1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十九年五月七日(木曜日)
午前十時四十五分開会
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 光村 甚助君
理事
鈴木 恭一君
寺尾 豊君
松平 勇雄君
委員
植竹 春彦君
郡 祐一君
白井 勇君
最上 英子君
安井 謙君
久保 等君
永岡 光治君
横川 正市君
須藤 五郎君
国務大臣
郵 政 大 臣 古池 信三君
政府委員
郵政大臣官房長 武田 功君
電気通信監理官 野口 謙也君
郵政省電波監理
局長 宮川 岸雄君
事務局側
常任委員会専門
員 倉沢 岩雄君
説明員
郵政省電波研究
所長 上田 弘之君
—————————————
本日の会議に付した案件
○電波法の一部を改正する法律案(内
閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/0
-
001・光村甚助
○委員長(光村甚助君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑のある方は、順次、御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/1
-
002・久保等
○久保等君 私、最初二、当委員会で前々からお尋ねをしておる問題で、当面の一つの焦点になっておるオリンピックのテレビ中継の問題について、郵政省の電波研究所の上田所長がアメリカへおいでになって、最近お帰りになったようですが、この問題について、現在、アメリカとの間で話し合いをせられた結果がどういう状況になっておるか、お尋ねしたいと思います。四月に上田所長がおいでになって交渉せられた経過について、御説明を若干願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/2
-
003・古池信三
○国務大臣(古池信三君) 当委員会におきまして、今日まで、オリンピックの中継の問題につきましては、非常に御熱心に御論議をしていただきまして、まことに感謝にたえないところでございます。
先ごろの当委員会におきまして、アメリカに対して郵政省の職員を派遣をいたしたい、およそ四月のうちに派遣をしたいということをお約束申し上げたのでございましたが、その後のアメリカの情勢もいろいろと勘案いたしまして、四月の十六日に上田電波研究所長を派遣いたしまして、上田所長は要務を終わりまして五月の三日に帰国をしたのであります。その間、向こうにおきまして、シンコム二号によるテレビジョンの実験に立ち会い、さらに関係諸機関との意見の交換もしてまいったそうでございます。
本日は、上田所長が当委員会に出席しておりまするから、詳細は所長のほうから御説明を申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/3
-
004・上田弘之
○説明員(上田弘之君) お答え申し上げたいと思います。
ただいま郵政大臣からお話ございましたように、アメリカでシンコム二号を使いました衛星通信の実験をやりたいと思うのでこれを見に来るようにと、こういう招待が参りまして、今回参った次第でございます。
行なわれました日にちは四月の二十三日、これはワシントン時間でございますけれども、四月の二十三日の午後三時から四時の間に行なわれました。この一時間の間に行なわれました実験の結果は、NASAと、それからNBCと話し合いいたしました結果、次のようなアナウンスメントがありました。
それは、画像は、絵の値は商業的の画像と言うことはできないけれども、重要事項の短時間放送に対しては十分適しておる、こういうようなことでございまして、今後、こういう線でもって、その日の結果をもとにいたしまして、アメリカ側でどういうぐあいに最終的な結論を下すか考えていきたいと、こういうふうなことでございました。結論的に申しますと、そういうようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/4
-
005・久保等
○久保等君 アメリカのほうでも、五輪中継については、非常に乗り気だというふうに伝えられておるのですが、したがって、アメリカ側のほうとしては、積極的に五輪中継が実現をするようにという空気なのか、そこらのアメリカ側の態度、そういったものをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/5
-
006・上田弘之
○説明員(上田弘之君) お答え申し上げます。
ただいまの御質問でございますけれども、これに対しましては、一般的に申しますと、アメリカなりヨーロッパのオリンピックに対する熱というものは、日本の熱よりは、あまり強くないというのが一般だろうと思います。これまでの、過去の、私自身が経験しましたり、あるいは、いろいろな人の意見を聞きましても、そういうことは言えると思います。
今回の東京オリンピックに対するアメリカ側の空気でございますけれども、この熱意と申しますか、そういう点について申し上げますと、初めのうちは、やはり、あまり熱がなかったように感じておりますが、特に、二つの流れがあると思います。
一つは、実際に技術を担当しておりますNASAでございますけれども、この機関におきましては、できるだけりっぱな絵というものを送らなければならないというような観点から、必ずしも、このシンコム衛星がテレビの中継用につくられていないというようなものでありますので、非常にりっぱな絵というものが期待できないというたてまえから、非常に慎重な態度をとってきておりました。
これに比べまして、そのほかのところにおきましては、特に、大平大臣からラスク長官に申し込まれましたような、その後のアメリカの情勢から見ますと、だんだんと熱が入ってきたと思います。
私が参りました当時におきましては、NASAといたしましても、今度のような実験に踏み切ったというようなことから考えましても、また、当事者が申しておることからしましても、非常に熱が入ってきておったということが言えると思いますし、先ほどのような結論をNASA自体も認めまして踏み切ったということに対しては、相当に熱が入ってきたということを申し上げてよろしいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/6
-
007・久保等
○久保等君 それで、具体的に、オリンピック自体も、これは期日もきまっておることだし、したがって、準備期間といっても、これまたはっきりしているわけですから、当然、オリンピック中継をやることについて準備を進めるとすれば、これまた具体的な準備を進めなければならぬという段階にきておると思うし、むしろ、若干、時期的にはどうかと思うくらいの、今日、時期だと、そういう点から考えて、いまの御説明で、たいした熱意もなかったのだが、最近、だいぶ熱が入ってきたというような御報告なんですが、いずれにしても、この前からも当委員会で言っているように、準備期間等が、ある程度必要であるし、したがって、それに間に合うか合わぬかという意味からも、日本側としても、態度は、はっきりする必要があるのじゃないかというようなことで、上田所長のアメリカにおいでになる一つの契機にもなったと思うのです。
したがって、アメリカのほうでは、そういう技術関係、あるいは、その他NBCあたりの放送関係の事業者の立場、そういったようなものを総合的に判断して、いつごろぐらいに、このことの実施についての態度をきめる、踏み切ることになるのか、そういったことについては、どう判断されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/7
-
008・上田弘之
○説明員(上田弘之君) お答え申し上げます。
ただいまの問題につきましては、先ほどの実験の直後から、アメリカのほうでは打ち合わせをしておりますが、しかし、すぐ、その結論を出すというところまで至りませんようでございまして、先週から今週にかけて、相当話が進むように仄聞いたします。早ければ、近い将来において結論が出るかもしれませんし、場合によれば、多少長引くということも考えられないことはないと思います。そういうような空気に感じました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/8
-
009・久保等
○久保等君 シンコム三号の打ち上げの問題については、いろいろ新聞等で報道をせられておるところを見る限りでは、若干おそくなって七月ごろに打ち上げられるのじゃないかというような話もされておるのですが、シンコム三号の打ち上げの時期は、一体いつごろだと感じてお帰りになったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/9
-
010・上田弘之
○説明員(上田弘之君) これは実は、五月の初めごろに、五月の五日というのがほんとうのようでございますけれども、そのころに、初め計画しておったようでございます。
ところが、たまたま私が参りましたちょうどそのころだと思いますけれども、ケープ・ケネディで事故がございまして、NASAの職員が死にましたり、けがをいたしましたり、相当な事故がございまして、それがために打ち上げが延びたということを聞いておりまして、六月一日以降において行なわれるであろうというようなことを聞いております。場合によれば、七月になるかもしれないというようなラジオ放送が、アメリカの中でもあったというようにも聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/10
-
011・久保等
○久保等君 ただいまのお話を聞くと、アメリカ側のほうでも、いまだ態度を確定するというところにまでは至っていない。しかし、ここ近々に一応の態度確定を見るのじゃないかというような見通しのようですが、日本側のほうでも、当然、準備その他の関係からいって、早急に準備をするとすれば、その準備に入らなければならぬと思うのですが、アメリカ側の態度決定を待って、こちらのほうとしての、何というか、腹もきめたいという現在の状況ですか、どうですか。ここらは、あるいは電波研究所長の立場からではお答えいただきかねるなら、大臣のほうからでもお答え願いたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/11
-
012・古池信三
○国務大臣(古池信三君) ただいま電波研究所長から、るる御説明を申し上げましたような状態でありまするので、アメリカ側も相当急いで結論を見出すように努力をしてくれていることと存じております。したがって、私どもとしましては、もう少し確実なる結論をアメリカが出しました際には、直ちにこれに応じて当方の準備を進めるように、今日いろいろと配慮をしておる最中でございまして、もちろん、この秋のオリンピックの中継実験は、ぜひ成功させたい、そういう念願で準備をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/12
-
013・久保等
○久保等君 こちら側のほうで準備をするとすれば、どういう準備、それから、さらに、それにどの程度の時間を要するものか、特に鹿島の実験所ですか、中継所、こういった方面の準備だろうと思うのですが、そういった方面の今後の準備はどういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/13
-
014・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) アメリカ側の態度がはっきりいたしました場合におきまして、日本側といたしましてやるべきいろいろな問題につきましては、すでに態度がきまる前におきましても、われわれとしては、枝術的ないろいろな調査はしているわけでございます。できるだけ情報を入手いたしまして、シンコム三号をもし使えるということになったとき、日本側においてはどのような送信機を準備するか、どのようなアンテナが必要であるか、あるいは、その場合における画質はどのようなものが大体考えられるか、あるいは、それを置いた場合に、区域としてはどういうところが混信その他において有利であるか、そういうような、われわれとしてできます範囲内におきましての準備というものは、技術段階としては用意をしておるわけであります。現実にシンコム三号の使用が可能ということになりましたならば、省としまして、機械の製作ということに焦点を置いて準備をしていきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/14
-
015・久保等
○久保等君 先ほどの上田所長のお話があったように、かりに七月ごろに打ち上げられるというようなことになっても、そういったことの準備は十分ですか、六月ないし七月になった場合。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/15
-
016・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) 先般来のこの国会におきまする御質問に答えまして、準備製作というようなものに約六ヵ月間を要するということを申し上げておったわけでございますが、それにはいま申しましたような、前もっての準備というな、調査というようなことを含めてあったわけでございまして、まずこの六月初旬、中旬ころまでにはっきりしたものが来ませんと、製作の期間からいって、ちょっとむずかしくなってくるのじゃなかろうかと、そんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/16
-
017・久保等
○久保等君 その中継、こちらのほうでの送信なり、あるいは受信設備等を使う場所は、鹿島の電波研究所の実験所をお使いになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/17
-
018・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) その点につきましては、目下、どちらが立地条件がいいかというような点を検討中でございまして、なお最終的な結論は得ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/18
-
019・久保等
○久保等君 その検討中というのは、シンコム三号の性能といいますか、そういったようなものが十分にはっきりしないと、いま言った十王国際電電の宇宙中継所を使うか、こちらのほうを使うか、鹿島のほうを使うか、わからないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/19
-
020・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) シンコムの性能がはっきりいたしましたならば、当然すべてのことがはっきりするわけでございますけれども、シンコム二号の性能、あるいは現在まで入手しておりますシンコム三号の性能から考えまして、大体アンテナの大きさはどのくらいであるか、送信の出力はどのくらいのものが必要であるかということ、それから送信の場合におきまするマイクロウエーブの問題もございますし、さらに、出しました電波を受信しまして、それをチェックしながら送信しなければならないわけでございますが、その受信の設備というものが、送信の設備と近いところにあったほうがいいかというようなこともございますし、また、その受信の設備というものは、相当これは送信機以上に特別な受信機を要しますので、そういうようなものを置くとしたならば、鹿島のほうがいいか、十王がいいか、そういうような問題、あるいは送信機を新しくつくった場合におきましても、既設のものの改造で済むか、新しいものをつくる必要があるかという、そういうようなこと、できるだけの、われわれとしては調査を進めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/20
-
021・古池信三
○国務大臣(古池信三君) 関連して申し上げますが、御承知のように、従来、これらの問題につきましては、郵政省が中心となりまして、電信電話公社、国際電信電話株式会社並びにNHK、この四者が常に緊密な連絡をとりながら、技術的にも十分検討を加えてやってきております。その結果、昨年のアメリカからのテレビを受信したり、あるいは本年に入りまして送受信、また、ヨーロッパに対する送信も成功を見るに至ったのでありますが、この秋に行なわれますオリンピックに対する措置といたしましても、この四者はあくまでも従来どおり緊密な連絡をとりながら、万全の措置を講じてまいりたい、かような次第でございまするので、ただいま電波管理局長からお答えいたしましたような、技術的問題についても、あくまでこの四者の間で十分意見を交換して、万遺憾なきを期してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/21
-
022・久保等
○久保等君 送受信機の製作その他いろいろ経費もかかることだと思いますが、予算的には、どの程度の予算で間に会うのですか、日本側のそういった送受信関係の準備だけの予算としては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/22
-
023・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) これは送信機を改良いたします場合と、送信機を新しくつくります場合とで相当違うのでございます。それから、また、アンテナを、既設のアンテナを使うか、新しいアンテナをつくるかということによっても相当違うのでございまして、幅といたしましては、一番簡単に送信機の改造ということならば、二、三千万円程度で済むかと思いますが、送信機を新しくつくり、あるいはアンテナをつくるというようなことになりますと、まあ一億以上ということに相なるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/23
-
024・久保等
○久保等君 この中継は、シンコムの性格その他からいって、実験程度の段階を出でないであろうというお話ですが、したがって、それこそ、相当な長時間実況を中継するということは期待できないようですが、せいぜい十五分か二十分か、二、三十分程度というように伝えられているのですが、そういうことなのかどうか。
それから、そういうことになってくれば、当然、アメリカとの間における経費の分担云々という問題もあまり出てこないのではないかということになるのですが、日米間における経費分担なんかの問題については、どういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/24
-
025・古池信三
○国務大臣(古池信三君) 今日までもたびたび委員会その他でさようなお話が出ておりまするが、私としましては、この問題がもう少し具体化されてこないことには、費用の問題をどうするかということまでは、話は至らないと考えております。したがいまして、今日まで費用問題については、私は何ら申し上げておらないのでありますが、アメリカ側からも、ただいままでのところ、費用について日本側に対して要求などというようなことは参っておりません。したがって、私どもとしては、かような時点において、費用を分担するとかしないとかというような話を持ち出すということは、非常に先ばしったことではなかろうか、こう考えまして差し控えております。将来、もしもアメリカ側から何らかの意思表示がありました場合には、それに基づいて十分に検討をしてまいりたい、こう思っております。もちろん、先ほど来お話ししました日本側における送信設備は、これは日本の設備でございますから、これに対する費用は、日本側において支出することは、これは申すまでもないことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/25
-
026・久保等
○久保等君 そこらの問題ですね、大臣のずっと前からの御答弁から全然変わっていないのですが、まず、日本側が経費を持つか持たないかということについては、先ばしってきめることはできないということなんですが、むしろ、私は、日本側の態度というものは、はっきりできるのではないかと思いますがね。また、ある程度はっきりすべきではないかと思います。向こうのほうから何も言ってこないからきめられないと言うけれども、いまの大体、準備状況の、お聞きする範囲内においては、これは前々から言うように、きわめて限られた短期間に、やるとすればやらざるを得ない。やらないなら、これは一番あっさりしているんだけれども、まあ、そうもいくまいという情勢があるだろうと思うのですが、もちろん、日本の国内における送受信等の設備の費用は、これは当然日本側が負担するとして、じゃ、一体、アメリカのシンコムを打ち上げることについて、若干でも日本側が負担するということになってくると、これは相当問題があるのですよ。だから、そこらのところは、むしろ、態度を日本側としてはっきりできるのじゃないか。アメリカ側から要求があったら、事と次第によったら費用を負担してもひとつ中継してやろうというふうにお考えなんですか。そこらのことは、むしろ、日本側自体の判断として、私は、はっきり態度をきめたらいかがかと思うのですがね、特に商業放送という問題じゃないようですから。商業放送ということになると、これはいろいろ商業ベースの立場から計算もしてみなければならぬだろうし、簡単に結論は出ないかもしれぬけれども、そういうことじゃなくて、実験的な形でやろうということであるならば、それに対して日本側が予算、経費の問題に対して、一体どういう態度で対処するかということについても、相手方の出方といっても、相手方自体があまりはっきりしないような話なので、特に画像を送る立場の日本のほうで、オリンピックを放送する立場なんですから、受けるほうの立場がはっきりしない限りは、どうも予算問題についてははっきりしないということでは、ちょっと自主性がなさ過ぎるし、実験ということを前提にしてやるなら、相当はっきりした態度を立てられるのじゃないですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/26
-
027・古池信三
○国務大臣(古池信三君) 先ほど来申し上げておりまするように、この費用の問題は、今日まで何ら議題になっておらぬわけでございます。
それから自主性というおことばでありますが、この通信衛星を製作することも、また、その通信衛星を打ち上げることも、これはもう全くアメリカの自主性によるところでありまして、われわれとしては、これをつくることもいたしませんし、いわんや、打ち上げることもしないわけでございまするから、それらの費用について、こっちから費用を分担しますというようなことをまずもって申し出る必要はなかろう、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/27
-
028・久保等
○久保等君 まあ、特にこちらのほうで積極的に費用を負担してやるという申し出をしなさいと言っているわけでもないし、すべきであると言っているわけでもないのです。
ただ、問題は、特に、この前、大臣からもお話があって、アメリカとの間に文通といいますか、手紙で接触を保っておるような話があったのですが、今回、上田所長がおいでになったけれども、単にこれだけのことで行ったのじゃないかもしれませんが、先ほどのお話ですと、シンコム二号の実験をアメリカから見にこぬかというようなお話があって見に行かれたというような話ですが、その話は一体、その後どうなっているのか。向こう側としては、その後、何らの意思表示がない。先ほどのお話を聞くと、シンコムの実験の見学に行った、視察に行ったという程度の域を出ないので、向こう側の五輪中継に対しての意思表示というものはどういう形でなされておるのか、なされておらないのか。せっかく、おいでになったのですから、そこらのところは、ある程度、相手方の腹、考え方もわかっただろうと思うし、また、そのことのために私はおいでになった理由もあるだろうと思うのですが、だから、そこらの相手方の考え方というものを確かめるなり、折衝せられる目的をもって所長が行かれたのだろうと思うのですが、ただ、先ほどのお話だと、近々に相手方の態度もきまるだろうというお話だったのですが、日本側に対して一体、どういう希望なり意思表示をされておるのか、されておらないのか。そこら辺のことは、どう判断されておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/28
-
029・古池信三
○国務大臣(古池信三君) 日本側から、オリンピックの情景を通信衛星を通じて中継をして放送したいというその意思表示は、たびたび今日までやっております。
それから上田研究所長が参りましたのは、第一には、シンコム二号による実験に立ち会うということが目的でありますが、同時に、また、このオリンピック中継についても、アメリカに対してこちらの希望を述べ、また、アメリカ側の考え方も聞いて意見を交換してくるということが、その目的の一つになっておったわけでございます。
先ほど研究所長から御報告申し上げましたように、まず第一のシンコム二号による実験の結果としては、大体成功であったということでございます。しからば、この技術的な成功というものを基礎にしてアメリカ側が今後どうするか、シンコム三号を利用するか、あるいは、この二号を移動させて利用するかというようなことについても、アメリカ側はまた関係機関が集まって相談する必要はあろうと存じます。そうして、その関係機関の相談は比較的早い時期に行なわれて結論が出されるであろうという話を研究所長が聞いて帰ってきておりまするので、もうそう遠からずアメリカの態度というものは決定してこちらに通知があるものと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/29
-
030・久保等
○久保等君 だから、もう少しこちらの希望もはっきり、私は、向こうのほうに伝えるべきじゃないかと思うし、また、おそらく、伝えてあるのじゃないかと思うのです。要するに、いつごろまでにはっきりしてもらわなければ、こちらも準備の都合もあるからやれないのだ。何か自然現象みたいな、向こうの意思次第で、何だか、こうずるずるになっておるようなんですが、こちら側としては、都合もあるし、準備もあるのだから、いつごろまでにはっきりしてもらわなければ中継もできかねるというように、こちら側としての考え方なり気持ちというものは、ある程度まとめられてアメリカ側に表示をされたのですか、されなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/30
-
031・古池信三
○国務大臣(古池信三君) 日本の希望というものは、すでにラスク国務長官に対しまして正式に申し出ておりまするし、また、技術的には、今日まで随時、電報あるいは書面をもって意思表示をいたし、さらに、今回、電波研究所長がアメリカに参りまして、詳細に打ち合わせをしたわけでございますから、その際に、ただいまの準備期間等についても、相手方もその方面の専門的な技術者でありまするから、十分理解をしてくれるものと考えております。その上で、向こうの結論を急いでもらっておることと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/31
-
032・久保等
○久保等君 急いでくれておるものだろうと思うという御答弁、どうも聞いておって、きわめてたよりない御答弁のようにしか受け取れないのですが、先ほど電波監理局長のお話にもあったように、もし改造程度で済まない、送信機にしても、あるいはパラボラあたりにしても、これを根本的に全面的につくるということになると、半年程度は要するだろうというようなお話もあるのですが、そうなってくると、これ自体についての見通しも、改造で一体いけるのか、それとも、全面的につくり直さなければならないのかというこちらの判断も、これは早急につけねばならぬ段階にあるのです。むしろ、若干おそきに失しておるような感じがしておるのですが、だから、そうなってくると、改造といった場合には何ヵ月ぐらい、あるいは根本的につくれば何カ月ぐらいというような、二通り、三通りの、大体準備期間というのは、こちらのほうで最小限必要な期間かかるだろう、だから、それなら、それを向こう側に伝えて、向こうの、とにかく、シンコム三号なら三号そのものの性格その他の問題についても、できるだけ、こちらのほうでキャッチをしなければ準備もできないそうだから、そういったことの準備をすると、よほどざっくばらんの、それこそ話し合いをされる必要もあるだろうし、こちらの意向も伝えて、いま大臣の答弁せられた程度の、きわめて自信のないような話じゃなくて、もう少し具体的に相手方も意思表示できそうなものだと思うし、また、しなければ私は準備できないのじゃないかと思うのです。せっかく、そういう意味で上田所長がわざわざおいでになったのだろうと思うのです。当委員会でも、文書のやり取りだけでは、隔靴掻痒の感があって、なかなか事が運ばないのじゃないかということを申し上げたことがあるのですが、何か、やっぱり相手方の意向待ちといったような答弁の域を出ないのですけれども、幾らお尋ねしても具体的に御答弁できないとすればやむを得ないのだろうけれども、もう少し具体的にこちらの意思表示をされたわけじゃないのですか。もう少し念のためにお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/32
-
033・上田弘之
○説明員(上田弘之君) お答えいたします。
日本としては、今度のオリンピック中継に対しましては、ぜひとも実現してもらいたいという希望を先方にも伝えておりまして、これまでも、大体きまりまして四カ月くらい時間が必要であるというようなことは、先方にも伝えてあります。そういうことでございまして、アメリカ側としても、できるだけそれに間に合うように結論を出すように急いでくれておる、そういうような感じを抱いて帰ってまいりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/33
-
034・久保等
○久保等君 相手方の責任ある立場の人と、はっきりした意思表示の交換をせられたのか、せられないのかも、どうもいまの説明だと、はっきりしないのですが、大臣にお尋ねしますが、上田所長を派遣をしたのは、シンコム二号の、とにかく実験の見学といいますか、視察で行くことを主たる目的として派遣したのか、それとも、当委員会で前々からお尋ねしておるように、オリンピック中継の問題についての折衝を中心として派遣をされたのか、どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/34
-
035・古池信三
○国務大臣(古池信三君) 先ほど私が御答弁申し上げましたように、目的は二つありまして、一つは、たまたま向こうにおいて行なわれるシンコム二号の実験に技術的に立ち会うということ、もう一つは、オリンピックの中継を促進するように向こうに折衝する、このことが目的でございました。
これは先ほど来、たびたび熱心に久保委員から御主張がございまして、私も、久保委員のお気持ちは十分わかるのでありますけれども、この問題は、やかましくいえば、アメリカ側としては、何もシンコムなり、その他の衛星を上げてオリンピックの中継を受けなければならないという義務があるわけでもありませんし、また、こちらがそれを強く要請するという法律的な根拠も何にもないわけでございます。ただ、将来の国際的な親善あるいは相互理解、大きくいえば世界の平和に役立つであろうというような観点から、また、技術の開発の上においても大いに得るところがあるであろうというような点から、アメリカの友誼に訴えて、ぜひこれを成功さそうじゃないかという話を持ちかけておるわけでございまするから、必ず、いつまでに返事をよこせとか、どうしろというようなことは、どうもこれは言える立場ではないのであります。したがって、当方の事情を十分説明しながら、一日も早く向こうの結論を出してもらって実現ができるように折衝する、こういう以外には、どうも御返事のしようもないわけでございます。
そういう意味においては、私は、確かに上田所長の今回渡米いたしましたことの目的は、ある程度達成されたもの、こう認めております。アメリカ自身においても、おそらく、関係機関が相談をして、結論を出すまでは、アメリカ国としての意思も決定し得ないのではなかろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/35
-
036・久保等
○久保等君 しかし、ものごとをやはり実行して実現さしていこうということになると、もう少しきちんきちんと相手方の意思も確かめ、こちらの意思も伝えながら話をまとめていかなければ、ものごとというものは成就しないだろうと思います。私が申し上げておるのは、また前々から申し上げてみるのも、何も、何が何でもどんな犠牲を払ってもいいから、ぜひひとつ実現するように努力したらどうかというところまで申し上げておるわけじゃない。できれば、オリンピックという歴史的なこの実況を諸外国に同時に中継できるということならば、技術的にはもちろんのこと、それこそ、世界親善もさることながら、いろいろな意味において非常に有意義なことだと私は思うのです。しかし、相手のあることでありますから、それこそ、相手そのものが熱意がないのに、日本のほうだけが犠牲を払って、何でもかでもやるべきだという考え方を私はしているのじゃないのです。しかし、アメリカのほうでもまんざらでもないというようにいろいろ伝えられておりますから、それならば、早く向こうと積極的に折衝してみて、だめならだめで早く見通しをつけたらどうかという話を前々から申し上げているのであります。したがって、経費の負担がどうとかこうとかいうことも、これも私は、はっきり話をつけなければならない問題でありますから、それはそれで一つ一つ相手と折衝してけじめをつけていく必要があるのじゃないかと思っております。大臣の言われるように、何か金の話を持ち出すのは、いかにも持ち出しにくいような、相手が言わないのにこちらから言うのは……、これは謙譲の美徳か何か知らないが、そういうことではないと思います。こちらのほうでも、予算の関係がありますし、上田所長が帰ってこられて、新聞記者等が西村次官に会ったときに、次官談話みたいなものを新聞に発表されているが、次官は、それならば、ひとつ予算的な措置を講ずるつもりだというようなところまで、新聞記者団に発表されている。そういう一般に伝えられているところと、先ほど来における大臣なり上田所長の御説明だと、だいぶ私は、ニュアンスの相違があると思う。だから、何か、アメリカの意向自体がはっきりしないから、ずるずると来ているような感じだし、相手方も早急にこちらの気持を察して結論を出してくれるものと期待しているというような話なんですが、何も特別に日本がどうしても放送しなければならないという性格のものではないと思います。あまり無理をするならば、これはしないほうがいいと思います。中止せざるを得ないと思います。それならそれではっきりしたらいいじゃないですかというのが、私のお尋ねしている趣旨なんです。
だから、何とかひとつ嘆願してでも、向こうのほうで便宜をはかってくれて中継してみたいのだというところで考える必要はないと思います。だから、そこのところは、私の気持ちを十分に理解してもらいたいと思いますが、いずれにしても、おそらく、当局としてもお困りになるのじゃないかと思います。準備その他、特にその衝に当たられる立場からいえば、相手がはっきりしないのだから、一体どの程度のことをやっていいのか、しかも、世論というか一般的にアピールされておって非常に期待が持たれているようだし、ところが、御本尊のアメリカのほうでは、さほど熱意があるわけでもない、何か一人相撲を取っているのじゃないかという感じすらしないでもない。だから、やはりそこらは、当局としても、はっきり意思表示をするところは意思表示をして、判断するところは判断される必要があるのじゃないか。これは先ほど来のお話以上の答弁が具体的に聞けないとすると、お尋ねしても、あまり意味がないから、私は質問を打ち切りますが、ただいま申し上げたように、もう少しはっきりされるところははっきりしていく必要があるのじゃないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/36
-
037・古池信三
○国務大臣(古池信三君) 私、今日までたびたび申し上げておりますように、本年の日本におけるオリンピック大会は、これは画期的なものでもございますので、この情景を、幸い、通信衛星を中継としてテレビジョンを送ることに成功いたしておりますから、この秋においてもぜひ成功をさせたい、こういう熱意に最初から燃えているわけであります。現に日本はもう昨年来、特にオリンピック・ブームと言われるぐらいに、あらゆる問題がオリンピックに関連を持って非常な国民的な熱意が盛り上がっておることは、御承知のとおりでございます。しかし、冷静に考えてみますると、日本こそ、ことしはアジアで初めてオリンピック東京大会が開かれるのだというので熱心になっておりまするけれども、世界の国々からいえば、日本ほどには熱がないというのは、これは普通であろうと思うのです。それは、たとえばローマのオリンピック大会とか、あるいはベルリンのオリンピック大会といいましても、それは日本でもある程度は騒ぎましたけれども、おそらく、イタリアとか、その他のオリンピック開催地に比べれば熱は少なかっただろうと思うのです。したがって、日本で騒いでいるほど、アメリカなりその他ヨーロッパ各地でも同様に熱意があるとは、これはちょっと考えられないわけです。
そこで、アメリカ側も、最初はそれほど熱意もなかったかにうかがわれたのでありまするが、その後、いろいろな手を尽くしてこの問題を向こうに申し入れました結果、特に最近、上田研究所長も参りまして、いろいろ話を進めましたので、最近においてはアメリカ側の熱も相当高くなってきておる、こういうふうに私は認めております。
もっとしっかりした返事を早くとって準備を進めるべきじゃないかという御意見は、ごもっともなことで、もちろん、それは私は、何ら反対をするものでも、異議を差しはさむものでもございませんけれども、何しろ事情が、先ほど来申し上げたように、すべて衛星の製作なり打ち上げは、アメリカに依存しておるわけでありますから、十分理解を深めながらアメリカ側に交渉を続けておると、こういう段階でございます。
それから一般の新聞の報道その他から見て、私が申し上げていることがたいへんなまぬるいではないかというふうな御感想でありますが、私も、この熱意はだれにも劣らぬくらい持っておるわけでありますが、やはり諸般の事情を勘案し、関係者の意見を十分に聞き、情報も耳にしながら、総合的に判断をして申し上げておるのでありまするから、いまの段階においては、私の申し上げることが最も真相に近いものであると、こういうふうにお考えをいただきたいと存じます。いろいろな希望的な観測を加えての報道はあるということは、私も承知しておりますけれども、しかし、直接この問題にタッチしておりまする私としては、いま申し上げたことが現時点における正直な実態であるというふうに、こういうふうにおとりいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/37
-
038・久保等
○久保等君 大臣のお答えですから、私は、大臣の答弁はそのまま受け取っておるわけなんですが、そうすると、いまの段階では、予算がどうとかこうとかいうことをまだ言える段階じゃない。したがって、予算措置を講ずるとかなんとかいうことを言える段階ではないというふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/38
-
039・古池信三
○国務大臣(古池信三君) 将来においてさような面について御協力をお願いするようなことがあるいは起こるかもしれませんけれども、ただいまの時点においては、まだそこまでこの問題は進んでおらないと、こういうふうにお考えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/39
-
040・久保等
○久保等君 それでは、その問題についてはその程度にきょうのところはしておきます。
次に、特に電波関係で、これは主として東南アジア方面になるかと思うのですが、電波関係の技術協力の問題、そのことについて、若干お尋ねをしたいと思うのです。
年々技術協力の面も、最近は国際関係が、行き来がひんぱんになり、また、連係が緊密化されてまいると同時に、この方面も従来よりもだんだんと技術協力の度合いが深くなっていっておると思うのですが、政府ベースでやられておる技術協力の現状、特に昭和三十八年度あたりについて、具体的なひとつ御説明をいただきたいと思います。
技術協力といっても、いろいろ種類もあるだろうと思うのですが、そういった種類別に、どういう技術協力の面で、日本が三十八年度の場合について努力をせられたか、その状況についてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/40
-
041・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) ただいま御質問の海外技術協力と申しますものは、これを分けまして、研修生の受け入れの問題と、それから専門家を派遣いたしましていろいろ指導する、こういう問題と、在外といいますか、向こうの国におきまして設備を持ちまして訓練をするといったような、いわゆる現地における実際的な技術協力、この三つに分けられるかと思うのでございます。
ただいまの御質問の三十八年度の状態について御説明申し上げますと、三十八年度におきましては、研修生のほうは、全部で五十二名の研修生を受け入れております。地域別に見ますと、やはり東南アジアというのが多いのでございます。これが三十九名、続いてそのほかの諸国ということになっております。
それから研修のテーマにつきましては、電波関係といたしましては、やはりテレビジョン放送という問題、これに対しまする技術的な面、あるいは番組製作をどういうふうにするか、あるいは教育放送というような問題、こういうようなことが研修のテーマになっております。
その研修生の受け入れ方につきましては、個別に個人を受け入れる場合と、集団で受け入れる場合というのがございます。三十八年度から集団研修というのを始めたわけでございます。これは非常に一度にたくさんの者を研修することができますので、非常に能率もよくなるわけでございます。研修生の相互の理解というようなことも深まりまして、非常に効果をあげておるわけでございますが、三十八年度からは、その集団研修を始めまして、その内容といたしましては、教育番組の問題、あるいはテレビジョンの番組の問題、テレビジョンの技術の問題、こういったような三コースを二カ月間くらい実施いたしておるのでございます。
それから専門家の派遣でございますが、三十八年度に派遣いたしました専門家は合計六名でございます。インドネシア、タイ、マレーシア、エルサルバドルというようなところに派遣しております。なお、そのほかにも若干派遣中でございますが、テーマといたしましては、やはりテレビジョン放送局の建設の問題とか、そういったことに対する技術指導、それからやはり番組製作の指導、そういったようなことになっております。各国別の状況は、もし御質問があればお答えいたしたいと思います。それから在外技術協力の問題でございますが、三十五年度に、タイ国に電気通信訓練センターというのが設置されておるのでございます。これはいままで主としていわゆる一般の電気通信だけを対象としておったのでございまするが、これにつきましては、三十九年度から新しく放送関係の訓練コースを置きたいということで話がまとまりまして、三十八年度中に、約二千四百万円でラジオ、テレビジョンの放送技術の訓練のための必要な機材、そういったようなものを供与しております。
以上のようなことは、外務省、それから、それの実施の機関となっております海外技術協力事業団というようなところと密接な連絡をとりながらやっておるわけでございまして、また、受け入れた場合の研修というような問題につきましては、主としてNHK等に委託してこれを実施している。
以上が、大体三十八年度の状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/41
-
042・久保等
○久保等君 ただいまのお話のあった海外技術協力ですね。外国の現地にいろいろ施設がある、その施設に対する技術的な援助、あるいは、ただいまのお話だと、機材等、何か供与せられたようなお話もあるのですが、そのほかに、技術者を派遣せられて、それでいろいろサービスの提供といいますか、在外施設、海外にある施設そのものに対する技術的な援助なんかをせられておる面もあるのじゃないかと思います。それからまた、それの専門的な機関といいますか、何か具体的におやりになっておること、もう少し詳しく御説明願えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/42
-
043・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) 在外におきましてずっと長期間にわたって設備を置きまして、そこでいろいろな技術指導あるいは訓練を行ないますのは、現在におきまして、タイ国における訓練センターがあるわけでございます。そこには、それに必要な教材、あるいは事業に必要な施設というものを送っておるのでございます。そのほかの問題は、いわゆる専門家を必要に応じまして派遣いたしまして、そうして、その国のたとえばテレビジョンの今度、局の建設をしたいが、どういうようなチャンネル・プランをつくったらいいであろうか、あるいは、どういうような局をつくったらいいであろうか、あるいはテレビジョンの放送を始めたいが番組はどういうふうにしたらいいであろうか、そういったような実際的な点の指導というようなことをやるのが、専門家の派遣でございます。専門家の派遣につきましては、たとえばインドネシアには、テレビジョンの技術、番組製作の指導に二名行っております。タイ国には、ラジオ、テレビジョン技術の教育に二名、マレーシアには、受像機を中心とするテレビジョン技術の教育に一名、それからエルサルバドルには、国立工業学校における放送技術の教官に一名、そういったような形で現地に専門家を派遣いたしまして、向こうのいろいろな計画等に対する指導をする、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/43
-
044・久保等
○久保等君 海外技術センター、これはタイにあるセンターですが、これは何ですか、先ほどお話のあった専門家派遣のその方が駐在してやっておるのか。また、別に技術センターには何人か駐在員がおられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/44
-
045・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) 訓練センターには訓練センターとしてのその土地に、はっきりしたことを覚えておりませんが、二年なり三年という長期間を限りまして、そこに定着いたしまして訓練をするいわゆる教官、学校の教官といった形でそこに行きまして、そこの先生になって、そうして入ってきた学生に対しまして、次から次へと教授をする、こういうことでございまして、これはタイ国の訓練センターだけが、いまそういうことができるようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/45
-
046・久保等
○久保等君 何人ぐらい技術センターにおられるのですか、こちらから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/46
-
047・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) 先ほど御説明いたしましたように、電波関係のほうがふえましたのは、三十九年度からになっております。一般の電気通信関係でございますが、これは主として公社のほうの関係から専門家が派遣されておるようでございます。これは私の所管でございませんので、詳しい数字を知らないのでございますが、電波関係のほうは三十九年度から始めることにしておりまして、まだ詳しい具体的な——総合的に人間が計算されておりますので、いまここでちょっとその電波関係だけについて何名ということはちょっとお答えできかねますが、なんでしたら監理官室のほうに。監理官がおられますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/47
-
048・野口謙也
○政府委員(野口謙也君) タイの訓練センターは、すでに先ほど監理局長から御説明いたしましたとおり、三十五年にできておりますが、従来公社から、それからKDDから八名、そこに今度テレビのコースをつくるということで追加されてきたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/48
-
049・久保等
○久保等君 まあ、いまのところ、まだきめてないわけですか、電波関係。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/49
-
050・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) 二名程度の予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/50
-
051・久保等
○久保等君 まあ今後の見通しといいますか、趨勢ですね。三十七年度、それから三十八年度比較してみても、相当海外の専門家派遣の数字等を見ても、多くなってきつつあるようですし、現地あたりの、おそらく、要望としても、強い要望がある点から考えると、将来ますますこういった面も盛んになっていくのじゃないかというふうに考えられるのですが、実際やってこられた経過からして、特にまあ東南アジア方面の気持ちなり、今後に対する希望等といったものはどういう状況ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/51
-
052・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) いままで電波関係におきましての研修生の受け入れとか専門家の派遣というようなことに関係いたしました方面から申しますと、この海外技術協力は、いわゆる開発途上にあります国々にとりまして、非常にいい結果を与えておる。日本に参りまして、日本の技術の非常に高いところに触れまして帰りまして、その次にはそういうところにはまた行こうじゃないかというようなこともございまして、非常に希望もふえておりまして、先生のおっしゃいますように、好結果をもたらし、また、今後このままの状態でいきますならば、これはふえていくべきものでございます。諸外国からの、そういう国々からの希望もふえておると、こういうふうに見ております。ただし、予算関係その他につきましては、まあ、そういうことを外務省と話し合いまして、外務省のほうで所管しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/52
-
053・久保等
○久保等君 まあ、いま予算のお話が出たのですが、予算関係というと、全部政府のほうとしては外務省関係に組まれておるのですか。郵政省そのものでは、予算上は、全然そういった予算は計上せられておらないと思うのですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/53
-
054・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) 電波のほうにつきましてだけしか私よく存じませんが、郵政省関係としては、予算は組まれておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/54
-
055・久保等
○久保等君 まあ非常に海外における、しかも、どちらかというと低開発国、まあ、こういった方面では、こういったことについて強い熱望を持っておると思うのですが、なかなかその要望に沿い切れないという、むしろ私は状況じゃないかと、こう思うのですが、まあ、これは非常に一つの重要な問題だと思うのですけれども、今後、海外技術協力をどう推進していくかということについては、相当高い立場から十分に考えていかなければならぬ問題だと思うのです。
ところが、この問題も、ただいまお話にあったように、予算的にいえば、外務省の所管、ところが、技術関係については、外務省はこれはもう全くずぶのしろうと、まあ、そこらにも機構的にも何か私はもう少し考える余地があるんじゃないかと思うのですが、要するに、ばらばらで、しかも、個々の海外技術協力の技術屋さんの問題一つ取り上げてみても、これまた、NHKもあり、あるいは民間もあり、いわば各会社が会社の商業上のベースで考えられている範囲内を出ないんじゃないかと思うのですが、そういったことについても、非常に一つの問題だと思うのです。したがって、こういったことについても、政府として、私は、やはりもう少し何か統一的にこういった問題と取り組み、積極的に進めていく必要があるんじゃないかと思うのです。いまの電波監理局長の立場なり、あるいは電気通信監理官も、そういう点では関係があるのかもしれませんが、ここらで要望があるのに対して、研修生を若干受け入れたり何かしてやられておるのだけれども、なかなか十分な希望にも沿い得ない状況じゃないかと思うのですが、ここら、もう少し強力な何か方法が考えられなきゃならぬじゃないかと思うのですが、このことあたりについて、専門家的な立場の局長なり、あるいは監理官あたりのところで、どういうふうにお考えになっておるのか。もちろん、政府としての強力な施策を打ち出していくのには、政府自体がもう少し、局長だとかなんとかいうところじゃなくて、当面の問題とすれば、やはり郵政大臣のところあたりで十分に考えていかなければならぬ大きな問題だと思うのです。雨だれのしずくくらいに、ぽとりぽとり海外技術協力の問題について対処しているという程度を出ないのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/55
-
056・古池信三
○国務大臣(古池信三君) この問題は、全くお説のように、きわめて日本の海外技術協力のやり方というものが十分でないということは、私も非常に残念に思っておるわけであります。御承知のように、アジアのいわゆる後進国に対する技術協力あるいは経済協力の問題は、具体的に申しますと、コロンボ・プランにのっとってやっておる場合が非常に多いのでございます。そのコロンボ・プランによりますると、日本あるいは豪州、またアメリカ、カナダ等は援助をするほうであって、他の国はほとんど援助を受ける側の国になっておるわけでございまするが、これらの国の様子を見てみますると、残念なから日本は非常に少ないのでございます。
そこで、昨年、私たまたまコロンボ会議に出席いたしまして、実情を見てまいったのでございまするが、タイ国では、先ほど政府委員から御説明申し上げましたように、通信の訓練センター、これは非常に成功いたしております。あそこには通信のほか、あるいは土木であるとか、農業であるとか、あるいは衛生、医学関係の技術者も日本から行っていろいろと協力をしておるのでありまするが、私の見るところでは、通信関係の訓練センターが一番成功しておる、あるいはまた、何こうの国の人からもたいへん喜ばれておるという、ふうに見てまいりました。所長以下非常に熱心に、ほんとうに向こうの国の人ととけ合って、ともにセンターで仕事をしております。電波関係はまだ始まっておりませんでしたが、一般の電気通信関係につきましては、その中に教室を幾つか設けまして、そこでタイの国の若い人を集めて、日本から行った人が先生になって教えておりますが、非常にぐあいよくいっておるように存じます。さらに、土地等もタイの国が提供して拡張計画があるということも聞いてまいりました。
どうしても、これに対しては先立つものはやはり予算でございまするが、いまコロンボ計画関係は、一括して外務省が担当しておるわけでございます。私は、昨年向こうから帰りまして、閣議の席においてその情勢を詳しく報告をし、同時に、日本はもっと力を入れて海外の技術協力をせねばならぬということを力説しまして、閣議でも各閣僚十分に認識をし了承をしてくれておるわけでありまするが、しかし、具体的な数字になりますると、いまだ豪州あたりに比べましても、非常に日本が劣っておるという状況でありまして、これは向こうに日本から指導に行く場合もそうでありまするし、こちらが受け入れて向こうの人が研修のために来るという人の受け入れ態勢の予算についても、非常に日本は少ないように考えております。政府としては、今後十分にこの問題をより重要視しまして、予算もできるだけつけるように、政府の一員として努力をしていきたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/56
-
057・久保等
○久保等君 大臣のいまお話しになった点は、私も全く同感だし、私もかつてセイロンのほうに、いまから八年ばかり前に行ったときに、セイロンの国で、約百名近い農業技術者を養成するために西ドイツのほうに派遣をしておるという話を直接聞いたことがあるのですが、いまから十年近くも昔の話ですが、これは農業技術の問題ですが、非常に西ドイツあたりがセイロンに対して農業技術者の養成について、もちろん一切の経費は西ドイツ負担で養成をされておるというようなことを具体的にやっているのを、日本の当時セイロンに駐在していた結城大使から私、直接聞いたことがあるのです。
こういった点を考えてみても、東南アジアで日本が果たすべき役割り、私は、技術関係の問題については、これは特に、逓信委員会ですから、電波関係の問題だけについて申し上げているのですけれども、やはり技術協力の面でもう少し積極的に果たす責任があるのではないかと思うのです。
そういう点から考えると、大臣のお気持ちは、全く私もけっこうだと思うのですが、ただ問題は、そういった気持ちが具体的な施策として一体推進できるいま状況にあるのかどうか。それはたとえば、私は機構的な問題も一つあると思う。いまの郵政省のような組織形態で、電波行政の問題について、私は国内問題についてもこれからまたお尋ねしてみたいと思っているのですけれども、これは海外面の電波行政の一部というか、電波行政を預かる郵政当局の一つの大きな問題だと思うのです。これは国家的な大きな使命でもあると思うのですが、こういう点も考えると、いまのような状態では、大臣の気持ちは気持ちとして、なかなか具体的には推進できないのではないかという気がするわけなんです。まあ政府全体がもう少し熱意を持つということも必要でしょうが、同時に、それにはそれなりに、組織的にも、機構的にも、それが推進できるようなことをやっぱり考えなければならぬじゃないかと思うのです。いまのような状態では、どうも気持ちはあっても力足りずというか、組織的に、機構的に、なかなかやり得ない。国内の電信電話というか、日本の電信電話事業についても、現在のところですけれども、国際電電というものができ上がっておりますが、対外的な通信は国際電電だという形になっておる。こういった問題も、はたしてこういう状態でいいのかどうか。われわれは、かねがね国際電信電話株式会社ができ上がる当時は、強く反対をしました、同時に、今日でも、日本の電信電話事業、国内と言わず、国外と言わず、通信事業というものを考えた場合に、何かとにかく、ばらばらになったような傾向が非常に強い。したがって、施策も、どうもなかなか強力な統一的な施策というものが生まれてこない。そういう感じがするのですがね。
たまたま海外技術協力の問題でいまお尋ねして、大臣のそのことについての熱意については、まあ私も伺ってけっこうだと思うのですが、ただ、これから推進をされる場合に、何かやはりそういったことについてもお考えを願わなければならぬじゃないかと思うのですが、きわめて私の質問そのものが抽象的ですけれども、それこそ、意のあるところはわかっていただけると思うのですが、どうでしょうか。大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/57
-
058・古池信三
○国務大臣(古池信三君) まことにごもっともなことでありまして、特にアジアの中心にある日本としましては、かような後進国に対して他の国以上に本来ならば援助なり、あるいは協力をすべきものであると考えております。ただ、残念ながら、現在までの状態は、他国にむしろ非常に劣っておるという次第でありまするので、今後、こういう点には十分意を用いて増強するように、あらゆる機会に私も推進していきたいと、こう存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/58
-
059・久保等
○久保等君 海外の日本に対する要望なり、それからたとえば専門家の派遣等の問題について、具体的な申し出等があって、それにこたえられないというような場合が現実にあるのですか、ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/59
-
060・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) 電波関係といたしましてのこの関係の予算は、大体六、七千万円程度でございます。現在、総額は十二億というふうに聞いております。まあ電波関係だけで六%程度のものです。三十八年度でございますが、先ほど申しましたように、研修生としましても五十名程度受け入れておるというようなことから考えまして、現状におきましてはまずまずのところであるように、われわれ感じておるのであります。非常に特殊な国からの問題、要請というようなことに対しまして、たとえば派遣の、非常に僻遠というのもおかしゅうございますが、そういうようなところで、適当な行く人がないようなところ、そういうようなところを除きまして、まあ要請に対して大体こたえられておる。しかし、久保先生の御指摘のように、非常に好評でございますので、今後また、それから日本の技術の進歩、あるいは、そういった国々の経済文化の向上というようなことから、この数字は、要望というものはもっとふえてくると思いますので、そういうような点につきましては、われわれも、いまのところの組織といたしまして、外務省のほうによくその趣旨を話しまして、そして、この計画をもっと拡大してまいるように努力をしてまいりたい、そういうふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/60
-
061・久保等
○久保等君 その問題については、今後とも十分に機構なり組織の面等についても、何かひとつお考えを願って、何かまあ民間ベースでそれぞれの事業体がそれぞれのベースの中で考えて海外に派遣するというような程度では、私はやはり不十分だと思うし、それからまた、逆にいろいろ問題を起こしかねないと思うのです。
それから現在のところ、きわめて微微たる程度にとどまっておるから問題ないと思うのですけれども、将来、ある程度人数等もふえるとかなんとかいうことになってくると、よくわれわれ海外に行って痛感することは、日本の海外貿易なんかにしても、商社ごとにそれぞれまちまちのかってなことをとにかくやっておる、そうしてお互いに足を引っぱり合って外国に行って盛んに競争をやっておるというような、きわめてナンセンスな実情にあることを考えると、技術関係についてそういったことはあり得ないというふうには判断できないと思うのです。
そういった点で、もう少し郵政——現在のところ、機構上、郵政当局ということばを使いますが、電波当局がこういった問題について長期的な展望の上に立って、もう少し統一的な、しかも強力な方針を立てられて、十分にひとつ低開発国の国々に対する熱意にこたえ、それこそ、日本の持てる技術を十分に低地域に対してこれを提供していくという、私は、やはり責任が日本の場合に特にあると思うのです。そういった点から、ひとつ高い視野からこういった問題についても、今後の課題として十分に研究をお願いしたい、このことを申し上げて、海外技術協力の問題については、私、質問を終わりたいと思います。
それから次に、電波行政の業務が逐年非常に激増しておるんじゃないかと思うのですが、そういう点等もお伺いをしたいと思うのですが、これは私、資料としては、手元にあった昭和三十七年度の「電波年鑑」、若干拝見をさしてもらいました。しかし、多少もう古いデータになっておりますから、三十八年度あたりの実績というものは、これまた急激に増高しておるのじゃないかと思うのですが、お尋ねすることは、いろいろたくさんあるわけだし、また、電波行政の分野といっても、これはきわめて広範ですから、逐一お尋ねするわけにはまいりませんが、たとえば無線局一つを例にとってみても、非常な急激な増高ぶりを示しておるようですが、三十八年度の場合に、大臣の一般報告をお聞きしても、約十七万をすでにこえたというお話です。これも、十年前あたりと比べると、昭和二十八年あたり一万二千余りくらいだったというような数字になっておるようですが、こういったような点を見ると、全く驚異的な伸び率を示しておると思うのですが、免許事務についても、したがって同じことが言えるでしょうし、監視、検査等はこれと相並行してやはり同じようなことが言えるんじゃないかと思うのですが、こういう急激な増高ぶりに対して、要員等の面はどういう趨勢になっておるのか。昭和二十八年あたり——二十七年、二十八年あたりのところ、数字的にちょっと御説明願いたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/61
-
062・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) ただいま先生いろいろ御指摘いただきましたように、無線局につきましては、相当な増加数を示しておるのでございます。ただ、最近、その増高いたしましたものの中におきまして、特に簡易無線局、それからアマチュア無線局、そういった非常にいわば簡易な無線局の数、これが非常に大きくなっておりますので、全体的には、もちろん上昇はしておりますけれども、三十七、八年というところで急激に無線局の数が増高いたしましたのは、そういうものの数が非常にふえたことによることもあるのでございます。しかしながら、全体につきまして増高しておりますので、これに関係いたしますいろいろな事務処理、ただいま御指摘の免許、監督、あるいは従事者の検定、あるいは監視といったようなこと、そういうような要員も、これに伴いまして、われわれとしては、できる限り必要なものはこれを充足する方針でやっております。
定員数といたしまして、いま御質問がございましたのでございますが、三十四年度が二千九百七名、三十五年度に二千九百三十七名、三十名増になっております。三十六年度に二千九百六十五名、二十八名の増になっております。三十七年度に三千六十二名、これが九十七名の増になっておりますが、三十八年度におきましては増がなかったのでございますが、三十九年度におきましてさらに二十一名の増ということで三千八十三名ということに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/62
-
063・久保等
○久保等君 二十八年あたりはどのぐらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/63
-
064・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) 二十八年は、このころは行政整理の前でございますが、三千五十六名となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/64
-
065・久保等
○久保等君 これを二十八年度、それからまあ、たくさん説明せられるのもわずらわしいでしょうから、三十七年、八年、九年ぐらいのところを、本省と研究所、地方電波監理局、この大きく三つぐらいに分けると、どういう定員になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/65
-
066・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) 総合的な数としての統計がちょっとございませんが、先ほど御説明しました三十名、二十八名、九十七名の増というものの内訳について御説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/66
-
067・久保等
○久保等君 いや、数全体について、本省、研究所、それから地方電波監理局、こういうふうに分けて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/67
-
068・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) 三十五年度に、本省におきまして四百二十八名、それが三十八年度に四百三十三名になっております。それから訓練所が、三十五年度に二十五名、三十八年度に二十八名、研究所が、三十五年度に三百五十八名、三十八年度に四百七十二名、地方電波監理局関係が、三十五年度に二千百二十六名、これが二千百二十九名、以上のようなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/68
-
069・久保等
○久保等君 二十八年はわかりませんか、わからなければわからなくていいですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/69
-
070・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) ただいま手元に二十八年度のこまかい内訳の数字を持っておりませんので、後ほどわかりましたら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/70
-
071・久保等
○久保等君 けっこうです。
ただいまの御説明を聞きますと、現在の要員というものは、行政整理が途中あったこともありますが、二十八年度の要員とほとんど同じ、二十名余りぐらいふえているかもしれませんが、ここらあたりと比較をしてみても、何か時代の変遷というか、事業量の変遷にむとんちゃくというか、無関係に要員面ではほとんどふえていない、何か非常にちぐはぐな感じがするのですが、その点、電波監理局長、どんなふうに感じておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/71
-
072・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) これは私、参りましてから詳しい分析をしたわけでございませんので、ただいまの御質問、感じという御質問でございましたので、そういうような意味におきましてお答えいたしたいと思いますのですが、要員のうち、非常な部分を占めておりまする監視関係の業務というようなものにつきましては、終戦後の監視の問題というものを、主として短波関係の監視というような問題、そういうようなことが非常に重要視された時代、現在におきましてむしろ超短波というようなものに問題が移行してくる、あるいは電波の質そのものも、一時は機械設備その他が悪かったために、相当な監視というものをやらなければならなかった、そういうようなものの精度が向上してまいりまして、そういうような点につきましても、要員が従前ほどの人数を必要としなくなってきたというようなことがあるのではなかろうかと感じておるのでございます。そのほか、もちろん事務の合理化とか簡素化というような問題につきまして、免許関係の手続の簡素化というようなこと、あるいは地方に委任をするとかいうようなことによっての手続の段階を減らすとか、そういうようなこともいろいろしております。まあ電波行政全体が、占領中の電波行政のあり方、あるいは行政委員会の当時、あるいは、それから電波監理局になってからと、非常に内容が急激に変わってきております。この数字から言って、確かに御指摘のように、二十七、八年と現在と比べまして、あまり大きな増を見ておらないということは、ちょっとおかしいようにも感じられるわけでございますが、いま申しましたような、内容的に非常に大きな変化がございますので、われわれといたしましては、必要なだけの人数というようなものにつきましては、一応これで充足されているというふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/72
-
073・久保等
○久保等君 これは、その答弁ではちょっと納得できないのですがね、ただ、最後のところだけで、何と申しますか、つじつまを合わしたような答弁なんですが、これは新しい仕事といいますか、こういう面も非常にいろいろ出ているのじゃないですか。これは何も電波監理局長に、郵政本省の電波監理局だけの問題をお聞きしているのじゃなくて、全国の地方電波監理局を含めての、私はお尋ねをしているのですが、早い話が、たとえば電電公社関係の有線放送関係の問題、こういった問題一つ取り上げてみても、これは非常に何といいますか、法規関係だけをながめて、所掌に関する問題だけを取り上げてみても、これはなかなかたいへんな仕事じゃないかと思うのですがね。足元に火がついてぎゃあぎゃあというか、どうにもならなくなってきて取り上げていけば、それでも済んでおると言えば済んでおるかもしれませんが、ああいう電波と言っても、それこそ、範囲が非常に広い。また、最近のように、宇宙通信とかなんとかという問題になってくると、これも時代の進展に伴う新しい仕事というか、新しい分野だと思うのですね。
だから、そういう点を考えると、十年一日のごとく、それこそ、昭和二十八年ごろの人員で業務の簡素化をやっていますし、何とかやっているのだという答弁じゃ、なるほど、全然事務量が特別ふえ——事務量といいますか、新しい分野が全然ふえないとすれば、従来ある事業については、できるだけ簡素化をやる。免許事務について言うならば、できるだけ手続を簡単にするとかなんとかというだけの答弁でこれは了解できないわけでもないのですけれども、ただいま一、二申し上げたように、新しい仕事は、少なくとも、昭和二十八年当時に、あまり仕事としてない当時に比べると、これは今日非常な仕事量の増嵩を来たしていると思うのですが、そういう経過をたどってみると、私、どのくらい人数をふやしたほうがいいとかなんとか、具体的なことを申しているのじゃないのですけれども、何かやっぱり古い着物を着て、いかにからだが大きくなってもがまんをしておるというような感じがするのです。大いに人間をふやしなさいというような、そういう観念的なことを申しているわけじゃないのですけれども、要員面については、要員面を一つ取り上げてみても、何かそういう実態に即したような要員になっておらないのじゃないかという私は感じがしてお尋ねしているのです。だから、電波監理局長、十分にいままでの経過をあるいは御存じなくて、何とかつじつまだけ合わせる程度の答弁をしておられるのかもしれませんが、事実問題を率直に私はお聞きしているわけなんです。やはり生きた電波行政というか、やはり十分に責任を果たしてもらわなければならぬと思うものですから、そういう点からいくと、いまの状態では、これまた力が足りないのじゃないかという気が、要員面でも感ずるものですから、お尋ねしているのです。率直な、それこそ感じと言ったのは、具体的な数字でお聞きしようと思わないから、感じということでお尋ねしているのですけれども、ほんとうに間に合っているという答弁、そのまま受け取っていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/73
-
074・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) 率直なお答えをいたしまして、これで足りるか足りないかとおっしゃられましても、私といたしましては、現在要員でみんながんばってもらいまして、事務の渋滞を来たさないように努力してまいりたいというお答えをしなければならないわけでございます。ただし、今後いろいろ監視の問題につきましても、たとえば、もっと機動化をはかるとか、あるいは機械化をはかる、そういうようなことによりまして、今後増大してきますところの新しい事務量に対処したい、こういうようなことはいろいろ考えております。
それから有線放送関係につきましても、御指摘のように、非常に業務量がふえておりますが、こういうようなことにつきましても、なお十分今後の有線放送接続の問題その他もございますので、実態を把握しながら必要な人間はふやしてまいりたいというように考えております。
今日まで宇宙通信その他の新しい問題につきましては、研究所の定員増ということに非常に骨折っておりまして、たとえば本年度二十一名の増というのは、主として鹿島の宇宙通信の増員でございます。必要な最小限度の要員の増ということにつきましては、一応われわれ努力をしているわけでございます。さらに、いま申しましたような機械化、あるいは事務の簡素合理化というようなことによって対処してまいりたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/74
-
075・久保等
○久保等君 要員問題を一つの例として申し上げたのですが、機構なり組織の面でも、たとえば、いまお話のあった電波研究所の問題、これなんかも単に電波監理局だけの問題じゃなくて、日本の電気通信事業、電気通信関係、電波を含めてそういったものの研究所の問題も、たとえば国際電電には国際電電の研究所がある。NHKにはNHKである。郵政省には郵政省である。電電公社は電電公社であるという問題も、これははたしていまのような状態でいいのかどうか、研究機関の問題ですね。それぞれパラボラを、鹿島に建てた、いや十王に建てた、片や国際電電、片や郵政省、何か、私はあまり技術的なこまかいことはわかりませんしするのですが、そういう研究機関の問題等についても、これは、研究所はいろいろなロスがあるのじゃないかと私は思うのですけれども、ここらのことを——通信、しかも日進月歩、非常な急激な速度で進歩している電波関係、これなんかの研究所も、いまのような状態で、はたして十分なのかどうなのか、単に要員問題だけじゃなくて、私は、ただいま申し上げました機構上の問題ですから、これはまあ電波監理局長だけの立場でどうこうできる問題だとは思いません。思いませんが、やはり電波行政という問題を総合的に考えた場合に、これまた、私は十分に考えなければならぬ問題があるのじゃないかという気がするのです。この研究所の問題なんかについても、何か具体的なお考えがありますか、何とかしなければならぬというお考えがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/75
-
076・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) 研究の統一といいますか、一元化という問題は、いろいろな角度から論じられておる問題でございますが、郵政省の電波研究所といたしましては、やはり基礎的な研究ということ、この電波伝搬の基本的な問題、あるいは電離層の問題、あるいは標準の問題、そういったような基本的な問題を取り上げて研究をしていく。国際電電等の研究ということになりますというと、どうしても国際商業通信ということを直接の目的にいたしました研究ということになるわけでございまして、多少そこにこの持って行き方、目的が違ってくる。NHKの問題につきましても、これは放送、受信機、そういったような問題になってくるわけでございまして、それぞれよく連絡をとりながら重複を省くということはもちろん必要でございますが、現在のところ、それほど重複してむだな研究をしているというふうには、私自身としては考えておりません。しかし、御指摘のような点につきまして、おのおの特色を生かして今後うちの研究所等も研究を進めていきたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/76
-
077・久保等
○久保等君 私も何も、むだな研究をしておるという気持ちはさらさら持っておらない。それぞれ専門的な立場でそれぞれの使命を持ってやっておられると思う。しかし、電波行政という行政を預かる立場から見て、はたして機構上、組織上、現在のような状態が一体ロスのない研究を進めていく上において好ましい組織形態かどうかという問題でお尋ねをしておるわけですから、それぞれの研究所がそれぞれの任務に向かって、きわめて熱心に研究をせられておるということについては、私はその成果を十分に認めるのですけれども、しかし、もう少し高い立場から、研究機関というものが、いまのような形でそれぞれの事業体がそれぞれ研究所を持ってやっていく、理念的には、いま局長の言われたように、基礎的なものを、基準的なものをやるところ、商業的な立場からやるもの、公共放送的な立場からやるもの、これは当然そうだろうと思うのです。しかし、具体的に研究テーマを取り上げた場合に、どこからどこが基礎で、どこからどこが実用の研究かということになったら、これはもうそれこそ釈迦に説法かもしれませんけれども、なかなかそうはっきりしたものがないと思う。そういうところにやはり運営上のロスが出てくるんじゃないかという感じがするものですから、専門的な行政を預かる立場から、現在の機構に対してどういう所見を持っておられるか、お尋ねしたんですが、それをここでそう簡単に、どうせよこうせよと、私は具体的に申し上げようとは思いませんが、しかし、やはり将来の日本の電波事業あるいは電波行政という立場から、十分に考えていただかなければならない、これまた、一つの問題があるんじゃないかという感じを、私は前々から持っておるものですから、お尋ねをしておると同時に、将来に対する一つのテーマとしてお考えを願いたいと思う。大臣、一言、この問題についてお答えを願いたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/77
-
078・古池信三
○国務大臣(古池信三君) 技術研究の機関を統合するかどうかという問題は、昔から言われていることでございまして、一例をあげますと、科学技術庁が設置されます際にも、各省にそれぞれ技術関係の研究機関を持っておるということは非常に不経済ではないか、むだが多いのではないか、むしろ、これは全部科学技術庁に統合すべきである、そして一大研究機関を設くべきであるという議論が相当強かったのでありまするが、しかし、また、これらに対する反対意見も多くありまして、結局、今日ではほとんど各省の研究機関がそのまま残っておるようなわけでございます。それで、やはりこれを一本にするかどうかということについては、一利一害といいましょうか、あるいは一長一短があるので、そのために非常に利益になる場合もありまするかわりに、やはりそれぞれの特色のある研究所というものを持って独自の立場から研究していくほうがよいという場合も多かろうと思いますので、この際、どっちがいいかというふうに、簡単には、結論づけることはできないと思います。しかしながら、それぞれりっぱな研究所が研究しておられまするその過程あるいは結果につきましては、十分に持ち寄りて、そうして総合した、さらに一段と飛躍した研究に持っていくということは大切であろうと存じております。したがって、たまたま今回の宇宙通信利用の問題を契機としまして、電気通信関係の四者の技術的な協議会を持って、いろいろと当面の問題について研究の成果を持ち寄りながら意見の交換をし、さらに研さんも進めていくというあり方は、やはり一つの、これも制度的な考えからいいましても、有意義なことではあるまいか、かようなことをだんだん積み重ねていくうちに、またそこに一つの結論も得られるかもしれない、こう考えております。したがって、いまのところ、電気通信関係の研究所を一つにまとめてしまうということには、私も簡単に踏み切れないのではあるまいか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/78
-
079・久保等
○久保等君 まあ私も何も一本にまとめてしまったらどうかという、そういう短兵急な結論をもってお尋ねしているのではないのです。現状のままでいいかどうかという、そこらあたりを焦点にしたお尋ねをしているわけなんです。だから、極論をして一本にまとめてしまったらどうか、さらに一本といっても、またいろいろあるわけで、いま言う科学技術庁あたりに、一本にしたらどうかという極論もあると思うのです。だから、私は、そういうところまで飛躍しないで、少なくとも、電波監理局長の管轄下にあるあたりのところを四者、大きく言って四者、まあ、そういったところの問題についても、現状のままでいいかどうかということになると、私はそうとは思わないのですが、もちろん、これも電波研究所だけの問題を取り上げて申し上げているのではないのであって、さっきも申し上げましたように、電波行政全般的な問題を研究所のみならず、地方電波監理局も含め、あるいは株式会社になっておる国際電電も含めて、総体的な問題としての一例を申し上げておるのですから、まあ、そういう意味で理解されると、先ほど大臣の御答弁になったような形で理解されると、私の真意じゃないですから、その点は誤解のないようにお答え願いたいと思うのですが、まあ電波行政の問題については、非常に私は問題があまりにも多過ぎるじゃないかと思っているのですよ。
ところが、これに対してずっとまあ同じような形で来ておるのですが、たとえば電波監理審議会なんかの問題についても、これも多少御説明願わないとよくわかりませんけれども、まあ電波法の中で規定せられておる電波監理審議会、これもきわめて民主的な一つの機関として設けられてはおるのですが、はたして実際の成果をあげておるかどうか。これも私、必ずしも十分な認識がないから、なんですが、たとえば電波監理審議会なんかにしても、いろいろ苦情を取り上げる、異議等取り上げるような使命を持っていますね。免許を与えた、そのことに対する不服があった場合に申し立てるというようなことになっておりますが、実際問題として、そういう異議の申し立て等がありましたか。数字的に少し説明願いたいと思うのですが。局長でなくてけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/79
-
080・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) 御指摘の、異議の申し立てその他についての審理を要求した例は、数例ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/80
-
081・久保等
○久保等君 数例程度ということですが、この「電波年鑑」にある電波監理審議会の開催された回数だとか、取り上げられた内容等についての統計的なものも出ています、ちょっと拝見したのですが。まあ非常に回数はずいぶん多く開かれているのです。したがって、忙しいだろうと思うのですが、しかし、これも事務当局から出されたものに対して、妥当であると認めた結論がずらっと全部書かれているのです。だから、電波監理審議会は形の上ではきわめて民主的な機関として設けられているのだが、はたして十分にその効果をほんとうに電波監理審議会というものがあげているのかどうか。これは電波監理審議会の運営問題になるのですけれども、何か、事務的に電波監理局の事務局から出された案を一応目を通して異議ございませんと、きわめて妥当な措置でございましたといったようなふうなことにしか受け取れないのですが、これの運営あたりはどういう状況ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/81
-
082・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) 電波監理審議会の運営につきましてのお尋ねでございますが、審議会の仕事といたしまして行政に直接関係のあるいろいろな重要問題に対しての諮問、それに対する答申という一つの業務がございます。それともう一つは、先ほど御指摘の、異議申し立てに対する審理という問題と、二つあるかと思います。
前半の電波行政に関する問題の諮問につきましては、一月に一回程度は必ず開いておりまして、われわれいろいろ御指摘をいただき、御意見をいただく。実際の場合といたしましては、事前にいろいろ打ち合わせをするという形になってまいりますから、その場所におきましていろいろ大きな変更が行なわれるということは、まあ表向きとしては出てまいらないようになっておるかとも思いまするけれども、よく実際の問題につきましていろいろ御意見をいただきまして、その趣旨を体しまして、われわれといたしましては行政上の決定をいたしておるわけでございます。
それから後半の問題の、異議申し立て等につきましては、やはりその中におきまして、当事者のいろいろな意見の開陳、あるいは行政当局としての電波監理局の意見というようなもの、それが十分その場所でやはり論議をかわされますので、そういうようなものが記録としてあとに残りまして、非常にやはりそのときはこういうような形でこういうことが行なわれた、こういうことが考えられたというようなことがよく残りまして、そういうような意味におきましても、電波行政に対しての筋を通していくということに非常に意味があろう、まあ、そういうふうに、われわれとしては、それだけの意味におきましても、非常に重要な意味合いを持っている、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/82
-
083・久保等
○久保等君 まあいろいろお尋ねをしたいのですが、時間的な関係もありますから簡単にお尋ねしたいと思うのですが、この電波監理審議会で聴聞なんかをおやりになったことが何べんくらいありますか、その異議申し立て等に関連して、発足以来。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/83
-
084・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) 省令を制定いたしますような場合につきましては、必ずこの聴聞をやっております。したがいまして、一年に二、三回程度は、そういうような関係で省令の問題がございますので、事前に聴聞会を開いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/84
-
085・久保等
○久保等君 去年あたり、三十八年度あたり、やはり二、三回くらいやっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/85
-
086・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/86
-
087・久保等
○久保等君 電波の仕事といっても非常に広範ですし、それからまた、きわめて重要な免許等扱っておられて、なかなかたいへんだろうと私、思うのです。たとえば公共放送あるいは民間放送等の周波数の割り当て問題一つをとらえてみても、なかなかむずかしい。しかも、政治的な問題に発展しかねないような問題等もある。そういう問題も、むしろ、時代の進展とともに非常に多くなっていく。それから、ずっと昔からある、それこそ無線従事者の免許の問題だとか、あるいは船舶無線の検査の問題であるとか、無線局の検査事務、そういったようなことは、これはずっと昔からある仕事で、古来の仕事というか、したがって、それの手続的な面をいろいろ簡素化するというようなことも、事務的には考慮する余地がある問題だと思います。しかし、一般的に、電波行政の問題は、それこそ人間の電波を利用するという基本的人権とまではいかないにしても、非常に重要な権利関係に関係する問題だけに、これが適正な裁定がなされるか、適正な行政が行なわれるか、行なわれないかということは、非常に大きな問題だし、先ほど来お聞きしておる中でも明らかなように、事務量といいますか、業務量の問題一つをとらえてみても、非常に急激な伸びを示していると思いますが、そういう点から考えて、いまの電波監理局という形のもの、それに電通監理官という制度もありますから、そういうものを含めて、何か非常に今日の電波行政を担当するのには、私は、貧弱というか、機構的に見ても、非常に与えられる仕事は重大であり量は多いが、なかなかそれに十分に対処できない状態なんじゃないかという気がするのです。郵政省の中にある電波監理局あるいは電通監理官、こういった制度をもってしては、電波行政という問題についての適正な裁量なり、あるいは措置なんか、とり得ないんじゃないかという気が、前々から私はしておるのですが、郵政大臣のほうから、この問題は一電波監理局長にお尋ねしてお答えをいただくという問題じゃなくし、非常に大きな行政機構の問題でもありまするからお尋ねしたいと思いますが、どうも少しすっきりしない不自然ないま姿じゃないかと思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/87
-
088・古池信三
○国務大臣(古池信三君) お答えいたします。
御指摘のように、近年における日本の電波関係の仕事は非常に発展をしてまいりまして、したがって、行政機関としての取り扱い数字も逐年増大をしておるわけでございます。
そこで、政府の機構についてどうするかという問題は、これは郵政省のみならず、政府全般にわたりまして、行政調査会のほうでいろいろ審議が進められていることは、御承知のとおりでございます。私どもまだ、最終的な結論を郵政省として持っておるわけではございませんけれども、今後のあり方としては、やはり郵政省においては、一方、郵便貯金、保険等の事業と同時に、他方においては、かような重要な監督行政を担当しておるわけでございまするから、この監督行政の面においても、あくまでこれを充実して遺憾なからしめるということは必要なことであると考えております。それについて電波と申せば、放送もあれば、あるいは一般の無線通信もあるわけでございます。また、通信という見地から申し上ければ、いまでは無線通信と有線通信というものはますます密接な関係が出てくると、こう考えておるわけでございます。たとえば宇宙衛星を利用するような宇宙通信も発展をする段階にはありまするけれども、一方においては、また、これと相伴って海底ケーブルの重要性が再認識されておるというふうなわけでもありまするので、一般のテレ・コミュニケーションというものの立場から、今後の機構をどうしたら最も完全に近いものが生まれるであろうかという点について、十分に検討を加えてまいりたいと、こう考えておる次第でありまして、ただいま、この席でこういうふうな機構が最もよいということを断言して申し上げるまでには至っておりません。十分に慎重に検討してまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/88
-
089・久保等
○久保等君 大臣の御答弁も、現状のままでいいとはお考えになっておらぬようですから、まあその点で私も同感ですが、やはり電波行政という特定された業務量じゃなくて、いま言われるように、空に、あるいは海に、従来より以上に電波というものがきわめて急ピッチで技術的にも発展するし、同時に、量的にも非常にふえてまいる、しかも、いろいろと政治問題化していくような問題が次々に出てくる、有線、無線を問わず。そういう点から考えると、もう少し強力なものを、私は、行政機構としても持たなければ対処できないのじゃないか、問題が出て、常にあとからその問題をいかに処理するかで追っかけ回されているという気がしてならないのです。これは単に、現在携わっておられる方々の苦労は十二分にわかるのですが、何か個人々々の力がないという意味で申し上げているのじゃなくて、行政機構そのものをもう少し新しい時代の新しい電波というものに対処でさるような、私は、やはり行政機関を持つべきじゃないかと思っているのですが、現在のところ、郵政省の中の一部局としてある。これもどうもあまりすっきりしないような私は気がするしするから、この点で大臣の言っておられることも、私と、そういう点では抽象的には同じ気持ちだろうと思うのですが、具体的にどうするかという問題になると、これはなかなか確かにむずかしい問題であります。
したがって、先ほども具体的な一、二の問題で申し上げたように、私も極論を申し上げようとは思っておらないのですが、しかし、やはり広くいえば電気通信——電波と同義語に理解していただいてけっこうなんですが、そういうものに対する行政機構というものを、いろいろな意味において、私は、たとえば単独の一省を設けてやるという必要があると思っているぐらいに思っているのです。
まあ、きょうはお尋ねしなかったけれども、先般も国際電電の方々に来てもらったときに、先ほどの問題と多少似通うかもしれませんが、東南アジア・ケーブルの構想について、これはまあ国際電電という立場からお聞きしたのですから、もちろん、日本の東南アジア・ケーブルをどうするかというようなことを聞いて、結論的なものをお聞きできるとは思っていなかったのですけれども、しかし、こういった問題についても、一体、だれがどこで考えているのかということになると、どうもあまりはっきりしない。国際電電は国際電電という、それこそ一事業体が商業ベースの立場で考えているので、これはまあ当然のことだと思うのです。しかし、それより以上に重要な東南アジア方面に対する通信をどういうルートで、どういう形のものをひとつ敷設していくかということになってくると、諸外国、関係国と十分打ち合わせされなければならぬし、いろいろとまた相談もしなければならぬし、一面からいくと、技術指導的な任務も果たさなければならぬということになってくると、これまた、国際電電の範囲内の問題ではありません。だから、そういったことについても、何かもう少し、やはり時代の進展に先んじた一元的な強力な施策というものを打ち出してまいるのには、どうも、いまのような状態では隔靴掻痒の感がするわけです。
幸い、大臣の先ほどのお考えも、やはりそういった点についてのお気持ちだろうと思うのですが、まあ私、ぜひひとつ、半年か一年で結論が簡単に出るとは思いませんけれども、将来百年の電気通信事業のあり方というものを考えた場合に、電気通信事業に対する行政組織というものは、一体どうあるべきかというようなことについては、十分にひとつお考えを願い、ぜひひとつ具体的な方向に研究を進めてもらいたいと思っているのです。これは特に大臣のほうに申し上げておきたいと思うのです。
大臣きわめて民主的に事を運ばれるようで、電波関係の法制にしても、これまた早急に、予備放送についても結論を出さなければならないということで調査会を設けられておるようですが、こういった問題なんかも振り返ってみると、もう数年前から——迫水大臣のときには、もう年内に許可するのだ、認可するのだというようなことを言われてみたり、また途中で立ち消えになった感もするし、というような形です。そういったいわば、決して悪意であるとは思いません、悪意であるとは思いませんが、外から見ると、どうも思いつきで言っているのじゃないかという気がする場合が非常に多いのです。これはやはり私は、組織、機構上からくる欠陥も相当あずかって力あるんじゃないかと思うのです。
この前、古池郵政大臣にNHKの受信料の問題で、当委員会でだいぶ追及したところですが、これなんかもやはり私は、あの重要な公共放送というものに対する電波行政の立場にあるところが、もう少しやはり基本的な問題も検討してもらう、将来の問題についても検討してもらいながら、そこからやはり施策というものが出てこないと、古池郵政大臣が、あまりそういう深い研究のない状態の中で、個人的なというか、少し強過ぎるかもしれませんけれども、閣議でたまたま問題になったからということで発言せられること、そのことがいかに重要な影響を及ぼすかということを考えると、これはやはり電波行政というものはたいへんな仕事だと考えるのです。
その点から考えると、いまの組織とか機構というものは十金でない、むしろ、何とか早急にしなければならぬ宿題を持っておるところですが、そういう点から結論として私のお尋ねしたいのは、したがって、電波行政を預かる一省を設けるくらいの組織を考えるべきじゃないかというふうに私は考えておるのですが、いまのような状態では相ならぬと思うのです。したがって、そういうことについて、せっかくひとつ今後研究を願い、御努力を願いたい。結論としてそういうことを申し上げて、大臣からお答えをいただき、きょうは、私の電波行政関係についての質問はこれで終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/89
-
090・古池信三
○国務大臣(古池信三君) ただいまのお説は、まことにごもっともでありまして、私もさような趣旨に従って今後十分検討を進めてまいりたいと、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/90
-
091・横川正市
○横川正市君 資料要求をしておきます。
先ほどの久保委員の質問の中にもあったのですが、電波法に基づく聴聞会関係で、三十八年度から今日までの間で聴聞会を開いた、その内容と、もし速記をとってあれば速記録がほしいですが、それと、その聴聞会の会議の結果の具体的な処置はどうされたか、付記して、資料で出していただきたいと思います。
それからもう一つは、三十八年の二月ごろというふうに新聞で報道されております電波監理局の汚職事件ですね。これを資料として要求するのは、あなたのほうで出されるのは、単に取り調べられた者の名前だとか、あるいは案件だとかしか出されないのじゃないかと思うのですが、それだけでもいいのですが、大体この監理局関係で汚職とされて最近追及された案件、それから内容、これも含めまして資料を出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/91
-
092・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) 前段の御要望になります聴聞会の関係につきましては、できるだけ資料を整えまして御提出いたしたいと思っております。
後段の問題につきましては、なお現在取り調べ中の問題でございますので、われわれといたしましては、全貌も何もわかりませんのでございますが、できる範囲内におきまして、また、わかっている範囲内におきましての資料を提出させていただきたい、そう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/92
-
093・光村甚助
○委員長(光村甚助君) 本案については、本日はこの程度にいたします。
これにて散会いたします。
午後零時五十七分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614816X02119640507/93
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。