1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月十二日(火曜日)
午前十一時十一分開会
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委員の異動
五月十一日
辞任 補欠選任
向井 長年君 田畑 金光君
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出席者は左のとおり。
委員長 三木與吉郎君
理事
下村 定君
林田 正治君
伊藤 顕道君
鶴園 哲夫君
委員
源田 実君
小柳 牧衞君
塩見 俊二君
村山 道雄君
千葉 信君
山本伊三郎君
鬼木 勝利君
田畑 金光君
国務大臣
運 輸 大 臣 綾部健太郎君
政府委員
内閣法制次長 高辻 正巳君
総理府総務長官 野田 武夫君
内閣総理大臣官
房賞勲部長 岩倉 規夫君
警察庁交通局長 高橋 幹夫君
宮内庁次長 瓜生 順良君
皇室経済主管 小畑 忠君
運輸大臣官房長 佐藤 光夫君
運輸省港湾局長 比田 正君
運輸省自動車局
長 木村 睦男君
運輸省航空局長 栃内 一彦君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
説明員
警察庁交通局運
転免許課長 藤森 俊郎君
日本国有鉄道副
総裁 磯崎 叡君
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本日の会議に付した案件
○運輸省設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○国事行為の臨時代行に関する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
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001・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) これより内閣委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
昨日、向井長年君が委員を辞任、その補欠として田畑金光君が選任されました。
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002・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き、これより質疑を行ないます。
政府側からは、綾部運輸大臣、佐藤官房長、比田港湾局長、木村自動車局長、栃内航空局長、磯崎国鉄副総裁、なお、ほどなく高橋警察庁交通局長もお見えになります。以上が出席をされております。
御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/2
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003・伊藤顕道
○伊藤顕道君 前回に続いて、若干質問をしたいと思いますが、幸い国鉄から磯崎副総裁がお見えになっておりますので、主として国鉄当局にお伺いしたいと思います。
まずお伺いしたい点は、列車の安全運行を確保するということ、そうして事故を完全に防止する、こういう事柄は、国鉄にとって当面最大の任務であり、責任であろうと思いますが、この点について、まずもって当局のお考えをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/3
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004・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 国鉄の任務といたしましては、日本国有鉄道法の第一条にはっきり定められておりまして、その目的を達成するためには、ただいま先生の仰せのごとく、何と申しましても、運転の安全保安、人命の尊重ということが第一の命題でございます。常にまあそういった方向に従って業務を遂行してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/4
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005・伊藤顕道
○伊藤顕道君 御答弁ではございますけれども、現状では、国鉄の事故は依然としてあとを断たないのが現状です。言うまでもなく、例の三河島事故、そうして続いた鶴見のように、一挙に数百人の死傷者を出す大事故が相次いで起きておるわけでございます。現在、国鉄としてもいろいろ対策を講じておろうかと思いますが、その大綱について、重点的にその対策をお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/5
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006・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 一昨年三河島の事故を起こしまして、さらにまた、昨年鶴見事故が起きまして、百数十名のとうとい人命をなくしましたことにつきましては、たいへん申しわけなく思っておる次第でございます。
何と申しましても、私のほうの現在の仕事の最重点は、先ほど申し上げましたとおり、どうしたらこういった種類の事故を絶滅することができるかに置いております。その内容をごく簡単に申し上げてみたいと思っております。
まず第一に、問題を大きく二つに分けまして、一つは、根本的に非常に現在輸送のふくそうしておりますこと、いわゆる世上過密ダイヤというふうに申されておりますが、この過密ダイヤを何とか戦前に近いというほどにはいかないまでも、とにかくある程度過密ダイヤをもう少しゆるやかにしてまいりたいという根本の問題が一つございます。
次に、第二の問題は、そう申しましても、そう簡単にこの過密ダイヤの解消ということはできることではございませんので、それを防ぐために、人的物的なあらゆる設備をしてまいりたいというのが、第二のとりあえず当面いたします具体的な対策でございます。
そのうちの第一の物的の設備でございますが、これはすでに、三河島事故以来、いろいろ世上に申されておりますので、大部分御承知かと思いますが、これを大きく分けまして、踏切りの問題が一つございます。一つは、私のほうの部内の問題でございますが、信号保安といったような、鉄道の中における事故防止のプロパーの、事故防止そのものの設備でございます。踏切の問題につきましては、御承知のとおり、踏切道につきましての法律が制定せられておりまして、現在立体交差あるいは踏切道の整備と申しますか、主として無人踏切を絶滅するという方向に進んでおります。何と申しましても一番おそろしいのは、一つの踏切事故が起こりますと、それに連鎖反応的に、それがもとになってさらに大きな事故になるということが一番おそろしいのでございますので、この連鎖反応が起こらないようにするためには、まず複線、すなわち、二本以上の線路のあるところの無人踏切を全廃したいということで、これを何とか今年中に廃止したいというふうに考えております。これは政府にもいろいろお願いいたしまして、できれば、もちろん数千の無人踏切に全部設備をつけること、これは不可能でございますので、たとえば道路の細いところ、あるいはりっぱな道路のあるところ等につきましては、相当に踏切道の整備をしていただく。そうして残った踏切については徹底的にこれを機械化、保安設備をつける。こういった方法によりまして、できれば閣議決定その他の強力な措置もいただいた上で、地方の小さい踏切道の整備をやってまいりたい。同時に、ことしは予算を約七十五億ほどつぎ込みまして、無人踏切の機械化ということをやってまいりたいと思っておりますが、この点はおかげさまでわりあい順調に進捗いたしておりまして、ことしの上半期、せめて十月前後までには何とか複線区間の無人踏切を廃止できるような趨勢になってまいりました。
それから、立体交差につきましては、国鉄の力だけでできませんので、建設省あるいはその他関係の各行、あるいは地方自治体といろいろ金の出し合いをいたしておりまして、現在法律に指定されました立体交差の場所を着々とやっております。これはいろいろな都合がございまして、年間十五億ないし三十億程度の仕事をやっておるわけでございます。
私どもといたしましては、そういった鉄道自体として踏切の事故を防ぐと同町に、やはり自動車運転手その他の側の踏切に対する注意を高めてもらうために警察当局その他にいろいろお願いをいたしまして、注意の喚起につとめておりますが、そういったよそさまのことはともかくといたしまして、私ども自体でやらなければならないことは、まず踏切に非常に大きな重点を置いております。その次は、私ども自体の信号保安設備と申しまして、これはちょっとこまかい専門的なことになりましてたいへん恐縮でございますが、車内警報と申しまして、車の中に、信号が赤のときには車の中にブザーが鳴りまして、運転士に対しまして信号が赤であるということを教える機械でございます。また、それが一歩進みまして、信号が赤のときには自動的に列車がとまるという装置も一部つけております。これは大体今年度一ぱいに全国二万キロのうちの約一万キロに全部その設備ができることになっております。残りの二万キロのほうは、どちらかと申しますと輸送密度が低いところでございますが、これもできれば昭和四十年度一ぱいにこれは完了してまいりたいというふうに考えております。
その他こまかいことは省略いたしますが、こういった全般の物的対策をいたしますのに今年度は約二百十億程度の予算を計上いたしまして、これは幸いに予算査定におきましても全額承認されておるわけでございます。私どもは一昨年の三河島事故の直後、五カ年計画に計上しておりました保安対策費の約三百億を倍加いたしまして六百二十億という五カ年計画に緊急に改定いたしました。二十六年度、三十七年度におきましてはそのうちの約百十億を出資いたしました。三十八年度には百二十億を出資いたしました。今年は先ほど申し上げましたように二百十億でございまして、あと昭和四十年度来年度に百七十億前後のものを出資いたしますれば、一応三河島事故の直後ぜひ国鉄としてやらなければならない保安対策の直接的な面だけは終了することになっております。しかし、これだけで事故が完全に防げるというわけではございません。やはり根本的には先ほど申し上げましたような第一の、いまの非常に込んだ二分間隔あるいは三分間隔で走っております列車の過密ダイヤをどう解消するかという問題が根本的な問題でございますので、これは主として線路の単線の複線化あるいは複線区間を複々線にする、こういったことによりまして一本の線路当たりの汽車の数を減らしていくということ以外にございませんので、これにつきましては、今年の予算におきましても相当計上いたしておりますが、なお、根本的に全国的にそういった輸送の緩和をいたしますには相当多額な予算が必要となりますので、これは今後の問題といたしまして予算をいろいろお願いいたしておる次第でございます。
なお、これらと関連いたしまして、最後に人的な対策でございますが、もちろん過般、鶴見事故のあとで起こりましたいろいろの事故の中には、われわれのほうの従事員の不注意によるものもあったことは事実であります。これらにつきましてもいろいろ原因を究明いたしまして、主として職場環境を整備する、そして十分に休養をとらせる、そういった従事員自体の、何と申しますか、労働力を涵養するという方法、それから従事員自体に非常の際に沈着にこれに対処するという訓練をする、こういったことによりまして人的対策についても現在労働組合とも十分話し合いをいたしまして、徐々にと申しますか、着々と申しますか、対策を進めておる次第でございます。
何と申しましても、冒頭に申し上げたとおり、私どもといたしましては事故の絶滅にあらゆる努力を費やしてまいりたいというふうに考えておりますし、予算の面におきましても、この保安対策につきましては全然削限等のことなしに、予定どおりの工事をやっておるということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/6
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007・伊藤顕道
○伊藤顕道君 対策はいろいろあろうと思いますが、特にいま過密ダイヤの解消とか、物的、人的——踏切とか信号保安とか、そういうような施設の充実、こういうことを重点的に推進して事故の防止をはかっていきたいと、こういうことでございまするが、例の三河島事故を契機にして、国労自体でもいろいろと真剣な対策を立てて、いま副総裁がおっしゃったような対策も含めて、これが国鉄の施策に反映するように献策されておったと思うのですが、実際には国労の主張はほとんどいれられていないわけです。そして再び大惨事である鶴見事故を起こしておると、こういうことであるので、国鉄当局としても謙虚な気持ちになって、国労の立てたそういう対策について十分検討を加えて、とれるものは十分取り入れると、こういう気持ちが非常に大事ではなかろうかと思いますが、こういう点についてはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/7
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008・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) その点につきましては全く先生のお説のとおりでございまして、事、運転事故につきましては労働組合とか使用者とかという立場を離れなければならないことは明らかなことであります。
実は三河島事故の直後から、労働組合との間で、組合問題以前、労使問題以前の問題として事故の問題を取り上げていこうという立場をお互いにとりまして、双方から数名の責任者を出しまして、共同の事故防止委員会というものを設置いたしました。これに国労以外に、御承知のとおり、動力単乗務員組合、あるいはもう一つの新国鉄労働組合、三組合の参加を求めて、若干途中でいろいろ変遷はございましたが、今日なお事故防止委員会を継続してやっておるわけでございます。
その中で、組合側から提出されました問題につきましても、具体的にいま問題の処理に当たっておりますが、いま一番やっておりますのは、先ほど申しました私どもの直接の約六百億くらいの対策、これは大体労働組合側と申しますか、実際に働く側の主張とほとんど同じでございますが、問題は、これからあとの第一の根本的な問題をどうするかという問題になってまいると思います。それにつきましては、今後昭和四十年度以降の——後ほど御説明する機会があろうかと存じますが、国鉄の今後立てる長期計画の中でどういうふうに運転保安問題を実際の数字として織り込んでまいるかという問題になってまいります。その際には十分——先生もごらんになったかと思いますが、組合から出ております資料を十分参考といたしまして、私どもといたしましては、要求すべきものは政府にどんどん、要求するという立場で参りたい。事、事故防止につきましては、先ほど申しましたように、労使の問題を離れて、労使の問題以前の問題として取り上げていくという気持ちに全く私どもは変わりなくやっておるつもりでありますし、十分、ただいま先生のおっしゃったとおりにその覚悟でもってやってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/8
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009・伊藤顕道
○伊藤顕道君 国鉄の相次ぐ事故がなかなかあとを断たない、まあいろいろ原因はあろうかと思うのですが、その根本的な原因としては、国鉄の率直に言ってもうけ主義が災いしておるのじゃなかろうかと、こういうふうに私どもは考えておるのです。言うまでもなく、国鉄は公共企業体であるわけです。ところが、企業性の強調だけに重点を置いて、いわゆる公共性が後退しておるのじゃないか、こういう点で公共企業体の企業性ということが強く打ち出されておって、公共性がどうも埋没しておるように思う。こういうふうに率直に言って見られるのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/9
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010・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) その点につきましては、いわゆる公共性と企業性の問題という立場からいろいろ取り上げられておるわけでございますが、私どもといたしましても、あくまでも国鉄法第一条に掲げましたとおり、国鉄の目的は、あくまでも公共の福祉を第一にすることが目的であるということは明白でございます。ただその手段として、極力公共的な運営をする、その公共的な運営の中に企業性というものがおのずからにじみ出てくる、こういうふうにならなければならないと考えております。先生のおっしゃるとおり、あくまでももうけることが第一ということじゃなしに、私どもといたしましては、たとえもうけたといたしましても、その金は株主の配当になるわけじゃございませんので、それが車になり線路になって国民に返っていく、こういうところに国鉄の公共企業体としての特色があると考えておりますので、その点につきましては、私どもといたしましても、極力企業性を発掘しつつも、あくまでも最終目標は公共性であるという点については、固く考えておる次第であります。
主として通勤輸送の問題等につきましていろいろ問題等もございまして、通勤輸送があれほど込むのについては、国鉄が公共性を忘れておるのじゃないかという御批判をたまたま承りますが、何とかそういった純粋な公共目的の仕事につきましても、十分資金手当て等もいただきまして、今後ますます公共性の発揮につとめてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/10
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011・伊藤顕道
○伊藤顕道君 営業方針を見ますると、安全とか迅速ということを本旨とする、こういうことを強調しておるわけです。ところが、実際には、あるいは新幹線の建設とか、あるいは特急の増発、そうしてスピード・アップ、こういう点に重点が置かれて、その結果どうも安全度はそこなわれておる、直接、間接的に事故続発の原因になっておるのじゃなかろうか、こういうふうに考えられる節が相当あるわけなんです。この点についてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/11
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012・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ただいま先生のお話の中の一つの例といたしまして、東海道新幹線の問題が出てまいりました。実はこれはいま一番私のほうで過密ダイヤと申しますか、密度の高い輸送をしておりますのは、中央線、東海道線等の日本の幹線でありまして、東海道線は現在のままではもうほとんどこれ以上列車を入れることができないという現状になっていることは事実でございまして、ことしの秋、もう少し過密輸送がふえてまいりますれば、その過密輸送はやはりお断りせざるを得ないほど輸送が一ばいでございまして、現在時点におきましても、従事員は線路を保守する時間、あるいは電車の線路を保守する時間がほとんどないというほど、実は過密ダイヤになっているわけでございまして、その過密ダイヤの解消にはどうしてももう一本線路をつくって、いわゆる複々線にして輸送をあげなければならないということのために、新幹線が事の起こりはできたわけでございまして、現実に新幹線ができまして、十数本の列車がことしの秋から実際に走りますれば、現在東海道を走っております東京−大阪間の特急電車は全部要らなくなり、そのあとに貨物列車も入れることができる、あるいはそのあとは過密ダイヤの修正という意味であけておく、こういった線路をふやす一つの方法として東海道新幹線をつくってまいったわけでありまして、これと同じことが現在東北線あるいは北陸線等におきまして、単線区間を複線にいたす工事をいたしております。これもやはり現在単線区間の百五十本以上の汽車が入っておりまして非常に危険でございますので、これを複線にいたしますれば、線路当たりの列車の事故がなくなってくる、それだけ過密ダイヤが解消する、こういうわけで、何といたしましても線路をふやすことが根本的な過密ダイヤの解消には一番大きな方法になりますので、そういった方法に力を入れておりますが、同時にやはり私どもといたしましては、全国的にどうしても収支の償えない地区がございます。たとえば北海道のごとく非常に線路が広くて、輸送密度の低いところでは、どうしても収支がとれません。しかし、一方東海道線のようなところでは、十分収支が償っていくというところで、国鉄全体として収支のバランスのとれるような方法でやっておりますので、いわゆる独立採算制といたしまして、政府から補助をいただかないで、そして国鉄経営を全般的に同じ運賃で全国的にやっていくという場合には、やはりある程度お客さんを全部飛行機や自動車にとられてしまっては、通勤輸送等に充てる財源がないということもございますので、ある程度近代的な交通機関として国民に利用してもらえるような、また大衆が利用してくれるような、速度の多少速い、またサービスの多少いい列車をつくらなければ、やはり交通機関としての使命がなくなってしまうというようないろいろな角度から考えまして、現在の方法でもって仕事をやっておるわけでございますが、最近の主として問題は、通勤輸送の問題が一番大きな問題になっております。これらにつきましても、今後年間大体、現在百億前後の金を通勤輸送につぎ込んでおります。用地の取特その他で非常に困難もいたしておりますが、徐々にこの通勤輸送につきましてもこれを改善していく方向に向かっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/12
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013・伊藤顕道
○伊藤顕道君 おことばではございますが、実際の部内運営を見ても、独立採算制を旗じるしにして、やはり安全度を無視した経営合理化、こういうことがどうも行なわれておるようにしか考えられないのですが、経費節約を理由として実質的な要員の削減をやったり、また、先ほどいろいろ御説明のあった安全諸設備、こういうものも、どうもおくれがちである、これが実態ではなかろうかと思うんですが、この点について御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/13
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014・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 私どもは、一方やはり独立採算制のたてまえから、極力やはり能率的に経営をしてまいらなければならない、そのためには経営の合理化とかということは当然やらなければならないことだと思っておりますが、やはり経営合理化をやって人を減らすことが目的なんでなしに、それによって国鉄全体の能率的な運営をはかるというところに目的があるわけでございますので、いままであらゆる角度から経営を合理化してまいりましたけれども、やはりこれは機械化に伴って経営を合理化してまいる、あるいは企業の組織の改廃によって経営を合理化する、こういった経営の合理化の方法をいろいろとってまいりまして、人員をふやさないでいままでやってまいったわけであります。これはそのために安全を無視した、そのために安全性が低くなったというふうには私ども考えておりません。でございますが、やはりこれだけの高い輸送をやるためにはどうしてもその輸送の密度に匹敵した設備なりいろいろな具体的な対策が必要になるわけでございまして、先ほども数字で御説明申し上げましたが、直接的な保安対策につきましては、いままでここ数年間予定どおりに一応やってまいっておりますが、やはり根本的には、具体的なこういった保安対策のほかに、全体としての輸送をもう少し楽にする、何と申しますか、輸送力をつけて、もう少し一本の線路当たりの輸送力を楽にする、こういうところに根本問題があるというふうに考えますが、今後とも経営の合理化については、各般の角度からやってまいらなければならないと存じておりますが、これによって安全性を低めるということはいたさずに、これの機械化によって安全度を高める、あるいは設備をよくすることによって安全度を高めるという方向でまいるつもりでやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/14
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015・伊藤顕道
○伊藤顕道君 以上いろいろの観点からお伺いしたわけですが、この点を要約してお伺いすると、やはり究極的には、もうけ主義をかなぐり捨てて、やはり何といっても公共性に立脚した安全確保を使命として、そういう点にやはり方向を進めていかなければ、なかなかもって国鉄本来の使命を打ち出すことができないと思うのですが、そこで具体的には、そのためにはやはりたとえば通勤輸送の緩和をはかるとか、あるいはまた、踏切の改良、これは先ほど御説明ございましたが、線路の増設とか、あるいは電化の促進とか、こういう具体的な方策を進めることによって、安全確保を本旨とするそういうこれは一年、二年じゃなかなか徹底しないでしょうから、年次計画を立ててやる、もちろんそれには相当額の資金も必要でございましょう。この資金については、これは当然政府として出資してしかるべきであろうと思う。どんどん公共性からいって、この点に向かって国鉄は一そう努力されることによって、相次ぐこういう事故を防止し得る、究極そういうことになろうかと思うのですが、この点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/15
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016・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 私どものほうの仕事の中で、先ほどおっしゃったいわゆるもうけ主義的な面から見た場合に、十分収支が償うと申しますか、十分利益があがる仕事と、そうでないほとんど利益があがらないと申しますか、直接には収支の改善なんかに役立たない仕事もいろいろございますわけでございます。その中であれもやりこれもやるという必要があるわけでございますが、私どものほうのこういった大きな工事をやります財源は、現在では運賃からあがってまいります運賃からの水揚げ、それからもう一つは、政府から拝借します利子のついたお金とこの二つだけでありまして、いわゆる利子がつかない金と申しますのは運賃から働き出す以外には金はないわけであります。あとは預金部資金あるいは鉄道債券等で利子をお払いしなければならない借金、この二つでやっておるわけでございます。先ほど先生のおっしゃいましたとおり、いわゆる政府の出資と申しますか、利子のつかない金を今後政府から拝借できるかどうかは今後の問題だと思いますが、私どもといたしましても、たとえば踏切を直すとか、通勤輸送を改善するとか、さしあたり十年、二十年ではとても利子も払えないような仕事をする場合、何とか、いま先生のおっしゃったような方向で政府に援助してもらったらいいなというふうに思います。国家財政とかいろいろあると思いますので、こういったことはぜひわれわれのほうとしても窮状を訴えまして、しかるべく善処方をお願いしたいというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/16
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017・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この点について、政府としてはどういうふうにお考えですか、特に運輸大臣としては非常に大事な問題の一つだろうと思うのですが、公共性からいって当然政府が処置してしかるべきだと思うのですが、収支については。こういう根本的な問題についての大臣の所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/17
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018・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) ただいま国鉄の副総裁がいろいろ御説明申し上げておりましたように、国鉄のすべての改善をすることに必要なものは資金の問題に尽きると思います。そこでその資金をどういうように確保することが現時点における財政上、経済上いいかということにつきまして、実は来年度の予算の編成時期までに各方面の協力を得てやってまいりたいと思います。私が考えますのに、その資金問題を解決することは、私は三つあるいは四つの方法しかないと考えております。その一つは、公共性に重点を置きまして、公共の輸送を安全確保するため、全部政府資金による、すなわち租税でまかなうということが一つ考えられます。また次は、日本の運賃というものは諸外国に比しまして、また国内の物価に比しましてはなはだしく、統計の示すところによりますというと、安過ぎる。そこでそれを改善いたしまして、すなわち運輸収入を増加せしむる方法として一般の利用者からもその負担をしてもらうというために、運賃問題について検討をいたそうとしております。すなわち値上げの問題でございます。値上げと申しますとはなはだ、なんですが、運賃を適正化するという問題について根本的に検討いたしたいと思っております。その三は、鉄道の利便というものは現在の国民のみでしょうべきものではない、次代の、次の世代の国民もともにこの利益を享有するという考えからいたしまして、公債の財源によってやるのがいいのではないかと、かような、そうしてまたそれを政府出資公債、それからさらに運賃の値上げ等を勘案した方法でやるのがいいのじゃないかと、かように考えまして、その問題について予算編成期に間に合うように実は目下検討をいたしておる最中でございまして、そのいずれの方法によるべきが妥当であるか、また、国民にかける迷惑が少なくなるかというような問題について目下検討中でございまして、その結論を待ちまして私どもは政府と話し合い、また、皆さまの御賛意を得るような努力をいたしたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/18
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019・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いまお伺いしたことにも関連があるのですが、国鉄なり私鉄は公共性という名のもとにいろいろ運賃の割り引き等を行なっておりますが、これこそやはり国庫負担としてしかるべきだと私どもとしては考えられるのでありますが、国鉄としてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/19
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020・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) いわゆる私どものほうで公共負担というふうに申しておりますが、たとえば定期運賃の割り引きの問題、あるいは貨物運賃の相当巨額な割り引きの問題、こういった問題は国鉄自体の財政に非常に余裕があり、経営が楽だった時分は国鉄が当然しょってかまわない問題だったと思います。また現在、いままではそういうたてまえから、明治初年以来からいろいろな意味の公共負担をしょっておったわけであります。ただこういうふうになりまして非常に国鉄自体の経営が苦しくなる、また、しなければならない、しかも利益を伴わないことがたくさん出てくるということになりますと、その部分につきましては、何らかの方法で利用者が負担するかあるいは政府に負担していただく、すなわち直接の利用者が負担するかあるいは国民全部が負担するかということになると思います。こういった角度からこの公共負担の問題をもう一ぺん一つの大きな問題として取り上げていただかなければならない時期が参ってきたというふうに考えております。こういった問題につきましてはただいま大臣がおっしゃったような方法によりまして、いろいろな方々の御意見を承った上で今後の方針をきめさしていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/20
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021・伊藤顕道
○伊藤顕道君 先ほども御説明があったわけですけれども、踏切の立体交差とかあるいは保安に必要な各種の改良の件、こういう点を徹底的に行なう必要があることは言うまでもないわけですが、特に運輸大臣が指定した踏切には必ず要員を配置して安全を確保する、こういうことはまあ具体的にまず第一歩として当然やらなければならぬ問題だと思うのですが、この点は現状はどういうふうになっておりますか。この運輸大臣の指定した踏切については完全に必要な要員が置かれておるのかどうか、この現状ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/21
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022・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ただいま先生のおっしゃいましたことは、踏切道改良促進法という法律によりまして運輸大臣、建設大臣両大臣から設備をしろというふうに指定をされた踏切のお話だと思います。それにつきましては必ずしも人を置かなくちゃいかぬということじゃなくて、こういう設備をしろ、立体交差にしろと、こういうふうな指定になっておりまして、中でも設備のほうにつきましては、主としていわゆる自動的に警報機の鳴る踏切あるいは自動的に腕木の締まる踏切というような自動化をいたしておりますが、しかし、非常に交通量の多いところではそういった踏切でございますとほとんど踏切が締まりっぱなしになってしまうというようなこともございますので、そういう方面には人をつけるということもいたしております。
それからもう一つ、立体交差につきましてはこれも先ほど申しましたとおり、建設省あるいは地元の自治体等との予算との関係もございまして、大体私のほうでは予算手当てはいたしておりますが、必ずしも地方自治体に参りますといろいろな事情がございまして、その年度にはたして出せるかどうかという問題等もございますので若干おくれておりますが、踏切道改良促進法に指定されました踏切で、複線区間で輸送量が非常に多いところは本年中には全部手当てがつくというふうに考えております。単線区間につきましては多少今後残るところがあると思いますが、今後はそういった残ったところを、しかも大臣の指定された踏切を重点的に設備をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/22
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023・伊藤顕道
○伊藤顕道君 国鉄で三十九年度におけるいわゆる安全輸送対策費、これは数字に間違いがあったら御訂正いただきたいのですが、たしか二百七億くらいだと思うのですが、もしそうだとすると、この程度で安全輸送ができるのかどうか。われわれしろうとの考えではなかなかこの程度では容易なことではなかろうと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/23
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024・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 先ほど私が申し上げました三十九年度二百七億と申しますのは、直接ほんとうに事故につながりのある設備という意味でございます。たとえばただいま先生のお話のあった踏切の問題あるいは信号、保安の問題、直接事故にもうすぐつながる問題の予算だけが二百七億でございますが、実はそれに部内で多少ふやしまして二百十五億くらいの実行予算を現在組んでおります。そのほかに国鉄全体のことしの予算の予定額が約千七百億でございますが、この千七百億のうちにはたとえばこのほかに通勤輸送、いま中央線で大工事をやっておりますが、複線を全部踏切を根本的にやめてしまう。その踏切対策でなしに、線路を高架化するということによって全部踏切をやめるという方法、あるいは単線のところを複線にする。輸送力を増強する。そういった直接事故防止に関係のない、間接になりますか、間接に輸送力をふやしていくと申しますか、間接に過密ダイヤの解消というほうは、この国鉄の工事費の千七百億のうちの大部分が実はその費用になっておるわけでございまして、人件費その他を除きますとたとえば電化すること、電化などはちょっとぜいたくな一種のもうけ本位のようにも思われますけれども、やはり電化することによりまして信号機が全部自動化する、これによりまして信号の保安度が非常に高くなってくる、こういった間接の利益等もございますが、ディーゼル化いたしましても、やはり列車の速度がそろってくる、列車の速度が同じような速度になれば、それだけやはり事故率が減ってくるというようなことなどもございますので、いろんな角度から考えますと、やはり私どものことしの予算の千七百億のうちからほとんど直接間接に事故に関係のない金というものはほとんどない、人件費だけでもってあとは事故に直接関係ないまでも間接には事故を減らすと申しますか、輸送力に弾力性をつけるという方面の金に当たるというふうに考えております。先ほど申しました二百何がしの金は、直接それが右から左へ事故に直結しているものだけの予算でございまして、あとは大体やはり間接にはなりますが、事故につながっている予算でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/24
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025・伊藤顕道
○伊藤顕道君 国鉄の事故の中で踏切事故は相当高い率を示しておるわけですが、いま御説明のあったいわゆる立体交差化あるいは自動遮断機、こういう施設の徹底によって大部分これを防ぎ得るのではなかろうか、そういうふうに考えられるのですが、この現状は一体どうなのか、また将来はどういう計画なのか、概要だけを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/25
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026・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) こまかい数字は省略させていただきますが、現在私のほうでやっております仕事の中で最重点を置きましたのは踏切の整備でございますが、全体で現在踏切が約四万くらいございます。そのうちに、割合で申し上げますと、全然警手のいない踏切、いわゆる無人踏切でございますが、これが約八割ございます。四万のうちの約八割が無人踏切でございます。もちろんこの無人踏切の中には幅が一メートルぐらいで車の通らない踏切がございます。いずれにいたしましても約八割が無人踏切でございます。あとの三割が警手がいたり、あるいは警報機がついたりしている踏切でございます。八割と申しますと、約三万二、三千でござごいますが、この三万二、三千のうち複線の区間に踏切が約二万ございます。これはことしじゅうに何とか全部征伐してしまいたいというふうに考えております。それから立体交差はまだこれは非常に日本では数が少のうございまして、ほとんどパーセンテージからいたしましても、このうちの一%程度しか立体交差化されておりません。これは今後徐々にふえてまいるわけでございますが、立体交差は実際にはなかなか進みませんで、年間平均五十カ所ぐらいしかできておりません。しかし、これも毎年五十カ所ずつやってまいって五カ年間で約二百五十カ所というふうにふえてはまいりますが、全体から申しますと、やはり小さい踏切は車の通らないようにする、そうしてなるべく大きな踏切に設備をつけていく、こういう方針でもって踏切の整備をやってまいりたいというふうに考えております。年間大体百億前後、八十五億から九十億の金を踏切に投入してまいりたい。また当分、今後その程度、百億前後の金を投入してまいりませんと、全然踏切が安全だというわけには参らないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/26
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027・伊藤顕道
○伊藤顕道君 さらにS型車内警報機とか、あるいはまた信号機の自動化、こういうことも非常に研究を要する施設の一つだと思うのです。この現状はどうなっておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/27
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028・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) いわゆる車内警報装置と申しまして、車の中に信号機のかわりにブザーが鳴るという設備につきましては、先ほど申し上げましたが、大体ことしの上半期で全国の主要幹線は全部それが設置し終わる予定でございます。現在国鉄で二万キロございます。このうち約七千キロだけはことしの上半期に全部終わってしまう、残りのうちの三千キロを今年度中に完了する、昭和四十年度中には全国的に二万キロ全部車内警報装置が働くような設備にしたいというふうに考えております。そのうちで、先生いまおっしゃったS型と申しますのは、いわゆるトレイン・ストッパーと申しまして、もう赤の信号機があれば自動的に列車がとまるという装置でございます。これを主要幹線だけにつけてまいりたい。あとはブザーが鳴って運転士に信号が赤だぞということを注意する警報機、その中で特殊な設備といたしまして、主要幹線につきましては運転士がもしそれに注意しなければ自動的に列車がとまってしまうという装置をS型と申しておりますが、これは、東海、山陽あるいは東北、北陸といった主要幹線はほとんどいまの車内警報がこのS型になっておる。あとこの付近の電車区間内は逆に早く車内、警報装置をつけましたので、まだ半分ぐらいしかS型になっておりません。これも、今年度中には全部S型になる予定でございます。したがいまして、昭和三十九年度末には、全国の主要幹線にはほとんど全部車内警報装置がついて、そのうちの非常に密度の高い線区については自動的にとまる装置がついたようになるというふうに御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/28
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029・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なお、歴史の古い国鉄としては、老朽の車両も相当あろうかと思うんですが、この改良とか強化、こういうこともきわめて緊急性のある問題だと思う。この現状はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/29
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030・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 車両につきましては、御承知のとおり、いわゆる客車のうちの木製車は全部十数年前に一両もなくなって、全部いま鋼製車になっておりますが、やはり車両の耐用年数が減価償却上は二十年のもの、二十五年のもの等ございますが、現在償却年限を経過したものはほとんどございません。ごく一部の電車で、地方の線区を走っております電車で多少老朽車がございますが、客車、電車につきましては、ほとんど、いわゆる老朽でもって耐用命数をこえたという車はごくわずかでございまして、ただ貨車につきましては、若干戦時中につくりました貨車がまだ残っております。これは毎年二千五百両ぐらいずつ取りかえておりますが、まだ一部老朽的なものもありますし、これは貨車の事故も多いので、こういったものは緊急的に取りかえるということをいたしまして、車の面から老朽のために事故が起こるということは大体ないと、一部の貨車につきまして、この間鶴見事故等でああいう事故が起きましたが、あれは一番新しい貨車でございまして、貨車が古かったためにどうこうということはございませんが、やはり戦時中あるいは戦後につくりました車輪に多少問題のある点がございますので、こういったものはことしのやはり夏までには、少なくともそういう危惧の念のないようなものに全部取りかえたいということで、車両の面は大体御心配ない程度まで整備されたというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/30
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031・伊藤顕道
○伊藤顕道君 さらに安全側線の整備とかカーブあるいは路盤の改良、さらには乗務員の休憩室とか宿泊施設の改良整備、こういう問題も直接間接に非常に重大な影響のある問題だと思うんですが、これらの問題についての現状は、体どうなっておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/31
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032・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) いわゆる安全側線あるいは安全レール等につきましては、過般の二つの重大事故のあと緊急に整備いたしまして、予算もたしか十億前後のものを三河島事故のあとから役人したというふうに記憶いたしております。その他いま一番やはりおくれておりますのは乗務員の休養施設だと思います。率直に申し上げまして乗務員の休養施設の中には、十分休養のできない設備があるのは確かでございますので、何とか今後そういう方面に、いままではとかく、やはり休養施設ということで部内で順位がおくれておりましたが、何とか今後はそういう方面に重点的に力を入れまして、せめて出てきたときで休養すべきときは、十分休養できるという設備にしたいと考えております。もちろん一部には冷暖房設備のつきましたりっぱなものもございますけれども、やはり一部にはまだまだ古畳の上に寝ているようなところもございますが、そういったところは、何とか整備したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/32
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033・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なお、それに関連して、要員の充足状況、それは現在どのようになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/33
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034・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 現在、やはり東京、大阪付近におきましては、最近の人手不足ということが私どものほうにも影響いたしまして、二、三日前の新聞に、大々的に職員募集の広告を出したわけでございますが、必ずしも、東京、大阪付近では、いい職員を求めることが、昔ほど容易でなくなってきたことも事実でございます。私どもといたしましては、社員教習所と申しますか、教育設備も持っておりますので、東北あるいは九州等で、十分いい職員を得られるところから職員をとりまして、それをこちらに連れてまいって、寮に入れて教育するという設備も、徐々に現在、充実しつつあるわけでございます。全般的な人の頭数につきましては、先ほど申し上げましたとおり、実はここ十数年間、ちょうど昭和二十四年に大整理をいたしましたあと、四十五万というままでやってきております。これの捻出につきましてはいろいろ苦労もいたしておりますが、経営の合理化によって得た人間を必要な方面に回すという中での配置転換等もやっておりますし、また、最近、志免鉱業所と申します九州の炭鉱を完全に円満閉山することに、組合とも話がつきまして、これからも約千人程度の人間が出てまいりますので、そういったものを流入いたしまして、できるだけ新しい人間の充足あるいは古い人間の配置転換等をやりまして、必要人員の充足をはかりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/34
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035・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なお、いろいろ問題があるわけですが、一括お伺いしたいと思うのですけれども、たとえば、乗務キロの短縮の問題、あるいは養成要員の確保の問題、あるいは修繕、点検期間の短縮という問題、あるいは修繕回帰キロの延長、こういう問題、それから二人乗務の完全実施、こういうのはまだ完全じゃないと思うのですが、それから、前にあったようですが、運転者章の復活の問題、あるいは監視、保守要員の配置の問題、あるいは臨時要員の職員化の問題、これは国労から強く要請があるようですが、労働時間の短縮の問題、こういうようなそれぞれ一つ一つをとっても、重要な課題が山積しておると思うのですが、こういう問題についての、概括的なお考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/35
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036・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ただいま先生から御指摘のございました問題は、いずれも、個々にあげますと、非常に大きな問題でございまして、私どもといたしましては、まず、何と申しましても、設備をよくすることと、やはり従事員が十分休んで、仕事につけるということが第一だと思います。決して設備を、ただ経営合理化という見地からだけ、いろいろな検査を省略したり、修繕をやめたりということじゃなしに、あくまでもやはり車がよくなる、設備がよくなる、そのために人手が要らなくなるというような方向でもってまいらなければならないというふうに考えております。今後、こういった問題につきましては、十分職員側の意向も聞きました上で、万遺憾なきを期してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/36
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037・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なお、全国を回ってみますると、橋梁とかトンネルでもずいぶん老朽化したものもありますし、また、軌道についても同様な点が見受けられるわけですが、こういう現在の現状、そうして今後の対策はどういうふうになっておるのか、概要をお伺いして、なお引き続いてお伺いしたいのですが、山本委員がきょう質問予定になっておりますから、あとは次回に譲りたいと思います。最後にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/37
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038・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ただいま御指摘の、トンネル、橋梁等につきましても、相当明治時代にできましたもので古いものもございます。これらのうちのごく非常に危険なものだけは、すでに第一次の五カ年計画、昭和三十二年から三十六年度にわたる五カ年計画で大体取りかえを完了いたしております。なお、年月の経過に伴いまして、一年に、たとえば東海道線でも大きな橋梁を二カ所ぐらいずつ取りかえております。トンネルにつきましても、内部の補強あるいは漏水、水が漏れるのを防止する、こういう工事をやっておりまして、私どものほうでは防災という名目で予算をいただいておりますが、この防災につきましても、先ほどの保安対策と同じように、最優先的に予算に計上しておりますが、今後、ちょうど明治時代にできましたものが、六十年、七十年で、そろそろコンクリートあるいはれんが構造のものが命数が来つつあるのでございます。たとえば碓氷峠のあの辺は、ちょうど明治二十何年にできまして、七十年から七十五年ぐらいたっております。これはほとんど一、二年のうちに全部取りかえが完了いたしますので、こういう全国的に非常に難所とされます、また、大きなトンネル等につきましては、大きな計画を立てまして、予定に従って取りかえをやってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/38
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039・山本伊三郎
○山本伊三郎君 引き続いて私から。今度の運輸省設置法の一部改正法律案の中で、第二の問題で、自動車に関係した問題で運輸当局に質問してみたいと思います。
最初に、これは勉強足らぬか知りませんが、運輸省設置法の中の陸運局の中に、総務部、鉄道部、自動車部、整備部があるのですが、総務部、鉄道部はこれは大体わかるのですが、整備部はどういう行政を主管されておるか、ちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/39
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040・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 陸運局の整備部の所管事項でございますが、整備の所管事項は、車両の検査、登録に関する事項、それから整備工場の監督指導、そういったものが主でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/40
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041・山本伊三郎
○山本伊三郎君 そこで、数年前から都市交通についてはいろいろと問題があり、これは都市だけとも限りませんが、交通の事故その他で、交通問題が非常にやかましくなって、内閣部内でも交通対策本部というものを設置されたのですが、この前の予算委員会の際の分科会で、警察庁の高橋局長にいろいろ質問したのでありますが、依然として交通事故が減少しておらない。もちろん車両の増加と、事故数の比率を見ると、若干まあ減っておるという説明でありましたが、絶対的な事故数は減っておらない、こういうことですが、その後、この交通対策に対する政府部内における対策本部は、これについてどういう考え方を持っておられるか、運輸大臣にひとつ聞いておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/41
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042・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 交通全般に関する問題につきまして、おのおの所管の事項につきまして検討をいたしまして、その結論を得たものを漸次実行に移しつつあるのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/42
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043・山本伊三郎
○山本伊三郎君 警察庁の自動車運転免許課長ですが、交通局長まだ見えていないのですか、現在私は三十五年の資料しかもらっておらないが、きわめて最近の交通事故についての統計数字は出ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/43
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044・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 交通事故の統計は、警察庁のほうで全般的にまとめておられますが、先般警察でまとめられました数字等もありますので、私も聞いておりますから、あるいは多少の間違いがあれば御了承願いたいと思いますが、三十八年で、交通事故によって死なれた者が一万二千三百一、それから負傷された者が三十五万九千八十九という数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/44
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045・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これは年々増加の傾向を示しておると思うのですが、先ほど運輸大臣は、いろいろ対策を講じておられるということですが、きのうからですか、交通安全週間といいますか、旬間ですか、実施されておるようでありますが、これはまことにけっこうであると思います。しかし、交通事故のよってくる根本的な問題については、これは道路の整備、施設、その他あります。また、運転者の不注意、歩行者の不注意、その他ありますが、いわゆる交通対策本部では、いまどこに重点を置いてこれを解消するか、事故防止の対策を講ずるかということについて、どういう方向に進もうとされておるのですか、それちょっと聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/45
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046・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 内閣に設けられました交通対策本部では、すでに数年以前から、事故防止の対策につきまして関係者集まって協議をし、実施をいたしておるわけでございますが、交通事故のよってきたる原因が、ただいまお話のように、いろいろあるわけでございまして、御指摘のように、道路の施設の面あるいは車の構造あるいは運転に従事する者の不注意、したがって、運転の免許の制度、いろいろあるわけです。それらにつきまして、それぞれ所管のところで、これらの問題につきまして、たとえば道路につきましては、道路の整備に力を入れる。それから車の構造等については、安全運行に適応するように車の性能その他の改善、指導をやる。それから道路交通の通行上の問題につきましては、これは道路交通上の交通指導、特に大都会におきます交通の混雑、これが交通事故の大きな一つの原因にもなっておりますので、一方交通であるとか、あるいは車の駐車の制限でありますとか、いろいろの方法を講じておるわけでございます。なお、運転従事員の過失ないしは不注意による事故というものが交通事故の大半を占めております。これらにつきましては、それぞれ事業者を通じまして、運転従事員の教育等にそれぞれの指導をするようにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/46
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047・山本伊三郎
○山本伊三郎君 いまの自動車局長からいろいろ説明がありまして、いろいろ原因があることは、これはもう一つの原因から事故というものが起こらないのはこれは常識的にわかるのですが、時間の関係もありますから、集約して、いま、はしなくも言われた、自動車運転者の不注意と申しますか、から起こってくる事故が相当多いということですが、先に聞きますが、この自動車を分けて、乗り合い、貨物、乗用、軽三・四輪——二輪というのがありますが、それはのけまして、この四つの種類に分けまして、乗り合い、貨物、東川、軽三・四輪の起こす事故の区別が出ておりますか。これは警察庁かも知りませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/47
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048・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 手元にございます資料が三十七年度の資料でございますので、若干以前でございますが、御指摘の、種類別の事故の傾向というものがこれで大体おわかりになると思います。
これについて申し上げますと、乗り合い事業につきましては、三十七年度で事故による負傷者の数が、概数で申しまして約一万人でございます。それからハイヤー、タクシー、つまり乗用車について見まするというと、四万九千人ぐらいでございます。それからトラックについて申し上げますというと、約十万人の負傷者が事故によってできております。それから軽自動車について申し上げますと、五万六千人。まあこういうふうな事故による負傷者の数であります。
もっとも、車の数との比較で考えていただく必要があるかと思いますが、車の数で申しますと、乗り合い事業の車は、三十七年度約六万五千両、それからハイヤー、タクシーが六十五万両、それからトラックが百五十万両、怪自動車が三百万両というふうな数字になっております。いずれも概数であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/48
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049・山本伊三郎
○山本伊三郎君 この数字から見ましても、やはりこのハイヤー、タクシーというこの事故比率、車の台数から見る比率が非常に高いようであります。
そこで、これに対して、先ほど整備部ですか、ここで車両検査その他を扱うということですが、このハイヤー、タクシーが事故が多いというのは、この車両の検査、そういう車両自体の不備と申しますか、こういうところに相当原因があるのかどうか、この点どういう取り方をされておるかちょっと聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/49
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050・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 自動車事故の原因別に見ますというと、ただいまお話のように、車両の構造上の欠陥、まあ車両欠陥と申しますが、これが原因で事故を起こしたというのは非常に少ないのでございまして、最近の概数の数字で申しますと、全体の事故件数を一〇〇といたしまして大体二%程度が車両欠陥に基づく事故でございます。数年前まで四%程度でございましたのが漸次パーセントの比率が減って二%程度というふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/50
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051・山本伊三郎
○山本伊三郎君 そうすると、それを裏返してみると、やはりこの運転者の不注意か、あるいはまた、対照的な歩行者の不注意に起因するのか、そういう点がほとんどであるということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/51
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052・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) さようでございまして、運転者の過失、不注意に基づくものがほとんど九〇%でございます。あとがただいま申し上げましたような、車両の欠陥もございますし、歩行者の不注意その他いろいろあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/52
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053・山本伊三郎
○山本伊三郎君 まあこの運転者の不注意ということでありますが、それは私も決してそうでないという証拠はないのですが、今日車両が非常に都市に、これは過密以上に集中されておるのですが、それに伴って道路が整備されておらない。それから交通施設というものがきわめてまだ不足しておる。したがって、まあいまは都市では一方通行ということで規制されておりますが、だんだんとメイン・ストリートが車が多くなるから、いわゆる間道と申しますか、非常に狭い、歩道もないところに車が集中しておるような現象がありますね。最近のまあ政府の答弁を見ましても、また、一般新聞の論調を見ましても、事故数がそういうメイン・ストリートよりもこの間道と申しますか、そういうところに事故が集中してきておるという現象があるのですが、これは、きょう建設省からはだれも呼んでおらない、これは私の落ち度であったかしれませんが、その道路の設備、交通施設というものに対して政府は一体道路五カ年計画ということで膨大な予算を取っておられるのですが、ほとんどがこれはいわゆるハイウエーに集中されておる。国道、地方道にしてもいわゆるハイウエーに準ずるところに重点が置かれておるのですが、そういう事故防止、交通の事故防止という立場から考えると、もう少しそういう方面に国家費用を使わなくちゃならぬと思うのですが、この点建設大臣の所管だと思うのですが、閣僚の一人として運輸大臣はどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/53
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054・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) お説のとおりでございまして、運輸省におきましても、さらに道路計画を改定いたしまして、いま山本委員が御指摘になったような、いわゆる間道と申しますか、県で申しますればランクの低い国道等につきまして改良を順次実施していくやに承っております。閣議でもそういうことを建設大臣は言っておるというように私も考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/54
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055・山本伊三郎
○山本伊三郎君 いずれまた次の機会に建設大臣にもお伺いしたいと思うのですが、今日の日本の経済成長のテンポに合わすための社会資本として道路に力を入れるということもわかるのです。わかるのだが、実際交通事故防止という立場は、私は政府は相当軽視しておる。もう現にこれは皆さん方も経験されておると思うのです。もう東京都内あたりでは、オリンピックが原因しておるか知りませんが、道路の工事が非常に激しいからかどうか知りませんが、ちょっとした自動車の入り得る道路というものが、もうほとんど車が通れば、入れないようなところでもほとんど自動車が通ってしまっている。商店から相当苦情が出ておると思うのですが、そういう現状を私は早く打開しなければならぬと思う。そういう点について、私は政府が交通対策本部をつくっておられるけれども、そういう点に熱意がない。私は道路はすぐ広げられないと思います。都内の道路というものは一メートル何万円というような高い地価をしておるのですから、移転補償も高くつくから広げられないけれども、それをカバーする交通施設だけでも私はつくられると思うのです。今日もう東京都内でも裏の道路の住宅街なんかは、子供が外へも出られないというほど苦情が出てきている。私はこの実情を一体政府はどう見ておるかということです。これが一にかかって運転者が不注意だということでこれを規定することは私は無理だと思う。運転者自身もあれは商売ですから走らなければ食べていけない。しかるに今日ハイウエーは、東京あたりではもう車は、私は一つの例ですが、赤坂見附まではわりあい来るのですが、あれから国会まで十五分かかっちゃう。動かない。したがって、間道を縫っていくということがあの人たちの一つの商売の技術ですよ。そういうことが、しかもその間道には交通施設は一つもない。これは事故を起こすなといっても起こすのが当然ですよ。この点について私はまあこれは運輸大臣の所管ではありません。これは主として建設省だと思いますが、ひとつ運輸大臣もこの点に十分私は対策を用いなければ、交通対策本部といって大げさにつくっても実際どう考えているのかわからない。私はことしの三十九年度予算で道路建設五カ年計面を見ましても四兆億円という膨大な費用をつぎ込んでいるのですが、私はそれは決して頭から反対はしておらない。しかし、一方ではそういうものを見落としながらこれはまあ政府の資金だけじゃございませんが、日本道路公団が建てておった現在尼崎から名古屋に及ぶ名神国道でも、走ってみてもごらんなさい。よくわかる。車はほとんど走っておらない。相当な社会資本を投入しておるのです。あれも河野さんに言わせると、いまはそうだけれども、いまやっておいたほうがいいのだと。これはよくわかる、おくれておるのだから、少々いま利用者がなくても、やがて日本の産業経済の発展にテンポを合わした施設になることはわかるのですが、それを私は何も否定しないのですが、それと同様に交通事故を何とか救うための施設というものをもっと考えてもいいのではないか。先ほど自動車局長言われましたが、三十八年度も一万二千何人という死亡者が出ておる。三河島、鶴見の事故ですね。大量に五百、六百という方がなくなられたことはわれわれとしても哀悼にたえないわけですが、しかし、一日、三人、五人、十人というやつが一年で一方二千という犠牲者がある、日本人の感覚として、一度にそういう事故があると、あれに対して関心が非常に向きます。これは当然です、しかし、くずしで死んでいく交通事故というものが年に二万何千、こういうものを私は考えずに、交通対策といっても何が対策だと思うのですが、しつこいことを言いましたけれども、この点については、重々ひとつ政府ももっと積極的に道路を拡張できなければ、せめて交通施設だけでも私は充実をしていくべきである。先ほど、伊藤委員から国鉄の踏切、あるいはその他の事故防止に適切な質問がありましたが、それも私は必要であるが、一方そういう点も私は考えなくちゃならぬと思うのですが、しつこいようでございますが、念のためにもう一度閣議でその点十分運輸大臣を通じて話してもらいたいと思うのですが、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/55
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056・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 先ほど言いましたように、私どもといたしましても、いま山本委員のおっしゃるようなことを考えまして、建設大臣もおそらく同様であると思いますが、なるべく大事な人命の損傷をなからしめるように、道路の面あるいは交通規制の問題あるいは交通対策の問題について、さらに検討をいたす所存でございます。何を申しましても、やはり一挙にすぐそれが目に見えるようなふうになるのにはよほど私は時間がかかると思いますが、たゆみなく人命に関する交通事故防止につきまして努力いたしてみたいと思います。また、同時に、内閣としてもその方向に向かうように、微力でありますが、今後ともやっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/56
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057・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これは管轄が違うかしれませんが、警察庁の免許課長見えておるのですが、あなたの所管と違うかもしれませんが、都会では一方通行ということで交通規制をやられておりますね。あれは何ですか、一方通行とか、そういうことについてはどういう手続でやられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/57
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058・藤森俊郎
○説明員(藤森俊郎君) それぞれの都道府県公安委員会が定めまして実施をいたすという段取りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/58
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059・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それについては警察庁としては一定の基準とか、そういうものは指示されておらぬのですか。全部都道府県の公安委員会に委任された事務ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/59
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060・藤森俊郎
○説明員(藤森俊郎君) 現在の道路交通法の原則から申しまして、都道府県公安委員会に全面的に委任されておるわけでございます。ただ、結果といたしまして、全国的な調整をとるという意味での調整をはかることはございます。ただ規制の問題につきましては、それぞれその局地的な事情が非常に違いますので、一般的に準則を設けるということが非常に困難で、ただ私どもといたしましては、個々の実情がいろいろの第三者的な観点からいたしまして、いろいろ問題があるであろうというようなことを承知いたしましたような際には、それを都道府県公安委員会とそれぞれ相談いたしまして、それについてのいろいろの意見を述べるとか、そういうような事実上の措置はいろいろいたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/60
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061・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これは自動車局長にお尋ねいたしますが、現在乗り合い自動車——乗り合い自動車にも公営企業とそれから民間経営とありますが、何ですかね、自動車路線の認可に際してある程度交通量その他を考えて認可をされるものですか。その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/61
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062・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) バス事業の路線延長等の免許あるいは認可につきましては、もちろん当該道路上の交通量の状況、それから道路そのものの状況、こういうものにつきまして交通量その他の状況につきましては公安委員会の意見をとっております。それから道路そのものにつきましては道路管理者の意見をとっております。両君の機関からよろしい、こういう計画のこのバスの申請はその方面からは支障ないという意見が出まして、それによって初めて認可をいたしておる、こういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/62
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063・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これは私抽象的なことを言ってはぴんとこないと思いますから言いますが、これはほかにもあると思うんですが、私は経堂から船橋町という方向におるんですが、経堂から農協前といいますか、あすこまでバスが、あれはどこだったか、小田急でしたか、これは名前ちょっと忘れましたが、もう何です、ちいちゃい乗り合いバスなんです。大きいやつはとても通れませんが、それでもバスですからそれが通っちゃうとかわせないのですね、その道路の中で。狭くて、そこがしかも商店街。もう三時から六時ごろまではおかみさん方が物を買うのに命がけですよ。自動車をよけるのがようやくですね。なるほど三十分に一回ぐらいしか通わしておらないです。乗る人は便利いいのです、交通がほかにないですから。ところが、地元の住民から見ると、迷惑千万だと言われておるのですね。したがって、こういう社会的な一つの機関ですからどちらも、やっぱり乗る人の便宜も考えなければならぬし、その地元の住民の方々の利益も考えなければいかないから、そういう相関関係考えると、私はやめろとは言わないのですが、何とかそこを規制できないか、また規制できなければその一本の道路ぐらいは何かできないかと思うんですが、一ぺん行かれたらわかると思いますが、私はあすこは乗らないのです。そういうところにどうして認可をされたかということを、私はどうもいつも乗るたんびに疑問に思うんですが、公安委員会なり地元の区長が、あるいは知事か知りませんが、よろしいと言ったと思いますが、私はまあ無理なところにバスが通るなと思うんですよ。こういう事実があるのですよ。そういうこと運輸省で御存じあるかどうか。おそらく御存じないと思うんですが、そういう実例があるのです。一説に聞くと、これは聞いたことですから——いわゆる小田急といいますか、あるいは京王だったか、資本に押されてそういうところに路線を認可したんじゃないかという悪口を言う人があるのですね。まあそういうことですから、私はやはりバスの路線認可についても若干無理のあるところがあるんじゃないかというそういう疑惑を持つんですが、運輸省としては、もうそういう認可は一切公安委員会なり地元の市長なりあるいは知事にまかして、それがいいと言えば認可する、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/63
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064・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) いまお話のような実例がちょこちょこあることは私たちも聞いております。これはどういうことかと申しますと、先ほど申し上げたような手続をとって認可をしておるわけでございますが、おそらくいま御指摘のようなところはずいぶん以前からバスが通っていたんだろうと思います。したがいまして、認可した当時はまだそう混雑もしていなかった。それがその後だんだん隆盛をきわめて通行がふえて、商店街も非常ににぎやかになってきたというところじゃないかと思います。そういうところは確かにございます。したがいまして、そういうところにつきましても、最近特に東京都内につきましてはそういう調査をいたしまして、そうして警察当局とも連絡をいたし、ここはどうしてもバスを通しちゃ交通上も困るというところがあれば、これを改善していこうというようにつとめております。ただ、いまもお話のように、その道路をバスが通りますとお客にとって非常に便利なものですから、これはどうもここははずされそうだというようなうわさが伝わりますと、住民からそれは困るというような陳情もある、こういうようなこともありますが、交通安全という立場から考えまして、そこをはずして別に経路を設けるということが、利用者のために最少の不便で済むし、交通安全のためからもよろしいということであれば、これを変更するというような指導はいたしておりますが、まだそういうところがあることも事実であろうと思いますので、今後さらにその点につきましてはよく調べまして、善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/64
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065・山本伊三郎
○山本伊三郎君 いまおっしゃるとおり、私も言ったように、それを廃止されると、私は日常やはりそれを利用する人は非常に不便を感ずると思うのですが、特にあの区間はおそらく五キロか十キロぐらい、わずかな区間です。したがって、いま言っているようにちいちゃいバスです。ラッシュアワーは一時間に三回ですか、普通のときには一時間に一回ぐらいしか通っていないのですから、だからさして大きい問題を起こすところではないのですが、一つの例として引いたのですが、常識上何と申しますか、入るようなところじゃないのですね、運転している運転手も、もう実にいやだと言うのですね、トラックなんか、そんなの来たら、もうタクシーがずっとあとへ並んでしまうし、車もどっちもこっちも行かない、八百屋なんか店の荷物を片づけてかわすというような、常識はずれのところを通っているのですがね、こういう点は私は参考までに申し上げましたが、ほかにもそういうところがありますと思いますが、これは何も国会の問題じゃありませんが、そういうお客があるようなところは、何とかかわりの道路を建設して交通対策の上からもそういうことも考える必要があるのじゃないか、小さいことですが、例を引いて申し上げましたがそういう点は十分今後も気をつけてもらいたいと思います。
それじゃ交通局長見えましたので、ひとりもう時間もそうありませんから——いま実は運輸省の自動車局長にいろいろお聞きしておったのですが、交通問題については大体の概略わかりました。そこで問題の事故率の一番多いハイヤー、タクシーでありますが、これについていろいろと警察庁当局も手を打ておられると思うのですが、この事故から見まして、警察庁としては、どういうことで運転者に対して方針を浸透さすといいますか、事故防止のために運転新教育と申しますか、そういうものを警察庁はどう考えているかということを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/65
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066・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 私ども特に営業用の自動車の運転手に対しましては、それぞれの構成する組織団体を通して、安全教育を施しており、特にそういう意味におきましては、運輸省の自動車局等の関係の方々と事故防止対策等について、具体的にいろいろ御相談をして、やはり運転者に対して安全教育というものを施しているわけでございます。したがって、それぞれの組織を通してやはり自主的に考えてもらうということが、私は非常に基本的に大事じゃないかと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/66
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067・山本伊三郎
○山本伊三郎君 そこで、この前予算委員会の分科会であなたに質問しまして、大体事故の絶対数はふえている、しかし、車の数のふえるいうことを対比すると、減っているのじゃないか、こういう説明がありました。それは私は否定いたしませんが、しかし、車がふえたから事故がふえてもいいというわけじゃない、やはり絶対数も少なくしなくちゃいかぬと思うのですが、大都市、特に交通の激しい、もう麻痺しておるところに対して、すでに交通安全週間、月間ですか、やられておるのですが、こういう点についてそうもう一ぺんに事故がなくなるというような妙薬があるとは思いませんが、何とか根本的な対策として、取り締まりを重点に、規制を重点にした考え方というものはどういうものがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/67
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068・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 事故防止対策は私はやはり取り締まりだけでは確保できないと考えております。特に私ども最近重点を置いておりますのは、その事故の原因が那辺にあるか、それを実証的に科学的に分析していく。交通事故の原因は、御承知のとおり、人と車と施設、道路、こういう三者の複合の現象でございますので、一つ一つに必ずしもすべてがかかるわけではございませんので、私どもは人の面あるいは道路の面あるいは車両の面から具体的に事故の原因を分析して、その分析の結果事故防止対策を立てていくということにいま重点を置いております。最も解決を要すべきものは、やはり金は、予算はかかりますが、やはり施設的に私はひとつ解決していかなきゃならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/68
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069・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それはあなたが出席されるまでに運輸大臣に相当これは追及というのですか、質問したのです。それは政府もそのとおりだと。しかし、とりあえずいま道路を拡張するといっても、いま言われたように財源の面でそう早急にはいかない。したがって、ハイウエーなんかになりますと道路も相当整備されておるが、いま私が取り上げておるのは、大都会の裏町、裏通りなんかの問題を取り上げておるのですが、そう簡単にいかないと思うのです。そこで具体的に聞きたいのですが、そういう歩道もない、しかも商店街あるいは子供も歩いておるというところの交通施設としてはどういうものが適当なのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/69
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070・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) そういういわゆる道路環境の悪いところの交通の安全を確保する面は、やはり一つの問題は交通規制だと思います。交通規制という面から速度の制限とかあるいは大型車の通行禁止をしていくとかあるいは駐停車禁止をしていくとか、こういう方向を考えて交通規制の面でできるだけの規制をしていくということが一つの方向であり、さらには歩行者の安全を確保するとするならば、いま申し上げたように、規制をやりながら同時に歩行者の歩く歩道を確保するといいますか、そのためにはやはりガードレールというふうな安全施設を立てていく、こういう簡単な安全施設をひとつ立てていく、あるいはレーンマークを引いていくというようなことで、施設的に必要最小限度の努力をしていくということが私は必要ではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/70
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071・山本伊三郎
○山本伊三郎君 私もこの交通問題で再々取り上げておるのですが、近ごろ言う熱意も失うような実は実情なんです。それがためにもういまは追及するのでなしに、何かいい方法があれば協力しなければならない、こう思っておるのですが、裏街道で実は子供を持った母親なんかは家庭の仕事もできない。もう子供のために一日じゅう頭が渦巻いておるというような状態らしいですね。これを何とかしてあげなくちゃいけない。そうかといって一方は営業車ですからこれはもう営業しなければ食べていけない層がありますから、この人らを無視して交通規制もそう極端にできない悩みがあると思うのです、実際問題として。それは一方交通なんかの場合でも運転者の立場からいくと非常にまた困る場合があるらしいんです。そういう面面から考えると非常に交通対策はむずかしいことも私は知っておるのですが、しかし、そうかといってこれでいいというわけにはいかない。警察庁あたりもいろいろ苦労されておると思うのです。一昨晩でしたか、あなたがテレビでいろいろ言っておられたのですが、私は全く同感の点もあるのですが、これはひとつ国民的な通勤として何とかしなければいかぬのですが、しかし、何を言っても、国民的運動と言っても、いま言われたように、政府が交通施設なり道路整備なりやらない限り私はだめだと思います。これは何を言ったって、それをほって置いて、いかに国民運動を起こしてもこれはだめだと思います。この点について警察庁としていま言われましたが、その程度のものですら私はなかなか前進しないと思いますが、現在東京都と大阪の場合の三十九年度の交通施設の費用は各地方団体においてやっておると思いますが、どれくらい見ているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/71
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072・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 交通施設のいま予算についてはちょっと私手元に資料を持っておりませんので、よくわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/72
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073・山本伊三郎
○山本伊三郎君 私は政府にお願いしておきますが、これは地方自治体の仕事だからどうこうということにはならぬと思いますから、この点は相当政府も関心を持ってそういう点を十分に指導してもらわなければならぬかと思います。今日私は大都市の交通というものは行き詰まっておる。これを打開するためには強力な政府の指導以外にない、そういう私は観点を持っているのですが、この点について先ほど運輸大臣が言われましたから、その答弁は要りませんが、ぜひお願いしたいと思います。
そこで最後にひとつ聞いておきますが、運転者の不注意によることも一つの大きな原因であることもわかりますが、私らタクシーに乗ってもそう思う場合がありますが、そこで運転手さんの指導と申しますか、教育と申しますか、これについて四、五年前から言うと神風タクシーというような姿もだいぶ減ってきたようでありましてよくなってきておると思いますが、業者を通じていろいろ指導をしておられるようでありますが、業者自体、運転者の現在の不足から無理をしておるのじゃないかという気持ちがするのです。そういうところから運転者の教育と申しますか、運転に対する不注意というものも出てくるように思うのですが、この点は警察庁としてはどう思っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/73
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074・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 確かに現在ハイ・タク等においては運転者が不足しでおるという実情については私ども承知をいたしております。やはりそういう点からあるいは運転者に対する負担がかかっているのではないだろうかということも推定できますが、しかし、これらの点については、ここにおられる自動車局長なり運輸省の関係の筋からそれぞれ監督すべき筋でございますが、私どもといたしましては、最近一つの事故防止対策の大きな問題として運行管理の適正という点を取り上げておりますので、運行管理者あるいは雇用者の義務を遂行するという点においてできるだけそういう点に私どもの施策の重点を及ぼしていくというふうに考えております。ただ、もう一つの運転者不足というものに対しては、私ども自動車局長とともにいろいろな角度からいかにしたらこれを確保することが可能であるかというような点については具体的に検討をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/74
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075・山本伊三郎
○山本伊三郎君 この現実に数字を持っておられるかどうか知りませんが、今日ハイ・タクと申しますか、タクシー運転手の不足というものは車両数からいってどの程度不足しておるのですか、これは運輸省の局長でもどちらでもけっこうですが、わかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/75
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076・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) ハイヤー、タクシーの関係の運転手の不足の状況でございますが、現在東京都の場合でございますと、会社によって違いまして、運転手をわりに裕福に持っている会社もございますし、それから不足しておる会社がございまして、これは少し以前の数字でございますが、差し引きいたしまして、大体千人内外の運転手の不足があるようでございます。それによりまして車がかせげない、つまり休む車の出る状況からいいますと、大体一日平均いたしまして五百両前後の車が休んでおるような状況でございます。もっとも現在東京ではハイヤー、タクシーの数が、個人タクシーを入れまして三万両近くなっておるかと思いますが、そのうち、五百両程度が休んでおるというような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/76
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077・山本伊三郎
○山本伊三郎君 この数字を見まして相当自動車の運転手が不足しておるようであります。現在運輸省でも方針が変わっておるように聞いておりますが、車両の増車の認可は相当積極的に考えておられるようでありますが、現在でも私は都会におけるタクシーの需要が非常に多くなってきておると思うのです。今日タクシーといえども、これはもう一般大衆輸送機関だという観点に私は立っておるのです。昔は自動車に乗るということはぜいたくだと言われておったのですが、今日ではタクシー車を利用するというのは、もう一般的になってきておると思うのですが、東京で三万両、将来とももっとふやさなければならぬ事態が、これは需要供給の立場から考えてあると思うのですが、運輸省の自動車局としてはどういう見方をされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/77
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078・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) ハイヤー、タクシーの車の両数の問題は、やはり利用車に対して十分な車両を提供するということでございますので、常に需要がどういうふうに変化しておるか、どういうふうに増加しておるかということを調べまして、それに基づいてどの程度の車の増強が必要であるかということを考えて措置をいたすわけでございます。東京都におきましては、一般的に都民の生活が非常に向上してまいっております。また、経済活動も活発化してまいっておりまして、やはりそれに応じまして、こういう交通機関に対する需要はふえてまいっておる。したがって、タクシーにつきましても同様でございまして、需要に対してはタクシーについての増強措置をする必要があるということで、現在も増強措置をとってまいっておりますが、ただ、先ほど来お話のように、運転者が不足すれば良質の運転者を確保することがだんだん困難になりまして、やむを得ず程度の低い運転手も雇わなければいかぬということになりまして、サービスの面にも影響があるというような問題もございますので、需給の状況を見ながら、必要な車を増加するにあたりましては、運転手の確保の状況等を十分に勘案いたしましてふやしていく。したがいまして、たとえば三千両必要であるということが需給の面から割り出し得ましても、一挙に三千両ふやすということは困難でございます。分けてふやす。しかも運転手の確保ということを強く確認いたしましてやるというふうな方法で増強をいたしてまいっておるわけでございます。今後ともこの需要の推移というものは十分調べまして、これに対応する輸送力の増強をいたし、また、輸送力の増強のために必要な運転手の確保その他の措置につきましても、改善をいたしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/78
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079・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これは何ですか、タクシーの数、タクシーだけ規制するわけにいかぬ、乗用車なりその他の自家用車というものは、これはもうこれを許可しないというわけにいかないのですが、総合目的に、道路の問題、交通施設の問題、それから自動車の数、運転者の問題、質、量、こういうものを総合的にやはり交通対策として考えなくちゃならぬと思うのですが、 内閣の交通対策本部では、いま申しましたそういうこまかいタクシーの運転者の問題、そういうものは議題にはならぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/79
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080・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 小さい問題のようではございますけれども、やはり国民生活に非常に関係がございますので、交通対策本部でもこういった問題も議題になって、検討してまいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/80
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081・山本伊三郎
○山本伊三郎君 きょうは実は行政管理庁なりいろいろお聞きしたかったのですが、また、交通対策の問題としてはいろいろ各方面に関係ありますが、やはり運輸、それから建設、警察庁、この三者が一体になってやらなければ交通対策というものはできないと思うのですが、この点、緊密に政府部内でいっているかどうか、いっていると思いますが、運輸大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/81
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082・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 十分緊密な連絡をとりまして、同時にその連絡はうまくいっていると、私は確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/82
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083・山本伊三郎
○山本伊三郎君 何か政府の部内で、大臣はもちろんこれはしょっちゅう閣議でいろいろ相談もされるのですが、交通関係省として事務当局なんかでそういう連絡会とか、打ち合わせ会というものはあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/83
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084・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 大臣が申し上げましたように、緊密な連絡をとっておりまして、具体的には、特に自動車行政をあずかっております運輸省と道路交通警察をあずかっておられます警察庁とは特に関係が深いわけでございまして、一例を申し上げますと、ただいま申し上げましたタクシーの増車というような場合につきましても、一々連絡をとりまして、道路交通の面からもよろしいかどうかというような意見の交換もいたしております。また、運転者の資格の問題、免許の問題等におきましても、警察とも関係課長との間で常に会議を持ちまして、非常に密接に連絡をとっておりまして、私の見るところでは非常に理想的にいっている、かように確信しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/84
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085・山本伊三郎
○山本伊三郎君 そうあるべきだと思っているのですが、実態を見ると何かちぐはぐのように私考えられるのです。特に建設省の道路計画なんか見ましても、道路交通そのものとはぴったりいっていないような感じがしたので、先ほど運輸大臣に聞いているわけですが、そういうことで、うまくいっているということならそれでけっこうですが、今後ともそういう点に重点を置いてやっていただきたい。
それから交通局長にお尋ねしますが、いまタクシーを重点に置いて話をしているのですが、交通量から見ると一番問題がそこにあると私は見ているのです、私も利用しておりますから。そこが、私は運転者自体に対する社会的な、警察庁はどう見ているか知りません、取り締まりする警察官なりそういう態度から見ても——公共的な事業として重要な役割りを果たしている人たちだと私は見ている。昔は自動車といえばぜいたく品であり特殊な自家用とか、タクシー、ハイヤーでも相当な人しか乗らなかったのですが、先ほど申しましたようにもう大衆輸送だと思う。一日に部内におけるタクシーの利用者の輸送量も相当あると思う。ところが、運転者自体の自覚が私はないと思う。こういうことばを使うと非常に昔流なことですが、いわゆるかごかき稼業とかあるいは人力車夫のまた後身とかいうような考え方が一般社会的にも見られている。そういうころから重要な交通機関に携わる、たとえば国鉄の運転上とかあるいはその他の交通機関をあずかっておる人々のような、私は、責任感というものが若干欠けておるんじゃないかという節があるのです。こういうものは、これは何も本人が悪くないと思う、やはり社会の人がそうしていると思う。それが乗車拒否になる、もうけさえすればいいんだ、商売だけが大事だ。いわゆる重要な公共的な仕事をしておるんだという観念が薄らいでいるんじゃないかと思う。これに対して私は、これは警察庁がやっておるかどうか知りませんが、運輸省かもしれませんが、五年あるいは十年、十五年という無事故者に対しては表彰されている、まことにけっこうですが、それも表彰というだけであって、そういう大衆の交通機関をあずかる重要な責任感を持っておるんだという、そういう感じを与えるものがもう少しほしいと思う。そうすれば事故数にも相当影響すると私は見ておるんです。これは運転者を責めておるんじゃないのです。そういう一つの観念というものが、これを何とかして抹殺といいますか、なくするということが交通事故を減すという原因にもなり、また、交通秩序を守るという点に大いに役立つと私は思うのですが、警察庁としては、何かそれに対してもう少し前進的な運転者の教育とか、そういうものに対してお考えがあるかどうか、聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/85
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086・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 確かに御指摘のような、御意見のとおりだと思うんです。私どもも、やはり運転者を罰するだけでこれがすベて解決できるとは思っておりません。もとより、しかし、違反に対しては、悪質な者に対しては厳格な処置をとらなければなりませんが、反面、やはり、よき運転者をつくり上げていくという努力をしなければならないという点で、私どもは、交通・政策の一つの大きな従来欠けておった面は、運転免許行政の充実という点について必ずしも十分でなかったというふうに考えておりますので、そういう点についてのたとえば第二種免許の運用の問題に関連いたしましても、さらにその試験の内容とか、あるいは今後の運転免許者に対する行政処分に関しての講習の問題とか、あるいは運転免許更新に関連するところの講習の問題というような、いわゆる運転者の再教育という問題についてもう少し検討しなければならないんじゃないか。と同時に、職業運転者というものが、私は現在の交通秩序の主流派をなしていると思うのです。外国の例から申しますと、最近はいわゆるオーナー・ドライバーが交通秩序の主流派でございます。このオーナー・ドライ八一の内容は、たいへん釈迦に説法でございますが、非常に階層が高いということ、したがって、交通マナーがいいということが外国のオーナー・ドライバーであり、しかも、それが交通秩序の主流派をなしている。ところが、日本の現状は、やはりまだ職業運転者が交通秩序の主流派であるという段階でございまして、さらに、 いまオーナー・ドライバーがだんだんできつつありますが、これらのオーナー・ドライバーは、きわめて若い人が多いということで、必ずしも交通マナーの点については十分でないということ、そういうような点を考えて、現段階における交通秩序の形成をする主流派としての職業運転者の自覚を呼び起こすというか、そういう点についての配慮というものがあってしかるべきではないだろうか、そういう方向で私どもはいろいろと運転者教育という面について考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/86
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087・山本伊三郎
○山本伊三郎君 高橋交通局長の言われるとおりなんです。私も経験もありますから、あまり社会的には認められないけれども、相当重要な役割りを持っておる、単に人を送るというだけじゃなくして、事故を起こしても社会的な責任というものを私は持っていなくちゃならぬし思う。ただ、罰せられるからスピードを出さないんだ、また、反則をしないんだというのじゃなくして、公共的なものを扱っているんだという自覚を何とかして与えていかなければ、私はこの交通事故も、皆さん方が指導したって、それはから念仏に終わると思う。それは私が言ったように、運転者自体が悪くない、特に社会の制度そのものがそうなっていると思う。そこで私は、これは運輸省の管轄かもしれませんが、業者に対してもその点十分指導してもらわなくちゃいけないと思う、指導するということは、何も説教するという意味じゃなくして、待遇の問題とか、またいろいろ問題もあると思いますが、この点はひとつ十分今後考えていっていただかなくちゃならぬと思うんです。
そこで、これは運輸省にお聞きしますが、タクシー営業者で大手と中小といいますか、あるんですが、大手というのは何車両以上を持っておるのを大手と一般通俗的に言うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/87
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088・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 大手ということばを使っておりますのは、きわめて俗称でございまして、別にわれわれはそれに解釈をつけて、これ以上が大手だという考えはございません。ただ、世間でいわれておりますのは、たとえば東京ですと、会社で一番大きい会社が約千両ぐらいの車を持っているのが多い、あと千両から五百両、六百両ぐらいまでの間に、業者数で五%ぐらいに当たりますが、ごく少数の会社があるわけであります。それらをごく大ざっぱに大手と、さらに言いようによっては、もうちょっと狭めまして、そのうちの四、五社だけを大手といっております。その程度でことばを使っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/88
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089・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これは政府、関係省内とも非常に関心持っておられますが、特に交通問題はあまり政治上の問題にならないのですが、事故の問題、輸送問題から考えて私は非常に重要な問題になっていると見て、きょうはしつこく質問したのですが、この対策として、運輸省として業者に対して、私も業者の内容は知らないのですが、協会とか連合会とか、何かそういうものがあるように聞いておりますが、そういうものを通じて運転者に対する対策、共同責任というような形でいわゆる運転手の取り合いとか引き抜きとか、そういうものの出ないように、そういうことが考えられないかどうか。それから警察庁の免許関係について、これは希望として質問いたしますが、私は人間というものは、何か一つの希望といいますか、単なる表彰とか、優秀な運転者が表彰されるということも一つの方法ですが、やはりそういう公共機関、公共的な事業をやっているということから、成績がよく、何年間をつとめれば、今度政府でも勲章を出したようでありますが、それはきょうは触れませんけれども、勲章というものは、われわれは別な考えをもっているのですが、そうでなくして、実質的に無事故でやった場合には、いわゆる昇格をする、公務員でもそういうものがあると思います。そういう運転手には、免許証、いまは第一種、第二種ですか、あるようですが、第一種の者が何年か無事故であった場合には第二種を与える、私はこういう方法も一つの方法であると思います。業者に対するそういう方法と、運転者に対してもそういうことは一つの方法ではないかと思います。と申しますのは、事故とか運転の優劣というものは、いま試験をせられておりますが、ああいう学科とかそういうものはなくてはならぬ問題であります。覚えておかなくちゃならぬ問題でありますけれども、いまはサービス・カーがしょっちゅうある。昔だったら、途中で故障すれば、自分で分解をして修繕しなけりゃならぬ時期があったんだと、そのときにはいろいろキャブレターだとか、いわゆるデフレンシャル・ギアですか、そういう者の構造を覚えておかなくちゃならないわけです。今日ではどんな遠隔の地点で故障してもサービス・カーが走ってくるから、それよりやっぱり運転というものに重点を置くべきだと思います。そうすると、長い間事故を起こさずに走ったということは、それだけ運転に熱練しておるということの一つの証左ですから、その点私は、警察庁としてはなおざりにしてはいけないと思う。単に学科試験とか、あるいはコースをうまく通り抜けたら、それでおまえは優秀だというわけじゃないのです。実際の市街を走る実施の運転というものがその人の運転の技術をみがいていくことなんですから、こういう点は警察庁も、免許課長も見えておるようでありますが、この点は十分私はとるべきだ、そうすればそういう欲で言うのではないのですが、もう一年すればやはり自分としては次の免許書きかえのときには第二種が取れるという気持ちが私は出てくると思う。そういう方法は考える必要が、今日の段階では、金も要らないということもありますが、切実な問題ではなかろうかと思うのですが、この点について警察庁はどう考えられますか、あるいは自動車局長はどう考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/89
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090・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) いまの御意見は私ども実はいろいろ考えてみたこともあるわけでございます、率直に申し上げまして。そうして運転者のいわゆる技量の種別といいますか、一級、二級、三級、四級、というものを考えてみたらどうだろうかということで、まあいろいろ現在も具体的に検討しろということで、免許課長に命じておるわけでございます。ただ各いろいろな技量の内容で、永年勤続をして技量が高い、あるいは無事故であったというような運転者をある会社についていろいろ調査をいたしましたところが、それぞれやはり資格審査委員会といったようなものがございまして、それぞれの運転者に対してその社内限りでいろいろな等級を与えている。この等級がやはりいろいろ給与とかの問題にも関連しておるようでございます。ただその場合の技量内容の判定のしかたというものについて、ただいま御指摘のありましたような、つまり無事故というような点をとらえて見るか、あるいは技量内容を別の角度からとらえて見るかというような判定の基準というものについては、具体的になかなかいろいろな問題があるということで、私どもそういう問題については検討いたしておりますが、確かにそういうような方向でやる考えで、そういう面で、あるいは一種免許と二種免許の関係を考えていくのも一つの一法かと考えますが、ただ私どもいままで試験をやっております経験から申しますと、いわゆるドライバーの中でもペーパー・ドライバーが相当多い。そのペーパー・ドライバーがはたしてほんとうのドライバーの実績を持っているか持っていないかということについての証明書類を取りました場合においては、必ずしも正確な証明群類が取れない場合が相当ある。そういうような点について、これは克服できない隘路ではございませんけれども、そういうような点について技術的にいろいろな隘路といいますか、難点もありますの、で、必ずしも実現をいたしかねている問題でございます。そういうような点で、やはり職業運転者の技量内容はかくあるべきものである、初歩の運転者の技量はこういう程度のものであるという、一体一つの範疇なりそういうものができないものであろうかということを、現在一つの研究の課題にいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/90
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091・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 運転手の引き抜きの問題でございますが、不足してくればどうしても相互間で引き抜きの現象がございます。これにつきましては、やかましく事業者のほうに注意を促している。事業者の間でも協会を通じまして、引き抜きをやらないというふうな決議、申し合わせ等もいたしておるのでございますが、やはりそれぞれの事業の立場で完全に防止し得ないというふうなことがございまして、車をふやします場合に運転手の確保の状況をチェックするわけでございますが、その場合にも引き抜きによって運転手を補充しておるのではないかということをよく見た上で、確実に運転手の確保ができておるのかどうかということを確認するようにはいたしておりますが、必ずしもそれが万全の実効を期しておるとも言えませんので、今後さらにこれは強化いたしたいと思います。
それから運転者の表彰の問題、ただいま交通局長からも説明がございましたが、運輸省といたしましても、年に一回優良の運転者につきましては運輸大臣表彰をやっております。会社によりましては、こういう表彰を受けました運転手につきましては、昇給とかあるいは昇進とか、そういうふうなことをもってこれに報いてやって、優良な運転手を養成するというような方向をたどっておる会社がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/91
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092・山本伊三郎
○山本伊三郎君 運輸省でやっておる表彰は私はいいと思います。優ですか秀ですか、張ってあるのに乗ると、こちらの気がするのかしらぬけれども、安心して乗れるような気がする。また実際見ておると、車を走らせる場合でも、ずうっと飛ばしてすぐブレーキをかけるのではなしに、ちょっと間隔を持ってかける。車のためにもいいし、乗客のためにもいい。私はそういう経験があるから、いいことですが、そういう表彰をやるのはいいが、私が言っているのは、表彰を毎年やられますが、それが三回やられた場合には何か実質的なものがあったらよけい励みがつく。自分らは社会的に認められているのだ、しかも資格も上がっていくのだというプライドというものを与えて、運転者の自覚というものを養っていかない限りは、単に交通局長言われたように、無事故、事故がないからこれを優秀と言えるか、それは問題がありますが、そのほかにも優秀でなければならぬ要素もありますけれども、まず事故がないということが第一の要件である。われわれがいま取り上げているのは、どうして事故を防ごうかという観点から聞いているのですから、この点はぜひ御配慮願いたい。私もこの問題ではほかの問題のように追及はしない。何とかこれは共同でこの事故をなくして、あの犠牲者を何とか救わなければならぬ、こういう点から私は言っておるので、相当時間長引いてまことに委員長にすまぬと思うのですが、この機会にぜひその点をお願いしておきたいと思うのですが、この点について交通局長から意見を聞いて私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/92
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093・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) ただいまの御意見、まことにもっともな点があるかと思います。私どももたとえば二種免許の資格取得の一つの条件として、年限の問題が一つ取り上げられているわけであります。こういうような問題については、やはり検討してみるということで無事故というものを取り上げて、この場合に二種免許の資格を取得する場合の一つの要件にしていくということは一つの案ではないか、そういう点でまあ事故防止に直結したいろいろな制度というものの観点から考えていきたい。また、おっしゃるような運転者の資質の向上という、自覚を向上させるというようなものから、やはり運転免許の資格というものも考えていくということで、できるだけ検討いたしたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/93
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094・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 他に御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。
では、午前の審議はこの程度にとどめ、午後は二時十五分再開することにし、この辺で休憩いたします。
午後一時十五分休憩
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午後二時二十九分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/94
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095・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) これより内閣委員会を再開いたします。
国事行為の臨時代行に関する法律案を議題とし、前回に続きこれより質疑を行ないます。政府側から、野田総務長官、瓜生宮内庁次長、小畑皇室経済主管、高辻内閣法制次長、岩倉賞勲部長が出席いたしております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/95
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096・伊藤顕道
○伊藤顕道君 前回に引き続いて、二、三お伺いしますが、昨年の七月十二日の閣議で生存者叙勲をきめたわけですが、その際、その閣議終了後、池田総理が談話を発表したわけです。その要旨は、大体三点にまとまっておったと思うのです。
一つは、世界各国に共通する制度であるということ。二つには、栄典制度に対する国民の期待を考えたということ。三つには、すでに相当数の内外人の叙勲が行なわれておったという点を考慮した。まあこういう点で生存者叙勲を復活したのだと、こういう意味であったと思うのです。
ここでどうにも納得できないのは、その第二点の、栄典制度に対する国民の期待を考えた、この一点についてはどうも私どもとしては了解しがたいと思います。これは栄典制度に対する自民党諸君の期待を考え、こうすれば非常に正しい名文句になったと思うのですが、これは総理府総務長官が発表したわけでないので、実際は池田総理にお伺いしなければいかぬところでございますが、この辺はどうなのですか。私どもとしては国民が栄典制度復活を非常に緊急なこととして期待しておったとは考えられないいろいろ問題があったわけです。新聞紙上にもいろいろ生存者叙勲には批判があるところで、この点あわせ考えてきたとき、どうもこの点だけは納得しがたい、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/96
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097・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) 昨年七月の生存者叙勲に関する閣議決定のあとで、池田総理の談話ということでございますが、第二点の国民の期待という趣旨は、総理としての発言でありますが、私からこれを推測いたしますと、先般もお答えいたしましたとおり、戦後、昭和二十一年の五月の閣議で、現在の栄典制度のうちで生存者叙勲を廃したと、で、二十八年に一部これが開始することになりました。白来終戦から今日まで、現在の栄典制度を生存者には停止しておりましたが、生存者の一部、つまり緊急な生命の危険をおかして、公共のために努力した方とか、その他緊急事態の方には差しあげた。こういうものを合わせますと、大体すでに昨年の七月の閣議決定までに一万数千の叙勲が行なわれております。それから外国の元首その他に対しても手数百名の叙勲が行なわれている。そこで、それは歴代内閣がそれをやったのでございまして、戦後これは多数の叙勲が旧来の栄典制度のもとに行なっております関係上、国民も非常にこれに対する親しみを持っているということは言えると思っております。また、そのときの、先般も申しましたが、終戦後ひとり日本だけでなくて、世界各国ともすべてが国際的な動きが強くなりまして、友好各国はもとより、世界各国の大多数の国が栄典制度を持っておって、ひとり日本だけが生存者の叙勲を停止しているということは、何かにつけまして都合がよくない、まあこういうことも勘案されておりまして、できれば世界列国並みに日本もこの生存者叙勲を再開したがいいという意見も出ておりました。たまたまその意味におきまして、昨年の二月に総理府におきまして、生存者の叙勲開始についての世論調査を行なっております。その際は、生存者に対し勲章を贈るべきだという意見が賛成六五%、反対が八%、一がいに言えないというのが二%。それから次に、ただ生存者叙勲の開始に対してのパーセンテージでなくて、現行の勲章そのまま使うべきがいいか悪いかという意見も世論調査の項目として調査いたしたのでございますが、その際にやはり賛成が四一%、新たな勲章をつくるべきだという意見に賛成が一五%、一がいに言えないというのが一六%、こういう世論調査の結果になっております。各般の情勢を勘案いたしまして、終戦すでに二十年に近い、ことに国際的にきわめて重要な関係を持つ日本といたしまして、また、これらの世論調査にも照らしまして、この際生存者叙勲を開始したほうがいい、こういう考え方に基づいてその談話が出たと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/97
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098・伊藤顕道
○伊藤顕道君 昨年二月の総理府の世論調査で、生存者叙勲制度に賛成が六五%あったと、こういうことですが、これは受けとめ方が、いま長官の言われたのと違っておったと思うのですよ。勲章のデザインがいままでどおりのものでいいか悪いか、こういうふうに国民は受けとめておったことは事実らしいのです。基本的な栄典制度そのものをいままでどおりでいいかどうか、こういうことではなかろうと思うのです。まあ何人かの人に当たって実際に話を、意見を聞いてみたこともありまするが、大部分の人はそういうふうに受け取った。こういうところにも受けとめ方の違いがあったように思うのです。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/98
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099・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) 伊藤さんの御意見にさからうわけじゃないのですが、この世論調査の項目としまして、はっきりと、生存者に勲章を贈ることは賛成かどうかということははっきりいたしております。
同時に、 いまお話の、現在行なっているつまり従来の栄典制度の勲章を、これは一万数千個出しておりますから、相当知っている方も多かったと思いますが、現行勲章そのまま使うべきかいなか、二つに分けて実は世論調査をいたしております。前段の項目につきましては、いまお話のとおり、六五%の賛成がありました。現行の勲章そのまま使うのはどうかという意見に対しましては、賛成は四一%でございまして、新たに勲章をつくったがいいというのが一五%あった、こういうことでございまして、大体その方によって違うかもしれませんが、調査項目の項目としては、私はこの文句を使っていることはそう誤解がなかったのじゃないかと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/99
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100・伊藤顕道
○伊藤顕道君 前にもずっとお伺いしてきたわけですが、この栄典制度は何もそう無理して急がなければならないという性格のものではないと思うのです。したがって、正当な手続で、法律によって当然制定すべきが理の当然と考える。前にお願いした叙勲基準は、ここに出されておりますが、この連休を利用して、民間の各階層の人に、機会があったので、いろいろ意見を聞いてみたのですけれども、この基準について非常に不平不満を持っている人が現実に多いわけです。これは全国的に聞いたわけじゃないので、わかりませんけれども、私の承知しておる範囲では、どうもその基準については非常に不平不満が多いわけです。したがって、たとえば、民間人の代表とか学識経験者、こういう人たちから成るいわゆる栄典制度審議会を設けて、そして公平厳正な基準をつくってしかるべきであろうと思うのです。ずいぶんこれは急いでつくられたようでありますが、実際に受けとめたほうでは、相当不平不満があるということだけは、現実の問題として、いま現にあろうと思うのです。こういうような点からして、特にこの基準などは大事なポイントですから、こういうことについては、当然栄典制度審議会等設くべきであると思うのです。そして法によって、正しく、公平厳正に制定すると、これが繰り返し行なわれるようなたてまえでなければならぬと思うのですが、総理府総務長官のお耳には、あまり不平不満は入ってきませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/100
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101・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) 今度実施いたしました叙勲にあたりまして、一部にいろいろ批判があることも承知しております。しかし、これは立場々々の見方でございますが、多くは、わりに公平にやったという意見が、私どものほうにはよく耳に入っております。しかし、もちろんいまお話のとおり、一部には批判があったことも私認めております。これらの基準策定ということにつきましても、これは審議会を設けてやれという御意見は、私はやはり一つの御意見だと、拝聴しておくべきだと思います。しかし、栄典の授与が天皇の国事行為とされまして、内閣がその助言と承認を通じて、一切の責任を負うておるという新しい憲法のもとでの栄典制度の実施でございますから、やはり審議会を設けるのも一つの方法かもしれませんが、本来、いま申します内閣の全責任でこれを行なうというたてまえになっておりまするから、その意味におきまして、内閣が公正妥当な栄典の授与を行なうということは、その責任においてもしかるべきことだと思います。したがって、必ずしも審議会を設けなくても、やはり憲法の意思を体しまして、内閣が全責任を負うてやるというたてまえに立ったのでございまして、その立場からいたしますと、必ずしも審議会をつくらぬでもいいと、こういう考え方を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/101
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102・伊藤顕道
○伊藤顕道君 前々から私ども態度表明をしておるように、私どもは何も栄典制度そのものを反対しておるわけでは毛頭ないわけです。ただ閣議決定したこの生存者叙勲の内容は、勲等に基づく旧支配、あるいは秩序と身分的な差別の制度を復活しておる、そこに問題がある。こういうふうに、こういう点を指摘しておるわけなんです。だからしたがって、合法的に、法によって、当然前に繰り返し申し上げたように、歴代の内閣が提案し、あるいは提案の準備をしたと、そういう事態から考えても、当然法に付すべき点を、合法と認めたからこそ、そういうことがなされてきたわけです。にもかかわらず、この段階で急に、しかも審議会というようなものを全然つくらないで、内閣自体で、こういう不平不満の多いとされておる叙勲基準までもつくられてしまった、こういうところにわれわれ問題があるということを指摘しておるわけです。したがって、こういう点、まだまだ十分内閣としても反省して、こういう点を改める態度が必要であろうと思うのですが、そういう点で先日来繰り返しお伺いしておるわけなんです。この観点からひとつお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/102
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103・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) ただいま合法的というおことばございましたが、私どもはやはり今度の生存者叙勲は、合法的だと思っております。歴代の内閣が、しばしば新しい栄典制度のために法律案を作成しておったのもこれは事実でございます。ただこの前もお尋ねございまして、私いろいろ調査いたしましたが、池田内閣は法案の作成の準備をしたことはございません。池田内閣になりましてからやはり新しい栄典制度でなくて、従来の栄典制度を活用するというたてまえでこの数年間準備をいたしておったのでございます。ただ、いまの少なくとも栄典制度というものは、これはお話のとおり、いろいろの批判があったり、また、いろいろ意見があるということは、できるだけ防ぐという必要がございますし、そうでないようにつとめるのがあたりまえでございますから、伊藤さんの御忠告のとおり、この運営にあたりまして、ただいまやっておることが最善という意味ではございませんで、さらにそれらにつきましては、私どもは虚心たんかいに運営の、さらにさらに最善を期するという方向に持っていくことがこれはあたりまえと思いますから、いまの御忠告に基づきまして、やはり将来国民の皆さんが非常に納得してこの栄典制度にみな理解をいただくように一そう努力することは、これは当然だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/103
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104・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いまの御答弁については、前回伺った問題のいわゆる繰り返しになるので、あえてこれ以上お伺いいたしませんけれども、何といっても池田総理が時の徳安総務長官に指示したのは、やはり国会提案を目途に準備を指示したと思うのです。しかし、われわれの立場で閣議の議事録をなかなか見るわけにいきませんし、なかなか見せぬそうですね。そこでそういうことがあるので、長官も安心して言われておると思うのです。おそらくしかしいま申し上げたように、これはもう水かけ論になるので、いずれ機会を見てまたお伺いしたいと思いますが、ただこの生存者叙勲は指摘申し上げておるように、非常に延び延びになってきた。その背景には、宮内庁筋からの、戦前の栄典制度をそのまま復活することは、よくよく慎重を期すべきである、事、天皇の権威にもかかわる問題である、したがって、十分慎重を期してもらいたい、こういう意味の申し入れがあった、意向が伝えられたという、そういう記事を某雑誌で見たことがあるのですが、これは雑誌に出ておったことですから、はたしてそうであったかどうか、その真偽のほどはわかりませんが、宮内庁としては当然とるべき態度であったと思うのです。もしそれがそうであったとすれば、当然宮内庁の立場では天皇の権威にかかわることは事実ですから、そういうたてまえからそういう意向を内閣に伝えた、これは考えられることだと思うのですが、きょう宮内庁長官お見えになりませんが、宮内庁としてはこのことをどうお考えですか。まずお伺いしたいのは、そういう事実があったかどうかという点、もしあったとすればこれは当然のことだと思いますが、もしないとしても、宮内庁としては栄典制度に対して慎重を期してもらいたいということは当然考えられると思うのですが、したがって、この事実があったかどうかという点が一点。もしそういう事実がかりにないとしても、その態度は一体どうなのか、そのことに対する考え方、その二点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/104
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105・瓜生順良
○政府委員(瓜生順良君) いまおっしゃいましたような宮内庁から内閣に、この栄典制度についてこういうふうに要望するというようなことを特に申し入れしたような事実は聞いておりません。ですから、そういうことはなかったと私は思います。
それから次のどう考えるかという点、この点になりますと、これはやはりいま宮内庁としては、天皇は、国政に関する権能を許されないという立場にあって、皇室に関する国家事務を扱う者としては、政治的なことに当たることについては、意見をただいま申し上げることは差し控えるべきである、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/105
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106・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、いろいろわれわれ反対してきたのですが、勲等を小きざみにしておるということを。ということは、人の上に人をつくるという意味になろうと思うのです。それでなくなった場合は位階までつけておるわけですが、これはやはり平和と民主主義に貢献する、そういうことを第一義に考えなければならぬと思うのですが、こういう点はどうなんでしょう。やはり憲法の精神である平和と民主主義、これを第一義として叙勲の基準を当然考えられてしかるべきだと思いますが、この点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/106
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107・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) いまお示しの叙勲につきまして、やはり第一に国家、公共のために尽くした人、功績のあった人、これはとりもなおさず、いわゆる世界平和、同時に社会の安寧秩序のため、国民の幸福、こういうものが基礎になっておりますから、もとよりお示しのとおりでございます。したがって、生存者叙勲には叙位というものをいたさないでおりもす。さらに一、二つけ加えておきますが、あまりあいまいになりますと、いかにも私ども自分では良心的にお答えしておると思いますが、つけ加えておきますが、池田内閣が一昨年八月に前総理長官に生存者叙勲の問題についての指示を与えた。その際にも一切文章においてもそうでありますが、口頭におきましても国会に提出し得る法案の準備というものはなかったのだ。同時に、今日出席いたしております岩倉賞勲部長が一昨年の九月二日からその職についておりますが、徳安前長官から法案の作成についての指示を受けたことはない、こういうことでございまして、決して私ごまかしてやっておるわけじゃございませんので、私も実はもしそういう事実があれば率直に申し上げようと思って調べたのでございますが、私は、そういう調べました結果、現に部長も、ちょうど総理から前長官に生存者叙勲についての準備ということの指令が出まして二日目か、三日目に賞勲部長に就任いたしております。一切法案の問題には携わらなかった、こういうことまで調べておりますから、その点は御了承願いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/107
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108・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なお、生存者にいろいろ序列をつくっておるわけてすけれども、死没した場合に、いわゆる位階をつける。位階というのは、言うまでもなく宮中の席次です。なくなった人に宮中の席次をつけるというのは、新憲法下全くその意にそぐわないと思いますが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/108
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109・高辻正巳
○政府委員(高辻正巳君) それでは私からお答え申し上げます。位階でございますが、位階も現在の憲法のたてまえから申しますれば、一つの栄典であろうと思います。ところで、その位階の中身でございますが、宮中席次というものとよく結びついていわれるわけでございますが、現在の法制上のたてまえにおきまして、位階が宮中席次に結びつく根拠はございません。位階は、やはり位階をもらわれた人にふさわしいいろいろな待遇というものは、むろん世間一般にも考えられましょうけれども、百中席次というものと結びつくものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/109
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110・伊藤顕道
○伊藤顕道君 宮中席次に結びつくものではございませんというわけですけれども、大体位階ができたのは、やはり位階によって宮中席次を決定しておったという事実は、過去の歴史に明確に出ておるわけですね。したがって、長い歴史の中で、位階は宮中席次として活用されてきた、これは厳然たる事実であろうと思う。ところが、現在になって何の位階もございませんというだけでは、なかなか納得しがたいと思いますが、重ねて納得できるように御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/110
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111・高辻正巳
○政府委員(高辻正巳君) 仰せのとおり、旧制度におきまして、また位階というものの成り立ちから申しまして、仰せになるような沿革なり、また、そういう位階については、宮中において特定の席次があったという事実はございます。ございますが、やはり旧来の制度の成り立ちがそうであるからと申しましても、現在の憲法のたてまえ、あるいは現在の法制の立場から申しましては、先ほど申し上げましたとおりに、位階というものが宮中の席次というものと結びついた制度としてあるわけではございません。したがって、位階というものにつきましては、やはりそれにふさわしい功労に伴う栄誉の表彰として与えられるものでございまして、それにつきましては、一般的にそれにふさわしいいろいろな社会的な待遇というものは出てまいる余地がむろんございましょうけれども、先ほどの繰り返しになりますが、位階というものが、現在、宮中席次というものと結びついてそれだけの意味を持って、また、それがゆえの意味を持って現在あるというわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/111
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112・伊藤顕道
○伊藤顕道君 栄典の授与については、やはり一つは儀礼的なものがあろうと思う。皇族とか、外国の君主、大使、公使その他外国人に対して行なう。これは儀礼的なものだと思うのですが、今ひとつは憲法の精神にのっとって、国家または公共に貢献のあった者に対して行なう、こういう二とおりに大別して考えられると思いますが、この場合、ただ考えなければならぬのは、国会議員とか大臣とか公務員、これだけの理由で授与するようなことがあれば、これはもうきわめて不合理だと思うのですが、こういう点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/112
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113・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) これはいまお話のとおりに、広く国家のために公共のために尽くした功績に報いるのでございまして、これはひとり国会議員に限るとか、公務員に限るとかというものではなくして、各界各層にその実績を見まして勲章を授与するというたてまえでございまして、一部の階層、一部の職業、そういうものに限定する考え方は毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/113
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114・伊藤顕道
○伊藤顕道君 前にお伺いをしたように、この栄典の授与については十分世論を反映したものであって、繰り返して言うなら、栄典審議会——仮称ですが、そういうものをつくって、公平な原則に基づいてやるべきである。総務長官のお答えでは、別にそういうものはつくらぬでも、あくまで内閣は公平厳正にやるのだ、まあたいへんけっこうなことばをもってお答えになっておるわけですが、やはり内閣の主観で、公平とまたきわめて妥当な線だと思っても、やはり客観的に見ると、そこにあやまちがないということはないと思う。現に、先ほども申し上げたように、叙勲の基準についても、いろいろ特に民間のほうから不満のあることは先ほど申し上げたとおりです。やはり公平をあくまで期すためには、民主的な手続をもって打ち出すべきである、こういう基本的なかまえが当然考えられるわけですが、この点については一応お考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/114
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115・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) いまお話の、つまり私ども内閣の全責任をもって、きわめて公正妥当な基準によってやりたいということを考えております。しかし、いまお話のとおり、やはり最善を期しておりましても、やはりいろいろそこに足りないところが出るおそれのあることは、どの場合でもあり得ることでございます。これはもとより責任を持っておりますだけに、きわめて慎重に厳正に問題の処理に当たらなくちゃならないことは申すまでもありません。しかし、さらにその運営にあたりまして、どうしても内閣の責任でやった場合におきましても、欠けるところがあるということになりますれば、私は、あえてこの審議会をつくるのに反対とかなんとかというのではございませんが、それは私のほうとして、かりに欠陥があれば、欠陥をなくそうと努力するのは当然でございます。今日の私どもの態度は、いま申しましたとおり、その責任にかんがみまして、最善を期しておる。将来においていろいろこれがそういう事態が起こるというおそれがあります場合には、これはいろいろとやはりいま御忠告のように考えるのは、これはもう政治でございますから、こうしたからこうしなければいかぬという断定的なことは申し上げません。いろいろとまたその間におきましても、内閣におきましても、この作業を通じ、また結果を通じまして、いろいろと考慮して、いわゆる先ほど申しましたさらに一そう最善を尽くすことにつとめたい、こう思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/115
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116・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いままでいろいろな角度からお伺いしましたけれども、これを要約すると、明治憲法下の理想像をそのまま新憲法下の栄典制度に移植しようとした、そこに大きなあやまちがあったと、そういうふうに私どもは解釈しているわけです。やはりことばをかえて言うと、歴史の歯車を逆転させるような方向でこの生存者叙勲が閣議決定でなされたわけです。明治八年に制定されたいわゆる旭日章、それを初めとして六種類の勲章をみなそのまま存続させて、しかも等級をそのまま認めておる。こういうところにやはり問題があろうと思うのです。こういう点については、今後は現在どおりで何らこういう点については考え直す考えは毛頭ないわけですか。検討の余地はないわけですか。世論でなかなかこういう問題についてはきびしい批判があるわけですけれども、こういう点についてお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/116
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117・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) いまの栄典制度をそのままやることは時代に逆行だという御意見でございますが、栄典制度というものを行なうか行なわないか、特に生存者の叙勲を実施するかどうかというにつきましてのいろいろの御意見もわれわれ伺っております。先ほど世論調査のお話も申し上げ、また、一部に御批判があることも知っております。しかし、やはり繰り返して同じことを申し上げますが、今日の事態におきましては、どうしてもやはり生存者叙勲を実施する段階に到達しておる。そこでその場合に、昔の旭日その他を使うのは、これこそ時代逆行じゃないかというおことばがまたありましたが、私どもの考えといたしましては、もちろん新しいいわゆる栄典制度をつくることもつの方法である。しかしながら、古くできたものであるから、それをいま使うのは時代逆行だという御意見は必ずしも同調はできません。それはやはり栄典制度というものと——新栄典制度ができますれば別でございますが、従来の栄典制度を活用しました場合に、やはり勲章の形とかその他につきましては、これはやはり伝統的な非常に国民の親しみもございますし、また、日本の民族性から考えましても、やはりこれらに対しての何と申しますか、親しみを持っていることも間違いないし、また、列国を見ても、フランスのレジョン・ドヌールのごとき勲章は、これはナポレオンの時代からある。あるいはイギリスのガーター勲章とか、これはやはり一つのそのとき民族のつくった栄典の何と申しますか、表彰と申しますか、形と申しますか、おのおのその国の伝統を保持しているということでございまして、新しい憲法が制定されてからその精神をわれわれはもちろん尊重して、その精神、新憲法の意思に基づいて合法的にやる、これはもう当然われわれがなすべきことでございますが、これがまた旧来から国民の親しみを持った、いわゆる新憲法以前のものはことごとくよくないという考え方は必ずしも私どもはとっておりません。そこで、いまのところ残っております栄典制度は、いまこれを変更しようという意思は、実は政府としては持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/117
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118・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そういう御答弁ちょっとおかしいんですが、前に申し上げたような過程で、栄典制度の法案を、その時代々々の内閣が準備してきたわけです。その過程で、私ども社会党にも働きかけがあって、ある程度それが煮詰ってきたことも事実だ。その際政府のほうでもある程度の譲歩を示して、今日実施された生存者叙勲の内容とは相当開きのあるものが法案として提出されるやに受けとめられたわけですけれども、実質上それは実現はしなかったわけですけれども、そういう過程を見ると、政府としても、これが万全のものだと考え切ったわけではないと思う。やはり相当現行のものとは違った、たとえば勲等なども、うんと種類の段階を減らして、ある程度歩み寄ったわけだ、ある程度ですよ。完全に歩み寄れば国会へ出されたわけです。それで成立しておるわけなんです。であるから、完全には歩み寄れなかったわけですけれども、そういう点から推しても、考慮の余地がないということはおかしいと思うのですがね。この点いま一度お答えいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/118
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119・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) 私は、繰り返して申し上げておりますが、歴代内閣が新栄典制度をつくりたいという考えでおったことは事実でございますし、また、それも一つの方法だと、こう私は認めます。しかし、歴代内閣はそうでございましたが、池田内閣はやはり現行の栄典制度を活用したいという方針で一貫してきておったということでございまして、したがって、いまの栄典制度を直ちに改める、変更するという意思は、いまの現段階では持っておりません。しかし、何といったって世論政治でございますから、将来どんな場合でもこれを固持するというのは、これは民主政治としては大体これは間違った考え方でございます。将来におきまして世論でどうなるかということのときは、私はこれは結果として、今日予期もできませんが、現在の段階におきましては、これを変更する意思がないということをお答えしてく次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/119
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120・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは時間の関係もございますから、最後に一点だけお伺いして私の質問を終わりますが、叙勲再開に伴う予算はどういうことになっておりますか。戦没者叙勲と生存者叙勲別にお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/120
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121・岩倉規夫
○政府委員(岩倉規夫君) 戦没者の叙勲につきましては、本年度約二十万名を対象にいたしておりまして、その経費といたしましては、賞勲部のほうに八千万円、厚生省のほうに三千万円計上してございます。それから生存者につきましては、生存者だけでございませんで、現在は死没者の叙勲それから褒賞といったようなものが同時に運用されておりますので、それらの経費明細につきましては、生存者の叙勲につきましては約三千数百万円だったと存じております。それで戦没者につきましては、さらに二百万名の分を、ほぼ五カ年計画で実施することになっておりまして、これの見込み総額ということになりますと、約四十億円かかることになっております。初年度は、勲章の在庫が百万ございますので、製造費はそれほど要しないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/121
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122・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それじゃこの叙勲の問題と国事行為について、少し私は理解できませんので総理府にお伺いしたいと思います。この勲章、従軍紀章制定の件ということで、明治八年四月十日太政官布告でこれが出てきた。これでつまり叙勲をやっておられたのですか、今回は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/122
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123・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) その太政官布告でやっておりますが、従軍記章その他は廃止になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/123
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124・山本伊三郎
○山本伊三郎君 そこで、憲法が変わったということもありますが、明治八年は憲法制定以前で、この当時は勲章、いわゆる叙勲、栄典というものは、天皇の大権に帰属しておったことで出されておったと思うのですが、それに間違いないと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/124
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125・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) 間違いありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/125
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126・山本伊三郎
○山本伊三郎君 そこで、今度出されるというのは、いまの憲法を無視して出すわけにいかない、今度出されておる、新憲法下で出されておるのは、第七条第一項第七号による「栄典を授与すること。」いわゆる天皇の国事行為として、「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。」という条章でいわれておると思いますが、それも間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/126
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127・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) 間違いありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/127
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128・山本伊三郎
○山本伊三郎君 そうすると、この前から伊藤委員あるいはその他の同僚委員から尋ねておる質問に対して、総務長官の答えることについては、どうも納得できない点があるのです。いわゆる、いま言われた明治八年四月十日の太政官布告という天皇の大権に帰属したその権限においてやられたものと、新憲法下における国事行為としてやられる場合には、私は本質的にやはり勲章というものについて別の問題があると思う。それがために、池田内閣の場合には、この勲章法ですか、あるいは叙勲法といいますか、そういう法律は出さなかったと言うけれども、歴代内閣はやはり出そうとしたのは、そういう本質的な問題から、やはりいまの憲法下において、そういう法律なりそういう制度をつくらなければ、勲章そのものについても、価値というとどうかと思いますけれども、あいまいさがあるのでつくろうという考え方があったと思う、その点の解明がないのです。ただ新しい法律、審議会なんかをつくって法律をつくるのも一つの方法であろう、しかし、前のやつを生かすのも一つの方法である、どちらも一つの方法だという考え方は、勲章、叙勲そのものに対する私はあいまいさが残ると思う。その点はやはり解明しておかないと、いわゆる天皇の国事行為として、第七条第一項第七号の「栄典を授与する」ということで与えられておるものか、それとも、前の太政官布告、天皇の大権に帰属した権限においてやられておるものか、その点どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/128
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129・高辻正巳
○政府委員(高辻正巳君) ただいま総務長官からもお話がございましたが、御指摘のとおりに、いままでの旧憲法下における憲法の条章といたしましては、旧憲法の十五条でございますが、そういう栄典を授与するという規定がございます。しこうして、御指摘のとおり、現行憲法では、第七条第一項第七号、こういうことが根拠になっておるわけでございます。それで栄典を授与するということにつきましては実は同じでございますが、新憲法下におきましては、御存じのように、内閣の助言と承認でやるということになっております。しこうしてその制度でございますが、栄典の中身の様式とか、そういうものを定めたのが御指摘の太政官布告でございますが、むろん新憲法下におきましては、新憲法下において表彰されるべき功労、国家、社会に対する功労、そういうものに対して内閣が助言と承認をもってかつてつくられた制式による勲章を授与しようということでございまして、御懸念のようなことにつきましては、いわゆる旧憲法時代と同じ根拠にに基づき同じ精神に基つきということではなくして、新憲法下における新憲法の運用としてそういう種類の栄典を授与されるわけでございますから、別に御懸念のようなことはないと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/129
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130・山本伊三郎
○山本伊三郎君 手続とかそういう前に、この基準法である勲章従軍記章制定ノ件というのは、憲法以前の天皇のいわゆる明治維新の勅諭を基礎としてこれが生まれた歴史的な関係にあるのですよ。勲章というものは新憲法では国事行為になっておるけれども、勲章授与というのはこれはもう天皇がいわゆる国民に対して授与するというのが、これが勲章の意義なんですよ。したがって、それが新憲法では国事行為としてこれをやられるのだから、ここにありますように、内閣の助言と承認によりこれは与えるということなんですよ、本質的に違うのですよ。同じ勲章の形はしておっても、大勲位、勲一等、名前は一緒でも、手続上はこれは一緒かもしれません。しかし、その勲章自体の価値という、表現は悪いかもしれませんが、内容が違う、本質が違う。だから私は、いま言っておる前のそういう様式とかそういうものをきめたものでなくして、国事行為としてやはり内閣の助言と承認によるという意味の勲章であれば、やはりそういう法律根拠がなくては勲章の意味がわからない。いま言われるように、一体この勲章は、内閣の助言と承認によって与えるということは、天皇の意思が入ってないんですよ、他の政治的な国事行為から見て、内閣がそれを助言し承認したものでなければ勲章はいまの憲法では与えられないということになるのですね。前のやつはそうじゃないでしょう、天皇自身の意思によって与えるものだ。こういう本質的に変わったものを、昔の太政官布告をそのまま引用してこのままいいのだということでは、国民が勲章に対する意義がはっきり握れないというのですよ。そこに私は問題があろうと思うのです。いままでの説明されておるような勲章は、こういうことで社会的にこういう地位を与えるものだと言われるけれども、そういうことでなくて、もっと憲法上による国事行為の勲章であるか、それとも天皇の大権に属した勲章であるか、これは一体どちらなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/130
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131・高辻正巳
○政府委員(高辻正巳君) むろん新憲法下行なうことでございますので、新憲法の七条の七号の規定によりまして天皇が授与する、天皇が授与されますが、しかし、それには内閣の助言と承認が必要です、内閣の助言と承認が。こういう特定の社会公共に功労のある方にこういう勲章を差し上げるのが適当だと認めた場合には、天皇にその助言と承認をいたしまして、それによって天皇が御授与になるということになっておるわけでございまして、あくまで内閣の助言と承認が基礎になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/131
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132・山本伊三郎
○山本伊三郎君 ぼくの言っていることわかっておると思いますがね、その勲章自体のもういわゆる手続とかそういうものでなくして、本質的に勲章の価値といいますか、その性質というものは変わってしまっておるんですね。前の勲章は天皇がじかじかに要するに国民に功労のあった者に、総理大臣であろうがだれであろうが、そういう相談なくて出せる、事実はそうでなかったかもしれませんが、憲法上はそういう権限に基づいてやられておったのですけれども、今度はそうじゃない、国事行為としてやられておる。そういう大きな変化があるのに、ただ単に前の太政官布告をそのまま利用してやるということに私は納得できないというよりも、憲法に対して忠実でないというわけですよ。先ほど総理府総務長官答弁されましたが、昔のやる方法といまのやる方法とは対象も違いますし、またいろいろそのやる方法も変わっていると思うのですね。それは勲章の本質が違うからなんです。そういうぐあいにもう本質的に変わっておるものを、前の太政官布告をそのまま私はいわば悪用と言ってもいいと思うのです。国会でそういうものを審議すると相当問題になるから、やりやすい方法でそういうものをやろうということでなくして、新しくやはり法律をつくって、この方法なりあるいはそういう叙勲の基準なりというものをきめて私はやるべきである、それが新しい憲法による国事事項としての祭典の授与というものにそぐわしいものであろうという考え方なんですが、これについて総理府総務長官どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/132
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133・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) 太政官布告のときにでき上がった勲章を今日の新憲法下でやるというようなことは、勲章の何と申しますか、価値と申しますか、いまお話のこれは実は太政官布告で一度にできたものではなく、勲章は御承知のとおり、その後も種類が新たにできたものもあります。太政官布告のときは旭日章のみございましたが、明治二十一年には追加しました。ことに今日あまり論議されていなかった文化勲章令は昭和十二年にできております。これはやはりみんなこの勲章の歴史でございます。私は天皇の大権で行なわれた栄典というものと、今日新たな憲法に基づいて内閣の責任で天皇の国事行為としてやられる場合と、その点にこの勲章に対するいろいろとその当時々々によって価値ということよりも、何と申しますか、勲章そのものに対しての気持ちと申しますか、そういうものはいろいろ各人各様でございまして、今度もやはり非常に喜んでいただいた方もあるし、また、一部に批判をされておる方もあるし、これはなかなかむずかしい問題でございますが、しかし、勲章の、旧憲法下に制定された勲章、形はそうでございますが、全然精神的にまた現実的に今度の基準を定めます場合においても基本的に変わっております。したがって、天皇の大権によって行なわれた叙勲の場合と、今度の内閣の助言と承認に基づいての天皇の国事行為として行なわれる栄典は、私はその内容におきまして実質的に相違があると思っております。ただその勲章の形ということよりも、私はやはり叙勲の対象となる基準というものが一番栄典制については大事じゃないか、こう考えております。したがって、それが古いものであるから、天皇大権時代の勲章であるということの御意見は、これはそういうお考えの方があるという点、私はかれこれ申すのではありませんが、やはり栄典はその基準というものが一番大切じゃないか。それからすべて、御承知のとおり、旧憲法ではもう天皇の大権というものは栄典のみならず、これはもういわゆる天皇の大権としてすべてのことに天皇の権威というものが行なわれておりましたが、新憲法下では天皇の地位というものが変わってまいりました。そこで、これらにつきましては、天皇の国事行為は全部内閣の責任において行なうということでございますから、私どもはできるだけ公平厳正にまた勲章、栄典制度の名称というものにやはり敬意を払うように厳正公平な態度をもって臨んでいかなければならぬということで心を戒めておったのでございますが、私は勲章の形が昔できたからということに——これはそういうお考えの方があるかもしれませんが、必ずしも憲法の精神を無視しておるとか、軽視しているというのではないのじゃないかと、こう感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/133
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134・山本伊三郎
○山本伊三郎君 ぼくが言うことを聞いておらぬで変な答弁ばかり言っておる。ぼくはそんなことをちっとも言っておらぬのですよ。勲章の形とかまたやる基準が大事である。そういうことは尋ねておらないのですよ。ぼくが言っておるのは、旧憲法以前に天皇の大権として授与されておった、いわば天皇に潜在的にある権限によって勲章というものが出されておったのですね。それが明治憲法が出て、明治旧憲法の第十五条で天皇は爵位なりそういう叙勲をするという大権に属したのですね、天皇の大権に。これは同じ思想から出ているのですからそれまではいいのですが、今度の場合は天皇の国事行為として内閣の助言と承認によるというのは、国民の代表的な、言いかえれば国会その他の民主主義を基本にしたたてまえから天皇は国事行為を行なわれる、こういう憲法に変わったのですね。したがって、そういうことでこういう勲章を出されたのであればもうその勲章は本質的に違うと、私はこう言うのです。前の勲章と形はどう変わってもこれはかまわぬのですよ。それを前の太政官布告の基準とかそういう方法をとってきてそれでいけるかどうか。無理にやったのでございますから違法といえないかもしれませんが、それでは私は勲章の価値とかそういう理解ができない。新しい国事行為として天皇が授与されるならば、新しい法律なり新しい基準を国会なり国民の前に示してそれでいわゆる基準をきめて天皇が国事行為としてやるならばいいけれども、やる憲法の根拠は第七条の国事行為でやっておいて、勲章そのものは昔のそのままの勲章だということじゃ私はならぬと思います。それはわかるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/134
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135・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) いや、私はいま申し上げましたとおり、旧憲法下にある天皇の大権のときの栄典ということと、今日新憲法下における栄典というものはやはり内容は違ってくるのだと思います。したがって、一番大事なものは基準の問題でございまして、太政官布告の当時の基準を引き続いてやっていく、こういうことになりますれば、これはつまり天皇の大権時代の授章の基準がどうか——私は天皇のお考えでございますからかれこれ申しませんが、今度政府が取り上げました叙勲のやり方は、すなわち内閣の助言と承認に基づいてやる、責任を持ってやるということで、全然新たな基準を閣議決定いたしまして、これを叙勲の基準として、これに基づいて今度の授章を実施したのでございまして、旧来の叙勲の基準というものはこの新しい基準におきましては本質的に違っております。
そこでいまの御意見でございますが、形はいまお話のとおり、昔のものいまのものということは別といたしまして、その叙勲の制度の精神と申しますか、またその実施内容と申しますか、こういうものはやはり太政官布得当時の基準をそのまま踏襲するのじゃなくて、新たな叙勲の基準を閣議で決定いたしましてこれに基づいて行なったのでございますから、必ずしも御意見のような矛盾というものはないんじゃないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/135
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136・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それじゃ本質は前の勲章とは違う。ただ大勲位とか勲一等とかそういう名前は前の名前をとったけれども、本質的に違うと、こう言われるのですね。そういう本質的に変わったものをやはり民主主義の原則からいえば、その基準というものは、民主主義の原則ですからこういう勲章を出すにはこういう基準でやるべきであるということを民主主義の原則に従って、新しい憲法の精神に従って国会にその基準を審議の対象にしないのですか、そういうあれなら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/136
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137・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) そこで、その御意見私は決して否定いたしません。それも先ほどから繰り返して申しておりますとおり、歴代内閣ではそういう考えでおやりになったんだろうと想像します。しかし、今度の池田内閣のとりました叙勲の態度というものは、これは憲法上にもありますとおり、あくまでも内閣の全責任を持ってやることである。これに基づく天皇の国事行為であるから、やはりその責任をとる内閣が栄典の精神にのっとってその栄典制度というものをできるだけりっぱにひとつこれを遂行する、これも全部内閣の責任ということに新憲法上なっておる以上は、その憲法の意思を体して、内閣がみずから基準を設定して、そのもとにおいての叙勲を実施する。これには、内閣の助言と承認に基づいて天皇の国事行為として行なわれることにするということでございまして、これはやはりおのおのそのときの内閣の考え方もありましょうし、さらにつけ加えて申しますと、これも何べんも申し上げたことでございますから新たなことじゃございませんが、戦後二万数千の叙勲をやっておる。しかも死没者に対しては歴代内閣が、新栄典法をつくるといっておられた内閣も、やはり従来の栄典制度を用いて死没者叙勲をやられ、また、歴代内閣ともに一応文化勲章というようなものもやっておられるし、皇族また外国の元首その他についても千数百の叙勲を行なっておるというようなことでございまして、これをどうしてもやるには内閣がこれを全部やはり、内閣の責任でやっておりまするから、ここに生存者叙勲を実施する場合にはできるだけ厳正に公平にやる必要があるから、内閣においてその基準を決定する必要がある。これが最も大事なことだ。こういうことで政府といたしましては、過般閣議におきまして基準を決定したわけでございます。したがって、いまのお話は最初からそんなことの必要があるとかないとかということを申し上げるのではございませんで、やはりその内閣の感度と申しますか、姿勢と申しますか、自分の責任を持ってこれを行なうという姿勢に立ちまして今般の処置に当たった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/137
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138・山本伊三郎
○山本伊三郎君 どうしても納得できないのですが、相当この問題については論議は尽くされておりますし、私は国事行為等の関係でどうしても納得ができてない。あなたが今言われたが、本質的に勲章の値打ちというものは変わっておる、ただ様式は前のやつをとっただけだ、こういうことは一歩前進した答弁だと思うんですが、しかし、一般的に考えて国民はそうはとっておらないと思う。様式は一緒だし、やはり天皇が授けるということである以上は前の勲章と国民のとり方はおそらく——あなたは文化勲章のことを言われたが、そういうもののようなとり方をしてはおらない。私が一番憂えるのは、これは伊藤委員からも質問があったとは思いますが、その勲章が天皇の国事行為としてやられるけれども、天皇の行為そのものだということで国民の中に不平が起こるというのが一番おそろしいと思うんです。これが政治的に利用された場合には、昔の天皇の大権に属しておったときには天皇が責任を全部とるのは当然でしょうけれども、そういう大権も権限もないのに、政府が一方的にそういう基準をつくってそうしてやった場合に、もらった人は喜ぶでしょう、それは栄誉があると喜ぶけれども、それに相当するほかに貢献した人もたくさん私はあると思うんです。そういう人がかってに内閣がつくってくれたのだからというので勲章の価値そのものが一体どう評価されるか。しかし、国会という民主主義のルートを通して、国会でそれが基準をきめて一つの法律でやると、みんながきめたんじゃないかということで、民主主義の原則で、いわゆる国会、国民自体の責任ということになるのですね。わかりますか。そういう反作用というものを全然考えておらない。したがって、新しいそういう法律をつくるのも方法である、昔のやつでやるのも一つの方法であるというのは、根本的に考え方が違うと思うんです。というのは、自分かってな考え方をしている。勲章を国民全部に与えてしまったら勲章の価値もなくなるかもしれないが、もらった人のほんとうの価値というものは、天皇がくれたものなら、昔なら価値があったでしょう、勲章そのものの。今度の内閣の助言と承認によってやるというのは、天皇が授与されるということになっているが、事実は内閣がやることになるでしょう、実際問題として。そういうことでは、将来勲章叙勲の栄典行政に大きな国民の中に不平が起こり、その勲章の価値そのものも私はないものになる、こういう点を私は言っているのです。その点はわかりませんか。もう一ぺんちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/138
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139・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) いや、よくお話はわかります。ただ、いま申し上げますとおり、天皇がやっておられるということに誤解されるおそれがあるという点でございますが、これはもう昨年七月の生存者叙勲の閣議決定以来相当な時間を費やしまして、それからその準備に対しましても、天皇はもとより営内庁その他のなににも御相談することはありませんで、繰り返し申し上げますが、内閣だけの責任でやったわけでございます。そこで、いろいろ内閣のやったことにつきましての御批判は、これは私は何をやりますにもいろいろ御批判はあると思います。しかし、天皇が旧憲法の大権でやっておられた、そういう当時の印象といいますか、そういう大権時代の勲章のときの考え方と申しますか、私は国民はやはりその準備期間その他内閣の声明、総理の談話、いろいろなことをやりまして、私は天皇が直接おやりになっているんだという誤解はもうなくなっていやしないか、そこでその御批判があるとすれば、もちろん天皇に批判は出ることはない。内閣のやり方に対する批判は、それはいろいろの問題、必ずしも叙勲だけの問題でなくていろいろありますから、これは私は議論の中に出てくるものがあるということはわかりますが、そういう内閣のやり方につきまして、天皇御自身に対して影響を及ぼすというようなことは、大権時代の天皇の叙勲、栄典制度をやっておられたときと、今度の内閣でやりますことにつきましては、大体国民は手続、それから方法、手段、内容等は最後は内閣でやっておるんだということは理解しておられるんじゃないかとこう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/139
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140・山本伊三郎
○山本伊三郎君 要らぬことを言うからまた言わなければならぬ。そうすると、今度の勲章は総理大臣が出したということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/140
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141・高辻正巳
○政府委員(高辻正巳君) ただいま総務長官が仰せになりましたのは、手続を中心にして仰せになったわけでございますが、言うまでもなく、憲法の第七条の第七号の「栄典を授与すること。」というのは、天皇の国事行為であるわけでございます。したがって、天皇の国事行為にもいろいろな種類がございますが、天皇が栄典を授与するという御行為をされるについて、その一種の実行的な決定をするのが内閣であろう。内閣が助言と承認をいたしますと、天皇はそれに従って国事行為を行なわせられる、こういうわけであることはご存知のとおりと思います。
そこで実は、先ほど来のいろいろお話がございました関連について若干補足をさしていただきますが、勲章というものが、旧憲法下における勲章と新憲法下における勲章と変わったんではないか、これはまさに新憲法のもとでは、国政の権威は国民に由来するということは御承知のとおりに憲法の前文に書いてございます。旧憲法のもとにおきましては、これは言うまでもなく天皇に由来しているという意味合いにおきまして、栄典を授与することも国政の一つでございますが、そういう意味合いにおきまして由来の基本といいますか、根底と申しますか、そういうものが変わっていることは確かだと思いますが、勲章の価値そのものが明治憲法の時代の勲章と、それからいまの勲章と比べて価値がどっちが高かった、低かったということはこの際あまり問題にならなくて、総務長官が言われますように、その基準が大事であると仰せられますのは、実は価値の内容といいますか、そういう面において強調されたことであると思いますし、また、それはそのとおりだと思います。これをついでにはなはだ恐縮でございますが、申し上げさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/141
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142・山本伊三郎
○山本伊三郎君 じゃ総務長官と食い違っておるじゃないですか。国事行為としてやはり天皇が栄典を授与することで勲章をやられるでしょう。そうすれば天皇の国事行為としてやられるのに、一つも天皇を批判されることはない——国事行為としてやられるとしても一つの行為としてやられる以上は、叙勲そのものが不公平であった場合には、やはり天皇の国事行為のあやまちとなるんじゃないですか。内閣の助言と承認というものはあるけれども、いわゆるその助言と承認というものが間違っておったから内閣が悪いというふうには考えられない、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/142
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143・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) いや、私は前にしばしば申し上げておるから御了承願っておると思ってお答え申し上げたのですが、この国事行為は天皇の国事行為であります。それはそのとおりであります。新憲法の国事行為というものの責任は全部内閣の責任でやる、こういうのが憲法七条で明記されております。また、そのとおりのことをやっております。したがって、その責任はどこが負うのかといえば、内閣の責任において天皇に助言と承認を与えて、そして天皇の国事行為になっておりますからその基本的な責任というのは、いま申し上げますとおり、憲法七条によりまして内閣が全責任を負っておる。こういう意味だから、この問題の責任問題になってまいりますと、やはり内閣で責任を負うべきだと、こう私は思って、そういうつもりでお答えしたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/143
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144・山本伊三郎
○山本伊三郎君 まだ言えば幾らもありますが、この前から象徴天皇の問題からいろいろ論争といいますか、質問したのですが、憲法第七条の国事行為の中で、国会を経由せずにやれるというのは第七と第六ですか、大赦の問題があると思いますが、外国使臣を接受するということもありますが、これは儀礼的な問題です。本質的にそういう三つくらいだと私は見ているのですが、栄典を授与するという国事行為が私はいまの民主憲法のもとに国会を通じてその基準をきめることについては私は間違いでないと思う。その理由は先ほど申しました。というのは、内閣が責任を持つというけれども、その内閣が責任を持つということは、政治に利用されることもあるので、したがって、国事行為として厳粛にやらなければならない。そのためにやはり国会を通じて一つの基準をきめるのだ、法律できめるべきであるということを私は主張をしているのです。総理府総務長官は、池田内閣はそういうことはしない。厳粛にこれをやるのだから間違いないと言われるけれども、厳粛にやつたって、やはり内閣の主観でやるのですから、聞違ったらいけない。それと私は勲章の値打ちが、やはり国民が——全部基準をきめてやってくれるならいいけれども、天皇の国事行為として内閣が責任を持ってやるのであって、不平を起こした場合、勲章というものの価値、国民の間にその価値が非常に問題になり、ほとんどそんな価値を考えないという向きも出てくる。そういう点で社会党は法律によって基準をきめるべきであるということを主張してきておったのです。それを強引に池田内閣は基準をかってに前の勲章あるいは従軍記章ですか、太政官布告にのっとってやったということですが、私はそういうことでは勲章の値打ちというものはないと思う。やはり勲章は新しい民主憲法によって、国会がその基準をきめ、そうして天皇の国事行為としてやるべきである。一内閣がその専断で基準をきめるべきでない。これが私らの主張なんです。これが将来どういう情勢になるか知りませんが、私はあの勲章を初めて生存者に戦後出されましたが、今後そういう問題が私は起ってくるということを予言しておきます。今日でもあれが発表されたときに、それはあなたのほうはいいことばかり聞いておりますけれども、自分かってに自分でやるということは、これはどれほど厳正にやられてもそういう批判が起こるのです。総務長官。そのよりどころをどこに求めるかということになれば、旧憲法であれば天皇の大権、新憲法であればいわゆる国会、この二つしかない。国権の最高機関として旧憲法では天皇です。新憲法では国会なんです。このルールを無視して栄典をやられても国民は納得するわけがない。それはなるほど内閣も厳粛にいろいろ選定し、基準をきめられて選定されたと思います。私はそういうこともやっておられると思いますけれども、国民の受け取り方というものはそういうものではない。あらゆる時代でも国権の最高機関を通さずにそういう栄典を実質的に与えた時代はないと私は思う。あったら知らせてもらいたいと思う。ないです。旧憲法時代は天皇の大権で国の統治権を持つ天皇が出している、新しい憲法ではやはりたとえば前にそういう文化勲章とかなんとか例はありましたけれども、そういうものもやはり国会の議決によってやるべきである、こういうわれわれの主張が妥当であるかどうかは今後が示すことでありますが、もし意見があれば聞いておきたい。私の質問はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/144
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145・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) ただいまの山本さんの御忠告はよく拝聴いたしました。私は決して御意見に反対を言うものではございません。ただ繰り返して申し上げますのは、やはり内閣の助言と承認によって天皇の国事行為でありますから、内閣が全責任を持って今回の生存者叙勲をやりましたということを申し述べたにすぎないのであります。
ただ基準の問題でございますが、これは御参考に申しますが、過去出ました法律案を見ましても——これは新しい栄典制度ということでございまして、法律でもってこの国会で基準をきめるという内容はなかったように存じております。しかし、これも御意見でございまして、従来いろいろ出しました、これは池田内閣以外でございますが、歴代内閣の法案の中にも基準は内閣できめる、あるいは先ほどお話の出ました審議会等できめるとか、いろいろな考え方がございまして、しかし、それはもう別に何もそれがあるからどうこうというのではございません。ただいまの御忠告といいますか、そうい点は十分私拝聴いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/145
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146・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いまの山本さんと長官の話を聞いておりましたけれども、これは長官いかにも官僚内閣にふさわしいやり方をやったものだと私は思う。何とも残念です。これはやはり山本さんも主張されたように法律でやるべきです。何か役人らしいやり方でやってまことに残念です。
立ったついでにお尋ねをしたいのですが、池田厚子、鷹司和子、島津貴子、その三人の人に勲一等を出したというのはどういうことですか。これは私は新聞で見たんですから新聞で見てみてありや、これはどういうわけで一等を出したのかと思って疑問に思ったのですが、その理由を聞きたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/146
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147・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) いまお尋ねのとおり、生存者叙勲の第一回実施にあたりまして、内親王一人と元内親王三名に勲一等の勲章授与を行ないました。これが授与されました内親王は、現に皇族でございますので、これはもう基準にも示してありますとおり、皇族として取り扱う、これは戦後のずっと先例ですが、元内親王三名はすでに婚姻によって皇族の身分を離れておるのでありますが、外国からの賓客、国賓というものが、待遇その他各種の儀礼等がございまして、どうしても儀礼上元皇族という方に差し上げるのが妥当だと、したがって、先例によりまして皇族には勲章を差し上げることになっておりますから、ちょうど御結婚前に差し上げることができなかったというので、基準の決定にあたりましても、皇族等に対する勲章の授与は、従前の例として統一するというたてまえでございまして、当然差し上げなければならなかったのが差し上げてなかった。こういうことで基準に示してあります従来の例によりまして、今回、元三内親王並びに現内親王に差し上げたと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/147
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148・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 基準の中の最後のところに、「皇族」、「に対する勲章の授与は従前の例による。」となっていますが、いまのお話しの、三笠宮の内親王、(やす)子さんとおっしゃいますかね、その方に出されたのは、皇族だからわかりますが、貴子さんなり和子さんなんという方は皇族じゃないわけですね。皇族じゃないのに何かつり合い上、儀礼上というお話ですが、勲章というのは、そんな妙なものですか。まことに奇々怪々ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/148
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149・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) 皇族に差し上げるという例は、そういう、いろいろな国際的関係その他があるということを勘案しまして、前から皇族には勲章を差し上げるということになっております。したがって、皇太子また皇太子の妃殿下とか、そういう皇族の方には差し上げるということで、義宮も、御成年式があってすぐ勲章を差し上げてあります。そこで、今度の内親王三方は、御承知のとおり、天皇の第三、第四、第五女子でありまして、元内親王でありましたが、このお三方が満二十年に達せられたのは、戦後の、生存者斜勲の停止中でありまして、当然これは先例によりまして叙勲すべきものでありましたが、当時、叙勲が行なわれなかったのでおります。そこで当時、当然やるべきことが行なわれてなかったので、今回一緒に差し上げたと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/149
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150・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 そういうばかげたへ理屈を並べられたらかなわないですね。皇族じゃないでしょう。いま、皇族じゃない人に差し上げなければならぬと、いまおっしゃるように、皇族であれば基準もあることですから、その基準によればいいんですけれども、皇族じゃないでしょう。皇族じゃないのに、なぜ出されるのですか。何か儀礼上となりますと、池田さんの御主人も、鷹司さんも、勘津さんも上げなければいかぬでしょう。やめればいいんです。おかしいですよ。どういうことですか、それは。何か便宜主義ですね、そうすると。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/150
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151・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) いや、この三皇女は、皇族の例によりまして、当然差し上げるべきであったのに差し上げなかったのですから、当時、皇族のときにすでに差し上げるべきものを差し上げなかったので、今回の生存者叙勲の第一回の実施にあたりまして、御一緒に差し上げようと、こういうことでございます。現在は皇族ではございませんが、当時、皇族としてのお三方に対しては、差し上げるべきものを差し上げてなかったと、こういうことで、第一回の生存者叙勲に際しまして差し上げたと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/151
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152・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 それは理屈にならないじゃないですか、いま皇族じゃないでしょう、それは平等ですよ。それは前、差し上げなかったという、いまの政府の立場からいえばそれはまずいことでしょう。まずいことでしょうけれども、やっぱり国民の一人になっておられれば皇族じゃないのだから、差し上げるべきものであったから差し上げるのだという話は、それはわけのわからぬ話で、いま皇族じゃないのですよ、おかしいですよ。皇族じゃないでしょうが——ない者をなぜ出すのですか、理屈に合わないですよ。これは納得できてないですよ。政府の立場に立っても納得できない。あなたのようなお考えでありますと、今度は池田さんの御主人も、それから貴子さんの御主人——島津さんもやっぱり勲一等上げるようになるのじゃないですか。それはだから政府としては、皇族じゃないのだから、やっぱりそういうものとして取り扱ってもらわないと困るのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/152
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153・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) いまのお話の鷹司さん、島津さん、これはもう別に皇族の方が民間に行かれたというのじゃございませんから、関係はございません。だから差し上げる必要はございません。ただ当然第三、第四、第五の皇女は当時差し上げるべきものであったのが差し上げるのがおくれておった。そこで今回、第一回の生存者叙勲にあたって差し上げようと、こういうことでございまして、その貴子さんの御主人とか、一般のところに結婚なさった方の御霊人とか、こういうものはもう全然叙勲の対象にならないのでございますから、他にもちろん国家公共にでもお尽くしになれば別でございますけれども、皇族という関係からは全然切り離してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/153
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154・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 差し上げなかったというのは、差し上げることができなかったのでしょうが。いま今度こういう基準をつくられたから差し上げることができるようになったのだ。しかし、皇族じゃないのですよ。差し上げることができなかったということは、差し上げることができなかったのだ。今度は差し上げることになったのだけれども、そのときは皇族じゃないわけですよ。皇族じゃないのに、何でやるのですか。わからないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/154
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155・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) いや、政府としては、そういう、差し上げるべきものが、差し上げられなかったということで今度差し上げたのでございますから、他に何らの意思は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/155
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156・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いや、差し上げるべきものが差し上げられなかったという、そんな言い方おかしいじゃないですか。差し上げるべきものを差し上げなかった、そんな言い方ありますか。できなかったのでしょうが、その間は。差し上げるべきものではなかったのですよ。そういう古い頭を持っているから困るのだ。差し上げるべきものを差し上げなかったなんていう言い方はありますか。差し上げることができなかった、差し上げられなかった、差し上げるべきものではなかった、だから差し上げなかったのですよ。今度は差し上げることになったのだ、そのときは皇族じゃないのですよ。そんなあなたいいかげんな話じゃだめですよ。この法案、上げられぬ。宮内庁にまことに申しわけないのですが、そんな答弁じゃ了解できない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/156
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157・山本伊三郎
○山本伊三郎君 総務長官の答弁聞いておると、おとなしい話し方をされますが、いままで、池田さんの御主人にはそういうもの上げませんとか、非常に主観が多いのですよ、内閣の。それは失礼ですよ。そういうことをだれがきめるかということですよ。これは上げられませんとか。だから私はそういうことがあるからいま鶴園委員は例を引かれましたが、私はそういうことを言わなかった。何もそれだけじゃなかったのです。ほかに納得できないものがたくさんあるのです。内閣がかってにやったからでしょう。そういうものがあるから、法律をつくらなくてもできる一つの方法だといわれるけれども、やはり叙勲という、栄典というものは、そういうルールを通ってきたほうが国民は納得するということを言ったのですが、いま言われてもあなたの主観でいやそれはやれないとか、やれなかったとか、きわめて僣越な答弁だと思いますよ。だれがきめるのですか。あなたがきめるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/157
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158・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) いまお尋ねのときは、皇族の方が結婚しておられるお相手の方のことでしたから、皇族関係として考えられないことでございますから、私といたしましても先ほどつけ加えましたが、そのほうが国家のためにお尽くしになったということは別の基準でございまして、皇族関係としてはそういう基準はございません。だから皇族の方と結婚されたからすぐ勲章だということはあり得ないと基準から私は申し上げたので、私の主観ではございません。
それから今度の御三方の叙勲につきましては、やはりかつて天皇の第三、第四、第五の皇女として常に皇室の方と行動をともにしていろいろの儀礼に加わっておられました。だからいわゆる皇族に準じて勲章の授与を行なうのが必要であるとこう考えたのでございまして、したがって、今回の元三内親王につきましては皇族に準ずる者としてすべての行動を皇族と御一緒にやっておられる、こういうことからして、皇族に準ずるいう立場から考えまして今回の叙勲をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/158
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159・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 わからぬ、そういう話は。準ずる、準ずる、何でも準ずる、因りますよ。そんなものないですよ。差し上げるべきものを差し上げなかったなんていう考え方もおかしいし、今度は皇族に準ずるようになったから、皇族ではないけれども出したと、またおかしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/159
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160・高辻正巳
○政府委員(高辻正巳君) ちょっとお話の間にありました件につきまして、御参考になるかと思いまして若干総務長官のお話をつけ加えさしていただきますが、差し上げるべきであったものを差し上げなかったと、それはそんなはずはないと、差し上げられなかったのだというふうに仰せになったわけでございますが、これはまあつらつら考えてみますると、要するに、栄典と申しますものは、実は戦後といえども新憲法施行後におきましても、実はちょうど現在その機会に到来しておりまするように、その際に内閣が助言と承認をして生存者叙勲をすることも、これは法的に申し上げて恐縮でございますが、これは可能であったわけでございます。したがって、いまその措置をとりつつある、それについては政策的な当否の問題としていろいろ御批判もあるわけでございますが、実は当時終戦後から生存者叙勲というものを停止しておったと、つまり助言と承認をしなかったという一般的なたてまえをとりましたために、実はしておらなかったわけでございます。その際にそれぞれただいま御指摘があります皆さま方も、実は天皇の皇女としてまあ当時の取り扱いになっておりましたが、それまでの取り扱いがどうなっておりましたか、私詳しいこと存じませんが、かりに満二十歳になるというときにお出しになるというたてまえであったとすれば、その際に実は今回差し上げた勲章が差し上げられるはずであったわけでございます。で、今度の叙勲再開ということばは悪うございますが、再開ということにつきましては今後における新たなる国家公共に対する功労者に対する叙勲の基準でもありますし、また、従来その間におけるいろいろな功労を遂げられた方々に対する叙勲の基準でもあるわけであります。したがって、差し上げるべくして、と申しますのは助言と承認というものを停止していなかったらやれたはずのもの、差し上げることができなかったものというよりも差し上げることをしなかった場合でございますので、それをいま振り返ってみて差し上げることにしたというのが総務長官の御説明でございます。で、なぜそういうことをしたかと言えば、それは天皇の皇女であられ、当時の基準に照らして言えば内親王であられるころに勲章を授与されるべきものであった、その勲章を今回差し上げることにしたのだ、こういう意味でございますので、念のために申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/160
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161・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 わからぬな、そういう話は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/161
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162・伊藤顕道
○伊藤顕道君 先ほどの総務長官にお伺いしたことで、公平厳正を期して授与する、これはまあ内閣の主管で公平厳正をあくまで期すと言っても、やはりこれを客観的に見ると、どうしてもあやまちをおかす。だからいわゆる民主的な手続によって、すなわちたとえば栄典制度審議会——これはたしか鳩山内閣のときに栄典制度審議会を設けて、その答申に基づいて法案を国会に出した。こういう民主的な手続を経ることによってこういう問題はそれこそ公平妥当に解決されるわけだ。そういうところにも誤謬があろうと思う。したがって、どうも苦しい筋の通らない答弁が繰り返されているわけです。これはどなたが聞いても納得できませんよ。やはり筋の通った結論を得るためには民主的ないわゆる手続が必要だ。そういう点から私どもはずっとそういう点を重点として追求してきたはずだ。先ほどの御答弁ではどなたがどう聞いてもどうも納得しがたいですよ。それでそういう説明でわれわれを納得させ得ると確信をお持ちですか。これはどうにも納得できない。もう現実にわれわれは一人、二人の問題じゃない、これは。国民にこういうことを発表してもこれは納得できないところだ。こういうところはやはり筋を通して御説明いただきたいと思う。納得できませんよ、そういうことでは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/162
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163・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) 先ほども申しましたとおり、政府といたしましては、いわゆる厳正に公平にこの栄典制度の実施に当たりたいと考えております。もとよりこれも申し上げましたとおり、やり方につきましていろいろ御批判があるということにつきましては、十分私どももその趣旨を拝聴して考えることは必要だということは、私は繰り返し申し上げております。ただいまのかつての皇族、現在では皇族じゃないじゃないかというお話でございますが、ただいま法制局次長から申しましたとおり、当然成年に達せられた場合は皇族には叙勲するという例になっております。それが三元内親王はそれができなかったということで、今回当然その当時差し上げるべきものができなかったので、今回の叙勲の開始にあたりまして差し上げたということでございまして、これらはやはり皇族関係のは先例に基づいてやるという方針でございますので、この処置をとった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/163
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164・伊藤顕道
○伊藤顕道君 その叙勲基準の要綱で三の(イ)、この点をいま鶴園委員が追求しているわけですが、これは明確に「皇族、外国の君主、大統領、外交使節等に対する勲章の授与は従前の例による。」、だから皇族について従前の例による。これはその可否は別として、これは合法だと思う。これにちゃんと出ている。だから皇族については問題ないわけです。元皇族で臣籍に降嫁された方は現在皇族でないわけです。その点が問題だと言っておるわけです。その点に少しも触れない。そのことを解明していただかなければ御答弁にならぬし、元皇族とか、そういう項があれば、内容の可否は別として、それは一応基準として差し上げたのだから、これはまあ合法になるわけですが、ここにないでしょう、そういう元皇族とか、そういう項目が。この基準を離れて実施するということになれば、この基準は必要がなくなるわけです。少しも公平厳正ではない扱いになるじゃないですか。だから、このことを解明していただかないと答弁にはならぬ。この点よくわかるように説明していただきたい。いままでの説明ではさっぱりわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/164
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165・高辻正巳
○政府委員(高辻正巳君) どうもこの叙勲基準要綱自身は、直接には私どものほうが審査をしたりなんかした問題ではございませんけれども、大体御質問の点はわかっておりますし、むろん政府の一員といたしましては、いろいろ相談にあずかったりなんかいたしております。法制局といたしまして、実は法律案の審査とか政令案の審査とかいう形ではございません意味において法制局は関与しておりませんけれども、私はむろん政府の一員としてはいろいろ相談を受けております。その関係で申し上げますが、この叙勲基準は、いずれにいたしましても基準でありますのと、いろいろ中身をごらんいただきますと、たとえば第二の三ページの終わりのほうには、「公共事業、保健衛生等の各分野において」とか、まあとにかくすべてのものが、各分野とか、あるいはいまお読みいただきました「皇族、外国の君主、大統領、外交使節等」とか、ともかくもあらゆるものを、実はこの五ページの間に網羅しているようなものでございますので、一々具体の場合をすべて想定して、すべてがここに細目にわたって規定されておるわけではないことは、お察しいただけると思います。ところで、内親王でおられた方々のことでございますが、これはやはり何と申しましても、天皇のお肉親の方々でありますし、先ほども申し上げましたように、叙勲の再開というものがおくれました。そのもう少し前に、たとえばそれぞれの内親王が二十歳におなりになっているころに叙勲の再開というものがありとしますならば、これは全く明らかに叙勲をされておられた方々でございます。そういう意味で、やはり現に肉親の方でもございますし、そういう関係で、かつての三内親王に叙勲をされたということは、彼此考えあわせてみますと、それほど、いろいろお考えがありましょうけれども、そういう措置をとった一つの見方もひとつ御納得いただけるのではないかと、これはかってに思うわけでございますが、理由はいま申し上げたようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/165
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166・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 肉親であるということを否定しようとか、そういうことは、これは肉親なんで、皇族ではないということを言っているのですよ。ただ、前に当然差し上げるべきだったのが叙勲がなかった、そういうお話になりますと、国民全体ですよ。政府は叙勲をしなかった、国民全体に対して。ところが、お三人に限っては皇族のときにさかのぼってやりましょうというお話なんです。それが納得できない。やはり憲法十四条によってこれは差別をしてはならない。皇族ではないのですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/166
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167・高辻正巳
○政府委員(高辻正巳君) 仰せのとおりにいままで再開に至るまでのいろいろな事情におきまして、ある人はさかのぼり、ある人はさかのぼらないということになりますと、それは問題かもしれません。しかしながら、やはり今度の叙勲再開ということになりますと、功労ある者につきましては、いままでの功労も十分に考慮の上でむろん助言と承認がなされ、それにふさわしい勲章が授与されることになるのでありまして、実は逐次そういう運用を拡充してまいるということは、先ほど来いろいろお話があったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/167
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168・伊藤顕道
○伊藤顕道君 これは先ほどから責任者である総務長官にお伺いしているわけであります。叙勲基準要綱といかめしい項目がついておりますが、これはぼくに限らず一般国民がこれを見てうなづけるものでなければならぬわけでありますね。いまの皇族とははっきり出ておりますから、繰り返して申し上げるように問題はない。臣籍に降嫁されたお方に対する叙勲の基準はどこを見てもないわけでね。どこからも出てこないわけです。その点を御説明いただかなければこれは了解できぬ、こういうことを言っている。したがって、責任者である総務長官からこの点を御説明いただきたいと先ほどからお伺いしておる。したがって、総務長官からひとつそのことでお答えいただきたい。どこからか出てくれば別ですが、これだけの基準ですから……どこにもないわけです。基準要綱ですから、どなたが見てもわかるようにしておかなければならぬわけです。先ほど申し上げたように、民主的な手続で栄典制度審議会というようなものをつくれば、こういうことはなくなるわけです。正しく、公平に厳正にといっても、これは内閣の所管だからこういう間違いを起こすわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/168
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169・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) 先ほどからお答え申し上げておりますように、かつて皇族であられて叙勲できなかった、それから私先ほど、皇族に準じてということばを使いましたが、現在も外国の君主とか大統領というような方に対しましては、皇室が公的にこれは接待をいたします場合、または招待を受けられるとき、こういうことで絶えず今日の身分は一般の国民でございましても、仕事といたしましては、皇室と準じた同じ外国の皇室の接待とか公的な皇族でございまして、やはり国家のためには非常に重要なお仕事をいままでもおやりになっておりましたが、これからもおやりになることと思っております。それならば大体これらのお三方は今日やはり国際儀礼的にはプリンセスとして取り扱われておりますのでございまして、ただ一般の家庭にお入りになった、それだけのことでございますと、叙勲の対象としての考え方に、何かそこに乏しいものがございますが、従来もそうでありますが、現在も、将来もやはり皇室の公的な諸外国の君主、皇族等に対する接触、それから交際すべてが皇族に準じてのお仕事でございますから、従来のお仕事、また、現在、将来を考えまして今回の御三方に対しても叙勲をいたした、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/169
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170・伊藤顕道
○伊藤顕道君 私どもは元皇族の方に差し上げてはいけないとか、いいとか、そういう論議をしておるわけじゃない。この叙勲基準から元皇族の方に差し上げるべき基準がどこにあるかということを伺っているわけです。ちょっとそれは御答弁にならないわけでしょう。元皇族の方はいろいろ立場上外国の方々と交際なさる機会もありましょう、そういういろいろ観点があって、必要があるとかないとか、それは別の論議ですよ。それで私どもがお伺いしておるのは、これは国民の皆さんが見て一目りょう然わかるようないわゆる叙勲基準要綱ですから、これからこの基準を見て直ちに納得できるものでなければ相ならぬ基準ですから。ところが、元皇族という文字はどこにも見当たらない。そこのところをお伺いしておる。皇族と元皇族とは完全に違うものであることは、もう言うまでもないわけです。これから、元皇族ということは出てこない、ここのところを解明していただきたい、そういう意味です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/170
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171・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) ただいま私が申し上げましたとおり、このお三方は、一つは当然その当時差し上げるべきものが差し上げられなかったということもあるわけであります。しかし、いまの御結婚後の何と申しますか、公的なお仕事も、これはただ普通の外国の方が来られたからつき合うというのじゃなくて、公式のいろいろの皇室のお仕事に皇室に準じて天皇の皇女としていまでも公的なお仕事にしばしば携わっております。これは一面から見ますると、やはり国家のため、また、皇室のために御尽力をしていただいているという考え方にも立ちます。また、いまお三方については、普通やはり外国のお客さん方は皇族としてほとんど取り扱っております。それでたとえば極端に申しますと、元総理大臣であった、この方の功績を考えて叙勲するというような立場と大体近い考え、元皇族であって、しかも公的にお働きになった、こういうことを勘案いたしますと、基準全体から考えましても、このお三方は、やはり天皇のいろいろの行事、その他の儀礼的なものに公的に国家のためにお尽くしになっている、こういうことを総合いたしまして、今回の叙勲に対しましてお三方にやはり叙勲するのが至当だ、こう考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/171
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172・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この一項の(イ)で、こうあるわけです。「三権分立の趣旨にかんがみ、内閣総理大臣、衆参両院議長、最高裁判所長官の職にあって、成績のあった者に初めて授受される」云々とあるわけですね。したがって、元総理大臣であったことだけで叙勲の基準にはならぬ、ここは明確ですね。そういうことから推して、いまの長官の御答弁では筋通らぬじゃないですか。元総理大臣でも、必ずしも元総理大臣であったそのこと即叙勲の基準にはならぬでしょう。ここにはっきり出ておる。成績のあった者に初めて授与する、こうなっておりますね、それじゃ説明にならぬでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/172
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173・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) お話のとおり、元総理大臣であっても、なっただけでは叙勲の対象になりません、仰せのとおりでございます。功績がなければいかぬ。そこで元三内親王は、元皇族であったのと同時に、公的に天皇御一家を助けて従来もお尽くしになったし、現在もそうであるし、将来も当然そういうような、つまり公的の場合に皇室をお助けになって、そうして国家のためにお尽くし願う、こういうことでございますから、私どもやはり功績があったと、こう認めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/173
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174・山本伊三郎
○山本伊三郎君 答弁される一つ一つ、変わってきている、だれかにメモをもらってやっておられるから。それはいいのですが、われわれが言っているのは、こういう問題はいま限りじゃないですよ。皇室の問題から、そういう元皇族の問題、話が出ましたが……。したがって、私が言っておるのは、やはり内閣独自の考え方でそういう基準なんかをつくるということに問題がある。事、栄典というような国事行為に関係するものは、やはり国民の代表である国会で民主主義のルールを通すべきであるという主張がそこにあるのです。私は御三方に対する叙勲がいいとか悪いとか、そんなことをいま論じているのじゃないし、そういうわれわれの理解のできないことがあると思うのです。叙勲の場合、これは内閣という人間が叙勲するのですから、それはいい人と悪い人とより分けるときには問題があります。しかし、あっても国家のルールを通した法律、あるいはその他のそういう方法でやっておけば、一応社会党が反対するかどうか別として、国会のルールを通しておれば、これはわれわれがきめたものであるということがどこでも主張できるのですよ。それがないからこういう問題が提起されておるのです。まあ苦しい総務長官の答弁はよくわかります。それは答弁ははっきりできないです。それはとことん突っ込んでいけば、私はもうそれは答弁にならぬと思うのです。というのは、もう簡単な考え方でそれは選ばれておると思う。また、それはそれでいいと思います。しかし、もともとの基準というものは、かってにつくられたからこれは異議がある。これだけではなく、ほかにあるけれども、そういうことは言いません。したがって、私は先ほどから私もあるいは伊藤、鶴園委員も言われましたが、やはりいまはそういう内閣独自でああいう基準をきめたけれども、今後はやはり国民の代表である国会を通した一つの基準というものが、基準はつくらなくてもそういう審議会なり、法律を前提としたものをやっぱりつくるべきであるという考え方に変えていくならばいいですよ。どこまでもこれでいくのだと言われれば、われわれは徹底的に今後も叙勲があるたびに、叙勲のことですから、本人を傷つけてもいけないから言わないですけれども、いろいろ問題はありますよ。われわれが言うだけではない。一般国民はどう考えておりますか。吉田元総理大臣は長年総理大臣をやって功績はいろいろあったと思いますが、個人的に言えば大勲位はいいと思うけれども、かってにやったらあれは池田さんの先生だからやったと、こう言われる。それをどこで防ぐか勲章の値打ちがない。国事行為である栄典行為の値打ちが全然なくなってしまう。そういうことであってはいかぬので、われわれは口をすっぱくして言っているのです。皆さん方はいや違法でないからと、こう言う。違法とか違法でないとか、憲法違反だとか、そういうことではないのですよ。国民はどう思うか、これをよく考えるべきだと思うのです。文化勲章なんかは、だから一つも問題はないでしょう。国会を通じたものであるならば、だから全然問題はない。それを政府はどう考えているかということを聞いているのだが、全然それには答えていない。たまたま三方の叙勲の問題でこうなったけれども、これはわれわれとしてはいろいろ問題はありますが、この取り扱いについては、理事にまかせますけれども、その点、総理府総務長官はどう考えているのか。あくまでも、これは政府、内閣の責任であり、絶対にこれは行き過ぎ、間違いがないと、こう言い切られるか。もう一ぺんお聞きしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/174
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175・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) 私も繰り返してお答えいたしております。
それは今回の叙勲にあたりましては、これは内閣の責任をもってやりました。したがって、政府といたしましては、厳正に、公平に最善を尽くしてやったつもりでおりましたが、先ほど私もしばしば申し上げましたように、当然——当然でありません、いろいろ御批判もあるということも知っておる。私もよく存じております。したがって、今回の叙勲が合法か非合法かということに対しましては、私は合法だと、こうお答えをいたしております。そうして、将来において、先ほどいろいろと御注意もございましたし、私もお答えしておりまして、最善と思ってやりましても、やはりいまお話のとおり、人間がやることでございますから、いろいろまたそこに欠陥があらわれてきたり、また、反省すべきものが出てくれば、当然考えなくてはならないというお答えは先ほどもいたしておりました。私はこの後に、こうやったからいつまでもこれが一番いいんだという考え方は、全然ない。これは人間がやることでございますから、そういうことを言い切れるものではございません。しかし、今回の叙勲に対しましては、私どもは、いわゆる内閣の全責任でやりました。したがって、いま違法性のお話がございましたが、私どもは合法的にやったと認めておりますし、また、これに対しては非常に慎重に取り扱ってやったのでございます。しかし、将来におきまして、いろいろ欠陥が出たり、いろいろの御批判が出た場合には、何もそれが最善だと、こう思うことにつきましてはわれわれはたんかいにそれを受け入れて考えるべきが当然じゃないか。私はいまそういう心境にあります。私は最初から何回もそうお答えを申し上げております、一貫して。私は、将来において、いろいろこれが欠陥があり、ここで考えなければならないという段階に参りますれば、何もこんなことを固執する必要はないことでございまして、今回のやったことについてのお尋ねでございますから、今度私どもは非常に真剣にやりましたというお答えをしておる。将来につきましては、私自身の考えといたしましては、そのほうがいいということになれば、私自身の考えといたしましては、それを取り上げるにやぶさかではないという気持ちは、前からお答えいたしておりますが、いまでもその心境で私はおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/175
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176・伊藤顕道
○伊藤顕道君 先ほどの一の(イ)ですね、「総理大臣」、これについて「成績のあった者に初めて」云々の項をお伺いしたわけですが、今度は第一の(ロ)ですね。「国会議員については、新憲法下、国権の最高機関構成者たる建前から、勲四等瑞宝章以上とする。」前の総理大臣については、成績のあった者に初めて授与する、国会議員については、国会議員であっただけの理由でという意味になるのですね。「国会議員については、新憲法下、」云々で「勲四等瑞宝章以上とする。」こういうふうに……、これだけをお伺いしているわけじゃない。たとえばこういうふうに問題が非常に多いわけですね。先ほどの皇族の項についても同様、そこでこれはきわめて不統一なものがあるので、今後たとえば栄典審議会というようなものを設けて、いわゆる民主的な手続を経て、この叙勲の基準については十分再検討する要があろうと思う。そういうお考えはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/176
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177・野田武夫
○政府委員(野田武夫君) いまの国会議員につきましても、これはみんな一貫して大体成績のあった者でございます。したがって、これを今度叙勲を国会議員にいたします場合におきましても、すぐに国会議員になったらという叙勲は起こらないだろうと思います。しかし、これは今後のことですからきょうどういうふうにしてやるかということは、これから基準に基づいて検討しなければならぬと思っております。
それからいまの審議会の問題でございますが、私は先ほどもお答えいたしたのですが、また先ほど伊藤さんにもちょっと触れておきましたが、審議会をつくるか何をつくるかいうことは、今日の場合私ははっきり明言はできませんが、やはりいままでのやり方について政府は非常に真剣に取り組んでやっておりますが、どうしても欠陥があって不十分だと和なりました場合は、これはいろいろ政府といたしましても考慮するのは当然だ。私自身は前々からこの委員会で御質問を受けておりまして、自分自身ではそういう感じ方を持っております。しかし、いま私が政府を代表して直ちに審議会をつくりますとか、どういう機構をつくりますということは、これは私の立場としては、ここでお答えすることはできません。私個人の気持ちは、非常に欠陥があるとか、あるいはいろいろ批判があるとすれば、これはもう真摯な立場に立ちまして、やはりそれらについて十分考慮すべきだ、これは一貫してそういう感じを曲げておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/177
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178・伊藤顕道
○伊藤顕道君 前とだいぶ答弁の内容は変わってきたわけですけれども、そこでお伺いしたいのは、何も栄典審議会という名前に私は固執しているわけじゃない。名称は何でもいいが、要は民主的な手続によってこの基準要綱については問題も多いので再検討する用意があるか、それくらいの決意表明がなければ、なかなかもってこの法案は通しがたいと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/178
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179・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/179
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180・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 速記をつけてください。
他に御質疑はございませんか。——他に御発言もなければ、本案の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
別に御発言もないようでございますから、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
国事行為の臨時代行に関する法律案を問題に供します。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03019640512/180
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181・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願います。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時散会
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