1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年六月十六日(火曜日)
午前十時三十二分開会
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委員の異動
六月十三日
辞任 補欠選任
阿具根 登君 中田 吉雄君
岡 三郎君 椿 繁夫君
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出席者は左のとおり。
委員長 前田 久吉君
理事
赤間 文三君
上原 正吉君
近藤 信一君
委員
大谷藤之助君
岸田 幸雄君
劔木 亨弘君
豊田 雅孝君
吉武 恵市君
阿部 竹松君
大矢 正君
中田 吉雄君
藤田 進君
向井 長年君
国務大臣
通商産業大臣 福田 一君
政府委員
通商産業政務次
官 竹下 登君
通商産業省公益
事業局長官 宮本 惇君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞壽君
説明員
通商産業省公益
事業局技術長 瀬川 正男君
参考人
電気事業連合会
会長 木川田一隆君
電気化学工業株
式会社副社長 水野 敏行君
大洋漁業株式会
社専務取締役 竹内 半寿君
全日本電気工事
業協同組合連合
会理事長 勝又 正久君
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本日の会議に付した案件
○電気事業法案(内閣提出、衆議院送
付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/0
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001・前田久吉
○委員長(前田久吉君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
まず、委員長及び理事打ち合わせ会の協議事項について御報告いたします。
本日は、電気事業法案につきまして、午前中は参考人の方々から御意見を伺い、質疑を行ない、午後は政府側に対して質疑を行なうことになりましたから御承知を願います。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/1
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002・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 次に、委員の異動について御報告いたします。
六月十三日、阿具根登君及び岡三郎君が辞任され、その補欠として中田吉雄君及び椿繁夫君が選任されました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/2
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003・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 電気事業法案を議題とし、審査を進めます。
本日は、本案審査のため四人の参考人の方に御出席を願っております。ただいまから順次それぞれのお立場から御意見をお伺いいたしたいと存じますが、その前に一言御礼をかねて、ごあいさつ申し上げます。
本日は、御多忙中にもかかわりませず、本委員会のために御出席いただきまして、まことにありがとうございます。委員一同にかわりまして厚く御礼を申し上げます。参考人の方々には各自十五分程度で御意見をお述べを願いまして、各参考人の御発言が終わりましたあとで、委員の方々から御質疑がありました場合には、お答えをお願いいたしたいと存じます。
それでは、竹内参考人からお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/3
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004・竹内半寿
○参考人(竹内半寿君) ただいま御紹介にあずかりました竹内でございます。
電気事業審議会の審議経過の簡単な御報告をまじえながら、今後の電気事業のあり方及び電気事業法案に対する考え方について、特に重要と思われる点を二、三申し述べたいと思います。
最初に、いわゆる企業体制の問題でございますが、電気事業は、国民経済上不可欠の基礎エネルギーを供給する公益事業といたしまして、豊富、低廉、良質な電力供給を長期的に確保するという国民経済的な使命をになっております。このことは申し上げるまでもないことでございますが、このような観点から、審議会においては、電気事業の企業体制についてできるだけ十分に審議いたしたつもりでございます。
その際に留意いたしました点は、まず第一に、以上のような使命達成のためには、電気事業の広域経済性の利益の追求、料金の地域差と企業格差についての合理的な考え方、経営能率と需用家へのサービスの向上、電源開発資金調達の促進等の問題を総合的に勘案いたしまして、企業体制のあり方を判断する必要があると、こういうことが一応考え方の基礎になったわけでございます。
第二に、企業体制の問題は、その国の歴史的、経済的背景や、わが国の電気事業の発展段階と切り離して観念的に考えることはできないという現実的な認識の上に立つことが必要である。そこでます。一社化あるいは公社化というような問題について述べますと、料金の全国平準化、安定化、その他の要請から、理論としてはもちろんこのような立場も考えられたわけでございます。しかしながら、電力の国有化が行なわれた各国におきましては、政治経済情勢の背景がわが国とは非常に異なっており、わが国では、これらの諸国が当時置かれておりました事情と比較しまして、電気事業はより進んだ形態に達していると考えられるわけでございます。実際問題として、特に公社化する特殊事情があるとは思われない。むしろ公社化を行なった場合には企業規模の巨大化や、公企業経営に随伴する経営責任の不明確化、あるいは経済変動に対する適応性の喪失等によりまして、経営能率及びサービスが劣化するおそれがあるという意見が多く出されました。またブロック別合併の問題については、合併によりまして、広域電力経済圏の形成、企業格差の吸収等に役立つ反面、適正規模を越えた拡大による経営能率及びサービスの低下の懸念、料金等の供給条件の地域的特性の喪失、ADRやワシントン輸銀借款等の海外債権者に対する配慮の必要性、供給条件の統一によって生ずる過渡的な混乱及び摩擦のおそれ等が指摘されました。このような点を総合的に勘案いたしました結果、審議会答申におきましては、現状では現行の九電力体制のもとにおいても、各社の広域的協調体制が強力に推進されれば、電気事業の使命は十分果たされていくというような考えにまとまったわけでございます。
次に、電気料金制度につきまして述べますと、審議会において最も問題とされたものの一つに、減価償却の算定方法がございます。御承知のとおり電気料金制度につきましては、従来から原価主義の原則、公正報酬の原則及び需用家に対する公平の原則という三つの基本原則に基づきまして組み立てられております。今後も基本的にはこの線に沿うものであると考えられます。このうちの原価主義に関連しまして、総括原価の算定基礎となる減価償却については、定率法を認めるべきであるとする考え方と、定額法でいくべきであるとする考え方がございました。定率法は、内部留保の充実による料金の長期安定化、資本構成の是正、資金調達の円滑化等をはかる考え方でございます。定額法は、おもに定率法を採用することが料金面へ大きく影響することを憂慮するものでございまして、この点については、審議会の答申では、定率法によることが望ましいが、現に電気料金に影響を及ぼす場合には、当分の間定額法によることが適当であるという線で意見がまとまりました。これは電気事業法が成立した場合、今後の運用の問題につながりますが、諸産業及び国民生活に対する影響に十分配慮しながら、内部留保の増大、資本構成の是正、ひいては電気料金の長期安定という見地から、特に弾力的かつ達観的に取り扱われることが望ましいと考えております。
次に、電灯、電力料金の開きにつきまして申し上げます。この問題につきましては、審議会の席上におきましても、電灯料金が割り高ではないかという意見が一部にございました。しかし、この点につきましては、事務局から送変電部門、配電部門など、図表を用いまして詳しく原価配分の説明がございました。考え方はいろいろあるかもしれませんが、必ずしも割り高ではないということで、消費者代表の委員の方も納得されたと思っております。なお、消費者に対するサービスの確保につきましては、今回の答申では随所において強調されました。
電気事業の規制のあり方につきましては、審議会答申は、各種規制方法の合理化、簡素化を行ないながら、一方で広域的調整機能の整備、消費者保護制度の強化が重視されなければならないとされております。
以上述べたところを要約いたしますと、審議会答申の基調は、過去の実績の評価のもとに、現行九電力、電発体制を肯定し、特に前者については、すなわち九電力につきましては、細目的規制の緩和をはかるなど、今後とも私企業体制の効率性の一そうの発揮を期待しながら、一方ではその公共性にかんがみ、広域運営の法制化を示唆するなど、開放経済体制下における電気事業の使命の重大さを強調するにあったと言えましょう。今回の電気事業法案には、この精神がよく生かされていると思います。現在、国民経済的観点から特に低廉良質な電力の確保が望まれておりますが、この点につきましては、電気事業法成立の暁に、電気事業経営及び電気事業法の運用の段階で、関係当事者の自覚と良識に待つところが少なくないと存じます。関係者の一そうの御努力を切に望む次第でございます。
以上、簡単でございますが、私の公述を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/4
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005・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 次に、木川田参考人からお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/5
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006・木川田一隆
○参考人(木川田一隆君) 電気事業連合会会長の木川田一隆でございます。電気事業者の立場から、電気事業法案に対して私見を申し上げます。
結論を最初に申し上げますと、われわれ電気事業の責任経営者は、こぞって新電気事業法案の早急な成立を切望いたします。その理由といたしまして、第一番に、利用側と申しますか、客観条件が非常に最近変動しつつあるという点でございます。それを大ざっぱに、産業用電力と一般家庭の電力と二つに分けて申し上げますと、第一番に、いま産業界におきましては、いわゆる開放体制に向かう中におきまして、いままでいろいろなひずみと申しますか、構造上の弱点と申しますか、日本経済の持ついろいろな欠陥、国際的な視野から見ますと、いろいろな弱点を持ちながら、しかも開放体制で国際競争力に打ち勝たねばならぬという苦悩に満ちておると私は考えております。したがいまして、その産業界に基礎エネルギーを供給いたしまする電気事業に対しまして、産業自体の要請がきわめて高度で、しかも機動性を持っている、この点でございます。したがいまして、戦前の電気事業に対する国民経済的な要請に倍加する大きな重い要求を電気事業に課しておる。要約いたしますれば、電気事業の経済合理性を十二分に発揮して、料金の長期安定なり、供給の保全なりを十分にやってほしいという点が切望されておる点でございます。それから第二番の家庭用等の一般の電気需用につきましては、これは申し上げるまでもなく、非常な普及、高度化されております。この使用状態を比較いたしましても、たとえば東電の例をとりますと、一カ月の一需用家の家庭におきまする使用料というものは百キロワット・アワー、戦前は十八とか何とか言っておりましたのが、いま非常な大きな数字になっておりますが、単に量がふえたばかりではなく、質に対するお客さんの要望が非常に高くなっておるということが言えましょう。かように、産業界といわず、一般家庭の消費の要求といわず、電気事業に対するいわゆる企業性の発揮、能率性の発揮、しかも、その上に立ちまして、サービス改善等、いわゆる豊富、低廉、良質という大きな電気事業に課せられた目的に対する達成を要望する声が高いのでございます。この観点からいたしまして、私は新電気事業法に盛られた新精神がこの社会的要望にこたえるゆえんである、かように考えまして、ぜひ新法案の成立を希望するゆえんでございます。
それから、こうした社会的な要望の機動的な高さに対しまして、われわれ電気事業者の責任経営の立場の者がいかような考えをもって対処しようと努力しておるかということを申し上げますと、個別の九社なら九社の各経営者がおしなべて考えておりますることは、こうした社会的要望にいかようにして誠実な答えを出そうかという点でございます。それを具体的に申しますれば、最近各社とも事業の効率的な運営をやろうという点が全般的に原則的に採用されております。もっと具体的に申しますれば、総資本の回転率なり、いわゆる資本の効率なり、こういう点を十二分に発揮しようとする努力でございます。これは着々成功しつつあると私は自覚いたしております。そのほかにサービスの改善につきまして、いわゆる企業の特性に立脚する企業性の発掘と社会性の発揮をどのようにして調和するかということを経営の基本に持っております。これは非常にむずかしい問題でございまして、われわれ経営の立場が、戦前と違いまして、新しい社会的な経営をやるというような名前をもちまして、この調和をいかに具現するかということを考えておるわけでございます。ただ、過去の再編成以来の十三年間における歩みを振り返ってみますると、ちょうどあの当時の電力設備は八百五十八万キロという程度のものでございました。これが現在三倍に近い二千五百万キロ程度に拡大されたわけでございます。したがいまして、この間の投資額も非常に巨額に達しまして、大体二兆七千億程度の金を調達してこれを投入したわけでございますが、ようやく需給のバランスがとれまして、三十八年度におきましては九・八%の余力、予備力を持つようになりました。三十九年度には大体一一・一%の予備量を確保することができるという見込みでございます。かようにいたしまして、再編成以来急増する需用に対しまして、もっぱら主力を設備拡大に意を用いたわけでございまして、ようやく量的拡大が成功したとわれわれ自覚するわけでございますが、ただ、その反面におきまして、この急増する需用に対する設備拡大の多くのお金をほとんど借金でまかなっておる。これは日本の大産業が持ついま一番大きないわゆる自己資本の確保、内部保留の欠乏という問題が、国際競争力の中におきまして非常に問題になっておるが、電気事業におきましても、非常なこれは体質の悪化の典型的なものでございます。御承知のように設備産業としましての資本費、大体四〇%以上を占めておりますが、このお金はほとんど借金でまかなっておるということを見ますると、長期に見まするときに、この企業体質の悪化は、ことばをかえれば、終局的にはお客さんの、あるいは国民経済の不利になる危険性を持つものでございます。企業努力を重ねて内部保留を増加して、何とか体質の改善に邁進したい、いま量的な拡大を終えまして質的な経営の合理化に進んでおりますとともに、社会性をいかにして企業性の発揮に加えて調和的な実現をするかということは、個別企業の経営のいまのわれわれの努力の目標でございますのみならず、こうした九電力のおのおのの立場における企業の経済合理性の発揮と社会性の発揮をいかように努力するかという問題に、新しい社会的なかまえを経営者が持っておりますが、そのほかにおきまして、発電から配電までの縦の一環の系列で行なわれておりますが、たまたま電気事業におきまする技術、経済上の欠陥がないわけではございません。御承知のとおり、国際的に見ましてもいわゆる広域的な経営という問題に経済の方向が進んでおりますが、電気事業におきましては特にその必要性がございまするので、再編成による発電から配電までの縦の経営、責任経営という問題に対しまして、技術面からする経済上は欠陥がございます。この欠陥をいかようにして救済するかということがわれわれの新しい前向きの体制でございまして、これがいわゆる広域運営の名におきまして、われわれが自主的に三十三年から開始しておる経営のいわゆる協調体制でございます。個別企業が経営の合理化と社会性の発揮に努力しますとともに、横の、各企業が手を携えて最経済的な運営をしようという前向きのかまえでございます。これは、第一段におきましては、もちろん当時需給がきわめて不安定でございましたので、既設設備の利用ということによりましていわゆる融通電力が中心でございましたが、第二番段階になりますと、一番資本のかかるいわゆる発送電部門、いわゆる電源部門を、二つの会社なり三つの会社なりがもし一つの会社の場合を想定しますと、一番経済的な一つの計画を立てます。A、B、Cの三会社が一つと仮定しまするときに、発電所をどのような容量を、水火力のどのような種別をどこに置いたほうが一番経済的であるか、あるいはまた送電線等につきましても同じような考えが出てまいります。そうした最も資本費用中の中心でありまする発送電部門のいわゆる単一最経済的な計画を立てるわけでございます。これはいわゆる個別企業の商法上の責任に反するではないかという疑問が出るわけでございますが、これは単に各企業が寄り集まりまして一つの計画を立て、意思決定は各社がおのおのこれを参考にして決定するわけでございますので、そこに商法上の背任等の問題は出ないような仕組みをいたしております。
そうした第二段の段階を経まして、ただいまにおきましては、新しく技術部門、資材の部門等の共同の利益を確保するような方策に展開しつつあります。もしこれが成功いたしますれば、私はまださらに進みまして、いろいろな観点におきまして広域運営の強化策は方法として考えられると思います。終局におきましては、これはもちろん電発が入っておりますが、公営の問題とか自家用の問題という面にまでこの広域運営的考え方を広げまして、電気事業の持つ国民経済的な、あるいは社会生活における要望にこたえていきたいと、かように考えておる次第でございます。
したがいまして、われわれのこうした前向きの経営態度という観点からいたしましても、新事業法に盛られました考え方、主たる柱というものは、すべてわれわれがすでに実行できるものは手始めにかかっておりますので、ぜひ事業の立場から申しましても、その経営活動の基準になりまする事業法の制定を進めていただきたいと、かように切望する次第でございます。
かように、客観的な条件も主体的なかまえも、すべて新事業法の実現を期待するゆえんでございますので、何とぞ成立いたしまするようにお願いして、私の陳述を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/6
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007・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 次に、水野参考人からお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/7
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008・水野敏行
○参考人(水野敏行君) 私は水野でございます。
私は、どちらかと申しますと、需用家の立場でお話をいたしたいと存じております。現在の電気事業の現行の法制というものは、非常に古い時代のものでございまして、いわば昭和六年あたりの旧電気事業法にのっとった分野が多いのでございますが、御承知のように今日非常に進歩されたところの電気事業におきまして、こういう事業法令がいつまでも使われているところに、まずさがあるのでございます。したがいまして、すみやかに私は電気事業の基本法の新しい設定を急ぐ必要があると信じております。
それから、その次に結論的なお話をいたしまするが、この新事業法令をわれわれが審議いたしましたときにおいては、その主体といたしまして、基本が、先ほど来お話がありましたように、豊富、低廉、良質である、こういう電力をどうしても供給してもらわなければいかぬ、この趣旨によりまして、今回の電気事業の法案ができております。趣旨がそうなっているのでございまするがゆえに、私はいろいろの点もあるかもしれませんけれども、大乗的において、本案がすみやかに成立いたすことを希望いたしている一人でございます。
ただ、この法律ができるということは、基本的に非常に大事でございまするが、この運営にあたりましては、一言私はここで御注文を申し上げたいと思っております。御承知のとおり、今日の開放経済化にあたりまして、特にこの電気料金というものが、国際競争力に非常に大きな影響があるということは申すまでもないことであります。したがいまして、電気事業の合理化をさらに一そう進めていただきまして、電気料金が長期に低廉で、そうして安定するように、ぜひ運用をしていただきたいということが第一でございます。
第二には、この電気事業は地域的独占産業に現在なっているわけでございますが、しかし、そのことも非常に運営において合理性があると信じております。たとえば二重投資が行なわれないというようなこともございます。しかしながら、このことからいたしまして、需用家であるわれわれの利益に何か影響があるというようなことのないように、十分ひとつその点、いわゆる独占事業の弊がないことを切にお願いをしておきます。
現在の需用家に対するサービスという部門も、いろいろお話がございますが、必ずしも私はりっぱなものだとこう賛辞を表するわけにはいかないのでございまして、さらにひとつ一段と御努力を願いたいと存じております。たとえば料金も下げていただきたいのでありますが、質におきまする電圧あるいはサイクルというようなものに対する保持でございますが、こういう点についても、一段のひとつ御努力をお願いしたいのでございます。最近東京の地区における電圧のごときは非常によくなってまいりました。しかし、なおかつ、いまはかりますると、やはり一日の間に相当のフラクチュエーションがございます。そう大きな数字ではないのでございますが、東京のような場合においてさえまだこれが動いているように思うのでございます。
その次には、今度の法令のといいますか、この精神をなしている一番大きなことが、広域運営ということの強化ということにほとんど尽きているくらいなんでございます。したがって、この運営のしかた、広域運営ということがうまくいかないと、このわれわれが期待していることがちょっと達しられないのじゃないかということを危惧しているのでございます。従来の例からみまして、広域運営としてお互いに融通された電気の量というものは少ないのでございます。おそらく三%ぐらいじゃないかとさえ私は考えております。したがって、今後の広域運営ということで、各所の電力会社間におきまして融通することをしていただきまして、電力の融通ということもございますが、さらに皆さん御承知のことで恐縮でございますけれども、たとえば貯水池を使うとか、深夜の電力をどうするかというようなことについても、さらに一段のひとつ御配慮を得たいと考えております。
さらにもう一つ最も大きな日本の欠陥とも申すべきことでございますが、五十サイクルと六十サイクルの電力が二つ入っておるということでございます。このことが非常によくないことなんでございまして、今日五十サイクルを六十サイクルの一本にするということはちょっと現状においてできかねると存じますが、しかし、最もこの点においてややこしいことが起こっておりまするのは、この五十サイクルと六十サイクルの領域の境のところでございます。従来は六十サイクルでやっておったものが、今度は五十サイクルになってしまった。したがって機械そのものもかえなければならぬ、両様を持たなければならないというようなことに相なっております。したがいまして、今度の広域運営と申しますか、その両者の境目にあるような地帯における電力につきましては、融通をしていただきまして、六十サイクルがほしいところには六十サイクルをやり、五十サイクルがほしいところには五十サイクルをやるというような、そういう運営をぜひしていただきたいと存じております。
次に、まあ大口需用家といたしまして申し上げますが、これは自家発を、自分で発電所を持ったほうがよい場合がございます。たとえば蒸気を使って、電力を使う以外に蒸気も使うというような場合も多々ございます。今後どうかこの自家発を合理的にひとつ育成していただきたい。どうも自家発というものはあまり発達させるべきじゃないというようなお考えにとらわれずに、ぜひ自家発の育成に御努力を願いたいということでございます。
さらに最後に一言申し上げますることは、大きな電力になりますると、やや公益ということと幾らか違った分野があらわれてまいるかと存じておるのでございまして、したがいまして、現在工業用の電力の料金については、その質に応じまして特定電力料金制度がございます。どうかこの制度を一段と活用していただきまして、工業用原料になる分野についての御配慮を得たい。
以上申し上げまして私の発言を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/8
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009・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 次に勝又参考人からお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/9
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010・勝又正久
○参考人(勝又正久君) 私は全国に三万の業者を擁します電気工事業協同組合連合会の理事長の勝又でございます。われわれ団体は、電気事業者と密接不可分の関係にございますので、この法律の一日も早く制定されんことを望んでおったものでございます。つきましては、この一条から末条まで私読ませていただきましたのですが、二、三われわれの工事業者としての希望を重ねさせていただくことができるならば幸いに存じます。
まず第一番に、第十二条の「一般電気事業以外の事業」、いわゆる兼業の問題でございますが、この兼業はもちろん私ども市場に対して悪影響を及ぼすようなことはないとは存じますが、大臣の許可の条項にそれらの配慮をひとつ入れていただきたいと思うわけでございます。
それから七十二条の自家用の主任技術者の問題でございますが、最近主任技術者が非常に払底でございます。といいますのは、非常に自家用の需用家がふえてまいっております。なかなか専任の主任技術者を探すのはたいへんでございまして、われわれの従業員の中にも技術の練摩と向学の精神、あるいはまた業界のさらに向上を目ざしまして、鋭意努力いたして、その資格をとっておりますところの従業員もおるわけでございます。これらの従業員がそれぞれの立場で、やはりわれわれもめんどうは見ておりますが、こうした主任技術者というような一つの資格を与えられることによって、より励みがつくのではなかろうかとも考えられますし、現状におきましては、主任技術者が電力会社の定年退職者で年老いた方々がおやりになるよりは、われわれの従業員の中で、そこの事業場に精通している者が主任技術者になったほうがはるかに保安の体制も確立できますというところから、兼務の条項をぜひひとつ御考慮をいただきたいと思うわけでございます。
その次が、七十五条あるいは七十七条の指定調査機関への参画をぜひお願いしたいということでございますが、これは私ども自分たちの手で仕事をいたしましたその仕事に対しまして、もちろんわれわれが検査をするのではございませんが、そうした機構に参画させていただきまして、その仕事の内容あるいはできばえ、そういうものをつぶさに検討させていただく機会が与えられるならば、われわれはこれをもちまして、さらに教育の資料、技術練摩達成の資料になるのではなかろうかというふうに考えております。そのような広い見地からぜひともこの指定調査機関あるいは検査機関に参画をさせていただいて、そうしてこの指定調査機関あるいはまた検査機関が発展してサービス機関にまで伸びていけるように私どもは念願するものでございます。この考えましたるゆえんは、私たちはさきに電気工事業者のために工事業法をつくっていただきたいということを当局にお願いをしております。その八つのお願いごとの一つにもあるわけでございまして、われわれがこうした機関を通しまして、あらゆる角度から需用者の声を聞いて、そうして万全を期していきたい。また、ときには分離発注という問題に対しましてもPRの機会を与えていただきたいというふうに考えております。現在われわれがいまいたしておりまする電気工事は、小さな大工さんの下請等をやっておりまして、非常に苦しい、乏しい予算の中で、このきめられた工作物の規定に従った仕事をやっていくということは、なかなか容易でないわけでございます。こういう考え方からいたしましても、ぜひともこういう機会を通しまして、われわれの要望いたしておりまするこの分離発注、あるいはまた電気工事業の登録制、認可制、こういう問題にまで伸展させられる機会が与えられるのではないかというふうに考えております。どうかこういう問題をお聞き及びいただきまして、そうしてこの指定調査機関へ参画をさせていただきたいということをぜひともお願いいたしたいと思います。そうして末尾に、本法令によって定められない、いわゆる本法令によりがたき一般電気工作物の施設に関する工事業者に対する法律は、別に定める、というような条項でも制定してくださって、ぜひとも電気工事業者のための工事業法の制定をひとつこの機会にお願い申し上げる次第でございます。
はなはだ簡単でございますが、以上をもちまして、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/10
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011・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/11
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012・前田久吉
○委員長(前田久吉君) それでは、参考人の方々に対して質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/12
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013・藤田進
○藤田進君 いろいろ貴重な御意見を拝聴いたしましたが、皆さんお忙しい方々ばかりですから、たくさんあるけれども、そのうち若干点について、四人の参考人の皆さんにお尋ねをいたしたいと思います。御発言の順序に従うかどうかは別としまして、最初に、竹内さんにお伺いするのですが、電気事業審議会の段階におけるいろいろな検討の内容について触れられたように思います。ところが、私ども非常に奇異に感じますことは、企業形態についてお述べになりましたが、これがかなり企業の統合、再々編成といったところに触れながら、最終的には急転直下現状がいい。その理由は、まず一つだけ非能率というところに求められているわけです。私も電気事業の実態を知らないわけではありませんし、それから諸外国のいろんな実情等も検討を加えておりますが、わが国の歴史的な、お触れになったような現状があるとしても、どうも答申案に盛られている限りにおいては、余人の納得しがたいものがあるように思うのです。それで、総合的にこれをどのように分析して、能率ということになれば、総合的にあるいは相対的にものを考えていかなければなりません。そういったような点で広域運営というところがどうも逃げ場所になっているような感じがするわけです。したがって、もっと科学的に分析して、現状プラス広域運営のほうが企業の再編成よりも、より豊富であり、低廉であり、良質な電力を需用者に供給することができるのだということについて、どうも答申そのものでは、私どもいきなりなるほどとこないのです。したがって、われわれもいきなり国有化あるいは一社化といったそれだけでは解決しないと思って実はこの法案に取り組んでいるわけですけれども、そういう立場から見ましても、以上のような疑義を持つわけでありまして、もう少しお触れいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/13
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014・竹内半寿
○参考人(竹内半寿君) それじゃ私の意見になりまして、御納得が十分にいかないかと思いますが、確かに審議会の席上におきましては、一社化論、公社化論、そういう御意見がときどきというよりも、かなり多く出たわけでございます。しかし、この問題は、理論的にはいずれがいいかということは、とうていその場では割り切れない問題であったわけでございます。そこでどうしたらいいか、その現実から一歩飛躍しまして、一社化なりブロック化なりあるいは公社化なりをした場合に、現在の条件においてそこへ行く場合にはどういう問題があるかということを一応検討したわけでございます。というのは、かりに電気料金を一本化するといって、ある二つの会社が一本になった場合に、従来できております電力料金の地域差、それが合併したことによりまして料金が均一化いたしますと、いままでの電気料金の上に企業というものがそれぞれ立地をきめておるわけでございますから、その立地――いままでせっかく事業が固定してしまって、大きな資本を投下しまして立地をきめたものが、新しい合併によって急激に立地の変更を必要とされるというような問題が生じてくるわけです。
それから一番議論の焦点になりましたのは、いまの九電力体制で地域社会と電力会社の結びつきが非常に強くなっておりまして、その上に電気事業者のサービスもだんだんと向上していくということになりますので、かりに一社化したり、あるいはブロック別に合併などいたしますと、いわゆる需用家との結びつきが弱くなるのではないかという点が非常に懸念されるわけでございます。それから一社化なり、公社化なり、外国にも例がございますのですが、それはその国のそれぞれの政治、経済情勢が、当時のその政治、経済情勢が国有化に踏み切らした。そういった政治、経済情勢がいまの日本には存在しないのだというようなことから、この問題はわりあい皆さん簡単に御納得したわけでございます。
以上、そういうことで理論的に決着をつけるまで、とことんまでは議論しなかったのですが、しかし、皆さんが一番強く感じられたことは、一社化することによって大きな官僚的な経営になってしまうのじゃないか、それはそういう経営で一つの理念が経営者の中にしっかり植えつけられ、そこに働いている人にそういう理念がしっかりと植えつけられれば、それは能率の点においてあるいは高度の能率を発揮するかもしれないが、現在の段階における経営者なり現在の段階における従業員なりの実情を基礎にして考えますと、結局、公社一般に見られるような非常率なものがそこに出てくるというのが大体皆さんが考えられました予想なんです。以上簡単でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/14
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015・藤田進
○藤田進君 木川田さんは当面の事業者であり、事業連合会の会長でもありますので、多くの問題点を私お尋ねしたいのですが、この電気事業については、旧来の寄せ集め的な公益事業令とか、旧電気事業法であるとかいったもので暫定的に電気事業を規制してきたと思うのです。ですから、当局に対して、われわれいままで何をやっていたかと言いたいところなんですが、かといって内容を見ると、案外事業者に対する規制は私は強化されてきたように思う。やり方次第ではあまりもののわからない高級官僚が介入してくるといったような憂いさえあるので、だんだんと国会でも問題になっている。事業会に天下りで人事関係も入ってくるといったような、そういう気配さえ出てくるのじゃないかと思うわけですが、しかし早期成立を望まれているわけですけれども、この段階で原子力あり、水力、火力あり、これにあわせて燃料関係においても石炭あるいは重油であるとかといったように、 エネルギーに対する総合的なやはり施策というものが必要なんじゃないだろうか。木川田さんは比較的進歩的な政策を打ち出される経済同友会の責任者の立場にもあるわけですが、したがって、総合的なエネルギー政策というものを、政府みずからも議会もこれに協力して打ち立てる時期に来ているのではないだろうか。なるほど産業合理化審議会等をつくられ、エネルギー部会も設けられる予定にもなっておりますけれども、もう少し根本的なものを考える必要があるのじゃないだろうか。たとえば最近、水主火従が逆転して火主水従になってきた。これにおいても私は政府あるいは企業者自体に問題があるのじゃないだろうか。先般も朝日新聞等に伝えられているように、さて水力の開発でダムができるということになれば、その水没地域に無数にバラックで補償日当てのものが建っている。あるいは私関西電力の堰堤工事中、商工委員会として見に参りましたが、堰堤のそでに鉱業権の設定をして、これに三億円の補償をくれとかいうようなものもかなり出てきたように思うのです。それのみか、いわゆる公共補償ですね、たとえば村役場もその県では一番といったようなりっぱな鉄筋コンクリートが建つ、これは大したものだ、これは電力の補償でできたのだ、あの山の奥に六メーターの道路が、いままでなかったところに道路がえんえんとできていく、両方は袋道になっているといったような公共補償。これでは自然送電線も長くなるだろうし、火力になっていく。しかし国の総合開発という面から見れば、治山治水等の関係から推しても一企業だけでなくて国全体の総合開発、総合エネルギーといったようなことからすれば、水力なども一企業でしょい切れなければ国の施策の中に溶け込んでいくといったようなことで水力の開発をもっとやるべきじゃないだろうか、こう思われるし、また、石炭産業が急激に疲弊産業になって、これが国の施策を必要とする。ところが、最近では従業員が非常に少なくなるといったようなこと等で、これまた問題がある。重油そのものにどれだけの安定性があるかということにもなる。原子力自体が一体商業ベースにいつごろ、どうして乗るのだろうか。これは賛否両論が現在あります。しかし、原子力では、大手三社で近く原子力発電所の建設をやろうという意気込みのようであります。あるいはその他の会社においても原子力関係課を設けてやっておいでになる。一々言えば長くなりますが、こういったようなことで総合的な対策というものが、私企業である個々の電気事業のみならず、国策としても少し肩をいれる時期にきているのじゃないだろうか、このように思われますので、この辺の御所見をひとつお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/15
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016・木川田一隆
○参考人(木川田一隆君) お答えいたします。
藤田先生の御質問は、二つの部数に分かれていると理解しておるのでございます。一つの問題は、新事業法の行政指導と申しますか、規制の問題、この点をどう考えるかということが一つ。もう一つは、総合エネルギーの対策の問題、こういうように理解いたします。
第一の、国家規制の問題でございますが、これは御承知のように社債の発行とか、あるいは特に企業としまして自主責任の尊重ということを主張する私といたしましては、利益金の処分等におきまして広範な従来の規制の緩和がございます。大局的に申し上げますと、相当程度緩和された姿におきまして、企業者の責任経営に期待するという精神が盛られておると存じますので、私は賛成いたします。ただ、実際上の行政指導になりますと、政府行政というものは、ややもすれば企業の自主責任に対しましてちょっかいを入れがちの性質を持っているかのように私は過去において感ずるわけでございますが、この点につきましては、今後の行政運営におきまして、十二分に自主体制による企業性の発揮と社会性の調和ということに信頼を置かれまして指導をお願いしたいと、私はかように考えます。
第二番目の総合エネルギー対策でございますが、これは衆議院のほうでも附帯決議がございましたようでございますが、私は非常に賛成でございます。ことに、国際社会に日本が入りますと、いままでの封鎖体制の中のエネルギーの問題とは別に、国際的なOECDの中におきましても、エネルギー部会で日本のエネルギーの総合政策、方向性は何かということは必ず問題になると私は思っております。ことに、重油なりの諸燃料、それから石炭の国内資源というような問題、先生おっしゃるような原子力の問題、経済性の問題等、複雑なエレメントがこのエネルギー全体の中に包含いたされまして、しかも日に日にこれが動いておるように感じます。OECDはおそらく自国の資源のみに依存せずに、国際流通のある国際商品を安価に手に入れて、しかもこれを安定的な部分にどのように持っていくかという方向に向いているようでございますが、日本のこの点に関するエネルギーの総合政策に、私は国策としてぜひ近代的な新しい前向きの方向性をきめていただきたいと、かように感じます。と同時に、私企業のわれわれの立場から申しますと、先生おっしゃるように、いろいろ補償関係が、いわゆる私益的な所有権の考え方の尊重と、公益的な尊重をどのようにして調和するかという問題が明確を欠いているために、しかも現実的には千差万別のケースがございますので、これをどのような良識、判断をもって向けるかということに対して非常に悩みを持っておるわけでございます。たとえば、送電線を引っぱるにしましても、非常な困難は、その価格の面ばかりでなく、それが一部の方の所有権の強い主張にあって反対されまして、予定の計画が遂行できないというようなことになりますと、われわれの公的な、社会的な責任を果たせなかったという問題すら間々起きておりますので、私的な経営の責任の立場から申しましても、これらの面につきましても、今後公益性に対する考え方をぜひお示し願って、公益と私益、所有権と公益との観念の調整問題をぜひ方向性をおきめ願いたいと、かように考えます。
お答えになりましたかどうですか、非常に問題が複雑でございますので、以上をもって……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/16
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017・藤田進
○藤田進君 まあ、いまの点で、若干さらに触れてみたいと思うのですが、先ほど指摘しました補償問題等が、結局工期の問題もありましょう。いろいろ問題もありましょうが、火主水従というようなことになる。要するにキロワット・アワーの単価ということにもなるでしょうが、その大部分は金利、つまりいまお述べになりました、約四〇%が他人資本になると言っておりましたが、自己資本というものが乏しい、そして建設は進めていく、その金利は世界一高い。その元利のいわゆる減価償却に加うるにさらに建設自体として補償が大きい部分になってくるということなので、かなり多面的解決がなければこれはいけませんが、そうすると、コストを低くするためには、その前に一部として、建設される電気事業者においても公共補償を含む水力その他に対する補償、漁業補償等、これは適正でなければなりませんけれども、安くさえあればいいわけではありませんが、少し行き過ぎがあるような面が目につき過ぎる、最近は。こういうものについては、工期を急ぐのあまりに、数年前からこれは非常に問題にしているわけですが、とにかくバラックを一、二万円の金をかけて建ててそこにおれば、二十万なり三十万なりもらえる。それが済めば、ぱっぱっとたたんでトラック一台に積んで、次の水没発電所予定地に行って建てれば十万、二十万になるというようなことの場合は、その補償の折衝にあたっては、もっとき然たる態度でおやりになったらどうかと思うのだが、やはりこれは払わなければ工事が進まない、あるいは湛水の開始ができない、こういうことでは需用者としても、そういう面にまで料金の部分が入ると思えば、なかなか納得ができないと思う。そういう点についてはもう少し法的な措置が必要なのかどうか、十分御検討をいただきたいと思います。
それから、この法案では、新しく保安関係につきまして、電気事業者は指定機関、通産大臣の認可する機関に委託することができることになっております。で、その内容についてはまだつまびらかではございません。何しろ六十幾つかの政令、省令があるわけでございまして、今後のそういったものの内容を見ないと、この法律だけでは、電気事業に関する限りは、さっぱりえたいがつかみにくいようなものなんです。しかし、保安関係について見ると、電気事業者はその委託するということについて、その委託機関が聞くところによると、公益法人だと、その経費は、資本はどこでまかなって設立するのかというと、何でもこれは電気事業者が負担するというような御答弁でもあります。そうすると、一体電気事業者は、公益法人とはいいながら、いわば第二会社的なそういうものにお考えになっているのだろうか。また、これが規模についても、いわゆる末端のサービス機関、サービス・ステーションとか、そういうものに対応するほどに充実したものを置くのか、あるいは支店単位くらいのものにして機構を置くのか、一切どうもきまっていないように思うわけです。一説には、これは消防署あたりに、保安だから火災その他で持たせたらどうだろうかという説もあるし、いま勝又さんの御意見では、電気工事業者のほうでひとつやってみようかという御意向があるようにいま耳に響くわけです。法制化にあたりましては、ある程度そういったものの見通しというものを立てなければ、立法府といたしましては、イエス、ノーをそう軽々にきめるわけにまいりません。したがって、事業者の代表とされては、この委託される機関、これをどのような構想をお持ちであるか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/17
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018・勝又正久
○参考人(勝又正久君) ただいまの御質問の点でございますが、私どもが一手に引き受けようという考え方ではないのでございまして、何らかの形で参画さしていただきまして、そして、そこで行なわれますところの成果をひとつ私どもにも十分検討さしていただきたいと、こう思うわけでございます。これを考えましたことは、先ほども申し上げましたが、やはりこういう機関がありましたなら、私は過年の新潟の大火事件等もあるいは起こらなかったのじゃないか、あるいはあのような裁判の結着が、われわれ工事事業者に有罪というようなこともなかったのではないかというようなこともいろいろ考えられるので、ぜひともあらゆる角度からやはり一つのことをながめたいというような考え方から、私どもだけでお受けするのじゃなくて、その機関にわれわれも参画さしていただいて、発言の余地を与えていただきたいというふうに考えております。その構想につきましては、木川田先生のほうからあるいはお話があろうかと思います。
なお、ちょっとつけ加えさしていただきますが、この代表に、私ども、全国の九ブロックにそれぞれの事業団体のブロックがございます。協同組合の連合会のブロックがございます。そういう機構でできましたならば、ひとつ私どもはそのブロックの代表が参画さしていただけるような機構にしていただきたいというふうな希望を持っておりますので、あわせて申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/18
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019・木川田一隆
○参考人(木川田一隆君) お答えになるかどうか、あるいは政府のこれは御答弁の問題かとも思いますが、事業者としましては、先生御承知のように、屋内配線の所有権が、従来は会社側が持っております。いまは全部お客さん持ちになっております。所有権の問題になりますと、結局、善管に注意を払うものは所有主であるというような立論から問題が展開したわけでございます。われわれ事業者としましては、最終の消費の段階まで、所有権のいかんにかかわらず、会社が所有しようと、お客さんがお持ちになろうと、最終の消費電灯がつくまでがわれわれの責任でございますので、最終消費に至るまでの間の所有権の問題が出て、ここに善管注意の責任は所有権者にあるという筋合いはわかるのでございますが、実際上のサービスの観点から申しますと、ここにいろいろな問題を契機としまして指定機関を設けるとか、いろいろな過渡的な場合にトラブルが出ては困る、お客さんに対するサービス上の欠陥が出ては困るという観点からいたしまして、この指定機関ができるできないは別問題にしまして、理論は別にしまして、われわれはサービス上試験その他のめんどうはみることにいたします。こういう考えを持っております。したがいまして、指定機関は今後どういう内容のものを置くか、しかもそれはどういう順序をもって置くかということは今後の問題点といたしますが、おそらく私は考えまするに、たとえば、東京、大阪、名古屋と、大きな事業者の主たる場所に一つテストに置きまして、組織体を一つ置いて、そうして逐次全国的に波及するというようなことをやったほうがサービス上に欠ける点がないのではないか。これは慎重な配慮をもってこの組織体の運用をはかるべきであり、その側面的な責任は従来どおり理論は別にしまして、サービス上はお客さんの内線関係の試験その他の管理はごめんどうを見てあげましょうという心がまえを持っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/19
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020・藤田進
○藤田進君 それから水野さんにお伺いしたいのですが、まあ大口需用家の立場としていろいろ述べられましたポイントは確かに急所であろうと思うんですが、その中で自家発の建設、そうして供給ということをもう少し考えてくれということであったように思います。ただ電気事業を論ずる場合に、総合的にものを考えてみますと、より能率的であるし、やはり低廉で豊富で良質なものということになれば、本来の姿はこの企業形態とはまあ一応別問題としましても、自家発あり、あるいは県営あり、それからその他の農協等、団体営の小水力というものが出てきましたり、いろいろ現在あるわけですけれども、しかし、総合的に能率をあげていく、そうして安定的供給、こういったようなことを考えると、案外自家発というのが適当かどうかという考えを持っております。自家発といわれるのは、まあかって電力制限があって、電力料金の問題じゃなくて、安定した供給をしてもらわなければ工場としては困るというものはよくわかるわけですけれども、そういった御経験なり、あるいは案外自家発のほうが重油ボライー規制法があるけれども、特別に認可を得てジーゼルでひとつわが社に置きたい、それが安定的であるし低廉であるしというようなことがむしろ動機で自家発という御主張になるんではないだろうかと思うわけです。これはやはり電気事業者を主体とするいまの九電力なり、電源開発なり、こういうところがもっとそういったことを考慮しながら事業運営に当たらなければ私はいかないと思います。現状においても自家発を強調せられるその必要性をもう少しお聞かせいただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/20
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021・水野敏行
○参考人(水野敏行君) お答えいたします。現在のまあ自家発ということは、結局まあ安い電気をおこすということでございます。したがって先ほどスチームのことをちょっと申し上げたのであります。火力発電の場合に同時に蒸気を使うという工場が相当多くなってまいりました。たとえば石油化学の場合において、そういった蒸留用の蒸気を取っていくというような分野も出てまいりました。そういった電気を発電し、同時にスチームを化学方面に利用する、こういうことになりますと、やはり自家発の本来の姿に私はなると思います。
それからもう一つ、そういうことから関連いたしまして問題が多いことでございまするけれども、コンビナートの共同自家発という問題がある。たとえば川崎地区であるとか、今後できる京葉地区において電気を使うというような場合に、共同自家発をやった場合がいいということもないとも言えない。これはその状況を判断してのことであります。そこで、国家的の大きな立場から申しますと、いま先生のおっしゃったとおりだと私は思います。ただその会社の中に、企業の中に特異性を持っているというものがある。先ほど申し上げましたようなスチームの場合もそうです。それからもう少しこれは先ほどの私のお答えと少し違った方面になるのでありますけれども、現在の九電力会社の方々がその事業立地というその利点を利用して経営しているということ、たとえば、いまの日本の産業のうちに、単なる常時電力を使うのじゃなくて、化学用に使っている電力というものは相当多うございます。私どものほうの会社の買っておるカーバイドであるとかあるいはアルミニウムの工業であるとか、苛性ソーダの工業であるというような、いろいろ大口の電力を使い、その地区における電力の立地条件に即応した電気をもらうということに意義があるわけなんです。それについては竹内さんも御返事されておりましたが、そういうところで私は現在の企業体が九つであっても、あることに一つの意義があると考えています。そこで、いまのそれと同じような意味において、自分の工場のそば、事業場のそばに水力としての立地条件がいい、こういうところがあれば、当然それはやったほうがいいんじゃないか、これはいまの電力会社にお願いいたしますと、そういう金というものが一切プールされているということになりますと、電気を使う仕事の種類によってそこに生まれてくるものがあるのですから、やはり電気の料金というものにくっついているわけです。あるいは質というものにくっついている。多少質が悪くてもかまわない、安いやつがほしいのだ、こういうことになりますと、自家発電の意味も相当あると私は信じております。しかし大きな意味におきまして、先生がおっしゃったような意味で自家発ということよりも、もっと大きな分野において開発していくほうがいいんじゃないかということに私賛成でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/21
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022・藤田進
○藤田進君 ただ給電操作上の問題になりますと、いまおっしゃるように自家発――安いときはおれのところ安いのを使っている、足りなければ、おれのところは電力が故障したとか、電気よこせということになって、その設備送電線なりあるいは屋内は持たれる変電設備なりといったものは、所有をどこまで持つかということにも関係しますが、そこにやはり二重投資というものが国家的にはいろいろ心配になるわけです。これが過去においても議論になりましたし、いわんや水力になりますと、もっと水系に第一発電所から第四発電所まであるとか、いろいろな条件が出てくるものですから、自家発の困難性が出てくる。そこに国家的に総合的開発という点が出てくるであろうと思うのです。事業をおやりになり、かつ大口の需用家としてはその点はわからないわけではございません。
それから木川田さんにさらにお伺いいたしますが、料金関係については、いろいろ議会で問題になっているわけで、一般の電灯電力、私はいまおっしゃった議論に必ずしも賛成しないけれども、いわば大口にはえらい電気代が安くて、独占資本には電気代がえらい安いのに、零細の家庭電灯等については、最近テレビその他需用構成もだいぶ変わってきたと思います。一般がふえてきたと思いますが、これはえらい高いのです。だから、消費電力に比較すれば、消費電力は少ないのに、料金収入から見ると、えらい多いのだということになる。これがいわゆる原価主義からきている点もありましょうが、それにしても今日ますます電気というものは家庭におきましても必需品である。米とか水や火に相当するようなものなんですが、少なくともこれだけは全国的に料金の大きな格差を持たないほうがいいんじゃないだろうか。最低まず広域運営の所産としてこういったところはいかがなものだろうか、これが一つです。
それからさらに料金改定を、過去されましたが、料金値下げをしようと言われる事業者もあるし、あるいは近き将来料金改定、つまり値上げ改定をしなきゃならぬだろうと言われているところもあるわけですが、この料金改定をかりにするとしても、本法によると原価主義になっております。従来もそうであったと思うのです。だとすれば、議論としてはわれわれの工場はすでにもう戦前からあるとか、あるいは終戦直後にあったので、その後電力が足りなくなったから、需用が増大したために足りなくなったから新規に開発をしなければならぬ、新規の開発は、過去の電力の設備よりも割り高である、キロワットアワーについてもたいへんな違いがある。よって旧設備については必要としない新しい開発だから、われわれのところは料金を据え置いてくれ、しかし、新しく工場が建設され、設備されるところは、高い電力料金になっても、いまの時代に経済投資効率を考えておやりになるのだから、これはもう新設備がその後の開発コスト高は引き受けておやりになるべきだ。これは家庭なんかも、新世帯持っても、だんだん電気代が高くなっても変なものですけれども、少なくとも大口については、せめてそのくらい考えてくれということはかなり熱心であるし、まじめな議論としてあるわけです。それと関連してやはり出てくるのが発電地帯、特に水力については発電県であるから料金はひとつ安くしてくれ、そりゃ生産地と消費地とでは物の値段だって違うはずだ。運搬費も要らない、送電線の設備も要らない、いわゆる生産地と消費地の格差というものは当然考えろという意見もあるわけです。原価主義であるこの事業の上に立って、なおそういう解決が必要だという議論に対してどういうお考えを持っておいでになるか、料金問題についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/22
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023・木川田一隆
○参考人(木川田一隆君) お答えします。第一問題は、電灯が全国均一が望ましいという御質問と拝聴するのですが、たてまえはどこまでも原価主義で、電灯に地域的な差等があれば、コストの上におきましてやはり差等があるべきものが純理論上のたてまえだと存じますが、ただ現実の状態としましては、この原価主義に立脚しながらも、やはりいわゆる電気事業の社会性の発揮と申しますか、一般大衆のお客さんに対してはできるだけ公平な、均一な料金で送りたいというような意欲がわれわれの内部にあるわけでございます。幅のある原価主義に対応しまして、許す限り電灯につきましては接近しようという考えが、意識、無意識の中にわれわれ経営者の中にございます。それと同時に、先ほど申し上げました横の企業の協調体制と、広域運営を通じましてやはり接近の過程にございます。したがいまして、電灯料金はこうした過程をとりまし、おそらく逐次均一化されるという傾向にあろうと存じます。必ずしも意識的に一本化するということに、原価主義に対応する矛盾がありと仮定しますれば、やはり自然な姿におきまして、この逐年均一化の傾向をたどっておるということで御理解置き願いたい。先生御存じの問題でございます。
それから、第二の問題の値上げ、値下げの生産地と消費地の問題、これも原価主義をどのように――原価主義のたてまえからすれば、個別のお客さんにおのおの一つ原価をはじかなければいかぬわけでございますが、これは現実の問題として不可能でございますので、ある妥協点と申しますか、地域あるいは事業者別、おのおのいろんな考えは出ましょうが、やはり一事業一料金というたてまえが現実問題としては正しいのじゃないか。ただこれを救済しまする道が私は別にあると、かように考えます。それはいわゆる供給規程の料金は、従来いわゆる平均の値段ではじいております。したがいまして、使用の状態が非常に違って、コストが特別安い場合に、お客さんに対しましては、こういうお客さんのいわゆる負荷特性が原価を非常に安くできるような協力をするお客さんに対しましては、やはり特別の低率な料金を設定するといういまのその道はございますのですが、この道をいわゆるフランスの緑料金方式に非常に拡大しようとわれわれつとめております。したがいまして、負荷特性上特に原価を低減する考え方でもって需用家の方が協力いたしていただけば、たとえばピークをはずします。深夜に移します。いろいろ労働問題その他ございますが、そういう負荷特性が原価を割って平均の値段よりも安くされる場合には特別の低率の料金で供給いたします。これがいわゆるこのごろわれわれ叫んでおりまする、先生もう専門の方だから少しくどいことを申し上げますが、いわゆるお客さんと事業者が共同の利益を向上するあれを料金の面において満たしましょうという契約をいま結びつつあるわけで、共同活動と称しまして、お客さんがコストを割ってくださる使い方をすれば、われわれのほうもこれに即応するような料金を引きます。そういう道を開いてこれを救済するほうがいい。言葉をかえて要点を申しますれば、やはり原価主義をどの程度の地域の広さにおいて、個別の企業にやるかやらぬかというような理論は別にしまして、一事業一料金の原則がたてまえで、これを救済するには個別の負荷特性を考えて特別の料金を設定するという方向性が現実的には正しい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/23
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024・藤田進
○藤田進君 料金等に関係いたしましても、供給規程等本法で見ますと、かなり政令にゆだねられておるものが多いのです。なかんずく事業者等の申請にかかるものについてはかなり期限が付せられて、開発の認可を取ったならば何年以内に着手をしなければ取り消すだとか、期限ずくめが多いのです。政令でもだんだん出てくるだろうと思うのです。ところが過去の事情をとってみますと、かつての東北電力、先般の供給規程の改訂など、何でも半年か一年か長い間きまらない。原価主義であるならば、原価の算定の方法なり結果が一致すれば、原価主義に基づいててきぱきと許認可ができそうなものですが、なかなかそうもまいらないように思う。とすれば、両刃の剣で、法はやはり官庁に対しても、そういったときには何カ月なり何年以内に許認可を決しなければならないとか何かないと、需要家においても料金が変わるのだろうか変わらないだろうかといったことが、大幅に改訂があるとすれば、かりに設備投資にしても場所を変えようとか、いま六十サイクル、五十サイクルの議論も出されておりましたが、その境にあって迷惑したといわれるところにおいては、その他の立地条件はむろんありましょうけれども、どうも需用家においても久しく安定しない状況も出てくるのだが、この法律を見ると、お役所のほうはまことに御都合のいいようにできている。これは事業者も賛成されているということなんですけれども、こういった点はどういう御希望を持っておられますですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/24
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025・木川田一隆
○参考人(木川田一隆君) 料金の認可問題はたいへんデリケートな問題と思いますが、法文、成文規定によって、原価主義によって事業者が申請をする場合には、料金は承認せねばならないという場合に、一つの考慮点は、公正な原価によっておるかどうか、この問題の査定に相当の期間を要する、かように考えます。それが期限の限定ということが困難な一つの理由がございますと思います。それからもう一つは、いわゆる電気事業の公益性から申しまして、あるいは物価政策の面等、国策の大きな観点から申しまして、これは先生のお立場の問題で、われわれ民間事業者の言う筋合いでないかもしれませんが、電気事業の公益性の観点から物価政策その他国の経済政策上あるいは社会政策上、できるだけ安定した料金に押えておきたいということは政府の大きな観点ではなかろうかと存じます。したがいまして、もしこの原価主義によって公正な原価に基づいた料金の申請変更があったと仮定しましても、できる限り事業者の企業の合理化によってこれを吸収することによって、できるだけ率も、また時期もおくらせようというお考えが政府に当然出てくる問題ではないかというふうに私は民間人として考えます。したがいまして、ここに期限を付しても、どのように機械的に処理し得るものかどうかということは相当むずかしい問題ではないか。何か政府の代弁みたいなことを申し上げてはなはだおそれ入りますが、事業者としては原価主義によって、成文規定がある以上はてきぱきものを処理してくれという要求は、素朴な意見とは存じますが、しかし観点を変えて国家的観点から申しますと、こういう結論になるのではないかというように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/25
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026・藤田進
○藤田進君 いや、したがって私が感じますのは、この本会議でも質疑を展開した点でもあるのですが、原価主義といいながら、そこに政策的なものが非常にウエートが大きい。ですから政策料金の色彩が非常に強い。時期において、内容においてですね。このことはいい悪いはまた別に議論いたします。
次に、電力関係といえば、非常に労働条件がいいという、日本一だろうという印象がだんだん消えつつあるけれども、まあ一部残っております。ところが最近ですね、東京電力あたりはあらゆる産業を通して日本一の大会社ですから、新卒等は新労働力としては大きな魅力でしょうけれども、地方の電気事業についてはあまり魅力がないといわれております。われわれ議員は就職などよく相談を受けますが、電気会社はどうかといったら、電気会社はあまり魅力ありませんよ、あんな安いところ。これがどうも優秀な学生の言葉のように聞くのです。いろいろ調べてみますと、設備はかなりふえてきました。過去十一年間見てまいりますと、大体三倍以上になっておるんじゃないかと考えます。生産性は上がった。しかし、これに伴ういわゆる基準労働賃金、これに付随するまあ退職金であるとかその他が必ずしも日本一ではない。日本一ではないのみか、大体公務員のような安いといわれているところに匹敵するような状態が出てきているわけで、これは設備産業ですから、池田総理も本会議で答弁するように、まあ生産性が三倍になったから労働賃金もそのまま三倍ということにもなりますまい。非常にこれは資本費のほうが大きいことはわかりますが、それにしても各国の公益事業に従事する労働者というものは技術水準も高いし、日本の現状も勤務年数なり家族構成も非常に高いのです。で一挙にとは言わないにしても、もっとそういった点の考慮を払われるべきじゃないか。漸次この設備の減価償却等もスムーズにおやりになれるようになるとすれば、その面もひとつ特段の考えを持たれる必要があるんじゃないだろうか。これには労働関係に御承知のいわゆるスト規制法という制約もあることなんだから、それにたえるべくやはり労使関係というものは十分考慮を払われなければならないだろうと私は思うのですが、必ずしも今次バース改定等についても、そういうふうにも考えられない点もあるわけであります。これは電気事業者自体がそれぞれ企業によって自主採算、独立、一方まあ広域運営という複雑な事情にありますけれども、これらについてはもっと具体的な労働関係についての対策を必要とするのじゃないだろうかと思われますが、事業者を代表して言えるのかどうかしれませんが、御所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/26
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027・木川田一隆
○参考人(木川田一隆君) お答え申します。電力事業の賃金その他の労働条件の問題が必ずしも生産性に伴わず低下傾向があるんじゃないかという、端的に申しますればそのようにお伺いするわけでありますが、電気事業の特性と申しますか、一つの点はやはり経済界の好不況に影響がなく、比較的安定的な雇用関係を結ぶことができるという問題が一つございますと思います。それからもう一つの特性としましては、やはり電気事業はいわゆる原価をできるだけ自己吸収をして、お客さまに御迷惑をかけぬというたてまえからすれば、われわれ役員をはじめとしまして、すべての点にじみな経営をやらねばならぬ。したがいまして、労働条件におきましても常に社会的水準というものを目安にしまして、しかも前向きの考え方でこれをどのように解決するかという配慮が伴っております。したがいまして、単に表にあらわれた労働条件というばかりではなく、いわゆる労働の環境の整備等、もろもろの配慮を総合いたしますれば、私は必ずしも電気事業の雇用条件、労働条件は悪くはない、中等程度だと、かように考えております。かように、電気事業の特質から申しまして、経営の合理的な立場からいって、現在のところ私は社会的水準を上回りこそすれ下回ることはない、かように考えます。
それからもう一つ、これは私個人の考え方でございますが、いわゆる社会的な経営をいたしますれば、果実をわれわれは働いて獲得するわけでございます。この果実をいかように一般社会にサービス改善その他の点において還元するか、あるいは株主にいわゆる配当の姿、これは一部われわれの考え方を申しますれば、ある一定の水準がございまするから、増配当はすべきではないと思いますが、株主の資本の、将来の長期的な見通しから見てどのように保護すべきかというような問題と、それから同時に従業員にこの果実をどのような均分な配分を、還元をどのように割合を適正にして配分するかという果実の配分、いわゆる事業を取り巻くいろいろな大切な要素要素に還元のしかたを今後どのように持っていくかという考え方をいま持っておるわけでございまして、いわゆる果実の適正配分という問題を一般社会の需用者、株主、一般従業員等に対しまして、今後新しい考えを持って進めていきたい、かような考えを持っておることをつけ加えて申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/27
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028・藤田進
○藤田進君 他の委員も御発言があるようでありますから、あと二、三点にしぼりたいと思いますが、最近特に都市を中心にその周辺へと鉄塔なりあるいは木柱、コンクリート柱といったように、超高圧では線下補償、あるいは電柱敷地の問題、最近は北海道から熱心に問題を提起されてきております。これも全国画一的には言えないでしょう。都市と農村の場合若干違いますしいたしますが、ただ指摘できるのは、電気事業者の中において、大体条件が同一であろうと思われるところでも電柱敷地料金が非常に違っている。これを電電公社あるいは国鉄と比較してみても、同じ北海道であって非常な違いがあります。これなどは公共事業としては電気事業者の内部においても調整をされ、また敷地の所有者との話し合いの上でも合理的解決をつけられる必要がありましょうし、また電電なり国鉄という同種の電柱ですね、これの敷地が同じ村で単価が違う。現実に違います。電電と国鉄は大体協調しているように思われますが、一連の線下補償なり電柱敷地なりといったことについて、広域運営という立場でおいきになる以上、全国的に、また他産業、いま指摘した電電その他こういうものとのもっと合理的調整というものを考えられる必要があると思います。これは要望を含めて、ぜひ早急に――電気事業法に関連しての陳情、請願等も多く出ておりますので、御解決をいただきたいと思います。
それからこれは東京電力の傘下でも議員間でもよく話に出ることですが、近時自動車が非常にふえてまいりましたが、したがって、表通りよりも裏通りを通る車がこれまた非常にふえてまいりました。ところが、旧九尺道路、三メーター足らずの道で、片や大きなコンクリートないし鉄柱が側溝を離れること三十センチぐらいで立っている、道路に傾いたようなかっこうで立っている。その相向かいには電話の柱がこれまた側溝からうんと入ったところに立っている。電柱も電話の柱もまあ見てごらんなさい、例外なく自動車と接触してだんだんと削られていっております。電柱の削られるのもたいへんでしょうが、車のほうが削られるのはたいへんなことなんです。これは板金か何かで。これは共架される必要がある。最近進められているようです。私も予算委員会等で調べてみましたが。ところが、なかなかなわ張りがあるようです。主体になるほうにお金を払うのだそうですが、これまた都市を中心に、あるいは国民経済上、郊外地においてももっと広域運営をさらに進められて、並行的にずいぶん立っているのは私ども見ても不経済であるし、国家的にもこれが電話、国鉄、電気と電気に至っては最近郊外は鉄塔の群れをなしております。こういったようなことは、線下補償等もあることだし、設備投資を縮減する意味においても、また交通の便宜をはかる意味においても、手っ取り早くやれるところから整理していただく必要があるのじゃないだろうか。これは郵政大臣のほうにも私どものほうから言って、そのように進めるということでありますので、都内においても地方都市においても共架すべきものは早急に共架して整理されて、交通の便を考えていただく必要があるのじゃないか。
それからあわせてですが、これはこまかいことですが、市民生活にとっては案外大きいのは、これは電話のほうは郵政大臣に先般予算委員会で申し上げてあります。とにかく公共事業であるといったようなプライドもあるでしょうが、社長はそんなこと知らないでいるでしょうけれども、お店の出入り口にぱあんと、もう目がさめてみると電柱が立っている。電信柱が大きなコンクリートで立っているというようなことは、もう数メーター離せばそうでないとごろに立てられるのに、間々そういうことが多いのです。これは市民生活、家庭生活にとっては非常に大きな問題なのですから、こういう点は十分こまかいところに注意して運営をしていただきたいと思うのです。これらについて御苦心もあるでしょうから、以上二点についてお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/28
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029・木川田一隆
○参考人(木川田一隆君) 第一番の線下補償その他の問題でございますが、先生御指摘のとおり、地域によってはまだ不合理な点が残存いたしております。たとえば電柱敷地料、公衆電気通信法施行令によりまする田畑八十円とか五十円、宅地が七十円というようなきめがあって、画一的に全国施行されておりますが、東京とか大阪とか、大都市ではほとんどこれの例にならって解決いたしておりますが、地方によってはまだ不合理な点がございますので、御指示のとおり、これは随時整理して合法的に合理的に解決したいと私も考えております。非常にありがたい御指摘でございます。
それから線下補償の問題は、例の三十七年の閣議、三十八年の通産大臣の省令によりまして、土地利用を害する程度において補償をすべしということになりますが、これは非常に千差万別でございまして、いまは大体筋合いに合った解決の方向に向いております。
それから第三の電柱の問題ですが、これは非常な悩みの種でございます。実はサービス問題それ自体が悩みの種でございまして、これをいかようにして管内に普及、よく徹底して実現にまで、実践にまで持っていくかということが、われわれ経営者の非常な日夜の苦悩の一つでございます。方向といたしましては、たとえば、いままでは表通りの自動車の通りには電柱はできるだけ立てないで裏通りに立てた。このごろは制限規定でもって自動車が裏通りに行くということになりまして、お話のとおり第一番には共架の問題を考えております。第二番目には、東京のごときは全部地域を調査いたしまして、不適当な個所のものを撤去するというので、報告をとりまして、はなはだしいものから移転しております。これは相当のコストになろうと思いますが、これはもちろん原価にも入っておりませんが、自己吸収する覚悟でもってこれを進めております。ただ全国的に見ますと、やはり全国的の問題よりも、大都市の交通地獄の解決策として、われわれが裏通りにある電柱というものをどのように処理するかという改善方策が大都市の問題としていまございますので、これの解決にいま進んでおります。
それから最後に、御指摘の不適当な場所、迷惑な場所に電柱を立てる、これは非常な過敏なお客さんの所有主、あるいは公道につきまして、迷惑のかからないような配慮をするという徹底した処置方法を指示しておるのでございますが、さきに申し上げましたとおり、サービス問題に関しては、六百万のお客さん、たとえば東電のごときはお客さんをどのようにして、独占事業として競争企業と同じようなサービスの御満足が得られるか得られないかというのを理想目標にして努力いたしております。これは今後のわれわれの大きな問題点として改善に努力したいと思います。これをもってお答えにかえたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/29
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030・藤田進
○藤田進君 最後に勝又さんに。工事業法の制定を要望されたように思います。簡単に言えば、どういうことをねらいとされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/30
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031・勝又正久
○参考人(勝又正久君) お答え申し上げます。
電気事業者のために電気事業法がございます。電気事業は、おそらく私は送電されて末端の電気が設備され、電気工事が施行されていなければ電気事業が完全ではない。そこにその電灯がともるところまで見届けることが電気事業だろうと思います。そこで私はこの法案の末尾に、これによりがたき事業は電気工事業法というものを別につくってくれということを先ほど申し上げたのでありますが、そういう意味で、われわれ電気工事業者がこの電気事業者のために協力を申し上げ、またみずからも公益事業として、このわれわれの事業を通して、広く需用者のためによりよい電気工事を施行してまいりたいというふうに考えております。
そこで、先般私どもは、これらのことに関しまして通産当局にも、あるいは中小企業庁にもお願いしてございますが、いまの電気工事業者は、中央の大企業の方々は比較的安易な事業内容を持っておりますが、私どもは末端の小さな業者まで含めましていろいろと考慮いたしておるわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、電気工事を請け負いますのに、大体が建築業者が主体で総合的に受けまして、それをわれわれがさらに下請というような形でやっておる関係上、予算的にも非常に乏しい、そういう関係でりっぱな仕事がなかなかやりにくい。これはその保安に対しても憂慮すべき問題じゃなかろうかというふうに考えております。そこでわれわれこの工事業者の今日の姿をあらゆる角度から救っていただいて、この電気事業を全く完璧であらしめるべく、われわれの要望をかなえさしていただくためには、われわれ電気工事業者を一挙に工事業法というような法律で救い上げていただいて、そして育成していただきたい。この場合には、われわれ電気工事業法という法律をつくっていただいて、ここに活路を求めてまいりたいというふうに考えております。
八つの項目と申しますのは、これに関連いたしますのは、まず現在の電気工事士法が何かそこに完璧を期していないと言いたいのでございますが、あの資格を取りますと、即営業権を獲得したかのごとく即座に、われわれがせっかく育成した若い電工が営業を始めてしまうというようなことで、未熟な電気屋がふえてまいります。これはただ単に未熟ばかりでなく、これらが過当競争を引き起こしまして、工事業界を撹乱してまいります。そこで、まずいまの工事士法を改正していただきたい。
また、次には、登録制度というような制度にしていただいて、そうして工事士の資格を取りましても、諸外国の例にならいまして、三年ないし五カ年の実技の養成期間を設けて、初めて電気工事業者としてできるのだというような、一つの規制措置と申しましょうか、登録認可制度というようなものをつくっていただきたいということと、それから分離発注の問題や、あるいは産業別分類の格上げによりまして、われわれの電気工事業というものが、たとえば労災保険の例を取りましても、メリット制をしいていただいて、外線工事会社の人たちと内線工事のわれわれとは仕事の性質も違いますので、比較的けがも少ない、補償もあまりされてないにもかかわらず、労災保険料率が非常に高くて、これもわれわれはたいへん大きな失費になっております。こういうようなことも考えまして、われわれ業者の地位の産業別分類の格上げを要望いたしております。
これらのことが電気工事業法として要望いたす内容でございますが、これは電気事業法に関連いたしまして、ぜひともかなえさしていただけるなら幸甚と思いまして、よろしくお願いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/31
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032・向井長年
○向井長年君 時間もだいぶ経過いたしまして、参考人の方々もお疲れと思いますし、なお私がいろいろとお聞きしたい点は、先ほど藤田君から大半聞かれたような状態もございます。したがって、端的に各参考人に若干、重複しない形でお聞きしたいと思うわけです。
まず、いま藤田君に答弁になられました勝又さんからお聞きしたいと思います。まず第一に、先ほどこの法案の中で検査機関をつくる、こういうところにひとつ加盟さしてもらいたい、こういう要望がございますが、現状におきましては、電気工事協同組合のいわゆる傘下組合員の方々が特に工事をやる立場に立っております。そうすると、工事をやる立場に立ちながら、検査も付与してやるということになりますと、一部におきましては利益的な形が出てくる。一部におきましては弊害が出るのではなかろうか、こういうことを私は感ずるわけです。こういう点はどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/32
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033・勝又正久
○参考人(勝又正久君) ごもっともな御意見だと思います。私どもは、したがいまして実際にみずからが手を下して検査するのでなくて、検査機構の中に何か発言の余地を与えさしていただいて、そうして検査機構が行ないました検査の資料等をつぶさに検討さしていただきたいというふうに考えております。これによりまして私どもは、これからの技術の練磨、いろいろの教育の資料をつかみ出していきたいというような考え方から、この機構に参画をさしていただきたいと、このように思います。不幸にして漏電等が起こりましたとき、これらのときにも、私は工事者には工事者なりのやはり主張があろうかと思います。そこで一つの例を取りますと、例の新潟の大火のあの火災の原因におきまして、A型街燈の一つのブラケットの器具が、あの三十何メートルかの強風にあおられて、中の線が裸になって漏洩した、こういうことでございます。私ども工事者の立場からして言わしむれば、これは当時の工事がラス張りという工事に沿わなかったには違いないですが、A型街灯の構造そのものにも私は欠陥があったのではないか。A型街灯という街灯は、外につけるんだったらあらゆる風雪に耐えてしかるべきだ、それらの構造ができていなかったんじゃないか、欠陥があったんじゃないかということもわれわれとしては言いたいわけです。こういう意見をはさましていただけるような機会をひとつ機構の中に織り込んでいただきたいということでございまして、決してわれわれが自分のやった仕事を自分なりの解釈のもとに検査しようとは毛頭考えておりませんので、その点は十分お含みおきいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/33
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034・向井長年
○向井長年君 いわゆる自分たちがやった安全性の責任体制をやはり明確化したい、それを明確化するためにも、そういうところで一つの発言する機会を与えていただきたい、こういう立場が中心であるわけですね。本来の検査に従事するという立場ではないわけですね。そういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/34
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035・勝又正久
○参考人(勝又正久君) そのとおりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/35
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036・向井長年
○向井長年君 次に、発注分離の問題を言われておりますが、大体大きなビルが建ちましても、ほとんど大企業の建設業者が請け負うて、そしてそれの下請下請で、あるいは電気工事が受けるわけなんですが、そこで、この発注分離の問題については、いま考えておられることは、この電気工事協同組合の参加団体である一業者がこれを請け負おうとするのか、あるいはまた、工事協同組合自身が請け負おうとするのか、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/36
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037・勝又正久
○参考人(勝又正久君) この点につきましては、中央の大きな建設業者の方方のほうでも分離発注せよというような考え方は持っておらない。建設業者の方々が電気技術者を擁してりっぱに指導監督をされているなら、この指導監督のもとにわれわれはやってまいります。地方の小さな業者、あるいは末端の大工さんのごときが、電気の何ら技能的なものを持たずにお受けするということは、私はお客さまに対して親切なことではないと思います。そこでわれわれは、そういう業者が総合受注してはならない。われわれはそういうものから別に分離受注して、そしてお客さまの意に沿うようにりっぱな工事をやってまいりたい。したがいまして、御質問の内容でございますが、われわれ個々が分離で受けてまいりたい。ときには協同組合で大きな仕事を受けていく場合もあるかもしれません。いまの体制では、個々の工事店が個々のお客さまから分離に受注をしてまいりたいというような考え方でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/37
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038・向井長年
○向井長年君 そういう場合に、各工事協同組合の中で過当競争が起こりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/38
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039・勝又正久
○参考人(勝又正久君) それは起こらないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/39
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040・向井長年
○向井長年君 なお、労災等のいわゆる責任体制が完備できるかどうか、この問題。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/40
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041・勝又正久
○参考人(勝又正久君) それらにつきましては、協同組合で指導してまいりたいと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/41
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042・向井長年
○向井長年君 もう一点、この工事業法なんですが、これは確かに過当競争を排し、言うならば不良業者と申しますか、こういう業者もやはり育成強化しなきゃならぬと、こういう立場から主張される意味は非常によくわかる。ところが、ただ問題は許認可制と、こういう問題になってくるわけなんです。これは憲法のいわゆる職業に対する選択権、こういう問題にもからんできて、相当問題点もあろうと思いますが、特にいま、全日本電気工事協同組合という全国の業者を一括した一つの機関があるわけなんですが、大体そういうところに結集してそして育成強化をすると、こういうことは実質的にはなかなか困難ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/42
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043・勝又正久
○参考人(勝又正久君) 決して困難ではございません。私どもはそういうような機構の中に入れて、そして未熟なものは育て上げていきたいというふうに考えまして、その点を強く主張してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/43
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044・向井長年
○向井長年君 次に竹内参考人にお聞きしたいんですが、先ほど藤田君からも聞かれましたが、特に電気事業審議会でいろいろと検討された中で、先ほど説明のあったいわゆる事業の形態の問題ですが、これはわれわれのまあ想像ですが、いろいろな角度から検討されたと思うんです。したがって、一社化とか公社化とか、あるいはまたブロックとか、いろんな意見が出されたように聞いておりますけれども、それに対して具体的に、いわゆる科学的に理論的にどうであったという結論は出なかったのではなかろうか。したがって、それよりも現実の事態、現実のいわゆる企業体制、これをいかに合理化しあるいは是正し、一般需用にこたえて、あるいはまた健全な発展をこいねがう、こういう安全性の問題も入れまして、こういう立場から、そのほうに検討が進んだのではなかろうか、こういうふうに私たちは考えるわけです。したがって、現状の事態の上に立って現在の企業形態をよりよくするためにはいかにあるべきか、広域運営の問題とか安全性の問題とか、こういう問題がそこで論議されて、一つの方向性というものが出たのじゃないか、こう思うわけなんです。したがって、具体的に、いま言った一社化とか公社化とかブロックの合併論とか、こういう問題は深く検討して、理論的にこれはだめだという結論が出たんではないんじゃないか、こういう感じがするわけなんですが、こういう点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/44
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045・竹内半寿
○参考人(竹内半寿君) 一社化とか公社化とかあるいはブロック別合併という問題になりますと、いま向井さんが言われたように、科学的に検討するということになりますと、その科学的検討自体にいろんな仮定が必要になってくるわけであります。その仮定を全部取り上げまして、そこにどういう結果が出るのかというようなことまではとうてい審議会の過程では議論することができなかった。
もう一つ一番大きな問題は、やはりそういう問題には人間の問題がついてくるわけです。先ほどもちょっと申し上げましたけれども、現在の段階において、現在の事業なり事業員なりにおいて一本になった場合に、経営能率という点は上がるのか下がるのか、人員というものは節約できるのかどうかというような問題、これも一つの非常に判断がむずかしい問題であるだろう。したがって、それらの点を十分専門委員会では議論いたしまして、結論的にはやはり現状を土台にしてそれを改善する。それがどうしても改善できなければ、あらためて公社化なり一社化なりブロック別合併なりというような問題をそのときにおいて検討すればいいんではないかということで、現状分析と、それからいまの形態に進む場合のすぐ目に見える摩擦なり障害なり、あるいはそういったような点を論議の対象にして議論いたしました。したがって、あなたのおっしゃるように基本的な問題で大議論を展開したということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/45
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046・向井長年
○向井長年君 竹内参考人は十二時半に退席されるようでございますが、もう一点だけお聞きしますが、先ほど説明の中で企業の適正規模というようなことを言われたと思いますが、現状ですね、いわゆる九つのいま事業体があるわけですが、これについて、現在適正規模であるという立場を審議会ではいろいろ検討されたのか。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/46
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047・竹内半寿
○参考人(竹内半寿君) 適正規模のやはり具体的なあれでございますか、これもさっきの議論とやや似たような議論になりますのですが、結局現在の、地方的なある程度小さな会社ではあるけれども、非常に配電区域の多いところとか、それがおのおの歴史的な一つの経営体制をつくって、それでうまく経営をされておるわけでございますね。東電みたいに非常に大きくなったところも、やはり長い間の経営者の訓練と事業員の訓練によってむだなく経営をしておられるというようなことから、現在の状態が一応各電力会社について適正な規模であるということで、それを、それじゃ二つのものを一つにした場合に、適正規模であるかどうか。これはまた、うまく運営すれば、それが適正規模であるというようなことになってくるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/47
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048・向井長年
○向井長年君 この問題につきましてはいろいろ議論があると思うので、私も意見を持っておりますが、これはまあやめたいと思います。
次に、水野参考人にお聞きしたいんですが、先ほど藤田君の質問に答えておられまして、自家発電の問題もございましたが、この中で料金の問題で、工業用電力の料金については電力の質に応じて現行の特定電力料金制度を一段と活用していただきたい、こういう要望がございましたが、これは端的に言ったらどういうことなんですか。安くしてもらいたいということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/48
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049・水野敏行
○参考人(水野敏行君) お話しのとおり、安い電気がほしいということが基本でございます。それで、それには先ほど緑料金のお話もございましたように、ピーク・カットなり、あるいはその時間をもう少し長くするか短くするか、いろいろ組み合わせ方があると思うんです。それからもう一つは、今日では火力常時もあるだろう。そういう場合を組み合わせまして、要するに安いところ安いところを組み合わせて一つの電気事業を一つの形にしてつくり上げるということで、電力料金の安いものがほしいというわけです。したがいまして、電力会社が損をしろということではないんです。ただ、一本にきめられた姿で電力料金があるということは困るわけです。そこで「その質に応じて」ということを書いてございます。で、化学のといいますか、工業の性質上、そういうものを利用できるところもあるわけです。したがって、必ずしも一日の時期だけでなく、年間を通じていろいろの時期があります。そういうものを考慮に入れながら特定料金制度というものを電力料金の制度――現在あるわけでございますから、これをさらに一段とまあきめこまかにやってほしいという意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/49
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050・向井長年
○向井長年君 重ねてお聞きしますが、水野参考人の会社は電気ガス税の税金は免除されておりますな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/50
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051・水野敏行
○参考人(水野敏行君) 私のほうは免除の対象になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/51
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052・向井長年
○向井長年君 いまこの点について消費者の立場で――まあ大口でしょうが、特定のいわゆる産業に対しましてはこの税金を免除しておるわけです。ところが一般の家庭なりあるいは小口に対しましては、先般まで一〇%の電気税があったわけです。もちろん地方税でございますが。まあ最近国会でもこれを取り上げ、やかましく一般世論もなってまいりまして、今年度は三%まで軽減になっておりますが、これはいかがでしょうか。まあ免除になっておる業者というよりも……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/52
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053・水野敏行
○参考人(水野敏行君) 私はそういううちの立場で申し上げません。全体の立場からいってやはりこれはやめてもらいたい、何かほかの財源で取っていただきたいということも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/53
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054・向井長年
○向井長年君 木川田会長にお聞きいたしたいと思いますが、まあ藤田君も先ほどからだいぶん私が言おうとしたことを言いましたので、できるだけ重複しないで二、三お聞きしたいんですが、この法案で、特に事業者の供給責任体制というものがある程度明確になっておりますが、こういう中で供給責任という問題について、これは公益事業であるという立場において非常にむずかしい問題が出てくるんではなかろうか。特に言うならば、採算の合わないところに供給をしなければならぬ、こういう状態はいまなお出つつあると思います。こういう問題について、事業者としては今後どういう措置をとっていこうとされるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/54
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055・木川田一隆
○参考人(木川田一隆君) お答えします。電気事業の独占的なたてまえからいたしまして、供給責任は当然社会規制上といいますか、その他事業の経営の立場からも、社会責任からいいましても、当然これは持つべきであると、こういう前提のもとに、御質問の採算のとれぬ需用家に対していかようなる方策をとるかという問題でございますが、これにつきましては、現行の認可料金によりまして採算のとれない離島とか、あるいは非常にこのいなかの未点灯部落という需用家に対して、結局現行料金をたてまえにして、それで採算がとれない分は、いわゆる御承知のように配電線の延長工事の補助金という問題で解決する道になっております。それからもう一つは、例の農山漁村電気算入、あの法律によって国家の補助政策が出ているという二面的な解決の道がございますが、われわれが供給責任を果たす意味合いから申しまして、こうした採算のとれない部分に対しましても、コストに計上せぬでも自己吸収によって、できるだけ離島の未点灯あるいは山間僻地の夫点灯を解決して電気を送りたいという方針のもとにおきまして、こういう立法上の措置、認可料金のたてまえ、いわゆる負担金、補助金等のたてまえ、よりさらに進んだ考え方といたしまして、できるだけ合理化によって自己吸収しながら、他の善良なるお客さんという用語が適当でないかもしれませんが、転嫁しないで、未点灯の問題を解決して供給責任を果たしたい、かように考えて前進中でございます。
ただ、東京のごときは、ほとんど今年中に解決する確信を持っておりますが、北海道のごときは非常に多数の四万がらみの未点灯のお客さんがございます。これは不幸な事態でございます。電気事業のたてまえからいいまして、そうした方針で努力はいたします。この方向で、きのうも北海道電力の社長と打ち合わせをいたしたのでありますが、おのずから限界がございますので、やはり政府の北海道開発というような特殊なたてまえから、特別の補助政策を強化していただくということが必要ではないか。ただし、われわれはこれの責任を回避するわけじゃございません。さらに進んでこれを解決する努力はいたしますが、おのずから限界はございます。聞いてみますと、一割五分も料金が上がる、コストが上がるということを言っております。当面の供給責任者が。したがいまして、この点の解決は、政府筋の大きな地域開発というような観点からの補助政策をさらに強化する、あるいは特殊な税制政策をとるというような方向に進んでいただきたいと思います。いい機会を与えていただきましたので、この点を申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/55
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056・向井長年
○向井長年君 当然そういう特殊なところにつきましては、政府の補助政策といいますか、行政措置が必要であるだろうと私たちも考えているわけなんですが、大体これは無点灯部落という形では北海道なんかが中心であり、その他の電力地域にもあるわけでありますが、この点につきましては、いま経営者としての立場々をお聞きしまして、よくわかった次第でございます。
次に、若干これは藤田君の質問にも重複するかと思いますが、料金制度の問題でございます。この問題は非常に原価主義からくるむずかしさも持っているわけなんですが、特に私たち矛盾を感じることは、いわゆる家庭用料金が各電力会社において地域差を持っているということは、これは一般の産業用と違って、特にこれは不合理ではなかろうか。大体いまキロワット当たり十円から十二、三円じゃないかと思うのですが、こういう一つの差を持っているということは、もちろん原価主義からそういういわゆる料金がはじき出されていると思いますけれども、これは特に今後いわゆる家庭用電灯料金は、全国一律の形の方針をとることがいいのではなかろうかという感じを持つわけです。これにつきまして、電気経営者の立場からどう考えられるか、まずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/56
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057・木川田一隆
○参考人(木川田一隆君) 料金制度が適正な原価に適正公正な利潤を加えるというたてまえからいいますと、やはりこの家庭用と工業用、それから家庭用の中におきましてもいろいろの扱い方のコストの差が当然生まれる筋合いであろうと思います。この原価主義を非常に徹底して実施すると仮定しますれば、地域ごとに、あるいは需用家ごとに異なるのがほんとうの純理上の筋合いと思います。ただし、それは現実問題としますれば、やはり事業の公共性からいいまして、一般の家庭電灯は日本全国が大体均一のものということが望ましいものという考え方が出てまいろうかと思いますが、現実にはその方向に進みまして、広域運営その他の利点を持ちまして、だんだんと電灯料金は全国均一化の傾向をたどっております。さっき藤田先生に申し上げたとおりの傾向をたどっております。したがいまして、われわれ事業者といたしましても原価主義のたてまえはたてまえでございますが、その許す範囲において全国均一化の方向に進むことが望ましい。また努力すべきである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/57
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058・向井長年
○向井長年君 それに関連して、特に産業用電力料金あるいは家庭用小口、こういうものにつきまして先ほども若干出ておりますが、非常に格差と申しますか、料金の差がひどい。これは大体産業用は三円五十銭程度かと思いますけれども、これはいままあ若干電力事業も安定しつつ余剰という形も出てまいりましたけれども、ここ二、三年あるいは三、四年というところは、いわゆる産業用電力の要望にこたえて開発が行なわれた。したがってそういうところから資本というものが増大している。そういう中から一般に先ほど申しました原価主義から割り当てられている、こういう実態ですけれども、これは本来、昔はいわゆる大量に電力を買ってくれるところはお客さんである、したがってこれはできるだけ料金を安くしなければならない、そういう立場から出た残滓がいまなおあり、あるいはこれが一応の国民生活にもそういう生産会社等のコストというものを安くすることによって一般に奉仕する、こういう意味もあると思いますけれども、しかしながら、やはり先ほどから言われるように家庭用電力というものは生活の必需品である、そういう立場から産業用電力もなお低廉でなければならぬけれども、あまりにも格差があり過ぎる、こういう問題については、先ほどからできるだけこれを縮めるように今後も努力するのだ、こういうことを言われておりますけれども、この点については必ずしもそう簡単にいくものじゃないと思うのです。今後こういう格差の是正と申しますか、地域だけの問題じゃなくて、産業用あるいは小口電灯のこの格差の是正は将来まあ料金値上げ等の中で若干ずつ縮まってきていることもわれわれは認めるわけですが、なかなか困難だと思いますが、今後これについてやはり改定時期に考えていかなければならないという考え方を持っておられるのか、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/58
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059・木川田一隆
○参考人(木川田一隆君) これは料金の地域的な差等の問題と、供給の種別による差等の問題とございますが、いまお話の電灯の問題は、地域差等の問題、それからもう一つの問題は、電灯と電力との料金の差等の問題、この問題が電灯にはございます。いま工業用の動力の問題のお話に限定してお答えしますと、やはり原価主義のたてまえということはどこまでも原則として貫くべきだ、かように考えます。したがいまして、原価に基づいて工業用の種別によって大小、低圧、高圧その他扱い方――同じ高圧のお客さんでも扱いようによって、先ほどお話が出たように、資本費のあまりかからない扱い方もありましょうし、いろいろの負荷特性に応じた料金というものが今後適用範囲を拡大するということによりまして、平均料金である供給規程料金のほかに、特殊の負荷特性のお客さんに対する特定の低廉料金を拡大するというふうにしまして、結論はやはり原価主義である限りにおいて、原価のたてまえ上高低のあるのは当然であろうと思います。したがいまして、これを種別別に均一化の方向をたどれということは、原価主義に大きな抵触をする基本的な問題と思いますので、電灯は地域的に均一化の方向をたどることは望ましい、また努力をいたします。ただし産業用の電力につきましては、原価主義に基づきまして、高い原価のものは高い料金、安い原価のものは安い料金、ただしその間に両方が話し合いをもちまして、夕方ピークのときにお使いになっておるのをおやめになり、八万キロのお客さんを五万キロにして、三万キロを別に移していただくというような協力体制をとりますれば、おのずからそこに低率料金の適用が生ずる、これがいわゆるお客さんとわれわれ供給業者の共同利益の確保という姿で、これから幅広く、力強く推進したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/59
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060・向井長年
○向井長年君 もう時間がないようですから、最後に一点だけ。これに関連いたしまして、木川田会長にお伺いしたいんですが、この広域運営――いわゆる協調主義をとって両者の利益をはかり、健全にやっていこう、こういうことなんですが、この広域運営からすると、先ほど言った原価主義というものが若干くずれるんじゃないかというような気がするわけですよ。犠牲を払うということ、この点は協調主義、そういう中で原価を合わすということになるのか、この点原価主義に相当障害がくるのではなかろうかという気がするんですが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/60
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061・木川田一隆
○参考人(木川田一隆君) これは非常な先生の誤解でございまして、広域運営は相互の利益の増進というものを目的といたしまして、相互が利益するということは、ことばをかえますれば、関係の事業者のコストがおのずから下がる利益を享受しよう、その分け前はその利益の生ずる原因の多寡によって適正に配分しようということになりますわけで、原価主義には一向抵触しないわけでございます。原価をお互いに協力体制でもって低減させましょう、低減した分け前はおのおの理由のある範囲において分けましょう、こういうわけでございますから、たとえば東電が損をして、東北電力を救済するというような、とんでもないことを考えては全然おりません。東電も利益する、東北電力も利益する、その共同の利益をどのように配分するかということは、筋合いに従って、利益が生じた原因に従って配分するということでございますから、原価主義には絶対に反しない、さような確信を持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/61
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062・向井長年
○向井長年君 大体そういうこともわかりますけれども、ちょっと私も疑問があるんですが、時間がないものですから、また適当な機会にお伺いしたいと思います。まだ三、四点ございましたけれども、一応時間がございませんので、これで一応終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/62
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063・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 他に御発言もなければ、参考人の方々に対する質疑はこの程度にとどめます。
参考人の方々には、本日御多忙中御出席を願い、また長時間にわたりまして御意見の開陳、質疑に対するお答えをいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして心から御礼を申し上げます。
午後は、一時三十分再開することとし、これにて暫時休憩いたします。
午後零時四十九分休憩
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午後二時零分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/63
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064・前田久吉
○委員長(前田久吉君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
午前に引き続き、電気事業法案を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/64
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065・藤田進
○藤田進君 電気事業法の質疑に入る前に、二、三希望を申し上げ、善処を促したいと思います。
その第一点は、会期もかなり迫ってまいりましたから、審議の促進をむろんはからなければなりませんが、その一環として、かかる重要法案については、内閣総理大臣のエネルギー対策に対する所信を伺いたいと思います。このことは、本会議の質疑における私の質問のときもこの点は留保しておいたわけですが、したがいまして、適当な時期に内閣総理大臣の委員会出席を求めたい。それから当然のことのようですが、電気事業法に関連する関係省の国務大臣、所管大臣、たとえば自治、建設その他労働などの出席を求めたいと思います。これが日程等につきましては、ひとつ委員長理事打ち合わせ会で御相談をいただくように取り運んでいただきたいと思います。
それから第二の点ですが、仄聞するところによると、東北地方、特に新潟等を中心にかなりの激震のようでありますが、余震は本日われわれ東京でも経験いたしましたが、電気事業に関連する事項、特に送電線なりあるいは発変電所なりその他の被害状況等について、情報入手次第御報告をいただきたいと思います。
第三の点は、本日いよいよ本格的審議に入る第一日として参考人の出席を求め、かつ、ただいま午後本案の審議をするにあたりまして、所管大臣である通産大臣の出席がいまだないことはまことに遺憾であります。もはや政府としては会期迫っている現状からして、電気事業法はあきらめたのじゃなかろうかとさえ思われるわけであります。特振法その他で衆議院にいるということのようでありますが、参議院本商工委員会の軽視ということについては、まず当初に私は不満を申し上げ、自後国会の審議、特に本委員会の審議には政府当局ももっと積極的に協力される必要がある。もし審議未了その他になった場合でも、これは立法府である参議院当院ではなくて、政府の責任であると私はあらかじめ申し上げておきたいと思います。この点は委員長におかれても、自後大臣の出席については十分配慮されるように希望しておきたいと思います。
そこで、まず電気事業法については、大臣不出席のままですから、当面の責任者である公益事業局長にお伺いをいたしたいのでありますが、その第一は、先般の補足説明によりますれば、すなわち、公益事業局発行の三十九年三月、私ども委員の手元に届いている「電気事業法の制定について」、これを中心に補足説明がなされておりますが、これを見ますと、従来電気事業に関しては、体系的にその法律が不備であった、よってここに電気事業法の必要性を感じて提案したとのことでありますが、しかりとするならば、電気事業の使命あるいは特質、その他すべて重要なことが認識されているにかかわらず、今日まで非常にこの法案の提出がおくれたということについては、いささかどうも理解に苦しむわけであります。公益事業令あるいは旧電気事業法、こういったものを当場の間に合わせに使っていたというにすぎない、過去審議会等を作ってこれが答申を求め、やってこられたようでありますけれども、どうもここに書かれた補足説明では、なぜもっと早く法の策定、成案を得て議会に御提出にならなかったのであろうか。最大のものを見ますと、公営復元がいろいろ複雑な事情にあったために云々と、今日公営復元問題はほとんどこれが解決を見たような印象を受けるわけであります。しかし、これは実態はそうではない。まだまだ数こそ減りましたが、かなり問題の大きいものが残されております。たとえば山口県営電気の事情から中国電力との間だとか、まだ若干残っておるわけです。とするならば、公営復元というものが大きな支障を法案提出にきたしたというふうにも読み取れない。率直に、大胆に、かかる電気事業を規制するべき法案の提出がおくれたということについては、納得するような内容のある御答弁をまずいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/65
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066・宮本惇
○政府委員(宮本惇君) 御指摘のように、昭和二十七年の十二月に電気及びガスに関する臨時措置法ができましてから今日まで十二年間、ちゃんとした法律ができなかったわけでございます。いま先生がおっしゃいましたように納得のいく御説明がはたしてできるかどうか、自信がないわけでございますが、要するに、通産省といたしましては、当時直ちに電気事業法令改正審議会という審議会を作りまして、改正法案についていろいろ検討が行なわれたわけでございます。そうしてその間にたしか第七次案までできたと思っておりますが、しかしながら、電気事業が当時の非常なる電力不足に追われ、しかも電気の開発に追われて、まだ十分に将来の電気事業がどういうふうな形であったらいいかというめどもはっきりついておらなかったということと、やはりいま御指摘の復元問題が、これは特に政府与党の間で非常に問題になりまして、何と申しますか、政治的な理由から毎国会電気事業法を出そうと思っては流れてしまったということで、今日までおくれたわけでございます。実は一昨昨年の衆議院の商工委員会におきまして、当時の社会党の先生方から、一体こんな幽霊みたいな法律をいつまで残しておくのかというような御指摘もございまして、たしか当時の椎名通産大臣が、一ぺん、様子も変わったし、電気法令だけではなくて、電気事業のあり方、目的を十分検討した上で、次の次の通常国会に御提出申し上げますというお約束もされたやに伺っておりまして、われわれといたしましては、先ほどから御審議のありました電気事業審議会におきまして、企業体制のあり方とかあらゆる問題々検討いたしまして、昨年の十月にその答申を得たわけでございます。したがいまして、通産当局といたしましては、その答申の線に沿ってこの法律を御提案申し上げたということで、おくれましたことが決していいとは思っておりません。ただ、いま申し上げましたような事情からおくれましたので、その点はまことに申しわけなく思っておりますが、とにかく現在の段階としては、最もいいと考えられますこの電気事業法案を御提案申し上げるに至ったと、こういうことでございます。
それから復元問題でございますが、確かに御指摘のように、相当大部分片づきましたけれども、現在まだ四つ残っております。これも早急に片づけるよう、われわれとしても電力会社を督励してまいりたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/66
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067・藤田進
○藤田進君 私の質疑が少し長いために、問題点の把握がむずかしかったかと思うんですが、要するに二カ月も無法状態になったり、その後まことに変則的状態というか、まああなた方の表現をして言えば、そういったようなことが十数年もこれは続いてきた。裏を返せば、そんなにこの電気事業法なるものは、あったってなくたって電気は消えないんだと、支障ないんだと、こういうことに響くわけですね。したがって、その点どうも、ここにいろいろ書かれているし、説明もあるんだが、なぜきまらなかったんだろう。ぼくの聞いている限りでは、まあ広益事業局長もそう何年も局長していたんではなく、この間にはどんどんかわってこられたわけで、いわば地域独占といったようなことなり、あるいは県営といったようなことなりに関連して、そういう基本問題の解決というものが、政治的にも非常にむずかしいという事情にあったとも聞いている。ただ法文の編さんとか、技術的な問題に時間がかかったというものではなくて、そういうむしろ本質的な問題があったんではないだろうかというふうにも思われるわけです。まあその辺が、私そんなに必要なもの、重要な法案として出されているものが、無法状態が二カ月続いてみたり、戦後今日まで長い間放置されているというのがどうもふに落ちない。重ねてひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/67
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068・宮本惇
○政府委員(宮本惇君) 先生御指摘のように、法文的には、先ほど申し上げましたように、第七次案というようなものまでできておったわけでございますが、確かに実際的には――私も当時おりませんので、その感じはつかめないわけでございますけれども、確かにいろいろな政治的な問題、それと、電気事業法というものが何ぶんにも大法案であるというようなことから、私通産省におりましても、毎回提案すると言われながら、何か流れてしまうというようなことで、一昨年いよいよ何と申しますか、引導を渡されたようなかっこうになりまして、それではということで、電気事業審議会をつくりましてそれから本格的にスタートしたと、こういう実情であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/68
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069・藤田進
○藤田進君 事務当局としてはその辺の答弁が限界かもしれませんがね。七次案までできたが、いろいろな事情で流れたということなんで、どうも、問題の核心というものがあったのかなかったのか。政務次官いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/69
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070・竹下登
○政府委員(竹下登君) 私こそ、それこそ通産省に参りましてちょうど百八十日目でございます。当時の状況を知るだけの資格もございませんが、私のごく大ざっぱな認識では、ただいま先生の御指摘になった、電力そのものの形態等に対する政治的な課題というものが、当時の国民経済の激動期において、その確たる方向が見出せなかったということが、政治的にやはり大きな、法律の制定ができなかった要因ではなかろうかというふうに認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/70
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071・藤田進
○藤田進君 いや、私もそのように聞いているんです。その他本質問題がありますね。ですから、政治的事情、たとえば閣内においても、後日御出席いただくわけですが、宮澤企画庁長官なり、あるいは河野建設大臣なり、それぞれ企業形態についても過去諸論があったわけです。あるいは公営の問題もありましたでしょう。地域独占の可否もあったでしょう。そういう形でかなりおくれてきたようにも私は思われるのでありますが、そこで、いよいよこうしてこの出てきましたものを見ると、どうもはっきりしたようでしていない。たとえば地域独占にしても、この条項は削除したと、説明によると書いてある。じゃ、削除したということは地域独占を許さないということがたてまえなのかとして見ると、所管大臣として許認可の際の状況その他政令等から見ると、結局、現行九電力体制を根幹として、これに原子力であるとか電源開発会社であるとかあるいは自家発、県営といったようなものを逐次許していくかのごときこと。そうすると、独占形態の中における一部ごくわずかな窓口だけをあけていこうというふうにも見えるわけです。これは逐条審議いたします際に明らかにいたしたいと思います。そういう点と、それから各条文にわたって見ますると、まことに電気事業という一般的関係の深いサービス事業を規制する法律としては難解なものが多い。こういう点については、私は大臣も御出席でないので、事務当局から逐条というか、そういった御説明を本日は承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/71
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072・向井長年
○向井長年君 ちょっと関連して。この法案提出が非常におくれておる、こういう問題について、いま藤田委員からその理由を質問されたのですが、確かに次官なり局長から言われたように、経済の変動期、流動期にあるとか、あるいは電力不足であるとか、いろんな荒廃した中で非常に問題点が多い時期であったことはわれわれもわかるのですが、そういう時期であればあるほど、やはり基本的な問題を早急に検討しなけりゃならぬ、こういうことだと思うんですよ。ただ問題は、われわれ考えるのは、ただそういうことだけの理由じゃなくて、やはり通産行政の一つの欠陥のあらわれも、この問題にしわ寄せされておるのじゃないか。これはなぜかというと、御承知のごとく、おととしですか、この審議会を設けて本格的に取りかかった。しかし、それまでに通産大臣なりあるいは担当の公益事業局長が一年足らずでもうどんどんどんどん変わっていく。早ければ三カ月、六カ月で変わっちゃう。そういう事態がずっとあったんですよ。こういう形では、本来これは真剣に取り組んで法文化、成文化しようとする間もないわけなんです。これは大臣に聞くことかもわかりませんけれども、やはりそういうことが大きなゆえんのものではなかったか。この問題は従来から相当通産省ではいろんな形で検討しながらも、事実上それが法文化されなかったという理由は、やはりそういうところに大きな原因があるんじゃないか、これ等についてどう考えられるか、一言お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/72
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073・竹下登
○政府委員(竹下登君) 藤田先生にお答えした別の角度からのいわゆる通産行政の、なかんずく人事行政自体に、これが遅延したゆえんのものがあるんではないか、こういう御質問のように理解をいたします。私も実は役人をいたした経験を持っておりませんので、役所へ入りましてからそうした感を深くいたしておる一人ではございます。しかしながら、今日のこの官僚機構の中にあっての人事行政――異動、配置を含めた人事行政の中にありましては、あるいは新陳代謝とか、その他もろもろの要素からいたしまして、この程度というものはやむを得ないではないかという感じを深くいたしております。しかし、中に、たとえば、これ専門の技術者さんでありますとか、あるいは、これプロパーで育っていく方々でありますとか、そういう方が人事配置の中にあるわけでありまして、それが他の産業行政と違っておったということは、そういう方々がおられて、そうして大臣とか局長とか、そういうものがひんぱんにたとえかわりましても、他の産業であったならば、私は、これだけの遅延を見なくて済んだのではないかという感じを持っている一人であります。なぜならば、事ほどさように、電力というもの自体の産業、世界の産業の中においてマーケットの最も広い産業が最大産業であるといたしますならば、電力にまさるものはないと私も思います。それがわが国の経済の激動期という問題とミックスいたしまして、そうした基本的なものの考え方をこれだと、その時点において決断するだけのいとまもないほどの激動期ではなかったかというふうな理解を、私も説明を聞きながらいたしておる、このようなことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/73
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074・向井長年
○向井長年君 もう一点。いま、そういう答弁がございましたがね、大体これは審議会を設けられたのは、佐藤通産大臣のときだったと思うのですが、局長は宮本局長じゃなかったと思うのです。当時は。これも余儀なくされてそういう審議会をつくって早急に検討しなければならぬという機運がそこで起きたと思うのです。それはなぜかというと、これは池田内閣の、われわれから言えば無法な設備投資の形から電力の需要が急激に増してきた。それに対しての開発の問題、資金の問題あるいは料金問題、こういう問題が沸騰してきて、これでは何とか早急に電気料金の安定化をはからなければならぬ、東電の料金の問題が出、九州の問題が出、いろいろそういう中で、早急にこれを早く法文化、安定化をはからなければならぬ、こういうところから余儀なくされてこの審議会がつくられてきたと思うのですよ。それまではなかなかゆうちょうな形で事業者にまかせきりであったというのが、現在の実情ではなかろうか、私はこう見ているわけです。ただ、いま政務次官が言われたように、それも考えられないほどの経済の変動期であるというよりも、そういう事態に、しかも、こういう形を余儀なくされてそういう法文になってきたと思う。だから、これをただ単に、そういう経済の変動であるとか、あるいはまた、電力のいわゆる需給の問題のバランス、アンバランスの問題とか、そういう問題だけでなくて、やはり熱意の問題、いわゆる通産省の熱意の問題というものがやはり基因したと、私はそういうことも言えるのじゃないか、こう思うわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/74
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075・宮本惇
○政府委員(宮本惇君) 実は私、ちょうどこの審議会をつくりますときに公益事業局の次長をやっておりまして、確かに、当時の雰囲気から申し上げますというと、九州電力の値上げ、東電の値上げというような一種の、電力業界が当時の非常な需要に対応していかに電源開発資金を調達すべきかという非常なむずかしい時期にあったわけでございます。そういった時期でもございまして、いま向井先生のおっしゃったように、もうここいらで何とかしなければならぬだろうということで、実は椎名大臣のときから審議会の準備をいたしておったのですが、たまたま大臣がおかわりになりまして、佐藤大臣のときに、第一回の電気事業審議会が行なわれたわけでございますが、それまでの、どういうことを検討すべきかという準備は、実はちょうどその前に、私の次長のころにできておったわけでございます。で、そういう意味で私、それからかわりましてまた局長に舞い戻ったわけでございますが、ちょうどそういう時期に、そういう事務的には火をつけた私がまた舞い戻ったというのは、非常にある意味では、それまでの経過を知っておりますだけに、都合がよかったんじゃないかと思っておりますが、ただ、その後だいぶ安定をしてまいりまして、当時ほど電源開発資金を得るのに狂奔しなくても済むようになったということも、これもまた客観的な情勢の変化でございますが、だいぶ落ちついてきたということが、また、その法律を出すのにちょうどよい時期になったんじゃなかろうか、こんなふうに解釈しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/75
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076・藤田進
○藤田進君 いや、非常におくれていた、これはどうかと思うということと、いま出てきたこの法案を待望のものとしてすぐ飛びつくかといえば、あれほど長い間これを審議したというのに、どうも不備であるし、このままどうものめないということについては、誤解のないようにひとつあらかじめ申し上げておきたい。出さなかったものを出したからすぐというわけにはまいりません。
そこで、先ほど質問をしたんですが、まだ答弁がないけれども、逐条ということも、まあ逐次日を追っていきますが、特に定義の辺から見て、しろうとわかりのしないことばづかいが非常に多いし、何を意味しているかということが非常に難解の点が多いです。この点の御説明をいただきたいことと、この際、資料について、これも必要に応じて逐次要求しますが、とりあえず省令とか政令とかありますが、非常に数が多い。当然法文化すべきであろうと思われるものもあるだろうと思う。これが現在の時点において、事務当局で用意はどういう状況なんだろう。たとえば省令、政令の案、要綱といったようなものの用意が、この審議に協力する意味においてあるだろうか、どうだろうかと思いますので、その点をお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/76
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077・宮本惇
○政府委員(宮本惇君) 先に政省令の関係のことをお答え申し上げますが、実は確かに御指摘のように、電気事業法の場合に政・省令が全部で六十幾つと非常に多いわけでございます。ただそれは、実際問題として具体的な技術基準というようなものが非常に多いわけでございます。したがいまして、またそういう技術基準みたいなものを省令でつくりますという場合には、ただ通産省の公益事業局の役人だけがかってにつくるというわけにもまいりませんし、もちろん、関係の権威の方々のお集まり――すなわち、われわれの希望といたしましては、電気事業審議会において一応審議会を願おう。したがいまして、いまここで具体的な政・省令を示せと仰せられても、ちょっとそのことは、何と申しますか、無理でございます。したがいまして、こういうことを規定するんだという程度は別といたしまして、具体的にたとえば電圧、周波数の維持義務というのがございますが、これをつまり、プラス・マイナス何%にするかというようなことは、これは相当技術的なる検討を経た上でないと、これがつまり、電気事業者なり一般を縛ることになりよすので、その辺は慎重にいたしたい。この法律は、御承知のように、かりに公布になりますと、一年をこえない限りで施行になるということで、その間に若干の時間的余裕がありますことと、実際の電気事業者あるいは一般の方がこの法律で規制を受けるというためには、やはりそういうものの基準というものは、よほど多くの方々の御意見を参酌してきめるべきであるという解釈から、いまここで具体的なことまでわれわれのほうで準備しろと仰せられましても、これはむしろ今後慎重に検討して、審議会にもかけてやるんだ、こういうことで、いま政・省令をすぐ出せとおっしゃられても、実際問題として非常にむずかしいということをお答えせざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/77
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078・藤田進
○藤田進君 そういたしますと、審議会はもう時期的に見て早く発足されるわけで、その審議会に予定される省・政令については諮問して、その答申を待って、確定し、これが採用をする、こういう日程であるがゆえに、現在、その要綱自体も提示する段階でないと、こう解していいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/78
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079・宮本惇
○政府委員(宮本惇君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/79
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080・藤田進
○藤田進君 しかしまあ、この法文をつくる際に、省令にゆだねるということになれば、省令の構想というものはあるし、従来も供給規程であるとか、工作物規程であるとか、そういうものはあるわけで、それらに大きな変化があるのだろうかないんだろうかということは、本法との関係において審議するわれわれとしては、態度として持ちたい。そこで、当初申し上げたように、用意があればひとつもっと詳しく逐条の説明を本日はお伺いしておきたい。他の重要な点については、大臣出席の際にお伺いしたいと思うのですが、用意はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/80
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081・宮本惇
○政府委員(宮本惇君) 逐条の御説明、もしお時間をいただけるならば、さしていただきたいと思いますが、ただ、詳しくやるべきところと、簡単にやるべきところと、多少何と申しますか、緩急があってもよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/81
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082・藤田進
○藤田進君 それはいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/82
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083・宮本惇
○政府委員(宮本惇君) まあ全般的にこの法律が非常にわかりにくいという御指摘がございましたけれども、これはやはり法制局の段階の審議ということになりますと、どうしても万事を尽くすためにはこういう文句にならざるを得ないんでございまして、その点はあらかじめ御了承いただきたいと思います。
で、第一条「(目的)」。これはまあごらんいただけばおわかりだと思いますが、「この法律は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによって、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持及び運用を規制することによって、公共の安全を確保することを目的とする。」、これはまあ要するに、電気事業の運営を合理的にし、使う人の利益を保護するということで電気事業の健全な発達になるということと、保安という問題を二つの柱にしているということでございます。
それから「(定義)」におきまして、「一般電気事業者」あるいは「一般電気事業」、卸売り電気事業というようなことがずっと書いてございます。で、われわれといたしましては、「一般電気事業」と言う場合には、まあ何と申しますか、すべての消費者の末端まで、いわゆる小売りをするという考え方でございまして、主としては九電力その他、たとえば大島電力、あるいは離島の電力会社というようなものを考えておる次第でございます。卸売り電気事業と言う場合には、たとえば電発――電源開発株式会社が一番大きい卸売り事業者でございますし、さらに住友共電、あるいは清水共同火力というような共同自家発的なものも卸売り電気事業者に入る。あるいは、さらには、いわゆる一般の公営電気事業というものもこの卸に入るわけでございます。
それから第七項で、「電気工作物」と書いてございますが、この中のカッコで「船舶、車両又は航空機に設置されるものその他の政令で定めるもの」というのでございますが、まあ船舶とか車両、航空機というようなものは、御承知のように、それ自体動くものでございますので、そういうものは、これは別途それぞれの、特に運輸省が監督をされる。「その他の政令で定めるもの」というのは、大体非常に小規模と申しますか、十ボルト以下の電気設備というので、非常に軽微なものというのが大体政令で定められるのじゃないかと思います。
それから、第二章が「電気事業」でございまして、第一節が「事業の許可」でございます。これは、旧公益事業令と大体立て方は同じでございます。
第三条が、「許可を受けなければならない。」こと。
第四条は、その場合に、申請する場合の申請書に書くべき事項がそこに書いてございます。
それから問題は第五条でございまして、事業を許可する場合の、通産大臣の許可の基準がここに書いてございます。そこで一番問題になりますのが、先ほど来先生の御指摘にありましたいわゆる地域独占の規定を削っておるということでございます。旧公益事業令の二十八条によりますと、第三項に「通商産業大臣は、一般の需用に応じ電気又はガスを供給する公益事業については、前項の規定にかかわらず、同一の地域を供給区域とする二以上の公益事業の許可をしてはならない。」、いわゆる地域独占の規定が旧公益事業令にあったわけでございますが、それを実ははずしているわけでございます。なぜ、はずしたかということでございますが、いかなる場合にも、地域を独占さすべきかということになりますと、特に具体例を申し上げますと、たとえば、隣接する電力会社の境界線に近いところで、かりに、たとえば、東京電力と東北電力の場合に、地域は東京電力の中にあるが、東北電力の送電線がすぐそばまで来ている。東電がその電線を引っぱるためには非常な金がかかる場合には、むしろ東北から引っぱってもいいじゃないか。そこまで厳密に境界を区切らなくても、そういう場合には、いままでよりも弾力性を持たせてもいいのではないかというので、今度の法律におきましては、第五条の許可基準の第三号にございますように、要するに、「電気工作物が著しく過剰とならない」ということで押えて、いままでよりも地域独占という規定をはずし、多少弾力性を持たしたということでございます。
それから第六条は、これは(「許可証)」の問題でたいしたことはございません。
第七条は、これは設置及び事業開始の義務でございまして、電気事業者は許可を受けてそれから五年以内に設置し、事業を開始しなければならぬというようなことでございます。
それから第八条は供給区域の変更、これも従来と同じような規定でございます。
それから九条は「(氏名等の変更)」。
十条、十一条はたいしたことはございませんが、十二条は、いわゆる兼業の許可制度でございます。で、これは、いままでよりもゆるめまして、一般電気事業者だけにその兼業の規制をかけた、つまり、一般電気事業者がそれ以外の事業を営もうとするときには、通産大臣の許可を受けなければならない。で、通産大臣は、それ以外の仕事をする場合には、「一般電気事業者の適確な遂行に支障を及ぼすおそれがないと認めるときでなければ」許可をしてはならない。つまり、あまりいろいろな副業をやりまして、そうしてそのために、むしろ穴をあけた、それがつまり、一般の、本来の業務に支障を来たしてはいけないという見地から、この規定ができております。ただ、実際問題といたしまして、そのほかに、たとえば中小企業を圧迫するような事業ということは、これまた別の見地から、われわれとしては、やはりある程度押えていかなければならないと思います。
それから十三条、十四条、これは設備の譲渡、休廃止、それから法人の解散。
十五条は事業の取り消し。実際問題としては、これはなかなか起きないと思いますが、前と同じ規定がございます。
それから問題は第十七条でございまして、これは「(一般電気事業者以外の者の供給)」、つまり、これはいわゆる特定供給の規定でございます。これは
一般の電気事業者のいわゆる特定供給の規定は、後ほど申し上げます。
二十四条にございますが、これはたとえば、ある共同自家発を持っている会社が、その構内の社宅にたとえば電灯用の電力を供給するというような場合には、供給の相手方及び供給地点ごとに、通産大臣の許可を受けなければならないということになっておりまして、第二項で、これは供給区域内の電気の使用者の利益を阻害したり、阻害するおそれがあるという場合等には許可をしてはならない、ここに許可基準が書いてあるわけでございます。
それから第二節の「業務」でございますが、第十八条は「(供給義務)」で、一般の電気事業者は正当な理由がなければ、供給を拒んではならない。それでまた、それの裏返しに第二項で、「その供給区域以外の地域における一般の需要に応じ電気を供給してはならない。」、これは裏表になるわけでございます。
十九条が「(供給規程)」でございまして、この辺が大事なところでございますが、これは要するに、電気料金その他の供給条件につきまして供給規程をきめて、これを通産大臣の認可にかけております。変更も同様でございます。二項がいわゆる何と申しますか、電気料金の基準になるわけで、ここに第一号に、「能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの」、これがいわゆる原価主義をとっているわけでございます。それから第二号が、料金がその種類により定率または定額ではっきり定められている。それから三号が、工事の負担の方法がはっきり書いてある。四番目が、不当な差別扱いをしない。これがいわば料金の大原則でございまして、こういう例は、たとえばガス事業法にもこういう同じような表現でなっているわけでございます。
それから二十条は、そういう供給規程がみんなにわかる必要があるという意味で、営業所及び事務所において、見やすいところに掲示しておかなければならないということでございます。
それから二十一条は、その供給条件についての義務でございまして、認可を受けた供給規程以外の条件では供給してはならないということでございます。ただ、そのただし書きで「第二十五条第一項」というのは、振りかえ供給の場合と、それから特に供給規程によりがたい、つまり、これはいわゆる特約ということで、午前中に木川田社長がおっしゃいましたような、ああいう場合をさすということでございます。
それから第二十二条は、要するに、供給条件、つまり、電気料金その他、そういうものでなければ一般の人に電気を供給してはならないわけでございますが、そのただし書きは、期限を付すというようなことが書いてございます。これはたとえば発電所の全部が完成しないのですが、一部が完成したような場合には、とりあえず、いついつまでという期限つきで承認するということもあり得る。それから第二項は、これは前項の認可と申します場合、これはつまり、第二十二条は、ちょっとおくれましたけれども、卸売りのことを言っているわけで、卸売りの場合の認可はやはり原価主義である。ただ、「この場合において、」云々というのは、これは、一般電気事業者の間の融通の場合の料金のきめ方は、いわゆる現行の原価主義をはずして、適正な原価を下らず、かつ、相手方たる一般電気事業者の電気の料金を適正にする、つまり、原価主義に弾力性を持たしておるというのが、この規定の意味でございます。
それから、二十三条は、供給規程がいろんな社会条件その他で著しく不適当になったような場合に、何と申しますか、変更命令というようなものを出し得る。それから、二十四条の「(特定供給)」というのは、これは一般電気事業者の特定供給を意味するわけで、先ほどちょっと域地独占のときに申し上げましたように、たとえば東北電力が東電の管内にやるというような場合に、その相手方及び地点ごとに許可を受けるということで、その許可の基準が第二項に書いてございます。
第二十五条がいわゆる「(振替供給)」つまり、ほかのものから電気の供給を受け、同じ量の電気を別のところにやるというような場合にも許可を受ける。
第二十六条が電圧及び周波数の維持義務でございまして、これは今度の法律の一つの大きなねらいでございまして、消費者のためにはかるということで、ここで維持義務を課しまして、あとで出てまいりますが、それを守らないというような場合には、一応改善命令を出す、維持命令を出しまして、それに違反した場合に罰則がかかるという段階になっております。
第二十七条は、いわゆる使用制限の問題でございます。これは必要最小限にしかできないということでございます。
第二款「広域的運営」でございますが、第二十八条は何と申しますか、協調の義務を宣言的にうたっておりますが、しかしながら、これも事業の許可基準とか、あるいは融通料金の認可基準とか、あるいは、後ほど出てまいります供給命令の発動基準等、そういうようなもので、この宣言的な規定を裏から生かしておるということでございます。
二十九条で、通産大臣が指定する電気事業者、つまり、「指定電気事業者」と申しますのは、大体九電力、電発あるいは大きないわゆる住友とか、そういう自家発的なあれも入ると思いますが、これは毎年度、将来の二年間についてのいろいろな発電、受電、融通に関する計画、施設計画を事前に届け出でる。それを審査をいたしまして、もし広域運営的な見地から見て適当でない場合は、勧告をすることができるということになっております。
第三款「監督」でございますが、先ほど申し上げました電圧または周波数の維持命令というものも出せる。
それから三十一条で、電気事業者のいろいろな業務の方法について、たとえば苦情の申し立て、あるいは定期監査で認めたときは、通産大臣が改善命令が出せる。
三十二条の供給命令と申しますのは、先ほど申し上げました二十九条の変更勧告があった場合、必要がある場合、さらに災害とか、そういうようなことがあった場合には、そこに書いてあります一から五まで書いてございますいろいろなことを命令することができる、命令をした場合のいろいろな支払いの方法とか、計量のしかたというようなものは当事者間できめるわけでございますが、協議のととのわない場合には通産大臣の裁定、これが三十三条、四条その辺に書いてあるわけでございます。
第三節でございますが、会計の整理、これは縦来どおりでございますけれども、三十六条の「(償却等)」、これはいままでの電力会社が利益金処分の認可制度ではかっておったのを、先ほど木川田さんがおっしゃったように、これを今度は償却命令あるいは積み立て金の積み立て命令という形に変えたということでございます。
三十七条の「(資産の価額)」、三十八条の渇水準備金、これは大体いままでと同じでございますが、三十九条の「(社債発行限度の特例)」、これは御承知のように、旧公益事業令におきましては、できましてから三年間だけこの規定が動いていたわけでありますが、その後は、この規定が効力を失ったわけでございます。しかしながら、やはり電力会社自身として、将来の資金調達面から見まして、社債の発行限度をそこに書いてありますように、一般の基準の二倍ということを規定をした次第でございます。
「(一般担保)」の規定は、従来と同じでざごいます。
第四節は「電気工作物」でございますが、四十一条以下「(工事計画)」。四十一条、四十二条、これは設置または変更の工事というようなものは認可を受けなければならないわけでございますが、特定の場合は、四十二条の場合は、それが第四十一条の場合以外のものは届け出でよろしい。
四十三条で、使用前に一応検査を受けなければならぬ。これは御承知のように、現工作物に、非常に膨大で、しかも一ぺんつくってしまうとあとから検査ができないというような場合には、一応使用前に工程ごとに、どういう工程でやるかということは省令できめますが、検査をする。
四十五条は、これはまあ、ここだけ出ておりますが、発電用原子炉の燃料というものについても、やはり検査を受けなければならない。
それから四十六条は、従前どおりでございます。ボイラー、タービン、そういったものは溶接の検査を合格したものでなければ使ってはならないということでございます。
それから四十七条は「(定期検査)」。
四十八条以降が保安でございまして、通産省で定める技術基準に適合するように維持していなければならないということで、維持の基準と申しますか、あれがその第二項にずっと書いてございます。そして四十九条で、それの適合命令も出せる。
それから五十条、五十一条「(費用の負担等)」でございます。
五十二条で、いままでと違いまして、今度は、自主的保安体制の確立という意味から、電気事業者は保安規程というものをつくって、これを通産大臣に届け出ろ、もし、それが実際問題として必要のある場合は、保安規程の変更命令もできる。
それからこれは、保安規程の中にも規定されると思いますが、主任技術者というものを必ず選任しておかなければならぬということが、五十三条でございます。
第五十四条は、主任技術者の種類でございまして、そこに書いてあるとおりでございます。
それから五十五条で、もし主任技術者が命令に違反したというような場合には、その免状を取り返す。
それから五十六条は国家試験。
それから第五十七条が、主任技術者の義務その他を書いてございます。
それから第五節の「土地等の使用」でございますが、五十八条から六十五条までが、土地等の一時使用その他の規定がございます。この点につきましては、一時使用とそれから立ち入り、通行、植物の伐採等でございまして、はなはだ何か中途はんぱじゃないかという御指摘を受けると思いますが、先ほど来、あるいは藤田先生もおっしゃいましたように、いわゆるまぼろし部落の問題というようなことは、実はこの法律ではまだ規制ができないわけでございます。と申しますのは、実はわれわれといたしましては、当初は、たとえば電源開発予定地域というような制度をつくって、何とかこれを押えたいと思っていろいろ検討いたしたのでございますが、法制局審議の段階になりまして、これは何も電力ばかりの問題ではないという、もっと一般的な問題だというようなことから、将来、土地収用法とか、あるいはまた電源開発促進法、そういうものを直す際にまとめて検討しよう、また、それを詰めておりますと、この法律の提出がおくれるというようなこともございまして、この点は非常にここには簡単にしか書いてございませんが、将来われわれとしては研究いたしたいと考えておる次第でございます。
それから第三章でございますが、第六十六条一項でございまして、「一般用電気工作物」あるいは「自家用電気工作物」というので、一般用と申しますのは、普通のいわゆる家庭用にも当たるわけでございます。
六十七条は「(調査の義務)」、先ほど来お話ありましたように、いまは、一般用の電気工作物の所有権が大部分各家庭に移ってしまいましたので、そこにいろいろな問題があるということで、電気事業者と申しますか、それは一般用の電気工作物が技術基準に合っておるかどうかを調べなければならない、いわゆる調査の義務を課しております。そうして、もし技術基準に合ってないという場合は、一般事業者としては、そういう合ってませんよということを通知しなければならない。それでも、第一項に規定する者、つまり、電気を供給する者がそういうことをしない場合には、何といいますか、通知を行なえ、通知の方法を改善しろというようなことを入れたというようなことでございます。
それから六十八条は、やはり通産大臣が直接その所有者または占有者に対して、技術基準に合うようにしろということを命令ができるということでございます。
それから六十九条が、先ほどから問題になりましたいわゆる指定調査機関でございますが、これは要するに、そこに書いてございますように「定めた区域」、一応区域を定めまして、一般の先ほど申し上げました六十七条一項に規定される者が、こういう指定調査機関に委託をすることができるということで、すぐ委託するという意味でもございませんし、だんだんとこれは将来そういう方向にいくであろうということでございます。
第七十条は、その工事計画を、やはりこれは、いわゆる自家用の工作物でございますが、通産大臣の認可を受けなければならない。変更もまたしかりでございますが、第三項にその基準が書いてございます。
それから七十一条は、もう少し軽微なものと申しますか、届け出のことを言っております。
それから七十二条で、やはり自家用電気工作物を設置する者は主任技術者を置かなければならないということになっております。
それから七十三条で、使用開始後の届け出義務、その他準用規定がございます。
第二節、七十五条で、指定調査機関というものの規定をいたしておりますが、これはつまり、こういう一般の電気事業者にかわってこういうことを、いわば公益的なことをするということで、指定の基準とか、そういうものがいろいろとはっきり書いてあるわけでございます。たとえば七十七条で、「調査業務を適確に遂行するに足りる」経理的技術的能力があるというようなこと。
七十八条では、初めから全部の区域というわけにもまいりませんでしょうから、それをだんだん広げていく場合には、通産大臣の許可を得る。
七十九条は調査義務でございまして、委託をされますと、調査義務が今度はこちらにまいります。適当でない場合は、通産大臣はいろいろな命令が出せる。
それから八十条は「(業務規程)」、それからその他ずっとたいしたことはございません。
それから「雑則」でございます。八十六条、これは「(許可等の条件)」でございます。
それから八十七条、八条、九条は、「(発電水力)」でございまして、現在もやっておりますが、水力調査というものをこの条文に基づいてやるというわけでございます。
九十条は「(電気工作物検査官)」、九十一条が「(監査)」、九十二条が「(報告の徴収)」、九十三条が「(立入検査)」、九十四条は「(公聴会)」、次は「(聴聞)」というようなことでございます。
なお、先般衆議院で実は修正がございまして、この原案の附則の二十六というところに、通産省の設置法の一部改正といたしまして、電気主任技術者資格審査会と電気事業審議会という二つの審議会を設置し、法を改正することにいたしておこうということでございましたが、衆議院でこれが修正をいたされまして、この附則に書かれております審議会の規定を本文に入れるということに御決議をいただきまして、審議会のこまかい規定を今度はこの本文に入れた次第でございます。したがいまして、先ほど申し上げました第三章――いままで第三章の次に第四章が「雑則」であったのを、第三章の次に第四章といたしまして、「電気事業審議会及び電気主任技術者資格審査会」という条文が、第八十六条から九十九条まで入ったということで、以下第五章が「雑則」、第六章が「罰則」ということで、従前の最後の条文は、百九条から百二十三条までになった次第でございます。
はなはだ急ぎましたのでございますが、大体の説明はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/83
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084・竹下登
○政府委員(竹下登君) 先ほど質疑に入る前に、藤田委員から御指示のありました地震被害について、いま公益事業局で調査した範囲内のことを御報告申し上げます。
東北電力管内は、新潟支店を中心とする通信線が各所で切れたため、目下のところは、詳細は不明である。十五万ボルト送電幹線も地震の影響でスリップしたため、停電も相当ある模様である。
それから小学校が倒壊し、死傷がありとのこと。日石新潟製油所、昭石新潟製油所タンクが目下炎上中であるということ。それから新潟大橋が落ちたということ。それから新潟電話局が陥没して、通信が不能になっておるということ。
さらに、北陸電力では、目下大なる被害はない模様でありますが、詳細は不明であります。
それから秋田、酒田、鶴岡、新潟各地で地割れがして、小学校の倒壊等がある模様である。
それから電発只見川が一時ストップ、これは数分間だそうでございます。直ちに送電回復をいたしております。
それから新潟火力が発電停止、これは状況は不明であります。約百万キロワット発電が低下し、サイクルは五十から四十九サイクル、これは数分間でございます。
以上のように、まだ中間的な状態で、詳細は不明でありますが、被害甚大の模様でございますので、至急担当官を派遣いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/84
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085・藤田進
○藤田進君 いまの災害についてですが、通信線等の断絶で入手しがたいということですから、これもまことにやむを得ないことだと思うのですが、しかし、かなりの部分が――たとえば新潟大橋ですね、これはたしか鉄筋コンクリートか何か、永久橋だったと思うのですが、これが落ちるということになれば、かなりの被害であったろうと思うし、当然、電力設備その他産業施設については被害が大きいだろうと思うのです。それでとりあえずの――私ども党としての結論を出していくわけじゃありませんが、マンネリズムにおちいることなく、単に被害状況調査に係官ということでなくて、これが対策について早急に――もう大体の事態が予想できますから、対策を講じてもらいたいと思います。特に一般の電灯、町の電気が今晩長時間にわたってとまるということは、これは治安対策上も非常に問題がありますし、そのような事情もあるので、本委員会の最中ではあるけれども、省内なり内閣で相談されて、それぞれの所管に従って善後措置をすみやかに、当然のことですが、講じていただきたいと思うのです。
重ねて申し上げますが、もうかれこれ夜半になろうとするのですけれども、停電等が起きるということは、これはたいへんな問題だろうと思うのです。特に五十ないし四十九サイクルが数分間続いた程度だということになるのが、ちょっとふに落ちません。新潟火力は停止している、これはまあ何とかしょう。只見川は数分間停止だけれども、それにしても、そういうこと、それから通信線が遮断しているというような状況であれば、鉄塔送電線、高圧がかなりいっているのじゃないかと思うものもあり、配電線はもちろんのこと、火災等が併発していれば、これはたいへんなことだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/85
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086・竹下登
○政府委員(竹下登君) ただいま仙台のほうからヘリコプターで実情の調査をいたさせておりますが、ただいまの御意見は、御趣旨のとおりだと私も思いますので、さっそく省内、また閣内の問題として、ただいますぐ取り上げようと思います。
なお、いまの具体的な御質問につきましては、技術長が向こうからの報告を受ける衝に当たっておりますので、この際、技術長から御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/86
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087・藤田進
○藤田進君 では、この新潟を中心のようにこれ見受けられますが、とりあえず、復旧応急工事等の、まあ電気の場合は――その他いろいろあるでしょう。警察関係もあろうけれども、電気に関する限りは、やはり東北電力の管内へ急遽電気技術者を――背広、ネクタイよりも、電柱に登るような人を増派していくなり、資材を用意するなりといったことですね、これはもう、かなり業者はなれていると思うので、やるだろうと思うけれども、ただ、現地だけにしわ寄せになって思うように進まないという過去の事例があるので、広範な城地からの応援隊等も十分考慮する必要があろうと思う。この点も含んでおいてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/87
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088・上原正吉
○上原正吉君 ちょっと関連して。情報収集にもう少し無電を活用する方法はないものかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/88
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089・瀬川正男
○説明員(瀬川正男君) 御承知のように、たとえばこの中心地の新潟支店まではいわゆるマイクロウェーブで通信はきくわけなんでありますが、問題は、そのマイクロウエーブで行ったところから先の有線通信網がほとんどもう壊滅しておることであります。したがって、その地方の状況がまとまらないということの模様であります。マイクロウェーブそのものは一応生きているわけですが、末端が全然わからない。
それから、ただいまの藤田先生からの御要望のありました東北電力の災害に対してどういう応援体制があるかと申しますと、各社間に災害時の応援出動の相互協定が二、三年前からありまして、ふだん、そういう訓練も一、二回ぐらいやっておるらしい。したがいまして、東京電力もしくは中部電力から応援出動の準備はおそらく進んでいると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/89
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090・藤田進
○藤田進君 いまの通信関係が途絶しているということも、政務次官から報告があったし、有線部分の故障で末端の実情把握が困難であるということのようですが、しかし、東北電力に関する限りは、もう東京の鉄鋼ビルに行けば、直接新潟の営業所にはマイクロウエーブでかかるはずです。ですから、有線搬送電話はもう使っていないはずです。したがって、そのマイクロウエーブの施設そのものが、営業所なり何なりがひっくり返ってだめだ、焼けたというなら、そういうことになるけれども、有線を使っているかね、そんなことないはずだが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/90
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091・瀬川正男
○説明員(瀬川正男君) ただいま申し上げましたとおり、マイクロは本店-支店間だけで、支店-営業所間はマイクロはないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/91
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092・向井長年
○向井長年君 営業所-営業所じゃなくて、いわゆる本店-支店間、支店というのは新潟にあるのですから、したがって、これは有線じゃなくて連絡がとれると思うのですよ。だから、営業所までとらなくていいんです。支店でいいんですね。これは東京出張所から本店-支店というものは、これはもうマイクロウエーブでやれるわけですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/92
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093・瀬川正男
○説明員(瀬川正男君) いま申し上げましたように、東京-仙台間、仙台-新潟支店間はマイクロウエーブで通信しているわけです。支店から各町々の営業所間は、これはほとんど有線でやっておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/93
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094・向井長年
○向井長年君 これは、新潟市内を中心に、いま事故の報告があったと思うのですよ、先ほどの報告は。新潟の大橋なり、あるいはまた電話局なり、あるいは発電所なり、これは支店の所在地なんです。営業所は支店と一緒にくっついてあるのです。だから、営業所までは必要ないのです。支店とはすぐ連絡がとれるはずです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/94
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095・竹下登
○政府委員(竹下登君) できるだけすみやかに状況を取って御報告を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/95
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096・藤田進
○藤田進君 被害状況について、あまりにもなわ張り根性が強過ぎる。ただ電気工作物に限定したわけだけれども、火災が出ているとか、津波がどうだ、予報が出たとかいうのだから、やはりそういう点もあわせ聞くべきではなかったか。聞いているけれども、報告しないのかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/96
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097・竹下登
○政府委員(竹下登君) いま先生の、私どもが早急にやりましたのは、東北電力を通じてやったものでございますから、勢いそういうことが多く出ていると思いますけれども、その他刻々と来ておりますのは、新潟市の信濃川の橋三本のうち、一本が陥没して、二本が交通中止になった。市内新潟火力の付近は火災発生せるも、付近に消防車が一台しかなく、近村より消防車が応援中であるというようなことは、新潟文店と仙台とこっちとで、それだけは入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/97
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098・藤田進
○藤田進君 津波は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/98
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099・竹下登
○政府委員(竹下登君) 津波のことはまた入っておりません。一つずつ入ってくるものでありますから、まだ総括的なことになっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/99
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100・藤田進
○藤田進君 それ自体が、役所の運営なり何なりとして、ちゃんともう平素からそういう訓練がなされなければ――ちゃんと電気事業者がマイクロを持っているとすれば、火災のとき、あるいは風水害、落雷はしょっちゅうあるだろうけれども、いまのような地震とか、その場合には、技術的には、報告要領はこれこれと、いつどこで何がどのようにということは、やはり間髪を入れず報告する。そして政府と業者の間には緊密な連携のもとにこれが復旧をやっていくとか、政府においては、治安対策なりあるいは市民に対する救済措置なり、そういったものが、ちゃんと事前に訓練され、水防訓練なんかやっているように、やっていかれなければならぬのじゃないでしょうか。これはそういうものはないのですか。通産省当局において、この基幹産業が支障をこうむった甚大な被害だ、こういう場合に、報告要領なり、ないのか、こちらから聞けば言ってくる、そういうものなんですか。これは派生的な問題で恐縮だけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/100
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101・宮本惇
○政府委員(宮本惇君) これは私からお答えするのはどうかと思いますが、こういう大災害が起きた場合には、臨時的にそういう本部みたいなものをつくりまして、関係各省が集まっていろんな対策を協議するというのが、従来の通例でございます。常置的な災害対策本部というようなものは現在は置かれておりませんが、おそらく、本件に関しまして、たとえば伊勢湾災害のときがそうでございましたが、臨時にそういう機構をつくりまして、いろいろ全体としてやるというのが、通例でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/101
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102・藤田進
○藤田進君 いわゆるこれは鳥取火災の場合、その他過去ずいぶん経験があるんですよ。自分のうちが焼け始めているのに、電力会社の従業員、特にそういう配線その他の保守の関係者は、もうこれから焼けていくのだ、物の搬出もしたいけれども、そんなことはかまっていられない、自分のうちが焼けていく、あるいは家族がどんな傷害をこうむるかわからないのに、電線の復旧とか、そういう作業に追われていく、こんな矛盾は過去何回か経験している。そういうときは、もういまはヘリコプターもあることだし、ちゃんと被害地でないところから応援体制はやっていくというようなことでないと、せっかく家族なり、もう近所なんか、みんな自分たち焼けていくのですから、幾ばくのものかを外へ出したといっても、それはどろぼうにあってしまったり、帰ってきてみれば、全く手がつけられないことになっているということなんです。いまのような場合に報告するとかなんていうのは、この新法ではどこに出てきているのですか。政令とかなんとか、どういう予定といいますか、行政指導……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/102
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103・宮本惇
○政府委員(宮本惇君) 法律自体にはそういうことは別に書いてございませんが、先ほどすぐ連絡いたしまして、とりあえずでございますが、これだけの御報告を申し上げることができたということでございます。法律自体にそういう場合のどうこうということは、しいて申せば「報告の徴収」の規定がございますが、これはこういう場合まで予想しているかどうか別といたしまして、実際問題としては、すぐ電力会社に連絡いたしますれば、その刻々の状況は入ってくるわけで、今後とも、そういう面では、よく藤田先生のおっしゃたような災害訓練的なことは、やはりますます強化していきたいとは思っておりますが、法律そのものでは、条文と、しいて言えば、「報告の徴収」の事項しかございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/103
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104・藤田進
○藤田進君 まあ、まことに不幸にして地震のことなんで、これは人為的にどうにもなりませんが、これは原価主義を従来も貫いてこられたわけだけれども、風水害、特に九州の風水害常襲地帯とか、ああいうものが料金の算定基準に入っているのだろうか、どうだろうか。いつも十数億の被害だとか言うのですけれども、渇水の準備金なんていったようなものがあることを聞いているけれども、こういう被害に対する内部保留というか、準備金というか、そういうものはないように思う。これは役所が命令するなり何なりしても、それ相当の、政府は政府なりの措置を講じなければ、なかなか利害関係の深いものですから、こういう場合の災害時における復旧に対する助成というか、そういうものはどういう実態なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/104
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105・宮本惇
○政府委員(宮本惇君) まあ、たとえば、そういう場合には修繕費というような方法がございます。これはやはり特に災害の多いところでは、大体そういう被害等を勘案した修繕費というものが一応考えられているわけでございますが、突発的な場合に、そのほかに何が入っているかと言われますと、そういうものは現在の算定基準の中には、修繕費以外には入ってないだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/105
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106・竹下登
○政府委員(竹下登君) いまのがさらに入りましたので……。昭和大橋、万代橋、これは落ちた。市内の配電線、通信線、交通は全部停止、そこで情報は非常に断片的にしかとれない、こういうことであります。
それから津波の関係では、信濃川が逆流を始め、逆流中。新潟空港は完全に水浸しになった。市内のガス管が各所で折れて漏れている。こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/106
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107・藤田進
○藤田進君 本件については詳報を得たいと思いますが、そこで、これからの審議ですがね。非常にいま重大なそういう事態にもなっていますが、できることなら、大臣も見えていないから、本日はこの程度で休憩されて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/107
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108・前田久吉
○委員長(前田久吉君) ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/108
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109・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 速記をつけてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/109
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110・藤田進
○藤田進君 通産大臣にお伺いしますが、まことに不幸にして、いまの東北地方、特に新潟等の被害は未曾有と言っていいような状態のように伺うわけです。ただいま電気事業法を議題にして審議を続けてきたわけですが、刻々の状況は政務次官から伺いました。数個の橋が陥没ないし落ちるということ、あるいは火災発生、市内のガス管おそらく地割れその他の破裂から引火したのでしょう。あるいは電線、電話等々途絶。そして、これは地震なるがゆえに、単なる都市の火災、大火と違って、かなり広範なものだろうと思います。私ども、昼食時間に院内で感じた感度から見ても、相当なものだと思いました。そこで、過去のこういった被害、単に火災というだけでも――電気事業においても、今夜ないし今後、かなり長期にわたって電灯が消えるといったことになりますと、治安上たいへんな問題なんです。そして火災を伴っていれば、当該新潟とすれば、新潟地域の保守なり緊急復旧といったような作業をしている人自体が、もうわが象が焼けているんです。わが家にはどろぼうが入っているかもしれない、家族は焼け死んでいるかもしれないということで、過去苦い経験をしてきたわけです。これは、治安当局は、警察関係も同様です。市内に家庭を持っていますから。これにやはり緊急の応援をさせるとかいう緊急な対策をひとつ考えてもらいたい。
それで、私ども引き続き電気事業法の審議をする予定でおりましたが、まあ一刻を争うこともないので、大臣以下要路の皆さんをここに引きとめておくということは、これは地元の被害の皆さんに対しても申しわけないことなんで、いろいろ緊急にひとつ御相談いただき、やっていただくことが必要じゃないかと。きょうの、そういう早く審議を打ち切ったことに対しての挽回は、今後委員長を中心に、また政府の協力を得て促進するようにすれば私はいいことだと思うんです。その意味でひとつ、そのほうが私は期待いたしたいし、望みたいところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/110
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111・福田一
○国務大臣(福田一君) たいへん適切な御注意をいただいたわけでございまして、実はいま、さしあたり、公益事業局及び軽工業局の関係者を現場へ特派するように措置はとってまいりましたが、御指摘のように、この問題はただ単に東北電力の問題とか、あるいは北陸電力の関係とかいうだけではないんで、もし送電線が切れておって、そして電灯がつかないというようなことでございますと、あらゆる意味において治安の確保その他の面からいっても大問題であると。こういうときに、私はまあ事態をはっきり把握しておらぬからでありますが、事態を把握しつつも、場合によっては、東京電力あたりが応援にかけつけてもいいのではないかというような印象をも受けておるわけでございますので、そういう意味で、まず電力の問題――東北は御案内のように、秋田、酒田がやはり相当やられてる、だから、とてももう向こうに向かう余地はないので、まあ新潟へ回すとすれば、東京を回すよりしかたがないんじゃないかという感じを受けております。いずれにいたしましても、そういうことも含めて、これから十分対策を講じたいと思いますので、退席をすることを許していただければ幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/111
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112・藤田進
○藤田進君 こういうときですから、自衛隊のヘリコプターも遊んでいるから、落ちないようにして物資あるいは技術員その他を輸送するとか、まあ十分広範に考えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/112
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113・赤間文三
○赤間文三君 大体私が知事をしておりましたときに、こういう災害のときには、全部総合しまして、府には全部災害対策本部というものを常置せられて、常から訓練をやって、各団体の動員、それから自衛隊をやる、あらゆる準備は大体、訓練などやっておりますから、願わくは、やはり府県と連絡をとられるように、警察庁とも連絡をとると、非常に全般の情報が徹底的にわかるであろうということを考えております。できれば、警察庁並びに府県ともあわせて連絡をとられるといいと思います。御参考までに申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/113
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114・前田久吉
○委員長(前田久吉君) それでは、お聞きのような次第でございますので、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめたいと思います。
これにて散会いたします。
午後三時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03519640616/114
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