1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年六月二十五日(木曜日)
午後一時四十五分開会
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委員の異動
六月二十三日
辞任 補欠選任
剱木 亨弘君 山本 杉君
大谷藤之助君 山下 春江君
中田 吉雄君 戸叶 武君
六月二十五日
辞任 補欠選任
山本 杉君 剱木 亨弘君
山下 春江君 大谷藤之助君
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出席者は左のとおり。
委員長 前田 久吉君
理事
赤間 文三君
上原 正吉君
近藤 信一君
委員
大谷藤之助君
川上 為治君
岸田 幸雄君
剱木 亨弘君
豊田 雅孝君
八木 一郎君
吉武 恵市君
阿部 竹松君
大矢 正君
椿 繁夫君
藤田 進君
鈴木 一弘君
向井 長年君
国務大臣
通商産業大臣 福田 一君
政府委員
通商産業政務次
官 竹下 登君
通商産業大臣官
房長 川出 千速君
中小企業庁長官 中野 正一君
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本日の会議に付した案件
○中小企業団体の組織に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/0
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001・前田久吉
○委員長(前田久吉君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
まず、委員長及び理事打ち合わせ会の協議事項について御報告いたします。
本日は、中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案の質疑を行なうことになりましたから、御承知を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/1
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002・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 次に、委員の異動について御報告いたします。六月二十三日、中田吉雄君が辞任され、その補欠として戸叶武君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/2
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003・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、お手元に配付いたしましたように、衆議院において修正されておりますから、御承知願います。
まず、政府から補足説明を聴取いたします。中野中小企業庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/3
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004・中野正一
○政府委員(中野正一君) お手元に、便宜のために、「中小企業団体の組織に関する法律の一部改正について」という印刷物を差し上げております。これは、先ほど委員長がお述べになりましたように、衆議院で一部修正になっておりますので、修正点は、このいまの説明要旨の中に全部訂正をしてございます。
第一に、この中小企業団体組織法の一部改正をいたしまする経緯でございますが、今回の中小企業団体組織法の一部改正は、昨年の第四十三国会におきまして成立いたしました中小企業基本法の十九条にいっておりまする「中小企業者以外の者の事業活動による中小企業者の利益の不当な侵害を防止し、中小企業の事業活動の機会の適正な確保を図る」という条項がございますが、このための一施策といたしまして立案されたものでございまして、昨年の末以来、中小企業政策審議会、これは会長が有沢広巳氏でございますが、に、この問題の検討をお願いいたしまして、その審議会の中に、円城寺次郎氏を主査とする調整小委員会が設けられまして、数回にわたって慎重なる審議を重ねたのでございます。この小委員会のメンバーとしては、もちろん中小企業の代表者、あるいは大企業の代表者、あるいは農林関係の代表者、あるいは消費者の代表者、学識経験者等々をもって小委員会を結成いたしまして、慎重審議を重ねまして、さらに本年の二月十七日に、この問題について、こうしたらどうだろうという意見具申がありましたので、これに基づきまして法制化したものでございます。
改正の目的でございますが、大企業の進出によりましてその業種に属する中小企業者の経営に著しい悪影響を与えることが予想される場合に、中小企業者を代表いたしまして商工組合が、進出しようといたします大企業と交渉をいたしまして、中小企業者が経営の合理化を行なうまでの間、緊急避難的に大企業の進出を調整する旨の協定を大企業と中小企業者の代表である商工組合が締結できる、こういうふうにいたしたのでございます。しかし、これは実際にはなかなか交渉は不調の場合もございますので、その場合には主務大臣があっせんを行なう。あっせんがうまくいかない場合には調停案をつくってこれを示す、こういうようなことによりまして、中小企業者の事業活動の機会の適正な確保に資することとしようとするものであります。
改正点につきましては、法律はお手元にございますが、これは一部改正になっておりますので、ちょっとわかりにくいので、この要項で御説明申し上げますが、一定の要件を備えました商工組合は、進出しようといたします大企業と、その進出の停止または進出計画の変更に関する契約、これを特殊契約と呼んでおりますが、契約を締結することができるようにいたしております。この一定の要件を備えました商工組合についてのみ交渉の権限を与えたのでありますが、これは法律の中にございまするが、まず、全国ないしはその地区内におきます資格事業の事業活動の相当部分が中小企業者によって行なわれている、その業種というものが中小企業者のウエートが半分以上であるということが第一要件、しかも、その地区内で資格事業を営んでおります中小企業者の大部分が組合に入っている、これは法律では三分の二となっておりますが、三分の二以上が組合員となっている、そういうような商工組合は交渉の資格がある、こういうことでございます。
それから特殊契約は、主務大臣の認可制といたしまして、認可を受けました特殊契約は独占禁止法の適用除外といたします。したがいまして、三にありますように、認可基準につきましては相当シビアーな認可基準をつくっております。当該大企業の進出によりまして中小企業者の経営の安定に著しい悪影響を及ぼすおそれのあるものでありまして、かつ、これを放置いたしますというと、国民経済の健全な発展に支障を生ずるおそれがあること、それから中小企業者がその大企業の進出に対処いたしまして、みずからの経営の合理化を行なうために必要な限度をこえないこと、それから第三に、消費者、関連事業者の利益を不当に害するおそれがないこと、こういう要件を満たすときに認可をする、こういうことになっております。
ただ、この中で修正点といたしまして、中小企業者が大企業の進出に対して「経営の合理化又は事業の転換を円滑に行なうため必要な最少限度をこえないこと。」というのが原案でございましたが、これではちょっと要件がシビアー過ぎはせぬかという御議論から、「事業の転換」ということばと「最少限度」の「最少」というのを衆議院段階におきまして修正になっております。それからなお最初の、この「中小企業者の経営の案定に著しい悪影響を及ぼす」というのを、原案では、「重大な悪影響」、「重大な」というのもちょっと意味が強過ぎるのじゃないかということで、交渉の要件を容易にするという意味合いにおいて修正されたものと考えております。
それから次に、商工組合から特殊契約を締結するための交渉を行ないたい旨の申し出を受けました大企業は、正当な事由がない限り、その交渉に応じなければならないということにしております。
それから、先方が、大企業が交渉に応じないあるいは交渉が不調であるというときに、当事者から申し立てがありますと、主務大臣は中小企業調停審議会の意見を聞いて、あっせんあるいは調停を行なうということになっております。調停の場合には、調停案を主務大臣が両者に、関係者に示すと同時にそれを公表するということになっております。示してその調停に従うように勧告をすると同時に、それを公表するということになっております。
それから商工組合連合会につきましても、商工組合と同様に交渉資格がある。ただし、この場合には下部の商工組合から上部の連合会が交渉の権限の移譲を受けている場合に限るわけでございます。
それからなお最後に、中小企業調停審議会に専門委員を置きまして、そうして審議会が関係行政機関に対して資料の提出その他の協力を求めるということにいたしまして、調停審議会の機能の充実をはかることにいたしたのであります。これが改正点の要点でございます。
以上、補足説明を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/4
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005・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 以上で補足説明は終了いたしました。
それではこれより質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/5
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006・近藤信一
○近藤信一君 本法の改正がさらに衆議院で修正されまして、衆議院の方から説明は来られませんので、この点、修正部分について長官から若干説明をしていただかなければならぬのじゃないかと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/6
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007・中野正一
○政府委員(中野正一君) 修正点について御説明申し上げます。
最初は、法律のほうで申し上げますと、先ほど私が申し上げましたように、中小企業のウエートが高い業種で、しかも中小企業者の三分の二以上が組合員になっておるというふうな商工組合が交渉する権限があるわけでありますが、交渉する場合に、相手方は中小企業者以外のものでございます。これは会社及び個人に限るということになっております。したがいまして、生協であるとか、農協等は入りません。これは十七条の従来からありまする組合交渉——組合協約といっておりますが、これにつきましても同様に農協、生協は除いておりますが、それと同じような趣旨で会社と個人に限っております。そういういわゆる大企業が大規模な資格事業の開始——資格事業の開始というのは、商工組合の定款に定めてありまする事業、それを開始するとか、あるいはそういう事業を一挙に拡大するということのためにいわゆる中小企業者に不況の事態が出てくるとか、あるいは現在そういう事態が出てきておるのをさらに悪化させる大企業の進出によって、その他区内において資格事業を営んでおる中小企業者の経営の安定に重大な悪影響を及ぼすおそれのあるときに、交渉をして特殊契約をすることができる、こういう規定が十七条の第五項で新しくできるわけでございますが、このいま申し上げました「中小企業者の経営の安定に重大な悪影響を及ぼすおそれがあるとき」交渉ができるというのを、「重大な悪影響」というのはちょっときつ過ぎやせぬかということで、交渉がしやすいように、「著しい悪影響」というふうに直されたと思います。
それから、第二点は、先ほどもちょっと申し上げましたように、特殊契約ができました場合に、これは主務大臣の認可を受けなければならないわけですが、その認可要件の中に、やはりいま申しましたと同じような趣旨でございますが、第一は、いま言ったような事態を放置いたしますると、「国民経済の健全な発展に著しい支障を生ずるおそれがあると認められる場合」に認可をする。こういうことでこれも国民経済の発展に「著しい支障」というのは、ちょっとこれもきつ過ぎやせぬかということで、主務大臣の認可の要件の「著しい」というのを削ったらどうか。国民経済の「発展に支障を生ずるおそれがある」、こういうふうに訂正されたわけであります。
その第三点は、その次でございますが、先ほど申し上げましたように、今度の法案の趣旨は、大企業の進出というものに対して、待ったをかけるわけでございますから、その待ったをかける間に中小企業者みずからが体質改善、経営の合理化をやらなければならぬわけです。したがって、そういう中小企業者が、当然のことでありますが、経営の合理化あるいは体質改善ということをやることに必要な限度のものでなければならぬという意味のことを第二号に掲げてありまするが、そのときに、「中小企業者が経営の合理化又は事業の転換を円滑に行なうため」と、「事業の転換」というと、何かその中小企業者に事業をやめさせるというようなふうな印象を与えやせぬかというようなことから、これもちょっときつ過ぎるという意味合いもあったと思いますが、「事業の転換」ということを削って、むしろ中小企業者が経営の合理化をやるのに「必要な限度」ということのほうが穏当ではないかということで、したがってそのあとの「必要な最少限度をこえないこと。」というその「最少」というのも、わざわざここへ強く「最少」といわなくても「必要な限度」ということでわかるじゃないかということで、「必要な限度」ということで、「最少」ということばを削除する、これが衆議院段階の修正点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/7
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008・近藤信一
○近藤信一君 まず内容に入る前にお尋ねをしておきたいと思うんですが、この法律案は昭和三十二年に成立を見ております。その後昭和三十七年にやはり一部改正をやりました。これは不況条件というものがございまして、なかなか商工組合の組織が困難であった、こういうことでその不況条件というものを緩和しよう、なくしようということで改正になったと思うんです。なかなか中小企業の組織化ということは困難であることは私どもよく存じておるわけでございますが、その三十七年に改正されまして、その後に組織化された商工組合というものはどの程度あるか、この点御存じでございますならば、お示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/8
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009・中野正一
○政府委員(中野正一君) 現在商工組合あるいは商工組合連合会が約千結成されております。そのうちのいま先生御指摘になったような三十七年改正されましてから、約三百できております。相当組織化が進んだのじゃないかというふうに見ていいのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/9
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010・近藤信一
○近藤信一君 改正になりましてから今日まで約三百の組合が組織された、そういうことですね。そういたしますると、その三百の組合が組織されまして、これらの組合がその後活発に事業活動というものをなされておるかどうか、この点御調査がなされておると思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/10
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011・中野正一
○政府委員(中野正一君) 商工組合につきましては、中にはいろいろ問題もございますが、全般的に見まして相当活発に活動しておるというふうにわれわれ見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/11
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012・近藤信一
○近藤信一君 それは、直接はこの法案の改正には問題はないと思うのですが、団体法の中にたしか小組合の組織というのもございましたが、なかなか小組合の組織も困難であるということを私どもは聞いておったのですが、そのほうはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/12
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013・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま先生が御指摘の小組合というのは、団体法ではなくて協同組合法の中にございまするが、まだこれは小組合に対する何といいますか、法律上はいろいろ規定はあるわけでありますが、利点といいますか、そういうようなこともあるのではないかと思いますが、いままで二十八小組合ができております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/13
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014・近藤信一
○近藤信一君 この協同組合の小組合の組織というものも、これはなかなかむずかしくて、いま二十幾つと言われましたが、これはやはり団体法が成立した当時にもいろいろ問題となったと私は記憶しておるのですが、その後何年もたっていて二十幾つの小組合ということは、一体どこにその原因があってこの組織化ができないか、こういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/14
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015・中野正一
○政府委員(中野正一君) これは、せっかく事業協同小組合という制度ができておるわけでございますが、御承知のように協同組合でも小さいところもできるようになっておりますので、それほどわれわれの見るところでは、どうしても小組合をつくらなければいけないというような利点というか、恩典というか、そういうような点についてまだもうちょっと研究しなければならぬ点が残っておりまして、大体協同組合によってカバーできる関係もあって、あまりできていないのじゃないかというふうに私どもは見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/15
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016・近藤信一
○近藤信一君 この程度にいたしまして、またあとは順次いろいろ団体法以外の中小企業問題についてもこの際お尋ねしていきたいと思うのですが、第一に私がお尋ねをしたいことは、中小企業がその事業活動の全部または大部分を占めてきた業種に大企業がだんだんと進出をしておることは、長官も御存じのところだろうと思います。それがために中小企業に影響を与え、または与えるおそれがあるとして問題となった事例というものは相当広範にわたっていると思うのですが、紛争発生の状況、それからその解決の状況、こういうようなことについて長官御存じだろうと思うのですが、御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/16
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017・中野正一
○政府委員(中野正一君) 最近におきまして、大企業が進出をいたしまして、従来中小企業がやっておった分野に進出をして、あるいはしょうとしていろいろ問題を起こし、これが実際役所のほうに問題が提起され、これについて役所がいろいろタッチをした事例について御説明したほうがわかりやすいのじゃないかと思いますので申し上げますが、一番最近の事例として、われわれが手がけたものにみがき棒鋼というものがございます。これも例の中小企業近代化促進法でございますね、あの業種に取り上げまして、やはり中小企業が相当みがき棒鋼をやっておるので、これを何とかやはり近代化、合理化を大いに業種全体として、業界全体としてやらせなければいかぬということで近代化促進法の指定業種に取り上げて、目下近代化計画を策定中なわけでございます。しかもこの業種は、その生産が大体多品種——種類が多くて、多寸法——寸法も多くいろいろな種類のものがある、それから比較的少量生産だということから、戦前から中小企業がこの大部分を占めてきておるわけでありますが、最近、某大手特殊製鋼のメーカーがみがき棒鋼の生産設備を大規模にやろうというような計画をつくりまして、これを実施に移そうとしたのでありまして、中小企業者側はこれが実現すると重大な脅威におちいる。これも言ってみれば、この法律に書いてあるような事態になるのじゃないかということを非常におそれまして、それから先ほど申し上げました業界全体の近代化計画を進めておりますから、その過程ではありますし、これはそれにも支障を来たすというようなことから、その調整方を通産省に陳情が参りまして、われわれのほうとそれから原局の重工業局でございますが、これが一緒になりまして調整に当たりまして、また中小企業庁としては、これに対しては相当強く調整方を通産省全体としてやるべきであるという意見をもちまして、いろいろ調整に当たりました結果、行政指導におきましていまの進出を、その某大手特殊鋼メーカーが進出しようとするものを、主として中小企業者のつくっておるものと競合しない品種に限定をするというようなことで、調整が両者の間にでき上がりまして問題は解決いたしました。
それからもう一つ、これはちょっとまだ問題が解決しておりませんが、魔法びんでありますが、これも戦前から中小企業者が開拓したものでありますが、ところが、最近御承知のように生活様式がだんだん洋風化するというか、高度化するというようなことになりまして、非常にこの魔法びんの需要が好調でございまして、最近は輸出のほうまで出すというようなことになってまいりました。これに着目いたしまして、関西系の某大手電機メーカーでございますが、これが昨年魔法びんの生産に着手をする。これは実際には中小企業者のつくっておるものを、これを下請というような形でやらしておるのだろうと思いますが、そういう形でやらして、電機メーカーのレッテルを張ってそのまま売る、こういう形でスタートしたようでありますが、いずれにしても大手電機メーカーが進出する、これによって中小企業が大打撃を受けるというようなことから陳情がございまして、いま双方の主張を聞いて調整を行なっておるところでございます。
それから石油ストーブも典型的な例じゃないかと思いますが、これも元来は中小企業者によって生産が行なわれておった業種でございますが、昭和三十五年以来大手のやはり電機メーカーを中心にしまして大企業の進出が相次ぎまして、三十七年までにはその数が十社に達しました。そのために三十八年になりますというと、中小企業の占める生産量は全体の四割にも満たないという、こういうようなことになりまして、また、その間に過剰生産等の影響も御承知のようにあらわれてきております。こういう問題が起こっております。
それから次に、最近の例として機械すき和紙でございますが、主としてこれはトイレット・ペーパー、そういうものがおもでございますが、これも大部分が中小企業者が従来からつくっておった分野でございますが、最近、二、三の大手の洋紙メーカーが外国資本と提携をするというような形で機械すき和紙の業界と競合する分野に進出しようとしつつあります。そういう製品は、いま申し上げましたようなトイレット・ペーパー、それから紙コップ、紙ナフキン、婦人用の衛生用品というようなものにこれは使われるわけでありますが、愛媛県であるとか静岡県ですね、こういうところに中小企業者がたくさんおられまして生産をやっておられますが、これが非常にこの業界に重大な影響があるのじゃないかということを危惧されまして陳情がありました。通産省といたしましては、これも原局とわれわれのほうの中小企業庁と相談をいたしまして、大手の業者に対して、今後は中小企業に与える影響をも十分考慮して慎重を期するよう指導をいたしました。特にこの機械すき和紙の生産計画を大メーカーが立てる場合には、あらかじめ当局と十分連絡して生産計画を立てるようにというようなことで現在一応解決を見ております。
それから次の事例として、紙コップでございますが、これも最近某大手製紙メーカーが米国会社と提携して合弁会社をつくって紙コップの生産を始めるというようなことで、これも主として中小企業の業界の方が従来これの生産に当たっておられたのでありまして、いわゆるアイスクリームを入れる紙のコップでございますね、こういうものは主として中小企業者がつくっておられるわけでありますが、これも業界に非常な重大な不利益を与えるおそれがあるということで、通産省で行政指導を行ないました結果、当初の計画を変更させまして、中小企業者に悪影響のないように計画を直させるということをやって解決を見ておるわけであります。
そんなような事例が従来もたくさんいろいろとございまして、解決したものもあるし、まだ問題が残っておるものもあるかと思いますが、最近起こった顕著な事例を申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/17
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018・近藤信一
○近藤信一君 いま長官から魔法びんの問題や紙コップの問題等御説明がございましたが、一昨日の新聞だったと思うのですが、日本経済新聞に、松下、八欧とはっきり名前が出ておりましたが、この電機メーカーがトランジスター・ラジオ、それから乾電池、こういうものを国際競争力に備えるために大量生産をする、こういうことで何かいま計画がなされておるような新聞記事が出ておったのであります。やはり従来トランジスター・ラジオなんというものはおおむね中小企業の事業分野でやってきておると思うのです。なるほど大企業でもトランジスター・ラジオをやっておりまするけれども、それはほとんどが下請のほうに出しておるわけなんです。実質的には中小企業がトランジスター・ラジオというのはやっておるわけであります。それが今度大大的な工場を設立して、国際競争力に備えるという一つの美名のもとに製造をやるということになれば、私は相当また中小企業に対する圧迫というものが出てくるのじゃないか、こういうふうに私は判断をするのですが、長官この点はどう判断されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/18
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019・中野正一
○政府委員(中野正一君) トランジスターに大企業が進出する、これは従来からも、ただいま御指摘がありましたように、大企業もこれは相当シェアを占めておると思いますが、ただ形が、いま申し上げた、部品メーカーとして中小企業を利用するとか、下請というような形で相当広範にこれは中小企業を利用しておると思います。いま御指摘があったようなことから中小企業のほうの従来やっておる分野に非常に悪い影響があるとか、あるいは中小企業自体も相当合理化というようなものをこれはどんどん進めておりますので、そういう点については私はいま先生から初めてお聞きしたわけでありますが、十分原局のほうとも相談しまして、実情をよく調べて善処してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/19
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020・近藤信一
○近藤信一君 国際競争力ということでやるということであれば、当局としてもそれを押える理由というものはないと私は思うのですが、しかし、実際には中小企業が圧迫される面が私は大きいのじゃないかというふうにも考えますし、さらにもう一つは、そうした中小企業の製品が輸出される場合に、これはまあ輸出検査を手数料を払って受けるわけでありますが、しかし、実際にはその中小企業の輸出というものはいろいろな意味からこれは阻害されていることも事実なんであります。現在私も相談を受けてやっているのもあるわけなんでございますが、やはり私はその中小企業がいろいろと今日までやってきたその事業に対しては、これはトランジスターだけではなく、いま長官が言われました以外にもまだ相当あるわけなんですね。だんだん中小企業の事業というものが大企業の進出によって狭められていることもこれは長官言われましたとおり、これも事実としてあるわけなんであります。だから、これに対するところの指導というものがどういうふうに将来なされていかなければならぬか、これも私は重大だと思うので、こういうことについての長官の御所見はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/20
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021・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま先生も御指摘になりましたように、やはり国際競争力の強化というふうなことが、最近のいわゆる開放経済に入ってから非常に大事な問題になっておりまして、これは私は大企業といわず、中小企業といわず、体質改善、近代化ということにほんとうにこれは真剣に取り組んでいかなければならぬ時代にきていると思います。その間において、特に輸出方面等について見ましても、中小企業の占めているウエートというものが、やはり半分以上は中小企業者の製品なんでございまして、その意味におきましても、輸出の振興、国際競争力の強化というような点からいっても、ほんとうにいまこそ中小企業の近代化、体質改善をやるべき時期にきているというふうに考えております。したがいまして、その意味では、まず大企業自身が姿勢を正すというか、ただこの利潤追求というようなことのためにだけ、中小企業で十分やれ、また中小企業として十分伸ばしていけるような分野に進出するということは、差し控えていただきたいというふうな考え方を持って指導をいたしているわけであります。ただ同時に、やはり中小企業者みずからが自分の力で、あるいは組織の力によりまして自分の体質改善ということに十分意を注いでいただきたい、そういうことをする上に、政府として金融面、税制面あるいは組織の面、各方面におきまして、あるいは経営指導、技術指導のめんどうも見て、十分政府が応援をするという体制を固めていくというのが、中小企業対策の私は一つの基本的な考え方じゃないかというふうに見ております。したがいまして、その意味で、中小企業近代化促進法というものをこの前の国会でつくっていただいたわけでございます。現在この四十五の業種、中小企業が相当のウエートを占めておりまして、しかも、今後大いに近代化をやっていかなければいかぬという業種を四十五業種現在取り上げまして、盛んに近代化計画を策定さしております。非常にこれは業界の方も熱心にやっておられまして、この業種は通産省の所管の業種だけではなくて、農林省、大蔵省それから厚生省、運輸省というふうに各分野に中小企業がございますのでわたっておりますが、それぞれの担当の役所において、非常に熱心に業界の方々と協議をしていただいてやっておられます。したがいまして、そういうやはり近代化計画というようなものをつくって、それにいろいろな金融、税制、技術面等々で応援をするというような形で、中小企業者みずからの体質を強くさしていくということに力を注いでいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/21
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022・近藤信一
○近藤信一君 これは長官の所管ではないけれども、私から中小企業が圧迫をされているという一つの例をあげて見ますと、法律にないことを審査委員会というようなものをつくって、そうしてそれの審査委員会でこの価格をきめて、それ以下の価格では輸出できないというふうなことをやって、そして輸出に対するところのまあ振興でなくして押えておるというふうな事実もあるわけなんです。これは長官の所管じゃございませんが。この例を見ても、何とかかんとか言って中小企業は常にいじめられているわけですね。だから私はやはりこれは通産省としてもそういう全般的にわたってのやはり指導というものをよく考えていかなければ、ただ部分的にこれは中小企業の範囲、これは重工の関係、これは通商局の所管だということでばらばらにやられておるのじゃ、私は中小企業は非常に迷惑をこうむっておると思うのです。やはりこれは一貫した一つの方針というものをお立てになって、そして通産行政として私は指導すべき問題でなかろうか、こういうふうにも私は思うのです。実に私は驚いた。法律にないことを公然とやっておるのだから。そんなことはけしからぬじゃないか、どこの法律で君たちは指導しておるのだと言うと、いや、法律にはございませんとこう言う。法律にないことが堂堂となされておる。私はこういう点から考えましても、将来の中小企業に対する指導、振興というものは、やはり省全体としてよく考えてやっていただきたい、かように私は思うのですが、この点はもう大臣がおられませんので、次官どうですか、長官でもいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/22
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023・竹下登
○政府委員(竹下登君) ただいまの近藤先生の御意見、かねて承っておる御意見でありますが、実際問題として中小企業庁を作ったこと自体が、先生のようなものの考え方に呼応して私はできたというふうに理解をいたしております。しかしながら、その後いわゆる通商、重工、軽工等々の各局がそういう問題について中小企業庁の政策に対してどうどれだけの厚みと強さで協力をするかということが、かかって先生の御期待にこたえるかどうかということであろうと思います。私どもといたしましても、いろいろな角度からこの中小企業庁そのものの仕事に対して原局が積極的に、言われる前に協力をしていくというようにきびしく鞭撻をいたしておるというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/23
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024・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま先生から御指摘になったとおりだと思います。中小企業の問題は通産省の仕事でも各方面にいろいろ問題がありますので、省全体をあげて今後の施策というものは、むしろ中小企業行政全体に重点を指向する。しかも、いま言われたようないろいろの問題が各方面にありますので、きめのこまかい配慮をして、親切な中小企業行政というものを通産省全体がやるべきであるというふうに私も感じておりますし、最近の動きなんかを見ますと、比較的そういう方向に通産行政も、まあ私からそういうことを申し上げるのはおこがましいのですが、行っておるのじゃないかというふうにも考えるのでございまして、ますますいま政務次官のおっしゃるとおりの方針で私たちは進めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/24
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025・近藤信一
○近藤信一君 私が法律にないことをそんな君たちは公然とやっておって、それで一体どこでそういうことがきまるのだと言いますると、審査会できまると、こう言うのですね。それで、私がそれじゃそれだけのコストでなければできないか、こうお尋ねしますると、それだけでなきゃできないと言う。しかし実際に中小企業は原価計算をすると、たとえば五ドルで輸出されておるものが、輸出検査で検査受けて三ドル五十セントなり四ドルでできる、こういうふうで、はっきりとこう価格が出るわけなんですね、輸出価格が。それで当局へ許可をもらいにいくと、それではだめだと、こういうふうなことで断わられる。君たちはそれじゃどこで原価計算をしたのだとぼくが尋ねると、そうすると、大メーカーですね、電機の大メーカーのほうの原価計算だという。それはおかしいじゃないか、大企業のほうは原価計算はもっとほんとうならば安くあがるはずなんだ、資材だって大量購入するから少しずつ買うよりも安いわけだ。それが大企業でできなくて中小企業でできるのか、そんなことはできませんという。できないことはないのだと、それじゃ一ぺんどれだけでできるか、はっきりしたぼくの調査による原価計算を示すから、わからなかったら一ぺんお互いにその点を突き合わせてみようじゃないか、ここまで私は言ったわけなんです。やはりこういうことが私は中小企業の輸出振興に対して非常に阻害しておるのでなかろうかというふうにもまた思うんです。特にこれは長官は中小企業を育成振興する立場の長官であるから、やはりそういうふうな点についても万般を私はひとつ注意して、そうして通産行政全体として今後よく指導していただきたい。かように私は思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/25
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026・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま先生のおっしゃいました具体的事例につきましては、私も十分事情を承知しておりませんが、全般的に日本の輸出振興につきまして、値段が安過ぎるためにいろいろ海外で問題を起こす。関税あるいは輸入制限等の問題を起こしやすい。そういう観点からいわゆるフロアプライス、最低価格をきめて、それ以上のものは出させないようなそういう規制も、現在そういう制度があるわけでございまして、それに関連していま言われたように、中小企業者でむしろその値段よりも安いもので、しかもよいものが、品質はちゃんと輸出検査に合格するようなものができるというような場合にですね、それをどんどん許せばいいのかどうか、それがはたして輸出振興になるのか、あるいはそのためにかえって値くずれして、いろいろな輸入制限あるいは関税引き上げ等の問題を惹起する、こういうようなこともございまして、これは中小企業の振興ということと、いま言った通商の秩序確立というか、そういうふうな観点を全般的に見て処理しなければならない問題だと思います。ただ御指摘の点については、私も十分事情を承知しておりませんから、そういう点につきましても企業庁として十分また調べまして、善処してまいりたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/26
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027・近藤信一
○近藤信一君 今回の改正は、ただ大企業の進出があまりにも急激で、中小企業に重大な打撃を与えるおそれのあるときに、この中小企業側が経営の合理化または事業の転換を行ないまして、体制を立て直すまでの間、その緊急避難的に大企業にしばらくの間待ってもらう。こういうことでありまするから、今回の改正法も現在中小企業の行なっている業種、その業種はあくまで中小企業の分野として確保しよう。こういう考え方でなく、最終的にはその分野の所属は自由競争にまかせる。こういう意味が強くにじみ出ておるわけなんです。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/27
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028・中野正一
○政府委員(中野正一君) この法案の趣旨は、いま先生が御指摘になったような趣旨で、そういう考え方でできておるわけであります。それで、中小企業の従来からある分野というものを固定して、そこへ何かワクをつくって、そこには大企業は入ってきちゃいかぬというふうなやり方がいいかどうかということについても、いろいろ審議会でも十分議論していただいたのでございますが、現在の段階では、この程度のことでまずやることが妥当じゃないかというような結論が出ましたので、その結論の趣旨に従って法案をつくったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/28
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029・近藤信一
○近藤信一君 この改正によりまして、大企業の進出計画を一時停止しよう、または一部変更させよう、そうしてその間に中小企業の合理化または事業の転換をやっていくということになると思うのでございますが、少なくともこの事業の転換という点から見ますれば、この改正法案は中小企業の事業分野の縮小ということにもなるのではないかというふうに思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/29
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030・中野正一
○政府委員(中野正一君) 先ほど先生のおっしゃいました「事業の転換」というのは、先ほどちょっと御説明しましたが、衆議院の段階で修正されまして、いまこちらへ回ってきておるのにはございません。事業転換というと、要するに一つの事業をやっておっても、それが新しい時代に応じて別の——たとえば、従来何といいますか、絹織物をやっておったものが合繊の織物をやるとか、そういう意味合いだろうと思うのでありますが、何か従来やっておることを転換というと、やめてしまう、やめさせる間ちょっと待たせるという印象を与えるので、削られたのではないかと思います。いずれにしても、各産業の分野というものはやはり自由競争ということを原則としてやらせるのが、大企業といわず中小企業といわず経済発展のためにいいんじゃないかという考え方でなっております。ただ、この法案の考え方自身が、中小企業者の分野を縮小させることを、縮小することを当然予想してできているのじゃないかという御趣旨の質問だと、私はそうは考えておりません。やはり大企業に待ったをかけるというようなことによって、中小企業者御自身が要するに自覚して体質改善に踏み切ったというようなことになれば、そういう分野については、当然需要が相当伸びるという分野でございます。そういう分野でなければ大企業も入ってきませんから、したがって、その意味で体質改善を中小業者みずからがやるということによってその分野はむしろ拡大をしていくということになるのじゃないか。しかし、そうは言っても、大企業のほうの計画が、非常にまた技術面あるいはコスト面等で消費業界から見て非常に合理的だというような場合には、たとえば中小企業者の分野は拡大されても、全体から見ると大企業のほうも大いに進出しているというような形はあり得ると思います。これは需要全体がふえるという場合にはこういう形もあり得るのじゃないかということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/30
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031・近藤信一
○近藤信一君 先ほど修正部分の説明がございまして、衆議院では、いま長官が説明されました「事業の転換」というものを削除したわけなんです。この原案と削除いたしました部分との相違、先ほど長官もちょっと補足説明の中でありましたけれども、これはあなたのほうで最初改正案を計画されたときにはこの転換があったが、衆議院でこの転換を削除したということで、大きな影響というものは考えられませんか。あってもなくても同じなんだが、最初はこの事業の転換を入れたのだと、こういう簡単なものであるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/31
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032・中野正一
○政府委員(中野正一君) これは先生先ほど御指摘になりましたように、大企業が進出する場合に、中小業者がみずから体質改善をやる間の緊急避難的な意味におきまして、待ったをかけるわけでございます。これはやはり私は政府の政策としては、いままでのやり方からいうと相当進んだというか、変わったやり方で、運用次第では相当きつくなるのではないかということで、実はこの法案をつくるときも大企業の方々からもだいぶ心配されました。しかし、まあ従来中小企業で十分やれるような分野にやたらに大企業が、先ほど申し上げましたような意味合いにおいて進出するということも反省してもらわにゃいかんというような空気も、大企業の方々にございまして、この程度のことであれば、むしろ大企業に反省させる意味合いもあって、十分協力できるのではないだろうかということで、できております。いまおっしゃいました「経営の合理化又は事業の転換」といったほうが、まあ私ども原案作成者でございますので、むしろいま言った緊急避難的な意味合いにおいて大企業の進出に待ったをかけるということからいうと、このほうがバランスがとれて、中小企業者の指導の方法としても的確な表現じゃないかというふうに考えておったのですが、ただ「経営の合理化」といいますと、御承知のようにやはりその中には当然一部の事業の転換等も入り得るわけでございます。そういうケースもあるわけでございますので、運営面では、まあ原案とそう変わらずにいけるのではないか、何か「事業の転換」というと、事業の廃止とか、そういうようなことを中小企業者にさせる間、そういう準備をさせる間待ったをかけるというような誤解を招くといかんというような御指摘がありましたので、われわれも修正の趣旨に従って運用してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/32
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033・近藤信一
○近藤信一君 私は「事業の転換」ということに対してはあまりこだわらぬ。というのは、なぜかと申しますと、御存じのように中小企業はおおむね現在壁にぶつかっているというのが現状じゃないかと思うのです。その場合に、一体どう自分たちが今後生きていったらいいか。このまま現在の事業を続けていったほうがいいかどうか、または何か転換して新しいものを考えたほうがいいかどうか、そういうことで非常に混迷するという場合が、私は中小企業の経営者としてのまた大きな迷いの一つではなかろうかというふうに思うのです。私どももいろいろとそういう面で御相談を受ける点がしばしばあるわけです。そういう場合に、やはりおくれて転換するのでは立ちおくれるという点があるわけです。これがもう少し早くこういうことが考えられたならば、まだよかったのではないかとあとで気がつく場合もしばしばあるわけなんで、そういう場合には、私はやはり事業転換をはかって経営の育成をやっていくということも必要な便法じゃないかというふうに私は思うのです。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/33
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034・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま御指摘の点は、私も全く同感でございまして、やはり中小企業者が従来やっておる従来の経営のやり方、あるいは従来からやっておられる業種というか、業態というか、それにいつまでも固執するというか、そういうことであっては、新しい時代の流れに即応していけないわけであります。その意味におきましては、当然経営の合理化をどんどん進めなければいけませんし、その合理化の中には、事業の転換に早急に踏み切って、たとえば従来いろいろ家庭用の鋳物なんかをやっておった場合に、いつまでもその業態に固執するというようなことでなくて、機械用のいろいろな部品等にいち早くこれを転換する、いわゆる従来から中小企業者の持っておられた経営のやり方あるいは技術、そういうようなものを十分生かして、そうして新しい情勢、新しい需要構造というようなものに即応した形のものに変化していかにゃいかぬわけでありますから、その点については、これは基本法自身の考え方がそうだろうと私は思います。そういう趣旨で、われわれも十分指導もし、また協力もしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/34
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035・近藤信一
○近藤信一君 中小企業基本法の第十二条では、企業規模の適正化を必要とする業種については適正規模を公表することにしているわけです。で、私は本会議で、もしその企業規模が中小企業の規模として適正なのだという業種、それから企業の規模はあまり大きくないほうが適当で、大き過ぎるとやはり失敗するというような業種があるということになりますれば、そういう業種については、やはり基本法の十九条の趣旨に基づいて、そうして中小企業の事業分野への大企業の進出を法的に禁止してもよいではないかと、こういうふうな質問をしたわけなんですが、それは本会議で大臣が答弁されまして、そのときに、まあ委員会で詳しく説明すると、こういうことでございましたけれども、大臣がいまおられませんので、長官にかわって御答弁をしていただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/35
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036・赤間文三
○赤間文三君 私はいまの近藤委員の質問に関連しまして、いまの点は非常に私は中小企業の育成という点から大事なことであると考える。中小企業がだんだん調子よくなると、事業を大きくするということに、いままでは来たと思う。大体中小企業が業態によって適正規模がどの辺かということは、これは非常に各業態業態で一番研究せにゃならぬ重大なものでございますが、適正規模というものが業種別に考えられるかどうかということ、考えられるならそれを。
それからさらに私が御質問したいのは、私はこういうふうに昔から考えているのですが、中小企業はいろいろな多角経営的なものはあまり原則としてはいかない、もうほとんどの中小企業が専門化していくということが、われわれ大いに奨励をしなきゃならぬ道じゃないかと思う。で、その大企業との間において中小企業がいろいろな問題があるんだが、私は中小企業がものすごく専門化していくというふうになるなら、大企業との間において、わりあいに摩擦よりも互いに助け合うことができるのではないか。それがいままで漫然とただ中小企業は金がたまり、事業がよくなり、景気がよくなりゃ規模を大きくしていくと、そんなふうにのみ比較的考えているのもいる。幾ら金ができ、景気がよくなっても、あくまで専門に徹するというような中小企業の指導を通産省は確立していかれたならば、私は大企業との間もうまくいくし、決して景気、不景気にも左右せられず、しかも開放経済に向かう日本経済にとって一番大事な分野だと、こういうことを考えているので、いまの近藤委員の質問にあわせまして、明快な御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/36
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037・中野正一
○政府委員(中野正一君) 中小企業が主としてやっておりまする分野というものを確定をいたしまして、そうしてその分野には大企業は入ってきちゃいかぬというふうなやり方をすることが中小企業の振興のために、特にこの十九条で言っておりまする適正な分野の確保というふうな意味合いからいっていいんじゃないかという御議論でございますが、これについては本会議でもたしか大臣から御答弁があったと思いますが、これは先ほどもちょっと触れましたが、政策審議会におきまして、われわれが御議論願う際に、そういうふうな案もいろいろ参考のためにわれわれとして提出いたしまして、御審議願ったわけでありますが、審議会のほとんど一致した意見として、まあ中小企業が従来からやっておられるから、その分野の確定をして、その分野には一切ほかの中小企業以外の人は入ってきちゃいかぬというようなことをやることは、かえってこの中小企業者のいわゆる自主的な努力というか、みずからの体質改善の努力というか、そういうものを妨げるのじゃないか。また政府の政策もそういうことでなくて、分野というようなものは、原則として自由競争にまかしておいて、中小企業者が自分で体質改善をやるということに、前向きで政府がこれを応援するということが政策の基本でなければならぬじゃないかということで、今回の案ができたわけであります。そういう意味において、この政策審議会でも、いろいろこれは数回にわたって議論はしていただいたのでありますが、最終的な結論は、そういう空気で答申もなされておりますので、その方針に従って、われわれとしては今後考えてまいりたいというふうに考えます。
それから赤間先生からの御指摘でありますが、中小企業にはそれぞれ適正規模というようなものがあるのじゃないかと、なるほどそういうようなものもいろいろ考えられます。たとえば現在、先ほどもちょっと申し上げましたが、四十五業種中小企業近代化促進法によりまして取り上げまして、そうしてその業種によって技術的に一体どういうふうにしたらその業態がよくなるか、それから設備はどの程度にしたらいいか、それから輸出はどの辺を目標に今後伸ばしていくのがいいか、それから需要の開拓——これは国内も国外もございますが、需要の開拓にはどういうことをしたらいいかというようなことで、数カ年計画をつくってそれぞれやらして、近代化計画、そういうものをつくるべくやっております。このときにやはりいま言われた適正規模というようなものが問題になりまして、一応そういうものは各業種によりますが、想定をして、この業種についてはこの程度の規模が適正じゃないかということは、それぞれ目標として掲げる場合もありますし、できればそういうふうにしたいと思います。ただその場合に、いま赤間先生から御指摘がありましたように、中小企業者は少し経営がよくなると、いろいろな業種に手を出してやるというようなことのために、かえって一つの手を出した分野がうまくいかぬというようなことのために、本来の仕事まで調子が悪くなるということもございまして、むしろやはり先生御指摘のように、われわれも中小企業はそれぞれ中小企業の特色を生かすような経営のやり方、したがって、やはり専門化ということに徹する方向に今後指導もしてまいることが適当なんじゃないか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/37
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038・近藤信一
○近藤信一君 そこでこの適正規模につきまして、現在調査というものが行なわれているのかどうか。さらにその進行状況について長官御存じだろうと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/38
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039・中野正一
○政府委員(中野正一君) 先ほど申し上げましたように、適正規模につきましては、現在全般的にこの各業種について一律に適正規模をきめるというようなことは、なかなかこれはむずかしいわけでございまして、したがって、四十五の中小企業近代化促進法の指定業種については、それぞれ業界と政府の側とが一体になっていろいろな調査をやっております。その場合には一応この程度のものが各指定業種の業態においては適正規模じゃないかというようなことを目標として掲げる態度を持っております。ただ、これもたとえばいまわれわれも聞いておりますが、酒屋、酒造業なんかというのもやはり指定になっておりますが、これは大蔵省で非常に一生懸命やっておられまして、現在一つできましたのが合板——農林省の所管でございます。これなんかについては大体近代化計画はでき上がっておりますが、酒屋さんなんかについても、やはり適正規模というものはあるわけでございますが、ただ、地方でやはり地酒というか、そういうものをつくっておられるようなところになると、なかなか一律にこの程度の規模でなければならぬということを申し上げるのが、はたして近代化促進になるかどうか、そういう点問題もございまして、業種によってできるだけやはり適正規模というものは近代化促進法の実施に伴って、だんだん明らかにしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/39
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040・豊田雅孝
○豊田雅孝君 中小企業者と中小企業者以外のものとの間の事業活動の調整につきまして、今回大企業関係については改正法律案で一応道が開けたわけでございますが、私がいま質問をしようといたしますることは、農業協同組合あるいは生活協同組合、これとの関係であります。というのは、改正法律案を見まするというと、対象になるのは、会社と個人に限るということをはっきり書いてある。要するにこれは協同組合関係は除外するということを明らかにしておるのであります。そこに問題があろうと思うのでありまして、大臣がおられませんから、政務次官に、政治的な問題でありますので、特に将来お考えを願いたいという意味で質問をいたしますが、農協が北海道初め地方によりましてはデパートを経営しておる、しかもそれが農村でやるのではなくて町でやっておるのであります。またスーパーも町でやっておる。また中には散髪業を農協がやっておる。これらによりまして、中小企業特に零細企業が非常な影響を受け、また非常な脅威を受けておる。中にはまたみそ、しょうゆの醸造を農業協同組合でやっておる。かような点を見ますると、地方では大企業等における事業活動の調整よりも、農協との間における事業活動の調整というものが非常に必要だと思うのであります。この点について、今回は大企業関係だけに限定しておりますが、今後いかようにこれをお考えになるのか、この点について明快なる方針を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/40
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041・竹下登
○政府委員(竹下登君) 豊田先生の御指摘のとおりでありまして、この生協、農協の問題は、このたびの団体の一部改正の中には除外せられております。これらの問題につきましては、団体の根拠法、農協組合法等々に基づいて是正をしなければならない課題であると私も思っておりますが、私も実は今日まだいなかの農業協同組合長でありまして、そこで、私どもが根拠法を、たとえば農協の場合といたしますならば、いわゆる正組合員と準組合員とそれに併う員外利用ということについて、実際問題として員外利用の点が野放しにされておるということは御指摘のとおりであります。そこで、わがほうといたしましては、このたび通産——その場合は農林でありますが、両省の共同調査をこれから行ないまして、そういう問題が中小企業そのものに非常な影響を及ぼす点があれば、いかに対処するかということをこれから前向きで共同調査を行なう、こういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/41
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042・豊田雅孝
○豊田雅孝君 ただいま政務次官は員外利用のことを特に重視せられて答弁せられたのでありますが、私は員内利用それ自身にも問題があると思うのであります。なぜかといいますと、中小企業基本法を制定した際には農林・通産の両省間において覚え書きを交換しております。しかし、その覚え書きによりますと、これは農協法の趣旨に合致するものについては適用をしない。これは反対解釈をしまするというと、農協法本来の立法精神に反するものであるならば、これに対してはメスを入れていってしかるべきだという私は含みがあると思うのであります。また、そういうことで当時了解をしたのであります。いま申し上げたような、町へ出てきて農協デパートをやる、あるいは農協スーパーをやる、あるいは散髪屋をやる、あるいはみそ、しょうゆの醸造までやるということは、私はいかに農業が協同組合によって、共同施設による経営改善、体質改善をやるということであるにしても、これは農業の生産あるいはその生産財の配給につきましてなら格別でありますけれども、そうでない、いま申したようなスーパー、デパートを町にまで出てやるとか、散髪屋までやるとか、あるいはみそ、しょうゆの醸造までやるというのは、私は農業協同組合法、昔の産業組合法、それの立法精神にはないと思うのであります。そこに国策として非常に大きな問題がある。これを見落として、事業活動の調整を中小企業と中小企業者以外のものとやろうといったって、そんなことでは私は中小企業基本法制定の意味はなくなってきておると思うのであります。そういう点で、今回の改正法律案が対象を明らかに会社と個人に限定して農業協同組合を治外法権的にするということは、私は基本法の制定当時、また農林・通産両省の覚え書き交換当時のいきさつから見まして、後退だと思うのであります。これについて、幸いに政務次官は農業協同組合の組合長でもありまするので、真剣に今後国策としてこれの調整をはかっていく、これは農業自身のためだと私は思うので、そういう点について今後いかにしていくかということをもっと力強く——前向きだという御答弁でありまして大いにけっこうでありますが、もっと本格的な、国策的な立場から御答弁を願っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/42
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043・竹下登
○政府委員(竹下登君) 私も実際問題として、そういう面の農協に対する怨嗟の戸とでも申しましょうか、それは私が書物で知らされておるかつての反産運動以上のものではなかろうかという感じ、そういう認識をいたしております。そこで、散髪屋の問題をたまたまおっしゃいましたが、私が当時調査したところじゃ、その村に散髪屋のないところは農協がやるしか手がないじゃないかという御議論があった地点もあるのでありますが、それは例外といたしまして、ただいまの豊田先生の御意見を体し、そうして私自身が怨嗟の声がかつての反産運動以上であるという認識のもとに、前向きでこれに対しては真剣に検討をさしていただきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/43
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044・豊田雅孝
○豊田雅孝君 ただいまの政務次官の御答弁で一応了承いたしますが、これは最初にも申し上げまするとおり、非常に国策的な基本問題であると思いまするので、大臣はもちろん、さらに内閣に対しましても強力な働きかけをしてもらい、またその働きかけをしてもらうべく基本的な調査とその対策の樹立を特に強く要望いたして、私の質問は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/44
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045・上原正吉
○上原正吉君 大体いまの答弁で理解はできたんですが、念のために私も質問申し上げておきたいと思うのは、この生活協同組合や農業協同組合が員外者を相手に商売をするということは、確かに中小企業者を非常に圧迫しているわけなんでして、それに対して怨嗟の声が——次官のおっしゃる怨嗟の声がどこから起こるかというと、生活協同組合や農業協同組合は法律の保護を受けているのですね、ほんのわずかではありますが。その保護に対して怨嗟の声が起こってくるというのでありますから、員外者の利用できる状態の生活協同組合や農業協同組合の販売機構あるいはサービス事業、こういうものには、員外者が利用できるという状態が存在するということに対して、わずかであるが、その特権を取り上げてさえもらえば、それで話は理論的には片づくんじゃないかと、こう思うのです。そして、これを理論的に片づけるということは相当な意義があると思うので、私はぜひこれをひとつ取り上げて御実施をお願いいただきたいと、こうお願いしてやまないわけなんですが、政府としては根本的にはどうお考えになるか、承ることができればしあわせなんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/45
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046・竹下登
○政府委員(竹下登君) いわば根拠法そのものの中から員外利用の問題を抜き出してしまえ、こういう御意見やに察し、理解いたしますが、これは非常に政治的にもむずかしい問題であるということは、私も理解をいたしておりますが、これは単なる私個人の思いつきでありますけれども、たとえばそうした購売、販売事業等によってあがった利益は、指導事業だけにしか使ってはいけないとか、そういう逆な規定にすれば、おのずからそれらの購売事業等の分野が縮小されていくのではないかということを私個人として考えてみたことがあるわけでございますが、その根拠法の中から員外利用の可能性を全く消滅、抹消してしまうということは、非常に困難なことであると思いますけれども、検討をさせていただきたいと、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/46
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047・上原正吉
○上原正吉君 私は、員外者利用をさせるなというんではないです。員外者利用をさせることはけっこうだが、員外者利用をさせる組合の販売機構なりサービス事業なりは、特権を取り上げてしまえ、普通の商店と同じように取り扱え、普通の事業と同じように取り扱えば話は簡単に片づくんだ、こういうことなんです。つまり、税法その他で多少の優待をされているわけなんです。そういう優待を取り上げてしまって、員外者を相手に商売する組合の事業は、組合としての特典を取り上げてしまえ、ほんのわずかなことなんだから、特典は。そうすれば理論的には片づいてしまう。多大の特典があるならりにかく、ほんのわずかな特典しかないのです。税法その他の関係で特典さえ取り上げてしまえば理論的に片がついてしまう。その理論的に片がついてしまえば怨嗟の声は起こり得ない。お前たちも普通の中小企業と同じに一生懸命勉強すればいいじゃないかということになれば、私は片づいてしまって、政治的にも難問が解決するんじゃないかと、こう常々思っているわけなんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/47
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048・竹下登
○政府委員(竹下登君) 税法上のごくわずかな恩典、それはまた逆に償却の面、組合自体が現に購売事業以外にいろいろな資産を持ち、それの償却と一緒になっておるわけであります。だから、私もそれだけに対する恩典を技術的に切り離してとり得るかどうかということをいまも長官とも相談しましたが、これこそ検討さしていただきたいと、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/48
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049・上原正吉
○上原正吉君 私が申し上げているのは、そういうむずかしい問題じゃないです。多少なりとも員外者利用ができるという状態で営業しておる組合の事業は、特典を取り上げてしまえ、全部の特典を取り上げてしまえ、それを取り上げるのがいやだったら、員外者に利用させないような経営をやらせる、員外者に利用させるなら特典を全部取り上げてしまえ。それなら話が簡単に片づくんじゃないかと、こういうのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/49
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050・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま上原先生の御指摘になった点は、かねがね中小企業者の皆さんからそういう要するに、両者が平等のベースに立って競争するという形にしてもらいたい、片方だけ恩典があって、自分たちにはないじゃないか、自分たちにも同様な恩典を与えるか、あるいは員外者利用をやらしている場合には相手の恩典をなくさせるか、要するに共通のベースに立って競争できるように、向こうも商売をするのだから、中小業者にもそうするのがいいじゃないかということもございまして、確かにこれは最も有力な御意見だと思います。われわれもこの問題については、今後大いにひとつ研究しまして、それはいますぐは申し上げられませんが、何らか十分検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/50
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051・向井長年
○向井長年君 関連から関連して…。
先ほど赤間委員が質問をされましたように、これはいかなる手を講じても、中小企業と大企業との問題については、やっぱり何といっても産業分野を確保しなければこれは、なかなかたいへんだと思うのですよ。この産業分野の確保というものが事実上できないのですか。この点行政指導もやられているけれども、明確に——下請の問題もありますけれども、こういう問題を適正規模とも言われているが、こういう形の一つの法案等をもってやはり産業分野というものを、中小企業を侵してはいけない、こういう立場に立った一つの方向性をとっていかなければ、これから開放経済下において、大企業がますます進出する、あるいは外国資本が進出する、こういう中では何といっても中小業者は立ち行かなくなると思う。この点どういうふうに考えているか。産業分野の確保について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/51
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052・中野正一
○政府委員(中野正一君) 先ほども申し上げましたが、中小企業者が従来やっておられる分野というものを確定して、そのひとつのかきをつくって、そこには一切中小企業者以外の者は入ってきてはいけないというふうなやり方をやるということは、現在のわれわれのとっております経済政策というか、自由主義経済というか、そういうもののもとに経済を発展させるということが一番いいのじゃないかという考え方からすると、私はややこれは行き過ぎじゃないか。そこまでやることは、それも一つの方法だと思います。思いますが、先ほどもありましたように、そういうことをすることが、はたして産業全体の進歩というようなこと、それがひいては中小企業者自身の進歩発展という点から見ても、ちょっと行き過ぎじゃないだろうかということで、今度のような、まことにこれは中途はんぱな手ぬるいやり方じゃないかという御批判もあるかと思いますが、運用次第によっては、これは非常にきつい法律だという声もありまして、これは意見はまちまちでございます。
しかし、いろいろ慎重にわれわれ研究した結果、現在の段階では、この方法でひとつ十分われわれもやれるし、また中小企業の皆さん方も、この法律案を一日も早く通してもらいたいということを望んでおられるのも、そういうことじゃなかろうかというふうにわれわれは考えておるので、これを提出しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/52
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053・向井長年
○向井長年君 その中小企業の産業分野ということが中心ですが、自由経済であるから、そこまでやれば行き過ぎだ、こう言われるけれども、日本のやはり産業は計画的に進めなければならないという立場から考えることは、これは最近自動車産業が電気機械を扱ってきておるとか、あるいは綿製品を扱うとか、こういう元来のメーカーと全く違う形のいわゆる総合的ないろいろな製造部門を持っている。これはやはりひとつ整理されてもしかるべきじゃないかと思う。自由経済だから何でも適時適当に資本を投じてやればいいということになるならば、放漫ないわゆる過当競争、国際的な立場での太刀打ちは非常に困難になってくるのじゃないか。こういうところからその下請、下請がもう中小企業になってくるわけなんだから、こういう点から考えれば、ある程度計画性を持ってやはり製造部門を担当する下請業界を明確にする、こういうことが必要であるとわれわれは考えるわけなんですよ。だから、一応産業分野の確保ということは非常にむずかしくても、そういう形においての一つの分野というものは必要ではないか、こう考えるわけです。そこで、この法案の中にあるけれども、特に中小企業のいわゆる緊急避難的な形において若干団体交渉を行なう、こういうことが出ておりますけれども、団体交渉というのは、ただ政府が特に調停なりあっせんを行なうという形になっておるけれども、しかし中小企業のほうは実に弱いと思うのですよ、この団体は。したがって、それに対する行政指導をどういう形でやるか、ただ単にあっせんなり調停だけやっても、日常は組織と組織との交渉になってまいりますからね。これをやはり十分な力をつけ、あるいはまたそれに対する行政指導をどういう形でやるか、ただ単にお前たち自主的に話し合え、いきづまったらひとつあっせんしてやる、調停してやる、こういう形では、これはやっぱり中小企業は弱いと思うのですよ。この行政指導の方法はどう考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/53
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054・中野正一
○政府委員(中野正一君) その点につきましては、今度の法律ではあくまでも自主的に中小業者の団体である商工組合が中心になって相手の大企業と交渉する、こういうたてまえをとっております。これはやはり私は中小業者の自主的な努力ということを第一にしないと、最初から役所が中小企業だから弱いから手取り足取りということは、私は指導の方法としてはよろしくないのじゃないかというふうに見ております。やはり商工組合が中心になって自主的にやらせる、しかし、これは相手がなかなか交渉に応じないとか、うまくいかないという段階になれば、当然いま先生が御指摘のように、強力な行政指導というものがそれに加わってくることになりますから、最初からそういうことをやるのは私は差し控えたほうがいいんじゃないか。過去の例で見ましても、やはり大企業のほうも中小企業がやっておられる分野に出るときは、どうしても相手の中小企業者の皆さんと話し合いをされております。全然話をせずにいきなりやるという例はほとんど私も聞いておりません。したがって、こういう法的根拠があれば、それは中小企業の業界によっても違いますが、しかし一応対等のベースで話し合いができるというようなことがこの法律によって根拠づけられるのじゃないだろうか。それに不足する場合には、行政指導を加えていく、こういうことでやっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/54
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055・向井長年
○向井長年君 これはこういう時期の暫定的な形かと思うのですよ。いわゆる合理化なり体質改善という、こういう立場においてのそういう時期において弱みにつけ込んでの進出といいますか、こういうことを明記されたと思うのですが、そういうことであるならば、なおさらあんた行政指導があってしかるべきだと思うのですよ、自主的、自主的というよりも。日常の問題じゃなくて、経営の合理化を行なう、あるいは体質改善を行なう、近代化に即応した一つの施設を行なう、こういうやはり臨時的なある程度の期間がある問題である以上は、そう自主的というようなかっこうじゃなくとも、これはやはり中小企業保護の立場から当然行政指導というものなりが、そういうときにこそあってしかるべきじゃないか、こう思うわけなんです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/55
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056・中野正一
○政府委員(中野正一君) 具体的な事例が起こる場合は、いま先生がおっしゃったように問題が起こって、やはり役所のほうにも陳情なり何なりがございますし、役所のほうもまたいろいろ調査いたしますから、その段階で適切な行政指導は必要だと思っております。しかし、われわれとしてはやはり中小企業の皆さん方は、とにかく自分の力で、自分の足で、自分たちの団結でまず立ち上がっていただきたいということが、この法律の趣旨でございますので、この法律の趣旨を没却するようなあまり役所がおせっかいがましくやるというのはいかがかと、こういう考え方を申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/56
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057・向井長年
○向井長年君 これは自主的というけれども、大企業に一応遠慮しておるということがあるのですよ。そりゃ団結を強めて自主的にやらなきゃならぬということはもちろんたてまえだ。しかし、それがやはり困難な情勢下にあるのじゃないかという、やはりおもんばかりであるから、大企業は一人立ちできますよ。それに遠慮する形でなくて、いい意味の行政指導ということは、そういう中にこそあってしかるべきだ。これは幾ら長官がそう言われてもいまの実態がやはりそうだ。商工組合をつくってもやはりまだ弱いですよ。そういう中から中小企業育成強化ということを言われている以上は、やはりこういう非常に何というか、弱いときに行政指導というものが強硬にあっても何らこれはかまわない。そういう中からますます今後強くなっていく。お前たち自分で団結して強くなってやりなさいと言っても、やはり相手が大企業である。こういう立場を十分政府は認識して、適切な行政指導というものは、この中では私は必要である。こう思うわけです。意見も入っておりますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/57
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058・竹下登
○政府委員(竹下登君) 向井先生のただいまの御意見でありますが、あくまでも法律の趣旨は、それは自主的に立ち上がるという形でありますが、今日までの中小企業庁の、私が通産省へまいりましてからの行政指導の実態を見ておりましても、たとえば大企業が進出していくということを中小企業側がまだ感じない前に、そういう可能性を示唆いたしまして、教唆扇動ではございませんが、示唆をいたしまして、その事前に団結の体制をとらせるという行政指導を今日行なっておる。ただいま長官から先ほど説明しました最近のいろいろな問題についても、声が出てからでなく、その前の時点においてこれらに行政指導を行なったという事例を私も知って、非常にこれは喜ばしい行政指導ではないかというふうに考えておりますので、そういう趣旨を体して強力な行政指導をやるということは今後とも引き継いで強調したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/58
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059・近藤信一
○近藤信一君 大企業が中小企業の事業分野に直接進出するということは、いろいろな意味から大企業も遠慮しながらやるような場合がある。しかし、一方その大企業が下請企業やそれから系列の企業を使って進出する場合があるわけなんで、しかし、今回の改正法からいきますると、それを規制するということはないわけなんだ。そういたしますると、大企業はどうしても不請企業や系列を使って進出するということが将来考えられるのじゃないかと思うのですが、またそういうことがあり得ると私は思うのです。断言できると思うのですが、これについてどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/59
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060・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま先生の御指摘の場合は二つの場合があるのじゃないかと思いますが、一つの場合は、いま御指摘のあったように従来からの下請を使ってやる、あるいは系列会社等を使って——大企業のほうからいうと使って中小企業の分野に進出する。これは大企業の進出というふうに正確な意味で言えるかどうか非常に私は疑問があるのじゃないかと思います。ただ御指摘の場合の一つのやはりケースとして、いわゆる大企業がそのまま自分のところの会社の名前で進出すると非常に中小企業とトラブルを起こすので、それを避ける意味で身がわりの会社を別につくるというか、たとえば全部資本金を親会社が出して、それから人的にも親会社で主導権を握る形でやる。そういう場合に、その形のものが、いわゆる身がわり会社というものが中小企業者の定義に入るような規模であれば、この法律の適用は表向きでない、こういうことになるわけであります。その点もいろいろわれわれも考えてみたのでありますが、また御指摘のあったように、そういうケースがないかというと、これはあり得るというふうにみたほうがいいのじゃないかと思います。ただ、そういう形で出た場合に、中小企業者の経営に非常な影響があるとか、あるいはこの法律で予定しているようないわゆる不況要件等を満たすような事態を生ずるというような非常に大規模な進出というようなことを大企業がやる場合に、わざわざ何か中小企業の会社をつくって、そういう形でやるということがはたして経済上に見て得策かどうか、非常に疑問がございますので、まあそういうケースはないとは申せませんが、それほど心配することはないんじゃないだろうかというふうに考えて、この法案からは落としております。
それからもう一つは、そういうことをかりに規定しようといたしますると、それが要するに大企業の資本なりあるいは人的支配下にあるかどうかというようなことでいろいろな挙証責任というものが中小企業者の側に出るというようなことで、実際交渉するときになかなかやっかいな問題も起こるというようなことも考慮いたしまして、いろいろ考えた末にこの法案からそういうものは落としたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/60
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061・近藤信一
○近藤信一君 特殊契約の締結につきましては、商工組合に限ってお認めになるわけなのでございますが、どうしてそういうふうなことになったのか。いわゆるその理由といいますか、この特殊契約は現行の組合協約とどんな違いがあるのか。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/61
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062・中野正一
○政府委員(中野正一君) 商工組合は、中小企業者のその業種の大部分のものの利益を代表する団体としては、やはり中小商工組合が一番適当なんじゃないか。ほかにちょっとこれにかわるような団体も見つかりませんので、たとえば商工会ですね、地方にあります商工会とか、こういうようなものにやらしたらどうかというお話もありましたが、これもいろいろ考えてみたんですが、地域団体でございますので、ちょっと適切じゃないんじゃないかということで商工組合に代表さしたのでございます。それから、従来からある組合協約というようなものも、相当今度の法律のねらいのようなことができるんじゃないかというふうなことも考えられるわけでありますが、ただ、今度の特殊契約と従来からある組合協約、これは御承知のように商工組合でいろいろ調整事業なり安定事業というようなものをやっておる際に、その同業者に対して自分たちのやっておるいろいろな規制、調整規程、そういうようなものに従うように交渉するというのが組合協約でございまして、これはしたがいまして同業者との——相手が大企業である場合でも同業者との協定と、こういうことになるわけであります。したがいまして、この今度の改正で考えておりますように、その同業者でない、ほかの同業種に属しない大企業がその業種に進出してくるというような場合は、組合協約ではこれは交渉ができないことになりますので、こういう規定が必要になってくるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/62
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063・近藤信一
○近藤信一君 いま御説明がございましたが、特殊契約の締結につきましては、事業協同組合やそれから商店街振興組合、さらに環境衛生同業組合、これを今度は除外しておるわけですね。それはいま長官が説明されたような事業協同組合調整規程というものがあると、こういうことであろうかと思うのでありますが、除外された理由ですね、これはどうですか。これはいま長官が説明されました調整規程があるからこれはいいんだと、こういうことかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/63
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064・中野正一
○政府委員(中野正一君) 事業協同組合は御承知のように、要するに中小企業の皆さん方が任意に集まって、いわゆる相互扶助の精神でいろいろな共同の事業をやろうというものでございますので、その業種に属する中小企業の相当部分のものを網羅するというような形になっていない——そういうものも確かにございます。そういうものが多いわけでございまして、商工組合についてはその業界の相当部分の人を入れておって、しかもいろいろな合理化事業あるいは安定事業というようなことをやっておるという形でございますので、その業種——当該資格業種ですね、資格事業に大企業が進出しようという場合には、やはり商工組合が適切じゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/64
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065・近藤信一
○近藤信一君 今度の改正案で直接行政機構と関係するのは中小企業調停審議会だけでございまして、結局は主務大臣の調停、あっせん、その程度のもので、別に強制力がない、こういうことなんで、したがいまして、この事態の解決にある程度寄与するということができるかもしれませんけれども、まあ勧告に従わない場合にはこれは効果がない、こういう結果になろうかと私思うのですが、紛争処理のためにはやはり独立した行政委員会を設置すると、こういうふうなことがなされたほうがいいのじゃないかと私は思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/65
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066・中野正一
○政府委員(中野正一君) 確かに今度のわれわれの出しておる法案におきましては、中小企業調停審議会、従来からありまする調停審議会の機能を充実するということで、相当この関係が出てくるかと思いますので、専門委員を置く、あるいは関係行政機関の長に対して資料の提出というようなことを求めるというように、調停審議会の権限は強化しております。しかし、今度のような大企業と中小企業との間の大企業の事業進出についての調停をするというようなことは、やはり各産業の所管の業種を監督しておりまする主務大臣の責任においてやることのほうがいいのじゃないか。これは何も通産大臣だけでなくて、農林関係の物資については農林大臣がやる、こういうことになるわけでございまして、第三者的な機構をつくって、いわゆる裁判所式に、何か両方の話を聞いて調停案をつくって、それに強制力を持たせるというようなことで、はたしてこれが経済の実態に合うかどうか、いささかわれわれは疑問を持っております。したがいまして、やはり主務大臣の責任においてそういう審議会の意見を聞いて、主務大臣の責任において処理するということのほうが、このような経済的な問題の処理には最も適しておるのじゃないだろうかというふうに考えて、この法案を提出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/66
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067・近藤信一
○近藤信一君 調停、あっせんに従わなかった場合、これはどういうことになりますか。幾ら大臣がこうせいと言って調停案を出しても、これはだめだと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/67
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068・中野正一
○政府委員(中野正一君) これは調停案をつくりましてそれを両者に勧告をする、主務大臣が調停案をつくってこれを関係当事者に示して受諾を勧告する、その調停案を理由を付して公表する、これが私は相当きくと言ってはなんですが、効果がある、いままでもいろいろ公正取引委員会あたりで下請なんかのあれを公表するという規定があります。遅延のあれなんかも同じことが言えるのですが、いずれにしても、この程度のことをほんとうに主務大臣が調停案をつくってやるということになれば相当私は効果があるのじゃないか、そういうふうにまたわれわれは効果があるようにやらなければならぬというふうに考えております。もちろん、これは調停案をつくって勧告するということでございますので、これに、従わない場合に罰則というわけにはまいりませんので、そういうものはもっぱら行政的な指導面で十分効果があがるように補っていけるのじゃないかというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/68
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069・近藤信一
○近藤信一君 長官は、まあ勧告して調停案を公表する。公表するんだから、まあ公表すればいかなる因業なあれでも従うんじゃないかと、こう言われますけれども、世の中には相当へそ曲がりもおって、幾ら勧告があろうと、いやおれが営業しているんだからおれのかってだと、こういうような人もないとは言えないわけですね。これに対しては、まあ勧告に従わなきゃしょうがないわということにもなろうかと思うんですが、罰則もなんにもこれはないわけですね。そうすると、依然として営業を続けるわけですね。これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/69
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070・中野正一
○政府委員(中野正一君) この法律の趣旨に従って調停案を主務大臣がつくりました場合には、受諾を勧告する、同時にいわゆる説得するということで、これはわれわれとして努力をすれば、相当私は効果はあるんじゃないかというふうに期待をしていいんじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/70
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071・向井長年
○向井長年君 関連。いま近藤委員の言われた、説得するとか勧告するとか言われておるけれども、大蔵省のいわゆる銀行に対して、特に歩積み・両建ての問題がいろいろ問題になっており、たびたび勧告をしているが、なかなかそれが実効が上がらない。この間発表されたのは、いわゆる行政的な制裁を加えるということだったでしょう。そういう立場をとっておるんですよね、ある程度。したがって、いま行政指導とかあるいは説得と言われるが、まあそれもけっこうですが、やはり最終的には公正な中小企業を守り、この法案に従った趣旨から出た問題については、やっぱり行政的な制裁を加えるということがあってもいいんじゃないですか。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/71
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072・中野正一
○政府委員(中野正一君) この調停案に従わない場合に、行政的な制裁というか、まあどういうことがそういうことに該当するのか、私もなかなかちょっとそれは判断がむずかしいんですが、いわゆる普通の意味でいう行政的な制裁というようなものをこれにからめてやるんだということは、私は行政の筋が違うんじゃないか。したがって、やはりこの法律の趣旨に従って、われわれとしては、あくまでも受諾を勧告し説得するということでいくべきだというふうに私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/72
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073・向井長年
○向井長年君 だから、行政的な制裁を加えるということは、何も法案に書かぬでもいいですよ、そういうことを明確に指導の中で出していくことは、実際問題としては、政府が勧告をし、あっせんすることを受けさす結果になると思うんですよ。したがって、そういうような表現のもとに、やはりそういう強硬な態度でおるんだということは私はあってもしかるべきだと思う。ただ、しかたなしに説得はするけれども、受けなかったらやむを得ませんなというようなかっこうであれば、これはやっぱり商売のことですから、そういうやはり強硬な行政指導だということは認識さす必要はあるんじゃないかと思うんですよ、法案の中に示さなくても。こういう点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/73
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074・中野正一
○政府委員(中野正一君) この調停案に従わない場合は、強い行政指導を行なうということはやっていきたいと思います。その行政指導なり説得の中に、いま先生のおっしゃったような意味を含めて、強い行政指導ということで目的を達するようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/74
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075・鈴木一弘
○鈴木一弘君 いまの話の調停案の公表の問題ですが、法律案には「関係当事者に示し」ということになっているわけです。関係当事者ということになると、商工組合に加盟しているところと、相手の企業体、大企業であるということになるわけです。そうすると、その組合に加盟していないところのかなりなアウトサイダーの中小企業があるわけです。そのほうがこの関係当事者の中に入ってこない。そうすると、場合によれば、大企業そのもののほうは、まあじょうずにいって、調停がいくけれども、中小企業自体の間の内部の争いというもの、過当競争というものは避けられないようになってこないか。その点についてはどういうように指導していく予定なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/75
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076・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま御指摘がありましたように、調停案を作成して、これを関係当事者というのは、交渉をしておる大企業と商工組合ということでございます。ただ、その調停案は理由を付して公表するわけでありますから、これはそれ以外の関係の中小企業の方々にも十分これを示すということで、関係の中小企業者の方々も大企業の進出によってどういうことになるかということは、実態がわかるわけでございますから、むしろ、そういう場合はやはり商工組合へアウトサイダーの方々もできるだけ入っていただくように、われわれとしては行政指導すべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/76
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077・鈴木一弘
○鈴木一弘君 アウトサイダーをこの商工組合に加入させるということはわかりますけれども、強制力はないわけです。いまのところではまだ千ぐらいの結成の状態のようでありますし、企業の自由ということにも関係してくる。そういう点で組合に入れといっても、先ほどの向井さんの質問のように商工組合はえらく弱い。そういうことから実現ははなはだ困難じゃないか。いまのような答弁だと、そういう関係を示されれば納得できるだろう、そういう公表をされれば納得できるだろうということで終わっているわけです。それならば好都合である。大企業の進出を防止できたら、アウトサイダーも、おれのほうもやろうじゃないか、商工組合を倒せというところまでそれは行きかねないと思う。そういう点はこの法律案の中に出てこないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/77
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078・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま御指摘になったような場合には、商工組合で調整事業をやることになると思います。したがいまして、それがどうしてもアウトサイダーが組合の中に入ってきて協調するというようなことはむずかしい、しかも、業界全体の安定のためには、いま言った調整規程——生産制限であるとかいろんな規制をやっている場合に、それをアウトサイダーまで効力を及ぼさなければ業界全体の安定がはかれないのだというときには、団体法の五十六条の従来のアウトサイダーの規制命令というものを発動するということになっているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/78
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079・近藤信一
○近藤信一君 交渉の相手方の大企業は組合員である場合があるわけなんですね、商工組合の。そうした場合に、これは組合の内部の問題なんだから、内部で話し合いがつく。したがって、団体交渉の対象とすることは適当でない、こういうふうな意見もあろうかと思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/79
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080・中野正一
○政府委員(中野正一君) 大企業が商工組合のメンバーになっている場合ですね、これはたとえば従来から見ますると、組合協約とかあるいは調整規程等でこれを縛るということは当然できるわけでありますが、ただこの場合にはあくまで、たとえば生産制限等をやる場合には、過去の実績であるとか設備能力とかいうようなことで実際には規制をするわけですが、要するに、メンバーである大企業をほかの組合員と同等に平等に扱うという原則があるわけでございますから、組合でございますので。したがって、その規程だけではなかなかうまく……。その大企業である組合員が大規模に拡張をやって非常に組合員の皆さんが憂慮すべき事態に陥るというような場合は、この規定で交渉ができるというふうに運用したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/80
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081・近藤信一
○近藤信一君 そういたしますると、ぼくは理論的に問題があるんじゃないかと思うんですが、組合員としては商工組合の側に立つわけですね、それから交渉の相手としての地位にもこれはあるわけなんで、この二重人格的な立場に立つわけなんですけれども、そうすると私は大いに矛盾を感ずるのじゃないかというふうに私には考えられるのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/81
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082・中野正一
○政府委員(中野正一君) 確かに先生の御指摘のような矛盾を感ずる面もあるかと思いますが、商工組合が進出しようとする大企業と交渉するときには、いわゆる特別議決ということをやりまして三分の二以上の賛成がなければいけない、こういうことにしておりますので、その組合員としては、そのときに交渉するのがいいかどうかというときに、メンバーである大企業が相談に乗るというか、議決権はあるわけでありますので、やはり商工組合として交渉するかどうかということを態度をきめる際に十分議論が行なわれる。したがってその結果、商工組合は交渉すべきであるという大多数の意見で交渉をするときは、組合員であってもやはりその交渉に応ずるという義務はあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/82
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083・近藤信一
○近藤信一君 今度の改正で、下部の単位組合が定款で特殊契約を行なわないこういう旨を記載している場合に限り連合会は特殊契約を締結できるわけでございますが、しかし下部の単位組合にしてもやはり特殊契約を行なうということになりますると、定款に書かない場合があるのです。これは必ずしもこの定款に書くとは考えられない。書かない場合がある、定款に書かない場合があるということになれば、定款にも記載してない場合、そういうときはどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/83
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084・中野正一
○政府委員(中野正一君) この規定は、やはり連合会と下部の組合とがダブって交渉できる規定になるとかえって混乱しますので、実際の場合は全国的な規模で問題を取り上げるという場合が多いので、地方的な商工組合があってその連合会があるという場合は、定款によって上位の連合会へ権限を移譲するというか、そういうことが普通じゃないかと思ってこの規定を置いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/84
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085・近藤信一
○近藤信一君 もし連合会の下部組合で、この一組合でも定款に特殊契約をきめている場合には当該連合会といいますか、その連合会では特殊契約を締結できないことになるというふうにも解せられるが、この場合はどういう対策なり、また措置というものをとっていかれるのか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/85
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086・中野正一
○政府委員(中野正一君) いま先生の御指摘のような場合もあるかと思います。たとえば地方の地域的な商工組合の地域だけの問題というような場合もあるかと思いますので、いま言ったように地方の商工組合、地域的な商工組合で、そういう交渉の権限を規定するというようなこともあるかと思いますが、ただ御指摘のような全国的な規模で問題を解決せにゃいかぬというような場合に、そういう事態が起こった場合に、下部の一部の地域組合に上部団体への権限移譲の規定がないというふうな場合は、交渉に差しつかえますので、行政指導によって上部の団体に権限を与えるようにやらしたい。またそれは全国規模で解決せにゃならぬというときには、下部の組合も当然同調してくれるというふうにわれわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/86
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087・近藤信一
○近藤信一君 連合会の場合には、一県一連合会、また全国連合会、こういうふうなことにもなるのではなかろうかと思いますが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/87
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088・中野正一
○政府委員(中野正一君) 御承知のように、商工組合は府県単位が原則でございまして、連合会は全国規模ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/88
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089・近藤信一
○近藤信一君 そういたしますると、商工組合の組織は、市郡というような単位ではなくて、一県一組合、そうすると連合会というのは全国連合会だけが組織できる、こういうわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/89
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090・中野正一
○政府委員(中野正一君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/90
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091・前田久吉
○委員長(前田久吉君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/91
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092・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 速記をつけてください。
他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/92
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093・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
電源開発促進法の一部を改正する法律案審査のため、明二十六日参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/93
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094・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 御異議ないと認めます。
なお、明日の参考人の人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/94
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095・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後三時四十七分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614461X03819640625/95
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