1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月二日(木曜日)
午後一時二十一分開会
委員氏名
大蔵委員
委員長 新谷寅三郎君
理事 柴田 栄君
理事 西川甚五郎君
理事 成瀬 幡治君
理事 渋谷 邦彦君
理事 天田 勝正君
青木 一男君
大竹平八郎君
岡崎 真一君
川野 三暁君
栗原 祐幸君
佐野 廣君
田中 茂穂君
津島 壽一君
鳥畠徳次郎君
林屋亀次郎君
日高 広為君
堀 末治君
木村禧八郎君
佐野 芳雄君
柴谷 要君
野々山一三君
野溝 勝君
原島 宏治君
鈴木 市藏君
文教委員
委員長 中野 文門君
理事 北畠 教真君
理事 二木 謙吾君
理事 吉江 勝保君
理事 豊瀬 禎一君
植木 光教君
木村篤太郎君
久保 勘一君
斎藤 昇君
笹森 順造君
中上川アキ君
野本 品吉君
森田 タマ君
秋山 長造君
加瀬 完君
小林 武君
米田 勲君
柏原 ヤス君
赤松 常子君
高瀬荘太郎君
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出席者は左のとおり。
大蔵委員
委員長 新谷寅三郎君
理事 柴田 栄君
西川甚五郎君
成瀬 幡治君
渋谷 邦彦君
天田 勝正君
委員
大竹平八郎君
岡崎 真一君
川野 三暁君
栗原 祐幸君
佐野 廣君
田中 茂穂君
津島 壽一君
日高 広為君
木村禧八郎君
柴谷 要君
鈴木 市藏君
文教委員
委員長 中野 文門君
理事
二木 謙吾君
吉江 勝保君
豊瀬 禎一君
委員
植木 光教君
久保 勘一君
中上川アキ君
野本 品吉君
秋山 長造君
加瀬 完君
小林 武君
米田 勲君
国務大臣
大 蔵 大 臣 田中 角榮君
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
政府委員
大蔵政務次官 齋藤 邦吉君
大蔵省主計局次
長 中尾 博之君
大蔵省主計局法
規課長 相沢 英之君
文部政務次官 八木 徹雄君
文部大臣官房会
計課長 安嶋 彌君
文部省大学学術
局長 小林 行雄君
文部省管理局長 杉江 清君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
常任委員会専門
員 工楽 英司君
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本日の会議に付した案件
○国立学校特別会計法案(内閣提出、
衆議院送付)
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〔大蔵委員長新谷寅三郎君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/0
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001・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから大蔵、文教委員会連合審査会を開会いたします。
先例によりまして、私が連合審査会の委員長の職をつとめますので、どうぞ御協力をお願いいたします。
それでは、国立学校特別会計法案を議題といたします。
御質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/1
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002・秋山長造
○秋山長造君 この国立学校特別会計法案につきましては、われわれとして、その内容はもちろんですが、そもそも国立学校特別会計という制度が昨年の年末押し迫って予算編成の最終段階で突如として出てきたということにつきまして、実は全く寝耳に水という感じを受けたのであります。で、その後いろいろな方面からその間のいきさつを聞いてはみましたけれども、どうも得心のいくような話が今日に至るまで聞けないわけであります。
国立学校、特にその中でもこれは大学が圧倒的な比重を占めておると思いますが、大学の財政のあり方につきましては、これはずいぶん問題があるし、またその重要性ということから考えましても、これはもう多く説明を要しないところだと思うのです。で、いずれにいたしましても、この大学を含む国立学校の財政を一般会計から特別会計に切りかえるというようなことは、これは単なる財政技術的な問題でなしに、やはり一国の文教行政の根幹に触れるこれは大きな問題だと思います。で、そういう大きないわば変革が突如としてなされたということについては、これは何としても私どもとして意外な感じを持たざるを得ない。しかし、また政府当局といたしましては、それ相当の言い分もあり、御説明もあるんじゃないかということが当然想像されますので、この特別会計に切りかえるという問題が起こってきたいきさつ、その間の経過事情等について、この際、責任者の両大臣から詳細な御説明をまず承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/2
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003・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 国立大学の特別会計につきましては、御承知のとおり、明治から昭和二十二年まで、約六十年にわたって特別会計が行なわれておったわけでございます。しかし、当時の特別会計は、御承知のとおり、独立採算をたてまえとした独立会計でございましたが、昭和二十二年の物価上昇、インフレ傾向に対処しまして、これが独立会計を維持していくことができないという考え方で廃止になったわけであります。その後学校の問題につきましては、自由民主党の文教部会等で、どうすれば一体いいのかという問題に対しては、真剣に検討してまいったわけであります。
それを受けまして、私が昨年の七月大蔵事務当局に対しまして、国立学校を現在のままで一般会計の中でやるということは一体うまくいくのか、また道路特別会計とか治山治水その他の特別会計等の成立に対していろいろ努力をしてまいった私どもといたしましては、新しい意味で、戦前の特別会計というような独立採算制を意図しないで、いわゆる企業会計式なものではなく、一般会計から特別会計に移すことによって、より合理的に、急速に学校の施設が整備ができるということであるならば、文部当局とも十分意見を練りながら、特別会計に対して検討をすべしという指示をいたしたわけであります。その後予算編成までの間に事務当局でも十分検討をしまして、十一月ごろだと思いますが、文部当局との間に二千百億の国有財産の移管という問題をまず片づけまして、それから予算編成の過程におきまして、文部省の事務当局との間に連絡をとるとともに、大臣間の折衝におきましても十分配慮をしながら、一般会計から特別会計に移行することがより好ましいという結論に達したので、最終的に特別会計新設に踏み切ったというのが大蔵省側の考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/3
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004・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 特別会計に踏み切ることについての経過は、大体大蔵大臣から申されましたとおり、お話にもありましたように、一般会計から特別会計に移すという、そういうたてまえをとるということは、大学関係の事項といたしましては重要な問題でございます。私は実は前から大学の施設あるいは設備、こういうふうなものをもっと早く充実する方法はないものだろうかということをいろいろ考えておったのでありますが、たとえて申しますというと、学問あるいは教育上特に必要としないような財産もあるわけであります。そういうふうなものを活用する道はないものだろうか、このようなことも考えておったのでありますが、成案を具体的に得るところまでは至っていなかったのであります。予算編成の時期になりまして、大蔵省のほうから、特別会計にしたらどうかと、こういうお話があったということを伺ったのであります。
ただ、考えなければなりませんことは、特別会計にしたからといって、従来ややもすれば考えられがちでありましたところの独立採算というふうなことが、大学の問題として考えるべきことではないと思う。また、昔考えられておりましたような、基金をつくってそれでやっていくというふうなことも考えられる状態にはないと思います。問題は、特別会計にすることによって少しでも大学の整備充実というようなことに役立つかどうかというところに、私は考えの重点がなければならないと思ったのであります。このことにつきまして、せっかく大蔵省からのお話がございましたので、事務当局にいろいろ話し合いをしてもらったのであります。また、そり間におきまして、関係の大学側ともいろいろ話し合いを行ないました。あるいはまた与党の側ともいろいろ話し合いを行なってまいったのでございますが、最終的に特別会計にしようということに踏み切りましたのは、実は最後の大臣同士の話でございます。それまでいろいろ数字の問題につきましてやりとりがございましたけれども、その間に大蔵大臣の気持ちもよく私も了解いたしまして、またこれをやることによって現在のような会計のやり方よりも一そう大学の整備充実に役に立つであろうか、かように存じましたので、最終的に大蔵大臣とお話し合いの上で、特別会計に踏み切ることにいたしましたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/4
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005・秋山長造
○秋山長造君 文部大臣のいまの御答弁でございますが、予算編成期になって話をきめたということでございますが、文部大臣がその特別会計にしたらというような話を最初言われ、そうして事務当局に大蔵事務当局と協議をしろということを指示されたのは、いつごろなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/5
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006・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) はっきり日にちの記憶もございませんが、たしか十一月中であったかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/6
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007・秋山長造
○秋山長造君 その点が、やはり私どもが想像しておりますような、文部大臣と大蔵大臣との食い違いということがやはりいまの御答弁でも端的にあらわれていると思う。大蔵大臣は、先ほど七月ごろに事務当局に指示し、そうして早急に文部当局との間で連絡をし、協議をしろということを指示されたというお話であります。文部大臣のほうは十一月ごろというようなことをおっしゃっているんですがね。私はことばじりをつかむわけでもなんでもありませんけれども、事実をよく把握して、そうして納得すべき点は納得したり、納得のつかぬ点はあくまでただしたいと思ってお尋ねするんですから、ひとつフランクにお答えをしていただければけっこうなんですが、とにかく特別会計もずいぶんたくさんあるわけでして、その内容も私ども見て千差万別です。だから、いずれを重し、いずれを転しということは、一がいには言えぬと思いますけれども、ただ、しかし、この国立学校の特別会計という問題は、内容からいたしましても、また金額からいたしましても、また国立学校、特に大学というものの果たしている役割りというようなものから考えましても、これはおそらく他の特別会計の問題とはまた違った、非常に重要性を持った大きな問題だと思う。それだからこそ、中央教育審議会あたりの答申を見ましても、これはなかなかそう軽々にどうだ、ああだという結論は出にくい、相当やはり慎重に取り組まなければいかぬ、対処しなければいかぬということが出ているわけですね。そういう問題であるだけに、いつごろからその政府部内でその腹になって話が出たかというような、ごく簡単な、考え方によればきわめて明々白々たるべきことが、大蔵大臣は七月ごろ、こうおっしゃる。文部大臣は十一月ごろ、こうおっしゃるのでは、やはりこれは予算編成の最終段階でぽこっと出てきたのじゃないかという感じを裏づけるようなことになるんですがね。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/7
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008・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私のほうでこの問題を、私の考え大蔵省とよく話し合いをしたらよかろうというふうに申したのが、十一月中であったと記憶するのでございます。ただ、大蔵省としましては、いま大蔵大臣からもお話がございましたが、事務当局にいろいろ検討を命じられたのが七月ごろということでありますが、当時から、大蔵省の事務当局と私どものほうの事務当局との間には、いろいろ意見交換等もあったかとも私思うのでありますが、私がいわば議題として取り上げましたのが十一月中、このように御了承をいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/8
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009・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 間違いがあるようでございますから、申し上げますと、私が大蔵省の事務当局に、学校特別会計等に対して調査をしなさいと言ったのは七月でございます。それから大蔵省としては十分検討しまして、十一月になって学校の施設整備を特別会計でやったほうがよろしい、それから投融資の道を開こう、それからこれを特別会計に移す場合の国有財産は二千百億であるということをきめまして、省議として決定したわけであります。そうして正式に——それまでは文部当局からいろいろな資料等をいただいてまいったりしまして、その結果十一月に大蔵省の省議をきめまして、正式に文部省に申し入れをしたということでございます。でありますから、七月私が事務当局に申しましたことと、文部大臣がそれを正式に議題として取り上げたことに対しての時日の相違は全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/9
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010・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、大蔵大臣、先ほど七月ごろ事務当局に指示をして、そうして文部当局との間で協議を始めろということをおっしゃったようにおっしゃったのですが、それは正確でなかったわけですね。いまおっしゃったことが事の真相というふうに了解していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/10
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011・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) これは当然のことでありまして、私が命じたと何時に、大蔵、文部両局で話をするというのではなく、まず私が大蔵省の事務当局に対して学校特別会計に対して調査を命じたわけでありますから、大蔵省としましては、文部当局に正式に申し入れをするという段階になるまでには各種の問題に対して大蔵省の内部で検討しまして、そうして申入しれをする前には、当然省議として大蔵省の意見を決定をしまして、それから合議に持ち込むわけでありますから、私が先ほど申し上げたのも、今申し上げたのも、その事情をそのまま申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/11
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012・秋山長造
○秋山長造君 大蔵大臣のおっしゃっておることはやや不正確だと思いますが、おっしゃっておるお気持ちはわからぬでもありませんから、次に進みます。
衆議院の大蔵委員会の会議録をちょっと拝見したのですが、その中で、いま私が質問しているようなことが若干問題になっておりますが、そのときに文部省の安嶋会計課長は、大蔵省から内々の話が出たのは十二月だというよな答弁をしておられるのですよ。そうしますと、これは正式な話じゃない、内々事務当局間で話が出かけたのは十二月になってからということが速記録に書いてあるのですがね。ですから、そこに——私は別に検察官でもなんでもないのですから、こんな一日早いとかおそいとかということをとやかく言うわけじゃありませんけれども、あまりにも、最初に申しましたように、これだけ大きな問題がいかにも唐突に出てきたという感じを持つがゆえに、そこらの点について、法案の内容の御質問に入る前に、ちょっと前提になる問題として、大体の輪郭というものを、事の経過の荒筋というものだけはのみ込んだ上でと思うから、繰り返し御質問しているわけです。
いま両大臣のおっしゃったことは、最後のところで両方のつじつまが合って、十一月ということにどうも一致したようですけれども、そう何年も前のことじゃない。しかも、事務当局とおっしゃるけれども、一般会計から特別会計に切りかえるという、しかも国立学校の財政、特に問題の多い大学財政というものを切りかえるということは、これは厳に事務当局にまかせて、事務当局で適出に相談して結論を出せというような性質のものじゃない。やっぱりこれは、たとえば政府には閣議というものがしょっちゅう行なわれておるわけなんで、その閣議の席上ででもこういう大方針について話し合いができて、そして少なくとも大蔵大臣と文部大臣とがこの点について、大体特別会計にひとつ切りかえていこうじゃないかという話ができて、そしてその細目の取り運びについてそれぞれ事務当局に、ひとつ作業してみろ、協議してみろ、研究してみろと、こうならなきゃうそだと私は思うんですね。どうでしょうか。大蔵大臣は、七月ごろにとにかく思いつかれて、事務当局に調査を命ぜられたとおっしゃる。文部大臣は、これは事務当局では大蔵省の事務当局といろいろやっておったかもしれぬが、正式に自分が聞いたのは十一月というようなことで、どうもそこらに、この特別会計問題についての大蔵大臣と文部大臣との意思の疎通というものがほんとうに、いまおっしゃっているように、当時ついた上で事を進められたのかということです。こういう問題の取り運びというものは、私は大臣になったことがないから閣議に出た経験もありませんけれども、これだけの問題をとにかくきめようというのに、常識として、事の順序としては、少なくとも両大臣が一応この方針について意思統一ができて、そしてその細目の打ち合わせというものをそれぞれ事務当局に指示されて、そしてその事務当局同士の細目の打ち合わせができて、大体事が固まってきたところでそれぞれ大臣に報告し、そして大臣同士でさらに折衝して最終の結論に持っていくということが、私は順序だろうと思うんですが、どうもそこらが、大蔵大臣と文部大臣の間にぴったりした意思の疎通があったのかどうか、一つの方針を、政府として、文部省として、あるいは大蔵省として了解し合って事を運ばれたのかどうかということに疑問を持たざるを得ません。もう一度その点について説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/12
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013・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 問題により事柄によって、いろいろ扱い方が変わってくると思うわけでございます。この特別会計の設置の問題につきましては、大蔵大臣としては、特別会計を設置したほうがよろしいというお考えのもとに、事務当局にいろいろ御指示をなさったものと私は心得るのでございます。また、大蔵の事務当局がいろいろ具体的に考えられる場合には、文部省の事務当局との間にいろいろの意見の交換とか資料の要求とかいうようなこともあったと思います。文部省としましては、その当時、別に特別会計をやろうという気持ちはなかったわけでございます。したがって、大蔵省のほうから特別会計にしたらどうだというお話がありました際に、私が頭から拒否するなら、そこでお断わり申し上げたはずでございます。ところが、そうでなくて、私としては何とかうまい方法はなかろうかということを考えていましたものでございますから、大蔵さんのほうで一体どういうようなことを考えていらっしゃるのか、具体的にどんな特別会計をつくろうとしていらっしゃるのかということをしっかり確かめませんと、結論を出すわけには参らない。そこで、私は、大蔵省のほうからお申し入れがあったということでございますので、事務当局に命じまして、大蔵省とよくお話し合いをし、どんなことをお考えになっておられるのかということを確かめた上で、最終的に大臣としての結論を出そうという、こういう態度をとったようなわけでございます。事の運び方からいえば、結局そうならざるを得なかったと思うのであります。
私は、いろいろ大蔵省のお気持ちも伺い、お考えも伺い、そしてその間において、もしそうするとすれば、文部省としてはこうだ、ああだというようなことをいろいろ事務的に話をきめましたものを最終的に勘案いたしまして、特別会計に移したほうがベターである、こういう結論に達しましたので、私は最終的に賛成をいたしたようなわけであります。それまでは実は私は、特別会計をつくるとかつくらぬとかいう腹はきまっていなかった。いろいろ検討した結果、それならやったほうがよかろう、こういうことで大蔵省のお申し入れに同意する、こういうようなことになりましたわけであります。御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/13
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014・秋山長造
○秋山長造君 もう一度重ねてお尋ねしますが、そうしますと、結局、結論的に端的にいえば、大蔵省のほうで、一方的ということばは多少語弊がありますけれども、語弊のない意味の一方的ですが、一方的に大蔵省のほうでいろいろ準備を進められて、そして結論を文部省へ持ち込まれた、こういうことになるのじゃないでしょうか。大臣のいまのおことばもありましたが、さっきも私ちょっと申し上げましたように、おそらく、事務当局間でこういう問題について話し合いの窓口になるのは、文部省では安嶋会計課長だったろうと思われる、いま出てきておられるところを見ると。その文部省側の窓口の安嶋会計課長が、「大蔵省から内々お話がありましたのは十二月の初めでございます。」 と、こう答弁している。それから同時に、特別会計にしてはどうかといった趣旨における御相談が大蔵省のほうからありましたのは十二月に入ってからでございます、こういうように速記録に書いてあるんですからね。間違いないだろうと思うんですが、そういうように言っておられるわけですから、どうも、だいぶ事務段階でも、双方のおっしゃっていることにズレがあるようです。だから、文部大臣のいまの御答弁を聞いておりますと、結局、おれは当初からの相談にはあまりあずかっていなかったのだけれども、かねて何とかしなければならぬ、何とかいい方法はないだろうかというような気持ちでおったところへ、特別会計にしたらこういう利点もあるじゃないか、ああいう利点もあるじゃないかということを持ちかけられて、そしてそれを受け入れたというように受け取れるんですがね。
私の言いたいのは、そういう、どっちがどうだこうだとか、順序がどうだこうだということよりも、大学財政の問題というものは、これはもう私が多くを申し上げる必要はない、前々からのこれは非常に大きな懸案事項なんですね。おそらく、歴代の文部大臣としても一番頭の痛い大問題の一つだったと思うんです。だからこそ、三十五年に当時の松田文部大臣が中央教育審議会に諮問された問題点の中にも、大学財政についてという項目が一つ入っておったのだろうと思います。それからまた、三十八年、去年の一月に出ました答申の中でも、大学財政の問題というのが非常に大きな比重を占めておったのだと思うんですが、一体、文部大臣としては、あるいは文部省としては、大蔵省から、まあ事務的に言われたのかあるいは大臣から言われたのかは別として、こういう長い間の懸案事項でもあり、そしてまた昨年の一月には中教審から答申も出ていることです。ですから、この問題についてもっと具体的な調査研究なり検討なりというものは当然責任を持って進めてきておられなければいけなかったはずだと思う。ですから、大蔵省のほうからこの問題についてほぼ結論的なことを持ち込まれて、そしてそれを仕方なくか喜んでか知らないけれども、受け入れたというこの受け身の消極的な形でなしに、それは特別会計というものの所管は大蔵省であり大蔵大臣かもしれぬが、少なくとも内容からいいますれば、これは当然文部大臣が最も関心を持ち、力を入れ、そして熱心に取り組まなければならぬ問題だし、形の上では大蔵大臣の所管であろうとも、実質的にはやはり文部大臣が腹をきめ、文部大臣のイニシアチブにおいて問題を処理するという姿が私は当然だろうと思う。にもかからず、中教審の答申が出たには出たけれども、事実上、事の経過からして、この大学財政をいかにすべきかという問題、いまからいえば一般会計から特別会計へ切りかえたというような問題について、終始私はこの文教の責任者である文部大臣、またその配下にある文部省当局というものは、終始消極的といいますか、受け身の形といいますか積極的な姿勢でいずれにしても取り組んだ結果こういう結論が出たという形でなかったと思うのですね。それは考えようによっては、経過はどうであろうとも、結論がよければいいじゃないかという言い方もあるでしょう。あるでしょうけれども、それではやっぱり私どもは文部大臣なり文部省の姿勢としては納得しがたい。それらの問題について文部大臣の御政見をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/14
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015・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 大学財政の問題が実費的に非常に重要な問題であるということは申すまでもございません。また、その財政の管理運営、これもきわめて重要な問題でございます。文部省といたしましても、前々からこの問題については関心を持っておるところであります。具体的にいままでの制度を変えるという成案を当時まで持っていなかったということを私は申し上げるわけでございます。
ただ、この種の問題について、かりに文部大臣が、特別会計の設定ということについて大蔵省のおっしゃることに賛成できないという場合には、これはできない。ですから、最終的には、文部大臣の考えがきまらなければ、特別会計の設置ということにはならないわけです。私は、その大蔵省と事務当局との間の話し合いを通じまして、大蔵省の考え方ないしはまた私どものほうの考え方ということについては、十分に話し合いが行なわれたものと考えておるのであります。最終的には、大蔵大臣と私とお話し合いをいたしまして、両者の意見が完全に一致いたしましたものでありますから、私はこれに踏み切りましたようなわけであります。最終段階において納得できなければ、幾ら予算予算と言われましても、私はこれに同意するわけには参らない。しかし、特別会計にしたほうがよかろうというふうなことに私の考えも定まりましたので、実は予算編成の最終段階で特別会計に踏み切った。それまでは特別会計にするか一般会計にするかはきまらなかった状態のもとに、いろいろ数次の話し合いを事務当局はいたしておったわけであります。そのように御了承を願いたいと思います。
もちろん、秋山さんのお気持ちもよくわかります。私のほうから申し出して、私のほうの考えどおりできれば、文部省としては一番いい姿であろうかと思いますけれども、現実問題としては、そこまでの準備を具体的にしておらなかった。しかし、話の内容は、私どもとしまして納得のできる、また大蔵省の気持ちもよく了解のできる話でありましたので、私は最後に、しからば特別会計に切りかえるということに踏み切りましたようなわけであります。御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/15
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016・秋山長造
○秋山長造君 経過の説明、私は納得できません。最終段階でいい結論だから踏み切ったということですから、まあその踏み切ったことがよかったか悪かったかということは、これからあと内容にわたっての質問で申し上げますけれども、まあその最終段階での話は別として、私が申し上げたいのは、すでに文部大臣に対しましては、昭和二十六年に中教審の前身である教育刷新審議会から建議書が出ている。大学財政の問題、特に特別会計制度の問題等についての建議書が出ている。そしてその中で、問題があまりにも重要であり、しかも広範にわたっておる問題なんで、早急に政府の部内に強力な教育財政審議会とも称すべき機関を設けて、そして強力な事務局をそれにくっつけて、そしてこれらの問題の真剣に検討してもらいたい、こういう建議書が出ているわけなのですね。それから、さらにその翌年の昭和二十七年、二十八年、二十九年、三十年、この四ヵ年毎年国立大学協会、いわゆる国大協のほうから、当時の矢内原会長の名前をもってやはり同じような趣旨の要望書が出ている。そしてこの大学財政の問題については、ひとつ文部省の部内に強力な大学財政審議会ともいうべき民主的な機関を設けて、そしてそこでひとつ民主的、積極的にこの大学財政のあり方というものについて研究をしてもらいたい、検討してもらいたい、こういう要望が繰り返し出ておるわけなんです。そういうこの経過をたどった上で、さらに三十五年に文部大臣から中教審に諮問があって、その答申が三十八年の一月に出てきておると。そしてその三十八年一月の中教審の答申の中でも、その大学の経理の内容とか、あるいは会計のあり方、さらにまたそれと並行してこの国立大学全体の拡充計画、こういうようなものを総合的に検討をしていくために、文部省に審議機関を設けてやってもらいたいというようなことが出ておるわけなのですね、幾たびかそういうものが出ておる。
ですから、少なくとも文部省自身が、あるいは歴代の文部大臣自身が、ほんとうに大学財政のあり方というものについて、これは何とかしなけりゃいかぬという熱意がおありだったならば、すでにどこかの段階でそういう財政のあり方についてのこの審議会的なものがつくられておるはずなのですね。そしてそこであらゆる方面の象知を尽くして検討が行なわれて、そしてそれがだんだん煮詰まった上で、文部大臣、大蔵大臣との間で、いよいよこれをどうするか、こういう順序になってきておらなければ私はうそだと思う。ところが、その途中のところは何もないのですね。何ら文部省自身もそのことについてはちっとも真剣な検討を具体的に取り運ばれた形跡はない。そしてぽこんといまのような話になってくるから、私どもは直接にはこの問題についてのの経過というものがどうも割り切れない、納得がいきかねるということと同時に、一体大学の問題というものを文部大臣自身が、文部省自身が本気で考えてこられたのかどうか。何もしていなかったとは言いません。そんな乱暴なことは申しませんけれども、少なくともこの大学財政をいよいよどうするかというような問題について、とことんまでやっぱり検討してみる、真剣に取り組んでみようという積極的な姿勢がなかったんじゃないかという不満を、これは持たさるを得ない。私の申し上げることが、もしそんなことはないということがあったら、ひとつ反駁していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/16
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017・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 別に反駁することは何もございません。事柄が大事な問題でございますので、文部省としましても、大学財政という問題については常に検討しなければならない重要な問題だと心得ているわけでございます。部内におきましてはいろいろ研究も続けてきたことと私は思うのでありますが、ただ、今回の特別会計につきまして私が思いますのに、この特別会計をつくる、そしてこの特別会計は法律にも書いてありますように一種の区分会計だ、こういうふうな考え方をいたしておるわけであります。大学の財政がこのような形において切り盛りせられていくということになりました場合に、私は今後の、まだいろいろ問題があろうかと思うのでありますが、大学の財政という問題について検討を加え、改善を加えるのに、一そうこのほうがものごとが明確になってよろしいのじゃないか、かように考えておるものでありまして、特別会計におることによって大学財政の問題がすべて解決した、こういう問題じゃもちろんないと思うのであります。別にこれをつくりましたからと申しましても、この財政問題につきまして不利益にはならない、こういう考え方をいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/17
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018・秋山長造
○秋山長造君 最初、教育刷新審議会の建議が出てからもうすでに十三年以上たっているわけですから、その間文部省がやったりやらなかったりしたことについて灘尾文部大臣に全部の責任を負えと言っても、それは実際問題として無理だと思うのです。それは大臣は昨年の夏からやっておられるわけですからね。ですけれども、これは文部大臣を含めた文部省全体という意味において、私はやっぱり文部省にもう少しこういう重大な問題については、ただ成り行きまかせというような感じに受け取れるような態度は改めていただかなきゃいかぬと思うわけです。それはあまりにも消極的であるといいますか、まああまり事が大き過ぎるから、めんどうなことへはさわらずにということだったのかどうか。これだけ繰り返し繰り返し、教育刷新審議会にしても、国大協にしても、すべてこれは大蔵省の関係の機関じゃないんですからね。これはもうやはり文部省の関係の機関ですからね。そういう方面から、これだけ繰り返し正式の文書をもって権威を持った発言がなされておるに、今日までそれに対して何ら具体的な取り組み方をしないままで、そして去年の秋ごろちょろちょろと大蔵省のほうから話が出て、それへいきなり食いついたんだか食いつかされたんだか知らぬけれども、こういう結論がちょろちょろと出てくるというのは、あまりにも私はやっぱり無責任なといいますか、国立学校、また大学財政というものに対する文部当局としての責任というものが十分果たされたものとは、これは認めがたいように考える。
灘尾文相にお尋ねしますが、大臣、昨年御就任になりましてから、この一月に出た「大学教育の改善について」という答申をつぶさに御検討になったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/18
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019・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 大学教育の改善に関する答申は、一通り目を通し考えたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/19
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020・秋山長造
○秋山長造君 特にその最後の「大学の財政」についてという項目の内容を見ますと、特別会計制度といものに対する中教審としての考え方というものがよく出ておると思うんですがね。こういうこの中教審の考え方、意見というものを十分腹に持たれた上で、この特別会計というものに踏み切られたのかどうか、その点にやはり経過的に話とも関連して、私はいささか疑義を持つんです。
この「大学財政について」という項目の中にこういうことが誓いてありますね。「国立大学財政のこのようなあり方の実現を特別会計制度の採用に求める意見がある過去の大学特別会計制度は、上に述べたような趣旨も含んで設けられたものであるが、その後の経済事情の変化や大学の発展に伴って必ずしも所期の目的をじゅうぶん達成し得なかったことを省み、 かつ、 現在の」、 この点が非常に私は大事なんじゃないかと思う。「かつ、現在の国立大学が内容、規模において急速な発展、拡充の過程にあることを考えると、国立大学の特別会計制度については、なお、慎重に検討する必要がある」、で、おそらく私は、この中教審におきましても、特別会計のほうがいいんじゃないかという意見がかなりあったんじゃないかと思うのです。そういう意見あるいは歴史的な経過、また昔の特別会計のあり方、今日との経済事情、社会事情その他の違い、こういうものを十分検討された結果、「現在の国立大学が内容、規模において急速な発展、拡充の過程にあることを考えると」、つまりこの点で、いまいきなりこういう社会経済事情を無視して、ただ機械的に特別会計に切りかえさえすれば、何かすぐ、打ち出の小づちにでもなったように、やたらにそそこら辺に財源がわき出してくるんだというような安易な考え方は非常に危険性があるということを、おそらく十分おもんぱかって、「なお、慎重に検討する必要がある」。こういう結論を出されたんじゃないかと私は思う。ですから、こういうことが入っているから、なおさらやっぱり、いきなり唐突に、早々の間に結論を出してしまう前に、あるいは中教審にももう一度相談をされるとか、あるいは国立大学その他の関係者をも集め、また文部、大蔵双方も集まって、関係者の知恵をしぼって、少し時間をかけて十分検討された上で結論を出されるべきではなかったのかというように思えてならないんですがね。そういう手続を一切踏まれないで、先に結論を出して、あとからこうなったがどうだという形になっているんです。これではほんとうに民主的に事を運んだ、また各方面の知能をしぼった上で出した結論だということは言えないと思う。全くそれは逆な順序になっていると思うのですが、その点について、これは文部大臣としても大蔵大臣としても、すでに結論を出されてここまでなっていることですから、趣旨はそのとおりだったけれども、いまさらどうにもならぬじゃないかとおっしゃるかもしれぬけれども、いまさらのほうは抜きにして、これは本来あるべき運び方としては、これはそうしたほうがよかったのじゃないかということにお考えにならぬですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/20
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021・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 慎重を欠いておるではないかという御質問でございますが、そうおっしゃれば、これはもう何とも申し上げようがないわけであります。私としましては、今回の特別会計の内容、趣旨等をひとつお考えをいただきますれば、それほどまた慎重を欠いたとも実は思わないのでございます。前々からこの大学の特別会計は、すでに御承知のように、いろいろな沿革がございます。結局現在までのような制度に戦後なってきたわけでありまして、やはり皆さんが御心配になります問題は、何かこの一般会計と切り離してしまって、特別会計だけで何とかやっていけ、こういうようなことを一番御心配になるのではなかろうかと思うのでございます。そういうふうな観点からいたしまして、その点が私としましても、また前のような轍を踏むということになりましては特別会計をつくる意味もないわけであります。その点に一番関心を払ったつもりでございますが、幸い大蔵省の考え方も私どもの考え方も一致いたしまして、従来心配せられておりましたような要素はこの特別会計の運営にはないという確信を得ましたので、私はこの特別会計に同意をいたしましたようなわけでございます。
中教審その他でいろいろ御心配になっておりますのも、いままでの特別会計が結局目的を十分達成しないままに終わってしまった、こういうところが一番の御心配であったと思うわけであります。今回の特別会計につきましては、そのような御心配はなくて済むのではないか、このように私は思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/21
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022・秋山長造
○秋山長造君 もう一度重ねてお尋ねしますが、文部大臣はこの中教審の答申はできるだけ尊重していくという心がまえでおられるものとしての私の質問ですが、それは必ずしもそうでないというなら、これはまた別ですけれども、「なお、慎重に検討する必要がある。」、こういうことを特にここで強調しておるということには、さっき私が申し上げたような意味も含まっておると思うのですが、その慎重に検討してもらいたいということが、これは権威ある中教審の答申として出ているのですから、この点についてやはり文部大臣として、文部省としては、慎重に私は検討されなければいかぬと思う、具体的に。ただ、よく何日か夜の目も寝ずに考えてみたというだけでは、これは慎重に検討したということには通用せぬと思う。やはり何か具体的な筋道で検討する運びをされたかどうかということを、もう一ぺんお尋ねしておきたいと思うのです。
それから、大蔵大臣は、この中教審の答申というものを十分腹に入れられた上で、その答申というものを踏まえた上でこの特別会計というものを考えられたのかどうか。あるいは大蔵大臣は、ただ会計制度の便宜的といいますか、技術的なことだけで結論を出されたのかどうかということについて、重ねてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/22
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023・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 中教審の答申につきましては、もとよりわれわれといたしましてはその趣旨を尊重する考え方でおります。今回のこの案をつくるにいたしましても、中教審におけるいろいろな御審議の内容等も私どもあらかた伺いましたわけでございます。しかし、この特別会計に踏み切ることによりまして中教審の御趣旨というものと全然反したことを考えたつもりはございません。
なお、この特別会計の設定ということにつきましては、慎重ということでございますが、私としましては、関係の向きに対しまして、それぞれ意見も徴し御相談もいたしまして、そうしてこれに決定いたしたのであります。そういうふうな関係の深い向きにおきましてどうしても同意ができないというふうなものを、無理に押し切ってまでやるというような心持ちはさらさらなかったのであります。幸いにして御了解もいただきましたので、この特別会計ということに踏み切りましたようなわけでございます。慎重さを欠いておるという御批判は、あるいはそれで消えるものではないかもしれませんけれども、実質的に考えまして、私としましては、十分考えました上で最終的な結論に到達いたしたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/23
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024・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 私も、特別会計をつくるときには中教審の答申を大いに尊重してやったわけでございます。この中教審の答申というものはどういうものかということは、もう私が申し上げるまでもなく、現在の特別会計制度の中で、学校施設の充実等をはかっていかなければならない現段階において、これで一体いいのかという問題に逢着しているわけでございます。でありますから、一般会計の中でそうむやみに、要求をしても、なかなかその目的が達成できない、それでは過去にやった特別会計制度にまた踏み切ればいいじゃないかという論もありますけれども、過去にも実積をあげたけれども、またいろいろ問題もあったので、特別会計は廃止をせざるを得なくなったのだから、一般会計でできないからといって特別会計に踏み切ることに対しては、慎重でなければいけない。しかし、何らか処置をとらなければならないということは、こういうことは中教審の答申にあふれておるわけでございます。私たち財政当局の立場からではございません。この国立大学を何とかよくしたいというこういう考えには、文部当局に比べても人後に落ちるものではございません。そういう意味で、乏しい財政の中でいかにすれば国立学校の要請にこたえられるかということを十分考えた結果、かくすることが一番よろしいと、こう考えて、幸いに文部当局もよろしいということになったのでありますから、中教審の答申等も十分尊重しているということはひとつ御理解いただけると思うわけでございます。
もう一つつけ加えて申し上げますと、文部大臣に対しては、確かに私のほうでももっと一年前くらいから申し上げればいいじゃないかという考え方はございますが、これは七月に私が学校特別会計に対して検討を命じまして、八月の末に各省から概算要求がございまして、それを査定しながら、財政法に基づく対案をつくって、それを十二月にこれの閣議決定をするわけでございます。しかし、国会に出す政府の最終案をきめるには、一月二十日の閣議で正式に決定をして国会に提出するわけでございますので、その間において十分文部大臣はお考えになられ、この中教審の答申にあるように、特別会計に移するとしても、過去のような特別会計の状態でいろいろ問題があったものは避けなければいけない、いわゆる独立会計ということでもって独立採算制を要求してはならないというようなことで、注意しておるわけでございます。文部大臣は、私たちのこの要請に対して、過去の特別会計のように独立採算制の特別会計ではなくという前提をまず要求せられまして、それから一般会計からの繰り入れも一般会計において現在やっておると同時に最優先的にこれを行なう、こういう第二の条件をきめられたわけでございます。その上で、特別会計に移るならば、いまの一般会計ではできない二千百億の国有財産は全部出せとか、それから予想以上に収入があった場合にはこれを使わせるとか、また財産を売り払った収入はそのまま施設のほうに投入できるとか、またいまの状態は東大のわきの道路を広げるような状態がございますが、こういうときは一般会計でもってただもらっておるわけでございますが、今度特別会計の財産を一般会計が使用する場合には有償で一般会計から金を払う、特別会計に入ったものは絶対に一銭もいただかなくて、私のほうで今度少しでも土地でもなんでもいただく場合には金を差し上げますと、こういうのですから、いまの一般会計より非常に前進的なものであるということは、もう私が申し上げるまでもないのでありまして、その意味においても、中教審の答申の高い理想の実現のために特別会計に踏み切ったと、このように私は理解しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/24
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025・秋山長造
○秋山長造君 大蔵大臣の、いまの点についておっしゃる限りでは、それはそうかもしれぬ。そうかもしれぬけれども、ただ、大蔵大臣は、この中教審の答申をまるで首っ引きで読まれて尊重されたようなことをおっしゃるけれども、いまになってそういうふうにおっしゃっておるだけで、これはやはり個人がただ自分の心がまえとしてこれを尊重したらいいんだという趣旨のものじゃないと思うのですよ、こういう種類の答申というのは。やはりこれを政府として慎重に検討すると、十分充実して考えるということである以上は、文部大臣は文部大臣で、私もよく読んで考える、大蔵大臣は大蔵大臣で、私もよく読んで考えると、こういうてんでんなことを言っておったのでは、これはほんとうに慎重に検討したと、尊重したということにならぬ。やはりそこに政府というものの重要さがあるわけでして、やはりこれを慎重に考えるという以上は、大蔵大臣と文部大臣とが十分最初から相談し合って事を運ばれるということも含まれるでしょうけれども、同時に、国立大学協会というような、最もこの問題について関心を持ち、また直接関係の深い団体があるわけですからね、しかも、そこにはこういう問題についての最高権威者が網羅されておるわけですからね、だから、そういう人たちをも入れて、そして何らかの具体的な形で事を運んでいくということが、私はあるべき姿じゃないか、取り運ばれる筋道じゃなかろうかということを申し上げておるわけです。
で、文部大臣も、個々に、何か、意見を聞かれたけれども、どなたも、それは絶対反対だという意見もなかったのでというようなお話ですけれども、これはいま急場の間に合わせにおっしゃるだけのことであって、早い話が、国立大学協会という、全国の国立大学の学長全員を網羅してつくっておられる協会ですが、その国立大学協会会長の大河内さんから、この問題についての意見が出ておるのを見ましても、「今回提出された国立学校特別会計制度については、われわれに十分検討するいとまが与えられなかったことは遺憾である。」 と。これは遺憾なはずですね。かってにあなた方きめておいて、あとからどうだと言われて、しかも、言われたのは、年末年始の一番人の集まりにくい、一番物事を相談しようといってもしにくい、忙しいときでしょう。そういうときに、ただ形式的に、どうだと、これは十分やるいとまがないのは当然だと思うのです。だから、なぜそれほど事を早々の間に急がれなければならぬのか。皆さんのおっしゃっておることを見ても、当面、それなら、この三十九年度に特別会計にしたら、たちまちどれだけのことがあるかということから考えましても、もう少し手続を慎重に、段階を踏んで民主的に運ばれた上でやられるべきだったと。大体、これだけの大きなものを、法律案と予算と同時に出してくると、同町に成立さそうというところに、そもそも私は無理があると思う。
まず、原則をきめ、方針をきめ、そして法律なら法律をきめて、そして少なくとも一年間ぐらいは準備期間というものを置いて、そしてその間に、たとえば、一番重要なことは、田中大蔵大臣の提案説明にも書いてありますし、法案の最後にくっついておるところの理由にも書いてあるように、「国立学校の充実」ということが、これは主目的なんです。充実という以上は、じゃ、特別会計に切りかえることによって、そして大学あるいは国立学校というものをどういう計画でどのように拡充していくんだという、少なくとも三年や五年の長期の見通しに立った年次計画ぐらいのものは手元に用意をした上で、予算を組んでやって、初めてこれをやるかまえが生きてくると思うのです。それを、先に予算も法律もきまって、あとから、これからどろなわ式に、何とかつじつまの合うような計画を立ててみようというようなことで、これから、その計画は考えるんだというようなことで、これは本末転倒ですよ。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/25
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026・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) いろいろの御議論もございますし、秋山さんの言うことも理解できますが、しかし、財政当局の考え方からもひとつ御理解いただきたいのは、万全のために万全ということをは確かに必要であります。でありますが、やはりあるそのタイムリミットといいますか、いいことは一日も、いっときでも早くやるということもあるわけであります。ですから、この問題に対しては、御承知のように、私はこの中教審の答申の少なくとも大学の財政に関する項目は、あなたのように読んでおらないのであります。これは特別会計の問題に対しましても、過去に行なった特別会計で好まざる部面が全部払拭せられて、より合理的な制度ができることを要求しておるのであります。私はそういう意味で、文部大臣も私との話し合いの間でもって、過去のように独立会計ということで独立性を要求してはならないと、また特別会計に移すようなことによって授業料は値上げはしませんな、それから一般会計ではできるだけ最優先のものとして将来も財政支出に応じますかということを念を押されたわけであります。でありますから、文部大臣が企図せられたことは、この特別会計をつくることによって、いまの一般会計の中にあるよりもよりこの答申に沿った支出が望まれるというために念を押されて、大蔵省側としてはその問題に対しては協定書をつくっている。全部文部省側の意見を入れたわけでありますから、これは中教審の答申が出ておるその線に沿って前進体制をとるためにやったのでありますから、その間の事情は十分ひとつ御理解いただきたいと思います。
この問題に対しては、非常にむずかしい問題だから、予算と一緒ではなく、法律案を通しておって、三年もたったら、三ヵ年後に移行すべきであるという議論も確かにあります。そういう例も過去にあります。ありますが、この委員会においても十分御審議がございました税制調査会との問題等もございます。税制調査会からの答申にもないものを新しく減税としてやる場合には、もう一ぺん諮問してはどうかという議論は確かにありますし、慎重さを、特に慎重にやるためには、それも一つの道でありますし、そうあることは好ましいかもわかりませんが、やはりいいことはいっときも早くやらなければならぬということも一つの要諦だと思うのです。そういう意味で、この答申の線に沿って、しかもこの望んでおることを見現する会計制度に移行することでございますから、できるだけ早く踏み切ったほうがいい、こういう考え方に立ったわけでございます。
一体、この特別会計に移ることによって何が一体いいことがあるのか。いいことがあるためにつくった会計でございますから、いいことはあるという考え方でございます。それは先ほど申し上げましたとおり、不用財産を売り払っても一般会計に入りますから、なかなか売り払わないのであります。ぼろの校舎におりながら、膨大もない用地を持っておりながらも、用地は売りたくない。何とかして学校だけ建ててくれと、こういうことをやっているうちに、じんぜん日がむなしゅうされておったのであります。今度は、自分でもって売れば、売ったものは自分の財政収入になって、鉄筋コンクリートの四階や五階ができる、こういうことでありますから、非常に積極的になるということは、他の特別会計をつくった例はみんなそうであります。こういう問題は、私よりもあなたのほうがずっと専門的でございますから、自分でもって知る限りに、この土地をこれだけ処分をして、こういう新しい施設をつくったほうがいいということについては、あなたのほうが十分御承知のことでありますから、ですから、そういうことが直ちに具体化されるという問題が一つ。
もう一つは、この特別会計に移ることによりまして五ヵ年計画というものが促進されるということは事実であります。これはもう道路特別会計、治水特別会計、ダム特別会計、あらゆる特別会計ができてから五ヵ年計画というものが非常に合理的になってきたという事実が証明しておるところであります。一般会計でもって五ヵ年計画をつくって、この五ヵ年計画を遂行するために特別会計に移ったほうがいいという議論も、確かに一つの議論でありますが、特別会計に移った一番初めの仕事として今度はつくればできるのでありますから、そういう意味で特別会計に移行することが合理的な五ヵ年計画、十ヵ年計画という長期計画を促進する要因にもなるというようにお考えになっていただけば、少なくとも一般会計の中であれするよりも、特別会計に移行して、しかもあなたが注文されるようなことが完全に確立せられれば、非常にいい制度になるであろうというように御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/26
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027・秋山長造
○秋山長造君 いまいろいろおっしゃったことは、これはもういわゆる田中式なものの考え方、取り運びのしかた、これはまあ田中式考え方として一応お聞きいたしますが、しかし、私の言うのは、大臣は、いいことなら何でも急いだらいいじゃないかというように、きわめて簡単におっしゃる。それはたとえば個人の会社をどうこうするというなら、それは社長がいいことならいいということで、それはおやりになったらいいでしょう。いいけれども、やはりものには順序もある。それから同時に、いいことなら何でもいい、少々手続に問題があってもいいことならやったらいいのだということは、一国の国務大臣として事をお運びになる場合には、これは言い切れぬのではないか。私はやはり十分尽くすべき手続というものは尽くした上で取り運んでいくということがこの種の問題については一番いいんじゃないか、あるべき姿ではないかということを申し上げておるわけです。
で、この問題ばかりやっておっても、あとが進みませんけれども、ただいまの点についてもう一つだけ念のためお尋ねしておくことは、文部省の意見は全部入れた、こういうようなお話があった。で、文部省の意見を全部入れたというその意見、それはどういうことが一体あるのか。この問題については、聞くところによると、文部大臣と大蔵大臣との間に取りかわされた協定事項といいますか、了解事項といいますか、約束といいますか、そういうものがあるという話も承っておるのですが、その点をこの機会に明確にしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/27
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028・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 「一、この特別会計は、国立学校の内容の充実を図り、かつ、今後における整備を促進する趣旨のものである。二、この特別会計は、国立学校特別会計の独立採算を目的とするものではない。したがって、特別会計にしたことを理由として授業料等の値上げを意図することはない。三、この特別会計に属する不用の財産を処分して、その収入を国立学校の内容充実にあてることを容易にするため、今後においても必要がある場合においては、建交換を行なうに必要な予算と国庫債務負担行為の計上を図ることとする。四、この特別会計の歳出予算の移流用については、教育研究の実情に即して弾力的な取扱いをするように努めることとする。」、以上四点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/28
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029・秋山長造
○秋山長造君 十二項目にわたる協定がなされたという話も聞くわけですが、それは間違いですか。四点ですか。ということと、それからこれは両大臣の間のどういう性質の文書になるのですか、約束になるのですか、どれだけの権威を持った約束になるか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/29
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030・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 十何項目と言われたが、この四項だけは協定書にしてあります。覚え書きになっておるわけです。あとの、残余の項目は法律の中に盛ったということでございます。
それから、どの程度の効力があるかということは、これは役所同士の約束でございますし、いやしくも議院の公の場でこれを読み上げておるのでございますら、まあ法律に近いという、まあまあ相当なものであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/30
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031・秋山長造
○秋山長造君 これはきわめて重大なことなんで、まあまあというようなことでは困るのでね。役所同士の覚え書きというのも、どれだけの権威を持ってどれだけの拘束力を将来に持つのか、そこらをもう一度はっきりしておいてもらいたい。
それから、その四項目は協定と、あとの点は法案の中に書いてあるということをおっしゃったんですが、その点を、法案の中に書いてある約束はどれとどれでということを、これ、そういうことを何か書いた資料はないですか。ぱっぱっぱっとそこで読み上げられて、そしてこれはもう役所同士の約束だからまあまあ相当なんというようなことで済まされては困る。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/31
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032・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 法文の中に書き加えたという事項については両省の政府委員をしてお答えをしますが、この四項目は覚え書きという公文になっておりまして、文部事務次官内藤氏と大蔵省主計局長佐藤君の両名による官印を押してございます公文書でございますので、国会は拘束いたしませんが、両省は少なくともこの覚え書きの拘束を受けるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/32
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033・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) 国立学校の特別会計制度を設けるにあたりまして、文部省から法令の内容とし、あるいは実行上ぜひそのようにしてもらいたいという要望の点が十一項目ございました。先ほど大臣から答弁いたしましたように、法文に盛り得るものはすべて盛りまして、法文に書き得ない四点について両省間の、両省事務当局間の覚え書きとしてこれを明らかにすることにしたわけでございます。
文部省の要望がございましたうち、法文に盛りました点を申し上げますと、第三項に、「借入金の制度を設け、財政投融資資金を導入して施設(病院)整備の促進に資する。」、これは法律に書いてございます。
「この特別会計において支払上現金が不足するときは、年度内の一時借入金をすることができる。」、これも規定がございます。
「五、この会計の剰余金は、」……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/33
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034・秋山長造
○秋山長造君 ちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/34
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035・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 相沢君、ちょっと待ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/35
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036・秋山長造
○秋山長造君 そんなもの読み上げて、一体三項といって、どの三項やらわからぬので、もう少し、これだけ重大な問題、重大なこれは取りきめだと思う。どういう法律的な効果があるのかあとで教えていただきたいと思うのですけれども、もう少しよく徹底するように順を追って説明してください。大体、あなた、そういうものがあるなら、どうせ質問が出ることはわかっているのだ。紙に印刷くらいしてきて配りなさい。不親切ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/36
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037・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) 要望点は、先ほど申し上げましたが、十一項目ございます。そのうちの第一点が、「この特別会計は、国立学校の内容の充実を図り、かつ、今後における拡充整備を促進する趣旨のものである。」、これは先ほどの覚え書きにありましたものと同様でございます。第二点、「この特別会計は、国立学校会計の独立採算制を目的とするものではなく、したがって、一般会計の負担軽減を図る目的をもって、授業料等の値上げを企図しているものではない。」、表現が多少違いますが、この覚え書きの第二点にこのことは載っております。第三点、「借入金の制度を設け、財政投融資資金を導入して施設(病院)整備の促進に資する。」、これは法律に規定がございます。第四点、「この特別会計において支払上現金が不足するときは、年度内の一時借入金をすることができる。」、これが第四点。これは法律に規定してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/37
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038・秋山長造
○秋山長造君 こんなものをべらべら読み上げて、それで、はいわかりましたというわけではない。逆に私がそうやってごらんなさい。大臣、はい、わかったと言えますか。この問題じゃなく、ほかの問題で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/38
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039・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) いまの資料はすぐにできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/39
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040・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) よろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/40
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041・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) あれば、すぐに配付していただきたいと思います。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/41
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042・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/42
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043・相沢英之
○政府委員(相沢英之君) 国立学校の特別会計制度につきまして、文部省の御要望は十一点ございました。そのうちの第一点は、「この特別会計は、国立学校の内容の充実を図り、かつ、今後における拡充整備を促進する趣旨のものである。」、これが覚え書きの第一項に記載してございます。それから第二、「この特別会計は、国立学校会計の独立採算制を目的とするものではなく、したがって、一般会計の負担軽減を図る目的をもって、授業料等の値上げを企図しているものではない。」、多少表現は変わっておりますが、覚え書きの第二点に書いてございます。
第三、「借入金の制度を設け、財政投融資資金を導入して施設(病院)整備の促進に資する。」、これは特別会計法の第七条「借入金」というところに規定がございまして、読み上げますと、「この会計において、国立学校の附属病院の施設費を支弁するため必要があるときは、この会計の負担において、借入金をすることができる。」「2 前項の規定による借入金の限度額については、予算をもって、国会の議決を経なければならない。」、これでございます。
第四点、「この特別会計において支払上現金が不足するときは、年度内の一時借入金をすることができる。」、これは法律の第九条に規定がございます。読み上げますと、第一項「この会計において、支払上現金に不足があるときは、この会計の負担において、一時借入金をし、又は国庫余裕金を繰り替えて使用することができる。」「2 前項の規定による一時借入金及び繰替金は、当該年度の歳入をもって償還しなければならない。」「3 第一項の規定による一時借入金及び繰替金の限度額については、予算をもって、国会の議決を経なければならない。」。
それから、次の第五点でございますが、「この会計の剰余金は、一般会計における剰余金とは異なり、全額この会計の財源とされる。特にこの剰余金の一部(歳入予算超過分)は、積立金として積み立て、施設の整備に充当する。」、これは法律の第十二条に、「この会計において、毎会計年度の歳入歳出の決算上剰余金を生じたときは、政令で定めるところにより積立金として積み立て、なお、残余があるときは、翌年の歳入に繰り入れなければならない。」、政令で歳入超過分が積み立て金となるように規定する予定でございまいます。第二項に「この会計において、毎会計年度の歳入歳出の決算上不足を生じたときは、積立金からこれを補足するものとする。」、第三項に「この会計の積立金は、国立学校の施設の整備の財源に充てるため必要があるときは、予算で定める金額を限り、この会計の歳入に繰り入れることができる。」「4 この会計の積立金は、資金運用部に預託して運用することができる。」と。で、積み立て金に関しては、第十二条にかように規定してございます。
それから、第六項「歳入予算の超過額については、病院等の経営に直接必要な経費に充てるよう弾力条項を設け、その円滑な運営を図る。」と。これは三十九年特別会計予算総則の第十五条に規定を置いております。その第六項に、「国立学校特別会計において、附属病院等収入その他の収入が、それぞれこの予算において予定した金額に比して増加するときは、その増加額に相当する金額を限度として、当該事業量の増加のため直接必要とする経費の支出に充てることができる。」、かように規定を置いております。いわゆる弾力条項といわれております規定でございます。
それから、要望の第七点、「現在国立学校の管理する国有財産は、原則として一切この特別会計の財産としていわば出資されるものとして、今後その財産が学校としての使用目的に供されなくなった場合においても、これを換価した代金は、従来のような一般行政の財源とはせず、この特別会計の歳入として国立学校の内容の充実にあてる。」、これは法律の附則の第四項に規定がございまして、「この法律施行の際一般会計に所属する資産及び負債で国立学校に係るものは、政令で定めるところにより、この会計に帰属するものとする。」という規定と、それから、この規定によりまして、現在国立学校が使用しております一般会計所属の財産は一切この特別会計にいわば出資されたこととなります。そうしてこの財産の処分収入がこの特別会計の歳入となりますことは、この特別会計法の第三条におきまして、「この会計においては、一般会計からの繰入金、授業料、入学料、検定料、病院収入、積立金からの受入金、借入金、財産処分収入、寄附金及び附属雑収入をもってその歳入として、」という規定がございますが、この「財産処分収入」がこれに当たるわけでございます。財産の処分収入がすべての特別会計の歳入になって、その大学の歳出の財源になる、かようになっておるわけでございます。
それから、要望の八項は、「今後この特別会計の財産を処分する場合は、従来のように、他の行政目的のために減額譲渡または無償譲渡することは、原則として行なわない。」、これは特にこの国立学校特別会計法に規定はございませんが、国有財産の処分でございまして、国有財産法の原則によりまして、当然その処分は有償となっているわけでございます。
それから、第九項、「今後一般会計の財産を国立学校の用に供するためこの特別会計に所管換をする場合は無償とし、この特別会計の財産を他の会計に所管換をする場合は、原則として有償とする。」、この規定でございます。つまり、一般会計から特別会計にやる場合にはただ、それから特別会計に所管がえをする場合には有償ということでございます。で、この一般会計から特別会計に所管がえをする場合の規定は、この法律の附則の第七項に規定を置いております。「一般会計所属の国有財産を国立学校の用に供するためこの会計に所管換若しくは所属替(以下次項において「所管換等」という。)をし、又は使用させる場合においては、当分の間、無償として整理するものとする。」、この規定でございます。それから、この特別会計の財産を他の会計に所管がえする場合の有償の規定は、これはこの国立学校法に規定はございませんが、国有財産の所管がえをする場合は原則として有償とするという国有財産法の規定によって、こういうふうになっているわけでございます。
それから、第十項、「この特別会計に属する不用の財産を処分してその代金を国立学校の内容充実にあてることを容易にするため、建交換を行なうに必要な予算枠と国庫債務負担行為枠とを設ける。」、これは昭和三十九年度の国立学校予算の国庫債務負担行為は七億二千五百万円、鳥取大学の施設の整備のために昭和四十一年度において国庫の負担となる契約を三十九年度において結ぶ必要があるという規定を置いております。これは国庫債務負担行為でございますす。
それから、要望の第十一点でございますが、「研究費その他国立学校の運営費については、特別会計にふさわしいように、実情に即した使用ができるようにする。」、これは覚え書きの第四項に書いてございまして、「この特別会計の歳出予算の移流用については、教育研究の実情に即して弾力的な取扱いをするように努めることとする。」ということでございます。それから、なお、特別会計の予算総則の第十七条に各項の間の移用ができる場合の規定を置いておりますが、国立学校の特別会計は、この規定によりまして歳出予算の執行上必要に基づいて各項間の移用ができるようになっております。これもこの覚え書きの第十一項に基づくところの措置でございます。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/43
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044・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 関連して。ちょっと、自後の問題について大蔵大臣の所見を明確に承っておきたいと思う。大臣の先ほどの秋山委員に対する答弁を聞いておりますと、こんな男ぶりのいいのを婿にしてやったのだから喜べ喜べというわけです。ところが、中教審が答申をして、行政の筋からして、当然答申を受けた文部省が一つの結論を出す、これを受けて大蔵省と協議をするこれが望ましいことですね。自後のいろいろな問題で、各省が諮問委員会を持って答申をした際には、内容の結果的な扱いのいかんにかかわらず、当然所管の省が一つの考え方を持つ、その間に大蔵当局と協議をしていくという形は重要であろう。当然その省としては、答申に対する尊重と、その結論を出だすけの手続のゆとりを与えるべきだと思うのですが、今回の場合はそれについて若干の手落ちがあった、慎重さを欠いたと思うのですが、自後予算に関係することだから、各省が積極的に出てこないでも、あるいは答申に対して結論を持たないでも、大蔵自体で必要なことは金に関する限りはこちらでやっていくのだ、こういうかまえでいかれるかどうか。今後の問題としての見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/44
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045・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 答申を受けまして、その文部省なら文部省、また道路に関しては建設省、農地その他に対しては農林省等が立案をせられて討議をせられることは、それはもう非常にけっこうなことでありまして、私たちもそうありたいと考えております。ただ、法律の規定は、財政法の規定は、御承知のとおり、総理大臣及び各省各庁の長は大蔵省に予算の要求をしなければならない。この要求に対して大蔵大臣は対案を示さなければならない。この対案を示したものに対して、関係省との間に話を詰めて、最終決定を閣議において行なうわけであります。同時に、憲法の規定によって、国会に対しては内閣は連帯して責任を負っておるわけであります。でありますから、大戦省にその各省から出したもの以外のものを大蔵省から一方的に出してはならない、こういうことは、そういたしますとは申し上げられないわけであります。財政法の規定はそのようになって、対案を出さなければならないわけであります。でありますから、その対案を出す過程において、各省が要求をせられなかったものに対して大蔵省は対案を出すということは、これはもう毎度のことであるのでありますし、財政法の規定もそのようになっておるわけでありますから、いま申し上げたようなわけでありますが、この答申等があるものに対しては、私たちが言わないうちに、また御相談をいただくということは、非常に私たちとしても楽だし、非常にいいことだと思います。それでありますから、一切何も言わないうちに大蔵省に出してはいけないと、こういうふうには法制のたてまえ上ないわけでありますから、御理解いただきたい。国会に対しましては、あるいは法律案でもあるいは予算でも、閣議で決定をしまして、連帯して内閣総理大臣の名において国会に審議を求めておるわけでありますので、過程においてはいろいろな事態があるわけでありますが、国会に対してはやはり閣議がもとであるということをひとつお考えいただきたい。私たちも、大蔵省が財政上とかそういう立場で申し上げたのではなく、この会計などは文部省との合意が達せられれば前進である、こういう考え方でお示ししたわけでありますので、事情を御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/45
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046・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 筋論としてそのとおりであることは私も了解しております。財政法にはそのけじめを明らかにしておるのでありまして、過程においては各省か——文部大臣のほうが若干サボっておったためにこういうまずいことになったのですが、やはり文部省自体が積極的に大蔵省と協議しながら、この問題で、答申にこたえるためにどういう具体的な方策が必要かということをあなた方が作業に入られた段階で話し合いを進むべきであったと思うのです。このことについては文部、大蔵両方ともに今後、諮問機関を設置し答申が出た問題については、両者の関係がこの問題のようにそごしないように今後の手順を進めていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/46
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047・秋山長造
○秋山長造君 ただいま事務当局のほうから十一項目にわたる説明がありましたが、それらの細目についてはおいおい具体的な内容に入ってから御質問をいたしますが、その前に、さっきも私お尋ねをしてまだ御答弁がないのですが、この文部次官と主計局長との間で取りかわされた覚え書きというものはこれはどういう法的な拘束力を持つものかということについてのお答えがないのですが、その点をもう一度、大事なことですから、確かめておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/47
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048・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 両省を拘束する、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/48
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049・秋山長造
○秋山長造君 永久にですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/49
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050・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) まあ別な協定とか、それからそれを打ち消すような協定が新たに結ばれない限り、ずっと効力を発生するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/50
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051・秋山長造
○秋山長造君 これは当事者がかわりましても、内閣がかわりましても、これはあらためて打ち消すという話し合いができない限りは、いつまででも強力に拘束すると、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/51
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052・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 両省とも、次官会議の決定を受けたものと同じく、省議にかけてやっておるのでありますから、その覚え書きの署名者は事務次官であり、一方は主計局長であっても、私と文部大臣との約束と同じことでありまして、それに対しては両省とも誠意をもってその趣旨に違背しないようにしなければならないことは、けだし当然でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/52
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053・秋山長造
○秋山長造君 後段の、内閣がかわった場合は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/53
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054・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 内閣がかわりましても、その省——文部省と大蔵省が約束をしたことでございますから、守ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/54
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055・秋山長造
○秋山長造君 いまの点は文部大臣も同じ御見解ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/55
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056・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/56
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057・秋山長造
○秋山長造君 きわめて両大臣とも明確な御答弁ですから、そのとおり承っておきます。
そこで、逐次内容に入っての御質問をしたいと思うのですが、先ほどもちょっと触れましたけれども、これだけの大変革を大学財政の面についておやりになる以上は、文部省として長期にわたる国立大学の充実計画、大学の整備拡充の計画というものをお考えになっておるはずだと思います。本来からいいますと、事の順序からいいますと、そういうものがほほ目鼻がついた上でこの切りかえということが行なわれてしかるべきじゃないかというように思うのですけれども、どうもそれはないようです。いま長期の計画をどういうように考えておられるかということについて、御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/57
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058・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 文部省としましては、大学の施設設備の整備につきまして、これまで五ヵ年計画を立てまして、現にそれを実施中でございます。この法律案が成立いたしまして、特別会計でいろいろな事項が行なわれるということになりますれば、これらをさらに取り入れまして、充実した整備計画を確立してまいりたいと思いますが、現在無計画でやっておるわけじゃございません。五ヵ年計画を現に実施中でございます。いずれまたさらにいいものをつくってまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/58
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059・秋山長造
○秋山長造君 現に五ヵ年計画を実施中だというお話があったわけですが、実は先般文教委員会でその資料を要求しましたところが、こういう一枚の表を出されたわけですけれども、しかし、これではこの特別会計への切りかえということを前提にしない段階での計画なんですが、この計画ですらきわめて簡単過ぎて、ほんとうに文部省がどれだけ腰を据えて大学の施設整備計画と取り組んでおるかよくわからない。だから、もっと親切、詳細な計画を出してほしいということを注文したわけですけれども、まだ不幸にして出てまいりませんが、いま行なわれておる程度の計画は、これは何も特別会計に切りかえるというようなことをやらなくても、これは大蔵省が一般会計の予算をふやしさえすれば十分できることですからね。ですから、これはいますでにやっておるということは、この特別会計についての計画としては、これは問題にならぬと思う。筋が違うと思う。少なくとも三十九年度から特別会計に切りかえる。しかも、先ほど来大蔵大臣が大いに吹聴されるような、まことに霊験あらたかな特別会計だということなら、このいままでの一般会計でやっておった計画などとはもう根本的に両日を一新した長期計画というものがあってしかるべきだと思うのですけれども、その計画について文部省はどれだけ今日の段階で構想しておられるのか。
それからまた、いますぐ書いたものが出せぬ。それは出せぬと思う。これはもう順序が逆になっておるのですからね。だから、出せぬと思いますが、その計画の荒筋だけでもこの際御説明をいただければと思う。
同時に、大蔵大臣はただ、充実するんだ、画期的に整備するんだということはおっしゃるのだけれども、これはなかなかこれから目をみはらせるような新しい長期計画というものを、特別会計を前提にしてつくり上げていくということになれば、一番やはりすぐ突き当たる壁は、大蔵大臣が一体一般会計からどれだけの繰り入れに踏み切るのかということだと思う。だから、そこら辺について、ただこの四項目にわたる覚え書きへ判こをついたということだけでは、なかなか実際には問題は一歩も前進はせぬだろうと思うんです。そういう将来の構想について、一体、大蔵大臣と文部大臣との間で具体的にどの程度のことをやっていこうと考えておられるか。
で、早い話が、この間も新聞を見ておりますと、三十日の当委員会で、大蔵大臣は、東京大学をどこかへ移す腹をきめたというのです。そうしてこれを一流の大学に仕立て上げるには一千億円かかる、これは特別会計ならできるんだというように大みえを切っておられる。正確な内容は私はわかりません。新聞を見ただけです。しかし、これと衆議院のほうでも同じような発言があったように聞いておりますので、大蔵大臣としてはこれはよほど考えられてのことだろうと思うのですが、将来の構想といいますか、そういう東京大学をどこかへ移すというようなことを大蔵大臣が責任を持っておっしゃるからには、これはなおさら当然、文部大臣としては、もうその腹づもりが、大蔵大臣がその発言をされる前に、すでにできて、十分意思を統一した上での大蔵大臣からの御発言であろうと思うのが常識です。ですから、そういうものを含めての将来の計画、これはこまかい数字をあげての計画はできていないということは、もういま明白なんですから、そこまでは要求しません。東京大学はどうするんだ、京都大学はどうするんだ、どこの大学はどうするんだ、どこへ持っていくんだというぐらいのことがなければ、大蔵大臣がそんなことを軽々におっしゃるはずがない。
文部大臣から前段の御質問に対する御答弁を、後段の質問については両大臣からひとつ御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/59
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060・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 現在手持ちの計画といえば、先ほど申し上げましたとおりであります。その際にも申し上げましたように、今後さらに検討いたしまして、いい計画を立ててまいりたいと思っておるわけであります。それには、この特別会計法を大いに活用したいと思います。
ただ、文部省としましては、御承知のように、いわゆる大学の急増対策と申しますか、こういうものを当面の問題としてかかえております。まず、これに対する計画をどういうふうにするかというところをきめまして、その上で全体にわたっていわゆる長期の計画というものを、従来あるがごとく、だいぶ御批判もいただきましたが、ああいうものでなしに、もっとりっぱなものをつくって推進してまいりたいと、このような心組みでおるわけでございます。
大蔵大臣の御発言につきましては、大蔵大臣からお答えがあることと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/60
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061・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 特別会計をつくった精神にものっとりまして、これからの大学の拡充計画につきましては、文部大臣の意向を十分尊重してまいりたい、このように考えます。
第二点の、東京大学の移転の問題は、これは移転をすると言ったわけじゃございません。私が申し上げたのは、特別会計になれば一体どういうプラスがあるんだ、一般会計ではできないことが特別会計になればできるということがあるのかと、こういう御質問に対しまして、たとえばの話でございますということをちゃんと速記録に残してございますが、たとえばの話でございますが、東京大学というものを移転しようと考えても、現在の一般会計の中で移すということは非常にむずかしい話でございます。でありますが、特別会計の形にすれば、建て交換の制度を今度設けておりますので、まあ天城山麓になりますか、富士山麓になりますか、百万坪も合理的な土地を選定をして、そこに理想的な大学の設備をしてくれるならば、いまのものと交換をするということも可能になるわけでありますので、特別会計というものは非常に進歩的な前進的な制度だと思いますと、こう答えたわけでございます。
しかし、これは、第三点目に申し上げると、私は、文部大臣がお進めになろうという気になれば、東京や大阪からは大学などはもっと理想的なところに移したい、こういう個人的な希望があることは明らかにいたしております。それは、いまの東京や大阪の俗じんの中でなかなか勉強することも難いわけであります。もうそころじゅうに分校などがあって、大学の管理そのものもたいへんだと思います。私は、そういう意味で、外国に比肩するような合理的な、またりっぱな大学を将来つくるのならば、明治初年のわれわれの先覚が考えましたとおりに、われわれも、もう百年もたっておれば、新しい視野に立って新しい施設をするということは好ましいことだと考えておるわけでございますが、文部大臣の所管でございますので、私は、そういうことを言ってくれば、私どものほうでもひとつ大いに協力をする、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/61
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062・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 大蔵大臣の御発言の趣旨については御了解をいただいたと思うのでございますが、私はその心持ちにつきましては非常に意を強くいたしておるわけであります。将来、大学の移転というふうな問題を考えなければならぬときが必ずあるのじゃないか、このようにも思っております。主管大臣のことでありますので、そう簡単に、どこの大学をどこへ移すということまで申し上げるわけには参りませんが、今後の考えとしては、今のままでどこまでもあそこに残しておかなくちゃならぬということは考えていない。時宜に適した対策というものを立ててまいらなければならぬと思います。幸いに大蔵大臣のただいまの御答弁で意を強くいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/62
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063・秋山長造
○秋山長造君 主管大臣としては軽々に言えぬというのは、これは当然のことだろうと思うのですが、私も、この点は最も影響の大きいことですから、大蔵大臣、明確にもう一度お答え願いたい。私の聞いたところでは、衆議院の大蔵委員会での大臣の御発言は、これも今日その速記録がありますが、仮定の問題として、かりに東京大学を移すとすれば云々と、こういうきわめて慎重な御答弁です。参議院で、この間の三十日の大蔵委員会での御答弁を、まだ速記録はできておりませんが、ただ新聞報道と、それからこの委員会で聞いておられた方の話を間接に私聞いた限りにおいてですが、その限りにおいては、衆議院でおっしゃったかりにという、とすればということでなくて、いまの大臣のお話でも、たとえばということばに変わっておる。これはかりにというのと、たとえばというのとはだいぶ違う。考えてごらんなさい、違いますよ。たとえばというのは、大臣が、大阪をどうする、東京をどうする、どこをどうすると、幾つか構想を考えられておって、その中の一つを抜き出して、たとえば東京についてはどうだ、こういうことに受け取られるのではないか。そこに新聞にも、これは一つの新聞だけでなしに、多くの新聞に断定的な、大蔵大臣がその腹でおやりになるのだというような書き方がしてあるのですが、もう一度、これは非常に影響が大きい問題ですから、明確にしておいていただきたいこと。
それから、もう一点、大蔵大臣急いでおられるようですからお伺いしますが、これは両大臣にお伺いいたします。せんだってから問題になっておる筑波地区に研究学園都市をつくる、そうして大学は国立、公立、私立を含めて二十五校をそっちへ持っていくという話が、再三新聞で報道されておるのですが、やはり特別会計の問題とたちまちこれは関係してくる大きな問題だと思うのですが、その点についての現状と、それから将来の見通し、計画等について、両大臣から責任ある御説明をこの際お願いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/63
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064・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 東京大学移転にかかる発言は、衆議院の発言と同じ趣旨のことを申し上げたわけでございます。これは、前後の速記録が出てくれば、ひとつお読みいただけばいいわけでございまして、私が唐突に東京大学の移転をしたい、その移転をするためには特別会計をつくると申し上げたはずはないのであります。特別会計と一般会計との差等を申したわけでありまして、その御質問に対して私は答えておるわけです。たとえばこういうことです、仮定でございますというふうに、仮定問題としてこの御説明をしたと思いますが、いずれにしても、まくらはございます。前提になることばはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/64
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065・秋山長造
○秋山長造君 いずれにしても、まくらがあっても、仮定のまくらかどうかということが重要なんですから、その点の誤解があるから、非常にあると思うのだ。私もそう思い込んでいたんです。だから、その点、この機会にはっきりしておいてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/65
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066・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 私も原稿を持ってやっておるわけではありませんので、自分の発言に対してさだかに記憶いたしておりませんが、私の真意は衆議院大蔵委員会で申し上げたと同じ趣意で申し上げたということであります。
それから、第二の研究学園都市に対する問題でありますが、予算関係につききましては、土地の購入費としまして、日本住宅公団に債務負担額を百四十七億円をつけております。それから、新規機構といたしましては、研究学園都市開発室というのを設けてこれが業務に当たっておるはずであります。そのほか調査費といたしまして、首都圏整備委員会に六十二万円、それから科学技術庁に百四十七万三千円、農林省に五百二十四万二千円、通産省が三百五十万二千円、計千八十三万七千円、こういうもので予算上の措置をいたしておるわけでございます。
現在の進捗状況はどうなっているかということでございますが、近辺の地域につきましては若干の変更があります。これは当初予定いたした、全部連続をした地域とはならないようでございます。最近ようやく前向きの話し合いになっております。価格等につきましては、いろいろ問題があるようでございます。大体同意を得られるものと首都圏整備委員会より聞いておるわけでございます。土地買収につきましては、一括日本住宅公団が行なうことになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/66
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067・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 筑波山麓の学園都市建設につきまして、大学あるいは研究所の中でそういうことがあるのならば移転したらどうかという考えを持っているものは若干あります。しかし、その後いろいろ情勢も変わっておりますし、この問題はまだ具体的な問題として取り上げるところまで至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/67
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068・秋山長造
○秋山長造君 そうしますと、いまの大蔵大臣の御答弁で、政府関係機関の総体での土地買収費として百四十七億円がつけられておるということ以上には出ていない。したがって、国公私立を含めて大学二十五校を持っていくということが新聞で報道されておりますが、それが一体どことどこなのか、それからまた、そのうち国立大学がどことどこか、またそれを持っていくについてどれだけの費用がかかるのか、その費用は一体東京大学を移すとすれば云々と、それは特別会計ならできるというのと同じ考え方で、この特別会計の中で財産処分をやってその収入を充てるというようなことになるのか、あるいは一般会計から繰り入れてやるのか、そういうような具体的な点については一体どの程度きまっておるのかということを、もう一度明確にしておいてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/68
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069・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 筑波山ろくの問題につきましては、土地の隣人ということがまず第一でございまして、土地の購入だけをやっているわけであります。各省でもってどこが一体行くのかという問題については、まだ全然未定でございます。各省で筑波山ろくに出るようなものがあるかないか、そういうものをひとつ検討してもらいたいということであります。でありますからこの問題につきましては、土地購入以外にはあまり進んでおらない、こういうことが言い得るわけでございます。しかし、土地購入ということが全部めどがつけば、ぼつぼつそこらから実際的に出るものを検討しなければならなくなるであろうと思います。この筑波山ろくと東大の移転とかいう問題は、全然現在のところ関係はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/69
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070・秋山長造
○秋山長造君 ちょっと、私の質問の順序があと先になって都合が悪いんですが、大蔵大臣が席をどうしてもはずされるということですから、ちょっと先回りをして大蔵大臣に御質問しておきますが、先ほどの両省で取りかわされた覚え書きの第二項に、独立採算を目的とするものじゃない、したがって授業料値上げその他を意図することはないということが強調されてあるわけです。だから、これでもう問題はきわめて明白なように思われるんですけれども、しかし、過去の事例からいいますと、ただこの一項目がこの覚え書きに入っておるからといって、すぐわれわれそうですかといってまくらを高うするわけにいかない。
と申しますのは、昭和二十四年に厚生省所管の国立病院を特別会計に移した事実がございますね。そのときにもやはり独立採算に持っていくんじゃないですか、事業会計にしてしまうんじゃないかということがずいぶん問題になり、そうして衆議院では当分の間一般会計からの繰り入れを続行するという原案だったのを、その「当分の間」というのを修正して削って、そうして独立採算ということはこれはもう絶対国立病院についてはないんだということになっていたはずなんですね。ところが、しかし、その後の経過をずっと調べてみますと、その移しかえをした当時は、国立病院特別会計への一般会計からの繰り入れ金は二五%以上であったわけです。それがその後だんだん少なくなりまして、三十五年度には二二・二%、三十七年度には一三・九%、三十八年度には一二・八%、三十九年度には一二・三%というように、非常に急激に低下してきておるんですね。その結果がどういうことが行なわれたかといいますと、これはもう大臣もよく御存じでしょう。せんだって岡山の結核療養所で訴訟の続行中になくなりましたあの朝日茂君の起こした朝日訴訟ですね、朝日裁判なんかのようなものが結果として出てきておるんですね。結局、独立採算にはしないと言いながら、独立採算に事実上数字の上からなってきていることが、これは雄弁に物語られておる。そうして医療保護による日用品というものは月六百円に押えるというようなことが強行された結果が、朝日裁判、朝日訴訟ということになっておる。たとえば、療養所における付き添い制度の廃止とか、あるいは病院療養所の看護婦を減らす、患者に対する手当てというものが非常に不行き届きになるというような、有形無形のやっぱり裏が出てきているわけです。こういう事実があるものですから、しかも、この国立病院特別会計法と今度の国立学校特別会計法と、こう読み比べてみますと、大体条分の数も両方とも十八ヵ条あるんですね。どっちも十八ヵ条なんです。大体一条、二条、三条、とずっと順を追ってみますと、今度の国立学校の特別会計法とこの国立病院特別会計法とほとんど同じですよ。ただ、第一条の設置の目的は、病院、片一方は学校という違いだけです。あとはもうほとんど大体判で押したように同じことを書いてある。
だから、今度の、なるほど覚え書きまで取りかわされておるわけですけれども、これは当分の間は大臣も元気でおられるわけですからね、それはおやめになっても、そうしてもらってはおれの食言になるから困るということにもなろうけれども、政治信義を重んじられる田中さんのことですから、それはそうであろうけれども、だんだんなしくずし的に、事実上は独立採算とは言い切れぬでも、実質的には独立採算になって、そして一般会計からの繰り入れをあまり要求されると、何だ北海道に演習林が遊んでいるじゃないか、千葉のほうには東京大学のあれが遊んでおるじゃないか、あれを売ったらどうだ、こうやられることになるんじゃないですか、実際には。また文部省のほうも、何年か前に覚え書きはあったとしても、やっぱり幾らか一般会計からの繰り入れをふやしてもらおうと思えば、二へんが三べん、三べんが五へんというように、文部省は大蔵省へ頭を下げていかなければならぬ。お百度を踏まなければならぬようになってくる。そうすると、あまり頭を下げるのはだれだっていい気持ちしませんから、三べんが二へん、十ぺんが五へん、頭を下げるのは少ないほうがいい。だから、安易な道を考えて一大蔵省に頭を下げるより、国有財産、あそこが残っておるから、あれを売ってとりあえず間に合わそう、こう事実上なってくるのが私は実情じゃなかろうかという心配を、やっぱりこの協定があっても、覚え書きがあっても払拭するわけにいかないのですがね。
その国立病院の問題なんかについて、一体、大蔵大臣、大蔵省は御検討になったことがあるのですか。これは池田総理が大蔵大臣のときにおやりになって、やはり池田総理も独立採算にはせぬということを約束しておられるのですけれども、事実上は独立採算にだんだんなってきておるということが、しかもそのしわ寄せが、患者なりあるいは病院で働く職員なりの上に有形無形の形でしわが寄せられてきておるということは明白な事実なんですがね。こういうことを一体このままほうっておいてよろしいかどうか。また、同時に、国立学校の問題についてこの二の舞いを演ずるようなことは断じてないのかどうかということを、明確に御答弁しておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/70
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071・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 前も申し上げておりますように、学校特別会計法に移ることによって授業料を引き上げるというような考えはありません。
それから、病院等の問題につきましてでございますが、病院につきまして一般会計からの繰り入れの額が減っているというような御指摘がございましたが、これは実情によってあらわれる問題でございます。ある時期に設備等に大いに金をかければ、外来患者も非常にふえるわけでありまして、病院収入が上がってきますから、そういうときになれば繰り入れの額は減っていくわけであります。また、先ほどの全くの仮定の問題でございますが、もし何々大学を移すなどということになれば、相当大幅な移す期間だけは一般会計からの繰り入れがふえるということでありますので、一般会計からの繰り入れが減ったということだけをもって論じられない問題でございまして、内容等につきましてはやはり十分検討をしながら、一般会計でも最重点的な項目として歳出に対しても将来考えてまいりたい、こう考えます。
第三掛目の結核療養所の問題でございますが一結核療養所は特別会計ではないわけであります。これは特別会計にできるわけはないということで、朝日裁判の問題がございましたが、あれは一般会計の中でまかなっておる問題でございます。
いずれにいたしましても、こういう新しい歴史的な制度が新設せられるときに、学問の将来のために非常に有益な御発言がございますから、政府当局といたしましても、将来の財政運営に際しましても、特別会計に移ったことが学問の振興に対して非常に裨益をしたとほめらるべき事態をつくるように、十分配慮してまいりたい、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/71
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072・秋山長造
○秋山長造君 病院収入がふえれば一般会計からの繰り入れば自動的に減っていくのだと、それはそのとおりなら、もうそうでしょう。だけれども、その逆の場合が多いんじゃないですか。一般会計からの繰り入れが減らされていくから、病院収入を作為的にふやさなければならぬ、こういうことが実情じゃないですか。この朝日君の点は特別会計じゃないというお話がありました。それはしかし、たまたま療養所にいる朝日君が起こしたから朝日訴訟というだけで、朝日訴訟と同じ事態というものは、何も療養所に限らぬ、これは国立病院すべて似たようなものだ。ですから、国立学校特別会計にしても、財産収入その他がふえれば、これは自動的に一般会計からの繰り入れが減ることは、これはあり得るという論法で、この協定事項の第二項目というものが事実上なしくずしにされるというおそれは、これは多分にある。だから、そういうことは断じてない、一般会計からの繰り入れが減ることによって財産収入その他を作為的にふやしていかなければならない、授業料その他を作為的にふやしていかなければならぬということに事実上なっていくおそれがあるのではないかということを、これは依然として私どもはやはり危惧せざるを得ない。それはそんなことは断じてないとおっしゃるだろうと思うけれども、おっしゃっても、それは過去の事例が示していますから。ですから、過去の事例があっても、今後は絶対にその二の舞いはしないということを、もう一度言い切っておいてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/72
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073・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 絶対に値上げはしない、こういうことは、これは申し上げられないわけであります。これは一般民間との料金の問題等もございますので、全然値上げはしないとは申し上げられませんが、値上げをすることによって一般会計からの繰り入れを減らそうというごとき考えは持ちません、こういうことだけは明らかにしておきます。
じゃ、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/73
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074・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/74
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075・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/75
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076・加瀬完
○加瀬完君 短くやります。この特別会計の目的が、国立学校の内容の充実、かつ今後における拡充整備を促進することにある、こういう覚え書きが交換されたわけでございますので、これは大学協会等が指摘しておりますように、いままではその年暮らしの予算が組まれて継続性と安定性がない、かつ建物や設備の充実についても見通しを持っておらない、こういう点が指摘されておったのですが、こういう点は解決をされるものだと解釈してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/76
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077・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 私も、特別会計がつくられることによってそういう方向が確立をせられる、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/77
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078・加瀬完
○加瀬完君 国立大学の施設の整備がこれから促進をされるわけでございますけれども、現状、大学側等で指摘しておりますのは、戦前は人件費、教育研究費が四対六くらいの割合でありましたのが、戦後は逆に六対四になって、教育研究の上に非常に支障を来たしておる、こういうことが指摘されております。こういう問題も解決されると見てよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/78
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079・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) いずれにいたしましても、一般会計でおりますときよりも、特別会計に移すことによって、すべての問題が一ぺんに解決するというわけではございませんが、いまよりもよりよくなる、こういう方向で考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/79
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080・加瀬完
○加瀬完君 昭和二十六年に教育刷新審議会が、少し古いのでございますが、大学の財政の問題、経理の刷新ということについて答申を出しております。総合計画を立てて行なうべきだという何点かが指摘されておりますが、これも総合計画が立てられて、その総合計画がこの特別会計によって裏づけされると解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/80
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081・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 文部当局等も十分配慮していると思いますので、文部当局の意向を尊重しながら、私たちも協力的な態勢でまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/81
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082・加瀬完
○加瀬完君 こまかいことで恐縮ですが、いままで国立大学の予算で一番困ったのは、施設費あるいは経常費、この積算の基礎が非常に大学側から見れば根拠が薄いといいますか、一般性がないということも指摘されておったわけであります。文部省のほうにも関係がございましょうが、大蔵当局としては、この積算の基礎というものを十分大学側の意見も聞いて、いままでよりも積算の合法性といいますか、合理性を高める用意があると解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/82
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083・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) そういうところは、特別会計になると非常にいいわけであります。一般会計の中にありますと、標準単価でございますから、政府がみずから物価を上げるようなことはできないわけであります。また、財政力豊かな東京と私の選挙区みたいな財政力豊かならざるところと一緒にするわけにはいかないが、標準単価でもってやることはやむを得ないことであります。でありますから、そういうことで、もう少し金をかければもっといい学校ができるかなあというようなことが、いままで一般会計の中ではできなかったわけでありますが、そういうときには、ちょうどとっておいた財産もあるからということで、非常にいいものができる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/83
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084・加瀬完
○加瀬完君 その御趣旨からすれば、大学間の格差あるいは新制大学の不十分な点、こういうものも解決をされてくると解してよろしゅうございますか。大学間に格差がございますね。それから、新制大学などは設備が非常に不十分でございますね。こういう問題も、特別会計制度によりまして解決されるものだとやはり考えてよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/84
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085・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) そういう方向に行くと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/85
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086・加瀬完
○加瀬完君 悪い方向ではないから、方向だけでも私はけっこうだと思います。先ほど御説明の中に土地を自由に売れるので施設が幾らでもできる、こういう御説明がございました。そこで、一体充実のために要する経費の総額をどれくらいにお見込みなのか。大学の施設充実に対する経費をどのくらいにお見込みなのか。それから、不用財産を処分して得られる総収入というものは、一体どれくらいにお見込みなのか。売って幾らでもできるといいましても、この必要な経費と、それから当然特別会計の収入になり得る売却の総額というものがはっきりしませんと、このバランスはわかりませんので、その点どう御計算になっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/86
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087・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 大蔵省ではそのようにまで計算してございません。また、これは大蔵省の計算すべき問題じゃございません。そこで、ひとつ特別会計が新設されたら、一体これからの大学の制度、大学の規模をどうすべきだ、そうしてその一つ一つ当たりますと、これは不用である、こういうものがだんだんと出てくるわけでございます。でありますが、建物等をつくるために、十年、二十年後に必要なものまで売って建物をつくるというようなことを大蔵省はやらせるつもりは絶対ありません。ですから、必要な敷地は確保しておいて、そうして長期計画のもとに必要ならざるものは売却せられるということがあり得るわけでございますが、この財産が幾らくらいになるということは、いま積算できないわけごでざいまして、これから大学整備五ヵ年計画を、どのような方向でどのくらいまで整備するかという基本的な計画がきまって、初めて不用財産というものがはじき出されるわけでございますので、そういう状態において積算されるべきものだと考えまして、私たちは売り急ぎをさしたり、また将来必要なものまで売らせるというような考えは、もう全然原則的に持っておりません。ただ、いま申し上げられるのは、特別会計に帳簿価格において二千百億というものを無償で出すということであります。建物の延べ坪は二百六十万坪くらいあると思います。それから土地の坪教は三億五、六千万坪あると思います。とにかく膨大なものを無償で出資をするということだけは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/87
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088・加瀬完
○加瀬完君 しかし、二つの問題があると思う。たとえば、先ほど問題になっておる東京大学が、東京大学の不用な物件を売却したところでそれは大学の特別会計全体のプール計算になるわけで、東京大学は東京大学で特別使えるということにならないのじゃないかというのが一つ。もう一つは、土地あるいは建物等を売却するといいましても、そういうプール計算になるということであれば、これは不用のものでも不用として提供する率というのは下がってくるのじゃないか。あるいはこれは地元寄付等の関係もありますから、地元でもう一回払い下げなんかの申請があります場合には、適正価格で実際は売却できなくなるのじゃないか。ですから、これは名目の上ではいかにもいい案のように思われますが、実際にあまり効果をあらわさないのじゃないかという点があろうかと思いますが、この点はどのように考えておいでですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/88
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089・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) こまかい問題を一つ一つ当たっておりませんから、わかりませんけれども、一つの例として言い得ると思います。東大のわきの道路を広げたのですが、これは十年間広げなかったのです。なぜかというと、学校の敷地がそうでなくても狭いのに、道路に取られちゃいかぬ、こういうことで十年間藍染橋から東大に至る道は広げなかったのです。これは無償だからであります。今度は有償であります。国から出すときには、ただやるわけです。今度特別会計からもらう場合には道路費用として代金を払う、こういうことでありますから、この一つの例をとってみましても、特別会計をつくることは非常に財政上は前向きである、前進的であるということは、一つの例として申し上げられるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/89
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090・加瀬完
○加瀬完君 こまかいことになりますから、いずれ後日伺うことにいたしまして、だからといいまして、現在の大学の財政権は非常に自主性を持たせられるということには私はならないと思う。特別会計になりましても、現状よりもそれぞれの大学が財政について自主性が高められたということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/90
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091・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) また東大の話を出すようで、まことに申しわけありませんが、もしもの問題でございますから、ひとつ御了解いただきたいと思いますが、いままでは一般会計でありましたから、なかなか学校の自主性ということも足らぬ面があったわけであります。今度特別会計ができまして、建て交換制という制度が発足すれば、私は東大の諸君もじっとしておらぬと思います。こんなに東京じゅうばらばらになっておって管理もできない状態よりも、政府が筑波山ろくで千百万坪つくるからその中で百万坪ただでもらいたいとか、赤城山ろくでひとつないか、こういうようなことも考えられるであろうと思います。そうしてそこで理想的なものが建てられる、しかも短い間に建てられる、そうして国有財産の特別会計の中で、どこかの東大の一部と交換して、今の本郷は全部医学部として堂々たる医学部ができるというようなことは、これは当然考えられると思うのです。ですから、そういうことは、一般会計の場合は大蔵省あり文部省あり、なかなか実際に特別会計ほどうまくいかぬ。どの特別会計を見ましても、治山治水特別会計を見ても、道路特別会計を見ても、みんな例が明らかになっておるわけでありまして、一般会計の硬直性というものをより弾力的にしようというのが特別会計あるいは三公社五現業の制度でありますから、やはり方向としては一般会計より弾力性を持つというふうに考えるべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/91
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092・加瀬完
○加瀬完君 特別会計のワクの中でそういう操作ができるとしても、たとえば京都大学なら京都大学、東京大学なら東京大学が、自主性を持ってそういう計画を推進し、財政的な運営をするということは、まだ一歩うしろ向きだということになりますね。——時間がないようでございますから、次に移ります。
第七条の借り入れ金でございますが、借り入れ金の必要は単に付属病院にとどまらないと思う。付属病院だけに限ったのはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/92
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093・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) これはちょっと、病院よりも学校までやれということになると思いますが、この学校にやらないで病院に限ったというところが非常にいいところでございます。学校はもう一般会計の負担でやるということに重点を置いているのでありまして、そういう意味は、学校をつくる場合には債務負担行為をつければいいわけでありまして、学校まで借り入れ金をやるということになると、これは少し企業会計的な色彩が出てくるわけでありますので、学校だけはやはり一般会計でやるという原則を貫いていることが非常にいいところであります。しかし、病院というものは、病院収入があるわけでありますから、ある時期に投資を思い切ってやる——一棟づつやるために非常に困る場合もありますし、特に東京逓信病院のように、五階建てが四階でもって打ち切られておる。病院に人が入ってしまうと、あと一階というものは継ぎ足せない。非常に無理なものが病院建築にあるわけでありますから、こういうところは、四階まで予算があるので、あとの一階を借り入れ金をもってつくってしまうということは、いかに合理的だかという意味で、病院の分に対して借り入れ金を認めた、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/93
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094・加瀬完
○加瀬完君 あと二点伺います。
しかし、病院の新築なり増改築なりというものは、これは政府資金を充てて行なうべきものであって、病院だけ借り入れ金で便法を講ずるというのは私は当を得ないと思うわけです。しかし、その問題には触れません。
次に、剰余金の積み立てでございますが、いま両大臣がお取りきめのような関係にありますときには、この積み立て金は問題はないと思う。しかし、いろいろ物件を売却いたしまして、その物件の売却というものは現状においては剰余金として積み立てるという形になるんでしょう。しかし、将来はこの売却等、または特別収入による収入は、積み立て金であっても歳入源に見込まれてまいりまして、それだけ国のほうの支出というものを減らしてくる、こういうことにならないか。そういうことにならないという保証は法律の上ではないわけでございます。この点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/94
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095・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 特別会計をつくりましたのは、一般会計のワクよりも特別会計をつくることがより合理的に支出をたくさんできる、こういうために特別会計をつくったわけであります。でありますから、一般会計のワクをきめておって、もう学校や病院の会計の総ワクはこれである、こういっているならば、病院収入がふえたりいろいろなものがふえれば、また売り払いの収入がふえれば、一般会計が減るということはありますが、そうではないんです。一般会計で幾ら二〇%、一〇%ずつふやしていったって満足な大学はできない。ここでひとつ思い切って特別会計に移そう、こういったのでありますから、一般会計を減らすような考え方を前提にしてこの特別会計の新設を考えておりません。こういうことで御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/95
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096・加瀬完
○加瀬完君 それから、特別会計ということになれば授業料は上げませんとおっしゃられますから、そのとおり授業料は上がらないと私どもも了解をいたします。しかし、授業料以外の、たとえば一般の私立学校あるいは府県立の高等学校などでやっているように、寄付金、施設積み立て金あるいは施設充当金といったような寄付金、こういうものを特に学校側としては運用上考えてくるおそれもあります。そういったいわゆる税外負担といったようなものも特別会計になったからといって、学校の都合でやらせるようなことはないという保証を得られますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/96
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097・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 地方自治法の規定もございますように、税外負担はできるだけこれは減らすというのが方針でございますので、特別会計移管によって野付金等がふえるということは絶対ないと考えますし、また、ないように文部省も当然行政指導されるものだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/97
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098・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/98
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099・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/99
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100・秋山長造
○秋山長造君 時間が非常に過ぎまして、委員長以下大蔵委員の皆さんにたいへん御迷惑をかけて相すみません。もうすぐ終わりますから。
これは私が先ほど来いろいろ御質問をしたのですが、まあ時間が、その序論の辺で時間がたってしまいまして、いきなり結論みたいなことになるのですけれども、実は文部大臣に特に私お考えを願いたいと思いますことは、この特別会計の今後の運営ということについてどういう構想を持っておられるのかということなんです。大体、そもそもいえば、まあさっきも私は繰り返し御質問しましたように、ここまでの結論を出すまでに、その手続として関係各方面の代表的な人も網羅した審議会のようなもので徹底的にこの大学財政のあり方について検討をし、論議をした上で事を慎重に運んでほしかった、そうさるべきだったということを申し上げたのですけれども、それは不幸にしてそういう手続はとらないままに結論を先に出してしまう。しかも、一番重大な大学の施設の整備拡充についての長期計画というものが何もできていない。すべてこれからだというようなことなんです。しかも、大蔵大臣は、まあ簡単に、財産を処分すれば幾らでもこの新規の財源ができる、だから何でもやれると言わぬばかりのことをおっしゃるけれども、しかし、具体的に考えてみますと、これは財産を処分をしましても、その収入が大学のふところに入るのじゃありません。特別会計というものに入ってくるのであって、その当該大学のふところにストレートに入るものでもなんでもない。したがいまして、財産処分一つとっても、これは一体どこの財産をどれだけ処分するか、そしてその処分による収入は何に使うかというようなことを一つとっても、非常に重大な問題だと思うのですね。よほどこれは公正に、しかも弾力的に、しかも現実的にやっていかないと、これはやり方いかんによっては——そうでなくても、大学同士の格差が非常にひどくて、一方では東京大学のような世界一流の大学もあれば、片一方では駅弁大学なんかと俗に笑い話にされるようなお粗末な施設を持った大学もたくさん残っておるわけですね。たまたま地方大学で少し整備した大学があるかと思えば、これは国費でやったのではなくて、地元寄付みたいなものでほとんどまかなっておるというようなものがほとんどですね。そういうわけです。
それから、大体大学財政の問題を貫いて昔から流れている大学財政の自主性、それから安定性、継続性、こういうものは、これは大学財政を動かしていくいわば三本の柱みたいなものじゃないかと思う。そういうことを総合的に考えますと、明治四十年に、西園寺内閣のときに、初めて帝国大学特別会計法というようなものができて、そうして当時、当事者の非常な卓見によって帝国大学経理委員会というものが、当該帝国大学と、それから文部省、大蔵省、この三者構成による経理委員会というものが設置されて、そうしてそこでこの特別会計の運営というものが取り運ばれていったという、これは先例もある。そこで、この特別会計というものをやろうとする以上は、必ずそれに類するような民主的な機関、審議機関というものを設けて、そしてその審議に基づいてこの特別会計の運用というものを進めていかれなければいかぬじゃないか、進めていかれるべきだということを考えるわけです。それ以外にその大学自身の自主的な意見を十分取り入れていくという道はないのじゃないかというように考えるのですが、その点については不幸にしてこの法文にも入っておりません。また、政令にも考えられておらぬようです。また、両省の間で取りかわされた覚え書きの中にもそういう点には触れられていないんですけれども、私はこの点が、特別会計制度というものが、私どもがいろいろ危惧するようなマイナス面をできるだけ出さないようにして、前向きで少なくとも進めていく、先ほど来大蔵大臣なり文部大臣なりがいろいろ効能をおっしゃったその効能を生かしていく一つの、どういいますか、保証になるのじゃないかというように考えるのですが、その点をどうして文部大臣はお考えにならなかったか。それからまた、これから考えていかれる、あるいは政令においてその機関の構成等を取りきめていくと、あるいはこの政令でなくても規則かあるいは省令かなんかそういうもので取りきめて考えていくというおつもりはないかどうか、この点、これは十分お考えの上で御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/100
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101・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 大学特別会計の運営というものは、決してそう容易なものとも思いません。いろいろ各大学の事情もあることでありますし、その間に処して各大学がそれぞれ満足しながらやってもらうということのためには、よほど運営を気をつけてまいらなければならぬと思うのであります。先ほど、昔のたしか東京帝国大学と京都帝国大学の経理委員会かなんかのことを御指摘になったのではないかと思うのであります。確かにそういう制度がございました。ただ、そのときの委員会の性質は若干御趣旨とは違うのじゃなかろうか、このようにまあ考えている次第であります。いずれにいたしましても、大学側との間に十分な連絡をとり、協議を尽くしまして、この会計の運営をはかってまいりたいと私は思っておるのであります。
御指摘のように、法律の中には格別な機関というふうなものは書いておりませんが、私としましては、実は衆議院でも同じような御趣旨の御質問があったのでございます。それに対しまして、ともかく文部省、大学側並びに必要に応じて大蔵省側と、この三者が随時協議を尽くしまして、この特別会計の運営に遺憾なきを期してまいりたいと思っております。なお、実際に運営してみまして、特殊な機関を必要とする、制度的に必要とするということになれば、その際にまたあらためて皆さま方の御審議をわずらわしたい、かように考えておりますが、いずれにしましても、十分大学側の意思を尊重しながらこの特別会計は運用してまいらなければならぬ性質のものと、そのように考えておりますので、連絡協調につきましては、心がけてまいるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/101
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102・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 以上をもちまして、本連合審査会は終了することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/102
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103・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定しました。
連合審査会を散会いたします。
午後四時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614685X00119640402/103
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