1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月十四日(火曜日)
午前十一時四十七分開会
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委員の異動
四月十三日
辞任 補欠選任
近藤 鶴代君 大谷藤之助君
四月十四日
辞任 補欠選任
山本伊三郎君 占部 秀男君
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出席者は左のとおり。
委員長 三木與吉郎君
理事
石原幹市郎君
下村 定君
委員
大谷藤之助君
太田 正孝君
栗原 祐幸君
源田 実君
小柳 牧衞君
林田 正治君
村山 道雄君
鬼木 勝利君
向井 長年君
委員以外の議員
発 議 者 草葉 隆圓君
政府委員
総理府総務長官 野田 武夫君
内閣総理大臣官
房賞勲部長 岩倉 規夫君
郵政政務次官 金丸 信君
郵政大臣官房長 武田 功君
郵政省電波監理
局長 宮川 岸雄君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
法制局側
第一部長 中原 武夫君
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本日の会議に付した案件
○郵政省設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○旧金鵄勲章年金受給者に関する特別
措置法案(草葉隆圓君外十六名発
議)
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001・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) これより内閣委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
四月十三日、近藤鶴代君が委員を辞任され、その補欠として大谷藤之助君が選任されました。
また、本日、山本伊三郎君が委員を辞任され、その補欠として占部秀男君が選任されました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/1
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002・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) では、郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。
政府側からは、金丸郵政政務次官、武田官房長、宮川電波監理局長が出席されております。
御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。鬼木君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/2
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003・鬼木勝利
○鬼木勝利君 大臣が御出席できないそうですから、政務次官にお尋ねいたしますが、今回の公労協の半日ストの問題でございますが、これは影響するところがたいへん大きく、国民の不安、社会の不安ということはもう申すまでもなく、われわれ非常に憂慮しておるところですが、計画どおりにこの半日ストが実施されるということになりますと、郵政関係では、たとえば郵便物とかあるいは小包とか、その影響するところをちょっとお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/3
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004・金丸信
○政府委員(金丸信君) 今回の全逓の半日ストにつきましては、郵政省といたしましては、国民に非常に迷惑をかけるものですから、全逓に申し入れまして、できるだけやらないように申し入れているわけでありますが、ただいまの御質問は、及ぼす影響は、半日ストした場合、どのくらいの影響が起きるかというような御質問だと思うわけでありますが、大体半日ストを行ないまして、全逓が準備指令を出しておりますのは、全国の主要局約二百局を対象として準備指令を出しているようでありますが、具体的な実施方法については不明であります。しかし、省といたしましては、あらゆる方策をもちまして、万全の対策を講じつつありますか、全逓の半日スト準備指令を出した中央郵便局あるいは鉄道郵便局、定員二百名以上の普通局が計画どおり半日ストを実施した場合は、通常郵便物約二千万通、小包約三十万個が運送配達面で遅延をいたします。また、郵便物引き受け山で通常郵便物約三百万通、小包郵便物で約四万個に支障が生ずることも推定されるわけでありますが、なお、一番大きな影響を受けますのは東京、大阪の大都市でありまして、また、電電公社の関係におきましては、全電通は十七日の始業開始から正午まで東京、大阪市外電話局をはじめ、全国主要電話局、中継所、管理機関など、約九百の事務所でストライキを実施するための準備指令を行なっております。この計画が完全に行なわれることになりますと、その時間中は、通信は自動電話を除きまして多大の影響を受けることになるわけでありますが、また、スト終了後もしばらくは通信の混乱が起きるのではないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/4
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005・鬼木勝利
○鬼木勝利君 そこでこれは郵政関係ばかりでなくして、たいへんな影響が大きいと思うのですが、単に公労法の十七条に違反するからこれは許されないことだ。それにもしこれを実行に移したならば厳重なる態度でこれに臨む。先般森山欽司さんの質問に対しても、衆議院では、政府としては厳然たる態度で臨むということを盛んにおっしゃっておるようですが、あとの処分問題で、これは違法であるから、そのことのみをふりかざして、それによって処分をされたからこれが事終われり、国民の不安や迷惑というものがそれによって補なわれるわけではないと私は考える。むろんそれは仲裁、その他によっていま交渉中であると思いますが、こういうストを決行させるというようなことを未然に、十七日までの間に防ぐという自信がおありであるかどうか、その点をひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/5
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006・武田功
○政府委員(武田功君) ただいま政務次官からも御答弁申し上げましたように、省といたしましては、先般大臣名をもちまして、各従業員各位に呼びかけをし、また、各所属の局長からも、半日ストというものがいかに影響の大きいことか、また同時に、国民各位の日常の生活に大きく影響するものであるかということをよく徹底させまして、できるだけ職員の自覚に待つということを努力を続けておる次第でございますが、何ぶん総評傘下の全体の行動という形において行なわれておりますので、郵政省といたしましては、単に、先生御指摘のように、処分とかいうことだけでなく、事前によくこの事業の重要性を自覚し、かつまた、影響力の非常に大きいことをよく職員に認識してもらうように努力を続けております。また同時に、組合に対しましても、この旨すでに警告もし、また、最後までその努力を続けたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/6
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007・鬼木勝利
○鬼木勝利君 今回のストが実施されるということになりますと、当然これは私鉄やあるいは港湾、タクシー等の統一ストが実現すると思うのですが、そういうことになりますと、戦後かつて見ざる実力行使になる。国民は足を奪われ、通信を絶たれ、生鮮食料品の払底を来たす。したがって、社会不安はその極に達す、こういうことになると思うのですが、郵政関係では、ただいまのように通常郵便物で二千万通、小包が約三十万個、この郵便物の引き受けの面では三百万通、小包が四万個、そういうことを予想していらっしゃるとするならば、もし最悪の場合にストが決行されるという場合に、それに対する対策、どういうふうにして国民に迷惑をかけないか、その支障をどうして防ぐかという、その最悪の場合の対策はどういうお考えを持っていらっしゃいますか、ちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/7
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008・金丸信
○政府委員(金丸信君) 先生のおっしゃるように、このストが行なわれますと、当然国民に相当な迷惑を及ぼすことと思うわけでありますが、それに対しまして、本省といたしましては、管理者をはじめ、あるいは臨時雇いを入れまして万全の策を講じているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/8
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009・鬼木勝利
○鬼木勝利君 これはむろんこのストが決行された場合は、これは先ほどから政務次官もおっしゃっている一ように、数的にもたいへんな迷惑がかかるわけですが、これに対して最悪の場合、決行された場合には万全の策をとるのだ、これはむろんとっていただかなければ困るのですが、そうおっしゃっているようですがね、抽象的にただ万全の策をとるのだと言われただけでは、具体的にはどういう策を持っていらっしゃるか、その点をもう少し漏らしていただきたいと思うのです。われわれとしましても、これはほんとうに憂慮していることなんですから、むろんあなた方当局者として、責任者として、より一そう細心の御計画があると思うのですが、具体的にどういうふうな策があるか、これを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/9
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010・武田功
○政府委員(武田功君) 不幸にして十七日に半日ストに突入いたしますと、先ほど申し上げましたような影響が出てまいるわけでございますが、省といたしましては、第一には、このストに入ります局、いずれこれは、先ほど来申し上げておりますように、まだ全逓は準備指令だけで、突入指令は出していないので的確に把握いたしておりませんが、その局がわかりましたら、その局に対しまして郵政局あるいは監察局の職員を派遣いたしましていろいろと措置をいたしたい。それでそういう管理者あるいは非組合員等を動員して、前日からその局に派遣いたしまして、そうしてまず第一に、当日少なくとも最小限窓口の仕事は確保しよう、で、公衆の方もたとえば貯金の払い戻しとか、あるいはまた、急ぐ郵便の差し出しとか、そういうことで利用される方がございますので、管理者だけによりましても最小限窓口の業務は確保しよう、こういう第一段として措置をいたしております。また、特に郵便関係におきましては、この影響はそのストが終わりました後において起こるわけであります。第一は、鉄道がかりにとまりますと、ほとんど鉄道輸送に依存いたしております関係で、その分だけがおくれるわけであります。これにつきましては当然その事後におきまして、できるだけいわゆる高等信と申しまして、速達とか書状とかそういうものをできるだけ早くに処理をする、でまた、この処理のためには、当然大量の非常勤職員の確保をはかってこれをさばく、もう一つ今度は集配面でございますが、取り集めもできますればできるだけ当日といえどもやる所存でございますけれども、特に配達面はどうしてもその間停止のやむなきに至ろうと思いますのでこれまた終わりましたあとで臨時職員も動員いたしまして、それをすみやかにさばく、そういうことによりまして非常に条件の悪い局におきましても最大限のおくれを出さないように、少なくとも二日以内ぐらいには片づけられるように努力をしたいと、こういうことで措置してございます。また、貯金や保険におきましても、先ほど申しますように、窓口事務はできるだけ確保する、そしてあと集金とかそういう事務がございますが、これは当日もしできなければ、その次の日以降においてすみやかに解決する、こういうことでもって現在各郵政局に通達してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/10
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011・鬼木勝利
○鬼木勝利君 ただいま臨時職員ということをお聞きしたのですが、臨時職員というとたいへん名前はいいようですが、アルバイトなんかで大量に臨時に雇い入れて、そしてそれに従事させるということではないかと私推測するのですが、従来ややともすると、年末年始のごとくアルバイトなんか使って非常に郵便物が遅配するとかあるいは中には遺棄されておるというようなことが過去においてもたびたびあったんですが、そういう点のお考えは十分考慮に入れていらっしゃるわけですか、その点ちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/11
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012・武田功
○政府委員(武田功君) 先ほど臨時職員と申しましたのは、先生のおっしゃるアルバイトのことでございます。それでどうしても郵便関係は単純な作業でもございますので、主として学生アルバイトにたよることが多うございます。また、その際は、いま御指摘のように、事故がないように十分その点は注意いたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/12
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013・鬼木勝利
○鬼木勝利君 これはいずれにしてもあなた方を責めても、これはわれわれが責めるより以上に御苦労なさっていることは、その労は大いに多としますが、単に郵便法の第七十九条とかあるいは公衆電気通信法の百十条の刑罰規定に触れるから、それに対して処分をするんだというようなことは、これはもう当然ストがあるんだ、実施されるものだという既定方針、既定のお考えの上に立ったこれはあとのことであって、当然違法であれば、法を犯せば当然処罰されることは、これは申すまでもないことで、それをいまおっしゃるよりも、国民に迷惑の度を少なくするということに私は万全の努力、措置をとっていただきたい。処分するとかしないということは、これは当然のことであって、法に違反した者は処分を受けることはあたりまえのことなんで、それをいまおっしゃるんじゃなくして、いかにして国民に対する迷惑の度を少なくするかということに当局の皆さんは対策を立てていただきたい。臨時職員の問題でもですが、過去における臨時職員——アルバイトを雇い入れてたびたび問題があっておるんですから、そういう点をよく御注意なさった上、なるほどストの決行はあったけれども、政府としてはいい処置をとってもらったと、こう国民から感謝されるように、十分私はその点を考慮に入れていただくように要望いたしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/13
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014・金丸信
○政府委員(金丸信君) 先生のおっしゃるとおり、国民から、郵政はよろしき方法をとったというようなことに最善の努力をしなければならないと考えておるわけであります。郵便物の大口需要者に対しましては、十六日前までにこういうような状況だからひとつよろしく頼む、あるいはストを行ないます二百余の郵便局というようなことになりますと、特定郵便局などはまだそれに入っておりませんから、特定郵便局を利用していただきたいというような、窓口に一筆書きまして周知徹底をはかりたいというような方法も考えておるわけであります。できるだけ御期待に沿うようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/14
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015・鬼木勝利
○鬼木勝利君 たいへんこれは皆さん方も御苦心なさっておることと思いますが、万遺憾のないようによろしくお願いを申します。私の質問はこれで終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/15
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016・向井長年
○向井長年君 いまのストに対して関連した質問ですが、先ほど鬼木先生の質問に対しましていろいろ万全の措置を講じておる、こういうことなんですが、これは、よってきたるゆえんのものはいわゆる賃上げなんですね。したがって、それに対する、決行した場合のこと、あるいはまた、これを未然に防ぐという問題、この未然に防ぐ問題の中には、いわゆる公労協なり公労委なりで仲裁問題が二十日前後に出るとか出ぬとかいわれております。で政府も重要視して、先般関係の次官会議をやったり、あるいはまた、官房長官がいろいろ努力をしておる。まあこういうこともいろいろと新聞に出ておりますが、やはりまず第一に、こういう国民に大きな迷惑をかけるという問題についての当局の責任としては、少なくとも早期にまず仲裁を出させることだと思うのです、調停案といいますか。そうして出すこととあわせてこれに対する裏づけを考えておくべきじゃないかと思うのです。この点について何らか考えておられますか。どういう努力をしておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/16
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017・金丸信
○政府委員(金丸信君) ストライキということは一番これは回避しなければならぬことであるということ、ことに今回の半日ストのような、 いままでにない大きなストライキをやるということに不幸にして突入すると、私はそういうことになると思うわけでありますが、そういう意味で、これは先生のお話のように、できるだけこれは最善の努力をして回避しなければならぬことは当然のことであろうと私は思うわけでありますが、そういう意味で現在賃上げという問題につきましては、先ほどお話がありましたように、調停委員会にかかっておる、第三者にこれをまかしておるということではなくて、われわれも積極的にひとつ調停委員会が一日も早くその案を出していただけるように、また、その案がどちらもよかったというような案であるようにわれわれは願っておるわけでありますが、なお、賃上げの問題につきましては、一般企業の賃金の問題あるいは五現業の賃金の問題、また、国鉄の総裁もきょうの朝日新聞を見ますといろいろ言っておるわけでありますが、私はそういう格差というようなものはいろいろ業種によってあると思うのでありますが、そういう点につきましても十分検討いたしまして、できるだけひとつ今度の仲裁案が円満な解決の方向に出ていただけることをわれわれは願っておるわけでありますが、その後におきましても、たとえて申しますと、賃金の問題につきまして、現在の賃金と初任給というような問題につきまして、あるいは五年あるいは十年前の人との賃金の比率と申しますか、そういうようなものは何とかしなければならぬというような面もあろうと思うわけでありますが、そういう面につきまして、これを改善のために最善の努力をいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/17
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018・向井長年
○向井長年君 その解決のために願っておるというようなことでは、それはみな気持ちはそうだと思うんですよ。私のいま聞いていることは、少なくとも未然にこれを解決しようとすれば、いま公労委にかかっておるんだから、おそらくこれは二十日ころと言われておるんでしょう。したがって、これを促進して早く出さすということがまず第一にその要件を満たすことだと思う。それに対して、政府として、公労委に対してそういう折衝をしたか。私は内容にまでタッチしろとは言いません。そう言うことはおかしいと思うんです。公労委の公正な裁断を仰がなきゃいかぬ。そういう意味で、期日の迫ったこういう最中に促進するということはあってしかるべきじゃないか。こういう点についてやっておられるのかどうか。こういうことをまず聞いておるんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/18
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019・金丸信
○政府委員(金丸信君) 本日、公労委に西村事務次官が参りまして、いま折衝中であるということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/19
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020・向井長年
○向井長年君 その折衝はそれでいいと思いますが、しからば公労委の裁定についてやはり裏づけというものを政府は考えきゃいかぬ。調停案、裁定案が出た、出てもいろいろ問題点は残しておるということになれば、やはり結果的にはこういう大きなストライキを避けることはできないわけなんです。その点に対する裏づけという問題もあわせて政府みずから考えておるのかどうか。この点お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/20
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021・金丸信
○政府委員(金丸信君) 先生のおっしゃるとおり、そう考えなければならぬと思うわけでありますが、ただ郵政だけの問題でなくて、五現業というようなこともありますし、財源的な問題もありますから、よくにらみ合わせまして、御期待に沿うように最善の努力をいたしたいと、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/21
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022・向井長年
○向井長年君 その努力する、努力するはけっこうですが、きのうですか、おとといか、次官会議やったんでしょう、その問題について関係次官会議。出席されたと思うんです、政務次官ですか、あるいはまた、事務次官かわかりませんけれども。しかし、そういう会議では、やはりストを避けるためには警告とか、あるいは特に政府の今回の態度は、国民に対する政府の言いわけ的なPRをやってみたり、あるいはこれを違法事項であるということで警告的な形でやってみたり、こういう形が中心になっておるので、解決の方向に進むという一歩前進した感じが非常に薄い感じがする。したがって、私がいま聞いておることは、関係次官会議なり、あるいは関係大臣会議なり、あるいは政府自身がそれに対して未然に防ぐためには早急に解決しなければならぬ、裁定案を出させなきゃならぬ、あるいはそれに対するある程度解決できる額というものを政府が考えていかなければ解決できないんじゃないか。こういう点についての内部的な政府みずからの話し合いをし、進めておるのかどうか。こういうことですよ、私の聞いておることは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/22
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023・金丸信
○政府委員(金丸信君) 先ほども申し上げましたように、財政的な面もありますし、政府といたしましても、また、次官会議におきましても、この問題につきましては、できるだけひとつその問題も検討しながら、公労委でできるだけ早くこの問題を解決してくれるように進めていかなければならないというような結論を次官会議では話をいたしたわけでございます。どちらにいたしましても、先生のおっしゃるとおり、できるだけひとつ一口も早くこの問題を解決しなければ、国民の不安という問題につきましても、政府みずからの責任でもあるという面も出てくると思いますので、われわれといたしましても最善の努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/23
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024・向井長年
○向井長年君 この問題につきましては、一応先ほどから質問もありますので、もちろんストを避けるためには、やはり早期に裁定を出させる、それに対する受け入れ対策をとるということが、最善の方法だと思います。そのためにひとつ政府も努力していただきたい。
次の質問をいたします。これは以前も質問があったかと思いますが、郵便局に対する合理化の問題と申しますか、管理上の問題、これにつきましてどういう構想を持っておられるのか。特に現在御承知のごとく、昔の三等郵便局、こういう名称のもとに、局長自身の家屋、そういうものを提供して、何らか旧態依然の状態がいまなお続いている。したがって、そこで働く従業員はやはり非常に環境が悪いわけですね。そういう点についてどういう構想をいま持っておられますか、この点、具体的にひとつ御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/24
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025・金丸信
○政府委員(金丸信君) ただいま郵政の特定郵便局の近代化という問題につきましては、郵政審議会にかけまして、これを近代化するために大臣が格間をいたしております。その結果によりまして、特定郵便局の近代化という問題は、答申が出ましたらできるだけ尊重いたしまして推進してまいりたい。なお、特定郵便局の局舎の改築の問題につきまして、本年、簡易保険の積立金の転貸債五億の改築費予算を持っているわけであります。この問題につきましては、いろいろ御批判もあるようでありますが、現在まことに信用を持たなければならない郵便局が、お粗末な特定郵便局が多いわけでありますので、できるだけこれを改築して、ただいま先生おっしゃるように、局舎がおもやと一緒だというようなことでは、近代化に反するのじゃないかというような御趣旨のお話もあったわけであります。こういう問題につきましても、できるだけひとつ改築をして、そして内で働く職員も明るい気分で働けるように、また、これを利用する国民の皆さまにも、局舎の改築によってサービスも改善されるというような方向にいま進めているわけであります。どちらにいたしましても、郵政審議会の答申を待ちまして、近代化を進めてまいりたい、こら考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/25
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026・向井長年
○向井長年君 審議会にかけているから、審議会の答申が出てから、こういうことを考えておられるようですが、これはやはり政府みずからそういう意欲を持っていると思う。それに対する予算の裏づけということも問題になってくるわけですが、やはり根本的には、そういう局舎の問題は少なくとも国労といいますか、国のものにしなければならぬ、国の独自の建物を持たなければならぬということが本来でなかろうかと思う。それに対してやはり年間的の一つのこれに対する計画を持つべきだと思う。この点、そういう計画があるか、ただ審議会の答申が出るのを待っているのか、具体的に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/26
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027・武田功
○政府委員(武田功君) この特定局の整備の問題につきましては、従来におきましてもいろいろ問題がございまして、それで省といたしましても、従来からいろいろと検討しているわけでございます。それで省は三十二年に、この問題につきまして特定局制度調査会を設けまして、そしていろいろ御検討願いまして、その答申が三十三年の一月に出ました。それに基づきまして、大体現在郵政省の特定局問題に対する基本的な考え方をきめておるわけでございます。その答申におきましては、特定局制度というのは、大体現状においていい、また同時に、いま先生の御指摘の局舎の問題でございますが、これも国有とそして私有と、この併存ということが是認されておるわけでございます。省といたしましては、問題はこういう小局のあり方と、また、小局がどういうふうな形であるかということが一つの問題でございまして、そういう観点から、いま申し上げましたような答申の場合と、双方をよく検討いたしました結果、省としても小局におきましては、つまり特定局におきましては、やはり省の郵政事業の財政その他もからみ合わせまして、制度は現在のような制度で、かつまた、局舎は国有と私有と併存でいくということを基本的な行き方としております。したがいまして、毎年予算におきましても、普通局を含めまして、局舎建設費を特に三十九年度におきましては約百億とっております。その中で特定局と普通局に振り分けて使っております。でありまして、特定局関係でも年々約八十から百近い局は国有局舎をつくっておるわけでございますが、何ぶん非常に数多い局数でございますし、また同時に、年々新設の局を約三百、三十八年度、三十九年度は三百局の新設局をつくる、こういう計画を立てておるわけでございます。そういうような次第で、古いところを新しくするということと、また、新たに新しい局をつくるということと、そういう方面にも国費を投入しておるわけでございますが、前にも申しましたように、そういう小さい局がどういう形であることが一番郵政事業として合理的であるか、また、経済的であるか、こういうことも勘案して、双方、国有と私有と並存しております。この国有局舎は、主として大都市の地価の非常に高いところとか、そういう場所、あるいはまた、逐次普通局に昇格をしていくことを予定しております局、そういうところをもって国費を充て、その他一般の小さい局におきましては、やはり私有ということをたてまえとして、そして、これに対して借料を払い、かつまた、その建てかえ等につきましても、いろいろと便益をはかっていく、その一助といたしまして、先ほど政務次官御答弁申し上げましたように、現在保険の転貸という形において融資をはかるとかいうことの緊急な措置をとったわけでございますが、今後も省といたしましては、特定局の、特に局舎の問題につきましては、国有と私有ということの並存ということでいく予定になっております。ただ、特定局のみならず、郵政事業全体につきまして、いろいろと近代化すべき点が多いことが痛感されますので、先ほど政務次官申し上げましたように、本年の一月に郵政審議会に郵政事業の近代化というテーマによりまして諮問をしております。当然その中でまたこの特定局問題というものは大きな問題としていろいろと取り上げられ、検討されると思います。そういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/27
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028・向井長年
○向井長年君 普通局と特定局との問題だと思いますが、普通局は徐々に近代化されつつある、あるいはまた、局舎も改善されつつあると思うのです。しかし、特定局はこれはやはり何といっても旧態依然の状態が各所にあるわけです。しかもはなはだしきは局長の家族がともに住み、何ら昔の個人的な局と変わりない状態がいまなおある。だから、この点についてやはり環境整備をし、サービスを改善していくためには、少なくともやはり独自の建物を持たなければならぬ。それに対して私有という問題が出ておりまして、併存と言っておりますが、この私有であってもいわゆる局長の住居している、家族もともに住居しているような状態の私有であってはいけないのじゃないか。山間僻地とか、いろいろな点で、場合によっては私有でなければならぬという場合も当然あると思うのです。そういう場合においても少なくとも局という一つの家屋を存在せしめなければ、一般の住宅、家屋と併用するということでは、これはやはり十分の使命を果たせないのじゃないか、また、環境整備もできないのじゃないかという感じがするわけです。この点についてやはり併用という問題についても、いわゆる私有という問題についてもいまのような考え方の私有なんですか、私がいま言った局長の住居と同じ私有なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/28
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029・武田功
○政府委員(武田功君) 必ずしも住居と同一とは私どものほうではきめておりませんが、何ぶん局が大きな局から小さい局までございます。たとえば定員三者というほんとうの窓口機関としての局がございます。そういう局でございますと、その局舎だけ独立したいと思ってもなかなかできにくい面もございまして、省の方針といたしましては、かりに私宅が続いているといったような場合、あるいは二階に私宅があるといったような場合でも、私宅と事務室というものは分離して、同時に事務室におきましても、いま御指摘のような環境整備を十分にはかるということをつとめさせるように、また、そういう意味のいわゆる設計基準といいますか、そういうものも示してやっておりますが、何ぶんたくさんの局で、古くからあるところもございますので、二不十分な点は多々ございます。この点はひとつ省としても、何とか改善はしなければならないと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/29
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030・向井長年
○向井長年君 時間がございませんから、次の問題に移ります。
僻地電波といいますか、特にテレビの問題ですが、これも前回質問があったと思うのですが、僻地においていわゆるテレビ普及ができないわけですね。こういう問題についてどういうような措置をとっておられるか、あるいはNHK等がやはりそれに対してどういうようなかっこうで働いているか、この問題どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/30
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031・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) テレビ及びラジオ普及につきましては、NHKといたしましては、これを全国的に普及しなければならない義務があるわけでございまして、その方向へ努力いたしておるわけでございますが、電波が限られておりますので、日本全国にこの電波を行き渡らせるということは、なかなかむずかしい問題がございます。それでおもだった都市から電波が受けられるように電波を全国に割り当ててまいりまして、それをチャンネル・プランと申しまして、一次、二次までのチャンネル・プランを設定してあるわけでありますが、昨年度さらに全国二百二十九地区に世帯数三千以上というようなところにまで電波の及ぶような新しい電波の割り当てをいたしたわけでございます。その線に沿いまして現在極力進めているわけでございますが、御指摘の山間僻地というようなところには、なお電波の十分届かない、したがって、電波の恩恵に浴さない地域が残っていることは御指摘のとおりでございますが、こういうような地区に対しましては、今後新しい電波の割り当てをしなければならないわけでございますが、どういう形で、どういうような電波を割り当てるか、また、それの技術的な面、そういったものは目下検討しているわけでございます。なお、その間におきまして電波の届かない地域に共聴施設と申しておりますが、電波の届く山の上等にアンテナを建てまして、それから受けまして、それを各戸に配る、こういうような共聴施設、こういうようなものにつきましては、NHK等におきまして、その一部を助成しながらも、当面の電波の恩恵に浴するような措置を講じておるような次第でございます。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/31
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032・向井長年
○向井長年君 私も技術的にはあまりよくわからぬが、やはり、山間僻地で山が高くて谷になっている在所においては、特にいま言ったテレビ塔でも建てなければこれが届かない、こういう状態のところが非常に多いわけなんです。非常にそこの住民はテレビに対する関心を強く持っている。ところが一遍、塔を建てると百万円かかるとか、あるいはそれ以上にかかるという状態で、なかなか普及できない。こういう点について、NHKがそれに対する十分な措置をやる。あるいはまた、政府がそれに対する何らかの措置を考えておるかということなんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/32
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033・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) ただいまの百万円というのはちょっと……。百万円という御質問の趣旨はちょっと理解できなかったのですが、置局をします場合には、NHKもしくは民放がそれぞれ遠くの電波を受けまして、それをその地方へ配るための新しい波に変えまして、それを各地に送り出すわけでございまして、そういうのを中継局と申しておりますが、これはもっともっと金のかかるものでございまして、これはNHKもしくは民放が置局をいたしております。それからただいまの百万円……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/33
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034・向井長年
○向井長年君 私の言っているのはアンテナですよ。いわゆる谷の底であるから、アンテナをそこへ建てても電波が通らない。山の上へずっと大きな塔を建てる。そこからとるということになれば技術的に可能らしいから、そういう点をやろうとすれば、百万円あるいは百万円以上かかる。そういう問題について、これはどういう措置を考えておられるかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/34
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035・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) それがただいま、私の御答弁十分ではなかったと思いますが、共聴施設と申しますのは、山の上にそういうアンテナを建てまして、遠い電波をそれで受けまして、それを各戸に配る、こういうやり方でございます。その共聴施設につきましては、NHKとしては各戸にこれを助成するというやり方でなく、一つのそれのまとまったものの工事というような場合に、業者を通じましてそれぞれきめられた額で助成をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/35
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036・向井長年
○向井長年君 そのきめられた額というのはどういうことですか。きまっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/36
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037・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) ちょっといまここに数字を持ち合わせておりませんのでございますが、全体に必要といたします費用の数分の一程度のものをたしか助成いたしておるように記憶しておりますが、数字は後ほど申し上げるか、もしくはお知らせをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/37
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038・向井長年
○向井長年君 それでそういうことがどのくらいの補助であるかは別として、一応、村とかあるいは町でそういうものをみずからやる。そして、やはり相当の多額の費用をかけて、そういう共聴アンテナですか、共聴施設をつくる、こういった場合には政府がNHKに対して何年間聴取料を免除するとかそういう方策も必要ではないかと思いますが、相当、それを普及するために多額な費用をかけて、その施設をつくっているわけです。いまつくっておるところも現にある。そういうところに対しては、かってにつくったからいいじゃないかということでなくて、やはり補助の一端という問題とあわせて、聴取料に対する若干の免除、こういうことも考えられると思いますが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/38
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039・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) ただいまの御質問は、そういう難視聴地域に特別に施設をした場合に、その施設に賞用がかかっておるから、この点の聴取料を免除したらどうか、こういう御質問かと思うのでございますが、現在のNHKの受信料というものは、それが聴取できる設備を持っている者は契約しなければならない、こういう形に法律がなっておりまして、その設備を一部助成するということは、先ほど申しましたようにやっておりますけれども、そのゆえをもって聴取料を免除する、あるいは減免するというようなことは、現在法律のたてまえからいきましても、ちょっとむずかしいし、現にやっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/39
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040・向井長年
○向井長年君 それであれば、自発的にそういう施設をつくったら、その施設に対する補助はあとでやはりNHKは何分の一かですか、これを支給する、補助する、こういうことができますか、施設に対して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/40
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041・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) NHKは、その助成をする場合に、そういう共同のいろいろな設備に対して一部を助成しておりまして、それがあとからというようなことは、いろいろ手続上の問題もございましょうし、現在NHKとしてはそういうことはやっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/41
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042・向井長年
○向井長年君 そうすると、その助成をやるということは、いつからこれができたのですか。いつからそういうようなシステムをとったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/42
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043・宮川岸雄
○政府委員(宮川岸雄君) はっきりした数字をいまちょっと持っておりませんが、数年前からそういうことをやっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/43
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044・向井長年
○向井長年君 そういうことを知らずして、数年前、知らずしてみずからそれをつくっておるですよ、多額の費用をかけて。そういうのに対しては、やはりそれに対する助成というものは、これはNHK、政府から十分ひとつその問題については考えるべきじゃないかと思うのですが、その点ひとつ、いま直ちに答弁けっこうですから、十分ひとつ調べていただいて、そういうことは、これは各地であると思いますから、この点ひとつ明快に御回答願いたいと思います。いまでなくてけっこうです。
次に、最後に、だいぶ前から問題になっている沖縄のマイクロ回線の問題ですが、中継の問題、これにつきまして、何か聴取料の問題でいまだにこれは解決しておらないように私は聞いたのです。去年の十一月ですか、これが完成しているにもかかわらず、NHKのいわゆる聴取料と沖縄の、何と申しますか、琉球電電ですか、琉球電電との関係で七〇%をNHKによこせ、三〇%は沖縄電電でいいということが、現状においては沖縄のほうでは五分五分にしたい、こういうことでいまだに解決つかないので、沖縄住民は日本のいわゆる電波放送を非常に期待しておるにもかかわらず、まだ解決つかない、こういう問題に対しては、政府はどういう手を打っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/44
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045・武田功
○政府委員(武田功君) 主管の局長がおりませんので、私からお答えいたしますが、沖縄マイクロができましても、この使用料の問題につきまして、いろいろと日本の電電公社と沖縄の電電公社で折衝しております。で、ただいまのところ料金問題につきましては、大体話がついておりますけれども、その専用線の使用料の分収の問題で、なかなか両者の話が合わないということでございまして、いま先生のお尋ねのように、五分五分という言い方と、またあるいは、四分六とかいろいろと出ております。電電公社からも金光総務理事がことしになりまして参りまして、約四十数日滞在いたしまして、いろいろ折衝いたしましたのですが、最終的な結論に達せずに先般帰国いたしました。で、郵政省といたしましても、よく電電公社からその事情を聞きまして、目下これに対していろいろと検討しておりますけれども、この問題はやはりそのマイクロ回線の使用料の問題でございますので、できる限り両当事者の話し合いできめるのがたてまえではないか、こういうところがらさらに電電公社も努力を続けております。目下この点につきましては、政府内部においてもその交渉経過を検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/45
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046・向井長年
○向井長年君 それは去年の十一月にせっかく完成して、正月には沖縄住民がこれを非常に期待しておったのですね、日本の実情を見られるというわけで。それを裏切って、しかも聴取料の問題で裏切って、現在なおまだ、もう半年近くなるにもかかわらず、この問題が解決できない、それは当事者の話し合いに待たなければならぬのだ、こういうことは沖縄住民に対して政府が私は無責任だと思うのですよ。ただ、話し合いが——取引じゃないのですから、商取引じゃないんだから、問題はやっぱり沖縄住民の、日本人ですからね、この諸君に日本のいわゆるテレビ放送を、やはり大きな期待を持っておるところに一日も早くこれを普及してやらなければいかぬということ、こういう立場に立てば、両者の話し合いがいつまでたっても解決がつかない、また、完成してからもう半年近くになるが、あるいは一年たってもやらない、こういうようなかっこうで手をつかねていてどうするのですか。政府としては明快な何らかの措置を講ずる態度をとらなければならないのじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/46
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047・金丸信
○政府委員(金丸信君) 先般電電公社の金光総務理事が帰ってまいりまして、郵政大臣は、この段階はもう政治的な段階だという観点に立ちまして総務長官と話を進める。実は総務長官が九州の自宅のほうに一週間ばかり帰っておられまして、二、三日前に帰ったようでありますが、郵政大臣がこの問題で総務長官といま折衝をいたしておるようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/47
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048・向井長年
○向井長年君 見通しはどうですか。いつごろ解決つきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/48
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049・金丸信
○政府委員(金丸信君) 電電公社とすれば、いわゆる筋の立った考えでいくべきだ、分収の率という問題は。やはりいわゆる沖縄援助という問題はこれは国が考えることであって、そういう点から考えれば、あくまでも電電公社が筋を通したあり方で考えるべきだというようなことに電電公社の考えはあるわけであります。しかし、この段階になればそれだけでは解決つかない。ことに私思いますに、沖縄というところは、普通たとえて申しますと、台湾なり朝鮮とこういう回線をした場合のときとは違うと私は思う。また、そういう例は幾らも出てくるとは考えられないと思うわけでありますが、そういう意味でできるだけ早く解決したいということで、非常に大臣も熱意を持ってただいま折衝中であるということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/49
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050・向井長年
○向井長年君 これはいま電電公社とかあるいは沖縄の電電公社、こういうところで、聴取料の問題でこれがそのままとまっているわけなんです。だからやはり政府みずからは、そういうお互いの立場はあると思いますけれども、沖縄住民の期待という問題に重点を置いて、そしてやはり一日も早く解決しなければ、せっかくこれが完成したにもかかわらず、そういうことで半年あるいは一年おくらすということは、これはやはり私は政府のとるべき態度でないと思う。その点を、ひとつ早期にこれが解決できるように要望いたしまして質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/50
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051・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 他に御質疑はこざいませんか。——別に御発言もなければ、本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。
ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/51
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052・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 速記を起こしてください。
では午後は一時四十分に再開することとし、これにて休憩いたします。
午後零時四十八分休憩
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午後二時八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/52
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053・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) これより内閣委員会を再開いたします。
旧金鵄章年金受給者に関する特別措置法案を議題とし、これより質疑を行ないますが、質疑の前に、本案は予算を伴う法律案でございますので、国会法五十七条の三により、内閣に対し、意見を述べる機会を与えなければなりませんので、この際、内閣から意見を聴取いたしたいと存じます。野田総務長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/53
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054・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) 旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法案につきましては、国会において、これが可決されました場合においては、政府としては、これを尊重する所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/54
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055・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) では、ただいま出席の方は、発議者草葉隆圓君のほか、政府側から野田総務、長官、岩倉賞勲部長が出席されております。御質疑のおありの方は、御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/55
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056・向井長年
○向井長年君 総務長官から、いま国会で可決された場合は、政府としては尊重したい、こういうことを言われたのですが、政府の尊重ということばは、これは、人事院勧告の場合も尊重と言うし、したがって、これは尊重ということは、国会で可決されたそのとおり行なうということであるのか、あるいは場合によればそれに対して若干の何ものかを考えて尊重するというのか、この点明確にひとつ御答弁願いたいと思う。ただ尊重ということばはあいまいなんです、政府の場合はいままでに。そういう点を明確にひとつお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/56
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057・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) ただいま政府の本案に対する意見を申し上げましたが、この法案が可決せられた場合におきましては尊重するという意味は、本法案の内容につきまして政府が責任を持ってこれを尊重して、その法案の御趣旨に沿うようにすると、こういう解明を下したとおりくださってけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/57
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058・向井長年
○向井長年君 えらいむずかしいことを言っておられるが、結局その尊重ということは、両院でこれが可決された場合においては、そのとおり実施するということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/58
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059・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) お尋ねのとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/59
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060・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) それではただいまより質疑に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/60
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061・鬼木勝利
○鬼木勝利君 若干質問を申し上げたいのでありますが、今回のこの金鵄勲章の復活、一時金支給に対しては、生活能力が低下している状況云々と言われておるように伺いますが、一体何を基準に生活能が低下しておるとおっしゃるのか、その点をひとつ御説明願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/61
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062・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆君) 旧金鵄勲章年金受給者は、先般来御審議で申し上げましたとおりに、また、政府、委員からも答弁しましたように、大体は当時におきましても下級職の方が多くて、しかも今回六十歳以上という人を、老齢者を中心に考えておる次第でございます。階級はずっと下位の方が多く、しかも年齢は六十歳以上でございまして、そういういろんな点から考えまして、大体従来から年金を授かっておりますることをたいへん喜びにして生活をいたしてまいっておられた方々と承知をいたしておる次第であります。それが御承知のように、打ち切られました後において、これに対する処置をたいへん強く熱望いたしておりまする請願等の点から考えましても、さように察しられるのでありまして、大体において生活程度がたいへん低く、しかもその経済的処置を熱望しておられると、かように見受けられるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/62
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063・鬼木勝利
○鬼木勝利君 大体いまの草葉先生の御答弁は一般論でやや抽象的だと思うのですが、はっきり具体的にどういう線でどういうふうになっており、どういう線からどれだけになっているという、少し数的に、科学的に私御説明を願いたいと思うのですが、大体先般、私は資料を要求しておりましたが、その後何ともお話がないのですが、その点についてひとつ御説明を願いたい。われわれ審議に協力しようと思っても、あなた方がそういう態度だったらどうも……、その点御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/63
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064・岩倉規夫
○政府委員(岩倉規夫君) 資料は、先般御要求に基づきまして、旧金鵄勲章関係の法令でございますとか、あるいは勲章に年金のついた外国の立法例でございますとか、あるいは旧金鵄勲章の年金の受給者の戦役別、等級別の統計、それから一時賜金の受給者の戦役別、等級別の統計並びに旧金鵄勲章の年金受給者、こういう者の生存推定数、それから旧金鵄勲章年金受給者の戦役別、等級別の生存者推定数、そういった資料を御提出いたしましたが、階級別の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/64
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065・鬼木勝利
○鬼木勝利君 私の手元に来ていないが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/65
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066・岩倉規夫
○政府.委員(岩倉規夫君) 先年のおっしゃいました資料は出しておりますのですが、事務局のほうに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/66
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067・鬼木勝利
○鬼木勝利君 資料はないのですか。来ていないです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/67
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068・岩倉規夫
○政府委員(岩倉規夫君) それは事務局のほらに差し上げておりますのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/68
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069・鬼木勝利
○鬼木勝利君 そういたしますと、佐官級以上の方々などは、軍人恩給だけでも私は十分であると思うのだが、こういう方々も、あるいは将官の方も生活能力が低下しておるという御解釈ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/69
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070・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) 先般も申し上げましたように、大体は全体で約八千六百余名、現在三十八年四月一日を中心に考えますると六千百名余りでございまするが、全般としましても八千六百くらいで、その中で金鵄勲章の一級、二級、三級というものはごく少なくて、大多数が七級が七千七百余りであります。あと五、六というのがそのあとの二、三百、あるいは三、四百という程度で、ごく上級のほうは、あるのはありまするけれども、ほんの十数名、あるいは四級あたりは百三十名であり、三級で十一名程度という状態でございまするから、大多数はいわゆる兵官級の方々でありまするので、したがって、いわゆる恩給等はほとんどない者と存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/70
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071・鬼木勝利
○鬼木勝利君 だから一級、二級、三級あたりはわずかであると、あるいは四級までくらいは、そういう方は生活にも困っていらっしゃらぬし、一律に全部七万円支給と、そしてそれは生活能力が低下しておると、そして老残の、老後を不遇のうちに送っていると、そういう点が私少しこの法案はおかしいと思うのですがね、どういうふうにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/71
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072・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) これはまあ従来はそれぞれ功級によりましてその額は違っており、上位になると高額であり、下位になると低額であった。しかし、そういう上位を除きあるいは下位を特別な増額をするというようないろんな方法もあろうと思います。ただいま鬼木先生のおっしゃるようなことも相当加えてあろうと存じまするが、しかし、そういうことをすることによって、かえってまた違った問題も派生するかと存じまして、むしろ一律に七万円という一町金をいう制度で従来の経済的処遇をこれに転換するという方法をとるほうが、したがって、多く中心から考えますと、下位の人を中心に考える、七級という方が中心でありますから、大多数でありますから、その人を中心に考えながらあとの上の階級の人たちはその人に右へならえという方向でやるほうがいまの時代としては適当ではないかというので、一時金七万円ということにいたした次第でございまして、別に上を切ってしまうということもあるいは御意見のように考えられると存じまするが、かえってそういうことはいかがかと存じまして、一律にいたしたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/72
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073・鬼木勝利
○鬼木勝利君 先生のお考えも、大体、私と同じ点にも来ているように思うのですが、生活に困っていない、しかも、今日、あるいは佐官あるいは将官であった方が、むしろより以上にいい生活をやっているという方がないでもないと思うのですが、そういうことをみな一律に一緒にするということは私はむしろ悪平等じゃないかと思う。ことに、これは金鵄勲章というものは、大体生活援護のためにもともと設けられたものでございますか、それとも報償の意味でこれは制定されたものなんですか、その点をひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/73
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074・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) だから、御質問のまあ鬼木先生よく御承知のように、決して生活保護的な、生活保障的なもので金鵄勲章の年金というものはついたものではなく、報償に対する、恩賞に対するその経済的裏付けをなしたもの。したがって、決して、生活扶助的なものでありません。まあ、私ども、そういうふうな考えで、従来受けておりました経済的処遇のこれを補足する、その政策の一端としてやったのでございますから、先ほど申し上げたように、一律に、しかも高額の人も平等にして、そして、その中心を最下位の方に置いていたすということが妥当であろうと、こう考えていたしたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/74
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075・鬼木勝利
○鬼木勝利君 いやそういたしますと、私はなおさらこれは生活保護的なものではない。あくまで報償ということが主体である、原則であるということになりますと、金鵄勲章をかつていただいた方で、そして年金もいただいておられた方で、たびたびそう繰り返し報償をすべきじゃない。生活資金という意味ならばそれは継続すべきだという考えも起きてくるのだと思いますけれども、もともと制度が報償制度であるならば、私は当然打ち切られたものはそれでそのまま打ち切るべきだと、こういった見解を持っているのですが、また繰り返し報償する。その点に多少疑問があるのですが、どういうふうにそういう点をお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/75
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076・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) 金鵄勲章という一つのいわゆる章、栄典的なものは終戦と同時に廃止になる。同時に、金鵄勲章というその栄典に対して付与されておった経済的な年金というものも打ち切られた。ところが、経済的に付与されておったものまでも打ち切られるということは、現在、経済的に回復しましたいまの日本の状態でまことにお気の毒であるから、その何がしかをその人たちが期待しているその心持ちにこたえて回復していくことが最も適当ではないか。こういう意味でそのかつて受けておりました経済的処遇を一時金という形においてこれを補うという考え方をとったような次第でございます。そういう意味では鬼木先生のお心持ちも含まれておるのではないかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/76
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077・鬼木勝利
○鬼木勝利君 そうしますと、まあ、いまの先生のおことばを私、ことばじりをとるわけではないのですが、金鵄勲章は栄典の性質を持っているものだ、こういうことになりますと、第十四条に御本知のとおり、「榮譽、勲章その他の榮典の授與は、いかなる特権も伴はない。」こういうことに抵触するのじゃないか、これは趣旨説明の場合も、先猛はこれに対して詳細御説明になりましたが、そういう点にもやはりちょっと疑惑があるような、疑惑が残っておるように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/77
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078・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) これはそういう疑点もあるいはあるかと存じまして、主として疑点を解明する意味で努力さしていただいたつもりでございまするが、かつては金鵄勲章という一つの栄典であった。しかし、その栄典は、もう廃止になってしまった。この金鵄勲章の栄典の廃止、しかもその金鶏勲章には年金というのがそれぞれの功級に応じてついておる。一級から七級までついておる。その年金も同時にやんでしまった。そこで、栄典である金鵄勲章は、これは新しい新憲法のもとで当然復活というような考えは毛頭ないが、そのかつて持っておった年金というものまでも剥奪してしまうということは、いまの日本の状態ではまことにこれらの人たちにはお気の毒であるから、その功績に対してせめて一時金の額を支給いたすことが妥当ではないか、決して、この栄典を復活するという考えは毛頭ありませんが、むしろその善後処置というような意味においての考え、ここでいつか問題になりましたように、社会保障的なものではないかという意味と、栄典的なものじゃないかという意味でいろいろ御議論もありましたが、社会保障的なものではないが、栄典のものでももちろんない。しかし、栄典の廃止に伴う、どちらかと申しますると、善後処置的な意味も含めておるので、栄典の復活では全然ないが、経済的な処遇に対する一時金の支給という意味でこういう内容を盛ったような次第でございます。どうぞその点御了承をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/78
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079・鬼木勝利
○鬼木勝利君 いまの御答弁聞きますと、法的根拠はあまりなくして、そういう方々に対する同情論であり、常識論として先生はおっしゃっておるのですが、金鵄勲章が廃止になれば、当然これは年金も廃止になるのだ、年金というものがただ偶然にあるわけじゃなくして、金鵄勲章に年金がついておったということであれば、金鵄勲章が廃止になれば当然年金も廃止になるのだ、金鵄勲章が廃止になっておるが、年金はまた一時金として復活する、これでは、私は法的にはそういう御解釈ではいささか矛盾しているのじゃないか、こういうふうに考えますが、しかも金鵄勲章は栄典だと、栄典法によるのだということになれば、これは明らかに憲法十四条に違反する、「いかなる特権も伴はない。」こういうふうに法的には私は解釈していきますが、先生の同情論、常識論からいけば、それは成り立つかもわからない。その点はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/79
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080・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) これは、法律的な立場が多分にありまするので、私よりもむしろ法制局の第一部長がその御答弁を申し上げ、あるいは見解を申し上げるほうがいいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/80
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081・中原武夫
○法制局参事(中原武夫君) 私からかわって御説明を申し上げます。
先生がおっしゃるように、金鵄勲章という栄典制度が廃止されましたらそれに伴っておりました年金制度もこれは当然なくなる。これは理論的にはそういうことになると思います。ただ政策的に、金鵄勲章という栄典制度を廃止するときに、その栄典制度の中心になっております栄誉性だけ、栄典性だけを廃止する。そして、その栄典が与えられた基礎になっておる行為の評価をまた別の角度からするということは政策的には可能ではないかと私は思います。そういたしますと、終戦直後に金鵄勲章を廃止した措置として栄典性を廃止する、と同時に、経済的な処遇も廃止した、そのことがよかったのかどうかという反省をいまなさっておられる、それがこの法案のように受け取っております。その反省をなさるときに、栄典性を復活するということですと、栄誉性を復活するということですと、これは栄典制度の復活で憲法の精神に抵触する面が出てまいります。しかしそうではなくて、その行為を全くゼロにしてしまったのでなくて、命を賭して国のために戦った、その行為そのものを別の角度から若干の評価を加えて報償的な処遇をなさるということは栄典にはなりませんので、憲法のあの条項には抵触しない、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/81
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082・鬼木勝利
○鬼木勝利君 なかなか苦しい答弁をあなたなさっておるようだが、一応これは理論的には私の言うように考えられる。理論的じゃないのです。法的ですよ。そんなことは理論的ではない、法的ですよ。法的に金鵄勲章というものが廃止になれば、当然年金というものもそれは廃止になっておるわけだ。それを政策的にどうだこうだ。それは法を離れた話で、法的には金鵄勲章廃止、その金鵄勲章に報償として年金がついておるわけなんだ。だから、これは経済的なものは、それは各自がそれを経済的に、年金をいただいたことにおいて経済が大いに助かったということは結果として思われる。もともとこれは褒賞的なものである。これをやって経済的に助けてやろうという意味ではない。それは第二義的なものだ。法的には金鵄勲章が廃止になると同時に年金もそれは当然廃止になっているわけだ。それをもう一度、その点を説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/82
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083・向井長年
○向井長年君 関連して。どうなんですか、法制局はそういう政策面まで言う必要はないのですよ。憲法に、違憲であるか合憲であるかという御質問なんですよ。したがって、そういうことでこういう根拠であるからこれは合憲である、こういう根拠であるから違憲である、どっちかを明確に言えばいいので、政策的に皆さんが論議したとか、そんなことあなたが言う必要はないです。法制局にそれだけ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/83
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084・中原武夫
○法制局参事(中原武夫君) どうも失礼いたしました。ここに出ております一時金というものには栄典的な要素がございませんで、これは栄典ではございませんから、憲法十四条第三項には抵触をしないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/84
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085・鬼木勝利
○鬼木勝利君 ここの今回のそれは栄典的なものがない。あればできないことはわかっているのだ。「いかなる特権も伴はない。」ということに法的になっているのだから、だから今回の一時金復活ということは、先ほど草葉先生のおっしゃったように、気の毒だとか同情しておっしゃっておることであって、栄典であればこれはできないことはわかっている。その当時金鶏勲章制度が設けられて、その金鶏勲章をいただかれた方々に年金をつけたということは、それは栄典法によって褒賞として年金がついたのだ。いまのことを話しているのではない。この法的の説明を聞いているのだ。もう少しはっきり説明しなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/85
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086・中原武夫
○法制局参事(中原武夫君) 先生がおっしゃいますその趣旨を取り違えておるかもしれませんが、廃止した年金制度をそのまま復活するのだと、こういう意味でおっしゃられているのではないかと私は拝聴したのですが、私が先ほど申し上げましたのは、そういう復活ではなくて、別の見地から報償的な考え方を入れていかれたのだから、法律的になくなっておるものを復活するのは論理的におかしいじゃないかということについてのお答えのつもりで先ほど申し上げたのですが、それでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/86
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087・鬼木勝利
○鬼木勝利君 どうもあまりしどろもどろではっきりしないけれども、まあ一応それはそれでいいとしまして、私はやはりこれは、いずれにしても金鵄勲章が廃止になっておるということに対して、年金を復活する、一時金でもそれを復活させるということは、これはやはり無理があるのじゃないか。何らかの方法で、もっとほかの方法で、ほんとうに生活でも困っているとか、報償は済んだのだから、だからほんとうに生活が低下して老残の日を送っておられるならば、そういう方に対して社会保障的な意味で救済するということならば、また一面考えられることがあると思うのですが、そういう点において多少私は見解を異にしております。それに関連しまして、大東亜戦争で戦災にあって家を失ったり、あるいは企業整備等で家業を失った、あるいは身体を傷つけられた、そういう方々がたくさんおられると思いますが、そういう方々の新しい身近な気の毒な人々に対してはどういう考えを持っておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/87
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088・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) 実は私も最初から、そういう問題につきましてずいぶん直接あるいはいろいろな立場から、何とかする方法はないかということを長らく検討をしてまいったのでございますが、空襲によって内地死亡だけで五十万程度近くあると思うのです。しかし、戦災者に対しましては、何とかいま申し上げた保障あるいは保護ということをいろいろ検討を私なりにいたしてまいりましたが、ただその国との関係が、何か一つの特別な、その前に特定な既得の権利を結んでおって、それが打ち切られたというような、国との特別の関係を前提として結ばれておるというものではないのでありまするから、国の力ができるなら、あるいは見舞いなりあるいは何かの処遇をするとがいいことであろうと存じまするが、なかなかそれが困難なために、現在まで手をつけられずに、動員学徒あるいは徴用、あるいは戦死者というところまではずっと進んでまいりましたが、一般戦災者という点にまではどうしても及び得ずにおるのは、まあそういう結果であると存じまするし、今後におきましてもなおいろいろ検討して、国の力ででき得るものは、決してなすべきものではないというような考え方ではなく、できるならばなしたほうがいいと存じておりまするが、いままでの考え方といたしましては、いま申し上げたようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/88
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089・鬼木勝利
○鬼木勝利君 私といたしましても、これはよくしてあげることですからね、それはその趣旨に対しては、大いに私も賛成でございますが、政府は、いつも、前向きの政治でなければならぬというのに、これはうしろ向きもはなはだしい。日清、日露の遠き昔にまでうしろを向いてしまっている。近ごろの、一番手前の近きほうには向かない。はるかに遠き昔にうしろ向きをするというような点において、もっともっと困っている、もっともっと悲惨な生活環境にある方々を一体どうするんだ、この点を私はぜひ、本案を通してお考えを承りたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/89
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090・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) お話のように、経済がだんだん伸びてくるが、さらにそれに逆比例して生活に困っておる、これは当然ひとつ、社会保障を十分徹底させまして、生活保護、生活扶助等の社会保障その他の徹底によって、一人でも漏れのないように保障制度を十分にしていかねばならないと存じております。と同時に、私は、これはむしろうしろ向きではなく、前向きに一ことに日清、日露の古い人が中心であります。その後、昭和十四、五年後は、もうすでにこれは打ち切られてしまったわけであります。それまでの日清、日露という古い人たちで、そして当時、ほんとうに全力を尽くして祖国のために努力をしながら、当時の金で何がしかの年金をいただいて、そしてそれをもって営々と努力してきた。それがもう戦後打ち切られ、そして先ほど来のお話のような状態になっておりまするから、せめてこれらの人に——しかもいまの金で申しましたならば、一時金七万円というのは、決して十分とは考えられないと存じます。しかし、その七万円の中に、国民の心持ちが十分入っておったら、おそらく受ける方々も満足してくれると存じまするので、その七万円の一時金によって、これらの処遇の少しでもの全しきを期していきたい、かように考えた次第でございます。一般の方々の生活困窮に対しましては、社会保障その他の方法をもって十分にしていかねばならない、かように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/90
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091・鬼木勝利
○鬼木勝利君 これはもう、何回同じことを言っても見解の相違ですから……、こう思うのですが、大体今度の受給権者の資格でございますが、昭和二十年の十二月三十一日において年金を受ける権利を有していた者、それが基本で、昭和三十八年の四月一日において満六十歳、その昭和三十八年四月一日を根拠とされたゆえんは、一体どこにあるわけですか。その根拠について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/91
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092・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) これはごもっともな御質問であります。実は、昭和三十八年三月三十一日というのは、前回衆議院で通過しました法案の、その基本になっておる基点でございます。したがって、あの法案がそのままずっと通っておったら、この日を基点にして受けるであろうと思われておる日でございまするから、それをとったのでございまして、決して特別な、これでなくちゃならないという絶対のものじゃございませんが、従来から、何回も何回もこの法案が出たり入ったりしております。そういう点からこれを押しえたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/92
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093・鬼木勝利
○鬼木勝利君 そうしますと、三十八年四月一日以前に満六十歳に達せずして死亡した人は、この一時金はもらえないということになるのですか。そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/93
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094・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) これは、このいわゆる資格が、この日に満六十歳になっておる人でございまするから、そうしてその前に生存しておる人でございますから、それの前になくなられた方は、まことにお気の毒ですが、差し上げないということになっております。これは、この法律あるいは扶助あるいは未亡人年金、ああいう一時金等にいたしましても、大体そういうふうなやり方でやっておりまするから、これも大体そういうやり方でいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/94
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095・鬼木勝利
○鬼木勝利君 それから同時に、今度は、将来生きておればもらえる人が、六十歳未満で死亡したらば、これは当然権利は消失するということになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/95
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096・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/96
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097・鬼木勝利
○鬼木勝利君 そういう点は、資格者であって、ほんの一カ月か二カ月前でもなくなられたら、もうそれでおしまいだということになるわけですね。そういう点は、どういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/97
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098・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) これはほかの年金、あるいは恩給、あるいは特別扶助料、みんなそういう形になりまして、まことにその当該者にはお気の毒ですが、ある日を限って、そうしてそれに年齢というもの、それで制限する以外には方法がないので、すべてこういう関係は、そのようなふうになっておると存じております。で、六十歳にならずにおなくなりになって、そうしてその日を楽しみにしておって、それでもらえないという方には、まことにお気の毒でありますが、そうすると年齢を下げる以外にはないのでありまするから、結局そういうことになってまいるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/98
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099・鬼木勝利
○鬼木勝利君 衆議院のほうで、四十二国会と四十三国会で附帯決議がなされておりますが、一時賜金金鶏勲章保持者は——旧一時賜金ですね、「一時資金金鶏勲章保持者は除外されているが、その殊勲の性質は旧年金受給者と全く同一なるに鑑み、可及的速かに之が適正なる措置を講ずるものとする。」こういう附帯決議が四十二国会、四十三国会でもなされておるのですが、もし本法律案を可決されたとするならば、当然これらの人々にも同じような措置を講じなければならない状態になってくるのだとこういうふうに考えられますが、その辺どういうことにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/99
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100・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) ただいまお話のような附帯決議がついておりまするので、したがって、昭和十五年以降の方々は一時金になっております。まあこの前のお話のとおり、その一時金の方々にも、できるならば今回の一時金の対象になるような方法もとってまいりたいとも考えましたが、予算の関係もあり、いわゆる金額の関係もあり、ことにこの老齢者の多くはその前の方が多いのでありまするから、これらの方々を中心にして、将来全然やらないという意味じゃございませんが、まず何よりもこれらの方々を優先的と申しますか、まず考えて、そうしてその実施をお願いを申し上げるというのが妥当ではないかと考えまして、このような法案といたした次第でございまして、どうぞこの点御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/100
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101・鬼木勝利
○鬼木勝利君 今回はまあそうでしょうが、将来はそういう点にも十分考慮すると、そして実現をはかる。なおその附帯決議に、「本法案による一時金は、受給権が昭和三十八年四月一日に生ずるにかかわらず、その支給が昭和三十九年四月一日から開始されることになるので、その給付の裁定を受けた者については、政府においてできる限り融資の便宜を図るよう要望する。」とありますが、それでは融資の便宜をはかる、こういうことも考えていらっしゃるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/101
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102・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) これはぜひそういうふうにひとつ政府においても今後お願いを申し上げたい、特に国民金融公庫その他の、ほかの恩給年金の例にならいまして処置をお願いを申し上げたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/102
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103・鬼木勝利
○鬼木勝利君 そうすると、なおさら私はこの問題が各方面に波及すると思うのですが、大東亜戦争のときなんかにも賞勲局から金鵄勲賞を授与するというふうな証書をもらった方は六十万人からおる、こういうことを聞いておるのですが、将来こういう人にも、近い将来当然問題が起きてくると思うのですが、こういう方々に対する一時金というような点はお考えになっておるかどうか、お考えになった上の今回のこの法案提出であるかどうか、その点をひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/103
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104・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) 大東亜戦争初期におきましては、いまの証書あるいは一時金あるいは通知というようなのが、これはいずれ賞勲部長からお話があるとも存じますが、あったと存じます。しかし、相当末期になりますと、もうその処置はできないような状態になったのではないかと存じます。したがいまして、受けました者も、たしか昭和二十一年の二月ごろで現金化していないものは一切無効あるいはこれが支給を受けることができないような状態になったのではないかと存じております。将来大東亜戦争の勲功に対して金鵄勲賞ということは私は考えられないことではないか、もう金鵄勲賞そのものが廃止されましてございませんから、その武功に対してこれを評価する、それを金鵄勲賞をもってするということはもうあり得ないことである、ただ従来受けておった一時金の者をどうするかということがいまの附帯決議の趣旨になってくると存じますが、そうなりますると、その大東亜戦争の後期の問題等もありまして、なかなかこれは簡単に即断はできない問題であろうと存じます。できまするならば一時金の方々にも何とかしていきたいというのはこれは心情でありまするが、とりあえずこの年金の人たちに七万円という一時金をして、そして処置をとっていく、こういう考えでこの法案を提出さしていただいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/104
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105・鬼木勝利
○鬼木勝利君 それは大東、亜戦争の末期においては混乱状態で、なるほどただいまおっしゃったとおりだと思うのですが、最初はいま仰せのごとくあるいは通知を受けておる者もあるし、証書をもらっておる者もおるし、こういう方々はそれは推計六十万人といわれておりますが、それは的確な厳格な数字はわからぬといえばわからぬと思いますが、こういう方々も私はやはり政府がから手形を出したんじゃないかというようなことで、これは将来大きな問題になってくるのだと、むしろこれは混乱におちいりやしないか、そういう危惧の念を持っておるが、いまのお話を聞けば、非常に確信のある御答弁でございましたが、これは各方面から相当こういうふうな声を私どもは聞いておりますが、どういうふうに先生お考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/105
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106・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) これは私は大東亜戦争においての、かつて金鶏勲章の証書あるいは一時金の金、あるいはその額面を出した方は別といたしまして、その他大東亜戦争の末期には相当そうじゃない方がたくさんある、したがって、これらの方々に対する金鵄勲章というような立場からの観点よりも、むしろいわゆる恩給、年金という立場からの処遇が妥当ではないかというのが、先般いわゆる生存者の恩給の復活となり、そしてその在職年の通算等の改正となってあらわれて、現在それが若年停止その他の問題でだんだんと復活の数が多くなってきておる問題でございますから、そういう方面に全体的な立場から考えて、その抜群の武功等というのを特別に取り上げるというのは憲法等の関係でむしろ妥当ではなしに、一般的なそういう立場から処遇を手厚くしてまいることが妥当ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/106
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107・鬼木勝利
○鬼木勝利君 それは私もそういう方々に今回のような形式で一時金を支給していただきたいと、こういうことを申し上げておるのではなくして、それはいまのお話のように、社会保障の意味からしても何らかの方法で国家がこういう方々に対して対策を講じてもらえば私はそれでけっこうだと思います。いずれにいたしましても一時賜金として七万円支給するというような、それは栄典であろうが報償であろうが、いずれにしても結果としてはそういうことになっているのですが、もう少しこれを拡大して、もっとあらゆる犠牲者に対して社会保障の意味で社会保障の確立、拡充ということで私やっていただいたならば国民も納得するんじゃないかと、どうもそういう点が金鵄勲章の復活みたいなように一般ではこれを解釈している、そういう点にもう少し何らかのお考えはなかったかどうかという点を私は考えるんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/107
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108・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) これは、お話のように、何か社会保障的な立法でということになりますると、むしろかえって、私は社会保障でいろいろ検討してまいっておりまする立場の者といたしましても、なかなか困難になってきはしないか。だから、この戦争関係の方々は、この一時金は全部生存者ばかりである。で、ただいま大東亜戦争の六一万人とおっしゃったのは、たぶん戦没者が多いんだと存じまするが、したがって、この戦争関係は、従来の年金あるいは恩給というのを考えながら、それをいまの時代的に相当修正をして、そうしてやっていくというやり方が現在とられているやり方だと思うのでございます。その中で、この年金の中で、恩典であったために金鶏勲章の者、これだけがおそらくオミットされて現在残されている段階だと思うので、あとは大体処遇——それぞれの処置をなされてきた。恩給にいたしましても、戦没者のものにいたしましても、傷痍軍人にいたしましても、それぞれなされてきたが、これは生存者でありまするが、生存者も——生存軍人に対しましても、最初は実役十三年あるいは十二年というのを、だんだん戦時加算等をゆるめてまいりまして、御案内のような現在のような状態になってまいりました。大体いまの時代に合うようになってきたが、これだけはほったらかしと申しますと悪いんですが、手をつけられずにきたというものの一つじゃないか。それで、そういう意味において、それぞれの立場においての戦前の関係を戦後の立場において是正しながら処置をしていくことが、むしろ現在、ほとんど、七、八分その方針でなされてまいりましたので、それとは別個に社会保障というのを強く戦後の新しい形において打ち出してきているのがいまの社会保障の実情ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/108
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109・鬼木勝利
○鬼木勝利君 なるほど、それはごもっともなお話ですが、事実においては、まだ戦争犠牲者のたくさんの気の毒な人がほとんど顧みられないでいるというような状態が大体今日の現状で、数えあげればいろいろありましょうけれども、戦争のために引き揚げを余儀なくされた人々とか、ために家を失い、財産を失った、あるいは原爆で家族を失ったとか、父を失い母を失って、天涯孤独で非常に気の毒な生活をしているとか、あるいは先般から問題になっている農地を引き揚げられた旧地主とか、戦病兵が寒風のちまたに人のあわれみをこうているとか、それは数えあげれば戦争によっての犠牲者というものは、ほとんどまだ社会福祉的な面からいきましても、国家の手は伸びていないというのが現状だと私は思う。そういうときに、ただ金鵄勲章だけを取り上げないで、もっと大きく国家的見地からして、こういう気の毒な人々を救うべきだ、と同時に、金鵄勲章の方々も救うなら救う、ただそれだけを取り上げてあとを顧みない、平和国家、文化国家と言いながら、そういう気の毒な人たちがちまたにあふれているというような点において、もっと社会保障のあたたかい手を国家的に伸ばしてもらいたい、こういうふうに私は考えるのであって、金鵄勲章のみがどうだこうだ、よくないと、こういうことを私は申し上げておるのじゃないのです。それは、先ほどから申しましたように、一時金を差し上げられることはそれはけっこうだと思うのですけれども、と同時に、もっと気の毒な方もたくさんあるはずだ、そういう方々と相並行してこれはやるべきじゃないか、これのみを声を大にして、老残の日を送っておるのだ、生活が低下しておるのだということを、いま急にそういうことをただこれのみをとって対策を早急に講じなければならないというそこの根拠が多少私は偏しておるのじゃないかと、趣旨には賛成でございますけれども、国家全体観から申しますと、この法案は私は多少偏した法案じゃないか、もっともっと気の毒な方を一わずか一万人足らずの方を救うために数百万の気の毒な方々をあと回しにする、陰では泣いている人がたくさんいるのじやないか、こういうことを私は考えておるわけなんです。こういう点を先生はどういうふうにお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/109
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110・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) 鬼木先生のお考え、たいへんごもっともだと存じます。ただ、問題は、戦災者に対する問題ですが、これは先ほど申し上げたように、国家的に特別な約束がなかったので、どうしても国家が処遇をする場合にはそれを優先的に取り上げていく、約束のあるものから取り上げていく——でありまするから、国家の力がつきまするならば、あるいは家を失った、あるいは肉親を戦災で失ったような方々に対しても、もちろん処置を講ずることは、決してこれは不当でもないし、また、でき得るならばやったほうがいいのでありまするが、しかし、国家が約束をしておって、それが戦争というものによって約束を履行できなかったという場合においては、できるだけその約束を履行するように、戦後国家が復興してまいりました場合にはなすべきものではないか。在外財産の問題なり、農地の問題も、いろいろ御意見がありましたが、これは在外財産あるいは農地、それぞれの立場において今後解決すべき問題であると存じておりますから、むしろ人を中心に考えました場合は、今度の金鵄勲章1ほかのほうは大体、戦没者の問題、恩給、年令、それから生存者の軍人の年金、それから負傷をいたしました傷痍者の問題、また、今度特に恩給法並びに援護法等を十四、五項目にわたって本委員会にも御審議をいただいておりまするような問題等で大体だいぶんこまかい点まで解決を急いでまいっておって、全然手をつけておらなんだのが、従来年金をやっておって、戦争で打ち切って、そうして金鶏勲章という制度が、恩典がなくなって、その年金もしたがってなくなって、これは全然手をつけておりませんので、議員立法というような形でいたしたのでございます。あとは、傷痍軍人にいたしましても、あるいは戦没者にいたしましても、それぞれ戦前に近い——戦前のとおりではございませんが、戦前に近い処遇までいたしてまいりましたから、この点もひとつぜひお願いを申し上げたいというのが今回議員立法として出しました点でございます。その他の問題につきましては、今後もできるだけ国家の力の及ぶ限り解決を急いでいくべきものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/110
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111・鬼木勝利
○鬼木勝利君 国家が約束したものだということをおっしゃいますと、これはまた繰り返すようですけれども、衆議院において四十二国会、四十三国会において附帯決議がなされておる点並びに大東亜戦争においても、やはり国家が手形を出しておる以上は、これはやはり約束ごとでございます。そういう点においても、将来は十分考えていただきたい、こういうことを私は要望をいたしておきます。以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/111
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112・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/112
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113・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 速記をつけてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/113
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114・向井長年
○向井長年君 総務長官にお聞きしますが、これは前にも聞いたかと思うのですが、私からは初めてなんで、これは先ほど答弁されたように、両院で可決されれば尊重して実施するのだ、こういうことが言われておりますが、そういう政府の意気込みを持っておるならば、なぜ議員立法じゃなくて、政府提案として出さなかったのか、この点どういう理由があったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/114
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115・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) この法案は、もう数国会にわたって議員立法として提案されておりますことは御承知のとおりであります。そこでまた本国会に御提案がありましたわけです。この法案が可決されることになりますれば、政府はやはり国会を尊重するということで、国会において、両院において本法案が可決を見ました場合には、国会尊重の立場からして当然この実施をする意思を持っている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/115
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116・向井長年
○向井長年君 私の聞いておるのは、従来から議員立法になっておるけれども、衆議院においても、そのままこれを実施するという気持ちが政府にあるならば、なぜそういう法案を政府が提案をしなかったかということを聞いておる。政府が提案をしなかった理由、議員立法でやった理由、どういうことかということを聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/116
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117・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) 法案の提案は、御承知のとおり、政府も法案の提案権を持っておりますと同時に、議員も当然法案の提案をなせる権利を持っております。これは議員立法をなさるということでございますから、議員提案ということでございますから、何もそれをわざわざ政府のほうでやりますと申し上げる必要もない。同じ提案権を持っておるわけでございますから、私どもといたしましては、政府提案であるからどうだ、議員提案だからどうだというような差別はしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/117
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118・向井長年
○向井長年君 ぼくの質問の要点が総務長官あまり理解されないと思うのですが、今度の国会でも、法案が百五十なんぼか出ておりますね。ほとんどが政府提案なんですよ、議員提案もありますけれども。したがって、こういう問題も、先ほどからの答弁を聞いておると、国民が待望しておった、国民が理解するだろう、したがって、政府はこれを実施に移したい、予算措置も考えたい、こういうことをいま言われておるくらいなんですから、政府から提案されてしかるべき法案じゃないか、こういうことを言っておるのです。そこに何か議員立法でやった根拠があったのか。議員は提案権を持っております。しかしながら、大多数の法案はこれは政府提案なんです。しかも予算の伴う問題についてこれを議員提案にしたことは何か理由があるか。これは自民党の内部の問題もありましょうが、その点をひとつ明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/118
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119・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) 御承知のとおり、政府提案が非常に多数ございまして、一応政府の提案いたします場合には準備をいたしております。たまたまこの金鵄勲章の特別法案は議員のほうでお出しになるということでございましたので、これはいまお話のとおり、政府と与党でございますから、大体方向として一体としてやっておりますから、これ以外にももちろん議員提案は多数ございます。議員のほうでお出しになるのを、わざわざ政府が、いや私のほうで出しますと言う必要はないのでございまして、従来の慣例どおり議員提案ということで、大体政府、与党の相談もそういうふうにきまったものですから、結果的にこういうことになったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/119
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120・向井長年
○向井長年君 政府は消極的じゃないのですか。いわゆるいろいろなこれに対する意見も国民の中にある。そういうことから政府は消極的で議員の熱意に受けて立とう、こういう態度じゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/120
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121・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) 必ずしも消極的であって、やむを得ずこの問題に対する政府の態度をきめたということではございません。やはり政府もずいぶんたくさん法案をかかえているものですから、議員のほうで、金鵄勲章外何案は議員提案として出すというお話でございましたので、それじゃどうぞひとつ議員立法でお出しくださいという程度でございまして、先ほど申しましたように、政府、与党のことでありますから、そのくらいのことは法案の取り扱いにつきましても十分打ち合わせをいたしておりますから、必ずしも御推測のような消極的だということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/121
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122・向井長年
○向井長年君 総務長官は、早くこういう法案を通したいという気持ちなんですか。そういう熱意があるならば総務長官みずからなぜ提案しなかったのか、私は聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/122
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123・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) しばしば繰り返しますとおり、つまり議員提案として出すという、与党の国会対策できまっておりますから、われわれもちろん政府といたしましても、党側の国会対策は尊重しなければなりません。決して消極とか積極ということで、その案のどうこうということではないのでありまして、あの金鵄勲章の特別措置法案というのはきわめて妥当なものと考えておりますから、先ほど政府の態度をお示ししたような答弁をいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/123
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124・向井長年
○向井長年君 提案者にお聞きしますが、提案者は進んで議員立法として出そうということになったのですか。政府に、こういう要望があるから、政府みずから提案をすべきだ、こういうことを言ったのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/124
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125・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) 向井先生のおっしゃるように、政府提案のほうがあるいはよかったかもしれません。ただ三十八国会以来ずっと議員提案できており、その当時の話し合いから、そうすると、いま考えるとあるいは政府提案がよかったかもしれない。従来からの関係で議員提案しておってつぶされたものを、成立しないものをつぶされたと言うと悪いですけれども、成立しないものを政府のほうに持っていってということも、どうもかえってどうかと思いますから、従来から三十八国会以来ずっと連続して議員提案で参っておりますから、今度こそこれはひとつ大体この問題は御了解をいただいてそうして解決し得る、その解決し得るのには、いままでの提案を政府提案に持っていくよりも議員提案のほうがむしろいいんじゃないか、かえって御理解をいただける。そういうお互いに内輪同士ですから言いたいことも言えるのではないかという心持ちで無理に政府にお願いせずに、議員提案でぜひひとつお願いしたいというので出したような次第でございまして、どうぞその点よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/125
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126・向井長年
○向井長年君 先ほどの鬼木先生の質問に関連しますが、先般四人の参考人を呼んで、一人は当事者の団体のようなかっこうで一応実情説明、陳情的な参考意見だったと私は思う。三人の各諸君ですか、こういう参考人の意見は大石参考人はまあ合憲であろう、こういう意見の開陳があったと思う。あとの鈴木あるいは中村ですか、この参考人は違憲である、あるいは違憲の疑いが非常に濃厚である、こういう意見を出されておるわけなんです。先ほど法制局からもそれに対して若干の解明がございましたが、非常に重要な国民が関心を持ち、あるいはまた、一般もある意味においては疑惑を持っている、こういう点も感じられます。したがって、国家政策とかあるいはまた社会政策上とか、こういう問題を抜きにして、提案者もあるいは政府もこれに対する、絶対違憲ではない、合憲である、こういう明快なひとつやはり答弁をいただきたいのですよ。あいまいな答弁ではどうも納得できない。参考人の意見は皆さん御承知だと思うのですが、やはり憲法の十四条の一項に抵触するという立場から反対論が言われている、あるいは反対というか、違憲論を言われている。一方は、そういうことはあっても国家政策からこういう問題を執行することは違憲ではない、こういう意見も言われているわけです。この点どうもいわゆる学者は専門的な立場に立ってもそういう意見が二つに分かれているわけです。執行しようとする政府から、これに対して明快な、どういう根拠に基づいてこれは合憲である、また、提案者もこれはどういう根拠に基づいてこれは合憲であるのだ、こういうことを明快にひとつお答えいただきたいと思う。政府、提案者どちらからでもいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/126
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127・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) これは先般、参考人は参考人としての御意見、私も十分拝聴いたしました。これに対してはかれこれここで批判はいたしません。ただ私どもは違憲でないために提案したのでございまして、これは強いその信念で、むしろ栄典制度の復活じゃないか……しかも金鵄勲章という栄典制度の復活ということは、戦後の現在あの新しい憲法下ではあり得ないことであり、全然さような意思は毛頭ないのでございます。その栄典制度の廃止に伴う善後処置の一つとしてこの一時金というものを持ってきたのでありますから、私はこの法案は憲法に全然抵触しないと思います。したがって、それを堂々とひとつ国民に理解していただくために、御要求がありましたので、本会議のひとつ趣旨説明をさしていただき、これに対して総理並びに大蔵政府当局も所信を表明したような次第であります。これ以上は何ら毛頭邪念はございませんから、どうぞそういう意味においてひとつ先生たちも十分御了解をいただきたいと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/127
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128・中原武夫
○法制局参事(中原武夫君) この前の参考人の方々の御意見は御承知のように、十四条に関連して述べられたのでありますが、十四条一項は平等原則であります。三項は「栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。」、そういう条項であります。この法案の一時金が栄典であるかどうかという点につきましては、いずれの参考人も直接それは栄典であるというように御理解になっておらなかったと私は承知いたしました。したがって、栄典にはいかなる特権も伴わないという条項にじかにぶつかるという御議論はなかったようであります。栄典というからには栄誉性を表彰する。そういうことを奨励するという見地から表彰する、そういった要素が栄典というからには必要でありますが、その表彰的な見地というものは、この法案には全くございません。ところが、第一項の平等原則との関連で、こういう方々を取り上げて一町金をなぜやるのだ、そのことに合理性があるかということに関連をしまして、今度の措置は、平等原則に若干違反するのだということを述べられた分がございます。社会保障的な見地からこの問題が取り上げられたのでありますと、そういった問題が生じますが、先ほども申し上げましたように、今回の措置は、過去の行為に対する報償的な性格が中心になって、そのやり方として老齢者を慰める、そういった要素が加味されておる、そういう内容であります。ですから、どこに合理性があるかということになりますと、かつて金鶏勲章を与えられたもとになっておる戦闘行為、そのことを別の立場で評価をするということがいまの憲法のもとで許されるのかどうかというところに合理性の根拠が見出される。そういう行為を武勲奨励的な見地から評価をするということ、そうしてそれに何らかの報償的な一時金を出すということ、そういうことになりますと、これは許されないでしょう。しかし、生命を賭して国を守ったという行為を、そういう武勲といいますか、武勲を奨励する立場から離れて何らか評価をする、そういうことはちょうど人の命を救うために自分の命を賭してやった行為と若干共通するものがあってもいいんじゃないか。そういう観点から取り上げるならば、それは必ずしも合理性がないとは言えませんので、そういう合理性のある特別の取り上げ方は十四条の一項の平等原則には違反しない、こういうふうに私どもは了解しております。
それからもう一つ、いまのような、かつての戦闘行為、戦場におけるそういう武勲と結びついた行為というものを別の立場から評価し直すということ自体も、それもいけないのだ、こういう御議論があったように聞きました。それはもう法制局の判断の域をこえた政策の問題に入っていくのだろうと思いますので、私のほうからはそれがいいとか悪いとかということは申し上げられないことだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/128
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129・向井長年
○向井長年君 提案者と法制局からそういう解明がございますが、提案者は真情を吐露しただけで法的根拠を示されてないが、その点いま法制局の言われる点もわからぬこともないのですが、とにかく根本のもとの何か制度がなくなってしまって、その制度が過去にあったやつを、いま一時金という名目のもとに、それだけをそういう根拠をもって出そう、ここに参考人等も言われるように、そういうものをどこから出していくかと言えば、根本から、そこからさかのぼってこなければならぬ。しからば根本はこの十四条に抵触する疑いがあるではないか。こういうことなんですよ。だからこれは非常にむずかしい問題だと思うのですよ。われわれ常識的に考えましても。したがって、これはやはり私は明快にしなければいかぬと思う。この法案を通すためには、自分たちがこう思っていますというだけでなくて、やはり堂々と国会でこれを通過させ、実施に移すためには、国民にほんとうに、この憲法上の疑いがあるということを考えている学者も、あるいは一般国民もおるのですから、この諸君に、そうではないのだ、合憲であるのだということを明確にされなければ、これは私もまだ了解できない。いまの法制局の答弁では。だから、一応この問題について過去の制度が廃止されてしまって、これは金鵄勲章だけでなくて、ほかにもそういう問題が出てくるかもしれませんが、過去においてあったやつが廃止された。勲章は廃止されたけれども、その栄誉の問題は、これは再びそういう問題を考えてもいいんだということになってくると、これはやはり平等という問題が抵触してくるのじゃないかという考え方を持つわけです。これをやはりもっと平易にわかりやすく言ってください。これは国民のために言ってください。ぼくでなくて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/129
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130・中原武夫
○法制局参事(中原武夫君) 先ほど申し上げたことの繰り返しになって平易になるかどうか、あまり自信がございませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/130
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131・向井長年
○向井長年君 理論的に言ってください。平易と言っても常識じゃなくて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/131
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132・中原武夫
○法制局参事(中原武夫君) この法案の一時金の性格は、一条に書いてございますように、経済的処遇が失われたことの回復といいますか、それを埋め合わせるということ。それから老齢者を慰労する、そういったやや老人福祉的要素を加味されたものであります。したがって、その一時金の中には何も栄誉を表彰するというようなことは、じかにはあらわれておらないわけであります。したがって、これは栄典ではございません。でありますから、憲法十四条の三項との衝突問題は生じません。生じるといたしますと、十四条一項の平等原則との関係で生ずる余地があり得るかと思います。十四条一項は、合理的な理由がないのに差別をしたらいかぬという規定でございますから、こういうような、この法案が取り上げておりますような、かつての金鵄勲章年金を受けておられた方々をなぜ特別に取り上げるのだということの合理性を解明する必要が生じてまいります。なぜ金鵄勲章年金を受けておった人たちの経済的な処遇を特に取り上げるかと申しますと、その最も根源となっていることは、この方々が戦場において国を守るために、生命を賭して戦った、生命を賭して国のために尽くしたその行動そのものを戦争自体の評価から切り離して、国を守ったというその行動そのものを純粋に取り上げることが可能であるかどうかにかかってくると思います。それらの人々の行為は戦争の評価からは切り離せないのだという立場に立たれる方は、合理性がないのだと言われることになります。しかし、この方々は国民の義務として自分の意思に基づかずして、そういうあぶない所におもむいて、国のために戦われた、自分の意思選択の余地のない行動について責任を常に負わされるということは、そのことのほうが合理性がないような気がいたします。その戦争がいい戦争であったのか、よからざる戦争であったのか、それは働いた人々の責任に帰せられるべきものではなくて、国家の政策の問題であったと理解いたします。そういたしますと、その人々の行動そのものを別に戦争という評価から切り離して評価をするという、そのことにも合理性はあります。ということが受け入れられるならば、十四条一項の平等原則にも違反しないと、私のほうでは了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/132
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133・向井長年
○向井長年君 提案者はあとでいろいろ言われると思いますが、戦争がよかったか悪かったか、そんな問題はわかっておるのですが、そういう戦争に命を賭して戦った、そうして国を守るために抜群の武勲を立てられて、そうして栄典をもらった、そういう人たちを勲章の栄典からはずれて何らかの優遇措置をするのだ、こういうことになっておりますが、そういうことになると、先ほど鬼木さんが言われましたけれども、やはり何というか、生活扶助、社会保障という問題も出てくるわけです。ということは、悪い戦争であったか知らぬが、その場合武勲を立ててそういう命を賭してまで戦う態勢をとった人たちと同時に、やはり戦争には、よかれあしかれ戦争には、国家総動員法で、あらゆる分野でみんな協力している。家は焼き払われ、あるいはまた、生活に困窮している人たちはたくさんおられる。そういう状態から考えれば、これは戦争は国民全部が協力したことになるわけです。一応協力態勢をとったはずです。一線で働くか、あるいは、銃後で働くか、あるいは各所でそういう任務についたと思う。軍人だけでなくして、そういう諸君の問題をあわせての憲法十四条の平等の問題、これがぼくはやはり疑問になってくるような気がするのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/133
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134・中原武夫
○法制局参事(中原武夫君) 先生がおっしゃいます広い、広いといいますか、そういう広い共通の見地から言いますと、おっしゃいますように、平等原則にぶつかるおそれがあります。ただ、少し理屈めいてしかられるかもしれませんが、差異を探しますと、国民総力戦の場合の国民が尽くした努力、それは市民生活のもとにおいて、市民生活と並行させながら尽くした努力であります。そうでなくて、市民生活を放てきさせられて、危険の場所、そこへ行けば命があぶないという場所へ、義務としておもむかされた、そういう点で、差を見つければ、そういうところが若干違うように私は了解いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/134
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135・向井長年
○向井長年君 そういうことを言ってくると、ぼくは問題があると思うのだ。おもむかされたと言うけれども、これらの中には、一般の徴兵で召集された人もおれば、あるいは職業的に軍人になって、その任務につかれた人たちがおるわけです。もちろん、ああいう戦争だったから、前線で、たまの中で、あるいは危険の中で行動されたということはわかりますけれども、しかし、強制的におもむかされたと言うけれども、そういう任務を持っておったという職業の人たちもおるのですよ。しかし、一方では、市民生活の中でと言うが、その中で、大きな被害、身体の被害をこうむった人たちがたくさんおる、土地その他いろいろな意味で。あるいは爆弾でやられた人たちもおるわけなんですね。だから、そういうことから考えて、やはりこの人たちだけを憲法十四条の問題から画すならば、若干、この平等という問題について、ひっかかりがこないのかということを聞いておる。おもむかされたといったって、それは、それだけじゃ通らぬ、一つの任務を持っておるのだから。そういう人たちもおるわけです。召集された兵隊だけじゃないでしょう。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/135
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136・中原武夫
○法制局参事(中原武夫君) 全然疑問がないのかと聞かれますと、それは若干、疑問というのは入る余地はあり得ると思います。ただ、その疑問のほうが大きいのか、その疑問の部分が小さいのか、その違いがあるだけであろうと思います。それで、職業軍人に対する特別な扱いというものは、一切まかりならぬということになりますと、どうも、軍人恩給のことも説明がつかなくなる。それとかみ合わして、そこのところの特殊性が、何か、先ほど私が申し上げましたような市民生活と離れた、特殊な勤務体制、あるいは特殊な義務、そういったことで、差別が、合理的につけられるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/136
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137・向井長年
○向井長年君 提案者から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/137
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138・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) 私は、これはそれこそ、戦争犠牲という広い意味、しかも、国家が従来一種の約束しておったという立場における戦争犠牲、それから考えてまいりますると、憲法十四条というのは、問題なく解決するのじゃないか。遺族扶助料の問題、傷痍軍人の増加恩給及び年金の問題、同様であります。内地で負傷した場合に、かりにそれが全然恩給がつかぬ場合でも、戦地で負傷した場合にはつきます。しかも、それは、恩給並びに増加恩給の二つついてくる。これは全くその戦争の結果である。で、そういう約束を従来からしておったのでありますから、一時、終戦後、それを廃止してしまったけれども、さすがは占領軍も、傷痍軍人だけは、三項症以上は残してきた。あとはずっと復活していると、遺族扶助料は全部廃止したわけですが、これも全部復活したと、しかも、戦死の場合一は普通の死よりも、三・五倍ぐらいに倍率を増してきた。そうして戦争というもので戦死した者に対する国家の処遇を厚くしてきたというのが、戦後処理の一つのあらわれでやられてきて、決してこれは憲法違法ともだれも言わないし、またそれが容認されてきておると思う。名前が金鵄勲章というと、いかにも金鵄が光って、何か一種の別のようなものに、名前がそういうふうに刺激されるところに、これのいままで持っておった、違った意味の今日まで整理し得なんだ一つのものがあるのじゃないか。しかし、よく検討してみますと、傷痍軍人の増加恩給にいたしましても、戦死者の倍率の問題にいたしましても、ことに生きておる人たちが戦地に行った場合は、一年が戦後は廃止されましたが、四年になったわけであります。現在は全く復活されたのでありまして、こうした問題が容認せられるようになったというところに、憲法違反という意味ではなしに、国民が容認してくる限度がその辺にあらわれてきておるのじゃないか。したがって、金鵄勲章だけ憲法違反じゃないかと言われると、私はこれはまことに気の毒なことになりはしないか。むしろそうなればほかのものを全部同様なものに解釈してこなければならぬのではないかと考えております。したがって、決して憲法違反というような考えは毛頭われわれは持たずに、先般参考人の一、二の人たちの御意見がありましたけれども、その批判は別にして、もしやああいうことが言われるならば、公務扶助料の増加、それから傷痍軍人の増加恩給も、これは全部同じような憲法違反という議論が成立してきて、まことにたいへんなことになるとこう思って聞いておったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/138
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139・向井長年
○向井長年君 そういう趣旨であるならば、これは年金制度をなぜ復活しなかったのですか、一時金じゃなくて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/139
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140・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) これはごもっともだと思うのです。以前これは年金でありました。それがたしかこの前申し上げたように、昭和十五年から十年分を一括して一時金、それで年金も当時の額が一千五百円のずっと下、これはあるいは年金のほうがいいという問題も起こりましょうが、しかし、その後一時金にした。金鵄勲章の趣旨からは、この際新しくこれが評価をする場合には、当時の額というのを基本に置いて、そうしてそれを一定しながらある額までの一時金を出すということでごしんぼうをいただくほうがいいじゃないかというのが、一時金の七万円という額に押えた趣旨でありまして、あるいは十分にするならば年金のほうが十分だと存じます。これはしかし、まずこれも彼此相対して考えた場合に不十分ではあるけれども、一時金のこの金額でひとつごしんぼうをいただきたいという心持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/140
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141・向井長年
○向井長年君 この七万円という根拠はどこから出たのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/141
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142・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) 七万円という根拠はこれはこまかくいろいろ計算をいたしましたが、旧金鵄勲章年金を受けておった人たちの受けておった額を、現在生きておりまする人たちの総計、合計額をその人たちの人数で八万八千六百八名で割りまして、そうしてその平均幾らというのを出して、その平均幾らを百五十倍したのを基本給といたしまして、そうしてそれの三年分をいたしましたのが七万円ということになったのであります。よほど理理屈を考えたつもりですけれども、批判してみる場合にはいろいろ批判ができると思いますが、まあこの辺で考える、不十分ではありますけれども、まあまあこの程度でひとつごしんぼういただきたいという額です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/142
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143・向井長年
○向井長年君 百五十倍って何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/143
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144・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) 百五十倍を基本にして、そしてそれの三年分を一時金にした……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/144
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145・向井長年
○向井長年君 だから百五十倍という根拠は何ですか。金ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/145
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146・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) これは物価指数を一応考えてきた。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/146
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147・向井長年
○向井長年君 貨幣価値ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/147
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148・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/148
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149・向井長年
○向井長年君 当時の金から見て百五十倍くらいすれば、大体それくらいになる。こういう推定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/149
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150・草葉隆圓
○委員以外の議員(草葉隆圓君) まあ無理に言えばそうですけれども、それはいろいろ批判があると思いますけれども、何倍かする、その何倍かを百五十倍にしたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/150
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151・向井長年
○向井長年君 一応終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/151
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152・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/152
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153・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) それでは速記をつけてください。
この辺で暫時休憩いたします。
午後三時五十三分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X02319640414/153
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