1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月七日(木曜日)
午前十時四十一分開会
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委員の異動
四月二十八日
辞任 補欠選任
高橋 衛君 上林 忠次君
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出席者は左のとおり。
委員長 竹中 恒夫君
理事
石谷 憲男君
西田 信一君
松本 賢一君
委員
井川 伊平君
熊谷太三郎君
沢田 一精君
館 哲二君
鈴木 壽君
林 虎雄君
松澤 兼人君
市川 房枝君
政府委員
農林政務次官 松野 孝一君
自治省行政局長 佐久間 彊君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
説明員
農林省農地局参
事官 永田 正董君
農林省農地局調
査官 大場 敏彦君
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本日の会議に付した案件
○大規模な公有水面の埋立てに伴う村
の設置に係る地方自治法等の特例に
関する法律案(内閣提出)
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001・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
初めに、大規模な公有水面の埋立てに伴う村の設置に係る地方自治法等の特例に関する法律案を議題といたします。
前回に続き質疑を行ないます。御質疑のある方は御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/1
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002・鈴木壽
○鈴木壽君 この前の委員会でも若干お尋ねをしたわけでありますが、最初に自治省のほうに二、三お尋ねをいたします。新しい村ができて職務執行者が任命される、こういうことになっておるわけでありますが、「職務執行者の任期は、二年とする。」こういうふうに書いてあるのでありますが、まず最初に、かりにこの法案が通った場合、いよいよ新しく村を設置するというそれが、いまのところでは、いつごろになるというふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/2
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003・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) この法案が成立いたしますれば、今年度上半期中には新村を設置するように運びたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/3
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004・鈴木壽
○鈴木壽君 そこで、「職務執行者の任期は、二年とする。」とありますが、この「二年とする。」ということは、さらに任期は更新されて、また二年というふうなことを予想しておられるのですか。あるいは二年でもう終わりだ、こういうことなんですか。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/4
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005・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 法律上は、二年たちましてなお選挙を執行する状況になりません場合におきましては、引き続き新しい職務執行者を任命いたすということにいたしております。八郎潟の場合に実際上どうなるかということは、干陸及び入植の状況に応じまして判断をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/5
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006・鈴木壽
○鈴木壽君 そうしますと、任期の更新と申しますか、その問題は新村における選挙の「自治大臣が指定する日」、こういうことに関連をしてくると思うのでありますが、いまお話しありましたように、二年たってもなお選挙が行なわれないということは、この場合では、自治大臣が選挙の日を指定しないということだと思うのでありますが、いま当面対象になっております八郎潟の干拓による新村の場合、いまのお見通しとしては、自治大臣の指定するいわゆる選挙の日というものを、一体いつごろというふうにお考えになっておられるか、その点をひとつはっきりさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/6
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007・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 八郎潟の今後の進捗の状況でございますが、先般農林省からも御説明がございましたが、四十一年の春で干陸が完了する、四十二年から入植を開始する、四十七年ごろに入植を完了する、こういうお話でございます。私どもといたしましては、入植が開始をされまして第一回の入植者が大体ここに落ちつきましたならば、なるべく早く選挙を執行することにいたしたい。したがいまして、四十二年度中には設置選挙を行なうということにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/7
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008・鈴木壽
○鈴木壽君 農林省のほうにお尋ねをしますが、干陸ができて、入植の実際にできる時期というものは、これはこの前、永田参事官から一応お話があったわけでありますが、四十二年度で初めて配分された耕地で経営を始める、こういうふうにやっていく考えだ、こういうふうなお話がございましたが、まず最初に、現時点における計画なり仕事の進み方等からいたしまして、四十二年度でそういうふうにはっきり入植ができるのだというふうになっておられるかどうか、その点をひとつはっきりさせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/8
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009・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) 八郎潟の中央干拓地は、現在まですでに堤防の構築を終わりまして、それから南北の両排水機場を完成し、昨年の十一月から内部の排水を開始しているのでありまして、三十九年度中にはおよそ六千ヘクタールを干陸できる見込みであります。昭和四十年度中には残り全部を干陸する予定でございます。
そうして、ただいまのお尋ねの点でございますが、その後三十九年度からは内部工事といたしまして、しゅんせつ船による排水路の工事をはじめとする用水路、道路等の工事に取りかかることになって、昭和四十年度までには中央干拓地の基本工事は全部完了したいという考えでございます。そして三十九年度にはいよいよ内部に対する入植の前提として、内部の事業実施計画を作成することにいたしております。そして四十年度においても、やはり内部のいわゆる排水路とか用水路とか道路とかの工事を、新農村建設事業団というような事業団を新設して、それによって内部工事を進めてまいりまして、そしてやはり四十年度から入植者に対する指導員の養成をする、そして内部のいわゆる農地の整備事業、開墾以下の整地ですね、こまかい整地事業を進めてまいりまして、いよいよ四十一年度におきまして三百四十名の入植をいたすことにいたしております。そして入植者住宅の建設も同時に行ないまして、四十二年度からは実際入植者が営農ができる、耕作ができるという段階に進める予定でございます。その後毎年数をふやしてまいりまして、大体六百人から六百五十人あるいは五百五十人とか、その整地された地区の大小によって違いますけれども、毎年六百人程度ふやしていきまして、四十六年には全部入植させるというような方針であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/9
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010・鈴木壽
○鈴木壽君 そうしますと、実は私こういうことをお聞きしておるのは、職務執行者の任期なり、あるいはその後に行なわれるであろう選挙ですね、こういうものを一体どういう時点で行なわれるのか、こういうことがやはり大事な問題だと思いますので、そういうことを、将来のことにつきましては、いろいろ多少の変更等もあるかもしれませんけれども、現在の時点において予想し、あるいは計画されておる、そういうものを、やはり明らかにしておく必要があると、こういう意味でお尋ねをしておるのでありますが、四十一年度で、いまの政務次官のお話でございますと、三百四十名の入植がある、四十二年度ではいわば本格的な営農耕作をするのだ、そして四十二年度からは六百名前後毎年入っていって、四十六年度ではこれを完了するようにする計画であると、こういうお話でありますが、四十一年度で入る三百四十名の入植、これはいわゆる、入植者として、定着する人として取り扱っていくとすれば、さっき自治省のほうから言われました、あるいはこの前に永田さんから御説明がありました四十二年からの入植だ、こういうふうな話と多少こう違うような感じがいたしますが、その点はどうでございましょうか、もう一度はっきりお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/10
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011・永田正董
○説明員(永田正董君) 最初に入植の年次のことでございますが、ただいま政務次官から三百四十人程度のものは四十一年度に入植するということでありましたが、これは中を申し上げますと、三百四十人、大体営農を実施する戸主になると思いますけれども、そういう者を四十一年度に訓練する。それと並行いたしまして、四十一年度に三百数十戸のものの住宅を建てる。それで実際土地を配分して営農を開始するのは四十二年度からだと、こういうことになりますので、その間、住宅が建ち終わって家族を呼び寄せるというようなことは四十一年から四十二年にかけて行なわれるということでございますので、三百数十人の者が、まあ完全ということばが適当でありますかどうか、家族ぐるみ入植定着が完了するのは四十二年度になってからと、こういう工合に御了解を願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/11
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012・鈴木壽
○鈴木壽君 四十年度あたりで指導員の訓練と申しますか、養成と申しますか、こういうことをおやりになるというさっきの政務次官のお話でございますが、これと、いまの三百四十名の訓練ということとは違うものですか、それとも、いわゆる指導員は指導員としての養成をするんだと、それから四十一年度における三百四十名の入植者に対する訓練は、いわゆる指導員というような意味でなしに、入植者としてのいろいろなそれこそ必要な訓練をする、こういうことで一応区別があるものかどうか、その点をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/12
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013・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) 私の言うことばが足りなかったかと思いますが、これは別個なものでありまして、いわゆる最初申し上げました指導員の養成というのは、事業団のほうの所管となるもので、大体六、七十名程度のものを考えております。それも最初訓練しておいて、それも利用しながら今度は入植者の訓練をしていく、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/13
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014・鈴木壽
○鈴木壽君 そうしますと、四十一年度で三百四十名の入植者があり、しかしそれはまだ本格的な営農を行なうまでには至っておらないので、四十二角度からの本格的な営農に備えて訓練をしていく。いよいよ耕作等を始めるのは四十二年度からになると、こういうふうに理解してよろしいのでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/14
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015・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/15
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016・鈴木壽
○鈴木壽君 佐久間さんからさっき御説明がありましたように、四十二年度中に本格的な営農を始め、その年に自治大臣は選挙の日を指定をする、こういうことに考えておられる、こういうことでございますですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/16
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017・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/17
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018・鈴木壽
○鈴木壽君 村の発足が三十九年の上半期中ということでございますが、六月中には発足するということに予定されておるようでありますが、それだと四十一年の六月で職務執行者の任期は一応切れますね。それからさらに、まあ更新するか、別の人を任命するか、いずれにしても職務執行者がまた任命をされると、任期二年ということでございますが、そうすると、そういう任期二年ということで任命されるにもかかわらず、しかし実際は四十二年度中に選挙の日を指定するとすれば、任期がこないうちに選挙が行なわれる、こういうことがいまの入植者の入りぐあい並びにいま考えておられる四十二年度中に自治大臣が選挙の日を指定するというようなことからしますと、そういういま私が言ったように考えられるわけですが、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/18
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019・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/19
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020・鈴木壽
○鈴木壽君 すでに現在でも若干内部の堤防の上、あるいは付近に定着をして、住居をかまえておる者があるということを聞いておりますが、これは農林省のほうにお聞きしたほうがいいのかどうか、その点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/20
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021・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) 現在の時点におきましては、中央干拓地といわれる所には定着していないと思います。ただ周辺の干拓地、南部あるいは西部の干拓地には、あるいは増反地でありますから、定着しておるかもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/21
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022・鈴木壽
○鈴木壽君 まあたいしたことではないのですけれども、何かポンプ場がございますですね、北部、南部、大きなポンプ場がありますがその付近に住宅をかまえて入っている。新村住民第一号になるんじゃないかというような新聞記事、写真なんかが載っておりますが、まあ、それはいいです。
そこで、いわゆる入植者としては、四十一年度から入れる予定だし、実際に入っていくでしょうが、その前に、さっきお話がございました事業団とか、あるいはその他内部の土地の造成なり、いろいろな仕事の面で、その作業に当たる関係の人たちが入る、こういうようなことが予想されるようでありますが、この点はどういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/22
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023・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) この三十九年度の八郎潟の干拓工事費というものは約五十億余でございまして、その中で内部工裏に投ぜられる分は多額の量になっておりますが、六千町歩程度の干陸はできますので、干陸とともに、そこにいわゆる排水、それから道路等の、これは基幹工事のほうですが、国の事業として施行せられることでありますので、工事の関係者は相当数ここに仮住まいするということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/23
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024・鈴木壽
○鈴木壽君 これは工事関係者でございますから、営農なり、その他永住の目的では入ってこないと思いますから、お話のように、いわばまあ仮住まいということにならざるを得ないと思いますが、それにしても、もうことしの六月か七月に、名前はどういうふうになりますかわかりませんが、村がそこに設置されるということであれば、村の住民となることにおいては間違いないと思いますね。何年おるか、どの程度そこに住んでおるか、これはいま申しましたように、仮住まいということにあるいはなるかもしれませんが、いずれにしても、その新村における居住者には違いないと思うのですね。この工事関係者の入る予想というようなものは、いまの段階ではつきませんか、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/24
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025・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) はっきりしたことは申し上げかねますけれども、私どもの予想では、少なくとも数百名が、六千町歩もある大きい所でありますので、内部に仮住まいするのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/25
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026・鈴木壽
○鈴木壽君 そうしますと、これは三十九年度から四十年度にかけて、少なくとも数百名の者が、いわゆる作業関係者として、永住はしないかもしらぬけれども、入って、そこに一時的といえども定着をする、こういうお見込みだとしますと、これは六千町歩に対して数百名、さら四十年度では残りの約一万町歩も干陸されてきますから、それの工事関係者という者も、また相当これに加わるというふうなことも、ただいまのところ予想しなければならぬと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/26
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027・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) やはりそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/27
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028・鈴木壽
○鈴木壽君 佐久間局長は、そういう永住しないかもしらぬ、いわば作業関係の一時的なんであるかもしらぬが、しかしそこに住居をかまえておるという場合に、そういう人たちに対して選挙権を行使させる、あるいはその他新しい村のいろいろなやり方、こういうことに対して、まあいわば発言権を持たせて、住民としての自治権を行使させるというようなことについては、適当であるのか、あるいは適当でないとお考えなのか、その点どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/28
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029・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) ただいま農林省から御説明のありましたように、正式に入植者の入りますまでの間におきまして、数百人あるいはそれ以上の工事関係者等がそこに居住することになるわけでございます。これらの者につきましては、もちろん一時の仮住まいではございますけれども、しかも相半長期にわたってそこに住まいするという者も相当あると思います。したがいまして、公職選挙法上、そこに住所を持つというふうに認められる者も相当あると思います。それらの者につきましても選挙権を行使せしめることが当然だと思うのでございまして、私どももそれらの方々が府県あるいは国の選挙につきまして選挙権を行使するということは、当然させなければならぬと考えております。問題は、個々の村の選挙の点になるわけでございますが、やはり村としましてそこの住民の代表として村長なり村議会議員なりを選挙させますには、本来そこの村の住民として住みつくという人たちが集まってからでないと、これはおかしいんじゃなかろうか、かような考え方をいたしておりまして、村の選挙は、先ほど申し上げましたような四十二年度中、こういうふうな考え方をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/29
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030・鈴木壽
○鈴木壽君 作業関係者といえども、しかしその村の区域に居をかまえておるということにおいては一時的であるにせよ、村の住民だ、こういうふうに思うし、したがって、できるだけそういう人たちにも選挙権をはじめ村のいろいろな仕事の面にも直接関与させるような形をとることがいいんじゃないかと思うのですが、これはしかし将来二年か三年で、あるいはもっと早い機会に他へ移る人たかもしれませんし、その後定着する人がだんだん年々ふえてまいって、四十六年度までの間に予定された人たちが入ってくる、この人たちは村のほんとうの住民として定着をする人たちである、こういうことからしますと、多少何といいますか、無理なような感じもしますのですが、しかし一般のこういう新しい村でなくたって、ある村へ行って居を移して、わずか半年か一年の間にその村の選挙が行なわれるとかいうようなことはあり得る、その後何年もたたないうちに居を別に移す、こういうことがあるとすれば、その人たちには当然選挙権の行使があるわけなんですから、ここら辺、やっぱりひとつ問題だと思いますね、こういう問題をどう処理していったらいいか、ちょっと私も簡単に結論が出ませんけれども、一時的であるにせよ、そこに居をかまえておる人たちに対して、やっぱり何らかの形で選挙権の行使をはじめ、その村のいろいろな仕事、そういうものに参与できる形はいろいろあると思いますが、そういうことを考えていくことが本来の筋じゃないだろうかというふうにも思っておるところでございますが、いま申しましたように、現実の問題として一歩考えていった場合に、多少むずかしい点もわからなくはないのでございますけれども、ですから、結論は、できるだけ早い機会に選挙の行なわれる日を自治大臣が指定をするということにならざるを得ないと思いますね。臨時的なものだから何年たってもおまえたち別だというようなことで、いつまでも選挙の日を指定しないで選挙を行なわせない、あるいは村のいろいろな仕事に関与できない、こういうことでは、私はうまくないと思うのでありますが、その点ひとつ、さっきからお尋ねしております選挙の期日の問題ですね、指定をする日の問題については、これはもうできるだけ早いということを基本に考えるべきだと思いますが、その点いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/30
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031・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) その点は全く先生のおっしゃいますとおりに私どもも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/31
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032・鈴木壽
○鈴木壽君 農林省のほうへお聞きしますが、事業団、これはまだ発足はしておりませんが、来年度から事業団でいろいろな仕事をしていく、こういうことになっておるようでありますが、これは、既定の事実として考えていっていいことなんでございましょうか。それともまだはっきりそこまでのことについての結論がいっていないという段階なのか、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/32
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033・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) 既定の事実と申しますか、大蔵省とも三十九年度の予算の折衝のとき了解を得ておることでございます。その準備作業としての予算の関係も取ってあることでございますから、既定の事実として考えてよかろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/33
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034・鈴木壽
○鈴木壽君 その事業団で行なう仕事、先ほど政務次官からお答えいただいたことに若干含まれておりましたが、たとえば水利の問題あるいは土地改良といいますか、区画整理みたいな、いろいろなそういう仕事、道路とか橋梁とか、そういうこと、そのほかに、いわば営農関係、農業関係の仕事のほかに、村の施設として必要な、たとえば役場とか学校とか、こういうものにもわたるやに聞いておりますが、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/34
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035・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) 御指摘のとおりでありまして、政府がやる仕事は基幹的な事業にとどまっておるのでありまして、従来は、開拓地においては入植者が入って、その入植者に助成をしまして、たとえば開墾とかあるいは小用排水路とか農道の建設をやらせる、また入植者住宅あるいはまた学校などもやっておりました、それから医療施設あるいは公園緑地とか、それから公共団体の庁舎とか、そういうものも今日まで助成してまいったわけでありますが、こういう大規模の干拓のあとに入植に先行してやっていかなければいかぬ関係がありますので、四十年度からいま申し上げました新農村建設事業団——どういう名前になりますかまだ確定しておりませんけれども——そういうような事業団をつくって、そうしてこの入植者が当然営農の上で必要な土地の開墾とか整地とか小用排水路、農道、それはもちろんのこと、それから入植者の住宅等は当然でありますが、そのほかにおきまして、いわゆる公共的性質のもの、村ができれば当然村に移管さるべき性質のもの、公共団体の庁舎とか警察とか消防等の公用施設とか、下水道、道路舗装、公園緑地、それから通信、電気、文教施設、医療施設、そういう生活環境整備等の建設も事業団が行なうことにいたしております。そのほか、さらに営農において必要な、たとえば肥料の貯蔵庫とか、あるいはそういう共同利用の施設というような種類のものも事業団がやっていく、そしてその入植者のほうに将来渡すようにしたい、こういう考えをもって総合的に新農村建設と、それから模範的な農村、いわゆる営農というのを一括して先行的に進めていきたい、こういう考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/35
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036・鈴木壽
○鈴木壽君 そうしますと、この事業団の性格というものは、もちろん中心の任務は農業関係のいろんな施設なり必要な基盤の整備なり、そういうものだと思うんですが、なお、いわゆる生活環境の整備というような問題、庁舎等の問題になりますと、当然村で行なうべきもの、そういうものもあわせて事業団で行なうということになると思うんです、お話を聞きますと。その場合に、これは国の一つの機関という、ことばは少し当たらぬと思いますが、それになるのか、あるいは地方団体の一つの事業をするための団体、こういうふうになるのか、そこら辺はどういうことになりますか。それから、もし国のものだとして、国がそういうことを一切やるんだといったら、当然村が行なわなければならぬそういう仕事をやった場合の経費の負担区分ですね、そういうものはあるのかどうか、こういうものをどのように考えられておるのか。いま申しました経費の問題は、いまの時点でどのくらい金がかかるから、どれだけ国が持ち、どれだけ村が持つんだということまでのこまかい数字を私は聞くんじゃなくて、しかし、当然自治体で行なうべきそういう仕事を事業団が肩がわりしてやるというかっこうになるんでございましょうから、そこら辺のことを、もし考え方として固まっておりますようでしたら、ひとつお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/36
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037・大場敏彦
○説明員(大場敏彦君) ただいま事業団構想として私どもが事務的に検討しております構想を申し上げます。先生がおっしゃいましたように、農業関係の事業のほかに、公共施設、あるいは公用施設、その他生活環境施設的事業をも農業関係の事業とあわせて事業団的な機関で一体的に入植に先行して実施したい、こういうような構想を持っているわけであります。その場合に、たとえば学校だとか、あるいは村役場だとか、そういったものは、本来的には地方公共団体が行なう責任になっているわけであります。こういう事務を、新村と申しましても、これはあくまで財政、それから実際的な仕事をし得る能力、そういった点が、当初はやはり欠除している点が多いと思いますので、事業団が計画的に、一体的に、そういった事業をできるだけ入植に先行的に実施いたしまして、工事完了後は、事業団としては、公共施設につきましては、つまり村が本来的に管理すべきものにつきましては管理はしない、村に移す、こういうかっこうで、将来は、でき上がった後は、地方公共団体が管理する、こういうような方式を考えているわけでございます。その場合に、必要な金といたしましては、国からの財政投融資あるいは助成、施設によっていろいろ助成のしかたは違うかと思いますけれども、助成並びに財政投融資をもって建設を行なって、そしてでき上がる、造成する、いわば俗にいう建て売り的な形を考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/37
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038・鈴木壽
○鈴木壽君 仕事の内容、事業団のやる仕事のことにつきましてはわかりましたが、その場合、公共施設、生活環境施設は当然自治体が行なうべき仕事、こういうものも肩がわりしてやって、あとで建て売り的なことでやるというのだが、それは学校なら学校に一億かかれば一億、役場の庁舎は一千万円でできるか二千万円でできるかわかりませんが、一千万円なら一千万円、それからその他医療施設なり消防関係の施設なり、いろいろあると思うのですが、そういうものはあとから村へこれは渡す。その場合、金のことは一体どうなるか、やはり金を取ってやるということなんですか、そこら辺……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/38
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039・大場敏彦
○説明員(大場敏彦君) 事業団が、先ほど申し上げましたように、公共ないしは公用施設、そういったものの建設だけをやりまして、建設後の管理は、管理主体にゆだねる、こういうような構想を考えているわけでございます。その場合に、事業団が各施設の建設に必要な資金といたしましては、国からの助成並びに財政投融資をもって事業団が先行的に行なう、そのあとから村なり、それぞれの施設に従って管理主体が違うと思いますけれども、その管理主体に移行する、管理主体からの資金の回収につきましては、これはまだはっきり確定してはおりませんけれども、年賦だとかいうような形で、逐次事業団に償還するというような構想を考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/39
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040・鈴木壽
○鈴木壽君 公共施設、村に必要な当然行なうべき、あるいは当然つくるべき施設等、生活環境の整備のためのそういうものは、もともとはこれは村がやればいいわけです。ただ、何といいますか、農業関係の仕事といっても、たとえば道路一本にしても、いろいろ関連があるものですから、総合的に前もって計画をし、その計画に従って、どこかで一括して仕事をするということも考えられるわけですが、しかし、もともとはやはり新村、これはできたばかりで、一体金はどうするのか、いろいろむずかしい問題がありますけれども、しかし、村がやるべきだと、そうすると、将来事業団がどういうものになるのか実ははっきりしません段階で立ち入ったことを聞いても、あるいはおかしいことになるかもしれませんが、そこら辺のことを、やはりもっときちっとしておかないと、かりに建て売り的な考え方だと言っても、道路のやつを一体どうするのか、橋梁というものを一体どういうように考えていくのか、非常にこれはめんどうな問題があって、したがって、あとで年賦で取るにしても、あるいは管理させるにしても、なかなかややこしい問題が出てくると思うのです。まあしかし、きょうはこれは主題でございませんから、まだ未確定のといいますか、発足しないことについてとやかく言ってもはじまらぬと思いますからやめますが、これは、やはり初めからその仕事にかかる前に、それを村との間にどうするのだという、きちっとしたことをきめておかないと困ることになるのじゃないかと思いますから、私は、むしろ原則としてはその土地の基盤的のいろいろそういうものについてはもちろん事業団でやるのだが、しかしそういう公的な公共施設なり、あるいは生活環境の整備というようなものは村がやるのだ、ただそう原則をはっきりしておいて、ただ、仕事は事業団に委託といいますか、そういうふうなものでやるというような、何かそういう筋を一本通しておかないと、これはあとで困ることが起こりはしないかという心配があるものですから、その点だけを申し上げて、その点はあと終わりたいと思います。
それから自治省のほうにお聞きしますが、第六条です。第六条の「条例の特例」のところでございます。「新村は、新村の設置による議会の議員の一般選挙が行なわれ、当該議会が成立するまでの間においては、地方自治法第九十六条の規定にかかわらず、当該議会の議決に代えて都道府県知事の承認を得て、条例を設け、又は改廃することができる。」とある。「新村は、」とこう言っても、住民は多少おっても、この場合、村のいろいろな仕事の進め方、運営等からしてやはり条例なりそういうものは設けなければならぬと思いますが、その場合に、新村といっても、これははっきりしたのは職務執行者及び吏員ということになり、住民は一切そういうことにはノータッチだということになると思いますが、その場合に、職務執行者が条例の案をつくって、そして知事の承認を得て条例を設ける。あるいは改廃をするのだ、こういうことでございますね。その点が一つと、それからその場合に、知事の承認を得なければならぬということ、それについてひとつ御説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/40
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041・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 新村の条例をつくります場合の手続につきましては、先ほど仰せになりましたとおりに考えております。そこで、新村におきましては、当初議会がございませんので、しかし、職務執行者に条例の制定を先行させるということは、これは民主的な方法と申されませんので、そこで都道府県知事の承認を得させるということにいたしたわけでございます。しかもその条例の内容が、地方税の賦課徴収等、住民の権利義務に深い関係を持ちますものにつきましては、知事はさらに都道府県議会の同意を得なければいけないということにいたしたわけでございまして、本来でございますれば、その村の住民から選挙されました長と村議会が行なうべき行為を、それらがございませんので、さらに広い範囲の住民から選ばれた知事と、県議会ではございますが、それに代行させよう、そういうような考え方で立案をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/41
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042・鈴木壽
○鈴木壽君 これは新しい村をつくって、住民にはまだ村の選挙についての選挙権もないのだ、こういう場合でしょうから、その場合に、職務執行者だけの考え方で、これが条例だとか、この条例をどうするのだというふうなことは、これは何といいますか、きわめて危険なことがあり得ることが予想されますのですが、そのために知事の承認を得てつくる、改廃の場合も、したがって同じだと、特に地方税の徴収なりあるいは分担金、使用料等の徴収の場合には、都道府県議会の同意を得なければならない、こういうことになっておるのでありますが、何かこれと同じような仕組みで、いま自治法のたてまえからいって、こういうようなことが村で行なわなければならないことで、条例等で、あるいはその改廃等で、知事の承認を得なければならないというようなことは、ほかにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/42
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043・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 条例に関しましてそういう例はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/43
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044・鈴木壽
○鈴木壽君 したがって、これは特殊なケースになると思いますが、なるほど知事は、県下の市町村、そういうものを包括した意味での広い区域の長として、しかも県民から民主的な選挙によって選ばれた人である。こういうことから、さっき言いましたように、職務執行者だけがかってに、と言うとことばはちょっと悪いかもしれませんが、行なうこと、それが危険を予想されるとするならば、知事の段階において何かチェックするような——チェックということばはこの場合はあたらないかと思いますが——知事の承認を得るというようなことも必要だということも考えられるわけでありますが、その前に、まだ選挙権を持っておらない村の選挙については関与できない人たちであるかもしれないけれども、そこの住民の何かの意思というものをここに表明させ得るような機会というものを考えるべきじゃないだろうか、こう思うのですが、その点はいかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/44
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045・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) おっしゃいます御趣旨は、私どもも同感でございます。ただ、実際問題といたしまして、先ほど申し上げましたように、できるだけ早い機会に選挙をいたそうという心組みでおりまするので、制度的に、その前の段階におきまして住民の意思を反映するような機構を設けるということは考えていないのでございます。それまでの段階におきまして、どのような住民の居住の状況になりますか、さだかではございませんけれども、事実上この職務執行者がそういう問題をきめます場合に、各地域の人たちの意思をつかみまして案を立てていくというようなことを配慮いたしますことは、私どもといたしましては非常に望ましいことであると考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/45
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046・鈴木壽
○鈴木壽君 この条例の制定というのは、いわば地方議会、あるいは地方団体というふうに言ったらいいか、いずれその一つのいわば特権みたいなかっこうですね、提案者がだれであれ、その議会において条例を定めるということになっているのでありますから……。それが自治法の九十六条の規定でございますね。ところが、この場合に、村はあるけれども議会がない、それでまあこうせざるを得ないという、こういうお考えだと思います。ただその場合に、制度的に住民の意思を聞くというようなことについては考えておらないということなんでありますが、これは何といいますか、非常に変わって、いままで考えられておる条例の制定権といいますか、そういうもの、あるいは地方自治法なり地方自治というものにおいて考えられておる市町村と知事との関係、これは何も知事は市町村の監督機関でもなければ、支配する何ものでもないわけなんで、たまたま区域において包括的な区域を、県が、あるいは知事が、その上でのそれを持っているのだというだけの話で、地方団体としての、何といいますか、いま言った上下関係、上下の権力関係、監督関係、こういうものは、特定の仕事には場合によってありますけれども、全般として、特に条例の問題等については、これはないと考えなければいけませんね。私はそれがいまのたてまえだと思うのです。それが、くどいようでありますが、知事の承認を得なければならぬという、一足飛びに、そういうことについては、若干私は考えなきゃいけないことだと思うのです。したがって、何かこの住民から、住民の意思を聞く、表明させるという機会を何とか与えるべきじゃないだろうか。たとえば自治法の九十四条、九十五条にある議会にかわる総会というようなものを、この場合に考えられないか。そしてそれをここで生かしてやるという、こういうことを考えるべきじゃないだろうかと思うのですが、もちろん自治法の九十四条の総会というのは、きわめて人口、有権者の少ない地方団体の場合に設けられることを例とし、あるいはそれを目的としてそこに置かれてあるかもしれませんが、とにかくこの総会の運用等についての一つの問題としては、こういう場合に議会にかわるものとしての総会を置くことによって、住民の意思をその場で聞く、表明させる、こういうことがなし得るのではないだろうか、こういうふうに思うのですが、そういう点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/46
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047・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) お尋ねの前段の、府県と市町村の関係についての問題でございますが、この本条の場合の適切な他の例というものは、先ほど申しましたようにございませんが、しかし、地方自治法で市町村が基礎的な地方公共団体、都道府県が市町村を包括する包括的地方公共団体という考え方で、そういう都道府県の機能といたしまして、市町村の間の連絡調整あるいは市町村の能力の補完的な機能というものを認めておるわけでございます。そこで、たとえば条例につきまして、市町村の条例に対しまして、都道府県がいわゆる統制条例をつくることができるという規定がございますが、これもただいま申しましたような都道府県の補完調整的な機能から出てくるものであろうと考えられるわけでございます。そういうような都道府県の機能がございまするので、このような場合におきまして、補完的に都道府県の機関がその機能を便宜代行するということは、地方自治法のたてまえから申しましても許されてしかるべきものではなかろうかというふうに考えて立案をいたしたわけでございます。
なお、後段の住民総会の点でございますが、ただいま御指摘のような場合に、住民総会を使おうということも一つのお考えではあろうかと思うのでございますが、ただ地方自治法で規定しております住民総会は、市町村議会にその権能、法的な地位につきましては全くかわるものでございまするので、本来、そこに定着する村落がございまして、ただその市町村が非常に小さい場合に、議会を置かないで、総会をもってかえよう、こういうようなものでございまするので、本ケースのような場合におきましては、むしろ、もう市町村総会が置けるような状態になれば、多少住民の数は少のうございましても、早く選挙をやらせるようにすべきじゃないか、かような考え方をいたしておるわけでございます。したがいまして、先生の御心配になっております住民の意思の反映の方法としましては、私どもも実は立案の過程におきましていろいろ考えたのでございますが、どうも制度的にこういう組織をつくったらという実はいい案も浮かびませんで、むしろ、それよりもできるだけ早く本来的な姿の選挙を行なわせるというようにすべきじゃなかろうかという結論になったわけでございます。しかし、実際問題といたしましては、職務執行者が、部落ごとにある程度の事実上住民の代表者というようなものを選ばせて、それらを通じていろいろ役場の事項を伝達もするし、また、それに対する住民の要望も聴取をするというような運用を、実情に応じましてなされていくことは、私は非常に望ましいことだ。ただ、まあ現実にどのような村の形態になりますか、私どもまだそこまではっきりわかりませんので、それではどういう運用を考えておるかというところまでは、まだ詰めてございませんけれども、心持ちといたしましてはそのようなふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/47
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048・鈴木壽
○鈴木壽君 前段の問題の条例の制定でありますが、都道府県が市町村の行政事務に関するものの場合、特別の定めのあるものを除いては条例で必要な規定を設けることができると、このことと、市町村が当然条例で定めること、これに対して法律やあるいは県の行政事務に関係した条例、そういうものに違反しない限りは、これは市町村独自の権限としてそれはちゃんと私は保障されておると思うのです。また、されるべきだと思うのですね、たてまえからして。逆に市町村の行政事務に関係する条例もつくれるのだから、市町村の条例を一切知事が承認しなければできないとか、拒否したり、同意を与えなかったりすることがあるのだということには私はならぬと思うのですがね。これはどうもやむを得ないというふうなこともありますが、問題は、本質的には非常に大事な問題だと私は思うのです。どうもうこういうふうに知事の承認がなければ——特殊の場合ですから、これはさっきも言ったように、やむを得ないじゃないかなとも思うのですけれども、しかし考え方が、いま前段の問題についてあなたがおっしゃったように、知事が当然こういうことに同意を与えたり与えなかったりすることができるのだ、知事の承認を得てしかるべきなんだというような考え方だとしますと、私は問題だと思うのです。さっきも私申し上げましたように、確かに都道府県は市町村の行政事務に関する問題については条例でやる、そういう必要な事務についての全般的な広域的な地方団体という立場においてやり得ることであって、しかし、下で——下というか、市町村が独自のそれによってやる条例の制定権というものをチェックできるというふうなものではないと私は思うのです。その点は私考え方として、ちょっとこれはそうあなたのおっしゃるようなことを、すなおに承認はできませんね。実態上これはどっかでチェックしなければならぬ。その場合に考えられることは、たまたま知事というようなことには、私、必要上といいますか、そういうことから言えるにしても、当然なんだと、こういうことにはならぬと思うのですが、その点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/48
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049・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 私の説明が、ことばが足らなくて恐縮でございますが、私ももちろん先生のおっしゃいますように、市町村の条例について都道府県知事が当然の権限としてそれをチェックする権能を持っているのだというふうには思っておりません。本来的に都道府県が上位にあって、市町村を監督しているのだというようなものでないことは仰せのとおりでございます。ただ、都道府県は市町村を包括する広域的な地方公共団体であり、別な言い方をすれば、その住民の意思が一部ではございますが、やはり代表されておる地方公共団体でございまするから、本来の市町村の住民を代表する機関がございません場合におきまして、便宜、これはほんとうの異例の特例といたしまして、その場合に都道府県の機関が、ある程度補完的にその代行的なことをするのだというようなことは、これはまあやむを得ない措置としてあり得ていいのではないか。都道府県というものが市町村をも包括した地方公共団体として、その性格からそのようなことがにじみ出てくるというにも考えられぬものだろうか、まあこのような気持ちを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/49
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050・鈴木壽
○鈴木壽君 私はこの問題非常に大事な点じゃないだろうかと思っておったんですが、したがって、さっき私ちょっと提案めいたものを申し上げた総会というようなものも、これは現在の自治法の規定なりあるいは実態上、総会の運営のしかたというのは、これは必ずしもはっきりしておらなくて、一体どういうふうな運営をすべきであるのか。たとえばそこに有権者が五十人とか三十人とかいう場合にはとにかく、多数の人が、少なくとも数百人というような人が入っておるというような場合の総会というものを、一体どう持っていけばいいのか、これは議会にかわるものという規定があるだけに、なかなか持ち方がはっきりしておりませんからむずかしい問題だと思いますが、しかし、この場合にやはり考えられることは、何よりも、上の知事とか大臣とかいうことよりも、そこに住んでおる住民の意思が一番大事なものとして考えられなければならぬと思うのです。そういうような意味で、私は、この場合、総会というものの運営について、もっと検討してもらうことによって——置くことによって、総会にかける、こういうふうなやり方、場合によっては総会が、じゃこの問題についてはひとつ知事のほうに、制定のことについては知事あるいは議会に委任しようじゃないか、こういうような総会の決定でも私はいいのじゃないかと思うのです。そういう場合もあり得るのじゃないかと思うのです。いずれにしても、何か住民の意思というものをそこに反映をさせる、そういうものを考えるべきであって、それを全然無視して、いきなり県の知事とかあるいは県議会があるというふうな考え方、これはちょっと私はどうも筋としてはおかしいのじゃないだろうか、こう思うのです。それはあなたのおっしゃるように、早く選挙をすればいいのだという一それはもちろんさっきもお尋ねしたように、できるだけ早い機会に、こういう変則的なことは一日も早くやめるべきで、こういう制限された形で、自治体の、あるいは住民の権利といいますか、そういうものを制限した形に長く置くべきじゃないのですから、これは一日も早く、そのかわりに職務執行者の任期二年やったら、すぐやるべきじゃないだろうかと思うのです。ですから、そういう意味では、選挙の日を指定する自治大臣の指定というものを一日も早くする。四十二年度中というふうなことは言わないで、四十二年早々に、四十一年度にもう入っていますから、あるいは訓練とかなんとかいう名目で、実際の自分の営農関係はまだそこまでいかないかもしらぬけれども、将来永住するということで、もう人が入っておるのですから、そういうことのために四十二年当初において私はやはりやることがいいのじゃないだろうかというふうに思うので、その点はあなたのおっしゃるとおり認めますけれども、できるだけやはりこういう問題、自治というもの、あるいはその精神によって規定されているそういうようなものを、できるだけ生かしていくという、こういう考え方でいくべきだというふうに思いますので、以上申し上げたわけなんであります。まああと質問でなくなってきましたからどうも……。
ただ最後にもう一つ。自治大臣の選挙の日を指定すること、これはいまちょっと触れたように、四十二年度中にはどうも私どもこれ見ただけでは心配な点がある、この書いたものを。まだいいじゃないか、まだこれは実際の仕事もしていないじゃないかというふうな、そういうようなことでずるずるになられたのでは、私は、さっきから申し上げたような趣旨から困ると思うのですが、その点、もう一度これは大臣から私は後日あらためてはっきりさしていただきたいと思っていますが、局長、きょうの段階では、この点をもう一度、私どもが持つような心配がないかどうか、その点をひとつお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/50
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051・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 先刻申し上げましたように、入植が始まります四十二年度中にできるだけ早く指定をいたしたいという考え方でございまして、そこの入植の状況を見まして、可能な限り早くという考え方でおりまして、先生御心配のように、なるべくあとへずらそうというようなことは、毛頭考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/51
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052・鈴木壽
○鈴木壽君 きょうはこの程度にして、あとでいまお聞きしたような、局長からお答えいただいたようなことで、これは大事な問題でございますので、大臣に見解をお尋ねする機会を与えていただくことをひとつお願いをして、きょうはこの程度にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/52
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053・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/53
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054・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 速記を起こして。
本案についての本日の審査はこの程度にいたしたいと思います。
次回は五月の十二日午前十時開会の予定でございます。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時七分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X02919640507/54
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