはりそうじゃなくて、歩積み両建てを抜きにしてものを考えてみる必要性があると思うのであります。同時に、ものを考える考え方の根本においてあなたと違う。これは先ほどあなたは超一流の大企業の金利でおよそ九分程度である、中小企業金融公庫の金利とほぼ同じであるという御説であります。そういうことになってまいりますると、力の弱いものが、言うならば、高い金利で金を借りていくといういままでの日本の経済の中における金融の実態というものが依然としてなくならないということは言えると思うのであります。だから、そういうことではなしに、やはりものの考え方としては、力の弱い、特に最近は中小企業対策をやらない限り経済の二重構造の改善はできないのだと言われている中においては、超一流の企業の貸し出し金利が九分をわずか上回る程度であるから、中小企業金融公庫の九分の基準貸し出し金利というものとつり合いがとれているからかまわないという考え方でなしに、もっとやはり中小企業対策ということを前面に押し出した金利ということを考えるべきではないかということを私はこの際強調をしておきたいと思うのであります。
そこで、先ほどあなたが、この資本金の二百四十七億に対しての二十倍、すなわち五千億を限度とするこの中小企業債券の発行ということについては、いつこの限度額に達するかということはわからないという御説でありますが、もちろん三十九年度の資金計画は百億でありまして、五千億に達するには相当の年月がかかるのではないかという気がする、それは当然私もそのとおりであります。しかし、もしそういうことでありますれば、ここにその債券の発行としてなぜ二十倍という二の数字を入れなければならなかったのか。十年も二十年もの先のことでありますれば、あらためてここで二十倍に相当する金額を限度額としないで、三倍なり五倍なりの限度においてとかということばを使うべきではないでしょうか。もとより私は、他の政府関係金融機関が、債券発行は資本金の二十倍に相当する限度額であるということは知っております。知っておりますが、新たに発足をする中小企業金融公庫の債券の発行というものについては、五千億というものは、いつになったら実際にこの限度額になるかということはわからぬという状態では、何も二十倍ということを出す必要はないのじゃないか、三倍でも五倍でもいいと考えるのでありますが、銀行局長はどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/28
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029・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 現実の発行可能額を考えて、近い将来にその限度に達するような、そういう限度を三倍とか五倍とかにきめるということはあまりにも便宜的に過ぎるし、また理論的の問題がなくなるわけでございます。これは、だから債券発行額をどういう限度にするかということは、従来の例から申しますと、資本金の二十倍というのが通例になっておる。その理由は何であるかという点、これは全く根拠がないわけじゃございませんわけで、一般にこれは外国などでは法律上の定めさえある国もございますが、預金に対して少なくとも自己資本が五%程度あるのが望ましいということになっておるわけでございます。つまり支払い準備的な意味もございますが、いろいろな観点から、損失に対して抵抗し得るという意味におきましても、適正な規模の自己資金がなければいかぬというふうなことであります。債券発行といいますと、預金とは必ずしも同一に論ずることはできません。と申しますのは、債券は一般に期限も預金よりははるかに長期でございます。そういう点からいいまして同一に論ずることはできませんが、大体通常の考え方として、資本金の二十倍という限度が一応適正じゃないかというふうな、言ってみれば理論的な限度でございます。でありますから、その限度を定めたならば、それになかなかいつになったら到達するかわからぬようなそういう限度は無意味じゃないかという御質問でございますけれども、私どもとしては、やはり無制限に発行できるというふうなこともどうかと、それは適当じゃないのじゃないか、やはり限度を定めておくことがよろしい、そしていま百億というのは、この三十九年度の問題としてはそうでございますが、先ほども申しましたように、金融情勢というものはいずれ変わってまいるわけであります。たとえば、いま日本ではそんな現象はございませんですが、常に需要過多の状態でございますから。そうではなくて、金融市場に非常に流動性が高まってきて、しかもインフレ的な傾向もない、そういう状態におきましては、債券の発行総額というのは、現在の規模に対して全体として二倍あるいはそれ以上にも達するということは可能であります。その中において政府関係の保証債の発行額をどうするかという問題は、そのときによってきめるわけでございますが、全体が二倍になったときに政府保証債の発行額が三倍になるということもこれはあり得るわけであります。また政府保証債の発行総額の中で、現在非常に需要が高い部門の発行額が、それほどの需要がなくなった場合において、中小企業関係においてさらに増額をはかることもできるわけであります。現在の百億を基準として限度額を考えるということはとらないで、将来いかなる情勢にも対処し得るような意味におきまして、理論的な二十倍という限度を定めておくことが適当であると考えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/29
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030・豊田雅孝
○豊田雅孝君 関連して。来年度、三十九年度に百億公庫債を発行するということですが、これによって基準金利九分というのが上がってくるのではないかということが考えられるのですが、その点についての採算的な見通しについて、これは銀行局長並びに中小企業金融公庫総裁から承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/30
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031・舟山正吉
○参考人(舟山正吉君) 三十九年度に百億の中小企業債を発行するのでございますが、この採算関係を目の予算で申し上げますと、大体資金運用部の金を六分五厘で借りる。それを政府保証債を発行いたしますと、大体発行者利回りというものは七分三厘ぐらいで、八厘のさや、これだけコストの高くなった金を使うことになるわけでございます。百億と申しますと、目の子算で申しますと八千万円でございます。ただいま公庫では償却前利益大体二十億ぐらいを出しておりますので、この程度の負担増は、貸し付け金利に影響を及ぼさないという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/31
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032・中野正一
○政府委員(中野正一君) 私からひとつ……。いま総裁からお答えになったとおりでございまして、現在あげております公庫の利益が大体二十億程度でございますから、それからいえば、百億程度の公庫債の発行であれば、それほどさした影響はない。将来の金利引き上げ等の悪い影響はないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/32
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033・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) いまお答えになりましたとおりで、この債券発行に伴う経費の増加約八千万円程度でございます。二十億円程度の償却前利益、この大部分がいまは貸し倒れ準備金として積み立てられておりまして、この貸し倒れ積み立て金の残高としても、中小公庫は相当に充実しております。でありますので、この程度の発行においては、あるいはこれよりも若干多い程度の発行であれば、基準金利を引き上げるというようなことにはなりませんし、また私どもとしても、債券を発行してコストが高くなったからという理由で現在の金利を引き上げることは絶対に考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/33
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034・豊田雅孝
○豊田雅孝君 基準金利は引き上げない、また引き上げなくてもいいというふうに、大体関係者こぞって言われたのでありますが、しかし公庫債発行によって資金コストが高くなるということは、これはまた同様に関係者がみんな認められておると解釈できるのであります。したがって今後、先ほど大矢委員からも指摘せられましたが、歩積み両建てを前提として現在の公庫の貸し出し金利が高くはないという考え方をすることは、一面低金利政策を今後もとっていくという基本方針に変わりはないという行き方等からみまして、これは将来中小企業金融が全面的に金利高である、割り高であるということから、中小企業金融公庫は従来中小企業金融の金利引き下げのトップをずっと歩んでこられたのでございます。これが全体に対して非常にいい影響を及ぼしてきたと思うのであります。ところが、ここで何といっても資金コストは高くなる。そうすると、将来中小企業金融公庫の金利は上げないにしても、下げようということが非常に困難になってくるのではないか。これは全体として私は非常にゆゆしい問題になると思うのであります。したがって今回、公庫債を発行するようにはなったにしても、また限度はさっき話に出ておりまするごとく資本金の二十倍だとかいうけれども、その限度というものは最小限度にすべきものだと、これは中小企業金融の金利引き下げの基本方針からいってそうあらねばならぬというふうに私は考えるのでありますが、この点について銀行局長それから舟山総裁、それぞれ所信を承っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/34
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035・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 私どもも大まかなことを申しますと、大体いまの御質問の御趣旨のとおりに考えております。中小公庫債がたとえば非常に売りやすいうといふうな情勢になりましても、あまりに多くこれに資金源を依存するということは好ましくないと考えます。で、まあ債券発行全体についての話は、私先ほど申し上げましたが、確かに民間のたとえば大銀行等に中小金融向けの資金を供出させるという意味において、この公庫債の発行は意味があるのであろうと思います。何と申しましても、これは商工中金債などと違いまして、民間の銀行が中心になりましてシンジケート団——引き受け団を組織して消化するわけでございます。それらの場合は、やはりいままでの実績等から見ましても、大銀行、都市銀行等の消化引き受け分が一番大きい、それに次いで地方銀行等ということになっておりまして、これらの銀行等に対しましては、中小企業向けの金融を、比率など落とさないようにということを指導しておりますが、その上に重ねてある程度資金を中小公庫に供出させるといっては変ですが、まあ割り当てではございませんけれども、シンジケートでございますから、どうしても引き受けた以上はそういうことになるわけでございまして、そういう点で公庫債を発行するというふうなところに意味があると思いますが、さりとて、あまりに多くこれに依存するよりは、やはりもし財政資金が十分にありまするならば、六分五厘の財政資金をここに投入することによって、コストをむしろ下げることもできるわけでございますので、六分五厘でありますれば、いまの基準金利でやっております以上かなりの余裕がございます。ですから、中小公庫債をある程度発行しても、決して心配ないわけでございます。しかし、そのためにコストが上がって、引き下げの必要が生じたときにもそれができないというようなことはまずいと思いますので、その辺は今後もその資金コストに十分注意いたしまして、発行を調整してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/35
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036・舟山正吉
○参考人(舟山正吉君) 三十九年度には、政府が中小企業のためにできるだけ多額の資金を回そうとお考えになりましたために、また一方財政資金に限度がございますので、ただいま銀行局長からのお話もございましたような民間資金の動員といったような意味合いにおきまして、中小企業債の発行が立案されたのかと拝察いたすのであります。そして、まあこれはそのために三機関が貸し付け希望を出してきた、そのしわ寄せと申しますか、それが中小公庫に寄ってきたような次第でございますが、まあこの公庫といたしましては、中小企業に対してはあくまで長期、低利の資金を融通することがためになると思うのでございます。それには政府資金を拝借できることが一番望ましいことだと思いますけれども、現在のように資金量も、必要であれば考えなければならぬというときには、中小企業債の発行もやむを得ないことかと考えております。将来、その消化もいろいろ問題が起こるようなこともある、また、コスト面にも重大な支障を来たすというようなことであれば、私のほうといたしましては、政府にお願いをいたしまして、さらに政府資金の導入をお願いしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/36
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037・大矢正
○大矢正君 実は私も最終的にはここへこようと思ったのですが、先にいま話が出ましたので、この際念のために承っておきたいと思いますが、いまあなたが言われた七分三厘というこの公庫の債券発行の利回りですが、これは応募者利回りということになるかどうか。それでその最終的なたとえば引き受けの証券会社ないしは銀行というものの手数料その他一切を含めた場合に、金利コストの面でどうなるのか。それからこの債券の内容ですね、それはどういう内容のものなのか。これをひとつこの際御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/37
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038・舟山正吉
○参考人(舟山正吉君) 予定されております中小企業債の発行条件は、他の政府保証債と同じでございまして、表面利率七分、発行価格九十九円七十五銭、期間七年ということでございまして、発行者のほうから見ますと七分三厘、それから応募者のほうになりますと、戻しその他がございまして、七分三厘をちょっとこえたところになると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/38
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039・大矢正
○大矢正君 そこで、一つにはいま問題が出されておりますが、結局この中小企業金融公庫にもし債券発行の道を与えるということになりますと、政府が従来とってまいりました、資本金の増額やあるいは財投計画に基づく資金運用部からの借り入れ、こういうことを極力回避して、もっぱら債券に依存をするという傾向が出てくる危険性を、私考えないわけにいかないのです。そうなってまいりますと、当然のこととして、先ほど来言われておりますとおり、資金コストが高くなる。資金コストが高くなるから、結果としては基準金利はもとよりその他の金利も下げることができないという結果になってくるのです。過去の例はみなそうなんです。だから私は、ここでべらぼうに二十倍に相当する限度額までは債券を発行してかまわないという法律をつくるのでなしに、一時的な特例として債券の発行ということが認められるならばいざ知らず、恒久的にこういうものをつくるというならば、政府はもう資本金の面においても、あるいはまた資金運用部の面においても、財投計画の面においてもこれは考えないから、債券ですべてやりなさいということに、具体的にはなってくるのです。六分五厘の資金運用部の金はもうやらない、自分で債券発行してやりなさいということに将来なっていく危険性が出てくるから、そこでそういうことがないのかどうかということについては、私ども非常に心配をしているところなんですよ。たとえばいま金利の負担は八厘程度であると、かりに資金運用部から借りた場合と比較をして。百億円だからたいした金額にならぬとおっしゃるけれども、かりにこれがふえていったらどういうことになりますか。百億が二百億、三百億、四百億になっていったら、一体これはどうなります。それに沿うて資本金がどんどんふえていけばいいけれども、債券を発行するほどに資本金がふえない。金利のかからない、資金コストの必要のない資本金がふえないで、債券だけどんどんふえていったら一体どうなります。昭和三十九年度の百億だけで計算すれば、それは銀行局長のおっしゃるとおりで済むかもしれないのですけれども、かりに四十年度以降債券がふえる——資金需要が高まるからふえる、政府は資本金を出さない、したがって債券の発行でまかなおう、こういうことになってまいりますれば、金利は永久に下がらない。下がらないどころじゃない、むしろ上げなければならぬという結果も出てくる危険性があるのです。だから債券の発行それ自身が悪いのではなくて、債券発行を認めることによって、将来中小企業に対する金利水準ということが下がるのではなしに、むしろ高くなる危険性があるということを心配しているのですが、もう一回ひとつ、銀行局長御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/39
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040・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) コストの問題として、そういう御心配をなさる点もわかるのでございますが、私どもは政府関係機関の基準金利というものは、民間の金利の動向をにらんできめていきたい。ですから、つまりコストはあとから調整すべきものであって、そのコストが高くなるから基準金利を上げるとか、あるいは引き下げをしないとかいう考え方は持っておりません。ですから民間の金利水準が低くなってくれば、それに応じまして基準金利を引き下げるべきものであります。そういう場合に公庫債の発行はどうなるかと申しますと、さしあたり私どもはいまのところ公庫債の条件、つまり金融一般の債券の発行条件はむしろ安きに失するくらいで、そのために社債市場ができないであろうくらいに思っておりますが、そういうふうに民間の金利水準が下がっていきます場合には、やはりこういった発行条件というものも下がる筋合いのものでございます。ただ、それはどの程度になるかということはいま予測できませんけれども一般的な原則論を申し上げますれば、民間の金利水準が下がるときには、こういった長期金利の水準もやはり下がるというふうに考えていいだろうと思います。それと同時に六分五厘のこの財政資金の金利も当分これはそう変わるとは思いません。つまり、急に引き下げが可能になるとは思いませんけれども、長い目で見ればやはり六分五厘より低くなることがあっても高くならない。そうして、六分五厘の金利で中小企業金融公庫としては十分に採算がとれると申しますか、余裕があるというふうにさえ私どもは見ております。ですから、発行量につきましては、いま御心配のようなことにならないように、六分五厘の金がどれだけつけ得るか、そういうことを考えた上で公庫の債券の発行量を考えていきたい。ですから、消化が可能であるからという理由でどんどん発行額をふやすというふうな考えはとらないことにしていきたいと思います。これは私ども事務当局の考えでございまするが、大体において実際問題としてそうせざるを得ないんじゃないか。六分五厘の金がたくさんつけば、それだけこの点はコストが下がるといってはなんですが、相当余裕がございます。発行も幾らかふやせると思いますが、そう百億がいきなり三百億、四百億というふうにふやせる筋合いのものではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/40
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041・大矢正
○大矢正君 総裁にお伺いしますが、公庫が発足して以来今日までの基準金利の推移は一体どうなっているのか、念のためにそれをひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/41
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042・舟山正吉
○参考人(舟山正吉君) 公庫の基準金利は、当初一割、それから九分六厘……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/42
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043・大矢正
○大矢正君 いや、もっと日にち別に具体的に言ってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/43
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044・舟山正吉
○参考人(舟山正吉君) 申し上げます。二八年八月、公庫創設当時におきまして、公庫貸し付けは一割でございましたが、三十年の八月一日にこれを九分六厘に下げました。次いで三十四年の四月一日に九分三厘に下げ、三十六年の一月一日から現行の九分になっております。
それから、応募者利回りは七分ちょっと——大体七分一厘と見ていいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/44
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045・大矢正
○大矢正君 銀行局長、あなたはコストの面だけじゃなくて、市中金利の実勢がどうなっているかということがむしろこの際問題なんだと、こういうお話がありましたが、いまの説明を聞いても昭和三十六年に九分になって、それ以来あなた全然下がってないじゃないですか。三十六年に初めて現行の基準金利の九分に下がっただけであって、それ以来今日まで金利というものは動いてないじゃないですか。しかも、この二年間の間に現実の問題としては市中の貸し出し金利というものは、公定歩合の変動等に伴って絶えずやはり動きがあったはずですよ。だから、あなたの言われるとおり市中の金利の実勢というものを、中小企業金融公庫の貸し出し基準金利に反映をさせるという考えがあったならば、この間においても多少の変動があるはずだが、さっぱり動かないじゃないですか。あなたの言う理論は私にはどうも納得がいかぬのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/45
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046・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 私が金利水準と申しましたのは、あくまで長期金利の水準でございます。
これはわが国のまあ実際を申しますと、長期金利は非常に緩慢にしか動かない。最近の二、三年をとってみましても、長期金利に関する限りは金利は全然動いていない。で、御指摘の公定歩合の変動でございますが、これは短期金利に直結いたしております。特に短期金利の動きでは、標準金利、つまり最低レートを適用されるものは、的確にスライドして動きます。並手等につきましては、必ずしも二厘幅で動いたから並手の金利も二厘幅でぴったり動くということにはなっておりません。幾分その間に幅がございます。すべてこれは短期金利の分野におきましては、金利の変動はございますが、同じ短期金利でございましても、たとえば民間の中小金融機関の一年以内の貸し付けをとってみますると、あまり公定歩合の変動とは関係がないような動きになっております。これはもちろん両建てなどを勘案した上での実質金利を申し上げているわけでございますが、それにつきましても、公定歩合の上げ下げとはあまり関係がない動きをしておりますが、つまり民間の金利水準というものは、公定歩合によって非常に強く動く部分もありますが、あまり変動しない部分もある。長期金利水準につきましては、ほとんど動いていないにひとしい状態でありまして、現に債券発行の条件なども全く動きません。金利水準というものは、ただいまのお話の場合、当然に比較し得るものは、民間の長期金利水準と比較して、勘案していきたいと申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/46
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047・大矢正
○大矢正君 最近の新聞の報道によると、三十九年度上期の起債計画というものが報道されております。これによりますれば、純増ベースで約千七百九十五億という数字があらわれております。これはすでに償還期限のきたもの、上期においてこの金額を含めても約二千三百億、これは従来の例から見て、かなり圧縮したものであるということは当然のこととして数字上あらわれてくるわけです。特にこの事業債については思い切った圧縮をしております。しかし、一方ひるがえって考えてみますと、政府は他人資本と自己資本、すなわち財務比率上の問題として、たとえば資本金それからあるいは債券、事業債、こういうものをふやして、自己資本の比率を高めていくということが、今日の国際開放経済の中において国内企業というものを強めていく道であるという一貫した方針がある。そこで、こういう中小企業金融公庫の債券の発行というものが出てまいりますれば、当然のこととして他の事業債に対するしわ寄せというものが出てくるはずです。増資に対する抑制、それから事業債の抑制、こういうものが出てくるでしょう。今日金融が引き締めの状態にあるからという簡単な理屈と、それから三十九年度の計画は百億円しかないから微々たるものだというその二点で、理屈をつけようとすればつかないこともないけれども、根本的なものの考え方の上において、当然のこととして、起債市場を圧迫することになってくるわけです。それだけ国が出すべき金を出さないでのがれるのですからね。あなたはいいことを言って、都市銀行にも中小企業金融をやらせる特別な道だなどと言っておられるけれども、百億円で済んでいるうちはいいが、この資本金の二十倍という限度額にいつ達するかは別にして、かなりこれは急速度に年次の債券発行というものはふえていくと見なければならない。その際には、当然のこととして他の面で起債市場がある程度規制を受けることになってくるわけですから、私はそういう意味で一つには起債市場全体の中でそういう問題が起こってこないのかということ。いま一つは商工中金でも債券を発行しておりますで、商工中金自身もやはり中小企業に対する貸し出しということが中心になっておりますが、それとの債券発行との競合がはたしてこれから起こってこないのかどうか、そういったものをどうやって調節するのか、その点についてお考えがあったらこの際お伺いしておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/47
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048・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 確かに三十九年度の上期の数字は、いまおっしゃいましたとおり発行額自体をとらえますと、三十八年度の上期の実績を上回っておる。純増ベースを見ますと若干増になっておりますが、発行総額ではふえていない、むしろ減っているくらいになっております。そのしわ寄せがどこへいっているかというのは、やはり電力債及び一般事業債の圧縮にあるわけでございます。ただ電力債につきましては、これな資金需要全体から見まして起債に依存する度合が減ってまいりますので、これは当然でございます。一般事業債につきましては、やはり意識的に押えているという点がございます。これは民間全体の資金需給が非常に逼迫しております。またこの起債を非常にふやしますと、民間の事業債をふやしますと、貸し出し抑制のしり抜けになるおそれがある。従来の経験に徴し、そういうことが言えるのでございまして、お説のように、私どもも民間の財務比率の改善ということは非常に大切であり、またそのために本来なれば増資を多くさせなければならぬところを逆に増資を調整しなければならぬような証券界の実情にある。これは証券界の需給関係からやむを得ない措置でございす。また企業の収益見通し等につきましても、若干まあ増資を無理にやった結果大幅に減配するというふうなことになってはいよいよ証券市場に悪いものですから、そういう観点から調整をしておるわけでございます。起債につきましては、いま申し上げましたように、やはり資金需給の調整という点から、民間の資金につきましてはやはり若干圧縮するような考え方で臨んでおるのでございまして、しかし、これはあくまで正常な姿ではございませんで、将来のあり方としては起債市場を拡大し、同時に社債市場、流通市場を十分にでき上がるように持っていかなければならぬ。これは非常にむずかしい事柄でございますが、そういう方向は考えておかなければなりません。その中におきまして、この中小公庫債等の発行につきましては、先ほどから繰り返し申し上げているように、一般の情勢を著しく害するような、あるいは中小公庫自体のコストに重大な影響を及ぼすような発行額は考えておりませんので、徐々にふやすという程度でお考えおき願ったほうがいいんじゃないかと思うのです。ただ商工中金債との競合云々につきましては、引き受け消化の態様が相当に違っておりまして、このように全体の発行額は三十九年度におきまして上期は二千三百億、したがって銀行全体としての消化負担は変わりない。その中に政府保証債も入っておる。またその内訳として中小公庫債も入っておる。これはすべてシンジケートの引き受けによりましてシンジケートが下請を引き受けておる。ごく一部だけが一般消化になっております。きわめて一部分でございます。大部分は金融機関の消化になっております。商工中金債とはその意味におきましては直接競合するようなことにはならないと私どもは思っております。商工中金債は一般の興銀債、長期信用銀行債、不動産銀行の債券、そういうものと相並びまして、従来それぞれの各行がある程度の特色をもって消化につとめております。その消化方式は政府保証債のシンジケートとしていくというものとは違ったものでございます。また金融市場全体の容量といたしましても、全体の起債計画がこの程度の金融債以外でございます。この二千三百億というのは金融債を含んでおりませんが、そのほうが調整されておりますので、金融債の消化に著しく支障を来たすということはない。ただ一般的な感じから申しますれば、金融引き締めが強化されておりますから、いままでのように楽に消化できるというふうなことはなくなるであろう、発行額としてはさほど重大な変化がないんじゃないか、このように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/48
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049・大矢正
○大矢正君 私が先ほどから申し上げていることは、中小企業金融公庫が債券を発行することによって資金量をふやすことそれ自身に反対をしておるのじゃないのです。中小企業金融公庫が資金量の増大をはかり、そうして中小企業者に資金のより大量の供給をすること自身はけっこうなことなんだ。けっこうなことなんだけれども、もしそこで、たとえば産投からの出資なり資金運用部からの低利の借り入れとか、こういうようなコストの安い形で資金が供給されるのではなしに、安易な道として債券発行ということがとられた場合に及ぼす影響を言っているのであって、その点はひとつ私はこの際明らかにしておきたいと思います。
そこでいまあなたのお説の中には、あまり他の債券、起債市場と競合はしないというようなお話でありますが、三十八年の公債、社債の消化状況というものが最近発表になっておりまするが、それによりますると、上期は比較的消化が順調に行なわれたけれども、下期はなかなか公社債の消化が思うようにまかせないということが言われておるのであります。そういうことは、これから中小企業金融公庫の債券が新たに発行されても百億だから、たいしたことはないということに尽きると思うが、ただ、そこでひとつ私心配になるのは、このことは日本の国の経済全体、財政それから金融政策として見た場合には、結果論的には日銀の引き受けによる通貨量の膨張ということにつながっていかないかどうかということなんですよ。たとえば市中銀行が引き受けるのだからかまわないというあなたのお説、そのとおりでしょう。まっすぐに中小企業金融公庫の債券が日銀にいくわけはないんですから、それは市中銀行が引き受けるのはあたりまえだけれども、これは買オペの対象になって日本銀行で眠って、それだけ資金が供給されて、せっかくのあなた方のやられている経済の引き締め政策とは基調の上において合わないという結果が出てくるのではないかという一つの不安感があるのですよ。そこで銀行局長にこの際承っておきたいと思うのでありますが、最近の日本銀行の公社債の保有高はどのくらいになっておるかお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/49
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050・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 三月末日現在の数字を申しますと、日本銀行の保有する国債以外の債券の総額は四千九百六十二億円になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/50
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051・大矢正
○大矢正君 これは結局日本銀行が買い上げてみても、売り戻しの条件がついているものについては、金融がゆるんでくれば、当然のこととして売りオペをやりますから、その面における通貨の膨張ということにはならないけれども、しかしそういう条件のない形で日本銀行が結果論的にはこれから引き受けていくという危険性、可能性というものがあるんじゃないか、過去においては非常にあったと思うし、こういう金融引き締めの中においてもなおかっそういうことをやらなければならない状態が事実出てくるんじゃないですか。これは中小企業というものはつぶれたって国は別に責任もないし、それから金融機関もたいして痛痒を感じないけれども、もし大企業がつぶれるかどうかという金融上の問題としての段階がきた場合には、都市銀行は日本銀行に泣き込めば幾らでも金を貸すんだから、そういう今日の経済の仕組み、金融の仕組みの中にあって、このような中小企業金融公庫の債券の発行というものが、これから資本金の二十倍、五千億円まで可能だというようなまことに大がかりなものをやられるということは、私は言うならば、国の経済政策と合わないものが必ず出てくる危険性があると思う。明らかにこれは債券発行ですよ。国は債券を発行しないといわれるけれども、事実上債券発行ですよ。当然一般会計の中もしくは財投なら財投の中で、資金運用部なら資金運用部でまかなわなければならぬものを民間の市中銀行を動員するんだといいながら、その実は日本銀行引き受けという結果が出てくるわけですから、私はこの点ではあなたの言われる答弁には納得できない。そういうような将来ともに影響を与えないという確信をあなたはお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/51
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052・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 中小公庫の債券発行等につきましては、そのときどきの金融情勢を見て、決して無謀なことにならないように十分な配慮をしていきたいと考えております。また、これが実質上日本銀行の引き受けという形に終わるのではないかということにつきましては、これはもちろんその日本銀行の貸し出し政策との関連がございまして、いわゆる言われておりますところのオーバー・ローンという——いろいろな意味がございますが、むろんこれは都市銀行等に非常なオーバー・ローンをしておるということが中心でございますが、その一つの反映といたしまして、都市銀行が日本銀行、中央銀行に依存する度合いがかなり高いわけであります。常時一兆を上回るような中央銀行の貸し出しがあるということ、これはいろんな意味からいきまして、金融正常化という点から申しますれば全く異常な状態でございます。外国の中央銀行等におきまして、これほど多額の市中貸し出しを行なっている例はまずないと考えるわけで、特異な国を除きましてはないわけでございます。でありますから、将来の問題でございまして、さしあたりの問題ではありませんが、金融の正常化をはかっていく上におきましては、この日本銀行の貸し出しをやはり漸減するような措置が必要になってまいります。昨年実はそういうふうな考えである程度行なわれたのでございますが、結果としては、確かにちょっと貸し出し全体、金融全体がゆるむような結果になってまずかったと思います。その点、私どもも反省いたしておるわけでございますが、今後の進め方といたしましては、さしあたりは全体の資金供給を押えていくということに主眼を置いてやっておりますが、漸次それらの過大な資金需要が鎮静いたしました曉には、急激なゆるみを生じないようにしながらこの貸し出しを漸減していくということはやはり考えていかなければならない。日本銀行の貸し出しをなくすることだけが正常化だとは私は思いませんが、やはりコール・レートが非常に常に高いという状態は、何としても社債市場の形成にも非常な不利な条件でございますし、いろいろな観点から正常化とは、正常な状態とはほど遠いものがございますので、その原因がやはり日本銀行の貸し出しが多いということ、これでございます。その場合に、買いオペレーションをやって、また必要において売りオペもやりますが、買いオペの形のものがある程度貸し出しの引き下げに役立つ、しかも金融はそれでゆるまないというふうな方策を考えていかなければならぬ。オペレーションをやった結果がゆるんでしまうということであれば、やはり正常化とは逆の結果を生ずるのでございまして、そういう点につきましては、今後も金利はむろんでございますが、クレジット・ラインというふうなものを有効に働かせまして、オペレーションをしながら正常化をするという方策をいずれはとっていかなければならぬものと考えます。それは何らいわゆる日銀引き受けによって債券を消化するというふうな、そういうものとは私は違うものだと思います。直接日本銀行が引き受けてやったという昔の形は明らかにインフレにつながるものでございますが、これらのやり方としては、そのような方策は絶対避けていく。したがって、現在もこれは形式的と言われればそれまででございますが、日本銀行が買いオペの対象とするものは、発行後一年以上経過したものに限るということでやっておりまして、その年に発行したものを直ちに日本銀行は買い入れるということはやっておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/52
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053・大矢正
○大矢正君 けさの新聞によると、大蔵省は各銀行に対して、春の労働組合の賃金値上げについては、銀行が極力抑制をするように各企業に対策を講ずるようなことが出ていましたが、それをやるのはだれがやるかといえば、当面の相手の銀行局長がやられるわけですから、あなたがやられることになると思いますが、そういうことについては非常に御熱心なようだけれども、日本銀行と市中銀行との関係をどうやってチェックしていくかということは、あまり名案が出されていないようでありますが、これは質問ではありませんから、別にお答をいただくほどのこともありませんが、最後に総裁にお尋ねをしておきたいのですが、お宅が行なう手形の割引ですね、この点についてはいろいろ議論がありますが、どんなような状況になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/53
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054・舟山正吉
○参考人(舟山正吉君) 中小公庫といたしましては、現在長期の資金を供給することになっております。それで、手形の割引というような短期の金融はしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/54
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055・大矢正
○大矢正君 していないのはわかっているのです。していないのはわかっているのだが、手形の割引を行なうべきではないかという意見がかなり強くなってきて、あなたのほうでも検討しているという話を承っているので、はたしてやろうというお考えで御検討になっているのかどうかということを承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/55
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056・舟山正吉
○参考人(舟山正吉君) 中小企業の金融難は大いに同情すべき点があるので、これに対していろいろ対策を講じなければならぬわけでございますけれども、中小公庫として手形割引まで、つまり短期金融にまで乗り出しますことは、公庫の長期資金を出して市中金融を補完するというたてまえなり性格から大きくはずれることでございます。また現実の問題といたしましても、手形の割引というものは、常時中小企業者と日常の取引関係ができて、そうして手形を持ち込まれたならば、相手の企業者の信用を把握しておりまして、そうした手形を割り引くというようなことになるわけでございまして、公庫の店舗の現状なり、あるいは職員の養成方法なりから見まして、現在ではこれはできない相談であると考えます。それに加えまするに、公庫の性格に関連をいたしますことでございますから、ただいまはそういうようなことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/56
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057・大矢正
○大矢正君 大蔵省は何事についても渋いのをたてまえとしていますから、そういう意味で渋い御答弁だとは思いますが、いま総裁が御答弁になったように、中小企業金融公庫が手形の割引業務を行なってはどうかということに対して、銀行局長としてはどうですか。当面は全然考えられないという立場でしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/57
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058・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) やはり当面は全然考えておりません。その理由は、いま総裁が仰せられましたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/58
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059・中田吉雄
○中田吉雄君 これはさきに舟山総裁や銀行局長に対しまして、大矢委員から十分御質問があったのですが、私はやはり大矢委員と同様に、今回の債券発行を資本金の二十倍許すということは、これを突破口として、財投資金の長期の見通しをしたりしますと、やはりその杞憂は社会党としてはぬぐい去ることができぬので、三十九年度の予算の説明を見ましても、その資金計画で、中小企業金融公庫に対しまして、昨年産投会計から六億あったのがなくなっている。簡保資金が八十五億であったものが四十億になり、資金運用部資金が百十六億ふえ、簡保資金の減ったのと合わせてみますると、わずかに六十五億しかふえていないので、そのやりくりで百億の債券発行で中小企業金融公庫の資金対策をやっておられるので、これはいろいろ四十年度の資金需要等も見ますると、やはりこれがきっかけになって、いろいろ高橋局長は金融市場その他を見たりして無制限にこれを広げるのでないと言われるのですが、今回の資金計画を見ても、産投が減り、簡保が減り、結局資金運用部資金もそう輸銀その他見るとないということになると、どう言われても、今回つくられたことを突破口としてだんだんそうなっていくと思うんですが、この当初の金融公庫と大蔵省の銀行局ですか、つくられた予算要求にも、やっぱりこの公債発行というものはあったんですか、その関係はどうですか。それと、大矢議員に、そういう心配ないということですが、やはりこれを見るとなかなかこの傾向は年の経過とともに拡大していくような懸念を三十九年度の資金計画でやっぱり示していると思うんですが、これは局長、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/59
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060・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 先ほど総裁が言われましたが、中小金融機関の資金を充実するために発行を考えたと、それがまあたまたましわ寄せといってはなんですが、中小公庫がその発行するチャンピオンに選ばれたという形になっておるわけでございまして、したがって、中小公庫の資金需給だけを見ますと、何か政府資金のふえ方がそれほど多くなくて、これで百億ふえてるんじゃないかと、こうなってますが、国民公庫やその他を合わしてごらんになりますと、やはりそちらのほうの資金充実にとにかく若干それだけは役に立ってるということになるわけでございます。しかしながら、もちろんこれは財政資金の状況も考えなきゃなりませんので、私どもとしては、財政資金がもし十分にあるんならば、なるべくならばそちらのほうで資金をまかなったほうがいいんじゃないかと、これらの債券の発行に大きく依存するような政策はあまり私どもとしては歓迎すべきものじゃない、やはり資金コストにも確かに若干の影響はあるわけでございますから、できることならばこの債券発行をどんどん大きくするというふうな政策をとらない、政府資金が順調にふえていくときにはそちらのほうを多くして投入していくという、そういう形をとりたいと思っております。ですから、発行限度は、なるほど二十倍でございますけれども、決してそこまでしゃにむにふやしていくという考えはとっておりませんので、御心配のようなことにはならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/60
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061・舟山正吉
○参考人(舟山正吉君) 中小公庫といたしましても、政府資金を使わしていただくことが本筋であるべきだと考えております。ただ今年度につきましては、中小企業向け資金をふやしますために、私どもの債券発行もやむを得ないことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/61
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062・中田吉雄
○中田吉雄君 この点はまあこの程度にしまして、代理貸し付けの中小企業金融公庫の、農林漁業金融公庫とたしか代理銀行の保証の%が違うんじゃないかと思うのですが、これはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/62
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063・舟山正吉
○参考人(舟山正吉君) 私のほうは、普通の貸し付けにおきましては代理店の保証責任は八割でございます。普通の場合八割です。災害あるいは特殊の場合に六割まで免除されることもございますが、これは例外でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/63
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064・中田吉雄
○中田吉雄君 銀行局長にお尋ねしますが、農林漁業は非常に低いんじゃないかと思いますが、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/64
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065・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 農林公庫の保証は二割でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/65
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066・中田吉雄
○中田吉雄君 たしか私もそうだと思ってます。これはやはり私は一つの問題だと思う。リスクからいうと、私はどっちがリスクが多いか、これは非常に問題だと思う。中小企業は代理銀行八割、農林漁業金融公庫は二割ないし二割五分とか、とにかくけたはずれに低いんです。このことが私はやはり——そうリスクからいって差があるものじゃないと思うんです。これはやはり両方の代理銀行の保証債務というものを、足をそろえるべきじゃないかと思うのですが、さきに舟山総裁は、必ずしもこの金利は低いことはないが、中小企業金融公庫のほうは両建てもないしと言われたのですが、実はこのことが、八割も銀行が万一の際には保証せねばならぬ、そのために代理貸し付けをやるときには必ずやはり両建てをやらせるのです。これはもう私の経験からしても、その他の多くの人も。まあ実際代理業務をやって手数料を若干いただくのでしょう。あるいはそれをきっかけに短期資金を貸し付けて、運転資金を貸し付けて、お得意さんになるということはありますが、たとえば一千万代理業務をやって、八百万の債務を負わざるを得ぬというのでしたら、どうしたってやはりその危険に備えてこれは両建てをやらせる、銀行としてはそれは手数料は非常に少ないのですからね。だからそれをきっかけに、長期資金を貸していただくから、運転資金を貸せるいいお得意先になるといううまみはあるのですが、私の経験からいっても、たとえばわれわれが頼んで、中小企業金融公庫からワクをいただいて代理銀行に頼んでも、なかなか手続をやらぬのはおかしいなと思っていると、まず少なくとも一千万借りると二百万ぐらい先に積ませるのですよ。だから同時に、借りたときに預けるのでないから、形態としてはに両建てになっていませんが、まず先預けるのです。そうして百万円調達して預け、また百万円調達して預ける、二百万円ぐらい預けたころに代理業務を引き受けて、事務的にやるというケースが非常に多いのですよ。そういうケースを私ども数回経験しているわけなんです。しかし、それをあばくのは、また後難をおそれてなかなかやるわけにいきませんが、これは私の経験からして、もうたくさんの経験があるのです。代理業務をやって借りてから、一時に使わぬのだから、二百万なりと預けてくれというならわかりますが、ちゃんと先にして、銀行局の監査をのがれるような手順で、先に預けさしゃやって、だからもう両建てには形式的にはなっていない。そういうことがあるのは、私はリスクからいえばそう違わぬと思うのに、農林漁業金融公庫は二割、中小企業金融公庫は八割をやるということは、これは十分検討されぬと、歩積み、両建ての問題をやろれとしても、こういう背景にさかのぼって問題解決せぬと、なかなかめんどうだ。これはやはりただ手数料だけのうまみですからね、代理業務をやるのは。あるいは、それがさっき言ったいわゆる長期費金を借りて、いい得意先になって、運転資金をやって、銀行としては協調融資ができて、いいお得意先だという今後のお客をとる手段にはなりますが、これは非常に危険な、八割ということが、私は両建てをさせるという大きな原因で、これは銀行局長とされても、農林漁業とどういうふうに——私は大体農林漁業と比較してみると、非常に長期資金にしても、もう据え置き期間と返済期間においても、けたはずれなこれは差がある。そうその回収に差があるとは思われぬのに、農林漁業金融公庫は据え置き期間、返済期間においても差があるし、また、この代理業務をやる銀行のリスクにおいては、ただいまのように二割と八割ですからね、これは私、やっぱり両建て等をなくするいうような意味においても、ひとつぜひ検討していただきたい。総裁は実際の実務をやられぬわけですが、さきには両建てはないし、わりあい実質金利は低いのだということを大矢議員の質問にお答えになりましたが、かなりあるのです。代理貸し付けでも。このことはよく含んで私は八割というものはよく検討してみますると、両建てをさせる根本的な問題だと思う。これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/66
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067・舟山正吉
○参考人(舟山正吉君) まず歩積み、両建ての問題でございますが、公庫資金を種としてこれをするという傾向は最近非常に改まっております。これは一両年来、国会でも歩積み、両建ての問題が大きくお取り上げになっております。また、政府当局もこの是正に力を入れておられるわけでございまして、私どもそれに呼応いたしまして、監査あるいは事前の連絡等によって歩積み、両建ての是正、廃止ということに力を入れてまいってきた結果、最近の監査報告によりますと、この代理店の心がまえも非常に変わってきているとはっきり申し上げることができると思います。ただ惰性と申しますか、あるいは第一線の心得違いのために、いまだ絶無というところまではいっておりませんことは残念でありますが、今後もこれはやかましく言ってまいりたいと思います。
それから保証限度は、ほかの公庫その他のことは存じませんけれども、やはりこれは審査の問題と関連すると思います。中小公庫におきましては、代理貸し付けは、審査は代理店にまかすということでありますので、この八割くらいの責任はとっていただくということは当然かと考えております。ほかの公庫でもし違う例がありますれば、それは公庫自体が審査についての相当の責任をおとりになるといったような体制があるのじゃないか、これは私の想像でございますが、そんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/67
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068・中田吉雄
○中田吉雄君 高橋局長にお尋ねしますが、私の経験から言っても、農林漁業金融公庫でも代理銀行にほとんどまかして、代理貸し付けを、農林漁業金融公庫の推算ですと、これはリスクが多いので、こういうふうに低いということもわかる。ですけれども、陸の上のことはやはり代理銀行にほとんど審査をまかして二割になっている。これはやはり私は八割と二割になったことは相当の理由があると思いますが、少なくとも私の経験でこの八割ということが代理銀行をして両建てをさせる、私の調査では一番大きな原因、万一の際、とにかく八割持たなければならぬのですからね、こう言ってやはり食ってかかられるくらいで、そういう点で私は創立当初、これができた相当な理由があると思うのですが、歩積みも両建てとからんで検討していただいてもいいんじゃないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/68
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069・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 公庫の代理貸しをやる際に両建てを強要するということは、同じ両建ての中でも最も悪質なものと私ども考えています。ただ、その原因が、そういう実例が全くないとは私は思いません。おそらく実例はあるのだろうと思います。ただケースとしては非常に少なくなっているという点は、私どもの検査でもそういう事例が非常に発見しにくくなっているということ、それからほとんど見つからないのです。それから公庫がやはり代理店の監査は常時やっておられますが、これでも発見されるという例はありません。もちろん非常に巧妙にやっているのだということもあるのだろうと思います。ですから、いまの中田委員のおっしゃる実例もほんとうはあるのかもしれませんけれども、私どもは絶対いかぬ、見つければ、もしそういうことが発見された場合は、実は代理契約を取り消すというところまで強く言っておるわけです。ただ、両建てを中小企業関係の代理機関がやる原因が、いまのリスクを八割は多かろうという点にあるのじゃないかという点は、私はちょっとそれは考えを異にするわけでございまして、やはりこれは悪いといいますか、両建て方式で実質金利を調整しているということが、そこまでやはり波及しがちである。ことに公庫の金利は、民間のそういう機関が、同じような対象に貸し出している実質金利に比べたらだいぶ開きがあります。ですから、借りる方からいいますれば、公庫の資金を借りてその程度の両建てをする、それでも実質はまだ安い、痛くないというふうな感じもある。これはむろん両建て全体の問題としてこれは対処していかなければなりませんして、公庫のは特にきびしく禁止してまいりたいと思っておりますが、リスク量が——リスクが八割だからというのじゃないのじゃないかという感じがいたします。と申しますのは、農林公庫だけが非常に異例でございまして、農林公庫の危険負担率二割ということはどういうことか、私は実はその理由がよくわからないのですが、農林公庫の貸し付け条件は、ほかの政府機関に比べると非常に言って見れば優遇されておる。これは農林という事業の性格にかなり原因があるのじゃないか、どうしても後進性が非常に強いという、したがって収益力等においても一般の事業——中小企業を含めた一般の事業の収益力と違うのじゃないかというふうな、外国等におきましても、自国の農業保護のためにかなり低利の国家資金等を長期に貸し付ける制度を設けておる国が多い、そういったことから勘案いたしまして、農林関係には非常な優遇的な措置がはかられておる。むろんこのためには構造改善とか、そういった政策目的をできるだけ早く達成しようというふうな農業政策がもちろん根幹になっておるわけでございます。ただ無差別に安い金利で貸すのじゃない、政府の政策に沿った事業を、計画をやるならば特別に安い金利で——それは農業の後進性に基づく特例じゃないかというふうに考える。よく代理の場合に、リスクを非常に負担率を高くしますと、非常に代理貸し自体も進まぬということになる、そんなふうな配慮がこの裏にあるのだろうと思いますが、実は二割にしたそのいきさつ等について、いまちょっと存じません。あとで研究しますが、私の考えを述べますれば、そんなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/69
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070・中田吉雄
○中田吉雄君 あまり保証限度が低いと代理銀行がルーズに貸し付けするかもしれませんし、それはある程度必要だと思いますが、私の経験では、やっぱり中小企業のほうがよけい両建てさせるのですよ、農林漁業金融公庫の代理貸し付の場合よりか。これはやっぱり保証というのは八割ですからね、はっきり言うのです。銀行が。同じ銀行がどこでも農林漁業、中小企業金融公庫とたいてい同じ代理業務をやっているのです。それがどうしてかというと、一方は二割、一方は八割万一のときはとにかく持たねばならぬのですからね。だから、資本担保のために、それだからといってなかなか簡単には中小企業のでも、農林漁業のでも、代理業務は相当石橋をたたいて渡らぬと貸しませんが、この保証限度というものが、私は、やはり両建てをさせる——雲の上におられた舟山総裁などにはわからぬことかと思いますけれども、なかなかこれはあるのです。それでも一千万に二百万ぐらい積んでもまだ市中銀行や地銀、信用金庫、相互銀行から比べれば、はるかに実質的には安いのです。しかし、とにかくあるのですが、私は、この二割と八割という問題は、銀行局長としても少し検討して、少なくとも中小企業も農業に劣らぬだけのやはり政府の手厚い施策が必要なんですから。銀行に聞いても水産以外はあまりそう農業関係でもリスクはないと言うんです。水産だけはこれはあぶないと言うんです。陸の上のことはまあそう間違いはないのです。海のことは、これは船なんか担保に取ってもしようがないし、なかなかリスクが多いが、農林関係でももうほかのことはそう私は差がないと思うのに、二割と八割というものはあまりにも、また高橋局長が言われるように、農業の後進性打開のために必要だということなら、経済の二重構造その他から、中小企業のためにやらねばならぬという政府の手厚さというものもあまり差はないと思うのです。私はやはりそれをひとつ検討してみていただきたいということを申し上げておきます。
それから最後に、舟山総裁にお尋ねしますが、直接貸し付けをふやすためにだんだん各県に支店網を広げられているのですが、これの年次的な計画はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/70
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071・舟山正吉
○参考人(舟山正吉君) 本年度、すなわち三十九年度には二支店、四出張所を増設することが認められましたのでございますが、今後も各地から、支店、出張所の設置の御要望もなかなか強いものがございます。また中小企業の疎通をはかりますためには、必要とする場所にはこれを設置していくことも適当と思いますので、また来年度もお願いしたいと思っておりますけれども、まだ来年度のことでございますから、腹案はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/71
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072・中田吉雄
○中田吉雄君 高橋局長にお尋ねしますが、舟山総裁も、支店、出張所の問題、えらい来年度の問題はと言って遠慮しておられるのですが、これはやはり各県に支店なり出張所を置いてもらうということは必要じゃないかと思うのですが、大蔵当局の御意見はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/72
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073・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) いままでの方針としまして、大体直接貸しをふやしていきまして、公庫の考え方、先ほど総裁も言われたように思いますが、代理貸しと直接貸しが半々くらいになるくらいにしたほうがいいんじゃないかということでございますので、私どもも、一ぺんに支店をふやすということには、これは職員の養成その他に問題もございます。そこでそういう実態を考えまして、毎年必要な程度には支店の拡充を認めていくつもりでございます。無制限にふやすわけにはむろんまいりませんが、ある程度全国の中小企業者が直接貸しを受けようと思えば、さほどわずらわしくなく接触し得るような範囲で支店網を充実していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/73
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074・中田吉雄
○中田吉雄君 そうしますと、さほどわずらわしくない程度に充実するということは、なかなか慎重な発言ですが、これは各県に一つあてつくるということとは違いますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/74
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075・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 実際問題としては大体そのような方向に進んでまいるものと思います。ただ一気にはまいらぬというだけのことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/75
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076・中田吉雄
○中田吉雄君 希望ですが、そう職員でもすぐには間に合わぬでしょうしするので、やはり各県に支店なり出張所を——私は、直接貸し付けではなしに、代理業務をやはりいろいろ常時見ていただくためにもです。支店ができねば出張所でもつくっていくことが必要じゃないかと思いますので、その点を希望して、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/76
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077・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 他に御発言もなければ、午前の審議はこの程度にとどめます。
参考人の方には長時間御苦労さまでした。
午後は一時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。
午後零時三十六分休憩
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北後一時五十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/77
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078・前田久吉
○委員長(前田久吉君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
午前に引き続き、中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案及び中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行ないます。
御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/78
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079・近藤信一
○近藤信一君 いま「中小企業の「近代化」「合理化」「中小企業構造の高度化」について」の印刷物が配付されましたが、これは過日の委員会で私が質問したときに、後ほど印刷物で報告します。こういうことでございましたが、これがいま配られましたので、長官からひとつ説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/79
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080・中野正一
○政府委員(中野正一君) それでは、お手元にお配りいたしてございます中小企業の近代化、合理化、中小企業構造の高度化ということばの解釈というか、どういうふうにわれわれが、主として政府側がこういうことばを使っているか、誤解のないようにはっきりさしたほうがいいのじゃないかという御指摘がございましたので、法制局あたりとも相談いたしまして、御参考のためにこういうものをつくったわけでございます。
簡単でございますので、読みながら説明させていただきますが、中小企業の近代化というものは広い意味で使われておりますが、これは一口にいえば、産業におきます中小企業層という階層全体を近代化するということである、こういうことに大体解釈しておるようでございます。
わが国の中小企業は、総体的に見まして、多分に前近代的な性格から脱却し得ない面を御承知のように残しております。このような前近代性、後進性を払拭しまして、生産性の高い健全な中小企業層を確立するということが中小企業の近代化のねらっているところだというふうに解釈していいのじゃないか。
したがいまして、近代化の意味するところは、前近代的なものから現代的なものへの転化というような質的な飛躍、発展を含む概念であろうかと思います。これに対しまして、合理化というのは、むだを省き能率的なものにするというような、どちらかといいますと、技術的概念じゃないかというふうに考えまして、これも近代化の一つの手段であるというふうに解釈をいたしております。
したがいまして、中小企業の思い切った飛躍、発展をはかっていこうという現段階におきまして、これに前向きの姿勢で積極的に取り組むという決意を明らかにするのには、広い概念である近代化のほうがよりふさわしいのじゃないかというふうに考えます。中小企業基本法体系、これは基本法そのものではなくて、中小企業基本法に関連をしました全体の法体系におきまして大体以上のような趣旨で「近代化」「合理化」の用語を使われておるというふうに見ております。
これはちょっと念のために基本法と関連法規を申し上げますが、基本法におきましては、その点非常に気をつけて書いておりまして、たとえば基本法の前文あたりでは、中小企業全体の近代化、いま私が最初に説明しましたような意味合いの広い概念の近代化ということばを使うのを避けております。むしろその中身をこまかく砕いて、前文で説明をいたしております。したがいまして、基本法では第三条に初めて「近代化」「合理化」ということばが出てまいりまして、ここではどちらかと言うと、設備等については近代化——これはいま言ったような、前の古い形のものから新しいものにするという意味合いで、設備については近代化ということばを使っております。それから経営管理等については、むしろ合理化——先ほど言いました全体の配列を合理的に配置し直す、新しくするのじゃなくて、従来あるものを合理的に配置し直すという意味合いで経営管理の合理化、なお、あとで出てまいりますが、流通機構の合理化という、こういうことばを使っております。それから第二章にもやはり「近代化」ということばが出てまいりますが、このときにやはり設備の近代化ということに限定して使っております。それから設備の配列を合理化するというときに、合理化ということばを使っております。それから小売り商業における経営形態の近代化というのは、これはやはり前近代的なものから新しい現代的な経営形態にするというような意味で、近代化ということばを使っております。ところが、今度は促進法——いま御審議願っております中小企業近代化促進法あるいは中小企業近代化資金助成法という基本法の関連法規の一条の目的のところに、「中小企業の近代化を促進し、」云々と、近代化促進法でいうとそうなっておりますし、それから資金助成法でありまするというと、国が必要な助成を行なうことによりまして、中小企業の近代化の促進に寄与することを目的とする、という意味で、広い意味での近代化。そして一般に中小企業の近代化が必要であるというようなことを盛んに政府筋で言う場合は、(一)で説明したような意味合いに使っているというように解釈しております。
最後に、「中小企業構造の高度化」と、これはこの前も御説明申し上げましたように、基本法でもちましてはっきりと中小企業構造の高度化ということの意味合いは、中小企業の企業規模の適正化、事業の共同化、工場店舗等の集団化、事業の転換及び小売り商業における経営形態の近代化、こういうものを総称いたしまして「中小企業の高度化」と法律ではいっておるわけでありましてこれは解釈をいたしまするというと、(三)に書いてございますように、中小企業構造の高度化とは、構造の高度化という文字が示しますように、個々の企業の問題というよりは、むしろ業種内及び業種間におきまする中小企業の構造を、最も付加価値生産性が高まるような方向に是正することに着目するものであります。この意味におきまして中小企業の近代化という概念の中に包摂されるものである。というふうに見ていいんじゃないか。中小企業構造の高度化の具体的態様には各種各様のものが考えられるでありましょうが、基本法におきましては、第三条において規定しておりまするとおり、主として業種内の中小企業の構造を是正するものといたしまして企業規模の適正化、事業の共同化、工場店舗等の集団化及び小売り商業における経営形態の近代化がありまして、業種が需給構造等の変化に即応するためのものといたしましては事業の転換、こういうことを含めまして中小企業構造の高度化というふうに解釈をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/80
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081・阿部竹松
○阿部竹松君 いま中野長官から、近代化、合理化、高度化の話を承ったのですが、一口にしていえば——五分間も解釈にかかっているわけですが、一口にいえばだね、これは大体三つ一緒なんじゃないですか。無理にこじつけて、基本法ではこうだ、あの法律ではこうだといってへ理屈を並べておられるけれども、これは一つのものであって、現在の経済情勢に中小企業の構造を合わせるために——合わせるというか、近代化、合わせるために合理化を行なえば高度化すると、こういうことでしょう。あなたはずいぶんむずかしいことを言うから、ちっともわからぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/81
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082・中野正一
○政府委員(中野正一君) これはこの前も申し上げましたが、法律なり、われわれがいろいろのところで、政府筋で近代化と言ったり合理化と言ったり、構造の高度化と言ったりしておるので、その関係なり解釈をある程度はっきりしておかないと中小企業者の方が迷うじゃないかという御指摘がありまして、ごもっともでございますので、こういう一応解釈をいたしております。要は、いま先生御指摘のように、一つの事態というものを側面を変えましていろいろの面からとらえる、こういうことも確かにあるわけでありまして、ただそのためにかえって非常に事態を混乱させるじゃないかという御指摘がありますれば、これは今後の問題としてもう少しわれわれも勉強をしたいと思いますが、現にまあいろいろの法律なり、いろいろのところで三つのことばを使っておりますので、その使い分けは一応こういうようなことでわれわれとしては考えていきたいと、なお、もう少し研究いたしまして、混乱ができるだけ起こらないようにわれわれとしてはつとめていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/82
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083・大矢正
○大矢正君 いまの話と大同小異なんですが、この二項目に「「近代化」の意味するところは」とありまして、以下ずっとありますが、「これに対し「合理化」とは無駄を省き能率的なものにしていくというどちらかと云えば技術的概念ではないかと思われ、」と、こう書いてある。「思われ」とは一体どういうことなんですか。あなた方のほうで出しているいうならば法律なり、法律用語で、その「思われ」とは一体どうなのか。「思われ」というのは、だれかが言ったことに対して、自分はこう思うといった言い方でしょう。ところが、あなたのほうから出してくる法律の内容なり、提案理由の趣旨なり、説明なりに出ていることを「思われ」なんというのはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/83
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084・中野正一
○政府委員(中野正一君) その点は、確かに御指摘のように、われわれのほうで説明しておいて、人ごとのように言っているというのは不適切かと思いますが、できるだけ客観的にものごとを言おうとして、こういうことをかえって間違いをやったのじゃないかと思いますが、技術的概念と考えておると、こういう意味合いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/84
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085・大矢正
○大矢正君 重ねて聞きますが、法律に出てくることばでしょう、合理化なり、近代化なり、高度化なりということは、法律に出てくることばの意味が明らかでないというのはちょっと私は理解できない。提案趣旨の説明等の中だけで、一般論として言っていることばならいいが、法律の中に出てくることばに「思われ」とか、そう思うとかというようなことでは、ぼくはちょっとおかしいと思うが、これ以上は言いません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/85
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086・中野正一
○政府委員(中野正一君) これは大矢先生、実は法律の解釈だけでなくて、一般的に中小企業の近代化を大いにやらなければならぬ、革新的な近代化をやるというようなことを政府が言っているじゃないか、法律的にもいろいろなことばを使っているじゃないか、それで全体を見てどういうふうに解釈しているのかと、こういう近藤先生の御質問と私は解釈しまして、法律で使っているとおりの解釈でなくて、もっと一般的に政府がいろいろ使っていることばを、法律だけでなく、予算面だとか、いろいろのところで使っているわけです。その意味で、これの解釈を、大体こういうふうに政府としては見ているのではないだろうかということを関係のほうとも相談しまして、御参考のために提出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/86
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087・藤田進
○藤田進君 熱心に取り組まれて、一応文書にして出されたという誠意は認めますが、これはいわゆる学説的に見てもどうか支離滅裂の感があるように思うのです。そこで、たとえば、産業構造といわれているが、しかし、現行実定法上使用されているところの定説として、ここに確認されるということであればこれは別ですけれども、別なものでしょうから、これはかえって文書になって混迷を来たすように私頭の中で思うのですが、政府は慎重に検討されてこれが池田内閣としての、今後いかなる場合もこういう定義をもっていくのだというふうに解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/87
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088・中野正一
○政府委員(中野正一君) いまの御指摘の点については、さらにもう少し勉強さしていただきますが、いまこれをもって解釈の確定版というふうには、私はとても自信はございません。というのは、先般御質問がありまして、そういう点について早急に関係のところで相談をいたしまして、一応この程度のもので国会へ出してもそう恥ずかしくないだろうというようなことで実は出したような次第でございます。
御指摘の点もございますので、もう少し勉強さしていただきまして、できますれば、はっきりした、関係の省で意見も大体一致を見るように、法律的な解釈はどうだということは別にまたつくったほうがよいのじゃないかと思います。いま少し検討の時間を与えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/88
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089・阿部竹松
○阿部竹松君 関連して。中小企業基本法ができたときに、中小企業団体の組織の法律ができた当時の長官は、いま参議院議員になられた川上為治さん。川上さん時代から、樋詰さんのときの基本法の際も、高度化、合理化、近代化とはどうだこうだという論争を一日やったことがある。中小企業とは何ぞやということをめぐりまして……。いま長官の、大矢委員の質問に対する御答弁は、政府で政府でと言って、政府を答弁の材料に使っているようですが、そういう意味で政府の考えを一方的に押しつける気持ちでそういう答弁をされたのでは困る。藤田委員の質問に対しては、研究をすると言うけれども、それはそれでけっこうですけれども、しかし、この高度化と合理化と近代化というのは密接不可分ですよ。これが三つの法律に違って出てくるから、これは何ぞやと言うと、あなたはさももっともらしくかっこうつけて答弁しなければならない。ですから、そのあたりしかるべく研究して、これで了解しませんからね。わかったようなわからぬような……。これはもう少し一番劈頭に書いてある「一口にいえば」という一口にまとめていただいてひとつお出しを願いたい。「一口にいえば」ということで五分間演説されたのではたまったものじゃない。今度藤田委員の質問によって研究し、結論を出すというのですから、一口にいえばみんなが了解するようにお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/89
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090・藤田進
○藤田進君 ちょっと指摘しておきたいのです。たとえば「最も付加価値生産性が高まる」といったことが一つの用語に出てまいりますが、一口に付加価値と言われますが、最近の合理化というものは、御承知のように、労働陣営が反対しているのは、不合理なものを合理的にするというのじゃなくて、労働の付加価値というものを押えてくるのです。それが合理化に反対という本質なんですね。ですから、そういう点ももっと検討されていく必要がある。ばく然とした付加価値生産性が高まりさえすればいいと言われても、それはそうはいかぬ、特に中小企業の場合。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/90
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091・椿繁夫
○椿繁夫君 午前中のこの質疑の中でも、大蔵省が市中銀行を通じて今度の春闘に対して高い賃金を回答することによって妥結することのないようにという意味の行政指導をやっておるということについて御答弁がなかったわけであります。また私は、別のほうから通産省が同様のことを行政指導やっておられる。あんたのほうがあんまり高い賃金で回答をされる、それによって妥結するというふうなことであれば、通産省としては割当その他についても考えるから、そのつもりでひとつ春闘に対する回答を善処すべきであろうという意味のことを、これはまさか大臣が言われたのじゃないと思うのですが、局長あたりのところではそういうことが出ておるのじゃないか。これは有力な電気製品メーカーに対してそういうことが言われておるということを私は伺っております。そこで、先般閣議でも何かこれに類するような検討がなされ、宮澤さんが帰国されると、政府の今次の春闘に対する賃金に関する政府の見解を述べるというふうなことが伝えられておるわけですが、通産大臣、そういうことを指示されたことがございますか。それとも閣議で相談された賃金要求に対する政府の態度というものは一体どういうことなのでしょうか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/91
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092・福田一
○国務大臣(福田一君) 閣議で賃金の問題について話が出たことはございませんが、経済閣僚懇談会をやりましたときに、物価の問題を取り扱っているときに、生産性を上回るような賃金の上昇が数年にわたって続くということになるというと、これはひいては異常な高物価になるおそれがある、こういうような話が出たことはございます。しかし、それではどうでしょうか、そこでどうするのだというような話が出ておりませんが、まあそれぞれの役所のといいますか、大蔵とか企画とかいうようなところで一応そういうことについては、まあ研究はしてみようと、こういう話でそのままになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/92
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093・椿繁夫
○椿繁夫君 そうしますと、賃金については、業種別などにもいろいろあるでしょうが、幾ら幾らが妥当であって、生産性がこの程度だから賃金はこの程度におさめるべきじゃなかろうかというようなことについて、政府は解釈を確定して民間企業に対して指導をされる考えはないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/93
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094・福田一
○国務大臣(福田一君) そういう考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/94
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095・椿繁夫
○椿繁夫君 なお、通産省も監督をしておられる企業なり、いろいろ行政指導を行なっておられる民間企業に対して同様の指示をしたり、指導を行なったりされる御意思はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/95
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096・福田一
○国務大臣(福田一君) 通産省としては持っておりません。要するに良識をもって労使双方できめてもらうものである、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/96
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097・椿繁夫
○椿繁夫君 私もそう思いますが、今後もそういうことをされる意思はない。この賃金などというものは、労使双方が自主的に、しかも、その確立されておる慣行に従って決定されるべきものであるというふうにお考えになりますか。私はそういうふうに政府がやられるべきものだと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/97
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098・福田一
○国務大臣(福田一君) 賃金の問題については、いま椿委員のお話のあったように、労使双方で良識をもって解決していただく、こういうことであります。しかし、そのことと、それがもたらす、たといどういう形でもたらしても、それが生産性を上回ってそういうことが解決された場合には、それは物価に影響があることとは、これは別でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/98
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099・椿繁夫
○椿繁夫君 物価が上がっておるから賃金値上げの要求が起こっている、その賃金を上げることによって幾らか物価にはね返ってくるということが考えられるわけですが、そうしますと、政府はこの企業の労使間における賃金問題について自主的な話し合い、良識的な解決というふうなことを望まれないのですか。これは私は自主的に、政府は第三者なんだから介入すべきことではないと、こう思うのですが、企業採算など無視して賃金を回答したり、妥結したりすることはないと、こう思うのですが、それでいいのじゃございませんかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/99
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100・福田一
○国務大臣(福田一君) 賃金をきめる場合には、労使双方の良識に基づいてきめられるのが、これが当然であると思っておりますが、そのきめ方いかんが、物価にはね返るかどうかということについて意見を言ってはいけないということにはならないと思うのであります。私はそういうふうに解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/100
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101・椿繁夫
○椿繁夫君 どうもおかしいですね。賃金というのは、私の見解ですが、ずっと最近では、ここ二、三年来物価のあとを追っかけているような形になっていると思います。それで、生産性をはるかに賃金が上回っておる、生産性向上を賃金が上回っておるというふうな考えが政府の一部にある。そういうことが私は労使間の紛争というものを、単なる経済闘争からこの政治的な性質をもってくるように、その誤った考えが情勢をつくっておるように思いますので、そういうことについては、政府は終始一貫不介入の態度を堅持さるべきであるというふうに私は思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/101
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102・福田一
○国務大臣(福田一君) 介入する意志はございませんけれども、事実を述べる機会もないということはおかしい話だと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/102
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103・藤田進
○藤田進君 いや、問題点は、労使間にそれぞれ労働関係法に基づいて一つのルールができ、また慣行、先例等によってそれぞれ行なわれてきているわけです。民間産業等については特に労組法によって規制もされ、保護もされている。この中には、第一条以降労使対等の立場で自主的にきめていくのだ。で、政府はどういう立場か、これは中立の立場。これはもう労働法の解釈上、条文上もう定説なんですね。これはお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/103
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104・福田一
○国務大臣(福田一君) それはけっこうであります。そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/104
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105・藤田進
○藤田進君 とすれば、政府の政治権力というのは、これはわが国の場合も同様ですが、非常に大きな力を持っているのです。かかるゆえに議会の議を経て労働関係法という形で規制されているでしょう。ところが、自主的に決定をするということについて、資本というのは従来強いものとされてきた、歴史的に。そこで、労働者に対しては罷業権という、団体行動権というものを与えて、労使が現状においてもバランスがとれるということをおもんぱかってやってきている。ところが、政府が背後にあって融資をしないとか、あるいはその他の方法をもって圧力を加えるという、実質的な圧力を加えるということは、これは中立の立場ではない。いま椿委員が指摘しているのは、電気器具等においても、あるいは午前中も問題になった融資、大蔵省の関係においても、そういう事実があるという質疑に対して、政府は介入する、その他労使自主的におきめになるのだと言いながらも、物価に影響を持つ、すなわち生産性に見合う賃金でなければならぬという事実を指摘しながらコントロールしていく、こういうふうに響いてくるわけです。とすれば、政府の政治権力の中立性というものは失われてくる。これでは現行法体系から見てもよろしくないことだ、こう言うのであります。ですから、政府に私は一歩譲って、物価体系というものがあって、そしてこれに見合う賃金体系というものがあるというのであれば、これは国によってはあります。これはまた事情が変わってくるのです。一方において高度経済成長、所得倍増計画のもとにおいては、池田総理がいつも言うように、今度の予算委員会でも言うように、物価が著しく上がることは好まない、よって公共料金を一年ストップをやったとか、諸般の物価対策を講じつつあるとおっしゃるが、反面物価が下がるということは言っておりません。かかる政策のもとにおいては物価が上がることはこれはやむを得ないのだ、しかし、上がるけれどもこれに上回る所得というものがあればそれでいいじゃないか、こういう議論になっているわけですね。ところが、実態としては、物価関係が、政府施策にもかかわらず上がっていく。政府の見通しから見ても、本年度も三%以上上がるのだ、実質はそれより上がっていくのじゃないかという状態であるし、昨年度は八%、われわれの見たところでは、大体一〇%前後だと思いますがね、というものが上がってきていれば、実質賃金というものが下がっていく。一方政府の政策としては所得倍増ですから、十年で倍にするというのですから、したがって、労働者としては世界のそれぞれの労働の付加価値から見ても、その配分率から見ても、報酬に比べて日本は非常に低い。また、摂取カロリーなりエンゲル係数などから見ても低い。アメリカなどを引き合いに出すまでもなく低い。こういうときに政府施策全体から見て、自主的交渉の場におけるそのさなかにかかる示唆を与える、あるいは圧力を加えるということは適当でないんじゃないか。したがって今後においてもそういうことのないようにいたしますか、いたしませんかと言ったときに、ことばが濁ってまいりますので、私は気がかりで重ねてお伺いをいたすところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/105
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106・福田一
○国務大臣(福田一君) 先ほど申し上げましたように、労使双方で良識をもって解決されるのは正しい姿であると思っております。しかし、そういう場合において、政府としてそれがたとえば生産性を上回るような場合においては、また物価高が出てくるであろうというようなことを言ったとしても、それは労使双方ともお受け入れになられるべき筋のものだろう。そこが良識というものなんですね。良識というものは賃金がそういうふうに生産性を上回った場合においては、また、それがすぐ物価にはね返るであろうというようなことをもよく考えながら、労働者も資本家もそれを考えられて、それがプラスになるかどうかということを考えられながらおきめになるのが、まず私は良識であると思っております。決してどちらに対して味方をするというわけではございません。
それから、いまおっしゃいますけれども、資本家のほうが権力があるというのは定説であります。確かに昔はそうであった。しかし、今日は資本家のほうが弱い場合もあります。むろん労働組合のほうが、強い場合もございますよ。ですから、私は必ずしも定説とは言えなくなっているのではないか。しかしそれは別として、要するに労使双方が良識をもって、どういうふうにしていけばいいのか、将来の幸福をかち得られるか、現在ももちろん幸福でなければならないし、将来もやはり日本人全体として幸福に生活ができるか、それにはどういう姿が望ましいかということを考えながら、いろいろそれにはデータがあるでしょう。いろいろのデータがあると思います。そういうたくさんのデータのうちの一つに、私は生産性を上回るような賃金の上昇というものは、結果においてだんだんとまた物価の上昇になり、それがまたインフレを導き出すであろうということも、一つの考え方である。そういうことがあるということは、私は何も、政府がそういうことを言った、あるいは閣僚の一人が言ったとしても、私はそれは圧力になっているとは思わぬ、むしろそれは労使双方ともにお考え願う問題であると思っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/106
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107・藤田進
○藤田進君 第一点は通産大臣の所管でないから追求するのはどうかと思いますが、資本と労働の相対する中において労働が弱いということは、これがもう定説であるからこそ、憲法もかつては社会政策としてやってきたんだけれども、憲法二十八条には、基本権としてこれを認めることになったんです。それは、個々の労働者が個々に折衝、つまり労働の契約という分野では非常に弱い。そこで、団体協約という理論に発展して、そうしてその団結権を認め、労働組合をつくる、そして団体交渉を行なう、そしてその場合に事情によっては団体行動を行なうというこれなんですよ。この考え方のもとというものは、個々の労働者よりは資本が強い、特に今日日本の場合はおおむね……。個々の問題は必要があればあとで申し上げます。あすの本会議で私は電気事業で申し上げることになっておりますから、その分は避けるとしても、まあ要するに、個々の労働者というのは弱いからこそ、そういうふうに歴史的に発展してきたんですよ。これを否定されるということになれば、これは資本のほうが弱くて労働者のほうが強い場合があるとおっしゃるが、そうはいかないのです。労働法なり労働分野における定説としては、それがもう否定しがたいものなんだ。それからもう一つ、生産性云々と何ら影響がないと言われるけれども、あるいは鉄鋼の場合において、あるいは今後個々に自主的に出されるであろうが、それについて事業の未解決案件について、労使間について影響をもたらすという発言は、これはどう考えてみても労使間における政府の中立性というものではない。同時に、生産性が上がっていれば、生産性に見合って出していいのかどうか、私はあすの本会議の前段として聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/107
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108・福田一
○国務大臣(福田一君) どうもここであなたと私がそういう問題でやっておったんでは、これは際限がないことなんですが、まあしかし、まず第一に、あなたのおっしゃった個々の労働者は資本より弱い、それは私は肯定しております。何もそれを否定したことは一つもございません。組合がいわゆる経営者と相対した場合に、組合といって団結を持った場合においては最近では組合のほうが強い場合もございますよということを先ほど申し上げたのであります。個々の労働者が弱いということについては、ごもっともだと思っているわけであります。
それからあとの問題は、これはなかなかむずかしい。あなたと私がここでいろいろ申し上げてみてもどうかと思いますが、およそ政治をやる者が、やはりそういうことについて影響させようという意味じゃない、労使双方ともそういう点は考えてもらってしかるべきではないかと、こういうことで言うておるわけでありますから、一つも何も影響させる意図を持って言うていないということを御理解を賜わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/108
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109・椿繁夫
○椿繁夫君 何か大臣は石炭特別委員会のほうの御出席をお急ぎのようですから、私の質問についてちょっと締めくくりをしたいと思うのですが、名前を出したほうがいいかもわかりません。松下電器が、今度の春闘賃金要求が出ていますね。これに対して回答の会社案というものを持たれた際に、通産省の関係部局から——大臣じゃないと思います。通産省からということなんです。だから関係部局だろうと思うのですが、そういう高い回答をされると一般に影響を及ぼすので考慮してもらいたいという意味の御発言があったということを聞くのですが、大臣はそういう報告を受けられましたか、御存じでありますか、それとも、そういうことは言うていない、またさせるつもりはない、いずれですか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/109
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110・福田一
○国務大臣(福田一君) 私は関知いたしておりません。また、言わせようとも思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/110
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111・椿繁夫
○椿繁夫君 なお、そういうことは通産省としては言うべきではない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/111
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112・福田一
○国務大臣(福田一君) さよう心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/112
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113・椿繁夫
○椿繁夫君 それでは、いま議題になっております三法についてちょっと大臣にお尋ねいたしますが、今回の中小企業金融公庫法の一部改正案、これによりますと、資本金の二十倍までは金融債の発行限度額を認めるというふうなことを先ほど銀行局長からもお話があったのですが、私をはじめ、各委員とも御発言になりましたところによると、財投資金なり政府関係資金というものによってできるだけ安い金利で中小企業の設備の近代化——あるいは高度化になるかもわかりませんが、とにかく合理化を促進させるという意味で、できるだけ安い金利の金融をお考えになることが必要だと思います。でこの前上がりました商工中金の一部改正の際にも実は申し上げたのですが、大臣ちょうど御出席なかったので、この機会にお尋ねをするわけですが、商工中金の金利は大体九分二厘ぐらいになっておる。で開銀などは去年あたりまで大体六分五厘、今度コストが高くついておるからというので七分五厘ぐらいに上げられたものもある。ところが、中小企業の組合金融を目途とする商工中金の場合は九分を上回っておる。その上に、今度の金融公庫債の発行というふうなことはどうしてもやはりコストが高くつきますから、金利が高くならざるを得ない。こういうことでは、私は中小企業の施策をもう革命的に推進すると言われた政府の御方針としては若干矛盾をしておるというふうに思うのですが、大臣はこういうことで中小企業は救われるというふうにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/113
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114・福田一
○国務大臣(福田一君) われわれとしては、中小企業といわず、あるいは大企業といわず、ほんとうは金利が低いほうが望ましいわけでございます。できるだけ。しかも、格差があるといいますか、生産性が違っておる中小企業と大企業の間で、中小企業のほうは金利が低いようにすれれば、なおこれはいいわけであります。そういう意味からいって、商工中金の金利が九分三厘以上になっておりますので、今度何とかしてそれを下げなければいけないと思って、まず中小企業金融公庫並みに九分まで下げるように予算で措置をいたしました。中小企業金融公庫が今度百億円の公庫債を発行するということになりますと、それがひいては金利にはね返ってくるのではないかと、こういうようなおことばでございますが、先ほど来政府委員が申し上げておったように、できるだけそういうことのないように——これはまあ今度の場合はそれはだいじょうぶでしょう、将来これを今度ふやしたらそうなるではないかというお話でありますが、私は、もしそういうようなことであれば、場合によっては政府がもう一ぺん出資をするなり、何らかの形で金利を上がらないようにくふうをしながら持っていかないと、本来の目的にはそぐわなくなるのじゃないか、こう思っておるわけでございまして、今度の場合には、資金量はそれだけふえるということであり、しかも金利には影響がないということでございましたので、われわれはそういうことを認めておる。二十倍にするという場合においても、今後伸ばす場合においても、それを十分考慮に入れながら、金利にはね返らないように努力しつつ融資の額をふやす、こういう考え方で臨んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/114
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115・椿繁夫
○椿繁夫君 お話のとおりなんですけれども、ちょっと何を見ますと、簡保から出ております金額が減額されたり、あるいは運用部資金から投入されておりますものが減額されたりして、それでいて公庫債の発行を百億お考えになっておるということでありますから、私はどうしても金利は高くならざるを得ないという心配を持つわけであります。で、御承知のこの開発銀行の金利のうち、六分五厘当時でございましたが、船などに対しては、とても六分五厘の金利負担はえらいだろうというので、政府で一部利子補給をやられて、たしか五分で貸しておられるような政策をとっておられるのです。それにもかかわらず、これほどの格差をひとつ解消しよう、二重構造をひとつ改めようという中小企業の金利が、商工中金で御努力の結果九分程度になるというのでは、まだまだ私は、やはり金利を上げないようにするだけじゃなくて、もっもとっと積極的な、中小企業に限ってこの金利の問題について革新的な対策がなければいかぬと、こう思ったのですが、聞くところによりますと、自民党は商工中金の際でも百四十五億政府資金の出資を望まれた。それが大蔵省で百億削られて四十五億にとどまっておる。こういうことでは、私は政府としての一貫した中小企業対策というものを見ることができないのを非常に残念に思っておるわけであります。こういう点について、大臣どうですか、今後どういうふうに努力されていく御決意ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/115
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116・福田一
○国務大臣(福田一君) ただいまの百四十五億というのは、御案内のように、信用保険公庫の場合でございまして、もちろん商工中金の場合も少なくとも五十億ぐらいはというのがわれわれのねらいであったわけであります。結果において三十億ということになったのは、まことに残念でありますが、今後も私は、そういう意味で、できるだけ中小企業に対する金利の負担を下げるように努力をしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/116
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117・椿繁夫
○椿繁夫君 大臣にのみちょっとお尋ねをするところを整理して申し上げます。
中小企業近代化促進法、それから近代化資金助成法、この二つの法律を比べてみまして、中小企業の考え方、資本金五千万円、従業員三百人以内というように大体なっておると思うのですが、この資本金五千万円、それから従業員は千人以内というのがこの法律にあるのです。これはどういうことでこういうことになったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/117
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118・福田一
○国務大臣(福田一君) これは政府委員から答弁させたほうがいいかと思いますが、私の了解しておりますのは、千人以下というのは鉱業だけでございます。というのは、中小企業というものを、どういうものを中小企業と認めるかということについて、なかなかこれは私は問題があろうかと思っておるわけであります。資本金がどれくらいがいいのか、あるいは従業員がどれくらいがいいのかというのは、おのおの業種によって違ってきます。だからこそ、サービス業などになりますというと五十人以下、こういうことでありますから、もし三百人というのがいいということであれば、みな三百人で右へならえすべきでありますが、サービス業等は五十人以下、こうなるわけであります。鉱業については、その鉱業の持っておる特殊性にかんがみて、千人以下、こういうふうにいたしたと了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/118
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119・近藤信一
○近藤信一君 関連して。いま椿委員からお尋ねになったのは、近代化促進法と近代化資金助成法、この法律で、近代化促進法のほうは鉱業も三百人になっておりますが、資金助成法を見ますると、これは定義の問題で、五千万円以下、千人、こういうふうになっておるのです。この同じような法律でなぜ、その一方は鉱業——鉱山の鉱業、これも同じ定義のワクの中に入っているのが、一方では、資金助成法のほうでは、千人と、こういうふうに変わっているわけです。一体どうしてこういう変わりがあるのか、こういう意味だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/119
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120・中野正一
○政府委員(中野正一君) ちょっと私から……。
近代化資金助成法のほうは、マイニングの場合ですね、鉱業の場合は従業員が千人以下ということを法律で明文化しておるわけです。これは従来からそういう扱いをいたしております。それから近代化促進法のほうは、原則だけ書きまして、例外を政令に譲っているわけであります。法律にありますように、政令に指定する業種では、政令で定める資本の額または政令で定める従業員の数以下ということで、原則は三百人、五千万円で、例外を政令で、マイニング——鉱業のほうは千人、こういうふうに書こうということになっておるわけです。どうしてこういうふうに例外を認めたかということになりますと、近代化促進法のほうは、団体法なんかと同じように、やはり業種別にいろいろこまかい施策をやっていかなければいけません。たとえば陶磁器のような場合は、やはり資本金に比べて従業員の数が非常に多いわけでございまして、石炭なんかと似ておるわけです。その意味で、陶磁器について施策をやる場合には、団体法もそうでございますし、この近代化促進法も同様に政令でそれをきめよう、こういうふうにしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/120
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121・豊田雅孝
○豊田雅孝君 いまの問題に関連して。いま中小企業関係の定義というか、限度についていろいろ質疑応答が重ねられたのですが、中小企業金融公庫法には、マイニングの鉱業は千人以下というふうに書いてある——これは明らかですが、紡織業関係、これが三百人以上のものが中小企業の中に相当あるわけです。それでまた、資本金も五千万円以上のものがある。しかし、これは開発銀行に行って対象になるかというと、必ずしも対象にはならぬ。それで、中小企業金融公庫で扱われるかというと、法律の関係で扱えない。そこに谷間ができるわけですが、これについてはどういうふうにするつもりなのか、お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/121
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122・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま御指摘がありましたように、中小企業金融公庫法では、やはり一律に三百人、五千万円、マイニングの場合だけ千人、こういうふうに法律で書いてございます。これは資金助成法も同じ——資金助成法も一種の広い意味の金融でございますので、大体同じような形の法律になっております。いま豊田先生の御指摘になったような場合は、紡績に限らず、あるわけです——資本金が五千万円ちょっとこえて、従業員も四百人というような。それは全然政府の施策の対象にならぬ。そこらが一番困まるじゃないかという声も相当ございます。しかし、われわれの立場からいいますと、そこまで範囲を広げれば、また中小企業の上のほうに施策が厚くなるではないかというおしかりを受けるわけでございまして、そういうものはわれわれのほうで扱わないように——金融面からそれはどうなるかというと、どうしても困る場合は、開発銀行へ行っていただく。これは例の地方開発ワクがございますので、そういう面で相当程度は救えるのではないか。しかし、大企業といわゆる中小企業の中間に存在する、いわゆる中堅企業といいますか、こういうものが非常に金融上の政府のあたたかい施策の対象にならぬじゃないかということは、確かに御指摘のとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/122
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123・豊田雅孝
○豊田雅孝君 いまの鉱山業のほうは、特殊の業種の事情から千人という一つの除外例を設けているのですが、紡織業、繊維業も、これは普通の中小企業とは違った特殊の御承知のとおり事情があって、むしろ千人近いものでも当然中小企業といわざるを得ない特殊の事情があるのです。これは、御承知のとおり、女子工員その他を多数使うというような特殊事情からきたものであります。業種、業態によって違う。それによっては別個な扱いをするというたてまえがすでに鉱山業で出ておれば、それと特殊事情のあるという点については共通の立場にある繊維業の関係について、特殊の扱いをせられてしかるべきじゃないか。そうでないというと片手落ちになるのではないか。この点は、大臣は福井の御関係で、繊維業の本場ですが、大臣どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/123
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124・福田一
○国務大臣(福田一君) お説ごもっともでございまして、研究をいたしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/124
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125・椿繁夫
○椿繁夫君 お説もっともじゃない、意見を私は申し上げたいのですが、中小企業基本法において、資本金が五千万円、従業員は三百人以内、こういうふうに中小企業のこういう資金助成法などの保護を受ける業種というものを大体基本法で定めておるわけです。それを、三百人が一千人になったり、あるいはまた、従業員の数がその範囲内であれば、かりに資本金が一億でも五億であっても中小企業の扱いを受けるというようなことになりますと、中小企業対策そのもののワクが、本年度の総予算のパーセンテージをとってみましても、〇・五%を出ていない。そういう限られた中小企業助成の範囲内において、資本金が五千万をこえてもよかったり、あるいは三百人をこえてもよかったりするようなことになってまいりますと、零細企業というものが、ことにこの法律の目的の対象というものがぼやけてしまいまして、零細企業のこれは切り捨て政策に変わっていく心配を実は私は持っておるのであります。でありますから、資本金は五千万円以内、かつ従業員は三百人以下というふうに限定さるべきものであって、政令にゆだねるというふうなことは、私ども実は強い反対を持っているんです。ですから、大臣、先ほどごもっともですというようなことを言われましたけれども、ごもっともといっても、ワクが知れておるのに行き届いた助成というものは、これはできはしませんよ。そこを私ども、政府に、いつまでもこういうふうに政令によってワクを広げたりすることのできるような考えを改められませんかと、このことを大臣に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/125
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126・福田一
○国務大臣(福田一君) 私は、そこが中小企業問題の非常にむずかしいところだと思っておる。たとえば、中小企業を育成しなきゃいかぬということになれば、自民党でも社会党でも同じなんです。その点では意見は一致するわけなんです。しかし、あなたのほうでお出しになった法律案を見ると、中小企業は資本金は三千万円と、こうおっしゃる。われわれは五千万円ということを言いました。それじゃ三千万円と五千万円どこが違うかというと、なかなかむずかしい問題です。そのように、なかなか中小企業のとらえ方というのがむずかしいと思う。業種業種によって違ってくるわけであります。そこで、今度の場合においても、たとえば鉱山なら千人とか、あるいは陶磁器なら九百人とか、そういう一つのとらえ方をしておるわけです。しかし、そういう、いまあなたのおっしゃったのは、このやり方でいくというと零細企業は非常に切り捨てになるじゃないかというお説であります。ごもっともだと思う。私は、零細企業に対してはもっと何らかの施策をしなきゃならない、こう思っておるのでありますが、零細企業は一そうこれは数が多いし、種類が多いし、またなかなか雑多でございまして、それにどういう——非常に共通なものは何があるか。金融があるでありましょう。しからば、金融などについては別個な政策が考えられるといたしましても、個々の問題について、やっぱりもう少し、手の込んだといいますか、あたたかい施策がなくてはならないと、こう私は思っておる。ただ御案内のように、中小企業基本法は昨年つくったばかりでございまして、もちろんそれまでにもっとやっていないのは君らが悪いんだと言われれば、申しわけないとは思いますけれども、ようやくできて、いま具体的に調査に入っておる段階でありますから、今後ともひとつ、われわれとしては、零細企業の問題については、もっともっと予算の問題その他についても力を入れてまいりたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/126
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127・椿繁夫
○椿繁夫君 政令にゆだねられておりますために、基本法で定めております五千万円以下三百人以内、これが、従業員が三百人以内であれば、資本金は一億でも五億円であっても中小企業という。逆に今度は、資本金が五千万円以内であれば、従業員の数は千人になっても九百人であっても中小企業と見る。こういう解釈のしかたというものは、基本法そのもので定めております定義を、政令によってワクを無制限に拡大していくという危険がある。私は、この基本法が成立しました際に、一緒に政令などを廃止していく方向をとるべきであったと、こう思うんですけれども、そういう、いま申しますような解釈が政令によってどんどんやられるということになりますと、いよいよもってこれは中小企業の上のほうの救済策に終わりまして、中以下零細企業の助成策というものがほんとうに急いで具体化されないと、この法律の趣旨というものが抹殺されてしまうと、こう思うのですが、重ねて大臣の御答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/127
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128・福田一
○国務大臣(福田一君) お説のとおりでございまして、零細企業に対する手当てをいたしませんと、いわゆる上のほうにばかり厚くなるという可能性があるということは、私どもよくわかるところでございまして、同感であります。したがって、今後は零細企業に対する施策をもっと充実するように努力をしなければならない、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/128
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129・豊田雅孝
○豊田雅孝君 この際、大臣のおられる間に、ごく簡単に御質問をいたしたいと思います。中小企業金融公庫債を今後発行することになるわけでありますが、これと、さなきだに消化の困難な商工債券との競合、これがもう非常に組合金融の財源の問題として重大な問題をはらんでおるのであります。そこで、中小企業金融公庫債の消化方法、これはどういうふうに考えられておるか。午前中、銀行局長にただしたところによりますと、シンジケート団をつくって、そうして都市銀行、地方銀行がこれを引き受けるような行き方だということでありますが、これは商工債券は、やはり利付債は都市銀行及び地方銀行がこれを引き受けておるのでありまして、しかも商工中金は代理貸しをやったりする立場の金融機関と違うものでありますから、都市銀行、地方銀行に対する関係は非常にむずかしい点がある。そういう点において、商工債券の利付債券の売れ行きというものについては非常な苦心をしているのであります。そこへ今回、中小企業金融公庫債が出てくると、そこに大きな競合の問題が出てくる。これが、今後組合金融の財源の問題ということに深刻なる影響を与えはせぬか、これを非常に懸念せられておるのでありますが、大臣の御見解はどういうふうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/129
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130・福田一
○国務大臣(福田一君) ごもっともな御質問なんであります。われわれもそういう点も考えたわけでありますが、実際にはまあ百億程度であればまず大体はそういうことはないだろう、あまり影響はなかろう、こういうことが一つ。それなら、二十倍までということにしたら、いつ何どきそれがふえていくかもしれないということでございますが、こういう場合においては、先ほども申し上げましたように、金利が上がらないようにすると同時に、一方において商工中金に対する影響のないように考えていかなければならない。私は、商工中金の場合は、これはどうも、いろいろ考え方があるわけです一が、商中債の金利などというものはもう少し上げてもよいのではないか。これはどういうふうに商中のほうに響いてきますか。その場合には、今度は商中のほうに出資をふやすとか、何かそういうくふうで商中債の金利を上げ、それが商中の経営を困難にするというなら、今度は安い金利を……、政府から出資をふやす、こういうようなことを考え、いずれにしても資金量をある程度やっぱりふやすということも、これはわれわれとしては考えなければいけないのじゃないだろうか。もちろん、政府出資あるいはまた政府の財投等々によりますれば、これはある程度限度がありますので、なかなかむずかしい面もありますが、とにかく、いまのように政府関係三機関で九%しかないというような姿は、ほんとう言うと、われわれとしては、できたら政府関係三機関でせめて三〇%ぐらい——中小企業向けは三〇%はそこで持ってるということになると、かなりコントロールができるんじゃないかと思うんで、いわゆる政府もそういう中小企業に向けられる金というものをふやしたいという気持は十分あるんで、その場合に無理しないで民間からその資金が吸収できれば一番いいんではないか、実際には、そういう何かくふうがないかということは、今後とも大いに研究いたしてまいりたい、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/130
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131・豊田雅孝
○豊田雅孝君 その場合に、民間資金を吸収するべくつとめれば、いま申す商工債券の消化と競合をしてくるということになるのでありまして、この点は非常に細心の留意を払わなくちゃいかぬ。しかも、今後中小企業の近代化、合理化、ことに高度化をやろうということになりますと、さっき中小企業庁のほうから発表せられた高度化、合理化、近代化のあの解釈にもあらわれておりますが、高度化は言うまでもなく構造の高度化だと、そうなるというと、協同組合中心でいくのほかないのでありまして、その協同組合に今後依存する面が非常に多いということになれば、なるほどその財源を強化しなければいかぬ。さなきだに中小企業対策の根幹は組織にあるということを国策として明示せられてきておるのでありますから、そういう面からも、組合金融の財源というものについては、最も優先的に、これは量的にも、また質的にも考えられていく必要があると思うのでありますが、そういう面について、いま中小企業金融公庫債を発行しても額はまあ百億程度だと、これも銀行局長は最小限度にすると、長官もそういう趣旨のことを言われて、中小企業金融公庫総裁もそういうふうなことを言われましたが、そういう点において、量の問題、消化方法の問題、これらの面から、組合金融の財源に大きなショックを与えないようにということは、大きいというだけでなく、実際ショックを受ける非常にデリケートな立場にあるのでありますから、絶えずお考え願いまして、組合金融優先主義というか、組織金融優先主義というか、この点について十分にお考えを願わなければ、近代化、合理化、高度化は、言うべくして行われないのじゃないか、こういう点、大臣の御所見、御決意、これを強く承っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/131
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132・福田一
○国務大臣(福田一君) お説の趣旨を体して、十分処置をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/132
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133・藤田進
○藤田進君 最後に大臣に一問だけ。先ほどのけじめがついていないので、生産性の向上云々、したがって物価論が出ましたが、それらは聞いたけれども、将来刺激になったり圧力を加えたりしないという、それはわかりました。そこで、お考えとして、生産性が上がれば、生産性に見合うものは上げてもしかるべきだということでありますか、上がるやつは一切だめだということなのか、そこのところがお答えがなくて終わっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/133
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134・福田一
○国務大臣(福田一君) どうも私はあまりその学問のことはよくわからないほうですから、お答えが間違っているかもしれませんが、私は、生産性が上がった場合においても、それに見合って同じパーセンテージ、たとえば生産性が昨年とことしと比べて二〇%上がった、だからその二〇%分は全部、何といいますか、労賃のほうへ持っていく、これは無理がかかってくる場合があると思う。また、事業自体の内容というものを見て、将来ここで少しある程度はストックというか資本をふやしておくほうがいいと、そういうような場合もあるだろう。あるいは、これを資材として持っていたほうがいいと思われる場合もあるだろう。いろいろ私はあると思う。そういうこともよく考えながら、その生産性の上がったものをどう配分していくか、それを良識をもってきめられることが望ましい、こういうように私は考えているわけです。これはどうもあなたのようによくわからないから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/134
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135・藤田進
○藤田進君 ですから、過去十年ぐらいの統計から見て、生産性が上がっている。これに対して、労働賃金がかなり低位にあるといったようなものについては、これは産業でいろいろありましょう。ですが、減価償却もしており、内部留保もしている、利益配当もかなりしているという状況下においては、これはやはり生産性に見合うというものになさる以上、上がっていれば当然労働賃金のほうに回してしかるべきじゃないか、こういうお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/135
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136・福田一
○国務大臣(福田一君) 私はそこが問題があるところだと思う。たとえば、よくあなた方、アメリカとか欧州並みになぜやらないのだとおっしゃるけれども、それは経営といいますか、その会社の実力が違う。やはりその基礎が完全にできていた場合の生産性が上がった分をどう配分するかという場合と、基礎がまだできていない場合においてその生産性の上がった部分をどの程度賃金のほうに回すかという場合は、おのずから差があってしかるべきじゃないか、こういう私たちは感じを持っているわけだ。そこで私は、そこら辺がやはり、そういうことを考えることも良識の一つだと思う。一体どういうふうにしていったら、この事業は将来も伸びていき、そうして将来も自分たちがその賃金を不景気になった場合でもちゃんと確保できるというか、何かそういうふうに対抗できる組織ができるかということを考えながら、労使双方が、これは私は今後はやはり、労務者の方というか、組合のお方も十分そういうことをお考えになられることが、組合のためにもなり、またそれが長い目で見たプラスなんだと、こういう私は考え方を持っている。だから、そこら辺をよく判断しながら、自分の会社はどういういま仕事をしている、そうして世界の動きはどういうことになっている、この場合においてむやみにいまここで配当に持っていったりあるいは賃金を上げたりしてしまったのでは、かえって将来何か起きたとき困る。たとえば鉱山なんかは、かなりそういう面があるだろうと思います。たとえば銅、鉛、亜鉛というのは、値段がすぐ上がります。と思うと、すぐ下がる。景気がいいときにむやみに配分してしまうというか、そうなりますというと、もちろんそれは税制の問題があります。そういうときできるだけストックをさせるような税制をつくるべきだ——これは私は尊重すべき御意見だと思うし、そういうふうに考えてまいりたいと思いますけれども、しかし、そういう場合において、その会社会社の持っている特殊性、その産業の持っている特殊性等々を考えながら、将来のことを考えつつ配分をおきめになるということは、これは資本家も考えなければいけないが、組合もお考えになってしかるべきではないか、こういうように私は思う。そういう意味において、決してどちらに対してどうあるべきだ、そういうふうな押しつけの気持ちで申し上げているのじゃない。しかし、長い目で見て、生産性を上回るような賃金の上昇があれば、それは物価に影響するということを、これはわれわれ言ったからといって、何もそれは次して間違いではない、私はそういう意味で申し上げているわけでありますが、どうもそういうことはあまり研究しておりませんので、あるいは私の言っていることはつぼをはずれているかもしれません。私はいまそういうふうに考えているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/136
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137・藤田進
○藤田進君 これは時間のあるときに、具体的事例を出して所見を伺いたいと思います。きょうは急がれるから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/137
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138・鈴木一弘
○鈴木一弘君 大臣、一問だけですから……。近代化資金助成法の今度の改正で、商店街の構造の近代化計画をつくるということになるわけです。ところが、いままでもずっと論議をされてきたことでありますけれども、大企業と中小企業との競合の問題——そういう問題が必ず起きてくるだろうと思う。商店街の場合、大きいいわゆる百貨店などを含んだところも近代化計画を立てなければならない。こういうふうにしなければ、実際問題として、場所によっては運営が——近代化をして商店街を繁栄させようという場合に、無理がいくのではないかという感じもするわけです。それで、これによると、「政令で定める基準」ということで、政令の内容が非常に問題になってきます。これらのこまかい内容については、長官に伺いたいと思うのですけれども、大臣として、その大企業と中小企業との一体割合というものをこの程度に引いておきたいとか、あるいはその計画に参加する中小企業の参加数というのは何%以上なければならぬとか、こういう何らかの目星がなければ、中小企業に対してのこれはてこ入れにならないわけです。はっきり申しましてね。その辺のところの、必ずそういう線を引かしてみせようという決意、こういうものがおありかどうかということを、ひとつまず大臣に一番基本的なことだけ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/138
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139・福田一
○国務大臣(福田一君) これはまだ事務とよく打ち合わせをしておらないので、自分の感じを申し上げるのでありますが、私は、商店街の近代化をするという場合だったら、やはり現在営業をしておる販売面積といいますか、これが一つの大きな基準であるべきだと思っております。たとえば、間口何間で奥行き幾らだというようなものが一つの基準になるべきである。それを基準にして、そうしてこの寄り合い百貨店といいますか、一つの近代化、町づくりをするということであります。ただし、その場合において、譲り受けをする、まあ一緒になったというときに、この家は私のもらった権利を譲りますといえば、その分はふえてもしかたがないと思いますけれども、いま言ったような売り場面積というものを一つの大きな基準に考えるべきじゃなかろうかと思っております。ただし、その上に住宅もつくるという場合には、現実に住宅をどのくらいということも基準として考えていいんじゃないかと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/139
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140・田畑金光
○田畑金光君 大臣はもうけっこうですから、ひとつ長官に二、三お尋ねしたいと思うのですが、いま商店街の問題が出ましたので、若干商店街についてお尋ねしたいと思いますが、この近代化資金助成法の中で商店街育成強化のための高度化資金というのが新たに出ておりますが、この点は大いに賛成ですけれども、この商店街振興組合について政府としては基本的にこれを今後どのように助成していこうというお考えであるかどうか、これを伸ばしていこうというお考えであるのかどうか、これをまず政府の基本的な考え方についてお尋ねしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/140
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141・中野正一
○政府委員(中野正一君) 商店街振興組合法ができまして以来、各方面におきましてこの法律の趣旨に従いまして組合がどんどんできつつあります。大体いま三百以上になっていると思います。これが助成につきましては、法律ができる際にはいろいろな御要望もあったようでございますが、これに対して、たとえばまあ組合に対して直接経費の補助をするとか、そういうふうなことは認められなかったわけでありますが、このたびのこの中小企業近代化資金助成法の一部改正の中で、いま御指摘のありました商店街の町ぐるみの近代化計画というものをつくる場合には、従来からありまする協同組合だけでなくて、この商店街振興組合も一種の地域団体でございますので、ちょうどこういう事業をやるのに適切じゃないか。また、実際いままでわれわれが聞いておりますものも、各地にそういう話し合いが出ておりますが——大体十カ所ばかり話が出ておりますが、その相当部分は、やはり商店街振興組合をつくって個々の事業としてやりたい、こういうふうな希望もあるようでございますので、法律でももちろんこれを認めておりますが、こういう方面を通じまして事業面についていろいろ今後助成を考えていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/141
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142・田畑金光
○田畑金光君 特にお尋ねしたいのは、いまの商店街振興組合法の内容を見ますと、商店街組合をつくるについて地域的な制限があるわけですね。特に、この法律制定の際に、商工会議所とかあるいは商工会等からいろいろ違った意見も出てきて、そこで現行法では、特に第十一条の二項あるいは附則第二条等において、これこれの地域については商店街振興組合ないし連合会がつくれないという形になっておるわけです。いまお話しのように、商店街振興組合の活動分野というのがこれからますます広くなり、また重要になってくる、こう考えておるわけです。国民の消費、購買力の上昇とともに、商店街活動も非常に盛んになってくる。したがって個々の小売り商業、サービス業を営む人々が商店街をつくるという共通の目的をもって国民経済に寄与する面というのがますます重要になってくるということを考えたとき、いまの商店街振興組合法の中にある地域的な設立についての制限という点は、この際再検討してもよろしいんじゃないか、こういう考え方でわが党は先般商店街振興組合法の一部改正という法律案を出しておるわけですが、こういう考え方について政府としてはどういうお考えであるのか、この際聞かしておいてもらいたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/142
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143・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま御指摘になりました商店街振興組合法とは別に、商工会法というのがございますが、この法律によりまして、これは主として地方でございますが、そういうところに商工会ができておるところについては重複してつくれない、こういうことになっておるわけでありますが、これは法律制定の際に相当議論があったように私も承知をいたしておりますが、現在の実情からいいまするというと、やはり主としていなかのほうにつきましては、町に商工会ができておるというところが相当ございまして、商店街振興組合とまっこうから組織法としてぶつかるというような面がございますので、こういうことになったのでございまして、これが実情に合わないじゃないかという点につきましては、商店街振興組合をつくったほうがいいという御主張の方のほうからそういう声が非常に強く響いております。また一方、商工会のほうの組織でいきたいという、こういう方は別の意見を持たれておりますので、われわれとしては、この点についていますぐ法の改正ということではなくて、もう少し実情を調べた上で、どういうふうな組織にすれば実態に最もよく合うかということを今後の問題として十分研究なり検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/143
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144・田畑金光
○田畑金光君 いまお話にもありましたように、この商店街振興組合というのは、協同経済事業と環境整備改善事業、こういう仕事を行なう商店街組織としてこの法律ができておるわけでありますが、商工会議所とか商工会は、みずから企業経営を営んだり、協同経済事業を行なう組織というよりも、むしろ事業経営を指導したり、あるいはそのための世話役活動をやる組織として商工会議所とか商工会というものができておると考えておるわけです。したがって、同じ組織法であっても、その仕事の内容あるいは担当する分野というのはおのずから範囲があるわけで、いまお話のように、あるいはこの商店街振興組合法が立法された当時議論されたように、組織の仕事の内容がお互い衝突するという面は少ないんじゃないか、ないんじゃないか、こういう考えを持つわけであります。ことに今回のように、商店街振興組合というのを重視されて、町ぐるみで近代化計画をやるときには、それに対する資金の貸し付け等についても十分援助していこうというので今回の法改正がなされておる点から見ましても、この際、現在の商店街振興組合法について、もっと根本的に再検討してもよろしいじゃないか、こういう見方を私たちは持っておるわけでありますが、それらの点について政府の考え方を聞かしてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/144
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145・中野正一
○政府委員(中野正一君) 先ほど申し上げましたように、この問題は、少し私としては時間をかけまして、実態も調査し、各関係方面の御意見も聞いて、いろいろ違った意見がございますので、いま先生御指摘になったような御意見も相当有力な意見だと思いますが、そういう点も、各方面の意見も聞き、実態調査もしまして、どういう組織に今後していったほうがいいかということを十分研究した上で結論を出したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/145
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146・田畑金光
○田畑金光君 各方面の意見を聞いてという、こういうわけですが、それば具体的に言うと、どういうようなことを考えておられるのか。また、私が先ほど申し上げたように、商工会議所とか商工会の組織あるいはその仕事、性格というものと商店街振興組合との間にはおのずから違いがあると、こう思うのです。ことに、最近の法律ができて以降、商店街振興組合が各地にできて、活発に事業活動をやっておる。あるいは、商店街の近代化、高度化の面においても相当な実績を今日あげておる。こういうことを見たとき、商業者が自分の選ぶ組合のもとに結集し、あるいは企業合理化、経営の改善をはかっていくということは、これは当然認められてしかるべきじゃないかと、こう思うのですが、政府は今後各方面の意見を聞いてというのだが、それは具体的にどういうことを考えておるのか、あるいは今後いま私が申し上げたような方向で検討していくという意味であるのか、先般わが党の出した商店街振興組合法の一部改正については、長官としてはどのように読んでおられるのか、了解しておられるのか、これもひとつあらためてこの機会に聞いておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/146
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147・中野正一
○政府委員(中野正一君) これは、中小企業の組織全般の問題につきましても、この間の基本法の制定の際も、たしか参議院だったと思うのですが、参議院の商工委員会でも附帯決議がたしか付せられたと記憶しておりますが、中小企業の組織の整備について早急に研究をして結論を出せというような御意見もございまして、現在中小企業政策審議会の中に組織小委員会というものをつくりまして、先般からこの準備を始めておりますが、そういうところで関係方面の意見も聞き、またそういう方面の多く専門家にもお願いいたしまして十分御審議をいただいた上で、しかしこれもなるべく急いで結論を出したい。その際に一緒にこの問題も考えたい。
それから、いま御指摘の点は、確かに商店街振興組合と商工会との事業はダブッている面と違っている面がございますので、そういう御意見も出るかと思いますが、実は、もしどうしてもそういうところで商店街の近代化計画等をやりたいという場合は、法律上は、商店街の振興組合でもいいし、協同組合でもいいし、あるいは協同組合の連合会でもいいというようなことになっておりますので、さしあたりどうしてもこの際法律を直さないと事業ができないということもないかと思いますが、しかし、それにしても、せっかく商店街振興組合を地方のほうでつくっていくというときに、既存の商工会等があるとできないというのもいささか不合理じゃないか、ダブってつくったっていいじゃないかというのも一つの御意見かと思いますが、そういうことで、私として、もうちょっと時間をかけて研究さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/147
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148・田畑金光
○田畑金光君 いまの点は、ひとつ早急に検討を願って、政府としても、実情に即した、あるいはまた中小商店経営者等の声に忠実に耳を傾けられて善処することを希望しておきたいと思いますが、特にわが党ではこの法律改正について出しているのだから、これらも十分に検討の素材に乗せられて善処されるように希望したい、こう考えております。
それからもう一つ私がお尋ねしたいのは、最近流通革命という流行語すらできているわけで、これに伴って中小商業者は非常に苦境に立っている面もあるわけであります。商業者自身が合理化、近代化を進め、新しい時代の要求に即応するように努力しなければなりませんが、最近その一環としてスーパー・マーケットの問題がいろいろ取り上げられておるわけです。セルフサービス方式をとるスーパー・マーケットやスーパー・ストアの出現が大きく社会的な問題として今日取り上げられて、中にはまたこういう面にすでに大きな資本が進出してきて、弱小のスーパーが衰退するという現象も、これは現実に起きてきているわけであります。いわばすでに乱立の傾向が出てきている。その間に大資本による不当な進出というものがなされてきておる。要するに、百貨店法の裏をかいて、こういう面に百貨店資本が出てきておる。こういう面が非常に強く出ておるわけでありますが、こういう面について、政府当局としては何らか、今後このスーパー・マーケットとかスーパー・ストア等について、単独の法律でもってこれを調整するなり、規制するなり、指導するなり、そういう考え方を持っておるのかどうか承っておきたいと、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/148
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149・中野正一
○政府委員(中野正一君) 最近のいわゆる流通革命というか、卸、小売り、特に小売り段階の問題につきまして、スーパーの進出等で相当中小の小売り商業者が影響を受けておることは、御指摘のとおりでございます。ただ、これに対してわれわれとしてどういうふうにして対処していくかということでございますが、従来からやっておりますように、特に中小の小売り商業のやり方というものを近代化をしていく、この近代化の過程において政府はこれをできるだけいろいろの方法で助成をする、むしろ積極的にそういうスーパーの進出というようなものに対しまして、小売り商業者みずからが協同し、あるいは保護でもよろしゅうございますが、これに対抗してみずからの体質改善をやっていくということがまず積極策の一つじゃないかというふうに考えております。ただ、その場合に、政府として助成するのは、従来からございましたが、今回特にこの助成金をふやしまして、全国で百五十カ所ばかり考えたいということで予算をちょうだいしておるわけでございますが、小売り商業の共同店舗化、これをひとつ積極的に助成をしていく、これをモデル・ケースとして、そういう形でもっていわゆる小売り商業者がみずから協業化あるいは共同化というような形でもって寄り合い、百貨店をつくる、あるいは共同のスーパーをつくるというような形を積極的に進めていくということが一つの方策だと考えております。
それからもう一つの問題は、スーパーの問題がやかましくいわれまするのは、いわゆるこれがスーパーであるから悪いというのじゃなくて、むしろそうでなくて、その実態がいわゆる不当廉売、おとり販売が非常にはなはだしい、いわゆる不当景品、不当表示防止法というような法律がございますが、あるいは独禁法というような法律がございますが、独占禁止法、そういう現在ありまする法律に違反すれすれのような、なかなかこれは実態がつかみにくいので、公取でも苦慮しておるようでございますが、そういう独禁法あるいは不当景品の防止法、こういうような法律に違反するような商売のやり方でほかの人に非常に迷惑をかけるというような形もございますので、その点は取り締まりをさらに強化をしていく必要があるのじゃないかというふうに考えております。
それからさらに、しからば特に、巨大資本あるいは外国資本等と提携をして非常に巨大な資本がこのスーパーの形でもって進出をする。このために、一時的にしろ、小売り商業者が総体として非常な困難な状況におちいる、こういうようなことも考えられます。いままでのところでは、それほどひどい影響が、スーパーの進出そのもので起こっておるというふうには、必ずしもわれわれは見ておりませんが、むしろ、いま言ったような商売のやり方それ自身にいろいろ不当なところがあるために、いろいろの問題を起こしておるのじゃないかというふうに見ておりますが、いずれにしましても、巨大資本等が出る場合に、いわゆる百貨店法で百貨店という形をとれば、これの取り締まりは許可制にして取り締まりをしておるわけでありますから、それに準じたようなやり方をしたほうがいいじゃないかという議論もございます。ただ、この問題につきましては、いろいろまだ通産省としても研究の段階でございますし、また、その方面の問題もいま委嘱しまして、いわゆる合理化審議会の流通部会におきまして検討していただいておりますので、そういうところにおける十分な検討を待って結論を出すことにいたしておりますが、しかし、明らかにそういう巨大資本の進出によって相当の影響がありそうだというようなものにつきましては、さしあたりは、行政指導によりましてこれを規制をしていきたいというふうなことで、今後どうするか、法制的にどうするかということは、今後の問題として研究さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/149
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150・近藤信一
○近藤信一君 ちょっと議事進行について。
四時をめどにして、大臣の都合もあって、四時ごろ採決に入りたいと、こう思うからまあ質問も簡単に——私どももまだ質問がありますし、質問を簡単にして、長官の答弁も、まくらことばみたいなものはいいから、要点だけを端的に言って、実のあるところを答弁をして、議事を進めてもらいたいと思います。(「賛成です」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/150
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151・鈴木一弘
○鈴木一弘君 関連して長官に。
いま巨大資本に対しての問題ですが、百貨店法に準じたものにしたいということでしたが、そうすると、先ほど私が大臣に質問して、あとでまた長官にこまかく聞くつもりでおったのですが、政令で定める基準に該当するというような商店街の近代化計画を立てる、その政令の内容が問題であるわけですが、その政令にはこれを定めていくというようになりますか。巨大資本あるいは大企業とのいわゆる共同スーパーにしても、いろいろ百貨店にしても、このような近代化計画の細長い商店街にしても、そのパーセンテージというか割合というものを、組織分化といいますか分野の確立というか、そういうようなものは、ここのところではっきり定める意思があるのかないのか。先ほどだと、研究したいというような話だったわけでございますけれども、研究したいというのは、この政令のことではないだろうと思って聞いておったのですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/151
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152・中野正一
○政府委員(中野正一君) その点は政令できめるつもりでございますが、たとえば組合員の数が五十人以上で、そのうちの三分の二以上が小売り商業を営む中小企業者であればよろしいと、こういうような形になりますので、その中に中小企業者でないものがあっても差しつかえはないわけです。地域組合でございますから。ただ、それに対しては、中小企業者以外の、たとえば大企業がいろいろ店舗を改造するというような場合は助成はいたしません。補助の対象にはいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/152
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153・鈴木一弘
○鈴木一弘君 いま政令の内容がちょっと出たわけでございますが、そのほかに、組合員で参加する者が何%とか、非組合員はどのくらいまでいいとか、その割合についての大体の政令の構想はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/153
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154・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま申し上げたように、その組合の所属員の数が五十人以上で、その三分の二以上が小売り商業者であるということが一つの要件でございます。それから、その組合の組合員のうちで五分の四以上がその計画に基づいて、一定の商店街の区域に集団をして店舗とか、そのほかのものをつくる、いわゆる五分の四以上の者がその計画に参加をする、こういうようなこと、それから、その商店街の近代化区域は、都市計画であるとか、そのほかの市街地の整備の見地から、適当な区域内にある、それから適切な共同施設をやる、こういうふうなような、あるいは全体から見て建物の改造とか共同施設、住宅その他の配置が、その組合員全体の経営の合理化のために適切である——これはちょっと抽象的なことになりますが、そのような基準をいま研究中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/154
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155・田畑金光
○田畑金光君 長官の答弁で一応の考え方はわかりましたが、わが党のほうでスーパーマーケット法というものを単独法として出したのですが、これを長官読んでおられますか。また、この法案についてどういう考え方を持っているか、この際、ひとつ聞いておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/155
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156・中野正一
○政府委員(中野正一君) たしか民社党のほうでお出しになったのは、スーパーマーケット業設置そのものを直接規制する形をとっておったかと思いますが、われわれはそこまで、まだ考えておりません。先ほど鈴木先生でございましたか、何か百貨店に準ずる規制をやるというふうに私が言ったように、やる考えであるというようにおとりになっておられますと、それは誤解でございますので、そういう議論もあるということで、私の考えはまだそこまで固まっているわけでございませんので、誤解のないようにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/156
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157・田畑金光
○田畑金光君 長官のお答弁の中にありましたように、この問題は、小売り商業者に対する特別措置は現行法で規定し得る面も確かにあると考えるわけですが、スーパーマケーットの進出の一面には、百貨店の進出と同じように、大資本が中小企業の事業活動の機会を奪っていくおそれも非常に強いので、百貨店法に準じてスーパーマーケット業の事業活動を調整する法律がどうしても必要になってきたわけですが、最近の傾向を見た場合に……。そういうことで、わが党としては、この法律案を出したわけです。そのことは、いわゆる小売り商の保護あるいは中小企業の擁護という面からいって、政策的な目的を達成する上からいっても、また、法律体系を整備する面からいっても望ましい方向ではなかろうか。こういう考え方でこの法律を出したわけでございますが、この法律についても、もっとひとつ政府のほうにおいても検討をしてもらいたい。
先般、通産大臣は、野党の出した法律案についても、ひとつ野党のパイオニアとしての考え方、立場等々十分に考慮して、今後政府の立法化の中にも生かしていこう、こういうお答えでありましたが、長官としてもそういうような気持ちで、ひとつわれわれの出した法律案についても十分勉強してもらわなければ困ると思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/157
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158・中野正一
○政府委員(中野正一君) 十分勉強さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/158
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159・椿繁夫
○椿繁夫君 近代化促進法で指定業種にならないと、これは何にもならない。そこで、近代化のための資金的なめんどうを見るとか、あるいは税制上の恩典を与えるとかいうことになるわけですが、いままでに、一体どういう業種が指定されているか。さらに、これから業種指定をどのように広げようとされているのか、それをまず伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/159
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160・中野正一
○政府委員(中野正一君) 三十八年度におきまして二十業種、これは法律に要件がございますが、要するに、国際競争力の強化あるいは産業構造の高度化等に資する業種で、特に国民経済上大事な業種で政令で指定するということになっております。二十業種を指定いたしたわけでありますが、その後、状況を見ますというと、いわゆる国際競争力の強化とか、産業構造の高度化というような法律の文句に、少しとらわれ過ぎる、しぼり過ぎているのじゃないかという御議論もございまして、むしろ、これは当然法律の要件に合致しなければいけませんが、もう少し国民生活に密着した業種等も取り上げるべきであるというような御議論も、これは国会方面におきまして実はそういう御議論もございまして、最近、政令を改正しまして、三十九年度の分として、たとえば、しょうちゅう、それから、みそ、しょうゆ、なまパン、それから繊維製の衛生材料——衛生綿等、マッチ、木製家具、陶磁器、それから染色整理業、印刷業、それから自動車の分解整備業、土木工事、こういうふうに、それ以外に従来から考えておりまするような、たとえば金属熱処理業であるとか、ミシンの部品製造業とか、こういうふうな業種も取り上げておりますが、相当今度の場合は幅広く業種を取り上げたいということで、全部で二十七業種三十九年度として取り上げたわけでございます。三十八年度は二十業種でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/160
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161・椿繁夫
○椿繁夫君 三十八年度が二十業種で、三十九年度が二十七業種いま予定されておる。いまちょっと伺った中で、私ども陳情を再々受けておりますもので既製服の製造業者、これは先年、中小企業団地をつくられます際にも私ちょっと申し上げたのですが、こういう政令によって指定される場合に、問屋業者のほうが政治的発言力といいますか、東京への声が直接聞かれるものだから、このほうが、団地にたとえば入る場合でも対象になりまして、実際に製造をしておる業者——生産業者ですね、これは協同組合法による組合をつくっているわけですが、こういう既製服業者、しかも問屋じゃなくてほんとうに生産をしておる業種も指定されるお考えはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/161
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162・中野正一
○政府委員(中野正一君) その点はわれわれもお聞きしておりまして、今度は、三十九年度の分として縫製品製造業ということで既製服のあれを入れることにいたしております。実はこの間私が補足説明をしたときにくっつけて、説明は省略いたしましたが、近代化促進法の法律案の要綱の最後に、二十七業種の政令案を付録としてお配りしてございますので、ごらんいただきたいと思います。既製服は入れてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/162
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163・椿繁夫
○椿繁夫君 近代化促進法で策定することにしているこの近代化計画、これは現在できていますか。それから、その実施計画はどんな形でつくられるのですか。その進行状況についてちょっと伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/163
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164・中野正一
○政府委員(中野正一君) 第一回の三十八年度の指定が、あれは法律がたしか施行になったのが七月ころじゃなかったかと思いますが、秋ころに延びまして、その関係でいま盛んに近代化審議会の中に各部会をつくりまして、業界と政府側と一緒になっていま盛んにやっております。それですでに指定になりました二十業種のうちで、たぶん早いものは五月から六月には近代化計画ができると思うのです。業種によって幾ぶんおくれているものもございますが、いま盛んに急がせまして——早く近代化計画かできませんと、その裏づけになる資金面だ何だというものが計画が立ちませんので、急がしております。
それから近代化計画の中身は、これは法律にもございますが、要するに、目標年度というものをつくりまして、たとえば製造業でありまするというと、どういう性能、品質、コストあるいは生産規模等なり生産方式はどういうふうにしたらいいかというような目標をきめると同時に、その当該製品の生産の見通し、あるいは輸出の見通しというようなものもつくるわけであります。それから新しくどういう共同施設をつくるか、あるいは個々の近代化施設はどんな種類のものをつくったらいいか、それには一体どれだけまた金が要るか、あるいは技術関係等の技術の向上の目標というようなものをつくる、あるいは事業の共同化であるとか、あるいは集団化等の計画等につきましても、もし必要があれば、そういう全般にわたる近代化の目標について計画をつくって実施をしてまいるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/164
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165・椿繁夫
○椿繁夫君 資金助成法のほうで、商店の問題が今度取り上げられておりますことは非常にけっこうだと思うのですが、商店で一番おくれておりますのは、何といってもやはり労使関係じゃないかと、こう思います。労務管理の問題、あるいは宿舎の問題、それから休日の問題、それからレクリエーションの問題、いろいろ、近代的な商業組織と違って、零細な商店においてそういうことが特に問題になる、こう思うのですが、こういうことについて、政府はどういう施策をお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/165
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166・中野正一
○政府委員(中野正一君) 確かに御指摘のように、今後の小売り商業等を新しい時代に適応させるためには、まずやはり、そこに働く者の福利厚生施設等の充実、あるいは労使関係の近代化と申しますか、そういうところからしないというと、実際問題として、必要なる労働力は確保できないというような、せっぱ詰まった情勢になっておると思います。したがいまして、最近は、商業関係につきましても、そういう意味の福利厚生施設を盛んに計画を立てております。これに対しては、われわれのほうでは共同施設の補助金で——補助金というか、助成金といいますか、助成金でこれを応援をいたしております。それから、なおそれ以外に、たとえば年金福祉事業団等は非常な長期の低利の金を貸すということになっておりますので、そういう方策について、われわれのほうとしても、関係省と十分連絡をとりながら、そういうものの充実に努めていきたいというふうに考えております。このために、実は、私が長官になりましてから、労務関係の対策の連絡協議会というものをつくりまして、厚生省、それから労働省、建設省——これは住宅関係でございます。それから自治省というような関係の局長にお集まりを願いまして、横の連絡を十分にとりながらそういうものを進めていっております。それからなおそれ以外に、レクリエーションと休日の問題等も、これは主として、たしか労働省でいろいろ担当をして指導してやってくれておるわけでございますが、そういう問題につきましても、いわゆる商店街あるいは小売り商等の新しい情勢に即応するような態勢というものを、われわれが中心になって関係のところとも十分連絡をとって進めたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/166
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167・近藤信一
○近藤信一君 時間がありませんから、簡単に二、三の点をお尋ねするのですが、先ほど椿委員からも御質問がございましたが、いわゆる中小企業の範囲の定義の問題について、私どもがこの法案に対する反対の意思表示をする点はそこにあるわけなんです。いわゆる政府の案でいきますると、五千万円以下の会社並びに三百人以下の会社と、こういうふうにどちらか一方を満たしておれば、中小企業という範囲の中へ入れておられるわけです。ところが、社会党の案でいきますると、五千万円の会社かつまた、三百人、こういうふうになっておりまして、その「かつ」というところに大きな意義がある。両方ともかねていなければならぬというのが社会党の案、先ほど椿委員から大臣に質問されまして、だんだんと零細企業がなおざりになる、切り捨てになるのじゃないか、ここを私どもは心配して、これは基本法でもこういうふうになっておりまするから、基本法に関連する法律案だから、こういうふうに政府は出されたと私は理解するけれども、やはり零細企業問題を重点に考えていくならば、これはやはり社会党の案のように、「並びに」じゃなくして「かつ」、こういうふうに私はすべきが本来の姿じゃないか、こういうふうに思うのですが、この点についての長官のお考えをもう一度お尋ねしてみたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/167
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168・中野正一
○政府委員(中野正一君) 確かに御指摘のように、中小企業の範囲なり概念というものは、資本金で見れば、これは工業の場合ですが、資本金でいえば五千万円以下、従業員のほうでとらまえるというと、大体三百人以下、こういうことでございまして、ただ、これを法律上書く場合に、なかなかむずかしい問題なんですが、いま先生が御指摘になったような社会党の案のように書きますと、実際、これはケースによって非常にぐあいの悪い場合も出てまいるのでございます。たとえば従業員が二百九十人だ、ところが資本金をつかまえてみると、たまたま五千五百万円だったという場合に——それがやはり中小企業の実態なんですね、ところが、それはもう全然入らぬ、こういうふうな場合も出てまいりますので、法律上書きますというと、こういうふうに「並びに」ということで、どっちかの条件を満足しておればいい、こういう形にせざるを得なかったということだろうと思います。したがいまして、われわれとしては、運用面については、やはり中小企業性というものをどういうところに見るか、それに該当する中小企業者に対していろいろ手厚い助成なり保護の政策をやっていくということでございまして、たとえば中小企業金融公庫あたりの融資の場合を見ましても、五千万円以上の会社に対する融資というものはごくわずかでございますから、たしか二%程度じゃないかと思います。運用面では、確かに先生の御指摘があったように、こういう定義があるから何億でも中小企業として取り扱うのだ、そういうばかな運用はいたさない。運用面については十分気をつけるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/168
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169・近藤信一
○近藤信一君 近代化のための金融の問題で一点お尋ねしておきたいと思っているのですが、近代化ということに対しましては、私は二つのケースがあると思うのです。たとえば工場の近代化ということもございましょうし、機械の近代化ということもございます。両方の立場からお尋ねするのですが、たとえば町の中に従来の古いバラックの工場がある、そして機械もぼろの機械だ、これを今度ひとつ近代化したいからということで、それでよそに工場を移転して、ついでに内部の機械設備も近代化しよう、こういう場合に、近代化資金の対象になり得るかどうか、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/169
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170・中野正一
○政府委員(中野正一君) 旧工場のほかに別に工場をつくる場合じゃないかと思いますが、たとえば、それが旧工場のほかに工場を新設するという場合に、設備近代化助成金に該当する業種で、しかも、その対象になる施設であります場合は、所要資金の二分の一を無利子で五カ年間は貸し付ける、残りは自己資金ということになるわけでありますが、それに対して商工中金とか、中小公庫の金を借りる道が開かれておる、こういうことでございます。
それから、自分が一人で別に工場をつくるのじゃなくて、団地にいわゆる集団化で新設をするというような場合には、高度化資金のほうの利用ができる、こういうことでございます。ただ、具体的にどういうケースかということを詳細にお聞きしないというと、はたして設備近代化資金なり、高度化資金に該当するかどうかわかりませんが、一般的にはそういう場合は商工中金とか、中小企業金融公庫で金融的にめんどうを見る特別のケースに該当する場合、いま言った助成の対象になるような業種で、しかも、施設もそういうものだという場合は、別に金融、助成の方法があると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/170
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171・近藤信一
○近藤信一君 その点は、私、明確にしておきたいのですが、過日私が、そういうケースで、自分の土地が茨城にある、現在工場は深川にある、そこで工場も狭いし、茨城のほうに工場を移転する、そのついでに中の機械も近代化していきたい、こういうことで中小企業庁のどなたか、私名前は呈示しなかったが、電話しましたところが、そういうのは該当しない、適用されない、こういう電話の話だったのです。そういう話がやはり名古屋でもございまして、名古屋でその点を聞いたところが、原則的にはこれはだめなんだ、しかし、愛知県としてはそういうのをめんどうを見ておりますと、こういう話だったのですが、この点ひとつ長官、明確にしていただきたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/171
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172・中野正一
○政府委員(中野正一君) それはいま県が、いまの設備近代化の助成金は、県ごとに県がやっているものですから、そういう問題が起こってくるのじゃないかと思いますが、それは移転するほうの移転先ですね。移転先のほうの県でめんどうを見るということになっておりますので、いま個々のものが出ていく場合ですね、出ていく場合は、だから、そういうことでちょっと問題が複雑化しておったのじゃないかと思いますが、該当すると思いますので、なおよく調査したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/172
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173・近藤信一
○近藤信一君 移転先でめんどうを見るということになると、工場を建ててから中の設備を、機械の近代化をはかっていかなければ、その移転先の県ではめんどうを見ないのじゃないかと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/173
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174・中野正一
○政府委員(中野正一君) ちょっと具体的なケースで正確にお答えしなきゃいかぬと思うのですが、いまの、県が違っておると、移転先のほうでは、要するに、全然新設の工場になるものですから、ちょっと扱いかねるということじゃないかと思います。ただ、われわれのほうの取りきめとしては、産炭地へそれを持っていくというような場合には対象にしなさいということをはっきり取りきめをしておるということなんでございますが、そういうことでちょっと解釈が——解釈というよりは、県でどう扱うかということは、県当局によくやはりわれわれのほうで聞いてみないと、はっきりしたことが申し上げられないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/174
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175・近藤信一
○近藤信一君 これは私がかって本委員会で、ちょっとあいまいになっておった点で明確にしていただいたのですが、あのときは、工場の所在地で近代化設備資金を貸せるのか、事務所の所在区で貸せるのか、こういうことで私は御質問して、事務所の所在地で貸すのだ、こういうことを当時の長官から答弁ありまして、現在そのように各府県には通達が行っておりますが、いまの問題でも、やはり統一した見解というものを、私は指導しておいていただきたい。それでなければ、実際の面にあたってどっちへ行っても断わられる、こういう結果が出てくると思います。そういう点、はっきりとひとつ通達でも出していただきたいと思うのですが、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/175
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176・中野正一
○政府委員(中野正一君) その点につきましては、明確にするように通達を至急出しまして処理したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/176
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177・近藤信一
○近藤信一君 次に、商店街の問題でちょっと一点お尋ねしておきたいのですが、商店街の近代化をはかるために二億五千万円ですか予定されて、あと半額二億五千万円はその地方で、県で負担されるわけですが、そうすると合わせて五億円になるのですが、商店街を近代化しようという場合に、一体、五億円の資金であなたのほうではいま何カ所くらい予定をしておられるのか、この点をお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/177
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178・中野正一
○政府委員(中野正一君) 個所としては五カ所を考えております。二億五千万円でございますから、一カ所が五千万円、それに対して府県が同額出しますから一億、それが倍になりますから、年間の所要資金は二億ということになります。三カ年計画でありますので、大体六億の資金、大体そういうことでいけるのじゃないか。ただ問題は、われわれのほうの助成をする対象というのはある程度限定をしますので、それ以外の対象のものもありますと、その金はもう少しよけいに要るのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/178
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179・近藤信一
○近藤信一君 最後に一点お尋ねしておきたいのは、商店街の振興で私は最も障害になると思われるのは、商店街の足並みがそろわぬことじゃないか。まあ賛成する人もあるし反対する人もある。さらに、いままでの例からいうと、ごね得だからとにかくごねて最後まで突っぱねておれば何とかなるだろうというような人もあるだろうと思います。だから共同施設をやる場合には、参加する人もしない人も出てくると思うのです。そういう場合に、あなたの行政指導ということはどういうふうな指導をされるのか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/179
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180・中野正一
○政府委員(中野正一君) 確かに御指摘になりましたように、工場の場合でも、やはりよき指導者を得るかどうかということが非常に問題でございます。それらから、われわれのほうとしては、やはり助成をする以上は、助成に該当するような内容かどうかということを十分検討してやりまして、いまでも出てきておる計画なんか見ますと、ただ町を改造するというようなことで、助成してもらいたい、店舗改造、そうじゃなくて、やはり共同施設なり何なりというものが必要である、それから町全体として非常な新しい近代的な計画があるかどうか、それから、やはりそういう場合に脱落する人も出てくるわけでございますが、その脱落する人に対する処置、たとえば脱落する人に対しては、その土地を買い上げてやる、買い上げて、そうしてその土地をたとえばサービスエリアにする、駐車場にするとか、そういうようなことを考えておりまして、脱落する人の土地を買い上げるということは、助成の対象にいたしております。そういうことで、できるだけ指導の面につきましても、県当局あたりともよく相談をしながらやっているということで、非常にこれは、一応われわれのほうは金は取りましたが、はたして使えるようないい計画が出てくるかどうか、よほど役所もしっかりしなければいけませんし、また、町の商店街の指導者の方もいい計画を持ってきていただかないと、助成の対象にならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/180
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181・近藤信一
○近藤信一君 これはやはり既存の商店街の近代化をはかられるのか、新しく若干離れたところに近代化の設備をするのか、この点はいま五カ所あなたのほうは予定されておるというのは、どのほうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/181
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182・中野正一
○政府委員(中野正一君) これはやはり既存の商店街を町ぐるみ新しくしようというのに助成をするという趣旨で考えております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/182
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183・前田久吉
○委員長(前田久吉君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、小林英三君が辞任され、その補欠として安井謙君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/183
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184・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 他に御発言もなければ、三案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/184
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185・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。討論は三案一括して行ないます。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/185
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186・近藤信一
○近藤信一君 私は、日本社会党を代表して、残念ながら三法案に対して反対の意を表明するものであります。
中小企業近代化資金助成法と中小企業近代化促進法のそれぞれ一部を改正する法律案は、いずれも中小企業の範囲を法律の本文においてきめようとしたものでありますが、その範囲は、中小企業基本法の第二条をほとんどそのまま踏襲して、鉱工業では資本金五千万円以下の会社並びに従業員三百人以下の会社及び個人をもってすることにしております。基本法は御承知のとおり、一応の規定でありまして、実際の中小企業の定義は、それぞれの施策で定めることにしているのであって、今回の改正二法では、必ずしもこれを踏襲する必要はないのであります。しかるに、政府は、基本法の規定をほとんどそのまま借りてきて、私どもが主張しているように、資本金五千万円以下かつ従業員三百人以下というように、できるだけ小規模のものを重視するところの定義を全く無視しているのであります。これでいきますと、政府の近代化政策は、中規模以上に重点が移っていき、零細企業は切り捨てられる危険を深くすると思うのであります。こういう点で二法案に反対せざるを得ないわけでございます。
次に、中小企業金融公庫法の改正案は、新たに公庫債券を発行して、資金源の不足を補うことを目的にしたもので、いままで公庫の資金については、政府の財政投融資に基づいていた方向を大きく変え、政府の財政融資の不足を公庫債券によって糊塗しようという意図が見られるのであります。債券による資金は、財政投融資よりコストが高い。中小企業に対する貸し出し金利がいずれ高くなる傾向を否定できないのであります。これは中小企業に安い資金を供給するという趣旨にも反することになると思うのでありまして、公庫債券が商工中金の債券募集に全く影響しないとは言えないのでありまして、商工債券の消化が妨げられると思います。中小企業の組織化をおくらすことにもまた相なるのではなかろうかと思います。こういう意味から、私どもは残念ながら、本法案にも反対せざるを得ないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/186
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187・赤間文三
○赤間文三君 私は、ただいま議題になっておる三法案に対しまして、自由民主党を代表して賛成するものでございます。
近代化促進法と近代化資金助成法のおのおの一部を改正する法案で、定義を本案の中に取り入れて法律のていさいを整えることは当然でございまして、大体の範囲の基本法の線に沿って定義したことも妥当と私は考えます。
ただ、質問の中にもありましたように、中小企業対策におきまして、小規模企業が軽視されることのないよう、特段の配慮が必要でありまするからして、運用上十分に注意されることを要望いたします。それと同時に、資本金五千万円とか従業員三百人とかに近づいておる比較的大きい企業でも、われわれの見るところでは、近代化のおくれておるものも少なくないのでありまして、これら比較的大きいと見られるものも、近代化法では中小企業としてその対策を講ずることが必要であると私は考えます。この意味で、定義の改正は妥当なものとして賛成をいたします。
近代化資金助成法では、商店街の近代化のための資金を貸し出る得るように改めるのでありますが、中小企業の中でも、中小商店の近代化が非常に私はおくれておるという現在の実情からいたしまして、本法案はしごく適当な措置であると考えます。
次に、中小企業金融公庫法を改正して、新たに公庫債券を発行して、民間資金をも利用し得る道を開くことも、公庫の資金源を豊富にするという意味で賛意を表します。しかしながら、ここでも債券が発行できるからという理由で公庫に対する財政投融資が比較的ゆるがせにされるということがあってはならないので、こういうことのないようにお願いしたい。
また、この公庫債券は、あくまで資金源を豊かにするという意味で私は意味があると考えております。そういう意味からいたしまして、もとより、依然として財政投融資に大きな期待を寄せておることを特にこの際申し上げておきます。
以上の趣旨において、三法案に賛成の意を表します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/187
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188・鈴木一弘
○鈴木一弘君 私は、公明会を代表して、ただいま議題となっております中小企業三法案に賛成の意を表するものであります。ただ、この際、商店街の改造近代化のときに御指摘申し上げましたように、あくまでも政令段階にゆだねられているとはいえ、中小企業のほうに力を入れていく、味方になっていく、大企業のほうの組織分野に入り込まないようにしていく、こういう点に十分留意をされて全きを期せられたいということを特に要望して、賛成の意を表するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/188
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189・田畑金光
○田畑金光君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま議題となりました三法律案について賛成の意思を表明します。と申しますことは、この三つの法律案は、中小企業基本法に基づいて中小企業の高度化、近代化を一歩前進せしめるという意味において賛成するものであります。ただ、この際、希望として申し上げたいことは、中小企業金融公庫法の一部改正法案について、公庫債の発行が今回初めてなされたわけでありまするが、中小企業融資の資金源を確保するという点においては賛成でございますが、ただ、今後、中小企業公庫の資金源が、公庫債発行という面に重点を置かれて、財政投融資面において将来消極的な施策になることをわれわれとしてはおそれるものであります。ことに、先般、商工中金あるいは中小企業信用保険公庫法等については、三十九年度予算の中に出資の増額と財政投融資がはかられておるにもかかわらず、今回、中小企業金融公庫については、そういう面が、特に出資の面が何もないという点を見ましても、今後、公庫債発行については、十分中小企業の公庫の資金コストにはね返ることのないよう留意していただきたいと考えております。
さらにもう一点は、中小企業近代化資金助成法改正法案においては、商店街振興のために高度化資金の貸し付けがなされたということは賛成でございますが、問題はさらに、商店街振興組合の設立について、現行振興組合法については、地域的な制限がなされておりまするが、特に商工会議所あるいは商工会との衝突面から、地域的な制限がなされておりますが、この点については、十分ひとつ再検討されて、商店街振興組合がもっと自主的に活動する分野が確保できるように、政府においても、現行法についても再検討をされますことを強く要望しておきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/189
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190・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/190
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191・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
まず、中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/191
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192・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/192
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193・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 多数と認めすま。よって本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/193
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194・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条によりまして議長に提出すべき三法案の報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/194
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195・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時十八分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X01919640407/195
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