1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年六月二日(火曜日)
午前十時四十九分開会
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委員の異動
五月二十八日
辞任 補欠選任
川野 三暁君 坪山 徳弥君
五月二十九日
辞任 補欠選任
坪山 徳弥君 川野 三暁君
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出席者は左のとおり。
委員長 新谷寅三郎君
理事
柴田 栄君
西川甚五郎君
成瀬 幡治君
渋谷 邦彦君
天田 勝正君
委員
大竹平八郎君
川野 三暁君
佐野 廣君
高橋 衛君
鳥畠徳次郎君
堀 末治君
野々山一三君
原島 宏治君
政府委員
大蔵政務次官 齋藤 邦吉君
大蔵省管財局長 江守堅太郎君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
説明員
大蔵省管財局国
有財産第一課長 宮川 国生君
大蔵省管財局国
有財産第二課長 村田 博君
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本日の会議に付した案件
○国有財産法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
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001・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
国有財産法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続き、本案の質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/1
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002・天田勝正
○天田勝正君 まず、先般私の要求によって提出されました資料について伺います。
日比谷インについてでありますが、これは幾たびか本委員会でも取り上げたことでありまして、ここにもその経過が記載されておる資料を再び実はもらったわけであります。すでに四年前ですかにも、同じような資料を私個人としていただいております。
ところで、この際、いままで明らかになっていない点は、経過としては、社団法人日本国際文化協会に当該訴訟になっておる土地を貸した、こういうことになっておるのですが、実は同じ名前の協会が外交界の先輩によってつくられまして、別に国際文化クラブというものが麻布のほうにございます。
そこで、一体、大蔵省としては貸し付ける場合に、名称だけで信用して貸し付けられるのか。その内部の構成のメンバー等を十分調べたしで貸し付けるならば、こういう問題は起こらなかったと思うのでございます。ところが、現実には、あとで気がつくと、こういうふうなわけでありまして、まことに遺憾で、こういうことが、いまの同じような機構で、同じような形で、だれが許可したのかわかりませんけれども、やり方が同じであれば、次々こういうことが起きると思うのです。もっともらしい名前をつければ、その名前で信用してしまって、たちまち貸し付ける。そうすると、再び、いままでここで議論されたような事態が次々起きてくる、こうなると思うのですが、貸し付けるときにはどういう調べをしてやっておられるのか、まずそれから伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/2
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003・江守堅太郎
○政府委員(江守堅太郎君) 貸し付けますときには、貸し付けを申請されました土地を利用される相手方がどのようなことに利用されるのか、それがその土地の位置、形状などからして最も適当な使用方法であるかどうかという点を、まず第一に十分検討をいたさなければならないのでありまして、と同時に、相手方の信用と申しますか、どういう方が運営をしておられるか、またその資力その他はどういうものであるかという点を、十分に検討して貸し付けをいたしております。
いまお話しになりました日本国際文化協会というものに貸し付けましたのは、昭和二十三年の七月でございます。その当時、国際文化協会というものがほかにあったから、しかもそれは非常に信用のある協会であるから、それと混同をして、あるいはあまりその内容を調べずに貸したのではなかろうかというふうなお話もございましたが、まあ当時におきましても、私先ほど申しましたような点を十分検討いたしまして貸し付けたということに、私どもは理解をしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/3
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004・天田勝正
○天田勝正君 何べんもここで委員長を通じてお願いしておきましたが、いま現在携わっておる大蔵当局の各位を私は責めておるつもりはない。問題は、その経緯を明らかにして将来の戒めにしたいということが主なんでありますから、そのつもりでひとつお答え願いたいと思うのですが、そういう信用があるものなりと認定したについては、それでは、代表者はどなたでありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/4
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005・村田博
○説明員(村田博君) 当時の代表者は上月進という方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/5
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006・天田勝正
○天田勝正君 そうすると、そのときの、社団法人ですから構成メンバーがありますから、それらを見、かつは上月進氏を代表者だと、こうすれば、日本国際文化協会という名称にふさわしい構成員だとどうして認定されたのです。上月氏というのは、かつて外交関係の専門家というか先輩というか、たとえば他の同名の団体のごとくに津局さん、佐藤さん、こういうような人が入っておれば、さっそくわれわれも信用ができる、こういうふうにしろうとながら判断ができる。上月さんや構成メンバーがそれに匹敵する人とは、とても判断ができません。そこで、その信用できるとは、どういう構成メンバーだから信用したと、こうおっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/6
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007・村田博
○説明員(村田博君) 本件につきましては、貸し付けに至りました経緯を申し上げたほうがあるいはお答えになるのじゃないかと思いますので、その経緯を多少申し上げさせていただきたいと思いますが、当初、この日本国際文化協会といいますか、衆参両院議員の有志が寄り集まっておつくりになったというような発足の経緯がございまして、二十一年の十一月に、当時の東京財務局から千代田区永田町一丁目一番地の土地を借り受けまして——これは現在衆参議長公邸になっておるところでありまして、その土地を借り受けまして、国際文化クラブをつくるということで、その工事に着工いたしたのであります。ところが、その後、その土地を国会のほうで使いたいから、そこでぜひおまえさんはその工事をやめてもらいたいということがありまして、日本国際文化協会といたしましては、その固く会の要請に基づきましてそれをやめる、そのかわりその代替地を求めてきた。しかも、その当時のことでございますが、衆参両議院の事務総長の名前で財務局のほうへ、これこれの者に対しまして土地をあっせんしてほしい、こういう依頼書が参りまして、財務局といたしましては、大蔵省といたしましても、こういった御要請につきましては考えざるを得ないということで、当時のことでございましたので、資力その他信用力につきまして十分あるということで判断をいたしまして、貸し付けた、こういう経緯でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/7
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008・天田勝正
○天田勝正君 二十一年十一月とおっしゃったが、二十一年十一月当時は、衆参両院といったって参議院はないのであって、貴族院であります。二十二年の五月三日からは、私としましても本院の議員になっておった。われわれその当時一緒に出た同僚各位も、本委員会にもたしか四名か五名おるし、二十二年五月以降はそういう話は一回も出なかったのですよ。
そうすると、二十一年十一月という時点からすれば、ここに貸し付けた二十三年七月三十日という時点との間には、二年近いそこに期間があるわけですね。そうすると、当時貴衆両議院の有志が持ち出した話だとしても、おそらくそのような人たちはもうみんな追放された人だと思う。貴族院はなくなっておる。こういう時点ならば、幾ら当時の帝国議会筋から話があっても、私は、当然これはもう一ぺん調査をし直すべきだ、こう思いますが、その点はおやりになったのですか、おやりにならなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/8
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009・村田博
○説明員(村田博君) 当時の資料を調べてみますと、この日本国際文化協会の資産といいますものは、当時出資証券千百五十万、預金百一十七万、不動産四百三十万、動産百二十万、この程度の資産を持っておったわけでありまして、仕事の内容からいいますと、国会議員の方々の店舎、あるいは事務室、あるいは国会関係の出版物をここで出す、あるいは会議室を提供する、こういったものでございまして、趣旨そのものにつきましては、きわめて公共的性格の高いものであると判断せざるを得なかったわけであります。そういった事情によりまして、私どもとしましては、当時の私どもの関係者としましては、これが最も妥当な貸し付け方法じゃないかということで貸し付けたのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/9
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010・天田勝正
○天田勝正君 そうすると、この上月進氏がそのときの代表者だというのはわかりましたが、さっき私が指摘したように、貴族院はなくなり、衆議院もそういう公共的な団体の代表になるような有力者という人は、ほとんど当時追放になったと思いますけれども、この二十三年七月三十日のときも代表者は上月進氏であったのか。それから、後に東洋観光株式会社と共同出資で東観オリエンタルをつくった、このときも構成メンバーや代表者は変わりがなかったのか。それから、さらに、会社が二十五年八月になりまして建物の譲渡を受けて、そしてそれが第三者に今度は賃貸された、そういう時点においても責任者は、三段階ありますけれども、いずれも変わりはなかったのかどうか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/10
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011・村田博
○説明員(村田博君) いまのお話のとおり、二十五年、あるいはこの社団法人が解散いたしますまで、ずっと代表者は上月進さんでごさいました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/11
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012・天田勝正
○天田勝正君 構成メンバーは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/12
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013・村田博
○説明員(村田博君) 構成メンバーにつきましては、実は手元に資料を持っておりませんので、まことに恐縮でございますが、後ほど調べましてお答えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/13
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014・天田勝正
○天田勝正君 そうすると、後に、それから二年たって二十七年三月に、無断転貸という事実を知った、こういうことであります。ところが、知ったら間もなく、今度は協会は解散してしまって、全く今度は第二者の手に移ったかのごとく——まあごとくということは、建物だけを転貸したわけでしょうから、しかし建物がある以上は、それを召し上げるというわけにもなかなかいかないということから、第三者の手に移ったかのごとくと申し上げたのですが、そういう転貸する、あるいは転売するという危険もあるわけですね、いつも。そういうような約束は、もちろん転貸してはならぬ、そこに物件があれば、転売してはならぬという条件をつけるのだろうと思うのですね。つけてもその保証はないということになると、今後なかなか困る問題が次に起きると思います。その点は、今後どういうふうに保証を取りつけるお考えがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/14
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015・江守堅太郎
○政府委員(江守堅太郎君) 契約に違反をしたことになりますので、契約を解除するということになると思います。ただ、転売などの場合におきまして、もう実際問題として、相手から契約を解除してもその財産を取り戻せないというような場合には、違約金を取るということにいたすことにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/15
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016・天田勝正
○天田勝正君 しかし、それが個人であれば、この違約金を取るということも、あるいは資産があれば可能でありましょうけれども、おそらく国有財産を譲り渡したり貸し付けたり、こういう場合は、そう個人にやすやすと貸すものではないでありましょうから、大かた団体ということになる。そうすると、団体が解散すれば、これは取りようがない。同時に、このときもそれは取れなかったのでしょう。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/16
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017・村田博
○説明員(村田博君) 本件のように、団体が解散いたしますというと、これは私どもがいかに事前にそういった動向を察知するかということいかんにかかるのでございまして、多少技術的な問題かと思いますが、そういう解散のムードがあったときはすぐに手を打つ、直ちに差し押えするとか、あるいは場合によっちゃ裁判所に申し立てて仮処分の申請をするとか、いろいろ方法はあると思いますが、少なくともそういう手段を講じない限りにおきましては、やはりいかんともしがたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/17
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018・天田勝正
○天田勝正君 その、まあ事前に皆さんが察知するといったところで、なかなか、いつも私がここで例を引くように、すぐ国会の日の前であっても、あるいは参議院会館が建っておる敷地内の物件がなくなったにしても、そう事前に察知——毎日通るところでさえも、事前に察知なぞはできないのです。そうだとすれば、まあことばでは事前に察知すれば何とかなるようにおっしゃったけれども、実際的にはさようなことは不可能なんだろうと思うのですね。
それで、かりに察知してみたところ、向こうがあえて、当初の気持ちはどうあろうとも、その第三者に転貸するというような気持ちが動いてきて、まあ初めから見れば心境の変化か、そういうようなことになってしまって、幾ら大蔵当同が察知したって、転貸はやるのはやるのだ。だんだん契約を進めれば、これもどうにもならぬということになるわけですね。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/18
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019・村田博
○説明員(村田博君) まあ最近管財行政のほうもだんだん整備されてまいりまして、こういった問題が多少出てまいりますことも考えまして、これをどう未然に防止するかという点でございますが、私どもといたしましては、たとえば、一般のほうといたしましては、今後売り払いにつきまして用途指定をいたすということにいたします。用途指定をしました場合には必ず、その相手方の会社なり団体から、一年に一回必ず事業報告をさせる。現在その会社が健全に運営されているかどうか、あるいは所期の用途に供せられておるかどうかということにつきまして、報告をさせるわけでございます。同時にまた、監査をいたしまして、年一回か二回、現場へ行きまして監査するというようことをいたしまして、できるだけ事前防止につとめてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/19
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020・天田勝正
○天田勝正君 たしか前々回かの国有財産法の改正だったと思いますがの、特に平和都市建設法やらそういう法律ができた当時は、用途指定ということが本委員会においても大いに議論されました。しかし、この貸し付けの場合は、その用途指定をしてみたところで、当初の形は別にそれに抵触しないように建物も何もつくっておるのであって、これが転貸されたということになれば、これは結局どうにもならぬという、私が指摘したようなことになるのじゃないですか。一年一回監査してみたところで、そのときはまあ他人名義になっていた。しかも本件の場合のように、土地は国有財産である。で、一定の用途を指定して、そしてその土地を貸し付けたほうで——その土地の上にできた物件というものは、その借りたほうの所有権になっちゃっている。で、これを今度は貸し付けておいて、その国から借り受けた団体は解散しちゃった。こうなれば、土地はまあ名目的には依然として国のものではあるけれども、そこへ物件がもう厳として存在しちゃってしまっているのですから、どうにも取り上げることができない、こういうことだと思うのですよ。だから、そこを私は、あなた方現在の携わっておる人たちを責めるというのじゃなくて、実際には、そういう事例からすれば、手の打ちようがない。言うなれば、いまの政府の牛乳の値上げに対するようなもので、どうにも処置がないのだ、こういうことになるのじゃないですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/20
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021・村田博
○説明員(村田博君) まあ理論的に申し上げますと、やはり天田委員のおっしゃいますような心配もないわけじゃございませんが、私どもといたしましては、この財産を新規に貸し付けをいたしますということを、原則として現在やめております。と申しますのは、貸し付け料が年額十万円以上のものは本名の承認にかからせている。逆にいうと、本省ではそれを認めない。したがいまして、年額十万円以内の貸し付けは各財務局でやりますけれども、それ以上の貸し付けの場合は認めない、原則的には抑えるということにしてきておるわけでございまして、貸し付けがもしありといたしますれば、過去に契約手続がなされていなかった、契約未済の状態で置かれた、こういったものを正規の貸し付けにする、こういった場合が大部分でございます。したがいまして、現実問題といたしましては、貸し付けによりましてそういった問題が発生する余地というものは比較的少ないのじゃないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/21
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022・天田勝正
○天田勝正君 まあ、そうでしょう。比較的少なくしてもらわなければとてもいけないのだけれども、絶無だというわけにはいかない。
そういうことが明らかならば、将来何をするか。たとえば、予想されるものは、こういう社団法人のごとき場合、財団法人のごとき場合、そういう場合にはですね、構成員全部の連帯責任というわけにはいかないでしょうけれども、少なくとも役員の無限責任を何らかの形で表示をして、よってその団体を解散しようとも、それぞれ当時の借り受けたときの役員は、解散をしようと、自分が辞職しようとも、その責任に任ずるとか、あるいは定款をつくらしめて後任者がその責任を継承するとか、何かそういう措置をしない限りは、やはり防ぎようがないのではないかと思いますけれども、この点について考慮を払うつもりがありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/22
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023・村田博
○説明員(村田博君) まあこういった貸し付けをいたします際には、もしかりに、新規でどうしても公共的性格の強いものに貸し付けなければならないといった形のケースがございますれば、私どもといたしましては、先ほど御心配のような点も確かにございますので、十分相手方を調査いたしまして、資力、信用、あるいは事業遂行の意欲、こういったものを全部いたしまして、売り払う以上に厳正な調査をいたした上で貸し付けるということによりまして、まあそういった心配は相当打ち消されるのではないかというふうに考えます。なおまた、かりにそういう配慮をいたしましても、その貸し付けました団体なり法人が解散をした、こういったときにおきましては、残余財産の処分というものに私ども参面する、こういったことによりまして、できるだけ確保するというような方法をとりたいと思いますが、なお、天田委員のおっしゃったような御提案も一つの考え方だと思いますので、十分検討いたしたいと、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/23
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024・天田勝正
○天田勝正君 お答えがありましたから、その点は、私が申し上げたことばかりではなく、ほかの方法もあろうかと思いますから、ぜひひとつ検討してもらいたいと思います。
次いで伺いますが、国有財産の中央審議会及び地方審議会がそれぞれあるわけですが、これは主として、この国有財産を払い下げる場合に大臣あるいは財務局長の諮問に応じて審査をする、こういうことでございます。そこで、貸し付けでも、やはり本省の認可ということになっているから、群雲は貸し付けしないのだというお答えでありましたけれども、これも事態によっては貸し付けざるを得ないですね。事態によっては貸し付けざるを得ない。だから、全部貸し付けというのをやめてしまうのだというならば別でありますけれども、実際問題としては、そうかたくなにはできない。そうだとすれば、やはりかなり大きな財産、東京において日比谷あたりというのは、まことに評価の高い資産だと思います。そういう場合、やはり額及びその貸し付け料、どっちを基準にするのか知りませんが、その基準によりまして、中央審議会、あるいは地方審議会、こういうものにやはりこのほうもはかる必要があるんじゃないですか。大ぜいの目で見ることによって、少しでも適正に近いように——人間のやることだから、一〇〇%完全無欠というわけにはこれはいきません。いきませんけれども、完全に近い努力は怠ってはならぬ。そのことのためには、物件の大きさにもよりますけれども、やはり中央審議会なり地方審議会なりにかける、こういうことも一つの方法ではないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/24
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025・宮川国生
○説明員(宮川国生君) 審議会にどういうものをかけるかという基準は、現在通達で示してございますが、大蔵大臣の承認を受けてやる売り払いあるいは貸し付け、そういったものは審議会にかけなさい、こういう通達を出しております。貸し付けにつきましても、年額五百万円以上になるような貸し付けをするときには、これは財務局長は大蔵大臣の承認を受けなければなりません。承認を受けるような案件については審議会にかけなさい、こういうことになっておりますので、貸し付けについても大きな貸し付けは現在中央審議会にかけてやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/25
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026・天田勝正
○天田勝正君 それならばよろしいのですが……。
ちょっとここで聞きますが、さっき貸し付け料十万円ということと、いまのお答えの五百万円ということと、二つ聞いたのですが、それはこういうことですか、その物件の評価が五百万円ということと、それから貸し付け料は十万円以上は本省でやる、そういうことに整理して受け取っていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/26
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027・宮川国生
○説明員(宮川国生君) 従来は、もうこの五百万円以上のときだけは大蔵大臣の承認を受けなさい、こういうことになっておりまして、それはもちろん審議会にもかける。年額貸し付け料が五百万円でございます。したがって、財産の価値は、四%でございますから、大体何億となるのです。年額貸し付け料が五百方円、こういうことになっておったわけでございます。その後新規の貸し付けというものは、これはもうなるべくやめようという方針を出しましたので、この現在の審議会にかける基準あるいは大蔵大臣の承認基準とは別個に、年額十万円以上のものも一々これは大蔵大臣に相談してください、こういうふうなことで、実際上は年額十万円以上の貸し付けは全部大蔵大臣の承認を受ける、こういうことにしております、審議会には五百万円以上だけをかけるけれども。こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/27
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028・天田勝正
○天田勝正君 そこで、この審議会の委員の構成でありますが、これはここへいただいた資料の抜粋、いろいろございます、政令、つまり施行令、規則でありますが、その役割り等は規定してあるのですけれども、私の見たところでは、選任基準というのはどっから出てくるのか見当たらないのですが、中央審議会の場合はこれこれの基準、地方審議会の場合はこれこれの基準というのがあると思うのですが、その基準はどこに規定されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/28
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029・江守堅太郎
○政府委員(江守堅太郎君) 国有財産審議会が法律上の審議会になりましたときに、管財局長が財務局長に通達を出しまして、委員の方を選ぶ大体の基準というものを示しました。その基準が、地方審議会で申しますと、関係行政機関の職員、それから地方公共団体の職員、それから学識経験のある者といたしまして、学識経験のある者につきましては、金融界の代表者、産業界の関係の方、それぞれ中小企業、不動産業、建設業、山林業、法曹界、言論界というような方々の中から選ぶということの基準を財務局長に示しました。その基準で財務局長が委員を選任をしてお願いをするということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/29
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030・天田勝正
○天田勝正君 それは、財務局長への通達の基準というのは、地方審議会のことでしょう。中央のほうはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/30
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031・江守堅太郎
○政府委員(江守堅太郎君) 中央審議会のほうも同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/31
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032・天田勝正
○天田勝正君 それは、大蔵大臣が中央のは基準を示したのじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/32
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033・江守堅太郎
○政府委員(江守堅太郎君) 中央審議会は大蔵大臣の御任命になる委員でございますが、その選ぶ際の基準というものを、地方審議会の委員の基準を示しましたときに、あわせて一緒にその通達の中に、中央審議会についても大体こういう基準で選ぶのだというものを織り込んで通達をしましたので、実際問題として財務局長には関係はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/33
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034・天田勝正
○天田勝正君 私もかつて、飛行場を自衛隊で使うかあるいは民間で使うかという事柄について、関東地方審議会の委員を訪問したことがあります。まことに第一級のメンバーがそろっているので驚いたことがあるのですけれども、ところが、いまの基準はあとでひとつ、別に秘密のことでないようですから、出していただくことにいたしまして、学識経験者の中から出たのかどうか知りませんが、たとえば関東でいえば飯沼さん、あるいは氏家さん、税理士の新象さんですかなどのこういうような人は、別にわれわれが考えても、第三者的に見られるもので無理からぬ、こう思います。ところが、名前を一々あげなくても、財界人である一級の人がかなり地方でも中央でも入っておる。そういうことになりますと、これらの人は人格、識見りっぱで決して誤りはない人だと信じますけれども、財界人というのは、御案内のとおり、表面は一応AならAの会社に関係しておる、こういう立場ですけれども、重役としてあるいは株主として複数の会社に関係している場合が多いのであって、そういうことになると、民間会社等に戦後ずいぶん国有財産譲渡しましたが、どこかにひっかかりがあるということに私はなるんだと思うんです。そうすると、まあ単に弁護士さんであるとかあるいは言論人である、こういうような人たちと違って、そこに、正しいことをきめたにしても、やはり疑いを持たれるということは避けがたいのでございます。そうであれば、初めからそういう人をむしろ除いておいたほうがどうもいいような気がするんですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/34
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035・江守堅太郎
○政府委員(江守堅太郎君) 学識経験のある方と、それから役所の代表的な者というもので、審議会の委員を構成をしておるわけでございます。学識経験のある方という中に、もちろんこういった公共的な団体の代表者という意味で学識経験ありとして参加している方もあるわけでございます。それ以外に産業界、金融界、あるいは国有財産でございますので、不動産関係のそういった業界の代表的な方を入れることが適当かどうかということでございます。まあ仰せのとおり、特定の案件について、その委員の方が直接利害関係があるというような案件が出てくる場合もございましょうし、直接利害関係がなくても、やはり産業界の者としてそういったことを審議するのが適当でないではないかというようなものも、ときには私はあると思います。でございますが、やはり国有財産を処分するという、処分することについて政府の方針を諮問をして御答申をいただくという目的を実現するためには、どういう委員の方にそういったことをお聞きしたらいいか、いろいろ考えてまいりますと、やはり第三者の方ということだけでなしに、そういった土地の事情などについて、産業界の代表、あるいは金融界の代表としてのある一つの判断あるいはセンスというものをもって、こういった政府のやり方についていろいろ意見を述べていただくことが適当だというふうに私どもは考えまして、そういう方々を代表者として委員になっていただくということにしておりますし、今後もやはりそのほうが適当ではなかろうかといま考えております。
ただ、直接利害関係があるというような案件につきましては、やはりその委員の方に出ていただいて御意見を聞くということは適当でございませんので、直接利害関係のある案件のある場合には、その委員の方はその案件の諮問からは、その答申の際には出ていただくと申しますか、参加していただかないということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/35
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036・天田勝正
○天田勝正君 私も、その点については、別にこれがいままでこれこれの弊害があったという例を持っているわけではないのです。ただ、ここにいま有名人として、名前がないからあげやすいのですが、たとえば徳山で出光興産にかなり大きな国有財産を譲り渡した。もちろん、出光さんはどこにも出ておりませんね。とはいっても財界人の交流でありますから、その会社に直接名前を出さなくても、関係している財界人がいる。その人が直接審議会の、地方であれ中央であれ、メンバーにはなっていない。なっていないが、その人とともにどこかの会社の重役やっている人の一人が、中央か地方かの審議会の委員になっている。こういうことは財界交流上大いにあると思うのですね。たとえば、最近日本一というホテルが、あまり近過ぎるから名前をあげないことにしますけれども、あすこのメンバーを見ると、財界のオールメンバーが入っておる、こういったようなことですね。そういういまここで問題になっていない人の例はあげられますけれども、そういう場合にどうも、直接そこを退席するということはあり得ても、間接的には私は影響を受けないということのほうが不自然ではなかろうか。なるべくならばゼロにしてしまうということは、これは適当でないならば、何か問題が起きない前に、なるべくそういう人たちは最低限にとどめる。
普通庶民は、そういった国有財産を大げさに払い下げを受けるなんという資力はとてもないのですから、そのほうは問題ないので、当然、自分の住宅を建てるというのに、なるべく安くくらいの望みを持つのがあたりまえですから、それはいいとして、大げさに国有財産を払い下げる力のある人、そういう人については、やはり意見を聞くということほお答えのように大切な面があると思うが、もっと国民の疑惑を避けるということも、これも大切な要素なんですから、そういう代表者の人をゼロにするということはないにしても、なるべくもう、一人くらいにとどめるということは、もう問題が起きない先にやっておいたほうがいいのじゃないかという気がしますがね、どうなんです。法律的にきまっているなら別で、局長への通達でやっているという程度なら、どんどん変えられると思いますから、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/36
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037・江守堅太郎
○政府委員(江守堅太郎君) 現在、たとえば国有財産の中央審議会で申しますと、委員は約三十名くらいでございます。そのうち産業界の代表と申しますか、産業界、金融界に関係のある方まで含めまして約八名でございます。こういった構成は、他の中央審議会についてもほぼ同じような構成になっていると思います。
それで、たとえばある特定の土地をある特定の産業に払い下げるという場合に、それがいいかどうかということにつきましては、その関係の産業の方方の御意見を聞くことも、私は——また、その処分をいたします判断を政府がいたします際に、やはりその関係の方々の御意見を聞くということも、私は大事なことであり必要なことであると思います。ただ、それだけできまっては困るので、そのために、この国有財産審議会というのがございまして、約三十名の方々が、あるいは地方公共団体の代表の方、あるいは出先の関係の行政機関の者、あるいはそれ以外の学識経験者の方という方々に御相談をしておりまして、その中の一部分に産業界あるいは金融界の方々が出ておられるということでございますので、まずそういった関係の方々の御意見をも聞くことが重要であると思いますし、またそれだけで審議会の答申全体がきまるという構成にも先ほど申しましたようなことでなっておりませんので、現在程度の代表の委員の方々を産業界あるいは金融界から選ぶということは、私はさまで御心配のような弊害が非常に強くあらわれるというような心配はなかろうかと思います。
でございますが、ことに中央審議会とかあるいは関東の地方審議会というようなところでは、そういった産業界の代表の方々は、ほかの非常にたくさんの審議会の委員も兼ねておられる方方も多いわけでございますので、かねがね、そういった非常にたくさんの審議会に顔を出す委員の方々の兼任はやめていただこうという方向で検討はいたしておりますので、委員の改選というような際には、いま仰せられましたような点も十分考えまして、審議会の今後の運営に御心配のないような委員の選び方をしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/37
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038・天田勝正
○天田勝正君 次に質問する部分までいまお答えになりましたから、多くを言いませんけれども、私は、関係者の意見も聞くということの重要性というのは、やはり認めるものです。それで、局長の答弁と私の質問のすれ違いは、まあ八名でなくても、一名だって二名だってもよろしいのだという考えを私は持っておるということ。それで、しかし、関係者の意見は別の方法であっても聞けるじゃないかというふうに実は主張しておるのですね。
で、同じく関連して、たとえば知事さんなどは、地方の場合なんかは特にずらっと入っております。関東はあんまりありませんが、関西の場合はおそらく関係知事さんがみんな入っておる、こういうことになるのですね。そして、知事さんが私利私欲でどうするというふうにはだれも考えませんけれども、しかし、自分の県の問題になれば、これは無条件に賛成するにきまっていることだと思うのです。もう意見聞かなくても、そんなことはわかりきった話なんです。ですから、それはむしろ別途の意見を聞くべきだと。財界人の場合も、別途に意見を聞くべきだ。ただ、その意見を聞くということが、審議会のメンバーに入っておらなければ聞けないという筋のものではないと思うんです。さっき私申し上げたように、国有財産の払い下げの場合があれば、われわれも関係が——自分の私財としての関係はないけれども、しかし地域的な関係があれば、まあそいつは日本住宅公団にやったほうがいいとかなんとかという意見もどんどん行くんだし、行けば向こうも聞いてくれるんですから、そういう意味において公聴会みたいなものを開いて、そうして呼び集めてくれてもいいんだし、そういうことで、何も審議会のメンバーに入らなくたってそれは幾らでもできるんだ、こういうふうに思うんですけれども、さっき、今後改選の場合に考えるという話でありますから、その中にまあ含まっているものだと好意的に解釈しますけれども、私が指摘してきたようなことを取り入れていくというお考えですか、念を押しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/38
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039・江守堅太郎
○政府委員(江守堅太郎君) 委員の構成が、国有財産の管理、処分という政府の仕事に対して、ほんとうに公正な国民の声を聞かしでいただけるというふうな構成にするように極力努力をいたします。そのために、いま仰せられたような点についても、十分頭に入れまして、今後委員を選考する際の基準にいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/39
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040・天田勝正
○天田勝正君 具体例を一つあげますとね、私のおる熊谷旧陸軍飛行学校のあと地を、その半分くらいですが、再び陸上自衛隊に使う、それで航空兵訓練の場に使う、こういう問題が起きたことがあります。当時、関係者としては、市長をはじめとしてですが、おそらく東京近郊はものすごく衛星都市をつくっていかなければならないし、かつまた工業川地というものも分散しなければならない、こういうふうに察知いたしまして、これは保守党であるとか革新政党であるとかという事柄でなしに判断が一致した結果、私個人としても住宅公団等へ話をしたり、関東財務局ともいろいろ話をしたりしました。ところが、まあついにそういうわれわれの要望がいれられずして、さっき言ったような結果になってしまったのですが、それから二年もたたないうちに、われわれの見込みのとおりになってしまって、その地帯よりももう遠くまで、つまり深谷団地といっていますが、そこまでも日本住宅公団が工場用地、住宅地を開発しなければならない。いま開発しています。で、もうやや整備されましたが、そのときになってみますと、やはりあれだけの土地を、半分は分散して、まあ一戸の農家に幾らというぐあいで分けてしまって、まあたいへんなことをしてしまった。国有財産とあればこそ、それをそっくり住宅地、工場地にできた。だから、半分だけはもうどうにもならない。今度買い上げれば、えらい高いことになる、こういうことになっちゃうんですね。
ですから、なかなか、そのときの政府の方針、その政府の方針が、つい官庁側から出ているこの委員の私は方針にもなると思うのです。同時に、財界人だって、そのときは強くそういう要望をされなかったから、とうとうこの国有地というものが、半分以上は分散してしまった、こういうふうなことになっちゃうのです。
ですから、そういう意味からしても、今度は逆に、しかし、関係者の意見を聞くというのは、いまの構成以外からもやはり考える必要が私は出てくると思う。その他の民間人というものの意見が、年じゅう正しいというわけじゃないけれども、そのときだって、かなりの、審議会の委員の中に、われわれ同様の意見を持っておる人が一人でもあれば、いささかでもちゅうちょすれば、一年もかかれば事情は違ってしまう。当時の住宅地を建設する政府の方針とすれば、大体大宮、川越、こういうような方針です。私の友人にも住宅公団の幹部がおりますが、個人的にも話したのだが、これはそういう話です。さっそく政府のほうが困ってきた、新住宅政策で。ですから、話が長くなって恐縮ですが、やはり全く別の意見もいれるようなことを少なくとも地方審議会なんかでは特に考えるべきじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/40
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041・江守堅太郎
○政府委員(江守堅太郎君) 個々の財産の処分を審議会に御諮問するわけでございまして、その際、かねて御指摘もいただいておりますように、国有財産の処分が非常に計画的にやられることが望ましい。その計画的ということが、いまお話しになりましたように、相当長い期間を見通して、国有地の処分として最もいい方法で行なうべきである。いまのお話は、もう少し広い視野に立って考えたならばそういった点まで見通して処分すべきものを、そこまで見通せなかったので、いま困る事態になっておる、こういう御指摘でございます。この点は地方審議会に、大ぜいの各界の代表の方々に委員になっていただきまして、そして御諮問をして御意見を伺っておりますのは、もっぱらそういった問題について大所高所からの御意見を聞かしていただく。先ほど財界、産業界というような方々が利害関係があって不適当であるというお話もございました。また、まさにそういう具体的な案件もあるかと思いますが、私どもがそういった方々にこういった御審議を願っておりますのは、やはりそういった広い視野に立って、あるいは財界的な視野、金融的な視野という面からこの問題を、いろいろな案件の具体的な処理についての御意見を伺うということでございます。
いま御指摘になりました件につきましては、そのときの審議会の御答申がそこまで及ばなかったために非常に不十分な結果になった点もあるのではないかと思いますけれども、少なくとも制度あるいは構成といたしましては、そういった非常に広い視野から判断をしていただくという委員の方々に参加を願っておる。また、特に首都圏の整備あるいは都市計画という観点からものごとを考えておられる方々も、委員として入っていただくということでございますので、審議会の機能の中からそういったあやまちがないような、政府においてそういったあやまちをしないような御意見が出てくるというふうに私どもは考えておるわけでございますが、その前に、たとえば関東財務局がそういった熊谷の土地のある一定の処分をするという案を出します際には、その案をつくります過程におきまして十分そういった方々の、そういったと申しますか、そういった面についての考慮を払ってこの案をつくらなければならない。その考慮を払う過程におきまして、こういった審議会の委員の方々は、審議会でそういった面の御検討をいただく。財務局が案をつくる過程においては、財務局の公正な案をつくるという観点におきまして、できるだけそれぞれ民間の方々の御意見も、案をつくる過程において十分御参考にするということは大事なことと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/41
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042・天田勝正
○天田勝正君 これは私は結局こうだと思うのですよ。中央にせよ、地方の審議会にせよ、一定の諮問案を大臣なり財務局長なりから示されて、その示された範囲内で適正にいかに払い下げが可能であるか、こういうことを審議して、これに答申をするという義務がそこにある。しかし、独自に建議をする権利は与えられておらない。建議権が与えられておったとしても、ほとんどそれは活用していないのじゃないか。というのは、普通ここにずっと各省の代表者の人が入っております。そうすれば、考えようによっては各省の代表ですから、そこらが調整して、将来の見通しが一番立てられるのではないか。立てられそうだけれども、案外立てられていない。
たとえば、いま熊谷の一つの例を引きましたけれども、当時は上野から一時間三十五分くらいかかりましたな。ところが、これは電化が進むならばおそらく一時間で東京に着くということははっきりしている。そのことは運輸関係と打ち合わせてもすぐわかる。
同時に、いま国有財産が減ってしまってからそんなことを言ってもしょうがないのだが、庶民に安い住宅を提供するというたった一つの方法は、私は国有財産を利用する以外にないと思う。現実に住宅公団なんかでやっておりましても、少しく昔——昔といってもたかのしれた昔ですが、数年前に建てたのは、いま建てるのより便利であっても安く借りられる。それは取得価額から来ているから、どうしてもそうなる。ところが、あとできるものはどうしても取得する取得価額が高いがゆえに、不便がわかっていても、高い家賃を取らざるを得ない。現実は、住宅公団等でやっても、低額所得者はとてもそれは入る能力がない、こうなっちゃう。それが私は熊谷の場合でも非常に残念だ。いまは一時間半以上かかるから無理だと思っても、やがて一時間になれば、ほとんど東京へ通勤可能な地帯になる。
そういう場合に、独自の建議をする審議をしょっちゅうやっておれば、当然、それをすぐさま払い下げてどう処分するということを協議するよりも、いま少しく処分すること自体を待っていよう、こういうことも、処分すること自体のきめ方よりも、待っているということも一つの方法だと思います。そういうことは現実にやっておられないのですか。あるいはまた、独自の建議権があるとすれば、その建議したという事例がございますか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/42
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043・江守堅太郎
○政府委員(江守堅太郎君) 建議をいただいた事例はございません。
それから、御指摘の具体的な態谷の問題につきましては、確かにその当時においても、非常に広い東京都の再編成というような観点から、その具体的な土地をいかに利用するのが最も適当であるかという御判断をいただくのが適当なことであったと思いますけれども、売り払いました三十四、五年ごろにおきましては、当時のその熊谷の土地については、具体的な利用計画が首都圏の整備計画の上からもございません。また、むしろ熊谷の企業誘致という観点から、こういった非常に大きな企業を招致することについて、むしろ非常に積極的に強い関心があったというような事情もございましたために、このような処分になったわけでございます。やはり非常に広い視野、あるいは長期的な計画を立てて仕事をしなければならないということが、国有財滝の処分にとって非常に重要でありますと同時に、ことに処分をしようとするその時点において、その土地をある特定の産業の目的のために、あるいは民生の安定等のために具体的にこの土地がぜひほしいのだという、そういう需要と、いかにこれをマッチし調整させるかということが非常にむずかしい問題でございます。
で、その問題の調整について政府はいろいろ苦慮いたしておりますが、政府だけの判断でも十分でないので、その点の御判断をこの地方審議会にしていただくということが、地方審議会のこういった案件を処理する非常に重要な目的になっているのであります。
熊谷の土地の処分ということにつきましては、その当時の事情からいって、地方審議会でこのような御答申を得たというのも、三十四、五年ころの事情としてはやむを得なかったのではないか。この二十四、五年ころ、それよりあと四十年、四十一年ころまでの関東のいろいろな都市の再編成というところまで考えて処分できなかった、計画を立て得なかったということについては、私はいまになってみれば遺憾な点が多々あると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/43
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044・天田勝正
○天田勝正君 自分の地元ですから、熊谷のことだけ議論してもしようがないが、ただ、一番知っている事例ですから申し上げただけですが、あの際であっても非常に要望があった。というのは、その後政府としても住宅公団を通じて、旧軍用地でないところまでも工業用地及び住宅用地として開発せざるを得なくなった。そういう場合に、この際私どもの主張で自衛隊云々ということを申し上げるつもりはない。申し上げるつもりはないが、埼玉なんというのは、よその地帯から見れば、まるで平地林が多くて、少しく丘陵がある程度なんです。そうすると、かりに自衛隊の必要があれば、そっちへ行ってもいい。ああいう最も工業用地、住宅用地になるところは、熊谷から深谷まで続いて、いま現実にふさがっている。そこへ自衛隊がぽんと入って、それでじゃまになっているだけの話で、そこを続けて住宅用地あるいは工業用地とすればよかったということなんです。
ただ、私はここで指摘したいのは、当時の事情というお話を局長もおっしゃいますが、その当時の政府の方針としては、住宅分散の政策というものが、西武線では所沢あたりから川越、それで大宮を通って千葉県の柏、船橋、こういうのがいいんだ、それ以外は建てないんだ、こういうことなんでしょう。けれども、その当時だってそんな話はべらぼうなんで、その当時すでに京葉工業地帯の開発はどんどん進めており、船橋あたりまでで東京の住宅分散を打ち切るんだなどといえば、おそらく私、いまから見て、こっけいなばかりでなく、その当時から見てもこっけいなんです。そんなことできっこないから、二年もたたないうちにそれより遠くへどんどん住宅公団だって開発せざるを得ない、こういう事態になってくるのですね。ですから、それがただ政府の方針がきまらなければだめだということでなくて、何か審議会というものがある以上は、これを通じてもっと先行きを見通せることをしなければ、私はこういう審議会だって半分くらいは価値がないんじゃないか。ただ、払い下げてもいいときまったものを適正な値段をつけて払い下げる、そこにさっきから言う使用範囲をきめて、そうしてそれが適正に使用されておるかどうかということをあとで監視する、その程度のことでは、半分の機能というものは失われる、何か審議会があるということ自体が失われるんじゃないか、こういうことを実は指摘したいのです。きょうは私ばかりが質問していますから、多くは言いませんが、将来これらのことを、きょう大臣も来ておらないことですから、少しく政府部内でもう一ぺん検討し直す。せっかくの審議会があるのでありますから、これがもう少し体のさける人をそろえて、いま政府の方針からはみ出す部分があっても、建議を受ける、こういうことも必要あると思いますが、ひとつ御検討願えますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/44
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045・江守堅太郎
○政府委員(江守堅太郎君) 国有財産の処分を非常に計画的に行なうということは非常に重要なことでありまして、たびたび国会で御指摘も受けておりますし、私どももそのつどその方向に十分努力をいたすというふうにお答えをしておるのでございます。それを実現する方法といたしまして、従来審議会に個々の財産の処分を御諮問いたします際に、審議会の委員の方々からそういった長期的な計画に基づく一つの御意見というものを伺わしていただくことを期待しておるわけでございます。まあそういった機能について、いままで審議会がまだまだ十分でないという点もあるかと思います。
この点につきましては、まず第一に、政府が非常に長期的に、計画的に、わが国の国土の利用をいかにするかという点をもっと明確に定める必要があると思います。その前提に立って初めて、いろいろな財産の処分についてもそういった計画にマッチした処分ができると思いますが、その点については、これは政府全般にわたることでございますし、いろいろ計画がございますが、ほんとうに総合的な計画、しかもそれが実現性のあるものとしての計画はどうかという点については、いまだ非常に不十分な点があると思います。この点については、私どもの所管だけの問題ではございませんから、何とも申し上げ得ない問題でございますが、少なくとも国有財産の地方審議会にはそういった問題についての御判断をも、個々の財産の処分のみならず、そういった問題について各委員の方々がいろいろ御意見を持っていただくということのできるようないろいろな資料というようなものもお配りをして、そういった問題についての検討をしていただく、そういった検討に基づいて個々の財産についての処分についての御意見をしていただくというふうな努力は、いままで多少欠けておったと思います。その点について、今後国有財産地方審議会の運用の問題につきまして十分努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/45
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046・天田勝正
○天田勝正君 最後に、この審議会については他の委員からも質疑がある予定になっておりますから、この問題はこの程度にしますが、これらの委員の待遇ですね、まあ本院の要するに承認を受ける委員を私はかつて調べたところが、まことに——漁港審議会のごとく、もうその経験を経た人でなければ見当もつかないような技術的な委員がそろっておるにもかかわらず、これらはいま改正されましたが、かつては、出てきた日だけについて百六十円、とてもおそくなって泊まることだってできないという、最低もあれば、片方は非常勤であっても月額三十万円というものもある。まことにアンバランスもひどいものなんです。ずっと見ますというと、技術的な面の審議会ということになりますと、おそろしく待遇が悪いですね。これは役所通有の東大法科でなければだめだというのがずっと流れておって、そういうことなんですが、とにかくそういう面がある。
それで、国有財産審議会は、別に委員の任命に本院の同意を得ることもない。しかし、建議は全然いままで一回もないということは、私はとても——その諮問にこたえるくらいが精一ぱいのことであって、あと独自に自分が研究するのだ、こういう意見があっても、建議をしようというようないとまもなければ、その待遇もしていないだろうと思うのです。この待遇は、中央、地方それぞれにどうなっておるのか、建議権があれば、やはり諮問案があろうとなかろうと、定期的に開くということがなければ、そんなことはできようはずがないと思いますが、その点をひとつあわせて御答弁願って、きょうはどうも私だけおしゃべりして恐縮ですが、質問を終わりたいと思います。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/46
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047・江守堅太郎
○政府委員(江守堅太郎君) 委員の方方の待遇の問題でございますが、国有財産審議会は、委員の方々が御出席いただきましたつど、委員会手当を差し上げております。その委員会手当の金額が幾らであるか、私、実はいま正確に頭にございませんが、後日また御報告さしていただきたいと思います。
それから、建議の問題でございますが、こういった地方審議会あるいは中央審議会で御諮問をして答申をしていただく以外に、何らかの問題について建議をしていただくということは、私どもも大いにそうしていただきたいという気持ちがございますが、ただ、現実の問題といたしまして、中央審議会の委員の構成を見ていただけばわかりますように、なかなか委員会開催のとき以外のときにおいてお集まりになって特定の問題について意見をまとめて出していただくというようなことがしにくいような構成になっております。これは中央審議会の機能が、主としては個々の案件の処分についての審議会の御意見を承るということをおもな目的としておりますため、やむを得ない点かと思いますけれども、したがいまして、非常に国有財産の処分の基本あるいは国有財産法の改正というような問題について、非常に体系的な基本的な建議をそういった審議会からしていただくということは、私はなかなか困難な問題かと思いますけれども、個々の財産の処分について御答申を得ております中には、積極的にいろいろな御意見もあるわけでございます。たとえば、特定の土地を処分するについて、これはこういった方面に処分することよりは、先ほど仰せになりましたような非常に長い視野に立って、とっておいたほうがいいんじゃないかというような御意見もたびたびあるわけでございます。そういうものは、私どもは意見として拝聴しておりますことが、実質的な各審議会の建議とまでは申せませんが、御意見として承っておりますわけでございます。そういったものが、場合によりましては、委員の方々がお集まりの席上、建議としていただいたほうが、私どもとしても今後仕事を進めてまいります上に、非常にやりいいというようなものがございましたら、われわれがただいま御意見として承っているものを、建議のような形でまとめていただくというふうなことも考えてまいりたいというふうに考えておりますが、いままでのところ一度も建議がございませんでしたし、それから、構成上建議というものはなかなかやりにくいような構成であるし、そういう頻度で開かれている審議会であるという点について、御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03519640602/47
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048・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 本案に対する、質疑は、本日のところはこの程度にとどめておきます。
次回は、明後四日午前十時から開会いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三分散会
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