1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月十二日(木曜日)
午前十時五十二分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 光村 甚助君
理事
鈴木 恭一君
寺尾 豊君
松平 勇雄君
委員
植竹 春彦君
野田 俊作君
最上 英子君
谷村 貞治君
久保 等君
永岡 光治君
横川 正市君
須藤 五郎君
政府委員
郵政政務次官 金丸 信君
郵政大臣官房長 武田 功君
郵政省簡易保険
局長 田中 鎭雄君
事務局側
常任委員会専門
員 倉沢 岩雄君
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本日の会議に付した案件
○簡易生命保険法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/0
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001・光村甚助
○委員長(光村甚助君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
簡易生命保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の、審査を進めます。
質疑のある方は御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/1
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002・横川正市
○横川正市君 最初に委員長から、私のほうで正式に速記に残して問題を明らかにしておきたいと思いますが、簡易生命保険法の一部改正法律案の審議にあたりまして、運用面でせひ参考人として聞きたいと思いますので、全国特定局長会の在京役員でよいと思いますし、それから特定局業務推進連絡会議の事務局長を当委員会に参考人として呼んでいただきたいと思います。その点については、後刻理事会でおはかりいただきたい。
まず第一に、私のほうから保険局長にお伺いをいたしますが、もうすでに他の委員から何回か質疑が繰り返されておりますが、依然として明快になっておりませんのは、簡易保険事業の経営者の立場で加入者の利益を守っていくという、そういう大きな立場から見ますと、郵政省対大蔵省との関係というものは、まだ未解決、未処理事項というものが非常にたくさんあるように思うわけであります。きょうは、おもにひとつ郵政省の立場から対大蔵省との折衝過程について順次お伺いをいたしたいと思います。
第一は、先般私から問題を提起をいたしました簡保資金が運用部資金の運用比率の中で逐次その比率が減少していくということは、これは資金の統一運用面から見て好ましいことではない、こういう考え方を大蔵省は持っているようであります。しかも、それは一貫したものの考え方だと思うのでありますが、そういう考え方の中でも、政府資金としての適切な運用範囲については根本的に検討する要がある、こういうふうに言っていることは、前回も指摘をいたしたとおりであります。
そこで、郵政省としては、大蔵省の言う政府資金、いわゆるこの統一資金の問題として適切な運用範囲を根本的に検討するという考え方に対して、どういう案をお持ちになっているか、これをひとつ具体的にお示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/2
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003・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) 政府資金ということばの解釈の点において、私どもと大蔵省とは相当の食い違いがあると思っております。国営事業であるたてまえ上、簡保の積み立て金あるいは余裕金は政府資金でないとは言えないと思いまするが、やはり簡易保険事業という卒業を経営する立場から申しますと、一般の政府資金とは性格的に異なる点がある、加入者の信託財産であると、こういう私どもは立場に立っておるわけであります。したがいまして、財投計画を組む場合に、もちろんわれわれといたしましては全面的に協力はいたしておりまするが、政府資金であるからということで加入者の立場を考慮しないということにつきましては、われわれとしては納得できない面があるわけでありまして、常に加入者の利益ということを主眼として運用をはかるというのがわれわれの立場でございます。こういう考え方から、先般、電力債に対する運用範囲の拡張ということで法案審議をいただき、これが昨年成立いたしたのでありまして、その面におきましては、現在資金運用部資金の運用範囲から一歩踏み出したという点に私どもは大きな意義を認めておるのであります。
それで、その電力債に出たということの意義は、結局有利な運用ということがあげられますが、それとともに、それだけ範囲が拡張されたと、われわれの携わっておる郵政事業と性格的にも非常に似通っておる電力事業というものに対して資金が運用されるということに非常に大きな意義があると思うのであります。現在、私どもは、運用のあり方といたしましては、積み立て金運用の範囲拡張ということと余裕金の直接運用と、これが二つの大きな眼目になっておるわけであります。運用範囲の拡張という面におきましては、まあ電力債は公益事業社債のほんの一部でありまして、ほかにも公益事業社債というものはかなりあるわけであります。そういう方面にさらに範囲を拡張いたしたい。それから、できますれば、戦前には重要産業の株式にまで運用しておったのでありまして、こういう方向に将来進んでまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/3
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004・横川正市
○横川正市君 そこで、郵政右側の考え方については一応説明で納得をいたしますが、その考え方に基づいて大蔵省と折衝をして、それを実現する段階で、たとえばいまの電力債への短期融資がきめられる過程で、郵政省としては長期運用についても考え方としては持っておったんじゃないかと思うのです。その長期運用については、大蔵省は、もうすでに再び議題に上がってくるような、そういうことのないように全くこれは否定をしたものなのか。それから、そうではなくて、まだ未定事項なのか。この点について、おそらく当面情勢としての判断の中には、社会保険制度とか、厚生年金の給付内容の向上改善等とか、運用制度の改善や、単独運用論であるとか出てきたときに、それが関連をされて拡大をされるということを阻止するために、予防的な見地から大蔵省としては非常に強い否定的な態度に出たのではないかという見方もあるようですけれども、郵政省としては、この長期運用についての折衝の余地――まあ、政府案として法案を提出するに至るまでの間における最も重要な折衝相手であります政府間の折衝で、これは未定のものとしての折衝の余地があるのか、それとも、もう全然否定をされて折衝の余地がない、こういうふうに考えられておるのか。その場合に、もし否定されたものであったとしても、私は、独自な郵政省の立場からすれば、再度この問題を提起する、そこまで否定をされたとは思わないのでありますから、そういう事態に対処して郵政省としてはどう処置をとられるのか、説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/4
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005・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) 大蔵省との折衝の過程でありまするが、これは、私ども事務当局の折衝の面にどういう状況があったかという点について御説明申し上げたいと存じます。
電力債につきましては、われわれ長期運用ということを初めから主張しておったのでありますが、大蔵側は、運用範囲の拡大ということにつきましては初めから反対しておりまして、もちろん、もう電力債につきましては、長期、短期というようなことなしに、初めから反対というような立場にあったわけであります。両者の対立がありましたので、たまたま資金運用審議会におきまして、当時貯金の問題もありましたので、まあ一種のその間の仲介をとるような形になりまして、運用審議会の決議というものがなされたのであります。その際、審議会におきましては――もうすでにその前に、審議会は、簡保の資金は適当な機会に公益事業社債にまで範囲を広げるのが適当であるという意見は出されておったのでありますが、先般の審議会におきましては、現段階においては短期運用に限定すべきである、こういう意見が出されたのであります。
で、われわれ郵政、大蔵ともに、この審議会の決議を尊重いたしまして、短期運用ということに決定を見たのでありますが、さらに、その法文の構成という面でまた問題があったのであります。で、まあ最終的には、法文の形におきましては、短期とか長期とかいうことには一切触れず、いままでの条文にのっとった改正がなされたのでありまして、ほんとうに形式論的に申しますると、長期、短期というようなことは、法文の上からは何も出てこない。したがいまして、法文の面からは、長期に出ても一向差しつかえはないような形になっておるわけであります。で、大蔵のほうといたしましても、一応その審議会の意見は尊重したのでありまするが、ただ問題は、現段階においてということばの解釈がやはり相当われわれとは食い違っておりまして、まあ、最初は完全に電力債の長期運用については否定の立場に大蔵はあったということは確実でありますが、現在、審議会の意見をどう解釈するか、現段階というのは一体、いつからいつまでかということ、いろいろ問題がありまして、まだ大蔵としては、いま長期に出るということについてはなかなか賛成はしておらないのであります。ただ、完全に否定し去ったともわれわれは言えないというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/5
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006・横川正市
○横川正市君 そこで、この法案提出にあたっては直接な関係がなかったので、おそらくこれらの問題については折衝を持っておらないのかもわかりませんけれども、私は、やはり常時安全で有利だという方向に向かっての窓口を広げていくためには、折衝を持つべきではないか、その折衝を持った過程の中で相手側が少しずつでも譲歩をすれば、それだけ加入者の利益に結び付くわけでありますから、その努力は郵政省としてはすべきではないか、こういうふうに思っているわけでありますが、ただ、大蔵省のいう、公益事業債に国が直接財政資金を運用するということは、これは窓口が一本でなければ資金のロスを招くだけであるという考え方が相手側に一般にあるようです。この考え方に対して、郵政当局としてはどういう説得をされておるのですか。いわゆる窓口は一本でなければ資金のロスを招くという考え方は、戦前には非常にこれが中心になっておったと思うのです。運用再開後は、逐次、これが本来の姿で資金を運用するということで、この考え方とは非常に私は違った方向にやはり事業体としては動いているというふうに思っているわけでありますけれども、やはり大蔵省の考え方の中には、一貫して窓口一本論と資金のロス論、あるいは財投計画資金の国策化というようなものがあるように思われるわけでありますが、先ほどの局長の答弁の中にも、財投には協力は惜しまないがという、そういう気持ちの表現とあわせて、ちょっと私どもは納得しがたいわけです。もちろん、財投に非協力だということではないのでありますけれども、財投に協力をするということと、加入者に対する利益をもたらすということとが、これが相いれない場合には、私はやはりき然とした態度が郵政省には必要なんではないか、こう思うわけでありますが、いままで一貫して持ち続けております大蔵省のいわゆる資金ロス論、こういうものに対して、郵政としてはどう対処されているか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/6
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007・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) 資金の運用を一元的にやる、それをしなければ資金のロスか生ずる――大蔵省の主張であります。これを、資金を運用する場合に、かってに、もう自由自在に金を貸し出す、その対象がダブるというようなことになりますると問題があると思いますが、現在のやり方におきまして、資金のロスというのがどういう点にあるのか、われわれとしては理解できないのであります。実際に現在運用する場合には、一応財投というものに組み込みまして両者の分担を決定いたします。それから現実に運用する場合にも、絶えず大蔵側と協議をして実施するということになっておりまするので、何らそこにそういった弊害というものは見られないというふうに私どもは考えておるのであります。
で、財投に協力という点でありますが、財投の中に組み込みまして資金を運用する場合の運用の対象、これを見てみますると、いわゆる資金の運用の原則は、有利確実に加えまして、公共の利益という点がはっきり明示されております。で、公共の利益という面に立ちますと、現在の財投の運用対象は、かなりそれを充足しておるところでありまして、また、地方還元というような意味合いも十分に果たし得る。われわれとしては、現在の運用対象は非常に好ましいものであるという立場から、現在の財投ワクというものを十分に承知した上でやっておる、こういう考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/7
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008・横川正市
○横川正市君 私は、在来金を持ったほうの役所が強くて、金を持たない役所は弱いという、そういう弱い強いで表現すれば、そういう表現を使えるんじゃないかと思われる。そのあらわれが、大蔵省が予算を持っているから、非常に各省に対しても何か優位に立った役所のように印象づけられております。そのために、相当な無理も各行政官庁にしいるわけですが、簡保資金とか郵便貯金の積み立て金とかの立場は、実はひさしを貸しておもやを取られたような感じがしないでもないと思うんですね、実際には。ですから、もう少し積極的に、事業あって財投計画とか資金運用とかいうものがあり得るわけですから、事業中心主義に考えて、いま、もう一般の加入者というのは、この前永岡委員も具体的にその例をあげておりましたけれども、毎月の支払われる金のどうなるかは、そろばんや計算尺を入れて預けているという時期なんですから、事業経営というものはますますむずかしくなってきていると思うんです。そういうむずかしくなってきておる経営を維持していくためには、これは何といっても、自分で独自で運用できないわけですから、そうすると、当面やはりひさしを貸しておる大蔵省と、その点について話し合おう、ところが、相手側は国策論を持ち出してくる、資金の統一、一本化を持ち出してくる、それに対して事業本位の立場から折衝するということになれば、一体どうあらねばならないかということは、もっと積極的な意見であらわされていいのじゃないかど私どもは思うわけです。これは、郵政省という、非常にいわば民主化され過ぎた役所というのですか、非常に一般大衆とは窓口を通じて密着しておる役所、こういう空気からか、主張するところはあまり主張しないでいるような気がしてしかたがないわけなんです。ことに、先ほど局長のほうでは、公益事業債は電力債ばかりじゃないので、その他にも広げていきたい、あるいは重要産業の株式投資も行ないたい、こういうふうな意見も持っておるようですが、大蔵省の意見は、直接民間企業と資金関係を持つことは絶対好ましいことではないという考え方が一貫してあるようです。そうすると、一体、こうしたいというのと好ましくないというのと、資金のいわゆる運用問題では、これから安全有利に拡大しようというところに必ずぶつかってくる問題だと思うのですが、その点をはねのけないまでも、譲歩させていくという、そういう考え方というものはあると思うのですね。それを実行に移すのには、どうやろうとしておるのか、それを聞きたいわけですよ。それがはっきりしないと、当面は、実際上は短期電力債等の運用である程度の高率利回りを得ておるからこれでいいと思わないで、これで味をしめたわけじゃありませんが、当然の姿としてさらに拡大したい、こういう考え方になるのは当然だと思う。その点をひとつはっきりと表明しておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/8
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009・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) ただいまのお話のように、私どもは絶えず努力を続けておるつもりでございますが、特に問題が具体化するのは、翌年度の財投を組む場合でございます。この際には、われわれとしても運用の原資を持っておるわけでありまして、それが財投のワク内でどういう対象にどういうぐあいに運用されるかという点につきましては、われわれとしての独自の計画を立てまして大蔵側と折衝する。その際に、必ず懸案の問題もそこに出されまして討議がなされるということでございます。残念ながら、われわれの考え方がスムーズに実現される段階に至っておりませんで、きわめて緩慢な姿で少しずつ前進していっておるというのが現状でございます。
まず、問題になりますのは、いきなり運用範囲を相当程度拡張したいという点、これは法律改正になるわけでありまするが、それの折衝とともに、少しでも運用利回りを向上する方策、たとえば、利回りのよい分野に対する運用の資金を増大するということも一つの方法でありますし、また、特利の問題につきましても、これは懸案事項になっておりまして、余裕金のことでありまするが、これも一つの問題になっているということであります。ただ、現在資金が逐次集中満期のために減少する傾向にある現在、なかなか従来にも増してその折衝面では困難な面があるというのが実情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/9
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010・横川正市
○横川正市君 政務次官は大蔵大臣と非常に話のできる立場にあるわけですから、いまの大蔵大臣は、郵政大臣のときには運用の問題についてはきわめて積極的だったわけです。大蔵大臣になると消極的になるというのを同僚議員から指摘を受けたこともあるわけですが、立場変われば考え方も変わってしまうのでは困るのですね。この問題はひとつ常時接触を持っておいていただきたいと思います。
そこで、その次の問題ですが、いま局長さんの言われた預託の余裕金に対する特利の制度――これはどうも特利制度なんというものは、実際上は便法的で、どうかと思うのですが、やむを得ざるものとして特利制度ができたのじゃないかと思うのですが、その現在の状況と、それからその特利によって、どの程度のいわゆる追加を郵政省としてはもらっているのか、ここ一、二年の内容をちょっと御報告をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/10
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011・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) 大体、三十六年度から申し上げますと、新規積み立て金が千百八十億、そのうち、特利の対象になるものが千百二十億、大体比率にして九四・八%であります。で、全体の運用収入のうちの三・三%が特利の割合、こういう状態でございます。三十七年度は、全体の比率に対しまして特利の対象になるものが六八・六%で、運用収入のうちの二・四%というふうに逐次減少をいたしております。三十八年度は、推計でありまするが、この比率は二九・五%で、運用利回りのうちの一・一%、三十九年度、四十年度になりますと、これがゼロになってしまいます。四十一年度に初めて特利部分の運用利益というものがまたそこから出てくる、こういう姿になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/11
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012・横川正市
○横川正市君 大体は、郵政の考え方としては、この余裕金はどうあったらいいというようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/12
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013・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) 余裕金は、名前は余裕金でありまするが、保険事業にとりましては積み立て金と全く性格が同じものであるので、積み立て金がわれわれで直接運用しているように、余裕金もわれわれの手で直接運用したい、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/13
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014・横川正市
○横川正市君 それに対する大蔵当局は、余裕金については、郵政の言うようにこれを手放すというようなかっこうにはなっておらないんですね。現状そのまま持ちたいということですね。これは一体、あなたのほうでは、積み立て金と同様の性格のもので区別することはできない、単なる会計上、経理上の技術的な区分にすぎないんだから、本来収納された保険金については、これは責任準備金、その他利回りのいいものに運用するということで一本化したいという考え方ですが、これなんか、折衝過程で、ゼロになる四十年は解決の時期じゃないかと思うんですが、どうですか。これはまた、そこから生まれてくる余裕金にたよるということですか。もういまでさえ、当初のうちの十分の一近い金になってしまっているわけですから、もう解決をする、郵政の言うように、積み立て金と同様区別をしない、こういう取り扱いにすべきだというふうに思うんですけれども、この点はどうですか、非常に困難ですか。それとも、そういう方向にありますか。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/14
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015・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) 余裕金が減少いたします三十九年度、四十年度、これは全体に対する影響が非常に少ないという立場から、われわれの主張を認めてもらうよい機会であるというようには考えております。ただ、国庫余裕金の一元運用ということは、大蔵省としても非常なかたい決意でこれを堅持しておるような状況でありまして、なかなかこちらで自主的に運用するというように持っていくには非常に困難があるというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/15
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016・横川正市
○横川正市君 政務次官、どうですか。これ困難だということですがね。私は、全体に占める割合からすれば、たいした金ではないということだけでは済まされないと思うので、これはひとつ、事務当局にまかせないで、政治の面で折衝する問題だと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/16
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017・金丸信
○政府委員(金丸信君) 局長がお答えになったわけでありますが、まことに困難な問題で、事務当局ばかりにまかしておくというわけにもいかないと思います。よくひとつ努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/17
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018・横川正市
○横川正市君 郵便年金の積み立て金の運用についてはある程度幅があるわけですが、これはどういう理由なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/18
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019・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) 年金につきましても、保険と、運用の範囲その他すべて法律に規定されておる面は同様であります。ただ、その運用の実施の段階におきまして、なるべく有利な面に年金の金を回すということをやっておりますために、保険に比べて年金の運用利回りが高いという結果になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/19
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020・横川正市
○横川正市君 そういう考え方で簡保資金も運用できないんですかな。何か違うところがあるんですか。簡保資金のワクと年金の資金のワクとの間に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/20
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021・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) 運用の範囲は多数ございますが、その対象によりまして利回りが違っております。で、この利回りの多いものだけに、すべて、保険にしろ、年金にしろ、資金を回すということになりますれば、かなり利回りの向上ははかれるわけでありますが、利回りの低い、たとえば地方公共団体といったようなものに対する貸し付けというものは、これは単に利回り向上ばかりを考えるわけにもいきませんで、別の観点に立ってその必要性が認められるわけでありまするので、全体としては平均した利回りに落ちつく。ただ、年金の資金は、額にしても少額でありまするし、年金事業の性格から、このワクのうちの利回りの高いものに年金部分のものは充当する、こういうやり方をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/21
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022・横川正市
○横川正市君 この保険勘定の長期運用の中の、株式に一割四分九厘で少々回っておりますが、これは、会社その他は明らかにできますか。株式投資の内容。三十九年の二月の二十八日にもらいました資料によりますと、有価証券のうちの株式が一割四分九厘。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/22
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023・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) 株式は、これは戦前に運用したといいまするか、買い入れたものがそのまま残っておりまするのと、それから増資部分の引き受けということは現在やっております。それがそこへ出ておるのであります。内容は九電力とか、日通関係でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/23
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024・横川正市
○横川正市君 この契約者貸し付けのこれは四分五厘から六分というのはわかるわけですが、公共貸し付けの三分五厘から六分五厘というのは、これはどういう運用なんですか、公共貸し付け。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/24
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025・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) その低利のものは、戦前に貸し付けたものがそのまま残っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/25
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026・横川正市
○横川正市君 そうすると、まだ未回収のもので、長期にわたっているため、いまもって返還されていないものと、こういうふうに理解していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/26
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027・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/27
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028・横川正市
○横川正市君 資金運用部預託金の積み立て金の四分五厘から六分というのと、余裕金の二分から六分というのは、これはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/28
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029・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) 資金運用部に預託した場合に、預託の期間によって利率が違います。その低利のものは、短期の預託のものが低利になっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/29
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030・横川正市
○横川正市君 短期のものというのは、取り扱い、その期間経過の中の特別利率ですかね。そうでないと、二分というのは大体どういうあれでできるのか、ちょっと理解できないのですがね。余裕金の場合に、二分から六分というのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/30
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031・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) 三ヵ月未満で払い戻すといったような場合には、そういった低利のものしかつかないことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/31
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032・横川正市
○横川正市君 そうですが。金を借りる場合は、年利率幾らで月計算をするから、利率については何分何厘というのは変わらないのであって、短かければ利子がよくなるというのは率からいけばおかしいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/32
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033・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) 現在の預託の利率は、預託期間によりまして違っておりまして、それが長期になるに従いまして利率が上がると、こういうたてまえになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/33
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034・横川正市
○横川正市君 それは結局、大蔵省に預けられたもので、これに特利がつくことにたるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/34
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035・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) 先ほどのあれをもう一回申し上げますが、三ヵ月未満のものは年二分、それから三ヵ月以上一年未満のものが年三分五厘、それから一年以上三年未満のものが四分五厘と、こういうことになっております。それで、私どものほうの預託は、非常に長期に預託するというものはございませんで、一年以上三年未満のもの年四分五厘、これに一分五厘の特利がついて六分と、こういうことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/35
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036・横川正市
○横川正市君 金利の面から考えても、これは操作とか、それから何といいますか、時間的な経過とか、そういったものがあって、実際上運用の資金としては考えられない性格のものととられているからこういう取り扱いを受ける金かとは思うのでありますけれども、先ほどの郵政省の方針に基づいて、こういうものは私はなくするのが当然だと思うのですがね。どうですか、こういう安い金利で、金はたいしたことはないかもしれないけれども、置いておくということは、どうですか、保険局としては、しかたのない金ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/36
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037・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) 余裕金に対する考え方は先ほど申し上げましたとおりでありまして、われわれのほうで自主的に運用いたしますれば、最低でも六分五厘に回る、現在、特利がつきましても六分にしかならないということで、私どもといたしましては、極力自主的に運用し得るように努力をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/37
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038・横川正市
○横川正市君 この放送協会への貸し付け金については七分五厘というのですが、この場合は、放送協会の債券か何かの取り扱いですか、それとも、公共事業に対する貸し付けですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/38
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039・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) 債券の引き受けでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/39
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040・横川正市
○横川正市君 郵政事業から始まって国鉄、電電、それから公庫、農林中金、中小企業、住宅公団、全部大体六分五厘というふうに相当な金が回っているわけですが、この場合、たとえば中小企業公庫とかそれから農林公庫、それから電電、国有鉄道それから郵政事業と、それから住宅公団とか住宅公庫というようなものと、ほとんど一緒に取り扱っておるわけですが、これは金利としては最高額、一般貸し付けとしては最高額で、これ以上は利子は取れない、こういう金の性格なのか、それとも、取れるけれども六分五厘を最高としておるのか、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/40
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041・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) 貸し付けの面では大体六分五厘になっておりますが、これは、運用、審議会で決定されるものでありまして、貸し付けを受けるほうの経理内容あるいは予算編成といったような面から、六分五厘というものがきめられておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/41
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042・横川正市
○横川正市君 地方債と金融債の場合には、長期での運用というのはないのですかね。これ全部短期に回しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/42
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043・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) 現在は全部短期でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/43
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044・横川正市
○横川正市君 そうすると、地方債、金融債、の場合は、いま七分三厘で回っているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/44
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045・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/45
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046・横川正市
○横川正市君 地方債、金融債の貸し付けば、やはりそれぞれの地方における起債のワク、自治省のもの等を仲介に入れて貸し付けられている金ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/46
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047・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) これは債券の引き受けという形でありまして、一般の市場を通じて引き受けるという方法をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/47
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048・横川正市
○横川正市君 そうすると、これは、郵政が選択をして、そうして随時引き受けるというふうになっておるのですか。それとも一定ワクで引き受けるということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/48
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049・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) 現在は短期運用でありますので、資金繰りを考慮いたしまして判断をするわけでありますが、金融債の引き受けの総額といったようなものにつきましては、通用審議会あるいは大蔵省というところと協議して実施するというたてまえになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/49
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050・横川正市
○横川正市君 そこで、この問題は郵政大臣がいれば一番いいわけなんですが、「運用対象は郵政大臣が郵政審議会の意見を聞いて定める」ということになっておるわけですが、その郵政大臣の権限内応に対して、大蔵省あたりでは、「国全体のなかにおける郵政省の権限、郵政審議会の機能から見て問題である」、こういう指摘を行なっておるわけなんですけれども、これは、そのいわゆる固有の郵政省の権限か、あるいは未知数な能力か、いずれにしても、郵政省の権限という問題と、それから郵政審議会の機能から見ての問題、こういうふうに指摘をされる点について、これは郵政当局としてはどう考えておられるのか。私は非常にふしぎに思う意見だと思ったので、一応指摘をされた事項の中に入っておりますのでお開きいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/50
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051・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) 積立金の運用に関する法律にも、はっきり第二条に明示されております「積立金は、郵政大臣が管理し、及び運用する。」。で、その際には資金運用審議会の議を経るというたてまえになっておりまして、その積み立て金の運用に関する権限は、これは郵政大臣固有のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/51
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052・横川正市
○横川正市君 私はそう思うのですがね。大蔵省は、それが問題があるから、公益事業社債運用等のいわゆる運用拡大については、運用対象をきめる郵政大臣、郵政審議会というものそのものに機能から見て問題がある、こういうふうに言われているわけなんですが、この「機能から見て」というのはクエスチョン・マークですから、能力の問題になるのではないか。郵政の権限ということになれば、これは固有の権限で、権限内か権限外かということになるのではないかと思うんですけれども、両者あわせて、「国全体のなかにおける郵政省の権限」と、それから「郵政審議会の機能から見て問題である」と指摘されている点について、郵政省はどうお考えになりますかと、こう聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/52
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053・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) 郵政省が、そういった、たとえば電力債に対する運用といった面、あるいは能力がないようなことを言われてはまことに心外でありまして、これは十分能力があると思っております。電力債の引き受けの際には、われわれといたしましては、電力会社を直接相手にして金を貸すとかなんとかいう意思はなかったのであります。現在も持っておりませんが、その点を心配しまして、直接その民間会社と取引をするようなことは好ましくないという気持ちはそこに反映したと思っております。それから郵政審議会でありますが、これは念には念を入れて、そういう電力債に資金を出すといったような場合には郵政審議会にはかるということをわれわれとしては提案したのでありまして、先の郵政省のやり方というものに対する誤解からそういうことが出てきたと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/53
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054・横川正市
○横川正市君 大体ですね、この運用関係について大蔵省の考え方の側面と、それから郵政省が従来持ち続けております運用拡大についての違いについて明らかにしながら、将来もっと努力をしていただきたい点を逐次お聞きをいたしたわけですが、全体とすれば、私は、やはりこの国策的な運用での傷あとがまだ相当深い事業体であり、それから逐次民間と簡易保険との、企業との差というものが消滅してしまって競争関係にあるという、そういう企業体であるという点、こういった点から勘案してみて、この運用というのは、私は、独自な性格を持って、もっと活発にやってもらわなければいけないのではないかと、こういうふうに考えますので、この点については、ひとつ特段に将来、最も近い時期から活動を起こしていただくように、この点については強く要請をいたしておきたいと思います。
そこで、私は、年来、簡易保険の国営事業としての特殊性という問題では、できれば、加入者の零細資金を集めているわけですから、還元方式をとるという意味もありまして、各県に一ヵ所くらいな簡易保険の診療所を設けて、そうしてこの加入者に対する健康診断を無料で行なう程度のものはやったらどうか。いま、診療自動車で一応サービスはいたしておりますけれども、それをさらに強化をする必要があるのではないか。この点が第一であります。
それから第二には、これは料済み保険その他によって損失をかけない方策は一応とられておりますけれども、私どもの経験からいきますと、失効、解約の出てくるのは、保険がきらいであるとか、無理募集をしたとか、そういったいろいろな理由があるのも中にはありますけれども、大体は、保険に入っておかなければいかぬとは思いながら、たとえば季節労働者の場合とか、あるいは急に収入が変動したというような場合には、不本意ながら失効、解約に持ち込まれる場合があるわけです。そういうようなものは、だいぶんこれは雑費か何かの経理で資金的には入ってきているのではないかというように思いますが、一回の契約に対する事業費その他から勘案してみると、得にはなっておらないという状況もあるかもわかりませんけれども、これらの金を、私はこの取り扱いとしては、失効、解約ではなしに、いつの時点であっても、それがたとえば死亡町には、あるいは満期期間においては、本人にその貯金利子くらいなものをつけて返せるというような制度をとったらどうだろうか。睡眠原簿が相当たくさんできるから、人員や経費の面であるいは多少かかるかもわかりませんけれども、そういう取り扱いをして、簡易保険に関する限り失効、解約というものは絶無なんだ、こういうサービスをすることも、わずかな金をかけたものの権利を守っていく方法としては必要なんじゃないか、そういうことで、いわゆる国営の簡易保険の性格を失わないために、その他いろいろ知恵をしぼればあるのじゃないかと思うのですけれども、そういう点で、いまの意見に対して賛否をお聞きしたいと同時に、一体この簡易保険としての性格をもっと印象強く国民に植えつけるための新しい施策というものがないかどうか。この点をひとつお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/54
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055・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) 第一点は、加入者に対する診療面の強化ということでございますが、現在、これは事業団が直接やっておりまして、診療所というものは国でやっていたときと別段数においては変動はございません。将来これをどういうふうに持っていくかということでございますが、一般の診療機関の整備というようなこともございまして、また特に健康保険というものがかなり行きわたっておる現在、はたして現在のままの診療施設をそのまま増強していくのがいいかどうか。かなり問題があると思っております。診療所の内容、たとえば人間ドック式な簡易なものに持っていくということも一つの方法でありましょうし、また、健康保険は実はまだ現在扱っておりませんが、将来は――将来と申しましても、近い将来、健康保険も扱い得るようにするということは、いま話を進めておる段階でありまして、さらにまた巡回診療、これは非常に簡易保険の性格から効果が大きい。加入者の要望もかなりあるという面で、巡回診療というものは大いにこれから強化してまいりたい。こういうふうに考えております。
それから第二点の、失効、解約の問題でございますが、私どもは、まあ維持目標というものを掲げまして、保険料収入の確保をはかっておるのでありますが、それの中心は、失効、解約の防止ということに重点を置いて、努力を続けておるのであります。この失解の契約に対して、現在よりもさらに何らか保護を加えると申しますか、有利になるような扱いをする。この面につきましては、いろいろ検討すべき問題があると思いまするので、今後慎重に考えてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/55
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056・横川正市
○横川正市君 郵政研究の一六一号に曽山郵政局長の座談の記事があるわけですが、その中に「東京都のある局に行きましたところが、外務員が門構えの大きな家にはよう行かんということですな。ところが一般の、民間の保険会社、あるいは銀行あたりですと、堂々と自動車で乗りつけてみたりするわけです。なるほど郵政の貯金保険は、中産階級以下の所得層を対象にしているといいますけれども、最高制限額も上がっていくことですし、中産以上の階層にも堂々と乗り込むべきだと思うのです。このためには一般従事員だけでなく、すべての管理者が勉強しなければいかん。とくに中間管理者もシャンとしてもらわねばならん。」という談話があるのです。
これは非常に端的にいまの簡易保険の市場におけるいろいろな内容を私は言っているんじゃないかと思うのでありますが、一体、保険の外務員が門がまえの家に入っていかないとか、犬がいれば入っていきませんけれども、しかし門がまえの家に入っていかないという表現は、これは私は非常に卑屈なものの見方をするということではなしに、何かここに一つのコンプレックスみたいなものを持たしめていく――自分が持っているのか、郵政省全体にあるのか、いずれにしても、これは相当問題だと思うのです。ことに、百万という金は、これはちょっと庶民には縁のない金ですが、それが契約できるということも、これまた相当限られた階層になるんじゃないか。もちろん、何本かの契約で百万というのもありますけれども、百万まるきり新規契約することはおそらくないにしても、しかし、そういう一つの目標を立てておいて、そして実際にそれを取り扱う職員がコンプレックスを持っておって、仕事がそのことによってスムーズにいかないというようなことは、私は克服をせなければならぬ問題だと思うのですが、この点をどう考えておられるかということと。
もう一つは、地方郵政局の局長とか次長とかいう人は、事業の推進に対して、たとえば郵便局の局長がどうだとか、保険課の課長がどうだとか、主事がどうだとかいうふうに、どうもこの事業成績の上がらないのを、いわゆる中間管理者にまかせてしまうという傾向があるように、私はこの中でとれるわけなんです。もちろん、この「シャンとしなければならん」という中には、自分も責任額を持って、たとえば局長ならば外務者の一人分ぐらいは持つとか、課長ならば三人分ぐらい持つとか、あるいは郵政局長は率先して、門がまえの家から百万何件取ってきたとか、私は、事業というのは、そういうところの管理者の率先垂範というものがなければ、なかなか、しりたたきだけじゃ進まないのじゃないかと思うのですが、こういう意見が冊子になって出てきている以上は、これは、郵政省の一つの保険を取り扱うものの姿勢だと、ちょっと私としても遺憾だと思う点があるわけですけれども、これは、保険局長としては、これに対してどういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/56
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057・田中鎭雄
○政府委員(田中鎭雄君) 第一点の問題でございますが、私の承知しておるところでは、門がまえのいわゆる邸宅に初めからしり込みして入っていかないということは、その反面、それではいわゆる中産階級を対象として、そういう方向に保険の普及をはかっておるかと申しますると、そのほうが簡保の性格に合っているかもしれませんが、実際の姿は、むしろ逆になりつつあるのではないかというふうに考えております。従来から契約に入っておるもの、また、かなり富裕な階層までもねらって加入を勧奨する、かなりそういう傾向が見えてきておりまして、まあ、そういう邸宅にしり込みしていかないというのは、これはちょっと残念なことでありまして、反面、そういうところばかりまたねらうというのもどうか。なかなかむずかしい面でありまして、お答えもちょっと困難を来たすのでありまするが、いま私の承知している範囲では、むしろ逆のようなことになっておるというふうに考えております。
それから第二点でありまするが、幹部が率先して契約を取るということになりますれば、これはまことにけっこうなことでありまするが、たとえば、郵便局の保険課長といったような立場にありますれば、みずから取らないまでも、取りやすいような工作をするとか、いろいろ外務員に対する指導、援助というようなことは当然になすべきことであり、また、やっておると思います。ただ、郵便局長とか、あるいは郵政局の幹部といったような人は、これは保険だけでなく、郵政事業、ほかの事業も全部見なければならないというような立場で、なかなかそういったところまで乗り出してやることは困難ではなかろうかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/57
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058・横川正市
○横川正市君 私は、この問題は歴史的な一つの宿命みたいなもので、簡保という性格はそれなりに固まってしまっている。それを打破するには、事業そのものが、民保との間にすでに好むと好まざるとにかかわらず競争裏にあるわけですから、やはり改善すべきものは改善をするし、それから手当てすべきものは手当てしなければいかぬと思うのですよ。きのうも私のところへ保険の集金に来た人が、自分の着ている服を示して、これは貸与を受けてから六ヵ月と言っていました。これは三年着にゃいかない。六ヵ月でだんだん白茶けてきている。これが一体三年したらどうなるのだろう。もっと質と染めをしっかりしてもらわないと、外を着て歩かれないというような苦情を言っておりましたが、そういうところまで気をつけていくのが、私は事業としては、これから必要なのじゃないかと、こういうふうに思うのです。こんな点もぜひひとつ、まんべんなく保険局では気を配ってやっていっていただきたい、そう思うのです。
そこで、問題はちょっと違いますが、これは政務次官にお聞きいたしたいのですが、先般郵政省と組合との間で問題になっておりましたその第一の原因であります昨年の八月の西村事務次官の通牒をめぐって相当大きな紛争が起こり、郵便事業で多くの迷惑を国民に与えたというような事態が起こったわけですが、その事態を起こさせた根本の原因となっているものの中に、特定局の局長さんが全国から金を集めまして、これを運動資金として相当、これを通すために、通牒を出すために関係の向きに運動をした、その運動資金を最近の局舎料から天引きをした、都内の特定局長の中に、数百の局長が脱退騒ぎを起こしたという、そういう事態があるわけですが、御案内でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/58
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059・金丸信
○政府委員(金丸信君) 私は、その話はまだ聞いておりません。昨年の暮れの年末闘争におきまして金を集めたという話も聞いてはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/59
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060・横川正市
○横川正市君 実は、この問題を多くの局長、まあ数百の局長です。これは千以上になるのではないかと思うのですが、局長から資料を添付して、こういう事態を国会は放任をするのかという、私どものところにきついおしかりがあるわけです。
そこで、郵政省は、特定局といえども公務員でありますから、管理監督の立場に立っておりますので、実は郵政省に事を明らかにしてもらえれば、納得のいく答弁を得られるかと思ってみたのですけれども、事実上これは組織の関係で得られないのではないか。私は、問題にしたいと思うのは、造船疑獄じゃありませんけれども、自分に有利になるための通達、あるいは法律を出すために、資金を集めてそれを使った、これは私は刑事事件だと思うのです、実際上。そういうものが行政府の中で放任をされているということは、これは絶対に私どもとしては容認できないわけです。これ以上私がお聞きしても、あなたのほうは、いま以上には答弁できないだろうと思いますが、この件については、ひとつ真剣に調査をしていただいて、次の機会、委員会では、明確に答弁できるようにお願いしたいと思うのですが、それはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/60
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061・金丸信
○政府委員(金丸信君) 事務次官通達、それにからまるいろいろな問題、いまお話を聞いたわけでありますが、私は、そういう問題は絶対なかろうと考えておりますが、十分調査をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/61
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062・横川正市
○横川正市君 私は、このことに必要があるために、冒頭に、局長会の幹部、特推連の幹部の参考人としての出席をお願いいたしたわけでありまして、出席がなければちょっと私の質問も、これ以上続けることができませんから、きょうはこの程度にしておいて、出席の問題について協議をいたしたいと、かように思いますので、一応私の質問はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/62
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063・光村甚助
○委員長(光村甚助君) 暫時休憩いたします。
午後零時十分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X00919640312/63
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