1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月二十八日(木曜日)
午前十時四十分開会
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委員の異動
五月二十七日
辞任 補欠選任
浅井 亨君 辻 武寿君
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出席者は左のとおり。
委員長 竹中 恒夫君
理事
石谷 憲男君
西郷吉之助君
松本 賢一君
委員
熊谷太三郎君
沢田 一精君
館 哲二君
占部 秀男君
鈴木 壽君
林 虎雄君
市川 房枝君
政府委員
自治大臣官房長 松島 五郎君
自治大臣官房参
事官 山本 弘君
自治省行政局長 佐久間 彊君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
説明員
自治省行政局行
政課長 倉橋 義長君
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本日の会議に付した案件
○連合審査会開会に関する件
○地方行政連絡会議法案(内閣提出)
○地方自治法等の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/0
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001・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
初めに、連合審査会開会に関しておはかりいたします。ただいま建設委員会において審査中の河川法案並びに河川法施行法案につきましては、連合審査会開会の申し出を行なうこととし、開会の日時につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、さよう決することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/1
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002・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 御異議ないと認めます。
委員長は直ちにこの旨建設委員長に申し出を行ないます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/2
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003・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 次に、地方行政連絡会議法案を議題といたします。
前回に続き質疑を行ないたいと存じます。なお、本案につきましては、本日中に事実上質疑を終了することにいたしたいと存じます。それでは御質疑のある方は御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/3
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004・鈴木壽
○鈴木壽君 この前の委員会でもちょっと触れてお尋ねをしたのでありますが、最近広域行政ということが、何かこう一つのはやりことばのようになっておるわけであります。確かに広域処理をしなければならぬという仕事はあるわけなんでありますし、したがって、それにうまく対応できる処理の方式なり仕組みなりというものを考えなきゃならないと思うのでありますが、いまの国と地方——地方団体のうちでも府県あるいは市町村——こういう間における事務配合というものが非常にこんがらがったかっこうになっておる、こういう中で、何でもかんでも広域行政だといって、そのことについていろいろ論議が行なわれておるということは、私はどうも少しふに落ちないところなんであります。私は、広域行政の必要なものがあることも、いま言ったように認めますし、それをまた広域処理をしていくという立場を推進しなければならぬと思いますが、その場合に、たとえば府県同士の間における広域行政の広域的な事務の処理のしかた、あるいは市町村間における広域的な処理のしかた、あるいは市町村、府県をも合わせた意見での広域的な処理のしかた、こういうものを考える場合に、一体、何が府県の仕事であり、府県のなすべき業務であるのか、あるいは市町村が一体どの部面をほんとうに責任を持って担当をし、これを処理しなければならぬことであるのか、こういうことをいま少しはっきりさせないと、非常に混乱が出てくるのじゃないだろうかと思うわけなんであります。端的に、私結論めいたことを申し上げて、御意見をただしたいと思うのでありますが、そういう意味で、私は、よく言われることばで言う事務の再配分というものをなすことが先決問題じゃないのだろうか。そういうことに対して自治省はどのようにお考えになっておるのか。もし、事務再配分の必要性をお認めになって、これからそういう方向で進もうとするならば、どういう形でいまの事務再配分のことについて態度をきめ、あるいは方針をきめて作業をなさるのか、こういう点について、まずひとつお聞きしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/4
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005・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 行政事務の再配分の問題につきましては、御承知のように、かつて地方行政調査委員会議が勧告を出しております。その後十数年たっておりまするし、その間、わが国における社会的経済的諸事情の変化あるいは交通、通信の発達というものは、神戸委員会当時予想をいたしておりましたことをはるかに越えて、目ざましいものがあるわけでございます。ここで新しく地方公共団体の処理しておりますものにつきまして、国に引き揚げたらどうかという、いわゆる中央集権的傾向というものが出てきてまいったわけでございます。その場合に、先生の御指摘になりましたように、ただ事務の能率的な処理という観点から、ただ広域的な処理をすればいいのだという観点だけで華を考えてはいけないのであって、能率的な広域的な処理と同時に、やはり地方自治の立場から、できるだけ住民の身近かなところで、住民の意思を反映させながら、住民の批判と監視のもとに処理をさせていくという観点も忘れてはいけないと思うのでございます。そこで、私どもといたしましては、神戸委員会以後の十数年間の、先ほど申し上げましたような変化、その変化に伴いまして起こってまいりましたいわゆる中央集権化の傾向というものに対しまして、どういうふうに国、都道府県、市町村の間の事務の配分について、さらに再検討を加えていったらよろしいかということを問題といたしまして、地方制度調査会に諮問をいたしたのでございます。地方制度調査会におきましては、御審議の結果、昨年の十二月二十七日に行政事務再配分に関する答申を出されたのでございます。ただ、行政事務再配分につきましては、いろいろと検討すべき問題が多いわけでございますので、昨年出されました答申では、その基本的な考え方と申しますか、総論的な部分が述べられておりまして、具体的な事務配分の細目につきましては、さらに引き続き調査会で検討をするということを予定されているわけでございます。政府といたしましては、引き続きなるべく早い機会に調査会の委員を任命いたしまして、この検討を続行していただく、かような考え方をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/5
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006・鈴木壽
○鈴木壽君 地方制度調査会での事務配分の答申と申しますか、あれは私も一応見ております。お話のように、具体的な、細目的なものについては、いまこれはすぐ結論も出ないかもしれませんし、そういうことにも触れておりませんけれども、考え方としての方向といいますか、それは出ておると思うのでありますが、この問題について、私は政府部内で思想統一、意見の統一ということが非常におくれておるんじゃないかと思うのであります。確かに具体的なこまかいことについては、まだ答申をされておりませんが、方向は出ておる。しかも、その方向というのは、これは従来からいわれておるそれとあまり変わらないものだと思うのでありますが、そういうことに対して、政府部内で、はっきりしておらないところに、いまのいろいろな問題が出てきていると思うのであります。具体的に申し上げますと、政府部内で、一方には当然地方団体の仕事であり、地方団体が管理し、責任を持ってやるべき仕事であるというふうに考えられておるものを、そういうものを国のほうの権限に持ってこようとする、そうして、さらにそれを今度いわゆる縦割りというような形で、各省ばらばらな形で自分たちのほうの権限として吸い上げたものを、さらに一方は、自分たちの出先機関にその権限をやっていく。地方を、そういう中で、あるいはことばは少し悪いかもしらぬけれども、コントロールしていくような考え方が出てきておる。これは自治省はそうじゃなくて、あくまでも住民に密着する、そういう仕事というものは地方団体の仕事としておろすべきだと、こういう考え方を持っておられるようでありますが、一方、いま言ったように、別の省ではそうじゃない、こういうところがらいって、私非常に残念だと思うのであります。これはひとつ早急に——こまかい数限りなくあるというような事務をいま一々、何といいますか、これはこうだというふうな作業は、にわかにはできないかもしらぬけれども——少なくとも方針について、はっきりさせ、その方針にはずれるようなことを各省ばらばらでやるようなことについては、厳重にやめてもらうようなことをしなければ、何といいますか、いつまでたっても妙な形で、この問題が非常にすっきりしない形で残されていく、こういうように思うんですがね。その点はいかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/6
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007・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 御指摘のように、政府部内で各省それぞれの立場がございまするので、一つの事務を国に処理させるか、あるいは地方公共団体に処理させるか、あるいはまた国の地方出先機関で処理させるかということにつきまして、それぞれ意見の相違が、立案の過程におきましてありますことは、そのとおりでございます。私どもといたしましては、できるだけ地方制度調査会の答申になりました基本的な考え方に沿うて各省と折衝をいたして努力をしてまいっておるわけでございますが、しかし、地方制度調査会の答申も、まだ総論でありまして、こまかい部分が出ておりませんために、先生の御指摘のようなことがいろいろございますことは、そのとおりでございます。
なお、臨時行政調査会でも、事務の配分の問題を検討されておりまして、先ごろ一応の中間的な案が七人委員会に報告されたように伝えられておるのでございますが、この内容も地方制度調査会の答申と、大体基本的な立場は同じような方向のように拝承をいたしておるのでございますが、その正式の答申も得まして、さらにまた、地方制度調査会の次の検討も進みましたならば、政府部内におきまして、できるだけ一貫した、統一した考え方に立って善処するように私どもも努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/7
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008・鈴木壽
○鈴木壽君 局長お認めになっておられるように、いまのような状態で、このままにしておいて、さて一の都府県だけでは処理できない問題、二以上の都府県でやらなければならぬというふうなそういう問題を、協調連絡、協議をするというようなことをやっても、これはこの前にちょっと御指摘をしましたように、一体どの程度期待する効果が出るのか、私は非常に疑問だと思うのであります。その事務の再配分というのは、これ以上繰り返しませんが、市町村の事務は一体何であり、都道府県の仕事は一体どういうものであり、その反面、責任、権限というものをやった上で、いま具体的に、地方行政連絡会議法案について言うと、都道府県でやらなければいけない仕事だ、しかし一の都府県だけでばらばらにやったのではうまくいかないという、そういう問題は一体何か、こうならなければいけないと思うのですが、それをしないで、繰り返して申し上げますが、いまのままにしておいて、一方では、これは国の仕事だ、これは国の権限だ、こういうことの中でやって、そこで話し合いの場をつくって協調連絡と言っても、私はただ話題として出て、しかし結論は、ほんとうの意味での協調なり協議なりというものの成果というものは出てこないじゃないだろうか、こういうふうに思うのですが、私は協調連絡がぜひ必要だし、そういう場も必要だと思います。しかし、それはいま言ったように、いまのようなかっこうのこの事務配分のこういう姿、いま国あるいは地方団体の持っておる権限なりそういうものを混迷のままにしておいてのそれでなしに、いま言ったように、すっきりした形においてなされなければならないのじゃないだろうか、こういうふうに思うのですが、その点はいかがでしょう。いや、それでもやっぱりいまのままでもなお必要なんだという積極的な理由というようなこと、お考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/8
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009・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 御指摘のように、事務配分と並行してと申しますか、関連をさせながら連絡協議の機構を考えていかなければならないのじゃないかという点につきましては、私どもも同感でございます。で、この地方行政連絡会議で取り上げます問題につきましては、先般来いろいろ御審議をいただいておりますが、一例をあげますと、たとえば二つまたは三つの県に流域がまたがっているような河川の水の利用の問題につきまして、現状におきましては、関係の県の間におきまして、知事さん同士でまず話し合うということをいたしませんで、すぐそこの建設省の出先の地方建設局に話を持ち込んで、地方建設局が間へ入って両方の知事さんの意見を調整をする。さらに建設局で用が足りない場合には、建設本省にまで話を持ち上げてくる、そういうようなケースが一般のように思うのでございます。私は、そのような場合には、まず関係の知事さんでお話し合いをして、そうしてそれに地方建設局長さんに立ち会ってもらうことはもちろんけっこうであり、また協力してもらうことはけっこうでありますが、主体は、まず関係の知事さん同士で話し合うということが本来のあるべき姿ではないかと思うのでございますが、どうも関係の知事さん同士で話し合わないで、すぐ出先機関の仲立ちと申しますか、出先機関に入ってもらうとか出先機関を通じて話をするという、まことに水くさいようなことが行なわれておることが非常に多いわけでございます。いま一例を申し上げたわけでございますが、そこで、今度のこの連絡会議ができまするというと、だんだんいま私の申しましたような望ましい、まず関係の知事さんで話し合いをする、そこに出先機関の長も一緒に加わって、現地でできるだけ意見の調整をするということが、現状よりもずっと行ないやすくなるというふうに思うのでございます。現在は、隣合った県でございましても、すぐそういうことで国の機関に持ち込む、中央に持ち込む、こういうことで各省の縦割り行政といいますか、各省の出先機関の権限を逆に知事さんたちのほうから強化するように仕向けていくというようなきらいがなきにしもあらずと思うのでございます。そういう点の是正には、私は地方行政連絡会議は相当寄与する点が多いというふうに考えておるわけでございます。さらに、そういうことができませんと、向こうも、知事同士の話し合いがつかないからすぐその権限を国の機関に引き揚げなければいけないのだ、こういう議論が簡単に出てくるわけでございますが、このような連絡会議がもしできておりまするならば、これによりまして、逆に地方都道府県の権限を国に引き上げようという動きもチェックするという作用も期待できるように思うのでございます。そのようなことでございまするから、私は、この地方行政連絡会議が、御提案申し上げております内容でございましても、事務の配分につきまして、先ほど御指摘のございましたような傾向を是正いたします上に相当に寄与する点が多いというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/9
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010・鈴木壽
○鈴木壽君 いま例をあげておっしゃったこと、私はその限りにおいてはあなたのそれに賛成です。広域行政というものが、あくまでも地方団体の自主性といいますか、主体性を持って地域の住民の福祉、これはおそらく終局的なねらいでしょうから。そのために地方団体の、たとえば知事なら知事、そういう方々が集まっていろいろ話をする、こういうことをねらっている事情から、それはそれなり私は賛成です。
そこで、私は、あなたのいまのお答えの中からも当然引き出せる一つの結論になると思うのでありますが、その場合に、一体河川の水系なら水系、河川の開発利用、こういうものをやる、そういう問題について関係の都府県が話し合いをする、これがやっぱりほんとうだと思うのです。ところが、そういうことをねらっているのでしょうが、いまの会議法を見ますと、機械的なブロック制をとっていますね。機械的と言ってはあるいはことばが当たらないかもしれませんが、ブロック制をとっておる。私は、こういうふうなブロック制をとるのでなしに、問題ごとに、事務ごとに、いま局長がおっしゃったような協議の場をつくっていくということが効果的ないいやり方だと思うのであります。そこで、そういう仕事は、都府県にまたがるものは一体どの程度あるのかということは、私はやっぱり一応想定してかかる必要があると思うのです。あなた方専門家にこんなことを言っちゃ悪いかもしらぬけれども、自治法の第二条にあげられておるいろいろな事務ですね、こういうものをずっと見ていって、ここで、一府県を越え、二以上の府県にわたる事務、協同で処理をしなければならぬ事務、いわゆる協議的に処理をしなければならぬ仕事というのは、一体どの程度あるのかということを、私これを見て考えてみたことがあるのです、最近ですね。広い意味では、この仕事も、こういう事務も、隣の県とも関連をするというふうなのは拾い上げられると思うのですが、ほんとうの意味での二府県が協同処理をしなければならぬというようなことは、あまりないのですね、これは。市町村を越える地域のようなことになりますと、これは相当たくさんありますけれども、二府県にまたがってやらなければならぬというようなことは、ここにあげられたこういうものからしますと、あまりない。しかも、かりに、またがるようなことがあっても、それはそれなりに一応の話し合いをして、それぞれの県で分担をして仕事をすれば済むというようなものが大部分だと思うのです。そういう中で相当広い区域にわたるブロック制をとって広域処理をしなければいかぬから実際ここで話し合いをするのだ、協調をするのだ、協議をするのだという、こういう必要性が一体あるのかどうか、こういうことを私は端的に疑問に思います。何べんも申し上げますように、じゃ全然ないのかというと、それはあります。ありますが、それは、だから問題ごとに関係の府県が集まって協議をするその場合に、ぜひ国の出先機関の人たちからも来てもらって、そこで国との連絡協調を保ちながら相互間の協議をして調整をしていく、こういうことは、私必要だし、それがまたいい方法じゃないだろうかと、こういうふうに思うのですがね。こういうブロック制をとったために、この前にもちょっと指摘しましたが、非常に実情に合わない、また、無意味なところが出てきておるわけですね。北海道なんか一体地方団体相互間のそれが何があるのかと、こう言いたくなる。同じブロックでも、たとえば東北のをとってみた場合に、一体、新潟県と岩手県の間にどういう問題で、こういう中で話し合わなきゃならぬ問題が出てくるのか、長野県が関東ブロックに入った、関東ブロックに入ったんだが、しかし実際長野県が他の府県と一緒になって処理しなきゃならぬ問題は、別の部面にありますよ、この前、林委員が述べられておりましたように。その場合に長野県は、そっちのほうのブロックにも入ったらいいじゃないか、入れる道があるんだと、また入ることがいいんだと、こうおっしゃるかもしれませんけれども、どうも焦点がはっきりしてないものだから、こういうふうなことになってくるのですね。焦点がはっきりしないということは、一体、何を府県にまたがる広域行政としてやるのか、それがはっきりしないからこういうことになる。繰り返して申し上げますが、私は広域行政あるいは広域的に処理をしなきゃならぬ、こういう必要性も十分認めるし、それがより効果的であり、能率的であるということも認めるが、しかし、こういうかっこうの中では、効果は期待できない、単なる話し合いの場に終わってしまうんじゃないか。ですから、逆に言うと、こんなものをつくってブロック制にして、何だ、将来の道州制のステップになるんじゃないかというふうな勘ぐりも出てくるのであります。おそらくあなた方そんなことは全然考えていないとおっしゃるでしょうし、考えてもいないと思いますがね。依然として、いまやっぱりそういうふうな見方をしている人があるんですね。当初この案をつくって発表したときもそういう見方がありましたが、いまだって、どうも一体これをやっていってどうなのか、はっきりした効果も出ないし、ねらうその目的というものも達せられない、しかし広域的な処理は必要なんだというようなことで、道州制とまでいかなくても、何かこういう大きなブロックの区域の中で仕事をやったほうが能率的だというような考え方がだんだん進んでいって、一つの心配な事態が出てくるんじゃないかという、そういうことを考えている人がまだありますね。戦争中でもそうであったんじゃないか。なるほど調べてみたら、戦争中同じような名前のやつが出ておりますね。地方連絡協議会というものが昭和十五年にできて、それが地方行政協議会令というものが出まして、総合的に連絡調整をやらなきゃいかぬというようなことでブロック制、いまとは必ずしも同じじゃないけれども、そういうものがとられておる、だんだん戦争末期になると、これは、ねらいはもちろん違うのでありましょうが、形からすると、出てきた地方総監部とかなんとかいうものは、なるほどなと思わせるようなものなんです。そういう一つの過去のそれがあるものですから、なおさら心配なということが、やっぱり一部では私は消えないと思うのです。私自身は、おそらくそんなこと別にあなた方考えているとは思いませんが、何か焦点のはっきりしないものにこういうものをつくってやるのは、かえって変な誤解を生むのじゃないかと思うのですが……。で、結論的にもう一度お聞きしますが、さっきあなたがお答えになったように、水なら水の問題で、関係の都道府県が集まって、それに国の出先機関の長も当然入ってもらう、そういう形で具体的な問題ごとに協議をする場をつくるというようなことで考えられないものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/10
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011・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) ただいま御指摘のございましたこういう連絡会議のあり方を、問題ごとに機動的にそのつどつくっていくほうが能率的ではないかというお尋ねのようでございます。私どもが考えておりますのは、そういう問題があちらこちらに起こる、そこで、そういう問題について話し合いをする土俵というものをあらかじめ定めておくことが必要である、こういう考え方から、やや固定的ではございますけれども、九つのブロックに分けてそういう土俵を設けようとするのが趣旨でございます。先生御指摘のように、問題ごとに機動的にそのときそのときやっていったらいいではないか、これも一つの方法ではございましょうが、そういたしますと、その問題ごとに一体だれがいつどういう形で、その話し合いの場、土俵をつくっていくかということになりますと、制度的になかなか確立しにくい問題が起こってくるのではないかということも考えられるわけでございます。甲の団体は話し合いをしよう、乙の団体はいやだというようなことになりますと、なかなか問題ごとにそのつど土俵をつくっていくということはむずかしい問題があろうかとも考えられます。そこで、何度も申し上げますが、やや固定的ではございますけれども、九つの土俵をつくって、そこで問題があればいつでもその土俵の上で話し合いができるという体制をつくっておくことがかえっていいのではないか、こういう考え方でございます。しかし、そういう考え方をかりにとったからいって、先ほど御指摘のございましたように、岩手県と新潟県との間にどういう問題を話し合うんだというお話でございます。私も岩手県、新潟県の間に、そう共通の問題あるいは関連する問題が数多くあろうとは考えません。しかしながら、たとえば、私はしろうとでございますけれども、今日言われております農業構造改善というような問題につきましても、主産地形成というようなことがいわれております。その主産地形成というような問題を取り上げましても、単に一つの県の中だけで主産地をこうするんだ、ああするんだという議論をいたしましても、場合によっては井戸の中のカワズになってしまうわけでございまして、もっと広い、共通的な風土あるいは産業形態を持つ地域において、相互に、どこにどういう形でお互いに主産地形成を行なっていくかというようなことも一つの議題となり得るのではないか、そういう意味においては、岩手県と新潟県とは直接的関連はないにいたしましても、問題によっては大きな関連を持ち得るのではないか、こういうふうにも考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/11
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012・鈴木壽
○鈴木壽君 たとえばある問題について協議をしようと、一方がやろうと言っても一方がいやだと、こういうことがあっても困るというようなお話、まず土俵をつくっておこう。土俵の中に上げてやっても、一体いやなものはどうなるのか。それから例にあげました農業構造改善なり主産地形成の問題なり、これはそのブロックだけで、しかもブロックといっても地勢からいろいろ違う、気候からいろいろ違う、そういう中で、岩手と新潟の話だって、これは主産地形成のそれにはならぬ、もっとこれは国全体として計画的にやるべきことであって、あのブロック内でやったやつが一体どうなるのか、むしろそれよりも、新潟だけの場合は、長野なり富山なり、そういうところに密接な関係があるのだ、あすこは。岩手県とは、失礼だけれども……。それは新潟の人が岩手に行くという場合もあるでしょうし、多少は、そういうことはあるかもしれませんけれども、ほとんどそういうことは期待はできないと思うので、ですから、無理にそういう土俵というようなものをつくるよりは、私は、何べんも申し上げておるような形においてやるほうが、より効果的だと思う。その場合に土俵をつくればいいんじゃないですか。必要なものをつくる、つくった場合はこうしなさいと、たとえば連合方式だってそうでしょう。全部つくれというのじゃない。ただ、連合方式をつくってやった場合はこうだと、こういうことでしょう。あれは、最初、つくることを勧告することができるというような原案であったようであります。いま出ておりませんけれども、あれは、一律に、どことどこをつくれということじゃないです。しかし、やはり土俵はつくっておこうということでそういうことになった。だから、土俵のつくり方は、こういうブロックごとのつくり方もあるだろうと思うし、私の言ったようなつくり方もあるだろう。土俵のつくり方はいろいろありますよ。いい例は、いま言ったように、連合方式で考えられた場合が、そういう、どことどこをやれというわけじゃない。連合をつくった場合に、起債の面でも財政の面でもというようなことなんですね。それでいいんじゃないですか、この場合。協議会をつくった場合にはこうだと、私は、そういう意味では、どうも考えられたこれは、効果も期待もできませんし、単なる話し合いの場に終わってしまう。そういうことであったら、別に法律で、はっきりしたこういうものをつくらなくてもいいんじゃないか。法律をつくるなら、私は、もっとピントの合った、しかも効果のあがる、相当規制もできる、そういうものでなければならぬと思うのです。これでは、ちょっと規制もできませんし、規制をするというと、各省からいろいろ小言も出るでしょうし、なかなかこれでは効果があがらないのじゃないかということを心配をします。話し合いの場をつくること、それは私はけっこうだけれども、その場のつくり方というのは、いまのような形ではうまくないのじゃないだろうかというふうに思います。そのことにつきましては、私の意見になりましたから、申し上げないで、一応、あとのこともありますから、本日は、この程度で終わっておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/12
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013・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 次に、地方自治法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより、質疑を行ないます。御質疑の方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/13
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014・占部秀男
○占部秀男君 地方自治法等の一部を改正する法律案について、二、三御質問をいたしたいと思いますが、その前に、きょうは、結局、大臣が来られないので、大臣についての質問は次の委員会でやらしていただきたいと思います。
局長にお尋ねをいたしますが、今度の地方自治法等の一部改正の背景となっておる都行政の実態を、政府はどういうふうに考えておられるか、こういう点をまず最初にお尋ねしたいと思うのです。というのは、今日、都の行政は行き詰まっておるというふうに、あちらこちらでいわれておるわけです。この法律案の提案の理由の説明の中でも、こういうことが言われております。「東京への人口及び産業の過度集中が進むにつれて、都行政は質量ともにいよいよ複雑かつ膨大となり、一つの経営体としての円滑かつ能率的な運営が期せられなくなり、首都としてまた大都市としてその機能を十分に果たすことができない状態になっている」、そこで今度のこの改正案を出したのだと、こういうことになるわけでありますが、私は、この都の行政が、質量ともに膨大になっておるというようなこうした姿について、そのまま事実として認めたいと思うのでありますけれども、この行き詰まりの原因は、ただそれだけではないと思うのであります。むしろ現行制度のワクではおさまらない問題点が、今日都政の中には相当たくさんあるのじゃないか、それが結局行き詰まりの一つの原因となっておるのではないか。まず率直に言えば、現在の都、区の制度の骨格をそのままにしておいたのでは、少しぐらいの改正をしたところで継ぎはぎにすぎないような状態になっておるのではないかと、かような点を考えるわけなんでありますが、そういう点について局長はどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/14
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015・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 今回の御提案いたしております改正によりまして、首都の行き詰まりの状況といわれておりますものの改善が、これですべて解決するのだというふうには私どもも考えておりません。御指摘になりましたように、首都の問題というものはなかなか広範であり、かつ奥深いものでございまするので、これを解決いたしてまいります上におきましては、制度の上におきましても、あるいは運営の面におきましても、さらにまた、地方自治制度の面だけではなくて、国の組織や運営の面におきましても、いろいろ配慮しなければならない点が多いと思っておるわけでございます。ただ、まあそれらの問題を、あれもこれも一時に理想的な解決案を出しまして、それによって一挙に解決をするというような性格のものでもございません。そこで、今回御提案いたしておりまするのは、地方制度調査会から提出されました「首都制度当面の改革に関する答申」の御趣旨を具体化するということを主眼といたしております。この答申も、首都制度につきましては、さらに根本的に、恒久的な問題として検討すべきものがあるという前提で、しかし当面これだけの改革は早急にすべきだ、こういう御趣旨から提案がなされておるわけでございまして、今回の改正も、そのような当面早急になすべき部分を取り上げまして御審議をお願いしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/15
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016・占部秀男
○占部秀男君 そこでお伺いしたいのですが、提案理由の中に出ておる、「人口及び産業の過度集中」なんでありますが、具体的にいって、ここ十年ぐらいの間に東京都の人口はどの程度増加をしたのでありますか。これはこまかい点はけっこうです。ラフでけっこうでありますが、その人口の増加した中で、社会増と自然増の内訳はどのくらいになっておるか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/16
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017・倉橋義長
○説明員(倉橋義長君) 昭和二十二年におきまして人口は四百十七万一千七百十八人でございます。昭和三十年になりますと六百九十六万九千百四人でございます。昭和三十五年におきましては八百三十一万二十七人ということになっておりまして、三十六、三十七、三十八年と、推計でございますけれども、三十八年になりますと八百七十三万三千百十四人、こういうふうになっております。これは夜間人口でございます。いま手元に社会増、自然増の資料がちょっとございませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/17
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018・占部秀男
○占部秀男君 産業の過度の集中というのですが、これはまあ工場数の問題もありますけれども、生産額でこの十年間にどのくらいふえておるのでございますか。ラフでいいですから。なお、雇用人口がわかったら雇用人口のふえた姿もお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/18
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019・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 後ほど調べまして提出させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/19
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020・占部秀男
○占部秀男君 産業関係の問題点については、あとで資料をいただくとして、人口の増加だけを見ても非常に急激な増加をしておる。したがって、この人口に対する都のあるいはこの行政需要の傾向が、この人口の増加だけを見てもわかるわけでありますが、この行き詰まりの原因になっておるのは、一つにはこの人口増加から見てもわかるように、行政の広域化の問題が相当都行政の中にもあるのではないか。現在の都民の生活基盤が、現行の二十三区や市町村の区域内だけでは解決できない問題が、しかも質的に大きな問題がふえてきているのじゃないか。こういうことが、ちょっとこの人口の増加だけを見ても考えられるわけなんでありますが、そこで、やはり都制度なら都制度というものを解決する場合には、都政を都民のための都政とするために、そうした面についての配慮があるところの都制度の改革、こういうものが必要じゃないかと思うのですが、そういう点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/20
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021・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) その点はまことに御指摘のとおりでございまして、先ほど申しました地方制度調査会の答申におきましても、その最後のところに「東京への人口及び産業の過度集中を抑制するための措置を総合的に、かつ、強力に実施することが必要である。」と述べておるわけでございます。この点につきましては、御承知のようにすでに首都圏整備法ができまして、広域にわたって総合的な計画を立案をしていくということになっておるわけでございますが、さらに臨時行政調査会から、首都圏整備委員会の機構を中心といたしました国の行政組織の改善につきましても、先ごろ意見が出されておりまして、現在政府内におきまして検討中でございます。これは御提案いたしておりますような地方自治制度の改正に関連をいたしまして、ただいま申し上げましたような人口、産業の過度集中の抑制のためのいろいろな措置、あるいは国の組織におきまする改善の措置、これはぜひ並行して進めるべきものだ、かような考え方をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/21
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022・占部秀男
○占部秀男君 それからもう一つ。私は、行き詰まりの原因になっておる中に、国の仕事のあり方の問題があると思うのです。というのは、いわゆる都政ということ、都民が考えておる都政の中には、この事務事業の責任を持つ行政主体が、都の場合のほかに国があり、区があり、市町村がある。いろいろな面を、都民は一般的な形で都政という形で見ておるわけです。その中に、特にこれは市町村だけでなく、公共企業体や公社その他の仕事なんかも一部にはそういう感じで見られておるわけなんですが、一番この行き詰まりの原因となっておるのは、相互の連絡が現行制度のもとでは非常に欠けておる、その欠けておるところへもってきて、国が行政主体になっておるところの事務事業というものは、いわゆる縦割り方式で、何というか、なわ張り方式の問題があって、それが一つは都政の行き詰まりの大きな原因となっておるのじゃないか、かように私は思うわけなんです。したがって、この都制度を改革するためには、特に国の仕事のばらばらになっておる問題を、何とか総合調整するところの道を開いていかなければ、これは都制度の都政の行き詰まりというものが完全に解決はできない、かように思うのですが、そういうことについて、自治省としては、どういうようにお考えになっておるか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/22
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023・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) その点も御指摘のとおりでございまして、先ほどの地方制度調査会の答申におきましても、国におきまして各省の間の権限の調整ということを強力に進めていかなければいけない、これは都に対する各省の施策がばらばらで縦割りに行なわれているということが、相当東京都政の行き詰まりの一因になっておるというような点も指摘されております。それから、また先ほど申しました臨時行政調査会の首都行政の改革に関する意見でも、その点を指摘されておりまするので、私どもといたしましては、ぜひそういう観点からの国の機構面の改革も進めてもらいたいと思いまするし、現在政府部内におきまして、行政改革本部と申しますものが内閣にできております。これが臨時行政調査会の答申を政府としてどう扱うかを検討しておるところでございます。そこでただいまの問題も検討中でございまするので、私どももその一員になっておりまするので、できるだけこれらの答申の線に沿うた措置がとられますように努力をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/23
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024・占部秀男
○占部秀男君 それからもう一つ。私は、行き詰まりの原因になっておるのはこういうことだと思うのですが、さっき私は都の行政の中に、広域的な仕事が非常にふえたというか、質的に大きくなってきておる、こういうことを言ったのですが、その反面、区なら区で、区の仕事の範囲内で十分できる仕事が、いままで都の行政になっておって、都と区の間の事務体制の責任関係がやや不明確な点があったのではないか、こういう点については、むしろ区なら区に、はっきりと責任を持たしてやらせれば、もう問題点が相当解決する、そういうような問題点が相当あったのじゃないか、かように考えるのですが、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/24
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025・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) その点は御指摘のとおりでございまして、今回御審議をお願いしておりますものは、主としてそういう点で特別区の責任を明確にする、しかも、できるだけ特別区に責任を持たせるという方向で考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/25
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026・占部秀男
○占部秀男君 そこで、私はこの法律案を審議する前提として、首都圏制度について、自治省としての見解も伺いたいし、さらにまた、今度の国会へ出されると伝えられて、そのまま現在までは出ていないわけでありますが、例の連合法案についての、あるいはまた府県合併等のそうした方向についてもお伺いをいたしたいし、さらに、これは自民党の内部の問題ですが、二、三年前に岡崎試案なるものが出されておった、この行くえについてもお伺いをしていかぬと、実際この法律案の審議は十分にできないわけでありますけれども、これらの点については、やはり大臣にお伺いをしなければならぬ問題点であると思うので、これはまた二日の日にひとつこの点はやらしていただきたいと思います。
そこで、そういう問題を抜きにして、具体的に今度の法律案の問題点に入りたいと思うのですが、今回の改正の範囲についての政府の方針について私はお伺いをまずしたいと思うのです。というのは、首都制度に関するいろいろな答申あるいは論文あるいは意見等が、ここ数年の間、相当出されておるわけですが、まあわれわれがざっと見て、およそ公的諮問機関の答申であろうというものは四つか五つたしかあったと思う。一つは昭和三十七年の十月に出た地方制度調査会の首都制度当面の改革に関する答申、もう一つは同じ年の九月に出た都政調査会の、これはたしか都知事の諮問機関だと思うのです。首都制度に関する答申、それから特別区の議長の、これは区の諮問機関だと思うのですが、特別区議会、区政制度特別調査会ですか、何か区の諮問機関じゃないかと思うのですが、そこから出されておる三十六年の首都行政制度の構想、さらに近くは、今度の臨時行政調査会の首都行政の改革に関する意見、かように、私の知っている限りでも四つばかり答申案が出ておるように思うのです。このうち、なぜ三十七年の十月に出された地方制度調査会の答申によって今回のこの改正を行なわれたか、こういう点についてお伺いをしたい。というのは、この提案の理由の説明でも「一昨年十月、地方制度調査会から提案され提出されました「首都制度当面の改革に関する答申」の趣旨にのっとり、」こういうふうに言われておるわけですが、そういう点について、なぜこの地方制度調査会の答申だけをとって、これをやられたのか、こういう点についてひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/26
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027・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) ただいまおあげになりました四つの首都制度に関する答申あるいは意見でございますが、その中で、なぜ地方制度調査会の答申をとったかと、こういうお尋ねでございますが、都政調査会は東京都知事の諮問機関でございまするし、それから特別区議会の区政調査特別委員会は、これは特別区区議会の関係の機関でございまするので、まあ政府といたしましては、政府の諮問機関である地方制度調査会の答申を尊重をして立案をいたしたわけでございます。なお、政府の諮問機関といたしまして臨時行政調査会の意見があるわけでございますが、地方制度調査会は、同じ政府の諮問機関ではございまするが、その任務の範囲が違っております。地方制度調査会は地方制度を中心にいたしておりまするし、臨時行政調査会の意見は、首都に関する国の組織、機構の改善を中心にいたしております。そこで、私どもは地方制度調査会と臨時行政調査会とは、相関連させながら考えておりまするが、今回の地方自治法等の改正は、申すまでもなく、地方制度の改正でございまするので、地方制度調査会の答申をもとにいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/27
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028・占部秀男
○占部秀男君 どうもそれが納得できないのです。というのは、都政調査会は政府の諮問機関じゃないと言われるのですが、まあ諮問機関でなければしかたがないと言えばそれまでですが、そのこと自体にも私は相当問題があると思うのです。というのは、都政の改革なんです。しかも、都の知事の諮問機関である都政調査会が出されておる答申があるのだから、したがって、それをやはり一つのよりどころとして今度の改正案を出すのが私は地方自治に対する自治省の思いやりあるやり方じゃないかと思うのですね。それを、単にあれは都のほうの知事のやつだから、国のほうの諮問機関は地方制度調査会だというような、一片のことばだけでそういう態度をとるということは、私はどうも了解ができない。と同時に、いま臨調の問題に触れたのですが、確かに臨調は都制度だけの問題じゃありません。いろいろな問題があります。しかし、その中で、やはり都制度に対する問題点が、しかも区長公選というような、非常に大きな、区の性格にうらはらの問題が出ておる。この臨調はやはり政府の諮問機関である。そういうような場合に、この地方制度調査会だけを取り上げてということは、何か自治省として、自分たちの一つの、何というか、都制度に対するあらかじめ描かれた青写真があって、それに最も合う調査会の答申をとろうと、こういうことでやったんじゃないかというふうに、これはまあ私はひがみ根性かもしれませんが、都民の立場から、どうもひがんで考えるのですが、そういう点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/28
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029・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 別にそういうような偏見を持ってやったわけではございません。それで、都政調査会の審議と、地方制度調査会の審議は、ほぼ時期が並行いたしておりましたので、地方制度調査会の審議の過程におきましても、都政調査会の審議の状況には十分関心を払われまして、答申の時期もたしか都政調査会の答申が先に出まして、それも参考に検討いたしました上で、地方制度調査会の答申を出されておるわけでございます。したがいまして、内容の中で、たとえばいま先生のおあげになりました区長公選の問題につきましては、確かに都政調査会の答申と、地方制度調査会の答申と違っておりまするけれども、そのほかの点につきましては、非常に考え方なり具体的な提案なり似通っておると思います。これはただいま申し上げましたように、審議の過程におきまして、都政調査会の審議につきまして相当の関心を払われた結果でございます。それから、臨時行政調査会で区長公選のことを言うておるというお話がございましたが、臨時行政調査会の意見には、区長公選の問題は触れておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/29
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030・占部秀男
○占部秀男君 その点はあとにします。そこで、この当面の、さっき局長の言われたお話では、当面の改革であるということを言われておるわけです。それで、地方制度調査会の答申にも、この「首都の性格、区域、組織、権能等についての根本的な検討が必要であると考えられるが、緊急に当面のこれだけをやる」と、こういうふうに言われておるのですが、したがって、政府としては、この地方制度調査会のこれを取り上げた以上、根本的な首都の性格、区域、組織、権能等についての問題点については、早急にこれを検討して、改正案を出すとかなんとか、具体的な措置をするというふうに考えていいのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/30
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031・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 政府といたしましては、地方制度調査会に当面の改革についてだけ審議をしてくれということを限定をして諮問をいたしたわけではございませんで、首都制度全般につきまして諮問をいたしたわけでございますが、地方制度調査会の審議の過程を児ますというと、なかなか問題が広範多岐にわたりまするし、複雑困難な問題を含んでおりますので、さりとて、それら全体につきましてすっきりした結論を得るまで当面必要とされるものについても放置をしておくということは適当でない、やはり当面早急に措置すべきものについては、とりあえず切り離して実施をすべきだと、こういう御判断に立ちまして、当面の改革についての答申がまず出されたわけでございます。で、私ども政府側といたしましても、調査会のそのような御判断は適切なものであるというふうに考えまして、ただいまの法案を御審議をお願いすることにいたしたわけでございます。
そこで、根本的な事項につきましては、先ほど御指摘になりましたように、調査会自体といたしましても、さらに今後検討をするというお考えでございまするし、政府のほうにおきましても、根本的な問題につきましても、ぜひ調査会で今後御審議をいただこうということを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/31
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032・占部秀男
○占部秀男君 そこで、私は地方制度調査会と都政調査会のこの答申について二、三お伺いしたいのですが、この都と区の性格の問題については、この二つの答申はどういうふうな方向を示しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/32
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033・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 特別区の性格につきましては、地方制度調査会の答申も都政調査会の答申も、表現は多少違う点はございますけれども、考え方は大体同様であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/33
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034・占部秀男
○占部秀男君 同様であるというのは、どういう内容でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/34
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035・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 特別区の性格につきましては、従来からこれを自治区とすべきか、あるいは行政区とすべきかという議論があったわけでございます。現行はその中間と申しますか、いわゆる制限自治区ということで、自治区ではございまするけれども、東京都の特別区は二十三区が一体的な連帯性を持っておりまするので、その関係で、その権能につきましては普通の市町村よりも制限をされておると、かような意味におきまして制限自治区というふうにいわれておるわけでございます。その現行の考え方、性格につきまして、地方制度調査会の答申におきましても、それを妥当なものと判断をされております。それから都政調査会の答申におきましても、同様に制限自治区としての性格とするのだという考え方を示しておられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/35
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036・占部秀男
○占部秀男君 私は、いま局長は同様だと言われたが、私は同様でない重要な点が一つあるんじゃないかと思うのです。というのは、確かに都は完全自治区であり、それから特別区は制限自治区であると、こういうような扱い方をこの地方制度調査会のほうも、それからまた、都政調査会のほうもしていたと思うのでありますが、都政調査会の制限自治区というその内容は、これはその事務専業については制限、都区の一体性というような——これはあとで聞きますが——問題もあって制限はされておるけれども、区長は公選である、こういうような考え方で都政調査会の答申が行なわれているんじゃないか、そうなると、地方制度調査会の答申と、そうして都政調査会の答申とは、制限自治区という名前は同じであっても、その内容においては相当な開きがあるんじゃないかということを感ずるのですが、そういう点はどういうふうになっておりますか、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/36
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037・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 制限自治区という規定のしかたは同様でございますが、それではその内容についてどうかというお尋ねでございますが、内容は多少の違いがございます。その中で一番大きな違いは、御指摘になりました区長公選の問題でございます。しかし、この区長公選の問題につきましては、地方制度調査会の答申は、これはいけないと、こう言うておるわけではございませんで、制限自治区という性格を前提といたしまして、その場合におきまする区長の選任方法としてはどういう方法がいいかということを検討をしておるのでございます。ただ、地方制度調査会の答申におきましては、公選がいいというのと任命制がいいというのと両論があって、それぞれ一長一短があって結論が得られなかったようでございます。そこで、この区長の選任方法の問題につきましては、「特別区への事務の大幅移譲その他今回の制度改正について今後の運営状況を見たうえでさらに検討することが適当である」、かようなふうに述べておるわけでございまして、区長公選の問題につきましては、まだ基本的には答申は結論を出していない。現状においては、当面は現状どおりでいくのだ、こういうことでございますから、この点につきまして、都政調査会と性格の考え方について非常な違いがあるからそのような差異が出てきたのだというふうにも言えないというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/37
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038・占部秀男
○占部秀男君 私は、この現在の都政の行き詰まりを打開する方法としては、これはもちろん都政も区政も地方自治でありますから、団体自治の立場、住民自治の立場を貫いてまいらなければならないと考えておるわけですが、特に三本の柱があると思うのです。一つは、区長の公選の問題、二つは、財政権の自治というか、特別区の財政権の自治というか確立の問題、三つは、都区の間の事務事業の配分を、責任をはっきりさした配分を行なっていく。これがやはり、根本的な解決というわけではありませんが、当面の解決の問題としても大事な問題ではないかと思うのです。今度のこの法律案を通覧いたしますと、財政権の問題については、確かに従来よりは課税権もはっきりしてきたし、いろいろな点で特別区が自主的になった程度は強い、事務事業についても、これはあとで両方とも御質問はするわけですけれども、相当移譲になっておる。他の市に近くだんだんなってきておる、一般市にですね。そういう中で、区長公選が抜けておるということは画竜点睛何とか、仏つくって魂入れずとかなんとか、ことばはあるのですが、どうもそういうような気味がしてならないのでありまして、やはり当面の行き詰まりを打開するためにも、当該区なら区で、はっきりとできる仕事がたくさんあるのでありますから、それを住民自治の立場から、住民によって選挙された代表によってその行政が執行される、こういう方向をやはりとるべきではないかと、かように考えるのですが、この点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/38
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039・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 特別区の制度の改革につきまして三つの柱としておあげになりましたものにつきまして、私どもも重要な問題点、ポイントがこの三つであろうと思うのでございます。したがいまして、その三つにつきまして地方制度調査会におきましてもいろいろ御審議をいただいたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、今回の改正につきましては、あとの二つを取り上げまして、区長公選につきましては、さらに地方制度調査会の答申を待とうと、こういうことにいたしたわけでございます。それで、なお区長公選にすることが地方自治の立場からより適切じゃないかという御指摘でございまするが、この点、一般的に申しますと、そのとおりかと思います。ただ、特別区が先ほど申しましたような制限自治区ということでございまして、何がゆえに制限を受けるかと申しますと、二十二区が事実上は一つの大都市としての実体を持っておる、その部分的な団体という性質を持っておりまするので、そこで大都市の実体に即して統一的に一体的に処理を要する問題がかなりあるわけでございまするので、そういうものの処理を適切にいたしますために、都区間の協力をどういうふうにしていくのが一番いいかという観点からいろいろなある程度の制限が加えられておるわけでございます。ただ、私どもはその制限と申しますか、逆に申しますと区の自主性、自治権というものを、従来よりももっと拡充すべきだという考え方に立って今回の御提案をいたしたわけでございますが、区長選任の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、なおいろいろ議論がございまするので、地方制度調査会の御検討の結果に待つということにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/39
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040・占部秀男
○占部秀男君 私も都区の一体制というものを認める論者の一人なんです。しかし、それとこの区長公選とは、これは私は今度のこの法律案を出す場合に、別な扱いになっているんじゃないかということを実は考えておる。というのは、都区の一体性の問題はまたあとで触れますけれども、今度この法律案をずっと見ますと、都の行政は何といっても多くの問題をかかえておるので、この際、できるだけ区のほうへ事務事業等を移して、いわゆる都の行政そのものは非常に身軽にしていきたいと、こういうような、むしろ都の行政を身軽にするという考え方が先に立って、そしてこの法律案になっているんじゃないか、かように私たちは、これは勘ぐるわけじゃありませんが、どうも考えられてならないのでありますが、そういう点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/40
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041・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) これはうらはらをなす問題かと思うのでございまして、東京都が普通の府県と普通の市のやる仕事と両方かかえ込みまして、非常に複雑膨大になって身動きがつきにくくなっておる。それを負担を軽くして、もっと重要な、ほんとうに都としてやらなければならない仕事に専念できるように持っていくということは、確かに一つのねらいでございまするが、同時に、特別区に相当な責任を持たせて、その自治権を強化していこうということになるわけでございまして、これはまあ両々相まつ問題だというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/41
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042・竹中恒夫
○委員長(竹中恒夫君) 本案についての本日の審査はこの程度にいたしたいと存じます。
次回は六月二日火曜日午前十時開会の予定でございます。
なお、建設委員会との連合審査会につきましては、同二日の午後一時開会することに決定いたしましたので、御承知おきを願います。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614720X03519640528/42
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