1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月十四日(火曜日)
午前十時三十五分開会
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委員の異動
四月七日
辞任 補欠選任
川野 三暁君 迫水 久常君
四月八日
辞任 補欠選任
迫水 久常君 川野 三暁君
栗原 祐幸君 上林 忠次君
四月十日
辞任 補欠選任
野溝 勝君 大河原一次君
四月十三日
辞任 補欠選任
大河原一次君 野溝 勝君
四月十四日
辞任 補欠選任
上林 忠次君 久保 勘一君
佐野 廣君 吉武 恵市君
鳥畠徳次郎君 二木 謙吾君
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出席者は左のとおり。
委員長 新谷寅三郎君
理事
西川甚五郎君
成瀬 幡治君
渋谷 邦彦君
天田 勝正君
委員
青木 一男君
大竹平八郎君
岡崎 真一君
川野 三暁君
久保 勘一君
田中 茂穂君
津島 壽一君
二木 謙吾君
堀 末治君
吉武 恵市君
柴谷 要君
鈴木 市藏君
政府委員
大蔵政務次官 齋藤 邦吉君
大蔵省主計局法
規課長 相沢 英之君
大蔵省主税局長 泉 美之松君
大蔵省関税局長 佐々木庸一君
大蔵省理財局長 吉岡 英一君
大蔵省銀行局長 高橋 俊英君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
説明員
日本専売公社総
裁 阪田 泰二君
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本日の会議に付した案件
○自家用自動車の一時輸入に関する通
関条約の実施に伴う関税法等の特例
に関する法律案(内閣提出)
○国際開発協会への加盟に伴う措置に
関する法律の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○公認会計士特例試験等に関する法律
案(内閣送付、予備審査)
○税理士法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○納税貯蓄組合法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
○保険業法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○公庫の予算及び決算に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○租税及び金融等に関する調査
(専売事業に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/0
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001・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る八日栗原祐幸君が辞任せられ、その補欠として上林忠次君が選任せられました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/1
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002・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 本院先議として提出せられ、本委員会に付託せられました自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実施に伴う関税法等の特例に関する法律案、予備審査のため付託せられました国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案、公認会計士特例試験等に関する法律案、税理士法の一部を改正する法律案、以上四件を一括議題とし、四件につきまして順次提案理由の説明を聴取いたします。
齋藤大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/2
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003・齋藤邦吉
○政府委員(齋藤邦吉君) ただいま議題となりました自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実施に伴う関税法等の特例に関する法律案外三法律案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
最初に、自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実施に伴う関税法等の特例に関する法律案について御説明申し上げます。
政府は、今般、自家用自動車による国際旅行の発展に資するとともに、わが国の観光に関する政策を推進する等のため、道路交通に関する条約及び自家用自動車の一時輸入に関する通関条約に参加することとして、これら両条約の締結につきその承認を求めるため、別途今国会において御審議を願うこととしているのでありますが、このうち、後者の条約は、特定の保証団体の発給する一時輸入書類の担保のもとに、自家用車両またはその修理用部分品を、再輸出することを条件として、関税、物品税等を徴収せず、かつ、輸入制限を適用することなく輸入すること等をその内容としておりますため、この条約の締結に伴い、この条約を実施するため関税法等の特例等を定める必要がありますので、この法律案を提出した次第であります。
以下この法律案の内容につきまして、その大要を御説明申し上げます。
第一は、一時輸入書類による自家用車両等の輸入手続についての規定であります。
すなわち、所定の要件を具備した者は一時輸入書類により、関税及び物品税の免除を受けて自家用車両等を輸入することができるのでありますが、一時輸入書類の有効期間内に当該自家用車両等が再輸出されないときは、一時輸入書類を発給する権限を有する保証団体は、当該自家用車両等の輸入者と連帯して、免除された関税及び物品税を納付しなければならないこととしております。この関係上、一時輸入書類により自家用車両等を輸入しようとする者は、その一時輸入書類について保証団体の認証を受け、認証済みの証明を一時輸入書類に添えて税関に提出しなければならないことといたしております。
第二は、輸入された免税自家用車両等について、条件違反等の場合の関税及び物品税の徴収の規定であります。
一時輸入書類により輸入された自家用車両等が、一時輸入書類の有効期間内に、譲渡され、あるいは自家用もしくは修理用以外の用途に供された場合、または再輸出されない場合は、この制度を乱用するものであり、再輸出条件に反することとなるので、このような場合は、それぞれの場合に応じ、譲渡者、譲り受け人、輸入者または保証団体から、当該自家用車両等の関税及び物品税を徴収することといたしております。
しかしながら、当該自家用車両等が事故により損傷したため再輸出されないこととなった場合には、関税等を軽減することができることとし、また当該自家用車両等が滅却される場合には関税等を徴収しないことといたしております。
第三は、一時輸入書類を発給することのできる保証団体についての規定であります。
一時輸入書類の発給は保証団体に限られますので、保証団体となろうとする者は、大蔵大臣の認可を要することとし、その認可手続を定めるとともに、その業務につき所要の監督を行なうため、報告の聴取及び立ち入り検査等についての規定を設けることといたしております。
第四は、前述の条約の非締約国への便益提供等についての規定であります。
国際旅行の発展に寄与する見地から、外国の例にならい、わが国の保証団体が加盟している国際団体と同一の国際団体に加盟している前述の条約の締約国以外の国の保証団体が発給した輸入税の保証を示す書類についても、当該書類を一時輸入書類とみなし、必要に応じ、前述の条約の便益を及ぼし得ることとするほか、前述の条約の実施のため所要の規定を設けることといたしております。
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次に、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
国際開発協会が、昭和三十五年十一月の創立以来、長期かつ低利の融資を通じて、低開発地域の経済開発の促進、生産性の増大及び生活水準の向上のために果たしてきた役割りはまことに大きなものがあります。わが国も、その原加盟国として、同協会を通じて低開発国援助のために応分の寄与をしてまいっております。
しかしながら、低開発国の国際収支事情よりして、同協会の行なう融資に対する需要は年を追って増大し、その保有する交換可能通貨による資金は遠からず全額貸し付け約定される見通しとなりました。ここにおいて一昨年九月の年次総会において同協会の増資が提案され、以来、その具体案作成について同協会の理事会及び加盟先進国会議等において検討が重ねられました結果、昨年九月九日の理事会において総額七億五千万ドルの資金追加及びその分担について各国の合意が成立し、これを内容とする国際開発協会の資金追加に関する決議案は、直ちに総務会の投票に付されました。わが国は十二月十六日に賛成投票をいたしましたが、各加盟国総務の投票も逐次行なわれ、さる三月一日に至り、国際開発協会協定の規定に基づく多数、すなわち、過半数の総務による総投票権数の三分の二以上の投票がなされ、かつ、その過半数が賛成投票であることが確認されました。ここにおいて、わが国といたしましては、決議の定めるところに従い、同協会に対して新たに四千百二十五万ドル相当額(百四十八億五千万円)の追加出資を行なうため所要の国内措置を講ずる事由が生じたものであります。
したがいまして、この法律案により、新たな出資についての規定を設けることとし、この法律案の成立を待って、日本国政府として出資分担を引き受ける旨の正式通告を同協会に対して行ないたいと考えております。
なお、今回の追加出資は、全額を円貨で行なうこととしておりますが、実際の払い込みは昭和四十年度以降三ヵ年度にわたり均等分割して行なうこととなっており、かつ、当初はその全額を通貨代用国庫債券により行なうことが認められておりますので、昭和三十九年度については特に予算上の措置を講ずる必要はありません。
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次に、公認会計士特例試験等に関する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
現在、証券取引法の規定に基づく財務書類の監査または証明は、公認会計士でなければ行なうことができないのでありますが、同法の規定に基づかない一般の監査証明は、公認会計士法の附則により、計理士も行なうことができることになっております。しかしながら、今日わが国経済の現状を見ますると、資本市場育成の見地から投資家保護の徹底及び開放体制への移行に伴う企業経理の一そうの健全化が特に強く望まれているのでありまして、その財務書類の監査証明に当たる者の社会的地位と監査水準の全般的質的向上をはかることが急務とされているのであります。この要請にこたえ、かつ、従来からの計理士問題の経緯を考えるとき、現在経過的に残されている旧計理士制度は、この際、これを廃止することとし、そのかわり計理上及び計理士登録延期者で、試験によって公認会計士の資格要件を具備すると認められる者に対しては、公認会計士に登用する道を開き、また、主として計理士業務を営む者で政令で定める要件に該当する者に対しては、認定により税理士となる資格を付与することが職業会計人制度の整備合理化にも資することが大きいと考えられます。また、現在の公認会計士試験第三次試験の実施状況等に顧み、これに口述試験を追加する必要があると考えられますので、この法律案を提出することとした次第であります。
次に、この法律案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
まず第一は、現在、公認会計士法附則第六十三条第一項または第二項の規定によりまして、計理士法廃止の際計理士であった者は、同法廃止後も、大蔵省に備える計理士名簿に登録を受けることを条件として、計理士業務を営むことができることとなっているのでありますが、この制度は、昭和四十二年三月末日をもって廃止することといたしております。
第二に、計理士制度の廃止に伴いまして、昭和三十九年七月一日から昭和四十二年三月三十一日までの間、五回を限りまして、公認会計士特例試験を次の要領により実施することとし、その合格者には公認会計士の資格を与えることといたしております。
なお、計理士制度廃止の期限及び特例試験の期限である昭和四十二年三月三十一日については、問題の経緯等にかんがみ、これを厳守することとし、延長措置は一切行なわない所存であります。
まず、公認会計士特例試験を受けることができる者は、大蔵省に備える計理士名簿に登録を受けている計理士及び計理士名簿への登録を受ける資格を有する計理士登録延期者に限定することといたしました。
次に、公認会計士特例試験の試験科目は、公認会計士となるのに必要な専門的学識及びその応用能力を有するかどうかを判定するために、会計監査、税に関する実務を含む会計実務及び商法の三科目につきまして、筆記の方法により行なうことといたしました。
また、公認会計士特例試験の合格者を決定する場合におきましては、筆記試験の成績によりますほか、計理士の職にあった実務年数を、政令で定める方法により、しんしゃくすることといたしました。
第三に、計理士業務を主として営む者に対して税理士の資格を付与する措置でありますが、昭和三十九年四月一日現在において計理士名簿に登録を受け、計理士の名称を用いて、主として旧計理士法第一条に規定する計理士業務を営んでいる者のうちで政令で定める要件に該当する者につきましては、税理士法第十三条に規定する税理士試験委員の認定を受けることを条件といたしまして、税理士の資格を付与する措置を講ずることといたしております。
第四に、公認会計士試験第三次試験に口述試験を追加することといたしております。現在、公認会計士試験第三次試験は、財務に関する監査、分析その他の実務について筆記の方法により行なわれているのでありますが、第三次試験の受験の要件とされております実務補習及び業務補助または実務従事の成果がよりよく反映されるようにするため、口述試験を追加して第三次試験制度を整備することといたしました。
なお、口述試験は筆記試験に合格した者について行ない、また、筆記試験の合格者には、その後行なわれる四回の筆記試験を免除することといたしました。
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次に、税理士法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説一明申し上げます。
現行の税理士制度は、昭和二十六年に施行された税理士法に基づくものでありますが、同法の施行後十数年間における社会経済情勢及び税制の著しい推移にかんがみ、これらの推移に即応した制度を確立する必要が認められるに至ったため、政府といたしましては、税理士制度各般にわたり根本的な再検討を加えることとし、一昨年に設けられました税制調査会において税理士制度につき鋭意検討を加えてまいりましたが、昨年末、同調査会から「税理士制度に関する答申」を受けたのであります。政府は、この答申を尊重しつつ、さらに検討を加えた上、本法律案を提出することとした次第であります。
以下、この法律案の内容について、その大要を御説明申し上げます。
改正の第一は、税理士の職務が、中正な立場において、納税義務者の信頼にこたえ、納税義務の適正な実現に資するという、重要な意義を有していることにかんがみ、税理士の地位向上とその業務運営の適正化をはかり、もって、納税義務者に対する税務援助について一そうの充実を期するため、所要の改正を行なうことであります。
すなわち、その第一点は、税理士の業務について、その範囲を拡大することであります。税理士業務の対象となる租税の種類は、現在、所得税、法人税等の特定の税目に限定されておりますが、物品税等の間接税におきましても申告納税制度が採用されていることでもありますので、登録税、印紙税及び地方税のうち法定外普通税等の特殊例外的なものを除いては、広く国税及び地方税の全般を対象税目とすることとしております。次に、第二点は、税理士業務に新たに二つの制度を加え、納税者の信頼に一そうこたえることとしたことであります。
その一つは、税務書類の審査に関する書面添付制度の創設であります。すなわち、税理士が、納税者の作成した申告書について、納税者から相談を受けてこれを審査し、その申告書が適正に作成されていると判断した場合には、その旨を記載した書面を申告書に添付することができる制度を設けたのでございまして、これによって表明された税理士の専門的な意見を尊重するため、この書面の添付のある申告書について税務官公署が更正しようとするときは、あらかじめ当該税理工の意見を徴しなければならないこととしております。
その二は、会計業務に関する規定の新設であります。税理士の業務は、会計業務を基礎とする面が多いのでありますので、今回、税理士は、附随業務として、税理士の名称を用いて、財務書類の調整、財務に関する相談等の会計事務を行なうことができる旨を明らかにいたしております。
次に、第三点は、納税者が税理士に税務代理を委任した場合、税務調査に際して税理士が立ち会うことが納税者にとって望ましいわけでありまして、このために現在税理士に対する調査の東前通知の制度について、この通知の対象となる税目の範囲を現行の所得税、法人税等に限定している点を改め、すべての税目にこれを拡大することとし、納税者に一そうの安心感を与えることといたしております。
次に、第四点は、いわゆるにせ税理士行為の発生を防止して、税理士業務の運営の適正化に資するため、税理士事務所の設置を一人一ヵ所に限定する原則を一そう徹底させるとともに、税理士事務所につき統一的な名称を付することとし、また、税理士の使用人に対する監督義務に関する規定を新設する等の改正を行なうこととしております。
次に、第五点は、税法がしばしば改正されることとも関連して、税理士業務の適正な遂行に誤りなきを期するとともに、税理士の資質の一そうの向上をはかるため、日本税理士会連合会の統一的な管理のもとに、税理士に対し定期的に所要の研修を行なうこととするための改正を加えることとしております。
次に、第六点は、税務職員から税理士となった者に対し、税理士業務の一そうの適正化をはかるための改正であります。すなわち、現在は、税務職員であった者は、離職後一年間、離職前一年内に占めていた職の所掌に属すべき事件について税理士業務を行なってはならないとされているのでありますが、今回この制限期間を離職後二年間に延長するとともに、現行の例外措置を一そう縮小し明確にすることといたしております。
次に、第七点は、税理士に対する懲戒処分について、運営の適正化に資するための改正であります。すなわち、懲戒処分の手続を一そう慎重にするため、新たに国税庁に懲戒、審査会を設け、国税庁長官が懲戒処分を行なうに際しては、あらかじめこの審査会の意見を必ず徴することに改めるとともに、懲戒処分の効力は、懲戒処分をした時から発生することを明らかにいたしております。
次に、改正の第二の眼目は、税理士業務の定義について、誠実な納税運動の推進に支障のないよう配意しつつ、所要の改正を行なうことであります。
すなわち、税理士業務は、税務代理、税務書類の作成及び税務相談の三つからなっておりますが、現行規定にはあいまいな点があるため、税理士の独占業務としての税理士業務の範囲に明確さを欠き、ために、業務の取り締まり及び納税者団体等による誠実な納税運動の推進に支障が見られますので、両者の調整をはかりつつ、規定の整備を行なうこととしているのでありまして、これにより、税務代理には代理及び代行を含むこと、税務書類には通常の決算書類は含まれないこと、また税務相談には申告に際しての個別相談をいうこと等を明らかにしているのであります。
次に、改正の第三の眼目は、税理士となる資格についての改正であります。
現在の制度では、弁護士及び公認会計士のほかは、税理士試験を経て税理士の資格を与えることとしておりますが、税理士試験は、一般試験と特別試験とに区分されて行なわれております。一般試験と申しますのは、まず受験資格を一定範囲に限定した上、税法と会計学につき行なうものであります。また、特別試験と申しますのは、一定の実務経験を有する税務職員等について、実務を主とした事項につき行なうものであります。
このような現行の税理士試験のうち、一般試験につきましては、本試験一本で、しかも科目別に合格を判定することになっており、かつまた、数多くの一部科目の免除制度がありますために、制度が複雑となっているほか、受験者の数もきわめて多く、勢いその試験問題もいたずらに暗記力にたよるむずかしい試験になりやすく、反面、実務応用能力を十分に反映しがたい欠陥があり、職業専門家としての資格を判定する試験方法としては、必ずしも適当でない面がありました。
そこで、今回、他の立法例をも参考としつつ、整備改善をはかることといたしました。すなわち、まず、一般試験については、受験資格の制限を廃止した上、これを、一般的教養を有するか、どうかを判定するための予備試験と、税理士となるのに必要な専門的知識及びその応用能力を有するかどうかを判定するための本試験とに分け、この場合本試験に、実務応用能力の判定に重きを置くこととするため、まず、基礎的な素養の判定を短答式試験によって行なった後、その合格者について、試験場に税法書を備えつけて、実務応用問題についての試験を行なうこととし、合格者の決定方法は、総合点主義によるものといたしております。なお、一度短答式による試験に合格した者は、その後五年間は、短答式試験を受けることなく、実務応用問題による試験のみを受ければよいことといたしております。
この改正案による税理士試験は、昭和四十年から実施することといたしておりますが、従来の試験による一部科目の合格者等に対する既得権を十分尊重するとともに、この試験制度の改正により受験者に与える影響を緩和する趣旨から、所要の経過措置を講ずることとしております。
次に、税務実務経験者に対する資格付与のあり方に関する改正であります。わが国の他の職業専門家に関する立法例や外国の税理士制度等を見ますと、行政庁に対する事務折衝を中心とする職業専門家の場合には、通常の試験制度のほか、当該行政庁において一定の実務経験を積んだ者を資格者の中に含めている例が多いのであります。また、現在の税理士制度では、勤続十年ないし十五年の税務職員に対しては、一般試験において税法の試験を免除することとしており、さらに、勤続二十年(地方税職員の場合には二十五年)以上の税務職員に対しては、一般試験にかえて会計に関する実務を中心とした特別税理士試験のみを行なうこととしております。
そこで、今回、右のような試験免除に関する現行の特例等を整理するとともに、職業専門家に関する他の立法例を参考として行政庁における専門的実務経験を重視した改正を行なうこととしました。すなわち、税務官公署における国税事務にもっぱら従事した期間が二十年以上、または地方税事務にもっぱら従事した期間が二十五年以上になる者であって、かつ、当該事務を管理、監督する一定の責任ある地位にあった期間が五年以上になる者のうち、税理士試験審査会により、主として簿記に関する実務につき、その必要と認める口頭試問によって、税理士試験合格者と同等以上の学識を有する旨の認定を受けた者については、税理士となる資格を付与することといたしております。
その他、税理士試験の実施機関として、税理士試験審査会の制度を設けることとしましたこと等、所要の整備改善を行なっております。
以上、自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実施に伴う関税法等の特例に関する法律案外三法律案につきまして、その提案の理由及び概要を申し上げた次第でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/3
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004・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、本院先議のすでに提案理由の説明を聴取いたしました納税貯蓄組合法の一部を改正する法律案、保険業法の一部を改正する法律案、先刻提案理由説明を聴取いたしました自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実施に伴う関税法等の特例に関する法律案、及びすでに提案理由の説明を聴取し、去る十日衆議院から送付、本委員会に付託せられました公庫の予算及び決算に関する法律の一部を改正する法律案、以上四件を一括議題とし、順次補足説明を聴取することにいたします。
泉主税局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/4
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005・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 納税貯蓄組合法の一部を改正する法律案につきまして、補足して御説明申し上げます。
納税貯蓄組合の制度は、その組合の健全な発達を通じまして租税の容易かつ確実な納付に資するために、昭和二十六年に納税貯蓄組合法が制定され、その制度化がはかられたのでございます。
この法律制定後今日までの十数年間に、納税貯蓄組合制度は飛躍的な発展を見まして、昨年三月末におきましては全国で組合数が十一万余り、組合員数は五百八十五万を数えるに至りました。納税貯蓄組合に加盟いたしております納税者の納税成績は、組合員となっておらない納税者のそれに比較いたしまして、八%程度良好になっておるのでございます。このような発展の過程におきまして、組合についてその事務の円滑な運営をはかるために連合会が自然発生的に各地に結成され、同じく昨年三月末におきましてその数は約八百に達しております。全国の納税貯蓄組合の六一%余りをその傘下におさめている状況にあるのでございます。
ところで、最近におきまする情勢を考慮いたしますと、納税者にとって便利なこの納税貯蓄組合制度を、さらに一そう普及、発達させることが適当であると考えられるのでございます。このような状況にかんがみまして、納税貯蓄組合制度について、より一そう健全な発達をはかり、租税の容易かつ確実な納付に資するため、今回納税貯蓄組合法の一部を改正する法律案を御提案申し上げたのでございます。
この改正の要点は三点ございます。
第一は、納税貯蓄組合預金を取り扱う金融機関の拡充の点でございます。納税貯蓄組合預金を取り扱う金融機関は、現在、銀行、信用金庫、信用協同組合その他の協同組合などとなっております。ところで、商工組合中央金庫は、その金融業務の一環としまして、中小商工業者から直接預金を受け入れる業務を行なっております。その営業店舗数が全国で六十四ヵ所、その預け入れ金口数が六万、預金額が四百六十六億円となっておりまして、中小商工業者の利用度はかなり高くなっておるのであります。そこで、先ほど申し上げました金融機関のほかに、新たに商工組合中央金庫を納税貯蓄組合預金を取り扱う金融機関に加えまして、その利用者の便宜をはかろうとするものでございます。これが第二条第二項の改正点になっております。
改正の第二点は、納税貯蓄組合連合会の法制化でございます。これにつきましては、納税貯蓄組合法が制定されました当初におきましては、単位組合間の単なる連絡機関程度の期待を有するにとどまっておりましたので、その法制化は見送られてまいったのでございますが、単位組合におきましては、地域的な制約からいたしまして、その事業活動がおのずから制限があり、納税貯蓄組合法制定の趣旨を貫くには運営が必ずしも十分でないという欠陥が見受けられるのでございます。そこで、先ほど申し上げましたように、現在自然発生的に結成されておりまする納税貯蓄組合連合会をして、その単位組合が果たすことのできない欠陥を補充させるとともに、単位組合の指導育成に当たらせるために、この際連合会の制度化をはかりまして、これに対する必要な規制と助成をはかろうとしておるのでございます。この改正が第一条の改正、それから第十条の二、第十一条の第二項、第十二条、第十三条等の改正点になっておるのでございます。
第三は、納税貯蓄組合預金を納税目的以外に引き出した場合に、その利子に対する所得税の非課税限度の引き上げについてでございます。納税貯蓄組合預金の利子に対する所得税につきましては、現在納税貯蓄組合に対する助成の一環といたしまして、その預金を納税の目的に引き出した場合の利子に対して非課税としているほかに、その預金を納税の目的以外に引き出した場合におきましても、預金の利子計算期間内におきまして五万円以下の場合には非課税といたしておるのでございますが、しかし、この五万円の非課税限度は最近の経済情勢に照らしてみますと低過ぎると認められますので、この際十万円に引き上げまして、組合制度の普及発達に資そうといたしておるのでございます。この改正が第八条の改正に相なっておる次第でございます。
以上、簡単でございますが、補足説明を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/5
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006・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 高橋銀行局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/6
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007・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 保険業法の一部を改正する法律、案につきましては、去る二月二十七日に提案理由説明が行なわれたのでございますけれども、これに若干補足説明をさせていただきます。
昭和三十七年四月二十日公布の商法の一部改正によりまして、株式会社の計算規定の整備合理化が行なわれたのでございますが、相互会社たる保険会社につきましては、さしあたり従前どおりの規定が適用されて今日に至っておるのであります。しかし、相互会社たる保険会社につきましても、基本的には株式会社たる保険会社にならって資産の評価等に関する改正商法の規定を準用することが適当と考えられるのであります。
半面、保険会社につきましては、株式会社、相互会社を問わず、保険事業の相互扶助的性格にかんがみまして、契約者利益の確保増進をはかることも必要であります。保険会社の所有する資産の中で、取引所の相場のある株式であって、その評価に相当の含みがあり、かつそれを売却することが適当ではないと判断される場合におきましては、商法の規定に対する特例として、ある程度評価益の計上を認め、これを契約者のために責任準備金の積み増しに充て、場合によっては契約者配当準備金に繰り入れることができるような道を開いておくことが適当であると考えられるのであります。ただ、この規定の運用にあたりましては、その評価が之に大蔵大臣の認可を要することといたしまして、会社経営の健全性を阻害しないよう慎重に運用していきたいと存じております。
なお、以上の改正に関連いたしまして、罰則その他所要の規定の整備をはかることといたしております。
以上、簡単でございますが、補足説明とさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/7
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008・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 佐々木関税局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/8
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009・佐々木庸一
○政府委員(佐々木庸一君) 自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実施に伴う関税法等の特例に関する法律案につきまして、補足説明を申し述べさせていただきます。
最近、国際的にも自動車旅行が非常に盛んになってまいりました。その通関その他の手続につきまして、簡素化の必要が国際的につとに要望されておったわけでございます。
日本の現行の手続によりますというと、外国人非居住者と法律上は申しておりますが、その者が自動車を持ってまいりまして、日本に観光旅行をしようという場合におきましては、まず税関におきましては、無為替輸入の承認であるとか輸入申告でありますとか、一時観光旅行に参りまして、また出国するものでございますから、再輸出免税の規定の適用がございますけれども、税額に相当する担保を提供するとか、担保を提供しない場合には大公使館の保証状を必要とするとか、またさらには、運転を自分でやって国内を回ろうといたします者には運転免許証を交付しなければなりませんし、車を持ってまいりました者につきましては、車体の検査登録等の手続を必要といたしております。このような複雑な手続をやっておりますというと、相当の日数を要しまして、短期間観光の目的を達し得られないという事態が生ずることも予想されるわけでございます。かたがた、今秋、オリンピックが開催されますというと、自分で自動車を持ってまいりまして、観光を自分の運転でやろうとする者も出てくるかと思われますので、この際これらの諸手続の簡素化をはかりますために、別に道路交通条約及び自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の加入につきまして御承認を求める手続を国会に対してとっておる次第でございます。これらの二条約に入ります結果は、道路交通につきましての規則の国際的な統一ということが一つの目的になっておりまして、キープ・レストとか追い抜きの規制でありますとかいう場合の統一を規定しておりますほか、国際運転免許証を持ってまいりました者につきましては、新たに国内的に免許証をもらう手続を要しないことにするという内容を含んでおります。さらにまた、国際的な手続によって登録をされてまいりましたものにつきましては、国内の車検及び登録をやらないでもいいという内容を持っておるものでございます。これに関連しましては、運輸省のほうの道路交通事業法の一部改正及び警察のほうにおきまして道路交通法の一部改正という国内法の改正も、また提案されておる次第でございます。
片方、持ってまいります自動車の通関につきましては、自家用自動車の一時輸入に関する通関条約によることを提案いたしておるわけでございますが、この内容は、一定の保証団体の保証のあるものにつきましては、その自動車が再輸出されますことを条件といたしまして、輸入に関連して課せられます関税、物品税等を免税するということを規定しているわけでございます。これによりまして、輸入通関手続及び納税の手続を省略しようとするものでございます。
このような条約にいままで日本が加入いたしませんでしたのは、自動車の輸入につきまして厳重な外貨割り当てを実行してまいっておりましたのと、その関係上、一時輸入されました自動車が転売されました場合においては、非常に差益を生ずるようなことが考えられるということで、いままでこれらの条約につきましては加入を見送ってまいった次第でございます。自動車の輸入の割り当てもだんだんふえてまいりましたし、さらには輸入の自由化というものも事務上の日程にのぼるようになってまいり、差益の生じ方も非常に少なくなってまいりましたのと、今回オリンピックその他の状況を考慮いたしまして、入国します者の手続の簡素化並びに行政官庁側におきます自動車を持ってまいります者に対する事務の負担を軽減するという立場に主として重点を置きまして、このような条約に加入することをお願いしておる次第でございます。
ところで、先ほど提案理由の説明がございましたように、御審議を願います自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実施に伴う関税法等の特例と申しますのは、条約の規定によりまして、関税、物品税等を免税されて入ってまいりました自動車につきまして、途中で転売されたりその他乱用があります場合の取り締まりの規定を置いております。もう一つは、保証団体について、その認可、業務監督等に関する規定を設けておるわけでございます。
この保証団体と申しますのは、一時輸入をされました自動直が、条件に反しまして再輸出されない場合におきましては、この団体が輸入者にかわりまして税金納付等の手続をとりまして、その自分の払いました税金につきましては、当該外国人が所属しておりました他の団体にその払いました税額に相当する金額の払い込みを求めることができることになっておりまして、その団体が払えない場合におきましては、国際的な上部団体から税金に相当する金額の払い込みを求めることになっておるわけでございますが、そのような国際団体に加盟してそのような手続がとれることを条件にする等の保証団体の認可条件等を規定しておるものでございます。
簡単でございますが、以上で補足説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/9
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010・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 相澤法規課長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/10
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011・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) 次に、公庫の予算及び決算に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を若干補足して御説明申し上げます。
この法律案を提案いたしました趣旨は、第一には、公庫の予算決算事務の簡素化を、第二には、監事の監査機能の強化をはかろうとすることであります。
第一点について申し上げますと、まず、支出予算上「節の区分」は、現在は公庫予算についてのみ存し、国の予算はもとより、公庫以外の政府関係機関の予算についても法律上の科目としてはございません。公庫の予算執行についてのみ「節の区分」を存置し統制を続ける必要はないと認められますので、これを廃止しようとするものであります。
次に、公庫の支払い計画の内容は、公庫が四半期ごとに主務大臣の認可を受ける資金計画に、実質的にその一部として含まれておりますので、事務の簡素化に資するため、この支払いの計画制度を廃止しようといたしております。
第三は、公庫の予算はいわゆる経費予算であり、施設の取得費のような経費は含まれておりません。したがいまして、施設等の取得等の場合において特に必要とされる繰り越しの制度は、公庫におきましては必要がなく、ここ十年間の予算執行上も繰り越し実績が皆無の状態でありますので、これを廃止しようとするものであります。
第四に、公庫が取得する固定資産は、営業用の建物、職員宿舎及び什器備品といったたぐいにとどまり、資金計画においてもその取得額が明らかにされておりますので、これを特に予算総則事項とする必要はないものと認められます。そこで、これを予算総則事項から削除しようとするものであります。
最後に、公庫の決算の完結期は、現在、事業年度終了後四ヵ月の七月三十一日となっておりますが、その経理の実情、民間会社における決算の実際から見ましても、長きに失すると認められますので、これを事業年度終了後二ヵ月の五月三十一日に繰り上げようとするものであります。
第二点は、公庫の業務の適正な執行に資するため、昨年十二月十四日に出されました行政管理庁の勧告の線に沿い、公庫が大蔵大臣に提出する財務諸表及び決算報告書に監事の意見を付することとし、監事の監査機能の強化をはかろうとすることでございますが、なお今回の改正に伴う規定の整備をはかろうといたしております。
以上、簡単でございますが、この法律案の提案の理由を補足して御説明申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/11
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012・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/12
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013・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/13
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014・成瀬幡治
○成瀬幡治君 ちょっと、私は、あさって大蔵大臣がお見えになって、それに対して質疑等が予定されておりますが、そういうことにからんで、事前に六つほど資料要求をしておきたいと思いますが、その柱になるものは三十九年度の経済の見通しの内訳になるようなものでございますが、その第一は国際収支の実績と見通し、これは資料は実はあるわけですけれども、狂ってきたりいろんなことですから、最近のがほしいわけですが、国際収支実績と見通しですね、三十九年度。三十八年度の実績、三十九年の見通し。
それから、二番目に、総合資金と産業資金の需給の見込み、これも実績と見込みになるわけですが、三十八年と三十九年。それから、鉱工業生産の伸び、まあ見込みですか、はどんなふうになるのか。これも実績と見込みですが、三十八年と三十九年。それから、在庫はどんなふうに動いているか。四番目は、在庫の見通しです。込みになるわけです。それから、五番目は、通貨供給の実績がほしいわけですが、これも実績と見通しがほしいわけです。三十八年、三十九年。
それから、成長率は、これは三十八年、三十九年には——三十八年には月別に出るのはよくわかりませんが、少なくとも四半期には立てておみえになるようですから、三十八年、三十九年の。三十八年は見通しに対して実績がもう算定されておると思いますから、そういうもの。それから、三十九年は見通しでいいですが、もう九・というのは出ておりますね、数字は。それは四半期に区切ったらどうなるのか、区切って出していただきたい。
それから、七番目として、中小企業が倒産しておりますから、これはどんなふうになっておるのか、資本金別と負債別とに分けて。まあ三十八年、三十九年になっていくわけですが、三十九年の見通しはちょっと出ないと思いますが、三十九年に入って、三十九年の三月なら三月までに——もう三月の数字は出ておると思いますから、三十八年から三十九年、それぐらいの。
以上ですがね、それをお願いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/14
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015・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 ちょっと関連してお願いしたいのですが、いまの中小企業の倒産については、業種別にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/15
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016・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまの成瀬委員の要求の資料は、できるだけ要望に沿うようにおつくりになって、次の委員会に御提出願いたいと思います。よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/16
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017・成瀬幡治
○成瀬幡治君 ぼくは、大蔵省ではなくて、経審のほうにも関係する資料があると思いますけれども、ぜひひとつ大蔵省のほうから入手して御提出願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/17
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018・齋藤邦吉
○政府委員(齋藤邦吉君) ただいまの資料の要求につきましては、御要望に沿うように努力いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/18
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019・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) それでは、この際、租税及び金融等に関する調査のうち、専売事業に関する件を議題といたします。
本件につきまして御質疑の要求がございますから、発言を許します。柴谷君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/19
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020・柴谷要
○柴谷要君 専売公社の総裁には、たいへんお忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございました。五、六点お伺いいたしたいと思うのでございますが、まず冒頭に、四月十七日の日に半日ストライキというものが行なわれようとしております。これに関連をいたしまして、公社として今日どういう姿勢でおられるのか、これを防止するためにどのような手を打っておられるのか。それから、このような事態になった今日までの経緯について、総裁から御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/20
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021・阪田泰二
○説明員(阪田泰二君) お尋ねの四月十七日のストの問題につきましては、専売の労働組合、全専売労働組合におきましても、これを実施するような予定であるように聞き及んでおります。大体、全国で九工場一地方局、十ヵ所で半日ストをやるというような予定になっておるように伺っております。まあこれが実施されますと、専売公社といたしましても、製造たばこの減産あるいはその他専売事業に相当の支障を生ずる見込みであるわけであります。
それで、今日までのこういうストのもとをなしておりまする、いわゆる春闘によりまする新賃金の要求に対する経過でございますが、これにつきましては、最初労働組合から要求の提出がございましたのが昨年の十月二十九日、大体五千円プラス三%といったような内容の要求になっております。まあその他にもいろいろと、賃金、労働条件に関しまして要求が出ておりまして、これに関しましては、それぞれ交渉いたしまして、相当多数の案件につきましてはおおむね妥結と申しますか、話がついてまいってきておるわけですが、新賃金関係が現在残っておるわけであります。
それで新賃金関係につきましては、昨年からことしの二月にかけまして、十数回にわたりまして組合と交渉したわけでありますが、二月の十五日になりまして、組合のほうが交渉を打ち切りまして、公労委のほうへ調停を申請するということになりましたので、現在は公労委に調停継続中、組合の申請によりまして調停継続中、かような形にあるわけであります。
調停の段階におきましては、二月二十六日から調停委員会委員の方々から事情聴収がございまして、私のほう並びに組合のほうから、事情聴取に応じまして、いろいろと委員の方々に御説明申し上げておるわけであります。
それで、新賃金問題に対しまする公社側からの具体的な提案といたしましては、この調停委員会の第一回の委員会の際に、これはまあ公社でも組合が調停に持ち込む前に検討して考えておりましたことでありますが、初任給の問題につきまして、初任給が、現在の公務員との比較あるいは一般民間の初任給との比較をいたしまして、多少低いと見られる点がありますので、高卒の初任給を六百円引き上げる、これに応じまして、多少その他のものにつきましても調整を要しますが、そういう提案といいますか、考えを持っている旨を申し上げてございます。
大体現在におきましてはそういう段階でありまして、調停委員会の調停をお願いしておる、こういう状況になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/21
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022・柴谷要
○柴谷要君 今日までの経緯から概略をお話ししていただいたので、わかってまいったのでありますが、賃金問題について、昨年の十月以降百八十余日にわたって熱意と努力をもって対処してきたけれども、賃金問題については依然としてゼロ回答のみだ、十数回の団体交渉といえども、いつもゼロ回答、ゼロ回答の連続であったということが組合側から言われておるわけであります。一体、ゼロ回答をするのに、十数回もやってみたってまとまるはずはないんですね。特に総裁は公労委に長らくおいでになった、その道の何といいますか、エキスパートでもあられる。何か公労委なり調停委員会に持ち込むために、ゼロ回答の連続であったのではないかというふうに思うわけでありますが、その点はいかがでございましょうか。専売公社自体として賃金剛趣を解決しようという態度でなくて、いわば公労委まかせというような態度で団体交渉に臨んでおったのではないかというふうに、われわれ第三者の立場から考えられるのでありますけれども、この取り扱いについてどういうお考えでやっておられましたか、お聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/22
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023・阪田泰二
○説明員(阪田泰二君) 新賃金の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、組合のほうから調停に持ち出します前に、公社と組合の間で十数回にわたりまして話し合いをしたわけであります。初めから公労委に持ち込むのだということで、ただゼロ回答をしてきたということではございませんが、かなり内容実態に立ち入りまして、両者の交渉もし、賃上げの理由、内容、公社で現在賃上げの必要なしと認める根拠、その他につきまして議論をいたしましたわけで、全然初めから自主的解決をするつもりはない、公労委におまかせをするというつもりでゼロ回答を続けておるのだという事実は全くないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/23
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024・柴谷要
○柴谷要君 最近の物価値上がり等の状況によって、職員の生活実態というものが苦痛に悩んでおる、こういうことの事実については、その実情が職員から総裁に訴えられておったと思います。その現実を総裁はどうお考えになっておられましたか、その見解を御披露を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/24
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025・阪田泰二
○説明員(阪田泰二君) 物価の高騰の問題につきましては、組合からも非常に強い主張がなされた点でありますが、その点につきましては、これは消費者物価の値上がりの状況、その実態等は、これはいろいろ計数的に明らかになっておる面があるわけでございます。確かに上昇いたしておるわけでありますが、一方におきまして、公社の職員の定期給与というものは、これもだんだん上がってまいっておるわけでありまして、そういうものと比較いたしました実質賃金の指数というものは、これは大体従来から安定して徐々に上がってきておる、こういう数字が出ておりまして、物価も上がっておりますが、実質賃金としては決して低下していない、安定して少しずつ上がってきておる、こういう形になっておりますので、そういうことで、私どもとしては、物価関係からこの際上げなければならないという理由はないのではないか、こういう主張をしてまいったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/25
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026・柴谷要
○柴谷要君 そうしまするというと、公社としては、実質賃金は安定しておるから、賃金値上げの要求に対しては考える必要ないのだ、こういう御見解をお持ちになっておられたわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/26
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027・阪田泰二
○説明員(阪田泰二君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/27
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028・柴谷要
○柴谷要君 それはいとも明確にお答えになったと思いますが、それは間違いございませんか。それならば、調停委員会で専売の賃金は幾ら幾ら上げろということになると、それは専売公社の総裁としては、現行の賃金は安定しておるのだから調停委員会の案に対しては受け入れられないという態度を御堅持なさるのですか、その点お聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/28
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029・阪田泰二
○説明員(阪田泰二君) ただいま申し上げましたのは、物価が上がってきているから賃金も上げなきゃならぬ、上げるべきである、こういう組合の主張でございますが、それに対しまして、物価も上がっておるが賃金も上がってきておりまして、賃金を物価で割った実質賃金指数と申しますか、これは決して低下していない、最近におきましても低下していない、こういう事実があるので、物価が上がったからといって直ちに賃金を上げるべしと、こういう理由はないと、こういう趣旨で申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/29
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030・柴谷要
○柴谷要君 それならば、現在の専売公社の賃金は安定しておる、こういうことではなくて、安定しているということではなくて、物価の値上がりに対しては名目賃金でもなんでも上がっているから、実質的にはそう従来と変わらないのだ、こういうことの言い方ではないか。ですから、安定しているということならば、企業の責任者として、調停がいかようなものを出そうとも、専売公社の職員は安定しておるのだからそのような調停案は受け入れられないというのが、これは筋ではなかろうかと思います。ところが、そうではなくて、今日の職員が要求しておることはあなたは承知をしておりながらも、そう言わざるを得ない現実に追い込まれているのじゃないか、私はそう思う。かつて公益委員として阪田さんが公労委の中で名演説をぶたれたのを、十分私は承知しておるのです。そのときと全くうらはらのことを言っておられるということは、経営者陣営に立たれたあなたとしてそう言わざるを得ない現実に追い込まれておるということを、私は如実に物語っていると思う。
それで、あなた、実際良心に恥じませんか。あの名演説は私は耳に残っているのですよ。これは経営者の立場に立ったためにその苦衷はあろうと思いますが、その点はいかがでございましょうか。大蔵委員会だけでございますから、他に公開するわけではございませんから、それを腹を割ってお話をいただきたいと思います。これは実に専売というところは伝統を持ち、半日ストライキなんということをかまえてやろうなんという気持ちのない組合が、ここに盛り上がったということは、容易ならぬ問題だと思うのです。それを他の公社に求めるのではなくて、ほんとうに労働者に対して理解を持ち、労働行政にもエキスパートといわれております阪田さんなればこそ、私は、何とかあなたが十七日の問題を回避するために、公労委などの裁定を待たないで、あなた自身が結着をつけるという業績を示していただくことを実は期待しておった。ことしあたりがあなたの手腕を示す時期じゃないかと思って実は待っておったのですけれども、便々と公労委なりその他にまかしたような形勢がありますので、御苦労でございましたけれども、御出席いただいて、心境の一端をお聞かせいただきたい、こういうことを申し上げておるのです。総裁になられたので少し心境が変わったように思いますが、その点はいかがでございましょうか。ひとつ忌憚なく語っていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/30
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031・阪田泰二
○説明員(阪田泰二君) どうも、ただいまのお話ですが、ちょっと先ほどあまり簡単にお答え申し上げましたので、多少誤解もされたようですが、誤解もあったのかと思いますが、賃金と物価の関係、これは組合の主張は、物価が上がって組合員の生活内容が下がってきている、こういう意味からの主張といたしますと、これは実質賃金の指数としては下がっていない、こういう意味で、その意味から、下がっておるから上げなければならぬ、こういう意味の理由はない、こういう趣旨で申し上げたわけであります。
しかし、賃金をどう上ぐべきかという問題につきましては、これはもちろん安定しておればいいというものではない。組合のほうから、賃金は実質的にも上げていく、向上していくといったような要望のあることは当然でありましょうし、また、だんだんそういう方向に労働者の待遇というものが上がっていく、こういう大きな方向というものは当然あってしかるべきものと思います。
そこで、具体的な賃金の数字が今日においてどうあるべきかという問題になりますと、ただいまのようなそういう単純な、物価が上がったから生活内容が下がったとか下がらないとか、そういう問題ばかりでなくて、いろいろと公社法にもございますように、公務員の賃金との比較の問題でありますとか、あるいは民間産業一般の賃金との比較の問題、いろいろそういったような問題も出てまいりまして、そういうものとバランスのとれた給与水準をきめていく、こういうことになると思いますが、そういう点につきましていろいろとそれぞれ検討もいたしまして、現状におきましては賃金を上げる必要がないのじゃないか。初任給の調整はいたしますが、その他の原因においては上げる必要はないのじゃないか、こういう趣旨で組合と話をしておりましたわけであります。
それで、調停委員会におきましても、そういう趣旨で委員の方々にこちらから御説明申し上げておるわけでありますが、もちろん調停委員会にかかっておりまするわけでありますから、調停委員会の話がいろいろとあることと思いますが、そういう点につきましては、十分委員の方々のお話も伺い、またこちらの申し上げることも申し上げまして、調停委員の方々の異なりました御意見等は十分に尊重してやってまいりたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/31
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032・成瀬幡治
○成瀬幡治君 ちょっと関連して。阪田さん、これは私的な御意見でけっこうですが、民間産業よりも賃金水準が専売公社の職員は低いというふうにお考えになっておるかどうか。低くない、同じくらいだとお考えか、どういうふうにお考えになっておるか、それが一つ。
それから、第二点として、鉄鋼が今度やりましたね。三千二百円ほど出したわけですね。そういうことに対してはどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/32
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033・阪田泰二
○説明員(阪田泰二君) 民間産業との比較は、これはいろいろと民間においての、どういうものと、あるいはどういう職種と比較したらいいかというようなことは、それは技術的にむずかしい点がありますが、組合といままでそういう点につきまして議論をいたします際にも、御承知の毎月勤労統計をとりますとか、いろいろ各種の資料をどういうものをどういうふうに比較するか、議論いたしまして、従来やっておるわけであります。何ぶんにも専売事業というものはこれは専売でありますので、民間にそれに全く該当するような職種が−職種といいますか、仕事がないわけでありまして、そういう意味では非常に比較がむずかしいわけであります。しかし、大体従来公社でやっておりましたような比較のしかたをやってまいりますると、現在の水準は民間の大体比較の対象と考えていいようなものと比較して決して低くない、こういう数字になっておるわけでございます。
それで、ただいまの、現在の比較でございますが、たとえば今度の鉄鋼その他、これは会社のほうから提案があったようでございますが、こういうふうに全体が上がってまいりました場合に、どうなるかという問題でございますが、これにつきましては、鉄鋼産業は、まだきまったのかどうかよく承知しておりませんが、ごく一部のそういう産業の問題でありますし、ことに専売公社の仕事とかなりかけ離れた職種であるように思いまするし、直ちにいまの段階で、鉄鋼のほうが幾ら上がったからすぐに専売関係を上げなければならない、こういったような形の結論はすぐには出てまいらないのじゃないか。まあこれから民間産業全体の水準あるいは公社と比較していいようないろいろな職種につきまして、ベースがだんだん変わってまいりますれば、もちろんそれはそのときの状況に応じまして比較検討し直していかなければならないと思います。現状におきましては、鉄鋼関係その他中小企業等におきまして幾つかの賃上げの例が出てきておるようでありますが、直ちにそれをもってすぐに公社としてもこういうものとの比較において処理すべきであるというふうには、現状におきましては考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/33
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034・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうすると、あなたの話を聞いておると、どこと比較しておるかさっぱりわからないのです。承っておると、あなたは、専売と民間と比較するような産業はないのだ。だけれども、どこかと比べておるようなことを言われるが、少なくとも上げる必要がないということになるなら、どこの民間の業種と比較してそういう結論をお出しになられたのか、どういうところと比較したのか。業種であるならば、その業種をおっしゃっていただかなければ、民間全体なら民間全体の水準をおっしゃっていただかなければいかぬ。あるのかないのか、さっぱりわからぬような御答弁になるのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/34
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035・阪田泰二
○説明員(阪田泰二君) ただいま非常に簡単に申し上げて恐縮でございました。大体、公社は、民間産業と比較します場合、全く同じ職種というものはございませんので、大体似たような形態であろうと考えられまする業種として申しますと、食料品製造業、繊維関係、あるいはゴム製品製造業、紙パルプ製造業、印刷業、医薬品製造業、あるいは電気機械器具製造業、こういったような産業別のもので大体五百人以上を使用しております工場の賃金水準の統計と比較しまして、労働省の統計でありますが、労働省の例の毎勤といっております統計でありますが、これを大体比較の対象にとりまして従来やってきたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/35
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036・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうすると、あなたがおっしゃったように、食品、あるいは繊維、ゴム、パルプ、印刷、医薬品、その他ちょっとあとのほうは聞き落としたのですが、そういうような七業種くらいのところの賃金水準と比較して、専売は高くないのだ、そういう結論が出た、こういうことになるのですか。それは学歴、勤務年数、あるいは家族構成、そういうようなものを全部含めての話ですね、検討はもちろん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/36
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037・阪田泰二
○説明員(阪田泰二君) ただいまの問題、そういったような業種の賃金水準と比べまして、これは専売のほうが、平均給与の水準でございますが、高いものもありますし、低いものもあるわけであります。比べまして、おおむね専売のほうが高いというのが、これらの業種と比べましての現状でございます。専売のほうが、比べますと高くなっている。たとえば印刷業その他におきましては、専売より多少高いというような数字が出ておりますが、その他の業種におきましては、おおむね専売のほうが高くなっている、こういうふうに出ておるわけであります。
その比較のしかたとしては、単純平均で比較したわけでありまして、別、勤続別、あるいは家族構成別の比較がございます。そういったような意味の比較でありますと、たとえば同じ年齢、同じ勤続年数、男女別は当然でありますが、そういったこと、あるいは似たような、同じような仕事に従事しているといったような比較が必要になってくるわけでありますが、そういったものにつきましても、全面的な比較をすることが非常に困難でありまして、いろいろと参考になるような数字、統計等を部分的に比較してみたようなことはございますが、全面的にそういうものを要素として入れてウエートをつけて比較するというようなことは、これは実行ができませんので、現在やっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/37
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038・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これで最後です。少なくとも、あなたが単純比較と言われなくても、それだけの業種をやってやろうとするならば、物価の問題はどうだとか、いろいろ広範な高邁な御意見があるならば、私は、そこまで掘り下げたところまでどうするという結論を出していただかないと、単に事務的に困難だと言われるだけでは、解決する方法にはならないと思います。ですから、物価が上がっていることはあなたはお認めになっているし、現に政府も上がっていると言っているけれども、政府の上がっているという数字より高いのです。それが賃金にどれだけはね返ってこなければならないのか、専売公社の職員としてどうあるべきかという問題もあると思いますが、ここから先になると意見になりますから、これにとどめますけれども、少なくとも専売公社の総裁が……。総裁の給料は今度上がったんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/38
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039・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/39
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040・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/40
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041・成瀬幡治
○成瀬幡治君 ずっといろいろな、各方面で上がってきておるわけですよ。ですから、ただ単に定昇だけでいいということじゃ、私は結論が出てこないと思うのです。だけれども、その点は意見になりますからやめますけれども、おそらくもう少し、少なくとも公労協の中の一つの柱として、私は誠意ある態度でこういう問題に処していただくのがいいことじゃないかと思う。組合じゃ、なるほどいろいろな同一歩調とかなんとかいう問題もありましょう。しかし、今度は公社のほうが同一歩調でなければならぬといったことはないと思うのです。特に専売は専売としての私は趣きもあるだろうし、相当に国家的には金をかせいでおることは確かなんですから、そういう立場で、予算で縛られるとかなんとかということで自主性がないということもございましょうけれども、私はもう少し阪田さんらしい賃金回答をしてもらっていいと思う。これじゃ何にも要らぬ、頭に一人おればけっこうです。総裁なんか必要なくなる。ことに賃金問題なんかには。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/41
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042・鈴木市藏
○鈴木市藏君 関連ですが、いまお話を聞いておりますると、労働者の要求には根拠がないのだというお説のように取れるのです。これはどういう見解からそういう理由を出したのか、御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/42
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043・阪田泰二
○説明員(阪田泰二君) これは組合のほうの要求が根拠がないとかいうようなことは私は申し上げていないわけでありますが、具体的に申し上げますと、全専売労働組合から出てまいりました五千円プラス三%、この要求の根拠といいますか、算定しました根拠といたしましては、これは労働組合におきまして、何といいますか、要望賃金といいますか、組合員から幾ら賃上げしてほしいというような要望を集めまして、それを大体集計して、それからこれだけの賃金がほしいという、こういう出し方をしておるわけでありますが、そういう意味のいわば組合員全体の希望なり要望を取りまとめたという形の要求になっておりまするので、そういう意味におきましては、そういうもので私どものほうとしては要望があることはわかりますが、賃上げの基準あるいは賃上げの必要かいなかをきめる根拠にはならぬ。私どものほうから見れば、そういうものを根拠にすることはできない、こういうことを言っておるわけであります。
それで、われわれのほうとしましては、やはり法律に基づきまして、ただいまの物価の状況、あるいは公務員の賃金の水準との比較、あるいは民間労務者との給与の水準の比較、こういつたようなところから算定していかなければならない。そういう意味におきましては、現状におきましては必ずしも賃上げを必要とすると認められない、こういうことを言っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/43
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044・鈴木市藏
○鈴木市藏君 いまあなたは、定昇六百円くらいの引き上げでよろしいのだという見解を今日も持っておるようでありますけれども、この定昇というのは賃上げじゃないのですね。そうだと私たちは理解しておる。定期昇給というのは、これは賃上げではない。そうすると、今度の問題については、賃金引き上げの必要は認めないというお考えだと私たちは取れるのですけれども、そのとおりですか。定期昇給というのは、これは賃上げじゃないのですね。毎年毎年やられるいわゆる人件費のワクの中で操作できるものですから、特別の予算措置を必要としないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/44
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045・阪田泰二
○説明員(阪田泰二君) 先ほど、物価が上がってきておるけれども賃金の水準も上がってきておるので、賃金は下がっていない、こういうようなことを申し上げたのでありますが、賃金の水準が上がってきておりますのは、これは昨年度も賃金の水準を公労委の仲裁によりまして上げたわけでありますが、そのほかに定期昇給ということによりまして実質的には賃金の水準が上がってまいるわけでありますが、これを賃上げと申しますかどういうことばで表現しますか、これはまあ言い方の問題であると思いますが、いずれにしましても、職員の賃金収入の水準が上がってきておると、こういう事実は間違いないわけで、それでもちまして実質賃金は下がっていない、こういう趣旨を申し上げたわけであります。
それから、六百円というようなお話でございましたが、六百円というのは、これは今度の調停委員会の段階で公社のほうから提案いたしました高等学校卒の初任給を現在の水準よりも六百円上げると、こういう意味でございますので、六百円は違う数字でございますので、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/45
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046・柴谷要
○柴谷要君 先ほど同僚委員からお尋ねがあったんですけれども、鉄鋼関係は、株式会社ですから、重役会の儀を経て職員の待遇改善ということに意見が一致しますというと、あのような賃上げ二千三百円、定昇を含めて三千何がしという金額が出たわけでございますね。その鉄鋼の業種が、それならば今日置かれておる実情はどうかというと、政府の言をかりていいますと、西欧並みに近づきつつある職種だと、こう言っておる、鉄鋼関係は。その他はちっとも西欧並みに行っていないわけですね。そういう低いところが賃上げ要求を今回してきたのですから、それに対してあなたは経営者として、一体専売はこれでいいのか。まあ昭和三十八年度の専売の予算と三十九年度の予算を比較してみますと、たいして変わりはない。多少の増収にはなっております。この予算を組むときにすでに、職員に定期昇給はさせるけれども賃上げの必要はないという予算が組まれて、そのワク内でやっぱり総裁としては発言をしておらなければならぬ。ですから、これは今日までの発言は当然だと思うのです。しかし、実態は、あなた自身のお考えは、このように物価の上昇で生活費がかさんできたのだから、職員の生活自体というものは苦しいだろう、何とか予算があるのならばしてやりたい、こういうお気持ちが私はどこかにひそんでいるのじゃないか。しかしながら、ないそでは振れないというのが今日の公社の総裁としての立場ではないか、こう思うわけです。だから、最後には、仲裁裁定が出れば、これは予算の裏づけができるから、そのときは喜んでひとつやってやろう、こういうお気持ちじゃないかと思う。私はそう思うのです。そういう気持ちがないとするならば、これは四月十七日は公労協は打って一丸となり半日ストが行なわれるのじゃないか。しかし、それを防止する方法は、いま申し上げたようなお気持ちで調停委員会に対してあなたの御意思を十分反映すること、ここに十七日の問題が解決つけるのじゃないかと、こう思うのでございますがね。総裁、私が申し上げたことに違いがあるかどうか、この点をひとつお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/46
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047・阪田泰二
○説明員(阪田泰二君) ただいま三十九年度予算等につきまして御指摘があったわけですが、三十九年度予算を編成いたします際には、そのときの状況におきまする見通しに基づいて予算を編成いたしますので、別段賃上げをいたすというような要素は入れないで計算いたしておるわけであります。しかし、それだからといいまして、その後いかに事情が変化いたしまして賃上げを要するという事態になりましても、予算がない、ないそでは振れないから上げないのだと、こういうようなことを申すつもりはないのであります。賃上げを要するという事態になりますれば、予算措置を講ずるとか、あるいは予算の中から余裕を見出すとか、いろいろな方法はあるのでありますが、賃上げ自体が必要である、すべきであるということになりますれば、それは当然それに伴って措置をすべき問題であって、予算がないからやらないんだというようなことは考えていないわけでございます。先ほど来申し上げております点も、他の物価その他の賃金ベース等と比較して、現状におきましては賃上げの必要性がないという趣旨で申し上げておりますので、予算かないから、ないそでは振れないから上げない、こういう趣旨では絶対申し上げておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/47
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048・柴谷要
○柴谷要君 与えられた予算のワクがないから上げないということじゃなくて、公正な立場に立ってこれから努力していくという気持ちが多分に総裁のお気持ちにあるようですから、四月十七日の最悪のストライキ回避という点で、もはやあと中二日間しかありませんので、かかって調停の出方によってその問題が回遊されると思うのでありますけれども、また組合員に対しても総裁の気持ちを十分伝えて、ひとつ問題の回避に全力をあげてやっていただきたい。指図を申し上げてたいへん失礼だと思うのですけれども、あなたなくしてはこの問題を解決できないと思うのです。それだけ、ひとつ大いにがんばってもらいたいと思う。調停委員会を動かすことは、あなたが一番最適任者だと思う。前に公労委のあれでたいした手腕を持っておられるのだから、この際実績を示していただくように、特段にひとつ要望しておきたいと思います。
それから、組合側が団体交渉を非常に要求しておるけれども、どうも肩透かしを食わせるような気配があるようですから、総裁の都合が悪いときには総裁にかわった人を向けて、十分ひとつ話し合って、とにかく人まかせということでなしに、あなたのところでは独自の見解を持って労働問題を処理するということでやっていただきたいと思うのですが、この点いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/48
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049・阪田泰二
○説明員(阪田泰二君) 組合との交渉の問題につきましては、専売公社は従来から非常に組合ともひんぱんにといいますか、問題ごとに非常に交渉も、ことに実態に入りまして十分にやっておりまして、公社側で交渉を回避するといったような例は従来あまりないように思っておるのでありますが、しかし、今後もそういう非難を受けないようにやってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/49
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050・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 午後一時まで休憩することにいたします。
午後零時四分休憩
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午後一時五十三分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/50
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051・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから委員会を再開いたします。
納税貯蓄組合法の一部を改正上する法律案を議題といたします。
御質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/51
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052・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 一、二の点についてちょっと伺いたいのですが、一つは、今度の改正法律案の中で、第二の項に、納税貯蓄組合連合会についてのことが述べられております。その法制化をはかり、今度の改正案にも挿入されておるようでありますが、これによって今後、どういう利点があるか、それが一つ。
それから、この条文の中に盛られております「会員の指導及び育成に関する事務、会員の行なう専務についての連絡及び調整に関する事務その他」とあるのですが、このことについては実際どういう立場の方がこの任務に当たられて推進されていくのか。
まず、その二点についてお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/52
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053・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) お答えいたします。先ほど補足説明で申し上げましたように、納税貯蓄組合法は昭和二十六年にできたのでございますが、その当時は、連合会というのは単位組合が相互の連絡をはかる親睦団体的な機能を持つくらいなものという考えでございまして、別に連合会の法制化をしておらなかったのでございます。その後だんだん納税貯蓄組合ができますと、納税貯蓄組合と申しますのは、大体商店街でございますと、その商店街で納税貯蓄組合をつくる。したがいまして、同じ税務署の管内に、あるいはまた同じ市町村の中に、相当たくさん単位納税貯蓄組合ができるわけでございます。そこで、そういう小さな組合だけでございますと、その活動がおのずから制限されますので、結局そういう単位組合が集まりまして連合会をつくるというようなことに進んでまいったのでございます。ところが、連合会につきましての規定が設けられておりませんので、一体連合会と単位組合との関係はどうあるべきか、連合会は単位組合とどういうふうな違った仕事をするのかというようなことが明確になっておらないのでございます。
そういった点からいたしまして、今度納税貯蓄組合連合会の制度を法制化いたしまして、連合会というのは、「会員の指導及び育成に関する事務、会員の行なう事務についての連絡及び調整に関する事務」、この「会員の行なう事務」というのは、納税貯蓄組合の行なう事務でございますから、組合員の納税資金の貯蓄のあっせんその他納税貯蓄に関する事務を行なうわけでございますが、そういう事務についての連絡及び調整に関する仕事、それから「納税貯蓄組合の健全な発達を図るため必要な事務を行なうこと」を目的として設立されまして、かつ規約を税務署長と地方公共団体の長に届け出たものを納税貯蓄組合連合会ということにいたしておるのでございます。
こういう制度を設けますと、納税貯蓄組合連合会は、いまのところはそういう規定がございませんので、単位組合との関係がはっきりいたしておりません。今度は連合会ができますと、単位組合の指導とか単位組合の育成に関する仕事を連合会がやるのだということになりまして、そこにおのずから自然発生的に出てまいりました連合会の仕事についての法的な基礎が与えられる、これが今回連合会制度を設ける利点になろうかと思うのでございます。
それから、その次に、こういう納税貯蓄組合はどういう人が推進するかという点でございますが、これにつきましては、各地に非常に奇特な方がおられまして、納税貯蓄組合をつくって、その地域の人あるいはその職域の人などが納税をする場合に困らないようにしようじゃないかということを唱え出されまして、みずから組合長になられ、あるいは連合会長になられまして、その推進役を引き受けてくださっておる方がかなり多いのでございまして、その方々はいずれも別段役所のほうから委嘱したわけではございません。役所からまた報酬を差し上げておるわけでもございませんが、納税が国民の義務であるということを非常に自覚くださいまして、みずから率先してそういう役割りを買っておいでになるのでございます。そういう奇特な方のお力によりまして、今日まで納税貯蓄組合がこのように発達をしてまいりました。また、連合会の制度も自発的にできてまいったのでございます。私どもといたしましては、そういった推進役を引き受けてくださる方にはまことに感謝いたしておる次第でございます。そういう御努力に対しまして報いるすべとしましては何もございません。まことに恐縮に存じておりますけれども、まあ幸い従来までは納税功労者につきまして表彰制度がございます。その表彰制度によりましてその労に報いるようなことをいたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/53
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054・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 今回の法改正によって連合会ができるわけでありまして、これはあくまでも自主的な任意団体として認められ、また活動していく。今後のこの育成のあり方については、当局として別段いろいろな指導の面で協力をしないのか、それともあくまで組合の自主性にまかせておくのか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/54
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055・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 御承知のとおり、納税のことにつきましては、できるだけ納税者の自主性を尊重してまいることが結果的にいいことになると思いますので、私どもといたしましては、納税者の力の自発的な意志によって納税貯蓄組合が結成され、また納税貯蓄組合連合会が結成されることが望ましいと考えております。ただ、従来の実績を見ますと、地域によりましては納税貯蓄組合の発達がおくれているようなところがございます。そういうところにおきましては、たとえば商店街の会長さんにお願いいたしまして、この地域で納税貯蓄組合をおつくりになったらいかがでしょうか、おつくりになる場合にはこういうふうなことを心がけておつくりになっていただけたらしあわせですというようなのを差し上げまして、そうしてその会長さんが、それじゃやろうというようなことになって、有志の方を集めて組合をおつくりになるというようなことで、その商店街の会長さんであるとか、あるいはいろいろな組合の組合長さんであるといったような方に、そういうことをお願いする。そのために役所のほうから出かけていっておるということはございますが、これはそういう自発的な組合が結成されることを主としておるものでございます。役所のほうから、納税貯蓄組合に加入しなさいというようなことはいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/55
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056・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 そうしますと、この組織体についての役員とか、そうしたものの選定については、これまた全然タッチしないということになろうかと思うのでありますけれども、今日までの経緯について、おそらく連合体ができる前は単一組合として生々発展があったろうと思うのですが、この役職あるいは機構でございますが、それによって当然会員の指導及び育成に関する事務などという問題についても関連が出てまいりますが、今後においても、この機構、人事の問題等については、やはりあくまでこの連合体の自主的な行き方にまかせるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/56
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057・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) お話のとおりでございまして、連合会のほうで、今後こういう仕事をやっていくについては、連合会長さんが一人でやるわけにはいきませんので、副会長さんを置くとか、あるいは理事の方にお願いするとかいうようなことで、おのずからその仕事をやっていく上において必要な程度の役職ができるだろうと思います。それらのことはすべて連合会を結成される方の自主性におまかせしたらどうか、かように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/57
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058・渋谷邦彦
○渋谷邦彦君 先ほど、奇特な人がいて地域的、職域的に推進されてきたのが母体になって今日の発展を見た、こういうお話でありますが、大体職種別に見た場合、中小企業の方が多いか、あるいはサラリーマンのような方でもそういう方があってやっていらっしゃるのか、その奇特の人というその内容ですね、どんな人が多いのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/58
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059・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 御承知のとおり、サラリーマンは源泉でその所得について源泉徴収されておりますので、納税貯蓄組合に加入いたしておりまするのは営業者が主でございまして、御参考までに申し上げますと、先ほど納税貯蓄組合の組合員は全体で五百八十五万と申し上げましたが、このうち、これは国税の納税者も地方税の納税者も全部含んだ組合の全体の数でございまして、地方税だけの納税者の納税貯蓄組合がございます。それを除きました国税の納税者が一人以上入っております組合の数で申し上げますと、組合員数が四百五十万人でございます。そのうち営業所得を主とする組合員が二百四十九万三千人、約二百五十万、それから農業所得を主とする組合員の方が百九十三万五千人、このように営業あるいは農業を主とする方が組合員の大部分でございまして、勤務先組合の組合員数は七万四千人にすぎないのでございます。そういう点からごらんいただきまして、大体中小商工業者あるいは農業所得者が組合員になっているのが多いというふうに御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/59
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060・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これは税制調査会の答申を受けておやりになったようでございますが、五万、十万の話は全然なかったのですか。そういうような議論は、税制調査会では何も議論されなかったのか、ほんとうに議論されなかったのか、それとも現行でいいというかっこうで答申がされなかったのか。あなた方は税制調査会に全然関係ないというわけじゃなくて、十分関連を持っておいでになりますから、その経過はどんなふうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/60
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061・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 五万、十万と仰せられますのは、納税外目的に引き出した場合の利子の非課税限度の引き上げと存じますが、この点につきましては、実は税制調査会におきましては、連合制度を設けるのが適当であるというお話でございまして、その制度のこまかい内容に入っての御検討は実はなかったのでございます。したがって、調査会の答申の中に、五万円を引き上げるというような答申が入っておりませんけれども、それは実は税制調査会でそういった審議をしなかったためによるのでございます。
ただ、私どもこの税制調査会の答申を受けまして、この連合会制度を設けようということからいろいろ調べておりますと、納税貯蓄組合預金の引き出し状況などを見ますと、納税貯蓄組合というのは、申すまでもなく、納税のために貯蓄を行なっているわけでございますが、しかし、その途中で、たとえば事業主とかその家族の方が病気をいたしますと、やむを得ず引き出さざるを得ない場合がございますので、そういった事例を数種の金融機関について調べてみたのでありますが、そうしますと、いままで五万円まで引き出した場合には利子については非課税にいたしておりますが、実績を見ますと、五万円をこえて出している事例がかなりあるのでございます。この五万円というのがきめられましたのが昭和二十八年のことでございますので、それからもう十年以上たっておりますので、その引き出しの事例などから見ますと、この際十万円くらいに引き上げるのが適当じゃないかというふうに事務的に考えたのでございます。税制調査会におはかりすればよかったのでございますが、もう税制調査会が答申を出したあとでございましたので、そのような結果になったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/61
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062・成瀬幡治
○成瀬幡治君 国の補助金の問題なんですけれども、組合はだんだんふえていくというような御説明がございましたですが、予算のほうというのですか、補助金のほうはふえていないわけですが、これはどういうわけですか。先ほどお聞きしておりますと、いろいろな点で納税に対して御協力を願っておると、感謝感激のようなおことばがあったわけですが、それにしても補助金のほうがふえていなかったという理由、据え置かれた理由、これはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/62
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063・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) お話のとおり、三十六年当時から補助金の額は六千八百八十八万円で、ずっとふえておらなかったのでございますが、三十九年度予算におきましては若干ふえまして、七千三百八十八万一千円というふうにふえております。
この補助金がなぜふえないかという点につきましては、これはまあ大蔵省の主計局で補助金の整理に関する委員会というのを設けまして、補助金の中には非常に零細な補助金とかその他効率の悪い補助金などがあるので、これを整理するという方向でいろいろ検討が行なわれておりまして、この納税貯蓄組合に対する補助金につきましては、われわれは非常に、先ほど申し上げましたように、非常に奇特な人が手弁当でやっていただける、その事務費の一部を補助するにすぎない制度でございますから、どうかこの補助金だけは削らないでほしいということを主計局に申し入れておるのでございますが、削りはしないけれども、ふやすことにはなかなか賛成していただけませんので、まあいままでこういう状態で推移いたしておったのであります。三十九年度に初めて増額の線が出たのでございます。まあ増額の額もわずかでございますけれども、いささかでも、こういう仕事をやっていただいておる納税貯蓄組合の関係者の方に、まあ国もそれだけ力を入れてやってくれているのだということをお考えいただいて、今後一そうその仕事に精を出していただくということになれば非常にけっこうだと思っておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/63
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064・成瀬幡治
○成瀬幡治君 なるほど、補助金の整理に関してはいろいろなことが検討されておるわけです。現に対象になるところが減ったことは確かですね。しかし、額もふえておることも確かです、総額でいえば。数ではちょっと記憶ありませんが、百三十億ぐらいですか、大ざっぱにいって何かふえておるんじゃないかと思いますが、まあ私はこの補助金が適正であるかどうかということは、実は不勉強でございまして、どうかということについては何ともよう言いかねるわけです。しかし、何か使用されたというか、必要な経費の大体十分の一か二十分の一ぐらいの補助金にどうも当たるようでございますが、まあ一度主計局のほうの意向もあるというお話でございますので、独自の立場で検討してほしいと思います、適否の問題について。私は意見がございません。もちろん、これは補助金は単位組合が対象であって、連合会には全然対象にならないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/64
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065・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 補助金に関する規定は第十条に規定されておりまして、この規定は今回改正いたしておりませんので、この補助金は規定の上では納税貯蓄組合、単位組合に対して交付することができるという規定になっております。ただ、この点は、成瀬委員御承知のとおり、こういった補助金は予算に計上すれば交付することができるのでございまして、この法律の規定がなければ補助金は出せないかというと、そういう性質のものではございません。したがって、単位組合だけに出すので連合会には出さないのだというふうに申し上げることはできないのでございますが、しかし、三十九年度の補助金の増額を主計局と交渉いたしました際の話し合いでは、連合会には出さないということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/65
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066・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうすると、四十年以降はあなたのほうが出そうという気になれば出せるわけなんですか。そういう意図があるわけですか、含みが、十二分に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/66
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067・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) この点につきましては、まあ従来主計局から連合会には出さないという条件つきで認められておりますので、四十年度からすぐ連合会に出すというわけにはまいりかねると思っております。ただ、私どもといたしましては、まあ連合会の制度がだんだん整備されていきますときには、単位組合だけではなしに、連合会にもその必要な事務費の一部を補助するための補助金は出したらいかがかと考えますけれども、これは結局予算の編成の際の予算当局との話し合いによってきまるわけでございます。したがいまして、すぐに連合会に補助金を出すことはなかなか容易でなかろうかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/67
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068・柴谷要
○柴谷要君 関連して。連合体に助成金が出せないということになるというと、第一条の目的に「組合及びその連合体について必要な規制を設けるとともに」、規制はするけれども、助成はしないと書けばいい。「規制を設けるとともに助成の措置を講ずることにより、」としてあるのですから、これは助成というのはそれ以外何かあるのですか。その点をひとつ聞かせてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/68
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069・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) なるほど補助金の交付ということは非常に大きな助成措置だと思いますが、それ以外におきましても、納税貯蓄組合連合会でないものはそういった連合会あるいは連合会に類似するような名称を使用してはいけないということが十二条の改正でなっております。それからまた、印紙税についての九条の点がございまして「納税貯蓄組合連合会の業務及び納税貯蓄組合預金に関する書類については、印紙税を課さない。」という規定がございますが、それを納税貯蓄組合連合会に準用することになっております。この二点がまあ助成の措置ということになろうかと思います。
しかしながら、何と申しましても、補助金の交付ということが一番大きな助成の措置でございますので、私どもといたしましては、将来できるだけ連合会に補助金を交付し得るような体制に持ってまいりたいという考えでおります。ただ、この補助金に関する規定を設けることにつきましては、御承知のとおり、別途この補助金の整理に関する委員会がございまして、そこでこういった補助金についての規定を今後どういうふうに持っていくかという検討がなされております。新しくつけ加えることを遠慮しているという状態なのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/69
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070・柴谷要
○柴谷要君 それは確かに、名称使用の制限と、それから印紙税の免除の問題は、助成といえば助成かもしれませんが、この字句からいきますと、そんなことは助成じゃないですよ。助成じゃない。だから、連合会を新たに認めさせて、より一そう納税の面で実績をあげさせようということで、ある程度の規制をするわけですから、これはまあ、局長、将来にわたって大いに検討し、助成をしたいとおっしゃいますから、これ以上のことはお尋ねいたしませんけれども、やはり仏つくって魂入れずでは困りますから、そういう点をひとつ御配慮いただきたいことを要望しておきます。
それから、第八条の所得税の非課税でございますけれども、これはたとえばいま五十万円までは非課税になっておりますけれども、それとは別途に、貯蓄組合に加盟をして、そして税の対象になる額に近いものを貯蓄をするというと、これは引き出さなければ、そういう意味で積んでおげば、その利子に対する課税というものはあり得ないと、こういうふうに解釈してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/70
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071・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) お話のとおり、納税貯蓄組合預金といたしております場合のその預金の利子には、所得税を課税しないことになっております。しかし、また、先ほど申し上げましたとおり、納税貯蓄組合に加入しておられる方は中小商工業者の方が一番多く、その次に農業所得者の方でございまして、資金をそれほど遊ばしておくというような余裕のある方はそうございません。したがって、日掛け、月掛けということでございますが、毎日百円とか、二百円という金額を貯金していくのでございます。したがいまして、その預金を大量にいたしまして、それについての利子に対する所得税を免れようというようなものはございません。金融機関といたしましては、そういう預金を、組合で箱がございまして、その箱に各人別の名前が入っております。そこへもってまいりまして、一日百円とか三百円とか貯金しているわけでございます。それが集まりますと、金融機関としても、組合長のところへ行って預金を集めれば相当集まるというようなことで、お互いの便利をはかってやっておるというようなことでございますので、お話のように、少額貯蓄の非課税の五十万円の限度外でございますけれども、このために利子に対する所得税を免れんがために納税準備預金をするという例はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/71
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072・柴谷要
○柴谷要君 それは、局長、ございませんと言い切っていますけれども、利子から税金を取られない方法としてあり得る、合法的にできる、こういうことになれば、たとえば私が年間七十万円国税を納める、いかなる事態が起きないとも限らないから、七十万円までは納税貯蓄組合に入って預金をした。これは納税のための貯金だということになれば非課税です。そうすると、あなたのおっしゃるように、日掛け、月掛けの箱に名前の書いてあるやつ、私のところにもありますが、そういうのが来ますけれども、そういうだけでなしに、そういう方法ができるということでしょう、この八条の法律では。そうなりますというと、まあ七十万から八十万というのは、五十万プラス七十万が無税だということになれば、百二十万までその人の頭金に対する利子は非課税ということになるわけです。それもできるのでしょう、これじゃ。それを押えている法律がありましたら、教えていただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/72
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073・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) お話のとおり、納税貯蓄組合版金ということで、そういうことはできます。ただ、先ほど申し上げましたように、実際の掛け金の内容、金融機関について当たってみますと、預金残高で見ますと、五万円以下というのが口数でいきますと七二・三%を占めております。十万円超というのは三・七%ぐらい占めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/73
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074・柴谷要
○柴谷要君 局長、それはわかっているのだよ、そういうことは。だけれども、やればできるのでしょうという、そのことなんだよ。それだけ聞かしてもらえばいいのだよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/74
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075・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) お話のとおり、そういうことはやろうと思えばできるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/75
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076・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ちょっと速記をやめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/76
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077・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めてください。
他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/77
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078・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/78
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079・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、鳥畠徳次郎君、上林忠次君及び佐野廣君が辞任せられ、その補欠として二木謙吾君、久保勘一君及び吉武恵市君が選任せられました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/79
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080・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) それでは、これより本案に対する討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別にご意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/80
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081・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。納税貯蓄組合法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/81
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082・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/82
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083・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
次回の委員会は、明後十六日午後一時より開会いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時二十六分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X02719640414/83
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