1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年六月十一日(木曜日)
午前十一時八分開会
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委員の異動
六月九日
辞任 補欠選任
高橋 衛君 田中 清一君
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出席者は左のとおり。
委員長 新谷寅三郎君
理事
柴田 栄君
西川甚五郎君
成瀬 幡治君
渋谷 邦彦君
天田 勝正君
委員
大竹平八郎君
大谷 贇雄君
岡崎 真一君
佐野 廣君
林屋亀次郎君
堀 末治君
柴谷 要君
野々山一三君
野溝 勝君
原島 宏治君
鈴木 市藏君
国務大臣
大 蔵 大 臣 田中 角榮君
政府委員
大蔵政務次官 齋藤 邦吉君
日本専売公社監
理官 遠藤 胖君
大蔵省主計局次
長 澄田 智君
大蔵省管財局長 江守堅太郎君
大蔵省銀行局長 高橋 俊英君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
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本日の会議に付した案件
○国民金融公庫法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○国有財産法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
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001・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る九日、高橋衛君が辞任せられ、その補欠として田中清一君が選任せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/1
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002・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 国民金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案は、去る五月十二日衆議院から送付せられ、本委員会に付託せられたのでありますが、まず、本案の提案理由の説明を聴収いたします。齋藤政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/2
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003・齋藤邦吉
○政府委員(齋藤邦吉君) ただいま議題となりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
国民金融公庫は、銀行その他一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とする国民大衆に対して必要な事業資金を供給することを目的として、昭和二十四年六月に設立されて以来、国民大衆の旺盛な資金需要に対処して、その業務の推進をはかってまいったのでありまして、昭和三十七年度末において、その設立以来の融資総額は八千十九億円その融資残高は千六百十四億円に達しております。
昭和三十八年度におきましても、普通貸し付け千五百七十億円、恩給担保貸し付け百七十億円、その他の諸貸し付けを含めて総額千七百六十二億円の貸し付けを予定しているのでありますが、その他の諸貸し付けのうち、農地被買収者で銀行その他一般の金融機関から生業資金の融通を受けることを困難とする者に対し、二十億円の貸し付けを行なうこととしております。
以上申し述べましたような計画に対応し、必要な資金として三十八年度内に政府資金六百七十五億円を新たに供給することとしておりますが、公庫の経営基盤の一そうの強化に資するため、政府資金のうち二十億円は一般会計からの出資金を予定しておりますので、これに伴い、公庫の資本金二百億円を二十億円増額して二百二十億円とする必要があります。
以上が、この法律案を去る一月三十一日国会に提出いたしました理由及びその概要であります。
なお、この法律案が昭和三十八年度中に成立するに至らなかったため、同年度中に予定した一般会計からの二十億円の出資は行なわれなかったのでありますが、この法律案が成立した後におきましては、事情の許す限りすみやかに所要の措置を講じたい考えであります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/3
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004・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 引き続き、本案に対する補足説明を聴取いたします。高橋銀行局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/4
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005・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 国民金融公庫法の一部を改正する法律案の関連事項としての農地被買収者貸し付けに関しまして、御説明を申し上げたいと思います。
去る一月三十一日国会へ提出されました国民金融公庫法の一部を改正する法律案の提案理由につきましては、ただいま政務次官から説明されたとおり、国民金融公庫の貸し付け資金の一部に充当するとともに、公庫の経常基盤の一そうの強化に資するため、国民金融公庫に対し政府の一般会計から二十億円の出資を行なうこととしたことに伴いまして、公庫の資本金を二百億円から二百二十億円へ増額する必要があり、このため法律改正を行なうものであります。
しかしながら、本法案が昭和三十八年度中に成立するに至らなかったため、同年度中に予定した一般会計からの二十億円の出資は行なわれなかったのでありますが、本法案が成立した後におきましては、事情の許す限りすみやかに所要の措置を講じたい考えであります。
なお、国民金融公庫が昭和三十八年度に予定した農地被買収者に対する二十億円の生業資金貸し付けも、本法案が成立して所要の措置が講じられたしで行なうこととなりますが、この貸し付けは国民金融公庫の新たな業務でありますので、参考のため御説明申し上げます。
農地被買収収貸し付けは、農地被買収者に対して何らかの措置を講ずべきであるとの要請に対処いたしまして、政府はこれをこのまま放置することは適当でないという政治的考慮のもとに、この際農地の買収を受けた者で現在生業上資金の融通を銀行その他一般の金融機関から受けることを困難としている者に対しまして、国民金融公庫から生業資金の融資を行うことを趣旨とするものであります。
したがいまして、この貸し付けについて政府は国民金融公庫の生業資金貸し付けの一種として扱う方針であり、生活資金の貸し付けは考えていないとともに、償還期限、据え置き期間及び担保または保証の徴求等の貸し付け条件についても、従来から行なっております生業資金貸し付けと同様に取り扱うこととしておりまして、この貸し付けを行なうための特別の法律改正は考えておりません。
ただし、貸し付け金利につきましては、五十万円を限度として、年六分五厘の金利を適用することを考慮いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/5
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006・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これに関連しての資料要求なんですけれども、これはたしか最高裁で合憲判決が出ておるのであります。しかし、それまでに行くのには、高裁あるいは地裁で議論されているわけですが、提訴された個所が一カ所だけじゃなくて、二、三カ所あったかと記憶しておりますが、そこで、提訴をしておられるその主たる理由ですね、理由、それから法廷で本人または代理弁護人等がこうなるという主張をされていると思いますが、それに対する主たる主張の点。それに対してだれが国側からは出ておみえになるか知りませんけれども、それに対する反論ですね、そうしてそれに対する判決、主文だけではなくて理由ですね、それを地裁は地裁関係一カ所じゃなくて、三カ所あったら三カ所全部、高裁、最高裁とも全部資料としてお出しを願いたいと思います。これは私一人によこされずに、全員にひとつ御配付をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/6
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007・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) いまの成瀬委員の要求の資料は、大蔵省のほうで至急に取りそろえ提出していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/7
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008・齋藤邦吉
○政府委員(齋藤邦吉君) 農林省その他関係省に御連絡をいたしまして、できるだけすみやかに提出するようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/8
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009・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これは相当に実は膨大な資料だと思いますが、急いでやっていただかなければならぬと思うんですが、少なくとも一週間くらいのうちに出ませんか。あるいは十日くらいに出ましょうか。それが一つと、あわせて、例の農地被買収問題調査会というのが投資されまして、この答申も実は本委員会には前に配付はされているということを私も記憶しておりますけれども、例の調査会の答申は、やらぬでもいいというそういう答申が出ておりますが、それもあらためて私は各委員に御配付を願ったほうがいいのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/9
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010・齋藤邦吉
○政府委員(齋藤邦吉君) 総理府のそれぞれの機関に連絡をいたしまして、できるだけすみやかに掛川するようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/10
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011・成瀬幡治
○成瀬幡治君 二つありますが、よろしいですね。二つありますが、一番最初のときとその次のときと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/11
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012・佐野廣
○佐野廣君 いまの成瀬委員の資料提出につきまして、会期も非常に少ないのですから、審議に間に合うように、採決に間に合うように、努力してひとつ早くお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/12
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013・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) それでは、木資料はなるべくすみやかに当委員会に御提出を願いたいと思います。
本案についての審議は、本日はこの程度にとどめておきます。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/13
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014・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めて。
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015・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、国有財産法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続き、本案の質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/15
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016・柴谷要
○柴谷要君 私は、存日米軍に対する施設の提供について、少しくお伺いをいたしたいと思います。
これは日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく地位に関する協定等によって、もちろん国有地のみならず民間も使用できる、こういう協定になっておりますが、大蔵省所管の一般会計所属の普通財産は一体どのくらい提供しているのか。昭和三十六年度の調べでは、千百六十二億円に相当する米軍に施設の提供がある。それは普通財産の総額二千九百二十五億から見ますると約四〇%に該当するという白井が出ているわけです。自来三年を経過いたしておりますから、返還なり、交換なり、いろいろその間で行なわれたと思われますので、昭和三十九年度はこの状態がどうなっておられるか、その経緯についてお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/16
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017・江守堅太郎
○政府委員(江守堅太郎君) 三十八年の三月の末日におきまして提供しております財産は、土地が五千二十九万坪、価額にいたしまして約五百七十六億円、建物が百三十二万坪、価額にいたしまして約二百七十一億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/17
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018・柴谷要
○柴谷要君 貸し付けが五百七十六億といいますと、普通財産総額の何%に当たるか、普通財産の総額は幾らに見積もっておられるか、それまで御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/18
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019・江守堅太郎
○政府委員(江守堅太郎君) 現在、普通財産の総額は、大蔵省所管の普通財産の総額は一兆四千四百七十四億でございます。そのうち政府出資が一兆一千六百二十四億でございますので、政府出資を除きました大蔵省所管の普通財産は約三千億あるわけでございます。そのうち提供しております土地建物の全額がこれで約九百億ございますので、約三〇%、大蔵省所管の政府出資を除きます普通財産のうち約三〇%に当たる土地、建物を提供財産として米軍に提供しておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/19
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020・柴谷要
○柴谷要君 昭和三十六年に提供されておりますものが普通財産の約四〇%、こういう資料が出ておりますが、三年経過した今日、一〇%減になって三〇%になったということは、何といいますか、漸次提供地が減少してくるということで、好ましいことだと思うのです。
そこで、返還された土地の使用は一体どういう方向に使われているか。そのこまかいことがおわかりになりませんでしたら、大綱でけっこうでございますが、お教えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/20
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021・江守堅太郎
○政府委員(江守堅太郎君) 返還されました提供財産を現在どのように利用しておるかということでございますが、返還されました財産のうち一番多く現在使っておりますのが防衛庁関係の施設になっております。そのほか官庁の施設、公共団体の施設、住宅、教育用の施設等にそれぞれ利用しておる現況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/21
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022・柴谷要
○柴谷要君 いまそこで資料をお持ちであれば、返還された土地の使用について防衛庁がどのくらい、あるいは行政財産のほうの建物等になったのがどのくらい、あるいは民間のほうに払い下げられたのがどのくらいというようなこと、ちょっとお聞かせいただきたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/22
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023・江守堅太郎
○政府委員(江守堅太郎君) 三十八年十月末現在の数字がございますが、いまとなっては少し古くなっていると思いますので、一番最近の数字から資料を整えまして、後刻提出させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/23
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024・柴谷要
○柴谷要君 それでは、次の質問に移りたいと思いますが、終戦処理費という費用で、いろいろな官庁に今日では所属しておりますが、建物が提供されていると思います。ところが、終戦処理費でやったために、国有財産だということで、いわば行政財産でありますけれども、その所属しておりますところで何ら管理ができないということで、非常に迷惑しているところがあるのでありますが、そういう点は大蔵省として掌握しておられますかどうか、この点についてお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/24
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025・江守堅太郎
○政府委員(江守堅太郎君) 終戦処理費で取得いたしました財産は、現在約三百八十三億でございます。この終戦処理費で収得いたしました財産は、現在、先ほど申しました提供財産として提供中の財産が主要なものを占めております。したがいまして、その管理は、現在米軍が管理をいたしておるわけであります。私どもは第一次的な管理責任を持っておりませんが、これがもう不用であるといって返されてきたつど、普通財産としてそれの利用方法を検討しておるというような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/25
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026・柴谷要
○柴谷要君 米軍管理でない、終戦処理費でつくった建物が実はあるのです。と申し上げますのは、国有鉄道の中に駅舎が終戦処理費でつくられ、駐留軍の基地だものですから、それで駅舎が終戦処理費でつくられて、国有財産になっておるので、非常に手狭になってきましたので、待合室の拡張をしたいといっても、これができないで非常に困っておる。それのみか、駅員の休憩室にしろ、あるいは執務室にしろ、日本流にできておりませんので、窓が高くて風の流通が悪い。それで、非常に何といいますか、いろいろペンキ塗りをされておったので、たいへん日本人の仕事に向かない駅舎があるわけです。これが今日まで国鉄に移管をされて手入れをされ、改修されているかというと、できないで非常に困っているところがあるのですが、そういう点は十分御承知のことと思うのですけれども、これらの問題についてはどのように処理される御方針であるか、承っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/26
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027・江守堅太郎
○政府委員(江守堅太郎君) 終戦処理費で取得いたしました財産のうち、いま仰せになりました国有鉄道の施設になっておりますものにつきましては、国の財産と国有鉄道の財産をどのように分けるかということについて検討を重ねてまいったのでございますが、最近その処理の方針をきめまして、その方針に基づいて処理をいたしております。
その処理のしかたは、国有鉄道の財産として使われております終戦処理費で提供いたしました財産のうち、国有鉄道の施設と一体として利用したほうが好ましいもの、あるいはまた、一応分離することができるけれども、分離するために非常に多額の費用を必要とする、そういったものは国有鉄道のほうの財産とする、それ以外のものは国の財産とするというような方向で、現在整理中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/27
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028・柴谷要
○柴谷要君 そうしますと、駅舎の終戦処理費でつくったものは国鉄に移管をして、将来はその国鉄が自由に改修ができるような道を開いてやろうと、こういうことでいま事務の進展をはかっておる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/28
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029・江守堅太郎
○政府委員(江守堅太郎君) 一つ一つの財産の現況を見なければわかりませんけれども、国有鉄道の施設と一体となって利用したほうが適当だと思われるようなものにつきましては、国有鉄道の財産にいたしたい、完全に分離できるものであっても分離することに非常に多額の経費が要るというようなものについては、これはやはりまた国有鉄道の財産として整理をしたいというようなことでやっておりまして、実際それが国有財産のほうになるのかあるいは国有鉄道のほうになるのかということは、一つ一つの財産の現況を見なければわからないのでございます。そういった考え方で整理を進めておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/29
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030・柴谷要
○柴谷要君 管財局長さんの言うことわかるのですが、毎日お客さんが乗りおりしている駅舎なんです。駅員がそこで執務をしておる駅舎を、おかしな形でつくられちゃったものですから、いま待合室がラッシュアワーのときには非常な海難、小さいものですから。そこで、さっそくその改修をしたいと思いましても、それが改修ができないで困っておる、こういうものがあるのです。こういう駅舎をいつまでもそのままにしておいてはいけないのではないかということで、国鉄当局は大蔵省にお願いをして、着々進んでおるということでございますけれども、それをできるならば交通機関を利用する者のためにも早急に手続をして国鉄に管理をさしたほうがいいのではないか、こう思いますので、その点をお伺いした。
事実むずかしいことではなくて、毎日乗りおりしておる、これは東京ではございませんが、奥羽本線にそういう駅があるのです。私行って見まして非常にびっくりしたわけなんですが、そこの職員が、また地元の人たちが、改築促進委員会などをつくりまして、交通に、あの辺は国鉄以外は利用が少ないものですから、早く改修をしてくれという要求が出てきているものですから、こんなことは簡単にできる、こういうふうに思っておりましたけれども、なかなか時間がかかっているようですけれども、どうかそういう御不便をいまかけておる現状を御認識をいただいて、着々進行していただいておるようでありますけれども、より一そう促進をお願いしたい、こういうふうに思うわけです。
そこで、次は、大臣がお見えになったので重要な質問が同僚からあるようでございますから、あと二、三点で終わりたいと思いますが、昭和三十八年、昨年でありますけれども、三カ年計画で行政財魔使用状況調査というのが御決定になって進んでおると思うのですが、一年間の調査の状況について、掌握しておられたら御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/30
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031・江守堅太郎
○政府委員(江守堅太郎君) あまり全体的な数字を持っておりませんので恐縮でございますが、行政財産のほうの未利用状況の調査でございますが、すでに約二百四十万坪ばかりにつきまして、その行政財産の利用の実情がどうであるかというような調査を完了をいたしております。そのうち約六十万坪につきましては、官庁施設の立体化というような線に沿いまして立体化をして、国有財産を活用し得る坪数を出してほかに活出したというような結果になっております。何ふんまだ非常にたくさんございますし、現況については目下引き続き調査中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/31
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032・柴谷要
○柴谷要君 なぜ三カ年計画のまだ二年度を迎えたばかりでこういう質問をするかというと、この三カ年計画によって実情を調査をされて、その上に新しい国有財産行政をしこうということですから、非常にけっこうなことだと思うのです。そのためには、ぜひ三カ年計画の調査を十分に徹底されて、国有財産の有効適切な管理利用という方面にひとつ一そうの拍車をかけていただきたいということを申し上げたいと思って、質問申し上げたのです。
そこで、国有財産行政について、白書の中では、新しい時代の新しい、要請に応じるいろいろの問題が発生しており、今後の国有財産行政も決して容易なものではない、その財権の適正な効率的な管理、処分をはかるためにより一そう大蔵省としては努力をする、ということが白書に明記されております。国有財産行政についてはいろいろ慎重にやられているとは思いますけれども、効率的な管理、処分を一そう努力をする、こういうことになっておりますが、一体どういう方向に向かってそういう方面の努力をしていこうと考えられておるのか、大綱だけでもけっこうでございますから、お示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/32
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033・江守堅太郎
○政府委員(江守堅太郎君) 国有財産の有効な活用というために、現実の問題といたしましては、ある特定の財産をどなたかに処分をする、あるいは貸し付けるというような問題でございますが、この問題につきましては、現在財務局、財務部という地方の出先の機関がその問題を処理しておるわけでございますが、まあその処理のしかたについてはいろいろ世の中の御批判をいただいております。非常におそい、あるいは評価が適正でない、場合によっては、貸し付け料が非常に高い、あるいはまた不法占拠が非常に多いではないか、というようないろいろの問題があるわけであります。これらの問題を解決いたします方法といたしましては、私どもといたしましては、要するに財務局、財務部の者が一生懸命に仕事をするということでございます。そうして管財局といたしましては、財務局の者がそういった財産の処分に対して適切な処分がなし得るように、事務の指導を適切にしていきたいということでございます。
特に、私どもは関心を持って、これはぜひことしはしっかりやらなければならないというようなつもりで指導しておりますことは、非常に仕事がおそいという御批判がたくさんあるわけでございます。このおそいということにつきましては、われわれ管財局の内部におります者にとりましては、このおそいということについてはいろいろの理由も考えられ、ものによってはやむを得ないというようなものも考えられるわけでございますが、やはりもうすこし管理者として事務の配分あるいは事務の管理状況の把握ということについて注意をしたならば、改善できる面もあると思います。そういう面につきましては、強く管財局で、ことしの実際の財務局、財務部のやるべき仕事の非常に大きな重点ということで、強い指導を行なっておるわけでございます。
それから、こういった実際の実務を動かしておりますところの国有財魔法の問題でございますが、この国有財魔法につきましては、現在ここで国有財産法の一部改正法律案を提出いたしまして、御審議をいただいておるわけでございます。
まず第一に、大蔵大臣は総括権というものを持っておる。この大蔵大臣の総括権というものは、現在、普通財産につきましては、大蔵大臣がこれを集中的に管理して、これを処分をする。大蔵省が国有財産を転活用するという問題について、広く国民経済の視野に立って処分できるようなたてまえにななっておる。法制的にそういうたてまえになっておるのでございますが、行政財産につきましては、この行政財産は何ぶん各省各庁が直接使用なさる財産でございます。その管理、処分は、第一次的には名賀各庁の長がこれをなさっておるわけでございます。でございますが、行政財帝の中には、現在未利用状況の調査も行なっておりますように、非常にもっとほかに使ったらいいのではないかと思われるようなものもあるわけでございます。そういったものにつきまして、大蔵大臣は総括権に基づいて、そういった行政財産のうち米利用のものあるいは他に転用したほうがより経済的と思われるものについては、大蔵省にこれを引き継ぎ、そうして大蔵省が普通財産として一般的に広い視野からこれを処分するということを申すわけでございますが、その申し方につきまして、現在の法制では閣議の決定を経なければこれができないというたてまえになっておりますのを、もう少し、閣議でそういうことをきめるというようなことは、場合によっては非常に不適当な場合も多いと思われます。閣議で決定する前に、大蔵大臣が制度的に各省各庁の長に行政財産について引き継ぎを受けることをもう少し強く要請し得るような道を開こう。これが法律で大蔵大臣の総括権を強くしようとする一点でございます。
それからさらに、特別会計に所属しております普通財産につきましては、普通財産でございますけれども、これは大蔵大臣が処分するようなたてまえになっておりません。ところで、たとえば国有林野特別会計などにおきまして、その林野を処分するという問題について、それを国有林野特別会計からだけの観点から処分するのはどうか。あるいはまた、大蔵省が所管しております普通財産につきましては、国有財産審議会で審議をして処分をいたしておりますが、特別会計所属の普通財産についてはそういった制度もない。これはやはりどこか抜けているのではないかというような観点から、特別会計所属の普通財産につきましても、これを処分するときは大蔵大臣に協議していただく。そうして大蔵大臣が大蔵大臣の立場でその売り払いについての検討を行なう。と同時に、協議を受けるという機会をつかまえまして、審議会に御諮問をして審議会の御意見も聞くというようなことで、法制的に大蔵大臣の総括権というものを強化しようという方向で考えておるわけであります。
したがいまして、今回御提出しておりますところの国有財産法の改正によりまして、法制的な整備を行ないまして、さらにまた、実際の管理運用の面につきましては財務局、財務部を督励をいたしまして、特に管財局で強い関心を持ちまして指導をして、世の中のいろいろな御批判に対して少しでも改善の努力をいたしたいという念願で仕事を現在やっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/33
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034・柴谷要
○柴谷要君 国有財産行政のあらましをわずかな時間で要領よく御説明いただいて、よくわかりました。ありがとうございました。
特に私が御質問申し上げたいと思いますのは、行政財産の中における特定庁舎等特殊整備計画によって満々といま進行しておりますけれども、その進行過程において、中央は非常に進んでおりますけれども、地方を見て回ると非常におくれておる。これが地方におりまする皆さんの出先機関であるとか、あるいは各省の出先機関の皆さんが多少御不満を持っておる点である。その点が私どもが国政調査の結果各所で聞かされた内容になっているわけです。ぜひ行政財産の中でそのようなことでお取り上げになって、いま真剣にやっておられまするその熱意が、やはり地方の出先機関に悲哀を与えるのでなくて、将来われわれの部面にも早急に進展をしてくるんだ、早急にわれわれの部面もよくなってくるんだという期待をさせるような行政を、ぜひ推進していただきたいということが一点。
もう一つは、まあ大都市などではそう苦痛を感じておりませんけれども、地方の非常に、何といいますか、農村に近いようなところへ行きますと、特定な職種の方々は、家一軒借りようとしてもなかなか貸してくれないという職種があるわけです。というのは、これは申し上げてたいへん恐縮ですけれども、国税庁の職員には、家を借りに来てもどうも貸さぬと、こういう風潮がある。これは実に、職員の人たちが借りに行ったけれども、どうも国税局の職員ではと、こう言われたときに、実に悲哀を感じたと聞かされてきた。そういうような部面に対しては、やはり手厚い処理をとってやるということが正しいのじゃないか、こういうふうに思いますので、いささかこまかい点になり過ぎましたけれども、ひとつ細部にわたっての御配慮をいただきたいということをお願いして、私は同僚議員の質問に譲りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/34
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035・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ちょっと速記やめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/35
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036・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/36
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037・成瀬幡治
○成瀬幡治君 まず最初にお尋ねしたい点は、参議院でも問題になりました例の歩積み両建ての問題なんですけれども、大臣等からの御答弁は実はいただいております。それから、今後どうしたらいいというような方針についても、われわれのほうからも意見を申し上げ、それから大蔵省のほうからも意見は承っておりますが、最終的な結論をわれわれのほうではまだ聞いておりません。
そこで、これは委員長も含めてお考えを承りたいと思いますけれども、いつか適当な時期と申しましても、なるたけ早いほうがいいわけですが、本委員会に対してあらためてそういう御報告をされる義務が私はあると思うのですよ。それをたとえば来週の火曜日なら火曜日、あるいは木曜日におやりになる用意があるのかないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/37
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038・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 歩積み・両建てにつきましては、つとに御論議をいただいておることでございますし、大蔵省も歩積み・両建ての解消、過当な歩積み。両建ての解消ということについては熱意をもっていませっかく行政指導を進めておるわけでございます。
まあ、銀行等においては、多少まだわれわれが考えておるように実があがっておらないという面もございますが、反面、相互銀行等非常に成績があがっておるというものもございます。でありますから、二年、三年というよりも、半年でどうなるのか、一年間でどうなるのかという具体的な問題を詰めておるわけでございます。衆議院の小委員会等もございまして、御意見も承りましたし、私のほうでも大体成案をいま得つつある状態でございますので、特別検査の資料、それから衆議院でお話しになられた御注意、またわれわれがいま考えておること、それから金融団体が自発的にいま整備をしておる計画のこと等につきまして、時間をいただければ、いつでも銀行局長をして詳細に説明をいたさせまして、本委員会の御意見も十分お聞きをして、最終的な案をきめてこれを推進をいたしたい、こう考えておるわけであります。いつでもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/38
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039・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) それでは、いまの大蔵大臣からの御答弁になりました歩積み・両建ての問題につきましては、お打ち合わせの上で、ごく近い機会に資料をそろえて御説明をいただきたいと思いますから、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/39
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040・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) けっこうです。了承しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/40
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041・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これは当然委員長から理事会等にはかられて、いつがいいかということになると思いますが、そういうような点については、大蔵省等の御意見も最終的には詰めて、煮詰まってからどうにもならぬよという、そういう報告のしかたもございましょうし、それから、そうじゃなくて、まだわれわれの意見も徴するという態度と、二通りあると思うのですが、それが火曜日ごろで適切であるかどうか、これはひとつ委員長とよくお打ち合わせ願って、適当な時期に適正に行なわれるようにひとつ御配慮をお願いをいたしておきたいと思います。
それから、次にお尋ねしたい点は、非常に恐縮なんですが、いわゆる、こういう機会ですから、大臣のお考えを聞きたいのですが、私は、仲裁裁定が出まして、国鉄が何億だか、数字をすっかり知りませんが、少なくとも仲裁裁定に要する費用が二百五十億ぐらいだと記憶しております。そういうようなたくさんな金、あるいは専売も相当な金が要る。そういうものを予算の中で流用するとか節約するという、そういうやり方ということがいいか悪いか。そういうやり方も苦しまぎれにはあると思うのです。あると思うのですが、予算というものは元来そういうものじゃないのじゃないか。ですから、それが許されるということになると、今後予算の編成とかいうものについて若干、私は疑義が出てきはしないか。そういうことに対して大臣は、前例にもしないし、今回やむにやまれぬ、苦しむべきか悲しむべきか知りませんけれども、そういうようなものだというようにお考えになって、まあかんにんしてくれというようなことをおっしゃるかもしれませんけれども、そうじゃなくて、この原則に立って理論的に私はいけないことだと思いますが、どういうふうに大臣はこういうことについてお考えになっておられるか、見解をひとつ承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/41
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042・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 仲裁裁定の総額は、御承知のとおり五百十五億でございます。この五百十五億というものに対して、財源確保のために補正予算を提出すべきであるが、移流用その他補正予算を出さずに処理することはどうかと、こういうお話でございますが、まあ予算が通過をした直後でございます。それから、今年度の税収見通しその他もなかなかまだつかみにくい状態でございます。そういう状態のときに、仲裁裁定というようなことが起きたわけでございますので、法律上の規定は、御承知のとおり、既定予算でまかなえないという場合には国会に十日以内にその旨を報告をしなければならない、こういうことになっておるわけであります。もちろん、既定予算でできないということになれば、補正予算その他を組まざるを得ないわけでございますが、先ほど申し上げましたような事情もございまして、各省当局が現業当局と十分話し合いました結果、法律で認められておりますように、また法律で認められております予備費、それから予算総則で弾力条項がございまして移流用が行なわれるということになっておりますので、これらの条項によって処理できるかどうかという問題に対して検討をいたしました結果、昨年もそうでございましたが、今回の仲裁裁定の財源は何とか既定予算で処理できる、こういう結論になったわけでございますので、政府は法律に基づく十日以内に何らかの処置をとらなければならないという意思表示をしないできたわけでございます。
この節でございますから、内容を申し上げたらよく御理解いただけると思いますので、申し上げます。五百十五億の内訳は、造幣が一億であります。造幣の一億は移流用が五千万円、予備費が五千万円、計一億、こういうことにしたわけでございます。それから、印刷は三億六千万円でございますが、予備費が一億、移流用が二億六千万円でございます。林野は二十億三千万円でございますが、予備費で全額これをまかなう、こういうことにしております。アルコールは六千万円でございまして、移流用が三千万円、予備費が三千万円、計六千万円ということでございます。郵政現業は百二十四億四千万円でございます。これは増収で三十八億円、それから他会計からの受け入れ、いわゆる電電等の問題でございますが、六十六億七千万円、それから移流用が九億七千万円、予備費が十億円、計百二十四億四千万円、こういうことになっております。専売は十五億八千万円でございまして、移流用及び予備費で全額まかなっております。問題は国有鉄道でございますが、国有鉄道は二百六十六億五千万円の所要資金を要するわけでございます。これは増収が二十億円、資産充当が四十五億円、移流用が百五十一億五千万円、予備費の流用が五十億、計二百六十六億五千万円、こういうことでございます。電電公社につきましては百五億七千万円、これを資産充当が二十四億円、移流用が六十一億七千万円、予備費が二十億円、計百五億七千万円、総計五百十四億九千万円ばかりになるわけでございます。五百十五億と言われておるわけでございます。
これらの中で問題になりますものは国鉄でございますが、国鉄の予備費五十億は、六十五億のうち十五億の予備費を残しまして、十五億というのは、例年おおむね使う予備費は十五億でございます。この予備費十五億を除きました五十億をこれに充てておるわけでございます。一番大きな問題になりますのは百五十一億五千万円の移流用の数字でございますが、これは三十九年度一ぱいに退職を要するものとして二百六十億ばかりの退職金を計上しておるのでございます。この退職金のうち三十九年度中に払わなくとも済む、要は三月三十一日まで定年を延ばすとか、四十年になってからやめていただくとか、こういうことを、できればそうさして支障のないという数字でございまして、百五十億円のうち大半はこの退職料というものを移流用したわけでございます。でありますから、こまかく内容を見てまいりますと、全く合理的である、全く余った金を使ったのだというわけではございませんが、しかし、できない相談ではないというところでおさめていただいたわけでございます。でありますので、今回は補正予算を提出しないという結果になったわけでございますので、御理解をいただきたい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/42
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043・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これは、元来は予算委員会でおやりになる問題ですけれども、少なくとも予算査定で相当私は詰めた予算審査が行なわれ、そうして妥当な予算が組まれていると思うわけです。しかし、その中にはベース改定等の予算が計上されておらなかった。いやいや、前からそれは予定されておって、移流用、予備費等を勘案してその中に織り込んだ予算編成をしておったというなら別ですけれども、そうでなければ、私はそれ相当ないろいろな理由があって予算というものは計上されておったと思うわけです。それが、いや、無理がなくてこういうふうだからやれるのだということなら、一番初めの予算のときに、大蔵省は何を一体やっておったのかということが言いたくなる。こういうことで予算の編成というものはいいものか悪いものかということが言いたくなる。ですから、そうでなくて、初めから予定しておって、実はこういうところに入れ込んでおったということなら、それを一時こういうことにしたのだということならば、それは了承しないと言ったって、これもまたおかしな話だけれども、一体どういうことですか。そんなにやれる幅があるものを大臣は認めておったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/43
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044・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 大体御承知でもって御質問いただいているものですから、非常にお答えしにくいわけでございますが、これはまあ正面切って申し上げますと、こういうものを予定して予算を組んではおりません。仲裁裁定が出るということはわかっておりませんから、予算が通過したときは三月三十一日でございますが、予算を編成しましたときは昨年の十二月でございますので、こういうものをあらかじめ予想をして盛り込んでおったというようなことはございません。でありますから、予算審議の過程において、仲裁裁定等の財源が見込んであるかというと、いや、そういうことはございませんと、こう答弁しておるわけでございますから、ないわけでございます。
ところが、もう一つは、皆さんからいつでも言われるのは、大蔵省の予算がきびし過ぎる、こういう経済界の変動のテンポの非常に速い時期には、こういう三公社五現業等はもっと自主的に運用できるように予算の弾力運用という道を開かなければならないと、長く御忠告いただいているわけでございます。でありますから、昭和三十三年度予算から、予算総則で、当該年度の増収にかかるものは建設費に流用してもよろしいというように予算総則に書いてあります。また、予備費のワクを当時よりも増額いたしましたり、まあ皆さんの御叱正もございますので、ぎりぎり一ぱい、いつでも足らぬ足らぬと、こういうことよりも、やはりどこの事業でも予算を組む場合には、時の経済情勢に合わせて弾力運用ができるようにという制度を採用いたしまして、予算総則に移流用の道を開いてあるわけでございます。でありますから、いいかげんな予算を組んだわけではないのであります。
が、しかし、結果として、仲裁裁定が出ました、財源は何とかひねり出せるということを、現業当局との話し合いの結果出たわけでございますので、その間の事情はひとつ御理解いただければはなはだ幸いだ、こう考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/44
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045・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私は理論的にまだいろいろと話を詰めたいのですけれども、大臣はあまり好きでないようですから省略しまして、私がお聞きしたいのは、今後、もしこういうことが前例としてこれから許されるならば、国鉄総裁は、移流用を大臣から許可が出ればよろしいということになれば、いつでも国鉄は国鉄として私は妥結することができると思うんです。ですから、今後こういうことを仲裁裁定まで持ち込むとかいうことをせずに、国鉄なら国鉄総裁がよろしい、あるいは専売がいいと、こう言えば、それで妥結させると、あなたはこういう考え方がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/45
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046・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) そうあるべき法制上のたてまえにはなっております。でありますから、今度はまあ戦後異例だと言われましたけれども、調停の段階において結論が出れば尊重いたしますと、こう私は申したわけでございます。これは私は、ある意味においては非常に前向きな政府の姿勢を示したものだというふうに理解しておるわけです。
ところが、そうは言ったけれども、実際に予算という、既定予算のワクでもって締めつけられておれば、実際は仲裁にまで調停の段階では縛っておくじゃないかという議論がございますが、その問題に対しては、今度三公社五現業というようなものの制度自体を根本的に検討しなければいかぬということで、内閣にいま連絡会議のようなものを持って、各省事務次官や専門家を入れていま検討しておるわけであります。先ほど申し上げたとおり、三公社五現業等は動いておるものでございますから、一般会計のようにがんじがらめの予算体制では困るということで、三十二年来から、当該年度の増収に対しては弾力条項をつくったり、だんだんと前向きになっておるわけであります。一番最後に残っておりますものが、調停の段階等があってもできないような状態では困るので、何らか現業の責任者に一定のワクを与えられぬのかというような問題が、いま皆さんからも出ておりますし、識者の間にもあるわけでありますので、増収部分を建設費だけに充てるんでなく、その何分の幾らかのワクを給与その他に充てることができるというふうになるのか、いずれにしましても、いま調査検討をしておる段階でございます。でありますから、まあ三十九年度は在来のままでありますが、四十年度のこれらの予算を編成いたしますときに、こういう問題に対してどういう新しい道を開くかということが、結論が出ることが非常に合理的であり、望ましい、こういう態勢で、非常に前向きにいま検討しているわけでございますので、そういう事情はひとつ御理解をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/46
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047・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうすると、私は知りたいというか、明らかにしておきたい点は、一つのこれはいい前例か悪い前例かということは別として、何も調停とか仲裁に行かなくて、その前に、もう団交の席上で、時の責任者が、たとえば専売なり、あるいは印刷なり、国鉄、全逓、電通、どちらでもいいですが、そういうものが、移流用、あるいは増収、あるいは予備費等でやれるんだと、こう結論を出したら、何も調停あるいは仲裁に行かなくても、事前にもっとスムーズに解決するんです、問題は。ですから、そういうことを、調査会でどういう結論が出るか、いろんなことがあるかと思いますが、大筋としてはそういうことを認めていいんだと大臣はお考えになっておるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/47
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048・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) まあ皆さんの御意見とか、進歩的な学者等は、弾力条項というものを与える、もっと拡大したほうがよろしい、こういう議論であります。ところが、私の立場から見ますと、これは予算の問題でありまして、三公社五現業、政府関係機関、これは国会の審議権との調整問題がありますので、無制限に弾力条項を発動するというわけにはいかないわけであります。でありますから、法律で許されたもの、それから予算総則でもって道を開いたもの等の制限を付しておるわけであります。
でありますが、これはまあ民間会社でありませんから、無制限にこれを撤廃して、弾力条項はいつでもやれる、こういうように民間のようにすることはできないと思いますが、いまのように、予算審議権という問題だけをたてにとっておって、弾力運用、自主運用、弾力条項というものが狭過ぎると、こういう議論は確かに存在するわけでありますから、やっぱり、いま現行よりも弾力条項が拡大されるような方向にある、一体その際限というものをどこに置くかということがいま検討されておる、こう理解するのがいいんじゃないかと私はいま考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/48
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049・野々山一三
○野々山一三君 いま成瀬先生のお話で、ある程度考え方はわかったのですけれども、順を追ってもう一ぺんあなたの気持ちを聞きたいと思うのです。
それは、一つは、この間の春闘の段階で、政府の見解として、公共企業体の当事者能力が狭過ぎてるので、成瀬さんが指摘をされたように、多少無用な紛争というか、必要上に紛争が激化するということになるので、これを改めたい、再検討したい、こういうふうに言われたのです。いまのあなたの答弁で、それが少しそれらしいことに触れられておるのでありますけれども、あなたの考え方を聞きたいのです。どういうふうにしたらいいかということをあなた自信はお持ちなのかという意味で聞きたいのです。
そればこういう点から指摘できるのであります。一つは、公労法の十六条に、予算上資金支出不可能な協定というその協定と、それから三十五条にいう仲裁委員会の裁定というものには当事者が拘束されるのだというこの裁定、この裁定と協定というものを一体どういうふうに理解をされるかということが一つ大きな問題であります。当然、労使間の紛争は、公労法のたてまえ、つまり労働法のたてまえからするならば、労使合意が成立するということが大原則でありますにもかかわらず、話がまとまらなかったときに初めて仲裁手続を経て裁定を求める、こういう性質のものであるという観点に立ったならば、労使の合意、つまりもっと極端にいえば、鉄道なら鉄道、専売なら専売、電電なら電電の理事者が、その経営に対して責任を当然持っておるのであるから、その限りにおいてそれを信頼する。そして労使が合意に達するということが起こるならば、あなたが言う国が予算を審議してきめた予算審議権との関係においてということと、経営権を信託しておるという観点からいうならば、そこに何も無理はないのではないかという考え方が一つあります。したがって、予算上、資金上、支出不可能という協定とか裁定とかいう議論は、一つなんであります。いまの表通りの予算にかかわらず移流用というものがあり得て、それで解決ができるならば、当然それが土台になって労使間の紛争というものはなくなり、当事者能力もまた備わるということになるのではないかという考え方、これが一つ。
それから、第二の点は、あなたのいま言われた、その公労法というものができて以来初めての試みである調停の段階で、まとまるものならまとめたいというふうにおれたちは考えたのであると、こう言われるのであります。それから、私はいいとか悪いとかは別問題として、あなたに第二の点で聞きたいのです。いまの鉄道における——鉄道法なら鉄道法だけを見てみましょう。この四十四条の規定によれば、労働委員会の裁定が出たときにおいて、その予算の範囲内で運輸大臣は大蔵大臣と協議をして移流用することができる。したがって、公共企業体等労働委員会の裁定が出ない限り移流用というものはあり得ないという考え方が、いまの実定法上あるのです。第二の点は、予算総則、各公社関係全部共通しておるのでありますが、予算総則によるならば、やはりこれまた公共企業体等労働委員会の裁定の企業経営に及ぼす影響などを考慮した上で実施することが適当だと認められた。そして、運輸大臣と大蔵大臣が協議して定めるところにより、運輸大臣の認可を得て経費の移流用をする。つまり、ごく狭い意味で解釈すると、裁定というものが出ない限り移流用というものはできないのであるという理屈が一つ、いい悪いは別としてある。そこで、あなたの言われたことばじりをつかまえるわけじゃない、政府の態度として示されたあの問題に触れて考えてみるならば、調停の段階でまとまるならばそれをやるという、その場合における一体予算総則や公社法やというようなものにおける制約というものを、あの当時どう考えられたか、あれが問題だから変えようというのか、その点を二つの観点から、お伺いをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/49
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050・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 御承知のとおり、裁定が出れば移流用ができるわけでございます。裁定が出ない場合には移流用できない。でありますから、調停の段階においてまとまると仮定をした場合には、補正予算を組まにゃいかぬと、こういうことになるわけでございます。そういう前向きの姿勢さえも私たちは誠意をもって出したわけであります。まあ財政当局としてあのようなことを正面切って出しましたのは、戦後初めてでございます。私は、しかし、今度の場合にもし片づかなくとも、そういう事実が——あなたが第一の段階で申し述べられたように、当事者能力というものに限界を置いて、そして調停が出ればということは、事実、調停が出ないことなんだと、こういうふうに判断は一応できますが、しかし、私は、そこから新しいものが生まれると、こういう考え方も加味しながら、まあ非常に前向きな——あの事態はたいへんな事態でありましたから、政府としても誠意を披瀝するという立場で、あのような見解を発表したわけであります。でありますが、私は、あれだけのことを私が言っても調停というものはできなくて仲裁を受けざるを得なかったと言うけれども、政府としての公式の見解があそこに出されたわけでありますから、私は、これからの公社、現業その他の給与問題に関しての検討の状態における一つの大きな政府側の見解ということの前提にはなるものだということを、責任をもって申し上げたわけであります。
それから、いまの第一の問題でありますが、裁定の場合を、ほんとうに仲裁裁定ではなく調停で片づくようにするには、労使間のその個別の団体交渉式なものでできるというようにしなきゃいかぬと。そこに非常に問題があるわけです。私たちも理論的にはもちろん理解ができるんですが、一般的にまあ予算には必ず一〇%の給与の調整費というようなものを置けと、それでその中でもって話をつけるんだと、こういう原則が法律の上とか制度の上で確立をされれば、これは非常に調停段階というものが今度強くなります。それでまたできる可能性が非常に多くなるんですが、いまのところはそうじゃないわけです。御承知のとおり、昇給原資というものは三・五%とか三%とか、こういう経済見通しを予算編成のときにつくって、そのままの数字で予算に組み入れておって、その調停段階における労使の意見の合わざるものは、その昇給原資の中でまかなえないものを争っておるということでありますから、結局法律的に両者が拘束を受ける仲裁を待たなければいかぬ、こういうことに段階でなっておるわけでありますから、これは制度の上で、その仲裁裁定を待たなくとも、調停でもって片づけるのが本旨であるとするならば、給与の問題、昇給原資を含めた調停する原資のワクをきめて、それを計上するという制度上のものをつくらないと、結局いまのような状態をそのまま続けていくと、こういうめんどうな問題がありますので、これを含めて制度上の問題を検討しようというので、いま事務次官やなんかみんな入って、皆さんのひとつ意見を聞きながらやろうと、こういうことでありますから、私は理屈ではなかなか割り切れない現行制度の状態ではありますが、少なくとも前向きであり、弾力条項を拡大していかなければいかぬのだという考えにあることだけは事実だ、こういうことを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/50
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051・野々山一三
○野々山一三君 その弾力条項を拡大するという考え方が明らかにされたことは一つそれでいいと思いますが、その前に前提として問題になるのは、予算上資金支出可能という、予算上資金上とは一体何だということです。私はいまあなたが成瀬委員の質問に答えられて、これこれこういう方法で金を捻出いたしました——これは予算上資金上支出可能であります。問題は、それならば一体いまあなたが言われるように、給与費として一〇%とかなんとかいうようなワクをつけるかということは一つの議論だ。これは私賛成しませんけれども、議論だ。それよりももとは予算上資金上支出可能であったことは間違いない。
問題は、そこで、裁定と協定と一体どう違うかということについて、これは私もかつてこの法律ができる当時、審議会を通して何回も何回も議論してきたのですが、結局政府の考え方は裁定というものにすべてをかけているということに固執している。したがって、そこで予算上資金上という面が一番問題なんですよ。国会という、国の予算審議権という観点から、あなたはチェックしなければならぬということを言われるのでありますから、それならば、それは予算上資金上可能だという認定を一体下せば、協定も裁定も、労使間の紛争が最終的に解決するということからいけば、同一のものである、こういう理解が立たないと、やはり問題の解決はできないと思うのです。
したがって、私はあなたにそのものずばりで聞きたいのだけれども、今後この直していくというか検討していく段階では、やはりその根本は予算上資金上支出可能、可能でないということは別問題として、協定と裁定というものが本来同じ性質のものであるという解釈のもとに、当事者能力というものを検討するというお考えに立たれる気持ちはないのかということについて、ずばりお伺いをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/51
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052・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 私も感じの上では、調停と裁定というものを区別すべきではない、こう考えます。考えますが、いまの法制上調停とそれから裁定は別になっている。それは予算の問題で、裁定の場合は移流用ができるが、調停の場合はできない、こういうこと。もう一つは、裁定は両者を拘束する、こういうところであります。でありますから、その拘束をする場合は、ことしのように移流用でもってまかなえればいいのですが、移流用でまかなえない場合は、政府は財源措置をしなければいかぬ、こういうところに問題があるわけであります。
でありますから、あなたもこの間の事情は十分承知をしておられての御発言でございますが、現在政府が国会でもって御審議を願った予算のワクに盛れるものは、十二月予算編成当時に、公務員も全部を考えて、そうして昇給原資はこの程度だ、こういったものしか盛れないわけでありますから、結局調停ということになると、その範囲であれば調停はもちろん片づく、その範囲をこすところは調停で片づかないという事実問題があるわけであります。でありますから、まあ、皆さんがこれから検討していく段階において、調停の場合も移流用はできるというように法律を変えるか、それから調停でもって検討をしたもので、まあできなくて裁定に行った場合は、その移流用だけというよりも、今度逆に予算措置をしなければならない、こういうふうになるのか、これはいま私は裁定と調停は何か逆になっているような気がするのです、実際は。拘束を受けるものに対しては、いま移流用は認めている。それから、調停の場合は補正予算を出さなければならぬ。こういうきびしいワクをかけているわけでありまして、これは何か逆のような気もしますが、まあ法律制定のずっと経緯がございますし、いろいろ例もありますので、この問題、非常にめんどうな問題ではありますが、お互いがやはりじっくり取り組んでその解決の道を見出さないと、いつまでもこの政府関係機関とか三公社五現業というものの給与問題というものは前進をしない、こういうことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/52
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053・野々山一三
○野々山一三君 あなたの理屈が少し先に飛躍するものだから、私はここで議論をしようとは思わないのですけれども、飛躍しちまうから、これはなかなかむずかしいのですけれども、当初の予算を組んだときには賃金を引き上げるというようなことについては見込んでいなくて組んだ、それが予算である。ところが、裁定が出たら、法律上、公労法の十六条なりあるいは公社法の給与準則に関する規定にいうとおり予算上資金上可能になる、そこのところが問題なんですよ。予算は見込んで組んでないけれども、裁定が出ると予算上資金上可能である。その予算とは一体なんだ。予算総則による予算、あるいはその他の規定による予算とは、一体何だ。その段階では質が変わってしまって、野々山一三、田中角榮という名前になってしまう。こういう仕組みにあなたが議論を発展せられるところに、この問題の根本的な解決のできない性質のものがあるのですよ。
予算というのは予算なんですよ。そこで裁定が出るとか出ないとかにかかわらず、経営当事者としての責任においてそれが処理できるものという性質に、その弾力条項というものを用いることができるようにするならば、労使関係以外の他の契約についてはみなそれができるわけですから、労使関係だけそれができぬ、別の名前の予算になってしまうというところに問題があるのであるから、その経営当市者にその責任を負わせる。それがいいか悪いか、国会がその予算の執行にあたってチェックするという観点に立って移流用、当事者能力というものを検討する、こういう考え方に立てないかということであります。
それから、これは瞬間が非常にないので、私はほかの問題を実は議論したかったのでありますが、ついでにお伺いしておきたい。一体、先ほど予備費六十五億のうち五十億を今度裁定に使うと。しかし、鉄道なら鉄道だけを見てみますと、ちょっと一雨、一風来ると、災害復旧費というものはすぐ要るのですよ。これはあなた自身十分御存じでしょう。もし知らぬといってしらばっくれられるならば、一体毎年そういう災害関係諸費がどれだけ出たか、そういうことを一ぺん数字をずらっと並べてください。あらかじめ予知できるような災害復旧とかそういうふうなもののために組んでおいた予備費が、まるっきりこれはなしにひとしいようなものになってしまう。これは予備費だけではないのでありまして、その他の費用についてもそういうことが言えるのでありますけれども、一体給与総額でいうならば、鉄道だけを一例にいたしますけれども、二千六百五十億という給与総額というものに対比するならば、一割になんなんとする額を移流用する、そういうようなことがやられるということで、一体将来の鉄道、この広範な鉄道だけをピックアップしてみて、一体予算の手直しをする必要は絶対ない、こういう確信に立たれたのかどうか。私は、そうじゃなしに、むしろ予算は将来補正しなければならぬという気持ちが十分おありだろう、こういうふうに考えるのでありますけれども、一体補正というものに及ぶものだとお考えになっておるのかどうか。
この二つについてとりあえずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/53
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054・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 第一の問題は、裁定と調停の問題でありますが、調停でもって片づくということに、現在は当事者能力というものがないのだから、実際は制度があってもできないのじゃないか、だから、これを運用していくには、調停の場合にも移流用できるようにしなければいかぬ、こういうことでありますが、これがもしもそういうことになれば、私は何らかのことはしなければいかぬであろうと思います。何らかのことをしなければ、この調停という問題はいまよりも前池しないと思うのです。私はそういうことはよく理解しますが、裁定の場合は、両方とものまなければいかぬ、こういうことでありますのと、調停の場合は相互間でやれる、こういうことになると、やはりどのような金額を限って、いわゆる二千七百億の国鉄の年間の給与総額の三%なら三%の限度内でやれるならば、五%の限度内でやれるならば、というようなことになると思います。しかし、裁定の場合はもう移流用でもってやってよろしい、移流用でまかなえなければ政府でやらなければならぬ、こういうことになるわけでありますから、いずれも当事者能力を全然ゼロにしておいて、そうして調停の段階というものを置いてみても無意味じゃないかという考え方は、私もそう理解ができますから、私のほうで調停ができればやる、こういうことを申し上げたわけでありますので、将来は調停段階というものが有効に活用されるように、資金上予算上の措置をどうするかという問題がこの懇談会の一群の結論だと思います。私がいま懇談会をやっているときに、先ばしったことも申し上げられませんし、これは衆知を集めて検討していただくということでございます。
それから、第二の国鉄の問題、六十億から五十億全部使ってしまったじゃないかということですが、これは、三十年から三十八年までの国鉄の予備費使用状況は、決算面から十六億五千四百万円というのが平均金額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/54
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055・野々山一三
○野々山一三君 とんでもない話だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/55
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056・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) いや、私は正確に申し上げておる。これは大蔵省の数字でございますから、非常に正確なんです。昭和二十九年からずっときまして——災害分だけ申し上げておる。災害分の二十九年からの合計の平均額は十六億五千四百万円でございますから、十五億あればまかなえる、こういうことを考えておる。
ところが、それがもしできない場合に補正予算を組むか、こういうことでございますが、これは、いまあなたが言われたことで補正予算を組みますと、こんなことをいま申し上げられるわけがない。補正予算とは、災害が来て、突発的なことが起こって、そうして足らなければ補正予算を組むかどうかということが出るわけであります。それでありますから、いまのところはひとつ移流用でまかなっていただく、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/56
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057・野々山一三
○野々山一三君 ことばじりをつかまえるんじゃないんですが、少ししらばくれた話をされる。災害というものは膨大な百億なり百何十億という経費がいつでも要って、それがいつでも年度末に行って第二次、第三次と補正をして、予備費というものは決済しておる。そんなことはあなたの表の話だけをとらえて、へいへいそうですか、というふうな調子にはいきませんな。したがって、もっとすなおに補正というものをまじめに考える。これはあなたがことしの予算を組むときに五百億というものをちゃんと補正でやりますということを、了解事項を与えているじゃありませんか。それだけをもってしても——いままだこの国会を続けておる最中だから、ちょっとかんべんしろという意味は、何となくわかるような気もするけれども、腹の中として。しかし、これでやっていけるというはずはないんだから、もっとそのものずばりでお答えをいただきたい。
それで、私は実は本論でもっと質問したいことが、ほかにあるんですが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/57
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058・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/58
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059・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/59
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060・野々山一三
○野々山一三君 それじゃ、この裁定問題は、ここでちょっと一区切りしまして、第二の問題についてお伺いをいたしたい。
それは、国の財産の問題に関連をするわけでありますけれども、国が全額出資をしておる政府機関、その政府機関の出資金などにおける構成やその取り扱いについて、いまの事実を見ると片寄っておるということが言えると思う。これはたとえばあなたのほうの出しておられる資料を見てみますと、日本じゅうで一番ずうたいの大きい政府関係機関はおそらく国鉄だと思うんです。この国鉄の正味資産はいま一兆九千億あるんだが、それに対して八十九億一千六百万円の出資額です。最近でき上がったいろいろな政府関係機関を見てみますと、たとえば開発銀行なんというものは二千三百三十九億、これも膨大なものです。あるいは輸銀なんかというものを見てみますと、たとえばこれまた一千億になんなんとする性質のものである。そういうふうにこのおい立ちや歴史がずっと違うということのゆえをもって、看板を見れば、政府の全額出資の政府関係機関だとおっしゃるのだけれども、非常に片寄ったものがある。またあとで聞こうと思ったのですけれども、たとえばいま輸銀でもそうでありますが、今度何か輸銀債を出すというようなお話を大臣はしておられるようです。この利子のさやをまた出資金で埋める、こういうことをお考えのようであります。そういうように、新しい需要によってどんどんどんどんと政府出資が行なわれていくいわゆる政府全額出資の政府関係機関というものがあるにもかかわらず、片方は非常にびっこなものである。
そこで、これは時間がありませんから、先に進めるという意味で私はお伺いをいたしたいのでありますが、この間何かちらっと新聞にあらわれましたように、政府関係機関のうち、いま三公社などについて、ことに国鉄なんかについて長期のたとえば借り入れ金、こういうものを出資金に切りかえる、あるいはたな上げをするというようなことをやってはいかがかというような意見が出ておる。一体、大臣はどうお考えなのかというところがポイントであります。私はこういう点について触れて聞きたいのであります。
だから、この間国鉄基本問題懇談会に対する大蔵省の事務当局側の見解として新聞に漏れたものによると、運賃値上げを二倍にする、いまの運賃を倍にするということが新聞にございました。倍にするということは、大ざっぱにいえば、いまの総収入六千五百億に対して、これがさらに六千五百億、つまり一兆三千億の総収入予算。たいへんな値上げであります。そういうような公共料金そのものをどうするかということも、ひとつこの際お伺いいたしておきたいのでありますが、そのネックになっておるのは、鉄道の財政がうまくいかない。うまくいかないから、この際運賃値上げをするというのでありますけれども、たとえば鉄道はいま年間総収入が大ざっぱに見て六千五百億、その中で鉄道の持っておる今日的な借金が八千五十三億、一年間に払うべき金利は五百二十三億、昭和三十八年。元金の償還が、平年度に置き直して、ことしだけでも三百六十億。つまり八百数十億になんなんとする借金の元金償還と金利であります。その中で一番大きなもとをなしておる金額というものは、国債整理基金からの借金の四百六十七億、資金逆川部から借りている融資二千七百億、せめてこの半分くらいを、いま申し上げたように、非常に出資金の片びっこになっておる政府関係機関の現状から見れば、これを出資金に切りかえるというようなことをすれば、鉄道財政における金利及び元金償還の負担から見ると、約年間に四百億違う。運賃値上げ率から見ると、大体それだけをもってしても七%の運賃の値上げを押えても、それで財政的にはとんとんになる計算になる。これぐらいこの借金というものが鉄道の財政に及ぼしておる影響が極度だ。申し上げたように、非常にアンバランスな状態になっているものをこの際直すということなど、根本的に根を張っておるところの政府関係機関、つまり国の全額出資による政府関係機関としての名実ともの態様を整えるというような意味において、長いこと借金になっているものを出資金なり何なりによって処置をするというような考え方はないのか、これを第三の問題として聞ききたいのであります。
それを裏づけに、あなたを責めるわけではないのです。地方公営企業の先般の長期債三十億というようなものにしても、市中銀行から借り入れておる債務というものを国が借りかえをするということによって、事実上十五億くらいのいまの利子補給というものを行なっておるのでありますけれども、そういうような意味における配慮というものがあり得るところに来ていやしないかということが次に言えるのであります。それに対するところのお答えをお願いしたい。
それからさらに、いわゆる公共負担、つまり公共料金を押えるという観点から公定料金ということでやっている、これは私は当然のことだと思う。物価政策上もそれはうなずけるのです。しかし、公共料金を押えるということのために企業に及ぼしている公共的負担、こういうものは非常に膨大なもので、数字をもってするならば、六千五百億の鉄道なら鉄道の財政規模に対して、公共負担は何と昭和三十七年で七百十億、一二%もの財政負担というものを公共負担というものによって鉄道は負っておるのであります。これも私はしょうがない。しょうがないが、それが即鉄道の財政圧迫ということになり、それが経費を押えるということの理由になっておるというようなことをもってするならば、そういう観点からしても、長期の借れ入れというようなものをこの際たな上げをするとか、あるいは出資金に切りかえるとかいうような手があり得るではないか。これは鉄道経営というか、公共事業たる、公共機関たる鉄道というようなものだけをもってしてもそういうことが言えるのではないか。それについてどうお考えになるか。
これはあなたも御承知だと思いますけれども、例がないわけではないのであります。昭和二十四年に公社の出発したときには、御承知のように、無期限無利子の借り入れというものをそのときにはいたしておるのであります。そういう実績があるのであるから、そういうような処置を講ずることによって、いま基本問題懇談会で、あなたはおそらく賛成なさっておるとは思いませんけれども、大蔵省が出しているといわれる、新聞に伝えられるような運賃を倍にする、そういうことによって鉄道の経営を建て直そうというような話があるのでありますから、これはたいへんなことです。そういう意味で、そういう企業をノーマルなもの——、アンバランスなものをなくするというような状態に建て直すという意味合いにおいて、国の財産の一つである長期債というものを、いま申し上げたように切りかえ措置を講じていいのではないかという理屈が立つと思う。
幾つかのことを申し上げましたが、時間がありませんのでお許しをいただいて、順次お答を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/60
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061・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 一つずつお答えするよりも、大体これは一つの問題であります。国有鉄道をどうするかという問題でございますので、この問題に対して、いま、借り入れ金のたな上げとか、政府の出資とか、個別の問題が議論せられております。また、われわれのほうで運賃値上げを二倍にするというふうなことは、これは全部関連があるわけであります。
私は、中期経済五カ年計画を策定する過程において、日本の交通網というものは一体どうあるべきかということをまずきめなければいかぬ。それは鉄道でもって行なうものが幾ら、内国港湾において行なうものが幾ら、道路をもって負担せしめるものが幾ら——道路はもうすでに中期五カ年計画の策定を待たずして五カ年四兆一千億円が確定しておるわけであります。でありますから、これを含めまして、昭和四十五年くらいを目標にしながら、そういう一つの計画の中で鉄道のしょわなければならないウエートというもののパーセンテージをきめる。
そうしてその鉄道に対して相当膨大な工事が必要であります。中には先行投資の意味で、鉄道建設公団がやっておるようなこういう新線建設もたくさんあるわけであります。また、都市改造として交通難緩和もあります。保安対策もあります。これらを検討しますと、私はやはり、国鉄総裁が二兆円というようなものを出しましたが、相当大きなものが出てくると思うのであります。道路だけでも四兆一千億出ておるのでございますから、相当大きなものが出てくるでしょう。そこで初めて、その基本計画を土台にしまして、国鉄運賃の値上げによらなければならないというものが一体どの程度、それから国鉄が持つ公共負担を財政負担としてやらなければならぬものが一体幾らくらいであるとか、そういう問題が数字の上で確定をしてまいりますと、これは好むと好まざるにかかわらず、具体的な施策がそこで生まれてくるわけであります。
でありますから、中期経済五カ年計画をきめて、鉄道の容量そのものを一面においてきめようとすると同時に、国鉄基本問題懇談会と並行してやっておりまして、少なくとも昭和四十年度の鉄道予算を組むときには、そういうレールに沿った、レールの上を走るような国鉄の形態というものに対してやはり政府は最終的決定をしなければいかぬだろう、こういうことをいま考えておるわけであります。でありますから、鉄道運賃を二倍にするとか、それから公共負担をどうするとかいうことを、一つずつではなくて、鉄道の五カ年計画というものを前提にしておのずからきまってくる。でありますから、運賃値上げは絶対にしないのだとも言えませんが、運賃値上げを二倍にするのだというふうに確定的に言っておるわけじゃ、それはもちろんございません。政府では公共料金の値上げストップということもやっておりますから、少なくとも十二月三十一日まではそのことでもって約束しておりますから、これはできないということを申し上げられると思うのであります。では、一月一日から上げるのか、そんな何もかも一挙に上げていこうというような考えもないわけです。
でありますから、国有鉄道の五カ年計画、十カ年計画という将来のあるべき姿を検討しまして、それに財源が幾ら要る、一体政府の負担できるものは幾らということで、最終的には債券を発行するとか、運賃収入の増大をはかるとかいうような問題がおのずから片づくのでありまして、現在いま大蔵省として鉄道運賃の値上げだけでもってまかなうとか、公共負担は絶対しないのだとか、そんな狭い考えではおりませんということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/61
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062・野々山一三
○野々山一三君 これはずばりの点でひとつお伺いをしておきたいのですね。非常にアンバランスになっておる政府関係機関の出資金の現状ですね。それで、しかも鉄道なんかは御承知のように再評価積み立て金だけだって、たとえば一兆一千二百億というものがそのまま数字の上であがっておるだけです。そういうものを直さなくして、一体料金の問題にまで触れて、あるいは公共負担の問題にまで触れて、鉄道なら鉄道の経営というものを考えるということがあり得るはずがないと私は思うのです。そういう意味で、出資金に、いまの非常な長期の借り入れ金というものを政府資金に切りかえるというような考え方はおありなのかということであります、バランスをとる意味においても。
それから、これは私ちょっとつけ加えておきたいと思うのですけれども、たとえば毎年一千億なら一千億で借りかえでやっていくわけです。一年間に三百億ないし四百億の元金を返すことになり、五百億になんなんとする金利を払うわけである。その返った財投のワクの中で、去年だけをもってしても大体一千億くらい財投のワクでまた貸していくわけですね。そんなことをやっておるだけで一体何が残るかと。そんならば帳面の書きかえだけでありますから、この際そういうものを直していくというようなことはあり得るではないかというふうに私は考えるのです。
これはもとをただせば、昭和二十九年以来この問題は、鉄道の姿をきれいにするという意味で、いつでも議論されてきたのです。ただ、大蔵省からいえば、あるいは国からいえば、五百何十億というものの金利がもうかる、鉄道に貸し付けておけばもうかる、それは財投のワクとして広がっていく、これだけのことが一つの大きな意味だと思う。それによって起こる国民的な負担というものを考えてみれば、そういう処置を根本的に講ずるべきではないかというのが私の意見でありますが、さらに重ねてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/62
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063・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 先ほど二兆円と申し上げたのは、四十年——四十五年の長期計画は三兆円ということでありますので、これは訂正しておきます。
いま、あなたが、先ほどから、貸しておるものをたな上げするか、利息をまけるか、それから出資金に振りかえるか、いろんなことを言われましたが、そういう問題が起きてくると思うのです、基本問題懇談会では。しかし、国が全部出資金にこれを振りかえたところで、鉄道の三兆円というものはできるわけがない。ですから、これはあなたの言うとおり、私のほうもただ値上げだけでまかなおうなんて考えておらないのです。国鉄というものはもうかれば私企業でやればいいのですから、公共負担というものを当然しなければならないから日本国有鉄道という、国のものでありますので、私どもそれは理解します。しますが、せめて一つずつでもいいからやれ、こういうのがあなたのお考えですね。しかし、私たちも、一つずつということもさることながら、そんなことばかりやってもこれはなかなか片づかぬから、ここでひとつ緊褌一番、こう考えておるわけであります。
でありますから、いま少なくとも基本問題懇談会で検討し、それから中期五カ年計画の中において、鉄道計画というものの三兆円が四兆円になるか二兆円になるか、これはいずれにしてもきめなければならぬ。そういうことになりますと、そこで総資金量が出てきますので、そこで政府は一体できるのか、利用者負担はどうなるのか、地域負担はどうなるのか、また地域負担というものは、先行投資だから、国がそのうち幾ら負担するのかという問題、そこでみんな解決をするという、また解決しなければならぬという考えに立っておりますので、私は、道路の五カ年計画の法律をつくりましたけれども、日本のように雪が降って中央部に山脈が縦断しておる、こういうところは道路十万キロぐらいを整備しますと、あとは鉄道のほうが安いのじゃないか。鉄道の特別単独会計だけでもって、単一会計だけで見れば赤字ということですが、道路は公開の原則で、収支バランスが出ないというようなことだけで、有料道路制度でやれない東北とか、北海道とか、裏日本とか、山岳地帯とか、こういうものを国として考えるときに、鉄道と道路はどっちが一体合理的なのか、ここまで私は比較検討しなければならない。そういう検討をすれば、必ず鉄道の優位性というものも私は十分立証される、こういう論者でありますので、あなたの言うことはよくわかるのです。わかるのですが、いま出資金をどうするとか、借り入れ金利をまけるとか、そういう一つずつの具体的な問題に対して政府が意見を言うよりも、この基本問題懇談会で大きな問題を片づけていけば、そういう問題はおのづから常識的な結論が出てくるだろう、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/63
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064・野々山一三
○野々山一三君 これはぜひ大臣に前向きで考えてもらいたいのですね。たとえば、あなた十分御承知だと思うのですけれども、昭和四十二年における鉄道の借金の返済は、これから一銭も借金をしないとして、元金だけの返済で一千二百億になるのです。いいですか。鉄道の総収入に対する一割二分になるのです、元金の償還が。しかも、これにかかる金利は総体の七%になる。総予算の七%になる。いいですか。言いかえるならば、二割これによって、長期債の返済だけで——短期のものは、私は利用債やなんかは入れませんよ。いわゆる国債整理基金と資金運用部からの長期債でもって二割に匹敵するものが運賃の値上げの幅に影響する。総収入の二割に匹敵する元金の返済と金利をとめるかとめないかによって、運賃を二割上げるか上げないかという大きな問題になる。四十二年というのはすぐです。あなたが強調される昭和四十五年における見通しを立てて計算をするのだけれども、こういうようなことはどこの会社にありますか。総予算の二割に匹敵するものは金利と借金の元金の返済でやっていく。それをちょっと手直しすることによって運賃の値上げが二割助かるか助からぬかという問題である以上は、これはぜひひとつまじめな意味で前向きで、ただ単なる一つのできごととして考えるのではなくて、重要な一環をなしておるものであるという観点で、あなたに検討を願いたい。これは事務当局の諸君も基本問題懇談会の中における重要なポイントとして考えていくことが、今日の、あなたが言われる公共料金抑制という観点からいったって、これはそうむげにけ飛ばされる理屈ではないと私は思うのです。これはひとつ、お答えをいただかなくてもけっこうでありますから、お願いしておきます。
それから、あと一つだけ、銀行局長お見えでありますから、私は大蔵大臣の前で申し上げておきたい。別問題でありますけれども、これは別な機会に銀行局長のほうに申し上げたことがあるのですが、この春闘の段階で、銀行は最近もうかっておるので、銀行が先んじて賃金引き上げというようなことをしないように、という趣旨の見解を出された。それが一つ。もう一つは、この春闘の段階で非常に大きくひっかかっている問題がある。
それは何かというと、この各銀行を銀行局が監査をします。その際に、全く不適当な話だと思うけれども、労使関係に及んで非常にきびしい勧告をされておる。労働協約が悪いから、おまえのところは資金量が減るのだと。あなたは頭を振られるなら、むしろ、銀行局長、私は事実の話を銀行局長に別な機会に申し上げたのです。それは、証拠をもって話したのですから、そうむげに言わないで、銀行局長、あなたにお話をしたあの問題が、実は最近相互銀行などの労働争議にあたって、労働組合の活動というものに非常な干渉を加えて、その問題が解決しなければ、賃金引き上げのことについて腹案はあるけれども、回答いたさないということで、方々の相互銀行で争議がいつ解決するともわからぬ状態にある。銀行局長、これはまああるまじき行為で、そんなことまで大蔵省が監査にあたって言うべきではないという見解をきっとお答えになると思う。そしてまた、私はそうあるべきだと思う。しかし、大蔵省の事務当局の諸君が、講評と称して労使関係に非常な口ばしを入れておるために、この争議がちっとも解決しないという状態になっていることについて、ひとつ早急に——早急にといったって、どうしろ、こうしろということを言うわけではないんですが、そういうひっかかりが無用な労使関係に紛争を引き起こして、それがある銀行における資金量を減らしたり、あるいは無用な首切り問題というようなことが起こったりすることによって、銀行の信用というものを落としている事実があるのですから、これはひとつ十分意を尽くして、そういうことのために起こる無用な紛争というものを解消するようにしてもらいたい。それで、この際私は申し上げておきたい。
これは私のほうのいなかの銀行でありますが、こういう問題があります。これはこういうふうなところで言うべきことじゃないけれども、あなた方が処置をされる意味で私は申し上げておきたいのですが、ある銀行の支店長が赴任して行って、住むところがないから、銀行の宿直室で寝ている。そこへ女の事務員をしょっ中呼びつけて、あらぬことをしている。それで、騒がれて、追放運動が起こった。それで、銀行はやむを得ずその支店長を転勤さした。ところが、またその近くにアパートを借りた。その借りたアパートに女の事務員を呼びつけてサービスをさせる。すべてのサービスです。いろいろなサービスをさせる。それを拒否したら、その職員を、チェックする。そこで、やむを得ず組合役員が、組合の決定に従ってその事実を調査に行った。調査に行ったら、それが勤務時間をはずしたということのゆえをもって、勤務時間中において組合活動をしたのだからけしからぬから、労働協約に反するということで、いま懲罰委員会にかかっている。その人間の首を切らない限り、組合活動家の首を切らない限り賃金の回答をいたさない。
私は、この間そこの銀行の社長に会いました。そうしたら、そんなことは銀行局から、言われているわけではございませんといって、表では逃げましたが、事実は、そういうことのゆえをもって労使関係がうまくいかないから、労使の紛争が解決をいたさない。そういうことをやっている事実があるのでありますから、これはぜひ——銀行局長に別の機会で話した問題でありますけれども、すみやかにそういうばかげたやり方を取り除いて、正常な銀行経営をやれるようにしてもらいたいと、こういうことです。
この銀行では、先ほど大蔵大臣が、相互銀行などは歩積み・両建てについても非常にうまくいっていると言うけれども、私はこの銀行で、三十万円の借り入れのあっせんをしたら、三十万貸してくれるところを、逆になって六十万貸してくれると言う。そうしてその金は、三十万定期に入れてくれれば、あと三十万貸しましょう。なぜかと言ったら、この銀行は資金量が少ない。それは労使関係が円滑にいっていないから、資金量が落ちているのだと。そういう悪らつなやり口がどんどん形を変えて起こってきている事実がある。そういう非常にけしからぬ話がありますから、すみやかにそういったところについて——これは相互銀行だけあげてみましても、五つ六つそういう問題がある。調べればすぐわかる。これはすでにあなた方ご承知だろうから、公式の席上だから名前はいま言いませんが、すみやかに善処するようにしてもらいたい。あなたの考え方を聞きたい。労使関係について非常にくちばしを入れていることから起こっている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/64
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065・高橋俊英
○政府委員(高橋俊英君) 問題の一つは、野々山さんから、こういう席でなしにお話を承りました。その後会社のほうの方が参いりまして、まあ講評の際に、これは検査官が講評するのは約二週間くらい、二週間からあるいは半月以上かかりますが、検査をしましたあとで、主任検査官、検査官の中の筆頭の者が、本省に格別連絡することなく、これは個人的見解であるがということを断わりまして、講評というものをやるわけでございます。ですから、私どもが了解した上でやるわけではありませんので、検査官によりましては、そのことばが行き過ぎるという場合もありましょう。労使間の問題に直接こう、何かこれはいかぬのだというようなことをいろいろしゃべるわけですが、人事管理面というようなところから、つまり、検査の目的が必ずしも財産状況ということだけでなしに、経営の問題にも触れる場合があるわけです。そういう点で、人事管理がうまくいっていないのは、結局労使関係がうまくいかないからだというようなことになりまして、ことばの上でやや行き過ぎる場合があったかと思います。これは十分注意をしておりまして、経営者に対する注意として、いろいろあるわけですが、その場合におきましても、組合関係を直接どうこうするという、せいという、そういう話はなるべくせぬように、せないで、そうでない方法で講評するようにということを言っておるわけでございます。
なお、その当該銀行においていまだにうまくいっていないといたしますれば、これらの点につきましては、検討して、十分監督を強化いたしまして、お互いに無理のない範囲で護り合うようにしていきたいと思います。
なお、ほかにあげられましたたいへん不都合な事件、もしありましたならば、私のほうから注意しなければなりません。こういう席で名をあげることは不適当であるとしますならば、直接私のところに名前を指摘しておっしゃっていただきたい。ただ、しばしば、話というものは、お互い労使間には食い違いがございまして、町方からの言い分を聞きませんと、事柄の真相は必ずしも得られないという場合がございます。ですから、いまのお話を信じないというのではございません。私どもはいまのお話を承った上で、会社側のほうからも事情をよく聞いて、確かに不都合であるということがわかりましたら、しかるべく責任をとってもらうようにしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/65
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066・柴谷要
○柴谷要君 銀行局長、余分なことを言っちゃいけませんよ。少なくとも、労使間の両方の話とは違って、国会議員が堂々と言っていることだから、そういう不祥な事件がありますならば、十分実情を調査して、御要望にこたえますという答弁をすべきだよ。
で、私、大蔵大臣にお尋ねしたいと思います。
国鉄の二百六十億の退職引き当て金の移流用が行なわれるわけですね。そうすると、三月三十一日でおやめになった従業員が、その退職金を実際いただきますのは、普通、予算が移流用されないでちゃんとあっても、手続をいたしますと一カ月かかる。退職者が長い間つとめられて、退職金をいつかいつかと待っておっても、これは国鉄の非常に親切な気持ちで促進さしても、一カ月たたないとできない。ところが、今度は移流用されてしまうと、予算がないから、それは言わずもがな、おわかりと思いますが、そのことのないように、支払いにおくれないように、ひとつ大蔵大臣、御配慮をいただきたい。要望でございますが、この点だけ特にお願いして、私は終わることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/66
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067・鈴木市藏
○鈴木市藏君 ちょっと、時間がありませんので申しわけありませんが、あなたが調停の段階でも答申を尊重するということを言明した。このときは、あのようなつまり情勢下における政策上の発言だったというふうに理解しておったわけですが、再確認をされるところを見ると、きょうのまたあなたのお話を聞いておりますると、公労法そのものの制度上の変革をも含んで、私はこういう発言をしたのだというふうな意味の御答弁をさっきなさったようですけれども、これは非常に重大な問題だと思うのですね。ですから、おそらく、あなたが先ほどから述べているところを見ると、たとえば弾力条項の発動というようなものの判断も、いまでもこれは政治的なものだと思うのです、この判断は。だから、政策上の問題として言われておるというふうにとっていたのが、何か制度上の、あるいは制度上とまではいわなくても、つまり当事者能力をもっとどうするかというような問題まで含めて、このことが調停の段階でも答申を尊重するということが言われたのだということになりますると、これは非常に問題が大きいので、この点を、私は関連ですから、長くこの点あなたに質問している時間がありませんから、はっきりとひとつお答え願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/67
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068・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 事を分けてお考えいただければいいのです。御質問がたくさんございますので、だらだらとお答えをしていきますと、みな一つに合いますが、あの当時は仲裁裁定を待たなければというような時間的な問題ではなく、調停の段階においてどうするかと、こういうことでございましたから、調停ということでまとまれば、私のほうでは、政府はそれを尊重します。こういう非常に前向きな姿勢を出したわけであります。これは政治的にただ、できないものに対して尊重します、こう言ったにすぎないのじゃないかと、こういうことではなく、私も郵政省で現業に関係しましたり、また電電公社の問題とか、その後大蔵省へ入りましてから、一体いまの三公社五現業の給与制度でいいのかというような問題を検討していましたから、道があるならば、また円満に解決ができるならば、調停の段階でも私のほうは誠意をもってやりますと申し上げたわけであります。
しかし、その後やってみたけれども、また総理と太田議長との会談もやってみて、同じように政府の誠意は認めたけれどもなかなか当事者能力もない現在においては解決の道がない、制度上の問題その他もひとつ前向きに真剣に検討しようじ心、ないか、こういう結論になりました。
こういうことでありますから、私のほうもこれらの問題長い懸案でありますから、また私は弾力条項というものを予算総則でもってきめるというような道を聞いた立場でありますので、労使の問題も、制度があるのでありますから、調停の段階で当事者能力をどこまで広げられるのか、またどうすればいいのかという問題は、引き続いて検討して具体的に実現をはかるべきだろう、こういう立場でお話を申し上げたわけでございますから、あの当時話しましたのは、仲裁裁定以外政府は一切ゼロ回答をするのだということではなく、仲裁まで行かなくても調停で円満に話がつくということであれば、私のほうも尊重もいたしますし、私のほうが裁定が出るまで全部ゼロ回答しろというようなそのワクをはめたりはいたしません、こういうことを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/68
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069・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 午後二時半まで休憩いたします。
午後一時四分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614629X03819640611/69
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