1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月十九日(木曜日)
午前十時三十七分開会
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委員の異動
三月十八日
辞任 補欠選任
田中 茂穂君 鍋島 直紹君
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出席者は左のとおり。
委員長 竹中 恒夫君
理事
石谷 憲男君
西田 信一君
松本 賢一君
委員
井川 伊平君
沢田 一精君
館 哲二君
占部 秀男君
鈴木 壽君
林 虎雄君
松澤 兼人君
辻 武寿君
市川 房枝君
国務大臣
自 治 大 臣 早川 崇君
国 務 大 臣 宮澤 喜一君
政府委員
自治省財政局長 柴田 護君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
参考人
公営企業金融公
庫総裁 三好 重夫君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○公営企業金融公庫法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
初めに、参考人の出席要求についておはかりいたします。
地方税法等の一部を改正する法律案、市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案、両案審査のため、来たる三月二十七日参考人の出席を求めることとし、その人選等につきましては、委員長、理事に御一任願いたいと存じますが、さよう決することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/1
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002・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/2
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003・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続き、質疑を行ないます。自治省当局のほか、公営企業金融公庫から三好総裁が出席されております。なお、後刻自治大臣、経済企画庁長官が出席の予定でございます。
それでは、御質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/3
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004・沢田一精
○沢田一精君 先日の委員会で公営企業自体につきましてはいろいろ質疑があったわけなんですけれども、私は、したがいまして、ただいま提案されております法律改正の諸点につきましてお尋ねをいたしたいと思います。
その第一点は、法の第五条の二項、三項を今回改めるわけでございますが、どういう理由で、「必要があると認めるときは、」政府は、「予算で定める金額の範囲内において、公庫に追加して出資することができる。」、何かの理由があってこういう規定を設けられると思うのでございますが、その理由についてまず承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/4
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005・柴田護
○政府委員(柴田護君) この政府関係機関に対しまする出資の規定のしかたにいろいろあるわけでございますが、従来はそのつどそのつど法律をつくって規定をして御審議をいただくという形をとってきたのでございますが、出資そのものにつきましては、予算の審議等を通じまして、その是非について御審議をお願いするわけでございますが、むしろ必要がある場合においては出資の追加ができるというような意味合いの弾力規定を置いてやったほうがいいんじゃなかろうかといったような意見もありまして、政府部内におきまして、大体こういうような方向に——こういう種類の規定につきましては、こういう方向で統一したらどうかといったような趣旨がありまして、このように改正しようとするものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/5
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006・沢田一精
○沢田一精君 そういたしますと、ほかの政府関係機関と申しますか、公団、公社の資本金の規定も大体このように統一しようというお考えなのかどうかということが一点と、もう一つは第五条の第一項「公庫の資本金は、二十四億円とし、」という規定がそのままになっておるわけなんですが、将来はこの法律に規定する公庫の資本金と実際の資本金との相違が法律上出てくると思うのですが、その辺はどういうふうに理解しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/6
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007・柴田護
○政府委員(柴田護君) これは立法のしかただと思いますけれども、最初お尋ねになりました、どういう方向でこれからやるのかというお尋ねでございますが、政府といたしましては、大体いままであった形についていま全部一緒にこれを整理するということは、いたさないようでございますけれども、今後こういう規定につきましてこれを改正いたします場合には、こういう方向でやる、こういうようなことでございます。
それから、おっしゃるとおり当初の、最初の資本金が出てまいりまして、あと追加をしているわけでございますので、法律上の出資金の額というものと、資本金の額というものと、実際違うということは、そうなっていくわけでございますけれども、従来からこういう規定を置いておりますやり方のものにつきましてはすべてそうなる。その中身につきましては、結局予算審議等を通じまして明らかにしていくという形になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/7
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008・沢田一精
○沢田一精君 いまの御答弁のとおり、今後はこの種のものについては、単に、国会としては予算審議の過程で参画していくというかっこうになりまして、法律改正ということ自体ではわれわれとしましては、厳密な意味でタッチできないというかっこうになってくるわけなんですが、そういう意味で私どもの国会の審議が手薄くなると申しますか、むしろ政府側からすれば、こういう一々国会にはかって法律改正という手続を経ないでも、かってにやれるという結果になると思うんですが、国会を軽視する気持ちはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/8
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009・柴田護
○政府委員(柴田護君) そういうつもりは毛頭ございません。むしろ、まことにささいな数字の変更を——ささいな数字の変更というと語弊があるかもしれませんが、資本金額だけを直すということについて法律改正手続をとって、むしろ御審議を繁雑にするとと語弊がありますけれども、よけいなお手間をとらせる、そういうことはむしろやめて、どうせ予算にはかかるわけですから、予算審議の場合において十分それは御審議をわずらわしたい。むしろ、能率的に審議をしていただくためにはこういうほうが便宜じゃなかろうか。国会軽視じゃなくして国会の審議が円滑にいくようにと、むしろそういう気持ちから、こういう立法形式がとられるようになってきたのだというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/9
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010・沢田一精
○沢田一精君 次にお尋ねしたいことは、第十条ですが、今回の改正によって監事の職権を明確にいたしておるわけなんですが、こういう監事の職権を明確化する必要が何か具体的にあったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/10
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011・柴田護
○政府委員(柴田護君) これは新聞等で御承知とも思いますけれども、行政管理庁におきまして政府関係機関についていろいろ調査をせられました。その結果、公団、公庫の監事につきましてもっと権限を強化してやれ、そして監事が本来の職分を尽くせるようにもっと監事の権限を強化すべきであるという意見が出たわけでございます。その意見に従いまして、大体今回、本法だけではございませんで、ほかの法律につきましても改正法案があるものにつきましては、こういうような規定を置いて統一していく。監事の権限を公団、公庫につきましては強くする。こういう措置がとられたのでございますが、ただ最初に申し上げましたように、政府原案では「政府又は総裁を通じて主務大臣に意見を提出することができる。」という予定であったのでございますが、衆議院におきましては「総裁を通じて」という文句は、かえってこの改正の趣旨を不明瞭にするという意味で削除された経緯がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/11
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012・沢田一精
○沢田一精君 そういたしますと、監事の職権の明確化ということは、公営企業金融公庫だけではなしに、同種の政府関係の公団、公庫のほかの面につきましても同じような措置をとろうと、こういうふうに政府としてはお考えになっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/12
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013・柴田護
○政府委員(柴田護君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/13
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014・沢田一精
○沢田一精君 次にお尋ねいたしますが、手元へ配付いただきましたこの資料を拝見しても、三十二年に設立をされまして政府の出資金が年々行なわれていると。で、三十八年にはゼロであったものが三十九年度——来年度におきましては一億の政府出資をしよう。これはまあ一億という金額は非常に寡少だということは先般も言われたわけなんですけれども、何か理論的な根拠があるわけなんですか。今回一億をプラスされようという根拠ですね。二十四億というのがどうも端数であるから、区切りのいいように二十五億にしようと、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/14
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015・柴田護
○政府委員(柴田護君) 査定の過程におきましては——査定と申しますか、折衝の過程におきましてもさような議論もございました。しかし正直に申し上げまして、公営企業金融公庫の出資金をどう考えるかということにつきましては、財政当局と私どもの考え方に、先般もちょっとお話し申し上げましたが、まだ若干距離がございます。それは、この前の委員会でも総裁からもお答えがございましたが、現状で何とかやっていけるという限度ならば、おそらくこの程度でもいい。しかし公庫というものの本来の姿というものを発揮するという形から考えますならば、やはり私どもはこの出資金じゃ足らぬと考えているわけでございます。その辺のところが予算の折衝の過程で議論が煮詰まりませんままに一億ということに、結局妥協的な出資額になったというのが偽らざる事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/15
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016・沢田一精
○沢田一精君 私は、いろいろ同じような公庫がたくさんあるわけなんですけれども、他のいろいろな公庫の資本金に比べましてこの公庫の資本金というものがあまりにも少ない。これはもう先般も指摘されましたとおりでございます。たとえば国民金融公庫であれば資本金が二百二十億、住宅金融公庫であれば八百五十五億、農林漁業金融公庫におきますと千三百十三億、中小企業金融公庫が二百四十七億、北海道東北開発公庫でも三十五億の資本金があるわけなんです。ということは問題になっております公営企業ということに対して非常に認識が乏しいのじゃないかという気がするわけなんですけれども、ほかの公庫の出資金と比較されましてどういう見解を持っておいでになりますか、お尋ねをいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/16
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017・柴田護
○政府委員(柴田護君) これもこの前お答え申し上げましたとおり、私どもといたしましては公庫創設の趣旨から考えまして公庫の現状に満足いたしておるわけではございません。したがって公庫の現状を、より創設の趣旨に即せしめますためには、どうしても出資金の増額によって、やはり安い、安定した金というものをつくり出す必要がある。そのためには出資金だけでは十分でございませんし、また出資金以外の手段もあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても出資金をふやすことは非常に御希望があるわけでございます。そういう意味で、ほかの公庫と比べましても出資金が少のうございますし、それから公庫本来の姿というものを発揮させるためにもやはり出資金というものを増して、安い、安定した資金をつくり出す必要があるというふうに考えまして、いろいろお話をしたわけでございますけれども、どうも実際問題としては結果的には話し合いがつきませず、現在その間に距離を置いたままの形になっておるわけであります。私どもはいずれまた、その辺のところはなお今後とも話し合いを煮詰めて、ぜひ公庫本来の姿というものを、あるべき姿というものを実現するようにつとめてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/17
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018・沢田一精
○沢田一精君 いまのお話なんですけれども、どういう点がその了解点に達しなかったおもな点であろうかと私ども奇異に思うわけなんですが、たとえばですよ。これは公庫自体とされましても、いろいろな、いま申しますような各種の公庫があるわけなんですが、その政府出資金、すなわち資本金の現在までの運営の状況と申しますか、たとえば出資金と貸し付け額の比率というようなものが、どういうことにほかの公庫はなっておるのか。それに比べて公営企業金融公庫がどういうような状態で現在運営されておるのか。そういう点についてもやはり一つの目安としてよく御検討になって、そうして理詰めで折衝なされるならば、私はもっとほかの公庫のようにふやすことができるのではなかろうかと思うのですけれども、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/18
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019・柴田護
○政府委員(柴田護君) そこのところが結局争いの——争いといいますか、見解の分かれ目になっておるわけなんでございます。つまり公庫というものを、それぞれの地方団体が各自に募債いたしますので、かわってやる機関だと、つまり単なる金融機関と申しますか、代替的な募債機関的な考え方——したがって、そういう考え方をとりますれば、いまの政府の保証債の発行の一つの水準というものが——ほかとの関係があるわけでありますから、その限りにおいて公募債を発行して資金を集めて、そうして仕事をやっていくということでありますれば、現在の資本金でも収支は合うわけです。だから、いまのままでいいじゃないかということになってしまう。これは先般来公庫の総裁からもお話があったわけでございますが、そういう考え方じゃないかと思うのであります。私どもはその考え方には満足しておりません。たとえば、ほかの公庫等を考えますならば、それぞれ特殊の創設目的を持ち、それによって場合によっては差別的にやっておる。そういうことをやるのがいいか悪いかということについては、若干問題がございますけれども、少なくとももっと安い資金というものを公庫に供給する必要があるんではなかろうか。それがまた公営企業というものの健全化を促進する手段ではなかろうか、有力な方法ではなかろうかと考えるわけです。そうしますと、どうしても資本金をふやしませんと、そういう金が生み出せぬわけでありますから、そこのところを認識してほしいということをたびたび申してきたのでありますけれども、そこに見解の合わないところがある、そのように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/19
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020・沢田一精
○沢田一精君 問題を逆に別な方向から考えてみますと、これも先般鈴木委員のお尋ねにお答えがあったようですけれども、実際の運営面を見まする場合に、自治省のほうで査定をされまして、そうして、きめられた分については自動的に公庫資金が流れていくというようなお答えがあったわけなんですが、私はそうなってまいりますと、公営企業金融公庫自体としての自主性といいますか、あるいは一つの政策意図を持って、日本の公営企業というものの健全な育成に資していくという面が、あまりにも私は少ないのじゃないかと思うのです。政府の出資金もほかの公庫に比べて非常に少ない。しかもその運用もほとんど自治省のほうできめられたものについて、自動的にそれを引き受けていくだけだということになりますれば、私は当初の公庫設立の方針というものが相当ゆがめられてきたと申しますか、弱まってきたような気がするわけですが、総裁いかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/20
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021・三好重夫
○参考人(三好重夫君) 財政局長から御説明がございましたように、公庫の創立された趣旨をどう解するかというところに解釈の相違がすでにあるのでありまして、法律に書かれております条文の文句どおりの点については、これは別に意見があるわけではございません。しかし公庫というものが各地方団体の発行します債券の共同消化機関であるという結論を出さざるを得ないような考え方に立ちます場合と、そうでなくて純粋の金融機関だというふうな考え方に立ちます場合と、非常な相違が出てくるのであります。そこのところが、現在まあ大蔵省当局におかれましては、創設以来やはり狭いような意味に解釈していろいろな措置をしてくださっておる。われわれのお願いもそういう壁に常にぶち当たるというかっこうになってまいっておるのが実情でございます。そこで、それでは自主性があるかないかという問題になりますと、私どもは、貸し付けの審査というものを、その部分だけを政府がおやりになっておるのだと、したがって、まあ言葉は変でございますけれども、政府の起債許可に当たっておられます部門が私どものほうの審査部門であるというふうに考えて処理いたしておるのでありまして、その意味におきまして、実際の貸し付けにあたりましては、政府では御許可になっておるけれども償還ができるかできないかという判断は、一応機械的にするようではございますけれども、私どもの判断を加えておるわけでございます。ただこれは、まあ私は役人出身でございますので、ことに地方自治に長い間関心を持ってまいっておるものでございますから、事務処理をできるだけ簡単にして地方団体に御迷惑をかけないようにする。それにつきましては、書類の作成も簡単にし、貸し出しの資金もなるべくやかましいことを言わないで出さなければならぬ。時間的にも、御必要があれば即座に右から左にお出しするようにしなければいかぬというような方針で、きわめて簡素な、おそらく金融機関という立場から見ますならば説明のつかないような簡素な方法で出しておるのでありますが、それの考え方の根本には、ただいま申しましたような、一応政府の起債許可の部門のお仕事を私どもの審査部門の仕事であるというふうに観念し、あるいは外にも説明しまして、そういう措置をとっておるわけであります。そういう意味合いにおきまして、私どもは常に政府に対して、私どもの審査部門であるという感じのもとにいろいろの働きかけをしなければならぬ問題がございます。貸し付けの範囲を広げていただくとか、あるいは起債の許可を迅速にしていただくとか、いろいろな注文があるわけでありまして、それはおそらくは他の公庫とは違った形において強く常に要請をしておるという一つの特徴になっておると思うので、幸いそういうことが聞きいれられまして、いわば政府と一体になって措置をしておるという結果になりまするので、その意味における自主性というものは、これはまああると考えなければならない、かように考えております。要はそういう特殊な形で運営されておりますのでありますが、これを同じ形で、純粋の金融機関的に考えていけるかどうかという問題になりますると、私は純粋の金融機関的立場において考えていけるのじゃないか、またいくべきではないかということを考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/21
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022・沢田一精
○沢田一精君 先般も鈴木委員から御指摘があっておったようでございますが、公庫設立の当初の目的というのは、公営企業というものの健全な発展、育成ということに資するために、低利で安定した資金を供給していくということにあったと思うわけなんです。この公庫が設立された昭和三十二年度という年においては、公営企業全体としていまほどいろいろ深刻な問題は私はなかったのじゃないかと思うのです。その時点においてさえそういう低利、安定した資金を供給するという意図をもって設立された公庫でございますが、現在のように、公営企業全般についていろいろ問題ができてきておる、少なくともそういう時期には、公庫設立の当初の趣旨というものを公営企業というものの全般の現状に照らしまして、さらに修正をするというか、強力に公営企業というものの育成をはかるために、大きな政策的な意図を持って低利で安定した資金を豊富に供給していかれる義務があると私は思うんです。で、そういう点からすると、やはり先ほど申し上げたことに帰ってくるわけなんですけれども、まあ三十八年度はゼロ、三十九年度わずかに一億というふうな出資では、これはいま申し上げたような私の意図からほど遠いものがあると思うわけなんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/22
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023・三好重夫
○参考人(三好重夫君) 先ほど申し上げましたような公庫に対する根本の考え方の違いがあるのでございますが、ただいままあ事実政府でとっておられます方針、私どもがその方針に沿って運営いたしておるその方針に従いますれば、必ずしもこれ以上の出資がなくてもやっていけないというものではない。しこうしてなるべく低利で安定した資金をというお話でございますが、これもかりにお役所式に説明するといたしますれば、先般も申し上げました指定債の利子、旧指定債の負担される利子に比べますと、公庫から供給いたしておりますものは事実上おそらく六厘ないし七厘の開きがございまして、それだけ安い利子のものを供給いたしておるのであります。したがって広く地方団体全体の立場に立ち、あるいは政府のお立場にかわって考えまするというと、旧指定債というようなものも私のほうに吸収するならば、少なくとも旧指定債を発行しておられまする団体のものは六厘ないし七厘程度よりも引き下げられる可能性があるわけで、その意味におきまして何とかして旧指定債を私どものほうで扱う方向でもってやられるのがいいんじゃないかという意見もしばしば出しております。それから先般鈴木さんにお答え申し上げましたように、私どもといたしましては現在よりもなお安い利子で資金の供給ができるようにいたしたい。こういう念願をしておるのでございますが、これにはただいま沢田さんのお話のように出資の増額というものが伴ってまいるわけでございまして、それによりまして公庫に対する根本の考えを変えていただいてやれば可能である、こういうのが実情でございます。一応の説明といたしましては、かつて地方団体が自分で地方債を発行しておりました時代よりははるかに安い金利で供給ができておる、これも旧指定債を発行しているものに比べてもなおかつ六厘ないし七厘の開きがあるということで、一応の形においては相当低利でいたしておるというふうに申し上げざるを得ないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/23
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024・沢田一精
○沢田一精君 次に、お尋ねをいたしたいと思うんですけれども、現在の公営企業の状況からして、業務の内容というものを少なくとも拡大してもらって、たとえば短期的なつなぎの融資をするとか、あるいは運転資金の貸し付けをするとか、そういった点についてはお考えになっておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/24
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025・三好重夫
○参考人(三好重夫君) お話の短期資金の供給が、先年国会におかれましてこの公庫法の御修正がございまして、国会修正で短期資金の供給ができるように道を開いていただいたわけであります。自後要求に応じてできるだけの供給をいたしておるのでありますが、この点率直に申し上げますと、私どもの余裕金の範囲でのみその供給をいたしておる、需要に応じておるという点に一つの壁がございます。それからもう一つは、金利が現在日歩二銭でございます。今日のような金融情勢になりましたから、あるいは情勢が変わってまいるかもしれませんが、現状では地方の銀行等における余裕金を一時借りられるほうが、二銭の日歩よりも安いという場合がちょいちょいございまして、そちらのほうへ要望が回っていく。したがって私どものほうへは来ないという事例もございます。また政府資金におかれても、短期の融資をしておられるのでございます。もっとも政府資金につきましては、手続きが非常に煩瑣でございまして、地方団体側のお話を聞きますと、手続きをしてから従前はどうしても一月以上かかって短期の融資がようやく御融資願える、その間にもう一ぺん短期が要るというような不平を言っておられたのでありますが、だいぶ政府資金においても改善されてまいったのでありますが、なお私どものほうのように、簡単にはまいっておらない。書類もたくさん要るし、時間もたくさんかかるというようなのが実情のようでございます。そこで結局、なるべく安い銀行に対して要求がある、あるいは私どものほうへまいるという形になっているのでございますが、この二銭という金利は、実はもっと下げられるというふうに考えているのです。私どものほうで余裕金がございます場合に運用いたしておりますのが短期国債の買い入れでございまして、これの処分益が大体一銭六厘前後でございます。そこでとりあえず一銭八厘に下げることを認めてもらえないかということを、政府に対して、もうだいぶ前からお願いをいたしておるのでありますが、なかなかお認めを願えない。告げ口のようでたいへん申しわけないのですが、これはそのおつもりでお聞き願いたいのでありますが、今日大体においてその問題が解決する段階に差しかかりまして、大蔵省部内におかれましても、ある一部にのみ、まあ反対的な意見がある現状になっている。ところへもってきて、今度の公定歩合の引き上げというような事態が起こりましたので、またややとんざの形に差しかかっているのであります。その反対せられる理由というのが、私どもにはとうてい納得できないのでありますけれども、結局けんか別れのようになるというのが落ちでありまして、なかなか認めてもらえない。認めてもらえない根本は、少しかんぐって申し上げますれば、短期資金の供給を認められたのは国会における修正であって、政府が提出された意見ではない。したがって機会あるごとに、かんぐればですね、なるべくそうならぬようにやっておられるのじゃないかというくらいに考えざるを得ないような、反対意見が出てくるのが実情でございます。まあそういうことで、こういう状況でございますれば、ただいまここへお伺いする途中でも、私の部下と相談したのでありますが、明年度におきましてはやむを得ないから、通るか通らぬかわからぬけれども、短期資金の資金ワクというものを要求せざるを得ないのじゃないか、それによって地方団体の増援をはからざるを得ないのじゃないか、こういうような事態に差しかかっているような次第であります。別に告げ目するような意味で申し上げたのじゃございませんけれども、一事が万事で、ひとつ御想像願いたい、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/25
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026・沢田一精
○沢田一精君 短期のつなぎ融資においても、そういう道は講ぜられておっても、実際問題としていまの総裁の御答弁のようなことであれば、これは何にもならないと思うわけです。先ほどから申し上げますように、やはり設立当初の理想と申しますか、方針に立ち返って、公営企業の現状からして、さらに公庫の業務運営というものを活発化し、安定した低利の資金を流すということに十分留意をしてもらいたいと思うわけなんです。繰り返すようでございますけれども、単に今回の法律改正は先ほど申し上げたように資本金の増額を簡易、簡便にしたとか、あるいは監事の権限をほかの公庫と同じように強化をしていくというようなことだけでは、現在当面している公庫の業務の運営の充実刷新ということには私はほど遠いのじゃないかという気がするわけです。そういう意味で、もう少しひとつ政府部内においても十分この点について御審議をいただいて、先ほどから申し上げておりますような点、さらにまた、たとえば据え置き期間の問題にいたしましても、あるいは償還期限の問題にいたしましても、少しでも延ばしていく、あるいは金利の点についても少しでも引き下げていく。そうすることによって、公営企業の危機を救う一助に役立ってもらいたいと思うわけであります。
最後に、ちょっと事務的なことをお尋ねいたしますが、これは財政局にお尋ねをいたしますが、公営企業の中で、特に水道事業に対する起債対象範囲の拡大ということについて御見解を承りたいと思います。たとえば施設改良事業費等の起債を許可していただくとともに、末端の配水小管であるとかあるいは水道管の敷設がえ等についても、起債の対象としてお考えになる御意図はございませんですか。あるいは浄水機を新たに購入をするというような事柄についても、起債の対象にして、ぜひお取り上げいただきたいと思うのですけれども、その御意思があるかどうか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/26
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027・柴田護
○政府委員(柴田護君) お尋ねの点は、実は私も個人的には問題があると思うのでございます。いままでの扱いは資金の総ワクに比べて需要が非常に多い。そこでそれに応ずるためにはやはり、ある程度のものを犠牲にせざるを得ないといったようなこともございますし、また資産が取りかえ資産的な部分の性格を帯びる、その辺のところから一応そこは切り捨てておるというのが実情のようでございますが、私個人では、個人的に申しますと、やはり沢田委員のおっしゃるように疑問を私個人は持っております。しかしそれを問題を片づけますためには、水道事業そのものの経営の基本をどうするかという問題にやはりからむのじゃないか、資本金の構成をどうするとか、あるいは資本金の中の種類をどうするかといったような問題ともからんで検討していかなければならぬのじゃないかと思うわけでございます。で、私どももずっと疑問を持っておりますので、引き続いて検討をいたしたい。さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/27
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028・三好重夫
○参考人(三好重夫君) ちょっと御参考までに申し上げますが、先ほど短期資金の供給について思うにまかせないような点を申し上げたのでございますが、本年度における供給額は、もうこれからは、日にちが過ぎましたので、要求がないと思うのでございますけれども、合計七十三億円に及んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/28
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029・沢田一精
○沢田一精君 水道事業に対する起債対象の範囲の拡大につきましては、十分ひとつ善処していただきたいとお願いを申し上げます。
最後に一つだけお尋ねをいたしますが、地方公共団体に対しまして公庫発行債券を引き受けさせられておると思うのでございますが、どういう状況になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/29
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030・三好重夫
○参考人(三好重夫君) これは御承知のように、出発当初の年に総額七十億のうちで三十億というものをいわゆる縁故債、直接発行債によらざるを得ない計画になっておりまして、初年度に手分けしてそれを各地方団体その他、いわば顔のきく金融機関その他にお願いをいたしまして、ようやく消化いたして計画を達成したのでございますが、翌年度からはそういうものがございません。その場合にどうするかということで、これは私だけの方針であったのでございますが、公庫というものに対する一般の認識が非常に薄いというか、少ない。今日でも公営企業金融公庫と、正確にこの名前を言って下さる方がすでにきわめて少ないといったようなかっこうでございますので、できるだけ地方団体に関心を持っていただくという意味で、また何かの機会に同じような直接発行債を必要とするような事情が生まれると困るという判断のもとに、各地方団体あるいは各金融機関、かつて三十億を消化していただいた向きを中心とし、あるいはさらに範囲を広げましてシ団外消化の勧奨をいたしてまいったのであります。これはその点私どものほうの公庫の債券の一つの特徴になっておりまして、シ団外消化が他の政府保証債に比べれば非常に多いという結果になった、そのもとでございますが、そういうことを続けてまいったのであります。たまたま昭和三十六年に至りまして同じような直接発行債の問題が起こりまして、それは共済組合の制度ができましてそれを引き当てに直接発行をするという御計画であったのでありますが、法案の成立がおくれましたために、そのほとんどがお願いができないということでやむなく、かつてシ団外引き受けでお願いをしておりました向きで、適当のところに対しましてその直接発行債の消化をお願いいたしました。これはおかげで、やはりそれを続けておりましたので縁が切れておらなかったために、ようやく応急の間に合って、この計画を達成することができた次第でございます。その後三十七、三十八とワクが同じものを対象にして取られておりますので、それをもかねて同時に、シ団外消化ということで同じような勧奨をしてまいっておるのであります。ただ問題は、そこで地方団体にあまり御無理をお願いしてもいかぬということで、なるべく無理にならないようにという心がまえでお願いはいたしておるのでございますが、幸いにして、たいへん御協力を願って今日までに至っておるのが実情であります。今日では地方団体にお願いいたしておりますものは比較的少なくなっておる、これが実情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/30
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031・沢田一精
○沢田一精君 まあ、比較的少ないということでございますが、いま総裁も言われましたように、無理して消化を強制なさらぬようにこれはお願いをしておきたいと思うわけなんです。どうぞよろしく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/31
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032・占部秀男
○占部秀男君 簡潔に御質問しますが、その前に鈴木委員のほうからお願いしていた宮澤さんが来ておられるのですが、大蔵省関係が一人も来ていないのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/32
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033・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/33
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034・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/34
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035・占部秀男
○占部秀男君 局長にお伺いしたいんですが、この公営企業関係の法律案そのものの問題ではないんですけれども、そのものにやっぱし関連する問題として、現在御存じのように公営企業の赤字の問題が相当大きな問題になっておるように思うのです。そこで、法適用の企業の決算ということになると、三十七年度ですか、の収支の状況はどういうふうになっていますか、ラフでいいですから、ちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/35
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036・柴田護
○政府委員(柴田護君) 公営企業の財政状況は最近非常に悪くなってまいりまして、三十七年度の決算では法適用の収支で二百五十億円の累積赤字であります。その中で非常に大きなものは交通事業、交通事業がそのうち百七十五億、それからその次が水道事業でございまして四十一億、それからあとは病院が十五億、それから工業用水道、これが五億、その辺がおもなものでございます。一番困っておりますものが交通と水道と病院の三つでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/36
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037・占部秀男
○占部秀男君 これは累積赤字ですね。——そうすると、累積赤字といっても、ちょっと出たくらいのときは問題なかったでしょうけれども、急に赤字が顕著な状態になったのは何年ごろからでございますか、おおよそ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/37
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038・柴田護
○政府委員(柴田護君) 大体赤字の出てまいっております趨勢を見ますると、計数的には毎年倍増のようなかっこうでございます。しかし非常に顕著になってまいりましたのが三十六年度ごろからでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/38
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039・占部秀男
○占部秀男君 そうすると、三十五年度にはどのぐらいあったのでございますか。全体でけっこうです、そう何もその問題こまかくやらなくても。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/39
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040・柴田護
○政府委員(柴田護君) 五十六億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/40
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041・占部秀男
○占部秀男君 そうすると、三十五年度には五十六億のやつが少なくとも三十七年度の決算には二百五十億になっておる、こういう情勢というわけになりますな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/41
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042・柴田護
○政府委員(柴田護君) 三十五年度五十六億、三十六年度が百三十三億、三十七年度が二百五十億、こういう推移をたどっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/42
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043・占部秀男
○占部秀男君 この赤字の累積の状況をいま局長のほうから伺うと、これは非常にたいへんな問題であると思うんですね。これが年に一割か一割五分ずつ累進していくというなら、これはたいしたことはないといえるだろうと思うし、そのときのいろいろな経済情勢その他によってカバーできる範囲であると思うのですが、何といっても三十五年以来倍に倍に、毎年倍額になってきておる。これには相当な私は原因があると思うのですが、その前にちょっと事業別に言いますと、おおよそ適用団体の事業数全体の何%ぐらいが赤字団体になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/43
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044・柴田護
○政府委員(柴田護君) 赤字事業数の割合は、三十七年度決算で三八%、で、もう少し詳しく言いますと、たしか交通事業が大体七割であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/44
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045・占部秀男
○占部秀男君 そこでいま交通、水道などが大きいわけですけれども、交通関係で、この法適用の企業の中の赤字、百七十五億という累積赤字ですか、これはどういう経費がふえて、こういう形になったのかわかりませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/45
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046・柴田護
○政府委員(柴田護君) これは原因を調べてまいりますと、いろいろ実はあるのでありまして、個々の企業ごとに違うといってもいいくらいでございます。ただおしなべて言えることは、交通事情がここに数年来すっかり変わっておる。そこで特に大きな六大都市交通のようなものになってまいりますと、能率が非常に悪くなっている。それから地下鉄建設事業というものがどんどん進んでおる。で、この二つの事実は結局路面電車の収益を非常に悪くしておる。それからバス事業の経営も悪くしておる。それから地下鉄の建設関係のいろいろな費用がかかってきておるということが言えます。それからここ数年給与改定が行なわれておる。それが人件費の非常な圧迫になって出てきておる。反面経営の合理化があまり進んでいない、また運賃も二年、三年来申請しておりますけれどもこれが現在据え置かれておる。こういった事情が相重なってまいりましてこういうことになった。水道で言いますと、最近非常に水道の建設事業が進んでおります。この金利関係の負担、これが非常に水道会計の収支を圧迫しておる、こういつたことが言えるわけでございます。それから病院をつかまえて言いますと、病院につきましては、これも人件費はベース・アップのあれによりまして上がってきておりますけれども、逆に診療報酬は据え置きになっておる。ここら辺にだんだんはさみ状の格差ができて、こういうことが相重なって赤字をなかなか消滅さすことができない、こういう事情になっておるかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/46
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047・占部秀男
○占部秀男君 同じ水道でも法適用企業でない簡易水道のような場合、これなんか、赤字の傾向といいますか、そういうようなものはわかりませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/47
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048・柴田護
○政府委員(柴田護君) 簡易水道は三十七年度の決算を見ますと、これは法適用企業ではございません、非適用でございますが、千九百三十七団体の中で百七十五団体が赤字でございます。赤字額が四億六千万でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/48
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049・占部秀男
○占部秀男君 これは交通のほうも、あるいは水道のほうも画一的にはいかないと思うのですけれども、いま局長からお聞きした簡易水道の問題、これはもちろん法適用がされていない、というような企業では一割に満たないんですね、赤字の団体は一〇%にならぬのですね。いまの千九百三十七団体のうち百七十五団体ですかが赤字を出しておるというようなお話でしたが、これはやはり法適用をして独立採算制をとっておるところほど赤字を出しており、また赤字の額が大きくなってきておる、こういう傾向に率直にいえばあるんじゃないかと思うのですけれども、そういう点はいかがなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/49
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050・柴田護
○政府委員(柴田護君) ちょっと聞き落しましたので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/50
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051・占部秀男
○占部秀男君 まあ交通は別にして、水道、上水道の場合、簡易水道は御案内のように法適用は受けてないのが大部分、一部はあるかもしれぬ、ぼくが知っておる大部分は受けてない。ところが、法適用を受けていない簡易水道の場合には、いま局長からお話もあったように、千九百三十七団体のうち、赤字を出しつつあるのが百七十五団体である、こうなると一〇%にならぬわけですね、そういうわけですね。ところが、この法適用を受けておるほうは赤字団体の数というものは、それどころの騒ぎでない。交通関係でも、これは都市交通の大部分は法適用を受けているでしょうけれども、中には、あるいは船の運搬であるとか、二、三特殊なもので法適用を受けてないものがあるけれども、これはそう比較にはならぬと思うのですが、少なくとも水道の場合だけ見ていると、法適用を受けていない、いわゆる独立採算制、法適用を受けていて独算制のところほど赤字が数の上でも出ておるし、金額でも多くなっておると、こういう形に傾向的にはなっているんじゃないかと私は思うのですが、その点はいかがなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/51
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052・柴田護
○政府委員(柴田護君) それは事業の種類によりまして違いますので、一がいにそういうことは言えないんじゃなかろうかと実は私は思います。で、たとえば簡易水道、上水道を考えますと、簡易水道、上水道では料金が圧倒的に違う。簡易水道は非常に高うございます。施設の規模も違うし、維持費も規模が違いますから——人件費はほとんど変わらない。試みにいまのお話を病院事業について考えますと 法適用事業について見ますと、十五億の累積赤字でございますけれども、非適用事業につきましても、病院事業につきましては四十七億の赤字がある。これは事業別にしますと、六百八十三団体のうちで、二百五十一団体、やはり相当のものが赤字を出しておる。したがって企業の中身によって違うのであって、適用、不適用で一がいにはそういう傾向をたどるということは言えないのじゃなかろうかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/52
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053・占部秀男
○占部秀男君 そこで、私いま局長の言われた赤字の内容を見てみますと、もちろん人件費の増加の問題もありますし、それからまた企業が近代化されてない、いわば運営のまずさといいますか、そういうような内容的な問題、これはぼくはよくわからぬですから、一応局長の言うことをそのままにして聞いておきますが、そういう問題があるとしても、あとのいろいろの問題点はむしろ経営内部から——運営のまずさとか、あるいは経営内部からのそれ自体の原因として起こった問題ではなくて、交通事業なり水道事業なりの外的な条件といいますか、環境的な問題、あるいはいわゆる水道事業あるいは交通事業等の置かれておる法律制度的な問題、こういう問題の中に相当問題があるように私は思うのですけれども、その点はどういうふうに見ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/53
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054・柴田護
○政府委員(柴田護君) これもその事業によっていろいろ違うと思うのであります。現に私が承知しておりますものでも、たとえばある小さな町の交通事業でございますが、これなんかは単独で経営し得るだけの規模に至らない。これはもう赤字が出るにきまっている。そういうものはたとえば共同経営方式をとれば赤字は消えてしまうというものもあり得るわけです。しかし、この六大都市交通のようなものになってまいりますと、これはまた全く様相を異にするのであります。同じ赤字といいましても、中身によって違うわけです。この六大都市の交通の場合を考えますと、やはり経営の合理化の不徹底ということが相当ウエートを占める。それから御承知のように交通事情の変化というものも相当な大きな要因を占めるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/54
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055・占部秀男
○占部秀男君 これはしろうと考えかもしれませんが、いま局長の言われた御答弁だけでは、これはあとどうすべきかというところで問題点になるとは思うのですけれども、たとえば水道の場合、その人口が増大すると水道が足りないと。そうすると、これは広域的にやっていかなくちゃならぬというような、一つの区域を離れた形が出てくると。敷設費にしろ、いろいろな建設費にしろ、とにかく費用はかさんでいく。ところが、その費用の場合でも、これは言うまでもなく、ほとんど起債がすべてと言っていいだろう、起債で建設をやると。そうすると起債の元利償還は、公営企業金融公庫法の場合とほかの場合とでは違うようですけれども、公営企業の場合は七年か八年かでございますか、何か相当短期で、あるいはまあ二十年くらいのやつか何かあったように思うのですが、いずれにしてもそういうような形の元利償還をしなければならぬ。ところがあの耐用年数というのは、まあ調べてみると、東京の場合など五十年くらいになっているわけですね。そうすると五十年のやつを七年なり二十年なりで償還をしようというのだから、これはもう根本的に私は無理がいくのじゃないかと思うのですよ。これが小さな町、小さな市である程度限度の目に見えるような金額の場合は別ですが、だんだん広域的になってくると、これは非常に大きな問題であって、そういうような点が水道の部面なんかにもあるのじゃないか。またそういうような元利償還が相当な金額に上っていると、私の調べでもあるのですけれども、そういう点を考えると、これは単に交通事業あるいは水道事業の事業内における問題ではなくて、この二つの問題をやっていこうという場合の政府の対策なり、また建設に対する資金の調達のしかたなり、いろんな点に問題点があるのじゃないかと、こういうふうに思うのですけれども、そういう点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/55
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056・柴田護
○政府委員(柴田護君) おっしゃるとおりでございます。特に水道の場合につきましては、償還期限とそれから耐用年数との間に非常に大きな開きがあると、しかも最近は建設が非常に進んでまいっておりますので、先ほど申し上げましたように、その元利償還金が非常に企業を圧迫していると、こういう問題があるわけであります。私どももこの問題は公営企業のネックの問題として考えるわけでございますが、これは一般の金融との関連もあるわけでございます。なかなかそう問題は簡単じゃない。一見簡単でございますけれども、片づけ方としてはなかなかむずかしい。それからもっと基本的に考えますと、日本の公営企業というものは借金企業であります。初めからしまいまで借金であります。いわば他人資本オンリーでやっておるわけでありますので、自己資本というものがない。自己資本というものを考えて、特に企業の経営基盤の確立ということを考えてまいりますと、やはり公営企業といえども一般企業のベースといいますか、レベルといいますか、に近づくようにしていかなければならない。その一つの問題として公営企業の資本構成の問題が出てくるわけであります。この面になりますと、これは企業ごとにいろいろめどが違うわけであります。一般民間企業とのかね合いもありましょうし、あるいは理想的なものもあるし、それからまた当面到達すべきもの、いろいろあるわけでございますが、そういうものもやはり方向を明らかにして再建の基本方策に取りかからなければならぬのじゃないだろうか。そこでそういう基本的な問題に対して御検討をいただきたいということで、この前お答え申し上げましたように審議会をこしらえて、その審議会で基本的な問題について御審議をいただく、こういうことを考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/56
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057・占部秀男
○占部秀男君 それでこの問題は、いずれにしてもきょうは大蔵大臣が来られないで、宮澤さんだけなものですからちょっとあれなんですが、将来どうすればいいかと、こういう問題が目に見えていまあるわけですね。そこで、いま局長から聞いたお話の中で、まだまだ不十分な点も私はあると思うのですが、これは時間の関係で省略しますけれども、いずれにしても公営企業そのものが公営企業法に明らかになっているように、これはもう公共の福祉のためをまず第一に考えていかなくちゃならない、と同時に経済性の問題もやはり考えなくちゃならぬと。この経済性の問題と公益性の問題とのぶつかり合いというか、そこに相当私は問題点があると思うのですよ。そこで基本的な問題としてお聞きしたいのですが、いまの点について簡単には——原則的な言い方かもしれませんけれども、一体公益性と経済性とぶつかった場合にはどっちをとるのかという問題がたびたび出てくると思うのですがね。それが今後の再建案なり、あるいはまた、いろいろな公営企業を建て直す企画の中心になってくると思うのですけれども、そういう点については長官のほうでどういうふうにお考えになっておるか、また自治省としてはどういう考え方を持って進めておられるか。ちょうど大蔵省の主計官が来られましたので、松川さんに大蔵省としての、もし大臣が来られなくてまずいというんだったらそれでけっこうですが、大蔵省側としてのひとつ意見を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/57
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058・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまのお尋ねは公共料金を抑制したということと一応切り離して、そういう問題としてでなく、原則論として、本来公益性と経済性をどう考えるかというお尋ねであるというふうに考えます。一般論としては、地方公営企業法のたてまえは、やはりこれは公益的な性格の事業であるが、しかし本来は独立採算でいけということがたてまえであろうと思います。したがって、基本的なたてまえは受益者の負担ということが原則であろうと思うわけでございます。ただ、いろいろな事情、先ほど占部委員も御指摘になりましたし、また政府委員もそういうふうにお答えを申し上げておりますが、実際上としてはなかなか公益性を貫いてまいりますと、経済性というものがとことんまで貫けないいろいろな事情が、ただいま御質問と御答弁との間でかわされておりましたように、いろいろな事情があると思いますが、そういうことに現実にはなっておるというふうに考えるわけでございます。そこで、交通事業などにつきましては、これは企業でありますけれども、租税負担、公課等は免ぜられておりまして、その点が、たとえば交通事業についていえば、民間企業が採算の合う路線を走るというのに対して、公営企業は公益性のために不採算の路線も走らなければならぬ、それが租税負担を免れておるということとほぼ観念的には私は見合っておると、民間、民営企業との間の比較におきましては見合っておるというふうに考えます。しかし公益性というものも、これはやりようによっては限度のないものでございますから、そこへいきますと、それが経済性のワク内で貫くべきものであるかどうか。不採算路線はやらなければならぬが、しかし全体として赤字になるようであれば、不採算路線をやらなくてもいいのかと、そこまで問題を詰めてまいりますと、それは私はなかなか問題があると思います。一般論としては、そういう場合には、まあこれは経営が非常に合理的であるということが大前提でございますが、そういう場合にはやはり一部分はその地方の住民の租税負担になるということはあり得ることではないのか。裏を返して申せば、特別会計による独立採算制というものはその限りにおいて維持しがたくなる場合があるのではなかろうか。私は独立採算制というたてまえそのものは今後とも堅持していきたいたてまえだと思います。経済界がこういうふうに激変いたしつつありますときに、必ずいかなる場合にもそれが守り得るかということには幾らか問題があるのではないかと思います。それでありますから、先ほどからお話のように、地下鉄企業などになりますと、長期の起債を認めるといったようなことで、そういうメリットで幾らか負担を緩和しようという措置は国もいたしておるわけでございますが、まあ両者のぎりぎりの限界というのは、どうやらただいま申し上げたような——これが正常な、やや静態的な経済であればあまり問題はないかと思いますが、そうでございませんので、ただいま申し上げたようなところがその限界ではなかろうか、私としてはそんな気持ちで見ておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/58
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059・占部秀男
○占部秀男君 わかりました。じゃ私は、この対策には当面の問題点と、それから恒久的な対策と二つあると思うのですね。そこで当面の問題点についての、たとえばいま交通の場合でいえば、六大都市の交通が料金の引き上げを押えられておるために、この一年間四十八億の赤字を出しておると。これはまあうそかほんとか知りませんが、われわれにはそういうふうな話があって、それに対する問題点であるとか、その他の問題はやっぱり大蔵大臣が来ないとちょっとまずいですから、これはあとで火曜日の日に鈴木委員と一緒にひとつあれをしたいと思います。
それから、いまの場合にさらに聞いておきたいことは、宮澤さんの御答弁の中で、独算制というものは維持しがたくなるのではないかと、こういうようなやや見通し的なお話がございましたが、これが一つは公営企業の再建といいますか、将来性を決定する大きな柱の一つに私はなってくるのではないかという感じがするわけです。特に交通の場合も、水道の場合もそうでありますが、公営企業の公益性と経済性の考え方については、これは長官の言われていることをそのままわれわれはちょっとうのみにできないところがあると思うのです。少なくともある程度受益者負担というものが特に拡大されていく中で行なわれるような場合もあり得るのじゃないかと思うのだし、それから将来水道事業にしろ、交通事業にしろ、都市集中という大きな何といいますか、地方の行政そのものがやや事業別には公益的になっていくと、こういうような中で、やはりそこまでいかなければ問題の根本的な解決ができない場面も私は出てくると思うのです。そういうような意味で、独算制の問題についてはまああとで審議会が行なわれるそうでありますけれども、抜本的なひとつ決着をつけていただきたいということが一つと、それからもう一つは、単にそれだけではやっぱり問題点の解決にはならぬじゃないか。たとえば同じ水道でも、工業用水の場合には、あれはたしか補助金が出ていますね。飲料の場合には補助金が出ていない。補助金の出ていると出ていないとにはそれ相応の区別さるべき理由が私はあると思うのですよ。あると思うけれども、それは今までの段階であって、こういうふうに水道事業あるいは交通事業というような公営事業が必要ないという観点に立てば、これはもちろん問題はないと思うのですが、必要があるという観点に立って、しかも、それが公益的な問題として扱っていかなければならない。当該団体等のいわゆる資金と言いますか、あるいは起債能力というか、そうしたものだけではどうにもならないという現実の事情の前には、少なくとも国が補助をするとか、あるいは何らかの利子については特に公益的な水道なり——水道の建設でもかりに公益的なという場合には、かりに元利償還の一部でもめんどうを見るとか、いろいろ方法はあると思うのですが、国のこれに対する援助と言いますか、そういう問題もやはり考えていかなければ、現在の地方団体では何回やっても同じような繰り返しの状態になるのではないかと思うのですが、そういう点について、ひとつぜひとも御検討を願いたいと思うのです。あとで鈴木委員からも質問がありますから、私はこれ以上申し上げませんが、希望だけひとつ申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/59
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060・鈴木壽
○鈴木壽君 宮澤大臣においで願ったのですが、去年の六月十一日のこの委員会で自治大臣、運輸大臣と御一緒に、あなたにもおいでを願って一応公営企業の問題、特に赤字の問題、それは政府の物価対策の一つとして取り上げました料金改定をストップされたと、こういうことにからんでいろいろお尋ねしたことは御承知だと思います。それで、あのときに私いろいろあなたのお答えを聞きながら確かめたことの中で、いろいろ問題があるので、公営企業のあり方、さらに政府のやっておる物価抑制政策に関連しての赤字の問題、こういうことについて、ひとつ早急に結論をまとめたい、こういうことをおっしゃっておりましたですね、それは御記憶でございましょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/60
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061・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/61
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062・鈴木壽
○鈴木壽君 その際に、あなたはこうおっしゃっているのです。これらの点につきましては「すでに数カ月前から関係者省集まりまして、こういう企業のあり方について、実は協議をしたり検討をしたりしておるわけでございます。」こう言って、あとでまた九月ごろ、秋ごろには結論を出さなければならない、こういうことをおっしゃっております。六月でございますから、まああの当時としては秋ごろにはそういう結論が出るであろうということで、あなたはそういうふうにお答えになっているのですが、どういうふうな結論が出ましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/62
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063・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 当時そういうお答えをいたしまして、その結論は一応出たわけでございます。詳しいことは政府委員から御答弁を申し上げさせたほうがよろしいかと思いますが、要するに公営企業の経営一般について私はかなりいろいろな問題がある。給与の問題もそうでございましょうし、その他いろいろな問題があって、また合理化というものがどうしても必要であるということ、それから中には、はたして現在公営企業と思われているものがすべて公営企業でなければならぬであろうかどうであろうか、というようなことについても、企業の種類によっては検討する必要があるというようなこと。概して合理化の方向いかんというような、その具体的な内容についての答申だったと記憶をいたしております。で、また現実にそれを反映いたしまして、公共団体の中でも、その後合理化に着手されたところもあるというふうに承知をいたしております。しかし、この協議会と申しましたか、正式の名前はちょっと私記憶いたしておりませんが、この協議会は一応そういう結論を出しましたけれども、なおいろいろな広範な問題があるので、改めて政府として予算措置をした上で問題を抜本的に検討する必要があるのではないかということから、地方公営企業制度調査会につきましての予算をただいま御審議願っております予算案に計上いたしまして、そして昭和三十九年度にこれを根本的に検討しよう、こういうことになったと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/63
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064・鈴木壽
○鈴木壽君 そうすると検討の方向は出たようでありますが、しかし具体的ないわゆる対策というものは出ておりませんね。これからだということでございますね。合理化も必要だと、それから企業の中にははたして公営企業でやっていいものかどうか、こういう問題もあるから、そういうものについてはさらに検討しよう。と同時に、そういう問題と給与等の問題も含めて、いわゆる公営企業そのもののあり方についての検討をしなければならないという方向は出ていると思うのですね、あなたのいまのお話から。しかし当時問題になっておりました事柄についての、いわゆる具体的に一体どうするのかという、そういうことをみんな先に送って、今度できるであろう調査会に検討してもらうのだ。あれから——去年の六月からでございますから、もう一年近いその間に結論と言えば先に送って、もう少し検討する機関を設けて、調査会というようなものを設けて、さらにこれからやってもらうと、こういうくらいの結論ではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/64
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065・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 公営交通事業財政調査会のこれは改善案の提言でございますが、その内容はかなり具体的に、公営交通につきまして項目を分かってかくあるべしということをかなり具体的に述べております。結論として、これは、この改革案を実行することは各方面で種々の困難があるであろうけれども、しかしやはり関係者が一緒になってこれに当たらなければならない。こういうことが述べられておりまして、これはもちろん拘束力のある提言ではございませんけれども、この提言をした人々の中には相当関係者があるわけでございます。こういう意思統一のもとに合理化に進む、また現実に進みつつあるところもあるように承知いたしております。しかし、ここまで参りましたならば、やはり今度は政府の責任においてもう一度問題を抜本的に、交通企業だけでなく公営企業全体でございますが、検討したらいいのではないか、こういうことになっていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/65
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066・鈴木壽
○鈴木壽君 いまあなたがおっしゃったのは、去年の十二月に出たのを私とっくに持っているのですけれども、これは政府で調査会というものを設けて、あなた方の責任においてそれに参加をしてやったのですか。全然違うでしょう。これは政府の人も入っているけれども、これは政府のいわゆる今度つくるような公営企業制度の調査会みたいな、あるいはどこかの省の諮問機関としてつくるように政府の責任でやったのではないですね。いわばこういう公営企業、交通事業をやっておる団体に、自分たちの問題としてどうあるべきかについて検討をしてもらった。それにたまたま関係する自治省なり経済企画庁なり、あるいは運輸省の方々が入っておると、これだけの話でしょう。私が聞いているのは、あなたが答弁になったのは、そういうことではなかったと思うのです。政府関係省庁の中で、政府として一体どうするのかということを秋ごろには結論を出したい、こういうお話だったから、そういう結論が出ておるのかどうか。こういうことを私はお尋ねしておるんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/66
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067・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) この公営交通事業の財政調査会というのは、確かに政府機関ではございませんで、それに関係のある当事者——当事者と申しますのは地方の側あるいは中央の役人、学識経験者等でございますけれども、それがこういういわば提言をいたしたわけであります。この提言そのものは、これだけ広範な人々が当事者も含めて入っておりますから、この提言というものは意味の十分あるものである、またそれに従って現実に公営交通事業の合理化を始めた団体もございますので、これ自身は別段政府の機関でないことはこれは御指摘のとおりでございますけれども、交通事業に関する限りこれはかなり広範な提言である、私どももその趣旨には賛成であるというふうに考えておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/67
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068・鈴木壽
○鈴木壽君 しかし問題は、これはあなたは私のお尋ねすることに対してそらしてお答えになっておりますね。私はこれの権威とか意見とかということを否定しているのじゃないのですよ。それはそれだけの話なんです。それならば、政府はこういう意見を出されたことについて受け入れて、それをやるということなのかどうなのか、それは一体どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/68
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069・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) ちょっと御質問の意味が私にもどこをポイントにしておられるのかはっきりしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/69
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070・鈴木壽
○鈴木壽君 それでは、私、もう一度お聞きしますよ。あなたはさっき私が申し上げましたように、昨年の六月十一日のこの委員会で、秋ごろ各省庁でこれらの問題については——というのはいまの公営企業のいろいろな問題、特に公営企業のあり方、こういう問題については各関係省庁が集まって公営企業のあり方について実は協議をしている、そしてそういう協議の中から一つの結論を引き出したいと。それで、いつごろそういう政府の結論が出るのか私聞きましたら、秋ごろになるであろう、こう言っておられるんですね。私はだから政府が、関係各省が協議をし、政府部内で一体どういう結論が出たのか、その結論は何か、こういうことを私は端的に聞いているのです。そうするとあなたは、いや、これが出ておると言う。これでは違うのじゃないかと私は言っているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/70
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071・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) それは御質問の意味がどういう意味でありますか、つまり、再建策を政府として何か正式にきめるのかと、こういう御質問であれば、ここにございますこの提言は政府の現役の役人が各省庁みんな入っているわけでありますから、こういうことが望ましいという提言をいたしたわけでございまして、そのこと自体は政府の正式な決定ではないではないかとおっしゃれば、それはそうではございません。ございませんけれども、これだけの関係者が寄って長いこと研究して出した提言でありますから、私どもとしてはやはりこういう方向に向かって改善が行なわれるということが交通事業については望ましいと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/71
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072・鈴木壽
○鈴木壽君 依然としてあなたの答弁は少しおかしいんじゃないですか。あなたに来ていただいて、自治大臣にも運輸大臣にも来ていただいてお尋ねしたことは、政府として一体どうなんだと、こういうことですよ。でなければ、あなたに来ていただくはずがない。そうしたら、あなたはさっき私が読み上げたような、秋ごろまでには政府としての結論を出すのだ、いま検討中だから——出すとははっきり言っておりません、秋ごろになるであろう、出してもらわなければならないと思っておると、こう言っておりますから、こういう外部のいわば団体がやるとかなんとかということじゃないのですよ。そうでしょう。だから、私は政府としての結論が一体出たのかどうか、出たらそういう結論はどういうものであるかお示しを願いたい、こういうことなんです。これを尊重するとかしないとかということと違うのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/72
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073・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) それは政府としての結論があるかとおっしゃれば、政府としての広範な公営企業についての結論というものは公営企業調査会で調査をいたしますということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/73
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074・鈴木壽
○鈴木壽君 そうすると、秋ごろには結論を出すと言ったのが延ばされたということでございますね。出なかったということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/74
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075・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 私はこれは一つのりっぱな提言であり結論であると思いますけれども、それが政府の責任においてなされていないではないかとおっしゃられれば、なるほど政府の責任においてなされてはおりません。しかし、ここに書いてございますのはいいことが書いてございますから、政府としてもこれを実行することが望ましいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/75
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076・鈴木壽
○鈴木壽君 あなたおかしいですね。いいとか悪いとかいうことは、外部の団体等で、あるいは外部のいろいろな調査会等でやることについては、それはそれなりにそれぞれの考え方があることでしょう。しかし、それが政府の結論として出したのか出さぬのかということを聞くと、どうもはっきりしない。出さないと言う。いかにも出したようなことを言いながら出さないと言う。結論といえば調査会を設けてやることだと、こう言う。そうすると、私との間にこの委員会で約束した結論というものは出ないで、その結論というのは、すべてたとえば独立採算制の問題なり公益性の問題なり、あるいは料金の問題とか、あなたの特に指摘しておりました給与の問題なり、こういう問題というものをあげて、いいとか悪いとかいう結論でなしに、これから検討してもらいましょう、こういうことじゃないですか。その結論しか出ていませんね。これからいうと、あなたのおっしゃるのはおかしいと思うんです。あなたは速記録をもう一度読んでごらんなさいよ。こういう問題をいま私どもいいかげんにあなた方のあげ足を取るとか取らぬとかいうことでなく、まじめにいまやっておるんでしょう。みんなはぐらかした——できなかったらできなかったでいい。それをこんな変なものを持ち出してきて、変なものと言っちゃ悪いけれども、いわば政府としては何ら責任のないものですよ。これはよしあしの判断は別、そういうものを出して、いかにもこれでいいと思うから方向が出ているような報告をされたって、私はこれはあなたに似合わないふまじめな御答弁だと思いますね。あなたはもっとまじめな方だと思っておった。まじめに、私はほんとうにかねがねそういう意味では尊敬しておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/76
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077・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 行き違いがあるようでございますけれども、この意見書というのは、なるほど政府が閣議とか、責任において出したものではございませんけれども、この調査会の構成員をごらんいただきますとおわかりがいただけますが、実際にそういう仕事をやっております各官庁の役人が入って、皆こういう提言をしておるわけでございますから、これは完全にそういう責任のない人々がいわば勝手な提言をしたというのとは違いますので、なるほどもし仰せの意味が、それが政府の正式の責任においてこういう結論を出したのかとおっしゃったんであれば、それはさようではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/77
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078・鈴木壽
○鈴木壽君 これじゃだめだ。せんだって一応自治省の柴田局長にお聞きして、あなたはどういう資格で入ったのか、政府を代表して入っておるのか。ただ肩書きがこういうふうに載っていて発言すれば、やはり肩書きのつくような形で、そういう立場にあることを考えながら発言したと。しかし別に政府のいわば権威のある代表者として入っておるんじゃないということを柴田局長ははっきり言っておる。皆そうだと思う。あなた方、別に命令して、おまえそこに行って政府の考え方を述べろと言ったことはないと思う。しかし、それは私どうでもいい。しかし、これはあくまでも外部のいわゆる公営交通事業の関係の団体がそれぞれの立場において公営企業というものは、交通事業というものは一体どうあるべきかということについて、いまのような赤字のあるこういう現状において、どうしたらそれこそよりよい公営の交通事業というものをやっていけるのかというような意味での対策をこれは出して諮問−諮問ということばは、この場合に当たるかどうかわかりませんけれども、いずれ考えてもらったものだと思うのです。ですから、私は、それはそれなりでいいのですよ。すでに私何べんも申し上げましたように、あなたが去年の六月にここでお答えになったことは、こういうものをつくってやるとかなんとかで、政府部内で関係官庁の中でいま検討しておるから、その結論は秋ごろに出るであろう。こうおっしゃっていますから、秋ごろに出るというのであれば、もう年を越しておりますから、もし出たら知らせてもらいたい、こういう私はまことにすなおな聞き方をしているのですよ、ほんとうですよ。もし、なかったらなかったでいいけれども、私はそういう気持ちで、あるいはあなたがあとでお答えになったように、これから調査会を設けてやっていくのだ、これならこれでもいいわけです。それはそれなりでやむを得ない。私はあなたの答弁から、この問題の扱いについて、いろいろこれは重大な段階になってきておりますから、政府部内の検討、その結論、こういうものがもし出ておるならば聞かしてもらいたい。これからであるとするならば、どういうところにどういうふうにやるのか、そういうこともできるだけ聞かしてもらいたい。こういう気持ちで私はすなおに聞いているつもりなんですが、どうもあなた初めから妙な答えで、自分たちの怠慢をよそへやっているような感じを私は受けますがね、これはだめですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/78
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079・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/79
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080・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 速記をつけて。
では、本日は本件に関しまする質疑はこの程度にとどめまして、皆さんになお申し上げておきたいと思いますが、前回の委員会で、三月二十三日月曜日、委員会を開会するように申し上げましたが、都合で二十三日は休みまして、次会は二十四日、火曜日に開会いたします。
なお、本法律案並びに地方税関係二法案について審査の予定でございます。
それでは、これにて散会いたします。
午後零時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01519640319/80
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