1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月二十六日(火曜日)
午前十時四十九分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 三木與吉郎君
理事
石原幹市郎君
下村 定君
伊藤 顕道君
委員
源田 実君
小柳 牧衞君
塩見 俊二君
林田 正治君
村山 道雄君
千葉 信君
松本治一郎君
鬼木 勝利君
向井 長年君
国務大臣
労 働 大 臣 大橋 武夫君
自 治 大 臣 赤澤 正道君
政府委員
労働大臣官房長 和田 勝美君
労働省労働基準
局長 村上 茂利君
労働省職業安定
局長 有馬 元治君
労働省職業安定
局失業対策部長 住 榮作君
労働省職業訓練
局長 松永 正男君
自治大臣官房長 松島 五郎君
自治省財政局長 柴田 護君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
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本日の会議に付した案件
○自治省設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○労働省設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/0
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001・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) これより内閣委員会を開会いたします。
自治省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に続き、これより質疑を行ないます。
政府側から、赤澤自治大臣、松島官房長、柴田財政局長、皆川総務課長、近藤公営企業課長が出席いたしております。
御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/1
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002・伊藤顕道
○伊藤顕道君 本法案に対して、二、三大臣を中心に質問をいたしたいと思います。
まず、この提案の説明によりますと、今度地方公営企業制度調査会を設置するということであるので、まずもってこの制度調査会を中心にお伺いしたいと思います。
この調査会を設置して、地方公営企業に関する重要事項を審議調査するということでございますが、まずお伺いしたいのは、この重要事項というのは一体具体的にはどういうことですか。それとまた、政府が調査会に諮問しようとする事項というのは具体的にはどのようなことなのか。その要点だけをまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/2
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003・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 御案内のとおりに、公営企業が連年巨額の赤字を出して、これが地方行財政に非常に暗い影を投げかけております。この状態を続けましても、いつこれが収支が均衡できるというめどもございませんし、また、こういう状態におきますれば、利用する人にも、またそこで働いておる人たちにもお気の毒である。やはりこういった問題すべてを根底から検討して、そうして公営企業なるもののあるべき姿について第三者に十分検討していただくということでございまして、重要事項は何々であるかということをここで一々拾って申し上げるよりは、そういう根底から再検討するのだということでお考え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/3
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004・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この地方公営企業の経営状況を見ますると、特にここ数年来、交通、病院、上下水道、いずれの面でも経営難にあえいでいると、いま御説明がございましたが、そこでこの公営企業のあり方については、もう、とうに十分に検討されなければならなかった問題であったと思うのです。最近になってようやく起きた問題ではなかろうと思うのです。前から問題になっておったわけです。そこでいまこの制度調査会をつくるということについては問題がないわけですけれども、この制度調査会というのは、もっと早く設置されてしかるべきであったと思うのです。こういうような点から言うと、なぜもっと、今日までほうっておかないで、早急に制度調査会をつくって根本的な調査研究をやられなかったのですか。いままでそういう観点から言うと、怠慢のそしりは免れないということは言い得ると思う。この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/4
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005・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 全く御指摘のとおりでございまして、私といたしましては、一言半句これに対して弁解の余地はございません。ですから、私どもいまの自治省担当の国務大臣になりましてから、私この問題に直面いたしまして、どうもおそ過ぎたなと言ったんですけれども、しかし、そういうことでは解決になりませんので、やはりいまからでも間に合うように一刻も早く結論を出さなければならぬという考え方でおる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/5
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006・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いまから二ヵ年の期限で調査研究を進めるということであるわけですけれども、この公営企業の問題点については私どもから見ると、すっかり問題点については明確になっておるのではなかろうかと思う。ただあとは実行あるのみ、こういうように私どもとしては考えておるわけなんです。この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/6
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007・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) なかなか、これはどういう御名案をおっしゃるかもわかりませんけれども、ただ現在出ておる赤字をどう処理するかということだったら、数字はもう出ておるわけですけれども、しかし、将来にわたってこういう状態を続けていくということはいけないという判断で、私は前向きの何らかの解決をしたい、こう考えてそのことをはかるわけでございます。公営企業もいまおあげになりましたとおりにたくさんの種類があります。しかし、中心はいま都市交通が中心になっておるわけでございますが、しかしながら、中には、地方財政が窮乏しているので、一つの事業をやってそれでこの自治体の財政をまかなうのだというような考え方で始めている事業もありますし、いろいろあります。ですから私どもといたしましては、やはり地方公共団体の行政の一環として行なう公営企業というものは一体どういうものに区切るべきであるかということ、あるいはその場合の経営形体、また民間との関係、いろいろなことを勘案しているわけでございますが、そういった意味では、なかなか役所の判断だけでは私どもはまずいと考えますので、広く第三者の優秀な人たちの意見を承らなければならないという意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/7
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008・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いまから二ヵ年の期限で制度調査会を設置するという、これは一面けっこうのようですが、ことばをかえて言うと、この問題の解決を二年先に見送るということにも解釈できるわけですね。そうして当面の合理化が促進されて、人員整理がこれに伴って強化されるという、こういう危惧の念を持たざるを得ないわけですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/8
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009・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 一応期限は二ヵ年としておりますけれども、前大臣も、早めて一年くらいで結論を得るようにしたいと申したそうでございますが、私といたしましては、先ほど申し上げました心境からいたしまして、もっと早くどういう方向でこの公営企業というものを考え直していくか、方向ぐらいのことは、もっと早く中間報告でも求めるというくらいな気持ちでございますが、それからそのことがすぐ従業員にしわ寄せになるのではないかという御心配を各方面でお持ちになりますけれども、そういうことではなくて、やはり企業自体が健全に育っていかなければ、先ほど申し上げましたとおりに、働いている人たちもおもしろくないはずですし、もちろんいまの状態ではいかない、やはり合理化を相当行なわなければならない、近代化もやるわけでございます。その過程で一人も離職する人がないということは私はここで申し上げられませんけれども、しかしながら、一部の方々が御心配になるように、これを合理化ということばに名をかりてそうして従業員を整理するのだということは全然考えておらぬ次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/9
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010・伊藤顕道
○伊藤顕道君 交通とか、病院あるいは水道等いろいろな面がございますけれども、そこで交通の問題に例をとって申し上げますと、結局公共性を発揮するために採算のとれない路線を運行したり、あるいは路面交通の混雑解決のためにばく大な費用を要する地下鉄を経営するという面も出てくるわけですね、あるいは都市交通政策の行き詰まりから路面交通の滞留という問題が出てきて、そのために運行能率が低下する等いろいろございますけれども、これらの問題を主要な原因としていま深刻な経営の危機に直面している、即赤字を累増している、こういう事態ではなかろうかと思います。この問題についてはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/10
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011・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 当然その問題も日程にのぼるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/11
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012・伊藤顕道
○伊藤顕道君 特に都市交通の面をひとつ検討してみますと、いま悪化の一途をたどっているわけですね。人口はどんどんどんどん都市に集中しますし、これはもう加速度的に人口は増加します。路面交通の滞留とかあるいは交通事故が激発しておる、こういう都市交通問題はいまきわめて険悪な事態に直面しておると思うのですね。こういう事態についてはこれはよほど抜本的な方策を講じないと解決はなかなかむずかしかろうと思うのですが、こういう問題については、大臣としてはどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/12
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013・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 先般山本委員の御質問に私答えたような記憶がございますが、たとえば地下鉄のような膨大な投資を必要とするものを、ただそれを起債などでまかなえと言いましたところで、それについてはばく大な金利もかかってくるわけでございます。ですからこういう種類のものにかりに独立採算的な経営方針をとらせようとすれば、普通の民間でやっておりますとおりに、新線を建設するのだとか、膨大な建設費などが見込まれる場合に当然増資をいたしまして、そして無利息の金でやっておるわけでございます。それをいまのような財政の扱い方では、いつまでたってもこれが黒字になりようはずはありませんし、そういうものに対しましては、やはり一般会計の面でしかるべき措置を講ずる必要があるし、また、普通の路面交通なんかの場合は、御案内のとおりに、もう車がまるで動かない状態になってしまっている。それをこのままほっておきましても、乗る人がないのに車をのんびり動かしてもしかたがないことですから、こういうふうにやはり都市交通政策の面からも勘案して、抜本的な方策をとらなきゃならない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/13
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014・伊藤顕道
○伊藤顕道君 このようないま危機に直面しておる問題に対しては、もう管理者いわゆる経営者自体だけにはまかせておけないところまでもうすでに来ておるのではなかろうかと思うのですね。いわゆる地域住民の福祉を増進したり、あるいは公営企業労働者の生活も保障しなきゃならぬし、あるいは公営企業の維持と発展、こういうことも一つの大きなねらいであろうと思うのですね。こういう中でやはり大事な基本的な問題から解決していかぬ分には、個々の問題からではなかなか解決がむずかしかろうと思うのです。そういうような意味合いから基本的な問題の解決としては方向はどういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/14
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015・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) もちろん住民の福祉が中心であり、だからこそ公共性が高いと言われておるわけです。しかしながら、それに名をかりて、そして経営の合理化ということが怠られたのであっては、これはまるで整理もできない企業という恥ずかしいことになってしまうわけであります。ですから、そういった点あらゆる角度から調査検討する意味の調査会を私どもお願いしたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/15
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016・伊藤顕道
○伊藤顕道君 まあ基本的にはいろいろ問題があるわけですけれども、特にここで指摘されなければならないのは、やはり基本的には地方自治法を尊重して、地方自治の行政、財政の面については自主自立の方向で打ち立てる、こういうことが基本的にまず大事な問題ではなかろうかと思いますが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/16
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017・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) もちろんそれから端を発しておることでありまして、この地方公営企業が地方自治の財政面に非常に重荷になっている面があるわけでありまして、こういったもののやはりあるべき姿というものを根底から検討いたしまして、そして将来ともこれが地方行財政に大きな暗い影を投げないようにいたしたいということから出発いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/17
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018・伊藤顕道
○伊藤顕道君 地方公営企業の累積した赤字をいま見てみますと、これは法適用の企業だけに限定してみますと、三十七年度にはたしか二百五十億に達しておる。三十五年度が五十六億、三十六年が百三十三億ですか、で、三十七年が二百五十億、三十八年度においてはさらに上回っていると思う。と申しますのは、やはり政府の公共料金の抑制という問題がからんできますから、さらに三十七年度よりは激増しているということが常識的に考えられるわけですが、このように公営企業の財政状況がここ数年来非常な困難な状態に追い詰められているわけですけれども、各企業別では大体どのような状態であるわけですか。その大綱だけをひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/18
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019・柴田護
○政府委員(柴田護君) 企業別に申し上げますと、何と申しましても一番大きいのは交通であります。三十七年度決算で先ほどお話のありました二百五十億円の累積赤字、その中で交通事業の赤字が百七十五億を占めております。その次に大きいのは水道でありまして、これが同じく三十七年度の決算では四十億程度、それから病院、こういう形になっております。赤字の生じました原因はそれぞれ事業によりましていろいろ違いますけれども、大きな原因は、交通事業で申しますれば、都市環境の変化、それと給与改定その他が相次いで行なわれます関係上、この経費の増加、これに対しまして収入が料金据え置きの関係で伴わない。こういった事情がおもな原因であります。水道についてみますと、これは最近は非常に建設費がかさみます。そのための金利計算その他からの経営コストへのしわ寄せ、こういった問題がおもな原因であります。病院については御承知のとおり、診療報酬の問題と、それから経営費の増加とのアンバランス、これがおもな原因になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/19
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020・伊藤顕道
○伊藤顕道君 公営企業の面の赤字額の中で、先ほどお伺いしたいわゆる公共料金の抑制によって生じた赤字の分もあろうかと思うのですね。これは概算でいいのですが、大体どのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/20
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021・柴田護
○政府委員(柴田護君) 公共料金の問題が起こりましたのは三十六年の末から交通につきまして起こっておりますけれども、正確な計算は、この赤字の中にどれだけ入っているかという問題は正確なところつかんでおりません。いわゆる公共料金の抑制という措置がとられました以後におきましてやかましい問題になっております問題は、三十八年の終わりに措置がきまって公共料金の引き上げが押えられたということから一年間で約四十八億見当のものが出る。これはただし六大都市だけでありまして、ほかの都市の問題につきましては、大体必要な点につきましては三十七年、八年を通じて公共料金が改定されております。したがって、この百七十五億円と申し上げました三十七年度の決算の中にも一部都市側から言いますならば、料金を改定してほしいというもの、それが改定されなかった分も含まれておりますけれども、これは正確にはわからぬわけでございます。いま言われております赤字問題というのは、本年の一月から十二月一年間ストップに伴うものとして大体四十八億円見当ということが言われておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/21
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022・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次におもな公営事業において地方公共企業の占める割合ですね。これは大体現在どうなっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/22
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023・柴田護
○政府委員(柴田護君) 公益企業全体についての公営の割合でございますが、水道事業について申し上げますと、事業数は三千くらいございますが、そのうち民営は十二くらい、あとは公営でございます。工業水道は全部公営であります。
電車は民営を含めますと、全乗車人員が延べでございますが八十億三千万人。そのうちで公営のものに乗っております乗車人員が二十二億七千万人。比率にいたしまして二八%程度公営の電車が交通事業の中で地位を占めておることになろうかと思います。
同じ筆法でバス事業について計算いたしますと、大体二割五分がバス事業の中で公営が働いておる割合であります。
病院につきましては、全部の病床の数に占めますいわゆる自治体の病院、これの病床数の割合を求めますと大体二一%程度でございます。
したがって、総括で申し上げますと、水道関係はほとんどこれは公営によって行なわれておる。それから電車等につきましては大体二割五分から三割程度。病院につきましては、二割程度が公営によって運営されておる。かように考えるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/23
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024・伊藤顕道
○伊藤顕道君 先ほどもお伺いしたわけですが、地方公営企業は住民に奉仕する行政であると、そういう以上はやはり地方自治体を強化するということが基本的に大事な問題であるということについては、先ほどお伺いしましたわけですが、それと同時に、住民の負担額になる料金の値上げとか、そこで働く労働者の、いわゆる犠牲を求めるとか、合理化のみに解決を求めるというやり方だけではなかなか基本的な解決はできない。やはり本質的な問題について今後検討されるべきであろうと思うのですが、おそらくそういう方向であろうと思いますが、この点を念のためお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/24
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025・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 先ほどからそのことを実は申し上げておるわけでございまして、この赤字の処理の問題につきましても、単に合理化することによって、従業員にしわ寄せをするということで解決のできる問題ではありません。そのこともあるでしょう。が、しかし、基本的には料金というものもストップ、ストップということでいつまでもやっても、これは大きな負担を地方自治体にかけることになるから、料金もある機会には相当額上げなければならぬ。それからまた、他の部分は、いろいろな先ほどおあげになりましたような政治的な意味で当然含まれてくる赤字もあるわけでありますから、そのものはまたどういう算定のしかたになるか存じませんが、また、国のほうでそれを負担することになるかもしれません。いろいろなことを考えて、何か公営企業が立ちいくようにということを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/25
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026・伊藤顕道
○伊藤顕道君 地方公営企業の赤字の問題ですが、これはきわめて公共性が強い企業である以上、やはり何といっても政府もその責任を当然分担せねばいかぬ、公共性という立場から。そこでこの措置については目下検討が進められておると思うのですが、ただ問題は、ことしになって突然としてあらわれた問題でなく、前々からの問題ですから、やはりもういまは考えているときでなく、実施に移すべき時期だと思うのですね。そういうような意味でこれから検討じゃあもう間に合いかねると思う。こういう点でどのような手が打たれておるか、どのような実施の面が進められておるのか、こういう問題についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/26
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027・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) いま財政局長が申しました、昨年の十二月の料金ストップ以降大体ことし一ぱいに見込める抑制した額の計算が大体四十八億、これはその前の累年の赤字というものを切り離して、別途の措置をするべくいま御案内のとおり大蔵省と検討中でございます。それから累積赤字がおそらく昨年度一ぱいまで計算いたしますと、まだ本年はできておりませんが、私は四百億をこすであろうと、これをすぐ何とか解決しなければとおっしゃいますけれども、これはなかなかむずかしい問題をいろいろ含んでおりまして、ですからこれはやはり調査会にかけまして、そうして調査会の検討の過程でこれを処理したい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/27
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028・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この公営企業の赤字の原因は一体那辺にあるのだというような意味の御質問を申し上げれば、大臣は、おそらく物件費とか人件費をはじめとして諸物価の高騰、これはまあ一つあげられると思いますが、それから事業施設の建設に伴い、減価償却とかあるいは金利の支払い、資本費の上昇、こういういろいろな点、さらには経営の合理化がまだ十分でないとか、あるいは交通事業、水道事業においては特に料金の改定が三十八年度抑制されておる、こういうようないろいろな理由が提案説明等通して推察されるわけですけれども、大体赤字の原因については政府としてはそういう点だけを考えておるわけですか。この点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/28
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029・柴田護
○政府委員(柴田護君) 先ほどお答え申し上げましたように、企業によりましていろいろ事情が違います。したがって、赤字が出ております原因ももとより違うわけでございます。しかし、おしなべて一つ言い得ることは、やはり日本の公営企業は、企業全体としていままでずっと借金企業でやってきた、初めから借金で、つまり地方債を起こして経営していくわけですから、それを減価償却費でもって、減価償却という形で社内留保をいたしませずに借金の返済に充ててきた、こういった形になっている。これは民間企業でもやはり自己資本の充実ということがいわれておりますが、先ほど大臣から言われましたように、地下鉄の事業一つ考えてみますればすぐに言えることでありまして、やはり公営企業でも、自己資本の適当な蓄積というものが必要じゃないかということは公営企業全体を通じて言えることじゃないかと実は考えるのであります。しかし、事業別に見ますと、交通事業の赤字の原因と申しますものは、先ほどちょっと申し上げましたように、料金と経費とのアンバランス、交通事業の変化といったような問題がそれにつけ加わり、さらには経営自身にも合理化の不徹底の面もあるわけであります。水道事業について申し上げますと、経営の合理化と申しましても、これは人件費の占める割合は非常に少ない、むしろここではやはり金利負担というものが圧倒的に大きな負担になってくる、したがって、水道事業の合理化ということになりますれば、やはりどうして資本費を合理化するかということになるのじゃなかろうかと考えております。病院になってまいりますと、これは様相を異にいたしまして、病院事業というものはまあ私どもは準公営企業として扱っておりまして、純粋な公営企業としては扱っておりませんけれども、病院の経理内容をどのようにするかということを考えます場合に、一般会計との関連が病院の場合には非常にきつく出てくる。病院そのものがそもそも公営の病院について独立採算ができないという考え方を前提にして、どういうような形でもって一般会計とのつながりをつけることが妥当か。そうするためには、どのような合理化措置というものがとられるべきかといったような問題を考えることによって、業務をしてその運営を円滑にしていかなければならぬだろうというふうに思っておるわけでございます。したがって、全体としましては、それぞれの事業について、妥当と考えられる自己資本の蓄積という問題が一つあります。これは全企業を通じてのことだと思います。それを一般会計とのつながりをその点についてどのようにつけていくかということが基本問題。それからあとは、個々の事業ごとにどのように合理化を進めていくかということになるだろうと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/29
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030・伊藤顕道
○伊藤顕道君 赤字の原因をどう見るかという見方によって、二つの方法があろうと思うのですね。一つは、あくまでも企業の内部にその原因がある、そういう一つの方向です。したがって、この企業の内部にあるという意見の内容は、経営の合理化とか、体質改善、こういう問題で解決できるはずだ、それでもできなければ、料金を値上げすればいい、こういう意見に代表される一つの見方があるわけです。こういう見方には、人件費の問題が必ずつきまとって出てくると思うのであります。こういう見方に対して、政府としてはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/30
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031・柴田護
○政府委員(柴田護君) 私どもは、経営の合理化という問題につきましては、企業であろうと、そうでなかろうと、要するにこれは少しでも合理化すればいいと、それは何も高い料金を取ること自体が目的ではありませんので、合理化することによって、コストが下がって、料金が安くなれば、また、それで公営企業というものの一つの目的は果たしておるわけでございます。そういう意味合いにおきましては、経営経費の合理化というものは、徹底的に追及すべきだというように考えるわけでございますけれども、赤字の原因がそれだけにあるかといえば、そういうものにあるものもございますれば、そうでない大きな別の原因によって赤字になっておるものもあるわけであります。そういうものは、それだけによって赤字原因を断つというわけにはまいらない。先ほど来申し上げておりますように、水道事業についていいますならば、ここではその事業の投資財源であります地方債の諸条件というものが、一体いまの形でいいのかどうか。これをやはり合理化をしていく、つまり安い安定した長期の資金というものを獲得できるような形でもって、ものを考えてまいりませんと、水道料金というものは安くならぬということになるのじゃなかろうか。そういうものにつきましては、それを頭に置いて、まず赤字の出る原因を断って、それからさらに合理化できるなら合理化していったらいいと思うのでございます。したがって、いまお話がありましたようなことだけで、すべてこの赤字原因が払拭されて、企業が健全な形に戻るとは実は考えていない次第でございます。しかし、そういったような原因も、企業によりましては大きなウエートを占めておることも事実であります。そういうものにつきましては、やはりそういう赤字原因の一つとして、経営の合理化問題というものを取り上げていかなければいかぬだろうというように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/31
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032・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いま一つの見方は、いまの見方と全く反対で、主要な原因が、いわば企業の外側の条件や状況によって起こってくるいわゆる構造的矛盾、こういう点で代表される意見であろうと思います。で、私どもとしては、この二つの見方のうち、当然後者をとるわけです。と申しますのは、客観的な現実から見ても、この見方の正しいことは、幾多後ほど申し上げる点から証明されると思うのですが、この点については、大臣としてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/32
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033・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) それはそう一がいに言えないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/33
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034・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それだけではちょっと私は理解できないのですが、もう少し……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/34
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035・柴田護
○政府委員(柴田護君) これは企業によりまして、いろいろの場合があるわけでございます。たとえば交通事業一つつかみましても、いま大きな問題となっております六大都市交通といったような問題になってまいりますと、いろいろな原因が織りなされて、今日非常に経営に苦労しているわけでございますが、たとえば小さな都市などに行きますと、大体、交通機関が十分あるのにかかわらず、そこに、しいてさらに公営交通をやっておる、相互に路線がふくそうをしておって、全体として能率が相互に悪いといったようなことがあるわけでございます。したがって、一がいに、おっしゃいますように、スイカを割るように立場を二つに割ってしまうということは、それは立場としてはそういうことができるかもしれませんが、具体的に、企業について赤字を消して、そうして健全な経営に持っていくということになってまいりますと、そうはっきりと割り切った考え方をとって処理するわけにいかない場合が多々ある。そういうような考え方に主力を置いて考えていくのがいい場合もありましょうし、そうでない場合もありまして、企業の実態によって私どもは違うと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/35
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036・伊藤顕道
○伊藤顕道君 公営の都市交通のうちで、現在一番大きな赤字を持っているのは、言うまでもなく東京都であろうと思いますが、これは経営の規模も一番大きいですが、赤字の額もトップを占めておるわけですね。当局側としては、こういう状態から脱却するためには、何といってもまず経営合理化以外にないのだ、こういう判断で再建の五ヵ年計画を立ててきたわけです。で、赤字の原因が企業内にあるという、先ほどの二つの見方の最初の見方が、その原因になっておるということは言うまでもないことです。ところが、具体的に、その一つの例をあげると、その合理化の中心になっておるのは、たとえば六十歳の定年から、これを五十七歳に定年を下げる、こういうことによって、これがもしできるならば、経営が立ち直って、赤字の不安も解消される、こういうふうな考え方であっただろうと思うわけです。はたしてそうであったかどうか、たとえば、大阪では五十五歳の定年制が、前から実施されておるわけです。東京都は六十歳を五十七歳に下げようとしておるとき、すでにもう五十五歳で実施されておるわけです。それなら大阪の場合は、非常によく赤字が解決されておるかというと、依然として大阪でも赤字に苦しんでいることは、御承知のとおりです。したがって、定年制を下げることによってのみ問題は解決されるものではない、こういう一つの事例になろうと思うのですが、こういう点については、やはり政府としての考え方をはっきりここで伺っておかないと、いわゆる企業者側だけがそういう考えを持っておる限り、この問題は解決しない、そういうふうに思うわけです。この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/36
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037・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) そういうことをひっくるめまして、実は調査会にかけるわけでございまして、先ほども財政局長が申しましたように、事業ごとに内容も違っておりますし、それからいま、交通事業の例を東京都にあげられましたが、やはり交通事業は、大なり小なり住民の福祉あるいは公共性が高いという点では、民間の企業だって公営企業だって、多少の差があっても、私は同じことだと思う。しかし、私営企業の場合は、とにかく適切に近代化、合理化が行なわれておって、しかも企業採算がとれている。公営に限って、どうしてこういうばく大な赤字が出るか、こういうことを考えてみますと、いろいろ理由があります。いまここで申し上げれば長くなりますから差し控えますけれども、たとえば、環状線の中のバスなどというものは、今日のような交通事情のもとにあっては、なかなかこれは、だれがやったって採算がとれるものではないと思う。そういった面から、何か抜本的な一つの対策を考えなければならぬということもありますが、ただ、やはりこの企業内の合理化も怠ってはならぬということは、定年をどういうふうにきめたか私はつまびらかにいたしませんけれども、しかしながら、今後やはり高給の者ばかり雇っておって、そして企業が育つわけのものではありませんので、いろいろやはり民間とのにらみ合わせ、その他を考え、一つの苦悶のあらわれがそういうふうになっているのであろう、こういうふうに判断するわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/37
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038・伊藤顕道
○伊藤顕道君 先ほど御指摘ございましたが、昭和三十七年度決算において地方公営企業の赤字は交通が二割、病院が五割、水道が三割、大体こうなっておると思うのですが、この数字はさらに増大の傾向をたどっておる、こういうことが言えると思うのです。そこで、この赤字の原因についてはいろいろ問題があるわけですけれども、特に交通の場合では、地方公営企業法の公共性と経済性の調和という問題が大きな一つの問題であろうと思うのです。やはり行政上公共性を優先的に施行されておる。ただ、それ一本ならいいのですが、この公共性の優先のもとに事業を経営している結果として生ずる赤字は経済性の尊重と、こういうことで、この両者の矛盾が大きな一つの問題点であるわけですね。これを解決せざる限りこの問題は解決しない。公共性と経済性のこのからみですね、この問題は一つの大きな問題だと思うのです。この点についてはどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/38
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039・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) かりに見方を変えて、こういうことをわれわれ議論したわけではありませんけれども、じゃあこれだけ赤字の出ている東京都内のバス、これをじゃ民間のほうでひとつ経営してみる有志はいるかと言ったって、このままでは私は引き受け手はないと思うのです。やはりいま公共性と経済性のことが問題になりましたが、やはり公共性のことはもちろんですけれども、それに経済性をどの程度加味するか、なかなか簡単に結論の出ない、むずかしい問題だと思うわけでございます。しかしながら、私どもが考えますことは、一番の出発点がこの地方行財政にこれほどの影響を及ぼしているわけですから、その負担を軽めなければならないということを重点に考えますと、ただ地域住民の福祉のために公共性が高いから、幾ら赤字が出たってかまわないということにはならないと思うのです。ですから、そういう点で私たちは最終的な結論をこの調査会に出してもらう、こういうふうに考えているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/39
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040・伊藤顕道
○伊藤顕道君 やはりこの公共性と経済性——経済性とはことばをかえて言えばいわゆる独立採算制のことだと思うのですが、この矛盾をいまお伺いしたわけですけれども、この矛盾を解決せざる限りどうにも問題が進展しない、こういうことが一つの大きな基本的な問題だと思うのです。ここで東京のバスの運行の実情を見ると、昭和三十五年度から七年度のわずか二年間で一割以上の速度の低下ということがある。速度の低下ということは経営能率の低下に通ずる問題だと思うのです。このような問題、それから地下鉄を今度建設する、これがあまりにも膨大な経費が要る。都市交通の近代化のためには絶対必要な地下鉄建設であっても、赤字があまりにも膨大である。当然に赤字の大きな原因になろうと思うのです。したがって、これは国で当然に補助しない限り、こういう赤字の問題は永久に解決しない問題である、こういうことが言えると思うのです。この問題はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/40
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041・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) そういう問題を明らかにするための調査会だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/41
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042・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで、もちろんそういう問題をも含めて調査会で検討するのであろうけれども、この問題についてはこのままでいいのか悪いのか、あるいはそういうことの方向へ努力すべきだとか、そういう御意見はあってしかるべきだと思うのです。そういうことをお伺いしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/42
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043・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 繰り返して申すようですけれども、幾ら赤字が出てもかまわぬ、それは国のほうで補助するといったような事業はあり得ないわけでございます。やはり公営企業でありましても、何もその企業から利潤をあげる必要はありませんが、やはりとにかく収支ということを勘案いたしまして、償えば一番いいわけでございます。その償うのにどのような方法をもってしても償いようがない。過大な投資に対する金利の問題からいたしましても、現下の交通事情等を勘案いたしましても、先ほど、かりに民間にやる有志はないかといってもない事態でございますから、そういった点につきましては十分分析をしていただいて、そうしてどうしてもこれは公営企業でやらなければならぬ、にもかかわらず、この部分だけはどう企業努力しても埋め合わせることができないのだという部分は別途これは国のほうで何らかの措置をするとか、何かそういう結論を出していただかなければならぬ、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/43
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044・伊藤顕道
○伊藤顕道君 私のお伺いしているのは、地方公営企業が幾ら赤字を出してもいいのだ、無制限だ、そういう意味のことを前提にして伺っているわけじゃない。現実は赤字が累増している。先ほどお伺いしたように、三十七年度において二百五十億もある、こういう面を勘案して、このままにしておいたのでは問題は解決しない、そういう意味で政府も極力可能な範囲においてこの赤字の補助をすべきではなかろうか、そういう意味で聞いているので、何か大臣の答弁を通して承ると、何かこちらの趣意が、赤字は幾ら出しても出しほうだいでかまわない、野放しだ、そういう意味のような答弁ですが、そんなことを聞いているわけじゃありません。現実に三十七年度は二百五十億の赤字があるわけでしょう。三十八年度が公共料金の値上げ抑制でさらに膨大な数字になっているであろう、こういう前提に立って、この赤字をこのままにしておいたのでは問題の解決にはならないから、政府当局は赤字補てんについては、いわゆる具体的にこれを補助していかなければならぬ、そういう考え方に立って大臣はどう考えるかということを伺っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/44
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045・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 先ほどもたびたび申し上げますとおりに、実はこの問題でどういう方向を見つけるかということのために調査会をお願いしているわけでございます。しかし、調査会の結論がどういうふうに出るかということは、いろいろわれわれのほうでも予想をして、それに対処することは考えております。ですから、たとえば累積赤字の処理に対しても、これは仮想ですけれども、一部は来たるべきまた料金値上げの時期もありましょうし、あるいはまた、当然やらなければならぬ企業内の合理化であるとか、それからまた、政府がこれを負担する部分もありましょう。こういういろいろな角度からこれを何とか立ち行くような形にしなければならぬというふうに考えているわけでございまして、もちろん政府のほうでいまこの赤字の何%を見てやるとかいう段階ではございません。とにかく調査会で一日も早くこういった面の結論を出していただくということを期待しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/45
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046・伊藤顕道
○伊藤顕道君 東京都の交通当局の赤字の原因について次のような指摘があるわけでございます。これを拾ってみると、バス料金改訂の遅延とかあるいは諸物価高騰による経費の増大、路面渋滞による収入減と経費の増大、首都交通近代化のための地下鉄建設費借入金の利子の増大、借入金の利子の増大、企業近代化の不徹底、人件費の増大等、こういう七点を東京都の交通当局は赤字の原因としてあげているわけです。しかし、先ほどもお伺いしたように、地方公営企業の矛盾ですね。いわゆる具体的な問題としては、不採算路線の運行とか、あるいは行政路線の運行の問題であるとか、または路面軌道の維持あるいは補修、失対労働者に対する割引、学生割引、これにまた類似した問題等を含めると、赤字の原因としては大体九点になろうと思うんです。都当局では七点をあげているんですけれども、大臣に伺うと、こういう問題を調査会で審議するのだ、それは当然そうであろうと思うんですけれども、こういう問題については大臣としてはいまどうお考えになっているかということを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/46
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047・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 東京都があげておりますそういう理由につきましては、これは一部当たっていると思います。ただいまおっしゃいますように、そういった点も全部ひっくるめて、この調査会のメンバーにはやはりこういう交通事業を経営しておるベテランの人も若干加わるわけでございますので、こういった人の判断をも得たいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/47
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048・伊藤顕道
○伊藤顕道君 こういう問題については、公営交通事業の財政調査会が前に設置されて、その態度としては消極的であったわけですけれども、大体こういう方向は財政調査会で認めておったわけですね。ところが、今度さらに制度調査会をつくってこれが対策を講ずると、こういうことでありますけれども、大体もう方向は出ておるんじゃないですか。もう財政調査会の中でもそういう意見があったわけですね。この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/48
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049・柴田護
○政府委員(柴田護君) 交通問題財政調査会を設けました経緯は、御承知かと思いますけれども、六大都市の運賃値上げ、六大都市交通のうちのバス事業の運賃値上げに関連をいたしまして、民間と比べて経営面においてなお合理化を進める余地がありはしないか、それを識者を含めて議論をして、それによって六大都市自身が交通事業の再建計画を立案をして、その実行と見合っていわゆる公営バス料金の問題を片づけよう、こういったようなことがございまして、それに基づいて公営交通事業財政調査会というものをつくったわけでございます。しかし、これは政府機関でもなんでもございませんで、全く公営交通関係の団体におきまして関係者を集めて自主的な調査会をつくったわけでございます。したがって、この中には関係各省の関係者も入っておりますし、民間の識者も入っておられるわけでございます。で、出ました結論は、勢いそういったようなものでございますので、はっきりした方向が出ておるようではございますけれども、しかしながら、もっと突っ込んだ議論というところは結局ややぼやけてしまっておる、そういうようなきらいもございますし、何と申しましてもそういった自主的な調査会で出したものでございますので、どうしても舌足らずのものがある。かたがた、ひとり交通事業に限りませずに、ほかの公営企業につきましても同じように非常に経営が苦しくなってきている。政府といたしましてもこれをほうっておくわけにはまいりませんし、したがって、これも含めまして地方公営企業制度調査会というものをつくって、単に当面の赤字対策というものに限りませずに、一体公営企業というものを将来どのような方向に持っていったらいいか、また、どのような方向に持っていくように指導したらいいかというような、やや範囲を広めまして基本的な方向を打ち出していきたい。まあ率直に申し上げまして、公営企業の今日の状態というものは一つの転機に来ているのではなかろうかというように私ども事務に携わる面から考えるわけでございます。そういう面からは、公営企業の将来というものを見通していただきたい、それによって指導もし、さらにまた、公営企業の再建と将来の発展をはかってまいりたい、こういうつもりでこの公営企業制度調査会というものを設けたわけでございます。したがって、単に当面する赤字対策ということだけではございません、もっと広く公営企業の限界でございますとか、あるいはいまの経営のしかたが悪ければまた違った経営のしかたがないか、あるいは資金対策をどうするか、あるいは経営対策をどうするかといったようなものまで含めまして、公営企業の全般についての幅広い、何と申しますか、指針と申しますか、方法と申しますか、そういうものが必要ではないか、こういうことで設けたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/49
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050・伊藤顕道
○伊藤顕道君 前には財政調査会、今度は制度調査会をつくって二年間審議が必要なわけですが、そうして結論が出ないままに当面の企業内の合理化が強行されるであろうといういまの質問をしたわけであります。それに対していやそういうことではないんだという御答弁ではございましたけれども、ただ単に大臣が国会内でそういうことはないと発言しただけで、地方の公営企業が企業内の合理化を強行しないということは保証されないと思うので、何か大臣として手を打たなければ、ただ国会で答弁しただけでそれがあと趣旨が徹底してこういう問題が解決するとは考えられない。そこで、そういう問題はないんだということの答弁は先ほどからあったわけですけれども、何か手を打たれる考えですか。そういう点は十分検討すべきである。ただ大臣が国会で答弁されれば、それが地方公営企業にはすぐ徹底するとは考えられないわけですね。答弁の趣旨は、そういうことはないんだという御答弁の趣旨であったように思う。その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/50
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051・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 合理化なくしてこの問題の解決はできぬと申し上げたのでありますが、合理化を強行云云ということをおっしゃいますけれども、強行するということには私はならぬと思いますが、企業内の合理化はもちろん必要であって、この解決策の一つに私どもは数えておるわけでございます。しかし、いまたびたび同じことを申し上げておそれ入りますけれども、やっぱりこの制度調査会の中には経営面のベテランも、それから労働問題をよく理解する方々も全部含めて、そうして最終的な方向を見つけたいと考えておるわけでございまして、ただ経営面の腕ききだけでは御指摘のような不安も起こるんじゃないかと、そういった点につきまして私ども十分配慮しておるつもりでございまするので、その結論に期待をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/51
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052・伊藤顕道
○伊藤顕道君 私がお伺いしておる点は、いろいろな問題をお伺いすると、みんな大臣は制度調査会で検討するんだ、それはわかりますけれども、そうだとするならば、私どもが憂慮するのは、いろいろな問題についてはみんな制度調査会で検討すると、こういうのであったならば、その企業内合理化の問題もその一環としての当然制度調査会で検討して、その結論の出るまで一方的に企業内の合理化が強行されないということであれば話はよくわかるわけです。ただ一方的に企業内の合理化だけが制度調査会の検討からはずされて、そうしてそれだけが強行される心配はないかという観点からお伺いしておるわけです。したがって、いろいろの諸案件についてお伺いをしておるわけです。そういう問題をあげて制度調査会が結論を出すまで一切手をつけないということならよくわかります。ところが、合理化の問題だけは一方的にどんどん進んで、合理化の問題を除いた自余の問題だけが制度調査会で検討されてその結論を待って措置されるということでは筋が通らないと思うのです。そういう点についてお伺いしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/52
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053・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 私は、実は事業家出身でございまして、いまでも事業を持っておりますが、大体企業の合理化というものは一つの企業努力として日々やるべきものである、これは企業自体の問題でございます。しかしながら、私はこの調査会に求めますものは、やっぱりどう合理化で努力をいたしましても、最終的にこの赤字が消えるものでもないし、さらには地方自治体にこういう暗い影を投げておるわけでございますので、根本的にあり方というものを考え直す必要があるのじゃないかという意味での調査会の結論を求めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/53
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054・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なおお伺いしたいのは、私どもとしても企業内の合理化が悪いなどとは考えておらない、ただ往往にして首切りを伴うような企業内の合理化があるから、それにはまっこうから反対だという立場からお伺いしておるわけです。で、合理化もいろいろ意味があるわけです。首切りを伴う合理化には反対だということであって、日々の企業合理化していくということ、そのこと自体に何も反対はしない。首切りが伴うからそういう方向の企業内合理化には反対だ、そういうたてまえからお伺いしておるわけです。したがって、要約すれば、首切りを伴うようないわゆる企業内合理化が一方的に強行されるようなことがあっては相ならぬと思うが、その点はいかがですか。そういう意味の質問になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/54
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055・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) それは企業内の、経営者と働いておる人たちの双方の問題でありまして、自治省の立場から合理化には絶対首切りは相ならぬぞというふうな指導をする立場のものでもございませんし、これは双方の良識によって解決さるべき問題と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/55
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056・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで一つの具体的な事例がここに一つあるわけですが、国鉄の経営調査会の答申書を見ますと、いまの地方公営企業の赤字の問題解決に非常に関連が深いので、そこであえて取り出して申し上げると、これは三十八年の五月です。国鉄の経営調査会の答申書として、こういう要旨があるわけです。国鉄経営危機の原因は、国が政策遂行の経費として当然負担すべき公共的負担を企業体に負担させていることに最大の問題がある。さらに企業性を完全に縛っている監督諸省の圧力があり、内部の合理化についてはたいした問題ではない、こういう答申をしておるわけです。これは私の私見はいささかもまじえていないので、三十八年五月、国の審議機関として、国鉄経営危機の問題解決の答申、諮問機関としてできたこの機関の答申の結論であるわけですね。これも要約すれば結局、国が当然負担すべき公共的な負担を国が負担しなかったから、そういう要旨であって、いわゆる内部の合理化についてはたいした問題でないという結論を出しておるわけです。これは国鉄の経営に対しての危機突破のための答申であるわけです。だからこれを地方公営企業のそれと名詞だけを入れかえれば同じ結論が出ようと思うのです。そういうようなたてまえから先ほど来この企業内のいわゆる合理化、こういう問題だけで問題を解決しようということは当たらないし、そういうものは、いわゆる制度調査会の結論の出ないままに、それだけが取りはずされて強行されるようなものであっては相ならぬ、こういう当然の意味の質問をしておるわけです。この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/56
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057・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) それは何の委員会で、また、その答申の内容については私は存じないわけでございますが、しかし、申し上げることができるのは、先ほども言いますように、どんな企業でもやはり常に近代化、合理化への努力は続けなければならぬものでございまして、企業の合理化はもうこれ以上やる必要はないのだ、あとはだれの責任だということだけで企業がいけるわけのものでない、企業努力というものとまた別に何らかの赤字の原因があるかということは、区分して考えるべきものであって、やはり常に企業としてはその努力だけは続けていくべきものだと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/57
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058・伊藤顕道
○伊藤顕道君 さらに答申書を見ますると、こういう内容があるわけです。国鉄の公共性と企業性との関連についての問題について当諮問委員会の見るところによれば、国鉄の持つべき公共性とは、まず第一に、国鉄は日本国の陸上輸送機関の根幹をなすべきものであって、安全、確実、迅速、便利なる輸送サービスを最低廉なる運賃をもって国民に提供するという当然の任務を、株主の利益のためという考慮なしに国家国民の利益だけを目標として遂行していくこと、それが国鉄の公共性の基本である、こういう見解をこの答申によって明らかにしておるわけですね。したがって、このたてまえからいえば、公共性から出た赤字については、やはり公共性がきわめて強い、こういう公共の問題の企業については相当国が責任を負わない限りは問題は解決しないのだ、国鉄の公共性についても地方公営企業の公共性についても変わりはない。こういうような観点から同じようなことが地方公営企業についてもいえると思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/58
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059・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) まあ一部はそういうふうに言えると思いまするけれども、しかし、国鉄といまの公営企業とイコールで議論は私はできないと考えるものでして、大体所管が違いますから、私は国鉄のことについては申し上げたくないのですけれども、大体、国鉄自体が元の国有鉄道でいくか、それともこれを公社方式にして独立採算制をとるかという性格自体についても大きな議論を呼んでおるところであります。公共性云々ということを強くいうならば、元の国有鉄道に返したらいいだけのことでありますけれども、それでは国自体に地方公営企業と同じような大きな負担をかけることにあるいはなるかもしれませんし、こういったことにつきましては、まあこういうことについていろいろ研究する向きではずいぶんいろいろな議論が百出しておることは御承知のとおりでございます。ですから私は、国鉄でどういう答申があったか存じませんけれども、それが右から左に地方公営企業に当てはまるとは考えませんけれども、いまそこでおあげになりましたことは、私はおおむね地方公営企業にも考えられることであると思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/59
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060・伊藤顕道
○伊藤顕道君 私のお伺いしておる点は、地方公営企業のいわゆる公共性ですね、それから国鉄のいわゆる輸送に対する公共性、これは性格は同じだと思う。ただ企業体が違うだけであって、公共性についてその経営内容一切がっさいあげて地方公営企業と国鉄と同じだと、そういうことを申し上げておるのではなくて、ただ、いま特に公共性を取り上げてお伺いしておるので、その公共性については国鉄であろうと、地方公営企業であろうと、都市交通であろうと、国民奉仕の政策であるという点については共通の問題があると思うので、そこが違うのだという前提に立つと話はおのずから分かれてしまうのですね。そういう公共性自体についてお伺いしておるわけです。いわゆる企業体の内容について同様であるとかないとかいう、そういうことの質問じゃないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/60
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061・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) いずれも公共性が高いということでは私は同じであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/61
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062・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/62
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063・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) では速記をつけて。
他に御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、本案の質疑は、本組はこの程度にとどめます。
では午後は一時五分再開することとし、これにて休憩いたします。
午後零時五分休憩
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午後一時二十八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/63
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064・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) これより内閣委員会を再開いたします。
労働省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
なお、本案はお手元に配付いたしましたように、衆議院において若干修正されておりますので御了承願います。
政府側からは、大橋労働大臣、和田官房長、村上労働基準局長、有馬職業安定局長、松永職業訓練局長、住失業対策部長が出席されております。
御質疑のおありの方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/64
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065・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この法案に関連して以下問題点をお尋ねしたいと思います。
この提案理由の説明によりますと、まず労働研修所を設置するという項がございますので、最初この項に関連してお伺いいたしたいと思います。
いままで職員の訓練については、労働基準監督官については、労働基準監督官研修所その他の職員の訓練については、適宜実施してきた、そういう御説明であるわけですが、そこでお伺いしたいのは、適宜実施してきたということは具体的にはどういうことか、まずこのことから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/65
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066・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) お答え申し上げます。
先生いまお尋ねのように、労働基準監督官につきましては、昭和二十五年から専門の研修所を置いておりまして、それ以外のものにつきましては、職業安定行政、労政行政、職業訓練行政、こういうのがあるわけでございますが、これは各原局におきまして仕事の性質等をにらみ合わせて、予算等との関係をにらみ合わせながら各原局において、大体案をつくり、実行しております。そういうかっこうで研修を行なってまいっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/66
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067・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なお、この提案の説明によりますというと、最近における労働行政の業務内容の複雑化あるいは高度化、事務量の増加、こういう傾向にかんがみて、これを統一的、効果的に充実する必要がある、そこで総合的な研究機関として本省に労働研修所を設ける必要があるのだ、こういう説明でございます。そこでお伺いしたいのは、どのようにして一体総合的な研修機関となさろうとするのか、そういう点については提案理由では説明がございませんので、この点についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/67
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068・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) 現在まで労働省が行ないました研修は、先ほど申し上げましたとおりでございますが、提案理由の説明でも申し上げておりますように、労働行政がだんだん複雑になり、その領域も広がってまいりまして、これらを統一した視野で計画的に研修を実行いたしますためには、研修の専任官を置き、そして研修所という機構をつくりまして行ないますことが最も適切であろうと考えたわけでございます。研修所は既存の労働基準監督官研修所をその中に吸収いたしまして、労働行政全体の分野についての研修を行ないたいと考えております。現在私どものほうで考えております規模といたしましては、研修所の職員は所長以下二十人で形成いたしまして、その中には専任の教官を四名配置する。それから所長及び主幹というような職を設けまして、これらもそれぞれ教官も行ないますので、そういう陣容をもって行ないたいと思います。なお、研修所の施設は大体八教室。寄宿舎も附設をいたしまして、二百人程度のものが寄宿できるような独立の施設をつくりたい。ただいまその研修所を東京都内の石神井に置いて、三十八年度予算に入っておりますが、建設中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/68
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069・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この研修所の予算はどういうことになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/69
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070・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) 本年度の運営費といたしましては六千四百万円程度を見込みをいたしております。それから建設のための所要経費は、敷地面積は千六百坪でございます。研修所の本館は千六百平方メートル、大体五百坪程度のものでございます。宿泊施設が先ほど申しましたように、二百人分のものが寄宿できるような施設約八百坪、それから講堂兼雨天体操場を約百坪、こういうようなものでございまして、金額は一億八千万が施設費でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/70
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071・伊藤顕道
○伊藤顕道君 これは新たに建設されるようですが、いつごろでき上がりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/71
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072・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) 敷地獲得等の関係がございまして多少工事がおくれておりますが、本年の十月いっぱいぐらいには完成する予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/72
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073・伊藤顕道
○伊藤顕道君 その組織についてこういうことをお伺いしたいんですが、二等級の所長が一名、四等級の課長が二名、こういうことになっているようですが、そうだとすると、三等級の主幹というのは必要はないんじゃないかというようにも考えられるわけですが、これはどういう関係ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/73
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074・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) ただいまのところの予定といたしましては、所長を直接助けます者として主幹というものを置きたいと考えておりますが、これは先生いま御質問のように、三等級を予定いたしております。主幹は所長を助けまして、所長に事故のあるときにその職務を代理をいたしますほか、庶務課及び教務課の分野を総括するとともに、四人の教官を指揮監督し、また、みずから高い程度の教科目の講義を担当するものでございます。したがいまして、研修所が円滑に運営されるためには、こういう所長その他の職員とともに、主幹というようなものを置きまして、研修所に非常に期待をいたしております私どもの考え方をよく反映してくれるような補佐役を所長につけたい、こういう意味のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/74
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075・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、年間の研修実施人員は大体どのくらいに見込んでいるのか、またおもなるいわゆる研修の対象ですね。それと研修期間、こういうような問題についてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/75
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076・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) お答えをいたします。三十九年度におきましては、延べ数にいたしまして、三万七千四百人の研修を予定いたしております。実人員にいたしますと、二千二百七十五人でございます。
おもなものは、労働基準監督官の研修は当然この中に入ってまいります。これも所長クラスの研修、それから新しく労働基準監督官になりました者の研修あるいは安全専門官の研修、これがおもなるものとしての基準局関係のものでございます。安定局関係では、昨年の職業安定法の改正によってできました就職促進指導官の研修、それから失業対策監察官の研修、これが安定局関係のおもなるものでございます。それから労政局関係、これは地方公務員の方が対象でございますが、地方の労政職員の研修、それから訓練局関係では訓練所の指導員の研修、それから地方の研修課の職員の研修、それから統計関係では労働統計係の係官の研修というようなものを予定をしております。
研修期間につきましては、短いものは一週間、十日というものがございますが、現在のところ、一ヵ月、二ヵ月というようなものを考えておりますが、将来の問題といたしましては、半年、一年というような研修も考えていく必要が出てくるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/76
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077・伊藤顕道
○伊藤顕道君 職員の研修に必要な旅費はどういうことになっているんですか。都道府県の職員を含めた地方の職員が研修所に宿泊して研修を受けるために必要な旅費です。こういう問題について御説明いただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/77
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078・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) 国家公務員の場合は労働省の旅費規程に定められたところによって旅費の支給をいたしますが、地方公務員の場合は身分が地方の方でございますので、旅費については都道府県において支給をしていただくことのように考えております。ただ一般の教材等につきましては、従来から行なっておりますが、国費でもって支弁をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/78
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079・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に定員についてお伺いしますが、本省関係の増員のうち、電子計算機のための増員が大部分であろうと思うのですが、その電子計算機の台数は大体どのくらいあるのですか。また、そのための研修等はどうなっておるのか、こういう問題についてお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/79
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080・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) 電子計算機は、労働市場センター関係にはユニババック・スリー一台を現在予定をいたしております。労災計算センター関係におきまして同じくユニバック・スリー一台を現在のところ予定をいたしております。労働市場関係の定員は五十一人、労災保険の計算関係の定員は五十人を予定いたしております。で、現在これらのものにつきましてはそれぞれ委託をいたしまして、両方合わせまして四十人のものにつきまして現在研修を会社に委託をして行なっておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/80
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081・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、公共職業安定所についてお伺いしますが、これは全国で、私の調べたところによると、四百五十三ほどあるようですが、もし間違ったら御訂正いただいて、その中で女子職業安定所というのは大体幾つくらいあるのですか。この問題をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/81
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082・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 全国に安定所は御指摘のとおり四百五十三ございますが、そのうち神田橋の安定所が女子専門の安定所として現在ございます。しかし、これを飯田橋の安定所と統合いたしまして、近く施設ができ上がり次第、二つの安定所を統合して中央職業安定所、こういうふうにする予定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/82
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083・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうすると、全国四百五十三の安定所の中でいま女子職業安定所のあるのは神田橋女子職業安定所一つだけですか。その職業安定所も今度統合される、そういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/83
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084・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/84
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085・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なお、就職促進業務の関係増員として三百五十名が予定されておるようですが、いま若年労働者の不足とか技術労働者の不足、その逆に今度は中高年層の再就職の困難性、こういう困難な問題が山積しておるわけですが、こういう問題に対処するためにこの程度の増員で十分間に合うのかどうか、このことをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/85
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086・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) ことしの中高年の就職促進のための指導官の増員が三百五十名でございますが、昨年から、石炭の離職者対策としてすでに百八十七名の指導官の増員が認められておりますので、そのほかに昨年度二百四十名すでに指導官が増員になっておりますので、この三者を合わせまして今年度の中高年の就職促進措置に対処してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/86
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087・伊藤顕道
○伊藤顕道君 新聞の報道によりますと、労働省としては、各都道府県とともに雇用促進事業団の協力を求めて労働力不足の中で就職難にいま見舞われておる中高年層の就職を促進する運動をいま展開しておる。そこでお伺いしたいのは、この雇用促進事業団というのはどのような事業団であるのか、こういう問題、それからこの月間も、五月を月間としたとすると、もう終わりに近づきつつあるわけですが、この月間を設けて、ある程度の成果が見込まれたのかどうか、こういうことについてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/87
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088・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 雇用促進事業団は御存じのように、事業団法に基づく特殊法人でございますが、その業務の主たる内容は、訓練と就職促進のための各種の援護措置と、両方の業務を担当することになっております。現在五月を期しまして雇用促進月間を全国的に展開しておりますが、われわれの側でこの月間に主として期待しておりますることは、中高年の雇用の促進ということを雇用主側、世論、各方面に認識をしていただくというのが主たる目的でございます。五月も大体終わりに近づいておりますが、大臣をはじめ私どもも地方に出向きましてこの促進運動を展開しております。成果についてはいろいろ御批判があると思いますが、私どもといたしましては、まずまず所期の目的を達しつつあるのではないか、中高年の就職促進問題について世間も非常に認識を深めつつある。新聞、世論等もこの問題を重視して、論説その他で相当に取り上げておるという実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/88
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089・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いまの労働力の需給状況ですね、こういうものを調べてみますると、新規学卒者については、中卒が三・九倍、それから高校卒が三・四倍というふうに相当の高い求人難になっておるようです。それから中高年層求職倍率ですね、これは逆に非常に憂うべき事態のように思うのですが、三十五歳以上の平均が二・二倍、五十歳から五十四歳までが四倍、五十五歳から以上は十五倍、深刻な就職難状況であろうと思うのですが、そこでお伺いしたいのは、こういう数字に間違いがあるのかないのか、これでいいのかどうかということと、もしこういう数字だとすると、中高年の就職問題については深刻な問題が起こってきておるということは言えると思うのです。そこでこれはよほど、労働省としてももちろん考えてはおりましょうけれども、抜本的な対策がなければ、これは容易には解決しない問題だと思いますが、大臣としては、この問題どのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/89
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090・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 全体といたしましては、非常に労働需要が大きくなりまして、労働力の不足が伝えられるにかかわりませず、中高年齢層の就職希望者に対しては需要が全くこれに伴っていないというような事態なのでございます。労働省といたしましては、労働力全体の需給を円滑にいたしまするためには、今後中高年齢者の労働力の活用ということが問題の解決の要点になると考えておるのでございまして、これにつきましては積極的にこの間の打開をはかってまいりたいと存じておるのであります。しかしながら、現状のような需要不足を招いておりますのには、おのずからこれの原因があるわけでございまするので、この原因を詳細に検討いたしまして、それぞれに対して適切な対策を立てる必要があるのではないかというふうに考えまして、いろいろと検討いたしておる次第でございます。
まず一つには、中高年齢者の新しい職場への適応性の問題でございます。雇い主の側といたしましては、新卒業者と違いまして、中年者を採用するということには相当悩みがあるわけでございますが、これにつきましてはやはり職業再訓練をする必要があるし、また、その訓練を通じて事業者の要求するような教育をしていきたい、こういう考えで主としてこれにつきましては、先ほど問題になりました雇用促進事業団の総合訓練所、あるいは都道府県立の一般職業訓練所が、公共施設としてこれに当たっておるわけであります。
それからもう一つは、今度はこれもやはり就職希望者の側に存する問題でございますが、何ぶんにも中高年齢者のことでございまして、家庭を持っておる、そうして家族も相当数ある、したがって、新卒業者と違いまして流動化が困難でございます。そこで、これにつきましては、やはり住宅問題の解決が必要であろう、こう考えまして、一昨年以来、移転就職者に対しまする住宅を就職地に新設するということにいたしております。本年度、予算におきましても一万戸の住宅の新設を予定いたしておるのであります。この事業もやはり雇用促進事業団に行なわせておるのでございます。
さらにもう一つの問題といたしましては、日本の賃金形態から考えまして、いわゆる年功序列型の賃金形態をとっております。したがって、採用するほうから申しますと、新規採用であるにもかかわらず、中高年齢者の関係で相当なる賃金を出さなければならない。また、就職する側から申しますると、相当なる年齢であるにもかかわらず、新規の就職者として安い賃金で就職しなければならない、この点に問題があるわけでございますが、これは日本の賃金制度そのものに内在する問題でございまするので、直ちにこれが解決をはかるということはなかなか困難でございます。幸いにいたしまして、現在労働力の需給関係を原因といたしまして、初給賃金も逐次引き上げられ、また、年々の春闘その他に伴いまして、賃金全体のベースアップが行なわれつつあり、このベースアップのワク内においてそれぞれの経営者におかれましては、その事業場の賃金形態を年功序列型から能率給的なものに考え直そうじゃないかというような機運も起こっておるわけであります。で、将来の労働の流動化、日本の労働力の効率的活用という点を考えますると、日本の現行の賃金制度については、相当なる改善を必要とすると存じまするので、労働省といたしましても、昨年以来、賃金問題についての研究会を持ちまして、専門の学識経験者に、日本の将来の賃金制度のあり方、賃金方式、こういうものについて研究をしていただいておる次第であります。
研究の結果につきまして、これを一般産業経済界に提示いたしまして、逐次それぞれの事業場の状況に適合するようにしながら採用していただくように、将来指導してまいりたいと考えておるようなわけでございます。
以上が大体中高年齢層についての考え方の概要でございまするが、なおこれに関連いたしまして、職業紹介の機能の強化というような方面をも考えておるわけでございまして、それに伴いましてこのたびの設置法の改正におきまする増員等も考慮せられた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/90
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091・伊藤顕道
○伊藤顕道君 中高年齢層の就職状況は、いま私がお伺いして御答弁いただいたわけですが、それとは逆に若年者、特に新規中卒者の就職希望数ですね、これを年次別に見ると、将来の展望に立つと、これはやっぱり逆な傾向を顕著に示しておるわけですね。もし数字に誤りがあれば訂正していただきたいのですが、私の調べによりますと、三十九年度は八十三万人のようですが、これは将来に向かっては最高になるわけです。四十年には七十八万、四十一年には六十七万、しかも四十五年になると四十万人というふうに、三十九年度の八十三万の半数にも及ばない、こういうふうに減っていくような展望をせざるを得ないのですね。このままでは老若各層の求人と求職との差がますますひどくなって、いわゆる労働力の需給のアンバランスが大きく開いてくる。まあこういうような問題にも関連して、ただいま中高年齢層については大臣からお答えがあったわけですけれども、この若年者、特に中卒の面が一番ひどいと思うのですが、こういう傾向に対しては大臣はどのようにお考えですか。
それから、その前に私がいま指摘した数字が間違っておればこれを御訂正いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/91
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092・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) いま先生御指摘の数字で大体合っていると思いますが、三十九年度は中学の卒業生で就職希望者が八十三万、これが中をずっと飛ばしまして四十五年になると、推定でございますが、四十万、半分以下に減るわけです。逆に高校のほうは、三十九年が五十四万七千であったものが、四十五年になりますと、倍まではいきませんが、八十九万という推定を現在のところいたしております。先生さっき中学の卒業生の就職希望者の見込み数を御指摘ございましたが、大体数字は合っているのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/92
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093・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 若年労働者、ことに新規学校卒業者の求人求職につきましては、御指摘のとおり、非常に需給状態が逼迫いたしております。将来は一そうはなはだしくなるものと考えておるのでございます。労働省といたしましては、これにつきましてはやはり需要者の側におきましても、できるだけ中高年齢の労働力による代替措置を頭において考えていただこうと、それから何ぶんにも全般的に逼迫をいたしておるのでございまするから、自分のところだけが労働力をふんだんにかかえ込もうというようなやり方は避けて、できるだけ若年労働力を節約した雇い入れ計画を立て、そしていわゆるげたをはかずに正味の求人の申し入れをお願いするように指導をいたしてまいるつもりでございます。と同時に、職業紹介機能の強化をはかりまして、全国的に若年労働力を必要なる個所へ紹介するようにいたしたいというので、電子計算機の利用による機構の強化というようなことを考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/93
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094・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この若年労働の問題を問題にする場合には、いま私はかりに新規中卒者の例をとったわけですけれども、これはいま高校の場合はその逆の傾向で、四十五年にはほとんど倍に近くなる、そういうことであると、だいぶ内容が変わってくるわけですね。私がいま中卒者だけにとったのは、これはほんの一端ということになりますから、若年労働を論ずる場合はやはり高校新規卒業者の就職希望者数、そういうこともあわせ考えなきゃいかぬと思いますが、そこで、中卒はだんだん年次別に減っていって、高校は年々ふえていく、これは言うまでもなく、近来特に高校就学の率が非常に高くなっておりますが、ただ問題は収容力がないから遺憾ながら問題が解決しないままにおかれておる、これは文教政策ですからここでは論じませんが、こういう問題から高校全入運動などがいま盛んに起きているわけです。直接関係ないからここではお伺いしませんが、そこで、若年労働力は不足を現在現実に告げておるわけですね。これをカバーするのは、大臣からいろいろ対策が一部御説明あったわけですけれども、これは何といっても中高年層の能力をあげて、この能力をあげるということは、いろいろ訓練所等通して、いわゆる求職、求人側の要望にこたえ得なければならないのですね。そういうためにいろいろ年次計画を立てて、いろいろ具体的に計画を進めておられると思うんですが、こういうことに限定しての何か年次計画はおありですか。そうしてもしあれば具体的にはどういうことか、要点だけをお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/94
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095・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 需給の質量ともにバランスが非常にくずれてきておるという問題に対処しまして、大筋としては若年層の不足を中高年で補う、それから若年層の中でも中卒から高卒に移りかわるというような趨勢に対処いたしまして、事業主、雇用主の側でこれに対応する事業側の採用計画、あるいは経営の体質改善というような対応のしかたで現在PRをするとともに、指導をしておるわけでございます。そこで私どもとしましては、こういった大局的な需給の見通しに基づきまして、具体的には安定所の窓口におきまして、各企業の充員計画を、やや長期的な見通しに立った充員計画を提出していただいて、できるだけ窓口指導によって、若年の要求に対しては職場配置の状況を聞いて中高年に振りかえるというふうな現実的な指導をやっております。あるいは中高年と若年との抱き合わせというふうな表現で、多少反対もあるわけでございますが、労働力全体の需給バランスをとっていくという観点からしますと、どうしても窓口において具体的なそういった処置を指導することによってこの問題を解決していかなきゃならぬと思います。
それから中高年の再訓練の問題ですが、これは訓練局長から御答弁があると思いますが、結局先生御指摘のように、産業界の需要に見合った中高年の再訓練ということを通じて再就職戦線に仕立てていく、これを重点的に、私どもとしては、就職促進の援護措置を併用しながら再就職をはかっていく、こういう基本的な態度で臨んでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/95
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096・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで一つ問題はあると思うのですが、中高年層の再就職する場合、その再就職先がいままでは大体中小企業に限定されておったようですね、大企業の面にはあまり開発されていなかったと思うのですが、そういうことになると、中小企業は文字どおり規模が小さいので、そのいわゆる求人の問題についても限界があるわけですね。で、こういうことからさらに今後の問題としては、大企業のほうにも中高年齢層の再就職、再訓練を経た者をどんどん送り込むと、そういうような方向で努力しないと、なかなか、依然として中小企業の従来どおりでは解決がはかれないのではなかろうかと思うのです。こういう問題については何か働きかけがあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/96
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097・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 私どもも芸をこまかくいたしまして、職場の分析をいたして、若年でなくても中高年でつとまるじゃないか、あるいはむしろ中高年の特色がよりよけいに発揮できるという職場分析をいたしまして、これを中高年の適職事例だという形で、私どもの職業安定審議会の御意見も聞いて窓口指導の参考資料としておるわけでございます。それをもとにいたしまして、大企業がいままでの感覚で若年層を大量に吸収していくと、その結果中小企業には回らない、こういうふうなアンバランスが従来出ておったわけですが、大企業に向かっても、配置する職場の事情によっては中高年を積極的に振り向けていく、そうして若年労働力の節約をはかってもらう、その分をできるだけ中小企業の御要望にこたえるようにしよう、こういうふうな対策を立てて、現在安定所の窓口を通じて具体的に指導してまいっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/97
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098・伊藤顕道
○伊藤顕道君 具体的な活動の面としては、中央では労働大臣とそれから経営者団体の代表の方々と、雇用対策について協議するための中央雇用対策協議会ですか、こういうものが現在つくられておるのじゃないですか。それと相対応して、地方では各都道府県と関係官公庁と関係団体との協力を得て、いわゆる知事と雇用主が雇用問題について打ち合わせをするところの地方雇用対策協議会、こういうようなものは、もうすでにできておるように伺っておるわけですが、こういうような具体的な問題を進めて、そして積極的に推進していくことが効果的であろうと思うのですが、もしこういうものができて、すでに発足しておるとすれば、現在までどのような成果をあげておるのか、あるいは将来の展望に立った場合どういうことが言えるのか。こういう問題についてお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/98
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099・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 御指摘のように、雇用の問題、特に中高年の就職促進を大きな課題といたしまして、雇用主側との意見交換の場といたしまして、中央雇用対策協議会というのを日経連、日商、それから中小企業関係では中央会、これに役所側から私どもが、この四者が一緒になりまして共同で雇用問題全般について意見交換をしようじゃないか、こういう話し合いになりまして、まあ四半期に一度ずつくらいの目途で集まり合って雇用問題の意見交換をしております。こういう会合を中央でも、それから主として需要地の府県において現在持っております。そこで第一回の会合におきましても、この中高年の問題については非常に活発な意見が、賃金問題あるいは住宅問題について出ましたし、それからさらに現在新聞紙上等をにぎわしておりまする手配師、供給ボスの取り締まり等の問題についても、雇用主側から積極的な意見も出て、われわれとしては非常に有益な会合ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/99
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100・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この中で中高年層を採用して好成績をあげておる面をモデル・ケースとして取り上げて機関紙に報道したり、あるいはフィルムにおさめて、いわゆるPR活動ですね、こういうものもわれわれやっておるというふうに聞いておるのですが、これを現在やってきておるとすればどのような成果をあげておるのか。また、今後の展望は一体どうなのか、こういう問題についてもお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/100
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101・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 中高年の雇用促進につきましては、もう具体的な好事例を積極的にPRするというのが一番いい方法でございますので、私どもの旬刊機関紙といたしまして、職業安定広報というのがございますが、これにもこのモデル・ケースの特集号を再々編集いたしまして、そしていまの雇用対策協議会等にも配布いたしまして、関係の業界をPRいたしております。そのほかにテレビ、ラジオ等でもこの問題を取り上げていただきまして、主としてモデル・ケースについて積極的なPRをしていただくということで現在進めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/101
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102・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この就職について直接の職責を果たすのは公共職業安定所だと思うのですが、この職業安定所では、求人充足対策懇談会等を雇用主等を招いて開き、求人充足を現在進めておるわけですか。これも今後やるわけですか。もうすでに活動しておるのかどうかという点。それから安定所内にも特別雇用相談室というのを設けて雇用主の個別の相談にも応じておる、これは全国的に一律にやっておるのかどうか。試験的にやっておるのか。こういう問題もあわせてやることがもちろん効果的であろうと思うのですが、その実施の程度はどうなんですか。それから今後の展望に立った場合どういうことが言えるのですか。こういう問題について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/102
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103・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 安定所別にすでに雇用主懇談会というようなものを持ちまして、積極的なPRないし連絡をやっている安定所が需要地については相当ふえてきております。しかし、これを画一的に全国的に各安定所すべて持てというふうな指導は私どもはいたしておらないのでございます。
今後の問題といたしましては、こういった形の懇談機関が漸次広がってくると思いますが、安定所の組織の運営の方法といたしましては、従来労働力が過剰でありました時代には雇用主の啓蒙ということはあまり必要でなかったわけです。こういうふうな不足の事態に立ち至りあるいは中高年の就職を積極的に促進しなければならないというような事態に対処いたしまして、安定所の業務運営も、雇用主の御希望なり御要請に応じ得るような積極的な態勢をとるように、いま内部の編成がえを行なっておるわけでございます。雇用主側とそれから求職者側と両方に対してサービスの万全を期していこうという態勢をいまとりつつある段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/103
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104・伊藤顕道
○伊藤顕道君 三十九年度の労働省関係の予算は八百二十一億と見ているわけですが、昨年より八十八億ほど増になっておりますね、この内容を見ますと、重点施策として、若い人や技術者の不足の解消、あるいは若年層に対して中高年層の活用の問題、それと職業技術訓練の充実、こういうところに重点があるように伺っているわけです。
そこでまず、この職業訓練について二、三お伺いしたいのですが、いま技術革新の非常に激しい産業界にあって、その必要とするあらゆる職種の需要に応ずるためには相当幅広いものが要求されておろうと思う。そこで本年度のこの事業計画について要点だけを御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/104
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105・松永正男
○政府委員(松永正男君) 職業訓練といたしましては、事業内職業訓練と公共職業訓練、技能検定、これが仕事の三本の柱でございます。労働省と都道府県が直接いたしますのは、公共職業訓練と技能検定の部門でございます。公共職業訓練につきましては、三十九年度におきまして延べ訓練生総計におきまして十二万一千七十五人の訓練をする計画にいたしております。
なお、これをいたします訓練所といたしまして、一般職業訓練所が二百八十八カ所、総合職業訓練所が五十二カ所、身体障害者職業訓練所が九ヵ所、中央職業訓練所一ヵ所というような状況になっております。
なお、訓練職種は約百職種でございます。
それから事業内職業訓練につきましては、国から都道府県に補助金を出しまして、都道府県が国と同額の補助額を組みまして訓練の実施についての経費の補助をいたしております。
それから技能検定につきましては、三十五年から実施をいたしてきております。昭和三十八年度におきましては十六職種の検定を行なっております。三十九年度におきましては、技能競技の競技会を補助金等によりまして盛んにいたしまして、これと技能検定との連携をとりまして、検定職種の強化をはかりたいという計画をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/105
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106・伊藤顕道
○伊藤顕道君 職業訓練所のうち、身体障害者のための訓練所、これについてお伺いしたいと思ったのですが、一部もうすでに訓練所は身体障害者については、いま九つだとお答えがあったので、これはもうけっこうですが、訓練科目はどんなことをやっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/106
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107・松永正男
○政府委員(松永正男君) 訓練科目の詳細につきましてはいま資料を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/107
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108・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いや、概要でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/108
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109・松永正男
○政府委員(松永正男君) 大体身体障害者向けの職種をいたしておりますが、たとえば判こをつくる職種、それから時計の修理、ラジオ、テレビの修理といったようなもの、それから洋服、洋裁、それから製図関係、それから義肢の製作といったような職種でございます。詳細は、もし御必要でしたら後ほど資料としてお出しいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/109
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110・伊藤顕道
○伊藤顕道君 労働者の技術向上をはかることを目的として、民間ではいま技術コンクールが適宜開かれておる。ところが、労働省としては、これを支援、助成する立場にあるわけですが、こういう問題は労働省としては、どのように措置しておられるか、この問題を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/110
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111・松永正男
○政府委員(松永正男君) 技能コンクールにつきましては、先生御承知のように、国際職業訓練大会というものが、スペイン、ポルトガル等を中心にして、ヨーロッパで行なわれておりまして、ことしが第十三回目になるわけでございます。それで日本に対しましても、このコンクールに参加したらどうかという勧誘がございまして、第十回の競技会にこちらから調査団を派遣をいたしまして、実情を調査いたしまして、十一回、十二回と参加をしてまいりました。で、この国際職業訓練大会に、競技大会に派遣をいたしますために、国内におきまして、出場職種につきまして予選を行ないまして、日本の選手をきめて送るということをいたしてまいったのでございますが、これが各企業、それから各技能労働者の人たちに、非常な関心を呼びまして、たとえば昨年はこの予選に参加いたしましたものが七百人でございましたが、今年は約四千人参加するというような状況でございます。で、そのような状況でございますので、政府といたしましても、これに対しまして、補助金を支出をいたしまして、各府県で行ないます競技会、それから中央で行ないます選手選抜の全国大会、それから外国に派遣をいたします選手の旅費等に対しまして、国から補助金を支出をいたしております。それから三十九年度におきましては、このようなコンクールに対します熱意が非常に高まってまいりましたので、噂にオリンピックの職種だけでなしに、その他国内で必要とされる職種につきましても、大幅にコンクールを実施する、あわせて国際選手の予選も兼ねるというような計画をいたしておりまして、三十九年度におきまして、補助金として約九千九百万円の予算を計上いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/111
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112・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この問題に関連して、技能検定というのがありますね。これの概要をひとつ御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/112
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113・松永正男
○政府委員(松永正男君) 技能検定につきましては、申し上げるまでもなく、各労働者がそれぞれの専門の職種につきまして、持っております技能の程度を公に認定をいたしまして、これによりまして労働者の地位の向上とあわせて生産性の向上ということをはかることが目的であるわけでございます。考え方といたしましては、訓練の職種があるものにつきましては検定も同時にこれを行なうということが理想であるわけでございます。わが国におきましては、訓練のほうが先行をいたしましたので、先ほど申し上げましたように、訓練が約百職種でございますけれども、検定につきましては三十八年度までに二十九職種の検定を行なってきておる状況でございます。そこで職業訓練審議会におきましても、これは御承知のように、労・使・公益の三者構成でございますが、この職業訓練審議会におきまして検定を急速に拡大をする必要があるということを御議論になりました結果、先ほど申し上げましたコンクールを盛んにしまして、自由に競技会を開催をすることによりまして、この技能検定の実質的な拡大をはかったらどうか、ただしその場合に、この競技の採点の基準、採点の方法、それから競技の委員というものにつきましては、国、都道府県が監督をして、公正、公平な判定ができるようにするということで、この判定の結果一定の基準以上の成績をおさめました者は、技能検定のそれぞれ一級、二級の等級に照らしまして実技の試験を免除するということが技能検定を普及拡大する方法ではなかろうかという答申がございます。これに基づきまして、三十九年度におきましては、先ほど申し上げましたような予算で約七万人、三十八職種につきまして競技会を開催をする、そしてこの競技会の結果、成績の優秀な者につきましては、あと学科試験だけを受ければ技能士になれるというような運用をいたしたいという計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/113
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114・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、広域職業紹介の目的をもって労働研修所がつくられる予定の隣ですか、労働市場センターを設置して、大型電子計算機、これを活用して、求人、求職、失業対策、こういう記録の計算や、各都道府県の職安と直結した広域職業紹介の実をあげる、こういう計画があるやに聞いておるわけですが、これがもし順調にいけば、中高年令層の再就職にも相当役立つというふうに考えられるわけですが、これは現在どうなっておりますか、将来はどういうふうに見通しておるのか、そういう問題についてお聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/114
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115・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 今年度から三年がかりで、労働市場センターの設置を計画いたしておりますが、その考え方の概略を申し上げますと、中央のセンターに先ほど官房長から話がありました大型の電子計算機を設置いたしまして、全国五百近くの安定所を通信網で結びまして、それも単なる通信ではなくて、いわゆるデータ伝送システムという新しい方式を採用いたすことによって、失業保険業務と職業紹介業務の両面をこの安定所とセンターと直結することによって業務を集中的に迅速に処理をする、こういう体制を三年がかりでとる予定にしております。その結果どういうことになるかと申しますと、先ほど御指摘のような中高年の就職難に対処いたしましても、就職の機会をより多く確保してあげる。それからまた、より敏速に、迅速に対処してあげる。また、求人側から申しましても、現在一人の募集について十万近くも募集費をかけて、しかも犬も歩けば式であっちこっち回っているわけですが、なかなか人が得られない。そういうことに対しまして、このセンター・システムによりまして全国的な市場情報というものを絶えず提供いたすことにより、求人側の充員対策にも非常に便宜供与ができる、こういったいろいろな利点がございまするので、四十二年以降の雇用事情の推移等も考えまして、この際思い切って安定所機能を近代化し、若返らせて、産業界並びに求職者、労働側の要請にこたえてまいる、こういう体制をとるつもりでやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/115
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116・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、消極的な雇用対策といわれておるいわゆる失対事業ですね、この失対事業のための本年度の予算はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/116
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117・住榮作
○政府委員(住榮作君) 失業対策事業の予算につきましては、対象人員が十九万四千人、予算額といたしまして三百九億四千万円を計上いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/117
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118・伊藤顕道
○伊藤顕道君 その中で賃金引き上げとか、あるいは就労日数の月平均、こういう問題について御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/118
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119・住榮作
○政府委員(住榮作君) 賃金につきましては、予算単価といたしまして五百一円九十銭、前年度は四百五十八円でございます。それから就労日数につきましては、現在の屋外労務者の平均就労日数等も勘案いたしまして月間二十二日、こういう計算で予算を計上いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/119
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120・伊藤顕道
○伊藤顕道君 最近労働省も最賃制について相当考えてきたようですが、業種別、地域の概要ですね、これはどういうことになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/120
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121・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 昭和三十九年三月末現在におきますところの最低賃金決定状況は、総件数が千五百九十四件、この適用を受ける労働者の数は二百九十三万人でございます。御承知のように、最低賃金決定方式といたしましては四つの方式がございますが、その方式ごとに申し上げますると、第一に業者間協定に基づく最低賃金、これは最低賃金法の第九条に基づくところのものでございますが、件数は千五百十件、適用労働者二百六十六万人。第二は、この業者間協定に基づく最低賃金を地域的に拡張適用するという最低賃金法第十条に基づく地域的最低賃金でございますが、七十八件、これについては、法第九条に基づく最低賃金適用労働者二十万人を含めて二十二万人。第三に、労働協約に基づく地域的最低賃金、これは先ほども第二に申し上げましたと同様に拡張適用する方式でございまして、最低賃金法第十一条に基づくものでございますが、五件、適用労働者十六万人。それから第四に、最低賃金審議会の調査審議に基づく最低賃金で、最低賃金法の第十六条による方式で、俗称職権決定とこう申しておりますが、これは一件、適用労働者八万人ということになっております。
なお、産業別、地域別という御指摘でございますが、こまかく申し上げましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/121
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122・伊藤顕道
○伊藤顕道君 その程度でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/122
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123・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) それでは省略さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/123
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124・伊藤顕道
○伊藤顕道君 これは三月二日の日に、労働大臣は、春闘共闘委員会の代表から、全国一律最賃制の確立についての、要求を受けられております。それに対する回答がなされておるわけです。それは新聞記事で見たのですが、内容は大臣おわかりでしょうから、私は内容には触れませんが、この問題について一点お伺いしておきたいのです。その中で、各方式を活用して積極的に運用していきたいということを述べているわけですが、その問題について、その後何らかの前進があったのかどうかという点、それから全国一律最賃制について、現在労働大臣としてどのようにお考えになっているのか、この御回答に関連して、この二点だけお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/124
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125・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 最低賃金の問題につきましては、一昨年あたりから相当世間で論議されるようになってまいりまして、私も一昨年就任いたしまして以来、この問題の実情をいろいろ検討いたしてまいったのでございますが、御承知のとおり、最低賃金の制度につきましては、ILOの国際条約もあるわけでございます。現在のわが国の最低賃金法を制定いたしまする当時におきましては、このILOの最低賃金制度に関する条約を批准する必要もある。そういう意味で、最低賃金法を制定いたしたいということで、現在の法案が当時説明されておったのであります。ところが、就任いたしてみますると、その後数年たっているのに、一向条約の批准が行なわれていない。事情を聞いてみますというと、ILOにおいて、日本の最低賃金制度について多少問題があるのであって、その問題を検討中であるからして、その検討が終わるまでは、日本としても批准するわけにはいかないのだ、こういう事情であったのであります。というのは、日本の現在の最低賃金制度が国際的な水準に適合しているかどうか、その点に疑問があるわけであります。どういう点が疑問であるかと申しまするというと、最低賃金の制定については、労使対等の立場に立って話し合いをしていく、そしてそれを基礎にして最低賃金をきめるべきであるというのが、ILOの考え方であるのでございまするが、日本の最低賃金法は、先ほど局長から申し上げましたるごとく、業者間協定というものが大部分を占めている。しかも制定当時の経緯に徴しまして、当分の間は、最低賃金法の運用にあたっては、業者間協定を主体として進めていきたいという方針を引き続きとられておったわけなのであります。この業者間協定におきましては、労働者の代表を抜きにした業者間の話し合いによって最低賃金の基礎条件が決定される、それが最低賃金審議会におきまして審議をされるのであり、その審議会においては労使の代表者は入っておるのでございまするが、そういう業者間協定の経過から見まして、労使が対等の立場でこの最低賃金の決定に参与しておると言い得るかどうか。そこにILOとしてもまだ検討する余地が残っておるということであるわけなのであります。一方におきまして、最低賃金の問題は昨年来労働組合の春闘の旗じるしの一つにもなっておりまするし、また、今後日本が開放経済体制をとっていくということになりまするというと、最低賃金制度の普及ということが、やはり労働条件の基礎的なものが整備されるということにも相なるわけでございまするから、かたがた将来の日本経済の国際的発展ということを考えてまいりまするというと、この最低賃金制度をできるだけ完備して、国際水準に引き上げていくということが日本の労働政策として必要ではなかろうか、こういう意味において、現在の状態において直ちに最低賃金法を改正するということはなかなか困難でございまするが、しかし、少なくともそうした国際基準という方向に向かって漸進的に前向きの姿勢をとる必要があるのではなかろうか。こういうことで最低賃金審議会の方々にも御相談をいたしました結果、最低賃金審議会におきましては、従来業者間協定を主体としてやっておった日本の最低賃金の決定にあたっては、今後は職権方式を大幅に取り入れることにしよう、そしてとにかく労働組合側の代表者の要求する全国一律最低賃金制度という要求もさることながら、現行法のもとにおいてできるだけ前進するという意味において、この際思い切って職権方式による最低賃金制度を大幅に取り入れていこう。ついては最低賃金審議会においてその職権方式を取り入れるべき産業の種類、またその職権方式によって取り上げられるべき最低賃金の額の目安、こうした問題についても最低賃金審議会が今後詳細に審議し決定する、それを基準として労働省においても最低賃金制度のできるだけ普及をはかってもらいたい。そして最低賃金審議会の考えによりまするというと、現行法のもとにおいてこういう新しい方針のもとに三年間ひとつ実績を積み上げていこうじゃないか、そしてそのでき上がった最低賃金の実体を比較検討した上で、全国一律の最低賃金制度というものが日本においてはたして適当かどうか、あるいは業種別ないし地方別による区別というものをある程度考えていかなければならないのであるかどうか、そうした問題を判定する現実の資料が三年間にでき上がるんじゃないか。この三年間の実績に基づいて将来の最低賃金制度の方向をあらためて相談しようというのが最低賃金審議会の御意向であったわけなのでございます。労働省といたしましては、この方針に従いまして、今後の日本の最低賃金制度を検討いたしてまいりたいと、かように存じておる次第でございます。その旨を総評その他の関係者の御要望に対しまして回答をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/125
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126・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この問題は、憲法二十五条と労働基準法にも関連を持ってくると思うのですね。この二十五条には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」、これは言うまでもないことですが、労働基準法にも「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」、こういうような規定が明確に出ているわけですね。こういう観点から言っても、文明国としては当然このことは実施されなければならないと思うのです。そこでいまの業者間協定では真の意味の最賃制にはならないのではないか。で、いわゆる全国一律の最賃制が適当ではないかと、こういう憲法とか労働基準法に結びつけても一応そういうふうに考えられるわけです。いま最賃制の考え方については大臣からも御説明があったので、そのことについてはお伺いしませんが、やはりこういう角度から、憲法二十五条、労働基準法、こういう観点からもこの問題は当然考えられると思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/126
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127・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 御指摘のように、憲法第二十五条はいわゆる生存権に関する保障規定でございまして、国政ないしは行政にあたりましてこの二十五条の規定の精神が基本とされることは御指摘のとおりでございます。しかしながら、最低賃金そのもののあり方については、この基本、前提に従うとして、なおかつ技術的ないろいろな問題がございまするので、賃金額の決定についてはどのような考え方をとるべきかという問題があるわけでございます。その点につきましては、現行最低賃金法の第三条を見ますると、最低賃金の原則として「最低賃金は、労働者の生計費、類似の労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払能力を考慮して定められなければならない。」、こういう規定があるわけでございます。最低賃金決定の方式につきましては、ただいま大臣からお話がございましたように、いろいろの問題がございまするけれども、賃金の原則そのものにつきましては、労働者の生活という面も考慮いたしまして、すでに第三条において原則が掲げられているということが申し上げることができるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/127
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128・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで、日本の場合問題になるのは、中小企業特に零細企業が非常に率が多いわけですね。そういうことでこの中小企業とか零細企業に対する保護育成の対策が講じられない現状のままで直ちに全国一律最賃制を実施することにはわれわれが考えても無理があろうと思う。そこで中小企業、わけて零細企業に対しては保護育成の政策を実施しながら、それと並行して全国一律の最賃制を実施する。そういう配慮が当然に必要になってくると考えられるわけです。現状のまま直ちには無理があろうと思うのですね。こういうものの考え方については労働省としてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/128
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129・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 日本の経済の二重構造と申しますか、大企業におきましてはすでにヨーロッパ、アメリカ等の先進国の水準に近い、あるいはそれをしのぐ生産性を上げている。したがって、賃金の支払い能力におきましても、現在以上の賃金も支払えるような内容を持っている企業がたくさんあると思うのでございます。しかるに一面におきまして、中小企業あるいはサービス業等におきましては、現在も非常に賃金が大企業に比べて格差があり、しかもそれでもなお経営に困難をし、多少の賃上げが行なわれても直ちに価格、料金にそれをはね返らさざるを得ないというような状況にあるのでございまして、これはしかし、現在の賃金の動向を見てまいりますると、先ほど申し上げましたごとく、今後に予想せられまする労働の需要供給の逼迫ということから考えまして、好むと好まざるにかかわらず、賃金の格差の解消、すなわち低賃金の大企業の中小企業へのさや寄せという傾向が強められていくものと思うわけなのであります。で、これに対処いたしまして、中小企業といたしましても、その企業の存立のために、労働生産性の向上、すなわち企業設備の改善、労働量の合理化、こういうことを当然考えてまいらなければならぬ次第でございまして、これに対しましては、政府といたしましても、中小企業対策の根本として、いろいろ協力、応援をしなければならぬところだと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/129
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130・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで、現行のいわゆる業者間協定については、労働者の賃金についても、労働者は何らこれに意見を述べることもできないし、それから任意法規であるわけですね。したがって、すべての業者を対象とすることができない。まあこういうようなところに、現行のいわゆる業者間協定では欠陥が指摘されると思うのですね。そこで、外国の場合をちょっと見てみますると、この一律最賃制の実施によってむろん賃金は上昇し、産業も繁栄しておるという事実が指摘されておって、特に日本のような中小企業、零細企業が、全国一律最賃制のために、これが経営困難になって倒れてしまうというような事例は、私の調べたところではあまりないようなんですが、こういう実情はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/130
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131・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 諸外国の最低賃金制につきましては、必ずしも各国一様ではございませんが、しかし御指摘のように、最低賃金制を実施したことによって企業が倒産したとか、あるいは産業活動に著しく不利を与えたというようなデータは、私どもあまり把握いたしておりません。したがいまして、そのような最低賃金制を実施するにあたりましては、産業界、企業の実情等をも考慮いたしまして、適正に最低賃金制度が実施されておるものと想像いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/131
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132・伊藤顕道
○伊藤顕道君 最後に、時間の関係もございますから、定年制について一点だけお伺いしておきたいと思うのです。
最近の新聞報道によりますと、人事院は、いま公務員の合理的な人事構成のあり方について検討を現在進めておる、まあ事務総長が中心になって検討を進めておる、こういうことで、まだ正確な報告には接していないわけですが、結局この定年制については、大臣としては現在どのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/132
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133・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 現在大企業等におきまして、労働者の定年制を採用いたしておるところは相当あるようでございます。特に、私どもの調べによりますと、五百人以上の事業場においては、三十七年末において八二%、百人から四百九十九人の事業場においては七三%、百人未満の事業場では四七%、これが大体定年制の実施の状況でございます。大規模事業場に比べまして、小規模事業場は定年制の普及率が低いのでありますが、しかし、近年におきましては、小規模事業場にも定年制が普及する傾向が見られておるのでございます。しこうして、定年制においてつかまえておりまする年齢でございます。男女職能の別を問わず、一律に五十五歳を定年としておるのが過半数を占めております。また、男子五十五歳、女子五十歳としておるところもかなり多いようでございます。一律に、または一部の労働者について、五十六歳以上の定年を定めているところはまだ非常に少ないのでございますが、最近定年が逐次延長される傾向にありまして、五十六歳以上の定年がだんだんふえつつあるような状況でございます。で、私どもといたしましては、日本の産業態勢の切りかえのときにあたりまして、将来の労働力の需給関係が、日本におきましても、外国と同じように、労働力がふんだんにある産業状態から、今後はいわゆる人手不足の産業状態になってまいりまするので、定年制につきましても、これに応じて検討を加える必要があると思っております。ことに、最近寿命が延びてまいりましたので、あまり早い定年を固執いたしておりますると、老人の生活の問題等もございまするので、これらの点を考えまして、労働省といたしましては、定年制の再検討ということに真剣に取り組みつつあるわけでございます。ただいま労働省の企画参事官の手元でいろいろ調査をいたしておりまするが、将来適当な時期に、学識経験者等の御意見をも徴しまして、将来定年制をいかにすることが日本の産業界のために適切であるかというようなことについてのある見解をまとめてまいりたいと思うのでございます。そして、これらの見解がまとまりましたならば、これはやはり世間に発表いたしまして、企業者、労働組合の幹部等に、御参考に供して活用していただくというふうにいたしてまいりたい、こう思っておるのであります。
なお、定年制の延長の問題に関連いたしまして特に留意しなければならぬ点は、五十五歳以上の人の能力、生理的、肉体的あるいは精神的な能力の問題、それから、そういう方々に対する適応職種の問題、それからまた、その処遇の問題があるのでございます。処遇の問題といたしましては、日本の雇用形態の特徴といたしまして、いわゆる年功序列形の賃金形態の問題と、それから退職金の問題がございます。で、こうした問題を考えるにつきまして、能力がだんだん下がってくる高年齢において、定年以上の高い給与なりあるいは高い退職金を供与するということに相なりますると、これは定年問題の解決を困難にする面もありはしないか。この辺の研究は非常に慎重を要する点ではないかと思っておるのでございますが、いずれにいたしましてもこの研究を急ぎまして、一般の御参考に供するようにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/133
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134・伊藤顕道
○伊藤顕道君 特に先ほどお伺いした中高年層のいわゆる再就職の困難性ということ等と直接に結びついてくる問題であろうと思います。もちろん、大臣よく御指摘になったように、人間の、特に日本人の寿命もだいぶ延びてきたし、昔のままの数字ではやはり検討の段階に来ておると思う。まあそれには関連して賃金の問題とか、いろいろ処遇万般の問題がからんでくる非常にむずかしい問題だと思いますが、ひとつ、そういう方面にも関係のある大事な問題であるので、いま大臣おっしゃったように、熱意を持ってひとつ御検討をいただきたいと思うのですが、そこで先ほど御説明がございました労働省として把握した範囲内でけっこうですから、おわかりの程度で年齢別の、かつ定年制を実施しておるところがあればそれについての資料をできる範囲の面でけっこうですから、次回まで御提出をいただきたい。この資料の提出をお願いして、本日のところ私の質問は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/134
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135・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 他に御質疑がございませんか。——別に御発言もなければ、本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。
これにて散会いたします。
午後三時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03419640526/135
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