1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月十日(金曜日)
午前十時三十八分開会
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委員の異動
四月十日
辞任 補欠選任
大河原一次君 野溝 勝君
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出席者は左のとおり。
委員長 青田源太郎君
理事
梶原 茂嘉君
櫻井 志郎君
渡辺 勘吉君
北條 雋八君
委員
植垣弥一郎君
岡村文四郎君
木島 義夫君
北口 龍徳君
仲原 善一君
温水 三郎君
野知 浩之君
藤野 繁雄君
堀本 宜実君
森部 隆輔君
山崎 斉君
大森 創造君
小宮市太郎君
野溝 勝君
矢山 有作君
高山 恒雄君
国務大臣
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
政府委員
農林政務次官 松野 孝一君
農林大臣官房長 中西 一郎君
農林省農林経済
局長 松岡 亮君
農林省畜産局長 檜垣徳太郎君
農林省蚕糸局長 久宗 高君
食糧庁長官 齋藤 誠君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
説明員
農林省農地局管
理部長 小林 誠一君
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本日の会議に付した案件
○農業改良資金助成法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○農林漁業金融公庫法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/0
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001・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) ただいまから委員会を開きます。
委員の異動について御報告いたします。
本日付をもって、委員大河原君が辞任され、その補欠として野溝君が委員になられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/1
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002・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 農業改良資金助成法の一部を改正する法律案及び農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案を一括議題とし、前回に引き続き、質疑を行なうことにいたします。
質疑のおありの方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/2
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003・野溝勝
○野溝勝君 かぜを引いていまして少し疲労していますから、すわったままで質問をお許し願いたいと思います。
この際、提案になりました法律案に関連いたしまして、大臣に二、三お伺いしたいと存じます。
まず、質問に入る前に、このことをひとつお聞きしておきたいと思います。日韓漁業交渉が継続されておりますが、最近韓国の丁一権外務部長官が帰国されまして、その外務部長官が日本に来る前にソウルで声明を発しました。その声明を見るというと、日韓交渉にあたっては韓国の方針を全部いれなければこれを承認しないということを声明されているのでありますが、さような方針が韓国で声明され、外務部長官がこれを強調している今日、日韓漁業交渉その他の交渉は当然打ち切るべきものだと、こう私は思うのです。外交路線をこうはっきりさせて、交渉を継続してきた日本政府に水をかけた。これに対して政府当局では、この問題を中心に御相談されたことはありますか。その点を、まず第一にお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/3
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004・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 韓国の外務部長官が談話を発表したことについて、日韓交渉にどういうふうに対処するかということで相談はいたしておりません。まあ、少し甘い見方かもしれませんが、韓国の外務部長官としても、国内向けの声明的なものが相当含まれているのじゃないかというふうに私ども感じます。
漁業だけの交渉を私は担当しておりますが、漁業だけの交渉の過程におきましては、お互い、交渉でございますから、全部の主張を全部通し得るということは、なかなか両国ともむずかしいと思います。私どもは国際慣例や国際号約に従った筋を通して主張しておりますが、向こうのほう等におきましても、そういう筋は別として、隻数とかそういう問題等につきましては、全部初めの主張を通し抜くというわけにはまいらぬ事情であります。そういう全部の主張を通さなくちゃならぬという気持ちは持ちましても、実際の交渉におきましては、向こう側も折れてきている面——また折れなければ交渉というものは進みません、そういう面もございますので、交渉事でございますから、全部の主張を向こうが通さなくちゃならぬ、それ以上は一歩も譲らぬということでありますれば、当然もうこの交渉はやめなくちゃならぬと思います。そうでない、折れている面もございます。そういう面からいいますならば、いまにわかにやめるということにきめていく必要はないのじゃないかというような態度で進んでいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/4
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005・野溝勝
○野溝勝君 大臣の気持ちはわかりますが、国内の世論が、この日韓交渉に対しまして、国民的な反撃を示しているわけなんです。そのことはもう新聞にも出ておりますし、政府当局もわかっていると思うのです。ですから、こうした際にあえて交渉を続けるということは、かえって両国民の感情を緩和することにはならぬと思うのです。
いま大臣からお開きすると、政府としてはまだ相談をしていない、外務部長官の声明に対してはまだ検討していないというようなことを言われておりますが、これは韓国の外交路線の宣言というべきものだと思うのです。いわば韓国は少し気持ちが変わってきておると思うのです。ですから、こまかい技術上の問題といえどもやるべきでないと思う。こういう点について、この際これ以上私はこの問題について質問いたしませんが、大臣はこの声明を承知していないというのであったならば、これは総理とも十分話し合いをされて、私は交渉に対する新しい見解といいましょうか、再検討をする必要があると思うのですが、かようなことについてのお考えはどうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/5
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006・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) いまお話しの中にも出ましたが、私どもはあわててやろうとか、いつまでにこれをやらなくちゃならぬ、こういう気持ちで進めてきたわけじゃございません。国内におきましても、あるいは韓国内におきましても、進めることについての反対の世論は相当ございます。しかし、同時に、国交回復すべしという賛成の世論も相当強いのでございます。特に私は私の受け持ったほうだけを申し上げますならば、漁業の問題は、国交の回復しておりませんところの中共との間におきましても民間漁業協定を結んでおるような事情、あるいはまた、国交は回復しても平和条約ができておらぬ共産国家のソ連との間におきましても漁業条約ができておる、あるいは自由国家であるアメリカ、カナダ等との間の日米加の漁業条約もあるし、あるいは世界的にオットセイ条約とかその他いろいろ、漁業上におきましては、これは双方あるいは複数の国家において漁族の資源というような状況からも話し合いをするということは、これは当然やるべきことだと、こういうふうに考えておりますので、その話し合いが妥当に進んでいくということでありますならば、私はこういう問題をきめていくべきだ、こういう態度で進めておるわけでございます。
しかし、これは日韓問題は日韓全般にも関係いたしますので、なお進め方については検討、研究をいたす必要があろうかと思います。ただし、いまお話しのように、急速にとか、いつ幾日までとかいうような態度で進めておるわけじゃございません。でございますので、この間じゅう漁業の関係も一度冷却するといいますか、お互い国の世論等も勘案してということで、向こう側も、来ておった外務部長官が帰りました。そういうように、国の世論というようなものも頭に置いて進めるつもりではございます。ただし、これはやめにしたわけではございません。と同時に、急速にとか、あるいは期限を切って急いでやらなくちゃならぬという性質のものじゃございません。情勢の判断の上に立ちながら交渉を進めていく、こういう態度でおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/6
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007・野溝勝
○野溝勝君 この問題については、いま大臣もお話しになったように、国交の回復していない国とも漁業条約を結ぶ場合もあるし、漁業のやはり交渉をする場合もある。それはよくわかります。けれども、私の言うのは、こういう問題のせっぱ詰まった際に、まあ問題が起こっている際に、その問題を、たとえば技術上の問題にしても交渉を進めるということは、両国民の間にはそこに当然割り切れないものを感じる。だから、こういう点を十分配慮すべきだということを申しているのでございます。さようひとつ承知をされまして対処を願いたいと思います。
次に、大臣にお伺いしたいことは、私は農業の基本政策の点につきましてお伺いしたいと思います。もちろん、いまは農業基本法によって農業の基本政策が進められていますが、結論から先にいえば、私は、この基本政策では、いまの農業と農民生活の安定と向上にはならないと思っているのです。大臣、御承知のように、国の予算全体から見て、農村がいかに虐待されているかということは、もう一目りょう然だと思うのです。大臣はずいぶん懸命に努力されたと思うのですが、農林関係予算の総予算に占める割合は相変わらず低いのです。しかし、すでに予算もきまったのでございますから、私はいまさらこの際言うてみてもしかたない。しかし、来たるべき予算の編成の際までに、特に私は大臣に強く希望を申し上げ、かつまたその心がまえをひとつ聞いておきたいと思うのです。
大体、政府では農村の振興とか農民のためとか言われておりますが、国の一般会計予算は三兆二千五百五十四億円からあるのですが、農林関係予算は食管繰り入れ一千二十六億円を入れて三千三百五十五億円ですね。ですから、これで見ると、一〇・三%で、相変わらず一〇%前後にすぎない予算ですね。これで何をするかということになるのですね。大臣も御承知のように、今日農業がいかに劣勢であるかということは、産業別の国民所得構成を見てもわかる。すなわち、三十四年におきましては、農林水産業の第一次産業は一六・五%でした。これは第二次産業の二分の一強、第三次炭業の三分の一弱です。三十五年が一五・一彦、三十六年が一四・三%、三十七年が一四・一考で、三十八年度におきましてもまあ大体これと相前後するでしょう。ところが、第二次産業、鉱業、建設業方面は、三十四年が三五・八%、三十五年が三八・三%、三十六年が三九・二%、三十七年が三九%となっています。さらに卸、小売りあるいは金融、運輸、通信、サービスその他、第三次産業は、三十四年が四八・一%、三十五年が四七・一%、三十六年が四七・〇%、三十七年が四七・四%、全く産業別国民所得構成比率から見ても、第一次産業は二分の一ないしは三分の一になっておるんですね。二十五年から二十七年の三年平均を一〇〇として、鉱工業は今日五倍以上の生産向上を示している反面、農業はわずかに一・四倍です。こういう点から見て、農林関係予算なり農業政策は、農民虐待から脱皮して、画期的なものがなければならないと思うんです。この点から見れば、私は、政府の言う農業の基本政策なんといいましても、これはもうほとんど何もできないのではないかと言いたい。さらに考えなければならぬのは、固定資産の評価がえです。国は出すべきものを出さず、ただ取り上げていく。これによって、農村への負担は非常に重加されてくると思うんです。大臣もすでに御承知だと思いますけれども、農林関係予算の推移ですね、三十九年度三千三百五十五億円に至る毎年の農林予算の推移を見ても、もうすでに御承知だと思うんです。こういうような状態のもとにおいて、大臣が非常に努力をされてこの結果なんです。
大臣は特に、就任にあたって、赤城農政の柱ともいうべきものとして、農業金融の拡充と農業構造改善事業の強化、農畜産物の流通改善と価格の安定、この三つをあげられている。いずれもまあけっこうなことなんです。しかし、農林関係予算は総予算に占める割合があまり変わらず、重点施策をとるとすれば、当然軽い部分、弱い部分がでるわけです。要は、総ワクを広げて裏づけをすべきであり、こういう予算が確保されなければできないと私は思うんです。こういう点、確かに農林関係予算は虐待されておる。農関関係予算は、昭和二十八年には総予算中一六・五%を占めていたが、河野君が農林大臣に就任になったときに、農林関係予算は一〇%以下、九・七%でしたかな、あれ以来ずっと平均して一〇%以下でいます。私は、政府がほんとうに農村の格差を少なくするというならば、根本的に、まずこういうところに配慮をされなければならぬと思うんです。その点について大臣はどういうような一体努力をされてきたか、あるいは今後の予算編成にあたってどういう心がまえで臨もうとするのか。この点は農業の基本的な政策を確立する上においても必要なんでございます。特に大臣から忌憚なくひとつお話を聞いて、私どもは今後の考えを新たにしなければならぬと思うんです。所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/7
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008・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 農業政策が単に看板といいますか、こういうことをしたいということだけであっては、現実的じゃございません。当然そういうことをするための財政支出、こういうものが裏づけされておらなければならぬと思います。そういう意味におきまして、農林水産関係の予算が十分であることは私どもも望ましいことでありまするし、そのための予算折衝努力もいたしてまいったわけでございます。この前、私、農林大臣をやったときに、総予算の一割にならぬということで、ようやく総予算の一割突破をしたことがございます。
このたびにつきましても、予算編成につきましては非常に問題がございました。というのは、食糧管理特別会計への繰り入れが一千二十六億ばかり大体見積もられてあったわけでございます。そういう関係で、ほかのほうの予算はなかなか金が出しにくい、こういう一般の空気、あるいは新聞等によりましても、農林予算はつかぬじゃないか、もうそれだけでも食われてしまう、こういうような情勢でございましたが、しかし、この食管の繰り入れも私は価格支持対策としての大きな政策であるというふうに見ていますが、これは毎年毎年同じように出ておるものでございますから、新規の事業というような方面に、その金で食われてしまうというと手がつかぬ。でありますので、それだけではとても農林政策というものはやっていけない、そのままでやっていけないということで、極力予算の獲得に力をいたしたのでございます。一割程度で、総予算に対しましては一割程度でございますが、昨年からの伸び方、あるいはまた他の各省の伸び方等から比較いたしまするならば、三十数%の伸びでございまするし、食管の関係を除いても一七%の伸びであるわけでございますから、私は十分とは申しかねますが、相当農業政策を行なっていく上において伸びができてきているというふうに見ています。しかし、いま申し上げましたように、十分とは申し上げられません。
でありますので、予算面と同時に、財政投融資面、金融方面におきまして、政策を実行する上に相当この方面から進めていかなくちゃならぬというようなことから、いま御審議を願っておりまするところの系統の公庫資金とか、あるいは農業団体関係の資金とか、こういうワク、あるいは金利の低下、あるいは償還期限の延長、貸し付け条件の簡素化等、こういう面をはかって、予算面とともに金融面において相当のワク等をもって、そして企図しておりまするところの政策を実行に移していきたい、こういう考えで予算の御審議も願って御通過も願ったわけでございます。財政投融資、ことに金融面におきましての御審議もいま願っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/8
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009・野溝勝
○野溝勝君 赤城さんが努力されておるという点は、私はよくわかるのでございます。わかるが、しかし、国全体の中で政府がいかにその産業に力を入れているかいないかということは、予算だと思います。その予算の内容がただいま申したとおりなんでございまして——しかし、ほかの各省よりは比率からいえばふえておると言いますが、そういうこともそれは言えるかもしれませんが、この三千三百五十五億のこの内容を分析すれば、これは食管のほうに多く使うということと、構造改善事業といういまの農業基本法に基づく事業に多く使うということと、あるいは基盤整備に使うということ、そのほかには一つも、農産物の価格の問題についても、あるいは流通対策の問題についても、あるいは販売処理計画の問題についても、ガンになっているものを根本的になくしていくような新しい目ぼしいものはないのでございます。そして、これらの問題点こそ、農業と農民生活をみじめな状態におとしいれている原因です。
特に、ただいま大臣は、そのほかにも財投の関係から金融上の処理をすると言いますけれども、財投の内容を見ても、一兆三千四百二億円のこの財投の中で農林漁業関係の財投は九百三十八億円で、その構成比率はわずかに七%であって、まことに低いのでございます。これは何も私は赤城さんに限ってということで言っているわけじゃございません。大体、河野君以来ぐっと低目になっておるのであります。私はほんとうに農村のこと、農民のことを考えるならば、むしろ職を賭しても戦わなければならぬと思っています。あの戦争前ですらも、財閥はなやかなりしころでも、国の予算の一六から一七%は占めておったのであります。半分にたたきのめされたということは、いままでの政府が農村をほんとうには考えておらないということではないか。それはゼスチュアとしか受け取れません。私は赤城さんのようなまじめな農村大臣に対してかようなことを習うことは遠慮をしたいと思うのでございますが、いかに言っても、この数字上から見て承知できません。ですから、いまあなたがおっしゃいましたけれども、特にあなたの重点施策としての内容を見ますると、基盤整備、農業金融、構造改善事業、価格、流通等の対策にしぼられておるようでありますが、しかし、いま申したようなわけでございまして、たとえばあなたのおっしゃる農林漁業金融公庫については、三十八年度の融資ワク八百七十億円が今度は千七十億円、金利の軽減としては三分五厘から七分五厘まで五厘刻みの九段階が四段階に縮減されております。農協系統資金による農業近代化資金としては、三十八年度融資ワク五百二十億円から六百億円になった、確かにふえております。また農業改良資金としては、融資ワクが三十八年度十八億円から四十五億円になり、従来の技術導入に加えて、住宅改良を含む生活改善を入れて、この点には私どもの考えておるようなものもはいっております。確かにこの予算としてはふえておりますが、しかし、先ほど申したように、私の言うのは全体のワクの中から申しておるのでございまして、そうするというと、この予算では第二次産業、第三次産業等と農業の格差を埋めていくということでは問題にならぬということを申しておるのです。
さらに、私は申し上げますが、大臣御承知のように、流通改革については、総合的あるいは根本的な千がまだ打たれておりません。この点に対して大臣が、流通の根本的改革を重点施策として進める、力を入れるということをまだ言っておりませんが、いまのようにこうした農産物がほとんど買いたたかれ、貿易自由化になって非常に不安になってきておるこの際に、国内の流通機構の改革に何とかひとつ手を染めるというような考えはお持ちになりませんか。また、やりたいというようなお考えがありましたならば、この際お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/9
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010・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) お話のとおり、自由化の波を強く受け、その波に対しての抵抗力も弱い農産物でございます。そういう意味におきまして、従来とも農産物の価格支持対策ということにつきまして、米をはじめ大体の農産物等につきましては支持対策ができておりますが、非常にまあ米等を除いては万全というわけにはまいっておりません。ことに生鮮食料等につきましては、非常に価格支持対策が脆弱でございます。そういう関係から、やはり価格支持対策と相伴いまして流通対策、これに対しましてはお話のように私も一そう力を注がなくてはならぬと考えています。昨年来流通対策等につきましても、あるいは生産から、流通から、あるいは末端の小売り方面等につきましても、相当手を加えていたのでございますけれども、それは低物価といいますか、消費者物価が上がってきましたので、これを抑制するという意味においての面が非常に強かったんでございます。最近におきましては、むしろ生産者のほうの手取り価格が減っておるという方面が非常に強く出てまいっております。そういう面から考えまして、なお一そう生産者の価格支持、流通対策とあわせて価格の支持対策を強化していくということがなお必要になってきております。そういうところに直面いたしておりますので、そういう方面につきまして、なお一そう力をいたしていきたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/10
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011・野溝勝
○野溝勝君 これはまあ時間の関係もありますので、私は総括的な質問になりまして、一つ一つ一問一答のような形で質問をいたしませんので、なかなか答弁のほうも部分的なお答えのようでございますが、これはまあいたし方ないんでございますが、いま大臣は、流通対策の点につきまして生産者の不利にならぬように努力するというお答えなんですが、この点はいかなる大臣でも、まあいままでの大臣はみなそういうことを言っておるのです。この点一つも——手をつけるつけると言って、河野君以来一つも手がついていないんですね。これじゃ私はもう情けないと思うのです。
第一、いまのように実際畜産物はこのとおり下がり、酪農民は低乳価による採算割れでやめていっている。最近政府では酪農振興対策というものを何か考えておるらしいんでございますが、これはほんとうに酪農家の立場に立っているというよりは、むしろメーカーのことが中心でございます。生産者は、原料に対する補償を要求しておるんだと思います。その政策を確立してもらいたいということを言っておるんだと思います。ところが、酪農は、御承知のとおり、最近大臣の努力で二円ぐらい上がったということなんでございますが、一方におきましては、えさは御承知のごとく一俵について二百円から三百円上がっております。さらに、野菜なぞは御承知のとおりの暴落なんです。きのうの新聞にも出ておりましたが、キャベツなぞは昨年は二十五、六円したものが四円、白菜なぞは二十七、八円したものが一キロですよ、今日は五、六円、大根なぞも御承知のとおり暴落しています。昨日も長野県へ行って私は農民の事情を聞いたんでございますが、衷れな状態でございまして、売るにも売れないので、えさにしているけれども、えさに使っておっても、これを刻んでやるという労力が必要だし、さらに産卵率におきましては問題にならぬ。いわば栄養食にならぬというわけなんでしょうが、実際ひどい状態なんです。こういう哀れな状態になっておっても、それに対して政府は、あま最近指定地域に対しては考えると言っておりますけれども、私は指定地域だけの農民の問題じゃないと思います。こういうやり方を——これはもう赤城農林大臣だけに言うことも、これはどうかと私は思っているのですが、内閣全体の考えの置きどころが間違っていると思うのです。百姓はストライキをやるわけにいきません。百姓は文句は言うけれども、生活が苦しくて、とてもそれに抵抗はできません。その気持ちを知っておって、こういう百姓いじめの政策をやるのかと思うと、私は全く憤激にたえないものであります。
特に、自分は農村出身であり、農民出身でありまする赤城さんは、私がこんなことを言わなんでもよくわかっていると私は思うのです。ですから、赤城さんが農林大臣であるうちに、ひとつ思い切って手を打ってもらいたいと思う。それには、何といいましても、農産物の価格、特に主要農産物の米、麦、たばこ、牛乳、繭、そういう主要農産物に対しては、ひとつ生産費を割らないという方針のもとに、確固たるひとつの価格政策を出してもらいたい。価格支持といっても、いまの物価で支持価格をつくったって、将来また物価が上がる、肥料、飼料、その他農用資材など購入物資が上がって、これがまた変わってくるのでございますから、これだけではだめで、それはスライドするという支持価格なら私は賛成です。単に支持価格というだけでは、それは農民にはまずだめなんです。
そういう点におきまして、大臣、ひとつ農産物の価格が、いわれている生産費所得補償方式によりきめられるということが直ぐには容易にできないというならば、流通機構の問題だけでも、スーパーとか中央卸売り市場をふやすとかだけでなく、もっと抜本的対策にひとつ手を染めてやってもらいたいと思う。それは確かに市場の反撃はあるでしょう。あるが、そのくらいやらなければ、とてもそれは農民は希望がもえないことになるわけでありますが、この点に対するひとつ所見を、もう一歩進めた御意見をお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/11
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012・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 農産物の生産者として、生産費が補償されるということは全く望ましいことでございます。そういう意味におきまして、農産物の価格の決定等におきましても、そういう趣旨を織り込んで決定するというようなものも相当ございます。
ただ、この生産費も、御承知のとおり、生産費の算出の方法はいろいろございまして、どの人の生産費も全部補償するというような形は、これは非常にむずかしいと思います。どの程度でこれをとるかということが必要でございまするし、また一面におきまして、やはり生産性を、出産コストを少なくしていくというのですか、生産性を向上するというような政策もあわせて行ないませんと、やはり筋が通らぬ、こういうふうに思っておるわけでございます。そういう意味におきまして、できるだけ生産費を割らないような、しかしその生産費の算出の限度というものがどの辺にあるかということは非常にむずかしい問題でございますけれども、そういう方向で政策を進めて、価格政策も進めていかなくてはならぬと思います。
なお、それに伴う流通機構の問題でございますが、そういう問題等につきましても、いままでもやっていましたが、昨年来特に市場の問題を中心といたしまして、生産、出荷対策、あるいは消費者対策、ことに東京都等につきましては、消費の面におきましても小売り関係に相当改善を加える方向をもって、生産者が生産した物資を十分損をしないで売れるような機構に持っていきたいということで、着々その方面も、不十分でございますが、進めておるような次第でございますので、流通機構の改革等につきましても、お活のようになお一そう整備していきたい、そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/12
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013・野溝勝
○野溝勝君 どうも、大臣の腹がほんとうにはまだよくわからぬのですが、大臣、そういう抽象的なことでなくて、ひとつこの市場の、芝浦の屠畜場の問題にしても、あるいは築地の魚市場にしても、あるいは神田の青物市場にしても、これはみんな大体共通しておるものだと思うのですね。ですから、こういう点に対して、国家管理とまではいかなくても、一応マージンの点についてある程度制約する必要がありはしないか。それから、こまかい点について、たとえば鮮度の問題などについても、顕微鏡検査をするわけじゃございませんから、肉眼でございますから、大体常識的なものがあるわけです。しかし、それが百姓に納得のいかない点で、鮮度の目減りということでもって押えられる。そしてその是非がわからないわけです。そういう点について、もう少し行政の目というものを光らしてもらいたい。生産者の原価がどのくらい、あるいは市場、卸、小売りに至る間のマージンがどのくらいというようなことは、大体わかっていると思うのです。そういう点そつきまして、この際市場の流通機構の一つでございますが、そういう点に対して、このぐらいまでひとつ手を打とう、または今後研究してみよう、努力してみようというようなお考えを、私は具体的にお聞きしたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/13
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014・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) その点につきましては、昨年来も、マージン等をよく調べた上におきまして、手数料を下げる、そういう監督もいたしております。それから、せりの方法等につきましても、もっと科学的に、いま鮮度の話がありましたが、鮮度などがわかるような方法、あるいはまた芝浦等につきましても非常に問題のあるところでございます。これは改革していかなくてはならぬと思います。それから、市場そのものが、神田などは非常に狭いのでございます。築地なども狭い。これを拡張をするというようなことなども考えて、着々それを進めております。特になお一そう——国家管理というようなことは、これは自由受引の一つのティピカルのものが市場でございますから、これは国家管理的なものに対することはどうかと思いますけれども、しかし、国の監督といいますか、指導というものは相当強めていかなければならぬ、こう考えて、こまかい点は申し上げればたくさんあるのでございますけれども、手を加えております。
なお、さらに一そう、私は相当大きな市場の機構を必要とするという考え方から、一カ所にこれを大きく集めたらどうか。そうして食料コンビナート的なところに、加工業も合併して、そうしてまあさっきのお話のえさとか、その他食料のコストも安くなるような形に持っていけないものだろうか。業者によると、そういうことをしてもコストは下がらぬぞというようなことを言っている者もあります。しかし、やりようによってはできると思います。そういう調査費等も計上して御可決を願ったのでございますが、そういうことも考えて、こまかい点は私もよく承知しておりませんけれども、いまお話がありましたような方向で、去年から一つ一つ進めていることは進めているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/14
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015・野溝勝
○野溝勝君 ひとつ、大臣、これはあなたのいう基盤整備、農業金融、構造改善、流通改善と価安安定という重点政策の中に入ると思うのであって、私は特にあなたに強く要望して、ふんどしを締めてしっかりやっていただきたいと思います。
次に、私がお伺いしたいことは、先ほど重点施策の中で構造改善のことを大臣お話しになったが、確かに七十九億円から百三十六億円になりました。この構造改善事業をやるについて、一般地区は三十七、八年で五百、今年度四百、パイロット地区三十七年九十一と、相当多くの地域が指定されているわけなんでございます。しかし、返上や延期などが出て、その成績にはいろいろ問題があると思うが、現在までのところ、その成績はどんなものでございますか。これは大臣でなくても、関係局長から御答弁願ってもけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/15
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016・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 官房長から御答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/16
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017・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) 構造改善、御承知のとおり、三十七年度から発足しまして、三千百地区ということで、ここ三年目を迎えた地区も出てまいったわけです。特にパイロット地区等では相当目ざましい成果をあげていると聞いているものも数多くございます。ただ、御承知のように、事業費全体のワクの問題あるいは補助率の問題等について、さらに要望が出て、もっと強化したらどうかという話も強く出ているわけです。そういう点を勘案しまして、三十九年の予算につきましては、融資単独事業のワクを一千万円ふやすというようなことも行ないましたし、さらに、同じ市町村の中で一つの地区が完了し、あわせて第二地区に移りたいというような場合に、その三千百地区のワクの中で、三十九年度では五十カ所でございますが、予定いたしまして、いままでいわば県の政策であったのが、ややそれを広がりをもった対策にしていくということも加えて行なっておるわけです。具体的な事例におきまして、何といいますか、補助整備の問題等にからみ、機械を入れるということにからみまして、現段階で三年という年度内では済まし得ないというような地区も出ております。そういうような地区につきましては、四年目以降について延長をして仕事が十分に内容を充実して完了し得るようにという配慮もことしから行なっております。さらに、物価等の値上がり等もありまして、事業全体を終え得ないという地区もございます。そういう地区につきましては、約六億程度でございますが、調整費等を見まして、全体がうまくいくようにというふうに配慮をいたしておるわけです。なお、現在まで行なわれております構造改善の地区と少し様子の違っておる山村とかあるいは新産都市の周辺地域、そういう点についてはさらに調査をする必要があろうかということで、調査費を用意いたしまして、それぞれの地域の特性に応じた構造改善を進めていくということにしまして、三十九年には約一千万円ですが、用意いたしまして調査を進めて、そういう特殊な地帯についても配慮が及ぶようにしたいということで進めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/17
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018・野溝勝
○野溝勝君 官房長ね、いまの五十カ所というのは、それはパイロットのほうですか、一般地区のほうか、どちらなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/18
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019・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) パイロット地区は七十数カ所でございます。五十カ所と申し上げましたのは、五十カ所について第二ラウンドと申しますか、同じ市町村の中で一つの地区が済んだ場合に、それとあわせて第二の地区についても伸ばし得る、そういう地区として予定しておるのが五十カ所でございます。全体では三十九年度四百カ所予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/19
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020・野溝勝
○野溝勝君 四百カ所できる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/20
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021・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) できる見込みでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/21
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022・野溝勝
○野溝勝君 三十七年度の予算から見るというと、三千百地区です。これらはそれぞれ、計画一年、事業三年で完了で、全部が十カ年完了でしょう。そうすると、計画どおりいけば一年に三百地区ですね。事業量は一地区が一億三千万円。それで、あれですかなあ、いろいろ問題が出ている現状で、なかなかこの計画どおりにはいかぬように思うのでございますけれども、いま官房長のお話を聞くと、大体順調にいっておるようなお話なんでございますね。この点に間違いはございませんか。もし間違いがあるとすれば、私は具体的に聞かなければならない。
私は、ざっくばらんにいえば、何も形式のことを言わないでもよろしい。これだけやっておるけれども、なかなか思うようにうまくいきません、それは物価高の関係やら、あるいは一つの地域のいろいろの関係でうまく調整がつかなんでおりますというような御答弁なら、それでよろしいが、うまくいっておるということなら、私は聞かなければならぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/22
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023・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) うまくいっているいないの点なんでございますが、三千百地区というものは計画年度内にそれぞれ手をつけ得るだろうという意味では、大体計画どおりいくのじゃないかと思っております。ただ、その中身が、われわれが考えておる、あるいはそれぞれの市町村で考えておる構想にうまくマッチして行なわれるかどうか。といいますのは、理想的な構想を描いての構造改善となりますと、その地区全体の同意が得られない場合も多うございます。そういう意味で、とりあえずの二歩三歩進めるという意味合いでの構造改善について、この辺ならば許されるというところで出発せざるを得ない場合が多いと思います。そういう意味では、理想的な場合に比較して不満足であるということもあろうかと思いますが、何といいますか、始めまして四年目に当たります。そういう意味で、当初のパイロット地区もだんだん事業完了に及んでおりますので、そういうものを参酌しながら、これから出てくるのはやはりいままでのものよりは内容において充実した構造改善が取り進められるであろうということを期待をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/23
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024・野溝勝
○野溝勝君 私は何も、官房長をとらえて、そう事務的にあまり追及しようとはいたしません。けれども、それは当局のほうでございますから、まあ軌道にのぼりつつあるというようなことで説明をしなければならぬ。しかし、それは先ほど来大臣との質疑の中でも申し上げましたとおり、大体、あまりていさいのいいことを言っておれば、予算はやはり一〇%前後にとどめられてしまうんですよ、大蔵省はちゃんと一貫しておるんだから。農林予算はちゃんと河野君以来一〇%でよろしいということで、いつもそうじゃないですか。戦後通じて見てごらんなさい。それをあなたのほうで、池田さんがこの農業基本法をやれと、それでこれに力を入れろと、こういうわけだから、その線に沿ってやっておる。こんな予算ではできないじゃないか。こんな予算ではできないというその裏づけを、私はいまの成績の結果から示していかなければ問題にならぬと思うんですよ。ただ金をよこせよこせと言っただけでは、これでは一つも進まぬじゃないですか。池田さんが農業を近代化して農村の人口は十カ年に一千万人でよろしいと言ったって、まるっきりできやしないじゃないですか。
そこで、私はひとつ大臣のおるところで申し上げたいんですが、官房長、これは一つの例でございますよ。私の郷里の長野県などは言うに及ばず、山形県の余目でも、あるいは鶴岡でも、そのほかまだまだある、多くの改善事業がデッドロックに乗り上げております。特にひどい例は、この間私は四国へ行きまして、四国の阿波郡市場町、ここの改善計画を見ました。畜産局長も来ておると思いますから、一緒に聞いていただきたいのですが、ここはもと果樹のハッサク地帯でございました。ところが、農業基本法に基づいて、畜産、果樹、園芸というから、畜産のほうがわりあいに経済的効率があるということで、予算三億円で果樹ハッサクを切りかえて酪農事業に乗り出しました。切幡酪農協という名でもって、これは木田組合長ですが、そこで三分の一の一億の予算で計画を立てたわけです。
ところで、これは五人で共同した仕事ですが、畜舎、乳牛導入の資金の申請を昭和三十八年五月に出した。内容は導入資金として五頭分、一頭八万円として四十万円、それに対して抵当権の評価を、資金を借り入れるためですね、評価はどういうようにしてやったかというと、実際の売買価格が反当たり三十万円もするところでありますが、賃貸価格の十九倍にされて、九反歩を要する結果となった。しかるに、畜舎の資金の融資は本年初め受けたんですが、家畜導入の資金はまだ来ない。乳牛の導入の計画書に基づいて五頭分買い入れたけれども、その資金がこないために、その木田組合長はおやじの株券を盗んだといいましょうか、親子でございますから盗んだということにはならぬかもしれませんが、とにかく無断借りしたわけです。そこでこれを高利貸しから融資を受けざるを得ないことになりまして、日歩三銭五厘で借りたんです。配合飼料は買わなければならないし、粗飼料確保のためにその草地の整備手当てをしなければならぬというわけで、いま全く困っているらしいんです。この一つの協業組織ですか、酪農協業組織もこんな状態では、それはおそらく、私は、ほかの構造改善事業の対象となっておる地域におきましてもこういう問題がたくさんあるのではないかと思うのでございます。これは一つの具体的な例なんです。
特に、私は、農林委員の良識のある皆さまにここで訴えたいのですが、この人たちの経営者としての悩みという点をひとつ訴えたいと思います。現在、彼らは二十三頭の乳牛を飼養しております。現在搾乳中のものは十三頭、一日の所要経費といたしましては、この二十三頭分の飼養代として、配合飼料が六十キロ要るそうで、これが三千円、ふすまが四十五キロ五百円、労力が二人、これ二人でやっておるんですが、二人が千円、わずかに五百円ずつに見ているのです。電気、油代が五百円、その他肥料、種代土地等の消耗費が一千円、粗飼料として、これは乳量の四倍必要でございますが、これは勘定に入れていない。金利が七百円。こういう状態です。まさに追い詰められていかんともしがたい農民の姿ですが、これが徳島県の農業改善事業のモデルケースなるものだそうです。さらに収入面を見ると、乳価ですが、乳量のある十三頭分からですが、二百二十キロで価格が約七千円、これだけだそうです。あとは下肥が出る。どうですか、こういう内容でございます。
さて、えさについてちょっと——えさは、先ほど大臣のお話じゃございませんが、輸入飼料なんというものは独占じゃございませんか。これは単味で輸入しておいて、それを配合飼料として売られるのですが、単味でもうけられたり配合飼料でもうけられたり、これは百姓はどうすることもできない。この飼料問題なども真剣に検討しないと、ただ乳価だけ上げろ乳価だけ上げろと言う農民のほうでも間違っておると思うのですが、農民はメーカーに乳価を上げろと言うと同時に、えさ代を下げろと言えばいいのだ。
こういう事情でございまして、これが徳島県のモデルケースだというのでは、他は推して知るべしだと言いたくなる。官房長は非常に順調にいっておるもののごとく言われますけれども、こういう事情にある。この導入資金の四十万円すらまだ行っておらぬが、これは一体どういう処理をしておるのでございますか、この際畜産局長にお聞きしたい。処理をしたなら処理をしたでよろしゅうございますから、私の行ったときはまだ処理できないのだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/24
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025・檜垣徳太郎
○政府委員(檜垣徳太郎君) 現地の問題につきましては、ただいま実は先生からお話を伺いまして承知をいたしたのでございますが、家畜の導入資金につきましては、構造改善地区におきましては、構造改善推進資金三分五厘の金融を受けます場合と、それから近代化資金、系統資金を利用いたします場合とあるわけでございますが、三分五厘の推進資金を利用いたします場合は、御承知と思いますけれども、経営改善計画というものを市町村を経て知事の認定を受けた上で導入するということに相なっておりますので、その間のいずれの資金を求めておるのか、それも、私このケースについて承知をいたしておりませんので、この事例につきましては直ちに他の金融担当局とも連絡をとりまして、調査をいたしました上、すみやかに導入資金が届きますように手配をいたしたいと思います。一般的には、これは私の局のみの問題でございませんが、構造改善関係の資金の導入について手続の簡素化をはかりまして、導入のなるべくすみやかな実現ということにつとめておるつもりでございますが、このケースについては直ちに取り調べました上で善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/25
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026・野溝勝
○野溝勝君 畜産局長もまあ知らないというのでございますが、生きものは、普通の商品と違って、食わなんでおるわけにはいかないのです。だから、非常な負債がかさんでいるのでございます。で、いま畜産局長が県の了解などを得てと言うが、徳島県の畜産課長もそこに立ち会っておりました。手続をしたかと聞きましたら、したと、こう言うのです。だから、もう県を経ておるに違いない。だから、この点は至急調べて、大臣の指示に沿って私は適宜処置したらいいと思うのです。だから、至急調べてください。そして処理してください。これを私はあなたにお願いしておく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/26
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027・檜垣徳太郎
○政府委員(檜垣徳太郎君) 御指摘の点は、御趣旨に沿って直ちにやりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/27
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028・野溝勝
○野溝勝君 次に、私がお伺いしたいことは、まあいろいろ聞きたいこともございますが、特にこの酪農の問題を質問し始めましたから、それに関連してお伺いするのでございますが、大臣、この酪農政策につきましては、きょうの新聞を見るというと、新酪農対策を再検討しておるということが出ております。この新酪農振興策というものですが、私の先ほど来質問をしておりました内容においてもすでに御承知だと思うのでございますが、この程度では私は農民のための酪農対策とはならぬのではないかと思うのでございます。これは加工業並びにメーカーのほうに重点があるのでございまして、生産農民に対してどういう一体手を打とうとするのですか。大臣からひとつお伺いしておきたいと思います。たとえばえさについてはどういう手を打つとか、あるいは乳価に対してはどういう手を打つとか、あるいは選択的拡大の畜産のほうの多数飼育に対してはどういうことをするとか、流通機構に対してはどういうことをするとかというような点についてでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/28
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029・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 私、実はその新聞を見ていませんが、この酪農あるいは畜産問題は、選択的拡大という光を浴びて成長部門としてきましてから、まだ日がわりあいに浅いのでございます。そういう面におきましていろいろ壁にぶつかっていると思いますが、そういう問題になっておるということを私は感じております。たとえば乳価の問題にいたしましても、生産者の乳価をもっと上げてやらなければならぬ。ところが、メーカーのほうでは、これ以上上げられぬ、会社がつぶれてしまうというようなことで、なかなかこの問題の解決がよくいきません。それで、やはりこれは自由取引が主でありますけれども、メーカーの生産費等もよく調査をした上でなければなりませんが、やはり国のほうで、イギリス流の不足払いというわけにはまいらぬかと思いますけれども、これはやはり何か中へ入って生産者の価格をもっと安定させるような方法を立てていかなければならぬ、こう考えています。メーカーの肩を持つようなことになってはだめなんで、そうでないで、メーカーにはぎりぎりのところでやっていけるような面を調査すると同時に、生産者が安定して生産できるような方向を検討しなければいかぬのじゃないか。全体的に、そのきょうの新聞を私は見ておりませんが、検討を命じて、来年にはもっと根本的な対策を講じていくべくやっておるわけであります。
えさの問題等につきましても、御承知のように、自給飼料は相当拡大して草地造成などもやっていかなければならぬと思っておりますが、あるいはまた濃厚飼料等につきましても、麦等については、いままで食糧としてあまりもう、何といいますか、用がないような形にしてきたのはどうかと思います。食糧としても考えなくちゃなりませんが、特に飼料としての大麦等の面を考えていかなければならぬ。その他、国内で濃厚飼料等の生産もなお進めていかなくちゃならぬと思います。輸入飼料等につきまして、これは非常に飼料としてのウエートが重いのでございますけれども、輸入飼料の価格なども国際的にいろいろ問題がありましたので、ことしは価格等が予算の面で上がっております。上がっておりますけれども、とりあえず、ことしの分といたしましては、私は現状でやっていく、すなわち上げないという方針でこれは進めておりますが、なおもっと輸入の飼料等につきましても、計画性を持って価格の面などにも相当考えなければならぬ問題があろうかと思いますが、ことしはとりあえずそういう対策をこれから講じていって、現状以上上げないというようなことでやっていきたいと思います。
あるいは流通対策等につきまして、豚等につきましても、なかなか価格の安定が十分でございません。子豚の安定資金制度等、あるいはまた畜産物の価格安定に対する制度等につきましても、相当検討を加えていかなければならぬのではないか、こういうことで、実は事務当局において十分これは検討して、来年度予算、あるいは国会等にはぜひ根本的な面の御審議が願えるような形で成案を得るように、こういうふうに督励をいたしておるような現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/29
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030・野溝勝
○野溝勝君 私は池田内閣は信用しませんが、農林大臣は非常にまじめなお方であります。まあ赤城さんは個人的にはりっぱな人である。そういう点で、質問も私はつとめてやわらかくしておるのでございますが、朱に交われば赤くなるといいまして、赤城さんもそろそろ少しずるくなったというような評判も聞くのでございます。どうか赤城さん、往年の赤城さんのすなおな気持ちで、ひとつ池田内閣の間違った農政のやり方をあなたがきめこまかくひとつ努力してもらいたいと思うのです。でありますから、かように申すのでございますが、大体いま努力する努力するということに尽きるのでございますが、私先ほどから申しましたとおり、ひとつ農民の考えておる、または農民生活の上に障害になっている問題を、思い切って一つでも二つでも、これはという点をひとつ示してもらいたいと私は思うのです。こういう点で先ほどから述べておるのでありますから、あれも努力する、これも努力するといっても、私はあまりそういう期待しません。とにかくひとつ思い切って、野溝の言うことは野溝個人の声じゃない、やはり農民の声だということは、あなたの琴線にちゃんと響いていると思うのです。ですから、ぜひひとつそれを私はお願いしておきます。
次に、私が特に赤城農林大臣に、この酪農界が心配であるということを申しているのは、もう三十八年度の牛乳生産は三百十一万トン、そのうち飲用乳が百六十三万八千トン、五三%、加工乳が百二十七万八千トンと見込まれている。乳製品自由化やメーカーの経営転換などから、加工乳が不用になる時期が近い将来来ると思うが、そうすると、この生乳生産は半分でこと足りることになるのです。私はおそろしいことになると思うのです。畜産局長、よく聞いていてください。あなたのほうも統計をちゃんとごらんでしょう。おそろしいことになりますよ。そこへもっていって、農業基本法で多頭飼育、多数飼育をどんどんやりおる。それでもって融資のほうは完全に出すかといえば、導入資金は待った。ここに酪農家の小宮同僚委員もおりますが、よく私は小宮さんの意見も聞いているのですが、そういう状態です。これはどうなるのですか。畜産、酪農をやれば、ブタの値にしても、牛の値にしても、乳の値にしても、時価相場だという。時価相場とはだれがきめるのですか。これじゃ、農林大臣が努力すると言いましても、私は心もとない。ですから、この見通し、将来いよいよもって、脱脂乳だけじゃない、その他乳製品がどんどん自由化になって入ってくるのじゃ日本の酪農民はたまったものではないと思う。生乳換算百万トンに及ぶ数万トンの脱脂粉乳が過去一年に日本の酪農界、乳業界に与えた影響を十分に考えてもらいたい。でありますから、私は先ほどこの原価に非常な比重を占めておりますところのえさの問題をどうする、あるいは市場の問題をどうする、あるいは価格形成をどうすると言いましたが、こういうようなものを総合的にひとつにらんで、思い切って、まあ管理価格といってはなんですけれども、生産者を第一に、何としても原料をつくる人なんですから、その人が希望の持てるような政策をひとつ立てていただきたい。その案はひとつ大臣がことこまかく目を通して決定するというようにしてもらいたいと思う。私は、ただ文章と体系がうまくできておればいいというような従来の官僚方針はよろしくないと思っています。ですから、そういう点については、特に事情に通じ、人情豊かな赤城農林大臣、きめこまかくひとつ目を通していただきたいと思います。
大臣、そのいまの生乳の生産、並びに将来の貿易自由化に関しまして農民、酪農家の間に大きな不安が起こってきておるのでございますが、これに対して一体どう対処しようとするのですか、どういう対策をもって臨もうとするのでございますか。これは食糧と関係を持っております。食糧政策とも関係がありますので、この点をお伺いしておきたいと思います。さらに、学童給食との問題もあるでしょう。一体、給食予定なども、生乳生産はこれだけふえたけれども、わりあいに給食乳量というものは比率からいうと問題にならぬ。こういう点についても、どういうふうに一体総合的に考えておられるのですか、お聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/30
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031・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) なお事務当局からお話しいたしたいと思いますけれども、私から申し上げます。
自由化に対しましても、私は米麦、酪農品、あるいはでん粉等は自由化すべきものじゃないと、大体そういう方針で進めております。もっとも、酪農品の中でも、ナチュラルチーズのようにずっと前に入れてしまって自由化しているものもございます。しかし、これはそういうふうな種類というものは、米麦、酪農品、あるいはでん粉等につきましては、容易に自由化すべきものじゃない。その他につきましても、自由化するにつきましての対策を講じていかなくちゃならぬ、こう考えております。
なお、牛乳等につきましては、いまお話しのような方針で進めていかなくちゃならぬと思います。その販路といいますか、消費面を拡大しなくちゃならぬというようなことからいま御指摘の給食等も、なま牛乳を主とした学校給食にことしから切りかえていこうと、こういうので計画も進めてきております。
なお、当事者といいますか、事務当局からそういう計画等につきましても御説明を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/31
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032・檜垣徳太郎
○政府委員(檜垣徳太郎君) 現在のわが国におきます牛乳の生産量は、三十八年度は大体二百八十万トン程度と、最終の集計ではありませんが、なるかと思われます。で、そのうち飲用向けと加工向けの比率は、先生から御指摘がございましたように、大体五三、四%対加工向けが四六、七%というような比率になっておることは、御指摘どおりと考えております。
そこで、全体の傾向としましては、加工品需要の伸びよりは飲用乳の需要が多いわけでございますから、将来におきましても、私どもとしては飲用乳の需要の増大ということに着目をした今後の施策というものを進めていく必要があろうかと思っております。
私どもとしまして、三十七年に発表されました農産物の需要及び生産の長期見通しというものに基づいて、昭和四十六年度を目標年度としまして、牛乳の国内消費需要というものと、それに対する生産の目標というものを一応持っておるのでございますが、その数字につきましては、これも御承知と思いますが、四十六年になりますと、現在の経済成長率から推計いたしますれば、大体牛乳の所要量は七百五十万トンないし九百万トンというようなある幅で考えられて推計がされておるわけでございます。これに対応いたしますための乳牛の生産頭数としましては、私どもは大体二百九十万頭程度の飼育を必要とするということで、これを家畜の改良増殖の目標として施策を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
現在の酪農政策の基本になっておりますものは、これは一つは飼料の需給安定という問題でございますが、現行制度は、先ほど大臣からのお話にありましたように、輸入飼料のうちの政府管理をいたします飼料についてだけ需給の操作をいたしておるのでございますが、今後の問題としては、国内の生産の増大、特に自給飼料の生産増大というものをどういうふうに進めていくかということを、大臣からの御指示もありまして、もっと検討を進め、その具体化をはかってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
また、価格安定制度は、乳製品、それから指定食肉について価格の支持を行ないますと同時に、原料乳の基準価格というものによって原料向け生乳の価格を支持するという方式をとっておるのでございますが、今後の酪農の発展ということから見まして、現行の制度は御指摘のように必ずしも現在の酪農事情に合致しておる、あるいは完ぺきな、完全なものであるというふうにも考えられない点がございますので、その現在の畜産物価格支持制度というものにつきましても、いろいろな面から観点を新たにして検討を加えたいというふうに考えておるわけであります。
学校給食につきましては、本年度四十万石を学校給食用に増大をいたしまして、同時に、補助単価についても増額をはかったのでございますが、政府内でなお検討を要する問題でございますが、農林大臣からはおおむね先ほど申し上げました昭和四十六年というわれわれの家畜改良増殖の目標もございますので、昭和四十六年ごろまでには、所要の学校給食の生乳を供給できるような計画を検討してみよという御指示がございますので、その線まで事務的に目下検討中でございます。これはなお文部省その他政府内部でも協議検討を要する問題でございますので、確定的にその数字をまだ固める段階ではございませんが、方向としてはそういう方向で検討を進めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/32
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033・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 関連。ただいまの大臣の御答弁の中にあったんですが、国内産のなま乳を学校給食に拡大していくということについてであります。これは、昨年の総選挙を控えて、自民党では公約としてこのことを国民に誓っておるわけであります。当然立法措置を講じてその責任を明らかにして、背景としては財政投融資までつけたものが出てくるものと期待しておるんですが、これがこの国会に当然出るものと関係者はひとしく関心を寄せておるんですが、本国会にまだ出ておらぬのですが、そのことについて大臣は一体どういう立法措置を講じられようとしておるのか、その点と関連してお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/33
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034・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) これは単独立法というような意見もございます。しかし、私ども、なお明年までに検討を加える面もございますので、単独立法という形はとらないで、酪振法の中でこの学校給食のことを規定していこうと、こういうことでいま事務的に進めております。なかなかその期限が、政府部内においても早く出さぬとちょっと困るというように催促されておりますので、私も至急成案を得るように進めておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/34
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035・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 そうしますと、酪振法を一部改正する法律案をお出しになる、そういうふうに内容的には理解していいのですか。そして、いろいろ作業があるといいますが、いつごろ一体この国会に出すめどで努力をしておられるか、その二点を重ねてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/35
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036・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 酪振法の一部改正という法律になると思います。めどといたしましては、来週中に提出いたしたい、こういう作業を進めています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/36
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037・野溝勝
○野溝勝君 畜産局長から生乳の将来の見通し並びにこの処理方針などについてもお話がございました。私はそういう抽象的なことでなくて——その抽象的なことはそれでいいです。しかし、現に昨年までは三十万石でしたね、たしか学校給食のほうにやった数量は。そうでしょう、約三十万石でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/37
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038・檜垣徳太郎
○政府委員(檜垣徳太郎君) 三十八年度の学校給食の実施計画量二十九万石でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/38
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039・野溝勝
○野溝勝君 大体まあ約三十万石と見てもいいわけです。ところが、それから十万石ふえただけじゃございませんか。これは文部当局とどういう折衝したか知らぬが、不可解です。だから、私が嘆かわしい、不安だというのは、実はこういう点にもあるんですよ。いま渡辺理事も言われましたが、政府では非常に笛太鼓で宣伝しておっても、わずか十万石ふえた程度では、今後完全給食にしていくことは疑わしい。できるものじゃないと言いたいですね。そういう点は、これはもうひとつ現実にこれが示しているのでございますから、今後相当の馬力をかけてもらいたいと思うのです。ここで何もこれができるできないの見通しでなくて、もう済んだことはしかたがありませんから、今後ほんとうに馬力をかけてもらわぬとならぬと思う。いま農林大臣から話がありましたが、単独法でなくても、現行法の一部改正でもよろしゅうございますから、それを具体的に織り込んで、ほんとうに酪農民に対しても、また学校給食の指導にいたしましても、その完ぺきを期するように努力してもらいたいということを申し上げておきます。
次に、大臣、先ほど私がこの日本の生乳の生産の状態をお話し申したのですが、特に畜産局長からいろいろ見通しのお話がございました。貿易の自由化となると、ブロイラーのショーまで行なわれる。やがて私はチーズのショーまで行なわれてきやしないかと思う。こうなってくるというと、大体いまのように物価の高い今日では、安いものを消費者は買いたいという気持ちになりますから、こうしたアメリカ製品の安いものがどっと入ってくると、農林大臣が日本の農業の保護政策なんて言ってみても、むずかしくなってくると思うのです。今日すでに九五%の貿易自由化を承認しているのですから、容易ならぬ事態が来ると思う。だから、私は先ほどからものを申しているのでございます。この点について、大臣においては十分御留意を願いたいと思います。これはお答えはよろしゅうございます。
次に、私がお伺いしたいことは繭の価格についての問題でございますが、去る三月二日繭糸価格安定審議会の答申があり、農林大臣は三月七日に告示をいたしました。その告示によるというと、標準生糸の最高価格が一キロ当たり五千五百円、昨年は五千円、最低価格が四千円、昨年は三千五百円、最低繭価は昨年の四百六十円から五百六円です。これは農民の要求よりぐっと少なく、養蚕農民の間に強い不満と不安を招いております。特に養蚕連合会といたしましては、かような値では承知できないといって抗議を申し込んでおります。
農林統計によれば、三十七年度の繭の生産費は一キログラム当たり六百十円になっております。租税公課を除くと五百七十四円、このうち労働費が六二%を占めております。日当から見ると、わずかに五百八十二円にしかなりません。養蚕農民がこの告示価格では承知できないということは、この数字から見てもわかると思うのです。養蚕農民の生産意欲をはなはだしくそぐものではないか。農林大臣は、生産費計算が角度角度によって違うと言いますけれど、これは農林統計でございますから、あなたの省でつくった統計でございますから、これは動かすことができないでしょう。この標準生糸と繭の告示価格は、どういう経過でかような決定をされましたか、その点ひとつ大臣からお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/39
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040・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 生糸等は、御承知のように滞貨が相当ありまして、というのは、海外等におきましても、生糸の価格が不安定でありましたので、一体買っていいのかあるいはまた下がるのを見越したのがいいのかというような事情であったことは御承知のとおりだと思います。そういうことでございますので、まず過剰在庫を調整して正常化する、こういう必要を感じておりましたので、四千円ということにきめたわけでございますが、これで安定いたしまするならば、私は生産者の繭の面におきましても私はよくやっていけるという見通しを持ちましたので、そういう措置をとったわけでございます。なお、六月の年度までにおきましても、この四千円を割らないで、必要に応じてはどんどん政府のほうで買うという措置をとってこれを維持していく、こういう状況下において決定いたしたわけでございます。
なお、技術的にその割り出した根拠等につきましてもし必要でございますならば、事務当局からも申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/40
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041・久宗高
○政府委員(久宗高君) 例年でございますと、大体三月末に繭糸価格安定審議会を開きまして価格を決定するわけでございますが、昨年の六月にたいへん暴騰いたしまして、その後特に需要が非常に乱れておりました関係もございますので、輸出関係が特に相当な影響をこうむっておったわけでございます。そこで、特に非常に高い値段から棒下げに下げてまいりましたので、底値がきまりませんために、輸出関係が非常に低下いたしておりましたので、基本的には底値をはっきりいたしますことと、すでに春繭の準備にもかかっておりました関係もございましたので、例年より一月早く審議会を開きまして、大体生産費につきましても一応の概算が出ておりましたので、さような見当によりまして来生糸年度の最低価格をきめました。それとの関連におきまして、最低繭価、まあ貫当たりにいたしまして二千円というラインを出したわけでございます。御承知のとおり、養蚕団体はじめ蚕糸関係で、少なくとも三十万と申しますか、生糸にいたしまして五千円、繭にいたしまして貫二千五百円はほしいという御要望は非常に強い形で出ております。私どもも、もし昨年のような暴騰をいたしませんならば、従来からのなにから申し上げまして、必ずしもその値段で内外の需要に対しまして適応できないとは考えておりませんでしたけれども、いかにも昨年の暴騰が内外の需要に対しまして与えた影響が深刻でございましたので、大事をとりまして、一応底値のところを固める意味におきまして、四千円というラインを出したわけでございます。もちろん、これは最低価格でございまして、それで十分ということではないのでございますが、繭糸価格安定法によりましても、生産費の一応八五%と申しますか、現行規定では六〇%までという形になっておりますので、現行規定の六〇%に必ずしもこだわりませんで、八五%くらいのラインは確保いたしたいということで、四千円というラインを出したわけでございます。さようなことによりまして、この四月、五月、六月という具体的な経過におきまして、できるだけ輸出関係を促進することによりまして、六月以降現実に繭が出てまいります段階の糸価、したがって繭価というものを、しかるべき水準に持ってまいりたいという意図で今度のような決定をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/41
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042・野溝勝
○野溝勝君 現在の生糸の国内消費と輸出の比率はどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/42
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043・久宗高
○政府委員(久宗高君) 大体、大ざっぱに申しまして、六、四という形になります。内地で使いますものが六でございまして、輸出に回りますものが四でございます。これは生糸の形でまいりますものと、絹織物の形でまいりますものと、両方ひっくるめまして国外に出ておりますのが四ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/43
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044・野溝勝
○野溝勝君 ここ二、三年来の比率は大体大差ないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/44
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045・久宗高
○政府委員(久宗高君) ほとんど比率は変わっておりません。内需のほうもほとんどそういう点で、その比率は安定して大体六、四という形でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/45
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046・野溝勝
○野溝勝君 そこでお伺いするんですがね、繭糸価格安定審議会の答申には附帯決議がついているわけですね。その附帯決議は、政府は繭糸価の暴騰暴落を防止し、適正かつ安定した繭価により、養蚕業者及び関係業者が安んじて増炭につとめ得るよう万全の措置をとられたい、これはそのとおりですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/46
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047・久宗高
○政府委員(久宗高君) そのとおりの附帯決議がついておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/47
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048・野溝勝
○野溝勝君 そこでお聞きしますけれども、「適正」ということは、先ほど蚕糸局長が言われたが、すでに生産費も農林統計が示しておるような生滞貨を基準にして考えておることばだと思うんでございますがな、さように解釈してよろしいかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/48
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049・久宗高
○政府委員(久宗高君) 繭糸価格安定法に基づきまして、価格をきめます場合に、もちろん生産費も基準にされておりますが、同時に、あの商品の特殊な性格から見て、需要の側、特に海外の需要の側の様子を頭に置いてきめざるを得ないわけでございます。したがいまして、両方が基準になりまして、そうして現実の価格が決定されるということがございます。したがいまして、私どもも、生産費の問題につきましては従来から非常に御議論がございますし、その点の吟味も十分いたしましたけれども、さらに附帯決議でその点に触れておられますので、その点も考慮に置きまして、特に一番重要に考えましたのは、三月の初めの段階でございましたので、まだ三、四、五と相当輸出の長期の契約ができるべき時期でございます。したがいまして、それを非常に不用意に来生糸年度の底値を上げてしまいますことによって、現在の糸価を不必要につり上げてしまう、つまり実需がついてまいりませんのにつり上げてしまうということになりますというと、むしろ別荘のストックをさらに加重するおそれがございますので、そのことが結果におきまして、現実に繭が出てまいります六月の段階でストックが非常に多いために農家の方方が手に入れます繭価を圧迫するようなことがあってはならないというふうに考えまして、ああいう決定をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/49
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050・野溝勝
○野溝勝君 そこで、私は考えてもらいたいのは、いま蚕糸局長はやはり海外の売れ行き、その状態、それから生産費の状態も考慮してやると言われた。それはよくわかるんでございます。しかし、その際に比重というものを私はどこに置くかということを考えなければいかぬと思うんです。たとえば、あくまでも生産者の意向を中心にして価格算定を考えるべきものだと思うんです。
さらに、実勢価格についてですが、生糸相場は、昨年六月の異常をはじめ、非常に激しい変動がございます。この浜相場を基準にして、繭価が算定されるわけですが、私はいまの掛け目協定というものはまことに納得ができません。新しい時代におきまして、大体浜糸相場から逆算して繭価をきめるなんという、そんなばかなことはないですよ。価格算定、取引の形式は近代化しているが、実態は封建時代ですよ。進歩的な蚕糸局長は新進の官僚として考えて、大臣に建言して、これは改めるべきものですよ。一体わけがわかなぬじゃないですか。だから、私は生産費に比重を持て、こういう意見を出しておる。この点は大臣、御所見はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/50
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051・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 検討ということばをあまり使うとしかられるかもしれませんが、よく検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/51
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052・野溝勝
○野溝勝君 まあその検討というのは、前向きの姿勢で検討すると考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/52
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053・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 私、その事情を、あまりそのほうの権威者でございませんので、よく事情を聞きまして検討いたしたいと思います。もちろん、検討するのには、野溝さんのお話のようにいくかどうかは別といたしまして、抽象的に見れば、検討する分にはいつでも前向きに検討しなければ検討の意味がないと思いますから、そういう検討は前向きであることはもちろんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/53
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054・野溝勝
○野溝勝君 十分御配慮願います。
最後にひとつ、農林委員の方々には相済まぬのでございますが、もう一つお伺いしておきたいのですが、これはこの前の大蔵委員会の際に、米の需給関係につきまして大臣からお伺いをしたことがございます。その際、農林委員会におきましては、予約減税を従前と同じように満場一致で決定されました。もちろん、大蔵委員会もこの特例法を承認したのでございますが、その際、税制調査会の中山会長の答申が、昭和三十九年度税制改正に関する臨時答申及びその審議の内容と経過の説明についての中の一部が資料として配付されました。ところが、その資料を見るというと、「最近の連年にわたる拙作によって米穀の需給関係が著しく改善されてきていることに加え、予約売渡制度もすでに八年の経験を経て軌道に乗ってきていることを考えあわせると、予約集荷の奨励のためのこの措置の必要性はすでに終了したものといえる。」、大体、米穀というものの需給関係が非常によくなったということです。政府は昨年度の供出も予定数量に至ったと言い、新聞なども豊年だと言っていた。ところが、私が東北方面に行ってみると、いもち病が起きてそれどころじゃない、供米も飯米をさいて供米したと言っておるのです。現在、私が調査した農家の実態を見るというと、大きな百姓は別としまして、小百姓などは飯米を食いつぶしておりますよ、みんな。今日では日用取りないしは出かせぎによって、その得た賃金でもって買って食っている、こういう状態なんです。ところが、あの当時、政府は豊作だ、農作という宣伝をしておる。ところが、この税制調査会のいう予約減税をやめろということも、租税公平論の一般税制理論から見れば、私は一応そういうこともわかると思うのです。しかし、この答申の一つの裏づけをなすところの、豊作だということを農林省の統計が出した。私は軽率だと思うのです。この間、農林大臣にこの点は申し上げました。ところが、その当時は豊作だといって言い切ったわけではないが、予定どおりにいくかもしれぬというような意味を豊作と受け取って新聞は出したと思います。こういうような表現でございましたから、それならあまり質問をしてもしかたがないから、私はそういう統計は十分注意してもらいたいということを申し上げました。ところが、この分でいくと、また来年も必ず繰り返してくるに違いない。
そこで、私は特に農林委員の皆さまにぜひご理解をお願いしたい。北陸、東北、北海道という単作地帯の冷害地帯でも、早場米を出すのには相当に保温料からその他いろいろ費用がかかっております。健康上の問題、医療の問題も考えなくちゃいけない。それを考えて、私は正しい生産費というものを補償した米価が算定されれば、こういうものは要らないと思うのでございます。問題になっているこういうものは要らないと思う。それが完全にいっておらなければ、結局私は農民の生きていけるようなことを考えてもらわなければならぬのでございます。それが完全解決するまでは、予約減税や早場奨励金は存続さるべきものと思います。ですから、税制調査会に対して十分話をし、納得してもらうように、農林当局では御努力願いたいと思うのでございます。この点、ひとつ大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。
特に大臣は、最近において、外米を端境期を控えて十三万トンから十五万トンくらい買い入れなければならぬかもしれぬというようなことを言っておられます。私は、こんな状態にありながら、豊作だ豊作だと言うことは非常にあやまちだと思っております。しかし、それも別に不作ではない、米の需給関係に変動があってさようなことになった、あるいは配給業者が特選米を出すにあたって問題が起こっておるというようなことも聞いておりますが、私がそういう一つのテクニック的なことばよりは、基本的に予想より収穫が少なかったというふうに見てあやまちはないと思うのでございます。国内需要に見合う生産体制が弱いのでありますから、ひとつそういう点につきまして、大臣は今後、この米価について、あるいは米の供出制度について、税制調査会からかような意見の出ることに対しまして、どう一体これに対応し、または理解につとめていくかというような点につきまして、お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/54
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055・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 三十八年産米は確かに三番目くらいの生産量でございます。これは統計が示しておるのでございますから、それは別に豊作ということを固持する意味でなくて、事実三番目でございます。しかし、前年の三十七年度よりは百三十万石くらいでしたか、もっとでしたか、ちょっといま数字持っておりませんが、それよりは減っております。
そこで、その税制調査会などの審議の過程におきましては、また一般にもそういわれておりましたが、三十七年までのこの豊作続きというようなことを頭に置きまして、非常に豊作続きだから予約減税等の必要もなくなってきたのじゃないかと、こういう意見であったと思います。しかし、その後、御承知のように、三十八年産米が三十七年よりは減っております。そういう状況、あるいは端境期における新米の食い込み、あるいは消費量の拡大と、こういう爪からだんだん分析してみまするというと、そう手放しで豊作だ豊作だという楽観を許すような状況でないということがはっきりしてきたわけでございます。でございますから、去年の早いころまでには、もう御承知のように食管の制度なんかも要らぬじゃないかというような声なども相当強かったのでございます。しかし、事情がだんだんわかってきまして、また需給関係等が必ずしも一昨年あたりで見ていたようなものではないと、こういうふうになってきましたので、いまの予約減税等につきましても、その他につきましても、なお慎重を要すると、こういう考え方に一般もなっておりまするし、私どももそう考えておる次第でございます。
十三万精米トンの輸入につきましても、端境期を考慮いたしまして、新米の食い込みが、二年ばかり食い込みが非常に多くなってきておりますし、消費も多くなっておりますので、そういうものに対処するために、三十九予算年度の予定を米穀年度に先に繰り上げて輸入しようと、こういうようなことにいたしておるわけでございます。でございますので、昨年の早いころ、あるいは一昨年のころの需給の見通し等とは違ってきておると、こういう基礎の上に立ちまして、この米の需給関係その他につきましては相当慎重に対処していかなくちゃならない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/55
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056・野溝勝
○野溝勝君 非常に熱意を持ったお答えでございますが、どうか、かような問題がたびたび税制調査会から出ると、やはり税制調査会も税理論の一本調子から本物になる危険性はこれはもうあるんでございますから、その点は私はいまからひとつ大臣、十分理解を得ることにつとめるように願っておきたいと思います。
最後に、それと関連をいたしましてお伺いしたいことは、まあ米の問題についてはまた時間を見てお伺いするといたしまして、特にかような需給関係から見ても、一そう生産者に努力してもらわなければならぬときに、その基礎をなす土地、その土地の維持育成につきまして、土地改良事業をやっておるのでございますが、その土地改良事業が今日組合をつくってやっておる方方が、その負担に非常にたえかねまして、大きな悩みをしていることを大臣は御承知でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/56
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057・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 全般的とは申し上げかねると思いますが、一部、相当土地改良をせっかくしておりながら負担に困っておると、こういう事実は承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/57
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058・野溝勝
○野溝勝君 たぶん、大臣のおくにでは土地改良が非常に盛んなところでございますから、十分もう御承知だと思っております。さらに加えまして、最近新産業都市建設に関して、従来土地改良に重い負担を受けておる農民がその解決のつかない悩みのうちに、またその新産業都市でもって土地を取り上げられてしまうということで、二重の悩みを今日受けておるわけです。
私は、かようなことを抽象的に申し上げてはどうかと思いますので、この際私は申し上げたいと思うんでございますが、その前に、農林漁業金庫からの借り入れ金の元利償還について延べ払いを求めている土地改良区は、どのぐらいありますか、いますぐ払えないと……。概略でよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/58
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059・小林誠一
○説明員(小林誠一君) 土地改良区の数でございますが、全国非常に数は多いのでございまして、約一万三千ばかり土地改良地区があるわけでございます。まあその土地改良区に対しましても、公庫なりあるいは中金から相当多額の金額が貸し付けられておるわけでございますが、私たちのほうで調査しまして、そのような借り入れ金が一年以上延滞をしているというものにつきまして、調査いたしますと、大体そのうちで二百五十ばかり、比率にいたしまして、一・九%くらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/59
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060・野溝勝
○野溝勝君 それは二百五十件というのは、一年以上の延滞というのでありましょうか、約束どおりに行なわれておらぬ改良区ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/60
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061・小林誠一
○説明員(小林誠一君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/61
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062・野溝勝
○野溝勝君 不振改良区というのはこれを言うのですか。不振改良区というのは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/62
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063・小林誠一
○説明員(小林誠一君) 実はそのほかにも延滞になっているのはあるわけでございますが、私たちとしまして、一年以上延滞しておりますものについていろいろ対象にいたしまして対策を立てております。したがいまして、その途中の段階で、一カ月、二カ月と延滞しているのはその他にあろうかと思います。その数字につきましては、現在ここに持っておらないので申し上げられませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/63
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064・野溝勝
○野溝勝君 大臣、もう大臣は十分御承知だと思いますが、私の調べた範囲では、こんなものじゃないのでございます。全国のいろいろ各農民組合の諸君に調査して回答してもらっているのです。実態はまことに深刻なものがあり、その何倍かの土地改良区はその経営と農家経済の圧迫に苦しんでいます。私の調査では約四、五百件あり、いま表面化していないがごく近い将来表にあらわれて重大化してきます。いずれにしても、とにかく二百五十件——政府が下目に出した数字が二百五十件、これはどうして一体こうなっているかということなんですね。そして、いまにして抜本対策を要する事態です。これはひとつ、人情大臣である赤城さん、ひとつ私はこの点を考えてもらいたい。どうして一体払えないか。農民が、これは改良区の諸君が、小原庄助さんのように朝寝朝酒朝湯が好きで、ふざけておったらいかぬ。そうでないのですね。生産や増産をするために、非常に骨を折っている。改良事業に対しましては、いつでも設計変更をやったりあらゆる苦労をしている。それが積み重なってきている。そうしてばく大な金利などはとても払えるものじゃないのですよ。しかし、これはもう政府出資の金庫の金でございますから、払わないわけにはそれはいきません。けれども、払えるように私は考えてやらなければいかぬと思う。
一つ例を申し上げますが、福島県の河沼郡柳津町の改良区では、当地区は米作地で、大体いろいろ調査をしてみると、労賃を目当で五百円に見て、これは生産費計界ですよ、そうして反収七俵の場合は、実態は七俵がA級です。あとの半分はほんとうに五俵以下ですが、大体七俵に見ると、収支はようやく五千円前後の黒字です。反収で。したがって、土地改良区の負担金六千円を払うと、赤字になってしまう。縮小再生産にもならない。労賃も出やしませんよ。何を食っているか。これでは徳川時代と一つも違わぬと思うのです。大臣、ここに思いをいたしてもらいたいと思う。払わぬというのじゃない。これは払えないのです。こういうのに対して、再建案を出せという。再建案を出せば、それでけちをつけて、承知ならぬといって突っ返す。どうすればいいのですか。特に徳島県阿波郡市場町の善人寺島土地改良区は、二十年賦で金利二分ないし三分の長期融資を要求しておりますけれども、これは再建するためにどうしてもこうしてもらわなければやっていけないというわけで、この案を出しておるわけです。県のほうと出先のほうは大体了承したのでございますが、中央の金庫のほうはまだそれを了承されぬ。もう私どもは売るものを売り、あらゆるものは担保に出しております。これ以上どうすることもできません、かようなことが言われておるのでございます。これについて土地改良関係の、農地局長ですか、現在かような報告が来ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/64
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065・小林誠一
○説明員(小林誠一君) 福島県の柳津の件につきましては承知をいたしております。この柳津の土地改良事業でございますが、これは戦前からずっと行なわれた土地改良事業でございまして、それで終戦後も引き続いて県営で二十五年まで工事をやった地区のようでございます。ところが、その隧道が、岩盤が軟弱なためにこわれまして、そのためにさらに捲き立て工事をやらなければならないというような事情があったのでございます。さらにまた、三十一年あるいは三十三年に災害を受けまして、災害復旧にも金がかかるというようなことで、いろいろの原因が重なっておる地区のように聞いております。そういうことから、現地の方もお見えになりましたので、事情をお聞きいたしまして、この公庫の債権の管理の問題を、農林経済局の所管でございますので、金融課長も一緒にお話を承りまして、公庫のほうにもそのことにつきまして連絡をしておるわけでございますが、現地におきまして現在、中金の福島支所、それと公庫の仙台支店がその解決策についていろいろ話し合いをいま進めておるという段階でございます。まあ現地の理事者の方も非常にまじめに再建を考えておられるということを、お目にかかりましていろいろ承ったわけでございます。農民の負担があまりに過重にならないような方向で解決されることを、ここにお話を申し上げているような次第でございます。
なお、徳島県の阿波郡の問題につきましては、私まだそのケースについてお聞きしておりません。さっそくその実情を調査いたしたその上で、それに対しまして適切な措置をとり得るようなことを関係各局ともいろいろとお話を申し上げたいというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/65
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066・野溝勝
○野溝勝君 管理部長のほうからまじめな答弁がございましたが、先ほどから申すとおり、非常に悲壮なものでございます。土地改良区の、特にそれは横着をきめ込んだ役員のあった組合はよくないと思います。しかし、まじめにやっている農民の諸君は、この負担にたえかねて、いま申したように、全部もう担保に入れまして、七、八へ入れまして、非常な難儀をしてやっているわけでございます。先ほど大臣が申されましたように、来年度における米の需給計画については万全を期したいというこの食糧増産を前に控えて、生産農民がかような悩みのために生産が鈍るというようなことがあったならば、これは政治の失敗だと思います。どうかそういう点を注意して、徳島県の問題はすぐ徳島県に調査方を一応命じてください。大臣の了解を得てさようにやってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/66
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067・小林誠一
○説明員(小林誠一君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/67
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068・野溝勝
○野溝勝君 いろいろ長い間、委員長のあっせんで……。私の質問を終わらせていただきます。つきましては、いま農林省は各方面におきまして新しい施策をやらなければならぬ際、私は農林省が馬屋くせがあるということを聞きましたが、赤城農林大臣になってからこの馬屋くせが緩和されつつあるということを聞きまして、陰ながら非常に期待をしているものであります。大臣だからといって、自分の思うようにさせたい。なるほど政治の政策の浸透については、それはまあ当然でございますが、しかし、一つの個人的な意欲を下僚にしいるということは、これは行政を乱すことになるのではないか。赤城さんが大臣就任以来、農林省の公務員もほっとしたと言っております。これは赤城さんの人格のしからしめるところである。それをひとつ今度は政策の上にお示し願いたい。そのあなたの人徳をもってすれば、下僚は喜んでやると思うんです。それを期待しまして、質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/68
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069・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 本日は、これをもって散会いたします。
午後零時五十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02419640410/69
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