1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十九年六月十一日(木曜日)
午前十一時十三分開会
—————————————
委員の異動
六月十一日
辞任 補欠選任
古池 信三君 高橋 衛君
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 三木與吉郎君
理事 石原幹市郎君
下村 定君
伊藤 顕道君
委員
源田 実君
小柳 牧衞君
塩見 俊二君
高橋 衛君
林田 正治君
村山 道雄君
山本伊三郎君
鬼木 勝利君
向井 長年君
国務大臣
大 蔵 大 臣 田中 角榮君
厚 生 大 臣 小林 武治君
政府委員
大蔵大臣官房長 谷村 裕君
大蔵大臣官房財
務調査官 松井 直行君
大蔵省主計局給
与課長 平井 廸郎君
大蔵省関税局長 佐々木庸一君
大蔵省理財局長 吉岡 英一君
大蔵省為替局長
事務代理 鈴木 秀雄君
厚生政務次官 砂原 格君
厚生大臣官房長 梅本 純正君
厚生大臣官房国
立公園部長 今村 譲君
厚生省社会局長 牛丸 義留君
厚生省児童局長 黒木 利克君
厚生省保険局長 小山進次郎君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
—————————————
本日の会議に付した案件
○厚生省設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○大蔵省設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/0
-
001・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) これより内閣委員会を開会いたします。
厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に続きこれより質疑を行ないます。
政府側からは、梅本官房長、今村国立公園部長、黒木児童局長、伊部審議官が出席されております。なお、小林厚生大臣はちょっとおくれて出席をいたします。
御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/1
-
002・伊藤顕道
○伊藤顕道君 前回に続いて二、三お伺いしますが、大臣お見えになりませんから、主として部分的なことをまずもってお伺いしたいと思います。
先般、提案理由の説明を聞いたわけですが、この一節に、今後児童のある家庭の福祉を増進するための施策を一そう推進する必要がある、その必要から今回児童局の名称を児童家庭局へ変えたい、こういうことであるので、以下この母子家庭とか児童福祉の問題にしぼって二、三お伺いしたいと思います。
そこで、まずお伺いしたいのは、福祉施設の拡充についてということですが、母子対策の総合的一元化の必要がいま強調されておるわけですが、この点については厚生省としてはどのようにお考えですか、基本的な問題ではございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/2
-
003・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 御質問の母子福祉対策の一元化の問題でございますが、御承知のように、母子の福祉の施策といたしましては、従来は厚生省といたしまして母子福祉の貸付資金等に関する法律というのがございまして、主として母子世帯の自立更生を援助するための貸付金制度というのがございます。そのほか児童福祉法に母子の住宅に関しまして母子寮の規定がございます。厚生省の立法は以上でございますが、そのほか母子福祉につきましては労働省の関係で母子の労働問題、母子の雇用の問題がございます。それと、これは大蔵省の関係になりますが、母子世帯の課税についてのいろいろな特別措置がございます。それから建設省に母子の住宅の関係で公営住宅を母子のためにワクをとって建設をいたしておりますが、そのように、御指摘のように、母子福祉の施策が各省ばらばらでございまして、それぞれ緊密な連絡ははかっておるのでございますが、確かにその総合性に欠ける点がございます。そこで、実は今国会に母子福祉法案というものを政府提案で柳出をいたしまして、ただいま御審議を願っておるのでございますが、この母子福祉法案の中で、できるだけ母子福祉行政の一元化の方向を打ち出したいというので、各省といろいろ交渉しました結果、住宅の問題につきましては、一条をこの法案の中に入れまして、母子の住宅につきまして、優先的な配慮をしなければならないという規定を置くことにいたしたのであります。これは第二種公営住宅のワクを建設省から厚生省がいただきまして、母子向けの住宅をつくる。それから労働省の関係では、母子の雇用問題につきまして、職業安定所を中心にいたしまして、積極的に協力をしなければならないというような規定を置いたのでございますが、まだまだ不十分でございますので、改正等の機会に母子福祉行政の一元化の方向に努力をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/3
-
004・伊藤顕道
○伊藤顕道君 母子対策の一環として母子福祉法制定、いま審議中のものであると、 こういう説明があったのです。その点はたいへんけっこうだと思うのです。そこで、次にお伺いしたいのは、婦人センターの設置についてはどのように現在なっておるか、この点を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/4
-
005・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 母子福祉センターと申しまして、これは単は母子世帯だけでなしに、低所得の子供を持った母親に対していこいの場所、レクリエーションの場所を提供するということで、一昨年から国から補助をいたすということになっておりますが、現在のところはまだスタートしたばかりでございまして、六カ所建設をいたしております。大体毎年三カ所ないし四カ所ずつのピッチでその増設をはかっておるのでありますが、この母子福祉法の成立した暁におきましては、もう少しピッチを上げたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/5
-
006・伊藤顕道
○伊藤顕道君 このセンターの設置については、やはり法で規制して、各都道府県に、少なくともないところのないように、こういう政策が望ましいと思うのですが、その点はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/6
-
007・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 母子福祉センターの設置につきましては、今回の母子福祉法案には、都道府県は母子福祉センターを設置することができるという規定を置いておるにすぎませんので、設置の義務までは規定がないのでございますが、御指摘のように、各県につくってまいるということを目標にして努力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/7
-
008・伊藤顕道
○伊藤顕道君 これは質問のことばが足りなかったかもしれませんが、私のお伺いしたいのは、各都道府県はもちろんですが、全国の各郡市にわたって一カ所ぐらいは設置することのほうが、まあ、これは予算の関係もありますけれども、そういう方向で前向きの姿勢で努力していただきたいと思いますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/8
-
009・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 御趣旨のような目標で努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/9
-
010・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この母子センターでは、いろいろ厚生省としてどのようなことをやるのか、いろいろお考えでしょうが、たとえば技能を修得させるための施設とか、あるいは職業補導、そして授産の事業を進めるとか、児童福祉施設の設置をするとか、あるいは母子福祉問題に関する相談を受け付けるとか、あるいは結婚相談あるいは職業あっせん、こういう多角的にやることによって成果をおさめ得ると思うのですが、こういう構想についてはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/10
-
011・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) ただいま先生の御指摘のとおり、母子福祉センターは、職業の準備訓練と申しますか、技能訓練、あるいは授産あるいは子供を預かって保育をする、あるいは相談助言にあずかる。場合によりましては、夫婦の間のいさかい等が起きます場合に一応かけ込みと申しますか、ここで冷却期間を置くようなことを考えるというような種々の母子福祉のいわば総合センター的な目的を持っておりますから、御意見のとおりな方向で運営をし、また、整備をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/11
-
012・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、保育所についてお伺いしますが、やはり保育所は、まあ原則として保育料を取っておるわけです。これは相当家庭の事情でなかなか保育料の負担にたえない家庭も相当あるわけです。だから、いますぐということではなくて、将来の検討を待って、漸次保育料を全廃する方向で努力すべきであろうと思うのですが、この点はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/12
-
013・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 実は保育所の保育料の問題でございますが、保育料の支払いが困難な家庭に対しましては無料で保育をいたしておるのでありますが、国が八割の負担をいたしておるために、負担能力のある者からは徴収をせざるを得ないというような法律のたてまえになっておるのであります。しかし、お説のように、義務教育の無償というようなことで、だんだん保育についての国の責任も強化をしなくてはならないと思いますから、保育料はできるだけ減免をしてまいるというような方向でいまやっておるのでありますが、特に階層を、国民の階層をA、B、C、Dに分けて、A階層というのは被保護階層、B階層というのは地方税の減免の階層、C階層というのは所得税を納めていない階層、D階層というのが所得税を納めている階層というので、所得税を納めている階層からは実費に近いものを取るのでございますが、ただし乳児については月額六千円程度かかるのでございますが、その半額の三千円程度しか徴収しておりません。このように階層別な徴収基準をつくっておるのでありますが、お説のように、できるだけ減免してまいる、将来は義務教育の無償のような、保育の責任がだんだん強化されるに従いまして軽減をしてまいるという方向で努力してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/13
-
014・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いままでは生活保護を受けている母子家庭でも保育料は納めているように聞いているんですが、これはいまはもう生活保護家庭からは保育料は取っていないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/14
-
015・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 実は生活保護の家庭からは従来とも取っていなかったのであります。B階層と申しますと、住民税を納めていない家庭に対しては、従来は保育料を取ったんでありますが、昨年からはこれを無料といたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/15
-
016・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いまの認可保育所が大体全国で一万ほどあると思うんですが、これでもまだまだ数が足りない。したがって、地域、職域に応じて、必要に応じてぜひ増設することが強く要望されているわけですが、この点については、厚生省としてはどのような計画をお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/16
-
017・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 確かに保育所を設置してほしいという要望が強いのでございます。実は、法律のたてまえでは、一応の私のほうできめました基準がございまして、その基準に合致すれば、公私立を問わず、都道府県知事は認可をしなければならないという規定がございまして、そこで現実に認可をしております毎年の保育所の数が三百近くあるのでございますが、国が設備費に対して補助金を出しておりますのは、従来百五十程度であったんでありますが、今年は自七十八くらいになりまして、これは逐年増加をしているんでありますが、今後もそういう補助金の政策あるいは年金からの融資というようなことで、その設置を大いに進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/17
-
018・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうして数を増して、職域、地域の要求に応じていく、こういう一面ももちろん大事なんですが、一方現在ある保育所の面でも、全国的に見ると、相当老朽なものも多いようですしね。いろいろ既存の建物などを利用している関係で、ずいぶんと老朽化したものもある。また、保育のために必要な施設についてもずいぶんお粗末なものもあるわけです。こういう施設の整備強化ということも当然必要だと思うんですが、全般的にいってずいぶんお粗末なところが多いんですね。こういう点についても、一度にというわけにもまいりますまいが、やはり年次計画で逐次整備する、そういう計画があってしかるべきだと思うんですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/18
-
019・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 確かに、先生御指摘のように、戦争中あるいは戦後建ちました児童福祉施設は、特に保育所で老朽なものがございますから、実は一昨年から老朽の施設の復旧の補助金と申しますか、制度ができまして、現在のところ五カ年計画で老朽施設の復旧をやりたいということで進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/19
-
020・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしますが、幼稚園は文部省の所管で、これは保育所などに比べて、施設とも比較的整備されているんですね。この厚生省所管の保育所をこの幼稚園に比較すると、施設等全般的にどうも名実ともに劣っていることは事実だと思うんですがね。幼児教育の重要性から、せめて幼稚園のレベルくらいまで引き上げることが当面の課題だと思うんですが、こんな点はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/20
-
021・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 実は幼稚園の設置の基準と保育所の設置の基準とは、御指摘のように、非常な差がございまして、幼稚園は規模も相当大きくなければなりませんし、保育所は特に農村の地区におきましては、部落等に設置をするという関係から、収容する人員も、士五、六名程度というのもございまして、幼稚園のような物的なその他の基準というものは、保育所のほうに採用するわけにはまいらぬのでございますが、ただ、小規模ながら、その内容は特に幼児教育の面から幼稚園に劣らないようにしたいというので、実は昨年文部省、厚生省の共同の通知を出しまして、保育所につきまして幼稚園の幼児教育要領に準じた教育をするように、また、その設備等もそれに応じて整備するようにという方針で現在指導いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/21
-
022・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこでお伺いしたいのは、幼稚園もさることながら、特に保育所の職員、わけても保母等のいわゆる待遇ですね、処遇の問題、いわば労働条件、賃金とか労働時間、これは非常に劣悪であって、したがって、なかなか希望者がいない。せっかく施設はつくったけれども、保母さんがいないので開設できない。こういうことも全国的な視野から見ると相当数あるわけです。これがまあ現実の姿です。そういう点も、やはり幼児教育といっても、保母さんもこれはりっぱな専門職ですから、ある一定の処遇は当然に必要であろうと思う。ところが、現実には相当劣悪な条件で働いておる、したがって希望者は少ない、一方幼児教育の重要性が強調されておる、こういうことを総括したとき、やはりまず施設の改善もさることながら、並行してやはりこういう処遇問題を解決する必要があろうと思います。この点については、何か計画をお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/22
-
023・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 確かに先生の御指摘のように、保育所の保母さんの処遇の問題について、従来欠陥があったのであります。そこで厚生省としましては、昭和三十五年以来保母の給与の改善に努力をしてまいりまして、三十五年に比べまして三十九年度までに約倍額の俸給のベースアップというものを実現しておるのでありますが、しかし、私立の保育所におきまして、公立に比べましてまだまだ差がございますので、来年度はこの解決に当たりたいと思っております。なお、労働条件の問題につきましては、結局子供の数当たりの担当の保母さんの数の問題でございますが、これもようやく本年度から保母さんの定数をふやすという措置が講ぜられまして、これは中央児竜福祉審議会の答申がございますが、その答申を二カ年計画で実現をするというので、本年度から一歩改善を見ておる次第でございまして、来年度も二カ年計画の最終年次として、定数の改定によって、労働条件の緩和をはかりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/23
-
024・伊藤顕道
○伊藤顕道君 繰り返しお伺いしておるように、幼児教育の重要性が強調されておるとき、保母さんのまず資質を向上する必要がある。それにはいま言った処遇の問題もありましょう。それといま一つは、やはり国で養成機関を設置して、そこでりっぱな保母さんを養成して、いわゆる国家試験のようなもので、十分資質を向上させる、そこでりっぱな幼児教育をさせる。しかもそういう有資格者については、十分処遇問題についても、いま御答弁あったように、優遇とまでいかないまでも、他に比較して悪くない、そういうレベルまでまず引き上げる、両々相まって幼児教育の完ぺきを期す、こういうことが必要であろうと思う。この点について、当面どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/24
-
025・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 御指摘のように、確かに保母の資格を高めるということが、保育所なり、あるいは幼児教育のねらいでなければならないと思いまして、実は保母の養成機関がまだ各県に整備されておりませんので、各県整備をいま急いでおるところでございます。しかし、これだけでは保母の供給が間に合いませんので、女子の短期大学を保母の養成学校として指定をいたしまして、いま四十近くのものを指定をいたしまして、養成に当たっておるのでございますが、根本的には保母の資格をどうやって高めたらいいかということで、中央児童福祉審議会にそのための特別部会を設けまして、いま数次にわたって審議をいたされておりますが、近く結論が出ますので、それをもとにいたしましてこの問題の解決をはかりたい。
なお、保母の確保の問題につきまして、明年度は何か緊急対策を講ずる必要があるという大臣の御指示によりまして、いろいろ計画をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/25
-
026・伊藤顕道
○伊藤顕道君 先ほどもお伺いしましたが、保育所は厚生省所管、幼稚園は文部省所管というふうに、幼児教育という観点からすれば、当然一本化してしかるべきだと思うのですね。やはり一本に統合した幼児教育を一元化する。それと同時に、いま年齢一年引き下げて満五歳からもう幼児教育を始めている。最も大事な時期であるから、一年引き下げるべきである、こういう論議も盛んに出ておるわけです。こういう中で、この一元化の問題と年齢一年下げてこれを義務制にすると、こういうことに対する厚生省のお考えはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/26
-
027・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 実は幼稚園と保育所の一元化の問題は、従来からやかましく論議されておりますが、保育所のほうは、御案内のように、赤ん坊から、零歳から就学前の子供を預かっておるのでございます。幼稚園のほうは、就学直前の大体四歳、五歳児が中心でございます。したがいまして、年齢的にも幼稚園と保育所というのは機能が異なりますので、幼稚園と保育所の一元化はなかなか困難であろうと思いますが、ただお説のように、幼児教育は少なくとも一元化すべきであるということにつきまして、厚生省、文部省意見が一致いたしまして、先ほど申し上げました文部省、厚生省の共同通知を出しまして、幼児教育の一元化の方針を打ち出したのであります。ただ残念ながら、保育所の保母の中には、いわゆる教諭の資格を持っていない者もおりますので、これは先ほど申しました資格の問題にからんでいま検討いたしておりますが、そこで保育所では、幼稚園の幼児教育要領に準じた教育をするということで、一元化の方向に一歩踏み出しておるのでございます。
それから義務教育の年齢引き下げの問題につきましては、むしろ文部省の所管でございますが、ただ児童の健全育成教育という面から見まして、三歳以上になりますというと、集団教育をやったほうがよりいいわけでございますから、厚生省といたしましては、義務教育の年齢の引き下げ、そして早くから集団教育をするということには賛意を表しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/27
-
028・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に住宅の問題ですがね、これはもちろん建設省にも関係があろうと思うのですが、しかし、母子世帯ということに結びつけて厚生省の関係にもなろうと思うのですが、具体的にいって、大体千円以下の低住宅を大量に建設して、そして母子世帯を優先的に入れると。もちろん全国的に現在でも母子世帯がいろいろ母子寮その他には入ってはおりますけれども、これは全体の数から見るとほんの一部であって、まだまだ不足しておることは現実だと思うのです。こういう意味合いで、まず住居の安定をというスローガンのもとに、低住宅を建設して母子世帯を優先的に入居させる、こういうことが母子福祉の基本的な一つの問題だと思うのですが、大臣いかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/28
-
029・小林武治
○国務大臣(小林武治君) これはお活のとおりでありまして、現在第二種公営住宅と称する小住宅もいま建設省の所管になっております。これはだいぶ前に厚生省の所管であったことがあるのでありますが、住宅の建築とか、資材とか、いろいろな面からこれらを統一的に運用するということで、現在建設省の所管にはなっておりますが、私は最近、もう小住宅というものを社会保障的の面において考慮しなければならぬと、こういうふうに考えまして厚生省のこれらの問題に対する発言権を強化しなければならぬ、こういう考え方を持っておるのでありまして、所管自体につきましても、これからいろいろ論議があると思いますが、とりあえずお話のように、母子住宅というようなものも一応建設省から千五百戸の割り当てを受けておりますが、それさえ十分に消化されておらぬ、こういう状態でありまして、これらは主として小住宅をつくる場合の敷地が、これらの母子を入れるに適当でない遠隔の地に設けられておる、それでせっかくいまつくられても通勤その他のために入れない。あるいは敷金を取る、あるいは家賃が高い、こういう関係でもって母子世帯に対する住宅提供というものが社会保障の面ではあまり考慮されておらぬ。こういう欠陥がありますので、私どもは最近におきまして、とりあえず実際問題としてそういう面が強化されるようにということで、いまの住宅の選定とか割り当てとか、あるいはこういうふうな問題については県庁の民生部と、あるいはそういう所管局に、そういう局においてぜひひとつこれらの問題を担当さしてもらいたいということを、最近建設省に申し入れたのでありますが、ことに最近敷金などを取られては入れない、こういうことを強く訴えられておるのでありまして、敷金とか、あるいは低家賃とかということについても特別の配慮をしてもらわなければならぬということで、これらのことを検討をいたしまして、所管の問題はともかくとして、実際問題として、お話のように、母子世帯の便宜が実際にはかれるようにということで、いろいろいま協議をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/29
-
030・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そういう方向で努力していただきたいと思うのですが、現存の母子寮などもずいぶん実際に見るとお粗末そのものであって、ずいぶん改善の要があろうと思うのですが、こういうことについてもお考えがあるのかないのかということが一点。
それと母子福祉年金ですね、これは間違ったら御訂正いただいて、現在たしかおそらく千円だと思うのですが、これは増額する考えがおありかどうか。
それから三つには児童手当ですね。これはやはり児童手当を制度化する必要があるということが強く叫ばれておるわけです。もちろんこれには所得制約を設ける必要があろうかと思いますが、とにかくそれにしても児童手当というのはいままではない制度ですから、新たに制度化するということになろうかと思うのですが、この点については具体的にお考えがあるのかないのか。以上この三つの点について、お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/30
-
031・小林武治
○国務大臣(小林武治君) 母子寮は、お話のとおり、非常に老朽化したものが多いのでありまして、これらを改築計画、年次計画をもちまして、これを直していきたいということで、いま始めております。現に東京都におきましても相当鉄筋化が行なわれて、りっぱなものができ上がりつつありますが、これをいま五カ年計画等によってひとつ直してまいりたいという計画を持っております。
それから母子年金は、これは一昨年でございますか、千円から千三百円に上げたのでありますが、まだこれでも私どもいいとは思っておりません。次の機会に、どうせ国民年金そのものについての相当の改定をしなければならぬのでありまして、年金の引き上げということについても考慮をいたしておるということを申し上げておきます。
それから、児童手当の問題は、これもだいぶ論議をされておりまして、政府におきましてもそう遠くない時期に一般的の、いわゆる児童手当という制度を始めたい。そしていまのような家族手当というようなものをこれに吸収するというふうなことで、いろいろこれにつきましては被保護者だけやるのか、あるいは一般住民についてもやるのか、いろいろな問題がありますので、これらの問題はわれわれ厚生当局として研究しておるばかりでなく、中央児童福祉審議会等にも、これを諮問しておるのでございまして、この制度はどれから始めるにいたしましても、ぜひひとつ一般的の児童手当というものをやらなければならぬということで準備的の調査をいたしておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/31
-
032・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、夫と死別した場合はこれは問題はないのですが、生別した世帯があるわけですね、それと準母子世帯ですね、たとえばおばあさんとか、おじさん、おばさんが、孫やおい、めいと世帯をともにしている、これは準母子世帯だろうと思うが、これは母子福祉年金の対象から現行法でははずされているわけですが、これはいろいろ理由もありましょうけれども、実質的に夫と生別しておればともかく、実質上はもう母子世帯になるわけですね、実質は。——ですからおばあさんが孫と、おじさん、おばさんが、おい、めいと一緒におるということも実質は母子世帯と何ら変わりはないと思う。これを福祉年金の対象からはずしているということは酷に失すると思うが、この点についてはどういう観点からこれを対象からはずしているのか、この点御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/32
-
033・小林武治
○国務大臣(小林武治君) 生別の母子につきましては、いま児童扶養手当法と申しまして、別の扶養手当が出ております。ただ千円でございますから、若干低い。
それからおばあさんが孫というようなものは準母子年金と称して年金を出しております。こういうふうで大部分のものは、全然かかっておらぬものはあまりないというふうにいまくふうをこらしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/33
-
034・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それと次にお伺いしたいのは、家庭の生活が苦しくて生活保護を受けておって、これは義務教育だけは受けられるわけですけれども、義務教育以上になると、生活保護ははずされてしまうんじゃないか、でここでお伺いしたい点は、たとえ生活保護を受けているという家庭でも、お子さんが優秀で高校、場合によっては大学までという、憲法の精神に沿うために、この教育の機会均等の観点からやはり義務教育以上の教育を受けさせてしかるべきだと、こういう点については厚生省としてはどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/34
-
035・小林武治
○国務大臣(小林武治君) これについては高等学校も認めるようになりました。それからことに母子福祉資金貸し付け、こういうものがありまして、これらの学校に入る者の貸し付け等もいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/35
-
036・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それではお伺いいたしますが、いま高校まではいいのですが、これは何年からそうなったのか、それといま資金の問題が出ましたが、これは母子福祉資金ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/36
-
037・小林武治
○国務大臣(小林武治君) 福祉資金です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/37
-
038・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それと生業資金というものがありますね、これは名称が違うけれども、同質のものかどうか、もし資金の区別があれば……。それと高校だけは認めるようになったということであれば一歩前進したわけですけれども、これはいつからそうなったか、将来は大学まで認めようというお考えがあるのかないのか。こういう点についてお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/38
-
039・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 生活保護の世帯の高校進学の問題は社会局の所管でございますが、たしか昨年四月から被保護世帯の規定で奨学資金等で高校進学をする者につきましては、これを例外として認めるという運営をやっております。
それから修学資金の問題につきましては、現在までは母子福祉資金等の貸付に関する法律に基づきまして修学資金あるいは技能習得資金というような制度がございまして、運営をいたしておりますが、この法律を先ほど申し上げました母子福祉法の中に統一をいたしまして、この法律が通りましたら、母子福祉法に基づく母子福祉資金、そのうちの修学資金として貸与する、こういうことになるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/39
-
040・伊藤顕道
○伊藤顕道君 大体母子福祉の問題については、厚生省のお考えはわかりましたから次にお伺いしますが、この提案理由の説明によりますと、今回環境衛生局の所掌事務を整備して、煤煙の排出の規制その他公害の防止事務を所掌することにしているが、これらの事務は今日まで一体どこが所管しておったかどうかという点をまず一点。
それからこれらの事務を所掌することに伴って、内部機構を改正するようですが、それはどのように改正するのか、こういう点について御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/40
-
041・小林武治
○国務大臣(小林武治君) この厚生省の公害関係事務というのは、要するに被害者の立場と申しまするか、生活を守る、こういう立場で公害問題を扱っておるのでありまして、環境衛生局の中の係でこれをやっておりましたが、今度は環境衛生局の中に公害課というものを設けて、そこでこれをもっぱら所管すると、こういうことにいたそうと存じておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/41
-
042・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この公害問題については、これは各省にまたがっておる問題で、警察、経済企画庁、科学技術庁、大蔵省、厚生省、農林省、通産省、運輸省、建設省、自治省と広範に関係しておるわけですね。しかし、その主要なものについては厚生省の所管であるわけですが、そこでお伺いしたいのは、厚生省が所掌する公害にはどのようなものがあって、そしてどのような対策を講じておるか、基本的な問題についてまずお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/42
-
043・小林武治
○国務大臣(小林武治君) いま公害関係の法規というのはたった三つでございます。煙の排出を規制する法律、この法律は通産省と厚生省で所管しておる。それからもう一つは、要するに水質の保全と汚濁を防止するための保全の法律、これは経済企画庁が主管庁でありまして、共管として、いまお話のような各省が全部入ってこれに関係をしておるのであります。それから工場用水の排出、工場の要らなくなった水の排出を規制する、この法律が通産省でやっておる。こういうことでありまして、いまの公害問題については二つに分けて、害を加えるほうと害を受けるほうと、こういうふうに分かれるのでありますが、私どもの厚生省では害を受ける住民の側の利益を守る、こういう立場で一切の問題に関与しておる、こういうことでございまして、公害問題が非常にやかましくなってきておりまするが、これらの法律がまだ十分に実施されておらぬ、しかも法規についても、いまの煙と汚水というふうな問題しかないので、このほかにもまだ騒音の問題とか振動の問題だとか、あるいは地盤沈下とか、いろいろな公害の問題がありますが、これらについてのまだ規制する法律がない、こういうことでありまして、私どもは公害一般について住民の生活を守るという立場からして、公害全体についての私は基本法みたいなものがぜひ必要じゃないか、こういうことを考えて、これらについてのいろいろ調査をいまいたしておりますが、要は、私ども厚生省としては、全部害を受ける住民を守るという、こういう立場に立って注文をいろいろ出す、こういう程度の煙を出しては困る、こういう程度の汚水を流しては困る、こういうふうないろいろの問題についてやっていかなければならぬと思うのでありまして、そういう立場からして全般の問題について、ひとつ厚生省がこういう問題についての考えをまとめたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/43
-
044・伊藤顕道
○伊藤顕道君 御説明の一端にもございましたが、現在法律で規制されておる公害、河川汚濁とか大気汚染、あるいは地盤沈下、こういう三つの点だと思うのです。ところが、騒音とか振動、悪臭ですね、それから排気ガス、こういうものについては法律の規制外に現在は置かれておるわけですが、特にこの中で騒音とか振動については、地方公共団体において条例等で規制している面も場所によってはあるわけです。そこでお伺いしたいのは、やはりこれらの防止対策を適正、円滑にするためには、やはり国において必要な措置を講ずる必要があろうと、各都道府県にまかせないで。そういうことについて、厚生省としても何か具体的なお考えがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/44
-
045・小林武治
○国務大臣(小林武治君) いまのお話のようなすべての公害につきまして規制を加える必要があると、こういうふうに考えて、これらのことをいまそう遠くない時期にまとめてひとつ国会等に提出すると、こういうふうな考え方を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/45
-
046・伊藤顕道
○伊藤顕道君 大体工業地帯に接しておるところの煤煙の量を調べた統計を見ましたが、これは驚くべき量にのぼっておるわけで、これはちょっと数字が古いですが、昭和三十六年一月、一平方キロメートル当たり、東京都の江東区、墨田区、この辺の八区では二十トンをこえておる。まあいろいろ類例があるわけですけれども、特にこういうものは省略して、特に北九州の若松では二六・八トン、こういうふうに煤煙の量はわれわれの想像外の甚大な量にのぼっておるのが数字で見られるわけです。こういう実態に対して、もちろん厚生省としては、所管の官庁として十分把握されておるわけですが、こういう点については、何か具体的な対策はあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/46
-
047・小林武治
○国務大臣(小林武治君) いまこの煙の排出規制の法律というものが現在実施されておるのは京浜でございます。それと大阪と北九州と、この三つに、それからことしの四月一日から四日市地区にこれを実施をいたして、そこの工場の煙の排出についての亜硫酸ガス等の含有量の規制をいたしておりまして、最近四日市等におきましては、北九州や東京よりかもっと厳重な内容の規制を始めております。いずれにしましても、このことは直ちに産業の採算にすぐ影響する問題でありまして、その含有量を上げるか、下げるかによって採算に非常な影響を及ぼすということで、現に隅田川の水質規制におきましても、東京都と企画庁、われわれとの間で意見が一致しないと、こういう問題がありまして、いつも生産とそれから公害との調整をどこでとるかと、非常にむずかしい問題があるのでございまして、われわれの側からいえばきびしいひとつ基準を出したいと、また通産省側からいえばそれでは困ると、こういうことで争いが絶えないわけでありますが、しかし、採算が許す限度においてこれらの除害装置をしてもらわなければならぬということで、私どもは強く主張をしております。いま申しましたように、最近四日市等につきましては、東京に比べて非常に強い規制をいたしておるのでありまして、これからまた名古屋あるいは千葉、あるいはそのほかいろいろの地区にこの法律を実施したいと思いますが、そのつど基準について問題が起きておる、こういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/47
-
048・伊藤顕道
○伊藤顕道君 まあ黒い煙などは目にもよく見えますが、亜硫酸ガスなど目に見えない毒物があるわけですね。横浜ぜんそくなんといわれておるように、そういうものの影響のあろうことが指摘されておるわけです。特に肺ガンの原因になったり、あるいは精神病の原因になると、こういうことからいうと、事人命にかかわる非常にゆゆしい問題であるので、早急に抜本的な対策を講じないと、まあ健康に、ひいては人命にかかわるというゆゆしい問題が山積しておる。やはり尋常一様の方法ではこういうものは防止できないと思いますが、こういう点については厚生省としてどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/48
-
049・小林武治
○国務大臣(小林武治君) これはもう全く生命あるいは健康の問題に直接関係する問題でありますが、私どもは、何よりもとにかく健康が大事だと、こういう立場でひとつ貫きたいと思っております。ことにこれから新産業都市等につきましては、厚生省が十分これに介入いたしまして、工場の除害装置というものについて、あるいは工場地域と住宅地域、これらの問題についても、私どもの考えをひとつぜひ反映させなければならないということで、過去の施設の改善というものが非常に困難な事情もありますので、これから新産業都市あるいは新工場の誘致等につきましても、十分にひとつわれわれの意見を反映させたい。最近におきましても、たとえば静岡県の沼津、三島地区等には厚生省から調査団を出しまして、事前にいろいろな関係を調査いたしまして、こういう装置、こういう都市計画等によらなければ困るというふうな発言もして、経済企画庁もこれに同調してもらっておる、こういうことで今後十分ひとつ気をつけてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/49
-
050・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それは大事な点は、このような公害はなぜ起きるかと、そういう基本の問題を追及せぬと解決できないと思うのですね。企業はやはりもうけるために、利潤を追うために物をつくっておる。ところが、煙を無害にしたり、あるいはいろいろな毒物を水洗して無毒のものにする、そういう装置を特にするということには、やはり経費もかかるわけで、そういうことを完全にやるとなかなか利潤が少なくなる、こういうことになる。結論としては、地域の社会人に迷惑をかけるということになる。したがって、企業家のほうの自粛を求めることも並行していく必要があると思うのです。どんどん毒物をつくって、政府が幾ら金をかけてもなかなか容易ではない、政府もそういう点について抜本的な対策を講ずるとともに、企業の面でもいわゆる自粛して、地域社会の人に迷惑をかけないように、たとえ施設に金がかかっても、利潤が低くなろうとも、やはり並行してこれを進めない限りは、この公害は撲滅できないと思うのです。こういう点についてはどういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/50
-
051・小林武治
○国務大臣(小林武治君) その点は要するに生活と生産との調整の問題でありまして、生活はどうしても守らなければならぬ。しかし、採算も考えなければならないということで、いまのような除害装置あるいは脱硫装置、こういうものにつきましては、採算も考えて、政府が低利の資金を貸し付ける、こういうようなことも考えて、これが両立できるように——現在まででもたとえば熊本県の水俣のいろいろな装置をつけるにつきましても政府が資金を安く貸したと、そのほかの問題についてもそういうことをいたしておりますし、今後新産都市でもって、初めから十分の除害装置をするためには、どうしても政府がそういう措置をとらなければなるまい、かように考えて、そういう用意はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/51
-
052・伊藤顕道
○伊藤顕道君 先ほど一部御説明のあった煤煙規制法、これは目に見える煙の一部については施設の義務がある。ところが、水質保全についての三つの法律がありますが、あれが出てからもう五年以上にもなるわけですが、さっぱり効果をあげていないわけで、江戸川を除いてはほとんど汚水調査の基準もまだきまっていない。これはせっかく法律をつくっても、実施しなければ何にも意味をなさない、この点は厚生省としても怠慢ではないかと考えられるのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/52
-
053・小林武治
○国務大臣(小林武治君) これはまあお話のとおりでありまして、いままでにまだ河川が二つか三つしか指定されておらぬ、こういうことは私は政府としても手落ちであると、しかし、これについては、やはり工場の汚水の浄化装置というようなものについては、非常に金がかかるということでだんだんにおくれてまいって、最近隅田川の問題さえ、あれだけの問題がきまりがつかないでおりますが、急いでやらなければますます条件が悪くなるということで、私どもが、主管庁は経済企画庁になっておりますが、これをひとつ督励と申しますか、政府部内の意見の推進をいたしたいと、現在でももう幾つか話題にのぼっている、大阪にも寝屋川というような川があります、あるいは石狩川とか、いろいろな問題がのぼっております。これらについてもぜひ水質の基準を至急定めたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/53
-
054・伊藤顕道
○伊藤顕道君 このように各企業が公害を起こしておるわけですけれども、これはいまの、現行法では何ら補償の義務はないわけですね。これをやはりある程度補償の義務を負わせるようにすることが成果をあげる一つの要因になろうかと思いますが、この点はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/54
-
055・小林武治
○国務大臣(小林武治君) これはもう前に申し上げたように、公害基本法というふうな法律をつくって、そしてある程度の強制力を持たしてやらなけれなばらないと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/55
-
056・伊藤顕道
○伊藤顕道君 昭和三十八年七月以降の事態について、行管が公害防止に関する行政監察をやっておるわけですね。その監察の結果に基づいて勧告をしておるわけです。これによると監察期の状態がよくわかるわけですが、これは短いからちょっと読んでみますと、「近時、わが国においては、都市への過度な人口集中、鉱工業の著しい発展、交通の激化等により、水質汚濁、大気汚染、騒音等の公害が増大し、国民の健康や生活を害し、さらには産業にも少なからぬ障害を与えている。しかも、これらの悪影響はますます顕著になりつつあり、大きな社会問題、都市問題となっている。一方、当庁の行政相談においても、これら公害に関する事案が数多くみられる状況にある。
水質汚濁、大気汚染、騒音などの防止、規制のため、幾多の法律が定められてはいるが、いまだ十分にその効果をあげるにいたっていない。また、一部の地方公共団体では、はやくから公害防止条例を制定して、その防止につとめている。」云々と、詳しく監察をまずやって、その結果に基づいていろいろと勧告しておるわけです。その一つ一つの詳細については申し上げませんが、厚生省の所管としては、公害防止対策の批准体制について、公害防止のための啓蒙について、基礎的調査研究の推進について、都市計画、工場誘致計画等における防止対策……これはいずれも厚生省所管ですね。その他二十一の項目中、厚生省勧告は十四項目にわたっておるわけですね。したがって、二十一の十四ですから、大部分は厚生省関係の監察であり、その監察に基づいた勧告である。で、行管が監察し、これを勧告した場合には、所管の省庁はこれに対する報告をしなければならない、その後どうしたかですね。この点については一つ一つはいまお伺いしませんが、どういうような点を御報告しておるのか、その後具体的にはどういう措置が講じられておるのか。これは項目ごとにお伺いすることはいまはやめておきますが、基本的な点についてお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/56
-
057・小林武治
○国務大臣(小林武治君) この管理庁の報告は私はきわめて適当な報告である、勧告である、こういうふうに考えまして、その一つ一つにつきまして厚生省も対策あるいはこういうことを実施しておるということが申し上げられないのでありますが、それはわれわれとしては、どうしても勧告に沿って措置しなければならない問題であるということで、いまお話がありまして、一つ一つはいいと、こういうことでありますが、私どもそれに従って措置しつつある、こういうことを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/57
-
058・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それじゃ時間の関係もございますから、この三十八年七月以降行管が監察して、その結果、三十八年十二月に行政審議会の監察結果の報告があったわけですね。その趣旨をもそんたくして、それに行管の監察結果を加味して勧告しておるわけですね。その項目についてその後どのように解決されたのか。ここで項目ごとにお伺いすると膨大な時間を要するわけです、これは全部そうですから。そこで要点だけをひとつ資料として御提出いただきたい、要点だけでけっこうですから。で、時間の関係もございますから、本日のところ、私の質問は終わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/58
-
059・小林武治
○国務大臣(小林武治君) ただいまのことは書面で差し出すことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/59
-
060・鬼木勝利
○鬼木勝利君 私、二、三お尋ねしたいと思いますが、社会保障の理念は、御承知のとおり、憲法第二十五条に「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」御承知のとおりでありますが、今日生活保護を受けている人が全国でどのくらいございますか、ちょっとその点をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/60
-
061・小林武治
○国務大臣(小林武治君) 大体人の数にして百七十万人ぐらいございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/61
-
062・鬼木勝利
○鬼木勝利君 なおそのボーダー・ライン層にあるような人を加えた数は相当の数にのぼると思うんですが、大体これはもともと憲法の精神に沿ってこういう社会保障制度が設けられたということは言うまでもないのでありますが、諸外国に比べるというと、かなり私はおくれておるように思うんですが、もう少しこれを、たとえて言うならば、現行の一級地が標準四人世帯で一万六千百円ぐらいだったと思うんですが、もう少しそれを引き上げられるところのお考えはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/62
-
063・小林武治
○国務大臣(小林武治君) 保護費の基準につきましては、毎年最近引き上げをいたしておりまして、昭和三十四年に比べれば一八六ぐらいの指数まで上がっております。しかし、その間、物価の騰貴も二十数%ありますので、必ずしも生活水準の引き上げ、そうよくなっているということは言えませんが、ことしの三十九年におきましても一三%上げておるのであります。また、三十八年度は一七%上がったと、来年もまたこれらの生活保護基準というものはこのまま据え置けるとは思っておりません。物価の上昇その他生活水準の向上等も加味いたしまして、昭和四十年度においてもこれらの保護基準というものをやはり相当上げなければならない、こういうふうに考えておるのでございまして、この問題はまあ毎年の生活関係でありまするので、なかなか固定するなんということは考えられない、そのときの情勢に応じてやはり引き上げをしていかなければならぬ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/63
-
064・鬼木勝利
○鬼木勝利君 まあ大臣のお話は一応わかりますが、現行の保護費の支給基準は、私は文化的な最低生活を維持するための基準としては、水準が低いと思う。先ほど申しましたように、一級地の七大都市ですが、でさえも月に一万六千百円、一級地以外ということになりますと、さらにこの保護基準は低い、そうして文化的な最低生活を維持する——これはどう考えても、私は現行の保護基準では最低生活を営むことはできない、しかもただいま大臣のお話のように、現内閣は社会福祉ということを表看板としている、しかも四十五年度までには所得倍増だ、そうしたことを政策に掲げておりながら、あまりにも私は、これは大衆福祉ということに対しては徹底を欠いているのではないか、その点について大臣の御所信をもう一度承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/64
-
065・小林武治
○国務大臣(小林武治君) これはまあ最低生活と申しましても相当弾力性のある問題でもありますし、なかなか客観的な基準というものは非常にむずかしいと思いますが、昭和三十九年度で一三%上げた、ところが、前年の物価の値上がりが八%ぐらいであった、そうするとあと五%ぐらいが生活水準の引き上げに役立った、こういうことでありまして、私どももいま申すように、これでいいというふうには考えておりません。また、社会保障制度審議会等も、とにかく昭和四十五年までには三十六年に比べて、実質三倍程度の生活費の、保護基準の引き上げをしなければならぬ、こういう勧告も出ているのでありまして、そういう趣旨に沿うように毎年引き上げをいたしておる、こういうことでありまして、今後もできるだけ基準の引き上げに努力をしなければならぬと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/65
-
066・鬼木勝利
○鬼木勝利君 毎年引き上げているという大臣の御答弁はよくわかります。しかし、それはすべての水準が高くなっている、国家経済にいたしましてもあるいは賃金にいたしましても、すべてそれに対してみな水準が高くなっているのです。四十五年度までには三倍程度にはしなければならぬというお考えは、これは私は妥当だと思う。一日も早くこういう気の毒な大衆の方を、安定した生活に置くということが、これが私は善政である、そもそも政治の要諦は、最も低いものを対象とするのが私は善政だと思う。なお、この生活保護費につきましてお尋ねしたいのは、保護を受ける世帯に別に収入がある。たとえば働いて何がしかの収入を得る、そうすると、その差額が保護家庭の収入だと、こう認定される、こういう現行制度でありますが、その保護費から何がしかの収入金額を差し引かれる。この制度に対して、私らはどうも納得がいかないのです。こういう現行制度でありますと、被保護者の勤労意欲を私は阻害するものだと思います。ただいま大臣のおっしゃったように、十分ではないと思うがと——十分でない分はみな働けと、こういうことならば、私はまだわからぬでもないのですけれども、十分でないところの生活保護費を支給しておいて、そしてその不足分を補うために働けばそれは差し引く。これは私は、そういう気の毒な方々の自力更生をはばむものではないか、勤労意欲を阻害するものではないか、こういうふうに考えるのです。大臣の御所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/66
-
067・小林武治
○国務大臣(小林武治君) この問題は非常はむずかしい実は問題でありまして、法のたてまえからいえば、これで最低生活ができるのだ、事実できるかできないかは別問題として、法のたてまえはこれで一応生活ができるのだと、こういうたてまえになっておりますので、ほかに収入があれば、その収入を保護費から差し引いた分で暮らしができるはずだと、たてまえはまあそうなっておりますが、しかし、お話のとおり、一方からいえば、せっかく勤労意欲を持って、自立しようとする者の意欲をそぐ、こういう議論も私はごもっともな議論だと思うのでありまして、この両方の間にはさまって、この問題は前からいろいろ言われております非常にむずかしい問題であるのでございまして、私は、これらはまあいろいろ前から例外も多少認めつつある、こういうこともありまして、あまり現実に沿わないような運用は私はどうかと思うのでありますが、たてまえだけはなかなかくずせない。そしてもう非常に実情に合わないようなむごい扱い等については、十分運用上考慮しなければならないというふうに私どもは考えておるのでありまして、一応たてまえだけはそういう法律のたてまえになっておると、こういうことを申し上げておきたいのでありまして、しかし、あまりだれが考えても実情に合わないような無理なことはどうかと、こういうふうに運用上私どもは考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/67
-
068・鬼木勝利
○鬼木勝利君 大臣の御答弁はよくわかります。それは法の運営にあるのだと、血もあれば涙もある法の運営だ、そうであるべきでありますけれども、現実問題としては、事務的に何がしかの働きがあれば、しかもそれも内職か何かをやって、そして細々と得た収入をあたかもはぎ取るようにして、そして事務的に差し引いてしまう、こういうことは現実に行なわれておる。これは、大衆の生活保護を受けておる人々の悲痛なる叫びである。その点をただ大臣は、いや、あなたのおっしゃることによくわかるのです。そうなければならないが、現実問題としてはそうではない。だから法のたてまえとしてやむを得ないということでなくして、厚生大臣としてあまねく大衆の保護の責任のある方は、これをもう少し私は何とか研究をしてもらいたいと思う。これは法の上でやむを得ぬというようなことではなくして、あなたにそういうお気持ちがあるならば、もう少し大衆の味方になって、大衆とともにおれは死んでいくのだと、そういうお気持ちは大臣にございませんか。もう一度ひとつ御答弁をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/68
-
069・小林武治
○国務大臣(小林武治君) 局長のほうから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/69
-
070・牛丸義留
○政府委員(牛丸義留君) 私から運用の実際を御説明いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/70
-
071・鬼木勝利
○鬼木勝利君 局長に聞いているのではないですよ。それはまたあとから。大臣に聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/71
-
072・小林武治
○国務大臣(小林武治君) 実際問題としていま申し上げましたように、いろいろその後例外も出てきておりまして、私どもそういう声がそう無理な声でないということも考えておるのでございまして、できるだけそういう声の出ないように、例外等も認められるものは認めてまいりたい。そして少しでもいまの勤労意欲とか、自立の気持ちというものを失わせないように、ひとつ指導をしたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/72
-
073・鬼木勝利
○鬼木勝利君 局長のほうから、何か……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/73
-
074・牛丸義留
○政府委員(牛丸義留君) ただいまの御質問は、現実を十分御承知の上でのこととは思いますけれども、実際の勤労者に対する生活保護の適用をどういうふうにしているかということを私から御説明申し上げたいと思いますが、一般的に生活保護というものは、必要とする生活に必要な経費を基準できめておりまして、それが先ほど先生の御指摘になりました一級地では一万六千円というのが標準世帯になっておるわけでありますが、勤労に伴いましては、それに対して控除の制度がございまして、これは結局収入が勤労によってたくさんそれ以上にあって、それを全部一万六千円まで差し引いてしまうというふうにはなっていないわけでございまして、たとえば勤労の基礎控除といたしましては月に二千九百円、それから特別控除として、これは期末に、いわばボーナス的なものでございますが、年を通して一万三千五百円以内を控除する、それだけの収入はそのまま認めるわけでございます。それから新規に就労する場合には、未成年の場合も含めて六カ月間は新規就労のための控除をやる。未成年のためにもそれだけ給料から二千円ぐらい引くと、そういうふうにして、いろいろと勤労に伴う控除の制度を設けておりまして、これによってただいま御指摘がございましたような勤労意欲をなるべく阻害しないで、また、勤労に必要ないろいろな経費がございますので、その点は十分に生活保護の運用でも見ていくというふうになっておりますので、たとえば月に六百円内職で収入があったらそのまますぐ差し引くということは、現実の運用としてはやっていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/74
-
075・鬼木勝利
○鬼木勝利君 いや、それはぼくも知っていますよ。勤労控除があるということは。しかし、これは常識で考えて生活保護費の全額の二倍も三倍も別収入があるなんということは考えられない。むろん十分働くことができるのだったら生活保護を受ける必要はないので、ほんとうのささいな勤労によって得た別収入を、むろん勤労控除はありましょうけれども、その勤労によって得た収入を差し引く、そのことを私は言っているのです。そのことに対しては、大臣は十分これは特別な扱いをするんだと、一律に事務的にはやらないという御答弁でございましたが、抜本的にこの保護費の改革をするお考えはないかということを聞いているんです。この現行制度を改善される意思はあるかないかと、こういうことをお尋ねしているのです。運用くらいのことは、それはわかっています。大臣もう一度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/75
-
076・小林武治
○国務大臣(小林武治君) これはもうお話のような強い要望のあることもよくわかりますし、できるだけ実情に合うようにまたひとつ検討をいたすことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/76
-
077・鬼木勝利
○鬼木勝利君 なるべく実情に合うように検討、研究を加えるという大臣の御答弁でございますので、これより以上はこの点については申し上げませんが、しかし、大臣はまたいつかわられるかわかりませんしね。これははっきりしていただいておかぬと、大臣が殿様答弁みたように、含みおくぞ、努力するぞよ、それであと流されたのじゃ困る。それははっきりしていただきたいと思う。
次に、身体障害者の件について私はお尋ねしたいんですが、いま全国に身体障害者がどのくらいおりますかね、ざっとした数でいいんですがね。これは、そういうことは大臣が御存じなければ、それこそ事務当局でいいから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/77
-
078・牛丸義留
○政府委員(牛丸義留君) 身体障害者につきましては御承知のように、身体障害者福祉法という法律が施行されておりますが、いわゆるそういう法律の適用になる、身体障害者といたしまして適用可能の対象になる者は、全数で九十五万人——これは三十五年の身体障害者の実態調査の結果でございますが、その内訳は肢体不自由者が五十六万六千人、視覚の障害者が二十二万人、聴覚の障害者が十六万三千人、現在のところ総計が九十五万ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/78
-
079・鬼木勝利
○鬼木勝利君 身体障害者の福祉法が制定になっておる、だから聞いているんですが、一応そういう福祉法という制定はあるようですが、その保護の実態が非常に私は貧弱だと思う。三十五年度の調査で九十五万人、それではその保護施設に収容されている人員はどのくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/79
-
080・牛丸義留
○政府委員(牛丸義留君) これは施設の種類から申しますと、肢体不自由関係のいろんな施設として更生施設がございます。それから聴覚に対しましては、これは従来国立光明寮というふうに言っておりましたけれども、現在は視覚障害センターというふうに名称を変えましたが、そういう施設、この肢体不自由に対する収容施設は全国で大体各県ごとにございまして、現在四十カ所ございます。本年度にさらに十三カ所の設置を予定しておるのでございます。その収容の人員でございますが、これは授産その他の施設も含めまして、大体全数で三十八年度末でございますが、約一万人でございます。各施設別は省略いたしまして、全数としてその程度の収容の実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/80
-
081・鬼木勝利
○鬼木勝利君 そこで私は言うのです。施設に収容する程度の人は九十五万人もいないとは思いますけれども、いずれにしても九十五万人の身体障害者がおって、三十八年度末でわずかに一万人の収容だ。あとはどうしている、その点をお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/81
-
082・牛丸義留
○政府委員(牛丸義留君) これは身体障害者と申し上げましても全部収容を必要とするというわけでもありません。収容施設は、ここに収容いたしまして一年なりあるいは二年というように収容して、そこで機能の障害に対する回復のいろいろな医療的あるいは作業的な療法をやる、そうして再び一つの職能を得てあるいは機能を回復して社会に出ていく、そういう施設でございます。これは現在いまの時点においてはただいま申し上げましたような人数が収容されている。これは回転するわけでございますので、もちろん御指摘のように十分とは言えませんけれども、九十五万人のうちで一万人しか手当てをしていないというような数字ではもちろんないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/82
-
083・鬼木勝利
○鬼木勝利君 それは私は冒頭に申し上げたのです。九十五万人を全部施設に収容しなければならぬ、そういうことじゃない、それはわかっている。しかし、身体障害者九十五万人の中で三十八年度末が約一万人、これ一万人はありません、私の調査では。だからそれで十分施設に収容がされておるか。身体障害者福祉法なんというものが制定をされておる。それで現内閣は社会福祉ということが一枚看板でありながらこれが徹底しているか、これで十分であるかということをお尋ねしている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/83
-
084・牛丸義留
○政府委員(牛丸義留君) 決して十分でございませんし、むしろ不十分だと私どもも考えておりまして、これから大いに充実する必要があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/84
-
085・鬼木勝利
○鬼木勝利君 それを聞けばいいのだ。現内閣はそれを一枚看板にしておりながら、しかもあなたたちはそれは不十分だと言っている。そこで厚生大臣にお尋ねしたい。大臣としてこれの完全なる収容ができるように努力をされますか。これはするとおっしゃるだろうが、あなたの御所信を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/85
-
086・小林武治
○国務大臣(小林武治君) 肢体不自由の関係はまあいろいろ態様があるのでありますが、大体の方針が、長期にほんとうの重態者の収容というものは、これはしておりますが、そのほかの者は、そこに入ってもらって治療なり訓練をして、大体まあいま一年を標準としておりますが、またうちへ帰ってもらう、つまり社会復帰をしてもらう、こういうことをいたしておるのでありまして、まあ収容というようなことばとは多少違うのでありまして、そこに入って機能回復あるいは職能をある程度身につける、こういうふうなことでおもに運用されておるのでございます。それで、そういう希望者も相当に多いのでありまするからして、こういう施設を、まあいまお話しありましたように、ことしも全国に十数カ所も増設をしよう、こういうことをいたしておるのでございまして、今後も引き続きまして、まあ一年でありますが、そこの希望者が相当多いのでありますから、そういう希望を満たすために、そういう施設を毎年増設をしてまいりたい、こういうふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/86
-
087・鬼木勝利
○鬼木勝利君 これは身体障害者の問題でもこまかく質問すればそれは二時間、三時間かかるのですよ。それは施設に対する収容の状態をいまちょっとお尋ねしたのであって、これは福祉法の内容を検討して申し上げれば、あるいは医療保障の問題はどうなっているか、生活更生の対策はどういうふうにやっているか、あるいは職業指導はどうしておられるかとか、あるいは資金援助はどういうふうにしておられるかと、内容をしさいにわたってお尋ねすれば——それはそのくらいのことは私どもわかっておりますけれどもね。一応施設に対する身体障害者の収容状況をいまお尋ねしたのであって、全部尋ねろとおっしゃればいまから落ちついてゆっくりやりますけれどもね。そこで、たとえば医療保障の問題にしましても、これを国庫負担にしていただくというようなことはできないか、それちょっとお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/87
-
088・小林武治
○国務大臣(小林武治君) いま一般の医療扶助というものは、御承知のように、現在四百億円も使って医療扶助を一般にいたしておりまするし、これらの施設に入る方は、本人からいただいておらない。こういうことで国の経費で施設そのものは運営しておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/88
-
089・鬼木勝利
○鬼木勝利君 これに対しても各地から私のところへいろんな書類が来ているのですよ。陳情あるいはいろんな申し出がですね。これは時間がありませんので……。全額出していらっしゃるといいますけれども、十分じゃなくて困っているのですよ、みんな。
次に、身体障害者の経済的自立を保障するために、更生資金の貸し付けを行なうというようなことはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/89
-
090・牛丸義留
○政府委員(牛丸義留君) これは身体障害者福祉法の中にはございませんけれども、各府県でやっております世帯更生資金の貸し付けの中に、そういう身体障害者の更生資金の貸し付けというものがございまして、それでまあ十分とはいえないかもしれませんが、制度としてはその更生資金の貸し付けの制度がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/90
-
091・鬼木勝利
○鬼木勝利君 いや、だからお尋ねしているのですよ。更生資金の貸し付けというようなそういう制度をつくっていただく、身体障害者の福祉法にそういうことを規定していただくわけにはいかないか。現実にはそういうことは行なわれておるようですが、もう少し法的根拠をはっきりしていただきたい、そういうことをお尋ねしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/91
-
092・牛丸義留
○政府委員(牛丸義留君) まあ現実の需要がむしろ身体障害者の福祉の一環として必要があるかもしれませんので、将来の問題として検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/92
-
093・鬼木勝利
○鬼木勝利君 あるかもしれぬなんて……。実際あるんですよ。そういう必要があるかもしれぬなんて——いまあなたも都道府県でやっているといわれるのだから、あるかもしれぬじゃない。そういう更生資金貸し付けというようなこと、これは大事なことじゃないですか。これは身体障害者の最も大事なことだと私は思う。自立更生をはからしめるためには長期に資金援助をするというようなことはこれは一番大事なことだと思う。身体障害者を施設に収容しりっぱにして社会に出して、そうしてそのままぽんとほったらかすのではこれは人間をつくって魂を入れないようなものだ。画竜点睛を欠く。そこで、もう一度いまの説明をしてくださいよ。あるかもしれぬなんてそんなよそごとのようなことを言わないで、あなた方の大事な仕事じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/93
-
094・小林武治
○国務大臣(小林武治君) いま身体障害者の関係の施設の経費というものは国の負担で運用しておる。また、障害年金というものがこれはそれぞれの程度によってきめられておりまして千八百円障害年金が出ておる。それからいろいろ手とか足の装具、あるいは車でございますか、こういうものを一定の条件のもとに無料で給与するとか、こういうようなことも行なわれておりますが、お話のような特別の身体障害者のためだけの貸し付け金というような制度はありませんので、私もそういう必要を認めるのでございますから、いわゆる世帯更生資金の中に別にワクでも設けるか、あるいは別途の考慮をするか、そういうことをひとつ考えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/94
-
095・鬼木勝利
○鬼木勝利君 それで了解いたします。
次に、国民健康保険のことについてお尋ねいたしたいと思いますが、現在国民健康保険はほとんど全国に普及実現したと思うのですが、もう御承知のとおり、国民健康保険には低所得者層が非常に多く含まれておると私は思うのです。そこで、その保険料を大幅に軽減していただく必要があると思うのですが、これに対する大臣の御所信を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/95
-
096・小林武治
○国務大臣(小林武治君) 国民健康保険の保険料がまあ比較的重い負担になっておるということは強く叫ばれておるのでありまして、実はこの問題につきまして、昭和三十八年度で国が負担金を四十億か出しまして、年所得九万円以下の方は減免税をする、こういうような措置をとりましたので、多少その辺の向きも緩和されておる、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/96
-
097・鬼木勝利
○鬼木勝利君 保険料の算定基準はどういうふうにしてやっておりますか。これは事務当局からでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/97
-
098・小山進次郎
○政府委員(小山進次郎君) 原則を法律できめて、実際の運用は市町村でそれぞれ条例を設けてやっておりますが、原則としましては、必要な保険料の——必要な保険料と申しますのは、国から出ます補助金をその国民健康保険で必要とします保険者が負担する医療費のうちから差し引きまして、残りを各被保険者に分担してもらうということで平均を出すわけでありますが、その費用の半分をほぼ所得に応じて出してもらう、残りの半分をそれぞれの世帯の人員及び世帯の数というようなものを基準にいたしまして、いわば均等に負担をする、こういうような仕組みで行なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/98
-
099・鬼木勝利
○鬼木勝利君 いま全国の保険料の負担額の平均額は一世帯当りどのくらいになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/99
-
100・小山進次郎
○政府委員(小山進次郎君) 三十七年度の数字で申し上げまして、一世帯が四千五百三十九円、一人当たりにいたしまして千九十五円、三十八年度はまだ最終的な締めがしてありませんので、断定的には申し上げかねますが、先ほど大臣からもお話がございましたように、三十八年度から低所得の被保険者に対する被保険料の引き下げをやりまして、約四十二億円ぐらい国が金を出して努力をいたしましたので、医療費のほうはふえてまいりましたが、ほぼこの数字程度、あるいは若干ふえている程度という事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/100
-
101・鬼木勝利
○鬼木勝利君 そういたしますと、一世帯が四千五百三十九円、一人当たりが千五十九円、これは低所得者にとっては私はかなり重い負担だと思う。低所得者の生活を守るためにも、保険料は大幅に私は軽減すべきである、こう思うのでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/101
-
102・小山進次郎
○政府委員(小山進次郎君) 保険料全体につきまして、国民健康保険の被保険者が低所得の者か多いためにつとめて低めていると、相対的な意味で低めているというふうに、厚生省側としてもおおむねそういう考えであるということは、先ほど大臣申されたとおりでありますが、いま先生がおっしゃった問題に焦点をしぼって申し上げますと、先ほど私が申し上げました一世帯四千五百三十九円というのは平均でございまして、大体所得が二十万以下程度の人でございますと、この四千五百三十九円という負担がほぼ二千七、八百円から三千円程度にとどまっているはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/102
-
103・鬼木勝利
○鬼木勝利君 ことしから給付率が上がって、世帯の中心者が七〇%、こういうふうに引き上げられたということになっているようですが、なおかつそれでも自己負担があるし、その家計に与える影響が私は大きいと思う。そこでこうした低所得者の家計を保護するために、世帯主については医療費の全額を保険で払うというように改善をされる御意思はございませんか。これは大臣から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/103
-
104・小林武治
○国務大臣(小林武治君) 将来の問題はともかくとしまして、昭和三十八年度、去年の十月から初めて世帯主を七割と、こういうことにしたのでありまして、これからの計画としまして一応世帯主はそのまま据え置きまして、来年度から家族を七割まで四カ年計画で実現すると、こういうことにいたしておりまして、先の問題としてはいまの給付を引き上げる、こういう問題でありますが、さしむきは、家族、世帯主とも七割まで持っていくことを目安として仕事を進めておると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/104
-
105・鬼木勝利
○鬼木勝利君 将来は家族も七〇%まで引き上げるということはいまおっしゃったようですが、世帯主は全額ということは、いまおっしゃらなかったようですが、その点をもうひとつはっきり。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/105
-
106・小林武治
○国務大臣(小林武治君) これは御案内のように、国民健康保険でなくて、職域の健康保険は、世帯主が十割、家族が五割と、こういう標準になっておりまするが、いろいろの保険料負担、あるいは国家財政の問題もありまして、将来の問題はともかくとして、さしむき家族が四カ年計画で七割までもっていきたい、こういう計画をもっておりますので、世帯主ももうしばらくの間七割でいきたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/106
-
107・鬼木勝利
○鬼木勝利君 いずれにいたしましても、大臣の格別のこれに対する御努力をお願いいたしまして、なおお尋ねしたいのですが、現在市町村において、国民健康保険の運営が非常に逼迫して、ほとんど軒並み赤字です。これは市町村の財政の繰り入れということに非常に苦しみを来たしているのだと思うのですが、これに対して厚生大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/107
-
108・小林武治
○国務大臣(小林武治君) 最近国庫負担もふえてまいりましたために、赤字の市町村というものが相当減ってまいっております。で現在赤字の金額にしましても、一昨年、三十七年でございますか、五、六十億円と、こういうふうな数字になっておりますが、三十八年度は、ただいま申し上げましたように、これらの低所得者の保険料引き下げをしたための国の負担、また、調整金というものをふやしまして、国民健康保険に対する全体の補助金というものがいま三割三分五厘まで上がってきておるのでありまして、これをもっとふやしてもらいたいという要望が相当市町村の方面に強くありまして、三十八年に、いまのような財政を改善するためのいろいろな施策を一応講じたのでありまするが、このままで私どももよいというふうには考えておりません。しかし、組合の健康保険等のいわゆる政府負担というものは一五%しかないのに、国民健康保険のほうはいまでももうすでに三割三分五厘と、こういうふうな国庫負担をしておるのでありまして、市町村財政の改善のためには、私どもももう少しやはり国において考えなければならぬ、こういうふうないま考えを持っております。いずれにしましても財政がここ数年前に比べて相当よくなってきていることは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/108
-
109・鬼木勝利
○鬼木勝利君 国保関係で市町村財政に非常に赤字を生じておると、しかし、それがだんだん少なくなっておるというような大臣の御答弁でございましたが、私の知っておる範囲では、私福岡県ですが非常に赤字が多い。非常にこれで苦しんでおる。三割三分五厘の国庫負担があるといういまの御説明でございますが、大臣のおっしゃったように、もう少しこれは大幅に私は国庫負担でまかなっていただかないというと、非常に事実苦しんでおります。その点は重ねて要望いたしますので、格段のこれに対する御配慮を願いたいと思います。
なお、給付内容の充実でございますが、単に病気の治療だけでなくして、あるいは予防健康診断とかあるいは精密検査だとかそういう医療保健と申しますか、予防と申しますか、そういう点にまで私は給付の内容を拡大していただきたい、そういう考えを持っておりますが、これに対して大臣はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/109
-
110・小林武治
○国務大臣(小林武治君) そういうことも医療あるいはその他の公衆衛生と、予防衛生と申しますか、そういうふうな面のことも考慮いたさなければならぬのでありまして、いまのままで固定してよいとは考えておりません。できるだけ検討の上、新しく加えるものは加えていかなければならぬ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/110
-
111・鬼木勝利
○鬼木勝利君 非常に大臣は話がわかりがよくて、何でも私が申し上げるのはみな御承知いただいたのですが、ぜひこれを実行に移していただくように格段の御配慮を願いたい。これは重ねて要望いたしておきます。
次に、時間もあまりありませんので簡単にお尋ねしたいと思うのですが、最後に保健所の問題ですが、これは公衆衛生の最も中核的な機関として往民の健康と福祉のために各種の活動を行なっておられる、公衆衛生の向上のために大いに寄与しておる、私はこれは非常に慶すべきことだと思いますが、現在の保健所がすべての点においていろいろ私ら御注文もありますが、いまの保健所の大体の様子を見ますというと、もう少し抜本的に改革して拡大発展をはかる必要があるんじゃないか。現在の保健所を見ますというと、非常に保健所自体を規制するところの関係法規がたくさんあるようでありまして、非常に複雑なようであります。もう少しこれを整理統合して、そして行政事務の簡素化をはかって能率を高めていくようにしたらどうか、こういう私は意見を持っておりますが、大臣はどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/111
-
112・小林武治
○国務大臣(小林武治君) お話のような欠陥があるのでございまして、非常に保健所の仕事がいろいろの法律を実施しなければならぬと、こういうことで事務的にもいろいろの支障がある、こういうことでこの国会に保健所の各種事務の合理化問題、こういうものの整理をする法律をお願いしておるのでありまして、これらの事務の簡素化、こういうことのために出しておるのでありまして、いろいろ法案の扱い方について検討をして簡素化をはかってまいりたいとかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/112
-
113・鬼木勝利
○鬼木勝利君 もういま大臣がおっしゃったように、保健所に関するところの関係法則が、関係法規といいますか、五十種類以上にものぼっている。非常に事務が複雑多岐である。したがって、保健所の業務内容が非常に複雑で、その仕事の量も非常に多い。しかも職員は絶対的に不足している。だから十分手が回らない。こういうことも考えられる。そういう点から現在の保健所を私はもう少し根本的に改革していただいて、そして拡充発展をするようにしてもらいたい。ことに職員の待遇が非常に悪い。もう少し適切な給与体系と申しますか、あるいは勤務条件などを確立して、喜んで働けるように待遇を改善していただく。こういうお考えはございませんか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/113
-
114・小林武治
○国務大臣(小林武治君) 保健所は施設も非常に老朽化しておりますので、これらもひとつ年次計画で改築をいたしたいということで進めております。待遇の問題はまあ医師一般の問題で厚生省関係の国立病院、療養所等の医師の待遇も私はきわめて不十分であると、こういうふうに存じまして、来年度もひとつこれらの医師あるいは薬剤師、看護婦、こういうものの単価を上げてもらいたいということを強く人事院に要望しておるのでありまして、これらの問題は人事院がきめる。こういうことになっておりますが、私どもは実情を訴えてこれらもひとつ是正していきたいと考えております。ただ申し上げておりますように、厚生省では他の施設の医師も同じ問題があるのでありまして、共同の問題として取り上げてまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/114
-
115・鬼木勝利
○鬼木勝利君 保健所につとめていらっしゃるお医者さん、これはむろんいま大臣のおっしゃったように非常に待遇が悪い。なお、いろいろな技術者の方もいらっしゃるようであります。それから保健婦の方、こういう方も非常にこれは人員が不足している。いまおっしゃったように、ほとんどの保健所がもう何か昔あった家を使っているような老朽な建物です。そういうところですべてが不足がちの中で働いている。もう少しこういう点も技術者とか、あるいは保健婦なども大幅に増員して、その根本策としては資格とかあるいは養成方法をもう少し改善して的確な施策、方途を私は考えるべきだと、こういうふうに考えるのですが、これはまあ他の病院なんかも看護婦さんが足らぬで困っているそうです。そういう一般的な問題もあるのですがね。そういう点はどういうふうにお考えですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/115
-
116・小林武治
○国務大臣(小林武治君) 保健所の医師あるいは保健婦等が十分に充足しておらぬ。こういうことは事実でありまして、私どもも保健所につとめる公衆衛生関係の方を確保するためにいま奨学金あるいは貸費、こういうような方法まで講じてお願いをしておるのでありますが、どうもやっぱり日本の全体の傾向として臨床的の医者の志願者は多いが、公衆衛生関係のほうは、たとえば定年になっても脈がとれない、こういうふうなこともありまして、どうも志願者が少ない傾向があります。また、医者を志願する方も、従来医者を業としておる人のうちがわりあい多いのでありますが、これらの方々も公衆衛生よりかむしろ臨床医学を選ぶ、こういうふうな傾向が日本にはありまして、なかなかめんどうな問題、そういう構造的な問題もあって非常にめんどうでありますが、私どもはいまの奨学とか、あるいは貸費、こういうふうな制度を活用しまして、少しでも多く公衆衛生の従事者をふやしたい、かような腐心をいたしておるのであります。なお、お話のように、建物が非常に老巧化しておりまして、つとめるのに環境がよくない、こういうふうな関係もありますので、ことし、三十九年度だけでも全国で三十カ所改築をする、また、十五カ所増築をする、こういうふうなことを年次計画で始めておりますので、環境改善についてもひとつ十分にまたつとめてまいりたい。なおまた、保健所の医者を希望されないのは、地方におるために研究等が非常にできない、不十分だ、こういうことでありまして、私どもはこれから、内地留学と申しまするか、研究等のためにひとつ東京にも、あるいは大学にも行かれるような方途をぜひ講じたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/116
-
117・鬼木勝利
○鬼木勝利君 最後に、公害対策についてでありますが、先ほどから伊藤委員もこの問題に対してはるるお話があっておりましたので、私重複しますから簡単に申し上げて終わりたいと思うのですが、この公害対策に対する関係法規が三つある、通産省や経企庁あるいは厚生省と、こういうふうにおっしゃっておりましたが、いずれにいたしましても、国民の生活と健康を守るという立場にある厚生省としては、横の連絡も十分とっていただかなければなりませんが、厚生省自体として、住民側の被害を守る立場として、抜本的に一日も早くこれが対策を樹立していただきたい。そして、すべての公害を私は規制する必要がある、こういうふうに思うのです。厚生省として、今日どの程度までこれに対する対策が具体的にできておるか、あるいはまた、現在調査中であるか。騒音とかばい煙、振動、悪臭、廃液、まあ住民は著しく被害をこうむっておりますが、その辺のところを、これははなはだ相すみませんが、重複するかもしれぬと思いますが、その点ちょっと大臣から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/117
-
118・小林武治
○国務大臣(小林武治君) 私は、いまの経済成長、こういうものに急なあまりに、一方国民の生活に対する公害というものに対する配慮が非常に足りなかったと思うのでありまして、行政としても、私はこの方面の行政が一番おくれておる、こういうふうに思うのでありまして、ことしの予算等におきまして初めて厚生省に公害課というものを設けて、この問題をもっぱら担当する、こういうことでありまして、厚生省も従来いろいろなことをやってきておりますが、おもに公害の実態、すなわち大気汚染がどの程度であるか、それから大気汚染と身体との関係、こういうふうなことを調べておるのでありまして、まだ十分の資料もそろったと申すわけにはまいりません。現在これらの大気の調査というものは、東京あるいは四日市、大阪等において現実に行なっておるのでありまして、これによりまして若干煙の規制等はいたしておるのでありますが、いまの水の問題につきましては、ことに隅田川の悪臭等の問題につきましては、まだ各省間の意見が整わないために、基準もできない。これらも至急出すように、いまよりより協議をいたしておるのでございます。また、公害問題につきましては、お話のような各種の公害がありますが、これら全体を私は規制する必要がある。そのためには、いまのようなばらばらの法律でなくて、これは公害対策基本法というふうな一本の法律をつくって、これによって全体を規制し、住民の生活を守る、こういう立場をとりたいと思いまして、その法律の準備、調査等もいろいろいたしておるのでございます。先ほどから申しましたように、加害者と被害者の関係でございますから、この間が、加害者といえども、これは日本に大事な産業でありますから、これらの産業の発展とかあるいは採算とかいうことも考える、同時に、住民の生活を守る、この調和をどこに置くかという非常にむずかしい問題があるのでありますが、いずれにいたしましても、これらがもう生活、ことに身体そのものに影響を与える——四日市のごときは、亜硫酸ガスの排出のために、四日市ぜんそくとか、いろいろな問題が現に生じておるのでございまして、これらを急いで進めなきゃならぬ。で、私ども公害の問題につきましては、ことにこの公害研究所というものもぜひつくって、この公害の実態の規査にも本格的に当たりたい——ことしはそれはできなかったのでありますが、来年度はぜひひとつ厚生省の公害研究所というものをつくって、そして公害と人体との関係等について、本格的な調査をいたしたいと思っておりますし、一方、これらの対策というものにつきましては、先ほど申し上げましたように、採算の関係もありますから、国も思い切って助成措置を講ずる、除害あるいは脱硫等の装置につきましては、産業が立ち行くための方途も国としてやはり責任を持たなきゃならぬ、こういうふうな考え方をいたしておりまして、いずれにいたしましても、ひとつ、法律の制定あるいは機構の整備、こういうようなことを急いで進めなきゃならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/118
-
119・鬼木勝利
○鬼木勝利君 まあくどいようでございますけれども、それはもういまおっしゃるとおり、人口の都市集中、産業の発展、都市交通の繁雑増大、そういうことによって、いわゆるあなたのおっしゃるように、被害をこうむっておるのです。厚生省としては、御説のとおり、被害の立場としてこれが対策を樹立していただかなきゃならぬと思う。で、これは厚生省のほうの関係は、これは経企庁のほうの問題だというようなふうなことでなくして、あくまで私は、いま大臣のおっしゃるように、横の連絡を緊密にとって、そして、厚生省自体として、被害者の立場としてこれをどう守っていくかということに重点を置いていただいたならば、私はこれは容易に改善できると思う。で、公害の実態調査をいまやっておる、あるいは公害研究所をつくりたい——まことにごもっともで、けっこうだと思うのですが、ただ単に調査だとかあるいは研究のみに終わらずして、これが対策を確立していただいて、一日も早くすべての公害を、被害者の立場として規制していただきたい。あまねく大衆を絶対に守っていくのだ、国民の生活と健康をいささかもそこなわないように守っていくのだというお考えのもとに、適切有効な措置を私とっていただきたいということを、重ねて大臣に要望いたします。
最後に、大臣に所信を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/119
-
120・小林武治
○国務大臣(小林武治君) ごもっともなお話でございまして、その趣旨に沿うよう格別の努力をいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/120
-
121・鬼木勝利
○鬼木勝利君 時間の関係もございますので、私の質問は、この程度で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/121
-
122・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 他に御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、本案の質疑は本日はこの程度にとどめます。午前の会議はこの程度にとどめ、午後二時二十分まで休憩いたします。
午後一時二十二分休憩
—————・—————
午後三時四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/122
-
123・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) これより内閣委員会を再開いたします。
大蔵省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に続き、これより質疑を行ないます。政府側から田中大蔵大臣、谷村官房長、佐々木関税局長、吉岡理財局長、松井財務調査官、鈴木財務調査官、平井給与課長が出席されております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/123
-
124・伊藤顕道
○伊藤顕道君 前回に続いて二、三お伺いします。この提案理由の説明によりますと、主計局の次長は、昭和二十四年の第十国会ですか、そのとき二人置かれておるわけですが、今回また一人増員ということになると、計三名の次長ということになるわけですね 一局で三人の次長を置くのは他に類例がないと思うのですが、あえて三人の次長を置こうとする理由には、何かそれ相応の事情があろうかと思う。この点について御説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/124
-
125・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 御指摘のとおり、現在は主計局次長は二名でございます。この二名の次長の職務分担は、各省別に分けて二人で分担しておるわけでございます。三名にしていただくということにつきましては、総括的な次長を一人置いて、あとは現在どおりにして置くか、あるいは現在の各省の二人が分担しておりますものを三つに分けて、三人で分担する方法がございますが、おおむね三人で分担するということを考えておるわけでございます。並列的な次長ということを考えております。御承知のように、八月末に翌年度の概算要求が各省から出されるわけでございますが、非常に十二月までは忙しいいま仕事をしておるわけでございます。ところが御承知のとおり、近年予算が非常に大きくなりまして、二名でありました当時は一兆円予算といっておりましたものが、今日三兆二千億というふうに非常に予算が大きくなってまいりましたし、また、いろいろ新しい、防衛庁などでも今日は何マッハというような、われわれにわからないような技術的なことまで出てまいったわけでございます。そういう意味で、主計局といたしましては、古くから古い官制を守って、少数精鋭主義でまいったわけでございますけれども、いま主計局の次長が二名だということで、結局各省の局長クラスと話をするときでも、主計官自体が当たらなければならない、こういう問題があるわけでございますが、なかなか主計官と局長と話がつかない、できるだけもう少し上のレベルでもって総括的に話をしたいという問題がたくさんございます。国会に対してもいろいろ御説明に上がらなければならぬわけでございますが、国会とか各党とか、そういう場合でも次長以上来いと、こういうことでも課長や主計官が御説明に上がると、総括的な面からは専門過ぎてなかなか御説明に不十分があるというようなことで、主計官の制度の上に次長制度をもっと充実するようにということを、局長からも事務の渋滞を解消するためにもという御要求がありましたが、いままで二人でずっとがまんしてきたわけでございますが、今度はどうしても一人ふやしてもらうことによって、より各省との連絡を密にし、合理的な予算編成ができるということになりましたので、最小限ということで一名増員をしていただく、こういうことを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/125
-
126・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうしますと、三人の次長を並列的に置くわけですね。そうなると運営上なかなかやりにくい、支障の面が出てきやしないかということが考えられるのですがね、そういう点はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/126
-
127・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 御承知のとおり、いま澄田次長と中尾君が次長をやっておるわけでございますが、この分け方は、担当業務を、公共事業等は澄田次長の担当にしておるわけでございます。また、非現業、一般会計というようなものは中尾君が次長として担当いたしておるわけでございます。でありますから、社会保障とか、いろいろ新しい部門の拡充がどんどんはかられてまいりますときに、厚生省だけの問題を一つとりましても非常に膨大なものでございまして、大蔵省が予算の概算を作成し、閣議の決定を求めるまでの間に、現在の主計局の次長二人ということになりますと、なかなかむずかしい事業量であることは御承知のとおりでありますので、まあこれをどう分けるかということは、これからきめてまいりたいと思いますが、公共事業担当と、公共事業を除いた一般会計なら一般会計だけ、社会保障、文教等は一人にするというように、もう少し事務の配分を細分化しないと、適切な応待、その他もできないという問題もございますので、そのように分けたいという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/127
-
128・伊藤顕道
○伊藤顕道君 その点わかりました。
次の、調査査察部の分割について、これも提案の理由にあるわけですが、東京及び大阪の国税局の調査査察部を、大阪と東京別にしておるわけですね。東京については調査第一部、第二部、それと査察部の三部、大阪については調査部と査察部と、こうあるわけですね。この二つないし三つに分けるというのは何か意味があるんですか、東京と大阪と分ける。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/128
-
129・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 御承知のとおり、各国税局では、小さい国税局は調査査察部ということで一つで十分まかなえるわけでございます。ところが、東京は非常に事務量が多い、近年特に多いということでございます。東京の調査査察関係を見ますと、大体六百人ございます。それからほかの国税局はどのくらいかというと、六十人ないし五十人でございます。それから大阪は三百人以上の定員を擁しておると、こういうことでございまして、まあ大きな税の問題等は東京、大阪に過度に集中しておるというくらいな現状であります。でありますから、人事管理の面からも、また調査査察というような仕事はなかなかむずかしい仕事でございますので、適切妥当な行政を行なうためにも六百名の部、三百名の部というような状態では合理的な運営ができませんので、大阪は調査、査察部に分ける、それから東京は事務量、人員管理の上から三部に分割をしたいと、こういう考え方でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/129
-
130・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) ただいま委員の異動がございましたので御報告いたします。古池信三君が委員を辞任され、その補欠として高橋衛君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/130
-
131・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この調査、査察部の二つに分けるとどうしても査察部独自の運営になりやしないか、ということは査察摘発主義が強くなるんじゃないか、こういうことは一応考えられるわけですね。そういう心配はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/131
-
132・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) そういう心配は全然ないように十分注意をいたしております。それから小さなところは調査査察部でもって一つの部でございますが、調査課、査察課と、こう分けてみるわけでございます。それから大阪のように、それをただ大きくしただけで、人員が多い事務量が多いから、調査部、査察部と、こうなっただけでございます。それから東京の場合は調査査察が三部に分かれておりますが、御承知のとおり、税務著でもって片づく仕事、それから片づかないものが局へ上がってくる。上がってくる場合は調査でもって大体やっているわけでございます。調査でやりまして、御承知のとおり、調査から査察へ移るときには、もう警察庁の指示や裁判所の指示を仰いでおりまして、もう同一の状態において調べておるわけでございますから、そういうケースのものは査察へ上げるという、非常に事務の内容にきちんとした区分がございますので、これら三部に分けることによって査察摘発主義というようなことでやっておるのでは絶対ございません。現在次長——まあ国民の権利義務に関する問題でございますから、実際課長でもっていいというよりも、査察になるような人は部長に会わせろ、それから局長がみずから調べろ、国税庁長官まで持ち込む。で、まあ私は、大臣としては、税の問題に対しては権限がないというような立場をとっておりますが、大臣にも一応聞いてもらいたいというようなことでありますので、そういう意味でやはり責任を明らかにする部制ということを拡充したほうがよろしい、こういう考えに立ったものでございまして、かくすることによって摘発主義とか、いまより以上に査察が完ぺきを期されるんだという考え方に立つものではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/132
-
133・伊藤顕道
○伊藤顕道君 御答弁の意味はわかるのですが、われわれ、元来調査査察というのは一体的なものであって、それをいまさら二部にするのはいかがやと思うのですが、本質的には一体的なものじゃないですか、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/133
-
134・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 先ほど申し上げましたように、ごく小さい局でも調査査察部というただ看板を一枚にしておって中は分かれておるわけでございます。それから、大阪のように、調査査察というものが、事務量が非常に大きいから、扱い件数が多いから、調査、査察部に分かれる、そしてその下に課が多くなるということでございます。そこで、先ほど申し上げましたように、一般的なものは税務署で大体片づきます。資本金五千万以上というのは局扱いになっております。その中で特に問題がありますもの、過去五カ年に対していろいろ問題があるというようなものが定期検査その他でもって引っかかるというようなことでもって調査をやるのでございますから、調査の中で非常に悪質であるというようなものだけが査察になるわけでありまして、査察が、初めからあるものを見て査察をするのではなく、下からだんだん整理されてきて査察案件だけが査察に回るということでございますので、査察と調査が分離をされることによって査察が強化されるということは全然ないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/134
-
135・伊藤顕道
○伊藤顕道君 これも提案理由の説明でございましたが、税務講習所を今度新たに税務大学校に改めようとしておるわけですが、これはどういうところに理由があるわけですか。大学にしようとするその基本的な理由ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/135
-
136・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) いままでは税務講習所、それから逓信講習所とかいろいろなことでありましたが、その後防衛大学校とか、それから自治大学校とか、そういう大学という名称に変えてきたわけでございます。同時に、採用した者もこれから研修所とか講習所というよりも、大学校と名称を変更して内容を整備してまいりたい。そして、いままでのように、学卒資格者、特進というような考え方ではなく、真に行政の中核をつくるという考え方でありましで、時代の趨勢が何々大学というふうに改められてきておりますので、税の問題に対しては専門的な仕事でございますし、各省でもみな平仄を合わせて大学ということにしておりますので、内容の充実を契機にして税務大学校という名称に改めたい、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/136
-
137・伊藤顕道
○伊藤顕道君 名を改めて内容を充実する、名実ともにということになりますが、これは内容を充実するだけなら従来どおりの講習所でも足りるわけですね。しかし、大学と名のつく以上、大学の名に値する格段の内容の整備充実が計画されておるのかどうか、従来の講習所の内容と、今度大学になるのだから、飛躍的に、その大学の名に値する整備充実、そこまで考えておられるのか、ただ単なる名前に重点を置いておるのか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/137
-
138・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) これはもちろん大学と名をつける以上、国際的にもいろいろ見られるわけでございますし、大学の名にふさわしい内容をこれから徐々につくってまいりたいという考え方でございます。もう一つは、私は特に郵政省へ参りまして、よく考えられたわけでございますが、やはり行政の全く中核として働いておられる方方が長い歴史と伝統を持つ逓信講習所というようなものが、やはり大学になるということが望ましいと、また、税務講習所が税務大学校になるということが望ましいと、そうすることによって士気を鼓舞せられますし、われわれ自身も希望をそれに託することができるのであって、また、政府もそうすることによって、いま御指摘のように、内容を充実するという熱意を当然持つし、また、責任を持つわけでありますので、これは非常に長い懸案でございます。そういう意味で今度ひとつ税務講習所も税務大学校に名称を変えて内容を充実したい。いまでも国税庁の若い職員が、大臣看板書いてくださいと、こういうことでありますが、これは法律が通らぬうちにそういうことはいかぬというようなことを言っておるくらいに非常に期待をかけておるということにこたえて、政府自身も内容の充実をしたいという考えに出ておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/138
-
139・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、これも提案理由の説明にございましたが、関税中央分析所、この面について一、二お伺いしますが、昨年輸出入貨物に関する高度の分析というものと、それから試験研究等を行なう機関として設けられたわけですが、これは最初は横須賀市の旧海兵団あとに設置すると、そのとき最善の場所だということで一応決定になったわけですね。ところが、防衛庁の誘導施設の関係で、結局最近になって突発的に変更になったということのようですが、まだ実質的には何ら分析工程は進められていないんだと思いますが、昨年これが横須賀に決定されるときには場所もよいし、設備を置くのにも申し分ないと、こういう意味の説明があったわけですが、これまだ実現をしないうちにさっと防衛庁に横から取られてしまったというかっこうになるわけですね。この経緯はどういうわけですか。一たんきまったものがどういう都合で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/139
-
140・佐々木庸一
○政府委員(佐々木庸一君) 昨年お願いいたしまして、横須賀に定められましたが、この委員会でも遠過ぎるじゃないかという御意見がございました。私どももその後いろいろ注意しておりましたが、千葉大学の工学部が移転するということがわかりまして、近いほうが事務上も便利でございますので、昨年通していただきましたものを今年変えますにつきましては非常に苦慮したわけでございますが、まあ思い切りまして、近いところに移すことに決心をして、お願いするに至ったわけでございます。若干お話のようなじゃまになるものがあるというような問題がございましたが、近くに建物を建てる余地はあったわけでございますけれども、連絡その他の点を考えますというと、土地が新しく見つかった機会に近いほうに変えたほうがいいということでお願いしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/140
-
141・伊藤顕道
○伊藤顕道君 これはまあ今回この法案が通れば、千葉の工大あとということになりまするが、これは実際的にはいつから分析が始まるのか。また、地理的には、いま御説明ありましたが、横須賀のほうが地理的には便利じゃないですか。千葉のほうが地理的には遠い。どういうことですか。昨年の御説明でも、横須賀にきまるときは、たいへんかっこうの場所であるという意味の御説明があったわけですがね、今度は千葉に変わると千葉が地理的にもたいへん都合がいいという説明になるんではおかしいと思うんですがね、この点はどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/141
-
142・佐々木庸一
○政府委員(佐々木庸一君) 横須賀は距離的には違うございまして、交通上若干の難点はございましたけれども、海岸でございまして、非常に静かなところで、研究にも適しておるように考えておりました。空気もいいということでございましたですが、事務上の連絡の点を考慮いたしまして、若干の静かさに欠けるとか、いろいろな問題はあるかもしれませんが、連絡のいい場所で、同時に大蔵省のいろいろな研修機関等も設置されるということになりましたので、これにまとめていろいろの施設もできると考えまして、移すことをお願いしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/142
-
143・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、提案の説明にございますが、定員の問題についてお伺いしますが、今度税関における業務量の増加に伴うて、二百人の増員が計画された。この二百人の人員については具体的にはどういうふうな配置になるのですか。基本的なことですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/143
-
144・佐々木庸一
○政府委員(佐々木庸一君) 増員をお願いいたしました理由は、最近における貿易量の増加、それから港湾地帯の造成が進捗いたしまして、新しい工業港というようなものがかなりふえてまいりました。その地域にまた保税工場、保税倉庫というふうなものがふえてまいりました。したがいまして、一番増加人員の中で大きなものは港湾地帯が造成せられました関係でお願いしているものが七十八で約八十名でございます。次に保税地域が広がってまいります関係でお願いしておりますものが六十五名、まあ予算上考えておるわけでございます。あと密輸取り締まり関係、空港関係等で五十七名をお願いいたしているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/144
-
145・伊藤顕道
○伊藤顕道君 これは昨年たしか四百名増になっていると思うのですが、ことしの分を合わせると六百名になるわけですね。こういう六百名の人員の増員に対する研修計画はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/145
-
146・佐々木庸一
○政府委員(佐々木庸一君) 一昨年が四百名でございまして、昨年は百二十二名でございました。御質問の研修につきましては、新しい職員が入ってまいりました場合におきましては、これに税関の初歩的な事務に対する知識等を与えますために、前は二週間程度でございましたけれども、最近は二、三カ月の研修を行なっております。ほかの港におります諸機関と比べますと研修期間は必ずしも十分でございません。警察のようなところは一年間やっておられると見ておりますので、税関のほうも施設を今後充実いたしまして、研修期間も長く充実さしていきたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/146
-
147・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なお、定員問題としていま大蔵省としての定員が所定の数はあるわけですが、その充足状況はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/147
-
148・谷村裕
○政府委員(谷村裕君) 大体において本省とそれからまあ一番定員が多い五万名をこえる国税庁と、こういうふうに分けて考えてみますと、国税庁のほうは人間が多いだけに、それから毎年新規に入ってまいりましてはそれがまたやめていくという回転がございますために、かなりの欠員がある時期には出てまいりますけれども、おおむねそれはまた一年のうちに大体充足されていく。ただし交代要員等の多少の欠員がありませんと弾力性がございませんので、常に一ぱい一ぱいというわけにはまいりませんが、おおむね年を通じて見ますれば充足されています。それから本省関係、それから財務局関係、税関関係、特に税関、財務局のような現場になりますと、いま申し上げたのと若干姿が似たのがございますが、本省等におきましては、むしろ大体において一ぱい一ぱいというような姿でございます。なお、必要があれば数字のあるものについて申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/148
-
149・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/149
-
150・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 速記つけてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/150
-
151・向井長年
○向井長年君 法案に直接の問題じゃないのですが、一点だけただしておきたいと思うのですが、先般これは国会でたびたび問題になっている問題で、歩積み、両建ての問題で、先般大蔵省から一応解消への基準と指導方針を出されておるわけですね。これは非常にけっこうだと思うのですが、これについて大蔵省の方針は、いわゆる検査報告とかあるいは自粛決定とか、こういう問題を中心にして出されておるのですが、面接、これから歩積み、両建ては全然やらさないという方針から出ておるのか。あるいは漸次漸減をするという立場から、少しずつはやむを得ないと、こういう方針なのか。基本的にどうであるかお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/151
-
152・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 御承知のとおり、歩積み、両建ては過当なものが非常に悪いと、こういうことでございます。しかし、商慣習といたしまして世界じゅうどこにも歩積みも両建ても存在するわけでございますが、問題は、過当ともいわれ不当ともいわれる歩積みの解消を早急にはからなければならぬ、こういう考え方でございます。いままでは、四月に日銀と大蔵省が特別検査をやりましたりして、相当手きびしくやったわけでございますが、相互銀行等は相当実があがっておる。しかし、都市銀行等においてはまだわれわれが考えるような状態ではない。まあ自粛決議をやったり、それから頭取みずからが自粛をやりましたり、苦情相談所をつくりましたり、いろいろなことをしておりますが、どうもこの問題は、もう大蔵省が相当な基準を一方的につくってこれを押しつけていくということ以外になかなか解消できないと——できないのじゃないかと、こういうことを考えまして、歩積み、両建てを、まず普通の銀行においては、過当なものについては一年間ぐらい、相互銀行、信用金庫等においては二年間ぐらいに全廃するような方向で、ひとつ、目標をつくるにはどうあるべきかということで相当研究してまいりました。で最後案というようなかっこうで、銀行局でつくったものがございます。
それはこういうことでございます。歩積み、両建てをとにかく整理をすると、そういう原則に立ちまして、報告を金融機関から大蔵省で徴求する、しかも支店別に徴求する。それから、半年間でどのくらい減ったかということを、半年ごとに調査をする、調査をしたり報告を求める。そうしてその間随時特別検査を行なう。こういうのが基本でございます。でこれはこまかい問題もっと必要あれば、あとからまた文書でもってお届けいたしますが、そういう基本的な考え方で、少し荒っぽいようでございますけれども、もうこの問題は非常に大きな問題でありますので、大蔵省でも、その金利に対してはどうとか、それから拘束性預金を、一体この間にこう少なくしなさいということをこまかく指示をしまして、それをもって、一体その方針に適合するかどうかということを特別検査をやる。それでもなおやらぬものはどうするかと。——少し懲戒的なことをやろう。懲戒ということになると一体どうなるのか。このどうなるのかというところまではまだいま時間がございませんので、いろいろな、銀行法の改正とかいろいろな問題がございますから、そこまではまだ結論は出ておりませんが、支店の設置を認めないよということも一つあるでしょうと思います。それから財政資金による買いオペレーションをする場合にどうするかといったいろいろな問題がございますし、いろいろな問題があるわけでございます。私はこの間銀行協会で、あなた方がそういうことをやらないとやむを得ず法的規制を行なうようになるかもわかりません。法的規制を待つまでもなく、かかるよからぬものはおやめなさい。こう言っておるわけでございますので、いま大蔵省当局の歩積み、両建て解消に対する決意のほどを披瀝申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/152
-
153・向井長年
○向井長年君 まあ少々荒っぽくやってもらうべきだと思うのですが、それで、ここで問題は、一年、二年、いわゆる弱小なところもあるから、余裕期間、自粛期間を置くわけなんですが、それから、そういう問題を新しくやる場合に、率を下げて歩積みしてもいいという考え方に立っているのか、あるいはもう絶体それはもういまからやるべきじゃない、こういう考え方に立っているのか、この点が指導基準の中では明確じゃないと思うのですよ。こういう点を私はまずお尋ねしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/153
-
154・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 先ほど申し上げましたように、そこが非常にむずかしいんです。歩積み、両建てというのは、これは商慣習としてあるわけですから、どこにも。しかし、不当なものが悪い。その不当の一番悪いものはどういうことかと言いますと、政府関係機関からの、窓口の代理貸しをやっておって、そのものにさえも歩積み、両建てを要求するに至っては、これはもう言語道断だと申し上げたわけであります。
それからもう一つは、もうだんだんと歩積み、両建てがたくさんになりまして、百万円借りているのだが、大体百万円の見返り預金がある。自分の金に自分で利息を払っている、これが非常に過当といわれるものでございます。
それからもう一つは、五千万円の借り入れに対して、三千万円の両建て預金を持っておりますが、回収するまでは三千万円を拘束預金にしておって、相殺勘定も起こさせないし、税金がきたと言っても、別に借りなさいと、こういうような非常に拘束性の強いものを排除しなければいかぬ、こういういろんな問題がございます。
しかし、無担保融資のワクも、だんだんと大きくしていかなければならぬ。一々担保を徴求するということじゃ困るので、まあ百万円くらいまでは無担保融資をしなさい、こう零細企業に対しては、行政指導しているわけなんです。そういう意味から申しますと、いままで何にも取引のなかったものに、無担保で百万円貸せるということになる。そこで五万円の歩積みをなさいと言いますか、五万円くらいはせめてお積みなさいと言いますか、いま、歩積みの前に、新しく口座を開く場合にはまず金を積みなさいと、何にもあんたとは関係がないんですから、その金を積みなさい。見せ金式に、元金になるようなものを……。金を高利から借りて積んで、その何倍も借りよう、こういうことを要求するようなことが——あわせてみんな悪いわけです。ですから金融の正常化をはかっていきたいという意味で言っておるのでありますから、いま、その借り主と銀行との間の信用状況とか、いろんなことでもって違います。違いますから、一律に一割はいいとか、五%はいいとかということは申し上げられないわけですが、まあ歩積み、両建て式の悪弊はやめたい。だれが考えても、国会で問題にならないような状態にしなさい。中小企業は、とにかく煮えくり返るような気持ちでおるんだが、けんかすれば、とにかく借れなくなるから、元も子もなくなるから、文句を言わぬというような状態は、いやしくもやめなければならぬ、こういう基本的な考え方に立っているわけでありますが、少くともこの程度以下でなければいかぬというものは、これはひとつ考えたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/154
-
155・向井長年
○向井長年君 先ほどちょっと大臣から言われましたが、いわゆる自粛を徹底できないところについては 一応責任の追及をやる、あるいはまた、行政上の制裁を行なう、こういうような形になると思うのですが、責任の追及はいいんですが、行政上のいわゆる制裁というのは、いま言ったような、いろいろな銀行の手続上の問題とか、あるいは支店をふやすとか、いろんなものを認可しないと、こういうかっこうの制裁のことをいま考えておられるのですか、そのほかに何か強い考え方を持っておられるのかを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/155
-
156・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 先ほどちょっと申し上げたのですが、その制裁についての具体的な方法は、いま検討中でございますと、こう申し上げたわけです。これは銀行の支店長をどうする——まあ表は同意であっても、その金融機関が一致してやらしているんだという場合に、一体どうするかというようなことになると、まあ銀行法の改正ということにもなるわけでありますから、そこまでやらなきゃならぬのか——まあ、きょうも、新聞にも出ているようでございますし、私もこうしていま明らかにいたしておりますし、近く文書をもってやるか、集まってもらって話をするか、相当のことを言うつもりですから。それでなおこれが守れなければ、法律改正もやむを得ませんよということは、この間も銀行協会で話してございますから、まあ具体的にいろんなことをやらなくとも、相当の実はあがると思います。しかしまた、これが竜頭蛇尾になってはいかぬということで、先ほど申し上げたように、竜頭蛇尾にならないように、実をあげるようにやって、あまり統制式な、こんなものにひっかけて統制したんだということがないように、まあうまくひとつ考えたいというのがいまの実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/156
-
157・向井長年
○向井長年君 まあ厳格にやっていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/157
-
158・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 他に御質疑はございませんか。——他に御発言がなければ、本案の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言がなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
大蔵省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/158
-
159・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 全会一致と認めます。
よって本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願います。
では、本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十一分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X03919640611/159
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。