1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月二十一日(火曜日)
午前十時五十五分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 青田源太郎君
理事
梶原 茂嘉君
櫻井 志郎君
森 八三一君
渡辺 勘吉君
北條 雋八君
委員
木島 義夫君
北口 龍徳君
仲原 善一君
野知 浩之君
藤野 繁雄君
森部 隆輔君
山崎 斉君
小宮市太郎君
矢山 有作君
牛田 寛君
高山 恒雄君
政府委員
農林政務次官 松野 孝一君
農林大臣官房長 中西 一郎君
林野庁長官 田中 重五君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
説明員
林野庁指導部長 森田 進君
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本日の会議に付した案件
○保安林整備臨時措置法の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
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001・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) ただいまから委員会を開きます。
保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行なうことにいたします。
質疑のおありの方は御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/1
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002・山崎斉
○山崎斉君 保安林整備臨時措置法も十年を経過して、新たに期間を延長しようという法律改正が出たわけでございますが、この整備の臨時措置法も、昭和二十八年に大水害が起こりまして、これを契機として、同年の七月に閣議決定に基づいて治山治水緊急対策協議会が設置せられて、その協議会でいろいろと審議の結果、二十八年の十月に治山治水基本対策要綱が決定せられ、これをもとにして保安林整備臨時措置法もつくられたというふうな経緯になっておるわけであります。それで、二十九年からちょうど十年を過ぎたわけでありますので、この治山治水緊急対策要綱で計画されました具体的な内容というものと、これをもとにして、自後の十年間にいろいろと実施をした成果というものを対照してみるということも非常に大きい意議があるように思うのでございます。
で、治山治水緊急対策要綱で決定されました具体的内容のおもなものは、第一が治山事業でございまして、二十八年にございました荒廃林野と、荒廃地に移ろうとする林野のうちで、公益上重要なもの三十六万町歩について、復旧工事と防止を行なう。しかもこのうちで、重要地域については七カ年で終了するという計画になっているのでございます。また、保安林の整備拡充につきましては、その保安林の配備については、重要水源地域について、昭和二十九年以降三カ年以内に六十六万町歩、その他の地域については、四カ年以内に二十六万町歩、合計九十二万町歩の保安林を新たに設定するということ、それから保安林の管理につきましては、保安林管理実行計画を樹立して、監視員制度を設けるということ、それから重要水源地域にある公益上重要な保安林については、国が買い上げるということ、それから民有保安林に対する適正な補償制度を確立するというようなことを中心にして、この基本対策要綱ができているのでございますが、この計画に対しまして、昭和三十九年度から三十八年度末までの十カ年間に、実施した実績というものを、まずひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/2
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003・田中重五
○政府委員(田中重五君) 治山治水緊急対策要綱に基づきます治山事業計画は、いまお話がございましたように山くずれ、あるいははげ山、地すべり、そういう荒廃林野、それから荒廃に移行しようとする林野、そのうちで、特に公益上重要なもの三十六万町歩につきまして、その荒廃の復旧、それからその防止、これを行なうことを主たる目的とするものでございました。
そこで、その実績はどのようになったかという御質問でございますが、昭和三十八年度までの実績といたしましては、崩壊地の復旧が十一万五千ヘクタールでございます。それからはげ山の復旧が約八千ヘクタールでございます。それから地すべり、これの復旧が約三千ヘクタール、合計いたしまして十二万七千ヘクタール程度を復旧をいたしたわけでございますが、なおその荒廃の防止といたしましては、荒廃危険地の荒廃予防等を含めまして一万七千ヘクタール、合計十四万五千ヘクタールを復旧並びに予防をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/3
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004・山崎斉
○山崎斉君 そうしますと、計画の三十六万町歩に対しまして十四万五千と、実績は十カ年間に四割程度の成果しか達成されていないということになるわけですし、また、その間に、昭和二十九年から三十八年度までの間に、風水害等の関係で、新たに発生した荒廃地というものが、林野庁の調査では十一万七千町歩できたというふうな現実から見ますと、流域ごとに復旧されたところはまことにけっこうでございますが、差し引きすると、十年間に、国全体の立場から見れば、三万町歩の荒廃地が減ったというに過ぎない結果になるわけでございまして、治山事業というものの進度が非常によくないということはまことに残念に思うのでございます。こういうふうな事態に対処いたしまして、昭和三十五年度から出発しました治山治水の緊急措置法という単独立法ができまして、この緊急措置法によって今後治山事業をしていこうということになったのでございます。この三十五年度から出発の緊急措置法は、閣議決定のもとにその目標を、三十四年度末に現存します荒廃林地三十四万七千ヘクタールと、今後毎年できるであろう新しい崩壊地、これが年に——過去の実績から見ると、年平均四千ヘクタールぐらいと予想しておったのでございまして、この両者、前期五カ年、後期、五カ年の十カ年計画で事業をやっていく、そしてわが国の山林が、保全という面から見れば最も安定しておったと言われる昭和初期の状態すなわち荒廃地の面積が十万ヘクタールくらい、年々の新規発生の荒廃地が二千ヘクタール程度の状態に、十カ年間で改善していこう、こういうことを目標にして、治山治水緊急措置法ができ、また、そういう事業をやるということが閣議で決定せられたのでございますけれども、この緊急措置法の、前期五カ年計画に対して、昭和三十八年度末までの四カ年間に、事業量でどれくらい仕事が進捗したのか、また、三十九年度にやろうとしておる計画を考慮した場合に、五カ年計画量に対して、五カ年間に実行量というものがどの程度になるのかという点をひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/4
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005・田中重五
○政府委員(田中重五君) 治山治水緊急措置法が制定されまして、昭和三十五年度から十カ年計画をもって、治山事業の緊急な促進をはかることになったのでございましたが、この計画は、建設省の治水事業とも十分に調整をいたしながらその後実行をいたしたのでございました。
そこで、この治山治水十カ年計画のうち、昭和三十五年ないし三十九年度までの計画それから三十八年度末までの実績、それをそれぞれ事業量で申し上げますと、当時の事業量の計画に対しましては、国有林といたしましてその計画に対し七三・二%、民有林で七〇・三%、両方を合わせまして七一・三%ということになっております。それから三十九年度、これをいまの予算額から推定をいたしまして、国有林九一・六%、民有林九二・九%合わせまして九二・四%ということになっております。それで、ただ、その後、計画樹立の後に、その当時において予想いたさなかった災害の発生等がございました。それで、その予定外の事業の実行分を加えますと、三十八年度末までの実績といたしましては六二%、それから三十九年度を入れますと八〇・四%ということに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/5
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006・山崎斉
○山崎斉君 治山治水緊急措置法で計画された事業量に対しては、五カ年間で九〇%をこすような進捗を見たということは、事業量としてはわりあいよく進んだというふうに考えるのでございます。一方、緊急措置法が出発するまでの数年間に実施せられた治山事業がきわめて少なかったということ、また、伐採量の増加というふうなことから、治山治水緊急措置法では、三十五年度以降毎年四千ヘクタール程度の新生荒廃地ができると予定していたにもかかわらず、実際は、三十五年度には九千ヘクタール、三十六年には二万六千ヘクタール、三十七年には一万ヘクタール、三十八年度には一万九千ヘクタールというふうに、予想に数倍するような新しい荒廃地が毎年継続してできておるという現状にあるのでございます。こういうふうなことでは、治山治水緊急措置法で計画した事業量の実施が一〇〇%できたとしましても、十年後の四十四年度に、所期の目標達成ということはとうていできぬじゃなかろうか。せっかく緊急措置法で実施しましても、四十四年度末には、国全体という面からトータルしますと、治山事業というものはやはりたいした進展をしなかったというふうな結論になるのじゃなかろうかというふうに心配するのでございます。こういうように四十年度からは後期五カ年計画が出発するわけでございますので、この後期五カ年計画の出発の時期に、既往の計画を改定したしまして、抜本的な改正をいたしまして、この新しい状態に対応できるように、また治山治水緊急措置法が目標としていたところを達成できるように、新しい計画を組み直して出発しなければいかぬじゃなかろうかというふうに思うのでございます。また、特に最近のように、少ない土地では一万町歩、多い土地では二万六千町歩というふうな大量の新生荒廃地ができるという原因は、前に言いましたように、治山事業のおくれというようなもの、また昭和の初期に比べまして、五割をこすような伐採が昭和二十五、六年ごろから引き継いで行なわれているというようなこと、こういうことが原因じゃなかろうかと、おもな原因だと思いますが、こういう現実に立って考えました場合に、今後の治山事業というものは、いままでにできている荒廃地を復旧するということはもちろんでございますし、また新しくできた荒廃地も復旧しなければならぬことは当然でございますが、さらに、放置しておけば必ず荒廃地になるんじゃなかろうかという、荒廃地になるおそれのあるところを事前にくずれないように、予防治山というような仕事を大々的にやはり取り入れて進めていかなければ、この新しい荒廃地の発生を少なくするということはできぬように思うのでございます。予防治山をやりますと、それが復旧した場合に比べまして、必要な経費というものは五分の一、十分の一というふうな少ない経費でできるわけでありますので、経済効果も非常に大きいというふうに思うのでございます。で、後期五カ年計画の中におきましては、予防治山というものも十二分に取り入れて、改定して進むという考え方が必要なように思うのでございますが、林野庁のお考えを、この点について伺いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/6
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007・田中重五
○政府委員(田中重五君) ただいまお話がございましたとおりに、この現行の治山治水十カ年計画、これの第五年目になりまして、その実績を振り返ってみますと、その計画どおりに事業量のほうが進んでいないという点は、私どももまことに遺憾に存じております。そこで、これは、計画樹立以後の予想せざる災害発生、それの復旧の事業、さらには資材、労賃等の高騰、そいうものに原因を——そういうものに結果されまして、予定どおりの仕事ができなかったわけでございますが、この治山治水の緊要性にかんがみまして、ここに、あらためて、新しい治山治水計画を練り直す必要を感じております。それで、これは建設省の治水事業とも十分に連絡調整をはかりながら、目下具体的に検討を行なっておるわけでございます。
なお、いまお話のございました予防治山事業につきましては、これまたその事業の重要性はお説のとおりでございまして、現行の十カ年計画では、その予防治山の占める割合は、ほぼ一〇%程度でございますが、今後の改定計画の中には、これを相当大幅に拡充をして計画をしてまいりたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/7
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008・山崎斉
○山崎斉君 次に、保安林の整備の問題についてお伺いしたいのでございますが、配付された資料を見ましても、保安林整備の臨時措置法によりまして計画された四百六万町歩の保安林をつくるという計画に対して、三十八年度末で四百十八万町歩の整備実績を見たということは、まことにけっこうだと思うのでございます。で、全体として見れば、計画のとおりに実行したことになるわけですが、三十八年度末の面積、国有林の百九十四万ヘクタール余の中から、国有林が買い入れました二十万町歩を抜いて、民有林のほうに入れますと、民有林の面積が二百四十四万ヘクタールとなりまして、計画に対する進捗、伸長率というものは九三%程度になります。民有林においても、ほぼ計画の線まで達成できたという結果になるのでございます。
しかし、この臨時措置法の第二条第一項によりますと、保安林整備計画は流域別につくられることになっておるのでございます。全体としてほぼ計画のとおりできたといたしましても、保安林整備の仕事は二百をこすような流域別に分かれているわけでございますので、流域別にはかなりの計画との出入りがあるのではないかと考えられるのでございます。流域別の資料というようなものもなかなか大部なものになりますので、資料は要らぬと思うのでございますが、流域別に見て、計画と実績との差にどの程度の違いがあるのか、大ざっぱなパーセントでもけっこうなんですが、それをひとつ示してもらいたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/8
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009・田中重五
○政府委員(田中重五君) 保安林の配備につきましては、全国の流域数二百十六流域のうち、その計画量に対しますその実績の割合といたしましては、五〇%以下のもの、これが十七流域ございます。その事例といたしましては、指導部長から申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/9
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010・森田進
○説明員(森田進君) ただいま長官が御説明になりました計画流域のうちで、計画量に対しまして、指定の実績が五〇%以下にとどまりました流域を申し上げますと、山口県の吉田川−厚東川の流域、それから京都府、大阪府、兵庫県に関係します神崎川の流域、それから青森県、岩手県に関係いたします馬淵川の流域、それから山口県の佐波川−錦川の流域、和歌山県の有田川流域、大阪の大和川から和歌山県境にかけての流域、それから三重、奈良、和歌山の三県に関係いたします熊野川の流域、それから徳島県の古野川の流域、千葉県の加茂川−養老川の流域、北海道の檜山地区、熊本県の白川流域、鹿児島県の本城川から肝属川にかけての流域、山口県の錦川の流域、静岡県の大井川の流域、茨城県の那珂川の流域、青森県の岩木川の流域でございます。一番低率でございましたのは、青森県の岩木川流域の三四%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/10
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011・山崎斉
○山崎斉君 保安林整備というものは、森林の使用収益というものを制限するという関係から、その指定に対して森林所有者の相当強い反対があるということは当然でございまして、民有林についての計画というものは、計画どおり進むということはなかなか困難があることは当然でございます。全体として関係者の努力によって計画どおりほぼできたということはまことにけっこうでございます。流域別には、計画と実行の間に相当の相違があるということも了解されるのでございますが、国土保全とか、流域保全という見地からぜひとも必要で、重要な地域というものは、必要最小限度の面積で、所有者の反対はあっても、またその経済的な損失というものは、補償制度の適正化によって解決ができるわけであります。ぜひとも保安林の指定はやらなくちゃならぬというふうに思うのでございます。指定の際に、森林法によりますと、農林大臣が自発的な考えで、自主的な考え方で指定するという場合と、県知事その他利害関係者からの申請を待ってやるという二つの指定の方法があるように思うのでございます。現在まで林野庁がこの指定に対してとってきました方針というものは、その二つの中で、どういうふうなものを中心にしてやってきたのか、そういう現状をお聞きしたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/11
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012・田中重五
○政府委員(田中重五君) 保安林の指定につきましては、いま御説のとおりに、農林大臣の発意によります場合と、それから都道府県知事あるいはその他の地方公共団体の長、あるいは直接の利害関係者の申請に基づいて行なうという場合がございます。ところで、御承知のとおり、保安林整備計画がございまして、その中で、保安林の配備につきまして、農林大臣によってこの計画をいたします。それで、その場合の農林大臣の指定の適否について、関係の都道府県知事の調査あるいはその意見の提出を見て、そうしてこの計画の配備どおりに行なっていくということを主眼にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/12
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013・山崎斉
○山崎斉君 そうすると、農林大臣が決定した保安林整備計画に基づいて、知事の、指定に対しての報告といいますか、意見を求めてやっていくということで、知事とか、市町村長その他の申請に基づいて保安林を指定していくということは、現実にはほとんど行なわれていないというふうに理解していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/13
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014・田中重五
○政府委員(田中重五君) 一応そういうふうに御理解いただいてけっこうだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/14
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015・山崎斉
○山崎斉君 そうすると、先ほどお話いただいたように、計画に対して五〇%も進んでいない、進まなかったというふうな流域も十幾つあるわけでございますが、そういうふうなところでは、結局、保安林整備計画に対して、都道府県知事が保安林に指定したい、指定するということに対して、農林大臣に対して、何らの回答がなかったということか、あるいは整備計画にはあっても、指定する必要がないという回答があってそういうことになったのか、その辺がどのような関係になっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/15
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016・田中重五
○政府委員(田中重五君) 流域によりまして、その配備計画が必ずしも予定どおりにいかなかった点につきましては、やはりこの保安林整備計画を樹立するその段階で、知事の意見との調整等が十分にいかないままに推移したというふうな面は確かにあったと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/16
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017・山崎斉
○山崎斉君 それで、この保安林整備臨時措置法をさらに十年延長して、保安林整備をさらに進めていこうという観点に立っておるわけですが、いままでの、既往の十カ年間におきましても、せっかく農林大臣が重要だからといって、保安林整備計画を立てた。それに対して五〇%にも足りない程度の指定しかできなかったという現実があったわけですが、今後、保安林をさらにふやすといたしますと、いままでの保安林よりも、より総括的にいえば、下流の経済的な価値の高い森林というものが保安林として指定されるということになってくるように思うのでございます。そうなると、森林所有者あたりの反対というものは、いままでの計画実施の段階以上に強い反対も出てくるのじゃないかというようなことも予想されるのでございますが、この保安林指定というやり方というものが、いままでと少し変えて、五割程度しか進まないというようなことがないように、何か強いいき方で整備計画というものに臨んでいかないと、なかなか今後むずかしいのじゃないかというふうに思うのでございます。特に、森林法によりますと、保安林を指定しようとして、反対があれば聴聞会も開く、この結果できめるというようなことにもなっているわけですが、この十カ年間に、聴聞会を開いたというふうな事例があるかどうか、その点をひとつお伺いしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/17
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018・田中重五
○政府委員(田中重五君) 聴聞会を開きました例といたしましては、昭和三十四年度に一回開催をいたしております。それで、これは熊本県におきまして、整備計画の実行のために千四百六十九ヘクタールの森林を、一号ないし三号保安林に指定しようとした、そういう場合でございますが、そこで、この保安林の指定によりまして、伐採の制限を受けるという理由で、関係者からの異議の申し立てがございまして、聴聞会を開催いたしたのでございましたが、結局は、この異議の申し立て人の納得が得られまして、計画どおりに指定処分を行なったという事例がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/18
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019・山崎斉
○山崎斉君 聴聞会を開くというのが、いままでからいえば非常に異例なめったにやらない、珍しいというふうな場合のように思うのでございますが、先ほどちょっとお話ししましたように、今後はより経済林に保安林というものが移っていかざるを得ないということ、それから流域保全という観点からは、その指定の効果というものが下流の他の府県に及ぶ、当該県にはそれほど影響がない、上流の他の府県に大きい効果があるというふうな場合も少なくないわけでございまして、知事の意見とか、知事の報告等を聞いて、たいした問題がないというようなことで、指定の仕事を進めていくということでは、新しい今後やろうとする整備計画というものは、なかなか私は順調に進まぬのじゃなかろうかというふうに心配されるのでございます。で、農林大臣がみずから積極的にこの指定という面に進んで、聴聞会等も必要に応じて積極的にやって、保安林整備の計画を、まあ、計画の線に沿って大きい違いがないように進めていくということを、林野庁は十分ひとつお考え願いたいと思うのでございます。
この保安林の指定に関して、森林所有者等が非常に問題にいたしておりますのは、やはり損失補償という面じゃなかろうかと思うのでございます。で、現在の補償制度というものは、ここ三、四年前から初めて出発できたように思うのでございますが、また、保安林についてだけ補償制度がほそぼそなから出発できて、自然公園法その他による制限については、まだ補償の制度も全然ないというふうに理解しておるのでございますが、現行の保安林の補償制度の概要について、簡単に御説明をいただきたいということと、保安林は十七種類もございますが、その十七種類もある保安林の中で、どういう種類の保安林に対して補償額というものが多く払われておるのかというような点をひとつあわせて御説明いただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/19
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020・田中重五
○政府委員(田中重五君) 先ほどお話の、保安林の配備を進めるに当たりましては、十分にお説を尊重いたしまして、また従来の配備の実行についての結果を十分に反省いたしまして、その計画の実行の万全を期し得られますように措置してまいりたいと考えております。
それから、保安林の損失の補償につきましては、現況を申し上げますと、現在の保安林に対する損失の補償は、その森林所有者が保安林の指定のために、通常受けるべき損失について補償するということになっておりますが、現行といたしましては、禁伐林とそれから択伐林に対してだけ補償を行なっております。
それで、三十七年度におきますその補償の実績を申し上げますと、総額で千八百五十四万一千円でございます。で、どういうものにその補償がなされておるかと申し上げますと、たとえば土砂流出防備林、土砂崩壊防備林のごときものでございます。この分が金額にいたしまして二百十八万九千円、それから防風林、あるいはなだれ防止林、これは四号保安林以下のものでございますが、これに対しましては千六百三十五万二千円、こういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/20
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021・山崎斉
○山崎斉君 いまの御説明には、その補償は禁伐林と択伐林、択伐林の中でも、たしか単木択伐というふうに、禁伐に近いような制限をしているというものに対してのみ補償するということ、それから、しかもその補償は県有林、市町村有林というような公有林に対しては補償せずに、もっぱら私有林についてだけ補償するというふうになっているように思うのでございまして、この点はまあ了解できるのでございます。しかし、保安林の中で一番面積が多い、過半を占めますものが水源凝養の保安林だと思うのでございます。今後また整備臨時措置法を延長して、保安林をふやしていこうという考え方をとっておられますが、その中でもふえるのはほとんど大部分が水源凝養の保安林じゃなかろうかと思うのでございます。で、水源凝養の保安林に対しましても、やはり正当な補償額といいますか、そういうものの基準というものをつくって、早急に補償制度というものを完ぺきならしめるということがどうしても必要じゃなかろうかと考えるのでございます。また、これがうまく進まなければ、保安林整備計画というものも順調に実行に移していくこともますます困難になるのじゃなかろうかと思うのでございますが、水源凝養林等に対する補償制度というものについては、現在農林省ではどういうふうに考えておられるか、お伺いしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/21
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022・田中重五
○政府委員(田中重五君) 水源凝養保安林につきましても、お説のとおりに、その伐採に制限が加わるわけでございますけれども、水源凝養保安林の場合には、おおむね計画的といいますか、輪伐期で面積を割ったその面積は皆伐が可能だという、そういう施業方法が認められておるということもございまして、一応現在のところでは、補償の対象として考えていなかったわけでございますけれども、今後、特にこの保安林の改正によって、水源凝養保安林が相当大幅にふえるという実態にもかんがみまして、その補償の問題については十分検討してまいりたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/22
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023・山崎斉
○山崎斉君 水源凝養林についての伐採の制限というものは、基本的にはいま御説明のあったとおりと思うのでございますが、それにしても、まあ一伐区の皆伐面積というものは二十町歩以内でなければいかぬという制限もあわせて加わるわけでございます。で、人工造林地あたりを二十町歩以内で切るというようなことでは、現実に制限されたというためにこうむる損失というものはそう大きくないように思うのでございますが、天然林、ことに奥地のブナの天然林というふうなものでは、今後労賃も高くなるし、機械化というものを思い切って進めていかなければならぬというふうな現実から考えまして、この面積制限というふうなものが、その施業する場合に大きなやはり所有者にとってマイナスの因子になってくるということが予想されるのでございます。特にまあパルプ材の多いような山ですと、なかなか二十町歩程度では機械化もむずかしいというような問題も出てくるわけでございまして、そういう点、まあ場合により、場所により、いろいろ差異がございますので、むずかしい問題だとは思うのでございますが、十分ひとつ検討していただいて、早い機会に、水源凝養林等に対する補償制度もひとつ確立していただくように希望する次第でございます。
それから次に、保安林の管理の問題についてお伺いしたいのでございますが、最初にお聞きしましたように、昭和二十八年の治山治水基本対策要綱では、保安林の管理実行計画を立てて、その実行計画のとおり施業が行なわれるかどうかということを監視するための、監視員制度を設置するということが、要綱で盛られておるのでございます。で、この管理実行計画というものは、森林法に基づきます森林計画で立てられておるので、まあ問題はないのでございますが、監視員制度という点については、現在どういうふうに具体的にやっておられるか、この点をお伺いしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/23
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024・田中重五
○政府委員(田中重五君) 現在、保安林に対して行なわれております行政的な管理の内容につきましてはいろいろございますが、その中で、保安林の保護巡視についてはどのようにやっているのかという御質問と承りますが、これにつきましては、その保護巡視の目的といたしましては、保安林を盗伐、誤伐したり、あるいはまた侵墾をいたしましたり、その他人為的な危害、あるいはまた動物の害、あるいは火災、風水害、そういう災害、そういう波害から保安林を守るために、保安林保護事業といたしまして昭和三十七年から実施をいたしております。で、この保安林の保護事業につきましては、保安林が所在いたします市町村、全部で二千七百十五市町村のうちで、特に、たとえば市街地に近いとか、面積が相当に大きいとか、あるいはその団地数が多いとかいうような面で、重要な保安林のある市町村、それが千二百五十市町村ございますが、それに対しまして都道府県の事業といたしまして、保安林の保護巡視を行なっているわけでございます。これに対しまして、国はその経費の二分の一を補助いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/24
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025・山崎斉
○山崎斉君 市町村が現実に巡視の仕事をやる、それに対して国がそのめんどうを見るというお話でございますが、一市町村当たり金額はどれぐらいのものが出ることになっておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/25
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026・田中重五
○政府委員(田中重五君) これにつきましては、国が一万円、県が一万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/26
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027・山崎斉
○山崎斉君 せっかく保安林にしましても、無許可でかってに樹木を伐採するとか、あるいは石とかその他の物をかってに採取するというふうなこと、あるいは五町歩しか皆伐が許されないのに、はるかに大面積の皆伐をやるとかいうふうなことがあっては、保安林というものの使命を達成することができぬことは当然でございます。また、林野庁の調査によりますと、そういうふうな保安林についての施業の違反件数というものは、三十七年度には二千件をちょっとこしておる、三十八年度も千四百件余であるというふうに聞いておるのでございますが、こういうふうな実態からいって、いまの市町村に対して、国と県で合わせて二万円ぐらいの経費をめんどう見て、巡視してくれというふうなことでは、これはきわめて不十分じゃなかろうか、対策要綱で言う監視員制度というものは、その程度のものでなしに、もう少し突っ込んだ根本的なことを考えなきゃいかぬじゃないかというふうに思うのでございますが、この施業違反三十七年度二千件、三十八年度千四百件というふうになっておりますが、こういうふうな違反というものを摘発するというのは、現在だれがこれに当たっているのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/27
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028・田中重五
○政府委員(田中重五君) 保安林におきます違反の行為は、いまお話しのとおりに、昭和三十七年度で二千件、三十八年度で千四百件でございますが、これの監視人といたしましては、全部で千二百五十名、市町村の委嘱をする巡視員が、これに主として当たっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/28
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029・山崎斉
○山崎斉君 市町村で吏員が片手間にやるというふうな問題になってくるように思うのでございますが、一方、狩猟の取り締まりにつきましては、県の林務の吏員というものが、約五百名ぐらいだと思うのでございますが、これを司法警察官の職務を行なう者をいうことに、検事正から任命してもらって、取り締まりをしたり、また検察庁に告発するというふうな仕事もできるようになっているのでございますが、この保安林の監視につきましても、県で保安林の計画を立てたり、いろいろする職員も大ぜいるわけでございますし、あるいはまた全国に二千人をこすような林業技術普及員もいるわけでございますが、こういうふうな人を、狩猟のように、司法警察官の職務を行なう者というふうなことに任命してもらって、がっちりした、施業違反というものを取り締まり、また摘発していくというふうなことを、ひとつやるように考えられたらどうかと思うのでございますが、それに対する御意見をお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/29
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030・田中重五
○政府委員(田中重五君) 保安林の巡視の業務がきわめて重要であることは、いまのお説のとおりでございまして、したがいまして、この巡視員に、司法護察官の職務を行う者というふうに任命するということにつきましても、関係の方面と十分に協議の上、その適否につきまして検討を進めてまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/30
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031・山崎斉
○山崎斉君 この監視員の制度の徹底化という点については、ひとつ十分研究されて、必要な予算措置も講じて、監視員という制度らしい制度にひとつ早くするということを希望しておきます。
それから次に、森林についてのいろいろな法律による施業の制限という点をお聞きたいのでございますが、森林の施業に対しまして、これを制限する法律制度というものは非常に多いのでございます。森林法による保安林という制度のほかに、自然公園法によります国立とか、国定及び県立公園という制度、あるいは文化財保護法による史跡、名勝、天然記念物としての指定の制度、また、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律による保護区の制度、またこれは少し面積は小さいかと思いますが、都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律とか砂防法による砂防指定地域の制度というふうに、たいへん多いのでございます。こういうふうな施業制限の制度というものと、保安林という制度とは一体どういうふうな面積的関係になっているのか、重複関係もあわせてひとつ御説明をいただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/31
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032・田中重五
○政府委員(田中重五君) いまお話しのございました保安林——この森林法の制定以外で、保安林と同様に、この施業が制限をされておるものに、自然公園法、あるいはその他文化財保護法によるところの制限、あるいは砂防法によるところの砂防指定というのがございます。保安林と、他の法令による制限との重複関係につきましては、保安林の総面積が、国有林では三十七年度未といたしまして百九十一万七千、そのうちで、他の法令によります制限林の面積が五十二万二千、それから民有林では保安林の総面積が二百十三万四千、そのうち、他の法令によります制限林の面積が二十九万六千、こういうことになっております。いま申し上げましたのが重複しておる面積でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/32
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033・山崎斉
○山崎斉君 それで、重複しないで、他の法令によって制限されておる面積というものはわからないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/33
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034・田中重五
○政府委員(田中重五君) 重複しない他の法令によります制限林の面積が、国有林内で八十四万八千町歩、それから民有林で七十八万三千町歩でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/34
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035・山崎斉
○山崎斉君 そうしますと、保安林で四百万町歩をこす制限——他の法令によって二百何十万というふうに、森林に対する施業制限というものは非常に大きくて、全森林面積二千四百万町歩の中で、とにかく四分の一に近いものが施業制限を受けておるという実態にあるのでございます。今後また保安林をふやせば、さらに、森林に対する施業制限面積がふえるというふうな状態になるのであります。で、保安林の指定の場合を除きまして、他の法令によって森林の指定として、施業の制限をしようというふうな場合には、それを主管する他の官庁は、農林省に対して協議を要するというふうに法律はなっているかどうか、その点もお伺いしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/35
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036・田中重五
○政府委員(田中重五君) 先ほど申し上げました森林の施業を制限しておるものの中で、自然公園法によりますものだけが、法律の中で、主管大臣が農林大臣にこの指定について協議をするというふうにされているだけでございます。それから砂防法によります砂防指定地の指定の場合、その場合には、林野庁と建設省の河川局との間におきまして共同通達を出して、その調整をはかるということにいたしております。それから史跡、名勝、天然記念物の指定の場合、その場合には、これは不文律として、都道府県の林務主管部課と、それから都道府県の教育委員会、それとの間でそれぞれ意見の調整をするということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/36
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037・山崎斉
○山崎斉君 そういうふうな協議が林野庁に来たという場合、あるいはまた林野庁と河川局とが協議しなければいかぬという場合、また文化財保護法のように、不文律で、地方庁同士の内部でいろいろ協議するというふうなことになっておる場合に、その両者の調整、そういうものは具体的に一体どういうふうにやっておられるのですか、その点をお聞きしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/37
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038・田中重五
○政府委員(田中重五君) 具体的な調整といたしましては、その協議される森林が保安林であるというような場合には、その当該指定の目的と、保安林の指定の目的、それからその当該森林の状況、そういうものを検討をいたしまして、その指定によりまして、森林所有者が不当に過重な負担を負うことのないように、協議いたしまして、意見の調整を行なっているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/38
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039・山崎斉
○山崎斉君 先ほども話がありましたように、保安林の場合で、私有林に対する補償制度というものが必ずしも十分でなくて、今後新たに検討して、完ぺきな補償制度をつくらなければいかぬという段階にあるのでございますが、自然公園法その他の法律によります施業制限については、補償制度のあるもの、全く法律上に補償ということをうたってないような法律も両方あるように思うのでございます。で、森野庁におきましても、水源林等に対する補償制度も早急にひとつ考えて、なおかつ他の法律による協議等があった場合におきましても、補償という制度が、他の法律によるものでなければその指定には賛成せぬというふうな方向に今後持っていってもらわなければいかぬじゃなかろうかというふうに思うのでございますが、そういう点から、先ほどの水源涵養林等一般的な保安林に対する補償制度も、ひとつ早急につくるということの必要性があるように思うのでございまして、そういう点のひとつ御検討をお顔いしたいのでございます。
次に、保安林の種類の問題ですが、保安林には十七種類もあるということは、資料でわかります。それを詳細に見ますと、風致保安林というふうなものと、自然公園や文化財保護法による指定というふうなものとは、目的を一にしながら重複するというふうに考えられる場合もあるのでございます。また禁伐あるいは短伐、沢伐というようなものを施業の目的としているような保安林におきましても、鳥獣保護を目的とする保護区と、大体目的が一緒じゃなかろうかというふうに考えられる場合もございますし、また保安林の中では、防雪保安林というふうに、いまだ指定したことは一ぺんもないというふうなものもございます。また防火、保健というふうな両保安林も、指定の実績というものは非常に少ない。こういう保健の保安林というようなものは、都市の美観、風致を目的とする樹木の保護というふうな指定というものとも関連が非常に深いように思うのでございます。こういうふうな点から見まして、森林なり、林業の主管官庁としての林野庁で、保安林制度、特に、保安林の種類の再検討ということと、他の法律主管官庁との関連で、この保安林の種類その他を抜本的にひとつ検討するという段階にあるのじゃなかろうかと思うのでございますが、そういう点についての御見解をお願いしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/39
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040・田中重五
○政府委員(田中重五君) 保安林の種類につきましては、他の法令によります先ほど申し上げましたような制限林との間に、その指定の目的、あるいはまた制限の内容が類似しておるものは確かにございます。それからまた保安林の面積がわずかしかないというような保安林の種類もございます。しかしながら、その目的なり、あるいは制限の内容は必ずしも全然同一であるということではなくて、それなりにそれぞれの存在の理由があってきめられたというふうに考えられますので、まあいますぐこれを整備統合していくということにつきましては、若干の問題があるように思われますし、それからまた小面積ではあるとはいいながら、この保安林費をその保安林の制度からはずしていくということにつきましても、それぞれの地域地域の特殊な事情もあり、あるいはそれが置かれた当時の時代の要請もあったと思われますので、その点の考慮も必要かと存じます。しかしながら、いずれにいたしましても、御趣旨のほどは十分に尊重をいたしまして、今後この保安林費の再検討につきまては十分に考えてみたいとこう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/40
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041・山崎斉
○山崎斉君 それから、保安林の買い入れ、国による買い入れの問題についてお伺いしたいのでございますが、昭和二十九年から三十八年度までの十カ年間に、五十万町歩の保安林を買い入れるという計画が進んできましたものの、その実績というものは二十万町歩弱だということになっておるのでございます。その原因というものは、もちろん、まあ予算の面にもございましょうが、また保安林所有者が必ずしも手放したくないという考え方、あるいは国が買い入れしょうと思っていろいろ調査をしておったところが、経済情勢がよくなったんで、パルプ業界とか、その他木材関係の業者が、国よりもちと高い値段でさっと買うというふうなこともあったように思うのですが、この二十万町歩しか買えなかったというふうな原因のおもなものはどういうところにありますか、御説明願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/41
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042・田中重五
○政府委員(田中重五君) 保安林の買い入れ事業が予定どおりに進捗を見なかった理由といたしましては、ただいまお説のとおりのようなもろもろの事情がございます。それで、確かに予算の関係もございますし、またかりに予算としてはありましても、あまりにも売り人のほうの意向が強過ぎて話が合わないという場合もございます。この点はやはり近年の木材の価格なり、あるいは土地の価格なりの急激な連年上昇、これが原因であったことは確かでございまして、そのために、森林所有者の国への売り渡しの意欲というものが減退をしておったというようなことも確かにございますし、そのほかに、たとえばまたこの対象となる保安林の権利関係で、その共有権者、あるいはまたその持ち分者の一部の者、そういう者が賛成をしないというようなことがございますし、あるいはまた地上権あるいは抵当権等の、第三者としての権利者、そういうものの反対がございましたり、あるいは境界について紛争があるとか、あるいは登記がまだ整備されておらないというようなことで話し合いがつかず、あるいは買い入れ不能に終わるということはございます。それで、そういう点につきましても、いろいろ反省がされるのでございますが、今後におきましては、在来の、こういうようなきわめて急激な木材あるいは土地の上昇等も、いままでのような状態ではなくなると思いますので、山林所有者におきましても、この点につきましてはこちらの趣旨を十分に理解の上、話が進んでまいる、こういうように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/42
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043・山崎斉
○山崎斉君 現在買い入れの申し込みがあったが、予算の関係で後年度に予定されておるというようなもの、あるいは大面積のために、年度に割って分割買い入れをしなければならない。そういうために、今後引き続いて買う予定のものというようなものが相当あるのかどうか、また最近、保安林を買ってもらいたいというふうな希望というものが従前に比べて多いか少ないかというような点についての状況をお話し願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/43
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044・田中重五
○政府委員(田中重五君) いま御質問のございました、現在この同一の市町村内で継続をしておるというのを拾ってまいりますと、この三十八年度末で、三十八年度買い入れ地と同一の市町村にあるものが二十一カ所で五千三百七十九町歩でございます。それからまた、同一市町村内で三三十八年度の買い入れ地に接続をしておるというようなが十二件で、三千九百数十町歩でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/44
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045・山崎斉
○山崎斉君 今後保安林整備臨時措置法を延長して、国有としょうという予定の森林が、買い入れが十七万ヘクタール、交換するのが八万ヘクタール、合計二十五万ヘクタールを、資料によると予定されているのでございますが、一方、二十九年度に予定しました買い入れ予定地五十三万町歩の実行残が三十万町歩一方にあるわけでございます。今後の予定二十五万ヘクタールというものと、実行残の三十万ヘクタールというものとはどういう関係になるのか。重複するか、また重複しないで新規個所が大部分になるのかということ。また新規個所が多いとすると、その新規個所を買い入れるということのために、具体的にそれを決定する条件といいますか、基本的な考え方というものはどういうようなものか、お伺いしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/45
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046・田中重五
○政府委員(田中重五君) 現在の法律に基づきまして、買い入れを計画しておりますその数量はお説のとおり五十万ヘクタールでございますから、この三十八年度末現在で、二十万ヘクタールの実行となるわけでございます。それで、三十万ヘクタール程度残っておることになるわけでございますが、で、まあこの残った部分につきましては、この三十五年度以降も治山治水緊急措置法によります治山治水事業、これの実施の推移等によりまして、計画当時に比べますと、多少の状況の変化もあったということも、この実行数量の変わっておる一つの原因でございますけれども、今後はこの新たに一般林の整備を行ない、その中で買い入れを計画していくという場合には、現在の残っております部分につきまして十分に検討をいたしまして、今後買い入れの地域との関連で総合的にその計画を進めてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
それで、いずれにいたしましても、この法案の改正をいただきました後におきます買い入れ計画の樹にあたりましては、この重要な河川の流域の上流地帯に所在いたします保安林であって、特に保安施設のために相当な経費を要する、しかも現に荒廃地であり、また荒廃地に移行しつつあるもの、あるいはまた荒廃のおそれのあるもの、そういうものを流域ごとに過去の買い入れ状況と十分に比較勘案しながら、その個所の決定をしてまいりたいというのが、今後の買い入れに対する方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/46
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047・山崎斉
○山崎斉君 で、三十九年度以降に国有としようとする予定の二十五万ヘクタールの保安林というものを買い入れるために必要な経費というものがどのくらいかかるのか、また買い入れた保安林に対して実施すべき治山事業費の見込み額がどのくらいになるのか、またさらに三十八年度までに買い入れを終わった約二十万町歩の保安林に対して、三十九年度以降に投ずべき治山事業費の金額というものはどれくらいか、御説明願いたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/47
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048・田中重五
○政府委員(田中重五君) まず昭和二十九年からこの三十八年度まで、この十カ年に買い入れました地域における治山の事業費、この治山事業に投じました経費が百億七千二百万円でございますが、なお今後この買い入れ済みの部分に対する治山の経費といたしまして三十二億円を予定いたしております。それから今後三十九年度ないし四十八年度の間に買い入れを予定しております。あるいは交換を予定しておりますもの、合わせて二十五万ヘクタールでございますが、その中で必要とすべき治山の事業費はほぼ二百三十億と予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/48
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049・山崎斉
○山崎斉君 それから臨時措置法の期限を延長して保安林の整備充実をはかるという計画を持っておられるわけですが、今後十カ年間にどういうふうな基本的な考え方で、すなわち、流域別に指定の保安林の面積というようなものを決定する因子というようなものはどういうものか。またそれによって、どういうふうな種類の保安林がどの程度増加するか、その点を御説明いただきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/49
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050・田中重五
○政府委員(田中重五君) その点につきましては、昭和三十九年度、本年度におきまして、今後十カ年間に整備すべき保安林の整備計画を十分に検討をいたしまして樹立をいたしたい。こう孝えている次第でございますがその考え方といたしましては、今後人口の増加なり国民経済生活の向上なり、さらにはそれぞれ地域地域におきます産業の進展なり、そういうものに応じまして、あるいはまたその他もろもろの事情によりまして、水の需要が急激に増加をしてまいるというふうに考えられますので、そこで水需要に対応するための水源涵養保安林の整備ということを主体といたしまして、あわせて今後さらに重要になるであろうと考えられる一号ないしこの土砂流出防備あるいは土砂崩壊防備林等のそういう保安林をあわせて配慮をしてまいりたいというような考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/50
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051・山崎斉
○山崎斉君 最後にお伺いしたいんですが、保安林整備という中で、国の買い入れと買い入れた保安林に対する治山事業に対して要する経費、この点を中心にしてお伺いしたいんでございますが、民有保安林につきましての国の買い入れ経費と、この買い入れた国有保安林に対する治山事業費というものは、昭和二十九年度以降全部みな国有林野特別会計の経費の支出でまかなってきたということで、十カ年間に買い入れ経費が九十四億円、治山事業費が百一億円、合計して百九十五億円、年平均約二十億円の支出を行なってきたという現実でございます。また今後の買い入れ保安林に対する経費というものは、買い入れ経費が八十四億円、治山費は新規買い入れ予定地の分が二百三十一億円、いままで買い入れたところの残存の事業分が三十二億円、合計して三百四十七億円という多額の支出をしなければならんという実情でございます。こういうふうな点から見ると、保安林整備の中のきわめて重要な部分の予算というものが、国有林の経営に、また国有林の収支に依存しておるといってもいいのでございます。逆に国有林というものは治山治水、国土保全という面に大きな貢献をすべく義務づけられておるというふうにも考えられるのでございます。しかし国有林、民有林あわせてわが国の林産業というものは、木材使用量の二割から二割五分に達する外材の輸入とその価格という面、並びに農山村の労働力の減少と資金の上昇というふうな現実から、今後の林産業の経営というものは、非常に深刻な影響を受けるようになってきたということは御承知のとおりでございます。また、これが打開のためには課業とか中小企業と同様に林業基本法を今国会に提案して、こういう今後の混乱を打開していくという基本態度を明らかにしておるわけでございますが、これらの根本問題とこまかい内容、数字という面は林業基本法の際に十分お伺いすることといたしまして、この法案に関連して大局的にお伺いしたいのでございますが、国有林野事業特別会計は、今後経常支出という形で先ほどの多額の治山関係の経費というものを、ほぼ予定のとおり支出していける見通しかどうかあるいは支出が見込みがないとすれば、特別会計法で規定されておるように、治山事業費の相当額を一般会計から期待しなければならぬというようなことになるのか、どうなのかこういうことを一点概括的にお伺いしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/51
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052・田中重五
○政府委員(田中重五君) いまのお説のとおりに、民有保安林の買い入れの経費と、それに投ぜられる治山事業費は、国有林野事業特別会計の負担において支出をされてまいったわけでございます。それは、国有林野聖業の重要な使命として考えられるところの国土の保全、あるいは治山治水の面で、国有林がその面の事業をその使命として進めてまいるという考え方にも立脚をいたしておったのでございます。で、たまたま従来は木材の価格の急激な上昂等にささえられまして、この経費の支出も可能であったわけでございますが、今後の木材の価格の推移には、いままでとはまた形の変わったものになることが予想される関係からいいましても、今後の国有林野事業で負担していくためには、この国有林野事業自体の内部の体質改善もきわめて必要なことだと考えております。ただ、いまのところは、今後買い入れていく事業あるいはそれのための治山の経費、あるいはいままでに買い入れました残事業の支出につきましては、ほぼそれが予定どおりに支出し得る見通しを持ってはおります。しかしながら、いまも申し上げましたような今後の主たる収入源としての木材の価格の推移、その他社会経済情勢の変化もあると考えられますが、そういう場合に、この会計の収支が著しく悪くなるというような事態が生じましたときに、現在の国有林野事業特別会計法の附則にございます。この会計において財源に不足を生じたときには、この保安林の買い入れあるいはその治山事業については、一般会計から繰り入れることができるということになっておりますので、そういう場合も、その情勢によってはあるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/52
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053・木島義夫
○木島義夫君 関連質問。地方に行きますと、保安林というやつは、国家的見地から非常に必要なものでありますが、これによる農耕地等の被害ですね、農耕地の被害、これはどういうぐあいになっておりますか。その補償の方法を講じておりますか。または講じておれば、どういうふうになされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/53
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054・田中重五
○政府委員(田中重五君) 農岐地の被害でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/54
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055・木島義夫
○木島義夫君 そうです。たとえば木が繁茂したために、その下にある稲や何か、米をつくってもうまく実らぬような場合、木の陰影によってですね、そういう事実がたくさんある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/55
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056・田中重五
○政府委員(田中重五君) もしその庇蔭木となっておりますものが国有林でございますれば、これはその関係の農業者のお話がございますれば、すぐその御満足のいくように処置をいたしたいと、こう考えます。それが民有林の場合には、法的には、いまのところ措置する道はちょっと困難かと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/56
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057・木島義夫
○木島義夫君 これは実際に千葉県の大多喜町の住民に対する飲料水を保持するために保安林があるのです。ところが、これに対して何の補償もしてない。で、耕作農民が非常に因っている事実があるのです。われわれはかってそういう陳情を受けたこともあるのです。こういうのはこれは、国有林であると民有林であるとにかかわらず、このような幕府時代のやり方みたいなことはよくないと思うのです。こういうことは、やはり調査してこれに対する救済方法を講ずべきではないか。またそれができないとするならば、その市町村なり何なりは、他の方法によって飲料水の確保とかいう方法を当然講ずべきじゃないかと、こう思うのでありますが、その辺はひとつ今後研究していただきたいと思うのでありまして、いまだにそういうことがないとすれば、私、資料を集めて国会にも提出して救済してあげなければならぬ。非常に住民が困っている事実があります。かかるがゆえにそれをひとついま私は質問したのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/57
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058・田中重五
○政府委員(田中重五君) いまのお話は、もしその庇蔭を与えております木が国有林でございますれば、これはいま申し上げましたようにさっそく措置いたしたいと思います。それから民有林の場合には、さっそくその実情を調査いたしまして、しかるべき措置を進めるように検討いたしたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/58
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059・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) ここでしばらく休憩して、午後一時三十分から再開いたします。
午後零時二十八分休憩
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午後一時五十八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/59
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060・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) ただいまから委員会を再開いたします。
保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行なうことにいたします。
質疑のおありの方は、御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/60
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061・藤野繁雄
○藤野繁雄君 午前中に専門家の山崎先生が微に入り細にわたり、かつまた要領よく質問があったのでありますから、質問はほとんど残っていないようでありますが、ただ重複せない点について一、二お尋ねしたいと思うのであります。
政府の提出せられた参考資料によってみまするというと、保安林の面積は昨年の三月三十一日現在で国有が百九十一万六千八百ヘクタール、民有が二百十三万四千四百七十五ヘクタール、計四百五万一千二百七十五ヘクタール、こうなっています。保安林は御承知のように立ち木等の伐採その他にいろいろの制限があって、利用価値が一般の山林よりも低いのでありますから、その点から考えてみまするというと、その価格も当然安いものであると考えられるのであります。
そこでお尋ねしたいのは、今回改正せられるところの固定資産の再評価にあたっては、こういうふうな性質の保安林についてはどういうふうに評価がえをしようとお考えであるか、政府の方針をまず承りたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/61
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062・田中重五
○政府委員(田中重五君) 保安林の固定資産税につきましては、これは地方税法の……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/62
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063・藤野繁雄
○藤野繁雄君 固定資産税じゃない、評価がえの問題ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/63
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064・田中重五
○政府委員(田中重五君) 保安林の評価がえにつき出しては、これは固定資産の評価がえの対象外ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/64
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065・藤野繁雄
○藤野繁雄君 対象外となっているということであれば、保安林になっているところの同定資産は評価せない、従来どおりだ、こういうふうになってきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/65
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066・田中重五
○政府委員(田中重五君) お説のとおりであると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/66
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067・藤野繁雄
○藤野繁雄君 税の問題については課せないというようなことからして考えられるけれども、評価がえはするのじゃないのですか。これはもう自治省の関係であるいは御承知ないかわからぬけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/67
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068・田中重五
○政府委員(田中重五君) その点につきましては、関係機関に照会をいたしましたところ、いま申し上げましたとおりと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/68
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069・藤野繁雄
○藤野繁雄君 そうするというと、こういうふうなことがあってくるのですよ。民有林であってその土地というものは評価がえをせない。評価がえをせないとということになれば、物価は自然と上がってくるのでありますから、その財産価値はふえる。財産価値はふえるから、今回は御承知のとおり三年ごとの評価がえを今度やる。三年ごとの評価がえをやって、物価の自然高くなっておるのに比例して固定資産の評価がえをやる。もしも固定資産の評価がえをやらないというようなことであれば、その人の財産はどれだけ大きくなってでも、保安林であったらばそのままに据え置くということは、不合理じゃないかと考えられるのでありますが、そこでその次せないということだったらば、これはさらに御調査をお願いしたいと思います。
それから税の関係でありますが、評価がえをせないということだったらば、税金の関係は全く出てこないのであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/69
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070・田中重五
○政府委員(田中重五君) 保安林の固定資産税につきましては地方税法の第三百四十八条によりまして非課税となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/70
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071・藤野繁雄
○藤野繁雄君 いや、それはそれでいいんですけれども、いま、一番根本問題に触れておるのでありますから、評価がえをせないということであれば、その山林の所有者は、自分の財産をふえてでも、その財産のふえたということがそのままになっている。そのままになっているということであれば、現在評価がえをせないという方針であれば、保安林は将来評価がえをせなくてはできない。そうして財産というものは自然に増加してくるのだから、その増加した財産に従って価格をきめていかなくちゃできない、こういうふうに考える。これはあとでさらに、さっきも申し上げたように御検討をお願いしたいと思うのであります。それから、保安林と市町村の交付金の問題に移りたいと思うのでありますが保安林に対しては固定資産税はかけない。これはいまお話しのとおりなんです。しかしながら、国有林があればその国有林がある市町村に対しては、ある一定の基準によって交付金が出される、こういうふうなことになると思っておるのであります。そこで、その市町村に国有の保安林がある場合と、民有の保安林がある場合とで、どれだけ市町村に対する交付金その他に差があるか、これをお尋ねしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/71
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072・田中重五
○政府委員(田中重五君) いまお話しのとおりに、民有保安林につきましては、固定資産税が免除されております。それから、一方、国有林につきましては、保安林あるいは普通林を通じまして、国有資産等所在帝町村交付金及び納付金に関する法律というものに基づきまして、年々一定額の交付金が支出されております。ところで、国有林の所在するということでの交付金の支出は、これはその支出の趣旨といたしまして、国有林と地元市町村との関係というような、相互の依存関係等をも考慮した上での交付金というふうに解釈をいたしておりまして、民有林の、保安林であるがゆえに免除をされている固定資産税の額とは、必ずしも一致をしないというものであるというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/72
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073・藤野繁雄
○藤野繁雄君 その点がいま問題に取り上げているところなんです。同じ保安林で、同一市町村にありながら、民有林であったらば固定資産税をかけない。しかし、同じ性質の保安林であっても、国有林であれば、それに一定の条件のもとに、ある金が所府から出さなくちゃできない。地方の発展のために政府から出していただくのはこの上ないけれども、ちょっとそこに同じ性質のものでありながら差をつけるということに、何か特別の理屈をつけなくてはできないじゃないか、あるいは特別の理由がなくちゃできないじゃないか、こういうふうに常識的には考えられるのですね、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/73
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074・田中重五
○政府委員(田中重五君) 一応民有保安林であるがために免除をされております固定資産税の額といたしましては、その市町村等に対して基準財政需要額とそれから基準財政収入額との差の中で、その地方交付金、税として考えられていくというふうに解釈をいたしているわけでございます。
それから一方国有林野が所在するということでの交付金は、いま申し上げましたような趣旨に出ているというふうに解釈をいたしまして、その両者は必ずしも一致はしない、こう考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/74
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075・藤野繁雄
○藤野繁雄君 市町村の財政需要と財政支出の差の金は交付金から出す、交付税で出すというその点は、そのとおりであると思っているのでありますが、ただそれだけのことで、それならばそこに民有の保安林があったらば、その保安林を算定する算定基準というものがある場合において、ある一定の算定基準によって出されるのであるから、その算定基準なるものは財政需要額と財政支出額の差の金額をそのまま持ってくるというような算定基準はあるいはないのじゃないかと、理論的にはあるけれども、実質的にはそういうふうな金は出てこないのじゃないか、こういうふうな気がするのですが、そうじゃないですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/75
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076・田中重五
○政府委員(田中重五君) 一応その市町村の地域に所在するその面積をもとといたしまして、積算の根拠といたしましては、固定資産税相当額のものが積み上げられておるというふうに解釈をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/76
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077・藤野繁雄
○藤野繁雄君 これはぼくもまだしろうとで、これ以上のことは知らないのだが、この点についてなお検討の余地があるような気がしますから、さらに検討をお願いしたいと要望しておきます。
次には、さっき山崎さんからもお話があった防雪の保安林の問題であります。これは、昨年の豪雪の際に私は災害対策特別委員会で、豪雪を防ぐためには、防雪保安林というようなものをつくらなくちゃできないじゃないか、しかるに、政府の資料によってみてでも、全く防雪の保安林はない、昨年は、私の質問に対して政府当局は、お説のとおりに防雪の保安林をつくって、そうして防雪をやるのが豪雪の際における適当な措置であると思うから、今後その方面に向かって研究をし、すみやかに御意見に沿うように取りはからいたい、こういうふうな答弁をもらっておったような気がするのでありますが、災害対策の際に、そんな話があったことを御承知であるか。ないとしたらば、今後防雪の保安林というふうなものをつくる意思があるのかないのか、これをお尋ねしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/77
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078・田中重五
○政府委員(田中重五君) いまお説のとおりに、政府側といたしましても、そのような答弁をいたしたかと考えるのでございますが。ところで、雪によります被害を防止いたします。それを目的とする保安林には、なだれ防止保安林と、いまお話しの防雪保安林と、二つがあると考えます。そこで、その両方の違いと申しますと、なだれの防止保安林は、なだれの危険を防止するというのが目的であるのに対しまして、防雪保安林のほうは、現に降っている雪、特に吹雪等の防止を目的とするという点が違うかと考えます。ところで、災害対策委員会で述べられております防雪保安林とは、それは総合的な豪雪対策といいますか、そういう立場からこの両者を総合的にあわせて総称したような意味合いで話が出ておるというふうに考える次第でございます。ところで、なだれ防止保安林につきましては、昨年の豪雪によりますところの被害が、主としてなだれによるものであったということにかんがみまして、その拡充強化を推進するということにいたしております。それで、防雪保安林につきましては、実情といたしましては、ほかの保安林たとえば防風保安林であるとか、あるいは飛砂防備保安林というようなものが同じような目的を兼ねているという場合もございますので、なお、防雪保安林についての配備につきましては、その実態調査を十分にいたしまして、その必要があれば配備を進めていきたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/78
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079・藤野繁雄
○藤野繁雄君 いまお話しのとおりに、防雪保安林となだれ防止保安林とは、あるいは原因結果からすれば、同一のものであると考えられるかわかりませんが、一方において防雪保安林という保安林をつくっておられる以上は、いまお話しのとおりに、なだれと同一だというようなことだったらば、防雪保安林というものは抹消してしまったほうがよくはないかと考えられるんですね。それで、結果からすれば、なだれ防止保安林で防雪の保安林の効果を発揮することができると、こういうふうなお話であるのでありますから、まずこのくらいのところにとどめておいて、しからば昨年の豪雪のために、なだれ防止保安林を、昭和三十九年度はどのくらい増額される予算の見込みであるか承りたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/79
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080・田中重五
○政府委員(田中重五君) 指導部長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/80
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081・森田進
○説明員(森田進君) 私から御答弁申し上げたいと思います。なだれ防止の保安林の指定につきましては、現在約一万五千ヘクタール弱あるわけでございますが、今後増設を要しますものにつきましては、さらに保安林整備計画の一環といたしまして、整備を進めてまいりたいと考えております。
次に、なだれ防止林の造成事業でございますが、これはなだれの発生の危険のある山腹に階段工をいたしまして、その各段上に樹木を植栽いたしましてなだれを防止する目的の保安林でございますが、これは三十五年に策定せられました治山治水十カ年計画の中にも入っておるわけでございまして、実は前期五カ年計画で、事業量にいたしまして四億九千万円の事業を実施する計画でございます。ところが、三十五年度から三十七年度にわたりまして三カ年間に約二億九千四百万、比率にいたしまして六〇%の事業を実施いたしたのでございますが、昨年の豪雪の災害にかんがみまして、三十八年度におきましては大幅に事業量を増加いたしまして、三十八年度のみで約二億五千万円の工事を実施いたしております。この結果、五カ年計画に対しまして三十八年度までの四カ年間にすでに一一三%の工事を実行いたしております。で、今後もこのなだれ防止林の造成事業につきましては、治山事業の重要な一環といたしまして進めてまいる計画でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/81
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082・藤野繁雄
○藤野繁雄君 いまお話を承るというと、だいぶん積極的にやっておられるということでありますか、昨年の豪雪の被害、今年の岩手、青森の豪雪の被害というように、豪雪の被害は年々繰り返されるものと思うのでありますから、災害が起こってからではなくて、未然に防止されるようにして、この方面の事業に対しては、積極的に施策を講ぜられるようにお願いしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/82
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083・櫻井志郎
○櫻井志郎君 ちょっと簡単に一、二点伺います。森林法に「国は、保安林の指定によって利益を受ける地方公共団体その他の者に、その受ける利益の限度において、前条の規定により補償すべき金額の全部又は一部を負担させることができる。」という条項がございますね、この「地方公共団体その他の者」の「その他の者」は大体どういうものが主となっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/83
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084・田中重五
○政府委員(田中重五君) それは地方公共団体その他の一定の利益を受ける者をさしているわけでございます。で、なお現在の状態を申し上げますと、保安林の指定によって利益を受けるということで、その負担をいたしている実例はございままん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/84
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085・櫻井志郎
○櫻井志郎君 いや「その他の者」の私は実例を伺っている。たとえば魚付保安林であるとか、土砂流出防止保安林であるとか、こういうものがございますね。そのことによって受けるたとえば漁業組合が対象になるかどうか私は知らぬが、漁業組合等が実際において相当その費用の一部を負担しているのか、あるいはまた発電会社、電力会社あたりが、土砂流出防止の保安林によって、ダムの埋没が防がれるダムの寿命が非常に長くなる、そのことによって受けるダム所有者の発電会社なら発電会社が、実際上に費用のある程度を負担しているという実例が幾らもあるのかないのか。その点長官でなくても担当者の方でけっこうです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/85
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086・田中重五
○政府委員(田中重五君) その点につきましていまも申し上げたわけでございますが、その受益によって補償の一部を負担しているという実例はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/86
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087・櫻井志郎
○櫻井志郎君 法律条項にこれははっきりうたっているのだし、まあ実態は私、知りませんよ。実態は私知りませんけれども、たとえば私が一つの例としてあげたダム等が土砂流出防止保安林によって、たとえばダムの寿命が百年と計算しているものが、その公益の保安林の指定になったために、あるいは三十年も五十年も伸びるというような事実を計算された場合に、そうしたことによって利益を受けるいわゆる「その他の者」に該当する者が、どうして実際上の費用の一部を負担しているということがないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/87
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088・田中重五
○政府委員(田中重五君) その点は法律にも規定があり、またお説もごもっともであると考えるわけでございますけれども、ただやはり利益を受ける者の特定、それから利益を受けるその程度、それの測定がなかなか困難なのございます。で、そういうことでございますので軒いままでのところでは、その利益を受けると考えられるものが、その補償の一部を負担するという実例はなおございません。ただその点につきましては、現在、今後におきましても十分検討をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/88
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089・櫻井志郎
○櫻井志郎君 私はくどく言うつもりは毛頭ないのですけれども、受益の限度の測定がむずかしいから、この法律条項が実際に満たされて運用していないというこういう長官のお話ですけれども、これを裏返しに言うと、利益の限度の測定がむずかしいことだという言い方をすれば、たとえば土砂流出防止保安林の今度はその保安林による効果の測定が非常にあいまいになるという裏返しの結論も出てくるのじゃないか。しかし、そういう結論が出る場合、非常にこれは困ることで、エロージョンを防ぎ、土砂流出によって公共施設あるいは公共の役に立つようなものが埋没されるとか、その効用を減殺するとかいうようなことがあってはいけない、そういうことを防止するために、保安林を積極的に私は拡大していかなければならぬという観点から申し上げておるのだ。積極的に拡大していく場合は、その効果の測定があいまいだということになると、積極的に必要なものを拡大していくことも理論づけがむずかしくなってくるというふうに、理屈を言えば伸びてくるのじゃないかという感じがするのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/89
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090・田中重五
○政府委員(田中重五君) たとえば土砂流出防備林なりあるいは土砂崩壌防備林についての経済効果については、それぞれ計算は可能なわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、個々特定受益を受けるものの特定と、それからその特定されたものの個々の受益の程度、範囲でございますが、それの測定がなかなかむずかしいということで、いままでは推移をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/90
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091・櫻井志郎
○櫻井志郎君 ちょっとどうも、私長官の御答弁では納得しかねるのですがね。私は別に追及はしませんが、法律条項としてもはっきり書いておることであるし、妥当な理論として法律条項にも書いておることであるわけですから、妥当な理論というものはやはり実際に運営していくという考え方でやっていかないと、算定が私は容易だとは思いません、事実長官のおっしゃるように困難点が多々ありましよう、多々ありましようけれども、やはりそれを実際に生かして、結論はやはり国民の税金を最も有効に活用していくというのが、行政の最も大事なことですから、当然負担させるべきものに対しては、やはり負担をしていただくということを、もっと前向きに検討してもらって、むずかしいからやらない、やらなかったということではなしに、これはぜひひとつ運営は考えてもらいたいということですが、いかがですか、お考えは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/91
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092・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) ただいま櫻井さんの御指摘の点ごもっともと思います。いま長官がお答えしたような点もあろうと思いますけれども、今後取り急ぎ十分検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/92
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093・仲原善一
○仲原善一君 森林が公共の利益に非常に影響があるという、利益に関係が深いというたてまえから、保安林を積極的に整備計画等もつくって推移しておられることは、当然なことだとは考えますが、同時に反面から言うと、個人の利益に非常に抵触すると申しますか、そこなう点もたくさん出てくるので、そういう意味から民有林については予定計画どおりになかなか進まないという事情も、午前中の質疑によってわかったわけでありますが、同時にわれわれよく陳情を受けたり、あるいは御一緒にお願いする問題があるのは、消極的な面からいっての解除の問題であります。保安林を解除してほしいということが、たまたまわれわれの県ではよくあるわけでございますが、その解除の問題について、従来編入と同時に解除もやっておられるのかどうか。整備計画で、もちろん整備充実せねばなりませんけれども、解除もあわしてやっておられるのかどうかということと、それから解除をもしおやりになる場合には、何か一定の基準と申しますか、標準といいますかそういうものによって解除をやられるのかどうか、その辺の事情をちょっとお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/93
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094・田中重五
○政府委員(田中重五君) 保安林の解除につきましては、これは現在の段階といたしましては、その必要性の程度に応じまして解除をいたしております。それはその保安林の所在する地元の利害関係者からの申請に基づきましてこの実態を十分に調査をいたしまして、たとえばその保安林によるところの波害防除の必要性が、その保安林設定当時に比べまして解消をしておるとか、あるいはまた、その他特に公益上の必要な理由が出てきたとかいう場合に解除するわけでございますが、なおその場合におきましても十分な保安施設事業、そういうものをその解除された保安林の所有者に指定をすることによりまして、解除のあとの万全を期するというふうにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/94
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095・仲原善一
○仲原善一君 ただいま御質問申し上げた中で、実績どれくらい解除した実例があるか、面積なんかわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/95
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096・田中重五
○政府委員(田中重五君) 昭和三十七年度におきます解除の実績といたしましては、国有林におきまして二千ヘクタール、それから民有林におきまして五千ヘクタール、合わせて七千ヘクタールの程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/96
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097・仲原善一
○仲原善一君 ただいまの御説明で、妥当な理由のある場合には解除もできるということがわかりましたので、私の質問はこの程度にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/97
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098・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 資料をひとつ要求します。今度の改正案は、水資源の急速な需要の増加に対処し水資源涵養保安林の積極的な整備ということが中心でありますので、その内容を具体的にお尋ねするにあたっての資料を提出願いたいと思います。この法律は、昭和二十八年の大災害を契機として、治山治水対策協議会で策定された治山治水基本対策要綱がスタートを切っておるように理解しておるのですが、これは印刷したものがあるのでしょうか。あれば、私どうもずぶのしろうとだから、そういう歴史的な資料をまず見ないとよくわからぬのですが、それを資料としていただけるかどうか。あさってまででいいです。いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/98
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099・田中重五
○政府委員(田中重五君) 提出いたしましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/99
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100・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 全部ですよ。その後三十一−三十五年にわたる経済自立五カ年計画に基づく治山実施五カ年計画というものが立てられましたね。この五カ年計画の内容も資料として提出を願いたい。そして三十三年からは新長期経済計画に即応して立案された林業の長期計画の一環として治山事業十カ年計画が策定されましたね。その治山事業十カ年計画の資料をいただきたい。第四点は、その後治山治水の計画的推進が主張されて、三十五年三月三十一日に法律二十一号で治山治水緊急措置法が制定されて治山治水十カ年計画、三十五年から四十四年が策定されたのですが、それは私の知るところでは、所得倍増計画に織り込まれているきわめて大事な治山治水十カ年計画だと思うのです。これも金額的に前期五年、後勘五年というふうに出ておるようですけれども、これを治山治水の特に治山については面積にこれを一応算定したものをつけ加えて出していただきたいのですが。それから第五点としては、森林法による全国森林計画というのがまた別に立てられておる、これは三十八年から四十七年まで。この全国森林計画の資料もいただきたい。
それから、あとは少しく具体的な内容に入った資料ですが、総体の山林面積に占める保安林の割合、これの三十八年度末の見込みを入れた資料としては、三十八年はまだ見込みでもいいですが、それの都道府県別の割合、それからこの法律で十カ年を目途としていま言ったように水資源の涵養保安林を中心として国土保全とともに長期計画を立てるわけですが、その展望は、一体、山林総体の中の保全林としては各都道府県別に何%になるのかそういう一つの比率だけでけっこうですが、そういうものがおありなら、それもひとつお出しを願いたい。それからなお小さい問題ですけれども、保安林の施業違反の件数をひとつ資料としてお出しを願いたい。それからこれは、いまのやつは二十九年からずっと最近年度までをいただきたい。それから荒廃していくところの山林がある。これの三十九年度から最近までの年度別のデータをいただきたい。以上が特に林野庁にお願いをいたしたい資料であります。それは出していただけましょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/100
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101・田中重五
○政府委員(田中重五君) 提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/101
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102・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 あとはきょは出ておりませんが、あさって私が質問をする上で、これは委員長から科学技術庁に要求してもらいたいのですが、出席も要求するわけですが、それは三十六年の三月二十二日に資源調査会の第十九号に日本の資源の問題というのが出ておって、その第二編に水資源というものがあるわけですが、この水資源の第二編部分だけをひとつ資料として提出を願いたいと思います。それは科学技術庁です。それから科学技術庁では治山治水に関する防災の問題で森林の水源涵養機能の立場から、河川の河道の変遷なり、流域の土地条件なり、水害地形の点について一河川ごとに三カ年かけて結論が出ておるようでありますが、その出た結論の資料を出していただきたい。それから水資源の開発方針について総合開発の立場から一つの、熊野川なり琵琶湖なりについての結論が出ておるようでありますが、これも資料としてお出しを願いたい。それから経済企画庁もあさって呼んでおりますが、その質問の資料として、水資源開発促進法が制定されておるのでありますが、利根川水系なり淀川水系なりについて所得倍増計画に伴うところの水需要に対処してきておるようですが、そのデータと、他の水系についてはこの開発促進法に対してどう対処しているかのデータを経済企画庁からお出しの上あさって質問の資料にしたい。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/102
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103・田中重五
○政府委員(田中重五君) いま御提出申し上げると申し上げました中で、これから将来に対する新しい十カ年計画の中で、都道府県別にその保安林がどういう面積あるいは比率を占めるかということにつきましては、ちょっと、ことし予算をもっていろいろ検討していくことでもございますので、都道府県別の内訳はちょっと困難かと考えております。将来に向かっての計画は都道府県別にはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/103
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104・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 大きい地域別にはわかりますか。東北地方……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/104
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105・田中重五
○政府委員(田中重五君) ちょっと困難のようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/105
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106・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 むずかしいのを頼んでもしようがないから……。じゃ、いままでの実績はわかりすわね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/106
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107・田中重五
○政府委員(田中重五君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/107
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108・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 それじゃ、それだけにとどめましょう。ないものはしようがないから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/108
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109・高山恒雄
○高山恒雄君 私も資料をひとつ…。この水の需要の動向に即した水源の涵養保安林をやろうとしておられるわけですが、それを私も、地域別でもいいですから、地域別でもかまいませんから、その需要が一体どういう方向に来ておるのか、その資料がなければこれはできぬことだと思いますが、それはできますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/109
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110・田中重五
○政府委員(田中重五君) 水の需要でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/110
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111・高山恒雄
○高山恒雄君 水の需要、地域別の大体わかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/111
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112・森田進
○説明員(森田進君) 実はこの法律が延長いたしましたならば、三十九年度におきまして全国を二百十六の流域に細分いたしまして、その流域ごとに水の需要量とそれから林地から、森林から供給できます水の供給量とを調査いたしたいと考えておりまして、これは各都道府県に調査を委託いたしまして、各都道府県の段階におきまして現在可能な限りの、できるだけ長期の、私どもはできますならば昭和四十五年度ないし五十年度の水の需要量を、そういう地域ごとに調査いたしたいのでございますが、各県が調査可能な資料に基づきまして調査いたすことにいたしておるわけでございます。したがいまして、地域別にいま将来の水の需要量を資料として提出いたしますのは無理かと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/112
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113・高山恒雄
○高山恒雄君 無理なことですか。まだできていないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/113
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114・森田進
○説明員(森田進君) はあ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/114
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115・高山恒雄
○高山恒雄君 じゃ、もう一つ。しからば大阪ですね、大阪府、それから、京都、滋賀、琵琶湖を中心とした水源の状態くらいは出るでしょう。いまこれは三県で協議しているはずですね。それで、琵琶湖のいわゆる周囲は、国有林と民有林と、どういうふうな保安状態になっておるのか。この資料を出してもらいたいと思います。これはもう目下急務の問題で相当検討しているはずですがね。これは、できますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/115
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116・森田進
○説明員(森田進君) 琵琶湖に関係いたしました保安林の、国有林、民有林別の配備状況は、資料として提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/116
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117・高山恒雄
○高山恒雄君 それも一つ資料として出してもらうことと、京都と大阪と滋賀の水の需要はわかっているでしょう。これは緊急の問題で、相当前から協議してやっているのですから。あなたのほうにその資料がないというのはおかしいのだが……。京都でも大阪でも滋賀でも相当、これは三県合同体の委員会を設置して、一体将来の水をどうするか、その中には保安林の管理が十分でないという点が一項入っていると思うのです。あれば資料を出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/117
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118・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 いまの資料は経済企画庁にあって出ているのではないでしよか。農林省と打ち合わせ願ってできるだふお出し願うことにしては……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/118
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119・森田進
○説明員(森田進君) そういうふうにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/119
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120・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) それじゃ企画庁によく相談して、いま要求された資料は、できたものからあすじゅうに出して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/120
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121・田中重五
○政府委員(田中重五君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X02719640421/121
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122・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 本会はこれをもって散会いたします。
午後二時五十三分散会
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