1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月二十三日(木曜日)
午前十時三十一分開会
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委員の異動
四月二十二日
辞任 補欠選任
古池 信三君 坪山 徳弥君
千葉千代世君 米田 勲君
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出席者は左のとおり。
委員長 竹中 恒夫君
理事
石谷 憲男君
西田 信一君
松本 賢一君
委員
井川 伊平君
熊谷太三郎君
沢田 一精君
館 哲二君
松野 孝一君
鈴木 壽君
林 虎雄君
基 政七君
市川 房枝君
衆議院議員
発 議 者 遠藤 三郎君
国務大臣
自 治 大 臣 赤澤 正道君
政府委員
自治大臣官房参
事官 山本 弘君
自治省財政局長 柴田 護君
自治省税務局長 細郷 道一君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
説明員
自治省財政局交
付税課長 山本 悟君
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本日の会議に付した案件
○地方行政連絡会議法案(内閣提出)
○工業整備特別地域整備促進法案(衆
議院送付、予備審査)
○地方交付税法等の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○地方行政の改革に関する調査(昭和
三十九年度地方財政計画に関する
件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/0
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001・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
初めに、地方行政連絡会議法案を議題といたします。提案理由の説明を聴取いたします。赤澤自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/1
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002・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) ただいま議題となりました地方行政連絡会議法案につきまして、その提案理由と要旨を御説明申し上げます。
今日、社会・経済の進展に伴なう地域社会の広域化に相応し、地方行政の分野におきましても、都道府県の区域を越えて広域的に処理すべき問題が次第に増加し、その内容も複雑多様になってくるとともに、各種の行政が相互に密接に相関連してまいっておるのであります。このような地方行政の動向に対処して、それぞれの地方において、広域にわたる行政が総合的にかつ、円滑に実施されるように、地方公共団体が国の地方行政機関との連絡協調を保ちながらその相互の連絡協同をはかることを考えることが緊要と存ぜられるのでありまして、さきに、地方制度調査会におきましても、このような観点から「都道府県をこえる広域行政」についてこの種の連絡協議のための組織を設けるべき旨の答申がなされたのであります。
このため、全国各ブロックに地方行政連絡会議を組織し、都府県及びいわゆる指定都市の長に地方の広域行政に関係のある国の出先機関の長を加えまして、地方公共団体相互間や地方公共団体と国の関係出先機関等との間の連絡・協議を組織的に行なわせ、地方における広域行政の総合的な実施と円滑な処理を促進し、もって地方自治の広域的運営の確保に資せしめることといたしたいのであります。
次に、この法案の内容につきまして、その概略を御説明申し上げます。
第一に全国の都道府県を九つの地域に分け、それぞれの地域ごとに都道府県及び地方自治法第二百五十二条の十九の規定に基づく指定都市をもって連絡会議を組織することとし、地方における広域にわたる行政の計画及び実施について必要な連絡と協議を行なうものといたしました。この連絡及び協議を行なうための会議は、都道府県の知事及び指定都市の市長のほか、関係のある管区行政監察局長、管区警察局長、財務局長、地方農政局長、営林局長、通商産業局長、陸運局長、海運局長、港湾建設局長等おおむね数府県の区域の管轄区域とする国の地方行政機関の長、その他地方における広域行政に密接な関係をもっている機関の長で構成するものとしております。
第二に、会議の構成員は、協議のととのった事項については、これを尊重してそれぞれの担任事務を処理するようにつとめるものといたしまして、連絡・協議の成果を国・地方公共団体の行政に反映させるようにいたしております。
次に、連絡会議と関係行政機関等との関係につきましては、連絡会議は、関係行政機関等に対して必要な協力を求めることができることとするとともに、これらの機関からの求めに応じて関係資料を提出しなければならないものとし、また、連絡会議は、必要に応じて、関係大臣・公共企業体等の長に対して意見を申し出ることができるものとするとともに、関係大臣は、所管事務について連絡会議の意見をきくことができることといたしました。
最後に、連絡会議の経費の負担、会議の結果の報告、その他連絡会議の運営等に関して必要な規定を設けた次第であります。
以上が地方行政連絡会議法案の提案理由及びその要旨であります。
なにとぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/2
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003・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 本案についての質疑は後日に譲ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/3
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004・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 次に、工業整備特別地域整備促進法案を議題にいたします。提案理由の説明を願います。衆議院議員遠藤三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/4
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005・遠藤三郎
○衆議院議員(遠藤三郎君) ただいま議題となりました工業整備特別地域整備促進法案の提案理由とその要旨を御説明申し上げます。
わが国の経済が着実な発展を続けておりますことは御承知のとおりでありますが、今後引き続いて貿易為替の自由化を推し進めながら、安定した経済成長を維持するためには、なお解決すべき幾多の課題をかかえているのでございます。
なかんずく、京浜、阪神等の既成の大工業地帯における人口及び産業の過度の集中は、いわゆる過大都市化の問題として、工業用地の枯渇や地盤沈下等生産面における弊害のみならず、住宅難、交通難等生活面においても深刻な弊害を惹起しつつあり、また、既成工業地帯へのこの集中傾向は、同時に、それ以外の地域との間にいわゆる地域格差を生ぜしめる原因となっているのでありまして、これらは国土の均衡ある開発発展に重大な阻害要因として作用し、早急に総合的な対策を講ずることを必要としておるのであります。
以上のような地域的課題を解決する方策としては、いわゆる低開発地域における工業の開発を促進するため、低開発地域工業開発促進法が制定されており、また、全国的な視野に立った適正な産業配置の構想のもとに、産業の立地条件と都市施設の整備をはかることにより、新たに相当規模の産業都市を地方に建設することを目的として、新産業都市建設促進法が制定されておりますが、さらに、工業の立地条件がすぐれており、かつ、工業が比較的開発され、投資効果も高いと認められる地域について、工業の基盤となる施設その他の施設を一そう整備することが特に重要と考えられるのであります。この対策は、既成大都市の過大都市化の誘因を減殺し、また、工業整備特別地域が中核となってその地方の一そうの開発に大きな波及的効果をもたらすという点で、地域開発政策上、有効な手段たり得るものと考えるのであります。
この法律案は、このような趣旨から、地方の開発発展の中核となるべき工業整備特別地域の整備を促進するため、所要の措置を講じようとするものであります。
次に、この法律案の要旨を申し上げます。
第一点は、内閣総理大臣は、関係県知事及び地力産業開発審議会の意見をきいて、鹿島地区、東駿河湾地区、東三河地区、播磨地区、備後地区及び周南地区に係る地域を工業整備特別地域として定めるものとしたことであります。
第二点は、工業整備特別地域が定められた場合は、関係県知事は、国の地方支分部局の長及び関係市町村長の意見を聞いて、当該工業整備特別地域にかかる整備基本計画を作成し、内閣総理大臣に承認を申請するものとしたことであります。
第三点は、国及び地方公共団体は、整備基本計画の達成のため必要な施設の整備を促進することにつとめるとともに、これらの施設の用に供するため必要な土地につきましては、公有水面埋立法、農地法等の規定による許可等の処分をするにあたり特別の配慮をするものとしたことであります。
なお、整備基本計画を達成するために行なう事業に要する経費に充てるために起こす地方債についても特別の配慮をするものとしたことであります。
第四点は、国及び地方公共団体は、工業整備特別地域の整備に寄与すると認められる製造事業、運輸事業等の事業を営む者が行なう工場その他の施設の新設等について必要な資金の確保につとめるものとしたことであります。
第五点は、地方公共団体が工業整備特別地域内に工場を新増設する者に対して不動産取得税または固定資産税の減税をしたときは、当該地方公共団体に交付される地方交付税の算定の基礎となる基準財政収入額の算定につき、特別の措置を講ずるものとしたことであります。
第六点は、工業整備特別地域の一体的な整備を促進するため、関係市町村は、合併により、その規模の適正化に資するよう配慮するものとし、合併に際して議会の議員の任期等に関する特例を設けるものとしたことであります。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/5
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006・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 本案についての本日の審査はこの程度にいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/6
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007・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案、昭和三十九年度地方財政計画に関する件を一括して議題といたします。前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/7
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008・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/8
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009・林虎雄
○林虎雄君 柴田局長にお伺いをしたいのですが、交付税率のことについて現在二八・九%ということになっておりますね。これは地方交付税のきまったのは昭和二十四年ごろでしたか、当初は二一%ぐらいから出たと思いますが、その後の、逐次率が引き上げになってきたと思いますが、その推移をちょっと承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/9
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010・柴田護
○政府委員(柴田護君) 昭和二十九年に平衡交付金制度をかえまして交付税制度をつくったわけでございますが、そのときの率は所得税、法人税が一九・八七四%、酒税に対して二〇%、これはその当時の財政計画をひっくり返しまして、そのひっくり返した率が酒だけは新しくこの年に——従来地方配付税時代に酒がなかったものですから、酒が新たに入ったもので、これを二〇%に据え置いて、残りを所得税、法人税の総額にかけまして、そうして率を出したのでございます。昭和三十年に地方財政の窮乏に対する緊急措置としてこれを二二%に引き上げております。翌三十一年にさらに、これは何でございましたか、何か理由はちょっとはっきり覚えておりませんが、やはり地方財政全体の対策として二五%に上げ、三十二年に二六%、三十三年に二七・五%、三十四年に二八・五%、そこまではたしか、大体は地方財政全体の対策として逐次引き上げてきたと思っております。それから三十五年には二八・五%のほかに市町村民税の減税の対策として〇・三%の臨時地方特別交付金という制度をつくったわけでございます。それを三十七年に共済制度が発足いたしましたときに、これを地方交付税に吸収いたしまして、同時に率を〇・一%上げまして二八・九%、それ以後現状に至っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/10
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011・林虎雄
○林虎雄君 まあ逐次引き上げられてきたということについては、逆に見ますると、地方財政に対する交付税が低かったために検討されまして逐次引き上げてきたと覆えると思います。特に三十年以来、例の地方団体の赤字の問題等について特にそういうことが言えると思うわけでございますが、そこでお伺いいたしたいことは、地方財政の現状というものは国の経済成長に呼応していろいろな新しい仕事もやってきておりますし、公共事業等もふえてきておる、行政水準も高まってきておるというようなことで、新たな財源というものが考えられなければならない。もちろん他の税制の面でも考えられてはおりますけれども、地方交付税というものは現在の二八・九という三十八年度の現状と現在の地方団体の仕事の内容、規模等に見まして、現状でいいと考えておいでになりますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/11
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012・柴田護
○政府委員(柴田護君) これは非常にむずかしい御質問かと思います。いままで率を引き上げてまいりました考え方の基礎には、一般的な地方財政対策によるわけでございますけれども、結局それは地方財政計画というもののベースの上に計算をされてきておるわけでございます。その後逐年地方交付税率が引き上がってまいりましたということは、言いかえれば、地方財政計画のベースが直ってきたということの証左であろうかと思うのでございますが、まあ今日の二八・九%の率がいいか悪いかということになってまいりますと、これは一がいには言えないのではないか。地方の実際からいいますならば、投資的経費に要する財源は幾らあってもいいんでございましょうし、そういう意味からいいますと、地方財政需要はふえているとも言えるかと思うのでございます。しかし、一方国民の租税負担ということもございますし、国家財政との関連ということもあるのでございますので、それやこれや考えまして一ただ地方財政だけの考え方からいいますならば、二八・九%ということが満足すべきものでないことは、私どももそう考えておるのでございます。国家財政とのかね合い、住民負担とのかね合いというものから総合的に判断していくべきものであると、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/12
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013・林虎雄
○林虎雄君 地方財政計画のベースによって引き上げられてきたと、そのとおりだと思いますが、最近の地方団体の赤字の傾向は、この間もそれぞれ質問があったとおりでございますが、そのように赤字が出ておるということは、財政計画に無理があるのではないかというふうにも考えられるわけであります。そう言っては失礼でございますが、自治省で地方財政計画を立てる場合に、その点は歳出について歳入とのバランスを考えなければいけないが、国の財政の場合には、歳出を大体見当つけて、歳入、税の方針を立てると思いますけれども、地方財政計画の場合には、逆に一定の歳入、一定の地方交付税というもののワクの中に歳出を地方財政計画にあてはめるといいますか、その中に無理に詰め込むという、そういうことで、地方財政内容に無理が出てくるということになりはしませんですか。言いかえるならば、先に歳出をきめて歳入をはかるならばいいけれども、歳入に一定の限界がある。特に交付税率というものは限界がありますから、それに無理やりというのは、表現少し極端ですけれども、あてはめる、こういう傾向がありはしないか。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/13
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014・柴田護
○政府委員(柴田護君) 歳入に伸びがございませんで、歳出が非常に膨大な形で迫ってきた時代におきましては、そういう意味合いの傾向もあったかもしれません。しかし、今日の地方財政の状況では、歳出はもちろん相当な圧力を持っておりますけれども、これが公共事業その他という形の圧力ではなくして、地方の実際の需要に基づくものであろうと思うのでございます。しかも、歳入のほうはむしろ相当伸びが昔から比べますると出てまいっている、それやこれや考えますと、いまおっしゃいますようなことは、昔から比べますれば、非常に薄らいできたというように思うのでございます。ただ私どもは非常にこういう計画をつくって、自分でも問題にいたしておりますのは、 この前もお話申し上げましたように、その財政需要との開きのところ、それが給与関係経費において非常に大きく開いている、それから事業費の開きというのは、これはまあ、まだ何と申しますか、仕事のやり方、あるいは年度間の繰り越し関係等がございますので、それほど気にする必要はないのかもしれませんが、かつての公債費の問題にかわりまして、繰り出し金の問題が出てまいっております。この繰り出し金の問題というのは、財政計画上はわずかな額でございますけれども、その繰り出し金を出して、なおかつ特別会計において大きな赤字があるというところに、まあ問題が非常にあるのじゃないか、これを非常に私どもは気にするわけでございます。その他国庫補助負担金の単価の不足分が、実においては出ているけれども、計画上は出ていない、そういうふうな、いろいろ欠点があることは十分承知しているわけでありますが、そういう意味もあって、ここ数年単独事業費というものについて大幅な増強をはかってまいっているのであります。財政計画全体につきましても、一つの再検討すべき現時点にきているかとも思うのでございますけれども、まあお話しのように非常に、財政計画にうんと無理を重ねているというようなつもりはないのでございます。ただ計画の、いままでの策定のしかたそのものにひそむところの問題点ということが解決されずに残っているということは言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/14
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015・林虎雄
○林虎雄君 地方財政計画が、最近の社会経済情勢の変化によって再検討の時期にきているように考えられる、こういう点は私もそのとおりだと思うわけでありますが、この最近の地方団体の赤字の原因ですけれども、前に局長さんはこういうことを言われたと思います。かりに一つの原因として、に地方首長も議員も、それぞれ選挙に出てまいりますから、住民の側だけに向いて無理をする、財政の実態に沿わないような、必要以上といいますか、財政に比較すれば、必要以上の行政費を使うことに一つの原因があるというようなことを言われたと記憶しておりますけれども、これは確かに私も否定はいたしませんけれども、それはあるとしても、地方財政全体として見れば、たいした高率ではないと思いますが、やはり地方財政の困窮している原因は、決定的には国の措置の不十分だということに私はあると思うのであります。ただ自治省のほうでも、親心かしれませんけれども、あまり市町村長あるいは、一般の地方首長に財源をあまり費かに与えるとむだ使いをしてしまいやしないかという、そういう懸念が地元のほうにあるようだと思います。その一つのあらわれとしては、毎年交付税の余ったのを、余ったというか、当然地方団体へ配分すべきものと思われますものを翌年度に繰り越しの措置をするというようなことも、年度末などに思いがけない金が地方団体へ交付されると、それが不必要な方向に使われてしまいはしないかというような懸念がうかがわれるわけでありまして、要すれば、地方首長に対する不信というか、こういうものがどこかに潜在しているような気がいたしますが、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/15
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016・柴田護
○政府委員(柴田護君) よけいな心配だというお言葉かもしれませんけれども、実際問題といたしまして、年度末に金が入ってきた場合にどうなるか、林先生も十分御経験済みかと思いますけれども、やはり執行当局の立場に立ってものを考えますと、いろいろその間にいろいろの問題がございます。そして政治的妥協等がはかられる場合が多々あるわけでございまして、結局まとめて使えば非常に有効に使える、また使うつもりでおっても、そういうようなどさくさと申しますか、どさくさのうちに妙な形に使われてしまうということが起こりがちであります。やはり財政運営を指導する立場からいいますれば、そういう事態は避けてもらいたいのであります。しかも、期間がほんの一、二カ月のうちのことでございますので、その間、そういう措置をとってもやむを得ぬことじゃなかろうか、こういうことでこの数年来やってきたわけであります。その措置は、この前繰り越し法案を御審議願いました際に申し上げましたように、ほかにいい方法があるかもしれません、少し研究の期間を与えてもらいたいということを私は申し上げたつもりでございます。したがいまして、根本的に、少しでも金を出せば何に使うかわからぬじゃないかというような不信のような、不信感と申しますか、さようなことは私どもは持っておりません。ただ現実の問題として、そういうことが起こりがちである、それから期間が一、二カ月のものじゃないかということを彼此勘案いたしますれば、思い切って繰り越し制度をとったほうがいいのではないかという判断に立ったわけでございます。私どもはそういう一から十まで手取り足取りしておりました昔の時代の考え方をいまもって続けているわけでは決してございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/16
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017・林虎雄
○林虎雄君 地方首長に対する不信の念と申しますか、一〇〇%信頼できないといいますか、これは全部信頼できると私も断定しかねると思います。しかし、この自治権というものがある以上、できるだけそういったものを途中でブレーキをかけるというようなことのないようにすることが好ましいと思いますが、そうなれば、結局いまの首長に対して一〇〇%信頼できないと言えば、言い方は少し悪いですけれども、そういう過渡的な、いまのまだ地方自治も完全とはいえませんから、そういう懸念はあると思います。そこで、国のほうでもセーブしないと、そうして地方団体の長もまだ未熟だというような段階、セーブしなくて、それで未熟だというようなことになりますと、何か実質的に財政のむだづかいのないようなふうに、これをセーブするような制度的なことは考えられませんでしょうか。つまり自治法その他において、交付税は全部毎年度のものは余れば適当に配分する。その場合に、それをむだづかい、勝手に不必要な面にまで使われないようなふうに、実質的にセーブする、そういうようなことは何か方法考えられませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/17
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018・柴田護
○政府委員(柴田護君) その方法が、まことに頭の悪い話なんですけれども、考えられませんでしたので、今日までああいうお叱りを受けるような制度をとってきたわけでございます。しかし、やはりその問題、お話しのように、そういう誤解を招きませんように、何か制度的なメカニズムをひとつ考えて、それに乗ぜるような方法をとっていくべきであろうという感じを深く持っております。研究してまいりたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/18
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019・林虎雄
○林虎雄君 私どもは私どもなりで計算をいたす場合に、いまの交付税率二八・九では、これは地方財政というものが円満な運営ができないという見解を持っているわけでありますが、この点については、自治省としても、簡単に引き上げるというようなことも言明できないと思いますが、三十年以来、逐次引き上げられてきたということは、いろいろそのつど原因はありましょうけれども、もう六回、七回くらいにわたって税率の引き上げが行なわれてきているわけですから、最近の社会経済情勢、財政の実情等に対しまして、引き上げについての再検討の時期に来ているのではなかろうかというふうに私は思うわけでありますが、先ほども、地方財政全般のあり方に対して、柴田局長も再検討の時期に来ているのではないだろうかというようなお話しがありましたが、それとうらはらの関係でありますが、この点十分に地方団体に対して、自治省といたしまして積極的に御検討をお願いいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/19
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020・沢田一精
○沢田一精君 二、三お尋ねいたします。
本年度の地方財政計画を見ますると、地方税の増が二二%ということになっているのです。その内訳を見てみますと、法人関係が増加の主要な原因になっているようなんですけれども、経済界の動向は、必ずしも安定したペースで伸びていっていないのじゃないかという考えもあるわけですが、法人関係の地方税がそれだけ伸びると見込まれました理由を御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/20
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021・柴田護
○政府委員(柴田護君) これは、国税の法人税の算定基礎と同じ基礎に立ちまして計算をいたしているわけでございます。その国税の法人税の算定基礎と申しますのは、御承知のように、経済企画庁で計算いたします経済の見通しというものを基礎にして、法人所得の伸びの推定をしてはじいているわけであります。また、きついじゃないかというような御批判も、予算審議を通じましても多少ございましたけれども、まあまああの当時の、ことしの初めごろの本年度の経済の見通しの上に立って考えました場合には、過去の実績等を考えて、まああの程度はいけるのじゃないか、つまり、きついといわれますところは、従来ならば自然増収の形で保留されておったものを、予算に計上してしまった。そういう意味合いにおけるきっさはあるかと思います。同じことが、やはり地方財政計画上はいえるかと思うのでありますけれども、しかしながら、この程度の歳入がそれじゃ本年度得られないかといえば、それは得られるのじゃないか、得られるとわれわれは確信しているわけでございます。従来と違います点は、財政計画のいわば外に置かれておった法人関係の租税の伸びというものが、計画の中に多少入ってきている。そこが違うといえば従来と違うところかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/21
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022・沢田一精
○沢田一精君 そこでその計画どおりに法人関係の税が伸びるかどうかということについても問題がありますけれども、かりに計画どおりふえたといたしましても、法人関係事業税の特質からしますと、非常に地域的にアンバラスがあるんじゃないかと思います。ということは結局、大都市ないしは大都市周辺地域というものは予定どおり法人関係の税というものがふえていくかもしれませんけれども、工場がないような、いわゆる後進性の強い地域におきましては、地方税の伸びというものは非常に期待できないのではないか、そこに一つの問題があると思うのですが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/22
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023・柴田護
○政府委員(柴田護君) 東京、大阪とその他の地域ということにつきましては、おっしゃるような点があるいは当たるかもしれません。しかし、一がいにそういう東京、大阪その他五大府県と申しますか、そういうところだけにそういう現象があるかというと必ずしもそうではないと思います。と申しますのは、たとえば大きな県でございます兵庫県みたいなところをつかまえますと、法人の構成が片寄っておりますので、特殊の法人が伸びた場合においては、その関係の税収入が伸びますけれども、逆にその関係の一方が業績の悪いときにおきましては税収入ががたっと落ちてしまいますので、県によって違いますので、一がいに御指摘のようなことは言えないのじゃないかと思いますけれども、まあしかし、県によってでこぼこがあるということは御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/23
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024・沢田一精
○沢田一精君 一がいに言えないというお話でございますけれども、たとえば南九州のごとき大口の法人税の対象になるような工場自体がないわけですから、そこでは伸びようがないと思うのですが、したがいまして、交付税の算定という際にも、そうでなくてもこれは後進地域の格差の是正という措置について十分御配慮になっておると思うのですけれども、特にこの財政計画の主要な部分を占める地方税の見込みにおいて、法人関係を大幅に伸ばして算定をしておられる以上は、ますますひとつ重点的にこれをお取り上げいただかなければ、後進地域において三十九年度の財政計画というものが破たんしてくるんじゃないかという心配をするわけです。そうでなくてさえ、是正という問題があるわけですが、今度の交付税の算定について、格差是正という点について具体的にどのように配慮をしておられるか、あるいは配慮をなさるおつもりであるかということをお尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/24
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025・柴田護
○政府委員(柴田護君) 格差是正の中心の大きく取り上げましたところは、私どもは市町村に重点を置いております。しかし、府県につきましても同じような問題があることは十分承知しておりますし、府県につきましては、たとえば農業行政関係の単位費用の充実、それから林野、それからいわゆる面積を基礎とする包括算入と申しますか、投資的経費の包括算入でございますが、こういったところに重点を置いたわけでございます。ということは、言いかえるならば、後進県に力を置いたということであります。また小中学の教職員の給与費についてこの算入率というものが従来より以上に高めましたが、こういうことも、小中学校の教員は、大体全国平均して財源がいくわけでございますので、やはり間接的な意味合いにおいては格差是正をするということになっておるかと思うのでございます。主としては府県で申しますならば、農業行政、林野行政それから土木その他の面積を測定単位といたします包括算入の強化、この辺に府県につきましては重点を置いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/25
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026・沢田一精
○沢田一精君 おそれ入りますけれども、いまの点大体の方向はわかったのですけれども、具体的に何かお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/26
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027・柴田護
○政府委員(柴田護君) いま私が申し上げました点で、基準財政需要額の増加額は二百五十億見当を考えておりますが、そのうち不交付団体のほうにふえてまいりますと考えられますものが大体二百八億強、約二百八億であります。したがって、小中学校の教員と、それから道路の延長分の引き上げがあると思いますが、これらの部分が不交付団体に基準財政需要額の増加になってあらわれてくると思いますが、その他の分は全部交付団体の増加、それは弱小府県ほどその割合がふえる、割り高に需要額が上がるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/27
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028・沢田一精
○沢田一精君 ただいまの格差是正という趣旨から農業とか林野等について若干の配慮をしたというふうなお話ですが、もう一つお伺いしたいと思いますことは、中小企業対策というか、これは一つの大きな重点になっておると思うのですが、それについては何か御配慮になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/28
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029・山本悟
○説明員(山本悟君) 中小企業関係の経費につきましては、府県分の商工行政費で算入をいたしておるわけでございますが、中小企業近代化資金、高度化資金の特別会計への繰り出し金の増加、あるいは中小企業団体中央会あるいは組合連合会への補助の増加、中小企業協同組合指導費の増加、中小企業管理者及び技術研修費の増加等々、それぞれ標準団体におきまして経費の増額をはかっておるわけでございます。特に近代化資金の繰り出し命の増というようなものは、全国統計におきましては約二十六億程度の基準財政需要額を増加するようにいたしております。ただこの関係は、やはり需要の実態から申しまして比較的不交付団体等においても増加することになると思うのでありまして、格差是正という点から申しますと、農業行政費あるいは林野行政費のように、後進地域に多額に増加になるというような配分がしにくい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/29
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030・沢田一精
○沢田一精君 そこでさらにお尋ねしたいと思いますが、後進地域の格差是正というか、わが国の産業の均衡ある発展をはかるという趣旨のもとに新産業都市というものが指定になって、全国で十三地域すでに正式な決定を終わったと思うわけでありますが、その指定を受けました地域は非常に大きな希望を持って今年度からいろいろな構想を進めていこうと意気込んでおると思うわけです。したがいまして、やはり相当そういった地域におきましては、これは政府の指導いかんにかかわらず、新しい意気込みでいろいろな投資的な事業というものも活発に行なわれる傾向にあると思うわけなんです。そういうことになりますと、先般来お話があっておりますように、よけい地方財政が赤字化していく傾向をたどるのじゃないかという心配をいたしております。したがいまして、これについての特例的な財政援助の措置を講じてもらいたいという要望も非常に強いと思うのですが、これについて現在の段階なり、自治省の方針、対策をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/30
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031・柴田護
○政府委員(柴田護君) 私どもは新産業都市の建設をやってまいります場合においては、やはりある程度の事業量を集中的にある地区に投下するということが行なわれなければ、特定地域の総合開発という現在、竜頭蛇尾に終わっておるものがございますが、あの二の舞いを踏むのじゃないか。そうしますと、何のために新産業都市をつくったかわからないことになりはぜぬか。したがって、やはりある期間に計画的に相当量の事業を集中的に行なって、それを総合的に有機的連携を保ちながらやっていくというところに新産業都市建設のほんとうの姿があるのじゃなかろうかというように考えるわけでありまして、そのためにはまだ計画が詳細にでき上がっておりませんので、具体的な計数をもってお答え申し上げることはできませんけれども、しかし、ちょっと考えただけでもやはり相当の負担が出てくる。負担が出てまいりますと、これについてはいろいろ意見がありまして、先行投資だから、地方債を中心に考えたらいいんだ、したがって、地方債をもって事業を行なって、事業ができ上がってしまえば、あとで、それが租税になってはね返ってくる、したがって、地方債でいいんだといったような説もございますが、私どもは、どうも、そういうわけにはいかぬのじゃなかろうか、やはり、かりに、税源としてはね返ってまいりましても、その相当部分は国に吸い上げられてしまうことになるでありましょうし、また、相当の需要量の施工でございますけれども、その効果があがってくるということになりますのは、相当の年数を経てからじゃなかろうか、その間に、新しい都市ができますと、それに応ずる、全く新産業都市と無関係な需要というものが出てくることになる。そうするとそっちのほうに、あがる財源というものを使っていかなきゃならぬということになってくるであろう。いずれにしましても、新産業都市の建設事業をやってまいりますところにおきましては、地方負担にたえかねるという事態が起こるにきまっておる。そこで、やはり、総合的な財政的な措置が要るというように確信をいたしておりまして、実は、法律案も準備をし、関係各省と話し合いをいたしておりますけれども、まだ、結論を得るに至っておりません。私どもとしては、結論を得ておるのでございますが、関係各省の了解を、完全に得るには至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/31
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032・沢田一精
○沢田一精君 御努力になっておることはわかるわけなんですが、今国会にお出しになる見通しがございますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/32
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033・柴田護
○政府委員(柴田護君) 現在、いろいろ折衝をいたしておるわけでございますが、私どもは、最初は、そのつもりで作業を始めておりましたが、いろいろの事情等もございまして、現在のところは、何とも申し上げかねるような段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/33
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034・沢田一精
○沢田一精君 最初は、そういうつもりで作業をしておったが、いろいろな事情があって、何とも申しかねるという御返事なんですが、それでは、地域住民の非常に大きな期待を裏切る結果になると思います。また、地方財政という見地から見ましても、その指定をされました地域は、ともかくといたしまして、指定を受けなかった地域は、やはり、その府県におきましても、非常に、財政投資が片寄り過ぎるというようなことで、苦しくなってくるのじゃないかというふうな懸念も、逆な意味からあるわけなんですが、当初、お考えになっておったが、現在では、いろいろな事情でと言われますが、差しつかえなければ、どういう経緯であるか、もう少し詳しく、具体的にお話しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/34
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035・柴田護
○政府委員(柴田護君) 非常につらい御質問でございますが、私どもは、さようなことから、実は、作業を始めてまいったのでございますが、一番ネックになりますのは、何と申しましても、新産業都市建設計画というものの全貌がきまっていない。政府からは基本方針を示しておりまして、建設計画を地元につくらしておりますけれども、それが、まだ、さだかになっていない。したがって、計算ができないわけでございます。私どもは、財政援助措置というものが明確になりませんと、計画の立てようもないじゃないかという態度でもって話を進め、交渉をしておるわけでございますけれども、財政の援助措置をきめるにも、その具体的な計数が出てまいらなければ、見当もつかぬじゃないか、これが反対論の最たるものでございます。この二つの意見で話し合いが暗礁に乗り上げているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/35
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036・沢田一精
○沢田一精君 非常にくどいようですが、すでに、正式決定はなされておりまして、その際には、各地域の基本方針というものが定められております。大体の構想、あるいは、どういう方針でやるかということについては、すでに示されておるわけでございまして、それぞれの地域は、その示された基本方針、決定された基本方針に従って、これからやっていこうと、何も、三十九年度、単年度で、いろいろな事業を全部やってしまおうということじゃ、決してないわけでございますから、やはり、そこに、ワクと申しますか、幾らかの特例措置というものをあらかじめ考えて、そして地方から具体的な計画が出てきた場合に、そのワクの中にはまるようにチェックをされることは、これはけっこうなんですけれども、ただ地力の詳細な計画が出てくるまで手をこまねいて待つということであっては、これは混乱を巻き起こすのじゃないかと思うわけなんですが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/36
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037・柴田護
○政府委員(柴田護君) 私はそのとおりだと思います。そのとおりで、私のほうといたしましては、お話のような態度で実は話をしておるわけでございますけれども、いま申しましたような逆の議論があるわけでございまして、話し合いがなかなか進まないというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/37
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038・沢田一精
○沢田一精君 先ほどはまた別に工業整備特別地域の整備促進ということが出てまいったわけでありますが、そういうことで新産都市という問題はあれほど大きな問題として取り上げられ、この委員会におきましても、従来からしばしば論議をされておるわけなんですけれども、とにかくいま局長が言われましたような、単なるそういう時間的なズレと申しますか、そういうことのみによって、この事態を無為に過ごそうという政府の態度というものは、私どもはどうも了解に苦しむわけなんですが、もう少し積極的に地方財政が安定した姿で、しかも、新産都市促進法が企図しておるような均衡ある発展をはかって、後進地域の格差是正をはるかという趣旨に立って、何とかひとつ御努力願いたいと思うわけなんですが、その御決意はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/38
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039・柴田護
○政府委員(柴田護君) 私どもはお話のとおり、全く同様な気持でおるわけでございまして、鋭意努力をいたしておりますけれども、何しろ事務ベースというものにつきましては限りがございます。いろいろな事情があると申しましたのは、少しここでは申し上げにくいのでございますけれども、まあいろいろな事情がありまして、その交渉が進まない、非常に残念でございますけれども、現状ではなかなか思うように進まない。私どもはしかしまあ何と申しましても、そういう気持で始めたものでございますし、またその必要ありと信じてやっておるわけでございますので、私どもは従来の態度を変更いたしましてどうこうということは現在のところ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/39
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040・沢田一精
○沢田一精君 先ほど来私が御質問を申し上げて御答弁をいただいたわけなんですが、私が申し上げたい趣旨は、おわかりのように、一ころよりも地方財政というものが非常に苦しくなってきておる。しかも地域格差、地域的なアンバランスということが相当深刻じゃないかと思うわけなんです。そうでなくても地域格差を是正するということが、一つの政治行政の大きな眼目になっておる現在ですから、法人関係の税金の目一ぱいに織り込んで、それで地方財政計画のつじつまが合っておるという格好になっておりますけれども、これはまあある意味において危険性を持っておる。しかも、一方においては新産都市の問題等があるわけなんですから、ひとつ交付税の配分という際にも地域間の格差是正、いわゆる傾斜配分という思想をさらに強くしていただきたい。その必要があるのではなかろうかということでございます。
最後に、これはこまかい問題になるかもしれませんし、あるいは税の方、おいでになっていないかもしれませんと思いますが、たとえば地方財政計画で二二%の税の伸びを見込んでおられるということになりますと、徴税強化という言葉は若干の語弊があるかもしれませんけれども、たとえば事業税等におきましても、いろいろ地域によって税源の捕捉のしかたというものがアンバランスがあって、非常に過酷な面が出てきやしないだろうか、そういうことによって住民の不満も助長するようなことがあってはならぬと思うわけなんですけれども、たとえば個人事業税あるいは償却資産の問題等についても、私どもが聞くところによりますと、若干のアンバランスがある気がするわけですが、そういう点についてのお気持をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/40
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041・柴田護
○政府委員(柴田護君) 私どもも今日の地方財政の状況を見てまいります場合に、これは将来いろいろ議論を尽くさなければいかん点もございますけれども、一般的に言って、お話のような事情が背景になっておるだろうというようには考えるのであります。言いかえますならば、非常に地方財政の立つ基盤というものが経済的に非常にゆらいでおる、またそれによっていろいろの新しい財政需要が起こってきておる。いうならば静態的な地方財政状態というのは、激しく動く動態的なものにかわってきておる。しかし、制度の立て方運営等についても、まだどちらかというと静態的なものを中心にやってきておるのじゃなかろうか、動態的なものへの配慮というものが足りないのじゃなかろうかというような感じを、私個人は持つわけであります。そういう意味から考えますならば、今日の地方債制度並びにその運用、あるいは交付税並びにその運用といったようなものにつきましては、十分再検討する必要があるだろう、ただ技術面からの制約がございますので、どういう工合に持っていったらいいか、研究を要するのでございますけれども、少なくともそういう方向で眺め直すことは必要だろうということを痛感しておるわけでございます、十分検討いたしたいと思います。
税につきましては、逐年徴税率は高まってきたわけでございますが、私どもは率直にいって、これで捕捉が十分行なわれておるかというと疑問がございます。なるほどアンバランスはあるかもしれませんが、それは過酷な徴税という形におけるアソバランスではなくて、ゆるやかな徴税が一方にある、まともな徴税とゆるやかな徴税の間に起こるアソバランスではないか。本来ならば、いうならば、一〇〇%捕捉をし、一〇〇%徴税し、一〇〇%徴収するのが税から言えば理想であります。それがほんとうの意味合いにおける負担の公平を期するゆえんだと思いますが、現実はなかなかそうはいかない。したがって、それ以上あるべからざる税を取ってるということはないのではないか。しかし、一部にゆるく一部にきつくということであるならば、そういうことは行なわれないように、十分注意してまいらなければならんと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/41
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042・沢田一精
○沢田一精君 税の問題ですが、必要があれば後日税務局長あたりおいでいただいてお尋ねをいたしたいと思いますが、私が申し上げている意味は、たとえば償却資産の捕捉の仕方にいたしましても、やはりそこにおのずから一定の限度があると思います。何もかも、具体的な例を申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、どこまでがほんとうにその必要な資産であり、それから先はいわゆる償却資産、固定資産税の対象として捕捉すべき資産であるかどうかというところは、やはり非常に解釈がむずかしい問題が私はありはせんかと思うのです。その辺でその捕捉の仕方において、非常にアンバランスが出てきておる、こういうことを申し上げておるわけなんです。捕捉すべき、いわゆる局長がいま言われたように、当然捕捉すべきやつがむしろ抜けておったということじゃなしに、私の申し上げる意味は、そういう意味なわけなんですが、それは具体的な例を示してあるいは担当の局長さんにお尋ねいたしたほうがいいかと思いますので、本日はやめますけれども、要するに先ほど来申し上げますように、後進地域の格差是正という点について特に御配慮をいただきたい。それと関連して、新産業都市の建設計画に伴います地方負担の増加ということについて十分の関心と警戒を持って国としてはあたたかい措置を講じていただきたい。それについては自治省御当局は、いままでもそうであったと思いますけれども、腰くだけにならないように、最後まで、あくまでも今度の国会で特例法を出すのだという意気込みでやってもらいたい。強く要望をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/42
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043・松本賢一
○松本賢一君 いまの沢田さんの質問に関連してお尋ねとそれからお願いをしたいのですが、先ほど格差是正のための傾斜配分の御答弁のときに、府県のあれはいいのですが、市町村の分はおっしゃらなかったように思うのですが、前に一度お伺いしたようにも思うのだけれども、もう一ぺん言っていただきたいと思うのです。どういうふうなことを重点的になさっているかということを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/43
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044・柴田護
○政府委員(柴田護君) 市町村の格差是正の問題は、ことしは私どもはこれに重点を置いたのでございますが、一番大きなものは何と申しましても基準税率の引き上げでございます。率を七〇%から七五%に上げますと、財源の少ないところに交付税が流れていく。言いかえれば、自動的に貧弱市町村の財源が充実されることになるわけでございます。
そのほかを申し上げますと、小中学校のやはり経費の増加、これは児童、生徒数と学級数というものとで測定をいたしておりますが、そのほかに学校数というのがありますが、児童、生徒数で測定いたします部分と学級数で測定いたします部分との割合を、児童、生徒数から学級数のほうにウエートをかける。これは金額にしますと二十四億の基準財政需要額の増加になる。それから物件費、同じく小中学校の物件費の増額、これは三十億くらいでございます。これは大体平均していくわけでございますので、貧弱市町村に割り高になるわけであります。
それからその他土木の包括の算入額の増加、これは三十四億くらい。行政の経費の増額これはわずかですが十四億、これは土地基盤整備事業が中心であります。
その他産業経済における投資的経費等が五億、それから低種地の基準財政需要額の充実をはかりますために態容補正係数差を縮める作業をさらにやります。これが六十億くらい。全部入れますと需要としましては三百七十億、三百七十億の需要増加を考えまして、そのうち三百二十億見当のものが交付団体にいくと考えられるのであります。したがって、これらの措置によりまして、財源均等化と申しますか、財源の乏しい市町村の財源が相当に充実されるであろうというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/44
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045・松本賢一
○松本賢一君 大体御説明はわかるのですが、ひとつまことに何ですが、府県とそれから市町村について、名前をあげることは差し控えなければならぬと思うのですが、実例をAとかBという名前をつけていただいて、たとえばA県は昨年はこうだったがことしはこうなる、このくらい重点配分がなされるのだというようなことを県と市町村の実例をとってひとつしろうとによくわかるような表をつくっていただきたいと思うのです。そうしてパーセンテージでもつけていただいて、それから総体的にこういうふうになるのだということと、それから府県の場合、A県はこうなるがB県はこうなるというような、一方は富裕県、一方は貧弱団体、それから市町村の場合もそういった実例をとって示してもらいたいと思うんですが、そういうものをつくっていただいて、われわれ判断の資料にしたいと思うんですがね。それで、三十八年度と三十九年度の比較と同時に、三十七年度と八年度の比較もとっていただきたいと思う。七年と八年とはこの程度であったが、今年度は、九年度は、特に重点を置いたから特にこういう大きな開きになるんだといったことがよくわかるように、そういう資料をひとつつくっていただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/45
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046・柴田護
○政府委員(柴田護君) お示しを、実はそういうことをしたいと思うんですけれども、実際問題といたしましては、仮想のものしかできない。つまり数値が動くわけでございます、実際には。だから人口は動きませんが、たとえば児童生徒数のほうはすぐ動いてしまうわけですから、なまの数字が出てこないのであります。それからまた収入がかわりますので、これも見当がつかない。補正係数の作業がまだ残っておりますんで、まことに恐縮でございますが、実際問題といたしましては御要望の資料が八月までは実はむずかしいのであります。仮定の係数はともかくといたしまして——仮定の係数じゃもちろん意味がないんでございましょうし、実際に基、ついたものとなりますと、現状ではなかなかむずかしいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/46
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047・松本賢一
○松本賢一君 それでは、まあ二、三日うちにというようなことは申しませんから、それじゃひとつ将来にわたっての参考になると思いますので、ひとつゆっくりでいいですから、ぜひあまり遠くない時期にちょうだいしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/47
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048・鈴木壽
○鈴木壽君 その資料に関連をしてもう一つ。じゃあ局長さん、いま松本委員の質問に対してお答えになりましたね、いろいろな項目をあげて、これがこのぐらいふえるんだ、こういうお話がございましたので、そういう項目をできるだけ拾って、それに対応する額をお示しいただく、これをひとつ府県と市町村に分けて。これを見ても大体私どもは、しかし必ずしもこれからすぐ出てきませんから、それひとつお願いをしたいと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/48
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049・柴田護
○政府委員(柴田護君) 提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/49
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050・鈴木壽
○鈴木壽君 関連してちょっとお尋ねをしたいんですが——いや、それから私がいま申し上げましたその資料はすぐできますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/50
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051・柴田護
○政府委員(柴田護君) ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/51
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052・鈴木壽
○鈴木壽君 あしたでもできましたら……。
それからさっき沢田委員からの質問ですが、それに関連したので、時間もありませんから簡単にしますが、税収入の、特に法人関係の税を目一ぱいに見ておるが心配ないかということでございますが、実は私もその点については心配を持っておる一人なんであります。それは確かに局長は国のベースでやったんだというんだが、計算するとすれば、それしか私はできないと思います。できないと思いますが、実態は三十八年あたりから、特に三十八年度の後半はどうも、それからいまにかけて一これからですね、企業関係のそれというのは必ずしも私はよくなってきていないと思うんです。これが一体どういうふうになるのか、お互いこれは予想という範囲を出ませんけれども、私は必ずしも楽観されない経済情勢だと思うのです。経済の成長率にしましても、実質的にどういうふうになるのか、これは私は予断を許さないものがあるのじゃないかと思いますが、そういうことから少し心配だということは、さっき申し上げましたように、私自身も持っておる財政計画の上ではこういうふうにやっておりますが、ただ財政計画の上でちょっと狂いがくると、こういうことだけじゃなしに、全体としては財政計画の問題ですが、交付税そのものにも関係してくるわけですがね、基準財政収入額の見方で伸びるという予想した見込みでやっておりますから。ですから私はこれは実態の、地方における税収入の問題と、それから交付税の点から慎重に扱わなきゃならぬ、扱わなきゃならぬといいますか、一つの問題として考えなきゃならぬことになってくるんじゃないかと、こう思うのですがね。しかし、これはいま言ったように、いや私どもはこういうふうな見込みだと、いや私の見方はこうだと、いまこれをやっておってもしようがありませんが、ひとつこれはずっとあとになるわけでありますが、実際の税収入の決算、これの場合にひとつ虚心にこの点について検討をしてみようじゃありませんか。というのは、これは標準税収入を見ておるわけでありますが、これはいまの段階にもあなた方、そのほかにどの程度のものが入るか、税目ごとに税務局でこれは押えられると思うのですがね。その資料をひとついまの段階で出してもらう、決算の場合に、私ども示された場合に、こういうものみんな一緒になった形で示されますから、あなた方の見たこれと、これ以上にいわゆる超過課税なり、そういうものによって出た、はっきりわれわれ決算のあれによって見ましても仕分けができませんですね。そこら辺をひとつ検討して、何もこれに文句をつけるとかなんとかいう意味でなしに、これは大事な問題になってくる点だと思いますから、これからの交付税の問題なり、あるいは財政計画の問題として重要な意義を持ってくる問題だと思いますから、これひとつあとでいま言ったように、将来、年度終わってからでないとこの決算の問題出てきませんけれども、これひとつ検討する機会を資料でやってみたいと思うのですが、まあ用意としてそういうふうにいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/52
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053・柴田護
○政府委員(柴田護君) 法人の事業税、法人税割につきましては、おっしゃるように、基準財政収入額を計偉いたします場合には、この財政計画上の税額というのを一応のめどにしますけれども、実際にとった額と、それから基準財政収入額上見込みました額との精算をやるわけであります。したがって、単年度ではぴしゃっとはいかぬ場合が多々ありますけれども、二ヵ年なり三カ年、まあ大体二年でございますが、長期的にこれを見ますると、よけい見込んだものは必ず翌年において精算をしていく。したがって、財政に及ぼす影響ということになってまいりますと、実際地方団体が背負い込みになります分は、県の場合は二割、市町村の場合は二割五分、その食い違いの二割五分なり二割がしわになって地方に寄ってくる、こういうことになります。まあ大体おおむねそういう大きな変動をこれによって与えるということは、長期的に見ます場合にはないだろうとわれわれは信じておるわけでありますが、ただこれがこれだけの税収入がとれるかとれぬかということは、お話のとおり私どもも非常に心配と申しますか、注目をしておるわけでございますが、ただどういう形になっていくかというのは、まあ三月決算それから四月決算、まあ三、四と九、十という決算がほとんどの大きな法人関係の租税を決定する大部分のものでございますので、七、八月ごろになってまいりますと、その本年度の三、四月決算の結果が出てくる、これと前年同期あるいは前々年度同期というものの比較を通じますれば、およそ見当がつく。もっと手っとり早い関係でいいますと、国税の月別の収入済み額というのがこれがわりと早くて一カ月くらい——私どものところは一月半くらいかかりますが、地方団体から集めるものですから若干の時間がかかりますが、国税の場合は一月くらいのうちに出てまいります。これの前年同期あるいは前々年同期くらいの対比を見ますと傾向線がつかめる。ただ日本の場合は、八月が一つの山でございまして、八月から経済の姿がかわる場合が多うございますので、法人につきましても、八月を峠にして、つまり三、四月決算というものと九、十月決算というものが非常に姿がかわった形であらわれてくる場合が多うございます。したがって、年度を通じますと、やはり年末近くになりませんと見当がほんとうはつきません。つきませんが、大体傾向は八月ごろにおよその見当らしきものはつく、かように思います。お話の点につきましては、後刻そういうような資料を通じまして御検討をいただくようにいたしたいと思いますけれども、私どもはしかしこれくらいの税収入はだいじょうぶだというように考えておることを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/53
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054・鈴木壽
○鈴木壽君 これはお話のように、精算があるのですから、また法人関係の税以外にももし各団体でこの計算をする場合に、見積もりが大きかったというような場合には、あとでまた直してもらえますからね。それは私、各団体において大きな問題という意味でなしに、地方財政計画というものから考えていきますといま言ったような相関関係からいろいろ問題が出てきはしないか、こういうふうに思うものですから、そういう意味で、お互いやはり慎重にこの問題を検討しなければいかぬじゃないかと、こういうつもりでいま言つたようなことをお願いもし、将来また検討する機会も持ちたい、こういうのでございます。
それからこれは税務のほうでございませんので、あなた方は……。税の方はおりませんね。県市町村税について、各税ごとに、超過課税をやっている、総額でいいんです、あなた方の見込みとして、いわゆる現在の標準税収以外にどの程度出てくるのか、こういうものをひとつこれはすぐできると思いますからあとで……。私この地方税の審議の際に、もっと時間があれば、そういうようなことまでお願いしたいと思っておったが、あわただしい中で採決をしてしまったというようなこともありますので、そのときにお聞きしかねたことでございますので、ひとつお伝えをいただいて、税のほうからそういう資料をできるだけ早くつくっていただきますようにお願いをしておきたいと思います。一応それでは午前中は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/54
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055・柴田護
○政府委員(柴田護君) 法定外普通税につきまして、また超過課税につきましては、この財政計画では標準税収入で計算いたしますから、そういうものは入っておりませんけれども、超過課税の状況等につきましては、三十七年度については「地方財政の状況」の中の二百十五ページ以下に載っております。簡単に申し上げますと、府県につきましては三十七年度では、金額にいたしまして一億八千万で、超過課税やっておりますところは、秋田県と鹿児島県だけでございます。それから市町村につきましては、市町村民税のただし書き方式が非常に多うございまして、これが大体——ちょっとここに出ておりませんが、百七、八十億だったと思います。それから法定外普通税は三十七年度で六億三千七百万円、団体数にいたしまして二百三十七団体でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/55
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056・鈴木壽
○鈴木壽君 いずれひとつあとで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/56
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057・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 午前中の審査はこの程度にいたしまして、午後一時まで休憩いたします。
午前十一時五十六分休憩
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午後一時二十六分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/57
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058・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 休憩前に続き委員会を再開いたします。
地方交付税法等の一部改正案、三十九年度地方財政計画に関する件について質疑を続けます。
御質疑の方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/58
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059・鈴木壽
○鈴木壽君 今回の地方交付税法の改正、さまざまな単位費用の引き上げなり、したがって、できるだけ基準財政需要額をふやしていくというようなたて衰えに立ってのいろいろな算定方法の改善、あるいは特にその中で、さっきも午前中の質疑の中にもありましたように、特に財政力の弱いところに、いわば経費配分をしていくようにするというような幾つかの問題がありますが、一番注意して見なきゃならぬ問題は、私は市町村の基準税率を上げた問題だろうと思うのであります。従来の改正、毎年のように行なわれておる改正は、そういうことに触れないで、単位費用の引き上げ等、その他の必要な措置をする、こういうことでございまして、少なくとも現在までの交付税の扱いにおいては、基準税率に手を触れたことはなかったわけですね。ですから、私この問題は少しこれは考えてみなきゃならぬ大事な問題じゃないかと思うのでありますが、基準税率の七〇%を七五%に引き上げなければならない、あるいは引き上げるほうがより合理的であり妥当であるという、こういう根拠について、まず最初にお伺いをしたいと思うのでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/59
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060・柴田護
○政府委員(柴田護君) 従来県は八割、町村は七割にいたしておりましたのは、基準財政需要額の算定のしかた、主として技術的な理由がおもであったわけであります。県も昭和二十八年でございましたかには、やはりそれまでは七〇%であったのでございますが、それを義務教育国庫負担金制度ができましたときに、これを八〇%に上げたわけでございます。市町村につきましても、また八〇ぐらいまで上げても私どもはおかしくないと思いますけれども、市町村と申しましても、その中身は非常に千差万別でございますので、技術的にどこまで財政需要をつかみ得るかといったような観点から、従来から検討を続けてまいったのでありますが、逐次市町村の財政需要の算定方法につきましても、ある程度の技術的な見通しもついてまいりましたし、かたがた経費配分という必要性というものをねらいまして、今回七五%に引き上げることにいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/60
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061・鈴木壽
○鈴木壽君 八〇がいいのか七五がいいのか七〇がいいのか、これは、いまいろいろお話がございましたけれども、実は端的に言って、この点になりますと、お互いこれはこれでなければならぬというような、そういうものは出てこないだろうと思うのですね、大体こうだろうというようなことでしょうから。ですから、その問題になりますと、いま言ったように正確な、何%が適当であり、基準財政収入額に見るのが何十%あったらいいのかという、いわゆる合理性といいますか、あるいは万人を納得させるような、そういうものはなかなか出てこないと思うのでありますが、しかし、これは逆の面から、地方団体に一体どの程度の自由財源というものを与えるべきであるのかと、こういう面からもひとつ考えなければならぬと思うわけです。単に基準財政収入額の面からだけでなしに、一体残ったものをいまの制度からしますと、いわば自由財源と呼ばれるそういう形にして自由に市町村なり地方団体が使っていいという、こういう形のものにしておる場合に、一体自由財源というものはどの程度あればいいのか、こういう面からやはり考えていかなければならぬと思うのですね。そこで、私自身も現行の七〇%、市町村の場合七〇%、これがあくまでも正しいものであり、これを動かしてはならぬというこういう主張をするだけの自信も確信もありませんが、ただ、この問題の経緯を考えてみますと、私いま局長がおっしゃったような、地方の財政需要の数字なんかも、大体市町村の場合にある程度つかみ得るし、というような、そういうようなことだけではないのじゃないのだろうか、もっと申しますと、これは三十二、三年ころから特に大蔵省のほうから非常に強い要請があったのですね。あのころは大蔵省では府県段階では九〇%にせい、市町村段階では八〇%にせいと、こういうことまではっきり言って、非常に強い要請があったのですね。それを自治省のほうでは、いわば一つの抵抗をして、現在までその率というものは据え置かれてきておる、こういう経過があると思うのです。今回はそうしますと、そうとう大蔵省のそれに屈したのかと、こういうふうに私お尋ねをしたいのですが、その間の事情はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/61
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062・柴田護
○政府委員(柴田護君) 大蔵省で在来から基準税率引き上げ論をやっておりましたのは、これはいろいろ意図もあったでありましょうが、私は端的に言って、やはりいわゆる財源調整論というものがなかなかうまくいかないので、基準税率の引き上げという形でもってその辺のところを解決したらどうか、こういう一連の考え方の動きがあったと思います。私どもは、実はその問題と別個に、基準税率というものをどこに置くのが妥当かということはいろいろ検討はしてまいりました。で、先ほど自由財源をどうするかということをおっしゃいましたけれども、考え方としましては、どこまで財源補償をすべきであろうか同じことかもしれませんけれども、何に使ってもいい財源を与えるということしか一むしろどこまで地方団体のやります仕事について財源補償をするという考え方に立ってものを考えていくべきではなかろうかということを実は考えてまいったわけであります。私どもは府県と市町村で何も区別する必要はないのであって、基準財源補償という立場からだけ考えますならば、算定方法さえよろしきを得るならば、そう基準税率を変える必要は別にないだろう。府県、市町村の場合だって八〇%くらいまで持っていっても別におかしくないのじゃないか。ただ全部すっぽり包んでしまいますことは、市町村の財政活動というものを、交付税が完全に規制してしまうことになる。それは自治という立場からいっておもしろくない結果を起こすのじゃないか。もう一つは、税制の運用につきまして、基準財政収入というものに一〇〇%たよってしまう結果になってしまって、徴税努力を怠ってしまう結果になりゃせんか。シャウプ勧告で平衡交付金制度を勧告されましたときに、そういったことが理由にあげられておりますけれども、その二点から考えまして、まあまあ二割程度のものは置いておいてよくはないだろうか、こういうことを実は考えてまいったわけでございます。しかし、ただ基準財政需要額というものの算定を通じまして、何と申しますか、財源調整面というものに主力を置いて考えてまいりますと、基準財政収入額の問題ではなくして、基準財政需要額の算定の中にいろいろ問題があるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/62
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063・鈴木壽
○鈴木壽君 交付税の持つ大きな機能の一つは、私はやつ。はり財政調整というような、そういうものがあると思うのですが、それをやらなければならぬという場合に、一方の団体にあるこれから削り取って、それをこちらのほうへ回す、現にあるやつをですね。こういう考え方が、端的に今回のこの七五%に引き上げたこの中にあるわけですわね。そういう形でやるべきものかどうかということは、私はやっぱり一つの問題としてあるのですが、その場合に、私はさっき言ったように、一体自由財源というものをどう考えるべきかという問題が当然考えられなければ——自由財源というのは何もかってに使えとか好きなようにやれという意味でなしにね。自主的に市町村が行政事務をやっていくためにいまの交付税法等によってやられている基準財政需要額の出し方というのは、必ずしも市町村全部の事務、仕事、こういうものの財政需要をまかなえるような仕組みじゃないんですから、そういう意味で市町村に幾ばくかのそういう財源を与えること、これはいまの段階では必要だと思うわけですね。しかし、そういうものと、だからかね合わせて考えなければなりませんけれども、いまのようにならないことを、単にどうも一方のほうで、たとえば今度被害を受けると言っちゃ悪いけれども、減らされるのは、主として都市的な工業地帯、第二次産業なんかの発達している地域のそういう団体が、こういうものの影響を受けると思うのですが、そういうものをこっちからこう寄せて、低いほうへ地ならし的にやってやるという方法はいまの段階として私はとるべきじゃないのじゃないかというふうに結論的には思っているんですがね。私は大蔵省がいままでやってきたこと、主張してきたこと、これは端的に言うと交付税のワクをそうかってにふやされては困る。交付税のワク内でやるんだ。しかし、交付税のワク内でやるとすれば、当然いま言ったように基準財政収入額というものを大きく見る以外にないわけです、ほんとう言えば。そういう主張であったと思うし、考え方はそれ以上でないと思うのでありますが、私どもは、ちょっと午前中にも質問がありましたが、そういう形でなしに、交付税率を高め、交付税のワクをふやす中でそういうものを考えていかなきゃならならぬというふうに思うんですが、その点いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/63
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064・柴田護
○政府委員(柴田護君) 交付税の総額を一つもふやしませんで、基準税率を引き上げますと、まさに御指摘のような結果になるわけであります。それは私どももそういうことをあらかじめ期待して改正を行なうといったような態度はとっておりません。そういうことは適当じゃもちろんございませんので、増加財源をどのように配るかという場合に、そこに傾斜配分を強めていく、こういう考え方をとっておるわけでございます。したがって、需要の算定にあたりましては、そういうことを念頭に置きながら、傾斜配分が可能なように、先ほど午前中申し上げましたような基準財政需額の増額をはかってまいっておるわけでございます。もとより都市につきましても基準税率を引き上げますと、五%分だけは上がってくるわけでございますので、それはそれに相当する財政需要があるわけでございますが、相互に財政需要の的確な把握を考えながら、増加した交付税が貧弱団体に流れていくように、単位費用の改定その他につきまして配慮した次第でありまして、若干おっしゃるように都市方面におきまして影響を受けるところが出てまいるかもしれませんけれども、それはそう大きなものにはならぬだろうというような予測をしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/64
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065・鈴木壽
○鈴木壽君 私はこれは端的に言うと、あなた方もとうとう大蔵省の主張に屈したなと思っているんですがね。まさかあなた方の立場では、そういうふうにもおっしゃれないでしょうから、いろいろ法律的な理由づけをなさっていると思いますがね。私は交付税がふえる中で傾斜配分をするという、ですから、今回、たとえば昨年より八百億もふえる、交付税が。普通交付税で八百億程度ですね、ふえる。こういう中で一般的な財政需要の伸びを見ていく、単位費も上げていく、と同時に、午前中からいろいろ話がありました特に貧弱団体への傾斜配分を認めていく、こういうのでしたら、私はそれはそれでいまの段階では正しいやり方だと思うのです。それがたいした影響ないかもしらぬというけれども、交付団体と不交付団体合わせて約三百億円の、こういうものが一応これは事実上奪われるかっこうですね。その他の基準財政需要額の全体的な伸び、単位費用の改定によって何かの形で埋まる形はとりますけれども、一応これは実質上は取られていく、こういう形はとるべきじゃないと思うんですがね、いまの段階で。今度はあれですか、さっきからのお話を聞いていますと、あるいは次には八〇%——七五%でなしに、近いうちにまた八〇%ぐらいになる、こういうようなことを予想しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/65
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066・柴田護
○政府委員(柴田護君) 私どもは大蔵省の主張に屈したわけでも何でもないのでありまして、別にしいて理屈づけをしておるつもりもございません。先生おっしゃったようなつもりで実は改正案を組んだわけでございます。基準税率そのものにつきましては、私は、やっぱり府県と市町村とことさらに区別する理由はないのじゃないか、まあ理由としては、しいてあげますならば、府県の場合は比較的行政が画一的でございますので、基準財政需要額の算定がやりやすい、市町村の場合におきましては、その態様がまちまちでございますので、なかなか団体に応じた的確なものがはじき出せない、特に御承知の産業行政費を考えてまいりますと、商工行政費でございますとか、農業行政費でございますとか、まだ農業はいいといたしましても、商工行政費に至りましては、ほんとうに団体によって違うものでございますので、なかなかこれはうまくつかむことができないのでございます。さようなこともございまして、投資的経費に十分な配慮ができません状態にありました時代におきましては、言いかえますならば、どうしても硬直性のある経費というものを中心に交付税を計算してまいりました時代におきましては、どうしても市町村の場合には、そういったものの包括的な取り扱いができなかった。したがって、基準税率をある程度低めまして、その間に弾力財源を置いておくという方法をとらざるを得なかったのであります。しかしながら、最近では、だんだん産業行政の関係の経費につきましても、ある程度めどがついてまいりましたし、また包括算入といったような方法も可能になってまいりましたので、とりあえず五%程度上げたらどうかということであります。将来は、私は府県と市町村とを税率を区別する必要はないと思うのでありまして、府県の程度まで持っていっても別におかしくない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/66
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067・鈴木壽
○鈴木壽君 これは重大な御発言だと思いますが、将来府県の段階まで持っていっておかしくないし、そうすべきだという御発言でございますが、そこで、これはそういうふうなお考え——いまここで議論してもしょうがないようなことですが、では府県のいまの八〇%というものでいい根拠というのは一体何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/67
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068・柴田護
○政府委員(柴田護君) この根拠は、率直に申し上げましてございません。多分に歴史的かつ客観的なものでございます。しかし二割程度のものを置いておくことが、自主税制の運営、自主財政の運営という面から見て必要だと感ずるのでありまして、それをさらに引き上げるということにつきましては、やはり非常に大きな問題になるだろう。私はそれ以上引き上げることは、いまのところは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/68
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069・鈴木壽
○鈴木壽君 これは市町村の基準税率を将来府県段階の八〇まで引き上げてもいいじゃないか、あるいは引き上げるべきだというふうな考え方、ですから私は、そういう考え方をなさるには、府県段階における二割の自由財源の幅というものについて、ひとつ合理的な説明なり考え方というものがそこになきゃならぬと思うんですね。それから、かりにそれが合理的に府県の段階ではなされたにしても、市町村の規模、それから府県の規模、特に市町村の場合に三千五百もある中で、いろいろそれは千差万様といいますか、変わった規模、態様の団体に、それを一律に府県と同じように八〇%にするという考え方、これは私は非常に無理があるんじゃないかと思うんですがね、そこら辺の各団体間のいわゆる格差とかいうものについて、どういうふうにいまお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/69
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070・柴田護
○政府委員(柴田護君) 市町村につきまして、非常に団体によって格差があり、態様がまちまちであることは御指摘のとおりでありまして、私もそのように思っておりますが、問題は、基準税率を引き上げてまいります場合には、ただ税率だけ引き上げるわけではございませんので、それに見合って財政需要というものもそれ以上に引き上げていくわけでございます。したがって、その財政需要をどこまでつかめるか、そうしてどこまでそれを補償するかということによるんじゃないか、二割というのは明確な根拠がないと申し上げましたのは、さような観点から相関的にものを見、ある程度達観的な配慮を加えて今日まで推移してきた結果によるものでありまして、まあ一割ということになりますと、非常に交付税が地方財政を縛る度合いというものがきつくなるんじゃないか、かように思っておるわけでございます。特に最近のように行政の均等化という要請が強くなってまいりますと、どうしてもある程度財源補償の機能というものが強まってまいらざるを得ない。その限りにおきましては、どうしても基準財政需要額の算定方法の合理化を通じて財源が財源の貧弱な方向に流れ、しかも交付税の整備を通じて必要な財政需要の相当額というものが補償されるということがやっぱり必要じゃなかろうかと、そういうことから言いますならば、町村につきまして基準税率を引き上げていくという傾向をたどるのは、これはある度は当然の傾向じゃなかろうかというように思うのでございます。しかし、先ど来申し上げておりますように、八割をこえてさらにということになりますと、やはり地方財政の自主性という観点から、非常に大きな問題が出てくるんじゃなかろうか。八割まではすでにやっておるから、その辺まではやってもそう大きな問題がないじゃないか。ただし、需要の算定方法によりますけれども、需要の算定方法さえ的確なものがついていくようでございますならば、その辺まではやったっておかしくはないじゃないかということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/70
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071・鈴木壽
○鈴木壽君 いまの交付税の基準財政需要額の算定が各団体のあらゆる行政事務の必要な経費を満たすと、計算上。こういうたてまえに立つならば、そしてそれが行なわれるとするならば、これは基準税率というものは、理屈からすればうんと引き上げてもいいし、場合によっては税全部をそのまま基準財政収入額に見てもいいと、理屈からはそう言えると思うのです。ただ残念なことというか、あるいはいまのそれからいきますと、交付税に見る基準財政需要額というのは、いわば何といいますか、義務に必要なものを中心とした財政需要の見方、したがってこれに捕捉されない、見られない幾多の仕事に必要な経費というものがあるわけです。そこでその場合に捕捉されなかったもの、算定にのぼらなかったもの、こういうものをやるための、いわば自由財源といいますが、こういうものをある程度持たせなければならぬと、こういうことになると思いますね。その場合に、さっきもお聞きし、話が触れましたが、一体自由財源というものはどの程度——いまのこういう制度のもとにおいて、いまの財政需要の見方のこういうもとにおいて——持たせるべきか、これは私はやっぱり当然考えてこられなければならぬと思いますね。また、そういう面から、市町村段階では、この交付税の基準財政需要額に見られないものが、さっきあなたもお話しされましたが、府県段階より、はるかに多いものがあると思うのです。ですから、必ずしもその場合に基準税率を府県段階まで上げるということは、一般的な言い方でありますけれども、市町村にとっては非常に困る事態が出てくる、私はこういうふうに見る。もっと基準財政需要額があらゆる行政事務のすべての経費を捕捉できるような形で、それを補償するような形で立てられておるならば別ですよ。しかし、これはいまいろいろな私ども注文がありますけれども、にわかにそれができないという、こういう中で一ですからそういうものを、根本に手をつけないでおいて、一方にこういう形で基準税率というものだけを上げていくということは、私は問題がある。単に財源の調整とか経費配分とかという問題でなしに、いわゆる自由財源の与え方、そういうところに一つの問題がある、私はこういうふうに思うんですがね。この点について、いま申し上げたようなことについてのお考えがありましたら、ひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/71
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072・柴田護
○政府委員(柴田護君) 私どもも実はそういうことをずっと聞いてきたわけでございます、財政の実態を考えてみますと、どうもそればかりではいかぬのじゃないかという感じを最近私は持つのであります。それは結局その自由財源として財源を税の形で保留いたしますことが、財政需要額の算定のワク外に置かれた財政需要というものと、どのような関係に立つか、こういう問題でございます。で、もっと簡単に申し上げますと、ワク外に置かれた財政需要というものは、ワク外に置かれた税収入に比例しておるだろうかといいますと、比例していない。むしろワク外に置かれた税収入よりか、もっとゆるいカーブでもっとワク外に置かれた財政需要があるんじゃないか。つまり自由財源として残すものは、税収入のカーブに即するものではなくて、財政需要のカーブに即すべきものじゃないか。そうなってまいりますと、あまり基準税率を低めておいて税の形で財源を保留さすということは、一見自治の精神を尊重し、また地方団体の自由活動を伸ばすような形でございますけれども、今日の税源配分の不均衡といいますか、税源の不均衡からいいますならば、逆の結果になるのじゃないか。それならば、むしろそういった貧弱な市町村の財政需要というものを包括的にこれをとらえて、そうして財政需要の形において弾力財源を与えていく方向をたどったほうがいいのじゃないか。しかし、それも限度があって、あまりそれを大きくとりますと、やっぱり自主財源という観点から見ますと問題が起こりますので、まあせいぜい限度は八〇%じゃなかろうか、こういうふうに思うのでございます。実際いろいろやってみまして、市町村のいろいろな団体についてやってみますと、そういう傾向が出てくるわけでございます。それがまた、非常に一生懸命に算定方法の合理化をはかってまいりましても、なおかつ交付税の算定基準が不合理だということを、特に末端の弱小市町村から言れるゆえんじゃなかろうか。これは交付税のいまの仕組みの本質にまつわる問題でございますけれども、そういう問題を考えてまいりますと、やはりそういう方法をとっていくほうが現実じゃないかというふうに私どもは考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/72
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073・鈴木壽
○鈴木壽君 基準税率の引き上げの問題については、さっき申し上げたような考え方を持っておりますが、一方、それと関連して考えなければならぬこういった自由財源というものは、一体それじゃどうあるのかと、こういうことになりますと、一応基準税率の問題と切り離して私これから少しお伺いしようと思っておったのですが、ちょうどあなたのいまの御答弁の中にありましたのですが、自由財源というものの与え方といいますか、保留のしかたを、いまのような形で単なる税収入の面から基準財政収入額の七〇%なら七〇%、七五%なら七五%とはじいて、残りを自由財源として与えて、はたしていいのかどうかという問題、むしろ基準財政要需額との見合いにおいて考えなければならぬのじゃないだろうかと、こういうようにお話しになったように聞きましたが、私も実は自由財源そのものとして考える場合には、そういうようにずっと考えてきたわけなんですがね。ですから、さきにお尋ねしておることと多少問題が、理屈も変わってきたような感じを与えるかもしれませんが、その自由財源のあり方といったようなものを、いま言ったような形でひとつ考えてみたいと思うのであります。実はこの七〇%、七五%あるいは八〇、大蔵省が言っている九〇というようなことでいろい私各団体の実態について調べてみたのです。これはもちろん全部調べられませんでしたが、まあ例として調べたうちの府県段階のことを一つ申しますと、何といいますか、自由財源のそれに大きな幅があるのですね、これは皆さんよく御存じのように、これをこのままにしておいていいかということで、実は端的に追求しているわけですね。三十六年度、三十七年度とありますが、三十八年度はまだ私は調べておりませんが、現行の八割、二割ということで、二割のそれをとってみますと、同じような規模の府県で、人口その他からして同じような規模の府県であっても、相当な自由財源のその額に差ができる、そうしてこれは、端的に言うと、貧乏な県は、やはり自由財源も少ない。いまの税制からしてやむを得ないでしょうが、こういうのがはっきり出ているし、あなた方自治省で各都道府県の財政力を出しておりますですね、プラスA、B、C、Dと、これを当てはめてみると、実におもしろい結果が出てくるわけですね。ですから、これをやつはりこのままにしておいて、やれ財源調整だとか財政のバランスをとるようにするとか、経費配分とかいっても、実はおかしなことになってくるんじゃないかというふうに思うわけですね。ちょっと例を申し上げますが、三十七年度のそれからしまして、東北のほうから申しますと、青森県では五億二千七百万円の自由財源がある。岩手が六億四千四百万円、宮城九億八千七百万円、秋田が四億八千二百万円、山形が五億二千六百万円、福島が九億六千八百万円、こういうふうにありますが、茨城にくると約十四億、埼玉にくると二十億、東京は別格でしょうが二百五十億こしておりますですね、非常にアバランスですが、これがはたしていわゆる基準財政需要額を一つのめどとして、その団体における基準財政需要額と大体並行した形であるかというと、そうでないですね。同じような基準財政需要額の規模の団体が、いま言ったように非常な差がある。たとはば福島では百七十億八千九百万円と基準財政需要額が出ておりますが、これに対して自由財源は九億六千八百万円、十億足らず、茨城は百四十一億二千百万円、福島より三十億財政需要の額においては少ないのでありますが、自由財源は十三億六千六百万円、例をあげると、いま香ったようにたくさんありますが、こういう状況からしてですね、自由財源というものを、ひとつやはり考え直してみる必要があるんではないか、これをこのままにしておいて、やれ経費配分とか、やれ何とか言っても、おかしなことになってくるんじゃないか、そうなりますと、私は交付税のいまの基準税薬という問題も、根本的に考え直す必要があるんじゃないか、こういうように思うのですが、十分こういうことについての御検討をなさっておると思いますが、どうでしょう。いわゆる自由財源という問題について、現在までの御検討の結果からくる考え方なり、あるいは将来の問題としてどういうふうにお考えになておられるのか、できましたらひとつお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/73
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074・柴田護
○政府委員(柴田護君) まさに御指摘の点は、現在の交付税制度の基本問題であります。基本問題でありますし、同時に、基本的にひそむ欠陥と申しますか、欠点と申しますか、ということだろうと思うのです。私ども実はそれは前から気づいておりまして、もう十年くらい前になりますが、新態容補正というものをやったことがございます。これは一般会計の起債の大幅な削減を、どうして一般財源で救うかというときに手荒い、荒療治の一つとしてやったわけでありますが、そのときの考え方は、やはり財政需要の見方の中に、財源的な税源のアンバランスというものをどういうぐあいな形で織り込んでいくかという形をとったわけでございます。いまでも残っておりますが、しかし、これはあくまでも暫定措置と考えておりまして、将来はこれは発展的に解消すべきものだという考え方をとってきたわけであります。それは、やはりこういった自由財源のアンバランスというものを幾分でも直したいと、こういう気があったわけでございます。その後、新態容補正なるものは逐次発展的解消をしてまいりまして、今日では、いわゆる人口、面積等による投資的経費の包括算入という制度をとったり、あるいはまた公債費について財政力を逆算して、補正計数をかけていくといったようなやり方をとって、この間の問題をなしくずしに補正をしていく。つまり自由財源というものの与え方のアンバランスというものを、基準財政需要額の是正によって補っていく。税金のないところは弾力財源をどこに置くかといえば、交付税しかないわけでございますので、交付税の中にそういう弾力条項を織り込んでいく、こういう考え方を実はとってきておるわけであります。その結果、かりに人口一人当たりの一般財源の需要というものを調べてみますと、大体貧弱府県がはるかに多くなっておる。それでも貧弱府県におきましては、まだ投資的経費が要るわけであります。その投資的経費の算定のしかたに問題がまだ残っておるのだというぐあいに私は思っております。一ときに比べまするならば、少なくとも昭和二十七、八年ごろの交付税が、ほんとうにそれの持っておりますメカニズムだけで考えました場合には、今日のほうが、はるかにこういた交付税の持つ欠点というものは、実際の財政需要というものとかみ合わせて考えますと、ずいぶん直っておると思うのでございます。ただ、いまおっしゃいましたのは、需要の中に入っておりますいろいろのそういった是正面というもの、それを勘定に入れずにおっしゃいましたので、まさにおっしゃるとおりでございますけれども、需要の中に入っておりますそういう是正面を勘定に入れますと、こういう激しい傾斜にはなりませんで、相当直っていくというふうに私どもは考えておるわけであります。いまの包括算入額というものの額は、府県、市町村突っ込みでございますが、七百六十億前後のものが入っておるわけであります。こういうものを通じまして、いま御指摘になりました点の是正をはかっておる、こういうことでございます。将来は、申し上げましたような投資的経費の算定方法というものにつきましてまだ問題が残っておりますので、そういう点をさらに改善、是正していきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/74
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075・鈴木壽
○鈴木壽君 そうすると、お考えは、こういういわゆる自由財源のアンバランス、と言っちゃ言葉が適当であるかどうか、まあ各団体において非常に差がある問題を、財政需要額の見方の中で何とか解決をしていこう、こういうふうなお考えと聞いたのですが、それでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/75
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076・柴田護
○政府委員(柴田護君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/76
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077・鈴木壽
○鈴木壽君 それでもなおかつ、しかし財政需要額の算定の中で解決をしていこうといっても、実はそれは一般的な算定のしかた、まあ特別に、何といいますかね、財政力の弱い団体とかなんとかいう配慮もあるいはありますが、それにしても、一般的な、どこの団体にもやはり適用されるような形の中で、多少そういうあなた方の考えているような差をなくしていく、薄めていくようなそういう方向しかとれませんね、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/77
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078・柴田護
○政府委員(柴田護君) 全く特別なものだけねらい打ちというわけには事実上できません。しかしながら、全体のカーブを描きます場合に、そういったところに非常に厚く、そういう関係の少ないところには薄くというカーブは描けるわけであります。そういう形で補正を細み、また単位費用の中での算入方法等も考えていく、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/78
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079・鈴木壽
○鈴木壽君 端的にいって、いまの交付税制度というものは根本的に変えなければいけないところなんでありますが、大体自由財源といっても、その団体のいわゆる財政の規模ですね、特に一つの目安になるのは、いろいろまだ不完全な形ではあるけれども、基準財政需要額というものを一つのめどとして、これに対応できるような形で自由財源というものを持たせるということが、私はいまのこういう形における自由財源の与え方というものよりは、より合理的であろう、そうしてそれは各団体間のアンバランスというものも、したがって当然いまのような形よりは、はるかに是正された形で出てくるのじゃなかろうか、こういうふうに思うのですが、もっと申し上げますと、基準財政需要額の一定割合をめどにした、たとえば百三十億という基準財政需要額という団体があれば、その一割とすれば十三億になりますね、そういうものをめどにした何か考え方、自由財源の与え方ということは一体どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/79
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080・柴田護
○政府委員(柴田護君) それは昔から実はある考え方でございまして、特に東北方面の方々からそういう意見を出されて、私どもも何べんも検討いたしました。ただそうしますと、税収入をフルに計算することになります。フルに計算するということは、結局税務行政というものを、交付税制度を完全に規制してしまうということになる。それはシャウプ勧告を引いて恐縮でございますけれども、シャウプ勧告に指摘がございますように、やはり税務行政の徴税努力ということに阻害を与える、そういう形から、私どもは望ましいとは考えておりません。望ましいと考えておりませんが、御指摘のございましたように、問題点があることは重々承知しておりますので、いま申しましたような方法でもって肩がわりをさしていただきたい、かように考えておるわけであります。なぜそのように考えますかというと、自由財源がなぜ要るかということは、結局後進地域の府県のことを考えますと、やはり先進地域に追いつくように諸般の行政施設水準も高めていく、これを充実していく必要があるわけでございます。それに関連していろいろ付帯的な行政事務もあるわけでございますが、したがってそういうものに見合ったものを、そういう府県市町村について財政需要を十分見ていくという形をとれば、それで事足りるのじゃないか、それがむしろ今日の交付税のメカニズムを阻害せずに、しかも配分が合理的なものになっていくならば、それで十分いいのじゃなかろうか、それでもどうしてもいかぬということになれば、それは交付税制度というものをぶちこわして新たに考えることは必要になってくるかもしれませんが、いまの段階では、それが可能ではなかろうか、したがって、可及的にその実現をはかっていく、こういう態度をとっていきたいというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/80
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081・鈴木壽
○鈴木壽君 いまの交付税制度の中で実行が可能だ、しかしこれは実は簡単ではないですわね。さっきも言ったように、特殊な団体だけをねらった交付税の算定のしかたというものは、これはあり得ないんです。全般的には基準財政需要額が上がるとか、それからある経費についての充実は期せられるでしょうけれども、残っている、いわゆる自由財源として持てるものというものは、やはり依然として大きな差があるというこれだけはやっぱり残りますね、一般的に言う。これは私は少し無鉄砲なことを言うように聞こえるかもしれませんが、また私何も東北だからといって東北のことばかりを言っておるんじゃなくていろいろやっぱり考えてみると、どうも自由財源の与え方というものが、私は現在の地方団体の財政のいろいろな問題、それからして放置できないような感じがするんですがね。さっき私は府県段階のことを申し上げましたが、人口五万くらいの都市のもの、それから十万程度のもの、二十万程度のもの、こういう幾つかの団体を拾ってやっぱり同じようなことをやってみたのでありますが、名前ははっきり言ってもいいと思いますがまあやめましょう。ある市では、基準財政需要額が——これは人口五万程度の都市であります——三億四千七百万円。それに対して自由財港は三千百万円。同程度の人口のもので、基準財政需要額が一億八千七百万円、大体半分くらいの財政需要額を持っておる市が、逆に自由財源は四千七百万円と一五〇%くらいふえておりますね。こういうふうに見てまいりまして、人口十万程度の都市で、名前を申し上げましょう、福島の郡山市、基準財政需要額は三十七年度で三億八千四百万円に対し、自由財源が七千九百万円、岐阜県の大垣市、基準財政需要額が四億一千九百万円、わずか三千万円足らず多くなっていますが、自由財源は一億一千七百万円、大阪の守口市、四億円 千九百万円の基準財政需要額という、こういうところで自由財源は一億四千二百万円。二十万くらいのものもとってありますが、こう見てきますと、やはり地方の団体のいわば税から出てくる金をかってに多いとか少ないとかいって、どうのこうのと言うことは、これは一つの問題にはなるかもしらぬけれども、しかし、何といってもこのままにしておいてほうっておいたのでは、ますますもって団体間のバランスというものがくずれていく、こういうふうに見ざるを得ないわけですね。この際、何とかやっぱり考え直して、交付税の根本に触れるかもしれませんし、あるいは税財源のいわば市町村におこる固有の一つの持っているものに対して手を加えるいうようなことになりますから、非常な大きな問題ではありますけれども、これはしかし何としてもほおっておけないような感じをずっと私は数年前から持っておるんですがね。あなた方もしばしば検討なさったと、しかし、どうも税制のたてまえやら、あるいはその他の理由等からして、そこまではいけないから、現在の基準財政需要額の算定の中でこの問題を消化していきたいというふうな考え方だとおっしゃるんですが、この点、もうちょっとこれは検討してみる必要があるんじゃないかと思うんですね。そのために必要であれば、私は、いまの交付税のたてまえというものも変えてこなければならぬじゃないか、こういうふうに思うんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/81
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082・柴田護
○政府委員(柴田護君) 先ほど来るるお答え申し上げましたように、現在の交付税の中にあります非常に基本的な問題でございますし、私ども従来からもいろいろ検討してまいりましたし、今後ともさらに検討してまいるつもりでございます。ただ、先ほど来御説明のありましたケースにつきましては、まあ特殊なその町の態様等がございますから、これをもって一がいにこの差と自由財源とのバランスというものが、即交付税の算定方法の欠陥等に結びつくかといえば、そこにはいろいろ問題があるかもしれません。まあしかし、ごく率直に言いまして、この間の配慮というものがまだ欠くるところがあるだろうということは、私ども重々承知しているわけでございます。だからこそ、また包括算入の制定を強めてまいったり、あるいはまた弱小団体の基準財政需要額について相当大幅な傾斜配分的な割り増しを考えたり、というようなことをしてまいっているわけでございます。まあしかし、いまの交付税の持つ機能、この算定の一つのやり方というものをそこなわずにやっていく方法といたしましては、どうしてもそういう面から投資的経費を中心として算定方法の強化を通じて、自由財源の持つアンバランスというものを是正していく、こういう方向をとっていくのが一番いいんじゃないか。それがどこまで可能かという問題があるわけでございまして、できるだけやってみたい。そこで何か壁にぶつかれば、ぶつかったときに、そのぶつかった原因というものを考えてみて、どうしてもいかぬということになれば、これはまた根本的に考え直さなければいかぬと思いますけれども、私どもは、いまのやり方を強めていくことによって、問題はほとんど片づくんじゃないか、実はこういう気持ちを持っております。それは、何と申しますか、自信過剰と申しますか、そういうぐあいな措置だとおっしゃるかもしれませんが、いままで実態の相違について検討してまいりました経過からは、ある程度いける、そういう感じを持っているわけでございます。しかし、なお十分そういう方向で、先年の御指摘の方向とはやや違うかもしれませんが、目的は同じことでありまして、そういう目的が達成されますように、十分検討してまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/82
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083・鈴木壽
○鈴木壽君 私、さっき府県の自由財源のそれと、それから五万都市あるいは十万都市のうちの二、三について申し上げたのですが、町村にまいりますと、やっぱり自由財源の幅というものは、まことに小さいわけですね。ほんとうに取るに足らない額しかないわけですね。中には二、三百万円程度、これはその村の税収というものがきわめて少ないものだし、そういうところもあるんですね。ですから、それが交付税のいまの——従来からもやってきたし、これからもやっていくとおっしゃる——基準財政需要額の見方、あるいは包括的な算定のしかたから、できるだけ傾斜的にやっていこう、こういうふうな中でうまくカバーされていけばいいんですが、私は、必ずしもそれが簡単なものだとも思えないんですが、しかし、これはいまここでお互いに数字を出してやる問題でもないようでございますから、じゃ、あとでまた、たとえばことしの交付税の配分の結果から、従来一体どういうふうになってきたのか、あるいは将来どういうふうな方向にいくのか、そういうものも御説明を願う機会があると思いますが、この問題、特に私は現在のような制度で自由財源というものが与えられている、これからくるアンバランス、これを一体どういうふうに調整していくのか、私は大きな問題として考えていただかなければならぬと思いますから、注文めいたことになりますけれども、私の考えていることと必ずしも一致しているわけじゃありませんけれども、ほんとうに真剣にやっていただきたいと思うのであります。
自由財源と基準財政需要額との比率で見ていって、これとあなた方が従来使っておりましたいわゆる団体の財政力指数から分けましたA、B、C、D、E、こういうものに当てはめてまいりますと、これは県の段階でありますが、自由財源を基準財政需要額で割って百倍した。パーセンテージで、〇%以下というのがみなやっぱりEクラス、Dクラスですね。四%以下というのが、秋田、高知、鹿児島、これはやっぱり貧乏県ですね。青森、岩手、山形、島根、徳島、佐賀、まあみんなEクラス、中に一つDクラスがありますが、そしていわゆる、何と言いますか、富裕県——必ずしも富裕でもないでしょうが——通称言われておるような東京、神奈川、大阪——大阪なんか三七・五%、神奈川は三四・七%、東京が三一・六%、一方にはわずかに三・五%とかね、こういう状況ですね。富裕団体とかそうでない団体というのは、これで出ているのじゃないかとすら思うようなのが出てきますわね。決算額から拾ってみましても、決算で、最初に決算額と自由財源とのやつを拾ってみましても、ほぼ同じような傾向が見られます。決算との対比で二%以下のやつが秋田、山梨、島根、徳島、高知、宮崎、鹿児島、これは貧乏県と定評のあるところですね。二%から三%以下のところが青森、岩手、山形、福島、新潟、福井、長野、奈良、和歌山、この三%以下のところがもう大半ですわね。そして決算との比較からして、やっぱり大阪、神奈川、愛知、東京というようないわゆる富裕団体といわれる不交付団体のところが、高いものは一四、五%、あるいは二二%、こういう程度のものが出てきていますね。決算額から比べてみても、単なる基準財政需要額でなしに、決算から比べてみても、こういう一つの結果が出てくるわけですね。
やっぱり私はこの問題を今のような形で放置できないものだという気持ちを強めておるのですがね。ですから、改善の方法としては、まあ私も無鉄砲なようなことも言いましたが、そういうものも考えられるのではないか。また局長がおっしゃるように、現在の基準財政需要額の算定のその中で、だんだん解決をしていきたい、こういうふうなお考え方、これはまあいまの制度そのものからしますと、あるいはいまの制度を認めるという前提に立てば、そういうふうにいかざるを得ないと思いますが、私はもう少し地方団体の財政なり仕事のそれから見る必要性、そういうものからして、思い切ってやはりここで切りかえる——という言葉は少し適確でないかもしれませんが——そういうことを考えるべきじゃないだろうか。何も均一的にどの団体もみな頭をならすようなことを私は考えているのではありませんけれども、しかし実態はいま言ったようなことでございますから、どうしてもやはりここで思い切った手を打たなければならないんじゃないだろうかという気がするのであります。あまりしゃべり過ぎたようですが、やはり御検討にはなっておるし、方向としては基準財政需要額の見方の中でやってまいりたいという気持ちのようでありますが、重大な問題として緊急事項ということで約束しましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/83
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084・柴田護
○政府委員(柴田護君) 私は証拠を持っておらぬものですから御説明しにくいですけれども、たとえば昭和三十年——三十一年ころの補正係数なりあるいはあの当時の算定方法をもっていま算定すればどうなるかということを、たとえば島根県なら島根県についてやってみて、現在の算定方法ではこうだ、その差額はこうだ、そうすればいま私が申し上げましたことがそこにあらわれておるんだということが明らかになるわけで、これを御納得いただきたいわけですが、私ども少なくともそういう配慮を加えてまいったわけです。したがって、自由財源のアンバランスと申しますか、非常に傾斜のきつい部分は、そういう面の是正を通じて相当直っておると実は思っているわけです。と申しますのは、いまの一般財源総額というものを、人口一人当たりの額に割り直してみますと、いわゆるおっしゃいました富裕団体というものよりか貧弱団体といわれるもののほうがずっと高くなっている。最近の傾向はますますその傾向が著しくなってきている。それは貧弱団体において投資的経費が必要であるわけです。また、それに見合う財源を与えてきておるわけですから、当然そうなるのがあたりまえの話ですが、そういうことから考えてみますと、るる御指摘のありました点は、私どものやり方では、私どもなりに相当程度直ってきていると実は思っているわけです。しかし、それでは現在で十分かと申しますと、まだ十分ではありませんし、率直に言いまして、市町村の段階になりますと、特に弱小都市、いまあげられました五万、十万の段階になってきますと、その辺のところがまだ問題が残っておると思います。それはいつかお話したと思いますけれども、産業行政費というものの見方が非常にむずかしいのであります。実際には基準財政需要額に算入されない経費というものが実際問題としては必要経費みたいな形になっている。それが行政秩序が混乱しておりますので、財政的にそれをなまで織り込むわけにいかない。その辺に交付税算定の非常にむずかしさがあるわけでございますけれども、そういう意味から申しますならば、御指摘の五万、十万あたりにおきましては、やはり問題が相当残っておるだろうと私どもも存ずるわけでございます。もちろん検討につきましては従来からもやってまいりましたし、今後もやらなければならぬと思っておりますし、お約束はもちろんいたします。ただ、私どもも私どもなりにやってきたということをぜひ御了承をいただきたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/84
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085・鈴木壽
○鈴木壽君 これ以上やってもしようがないと思いますがね、私、自分のほうの県の各市町村のやつも実は調べてみたのです。三十六年度、三十七年度のそれで調べてみて、三十八年度のやつは、調べても同じような結果だろうと思って、いま手はつけないでおりますが、こういうものから私ども見て、同じような規模の町村の間で、そうして基準財政需要額も算定をして、大体似たような規模のところで、そうしてしかし自由財源というものは相当大きな違いが出ておるというようなものもありまして、私は同じようなことを何べんも申し上げますが、どうもいまの市町村の財政状況なり、あるいは仕事のやり方等からしまして、これはこのままにほうっておけない問題だろうというふうに思って、こういう機会に申し上げて、またお考えも聞いたわけなんですが、ひとつこの点ですね、やってみたわけだけれども、どうもこれしか方法がないのだというこどでなしに、ひとつ御検討いただきたいものだと思います。
いまの自由財源の問題はこの程度にいたしますが、最近の交付税法の改正で私ども考えなければならぬと思いますことは、いろいろ、何といいますかね、国の施策の、しかも各地方団体全部にまたがるようなことでなく、特殊なものに対してのそういう施策が行なわれることがあるが、それに対する必要経費というものを、この交付税の中に織り込んできておるものが出てきておるということで、たとえば農業構造改善のための金ですね、こういうのは交付税の中に県段階においても市町村段階においても入ってきていますがね。これはある意味においては全体的な農業施策なり、そういうものにも関係が出てくることでございますから、一がいにどうのこうのとは、あるいは言えないかもしれませんけれども、特に顕著な例として、県の段階について覆いますと、いわゆる構造改善事業に対する交付税の算定ですね、こういうものは交付税の中で取り扱うべきものであるのかどうか。これはことしに入ったことじゃございませんけれども、まあ、さっきも言ったように、最近の改正の中にそういうものが入ってきますね。国が構造改善事業に対してある土地を指定をし、指定をした地区に対して、仕事をするために国が補助金を出す、あるいは起債をする、それに対して県が補助をする、その補助のための金が交付税の中に入ってきますね、しかもその地区というものは、県内のきわめてわずかな一部分の地区に限られた仕事なんですね。県内に大体平均、まあたとえば二カ所とか三カ所というふうに指定される。その指定された町村でもその区域でも、ある部落を中心とした、きわめて小範囲の地区の仕事がいま行なわれている、いわゆる構造改善事業のそれなんですね。こういうのは、いわば特定の一小部分の地区で行なわれる。しかも国の一つの農業政策、産業政策の上から行なわれる特殊なこういうことに対する県補助をさせる、そのための裏打ちを交付税でしてやるのだ、こういうことは、私はちょっと交付税の少なくとも現在までのたてまえからすると、おかしなことになってきておるのじゃないかと思うのですが、そういう点、どういうふうに御検討をなされたことがこのようになったのか、ひとつお聞かせいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/85
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086・柴田護
○政府委員(柴田護君) お話のように、非常にさまつなものまで一々交付税が追っかけるということは、交付税制度の趣旨からいいましても、いささか問題があろうかと思うのでありますが、農業構造改善事業というものにつきましては、何年間かの計画で相当の地域にわたって、ほとんど全府県がこれに関係を持つ形になって行なわれる。たまたま一つの年度では、御指摘のように、ごく小地域でございますけれども、やがて何年間か計画を終わりましたならば、ほとんどの府県が一ほとんどといいましても、すべてでございましょうが、それぞれ相当の市町村について関連を持つというふうなことになるわけでございます。そこで、府県もやはりそういう大事業に関与するのだというたてまえでもありますので、それについては平均的な形において交付税にこれを織り込む、こういう形をとったのでございます。あまり補助金等ばかりにたよることもかえって補助金からくる制約もあるものでございます。なるべくはそういう形をとらずに、一般財源の形で与えるほうが、むしろ現地に即した行政が行なわれるであろうという、まあ本来の趣旨から言うならば、あまりさまつなものはともかくといたしまして、ある程度の、相当規模によって行なわれ、しかもそれがその団体としてやはりタッチすべきものだというたてまえに立っておりますものにつきましては、交付税に織り込むこともやむを得ないのじゃないか、こういう形で推移してきたわけでございます。まあやかましく議論を言いますならば、幼稚園というようなものをつかまえましても、幼稚園をどう見るかという問題と関連するわけでございます。国がするわけではございませんが、やはり相当の市町村において幼稚園を経営するのだということを常態と見て措置をしてきておる。それと相似たようなものでありますならば、交付税に算入してもいいんじゃなかろうか。むしろそういう形において与えるほうが、補助金行政の弊を断つためにも、むしろいいんじゃないか、これぐらいの感じでございます。したがって、あまりこまかい、御指摘の、ほんの小さな地域だけにかかわりますようなものにつきましては、交付税へ織り込むことは不適当と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/86
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087・鈴木壽
○鈴木壽君 これは、何か裏話を、わかったようなことを言ってすまないのですけれども、あなた方自身の発意じゃないのだと思うのです。国の補助金が足りない、それでは構造改善事業というものは進まない、府県にも持たせよう、府県でもこれから持てといわれても困る、何か裏づけをしてもらはなきゃ困るじゃないか、こういうことから、私は市町村全体の農業行政関係のものとしてならばわかりますよ、県がそういう形で出す金の裏づけをこの基準財政需要額の中に見ていくというようなこと、これは私は問題だと思うのです。いまお話では、この構造改善事業は、今後長きにわたって行なわれて、全府県あるいは全市町村にわたるであろう、こういうふうにおっしゃいますが、しかし、これはこれから数年行なわれる。そういうやられている区域は、かりに一つの村なら村としても、きわめて小部分の地区です。部落一つか二つ、その周辺のたんぼあるいは原野とか、そういうようなところを対象にした総事業費が、いろいろな支出をして、わずか一億か一億一千万円でしょう。きわめてわずかな部分の仕事しかいまの段階では考えられておらぬ。だがら幼稚園の例をあげられましたが、なるほど、うまいことをおっしゃると思うのですが、幼稚園とはまた性質が違うのですね。幼稚園に対するこれからの住民の希望なりあるいは要請なりというものとも違う。幼稚園のやつはその他の教育費の中に含まれておりますけれども、これは、しかしいまの行なわれておる農業構造改善事業というものとは違う。しかも一つの政策的な仕事なんです。事の性質がどうなるかわからぬことなんです。言ってみれば、そういうことの金というものは、もし見るなら、交付税で見ろというなら交付税の率、それこそ〇・一%で一もいい、〇・〇一%でもいい、そういうふやした中で見るなら……。とにかく三十八年度でどのくらい出ていますか、二十何億出ていますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/87
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088・山本悟
○説明員(山本悟君) 府県分の農業構造改善事業につきましては、土地基盤整備事業の二割でございます。三十八年度はたしか十二億でございます。三十九年度は二十八億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/88
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089・鈴木壽
○鈴木壽君 三十九年度では二十八億、不交付団体が二億ですから二十六億の金が交付団体にいくというわけでございますね。私はこれはどうも大事な交付税の中で、しかも県段階でこれだけ使うということは、私は惜しいと思う、ほんとうを言えば。いまのような、私ども何も構造改善事業に反対だからということじゃなく、こういう性質のものは、私は別個に補助金なり何なりの形で扱われるべきものだと思うのですね。何でも交付税の中にしりを持ってこられる。たとえば話は少し飛んで恐縮でありますが、今回の住民税の減税に伴うこういうやつだって、こういう中にしりを持ってくるのはまことに私はけしからぬ話だと思っていますがね。町村にしてみればどういうかっこうでもいいから、とにかく穴を埋めてもらったほうがよいと喜んでいるかもしれません。交付税そのものからすれば、私はこういうことは避けるべきだと思うのですね。やはりこれはこれからもずっと続けていかれるということなんでしょうかね、いかがでございますこの点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/89
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090・柴田護
○政府委員(柴田護君) 農業構造改善につきましては、いま申し上げましたとおりの考え方をとっております。まあこの措置がとられます背後の問題は、実は私は承知いたしておりませんけれども、しかし、今日貫入されております考え方といたしましては、先ほど来申し上げましたものの考え方に基づくものでございます。住民税の補てん問題につきましては、前に御説明申し上げましたとおりの考え方に立つわけでございます。しかし、お説のように何もかも交付税に持ち込まれるということは、これは私どもも困るのでありまして、筋の立つものは持ち込んでもらってけっこうでございますし、また、補助行政の弊というものを考えますと、ある程度一般財源で与えるというやり方をとるほうが妥当な場合が多うございますし、そういう意味合いからは交付税へ織り込むことも筋さえ立てば私はいいと思うのでございますが、ただ御指摘のようなふうに、何でもかんでも交付税だということは、私どもとしては、態度としてとっておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/90
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091・鈴木壽
○鈴木壽君 結果としてどうも何もかも持ち込まれているんじゃないかというふうに思うのですね。これは、実は反面私は同情申し上げておるところもございますが……。ほんとうですよ。しかし、交付税のたてまえというものから、やはり拒否すべきものは拒否をして、大蔵省あたりで何でもそれで見たらいいんじゃないか、普通交付税で見られなかったら特別交付税で見たらいいんじゃないか、向でもそうやるような傾向を私どもは見ておりますが、と同時に、またほかの関係で、農林省あたりでも、いまのような例からいたしましても、何か見てやってもらいたいというふうに持ち込んでくるだろうと私は想像するわけですが、誤っておれば私はそれでもいいんですけれども、何かこういうことに対しては、もっときちっと交付税のたてまえなり、現行でもいろいろ問題はあるけれども、しかし、やはりたてまえだけはあまりくずさないような形で私はいってほしいと思うのです。同じような性質の問題だという意味じゃありませんが、たとえばもう一つ申し上げますと、新しい道路五カ年計画が策定されるわけです。今度道路費についてうんと見ていかなきゃならぬと、道路はやらなければいけませんよ、現況からして、私ども何もほうっておいていいというものじゃありません。やらなきゃいけませんけれども、こういういわば一つのそのときどきにおいて変わる、こういう施策によって、とにかく何とでもかんとでもこの中にぶち込んでおいて、その経費をひねり出させるようにするという、こういう行き方というものを、私はとるべきじゃないと思うのです。一体道路の状態から、道路費、土木費はどうなるのか、こういう算定の上に立って、しかも計画的にやるというそれを、単位費用あるいは基準財政需要額の中に見ていくという、こういうたてまえなはずなんです。私は交付税の道路費なり土木費なりというものは、今度いままでの道路費じゃ足りないから四兆一千億だと、地方負担分はこれくらいだと、べらぼうな大きな金の単独事業費をぶつけられて、さて一体県や市町村はどうすればいいのかと、そういうことで、これのやれ割り増しだとか何とかいう追われるような形は、私はうまくないと思うんです。そのために他の項目なり他の費用でもっと見なければならぬというような、そういう問題までこれは片すみに押しのけられるような形も私は出てきていると思う。私どもはほかの費目を見て、こういうところには単位費用をもっと上げてやらなければならぬじゃないか、基準財政需要額というものの見方を、もっと大きくやらなければいかぬじゃないかと思うようなものは、それほどふえておらないで、道路整備だ、公共投資のそれだと、こういうことで、何かそのときどきの政策といいますか、そういうものによって交付税そのものの姿というものがゆがめられていくというかっこうは、私はこの際正さなきゃならぬと思います。しかも市町村分と府県分の道路の関係、土木費関係を見ますと、府県分なんか相当単位費用なんかの面でも上がっていますが、市町村分なんか、ほとんどあまり上がらぬ。じゃ一体いまの町村道路がよくて金がかからないかというと、そうじゃない。これはまあ一つの例でありますが、ここに出てきている単位費用の面では、わずかな金しか出て出ておりません。これだけで私一がいには言えないと思います。しかし、県の道路費の関係では、面積において五円四十銭、延長において十七円、ところが市町村道路においては面積で二円六十銭、延長ではわずかに一円五十銭のアップしかみておりませんね。こういうところにも何かゆがめられたかっこうが出ていると思うんですがね。こういう姿というものは、私やっぱり交付税というものを、繰り返して申し上げますが、交付税というもののあるべき姿といいますか、そういうものからしてやっぱり考えはいかなきゃならぬじゃないか、放置できない問題だと私は思うんですがね。あまり意見ばかり言って、さてどこを聞けばいいかわらなくなったようなことで……。どうですあなた方……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/91
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092・柴田護
○政府委員(柴田護君) 前に、いつでございましたか、この席でお答え申し上げましたように、道路につきましては、実は私ども道路だけでございません、その他単独事業全般につきまして、算定の基礎が実は必ずしも明確ではございません。特に地方財政計画の基礎につきましては明確じゃございませんので、これはひとつ単独事業につきまして克明に調べようじゃないかということで、現に予算も三十九年度つけてもらったような次第でございます。したがって、算定基礎が必ずしもはっきりいたしませんので、それがまあ財政計画の一つの欠点でございますが、道路の需要を合理化するということもなかなかむずかしい。まあ、むしろ道路によっては国の施策に乗ったと言うと語弊がありますが、こいつを利用したという点も実はあるわけでございます。確かにこの八千億の単独事業は、感じとしては非常に少ない、もっとあってもいいというぐらいに考えているわけでございます。しかし、お話のように交付税が国の施策のしりばかり追い回しているというような印象を与えているかもしれません。多少私どももそういうようなことを人からも聞かされますし、われわれも反省するわけでございますが、そういうことは、おっしゃるように、なおわれわれとしまして十分に反省していかなければならぬと思うのでございます。しかし、国の仕事も結局は地方団体がその実施に当たるわけでございますし、それからまた、その実施によって利益するのは国民であり、同時に地方住民であるわけでございます。したがって、交付税の本来の趣旨にそむいて、問題にならぬということならばともかくでございますけれども、そうでなければ、なるべくそれは取り上げていくという方向で考えていっても別にそれはおかしいことではないんじゃなかろうか。ただ、そのためにちょっと申し上げましたように、交付税が国の施策のしりばかり追い回わしているというような感じを与えているとすれば、これは深く反省していかなければならぬというように思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/92
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093・鈴木壽
○鈴木壽君 少し言い過ぎたようなこともあったかもしれませんが、私は道路費の検討という点になりますと、これは例としてですよ、その他の投資的経費の算定のしかたでも、私はいろいろ問題があると思うし、結論的には、あなた方いざ格差の是正とか何とか言ったって、とてもじゃないが追いつかないものと思っている個所が幾つかありますが、ただ、いま話のありました道路費の問題に限定して申し上げますと、現在の府県道なり、あるいは市町村道を、決してこのままにしておけないと思うし、それから国の今度の計画における単独事業費の八千億というものを見込んでいる、これも私は、道路の現状からして、道路をよくしなければいかぬという観点からすれば、何も大きい額だとは思いません。むしろ、単独にするかしないかは別にして、もっと道路費というものをつぎ込まなければならぬとは思っております。しかし、問題は単独の事業を、まあかりに八千億なら八千億とした場合、一体地方がそれによって持ちこたえる、それができるかどうかという一つの問題が私はあると思う、いまの段階では。むしろ私は端的に言えば、国がもっと金を出してやってくれるならばともかくとして、いわゆる単独事業費として五年間に八千億、現在までのいわゆる旧五カ年計画からしますと相当なふえ方ですわね、これは。これをいまの地方団体の財政の力でもって、はたして計画どおりやっていけるかどうかという問題が私はあると思う。そういう意味においては、いろいろ検討しなければなりませんし、さらに、いまの道路費のつけ方なんかも、これはまあめんどうなことにもなるかもしれませんけれども、特に町村道の状況なんかを考えた場合、これからやっぱり手をつけなければいけない道路ばかりですわね。だがら、これからの金をどう補助していくかというたてまえに立って算定さるべきじゃないか。すでに改良、舗装等ができたところと、これから新たにそういうことをしていかなければならぬところの——主として町村道関係に非常に多いのですが——こういうものの経費を、一体どう見ていくのかと、こういうところまでさかのぼってこの単位費用の出し力なり、そういうものを私は考えていかなければならぬと思っております。そういう意味で交付税のやつをやるべきであって、国はこういう計画を立てたから、さてこれにというふうな——私、少し悪いことを言って恐縮でありますが——しりを追っかけ回すようなことよりも、それに押されてここにまず若干見なきゃならぬというようなことに対して、私は不満だと、こういうことなんであります。私は、いまの道路の例で申しますと、すでに改良等ができた部分とそうでない部分、未改修部分といいますか、未改良部分というものを、一体これから、計画的にどうやるか、それに対する必要な経費、こういうものを見ていけるような算定の方法をとるべきじゃないだろうか。これは簡単にはいきませんけれども、まあ考え方として、そういうことも私考えておるのですがね。いずれ何かそういうことによって道路費が出てくる、あるいは道路の単位費用が出てくる、こういうふうなものが交付税における道路費の見方じゃないだろうかというふうに考えるのですがね。それはいろいろ変わってきて、延長を加えたり、あるいは面積が加わったり、いろいろな要素が加わっておりますが、これは何といったって、いま市町村関係の道路費の単位費用からしますと、すこぶるこれは不十分なものだといわなければいけませんね。これは実態をあなた方どこかの団体でお調べになったのはございませんか。こういう経費のあなた方の算定と実態は、一体どうなのか、お調べになっていることございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/93
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094・山本悟
○委員長(山本悟君) 全団体の道路費の需要額と決算額との対比というのは、ちょっと手元に持っておりませんが、幾つかの抽出団体につきまして、人口、団体等を勘案して見てまいりますと、それぞれランクによりまして、決算による一般財源と基準財政需額要とで比率がいろいろございます。概して申し上げますと、人口二十万、四十万といったような相当大きなところは、基準財政需要額に対しまして決算額のほうがだいぶ大きい。それから、うんと小さな、一万あるいは八千というようなランクにまいりますと、財政需要額と決算額とでは、そう違わない。これは幾つかの抽出団体でございますから、一般論として言えるかどうか疑問でございますが、そういうような傾向が一応出ております。また、先ほど来いろいろお調べいただきまして、おっしゃいましたように、道路の財政需要、将来にわたって特に改良費というような、これから、やっていく事業をどう見るか、これはなかなかむずかしい問題でございます。現在道路費は、御承知のように面積と延長で測定いたしておりますが、面積分におきましては、主として維持管理費を測定をし、延長分におきましては、これからの改良費を測定する、こういうような考え方をとっているわけでございます。したがって、また面積の場合には、維持管理費でございますから、現状の面積そのものをもとにいたしまして、交通最の多いようなところにおいては補正係数が高くなるようなことを考えております。延長分におきましては、全延長を測定単位にいたしまして、そのうちでこれからどの程度直していくかというものを測定したいということでございますから、むしろ、たとえば幅の広い道路よりも、中ぐらいの道路のところは、むしろ拡張する必要があるだろう、こういうような種別補正等をいたしておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、全団体について、現状においては、つかまえ得る測定単位は、面積なり延長なりという程度のものしかございませんので、ほんとうの意味での、これからどのくらい必要かということが、測定単位として上がってきていない。この点が、投資的経費の算定のむずかしさにもなっていることだろうと思います。ただ、そういったものの誤差を幾ぶんでも緩和したいということで、やはり全体の人口なり面積なりの算定というものを、ある程度の金額に持っていくということを毎年いたして、誤差の縮小ははかっていくということで考えておるわけでござざます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/94
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095・鈴木壽
○鈴木壽君 この面積のほうでは維持補修費を見ておられるのですね。それから、延長の場合には改良費を見ている。維持費で今度三十九年度から十四円五十銭になりますわね。延長のほうの改良というのは、十三円六十銭、これは市町村分でございますが、これはいろいろ補正なんかも出てくるでしょうし、まあ変わってもきましょうが、これを維持するにしても改良するにしても、こういうような金で一体どの程度の仕事がやれるのかですね。まことに私はお寒いものがあると思うのですかね。それからもう一つは、いまあなたのお答えになりました財政需要額の見方と、こう大体合っているとか、あるいはそれを上回っているとかという問題ね、町村へ行きますと、やりたくて、手をかけなければいけないけれども金がないからやれない。だから出てくる決算額なり仕事をした経費の金は、末端の団体では財政需要の額のどうのこうのじゃないのですね。とにかく金がないためにやれないのだということなんです。財政需要がこれくらいあるから、これくらいの仕事とかなんとかという、そういう何といいますかね、それを考えた仕事のしぐあいでなくて、実態的に、もう金がないのだということで放置されているところが非常に多いわけなんですね。村を回ってみて、どうしてこう——砂利ぐらいやったらいいじゃないか、穴があって水たまりがあって、夜なんか歩けないようなところがあっても、しかもそれを平気で——平気じゃないけれども、ほうっておる、こういうのが現実なわけですね。ですから、これは一つの例として申し上げますが、道路費なりというものについてのみ言ってみても、これは考えていかなきゃならない。さっきちょっと申し上げましたが、たとえば改良なんかの場合に、これは延長で見ておるのですが、これはどっちがうまく見れるのかちょっとわかりませんが、すでに改良されておる部分と未改良の部分と、しかもそれを延長と面積の両方の面からとらえていって、何とか、改良費といいますかね、それを見ていけるような措置、こういう方法はとられないものですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/95
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096・山本悟
○説明員(山本悟君) 現在やっております補正では、道路の延長の場合には、種別補正といたしまして、路面幅員によって区別をいたしております。その際に、四・六メートルから二・五メートルまでの間の道路の補正率を他に比べて高くする、この辺のところがやはり市町村道として改善を一番要するのじゃないか、こういう見方もいたしております。また、態容補正におきまして、都市的なところのほうがやはり早く改良を要するだろう、こういうようなことで、種地の高いところのほうに補正係数を上げる、こういうような操作をいたしているのが実情でございます。まあ面積分のほうにおきましては、やはり種別補正、態容補正をいたしておりますが、種別補正におきましては、幅の広いところのほうが交通最が多いのじゃないか。しかがって、係数を高くする、こういうような種別補正をいたしております。態容補正のほうは、やはり延長と同様に、都市のほうが交通量が多いから、よけいに維持管理費も要るだろう、こういうような補正をいたしておるわけであります。改良道、未改良道というようなのが、市町村道の段階にいきまして、どの程度的確に把握し得るかというようなこともございまして、少々荒っぽいやり方でございますが、いまこういうようなやり方でやっておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/96
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097・鈴木壽
○鈴木壽君 いままでの、たとえば道路改良費の分の、いまの延長を測定単位とするものについては、この経費の明細表を見ますと、拡幅面積はこれくらい、あるいは道路拡幅改良費としてこのくらい、こういうように出して、工事費を出し、あるいは用地の費用なんかの費用も見て、そうして延長がこれくらいあるやつは、たとえば何カ年でいまの拡幅なんかは十カ年で実施するという推計でやっておりますですね、こういうふうにしてやっている。これもまあ一つのあれですが、私はこれだけで、さっきも言ったように、町村の現在の道路の状況からいっても、とてもじゃないが、これはやっていけるものじゃないと思うし、いわゆる財源を補償するというたてまえは、一応算定をしなければならぬ、交付税の計算としてはですね、私はやっぱり問題があり過ぎるのではないだろうかと、こう思うのですがね。
それから関連してもう一つ。実は市町村の場合に、標準団体のとり方にしても、私は問題があると思うのです。いろいろな経費の算定の場合に、いま人口十万を、あといろいろな補正でやっていくと。ここに幾ら補正計数を使ってこれの補正をやっても、やはり実態から離れてくる、幾つかの問題が解決できないという、こういう問題もあるわけですがね。四十年度、これからもやっぱりこういうような形で、このままの算定方法でやっていかれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/97
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098・柴田護
○政府委員(柴田護君) お話のように標準団体をどこに求めるかということによりまして問題があることも事実でございます。中には標準団体をもっと下げろという意見もあると思いますが、あまり下げますと、今度は上のほうがぼけてしまう。標準団体から遠ざかるに従いまして補正係数を連乗していきます結果のブレというものが出てまいりまして、その誤差が非常に大きくなり、もうけるところもあれば損するところもあるというかっこうになりますので、大体人口十万程度というものを大体の基礎、標準にしてきたわけでございます。それじゃ現在の算定方法がいいかと言われますれば、問題はもちろんあるわけでございまして、特に投資的経費につきましては、先ほど来るる御質問ございましたように、今日の方法でなおかつ不足する、つまり不十分な部分があるわけでございます。それはよくわかっておるのでございますけれども、それじゃ一体、どうすればいいかということになってまいりますと、なかなか技術的な制約がありまして、うまいこといかない。まああっちに片寄り、こっちに片寄り、あっちこっちぶつかって今日まで推移してきたというのが偽らざる現状でございますが、しかし、まあ昔に比べますれば私どもは相当改善されてきたとは思っておるわけでございます。もちろん十分ではございませんし、先ほど来お話のございましたように、もっと思い切って投資的経費の算定方法について全く白紙の立場から考え直すということも、これも全くむだな作業でもないわけでございまして、私どもはその点につきましては、率直にいいまして、もっと突き詰めた研究が必要だということを痛感しておりますし、将来そういう方向で十分検討してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/98
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099・鈴木壽
○鈴木壽君 少しどうもこまいことになって恐縮ですが一まああまりこまいことやめましょう。いま道路費の問題で少し申し上げましたが、その他の項目でもいろいろあるので、やはり一つのあるべき標準的な行政といいますか、あるいはあるべき水準を維持するための、それに必要な経費、それを補償していくというたてまえ、こういうのだったら、いろいろなむずかしい問題はあります、それから特に現在のように、交付税の額というものが、国税の三税にリンクした形で、一定割合しか出てこない、多少その年によって、三税の伸びによって額がふえることがあるにしても、いずれにしても一つの制約がある、この中で一体どう見ていくかということになるとなかなかむずかしい問題があると思います。思うとおりになりませんでしょうけれども、しかし、やはりたてまえとしては、いま言ったような、そして従来からあなた方もおっしゃっておったそれを貫くような形で、少なくとも算定はそうあるべきじゃないだろうか、そういうふうになりますと、さて基準財政需要額から相当ふくれ上がらなければならぬと思いますね。そうなった場合に、さて現在の交付税とのワクが一つあるのだと、その問題をどうするかということになるわけなんでありますが、ちょうどこの前、三十八年度分の地方交付税の特例、翌年度へ繰り越すというあの特例法の場合にも申し上げたように、私は差があるのはやむを得ない、あってもいいと、そのわかり現在やっているような調整というようなものも、もっと調整額が大きくなる、これはやむを得ないと思いますね。しかし、市町村のいわゆる財政の需要の実態から、あるいはまた、あるべき姿を想定した場合の必要経費としてこうなんだと、こういう筋はやはり一本立てておく必要があるのじゃないかと思うのですがね。あなた方の計算を見ますと、交付税のワクの中で、いかにしてその中で操作するかということしかないのですね。実際これはやむを得ぬとも思います。やむを得ぬとも思いますが、いただいた資料を見ましても、基準財政需要額の増加額はこれくらいだと、その中でいかにして間に合わせようか——と言っちゃ少し言葉が過ぎるかもしれませんがね——その範囲の仕事しかできませんね、いまの状況からしますと。幸い交付税がことし八百億も伸びた、基準財政収入額も税率の引き上げやら、あるいは税の伸びからしてふくれ上がってきた、交付税も国税三税の伸びによって、いま言ったように八百億も伸びてきた、この中で、このふえた分で、どれだけ上げられるのか。何べんも試算をしてみて、まあまあこの程度でおさまるのだと、なおかつ八月になれば、あるいは調整を必要とする額も出てくるでしょうけれども、こういうかっこうで私は交付税というものの扱いをいつまでもやっているということは、やはりうまくないじゃないかと思うのですね。大臣にはこまいことをやっておりまして恐縮ですが、もっと交付税の算定というものは、あるべき地方の団体の行政に必要な経費、こういうものをひとつやっぱり少なくとも交付税の算定の中では補償をする、こういうたてまえに立ってやるべきじゃないか。ただ現在は、交付税の額が二八・九%ということで押えられておりますから、あるいは基準財政収入額の伸びもどの程度あるかわかりませんが、そういうものの中で何だかんだということしかやっておれない状況で、基準財政需要額と実態が合わない、こういう声が年来大きくなっておるわけなんですね。どこの府県へ行ってもどこの市町村へ行っても、ぼくらがもらう資料というのは、みんなそういうものばかり。まあいま言ったようにやむを得ないところがあると思いますが、しかし交付税というものの本来のあり方あるいはねらいとするところからしまして、もっと交付税の本来のねらいにのっとった計算をすべきでないだろうか。そのために八月になって普通交付税がきまる際に、財源が不足が非常に大きくて、交付税ではまかない切れないというところが出てくるかもしれません。おそらく出てくるでしょう。しかし、それはそれでやむを得ないのじゃないか、こうまあ少し極端なようなことをいま申し上げているのですがね。いまのっけ足りのことはともかく、やっぱり交付税というものを、この機会にもっと本来の姿に、正しいものにしていってほしいということを先ほどからほかの例もあげまして申し上げておったわけなんですが、大臣、ひとつそういう点についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、あるいはこれからどういうふうにやっていこうと考えておられるのか。もしお考えがあったら、ひとつお聞きしたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/99
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100・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 戦後非常に合理的と称してこういう交付税というものができて、御案内の配分基準でやっておるわけですが、私も全国で一番貧乏県だといわれるところに住んでおるわけです。実は私あまり専門でもないものですから、いままで自治省を遠巻きにしながら、これはまずいということを始終叫び続けてまいった一人でございます。社会党のほうでは衆議院で今度いまの二八・九%を三一%に引き上げる意思がないかという御質問もございました。しかし、このことについて私も一つの決意は持っておりますが、いまここでこの段階で申し上げる限りではないと思います。がしかし、まあかりに三一%にせよ、二八・九%にせよ、その中の配分基準と申しますか、単位費用の取り方その他いろいろ私どもは疑問点があるような気がしますが、さて専門的にまだこれを研究いたしておりませんので、いま鈴木さんたいへんこまかいところまで御質問なさるので、なかなかうがった研究をしていらっしゃるなと思って実は承っておったわけでございます。私もこういう役所を担当することになっておりますので、こういったこまかい点までさらに検討いたしまして、御趣旨に沿うと申しますか、私もふに落ちぬ点が多々ございますので、根っこから掘り返して検討をいたしたいと考えております。特に傾斜配分方式というか、今回若干採用しておりますけれども、とにかく財政の貧弱なところからいたしますと、これではまだ不満足だというふうに私たち見受けるわけでございますので、こういった面にももっと適切な方法はないかということなどを中心といたしまして、さらに検討を加えたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/100
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101・鈴木壽
○鈴木壽君 あまりこまかいことまで申し上げるのもどうかと思いますし、時間もありませんから、きょうはまあこれ以上あまり申し上げないようにしましょう。で、傾斜配分けっこうだし、それから財政力の弱いいわゆる貧弱町村等に特に金を与えるようなことを、ぜひやらなくちゃならぬと思います。その他に、いままた別に問題が出てきていることは、一体、たとえば今回の趣旨のように、七五%に基準税率を引き上げる。損するのは大体大都市とかそういうような工業的な形態を持っている都市、そういうところが多いと思うのですが、そういうところから持っていったかっこうでやられるというようなこと、そういうところは非常に金が余裕があるのか、一体どれだけ要らない金なのかというと、そうじゃないのですね、きのうも局長から都市の新たなる財政需要というようなことのいろいろお話がございました。都市は最近特にまた、従来考えられたより以上に、いろいろな意味での仕事をしなければなりませんし、しかも、それが住民の生活福祉に密接な関係を持ついろいろな仕事が要請されているわけですね、ぜひしなければいけない仕事です。そういう必要欠くべからざる財政需要がある。そういう都市から金を持っていくというようなかっこうは避けなければならぬのじゃないか、こういう問題も含めながら、交付税のあり方というものを、ひとつ検討すべき段階にもうきているのだ、それから一般的に言って、何といっても基準財政需要額の見方というのは、実際に必要な経費を見ておらないということは、これはもう十分局長さんや、きょうお見えになっている課長から、その他自治省の方々御承知でしょうが、私、市や町村あるいは県の段階でいろいろ調べてみましたが、これは長くなりますから、さっきみたいに数字を読み上げたりなんかすることをやめますが、これで地方の財政がよくなったとか、ゆとりが出てきたとかなんとか一部では言うのだが、とんでもないことなんです。そういう仕事をやるのに金をどうするのかということに、もう頭を痛めている現状ですね。ですから、やはり基準財政需要額というものを、この際、交付税の柱でございますから、これをひとつ根本的に検討をし、必要経費はやはりこれで見るのだ、補償するのだという、こういうたてまえに立たざる限り、私は今日の、あるいは今日以後の地方団体というものは救われないと思いますね、教育費一つをとってみましても、教育費を調べたのもございますが、いろいろ地方の一般財源の持ち出しというものは、交付税で見ている額をはるかにオーバーしておりますね、みんな。これはあらゆる県の、教育費のみならず、全部の費目について調べたのを持っておりますが、ここで見て皮肉なことには、消防費だけが基準財政需要額を下回っておる。こういうので、あと全部の項目が基準財政需要額を上回っておる、上回っておることは、私は必ずしもぜいたくだとか余分な仕事をしたということでないと思う。中には若干あるかもしれませんけれども、どうしてもやらなきゃいけない仕事、それなしにはやっていけないというこういう仕事をしておって、基準財政需要額をみんなオーバーした形で団体の支出が行なわれる、こういうものだと思うのです。したがって、自由財源が幾らあったって、とてもじゃないが追いつかない。あるいは財政計画の中で単独事業費を見て、その中で少しばかりのオーバー分を見ていけといったって何ともしょうがない現状であるということだと思うのです。くどくどと申し上げましたが、一体交付税の算定基準はどうなければならないかということについて、私はさっきお答えいただいたようなほんとうの意味でひとつ御検討をいただきたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/101
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102・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 大体一般の行政経費を償わないという状態では、もちろんその市町村の行政は立ちようはずはないわけでありますが、なかなかこれは御案内のとおりむずかしい問題を含んでいるであろうと思います。ただ、ぜいたくにやっておるのではないとおっしゃいましたけれど、やはりある程度切り詰めていかなきゃならぬものもあるでありましょうし、なおそういうふうに十分自粛自戒してやりました上に、まだ償わないということになるならば、これは根本的に交付税そのものを考え直さなければいかぬということになると思います。しかし、実情はさらによく検討し、また指導もいたしまして善処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/102
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103・鈴木壽
○鈴木壽君 「ぜいたく」な問題で、言わずもがなの問題でありますが、全部の団体がとてもじゃないが基準財政需要額では間に合わない。これだったら、私はぜいたくとか不要の仕事ということじやないと思うのです。これはひとつお調べになってごらんなさい、それぞれの担当のほうでそういうふうな数字はすぐ出ると思いますから。各団体ごとについて、ひとつ交付税はどのくらいに見ておるのか、実際の支出はどうなのか、これをやってごらんなさい。幾つかの団体がオーバーしているとか持ち出しが多いとかいうことであれば、これは私は中にはぜいたくだとか、よけいな仕事をしているのだというふうなことを言いますが、義務的な経費、主として交付税でやっておるのは義務的な行政に必要な経費をやっておりますから、それを拾っていって実際の支出と比べてごらんなさい。そうすると、決してぜいたくでも何でもなくて、ぎりぎりのところでやって、なおかつ基準財政需要額では足りないのだ、こういうのがおしなべての実態というふうに私は見ておるのですがね。中には、さっき言ったように消防費の関係ではそれに満たないところもあります。これはしかし特殊な例で、むしろほかのほうに使わなければならなくて、しょうがなくて消防なんかも大事だけれども、まあ使わないというのが大部分でしょう。地方財政はそういう傾向ですから、そういう事情もありますけれども、いずれにしても、私は、義務的な仕事の経費で、そうして実際は交付税の見方が足らないのだ、こういうのが軒並みだということを申し上げて、ひとつ御検討の際によく御注意をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02619640423/103
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104・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 本日の審査はこれで終わりたいと思います。
次回は明二十四日金曜日午後一時から開会の予定でございます。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十五分散会
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