1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月十一日(火曜日)
午前十時二十五分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 三木與吉郎君
理事
石原幹市郎君
下村 定君
伊藤 顕道君
鶴園 哲夫君
委員
源田 実君
小柳 牧衞君
林田 正治君
村山 道雄君
千葉 信君
山本伊三郎君
国務大臣
外 務 大 臣 大平 正芳君
大 蔵 大 臣 田中 角榮君
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
郵 政 大 臣 古池 信三君
自 治 大 臣 早川 崇君
国 務 大 臣 山村新治郎君
政府委員
臨時行政調査会
事務局次長 井原 敏之君
行政管理庁政務
次官 川上 為治君
大蔵大臣官房長 谷村 裕君
農林政務次官 松野 孝一君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
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本日の会議に付した案件
○農林省設置法の一部を改正する法律
案(内閣送付、予備審査)
○自治省設置法の一部を改正する法律
案(内閣送付、予備審査)
○郵政省設置法の一部を改正する法律
案(内閣送付、予備審査)
○大蔵省設置法の一部を改正する法律
案(内閣送付、予備審査)
○派遣委員の報告
○外務省設置法の一部を改正する法律
案(内閣送付、予備審査)
○臨時行政調査会設置法の一部を改正
する法律案(内閣提出)
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001・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) これより内閣委員会を開会いたします。
農林省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。赤城農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/1
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002・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) ただいま議題となりました農林省設置法の一部を改正する法律案の提案の理由と改正の内容を御説明申し上げます。
この法律案は、昨年の筋四十四回臨時国会に提案いたしました農林省設置法の一部を改正する法律案の内容となっておりました事項に、今回改正を必要とする事項を加え、新たな法律案として提案いたすものであります。
まず、昨年の改正法案の内容となっておりました事項から御説明申し上げます。
第一に、近年わが国において増加しつつある農作物及び林木のウイルス病による被害に対処しその防除方法の確立をはかるため、新たに農林省本省の附属機関として植物ウイルス研究所を設置し、植物に関するウイルス及び植物のウイルス病の基礎的調査研究を行なわせることとすることであります。
第二に、沿岸漁業構造改善対策事業の一環としての漁場改良造成事業等の実施、漁港整備事業の事業量の増大等水産に関する土木事業の重要性が高まりつつあることにかんがみ、漁場施設及び漁港施設の構造、地盤、耐波性等に関する試験研究を促進する必要があり、このため農業土木試験場にこれら水産土木に関する試験研究を行なわせることとすることであります。
第三に、食糧庁の内部部局について、農産物等、砂糖類、大豆及びなたねに関する価格関係事務を業務第二部に所掌させるほか、同部において主要食糧の流通・加工関係企業及び飲食料品・油脂の地産・流通関係企業に関する行政を一体として実施させるとともに、主要食糧の輸出入及び輸入飼料の買い入れ・売り渡し関係業務を業務第二部から業務第一部に移管し、岡部において価格の決定を除く主要食糧及び輸入飼料の買い入れ・売り渡し関係業務を統一的に所掌させ、専務執行の能率化をはかることとすることであります。
その他、輸出品検査所において輸入にかかる農林関係物資の依頼による検査を行なら道を開き、農山漁村建設総合対策特別助成事業の完了に伴い農山漁村振興対策中央審議会を廃止し、水産庁の附属機関たる日光養魚場を水産研究所に統合する等規定の整備を行なうものであります。
次に、今回新たに改正事項として追加した部分について御説明申し上げます。
第一に、嬬恋馬鈴薯原原種農場秋作部を雲仙馬鈴薯原原種農場として独立させ、近年主として西南暖地においてその作付面積を増加しつつある秋作用バレイショについて、優良原原種の供給体制の強化をはかることとすることであります。
第二に、最近における農林業の動向に対応して農業構造改善等のための国有林野の活用の円滑化をはかるほか、国有林野の管理及び処分の適正化に資するため、営林局の附属機関として国有林野管理審議会を設置し、営林局長の諮問に応じて国有林野の管理及び処分について調査審議せしめるとともに、これに関し必要な事項を建議せしめることとすることであります。
その他、食糧管理講習所の位置を東京都に改めるとともに支所を置くことができることとし、林野庁において委託に基づく林野の保全にかかる地すべり防止関連工事を行なうことができる
こととし、及び漁業に関する国際関係事務の最近における急激な増加等に伴い水産庁に次長を置くこととするほか、農林省の定員に所要の変更を加えようとするものであります。以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/2
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003・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 本案の事後の審査は、都合により後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/3
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004・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 次に、自治省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。早川自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/4
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005・早川崇
○国務大臣(早川崇君) ただいま議題となりました自治省設置法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
この法律案は、自治省に地方公営企業制度調査会を設置するとともに、自治省の定員を十五人増加しようとするものであります。
地方公営企業は、地方公営企業法が制定されて以来その数及び規模について増加拡大しており、地方行政におけるいわゆるサービス行政部門の主要な部門を占めるに至っておりますが、法制定以来すでに十年余を経過し、これら企業を取り巻く経営環境の変化と、その間における法の運営の実態から、地方公共団体の行政の一環として行なう地方公営企業の範囲、経営形態及び民間企業等との関係等を検討し、地方公営企業はいかにあるべきか、さらにこれら企業を能率的に運営するための経営体制及び財政制度はいかにあるべきか等基本的問題を調査検討すべき段階に来ていると考えている次第であります。
また、近年その経営状況は全般的に悪化の傾向にあり、何らかの措置を講ずる必要がある段階に立ち至っているものと考えられます。
このような現況にかんがみ、地方公営企業制度の全般にわたり基本的問題を再検討するため、地方公営企業制度調査会を設置しようとするものであります。
次に、自治省の定員は現在四百九十六人でありますが、企画連絡事務の増加、広域行政問題の発生等、総合調整を要する事務の増加に伴ない、これらの事務の処理に必要な職員、地方税について国際間にわたる問題の処理に必要な職員、消防事務の円滑な遂行のために必要な職員を増員しようとするものであります。
以上、この法律案の提案の理由を御説明申し上げました。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/5
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006・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 本案の自後の審査は、都合により後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/6
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007・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 次に、郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。古池郵政大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/7
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008・古池信三
○国務大臣(古池信三君) ただいま議題となりました郵政省設置法の一部を改正する法律案について提案理由の御説明を申し上げます。
この法律案は、郵政省の職員のうち、一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員を二十二名増員しようとするもので、これは、主として宇宙通信研究のための要員として電波研究所の職員を増員するものであります。
何とぞ十分御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/8
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009・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 本案の自後の審査は、都合により後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/9
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010・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 次に、大蔵省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。田中大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/10
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011・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) ただいま議題となりました大蔵省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
この法律案は、大蔵省の理財局に置かれている証券部を分離独立させて証券局を設けること、管財局及び為替局の名称をそれぞれ国有財産局及び国際金融局と改めること、主計局の次長を一人増員すること、東京及び大阪国税局の調査査察部を分割すること、税務講習所の名称を税務大学校と改めること並びに定員の規定を改正すること等の諸点について所要の改正を行なおうとするものであります。
まず第一に、証券局を設けることであります。わが国経済は、IMF八条国への移行、OECDへの参加等の実現を目前に控え、全面的な開放経済へ移行しようとしているのでありますが、これに伴いまして、わが国企業の自己資本の充実、そのための証券市場の一そうの整備拡充が重要な課題となってまいりました。したがいまして、一方において企業、投資者、証券業者等を通じ総合的、合理的な証券行政を展開し、企業資本の充実を通じて企業の体質改善をはかるとともに、証券業者等の監督、指導を高め、社会的任務に応じた証券業の確立をはかって投資者の保護を一そう推進するため、理財局から証券部を分離独立させて、証券局を設置しようとするものであります。
第二は、管財局及び為替局の名称を改めることでありますが、これらはいずれも最近における情勢の推移に伴いまして、それぞれ実体に即して国有財産局及び国際金融局と改めようとするものであります。
第三は、主計局の次長を一人増員することであります。これは、経済発展に伴う財政規模の拡大により、同局の事務量は著しく増大し、また、その事務内容も複雑化してまいりましたので、次長一人を増員し、予算編成その他主計局の事務の円滑なる運営をはかろうとするものであります。
第四は、東京及び大阪国税局の調査査察部を分割することであります。両局の調査査察部の事務量は、著しく膨大となり、また、これを処理するための管理機構も複雑となってまいりましたので、その事務管理の適正を期するとともに、納税者の利便をはかるため、両局の調査査察部を、東京国税局におきましては調査第一部、調査第二部及び査察部とし、大阪国税局におきましては調査部及び査察部としようとするものであります。
第五は、税務講習所の名称を改めることであります。これは税務職員の資質と職務能力の向上を期し、教育内容の充実をはかりますとともに、この際その名称を税務大学校と改め、従来の支所を地方研修所と改めようとするものであります。
最後は、定員に関する規定であります。これは、税関業務の増加に伴う第一線における税関職員の増員二百人、その他証券行政の充実に伴う増員等を合わせまして、合計二百二十二人を増員しようとするものであります。
以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/11
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012・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 本案の自後の審査は、都合により後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/12
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013・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 次に、派遣委員の報告に関する件を議題といたします。
先般、当委員会が行ないました国の地方出先機関、公務員制度及び自衛隊の実情等についての調査のための委員派遣について、それぞれ派遣委員から御報告を願います。
まず、第一班近畿地方に派遣の御報告を願います。山本委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/13
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014・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それでは近畿地方に村山道雄委員と私と二人参りましたが、私から報告したいと思います。
近畿班の報告を申し上げますが、村山委員と私の二名は、去る一月八日から六日間の日程をもって、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査の一環として、人事院大阪地方事務所、大阪府庁、大阪市役所、近畿地方建設局、兵庫県庁、滋賀県庁、奈良国立文化財研究所、奈良国立博物館等におもむき現地視察を行なってまいりました。
今回のおもなる調査事項を申し上げますと、第一は、国の出先機関の運用状況、第二は、各府県における国の出先機関に対する意見、第三は、各府県職員の給与制度の実情、第四は、近畿圏整備状況、第五は、文化財保護状況等であります。以下、調査事項に従い、その概要を御報告いたします。
最初に、国の出先機関の運用状況等について申し上げます。
まず、人事院大阪地方事務所でありますが、本所の組織は三課、人員は二十八名、本年度事業費は四百万円程度で、私どもが今回の調査にあたり感じましたことは、本所が少ない予算、人員にもかかわらず、広範囲の業務をよく実施していることでありまして、その業務は、各種の採用試験の実施、民間給与実態調査、人事記録監査、選考採用の承認、研修、不利益処分、災害補償の審査、行政措置要求、一般苦情処理、任用状況調査等各般の問題にわたっており、ちょうど私どもが本所に参りました際、中級試験の面接を実施しておりましたが、最近、受験者数は増加の傾向にあるが、合格者中の辞退数が目立ち、その原因として、初任給が低いこと並びに宿舎設備の不満等が指摘せられました。また、公務員一人当たりの採用のための所要経費が民間に比べ著しく低きに失すること、国は女子職員をもっと活用すべきであること、現在の大阪地方事務所の名称を近畿地方事務所と改める必要がある等の意見が述べられました。
次に、近畿地方建設局においては、業務、組織、人員、職員給与の実情などのほか、近畿圏整備状況等について概要説明を受けましたが、特に人事管理上、給与上の問題点として、近年、公共事業予算の大幅な増加により、事業量が急速に増大しているが、これに見合う優秀な人材はほとんど民間大企業に就職し、人材の確保が困難となっているので、官民給与較差、ことに初任給の較差是正をするとともに、現行採用試験の実施時期等を早めること、老齢職員が年々増加の一途にあり、職員の新陳代謝による能率の増進が妨げられているので、老齢退職を円滑にする方途を講ずること、事業の合理化に伴い、行(二)系職員を行(一)に転換するための研修予算の増加と定数を再配分すること、現行給与体系では優秀な技術者を不遇に終わらせるので、専門職優遇の措置が望ましいこと、現在職務の等級が二つ以上にまたがる官職が多く、人事交流上に支障を来たしているので考慮せられたいこと、及び特殊勤務手当の支給対象の拡大、超過勤務手当、日額旅費、音通旅費等業務の円滑な運営を期するための経費の増額措置等のほか、年末年始の特別休暇中に勤務した場合、これを休日扱いとして休日給を支給せられたい旨の意見要望がありました。
次に、奈良国立文化財研究所についてでありますが、本所は、昭和三十四年七月以来、平城宮跡の遺構、遺物を解明するための発掘調査をも実施しており、広範な業務を一課、三室、二十九人で円滑に実施するには多くの困難があると思われました。本所に平城宮発掘のため平城宮発掘調査部が設けられているが、この部制は組織規定にのっとっていないので、職員はすべて兼務発令となっている。すでに組織も充実しているので、法制化の必要が認められる。また、木所の研究職員は、教育職俸給表(一)の適用を受けている大学附置研究所の教官に比べ、待遇上不利となっているので、これを是正するとともに、本所の研究費の積算にあたっては、実験研究として取り扱われたいこと及び所長の職務の等級は他の官職との比較において一等級が望ましいこと等の意見、要望がなされました。私どもは、平城宮跡の発掘現場を視察いたしましたが、この宮跡をすみやかに文化財保護委員会の国有化の方針に基づいて、全域が買い上げられること、及び発掘調査作業員の一日一人当たりの予算単価の六百円を一般民間類似業種の賃金に見合うように引き上げることの必要性を感じました。
奈良国立博物館については、私どもが陳列館を視察して感じましたことは、館有品が非常に少なく、その展示のほとんどが各社寺の寄託品等にたよっているということでありまして、この寄託品も最近各社寺の農水施設の整備等により返還する状態にあり、博物館側としては、その代替品を収集するに追われている実情にあるとのことでありました。この現状を打開するためには、陳列品購入費の予算を大幅に増額するとともに、収集に要する経費計上をはかられたい旨、また陳列館新営の設計費、新常費予算をすみやかに計上せられたい旨及び館長、次長、課長等の職務の格づけが東京、京都の博物館に比較し、いずれも一等級下位にあるので、この不均衡を是正すること等について、それぞれ要望がなされました。また、各文化財施設を視察して感じましたことは、いずれの施設にも国はもっと積極的に防火設備等の充実のための予算計上をすべきものと存じました。
次に、大阪府庁、兵庫県庁、滋賀県庁における国の出先機関との関係並びに府県職員の給与制度の実情について申し上げます。まず、国の出先機関との関係については、最近、府県の地域総合行政体としての役割りを正当に評価することなく、広域行政のムードに乗って中央集権化の必要性を強調している実情にあるが、国の地方出先機関については、中央との二軍行政、二重監督、府県行政との重複行政等、地方自治との関連から多くの問題を提起しているから、これらを改めてもらいたい旨の意見が述べられ、特にその代表的なものとして、知事権限にかかる市町村の起債の許可についても財務局への協議が必要とされ、最終決定権のない財務局が起債事業計画書の提出、説明を求め、事務の繁雑を招いていること。各種災害復旧事業補助金の査定、補助事業の監査等についても各省と財務局の二重査定、監査の弊害があり、また、地方農政局の土地改良事業の許可、各種補助金についても地方農政局と本省との間に重複があり、農林関係統計でも統計調査事務所、食糧事務所、府県統計課の重複があり、このほか設備近代化の貸付についても通商局に協議する件数が増大して事務の渋滞を来たしており、また、中小企業協同組合、商工組合、商工会議所等の設立、認可、指導監督、あるいは工場排水、ばい煙等の公害規制行政についても通商局長に留保されている分野が大きく、経由機関的色彩が強く、中には、さらに国税局長、陸運局長、海運局長等に分掌されているため、地域の実態に即した行政の総合性、一貫性がそこなわれる実情にあるから、国の地方出先機関の事務は、原則として現業的機能及び国の行政の監査等の事務に限定し、地域社会の発展と地域住民の生活向上に開運の深い行政はすべて府県の事務とすべき旨の意見、要望がなされました。
次に、府県職員の給与制度の実情について申し上げます。今回の国家公務員の給与改定に伴う措置としては、滋賀県は、昨年暮れに改定を行ない、大阪、兵庫は本年二月の定例議会に提案、改定することとなっており、いずれも国に準じて行なうことになっています。府県職員の給与制度上の問題点としては、府県職員の給与体系が国に準じているため、国家公務員と府県職員との問にある役職機構、学歴、年齢等の構成差に起因する矛盾が生じており、またそのため、医師、獣医師、保健婦等、土木技術者、警察官等が採用困難の事態となっている等の意見が述べられ、また、地方自治体の事務は法の制定その他により増加の一途をたどっており、職員数も必然的に増加することとなっているので、地方交付税国庫補助対象職員の人件費補加基準の引き上げ等を行なって、人件費の府県財政への圧迫を緩和してもらいたい旨の要望がなされたほか、特に滋賀県においては、寒冷地手当の現行支給地域区分には著しい不均衡があり、また、昭和二十七年四月現在の合併以前の市町村の行政区画を単位としているので、これを早急に改められたい旨の要望がなされました。
最後に、近畿圏整備状況について申し上げます。昨年、近畿圏整備法に基づいて、総理府に近畿圏整備本部が設けられましたが、今回、私どもは、同本部が昨年八月以降、当面の緊急な調査として実施しています道路、港湾、都市交通の整備状況等を中心として現地視察を行ないました。すなわち、大阪府庁、大阪市役所、兵庫県庁、滋賀県庁並びに阪神高速道路公団、“本道路公団、近畿地方建設局等より、大阪、兵庫、滋賀の三府県内における道路の整備状況、港湾の整備状況、都市交通の状況、埋め立て事業の概要、防潮堤整備状況、名神高速道路、阪神高速道路、第二阪神国道の進捗状況、大阪、兵庫地区における地盤沈下問題と水問題の概況と対策等、広範な事項にわたり、その実情を聴取するとともに、大阪市内における高速道路建設現場、防潮堤工事、第二阪神国道、須磨の空中コンベアー、灘の地下コンベアーによる埋め立て事業、摩耶埠頭建設現場、名神高速道路、琵琶湖大橋建設現場、天ケ瀬ダム建設現場等について、実地視察いたしましたが、これらの実情等並びに地元の要望については、調査室のほうに詳細なる資料を整理してございますから、ごらん願いたいと存じます。
以上、近畿地区調査の概要について報告いたしました次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/14
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015・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 次に、第二班、九州地方に派遣の御報告を願います。伊藤委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/15
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016・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは九州班の派遣報告を便宜、私から申し上げたいと思います。
林田委員、鬼木委員並びに私の三名は、去る一月8日から六日間の日程をもって、国の出先機関、公務員制度及び自衛隊の実情調査のため、福岡防衛施設局、板付基地、航空自衛隊西部航空方面隊司令部、福岡県庁、九州管区行政監察局、陸上自衛隊西部方面総監部、第八師団司令部、熊本県庁、九州農政局、長崎県庁を視察してまいりました。
以下調査の概要、特に視察先において述べられました当委員会に対する要望事項に重点を置いて御報告いたします。
第一に、国の防衛に関する調査について申し上げます。
まず、福岡防衛施設局でありますが、福岡防衛施設局は、一昨年十一月、福岡調達局と建設本部福岡建設部が統合され、発足したものでありますが、発足後一年有余、職員の和をはかることにつとめ、現在庁舎の増築を行ない、着々と統合の実をあげてきているとのことでありました。ここでの要望事項の最たるものは、自衛隊関係基地に対しては、米駐留軍関係基地に適用されているいわゆる特損法に当たるものが現在なく、ただ防音工事などが行政措置で行なわれているのみで、自衛隊基地周辺住民は不平不満を抱いており、施設局として行政遂行上非常な困難を感じているので、特損法を拡大して、自衛隊基地についても法的に処理できるよう立法措置を配慮願いたいとの点でありました。
このほか聴取し得た二、三の点をつけ加えますと、第一に、F105の騒音については、同局及び福岡市が共同で測定調査をした結果、従来のF100に比べて至近距離においては約十フォン、滑走路端より千メートル以上の地点においては約三フォン程度騒音が増大することが判明したとのことでありました。第二に、板付基地周辺の学校防音工事については、対象校六十校のうち、昭和二十九年より、完了二十三校、一部完了十七校、未施行二十校となっており、現在までの補助額は二十二億余にのぼっているとのことでありました。第三に、昨年十二月三日閣議決定を見た産炭地振興施策の一環としての飯塚市への陸上自衛隊移駐については、現在西部方面総監部と合同して現地調査を行なっており、昭和四十年三月までに移駐完了を目途に、本年度中に用地取得を終わるべく鋭意努力中とのことでありました。また、同局の懸案事項としては、日出生台演習場米軍再使用問題、芦屋対地射爆撃場問題をかかえているとのことでありました。
次に、西部方面総監部についてでありますが、ここでは、募集方式を以前に復して常時募集の方式にしていただくよう配慮されたいと強く訴えられました。すなわち当方面隊の充足率は現在七六・七%であり、そのらち、士の充足率はこれよりはるかに低く、たとえば隷下の第八師団におけるそれはわずかに五五・六%であります。それにもかかわらず、昨年、中央の事情から募集方式の変更が行なわれ、従来の常時募集から、三カ月の一募集期ごと試験一回、入隊一回という定期募集に変わったため、ただでさえ農村に若い者のおらない今日、募集がますます困難となり、六五%程度の募集達成率に低下しているとのことであります。現在全自衛官の約三分の一を九州出身者で占めるというほど九州は隊員の志願者が多い土地柄でありますが、経済成長とこの募集方式の変更により、いまでは募集が非常に苦しい状況であり、さらに募集事務の一部は市町村に委託し得ることになっておりますが、この関係の予算が微々たるものであり、市町村にはこれに専従する職員もおらない実情にあるとのことでありました。また、医官については欠員が五〇%をこすということであり、貸費学化も現在五十九名でありますが、このらち二〇%程度はやめていくとの話で、修学手当を少なくとも一万円程度には増額していただくよう、医官の不足について特に御考慮いただきたい旨述べられました。さらに自衛隊隊舎に関して、九州は白アリの被害が多いこと、湿度が高いことによる腐蝕及び台風の被害の面から在来の木造の建築物が老朽化して、北熊本、都城、小倉、別府等々各駐屯地施設が早急に建てかえが必要になっているとのことでありました。
次に、西部航空方面隊司令部についてでありますが、新年度から新たにF104の二飛行隊が当軍に配属される予定とのことであり、隊員の充足率、装備の稼働率、施設もほぼ満足すべき状態にあり、宿舎、レーダーサイトの娯楽施設等も計画に基づき逐次拡充しているので、特に要望事項もないとのことでありました。ただ、営外手当、帰郷旅費などが十分でないとのことでありました。
次に、板付基地についてでありますが、私たちは、米軍側の案内により、F105、F100、F120等の機体を見、その性能を聞き、また、消音施設を詳しく見てまいりました。
以上で防衛庁関係を終わりまして、第二に国の出先機関に関する調査について申し上げます。
まず、九州管区行政監察局についてでありますが、ここでのおもな要望事項は、行政相談委員制度の法制化と離島配置の行政相談委員招集旅費増額の二点でありました。行政相談委員制度は、昭和三十六年発足以来、その効果きわめて著しく、国民各層から高く評価されながら、訓令によって設けられているのみで、いまだ法制化されていないので、民生委員制度、人権擁護委員制度と同様、この制度を法制化し、その法的根拠を明確にしていただきたい。また、九州管区では、長崎、鹿児島両県に離島が特に多く、これら離島における行政相談委員の配置については、中央でも特別の配慮がなされているが、いまだ十分でなく、たとえば旅費についても、現在の配分予算では、わずか辞令交付の際における局招集分、一回分にしかすぎないので、とても多くの指導効果を望み得ず、離島配置の行政相談委員の招集旅費並びに局員による現地指導旅費を増額してほしいということでありました。
次に、九州農政局についてでありますが、地方農政局は、御承知のごとく、昨年五月発足したばかりであり、逐次業務体制の整備をはかっておりますが、いまだ幾多の問題点をかかえているようであります。問題点として述べられたところは、第一に、権限委譲に関する実情について、地方農政局の所掌事務は広範であるが、現実に地方農政局に委譲されている権限の運用は、通達要綱等によりこまかく規定されたり、本省協議にかからしめられているものが多く、地方農政局独自の方針を打ち出し、地域の実情に応じた行政を行なうことが制約されがちであるとのことでありました。また一方、補助金の種類が多岐にわたり、事務処理が繁雑をきわめ、庁費の不足から電話の活用すら十分できず、本省との連絡も十分に行なえない実情であるとのことでありました。
第二に、執務体制については、の課では人員不足で、特に総合調整を任務とする農政課の強化が必要であり、また、建設部関係では土木技術者の確保が困難で、支障を来たしており、また一方、現在の合同庁舎が狭隘で、構造改善部が同一庁舎内に入れず、業務運営に不便を感じている等、権限の強化、組織の拡充、庁舎増築の増進、テレタイプの設置が要望されました。
第三に、福岡、熊本、長崎の三県庁の調査について申し上げます。
調査事項としては、各府県における国の出先機関につき、特に地方自治との関連においてその機構、業務運営等についての所見及び各県職員の給与の実情並びに各県の総合開発計画の諸点を主として聴取してまいりました。
第一の問題は、御承知のごとく、近時における広域行政要請の声や、臨時行政調査会の中間報告、地方制度調査会の調査とも関連して、国の出先機関と府県との関係が世上問題となり、昨年七月、全国知事会でも意見書をまとめたことのある問題でありますが、この問題については、三県とも多少のニュアンスの違いはあっても、「最近の国の地方出先機関強化の動きに批判的であり、地方自治の基本原則に基づき、地域住民の生活関に係の深い行政機能はすべて地方公共団体の機能とすることが望ましい。」との意見であり、私たちは、国の出先機関と地方公共団体との二重行政の個々の具体的事例について詳しく説明を受けました。しかしながら、現状においては、三県とも府県と国の出先機関相互間において定期的に会合を持ち、連絡を密にし、意見調整をはかるなど、できるだけ二重行政の弊に陥り、地域住民に迷惑を及ぼすようなことのないようにつとめているとのことであります。私たちも特にこの点に意を用いるよう要望してまいりました。なお、三県とも地方自治法附則八条のいわゆる社会保険、職安等に従事する都道府県職員の身分についても、早くすっきりした形にして解決を見るようにと強く要望されました。
次に、職員の給与については、問題として述べられた点を申しますと、府県人事委員会の勧告は、人事院の勧告を待って行なうのが例となっているため、人事院勧告の時期が毎年年度途中であるため、予算作成の観点から、勧告自体の時期等についての考慮を国においてお願いしたいとのことでありました。
以上が今回の調査の概要であります。なお、詳細な点につきましては、各機関より資料の提供を受けており、調査室において保管しておりますので、必要ありますれば、適宜そのほうでごらんいただきたいと存じます。
簡単でありますが、以上、御報告を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/16
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017・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) ただいまの各班の御報告について御質疑がございませんか。——別に御発言もないようですから、派遣委員の報告はこれをもって終了いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/17
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018・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 次に、外務省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。大平外務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/18
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019・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) ただいま議題となりました外務省設置法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
今回の改正は、アジア局の賠償部を廃止し、賠償部の所掌事務を経済協力局に移すことが第一であります。
情報文化局に、新たに文化事業部を設置し、その所掌事務を定めることが第二であります。
移住あっせん所を廃止し、移住あつせん所の土地、建物等を海外移住事業団に出資することがその第三であります。
パリに、経済協力開発機構日本政府代表部を設置することが第四であります。
外務省職員の定員を改正することがその第五でございます。
本法は、昭和三十九年四月一日から施行すること。ただし、移住あっせん所の廃止は、同年十月一日から施行することを規定いたしておりますことがその第六でございます。
アジア局賠償部の廃止につきましては、賠償及びこれに伴う経済協力に関する協定等の実施は、その内容においては資本財を主とするわが国の生産物及び役務の供与でありまして、相手国の経済開発への寄与という点からいえば、通常の経済協力と同一の効果を持つものであり、両者相待って最大の協力効果を上げるよう配慮することが必要であります。かかる観点から事務の合理化及び効率化をはかるため賠償部を廃止いたしまして、その所掌事務を経済協力局に移すことといたしました。
情報文化局文化事業部の新設につきましては、最近各国とも国際間の文化交流をきわめて活発に行なっており、わが国といたしましても、従来に比し、より積極的に諸外国との文化交流、日本文化の紹介等を行ない、正しい日本を認識せしめてわが国外交の円滑な遂行に資するため文化事業部を設置するものであります。
移住あっせん所の廃止につきましては、昨年七月海外移住事業団の発足を見ましたので、その設立の趣旨に従い海外移住に関する実務の面はできるだけこれを事業団に移譲することといたし、現在外務省の附属機関として海外移住の実務の一端を担当いたしております移住あっせん所を、十月一日限り廃止するとともに、本法附則において、移住あっせん所の用に供しております国有の土地、建物等を海外移住事業団に出資することができるよう海外移住事業団法の一部を改正することといたしております。
経済協力開発機構日本政府代表部の設置につきましては、経済協力開発機構すなわちOECDの活動範囲はきわめて広く、経済、金融、貿易、資本取引、貿易外取引、後進国援助、海運、工業、農業その他あらゆる分野にわたって加盟各国間の情報の交換、政策の調整等を行なっております。現在のOECDは、自由世界の先進工業国二十カ国が加盟しており、わが国も別途提案しております経済協力開発機構条約の承認を得まして加盟することとなっております。
従来OECD関係事務は、在フランス日本国大使館において処理しておりますが、事務の範囲が広範であるのみならず、その内容がきわめて技術的、専門的であり、各種の会議もひんぱんに行なわれ、また事務の性質上、二十カ国に及ぶ多数国間の関係事務に大使館をして当たらしめることは、その性質上不適当であり、現に主要加盟国は、ほとんど在仏大使館とは別に代表部を設けている現状であります。したがって、わが国もパリに経済協力開発機構日本政府代表部を設置することといたしております。
外務省職員の定員につきましては、在外公館の新設、増強並びに本省機構の改正等に伴いまして、特別職三人、一般職二十六人計二十九人の増員をいたしております。なお、移住あっせん所が本年十月一日廃止されますので、それまでの間は、移住あっせん所の職員五十人を加算することといたしております。
以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/19
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020・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 本案の自後の審査は、都合により後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/20
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021・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 次に、臨時行政調査会設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。政府側の出席の方々は、山村行政管理庁長官、川上行政管理庁政務次官、井原臨時行政調査会事務局次長であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。伊藤委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/21
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022・伊藤顕道
○伊藤顕道君 本法案に関連して、長官に二、三お伺いをしたいと思いまするが、その前に、先般島根、京都、九州管区の各行政監察局を調査してまいりましたので、その記憶の新たなうちに、やはり関連事項でございますので、まずもってこれらの点についてお伺いをしたいと思います。
最初に、監察、勧告に関する問題ですが、これは中央でも同じことですが、特に地力で感じましたことは、地方行監がまず監察をやる。その監察の結果に基づいて関係省庁に勧告をするわけです。それを受けとめた関係省庁がその勧告の趣旨に沿うて直ちに業務を改善するということになれば、これは申し分ないわけで、たいへんけっこうなことだと思いますが、実情は、中には、なかなか勧告のとおり直ちに改善に着手するというふうに、なかなかもってそういううまいことにはいっていないわけです。ここに問題があろうかと思うのです。まず、この点についてどういうふうにお考えか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/22
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023・山村新治郎
○国務大臣(山村新治郎君) 私どもの出先につきまして御視察をいただきまして、その結果としての御質問、まことにありがとうございます。
行管の勧告につきましては、これは非常な、その結果におきまして、数字的に見まするというと、総件数の約七割は実は実現いたしております。なお、そのうち、ほかに一割五分程度のものは一部分が実現いたしておる状況でございまして、なお、その残りの分につきましても、これは行管として勧告した以上、同時に、国民の皆様方から要望されるものと考えて勧告した以上におきましては、その実現方のために再勧告等も講ずる次第でございますが、だいぶ各省庁とも行管の勧告につきましては最近では注意をされまして、その実現が実際は効果をおさめておる状況でございます。したがいまして、今後とも十分われわれといたしましては注意をいたしまして、能率のあがる行政の伸展のためにりっぱな勧告をいたしたいつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/23
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024・伊藤顕道
○伊藤顕道君 おことばですと、大体勧告の結果、七〇%ぐらいは直ちに改善の段階に入っている。あと三〇%の問題ですが、いまそれについての御説明がございました。ただ、地方を回って感じますことは、数字をいまここにはあげませんが、やはり一度監察したその結果に基づきまして勧告しても、なかなかそれを忠実に受けとめて直ちに改善に移すというより、検討中検討中で、なかなか実施に移さない、そういう個所も、いま長官も数字であげられたように、一部はあるわけです、現に。こういう事実は、やはり行管の監察なり勧告にある程度の権限がないから、逆に言うと、勧告についてこれを尊重しなければそういう態度がなかなか改善の実現に至らない、こういうふうにも、考えられるわけです。そこでいまのままでは、ある程度は目的を達しても、残りの分についてはなかなか所期の目的を達することができない。大体七〇%ぐらいできているのだからいいじゃないか、こういうことではいかぬと思うのです。やはり完全に勧告は忠実に守られて、直ちに改善に移る、こういう段取りにならぬと、せっかく行管がその専門の業務として骨を折って監察し、その結果を忠実に勧告しても、その実はあがらないということになろうと思います。こういう点についてどういうふうにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/24
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025・山村新治郎
○国務大臣(山村新治郎君) 行管の勧告に対するところの御理解ある御意見でございまして、行管に関係するわれわれといたしましては非常に感謝をいたす次第でございますが、御存じのように、日本の行監の制度というものは、これはどちらかといいますと、日本独特のものでございまして、まあ外国からもおいでになりまして、日本の行監の制度というものを調べられた一部の方は、どうしてこの勧告に対してもっと強い権限が与えられないのかというような御意見も述べられたこともあるやに聞いております。しかし、設置法によりますと、御存じのように、最後には総理大臣から主務大臣に、この問題についての勧告ができるような形になっておりますので、これは最後の伝家の宝刀と申しましょうか、形でございますが、しかし、その前に、すでにさっき申しましたように、数字的には約七割方のものが現在においても解決され、同時に逐次一部分でも各省とも行管の勧告については真剣にこれを取り上げるというような状況になっておる次第でございますので、いまの形におきましても、今後の行管の勧告のやり方いかんでは、相当の成果があがってまいると存ずる次第でございます。したがいまして、行管の勧告につきましては、どこまでもその勧告のねらいというものは、国民のための行政、また同時に便利な行政、親切な行政ということを念頭に置いて勧告をいたしてまいるつもりでございますので、おそらくや各省とも、だんだんにその残りの一五%の問題につきましても、解決する段取りになっていると存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/25
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026・伊藤顕道
○伊藤顕道君 御答弁によると、大体七〇%くらいは勧告の実はあがっておる。ところが、残されたその三〇%の中に、ぜひこれは改善しなければならぬとい5大事なものが含まれておるわけです。ここに問題はあろうと思うのです。せっかく専門の方が骨折って監察し、その監察の結果に基づいて勧告されたことが忠実に受け入れられないということは、言葉をかえていうと、その勧告を受けた省庁が、これは地方でも中央でも同じだと思うのです。中央、地方を問わず、やはりその勧告を軽視しておるということにほかならぬと思う。やはりここは国民のための国民の政治という観点から見て、これはどうしても改善しにゃいかぬ、そういう判断に立って勧告するわけですから、そのことが尊重されないということになると、監察も勧告も全然意味がなくなってしまうわけです。大体七〇%が目的達しておるからいいといろ問題じゃないと思う。こういうところに問題があるので、やはりある程度の監察の結果の勧告については、相当の程度の権限が必要でなければならぬ。そらすることによって、あと残された三〇%の問題を解決しなければ、このままではやはり国民のための国民の政治にはならない、そういうふうに思うのです。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/26
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027・山村新治郎
○国務大臣(山村新治郎君) 私どもは決して七〇%程度勧告が実現されたから、それで満足しておるのではございません。あくまでも国民のためになると信じて、勧告をした以上、その一〇〇%の実現方を希望するものでございます。そこで、御存じのように、内閣の立場におきまするというと、各主務大臣とも対等の立場でございますので、何か私どもの役所が、私の名前において勧告したものが、絶対にその命令のとおりにならなくちゃならないんだとなりますると、各役所の上に優位的立場に立つような点もございまして、そこはやはり最後には総理大臣の勧告ということに相なるんじゃないかと考える次第でございます。したがいまして、私どもはあくまでも各役所が、行管から勧告されたものは、ほんとうに国民のために必要なものなんだというような認識を与えるというような意味から、御存じのように、先般、いままで休んでおりました行政審議会を活用いたしまして、民間の有識者の方々に行政審議会の委員になっていただきまして、この方々に国民の最も望んでおるものは何かという点からの大きな問題を取り上げていただきまして、審議をお願いいたしております。この審議の結果を、やはり勧告するような形になりまするというと、そう一そう今後の勧告の権威もつくと存じまして、この制度を活用いたした次第でございます。したがいまして、この問題につきましては、今後とも伊藤委員の御激励のごとく、私どもといたしましては、あくまでもりっぱな勧告をなすことによって、行管の勧告を聞けない役所というものは間違っておるのだという、むしろ世間の理解を深めるように、りっぱな勧告をやってまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/27
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028・伊藤顕道
○伊藤顕道君 特に、地方の行監を回って調査の結果、そのつど感ずることは、巡回相談の問題です。これはその地方の国民の苦情をよく聞いて、これを親切に補導しながら解決へと問題を持っていく、こういうことで巡回相談については私どもはこれを高く評価しておるわけです。ただ実情は、なかなか極度に予算が制約されておるような関係で、実費も、旅費も出ない、先ほど調査報告を申し上げたわけですが、結局旅費というものは、一回の招集、打ち合わせのために一回使うとあとはなくなってしまう、こういうような問題、そういうようなことの中で、本年度は、提案説明の中にございましたように、九百十五名ですか、相談員をふやして、そのために三千六百五名という陣容にすると、こういうことももちろん必要でありましょうけれども、やはりただ数をふやしただけでこれは解決することはできない、数といっても、これでもなかなか不十分な数だと思います。一応増員ですから、一歩進めるということにはなろうかと思います。ただ量だけをふやして質が——運営のために必要な旅費をふやさない場合には、なかなかいい制度でありながら、これは徹底してない、特にPRが非常に欠けておるという点を痛感しておるのです。この行政相談というのは、苦情相談というのは、これこれこういうものである、だれでも相談を受けられる、だからいつどこでその相談を受け付けるかというような問題がたくさん具体的にあるわけです。ところが、なかなかこれが徹底していないで、せっかくのこの苦情相談も成果をあげながらも、私どもの期待するほどまだまだあげてない、こういう実情だと思うわけです。そういう点でひとつ具体的にどういうことを対策としてお考えになっておるか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/28
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029・山村新治郎
○国務大臣(山村新治郎君) 行政相談員の方が、ほんとうに奉仕的なお立場におきまして一生懸命に行政苦情の問題と取り組まれております姿に対しまして、衷心から実は私どもといたしましては感謝を申し上げております。確かに一ぺん会合いたしますと、ほとんどそれで旅費が飛んでしまうようなお手当でございますが、半面におきまして、相談員になられておる方々は、その地方の、どっちかというと名望家がなられておりますので、非常に奉仕的なお気持に徹しられておりまして、一也懸命この苦情相談と取り組んでおられる次第でございます。私ども決してこのお姿に甘えておるわけではないのでございます。いずれにいたしましても、まず人数が非常に足りないという点、それを補強する意味におきまして、今回九百十五名の増員になった次第でございますが、御指摘の、確かに苦情相談そのもののPRが足りないということは全くそのとおりでございまして、私もお恥ずかしい次第でございますが、この役所に参ります前には、その制度を知らないくらいでございまして、一般にこの点の理解というものは相当薄いと思うのでございます。しかし、最近では、相談員の方々が非常にいろんな行政の苦情についての成果をあげられました結果でもございましょうが、これに対するだいぶ理解が各地方とも深まってまいっておりまして、大きい問題、小さい問題を問わず、だいぶ実は山積された苦情相談があるようでございます。私どもこれに対しまして、その苦情相談の問題に相談員の方が真剣に取り組んでおられますことに対しまして十分感謝を申し上げつつ、なお、中央におきましては、限られた人数でございますが、いままでの人数を機動的にひとつ使うことによりまして、これらのふえた相談員の方々、また、今までおやりになっておった相談員の方々といろいろと仕事の緊密な連絡をとりながら、十分遺憾なきようやってまいりたいと思います。したがいまして、PRの問題では、問題はやはり成果があがってまいりますならば、相当に自然にPRになってまいると考えておりまして、最近の成果があがることによりまして、相当PRがきいてまいったということを信じております。と同時に、これによりまして国民の皆さまにますます行管を利用していただきまして、行政が国民のものだという考えに徹していただけますならば、非常にけっこうだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/29
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030・伊藤顕道
○伊藤顕道君 長官にはもう時間がないようですから、あとは次回に譲ることにして、きょうは最後に一点だけ、意見だけを申し上げておきます。
以上申し上げましたように、苦情相談については、私どもも実際回って国民のための国の政治、いわゆる民主的政治の一つの具体化であろうということで高く評価しているわけであります。制度そのものは非常に賛成のわけです。ただし、その運営なり、施設の面でなかなか所期の目的が達せられない実情にあるということをこの目で直接見てきたわけです。そこで結論として、まず具体的な一つの考えとして、各地力行監に宣伝カーを一台ぐらい、何とか配慮して配置すれば、これによって苦情相談、民衆の苦情が次々にさばかれていくという、こういう具体的の考えを私は前々から持ち続けてきたわけです。ひとつ、このことを十分考えていただきたいということを最後にお伺いして、それであとは次回にまたお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/30
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031・山村新治郎
○国務大臣(山村新治郎君) 非常に新しいアイデアと申しましょうか、行管に対する思いやりのあるお考えを承りまして、非常に私も心強く考えております。特に、宣伝カーによって苦情相談の問題をPRするということは、決してこれは行管の仕事をPRするという意味よりは、行政というものは民衆のためのものだということを周知させる上におきましても非常に大きな効果をあげるねらいじゃないかと考えますので、われわれとしましても善処いたしたいと考えております。
まことに申しわけございませんが、衆議院の予算委員会がありますので、あと政務次官がおりますから、政務次官にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/31
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032・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/32
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033・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/33
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034・石原幹市郎
○石原幹市郎君 昭和三十七年三月に、臨時行政調査会長が何か声明を出して、国民の理解と協力を求む云々とありますね。あの声明ありましたら、ひとつ出してほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/34
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035・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 私資料をちょっとお願いしようと思うんですがね。新聞等で見ましても、いろいろ臨時行政調査会の中間報告あるいは専門部会の最終的な結論とか、いろいろたくさん出たわけですね。資料も非常にたくさん出ておりますね。ですがこれ目を通すのは容易じゃない。こんなになるでしょう。そんなものを一々目を通すのはたいへんですし、何か、いままでどういう行政調査会として仕事をしてこられたか、簡単に手ごろなものでさっとわかるような、そういうものを出していただけないかと思うんですね。約二年前から動いたわけですが。あまり簡単じゃ困りますよ、二、三枚じゃ、調査会がどういうことをやったかという内容のわかるようなものをいただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/35
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036・井原敏之
○政府委員(井原敏之君) この席でも一応用意はしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/36
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037・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 そんな簡単なものじゃだめだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/37
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038・井原敏之
○政府委員(井原敏之君) 鶴園委員のおことばでございますが、ごく現在の調査会の各専門部会の終息段階、七人の委員会がどういうことをやっているかという現状を簡単にまとめたものを実は用意しておったわけでございますが、いまのおことばで、なおそれでは少し簡単過ぎるというおことばでございますが、実は部会報告書というのは、資料を合わせますと一万ページくらいあると思います。これをみなごらんいただくのもたいへんでございますので、この中間ぐらいのものということでございまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/38
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039・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 五、六十ページかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/39
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040・井原敏之
○政府委員(井原敏之君) なるべく現状のわかるような詳しいものということでございますから、検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/40
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041・石原幹市郎
○石原幹市郎君 ただいま用意されておるのも配ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/41
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042・井原敏之
○政府委員(井原敏之君) 承知いたしました。石原委員の仰せのように、現在用意しているものもお配りいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/42
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043・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午前十一時三十人分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X00519640211/43
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