1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月二十四日(火曜日)
午前十時三十五分開会
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委員の異動
三月二十四日
辞任 補欠選任
館 哲二君 後藤 義隆君
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出席者は左のとおり。
委員長 竹中 恒夫君
理事
石谷 憲男君
西郷吉之助君
西田 信一君
松本 賢一君
委員
井川 伊平君
後藤 義隆君
沢田 一精君
鍋島 直紹君
松野 孝一君
占部 秀男君
鈴木 壽君
千葉千代世君
松澤 兼人君
基 政七君
市川 房枝君
衆議院議員
修正案提出者 渡海元三郎君
国務大臣
自 治 大 臣 早川 崇君
国 務 大 臣 宮澤 喜一君
政府委員
自治省財政局長 柴田 護君
自治省税務局長 細郷 道一君
自治大臣官房参
事官 宮澤 弘君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
説明員
自治省税務局府
県税課長 佐々木喜久治君
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本日の会議に付した案件
○公営企業金融公庫法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○地方税法等の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○市町村民税減税補てん債償還費に係
る財政上の特別措置に関する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/0
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001・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続き、質疑を行ないます。御質疑の方は御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/1
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002・占部秀男
○占部秀男君 自治省にお尋ねをいたしますが、前回の委員会で、この金融公庫法の一部を改正する法律案に関連をして、最近の公営企業の、特に交通、水道その他についての赤字の問題についての御質問をしたわけですが、特にその中で、いま緊急の問題になっているのは、言うまでもなく六大都市をはじめとする都市交通の赤字の対策、そうして、それを将来どういうふうに企業の運営を円滑にさしていくかという、久恒的な問題等があるわけです。あとの問題については、これは審議会その他ができるでしょうし、衆議院でも小委員会をつくって検討するということになっておりますので、一応これはおくとして、当面の問題点について、各交通関係の当局の話を聞くと、三十八年度中といいますか、ここ一年間といいますか、この一年間に公共料金の引き上げが行なわれないために生じた赤字が四十八億円にのぼっておると、こういうことを聞いておるのですが、そういう点についていかがでございますか。内容的な問題がわかっていたらお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/2
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003・柴田護
○政府委員(柴田護君) 四十八億と申しますのは、運輸省で六大都市が公営ハス料金の引き上げについて認可をしてもいいじゃなかろうかということで線を引きましたもの、それがストップになっておる。そのために出る赤字が一年間に四十八億になる、こういうことでありまして、これは六大都市側の計算でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/3
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004・占部秀男
○占部秀男君 それは運輸省で料金引き上げについてのある程度の、何といいますか、アグレというか、ここまで引き上げるべきである、引き上げても妥当じゃないかという線を現在の地方公営交通の運営状態から見て一応の水準をきめた。そのきめたやつが、結局は引き上げができないということについての計算が基礎になっておると、こういうふうに了承していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/4
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005・柴田護
○政府委員(柴田護君) 運輸省側の計算が基礎になっておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/5
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006・占部秀男
○占部秀男君 そうすると、運輸省側の計算が基礎になっておるということになると、これは明らかに、ともかく料金引き上げが政府の手で押えられておるということに基づく、――これは直接なもんじゃないかもしれませんが、――間接的にはそういうようないろいろ条件がそこに大きくしぼられてくるというふうに私は考えるのですが、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/6
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007・柴田護
○政府委員(柴田護君) 金額の中身につきましては、運輸省側で検討いたしました結果、ここまで引き上げてよろしい、ここまで引き上げてもいいんじゃなかろうかという判断に基づくものを基礎にした計算でございますので、多少の動きはあろうかと思います。四十八億というその数字そのものは君子の自然増収等を見込んでもおりましょうし、その額はいろいろ検討してまいりますれば若干動くかと思いますけれども、全然それが赤字が出ないということにはならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/7
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008・占部秀男
○占部秀男君 そこで僕の聞きたいことは、結局は、そういう赤字が集まれたということ自体は、当然あるべき姿の料金が押えられておるということに原因をしているのじゃないか。その意味では政府側の責任ということはないけれども、政府側の責任というか、措置というものに関連して赤字が生まれているのではないかと、こういうことをお聞きしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/8
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009・柴田護
○政府委員(柴田護君) 六大都市交通の赤字は、そのほかにもあるわけであります。したがって、赤字原因は、公営交通が赤字だということの自身の原因は、そればかりではないと私どもは考えるのでありますが、ただまあ、上げておれば赤字の額が減っただろうということは言えるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/9
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010・占部秀男
○占部秀男君 僕もい衣手元に資料がないので、こまかい数字は言えないわけですけれども、ともかくも上げておれば赤字は減ったといり、その減った赤字は四十八億の中の相当大きな部分を占めていると私は考えるのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/10
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011・柴田護
○政府委員(柴田護君) いろいろ争いがあるところであろうと思います。料金を押えております側からいいましたら言い分があろうかと思います。私どもは、大体お説のような考え方に近い考え方を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/11
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012・占部秀男
○占部秀男君 そこで大臣に私は端的にお伺いしたいのですが、これは同時に宮澤さんにもお伺いをしたい問題です。というのは、将来的な、恒久的な交通事業に対する、地方交通事業に対する対策の問題は別にしても、当面そうした赤字の問題からして、いま、六大都心の交通を中心にして合理化案の問題が出、しかも、ストライキの様相が、だんだん濃くなってきているわけですね。きのうもこれは新聞等で明らかになっているように、東交――東京の交通労働では八時までの間、始発から電車、バスをとめてしまった。そのために二十何方という、三十万近い人たちの足が奪われて、非常な都民としては迷惑を受けているわけです。もちろん、いまの交通事情から見て、十年、十五年前のときの都電あるいは都バスの利用が、国鉄や地下鉄あるいは私バス等の利用との相対的な関係からして、大きくはないことは事実ですけれども、しかし、相当な数の都民がこれについて迷惑をしている。こういうような実情になっているので、したがって、これに対しては、早くやはり解決をつけるという方向に政府としても考えていくべきではないか、かように思うのですが、その点自治大臣の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/12
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013・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 公共都市交通の赤字が十二年間の値上げストップだけの問題ではなくして、人件費の割り高あるいは合理化の不徹底という面もございます。したがって、東京都に例をとりますと、東京都が合理化に踏み切ったという、私はその勇気と御努力に対しては、非常に感激をいたしておるわけであります。つきましては、労働組合関係の方々も、やはり都の合理化案について御協力を僕は願いたいとほんとうに思っているわけでありまして、労使双方とも、この合理化に十分のベストを尽していただきたいというところで、お互いに妥結するように、一日も早く自治大臣といたしましても望んでおるわけであります。合理化いたしましても、なお赤字の原因になる面がかなりあろうかと思います。こういった問題につきましては、政府のほうでも大蔵省、企画庁その他とよく御相談をいたしまして、できるだけの措置をとりたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/13
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014・占部秀男
○占部秀男君 いま大臣の言われた東京交通の交通局の合理化案の問題の内容については、これは大臣のお話をそのまま承るわけにいかない内容の問題点があるわけでありますが、この点については私はきょうは触れません。ただ、人件費だけの問題でああいうようになっているというような、そういう大臣の言い方ではなかったかと思いますが、特に人件費の問題を出されたので、一応私はお断わりしておきますが、そういう問題だけではなくて、この前の委員会でも政府側のほうにお伺いしたように、人件費の問題もあるが、それ以上に運営面についての外的な条件の問題が相当多くて、それが赤字の大きな原因になっておる。それはもうまぎれもない事実である。そういうような内容については、きょうは触れないでおきたいと思います。ただ、一日も早く妥結さしたいと、こういうことなんですが、私もそうだろうと思うのです。現に東京交通の組合側も、交通局の合理化案については内容の検討に入るというように受けて立っておるので、絶対反対してやっておるのじゃない。ただ問題は、当面の四十八億の赤字の問題について、特に東京の場合は十二億だったと思いますが、いずれにしても起債、金繰り問題についての政府へのお願い、これが解決されてない。そのために関連をして東京交通は東京都、月の中でも――全国的にもう公務員の給与の引き上げが終わっておる。東京都庁の中でも交通関係を除いては引き上げが終わっておる。それなのに交通関係だけはその問題に関連をして引き上げができないという現状から、ああいうふうな実力行使ということになったわけでして、したがって、当面の金繰りの問題、この問題について早く政府側として結論を出すということが、私はああした六大都市に、これはだんだん横浜のほうにもあるいは神戸のほうにもというように波及していくいま情勢にあるわけですが、それをとめる唯一とは言いませんけれども、最も大きな柱じゃないかと私は思うのですが、そういう点について大臣はどういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/14
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015・早川崇
○国務大臣(早川崇君) どの程度で融資あるいはその他の方法でやるかという問題につきましては、いつまでもほうっておくわけにはまいりません。しかし、東京都の労使――ということばは悪いかもしれませんが、実行音当局と組合側との合理化に対する話し合いと申しますか、その努力というものと見合いながら、最も適当なときに東京都その他と御相談いたしまして、政府としてはできるだけ、便宜といいますか、御協力という心がまえでおるわけでありまして、その時期とか方法、具体策につきましては、目下検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/15
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016・占部秀男
○占部秀男君 検討中であるという大臣のお気持ちは私はわかるのです。これはわかるのですが、問題は動いておるので、もうすでにきのうもああいうふうな波状攻撃的な問題が起きておる。これはもう交通関係は、いよいよ月給も上がらないという形になれば、これは破れかぶれというわけではないのですが、相当大きな問題になってくると思うのです。私も、昭和二十四年には全面ストを、私、委員長でやったことがあるのですが、ああいうふうなことが再び首都に行なわれるということは、労働組合側としても決してそれを意識的にやろうなんというような気持ちはないので、できるならばそれをやりたくないというのがこれは真情ですが、ただ、できるだけ解決をというようないまの大臣の仰せでは、問題の解決のチャンスを私、逸してしまうのじゃないかということを非常におそれておるわけなんです。そこで、何か聞くところによると、特に予算委員会等では田中大蔵大臣は、何か金繰りの必要がないとかいうことを言われたそうだし、それから宮澤長官もそういうことを言われたということを私ちょっと聞いたのですが、そういう事実がありますか。宮澤長官にお伺いをしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/16
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017・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 公共料金、ことにバス料金をストップしたということ自身は、経済政策としてはかなりの無理のある政策であることは私も認めております。したがって、その事態に対処していろいろな合理化が行なわれるということは、非常に望ましいことでありますし、ぜひそうしてもらいたいと思っております。ただその結果として、いかに合理化をしても、なお何がしかの赤字が出るということは考えられることでございますから、そういう最善の合理化の努力がなされて、なお当該団体が金融的に困るというときには、政府としてもこれを拱手傍観して放置すべきものではない。どういう方法で、どこにどれだけの金額をということをいま申し上げる用意はございませんけれども、ほうっておいてよろしいとは私は考えておりません。このことは、私ばかりでなく、政府全体の考え方であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/17
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018・占部秀男
○占部秀男君 当然そうであるべきであると私も思うのですが、ただその際に、いまの、長官のおことばで私が不安になることは、合理化が行なわれると、その結果として赤字が生れる、まだまだ足りない、こういう場合には、ということなんですけれども、この合理化問題は、いま、特に東京の場合などは合理化案が示されて、この内容についての検討に入ったという時点で、これは解決つくのはまだまだあとの問題なんですね。ところが、月給が上がらないということは、いまの問題なんですね。そこに相当な、日時上というか、日にちの上での時間的なズレがあるわけです。このズレのあるのを当面どうするかという問題があるわけなんですが、それをそのままにほうっておいたんでは、結局はいまの情勢では、交通側のストライキというか、争議行為をそのままほうっておくような結果になるんではないかと私は思うのです。その点はどういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/18
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019・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 地方公営企業法の本来のたてまえが、片方で独立採算制というものをとり、 したがって、その帰結として、人件費、給与の決定にあたっては、一般の地方公務員との権衡ばかりでなく、同種の企業との振り合いも考えるのだということが、地方公営企業法のたてまえであります。このことは、長年いろいろな事情があって行なわれてまいりませんでしたけれども、私としては、やはりそういう法律のたてまえというものに本来返るべきものであると思います。現在行なわれておる東京都の企業改善の努力というものも、そういう法律の本来の趣旨を頭に置いてやっておるように私は思っておりますので、そういう都側の努力というものは、私はこれはきわめてけっこうなことだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/19
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020・占部秀男
○占部秀男君 それじゃどうも私の質問の答えにはならないんで、合理化の努力というものは、これは当局側と労働組合側、使う者と使われる者とが一緒になって、いまその中へ入ってやっておるわけですね。ところが、今度の、いま争議行為が行なわれておるこの問題は、その問題ともちろん根本的には関連はあるけれども、当面給与の引き上げが、ほかのほうがみな行なわれておるのに、交通関係だけは行なわれない。その行なわれない原因の一番大きな原因は何かといったら、やはり金がないということである。その金のないという当面の問題の中には、政府が料金引き上げを押えて、そういう結果の赤字というものが相当関連しておるのだ。それはいままでの、さっき柴田局長も言われたように、これはあなたが言われるように、無理のある押え方の中にあったんだと、そういうような事情なんだから、したがって、この問題を解決するために、当面金繰りをやってくれ――金をくれと言うのではなくて、金繰りをやってくれと言うのですよ。その問題については早く結論を出さなければ、いま言った給与の引き上げの問題の解決がつかない。つかなければ、結局争議行為というものはそのままほっとかれるという形になるのではありませんか。この点は、政府側としても料金関係の責任を持っている以上、これはやはり問題点を、関連しての給与の引き上げの問題については、当然給与をまず引き上げられるという方向にまで金融関係を持っていくのが、これは責任じゃないかと私は思うのですが、その点についてどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/20
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021・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) その点につきまして、実は前回の当委員会で問題になりました公営交通事業財政調査会というものの意見書があるわけでございます。これにつきましては、先回鈴木委員からお尋ねがございまして、後ほど機会があれば、私としてもおわびをすべき分もございますし、説明をさしていただきたいと思う分もございますが、この意見書がかなり具体的に合理化についてあるべき姿を述べておるわけでございます。東京都でいま行なわれております労使双方間の努力というものも、こういう考え方を背景にして行なわれておるというふうに私は見ておるわけでございます。そこで、基本的には、そういう努力が行なわれて、なお、金融的にむずかしい問題が解消しない、残るということであれば、これは国としてもなすべき援助はなすべきだというのが、基本的には私どもの考え方でありますけれども、他方で、過去において公営企業法のたてまえからはずれて給与の決定がなされてきた。それについての是正の最初の努力がいまなされようとしておると私は解釈しておりますので、したがって、そういう努力は、やはり極限まで使用者側と労働組合との間でなされるべきである。ともすれば、金があるんだから、いままでの方向でもいいじゃないかというようなことに現実にはなりがちなものでございますから、せっかくそういう努力がなされておる最中に、いわば、非常に甘いことを申して、そういう努力を無にするというようなことはいたしたくないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/21
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022・占部秀男
○占部秀男君 これは、非常に大きな問題ですが、いま長官のお話の中に、公営企業法に基づく賃金体系というか、法の示しておる賃金関係の体系というものが、むやみに破られておるというようなお考えを持っておるのですが、これはたいへんな間違いじゃないかと思うのです。というのは、一般地方公務員と現業関係の者とは違って、現業関係の者は、御案内のように地公企労法のもとに行なわれておって、しかも、団体交渉で賃金をきめるという筋が一本あるわけです、法的にも。しかも、交通の場合には、諸手当が確かにいろんな名目であるという事情は私も知っておりますけれども、それはそれなりに、いままでの労使間における交渉、あるいは現場の作業の実態から来る賃金、諸手当関係のつくり上げ、こういうふうな労使関係の中からできたものであって、それを一がいに、これは何か地方公務員か国家公務員かしらぬけれども、一つの公務員のモデルをつくって、その中に全部当てはまらなければ問題はおかしいのだという取り方は、これは非常に重大な問題になってくると思うので……時間がないので……。
そこで、いま長官のお話を聞いていると、合理化に対する努力をしてその結果をある程度まで見なければと、結局、諸手当問題あるいは賃金問題についてしまった形が具体的に出てこなければその問題の金繰りその他の問題には入れないと、こういうようなことを私は言われたと思うのですが、かりにそうなると、この争議状態をそのまま放置しておくということになるわけであって、これは争議をやった場合においてはこれは政府の責任になると私は思うのですが、その点はどうなんですか。政府側は争議をやらしっぱなしにやらしてもいいというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/22
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023・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 東京都の交通労働組合というのは、これはもう占部委員が御承知のことでございますけれども、おとなの組合であって、長いこと闘争の歴史があり、そうして、めったにああいう状態を起こさないで事を処理してきた組合であると私も承知をいたしております。で、ああいう事態になりましたことは、それはまことに残念なことであって、再度ああいうことが起こらないことをもとより望んでおります。他方でしかし、先刻申しましたような合理化のいろいろな意味での努力が労使双方の間になされるということは、これは必要なことであると思いますので、その結果に対して一切国が何らの応援をしないということでないことは、先ほど申し上げました。さりとて、そういう努力が極限まで行なわれる、それに対して水をさすといいますか、あるところでぐずぐずになってしまうということは、私どもとしていたしたくないと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/23
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024・占部秀男
○占部秀男君 私これ一問だけであれしますが、いま長官が言われたその努力ということなんですが、努力をしておるのですね、いま。組合側と当局側が、合理化案をまん中にして、しかも小委員会までつくってやっておるのですよ。そのやっておる最中なんだ。その合理化の問題についての努力、それとはまた別に、給与が全然いま引き上げのめどがつかない。そこで争議になっておる。一応給与がある程度引き上がっておって、それでもって努力しておるというなら、これでストライキをやったというなら、これは悪いと思う。ところが、そうじゃなくて、努力はお互いにしておるのですよ。ところが、努力の結果というものは、きょうあすに出るものではない。そのきょうあすに出るものじゃない結果の出たあとでなければ、そういう措置ができないということになると、そうすると、結局、争議というものをほうっておくという事実上は結果になるのじゃありませんか。その点はいかがですか。自治大臣にもこの点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/24
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025・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 直接の所管でございませんので、あまり深い知識は持ち合わせて実はおりませんが、合理化というものが当事者にとっては相当つらいことでございますから、それが及ぶところ、私が合理化と申しましたのは給与の問題までを含めてのことでございますが、それが及ぶところ、ああいう形になる。好ましいことではございませんが、それくらい問題はつらい問題であろうと思います。決して争議が長引くことを好ましいとは思っておりませんし、これはつまり両者の合理化に対する熱意というものの間から、おのずから生まれるべき結論が生まれてくるであろう、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/25
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026・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 占部さんのお話ごもっともでございますが、先ほど宮澤長官いわれましたように、公営交通事業というもの自体が民間の私鉄よりも給与が高い、一般公務員が民間の事務職員より安い、そういう関係で特殊な給与形態をとっておるという問題、しかも、独立採算制という問題もございます。それから料金をストップさした、四年間。こういう問題もございますので、そこで労使並びに監督庁である自治省や政府といえども、私どもは最善の努力を尽くせば私はいい結論が出ると思うのです。この機会をはずしては、ない。したがって、私といたしましては、現在東京都と労働組合のやっておる経過を逐一報告を受けておりまするが、この問題について政府側はどの程度御援助すればいいかということはリミットがあると思うのです。そうでなければ、親方日の丸ということで部民の支持を得られないような、ただもう政府が全部をカバーするというのでは、私は都民は承知しないと思うのです。さればといって、一切めんどうを見ないということも、これまた料金ストップをした政府側としても、世論の支持を得られない。そこにおのずから私は妥当な結論が出るものと期待をし、また、そういう結論が早く出るように最善の努力をいたしたい。その時期はどうかというお尋ねに対しましては、早急に、できるだけ早く最悪の事態の来ないように私は努力するということで、ひとつ今日の段階ではごかんべん願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/26
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027・占部秀男
○占部秀男君 宮津長官、腹の中じゃそうじゃないと思うのだけれども、立場上の問題があるのじゃないかと思うのですが、あなたの答弁ではちょっと承知はできないです。少なくとも、早川大臣の言われたようなところまでいけば、あとで問題はあるにしても、話に乗る形もできるけれども、宮澤さんの言われるようなことじゃ、とうてい了承は私はできない。質問をずっとまたあとにさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/27
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028・千葉千代世
○千葉千代世君 この間、交通労組の奥さん方と話し合いもしたんですが、長官に伺います。そのときに、三月の末になって、ちょうど子供たちが高校に入ったり何かして、非常にお金が必要だ、そういうときにまだベースアップの問題も解決しないで非常に困っておるのだと、こういうことからお話になって、いま話の中でされたのですが、物価の非常に上がったのとにらみ合わして生活が非常に苦しい。それから、他の事務系統よりも給与が高いということをおっしゃったんですけれども、これはやはりあれだけの重労働をして、そして給与体系についてもそのつどつどの当局の交渉によって上げていったんで、ただ、わっと上がったわけではないわけなんですね。それを、今度の合理化という名でもって一方的に交通従事者のほうへしわ寄せが行くんじゃないか、そういうふうなことを心配しておったんですが、その点についていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/28
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029・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 物価が上がったということにつきまして、消費者物価について考えますと、本年度の始まりました昨年の三月に比べて、一月全国で二・四%の上がりでございます。二月は、東京がわかっておりますが、二・九%の上がりでございます。上がっていないとは申しませんが、その程度の上がりでございまして、これは過去何年かの傾向とかなり違ったものがあらわれておるということは、申し上げるまでもなく、お気づきいただいておると思うわけでございます。
それから、事務職員でなく、相当の重労働に従事しておるといわれますことは、そのとおりだと思いますが、私どもが申しておりますことは、事務職員との比較ではなくて、他種の同業の民営のバスでは、やはり従業員が同程度の重労働に従っておるわけでありまして、それとのバランスはくずれていないかということを問題にしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/29
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030・千葉千代世
○千葉千代世君 よく新聞にたいへん手当の項目がたくさん多いように非難されて書いてありますけれども、実際調べていきますというと、一人の人がそんなに幾種類ももらっているわけではないのです。いろいろな場所によって違っております。こういうふうにございますが、その点誤解があるということが一つと、それから、大阪などでも、やはり大阪も名古屋も同じように非常に交通部門についても赤字経営のところがあるようですけれども、やはりそれは総体的な問題として解決していっているわけですが、東京都としてやはり独立採算制でありますから、当然その面の合理化によって処理していきたいという考えは私はわからないわけでもございませんけれども、物価の問題にしても、ことしはそうであっても、この三年、四年来ずっと積み重なってきた生活の苦しみというものが、ずっと抜け切れないでいるわけです。ですから、ここで一ぺんに四千円も五千円も下げられてしまったのでは、たいへんな苦しさだと思うのです。これが十万円とか八万円とかもらっている人でしたら、これはまた多少考えも違いますが、ぎりぎり一ぱいの線で生活をしておって、しかも、いままで借金がたまっていて、そうして三月の末に来ても全然お金が入らない。こういう目にあっていたのでは、これはやはり早急に手を打っていただくよりほかに解決の道がないのではないか。私聞いておりますというと、合理化というのですから、これは労使双方で十分に話し合いをして、そうして、お互いにそれではひとつここを切り抜けていこうじゃないかということなら話がわかるのですけれども、そういう妥協案というものを持ち出しても、現に二十一日の場ですが持ち出しても、全然それに一顧の目も触れないのであって、そうして、強硬に一方的に九十日間の猶予を置いて、そうして当局案だけを押しつけていくというやり方について、これは正常な労働運動に対する見解が非常に違うと思うが、いかがでしようか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/30
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031・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 三、四年来物価が上がってきたということは仰せのとおりですが、三、四年来給与のほうも上がってきており、給与だけがとまっておったのではないと思います。争議の実態については私はよく存じませんので、批判をいたす地位にないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/31
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032・千葉千代世
○千葉千代世君 しかし、争議については自主的に労使双方でやるので、政府が介入していただくということは毛頭考えておりませんし、すべきものでもございませんけれども、しかし当局の示した案というものと、それから組合で要求しているというもの、そこにたいへんなへだたりがあるわけです。そういう観点の中で、やはりこれは国会としても無関心であってはならないと私はそう思うわけです。ですから、争議に介入するという意味ではなくて、やはりそれを当局の総合的な解決の方法なり何なりについてお考えになったことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/32
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033・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) これは第一義的には東京都の問題でございますから、東京都がこの問題をどういうふうに処理をするかということをよく私どもとして拝見をして、その結果として国が何をしなければならないかということを考えるのが筋道だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/33
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034・千葉千代世
○千葉千代世君 これは後日私質問したいと思っておるのですが、都政監査についてもそういう給料の点について触れられているわけです。そうすると、やはり都政についての監査の権限というものについても、私はたいへんな疑問を持っております。そういう中で全然東京都の問題であるというならば、あのような監査をしてやる必要はないじゃないかというくらいまで発展しているわけですが、きょうはその点はやめておきますが、物価が上がっても賃金もそのとおり上がったからとおっしゃるのですが、物価の上昇率と賃金の上昇率を考えていった場合に、それから税の負担という問題を相関的に考えますというと、これは結果的に、決して賃金のほうが物価よりも上がっているという結論は出ていないわけです。これはたくさんの資料を私持っておりますが、そういう観点で単に、物価が上がっても、賃金がそれ以上上がっておるから苦しくないからという見方の中の行政の問題については、非常に問題があると思うのです。とにかく、東京都の今度の交通の整理につきましても、昭和六年に大阪の市電の方々の給料半減問題、それから、昭和九年に、御承知のように、東交に対するやはり給与を下げるか、一応解雇の形式をとってそうして立て直したという、そのあとずっと長い間、三十年の間、営々として建設のために尽してきたわけなんです。ところが、今日の社会情勢の中で、一方的に労働者だけにこれの責任を転嫁していくという、こういうやり方については、やはり問題があると思うのです。そういう意味におきまして、やはり今日の段階において、労使双方がほんとうに合理化案について案を持ち寄って、その案を検討して、その結果によってお互いに考え合うなら話がわかりますけれども、全然そういうことについては当局のほうでは話し合いに乗ろうとはしない。しかも、今度は正常な組合云々ということまで介入しておるわけなんです。そうしていった場合に、これは東京都というものがかなめになって、全国的にやはり今後の問題を含んで関連すると、こう考えておりますので、私どもは、東京都の今度の交通労働組合の交渉については、非常な関心を持っておるわけなんですけれども、いま早川大臣が早急に解決するように自分も願っておるとおっしゃった。それが具体的にどのようにしたらいいかという、これは第三者の考えでけっこうですから、おっしゃっていただけませんでしょうか。たとえば、あなたが東京都知事になったならば、東京都の問題で話し合いがあるというならば、やはり自治省ですから、それだけの見解がなければ自治省としての意味がないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/34
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035・早川崇
○国務大臣(早川崇君) なかなかむずかしい問題でございますので、具体的にはお答えすることはできませんけれども、目下東京都の執行部と交通労務者とが折衝中でございまして、先ほど申し上げましたように、何としましても、合理化という線でお互いに歩み寄る線は私は必ずあると思うのです。そこで東京都のほうで、しかし、この程度のものはひとつぜひ、料金価上げをストップしたのだから、一年間この程度はひとつ何とかしてくれぬかという線もあろうと思うのです。ないことを私は好みますけれども、そういうときには、自治体のことだからおれは知らぬと、私はこういうことは言いません。何とか言いますにしても、独立採算で料金をストップしたのですから、具体的にどういう措置を東京都がとっておられるか。そういうときには私どもとしてはできる限りのあたたかい気持ちで、自治体はこういうふうにやれ、一般財政からやれということは申さないで、十分政府といたしましても誠意を尽して措置いたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/35
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036・千葉千代世
○千葉千代世君 大臣お忙しいそうですから、もう一つだけ。やはり合理化ということばにちょっと錯覚を起こさせるのです。私やはり一方的に犠牲を大きくしてしまってから、話がこうなったじゃなくて、犠牲は最小限にして、そういう中で早くいい話し合いの方向に持っていくという、やはりこの努力をお互いにしていかなければならないということは当然でございますけれども、やはりいままでの赤字の額だけを宣伝されておりますけれども、それまでになるにはそれ相当の理由があったし、私からはっきり言わせれは、これは交通労働者が責任を負ってしまって、一方的に合理化という名でもって犠牲にされてはかなわない。やはり、当局の行政面について、あるいは運営面についてたくさんの欠陥もあったことですし、また、その当時当時の措置についての累積もあることです。そういう面に十分のメスを入れながら、そうしていい解決の方向に持っていかなければならないと考えております。そういう面で、私このまま時間的に推移していきますというと、非常にこの争議も長引いていきますし、都民の交通の足も奪われていくということが私は想像できるわけでございます。私特に今日の時点で、けさ私もその会議に出てまいりましたのですけれども、今日の時点で、あのままで、ほうっておいて、一方的に賃金を切って、これで言うことを聞かなければこうだぞと、まな板の上に載せてほうちょうをかまえているような、為政者がこういう態度では、ものごとは発展していかないということを私は見てまいったわけです。そういう点で早急というおことばもあったわけですが、なるべく早い機会に、これは政府の立場としての限界ということも承知しておりますが、陰に陽に、やはり東京都当局が、労働者の立場に立ってものを考え、全体的の関連の中でよい解決がされるようなひとつ御配慮をいただきたいと申し上げておきまして、私は終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/36
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037・鈴木壽
○鈴木壽君 早川さん予算委員会の関係もあるようで、時間もきわめて限られておるようでございますから、端的にお聞きいたしますが、いまあなたのお話を聞いておりますと、何らかの対策を国として考えなければならんと思っておる、しかもその結論は早急に出したい、こういうお話もございました。それからいま一つは、その中で、東京都から何らかの申し出なり言ってくることがあるだろう、それを待って、国としてやれる限度等もあるから、考えていきたい、こういうお話をなすっておりましたのですが、どうもいまになって、争議が起こりスト騒ぎが起こって、なおかつそういうような態度だということについて、私は残念だと思うのであります。むしろあなたのほうでは、この問題は、交通事業その他公営企業関係において容易でない事態になってきておるから、これは何とかしなければならんということは、すでに今月に入ってからとかということでなしに、前々からこれは考えておったはずなんでありますけれども、せんだってもちょっとお聞きしたのですが、あなたのほうで、経済企画庁のほうと運輸省のほうに、事務次有名で、これは、どう言ったらいいのですか、申し入れといいますか、要請といいますか、いわゆる文書で出ておるわけなんであります。しかも、これは昨年の十二月に出ておる。こういうことについて何か結論は出ていませんか、端的にお聞きします。もっと具体的に申し上げますならば、六大都市の公営バス料金については、低物価政策の要請により、この改訂が当分の間抑制されることはやむを得ないが、そのしわ寄せを地方団体に求めることは適当でないので、国において全額その損失を補てんすべきであると考える、ついては、貴省においては、その損失額について国庫補助金の交付あるいは元利補給付融資の措置を請ぜられたいと、こういうはっきりした線が、あなたのほうとしては、自治省として出て、関係省庁のほうに要請をしておるのでありますが、これについてどういう答えが出ておりますか、それをまずお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/37
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038・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 国務大臣として申しますが、政府としては料金ストップによる四十八億全額を元利補給するという考えは持っておりませんしこれを機会に、世論がどう見ても、この点は民間に比べて少し不合理じゃないかというような努力を、最大限、労使ともやっていただきまして、なお世論からいいまして、その点は政府で公共料金をストップしたからこれは何とかしなければならぬ、あるいは一年後の物価値上げまで負担さすならばこの間のつなぎ融資をしなければならぬというような点につきましては、先ほど企画庁長官も申されましたように、政府としては措置する用意がある、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/38
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039・鈴木壽
○鈴木壽君 大臣としては全額を国で見てやるわけにいかぬ、ところが自治省としては、国において全額見てやるべきだ、こういうことを言っておるのですね。そこら辺どうですか。役所は私はよくわかりませんが、大臣と自治省の事務次官がこういう文書を出しておるということを食い違っていいものですか、どういうものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/39
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040・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 予算要求と同じことでありまして、できるだけ自治体のためにわれわれはよかれと願うがゆえに次官がこういう要望を出したのですが、政府としては、やはり全体的な立場で考えなければなりませんから、一〇〇%補てんしろということは、政府としてはいかがなものであろうか。また、大蔵大臣あるいは企画庁長官と相談しておる大体の方向といたしましては、全額全部元利補給をしろということは、政府の意見としてはまとまらない。だから、私としては、いま言ったようなお答えを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/40
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041・鈴木壽
○鈴木壽君 私はそういうふうにおっしゃられるとわからなくなるのですが、あなたのほうの次官がこういう、私は正式な文書だと思うのですが、こういうものを出して、それぞれの関係省庁に呼びかけている。この態度は自治省として、しかも自治大臣であるあなたも同じ考えでこういうふうになさっておるのではないかと、これは常識ですね、そういうふうに考えるのは。しかしあなたは、いや、大臣としてはそうじゃないのだ、政府としてはそうじゃないのだというから、ここら辺、いわゆる政府の最終的な結論を私は聞いているのじゃないのですよ。自治省の大臣としてのあなたはこういうことについて一体どうなのか、こういうふうに私は聞いているのですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/41
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042・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 先ほど申し上げましたように、次官の要望というものも、こういうものをどう処理するかという、あの段階における事務的な要望であろうかと思うわけでありまして、自治大臣といたしましては、いま申し上げましたような、合理化と公営料金をストップしたという両面から、最も妥当な結論を政府も考えておるという考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/42
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043・基政七
○基政七君 私も実は不可解に思うのですが、自治省の次官が地方の行政の長に対して、料金ストップと言うことは、物価政策上これはやむを得ないという一つの措置ですから、これは私ども了承をするわけですが、累積がかさんで、非常に困っている際に、ああいう通牒が出ますと、地方のほうではやはり大きな期待をしていると思うのです。その期待に対して、やはりそれは予算措置の予算要求と同じだ、国のほうできまった以上やむを得ないじゃないかと言うだけでは、次官としても、通牒の型としては非常に不明瞭だと思うのです。あとに相当問題を残すのじゃないかと思うのですが、ときによりますと、次官通牒をした場合には、政治的な配慮が行なわれて円滑にいく場合がしばしば多いのですけれども、このことに関してだけそういうふうに切り離すような答弁というのは、自治省の立場から見たらいかがですか、私はちょっと不可解に思うのですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/43
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044・早川崇
○国務大臣(早川崇君) この次官通牒が、たとえば各町村に通達したというような問題であれば、これは自治省として責任を持ちます。しかし、関係各省にこういうものをしてほしいという要望の場合に、先ほど申し上げましたような、政府全体の統一的な立場に従わなければなりません。それだけの権限はないわけです。ですから、あれは先ほど申しましたように、自治体を思うがゆえの予算要求という程度にお考えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/44
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045・基政七
○基政七君 実はもう一回、そうしますと、その点やっぱり閣議の統一見解と見ていいんでございますか。ああいう通牒の扱い方についても同じような意味で見解を伺っているんですけれども、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/45
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046・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 閣僚仲間のいろんな折衝の場合には、やはりわれわれとしては全額元利補給してもらいたいという要望もいたします。そうすればますますけっこうでありますから。しかしながら、この問題につきましては、宮澤長官も言われましたように、いろいろ問題がからんでおりまして、合理化の努力が、はっきり申しますと、公営企業は親方日の丸という点があるわけでありまして、合理化してもらうというのはしてもらうと、しかし、公共料金のストップによって不合理な面が出てきたという面については何らかの措置をするという方向で別に閣議決定しておりません。けれども、幸い最近になりまして、宮澤長官も大蔵大臣も、よく事情を御理解いただきまして、御協力いただくような態勢になっておりますので、もう少しこの問題につきましては、合理化の努力というものとにらみ合わせながら結論を出したいと、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/46
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047・基政七
○基政七君 もう一つだけですが、本来的に言いますと、独立採算制というのは、私は一つの方法としては決してこれは否定しているわけじゃないんです店…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/47
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048・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 予算委員会が、私の質問で中断をしているようですので、また来ますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/48
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049・鈴木壽
○鈴木壽君 大臣、あなたにまだお聞きしたいことがありますから、ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/49
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050・基政七
○基政七君 長官に伺いますが、そうしますと企業性を私はあまり強く出せば公共性というものは抑えなければならない。公共性を少しでもウエートを大きくして企業の運営を考えれば、これは企業で私は赤字が出るのはやむを得ないと思うんです。むしろある一定の期間はその赤字を補償するという覚悟がなければ、ああいう法律は実のところ出せないと思う。一企業でやると、採算を重点に置いてやるわけじゃないんですから、あくまでも公共の福祉を中心にして、これにより、より大きなウェートを置こうとすれば、赤字は初めから覚悟していたと思う。そういう際でありますから、特に六大都市については料金値上げのストップ令が出て、あの措置は私は適切な措置だったと思うんですけれども、その措置によって六大都市については自治体に大きな負債をかけたということは、政治的な配慮から見ますれば、相矛盾したものをそのまま自治体におっかぶせているような気がする。そこで今度の問題で東京都のような問題が起こってくるんじゃないかと思う。それでもう少し本質的な問題とからんで国の行政のあり方ということから考えれば、この際は一億円くらいの金で増資しましたというのは、少しどうも問題を、何といいますか、目をおおって、ただ何か別の角度で検討されたような気がしてならない。そこにいまの次官通牒の関係でいろいろ問題にしたくなるわけです。そこは企画庁長官どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/50
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051・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 手紙を書いたほうでございませんので、一応当面の責任者としてでなく、どう思うかというお尋ねでございますと、こう思うわけでございます。バスの料金にストップがかかったということは、それを利用する東京都民にとってはやはり一つの、それだけの利益を受けるということであろうと思います。で、そこで、もしただいま御指摘のような問題があるといたしますと、それが第一に東京都の問題として考えなければならないのではないか、もっと端的に申しますと、私自身は独立採算制ということは大切なことであると思いますし、たてまえとして今後も貫いていきたいと思いますけれども、東京都民がそういう利益を受けたということであれば、東京都の財政においてこれをある程度処理するという理由は私はなきにしもあらずと思います。それでも、しかし処理できないということはあり得ると考えます。が、しかし、まず第一義的には東京都の財政において処理すべきものであって、国が直ちにそこへ入っていくということは、いわば東京都のバス利用者の利益を北海道の人間の税金でカバーするということになるわけでございますから、それはその後に来るべき問題ではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/51
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052・鈴木壽
○鈴木壽君 じゃ、自治大臣あとに出てまいりましたらひとつまた聞かせていただきたいと思いますが、宮澤さん、せんだってこれはどうも変なことになって終わっちゃったんですが、あなたが番っておる公営交通事業財政調査会で出しました意見書を、政府においてもこれはいいんだというふうなお話がございましたが、この中に八ページに、「公営交通財政改善のための基本的な考え方」の最後の項、3の「料金の合理的決定」のところに、「もし国が低物価政策等の観点から改訂を抑制する場合においては、所要の措置を講ずることが必要である。」、こういうことがあり、もっと具体的に、さらにまた一九ページの下のほうかう六行目のところですが、「(3)料金改訂の遅延に対する措置」として、いま言った下から六行目のところに、いま私が読んだと同じような趣旨の「低物価政策或いは政治的配慮により、合理的な改訂が遷延される場合においては、その限度において所要の措置が講ぜられるべきである。」、こういうのが出ておりますが、これに対してあなたどういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/52
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053・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) この際、お答えをいたしますと同時に、お許しを得て、前回御指摘のありましたことについて一言申し上げておきたいと思います。昨年の六月にこの委員会で篠田自治大臣と私が出席いたしましたおりに、鈴木委員から公共料金と公営交通企業についてお尋ねがございました。で、そのときにすでに料金決定との関係で、関係の各省の現実にいまこの仕事をしております者、及び地方団体の代表者、あるいは学識経験者等が集まりまして、公営交通事業財政調査会の名のもとに合理化の計画を評議をしておったわけでございます。すでにそれがある程度進みましたときに、鈴木委員からお尋ねがございまして、それに対して私が、速記録によりますと、すでに数ヵ月前から関係各省集まりまして、あるいはまたそういう問題を関係各省が検討しております最中でありますから、秋ごろには云々ということを申し上げております。で、鈴木委員は、したがって、これは政府がそういうことを検討しておるとおりになりましたわけで、これはそうおとりになりますのがごもっともであったと思います。ところが、関係各省ということを申しましたのは、ことばとしては不正確でありまして、各省の現実の責任者が協議をしつつおったことは確かでございますが、それは政府の名のもとに行なわれたわけではございませんでした。したがって、私の用語の不適確からそういうふうに御理解になったということは、私のほうの落ち度だと思います。それからなお、これはおわびをいたします。なお、鈴木委員は、昨年の六月にも、今回もまたこれは交通事業だけの問題ではない、公営企業全体の問題であるというふうに論旨を展開しておられますので、それはごもっともだと私は思います。思いますが、実は公営交通事業につきまして、私どもの役所がこれまでこれほど深く関与いたしましたのは料金の決定という問題がございましたために関与をいたしましたわけで、公営企業全体に問題があるということは、これはもう御指摘のとおりでございますけれども、それは私どもの役所から申しますと、自分の所管を実は越えることでありまして、公営企業全体のあり方については主としてやはり自治大臣が中心になられて御検討をなさるべきことではないか。たまたま交通事業について料金の問題がございましたので私どもが関与をいたしておる、こういう経緯でございます。そこでただいまの御指摘の点でございますが、これにつきましては昨年の六月にこういうことを申し上げております。結論が出ましたときにすぐさまそれをそのとおり政治上の決断として行なうかどうかということは、もちろん非常に密接な関係がございますが、即そうであるということは申し上げにくいかと思います。ということを申し上げております。で、この意見書には、やはりただいまお読みになりましたようなことが二、三カ所に見えておりまして、したがって、私どもは、国として公共料金をとめたという以上、最終的には国に何らかの責任があるということはそのとおりであるというふうに考えますけれども、それをどの限度にどうすべきかということは、先刻から申し上げておりますように、具体的な問題として取り上げて、ここに書いております、そのつど所要の措置が講ぜられるべきである、所要の措置は何かという問題もございましょうけれども、その程度というあたりをどういうふうに考え、どういうふうにいたすかということは、これは別途の政治的な決定であるというふうに考えるわけでございます。したがって、基本的には私は全然責任がないという態度は私どもとらない。先刻申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/53
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054・鈴木壽
○鈴木壽君 あれですか、基本的には、国が物価対策、物価政策という、そういう立場において料金の引き上げをとめたということに対して起こる損害、これは具体的にはどの限度においてそれを見るのか。それはともかくとして、国として当然責任を持たなきゃたらぬ、こういうふうにおっしゃったと思いますが、そのように私とってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/54
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055・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 私ども、地方公共団体というのは、地方住民の当然利益、福祉の擁護増進ということを主たる目的としておるものと考えますので、したがって、先刻申し上げましたような、バスの料金をストップしたということは、これは受益者にとっては利益でございますから、そういう考え方をいたしますと、住民の利益の代表としての地方公共団体と国のとりました今回の措置とが、利害が本質的に相反しているものであるというふうには考えておらないわけでございます。国の措置によって地方の住民が利益を現実に受けておるのでありますから、それについては地方公共団体もやはり当然に協力をしてもらっていいことである。まずそれが基本の考え方でございます。しかしながら、その全部を地方公共団体が合理化あるいは財政措置によって背負い切れないということは、これは考え得ることでございますので、その範囲においては国も何がしかの援助をしなければならないであろう。したがいまして、ただいまのお尋ねに対しましては、それから生じた損失額全額について国が責任があると考えていいかと、こういうお尋ねであれば、そうは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/55
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056・鈴木壽
○鈴木壽君 これは料金改定をストップしたことによって出るいわば損害、あるいは具体的に赤字というような問題は、これはなかなかその面だけから赤字がどのくらい出るか、損失が幾らくらい出るかということは、これもなかなかつかみづらい問題だと私も思うんですね。機械的に、料金をこれだけ上げればこれだけ入るのだ、したがって、これだけの引き上げをストップされたことによってこれだけの赤字が出たと、その簡単に割り切ってやれるものでもないと私も思っています、いろいろ他の要素も考えなければならない問題があると思いますから。しかし、その限度をどこに置くかというようなことを具体的にどういう数字におさめるかということは、なかなかこれはたいへんだと思う。しかし、引き上げを抑制した国のその措置によって出てきたものについては、やはり私は安い料金でやっているから住民が利益を得ているじゃないかというようなことも、考えれば考えられないわけではないですが、しかし、そういうよりも、やはり国として考えなければならぬ。私、最初からあなた方は料金ストップは予定してかからなければいけない仕事であったと思うんですよ。そうでない限り、この問題どうもぐずぐずしていて、具体的にどうだとか、合理化がどうだとか、そういう問題じゃ私はないと思うんですね。そういう面で、私はいま言ったように、金だとか、具体的なことになると、いろいろめんどうな線の引き方もあると思いますけれども、料金改定が行なわれなかった、国がストップをかけた、そういうことによって出る赤字というのは、やはり原則的に国が見るのだということでないと、私はおかしいと思うんですね。それは、もちろん公共団体によってやれるところ、一般財源によって、あるいはその他の方法によってやれるところも、もちろんそういう部面もあると思います。また、そういうふうなことも私はやっていいと思いますが、やはり原則的には、国がとめた、政治的な立場から政策的な問題としてやったわけですから、やはり国が、何といいますかね、それについての責任を負うというのが私当然のことじゃないだろうかと思っている。そういう意味において、さっきあなたのお話しになったことも、そういういわば原則的なことはお考えになっておられるというふうに聞きましたから、念を押して聞いてみたわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/56
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057・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、基本のものの見方といいますか、そこに、鈴木委員の御指摘になっておられますことと、私どもの考えておりますことと、多少差があるのではないかと思います。公共料金のストップによって、私どもは、地方の住民に損害をかけたというふうには考えておりません。したがって、損害をかけたから、当然それを補償する責任があるという考え方はいたしておらないわけであります。バス料金をストップいたしましたことによって、現実に地方の財政に減収が生ずるということはこれは認めます。確かであると思います。もしそうだといたしますと、その減収というものをカバーする方法は、いろいろ考えられるわけでございまして、たとえば当該地方の財政でそれをカバーする方法はないかということは、これは第一義的に私は考えてしかるべきであると思うわけでございます。そこで問題になりますのは、いや、それは独立採算例であるから問題があるのだということになるわけでございますけれども、独立採算制といえども、金を借りることを禁じてはおらないと私は思うのでございます。独立採算制ということは、たいへんに大切なことでございますから、今後ともそういうたてまえをくずしたいとは思いませんけれども、しかし、だからといって、当該地方の財政から、金が借りられないということはないと思いますし、また、現実に地下鉄事業などには、一般会計から金を出しているところもあるわけでございます。そういうことは全く考えられないものであるかどうかといえば、必ずしもそうは申せないでありましょうと思います。
なおそれをやりましても問題が残るというときに、これは先刻申しましたように、北海道の納税者が東京都の財政を助けるということになっても、これはやむを得ないと思いますが、それはその段階においてであるというふうに私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/57
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058・鈴木壽
○鈴木壽君 それでは具体的にお聞きしますがね、いまお話しになりましたことは、さっき私、自治大臣にお聞きした、自治省の事務次官金丸さんの名前で運輸事務次官並びにあなたのほうの次官松村さんあてに出した、これに対する一つの答えとも思うのですが、この文書の中には、国において全額当然損失を補てんすべきであると考えるということが趣旨なんでありますけれども、あなたのいまのお答えは、いやそうじゃないんだと、まず第一に地方自治体で考えるべき問題だ、二義的に国がどうするかということをやるべきで、自治体でやったそのあとの段階として考えていくべきだと、こういうことでございましたから、これに対する一つのあなたのほうの、経済企画庁の長官としてあなたの考えをいま表明された。事実上ですね、この文書に対する回答とかなんとかということでなしに。そういうふうに聞いたのですが、そういうふうに理解してどうです、私の理解は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/58
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059・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもの役所はその文書の写しをもらっておりますそうでございます。しかして、その文書がありますことは承知をしております。先刻来申し上げましたように、まず合理化の努力がなされなければならない。特に地方公営企業法のたてまえと違って従来運営されてきた部面については、やはり法律のたてまえというものを尊重してもらいたい。その上でさらに当該自治体が財政的な解決の方法も考えてもらいたいと思いますし、しかし、それでもなお手が余るというところについては国も何がしかのことをしなければならない、そういうふうに考えております。したがって、その次官の意見についてどう思うかというお尋ねについては、ただいま申し上げましたように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/59
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060・鈴木壽
○鈴木壽君 自治省は、これは大臣おらないので、その点について事実かどうかをこれは一応確かめなければなりませんけれども、このいまの赤字の問題、特に六大都市の公営バス等の問題について国から補助金を出すという、こういう一つの案、それから政府関係金融機関などから受けている融資について政府が元利補給をする、こういう案、それから起債の償還をたな上げする、こういう案を考えて、これのうち、全部ではないでしょうが、そのうちのいずれかをとって今回のこの公営バス赤字の問題等を処理していきたいと、こういうように考えておられるようでありますが、これはひとつ大臣にお聞きする前に、柴田さん、自治省としてこういう幾つか考えられる方策のうち、いま私申し上げましたような伝えられておるこういうことについて、それぞれの関係各省との間の話し合いというものは進められておりますかどうか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/60
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061・柴田護
○政府委員(柴田護君) この問題につきましては、先ほど来お読み上げになりました、私どものほうの事務次官名の文書でお願いいたしましたあとで、関係の事務次官が集まりまして、その席でどうするかということが検討されておるわけでございます。私どもは、先ほど来申し上げました考え方に基づいて若干の試案めいたものを出して、そうしてそこでそれを素材にして話し合いを進めておる。なかなか話し合いはそう簡単に参りませんで、今日まで若干の時日が経過しておりますが、まだ結論を得ておらない、こういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/61
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062・鈴木壽
○鈴木壽君 これはいわば関係各省の次官の間で話し合いをいたしておる、こういう段階でございますか。あるいは大臣同士の話し合いをしておるという段階にまで行っておるかどうか。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/62
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063・柴田護
○政府委員(柴田護君) この問題は、公共料金ストップというものは内閣の基本的な方針でございますし、事がきまりましたのがいわゆる事務的な面を越えました面できめられた大方針でございます。したがって、事務の最高スタッフと申しますか、政治と接着する部面と申しますか、その段階で話し合いが進められておる、こういう形をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/63
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064・鈴木壽
○鈴木壽君 経済全面庁長官には、まだ自治省からこういう具体的な、さっき私があげましたような幾つかのこれは案と申しますか、そういうものについて話し合いがございましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/64
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065・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 実は、私自身自治省の事務次官と関係の局長においでを願って実情を過日一時間余り承りました。で、これは現状を聞かしてもらったわけでございまして、したがって、続いてさらにそれにどう対処すべきかということを再度同じような会合で進めていかなければならないといま思っております。したがって、ただいままでのところ、具体的にこうしたいという案を御提示願って検討するところまでは行っておりませんが、第一回のそういう会談はすでにいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/65
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066・鈴木壽
○鈴木壽君 その第一回の会談のときですね。その料金ストップによって生じたいわゆる一年分の、三十九年の一月から十二月まで、その料金のストップによって出た穴についての具体的の国としての措置、これについてはそこまで話が進みませんでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/66
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067・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) そこまで実は進みませんでしたので、自治省からは六大都市について主として御説明がありまして、私からは、それはよくわかったけれども、六大都市以外で小さな財政を持っている貧困なところでもっと困っておるところはないのかというお尋ねをいたしたりしておりまして、したがって、具体的に六大都市をどうするかというところまでは参らなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/67
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068・鈴木壽
○鈴木壽君 自治省のほうに伺いますが、自治省としては料金改定がストップになったために、今年の一月から十二月までの赤字大体二百五十億近いものが出る、こういうふうな見込みから、それを何らか国において措置しなければならぬ、その措置の方法としては特別に起債を認めていこうじゃないか、しかも、その起債についてはあとで国が少なくとも利子補給なんかはしなければならぬ、こういうふうに考えていま進めておるというふうなことを聞きますが、その点はどうですか、自治省のほうとしては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/68
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069・柴田護
○政府委員(柴田護君) これは考えようでございまして、いろいろな方法が私はあると思います。ただ問題は、この辺の考え方からいろいろ議論があるわけでございますが、公共料金ストップという大方針によって出る赤字、その赤字というものが、私どもは赤字の問題については二つ分けて考えておるわけでございます。基本的な赤字の問題が一つあるわけです。この赤字については、別途、これは公営企業のたてまえというものを前提として処理することを考えていかなければならぬだろう。これについては国に対する援助の要請というものはむしろ避けるべきだ、面接的な援助の要請は避けるべきだ。たとえば起債条件の改善でございますとか、こういう問題は別でございますけれども、そういう問題は別にして、財政的な援助といったような形のものはむしろ避けるべきだ。第一義的にはやはり地方団体自身の手においてこれを考えていく問題だろう。しかし、今回の料金ストップという問題に関連いたしましたものについては、これは地方団体側の努力もさることながら、現に主官管庁であります運輸省におきましても、一時、この辺までは認可をしていいんじゃないか、こういうことを考えておったわけでございますので、それがより高次の方針のもとにおいて押えられたという経緯がございますので、私どもといたしましては、やはりこのことについては、国が積極的な態度をとるべきではないか、こういうことでいろいろ関係各省にお願いをしておるわけでございます。実は私どもその文書を、この料金問題がきまりましたときに、関係各省にお願いいたしましたのは、財政的――財政計画の面からも総合的な責任は私どもにあるわけでございますので、料金認可というものの関連におきましては、第一次責任は運輸省でございます。したがって、運輸省においてそういう措置をとっていただくのが筋だから、そこで主管省であります運輸省の事務次官に対しまして事務的な観点からの要請をいたしたわけでございます。ただ、この公共料金ストップという基本方針の実施に当たられるのは経済企画庁でございますので、あわせて経済企画庁の事務次官に対しましてもそういうことを申し入れと申しますか、要請をしたということを連絡申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/69
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070・鈴木壽
○鈴木壽君 そうすると、何とかしなきゃならぬというふうなことは考えておっても、いまのところの何とかしなきゃならぬ具体的なことは何も出ていませんね。のんきじゃないんですかね。――のんきでもないでしょうが。どうもこれはいま始まった問題じゃないですよ。さっきもちょっと私触れたように、料金ストップをするというときすでにもう考えていなきゃならぬ問題が、ああでもないこうでもないというようなかっこうで、どうも私は残念だと思うのですがね。これはまず宮澤さん、あなた料金ストップについてはあなたのほうで強い、何といいますか、立場からこういうことに踏み切っておられるのですが、やっぱりこれはあなたのところで中心になって考えなきゃいけない問題だと思うのですがね。いつごろ、これ何らかの形としての結論が出ますか、正直なところ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/70
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071・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) それはお前のところは責任があるだろうとおっしゃいますと、私どももそう思いますので、したがって、閣議からはこの問題の処理を一応取りまとめるようにという委嘱を受けておるわけでございます。それに基づいて、先ほど申し上げましたように、自治省の事務当局から話を聞いておる。それで最終的には私のところでこの程度のことは最低限度やむを得ないだろうというものをもちまして、大蔵省を説得をするということになるわけでございます。どうしてもある程度のことはしなければならないわけでございますから、そんなにのんべんだらりとやっておってはいけないとは思っております。しかし、何週間以内にということをいま申し上げるほどはっきりしためどは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/71
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072・鈴木壽
○鈴木壽君 自治省としては、これはどういうふうに考えておられるかわかりませんが、私どもの予想としては、問題がいわゆる国会の場でいろいろ論議されているのもずいぶん前の話だし、基本的な、たとえば金をこのくらいやるとか、何億円をどうするかという、そういうことはともかくとして、基本的な対策だけは、とっくにやっていなければならぬと思うのですがね。やっぱり今年度のおしまいの今月中に何とかひとつけりをつける段階じゃないかと思うのですがね。どうです、宮澤さん。私はこの問題の扱い、これはさっきあなたのお話の中にありましたように、公営企業全部の問題としても私は考えておるので、しかし、全般の問題としては、これはなかなかそれぞれによって違った形において経営されておったり、何とかいろいろありますから、いまにわかに、たとえば水道あるいはその他病院等の問題、いろいろありますが、全部そういうものがきれいに足並みをそろえてそれの対策を打ち出すということは、これは事実上不可能であろうと思いますが、ただいまの問題だけは、やっぱり早急に結論を出すべきじゃないだろうかというふうに思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/72
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073・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 取りまとめる立場に立っておりますので、金を出す側のことも考えてやらなければなりません。地方交通事業に相当合理化の余地のあることは確かだと思いますので、したがって、合理化の努力をどれだけ現実にその当該地方団体がするかしないかということは、やはり確かめなければならないと思いますので、今月中と仰せられますと、ほぼ今週中でございますが、ちょっと今月中に結論を出すことはできないであろう。しかしながら、特に遷延をして利益のあることではないと思っておりますから、できるだけ早く検討をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/73
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074・鈴木壽
○鈴木壽君 あなたが言うように、合理化という問題を出してきましたが、この問題は赤字全体の問題をいま国においてどうせいということではなくて、あなたもお認めになっておられるように、料金改定をストップされたことによって生ずる損失をほうっておいていいかどうかという問題なんですね。ですから、これはさっき自治省の柴田財政局長もお話しになったように、やっぱりいまとしては二つに分けて考えて、当面の合理化という点になると、私はいまの赤字の問題でもいろいろ検討しなければならぬたくさんの問題があると思うのです。それからまた、実際に起こっている料金引き上げは、やはり独算制の立場から当然なさるべきであるし、なされなければならぬと政府が考えておって、それが政治的な一つの配慮においてストップを食らっているのですから、それによって生ずる赤字というものの処理というものとやっぱり私は分けて考えるべきだ。後者について一体いま政府はどう考えているのかということを実はそこまで詳しく申し上げなかったけれども、そういうことを頭に置きながら私お尋ねしておった。だから、その点をやっぱり合理化、企業の、あるいは地方公共団体の合理化ということはいろいろ確かに公営企業全般の問題としてはあるけれども、少なくとも料金ストップによって生じたそれというものは、やっぱり直接的に国が何らかの考え方を、対策を示すべきだ。これは私は間違っていないと思うのですがね。それについてのお考えなりあるいは対策を早く出すべきじゃないかと、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/74
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075・占部秀男
○占部秀男君 ちょっと答弁の前に、特にいま鈴木委員が言われたことは、私はこの前、さっき言ったところと関連するのですが、その当面の問題によっていわゆる給与が上がらないでごたごたが起こっておる。こういうような事実的な問題が背景になっておるわけですね。だから、したがって、この問題は切り離してまずそれを解決をつけ、給与の問題についてのある程度めどをつけて、そうして根本的な問題に入る。これを早くやらなければ、全体の問題がやはり動かぬのじゃないかと私は思うのですよ。そういう点もあわせて御回答願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/75
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076・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、従来から累積した赤字というものと料金をストップしたことから生ずる赤字というものは、分けて考えるべきじゃないかと言われますことは、私はそのとおりだと思います。で、それはそういうふうに考えなければならないと思います。ただ問題は、そういうふうに分けて考えまして、後者を問題にいたします場合に、かりに数字をあげまして、料金をストップしたために生ずる収入減が五十億であったといたします。で、他方で合理化というものを新年度からしよう、またしてほしいと考えておりますし、現実にしようとしておる公共団体もあるわけでございますから、その五十億というものは、したがって、その合理化の結果どれだけそれが影響を受けるかということは、それは見てみないとわからないと私は思うわけでございます。こまかいことになるようでございますけれども、現在において五十億とかりに把握いたしましたものが、一年間化努力をすることによってどれだけそれが減り得るかという問題はあるわけでございますから、分けて考えましても、やはり合理化努力というものを頭に入れて計算を私どもはしたい、こう思っております。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/76
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077・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) この際、委員の出動について報告いたします。三月二十四日付で館啓二君が辞任され、後藤義隆君が選任されました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/77
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078・後藤義隆
○後藤義隆君 経企庁長官にお尋ねいたしますが、自治体の経営しているバス料金の値上げを認めないための減収分については、第一義的には自治体の責任において解決しなければならない、また、幾ぶんは国がそれに対して補てんする責任があるのだということは、先ほどからあなた認められておるようですね。いまバス料金についてお話があるが、水道料金に対しては一体どうするお考えか。それから、自治体だけではなしに、普通の私企業のガスとか、電気とか、そういうようなものの料金の引き上げをストップしたものに対して、国はそれに対しては全然補てんする、損失の補てんをする意思があるのか、ないのか。もしないとすれば、自治体の場合とどうしてそこに差をつけるのかという点についてお尋ねしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/78
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079・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 前段のお尋ねは、交通事業以外の公営企業の料金ストップによる収入の減をどうするかというお話でございますが、私どもは、地方の公営企業の収入減というものは、まず第一義的には合理化、あるいは地方の財政において云々と申し上げておるわけでございますから、このたび地方財政に生じた収入減というものは、一応ひっくるめて、一括して考えまして、その上で地方がどの程度すべきでそのしりを国がどう考えるかということは、交通事業ばかりでなく、一括して考えるつもりで実はおります。それから、私企業の認可料金をとめたということについて、その損失をいかにすべきかということは、私どもは、それがたとえば金融措置によってカバーできる分については、これはできるだけの努力を、やはり政府としても、努力といいますか、そういうめんどうを見るとか、平たいことばで申せば、そういうことはいたさなければならないと思っております。さらに、しかし倒産をするというようなことがございますれば、これは別途に考えなければならないと思いますが、それ以外でございましたら、一体金融措置によって一年間ごしんぼうを願いたい、こんな考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/79
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080・後藤義隆
○後藤義隆君 そうすると、私企業の場合に、減収分に対して何がしかを国のほうで補給する義務があるというふうに考えるわけですか、義務としてはないというふうに考えるわけですか、権利義務の関係からいって、そこはどういうふうに考えるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/80
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081・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 非常に露骨に申し上げますと、そういう料金を認可する必要がないという行政上の判断でいたした。したがって、それから生じ得べき収入減については、法律上の補てんの義務はない、こういう考え方をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/81
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082・後藤義隆
○後藤義隆君 公共事業の、自治体のバス料金に対しては、それはやはり義務があるということを考えて、 そうして、義務の履行として補給しようという意味ですか。全然義務はないけれども、一つの政治としてそれをやろうというようなお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/82
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083・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 法律上の義務とは、地方自治体については、考えておりません。ただ、地方税等が相当すでに高い水準にございますから、これを増徴するというようなことが現実に困難であろう、したがって、政治上の問題として地方自治体に対して国も何がしかの援助をすべきであろう、さような判断です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/83
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084・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) ちょっと速記をとめてください。
〔午後零時十八分速記中止〕
〔午後零時三十五分速記開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/84
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085・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/85
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086・占部秀男
○占部秀男君 先ほどから、地方公営企業の赤字の問題について大臣にいろいろお伺いしたのですが、なかなか問題点が複雑なようで、すぐにはどうも……はなはだ遺憾なんですが、われわれのどうも納得できないような御答弁ばかりなんですが、ただ、この際一つだけお伺いしておきたいことは、先ほど鈴木委員の御質問に対する大臣の答えの中で、次官通牒の問題点について、何かあれは簡単な予算要求のメモのようなものだというようなふうな御答弁があったようにわれわれは伺っておるのですが、かりにそういうことになると、これはたいへんな問題なんで、少なくとも自治省としては、ああした通牒を出す以上は、それに沿ってひとつこの問題の解決には努力してもらわなければならぬとわれわれは考えているのですが、どうもわれわれの受け取り方とはだいぶ離れているように考えられるのですが、その点についてもう一度大臣に念を入れてお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/86
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087・松澤兼人
○松澤兼人君 いま占部さんからもお話がありましたようにこういった問題はなかなか重要で、この次官通牒というものは、そう簡単なものとは私たちは考えていなかった。次官に通牒を出してもらえば、それである程度はそれによって効果は十分に期待できるというふうに考えているのですが、一般の民間人としては。ところが、それは内輪のものだ、たいしてそうこだわる必要はないというふうな言い方をされますと、いろいろ問題があると思うので、そのところをひとつ大臣からも慎重にお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/87
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088・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 私の部下の次官の運輸省に対する要望でございまするから、この線に沿いまして、今日まで私としても努力をしてまいり、また、事務当局でもその線に沿いまして最善の努力をいたしているわけであります。今後もその線に沿って最善の努力はもちろんいたします。その結果は別といたしまして、そういう意味では、自治大臣といたしましても十分努力するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/88
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089・鈴木壽
○鈴木壽君 そうしますと、大臣、あれですね、さっきお聞きしたことについて、いま占部、松澤両委員から、あなたの真意はどういう意味かという意味でのお尋ねがあったわけですが、 私は、さっきもお聞きしましたように、これは次官名ではありますけれども、自治省として、さらに、したがって、担当の大臣であるあなたとしての考え方、これは政府部内はどういうふうに取り扱われるかは別にして、少なくとも自治省あるいは自治大臣として、あなたが今回のこういう公営交通の赤字問題等の処理にあたって一つの方法として、こういう考え方でいくべきだという、そういうものだというふうに考えてお聞きしたら、いやそうではないのだというようなお答えがあったものですから、ちょっとこれはおかしなことになったと思ったのですが、いまお話しのように、やはり大臣としてもそういうふうにお考えになって、やはり最終的には政府部内でどのような形で、どのような方向で結論が出るかわかりませんが、あなたの主張すべき考え方としてはこうなんだと、こういうふうにこれからやっておいでになると、こういうふうに考えてよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/89
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090・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 先ほど申し上げましたように、あの線に沿って今後も努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/90
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091・鈴木壽
○鈴木壽君 これはさっきからあなたのおられないところで、財政局長やら、あるいはまだ経済企画庁の長官にいろいろお尋ねはしましたけれども、いずれもいまの段階でははっきりした政府としてとるべき態度、対策というものが示されなかったんでありますが、あなたはこれから、さっきお話になったようなことで政府部内でその問題の解決のために努力をなさると、こういうことでございます。その具体的な問題として伝えられておることで、ひとつ確かめておきたいと思いますが、補助金を国から出すという一つの案もあるということ、それから政府関係金融機関などから受けている融資については政府が元利補給をする、こういうような事柄、いま一つは起債の償還も一時たな上げをすると、こういうふうなことが自治省として考えられておられるようでありますが、これもいま言ったように、具体的な対策としてこういうことを関係各省との間に話し合いを進めておられるのかどうか、これをひとつお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/91
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092・早川崇
○国務大臣(早川崇君) あらゆる問題につきまして経済企画庁、運輸省、大蔵省と折衝をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/92
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093・鈴木壽
○鈴木壽君 この問題ですね、私これでおしまいにしたいと思いますが、やはり大臣が先頭に立ってこの問題の解決のための御努力をなさることが、いま一番大事な問題になってきていると思うのですね。事務当局、事務当局とおっしゃらないで、もうとっくにこういう問題について一つの結論なり方向なりというものは出ておらなければならない段階でございますから、ひとつ事務当局のいろいろこまい問題についての説明、あるいは具体的な問題についての扱いについては、事務当局の話し合いももちろん必要でありますが、さらにこれは一つのやはり政治的な立場においてこの問題をまとめるという、こういう段階に来ておると思うのですから、大臣その決意で積極的におやりになるのかどうかということをひとつあらためてお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/93
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094・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 大臣間で処理すべき時期は刻々と迫っておると思います。よく労使間のいろいろな折衝の事情を聞きまして、できるだけ早い機会にこの問題を処理をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/94
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095・鈴木壽
○鈴木壽君 その際に、さっき私は経済企画庁長官にも言ったことなんですが、いま早急に取り上げて対策をはっきりさせなきゃならぬという問題は、まずとりあえずの問題としては、バス料金等の改定が、引き上げがストップをされた。このことによって生じておるいろんな問題ですね、これをやはり政府の責任としていま早急に対策を立てなきゃならぬじゃないか、具体的な措置まで講じなきゃならぬじゃないか、こういうことを私指摘をしておきたいと思うのです。公営企業全般の問題として、従来の累積赤字がどうとか、あるいは企業の状態がどうとか、経営の状態がどうと、こういう基本的な問題も確かにありますが、これはこれとしてやはりもう少し各方面からの検討を経たあとで答えが出てくるべき問題だと思うのであります。しかし、政府が公共料金の引き上げをしちゃならぬという、こういう一つの物価政策の立場からストップをしておる。こういうことによって生じたその問題は、やっぱり政府の責任として私早急に、いま言ったように、それに対する何らかの具体的な国としての措置をしなければならぬ、こういうことを私いま言わなければならぬと思うのでありますが、どうかその点ひとつお含みの上に早急にやっていただきたい。できれば、私は今月中に方向だけはやっぱり出すべきじゃないかと思うのですが、そうばかり言っても、あるいはなかなか、残るところ数日というようなこういう時点でむずかしいということもあるかもしれませんが、私は遷延は許されないと思うのです。どうかひとつその点を重ねて私申し上げて、この問題に対しての質疑を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/95
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096・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) ほかに御質疑はございませんか。――ほかに御言もないようでございますので、本案についての質疑は終了したものと認め、これより討論を行ないます。
御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見のおありの方は、討論中にお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/96
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097・鈴木壽
○鈴木壽君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程になっております公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案に対して修正案を提出をいたすものであります。同時に、修正案についてその修正の趣旨を簡単に申し上げたいと思います。まず最初に修正案でございますが、お手元に配付いたしてありますように、
公営企業金融公庫法の一部を改
正する法律案の一部を次のように
修正する。
第五条に二項を加える改正規定を
次のように改める。
第五条中「二十四億円」を「二十
五億円」に改める。
以上であります。
次いで、いま申し上げましたように、提案の理由を簡単に申し上げたいと思います。
公営企業金融公庫法第五条の規定によりますと、公営企業金融公師への出資の追加は、そのつど資本金額の改正を要する法律事項になっておるのでありますが、今回政府が提案いたしました公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案によりますと、政府が必要と認めるときは予算で定める範囲内で出資の追加ができることといたしております。そしてその理由とするところは、出資金を増加するためだけでそのつど法律の改正をするのは妥当でなく、また予算の審議などを通じて明確にされるから、それで十分ではないかということのようであります。しかしながら、予算措置のみで自動的に出資金が増加するように改正することは、公営企業金融公庫の出資金額の審議には、公営企業全般の問題、または公営企業金融公庫の現状ないしはそのあり方等についても審議しなければ十分な審議をしたとは言えないという、そういう必然性を無視した方法であると思いうのであります。さらにまた、政府の判断のみによって一方的に出資金を増加するというようなことは、これは事の性質上許されないと思うのであります。また、予算委員会等において審査もできるではないか、こういうことも言われておるようでありますが、予算委員会等におきましても、その問題のとらえ方がすこぶる大きく、また、時間の制約等もありまして十分な審査を尽くすことができないというのが現在までの状況でございます。これらの点を考慮いたしますと、出資金の規定は現行法のように法律上資本金額を明確にしておくことがより妥当であるという、こういう考え方に立っておるのであります。以上の理由によりまして、私はいまお手元にお配りしてあります修正案のように、出資の追加は現行法どおり資本金額の改正を要するものとして第五条に二項を加える改正規定を削ることといたしました。なお、この修正に関連しまして、昭和三十九年度予算におきまして、公営企業金融公庫に産業投資特別会計から一億円を追加出資することにいたしておりますので、現在の資本金額の二十四億円を二十五億円とする修正をいたしました。
以上修正案を提出しました理由とその趣旨でございます。何とぞ御賛成のほどをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/97
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098・西田信一
○西田信一君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま御提案の修正案に反対をいたし、衆議院送付案に賛成をいたすものでございます。
この法律案は、公営企業金融公庫に対する政府出資と資本金との関係、監事の権限関係の規定を整備しようとするものであります。他のこの種の政府機関についても同一の方針をとることになっているのでありまして、適当なものと考えるのでございます。修正案は、資本金の額について現行規定をそのままとし、政府の追加出資のたびごとに法律の改正によることとするものであります。しかしながら、政府の追加出資は産業投資特別会計に計上され、当然国会における、審議を経るのでありまして、あえて政府案を修正する必要はなかろうと考えます。
以上の理由によりまして、修正案には賛成いたしかねるのでございます。
なお、附帯決議を各派共同により提出いたしたいと思います。これを朗読いたします。
公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案
公営企業金融公庫は、地方公営企業に係る資金を低利かつ安定した条件で供給する機関として創設されたのであるが、未だその機能は十分に発揮されているとはいいがたい。
よつて政府は、地方公営企業の現状にもかんがみ、次の点についてすみやかに適切な措置を講ずべきである。
一、今後更に公営企業金融公庫の出資金を大巾に増額し、貸付利率の引き下げをはかること。
二、貸付金の償還年限を実情に即するよう延長すること。
三、公営企業金融公庫の融資枠及び融資対象を拡大すること。
四、企業の累積赤字についてはその実情に応じて総合的抜本的対策を講ずること。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/98
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099・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 他に、御意見ございませんか。――ほかに御意見がないようでございますので、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。
まず、討論中に述べられました鈴木君提出の修正案を問題に供します。本修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者 挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/99
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100・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 少数であります。よって本修正案は否決されました。
次に、原案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者 挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/100
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101・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 多数であります。よって本案は、多数をもって、衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、同じく討論中に述べられました各派共同提出の附帯決議案を問題に供します。本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者 挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/101
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102・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 全会一致であります。よって木附帯決議案は、本法律案について本委員会の決議とすることに決定いたしました。
それでは、ただいまの附帯決議につきまして、自治大臣の所信をお聞かせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/102
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103・早川崇
○国務大臣(早川崇君) 附帯決議案の御趣旨に沿って善処いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/103
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104・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) なお、本案の審査報告書につきましては、委員長に御一任願います。
午前中の審査はこの程度にして、午後二時まで休憩いたします。
午後一時休憩
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午後二時二十八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/104
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105・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 休憩前に引き続き、委員会を再会いたします。
地方税法等の一部を改正する法律案、市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案を一括して問題といたします。
地方税法等の一部を改正する法律案につきましては、衆議院において修正議決されておりますので、まず修正部分について説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/105
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106・渡海元三郎
○衆議院議員(渡海元三郎君) ただいま議題に供されております地方税法等の一部を改正する法律案に対しまする衆議院における修正の内容及び概要を御説明申し上げます。
御承知のように、今秋オリンピックが東京で開催されるのでありますが、これに伴い、関係者や外人客が多数来訪するとともに、これを起点に今後ますます観光あるいは商用その他の目的で来訪する者が増加することが予想されるのであります。そこで、これらの外人客の税負担を少しでも軽くし、わが国における滞在の印象をよくし、また外人客を一そう多く誘致するため、今回当分の間外人客の飲食及び旅館における宿泊に対して料理飲食等消費税を非課税とする改正案が提出されたのであります。
衆議院地方行政委員会におきましては、慎重かつ熱心に審査を重ねてまいりました結果、立案の趣旨及び徴税技術上の面から非課税措置の期間及び対象となる行為について制限を加える必要を認め、修正を行なったのであります。
次に、修正の内容について申し上げます。
修正の第一点は、非課税措置についての特例期間を限定することとしたのであります。すなわち、原案におきましては当分の間とされていたのでありますが、そもそも今回の非課税措置は、世紀の祭典であり、国際親善的行事であるオリンピック開催に際し、特に一時的な特例を設けようという趣旨に基づくものでありますから、その非課税措置の期間は、オリンピック開催期間を中心として、ことしの七月一日から同年十二月三十一日までの六カ月間に限ることを妥当と認めた次第であります。
第二点は、非課税措置の対象となる行為を制限し、その範囲を明確にしたことであります。原案では、飲食及び旅館における宿泊の行為について非課税措置を認めることとされているので、いかなる場所における飲食についてもその対象となるのであります。しかしながら、たとえばキャバレーや料亭等における遊興を伴う飲食の場合には、遊興行為には課税され、飲食行為には非課税となることになりますが、実際上遊興分と飲食分とを分離することがむずかしく、徴税技術上その捕捉が困難であるので、遊興行為についても事実上非課税とするにひとしい結果となるおそれがあるのであります。また、飲食行為以外の行為について課税するときは、飲食行為、遊興行為及びその他の利用行為の区分を行なわなければならず、外人客に対しその分別に疑惑の念を与えるのみならず、外人、客を優遇し、好印象を与えようとする法改正の趣旨に相反する結果となると思うのであります。しかも、飲食行為全般について非課税措置を認めることは、オリンピック開催年における特別の措置という面から考えて、あるいは国民感情から見ても妥当性を欠くと考える次第でございます。したがって、オリンピックの機会に来日する外人客に対して特典を認めるとすれば、この税の対象となる行為のうちでも、外人客すべてに共通な行為である旅館の宿泊及びこれに伴う飲食に限り優遇することが、非課税の範囲を明確にして、徴税上も、事務的な負担も少なく、最も適当かと考えられるのであります。
以上が、この修正案の趣旨及び概要であります。何とぞ御賛同を賜わりますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/106
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107・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) それでは、これより両案について質疑を行ないます。
御質疑の方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/107
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108・鈴木壽
○鈴木壽君 修正案のいま御説明を聞いたわけでありますが、これは道府県の料飲税についてでありますが、修正になったので、当初自治省が法案として出そうとした、そういう線になったのじゃないですか、修正されたことによって。それとも違うのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/108
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109・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) 修正されたことによりまして、閣議に提出した原案になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/109
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110・鈴木壽
○鈴木壽君 閣議で、いわゆる自治省原案というものが修正前に提案されたような形になったのだが、その間の事情というものをあなた方どういうふうに聞いておられましたか。閣議で自治省原案がなぜ可決されたか、その間の事情というものをどういうふうにあなた方はお開きになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/110
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111・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) 私ども閣議に出ておりませんので、詳しい機微に触れたことはわかりませんが、当初の閣議決定前の案では、期間をオリンピックという機会に限定をして、その前後合わせて六カ月間、そうして免税といたします行為につきまして、外客が旅館において宿泊をし、これに伴う飲食をした場合のその行為だけに限定をするというような案であったわけでございますが、閣議におきましては、観光対策というような広い立場からこの問題を取り上げられまして、政府提出案のようになったものと聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/111
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112・鈴木壽
○鈴木壽君 この問題、やはり自治省原案をつくる際に、オリンピックの年であるから、外客がたくさん来るであろうし、それに対して何といいますか、サービスというような考え方だろうと思いますが、非課税にすると、いまお話しになったように、期間なり、あるいは宿泊及び宿泊に伴う飲食という限定があったにしろ、いずれ一つの特例を設けて法の上でも制定をしよう、こういうふうにお考えになった。それは従来の外客に対するそれがありまして、それが一時なくなった。さらに今度復活するような形において出てきたわけなんでありますが、その間どういうふうな考え方で外客に対するそういう特別な措置をしようというふうにお考えになったのですか、お考えをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/112
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113・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) オリンピックという東洋初めての年、これをどの程度に高く評価するかどうかという点が一つ問題点であろうと思いますが、まあ少なくとも東洋で初めてのそういうことが行なわれるので、かなりのオリンピックの関係者、あるいはこれのための観光客等が日本に来るであろう。そうした場合に、日本におきますこれに対するいわば対策の一つとして、一方には日本のホテルの代金がかなり高いといったような批判も出ておる際でございましたので、外客に限り期間を限って免税にすることによって、外客に対する印象をよくしたい、こういうふうに考えていたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/113
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114・鈴木壽
○鈴木壽君 日本のホテル代が高いということは、これはよく言われることなんでありますし、ホテル代が高いことによって、外客に対して、外客があるいはあまり寄りつかなくなるというようなこともあるんではないかということは一応考えられますが、しかし、このホテル代の高いことは、そのままほうっておいて、何かその身がわりみたような、こういう料理飲食等の消費税の面でまあ、若干税を取らないために印象をよくしてやりたい、こういう、ちょっと筋が私は違うと思うんですが、ホテル代が高いものに対しては何とか手を打ってもっとホテル代が吹くできるような措置というものを考えれば、私は必ずしも不可能ではないと思うんです。で、さっきもちょっと申し上げたように、この問題は、これはいまに始まった問題でなしに、御承知のように、ずっと前からこの是非についての、特別措置をすることがいいか悪いかという、そういう関越についての論議が相当前からこれはあったことなんで、税調なんかでも、特別に外人に対してそういうふうな、いわば恩典みたようなことはすべきじゃないという結論も私は出ておったと思うんです。ですから、私は考え方どうも少しおかしいんじゃないかと思うんですがね。むしろ、外人に対して税というものでそれだけの判り切った考え方をしてもらうことがかえってすっきりしていいんじゃないかというふうな感じもしますけれども、この点やっぱりあれですか、どうしてもオリンピックの開催の年であるし、外客に対してそういう特例はやはり設けなければならぬというふうにこれは考えなきゃならぬものでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/114
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115・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) オリンピックで相当数の外客が日本に来るということが予想されておるわけであります。まあ、何ぶんにもオリンピックという特殊な行事でもございますので、来る人もいろいろの階層にわたる人が来るだろうと考えております。またその人たちが日本に来た場合に、どうしてもどっかに宿泊の場所をさがさなければいけないというので、現に、御承知のように、ホテルの整備のためには、別途やはり一種のオリンピック対策という意味で融資その他の道を実は講じてみるわけでございまして、なお、それでも十分足らない部分につきましては、民宿をするとか、あるいはオリンピックのために渡来した船の中で宿まるとかいったようないろいろな手をもって全体的な施策を実はとりつつあるわけでございまして、そういった施策の一環として今回のこの措置を期間を限って一定の行為のみにやろうと、こういうことにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/115
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116・鈴木壽
○鈴木壽君 私は、いわゆる料理飲食等消費税そのものについて現在のようなこういう形で課税することがはたしてどうかという、こういう問題については、実は自分としての考え方はあるんです。もっと率直に申し上げますと、こういうわれわれの生活の上に欠くべからざる飲食という、それが外食という形をとるにしても、そういうものに対してはたして課税をすべきかどうかという私は根本的な問題はあると思っているんですが、しかし、まあ、いろんなことで現在のように大衆飲食等については免税措置がありますけれども、ともかく、この税というものが置かれておる、課せられておると、こういう中で、特に外人が日本に来る。日本に来る外人の印象をよくするとか、あるいは外客の誘致というようなことで、これをいわゆる特別な措置としての、特例扱いとしてのこういうことが必要なものかどうかということになりますと、私はちょっと賛成しかねるのですがね。それから、かりにオリンピックという特殊な一つの行事、東洋においての最初のことであり、今後いつ東洋のどこで行なわれるかわからない、いわば一つのそういう催しものであり、したがって、外人もたくさん来るというようなことであっても、自治省が当初考えたような、たとえば昭和三十九年の七月一日から十二月三十一日までと、こういう期間の置き方がおかしいと思う。私はあまり前後が長過ぎると思う。少なくとも十月に始まるオリンピックですから、それは何かのために外人がその前から来る人もあるでしょうが、十月を中心にして前後二カ月、三カ月ぐらい、こういう期間だったら、私は一つの考え方、ほんとうにオリンピックのためにというようなことで考えてもいいかもしらぬが、何かやっぱり七月から十二月まで半年の間、その間における、七月か十二月のお客さんは、オリンピックのお客さんじゃないのですよ、端的に、言って。いま言ったように、オリンピックのお客さんは十月に開催するその前後少なくも合わせて二カ月あればたくさんじゃないかと思うのですが、特別に残るとか早く来るという人もあるかもしらぬが、それはわずかの間だから、そういうふうに限ってやるべきじゃないか。もしかりにやるとすれば、なお今度は修正によって、旅館における宿泊及びこれに伴う飲食と、こういうふうになりましたのですが、そういう行為についても相当しぼった限定をしたものがないと、これによって何といいますか、直接オリンピックのために日本を訪れた人たち、そういう人以外の者も、以外の者と言うより、それに便乗していろんな問題が出てくる可能性が多いですから、そういうものを防ぐためにも期間をもし設定するならば、必要な限られた期間、及びその行為も限定した行為に限られるべきであるというふうに思っておるのですが、少し長くありませんか、半年間も。その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/116
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117・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) オリンピックは確かに十月にあるわけでございます。これをオリンピックだけというふうに厳格に解すれば、確かにもっと短い期間、でも十分考えられる問題だと思います。やはり何と申しますか、そういった世紀の祭典的なことが行なわれる、しかも東洋の日本で行なわれるということについては、一つのブーム的なものが起こるのではなかろうか。そこでオリンピックの年だから、日本でいろいろな行事といいますか、会議なども催されるところでございます。世界的な国際会議も催されるようでございます。そういったために日本に来日する外客も相当数にのぼるようでございます。また、オリンピックの準備のための報道関係者でありますとか、そのオリンピック自体の関係者というのもかなり早くから来るようでございます。どの辺で線を引くかということにつきましては、いろいろ御意見もありましょう。私どもも思い悩んだのでございますが、そういった諸般の事情も考えまして、一応半年間というふうに考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/117
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118・占部秀男
○占部秀男君 鈴木委員の質問に引き続いて、料理飲食等の消費税の問題について、御質問をしたいと思いますが、今度の法律改正によると、外客に対する特例というような問題が相当強く出ていて、元来この料理飲食等の消費税そのものを国内的に適用する場合の問題点が、私はこれだけでは欠けているんじゃないかと思うのですね。たとえば大衆飲食に対する扱いの点であるとか、いろいろ問題点がこの税についてはあったわけです。しかも、国会でもたびたびこの問題は問題となっておるわけですが、今回そういうような点についてこの大きな改正の中に取り入れなかったというようなことは、どういう意味で問題点としなかったか、その間の事情についてお知らせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/118
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119・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) 大衆飲食店の免税点につきましては、御承知のように、三十六年に現在の五百円になったわけでございます。今回私ども政府案を検討する過程におきましても、実はこの問題についても議論をいたしたわけでございます。ただ、大衆飲食の免税点をどうするかという場合に、われわれはこの金額を何に尺度を置いて考えていくべきかという点にいろいろ意見が分かれるわけでございまして、単純に物価にこれをスライドするというのも一つの考えだと思いますけれども、やはり逆に飲食店の営業形態から見ますと、物価が何%上がったからといって必ずしもどんぶりの値段を何%上げるというような営業政策は通例とらない。むしろ百円なら百円、二百円なら二百円というような切りのいい金額で、むしろ中の品物でありますとか、あるいは経営の合理化でありますとかいったようなことに意を用いていくといったようなことも一面では考えられるのでございまして、そういったようなところから、この点につきましては私どもも検討の問題ではあるというふうに考えたのでございますが、さてどういうふうにこれを動かすか、あるいは改正するかといった場合の基準とか尺度というものについて、最終的な判断がまだつきかねましたので、今回は見送りをいたしたわけでございます。なお検討すべき問題の一つだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/119
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120・占部秀男
○占部秀男君 いま尺度の問題で検討中だということなんですが、現在、率直に言って、この問題は理論的な問題もあるでしょうが、もう飲食の、特に外で食べる食べものの事情からして、理論の問題ではないのですね。率直に言えば、それは基準の置き方の問題はいろいろあるでしょう。あるでしょうけれども、今日五百円の免税点では、何といったって、やはりいわゆる大衆飲食を主として利用するような方々にとっては、これはやっぱりいまの物価の上がりから見たって、私は相当無理であるというように考えるのですね。特にオリンピックの問題もあって、外客の問題もあるので、今度の法改正にはその点が出されたという事情は私はわかるのですけれども、これは賛成だとかなんとかいうことは別にして、取り扱いをする、自治省としての事情はわかるのですけれども、少なくともそれと一緒に大衆飲食の問題はたびたび本委員会でも決議事項その他になっているので、これと一緒に出すくらいのやっぱり熱意がなくちゃならぬというふうに私は考えるのですが、そういう点について、最近大衆飲食の人たちから、少なくとも八百円程度はこれはどうしたって、目の子勘定かもしれませんが、いまもうぜいたくとは言えないので、そういうふうな問題についての免税点の引き上げの要請がだいぶあるように聞いておるのですが、何かそういう点について御検討になったことございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/120
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121・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) 大衆飲食店の免税点の引き上げにつきましては、御指摘のように、関係方面からの強い要請があることも承知をいたしております。ただ、その額をいかにするかにつきましては、先ほど申し上げたような事情がありますことと、現状におきましても、この五百円の免税点によりまして、ほぼ九割方のいわゆる大衆の飲食は免税されておるというように私ども見ておるのでございまして、そういったような事情をあれこれ考えますと、先ほど申し上げたような、今回は見送るというような結論に達したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/121
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122・占部秀男
○占部秀男君 これは去年でしたか、おととしかな、この改正のときに、いわゆる大衆飲食の問題と、そのほかの問題と一本化したわけですね。あれはどうもやはり税をはっきりさせる関係からしても、この税の課税対象の性格からしても、やはり分離して大衆飲食は大衆飲食なりの形をとらしておくべきではなかったかといまになってわれわれは考えておるのですけれども、そういう点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/122
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123・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) 税率を、三千円までとそれ以上とで区分を現在いたしておるわけでございます。場所によって税率をいろいろ区分するということも確かに一つの考えであろうと思います。事実、従前この税におきましてもそういったいき方を実はとっておったわけでございます。ただ、いかにも現実の実態はわれわれが考えておりますほどはっきりした区分形態の営業が行なわれなくなってきておる。だんだんにいろいろな業態が混然とまじってくるような傾向にあるというような状況もございまして、金額による税率区分に踏み切って現在に至っておるものと考えておるわけであります。その意味におきまして、いま行なっておりますことも、ある意味では実態に合った課税方法ではなかろうか、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/123
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124・占部秀男
○占部秀男君 次に、この電気ガス税の問題についてお伺いをしたいと思うのですが、いわゆる電気ガス税の大企業に対する非課税の措置なんですが、これは現在年間どのくらいこの非課税分があるもんですか、その点をまずお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/124
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125・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) 非課税部分の減収の見込み額といたしましては、百九十二億と見込んでおります。なお、明年度課税分の収入見込み額は五百一億と考えております。それ以外に百九十二億の減収見込み額という見込みを立てております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/125
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126・占部秀男
○占部秀男君 それは例の特例の分ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/126
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127・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) 御承知のように、非課税品目に該当いたしますもの、並びに農林漁業等におきます誘が灯あるいは街路灯あるいは免税点以下といったようなものをくるめまして百九十二億と、こう見込んでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/127
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128・占部秀男
○占部秀男君 今度の改正で綿紡績糸その他何か四つ、五つまたふえるわけですね、この非課税措置の該当品目といいますかが。このふえるものについては、このうちどのくらい見積もっておるのでございますか。できたら綿紡が幾ら、その次の第二の「ビスコース繊維紡績糸及び銅アンモニア繊維紡績糸」、第三の「綿織物」、第四の「ビスコース繊維織物及び銅アンモニア繊維織物」と書いてありますが、この品目別に、あったらひとつ、もしいまそこにお手持ちなければけっこうですが。なお、技術的な問題は局長じゃなくてもけっこうですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/128
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129・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) 先に輸出振興のための今度の綿紡その他繊維関係製品の税率特例によります減収の総額を申し上げますと、明年度初年度で五億一千万円と一応考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/129
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130・占部秀男
○占部秀男君 これは四品目統計でございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/130
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131・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/131
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132・占部秀男
○占部秀男君 なお、今回の改正で、電気ガス税の税率の引き下げがあるわけですね。それは何%の引き下げをするか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/132
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133・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) 一般税率は現行八%でございましたのを四月一日以降七%に、一考引き下げるわけでございます。それによります減収見込み額は、三十九印度初年度で六十六億、平年度で七十二億と見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/133
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134・占部秀男
○占部秀男君 この電気ガス税については、いろいろ問題がある税目なんですけれども、一体に大企業が使うものと、それから一般的に市民が各戸で、世帯といいますかね、そういうところで使うものとあって、特に使う階級的な区別をするわけではないのですが、ある意味では大企業が相当大規模に使うと同時に、ある意味では、反対に零細な各戸が使っておると、こういうような意味で、非常に課税関係についても問題があるところなんですが、まあわれわれの考えによれば、むしろ各戸の、各世帯の消費しておる分については、これはもう今日、電気もガスもほとんどもう必需品中の必需品なので、むしろ廃止すべきではないかと、こういうような考え方をわれわれは持っておるわけですか、そういう点について自治省として検討されたことがあるかないか。あったならばどういう方向のいま結論といいますか、検討が行なわれておるか、そういう点について明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/134
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135・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) まあ電気ガス税については、私どもは安定した一つのいい税目と実は考えておるのでございます。
御承知のように、一般の家庭生活におきます電気の消費は、その人の所得におおむね比例をいたしておるのでございまして、やはり逆に言いますれば、所得に比例をした消費を示すという意味においては、この消費税は所得に対する一種の補完税的な役割りをするというふうに考えられるのでございます。したがいまして、その意味でもこの税は棄てがたいものであると、実は私ども考えておる次第でございます。なお、御承知のように、関係の市町村もこの税についてはかなりの執着を持っておるのでございます。そういった意味合いから、この税についていろいろ議論はございますが、やはり私どもはこの税を存続させていくべきではなかろうか、よほど他にかわる税制上の税目が見当たらない限りは、いまの日本の社会経済の生活の状態からいたしまして、いい税ではなかろうかと、こう考えておるのでございます。しかし、反面には、御承知のように、この税をもって非常な悪税であるといたして議論をされる向きもございます。そういったようなことで、このところ毎年一%ずつ税率を引き下げるような結果になっておるのでございますが、そういった意味合いにおいて、やはり客観的に見てまいりますと、若干落ちつかない税目の一つにいまなっているのではなかろうか、率直に私どもそうこれを見ておるのでございまして、そこで私どもとしましても、やはりこの税を地方財政の一つの、特に市町村財政中に占めるそのウェートからいたしまして、この税を安定したものに持っていくべきではなかろうかというような考えから、実は検討を続けておる次第でございます。また、政府の税制調査会におきましても、なおこれについて検討をいたしたい、こういう意見を述べておるのでございます。したがいまして、政府の税調におきまする先般の答申においても、さしあたり明年度一%程度の軽減をはかる、こういったような答申が出ておるのも、そういうところに原因があるものと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/135
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136・占部秀男
○占部秀男君 まあ、税率が今度一%引き下げられる。この点については自治省の御苦心の点はわれわれも了解できると思うのであります。ただ、いま言った電気ガス税が持つところの性格の問題については、これはややわれわれとは見解を異にしておるのでありまして、確かにこの税目が市町村の現在有力な財源であり、やや安定した財源であると、そういうことについては一挙にこれは廃止のできない現実というものを、これはまあ性格のいかんにかかわらず、われわれもその点は現実問題として認めておるわけであります。ただ、そういう現実問題として認めてはいるのですけれども、問題は、やはり現行の免税点、あれは三百円でしたね。三百円ということになると、まあほとんどあれじゃないですか、たとえば生活保護を受けておるようなところまで、今日は電気器具とか何かそういうようなどうしても都会生活の中では、電気器具を使う率というものが、これは、いやがおうでも多くなってきておるという実情から、そういう点については、生活保護を受けておるところまでやはり免税点は及んでないのじゃないかというような、私ども感じがするのですが、そういうような、何か、所得別……、これはむずかしいかもしれませんが、そういうような点について、何か調査したものはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/136
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137・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) 電気につきましては、御承知のように、定額灯と従量灯とがあるわけでございますが、三百円の免税点によりまして、差額灯の家庭の八割ないし九割は免税になっております。また、従量灯を使っておりますところでは、おおむね、二割程度が免税になっておる、こういうふうに見込んでおるのでございまして、こういったようなところから見まして、かなり目的を達しておるのではないだろうかと、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/137
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138・占部秀男
○占部秀男君 いま局長の言われた、定額が八〇%というのですがね、これは、その数字そのものは、私はうそがないと思うのです。ところが、今日、大都会、特に都市的な集落では、定額というのは、対象人員にしてほとんど少ないのじゃないですか、実際問題として。たとえば、東京のあたりなどでも、ほとんどが私は従量の部類に入っておるのじゃないかという感じが、これは私調べたわけじゃありませんが、しておるのですが、むしろ農村方、面だとか、そういうところが、定額が多いような感じがするのですが、その点はいかがでございましょうかな。何か調べたものはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/138
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139・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) 定額灯は、確かに都会からは、だんだん減っていっておると思います。逆に言えば、農村地帯と申しますか、いわゆる地方には残っておるわけでございます。その分が、従量のほうの非課税の割合に乗りかわってきておるというのが姿でございます。ただ、この三百円自体が高いか低いか、これもいろいろ議論のあるところでございまして、先ほどの料飲税と同じように、私どもも、やはりこの点についても検討を加えたわけでございます。結論は見送りにいたしたのでございますが、その過程におきまして、三百円という免税点の効果が、いま申し上げましたような相当の程度のものにいっておる。特に、逆に申しますれば、定額ということは、その電気の使用量についてある程度の制約を受けている生活状態なわけでございます。これがだんだんと従量にかわることが、経済生活上からいっても望ましいことであると見ておるのでありますが、ただ、この三百円といいますのも、ちょうど戦争中に電気ガス税ができました当職の免税点の額を、その後の電気の料金にスライドさしてみますと、大体三百円というようなかっこうになっておるのでございます。もとより、戦争中の状態といまとは違うじゃないかと、いろいろな意見もあろうかと思いますが、そういったような実態を見ましたことと、いま一つは、先ほど御指摘のございました電気ガス税をどう考えるのかという問題にも関係のある問題と思いまして、今回は免税点につきましては手を触れずにまいったというような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/139
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140・占部秀男
○占部秀男君 そうすると、われわれもさっき言ったように、現実問題として、電気ガス税の持っておる、今日地方税に占める性格といいますか、あるいは現実を無視することはできない。そこで一挙に廃止しろというようなことはもちろん言わないのですが、やはり一般国民の使う分については、これを漸減していくことが望ましいのじゃないか。――もちろん限度はございます。各世帯といっても、商売用に使うものや、あるいはいわゆる日常生活用に使うものというふうに、問題によっては、性格によっては違いがあると思いますが、少なくとも日常生活に使うものは、この際漸減の方式でいかれるのが正しいのじゃないだろうかというように考えておるのですが、今度は税率だけは一%引き下げになったというのですけれども、免税点といいますか、むしろ免税点というよりは、基礎控除を、この税目の性格からして、しかも定額が従量に移りつつあるところの全国的な趨勢から見ても、基礎控除というものをまず、何といいますか、問題点として検討してみる必要があるのじゃないかというように考えるのですが、その点はいかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/140
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141・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) この種間接税でございますので、従来の観念から申しますれば、一般的には免税というのがなじむのではないか、まず第一にそう考えておるのでございますが、なお基礎控除ということになりますと、御承知のように、基礎控除をいたしました後の実効税率の面では、累進的な効果を現わしてまいるわけでありまして、だんだんと上のほうほど累進的に高い実際負担になるような結果になるわけであります。先ほど申し上げましたように、この税をどう観念するか、もし所得の補完的な税であるというふうに考えますならば、所得税でずいぶん累進の効果をあげております現在におきまして、さらにこの種の間接税において累進効果を持つことがいいかどうかといったような税制上の問題もあろうかと思っております。また反面では、基礎控除ということになりますと、財政面に及ぼす影響が非常に大きくなるわけでありますので、あれこれ考えてまいりますと、どうしてもいまの段階では基礎控除ではなずまないのではなかろうか、こう考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/141
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142・占部秀男
○占部秀男君 かりに現行の三百円の免税点をそのまま、機械的な言い方かもしれませんけれども、基礎控除三百円なんていうふうにした場合に、電気ガス税で相当な開きが実際の税制の上で起こりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/142
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143・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) いま三百円の免税点をそのまま三百円の基礎控除にいたしますと、現在の減収額の上に四十九億八千万円――約五十億円の減収がさらに乗るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/143
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144・占部秀男
○占部秀男君 それは、税率を現行の百分の八を百分の七に引き下げて、そうして基礎控除を三百円にした場合と、こういうふうに了承してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/144
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145・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) ベースは七%の今度の改正後の税率で置いてあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/145
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146・占部秀男
○占部秀男君 いまの局長の御答弁で、五十億というようなお話ありましたですが、五十億も、大きな額でありますけれども、大企業に対する非課税がだんだんふえておる実情から見て、私は必ずしもこれは実現不可能な問題ではないと思うのですね。大企業に対する非課税の問題は、それ相応の理由はあると思います。特にまあ自由化を控えての産業基盤の一つの強化という方面にも、考えられる部面もあるわけですから、一がいに大企業だから全部これを廃止しろ、この特例を全面的に一挙に廃止しろ、こういうふうにわれわれいかないと思うのですが、最近どうも改正ごとにこの電気ガス税の非課税の対象になっておる種類が私はここのところずっとふえてきておるのではないかというふうに考えるのです。これは産業面からいっての理由もあるかもしれませんが、しかし、何といっても、この電気ガス税がいわゆる大衆課税であるということは、これはもう明らかなんであって、せめてこれが廃止ができないというような場合には、少なくとも基礎控除のような形でつくって、そして低得層には電気ガス税はかからないのだという点をつくり上げていくのが、私は現在の経済事情からいって望ましいあり方ではないか。かりに五十億なら五十億、そのことによる税収減が出るというような場合には、大企業に対する非課税の問題を少し、何というか、整理すれば、その程度の金はすぐに出てくる金じゃないかと、これはしろうと考えですが、考えるのですけれども、そういうような点について検討されたことはございませんか。また、そういう点についてはどういうふうなお考えを持っておられるか。局長の考えを聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/146
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147・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) 電気ガス税は、最初にできたころと、その後、戦後地方税ができたころと若干ねらいとするところが違うわけでございますが、少なくとも現在におきましては、電気ガス税については、たてまえは一応全面課税であるが、基礎資材的なものについては、それが二次製品以下に受けるコスト上の影響を考えてこれを非課税とする。それは広い意味での国民生活に対する寄与でもあり、また、御指摘のような、最近の日本の経済界の情勢等にもかんがみてそういう措置心がとられておるのでございまして、その限りにおきましては、一つの考え方をあらわしておるものと思うのでございます。したがいまして、いますぐ大企業の問題をどうこうするかということは、私どもとしてもいますぐどうこうということは考えていないわけでございますが、先ほど来御指摘のような、いわば家庭消費の部分についての免税の程度をやはりどう考えていくかという問題につきましては、先ほど御説明を申し上げましたように、今回は見送りにはいたしておりまするけれども、やはり電気ガス税自体の問題とあわせて、その一環の問題として、将来検討に値する問題であるというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/147
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148・西田信一
○西田信一君 電気ガス税の問題が質疑にのぼっておりますので、この機会にちょっと伺っておきたいのですが、ここ数年来、農村電化ということが相当実行されつつあると思う。そういうところに行ってみますと、実際には相当点在しておる農家が共同で一括受電をして、そこで料金を払っておるわけです。それから、各戸には相当の距離送電をしているわけです。したがって、かなり都会では想像できないような高い――ロスなんかも相当ある関係もありますけれども、非常に高い電気料になっておるようです。で、これはまあ農村電化全体の大きな問題であって、その建設費の問題とか、あるいはまた改修費の問題とか、非常に大きな問題であるのですけれども、きょうはその問題は別の問題ですから触れませんが、この農村電化による電気ガス税、電気税ですね。これがどんなふうな状態になっておるのかということ、どの程度自治省として把握しておられるか。その実態をひとつおわかりでしたら聞きたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/148
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149・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) まあ農村電化といってもいろいろあろうと思いますが、御承知のように、農山漁村電気導入促進法、これの規定によって、農林漁業団体か使用するもののうちで、組織の構成員に供給するものにつきましては電気ガス税を課さないというような改正を、いまお話しのようないろいろな事情にかんがみて一昨年追加いたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/149
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150・西田信一
○西田信一君 そうするとあれですか、集団的に電化された地域の個々の農家には、いまは電気税かかっていないのですか、電灯なんかついても。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/150
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151・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) 一般的にといいますか、この法の規定によって、農山漁村電気導入促進法の規定によって行なわれておるものについては、かけられていないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/151
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152・西田信一
○西田信一君 そうすると、その規定によらざる従来の農村のばらばらにある農家の電灯等については、そういう恩典はないわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/152
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153・佐々木喜久治
○説明員(佐々木喜久治君) この農山漁村電気算入促進法の規定によるものといいますのは、結局電力会社が各戸の家庭に電気を供給するという場合には非常にコストがかかる。そのために、団体を組織してもらってそこに一括供給をして、その団体から各戸に供給をしてもらう、こういうふうな方法をとっておるわけでございまして、そうなりますと、やはり各戸に供給する施設等はその団体が全部施設をしなければならない、こういうことになりますので、非常に電気料金が高い。そこでこの一昨年改正いたしましたのは、そういう状態で供給されておるものについては課税をしないということにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/153
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154・西田信一
○西田信一君 そうすると、いわゆる農村といっても、市街地を形成しているところでなくて、いわゆる点々とある農家ですね。いまは電気税を課せられないのはどのくらいの割合になっておるかをお調べになったことはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/154
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155・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) ちょっとそういう部分だけの数字はいま持っておりませんけれども、まあ定額灯でありますと、御承知のような、一定の何灯以下ということできまりますから、それについては免税になると思いますが、もしその灯数が多かったり従量灯であったりいたしますと、この規定によらないものは一応課税と、こういうことになるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/155
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156・西田信一
○西田信一君 私の不勉強かもしれませんが、まあこれは数年前にだいぶ回って見ましてですね、それで非常に料金もべらぼうに高い。そこへ持ってきて電気ガス税が非常にかかっている。それで、市町村ではどうにもそれが取れないから、結局、何というか、便法を講じてやっているというような状況を各地で見たものですから、それがいま完全に別な措置が講ぜられておって、私が不勉強であってそういうことが心配なくなっているなら問題ないと思うのですけれども、ああいう状態を放置しておいたのでは、これはいかに電化といっても問題にならないと思ったものですから参考にお聞きしたが、それは私の不勉強で、それはもうその心配なくなっているのですかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/156
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157・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) 将来免税点検討の際によく資料をとって研究いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/157
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158・占部秀男
○占部秀男君 あわせてこの問題については、先ほど言いましたように基礎控除関係の点を、まあ今度の改正案には間に合わないかもしらぬですが、一ぺんひとつたてまえ――たてまえというんじゃなくて、何といいますか、実際に国民の生活に直接響くという、その響きを中心にして一ぺん再検討してもらいたいと思うんですが、これはこれで打ち切っておきます。ただ、この際この問題とうらはらといいますか、これに伴う減収分を補てんするために、たばこ消費税の税率の引き上げをしているわけですが、あれは今度はどういうふうになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/158
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159・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) やはり明年度四月一日から市町村たばこ消費税の税率を一・六%引き上げて一五%ということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/159
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160・占部秀男
○占部秀男君 その引き上げに伴う増収はどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/160
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161・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) 平年度で七十二億、初年度六十六億で、電気ガス税の一%引き下げによる減収分とちょうど見合っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/161
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162・占部秀男
○占部秀男君 そうすると、今度のたばこ消費税の税率の引き上げの問題は結局電気ガス税の減収分の補完といいますか、補てんといいますか、単にそれだけの意味のもの以外にはないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/162
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163・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) 御承知のように一般的、わりに普遍的な電気ガス税の税率の引き下げでございますので、それに見合うものとしての独立財源としてたばこ消費税を引き上げたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/163
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164・占部秀男
○占部秀男君 このたばこ消費税については、従来この委員会でも本数の問題と値段の、何といいますか、分ける場合の問題が――従価と従量の問題がたしかあって、農村地帯のほうと都会のほうとの消費税の何といいますか、均てんの問題が相当大きな問題になっていたと思んうですが、私はこのところ一年、地方行政のはうはごぶさたしていたんでどういうふうになっていたかあれですが、最近の、今度の改正においてそうした点についての検討は行なわれなかったわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/164
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165・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) 全体としましては、先ほど申し上げたようなことで増減収が見合っておるわけでございますが、これを個々に見てまいりますと、まあいろいろそこの事情によって差が出てまいると思うのでございます。で、大ざっぱに見まして町村部分についてこれを全体見てまいりますと、たばこに置きかえることによりまして五億七千二百万円ほどの町村部分全体としての増になるわけでございます。したがいまして逆に都市部においては、ほぼそれだけの減ということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/165
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166・占部秀男
○占部秀男君 都市部の減という問題についてですね、大都市、これはほんとうのラフな形で一般的に言っているのですよ。大都市と中小都市とありますね、これの減になる傾向はどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/166
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167・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) たばこ自体の従量と従価につきましては、以前は御承知のように従価制であったわけでございますが、いろいろ財源の均衡化といったようなことから、現在は従量制にいたしまして、一本二円七十一銭何がしというような単価で徴収をいたししておるのでございます。先ほど申し上げました電気ガス税との増減収関係も、そういった従量制のもとにおきます差し引き計算を申し上げたわけでございまして、その限りにおきまして、従来の従価制よりは町村部分に厚くいくような結果になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/167
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168・占部秀男
○占部秀男君 このたばこ消費税は、結局のところは電気ガス税の減収補てんというだけの意義しかない。現在この改正ではそういう意義しかないわけですが、むしろこの問題、たばこ消費税こそもっと税率を、何といいましょうか、引き上げて、地方のほうへの自主財源をふやすのに非常なかっこうなぼくは税種目じゃなかったかと思うのですが、そういう点については今度は検討しなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/168
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169・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) まあ地方にとって比較的徴収の簡易な、そしてわりに安定した税目であることは御指摘のとおりでございます。ただやはり長い目で見てまいりますと、終戦後の混乱期の時代と違いまして、現在では消費数量の伸びが若干悩んでおるというような感じのいたす税目でございます。したがいまして、たばこ消費税だけに着目することなく、やはり国と地方の総体的な税源配分という問題の過程で、この問題もとらえていくべきではなかろうかと、こういうふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/169
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170・鈴木壽
○鈴木壽君 あとでいろいろ各税目等についてお尋ねしたいと思いますが、最初にいわゆる地方税における住民負担の軽減という問題でありますが、これについて現在の時点において基本的にどのようにお考えになっておられるのか。そしてそういうようなお考えと、今回の税法改正と、一体どういうふうに関連づけておられるのか。基本的な問題としてひとつお尋ねをしたいと思うのであります。というのは、もとを申し上げますと、よく国民所得に対する税負担の割合とかいうことが問題になるわけなんでありますが、この問題につきましては、なかなかどういう率で負担をすることがいいかということになると問題があると思う。単に二〇%がいいとか、二一%がいいとかということの論議はなかなか簡単にはよしあしはきめられないと思いますが、しかし、住民の負担を軽減するという意味で、国税あるいは地方税を通じての軽減措置が行なわれなければならぬと、こういうふうに思うのでありますが、いまお聞きしましたように、特に地方税において一体どういう考え方でこの問題に対処しておられるのか。そういう点をひとつ最初に承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/170
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171・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) 住民の租税負担をどう見るか、いろいろな見方があるかと思います。全体として見てみますと、三十九年度におきましては、減税後の姿で、国税地方税を合わせまして、国民所得に対して二二.二%になっておるのでございます。そのうち地方税の部分は六・六%ということになっております。で、昨年の三十八年度の当初の姿でございますと、地方が六・五%、国が残りの一五%というようなことでございまして、総体の国民所帯に対します比率から見ますと、明年度は、国税よりは地方税のほうが微増にとどまっておる、こういうことが一つ言えると思うのでございます。ただ、この点につきましてはいろいろな角度からの要請があるわけでございまして、一つには、地方税、自主財源たる地方税の総量をふやしたいという、大きな目で見た要請も一方ではあるわけでございまして、また半面では住民の租税負担を軽減してもらいたいといったような問題もありまして、どちらかといいますと、両方の調和点をどういうふうに見出していくかということにむずかしさがあろうかと思います。ただ、地方税につきましては、財源の総量の問題もございますが、半面で、先ほど申し上げました住民負担の過重な面をいつまでも置いてけぼりしているわけにはいかないというような点がございますし、特にそれが、地方の住民が所属しております団体、要するに市町村を異にすることによってその負担に不均衡があるというような状態は、だんだんとこれを排除していくべきではなかろうかというような考え方に立って、今回、御承知の、住民税の課税方式の統一並びに標準税率制度の採用ということを、明年、明後年の二カ年間でこれをやってまいりたいというふうに考えたのでございます。また、半面では、住民の負担軽減といったようなことから、電気ガス税の軽減をする、その他若干の、各税目にわたっての軽減をするというようなことをいたしてまいっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/171
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172・鈴木壽
○鈴木壽君 さっきも申し上げたように、祖税の負担率、まあかりに二〇%だとかあるいは二一%程度だとか。したがって、ことしは、国税地方税を通じての率からしますと二二・二%になっているから負担が重いとか、いろいろなことがいわれているのですが、私は、この率の問題では、それならその二〇%なら二〇%ということで、それじゃきちっと線を切って、それでほんとうに正しい負担の状態で――正しいほんとうにいい意味でのそれの率でいくのかというと、これだってやっぱり問題があると思いますから、あんまり率の問題をいま私どうの、こうのと言っても始まらぬ問題じゃないかと思う。大体およそのめどとしての程度でこれをとどめるべきじゃないかと思いますので、その論議には入りませんが、現実の問題として、やはり市町村――いわゆる地方住民の場合に、国税の負担とそれから市町村民税、あるいはその他の――これはまあ市町村民税です、市町村民税の負担において、私は端的に言って、市町村における負担というのは非常にウェートが大きくなっていると思うのですよ、所得に比べた場合に。そういう一つの問題がありますものですから、この負担というものをできるだけまず軽減するような方向に持っていかなければいけないのじゃないか、こう考えるのです。ところが一方、国がいろいろ減税の問題を取り上げる場合に、主として所得税が中心だとか、あるいは企業課税に対してどうとか、いろいろなところで、そういうところはまず第一に手をつけますけれども、市町村におけるたとえば住民税の問題は、今回は、さっきあなたがおっしゃったように取り上げてはおりますが、これは私はほんとうの意味での減税ということじゃないと思うのです。これはまああとで申し上げますが、電気ガス税は一%の引き下げにはなりますが、そういうものを見てまいりますと、国税におけるいわゆる国民の負担の軽減ということと地方税における地方住民の負担の軽減ということには、何かしょっちゅうズレがあって、その結果、地方の住民の負担は、さっきも申し上げましたように、概して重いということが私は指摘できるのじゃないだろうか。したがって、これに対して、負担の軽減という方同において一体どう考え、いかなる税目についてどうしなければならぬかというようなことについて、皆さんのほうで検討あるいはお考えになっていらっしゃることがあるのじゃないかと思う。今回のこの税法の改正が、そういう意味において、どうそれらの考え方との関連において行なわれておるのか。こういうことを実はお聞きしたがったんであります。お答えになったたとえば住民税におけるただし書き方式の問題等についてはこれはあとでまた触れると思いますが、私はこれは、その分については減税ではないと、はっきり言い切れないかもしれないけれども、本来の意味の私は減税ではなくて、かえっていままでの、ちゃんと本文方式なりそういうものによって徴収せられなければならなかったものが、まあある種の特殊な事情等によってすでによけい取られておったやつを、これは何とかしていくという単なる手直しの問題だと思うのです。そういうことは一応別にして、根本的な住民負担の軽減という、そういう立場からの考え方なり、これからやっていきたいというふうなことがもしありとすれば、そういうことをこの機会にお聞きしておきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/172
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173・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) 御承知のように、国税、府県税、市町村税、三つそれぞれ独立税の段階があるわけでございますが、やはり税源には限度があるわけでありまして、その意味において、重複した税源から取られます税目についての考え方と、地方だけにあります税目についての考え方と、若干考え方が違ってまいると思うのであります。重複しております場合には、やはり全体としての住民負担というものを考えていかなければならない。たとえば所得税、県民税、市町村税といったような所得割、所得課税約なものにつきましては、住民の負担というのを単に地方税の面だけで考えるのでは十分ではないわけでありまして、全体を通じまして住民の税負担ということを考えていく必要があろうと思うのであります。でその場合におきまして、現在の市町村民税所得割りは、先ほど御指摘になったような御意見もあろうかと思いますが、何といっても課税の最低限も、国税あるいは県民税に比べて低いし、また、それが市町村を異にすることによって負担に差があるといったようなことから、何をおいてもこれにまず手をつけるべきであるといったようなことで、今回国の財源措置も得て、この問題に手をつけたようなわけでざごいます。そのほかの地方だけの税目につきましては、やはりこれについて負担の軽減をはかろうという面と、先ほど申し上げましたように地方税の充実という面、特に地方税に望まれております応益的な考え方、あるいは負担分任的な考え方、そういったような考え方と交錯する点がございますので、これを一義的にいずれかに割り切っていくにはやはり租税収入の効率的使用という面から見て不十分だろうという考えであります。したがいまして、それらの問題をにらみ合わせながら緊急を要するものから軽減合理化をはかってまいるというような考え方に立って、各税目の検討をいたしている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/173
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174・鈴木壽
○鈴木壽君 いままでに年々行なわれている地方税の改正、こういうものを見て、一方国税における所得に対する課税のそれを一つ取り上げてみますと、国税の場合とはずいぶん違った考え方で行なわれてきている。それはいまあなたもお話しになったように、特に地方における最近の財政需要の問題、それを地方税で基本的にはできるだけ満たすというような考え方もあると思いますし、他方また、地方税の一つの性格として、応益的な分野、負担の分任というふうなことばで言われたけれども、そういう面をやはり取り入れていかなければならないのじゃないかということも、私もしょっちゅう考えるわけですが、それにしても地方の住民の負担が現在の時点でさっきも言ったようにどうも重いのではないか。端的な例として申し上げますが、たとえば所得税の場合に、今度の三十九年度における所得税の税法の改正によって四十八万何がしまで無税になった。四十八万という線は標準家族――五人家族で最低生活を保っていく上にはぎりぎりの線だ。したがって、ぎりぎりの線までは課税しないのがいいのじゃないかというようなことで考えられておりますね、一つの考え方として。ところが住民は、所得税の面においてはそうであるかもしれぬけれども、今度は地方税のほうでそれ以上の負担を別にやって、生活費に食い込むようなものをここで負担しているわけです。同じ生活費に対してある一定の線を設けて、これ以上は課税すべきでないということであったならば、やはり国税、地方税を通じた税金の中で、そういうことを通じてものごとを考えなければならないと思います。国税の場合にはそうだが、地方税はどうなってもいいということでないでしょうが、考慮の外にある。こういうところから私は地方税に対する考え方並びに地方住民の負担の問題を考える場合に、どうも片手落ちのような感じがするわけであります。そういうことで、これは一つの例でありますが、私は地方住民の地方税の負担という場合、所得に対する負担というような場合も、やはり国税においての所得税で考えられているような、そういう立場において総合的に考えていかなければならぬと思うし、そういうふうに考えていく場合には、地方住民の負担というものはもっと別な角度から考え直さなければならぬのじゃないか、こういうことを根本的に考えているわけであります。そういう点からも――話は少し横道に入ったようなことでありますが、地方住民の負担を軽減する必要がある、そうして軽減するためには一体どう考えていくべきだろうかということについての考え方を聞かせてもらいたいと言っているのであります。
もう一つ申し上げますと、国税では、所得税の場合には毎年のように控除額の引き上げとか、そういうことが行なわれてきております。ところが市町村住民税の場合には、これは三十七年に法改正をやってから、何らそれには手をつけていない。はたしてこれでいいものかどうか、具体的にいって。一時、三十七年度の税法の改正の場合には、国税と地方税にはひとつの何といいますか、国税が減税になった場合に、自動的に地方税が減税になるようなことでは困るというので遮断方式をとりました。ある意味においては遮断方式もやむを得ないと思いますが、だからといって、国税の所得税において控除額の引き上げやいろいろなことが行なわれて減税になる際に、地方税はほったらかしておいていいのかという問題があると思います。そういう面からの地方税、特にいまの住民税等についての負担の軽減、こういう問題をどのように考えておられるのかを聞きたかったのです。ただ本文方式と、ただし書き方式とでは負担の不均衡があるからということでなしに、もっと根本的に税そのものの負担をどう考えるかということについて、私いま一、二の例をあげてくどくどと申しましたが、そういう点について検討をなされておりませんかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/174
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175・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) 一番端的な例は、やはりいま御指摘になりました所得課税としての所得税あるいは県民税、住民税系列の税目についてだろうと思います。所得税はやはり同じ所得課税の中でも、所得課税の第一要件であります応能主義、応能原則に徹すべき税目であろうと思います。住民税のほうは、それだけには徹し切れないものではなかろうか、やはり住民として所在の地方団体で生活をいたしております限りにおいては、そこに応益的な要素もありましょうし、あるいは負担分任的な要素もあるわけでございまして、ひとしく所得課税ではございましても、応能に徹することのできない面を持っておるというところに、住民税のむずかしさが半面あるわけでございまして、その意味合いにおいて、住民税については全く応能を無視しているというふうな考えは毛頭持っておりません。応能と応益の調整をどういうところではかっていくかということは、かなりに実はむずかしい問題であるわけであります。現状の住民税につきましては御承知のように、それよりもさらに一歩前の段階におきます問題としてのただし書き方式でありますとか、あるいはそこにおきます課税最低限の問題であるとかいったようなことがございましたので、今回はそれを解消するほうにまず力を入れたわけでございまして、この結果、四十年度から市町村の住民税の所得割りの方式につきましては一本化され、同じようなレベルのもとにおける課税が全市町村で行なわれることになるわけでございますので、それから後にいま御指摘のような問題についても順次検討を加えていかなければならない、かように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/175
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176・鈴木壽
○鈴木壽君 市町村住民税のような場合に、国税における所得税のように、応能主義そのものずばりでいくことはどうかと、こういうお考えのようでありますが、まあ私もその点になると応能だけでいいんだとちょっと言い切れない要素も私はあると思います。しかしいままでの考え方は、だからといっていわゆる応益あるいは負担分任ということがあまりに強調されており過ぎると思うのですよ、端的に言って。それからもう一つは、市町村の財政の状況、さっきも申し上げましたように、またあなたもおっしゃっておりましたように、さまざまな財政需要に見合うだけのものは何とか市町村で一〇〇%とは言えなくても、それをまかなっていくということがたてまえだというふうな考え方もあって、応能というのが非常に影が薄くなってきていますね。これだけははっきり指摘できると思うのです。しかし少なくともいまの国税における所得税あるいはこの市町村住民税、こういうものは私はやはり応能を第一に考えていくべきものだと思うのです。その他の市町村税のいろんな問題については、これはたとえば固定資産税等の、性格は違いますけれども、こういう面においては相当いわゆる何といいますか、いま言ったような市町村における財政需要の問題も考えたり何かはしていかなきゃならぬ。しかし私はいま言ったように、住民税に過大な負担分圧の法則なりあるいは応益の原則なりというものをあまりおっかぶせたようなかっこうでやることが、やはりこれからは是正されなきゃならぬじゃないだろうか、どこに線を引いて、どこにけじめをつけるかということは、これはなかなかおっしゃるようにむずかしいと思いますが、しかし傾向としては私がさっき指摘したように、あまりに応益なりあるいは負担分任という方式、いわゆる地方税におけるこういう一つの原則があるのだというようなことを全面的に押し立てた税のやり方というものを私は改めなければならぬ。今回市町村民税でいいますと、百五十三億ですか四億ですか、所得割りにおいてさっきのお話にございました、ただし書き方式を本文方式に統一するための一つの過程の措置をとるために、これだけの減収がある。そういう減収があるんだけれども、一方、総額においては四百四十六億円という増収をあなた方が見込んでいますね。昨年に比べて私は減税の余地はまだ――したがって今回の方式統一に伴うそれ以外に根本的に、住民の負担の現状から言って、私はこの税の負担の軽減というものを考えなければならぬ時期だし、やれば相当やれると思うのです。そういうことに手をつけないで、まあ今回は、順序を考えていらっしゃるだろうと思うが、今回はこれだ、それが終わってからひとつ考えようじゃないかという、これでは私ちょっと今回の地方税法の改正、その中であなた方が法案の説明ですかあるいは趣旨説明の際に書かれておる住民負担の軽減とか合理化という、そういう点からしますと、単なる末梢的なことをちょっといじっているだけにすぎない、こういうふうに私は見ざるを得ないと思う。私はもっとこういう税のあり方、それと住民の負担、こういう問題を考えて、そうして早急にさっき私が申し上げたような方法で税制というものを建て直していくという、こういうたてまえをとるべき時期になっていると思う。いかがでしょう私のお伺いしていること。どうもお前の言うことはだめだというふうになりますかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/176
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177・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) 確かにおっしゃるように、地方税の特色を生かしながら、所得課税の住民税にどの程度の負担を求めていくべきかということは大きな問題であるわけでありますが、私どももこれについて、考え方はよくわかるわけでありますが、具体的にどこで一体これは線を引くかということについては、いろいろその道の学者などにも聞いたりいたしておるのでありますが、どうもなかなか具体の線が出にくいというのが率直なところでございます。ただ、いままで地方財源全体の問題といたしましてとかく十分でないという面と、あるいは半面需要の急激なる増加といったような面とのかみ合わせで、地方財政自体がかなり苦しい事態を続けてきたといったようなことから、住民税におきますただし書きの問題なども、いまなお残っておったわけでございます。これらの問題につきましては、やはりここまで社会経済生活が進んでまいりました現在におきましては、これをまず解消していくということがわれわれとして急務ではなかろうか、こう考えて、今回の御提案を申し上げておるわけでございますが、御指摘の、将来どういうふうに住民税所得割りを持っていくか、控除についてももう全然動かさないでいくのかどうかといったような問題については、私どもといたしましても別にそれを固定的に考えるというような立場はとっていないのでありまして、やはりそれも時代の進展に応じた応能と負担分任との調和点を見出しながらこれを見つけていかなければならないだろうと、考えておるのでございまして、将来の検討の問題であろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/177
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178・鈴木壽
○鈴木壽君 政府がたとえば三十九年度においては二千億の減税をやるとか何とかいって、地方税においてもこうなんだ――初年度では四百九十億円ですか、このたびの改正によって平年度八十八億円程度の減税をやるのだ。確かに電気ガス税とかその他二、三にわたって減税になる分もあります。それから、さっきから出ております住民税のただし書き方式を本文方式に近ずけるための措置もあって、まあ住民は若干の負担が軽くなるに伴い、これも減税だといえばそれもあるいは減税かもしれませんが、しかしこれは本質的な減税ではないと思う。私はそう思います。取り過ぎてむしろ法に――違法とまでは言わぬけれども、まあそれに近いようなことをやって税金を取り過ぎておった分を今回そうさせなということであって、本質的な減税ではないのでありますが、それはそれとしていいのです。それからあなたが順序として当面そういう問題を取り上げるのだということもわかります、これはほうっておけない問題ですから。しかし同時に私は、やっぱり毎年のように税改正で部分的にいじっておるのでありますが、こういう機会にこの住民税のあり方、その中の所得割り等についてももっと、突っ込んだ検討をし、方向というものをやっぱりこの際明らかにすべきじゃないだろうか、こういうふうに思うのです。確かにむずかしいのですよ。税制調査会だってまだそこまですっきりした答えを出すまでいっておりません。しかしそういう一つの調査会なんかがありますけれども、あまりそういうものだけに頼って答申を待つとか、その答えを早く出してもらいたいということだけでなしに、私はやはり政府自体として一体どうすべきであるのかという、そういうものをやはり当然出すべきだと思いますね。むしろそういうものを出して税調あたりに一体どうなのか、こういう一つの諮問の仕方なり答申の出させ方なりというものがあるんじゃないかと思うのであります。これはまあこれから言っても私はやっぱりあまり先に延ばしておくべき性質のものではないと思うのですが、まあいまのところは、さっき局長がお答えになった程度しかお答えできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/178
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179・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) 先ほど申し上げましたように、当面の問題としての方式統一を今回やっているわけでありますが、将来の所得割りのあり方をどうするかということにつきましては、まあ具体に問題になりますのは、一つは税率の問題であり、一つは控除の問題であろうと思うのであります。控除の問題につきましては税率とのかみ合わせでこれを判断しなければなりませんので、単に所得税の控除額と違うというだけで、この是非を論ずるわけにはまいらないのではないだろうか。特に地方税の特性を住民税の面にも生かしていかなければならない。こういうことになってまいりますと、控除の額だけの問題ではないのじゃないだろうか。そこで私どもとしましても、いま申し上げました地方税の特性を出しながら住民負担というものをどういう程度に所得税に求めていくべきかということについては、私どもも十分これを研究しなければいけないと思っているのであります。どうも伝えられるところによりますと、近いうちに所得税についてもさらに税率その他についての改定というようなことが検討されるように聞いているのでありますが、そういうことになってまいりますと、勢い住民税につきましてもこれを合わせて検討していかなければならないというふうにいま思っておるのでございまして、今後十分研究をさしていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/179
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180・鈴木壽
○鈴木壽君 確かにお話のように、私控除の問題を例として申し上げたのでありますが、いわゆる控除だけでなしに税率が一体どうなるのか。それとのかみ合わせにおいて考えなければならないのは確かであります。しかしこういう税の場合に基本になるのは控除ですよ。いわゆる必要経費をどうみるか。家族に対する何といいますか、生活の上でどの程度の控除をしてやっていくべきか。こういう問題は私はやっぱり税の場合基本になる問題ですよ。率は、私は、場合によっては多少そのときどきによってこれはある程度のものは動くこともあるし、動くというよりもこれくらいの率が適当だと思っても、場合によってはそれより上の率でやらなければならないということもあると思うのですが、控除の問題は基本的な問題だと思うのです。収入と税負担、その税負担をする場合の、いわゆる課税対象をつかむ場合の控除ですから、これは基本的な問題ですね。だからそういう点をあまり何と言いますか、率の問題もあるしというようなことで考えていくことは、税そのものについての重点を私はぼかすことになってしまうと思うのです。
それからもう一つは、いままでの地方税の減税のいろいろなものを見ておりますと、これだけ減税すれば地方にこれだけの穴があくだろうから、これはとてもやれないと、だから今回はこれにしておきましょうというような減税の仕方をいままで繰り返してきている、率直に言って。確かに地方の財政の、さっき言ったように特に最近財政需要がだんだん大きくなってきておりますし、そういうものを無視した減税というものはあり得ないと思いますけれども、しかしそれは住民負担を一体どう考えるか。税とあるいは所有、こういう問題から住民の生活というものを、あるいは生活における生計興というものをどう考えるかということからまず考えて、そして出てくる。たとえばかりに、こういう負担軽減という立場から、こういうふうな減税をした。その結果、地方の全体の財政需要に対するどうも穴というものはこういうふうになったということと、これをどうするかということとは、私はやっぱり一応分けて考えるべきだと思う。そうでなくて初めから、これだけ減税すればこれだけ穴があくから、これは町村ではやっていけないだろうとか、たいへんな問題だとかいうことが常に先になって、減税というもの、あるいは税というものを考えるというと、これは住民にとってはたいへんな問題だと私は思うのです。ですから私は繰り返し申し上げますが、もちろん市町村における財政事情もよくない、いわゆる自主財源というものも多くない現状において、そんなものを一切無視して減税をやればいいのだということを、私は申し上げるつもりはありませんけれども、しかし税負担そのものを考えていく場合には、まずその住民の所得あるいは生活、生計費、そういうものから税の負担というものはどの程度になければならぬのか。どこに押えるべきか。どの程度に勘案してやっていかなければならないのか、そういうことをまず考えるのが税としての当然のやり方だと思うのですね。しばしば申し上げますように、町村におけるそういう財政需要とか、あるいは負担の分任だとか、あるいは応益主義とか、そういうことを前面に立てた税のあり方、あるいは減税の取り扱いというものは、これは私は間違っている。そういう面で私はいつも実は最近のたびたび行なわれる地方税の改正に伴ういわゆる減税問題を非常に私は不満に思っておりますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/180
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181・細郷道一
○政府委員(細郷道一君) まあ住民の税負担ということも、税制を考えるにあたって一番に考えなければならないことだと思います。ただ地方税の場合でございますと、やはり地方行政が住民の日常生活に直結した行政をやっているという点で、多分に住民へのサービスといいますか、住民へのはね返りといったようなことも十分期待されるものでございますので、国税におきます場合とはやはり若干そこに趣を異にしたものがあるのでございまして、減税をするのがいいのか、住民への行政サービスをするのがいいのか、学校をつくるのがいいのか、道路をつくるのがいいのかといったような問題については、やはり個々の自治体がこれを判断していく仕組みにしておくということが、地方税制の上では一番大事なことではなかろうか。かように考えるのでありまして、私どももそういう面は地方税制にはやはり残していきたい。こう考えるのであります。ただそうかと言って全く地方自治体の考えに任せておきますと、やはりそこには直さるべき部分も直されずにいく。悪いことばでいえば、ある程度慣れてきてしまっているというような問題も起こることがあろうと思います。そういう面につきましては、やはり全国的な一つの視野のもとでこの調整をはかっていく必要があるのではないだろうか。こう考えて今回の市町村間の不均衡是正というような問題を、そういう角度でこれを取り上げているようなわけでございまして、そうかと言って、これで全部所得課税問題は終わりであるというふうな考え方は毛頭持っておりませんけれども、先ほど申し上げたような市町村あるいは府県という自治体に、その判断の余地を残した税制を考えてまいるということになってまいりますと、必ずしも所得課税たる国税の所得税と同じような歩調を歩いていくということはむずかしいことであるし、また実際問題としても避けざるを得ないものであろう、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/181
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182・鈴木壽
○鈴木壽君 ただ細郷さん、あなたはそうおっしゃっておりますが、たとえば市町村あるいは住民に判断をさせる、それが地方税としてあるべき姿でないか。そういう余地を残しておきたいということ、これは地方税そのものとして考える場合には、確かにそのとおりだと思います。しかしそれじゃ逆に言って、あなた方、法できめた住民税の所得割りの方式より下がったような――下がったというか、それよりも大きく課税を控除したり、あるいは率を下げたりなんかすることは、あなた方許しませんね。実は上のやつは確かにそうでしょう。これはほうっておけない。負担が多くなるようなものについては今回やります。これだって十分じゃありませんけれども、やりますが、それでは根本的に住民の判断なり、地方団体の考え方によって、いや、おれのほうは税を、負担を下げてもいいのだとやったって、あなた方は承知しませんね。ちょっと私はあなたのおっしゃることに矛盾があると思います。一応考え方としては、地方税は自主的な税であるべきであるということについては、そのとおりだと思います。現実はそうでない。そうしていまの法律なり地方税というものは、国でやって、何ら地方の団体の、あるいは住民の自主性というものが、あるいはその人方の判断というものが入る余地が非常に少ない。上げるときだけ――税をよけい取るときだけどのくらい上げるか、上げないか、そういう程度です。あまりよけい取ってはいかぬという程度で、下げるときなんか全然拘束する何もない、自由にやらせる。だから、私はまあいまのお話は、お話としては一応お聞きしておきますけれども、いま国の段階で、あなた方が地方税法の改正を行なうと、もちろん、いろいろ意見も聞くでしょうし、聞かなければいけません。聞きますけれども、国の立場においていま税法というものをきめられておる。これは本来からすれば、私はおかしいと思うのですけれども、いまここで言うのはよします。ですから、その際にやはり私は地方の自主的な判断とかなんとかいうことでなしに、もっと私は税のあり方そのものについてのあなた方の検討というものがあってしかるべきじゃないか、そうでないと、ここであなた方と何だかんだやりとりしませんよ。地方の自主的な判断とかなんとかいうことであれば、何もここで実際にこんなことをやる必要はないと思いますね。だから、そういうたてまえになっておるいまの税法、これについてはいろいろ問題があろうと思いますけれども、ともかく、こういうことでやっておるのですから、その際に、いわば直接のそういうことに対して責任を持っておられるあなた方に対して、税のあり方なり、あるいは減税の問題等についての点を一応お聞きするわけですからね、ひとつその点はやっぱりいま申し上げたことは一応お互い了解した上で話を進めていかなければいけないのじゃないですかね。まあいまのところは、別にあれですね、そうしますと、特に住民税の問題については、将来の問題として考えないわけじゃないと、こういう程度でしかないわけですね。まあなければないで、これはやむを得ませんけれども、私は毎年ちょっとしたいわゆる手直し程度をやってそれが減税だとか何だとかいう、こりいうものもここではっきりした線で踏み切るべきだ、こういうふうに思いますね。そういう意味でお考えがあるだろうと思いますから、それを聞いておるわけなんでありますが、まあお聞きすることができないようでありますが、委員長、これどうしたらいいのですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/182
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183・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 大臣に答弁の必要があれば、また次の機会に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/183
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184・鈴木壽
○鈴木壽君 大臣にも私はお聞きしたいと思いますが、きょうはこの程度でひとつどうでしょう、四時半にもなりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/184
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185・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 同案についての本日の審査は、この程度にいたしたいと存じます、次会は、明三月二十五日午後一時、奄美群島復興特別措置法一部改正案について審査の予定でございます。
それでは、これにて散会いたします。
午後四時二十七分散会
――――・――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X01619640324/185
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