1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月二十一日(火曜日)
午前十一時開会
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出席者は左のとおり。
委員長 光村 甚助君
理事
鈴木 恭一君
寺尾 豊君
野上 元君
委員
郡 祐一君
白井 勇君
最上 英子君
谷村 貞治君
久保 等君
永岡 光治君
横川 正市君
須藤 五郎君
国務大臣
郵 政 大 臣 古池 信三君
政府委員
郵政政務次官 金丸 信君
郵政大臣官房長 武田 功君
郵政省電波監理
局長 宮川 岸雄君
事務局側
常任委員会専門
員 倉沢 岩雄君
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本日の会議に付した案件
○電波法の一部を改正する法律案(内
閣提出)
○連合審査会開会に関する件
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001・光村甚助
○委員長(光村甚助君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑のある方は、順次、御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/1
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002・白井勇
○白井勇君 私、二、三伺ってみたいと思うんですが、まず最初に、非常にこれはどうでもいいような問題でありますけれども、百二条の十という規定ですね、あまり見かけないような条文ですが、特にこの規定というものを設けなければならない理由というものはどこにあるのか、ちょっとわからないのですが、こういう条文というものは、私の知っている限りにおきましては、たとえば中小企業基本法ですか、あの二十六条なんかに、たしか、国と地方公共団体はこういことにつきまして相協力しなければならないというような規定があるんですね。国と地方公共団体ですから、これはそういうことも必要かと思うんですけれども、中央官庁同士の間におきまして特にこういうような規定を設なければならないという、何かやっぱり根拠があるじゃないかと思うんですが、これはどういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/2
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003・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) このたびの法律が電波というものを使っておりますものの目的遂行ということと、建築物と申します重要なる一つの私権でございますが、それとの調和ということをはかった法律でございますので、しかも、こういうような法律につきまして、まああまり従来例もない新しい法律でございます。したがいまして、こういうような法律の実際の施行にあたりまして、よく免許人と建築主との間の円滑な相互理解というものがなければ、この法律の実施がうまくいかないということもいろいろ考えられるわけでございまして、そういうようなことから、特に郵政大臣と建設大臣が実際の施行に際しまして、たとえば建築の届け出があったというような場合に、建築側のほうにおきましても、電波法でこういうことになっているから、電波法の電波のほうの問題に関しても、郵政大臣のほうに届け出をしたかというようなことをよく指導するとか、そういったような相互の遂行に際しての協力、そういうような意味合いでこういうことを入れた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/3
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004・白井勇
○白井勇君 具体的に私は、どういうことをこれで相協力をするものかということを考えてみたんですけれどもね、たとえば、百二条の二から八までの間というものは、伝搬障害防止地区の指定の問題でありますとか、高い建物の届け出の問題であるとか、あるいは届け出をさらに郵政大臣が命令するとか、あるいは高層部分の工事の制限であるとか、そういったようなことでも、もしそれがいまお話しのように、はっきりするということになりますれば、建設大臣と、何といいますか、共管するようなかっこうというのが一番徹底するのじゃないかという感じがするのですが、共管でもない。ただこのことについては相協力をするのだというような規定で実はどれだけの効果があるものかということに、私は非常に疑義を持つわけです。なぜ、それなら共管かなんかにしないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/4
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005・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) 建築基準法によりまして、もちろん建築関係の権利義務が規定されるわけでございますが、電波法によりまして、電波の使用者というものの権利義務というものが規定されるわけでございます。その調和をはかる意味合いにおきまして、この電波法の今度、改正をお願いしているわけでございます。それぞれの主管に基づきまして、電波の問題は郵政大臣、建築の問題は建設大臣ということで、特に共管とする必要はないと存じまするし、また、法律の立て方もそういうふうになっている次第でございますけれども、ただ、先ほど申しましたような実際上の施行につきまして、それぞれ、先ほども申しましたように、建設大臣のほうへ建築の届け出があった場合に、郵政大臣のほうに、電波のほうにこういうような問題があるから、法律にもそう定まっているからよく連絡をしたかどうかというようなこと、またさらには、この法律によりまして、両当事者の間でいろいろ協議が行なわれるというような段階になったというようなこと、そういうようなことをお互いにと申しますが、郵政大臣から建設大臣のほうに通報するというようなことは、やはりこの法律の実際の施行を円滑にする上に必要であろうということで入れたのでございまして、別に両管にするとか、そういうようなことを予測したとか、あるいは、そういうような含みがあるとかというようなことでここに書いたのではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/5
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006・白井勇
○白井勇君 非常に軽いような意味合いのようですが、その次の問題は、百二条の二の問題ですね、この「(伝搬障害防止区域の指定)」ですけれども、いまどういうようなことを具体的に考えていらっしゃいますのか、たとえば東京全体とか、大阪であるとかというような、相当広範な区域を当初から指定されるようなかっこうになるのか、いま考えていらっしゃいます地帯というものは、大体どういう区域が指定されるお見通しなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/6
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007・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) マイクロウェーブの通過しておりますものは別に都心だけに限りませんで、全国に及んでいるわけでございます。重要通信の疎通という問題は、どういうところが切れましても、やはり全国的な疎通がとまるわけでございますので、やはりこの指定ということは、全国的にしていかなければならないというたてまえをとっております。ただし、非常に山間部等におきまして、そういうところには建物はほとんどできる見込みもないと考えられるようなところにつきましては、指定しない場合もあり得る、そういうような考え方で考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/7
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008・白井勇
○白井勇君 そうしますと、今度の建築基準法の容積地区というものとは、実際、おたくのほうの伝搬障害防止区域の指定という区域とは、必ずしも相一致しないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/8
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009・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) 今度の法律の改正は、容積地区指定というような建築基準法の改正を機会に考えたことでございまして、従来からもやはり、建築物とマイクロウエーブの問題というのはいままでもございましたし、それはそれなりに解決をはかってきているわけでございます、今後、この建築基準法改正の機会に高層建築物が非常に出てくるということと同時に、マイクロウェーブの使用ということも今後非常に多くなるということを考えまして、この機会にこういうようなことを考えたのでございまして、容積地区だけを指定するというような考え方には立っていない、むしろそれを機会に、そういうようなケースを想像いたしまして、電波による重要通信の疎通をあくまで確保しようという考え方によってつくったものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/9
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010・白井勇
○白井勇君 それで私、はっきりしたのですけれども、一審最初大臣が述べられました提案理由によりますると、こう言っているのですね、「第二点といたしましては、昨年の建築基準法の一部改正によりまして、新たに容積地区の制度が設けられ、この地区内では、三十一メートルという従来の高さの制限を受けない高層建築物の建築が予想されますので、この機会に、」と、こういうのですから、まあその地区だけに限るという意味ではないかもしれませんけれども、ちょっと当初、容積地区だけに限定されるのかと、私はこう考えておったのですが、いまの話でよくわかりました。いろいろ調べてみましても、いまの建築基準法によりましても、何もその容積地区というものに限らずに、特例で幾らでも高い建物は建てられるのですね。たとえてみれば、五十七条の建築物の高さの限度のところのただし書きによりますれば、これは何も容積地区に限らずに、幾らでも高い建物を建て得る特例が認められているわけですよ。それからもう一つ、五十九条の二に特定街区という規定がありまして、これによりますと、今度の容積地区になりますれば、平坪の十倍、最高ですか、そういう十倍とかなんとかという、制限なしに幾らも建てられるのですね。ですから、やっぱりいまのお話のように、何も容積地区に限らず、必要なところは全般に及んでこういう障害地区を指定する、こういうことになるのですね。これでよく私わかったのですが。
それから今度の三十一メートル以上の建物が建つので、従来電波伝搬路として認められておりましたものが、いろいろ障害を受けるという場合、これは法律的にいえば、いろいろ理屈があるのかもしれませんけれども、非常に常識的に考えてみますと、建築基準法で三十一メートルという一つの制限がある。そうしますと、おたくのほうでその免許を与えます場合も、そういう頭のもとに伝搬路というものを承認をしておるわけですね。ところが、今度法律改正によって、それが障害を受けてくる、そうしますと、免許人の立場としましては、それなら何かどこかで埋め合わせをしてもらいたい、あるいは補償してくれとか、賠償してくれとかいうようなことは、当然これはあってしかるべきものだと思うのですけれども、今度の法律によりますと、そういうことは何もないわけですね。そこらあたりは、これは話し合いによってあれですか、賠償してもらえるとか、弁償してもらえるとかいうようなことは考えられるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/10
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011・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) 従来は確かに、先生の御指摘のように、三十一メートルという建築基準法の制限がございましたので、まあそういう建築物の建つおそれのある地域におきましては、当然免許人のほうからも、三十一メートルをこえる高さにおいて無線通信路を設定するように届け出が、申請があったわけでありまして、われわれもそういう形で免許しているわけでございます。これは別に三十一メートルのところならば、三十一メートルをこえるところならば、永久にそこにマイクロウェーブの設定を許すとか、いわば空中における路線権を許すというようなものではございませんで、要するに、その周波数を使えるという形で免許しているわけでございますので、特に公共性の強い場合だけにつきまして、その公共性のゆえをもって、それに障害を与えるような建築物の建築にあたりまして、まあ必要最小限度の余裕を与えてもらうというような形でつくってあるのでございまして、この点につきましては、十分に使用者側、まあ電波の使用者側の意見をわれわれは十分徴しております。
そういうような次第でございまするし、また、現在におきまするところの土地利用というような観点から考えましても、いま申しましたような電波の免許のあり方から申しまして、これによって建築物のほうの私権を制限して、それによってまた賠償を取るというようなことは適当でないというふうにわれわれとして考えた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/11
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012・白井勇
○白井勇君 ただ、私、ほかのものをちょっと調べてみますとね、たとえば電気に関する臨時措置に関する法律を土台に、電気工作物規程というような規程があるのですね。その六十八条四号に、たとえば高圧電線を一応布設をいたしますと、そうしますと、そのあとから出る施設は、たとえば上のほうでありますれば二メートル以上とか、あるいは横であるとか、あるいは下のほうであれば一メートル二とか、そういう距離を置かなければ施設できないのですね。だから、どこまでも、既設のものというものは、そういう意味合いにおいて保護されているわけですよね。ところが、電波伝搬路も私、同じことではないかと思うのです。やっぱりこれはお役所で一応免許を与えた一つの道なのですね。それが、今度また都合によって、建物が無制限になったからといって、何らの、あとから出るものが最優先になって、その伝搬路というものが支障を来たすということは、これはちょっと、法律的に私はむずかしいことはわかりませんけれども、常識的にどうも既設のものに対するいま申し上げた一つの例なんかから申しましても、どうもこれはおかしいじゃないかという気がするのですが、これはどうなんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/12
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013・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) ただいまの電気関係のものにつきまして、いま手元にちょっとはっきりしたことを——申し上げかねますが、ただいまの御指摘の点は、あくまで危険防止ということのために、その高圧線の下にもし建物が建つという場合においては、その間に、ある間隔を離さなければならないと、こういうことであろうかと思うのであります。したがいまして、その間におきまする土地所有者とその高圧線の施設者との間に、どういう契約関係があるかわかりませんけれども、別に建ててはならぬ、高圧線の下にある土地に建物を建ててはならぬということがあるのではなくて、建てる場合には、それによります契約によって建てるのでありまして、ただ、もしその下に建てる場合においては、人命の安全といいますか、火災その他の危険防止のために、そういう制限がある、こういうように見られるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/13
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014・白井勇
○白井勇君 ですからね、いまの私、例を引きました電気とか、そういう危険防止、もちろんあると思うのですよ。ですけれども、既設の高圧電線を、おまえのほうはけしからぬから移しなさいよと、こういうことは言っていないわけですよ。既設のものは既設のもので、どこまでも最優先は認められている。その高圧線を他の方向に変えるとか、あるいは位置を変えるということはないのですよ。それはそのままとして、一定の間隔を置いて施設をしなければならない、こういう制限を、あとから施設をするものは受けるわけです。今度は逆なんですよ。建物は最優先であって、おまえの伝搬路を変えなさいと、こういう法律なんです。しかもその場合に、先ほどお話しのとおりは、何ら賠償金も出さない、経費の負担もしないと、こういう考え方は、私はおかしいんじゃないかと思うんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/14
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015・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) 電波の場合におきましては、電波の通路の下にありますところの土地の所有権というものに対して実害を与えない形で伝搬路が設定されているわけでございます。したがって、ただ実害がないという形だけであるんでありまして、もともとその下の所有権というものは完全にあるわけでございます。このお尋ねの電線の場合等におきましては、その土地所有者との間におきまして、契約等によりましてその上を通してもらうか、場合によれば、その下におけるいろいろの、もし妨害を与えたりするような場合、補償をするというようなことは、契約でもってそういう形ができているんでありまして、電線路の路線権というような形において、下の土地の所有権を制約しているものではない、こういう考え方に立っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/15
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016・白井勇
○白井勇君 まあ、はっきりしませんけれども、その次に私ちょっとお尋ねしたいと思いますのは、百二条の七の問題です。「(重要無線通信の障害防止のための協議)」ということになるわけですが、私たち常識的に考えますと、協議というものはお互いに対等の立場に立って話し合いをしていく、これが、協議じゃないかと思うんです。この法律の場合におきましては、建築をしまする者は、二年なり三年を待ちますと自分の思うとおりになるという条件を持っておるわけですね。片一方のほうは、免許人としましては、二年か三年しか寿命がないわけで、そういう立場に置かれて、一体、協議というものは初めから成り立たないんじゃないかという感じがするんですが、これ、どういうんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/16
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017・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) 確かに、先生のおっしゃりますように、二年ないし三年という先には、電波の免許人はこの電波の通信路を変更しなければならないといいますか、建築物のほうは建てることができるようになるわけでございますけれども、現実の問題といたしましては、建物が二年間ないし三年間、その建つ間におきまして、いろいろ建て方の若干の変更によりまして、電波のほうの通路が疎通されるわけでございますし、電波のほうの若干の変更ということによりまして、電波の疎通が完全に保たれる場合もあるわけでございます。それから、かりに、二年ないし三年という間に建築物のほうが何らかのことによりまして、むしろ、電波のほうに、もうちょっと早くどいてもらいたいというような考え方が出る場合もございます。そういう場合におきましても、いろいろな電波の逃げ方の方法があるわけでございます。それによりまして、お互いの利害関係というものが、話し合いによりまして、協議によりまして一番合理的な線というものが出る可能性が非常に多いと思うんでありまして、そういう意味合いにおきまして、やはり協議いたしまして、そこでいい線を見つける、やはりこういうことは必要でもございまするし、また、そういうことがこのの法律の一つのねらいとなっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/17
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018・白井勇
○白井勇君 どうも私、その点わからないんですけれどもね。「必要な措置に関し協議」をするというけれども、実際、どういうようなことを、具体的に言いますと想像していらっしゃるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/18
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019・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) 建物のごく一部に支障を与えるようなものがある場合には、その位置を変えるとか、あるいは電波のほうが若干高いアンテナを立てて通路を逃げるとか、あるいは場合によりましては、その建物の上に反射板というようなものを置かしてもらう、あるいは場合によっては、その上にまた中継機をつくらしてもらう、あるいはごく軽微の場合に、その脇に反射板を別に置きまして、それを迂回していくというようなこととか、いろいろなしかたがあると思うんでございます。全然協議しないで、ただマイクロウェーブのほうが逃げるということだけをもって考えますと、無線の免許人のほうにとりまして、非常に高価な損害が与えられる形にもなるわけでございます。そういうようなことが、また長期間にわたって、もし工事に必要な期間ということになりますると、二年ないし三年という期間ぎりぎり一ぱい建築物のほうが建てられないというようなことにもなるかと思うのでございまして、そこはやはり協議いたしますと、両方にいい一つの解決点が求められる、こういうことは、いま申し上げましたような経緯からいろいろあると、こういうふうに考えたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/19
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020・白井勇
○白井勇君 これは協議という一つのかっこうはとってもらっておりますけれども、先ほど申し上げましたように、片一方は二年ないし三年待てばいいのですから、いま例示されたようなことを、言うことを聞く必要は、建築業者には何もない。建物を建てる場合に、待てるか待てないかという問題です。ですから、こういう条文だけではどうも免許人としては、何ら力になる条項じゃないように私は思うのです。せめて、こういう協議を認めるならば、たとえて申しますると、必要な措置について政令の定めるところによって協議すべき旨を求めることができるとかなんとかというような、政令にある程度、やり方につきまして、あるいは協議内容につきまして譲っておいて、その政令の中に——あなたは経費の関係で、全然補償させるとか弁償させる必要はないと、こうおっしゃいますけれども、せめて、たとえば政令の中に、経費の負担区分とか、何かある程度、免許人に対しまして援護するような条項を羅列して、それだけでとどまるわけじゃありませんから、その他、必要なものがあるでしょう。そういうような政令に譲っておくような面をつくりまして、そこでやはり免許人に対しまするバックアップをやれるような措置を講じておきませんと、これは協議なんといっても、協議をやれるという形だけで、協議にならないじゃないかというのが、私の考え方で、これは私の意見になりますから、ここはよくひとつ御判断を願わなければならぬところじゃないかと私は思うのです、せめて、そういうようなゆとりを持っておかぬといかぬじゃないか、こういうふうに思うのです。
それから、かりに協議がととのわない場合は、この百二条の七の2で、郵政大臣は必要なあっせんを行なうことができると、こう書いてあるのです。こう言ってみても、郵政大臣さんが幾ら出てみたって、建築業者は、先ほど申し上げるようなことで、聞きっこない問題だと私は思う。ですから、裁定というとかた苦しくなるかもしれませんが、何か決定を与えるような措置が必要じゃないかと思うのです。私は、鉱業法をちょっと調べてみますと、鉱業法の百条の十四の2ですか、あそこには鉱業権を持っている者が採掘する場合、三十メートルをこしますれば、かってにやれるわけですが、三十メートル以内ですと、一応その土地の所有者あるいは管理人の承諾が要る。ところが、所有者あるいは管理人が承諾しない、そういう場合においては、しょうがないから、地方の通産局長に一応申請をするわけです。鉱業権を持っている者が申請をするわけです。そこで、その申請を受けて、通産局長が決定をする。局長が決定をしますと、それは両者の協議がととのったものとみなすという規定になっておるわけです。こういうような、せめて順序を踏んでおきませんと、幾ら郵政大臣ただあっせんを行なうものだと言ってみたところで、どうも私ども意味がないような条文のように思うのですがね。ここらあたりの感触はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/20
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021・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) この法律をいろいろ考えていきます過程におきまして、私たちもまあ裁定とか仲裁とかいうような機関があったらどうかというようなことも考えたのでございますが、全体の法律の目的を、重要通信の疎通を途絶させないという観点に立ちまして、つくったわけでございます。で、こういう法律の内容によりまして、現実にそういうようなケースが非常にひんぱんに起こってくるというような場合になりますならば、それからまた、それが個々の問題につきまして、何か非常にまあ両方の利害が、経済的な問題で、まっこうからぶつかり合うというようなことが起こるならば、そういうような機関も必要かと思うのでございますけれども、現実にこういう法律をつくりまして、重要通信路を指定しておきまして、その指定した地域の下に建築物ができてくるというような場合、将来のことは別問題といたしまして、いま直ちにそういうようなケースが非常にたくさん出てくるというように考えなくともいいんじゃないかというようなことも考えたのでございます。したがいまして、特に裁定の機関だとか仲裁とかいうようなことを考えなかったのでございますし、また、この問題が、要するに、建物が建って、その間にマイクロウェーブのほうを何らかの措置をする、そういうような一時的な経過の問題として問題が発生してくるわけでありまして、将来にわたっての最終的な利害の対立というような形において、事態の収拾をはからなければならないというような筋合いのものでもないものと考えまして、裁定とか、そういうようなことを考えないで、この法律でやっていけるのではなかろうか、こういうように考えたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/21
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022・白井勇
○白井勇君 これは私の意見になりますけれども、先ほど申し上げたように、せっかくこの「協議」という項目を設けたのですから、その一につきましては、先ほど申し上げたように、政令や何かにある程度免許人をバックできるような条項をつくること、それから二つの点につきましては、私はこう思うのです。私は、やっぱりこれは、郵政大臣が一応そこで、先ほど申しました鉱業法なんかの場合、通産局長が一応の決定をする。それが協議として取り扱われるというような、そういうやはり体制にしておく必要があるんではなかろうか。郵政大臣が決定をする、決定をすれば、それは両者が従わなければならないとか、だから、そういう問題になりますれば、郵政大臣一存でもいけませんでしょうから、やはりそのことだけにつきましては、建設大臣と協議するとかいうような必要があるんではなかろうか。そうしないというと、この協議というのは、ただかっこうはあるけれども、免許人が正しく主張できるような条件は少しも与えられていないものではないかというような感じが私はするわけであります。これは私の意見です。そこで、私はかいつまんで、一体、この法案の効果というものはどこにあるものだろうと思って、考えてみたのですがね。なるほど、これはもっと前に、こういうようなことにつきましてのいわゆる電波の伝搬路というようなものを確保し、保障するような法的措置というものを考えていなければならなかったものじゃなかろうかと考えているものです。今度こういう法案ができて、二年なり三年というものが、まあ現在免許を受けている者が猶予期間を与えられる、それだけの法案ですね、これは。そのほかに何か意義がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/22
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023・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) この法律自体といたしましては、先生のおっしゃるように、免許人のほうが二年ないし三年間の猶予期間を持てるということでございます。それ以外にないかという御質問でございますが、法律でございますから目的ははっきりしておりまして、それ以外の目的は、いまのところ、われわれとしてはこの法律には持たしておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/23
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024・白井勇
○白井勇君 私、これは最後に大臣の御意見を承っておきたいと思うのですがね。私の見る限りにおきましては、この法案で、いま申し上げたように、ただ免許人は二年、三年、障害を受ける期間が延長されただけの話である。いまの事務局長のお話によりますと、一切がつさいに自分の責任、自分の負担において施設を変えなければいかぬ法案ですね。ただ二年、三年期間があるというにすぎない法案です。そして、もって基本的には、建物というものは、これは伝搬路に優先をするものであると、こういうはっきりした考え方のもとにつくられている法案ですね。それで、将来というものはいいものであるか悪いものであるか、これからいわゆる電波時代というようなものを迎えて、いわゆる伝搬路というものが何ものにも優先をしなければならない場面というものが必ず私は起こってくるだろう、こう思うわけです。そうしますと、これは確かにいままで何もないものよりも、それは二年、三年命が延びるわけですから、これは決して無意味な法案であるとは思いませんけれども、しかし、こういうもので満足していっていいものであるか。むしろ、やはりもっと基本的に、この伝搬路というようなものを確保し、あるいは保障するような、いわゆる空の交通整理をやるような法律というようなものを制定する必要があるのじゃなかろうかというような感じがするのです。これに対しまして、大臣の御意見いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/24
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025・古池信三
○国務大臣(古池信三君) 先ほど来の御意見は、非常に私、ごもっともな点が多々あるものとお考えて拝聴しておったのでありますが、まあ元来、この法律の全般のたてまえとしまして、今日これは日本ばかりではないと思いますが、非常に所有権というものを尊重しておるたてまえがあると思うのです。ただし、所有権も絶対のものではない、公共の福祉のためにはこれを制限することができるということは、もとより憲法の規定の定めるところでありますけれども、やはり何と申しても所有権は強い、そして、それを他の公共目的のために制限するのだ、こういうふうな立場に立ってきておるように私は考えておるのであります。今回の場合にしましても、その所有権に基づいて土地の上に建築をする、そのほうの権利が、従来の法律観念からいって、非常に強く出ておりまして、これを公共目的のために制限するという場合は、やはり制限するほうが、どちらかといえば、狭い範囲において、できるだけ狭く制限しよう、こういうふうな観念が私はあると思うのです。しかし、社会情勢は、技術の進歩発達とともに非常に公共的な問題が多くなってきました。したがって、従来に比べますと、所有権に対する公共の目的による制限というものは、おいおいに強くなっていくものと私は考えます。しかし、いまの段階においては、やはりこの程度の制限がまず普通に適当と認められるものではなかろうか。先ほど御引用になりましたように、建築主に対して二年ないし三年の猶予期間を置く、こういうことになりますが、もし期間を置かないで、協議がととのわなければ、いつまでたっても建築ができないという規定にかりにいたしまするならば、なるほど、無線関係の電波の割当を受けた、免許を受けた側の立場からいえば、非常に強くなると思いまするが、また一方、建築主のほうからいえば、たとえ公共目的のためとはいいながら、非常に大きな負担を、あるいは犠牲を課されるということになって、問題はその間の調和を、どの辺に線を引くかということであろうと思います。そこで、遠い将来は別といたしまして、ただいまの時点においては、まずこの程度の制限をすることが、両者の立場から見て大体において妥当なところではなかろうか、こういう観点から、この法律を立案したわけでございます。社会的な考え方がおいおい変わってまいりまして、もっと厳格に所有権あるいは所有権に基づく物権等について制限を強化すべきであるという社会思想が盛んになってくれば、またそれに応じてこの法律の改正その他も考えるべきであろう、こう思っております。大体この法律の趣旨等につきましては、当初に御説明申し上げましたが、根本的な考え方としましては、いま私がお答え申し上げましたようなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/25
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026・白井勇
○白井勇君 私も、大臣のおっしゃるとおり、この法案は、決して無意味だと思わないのです。ただ私がお尋ねしておるのは、将来の問題です。いわゆる土地なり所有権というものは、いまみたいなふうにこの天井、宇宙が無限に開発をされていくようなことをだれも考えていなかったと思います。地下はある程度いろいろな面から対策を講ぜられておったと思うのですが、もうすでに宇宙開発の時代に入っているわけですから、やっぱりそういう問題に対しまして導くようにやっていく措置を考えて郵政省がやらなければどうにもならない。わずかなこんな法案では、とりあえずはいいとしても、将来もっと積極的に、その面につきまして法的な措置を講ずるとか検討を加えていく必要があるのじゃないかということをお尋ねしているわけです。その御観測を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/26
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027・古池信三
○国務大臣(古池信三君) この点も、先ほどちょっと触れましたように、やはり一般の社会通念あるいは法律思想というものが不動なものではございませんから、年とともに変わっていくと思います。したがって、所有権というものは絶対であるといわれた時代から見ますると、今日は非常な制限を受ける時代になっております。今後もおそらく、個人の所有権というものは公共の目的のためには相当に広く制限を受けて、社会全体のために奉仕するというふうな使命がだんだん強調されることになるであろうと思います。したがってさような事態に即して、将来この法律の漸進的な改正ということも当然私はいまから考えて検討をしていってよろしいのではなかろうか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/27
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028・光村甚助
○委員長(光村甚助君) 本案については、本日はこの程度にいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/28
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029・光村甚助
○委員長(光村甚助君) この際、連合審査会に関する件についておはかりいたします。
電波法の一部を改正する法律案について、建設委員会から連合審査会開会の申し入れがありましたが、この件につきましては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/29
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030・光村甚助
○委員長(光村甚助君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
これにて散会いたします。
午前十一時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X01719640421/30
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