1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月二十八日(土曜日)
午前十時二十一分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 新谷寅三郎君
理事
柴田 栄君
西川甚五郎君
渋谷 邦彦君
天田 勝正君
委員
大竹平八郎君
川野 三暁君
佐野 廣君
田中 茂穂君
林屋亀次郎君
堀 末治君
柴谷 要君
野々山一三君
鈴木 市藏君
国務大臣
大 蔵 大 臣 田中 角榮君
政府委員
北海道開発政務
次官 井川 伊平君
大蔵政務次官 齋藤 邦吉君
大蔵省主計局次
長 中尾 博之君
大蔵省主計局法
規課長 相沢 英之君
大蔵省主税局長 泉 美之松君
大蔵省関税局長 佐々木庸一君
大蔵省銀行局長 高橋 俊英君
国税庁長官 木村 秀弘君
文部政務次官 八木 徹雄君
文部大臣官房長 蒲生 芳郎君
文部大臣官房会
計課長 安島 弥君
文部省管理局長 杉江 清君
農林省農地局長 丹羽雅次郎君
食糧庁長官 斎藤 誠君
運輸省自動車局
長 木村 睦男君
運輸省道路局長 尾之内由紀夫君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
説明員
北海道開発庁主
幹 木村 喬頼君
文部省大学学術
局審議官 村山 松雄君
農林省畜産局参
事官 吉岡 茂君
参考人
日本開発銀行総
裁 平田敬一郎君
日本開発銀行理
事 大島 寛一君
日本開発銀行理
事 市田 禎蔵君
北海道東北開発
公庫総裁 北島 武雄君
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本日の会議に付した案件
○所得税法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○相続税法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○とん税法及び特別とん税法の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
○物品税法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○揮発油税法及び地方道路税法の一部
を改正する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
○関税定率法等の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○食糧管理特別会計法の一部を改正す
る法律案(内閣送付、予備審査)
○自動車検査登録特別会計法案(内閣
送付、予備審査)
○国立学校特別会計法案(内閣送付、
予備審査)
○日本開発銀行法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○北海道東北開発公庫法の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○地方自治法第百五十六条第六項の規
定に基づき、税関支署及び税務署の
設置に関し承認を求めるの件(内閣
提出、衆議院送付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/0
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001・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案、とん税法及び特別とん税法の一部を改正する法律案、物品税法の一部を改正する法律案、揮発油税法及び地方道路税法の一部を改正する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案、自動車検査登録特別会計法案、国立学校特別会計法案、日本開発銀行法の一部を改正する法律案、北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案、「地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税関支署及び税務署の設置に関し承認を求めるの件」、以上十四件を一括議題とし、前回に引き続き、これらの案件についての質疑を続行いたします。
御質疑のある方は順次発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/1
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002・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案について若干お伺いしたいのでありますが、まず一つは、北海道、東北の産業開発、また地域の開発というものは、わが国全体の今後の経済発展の上からも非常に重要な位置を占めるのではないかと思うのでありますが、今日まで北海道東北開発公庫が果たしてきた役割というものが、あまり多く知られていないというのが現状ではないかと思うのです。なぜなれば、国としても北海道、東北についての開発には相当力を入れているにもかかわらず、具体的に関東、関西に見られるような産業の発展というものはなかなか表立って見なれないという、そういう現状があるように思われるのです。しかし、その反面に、このような開発公庫の立場から、今後の東北あるいは北海道の産業開発に、資金の面でもあらゆる面で力を注いでいこうという点は十分わかるのでありますが、はたして今日まで東北、北海道開発について主役を演ずるであろうところの公庫がどのような役割りを果たしてきたか。非常に抽象的な質問かもしれませんが、この表で拝見いたしますと、未開発鉱物資源の利用であるとか、あるいは農林、あるいは畜産物の加工業であるとか、そういうものに対して相当力を注いできたように思われるのです。しかしながら、北海道、東北を比較してみた場合に相当の格差があるようにも思われますし、それは土地の地域のいろいろな客観情勢の違いによっても、こうした点が違いといいましょうか、あらわれるのはやむを得ないとしましても、まず第一に、いま申し上げましたように、公庫が果たしてきた役割が、今日の結果から見てどのように北海道、東北開発に、公庫の立場として実効をあげてきたか、まずその点から、お伺いしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/2
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003・北島武雄
○参考人(北島武雄君) 当公庫が設立されましたのは昭和三十一年六月でございまして、もうやがて満八年を迎えるわけでありますが、この間に公庫が果たした役割はどんなものであったかということについて説明せよというお話でございます。
昨、昭和三十八年十二月末におきまする当公庫の従来の出融資の累計額を申し上げますと、千二百三十二億円に相なっております。これは当公庫は、民間金融機関との協調融資をたてまえといたしておりますので、この創立以来の総工事資金に対する当公庫の融資比率、大体三七%と推定されております。これを換算いたしまして、公庫資金に伴って全体としてどの程度の建設資金が北海道、東北において注がれたかという点を計算いたしますと、約三千三百億円近くに相なるのでございます。そうして公庫が出融資いたしました千二百三十三億円の内訳を業種別に申し上げますと、北海道におきましては、第一に紙パルプ工業でございます。これに百四十八億円近くの金額を投じております。御承知のとおり、北海道におきましては、紙パルプ工業が重要な産業に現在発達しておりますが、あるいは本州製紙とか、国策パルプとか、あるいはまた大昭和製紙、こういった工場の建設、あるいは造設資金に、相当多くの金額が当公庫から融資がいたされております。第二に、北海道地区といたしましては、海上運送業に六十九億円近くの融資がいたされております。これはもちろん内航海運でございまして、北海道と本州とをつなぐ物資の輸送につきまして、従来、当公庫が船舶の建造に融資いたしました金額でございますが、これによりまして、現在、大体約六十隻の船舶が建造いたされているように私はただいま記憶しております。重量トンにいたしまして約二十万トン、船が建造されたわけであります。第三番目に、北海道におきましては、てん菜糖工業、これに六十六億円近くの金額が投入されております。日本てん菜糖工業、あるいは台糖、あるいは芝浦精糖、あるいは近くは大日本製糖、こういったてん菜糖工場に当公庫の融資がいたされております。第四番目の金額といたしましては、窯業、土石製品製造業と分類されておりますが、これに約五十億円近く、これは日本セメント、富士セメント、こういったものが主力をなしておりますが、そのほか、北海道の特殊事情にかんがみまして、砕石業等相当多くのものに出されております。次には、化学工業で三十億、鉄鋼業の二十九億円近く等でございます。以下、こまかい金額は省略いたします。
東北地方につきましては、第一番の工業といたしましては、秋田県及び新潟県の天然ガス工業、これに百十五億円融資されております。第二番目に化学工業の七十三億円、第三番目は、これは秋田県を中心とする鉱山関係、金属鉱業の採掘精錬業に六十八億出されております。といったものが融資されておりまして、ただいままでに、私も昨年就任いたして以来、一応、同公庫がどういう融資をいたしたかということを地図をつくってみましたところ、至るところに同公庫の融資によって工場が建設、あるいは増設された事実がわかりました。なるほどやはり八年間、同公庫ができましたために、民間の金融機関からは、普通ならばなかなか融資できにくいところを、同公庫の引き出しによって、協調融資としてこのようなことが行なわれたという感を深くしておるわけであります。いままで果たした役割りにつきましては、同公庫から云々申すべきではありませんけれども、数字的に見まして相当お役に立っているのではなかろうか、こう考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/3
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004・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 大体今日までの推移について御説明をいただいたのでありますが、確かに重点的に融資をなさりながら、その企業の育成につとめられてきたということは十分了解されます。ただし、この北海道においては、パルプ、海上運送、東北においては天然ガス、あるいは化学工業、こういうわけでありますが、その利用範囲といいましょうか、実際に各民間の企業体において今日まで利用されてきたそれぞれの企業の件数はどれくらいになるか、それをお教えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/4
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005・北島武雄
○参考人(北島武雄君) 同公庫の融資は、資本金一千万円以上の会社に対しまして、原則として一千万円以上の融資をいたすことになっております。昨年末までにおける件数は約千二百数十件でございまして、大体、一件一億程度の金額に相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/5
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006・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 大体、一件一億円として、相当の企業の進展が見られると思いますが、これらの企業が今日公庫のそうした融資を受けておるのでありますが、貿易の自由化に伴ういろいろな問題が立ちはだかっております。そうした面を考慮して、先行きいろいろな不安に対しまして配慮がなされていかなければならない問題点が出てくるんじゃないか、そうした場合に外国の競争と十分立ち打ちできるように、あるいはもっと融資もしなければならぬ問題も出てくるでありましょうし、あるいはこの際、民間企業を整理統合して、早く資金を回収して、別の面に重点的に融資をしなければならないというような問題点が出てきているのではないか、このように考えられますが、そうした問題点について概要御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/6
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007・北島武雄
○参考人(北島武雄君) 北海道、東北は、もともと工業の立地条件としては比較的に弱いところでございますので、貿易の自由化等の波にあたりましてどう対処するか、企業としてなかなかむずかしいところで、いま私どもといたしましても、貿易の自由化に対処して、企業が何とか伸びていこうということで、合理化計画を立てます場合におきましては、私ども協力なり支援を惜しまないものでございます。たとえば、非鉄金属関係の自由化に対処いたしまして、秋田県方面の鉱山が相当不況に立ち至っている状況が一時あったわけでございますが、各企業におきましても、それぞれ適切な合理化計画を立てて、同公庫に対して融資を求めてまいりました。これらに対しては、私ども内容を検討いたしまして、いやしくも地域開発のお役に立つものであるならば援助を惜しまないでまいったのでございます。今後においてもそういうふうに対処いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/7
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008・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 現在融資先が千二百数十件ですか、ただいま御回答ございましたが、それらの各企業体が今日まで円滑な運営をされてきている面と、あるいは内容によっては相当注意を払っていかなければならないという、いろいろなそういう問題があると思うのです。いままで融資されたその反面に、資金の焦げつき、あるいは未回収、そういう状況がどうなっているかお知らぜいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/8
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009・北島武雄
○参考人(北島武雄君) この低開発地域に対しまして融資をいたします場合には、単に普通の商業銀行のような金融ベースのみでは、もちろんこれはやってまいるわけにはいかないのでございます。地域開発のためにお役に立つものであるならば、多少の危険がありましても、将来の光明を目ざして私ども融資してまいったわけでございます。現在までのところ、大きな企業の破綻はまだ見えておりませんけれども、現在、実は滞納、延滞は多少増加の傾向にあります。この数年来の金融調整、景気調整によりまして延滞も若干増加の傾向にあります。昨年の十二月末におきまして元金が約十億円にのぼっております。なお最近におきましては、更生会社の更生計画が決定いたしまして、本年度において、あるいは債権の償却をいたさなければならない金額もございまして、この点につきましては目下大蔵省の承認を申請いたしておるわけでありますが、千二百数十件の案件でございますので、中にはそういったような企業も出てまいるわけでございます。こういうものに対しましては、私どもできるだけまあ更生のためのあたたかい目をもって見ながら、しかも大事な国家資金でございますので、この回収については、必ずしも甘い態度を持っておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/9
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010・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 いまの御回答でありますと、延滞が多少なりとも増加している、昨年末で十億、こういうことてありますが、企業によっては相当発展性のあるもの、あるいは将来先行きのないもの、いろいろ分類することができると思うのでありますが、大ざっぱでけっこうでありますが、先ほど御説明をいただきました北海道、東北について、大体主要な点でけっこうでありますが、現在延滞になっているその業種について、どんなものがあるか、また主たる企業についてはどんなものがあるか、お知らせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/10
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011・北島武雄
○参考人(北島武雄君) これはまあ個々の会社につきまして、その会社の名前をあげまして、こういう会社が延滞しておりますということはちょっと差し控えさせていただきますが、主といたしまして大体地場産業が多いのでございます。地場の比較的力の弱い企業、しかも新規な計画でその土地に新しい工業を興すというつもりで建てられたのが、景気調整の波にあい、あるいはまた技術の万全を期せなかったために延滞になっておるという例があるのでございますが、まあ全体といたしますれば、たいした件数にはなっておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/11
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012・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 まあその延滞等についても、実際は国民の税金でまかなわれている金から融資がなされておるわけでありますので、公庫当局としてもそうした面の運営については十分考慮もされ、そういうことのないように今後とも十分努力を払っていただきたい、こう願うわけであります。
今回この法律案の内容を見ますと、土地造成というものについて相当力を入れられるような趣旨に思われるのでありますが、現在、公庫として、この土地造成事業に対する出資については、今後どういう方向に、また具体的に北海道、東北についても、東北のほうは現在乗ってないようでありますが、東北のほうにおいてもそういうような、考え方を持っておられるのかどうか。今後のそうした土地造成事業に対する出資に関係いたしまして、どんな計画をお持ちになっているのか、お知らせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/12
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013・北島武雄
○参考人(北島武雄君) 当公庫におきましては、すでに苫小牧港開発株式会社に対しまして土地造成資金を融資いたしました前例もございます。今度の法律改正は、いままで主務大臣の告示によりまして、各地区ごとに指定いたしておりましたのを、開発銀行法の改正に伴いまして、それと歩調を合わせて、法律の面に業務の種類の内容を掲げた、こういう内容でございまして、今後、土地造成資金を大いにどんどんやっていくのだという、必ずしもそういう体制ではございません。北海道、東北におきましては、土地造成におきましても、他の地区よりもやはりそうやたらに行なわれるものではないように私は思っております。ただいま当公庫に申し出のある土地造成はございませんけれども、まあ将来の予想といたしましては、たとえば、この苫小牧港の例にならいまして新潟港の大きな新設計画がございます。苫小牧港にならいまして海岸を掘り込んで、いわゆる掘り込み港湾をつくろう、こういう計画がございます。これが国家資金で、あるいはまた国家資金と地方団体の資金で実際に行なわれるということになりますと、苫小牧の例にならって、同じようにこれに伴なう土地造成を会社でやりたい、こういう機運も地元で起こるかとも思われますが、ただいまのところ全然まだ予測はついておりません。ただ、土地造成につきましては、これがいやしくも投機的に利用されることのないように、公庫としては十分注意いたすつもりでございまして、従来のような苫小牧港のような、相当大きな公共的意義を持つものに対して、民間の資本と一緒になって当公庫がこれを育成していく、こういうかっこうになるかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/13
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014・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 この法案の趣旨を見ますと、いまの回答ではいささか矛盾があるような点が考えられるのであります。それはここにもうたってありますように、「地域開発の進展に伴ない、企業の採算に見合う適正かつ十分なる産業用地の確保が重要な問題となっているが、」とありますが、確かに北海道、東北の場合にはこの点がぴったりするのではないかと思うのです。また同時に、この土地の造成も、いままでどちらかといえば見捨てられた北海道、東北の開発については、今後も相当力を入れていかなければならない。特に、工業の発達ということは焦眉の急ではないかというようなことも十分考えられるのであります。それについては、やはり交通の至便あるいは海上運送の非常に便利なところ、こういうことになりますると、いまお話がございましたが、苫小牧にいたしましても、新潟にいたしましても、その他仙台を中心とする仙塩地帯、そういったところがすぐ思い浮かんでくるのでありますが、公庫が、先ほど来、総裁も趣旨の説明といいましょうか、今後の方向というものについていろいろな応答の中に出てきました方向を考えますと、もっと積極的にこの地域開発の面を考えれば、もちろんその投機的な、そういうために利用されるということは、これは最も避けなければならない問題だと思います。しかし実際に、東北や北海道の地形的ないろいろな条件を考えてみますと、やはりどうしても産業用地の確保というものが当然必要になってくるならば、もっとそうしたところに重点的な対策を立てられて、そのためのあるいは融資ということが当然行なわれていいのではないかということを、それによって北海道、東北の産業開発が進むということになれば、国全体の経済発展のために大きな力になる、このように私は考えるわけでありますが、いまの御回答では何かもの足りないような感じがいたすのでありますが、将来において、公庫としてさらにそうした問題について、土地造成にかかわらず、土地造成を中心としたそういう地域開発の問題について、関連してどのような――とのような対策と言いましても、いまの程度になってしまうと思いますが、ただ一つの方向として、一応、総裁個人でもけっこうだと思うのですが、希望的なものをお持ちになっているか、その方策をお持ちになっているか、それをもう一度お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/14
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015・北島武雄
○参考人(北島武雄君) 御承知のごとく、工業用地の造成は、まず第一に考えられますのは、これは主体としては地方公共団体が大部分かと思います。それと住宅公団、こういうものが公の資金でみずから土地造成を行なう場合が多かろうかと思いますが、当公庫といたしましては、たてまえといたしまして会社に対しまして融資するのでございます。こういった地方公共団体あるいは住宅公団がやるものについては、当公庫はこれにタッチしないことになっております。それ以外に、ほんとうに民間会社として土地造成をする場合に当公庫の役割りも出てくるのであります。比較的役割りといたしましては従たる融資の役割りではないかと考えております。したがいまして、多少、先ほど私があまり積極的でないような印象を先生に与えたのではないかと思いますが、国といたしましては、もちろん工業用の土地の造成は今後盛んに行なわれるべきものでありまして、たとえば低開発地域では主として地方公共団体等の力によってなされるべきだろうと思いますが、それに伴って民間の会社によってやるのが適当であるという場合に当公庫の役割りが出てくるのであります。当公庫といたしましても、北海道、東北方面に五つの新産都市の指定がすでにあり、また見込まれているわけでございますが、これに伴いまして工業用地の造成は活発になろうかと思いますが、この場合に、あくまでも民間会社として土地の造成をやる場合に、公庫としてはその内容を十分審査し、はたして土地造成、「産業の振興開発に寄与する事業の用に供する土地の造成」と、こういうふうに法律になっておりますので、その法律目的にできるだけかないますよう、内容に伴いまして、私どもといたしまして大いに融資をいたしてまいる考えでございます。何とぞ御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/15
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016・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 きょうは私の持ち時間があまりありませんので、もう一点だけお伺いしておきます。
いままで公庫における監事の権限といいますか、業務を監査するだけでありましたが、今回この法改正によって、「総裁又は総裁を通じて主務大臣に意見を提出することができる。」、このようになったわけですが、監事が、今度そういうような法改正とともに、適正な意見を述べるというような、業務内容について、従来はやはり総裁であるとか、理事の立場の方が業務全般についてその意見を述べたが、今度この監事の権限を強化され――まあ総裁、理事は当然主務大臣に意見を述べることができるようになっているはずでございますが、今回、監事の権限を特に強化される理由について、どうした点に目的があるのか、それについてお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/16
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017・井川伊平
○政府委員(井川伊平君) いままでも監事は監査の結果、それに関しまするいろいろの意見を述べることは、それは当然の業務の中でございますが、今回このように改正をしようという事柄は、さらに一だんと進んだ観点に立ちまして、この公庫の存立の理由と申しましょうか、目的と申しましょうか、そういう効果をより高度に発揮せしめる、そうしたような意見をも述べることができるようにしようという、そういうような趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/17
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018・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 それでは北海道、東北を終わりまして、ちょうど開銀の方が見えておられるようでありますから、開銀のほうにちょっとお伺いしたいと思います。
開銀の今回の法改正も、北海道、東北の場合と同じように非常に似たような法改正があるようでありますが、今回、理事と参与の定数を増加されたわけであります。これは当然、銀行そのものが業務内容かふえたということが主たる原因になるであろうと思うのでありますが、現在たしか七名だというふうに記憶しているのでありますが、この七名の理事の方はそれぞれ業務の内容によって分担をきめられていらっしゃるのかどうか。また、そのために今回業務量がふえたために理事または参与をふやさなければならないのか、ふやす理由について御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/18
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019・平田敬一郎
○参考人(平田敬一郎君) お尋ねの第一点につきましては、現在、七人理事がおりますが、それぞれ業務分担をきめております。で、開銀の業務の内容としましては、総務と申しまして、全体の資金計画、各行との連絡等をやるのが一つございます。それを担当する理事が一人ございます。それから営業につきましては、たいへん実は、先ほどお話しのとおり、最近多角的になっておりまして、多様にたっておりますので、四部と、地方開発関係の一部、五部ほどの部を設けておりますが、それを担当理事に三名でそれぞれ分担して、仕事をしてもらっております。そのほかに外債関係、経理関係、人事関係、あるいは庶務関係といったようなそれぞれ部がございまして、それぞれ分担を定めまして、責任を持っていただいておるような次第でございます。なおそのほかに、現在は大阪支店は非常に重要性がございますので、理事をして委嘱せしめておる、こういう現況でございます。
今回特にふやしましたのは、大蔵省からも御説明がありましたように、開銀設立以来十三年近くなりまして、実は業務内容も先ほど申し上げましたように、たいへん多角化したのと、融資の残高も国内資金だけですでに七千数百億、それと外貨資金等を入れますと八千数百億に達しておりまして、まあ保証の額まで入れますと、信用供与の額が近く一兆円を突破するといったようなことにも相なっておりまして、量質ともにたいへん業務の内容がふえておりますので、この際、理事、参与を一名ずつ御増員願いまして、業務の遂行に遺憾なきを期していただきたい、これが今回お願いしておる趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/19
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020・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 今後の開発銀行の持つ使命というものから考えますと、これからも必然的に業務内容がふえてくるということが予想されると思いますが、毎回毎回この理事及び参与の定数増加、先般もあったように記憶しておるのでありますが、そのたびにやるよりも、もっと基本的な考え方を立てられて、大体将来、先行きを見越しても、これだけのものは絶対必要であるというような、そういう基本的な考え方に立って業務の遂行をはっきりさせられたほうがよろしいのじゃないか。そのつど、業務内容がふえたからまたふやすんだ、またふやすんだというようなことでは非常に繁雑になって、銀行そのものも、いろいろな業務の運営についてかえって支障が起こるんではないだろうか、こういうことも案じるわけであります。ならば、将来五年なり十年なりのいろいろな見込みを立てられた上で、そういう機構の整備、またそれに伴う人事の配置、そうして多角的にどういう問題を処理していこうとも十分機能が発揮できる、こういう体制にしておかれて、初めて開銀としての面目を発揮できるのではないか、このようにも考えられますので、この点は十分やはり検討すべき問題じゃないか、このように考えられるわけです。
次に、もう一点だけ伺っておきたいと思いますが、今回の法改正のやはり主たる内容の一つは、土地造成資金の貸し付けということがあるようでありますが、この中で、当局の説明の中にも融資対象に――いろいろな融資対象の範囲ですね、融資対象の範囲に問題がある、このようなうたい文句があるわけであります。今後そうした融資対象について、開銀としてどのような考え方のもとにそれを進められ、そうしてまたそれを育成されていくのか、その大綱についてお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/20
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021・平田敬一郎
○参考人(平田敬一郎君) 御指摘のとおり、融資対象の選定と申しますか、いい民間企業が中心になる企業体ができるということが非常に重要な問題であると私ども考えておるわけでありますが、私どもの典型的な例といたしましては、やはり不動産の造成に経験のある会社、それからその地区の土地を利用しようとしている会社、並びに公共的な事業で府県等の関係が強うございますので、場合によりましたら自治体も出資の形で参加する、そういったような形の企業体ができまして、そこで能率的に土地造成をやっていくというのが一番望ましい姿ではないかと思います。もちろんそれに限定するわけではないのでございますが、しっかりした民間等を中心にしました企業体ができまして、責任の所在も明らかであり、かつ土地造成を最も能率的にできるといったような適格性のある企業体ができるということを一番希望いたしております。その点につきましては、私どもそういったようなことにつきましても何らかのサンプル的なものをつくりまして、そういったような方向に民間の企業自体も動いていただきまして、合理的な土地造成ができますように、僭越でございますが、誘導する、しつつうまくやっていくということを考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/21
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022・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 答弁をされる場合に、部屋が広いですから、少し大きな声で御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/22
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023・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 この法律案が通ればすぐにも事業が開始されると思うのでありますが、現在、開銀としてさっそくにも土地造成資金の貸し付けが行なわれるということが考慮されていると思うのでありますが、現在どのような融資対象を考えられているのか。この点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/23
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024・平田敬一郎
○参考人(平田敬一郎君) この仕事は実は新しく始めますわけでございますので、まあいま的確に具体的に幾つぐらいあるか、どういうふうになるかということを申し上げるのは、少しまだ早過ぎるのではないかと思いますが、例が一、二ないわけではございません。そういうものにつきましても、法律成立後に方針を明らかにいたしまして、その方針にのっとって、合理的にいく限りにおきまして融資を始めてまいりたい。最初は御指摘のように、どういったような企業体に対して、どういう地区で、いかにして合理的に重点的にやっていくかということが非常に重要な問題でございますので、仕事はこれからというつもりで勉強させていただきますことを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/24
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025・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 特にこの土地造成については、その融資対象が地方よりも大都会、つまり東京、あるいは関西、あるいは名古屋というようなところにほぼ限定されてくる傾向が強いように私には考えられます。そうしますと、必然的に起こる問題は、土地造成の主たる目標というものが工業用地としてやられるのか、あるいは住宅用地、特に大都市においては住宅用地が非常に足りない。あるいは東京に例をとってみましても、都内ではどこも家が建つような場所もない。したがって郊外においてどんどん団地の建設にいたしましても、土地の造成というものが強く要望されておるわけです。先般アメリカなどへ参りましたときにも、やはり郊外に相当の住宅用地の造成が行なわれているのを目撃してまいりましたが、わが国においては、住宅の不足を嘆く一面、そういう土地の造成あるいは土地の確保というものが非常に困窮をきわめております。そうした点から住宅の悩みを訴える大衆の不満の声が強いわけでありますが、開銀として、そういうような立場から、おそらくこれは企業の面を考えてみれば、当然利潤を上げていかなければならないと、いろいろなそういう条件が考えられるわけでありますが、今後のそうした方向について、主力をどこに置かれて土地造成に力を注がれていくのか、その御見解を承っておきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/25
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026・平田敬一郎
○参考人(平田敬一郎君) いま考えておりますところといたしましては、新産都市、それから工業開発特別地域、その他これらに準ずるような、非常に国家的にも重要な地域、こういう地域に実は限定してまいりたい。これは主として地域開発的見地に立ちまして、工業用地の造成をなるべく適正にしようという趣旨でございますので、そういう考えでございます。したがいまして、産業用に供する土地に限ることになるかと思います。で、住宅用地については、お話しのとおりいろいろ議論が行なわれておりまして、目下いろいろ審議会等で審議されておりますが、まあこれは私の個人的見解でございますけれども、必要があります場合には、やはり住宅金融公庫等の機構の活用によりましてやるのが妥当ではなかろうかと考えておりまして、開発銀行としましては、産業用の合理的な土地造成に御協力を申し上げる、こういう趣旨でやっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/26
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027・鈴木市藏
○鈴木市藏君 私は、開銀とそれから国立学校の特別会計のほうと、二つを中心に時間の範囲内で質問したいと思いますが、せっかく開銀のほうへいま質問がありましたので、引き続いて開銀のほうにお伺いしたいと思います。
今度の改正の中で、先ほど同僚委員からの御質問もあったと思いますけれども、土地造成の問題を中心に融資をすると、こういうことでありまするが、まずこの融資する対象とは一体どういうものか、これをまず明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/27
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028・平田敬一郎
○参考人(平田敬一郎君) 融資の対象と申しますと、おそらく借り先、借り手ということになるかと思いますが、これは大体まあ株式会社――民間企業と申しておりますが、株式会社を考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/28
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029・鈴木市藏
○鈴木市藏君 で、具体的に法案が出て、もしこれが通るとするならば、もう四月一日からこれは発動するわけですから、当然、その予想されている株式会社、民間の株式会社というものはこういうものであると、もうすでに具体的に話は進められていると思いますが、それをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/29
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030・平田敬一郎
○参考人(平田敬一郎君) 幾つかの希望があることは事実でございますが、法案が成立後に、そういう問題につきまして、開銀としても正式に取り上げまして検討した上できめるということでございますので、具体的なことは、本日までのところ申し上げることを差し控えさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/30
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031・鈴木市藏
○鈴木市藏君 それはずいぶんおかしいじゃありませんか。あなたのほうは、融資の対象は、民間の株式会社だと、こういう金額をもってこういうところに土地造成の融資をするのだと言っているのですから、そのどれが該当するか、どういうところに一応その話をしようかということの目安がなくて、ばく然とあなた、こういう金額まできめた法案を出すはずはない、一部改正をするはずはないので、当然それはあると思うのです。いま、それを差し控えたいというのは、どういう事情によってこれを明らかにすることができないのか、そうして差し控えるとするならば、何を考慮して、この席上において差し控えなければならないのか、この点を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/31
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032・平田敬一郎
○参考人(平田敬一郎君) これはもちろん私ども、実はいま土地造成につきまして融資する権限がないわけでございます。法律で国会の御承認を得て、初めてその権限を得るわけでございますので、あまり先ばしりましていろんなことをすることは、どう僭越だと私どもも心がけております。もちろん下準備のためにいろいろな調査をいたしておりますが、これはいずれも予備調査にすぎませんので、法案成立後におきまして、国会におけるいろいろな御質問の趣旨等も十分取り入れまして、融資の具体的方針をつくりまして、その上で取り上げるか取り上げないかきめていきたい、こういう気持ちでいるということは、これは私当然の筋だと思いますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/32
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033・鈴木市藏
○鈴木市藏君 それは、この委員会向けの答弁として、この場を切り抜けるには、そういう答弁でいいかもわかりませんけれども、ずいぶん納得のできない答弁だと思うのです。この法律案がもし通るとするならば、四月一日から実際上活動を開始するわけで、もう数日に迫っておるはずですから、あなたのところで、この融資対象になるべき民間の会社はかくかくのものである、その辺のところがわかっていないはずはないし、私がなぜこれをしつこく質問するかというと、ともすると、土地造成というのは投機の対象になるわけです。したがって、どういうものをあなた方がこの民間融資の対象として想定しているのか、その選別について、どういう基準を持っているのか。もし具体的に名前をあげることができなかったら、その基準、範囲を明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/33
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034・平田敬一郎
○参考人(平田敬一郎君) 大体、この基準につきましては、昨日も少し申し上げたのでございまするが、先ほどから言っておりますように、まずやはり産業用の土地造成に限る。それから、地区につきましては、先ほど申し上げておりますように、新産都市、それから工業開発特別地区並びにこれに準ずべき重要な開発地区、こういったような地区に限りたい。それから企業体につきましては、先ほどから申し上げましたようなものが中心になるかと思いますが、できるだけ融資の対象として、責任の所在が明らかになるような民間の企業体をはっきりさしてまいりたい。
それから次は、規模につきましても、あまり小さい規模のものにつきましては不適当でございますので、一定規模以上の土地造成でありまして、それが結局、国民経済的な見地からも、あるいは格差是正といったような見地からもふさわしい程度の規模以上のものに限りたい、そういったような幾つかの基準をいま実は検討いたしております。さらに、そのほかに、もちろん融資でございますので、各ケース・バイ・ケースにつきまして、普通の設備投資に対する審査と同様、十分な審査を行ないまして、はたして土地造成が適当であるかどうか、つくった土地がいつごろ利用可能になるのか、そういったようなことにつきましても十分な審査を加えまして、その上で融資するかいなかをきめることにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/34
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035・鈴木市藏
○鈴木市藏君 先ほど言った一定規模とか、一定水準以上とかといわれるその一定というのは、どこで線を引くのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/35
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036・平田敬一郎
○参考人(平田敬一郎君) 一定と申しますのは、たとえば臨海地帯でありますと、地区によって何坪にするか、それはいまいろいろ検討していますが、たとえば十万坪以上にするとか、五万坪以上にするとか、まあ大体そういったようなオーダーで、はたしてどれが妥当か、これはやはりある程度実際と当てはめて基準をつくりませんと、実情に即しないものになりますから、そういったようなことにつきましては、十分に全国の事情を検討した上できめたい、こういうふうに考えております。したがいまして、そういったようなことにつきまして、実は補助金と融資は若干逢うわけでございまして、そういう点につきまして、国会で法律上の権限を認めていただきますと、運用で、私ども十分諸般の事情を取り調べました上で、合理的な基準をつくって実効を期するようにしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/36
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037・鈴木市藏
○鈴木市藏君 その融資をする、つまり民間会社の一定の水準、一定の規模、これはどういうところで、その具体的な名前はさっき言うことはできないというから具体的な名前はよろしいが、融資する民間会社の規模、水準、これは何できめるのか、これもひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/37
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038・平田敬一郎
○参考人(平田敬一郎君) 先ほど規模と申しましたのは、ある一定の地区でまとまってどれくらいの坪数の土地を造成するか、そういったようなことにつきましては、ある程度外形的に基準を設けまして、やりたい会社につきましては、これは御承知のとおり、またその土地土地の事情によりましてふさわしい企業体ができることが望ましいので、これにつきましていま一律にどうこうというわけにはまいりません。個々のケースごとによく調べまして、妥当であるかいなかを判断した上できめる、こういうことに相なるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/38
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039・鈴木市藏
○鈴木市藏君 それはずいぶんおかしな答弁だと思うんですね。個々の地域地域でどれが妥当であるか、そのときどきによってきめるといいますけれども、あなた方は、つまりそういう場合をあらかじめちゃんと計画し、あるいは具体的に検討して、そしてこういう法律案を出してきたと思うので、先ほどの質問に戻るようでありますけれども、当然それは融資すべき民間会社においても、ある一定の基準というものはあるはずだと思うんです。私はその場その場によって検討する性格のものじゃないと思うんです。この一定の基準をきめる場合にどういうものを持っておられるか、もし具体的にいま持っていないとするならば、どういうことを想定しておられるか、融資すべき民間会社に対して輪郭を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/39
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040・平田敬一郎
○参考人(平田敬一郎君) 企業体につきましては、私どもたくさんの企業体に融資して、いろいろな業種に融資しておりますが、結局いろいろ業種により、それから地域により違うわけでございまして、企業体自体につきまして、何か限定的なことをあまりやかましく申し上げるということは、これは妥当じゃないというふうに考えております。しかし、たとえば、土地造成の場合は何か中小公庫との関係におきまして、いろいろな普通の融資の場合におきましては、具体的にどの程度のものを扱うか、どういう企業を中小公庫が扱うか、そういったようなことにつきましては、やはりいろいろ基準を設けてやっておりますが、個々の事業をやる、個々の土地造成事業をやる場合におきまして、画一的に基準を設けてやるということは、私むしろ実際に即しないと思いますので、そこは先ほどから申し上げましたように、ケース・バイ・ケースで十分審査した上で妥当かどうかをきめる、これは私ども銀行の重大なファンクションと考えておるのでございます。でございますから、部内にその専門家を養成し、それから問題になる事項につきましては、私ども一件別に役員会にかけまして十分審査しました上できめる、こういう実はいき方で今日まいっておるのでございまして、企業体については、あまり画一的に規模等につきまして基準を設けるのは、ちょっとどうだろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/40
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041・鈴木市藏
○鈴木市藏君 私はその答弁は納得できませんね。全国一律に画一的に基準をきめるということはかりにできないとしても、そういうことを計画し想定しなければ、ただ幾ら幾らの金がどこで土地造成に必要だから融資の対象にするということさえ出てきやしませんよ、お宅のほうでは。ですから、当然かくかくの土地造成をやっている会社、あるいはやろうとしているところ、それを想定しなければ、どれくらいの融資が要るものだろうかということで、――今度の土地造成にはかくかくの金が要るといって具体的な金額まで出しているじゃありませんか。かくかくの金額はつかみ算ですか、それともやっぱりちゃんとそのようなデータに基づいて積み上げた金額ですか、どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/41
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042・平田敬一郎
○参考人(平田敬一郎君) 先ほどから申し上げたように、実は土地造成の仕事は新しく始めるわけでございます。したがいまして、資金のワクは、二百八十億という地域開発の資金の総ワクの中から、土地造成する分を来年度出していこうということでございまして、補助金や税金と違いまして、金融のほうは事前にあまりこまかく確定的にやるというわけにはまいりません。もちろん総ワクの中で、はたして間に合うかどうかといったような見当はある程度つけておりますが、そういったようなことの中におきまして、いま申し上げましたように、最終的にはケース・バイ・ケースで妥当かいなかをきめて融資を決定していく、その上で、さらに将来この事業が合理的に需要が多くて妥当なケースがふえてきますといったような場合におきましては、資金のワクについて増ワクするかどうかよく検討して進めてまいる、こういう順序で進めていくのが私は妥当と思いまして、そこに金融の補助金と違いました一種のいい点があるのでございます。したがいまして、何と申しましても一番大事なのは、個々のケースについて、はたして妥当かどうかというその審査が一番重要でございまして、その点につきましては、私ども開発銀行の全能力をあげまして妥当を期する考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/42
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043・鈴木市藏
○鈴木市藏君 で、あなたはなかなか質問に的確には答えられないようでありますが、では、一体かくかくの民間会社が適当であるという判定を下すのは、開銀がどういう順序を経て、どういう手続をとって下すのであるか、これが質問の一つ。それから、おそらく地域開発やそういったところに重点的に融資が回ってくる、先ほどから御説明があるからたぶんそうだろうと思いますが、そういうところの地方自治団体、公共団体、県あるいは市、そういったところの関係は一体どうなのか、これが二番目。それから、そういうつまり諸関係を経て民間会社に融資をする場合にはどういう手続上の申請なり、あるいは何らかを必要とするだろうと思うのであります。これが三つ目です。これについてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/43
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044・平田敬一郎
○参考人(平田敬一郎君) 最後の融資の手続は、実は一般の場合と別に違っておりませんので、御説明を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/44
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045・鈴木市藏
○鈴木市藏君 申請したものはみんなやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/45
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046・平田敬一郎
○参考人(平田敬一郎君) いま一番大事なことは、御指摘のとおり、地域開発政策上重要な地点であると思われる地点の進行状況がどうであるかといったようなことでございまして、したがいまして、この点につきましては、事前に十分いま御指摘の関係の自治体の意見を聞くつもりでございます。そのほかに通産省の工業立地の所管のところ、それからあるいは経済企画庁の地域開発全体について計画を持ってやっておりますが、そういったようなところの意見をよく聞きまして、最終的には開発銀行がきめて、もちろん開銀は独自の立場で十分な審査を加えまして、はたして適切かどうかということについて関係者の意見を聞くと同時に、部内で十分審議した上で決定する、これが当然の順序だと思います。普通の業種につきましても、重要産業等につきましては、各省の意見を十分聞いておりますので、土地造成に関して、お話しのとおり地方自治体の意味をよく聞くことは重要なことじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/46
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047・鈴木市藏
○鈴木市藏君 その場合に、地方自治体と共同融資あるいは事業において、地方自治体と一緒になってやるとかといったような、そういうケースがあるだろうと思うのです。あるいは、もうすでに民間会社には地方自治団体が土地造成の必要上、ある一定の融資を行なっておるという場合もあるだろうと思うのです。そういうふうな場合において何らかの基準がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/47
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048・平田敬一郎
○参考人(平田敬一郎君) 現在、地方自治体が直営でみずからやっておる場合には、あまり問題がないかと思います。しかし、御承知のように、公社とか、何とかいう名前で、実は別に機関をつくってやっておる例がございます。これは私は率直に言って、能率的な土地造成という点からいったら、直営に切りかえるか、私ども考えております新しい方式の土地造成に切りかえるか、どっちかにしていただいたらいいのじャないかと実は私は思っておる。できますれば、私どもは今回考えました機会に、すでにできているものにつきましても、新しい合理的な株式会社組織に切りかえてもらいまして、そうして土地造成を合理的にやるということになりますれば、それが一番望ましい姿ではないだろうか、もちろんそういうことを離れまして、新しく自治団体も出資の形で参加いたしまして、一つの企業体ができまして土地造成をやるというのは、これは一つの十分考えられる形態でございまして、そういうことでございますれば、私一つの望ましい形態だと言えるのではないかと思いますが、しかし、どうしても能率的に土地造成をやるためには、民間の経験者が中心になって土地造成をやるということが非常に重要なことでございまして、やはり土地造成という仕事は非常に企業的色彩が強うございますので、そういったような企業体ができた場合に、能率的にやってもらう、それが企業的性格が強いというのは、決してぼろもうけするとか、そういう意味じャなくして、事業の遂行その他を最もタイミングよく、コストを安く土地造成をするという意味におきまして、そういう知識経験を十分活用した企業体ができてやる、こういったようなことにいきますれば、実は私、全国各地で土地造成が行なわれ、あるいは今後も行なわれますが、全体としていい方向を派すんじゃないかと考えております。なおその際、自治体がやります場合には、大部分が財政資金によるわけでございますが、昨日も申し上げましたように、開発銀行がやります分、大体二割から三割くらい開発銀行の資金に依存していただきまして、あとは市中銀行、地方銀行と協調融資をいたしまして適切を期しますので、財政資金の効率的な活用という点からいきましても一つの行き方ではないだろうか。しかし、重ねて申し上げますけれども、全国の工業用地の造成を、こういう形で全部、あるいは大部分やるというところまではなかなか考えておりません。やっぱり自治体が中心になって直営でやるという部分が、大部分あるいは相当部分を占めるのではないかという見通しを持っておりますが、大体そういうことで、工業用地の合理的な全国的造成がうまくいきますようにつとめたいというのが、今回お願いしている趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/48
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049・鈴木市藏
○鈴木市藏君 だいぶ考え方が明らかになってきたと思いますが、いま言われた考え方は、土地造成に関する、つまり公庫設立的な方向を、なかなか一元化というのは、それは地方自治体の関係もあってできないでしょうけれども、政府関係機関が、たとえば市中銀行との協調融資のような態勢をとりながら、土地造成の新しい公社設立、そういったような方向へ道を開くことを考えておられるのではないか、その一つのポンプの呼び水的な存在として今回の処置が行なわれているのではないかと、こういうふうにわれわれは理解しているのですが、この理解にあなたのさっきの答弁はやや似たと言っちゃおかしいけれども、ややそういうふうなことを一部肯定するようなお考えだというふうにとりましたが、われわれの理解は違いませんか、そういう方向へ今後は土地造成についてはいくのだ、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/49
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050・平田敬一郎
○参考人(平田敬一郎君) 公庫ということばをお使いになりましたが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/50
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051・鈴木市藏
○鈴木市藏君 これは一つの仮定です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/51
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052・平田敬一郎
○参考人(平田敬一郎君) これはあくまでも株式会社組織にしてほしい、責任の所在がやはり株式会社が金融の対象としては明らかでございます。それから事業の能率的な遂行という点からいきましても、これはやっぱり日本の経済の中におきましては、株式会社組織でやってもらったほうが一番いいんじゃないかと考えておりまして、そういう株式会社に自治体が出資することがあっても、これはもちろん差しつかえない、場合によりましてはそのほうがより円滑にいく場合もある、しかし、必ずしも自治体が出資する必要はありません。やはり望ましい企業体ができまして、能率的にやっていくということでございましたら、私、先ほどから重ね重ね申し上げて恐縮でございますが、ケース・バイ・ケースでよく審査いたしまして妥当を期してしくということでございます。なお、一点つけ加えますと、自治体が中心になりましてつくりますが、つくった土地を民間企業が購入する場合、こういったようなものもある意味におきましては含めて考えていきたいと考えておりますが、しかし一番代表的な例といたしましては、このお話の公社とか、公庫ということばが先ほど出ましたようですが、一種の株式会社形態の能率的な土地造成会社ができますということは、ほんとうは一番望ましいのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/52
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053・鈴木市藏
○鈴木市藏君 時間がないので、この問題だけにかかっているわけにいきませんけれども、土地造成の現在及び将来にわたるところの一つの見通しがあると思うのですが、日本の土地造成の持っている発展の水準といいますか、見通しというものがある、だろうと思う。それをもし開銀のほうで調査しておられるとするならば明らかにしてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/53
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054・平田敬一郎
○参考人(平田敬一郎君) 土地造成の中でも工業用地の造成というものは、実は今後の日本の虚業の発展にとって非常に大きな意味を持っておることは御承知のとおりでございまして、実はその点につきましては、いま通産省に産業合理化審議会を設けて、その中で産業立地部会というのが設けられておりまして、そこでどういうふうに、どの程度の規模において、どういう土地造成をやる必要があるかということをこまかに検討しておられるようでございます。その報告も、あるいはまとまったか、あるいは近くまとまろうとしておるかと思いますが、詳しくはそういうことで実はごらん願ったほうがいいんじゃないかと思いますが、いずれにいたしましても、例の倍増計画が予定しておりまするような産業の発展、経済の成長ということを考えますと、やはり今後相当な坪数の工業用地の造成を必要としておる状態でございます。数字は私のほうが申し上げますのはあるいは適当でないかもしれませんが、むしろそういったようなことで、相当こまかく政府の部内におきましても検討いたしまして妥当を期することになっております。私ども土地造成をやりますことにつきましては、そういう関係で研究しておられますこと、並びに具体的な問題につきましては、その担当の部の意見等もよく聞きました上で妥当を期してまいりたいということをこの際申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/54
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055・鈴木市藏
○鈴木市藏君 ただ現状においては新しい工場立地というふうなものでも、いままでに考えられなかった一つの大きな拘束的な条件が出てきた。それは労働力の不足です。したがって、場所が適当であるから新しい土地をつくって、ここに工場をと言ったって、なかなか、特に若年労働力というものは集まってくるものじゃございません。したがって、土地はできたけれども工場を建てるに至らず、工場はできたとしても操業するに至らずといったような状況が、もう日ならずして生まれてくるだろうと思うのです。だから土地造成自体については決していままでと同じような、そういうような方向への発展は期待することはなかなかできないであろうとわれわれは考えておるわけです。一定のもう限度にきたこの工場立地条件というものから見ての土地造成は。しかし、これはあとは討論になりますからやめますけれども、この開銀が融資すれば、大体開銀一の融資に対して民間の金融機関は大体三だと言われているぐらいに、当然この土地造成に開銀が融資という形で動き出せば、先ほど総裁も言ったような協調融資の形は非常な額にのぼってくるだろうと思うのです。当然そこに投機的な性格も効く、土地造成というものは本来投機的な性格を持っていると思うのですよ。ですから、そういう点において、ひとつ今後の問題については厳重な私は監視を加える必要があると思うのです。私たち自身は、いま開銀がこの状況下において土地造成の方向へ融資をするということには、これは根本的に疑問があります。しかし、これ以上は討論になりますから質問をこの程度にとめて、次に国立学校の特別会計のほうに移りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/55
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056・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ちょっと速記やめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/56
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057・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/57
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058・鈴木市藏
○鈴木市藏君 国立学校の特別会計の法案について質問いたしますが、あそこにずっとごらんになってわかるとおり、この特別会計法案と自動車検査登録特別会計法案を除いては、当委員会にかかっているものはほとんど全部一部改正です。一部改正法案で、この二つの法案だけが新設法案。したがって、われわれが審議すべき本法案の性格としては、これは非常に慎重審議を要すべき性格のものだと思うのです。こういう点で慎重審議をするということになれば、あと一日、せいぜい一日しか残されていないこの時間に、これだけ重要な法案をとても審議する時間的な余裕というものは考えられない。普通の常識で見ても考えられないと思うのです。一体、衆議院ではこの審議に要した日数はどのくらいだったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/58
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059・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) 国立学校の特別会計の審議は私の記憶では二日でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/59
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060・鈴木市藏
○鈴木市藏君 その二日というのは衆議院の大蔵委員会での審議が二日という意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/60
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061・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) さようでございます。これにはもちろん提案理由説明、そういったものは含んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/61
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062・鈴木市藏
○鈴木市藏君 衆議院が二日、参議院がほとんど実際においては何時閥にしか過ぎないような、こういう審議の状況で、これほどの法案が通過していくということは、きわめてこれは重大な問題だと思うのです。おそらくこれは大学の会計については、財政問題については、また、ひいてはそれが教育全体の問題については画期的だと思われるような、そういう内容を持っている法案を、なぜ一体このような唐突の間に提出してきたのか。これは少なくとも半年なり一年なり、世論の動向を聞き、出離者の意見も十分聞いて、国会においてはまたその審議に十分な余裕をおいて行なうという、そういう態度をとるべきではないかと思うが、一体どうしてこういうことになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/62
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063・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) 国立学校の経理につきまして特別会計を設ける話は、これはここ一年の間に急に持ち上がったということではございませんで、昭和二十二年に、明治以来五十七年続きました特別会計の制度が廃止になりましてから間もなく、またこのことが議題になったわけでございます。関係者の間に議題になったわけでございます。昭和二十六年に、すでに中央教育審議会の前身でございます中央教育刷新審議会が、文部大臣に特別会計の設置について建議いたしております。その後、文部、大蔵両名の事務当局間におきまして、この特別会計の設置につきまして、たびたび話し合いが行なわれたわけでありますが、結論を得ないで推移してきたわけであります。昭和二十九年、三十年ごろにも国立大学協会は、この国立学校の会計を特別会計にすることについて検討するよう文部省に申し入れたというようなこともございます。その後しばしば事務当局間におきましては、たとえば事業の性格を持っておりますところの付属病院について、これを切り離して、特別会計にしたらどうかというような話もあり、かなりのところまで話し合いがいきましたが、大学の管理上、どうもぐあいが悪いというようなこともありまして、見合わせになったというような事実もございます。昨年に至りまして、国立学校の施設設備の充実、特に大学急増対策の一環といたしまして、国立学校の施設設備を充実するには、どのような会計上の、経営上の方途を考えたらいいかということにつきまして、昨年の四月以来、両名の間において検討を行なってきたわけでございます。したがいまして、この問題につきましては、確かに表面的には、昨年の十二月、予算編成期に際して特別会計の設置が具体化したというふうなことから見ますと、非常に短かい日月の間に特別会計の問題が取り上げられて、かつ片づけられたといったような印象を与えているかと思いますが、事実的にはそのような長い経緯があったわけでございます。したがいまして、この問題は、そういったような意味におきまして、非常に短かい期間の間に取り上げられて、結論を急がれたというような印象を、あるいは与えているかと存じますが、両省におきまして、この特別会計を設けることの可否については、十分慎重に検討して、かつ、その上でこれを設けることが適当であるという判断に立って踏み切ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/63
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064・鈴木市藏
○鈴木市藏君 冗談言っちゃいけませんよ。いま言ったようなことは、何年先からこういうことがあった、こういうことがあったということは、むしろ事の重要性を裏書きするものであって、これが国民の世論を十分に聞いたというような、慎重審議をしたといったような経過とは全く合致していませんよ。そういうことを言っているんじゃない。私の言っているのは、法律が出て、こういう形でやっていくんだということになってから、どれだけ一体慎重審議の時間的な余裕をとったかというんです。二十二年からやった、二十六年はこうだ、二十九年はこうだというようなことは、具体的な法案として提出してやられたものでないんでしょう、それは。やはり国会の審議になってから衆議院でたった二日、参議院でいま初めて私が質問するようなものですよ、この問題をここではかって。このような短い審議の時間しか実際問題としてはできないような状況下において、この重大問題を審議させるということは、決してあなた方がこの法案について慎重審議の態度を貫いているとは言えないじゃないですか。それでは聞きますが、衆議院であれですか、この法案を審議する過程においては、文教委員会との合同委員会を持ったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/64
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065・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) 持ちました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/65
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066・鈴木市藏
○鈴木市藏君 それじゃ、当委員会においても文教委員会との合同委員会を持つように、たとえそれが委員会が時間的に追われていたとしても、当然法案提出者として、慎重審議をすべきたてまえ上、文教委員会との合同委員会をあなた方みずからのほうから申し出るくらいのこれはあれがあったっていいと思うんです。衆議院においてやりながら、参議院においてなぜそれをとらなかったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/66
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067・齋藤邦吉
○政府委員(齋藤邦吉君) 非常に慎重審議でないようなお話しでございますが、国立学校特別会計法案につきましては、だいぶ以前に趣旨説明をいたし、まる一日これだけにかかりきりということは、参議院においてもなかったと私も承っておりますけれども、相当予算審査の段階において御審議を賜わっていると思う次第でございます。
なお、文教委員会との合同審査等につきましては、政府から申し上げるべき筋のものではないと、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/67
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068・鈴木市藏
○鈴木市藏君 ですから、申し出る筋合いではないといっても、法案審議の状況によっては、あなた方みずからそのような方向をとる、あるいはむしろ与党のほうからとったって私は一向差しつかえないと思うんですよ。こういう問題については、これは大蔵委員会だけで、特別会計だからということだけでここだけで審議するというのは、私はやはり正しくない、当を得ていないと思う。
それからもう一つ聞きますけれども、その過程の中で衆議院ではあれですか、大学側から参考人を呼んで意見を聴取したということはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/68
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069・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/69
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070・鈴木市藏
○鈴木市藏君 それも、どうもあれですね、懐重審議の過程から見るとずいぶんおかしいと思うですね、その経過から見て。それでは聞きますけれども、なぜこれを急がなければならないのですか。これがもし本会計年度のうちに可決されなければ、どういう支障を来たすんですか、具体的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/70
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071・齋藤邦吉
○政府委員(齋藤邦吉君) 昨日、成瀬委員の御質問に対しましまして主計局の次長から詳細に御説明を申し上げたはずでございますが、事務的にも非常な支障をたくさん来たすのでございまして、この法案がかりに三月三十一日に通りませんと、あとはやりくりしろ、こういうことになると思いますが、やりくりしろということになりますと、これはたいへんな会計法上の違法行為をたくさん犯さなければならぬ、こういうことになるわけでございまして、私ども当事者としましては違法行為をやれというふうなことはいたしかねるのでございまして、先般来お願いいたしておりますように、年度内に一日も早く御成立賜わりますよう御協力のほどをお願い申し上げたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/71
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072・鈴木市藏
○鈴木市藏君 私は、これを委員会に、あるいは委員長にこの席上をかりて参議院の文教委員会との合同委員会、あるいはまた、しかるべき参考人を呼んで、その慎重審議の時間を与えられるようにこれは要望しておきます。
それで、次の賛同に移りますが、一体この法案の発議者はだれなんですか。この法案の発歳者は一体どこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/72
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073・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) 政府提案でございますから、政府でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/73
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074・鈴木市藏
○鈴木市藏君 それは政府は言うまでもないんですよ。政府のうちの発議者と言っているのだから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/74
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075・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) 政府部内においてこの問題を取り上げましたのはだれかという意味でございますか。――そういう意味でありましたら、この特別会計につきましては、具体的にこの設置について話を切りましたのは大蔵省でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/75
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076・鈴木市藏
○鈴木市藏君 それじゃ、ちょっと大蔵省に聞こうと思うのですが、大蔵省のだれがその責任なのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/76
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077・齋藤邦吉
○政府委員(齋藤邦吉君) 大蔵省のだれと申しましても、具体的なことではないので、大蔵省の関係各局で十分御相談をいたしまして、これは大蔵大垣から文部大臣に提案をして御賛成を得て、両省で意見が一致した、こういう形に相なっておることは御承知のとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/77
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078・鈴木市藏
○鈴木市藏君 それだから、あれですね、この席上であなた、代表しておられるし、大蔵省の委員の方もおられるでしょうから、質問に答えることはできると思いますね。大蔵省はどういう理由によってこの法案を発議したのか、それをひとつ聞きたいと思うのです、どういう理由によって……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/78
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079・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) 委員長。――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/79
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080・鈴木市藏
○鈴木市藏君 いや、それはあなた、文部省の法規課長でしょう、どこです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/80
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081・齋藤邦吉
○政府委員(齋藤邦吉君) いや、主計局の法規課長です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/81
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082・鈴木市藏
○鈴木市藏君 それはどうも、私は知らなかった。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/82
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083・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) この国立学校を特別会計にいたします提案をしましたのは、先ほどもちょっと触れましたが、国立学校の施設設備が非常に科学技術の進歩に追従していかないような状態にある、いかにしてこれを改善するかというようなことが非常な長い間の懸案になっておったことでございます。そのことも、もう一つ御案内のとおり、数年前の高校急増対策がやがて大学急増対策となり、これを目前に控えて何らかの手を打たねばならないといったような事態になっておったのであります。で、この際、国立学校の施設設備その他内容を充実するためには、どのような方法があるだろうかということを、先ほど申し上げましたが、四月以来事務当局間において検討をしておったわけでありますが、ひとつ特別会計に踏み切ったらどうだろうかということを提案いたしましたのは、国立学校の評価額といたしまして約二千億を上回る資産を特別会計に出しまして、この財産を活用していく、こういうことは、御案内のとおり、国立大学につきましては、各地において統合整備が急がれておりますが、他方で相当な建設も必要といたします。同町に、その身がわりに不用の土地その地の財産が生じております。従来ですと、その処分収入は一般会計の歳入に入ってそのまま具体的なつながりをもってそれが学校に還元をされるというようなことはない。しかしながら、特別会計を設けますと、その不用財産の収入というものが学校の施設設備に充当できる。それから借り入れ金でございますが、これは一般会計におきましては、もちろん借り入れが全然できないというわけではありませんけれども、特別会計にいたしますと、財政投融資の資金からの借り入れを仰いで施設の整備を促進し得る利点がある。それから歳計の剰余金は、これは現状でございますと、いかに病院の歳入がふえても、あるいは歳出節約に努力しても、これはいずれも一般会計の歳計剰余金の一部となって、学校側がこれを利用するという方法がない。しかしながら、特別会計にいたしますと、それは頼み立て金に積み立て、あるいは翌年度の歳入に繰り入れることができる、繰り入れて、これをまた大学側の歳出に振り向けることができる。それからまた弾力条項を設けまして歳入が、たとえば病院の収入が予算をこえて増加した場合においては、直ちにこれを予算の追加補正というようなことをすることなくして当該年度の歳出に充当することができる。そういったようなことのほか、予算の弾力的執行についても、特別会計にいたしますと、いろいろと重宝な点がございます。そういったことをいろいろにらみ合わせまして、この際、特別会計に踏み切ったほうが、大学の財政の基礎を確立するし、その施設設備の整備を促進する上において非常に有利ではないか、こういうような判断に立ってわれわれは特別会計に切りかえることを提案した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/83
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084・鈴木市藏
○鈴木市藏君 私の時間はあともう幾らもなくなりました。私だけが一人質問しているわけにいかないので、次に聞きますけれども、そうすると、その発議した大蔵省の考え方は、一口に言うならば財政上の理由なんですね。このような特別会計の設置という新しい法案が、さような財政上の理由だけでやられていいものかどうか。当然これは大学教育全般に関する問題を含んでおると思うので、この特別会計設置に関する諸過程の中で、当然文部省ともこれらの問題については話があったと思うんです。大蔵省の理由は大体わかりましたから、これについて一体、文部省はどういう態度をとったか、お答え願いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/84
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085・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) ただいま相澤法規課長から申し上げましたように、この問題につきましては、正式には文部省が、十二月の初旬に大蔵省の最終的な態度についてこのようにやりたいというお話を承ったのでございますけれども、その前から、さっきも申し上げましたように、戦前の特別会計制度、これは今回の特別会計制度とは基本的に違います。それは、やはり前には資金をたくさん持って、その運用の益によって、大学の財政というものを立て直していこうという考え方でございましたが、インフレとともにそれが効力をなくしたので、特別会計は廃止になったのであります。そのうち、戦前の特別会計制度にノスタルジアを感じておる人もあるし、そうでなくて、新しい観点に立って特別会計制度に踏み切ってもらいたいという学長もおられるということで、私どもといたしましても、この大学の財政全般についてどのようにすることが適当であるかという考え方の中で、大蔵省側とよりより相談はいたしておりました。しかし、まだ最終的に文部省としてこれが最善のものであるという結論を得ない、いわゆる中間の形の中に今回の特別会計制度が出てきたわけであります。私のほうは、その出てまいりましたときの基本的な態度としては、いまお話のあったように、これから大学の急増時期に向かっていく、同時に、大学制度全体についてもひとつ検討しなければならぬときでございますから、この特別会計制度がわれわれの期待するような前向きの姿勢で発展性のあるものかどうか、それをひとつ検討を加えると同時に、一方、これを受ける側の国立大学協会のほうの意見も聴取しなければならぬわけでございますので、そのほうの役員会、あるいは大学協会側では専門委員会を設けて検討されましたので、専門委員会の意思、あるいは一月になってからのあちらの総会の意思というものを体して、とにかくこれから大学急増の時期に向かうとき、あるいはまた、大学制度全体を改善すべき時期に来ているときに、この特別会計制度というものは、現在の一般会計制度よりはベターであるという考え方の上に賛成をいたしたようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/85
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086・鈴木市藏
○鈴木市藏君 文部省としては十二月の二十日ですか、この大学協会の専門委員会にこの問題について相談をいたしました。で、専門委員会は二十五日に案をつくって各大学におろしたのです。実際は一月の二十三日に国大協の総会を持った。この間にこの案についての各大学の意見が十分に盛られてきたかどうか、この案について各大学の意見が十分に反映されてきたかどうかということについては、これはずいぶん時間的な余裕をみてもなかったと思うんですね。たとえば、この十二月の二十五日に専門委員会が案をつくって各大学に渡したとしても、このときはもうすでに年末の休みになっておりまするし、一月はそういったような形で非常に怱忙の間で、しかも、ほとんど各大学の教授会なんかも十分にこの法案を審議していくいとまがなかったと思うんです。そのときに文部省のほうから出された諮問といいますか、あるいは、こういうことでやりたいというようなときには、いま出されておるようなこういう法案の形態をもって諮問されたものですか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/86
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087・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) もちろん、十二月初句に受けて直ちに専門委員会を設けていただいて検討するときには、まだ完全に法案というものの整備のできておるときでございませんので、この法案に盛っておるような内容の要綱によって、こういう要綱でひとつやろうとしておるのだという要綱によってやったわけであります。それから、いまお話にございました時間的に十分に各大学で検討するいとまがなかったではないかということでございますが、物理的に時間数といえば、一月ほどの間にきまったわけでございますから、あるいは十分でないと言えるかもしれませんが、しかし、大学の財政というものを今後どのようにしむけていくかということは、各大学とも長年の懸案でございまして、それはそれ相応に各大学で検討しておる課題でございます。その中に、政府としてこういう考え方でやったらどうかということで持ち出していったわけでございますから、大学側が唐突にそれを受け取ったということでなくして、向こうの予備知識の上に、今回の要綱が資料となって検討された、こういうように判断をするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/87
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088・鈴木市藏
○鈴木市藏君 聞くところによると、ほとんど実質審議というものはゼロに近かった。むしろ学長個人の意見を反映するよりすべがなかったというような実情だったとわれわれは聞いております。特にこの出された意見の中では、独立採算制の方向に向く危険があるのではないかということについて、強い要望もしくはそれに対するところの意見が出されたということを聞いておりますが、一体、この特別会計のねらっていく方向は、独立採算制の方向に行くのではないかというようなことについては、ずいぶんみな心配しておったんですが、どういうようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/88
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089・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) そのことは、大学側だけでなくて、文部省自体としても一番関心を持たなければならぬ課題でございます。その意味で、大蔵当局との話し合いでの最大の問題点というものは、今後の運営の中において独立採算的な方向に向くのではないか、あるいは事業会計的な考え方に立つのではないかということが一番論議されたところでございます。そのことは、大蔵省も厳としてそういうことではないという確約をいたしております。今回の特別会計は事業会計的な性格ではなくて、会計区分で申しますならば、区分会計とでもいうべきものである。その端的な証拠は、本年度の特別会計の財政規模の中で千百四十五億というものが一般会計から入ってきておりますが、それは全体の予算の八二%であります。何としても教育でございますから、これは事業会計的な性格になるべき筋合いのものでなくて、また、これから後も、その基調は永久に持続するという確約の上に、文部省のほうは了承いたしたわけでございます。大学側のほうでも同様の心配がございまして、国立大学協会の総会の席上におきましても、一番やはりその点について文部省側に意見をただしてこられた。われわれはわれわれの確信の上に立ってそういう心配はないのだということを申し上げて、御了承をいただいたような経緯でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/89
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090・鈴木市藏
○鈴木市藏君 私はこれで時間がないのでやめなければなりませんけれども、先ほど申し上げましたように、文部省自身としても、これが最善のものだとは考えておらぬ、中間的な性格のものだ、各大学においても、ほとんどこの法案自体に対する実質的な審議はゼロに近いような状態で、まさに唐突の感のあるような形で、この法案が短時間の間に審議され、決定されていくということについては、大きな私たちは疑問を持つ。むしろこういうやり方は反対です。ですから、いまの独算制の問題においても、独算制の方向にはいかないという確たる保証を、この法案の逐条審議の中から確約していかなければならぬ性格のものだと、審議はそういうものだと思いますが、それさえ時間的な余裕がない。こういうような中で、このような重大な法案が審議されるということ自体に対して、私たちは国会の正当な審議権というものを発動する時間さえないということについて大きな不満を持っております。私は質問をこれで切るのですから、委員長にも先ほどの要望を強く言っておきます。これは当然年度のいかんにかかわらず、やはり文教委員会との合同審査、参考人を呼んでもう一ぺん練り直すべきだ、その意見を強く申し上げて、私は時間がありませんから、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/90
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091・天田勝正
○天田勝正君 質問はたくさんありますが、審議促進の関係もありますから、せっかく席に着いておるから、国立大学特別会計法から始めます。今度の会計法を含めて、新しい法律が出されるということは、結局国立学校の内容、それは病院も、研究所も含めてでありますが、そういうものがよくなるということでなければならぬと思います。ところが、従来さようになっていないと私は判断いたしますので、まず政務次官が見えておられますから、日本に新しい六、三、三、四の学制がしかれる以前と、今日において、教授、助教授の数がどのくらい増加しておるかそれをまずお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/91
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092・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 戦前と戦後では、学校制度が全然違いますので、端的な比較は困難かと存じます。端的に申しますと、戦前は高等学校あるいは専門学校、師範学校であったものが、戦後はすべて大子に切りかわっております。したがって教授、助教授といったものの戦前、戦後の比較をする場合には、制度の変遷ということを考慮に入れてやりませんと、正確な比較ができないわけでございます。大学だけで申しますれば、戦前は旧制大学だけだったわけでございますので、きわめて少数でございます。したがいまして、むしろ戦後の新制大学が発足して以来の大学の教授、助教授の増加の状況を申し上げますと、新制大学は発足いたしましたのは昭和二十四年でございますが。第一学年より学年進行をもって発足いたしましたので、大学として完成した形になりましたのは昭和二十八年でございます。したがいまして昭和二十八年度の国立大学の教官数とそれから最近の昭和三十八年度の教官数との対比について申し上げますと、二十八年度におきまして教授が六千二百三十三名でありましたものが、三十八年度には八千七百三十七名に増加しております。それから助教授が二十八年度に七千五百五十九名でありましたものが、三十八年度には九千五百八十二名というぐあいに大体三割ないし四割程度の増加を見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/92
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093・天田勝正
○天田勝正君 何しろ時間がないので端的に答えてもらいたいのだ。別の要素なんか持ってこられてもそれは困るよ。それは師範学校が大学になった、実力が中学校のときの教諭が大学教授になった、そういうものではないのです。専門学校になったときでもこれは議論があったのです。戦時中だからあまり表に議論は出なかったのですが、だんだん集積して専門学校に師範学校をすべきであるし、どうもそれを教える側においてはいかがかという議論がある中で、だんだん実力を整えてきたので、師範学校の教諭が今日大学の教授になった、そういうことではないのです。やはり大学になったらなったで、それだけの実力がなければならない。そこで私がこの問題をなぜ問題にするかというと、私の調べではあなたの数字とは違って、二十八年あたりを持ち出すからそういう変なことになる。そうでなく、戦前は大学教授と称する者は二千二、三百しかいなかったはずですよ。これは私立も含みますけれども、いまその二十倍をこえているはずです。二十倍をこえている。だから建物は建つだろうけれども、しかしその設備を十分使いこなしたり、学者なぞというものはインスタントでできるものじゃないのです、本来は。だからそれは悪口のようになるかもしれませんが、私立についてはあまり干渉がましいことはすべきじゃない。しかし、国立学校の場合はそうであってはならないと私は思う。それならば聞きますけれども、要するに教育なんですから、極端に言えば本来属人的なものです。外国ではみなそうですよ。オックスフォードだって、ケンブリッジだって、私が言うまでもなく皆さんのほうが知っていると思う。全部教授のところに呼びつけて、一週間にこれとこれを読んで来なさいという式でやっている、それがほんとうの教育だ。日本ではマイクでやっている、だからほんとうの教育ではなく、何々大学株式会社ということになってしまっている、そこに教育の乱れがある。そのもとは国が率先してこういうふうな学者のインスタント製造をやったというところに私はあると思う。それが今度のこういう会計法で幾らか改善できますか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/93
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094・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 大学の教官の養成それから現実に大学で採用する場合の選考、これはすべて大学が自主的にやるたてまえになっております。政府はそのために学校制度を整備し、あるいは建物を建て予算措置を講ずるというのがたてまえになっております。現在大学の教官の養成は、主として大学院においてなされております。したがって大学の教官の資質を高めるためには、本質的には大学院の教官組織なり施設、設備を充実し、研究費を充実するということが主体になるわけでございまして、このためには一般会計である場合でも、それから特別会計である場合でも十分な努力をしてやっておりますし、特別会計によりまして全般的に大学の会計制度の運用が円滑になれば、ひいては大学院の充実にも資し、あるいは大学の教官たるべき者の資質の向上にも資し得るものと考えております。さらに具体的な採用のための選考は、これは大学の教授会の議を経て学長が文部大臣に申し出るという形になっておりまして、大学の教官として十分な資質を備えている者を慎重に選考されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/94
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095・天田勝正
○天田勝正君 三十分しかないのに、一問でこんな長くかかっては困る。そういう手続なんかこの際聞いてもしょうがないんです。そうすればこの問題だけで次の人にバトンを渡さなければなりません。手続はわかっておりますよ。そうでなく、私は政府に根本的な考え方を聞きたい。それなら政務次官にお聞きしますがね、どこに日本と韓国のようにこれだけ一ぺんに大学がふえた、教授がふえた、生徒がふえたという国がありますか。ソ連もこのごろふえておりますけれども、何十年もかかっております。中国を見たっても、昔からあったものを内容をよくしただけで、新しい大学はそう数よけいない。それは、かかってそういう研究機関というものをインスタントでできないということと、学者というものなんかは幾ら制度でちょいとやったからといって間に合わせでできるものじゃないというところからきているでんすね。それはいろいろおっしゃるけれども、現実にそうでしょう。そうして、大学院においてちゃんと後継学者を養成してから新学制ができたというわけじゃありゃしない。それは審議官も御承知のとおりだ。しかし、いまでは間に合わないから、おそまきながら新しい何か制度をつくるたびに、その根本を正していくということがなければならない。しかも、それも、学者に干渉がましいことにならないように、幾ら先生方であっても、それは少々無理じゃありませんかということは言いにくいと思うんですよ。これは意見のようにわたって恐縮ですが、ついこの間も新聞に出ておったでしょう、インドから来た学生が語っておりました。ずいぶん大きく出ましたから御存じだと思うが、日本に来てびっくりしたのは、設備はわが国のほうがよほどりっぱである、こんな古くさいものでよく研究できるなと思った。ただ驚いたことは、その古い機械でそれをよく間に合わして研究を進めておるということ、何といいますか、人の和と態度であるというような意味のことを語っております。ですから、日本の大学の研究する設備なんというものが、いかに陳腐なるものであるかということは、後進国のほうで知っているんですよ。ですから、この特別会計をやれば、せめては内容が非常によくなるということのプラス面がなければならないと思うんです。これは文部当局だって大蔵当局だってそうでなければならぬと思うんですが、そういう点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/95
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096・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) おっしゃるとおりの弱さというか、問題点は私もあると思います。ありますが、だからといって、それではいまの現在の大学をもとに戻すわけにもまいりません。現在ある中でいかに充実さしていくかということであります。その意味において、新制大学の中でもいわゆる充実できたものは大学院大学に変えていく、そういう努力を一方においてやっております。同時に、いまおっしゃったように、いままでどうしても義務教育あるいは高校急増というものにやはり追われるという立場がございますので、大学の施設、設備になお十分でないというところがございます。今回の特別会計によりまして施設、設備の新五ヵ年計画というものを策定いたしまして、特に大学の急増対策を含めた国立大学のあり方をどうするかということを、この八月までにはきれいに整備いたしまして、その急増対策といままでおくれておる施設、設備の整備というものを特別会計によって充実さしたいということを言っているのであります。いま一つは、大学をよくするためには、やはり教官の待遇並びに研究というものが必要でございます。もちろん教官の待遇につきましては、人事院という一つのワクがあるわけでございますから、人事院というところを通じて給与三本立ての実が上がるようにわれわれのほうから絶えず要請をしておりますので、その答申を尊重しながら給与、待遇については考えてまいりたい。また、教官研究費につきましては、今回の予算措置によりまして、いわゆる特別会計によってこの時点における予算措置におきまして、いままでよりは一五%の教官研究費の増額を見ることができました。また学生経費につきましても二〇%の増額を見るということになったわけでございます。しかし、何としても大学全体の問題としては、その組織の編制、目的、性格、あるいは管理、運営ともになお改善しなければならぬ点があるわけであります。中教審の答申も出たことでございますから、可及的すみやかに大学全体の向上に進むべき施策というものを整備してまいりたい。その前提に立って今回のこの特別会計制度は飛躍の足がかりになるものとわれわれは考えているものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/96
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097・天田勝正
○天田勝正君 この問題にたくさん私も議論があるんです。どだい日本で学問の内容だとかそんなことにはおかまいなしに免状だけをとうとぶというのが、政府側ばかりでなく一般民間にもそういう考え方がびまんしておりますから、問題はそういうところにあると思います。これは大学の先生方にも私は聞いてみたいと思っておる。しかし、これはきょう時間がありませんから、そういうことは一切やめます。
次に移りますが、さっきから開銀のことがいろいろ議論されましたが、北海道東北開発公庫法の改正の中にも土地造成というものがございますが、これは全く同趣旨で、しかも融資対象は株式会社をつくらしてやらせる、こういうことになるんですか。どなたでもいいです。監理官かだれかおいででしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/97
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098・木村喬頼
○説明員(木村喬頼君) 北海道開発庁の木村でございます。開発銀行と同じような運用をしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/98
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099・天田勝正
○天田勝正君 それなら事後の質問はどなたから答えられてもけっこうです。
それから平田総裁もおられますが、実は審議促進の関係上、表座敷で質問する時間がありませんので、過日別の席で聞きました、私どもの一番心配していることは次のごとくであります。
それは先刻来何回も答弁されているように株式会社に融資したほうが責任の所在が明らかになっていいんだという一貫したお考えのようであります。ところがわれわれとしては、それでは別個の株式会社がつくられて、土地を造成して、やがてこの誘致する工場にこれを分ける。そうするとやはり低利団体でありますから、もうかったほうがいいので、開拓してもそれはしばらくストップしておいて、二年もたってからこれを入れる、こういうようなどうしてももうけ主義になりゃせぬかということが心配の一つ。それから融資の対象は入ってくるであろう工場、そういうものの組合でもよろしいし、そういうものに何かの会社なり組合というものをつくらしてそれに融資するということのほうがよりベターではなかろうか。あるいはまた、やはりこの融資は地方団体、こういうことに限って、利潤追求に走らないようにしたらどうかというような、いろいろなことを心配しているわけです。時間がありませんからまとめて質問したわけですが、そういう点についてはいかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/99
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100・平田敬一郎
○参考人(平田敬一郎君) 御指摘のとおり、私どもも地方団体が直轄でみずからやる場合が、今後におきましても相当多い、あるいはむしろ代行する場合もあるのじゃないかと思います。しかし、それだけではどうしても地方の実情その他から考えましても必ずしも適当でない場合がございます。そういう場合におきまして、いまお話しのとおり、できますればやはり特別の株式会社形態の企業体ができまして、そこで能率内に実行するといったようなことが、より効率的な土地造成ができる場合も私ども相当あるんじゃないかと見ております。その際に御質問のとおり、いわゆる世間で言っておりますように、土地会社的な一種の投機物ということは厳に排除していかなければなりませんので、一番典型的に考えられます例は、そういう場合にも、自治体等が出資の形である程度入りまして、間接的にそういったようなことに関する規制は十分やっていく。もちろん、融資にあたりましても私どもそういう点につきましては十分審査はしまして、さような弊害がないようにしてまいりたい、同町にやはり株式会社でござますと、事業の実行につきましては、何といっても機動的に能率的にできる妙味を持っておりますので、そういう点をむしろ十分生かしましてやっていきたい。それからお話しのとおり土地を利用する会社も入るということがより好ましい場合が多いというふうに考えておりまして、そういう一つの新しい型の土地事業会社ができますれば、全体的に見まして相当いい結果を生じ得るのではないか、生じ得るような角度で誘導と申しますか、指導しながらこの融資をやってまりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/100
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101・天田勝正
○天田勝正君 総裁、先ほど来聞いておるのですが、能率的、機動的ということは私もわからぬのではないのです。しかし、そのことが能率的にやっぱり行なわれるというのは、何といってもそこに利潤というものがぶら下がるから、結局能率的に仕事が運ぶのであって、何か二律背反的なものが感ぜられるのですよ。利潤追求に走らないようにチェック機関を設ける、それならばこういうものがいいというほどの結論がここにあるわけじゃありませんけれども、だからそれ以前に融資対象というものを、別にそういう株式会社でないものでしたらどうかという考えにおちいるわけです。それは私の意見ですからよろしい。
それからちょっと当局に聞きますが、よその国を多少私も見て感じますことは、中国などで非常にすぐれているというものは、いまの工業の内容じゃありません。それは私べたぼれしてはきない。けれども、この新工場をつくる場合に、まず働く者の住宅をつくるのですね。そしてそう遠いところを通わなくても、つまり労働力をその途中の通勤ということですり減らすことのないようにしながら工場が建設されておる。これは実に学ぶべきだと思うのですが、開銀総裁の答弁を聞いておりますと、そういう住宅向けには融資をしないんだ、大体、という方向のようであります。それは新しい今後の産業については私は逆ではなかろうか、それはむやみやたらに住宅地を設けるということは別でありますけれども、入ってくる工場の、それに必要な住宅などはむしろ厚く融資対象にしてもいいんじゃないかという考えを持っているんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/101
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102・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) この法律改正によりまして、開発銀行や東北開発公庫が行ないまする産業用地の主要目的は、つまり単独の会社がみずから土地を造成してそこに工場をつくる場合には、従来の開銀の融資対象になるわけでございます。それで今度の民間企業体がやる場合には、これは現在までは非常にその例は少のうございまして、これからそういう例が必要になるのではないかという考えで改正をいたすわけでございますが、それは複数の会社が同じような土地に工場建設するというふうな場合に、大体そういう進出企業等が予定されている、つまり全くの先行投資だけではないというふうなニュアンスのものを取り上げることになると思います。この場合住宅用地をどうするかということにつきましては、従来からも一般の工場関係等に伴う集団住宅用地の造成につきましては住宅公団等も毎年相当坪数行なっております。それから新算都市その他の地域におきまして、工場をつくり、またその必要な住宅をつくるにつきましては、開銀や北海道東北開発公庫の融資だけを考えているのではありませんで、その地域において総合的な、おそらくそういった工場用地と住宅用地とが並行して進められる、その主体をだれにするかという問題は、具体的なその場合によって違ってくると思います。開銀の場合におきましても、そういった住宅融資を全く排除するという意味ではない、一部そういったものが加わってくることも場合によってやむを得ないじゃないか、その程度の感覚は持っておりますが、それ以上にさらに住宅を専門につくらなければならぬような場合には別途の方法を考えて並行して進めたいという考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/102
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103・天田勝正
○天田勝正君 それですから、日本の行政のいつでも問題になるのはこの総合調整、それを一体どこでやるかということになると、地方のことは自治省だ、いや財政のことは大蔵省だと、こういうことになっちゃって、実際は総合調整はなかなか困難、そういうことがいつも問題になると思う。この場合はそうした、いまお答えのようであれば、何か総合調整をする場所がなければならぬと思う。これは法律的な規定でなくてもよろしいですよ、政府の行政措置でよろしい。そういうものは何かつくるんですか、つくらないんですか、それだけ聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/103
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104・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) いわゆる新産都市等の地域における開発計画の進め方につきましては、まだ具体的にどうというあれは完全に動いてはいないと思います。これからの問題になると思いますが、大体においてはその関係地方の府県等が中心になりまして、その計画の進め方について具体的な案を立てる。それらにつきまして、指導は経済企画庁において、計画について指導をすると、こういうことになると思います。そのためにいろいろ地方自治体におきましても開発事業団というふうなものをつくることも考えております。自治体が直轄で行なっておりますものを、開発事業団で事業的に行なうこともありますし、それらの総合的な調整は、自治体が話し合いで進めた計画に対して国が指導する、そういうことで総合的なプランというものは必ずうまくできていくんじャないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/104
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105・天田勝正
○天田勝正君 これは局長は新産都市のことを例を引かれたけれども、法律的には東北公庫だって開銀だって、別段新産都市というわけではないので、どこへでも融資する。ですからそういうたてまえになっておる。そうだとすれば、新産都市だけいいあんばいにいくというわけにもいかないんです。ですからそういうややこしい問題だから、やはりこの際すぐ別の行政機構をつくれなんという飛び上がった話をしたんじャないんで、だけれども、しょっちゅうそういうことを政府部内において調整――、あるいはそういう機関も含めてしませんと、さあそこへ工場ができた、ところが直ちに交通地獄を誘発する、当人は疲れ果ててしまって作業能率は下がってしまう、こういうこともあり得るので、この点は注意されるよう要望しておきます。時間がありませんので次へ移ります。
食管の関係、農林省どなたか来ておりますか、委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/105
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106・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 農地局長、畜産局参事官、食糧庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/106
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107・天田勝正
○天田勝正君 わかりました。では食管長官に聞きます。昨日も大蔵大臣に伺ったところでありますが、食管関係を今度変える。これは飼料の輸入が多くなって、対応するためだ、一言にし言えばそういうことだろうと思うんです。ところが日本の対外収支は、戦前におきましては貿易はまあ常時的には赤字、ただし貿易外収支、主として運賃収入でこれをカバーしていくということで、まあ例外もありますけれども大体そういう筋でございます。ところが今日はその貿易外収支も量的に赤字だ、こういうことになる。ところが一方食糧の輸入、そして今度は飼料の輸入は、酪農畜産の関係からしてもどんどんふえていく、この基礎はまあきょうは時間がありませんから申し上げません。とにかくふえている。ところがいまのところ政府が買い入れる、そうしたものでも八〇%かたはまあシップ・アメリカンですか、それはいろいろ弁解があると思います。そのよその船を使ったほうが安いとかあるいはリベートがあるとか、まあリベートはしかし政府が取るべきものじゃない、そういうことからしてなるほど安くということは日本の国内だけではそれでも済む、それでも済みます。国内のだれかが損すればだれかがもうかるというのですからそれはそれでいい。ところが対外的にはそうはいきません。そうさしてはまたならないのです、政府は。私は全部ということも窮屈だろうけれども、ほとんどはシップ日本に変えなけりゃいかぬと思っておりますが、これに対する考えをひとつ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/107
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108・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) きのうの御賛同でも申し上げましたが、おとといの経済閣僚懇談会でもその問題を取り上げたわけでございます。これはおとといだけ取り上げたわけではなく、もう昨年、一昨年来からずっと経済閣僚懇談会で取り上げているわけでございます。そして今度はひとつ本格的に取り組みまして、政府会計で買い入れるもの等に対しては外国船を使うというようなことはおかしいことであるから、これはひとつ障害があるならばどこに一体障害があるのかということを十分究明をしまして、こういう問題に対していままでだらだらしておりまして、輸入商社が自主的にやっているのだとか、なかなか農林省が言うことをきかないとかいろんなことがございましたが、もうそういうことではなく、できるだけ早く政府会計のものに対しては全部でも日本船を使うということを、ひとつまあぜひ腹がまえをきめて取りかかろうということにいたしたわけでございます。ただ、この前にタンカーを二隻ばかり改装しまして、小麦の輸送等に充てるようにいたしておりましたが、そんなことではどうにもならない、この一年間を通じて五、六千万ドル近くなりますので、こういう問題に対しては農林大臣もひとつ積極的に取り組もうということでありますので、その実をあげてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/108
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109・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/109
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110・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/110
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111・柴谷要
○柴谷要君 大臣、予算委員会でだいぶ御多忙だというので、一問だけでけっこうでございますから、お答えをいただきたいと思います。衆議院にこの揮発油税の改正が行なわれました際に、同僚井手委員から大臣に御質問をいたしました中で、四十年度以降農林漁業の問題については前向きの姿勢で検討をしたい、こういう御答弁がなされましたが、その点今日の段階でもお変わりはございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/111
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112・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 農業用ガソリンにつきましては、御承知のとおり技術的な問題がございまして、ななかか減免税がむずかしいのでということで、農道、林道等を含めまして百四十六億余万円の予算をつけたわけでございますが、衆議院の予算委員会の段階におきまして、よくわかるけれども農業基本法もあるのでありますし、道路整備の財源というふうに特定をしておるのでありますから、できるだけこれを減免の措置を講じようという強い御発言がございましたわけで、まあ、現在まだ今年度の予算案を審議していただいておるときに、明年度以降の財源に関することをこうなりますということを申し上げる段階ではないのでございますが、国会の御意志もございますので、明年度、すなわち昭和四十年度以降減免の問題につきましては前向きで対処いたしたいということを答えたわけでございます。また、財源の問題その他また調整技術の問題等もございますけれども、衆議院で言明いたしましたとおり、前向きでこの問題について真剣に対処いたしたいという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/112
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113・天田勝正
○天田勝正君 食糧長官、さっきのお話は大蔵大臣が答弁されましたから、おそらく農林大臣も同様な趣旨だと思います。そこで私は要望しておくのですが、とにかく黒字になるべき海運収入が赤字になっている。こういうことはあなたの管轄以外のことかもしれませんけれども、しかし政府の一員としてはやっぱりそういうことも考慮されて、食糧庁におかれても、いま大臣答弁のごとく推進するように努力してもらいたいと思います。それが要望であります。
それから今度農地局長に聞きますが、食管にも関することなんですがね。愛知用水公団ができたのは、まあ歴史をさかのぼれば二十三年に現地の期成会ができた。こういうことから出発いたしまして、結局公団ができたのは三十年でありますけれども、その間にずっと農林当局でこれが調査をいたし、その途中で資金的には世銀の調査もある。こういうようなことでありました。計画的なものはあまり長く申し上げるつもりはありません。問題は、この出発点は何というても当時の食糧増産、これがきっかけなんですよ。それはもう当時のここに議員としていた者、当時の政府のポストにおった者は皆さん御承知なんです。同時解決として要するに干ばつをなくする、こういうようなことになってきた。ところが今日それがようやくでき上がりまして、一応国の負担分もき承り、また関係者の負担分もきまってきた。こういう段階でありますが、結局、農村は助かりかつはわが国の食糧自給を高める、こういう目的でございましたところ、いま現存は農民、農村が助かるということには、私は負担金の面でなっていかないということを指摘しなければなりません。すなわち、受益者分担金でありますが、そのうち、牧尾ダムを使っていることから中部電力はこの幹線水路に対する分担金は二十二億出しておりますね。愛知県は上水道に使うということから四十四億円出しております。そこで農民は九十二億ですか出すことになっておる。これはステップインから反別割をやったからこういうことになっちゃったんで、その後の推移を見ますと、工業用水が現在八割ぐらい使っておりませんか、使っておるでしょう。ところがそういう工場のほうは農地を持っていないから、幹線水路に対する負担金は何も持っていないんですね。一銭も持っていない。これは大蔵当局にひとつ聞いて下さい、大臣いないけれども。そういうことで、たいてい、これはおそらく第一次的に質問をすれば、あなたのほうでは、いや、工業家も負担していますという答えになると思うのです。なると思うから先に言っておくんだけれども、それはそうじゃない。それは水の値段を負担している。これは農村のほうだっても四万三千円ですか、幹線水路の負担金を負担しているのであって、小水路の自分の田へ水を引くということになると、また別の負担になる。そうでしょう。それで、愛知県だって、さっき言ったように、上水道に使うので、幹線水路の四十四億円負担をするけれども、その他、水を使うにはまた別なんです。それで、その水を使う市民というものはトン四十円負担しているはずです。ところが、工業のほうはトン四円じゃないですか。たぶんそうだと思うのですが、私の記憶ではトン四円。その水の値段だけでも一般の人よりも十分の一の支払いなんです。これはあまりにもとんでもない負担割合だと思うのです。そうしてこれは変わってしまって、初めは食糧増産のほうにもっぱらいくべきものであったが、このごろは全部打って変わって工業のほうにいっちゃっている。まことにもってふかしぎしごくだと思いますが、これを変える意思はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/113
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114・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) お答えいたします。愛知用水の、御承知のとおり、長野県にダムをつくりまして、木曽川を利用しまして、えんえん水路をつくって水を配分いたしております事業でございますが、その事業の経費の負担関係につきましては、先生御指摘でございますが、若干違うところがございまして、一番もとのダムは農業と電気と水道で持つ。それから幹線水路、ため池、これは結局その先に、農業と上水道と工業水道とが使いますので、この両者が費用を持つ。こういう形に相なっております。それから、支派線につきましては、先生御指摘のとおり、五町歩まで公団がやりまして、たんぼにいきます水なんで、農民が負担する、こういう形においてやる。そうしてそれぞれの負担関係につきましては、御承知の、身がわり妥当投資法の計算で、工業、農業にそれぞれ持っていって、それぞれが負担する、そういう整理に相なっている次第であります。したがいまして、この水量でこれを単純に割り振るというような形ではなくて、建設費をまずこのように負担をいたしまして、それから今度はその水を愛知県の水道特別会計が受け入れまして、これを小売りといいますか、各村に特別会計が供給する値段が先女御指摘のトン四円という形に相なっております。それから、農民のほうは水を買うという形ではなくて、十五年間に四万三千円を払えば、あとはそのまま水は持ち分として使用いたしてまいる、こういう関係に相なっております。この負担関係につきましては、いろいろ各方面と議論もいたし、農民負担の増高を来たさないように愛知県に特別の負担をお願いいたしました等の経過等がございまして、いまのところ、農民負担の四万三千円を変えるということについては考えをいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/114
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115・天田勝正
○天田勝正君 まあ私も何せ時間を急いでいますから、こまかい説明をしているわけではないのです。ただ、問題は、あなた方が机の上で計算をすればいろいろつじつまが合ったようにはなっておると思います。なっておるとは思うが、しかし、愛知県も負担をし、中部電力も負担をする、そうして農民も負担をする。それが幹線だ、いや、上水道だからどうだという区分には、確かに説明足らざるところもあると思います。どっちにしても、そういうものがみんな負担している。しかし、今日はもう工業のほうで八割方も使っておる。初めの計画だって五割使う予定だった。それが八割も使っておるというようなことになってもそちらのほうの負担がないということは、私はふしぎに思うはずなんです。これはきょうわずかな応問で解決できよう問題ではない。大蔵省と農林省両方あれして、ずいぶん長い時間かけなければならぬと思いますが、だれが聞いたってこれはおかしいと思う。ほかの関係者みんな何がしか、名目はどうあろうと、負担している。工業だけはただ恵まれて、それも一般の水を使う市民と同じ値段ででも使っているというのならまださることながら、十分の一くらいの値段で使っているのはどうもおかしい。これはみんなペイすれば、全体が安くなるので、将来農民だけが無主物で云々というけれども、全部がペイできたときには、ほかのものだって払わなくていいということになるでしょう。あとは管理費くらいのところで用は足りる、負担しても。いずれにしても、これはふしぎなことだというふうに私はお感じになるから、あなたのほうでもいろいろ御議論になったと思う。そこで、これもひとつ課題にしておきますから、きょうはやる時間がありませんから、検討してみますか、大蔵省のほうから答えてもらってもいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/115
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116・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 一言だけお答えさしていただきます。反当四万三千円、反当たりのものと、その面積が変化いたしまして、全体の総額が農業分として減るという関係があるわけでございます。それで、反当の基準は前にスタートしました公約でございましたので、上げないように四万三千円とするといたしまして、面積が減少いたしたものを、前回の改定の際に、工業水道のほうと県庁に振り分けた次第でございます。現在のところ、施設といたしまして農業に使っております地区につきましては、四万三千円で賦課を開始しております時期でありますので、私どものほうとしては、せっかくのお話でございますが、この四万三千円をいまは動かす考えはない、かようにぜひ申し上げさしていただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/116
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117・天田勝正
○天田勝正君 それは困るね。そんなことはとんでもない話で、この間もここでも議論したのですが、固定資産だって、こういう大都市は歴史にないような上がり方をしておる。ところが、農村のほうでは、この間も週刊誌にあれだけ出ていたでしょう、部落ぐるみで村を逃げる――逃げるということばは極端な表現でしょうが、とにかくそういう状態が起きている。そういうところじゃ、私の埼玉のごときも、もう中仙道から二キロ離れたところでは、いま農地は三分の一に下がっているのです。まさにかつての美田がいま五万円ですよ。ところが、この負担金だけで四万三千円というのは、それがいいなどという考え方は、これはとんでもないことだと思うのですよ。ほんとうはこの固定資産税――ここで議論すれば果てがないのですが、買い値がいかがあろうと、一町歩七千円くらいに見積もらなければ将来農業をやっていけないくらいになる。きょうの議論ではどうも時間がないから、それはあらためて検討してもらわなければ困りますよ。あなたがいま出先でちょっとそれは答えられないというならそれでいい。それ成り立ちません。われわれのほうでさえも五万円になっているようなところを、あんな知多半島かあそこらで四万三千円なんていわれた日には――負担金だけだ、土地の値段と別のものだ、こういうことはおかしいので、時間がありませんから言いっぱなしにしておきます。あとで議論します。
そこで、あと一問だけでやめますが、関税定率法の関係、これもこまかいことを議論すれば際限がありません。ただ、畜産物の関係だけ伺います。豚肉の減免措置、それから牛肉についての関税率の引き上げ、こういうことがありますが、特に牛肉についての場合、安定価格を導入した場合に云々、こういうことで、言うならば自動的に関税ということになると思います。ところが、そうすればわが国の農業者も確かに機動性が発揮できるならば、これは功かるということになる。ところが、いつでも飼料の問題でも何でもそうですが、なかなか機動性を発揮してくれないというところがある。そこで扱うのは大蔵当局ですよ。けれども、大蔵当局で農産物についての機動性なんと言っても、これはちょっと無理なところもある。だけれども、わが国の農業者に悪影響を与えないように配慮してもらわなければ困る。こうなると、法律はどうあれ、その機動性を発揮するためには何か別の私は考えがあると思うのですが、あれば示していただきたい。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/117
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118・吉岡茂
○説明員(吉岡茂君) 豚肉の関税のことにつきましては、御承知のように、豚肉につきましては畜産物価格安定法に基づきまして、安定基準価格と、それから上位価格と、そういうもので上限と下限というものを設けまして、これが上限の価格をこえる場合には、必要に応じて輸入をしてでも価格の安定をはかる。そういうようなことを考えておるわけでございますが、現在の輸入豚肉と国内の安定上位価格、現在は三百四十円でございますが輸入豚肉が高い。したがって、輸入して国内価格の安定をはかろうと考えた場合に、それができない場合もあるわけでございますが、そういうときに備えまして、三十九年度からは、特に必要に応じて減免の措置をしていただく、そういうようなことを考えておるわけでございますが、確かに御指摘のように、この減免の措置は、非常に機動的に時宜に適するように弾力的にやっていかないと、かえって国内の流通市場を乱す、そういうような面もございます。その点につきましては、農林省といたしましては大蔵省ともよく連絡をとりまして、弾力的に、時期におくれるというようなことのないように、国内価格の安定と生産の安定というような方向でやってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/118
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119・天田勝正
○天田勝正君 もう一問でやめようと思ったのですが、これは輸入するときもそうなんだけれども、防遏するときも同様なんです。それはよく気をつけませんと、国内だって気をつけてきたはずなんです。だから、私の質問は、逆に輸入防遏のときもその配慮は大いにしてもらわなければ農業者が守れないということになるのであって、そういうものの機動性をただあなたが気をつけると言っても、あなたが一々出張って行ってやってくれるわけでもないですから、何かあるかということについては、今度の食管の飼料の点で言えば、勘定別にする、それも一つの機動性のことも含まれていると思うのですよ。そういうふうに農林当局と常時協議機関を、法制でなくてもいいですけれども、持つとか、そういうことでなければならぬと思うのですが、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/119
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120・吉岡茂
○説明員(吉岡茂君) 確かに御指摘のようなこともあろうかと思いますが、実際のほうにつきましては、御趣旨を体しまして、これからよく研究して、実施に遺憾のないようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/120
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121・柴谷要
○柴谷要君 土曜の午後にわたってまでわれわれの審査に御協力いただいておりまして、まことにありがとうございます。これから質問いたしたい関係の個所は、建設省、大蔵省、運輸省、この三省にわたって質問いたしまするので、それ以外の方々はどうぞひとつお引き取りいただきたいと思うのです。冒頭に申し上げておきまして質問に入りたいと思います。
まず第一に建設省にお伺いしたいのでありますが、道路整備五ヵ年計画なるものは、第 次が三十三年度に計画されました。ところが、この第一次道路五ヵ年計画なるものが途中で変更になり、第一次となって三十六年から発足をいたしたわけであります。それがまた第三次として今回の道路整備緊急措置法の一部改正という姿で出されてきている。一体その五ヵ年計画なるものは、こう年次を経過しないで途中で変更になる、ここに出されました第三次五ヵ年計画なるものも、またその変更の状態に追い込まれるようになるのか、こういう変更をした理由と、それから、今後の見通しをまず最初に承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/121
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122・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 三十二年からの五ヵ年計画でございますが、これは全体の投資は一兆円を超過したと思うのです。この計画は、当時国の経済計画といたしまして、新長期経済計画というものが策定されました。この中で、公共投資部門の中で道路整備の投資の構想や見通しが立てられた、こういった事情で策定されたものが昭和三十三年の五ヵ年計画で、それから、現在実施いたしております昭和三十六年度以降の五ヵ年計画、これは昭和三十六年に、やはり国の長期経済計画といたしまして所得倍増計画を策定されたことに伴いますやはり公共投資の変更、それに伴います改定でございまして、二兆一千億で実施してまいったのでございます。これが三十八年で三年目になります。おおむね予定の進度を示しておりますが、今回三十九年度から新たにまたこの計画を改定するようお願いしているわけでございます。その理由といたしましては、三十六年所得倍増計画が策定されました当時、道路投資の所要総額といたしまして基本になりましたのは、自動車一台当たりの道路資産、これをおおむね七十七万円、それの約一割減ということで総投資規模が策定されましたが、その後、交通事情、あるいは輸送事情というものがかなり変化いたしまして、この数字を厳密に下回っている数子を示しております。かような観点から、自動車の伸びに対して所要の投資をすることができない、こういうような事情になりましたので、新たに来年度から五ヵ年計画を改定いたしまして規模の拡大をはかる、こういう考え方をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/122
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123・柴谷要
○柴谷要君 めまぐるしい五ヵ年計画の変更は、端的に言えば自動車の急速の増加、あるいは交通量の地域的変化、あるいは工事費の増加、それに引き続いて地価の高騰、こういうようなところから、最初策定された五ヵ年計画を途中で変更しなければならなかった、こういうふうに理由を私は考えているのですが、そのような考え方に間違いありませんか。建設省の見解を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/123
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124・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 改定の理由はただいま申し上げましたようなことでありますが、たとえば地価の高騰、あるいは工事費の増大ということも若干ございますが、それが主たる理由ではございません。地価の高騰、あるいは道路整備の平均的な単価の増というものは、統計的に見ますと全体で四%くらいのものでございます。もちろん局部的には都市内におけるキロ当たりの単価の増は非常にはなはだしいところもございますが、全国ならしますとその程度でございます。その程度のものは当初計画いたしましたときにある程度見込んであったものでございますから、そういうことが改定の直接的な理由ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/124
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125・柴谷要
○柴谷要君 こういう理由につけ加えて、新たに建設投資をしなければならぬ新規な計画が出てきた、こういうふうに考えられる。その新規計画に伴なって、どうしても予算拡大をはからなければならぬというので、道路整備緊急措置法の中にある条項を検討しながら財源の捻出を求めた、それがガソリン税の今回の増徴になった、こういうふうに私は理解をしておるのですが、その理解のしかたは間違いでしょうか。つけ足しがあったらひとつお教え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/125
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126・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 計画拡大の理由は先ほど申しましたようなことでございます。当初そのために五兆円という希望を出したのでございますが、国のやはりその財源になります点が一番重要な点でございまして、あらゆる点でいろいろ検討いたしました結果、それが四兆一千億程度ということになったわけでございます。まあ必要な事業量に対しまして財源的な検討をした結果、この程度ならいけるということで、結果的にはそういった面から投資の規模がきめられたということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/126
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127・柴谷要
○柴谷要君 まず、最初に、建設省としては財源の捻出をはかった、大体この程度ならいける、この予算が確保できるなら、それならこの地域の道路に投資しようということで、まず最初に財源の捻出を先にはかつて、それから計画が組まれたのですか。そうでなくて、計画が先に立って、これに財源を裏づけるためにこうやったのか。前段であるか後段であるか、この点をひとつお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/127
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128・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 必要な事業量の積み上げが先でございまして、財源の裏づけはあとでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/128
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129・柴谷要
○柴谷要君 そうしまするというと、建設省としては計画を立てられて、その必要な経費を捻出するために予算面を検討した結果、ガソリン税の値上げが至当だ、こういうことで御決定になった、こういうふうに承知してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/129
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130・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) ガソリン税の値上げがきまったということにつきましては、これはただ建設省だけでございません。むしろ財源の問題は、これは財政当局を中心にいたしまして、政府関係省内で決定されたものでございます。建設省としてガソリンの値上げを特に要請したというものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/130
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131・柴谷要
○柴谷要君 建設省で要請したものじゃないと言いますけれども、道路整備緊急措置法の中には財源確保の内容が書いてありましょう。そうすれば、これだけの事業の計画を立てれば、大体どこから財源をどの程度の目安で取ろうということは考えられるでしょう。その場合に、これは率直に申し上げますけれども、私どもの感じは、河野さんが建設大臣になって来たから、よし、それじゃそれを上げようというので、大蔵当局に強い圧力をかけたように私はいま感じておる。そのことが誤まりであるならば訂正をしてもらいたい。ぼくらそういう感じを持っておる。というのは、予算編成の過程で最大の問題点は、何といったって新道路五ヵ年計画の改定が、これが特徴的なものなんです、三十九年度の予算編成の中で。その特徴的なものが出ているからそういう感じを持つので、この感じは私一人のみならず、国民総体が持っていると思う。それがあやまちであるというならば、ひとつ改定をしてもらうために、国会でそれは間違いなら間違い、実はそうでないのだということをひとつ明確に言ってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/131
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132・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 大蔵当局に対してガソリン税の値上げを要求した、こういうようないきさつにつきましては、私ども事務当局においては、さような事情についてお答えする立場ではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/132
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133・柴谷要
○柴谷要君 それはこういう公式の場所だから逃げておられると思うんだな。そんなはずはないですよ、そんなはずはない。だって、これは大蔵当局に初めからおたくのほうから話しかけたのは一五%でしょう。それを大蔵当局が一〇%に削ったという経緯があるじゃないですか。そういう話をしておったのでは時間が過ぎまして、長い時間協力をいただかなければなりませんからやめたいと思いますが、とにかく今回の道路五ヵ年計画なるものは、ガソリン税増徴を条件として四兆一千億の財源を組んだ、こういうふうに私は理解をするわけですけれども、それは間違いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/133
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134・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 先ほど申しましたように、必要な事業の積み上げ的なものといたしまして全体の必要な金額を要望したのでございますが、いろいろの角度から財源的な検討を行なった結果、一部結果的にガソリン税を値上げするということで財源の裏づけができた、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/134
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135・柴谷要
○柴谷要君 これはそういう御答弁になると思っておった、それはそうでしょう。おたくのほうではこれだけの金が要るから、この財源は大蔵当局のほうでひとつつくってくれ、こういうのが今日の状態なんです。それはわかります。しかし、それを出させるために政府部内で河野さんの果たした役割りというのは大きい、こういうふうに国民は見ている。それはあなたの口から聞こうというのは無理ですから、これ以上お尋ねしません。それなら、きのう出された交通基本問題調査会の答申というのがある。これはまだきのうでごさいますから、局長はごらんになっておらないと思いますけれども、実は、その中に「国家資金の投入」という項の中に、「道路費のかなり大きな部分を一般財源で支弁することが適当である。」と、こういうふうにうたってあります。この項について、これが答申されて政府の方針となるとするならば、道路整備緊急措置法の改正をしなければならぬと思いますし、そういうような方向が今後とられることが望ましいと思いますか、それとも、現行の姿のほうがいいとお考えになっておられますか、建設省の見解を聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/135
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136・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) ただいまお話のように、答申されたばかりでございまして、相当重要な問題を含んでおります。先ほど来申しましたように、四兆一千億の財源につきましては、政府部内で、各関係機関で相談した結果きまったものでございまして、直ちにこれによってこの内容を変えるということはないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/136
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137・柴谷要
○柴谷要君 三十九年度はこれでいいんですよ。しかし、こういう答申がなされたので、その趣旨についてあなたのほうの見解はどうか、いままでどおり、河野さんが、やはりどんどんガソリン税なりは増徴ができるのだ、こう考えられて財源を求めていく方法をとるのか、それとも、この答申に盛られているように、一般財源から大幅な投資をすればいいんだという指摘をされている。これが政府決定になれば、河野さんといえども、それに従わざるを得ないと思いますが、建設省としては、一体事務当局としてはどっちのやり方がいいか、こういう質問をされたときに端的にお答えいただけませんか。
そこで、その裏づけに近いような利用者負担の原則という項目がうたわれているその中に、こういうふうに書いてある。「(公共道路の維持管理費は揮発油税などの自動車特別税によってまかなわれるべきであり、建設投資はできる、だけ道路公債の発行によって調達されるべきである)」、こういうふうにうたってある。そうなると、これらの建設投資には一般財源から入れなさい、こういうふうな裏づけがそこの点で行なわれていると思うのでありますが、それに対する、先のことでありますけれども、三十九年度のことじゃありません。将来の問題として、建設省ではこういう考え方をおとりになる意思があるかないか、その点をお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/137
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138・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 公債の発行につきましては、この四兆一千億をきめるときにもいろいろ問題になったようでございますが、現在の日本の経済情勢では、なお時期尚早であるということで見送りになった次第でございます。こういう答申が出ておりますが、そういう事情でございますので、まあ今後慎重に検討しなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/138
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139・柴谷要
○柴谷要君 これは大蔵当局にお尋ねするほうが至当かと思いますけれども、まあ全然関係がないわけではないので、建設省のほうのお気持ちをひとつ聞いておきたいと思うことは、現在のガソリン税が、今回の改正によって相当同額なものになる、六二・何%かの高率の税になる、これをまだ増徴してまでも道路のほうに投入されるという気持ちはおありになるかどうか、そういう方向がいいとお考えになっておられるかどうか、この点を明らかにひとつしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/139
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140・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 事務当局の立場としてはっきりしたことをお答えするわけにはまいりませんが、揮発油税を上げることが、これ以上上げるということが妥当だとは、私、個人的には考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/140
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141・柴谷要
○柴谷要君 これ以上財源を確保する上については、これは上げることは好ましいものでないとお考えになるとするならば、いま申し上げましたように、交通基本問題調査会の答申はあなたの御意思に沿うように思うわけなのです。そういう点からひとつ十分御検討をいただいて、将来建設省としての態度もやはりきめていただくということがいいのではないかというふうに考えるわけです。
そこで、まあ具体的な質問になってたいへん恐縮でございますが、現在公団等が行なっております道路公団にしろ首都高速道路公団にしろ、おのおの担当して道路の建設を急いでいるわけです。これは一面、オリンピックということで特別の工事もやっておるようでありますが、これらの公団に対するあなたのほうの監督権、また、この内部に対して建設省としてはどのような今日態度で臨んでおられるか、これをひとつお伺いをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/141
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142・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 道路公団、首都、阪神公団に対しましては、建設大臣が責任を持っていたしております。そのために公団監理官を置きまして、直接業務の指導監督に当たらせております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/142
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143・柴谷要
○柴谷要君 公団監理官を任命をしてそれに当たらしておる、公団の監督は十分強化しておる、こういうお話でございますね。そこで、伺いたいと思いますことは、首都高速道路公団、あるいは道路公団等に行っておりまする重役の事情、たとえば首都高速道路公団にいたしますというと、運輸省から理事が行っておる、あるいは東京都から行っておる、あるいは建設省からも行っていると思います。その他聞くところによると、河野大臣の息のかかった神奈川あたりから一人理事が入っておる、こういうことを聞くわけです。ところが、最近この公団の中で、どうも派閥的な行動がある。そうして業務を非常に熱心にやっておるというと、それがどうもじゃまになるような感じで、それに対する風当たりが非常に強い、こういうような問題が風の便りで漏れてきておる。そのもとをたどっていきますと、どうも何というか、建設省の言い分を一〇〇%聞くような者でないというと、どうも道路公団にしろ首都高速道路公団にしろ、理事がなかなか骨が折れる、こういうようなうわさが飛んでおるわけです。これがデマであってくれればけっこうな話でございますが、現実にそういう問題が起きることは、建設大臣として、また、建設省として監督不行き届きであり、そういう問題はけしからぬと思うのですが、こういうような事実の問題があった場合にどのような処置をお考えになっておられるか、ひとつお尋ねをしておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/143
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144・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) ただいまのような事実については、全然聞いておりませんので、そういう前提でお話し申し上げることはできかねると思いますが、公団の人事につきましては、道路局長の私の所管のことでございませんので、ちょっとここでお答え申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/144
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145・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 道路局長、もう少し大きい声で答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/145
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146・柴谷要
○柴谷要君 局長さんの権限は、道路公団にしろ首都高速道路公団にしろ、道路建設の方面に対しては十分な監督なり指導なりできるわけでしょう。その公団において、たとえば高速道路公団でありますけれども、現業員のストライキが起きた、こういうことはあなた御存じですか。時限的な問題にしろ、半日にしろ一日にしろ、ストライキが起きておる。これに当面、労務担当の理事が責任を負うべきであるにかかわらず、他の理事者に責任を転嫁して、そうして関係のない者を苦しめているという現実に私は直面してきた。現場に行って見て来た。そういうことを野方図にやらしておいていいのかどうか。これは監督不行き届きということになる、そう思うのですが、そういう問題について御存じでございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/146
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147・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 先ほどお答えが不十分であったと思いますが、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、それから日本道路公団、これらの道路整備特別措置法に基づきますところ関係の分につきましては道路局の所管でございます。公団にする一般的な監督、これは監理官がおりまして、また、首都高速道路公団並びに阪神道路公団につきましては道路局ではございませんで、都市局で所管しておりまして、また、その監督者は大臣になっております。したがって、そういうような関係上、私の立場から、いまのようなお話に対して、監督するという立場にございませんので、御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/147
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148・柴谷要
○柴谷要君 そういう問題についてはあなたのほうで関係がないというなら、四谷のあの不祥事故、あれに対しては、あなたは監督権や指導のあれはないのですか、これをひとつお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/148
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149・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 四谷の事故につきましては、これは道路整備特別措置法に基づきます設計上の指導という点につきまして、これは道路局の所管になっております。そういう点で私どもの監督下でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/149
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150・柴谷要
○柴谷要君 あなたの監督下にあるならば、あの事故はどういう事情で生れたのか。それから、あの事故に対する処置があとでは禁止したのか、新聞に一切書かれておりませんが、それに対するどのような建設省としては公団に対して措置を指命をしたのか、その点をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/150
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151・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 四谷の事故に対しましては、これは設計というよりも、むしろ施工上の若干の手落ちがあったと、かように判断いたしておりますが、直接的な原因につきましては、いろいろ委員会をつくりまして検討いたしましたが、十分究明することができなかったわけでございます。そのようなことにつきまして、しかし、責任はございますので、これに対しましては、公団並びに施工いたしました業者に対して処分をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/151
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152・柴谷要
○柴谷要君 あれを実はいろいろ調べてみましたが、公団側の言い分としては、何か自衛隊の重量車が通ったから起きたんだとこういう理由づけをしておるらしい。自衛隊の重量車あたりが通ったから橋げたが落ちて下の通行者を殺してしまう、こんな設計なり工事のしかたがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/152
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153・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 委員長……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/153
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154・柴谷要
○柴谷要君 まあ待ってください、まだある。それから、公団がつくっております道路で、一年足らずですでに手を入れなければならぬ個所が相当あるのを御存じですか。あるのですよ、事実。公団の中において技術者が、もう一年足らずでもってこれは手を入れなければならぬ危険な場所が出てきたということで非常に憂えている。そういう問題があるのですけれども、局長さんとしては御存じでございますか、お尋ねをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/154
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155・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 自衛隊の重量車両が通ったために事故が起きたというように私どもは考えません。これはそうではなくて、あそこは斜めの勾配のある橋でございまして、そこのむしろ支柱関係に施工上の瑕疵があったと、かように考えておりますが、先ほど申し上げましたとおり、十分直接的な原因について究明することはできなかったわけであります。したがいまして、決して重量車両ということが原因とはわれわれは考えておりません。それから、ただいまやっておりますもので一年以内に手を入れなければならぬという個所につきましては、まだ私どもはそういう点について報告を得ておりません。もしさような点がありますれば、至急いまのうちに手直しをさせる必要があると、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/155
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156・柴谷要
○柴谷要君 時間がありませんから、多くを申し上げませんけれども、建設省は、一体、取るほうはなかなか積極的に取ってくれますけれども、出すほうを非常にしぶるのですけれども、これは運輸省との関係のある問題ですけれども、かつて昭和三十一年のころに、踏切道の問題について大蔵省と相当折衝したことがある、建設省と運輸省とが。一体あの踏切道というのは、管理はどこにあるのか、道路面までもあれは国鉄にあるのか、あるいは私鉄にあるのかというと、道路面は、これは建設省の所管だという。しかし、そこへ列車が通っているのだから、安全確保のために踏切番を置いて安全を確保している。そこで、いわゆる踏切にかかる道路の費用については建設省が少し負担をしてくれぬか、いま危険な状態にあるところを責任のある建設省のほうでも少し出費したらどうかと、こういうことでいろいろ折衝した、かつての国会で。そしたら、そういうものは国鉄で全部持てとか、あるいは私鉄で全部持てとかいうことで、出ししぶったために踏切法案というものが不発に終わっちゃったと、こういう問題などあるのですけれども、建設省はなかなか出ししぶっているけれども、この積極的に五ヵ年計画あたりはどんどんどんどん立てられて、税の面を強化しながらやるような姿なんですが、そういう、こまかい部面に対する配慮というものは建設省はないのでございますか。この点をひとつお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/156
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157・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 踏切道に限らず、一般的に交通安全ということに対しましては、できるだけ前向きの形でいきたいということで、今度の五ヵ年計画をきめるに際しましても、そういう方向に重点を置きたいと、かように柱を立てておるわけでございます。踏切道の話が出ましたが、これらを除去する立体交差にするということにつきましては、従来もかなりやっております。なお、これらをさらにこの計画の実行の際に拡大したい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/157
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158・柴谷要
○柴谷要君 これは公式の場所で局長と話をするよりも、むしろ単独でいろいろ話し合ったほうが解決が早いと思いますので、いま申し上げたような踏切道の問題等については、国民の利便をはかる、安全確保のためには、責任のある立場として今後協力をしていただけるかどうか。協力していただけるということになれば、こまかいことは質問をやめまして、運輸省のほうに移りたいと思うのですが、そういう面で理解ある建設省としての今後の態度をお伺いをして、あなたに対する質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/158
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159・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) できるだけ協力するつもりでございます。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/159
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160・柴谷要
○柴谷要君 それでは自動車局長さんおいでになりますから、ごく二、三問、たいへん長らくお待たせいたしまして、二、三問じゃ恐縮ですけれども、今回のガソリン税の値上げは、たいへん長い間何回か何回かやられてきました。それで、昭和三十三年のときも、運輸省はガソリン税値上げはいかんと、こういうことで、八項目にわたりまする反対理由というものを打ち出されているわけです。その後も、私は、運輸省としては、ガソリン税、あるいは軽油引取税の値上げはもう限界にきているという結論が出ていると思うのですけれども、これに対する今日の態度をひとつ局長さんからお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/160
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161・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 運輸行政をあずかるものといたしまして、今回のガソリン税の問題でございますが、このガソリン税の増徴の趣旨は道路を整備するという点にあるわけでございまして、その意味におきましては、運輸行政といたしましても、これによって道路がますます整備されることを大いに期待するものでございます。ただ、ガソリンを使用しております交通事業を監督しておる立場から申し上げますと、交通事業もいろいろございますが自動車運送事業に限定して申し上げますと、燃料費というものが事業の経費の中に大体一四、五%平均いたしまして占めておるわけでございます。その燃料費の主要なものがガソリンであり、軽油であるわけでございます。今回のガソリン税の増徴によります自動車運送事業におきます経費増は、車の事業の種類によって若干違いますが、平均いたし捜して〇・八%程度の経費増になるわけでございます。〇・八%と申しますと非常に低いようでございますが、現在、自動車運送事業が、長い間の物価の値上がり、あるいは人件費の高騰、運賃の据え置きのために、一昨年あたりから運賃改定の申請がどんどん出てまいって、これらの運賃改定の場合の改定の率が一〇%から二〇%前後という程度で、バスなり、あるいはタクシーなり、運賃改定の認可をいたしております。そうしますと、 この一〇%なり二〇%の値上げによりまして適正な原価と適正な利潤をこれで補うという観点からの改定でございますので、この経費の中の〇・八%というのは非常に少ないように見えて、かなり影響を持つわけであります。そういう意味では、ガソリン税の増税ということは、自動車運送事業に相当影響があると見ておるわけでございますが、一方、道路の整備が促進されることによりまして、自動車運送事業も受益する点もございまして、それから、 なお、この〇・八%の経費がさらに自動車運送事業全般の収支に影響を及ぼして、どうしても運賃改定をさらにしなければ事業の健全な運営ができないという段階になりますれば、適正な原価の査定の上に立つ運賃改定もやむを得ないというふうに考えまして、今回のガソリン説の値上げにつきましては、運輸省といたしましても一応了承せざるを得ないという立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/161
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162・柴谷要
○柴谷要君 きのうも衆議院でこの問題についての議論が内閣委員会で行なわれたようであります。確かに経費増によりますところのトラックとか、あるいはバス、ハイヤー、タクシー、これに一般中小企業が日常業務に使っております小型類が非常に打撃をこうむる、そういう中において、特に常業行為をやっておりますところの皆さんが料金改定を要望することは、これは当然だと思う。政府が一方では値上げをあおっておき、しかし、料金は据え置きということですから、確かにこれは矛盾があるのじゃないか。それも昨年、一昨年あたりに運賃改定を行なっているならいざ知らず、バスのごときは相当長期にわたって押えておる、こういう現実から見ますと、確かに矛盾しているような感じがするわけです。これに伴ってガソリン税その他の引き上げによるところの負担増は〇・八%といいますけれども、ハイヤー、タクシー等については、特にもっと高いのじゃないか、こういうふうに思う。これらの点を総合して、政府が先にきめた一年間公共料金据え置きという問題をめぐって、いま業者団体が政府を相手取って告訴ざたに及んでおる、こういう事態が起きておるのですね、まことにこれは残念なことだと思う。この業者団体なるものは、運輸省の最も身近な団体でありますけれども、そのようなことを取りやめさして、そうしていま事業の中において一番苦しいのはこういう実情だということを政府によく事情を訴えて、これに対する対策をとっていただいたほうがより賢明だと私どもは思うのでありますが、自動車局長はどういう御見解をお持ちになっておるのか、それとも、裁判の成り行きを見て、彼らが勝訴すればよろしい、あるいは国が勝訴すればよろしいというふうに傍観的な立場におられるのか、その点をひとつお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/162
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163・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 今回政府できめました公共料金を一年間ストップするという方針は、自動車運送事業等につきまして値上げの必要がないという理由でのストップではございません。御承知のように、物価抑制の経済政策から出たものでございまして、一年間そのために自動車運送事業者にも協力をしてもらおうという趣旨の方針でございます。しかし、自動車運送事業につきましては、ただいま御指摘のように、十年近く、あるいはもっとそれ以前から運賃改定しないままに今日に至っておりまして、すでに運賃改定の必要性も十分われわれも認め、また、一部実施いたしております。そのときにあたりましてこういった経済政策上の政府の方針が出ましたので、われわれはこれらの申請が理由がないということで一年間押えるという意味ではございませんで、この経済政策に協力していただきたいという意味でいろいろ説得はいたしてまいっております。しかし、一方、交通運賃は、道路運送法によりまして、適正な原価に適正な利潤を盛った運賃改定であれば、運輸大臣はこれを認めなければならないという法律によって運輸大臣は責任を持たされておるのでございます。で、自動車運送事業者といたしましては、この点を強く主張いたしまして、経済政策なり物価政策なりよりは、法律の命ずるところによって、必要なものは運輸大臣はやる責任を持っているという主張なのであります。これが今回の東京の民営バス業者によります行政訴訟になったわけであります。われわれといたしましては、この主張もよくわかるのでありますが、一方国の政策というものもございますので、極力この政策に協力してもらうようにいろいろ説得もいたしましたし、また、一年間ストップによります他の救済方法につきましても、政府部内におきまして関係各省と現在いろいろ検討をいたしておる段階でございます。訴訟を提起されましたからにはやむを得ませんが、今後とも政府としても必要な施策のために検討を続け、さらにこういった訴訟を提起した事業者に対しましても、なお政府の施策に協力するように強く要望を続けていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/163
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164・柴谷要
○柴谷要君 私がこの質問を特に申し上げたのは、業者団体がともかく一方いろいろ経費負担増になるにかかわらず、政治の面ではわれわれの苦痛を取り除いてくれる施策に乏しい。だから、国がきめた公共料金一年間ストップということでわれわれの分野に至るまで押えるのはけしからぬじゃないか、こういうことであると思うのでありますが、しかし、私ども考えてみますのに、今日までりっぱに事業をやっており、ここの段階で、苦しいからといって国を相手取って訴訟をするのだという業者団体については、強い態度で運輸省としては臨まれることがいいのじゃないか。そのようなことを業者団体に反俗を求めて取り下げさせる、こういうところまでひとつ運輸省の指導が行き届かなければならないと思いますけれども、それに対する局長の信念のほどを――必ず取り下げてみせますという御決意があるのか、それとも、提訴されたのだからやむを得ないと傍観しているというのか、それとも、漸次説得をしてそのような方向に向かわせよう、こういうような努力を続けていこうとお考えになっているのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/164
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165・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 相手のあることでありますし、監督官庁といたしましても、強制力を持ってやるきめ手もございません。しかし、私がただいま申し上げましたような気持ちで今後とも政府の方針に協力するように説得をいたしますとともに、これにかわる政府として何らかの措置の方法がないかという点についても、さらに強く関係各省と相談をいたしていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/165
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166・柴谷要
○柴谷要君 私は、業者団体のためにも、政府を相手取って訴訟を計画するということは愚の骨頂だと思う。そのことよりも、現実をもっと政府に直視してもらうことに努力されたほうが、より賢明だと思うからかく申し上げた。実は、これは前の話になりますけれども、さきにハイヤー、タクシーの料金の値上げを政府は認めました。東京都は少しおくれましたけれども、そのときに一二%の決定を見たのですが、これは不服だから、東京都のタクシーはとめてしまうのだという業者団体が決定をなされたことを御存じですか。これじゃ低いから、われわれの要求する一八%に上げろ、そのために実力行使をやるのだときめたことを御存じでしょうか。御存じでしたら、その状況をお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/166
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167・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 東京都のタクシーの運賃改定の時期におきまして、いろいろ業界内におきまして運賃改定の実施がはかどらないというふうなことからいろいろなことが議論され、取りざたされたことは聞いておりますが、どうしても申請どおりに運賃を認可しない場合には車を全部とめるという決定を業界全部がやったかどうかということにつきましては、私はっきりしたことは聞き及んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/167
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168・柴谷要
○柴谷要君 実は局長さん、あったのです。業者団体が集まって、政府の決定した金額は低過ぎるから、ひとつ実力行使をやるのだときめてあった。ところが、たまたま労働組合に車をとめる相談をかけられたので、組合の最高幹部が実は私のところに来て、それでこれに同調すべきかどうかという話がありましたから、それは同調してはいかぬ、政府が一二%でも特に認めたのだから、これは不満であっても、これを受けるという態度が業界として望ましい。そして自分の主張すべきことは今後主張して、改善できるものなら改善してもらうように努力することが業界の仕事じゃないか、こういうものに労働組合が巻き込まれて一緒にやることはけしからぬ、やめなさいということになって、組合の反対でこれはつぶれたのです。そのときに業界の幹部にたまたま知人がおりましたので、そういうことをやれば、一二%の値上げすら国会では承認しない、ゼロになってしまうのじゃないか、だからそういうばかげたことはやめなさいということを警告した。そういう事実がたび重なってきまして今回の訴訟というような問題になったと思いますけれども、やはり当面の指導よろしきを得ればこういう結果にならなかったと思いますが、ひとつ自動車局長さんとして反省をしながらやってもらいたい、取り下げる方向で。みっともないです。こまかいことになるようでありまするが、それならば、これらを維持している会社の重役連中がそれをやらなければならぬほど逼迫した状態にあるかというと、私はないと思う。そういう人たちが裁判で争ってむだな時間、むだな経費をかけるということは、これはけしからぬと私は思う。別の意味でもたくさんありますが、どうかこういう問題については指導監督よろしきを得て、国と争いを起こすようなことはさせないようにひとつお骨折り願いたいということを希望して終わります。どうかそのような方向で進んでいただきたいということを重ねてお願いして、私の運輸省に対する質問は終わります。
次は、法人税についてであります。私は遺産相続をやったこともなく、遺産を相続させるほども持っておりませんので、関心もなかったのですが、ひとつ教えていただく意味で御答弁願いたい。
相続税の改正については、所得の増加、あるいは個人財産の増加の状況、今後の経済発展の見通し及び農業経営の近代化と自立経営育成の必要等を考慮し、相当規模の農家、中小企業、その他一般世帯の中小財産階層に相続税の課税が生じないようにするために相続税の課税最低限を引き上げる、こういうのが方向になっているようであります。そこで、お尋ねいたしたいのは、基礎控除現行二百万円が二百五十万円に引き上げられている。相続人一人当り五十万円というのは現行どおりでありますが、これが改正の第一点。第二点は、取得財産の基礎控除五十万円を七十万円に、それからあとは二十万円が四十万円に、こういう改定でございますけれども、この引き上げによって相続税の減収になる分は一体どのくらいになるのか。それから、この計算はむずかしい計算でございますので、相続人一人の場合、親から財産を一人で譲り受けるということになりますというと、遺産にかかる基礎控除だけで、取得財産にかかる基礎控除というのは出ないわけでございますね。財産を分けますというと、これは分け前に応じて取得財産にかかる基礎控除というものが行なわれることになるのですが、一人の場合にはないわけでしょうね。それをひとつお聞かせいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/168
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169・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 相続税の今回の改正によりまして、これは相続税と贈与税と両方改正いたしておるわけでございますが、平年度四十四億円、初年度二十七億円の減収になるのでございます。
それから、お尋ねの相続人一人の場合の控除がどうなるかと申しますと、これは基礎控除の二百五十万と相続人一人分の五十万円の控除、合わせまして三百万円が控除になるわけでございます。二人になりますと、一人分追加になりますから、今度は三百五十万ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/169
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170・柴谷要
○柴谷要君 それじゃ一つの設例でお尋ねしたいと思いますが、五百万の遺産相続を、相続人が三人と仮定するわけです。そうしまするというと、二百五十万の遺産にかかる基礎控除に、五十万の二人分で百万ですから、三百五十万差し引かれるわけでございますね。遺産にかかる基礎控除はそうでございましょう。二百五十万に、あとは五十万が二人ですから百万、三百五十万をまず五百万から差し引くと、こういうことができるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/170
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171・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) ただいまのお話で、相続人三人というお話でございましたが、三人なら百五十万と二百五十万で四百万取る、二人でございますと、二百五十万と百万と合わせまして三百五十万でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/171
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172・柴谷要
○柴谷要君 二百五十万というのは一人でも二人でももうきまったものでしょう、定額でしょう。三人相続人があるとすると、遺産相続五百万の中で、三人が分けるその内容は違いますが、その場合に、その基礎控除にするものは二百五十万プラス五十万の掛ける二、三百五十万、こうなるんでございましょう、違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/172
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173・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 先ほど申し上げましたように、遺産の総額に対しまして二百五十万、それから相続人一人につきまして五十かずつでございますから、相続人が三人おりますとその分が百五十万、したがいまして、今度の改正でそれが二百五十万と合わせて考えますと、四百万引かれるわけでございます。したがって、百万が課税価額になる、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/173
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174・柴谷要
○柴谷要君 私は二百五十万を一人分かと思っておったのです。五十万が三人分で、全部で四百万引かれるわけでございますね。そうすると、五百万の遺産ですから、百万に課税される。百万に課税をされますけれども、この百万を三人で分けますと、もうほとんど税はかからぬという計算になりますね。百万しか残りませんね、課税対象は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/174
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175・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 相続人がさらに子供だけの場合と、それから被相続人の配偶者である場合には、配偶者でございますと配偶者控除というのがございまして、これは相続財産というのは夫婦が一緒にかせいでできたものだという観念をとっておりまして、配偶者につきましては税額が半分になるようになっております。したがいまして、相続人の中に配偶者が入って、そして子供二人合わせて三人というような場合におきましては、五百万円の相続価額でございますと、現行法でございますと十五万円の税額になるわけでございますが、改正法によりますと八万八千円の税額になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/175
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176・柴谷要
○柴谷要君 民法の相続条文によると五百万で、配偶者がおって子供が二人という場合には、妻が三分の一、残りの三分の二は、あと二人の子供だから、おのおの三分の一ずつですね。三分の一ずつ分ける。そうしますと、今度は取得財産の基礎控除ですね、これを三つに分けていきますと、基礎控除七十万が差し引かれるわけでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/176
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177・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) これはちょっと説明が不足だったかと思いますが、いま申し上げましたように、相続税の課税にあたりましては、五百万という相続価額でございますと、民法の規定により、法定相続分で相続いたした者に対し接して相続税の総額、いま申し上げました現行法では十五万円、改正法では八万八千円というのがはじき出されるわけでございます。これはその後相続財産をどういうふうに分割しようとも、そのいかんにかかわらず、相続税の税額の総額は変わらないのでございます。ただ、その後それでは相続財産の中から配偶者なり子供である相続人が、自分は幾ら負担するか、どうせ共同相続でございますから、各自がどれだけ負担するかという計算の際におきまして、今度は取得財産に対する基礎控除というのでその各人ごとの税額をはじき出すことになっているわけであります。その際に、従来でございますと、三人の場合には、五十万遺贈を受けた者につきましては二十万という控除があったわけでございますが、今度贈与税の基礎控除を四十万円に上げますので、遺贈を受けた者についての控除を四十万円に上げたわけでございます。それとのバランスからいたしまして、相続人につきましても、従来五十万円控除をいたしておりましたのを七十万円の控除に上げたというわけでございます。このほうは相続税のトータルの低いものには影響なくて、各人ごとの負担を計算するときの問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/177
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178・柴谷要
○柴谷要君 わかりました。そうすると、五百万の遺産相続を、かりに配偶者が二百万、残りの三百万を百五十万、百五十万に分けた、こういたしますというと、取得財産にかかる基礎控除というものは七十万でございましょう。そうするというと、二百万から七十万引きますと百三十万、それから百五十万から七十万を引きますと八十万、三人の子供がね、これに対して税率が掛けられて出る納付すべき税額というものと最初の八万八千円と合うと、こういう計算ですか。それをちょっと説明してもらいたい。そこのところがわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/178
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179・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) いま申し上げましたように、相続税のトータルの八万八千は変わらないのでございます。その八万八千円を各相続人がどういうふうに分けて納めるかという場合に、その計算の際にいま申し上げました七十万というのを引くわけでございます。お話のように、配偶者が二百万かりに取得いたしたとしますと、七十万引きまして百三十万、それから子供二人がそれぞれ百五十万ずつ相続いたしますと、七十万ずつ引きまして、八十万、八十万となります。この百三十万と八十万、八十万の比率で八万八千円を分けまして、そうして各自が納付すべき税額を負担するということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/179
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180・柴谷要
○柴谷要君 ああそうですか。そうすると、八万八千円は、取得財産にかかる基礎控除を引いても変わってこないということなんですね。そうすると、あえて一番利益になるのはどういう姿のものが利益になるかというと、七十万の遺産を相続した者がかりに一人であったとすれば、その七十万控除されるから、これは無税となるのですね。それ以上のものについては、七十万以上のものについては全部多少の課税がされる、こういうふうに理解をするわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/180
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181・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) お話のとおりでございます。これは結局相続税は、かなり財産のある場合に課税になりますので、わずかばかりの財産をもらった者にまで負担を及ぼすのはどうかということからいたしましてこのような控除が設けられておりますので、お話のように、七十万円だけしか財産をもらわなかったような人は相続税を負担しなくてもいい。一緒に相続した人で、ほかにたくさんもらった人が負担する、こういうことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/181
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182・柴谷要
○柴谷要君 そうすると、それが現在まで五十万円だったのが七十万円に上がった、簡単に申し上げますと。ですから二十万円上がった。それにしては、あまりにも前段の見出しが大き過ぎて中身が小さいと、こう言わざるを得ないのですね。まあしかし、これはけっこうなことです。減税でございますからけっこうで、この問題については、以上で質問を終わります。これは三十日に上げたいと思いますね。いい法律案ですから、これは。
本日はたいへんわれわれのためにありがとうございました。お礼申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/182
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183・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめておきます。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時五十一分散会
――――・――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02219640328/183
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