1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十九年一月三十日(木曜日)
午前十時二十五分開会
―――――――――――――
出席者は左のとおり。
委員長 三木與吉郎君
理事
石原幹市郎君
下村 定君
伊藤 顕道君
委員
源田 実君
小柳 牧衞君
林田 正治君
村山 道雄君
千葉 信君
山本伊三郎君
向井 長年君
政府委員
防衛政務次官 井原 岸高君
防衛施設庁長官 小野 裕君
防衛施設庁施設
部長 鈴木 昇君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠互選の件
○国の防衛に関する調査
(太田大泉の飛行場返還問題に関す
る件)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/0
-
001・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) これより内閣委員会を開会いたします。
まず、理事の辞任についておはかりいたします。山本君から去る一月二十四日都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました、これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/1
-
002・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。互選の方法は、先例により、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/2
-
003・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。それでは理事に伊藤顕道君を指名いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/3
-
004・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 次に、国の防衛に関する調査を議題とし、群馬県太田大泉の米軍飛行場の返還問題に関する件の調査を進めます。
政府側より井原防衛政務次官、小野防衛施設庁長官、鈴木施設部長がお見えになっておりますので、御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/4
-
005・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いま議題となりました太田大泉飛行場返還問題に関連して、これは最終的な大事な問題であるので、福田防衛庁長官に出席を要求しておったわけですが、衆議院の予算委員会に御出席のようで、これは万やむを得ないと思います。そこで、幸い井原政務次官がお見えになっておりますので、政務次官には、ひとつ長官にかわって責任ある御答弁をいただきたいと思いますが、その点はよろしゅうございますか。正式にお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/5
-
006・井原岸高
○政府委員(井原岸高君) 長官はただいま伊藤先生のお言葉にございましたように、衆議院の予算委員会に出ておりますので、かわって出席いたしておるわけでございますが、長官にかわってお答えいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/6
-
007・伊藤顕道
○伊藤顕道君 政務次官は、前からこの問題に関係しておったわけでないので、前々からの認識はなかろうかと思うのでありますが、しかし、きょうあらかじめ予告しておったわけですから、いろいろ御調査になったと思います。この問題になっておる太田大泉の地区が一体どういう地区であるか、こういう認識のもとにいろいろお考えをお聞きしたいと思うわけです。
大体この太田大泉はどんな土地であるか御存じなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/7
-
008・井原岸高
○政府委員(井原岸高君) 従来いろいろな歴史的ないきさつがあるようでございますが、どちらにいたしましても、最近決定されました整備地区にも指定されておるようでございますので、そういういきさつもございまして、地元から返還の要求があることについては、すでに前防衛長官当時から当然のことと、当庁におきましてもそれを確認しておるような事情は御説明を承っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/8
-
009・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この候補地の問題ですが、飛行場返還に対する政府の方針については御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/9
-
010・井原岸高
○政府委員(井原岸高君) すでにその候補地としては、渡良瀬川の遊水地を最も有力な候補地として、以前から引き続き検討をいたしておるのでございすま。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/10
-
011・伊藤顕道
○伊藤顕道君 私は、そういうことをお伺いしておるのではないのです。この飛行場に対する政府の方針ですね、これははっきりしておるので、米軍から返還になったら早急に民間工業地としてこれを活用すると、そういう政府の方針が決定しておるわけです。そういう基礎的なことがここに確認されて初めて返還問題が最終的に決定される、そういうことになろうと思って、大事な要素についてまずお伺いしたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/11
-
012・井原岸高
○政府委員(井原岸高君) お説のとおりでございまして、米軍の返還があれば、即時、民間の側に決定をいたすことにしていることについては間違いないようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/12
-
013・伊藤顕道
○伊藤顕道君 返還後にあるいは防衛庁の関係のいわゆる自衛隊の演習地として適用するとか、そういう、従来、いろいろ各地において問題があるわけです。しかし、ここではっきりしておきたいのは、米軍から返還になった場合は、太田大泉の場合は、民間の工業用地とすべき旨の決定がなされておった。そういう意味で、ここで再確認の意味でお伺いしたわけです。
それからなお、それに関連して、首都圏整備委員会においても、これは三十五年の七月であったと思いますが、いわゆる市街地開発区域としてすでに指定済みになっているわけです。こういう前提に立って、あげて返還問題を従来追及してきたわけなんですが、こういうことからも防衛庁としては、相当責任ある態度をもって、ここで早期に解決をはからなければならぬ、そういう責任がいま負わされていると思うのですが、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/13
-
014・井原岸高
○政府委員(井原岸高君) おっしゃるとおりでございまして、現在のところ、返還後自衛隊が使うという考えもございませんし、なおまた、整備地区に指定されて以来、地元との話し合いも何回となく話しをいたしているようでございまして、防衛庁といたしましては、地元側の要望どおり、御趣旨に沿うように努力いたして、今日に至っているわけでございますので、その点間違いないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/14
-
015・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この地元の群馬県でも、県民の意図を代表する群馬県議会の満場一致で早期返還ということを、すでに何回か決議をあげているわけなんです。地元でも、もう返還されるものとして、工業用地としての計画を立て、大工場の誘致とか開発計画は進められてきたわけですけれども、なかなか実現しないで、その計画は事ごとに挫折してしまって、物心両面にわたるはかり知れない損害をいま受けている、ういう現状なんです。大体、以上のかような観点から、返還問題は、一体、こその後どうなっているかという問題。そして、一体、防衛庁はどういうふうに具体的に取り組んでいるのか。あるいはまた、この返還問題についてどのような防衛庁として責任を感じているのか。こういう点についてそれぞれ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/15
-
016・井原岸高
○政府委員(井原岸高君) この点につきましては、すでに、前に御答えいたしましたようなふうに、前々長官時代から防衛庁の方針は決定いたしまして、ほかに米軍と話し合いをいたしました結果、かわるべき場所があればということを米軍も了承いたしました。いろいろ各候補地、当方の考えた地域等を米軍と現地で相談をいたしましたり、いろいろいたしました。結果におきましては、渡良瀬川の遊水池が最も有力な候補地であるということに最終的な見通しを立てまして、現在、その渡良瀬川候補地を利用できるようなふうに、諸般の準備を進めつつある現状でございます。その中で、諸般の問題と申しますると、たとえば建設省のほうで治水計画もあるようでございまして、建設当局ともいろいろと向こうの計画等もございまして、ようやく、最近、長官が次官に会いまして了解を取りつけたというようなところまでいっているわけでございますが、まだほかにここでお答え申し上げるのにはちょっと差しつかえがございますが、ほかの問題が、二、三残っておりますので、その問題と取っ組んで、その調整に当たっているという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/16
-
017・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この問題については、もう五年前の三十四一年十二月に、当時の赤城防衛庁長官が当内閣委員会で私の質問に対して、その三十四年十二月のことばとして、おそくも明春三月までには返還できるようにいたします、そういう意味の回答をされておるわけです。それから通算すると、もう五カ年経過しておるわけです、まださっぱり返還が実現されていない、これは無責任きわまると思うのですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/17
-
018・井原岸高
○政府委員(井原岸高君) 全くおしかりを受けてもおことばの返しようがないわけでございますが、赤城長官当時に、もうすでにそういうような答弁、引き続き歴代長官も御確約を申し上げて今日に至っておるわけでございますが、そういう点では申しわけないわけでございますが、事務当局といたしましては、鋭意この問題に取っ組んでおるわけでございますが、やはりいろいろと遊水池周辺にも事情がございまして、いますぐ――すでに何カ年かになるわけでございますが、押し切るのもどうかということで、できるだけ円満に話し合いをつけるというようなことのようでございますので、そういうことで非常におくれております。一日も早くそのいろいろな問題の整理をいたしまして御意思に沿いたいという考え方は、今日も変わっておらない、なおかつその問題にそれぞれ、日夜ということではございませんけれども、ほとんど、現長官になりましても、何とかやりたい、一昨日もすでにこういう問題も当委員会等で御質問もあろうかということで、どうしようかというようなことも相談もいたし、長官もかなり決意をして、近いうちにまたそれぞれの関係大臣等とも話し合いを進めて結論を出したいというように、目下非公式でございますが、私たち仲間の問でそういう話もいたしておるような実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/18
-
019・伊藤顕道
○伊藤顕道君 赤城防衛庁長官は、三十四年十二月、いま申し上げたような確約を国会の場で話されておるわけです。それと相次いで江崎長官も、翌年の三十五年八月十日の当内閣委員会で、おそくも二カ月、三カ月のうちにはどうしても解決しなければならない問題だと、長官も言うておるので、早急に最大限の努力をして返還につとめる、こういう意味の答弁をなされておるわけです。こういうふうに、もう年数から言うと、五カ年も経過しておる、それから長官ももう六代になっておると思うのです。現在の福田長官に至っては、こういうふうに、いやしくも一国の国務大臣が国会の場で確約したことが五年も経過して、いまだに何ら解決のめどがない、これはもう国会軽視というそしりは免れない。国会の場でせっかくこうやって審議して、大臣が責任ある回答をして、それが五年もたって実現されていない、これは結局国会軽視ということに尽きると思う。行政府は国会を軽視しておる、こういうことにほかならないと思う。この責任はきわめて重大だと思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/19
-
020・井原岸高
○政府委員(井原岸高君) ごもっともな御意見でございまして、その点については、現長官、また私にいたしましては、同時に国会議員としての立場からも、まことにたいへんな問題だと思うわけでございますが、何と申しましてもやはり新しい地を求めるためには、御承知のたうに、その地域の住民にでき得る限り十分納得さして、円満に候補地に指定いたしたい、かように考えますがために、非常に時間をおくらしておるわけでございまして、 同様、国会に対してはまことに申しわけないわけでございますが、そういう実情でございますので御了解を願いたいと、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/20
-
021・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いままで申し上げたように、国会の場でその返還を約束された防衛庁長官は、岸内閣の閣僚であったわけです。いまは池田内閣となっておる。同じ自民党の内閣でも、内閣がかわればその公約には責任がないのか、一体あるのか、その点をはっきりさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/21
-
022・井原岸高
○政府委員(井原岸高君) 内閣がかわりましょうと、あるいは主管大臣がかわりましょうと、やはり責任は一貫してあるわけでございます。さような意味で、先ほど申し上げたように、現地とのいろんな話し合いを進めつつあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/22
-
023・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この飛行場の返還については、従来、米軍側は、代替地があればいつでも返還すると、こういうことで、日本側も代替地を見つけておったわけです。そこでたまたま栃木県の某地点に、一応めどがついたわけですけれども、よく考えてみると、日本の国土は非常に狭い。その上人口密度が高い。どこへ持っていっても、人間の住んでいないというようなところはないわけです。こういうことになると、ただ単に飛行訓練を重ねるということでなく、頭の上へ物を落とす、いわゆる物資投下訓練というわけで、非常に危険千万。しががって、国土も狭いし、人口密度も高い日本の国内には、物資投下訓練をやる場所は、山の中へでも持っていかなければ、なかなか容易じゃない、こういうことがいえると思うんです。いまでも代替地の問題で突き当たっておるのかどうか、その点を飼いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/23
-
024・井原岸高
○政府委員(井原岸高君) そうでございます。代替地の問題で行き詰まっておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/24
-
025・伊藤顕道
○伊藤顕道君 結局、栃木県の藤岡について、いま、計画を何とかこれを説得するということで進んでおるのですか。それとも、さらに第三の候補地を物色しておるのか。栃木の地元では、相当根強い反対があるようですが、その反対を押し切って、そこへきめようとするのか。それともさらに代替地を物色しておるのか。こういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/25
-
026・井原岸高
○政府委員(井原岸高君) いまのお説のように、栃木県の代替地ということでございますが、それ以外にも、三、四、当自衛隊のほうが使っております地点等も、すでにございますので、それも米軍と協議いたしたわけでございますが、何しろわがほうが使っております飛行機は、プロペラが主体でございますが、向こうが使っているものには、非常に速度の速いジェット機もございますし、ちょうど高圧線が通っておるとかいうような問題もありましたし、相馬ケ原のほうの場所も見つけておるわけでございますが、いろいろ、山が近過ぎるとか、何回もやりましたが失敗いたして、国道にパラシュートが落ちるというようなこともありまして、やはり現在では、渡良瀬川が最有力であって、あれ以外にちょっとかわり地を見つけられないというような状況に至っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/26
-
027・伊藤顕道
○伊藤顕道君 太田大泉の射撃場上空でも、かつてあの誤投事件は、三回も繰り返されたわけです。あるときは、ジェット機が落っこったわ、あるときは電気通信機が落っこったり、ドラムかんが落っこったりして、その一部が校舎の屋根を貫いたというような、幸いに人畜に被害はなかったわけですけれども、そういう危険な誤投事件が繰り返されておる。それが、訓練が幸いいま中止されておるから、問題はないわけですけれども、こういう誤投事件も、三回も繰り返されたというふう、な、大田大泉の現地へ行かれればよくわかるように、非常に人口密度も高い。太田は市ですから……。そういう、頭の上で投下訓練をやるというようなことから、これは代替地とかなんとかそういう問題は抜きにして、太田大、泉飛行場自体が、物資投下訓練にはきわめて不適地である。危険地である。危険地であるということは、不適地であるということに通ずると思うのです。こういう点からも、この返還問題は、先ほどから繰り返しておるような状況下に、いまだに解決しないということは、きわめて遺憾なんですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/27
-
028・井原岸高
○政府委員(井原岸高君) まことにごもっともでございまするし、その点は再度、幹部間でも、いまの伊藤先生のお話のように、当然早急に代替地を求めたい。まあ、御承知のように、演習の回数もきわめて少ないわけでございますが、今回、輸送隊が引き揚げる等につきましても、何とか最終的にはやめられないものかというようなところまで追い詰めて米軍とすでに協議をいたしておるわけでございますが、まだやはり代替地が残っておりますので、これは演習をやらないわけにいかないということで、やむを得ず引き下がって、また代替地の問題を進行すべく努力をいたしておるような状況でございます。御説はまことにごもっともでございまするし、十分責任を持って解決いたしたいという所存には決して変わりはございません。長官にも報告いたします。何か御納得いただけるように、時期等についても、めど等についても、早急につけたいと、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/28
-
029・伊藤顕道
○伊藤顕道君 アメリカ側は、その代替地について、基本として調布の第五空軍基地から百キロ以内、そうして交通の発達しておる地区、こういう所を二つの条件として希望しておるようだと聞いておるわけですが、もしそうだとすると、調布から百キロ以内で交通の発達しておる地区ということは、これは言葉をかえていえば、人口密度の高いところということになる。そういうことになると、頭の上で物資投下訓練をやるなんということは、非常に危険だ。危険だということは、不適地だということに通ずると思う。そこで米軍側は、この代替地について、こういう要求を出しておるのかどうか、その点をいま一度確認しておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/29
-
030・井原岸高
○政府委員(井原岸高君) おっしゃるようなこまかい点は、向こうから要求されておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/30
-
031・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうすると、ただ投下訓練に適すればどこでもいいと、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/31
-
032・井原岸高
○政府委員(井原岸高君) 鈴木施設部長に具体的な説明をさせたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/32
-
033・鈴木昇
○政府委員(鈴木昇君) お答え申し上げます。代替地の条件として、米側から示しておりますのは、特段に何マイル以内というふうなこまかいものではございませんので、現在地程度の距離のところで、平たんなところであるという程度のことでございます。なお、投下演習の場所といたしまして、危険が伴うわけでございますので、その演習場の周辺にはなるべく人家等が少ない、それからあまり視界が悪くないというふうなこと、というふうなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/33
-
034・伊藤顕道
○伊藤顕道君 第五空軍基地から何キロ以内とかそういう点の要求はないが、平たん地である、こういう条件が一ついまあげられたわけですが、平たん地とすると、もう狭い日本の国内で、平たん地に人間の住んでいないところはないわけで、現に、栃木県の候補になっておる藤岡地区ですね、あの点も私も直接二、三回ほど行って現地をよく調査しておるわけです。よく当地は知っております。あすこは農耕地もあり、農家も相当あるわけです。したがって、われわれとしては、太田大泉が飛行場が返還されさえずれば、ほかにな危険な地区が当然できるわけですから、代替地がもし決定したとして、第二の太田大泉のような危険がまたそこで繰り返されるわけです。したがって、太田大泉さえ返還されればわれわれはもうそれでいいのだというふうには考えていないわけだ。日本じゅうどんなところでも、どこでも、代替地として選んだところが危険地区であれば、あくまで反対するわけです。現に栃木県でも、県民あげて、この藤岡地区の基地化にはまっこうから反対しておると思う。また、強力な反対を県民あげてしておるわけです。したがって、われわれは、太田大泉さえ解決すればあとはどうなってもいいとは毛頭考えていないわけです。特にいま日本国内はどこでもそういう危険地区で、物資投下訓練など行なってもらっては困る、こういう立場で要求しておるわけだ。この点は誤解のないように……。そういうことになれば、これは危険地区であるかどうかという点からいえば栃木県の藤岡へ持っていっても非常に危険なんだ、相当。これは都会と違うから農家は密集はしていないけれども、農家も相当散見しておる。そういう頭の上で物資投下訓練などはもってのほかだ。こういう点から、結局ここで考えてみなければならぬのは、米軍の利益のためならば、人口の密度の高い日本のこういう狭い頭の上で危険きわまる物資投下訓練が行なわれてもしかたがないのだ、やむを得ないと、そういう考え方ではこの問題は解決しないと思うのです。大体が五カ年もかかってまだ解決しないということは、アメリカ側に一目置いて交渉しておるのでなかなからちがあかない。こういうことを考えざるを得ないわけです。したがって、よほど強い態度で交渉しなければこの問題は幾らたっても解決しない、こういうことがいえると思うのです。この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/34
-
035・井原岸高
○政府委員(井原岸高君) おっしゃるようなふうに非常に国土が狭い国でもございますから、どの地域に参りましても全然人家がないというような、また、しかも非常によくない場所にいたしましても、何かそこに障害があるわけでございます。でき得れば訓練をやらないほうが一番いいわけでございますが、やはりこの問題は私の御管弁申し上げるような問題でなしに、もっと大きな問題でありまするから、また、国土防衛のための米国の安全保障の関断もございますし、わが国の、大きな国の安全、平和を守りますためにはやむを得ずわずかでも心配の少ない、投下訓練をやりましても安全性の高いところを見つける以外に道がないと、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/35
-
036・伊藤顕道
○伊藤顕道君 太田大泉の飛行場へ私もときどき行って視察しておりますけれども、米軍の訓練は、私の調べた範囲内においては、昨年から、特に昨年十二月から現在まで約二カ月の間、ほとんど訓練が行なわれていない。もう地元の人にはよくお願いして、いつ幾日、どういう飛行機が飛んだかということの調査を依頼しているわけですけれども、そういう人の話を総合すると、昨年の暮れから本年にかけて、ほとんど訓練が行なわれていない。訓練が行なわれていないということは、必要がないということになる、必要度が非常に低いということになるわけです。特に最近アメリカはドル防衛の立場から海外の基地を縮小、整理しつつあるわけです。こういう中で、太田大泉飛行場についても、ほとんど使っていないということは、なくてもいいということに通ずると思うのです。したがって、現在使用していないということは事実でありますから、あまり必要がないということもはっきり言えると思うのです、ここで。したがって、この飛行場の問題については代替地のいかんにかかわらず、この際強くアメリカ側に要求すれば、返還実現しないはずはないと思うのです。現にあまり使ってないわけですから。このへんはどうですかで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/36
-
037・鈴木昇
○政府委員(鈴木昇君) 太田の飛行場の米軍の使用の状況でございますが、昭和三十八年度の月別の使用の日数を見ますと、七月から十一月までは十回、一月に十日ないし十五日使用しております。その他の月は若干落ちているわけでございますが、年間を通算いたしまして百八日間は使用されている。月平均にいたしますと、一カ月に九日、一日に大型機あるいは小型機が一機ないし五機くらい出動しているというふうな状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/37
-
038・伊藤顕道
○伊藤顕道君 少なくとも昨年の暮れから正月にかけては、どういう状況になっていますか、最近は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/38
-
039・鈴木昇
○政府委員(鈴木昇君) 十二月には九日使用いたしております。一月の数字はまだ報告を受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/39
-
040・伊藤顕道
○伊藤顕道君 訓練が実施されたとしても、言いわけ的に一機、二機飛ぶ程度で、ほとんど編隊の訓練などが行なわれていないのが実情です。ほとんどやっていないで、たまたま国会で私などが委員会で質問すると、その翌日、言いわけ的に訓練が行なわれている、こういうのが従来の実例であった。今日ここでまた質問していますから、あしたあたりまたおそらく訓練が一、二時間行なわれる、あしたはもう間違いなく訓練があると思う。従来の例からそういうことが言えるわけです。そういうとこを繰り返してきたわけです。したがって、あまり必要性がないということは、はっきりここで言えると思う。あんまり必要性がない、言いわけ的にやっている、こういうところがある。ところが、一方地元の太田大泉地区にとっては先ほど来申し上げているように、首都圏整備法に基づく工業用地として、相当予算をかけて計画を立てて、大工場の誘致などにだいぶPRをしたわけです。ところが、さっぱり返還が実現しないので、大工場はみんなほかの地区へ逃げてしまって、はかり知れない物心両面にわたる損害を受けているのが現状です。地元にとっては、もう一刻も早く返還を要求したい。しかも五十万坪以上にわたる広大なあの飛行場が放置されたまま、ほとんど深い眠りにおちいっているような実情です。ときどき一機、二機、言いわけ的に飛ぶ程度で、ほとんど五十万坪の土地が昼寝しているわけです。一方、地元では、いま繰り返し申し上げておるように、一刻も早く返還を要求している、県でも早期返還を満場一致の決議で要求している、こういう実情です。このまま、この五十万坪にもわたる土地を眠らしておくことは、国家経済からいってもきわめて不経済であるし、また、この問題をこのままにしておくことは、日米間のいわゆる国民感情の上からも非常にまずいと思う。しかも、一国の責任ある大臣が国会の場で五年も前に公約している、こういう問題をいまだにそのまま放置されていることは、きわめて遺憾だと思う。この際、一大決意で早期に解決する義務と責任があろうと思う。政務次官、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/40
-
041・井原岸高
○政府委員(井原岸高君) お説のとおりでございまして、歴代長官がお約束したことは事実でございます。また、引き続いてわれわれの責任もきわめて大きなものがあることはもっともでございます。長官とも十分打ち合わして、先生のおことば等々も伝えまして、十二分に責任をもって善処できるように努力いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/41
-
042・伊藤顕道
○伊藤顕道君 日米合同委員会施設委員会は、従来、隔週ごとに持たれておるということですが、現在どうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/42
-
043・鈴木昇
○政府委員(鈴木昇君) 現在も隔週の火曜日を定例の会議日にしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/43
-
044・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この施設委員会で、施設庁長官は当然日本側の代表として出席しておるわけですが、長官は就任以来、一体、この返還問題についてどのように発言してこられたのか。隔週の火曜に持たれておるわけですから、相当回数重ねて持たれておると思う。その順を追うて詳細、具体的に御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/44
-
045・小野裕
○政府委員(小野裕君) ただいま施設部長が申し上げましたように、隔週――一週おきの火曜日に、大体二時間前後、会合いたしております。毎回、全国各地の案件につきまして、五件ないし十件ぐらいのことについていろいろ相談をし、あるいは決定をしておるわけでございます。重要なものは合同委員会にさらにかけるわけでございます。正式の議題としては、私、昨年八月に施設庁長官に就任いたしましてから、正式の議題としてこの問題を提起いたしたことはございませんが、その正式議題外におきまして、いろいろ懸案事項について話し合いをしておるわけでございます。申し上げるまでもなく、この太田大泉については、こちらから返還要求はすでに正式に出ておるわけでございまして、これに対して、代替地があればするということで来ているわけでありますが、そういう意味で、私どもとしてはあらためて、代替地なしに無条件で返せということについての正式要求はまだ出していないのでございますが、ただ、私どもとして、非公式の会談として、そういう点についてもう一度考えられないかということについての提言をいたしております。また、他の候補地等も一応先方は検討済みでございますが、まあ条件が十分でないということになっておりますけれども、それでも、ただいま先生がおっしゃいましたように、狭い国土で適地をさがすということは非常に困難であります。多少条件が悪くても、他の場所でも再考できないかというようなことについて申し入れをいたしました。まあ、ただいまの段階では、いずれの点についても困る、ぜひ代替地をお願いしたい、こういうふうに先方からは、正式の文書ではございませんけれども、会談といたしましてそういう話を、はっきり覚えませんけれども、二、三回そんなような話のやりとりをいたしたことがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/45
-
046・伊藤顕道
○伊藤顕道君 これほど大事な問題を正式の議題としたこともないというのは、了解しがたい。堂々と正式の議題として当然要求すべきである。正式の議題としなければ問題にならぬわけです。ただ、ついでに二、三話が非公式に出た、そういうことじゃ、この問題は解決しないと思うのです。なぜ、正式の議題として堂々と要求しないのか。この点は非常に熱意のないことを証明しておる。そういうことじゃ、なかなか解決しないと思う。たまたま、ときどき国会で問題になると、そうううときに、ちょっとあれやこれや言いわけ的なことをいままで繰り返してきた。しかし、繰り返し私が申し上げるように、五年も前に一国の大臣が国会の場で公約をしておるの、だから、この題の解決のために真剣に取り組まないということは、無責任きわまる、五年も経過しておる、こういうことは、他にあまり類例がないわけです。五年も同じ問題をこの委員会で追及しているというのに、いまだに解決していない。そういうことだと、正式の議題ともしないで、ただ非公式にときどき話し合う、そういうことじゃ解決しないと思う。しかも、この施設委員会自体も、米軍側のほうで優先的に優位に立って運営しておるんじゃないか、あくまでも追従的な交渉を重ねておるんじゃないか、そうしか考えられぬわけです。いやしくも大臣が公約したのだから、これは当然実現しなければならぬ。事情については、もう先ほどからその骨組みについては、順を追って、大体どういう性格の基地であるかということは、はっきり把握できたのですが、いままでのような、正式の議題ともしないで、ただ非公式に二、三話し合ったこともあるという程度では解決しないと思う。これは防衛庁長官にお伺いしたいと思うのですが、残念ながらいませんので、まず政務次官、どうですか、この点は。この点を、ただこの態度で今後も続けるのか。先ほど来の責任を痛感するならば、ここでひとつ一大決意をしていただかないと、問題はますます解決から遠ざかると思うのです。ただ通り一ぺんの答弁でなくて、腹を据えて御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/46
-
047・井原岸高
○政府委員(井原岸高君) 長官の答弁がちょっと悪いようでございますが、正式にあるいは非公式にとか言っておりましたが、施設のことについての話し合いでございますから、これは正式でなければならないわけでございますが、しかし、まあ、当方といたしましては、米軍の言いますようなふうに訓練を継続しなければならないというようなことは、やはりわがほうから見ましても、やむにやまれないことであろう。回数も非常に少ないことでありますから、できればやめてもらいたいのでございますが、技術的な点から検討いたしましても、たとえ一部の部隊でも残っておりますので、訓練を継続しなければならないということは、これはやむを得ないことでございます。したがいまして、代替地をこしらえる以外に、この問題の解決がつかない、かように考えるわけでございます。それが、何回も申し上げるようでございますが、代替地の問題がなかなか現在まで話し合いがつきません。そういうことで、お約束したことが、しかも、この国会の場で公約いたしましたことが実現いたさないということにつきましては、政府の責任であることは私も痛感いたす次第でございます。さりとて、きょうここで何月何日までにこの問題を解決するということをお答え申し上げればいいんでございますけれども、何と申しましてもやはりまだ調整に時間がかかるのでございまして、いましばらく時間をかしていただきまして、誠意をもって現長官、また、私もお約束いたしました以上、この問題の解決のできるようなふうに最大の努力をいたして、それによって現実にお認めいただく以外にないと、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/47
-
048・伊藤顕道
○伊藤顕道君 代替地に関係なく要求する腹はありませんか。と申しますのは、先ほど来の説明で、調布の第五空軍基地から百キロ以内とかそういうことはないけれども、平たん地という条件があるわけです。日本の国は平たん地にはたいがい人間が住んでいる、平たん地で人間の住んでいないところはない。ということになると、人間の住んでいる頭上で物資投下訓練などやられたら、それは太田大泉は先ほど来申し上げたように、三回も誤投事件が繰り返されている、藤岡に持っていっても農民が住んでいる、どこへ持っていっても日本の狭い平たん地には人間が住んでいるということを前提にしなければならない。人間の住んでいる頭上で誤投事件が行なわれたのでは日本人としてははなはだ迷惑です。それでも米軍の利益のためなら日本人はそういう危険は忍ばねばならない、という理由はどこにあるかと、言いたいのがわれわれの立場です。そういうことになると、代替地ということをしたのでは、日本ではどこへいっても適当な代替地はない、こんな狭い国土の中でそんな物資投下訓練をやらないで、アメリカ本土に帰れば幾らでも投下訓練の適地が控えておるわけです、そういうことになるわけです。したがって、無理な訓練をさせないよう、代替地と関係なく早期に、五年間かかえておる太田大泉飛行場を早急に返還すべき時期が到来しておる、しかもアメリカはドル防衛の立場から海外の基地を縮小整理しようという、そういう機運にある今日の機会、いまこそ絶好の機会だと思う。したがって、代替地に関係なく、新たな決意で、対等の立場で、ひとつ早急に正式に議題として要求すべきであると思う。このことに関する防衛庁としての決意はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/48
-
049・井原岸高
○政府委員(井原岸高君) 平たん地でなければならないということでありまして、山間部を使うということがございますれば、ますます気流も非常に悪いわけでございまして、物を落とすだけの訓練ならば別でございますが、パラシュートでやはりアメリカ軍が降下するわけでございます。万一のことがございますれば、やはり向こうとしても人命に関する問題でございます。また、国土を防衛いたしますためには、アメリカと協力して防衛に当たっておるわが国といたしましては、そういう無理なことを言って本国に帰ってお前ら勝手に訓練して出てきてくれというようなことにもまいらないわけでございます。そういう意味で、どうしても代替地を見つけて米軍をここで訓練さすという方針はおそらく現長官の考え方も変わらない、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/49
-
050・伊藤顕道
○伊藤顕道君 平たん地という条件をあげれば先ほども申し上げたように、平たん地には必ず人間が住んでいる、平たん地に人間の住んでいない土地は日本の国内にはないわけです。そういうところで相当な広さの太田大泉の五十万坪ですか、大体それに近い広さの土地を基地として使うということになれば、相当危険が伴うわけです。アメリカ誤投事件は二度と繰り返さないということで、太田大泉に限定しても三回も繰り返している。しかもジープが落ちたり、電気通信機が落ちたり、その一部はたまたま校舎の屋根を貫いておるけれども、幸いに被害はなかった。人畜には幸いなかった。アメリカが保証したってそれは保証にならぬ。誤投事件を繰り返さない、そのつど繰り返さないということを声明しておるにもかかわらず、太田大泉地区に限定してもこれは三回も繰り返されたわけです。短期間に三回も繰り返されて、しかもこれは全国的な視野で見ると、各地に米軍の誤投事件はあげるにいとまがないくらい繰り返されている。アメリカの保証は何ら保証にならぬ、口だけの保証では。したがって、そういう危険千万な誤投事件を伴う物資投下訓練などは、人間の住んでいる頭上で行なうべきではないと人道上の立場からもいえるわけです。そういう立場から、対等の立場でどうしてそういうことが要求できないのか。アメリカの利益だけを考えて、日本の国民の被害、迷惑ということを頭に置かないでというならば話は別である。やはり国民の利益、不利益ということも考えなければいかぬ。こういう建前からいうと、代替地を云々しておったのでは太田大泉は解決しない。そしういうふうに思うのです。どこへ持っていっても、栃木にある藤岡でも、現に県民あげて反対している。どこへ持ってったって反対しますし、人間の住んでいる頭上で物資投下をやれば必ず反対する。これは永久に解決しない問題だ。そういう前提に立つならば、代替地があったら太田大泉は返還するということは、言葉をかえていえば、これは永久に解決しないということになる。そういうことにもなるわけです。したがってこの際、何はともあれ、防衛庁の責任者が相次いで期日を明確にしてまで返還を公約しておるわけです、しかも国会の場で。それが五年もたっていまだに解決しない。同じような答弁を繰り返しておる。同じような態度で同じような交渉を繰り返しておる限りこの問題は解決しないわけです。だからこの機会に、絶好の機会だから、先ほど言った情勢を考えたら絶好の機会だから、この際代替地に関係なく、まず太田大泉を返還さす、代替地についてはその後じっくり考えなくてはならない。訓練所としては考えられない。先ほど言ったように、ほとんど使用されていないわけです。訓練されても一回か二回ちょこちょこやっておしまい、ただ言いわけ的に訓練しておる。地元ではそう見ている。それほどあまり必要性のないところで、地元にとっては先ほど来申し上げているように、きわめて重要な五十万坪の広大な工業用地として控えている、しかも現に大工場の誘致などが失敗してなかなか実現しないから、大工場はみな他県に逃げてしまう。工場誘致も金をかけて整備したところで迎えることができない、計画も挫折しておる、というふうに、物心両面にわたり損害を現在受けつつある。こういう緊迫した情勢をもあわせ考えて、この際一大決意をもって対等の立場でこういうことがなぜ要求できないのか、こういうことを要求しておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/50
-
051・小野裕
○政府委員(小野裕君) ただいまお尋ねの、代替地なしで返させることはできないか、そういう交渉をなぜ強力にやらないかという点でございますが、先ほど私申し上げましたが、言葉が足りなかったのでございますが、日本側といたしましては、当初条件なしに返すようにという申し入れをして、それが生きておるわけです。それに対して先方は、代替地があれば移ってもよろしい、こういう回答を受けた。ですからいずれともまだ日米間においては合意がないわけす。ただいまの段階におきまして、私どもとしては、適当な代替地があるならば先方の希望を入れて代替地を提供して、太田大泉を返還させるということは一つの方法であるというふうに従来考えてまいったわけであります。しかし、先ほど申し上げましたように、私非公式にと申し上げましたのは、ことばがいわば不正確でございまして、あらためてもう一度文書で無条件返還ということは出していないわけであります。そういう意味で、従来出ておりますその趣旨によって、代替地なしでいかぬかということについての折衝を繰り返しておる。先ほど非公式にと申しましたのは、こういう意味で、文書によってもう一度あらためてという意味ではないという意味で申し上げたいのでございますから、やはり正式の交渉はしておるわけであります。
それで、その感じといたしましては、非常に困難な感じになっておるわけでございます。そこで、代替地の問題になるわけでございますが、代替地につきまして、これはおしかりをいただくかもしれませんが、私ども非常に地元の皆さんには御迷惑をかけておることを考えております。また早くしかるべきところに移せたら移したいと考えておるわけであります。候補地として、先ほど御指摘になりました渡良瀬川遊水池でございますが、この遊水池につきましては、いまお話がございましたような事情がございますけれども、私どもの希望と申しますか、感じと申しますか、現在あの遊水池はこれから大規模な水防計画、治水計画ができるわけでありますが、あの全面積が約一千万坪でございます。私どもお願いをするとすれば、そのうちの五十万坪をお願いしたい。この地域は、申すまでもなく、遊水池でございまして、洪水の調整池でございますから、出水の場合には水がつくということも考えられる地域でございまして、一般に居住なさるような土地ではない。そういう意味において、まあその周辺については心配がないとは申されませんが、しかしながら、その地点については、そういうふうに使わせていただくならば、日本側として、まあ被害と申しますか、危険と申しますか、そういうものが最も少ない地点ではなかろうか。こういうことから、地元の協力が得られますならば、そういうところへ移すことはできないものかということがかねてから考えられてきた問題でございまして、なお検討中の問題でございます。
先ほど申し上げましたことは、ことばが足りなかったようなことがあると同時に、ただいまのような考え方で申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/51
-
052・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは、最後に強く要望申し上げておきますが、以上申し上げたことでよくおわかりでしょうが、大体この問題は三十四年以来の課題であること、赤城、江崎両長官をはじめ、後任の各長官が期日を明確にして返還を国会の場で公約されておること、この飛行場での米軍側の訓練にはあまり有効に使用されていないこと、しかし、逆に地元にとってはきわめて重要な工業用地として着々予算をかけ、整備されておるけれども、返還が実現しないために物心両面にわたるはかり知れない損害を現在受けつつあること、また、アメリカのドル防衛の立場から、アメリカ側では海外基地を整備しつつある段階であること、こういうような点を要約すれば、この機会こそ代替地に関係なく早期返還を要求する絶好の機会であると思うので、政務次官には、ひとつ長官にこの旨を即刻よく伝えて善処方を緊急にはかるように善処してもらいたい。また、施設庁長官は、当面の責任者として、この日米合同委員会施設委員会において、正式の議題として、日本の立場をよく向こうに強調して、要は、早急に実現をはかってもらいたい、こういうことを強く要望して私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/52
-
053・井原岸高
○政府委員(井原岸高君) 内輪の話でございますが、防衛庁長官のことばをもって言わせますれば、あればいいというような程度では困る、それから回数も非常に少ないのだから、この際、代替地の問題はさることながら、やめるようなことを一応米軍と話し合いをしようということを、内輪でございますが――きょうは先生の格段のいろいろな事情を承りまして申し上げなければならぬのでございますが、どちらにいたしましても、そういう考え方を防衛庁長官は述べておるわけでございますので、本日の先生の御質問を十分に話しまして、何らかの善処をいたすようなふうに取り計らいたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/53
-
054・千葉信
○千葉信君 私は議事進行にも関連して、同時にまた、防衛庁の政務次官に注意をする意味を含めて、以下ちょっと私の意見を述べておきたいと思います。
先ほどから聞いておりますと、政務次官は、大臣もたぶんそういうお考えだろうと思うという調子なんです、大事な答弁について……。それからもう一つは、帰ってから大臣に十分話をしておく、最後の締めくくりの問題についても同様に、帰って至急大臣にこの委員会における質疑の内容についてのお話を申し上げて善処するという御答弁。まあ質問するほうの側にも、十分大臣にお話をして早急に善処をしろという質問がありましたから、その点についてはもう同罪といえる点もなくはないと思うのですが、しかし、本来は国会における質疑応答というものは、憲法なり、内閣法なり、あるいは国会法に基づいて、本来案件の提案権というものはこれは総理大臣しかないことは明らかです。ただ答弁する場合に、内閣法に基づいて、それぞれの所管事項に限ってはその担当大臣が、各大臣が総理大臣の代理として答弁ができるというたてまえです。そういう意味からいけば、委員会における審議というのは、本来はその全責任を持った総理大臣がしょっちゅう出てきてもらうことが一番望ましいのだけれども、そういうわけにもいかないし、まあ所管事項については、担当大臣が完全に代理をして答弁できるというたてまえの上に立っておる。ところが、忙しいという理由、他に仕事があるという理由なんかに籍口して、政務次官だとか、あるいはその他の政府委員から往々国会に出て答弁するということは、法的にも、慣行上からも、認められてずっと国会の委員会は行なわれてきている。そういう点からいけば、委員会に出席して答弁する政務次官は、完全に大臣の答弁と同じように責任を持った答弁をしなければならぬし、帰ってから大臣に話をするとか、大臣の考えもたぶんそうだろうという答弁は国会としては認めるわけにはいかない。実際上、またきょうの質疑応答の内容についても、ここではっきりした責任を持った答弁ができないのですね。帰って連絡するとか、大臣も同じ考えであろうと思うというような間延びのした、もう一回委員会を開かなければならないような傾向さえ生じてきておる。もし今後もこういう答弁の内容なり、きょうのような審議の状態がしょっちゅう繰り返されるとしたならば、われわれとしては、政務次官が代理で出てくる場合には、委員会としては質疑をしてもむだだということになる。どうしても結論として必ず大臣出てこいということになってしまうわけですから、そういうことのないように、政務次官も今後委員会に出席される場合には、さっきのような答弁の態度について十分反省をして今後善処されるように、私は政務次官に要求しておきます。
それから、同時に、委員長におかれても、そういう委員会に出席する大臣もしくは政務次官等の代理の場合は、初めから十分本人たちに注意をしていただきたい。これが私の委員会の進行上、その審議の内容についての注文でございますから、ひとつお聞き及び願いたいと思います。政務次官いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/54
-
055・井原岸高
○政府委員(井原岸高君) どうも申しわけございまません。どうも私の何か性格が率直に出てくるようでございます。政務次官とてしの責任は、おっしゃるように、ここに出ている以上は、当然防衛庁を代表しての答弁でございますが、まあ内輪から申しますというと、やはり重要な問題でございますので、私がやるというのでなく、大臣が当然やらなければならない非常に重要な問題でありますだけに、まあ内輪の気持が答弁の中にあらわれるということは十分注意いたしまして、今後さようなことのないように努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/55
-
056・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 他に御発言もなければ、本件はこの程度にとどめます。
本日は、これにて散会いたします。
午前十一時三十一分散会
――――・――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00219640130/56
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。