1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月二日(木曜日)
午前十時二十分開会
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委員の異動
三月三十一日
辞任 補欠選任
白木義一郎君 辻 武寿君
四月一日
辞任 補欠選任
野上 進君 古池 信三君
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出席者は左のとおり。
委員長 竹中 恒夫君
理事
石谷 憲男君
西郷吉之助君
西田 信一君
松本 賢一君
委員
井川 伊平君
沢田 一精君
館 哲二君
占部 秀男君
鈴木 壽君
林 虎雄君
松澤 兼人君
基 政七君
市川 房枝君
国務大臣
国 務 大 臣 赤澤 正道君
政府委員
警察庁長官 江口 俊男君
警察庁交通局長 高橋 幹夫君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
説明員
警察庁交通局交
通企画課長 宮崎 清文君
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本日の会議に付した案件
○道路交通法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
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001・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、提案理由の説明を願います。赤澤国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/1
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002・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明いたします。
この法律案は、道路交通に関する条約への加入に伴い、車両等の交通方法に関する規制を同条約に定める方式に適合するように改め、国際運転免許証及び国外運転免許証に関する制度について規定すること、最近における交通事情にかんがみ、車両等の交通方法に関する規定を改め、運転免許制度の合理化をはかるため所要の規定を整備すること、交通事故の場合の事後措置義務違反、酒酔い運転の禁止違反等に対する罰則を強化すること等をその内容としております。
まず、条約への加入に伴う改正について御説明いたします。
第一は、車両等の通行方法に関する規制を条約に定める方式に適合するように改めることでありますが、一部の例外を除き、車両の通行区分を道路の左側部分の左側を通行するいわゆるキープレフトの原則に改めること、軽車両の並進を禁止すること、優先道路の指定に関する規定を新設すること等がその内容となっております。
第二は、国際運転免許証の国内における取り扱い及びわが国で発給する国外運転免許証制度に関する規定を新設することであります。すなわち、国際運転免許証につきましては、条約第二十四条第一項の国際運転免許証を所持する者は、本邦に上陸してから一年間、わが国の運転免許を受けないで、その国際運転免許証で運転することを認められる自動車等を運転することができることとし、あわせて国際運転免許証の携帯義務、提示義務等について定めるとともに、国際運転免許証の発給の条件が満たされなくなった場合または道路交通法令に違反した場合には、わが国の運転免許を受けている者に対する運転免許の取り消しまたはその効力の停止の例により、一定期間、その者の自動車等の運転を禁止することができることといたしております。
また、わが国において発給する条約第二十四条第一項の運転免許証につきましては、これを国外運転免許証と呼称し、公安委員会が発給することとするとともに、この国外運転免許証の交付の申請の手続、有効期間、失効した場合における返納義務等について規定することといたしております。
次に、最近の交通事情にかんがみ、車両等の交通方法に関する規定を改め、運転免許制度の合理化をはかるため所要の規定を整備することについて御説明いたします。
第一は、車両等の交通方法に関する規定の改正でありますが、車両等の追い越し、駐車等の規制その他車両の交通方法に関する規定について、最近における交通事情にかんがみ、これらの規定を実情に即するよう整備することにより、道路における危険の防止、その他交通の安全と円滑をはかろうとするものであります。
第二は、運転免許制度の合理化をはかるための所要の規定の整備でありますが、これは、従来の軽自動車のうち農耕作業用自動車及び小型特殊作業用自動車を軽自動車から分離して小型特殊自動車とし、その運転免許試験を簡略にすること、運転免許の拒否または保留に関する規定を整備して、公安委員会は、運転免許の拒否または保留をすべき者について運転免許を与えた後においてその事実が判明したときは、その者の免許を取り消し、またはその効力を停止することができることとすること、運転免許を取り消し、またはその効力を停止することができる公安委員会を、その処分にかかわる事由発生時に被処分者の住所地を管轄する公安委員会とし、行政処分の迅速化と適正化をはかることとしたこと等がその内容であります。
次に、罰則の強化について御説明いたします。
第一は、車両等の運転者が交通事故による人の死傷があった場合において負傷者の救護等を怠った場合の罰則を強化したもので、これは、最近におけるいわゆるひき逃げ事犯の増加とその悪質化の予防をはかろうとするものであります。
第二は、酒酔い運転の禁止違反に対する罰則の強化でありまして、これはいわゆる酔っぱらい運転がきわめて危険な行為であるばかりでなく、そのような者が交通事故を起こした場合は、同時にひき逃げ事犯を犯すことが多いことから、罰則を強化することによりこの種事犯の予防をはかろうとするものであります。
第三は、不正な手段等により運転免許証の交付を受けた者に対する罰則の強化でありまして、これも最近増加の傾向にある自動車教習所における不正卒業証明書の発行、免許試験の際におけるかえ玉受験等の事犯の予防をはかろうとするものであります。
第四は、車両の通行区分違反、追い越しの規制違反等に対する罰則の強化でありまして、これらの違反行為が交通事故の原因となっている場合が多いことにかんがみ、罰則を強化することにより、この種の違反行為の予防をはかろうとするものであります。
なお、この法律案中、国際運転免許証を所持する者に対する自動車等の運転を禁止する規定に関連する関係規定に条文整理上の不備がありましたので、この不備を補うため若干の修正をいたしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概略であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同を賜わらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/2
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003・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 続いて、政府委員から補足して説明願います。江口警察庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/3
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004・江口俊男
○政府委員(江口俊男君) ただいま提案理由の説明がありました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、さらに補足して御説明いたします。
第一に、道路交通に関する条約への加入に伴い、車両等の交通方法を同条約に定める方式に適合するように改める規定から御説明いたします。
その一は、第十八条及び第二十条の改正規定についてであります。
これらの改正規定は、車両の通行区分を道路の左側部分の左側を通行する、いわゆるキープレフトの原則にしようとするものでありますが、この方式は、条約で定められているように国際的な道路の通行方式の原則であり、わが国の交通の実情にも適するものと考えられますので、条約への加入に伴い、原則としてこの方式をとることとしようとするものであります。ただ、わが国の道路交通の特殊性から、市街地等における交通量の多い道路につきましては、その例外を認めることといたしております。
また、第十九条の規定は、道路交通の危険防止等のため、軽車両の並進を原則として禁止しようとするものであります。
その二は、第二十七条及び第三十四条から第三十六条までの改正規定についてであります。
これらの改正規定は、優先道路の指定に関する規定を新設し、後車に追いつかれた車両の加速を禁止し、第一種原動機付自転車の右折方法を改めること等がその内容でありますが、条約加入を機会に車両等の交通方法を合理化しようとするものであります。
第二に、国際運転免許証の国内における取り扱い及び国外運転免許証制度に関する規定について御説明いたします。
その一は、第百七条の二の国際運転免許証を所持する者の自動車等の運転に関する規定についてであります。
この規定は、条約第二十四条第一項の国際運転免許証を所持する者は、本邦に上陸後一年間、わが国の運転免許を受けないで、その国際運転免許証で運転することが認められる自動車等を運転することができることとしようとするものであります。なお、この国際運転免許証を所持する者に対しては、自動車等を運転する場合の運転免許証の携帯義務及び警察官から要求があった場合の運転免許証の提示義務を課すことといたしております。
その二は、第百七条の四の国際運転免許証を所持する者に対する臨時適性検査に関する規定についてであります。
この規定は、国際運転免許証を所持する者について、その国際運転免許証の発給の条件が満たされなくなったと疑う理由があるときは、臨時に適性検査を行なうことができることとしようとするものであります。
その三は、第百七条の五の国際運転免許証を所持する者に対する自動車等の運転禁止に関する規定についてであります。
この規定は、国際運転免許証を所持する者が、その国際運転免許証の発給の条件が満たされなくなった場合または道路交通法令に違反した場合は、一定期間、その者の自動車等の運転を禁止することができることとし、この場合の手続について規定しようとするものであります。
その四は、第百七条の七の国外運転免許証の交付に関する規定についてであります。
この規定は、わが国において発給する条約第二十四条の国際運転免許証は、「国外運転免許証」と呼称し、国内の運転免許事務をつかさどる都道府県公安委員会がこれを発給することとするとともに、この国外運転免許証の交付を申請することができる者の要件、交付申請の手続等について規定しようとするものであります。
その他、第百七条の八から第百七条の十までの規定は、国外運転免許証の有効期間、国外運転免許証が失効した場合における返納義務等について規定しようとするものであります。
第三に、車両等の交通方法を道路交通の実情に即するように改める規定について御説明いたします。
第十七条においては、公安委員会は道路の物理的な中央以外の部分を道路の中央として指定することができることとし、追い越しのため道路の右側部分にはみ出すことができる道路の幅員を改め、第二十六条においては、車両が進路を変更する場合における後車との間の車間距離の保持義務について規定し、第二十八条から第三十八条までにおいては、追い越し禁止場所に踏切、トンネル、横断歩道の手前を加える等追い越し等に関する規定を整備し、第三十三条においては、車両等が故障等のため踏切において運転不能になった場合に車両等の運転者が講ずべき措置について規定し、第四十四条においては、停車および駐車を禁止する場所に関する規定を整備する等の改正をしておりますが、これらの改正は、いずれも、最近の道路交通の実情にかんがみ、車両等の交通方法を道路交通の実情に即するよう必要な改正をいたそうとするものであります。
第四に、運転免許制度の合理化をはかるための改正について御説明いたします。
その一は、第三条、第八十四条等の改正規定についてであります。
これらの改正規定は、現行の軽自動車のうち農耕作業用の自動車及び特殊作業用の自動車は、その性能上、速度も低く、運転操作も比較的簡単でありますので、これを軽自動車から分離して小型特殊自動車とし、運転免許試験について運転技能試験を行なわないこととし、あわせて運転免許の種類に関する規定その他関係規定を整備しようとするものであります。
その二は、第九十条の規定の整備についてであります。
この改正規定は、公安委員会は、運転免許を与えた後において、その運転免許を受けた者がその運転免許を受ける前に自動車等の運転に関して道路交通法令に違反したことが判明し、その者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあると認めるときは、その者の運転免許を取り消し、またはその効力を停止することができることとするほか、転転免許を拒否し、または保留する場合の基準を政令で定めることとしようとするものであります。
その三は、第百三条の改正規定についてであります。
この改正規定は、被処分者の住所の変更があった場合における処分の能率化をはかるため、運転免許を取り消し、またはその効力を停止することができる公安委員会を、処分時に被処分者の住所地を管轄する公安委員会から、その処分にかかる事由発生時に被処分者の住所地を管轄する公安委員会に改め、処分の迅速化と合理化をはかることとしようとするものであります。なお、その他の改正として、第百一条の二においては運転免許証の更新の特例について規定し、第百四条においては所在不明の者に関する聴聞の手続についての特例を規定し、第百七条においては運転免許の効力の停止を受けた者の運転免許証の提出義務について規定することといたしておりますが、これらは、いずれも、運転免許制度の合理化をはかるため必要な改正をいたそうとするものであります。
第五に、罰則の強化について御説明いたします。
その一は、第百十七条の車両等の運転者が交通事故による人の死傷があった場合において負傷者の救護等を怠った場合の罰則を強化することについてであります。
この改正規定は、瀕死の重傷と知りながらこれを放置したまま逃走するきわめて悪質なひき逃げ事犯が多くなってきている現況にかんがみ、交通事故のうち、人の死傷があった場合における運転者の犯したひき逃げ事犯は、他の場合と区別してその罰則を強化しようとするものであります。
その二は、第百十八条の酒酔い運転の禁止違反の罰則を強化することについてであります。
この改正規定は、酒酔い運転は、その行為が危険であるばかりでなく、そのような者が交通事故を起こした場合は、同時にひき逃げ事犯を犯すことが多いことから、その罰則を強化することにより、この種事犯の予防をはかることとしようとするものであります。
その三は、同じく第百十八条の不正な手段等により運転免許証の交付を受けた者に対する罰則を強化することについてであります。
この改正規定は、自動車教科所における不正卒業証明書の発行、運転免許試験の際におけるかえ玉受験等の事犯が最近増加の傾向にありますので、その罰則を強化することにより、この種事犯の予防をはかることとしようとするものであります。
その四は、第百十九条及び第百二十条の車両の通行区分違反、追い越し規制違反等に対する罰則の強化についてであります。
これらの改正規定は、これらの違反行為が交通事故の原因となっている場合が多いことにかんがみ、その違反行為に対する罰則を強化することにより、この種違反行為の予防をはかることとしようとするものであります。
最後に、この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行することとするとともに、この法律の施行の際に条約が日本国について効力を生じていない場合の国際運転免許証及び国外運転免許証にかかる改正規定並びに小型特殊自動車免許等の運転免許の種類の改正等に伴う必要な経過規定を附則において規定いたしております。
以上が、道路交通法の一部を改正する法律案のおもな内容であります。何とぞよろしく御審議をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/4
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005・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 続いて質疑を行ないます。御質疑の方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/5
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006・沢田一精
○沢田一精君 まず最初に、交通事故の最近の動向と申しますか、趨勢と申しますか、そういうことについて御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/6
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007・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 昭和三十八年度におけるところの交通事故の統計につきましては、至急に資料を御提出いたしますが、最近におきますところの一月から三月までにおける死亡事枚の傾向を見ますると、非常に残念でありますけれども、昨年の同期に比較いたしまして相当大幅な増加をいたしております。その他の死傷者並びに件数等につきましては、正確な資料を差し上げたほうがよろしいかと思います。ちょっと私手元にございませんので、後刻差し上げますが、いま申し上げたように、死亡者を例にとりましても非常にふえておるということでございます。なお、その内容等につきましては、また御質問に応じてお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/7
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008・沢田一精
○沢田一精君 昨年の同期に比べて大きな事故が非常にふえておるというお答えでございますが、車両の数がふえたというようなことがその原因かと思いますが、いろいろと警察でも御努力になっておるにもかかわらず、そういうふうに激増をするというおもな理由と申しますか、どういうふうに警察当局は見ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/8
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009・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) それぞれの交通事故の原因につきましては、私ども交通事故の分析というものに昨年来非常に主力を注ぎまして、その事故が運転者の技量、その他のものに基因するものであるか、あるいは道路事情に基因するものであるか、あるいは車両そのものに基因するものであるか、あるいは歩行者等に基因するものであるかどうかという、運転者、車両、道路というような各種の観点から事故分析をいたしておる次第でございますが、最近における交通の死亡者の例を見ますると、やはり車両の増加数というものが道路に比例して非常にアンバランスである。車両の増加数が非常に著しいということが一つと、もう一つは、中央、都市部における事故よりも、いわゆる中小都市以下の地方における事故が増加の傾向にある。いままでは都市部が七に対して、いわゆる農村といいますか、それ以外の部分は三の割合であった。それが六対四、さらには最近は五対五、あるいはむしろ地方部におけるほうの事故がふえておる。この原因は最近道路事情が非常によくなったといいますけれども、その道路事情のよくなり方が必ずしも分離交通の原則に徹していないということから、歩行者と自転車に関する事故が非常に多いということでございます。
それからもう一つは、農村部において非常に車両の増加が著しい、特に軽自動車が、いわゆる最近の農村においては、農村の機械化というようなこと、あるいは農村が若い者を農村にとどめなければならないということで、原動機付自転車、あるいは軽自動車が非常にふえておるということで、これらの車両の増加に基因するものが相当に多い、しかし、一般的に申し上げまして、運転者の過失に基づくものも相当に多いということで、これらの点につきましては、いろいろと事故分析をした結果について、また御説明をいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/9
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010・沢田一精
○沢田一精君 そこでお尋ねしたいと思いますことは、いろいろな原因によって事故が発生しておるということはまことに遺憾なんですけれども、乗用車とそのほかの、たとえばトラックであるとか、あるいはダンプカーであるとか、あるいはバス、いろいろ車の種類によって区別があるわけですが、その種類別に見まして、最近は特にどれが一番多いのか、それをお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/10
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011・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 最近自動車の中で多いのは、やはり貨物自動車でございます。それと乗用車、この二つの原因に基づくものが多くなっておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/11
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012・沢田一精
○沢田一精君 乗用車の中で、たとえばタクシー等の営業車とそれからオーナー.ドライバー、いわゆる自家用車、これとの比較はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/12
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013・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 最近の傾向は、オーナー・ドライバーの数が非常にふえてまいりました。オーナー・ドライバーの事故がいわゆるタクシー、ハイヤーに比べてふえつつあるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/13
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014・沢田一精
○沢田一精君 まあ私ども地方を自動車で通ってみますると、いま御答弁ございましたけれども、地方都市、あるいは地方都市の郊外あたりを歩いてみますると、営業車のスピード違反というようなのが相当目につくような気がするわけなんですけれども、そういういわゆるタクシー会社等に対する指導、監督と申しますか、そういう点については、十分これはやっておられるとは存じますけれども、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/14
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015・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) かつて東京等において神風タクシー等と呼ばれて、これに対する違反の摘発ということに非常に重点を置いて施行した時代もあったわけでございますが、私どもといたしましては、やはりタクシー、ハイヤーというものが乗客の生命を預かる、しかも公共的な交通機関であるということで、私どもはやはりハイヤー、タクシーの違反防止ということに重点を注いでおるわけでございます。その点につきましては、いわゆる運輸省としての監督並びに私どもが街頭におきます道路交通法に基づく取り締まり、こういう二つの面から相当強力な指導と取り締まりをいたしておるわけで、特に運行管理者、いわゆる各会社におきますところの運転者を監督する立場にあります運行管理者に対する指導というものについては相当厳重にやっておるわけでございます。そういう意味で私どもはむしろ運輸業として営んでいるハイヤー、タクシーの運転手は、やや一時に比べては相当改善のあとが見受けられるというふうに思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/15
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016・沢田一精
○沢田一精君 それと、次にお尋ねしたいと思いますことは、先般来相当社会的な問題にもなっておったわけですけれども、たとえば東京都内などにおけるタクシーの乗車拒否の問題があるわけでございますが、これはまあ相当指導を徹底しておやりになっておるようでございますが、そのやり方なりあるいはいままでおやりになって警察のほうではどの程度効果があったと、これはなかなかむずかしいことかもしれませんけれども、それについてひとつ御所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/16
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017・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 最近社会の問題となった乗車拒否の問題についての警察の態度を申し上げますと、乗車拒否の原因になっておりますいろいろなことにつきまして私ども分析いたしておりまして、単にこれを警察の取り締まりだけですべての禍根を一掃することができるというふうには私ども考えておりません。むしろ運輸省自体がハイヤー、タクシーの事業の経営の内容なり、あるいは企業の体質改善なり、あるいは運転者の増加の対策なり、あるいはその運転者がその企業の中で定着ができるようないろいろな労働条件なり、そういうようなものを反面確立をしてもらわなければ、なかなかむずかしい。そこで、ただし乗車拒否ということは道路運送法の規定にも反することでございますので、私どもは先般来目に余るものがあるということで、悪質な運転者を対象にいたしまして、運輸省と協力いたしまして、厳重な取り締まりをいたしたわけでございます。ただ、私ども取り締まりをしてみました経験からかんがみまして、非常に技術的にむずかしい面がある。特に乗車拒否の事件を立件する場合における乗客等の協力というものについても相当いろいろな問題があります。しかしながら、やはり乗車拒否というものが社会的に横行するということはよくありませんので、取り締まりの面から、相当強力な取り締まりをいたしまして、相当な成果をあげております。そうして、それを運輸省の事業者の監督という面から、さらに強力な行政処分をしてもらうということで、現存いろいろな措置をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/17
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018・沢田一精
○沢田一精君 次に、先ほど御説明をいただきました今回の改正案の内容について、若干質疑をいたしたいと思いますが、まず第一にお伺いいたしたいと思いますことは、道路交通に関する条約に加盟をいたすわけなんですけれども、世界的に見まして、どの程度の国がこの条約というものに加盟しておるのかお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/18
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019・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 現在、百二十カ国のうちで七十カ国がこの条約に加盟いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/19
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020・沢田一精
○沢田一精君 今回この条約への加入に伴って必要な改正をしようとするわけですけれども、その第一に取り上げられておりますのは、道路の左側を通行するいわゆるキープ・レフトの原則だと、こういうことなんですが、これは私どもしろうとから考えますと、いままででもこの原則であったんじゃないかと思うのですけれども、何か特に変わったことがあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/20
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021・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 従来、やはりキープ・レフトの原則ということが明記はされておらないのでございます。で、キープ・レフトの原則というのは、最も代表的な通行方法をとっておりますのが、いまの名神高速道路の通行方法でございます。車両は左側を通行いたしまして、他の車両を追い越すときに、右側に出てその左側の車両を追い越して、再びもとの左側の通行帯に入るというのがキープ・レフトの原則でございます。したがって、通俗的に、常識的に申し上げますと、道路の中央部分をいつでもあけておくというのが、またキープ・レフトの原則をほかの面から言いあらわすところの表現かと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/21
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022・沢田一精
○沢田一精君 そうしますと、この条約に加盟しておる国が全部そういう原則をとっているのでしょうか。右側通行というのもあるのじゃないかと思うのですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/22
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023・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) いわゆるキープ・レフトとキープ・ライトとございまして、それぞれの国において、キープ・レフトをとっているところはキープ・レフト、キープ・ライトをとっておるところはキープ・ライトということで、一定のものにきめてやるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/23
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024・沢田一精
○沢田一精君 それじゃ、なぜ、この条約に加入するからキープ・レフトの原則にすると、あらためてこういうふうにきめられた理由というのですか、アメリカあたりでは、おそらくキープ・ライトじゃないかと思うのですけれども、そういう国からたくさんの人がやってきた場合に、それでスムーズに運転ができるのでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/24
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025・宮崎清文
○説明員(宮崎清文君) 交通企画課長でございます。私から御説明さしていただきます。
条約では、右側通行をとっております国と、左側通行をとっております国と当然あることを前提にいたしまして、右側通行をとっております国におきましては、先ほど局長が御説明申し上げましたように、キープ・ライト、左側通行の原則をとっておる国におきましてはキープ・レフトの原則をとる、かように規定いたしております。したがいまして、わが国とかイギリス等におきましては、交通方法が左側通行になっておりますので、キープ・レフトになっております。アメリカとか大陸諸国におきましては、大体において右側通行の原則をとっておりますのでキープ・ライトになる、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/25
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026・沢田一精
○沢田一精君 それでは、先ほどからの御説明をお伺いしますと、よくわからないのですけれども、要するに、原則を確立したということは、先ほど局長から御説明がありましたように、道路の中央部分をあけるということをはっきりさせたと、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/26
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027・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) そういうふうに理解していただいてけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/27
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028・沢田一精
○沢田一精君 次に、十九条の規定なんですが、軽車両の並進を原則として禁止すると、これをもう少し具体的に御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/28
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029・宮崎清文
○説明員(宮崎清文君) 軽車両と申しますのは、御承知のように、代表的なものは、自転車あるいは荷車等でございます。この通行方法につきましては、現行の道路交通法では、特別な規定を設けておりません。ただ、条約によりますと、条約は特に自転車と明記してありますが、自転車は、原則として二台以上並んで走ってはいけない、特に必要と認めるときは、二台並進してもよろしい、こういう規定を設けております。そこで、一方わが国の実情を見ますとやはり自転車等が二台並進して走っておる場合、あるいは三台並進して走っておる場合は、危険な場合が多い。そこで、こういう条約加入を機会に、自転車の並進、軽車両の並進を原則としては禁止いたします。ただ農村地帯とか、交通量の多くない地帯におきましては、必ずしも並進が危険でない場合もございますので、そういう場合には、公安委員会がその道路を指定いたしまして、そこでは自転車が二台に限り並進してもよろしい、こういう規定を設けることにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/29
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030・沢田一精
○沢田一精君 そうしますと、ここで言う軽車両というのは、荷車とか自転車とか、こういう限られたものだという御説明だと思いますけれども、私どもが車であちこち動いてみて感じます一つのことは、自転車あるいは原動機付自転車というもののほかに、たとえば軽自動車というのですか、非常にスピードのおそい、しかも、運転免許証の交付も比較的普通車よりも簡単にとれる、そういった車が非常にふえておる。それがどこででも一緒に走るものですから、交通渋滞の一つの原因になっておるのじゃないかと思うのですけれども、そういうスピードあるいは単の構造によって通行区分帯を設けるというようなこと、これはいままでもなされておるとは思いますけれども、それをさらに徹底してやるというようなこと、それに関する所要の措置というものは、今回は何もとられておらないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/30
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031・宮崎清文
○説明員(宮崎清文君) 先ほど御説明いたしましたキープ・レフトの原則は、これを徹底いたしますと、自動車であろうが、いま御指摘の原動機付自転車であろうが、すべて道路の左側を走るということに相なりますが、ただいま御指摘ありましたように、わが国におきましては、非常なたくさんの種類の車が走る混合交通といったような実態がございますので、キープ・レフトの原則をとるといたしましても、一応軽車両とそれ以外の車両、つまり自動車と分けて、軽車両は道路の一番左端を通る、それ以外の車両は、左端に寄ったところを通るという区分を考えております。御承知のように、通行帯と申しまして筋を引きました場合には、そういう軽車両用の通行帯を引く場合もございます。その場合には、軽車両は定められた通行帯を通る、それ以外の自動車はほかの通行帯を通る、かように相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/31
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032・沢田一精
○沢田一精君 たとえば東京都内の場合、必ずしもそういう通行帯の区分が明確になっていない道路がたくさんあるわけですが、そういう場合、いわゆる普通車とそういう軽自動車というものが、入りまじって、ごちゃごちゃになって走っている。それがいろいろ事故の原因にもなるだろうし、あるいは交通の渋滞を来たすというふうに考えるのですけれども、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/32
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033・宮崎清文
○説明員(宮崎清文君) 先ほど来御指摘のございます軽自動車でございますが、最近、軽車両は、性能が非常に向上いたしまして、かなりのスピードを出すものが多くなっております。たとえば、御承知かと思いますが、スバル三六〇とかそういう四輪の車も軽自動車になっておりますし、二輪の軽自動車でも性能が非常に向上しておりまして、スピードにおきましては自動車とあまり変わっておりません。したがって、この法律のたてまえも、軽自動車、原動機付自転車は、いずれも自動車並みに扱っておりまして、それらと軽車両とを区別して考えない、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/33
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034・沢田一精
○沢田一精君 二十七条及び三十四条から三十六条までの改正規定についてですけれども、ここでは、いわゆる後車に追いつかれた車両の加速を禁止するという措置がとられようとしているわけなんですけれども、これは結局、追い越し、追い抜きの競争をやってこの前事事故を起こした、そういうような事例にかんがみて、こういう改正規定を考えられたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/34
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035・宮崎清文
○説明員(宮崎清文君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/35
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036・沢田一精
○沢田一精君 それから、第一種原動機付自転車の右折方法を改めるということがございますが、これは具体的にはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/36
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037・宮崎清文
○説明員(宮崎清文君) 右折と申しますのは、道路交通法上右折と申しますのは、交差点を右に曲がることだけをとらえております。そこで現在右折の方法を申し上げますと、自動車と第二種原動機付自転車は、いわゆる右小回りと申しまして、交差点のまん中を右のほうへ回る、こういう方法をとっております。これに対しまして、第一種原動機付自転車、それからその他の軽車両等は、ちょうど歩行者と同じように、交差点をまっすぐ突っ切りましてこう直角に曲がる、こういう右折方法でございます。しかしながら、条約におきましては、第一種原動機付自転車と第二種原動機付自転車と区別をいたしておりません。そこで、条約に加入いたします以上、それに適応いたしますためには、第一種と第二種とを区別しないほうが合理的ではなかろうか。もう一つは、先ほどから申し上げておりますように、最近は、第一種原動機付自転車も非常に改良されまして、ほとんど一種と二種の区別がつかないようになっております。性能上も同じでございまして、したがって、実態から申しましても、これらのものをあえて区別する必要がございませんので、いままでは自転車並みの右折方法をとらしておりました第一種原動機付自転車を、こういう自動車並みの右折方法にした。つまり交差点のまん中を右に回る、右内小回りの右折方法をとらせたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/37
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038・沢田一精
○沢田一精君 次に、国際運転免許証についてお伺いいたしますが、これは、条約に加入しておる国の運転免許の発給条件と申しますか、そういうのは大体各国同じようなものでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/38
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039・宮崎清文
○説明員(宮崎清文君) いま早急に取り調べて調査いたしておりますが、いままでわかっている範囲でございますと、大体基本的な欠格事由は共通しているのではなかろうかと思っております。ただ非常にこまかい点になりますと、たとえば視力その他のことにつきますと多少相違があるかとも存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/39
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040・沢田一精
○沢田一精君 百七条の四の臨時適性検査というやつなんですけれども、これは私はよくわからないのですけれども、「発給の条件が満たされなくなったと疑う理由がある」と、これは具体的にはどういうことなんでしょうか。それともう一つは、「適性検査を行なう」ということになっておるようですけれども、具体的にはどういうふうなことをお考えになっておるのか。お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/40
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041・宮崎清文
○説明員(宮崎清文君) この臨時適性検査と申しますのは、わが国の国内免許を持っております者に対しても現在行なうことができることになっております。これはわが国の国内免許につきますと、たとえば両手がなくなった者とか、目が片目つぶれた者とかいうものは一応欠格事由に該当いたしますので、一応そのような状態になったと疑われる運転者があった場合には、その運転者に対して臨時適性検査を行ないまして、あるいは目の検査をするとか身体検査をするとかいう検査を行ないまして、それによって、もし異状がなければそのまま免許を交付する。もしその場合に欠格事由に該当することがはっきりすれば、免許を取り消すとかいうことがあります。これと同じようなことを、国際運転免許証を持っておる者についても行なうという趣旨でございます。ただ、申し上げましたように、その場合に何が欠格事由かということは、第一次的にはそれぞれの国際免許証を発給いたしました国において定めている欠格事由に該当し、なおかつ、わが国の免許の欠格事由に該当する、その両方に該当するという疑いある場合に初めて臨時適性検査を行なう。こういう仕組みになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/41
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042・沢田一精
○沢田一精君 いまの御説明ですけれども、その国の、あるいはわが国の欠格条項に該当すると疑われる場合という御説明ですけれども、現実にはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/42
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043・宮崎清文
○説明員(宮崎清文君) これはケース・バイ・ケースになると思われますのですが、たとえば自動車の運転状況から見て、どうも少し目がおかしいのではないかというものとか、あるいは周囲の事情から判断いたしまして、どこか身体的欠陥があるのじゃなかろうかと、そういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/43
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044・沢田一精
○沢田一精君 車両等の交通方法、道路交通の実情に即するように改めるということなんですけれども、まずお伺いしたいことは、十七条において、追い越しのため道路の右側部分にはみ出すことができる道路の幅員を改める、こういうことになっているようなんですけれども、おおむねどの程度の規模以上の幅員のある道路であれば追い越しを許されるのか、あるいは右側部分にはみ出すことができる道路の幅員、具体的にひとつ御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/44
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045・宮崎清文
○説明員(宮崎清文君) 現在の道路交通法におきましては道路を中央から二つに分けまして、左側を左側部分と言っております。車両は道路を通行いたします際は、原則として左側部分を通れ、右側にはみ出てはいけない、対向車との衝突の危険がございますので、こういう一般的な規定がございます。ただし、道路工事をやっておりますとか、道路が狭くて物理的に通れないという場合には、右側にはみ出て通行してよろしい、また、そういう狭い道路におきまして、危険がない場合には、追い越しをする場合に限り右側をはみ出して通ってよろしいという規定がございます。ところが、いかなる道路において追い越しのために右側にはみ出していいかということになりますと、現行法におきましては、片側の幅員が三メーター未満の道路につきましては、危険がないと認めて追い越しをする場合には、右側に出て、はみ出して通ってよろしい、こういう規定になっておりますが、この規定を従来実施いたしました結果をいろいろ検討いたして見ますと、三メーターの道路に限定することは、少し狭きに失するのではないか。逆に申しますと、三・五メーターの道路では絶対に右側に出てはいけないことになりますが、現実におきましては、片側だけで自動車がすれ違うことは不可能でございますので、追い越しをしようとする場合には、右側に出ていかざるを得ないという事情から、これでは実情に即さないのではないかということで、右側にはみ出して追い越しをしてもいい道路を、三メーター未満から六メーター未満に広げようということでございます。逆に申しますと、左側部分、片側の幅員が六メーター以上ある場合におきましては、いかに追い越しといえども右側に絶対出てはいけない、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/45
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046・沢田一精
○沢田一精君 次に二十六条の関係ですけれども、車両の進路変更の場合、後車との間の距離の保持義務というものなんですけれども、これはなかなか交通事情が錯綜している都内あたりでは、現実にこういうのはできるんでしょうか、どういうふうにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/46
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047・宮崎清文
○説明員(宮崎清文君) 現行の道路交通法におきましては、車両が通行しております場合に、そのうしろについて走ってくる車と、前の車と、その間に距離をとらなければならないという規定がございます。しかしながら、たとえば急に追い越しをしようと思って、ある車両が他の車両の前に出ようとする場合には、何の規定もございませんので、直前へぱっと出ていけるという、これが非常に交通事故の原因になっておりますので、今回必要な距離をとってからという規定に改正しようということでございます。ただいま申しました車間距離は、具体的に何メーターときまっております。それぞれの車のスピードから割り出しまして、安全のために必要な距離ということになっておりますので、都内等の混雑した地域におきましては、車両等、あまり高速で走っておりませんので、その距離も比較的短いことになろうと思います。したがいまして、これを励行することが不可能とは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/47
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048・沢田一精
○沢田一精君 次に、踏切において立ち往生した車両があった場合の措置なんですけれども、これは具体的にどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/48
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049・宮崎清文
○説明員(宮崎清文君) 御承知のように、踏切上で自動車がとまりますと非常に危険な場合がございます。そこで、そのような場合には、まず非常信号のようなものを携行しております場合には、それで信号をしろ、それによって電車とか、汽車の運転手にそれを知らせる。あるいは駅の近所であれば、駅員に知らせる。それから、それと同時に、なるべく早く自動車を踏切から外に出すように努力せよ、こういうことを規定しております。なお、非常信号につきましては、現在大型の営業車は発炎筒を携行する義務が課されております。しかしながら、まだすべての自動車につきまして発炎筒を携行する義務が課されておりませんので、その他、必ずしも非常信号に限らず、踏切に車両がとまっておるということを適切な方法で知らせるという、こういう規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/49
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050・沢田一精
○沢田一精君 次に運転免許についてお尋ねをいたしますが、全国的にごらんになりまして、現在の運転免許申請の傾向、動向、数がふえておると思うのですけれども、それについて何か数字的なことがわかっておりますればお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/50
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051・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 私のところにあります統計の数字から申し上げますと、三十五年度では八百七万人受けまして、四百四十六万人合格しておるわけであります。三十六年度では五百五十万受けて、二百十九万何がしというものが合格をしております。三十七年度では七百十八万四千何ぼという人間が受験いたしまして、二百八十一万九千何がしというものが合格しております。三十八年の一月から六月までは三百八十万六千二百三十一人というものが受験いたしまして、百四十九万人のものが合格をいたしております。したがって、免許の現在数は、自動車のものが千二百二十八万、それから原付のものが七百五十一万ということで、約千九百万、もう二千万になっておるかと思いますが、たいへんな数字になっております。私どもは将来三千万の運転免許人口ができるのではないだろうか、こういうふうに推測いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/51
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052・沢田一精
○沢田一精君 いま言われました数字の中には、農耕作業用の免許、これも入っておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/52
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053・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 現在は軽自動車の中に入っておりますので、これも含まれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/53
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054・沢田一精
○沢田一精君 今回小型特殊自動車というものについて試験を簡易化しようという措置をおとりになっておるようなんですが、農耕作業用の耕うん機等の運転免許試験というものは、たびたびいままでいろいろと問題になっておったわけですが、非常にけっこうだと思うのですけれども、具体的には、学科試験だけで運転技能試験を行なわない、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/54
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055・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 技能試験を免除しておる。技能試験を行なわない。学科試験だけですが、学科試験の内容等につきましても、できるだけ実情に適するようにいたしたい。
なおこの点については、いささか蛇足かと思いますが、農林省におきましてもこの法律について非常に感謝をいたしておるわけでございますが、ただ反面、もしも免許試験等のやり方によって欠陥ができてはいけないということで、それぞれの農業団体が中心になって講習の措置を行なうとか、あるいは技量の保持を行なう、あるいは確実な運転を行なわせるというようなことについて、行政的な措置でこれをカバーしていくというふうな方法を考えておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/55
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056・沢田一精
○沢田一精君 運転免許に関してなんですが、これは先ほど局長からお答えがあったように、近い将来三千万までふえるだろう、たいへんな数字なんですが、地方の実情あたりを見てみますと、非常に希望者が殺到いたしましてなかなかさばき切れないというふうな実情にもあるようなんですが、警察庁とされては、そういったことに関係する職員の定数あるいは施設、こういう面について何か将来配慮をしていくというような構想がおありでしょうかどうか、あるいはもう地方にまかせっきりだという態度であるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/56
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057・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 確かに御指摘のとおり、運転免許の事務につきますところの中央、地方を通じての体制というものは、従来必ずしも十分でなかったということは、もう私どもも十分痛感しております。そこで警察庁におきましても免許課を独立いたしまして、来年は国家公務員を五名定員増をしていただいて、中央におけるところの免許事務の体制の整備ということに重点を置いている次第であります。地方におきましては、御承知のとおり、それぞれ運転免許の試験について手数料を取っておりますので、この手数料がいろいろの問題についての必要な財源になっている次第であります。そこで私どもは、この逆転免許制度全体について、もう少し抜本的にも制度の上で手を入れなければならないということについては、私ども痛感いたしておりますが、今回はいろいろな関係で、ただいま提案をいたしましたような条項にしぼっておりますから、将来さらに研究をして充実をしていきたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/57
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058・沢田一精
○沢田一精君 地力における府県の試験場の設備等についてお尋ねするのですけれども、国として何らかの助成をなさっておるのですか、もう全く地方にまかせっきりということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/58
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059・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 特別の助成はいたしておらないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/59
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060・沢田一精
○沢田一精君 相当申請者が殺到する、やはりある程度さばけるように施設も整備していかなければならぬという必要に迫られておると思うのでありますが、いままでは特別の助成はしていないということなんですけれども、やはり適正な免許をスムーズに与えていくということがこれからの交通警察の面では非常に大切なことだと思います。何らかそういう面で、いままではなかったかもしれないが、将来考慮するという御意図はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/60
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061・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) その前段階としてちょっとお答えをしておきたいのですが、最近における運転免許を取得するやり方の問題として、教習所を卒業して、技能試験を免除されて学科のみを受けて出るという方式がとられているわけであります。いわゆる公安委員会指定によるところの教習所というものが現在全国で約八百近くあるわけであります。私どもは運転免許をいかなる方法といかなる経過で取得したかというところにむしろ重点を置くわけです。あの試験場で一回で受かってくるということについて必ずしも私どもは方針としてはとらない、その受験者がどういう教習内容で、どれだけの時間どういう方法で習ったかということのほうが、むしろ運転免許としては重要だと思っているわけであります。そこで私どもは公安委員会指定の教習所というものを質的に充実をしていきまして、そこを出た者が一定の法規試験その他を通って合格する、そういう面から申し上げますと、いまの傾向は教習所を出て受験をするほうの受験者が多くなっているという傾向でございますので、いま御指摘のような点については、いろいろ国と地方の費用の負担の問題、あるいは予算の問題にも関連することがありますので、ここで私がこうだというふうに申し上げられませんが、十分それは予算全体の問題と関連させて検討いたしたいと、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/61
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062・沢田一精
○沢田一精君 ただいま御答弁の中にありました教習所の問題ですが、これが、まあ私極端に申しますと、千差万別のような気がしてしようがないのでですよ。ある教習所におきましては非常に厳格に、熱心に教習をしておるが、ある教習所においては単に金だけを払えばそれで事終われりというような、おざなりなところも私はなきにしもあらずだと思うのですよ。で、これは私が間違っているかもしれませんけれども、こういう自動車教習所というものは各種学校の規定を受けておるんじゃないかと思うのですがね。そうなってくれば、警察として直接その教習所の内容等についてどの程度タッチしておられるのか、文部省との関係もあるだろうと思いますが、その辺についてはどういう御見解なんですか。もう少し警察として積極的に各個々の教祖所のやり方、内容にまで立ち入って強力に指導をして、そうして、少なくとも公安委員会指定の教習所を出た者は、これはもうまず技量においてもあるいは人間的にも間違いはないんだというふうな確信を持つだけの教習内容にする必要があると思うのですけれども、その辺はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/62
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063・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 確かに御指摘のとおり、教習所の内容を充実するということは非常に現在のたいへん重要な問題だと思っております。そこで私どもといたしましても、中央の免許課におけるいわゆる教習所の指導体制、並びに各府県における試験場における教習所の指導体制を充実して、さらに、法令にきまっておりますところのいろいろな検定員あるいは指導員その他のいわゆる人的な指導の要素というものについて、資格制度等については現行の政令を改正することによって相当強化することが可能であるというので、施設の点については一定の基準がきまっておりますが、それ以外の内容の充実という、特に指導体制の充実という点につきまして重点を指向して、近くこれに基づくところの指導体制の充実ということを考えたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/63
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064・沢田一精
○沢田一精君 まあ、東京都内の教習所においても若干問題が去年あたりあったと思うのですけれども、私は熊本ですけれども、熊本は非常に厳格である、免許が。だから、これはうわさですから、私はあえて申し上げたくはございませんけれども、よその県に——長崎県であるとかあるいは福岡県であるとか、そういうところに試験を受けにどんどん出ていくわけですね。これは一週間なり十日なりある特定の教習所に入って、とにかく旅費を使って、宿屋に泊まってがまんをしさえすれば必ず免許はもらえる、こういうようなうわささえあるぐらいなんですが、こういうことでは、何ぼ警察であと交通事故の絶滅を期せられても、片手落ちな面が出てくるんじゃないかと非常に心配をするわけです。
それともう一つお伺いしたいことは、これはいまからも相当自動車教習所の利用者というのはふえるだろうとは思いますけれども、地方におきましては、もう極端に言えば、雨後のタケノコのように次から次に新しい教習所がふえております。こうなりますと、私はしょせん将来若干の問題が出てくるんじゃないか、こういうふうにも思うわけなんですけれども、そういう点についてはどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/64
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065・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) いまの各教習所間におけるいわゆる講習の不均衡とかあるいは斉一でないところ、あるいは各県における試験のやり方が全国的に斉一な水準が保たれていないという点については、過去にそういうこともあり、現在もときどきそういうことを私どもも耳にいたします。そこで、全国の試験基準というようなものについては、今回は国際運転免許証の問題もございますので、いわゆる強化をしていきたいということで、全国的な試験の水準の斉一というものについては十分考慮をいたしていきたい。具体的ないろいろな試験のやり方、試験問題のつくり方あるいは技能試験のあり方というようなものについては、全国の試験の担当官等を中央に集めまして講習を行なうとか、あるいは地力のブロックごとに集めて講習を行なう等の措置をとることにいたしております。
それから、教習所のいわゆる乱立という点については、これは現在各府県の本部長あるいは交通担当者からいろいろ私のほうにも報告もあり、具体的にいろいろ指摘されている事項でありまして、確かに乱立に伴うところの不正試験あるいは試験内容の低下、講習内容の低下というようなことがあってはいけませんので、その点についての乱立についての行政指導、いわゆる公安委員会指定のやり方についての具体的な指導のやり方、あるいは先ほど申し上げましたような内容の質的な基準の引き上げというようなことをはかりまして、いまのような弊害の除去につとめたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/65
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066・沢田一精
○沢田一精君 次に、罰則の強化について御質問をいたしますが、交通一枚のうちで、ここにも今回取り上げられておりますひき逃げ事犯の罰則強化、これは最も悪質な交通事犯であると思うのですが、このひき逃げ事犯の最近における検挙状況というものを御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/66
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067・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 私の手元にございます三十八年のひき逃げ事件の発生検挙状況でございますが、ひき逃げの中を人身と物件と両方に分けまして、まあ主として問題になりますのは人身事件でございます。それを死亡、重傷、軽傷と三つに分けまして、発生の件数が、死亡が五百十四件、重傷が二千百四十三件、軽傷が八千九百七十六件、合計いたしまして一万一千六百三十三件、約一万二千件弱ということでございます。これは三十七年度のそれぞれのものに比べまして、死亡において三・九%の増、重傷におきまして七・五%増、軽傷におきまして七・八%の増、合計いたしまして七・四%の増になっております。この検挙は、死亡が四百十四件、検挙率は八〇・五%、それから重傷が千五百四十四件、検挙率は七二%でございます。それから軽傷が六千八百三件、七五・八%ということになっておりまして、平均検挙件数のトータルが八千七百六十一件で、それの平均検挙率は七五・三%ということになっております。それぞれのパーセンテージを三十七年度に比べて申し上げますと、死亡において二・三%検挙率が減っております。それから重傷において一・四%、軽傷はこれはプラス一・八%ということで、平均いたしますと、物件その他を入れますと検挙率は向上いたしておりますが、いま申し上げたような死亡、重傷というようなものについて検挙率がふえていないということで、私どもはひき逃げ検挙体制、ひき逃げの事故防止ということについて特に重点を置いていきたい。こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/67
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068・沢田一精
○沢田一精君 酔っぱらい運転ですけれども、これは今回罰則を強化しようとしておられますが、交通事犯の中で、酔っぱらい運転というものがおおよそどれくらいの比率を占めておるのか。最近これまた若干ふえる傾向にあるんじゃないかと思うんですが、その辺の事情を御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/68
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069・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) ちょっと最近近くに集めた資料がございませんが、最近の一斉検挙等をいたしておりますと、非常に無免許運転と酔っぱらい運転がふえている。スピード違反も多いんですけれども、むしろ無免許運転と酔っぱらい運転が漸次増加の傾向にあるということでいろいろな件数についてのパーセンテージ等は、後刻また正確な資料を差し上げたいと思います。一般的な傾向は相当ふえておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/69
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070・沢田一精
○沢田一精君 交通事犯の取り締まりについては、非常に御苦労を願っておることはよくわかっておるわけなんですけれども、私は、これはあるいは身がってな要望を申し上げるかもしれませんが、いわゆる交通事犯の中でも常習的に違犯を起こすおそれのある者と申しますか、現実に何回も検挙されたりしているというような者、それから特に悪質な者、そういう者に対しては、これはいまでもそうであったとは思いますが、より峻厳な態度でこれは臨んでいただきたいと思うんですけれども、中には、ささい——ささいなことと申し上げちゃなんですけれども、そういうことで画一的に非常に厳重な取り締まり——もちろんそういう点も場合によっちゃ必要かもしれませんけれども、ただ形式的な取り締まりということでなしに、もう少し、むずかしいことかもしれませんけれども、いま申し上げたように常習的であるとかあるいは悪質であるといううようなことについて、さらに力を入れて取り締まりをしていただきたい。ただ一斉取り締まりというようなことが全国的に行なわれる際に、その件数が上がらなければならないから、ささいなことでも、あるいは形式的なことでも、それを画一的に厳重な態度で取り締まっていくというようなことがあっては、かえって弊害が出てくるんじゃないかという気もするわけですが、その辺について、これは私の要望ですけれども、常習的かつ悪質な者については罰則も強化していただき、取り締まりに当たる第一線の警察官の態度というものもあくまでも峻厳でなければならぬと思いますが、その辺やはり実態に即した取り締まりをお願いしたいと思うわけなんです。
最後に、お伺いしたいと思いますことは、「公布の日から起算して三月を経過した日から施行する。」というようなことになっておりますが、ことしはオリンピックというものもあるわけなんですが、大体皆さん方の見当ではいつから施行するおつもりなのかお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/70
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071・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 先ほどの取り締まりの問題でございますが、まさに御指摘のとおりで、私ども取り締まりの方針といたしまして、一つは悪質な交通事故に直結するような違反行為に取り締まりの重点を指向する、これが一つ。もう一つは、納得のいく取り締まりをやってもらいたい。つまり、相手方が、もう頭を下げて、私のほうがまさに間違ってましたということが十分相手方に理解できるような納得のいく取り締まりというのが、現在私ども第一線の警察官に指示いたしております取り締まりの方針でございます。いま御指摘のように、検挙主義あるいは件数主義におちいらないようにということで努力をいたしておる次第であります。
施行の問題でございますが、オリンピックが始まりますことを念頭に入れますと、オリンピックの一カ月前ごろから相当多くの旅行者が来るというふうに考えますので、いまの状況でいきますと、八月ごろから施行ができれば非常に必要最小限度の期間は確保できるというふうに考えておりますので、なるべく早く御審議をお願いしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/71
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072・石谷憲男
○石谷憲男君 二、三点お伺いしたいと思いますが、交通事故を絶滅をするということでいろいろと御苦心なさっておりまする状況はよくわかるのですが、私どもしろうととして考えてみました場合に、道路事情というものとは無関係に、自動車の数がどんどんふえていくということが、一番やはり基本的な交通事故発生の原因じゃないかというような感じがするんですが、いまのたてまえは、運転免許試験に合格した者に対してはまず免許を与えるということがこれはもうあくまでも原則ですね。与えなければならないということになっているわけですが、交通事情といったようなことに相関連さして、いわゆる運転免許を与えていく、何と申しますか、条件を少し厳重に考えるということで、ある程度交通事情にマッチしたような免許の与え方ということにつきまして、何かお考えになったことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/72
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073・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 確かに最近の道路交通事情、車両のふえ力、道路とのアンバランスということで運転免許の資格を厳重にしてしぼっていこう、そうして道路交通事情に合ったような免許者の数ということは確かに私どもいろいろ考えるわけでございます。そこで、たとえば新しい者に対しては一定の条件をつけて高速を出してはいけないとか、あるいはある一定の地域しか運転できないとか、いろいろなそういう条件をつけたらどうだろうか、あるいは一年の間に事故を起こした場合においては、さっそくそれをすぐ取り上げてしまうというような方法を考えたらどうだろうかというようないろいろな点について、各府県の公安委員あるいは一般の関係者からもそういう御指摘があったわけでございまして、条件をつけるということはこの道路交通法の免許のところに書いてあることでございますが、具体的に一体どういう条件をつけたらいいか、あるいはどういうふうにしたらいいかということ、実施の段階についてはいろいろ問題があるわけでございます。いまだに具体的な名案がないというのが率直に申し上げた状況でございます。
なお、私どもは、道路の問題では一番考えていただいているのは、道路をつくる以上は、必ず安全施設というものをつくってもらいたい、また、歩車道の区別を明らかにしてもらいたい、いわゆる分離交通にしてもらいたいということを申し上げて、ある程度施設的にこれを解決していくということが非常に大事じゃないかというふうに考えておりますが、免許の段階でいろいろ抑えていくと、反面無免許が出てくるということでございます、最近無免許が多いということは、やはりそういう一端をあらわしておりまして、どうもやはり免許をしぼっていっても無免許があらわれてくるというようなもう一つの問題が出てくるということで、いま申し上げたようなことで、非常にいろいろ考えているのでございますが、具体的な名案がない。なお、今後検討いたしたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/73
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074・石谷憲男
○石谷憲男君 おそらく今後どんどんふえていくのはいわゆるオーナー・ドライバーと言われる種類のものであって、いわゆる自動車運転をもって生業とするというんじゃなくて、いわゆるしろうと、こっちのほうがどんどんふえていく。しかも、自動車の生産事情等もそういう人を目標にして動いているというような状況にあるわけですから、しかも、ふえるテンポというものが道路の改善事情とは無関係にいくということは、いろいろ今後お考えの場合に一番ポイントになるんじゃないだろうかという感じがいたしますので、いろいろ困難な事情もあると思いまするが、何かその辺のことにつきましても適切な方向をつかんでいただきたいということを特に御要望申し上げます。
それからもう一点お伺いしたいのですが、いわゆるスピード制限というものがされているわけですね。もちろん、これは道路なりあるいは交通事情というものに基づいていわゆる制限スピードというものが設けられている、まあ、こういうことに思うのですが、ところが、それがそういう事情に適合しておらないと、むしろ自動車のスムーズな流れをそのために非常に低下させるというような現実に私どもしばしばぶつかるのですけれども、一体スピード制限というものを設けていかれる一つの設定基準と申しますか、そういうものにつきましてはどういうふうな配慮が行なわれておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/74
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075・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 交通規制の一つの問題として、スピード制限の問題があるわけでございます。御指摘のように、いろいろ最近都内四十キロとか、あるいはいろいろなところの道路につきましての最高速度の制限の問題については、現段階において相当検討を要すべき時期ではなかろうか。一般関係者からも、その最高スピード制限は、公安委員会の表示と走っている車とはみな違うじゃないか、こういう御意見が、率直に言って、あるわけでございます。で、私どもといたしましても、いまの最高スピードの制限というものについては、車の性能の問題とか、あるいは道路事情の問題とか、あるいはその場におけるところの過去における交通事故の件数とか、あるいは道路環境の問題、あるいは車両の混雑の程度、あるいは歩行者の状況というようないろいろな各種の要素を総合的に考えてスピード制限をしていくということで考えておるわけでございますが、将来の問題としては、各府県の公安委員会においても、現在の最高スピードの制限スピードについて、いろいろ現在の状況に照らして再検討をすべき時期ではなかろうかということで、具体的にいろいろと検討をしている段階でございます。ただ従来、私どもがスピード違反というものに重点を置いて施行した場合に、ある程度運転者の間にいわゆるスピードを守るという一つの交通秩序ができ上がってきたということは、否定することはできないと思いますので、そういうある程度の交通秩序をつくり上げるような、運転者の間におけるところの順法精神というものが十分みなぎっておるという場合においては、いま申し上げたように、スピード制限というものについては相当検討を要する問題があるんではないだろうか。しかし残念ながら、一部の運転手、あるいは相当数の運転手の中には、やはり必ずしもスピード制限について正確に守らない者もおりますので、スピード制限をはずすということによって、何か無制限になってしまう。最高速度をいじるということによって、何か警察の方針が変わったのじゃないかというふうに思われてもいけない面もありますので、いろいろ総合的に勘案して改善の方向に進みたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/75
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076・石谷憲男
○石谷憲男君 それはスピード制限というものを設けるということは、これは必要なことだと思うのですが、それが実情に合っていないということからくる問題があるのではないだろうか。実情に合っていないために、交通の流れというようなものをある程度考えていきますと、むしろそれよりもややオーバーしたスピードのほうが、そういうことに適合する、その制限速度以上のものを出さなければならないという場所も確かにあるんじゃないかという感じがしますから、おっしゃるように、さまざまな要素というものをあわせ考えて、スピードの制限が、地帯によりましてそれぞれ異なって行なわれておるのですが、あくまでも実情をよくカバーできるようなスピード制限の設け方を研究していただきたい、こういう意味で、ひとつよろしくその点願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/76
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077・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) いま御指摘のような方向で、私どもも最高速度の改善という点については検討をいたしたいと思って、現在も検討いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/77
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078・井川伊平
○井川伊平君 二、三お伺いいたしますが、日本の交通事故が非常に多いといわれており、実際に多いように思うし、この条約加盟国七十カ国のそれと比べまして、どのように多いか聞きたい。それは一年を通じて件数がこうなっておるということのほかに、車両数、あるいは運転免許を受けている者の数に比較して、どういうような順位に七十カ国のうちで日本がなっておるか。この点もあわせてお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/78
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079・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) この七十カ国全部についてはございませんですが、たとえば西ドイツ、あるいはアメリカというような主要な国との対比の数字がございます。ただ、新しい数字が必ずしも正確に手元に入っておりませんので、私のところにあります数字から申し上げますと、自動車事故による死者数というもの申し上げますと、アメリカが一九六一年と六〇年で三万八千二百人、それから三万八千人。それからイギリスが六千九百七十から六千九百八。フランスが八千三百八十五から九千三百三十七。西ドイツが一万四千十八から一万四千二百九。イタリアが八千百七十九から八千九百八十七。オランダ、オーストラリアと、日本の一九六〇年から六一年の数字を持ち出しますと、九千六百八十九から一万百四十六というふうにふえておりまして、各国はそれぞれ減っておる傾向にあるわけでございます。そうして、それぞれの自動車数との対比から申し上げますと、日本の台数当たりの死者数は相当に多いというふうになっています。このあたりの正確な数字は、後刻資料をもって差し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/79
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080・井川伊平
○井川伊平君 特に車両数に比例して日本がこうした事故が多いという原因は、どういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/80
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081・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) まあいろいろな交通事故の原因はあるかと思いますが、一つの原因は、やはり道路事情というふうに考えられます。ということは、世界の各国の道路の傾向は、いわゆる混合交通から分離交通になっておる。一つの例が歩車道の区別が正確についている。それから車と車とを分離する。すなわち、いわゆるセンター・ラインなり、中央分離帯というものが各道路についてそれぞれ設けられておって、車の正面衝突というようなものがほとんどなくなっていく傾向になっているという、そういういわゆる道路の安全施設の充実と、道路構造がいわゆる分離交通になっておるというところに一つの原因があるのじゃないだろうか。もとより運転者の問題とかその他ございますが、やはり日本が混合交通であるということ、世界の各国がそれぞれ分離交通にだんだん徹してきておるというようなことに主たる原因もあるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/81
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082・井川伊平
○井川伊平君 そういうように考えてみますと、上陸後国際免許を一年間許すということになれば、本国で運転しておったのと全然違った道路状況で運転することになるのであるから、外人の免許証、外国の国際免許証で運転する者の事故が非常に多く発生するのではないかというように不安に思うものですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/82
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083・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) いままで、それぞれ各国から来ております方々が、向こうの免許を日本の免許に切りかえて運転しておる例があるようでございますが、その事故の率から見ますると、国際運転免許証を持って運転する場合とそれほど差異がないのじゃないだろうかというふうに考えておりますが、しかし、国際運転免許証を持って国内を運転する外国人の数が多くなれば、ある程度の事故は出てくると思いますが、いままでのところは、特別に取り立ててどうというような傾向はないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/83
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084・井川伊平
○井川伊平君 罰則の強化の問題ですが、これは私うかつでよくわからぬのだが、ひき逃げ事犯の場合、酔っぱらい運転の禁止違反の場合、それから追い越しの規制違反の罰則の強化の問題、これは一体どのくらいのものをどのくらいにしようというのでありますか。これは何かちょうだいしておる資料を見ればわかるのならば、どの資料の何ページを見ればわかるという答えでもいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/84
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085・宮崎清文
○説明員(宮崎清文君) 罰則の強化でございますが、最初にひき逃げ事犯に対する罰則でございますが、これは現在一年以下の懲役、五万円以下の罰金になっておりますのを、三年以下の懲役、十万円以下の罰金に引き上げます。
それから次の、いわゆる酔っぱらい運転でございますが、これは現在六カ月以下の懲役、三万円以下の罰金になっておりますのを、一年以下の懲役または五万円以下の罰金に引き上げます。それから不正手段による免許の取得、これは現在わずかに三万円以下の罰金になっておりまして体刑がついておりませんが、これは酔っぱらい運転同様に、一年以下の懲役または五万円以下の罰金に引き上げます。それから、あとたとえば追い越し禁止の規定の違反等こまかい点はございますが、これらは大部分は現在三万円以下の罰金で体刑がついておりませんものを、三カ月以下の懲役または三万円以下の罰金という体刑をつけることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/85
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086・井川伊平
○井川伊平君 罰則の強化をした場合において、七十カ国の加盟国の各国の罰則と比較いたしますと、どういうような順位になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/86
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087・宮崎清文
○説明員(宮崎清文君) これは先ほども局長が申しましたようにすべての国のデータ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/87
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088・井川伊平
○井川伊平君 大ざっぱでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/88
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089・宮崎清文
○説明員(宮崎清文君) はい。大体大差はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/89
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090・井川伊平
○井川伊平君 罰則の問題でなお一つ承っておきたいのですが、無免許の運転ですね、これにはどういう罰則があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/90
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091・宮崎清文
○説明員(宮崎清文君) 現在は無免許運転をいたしました場合には、六カ月以下の懲役または五万円以下の罰金ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/91
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092・井川伊平
○井川伊平君 法の適用の問題で、はなはだ恐縮ですけれども、自分が免許を持っていないゆえに事故が生ずるかもしれないということは実質的に考えられる問題ですね。あるいは酔っぱらっておるという自身に自覚がある場合に、酔っぱらっている場合に事故が起きるかもしれないというような場合もあるわけですね。そういうような事故の発生を予見しながら運転をする場合もあるわけですから、こういう場合には、この罰則のほかに、刑法の殺人なりあるいは過失殺人なりのそういう制裁をもって迎えることもできるんではないかと思うが、この点はどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/92
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093・宮崎清文
○説明員(宮崎清文君) たとえばひき逃げ事犯でございますと、これは最近故意犯が立証されまして殺人罪の適用を受けておる事例もごくまれにはございますが、ただ大部分はやはり業務上過失致死罪の適用を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/93
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094・井川伊平
○井川伊平君 無免許の場合は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/94
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095・宮崎清文
○説明員(宮崎清文君) これは大体判例において確立しておりまして、現在無免許運転も業務上過失致死罪で処罰されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/95
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096・井川伊平
○井川伊平君 非常に過労あるいは病人である者が運転する。こういう者も、実際に一般に人を乗っけるハイヤーやタクシーのほうはどうか知りませんが、土建業者や何かが物を運ぶ場合に使っている場合に、非常に時間を長い間運転さして過労におちいっている場合が往々にあると思うんですが、それらの者が事故を起こすというようなこともあると思うんですが、こういう事実がありますか、ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/96
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097・宮崎清文
○説明員(宮崎清文君) 若干ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/97
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098・井川伊平
○井川伊平君 あるとすれば、それは試験には合格しているが、試験のときは正常なる精神状態で試験を受けておる。結局やはりこれは過労の結果脳の働きが鈍っておる。そういう状態なら試験は通りっこない。こうも考えられるですね。こういう場合についての制裁というものは、本人だけに対する制裁ではすまないんでありまして、その人を使っておる使用者に対する制裁というものを考えなくちゃならぬと思います。この点はいかがになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/98
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099・宮崎清文
○説明員(宮崎清文君) 現在の道路交通法におきましては、一応車両の運行管理する者の責任といたしまして、運転手が過労状態であるにもかかわらずその運転を命ずることは禁止しております。これに違反いたしました場合には、雇用者なり運行管理者が罰せられることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/99
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100・井川伊平
○井川伊平君 別のことでありますが、上陸してから一年の間は国際免許証を持っているというが、途中で事故があったとか、あるいは何か警官のほうで道路で聞きたいという場合に、日本話が全然わからないとちんぷんかんぷんになる。そういうことが一般の交通の支障となることもあると思いますが、ただ、上陸して一年間というもの、それには何かの条件が必要でないか。たとえば日本語がわかるということが一つの条件であるとか、日本の交通法規ぐらいの理解は持っている。一般的な学科の試験やあるいは運転の試験は必要ないといたしましても、交通法規ぐらいの試験は必要ではないかと思いますが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/100
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101・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 一応試験等をする規定はございませんが、実際問題といたしまして、国内の交通法規について十分知らないということがあってはならないということで、この国際団体のいわゆる日本自動車連盟というようなものがございまして、こういうもの、あるいはそれぞれのホテル、あるいは観光に関係するような団体をして、私どもといたしましては、こういう国内で運転をするための日本の道路交通に関する必要な、何といいますか、パンフレットと申しますか、そういうようなものを本人に手渡すように、またPRをいたし、徹底をするようにということで、いろいろ準備をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/101
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102・井川伊平
○井川伊平君 自動車に乗ってみますといろいろな標識があります。あの標識は、こういうような外国の人でもすぐわかるのだろうと思いますが、標識だけではなしに、危険の多いところとかなんとか、いろいろむずかしい漢字で書いた文節がところどころに標識されておりますね、ああいうもののを外人にただあの文意を標識するということは無理だと存じますが、その点はどういうようなふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/102
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103・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 道路標識、交通標識につきましては、先般の改正によりまして、国際のものと全く同様のものになりましたので、標識を見るということについては、問題はないかと思いますが、ただ日本の文字その他についての理解の問題もありますので、ただいま申し上げたような、できるだけそういうものを事前に運転する者に差し上げて交付いたしまして、そういう点の、何といいますか、不備を除去したい、ただしかし、なかなかその点については相当むづかしい問題があるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/103
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104・井川伊平
○井川伊平君 最後に一点お伺いいたしますが、上陸してから一年の間たちますれば、日本の事情もわかってき、日本の交通事情も詳細わかってくるから、もうそれから先はあまりやかましく言わなくてもいいのじゃないかと思うが、かえって最初の一年の間こそむずかしいのだと思う。事故が起きるようなおそれがあるのじゃないかと思うのに、その期間を一年も突破して、無事に済んだものを、それから先は許さぬのだ。そういう心がまえと申しますか、これは何のためにそういうように、一年から先はただじゃ許さぬぞというようなふうにしなければならないのですか。最初の一年こそ用心をしなければいかんことじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/104
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105・宮崎清文
○説明員(宮崎清文君) この道路交通条約は、実は大体におきまして通過交通に対して利益を与えるというたてまえでできております。したがいまして、長期間滞在する者についてのことは考えておりません、道路交通条約そのものでは。したがいまして、この一年間というものは、条約上一年間利益を認めてやれば足りるということになっております。なお、現行の道路交通法におきましては、外国の有効な免許証を所持しております者に対しましては、非常に簡易な手続でわが国の免許証を交付しておりますので、国際免許証を持って来た人、これは原則といたしましては短期の旅行者と考えておりますが、もしそのような人が長期間わが国に滞在することになりますと、この国際免許証を国内免許証に比較的簡単に切りかえられますので、その点の問題はあまりなかろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/105
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106・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 本日の審査はこの程度にいたしたいと存じます。
次回は四月七日午前十時、地方公務員共済組合法一部改正の質疑を行ない、同日午後零時五十分出発、道路交通法一部改正案関係実地視察を行なう予定でございます。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02119640402/106
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