1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年二月二十五日(火曜日)
午前十時二十七分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 青田源太郎君
理事
梶原 茂嘉君
渡辺 勘吉君
北條 雋八君
森 八三一君
委員
植垣弥一郎君
北口 龍徳君
野知 浩之君
藤野 繁雄君
堀本 宜実君
森部 隆輔君
山崎 斉君
大河原一次君
大森 創造君
小宮市太郎君
戸叶 武君
矢山 有作君
安田 敏雄君
高山 恒雄君
政府委員
農林政務次官 松野 孝一君
林野庁長官 田中 重五君
水産庁長官 庄野五一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
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本日の会議に付した案件
○林業信用基金法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
○中小漁業融資保証法の一部を改正す
る法律案(内閣提出)
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001・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) ただいまから委員会を開きます。
林業信用基金法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明、補足説明並びに関係資料の説明を聴取することにいたします。松野農林政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/1
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002・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) ただいま議題となりました林業信用基金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
御承知のように、林業信用基金は、林業生産の増大、その生産性の向上、木材の需給と価格の安定等に資するための施策の一環として林業金融の円滑化をはかるため、さきの第四十三通常国会において成立し、昨年六月二十七日から施行せられました林業信用基金法に基づいて同年十月一日設立された林業金融の債務保証機関であります。
その業務は、林業者等が木材等林産物の生産に要する資金、種特等林業生産に必要な資材の共同購入に要する資金等、林業経営の改善に資する資金を民間融資機関から借り受ける場合に、その借り入れにかかる債務の保証をすることでありまして、これによりまして林業者等の受信力を強化し、林業経営に必要な資金の円滑な導入をはかろうとするものであります。このため、本制度の利用者である林業者等のほか、政府及び都道府県も基金に出資することといたし、政府は基金設立の際、初年度において想定いたしました基金総額の半額に当たる三億五千万円の出資を行なうことといたしたものであります。
本基金の設立につきましては、法律の規定に基づき任命せられました設立委員によりまして、基金の定款と基金の業務運営の基本的事項について定めた業務方法書とが作成され、これを広く出資資格者に示して出資の募集が行なわれたのでありますが、その結果は、民間林業者等の出資は当初の目標を大幅に上回る四億五千四百万円余に達するという好調さであったのであります。
設立時におきまするこのように順調な出資の状況は、民間林業者の方々の本基金制度に対する期待がきわめて大きいことを示すものと考えられるのでありまして、政府においても債務保証の基金となる出資の増加をはかりますとともに、今後における基金の保証業務量の増大に対応いたしまして業務運営の円滑化をはかるため、基金の業務執行体制を整備することとし、この法律案を提出することといたしたのであります。
次にこの法律案の内容でございますが、第一は基金に対する政府の追加出資の規定を設けることといたしております。さきに申し上げました基金に対する出資の増加のため、政府は本年度に引き続き、さらに三億五千万円を基金に出資することとして昭和三十九年度予算に計上しているのでありますが、これに対応いたしまして基金に対する政府の追加出資についての規定を整備いたしたものであります。
第二は、基金の常勤の理事の定数を一人増加して二人以内とし、今後ますます増加する業務について分担執行体制を整えることといたしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/2
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003・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 次に、田中林野庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/3
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004・田中重五
○政府委員(田中重五君) それでは引き続きまして、その補足説明を申し上げます。
お手元に林業信用基金法の一部を改正する法律案提案理由補足説明というのがございますので、ごらんをいただきたいと思います。
林業信用基金法の一部を改正する法律案につきまして、若干補足して御説明申し上げます。
さきの提案理由説明において申し上げましたように、第四十三通常国会で成立いたしました林業信用基金法は、昨年六月二十七日から施行されたのでありますが、これと同時に、基金の査証に必要な登記令や、保証にかかる資金の種類、融資機関等について定めました同法施行令など関係政省令も公布施行され、同年十月一日を目途として基金設立のための具体的な準備が取り進められることとなったのであります。
基金の設立に必要な行為は、法律の規定に基づきまして設立委員によって行なわれたのでございますが、その第一の段階といたしまして基金の定款と業務方法書が作成され、昨年九月上旬に農林大臣の認可を受けて確定されたのであります。申し上げるまでもなく、定款は基金の組織活動の根本規則でありますし、業務方法書は、基金全体の保証限度額、被保証者一人当たりの保証限度額、保証の範囲、保証料、保証に際しての条件など基金の債務保証業務実施にあたっての基本的事項について定めた準則でありまして、これらの事項は、出資を行なうことによって基金に参加する民間の林業者等が、実際に融資機関から資金を借り入れ、基金の債務保証を受ける場合の規範となるわけであります。
したがいまして設立手続の第二の段階であります出資の募集は、この定款及び業務方法書を広く全国の出資資格者に示し、その内容の周知徹底をはかりながら取り進められたので、あります。
この出資の募集は、昨年九月十日から二週間の期間を限って行なわれました。御承知のように、基金設立時の出資金額につきましては、政府の出資金三億五千万円を含めまして五億円を下ってはならない旨が法律に規定されておりまして、民間出資額のいかんは直接基金設立の成否を左右するものであったのであります。幸い、都道府県、各林業関係団体等の御協力を得て、民間出資額は目標額を大幅に上回り、予定どおり昨年十月一日に、設立委員から、別途理事長となるべき者として指名がありました現理事長への事務引き継ぎが行なわれ、同日をもって基金は発足することとなった次第であります。
設立当初におきまする出資金の額は、政府三億五千万円、都道府県約四千九百万円、民間約四億五千四百万円、合計約八億五千三百万円であったのでありますが、その後都道府県につきましては議会の議決を経て順調に出資が行なわれており、本年度末には全体の出資金額は十億円余に達する見込みであります。このような出資の状況にかんがみまして、政府におきましても本年度に引き続き、三十九年度においても三億五千万円を追加して出資することにより、債務保証基金額の増加をはかり、基金の業務運営の資金的基礎を強化することといたしたのであります。
また一方において、御承知のとおり、基金による債務保証は、原則として出資者に対して、その出資額を基準として行たわれるものでありますから、民間出資額の増加は当然基金の業務規模を拡大させることとなるものであります。したがいまして、基金の業務量は今後きわめて膨大なものとなることが予想せられますとともに、基金に対する出資者の数が約三千七百人に達している状況でございますので、保証総額の増大とあわせて保証件数が激増することが考えられるのであります。このような業務量の増大に伴いまして、保証業務を円滑に実施し、出資者に必要な資金が融通されることを促進いたしますためには、今後基金の業務執行の体制を一段と充実する必要があると考えられるのでありまして、このため直接基金の業務執行の責に当たる常勤の理事の定数を一人増加することといたしたのであります。
以上、若干申し上げまして提案理由の補足説明といたします。
なお、お手元に林業信用基金法の一部を改正する法律案関係資料、それから林業信用基金関係法令通達集、それから林業信用基金法の一部を改正する法律案参考資料、それぞれお配り申し上げておりますが、そのうち、林業信用基金法の一部を改正する法律案参考資料、これについて簡単に御説明を申し上げたいと思います。
まず一ページでございますが、一ページは、林業信用基金に対する出資金の状況でございまして、これは昨年暮れ、十二月三十一日現在でどれだけ出資がなされたかという表でございます。合計この表にございますように三千七百十八件、九億七千百三十万円となっております。都道府県三十五県というふうになっておりますが、あと十一県につきましては、ここの注にございますように、県議会の関係で若干おくれている県がございまして、年度末までには、この注にございますように約二億に達するという状況でございます。
それから二ページは、いまの一ページの県別内訳でございます。そこで県別で見ますと、都道府県のほうは、いまのところ十一県、茨城、東京、神奈川、福井、愛知、京都、大阪、兵庫、和歌山、岡山、大分、この十一県がこれからという形になっております。
それから四ページを見ていただきますと、これが林業信用基金の機構の一覧でございます。ここにございますように、理事長一名、常勤理事一名、一部門課制、こういう格好になっております。それから約定書を締結いたしました業務委託融資機関、これがこの表にございますように四百十五行、こういうことになっております。
なお五ページ以下、これは県別に林業信用基金との間で約定を見ました融資機関の一覧でございます。
それから最後のページ、十一ページに林業信用基金役員及び評議員の名簿が載せてございます。この左のほうの非常勤の理事につきましては、おおむね各団体の代表という意味でこれが選ばれておりますし、評議員のほうは、それぞれ都道府県の知事それから業界の代表、学識経験者で、都道府県の知事が六名、それから業界の代表として十名、学識経験者として川名で、知事と業界の代表につきましては、出資の額、地方的な分布、こういうものを考慮して選んでございます。
それからなお、順序がちょっと戻りますが、三ページの二の林業信用基金の債務保証状況でございます。これは十二月三十一日現在におきますところの林業信用基金の保証の状況を一覧にしたものでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/4
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005・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 次に、中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行なうことにいたします。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/5
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006・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/6
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007・森八三一
○森八三一君 ただいま議題になっておる中小漁業に関する融資法の一部を改正する法律案に直接関連するわけではありませんが、この改正法実施が進んでまいりますると、将来には非常に大きな問題に発展をしてくるというように考えますので、そのことは過日、大臣の所信表明に関連して行なわれました総括的な質問の際に多少触れた問題でありますが、沿岸における中小漁業者のおそらく全部といってもいいほど大多数の諸君は、農業との兼業という形になっておると私は考えるのであります。もちろん一部には、専業のものもないわけではありません。概念的にはそういうこともいえると思います。そこで、そういうような諸君は、いずれも農業協同組合と漁業協同組合と双方に籍を置いておると思います。そのことが零細な漁業者の経済力を金融の面から考えますると弱体化いたしていくということが、私は現実の問題として見られておるのじゃないかと思うのです。ことに貯金になりますると、その原資が水産のほうで得た原資であるのか、農業のほうで獲得したものであるのか、あるいはそういう諸君のまた相当数が他の職業に従事しておるということから、農業、漁業以外の他の所得から生じておるものであるということであるのか、これはさいふに入ってしまえば、区別はできないのです。それを団体が縦割りの系統になっておるということから、その関連する部分を伸ばしていこうがためには、何としても、端的に申しますれば、取り合いをするという傾向が現実の問題としてあらわれておるのです。そのことが、政府のほうで念願いたしておられる協同組合を発展せしめ、そうしてそれに参加をしている組合の経済を伸ばしていこうとしていくこととは、どうも逆の方向をたどっていくのではないかという心配が持てるのです。現にこれは沿岸漁業地域においては、各地において見られる現象であります。そこで、今度の法律改正によって、漁業協同組合を対象団体にいたしますることは、これは私はたてまえ上、当然だと思いまするけれども、その措置によってまた漁業協同組合の貯金取り扱いに熱が入ってくる。従来は円満にいっておった地域においても、農協と漁協との間に、貯金の争奪をめぐっていろいろ問題が発生してくる。それが両方の組織を経済的には弱体化する、あるいはその間に忌まわしい問題を招来するという懸念がないとは言えぬと思うのです。こういうことに関連して、一体どうお考えになるのか。端的に申しますれば、農業協同組合、漁業協同組合を一体のものにする、もちろん、これは組合員の自主性を尊重しなければなりませんから、組合員がそれぞれ別個の系統でやることを期待する、好むという場合に、それを強制する必要はありません。そういう場所においては、当然これは両立し得るような経済的な内容を持つということであろうと思います。両立し得ないような地域においても、法律が二つあるために二つつくらなければならぬ。そうして、上のほうからは督励をすることによって、いま申し上げましたような事態を招来する危険が現にあるという事実を、一体どのように今後処理されようとするのか。大臣はそういう問題に関連して、非常に重要な問題だから研究をするという趣旨の御答弁があったと思うのです。私は研究研究で日が暮れちまう、そのうちに複雑な問題が発生することは好ましくないので、急速にそういう問題の結論をつけてもらいたいということを申し上げて質疑を打ち切ってあったのでありますが、この法律を審査するにあたりまして、そういう点を一体政府はどうお考えになるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/7
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008・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) この中小漁業融資保証法に申しまする中小漁業者、これは御承知のようにいわゆる沿岸漁業を営む沿岸漁家、それから中小漁業、沿振法でいいまする中小漁業、そういった面がございます。それで沿振法で申しまするいわゆる沿岸漁家というものの中に、いま御指摘のような兼業漁家があるわけでございまして、兼業の相当部分が農業であることは、御指摘のとおりでございます。それでわれわれといたしまして、漁業の実態に応じまして、地域によりましては、沿岸漁家の中で漁業協同組合に入っておると同時に、やはり地域の農業協同組合にもその必要性から加入している面も御指摘のとおりあろうかと存じます。そういう面で、いま御指摘のように預金の争奪、そういった面があろうかと存じますが、われわれといたしまして、やはり沿岸漁業が進展する、発展する、こういうためには、やはりその沿岸漁業者が組織しまする漁業協同組合というものを中心にして、共同の組織によって、この発展を期さなくちゃならぬかと、こう考えております。競合する面におきまして、やはり問題があろうと存じますけれども、漁業を主にいたしまして農業を従といたします面におきまする漁家について、その発展はどうしても中心は漁協を中心にして購販売から信用事業といった面でめんどうを見ていく、こういうことにわれわれとしては指導してまいりたい、こう思うわけでございます。そういう意味におきまして、その地域におきます貯金の争奪通勤といったようなものが、漁協と農協の面に出てくるかと思いますけれども、それはやはりその地域の自主性に応じて、強制するということでなしに、漁民のやはり共同でやるという意識の強さによってそれが行なわれていくということを、われわれは期待しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/8
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009・森八三一
○森八三一君 そういう形式的なことを私は聞いておるんではないのです。実際の問題として漁家であり農家である、これは現実の問題なんですよ。その一つの経済の中で行なわれる両方の仕事から発生する収益というもの、あるいはその必要とする資金の調達というものについて、漁協と農協とに分散をしておるということが、ほんとうに政府の所期せられる漁業協同組合を通じて漁業の進展をはかる、農業協同組合を通じて農業の進展をはかるという目的に沿うのかどうかということを真剣に考えますと、分散すればするほど、その機関の信用力というものも小さくなるし、業務分量も小さくなるし、ことに金融の面ではそういうことによって生ずる弊害なり不利益というものが非常に多いのですね。そういうことを考えますと、漁業、農業それぞれの発展をはかるということについて、私はちっとも異存はございませんけれども、その目的に沿わない現況が起きておるじゃないかという点をもっとしっかり見詰めないと、これは水産庁長官に聞けば、水産庁長官は自分の分野から漁業の進展をはかりたいとおっしゃる。あるいは経済局長なり農政局長に聞けば、これは農業の進展をはかるということにおっしゃると思うのです。しかし、同じ省内において二つの組織がある、そのことが双方を弱めておるという現実があって、これは否定のできない私は問題であると思う。それを一体どうするんだということを聞いておる。これは水産庁長官は自分のなわ張りだけをお答えになればいいんですけれども、私はそういうなわ張りの問題ではなくて、総合的に見てどうするかということで、事をもっと高い次元で考えなければならんじゃないか。現に問題は起きておりますよ。県あたりへ行って困るじゃないかということを、水産課の担当の方なり、あるいは林業の担当の方なり、農業の担当の方なりそういうことを伺いますと、法律がそうなっておりますし、上のほうからは督励されますので、末端では調整のしようがございません、しかし困ったものですね、ということをどこの県に行っても異口同音におっしゃるのです。地方の第一線の指導機関が困り切っておることを黙って見ておることはない。それがいい結果をもたらすならいいですよ。これは政務次官、どうお考えになりますか。重要な問題ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/9
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010・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) お答え申し上げます。ただいまの森委員の御指摘のとおり、そういう例があると思います。またそういう場合には、いろいろなお互いに引っ張り合って、かえって利益をもたらさないという点も予想されます。農林省といたしましても、こういう点についてもう少し実態を調査いたしまして、すみやかに両者がうまく進んでいくように調整の道を考えていきたいと、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/10
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011・森八三一
○森八三一君 調査をして両者の調整をはかるように進めたいということは、ぜひともやってもらわなければならんことでありますけれども、なかなか実際問題としては、端的に言えば一つのなわ張りですから、これはそう簡単に私は調整のできぬ問題だと思うのです。同時に、ほんとうに困るのは、第一線の金融を担当する機関であり、迷惑するのは、漁民であり、農民であるということに私はなると思うのです。そこで先般も大臣に申し上げましたように、漁業、農業、林業というようにあえて三本立てに画然と区別する必要はないので、協同組織というものは、法律的には一体のものにしておいて、そうしてその実施の場合、実行の場合には、その地域地域の自主性によって三つの組合をつくる必要がありと組合員が認める場合には、三つつくったらよろしいし、二つでよいと考えた場合には二つにする、あるいは農林漁業協同組合一本でやりましょう——山村でも淡水魚を中心とする協同組合あるのですからね——というような場合には、農林漁業協同組合ということを一本にする。そうしてその中で金融の問題を扱えば、農業のほうで資金を非常に必要とする時期、たまたまそれが林業としては必要でない時期、あるいは水産業としてもそんなに要求されない時期ということになりますと、三つに分かれておるために、わざわざ回りくどいところを経由をして借り入れをしたり、預金をしたりという手続をやらなければならぬけれども、末端でそれが総合されておれば、農業のほうで余るときに漁業がほしいと言えば、すぐそこに融資ができてしまうということで非常に便利にもなるし、そうして組合員がどっちに預金をするかということで取り合う必要もない。現に金融が梗塞してくると、協同組合内における争奪だけではないのです。むしろ、協同組合と他の金融機関における預金の争奪に火花を散らして非常に激しいものがあり、その間に非常にやみ金利的なものが現実として出てくるのです。そういう中に処して、漁業、農業林業、それぞれの協同組合が仕事を進めようとすると、そういうものとの対抗上、いろいろなことを考えなければならず、それがまた同じ組合員を組合員としておる協同組合間にも、非常な摩擦を招来するということになるのですね。これはいまここですぐこうしましょうという結論をお出し願うことを、私も期待いたしておりません。そんな簡単な問題ではないと思うのです。しかし、そのことはほんとうに真剣にお考えにならぬと、ただ口先だけで林業の振興、漁業の振興、農業の振興といっておりましても、農業を近代化し、構造改善をする一番ポイントというものは、何といっても資金の問題なんだと思うのですよ。その前にやろうとする意欲の問題が非常に大切だと思うのですが、いかに意欲があっても、伴う経済力がなければ、それぞれの農業を近代化し、構造改善をするということはできぬのですから、資金の問題は一番大切なんです。ですからこれは昭和三十九年度の予算においても、資金の問題については、相当画期的な施策をやられた。まだまだ、不十分ではありまするけれども、村当前進したということを私も認めておるし、感謝もしておるのでありますが、それほどに大切な金融の問題について、分散しておくという姿は、これは逆行ですよ。そうして、その間にいろいろな摩擦を招来するということであれば、なおさらもって好ましくないことなんですから、これは早急に総合的に私は考えられる必要があると思うのです。これは真剣に取り組んでいただけますか。ただ場当たりの、調査研究して善処いたしましょうという、附帯決議に対する答弁のような、所信表明のようなことでは、これは私は納得できません。ほんとうにおやりになるのならば、もっと建設的にわれわれも意見を具申してもいいのだけれども、やっていただけぬようなことであれば、あまりたよりにできないということになってしまいますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/11
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012・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 関連。この問題は、実はいまに始まったことじゃない。これは森委員も発言の中に述べておるように、戦後職能別の協同組合ができてからこの問題がすでに内在しておって、その後数年を経ないうちにこれは現実の問題になって、そうしてその当時の大臣もこの問題については調査をし善処をするということがあったわけですね。しかし、そういうことが単なる口頭禅に終わっているというのは、いまの政務次官の御答弁でもまあ明らかなんです。非常に現地は混乱しているわけです。一、二の例を申し上げますと、漁協、農協と半農半漁のそういう地帯で二つあって、それだけにとどまらずに、外郭的な団体として漁協青年部があり、漁協婦人部が生まれた。農協はそれよりも先達として農協青年部があり、農協婦人部がある。そういう外延的な組織にまで同じ農漁民でありながら二つの組織に、あるいは二足のわらじをはき、あるいはどっちかに組織員となって、現地における混乱というものははかり知れないものがあるわけですよ。だからこれは従来もその調査をするというけれども、また大臣の所信表明にも、農業団体は近く再編成をすることで事務当局にその検討を命ずると、こういうことですから、これは再編成のやはり一つの大きな課題でもあるから、お互いに調整し合うということでは解決ができない。農林漁業協同組合法なり、そういうものをその地域では必要なところではそういう立法措置に対応して、組織の混乱による地域住民の、また組織相互のマイナスというものを基本的に解決する方向に、組織法その他でこれは対処しなければ、解決できない問題だと思うのですね。だから、これは大臣がそうおっしゃっているのだから、あらためて大臣が見えたときに、私はまあ、とくとその具体的な構想まで触れてお伺いいたしますが、政務次官もこれ大臣の代理でいられるのだから、いままで繰り返しこの問題が出るつどに調査、検討、善処ということがあって、実際やってないのですね。部分的にはやっている、協同組合経営研究所等々で共同研究もしておる。現地調査にも出ている。けれどもその結論というものを取り上げてもいない。こういうのが実態ですよ。だからもう検討じゃなくて、これをどう組織的な混乱をその職能的なものから地域協同体的なものに、震源山村はあるかということはもう少し前向きにこれは積極的に取り組んでいかないと、農業団体再編成の中では、比較的これはウエートが低い課題であるが、それすらもやれなければ、いわんや抜本的な農業団体の再編成などは思いもよらない。それを私はあらためて大臣が出られたらお伺いしますが、その前にまず政務次官の御決意のほどを、もっと具体的にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/12
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013・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) ただいま森委員の御指摘、また引き続きまして渡辺委員の御指摘は、私もごもっともだと思っております。過去においていろいろそれに対して農林省も所信を表明したようでありますけれども、今度の予算編成にあたりましても、農林大臣が言っておりましたが、金融問題に限らず、水産業とかあるいは農林業、あるいはまた中小企業、そういうのとの接点においていろいろな問題が起こるのでありまして、新産業都市の地域指定にあたりましても、農業関係はどうなっているという問題、あるいはまたその山村振興の声が大きいのでありますが、それに対する林業、農業との関係はどうなるかと、いろいろまだ研究を具体的に要する点があるので、今度その面においても調査費を計上して御審議願っているような次第でありますが、金融面においても早くからこういう問題が起きていることは、私どももよくわかっております。でありますから、ある程度地点をきめて調査をもう少し綿密にやりまして、そしてどうせ一体でありますので、同じ人が一方において農業をやり、一方において水産業をやる、それは農業協同組合あるいは漁業協同組合のほうから、それぞれ預金の争奪戦あるいは貸し付け金の関係でもそういう問題が起こるので、そういう諸点について十分検討を加えまして、ただその場限りということでなく、真剣に前向きにこれをすみやかにわれわれは調査いたしまして結論を得て、必要なれば御審議願う、実行に移してもらうものは実行に移してもらって、円滑に地域住民が一体でありますから、それがよりよき方向にいくようにやっていきたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/13
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014・森八三一
○森八三一君 水産庁長官、もちろん専業の漁家もないわけではありませんけれども、沿振法による対象漁家もありますが、大部分はお話のように、私の申し上げたように兼業だと思うんです。それを二つの組合に構成しておくことは、それぞれを発展せしめる場合において、漁業から見て非常にけっこうだというふうにお考えになるのか、一体のものの中に農業部、漁業部というような部制でもしいて、それぞれそこで専門的なことは審議する、共通的な金融については、その農家なり漁家なんか兼業ですから、その運用を一つに見て査定をし、貸し付けをしていく、あるいはその要する生活資材にしても、漁家だから専門的な漁具その他もありましょうけれども、日常的な経済用品その他については、漁家であるからといって特別なものはないと思う。そういうものを購買事業として双方がばらばらに扱っておらぬで一つにしてやっていくというのが好ましいのか、別々にやったほうがいいのか、それはどうお考えでしょうか。一つがいいとお考えになるなら、これはちゅうちょなしに研究も調査も要らぬのですよ、法律を一本にして、あとは自主性にまかせる。これはぼくにまかせれば簡単にさっといってしまいます。それを二本がいい、三本がいいとお考えになっている根拠があれば、水産の福からだけ見て、やっぱり別でなきゃいかぬという何か御主張があれば、その点をひとつお聞かせ願うと、また私も考えが変わってくるかもしれませんが、それはどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/14
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015・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 御指摘のように、農山漁民の協同組織というのは、渡辺先生からも御指摘がありましたように戦前からもございますが、業種別にそういう協同組織ができております。これはいま御指摘のように、やはり末端において兼業がある。特に水産におきましては沿岸漁家、それから内水面をやっております内水面の漁家、こういうものについては、特に内水面なんかは、農業との兼業が大部分だと私も考えております。それで内水面等では、いま御指摘のように内水面に必要な専業的な問題は内水面でやっておりましょうし、内水面の協同組合が担当いたしておりますが、内水面等では、やはり地域の農協にも入って農協の信用事業なり購買販売事業にも利用さしてもらっている、こういう状況でございます。漁村、特に沿岸等の漁村につきましても、やはりこれをそういう業種別に見るか、地域として漁村の性格によって漁村の経済単位でものを考えるかということでございまして、森先生の御指摘は、やはり漁村としての経済単位として地域的にこれを経済力を強くしていくためにはどうしたらいいか、こういう御指摘でございます。私たちといたしましても、この点一がいに漁村の性格によって、農業の総合の協同組織をつくったがいいというふうに考える場合も出てくるかと思いますが、まだ何ぶん実態が、漁村の経済単位といたしまして、これを総合協同組織に持っていったほうがベターだという結論までは、まだ私も、調査が十分でございませんので、その点は政務次官からも御答弁がありましたように、よく漁村の自治性を把握してそういった指導をしなくちゃならぬと思います。これはいわゆる業種別の特徴と、それから地域として経済力を結集して大きな信用力なり、あるいは購買力なり販売力を持つという利点と両方の利点があるわけでこれをどちらに割り切るかということについては、相当研究しなければならぬと思いますけれども、その漁村の実態に応じて総合していったほうがいいという面も、御指摘のようにあるわけでございます。こういう問題については、やはり農業、漁業あるいは林業にも通ずる問題かと思いますので、よく担当の局とも相談いたしまして、こういう問題に対処してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/15
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016・森八三一
○森八三一君 かなり今までの答弁よりは前進した答弁のように聞こえますので、これが言質になるように期待して、いずれかまた渡辺委員から再質問があるようなので、基本的な大きな問題ですから、きょうはこの辺にいたしますが、そこで、今度のこの改正の第一点が、信用事業を行なう漁業協同組合を、本制度の金融機関とするということが最初の改正要点なんです。これが行なわれますと、私は今まで申し上げておったことにさらに拍車を加える心配が誘発せられるということを懸念するのです。いままでは信用事業を行なうというたてまえになっておる農業協同組合でも、地域内のそれぞれの他の同種の協同組合間に十分の連絡がとれて、預貯金の争奪だとかいうことがなくて、一本にまとめて円満にやっておった、そうして漁家のほうで必要な資金がある場合には、むしろ単独のものよりも資金量の豊富な農協等のほうから、実際は漁業に必要な資金の融資もしておったというような事例がたくさんある。今度は、こうなりますと、信用事業を行なう漁業協同組合が融資の対象となるということになると、そこで今度はその対象となったためにその業務を行なうということになりますると、どうしても信用事業をやれるような定款規定になっておりながら、信用事業をやっておらぬような組合に対しては法律上は対象になったけれども、具体的な業務の面ではだめじゃないか、なぜ本来の仕事をやらぬのかという督励が上級機関から行なわれて、そこで円満にいっておった地域の問題を困難に追いやっていく、あるいは摩擦を招来するということが、この改正によって直接に起きてくる危険が私はあると思うのです。そういう点はどうされるのか、方向としては、そういう問題については地域の実態を研究をしてあやまちなき方向を見出したい、それも早急にやりたいということは、前段の御答弁の中でわかりました、そういうことをお考えになっている過程の中において、かえって逆の方向が出てくることがこの法律改正によって心配される現実の問題として起きると思うのです。それはどういうふうに指導されるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/16
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017・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 現在の中小漁業融資保証法におきまして、御承知のように県では中小漁業の融資保証協会をつくっておるわけでございまして、その会員になる資格といたしまして漁協が指定されておるわけでございます。現在のところは、農協はこの会員には法律上は除外されておりますが、そういう面で、現在におきましては漁協が、会員になりました場合に、この漁協が組合員に貸すという場合に、資金は漁信連なり農中から供給を受ける分と自己資金の分とあるわけでございますが、従来の現行法によります分は、漁協が会員になっておりまして、そこで資金を漁信連なり機中から借りてきて、それを組合員に転貸する。こういう場合に、漁協に対しまして漁信連が貸す場合、農中が貸す場合に、協会が融資保証の保証をする。そして今回の改正によりましては、そういう会員になっておりまする漁協の組合員は、この漁協が金融機関に指定されますと漁協の自己資金、または漁協が系統資金を借り入れた場合、それを組合員に貸す場合、直接今度は金融機関に指定されますので、漁協から組合員に貸す場合を直接に協会が保証する、こういうことにいたしたわけでございます。
それで、これは系統資金ばかりでございませんが、地銀の資金その他の資金も漁協が借り入れて貸す場合に、やはり漁協がみずからの責任で貸すということと同じように、漁協に対して保証する、こういう形になっておりまして、従来のように農協から借りている分については、従来どおりのままで保証はできないわけでございますが、単協が農協から融資を受けて、そして直接に組合員に貸す場合、こういう場合には漁協から組合員に貸す場合に保証する、こういうことになりますから、漁協が融資を受ける場合というような形で処理しなくちゃならぬかと思います。御指摘のような混乱は、ここで金融機関に指定したために、特に起こるということは予想されないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/17
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018・森八三一
○森八三一君 そうではなくて、僕は心配があるわけです。ということは、漁協がその組合員である漁家の必要とする資金を供給するということは、これは法律上の当然の業務であってあたりまえのことなんです。その要する資金をどこから求めるかというと、まず、私は本質的には、自己の業務の範囲において調達をするということが原則だと思います。足らん分を、これは漁信連なり農中から融資を受けて転貸をしていくというたてまえになると思うのです。なお、そういうこともできない場合に、他の金融機関につないでやるということになると思うのです。たてまえとしては、どうしても自己資金というものを造成して、それで自分たちがお互いに共存の形において始末をしていくということが、これが最初であって、今度は組織の中に結合されている連合会の力を利用するということが第二の段階で、その上に他の業種とこん然一体となっている農申の資金を活用するということが第三の段階である、それでも足りぬという場合に、他の金融機関に依存するということが順序だと思うのです。おそらく指導は、そういう方向であると思うのです。
その場合に、いままで申し上げますように、地域の内部の円満な発展を期するために、信用事業を行ない得るという姿になっておりましても、信用事業については、争奪的なことを防止するために、農協との間に十分な話し合いがついて、円満にいっておった。今度は保証の道が開けることによって、自己資金を調達することを保証協会のほうから勧誘というか、督励というかされる。あるいは上級金融機関のほうから、そういうことを督励されるという結果として、円満にいっておった地域に波乱を起こすおそれがある。こう私は思います。だから、心配がないじゃない、心配が非常に出てくるのです。そういう場合に、指導としてはどういう方向に臨まれるのか。ところが、資金は農協のほうにいっているという場合に、それは保証の対象にならんのですから、それを加えれば、あるいは円満にいくかもしれないが、この法律改正によって、どうしても漁協としては、信用事業に手をつけざるを得ないというところに追い込まれることになると思います。そうなりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/18
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019・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 漁協の中には、御指摘のように信用事業をやるもの、これは先般御説明いたしましたように、現在では二千百二十四というふうになっております。これがやはり購買なり販売なりをあわせてやっているわけでございます。それで信用事業をやっております分につきまして、その信用事業について、直接組合員に貸し出す場合に、その面で今度は協会が直接保証する、こういう形にしたわけでございます。
御指摘のように、やはり信用事業を富みます漁業協同組合といたしましては、自己資金の蓄積ということは、これは本来なすべき問題だと思います。購販売事業をやりますにつきましても、やはり自己資金の蓄積がなければ円滑な購販売事業の運用ということはできないかと思います。そういう面で、地域によりまして兼業漁家等があって、漁協を利用するとともに地域の農協も経済的に利用している、こういう面において、御指摘のように問題が起こる可能性は多分にあろうかと存じます。
われわれといたしましては、これはなわ張り根性いうわけではございませんが、やはり漁協としての漁業の特殊性からくる存在理由はあるわけでございまして、購販売においても、特にこれは水産業として農協に期待できない面が多分に残っているわけでございます。われわれといたしましては、やはり信用事業というものは、購販売事業と平の両輪に、パラレルに考えなくちゃならん問題で、購販売事業が活発になりますれば、やはり信用事業も、そういう面で活発になりますし、購販売事業が伸びれば自己資金の蓄積なり、また、その必要性も出てくるかと思います。そういう面で、従来漁協との関係がうまくいっていたという面において、いろいろな波乱が起こるという御指摘でございますが、そういう面については、われわれもこの法律改正の運用にあたりましては、十分注意しながら、政務次官からもお答えがありましたように、調査をいたしまして、そういう面の波乱のない、また漁村として、これをどういうふうに持ったら漁村の振興に役立つかという大きな観点からも考えながら、この問題には対処していかなくちゃならんかと存じまして、いま一がいに、これを漁業協同組合が、あるいは総合的な漁業と農業を総合した組合をつくるというところまでは、まだなかなか割り切るわけにはいきませんけれども、御指摘の点は十分注意して、自己資金の蓄積に努めますとともに、地域におきます混乱は、できるだけ避けるように指導してまいりたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/19
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020・森八三一
○森八三一君 抜本的なことは研究をして早急に解決しようというのですから、それはそのときに私は譲っているのですが、この法律改正によって、いますぐ起きる問題、漁協が融資対象機関になるということになれば、これは当然系統的に信用事業を行なう建前になっておる漁協に対しては、その信用事業を活発に推進すべしという指導が、これは行なわれると思うのです。またやらなければ、これはおかしいと思うのです。しかし、そのことをその地域の実態を考えると好ましくないということで、地域の関係者は、もちろん組合員の了解の上で円満に経済行為が行なわれておるというところに、この改正を契機として、そういう円満にいっておる姿はいけないぞ、なぜきさまやらないかというように、上のほうから圧力が加わっていく、そのことが、地域の円満を阻害するという結果を誘発するんだということを心配するのです。抜本的な改正がついてしまえば、これはもういいです。その間に、そういう問題が起きてしまう。起きてしまうということは、抜本的な改正をしようとすることに、既成事実ができて非常に支障を来たすということになると私は思うのです。いがみ合ってしまうから、今度は一緒になろうといっても、一緒にはできないという既成事実ができてしまう。そのことが日本の農漁村を永遠に不幸へ追い込んでいくことになる。だから、今度の改正によって、円満にいっておる地域について、円満にいくという姿を考えていこうとすれば、漁業協同組合だけが保証の対象になるという姿では私は解決できないと思うのですがね。
それは、いまの法律では何ともしかたない、二本立て、三本立てになっておるんだから、抜本的に改正をしなければ、そのことにこたえられないという御答弁だと思いますが、そういう方向に向かおうとしていることとは逆の現象が起きてくる。そうして、その方向を完成しようとすることに障害を与えてくるというように私は心配するのです。これはどういう段階が……段階もできておらぬときには、一つのものを集合することは、白紙の上で書くのですから、きわめて簡単ですけれども、既成事実ができてしまっておる。それを統合するということは、それは希望としては非常にいいことであって、現実の問題としては非常にむずかしいという事例にわれわれはしばしば遭遇しておるのですがね。それをさらに今度は、けんかをしてしまうという状態に導けば、これはもう容易ならぬことになると思う。
そういうことを考えますと、どうも私は、たてまえ上としては当然なことだと思うんです。この改正は。これは別に、現行法のもとにおいて、このことがいかぬとは言いませんけれども、もう少し高い角度からながめると、この改正が、沿岸における農漁民には非常に不幸な結果を導き出す起因だと、こういう心配をするのですがね。といって、農協に一元化しろというのは、これはまた、繩張り根性でいいかげんなことを申すわけではないのです。もう少し大きな観点から、ほんとに零細な農漁民というものを守るためにどうかという心配を持つ。
そこで指導の方針としては円満にいっておるところについては、あまり波を立てないようにするという御方針のようですから、けっこうなように思いますが、これには協会から保証してもらって、漁業の振興をはかるということに沿わないという結果も生まれてくるのです。それは上部機関を通じて別にやればいいのですよ。それは農協の貯金が一本になっており、それが県信連に集まっていき、農信連とか、それが農中に集まってくる。それを逆に、漁信連を通じておろしてくれば、それにクッションを入れれば、結果は同じになるかもしれませんけれども、それでは回りくどいし、金利も高くなってしまう。また水産関係の指導官としては、そんなことをやっていたら叱られてしまいますからね。何だきさま、ちっともやらないじゃないか、あまり昇進もしないし、月給も悪くなってしまうでしょう。それは職務に対して一生懸命やる、こうなりますよ。また、それを水産庁長官が奨励しなければ、職務怠慢ということになる。その辺は非常にむずかしい問題ですからね。ただ、しかるべく円満に指導するとおっしゃいましても、末端では、そうはいきませんよ。水産庁長官は、そんな通牒は出せませんよ、しかるべく円満にやれと。それは職務に向かって忠実に一生懸命やりなさいと、指令は出しますけれども、円満に、適当にやりなさいという指令は出せませんよ。それはたいへんなことになりますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/20
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021・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 現在におきまする、いわゆる沿岸なり中小漁業の協同組合を中心といたしまする金融におきましては、御指摘のように系統資金といたしましては、農林中央金庫から、相当部分が県の漁信連を通じて単協に流れて漁業者の資金需要に応じておる、こういうことでございます。
それでわれわれといたしましても、水産業界におきまする、いわゆる貯金、蓄積と、こういう運動に推進しております。というのは、農中から融資を受けております相当部分は、やはり農業からの預金の面に依存しておる面も多々ありまして、農業からの援助を受けておるということがいえるのじゃないかと思います。で、末端において、やはりこれが農協を通じての、農業の県信連を通じて貯金が、集まった資金が、全国的に資金需要に応じて農業なり、水産なり、林業なりに、これが再配分されておる、こういう形で、そういう面で、水産業は非常に農協の預金といいますか、余裕金といいますか、そういう面に負うところが多々あるわけでございますが、やはり末端におきまする漁業協同組合の資金の吸収ということについては、農業とも関連を持ちながら、農業外なり系統外に、相当部分の農業者なり水産業者なりの預金が流れるという面でも、やはり農協と漁協が共同して、漁村において吸収していくということは必要かと存じております。農業と漁業が取り合うという形も、その中には出てくるかと思いますが、農業、水産業以外の金融機関にも相当農業者なり水産業者の預金が流れていくということも多々あるわけでございまして、そういう面でも、農業と水産業が共同して、そういう資金の吸収といいますか、蓄積に当たらせて、またそれを還元する場合には、それぞれの系統を通じて流していく、そういう面において農業に負うところが非常に多いということを、われわれはよく認識はいたしておりますが、先生の言われるように、なかなかこれはむずかしい問題でございまして、やはり現在においては、水産業者の協同組織というものをやはり進めていくということは、購販売を通じて必要でございます。
そういう面におきます預金の吸収ということについては努力しなければならぬと思いますが、その面で地域の漁村でいろいろな摩擦が起こるということについては、できるだけこれは御指摘のように避けていかなければならぬと思いますから、具体的な事例といたしまして、よく県なりを通じて、そういう問題には対処しなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/21
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022・森八三一
○森八三一君 その問題は非常にむずかしい問題で、水産庁長官だけに、それをお尋ねいたしましても、抽象的なことに終わると思うのです。もちろん購販売を盛んにするということは決定的な重要事項と思うのです。
で、そのことといえども、また前に戻りますけれども、何も二本立てでやらなければ伸びぬというのじゃない。一体の姿においても、出てくるものである。その結果の余裕の蓄積あるいは水産への資金の供給ということは一元的にできる姿のものでありまして、前段のほうをひとつ、真剣に取り組んでもらいたい。
それが解明されなければいかぬと思うのです。その間にいろいろな摩擦が起こることはできるだけ排除するように努力をしていただきたい。あまり中央のほうから信用事業を行ない得る姿になっておる。組合は、その貯金の扱いなり何かをやらなければ異端者扱いにするような指導はしないで、円満に進めていくということを重点的に御指導願いたいということを希望しておきます。しかし、これは実際問題としては非常にむずかしいと思うですがね。
それから第二に、その二というのは、具体的に言ってどういうことになるんですか。基金協会の会員たる漁業協同組合の組合員で、みずから基金協会の会員でないものの債務を直接に基金協会が保証できるというふうに改正しよう。この趣旨は、今度の改正によって、漁業協同組合が、その組合員に対して基金協会の保証を求めることができるということになるわけでしょう。基金協会の会員でないものの債務を直接に基金協会が保証するというのは、漁協が基金協会の会員になっておるんでしょう。そうすれば、その漁協の組合員に対しては、漁協が一括して協会の会員ですから、基金協会が保証するという場合があり得るということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/22
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023・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 現行法では、組合が会員になる場合と、それから個々の組合員たる個人が直接会員になる場合と二つあるわけでございます。
それで組合員の中には、漁協が会員になっておりましても、組合員は一々零細な沿岸業者でございますから、直接協会の会員になってない場合が多いわけでございます。それで、そういう場合には、組合が借りて、そして転貸しする、こういう形になっているわけでございます。現状は。
それを今度は、組合が会員になっております場合には、その組合が、直接協会の会員になっていない場合でも、その組合に会員と同じような扱いをして、組合員が借りる場合には保証ができる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/23
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024・森八三一
○森八三一君 わかりましたが、そうしますと、漁業協同組合の事業というものが、その場合には直接に組合員には及ばないということになるわけですね。漁業協同組合の組合員でありながら、直接協会の保証を求めるということになると、漁業協同組合が非常に弱体であるために、漁業協同組合の本来の業務がその組合員には及ばぬということになるわけですね。そういう場合に限るんですか。漁業協同組合の会員でしょう。その所属の組合の要する資金というものは、この漁業協同組合がめんどうをみることがたてまえでしょう、本質的には。その場合に、この漁業協同組合を抜きにして、その組合員が協会の会員になっておる場合は現行どおり認められますね。今度会員でないという場合に、これもまた、直接結んでしまうというと、漁業協同組合の会員である存在というのは、一体どういうことになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/24
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025・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 今度、法改正をいたしました趣旨は、零細な沿岸業者といたしまして、一々出資をして、会員になって、はじめて保証を受け得るわけでございますが、そういうふうに零細な沿岸業者が協会に出資をして会員にならなくても、その所属する組合が会員である場合には、その組合員に対して一定の限度内において、直接組合員に協会が保証ができる、こういう道が開けたわけでございます。漁業協同組合を金融機関に指定したのと関連して、やはりそういう道を開いて、一々組合員が出資をしなくても、漁業協同組合が会員である場合は保証が受けられる、こういう道を開いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/25
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026・森八三一
○森八三一君 その点はよくわかるのですけれども、漁業協同組合が基金協会の会員であるが、個々の組合員は基金協会の会員でない、その場合、個々の会員が直接協会の保証を受け得るという道を開いて、零細漁民の金融をなめらかにしようという遡行はわかりますけれども、漁業協同組合の会員である者であれば、漁業協同組合に転貸させるというたてまえで、その漁業協同組合に保証を与えれば、それで事は足りるのではないか、直接にやるという姿は、漁業協同組合の本質上いかがなものか、こういうことを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/26
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027・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 漁業協同組合が出資いたします場合には、会員になっているわけでございます。漁業協同組合といたしまして、会員になっておりますれば、出資いたしました出資金の大体、現状では五倍ないし八倍、大体基準は五倍でありますが、五倍の範囲で保証が受けられるわけでございます。それでこれは限度まで来ますと、なかなかほかの組合員が転貸の場合は、借りたいといってもできないわけでございますが、そういう場合には、組合員が個々に協会に出資して、またその出資金の範囲で借りる、こういうのが現状でございます。
それで、一々やはり出資を個々の組合員にさせなければ借りられないということでは、零細な者は非常に困るだろうということで、こういう道を開いたわけでございますから、従来とは、別にその組合の統制力が弱まるとか、組合の範囲外に個々の組合員が動く、こういうことの懸念はないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/27
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028・森八三一
○森八三一君 このことが零細漁民のために悪いこととは考えませんよ。いまお話のように漁業協同組合が協会に出資して会員になっている。それに対する信用の付与は、その出資額の五倍なら五倍、十倍なら十倍というものを限度に、転貸の場合には保証するというだけでしょう。今度は、その限度一ばいにいったら、個々の組合員は、直接出資せぬでも保証が受けられるというので、直接保証を求めるということになると、その十倍なり三倍という限度が、その価において、実質的に膨張する結果になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/28
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029・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) そういうことになるんじゃないわけでございます。やはり組合が一つの共同利用施設のような形で出資をすれば、その出資の大体基準は五倍でございますが、また八倍になる場合もある。大体五倍の範囲で、その組合の保証を受ける限度があるわけでございます。その範囲においては、組合員は会員にならなくても、直接今度は融資が受けられる、こういうことになるわけです。転貸の形でしか受けられなかったのが、今度は直接の形で組合員が保証を受けられる、こういうことに相なるわけです。
その限度を越している場合は、個々の組合員が従来どおりやはり出資して会員になって、そして融資が受けられる、こういう道を従来どおり開いているわけでございますが、現在の五倍、基準の融資限度の範囲内であれば、組合員は、零細なものでございますから、共同施設として組合が出資しまして、だれからも、組合員のそれぞれから取り立てないで、組合として出資しましたいわゆる共同利用施設のような出資でございます。その範囲においては、組合員は、みずから会員にならぬでも、直接に借りた場合に保証が受け得る、こういう道を開いたわけでございます。
だから、御指摘のように、零細漁民には非常に便利な方法になって、金融を円滑にするということでございまして、御指摘のような心配は、私は、このために出てくるというふうには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/29
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030・森八三一
○森八三一君 どうもわかったような、わからぬような答弁ですが、設例しますと、どうですか、ある漁業協同組合が、会員になるために協会に一万円の出資をして資格を得た、そうすると、現行の扱いでは五万円まで保証をした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/30
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031・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 五万円です。一口の出資額は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/31
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032・森八三一
○森八三一君 設例だから、それはいいでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/32
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033・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 五万円にしておいてください、混乱しますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/33
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034・森八三一
○森八三一君 五万円の一口をもって会員たる資格を獲得した。そうすると、五、五の二十五万円を限度として、その漁業協同組合が組合員に資金を融資する場合に、保証ができるということでしょう。そこで二十五万円までもやってしまった。ところが、組合員から、まだ要求がある。そこで、今度は組合を通さないで、その組合員が出資をせずに、まっすぐに協会に行って保証をしてもらって借りるという道が開けたというのだからけっこうのようには思います。思いますが、その場合には、その五倍という限度をその組合の関連する組合員の間においては膨張せしめるという結果になりはせぬか。もし、それが二十五万円の限度行っておらぬ、その中だけで直接行った場合も認めてやるというのであれば、そんな道を開いたって二十五万円ちっともふくれやしません、たいしてなめらかな融資ということには、結果的にはならぬのじゃないか、それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/34
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035・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 後者の場合でございます。私の説明が少し混乱いたしたと思いますけれども、組合が、一口の出資は五万円でございますから、一口の出資を協会にしたといたしますと、組合員が会員になっておるわけでございます。で、組合の保証を受け得る限度は、出資金の大体五倍と考えていいわけでございます。二十五万円の場合に、二十五万限度で保証を受け得る、こういうふうに考えていいわけでございます。
それでその範囲内で組合としては県信連なり、あるいは地銀から、組合員が必要とする資金を借りてきて転貸するというのが現行法、それに協会が保証をするわけでございます。それで直接組合員は保証の面には出てこないわけです。現行法では。
それを今度は、組合が五万円の出資をして会員になっておる場合には、その組合の組合員は、直接会員ではございませんが、その組合の保証限度の範囲内においては、個々の組合員が融資を受けた場合に、協会がその融資を保証する、こういう道を開いたわけでございます。
で、従来は、直接に組合員が金を借りる場合には保証ができませんから、やはり個々の組合員が出資するということになりますと、これは出資しなければ保証ができないから、融資ができないということで、零細な組合員としては、出資すること自体が非常な負担になるわけでございますが、今度は、そういうことなしに、組合員の転貸しじゃなしに、それぞれの法律または政令で指定するところの金融機関から借りた場合に、組合の保証限度の範囲であれば、直接組合員に対して、協会が保証する、こういう道を開いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/35
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036・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 関連して。保証限度の範囲内というのはあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/36
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037・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 法律上じゃなしに、業務方法書でそういう限度を設けて、やはりその基金の全体の、これは相互扶助の形になっておりますから、一方に非常に片寄らないようにという意味で、出資の基準は大体五倍、最高限度八倍までいける、それから一人の債務者が借りられる場合は、大体現在のところでは六倍といったような程度で、融資保証限度と、一被保証人の保証限度というものは、範囲がずらしてございますが、一被保証人が保証を受け得る限度というものは、いま大体六倍と、それから出資に対して、協会が保証限度をきめておりますが、それは大体五倍ということにいたしております。それは業務方法書で、それぞれの協会なり、組合の信用程度において、組合ごとにきめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/37
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038・森八三一
○森八三一君 私はいまの設例で、一口五万円の出資をして協会の会員たる資格を獲得したと、その漁業協同組合が転貸する場合に、保証を受け得る限度は五倍、おおむね五倍だと、それから二十五万円のワク一ぱいまでいっちまったと、けれども組合員からは、まだ資金の需要が旺盛であるという場合に、その組合員に面接に保証をするということになれば、その五倍という限度を拡張することになるのじゃないかと、こう質問したところが、そうではないのだと、それは五倍の範囲でやるのだと、こうおっしゃると、それならば、漁業協同組合本来の業務の範囲でやらしたらいいじゃないか、面接つなぐ必要はないので、漁業協同組合の業務として、当然それは組合に、その範囲の仕事はやらすべきであって、それが本来の漁協の仕事じゃないか、そいつを限度の範囲内であれば直接いけるという道を開くと、漁業協同組合としては、自分の組合の中で、一番零細で因っている連中に、転貸をして貸してあげたらと思っているときに、そうでない、極端にいえば、相当裕福な人が、直接金融機関に行って話をつけてしまった、保証があれば貸していいと、こういわれる。そこで組合に関係なしに、どんどん進めてしまうと、二十五万円のワクを持っておっても、組合員が直接他の金融機関と話をつけてしまって借りてしまうと、漁業協同組合としては、自己の組合員中、一番気の毒な人に考えておるワクがなくなっちゃって、一番難儀しておるやつが頭割りで、にっちもさっちも動かないという結果が生まれはせぬか、それはたいへんなことになる。限度を越えてやるのなら話はわかる。そうすると、五倍というワクが拡大をされるのじゃないか。それはおかしいですよ、こう言いたくなるし、お話のように、五倍の範囲内でやるのだというならば、漁業協同組合は、組合員をずっと見渡して、一番気の毒な人に、その限度内において優先的に融資をしていきたい、こう考えるのが漁業協同組合の性格であり、役員の当然業務だと思う。
ですから、そういう矢先に、比較的裕福な人が、ばっと金融機関に行って話をつけてしまう、そこへすべっていってしまうということになると、零細な漁民のほうが置いてきぼりを食ってしまうという結果になるのじゃないか、これではたいへんなことになる。こういう心配を持つのですが、どうなんですか、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/38
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039・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) ちょっと私も混乱いたしましたが、協会ごとの融資限度というもの、保証限度というものと、それから出資をしているものに対する保証を受け得る限度と、こう二つあるわけでございます。協会は基金の四から五倍程度の——県の協会でございます。それは積み立てました基金の四倍から五倍程度を保証し得る能力を持っております。それから、それに対しまして、基金に出資をしました組合あるいは会員に対する保証の受ける限度というものは、大体出資金の五倍から八倍と、こういうふうに業務方法書で各協会ごとにきめてございます。
それで一つの組合を例にとりました場合におきましては、大体いま、百万円程度が最低の出資ということで、百万円以上の出資をするように組合ごとに指導いたしておりますが、百万円とすると、現実のその組合員に対しまする保証しております部分は、大体二百万円程度の保証しかできていないわけで、あと五倍とすれば、五百万円の保証を受け得る能力があるわけです。さっき申しましたのは、限界の最高限度のところのことばかり言いましたから、問題が、誤解があったかと思いますけれども、現実には百万円出資して、保証を受け得る限度は五百万円の保証を受ける能力があるわけでございます。現実は、二百万円程度しか組合としては動いていない。そういう場合に、組合員でありまする個々の漁業者が金を借りるという場合に、会員でなくても、それに保証の受け得る能力を与えますと、その組合としての二百万円の未利用の分が三百万円ありますが、三百万円のものが生きてくる、こういうことを考えたわけでございまして、限界に達しますると、やはり個々の組合員が直接会員になって融資を受ける、保証を受ける、こういうことにならざるを得ないわけでございます。現実は組合単位に百万円出資しても、二百万円程度の保証しかしていない。あと三百万円程度の未利用のワクがある。それを個々の組合員が、会員でなくても利用に均てんし得る、こういう道を開いた、こういうふうに御理解願ったらいいのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/39
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040・森八三一
○森八三一君 そこで制度の改正の内容はわかりました。はっきりしましたが、重ねてお伺いしますが、その制度を開く現時点においては、百万円の出資で五百万円まで保証が受けられるのだから、その漁協は五百万円のうち自己資金で幾ら調弁するか、他給資金で幾らまかなうかは別といたしまして、五百万円まで、組合員に需要があれば保証をして貸してやるということになると思うのですね。それが一ぱいまでいってしまったということになると、この道を開きましても、この道は、もうものを言わないということになるのだ、それはわかりました。
その限度までいかぬうちに、組合員が直接保証を受けて融資をしてもらうということを、なぜ一体やる必要があるのか。漁業協同組合は、本来その組合員の漁業の伸展をはかることが任務なんですね。そうして組合員から資金の需要が申し入れられている、金融機関は貸してあげようというときに、漁協が中へ入って、そのめんどうを見てやることが、どうして一体できないのか。その場合は、当然需要があれば、五百万円まで自己資金なり他給資金なりを調弁して、保証を受けて融資をしてやるべきなんであって、それが現実に二百万円だから、まだ未利用の限界が三百万円残されているから、直接道を開くということは、漁業協同組合の本質上いかがなものか。もしそんなことを認めていけば、漁業協同組合は弱体になってしまう。直接金融機関と結びついてやってもらえばよろしいので、あてうまのような出資をしておるということになってしまう。限度を越えていくならば意味はあるけれども、その場合には、一つ問題がある。限度内だというならば、漁業協同組合は、本来の業務でやったらいいじゃないか。漁業協同組合が、資金の需要があっても、あれには貸せないというところに、他の金融機関が直接に保証して貸してやるというような道を開くということは、感情問題とか、それは別ですよ、そうでない限りにおいては、私はその地域における漁業伸展のために好ましい姿ではない。その保証に対する責任は、出資がやっぱりものをいっているでしょう。百万円という出資がものをいうでしょう。だから、零細漁民の出資をもとにして百万円の出資をした。それならば、その組織の中では理解されないから融資が受けられないという人が、直接結んでしまえば、その百万円という出資は、やはりその保証に対してものをいうのですからね、漁業協同組合の役員が認定しないものが結果的には認定したと同じ責任を負わなければならぬということに追い込められるのじゃないですか。それはおかしいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/40
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041・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) やはりいままでは転貸という道しか開かれておりませんから、組合として、やはりそういう借りてきて貸すと、こういう形で運用しておったわけでございますが、直接貸しも、今度は認める。そしてそれに相応して組合が出資しておりますれば、その組合員には直接貸しとして、その出資した範囲において、会員でない組合員も利用できる、こういう趣旨でございますから、組合として、やはりこの非会員たる組合員が保証を受ける場合には、組合の了承は当然これは受けなくちゃならぬと思います。
それから転貸の場合と直接貸しの場合と、こういうことになりますが、組合が個々の組合員のものを全部転貸ということで、組合全体の担保力とか、そういう面で利用できる面もあろうかと思いますけれども、個々の組合員のやりは信用力というものも、これは利用したらいいのじゃないか、こう思っておるわけでございます。個々の組合員の資産を組合が転貸する場合は、組合と組合員の関係だけでございますけれども、今度は金融機関に対して個々の組合員の担保力というものが動いてくるということで、今までの未利用の保証ワクが、そういう面では、また活用できてくる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/41
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042・森八三一
○森八三一君 それはもちろんお話のような点になると思いますが、その場合に、個々の組合員の担保力というものを、その当該漁業協同組合が取得をして、それが再担保の格好になって金融機関へつながっておれば、担保力のものをいう限界というものは同じですよ。そうすることによって先段お話しになった漁業協同組合の業務を伸展せしめていくためには、購買販売等の経済上の伸展が重要だということにつながってくるのですよ。転貸をされて、そこで業務を遂行して水揚げがあった場合には、それを恩恵を受けている漁業協同組合の販売業務に乗っけるということは、これは人情の常だと思う。ところが自分が直接金融機関に担保を入れて、そして保証してもらって、そして借りた金で水揚げをしたというものは、これはどこに持っていって売ろうとおれの自由だと、こうなるのは情の常だと思うのですね。だから限界の範囲内だとするなれば、組合自体も信用力というものが小さいために、五倍までの限度はあっても、三百万円までより進まない。まだ三百万円も余裕がある、その余裕を動かす手段として、個人の担保力にものを言わせるということをお考えになっているとすれば、その個人の担保力というものを組合に提供させる。そして組合が、それを金融機関に再担保に供すれば、直接と同じかっこうになると思う、担保の力においては。そして事業の面では、その組合のお金で借りられるということになれば。事業は組合の販売上に乗っかってくる。これは常識だと思うのです。直接いってしまった場合には、そうはならぬ。こうなってくると、組合本来の業務の進展を妨げるという結果になると思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/42
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043・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) これは系統外の資金を利用する場合と、それからやはり系統の資金を利用する場合と二つあります。われわれとしては、やはり系統の資金を先ほど御指摘のように第一義的に考えなくもやならぬかと考えます。それで系統の資金を利用する場合におきましては、組合としては個々の組合員の担保も、それは当然考えるわけでございまして、系統資金を組合が、県の信連なりあるいは農中から、それぞれ資金調達をしてくる。そして今度は、新しい改正法では、組合自体が金融機関になっておりますから、金融機関として組合員に貸しつける場合には、そういう面でいままでよりも、いわゆる資金を供給するルートはふえてきたわけでございますが、そういう面で金融機関として組合が組合員に貸しつける場合に、その組合員が会員じゃなくても貸せる道を開いておくということが、一つの大きな利点であろうと思います。
それからその組合として、やはり系統資金ばかりで利用できない場合に、個々の組合員が、やはり系統外からも金を借りる場合もあろうかと思いますが、それは例外としてお考えになっていいのじゃないかと思います。従来どおり系統資金を借りる場合に、今度の改正で、その会員たる単協が金融機関になっておるわけでございます。それが直接今度は組合員に貸す場合に、その組合員が会員じゃなくて本保証ができる、こういうふうに道が開かれておるわけでございます。そういう面で系統外から借りる場合と系統から借りる場合と二つありますが、われわれとしては、系統内から借りて、金融機関として今度会員たる組合が貸す場合、直接保証ができるようにしたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/43
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044・森八三一
○森八三一君 系統の資金は指導されることが好ましいけれども、借りてしまえば、銀行の金であろうが、相互銀行の金であろうが、農中の金であろうがお札には変わりはありませんから、それは組合と同じことです。どこの資金でも。それに対して、ただ保証をしてもらって、仕事がなめらかにいくということをお考えになっておると思うのです。その保証が、その漁協の出資の五倍という限界の範囲内であるということであれば、直接の道を開くことに、どういう意義を持つか。組合員でなきやならぬでしょう。漁業協同組合の組合員であって、直接に協会には出資をしておらぬ人、その人に保証の業務が及ぶという改正ですね。その場合に、限度は漁業協同組合の出資の五倍という限度内であるということなんですね。そうすると漁業協同組合が系統金融機関であろうが、他の金融機関であろうが借りてきて転貸の形をとることが、どうしていけないのだ。その場合に、漁業協同組合には、他の金融機関に対する信用力がないから、五百万円までの限度はあっても、二百万円以上には伸びないのだ。三百万円遊んでおるからもったいない。これを動かしたい。わかりました。その場合には個々の、会員でない組合員が直接に、その金融機関に担保を提供する。それは精神的な担保であるのか、あるいは物的担保であるのか、いろいろ姿はあろうと思います。担保を供与する、それによって信用を得て融資が受けられる。さらに保証ということがつけ加えられて、それで金が流れてくるということであれば、漁業協同組合がその組合員の信用力をキャッチして、それを漁業協同組合の責任において、金融機関につなぐということによって、資金は流れてくるのじゃないですか。それが流れてこないという姿のものであれば、これは直接いったって流れてこないはずなんです。協同組合を一つ中へ入れるから信用が与えられるということにならぬと私は思うのです。
だから転貸をしていったほうが漁業協同組合の業務を進展せしめるためには好ましい結果が生まれる。その資金というものは生活資金ではないはずです。業務資金ですから。おそらく水揚げが伴うと思うのです。その水揚げ漁獲というものが、漁協の共同販売に乗ってくるということで、間接的には漁業協同組合の業務を進展してくるという結果が出る、直接いってしまえば、そういう結果が出てこない。限度を越えるなら別の問題があるけれども、限度内とすれば、漁協がやっても、組合員をめんどう見るというのが建前ですから、その場合に漁協自身が信用力がないから、思えども手が出ない、そこは個々の組合員が当然直接の場合でも担保を供与しなければならないから、その担保を漁協がつかんで、それを金融機関に提供することによって、資金の供給が得られるのじゃないか、そうすれば漁協が関与していけるのだから、直接の道を開かぬでも同じ結果になるのじゃないか。しかも結果としては業務の進展に裨益すると思われることが付随してくるのだということになればマイナスにはならない、イコールかプラスかどっちかで。マイナスが起きることならやっちゃいかぬが、マイナスは絶対起きない。
そこで、もう一つ考えることは、そういう道を開くことによって、漁業協同組合の組合員でありながら、漁業協同組合を十分に利用しようと考えておらぬ。組合員が自分だけが、端的に表現すれば利己主義ですね、組合の出資という——会員たる資格を利用して自分だけが共同行為から、はずれて仕事をしたいという連中だけに資金が流れていく。そのことはどっちかというと、現在の世相から言えば、比較的裕福な人だけが都合のいい融資が受けられる、そうでない連中が、これは下積みになってしまうわけで、残されている三百万円の余裕というものは、比較的信用力のある裕福な人たちが組合員の百万円という出資を利用して働いておるという結果が生れるのじゃないか。しかしそれは日本全体から見れば、貸さぬよりは仕事が伸びることは間違いない。しかし漁業協同組合の本質から言えば、そのことはちょっと邪道じゃないかという感じを持ちますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/44
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045・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 現在のように転貸方式をとると、御指摘のような面が出てくるのじゃないかと思うわけです。直接、会員でない組合員に漁協が金融機関として貸す場合に、今度は保証ができるわけですから、金融機関に漁協が指定され、それからその出資した組合の組合員で、直接会員になっていない組合員には、漁協がもしそういう道を開かないとすれば、金融機関になっても、直接の貸し付けに対して保証が出ないわけでございますが、今度は漁協が金融機関になり、そうしてそういう道とあわせて、この漁協が会員になっておれば、その組合員が会員でなくても保証の対象とされる、こういうことにいたしたわけでございますから、組合としては、そういう零細な漁民に、今度は貸し付ける場合に便利になる、こういうことが言えると思います。
で、従来のように転貸方式をとりますと、やはり協会の側から見れば、実際の形式上の債務者は組合でございますけれども、実質上の債務者は組合員になっているわけでございます。転貸でございますから。それでやはり債権管理の上からいっても、組合を対象にしなければならないということで、個々の組合員を対象には、協会の保証をする側から言えば、出てこないわけでございますが、今度は、協同組合が金融機関になって、そうして組合員に貸す場合に保証ができる、こういうことになれば、直接、やはり組合員が債務者ということになって、債権の管理の上からも非常に便利になるわけで、そういう面からも、やはり融資が円滑化されるんじゃないかと私どもは考えるのでございます。転貸ということになると、一体どういうふうに、その組合の中で、それが転貸されているかということについては、直接保証協会としては把握できないというような面から、現実には保証の限度五百万円としても、二百万円程度しか保証ができてない、こういうことで、あと未利用の分があるということでございます。
これを直接、非組合員も保証の対象にするということで、そういう面の安心もあって、融資が円滑にいくんじゃないか、そういうふうに考えているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/45
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046・森八三一
○森八三一君 まあ、十二時も過ぎましたから、まだはっきりしないんですが、この辺で打ち切りますが、どうもこれは、漁業協同組合が転貸を受けて組合員に貸す。それは漁業協同組合の本来の業務として自主性を持ってやっていることなんで、その漁業協同組合を基金協会としては十分守っておりさえすればよろしいので、そのもう一つ先の、個々の業者、組合員まで協会が監督をするというか、そこまで手を伸べていくとなると、基金協会というものは、もう漁協というものを離れての存在になってしまう。やはり、その個々の組合員の企業の実態というものは、漁業協同組合の責任においてやらせるというたてまえをとるのが、たてまえ上としては正しいのじゃないかと思いますがね。まあこれは、もう少しぼくも勉強して——きょう質疑を打ち切るわけじゃありませんから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/46
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047・植垣弥一郎
○植垣弥一郎君 委員長、ちょっと速記とめてもらえませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/47
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048・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/48
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049・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 速記を始めて。
それでは、暫時休憩して、午後一時三十分から再開いたします。
午後零時二十三分休憩
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午後二時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/49
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050・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) それでは、ただいまから委員会を再開いたします。
中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。質疑のおありの方は、発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/50
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051・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 資料だけをきょうはお願いをいたしたいと思います。御配付をいただきました参考資料に関連して、まず二、三補足的な資料をお願いいたします。
漁業種類別保証額の推移の資料をいただきましたが、これと関連して、ちょっと把握しにくいことだと思いますけれども、保証を申し込んでそれを断わったというような事例について、これにそれぞれ相当する年次別の漁業種類別の内訳をひとつお願いをいたします。
それから、事故率の動きが出ておりますが、これをもっと具体的に、金融機関別、年度別、代位弁済をした件数、金額を、それぞれ具体的なバック・データをお願いいたします。
それから財産状況に関連をして、資産の部で繰り越し損失金は三十一、三十二、三十七等が出ておりまして、三十八、三十九は予定額、予算額が出ておりますが、これの組合数と一組合当たり最高、最低というようなものを、繰り越し損失金と本年度損失について、その程度の内訳をお願いいたします。
それから同様に、負債の部で本年度利益というものがありますが、これもそれぞれの年度の組合数——数だけでけっこうです。組合数と最高、最低の利益の内訳を年度別にお示しを願います。
それから次は、漁業金融と漁業融資保証制度で金融機関の貸し出し残高と保証残高との対比がございますが、総計、一般金融、系統金融、財政融資とありますうちの、それぞれ漁業協同組合がこのうちでどういうふうな残高を示しておるかということを、漁業協同組合だけを抜いて、それぞれの内訳をお示し願いたいと思います。
それから中小企業なり、あるいは農業なりについての融資保証制度が実施されておるわけでありますが、そうした類似の保証制度について、業務方法書にそれぞれよっておるわけでありますが、その業務方法書の内容として、第一点は、基金全体の保証の限度額と、第二点は、被保証者一人当たりの保証限度額、第三点は、保証料、第四点は、保証に際しての条件があれば、その条件、第五点は、特に代位弁済の条件、それから受託金融機関の受託する際の手数料、そういうものを、業務方法書の中に出ておると思いますが、それを比較した一覧表をお願いいたします。
次は、漁業構造改善事業の実施状況について、年次報告にも出ておりますが、これを年度別に、計画から実施に入ったそれぞれの実施状況を一目でわかるような一覧表をお示しを願いたいと思います。
次は漁業協同組合の合併の進捗状況について、お示しを願いたいと思います。
それから最後にお願いをいたしたいのは、水産庁では三十七年の三月三十一日に、漁家負債調査報告書を発行されております。これに今回審議の中小漁業融資保証法を審議する上において、きわめて貴重な資料であります。ただこれは、三百余ページにわたる非常に分厚いものでありますから、お手元に資料の余部がなければ、その中の第一章を、これは二、三ページでありますが、「漁業生産と前期的商業資本」という部分と、第二章として「アンケート調査による漁家」というところまでを限って、これは四十二ページまでのものでありますが、これが漁家負債の実態を知る上においては、ほとんど中心的な調査内容になっております。かなりこの中にも、統計数字が盛り込まれておりますが、いずれもこれは、漁業の年次報告にも出ておらぬデータでありますので、四十二ページまでならこれは出していただけるのではないかというふうに、こっちも水産庁の都合をおもんばかりながら、そこら辺まで、第二第までを抜粋して御提出願えれば、この審議には非常にこれは重要な資料でありますから、その点をひとつ御提出を願いたいわけであります。以上委員長のほうから、それぞれ出していただけるかどうか確認をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/51
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052・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) ただいま渡辺先生から御要求がありました資料提出の件でございますが、そのうち繰り越し損失金あるいは利益金というのがございましたが、あれは政府の特別会計における繰り越し損失金なり利益金でございますので、これが組合別に出ているわけではないのでございまして、政府の特別会計一本で、特別会計の中の収支なり財務諸表でございますから、これは組合別には分かれないわけでございますので、その点御了承を願いたいと思います。
最後の漁家負債調査でございますが、資料の余部はございません。もう三十七年度で公表いたしておりますから、当然その中から抜粋して、御要求の分は出したいと思いますけれども、相当ページがございますから、あしたまでという期限が、ちょっとどうかと思いますが、出したいと思います。
先ほど申しました繰り越し損失金と利益金の点は、そういうことで一本でございますが、その点は御了承願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/52
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053・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 非常に私も検討が不十分で、特別会計の説明の資料でしたからこれは御要請は撤回します。
漁家負債の調査は、あすまでとは申し上げませんが、これは各委員とも非常に大事な資料だと思いますので、できるだけ急いで、三百ページのうち四十二ページまでと遠慮して申し上げたつもりですから、できるだけ早くガリ版でも何でもけっこうですから、お出しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/53
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054・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) いまの資料はいつまでに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/54
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055・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 最後の漁家負債調査の分を除きまして、明日一ぱいに提出できるように努力いたしてみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/55
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056・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 漁家負債は来週火曜までには出ますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/56
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057・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) それならば出ます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/57
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058・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) ではさように決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/58
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059・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 中小漁業融資保証制度が発足してから相当時間が経過したわけでありますが、かれこれ十年に及ぶわけでありますが、その十年間の概観といいますか、大観といいますかは、当初の発足当時の大体のもくろみに、考え方の線に沿ってきておるのか、当初考えたようには伸びなかったのか、そういう点のお考えを承りたいと思うのであります。加入してくる会員の数も発足当初に比べまするとそう大きく伸びていないようであります。むしろ減っておるようなところもあるようであります。また、融資の額は全体的に非常に伸びてきておりますけれども、それに応じて保証を抑えておる融資額の伸びの割合はそれほどでもない。したがって融資額に占める、融資の総額に占める保証されておる分の割合というものはむしろ漸減をしておるのじゃなかろうかというふうに見られるのであります。したがいましてそれらを考えて、概観してどういうふうにそれを評価していいかということを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/59
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060・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) まあ概観いたしまして、保証制度が発足いたしまして、毎年大体保証の目標というものを立てまして、それによりまして特別会計等で保険をする、こういうシステムでこれを運用してまいったわけでございますが、予定いたしましたいわゆる保証のワクというものは順次伸びております。三十八年度で百四十億の融資保証ワクでございますが、来年はさらにこれを二百十億の保証ワクにするということで、そういう意味から保証ワクというものも伸ばしてまいっておれます。そういう意味におきましてこの制度が活用されておるということは言えると思いますし、また中小漁業者の資金需要というものも、お手元にお配りいたしました総ワクの中にございますような貸し出し残高が五百四十六億というものから三十七年度は三千百八十億、こういうふうに資金が伸びるにつれて融資も伸びております。それに即応しまして、先ほど申しましたように保証のワクも伸ばしているわけでございます。そういうことで順調にこれは伸びているということが言えるわけでございますが、最後に御指摘になりましたように、いわゆる貸し出し残高につきまして協会が保証した比率というものは二十八年が七・七%のが三十七年四・五%、こういうふうにその保証の融資と保証の比率が下がっております。これはやはり資金需要が旺盛で、それに対しまして保証なくしても融資がなされたとこういうことを示すものでございまして、さらに保証ワクを伸ばしたほうがさらに伸びるのじゃないかという御指摘もあろうかと思いますが、現状におきましては、いわゆる漁協の資金、漁協に対します融資、それから融資の円滑化をはかるために保証制度というものが順調に伸びてきておるということは言えるのじゃないかと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/60
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061・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 全体の融資額と協会の保証額との比率がだんだん減ってきておるわけです。このことは減ってきたらすぐに成績が上がるという性質のものではなくて、それだけ言いかえれば融資を受けるほうの側の力がついてきたと見方によればできるわけであります。そういう点の考え方ですね、どういうふうに見たらいいのかという点について、ぼく自身としてははっきりした考え方が出てこないので伺ったようなわけであります。幸いにこういう保証制度によらなくても融資を受け得るという実態がそういうふうに成長してきたのだとすれば、これはこれで非常に喜ぶべきことだと思います。その点が若干の疑問が私には残るのであります。それに関連して、たとえば漁業協同組合に参加しておる個人の漁業者の分も会員数としては千五百人見当であって、それはそう十年間に変化はあまり大きくはない。法人としては百七十見当ですかが、会員として参加しております。会員である漁業協同組合、これは漁業をやる協同組合でありますが、それから法人、それは有資格——会員となり得る資格のある漁業協同組合なり法人の中でどれほどの割合を占めておるのだろうかということを、大体でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/61
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062・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 漁業協同組合のほうから申し上げますと、漁業協同組合の信用事業を営んでおるものは、ほとんど加入しておる状態でございます。それから個人の中で個人会員となるべきものでその組織が法人経営になっているもの、それは大体二割程度入っているということでございます。それでいわゆる組合の組合員というものは非常に個人会員として入る率は少ないのじゃないか、こういうことが言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/62
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063・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 それから今度新しく信用事業を行なう漁業協同組合が金融機関として登場してくる改正が行なわれ、そうして、それの組合員は協会の会員の資格を持たなくても保証を受けるということになるわけなんです。この点は午前の森委員の質疑もそれに関連しての論議があったのでありますが、いろいろ疑問の点があるのでありますが、それはそれとして、この漁協の組合員が保証を受ける場合の保証の限度ですね、限度をどういうふうに具体的におきめになるのか、構想であるのか考え方であるのか、これをひとつお聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/63
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064・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 御質問の要点は、会員たる漁業協同組合が金融機関に指定されて、そして金融機関たる漁業協同組合が組合員に貸し出す場合に、その組合員が協会の会員でなくても、その漁業協同組合が会員となっておれば、直接に協会が保証する、こういう場合の組合員に対する保証の限度は幾らか、こういうふうな御質問と、こういうふうに心得てよろしゅうございますか。——そういう場合は、これは総額といたしましては、その金融機関に指定された会員たる漁業協同組合の出資の総額の——これは業務方法書できまりますが、現在平均して五倍と、こういうふうになっております。百万円最低出資するように指導いたしておりますので、その組合の保証を受ける限度は五百万円、こういうふうに相なるわけでございますが、これが金融機関として組合員たる漁家に貸し付ける場合の、その漁家が保証を受けて借り入れる限度というものについては、それが零細な漁家であっても出資を要せずして会員と同じ扱いを受けるという道を今度開いたわけでございまして、これが零細な漁家の便益になるように、できるだけたくさんの組合員に利用できるようにという趣旨から、大体一組合員の保証を受けて借り入れる限度というものを、業務方法書で大体五十万円以内というふうにいたしたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/64
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065・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 大体五十万円といたしまするというと、かりに組合のほうの出資が五百万円だとすれば、組合員の中で約十人見当がそれに参加し得るということになりましょうか。——つまり、組合の出資は百万円というのを最低にしておる、大体。そうすれば、その最低の線でいけば五百万円、一組合員の保証される限度が五十万円だとすれば、組合員の中で約十人が融資を受ければ、大体限度一ぱいであるということになるわけだけれども、大体そういうことですかと、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/65
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066・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 漁協の出資は、ちょっと私間違いましたが、大体百万円平均ということで、いまなっております。これはできるだけ多くするという方向で指導いたしております。それから会員の保証を受け得る限度というのは、大体平均で五倍ということになっておりますが、三十九年度からはこれをさらに引き上げていくということで、大蔵とも話をつけてございまして、この五倍はさらに八倍見当にしたい、こういうふうに考えております。
それから会員でない組合員が保証を受け得る限度というのは五十万円にしよう、こう考えるのでございますが、これはやはり組合の実態なり、その状況に応じて限度が五十万円でございますから、必ずしもみな限度一ぱいづつ借りるということではないかと思いますが、かりに限度一ぱいづつ借りるとすれば十人、こういうことになろうかと思います。これは組合の保証を受け得る限度を今度八倍に引き上げますれば、五十万円の限度においてはさらにこれは大きくなる、こういうことになろうかと思いますが、これはやはり、あまりへんぱにならないようにという意味で五十万円に押さえたわけでございますので、必ずしも五十万円一ぱいづつみな借りるというわけでもありませんで、二十万円もありましょうし、三十万円もありますが、平均はそういうふうになります。これは実際これから運用してみないとわかりませんが、最高限度をきめるということになればば、現在の五倍の倍率でいきますれば十人ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/66
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067・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 そういう金融機関に指定されて、漁協が同時に自分自身が融資を受けて、保証を受ける会員となり得る資格を持っているわけですね。したがって、一つの漁協が二つの性格を有する。組合自体が他から融資を受ける分についても、その出資額というものが保証の見返り的な役割を持つわけです。同じ出資額というものが同時に自分自身の融資の分の担保的な役割をし、同時に、組合員の保証に対する一つの担保的な役割をする、こういうことになると思うんですけれども、そうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/67
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068・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 今度信用事業を営みます漁業協同組合を金融機関に指定する、こういうことに相なりますと、金融機関としての性格を今後持ってくるわけでございます。それで、みずからの資金なり、あるいは調達した資金を組合員に貸す場合に、今度の新しい制度では、保証協会から保証する、こういう道が開けるわけでございます。いわゆる直接貸しに対する保証でございます。その場合に、先ほどから申しますように、この組合員が保証を受け得る総額というものは、金融機関として指定される前に漁業協同組合として、会員になった場合の出資額の五倍ないし八倍、こういうふうになると、さっき説明いたしたわけでございます。それで、やはり組合といたしましても、組合員に資金を融通するばかりではなしに、組合自体もやはり金融機関としての性格と、それから事業主体、購販売事業としての事業主体、両方の性格を持っておりますから、購販売事業等で組合自体が共同施設として冷蔵庫を設けるとか、そういった場合の融資を組合が金融機関から受けてくる場合、そういう場合にもその出資しました金額に対する一定の倍率をかけた保証を受け得る限界ならば、直接その金融機関から単協がお金を借りる場合に保証も協会がつける、そういうふうに二重の性格に相なる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/68
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069・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 そうだとしますと、結局会員としての漁協が出資をしておるその出資というものは二つに働くわけです。したがって五十万円、そのメンバーに対する保証の限度が五十万円であるとしても、自分自身がその保証によって系統的に、あるいはほかから融資を受けてくれば、当然それが減ってくるわけのものですね。当然減ってくるのです。かりにフルに受ければ、その所属の組合員としては保証が受けられないという結果になるように思われるのですが、そういう点は仕様書でうまく書き分けができるものであろうか、どういうふうに措置をされるのか。一つのいわゆる出資があり、その倍率が保証的な役割をする基礎をなす、それが二つに働くということになってくると、性質の違うものが二つ働くわけでありますね。それが非常に明確に区別されて処理されていくものであろうかどうか、若干私には疑問が出るのでありますけれども、そういう点はどういうふうに処理されるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/69
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070・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 梶原先生が御質問になりましたように、会員たる組合が出資しておりますから、会員たる組合がみずからの事業の設備資金なり運転資金を調達するという場合の受ける保証と、それから組合員たる漁家に貸し付ける場合に働きまする保証の限度というものは区別して、その両方の合計が組合として出資した金額の何倍におさまるように、こういうふうに業務方法書で明確に書く、こういうことにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/70
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071・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 そういうことになるでしょうけれども、まあそれはそれでいいです。
それから組合員としては、基金から保証が受けられる、その場合の金融機関としては、自分が所属する漁協もあれば、他の金融機関から融資を受ける場合もあるということになるであろうか、あるいは組合員として保証を受ける場合は、その所属する漁協からの融資に限定されるのか、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/71
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072・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 制度上は金融機関になるわけでございますから、組合から融資を受ける場合が大部分かと存じます。制度上は組合以外の金融機関からも融資を受ける場合に保証を受けるということを排除いたしておりません。それで、そういう場合には組合の融資を受ける保証を受ける限度との関係がございますので、組合から融資を受ける場合以外の場合は、必ず組合の承認を受けるようにということで、その組合の保証を受ける限界におさまるように、事前にそういう点の調整はつけさせる。こういうことを業務方法書等で指導してまいる、こういうことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/72
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073・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 もう一点、現在の制度では、個人である漁業者に対する保証融資ですが、それが組合員である場合には、会員にならずに保証があるけれども、その場合に金融機関は制度的には限定がされておらない、こうなりますると、現存、個人として、会員としてでなくてこの制度を活用しておる漁業者が相当ある。その中には漁協の組合員であるものもどの程度か知りませんけれども相当あり得るわけです。そうなってくるというと、会員として自分自身が出資を相当して保証を受けているという必要がなくなるので、もちろんこれは融資の額によりますけれども、何も自分が出資をしなくても保証がされて融資が受けられるとすれば、現在会員となって出資をしておるものは、会員を脱退するといいますか、脱会することになるのが当然であろう。もし組合員である資格と会員である資格と両方持っておれば、それは両方の保証の限度を合わせたものが活用し得るといいますか、計算の基礎になり得ると、こういうふうになるように思うんですけれども、それはそれでいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/73
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074・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 今度制度を改正いたしました趣旨は、零細な沿岸漁家の資金需要に応ずるということで、出資までして保証を受けるということの非常に困難な面を切り開いていこうと、こういう趣旨でございます。そういう意味で最高限度五十万円、こういうふうにいたしたわけでございますが、五十万円以上の資金需要があるというようなときには、さらにこれは指導といたしましてその組合員を会員となるように指導してまいりたい、こういうふうに考えております。そういうことで、いままで会員でなかった組合員が、今度の制度改正で会員でないままに組合が会員である場合には保証に均てんし得る道が開かれるわけでございますが、さらに個人として協会に出資いたしますれば、さらに追加してその出資分の倍率で保証の均てんを利益を受ける。そういうことで重複していこうと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/74
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075・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 同時に、大体個人会員も出資五万円ですか、かりに倍率を十倍にして五十万円、したがって五万円出資をして五十万円の融資を受けてその保証を受けるよりは組合員であれば会員の資格を放棄をして出資なしに保証を受けるほうが、はるかに有利の立場に立つわけです。したがって現存の個人会員の千五百人のうちで、どれほど漁協の組合員があるのかどうか初めに伺ったんですが、まあ若干あるとすれば、何といいますか、脱退することになるであろうし、また漁協の組合員として五十万円の保証を受け、さらに会員として保証を受ける。その会員としては今後は組合員の立場でその組合から融資を受けるということになるようになると思うので、それのいい悪いは別として、そういうふうになるというわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/75
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076・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) そのとおりでございます。それから現実の姿としては、転貸の場合、従来は転貸でやってきた場合でございまして、その場合非常に資金需要が旺盛でございますが、小口のものが集まって転貸の形で組合から貸し付けている、こういう形になります。今まで直接会員になって保証の利益に均てんしているというのは、わりかた大口の融資を受ける者が多いわけでございまして、いま梶原先生が御指摘になったように、会員資格を脱退して五十万円の中に入ったほうがいいといったようなことは、理論上は言えると思いますけれども、現実の姿としては、大口の者が個人会員になっておりますので、そういったおそれはまあない、こういうふうにわれわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/76
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077・高山恒雄
○高山恒雄君 関連質問。その場合、借りるときにはそうして借るだろうと私は思うのですが、もし三人組んで個々に借るのですよ、個々に借るのは、零細漁業ですから、その場合三人が法人資格をとって会社やると、こういう場合はむろん個人に貸したのですから、その金銭の問題は別にないのですが、組合との対立的な関係というものは、そういう点から起こってこないかという心配を私は持つのです。もし借りるときには個人で借りる、借りてしまったら法人資格をとり、そうして会社にしてやっていこう、こういうふうな方向に進んだ場合、組合との関係はどうなるか、危険はないかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/77
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078・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) まあ、融資を受けた個々の漁業者が出資をして会社をつくり法人経営をやると、こういう御指摘でございますが、法人それ自体も限度によりましては漁協の組合員たる資格があるわけでございまして、それはそういうふうに法人を加入させるという道もございますし、そういうことで対立の仕事をするということは好ましくないと思いますけれども、個人経営を法人組織で合理化していくという面においては、必ずしも組合と利益が対立するとは考えられないわけでございますし、また、そういう法人を組合員とするという道も開けておりますので、そういう点は御心配ないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/78
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079・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 次に、保証の限度の問題ですけれども、保証の限度が出資の四倍から五倍、ところが実際を見ますると、大体倍程度のように思う。現在各種のこういう保証制度が相当あるわけですけれども、二倍見当というのは比較的少ないのじゃなかろうか、こう思うのですが、なぜ二倍程度にとどまっておるのであろうか。なるほどお話しの漁業協同組合関係で、組合員が零細であるために漁業協同組合関係のほうは相当倍率が実際上少ない。言いかえれば漁業協同組合が借りる場合に、それ自体の基礎が脆弱だからか、あるいは組合員に貸すことに非常に危険が伴うために、保証を受けて借りる金額が少ないのか、一応少ないことはわかりますけれども、しかし、個人なり法人なりいろいろあるわけです。それらを通じて、やはり全体的に見れば、融資額と保証金額との間に四、五倍まで融資ができるにかかわらず、現実は倍程度である。倍程度であるということは、言いかえますると、そこに積んでおる出資金、出資額ですね、これが非常に不効率に積み立てられておるということを意味するわけだと思うのです。その原因は一体どこにあるのだろうかという疑問を私は持つのですけれども、長官はどういうふうに見ておられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/79
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080・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) この信用保証事業制度を始めました当時におきましては、いわゆる漁業権債権をそのまま出資に切りかえた、こういういきさつがございます。それで、漁業権債権でございますので、当時の資金需要、組合の資金需要を端的に反映した出資にはなっていなかったのじゃないかと、こう思われる節もございます。そういうことが制度開始の当時の事情でございますが、現状におきまして、出資の利用効率が大体二倍程度になっている。で、利用されていない出資金が相当あるということが言えるわけでございますが、それは制度の趣旨がまだ十分徹底していないという面もあろうかと思いますが、二面、やはりこの保証制度に保証料を払って、保証制度によって制度の金融を受けるという必要のない組合で、やはりそういう漁業権債権を出資したという面で未利用に終わっている面も多々あろうかと思います。今度の改正では、組合から従来は転貸という形でいっておったのを、個々の零細な沿岸漁家に、直接金融機関に指定された会員たる漁業協同組合が融資する場合に保証できる、こういう道を開きますれば、そういう面の未利用の面が活用されていくとわれわれは考えてやったわけでございますけれども、そういう面でも今後大いに利用倍率を上げていきたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/80
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081・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 保険会計のほうですけれども、各年度ごとの出資は資料に出ておる。発足以来今日まで、会計として大まかといいますか、今日までを通してみまするというと損益はどうなっていましょうか。バランスがどれほどになるか、あるいは赤字がどれほどになっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/81
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082・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 繰り越しの損失金は、去る二十九年、三十年に損失が出まして、それが三十一、三十二年と繰り越してまいっております。で、利益で少しずつ消しておりまして、三十九年度に繰り越す損失金は一億五千六百万円程度に相なっております。で、三十一年度、三十三年度以降は、大体利益のほうが出てまいって、損失を逐次埋めておりますので、単年度といたしましては、最近の情勢は大体黒字会計になっておる、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/82
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083・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 単年度ではプラスのときもマイナスのときもありますけれども、今日まで通算してみますとマイナスになっているのか、マイナスになっているとすれば、どれほどマイナスかということなんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/83
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084・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 特別会計のいわゆる利益金は、最近は好転して、当年度は黒字になっておりますけれども、ずっと前に出ました繰り越し金を逐次埋めておりますので、三十九年に繰り越し分として予定されますものは、一億五千六百万円程度の赤字ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/84
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085・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 求償権といいますか、それとの関係はどういうふうに見ておられるんでしょうか。求償の対象になっておる額が十億をこしておるようですね。これは十億、幾らですか、資料にはあるんですけれども。十億見当の求償権は大体そいつは入ってくると、確実な債権であるのか、相当内容において危険である債権であるのか、そういう点はどう見たらいいんでしょうか、お伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/85
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086・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 求償権の残高は、三十九年度予算では十二億二千万程度を予定いたしております。これはそれぞれの協会におきまして回収いたしまして、協会の分と特別会計に納める分を返納してくる、こういうことになっております。従来の実績から申しますと、大体求償権の五割程度は確実に返ってくる、大体七割程度は求償されていると考えられております。そういうことで、あとは二、三割程度が非常に危険なものがあろうかと存じますが、大体七割程度が返還されてくる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/86
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087・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 そうしますと、これまでの繰り越しの損失が約一億五、六千万、それからそれに求償権の内容で約三割見当が回収困難であろうとするというと、三億五、六千万円、合わせてかれこれ五億見当が内容的に欠損である、こういうふうにくんでいいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/87
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088・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 推定でございますが、大体三十九年度見込みといたしまして十二億程度というものが求償権の対象になっております。いままでの実例から言いますと、七割程度は返ってくるわけでございますが、当年度といたしましては、このうち五割程度は確実に返ってくる。こういうふうに見込んでいきますと、これは現在はこの求償権のやつは簿外になっておりますけれども、入ってくればそれぞれのあれに充当していくわけでございますが、そういうことで繰り越しの損失金と、それから収入として保険料として入ってくる分、そういうものと全体をそういう見込みで決算いたしますと、特別会計といたしましては約一億四、五千万円は黒字になるんじゃないか、こういうふうに推定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/88
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089・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 そうすると、求償権は一応簿外になって、入ってくると、利益といいますか、収入に入ってくる。昔は簿外に落としましたときは、やはり一応保険金の支払いとしての何といいますか、支出になっちゃっているわけですね、計算上。——わかりました。
それから保証料率ですけれども、事故が比較的多い、この中小企業その他保証制度を実行しているものは、かれこれ十近くありますけれども、その中でこの漁業関係が最も事故率といいますか、これが私多いと思うのです。多いについては、いろいろの理由がもちろんあるので、それをここでとやかく言う必要は私はないと思う。ただ、それにいたしましても、保証料率がこれまたきわめて高いと思うのです。いま保険料を若干下げるということになると、それはそれできわめてけっこうだと思いますけれども、保証料率をもう少し下げるくふうというものは、計算上出てこないであろうか。そうでなくとも、現在零細な利用者に対する金利の負担というものが、相当重圧になっていることは御承知のとおりで、この前のレポート、最近見ましたレポートでもそれを強調されているわけなんです。それにつけ加えて、保証を受ける場合においては、四厘とか五厘とか、あるいは六厘とかというふうなきわめて高い保証料を払わなくちゃいけないというたてまえになっている。私はこの保証料率が、結局保証を受けたくても受けるのをちゅうちょせしめる最大のあれじゃなかろうかと、実は想像しておるのであります。間違っているかもわかりませんが。何とかこれを世間並みといいますか、こういう制度をしく以上は、もう少し軽減するくふうがあってしかるべきだ、こう思うのですけれども、ひとつ長官の御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/89
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090・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 御指摘のように、中小漁業融資保証制度におきまする保証料は、日歩二厘ないし六厘、平均いたしまして大体四厘ということに相なっております。これはやはり実態が、沿岸漁業を中心とした漁家に対しまする保証でございまして、やはり魚況、海況というものに漁業が支配されやすい面がありまして、そういう面から平均四厘、こういった保証料に相なっておるわけでございまして、御指摘のように、やはりこの保証料が四厘であるということは、通常の融資を受ける金利の上積みになるわけでございますので、零細な沿岸漁家に対しては、やはり金利負担という面でこれを軽減するにこしたことはないと思って考えております。それでこの保証料のうち、国に納めます保険料が大体年ただいまは二%になっております。で最近におきまする保証及び融資制度の運用状況、特に先ほど申しましたような特別会計におきまする保険の関係等で、財政状態が非常に好転してきておりますことは、結局事故率が安定してきた、こういうことになるわけでございまして、三十九年度におきましては、この保険料の二%を一・七五%に下げる、こういうことにいたしております。〇・二五%引き下げて保険料は一・七五%に、年でございますが、引き下げます。そういう関係でこの保証料も来年から多少引き下げるということ、こういうことに相なろうかと存じますが、われわれといたしましても、やはり将来を見越しての協会なりあるいは特別会計の健全運営ということをはからなくちゃならぬと思いますので、一挙にこれを引き下げるというわけにまいりませんので、運用状況を見ながら、逐次引き下げていく、こういう努力をさらに重ねていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/90
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091・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 いま一点それに関連しまして。先ほど長官も言われたのですけれども、沿岸漁業、中小漁業で相当リスクがある。したがって、なかなか保証料もそれらに関連して高くなる、こういうわけですが、金融機関が融資をする場合に、会員に対して融資をする際に、この制度による保証を受けておる融資については、その金利に若干の考慮が払われておるのか、全然払われていないのか、その間の平仄はどうであるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/91
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092・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 系統資金の場合は、やはりこの保証制度で弁済が保証されているという関係で、金利が引き下げられております。それから地銀のほうも系統のほうから申しますと、日歩一厘ないし二厘低くしてございます。地銀のほうもいろいろございますが、私も地方にいたときの経験から申しますと、保証を付するのだから下げたらという指導をいたしまして、やはりこの系統と準じながら引き下げているところがございますが、全般的にまだそこまではいっていないと思います。今後もそういう努力はいたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/92
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093・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 それから次に、今度新しく水産加工業関係が参加してくるわけでありますが、漁業のほうはいろいろ資格その他に制限がありますが、加工業関係では、法律上あまり制限を置いておらぬけれども、個人経営の水産加工業あたりについては、別段その資格等について制限をする必要はないのでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/93
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094・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) ただいまのところでは、個人の場合は制限ございませんが、法人の場合は従業者四十人未満、これは法律に書いてあるとおりでございまして、そういうふうに零細なあるいは小さい経営のやはり資金梗塞を緩和する、こういう意味で、いまのところは個人は漁協と同じように制限ございませんが、法人については四十人まで、こういうふうな制限で考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/94
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095・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 それから、新しく水産加工業が参加するわけです。これまでのこの制度としては、それを予想していなかったわけですが、新しくその道を開かれますについては、どの程度の融資ワクといいますか、資金力に対して保証が行なわれるような見込みであるか、大体のそのもくろみといいますか、想定というものがあろうと思いますけれども、どういう想定をされているのか、その点を最後に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/95
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096・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 水産加工業を今度保証の対象にいたすわけでございますが、われわれといたしましては、これは漁業の振興にこの加工業が安定経営をはかる原料等を、そこで有利に購買して加工するわけでございますので、加工業の振興は即沿岸漁業の振興につながる、こういうことで加えたわけでございます。そういう意味で、零細なものを中心にいたしておりますし、また都市でやる加工よりは、漁村でやる加工に重点を置いてこの制度を運用してまいりたいとこういうふうに考えておるわけでございます。これは沿岸漁業と密着しておる、こういう関係があろうと存じます。来年の保証ワクは二百十億を大体予定いたしておりますが、それを算定いたしました大体の推計でございますけれども、加工業関係十二億程度と、こういうふうに考えております。実績がはっきりわかりませんので、これから新しい制度として運用をしていくわけでございますが、大体そういう漁村的な加工業を中心にして考えますと、来年十二億程度というものを想定して考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/96
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097・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 十二億というのは、その保証の対象になる融資額というわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/97
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098・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/98
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099・堀本宜実
○堀本宜実君 研究が不十分で質問が徹底しないかもしれませんが、先ほどお聞きいたしておりますと、保証限度は出資額の四倍ないし四倍半というようなふうに承ったのでありますが、実際は、現行は二倍程度であるというふうに聞きましたが、そうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/99
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100・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 会員が保証を受ける限度は、会員が出資いたしました金額の現行では四倍ないし六倍で、平均五倍、これは来年度からはさらにこれを引き上げていく、こういう考えでございます。現実に保証として利用されている限度は、全国マクロにして見まして出資金の二倍程度、こういうふうになって未利用のワクが残っておる、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/100
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101・堀本宜実
○堀本宜実君 そこでこれがいろいろありますね、個人それから協同組合、生産組合、法人とあるわけでございますが、それぞれに今度は個人というものがふえてきたわけですが、そういうものが借り入れ等をする場合に、金利の種類というものがまた違ってくると思います。たとえば農林中金あるいは協同組合、信用組合連合会、銀行あるいはその他政令で定めたつまり金融業者といいますか、融資を業とするものというふうに規定されておるのでありますが、それと制度融資、公庫がある。そこでこれらのいま考えられておる個人に対する保証額のほうでなしに、一般出資金によって保証額をきめるということになっているんだが、おおむね一般のそういう個人にもせよ法人にもせよ、生産組合あるいは協同組合等が資金を借りようとする場合に、資金別に限度がありますか。つまり出資額だけで保証しようというのでなしに、それぞれの限度に応じた保証というものがあってもよさそうに私は思うのですが、つまり、出資額だけからのものを保証しようというふうな考え方でなしに、たとえば個人と法人、わかりやすくいえば、この問題から離れて、たとえばそういう融資の制度がいろいろあるが、その融資の制度で個人に融資をされる場合、あるいは法人に融資をされる場合に、おのおの限度があろうと思う。その限度はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/101
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102・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) この保証の対象になります分は、農林中金あるいは県漁連、信連、それから今度金融機関になりまする協同組合の手持ち資金、それから地方銀行、それから政令で定めております信用金庫、そういうものから融資を受ける場合に保証するということで農林漁業金融公庫の融資については……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/102
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103・堀本宜実
○堀本宜実君 制度融資はないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/103
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104・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) ございません。これはもうあれ自体が低利長期の資金ということになりますから、あれは保証の対象になりませんが、大体中心は系統資金でございます。系統資金から個人に融資いたします場合は、やはり資金需要によりまして、それが運転資金の場合と設備資金の場合に分かれるわけでございますが、所要の資金に対してこの保証制度と離れて考えた場合に、担保力、自己の担保力、個々の担保のいかんによって、大体融資の限界は定まるということで、種別によりまして、設備資金だから幾らまでとか、個人によって幾らまで、法人ならば幾らまでというそういう限界はございません。資金需要に応じて、信用力に応じて借り入れを受ける、こういう場合にこの保証制度がやはり動きますれば、そういう限度が上がっていく、こういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/104
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105・堀本宜実
○堀本宜実君 たとえば農業のほうで申しますと、土地取得資金というようなものを例にとりますと、法人には二百万、あるいは個人には八十万というような限度がございます。これはそれじゃ担保力というものは、主として沿岸漁民等を考えてみると、船以外にはほとんどないのが通例だと思いますが、きわめて担保力の弱い私は業種だと思うのです。そこで、かりにそういう担保力に依存をするということで、出資額というものの見合いで保証をきめるということになりますと、何かそこに私は見合わぬものがあって、いかぬと思うのですね。たとえば担保力だけあれば、系統資金であったらそこでたとえば二百万なり三百万なり貸す。幸い担保力があるから相当な額が貸せる。ところが出資額はそれと見合った出資額をしていないという場合には、担保と保証というものとの関連性がございますか、そこで起きてきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/105
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106・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 非常にむずかしい御質問でございますが、いま例に引かれました土地取得資金は、これは自作農資金の関係で、公庫から貸し出す場合かと思います。漁船とかそういう基本的な生産手段に対しまする、あるいは共同施設とかいった基本的な施設なりに対しまする分は、やはり農業と同じように公庫から漁船の資金とか、あるいは共同施設としての資金とか、あるいは漁船整備の、大型化するための資金とか、それぞれ漁民の資金需要に応じて大体限度はきめて貸し出されております。その他の系統資金につきましては、やはり担保力と言いましたが、担保力は現在持っている財産とか、そういうものばかりじゃなしに、漁業で安定してその資金返済が可能かどうかという安定の問題もあると思います。投資した資金によって漁業経営を営んで将来その漁業経営がどういうふうに動いていくか、そういった見通しの問題もあろうかと思います。そういうことでなかなか金融機関でも非常に厳密な査定はするだろうと思いますけれども、その場合に保証制度がその最後の保証になるというわけでございまして、それが御指摘のように、零細なものはそういう出資ができないから、均てんする度合いがないじゃないかという御指摘でございますが、これは今度はそういう零細なものは出資しなくても、組合が出資して、共同施設の形で出資しておれば均てんする道を開くということで救えると思いますし、やはり資金需要が大きければ多少の出資をして、それはみんなの共同の助け合いの施設でございますから、それだけの努力はやっぱりしてもらわなくちゃならぬかと思いますけれども、今度は出資に対しまする保証を受け得る限度というものを、いま大体五倍というのをこれを八倍以上に引き上げたいということで、そういう面の疎通もはかってまいりたいということで措置をしたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/106
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107・堀本宜実
○堀本宜実君 どうも私も研究が不十分だからよくわからないのですが、ちょっとこの担保力なり、それから将来の企業としての、いわゆる生業としての見通しというものの見方というものは、実にむずかしいものですね、漁業というようなものは。自然の現象によって、たとえば去年のような異常潮流がありますれば、例年とれる漁獲物が半減をするという場合も起こってくるわけで、そういうものをファクターとして相当見るということは困難だと私も思う。その点はよくわかるのだが、漁業組合なんというものは比較的弱いものですからね、現実に二倍ぐらい貸しているということでは、ほんとうにさみしいということなんですが、それが将来引き上げられるとはいうものの、たとえば個人が借りようとする道は開いても、漁業協同組合員であり、漁業協同組合が出資をしておるということが、比較的零細に過ぎる場合が私は現実にはあると思うのです。理屈はそう解釈ができても現実は少ない場合、そういう場合には個人に振りかわって組合が追加出資でも行なって、そうしてそれにこたえられる道が急速にできるのかどうか。それはやはり組合員の出資というものが随時に行なわれるのか。随時に行なわれない、定期的に行なわれる出資だと、借り入れ金の見合いで出資をしようとしても、急には行なわれないと思うがそういう点はどういうふうになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/107
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108・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) これは御配付申し上げました基金の業務状況の表でごらんになってもわかりますように、二十八年度の出資金というものは協同組合で十四億九千六百万円、こういうふうに二十八年当時にはなっておりますが、三十七年では二十億というふうに多少これが六億程度伸びている、こういうことでございます。それから漁業生産組合で四千三百万円が一億一千二百万円、個人では三億三千万円程度が五億九千万円になっている、法人で一億二千万円が三億二千万円になっている、道府県の分が五億が倍の十一億程度に伸びているということで、やはり資金需要に応じまして、この出資金もできるだけ出していくというふうに指導していきたいと思いますし、やはり資金需要が旺盛な組合は、追加出資をして保証ワクをふやして融資を受けているという現状でございますので、やはり組合の状態の好転を指導するとともに、こういう面の出資をできるだけふやして、こういう金融の疎通をはかっていくという指導は、今後とも進めなければならない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/108
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109・堀本宜実
○堀本宜実君 よくわかりました。そこで、結局追加出資ができて、そしてその貸し出しというものにこたえられれば、私は出資基準によって保証額をきめていくということも一つの方法だと思うのですが、比較的弱いことを知っていますから、二十億といってみても、個々の組合につきましては実に零細なものだろうと思うのです。それが今度はすでに借りておりましょうから、初めて借りるのじゃないのであって、その後にこれまた借りようとする傾向がきわめて顕著なのですから、そうすると、今度新しく個人が借りようとしたときに、なかなかそのワクが新しくは設けられにくい現状ではないか、こういうふうに思うのです。で、実際はやはりある程度の出資に見合うというだけではちょっと何かもの足らぬような気がするのですがね。出資だけにものをいわせないで、やはりもう少しおおらかな意味での貸し出しというものができないものかと思うのですが、これは命を貸すほうだから、どうしても取らなければならぬのですからね。だから、貸すほうの立場としては、厳密な一つの立場に立って取引をしないと、貸して返してもらわなければならぬという問題が、最後に起こってくるわけですから、そこで保証というものを大きくする責任が起こり、また保証したら、その貸し付け金に対する保証責任々負うわけでありますから、私はそう簡単にはいかぬと思いますけれども、漁業等は単なる出資金だけで貸し出し金の操作を規定するか、何かほかに方法はないものだろうか。担保物件といっても、これは長官御承知のように、漁業者の担保物件というものは、農民でもそうですけれども、至って中小企業と同じように担保物件というものはあまりないのですよ。ですから、その点をちょっと伺ってみたのですが、まあとにかく将来そうやって出資金もふえていけば、あたたかい制度にはなると思いますけれども、できるだけこのいまの構造改善等が——構造改善ではないかもしれぬが、つまり沿岸振興法等が施行されてまいります今日ですから、特にその点を留意してやっていただきたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/109
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110・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 御指摘の点、まことにごもっともな点でございます。そういう点で、われわれといたしましても、出資に対しまする保証の限度の引き上げというものを、やはりこの保証制度の健全な運営を見守りつつ保証限度を引き上げるという措置を逐次やっていこう。その初年度といたしまして三十九年度も平均五倍というのを八倍以上十倍程度にしていく、こういうふうにしてこれに均てんし得る限度を引き上げていく、こういうことで御指摘の点は対処していきたい、こう考えております。なお今後ともそういう点の緩和につとめたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/110
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111・堀本宜実
○堀本宜実君 それから、ちょっとお伺いしますが、事故率がだいぶ組合と個人とで違いますか。組合がいろいろ貸し付けますね、個人、協同組合、生産組合、まあまだ初めですからはっきりはわからないが、事故率というものはどういうふうな見通しですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/111
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112・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 事故率は御配付いたしました表の三ページに書いてございます。年々の事故率は、初年度が五・三五%でございますが、三十七年度は事故率は当年度で一・三三%、こういうふうになって、累計して事故率が四・七九%になっております。二十九年、三十年というのは、サンマとかイワシの非常な不漁がありまして、事故率が上がったわけでありますが、この運営状況を見ましてもおわかりになりますように、当年度の事故率も下がってまいりましたし、累計の事故率も逐次下がってまいっております。そういう面から保険料も、先ほど申しましたように、二%の保険料を一・七五に下げるということで、これは五カ年計画でさらにこれを逐次下げていく、こういう方向に処理していきたい、こういうふうに考えております。こういう面から見ましても、この保証制度に均てんいたします面の漁業というものは、わりあいに安定してきている、こういうことが言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/112
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113・堀本宜実
○堀本宜実君 最後にもう一つ。その事故率は協同組合あるいは生産組合、まあ個人といっても、今度協同組合に加入している個人というのはまだわかりますまいが、いままでの個人と称されるものですね、そういうところの数はどうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/113
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114・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) これは全体的なものでございます。大体個人というものは、現行法では転貸の形でいっておりますから、そういう面におきましてやはり組合指導等もありまして、逐次下がってきている、こういうことは言えると思いますが、その内訳として、この個人のものと、それから法人のものとの内訳はいま持っておりませんので、何とも申し上げかねますけれども、この内訳は最近のものがないそうでございます。で、三十四年に中身を調査したことがあるそうでございますが、やはりその業種別なんかで言いますと、法人加入、会社加入——個人で法人加入しているカツオ、マグロとか、そういったものが一番事故率が少ないようでございます。で、生産組合あたりにやはり事故率が多い、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/114
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115・藤野繁雄
○藤野繁雄君 私はこの委員会の運営方針について希望を申し上げておきたいと思います。農林大臣の所信に関する表明については、委員長はじめ各理事の強力なる一致行動のために無事終了したということは、委員長はじめ理事に感謝のまことを捧げます。
いま提案された法律案を見てみまするというと、本付託が二件で、その他が十一件のようであります。だいぶ法律案も多いようであります。そこで、私などもこの法律案については、本付託の法律案であってでも、予備付託の法律案であってでも、できるだけすみやかに各法律案についての提案理由の説明と、補足説明と、資料の説明をしてもらって、私などが今後すべての法律案を勉強する参考にしてもらいたいと思うのであります。そして、いままでの状況から見てみますると、農林大臣に対する所信表明が終わったからでありますが、今後とも私が申し上げたような十三の現在出されているところの法律案についても勉強するということであったならば、少なくとも三月からは、まず一カ月問における長期見通しを立ててもらいたい。大体こういうふうな法律案をこんな順序でやるのだ、そして各週ごとの審議は、前の週の最後の日に、こういうふうな法律をこうやるのだというようなことを言っていただいたらば、私などは法律案の勉強に非常にいいと思う。しかしながら、これは予定であるのでありますから、そのときどきによって変更されるのは、当然のことだと思うのでありますが、そういうふうなことによってお互いが勉強し、そして国民の負託にこたえるように委員会の運営をしてもらいたいと思うのであります。私の希望を申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/115
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116・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 藤野委員の御意見ごもっともでありますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/116
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117・大河原一次
○大河原一次君 その点について。僕も非常にその点については同感だと思うのですがね。なお具体的にはどうするかについては、一応ぼくは藤野委員の案には賛成ですよ。具体的な今後の運営方法については、さらに積極的に委員長・理事の中で練ってもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/117
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118・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 藤野委員の御意見はごもっともでありますので、委員長及び理事の間におきまして、よく御相談の上で御趣旨に沿うように取り運びたいと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/118
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119・藤野繁雄
○藤野繁雄君 どうぞよろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X00719640225/119
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120・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 別に、本日は質疑がないようでありましたら、本日は以上をもって散会いたします。
午後三時三十一分散会
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