1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月十六日(木曜日)
午後一時三十四分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 青田源太郎君
理事
梶原 茂嘉君
櫻井 志郎君
渡辺 勘吉君
北條 雋八君
委員
植垣弥一郎君
岡村文四郎君
木島 義夫君
北口 龍徳君
仲原 善一君
温水 三郎君
野知 浩之君
藤野 繁雄君
堀本 宜実君
森部 隆輔君
山崎 斉君
大河原一次君
大森 創造君
矢山 有作君
安田 敏雄君
高山 恒雄君
国務大臣
大 蔵 大 臣 田中 角榮君
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
政府委員
農林政務次官 松野 孝一君
農林大臣官房長 中西 一郎君
農林省農林経済
局長 松岡 亮君
農林省農政局長 昌谷 孝君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
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本日の会議に付した案件
○農業改良資金助成法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○農林漁業金融公庫法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/0
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001・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) ただいまから委員会を開きます。
農業改良資金助成法の一部を改正する法律案及び農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案を一括議題とし、質疑を続行することにいたします。
質疑のおありの方は、御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/1
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002・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 大蔵大臣にお尋ねを二点にしぼってお伺いをいたします。
この委員会に付託されて、審議をいたしております農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の中で、金利体系の改善、簡素化を実施するために、いろいろな合理的な内容を盛った法案の要素を持っておるのでありますが、その公庫資金の中の、金利の体系を改正された内容を、現行と比較をいたしてみますと、確かに改善のあとが顕著なものが見受けられるわけであります。すなわち、従来は三分五厘から七分五厘まで九段階にいろいろな貸し出しが、資金の種類によって細分化されておったのでありますが、今回の法改正では、これを四段階に整理をし、しかも相当部分を、三分五厘資金に集中をしておるということでございます。政策の立場から見て、さらに、問題はあるわけでありますけれども、この点にしぼってみれば、かなり政府当局の努力のあとをわれわれも察知するにやぶさかなものではないのであります。しかしながら、せっかくこういう大きな改善の措置を講じておる中には、もう一歩というところで、画龍点睛を欠くうらみがあることをいなめないのであります。私はその中で、二点にしぼって、これから大蔵大臣にお尋ねをいたすわけでありますが、まず第一点は、経営拡大改善という項目で締めくくっておりますところの、果樹園経営改善、畜産経営拡大、沿岸漁船整備促進、沿岸漁業協業化促進、この四つの資金種類を一まとめにして、改正案では、これを六分五厘資金にまとめて出しておるのでありますが、その六分五厘資金の、ただいま申しました経営拡大改善というものには、ただし書きがついておりまして、「ただし当分の間五分五厘とする」という扱いになっておるわけであります。いうまでもなく、経営拡大改善のこれらの資金種類は、農業基本法で言うところの選択的拡大の大きな柱をなす果樹園なり、あるいは畜産経常なりというきわめて金融政策としても重大な柱の内容になるのでありますが、まず、この点について大臣のお考えを伺いますのは、当分の間とは、一体どういう期間を大蔵大臣としては考えられておるのかということと、当分の間が、具体的に、その年数等は明らかに御答弁によってわかると思いますが、それが過ぎた場合は、一体どういう改正案の金利体系にこれを編入されるのか、この点について、まず、お考えをお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/2
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003・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) ただいま御指摘になりましたものは、六分五厘のワクの中に入っておるわけでありますが、当分の間五分五厘ということになっております。御承知の、九段階のものを四段階に非常に大幅に改善をするということになったわけです。これは大体、段階的にやることがいいのであってということで、当初、農林大臣との折衝においては、九段階を四段階に一挙にはできない、大体六段階くらいじゃないかということでありましたが、農林大臣のいれるところとならず、じゃあ五段階ということであったのですが、最終的には、法案をつくるときには、四段階でなければ話にならぬということで、私も農村の出身者でありますから、まあ、こういうことは譲るとか譲らぬとかよりも、前向きの政策だからひとつやろうということで、四段階に思い切って踏み切ったわけでございます。四分五厘だったものが三分五厘になったり、それから六分のものが五分になったり、七分のものが六分五厘というように、上のものを下げると同時に、段階を四つにしましたために、中には、上がるものも出てくるわけであります。でありますから、それを、上がるようなものは内容によって十分検討しようということで、政府としては、いまお示しをしておりますような、現段階における最善な案をつくったわけでございます。でありますから、「当分の間」ということは、これは苦肉の策として「当分の間」といたしたわけでございます。ですから、「当分の間」が切れればどうなるかと言えば、六分五厘になるというので、その五分の中へ入れる意思がないのですから、いまのところでは。だから、六分五厘になる。こういうことが正しいのであります。が、しかし、当分の間五分五厘と、なぜそういうことをやったかという事情を考えれば、「当分の間」が一体幾ら続くかということにしぼられるわけであります。「当分の間」とは一年も当分の間でありますし、三、四年も当分の間です。太政官布告時代から九十年間も「当分の間」が生きておるものもあります。ですから、「当分の間」というものは、各法律に、「当分の間」と書かれるのは、絶えず議論の種になるということでございます。でありますから、「当分の間」に非常に重要性があれば、「当分の間」が九十年も続いているということもありますし、そうでない場合は、次の法律改正まででもって整理をされるというふうなこともあるわけでございますが、果樹、畜産、沿岸漁業というような問題に対しては、私はこの法律案を提案いたしましたときには、四段階におりるだけでもたいへんな進歩でありますから、できるだけ、この「当分の間」が早く終わって、六分五厘になることが好ましいと、こう言おうと思っておったのですが、ところが、だんだんと審議の過程において、私の考えよりも、「当分の間」ということがだんだん長く解釈されるようになっておりますし。また農林大臣が、「当分の間」に対して、前向きの答弁をしておるようであります。これは、内閣は連帯して国会に責任を負っておるのでありますから、農林大臣がしゃべって、私に責任がないというわけにもまいらぬわけでございます。でありますから、「当分の間」が一体どのようになるかというのは、いま農林大臣との質疑応答にございましたように、これを前向きに、「当分の間」を続けろという御議論があるうちは、「当分の間」が続く。こういうことになるわけであります。そうでなくて、いま六分五厘に早くしろという議論があれば、これは、「当分の間」はなくなるわけでございますが、「当分の間」というものを続けて、五分五厘にしており、おくべきであるという議論、もしくは一段下げて、五分のほうにさや寄せしていくべきだという御議論があるうちは、「当分の間」というものは続く、続いていくという考え方をとらざるを得ないわけであります。でありますから、皆さんが、五分五厘は当分の間やっていけ、こういう御議論があるうちは、相当長期に続く可能性があると、こういうふうに考えられるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/3
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004・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 はなはだ幅の広い答弁であって、なかなか理解しにくいわけであります。
そこで、もっとしぼってお伺いをしますのは、いま大臣の答弁には、「当分の間」には一年という理解のしかたもあるし、九十年という過去の「当分の間」の実績もあるという答弁でありますが、この五段階も、四段階もなかなか容易じゃないので、こういう「当分の間」という字句を挿入したということでありますが、それが過ぎれば、これを六分五厘に戻す、こう、いとも明瞭に答弁をされたのでありますが、そうなりますと、六分五厘に戻すということになれば、従来改正案以前の金利では、沿岸漁業整備促進は五分五厘であった。それを六分五厘に戻すということは、私は改悪に内容的につながると思う。また、果樹園、畜産経営拡大も当分の間五分五厘であったものを、六分五厘に戻すということになれば、三十八年度までは六分で融資しておったものを、五厘金利を高めていく。それぞれの経営負担を増高させるという内容につながるわけであります。したがって、こういう大臣の答弁では、われわれとしては断じて納得ができないことであります。
で、大臣の答弁の、各大臣が連帯責任を持って当たるということに私は重点を置いて、さらに、この点についてお伺いをいたすのでありますが、おとといのこの委員会では、あなたと連帯責任を持っている池田内閣の赤城農林大臣は、「当分の間」が経過すれば、これは改正の四段階のうちの五分にこれを戻すということを、この委員会で、われわれの前に公約をしておる。そうして当分という解釈は、赤城大臣は、三、四年という具体的な数字をあげて答弁しておられる。これは五分に戻すということであれば、これは「当分の間」というものは、われわれも、せっかく出ている法律を、直ちに三十九年から五分に直すということは、これは容易ではないことでもあろうと思いまして、一年くらいを当分の間と理解し、農林大臣の考える「当分の間」が過ぎれば、五分にするという措置は、これはお互い連帯共通の意思のもとに、国会に臨んでおられる大蔵大臣としても、そういう答弁こそ、これは当然素朴に期待している国民の期待感であります。しかるに、あなたの答弁は、六分五厘という金利を、当分の間五分五厘にしたのだから、この当分が過ぎれば六分五厘だと、これは閣内の大きな不統一の答弁になる。この点もう少し具体的に納得のいくようにひとつお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/4
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005・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 九段階を四段階に、相当荒っぽい処理をしたわけでございます。理想的にいえば、四段階の中でもって全部一番低いものにさや寄せするということが一番好ましいことでございますが、政府関係機関の、他の機関の金利の問題等もありますし、いろいろなバランスの上もございますし、そういう意味で、中には、一部上のほうに上がるものもある、ということは、整理をするときの問題としては当然のことでございます。でありますから、理論的にいいまして、六分五厘のワクの中に入っておりますが、当分五分五厘だということでございますので、理論的にいいますと、「当分の間」がなくなれば、いまの段階で申し上げれば、六分五厘になります。ということは、これはもう理屈の上であたりまえです。が、しかし、この五分五厘ということを、「当分の間」という除外例を設けなければならなかった理由もまた承知をいたしておりますので、いますぐ、その五分のほうへやっていくというわけにも、他の金融機関とのバランスもありますので、金利体系の問題もありますから、農林大臣のおっしゃるように、私はそう端的に申し上げられない、そうすれば、六分五厘のワクの中に入っても、「当分の間」というものがずっと続いていけば、五分五厘でずっと続いていくわけであります。でありますから、そのような事実を申し上げたわけでございます。しかし、これが赤城農林大臣の発言と、私の間で不統一、意見の不一致だと、こういう御指摘でございましたが、これは不一致ではないのです。表現は立場によって多少違いますが、これはやはり相当前向きの姿勢でおることは御理解いただけるわけでございまして、不一致などというものではございません。農林大臣の言われたことに対しては、私もなるべくひとつ農林大臣の意見を十分聞きながら、私自身先ほど申し上げたように、九段階から六段階くらいがいいところじゃないかということを言ったのを、六段階、五段階、四段階とだんだんと、農林大臣の言うことも聞いておるわけですから、これはもう基本的な姿勢として、考え方としては、農林大臣と私との間に、非常に通うものがあってこうなったわけでございますから、この「当分の間」の方向というものに対しては、ひとつおおむね御想像、御理解賜わって、いい方向にいくように、こういうふうに御指導賜わりたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/5
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006・矢山有作
○矢山有作君 それならば、端的にぼくは御意見を伺いたい。
いま問題になっている果樹園の経営改善に対しても、畜産の経営拡大にしても、これは現在の内閣が選択的拡大で、構造改善の中では非常に重点に取り上げておるんですね。それが法の改正で、別表の改正で、利率が上がってくる。ところが、当分の間は五分五厘でやると、こうおっしゃっているわけです。ところが、それに対して農林大臣は、「当分の間」とは、いま話が出ましたように、三、四年ぐらいだと、それから後は六分五厘には戻しませんと、五分にするんだと、こう言い切っているわけですよ。だから、あなたがその農林大臣の言ったことを認めるか、認めないか、これがいまの審議の焦点になっているわけです。だから、あなたは農林大臣と同じように、現在のあんた方の政府がとっておる農業の重点の置きどころというものをお考えになって、「当分の間」とは、三、四年というのは、私は長いと思う、一年か二年の間のことであって、しかもその「当分の間」が過ぎたら当然五分の線に戻すと、農林大臣と同じようにおっしゃっていただければ、これは閣内不統一だなんておかしな話は出ませんし、よく閣内は統一をされておると、われわれも感心をいたしますし、また、田中大蔵大臣ともあろうものが、それだけの腹芸ができないはずがない。私は、田中大蔵大臣というのはなかなか人情大臣で、物もわかる人だと思っているんで、ひとつ、われわれが納得できるようなどんずばり、男らしい表現をしてもらいたいと思うんです。ここで。そうしたら、この法案の審議は非常にスムースに進みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/6
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007・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 男らしいところもあるんですが、国民の財政を預かっておるという立場もございまして、なかなかそう簡単にも申し上げられないわけでございます。いずれにいたしましても、先ほど申し上げたとおり、九段階を四段階に、また農林漁業関係については、政府自身も非常に積極的な施策を行なおうとしておることは御承知のとおりでございますので、まあ、私は立場上前段申し上げたようなことを申し上げましたが、農林大臣がそのような御発言をしておられるという事実も承知をいたしております。でありますから、まあ、あまり農林大臣とそっくりの話をいま申し上げるというわけにもいかないと思います。それは農林省から予算要求とか、こういうまだ正式な要求もないわけでございますし、あれば、私が対案を出して、閣議でこれを決定する、こういうのが法律のたてまえでございますので、いまの段階で、私が明確なことは申し上げられませんが、言い得る限度一ぱいで申し上げるとすれば、農林大臣とよく相談をしまして、できるだけ——どう言いますか、前向きといいますか、とにかく検討をいたしてまいりたい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/7
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008・矢山有作
○矢山有作君 大蔵大臣、そこまでおっしゃるんなら、もう一歩踏み切って、とにかく選択的拡大で取り上げておる非常に重大な農業施策の一つなんだから、農林大臣の意見を高度に尊重して、そういう方向で善処するということは言えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/8
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009・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 農林大臣の意思も尊重しながら、十分にひとつ検討をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/9
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010・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 前向きに検討するということでありますから、それを総括的に、別なことばで言えば、善処をすると、こういう内容の答弁と、こう理解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/10
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011・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 農林大臣とよく相談をいたしまして、(「思い切りの悪い人だな、あんたは。」と呼ぶ者あり)まあ、あなたが大蔵大臣になるとやはりこういうことを言うのであります。とにかく農林大臣が御発言になったのでありますから、農林大臣の御意見も十分尊重しながら、また閣内においてお互いに十分意思の疎通をはかりながら、前向きで検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/11
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012・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 時間が制約されている出席でありますから、次の第二点を中心にお尋ねをします。
それは、せっかく改正というのでありますから、改正というのは、正しく改めると理解するのです。ところが、内容的には、改悪をされているものがある。その一つの例にしぼって申し上げますと、電気導入施設についてであります。これは六分五厘という中に入れられているものと、五分という中に入れられているものがある。従来六分であったものを、六分五厘に入れている。こういう不合理な要素があるわけであります。そこで、これも農林大臣に伺ったのでありますが、これはせっかく英断を持ってこういう金利体系を四段階にしぼったのでありますから、これを全部改正をするというのでありますから、五分資金にこれを統一するということでなければ、せっかくの改正が、この一つの改悪の要素によってスポイルされるということになるんだが、この電気導入施設については、これを五分資金に、四段階の金利体系の中に、統一的に改正するという方向でこれは勘案願いたいのでありますが、この点についてはいかような御意見をお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/12
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013・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 御承知のとおり、電気導入施設につきましては、改悪といわれましたが、相当改善をいたしているわけでございます。最終段階におきまして、非補助五分、それから他のものが六分五厘のワクの中に入っているわけでございますが、これを平均しますと、相当な改善になるわけでございますが、こういう問題は、これは御承知のとおり、他の金利体系との問題等もありまして、相当検討した結果、現段階においては、このようになったわけでございます。しかし、これは一時に全部理想的なものにできれば好ましいわけでございますが、毎日々々、毎年々々だんだんと、こうよくしていくというものだから、画龍点睛を欠くという立場での御発言と理解いたしますが、現段階においては、いま申し上げたとおり、果樹、その他に対しては、相当農林大臣の発言の趣旨も体しながらやります。こう申し上げたわけでございまして、どうせそこまでいったら、あと少し残っているものもみなやれというお気持ちもよくわかりますけれども、そう一ぺんにすべてのものが、合理的に、最終的な理想案にも届きかねるものでございまして、今日の段階においては、この問題に対しては、お示しをしたような状態でひとつ御理解を賜わって、これからまたお互いに、農林漁業の振興というものに対しては、どうせ毎日々々、毎年々々いまよりよりよい状態をつくっていくわけでございますので、そういう段階でもう一ぺん御議論をいただきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/13
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014・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 確かにこの電気導入施設についても、従来五分五厘資金であったものあるいは六分資金であったものが、五分に改正されたことは、私認めるにやぶさかでないのであります。しかしながら、大臣も御承知のように、こういう電気導入施設の地帯というものは、最もそれぞれの地方においても、辺地の恵まれない、所得格差と地域格差の二重の矛盾に沈でんしている地帯のこれは施設であります。そういう点から見れば、いわゆる補助事業というようなものを、六分を六分五厘に上げるということは、金利の重圧からなかなか従来もこれは償還に支障をきたしている実態の中で、なぜこれだけを改悪の要素に整理をされたかということを、私はきわめて残念に思うのであります。せっかくこれだけの大きな金利体系を理論的に整えられた場合に、従来六分資金であったものを、六分五厘にこれを引き上げるということは、何としても納得ができない、これを五分に統一するということは、財政的にもたいした負担がなしに、非常に全体がすっきりしたものになる。そういう意味で、私は大きな期待感を持って大蔵大臣に、さらにもう一歩というところの手直しを要請をする意味で、お尋ねをいたしておるのでありますが、この点について、もう一度御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/14
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015・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 御指摘になることは十分理解できます。が、先ほど申し上げましたとおり、九段階のものを一挙に四段階にする。これは全部その下のほうにそろえてしまうということが最も理想的なものでございますが、なかなか一度にはできないわけでございます。この中で、申し上げたとおり、この区分変更によりまして、利下げが十七もあるわけでございます。変わらないのが十八であります。で、利上げといわれるような部分だけが、他の同じようなもの、いわゆる前の土地改良、林道等でございますが、漁港等、こういうものの補助裏との関係もございまして、こういうものだけただいま御指摘のような状態になったわけでございます。これは九段階を四段階に急激に直してしまうという過程における一つの問題でございます。でありますから、中には非補助の問題は、五分のワクに大幅に改善をしておるのでありまして、一部残っておる面に対しては、この時点においては、ひとつ御理解いただいて、また将来の問題として、われわれもほかの問題その他とあわせて検討をしていかなければならぬ問題ではありますから、そういうところで、ひとつ、このたびは御理解を賜わりたいと、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/15
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016・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 それでは、最後に申し上げますが、従来この制度金融でやるべからざる要素すら制度金融の対象になっているというものも、実は内在的な問題としてはあるわけでありますが、そういうことは別といたしましても、現在のこの農業の置かれている立場から見れば、まだまだこの改正案に出された案では、きわめて実態からいって金利の高圧にあえがざるを得ない実態があるわけであります。したがって、そういう観点から見れば、これをもって私は画龍点睛ということは、この制度の改正案の内容の中で申し上げることであって、全体から見れば、さらにこれは特段の政府の配慮によって、一そう制度金融をもっと農民が喜んでこれを受け入れて、農業の将来の発展に勇躍できるような方向が、これは客観的には問題があるわけでありますが、そういう点を十分ひとつ今後の問題としてお考えを願いたい。一応スタートをしたこの中に、こういう矛盾点があるということでありますから、これはぜひとも近い機会に、こういう事務的な矛盾点というものは、ぜひ合理的な措置を講ずるということだけは、ここで御確約を願いたいのでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/16
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017・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 政府も、与党も御承知のとおり、農林漁業振興のためには、大いに意を用いておるわけでございまして、いま御指摘になられましたような問題等を含む農林漁業振興の問題につきましては、積極的に将来とも努力を続けてまいりたいと、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/17
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018・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) それでは質疑を続けます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/18
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019・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 この前、農林大臣に、農業金融の交通整理について伺って、途中で打ち切ったわけでありますので、引き続いて、まず、この問題を中心に大臣の所信をお伺いいたしたいのであります。
農林漁業金融公庫法の第一条には、「農林漁業金融公庫は、農林漁業者に対し、農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期且つ低利の資金で、農林中央金庫その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」と、第一項にうたってあるのであります。ところが、実態は、公庫の融資と、農林中央金庫を中心とする組合金融との間で、はなはだこの第一条の目的から見て、複雑混淆をしておる事態があるわけであります。私は具体的な例をあげてお尋ねをいたしたいのでありますが、公庫資金のうちで、建築物なり、構築物なりに対する融資と、農機具に対する融資、あるいは永年性植物に対する融資、家畜に対する融資、大きく分けてこの五つの融資対象が、公庫融資の対象にもなっておる己、近代化資金の対象にもなっておるのであります。この競合といいますか、交錯をしておる融資の体系で、末端ではきわめて混迷をしておる事態があるわけであります。しかも今度公庫融資について、前段にお尋ねをいたしましたように、金利体系が従来とはかなり飛躍的な改正が全体で出てくるということになれば、一そうこの近代化資金融資と、いまあげた五つの対象融資について、受益者の比較した場合の利益、不利益というものが出てくるわけであります。
そこで、この二つの同じ融資対象を検討の対象にのせました場合に、これに対応する交通整理の手段は、大体私は二つあると思うのであります。一つは、農林漁業金融公庫のこれらの融資対象は、原則的に近代化資金の融資にこれをゆだねるという整理の仕方、それから、近代化資金に対する従来の政府の利子の補助率、これに関連する地方庁の利子の補助率、これを倍額にする、従来近代化資金の組合金融をファンドとする融資に対しては、政府の補助が一分、五厘、都道府県の補助率で一分五厘で、あわせて三分という点で、やっと昨年の委員会で私が取り上げた問題を、農林省も現実にお取り上げになって、組合金融全体について、この近代化資金の段階別の融資率の合理化を、四月から実施されたことに、まず、この機会にお礼を申し上げるわけであります。中金から都道府県信連に近代化資金を転貸する場合は、八分にこれを合理化をし、県信連から単協に融資する転貸率を九分五厘にして、中金の信連に対する五厘ざやと、信連の単協に対する融資、単協の末端に対する融資を、一応体系をつけたわけでありますが、その末端の九分五厘に対して、三分の利子補給ということが現状でありますが、公庫融資にこれだけの勇断を持つならば、なぜ近代化資金に同等の重点を置かなかったかということであります。これに、いま私が申し上げたように、国が三分、都道府県が三分の利子補給をいたしますならば、末端の、近代化資金の受益者の負担は三分五厘になるわけであります。そういう金利の、制度金融と相対応する近代化資金に対する貸し出し金利の改正の方向というものと相待って、私は、その資金の扱いを大幅に、これは近代化資金に移譲すべきものであるというふうに考えるわけであります。
ただ、ここで、具体的に取り上げなければならないのは、一応、たてまえとしてはそうでありますけれども、その中で、償還期限が十五年以上の長期にわたるものは、これは組合金融プロパーの融資としては、いささか問題があると思いますので、この償還期限を、さらに、十五年以上のものについては公庫融資にこれを残す。もっぱら公庫の融資は土地基盤整備というものに重点を置くということで、この問題を、交通整理をはかるべき時期に逢着しているのではないかというふうに考えるのでありますが、大臣は、いずれこの金融機関の合理化対策については、何らかの諮問組織を設けて、そこに検討をゆだねるということでありますが、具体的には、そういう相談をする場がなくても、現実に、これは末端において、近代化資金のルートと、制度金融のこの公庫資金の融資とで、非常にアンバランスが行なわれ、取り扱い上に混淆を来たしておるという事態であります。なお、これらの公庫融資をする場合には、一番抵当権を設定するということで、優先的にその措置がなされるという点から、見ましても、こういう融資対象を競合するということは、すみやかに合理化措置を講じなければならないという、現実のこれは切実な課題でありますので、こういう点については、もとより、主管大臣は問題点を十分承知されておることだろうと思いますので、この点について、私のこういう整理の仕方というものを、さらに内容として、大臣のお考えをお伺いいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/19
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020・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 御指摘のように、制度金融のほうにおきましては、その目的として長期である、あるいは基盤の整備等こういうものに融資するということに相なっておりまするし、組合系統の資金等は、そういうものでないほうへ大体流しておるわけでございます。その中で、いま御指摘の建築とか、農機具とか、こういうものはみんな近代化資金のほうに回したらどうか、組合金融のほうに回したらどうか、こういうことでございますけれども、そういう点はなお検討してみたいと思いますが、その中で、長期のものはやはり系統でなくて、制度金融のほうでまかなうべきだと、こういうお話、確かに長期的なものはそのとおりであろうと思います。ただし、いまの御指摘のようなものは、全部近代化資金に回して、あるいは利子の補給率を上げるというようなことまで考えたらどうかという一つの案でございます。両者混淆しておる事実があり、そのためにスムーズに金が流れていかなかったりするような関係は、私もあることを承知しております。そういう意味におきまして、大体交通整理的にはなっておるわけでございますけれども、現実には混淆しておるところがあると思います。でありますので、いま御指摘のように、金融の問題はなかなか複雑であり、むずかしい問題でもございますので、しかるべき機関によくはかりまして、いま御指摘のように紛淆しないようにやっていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/20
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021・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 大臣も現実を御理解のしでの御答弁でありますから、いかにこの問題が末端では困惑をしておるかということに思いをいたして、いまの御答弁をもっと積極的にひとつ整理をする方向にすみやかに善処を要望してやまない点であります。
たくさん問題がありますから、次の問題に移りますが、この交通整理の一環として、農林漁業金融公庫の取り扱いの合理化ということを、これを大臣に強く検討の対象としてほしいのであります。と申しますのは、大体、この農林漁業金融公庫が発足したときの考え方は、たとえば昭和二十七年の十二月二十日の衆議院の農林水産委員会の附帯決議にもあるように、なお翌年の三月六日の委員会の附帯決議にもあるように、「従たる事務所は、当分の間これを設置せざること。」というのが、国会の審議の中で煮詰まった意見として、附帯決議がつけられて発足をした経過があるわけであります。ところが、この附帯決議がつけられて公庫が発足して幾ばくもたたない三十三年には、札幌なり、仙台なり、あるいは東京なり、名古屋なんというところに支店が設置をされ、逐年この支店がふえてきて、現在では十の支店が設置をされておるという実態であります。参考資料として提出されましたものを見ましても、この本支店の配置の増加傾向によって、全体の資金量の扱いの増高も現出していることではありましょうけれども、昭和三十七年の本支店の人件費なり旅費、その他の事務費は、合わせて七億であったものが、三十八年の、これはまだ見込みの資料でありますが、八億三千四百万という、約二割の人件費、事務費の累増を来たしておるのであります。これは現地に対するサービスとして支店が逐次設置をされたのだとは思いますけれども、私はここに問題があると思うのです。というのは、公庫が設置をしたときに、当分の間支店は設置しないという両院の附帯決議は、基本的にはこれらの公庫事務を受託金融機関にこれをゆだねるという運用の内容で公庫が発足をいたしておるのであります。しかしながら、本店一カ所では、なかなか事務が迅速に処理されないということもあって、また、地方からの要請等もあったでありましょうが、逐次支店がふえてきておる。これがまた公庫の仕事を非常に遅延させる原因にもなっておるのであります。政府が提出した資料を見ましても、公庫が貸し出し決定をしておる量を年間の中で月別に見ますと、一月から三月の年度末に貸し出しの決定が集中しておる。第四四半期だけで全体の貸し出し決定の五割を占めておる。三月末は、一カ月だけで全体の貸し出し決定の三割を占めておる。実に膨大なる資料が年度末に殺到して貸し出し決定をしておるのが、公庫の実態であります。しかも従来の実績から見ますと、受託金融機関が貸し出しの意見書を出して、それが公庫によって査定を変更されたりしておる例はほとんどない。あるとすれば、貸し出し条件に多少一項目ないし二項目がつけ加わるだけであります。私も公庫の仕事の実態をある程度知っておるのでありますが、あの膨大な書類に、担当者がそれぞれ目を通してこれを処理していくということは、超人的な努力を要する、そういう重積した大量のものを機械的に処理するということから解放するためにも、公庫で貸し出し決定権を最後に握るという従来のやり方ではなしに、受託金融機関に貸し出し決定をゆだねるという措置をとることによって、公庫の事務費、人件費が大幅に合理化されるのであります。受託金融機関には、代位弁済という大きな義務を負わしておる。しかも、その決定は公庫まで上げなければ出てこない。借り入れ申し込みをしてから、かなりの日月を経過しなければ融資の実体が出てこない。これが公庫に対する受益者の大きな不満の問題点であります。大臣も御承知のように、住宅金融公庫なんかでは、受託金融機関に貸し出し決定権をゆだねておるのであります。農林漁業金融公庫だけが、受託金融機関に代位弁済の責務を負わせながら、公庫が貸し出し決定をするという手続の繁雑さをあえてしておる。このことが地方における支店誘致の原因にもつながる問題になっておるのであります。そうじゃなくて、たとえば自創資金のように、全然受託金融機関で代位弁済の責めを負わないものは、これは私は公庫みずからが最終貸し出し決定をすべきであると思います。しかしながら、相互契約によって回収できないものに対しては、代位弁済を受託金融機関と結んでおる大部分の融資については、これは受託金融機関に貸し出し決定権をゆだねて、その回収の責任は契約に基づいて、受託金融機関に代位弁償を求めるということを大臣の判断によって公庫にこれを命ずるならば、どれだけこの制度金融が迅速、的確に行なわれるか、はかり知れないものがあるのであります。とともに、むだな経費がどれだけセーブされるかわからない。これが実は農林漁業金融公庫発足当時の基本的な考え方であって、附帯決議も、その内容を踏まえて出ておるものだと、私は承知をいたしておるのであります。しかるに、現実は、この附帯決議が何年もたたないうちに、逐次、支店が整備されている。計画によれば、三十九年度もこれは支店を一店増設する計画のように見受けられるのでありますが、これが一体正しいあり方であるかどうか、非常に問題であるわけであります。交通整理の前提の問題として、制度金融の中におけるこれらの公庫と受託金融機関との間におけるより合理化を可能ならしめる問題について、住宅金融公庫の例に待つまでもなく、大臣はこれをもっと前向きに措置をすべきだと思うのでありますが、この点についての御所見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/21
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022・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 第一点は、本委員会等の決議がありまして、支店の設置は極力しないと、こういうことであった。まあ御指摘のとおりでございます。そうして、また、そのために受託金融機関というものを設けておくから支店はそう設置しなくてもいいんじゃないか、よろしかろうじゃないかと、こういう趣旨であったことも、そのとおりだと私も思います。
ただ御承知のように、一般金融機関、銀行等におきましても、支店の設置というようなことは、極力抑えてきておったのでございますけれども、最近における公庫とは別で、一般等におきましても、預金が相当ふえてくる。また、公庫等におきましては、貸し付けワクも相当大きくなった、こういうような事情から、できるだけ、ふやすことでなくして、必要なところは支店を置いたほうが、一般借り受けをする人々の便宜、こういうことから、お話しのように、十ばかりブロックごとに支店を設けたといういきさつ、これはまた御承知と思います。
そこで、第二の問題でございますが、公庫受託金融機関でありまするものが代弁済をすることになっております。その受託金融機関に貸し付け決定権をまかしたほうがスムーズにいくんじゃないか、こういう御意見かと思います。御承知のように、受託金融機関では、公庫と契約をして、債務保証二割を行なっております。そういうような現状でございますが、こういう現状のもとに貸し付け決定権をまかすという場合には、他の政府機関、金融機関の例から見ましても、現存の代位弁済の比率を相当引き上げなければならないことが考えられると思います。こういうことが、現在の受託者の状況等から見て、妥当であるかどうかということになりますと、妥当とは思われないことが一つ。また、受託金融機関の責任が、貸し付け決定までということになりまずと、加重されるので、貸し付け先に対しての選別といいますか、選択といいますか、そういうことが、政策的な意図による資金が、円滑に融通しがたくなるんじゃないか。非常に厳格に、何といいますか、機械的に、法規的になるというようなことで、公庫におきましては相当政策的な金融をすることになっておりますけれども、そういうことがだんだん厳格になって、機械的になるおそれがあるのではなかろうか。そういうことからして、やっぱり貸し付け決定権は公庫みずからが行使したほうがいいじゃないかと、こういうふうに考えております。また、代位弁済、すなわち、受託機関の債務保証をやめて、貸し付け金全額について公庫が責任を持つべきではないかという問題もありましょうけれども、これは受託金融機関を単なるトンネル機関とするようなことになります。また、現在の受託業務の範囲を縮小するという問題、ひいては公庫の機構をかなり拡充するということで、かえっていま御指摘の人件費等を多く必要とするというようなことになりはしまいかと、こういう点なども考えられますので、現在のいまの債務、保証二割というような契約下におきましては、やはり受託金融機関のほうは、貸し付けのほうまで入らないほうが適当ではなかろうか、こういうふうに考えております。ただし、現状をよく御承知の渡辺さんの御意見でございますので、こういう点につきましても、なお事務的にも制度的にも検討をいたしてみたいと思いますが、現在におきましては、現在の方法が適当だというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/22
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023・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 この農林漁業金融公庫が融資するという場合に、実態を踏まえてよくわかっているのが、受託金融機関なんです。農林漁業金融公庫は実態がわからない機関であります。これをまずはっきりと前提に置いて判断していただきたい。受託金融機関がこれは末端までよく系統的にその実態を承知して、その中から融資査定をするわけであります。だから従来の例から見ても、受託金融機関が出しておる意見書で、それが金額的にも内容的にも大幅な変更を公庫の決定の際になされておるという例はないとは言えませんが、きわめてこれはレアー・ケースであります。公庫が末端まで熟知するような態勢をとるならば、これはまた問題は別であります。しかしながら、そのことは大局的に国際経済から見たならば、私はそういう考え方は、非常に不合理、不経済な考え方であると思います。そのことが公庫が国会の審議を経た場合の附帯決議になって、当分の間従たる事務所は設けるなという強い意思表示になってあらわれている点からも明らかだと思うのであります。そういう実態から見れば、手続をいたずらに屋上屋を架すようなことをやめて、住宅金融公庫なんかがやっているように、そういう先べんもあるわけでありますから、公庫が全額その貸し出しの責任を持っておる自作農資金というものは、これは私は論外だと思いますが、二割の代位弁済を受託金融機関にゆだねているものについては、この受託金融機関にみずからの責任を持たせたって、いままでのその査定と何ら態度は変わるものではないというふうに考えます。現に政府が出された三十七年度末の貸し付け残高に対する受託金融機関の代位弁済の状況の表があります。それを見ましても、都道府県信連の場合は、わずかに貸し付け金残高に対する代位弁済の割合は〇・〇一%にすぎない。地方銀行はきわめて代位弁済の率が高くて、これは〇・六四であります。農林中央金庫が〇・三九であります。こういう代位弁済の状況でありますから、当然これは公庫が最後に貸し出し決定をするからといって、受託金融機関が責任逃れのようなルーズなその貸し出し審査事務をやっているということは、これは毛頭ないわけであります。もっと受託金融機関に対する信頼の上に立って、こういう制度金融の内部における矛盾点というものを、前向きに合理化するという方向にこれは善処をしていくことこそが、政府のとるべき態度ではないかと思うのであります。決してこれはむずかしいことを申し上げているつもりはないのであります。そういう方向にいくべきものが、逐次支店が増置されるということは、これは方向としては逆行するものである。これすら解決できないで、一体農業金融の交通整理ができますか。すべて現状に甘んじてよかろう、よろしかろうということでやってきた惰性が、大局的に見れば、国家経済の上からいって非常に重複した不経済をあえてしておるわけです。いろいろ役所的な感覚から見れば、それなりの理屈もつくでありましょう。実際、私のようにこういう体験を十年以上もやってきたものから見ても、これは現実の意見であり、決してこれは個人的な意見でもない。そういうものを、書かれた答弁資料を読んで大臣の答弁とするというようなことじゃなく、もっと高い次元で、一体私の指摘しているようなものは無理なことを申し上げておるのかどうか、それを大臣の感覚でひとつ判断をして御答弁を願いたい。決して私は無理なことを言うておるつもりは毛頭ないのであります。そういうことが解決されなければ、一体公庫がスタートしたときの趣旨にももとっておるわけであります。三十九年はまた支店を一つ設置をする、そういうことがやむを得ないという前提に立つから、地方ではさらに支店を自分のほうにも設けてくれというような、本末を転倒した動きがまた随所にある。そういう動きをいいことにして、公庫は逐次これを支店網を拡充する。そのことは受託金融機関と公庫の出先との、これは非常に重複する矛盾をあえてしておるわけであります。これはぜひとも大臣にこの問題を善処を願いたいのでありますが、もう一ぺんこの点について、大臣はそれでもなおかつ、最初これが公庫がスタートするときに両院の附帯決議もあったが、それはそのときのことで、どうしても公庫にはなお支店を増設して、経費が一年間の間に二割もはね上がっておる、人件費と旅費事務費だけでも本支店合わせて二割もはね上がっておる。これも当然やむを得ないものであるというふうにお考えなのか。受託金融機関のこの代位弁済の実績等から見て、その受託金融機関にもっと信頼を寄せて、そこに貸し出し決定をゆだねて、それでこの融資というものが、従来よりもきわめて短期間のうちに借り入れ申し込み者に、その資金が届くというような方向でこれは善処をすべき問題の一つだと思ってお伺いをいたすのでありますが、重ねて大臣の所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/23
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024・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 御承知のように公庫は貸し付けを決定いたしますけれども、借り入れ申し込みの受理とか審査とか債権の管理、回収に関する業務、こういうものは受託金融機関でありまする農林中金、信連等にまかせておるわけでございます。でございますので、借り入れするものに対する実態をよく把握しておることは、確かに受託金融機関のほうが把握しておるかと思います。それはお話しのとおりだと思います。ただ、ですが問題は、保証債務の問題にかかっておると思います。受託金融機関が全責任を持つ、こういうことになりまするというと、これは受託金融機関に責任をいささかしい過ぎるという結果になって、それから派生する問題がいろいろあろうかと、こういうふうに考えられるわけであります。でありますので、実態を知っておるところの受託金融機関が申し込みを受理したり、審査したり、債権の管理、回収に関する業務を行なってもらうということは、これはまことに当を得ていることだと思いますけれども、貸し付けの決定は、やはり最後の決定は公庫でしたほうがいいのじゃないか。そうでなくて責任を受託金融機関に全部持ってもらうようなかっこうということはいかがなものであろうかと、こういうふうに考えておりますので、私は実態はお話しのとおりだと思いますけれども、保証債務の問題から考えて、やはり最終的な責任は公庫で持つ、こういう制度がいまのところ当を得ているのではないか。お話に引用されました住宅金融公庫等におきましても、貸し付けの決定権は公庫で持っておるというふうに私も聞いております。それとの比較はいずれといたしましても、責任関係から見まして、公庫に最終の決定権を持たせるというのが、私は適当ではないかというふうに考えておるわけでございますが、繰り返して申しますが、先ほど申し上げましたように、いろいろそういう実態等もなお調査する機会がございますので、御意見の点は十分考慮をして、これからの検討の中に加えていきたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/24
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025・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 この点はこれ以上お伺いを遠慮しますが、意見のほどは十分尊重して今後の検討の対象にするということでありますから、それを文字どおり取り上げていただく以外に、いまの時点ではやむを得ないと思います。ただ、そういう私が提供したようなことになれば、受託金融機関の負担が重くなることによって、この融資というものが非常にまた阻害されるであろうという意味の御答弁があったのでありますが、このことは大臣ひとつ誤解のないように願いたいのでありますが、受託金融機関がみずからの貸し出し決定を委任されないからといって、その機関の貸し出しがルーズであったということではないので、みずからのその責任をもって貸し出し査定をいたしておるのであります。その結果、政府が出した資料によっても明らかなように、三十七年度末に都道府県信連が公庫に約定によって代位弁済をして残っておる金額が四百十二件で一千四百万にしかすぎないわけであります。貸し付け金残高に対する割合はわずか〇・〇一%にしかすぎない。それだけ金融機関としては、むしろそのことに問題がある点もありましょうけれども、慎重にその受託金融機関の責めを果たしておるのが、この点でも明らかなわけであります。これは私が提起したことによって融資というものがセーブされる、逆行する方向ではないということだけは御確認を願っておきたいと思います。
時間もありませんから次の交通整理の内容の問題に入りたいと思いますが、いま信連の話を申しましたから、信連について一、二懸案事項について大臣の所見をお伺いいたしたいのであります。御承知のように、都道府県信連は私たちはこれは完全なる金融機関だと理解をいたしておるのでありますが、まずこれを大臣はどういうふうにお考えであるのか、金融機関であるとお考えなのかどうなのか、この点からお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/25
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026・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 農業関係の農林金融機関だと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/26
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027・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 私もそのとおりだと思うのであります。であるとするならば、農業協同組合法第十条の第七項をなぜ政府が政令をもって化かさないかということになるわけであります。農業協同組合法第十条の第七項は、都道府県信連は会員のために内国為替の取り扱いを政令の定めるところによって行ない得ることになっておるのであります。これは都道府県の信連が発足して以来の懸案事項であります。当然、農村における唯一の金融機関であると大臣が言われた趣旨からいえば、為替業務を扱う資格のないということは金融機関としては半分の性格しか持たされていないということになるのであります。金融業務の中で、為替業務がはっきりと政府によって指定されないということは、これはいわばかたわの金融機関である。当然組合員相互間、あるいは組合員と第三者、第三者から組合員に対するいろいろな代金取り立て、あるいは電報為替その他の為替事務の依頼が多くあるのでありますが、試みに昭和三十七年度の信連においての為替の取り扱いの実態を申し上げますならば、信連が取り扱った為替のうちの仕向けに属するものが昭和三十七年度一年間で二十九万三千三百五十四件の多きに達しております。その取り扱い高は二千八百六十六億九千七百二十八万五千円にのぼっておる。これが各都道府県信連が一年間に扱った仕向けの為替事務であります。被仕向けも大体同様のボリュームを来たしておる。件数が七十三万五千七百九十三件、取り扱い高が二千五百四十九億幾らという膨大なる信連扱いの為替が、現実に正式な資格がないままに、農林中央金庫の業務代理として日陰のような取り扱いに甘んじざるを得ないということのために、いろいろこれは現実のまた問題が出ておるわけであります。たとえば地方自治法の改正によって市町村金庫事務をやるという場合に、為替業務の資格がないゆえをもって商業銀行が指定機関になるというようなきわめて遺憾な事態が最近においては起こっておるのであります。私の岩手県においても、こういう点が一つの問題点となって、なかなか市町村金庫単独指定の問題が難航しておる。そこで、私はこの機会に、完全なる農村における金融機関として県信連を大臣がお認めになっておるたてまえからしても、農協法第十条第七項の政令によって、すみやかに県信連を内国為替取り扱い金融機関として措置されることが、これは焦眉の問題だということで、その関連する問題、多少間接的な問題でありますが、大臣のこれに対する御所信のほどを承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/27
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028・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 確かにお話しのように、現在信連は農林中金の業務代理という形で実質的に為替の処理をしておるというような実情でございます。しかし、いまもお話がありましたように、非常に経済の成長が高度化しておりまするし、農業も変わっております。農業協同組合、農協の事業の発展もしております。そういう実情から考えまするというと、政令によって内国為替の取引について指定する必要が迫ってきているように私ども感じております。でありますので、これは急速に検討を加えていく問題だと、こう考えております。なお、これは事務当局から補足御答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/28
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029・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) 農協法の十条七項は、先生よく御存じでございますように、会員のためにする内国為替取引を行なう場合に、政令の定めるところによって行なうことができる旨の規定でございます。私どもも、この政令を善くことの実益について過去にも検討したことがあるようでございますが、同様の立法例として信用金庫法の中に、やはり会員のためにする内国為替取引の規定がございまして、その場合、会員のためにするということの意味内容について、若干何と申しますか、実益を害すると申しますか、実益をそこねる懸念があるわけであります。と申しますのは、普通信用金庫法の場合、会員のためにする為替取引と申しますと、依頼者と仕向け金融機関との間に会員関係があるということが一つの要件だというふうに理解をされるわけです。送金者と仕向け金融機関、被仕向けのほうと現実の受け取り人との関係については、会員関係の有無を必要としていないようでございますが、そういう関係で、この十条七項にあります会員のためにという制約が、こういった会員関係を前提といたします特殊の金融機関の場合の問題として、全く自由濶達なと申しますか、員外関係を顧慮しない送金業務、為替業務を可能にするかどうかという点で、当時問題に突き当たったようであります。したがいまして、その関係から中金をクッションとして業務代理の形でやりますことが、そういった利用者の会員関係の有無を問わず実行可能なことでございますから、そういうことで当時としては見送ったようであります。しかし、ただいま大臣のお答えもありましたし、御質問にもありましたような事情もございます。したがいまして、私どもとしても、早急にさらに検討を詰めて信連の業務の円滑かつ完全な遂行を期したいと、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/29
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030・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 話がこまかいところに入りましたから、私もこまかくさらに伺わなければならないことになるのですが、会員のためにという法律の解釈を極力狭めて為替業務の場合に当てはめた場合には、仕向け、被仕向けとも会員であるというふうな、きわめて弾力性のないといいますか、狭く解釈しようとする考え方、これも一つはあるわけです。私はそのことは農林省にはないと思うが、よそにそういうことで、大幅に都道府県信連の当然考えられる会員のための為替業務を制約するという考え方が思想的にあることも承知しております。しかしながら、為替というものは、私がいまさら申し上げるまでもなく、会員の依頼を受けて代金の取り立てをする。特に青果市場に対する取り立てのような場合は、これも明らかに会員のために代金の取り立てをするものでありますから、これは会員のための為替業務であることは常識的なことであります。そのことを会員相互間というようなことにこれを限定するならば——私は、何もここであえて問題として県信連が内国為替の正々堂々たるその資格を求めるなどというようなことを提起しておるのではございません。当然仕向けなり被仕向けの依頼が会員であって、相手方が会員である場合、会員でない場合を問わず、いずれ会員の依頼によって為替業務ができるということはすなおな法律解釈であると思いますので、このことを農林大臣はかつて県の中央会長をやられた立場もあることでありますから、農業金融のたてまえから、このことを正式に政令で国内為替の資格を都道府県信連に与えることが、私は最後のこの法律第十条七項を生かすゆえんだと思いますので、検討を緊急にするという御答弁を、検討を緊急にして、なお私の問題点を前向きに解決するような御善処をこれは要請をしておきますので、善処していただけるかどうか、大臣一言御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/30
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031・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 私が検討を必要とすると先ほど申し上げましたことは、いまお述べになったような趣旨でございます。そういう方向に向かって、実現に向かって検討すると、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/31
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032・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 少しくわき道に入りますが、簡単に次の点を伺いたいのであります。
農業金融の交通整理という場合に、よく二段制とか、そういう大上段の意見が出ます。衆議院の会議録を見ても、二段制というようなことが、交通整理の具体的な課題として出ておることも、会議録で読み取るのであります。私は、そういう大上段な農業金融の二段制というものを考える前に、現在のこの系統農業金融というものは、五段制になっておるということから、問題をどう解決するかということを政府にお伺いをしなければならぬのであります。五段階というのは、農林中央金庫があって、その支所が、各都道府県信連所在地にある、ここでもう二段制をとっておるわけです。そこに、さらに県信連の木所があって、各郡市部に支所がある、それでもう四段になっておる。末端の単位農業協同組合がある、場合によっては、大型農協が出た場合には、その大型農協の支所がまたある、この場合には、六段制になっておるわけであります。で、大きく二段制というようなことを考える場合に、これをもっと合理化することが、さしあたりの措置として必要であるわけであります。そこで私は、末端の段階の合理化をひとつ、大臣がどういうふうにお考えになるかをお伺いするのでありますが、最近、農業協同組合の合併というものが、かなりの速度で進行してきております。場合によっては、一部一農協、神奈川の津久井農協の事例等を中心として、かなり大型農協が発足をしてきておる。そういう場合に、県信連の従来、郡市にあった支所というものと大型農協との間の調整を、組織的にどう扱うかということであります。私の考え方を申し上げて御意見を伺いたいのでありますが、その場合は、単位農協に都道府県信連の業務代理をさせるということが、農業協同組合法第十条でありますか——に一項を加えることによって、これが可能になるわけであります。そのことによって、農協は県信連の業務代理として、そこで仕事の上の重複ということが解決される。こういうことぐらいは、これは当然、現実の課題として出てくる問題だと思うのでありますが、大型農協が続々として誕生しつつある情勢の中で、そういう大型農協に都道府県信連の業務代理をやらせるような法律改正というものが、きわめて近い機会に、これは政府によって考えてもらう必要があると思うのでありますが、そういう点は、一体、いかように大臣はお考えになっているかをお伺いいたしたいのであります。で、関連して地方の実態を申し上げますと、たとえば京都府の信連あるいは奈良県の信連等は、すでに農協法の上からは、かなり監査のつどおしかりをいただきながら、合理化のたてまえからそれをくずすわけにはまいりませんで、京都府信連の業務代理を単位農協にやらしておる。監査のつど農林省から指摘をされる。しかしながら、もしもそれを、指摘されたことを具体的に農林省の監査の方向でやるとすれば、非常な不合理が出てくる。もう経済の実態というものは、法律を乗り越えて一歩前進をしておるのが実態であります。そういう実態から見たならば、大型農協が誕生しつつある情勢を踏まえて、もう農協法を一部改正して合理化をはかることが必要になっておるのじゃないか。農業金融の交通整理の問題のごく一部分ではございますが、こういう点に関連して、大臣はどういうふうにお考えになっておるか、御所見を伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/32
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033・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) いま御提案のような方法もあると思います。あるいは大きな単位農協と郡の支所が、地域的に一緒になるというようなことのために、数郡合わせた支所というような考え方等もいろいろあろうかと思いますが、金融の問題でございますので、慎重に検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/33
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034・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 これも慎重に検討をしているのじゃ、ますます組織の中の矛盾が出てくる問題でありますから、積極的にひとつ検討をしてほしいと思います。
次にお伺いしたいのは、農業信用基金協会の問題でありますが、政府からいただいた資料によりますと、三十八年三月末で一年前の資料でありますが、各都道府県の総計で見ますと、保証実行率が全体のもう六割をこえておる。かなりもう保証限度がマキシマムに到達しようとしておるのが、各都道府県信用基金協会の実態でございます。そこで、何かしら近い将来において、この信用基金協会の保証という機能に対して、全国的な規模において再保証をするという機能が、これは当然考えられる問題だと思うのであります。そうであるとしたならば、全国的な各都道府県別の農業信用基金協会、これは単に農業信用基金ではなしに、類似のいろいろなまた保証制度もあるわけでありますが、その具体的な例として、私は、農業信用基金法を引用しておるのでありますが、全国的な再保証というものを考える場合には、どういう機構と申しますか、仕組みの中でこれを取り上げられようとするのか、そういうお考えがあるのかないのか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/34
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035・松岡亮
○政府委員(松岡亮君) いま御指摘のありましたように、都道府県の信用保証基金協会の保証実行率は、全国で見ますと、六割強になっております。で保証限度が、十倍まででございますから、まだまだ余裕があるということでございます。その中で、特に都道府県によって相当アンバランスがあるわけでございます。でこぼこがありまして、非常にその保証率の低いところがございます。極端な例を申し上げますと、たとえば北海道では、まだ保証限度の三割までしか保証していない、こういうような状況でございまして、各県別に見ましても、まだ保証限度に対しまして、相当余裕がございますが、県によっては極端にまだ余裕があるということでございまして、この際の段階としては、まず各県の保証協会が、その保証機能を十分に発揮してもらうように指導してまいりたい。いまお話のありました全国的な保証機関を設けるという問題、実はわれわれも検討はしておるのでございます。しておるのでございますけれども、最初の第一段階としましては、まずそういったせっかく保証機能を持っておるのに、まだ十分に保証をやってないというところが多うございますので、そのものを先に指導して十分に役割りを果たしてもらうという指導をしてまいりたいと考えておるのでございます。で、まあかりに全国的な保証機関を考える場合におきましては、まあ金融のほうの組織との調整もございますし、同じ保証の問題にいたしましても、開拓者の融資保証制度をどうするかやはり協会がございます。そういったものと、組織しの、あるいは機能上の調整を考える必要がある。いろいろ問題がございますので、大臣から指示のありましたように、今後金融問題を基本的に再検討する際に、あわせて検討してまいりたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/35
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036・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 今度は農業改良資金助成法について関連することをお尋ねいたしますが、いずれこれは大臣の出席を得て再質問することになっておったのでありますが、この改良資金の助成法に、新たなる生活改善なり、後継者育成資金というものが出て、金額もかなり大幅になったのでありますが、三月七日でありましたか、衆議院の農水委員会で参考人の意見があって、その意見の述べられた内容を見たのでありますが、かなりこの農業改良資金、無利息資金には問題を参考人は出しておったのであります。これを制度金融として見た場合にも、いまのような都道府県の特別会計というところで、いたずらにさらに金融機関の交通整理を唱えている場合には、大きな複雑な一要素をなしておるのでありますが、これを一体交通整理する場合には、どういう方向でこの特別会計制度をお考えになっておるのか、大局的な観点から、大臣はいずれこれらを諮問するにあたってお考えを述べられると思うのでありますが、その点をまずお伺いをいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/36
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037・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) どういうふうに交通整理する場合にもっていくかという案を、いま私は持っておりません。御承知のように、これは零細保証にかえて、よく実情を知っておるところの県当局が処理していく、特別会計で処理していくような制度になってきたわけで、それに対してまた新たに貸し付けする目的ですか、をふやしたということでございますが、それはまあ申し上げる必要はございません。どういうふうに持っていくかということにつきまして、いま私実は率直に申し上げまして、案を持っておりません。検討の中に加えるほかございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/37
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038・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 まあこれから検討していただくということでありますから、十分検討の成果を期待するより、いまのところはしようがないわけでありますが、ただ御答弁の中にありましたことばじりをつかまえるわけではございませんが、地方の実態を知っておる県がやっておることだということについてでありますけれども、実際は、取り扱いから一切が県信連、単協というところでやられておる。そういう繁雑な末端の仕事は、組合金融系統で県段階以下でやっておるが、それらの上に特別会計ということで県もすわっておる。非常にその負担が組合金融に重くのしかかっておるわけであります。ですから、方向としては、いろいろ考え方があると思いますけれども、思い切ってそういう国なり県なりの融資という、利子補給その他のものは組合金融にこれを一括して与えて、もっと行政事務からこれは解放された単純な方向に整理をすべきものではないかというふうに考えておるわけであります。また、対案を大臣としてもお持ちでないということでありますから、そういう考え方もあるということをよくお考えの上に置いて、今後の検討を進めていただきたいと思います。
それから、この制度を現行の中で進めていく場合には、農業改良普及員の役割りというものもきわめて重大なわけであります。ところが、この農業改良普及員の勤務の実態から言えば、待遇はきわめて劣悪な条件に置かれているので、かねての懸案事項が、昨年の四十三回通常国会に一応実を結んで、農業改良助長法の一部を改正する法律が成立をいたしたわけであります。その際に、附帯決議として、賃金世理研究所に農林省がその実態の調査を依頼して出たその答申というものが、行政職と研究職の中間にあるこの特殊な改良普及員の実態、給与の実態、勤務の実態等から見て、俸給全体を合理化すべきであるが、それは体系の中では困難であるから、特別手当として、一律に一六%の特別加算を毎月すべきであるという賃金管理研究所の答申が出たのであります。しかしながら、この法案を前通常国会で審議をいたしました際には、政府原案を、改良普及員が月額の一二%、専門技術員が八%という原案を、われわれの主張にもかかわらず修正するに至らなかった。そこで、与野党で一致して附帯決議としてこのスタートを切った特別手当に対しては、さしあたりそのことはやむを得ないけれども、百分の十六を支給するように努力をせよという附帯決議をつけておったわけです。それが過般の質疑では、前年と同じように予算を組んでおる、すでに予算は通過をした。であるとすれば、この措置を、附帯決議の趣旨をどれだけ大臣が尊重して予算に当たられたか。これがなかなか三十九年度には実現しなかったが、一体いつの時点でこれが一六%というような方向に実現するものと考えているか、この点をまずお伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/38
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039・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) ことしは実現できませんで、第二の附帯決議のほうに力をいたしたわけであります。百分の十六を支給する時期はいつかと、こういうことでございますが、ここでお答えできることは、ことしはだめでございます。できるだけ早い機会に実現をはかりたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/39
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040・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 できるだけ近い機会というのは、昭和四十年度と、こういうふうに、これは普及員が期待しておるのですから、私はそれを代弁している、また普及員の期待にこたえることはこの農業の前進には大きな筋金の役割りを果たしておるのですから、四十年からこの附帯決議を尊重して、大臣の善処を強く要請しておきます。
第二の点に重点を置いたということであります。第二の重点は、前の農林大臣に私もお尋ねをしたんでありますが、同じ農林省の中に農業改良普及員の手当だけをつけて、開拓営農の指導員なり、あるいは養蚕指導員なり、あるいは山のほうの指導員なり、水産の指導員なりは、全然これを法律の対象にもしないし、予算も見ない、同じ農林大臣としておかしくないかということを伺ったんですが、全くそのとおりだということで、三十八年はやむを得ないが、三十九年は農業改良普及員と同じような措置をとるという国会の答弁で、私たちも納得をしてあの法律案を通過させた経過があるわけであります。しかるに四月の半ばを過ぎようというのにこの水産、林業、蚕糸、開拓営農の都道府県普及指導員の特別手当については、法律が一体いつごろ出るのか、その財政措置はどうなっているのか、この点をひとつ伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/40
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041・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 財政措置はとってあるはずでありまするし、法律といたしましては地方自治法の一部改正法律案ということで近く法的措置をとって提案することにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/41
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042・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 地方自治法の一部改正の形で出るのですか、あるいは農林省所管の特別立法で出るんですか、どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/42
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043・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) 農業改良普及手当のほかに御指摘の林業、水産、蚕糸、開拓営農というような点について予算措置を講じたわけでございますが、法律の関係では地方自治法の二百四条に関連がございます。二百四条の修正をいたしますので、地方自治法の一部改正というのが現在準備されておりますので、その附則で農業改良普及手当といっておりますのを農林漁業改良普及手当というふうに改めまして、いま申し上げました予算で措置しておるのも含ましめるという意味合いの改正を企図いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/43
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044・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 国会もそろそろ会期末のわけですが、所管は違うけれども中身は農林省の系統の大事な職員、県の職員に対する国の助成ですか、いつごろこれが内閣を経て国会に出されるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/44
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045・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) 連日自治省とも折衝しておりますが、自治省のほうではできるだけ早い機会に解決がつくようにしたいといっておりますので、なお接触を密にしまして、誤りのないようにしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/45
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046・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 それで間に合うならいいけれども、ぼくは心配して言うんですよ。間に合う時期に出さぬと、これはさっぱり意味をなさぬわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/46
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047・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/47
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048・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/48
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049・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 予算について伺いますが、この予算は農業改良普及員と同じように毎月の俸給に対する一二%、八%で組んでおると思いますが、その総額が全体に対して八割程度になっておるというふうに私は予算を分析して読み取るのでありますが、一体どういう根拠で全体の基礎単価に対して八掛けの予算を組まれたのか、その根拠をお知らせを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/49
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050・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) お話のとおりの数字でございます。考え方としましてはこのたび手当を初めてつける、初めてつけるにあたって、先例になっております農業のほうの改良普及員手当にかんがみまして、資格条件というような意味合いで、農業改良普及員とバランスのとれるところの線を見出して、その上で適格者に手当を出そうというたてまえでおるわけでございますが、予算編成時においてその数学を的確に実は把握するいとまがございませんでした。一部の普及員についての調査はございます。その一部の普及員の調査の結果はおおむね八〇%でいいのではないかというふうに結果として得られたもので、それをもとにしまして予算を編成したという経過でございます。ただ実行上八〇%で済まないということが予想されます。あるいは八〇%の中でいいということもあるかもわかりませんが、八〇%よりもふえました場合は、これは予算上のいろいろなやりくりの関係がございますが、財政当局とも善処して、八〇%で切るべきでないときに切るというようなことのないようにするという意味合いの了解はつけてあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/50
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051・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 じゃこの問題は、もう最後の大臣に対する質問で終わりますが、一年おくれてとにもかくにも林業、水産業、蚕糸業、開拓営農という指導職員にも一二%あるいは専門員に対しては八%の毎月の給与の特別手当がつくことが明らかになりました。そこで先ほど農業改良普及員の特別手当をできるだけ近い機会に一六%に一律にこれを引き上げることを要請したのでありますが、これは当然一年おくれてスタートした林業なり水産業、蚕糸業、開拓営農もあわせて、四十年からこの特別手当を一律に一六%に引き上げるように御善処を願いたいのでありますが、その点について大臣の御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/51
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052・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 新しく手当を出す蚕業とか林業、開拓、こういうものも含めて百分の十六に早急にしたいとこう思います。ただ、いまのお話しのように四十年度からとはっきり約束は、これはできませんが、できるだけ四十年から、あるいは二年にわたるかもしれませんが、できるだけそれに近づけるあるいはそれに到達するということで努力したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/52
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053・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 他に御発言がなければ、両案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/53
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054・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 御異議ないと認めます。
ちょっと休憩いたします。
午後三時三十一分休憩
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午後四時三十四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/54
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055・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) ただいまから委員会を再開します。
これより農業改良資金助成法の一部を改正する法律案の討論に入ります。
御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認め御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/55
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056・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 御異議ないと認めます。これより採決に入ります。
農業改良資金助成法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/56
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057・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/57
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058・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/58
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059・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案について討論に入ります。
御意見のある方は、賛否を明らかにしお述べを願います。なお、修正意見のある方は、討論中にお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/59
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060・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題になっております農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に対して、修正案を提案をいたさんとするものであります。
まず、修正案を朗読をいたします。
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する修正案
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第四条の改正規定を次のように改める。
第四条第一項中「千二百二十二億七百万円」を「公布の日」に改める。
以上であります。
簡単に修正案の趣旨並びにその意見を付して申し上げるわけであります。
まず、第四条の改正規定でありますけれども、政府から提案になっておりますところのこの改正案によりますと、従来のように、政府が出資を必要とするつど、これは法律を改正する従来のたてまえを一てきして、予算の定めるところによって随時法律の修正をせずに、これを運用していくということでありますが、私はこのことは、委員会の審議を通じても矛盾点を明らかにしたところでありますが、私が大臣に質問をいたしまして、いままでの法律で、何が一体不都合であるかということに対して、何ら不都合はないという答弁を明確にいたしておるにもかかわらず、実際は、一連のこれらの法律に共通して、政府はそのつど、法律の改正手続を省略して、予算によってきめればいかようにでも処理ができるというような、国会の最も重大なる審議権を軽視し、あるいはこれを回避し、剥奪せんとする意図のもとに本法案が提案されていることに、私は、大臣の答弁を通じても明らかなように、何ら納得できる理由もなく国会審議を軽視する、こういう政府の法案の考え方に対しては、基本的に反対の意思を表明せざるを得ないことをきわめて遺憾とするものであります。このことは、単にこの一事例にとどまることなく、おそらく全体を通じてわれわれの、選ばれた国会議員の国政における審議の基本的な姿勢をそらすものであって、その根ざすところはきわめて重大な問題であるといわざるを得ないのであります。その具体的なあらわれの一つとして、こういう法律改正が提案をされておるのであります。国会の審議が十分行なわれないままに、かってにこれがお手盛りで進むことは、従来この金融公庫の法律の改正のつど、慎重に審議をされた中で、一体これらの長期低利資金を豊富に供給するためには、どうしても政府の大幅の出資が原資とならなければこの要請にこたえかねる問題の中心点であります。そういう政府の出資が、一体要請に対してどれだけ拠出されて、それが長期低利の因子をなすかという農林漁業金融公庫の運営の基本に触れる課題の一つを、ここで国会の審議に正道に乗せて行なわれる道をふさぐということは、今後におけるこの制度金融に対するあり方からいっても、絶対に承服し得ざる基本的な問題点であるといわざるを得ないわけであります。
なお、この修正案には出しませんでしたけれども、今回、従来の九段階の金利体系を四段階に大幅に合理化をやった内容を盛って提案をされたのでありますけれども、この中にはかなり納得をする点もありますけれども、しかしながら、事ここに至る経過を審議を通じて明らかにした点によりましても、あるいは無利子、あるいは二分資金というものもここに至る経過にはあったわけであります。そういう点から見ますと、いまだ制度金融に対する一般の期待からはかなり距離のあるこれは提案になっておるわけであります。それはともかくといたしまして、整理された四段階の金利体系の中に、「当分の間」という不明確な要素をさらに押入して、実質的には五段階制の改正案を提案をいたしておるのであります。この当分の間、六分五厘の金利の中に挿入した経営拡大資金、そういうものについても、これは大臣によってもその取り上げ方はきわめて統一性がない。また、これが当分の間を経過した場合には一体六分五厘に戻すのか、五分にこれを帰属するのかという点についても、きょうの大蔵大臣の答弁によっても、農林大臣の答弁を一応尊重して努力をするという意味の答弁がありましたので、本来ならばこれらももっとこの四段階の中に整理をして、もっとすっきりした方向でいくことを修正の案の中にも盛るべきであったと思うのでありますが、農林大臣の五分にこれを帰属させるという国会における答弁と、多少ニュアンスは違いますけれども、大蔵大臣の閣内の統一性のしから、そういう農林大臣の答弁があったことも承知しておるので、そういう方向に対して検討を前向きにするという答弁が先ほどありましたので、これはその政府の閣僚の国会における答弁にわれわれは期待を寄せて、一応修正案をこの中には盛り込まなかった経過があるわけであります。したがって、これは政府を構成している与党におかれても、大臣のあの声明をまともに、これを一年、あるいは長くても二年以内の間に五分資金に編入するような積極的な責任ある態様を強く要請をせざるを得ない問題であります。また、金利体系の中には、電気導入資金のように、従来よりも金利が高くなっているものもあります。伐調資金の点についてもそういうものがあるのでありますが、こういうものを、なぜ一体これだけの農業金融の独走態勢の中に矛盾を解決して盛り込むことができなかったか、これもわれわれは納得しあたわざる大きな矛盾点であります。しかし、この点も大蔵大臣の答弁を信頼いたしまして、できるだけ近い機会に、より一そう全体の合理的な措置の中の一環として善処をする意味の答弁を受けましたので、この点の修正案の挿入も政府を信頼して取り上げることを遠慮をいたしたわけであります。
なお、修正の附則の第一項は、現在といたしましては、すでに四月一日を経過いたしておりますので、「公布の日」に改めるということにいたしたわけであります。
総じて、最も当面の問題である農業金融の交通整理の問題も、いよいよ複雑多岐を来たして末端において混迷を倍加しておる現状において、それらの問題の前向きの解決なり、あるいはもっと基本的には、日本の農政の基本的あるべきものを体系的に確立した一環として農業金融がそれに措置さるべきものが、基本的な農業政策の方向というものはばらばらであって、先行き不安の中に農業金融のみが独走している矛盾を指摘をせざるを得ないわけであります。
以上が、この農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する修正案に関連する私の意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/60
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061・櫻井志郎
○櫻井志郎君 私は、自由民主党を代表して、本法律案について次の修正を加えて賛成をいたします。
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
附則第一項中「昭和三十九年四月一日」を「公布の日」に改める。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/61
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062・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 他に御発言もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/62
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063・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 御異議ないものと認めます。
これより農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
まず、討論中にありました渡辺君提出の修正案を問題に供します。渡辺君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/63
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064・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 少数でございます。よって渡辺君提出の修正案は否決されました。
次に、櫻井君提出の修正案を問題に供します。櫻井君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/64
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065・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 多数でございます。よって櫻井君提出の修正案は可決されました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いた衆議院送付案全部を問題に供します。修正部分を除いた衆議院送付案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/65
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066・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 多数でございます。よって本案は、多数をもって修正すべきものと議決されました。
なお、諸般の手続につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんですか。
〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/66
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067・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
本日はこれをもって散会します。
午後四時五十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02619640416/67
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