1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月二十六日(火曜日)
午後一時三十八分開会
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委員の異動
五月二十六日
辞任 補欠選任
辻 武寿君 浅井 亨君
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出席者は左のとおり。
委員長 竹中 恒夫君
理事
石谷 憲男君
西田 信一君
松木 賢一君
委員
井川 伊平君
熊谷太三郎君
沢田 一精君
館 哲二君
鈴木 壽君
林 虎雄君
松澤 兼人君
浅井 亨君
衆議院議員
発 議 者 永田 亮一君
政府委員
自治大臣官房長 松島 五郎君
自治大臣官房参
事官 山本 弘君
自治省行政局長 佐久間 彊君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
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本日の会議に付した案件
○行政書士法の一部を改正する法律案
(衆議院提出)
○地方行政連絡会議法案(内閣提出)
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001・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) ただいまから、地方行政委員会を開会いたします。
委員の異動について報告いたします。
五月二十六日付、辻武寿君辞任、浅井亨君選任。以上であります。
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002・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 初めに、行政書士法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑を行ないます。御質疑の方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/2
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003・松澤兼人
○松澤兼人君 提案者の代表の方に二、三御質問を申し上げたいと思います。
改正法律案は、非常に簡単なものでありまして、衆議院におきましては各派の共同提案として成立したものでありまするので、内輪のいろいろの話はあったかもしれませんが、委員会として別段これという掘り下げた御質問はなかったと思うのです。拝見いたしまして、こういう簡単な法律案でありますから、参議院におきましてもできるだけ迅速に結論を出したいという考えはあるわけであります。ただ、この中には、相当重要な問題も含まれておりますので、御質問して御答弁を得たい、こう思います。衆議院における行政書士法の一部を改正する法律案が委員会として提案されました経緯について、まず第一にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/3
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004・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 私ども承知をいたしておりますところで申し上げたいと存じます。
行政書士法の今回の改正点を含めまして、行政書士会の連合会のほうから、これまでしばしば国会に請願が出されておったのでございます。私ども行政府に対しましても、その請願につきまして善処するようにという御指示をいただいたこともあるわけでございますので、このたびの改正は、そのように、従来たびたび国会に出されておりました請願の中の事項の中で、さしあたり改正することを適当と御判断になられました二、三の点について改正をなされたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/4
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005・松澤兼人
○松澤兼人君 請願があって、妥当と考えたから、委員会としてその請願の趣旨を法律の形にして提案した、こういうことと承りましたが、もちろん、国会なりあるいは行政府に対しまして請願あるいは陳情というものは、ずいぶんたくさんあるわけでありまして、特にこの請願を法律化しなければならない理由というのはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/5
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006・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 行政書士の制度ができましてから、すでに十年余りたったわけでございますが、その間の実施の状況を見てまいりますと、行政書士の職務の責任の範囲なり、あるいは行政書士の資質の向上というような点につきましては、改正を必要とする事態が私どもも考えられましたし、衆議院におかれましても、そのようなお考えでございましたので、それらの点が今回の改正案になった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/6
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007・松澤兼人
○松澤兼人君 そういうふうに自治省のほうからばかり答弁があれば、それだけ必要だというふうに考えるならば、政府提案としてお出しになればいい。議員提出とした理由はどういうわけですか。私は提案者に聞いているが、あなたが提案の趣旨について答弁するから私も聞きますが、それほど必要な法律であるならば、改正を政府提案としてお出しになればよかったのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/7
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008・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 便宜私から御答弁申し上げたわけでございますが、今回の改正法律案に盛られております事項につきましては、私ども自治省といたしましても、もっともな点があるというふうに考えているわけでございます。これを政府提案にしなかったのはどういうわけかということでございますが、私どもといたしましては、今回他にいろいろ御審議いただいている法律案もございまするし、改正の必要性というものは理解をいたしておりましたけれども、積極的に政府提案として御審議をいただくというところまでは、検討と申しますか、至らなかった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/8
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009・松澤兼人
○松澤兼人君 政府側から御答弁を聞いておりましても、その必要性とか、あるいは政府提案でなくて議員提案にした理由というものは少しもわからない。少なくとも議員提出の形をおとりになる場合には、衆議院の地方行政委員会と政府の間で何かお話があったかと思うのですけれども、政府のほうとしては、ほかに提出する法律案をたくさんかかえているから、便宜上ひつと議員提出としてやってもらいたいとか、あるいは委員会の側から、これは私のほうでやるから政府のほうとしては政府提案のほうは取りやめてもらいたい、こういう話があったのか、そういう点を聞きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/9
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010・永田亮一
○衆議院議員(永田亮一君) この法案は、お説のとおり、松澤先生の御疑問もあるかと思いますが、政府のほうともいろいろ話をいたしたのでありますが、もともとこの行政書士法という法律は、議員立法でできたおい立ちがございます。それで、議員立法でやっても政府提案でも、どちらでもたいした違いはないわけでございましたが、最初がそういういきさつでできている法律でもありますし、また、請願などもございましたので、われわれのほうで議員立法いたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/10
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011・松澤兼人
○松澤兼人君 私も前の行政書士法が議員提案であったというような関係から、今回も便宜上改正法律案を議員提案したというのではないかと実は考えていたわけなんですが、先ほどまでの御答弁によりますというと、その関係が少しも明らかにされておりませんし、請願があって、請願が妥当なものであると考えたので、衆議院のほうで提案をされたということであります。そこで、議員提案になりました点につきましては了解をするわけでありますけれども、この法律の中に含まれております一つの原則といいますか、これはきわめて重大だと思うのです。一部には、行政書士の資格をさらに緩和してくれ、こういうような意見もある。今回の改正によりますというと、資格取得の要件である期間を、いずれも延長するということであります。職業の自由という点から考えてみますというと、むしろそういう資格取得の期間をできるだけ短縮してもらいたいという意見もあると思いますし、また、現に資格を持っている人たちの間には、やはり職務の内容なり、あるいはまたその能力なりを考えれば、短いよりは長いほうがいいということを主張されると思うわけであります。この職業の自由という一つの原則、あるいはまた、資格要件を強める、そういう考え方と、両方を考えてみて、期間を延ばすほうが妥当であるという結論はどういう理由に基づくものか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/11
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012・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 御指摘のように職業の自由の問題もございまするが、行政書士法施行の実情から考えてみますというと、この制度ができました当時より、行政事務もだんだんと内容も進んでまいっております。相当専門化もしてまいっております。したがいまして、行政書士の資質を向上させまして業務の適正な運営を期しますためには、資格要件を相当程度引き上げるということが適当であろうというふうなお考えのように拝察をいたしておりましたし、私ども政府側といたしましても、それが時宜に適したものだというふうな考えを持っているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/12
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013・松澤兼人
○松澤兼人君 いろいろ政府の行政に直接関係のある、たとえば会計士でありますとか、あるいは税理士であるとか、行政書士あるいは司法書士、そういう方々の仕事がだんだんと複雑になっていって、その資格を引き上げる、あるいは強化するという、そういう点は理解できないこともございませんけれども、しかし、先ほど申しましたように職業の選択の自由ということから考えてみれば、どういう職業につくのでも、できるだけ簡単な手続によってその職業につける、ただ、未熟な人であるならば、そういう人たちにいろいろ行政上の手続を依頼しにくる人が少ない、結局長い間練達をしてきた人のところに仕事の依頼がふえていくということで、ただ大前提としては、職業選択の自由ということを大前提として、それから先は業務の練達、その他、依頼したものをできるだけ短い期間で調べて依頼者に渡すというようなことは、どちらかといえば自由公正なる職業上の競争ということで自然に取捨選択されるということのほうが適当ではないかと、こう考えるわけなんですが、それでもやはり少なくとも資格を取得するところの年限というものを引き上げなければならぬのか、この点につきましてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/13
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014・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) この資格取得の期間は、この期間を満たします者には当然に行政書士となる資格が与えられるわけでございます。この年限に達しておりません者にも、試験を受けますれば資格を得ることができるわけでございます。そこで、先生のお説のように利用する者の自由な選択にまかせたらいいんじゃないか、業者のいわば公正な競争にゆだねたほうがいいんじゃないか、こういうお説もよく理解できるわけでございますが、ただ、行政書士を利用いたします者は、どちらかと申しますと、こういうことにつきましては知識の乏しい人たちが多いわけでございますので、その人たちが信頼して依頼をしても間違いがないというようにいたしますためには、やはり当然資格の与えられますその年限というものは引き上げたほうがいいんじゃないか、引き上げるといいましても、高校卒業者では九年間行政事務に従事しておればよいということでございまするから、今日の行政の実態からいたしますと、その程度のことはむしろ当然じゃなかろうかというような感じもいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/14
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015・松澤兼人
○松澤兼人君 この法律の改正案につきまして、衆議院の委員会から政府に御相談があって、政府もそれはよろしかろうということで相談を受けられた立場とすれば、そういう理由も成り立つかもしれません。けれども、一部には業者の既得権擁護ではないかと、こういうような批判もあるわけなんです。理由としては、業務の内容も非常に多岐多様になってきたし、非常にむずかしい行政上の知識も必要であるということはよくわかるわけなんですけれども、しかし、私はどこまでも、やはりそういう人たちの業務につく資格というものは緩和して、そうして一たん行政書士になったら、その間で自由公正な競争によって取捨選択を依頼する人々の自由なる意思によってきめていく、淘汰していくということのほうが、むしろ憲法の精神から考えましても当然だと思うのですけれども、さらに御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/15
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016・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 先生のおっしゃいます御趣旨はよくわかるわけでございます。したがいまして、この資格の要件を著しく高いものに引き上げるということにつきましては、私どもといたしましても賛成いたしかねるところでございまするが、この程度のものでございますれば、先ほど申しましたように高等学校卒業者で九年間ということでございますれば、むしろ行政の最近の情勢から考えますと、妥当なところではなかろうか、かような判断をいたしまして、私どもも御意見を聞かれました場合に、そのようにお答え申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/16
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017・松澤兼人
○松澤兼人君 簡単に五年を九年とおっしゃいますけれども、ほとんど二倍じゃないですか。五年たったら資格がもらえると、こう思っていた人が、その倍の九年まで待たなければ資格がもらえないということ。そう簡単に五年が九年ならばあたりまえだというふうには、われわれ決して考えられない。それとも五年と九年とはそうたいした相違はないというふうにお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/17
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018・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 八年が十二年ということで、これは大体四年間延長するということになっておるわけでございますが、それにならいまして五年を九年ということになっておるわけでございまして、五年と九年と比べますると非常に大きく引き上げたように一般お考えのようでございますが、まあ繰り返し申しますとおり、高等学校を卒業して九年間行政事務を担当しておったという点から考えてみますと、まあそのくらいのことは相当のところではなかろうかというふうに考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/18
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019・松澤兼人
○松澤兼人君 まあ適当なところじゃないかというような言い方は、私は変だと思うんです。あなたは弁明する立場にあるからそういうふうにおっしゃるのだろうと思うんですけれども、まあある程度上げなければならないというのなら、八年、十二年ということならば、五割上がったわけですけれども、五年も、そうすれば七年とかあるいは七年半とか、そうすれば十二年とは、ちょうど一致するわけですけれども、伸び率といいますか、上げ率を約倍にするということは、ちょっと数字だけ考えてみて納得がいかないんです。まあ適当だということはちょっと……。どうしても五年を九年にしなきゃならないという、そういう理由があるならば、私は聞いて了解しますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/19
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020・永田亮一
○衆議院議員(永田亮一君) 松澤先生の御説もごもっともでございますが、六年がいいか、七年がいいか、十年がいいか、ちょっとどれが一番適当であるかということは、われわれもはっきりした答えはわからなかったわけでありますが、当然に資格を得るということであれば、まあ高等学校を卒業して十年ぐらい近くやってもらったほうが間違いがなくていいんじゃないかという考えできめたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/20
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021・松澤兼人
○松澤兼人君 十年ぐらいやったほうがよろしければ、十年にしといたらどうです。九年にまける必要はないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/21
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022・永田亮一
○衆議院議員(永田亮一君) 何年が一番適当であるかは、われわれもいろいろ話をしましたが、請願のほうは十五年ということを言ってきておったわけであります。十五年というのはいかにも長過ぎるというので、まあその半分ぐらいちょっと上という程度で九年といたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/22
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023・松澤兼人
○松澤兼人君 こういう問答をいつまで続けていてもしょうがないのですが、ただ、先ほども私申しましたように、これはすでに資格を取っている人の立場と、これからもう一年、二年すれば資格が取れるという人の立場、これは法律の改正によって非常に大きな影響を受けると思います。特にそういう広く独立して行政書士になろうかと思いながら行政事務に経験を積み、勉強してきた人に、その希望をじゅうりんするようなことは厳に立法府におります私たちとしては注意しなきゃならないと思うのです。いつまでも私、質問をしておりません。ただ一つ政府側としましても、また提案者の代表といたしましても、このことが、すでに行政書士として独立していらっしゃる人たちの権益擁護ではないという点をはっきりとおっしゃっていただきたいと思うのです。そういう批判なりあるいは不満なりというものが必ず起こってくるし、すでにわれわれの耳にはあまり片方の業者の方々の利益ばかり擁護していてけしからぬというような反対の意見なり陳情なりを受けているわけなんです。この点は、十分に、そういう不平あるいは不満なりを持っていらっしゃる方に、立法の過程においてわれわれは決してそういう人たちの一部の利益を擁護するためにこの改正法律案に賛成したものでないということを了解していただくためにも、提案者代表あるいは自治省としまして、はっきりとした見解を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/23
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024・永田亮一
○衆議院議員(永田亮一君) 戦後、経済が非常に伸展してまいりまして、業務も複雑多岐にわたり、なかなかめんどうなことも多くなってきたと思われるわけであります。それで、この行政書士の仕事の中でも、関係書類の作成などもだんだんむずかしくなってきたり、あるいはまた相当程度正確なものを要求される事態もふえてまいったと思われますので、できるだけ熟練の士がこういうことをやって、一般の国民が安心して頼め、迷惑を受けない。国民がそういうことを行政書士に頼んでおけば、だいじょうぶやっていけるというような人たちにやらせようという趣旨でございます。なお、この行政書士の団体のほうからの陳情には、このことだけではなしに、これ以外に、もっともっとたくさんいろいろの要望がございましたが、そういうものはすべて省きまして、御提案したような点だけにしぼったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/24
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025・松澤兼人
○松澤兼人君 先ほど私特に確かめておきたいという一部の方々の利益擁護あるいは権益擁護という趣旨の立法じゃないということを明確にしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/25
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026・永田亮一
○衆議院議員(永田亮一君) 失礼しました。そういう意味におきまして、まあ国民が安心して頼める練達の士に引き続いてやってもらえるように、そういうのが趣旨でございまして、決して業者の利益擁護というような意味ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/26
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027・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 私ども御相談を受けました際にも、ただいま先生の御指摘になりましたような点は十分配慮いたしまして御意見を申し上げたわけでございます。請願されました事項につきましては、このほかにも、ただいま永田先生のおっしゃいましたように、いろいろな事項があったわけでございますが、その中には、現在の業者の権益擁護というにおいの相当強いと思われますものもあったわけでございますが、そのようなものは省きまして、ただ、現在の行政書士の業務を適正ならしめる上に、業務の範囲を明確に規定しておいたほうがいい、あるいはその資質の向上をはかったほうがいいという点だけにしぼるほうが適当だという御意見を申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/27
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028・松澤兼人
○松澤兼人君 もう一つお尋ねしたいことは、どこでも市役所あるいは区役所などでは、書類を代書したりするような仕事をやっているわけでありますけれども、そういう市役所あるいは区役政の受付的な書類の作成あるいは代書というようなことは、もちろんこの行政書士法の関係から別に制約を受けるということではないと考えますけれども、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/28
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029・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 御指摘のとおりでございまして、私ども自治省といたしましては、むしろ市役所、町村役場の窓口のサービスをできるだけ改善、増進をしていくという方向で指導をいたしておるわけでございます。したがいまして、普通の窓口の書類の作成その他の手続につきましては、わざわざ行政書士をわずらわさないで、市役所、町村役場のサービスによりましてそれが円滑にいくよううにといことを第一に考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/29
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030・松澤兼人
○松澤兼人君 それでは最後に提案者の代表の方にお願いがあるのです。当委員会におきましても、また衆議院の地方行政委員会におきましても、請願という点につきましては、ずいぶんだくさん請願が出ております。特に、これは行政局長の所管ではありませんけれども、私たちは、いわゆる大衆飲食なんかに対する免税点の引き上げというようなことについては、いろいろと話をして、もっともだというような意見になっておりますけれども、まだ実現に至っておりません。そういう点、提案者の方々の間でも請願は尊重しなければならないということであれば、今後ひとつ大いに尊重して、そういう点の実現をはかるように私ひとつお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/30
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031・永田亮一
○衆議院議員(永田亮一君) 御趣旨の点はよくわかりましたので、請願の中にもいろいろございますが、各党派とも相談をいたしまして、適当なものは立法していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/31
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032・鈴木壽
○鈴木壽君 最近の資格を有する者あるいは試験の合格者、さらにそのうちで登録を受けた者、こういうものについてのお調べはございますか。たとえばことしは三十九年ですが、三十七年でも八年でも、そこらへんの一年間で、いま申しました資格を得た者あるいは試験に合格した者、さらに登録を受けた者、こういう者についてのお調べがついておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/32
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033・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 昭和三十八年におきまして受験者が九百四十八人でございます。合格者が五百九十三人、そのうち登録をいたしました者が百二十三人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/33
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034・鈴木壽
○鈴木壽君 それは三十八年度でですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/34
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035・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) はい、そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/35
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036・鈴木壽
○鈴木壽君 そうしますと、三十九年の四月でも五月でもいいんですが、きわめて最近の全国における登録者数、及び登録して仕事をする場合には必ず行政書士会に入らなければならぬということになっておりますから、あるいは会員教をと申し上げてもいいと思うのですが、会員数はどの程度になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/36
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037・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 昭和三十九年の一月一日現在で申し上げます。登録者数は一万四千百五十三人でございます。そのうちに現実に業務を行なっておる者は七千百三十九人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/37
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038・鈴木壽
○鈴木壽君 今度の改正によってその資格を取得するための年限が延長されるわけでありますが、これによって、あれですか、ここ一、二年資格を取得する者の数が少なくなるということも一応予想されますのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/38
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039・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) この資格の年限でございますが、この年限に達します者は、全国相当たくさん数があるわけでございます。その資格を持ちます者が、現実に行政書士となろうといたします場合には、登録をいたさなければならないわけでございます。そこで、お尋ねの点につきまして、正確な教字はわからないのでございますが、積極的に行政書士になろうという者につきましては、従来試験を受けまして、なる者のほうが多かったと思いまするので、この年限を引き上げましたことによりまして、行政書士になる者の教が激減をするというようなことはないのじゃなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/39
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040・鈴木壽
○鈴木壽君 念のためにお聞きしますが、この第二条第二項の五号によって、現在行政書士として登録されておる者、この数はおわかりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/40
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041・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) これは三十九年一月一日現在で登録されておりますのが六千五百五十五人で、現実に職務を行なっておりますのが二千八百五十八人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/41
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042・鈴木壽
○鈴木壽君 行政書士としてだけ、たとえば税理士とかあるいは弁理士とか、そういうものと兼ねておらないで行政書士というそれだけでその業務をやっておるという人がどのくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/42
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043・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 先ほど申し上げました総数の中で、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士というほかの資格を持っております者は一万四千百五十三人のうちの八百五十四人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/43
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044・鈴木壽
○鈴木壽君 行政書士はふえていく傾向にありますか、それとも減っていく傾向にありますか、これはどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/44
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045・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 漸増傾向にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/45
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046・鈴木壽
○鈴木壽君 各都道府県で毎年一回以上は試験を行なわなければならぬということになっておりますね。これは各都道府県で、この規定のように、全部少なくとも一回は試験をやっておる、こういう現状ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/46
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047・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 規定がございますので、一回は試験をやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/47
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048・鈴木壽
○鈴木壽君 ある府県の中には、どうも志願者が来ないので実は困ったと、こういうふうなことを言っておる府県もあるやに聞きますが、そういう点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/48
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049・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 各府県の実情は、正確にはちょっと私ども資料を持ち合わせておりませんが、東京のような大府県におきましては、毎年相当数の受験者がございまするが、小県になりますというと、ほとんど受験者が二、三名というようなところもあるように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/49
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050・鈴木壽
○鈴木壽君 そうしますと、行政書士になろうとする者が漸増の傾向にあると、こういうふうな先ほどのお話であったと思いますが、それは、主として大都市のある府県等においてそうであって、いなかのほうの県では、あまりないと、こういうふうに見ていいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/50
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051・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 大体そのようなことであろうと私ども思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/51
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052・鈴木壽
○鈴木壽君 立ち入り検査とか、こういうことが行なえるような規定がありますのですが、こういうものの状況について、府県の実態を御調査なさったことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/52
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053・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) そのような調査はいたしたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/53
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054・鈴木壽
○鈴木壽君 あなた方の見るところでは、実際は調査はしておらぬけれども、都道府県では、そういうふうな検査等をやっておるというふうにごらんになっておるのですか。それとも、やっておらぬというふうにごらんになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/54
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055・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 必要があれば検査をしておると思いますが、一般的には、それほど検査をやっておるという状況ではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/55
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056・鈴木壽
○鈴木壽君 この法でいう「必要があれば」、あるいはあなた方のおっしゃる必要があればという、これは、どういう場合を一般的に想定しておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/56
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057・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 報酬を都道府県知事が定めることになっておりまするが、その定めました報酬どおりに励行されておるかどうかというようなことを調べる必要がある。これによって立ち入り検査をしたというような事例は、私どもも聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/57
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058・鈴木壽
○鈴木壽君 私、何も、いつでも立ち入り検査をせいという意味じゃないのですが、一応、たてまえからそういうふうになっておるものについて、実態はどうかということをお尋ねをしておるわけなんでありますが、いまのお話の、たとえば報酬の額ですね、これは、都道府県知事が定めると、こういうことになっておるものについて、それこそ、必要があればということなんですが、そういうものについて、一体どう実際に行なわれておるのかというようなことは、やはり、必要があればというところに当然入ってくるし、その限りにおいては、少なくとも全然立ち入り検査というものが行なわれておらぬということは、ちょっとおかしいと思うのですがね。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/58
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059・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 知事がきめました報酬は、これは常識的に見て妥当だと思われますものを定めるわけでございますが、それ以上に報酬を取っておるというようなことがありはしないかというようなことが一つの検査の着眼でございますが、さらに、その知事が定めます場合に、どの程度が妥当な額であるかということを検討いたしますためにも、実際にどの程度利用者があるのかというようなことを、単なる書類の報告として取るわけじゃなくて、現実に行って見てくるという必要のある場合もあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/59
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060・鈴木壽
○鈴木壽君 だから私は前に言ったように、別にしょっちゅう行って検査をせいとか、帳簿をどうせいとかいうことを言っているのじゃなくて、ただ一応法律のたてまえからしまして、報酬を定めるのが知事であり、定められた報酬で仕事をするのが行政書士としての一つの義務でしょうし、ですから、そういうことがうまく行なわれているかどうかということ、ある意味においての住民に対する一つのサービスの役目をしているのですからね、こういう方々は。ですから、そういった方々の実際の仕事のやり方なり、あるいはいまの報酬の問題等について、やっぱりときにはどうなっているかというふうなことを、知事は自分で行かなくても、だれかやって見るというようなことも必要ではないだろうか、そういう意味で、実際に行なわれておるのかどうかということを私聞いたのですがね。すると、ほとんどやっておらないだろう、こういうような話ですから、少しおかしいじゃないかと、こういうように思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/60
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061・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) これも正確に私どもが資料を徴取したわけじゃございませんが、報酬改定の時期におきましても、そのための資料を得ますために、先ほど申し上げましたような立ち入り検査をやっておるところは少なくなかろうと想像いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/61
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062・鈴木壽
○鈴木壽君 この法律というよりも、実際のこれからの行政書士の方々のおやりになる仕事、こういうものを考えていった場合に、一方には確かに行政事務が複雑であり、なかなか文書なり、いろいろなものによって処理する場合にも、普通の人では間に合わないというようなこともあるのですが、さらに役所自体の、何といいますか、事務の合理的な改善というような面からしますと、できるだけ住民の方々が、そういう人たちにたよらなくてもいいような形に、一方、なってきておりますね。これは認めざるを得ないと思うのです。名前を書いて判こ押せばいいんだというようなものも最近特に多くなってきていると思うのですね。そうしますと、行政書士の方々の仕事というものも、さっきも言ったように、一方において何かふえるような感じはあっても、あるいはめんどうなような仕事はあっても、仕事全体としては、何といいますかね、仕事の量が減っていく、行政書士の方を頼まなくてもやっていけるのだと、こういうふうな傾向にあると思うので、そこら辺、これは行政書士というもののあり方、一方、官庁における事務処理のやり方、こういうことをだんだん考えていかなければならぬ時代になってきていると思うのですね。こういう点について、何か御検討になっておられますか。もっと端的に申し上げますと、そう言っちゃ行政書士の方にしかられるかもしれないけれども、行政書士の方の力をあまり借りなくてもいいように、役所の窓口で簡単にいろいろなことを処理できるように、住民に対するサービスの向上策としてそういうふうなことの方向を、あなた方としては考えておられるのかどうか、そういう点について少しお聞きしたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/62
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063・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 私どもといたしましては、先生のおっしゃいますように、行政の近代化と申しますか、窓口事務の改善と申しますか、住民へのサービスの向上ということにつきましては、ここ数年来相当積極的に市町村に対して指導をいたしてきております。その結果、反面、行政書士にたよらないで解決する分野がだんだんと広がってきていることも事実でございまするし、行政のあるべき方向といたしましては、そういう方向で今後とも進めていかなければならないと考えております。ただ、事務によりましては、かなりめんどうくさい書類をつくらなきゃならない、あるいはまた専門的な図面等も添付しなければならないというようなことがございまするから、そういう分野につきましては、むしろ行政書士がありますことが、住民の側から申しましても便宜でございまするしいたしまするので、その残されました限られました分野において行政書士が十分住民の信頼も得て業務の適正な運営がはかっていけるようにというようなことを念頭に置きまして、今後この問題に対処していくべきだという考え方を持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/63
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064・鈴木壽
○鈴木壽君 行政書士と役所の窓口といいますか——窓口ということじゃなく、役所の仕事の処理上の仕事の範囲といいますか、分野といいますか、そういうことで何かトラブルのあるようなことございませんか、実際に。たとえば、こういうことは従来行政書士のところへ行ってやってもらっておったんだと、しかし、事務改善なり、近代化によってそういうことがいわば不必要になったということのために、何かいま言ったように仕事の領域といいますか、そういうことで何か具体的な問題としてトラブルなんか起こったこと、お聞きになったことございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/64
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065・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 私ども特に聞いておりますことはございません。あるいは全国数多いことでございますから、おっしゃいますようなことも部分的にはあろうかと思いますが、特にそのことが問題になって、私どものほうへ持ち込まれたということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/65
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066・鈴木壽
○鈴木壽君 私はよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/66
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067・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) ほかに御発言もないようでございますので、本案についての質疑は終了したものと認め、討論を省略し、直ちに採決することといたしたいと存じます。さよう取り運ぶことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/67
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068・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 御異議ないと認め、これより採決を行ないます。
行政書士法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/68
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069・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 全会一致であります。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本案の審査報告書につきましては、委員長に御一任願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/69
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070・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 次に、地方行政連絡会議法案を議題といたします。
前回に続き質疑を行ないます。御質疑の方は御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/70
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071・鈴木壽
○鈴木壽君 いろんな角度から御質問が現在まで行なわれてまいりましたのですが、さらに私若干お尋ねをしておきたいと思う点をこれから申し上げたいと思うのですが、この法律でねらうところの地方行政連絡会議というものですね、第一条からいたしますと、「地方公共団体が、国の地方行政機関と連絡協調を保ちつつ、その相互間の連絡協同を図る」、地方自治体が相互間の連絡協同をはかるということが中心目標であるように見えますが、そのようにお考えになっておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/71
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072・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/72
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073・鈴木壽
○鈴木壽君 その場合に、ただ国の地方行政機関との連絡協調を保っていかなければならないと、こういうことであるように考えられるわけでありますが、さていわゆる「地方における広域にわたる行政の総合的な」云々と、こうございますが、この場合の「広域にわたる行政」というものですね、これについてもう少し、ここではどういうことを言っているのか、というのは、広域にわたると言っても、これはいろいろ、何といいますか、場合によって、ひとしく広域にわたるとはいいながら、市町村の区域を越えたような場合の広域ということもいわれますし、さらに府県の境界を越えて両県にまたがるような、あるいはそれ以上に都府県にまたがるような、そういう場合の広域というようにいわれる場合もあると思うのですが、ここでは「広域にわたる行政」という場合に、一府県、一都道府県だけで処理できない、それを越えて二府県以上にまたがったいわゆる処理しなければならない行政、こういうものと規定しているように思うのですがね、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/73
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074・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) ここに「地方における広域にわたる行政」とありますのは、御指摘のとおり二以上の府県にわたって行なわれます広域的行政、具体的な例を申し上げますと、地方の開発でありますとか、道路交通の問題でありますとか、そういったものを考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/74
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075・鈴木壽
○鈴木壽君 ここでいう「地方における広域にわたる行政」ということは二以上の都府県にわたるもの、一つの府県の区域を越えて他の府県にまたがるといいますか、いずれまあそういうことの意味だと、こういうふうに考えていいわけですね。もう一度念を押しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/75
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076・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/76
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077・松澤兼人
○松澤兼人君 ちょっと。いま官房長が二以上の府県を越えてと、こうおっしゃったのです。鈴木君は都府県とおっしゃっている。やっぱり用語は正確にしていただかないといけない。都道府県という場合に、道から道を越えてということはないでしょう。ですから、都府県という場合はいいけれども道府県という場合は間違いじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/77
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078・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) ことばが不正確でございまして申しわけございません。都府県を越えてという意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/78
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079・鈴木壽
○鈴木壽君 またそうお答えになると、実はこの法律はおかしなところが出てくるのですがね。何も私そこへおとしいれるためにやったのじゃない。北海道はそうするとどこへも越えませんね。これは越える場合もなきにしもあらず、交道関係の問題とか、通信関係のことになりますと、これは越えて考えなければならぬところもありますけれども、特にこの行政連絡会議というものを設けて何のかんのとやる必要はまずないですね。北海道の中で、広い北海道ですから、これも広域だと言ってしまえばそれまでですが、さっき私お尋ねしたように、そういうことでない、こういうことになりますと、どうもここら辺に概念の規定が明確でない。明確にしようとすれば、いま言ったような問題もこれはどうも矛盾が出てきますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/79
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080・山本弘
○政府委員(山本弘君) 分解的に御質問でございますので、いま北海道の例におきましては、なるほど北海道は、道は一つでございます。しかしながら、この法律の目的とするところは、府県間の協同でございますが、府県における広域行政というものは、国の行政と無関係ではあり得ない。むしろ国の行政と相錯綜してあるわけでございます。それが毎度申し上げておりますように、いわゆる行政の専門化が進んでまいりますというと、いわゆる縦割り行政の弊も地方において最もあらわれるわけでございます。したがいまして、国との協調関係ということが非常な大きな問題になってまいります。そこで、地方団体相互間の連絡協同でございますが、国の出先機関との連絡協調をはかりながらということでございまして、北海道の場合は、まさに道は一つでございますが、国の出先機関は、北海道は面積的に申しましても一つのブロックぐらいの面積を擁しまして、各出先機関もそれぞれ複数存在しておるわけでございまして、北海道におけるところの地域開発行政その他開発行政を進める場合におきましては、国の出先機関との協調ということが最も大事な問題になってくる、こういうことでございまして、北海道は特別というふうな考えでおるわけでございます。
なお、北海道とその他の府県との関係は全然ないかということになりますというと、たとえば青函海底トンネルというような問題が起こっておるかのごとく聞いておりますが、東北の地方行政連絡会議との関係において、また問題になり得るわけでございまして、この点、目的の分解的な解釈によりますと、やや道についてはおかしな点もあることは認めるのでございますが、趣旨がそういうところにあるというふうに御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/80
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081・鈴木壽
○鈴木壽君 何も私、少したちの悪いようなことをいま言っておりますが、それが目的ではないのです、実は。それが目的ではないのですが、ただ、おかしいものですからね。いまの山本さんのお答えになったように、「国の地方行政機関と連絡協調を保ちつつ、」ということがあるから、北海道といえども、特に現在の時点においてはそういうことが必要なんだと、こうおっしゃるのだが、これはいわば副次的な役割りですわな。主体は、あくまでも地方公共団体が「その相互間の連絡協同を図る」ために国のそういうものとの連絡協調を保ちながらやらなければならぬと、こういうことなんですから、そうすると、一体、北海道の場合、どこと連絡協同をするのかいとうと、何もこのブロック制になったところにはないのじゃないかというふうに言いたいのです。
それからもう一つ、私いま何も北海道のことを特に持ち出してどうのこうのと言うつもりはございませんが、広域にわたる行政——さっき冒頭お聞きしておる。だからこういう考え方をもっとやはりきちんとしておかないと、混乱が出てくるわけですね。私は特に道を使わないで、都府県と、こう言ったんだが、いずれにしても、それが一つでは処理することができないような、二つあるいは三つ、それ以上のもので処理したほうがいいのだ。それが能率的であり効果的であるのだと、こういうことのために、ここでいろいろな処理方法なんかを話をしようと、こういう会議でございましょう。だからそこら辺をはっきりしておかなければいかぬと思う。そうなりますと、何も北海道を別にいまのところ越えて処理をしなければならぬということは何もないというお話ですから、そういうことになれば、何もこういうものを置く必要はないじゃないかと、こう言いたくなるわけですね。あくまでも地方団体、その地方団体は都府県を単位にした地方団体であって、「その相互間の連絡協同を図る」ための会議なんですから、要らないものを何もことさらしいてつくらなくてもいいというのが私の言いたいところなんです、ほんとうを言えば。そこで一つ一つの用語のといいますか、ことばの概念をはっきりさしたいと思ってお聞きしたわけなんです。だから単に話し合いをする会議だとかいうふうなものでやれるというなら、それでいいんですが、法律によって一つのこういうふうに会議を持ち、義務づけられてくる、こういうものですから、やはり一応私どもは慎重にそれぞれの概念規定なり内容なりというものを、はっきりさしておく必要があるのではないか。
私続けてお聞きしますが、二以上の府県にまたがって、それの区域にわたって行なわなければならないいわゆる広域行政、広域処理をしなければならない事柄について、具体的にいまどういうことをお考えになっておられるのかどうかですね、これをひとつお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/81
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082・山本弘
○政府委員(山本弘君) まず、先ほどの北海道の問題でございますが、先ほど申しましたものに少し敷衍さしていただきますと、広域行政の——広域行政と言いますと、ちょっとまたおしかりがあるのでごさいますが——概念が、ちょっと府県を越えると申しますと、ややはっきりしない点があるのでございますが、現在最も問題になっておる広域行政というものは、地域開発行政というものを中心に問題が起こってきておるわけでございます。そしてて北海道の場合、国土総合開発法におきますところの開発区分といたしましては、北海道も一つの、他のブロックとは違いますが、一つのブロックとしての開発ということを、北海道の地理的位置その他から、考えておるわけでございます。そこで、地方行政連絡会議との関係でございますが、これが府県を越えて府県相互間ということになりますと、北海道は道だけでございますが、さればといって東北とこれを一緒にするということになりますというと、あまりにも範囲が広くなります。北海道だけでも日本の四分の一ございますし、いわゆる東北地方ブロックは、それも北海道に匹敵する地域になりますので、そういうふうに、これもいかがかというふうに考えたわけでございます。また、連絡会議が、これは常時会議、常時協議するということをたてまえにいたしておりますので、あまりにも大きな地域間ということでもって、北海道はその意味では例外的なことになりますが、国の出先機関との連絡協調というものについて非常に大きな意義を持つということで、北海道を一応の地方区分といたしたというような気持ちでございます。
それから、具体的に地方行政連絡会議で問題になるものは何かということでございますが、ただいま官房長からお答えをいたしましたが、現在府県がそれぞれ独自の開発計画なりあるいは長期計画というものを持っておるわけでございます。今後の開発を考えました場合におきましては、やはり単に府県一つではなしに二府県、またブロックを包括する地域的な観点から地方の総合開発計画というものを立てて開発していく必要があるということをいわれておるのでございますが、地方総合開発計画を立てる場合におきまして、これは、まあ水の問題にしろ、道路の問題にしろ、あるいはまた大きく農業構造改善を進めていくという場合におきましても、総合的に計画を立てていくという必要があろうかと考えるのでございます。すなわち、地方の総合開発計画を立てる場合におきましては、府県が地方出先機関と連絡協調を保ちつつ、この会議によるところの協議方式によって、相互の連関を持った生きた計画をこの会議において練っていくということが必要であろうと思います。それから、たとえば道路というような一つの問題を取り上げました場合におきましても、これはむろん国の全国計画ということが一つの基準になりますが、地方においてこれをさらに道路行政を総合的に推し進めるためには、単に一府県のみならず、隣接府県、また、ここに示しておりますところの区分に従うようなブロック的な見地から道路行政というものを考えていく、計画の面において、またあるいは事業実施の面において考えていくということは必要である。かように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/82
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083・林虎雄
○林虎雄君 ちょっと関連して。
いま山本さんからお答えのありました地方開発、鈴木委員の質問の、どういうことが考えられるかという質問に対して、いわゆる広域にわたる地方開発行政、こういうお話でありましたが、私この間質問に落とした点でありますけれども、国土総合開発法という法律がございますね。この法律によって、ほぼいまお答えになりました目的というものは、府県を越える総合的な行政については、かなりダブってくるのではなかろうかと思いますが、その国土総合開発法との関連はどうでしょうか。たとえば、現在、特定地域——内閣総理大臣が指定する特定地域が二十くらいあるかと思いますけれども、それによりますと、それぞれ二県ないし三県くらいにまたがっての計画が行なわれ、その計画のもとに、当該関係府県というものは、総合開発審議会というものを組織しておりまして、関係の府県の知事あるいは議長あるいは関係の行政機関の長というものが法律でも参加することになっておりますので、非常に相似しておるように思われますが、ダブっている点がかなりあるという点については、連絡会議とどういう関連を持ちますか。その点のお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/83
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084・山本弘
○政府委員(山本弘君) 国土総合開発法に基づく特定地域の開発計画ができております。これにつきましては、実は計画は作成されておりますが、この実施につきましては、各事業主体が事業を行なうことになっておるわけでございまして、特定地域開発計画に基づくところの実施につきましては、地方行政連絡会諸において実施について協議を行なっていくというふうに今後なっていく。かように考えるのでございます。
それで、なお、御質問にはなかったのでございますが、それぞれの、まあ東北とかあるいは四国、九州あるいは北陸というふうにブロック別の地方開発促進法ができておりまして、そこにおいても計画が立てられるようになっておりますが、いま申しましたように、基本的事項を計画できめますが、その実施につきましては、法令に従っておのおの国の機関であるとかあるいは地方公共団体が事業を実施するというふうになっておりまして、その実施の段階におきまして連絡会議を活用していくということによって計画の実もあげ得るのである、かように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/84
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085・林虎雄
○林虎雄君 大体まあ二十くらい、数は二十幾つありますか、よく記憶していませんけれども、指定された特定地域の開発については、いまお答えのとおりに、国の関係の、まあ建設省なり農林省なり、あるいは当該府県が、それぞれの立場で実施を進めておるわけでありますが、大体この計画に対して、これは昭和二十六年の法律ですか、五年ですか、それ以来計画に基づいて国あるいは地方の機関が実施しておる、まあある程度進んでおると思いますが、大体計画に対する何%ぐらい進んでおるか、そういうような点、おわかりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/85
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086・山本弘
○政府委員(山本弘君) 特定地域につきましては、計画はできておりますが、その実施につきましては、毎年度各行政機関、地方公共団体が実施することになっておりますが、その進捗度につきまして、実ははっきり私現在記憶いたしておりません。が、しかし、一応まあ特定地域開発計画につきましては、これはまあ四十五年度で終わりになっておるというふうに聞いておるのでございます。
なお、特定地域におきましては、いわゆるあの終戦当時から立ち直りかけた時代におけるところの計画でございまして、まあ電源開発その他の資源開発を中心とする計画であったというふうに承知いたしておりますが、いま連絡会議で今後協議を進めていくという問題は、むろんそういった資源開発のこともございますが、道路であるとか水資源であるとかあるいは何々といったような、産業基盤施設の問題、あるいはまた上下水道とか、あるいは公害対策その他の問題というような、生活環境施設の整備の問題、そういった、特にまあ最近、広域行政としてクローズアップされておるものを、この協議の場において連絡調整をはかっていこうというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/86
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087・林虎雄
○林虎雄君 確かに国土総合開発法の成立した当時の情勢は、国土が荒廃しておると同時に、その復旧をするのとあわせて資源開発をしようという、まあアメリカのTVAを大体参考にして考えられたので、いまお答えのように、現在の、まあ工業の振興であるとかあるいは生活環境の施設を進めていくというようなことは、この国土総合開発法にはないわけでありますが、まあその他の資源開発、林産資源とか電源開発とかあるいは農産資源の開発とか地下資源の開発とかというような開発計画があり、あるいは国土保全のためには治山治水、土壌侵蝕防止あるいは工業立地条件の整備というようなものもその地区によっては開発目標として指定をされておるわけでありますから、大体その国土総合開発法を改正して、いまお話のような道路の整備とか生活環境施設の整備とかというようなことをすれば大体足りるような気がいたすわけであります。しかもその特定地域の現状などは、一応機械的に九つの地域に分けました連絡会議よりも、むしろ実際に即しておるような気がいたすわけであります。私は長野県ですけれども、長野県と静岡県と愛知県、三つの県が関連しております天龍東三河総合開発計画というのがありますが、その計画によりますと、治山治水はもちろんでありますが、電源開発、さらには工業、産業の立地条件の整備、そういうようなことをあわせて進めておりまして、現在までは進捗状況は二〇%か三〇%くらいかもしれませんけれども、実際に即しておるようなふうに見ておるわけでありますが、それが九つの地方連絡会議になりますと、長野県はいまおおむね関東に属するということになりまして、静岡県、愛知県というような、従来、天龍東三河総合開発計画で審議会をつくっておりますそれとは、離れるわけでありますが、非常に複雑で、国土総合開発計画の審議会も必要であり、同時に行政連絡会議も必要であるということになると、たいへんややこしくなるというような気がいたしますが、この点、何か国土総合開発法との調整といいますか、もう少しすっきりした形になさろうというようなお考えを持っておいでですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/87
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088・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 御指摘の点、確かに問題点の一つであります。ただ、国土総合開発法の基本的な考え方は、御承知のとおり当初資源開発を中心にして国家的立場から地域の開発をはかっていこうという考え方が強かったように考えております。御提案申し上げております地方行政連絡会議は、どこまでも地方団体である県あるいは指定都市を中心にして、そこからいろいろな問題を積み上げて、団体相互間の連絡をはかりますとともに、国の機関との連絡協調をはかっていこう。こういう点から、上から下へか、下から上へかという点で、多少ニュアンスの点で違ってくる点があろうかと考えられます。しかし、実際問題として計画を立てますような場合には、いろいろ競合する点も出てまいろうかと思いますので、その点、運営にあたって十分留意してまいりたいと考えております。
なお、地域区分につきましては、ただいま御指摘のような、いろいろな御意見があろうかと存じます。ただいま御指摘になりました長野県の問題にいたしましても、先生は、ただいま静岡県あるいは愛知県との関係を御指摘になられましたが、私の承知しております限りでは、たとえば野尻湖の水の問題にいたしますならば新潟県との関係もございます。姫川の総合開発といったような問題になりますと、これまた新潟県と関係があるというように、どこの地域というふうに、なかなかすぱっと割り切ってしまうことができないのが実情ではなかろうかと考えますので、そういう意味からも、この法律の附則の別表の備考に、関係のある、必要のある団体は、他の連絡会議にも加入して、相互に連絡がはかれるというような道も開いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/88
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089・林虎雄
○林虎雄君 あまり理屈になりますから、この程度で関連質問ですから終わりたいと思いますけれども、連絡会議は総合開発法と違って、上からの計画でなくて、地方を中心とした計画で進めるということでありますけれども、国土総合開発計画ももちろん国が中心ですけれども、地方の意向というものを反映して、また、そうしなければいけないので、反映して、いま計画を進めておるわけであります。行政連絡会議が、もっと地方の声を盛り上げようというその意図はよくわかりますけれども、実際問題として、連絡会議が持たれて、そして関係の知事あるいは出先機関の長が集まっていろいろ具体的な話し合いをする場合には、やはり結局中央の積極的な出方を持たなければどうにもならないというのが地方の実情だと思います。すなわち、財政面から制約されておりますので、幾ら地方のいい考えが出ても、あまりそう端的にそれが反映するというわけにはいくまいと思いますけれども、総合開発法と非常に似た点がありますので、この点のある程度の整理をしないと、地方側とすれば、もう審議会、審議会で、右を向き、左を向き、うしろを向きというような、たいへんややこしいことになるのではなかろうかと思いますが、この法律案が成立した場合には、その調整をよほど適切にやっていただかないと混乱を招くおそれもないとは限らないと思いますが、意見でありますから、お答えは要りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/89
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090・鈴木壽
○鈴木壽君 具体的にここで言う、広域にわたる行政とは何かということをお尋ねしたら、地域開発なんかが中心になると、こういうお話、まあその前に松島さんから、水とか道路とかいうようなお話もございましたが、そういうものも含めて、いわば地域開発ということになるかもしれませんが、いずれそういうものが中心になる。そこで、一方、そういう地域開発の問題を中心に、とは言っても、この前、去年だったと思いますが、去年の六月の半委員会に出されました資料に、広域にわたる行政について連絡協議の必要と認められる事項という三枚ばかりのプリントがございますが、この内容は、今度新しくいただいたこの関係資料の中にもおさめられてありますが、この中にあげられた九つの問題ですね、これが広域にわたる行政として連絡協議してもらいたいと、こういうことだというふうに考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/90
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091・山本弘
○政府委員(山本弘君) これだけに限局するものではございませんが、大体ここに述べました九つのようなものが共通な問題として連絡会議の場において協議するものであろう、こういうふうな意味で資料として書きあげました次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/91
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092・鈴木壽
○鈴木壽君 これに関連して、先ほど林委員のお尋ねに対するお答えの中に、たとえば国土総合開発というのは、いわば国のほうから、上からのそれが強いのだ、それが中心になるのだ、こういうお話もありましたのですが、その上からくる開発関係の仕事、これに対して具体的には一体この中でどういうふうに協議をし、あるいは意見というようなものもどういうふうにこれはまとめていく形になりますか。予想せられるところはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/92
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093・山本弘
○政府委員(山本弘君) まあ先ほども官房長から申しました上からということは、特定地域総合開発計画にいたしましても、これは一応形は内閣総理大臣がつくるというかっこうになっております。むろんそれは関係地方公共団体の意見も聞くということでございますが、一応まあ国の計画ということになるわけですが、その計画がつくられた場合におきまして、これを実施するという段階になりますと、それは現在の法令に基づきまして、その事業の実施の権限を有する団体が行なうということになるわけでございます。たとえば特定地域の話が出ましたので特定地域について申しますと、そこで資源開発その他のために道路をつくるということの計画ができたといたしまして、その実施について、円滑な処理をなし得るように連絡会議の場において協議をいたします。そういった場合におきましては、年次的なズレもなければ——片一方が着手しておるのに片一方が着手していない、あるいは舗装が、ある一部の舗装、その他の問題につきましても、できていないために全体の関係がうまくいっていないというような問題も起ころうかと思いますが、そういうように計画の実施の上におきまして、国の計画を前提としながら話し合っていくという場面があると思うのであります。
それからなお、こういった国土総合開発法に基づかない形でいろいろ府県が協議をして計画をつくってやっていこうということがございます。その場合におきましては、重要な道路だとか港湾だとか水とかいうような、関係の役所の出先機関も一緒に協議を積み上げていって計画をつくるということが、いわゆる地方からの盛り上がりと申しましょうか、地方における要望を最も組み入れられた計画になる、かように思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/93
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094・鈴木壽
○鈴木壽君 もっと問題を具体的な問題に移してお聞きしますが、たとえば水資源の開発利用というのがございますですね。大きなこの中での連絡協議を要する事項としてあげられておるのでありますが、お話をお聞きしますと、水資源開発利用について、いわば地方団体の側からいろいろな要望を出す。あるいは話し合いの中に自分たちの、何といいますか、立場なりあるいは利益なりを守るという。こういう点に立ってのいろいろな要望があるだろうと思いますが、そういうものを、あれですか、ここでまとめて計画をつくり、総理大臣なり政府なりに、こういうことに対して強く当たる、こういうことをあなた方想定しておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/94
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095・山本弘
○政府委員(山本弘君) 水資源開発促進法に基づきまして、現在指定を受けておる河川は利根川、淀川でございますが、今後筑後川あるいは吉野川というような水系が指定される場合があろうかと思います。その場合、それぞれの河川の開発計画というものが立てられるわけでございますが、そういう場合におきまして、連絡会議におきましては治水、利水の面から工業用水の問題あるいは農業用水の問題、あるいは農業用水の問題、あるいは飲料水の問題、その他あらゆる見地から水資源の利用につきまして、地方公共団体を中心に、関係の地方公共団体並びに関係の地方出先機関も入れまして、協議をいたしまして、そうして協議の積み上げでもって話し合いを進めていきたい、またあるいはなかなか問題が解決しないという面におきましては、関係大胆に対する意見の申し出その他によりまして、中央におきましても円滑なる解決というものに対して、促進の効果をあげていこう、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/95
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096・鈴木壽
○鈴木壽君 まあお気持ちは、わからないわけでもないのですが、そうしますと、まあいまの水資源の関発利用という点についてだけ申し上げますが、この場合には、水資源開発促進法によりますと、水系の指定は内閣総理大臣がするのだが、その場合に、必要のある場合には関係都道府県の知事及び水資源開発審議会の意見を聞く、その上で指定をするのだ、開発計画を立てる場合にも、関係都道府県知事あるいは水資源開発審議会の意見を聞く、十分このままの促進法の中で資源の問題であれば意見を聞く場がありますね。ですから、こういうふうになると一体、協議会で取り上げるいわゆる連絡協議なり、あるいはねらいとするところは何であるのか、こういうことがすこぶるあいまいなんですね。さっきみたいに、気持ちはわかりますよ、自治体の立場からいろいろ意見を出したり、あるいは利益を守っていくという、こういう考え方についてはわかりますが、具体的に、じゃ問題は何かと、こういうふうにやってまいりますと、すでにできておる法律なりあるいは国が持ってある事務、地方の持っておる事務、したがって、それぞれの国の権限なり責任なり、地方の権限なり責任なり、こういうものが非常にこんがらがっておる中にそういうものるを持ってきて、さてこれも話し合いをしよう、あれもどうしようと、こう言っても、一体ここから何が生まれてくるのかというふうな心配が私はあるのです。私は、こういうふうに話し合いをする場も必要だろうと一応考えています。しかも、それが現在よくいわれますように縦割り行政、上からのそれによってくる弊害を除くためにも、やはりそこに一つの何といいますか、自分たちの、地方自治体の自主的なそれを守るという点がなければなりませんから、それの一つの場合として、こういう話し合いなり、協調というふうなものを保っていくということが必要だと思うのですが、さて具体的に、一体いまの時点でいろいろな法律があり、その法律に基づいていろいろなことが規定をせられ、それが国、地方との間の事務の配分がすっきりしておらない、そこからくる権限なり責任というものもはっきりしておらぬという、こういう中で、一体何ができるのか、こういうことが——私は、あなた方の法案も、ある一つの意味においては必要性を認めながら——心配なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/96
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097・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) ただいまお尋ねございました水資源開発促進法に基づきます水資源開発基本計画の問題につきましては、御指摘のとおり関係都道府県知事の意見を聞く。総理大臣が計画を決定いたします場合は、関係都道府県知事の意見を聞くことになっております。もちろんそういう道は開かれておるわけでございますけれども、現実の運用は、個々の府県の利害が必ずしも一致しませんために、意見を聞いても、その意見だけによって直ちに基本計画を定めることができない。結局、意見を聞くという法律手続の前提として、意見の調整を各団体間においてはからなければならないというのが実際であろうと考えております。そこで、こういう連絡会議のようなものができますならば、あらかじめ調整されました意見を、それぞれの団体が持つことによりまして、法律上の手続による意見の聴取という手続は、まあ形を整えるということになるわけでございまして、その間に実質的にはやはり大きな意味があるのではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/97
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098・鈴木壽
○鈴木壽君 まだるっこしい感じですね。そうなりますと、意見を聞く場合に、さらにその一段階前に関係の方々の意見の調整をする必要があると、それがまあ調整ができた場合には、強力な意見となって出てくるだろうと、こういうことをねらっておるようでありますが、これはどうですかね。ここに私は、やはりこの連絡会議法の根本的な問題があると思うのです。地域開発の問題にしてもそうです。地域開発計画を立てるためには、それぞれ地元の意向を無視してやっているわけじゃないのですから。さっきもお答えにあったように、十分地元の意向をくみ上げてやっていると思うのです。ただ、まあ全体的な問題としては多少不満だというところも出てくるかもしらぬけれども、ともかく地元の意向というものはくみ入れられておる仕組みになっておる。ですから、もし地域開発も、総合開発的なことを中心とする連絡会議であるならば、それがうまくいくような仕組みに合わせて、そういう連絡協議会をつくるなら私はつくってもいいと思うのです。機械的に各ブロックに分けて——機械的と言うちゃ悪いが、あなた方おしかりかもしらぬけれども——九つのブロックに分けて、その分け方もどうも実態と必ずしも一致しない、こういう中で、これはどうしてやっていくのか。どうもこれは結局集って何か問題を出して、まあこの次まで検討しましょうやとかなんとかで、一年に三、四回やるのでしょうから、それで終わってしまうのじゃないかという心配が私には依然としてあるのですがね。で、端的に私は結論的なことを申し上げてお聞きしたいと思いますが、問題によって、たとえば水資源の開発なら開発利用という問題、これは関東——群馬なり埼玉なり東京なり、こういう関係でこれはぜひやらなければならぬ、あるいは吉野川の問題があるなら、あるいは淀川の問題があるなら、これはぜひやらなければならぬ、こういう中で、ひとつこういう連絡協議会というはっきり法的なものにして、そこには国の関係機関の長も入れると、そこでもうあらごなしをしてしまうのだというくらいのものだったら私はいいと思うのですが、そういうふうに考えられませんか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/98
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099・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 連絡会議を全体会議として、すべての問題を取り上げて全体会議で議論するということも場合によっては非能率であるということも考えられますので、いま御指摘になりましたような水資源の問題は水資源部会、あるいは道路交通の問題は道路交通部会というような機能別の部会ないしは必要に応じまして地域的に限られた場合には地域部会というようなものを設けまして、いまお話がありましたように、あらごなしをして全体会議にかけるというような、こういう方向も運用としては考えてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/99
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100・鈴木壽
○鈴木壽君 問題によって分科会とかなんとかといっても、これは関係する人が何人もおるわけじゃないのですから、かりに関東地区なり、あるいは東北地区を考えると、東北だって七つでしょう、あなた方の方け方によって。そうすると、あそこで水の問題となりますと、いわば二県にまたがっての処理をしなくちゃならぬという問題になりましたとき、阿武隈がありますわね、北上も若干そういうところがあるが、しかし、北上の場合と阿武隈の場合と、これは一緒くたにやるわけにはまいりませんね。宮城県は双方に関係ありますけれども、一緒くたにこれはやれません。分科会といったところで、あとそのほかの何かの道路の問題の分科会とか、あなたがそういうようなことを言ったって、どうもそこら辺でうまく関係者が必ず入るような機会もつくれるわけでもないのだろうし、どうも私はそういうやり方というものは実態にそぐわないやり方になるのではないかと思うのですがね。だから広域処理をしなければならぬ、協同処理をしなければならぬという問題をとらまえて、それについての関係者が集まる、場合によっては、私はこういうものの中に市町村を全然オミットしたのはなぜかと実はお尋ねしたいところがあるのです。必要な市町村も、これは当然入ってきてそこでやらなければならぬという問題が私はあると思うのです。いまの水の問題なり交通の問題なり申し上げても、たとえば二県にまたがるといっても、これは具体的には市町村のつながりなんですからね。市町村間のつながりになってくるのですからね。それを全然タッチさせないで、これは知事の権限かもしれませんが、いずれにしてもそういうふうなかっこうでやっていって一体どうなるのかという問題も実は一つあるのですが、それはともかくとして、私は問題ごとに連絡協議をするという、こういう仕組みを、単にいまの自治法の二百五十二条ですかにあるもので、弱かったら、もっとあれの規定を強めるようなことをして、あるいは国の行政機関の長も加えるというようなことにしてやっていったほうが、より効果的であり、より具体的な問題の処理にはよいだろうと、こういうふうに思うのですがね。この点は、やっぱり御賛成いただけませんかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/100
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101・山本弘
○政府委員(山本弘君) 鈴木先生のお話、まことにごもっともとは思うのでございますが、実はこれは常時協議方式によるところの広域行政の方向づけと申しますかを制度化しようとしたものでございます。そういった場合におきまして、問題ごとにということになりますと、制度的なものということを考えました場合に、少し問題があるように思うのであります。いまのような考えでおります以上は、どうしてもやはり常時協議、不断の協議をやっていくという考えを基礎にいたしますと、やはりある程度の地域に基礎を置いた考え方というものを勢いせざるを得ないことになりまして、それでまあいろいろ地域区分を考えたわけでございます。その結果九ブロックというふうに、一応社会通念上最も普通に考えられる地域区分をとる。それがしかも国土総合開発法に示しておるところの開発区分にも当たる、またブロック別の知事会とか、あるいはまた市長会、町村長会の連合組織としてのブロック単位の組織もおおむねこの区分によっていけるというところからこの区分を選んだわけでございまして、先生の御意見のような点につきましては、この会議の弾力的運営という、たとえば地域別とかあるいはまた機能別の分科会を設けることによってそれを補っていきたいという考えで立案をいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/101
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102・鈴木壽
○鈴木壽君 これは何べんも同じようなことを申し上げておるのですがね。この前の委員会でも私申し上げましたが、端的に言って、いまのような国と地方の事務が、事務というよりもむしろ権限と申しますか、が、はっきりしておらないところでやっても、みんな結局するところは、単なる国に対する要望とか、あるいは場合によっては地方に対する国の機関からの要請とかいうようなことになってしまって、ほんとうの意味でのあなた方がねらう広域行政をやっていくための連絡協調あるいは連絡協議というような機関にはならぬじゃないだろうかと、こう思うのですがね。私はいまのところ現在の時点においては、必要とする仕事別に協同処理の仕組みを考えていく、協議をする必要のある場合には、協議の機関というものをつくっていく、そうして早急にやはり国と地方の、特にいまの場合、問題になっております府県の場合の事務なり、持つべき権限なり、責任なりというものをもう少し明確にしなきゃならぬと思うのです。これは、あなた方がいまあげられておる仕事の中に、いわば委任事務というのが相当ありますね。この委任事務という形、機関委任とか、団体委任とか、いろいろなことをいっておるのですが、まことにわかったようなわからないようなことなんです、ほんとうを言えば。責任の所在はどこか。それは、委任された人も責任を持つでしょうし、あるいは委任したほうでも責任を持たなきゃならぬということになるかもしれぬけれども、いずれにしても、まことにこんがらがったかっこうですね。河川一つとってみましても、今度一級河川ですか、あれを国が、建設大臣が権限を持つ、管理権を持つと。もともと委任事務だから、それを取り上げることは何もないじゃないかと、そんなことを河野氏は言っているという話だが、まことにおかしなかっこうになっているわけですね。そういうものをひとつ私ははっきりして、ほんとうに府県がやる仕事で、そうして府県が権限と責任を持ってやらなきゃならぬ仕事は一体何か。しかし、なおかつ、それでやっても、一府県だけでは処理し切れない問題、こういう問題を、一体、広域処理という名のもとに、どういう形でやるべきであるのか、こういうことを一応道をちゃんとつけなきならぬと思うのですね。そうでないと、どうもこれはせっかくつくったけれども、こんな弱いものじゃだめだという文句も出てくるし、ある意味においては、どうもこれは将来道州制にいく下地じゃないだろうかという勘ぐりも出てくるだろうし、そこら辺、私はもう少し検討すべきじゃないかと思うのですね。検討というよりも、考え直して、その結論の出た際に、いま言ったように、いわゆる一都府県では処理できなくて、二以上の団体にまたがるようなものを一体どうするのかと、こういうことでやっていくのが私は正しいやり方だと思うのですがね。少し私、自分の意見が強く出過ぎましたが、どうです、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/102
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103・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 行政事務の再配分を実施をして、府県の責任体制あるいは市町村の責任体制あるいは国の持つべき分野というものを明らかにした上で、なお一府県のみでは処理できない事務について、どのような広域行政処理の体制を確立すべきかということを考えるべきだという先生の御指摘、まことにごもっともでございます。現在、国の臨時行政調査会におかれましても、事務委譲の問題について、いろいろ御検討されております。また地方制度調査会においても、この問題については昨年度来取り組んでおられるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、できるだけ地方団体が責任を持って仕事を処理する、と申しますのは、行政は、やはりその行政を受ける住民の身近かなところにおいて行なわれる、そのことが住民の監視のもとに行なわれるということによって民主的な行政体制が確保されるということが必要であると考えますので、そういう意味からも、できるだけ府県ないしは市町村に、事務が大幅に委譲されるべきであると考えておるものでございます。最近、新聞等によって見ますと、臨時行政調査会の事務配分の関係をやっておられます部会と申しますか、その方面におかれましてもそういう方向で事務配分を行なうべきであるという御意見のように聞いております。またその際に、それでもなお二以上の府県にわたる行政というものが今後ふえてくる、それに対処する道としては、やはり地方団体も国の出先機関も参加した一体的な協力方式が望ましいというような御意見であるということも伺っております。したがいまして、いま先生御指摘のように、事務配分の問題として、強力に地方団体を中心に解決をしていかなければならないと考えますけれども、それと同時に、国の出先機関も含めた広域行政の処理体制というようなものは、この際確立する必要があるのじゃないか、かように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/103
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104・鈴木壽
○鈴木壽君 だから、その広域行政の処理をしなければならぬというものは、具体的に一体何か、こうなると、河川の問題、水資源の問題をやったって、水資源の開発促進法ですか、こういうものからしたって、これは国の責任なのか、一体どうなんです。どこでこういうことをやるというたてまえなのか、そういうたこまえについて、それをまずひとつお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/104
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105・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 水資源開発基本計画の策定は、内閣総理大臣が行なうことになっておりますので、国の責任であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/105
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106・鈴木壽
○鈴木壽君 国の責任で事業をやる場合には、それぞれまたあるでしょうが、国の指定も基本計画をつくるのも、これは大ざっぱにいうと国の責任ですわね、それをまた自分たちで処理しなければならぬというより、広域行政の協議なり協調する場に持ってきても、一体どういうことになるのか、私の言うのはそこですよ。そこをはっきりしていないから、地方自治体が中心になりたいとか、あるいは自主性を守りたい、地方自治という線をあくまで守るためにと、こうは言っても、事実上取り上げられる問題は、地方自治体に権限のない問題だ。そこでやって出ていくものは、かりに意見がまとまったにしても、協調連絡ができたにしても、要望なり何なりというのにすぎないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/106
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107・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 地方行政連絡会議で問題となります事項すべてについて、地方公共団体が全部権限を持っていなければならないと私は必ずしも考えておりません。と申しますのは、もしも地方団体が全部処理する権限を持っております事項でありますならば、あえて国の出先機関まで入れて協議をする必要は、逆にいえばないわけでございますので、ものによりましては、地方団体の権限内の問題もございますでしょうし、ものによりましては国の権限に属するものもあろうかと思います。いずれにいたしましても、それらの問題について、地方団体の立場、地方団体の意見というものが十分反映せられることが必要であると考えるのでございまして、そういう意味で国の機関と国の権限に属するものについては、国の機関に地方団体の意向を十分反映するような処理をしてもらう、また、地方団体の権限に属する問題については、ものによっては、国の立場というものも考えて処理しなければならないものもあろうかと思いますが、そういう意味において、権限は相互にありましても、やはり相互の立場というものを十分連絡協調をしながら仕事を進めていくというところにねらいがあるものと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/107
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108・鈴木壽
○鈴木壽君 じゃもう一つ具体的にお聞きしますがね、河川法の改正で国に管理権を引き揚げるという問題、一昨年あたりからずいぶん騒いでおる。いまの国会でも、また出てきておるのですが、知事会ではこぞって反対をする、それぞれのブロックの知事会なりそういう会合の。知事だけじゃない、議長会とかそういういろんな地方団体の連絡会みたいなところで反対をしている、にもかかわらず、強引に法制化するというようなことをしている。しかし今度は、こういうものがあれば、これによって、そういうことなんかできなくなるんだというようなお見通しでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/108
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109・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) ただいま申し上げましたように、地方団体の権限に属しますものにつきましても、この連絡協議の場合において、国の立場も必要なものについては十分反映をする。また地方団体の利害あるいは意見も、国のほうにこれも十分反映をするという体制が確立いたしますならば、あえて地方団体の権限を、何が何でも国に引き揚げていかなければ円滑な処理ができないというような事態はなくなると考えられますので、したがいまして、いま御指摘のような問題も逐次解決していくものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/109
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110・鈴木壽
○鈴木壽君 逐次解決をする——。いま地方が持っている委任事務とかなんとかはともかく、河川の管理というものは機関委任だというたてまえに立っているが、いずれにしても、自分の区域のところは自分が管理をする、知事が管理をするというはっきりしたたてまえがありますわね。その権限すら持っていくという、こういういわば強引なやり方を、あのような反対の中でも、とど、やろうとして法制化して、いま国会に法案が二度にわたって出されておる。一体国の権限になったもの、一級河川の指定するものを、国が管理権を持つというようになったものを、いやどうしてもわれわれは前のように、やはり都道府県知事にその権限を、河川管理権を持たせるべきである。そうでないと総合的な地方行政というものは行なわれないのだ、こういうことで意見がまとまる。これは私すぐまとまると思う。そうした場合に、その意見を具申しても、私は簡単にはできっこないと思う。知事の望むような、そこでまとまった意見のようには、ですね。だから私は、何というか、お互いの仕事仕事によって持たなければいけない権限なり責任というものを、もっとはっきりさせて、整理をしてからでないと、ここでねらうような効果というものは期待できない、こういうふうに繰り返して申し上げたいのですが、いまかりに、河川法がああいうような形で国会を通った場合に、ここでこういうような、しかも地方行政の中でもその問題が取り上げられて、そういう結論が出た場合どうなる、あなた方自信ありますか。これは資源開発なり、あるいは住民のいろんな、その地域の水利権なり、非常な根本的な問題を含んでおりますね。そういう問題は、ぜひ従来のように都道府県知事の管理のもとに置きたい、置くべきである、こういう主張があっても、簡単には私はその意見というものは通らないと思うのですが、どうです、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/110
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111・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) いろいろな御指摘の問題については、もしもこうなったならばどうなるかというような御質問でございますので、私いまの段階で予測的なことを申し上げることはできませんけれども、いま御指摘のように、権限の分配の問題につきましては、なかなかむずかしい問題がございますので、御指摘のようにこの連絡会議で、かりにこの権限はここへ移すべきであるというふうにきまったからといって、直ちに権限委譲が行なわれるというようなことは少ないであろうというふうには考えられます。しかしながら、連絡会議の場には、国の出先機関も入っていろいろ論議をするわけでございますから、そこできまったことは、単に地方だけがきめたというだけではなく、尊重されるべき性質のものであろうというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/111
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112・松澤兼人
○松澤兼人君 いまのお話を聞いておりますというと、鈴木君は、なるほど河川法の改正があって、河川の管理権を国に引き揚げた場合という仮定のことであります。しかし、官房長のお話も、こうありたいとか、こういうふうにしてまいりたいとかいう、そういう希望的なお考えが出ております。ここで鈴木君がほんとうに聞きたいことは、先ほどお話のありました水資源、あるいはまあ近畿圏なり首都圏なり、そういう法律と法律との競合という問題について、こちらが他のいかなる法律の規定にかかわらず、優先するんだという保証もないですから、こちらの法律が成立いたしましても、あるいは水資源とか、あるいはまた近畿圏の、あるいは首都圏、そのほかの法律との競合をどうするか、政府は知事の意見を聞けばそれで済む、知事は水資源の場合、私は水をやりたくないと言う、下のほうでは水をもらいたい、こういう連絡会議をこしらえましても、おそらくはそこで意見が一致するはずがない、ですからして、この法律ができるならば、意見の調整ができて円満にいけるという保証があるならともかく、法律の競合という問題をもう少し具体的にお話し願わないと、この法律ができても、水資源の、政府が府県の知事の意見を聞いて処分するんだと、こういう法律が別に制約を受けぬわけですから、ですから、そういう点、はっきりした法的な解釈が、この法律ができればこの法律はこうなります、あるいはこの法律は改正しなければならぬのだ、そういう法的、あるいは専門的な、そういうお話を私たちは聞きたいと思うのです。もう時間もございませんから、これ以上聞きませんから、同じような性格、あるいは内容を持った法律がたくさんできていて、そしてこの上にまたこの法律ができる、そうすると、重なり合ったり、あるいはまた制約し合ったりするような条文が多分に出てくると思う、そういう、いわば法律の整理というか、大きな見地からそういったことがなければ、この法律ができても、結局屋上屋を架するだけではないか、こういう心配がある、そういう専門的なお話はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/112
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113・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) ただいま御指摘のございました各種の法律によって都道府県知事の意見を聞くという制度があり、あるいは審議会を設けてその審議会にはかって事柄をきめていくというのがある、その場合における意見聴取ないしは審議会の意見聴取というようなものと、この連絡会議とはどういう関係になるかという御指摘かと考えますが、御指摘のように、この連絡会議そのものが、それぞれ協議をして意見の一致を見ません限りは、何らそこにきまったものが出てこないわけでございますから、かりに、水資源の問題についても、関係団体ないしは国の出先機関も入りましていろいろ協議をしたけれども結論が出なかったという状態において水資源開発基本計画をつくるということで、内閣総理大臣が意見を聞くということになりますと、依然として従来と同じように、それぞれの団体が、それぞれの意見を述べるということにはなろうかと思います。その関係で、他の開発計画についての審議会の意見聴取の場合等とも同じような状態があろうかと思います。しかしながら、私どもの考えておりますことは、いまこの連絡会議ができたから、直ちに水資源開発の問題についても、利害関係が著しく対立している府県同士の間ですぐに話がつくというふうに考えているわけでは必ずしもございません。そういうむずかしい問題であればあるほど話がつきにくい、つきにくければつきにくいほど、できるだけお互い同士の間で話をつけていく仕組みをつくって、その上に立って努力を続けていかなければならないのではないか、それが地方自治を守っていく一つの道であるというふうにも考えておるわけでございます。したがいまして、先ほどもお答えをいたしましたように、法律上は、水資源開発基本計画をつくるときは内閣総理大臣がそれぞれの府県知事の意見を聞くからそれで済むかというと、やはり意見の調整をされないままでは問題が残るわけであります。そこで、この連絡会議というような組織をつくることによって、常時そういった問題を話し合い、利害関係の調節をはかるというような仕組みを通じまして、できるだけ意見の一致をあらかじめつくり出しておくということが必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、これはできたからすぐぱっと効果があらわれるというわけにまいりませんで、その点、はなはだ不十分なようではございますけれども、しかし、こういう制度は、やはり努力によってのみ成果を期待することできる性質のものではないかというふうにも考えます。法律的に裁定機関のようなものではございませんから、すぐそこで結論が右から左に出せるというものでなければならないというふうに考えることもないのではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/113
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114・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 本案について本日の審査はこの程度にいたしたいと存じます。
次回は五月二十八日木曜日午前十時開会予定でございます。本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03419640526/114
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