1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月三日(金曜日)
午前十時三十七分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 新谷寅三郎君
理事
柴田 栄君
西川甚五郎君
成瀬 幡治君
渋谷 邦彦君
天田 勝正君
委員
大竹平八郎君
岡崎 真一君
川野 三暁君
栗原 祐幸君
佐野 廣君
田中 茂穂君
津島 壽一君
林屋亀次郎君
日高 広為君
木村禧八郎君
柴谷 要君
野溝 勝君
原島 宏治君
鈴木 市藏君
国務大臣
大 蔵 大 臣 田中 角榮君
政府委員
内閣法制局第一
部長 吉國 一郎君
大蔵政務次官 纐纈 彌三君
大蔵省主計局次
長 中尾 博之君
大蔵省主計局法
規課長 相沢 英之君
文部政務次官 八木 徹雄君
文部大臣官房会
計課長 安嶋 彌君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
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本日の会議に付した案件
○国立学校特別会計法案(内閣提出、
衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02619640403/0
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001・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
国立学校特別会計法案を議題といたします。
本案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02619640403/1
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002・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
なお、修正意見のある方は討論中にお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02619640403/2
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003・柴田栄
○柴田栄君 私は、自由民主党を代表し、国立学校特別会計法案に賛成いたします。
本案は、国立学校の拡充整備を促進し、その円滑な運営をはかり、かつその経理を明確にするため特別会計を設置しようとするものでありまして、慎重な検討をなされた結果提案されたものであります。
国立学校の経理が特別会計へ移行することについて、一部から憂慮されておりまするような、一般会計からの財源投入の縮減、あるいは独立採算制の強化というような諸点は、何ら意図するところでないことは、質疑応答の過程においても明確にされたことでもあり、のみならず、今後は、特別会計となることに伴い、借り入れ金、剰余金の積み立てとその施設整備のための財源化、財産処分収入の施設整備費への充当、収入支出予算の弾力条項等が可能となり、国立学校財政の弾力的な運用が確保されることとなるのでありまして、老朽化した施設の更新合理化に役立ち、科学の発展、技術の振興等の要請にこたえ、かつ数年後に予想される学生の急増対策を講じますためにも、時宜適切な措置と考えるものであります。
以上の理由から、本案に賛成するものでありますが、私は、本案の成立がおくれたことに伴い、ここに修正案を提出いたします。
修正個所は、附則第一項中「昭和三十九年四月一日」とありますのを「公布の日」に改め、附則第四項中「この法律施行の際」を「昭和三十九年四月一日において」に改めようとするものであります。以上。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02619640403/3
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004・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私は、社会党を代表いたしまして、本政府原案並びに修正案に反対をいたします。
理由を簡単に申し述べます。
第一は、予算で一般会計から特別会計に移し、そして法律案を四月一日から施行するということになっておるものでございますが、こういうことは、法案が成立しないと、予算の中で一般会計から特別会計になってしまっておりますから、支出することができないのであります。ここで説明によりますれば、たとえば入院患者に対して食事を与えることができない、注射投薬等ができない、あるいは収入受け入れの取り扱いができないというようなことになってまいり、そしてそういうことができないということになりますれば、これは人道上の問題ではないか、こういう言い方でございます。ということは、何が何としても三月三十一日までに成立をしなければならない、こういうことになってくることでございます。これは一種の脅迫行為でございます。審議権を束縛しておるということになると思います。ですから、こういうような取り扱いというものは、私はいろんな取り扱いがあると思いますが、これは政府においても、四月一日、二日、三日、おくれてきたのだが、このことについて違法かあるいは合法か、いや、妥当性があるかないかというようなおかしな問題まで惹起することになると思いますから、こういう問題については、今後提案の上において私は十分配慮されるということ、少なくとも国会の、審議を束縛するということのないようなふうにしていただきたいという点が第一でございます。
二つ目に、反対をする理由は、独立採算制度の問題についてでございます。本委員会は、特攻会計制度を乱用するということについては、党派をこえて反対の意向があることは御承知のとおりでございます。今回この法律案が成立するといたしますと、四十三の数多い特例会計になるわけでございます。財政法では、なるほど十三条で認めておるかもしれませんけれども、財政の大原則からいえば、単一予算制度が大きな柱であるということは言うまでもございません。特別会計を数多くふやしていくということは、一般会計から特別会計のほうヘ予算の主点が移ってまいります。そのことはひいて予算の弾力性を失うことになります。硬直をしてまいります。また、このことは予算審議の上からいきましても、財政民主主義の原則に反する点でございます。こういう財政法の大局的見地から、私たちは特別会計制度の乱用について反対をする二つ目の理由でございます。
三つ目の点でございますが、一体国立大学にこういう特別会計制度を適用することの是非の点についてでございますが、御案内のとおり、教育の場というものは何といっても企業の場ではないのでございます。文部省が大蔵省に提出しいろいろと折衝されたのは十一項目あると、昨日説明を承りました。このこと自身は、文部省が独立採算制になるのじゃないかということを憂慮し、心配をして、大蔵省に私は申し出た点だと思います。文部省自身が、何といったって、特別会計は企業会計になるのではないかということを心配をしておるということを裏書きしておる点だと思うわけでございます。田中大蔵大臣の答弁を聞いておりましたら、何か一般会計から特別会計に移したら何でもできるような、特別会計は万能薬のようなお話を承りました。一般会計でできなかったことがなぜ特別会計に移したらできるというのでしょうか。やろうとすれば、一般会計のほうがなお運用の妙を発揮してやれるわけでございます。要は、教育に対して国立大学の財政についての熱意の問題であり、情熱の問題だと思うわけでございます。特別会計制度の今回の創設はかつての二の舞いを繰り返すことになりまして、たいへん遺憾な点だと思います。このことがひいて、大学を研究の場とかあるいは学問の場から、もうかる場へ追いやる結果になるのじゃないか、教育を破壊するのではないか、こういう点を憂えまして、本法律案並びに修正案に反対をいたしまして、討論を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02619640403/4
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005・鈴木市藏
○鈴木市藏君 私は、日本共産党を代表して、国立大学特別会計法案と同修正案に反対をします。
反対の第一の理由は、この法案の持つ性格であります。政府は、法案提出の理由を、国立学校の整備拡充をはかりその経理を明確にするためと言っていますが、これは一つの政治的なごまかしの理由であります。何よりも、この法案の発議者が文部当局ではなく、大蔵当局であることが示す意図が、非常に重大だと思うからであります。教育の問題は、財政上の理由だけによって左右さるべきものであってはなりません。しかるに、この法案はひとり国立大学財政に決定的な制度上の変革をもたらすだけでなく、それは必然的に教育制度とその内容に対しても大きな深刻な影響を及ぼすことは避けがたいと思います。そこに根本的なむしろ真の理由がひそんでいると見ることができます。まさに大管法——大学管理法の財政版とも言うべきものであります。この法案は、それゆえに、法衣の下によろいをまとっていると言わなければなりません。
こうして大学財政に、制度上、大蔵、文部官僚の干渉と統制への物質的基礎の道を開いたものであります。その具体的なねらいは、法案の第二条、第四条、第十条、第十二条、第十三条の規定の中に明白であります。言うならば、この法案は、教育は投資なりというこの安っぽい教育行政、独占資本に忠実な、かつ自民党政府に忠実な属僚を養成するためのものであり、大学教育はこの会計を通じて金権に屈し、教育投資の命題の前に身売りをする危険を大きくはらむものと言わざるを得ません。文部当局は、いまよりベターであると言いわけを言いますが、あくまでも教育上の基本問題はベストを尽くさなければならないと考えます。
反対の第二の理由は、特別会計設立の方向は大学財政を独立採算制に追い込む危険を持つということであります。特別会計が独採制を呼ぶということは、過去幾多の事実が示すように、資本主義のもとにおいては一つの傾向的な法則性とさえいうことができます。政府はこのことを否定していますが、この会計設立の経過から見て、この否定は一時のがれのごまかしと言わなければなりません。すなわち、逐年財政規模は膨張し続け、その財源の捻出がますます困難性を加重している状況を見るとき、一般会計からのこの特別会計への繰り入れは逐年減少の方角をとることは必至と見なければなりません。こうしてこの特別会計は国立大学全体をおおう合理化を必然づけ、各地大学間の格差はむしろ拡大し、大学の統廃合、人員の整理、さらに授業料の値上げという事態を招くに至るでしょう。しかも、それを大学の側から提案せざるを得ないという羽目に追い込まれる不幸を避けがたいものとするでしょう。
反対の第三の理由は、この法案がことほどさように重大であるにもかかわらず、慎重審議されていないということであります。政府は一応ていさいを整えるために国立大学協会に諮問なるものを発しましたが、それは形式にしかすぎず、法案の骨子を示しただけにとどまり、また大学側の審議も時間の関係上実質的にはゼロに近い状態で、わずかに学長たちのやむを得ない処置であるという答申がもたらされたにすぎませんが、実はこの答申はあえて政府の筋書きどおりに運ばれたまでのことであるという疑いを濃くするものであります。
それだけではありません。国会の審議の過程を見ると、このことは一そう明白であります。本委員会の質問でも明らかなように、衆議院大蔵委員会はわずかに二日間の審議で、参考人すら呼んでいません。本委員会の審議状況を見ても、わが党、社会党の要求にかかる参考人を呼んで慎重審議をせよということ一つさえも、政府、自民党は耳をかそうといたしません。これでどうして民主的審議の姿ということができるでしょうか。手続ではありますが、民主主義とはその手続が非常に重大であります。それこそこの法案の隠された性格を示す一つの実例ではないでしょうか。政府、自民党があせっているのも、決して偶然ではありません。少なくともこの法案の審議には十分な時間的余裕をとり、民主的意見を集中し、聞くべきは聞くという態度をとらねばならぬことは、きわめて理の当然であります。それはまた、本委員会の義務でもあったと思います。それさえあえて行なわず、この状態のままで採決することは、まことに遺憾であります。
以上の理由によって、わが党はこの法案の撤回を要求して、反対討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02619640403/5
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006・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02619640403/6
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007・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
まず、討論中に述べられました柴田君提出の修正案を問題に供します。修正案に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02619640403/7
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008・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 多数と認めます。よって、柴田君提出の修正案は多数をもって可決せられました。
次に、ただいま可決せられました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02619640403/8
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009・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は多数をもって可決せられました。
以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02619640403/9
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010・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十時五十四分散会
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