1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月二十八日(木曜日)
午前十時五十四分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 三木與吉郎君
理事
石原幹市郎君
下村 定君
伊藤 顕道君
鶴園 哲夫君
委員
小柳 牧衞君
塩見 俊二君
林田 正治君
村山 道雄君
千葉 信君
松本治一郎君
鬼木 勝利君
向井 長年君
国務大臣
労 働 大 臣 大橋 武夫君
政府委員
労働政務次官 藏内 修治君
労働大臣官房長 和田 勝美君
労働省労働基準
局長 村上 茂利君
労働省職業安定
局長 有馬 元治君
労働省職業安定
局失業対策部長 住 栄作君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
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本日の会議に付した案件
○労働省設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
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001・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) これより内閣委員会を開会いたします。
労働省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に続きこれより質疑を行ないます。
政府側の出席は、ただいま和田官房長、村上労働基準局長、有馬職業安定局長、住失業対策部長でございますが、大橋労働大臣は十一時半ころには出席される予定でございます。
御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/1
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002・伊藤顕道
○伊藤顕道君 前回に引き続いて二、三お伺いしますが、大臣が十一時半ころお見えになる予定だそうでありますので、大臣にお伺いする問題をあとに回して、若干具体的な問題でお伺いしたいと思います。
まずお伺いしたいのは、エネルギー革命の犠牲者ともいわれている炭鉱離職者の就職促進策のうちで、最も大きな隘路となっておるのは、移転就職用の宿舎及び就職用の奨励金の問題であろうと思います。この宿舎及び奨励金の問題について要点だけをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/2
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003・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 移転就職者川の宿舎は、三十五年度から建設を始めまして、今日まで、三十五年度が三百九十二戸、三十六年度が九百四十八戸、三十七年度が六千百十六戸、昨年度が五千戸、ことしが一万戸の予定で建設計画を進めております。これで炭鉱離職者の広域職業紹介による就職の促進に非常に役立っておるわけでございます。
それから、ことし初めて制度として設けられました再就職の奨励金制度でございますが、これは就職促進手当を受給する期間が三カ年ございまして、その三カ年間に早く就職をした者に対しては奨励金を支給しようということで、一年以内に就職した場合には七十五日分、それから、一年以上一年半未満の場合には五十日分、それから、一年半以上二年未満の場合には三十日分、こういった再就職の奨励金制度を新たに設けて滞留者の就職促進に努力しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/3
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004・伊藤顕道
○伊藤顕道君 よくわかりましたが、その宿舎は三十八年度分五千戸ですね。三十九年は一万戸。三十九年の一万戸の予定というのはわかりますが、三十八年度はもう過ぎたことなんです。これは五千戸が最初の予定であって、実際の実施はどの程度になっておりますか。この五千戸は予定どおり実施されておるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/4
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005・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 大体、戸数は当初の予定に大体近い数字で建設がなされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/5
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006・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこでお伺いしたいのは、炭鉱離職者の現況について、ごく大綱でけっこうですから、要点だけを御説明いただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/6
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007・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 石炭産業の合理化は、御承知のように、三十四年から始まりましたのですが、この三十四年以来今日までの状況を概略申し上げますと、離職者の総数が累計で十六万二千八百名でございます。この離職者が再就職をどういうふうにしておるかという状況でございますが、安定所の紹介によって再就職した分がそのうち七万六百人でございます。それから、産炭地の振興卒業に吸収した者が二千九百人でございます。それから、会社があっせんをして就職した者が三万六千三百人でございます。それから、自己就職——自分で開拓をして就職した者が三万三千四百人ございます。以上合計いたしますと十四万二千正百人に相なるのでありますが、十六万二千八百人との差約二万人が現在滞留者として滞留している状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/7
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008・伊藤顕道
○伊藤顕道君 先ほど御説明いただいた移転就職用の宿舎、これも初年度以来躍進的に数がふえているようですが、これは絶対値としてはまだまだ少ないわけですが、そうして、再就職の問題についてもいま御説明をいただきましたが、そこで、今後の展望についてはどういう見通しを持っておられますか、概要だけを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/8
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009・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) ことしの合理化計画に伴いまする再就職の計画は、すでに石炭鉱業審議会の議を経まして、一応見通しを策定いたした次第でございますが、それによりますと、ことしの三月末で求職者として残っている者が一万九千九百人でございまして、滞留者の二万人と大体見合うわけでございます。今年度に新しく合理化によって出てまいります離職者を二万一千二百名と見まして、合計四万一千百名に対して再就職計画を立てているわけでございます。
そこで、安定所が、この四万一千百名に対しまして、一万九千人は広域と一般の紹介によりまして再就職をはかっていこう。それから、官公庁、地方公共団体、公社等のいわゆる政府機関への再就職を二千二百名ほど見込んでおります。これは、先に申しました一万九千人の内数でございます。さらに、産炭地振興事業による再就職計画が二千七百六十名でございます。会社あっせんによるものが二千六百五十名、その他が三千二百六十名でございまして、結局、本年度中に二万七千名の再就職をはかっていこう。そうしますと、差し引き四十年の三月末には一万四千百名ほど滞留として残ってくる。こういう一応見通しのもとに再就職計画を実施してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/9
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010・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、日本の統計を見ますると、完全失業者の数は案外少ないわけで、いままでは五十万ないし六十万といわれておったのですが、そこでまず現在どのくらいになっているか、概数でけっこうですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/10
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011・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 一番新しい数字といたしましては、昨年の十一月現在で三十三万人、これは漸次減ってまいってこの数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/11
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012・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうしますと、前よりはだいぶ下降式に減っているということで、たいへんけっこうなことですが、さてそれでは、なぜ完全失業者は少ないのかということについてひとつ御説明いただきたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/12
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013・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) これはやはり経済の成長を反映いたしまして、最近の人手不足が端的にこういう漸減にあらわれてきていると、かように理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/13
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014・伊藤顕道
○伊藤顕道君 経済の成長のおかげだという意味になりますが、私どもはそうは考えていないのです。なぜ完全失業者がこのように少ないのか。これは完全に失業の定義そのものにあろうと思います。なぜならば、この完全失業の定義によりますと、調査期間中収入を伴う仕事に一時間も従事しなかった者のうち、就職、就業を希望し、かつ、何らかの具体的な就職活動をしている者、これが完全失業者の定義になるわけですね。これは間違いないと思うのですが、そこで、月に二日でも働けば、もうそれは完全失業者ではないわけですね。したがって、この期間、たとえ二日でも三日でも働けば一切の保護から切り捨てられてしまう、こういうことになるわけですから、これはみな不完全就業者ということになるわけですね。したがって、日本のように、低賃金でそして労働条件も悪い。そういう中では、どうしても一カ月に一日や二日、たとえ二千円でも千円でも働かざるを得ないような環境がもうすでに出ている。そういう中での完全失業者というのが少ないというのは、理の当然であろうかと思うのです。そこで、労働省が規定している完全失業者の定義そのものに原因があるのだということで、完全失業者が少ないということは、不完全失業者が多いということになろうと思います。この点に対する労働省の見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/14
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015・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) この完全失業者の数が減ってまいったからといって、雇用、失業の情勢がそれだけで著しく改善されているというふうには私どもも考えておらないのでございますが、この調査の定義そのものが、いろいろ御指摘のあったような定義で調査をしておりますので、それだけの指標で雇用、失業の趨勢を判断するわけには必ずしもいかないと思います。私どもとしましては、失業保険の面からも受給率の動きを絶えずとられておりますので、そういった他の面の雇用、失業の趨勢も総合的に勘案いたしまして、情勢判断をしてまいることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/15
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016・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで、この不完全就業者、ことばをかえて言うと、いわゆる潜在失業者の問題が結局失業の問題の中心である。そういうふうに解釈されると思うのですが、そこで、日本で失業問題といえば潜在失業のことであると言っても過言ではないと思います。そこで、この潜在失業者というものはそれではどのくらいあるのか。幸い、完全失業者は、先ほどの御説明で、昨年十一月現在で約三十三万ということで、これはだいぶ減っているようですが、先ほど申し上げたように、ということは、不完全就業者即潜在失業の増加を意味しているのだろうと思うのですが、そういう意味から、まず常識的には、おおよそ潜在失業は約一千万といわれているのですが、現在、労働省で調査のほうの概数はどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/16
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017・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) この不完全就業者の問題は非常にこれもまた定義が問題でございますが、総理府の統計局が行なっております就業構造の基本調査の結果によにますと、これはいわゆる意識面から見た調査といわれているわけでございますが、三十一年当時に二百七十八万ございましたものが、三年おきにやっておりますが、三十四年には二百三十七万、三十七年は二百一万というふうに、非常にこの不完全就業者の数も著しく減ってまいっております。よく意識面からだけの調査では不十分じゃないか、こういうふうなことで所得面からの調査の数字も検討をしておるわけでございますが、これによりましても、大体年間所得を十二万円のところで線を引いてみますと、三十五年当時に七百二十一万ございましたが、それが三十六年には五百九十九万、三十七年には五百十七万、こういうふうに非常に大幅に減ってまいっております。したがいまして、私どもの情勢判断といたしましては、意識面から見ても、所得面から見ても不完全失業の状態は相当程度改善を見ておるんじゃないか、かように判断をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/17
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018・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうすると、三十七年まではわかったんですが、三十八年はまだわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/18
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019・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 三十八年の調査はまだ出ておりませんので、出ましたら、また御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/19
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020・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこでお伺いしますが、労働省としてはこれに対応するいわゆる雇用政策を打ち立てておると思うのですが、まず雇用の長期計画がまず設定せられて、これに基づいて年次計画が立てられると思うのですが、また、この年次計画を労働省としても立てる義務があろうかと思うのですが、こういう点についてはどういうふうに進めておられますか。具体的には、こういう計画が——まあ名称は変わっても何か計画があろうかと思いますが、その基本計画を立てて、それに従って年次計画が立てられておると思うのですが、そういうものについてちょっと概要御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/20
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021・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 雇用の長期計画につきましては、一応所得の倍増計画の中において、三十五年当時から一応の見通しを立てたわけでございますが、その後の情勢の動きに対応いたしまして、現在所得倍増計画につきましても中期計画というような形で見直しがなされておりますが、私どもといたしましても、この経済の長期計画と関連を持ちながら、三十九年から四十三年までの五カ年間につきまして、産業別、地域別の雇用計画を現在検討中でございます。これにはいろいろな前提条件がございまして、まあ非常にむずかしい作業でございまするけれども、こういった中期的な期間におけるやや長期的な雇用計画を策定中でございますので、成案を得次第、また御報告させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/21
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022・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なお、あとの問題は大臣がお見えになってからお伺いするとして、最後に一点だけお伺いして、あとは鬼木委員が質問を申し出ておりますから、鬼木委員に譲りたいと思います。
そこで、前に、雇用審議会というのがありましたね、この雇用審議会でもこういう問題を担当しておったわけですけれども、この雇用審議会よりもさらに強力な機関をつくって、この機関に担当させる必要があるんじゃなかろうか、こういうことが一つと、いまの公共事業とか失対事業が進められておりますけれども、これを質的にも量的にもさらに強化して、そして事業の拡大をはかる必要があるんではなかろうか、こういうふうに考えられるんですが、この二点についてそれぞれ労働省としてのお考えをお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/22
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023・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 最初の雇用審議会の問題ですが、これは総理府に現在雇用審議会がございまして有沢会長が会長をされておりますが、この審議会に対しまして、最近の雇用並びに産業構造の高度化に伴った今後の雇用政策の基本的な方向について諮問を総理大臣からいたしておりまして、目下三部会に分けてこの問題について慎重に検討をしておりますので、結論を得るまでにはなお一年以上かかると思いますけれども、そういったところで基本的な方向を出していただいて、その方向に従って私どもの雇用政策を具体的に打ち立ててまいりたいと思います。
それから、第二点の失業対策事業の問題でございますが、これは御指摘のように、建設省をはじめとする公共事業との関連を持ちながらさらに一そうの運営改善をはかってまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/23
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024・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/24
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025・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/25
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026・鬼木勝利
○鬼木勝利君 私も大臣が見えたら大臣にお尋ねしたい点が二、三あるのですが、まず第一にお尋ねしたいのは、先般の公労委の仲裁裁定によるべース・アップですか、これは各方面に相当大きく影響すると思いますが、これはむろん前もって私申し上げておきますが、このベース・アップの内容について、あるいはその是非について、私は論ずるものじゃない。これが社会的に及ぼす反響、影響についてお尋ねしたい。それをちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/26
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027・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) 私からお答え申し上げます。
公共企業体等労働委員会におきまして、先般御存じのような仲裁裁定をいたしたわけでございます。この仲裁裁定は、もちろん各公社法に公社の職員の給与につきましての規定があることは先生御承知のとおりだろうと思います。たとえば国有鉄道に例をとりますと、二十八条の二項に「職員の給与は、生計費並びに国家公務員及び民間事業の従事員における給与その他の条件を考慮して定めなければならない。」、こういうことになっておりますので、公共企業体等労働委員会におきましては、こういう、各公社とも大体同じような規定がございます、このことを十分考慮されて今度の裁定が出た。ことに、御存じのように、四月十七日の争議の問題の前に行なわれました池田総理と総評の太田議長との話し合いにおきましても、民間との格差問題というのが非常に出ましたので、公労委においては、民間と公共企業体等の賃金格差について慎重な考慮を払われたわけであります。それと、ことしの春におきます鉄鋼関係の賃金の妥結その他の影響を、公労委としても十分お考えになった上で、ああいう裁定をなされたものと私ども承知をいたしております。アップ率等から考えましても、そういう考慮は十分になされたものと思いますので、民間との関係におきましては、直接の影響というものが仲裁裁定によって出てくるということでなくて、むしろ民間の趨勢のほうが先に定まりまして、それを十分考慮されて仲裁裁定がなされたもの、かように考えておるわけであります。したがいまして、仲裁裁定が出ましたことによって特に民間へはね返りがあるという状態ではないように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/27
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028・鬼木勝利
○鬼木勝利君 裁定の経過あるいは処置、それを私は論じているんじゃないということは冒頭に申し上げた。そういう経過は聞かなくてもわかってる。慎重審議やられてああいう線が出たと、それはもうわれわれ了解しておるんです。
いまあなたのお話を聞いておると、これはたいした影響もないんだと、こういう安易なお考えのようですが、私はそう思わない。来たる八月ころですか、公務員の給与に関する人事院の勧告、こういう点においても私は相当影響があるんじゃないかと思うんですが、そういう点は官房長どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/28
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029・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) ただいま主としてこの春におきます民間への影響について申し上げたわけでございます。国家公務員の給与につきましては、御存じのとおり、本年四月の分につきまして人事院が調査をいたしまして、七月ないし八月に勧告を行なうわけでございます。そういう点から考えますと、仲裁裁定でこういう問題が出たということにつきましては、国家公務員の勧告につきましては影響があるだろう、こういうように私ども予測をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/29
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030・鬼木勝利
○鬼木勝利君 これは確かに影響があるとあなたも肯定されたんだが、民間のほうのことをいま申し上げたら、そういうことはないと。私はそう考えない。中小企業あたりの影響も私は相当あると思う。どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/30
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031・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) この春の賃金アップの関係の問題は、中小企業につきまして全国的な調査がまだ進行中でもございますので、結果が出ておりませんが、東京都内におきます中小企業の妥結が終わりましたのは、大体全体の三分の一程度のものについての調査が東京都の労働局のほうで行ないましたものがありますが、それによりますと、大体三千円を多少オーバーをした金額が中小企業におきましても大体妥結額になっております。そういう点から考えますと、公労委はたしか百人以上の民間賃金について調査をされましたけれども、最近におきましては人手不足の関係がございまして、中小企業におきますベース・アップの率は、ここ二、三年非常に高くなっておりまして、本年度も、いま申しましたように、東京都内の中小企業の三分の一の数字ではございますが、三千円をこえているわけでございます。そういたしますと、大体大企業におきましても、先生御承知のように、三千円を多少こえた程度、ところによっては三千二百円というようなのもございますが、そういうところでございますので、全体の趨勢には特にきわ立った影響は、この春に関する限りは、特になかったのではないか。ただ、今後におきます問題といたしましては、十分私どもとしても慎重にその推移を見なければならぬと思いますが、いま申しましたような事情であることも御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/31
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032・鬼木勝利
○鬼木勝利君 私が申し上げているのは、公労委の仲裁裁定の内容の是非を申し上げているのでなくして、一般中小企業方面においては、今回の二千二百九円という賃上げ、パーセントで七・七六%ですか。それはせいぜい千七、八百円くらいじゃないかと中小企業では見ておった。むしろ、これには驚いたというような意味の話も聞いたことがある。いまのあなたのお話とだいぶ食い違っているんだが。私が申し上げているのは、今回の裁定について、労働省においては将来の賃金体制を確立するしにおいて、あなた方はどういう心がまえを持っておられるか、こういうことをお尋ねしているのであります。そういうふうな、いまのあなたの御答弁のような中小企業に対する影響ですか。もう一度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/32
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033・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) 賃金の上昇の問題につきましては、経済の成長と歩調の合いましたバランスのとれた所得の上昇ということ、どうしても一般にそう理解されるわけでございます。私どもといたしましては、ただそれがきわめてはなはだしい賃金だけの上昇率を示しているのか、そういうことでなくして、国民経済全体とバランスのとれた、生産性とバランスのとれた全体としての賃金の上昇ということを考えております。個々の各企業ごとの賃金につきましては、これはもちろん労使が自由におきめになることでございますので、政府からとかく干渉がましいことを言うべき筋合いのものではないと、そういうように考えております。ただ、労使のほうにそれぞれの資料を提供いたしますという、要するに、現在の賃金の相場と申しますか、そういうような資料を公正な立場で提供いたしまして、それによって労使が自主的に御判断をいただく。あるいは労働委員会等におきましても、そういう賃金の現在の姿をよく御認識をされて、それぞれ個々の賃金につきましては、そういう公正な第三者機関によって調停なり仲裁が行なわれる、こういうことであろうことを期待いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/33
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034・鬼木勝利
○鬼木勝利君 どうもあなたの答弁はずれておるのだが、私が申し上げておるのは、それは第三者の公正な裁定によるということで今度公労委の仲裁裁定になったので、あなた方がそういう干渉権はないということは当然のことで、そういうことをお尋ねしておるのではない。あなた方が賃金体制の確立に対してどういう対策、どういうお考えを持っておられるか、そういうことをお尋ねしておるのであって、むろん、労働政策として賃金の安定ということに対して、これは私はあなたのおっしゃるとおり、物価の安定はこれは必要である。これは必ずそうなければならない。質金が上がって物価が安い。それが一番よかですけれども、物価が上がり過ぎて賃金が低い、こういうことになったらいかぬ。そこで、そのバランスをどういうふうにあなた方はとられようとなされておるのか。これは一々申し上げるようだけれども、私は各方面にこれは影響があると思う。たとえば農漁村に対して私は大いに影響があると思う。そういう点について、ただいまあなたのお話にあったように、これは物価に対しても、あるいは各方面に影響があるのです、これは相関関係にあるのだから。その点をどこで調節するか、そのバランスをどういうふうにとられるのか、そういうことをどういうふうにあなた方は考えていらっしゃるかということをお尋ねしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/34
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035・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) ことばが足りませんで、たいへんおそれ入りました。
個々の労使の具体的な賃金につきましては、先ほども申しましたように、労働省といたしましては、個々の労使で自主的におきめをいただきたい、かように考えておるわけであります。
ただ、国全体としての貸金の平均的な上昇とか、そういうものにつきましては、経済の成長につれまして労働の生産性も上がってくるわけでございますが、その労働の生産性と賃金の上昇とがバランスのとれた姿が私どもとしては望ましい姿ではないか、そういうように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/35
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036・鬼木勝利
○鬼木勝利君 何回言っても同じだが、この点についても大臣にあとでお尋ねしたいと思います。
次に、お尋ねしたいのは、調停委員と仲裁委員がほとんど同一の方のようですが、同一人物のように思われるが、そういう点はどういうように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/36
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037・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) 現存の制度でございますと、御指摘のように、調停委員会の委員と仲裁の委員とが同一人でございます。ただ、調停の場合は、労使の方が同じ資格で委員ということで三者構成でございます。それに対しまして仲裁委員会は、これは労使の方は正式のメンバーでなくて、参与のかっこうで意見を述べられまして、最終的な合議等は公益の代表の方だけで行なわれる、こういうことになっております。したがいまして、仲裁と調停との差は、三者構成で行なわれておるか、公益だけで行なわれるかというところに差があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/37
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038・鬼木勝利
○鬼木勝利君 その点が、やることは違うことであるのに同じ人がやっている。私は、その点、少し疑問を持っておるのですが、まあ、これもあとで大臣にお尋ねしたいと思うんだが、特にいまあなたの仰せになったように、公益委員の方も、これは政府の一方的任命ですね。——そうじゃないですか。ちょっと、その点お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/38
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039・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) 公労法の第二十条の第2項におきまして、「公益委員は労働大臣が使用者委員及び労働者委員の意見をきいて作成した委員候補君名簿に記載されている者のうちから両議院の同意を得て、……内閣総理大臣が任命する。」ことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/39
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040・鬼木勝利
○鬼木勝利君 そうですか。それならば、国会承認ということで、私、了承しますが、調停委員と仲裁委員が同一人物であるということに対しては、もう少し研究されたほうがいいじゃないかと思ったのですが、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/40
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041・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) 現行制度になります前に、実は公共企業体の労働委員会は、いま先生のお話しのように、調停と仲裁とが全く別個でございましたが、その当時の事情をいろいろ勘案いたしまして、調停と仲裁との連係とか継続性というようなものがありまして、現行法のような姿になってきたわけでございます。これは確かに、なかなか一長一短のあるところかとは存じますが、それぞれそのときどきの事情によりまして、こういうような姿になっているのではないか。現在では、この公益委員につきましては、同一人が当たりますことは、仲裁を迅速に処理をするという立場等から考えましても、全然別個の者が新しくやり直すということよりも、労使の意見等も十分に聞かれた人が純然たる公益の立場から仲裁委員を構成しておやりになったほうがよかろう、こういったような判断のもとに現在のような制度になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/41
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042・鬼木勝利
○鬼木勝利君 大体わかりましたが、その次にお尋ねしたいのは、今度の裁定に対しまして三公社五現業間に賃金格差がついた点に私は今後大きな問題を残すのじゃないか。こういう企業格差は、いままで私はそういう例はあまりなかったのじゃないかと、不肖よくわかりませんが、思うのですが、どういうふうに……、それをちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/42
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043・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) この三公社五現業におきまして格差のあった例は、実は過去においてはしばしばあったわけでございます。特に林野関係につきましては、実はことしだけでなくて、昨年も林野には特別の格差がございました。しかし、ほかのところには一般的にここ二、三年格差がございませんでしたが、過去においては各公社ごとにそれぞれ格差があったわけであります。これは、特に格差をつけるというような意味で今度の仲裁が出たようには私ども承知をいたしておりませんが、年齢、構成、学歴、勤続年数、そういうようなものと民間のそれらのものを十分参酌をした結果こういうような差が出てきたというわけでございまして、過去にも格差をつけた場合がございますし、今回こういうものが出ましたということで、特にそのためにどうこうということにはならないのではないかと思います。
なお、一部組合におきましては、確かにいろいろ意見のあることは事実でございますが、以上のように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/43
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044・鬼木勝利
○鬼木勝利君 私は調査不備かもしれませんが、私が調査した点においては、あまりないように思われますがね。そういう事実があれば、それをひとつ資料を出していただきたいと思うのですが、あなたがしばしばあるとおっしゃるから。企業格差は三十四年たしか国鉄においてあったと思われるのですが、仲裁としては、その企業間の職務評価に基づく格差ではなくして、民間賃金との開きを埋めるという趣旨で行なわれたものだ、かように私は承知しておるのですが、これは私もまだはっきりしたことじゃないのですが、その点は間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/44
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045・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) 今度の仲裁裁定の六・五%から九・五%は、先ほど申しましたように、民間の給与の構成をし勤続年数、学歴、平均年齢、そういうようなものとにらみ合わせてきめたことでございまして、確かに民間との考慮があったわけであります。なお、先生のいまお話がありました三十四年には、国鉄とほかの公社と比べまして四百円の差がついた仲裁裁定が行なわれました。林野につきましては、昨年はたしか二百円くらいの差があったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/45
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046・鬼木勝利
○鬼木勝利君 だから、私の申し上げておるのは、企業間のその格差ではなくして、職務評価による格差ではなくして、民間との開きを埋めるという意味かと私は解釈している、そうあなたがしばしばあったとおっしゃるが、私はしばしばなかったと思う、私の調べた範囲では。だから、その資料を提出していただきたい、こういうことを申し上げておきます。それを拝見して、またその問題はあとに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/46
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047・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) 最近は確かに三公社五現業間の格差は、林野を除いては、ここ二、三年はなかったわけでございます。先ほど申し上げましたように、先生御指摘がありましたように、三十四年に国鉄に四百円の差があった。そして今度の六・五%から九・五%の間に三段階の差がありますのは、これは企業間の格差をつけるという意味ではございませんで、民間の給与との関係を考慮したものでございます。そういうふうに承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/47
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048・鬼木勝利
○鬼木勝利君 それでは、民間との賃金の開きを埋めるということだとあなたおっしゃっているけれども、確かに企業間の格差じゃないですか、今度のは。そう解釈できないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/48
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049・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) 企業間におきましては、実はそれぞれ各企業意見がございます。たとえば国鉄はうちは特に低いんだというような意見開陳をなされたようにも承知を、そういう意見があったようにも聞いておりますが、今回の三段階は企業間の格差に特に留意をするというよりも、民間の給与とその企業とを比べまして、先ほど申しましたような条文によりまして、民間の賃金、給与を十分考慮しようというのが法律の定めるところでございまして、そういうものを公労委のほうでお考えになって、現在の各公社の賃金と民間の賃金との関係から見てああいうような差がついたことになったと思います。それが結果的にはいかにも企業間に格差があるがごとくになったわけでございますが、考慮の主体はやはり民間にあったように私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/49
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050・鬼木勝利
○鬼木勝利君 だけれども、今回の裁定についてやっぱり非常に不満だと、それは結果的にとあなたおっしゃっているけれども、やはり企業間の格差ということに組合の諸君はみなそう言っていらっしゃるようですがね。あなた方は、民間の給与との格差だと、従来もそういうことはあってやったんだと、こういうことをおっしゃっておるようだが、そういう点少し考えが違っているんじゃないかと思うんですがね。これはなお私もよく調べたいと思うんですが、いずれにいたしましても、今回の裁定について私は各方面にやはり影響があるんだと、それは官民問わず全社会に対してこれは私は相当大きな影響があるんだと、それに対しての賃金体制を確立される上についてのあなた方の将来のお考え、その対策についてお尋ねしたわけです。それは認められますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/50
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051・和田勝美
○政府委員(和田勝美君) 先ほどお答え申し上げましたように、確かに非常に広い意味で申し上げまして、賃金全体に何かと影響があろうとは存じますが、ことしの春闘の関係からいいますれば、大企業におきましては、鉄鋼関係をはじめとして三千二百円程度のものが出ましたし、あるいは先ほど申しましたように、東京都の三分の一の中小企業では三千円をこえるような平均額が出ておりますんで、そういうのになまに影響をするということはないとは思いますが、しかし、何といいましても、賃金の上がったということが、公労協関係の賃金が上がったということは、確かに将来の問題として広い意味では影響がある、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/51
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052・鬼木勝利
○鬼木勝利君 次に、炭鉱離職者の問題について少々お尋ねしたいと思いますが、あるいは失業対策部長、安定局長、労働基準局長あたりに、どなたでもいいから御答弁願いたいと思いますが、さきに石炭鉱業調査団の答申によりますと、四十二年ごろには在籍労務者数が十二万台となるであろう、そういう答申を出しておられるようですが、現在もうすでに十二万人を私は割っているのじゃないかと思うのですが、現在の炭鉱労務者の数はどのくらいになっているのですか、ちょっと数字を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/52
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053・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 一番新しい資料で、三月末の現存数は十二万二千八百人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/53
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054・鬼木勝利
○鬼木勝利君 三十八年あるいは三十九年分でもいいですが、ごく最近の一月、二月、三月、四月、五月まででもいいですがね。どういうふうな数で離職しておりますか、そのお調べがついておったら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/54
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055・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 最近の状況を申し上げますと、ことしの一月が四千三百二十五人、二月が四千四百十一名、三月が六千三百十七名、こういった状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/55
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056・鬼木勝利
○鬼木勝利君 そこでお尋ねしたいのは、年産五千四百万トン、あるいは五千ないし五千五百万トンという生産体制からいきますと、これは通産省のほうですから、あなた方にはあまり関係ないかもしれぬが、しかし、労務者のほうはあなた方に関係がある。労務者の確保ということに対してどういう対策を立っておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/56
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057・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 私どもといたしましては、通産省が立案し石炭鉱業審議会で承認された今年度の合理化計画——すなわち生産量は五千四百万トン、生産能率は三十八トン、こういった考え方を基礎といたしまして、離職者の再就職計画を立てているわけでありますが、御指摘のように、非常に石炭産業の将来が暗いというふうなムードが浸透し過ぎまして、従業員の離職が予想よりも非常に大きかったわけでございます。これは希望退職方式をとる以上、なかなか計画どおりの数字で押えるということはできにくいのでございまして、こういう石炭産業の事情になりますと、どうしても予定以上に離職者が出てきたという事情が、特に三十八年度には強かったわけでございます。その結果、石炭山に残っております現在の従業員の構成、特に年齢構成を見ますと、逐年年齢が上がりまして、現在でもすでに三十八歳程度になっているわけでございます。かてて加えて、労務者の数も予定以上に減ってまいりましたので、今年度の五千四百万トン生産計画を遂行するためには、どうしても必要な労働力を確保しなければならないというふうな場面に追い込まれました。一方で合理化をしておきながら他方では人が足りないというふうな現象が、一部出つつございます。しかしながら、数字の上だけの比較では非常にむずかしいのでございまして、余っておる二万人の滞留者というのは、結局年齢が非常に高い。五十歳に近くなりつつある。求めておる必要な炭鉱労働者は若いのを求めておるわけでございまして、この辺に、すぐ滞留しておりまする離職者を振り向けてそれで解決しろということもなかなかむずかしいわけでございます。したがいまして、必要な若い炭鉱労働者は新しく募集をしてでも確保しなければならないビルド山が、住友等について出ております。これもやむを得ない事情かと思いますので、一方で離職者対策をやりながら、他方で必要な新規労働力の確保もやらなければならぬと、こういう事態に立ち至っておりますので、その線で、私どもとしましては、必要な労働力の確保をはかってまいりたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/57
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058・鬼木勝利
○鬼木勝利君 あなたのお話はよくわかりましたが、北海道あたりは、地域別で見た場合に、急速にそういういわゆる激減はしていない、横ばい状態だというようなふうに聞いておりますが、私は九州ですが、特に九州は大幅に炭鉱労務者が離職しておる。山を離れていっておる。したがって、この炭鉱経営というものに対して、非常に無理な強制労働なんかをしいておるというような炭鉱があるのじゃないか。そういう点に対して、労働基準監督署あたりは十分監督をしておられるか。あるいは、そういう事実があるかないか御存じであるかないか。そういう点をひとつお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/58
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059・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 強制労働の問題につきましては、労働基準法第五条に定めているところでございますが、労働基準法の各条項の中で強制労働は最も厳正に規律し、そういうことのないようにいたすということを労働基準行政の基本方針にいたしておるような次第でございますが、特に炭鉱労働者につきまして、その中でも中小炭鉱における強制労働ないしは暴力事件等の存否の有無につきましては、労働基準監督機関といたしましては、監督の最重点として従来実施してきたところでございます。今日までのところ、具体的な法第五条に該当するような案件は、近年におきましてはほとんど見ることができないのでございますが、しかしながら、御指摘のような点もあり、今後労働力不足と関連いたしまして、いわゆる強制労働に当たらないものであっても、無理に長時間労働に従事させるというような弊害も考えられまするので、強制労働とあわせまして、労働時間違反という観点からも監督を厳重にいたしたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/59
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060・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 大橋労働大臣が見えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/60
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061・鬼木勝利
○鬼木勝利君 いま局長のお話を聞きますと、それは当然あなた方はそうなさるべきことであって、あなた方のなさること自体、そのことをお尋ねしているのじゃないのであって、実際に、今日の斜陽産業といわれるこの石炭業者に対する監督が実際にどういうふうに行なわれているか、いままではそういうところがほとんど見当たらないというような、ごく簡単なお答えであるようですが、それではお尋ねしますが、炭鉱を閉鎖したり、あるいは事業主がかわって、第二組合なんかをつくって下請みたいなようにしてやっている炭鉱がたくさんあるわけですね。そういう実態の調査ができておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/61
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062・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 石炭鉱業につきましては、他の業種よりも監督指導の回数も多く、最近における実績といたしましては一般製造工業の約七倍の監督実施率を示しているわけでございます。御指摘の第二会社に対する調査はやっているかということでございますが、労働基準法に定めますところの労働時間その他の規制条項につきましては、第二会社につきましても調査を実施しているところでございます。調査と申しますか、監督を実施しているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/62
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063・鬼木勝利
○鬼木勝利君 だからその調査、監督を——そうすれば——これは申し上げるのですがね、そういうほんとうにこれは昔の、明治時代の監獄部屋みたいなようにして強制労働あるいは長時間重労働、残業手当もないと、非常に悪条件のもとに、その炭鉱から逃げ出そうとしても逃げ出されない、そういう事実が九州にはたくさんあるのですよ、そういう事実が。労働基準監督署あたりも、非常に拡充したいと、労務管理が非常に複雑だから拡充したいとおっしゃっているけれども、私は、そういう労務管理の監督をもう少し徹底的にやってもらわなければ、ただ人員ふやしていったばかりでは、そうして実績をあげないということになれば、むしろ私どもは、これは言い過ぎかもしれませんが、事業主と労働基準監督署あたりはなれ合いでやっているのじゃないかと、そんなことさえ疑念を持たなきゃならないというような状態に放置してある。そういう点について、これはまあ先ほど申しましたように、だんだん労務者が減ってくる。ところが、その五千四百万トンあるいは五千五百万トンの炭は掘らなければならない。それは確保しなくちゃならない。ところが、人間は足らない。勢い低賃金で長時間労働、しかも他に職場を求めていこうという人に対しては縛りつけるというような今日の事態では、考えられないような、そういう炭鉱経営をしているところがないでもない。そういうことを全然御存じないのじゃ、これは話にならぬのです。もう一回基準局長の御答弁を願いたい。私は証拠をたくさん持っているから、ここに証拠をみんな持ってきてるから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/63
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064・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 炭鉱の中でも、特に中小炭鉱におきましては、御指摘のような問題があり得ることを予定いたしまして、監督の際には特に厳重に注意をいたしてきておるところでございます。ただ、仰せの点につきましては、私ども定期監督と、それから労働者の申告による監督を実施しておるのでございますが、その点につきましては、たとえば強制労働といったような場合に、それが労働基準法第五条に言うところの強制労働であるかどうか、そしてそれが立証し得るものであるかどうかという点につきまして、送検その他の手続をいたす際における立証その他の問題もあるわけでございまして、そういう風聞のあるところなどにつきましては、最も重点的に監督をいたしておるところでございます。また、タコ部屋といったようなところにつきましても、これは寄宿舎としてそういう形がなされておるのか、住宅としてそういうものがなされておるのかといった点につきましても、労働基準法の各条章に照らして監督をいたしておるところであります。そういったことで、いわゆる業者となれ合いで目をつぶるといったような点につきましては、第一線の監督官に対しましては特に厳重に戒めているところでございまして、実は、行政府内部の話を申し上げて恐縮でございますが、四月二十四日に全国の労働基準局長会議を開催いたし、同月二十七日、全国の監督課長のうち特に石炭関係だけの監督課長会議を召集いたしまして、いま御指摘の点などにつきましても今後監督をさらに徹底いたすように指示をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/64
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065・鬼木勝利
○鬼木勝利君 私の手元にたくさん来ているのです。御参考までにちょっとひとつ抜粋して。私は、某炭鉱に——名前はちょっと控えておきてましょう——採炭夫として働いておりますが、朝七時入坑したら、夜早いときでも六時、七時昇坑する。早いときで六時まで。これは十二時間労働です。そのゆえ日数が続かず、したがって収入が少ない。休まなければならない。からだがもてない。せめて残業手当でもあるならまだしものこと、生活が成り立たない実情で借金がふえるばかり。ほんとうに苦しい実態でどうしようもありません。このようなことが人道上許されるものでしょうか。この文明の世の中に、犬ネコより劣る生活をしている私どもの将来はどうなるものでしょうか。お先は全くまっ暗です。炭鉱労務者を助けていただきたい。一日も早くこのような実態からのがれたい願いで一ぱいです。ある鉱業株式会社の採炭夫。こういうふうに、これは全部読んだら時間がないから、労働大臣もお見えになっているから、全部これは読めと言えば読みますけれども、時間がないから読めないが、これが一人ならなにだけれども、こんなにたくさん来ているのです。出せと言ったらみな出す。それを申し上げているのです。基準局長は、そういうのがあるかもしれぬ、局長も集めて話し合いをしたとか、訓辞したとかおっしゃるが、私はそういうことをあなた方に申し上げているのではない。それは責任者としては、みなを集めて訓辞をしたり、あるいは通牒を出したりは当然のことです。はたして実際に大衆の中に溶け込んで、あなた方や役人がほんとうに大衆とともに語り、大衆とともに死んでいくという公僕精神があるかどうか。実態を把握していらっしゃらないから申し上げているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/65
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066・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 私どもは、職務の重要性にかんがみまして、先生御指摘のような立場で極力努力いたしたいと思っております。私どもが最も念願いたしておりますところは、先生のいまお持ちのような問題を、私どもにも法に基づいて申告をしてきていただきたいということを絶えず訴えているのでございます。申告がございますれば、私どもはそのつど監督官が出向きまして調査をいたしているのでありまして、その点についての労は全然惜しまないつもりでございます。なお、昨年の国会におきましても、そういった問題についての御指摘を受けたのでございますが、その当該会社につきましては、再三監督をいたしましたが、労働者側からも聞き得なかった。それで、われわれのほうでは、さらに災害補償の請求書類から事故発生時点を推定いたしまして、そして、その災害補償の請求書から時間外延長の証拠を取りまとめまして、会社に対しまして法違反を是正した、こういう問題もあるわけでございまして、この点につきましては、当該労働者からの協力と申しますか、そういう点を私どもは望んでいるわけでございまして、御指摘の点につきましては、さらに十分注意いたしまして、監督を実施したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/66
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067・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/67
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068・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 速記つけてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/68
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069・鬼木勝利
○鬼木勝利君 ただいまの局長の御答弁はそのとおりです。局長としてはそうなきゃならぬ。私もそれはよくわかります。だがしかし問題は、そういうことがあれば言ってきてもらいたい。むろんそれは言っていくのが一番いいんですが、あれば言ってきてもらいたいというような消極的な態度でなくして、監督官でもふやす、またどんどんふやしていくというようなお話で、あなた方の意欲は大いに私は多としますが、実際にそういう実情をつまびらかに調査、監督をしておられるかどうか。あるところにもそういうことがあったから、自分は調査もするし、監督もするし、現地もよく行って見た、こうおっしゃっておるが、労務者のほうの話を聞いてみると、そのときは調べにでもこられたらちゃんと時間でも合わせて、あるいは帳簿でもそのとおりに計算して通るようにして、あたかも日ごろから正しい労務管理が行なわれているかのごとくやっておる。そうすると、監督署から来た役人連中はけっこうだと、そういうことがもしあるとするならば、これは私はとんでもないことだと思う。で、本省の局長としては、いまあなたのおっしゃったようにしておられると思うけれども、地方の労働基準監督署あたりの監督、指導のよろしきを得ているかどうか。その点を少しあなた方は安易に考えていらっしゃるのじゃないか。その点をお尋ねしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/69
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070・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) ただいま鬼木先生から労務者不足に伴って過重労働あるいは強制労働が心配されておる、そして現にその実例も相当自分の耳に入っておる、こういうことでございました。それに対しまして当局といたしましては、自分のほうではできるだけその問題を重点的に取り締まる考えを持ってせっかく努力しておるが、そうした情報が入らないために自分のほうとしてはそういう事実は万々なかろうと思うといったようなお答えを申し上げた次第でございます。官庁側といたしましては、事実自分のほうの考えておるとおりを申し上げたわけでございまするが、先生の御指摘になりまする実際の実例を承りまするというと、確かにこの問題が一、二の限られた問題ではなく、今後相当続いて起こる心配もなきにしもあらず、しかも、官庁側の体制がいまお答え申し上げたような次第であるとすれば、これは労働者保護の立場からいってゆゆしい問題であるというふうに、私承って感じがいたした次第でございます。政府といたしましては、工場監督ばかりでなく、特に鉱山労働については重点的に力を入れてまいっておるのでございまするが、しかし、そうした問題についての監督の手の届かない面が現実にあるということも明らかでございまするから、この機会に十分に反省いたしまして、実効ある活動をいたすようにしなければならぬと考える次第でございます。つきましては、私どもも十分現地の監督官の執務の実情を調査いたしまして、われわれも一緒になって監督官ともども今後の対策を練りまして、十分国民の御期待に沿うような活動をいたしまするし、この機会に根本的に反省をし検討をいたしたいと存ずる次第でございます。どうぞ、取り急いでさような措置をいたしたいと思いますので、御了解をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/70
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071・鬼木勝利
○鬼木勝利君 さすが労働大臣です。そういうふうに誠意を持って答弁されれば……。先ほどの局長のお話だというと、そんなことはあるはずはない、ほとんどないと思う、言うて来たらやると、そんなむちゃな答弁は私はないと思う。これは繰り返して申し上げるんですけれどもね。そういう今日の斜陽産業としての炭鉱に対して労務者もだんだん激減しておる。したがって、重労働、強制労働というようなこともあり得るかもしれない。目の届かぬところにはあるだろう、こうした大臣の答弁ならば、私は大いに敬意を表します。だけれども、今後そういうことのないようになお一そうの努力をし、さっそくそういうところは調査もするし、そういうことのないようにしようということであれば、何も私は申し上げることはない。それでけっこう。何もあなた方をいじめようとか、故意に私はどうこうということを申し上げているんじゃない。だから、もう少し、答弁のための答弁でなくして、真に誠意を持った——先ほどから申し上げておりますように、おれは役人だというような考えでなくして、大衆の中に溶け込んでいくという、あくまで国家の公僕であるという意味において答弁してもらいたい。そうしなければ、まだ私はたくさんお尋ねしたいんだが、これはとてもこの労働省の設置法案なんかほんとうに上がりませんよ、私は申し上げておきますが、とてもそういうことを言われたんでは。文句があったら言ってこい、困っているところがあったら言ってこいなんて、そんなことだったら、もう労働基準監督官なんか増員する必要もない。置かんでもいい。その点については労働大臣から御丁寧な御答弁がありましたので、それはそれとしまして、実際今日、先ほども申しましたように、炭鉱労務者で事実上最も困っておりますのはこれは九州です。これは大臣も御承知と思う。九州が一番いま離職者が多い。これはまたあとで、その離職者の行くえ、離職者に対する対策、実際にどういうふうにやっていらっしゃるか、私はこれは数的に具体的にあとでお尋ねしたいんですが、第二組合なんかをつくっておる組夫、こういうものの実態の把握ができておりますか。これは安定所ですか、労働基準監督署ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/71
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072・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 請負組夫の実情を御説明申し上げます。三十五年は二万七千人おりましたが、三十六年にはちょっとふえまして二万九千人になっております。それから、三十七年は二万六千人というふうに減ってまいりまして、今日では大体二万三千人台に漸減をしておる状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/72
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073・鬼木勝利
○鬼木勝利君 これが第二組合でやっておるものですから、労務管理が非常にずさんで、しかも低賃金で、そして重労働なんです。みな生活に困っておる。だから、九州方面では高利貸しのいわゆるやみ金融業がはやって、そして金を貸し付ける。御承知のとおり、前もって金利を先に取ってしまって、そして賃金支払い日には高利貸しがそこへ行ってどんどん先に受け取ってしまう。また、金を借りなければならない。雪だるま式に太っておる。地獄の生活なんです。というのは、非常に低賃金で、しかも重労働なんです。そういう実態はよく把握なさっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/73
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074・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 九州の山におきまして、特に先生御指摘のような事例がときどき出てまいっておりますので、私どもとしましては、不公正な引き抜き防止という観点もございまして、いまのような周旋屋が中に介在するということはこれは絶対に防止をしてまいりたい、かように考えまして、この前も中小、大手両方の業者の責任者にその警告を発しておるわけでございます。私どもの出先の安定機関に対しましても、いま御指摘のあったような事例については十分指導するように督励いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/74
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075・鬼木勝利
○鬼木勝利君 時間がありませんので、私また次回に質問申し上げることにして、本日はこの程度にいたしておきますが、幸い大臣がお見えになりましたので、一点お聞きいたして、あとは次回に譲りたいと思います。
先ほどお尋ねをしたのですが、今回のこの仲裁裁定の問題ですが、これによって、公労協のベース・アップによって各方面に相当私は大きな影響を与えると思いますが、なかんずく公務員の給与に関する人事院の勧告、これは四月を基準としてやっているからあまり関係ないというような先ほどのお話でしたが、これはやはり影響はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/75
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076・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 今度の公労委の仲裁裁定につきましては、一般の賃金水準に与える影響は二つに分けて考えられると思います。
一つは、民間の賃金水準に対してどういう影響を与えるかという点でございますが、御承知のとおり、今年の春闘は大体終わっておりますのでございまして、公労委の裁定がもう終わりのほうの段階で出てまいりましたので、したがいまして、それ以前に妥結したものが七、八割ございますので、これに対してはさしあたって影響ということは考えられません。しかし、残る一、二割のものにつきましては、ある程度の影響があることは、これは否定できないのであります。たとえば、私鉄の賃上げ問題は、仲裁裁定待ちの状態で妥結前にございまして、それで仲裁裁定の中の国鉄の賃上げの結果を見まして、これを基準として最終的に妥結をしたというような事情もございまして、これらに対しては影響を与えたということは言えると思うのであります。
なお、一般公務員の給与に対する影響、第二でございますが、これにつきましては、この三公社五現業の給与の実態が、四月分の給与を基礎にした人事院の裁定には、人事院の調査の中には当然資料として今度の賃上げの結果が入ってまいります。したがいまして、人事院の勧告には、この影響は当然反映するものと思っておるのでございます。しかし、さらにもっと根本的に考えてみますというと、例年ならば公労委の仲裁裁定というものはもう少し早い時期に示すされておりまして、したがって、民間に対する影響の度合いというものが今年よりももっと多いということが言えたと思うのであります。ところが、今年はいろいろの事情から仲裁手続に入ることがおくれておりまして、その間に一般民間の春闘の賃上げ問題の妥結が次々と行なわれておりましたので、時期的には、先ほど申し上げましたごとく、春闘の一番しんがりに近い時期に行なわれた。したがいまして、今年の公労委の裁定の内容の特徴といたしましては、公労委自身も説明しておられまするとおり、今年の民間の春闘の実績を参考にして内容の金額を決定した。いわゆる春闘相場というものが相当把握できた時期において、それをもとにしてきめたんだ、こういうふうに公労委自体も説明しておられるようでありますが、特にこれがために春闘相場を動かすというようなことではなく、一般民間の春闘相場に公労委の裁定がならったというふな見方をすることができるのではないか、こういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/76
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077・鬼木勝利
○鬼木勝利君 先ほど私お尋ねしたところが、官房長のお話では、四月を基準としておるから人事院の勧告の中には関係がないというお話が、私はどうしても納得がいかないから、だからあとでまた大臣がお見えになったらお尋ねしようということであったのです。それで、いまのお話で大体わかりました。
なお中小企業とかあるいは農林漁業あたり、あるいは地方財政なんかにも私は影響があるのじゃないかと、そういう点を先ほど官房長は、終わりに少しばかり変わってきましたけれども、最初影響がない、関係がないというお話でした。その点大臣の御見解を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/77
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078・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 私は、この公労委の裁定というものは、一般賃金水準と切り離してきめられたものではなく、本年の一般賃金水準を土台にしてきめられたものだと、こういうふうに考えております。したがいまして、公労委の裁定によって賃上げが行なわれたというのは、日本の賃金の一般水準がそれだけ上がったということになるわけでございまするから、ひとり大企業の労働者ばかりでなく、中小企業あるいは農林漁業、サービス業等、いわゆる春闘の仲間に入っていない一般の賃金もおのずからこれにさや寄せしていくというのが当然だと思うのでございます。ことに、今日労働力の需給関係が非常に逼迫をいたして、毎年中小企業の賃金が大企業の賃金に近づきつつある現状におきまして、この傾向はことしもまた同様に覚悟していかなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/78
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079・鬼木勝利
○鬼木勝利君 大体私もそういうふうに思いますが、時間がございませんので、一応きょうのところは私の質問はこの程度にしておいて、次回にまた二、三重要なことがございますのでお尋ねしたいと思います。きょう午前中はこれで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/79
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080・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 他に御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。
では、午後は一時三十分再開とし、これにて休憩いたします。
午後零時三十三分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03519640528/80
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