1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年六月二日(火曜日)
午前十時五十四分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 三木與吉郎君
理事
石原幹市郎君
下村 定君
伊藤 顕道君
委員
源田 実君
小柳 牧衞君
林田 正治君
村山 道雄君
松本治一郎君
山本伊三郎君
鬼木 勝利君
向井 長年君
国務大臣
自 治 大 臣 赤澤 正道君
政府委員
自治大臣官房長 松島 五郎君
自治省財政局長 柴田 護君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
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本日の会議に付した案件
○自治省設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
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001・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) これより内閣委員会を開会いたします。
自治省設置法の一部を改正する法律議を題案とし、前回に引き続きこれより質疑を行ないます。
政府側から赤澤自治大臣、松島官房長、柴田財政局長、説明員として、皆川総務課長、近藤公営企業課長が出席いたしております。
御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/1
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002・伊藤顕道
○伊藤顕道君 前回に引き続いて、二、三、大臣を中心にお伺いいたします。
公共料金を一年間引き上げストップしたことに伴って、各地方団体公営バスの赤字の問題がいま問題になっておりますが、この赤字推定額四十八億円の地方債を発行するといういわゆる自治省案実現のために、いま大臣はせっかく努力中だと思いますが、その後、新聞等によっても、まだ結論を得ないままに交渉を重ねておるように伺っておりますが、その後の経過はどうなっておるか、また、その展望については、どういうようなことになっておるか、この点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/2
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003・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 例の四十八億円の、去年の暮れからことしの暮れに至るまでの予想せらるる赤字の処理につきましては、累積赤字とは明確に区分して、そうして地方団体の負担にならないようにということを私は考えまして、これを貫く意味の交渉を大蔵当局とやったわけであります。大蔵当局は、当初はいろいろ言っておりましたけれども、おしまいには、いや、とにかく起債——金で済むことなら言われるとおりだけはいたしましょう、こういうことでございましたけれども、それでは私どもは困るわけでございまして、やはり起債ということばであっても借金には違いないわけですから、いつの日にかやはり元利ともに償還していかなければいけない。私は実は別の立場から新しい提案をいたしまして、非常にしつこくお願いをしたわけでございます。だんだん御理解もいただきまして、企画庁も中に入っていただいて、ずいぶん皆さんからいろいろ補足を受けながら、ずいぶん時間をかけましたけれども、先般のような結論を実は見た次第でございます。ただ、これには大蔵省は大蔵省としての立場がございますので、やはりどっちの主張が通った、通らないという勝ち負けのことはやめようじゃないか、結果的にはそれが解決の方法としてよかったとあらば、表現はどうでもいいじゃないかということから、われわれといたしましては、名前と申しますか、花よりも実のほうが大事でございますから、それを了承したわけでございまして、これは、いまここで実は私は頭には明確な数字の計算はありますけれども、ここで私らの考えが通ったかのごとく申し上げることは、大蔵当局も気まずい思いもするでしょうし、賢明な、この問題について深い御関心を持っていらっしゃる方には、容易に御判断がつくと考えておりまするので、こまごました数字の計算上のことは申しませんけれども、先般とりました措置によりまして、公営企業の大きな赤字をかかえ、いま悩んでおります当面取り上げた六大都市並びに三市は、大体御満足じゃないかというふうに私は判断をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/3
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004・伊藤顕道
○伊藤顕道君 大体わかったんですが、最初の自治省案に比較して、その今度実現するであろうという結果、どういう違いになるか、そこだけを重ねて御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/4
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005・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 最初からこれは政策赤字である、元利補給という強いことを言いましたけれども、そういうことが通ったためしもありませんし、しかし、実質的に地方団体が困らなければいいわけでございまするから、そのときも、実は最低の妥結の線ということは、これは一歩も譲れないということは胸に秘めておったわけであります。大体、これはあまりこまごま申し上げることもいかがかと思いまするが、結局、元利補給で完全に大蔵省が屈服したということではございません。しかしながら、私が後段に申しましたように、実質的に関係地方団体が困らぬようにいたしたわけでございますので、私ども妥当な解決になったんじゃないかと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/5
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006・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この問題は、政府の政策実施の結果、政府の方針で一年間公共企業料金の値上げのストップを政府自体が指令したわけであります。それで、推定四十八億という赤字は、そのために生じた赤字であるということで、これは政府の方針によってそういう赤字が必然的に出てきたのだから、その赤字については政府が責任を負うのは、これは当然筋だと思います、どなたがどうお考えになろうとも。したがって、この問題については基本的には政府の責任である、こういうことをかみしめながら交渉を重ねた問題は、具体的ないまの問題だと思うのです。これはひとつ最後までその基本線に沿って最大限の努力をしていただきたいということを、ここでお願いするとともに、お伺いしたいと思うのです。その点に関する大臣の決意のほどを、大事な問題でありますので、重ねて伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/6
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007・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) ことばは悪いかもしれませんけれども、当初から私は、地方団体側の自治省としては被害者で、加害者は経済企画庁じゃないかという議論さえ実はいたしたわけでございまして、同じ政府の中で加害者、被害者という表現も当たりませんから、いいことはございませんが、私の感じとしては、それぐらいの考え方で交渉に当たったわけでございます。したがいまして、ただいまの結論に達したわけでございますが、言うまでもなく、私どもの立場といたしましては、これが所期の目的どおりに完全に良結果をおさめるように、今後とも努力を重ねていかなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/7
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008・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いろいろ地方公営企業の経営状況を検討してまいりますと、ここ数年来非常に経営難にあえいでおる。いろいろ原因はありましょうけれども、一つには地方公営企業法、これにも多くの再検討を要する課題が含まれておるように思うのです。そこで、政府のいわゆる提案理由の説明を見ましても、これは昭和二十七年法二百九十二号で制定以来、もう十年もたっておる。その間における運営の実態から地方公営企業の範囲、経営形態及び民間企業等との関係等も検討して、今後の地方公営企業のあり方とか、あるいは経営体制、財政制度、こうした基本問題を調査検討する、こういう趣旨の提案理由の説明もあるわけですね。そこで、この問題についてお伺いしたいわけですが、まず問題と思われるのは、二十三条ですね。この二十三条について多くの問題を含んでおるわけですが、これはやはり地方住民に地方債を仰ぐ、この制度について特に利子を一般会計から援助する方式をとるとするならば、これは株式方式とも言うべきものであって、株式方式の妙味を発揮できるという利点を持ってるわけですね。ところが、問題は、このとおり実現できれば問題ないわけですけれども、いろいろそれには問題があって、元金の据え置き、あるいは利子一般会計負担、こういう公共性を増大することによって開発事業は積極的に実施できるわけですけれども、この二十三条については、大臣は何かお考えはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/8
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009・柴田護
○政府委員(柴田護君) 事務的な問題かと思いますので、私から申し上げます。
二十三条と申しますのは、いわゆる永久公債の規定でございますが、お話しのように、趣旨は住民から資金を募集して、そして、それを企業の建設の資金に回わす。言うならば、お話しのように株式のような考え方を企業の中に取り入れた規定でございます。ところが、実際問題といたしましては、この規定は現在ひとつも働いておりません。なぜ働かないかというところにむしろ問題があるのでありまして、この辺のところも十分実情を調べてまいって、公営企業のあり方の一環として再検討しなければならんだろうというふうに私どもは考えておるわけでございます。先ほどの御意見の中で、公営企業の基本的な問題の検討というようなお話がございましたが、私どもは、公営企業法ができまして相当年限がたちまして、その間企業の数も非常にふえてまいっておりますけれども、残念ながら、経営の面におきましては逆の傾向がある。それにはいろいろ企業を取り巻きます環境の変化等もございます。あるいは企業内部の経営方式で実施していった結果いろいろ生まれてきた問題もあるわけでございます。この辺を、やはり公営企業体というものの行き方についてもっと基本的に再検討をする必要があるだろう、その再検討の線の上に立って、現在の公営企業の建て直しなり、あるいは今後の健全化の方向というものをきめていく必要があるだろうという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/9
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010・伊藤顕道
○伊藤顕道君 その点はわかりましたが、二十二条にもこれは問題があると思うのです。「地方公共団体が、地方公営企業の建設、改良等に要する資金に充てるため起す地方債については、行政庁の許可を必要としない。」、こういうふうに企業債の自由を認める原則を明らかにしておるわけですが、このままならばいいわけですが、附則でこれを拘束するから、結果としてこの第二十二条が死文化しておるわけです。せっかく二十二条にこういう企業債の自由を認めておきながら、附則でこれは全く死文化してしまう。ここに問題があろうかと思うのですがね。本条でこういうことを基本的に認めておきながら附則で否定するという、こういうところに問題があろうかと思うのです。これはどういう意味ですか。附則で死文化してしまったらこの条文は必ずしも役をなさないということになるのですがね。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/10
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011・柴田護
○政府委員(柴田護君) この規定は、地方自治法の地方債に関します規定と照応しておるのでございます。一般の地方債につきましても、府県としては一定の条件に当てはまる場合においては地方債を持つことができますけれども、当分の間許可が要る、こういう規定をなぜ附則でしておりますかというと、企業債におきましてもさようでございますし、一般の起債におきましてもさようでございますが、要するに、資金の絶対量が足りないものですから、特に経済力の弱い団体におきましてはどうしても資金不足の状況において何らかのコントロールをいたしません場合においては、必要な資金が手に入らないので、全体的な資金計画を立ててこれを割り振っていく、そういう意味で、当分の間許可を要するということにしております。当分の間許可を要するという場合におきましては、あり方としては、むしろ一般の場合におきましては、資金の合理的な配分というような意味を十分持っておるわけでございます。「当分の間」というのは、相当長うございますけれども、地方自治のたてまえからいうならば、本来こういうものにつきましては自由だ、しかし、何ぶんにも資金が足りないから、資金が十分になるまでの間においては一定のワクを設けて合理的な配分をする、こういう立て方になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/11
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012・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いま指摘したようなこのような事実は、制度調査会以前のものであろうと思うのです。政府自体が政府自体の責任においてこれは処理すべき問題であろうと思うのです。これを今度できるであろう制度調査会に転嫁するかのごとき感を受けるわけですが、われわれとしては、政府自体でこれは処理できるのじゃないですか。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/12
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013・柴田護
○政府委員(柴田護君) 資金の絶対的不足の条件が地方債につきまして解消いたしますれば、お話しのようなことになろうかと思うのですが、ここ当分の間は資金需要が非常に多うございますし、現在のわが国の資金事情からいいましたならば、そう簡単にはこういう状態が来るだろうということは実は考えられないのであります。制度調査会においていろいろ御審議願いたいと思いますことは、私どもは、お話しのように、そういった問題ではなくして、むしろ公営企業の資金構成というものをどのように考えていったらいいか。いまのたてまえでは、資金構成の点はございますけれども、これは働かない。実際は借金ばかりでやっておる。そこで自己資本の充実という立場から、企業の基礎を固めますために何らかのてこ入れが必要じゃないか、それをどのような形で考えていったらいいだろうか、こういう問題について御審議をわずらわしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/13
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014・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それから第二条の三項で、ここには当然問題があると思うのですが、これは再検討の考えございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/14
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015・柴田護
○政府委員(柴田護君) これは公営企業法に定められます財務規定の適用の範囲でございますけれども、これもやはり再検討と申しますか、公営企業というものをどのように考えるかということに関連して、当然問題になってくるところがあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/15
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016・伊藤顕道
○伊藤顕道君 これに関連して、地方公営企業は独立採算制をとっておるわけですけれども、地方公営企業法それから地方財政法において、特別の理由によって必要がある場合には一般会計等から企業特別会計に補助できることになっているわけですけれども、この特別の理由とは一体どんな場合を言うのですか。特別の場合には補助ができることになっておる。この特別の場合というのは何を指しておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/16
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017・柴田護
○政府委員(柴田護君) これは現在の解釈では、災害の復旧その他でございます。災害の復旧というのは、特別の理由の一つの例示であります。したがって、特別の理由と申しますのは、企業経営が常態的な運営——普通の運営をしておる場合でなくして、企業について全く予想しなかった事態が起こった場合、このように解釈されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/17
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018・伊藤顕道
○伊藤顕道君 地方公営企業がいま独立採算制をとっておるわけですが、これは、この財源については利用者負担の原則に基づいておるからこういうことになるわけです。もし一般財源からその一部原資を補てんするということになれば、公営企業が公共の福祉の増進をはかるということを原則としておる以上、これは当然再検討してしかるべきだと思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/18
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019・柴田護
○政府委員(柴田護君) その問題は、どこまでの事業を公営企業として扱うかという問題ともからむ問題であろうかと考えます。企業でありますので、企業性、経済性というものと、それから、公営でありますので、公益性というものとの調和が考えられていくわけでありますが、この両方の面から見て、両方の面の不調和の場合に、これを補うという意味合いから、こういう規定がやはり設けられておると思うのであります。したがって、公営企業のあり方を基本的にどう考えるかという考え方によりましては、お話しのように、この問題も再検討する必要が出てまいりましょうし、あるいはまた、その考え方いかんによりましては、逆な意味合いにおいての再検討という問題も起こってくるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/19
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020・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なお、第十七条ですが、これも問題点が明らかに考えられるわけです。これは、一般会計または特別会計から補助できるという、そういう項目に、住民の福祉の維持または向上のため必要な場合、こういう場合を付加する。こうすることによって、独立採算制の押しつけを排除することができる、独立採算制の押しつけをここで食いとめることができると思うのですが、そうすることによって、公共性のいわゆる発揮できる条件が備わると思うのですが、こういう点については自治省としては十分に検討すべきだと思うのですが、その考え方はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/20
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021・柴田護
○政府委員(柴田護君) 独立採算制が可能か不可能かという問題からやはり考えていかなければならぬ問題であろうと思います。公営企業と申しましても、普通の類似の民間企業との比較を考えてまいりまするならば、資金源は、民間企業に比べれば、資金コストは安うございます。また、租税はかかってまいりません。それらのことを考えますならば、独立採算制が保てない限界はどこだということから検討を始めてまいらなければならないのではないか。そうして、その限界を越えていろいろな問題が起こってくる場合にどのように考えるかということであろうかと思うのでございまして、頭から、公共性という立場からこの規定をどうこうということではなくして、やはり企業の基本的なあり方というものをどのように考えるのかということからだんだん掘り下げてまいりまして、限界線の場合にどのように考えるかという順序を踏んでやるべきであろうというふうに思うのでございます。私どもは十七条の二の規定が決して完璧であるとは必ずしも考えておりませんけれども、しかし、考え方の順序としては、いま申し上げましたような考え方に立って検討すべきではないだろうかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/21
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022・伊藤顕道
○伊藤顕道君 まあ、公営企業は公共性を持っているという、そういう観点から、公共負担について国または地方自治体が負担するというような項目は、どこを見てもないわけですね。やはりこういう点についても十分検討されてしかるべきだと思うのですが、こういう点については自治省としてはどういうお考えを持っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/22
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023・柴田護
○政府委員(柴田護君) 同じく公営企業と申しましても、たとえば地下鉄事業というものを考えてまいりますれば、やはり一般会計との間のかね合いの問題をどうするかという問題が非常に大きな問題になってまいります。そうなってまいりますと、そういう事業につきましては、やはり費用の負担のしかたをどのような形でやっていくかというような問題が起こってくるわけでございまして、その限りにおきましては、お話しのように、この規定につきましては検討する余地があるというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/23
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024・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこでさらにお伺いしますが、住民の福祉のための公営企業である、そういう観点から長期低利の資金の融資は考えられていいわけですね。それと、またたとえば地下鉄建設のように、地方団体の負担の能力には限度があるわけですけれども、その限度を越えた事業をやるような場合には、国庫補助とか利子の補給というような、具体的な補助をやっていってしかるべきだと思うのですが、そのために、これはある法によってこれを規制する必要があると思うのですが、いまここでやるとかやらぬとかという問題ではなくて、十分こういう点について基本的な考え方として、当然そういう具体的ないわゆる法文化することが必要であろうというように考えられるわけですね。このことについて自治省としてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/24
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025・柴田護
○政府委員(柴田護君) 先ほど来お答え申し上げておりますように、企業によりましては、お話しのような場合も出てくるわけであります。その場合につきましては、たとえば自己資本の充実というような形をどのような形でやるか。あるいはお話しのような補助とか負担とかいうような問題を一般会計との間においてどのように考えていくかという考え方を確立しました上で、必要な、たとえば修正なり補正というものをやっていかなきゃならぬ、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/25
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026・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで、具体的に長期低利の資金融資の現状は大体どんな方向になってますか。いまの現状を、概要だけ御説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/26
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027・柴田護
○政府委員(柴田護君) 長期低利の、最も長期かつ低利な融資というものを頭に置いて、この、先ほど御指摘のありました永久公債の規定があるわけでございますけれども、これまた先ほどお答え申し上げましたように、残念ながら使われていない、実際におきましては。実際問題といたしましては、政府資金と、それから一般の公募、縁故債と言われるやつですが、それと、公営企業につきましては、公営企業金融公庫から金を借りる、資金を調達する、こういう形になっております。しかしながら、いずれもこの償還期限、貸し付け利率等からいきますならば、必らずしも私どものほうとしましては満足すべき筋合いでないものが多々あるわけでございます。償還期限等につきましても、たびたび私どもは、その延期と申しますか、耐用年数に合わすべくいろいろ努力いたしておるのであります。逐次、まことにおそいテンポでございますけれども、多少とも従来に比べますればよくはなっておる。しかし、まだもちろん十分ではございません。特に公営企業金融公庫の貸し付け条件等につきましては、なおもっと努力する必要があろうかと思います。大体は償還期限の中でございますから、たとえば水道事業等を例にとりますれば、政府資金では二十五年、公庫資金では十八年、いずれも耐用年数から比べますれば率がいい。これももっと長くするような努力をいたしております。ただ、実際問題といたしましては、金融界からのいろいろな制約もありまして、なかなか思うように進まないというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/27
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028・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、地下鉄建設のように、地方団体に対しては非常に負担過重のような場合には、いままで国庫補助とか利子補給、こういうことをある程度やっていたのですが、この現状についてはどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/28
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029・柴田護
○政府委員(柴田護君) これは、国からはっきりした利子補給という形じゃございませんけれども、補助金が出ております。東京、大阪名古屋、三市に対しまして、三十七年度でいいますならば、約八千万円ばかりの金が出ております。なお、営団に対しても補助金が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/29
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030・伊藤顕道
○伊藤顕道君 昨年の通常国会で、地方公営企業法が改正されたわけですが、その際附帯決議に対して積極的な努力をするという点については、どういう責任を感じておりますか、自治省としては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/30
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031・柴田護
○政府委員(柴田護君) お話しのような附帯決議もございましたので、それを検討することにいたしておりますけれども、基本的には、やはり制度調査会におきましてその問題もあわせて基本的に考え直すべき時期に来ておるんじゃないか。別に逃げるわけじゃございませんけれども、やはり企業のあり方、基本的なあり方等から見て、この問題もあわせて結論を見出したいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/31
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032・伊藤顕道
○伊藤顕道君 これは、内容は、言うまでもなく、地方自治体が公営企業の赤字を補てんした場合、国はその他方自治体に対して財政援助の具体的な措置をするよう努力する、これが附帯決議の要旨であったのですね。こういう場合、なお端的に言えば、地方自治体がその赤字補てんをした場合、国がそれをまた当然責任を負う、こういうことの附帯決議ですね、要旨は。これが附帯決議だけとしてとどまっておったんでは意味がないので、その際、この附帯決議がつけられた際、当然に自治大臣としては決意のほどを表明しておるわけです。実現のために努力するという意味の所信表明が当然あったと思うのです。だから、その決意表明だけではなく、その問題についてはどのように実現に努力しておるかということを伺っておるのです。まだそういう場面にはぶつかってないのか、それとも、あったけれども不可能でできなかったとか、これは昨年の通常国会の際の附帯決議ですから、もう大体一年たっておるのですから、その間どのような具体的な努力をしてきたかということを伺っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/32
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033・柴田護
○政府委員(柴田護君) たとえば、地方団体の自主的な財政再建、公営企業の自主的な財政再建計画を立てていろいろ持ってきた場合、これに対して政府資金のあっせん等を行なう。そういうものについての一般会計からの負担その他につきまして、交付税を配ります場合に配慮する、こういうことはやっておりますけれども、今日の事態では、地方団体自身の力でもって赤字を補てんして、それに対して国がさらに何かの配慮をするといったような事態は通り越してしまっているのではないか、私どもは実はそのように考えておるわけでございます。もっと根っこからこれをひっくり返して、いわば企業の建て直しと申しますか、再検討というような措置をとらなければ、もはやなかなか救えない。したがって、調査会にその基本線を明らかにしてもらいながら、当面早くまず赤字再建、赤字解消という問題についての具体策を御答申いただきまして、その線に沿って措置をしたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/33
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034・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、いろいろ大臣についてお伺いしてきたわけですけれども、いろいろな問題をお伺いすると、大臣の答弁は、そういう問題は制度調査会に持ち込んで十分検討すると、こういう御答弁を繰り返されてきたのです。しかし、地方公営企業当局に対しては、やはりいろんな案件については制度調査会で審議する。ところが、地方公営企業当局がその間に合理化をどんどん進めていくということになると問題があるので、この前お伺いしてきたわけですけれども、やはりこの点についても十分自治省としては考えるべきだと思うのです。その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/34
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035・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 前回も、何かやっかいなことになると調査会をつくってそれからだと言って逃げ回る、けしからぬというお話でございましたけれども、ほかの方はともかく、私としては実は真剣に考えておるわけでございます。といいますのは、私も事業家出身であって、いまでも事業を持ってやっておりますが、だれが経営したって赤字になるというばかなものは経営すべきではない、あたりまえのことだと思います。たとえば、公営企業のバスにいたしましても、まあ今度調査会でこういった面の経営についてのベテランが、こんなものはだれがやっても黒字どころか、収支バランスがとれるものではない、一体原因はどうか、この部分はやはりこういう方法で補てんしてやらなければやれるものではないという結論が出てくることを私ひそかに期待をしておるわけです。いろんなこういった資金の手当てなんか申しましても、御案内のとおり、大蔵省では、口を開けば、まだ合理化の余地があるのではないか、まだ企業の努力が足らない。こんなことは水かけ論であって、じゃあ一体この上どれだけの企業努力をやったら、合理化をやったらお気に入るのだと言いたい気持ちが内にうっせきするわけです。ですから、これは第三者のベテランをすぐってこれをやったっても、大蔵省の言うとおりにやれるわけのものではない、無理だという結論が出てきたら、それによって——私はそれを利用するわけではありませんけれども、そういうことをもととして、大蔵省の誤れる考えがかりにありとすれば、これを直していきたい、こういうことを基本的にはずっとしておるわけでございます。それにつきましては、ただいまずっと長く財政局長に御質問でありますが、いまのようなこういう事業のありさまで、ただいまの御指摘の二十三条の問題にいたしましても、せっかく法律に書いてあるのが、なぜこれが活用できないのかという問題も当然出てくる。独立採算というからには資本勘定などは明確にして、そしてたとえばばく大な建設費がかかる場合には、建設勘定の場合にはこれは利息がかからないようにするとか、あるいは累積赤字の処理の問題についても、おそらく四百億をこえることにこれはなっていると思うのですが、これも一部は当然国の一般会計でもってやるべきである、この部分だけは地方自治体で責任を負いなさい、また、この一部分というものは将来これを合理化することによって、年月をかけてでも埋め合わせていけ。その比重の関係がどうなるかということは、これはまた調査会の結論を待ってわれわれが判断しなければなりませんけれども、そういった根本の問題を打ち立てることが実におそかったという私は考え方を持っているわけです。一日も早くこの調査会の法案を通していただいて、そして私は真剣に諮問して、そして明確な結論を早く出してあげなければ、もう毎年毎年同じことを繰り返して、ここですったもんだ議論していることは、まことにおろかしいことであると思うわけです。そういったことは、いまの制度自体非常に不可思議な点がありますので、そういったことにつきまして今後きちっとしたものをつくり上げていきたい、こういうことでございます。ただ、ただいま合理化ということばを申しましたが、そういう意味で、この起債の問題、これも先ほどの四十八億の問題も同じですけれども、ただ起債のワクをもらったって、借金であるからには、元利ともに返していかなければならない。非常に負担にもなることでありますし、これはよほど考えて将来いかなければならない問題であると思いますが、ただ、この前からいろいろ御不安に思っていらっしゃると考えられますのは、合理化と言うが、一体その合理化は従業員にしわ寄せをするのではないかという、ちょっとそういうことが考えられるわけです。そういった面もあるわけでございますから、そういうことにつきましては、これはここで申し上げられることは、少なくとも不当に労働条件の改悪をするというようなことを前提にしての合理化は全然考えておらないということ、これだけは申し上げられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/35
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036・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで、基本的な考え方はわかりましたから、いま大臣が終わりの段階で申されましたことに関しまして、具体的にしぼってお伺いしたいのでありますが、地方公営企業に対していわゆる起債の許可をするにあたっては、いま大臣が言われたことをここで、具体的には起債を許可するにあたっては不当に労働条件を改悪するようなことを前提としないということが、はっきりと大臣の責任において言い切れるかどうか。この点を確認をしておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/36
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037・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/37
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038・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、地方公営企業に従事している職員の総数は現在どのようになっているか。また、定数の充足率の度合いですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/38
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039・柴田護
○政府委員(柴田護君) 総数は、三十七年度で適用企業、非適用企業合わせまして二十三万三千四百七十七人、内訳を申し上げますと、法適用企業が十四万五千九百十四人、それから非適用企業のうちで公営企業が六千九百五十四名、準公営企業が八万六百九名ということになっております。
充足率というお話でございますが、特に定員との関係を明確に調べたものがございませんので、おそらく定数に対する充足率というお話かと思いますが、そういうものも実は調査いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/39
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040・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、事業数と業務量の増に見合うところの職員数の増が行なわれてしかるべきだと思いますが、この点についてはどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/40
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041・柴田護
○政府委員(柴田護君) 事業がふえてまいる、あるいは事業の規模、事業の範囲等がふえてまいりますれば、それは当然それに伴って必要な職員数は増加してくる。現にこの経過を見てまいりますと、昭和三十五年度の公営企業に従事している職員総数は二十万人でございまして、それが三十七年度におきましては二十三万人、これは主として事業増加あるいは事業規模の拡大、これに伴ってふえております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/41
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042・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、地方公営企業の経費のうちで、特に人件費の占める割合はどの程度になっておりますか、この点を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/42
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043・柴田護
○政府委員(柴田護君) これも企業の種類によっていろいろ違います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/43
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044・伊藤顕道
○伊藤顕道君 企業別に承りたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/44
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045・柴田護
○政府委員(柴田護君) 全企業平均いたしますと、昭和三十七年度でございますが、三九・一%、水道事業が三〇・一%、交通事業が五八・四%、電気九・三%、病院四三・九%、ガス一六・一%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/45
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046・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いろいろ経営が非常に困難だ、その経営悪化の原因として人件費の増とかあるいは経営合理化の不十分な点、こういうふうな点があげられているわけですけれども、そこでわれわれが憂慮することは、いわゆる経営合理化という美名のもとに、不当にいわゆる人件費が削減されたり、不当な人員整理が強行されるということを根本的に憂慮するわけです。この点については前にもお伺いしましたけれども、非常に大事な問題であるので、重ねてお伺いしておきたいと思う。基本的な考え方について大臣のお考えをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/46
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047・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) この企業の合理化、近代化の努力は、単にいま急にいつやるかという問題でもありません。また、大幅に、小幅にということは、私は間違っていると思いまして、大体これはこの前申し上げましたとおりに、企業は日々そういう努力をしていかなければならぬ性質のものであると思います。特に公営企業の場合私は考えるわけですけれども、結局公営企業だって収支償う——黒字の必要はないけれども、収支償うということは当然であって、そういうことで計画されてあるはずでございます。ただ、はなはだしくそろばんには乗らないけれども公共性が非常に高い場合は、当初から損失を見込んで計画するということもあり得ると思いますが、やはり結果的にはこれを収支償う方向へ持っていこうとすれば、そこから生まれてくる収入、つまりその主体は料金になるわけでございます。そうすると、企業内の近代化、合理化が行なわれないために料金がどんどん上がるということは、そのことはやはり住民の福祉にとっては悪い影響がありまするので、単に従業員を整理するとか、大量馘首するとかということだけでなくて、やはり公営企業本来の性質にかんがみまして、そこらは調和のある措置をしなきゃならぬ、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/47
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048・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、調査会の構成についてお伺いしたいと思いますが、自治省としては現在どのようなお考えを持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/48
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049・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 二十人をもって構成する考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/49
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050・伊藤顕道
○伊藤顕道君 その二十名については、それは数はわかりましたが、大体二十名程度、どういう方面の方を選ぼうとしておるのか、その構想をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/50
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051・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) まず第一に、やはり企業の赤字がなぜ生まれておるか、これを克服する道があるのかないのか、また累積赤字をどう処理するのが妥当であるかといった問題につきましては、やはりこういう事業の経営面に明るい人を求めなきゃなりません。なお、先ほどから起債の面、それからいろいろそれに伴う地方公営事業に関する法律なども引き合いに出ておるわけでございますが、やはりもともとこういう公のいろんな財政問題について深い経験のある方も加わらなければならぬでしょうし、それから、言うまでもなくいま非常に労働問題がやかましいときでございますから、そういった面につきましてもやはり経験のある人を入れなければ、あとでせっかく諮問の答申を得ましてもそれが行なわれないということになりますので、最も公平であって、そうして皆さん方がお考えいただいてもこれならという人選をしなきゃならぬと思います。なお、適時適切に、別に三者構成でやるとかやらぬとかという問題ではないと思いますので、ただ、やはり従業員側の御意向というものは、逐次この問題を討議します過程におきましても陳情その他の形でずっと出てまいっております。先般の四・一七ストは、これは三公社五現業とは関係ありませんけれども、あの先日の午後八時に結局同調してストに入らないことに独自の立場でおきめになったわけですが、そういったことも私は実は勘案いたしまして、例の四十八億の問題もあえてこれだけの努力をしたわけでございますけれども、こういった方々の立場というものは、十分問題の検討の過程で御意見も聞かなきゃならぬ。だから、適時適切にそういった方々も参考人としておいで願い、何らかの方法で御意見は十分反映させるべきである、こういうふうに判断しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/51
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052・伊藤顕道
○伊藤顕道君 前に財政委員会をつくられたとき、その委員の構成についていろいろ問題があったわけですが、そういう前の財政委員会の経験にもかんがみて、いま大臣はそういう点遺憾のないようなという意味の表現があったわけですけれども、具体的には、常識として学識経験者とか、あるいは臨時行政調査会のメンバーに見るように、労使の代表とか、いろいろ考え方はあろうと思うのです。そうしますと、大臣のやり方を要約すれば、具体的にはいわゆる学識経験者をもって組織したい、そういうふうに理解していいわけですか。それとも労使の代表をお入れになるのか。そういう点具体的にひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/52
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053・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 先ほど申しましたように、労使の代表、中立、三者構成ということは考えておりません。どなたが見てもこれは中立である。また、客観的に企業のあり方について検討を願うわけでございますから、こういうベテランにまかせれば、最終の答申というものは間違いないはずだというりっぱな人々を選びたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/53
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054・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうしますと、その人員については約二十名として、その構成メンバーについては、公平厳正な、しかも民主的で、どなたが見ても信頼するに足るような学識経験者をもって組織するということであって、労使の代表については考えていない、こういう受けとめ方でよろしいわけですか、その点をいま一度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/54
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055・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 大体においてそのとおりに考えておりまするけれども、ただ、あまりに民主的だということで、こういった問題については結局手腕が問題になる方々は私どもはメンバーとしては考えておりません。ただいま伊藤委員がおっしゃったように、厳正公平な立場で、しかもこういった問題を処理する面におきまして、だれが見ても適任者だと考えられる人、ですから、中にはやはりこういう交通事業などなんかも、若手の経営者で、とにかく何と申しますか、相当敏腕な人だという方々が入ってくると思います。しかし、こういった人たちだって、何も従業員諸君を敵としてやっておるわけではございませんので、ですから、ただいまおっしゃったことは全く同感で、そのとおりでございまするけれども、多少そういった点でゆとりを持って人選を進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/55
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056・伊藤顕道
○伊藤顕道君 その点わかりましたが、四月七日の衆議院の内閣委員会で本法案が通って、附帯決議がなされておるわけです。その内容はもう御承知でしょうから、ここであえて指摘しませんが、この附帯決議については大臣はどのように具体化について決意を持っておられますか。この点を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/56
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057・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 最初に触れましたように、去年の十二月以降予想される赤字につきましては、完全に切り離して処置をする考え方で現にやっております。それから累積赤字につきましては、なかなか膨大な金額でもありますし、実は政府部内で関係数省とは寄り寄り話しまして、私は私の構想というものを実は漏らしておるわけでございます。しかし、それを全面的に賛成だと言う省はございません。自治省は自治省としての立場がありますから、しかし金額が大きいわけですから、この問題につきましては、調査会は調査会として、別に政府のほうとしても方向だけは出したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/57
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058・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、少し具体的な小さな問題ですが、定員の問題についてお伺いしますが、本省に十二名、それから消防庁に三名、計十五名の増員がなされることになっておりますが、この十五名の増員の内容について御説明いただきたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/58
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059・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 大臣官房に九名、これは、最近御承知のとおり地方開発でありますとか広域行政でありますとかいうような問題が、いろいろ新たな問題が出てまいっておりますので、それらの地方との連絡調整に当たりますためにそういう事務を担当しますものを九名ふやしたいという考えでございます。それから税務局に三名、これは最近、御承知のとおり、貿易自由化というような問題にも関連いたしまして各国との間に地方税につきましても租税協定、国際間の地方税の調整の問題が非常に重要な問題になって出てきておりますので、この事務を担当いたしますものを三名、計十二名でございます。なお、消防庁の三名は消防研究所、消防大学それから消防庁本庁の予防課に一名ずつ、計三名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/59
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060・伊藤顕道
○伊藤顕道君 増員に伴う予算についてはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/60
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061・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 増員に要します予算は、六百八万八千円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/61
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062・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、今回、官房に企画室を設置して、広域行政の問題点である総合調整をするために事務を処理することになった。最近、広域行政ということが非常に盛んに言われておるわけですが、ここで必要なことは、問題と思われることは、広域行政ということから地方出先機関の強化ということが現実に行なわれておるわけです。で、将来もこの強化が行なわれようとしておるわけです。この傾向に対して自治省としては一体どのように対処されるのか、この点についての基本的な考え方をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/62
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063・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 広域行政の問題が非常にやかましい現下の問題になっておりますことは御指摘のとおりでございます。これらの問題に関連いたしまして国の地方出先機関の強化をしようという動きのありますことも、御指摘のとおりでございますが、自治省といたしましては、どこまでも地方自治団体であります府県、市町村を中心にして、それらの共同によって、二以上の府県にわたる問題、あるいは二以上の市町村にわたる問題を地方自治団体に主体性を持たせつつこの広域行政を処理する体制を整えてまいりたいということで、いろいろ検討をいたしておりますし、また、その方向でいろいろな問題を考えておるわけでございます。ただいま提案をいたしております地方行政連絡会議というふうなものも、府県に主体性を持たせつつブロック内における国の出先機関なり、地方団体相互間の連絡をはかっていこうということで、こういうような形で事を考えて進めてまいりたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/63
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064・伊藤顕道
○伊藤顕道君 地方制度調査会が昨年のたしか暮れだと思いますが、行政事務再配分に関する答申をなしておる。この内容を見ますると、行政の広域的処理、行政を理由に国の地方出先機関の強化等の傾向が見られることは遺憾であると、こういうふうに遺憾の意を表しておるわけです。できる限り地方公共団体に優先的に事務処理をさせるようにすべきであると、こういうふうな答申が出されておるわけです。そこでお伺いしたいのは、この事務配分の概括的な基準を示しておるわけですが、この点に対する自治省の御見解を伺っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/64
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065・松島五郎
○政府委員(松島五郎君) 地方制度調査会におかれましては、御指摘のような答申が昨年の十二月になされております。で、この地方制度調査会の基本的な考え方は、住民に関連のある行政というものは、住民の身近なところで民主的コントロールのもとにおいて行なわるべきものであるということが第一点。同時に、地方団体においてそれらの行政がいろいろな行政等とともに総合的に行なわれることによって、真の意味の住民の身近な行政として役立ち得る行政が成り立つんだ、そういう意味からも、地方団体にできるだけ仕事を移して、そこで民主的に仕事が行なわれるようにすべきだ、こういうお考えであると拝察しているわけでございます。自治省といたしましても、全くこのお考えには同感でございまして、ただ、地方制度調査会はこの答申にも述べられておりますように、昨年の十二月には一応基本的原則をまず述べられたにとどまりまして、これを基礎とする個々の事務配分については、次の調査会において検討して答申をなされる予定になっておりますので、それらの答申を待ちましてその方向に向かって努力いたしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/65
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066・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで、時間の関係もございますから、総括的に問題をしぼってお伺いしたいと思うんですが、いままでいろいろの角度からこの法案に関連してお伺いしてきたわけです。で、その点を総括的に要約すると、私どもは特に関心の深いのを三点に集約できると思うわけです。そこで、この三点それぞれについては、すでにもう御答弁いただいたわけですけれども、私どもの立場から非常に大事な問題であるので、最後にいわゆる再確認する意味でこの三点をお伺いして私の質問を終わりたいと思いますが、その第一点は先ほどもお伺いしたわけですが、地方公営企業の累積した赤字を処理するためには、やはり地方公営企業が住民に奉仕するという、そういう公共性を持っておる、そういうたてまえから国及び地方自治体の責任においてこれをすみやかに解決すべきである、これが基本的な考え方でありますが、当面は、先ほど具体的な問題としてお伺いした、いわゆる公共料金の引き上げ一年間ストップに伴う各地方公共団体の公営バスの赤字累積約四十八億、この問題については地方起債を発行するという、こういう問題で処理していこう、こういう自治省の案が先ほど御説明に出されたわけです。そこで、ここで重ねてお伺いしたい点は、この自治省案の実現のために、大臣は今後さらに誠意と熱意を持ってこの実現に努力すべきであると思うのですが、この点に対する大臣の決意のほどをもう一度お伺いしておきたい、これが第一点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/66
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067・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 四十八億の問題につきましては、先ほどるる御説明いたしましたとおり、先般きまりました解決の方法は、自治省にとりましては新しい形でありまするけれども、また、関係地方団体においては結果的にはよかった、こういう判断を持っております。しかしながら、これはそういう方針がきまったのでありまして、今後この実行等にあたりましては、当初の計画とそごしないように十分注意をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/67
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068・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それと第二の問題は、地方公営企業に対する起債の許可にあたっては、不当に労働条件を改悪するようなことを前提とすべきでないということを先ほど伺ったのに対して、大臣から、そのとおりやるということの所信表明があったわけです。この問題はもう一度ひとつ確認しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/68
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069・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 私も常々そう考えておりまして、きわめて常識的なことをおっしゃるわけでございますが、全く同意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/69
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070・伊藤顕道
○伊藤顕道君 第三点は最後にお伺いした問題ですが、いわゆる制度調査会の委員の構成については、前に持たれた財政委員会の委員の構成等にかんがみて、いわゆる公平厳正にして民主的な、しかもあくまでも何ぴとからも信頼されるに足るような人選をすべきである、こういうことに帰結できると思うのです。この点に対する大臣のお考え、決意と言いますか、まあ今後の問題ですから、大臣に決意がなければできないわけですから、ひとつその決意のほどを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/70
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071・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 先ほど申し上げたとおりでございまして、構成そのものは、俗に言う三者構成などという形はとりません。しかしながら、今日、労使関係というものを無視して幾ら結論を出しましても、それがうまく行なわれようはずはないのでありまして、ですから、そういった点につきましても非難をされないように、この過程におきましては、やはりいろんなそういった面のベテランの方々、あるいはときには利益を代表する方に及ぶことにもなるでしょうが、そういった方々も参考人としてお招きをして十分御意見を織り込むということは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/71
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072・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/72
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073・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) じゃ、速記つけてください。
他に御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。
暫時休憩いたします。
午後零時八分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03619640602/73
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