1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十九年四月二十八日(火曜日)
午前十時三十七分開会
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 青田源太郎君
理事
梶原 茂嘉君
櫻井 志郎君
森 八三一君
渡辺 勘吉君
北條 雋八君
委員
木島 義夫君
北口 龍徳君
仲原 善一君
野知 浩之君
藤野 繁雄君
堀本 宜実君
森部 隆輔君
矢山 有作君
牛田 寛君
衆議院議員
発 議 者 芳賀 貢君
政府委員
農林政務次官 松野 孝一君
農林省農政局長 昌谷 孝君
農林省農地局長 丹羽雅次郎君
農林省畜産局長 檜垣徳太郎君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
—————————————
本日の会議に付した案件
○農林漁業団体職員共済組合法の一部
を改正する法律案(内閣送付、予備
審査)
○農林漁業団体職員共済組合法の一部
を改正する法律案(衆議院送付、予
備審査)
○土地改良法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/0
-
001・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) ただいまから委員会を開きます。
農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案(閣法第一〇〇号)及び(衆第一三号)を一括議題とし、順次提案理由の説明を聴取することにいたします。
なお(閣法第一〇〇号)については、提案理由の説明に引き続き、補足説明並びに提出資料の説明を聴取することにいたします。松野政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/1
-
002・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) 農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由および内容の概要を御説明申し上げます。
農林漁業団体は、農林水産業の生産力の増進と農山漁民の経済的、社会的地位の向上をはかり、あわせて国民経済の発展に寄与するために設けられた農山漁民の団体であり、これらの団体の役職員は、困難な環境の中にあって、それぞれの団体の事業のため職務に邁進進し、ひいてはわが国経済の進展に大きな貢献をしてまいったことは、いまさら申し上げるまでもないところであります。
顧みますると、昭和三十三年四月、これらの団体の役職員については、これと同一地域社会にあってその職能上常に対比される立場にある市町村職員と均衡のとれた身分保証がないため、優秀な人材を確保することが困難であり、少なくとも市町村職員が享受している程度の年令制度の実施は、ぜひとも必要であるという要望が強く、国は農林漁業団体職員共済組合法を制定し、当時の市町村職員共済組合法、私立学校教職員共済組合法その他の共済組合制度にならってその給付内容を定め、自来農林漁業団体職員共済組合は、これらの団体に勤務する役職員の相互扶助事業により、その福利厚生をはかり、これらの団体の事業の円滑な運営に資してまいったことは、御承知のとおりであります。
しかるに、その後、昭和三十三年五月には現在の国家公務員共済組合法が制定せられ、昭和三十六年六月には私立学校教職員共済組合法の改正が行なわれ、昭和三十七年九月には地方公務員共済組合法が制定されるに至り、それぞれ給付内容が引き上げられたことに伴い、農林漁業団体職員共済組合の給付内容と他の共済組合のそれとの間に格差が生ずるに至りました。そこで、今回、農林漁業団体職員共済組合による給付内容をこれら他の共済組合制度に準じて改善いたしますとともに、その他この制度の円滑な運営をはかるための所要の規定の整備を行なうことにより、農林漁業団体に勤務する役職員の福利の増進をはかり、これら団体の事業の円滑な運営に資そうとするものであります。
次に、この法律案による制度改正の内容の概要について御説明申し上げます。
改正の第二点は、本組合の給付水準を国家公務員共済組合、私立学校教職員共済組合等他の共済組合制度の給付水準に準じて引き上げることとした点でありまして、これが今回の改正の眼目であります。具体的に申し上げますと、まず、給付の基礎となる平均標準給与につきましては、その算定の基礎期間が従来五年でありましたのを三年に改め、これにより、平均標準給与の額を従来より引き上げることとしたわけであります。さらに、退職年金の年額につきましては、組合員期間二十年の者に対し、従来平均標準給与の年額の百分の三十三・三が支給されておりましたのを百分の四十に引き上げ、二十年をこえる組合員期間一年につき、従来平均標準給与の年額の百分の一・一を加算しておりましたのを百分の一・五を加算することに改めるわけであります。障害年金につきましては、職務上傷病による障害年金と職務外傷病による障害年金とに区別し、廃疾の程度を一級、二級及び三級に分け、職務上傷病による障害年金については特に手厚い給付を行なうこととしております。また、遺族年金につきましては、その支給率は一般には退職年金の半分でありますが、職務死亡の場合には退職年金相当額が支給されることとしております。なお、これらの年金につきましては、それぞれ最低保障額と最高限度を設けることとしております。以上のほか、退職一時命、障害一時金、遺族一時金につきまして、それぞれ給付額の引き上げを行なうことといたしております。
改正の第二点は、標準給与の月額の改訂であります。現行の標準給与の等級及び月額を定めた表は、昭和三十三年に定められたものでありますが、現在の農林漁業団体の役職員の給与の実態を勘案し、このたびその最低を三千円から六千円に、その最高を五万二千円から七万五千円に引き上げ、標準給与と現実の給与との乖離の是正に資することといたしております。
改正の第三点は、これらの改正に伴う経過措置についてであります。給付額の計算方法につきましては、改正日前の組合員期間は、旧法の計算方法によって計算し、改正日後の組合員期間は、新法の計算方法によって計算し、両者を合算することを原則としておりますが、これは、国家公務員共済組合等の他の共済組合制度における経過措置に準じて定めております。
以上の三点のほか、掛金の徴収に関する規定、審査会の審査事項に関する規定、余裕金の運用に関する規定等につきまして所要の整備をはかっております。
最後に、この法律の施行期日は、準備期間を考慮して、この法律の公布の旧から六カ月以内で政令で定める日としております。
以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかにご可決くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/2
-
003・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 昌谷農政局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/3
-
004・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) ただいま議題となりました農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案の内容につきまして、いま少し詳しく御説明申し上げます。
この法律案は、給付の水準を国家公務員共済組合、私立学校教職員共済組合等の他の共済組合制度に準じて引き上げることを主要な内容とし、あわせてこの制度の円滑な運営をはかるための所要の規定の整備を行なうこととしているものでございます。
初めに、給付水準の引き上げに関する点につきまして、逐条的に御説明申し上げます。
まず、第二十条におきまして、標準給与の月額の表を改正いたし、標準給与の月額の最低を従来の三千円から六千円に、最高を従来の五万二千円から七万五千円に引き上げることといたしております。これは、最近における組合員の給与の一般的な上昇を考慮し、標準給与と現実の給与との乖離の是正に資するものでございます。
第二十一条におきましては、平均標準給与の算定の基礎期間を三年に改正いたしております。従来は五年でありましたが、これに比べて、改正後における平均標準給与の額は、一般的に従来より引き上げられることとなるわけであります。給与額はこの平均標準給与を基礎としこれに一定の給付率を乗じて算定されるものでありますから、この点の改正は、給付率の引上げと相まって、一般的に給付水準の向上に資することとなるものであり、今回の改正の眼目の一つでございます。
次に、第二十三条から第三十四条までの改正の中で、特に御説明を要しますのは、第二十三条の二、第二十四条及び第二十五条の改正であります。第二十三条の二は、退職年金と障害年金との調整をはかる規定でありまして、退職年金と障害年金とを支給すべき事由に該当するときは、受給者に有利ないずれか一つの給付を行なうこととしております。第二十四条と第二十五条は、遺族の範囲についての改正であります。従来一時金を受ける遺族は、必ずしも死亡した組合員の収入によって生計を維持していたことを要しない等の点で年金を受ける遺族よりその範囲が広かったのでありますが、これを年金を受ける遺族の範囲に一致させることといたしております。これは、生活保障の見地からは、年金も一時金も遺族の範囲を異にすべき理由はないという趣旨で、国家公務員共済組合等の他の共済組合制度が、その改正の際にとった方向にならったものであります。
次に、具体的な給付の内容について御説明申し上げます。
その一は、第三十六条及び第三十七条の退職年金についてであります。退職年金は、二十年以上の組合員期間を有する者に対して支給されるものであります。組合員期間が二十年の者に対する退職年金の額は、従来は、平均標準給与の年額の百分の三十三・三、一年につき四カ月分でありましたが、これを平均標準給与の年額の百分の四十といたしております。また、組合員期間が二十年をこえる場合は、そのこえる一年について、従来は平均標準給与の年額の百分の一・一、四日分を加算することとしておりましたが、この率を百分の下五に改めることといたしおります。なお、新たに三万五千五百二十円の最低保障額を設け、一方平均標準給与の年額の百分の六十という最高限度を設けることといたしております。
その二は、第三十七条の二の通算退職年金についてであります。通算退職年金の支給の前提となります組合員期間は、従来六カ月以上二十年未満でありましたが、他の共済組合制度にならい一年以上二十年未満としております。なお、この改正に伴う経過措置といたしまして、この法律の施行日後に退職した者で組合員期間が一年未満のものにつきましても、施行日前の組合員期間が六カ月以上あれば、一定の要件のもとに、通算退職年金の支給を行なうことといたしております。
その三は、第三十八条の退職一町金についてであります。退職一町金の支給要件としての組合員期間は、従来六カ月以上二十年未満でありましたが、これを一年以上二十年未満としております。六カ月を一年といたしましたのは、通算退職年金の場合と同様でありまして、このことに伴う経過措置も通算退職年金の場合と同様に講ずることといたしております。退職一時金の給付額につきましては、その給付額の算定の基礎となる額は、別表第一に定めているのでありますが、これを改正いたしまして、たとえば組合員期間十年の場合、従来平均標準給与の日額の二百日分でありましたものを二百四十五日分とし、最高の十九年六カ月以上二十年未満の場合、従来四百八十五日分でありましたものを五百十五日分としております。
その四は、第三十九条から第四十四条までの障害年金についてであります。障害年金につきましては、これを職務上傷病による廃疾を対象とする職務による障害年金と、職務外傷病による廃疾を対象とする職務によらない障害年金とに区分しております。まず、支給要件としての組合員期間でありますが、従来は、職務上傷病によるものと職務外傷病によるものとの区別なしに一様に六カ月以上でありましたが、この改正では、職務による障害年金については組合員期間を問わないこととし、職務によらない障害年金については組合員期間一年を経過した後の傷病による廃疾を対象とすることといたしております。次に、障害年金の支給要件としての廃疾の程度は、従来は一級及び二級でありましたが、これを他の共済組合制度における廃疾の程度の区分にあわせて、一級、二級及び三級に区分することといたしております。障害年金の額は、従来一級は平均標準給与の年額の百分の四十一・七、五カ月分、二級は同じく百分の三十三・三、四カ月分でありましたが、これを職務による障害年金については、それぞれ平均標準給与の年頭に対して一級百分の八十、二級百分の六十、三級百分の四十とし、職務によらない障害年金については、同じく一級百分の五十、二級百分の四十、三級百分の三十といたしております。これらは基本額でありまして、組合員期間に対応して加算がなされることになります。加算額は、従来は組合員期間十年をこえ二十年に達するまでの一年について平均標準給与の年額の百分の〇・八、三日分、二十年をこえる一年について同じく百分の一・一、四日分でありましたが、この改正では、職務による障害年金については二十年をこえる一年について平均標準給与の年額の百分の一・五、職務によらない障害年金については十年をこえ二十年に達するまでの一年について、平均標準給与の年額の百分の一、二十年をこえる一年について同じく百分の一・五としております。なお、最低保障額及び最高限度を設けることとし、最低保障額については、一級は四万七千五百二十円、二級は三万五千五百二十円、三級は一万九十八百二十四円とし、最高限度については平均標準給与の年額の百分の百といたしております。なお、職務による障害年金につきましては、労働基準法の障害補償または労働者災害補償保険法の障害補償費との調整をすることとし、これらの給付が始まってから六年間は、この共済組合からの給付のうち、一級の障害年金者については平均標準給与の年額の百の三十、二級の障害年金者については同じく百分の二十、三級の障害年金者については同じく百分の十に相当する額の支給をそれぞれ停止することといたしております。
その五として、第四十五条の障害一時金について申し上げます。障害一時金の支給要件となる組合員期間は、従来は六カ月以上でありましたが、他の共済組合制度にならって一年以上といたしております。障害一時金の額は、従来は平均標準給与の月額の十カ月分でありましたが、これを十二カ月分に引き上げることといたしております。なお、労働基準法の障害補償または労働者災害補償保険法の障害補償費の支給対象となる廃疾については、障害一時金の支給対象から除外することといたしております。
その六は、第四十六条から第四十九条の二までの遺族年金についてであります。遺族年金については、従来、組合員期間十年以上二十年未満の者が組合員または任意継続組合員である間に死亡した場合は平均標準給与の年額の百分の八・三、一カ月分を基礎として、これに十年をこえる一年につき百分の〇・八、三日分を加算した額を支給し、組合員期間二十年以上の者が死亡した場合は退職年金の二分の一の額を支給することとしておりましたが、この改正では、職務上傷病により死亡した場合には組合員期間を問わず平均標準給与の年額の百分の四十を支給し、組合員期間が二十年をこえる者が職務外傷病により死亡した場合には退職年金の二分の一の額を支給し、組合員期間が十年以上二十年未満の者が組合員または任意継続組合員である間に職務外傷病により死亡した場合及び組合員期間十年以上二十年未満で障害年金を受けている者が職務外傷病により死亡した場合には平均標準給与の年額の百分の十を支給し、さらにまた組合員期間が十年未満の者で職務による障害年金を受給している者が死亡した場合には平均標準給与の年額の百分の十を支給することといたしております。これらは基本額でありまして、職務上傷病による死亡につきましては組合員期間二十年をこえる一年について平均標準給与の年額の百分の一・五が、また、職務外傷病による死亡につきましては組合員期間十年以上二十年未満の者の死亡の場合その十年をこえ二十年に達するまでの一年について平均標準給与の年額の百分の一が加算されることとなります。なお、二万一千三百六十円の最低保障額を設けるとともに、職務上傷病による死亡の場合につきまして、平均標準給与の年額の百分の六十という最南限度を設けることといたしております。また、職務上傷病による死亡の場合について労働基準法による遺族補償または労働者災害補償保険法による遺族補償費との調整をすることとしておりまして、これらの給付があったときから六年間は、この共済組合からの給付のうち平均標準給与の年額の百分の二十に相当する額の支給を停止することといたしております。
その七は、第五十条の遺族一時金についてであります。遺族一時金の支給要件としての組合員期間は、従来六カ月以上十年未満でありましたが、これを一年以上十年未満としております。六カ月を一年としました理由は、通算退職年金や退職一時金について申し上げたことと同様でありまして、このことに伴う経過措置も退職一時金等の場合と同様に講ずることといたしております。遺族一時金の額は、たとえば最南の組合員期間九年六カ月以上十年未満の場合は、従来平均標準給与の日額の百九十日分でありましたが、これを二百二十日分に引き上げることといたしております。
次に、第五十一条及び第五十二条の改正は年金者遺族一時金の制度を廃止することであります。年金者遺族一時金の制度は、たとえば退職年金受給者が死亡した場合に通常はその者の遺族に遺族年金が支給されることになるのでありますが、遺族年金の支給を受けることができる遺族は死亡した組合員の収入によって生計を維持していたこと等の要件を満たしていることが必要であり、これらの要件を備えている遺族が全くいないときに遺族年金受給者としての遺族よりも広い範囲に遺族を求めて、所定の額を支給するという制度であります。要するに死亡した組合員が積み立てた掛金の払い戻しないし持ち分の処分という考え方に立つ制度でありますが、今後掛金払い戻しないし持ち分処分的考え方より生活保障の見地を重視するという趣旨から他の共済組合制度では、その改正の際に、この制度を廃止いたしております。この改正においても、他の共済組合制度の改正の方向にならって、この制度を廃止することとしているのであります。
以上御説明申し上げました第三十六条から第五十二条までの改正が給付内容にかかる主要な改正点の概要であります。
次にその他の改正点につきまして、順を追って御説明申し上げます。
第十七条は任意継続組合員に関する規定でありますが、従来任意継続組合員になろうとする者は、所定の掛け金を添えて組合に申し出ることになっておりましたが、組合員の便宜を考慮いたしまして、その資格取得の申し出の際には掛金を添えることを要しないこととし、その申し出の受理の通知を受けてから後所定の期日までに所定の掛金を納付すればよいことといたしております。
第五十四条から第五十八条までの改正は、掛け金についての規定の改正であります。この中で、第五十六条におきましては、任意継続組合員が資格取得の際に納付すべき掛け金について定め、また、第五十六条の二におきまして、組合は掛金の繰り上げ徴収を行ない得る旨の規定を新設することといたしております。
第六十三条から第六十七条までの改正は、審査会についての規定の改正であります。審査会の審査事項として組合員もしくは任意継続組合員の資格の決定、第五十八条の規定による滞納処分についての不服を追加いたしております。
策七十条の改正は、組合の余裕金の運用について、農林漁業団体への貸し付けができる道を開いたものであります。
最後に、附則について御説明申し上げます。
附則第一条は、この法律の施行期日でありますが、施行期日は、準備期間を考慮して、この法律の公布の日から起算して六カ月をこえない範囲で政令で定める日といたしております。
附則第二条は、標準給与に関する経過措置であります。標準給与につきましては、標準給与の月額の表が改正されることに伴い、すべての組合員の施行日以後の標準給与が改正後の表によって位置づけられたものとなるようにする等所要の措置を講じております。
附則第三条以下は、おおむね給付に関する経過措置でありまして、その内容における主要なものは、まず第一に、施行日前に給付事由が生じた給付は、改正前の法律の例によるものとしております。第二に、施行日の前後にそれぞれ旧法組合員期間と新法組合員期間を持つ者に対する給付は、原則として、旧法組合員期間については改正前の法律の給付率をもって計算し、新法組合員期間については改正後の法律の給付率をもって計算し、その合計額とすることを定めております。第三に、旧法組合員期間に引き続く新法組合員期間を有する者ですでに改正前の法律の規定による支給要件を満たしている者については、改正後の法律の規定によれば給付を受けることができない場合でありましてもその期待権を尊重する趣旨で所要の経過措置を定めております。
以上がこの法律案の主要な内容でございます。
引き続きまして、お手元にお届けいたしました参考資料につきまして、概略の説明をさせていただきたいと思います。参考資料が横に長いとじ方になっておりますが、参考資料がその一、その二と二種類ございますが、まず、参考資料その一のほうから御説明を申し上げます。
その一は、目次で見ていただきますように、まず最初に、今回の改正案と他の制度との比較表を付しております。ただいま補足説明でも申し上げましたが、それを表の形で整理したものでございます。少しく内容について御説明をさせていただきますが、まず、一ページでございます。一番上が現行の国家公務員共済組合、それから地方公務員、ほぼ内容が同じでございます。それから三段目が現行の私学共済でございます。下から二段目が、ただいまお願いをいたしております改正法による農林漁業団体職員共済の場合でございます。一番下の段が現行の農林漁業団体職員共済組合の現状でございます。
そこで、まず適用対象でございますが、適用対象につきましては、現行の農林漁業団体職員共済組合におきましても、ここにありますように、それら団体に勤務する者ということで、団体の種類を法律で特定をいたしております。その考え方は、農林漁業者に直接裨益する業務を行なっておるところの特殊の法人で、かつ自主性の強いものというのが法制定当時の思想でございまして、それを今回の改正におきましても引き続いて受けておりますので、組合対象範囲につきましては変更はしておりません。
それから給与の定義と幅でございますが、一番下の現行で申しますと、標準給与の月額という、給与規程が一本化しておりませんから、各種団体の給与の現実を年金の扱い上統一した一表に格づけをするわけでございます。その場合の格づけの方法として、一番下限が三千円、上限が五万二千円となっておるのが現在のいわゆる標準給与の月額の定め方でございます。これを、今回の改正案におきましては、下限を六千円、上限を七万五千円に引き上げたわけでございます。これらは、後ほどまた御説明をいたしますが、法制定当時の組合員の給与の実態から見て、三千円ないし五万二千円でありましたものを、その後の給与の上昇、一般的な給与水準の上昇にあわせまして、現実に近いものに引き直したのがこの六千円——七万五千円でございます。これらの点につきましては、私学教職員につきましては、下限が八千円、上限が七万五千円、私学の下限が高くきめてありますのは、これは私学教職員の給与の実態が八千円以下の現実給与を受けております者がきわめて少ない、そういうカバレージの点が、当方の場合と私学の場合で実情を異にいたしておる関係でございます。それに対しまして、なおこれらの格づけをいたします場合の対象となります実給与は、ここに書いてございますように、勤務の対償として受けるすべてのもの、つまり全く臨時的に受けるものは除きますが、毎月きまって支給を受けますものは、いわゆる本俸のほか諸手当を含めたものを標準給与の月額として定めるのが私学、農林団体のやり方でございます。これに対しまして、国家公務員なり地方公務員は、給与規則が全国統一的にございます関係で、処理がしやすいわけでございますが、本俸のみで諸手当を含まないものをもって、いわゆる年金の算定の基礎となる標準給与といたしております。その場合、本俸の最上限が、国家公務員の場合は、十一万円以上は十一万円で頭打ちという扱いを受けております。
それから給付の種類でございますが、国家公務員、地方公務員、私学につきましては、長期給付のほか短期給付を行なっております。農林年金につきましては、法制定当時、その実情から、短期給付につきましては在来健康保険等でそれぞれ処理をいたしておりまして、必ずしも各種団体の要望も、この点についてはむしろ従前どおりでよかろうという御意見でありましたので、長期給付のみ取り扱うことといたしております。
次に、給付計算の基準となります額、先ほど申し上げました標準給与から、今度は年金の基礎になる基礎給与をどうはじくかという問題であります。現行法におきましては、二番目に申しました標準給与の額の給付事由発生の前五カ年平均をもって給付の計算の基礎となる額といたします。国家公務員につきましては、その点が三年になっております。私学は五年でございます。それを、今回農林漁業団体におきましては三年に短縮いたしたわけであります。つまりこの関係では、国家公務員、地方公務員は本俸のみの三年、私学は本俸プラス諸手当の五年平均、農林漁業団体は、本俸プラス諸手当の三年平均ということで、現状では、一応この点につきましては、他の諸制度よりも農林年金のほうがやや他の諸制度の有利な点を両方持ってきたような結果になっております。
それから次に、退職年金でございますが、資格年数が勤続二十年であります。これは各種年金を通じて同様でございます。それから支給開始の年齢につきましては、五十五歳でありますこと、この点も各種年金について同様でございます。もっとも国家公務員につきましては、五十五歳以下の減額退職年金制度という制度がありますが、それは農林団体の場合には、そういった制度の実益がありませんので、そういう制度は採用をいたしておりません。それから年金額でございますが、これは、従来百分の三十三・三が基本額でございましたのを百分の四十にして、他の諸制度と歩調をそろえたわけです。それから二十年をこえる一年について行なわれる加算につきましても、従来改正前の他の制度のままであったわけでありますが、これを、現行の国家公務員なり、私学の制度にそろえることといたして、百分の一・五にいたしたわけであります。
それから退職一時金につきましては、資格年数の点で、旧国家公務員あるいは旧私学、六カ月以上二十年未満ということを仕組まれておりましたのを、改正の際に、一年以上二十年未満にすでに直しております。わがほうの年金でも、おそまきながらこの点の足並みをそろえることといたしたわけであります。もちろん経過措置はとりますが、年金でありますから、やはりなるべく長期間継続して勤務なさる方を基準に置きますので、こういった例外的な一年未満の方等はむしろ制度の対象にしないということに、他の諸制度がすでになっておりますので、そこへならったわけであります。それから一時金の金額の問題でありますが、給与日額の、ここに書いてございますように、平均標準給与の日額の二十日分——従来は十日分が最低で、一番長い場合に四百八十五日分ということでございましたが、それを他の制度同様最低を二十日分、最高を五百十五日分ということに直したわけでございます。このただし書きにありますように、通算退職年金を適用を受ける希望を申し出しました方について、所定の控除が行なわれますことは従前と同様でございます。
それから障害年金につきましては、一番基本となりますのは、従来、職務上、職務外の区別なく一律に、かつ一級、二級の二級でありましたものを、今回は、職務上と職務外に分け、職務上につきましては、一、二、三と三階級に給付の内容をこまかくしました点が他の制度の例にならった点でございます。そのほか、六カ月以上を一年以上に改めた点は、退職一時金の場合と同様であります。年金額の基本額その他につきましては、この表にございますとおりでございますので、省略をいたします。
それから障害一時金につきましては、やはり六カ月以上を一年以上に切り上げたことと、それから給与の月額の、従来十カ月分でありましたものを十二カ月分に引き上げましたこと、その二点が大きな改正でございます。
それから次に、遺族年金でございますが、遺族年金につきましても、支給の要件のところで、二十年以上の者の死亡の場合、あるいは十年以上二十年未満の者の在職中死亡の場合が対象になったわけでありますが、今度はさらに多少こまかくいたしまして、職務上傷病による死亡の場合には、勤続年数の制限をなくいたしました。それから二十年以上の場合には、退職年金の二分の一顧、この点は変わりございませんが、十年以上二十年未満の者で在職中または障害年金受給権者が、職務外で死亡した場合の支給基準の率を百分の十に引き上げております。それから十年未満の者が職務上障害年金を受けておって死亡した場合を、新たに遺族年金の対象となる場合として加えたわけでございます。
それから遺族一時金のほうでございますが、遺族一時金は、やはり一時金一般がそうでありますように、六カ月以上の期限を一年以上に引きしげましたことと、日額の最低、最高を、従前の最低十日分、最高百九十日分を改め、最低二十日分、最高二百二十日分ということで引き上げを行ないました。
それから次に、給付に要する費用の負担関係でありますが、現在の制度におきましては、国が百分の十五を持ち、残余の八十五を組合員と、使用者たる農林漁業団体が折半をするという考え方でできておりますが、ただ、林年金の場合には、制度発足当時の諸種の事情から、厚生年金当時よりもよくなり、給付内容が引き上げられて、その引き上げられるに伴って、過去において掛け金の積み不足に相当するもの、いわゆる整理資源率につきましては、みずから進んで厚生年金から独立したのであるからという理由で、国庫補助の対象といたしておりません。その点は御議論のあるところでありましたが、そういうことで農林年金は発足をいたしました。したがいまして、今後の扱いにつきましても、その点はそういうふうになっておりますが、ただ今回の改正の結果、さらに、不足整理資源率が発生をいたします。今回の改正に伴なって生じますその不足整理資源率につきましては、一般の基本的な給付と同様、国庫補助の対象といたすということにいたしております。したがいまして、厚年から旧法が独立いたしますときに、国庫補助の対象とならなかった整理資源率を除いて、他の財源計算上出てまいります資源率については、国庫補助の対象とするという特段の扱いが行なわれております。
なお、国庫補助が一五%で、残余を使用者並びに組合員で折半をするという原則は、他の諸制度につきましても同様でございます。ただ、私学の場合には、ここにありますように、都道府県で補助をいたしておる場合があります。それらの場合には、その分だけ当事者の負担が減少いたすということになるでわけございます。
なお、整理資源率につきましては、私学の場合には、国庫は全部見ませんが、私学振興会が負担をするというような形で処理をいたされておるようでございます。国家公務員の場合には、使用者たる国庫と、補助者たる国庫に観念上は分けられることかと思いますが、したがいまして、一〇〇のうち国庫の補助は五五ということになっておりますが、これは組合員の負担が、掛け金が四五でありますことから、一応現在は使用者たる国の負担は四五、補助者たる国の負担は一〇ということで、この五五が成り立っておるものというふうに理解をせられ、説明をせられております。
以上が概略でございますが、今回改めたいと思っております農林漁業団体職員共済制度の現行法及び他の先行して直しました諸制度との比較において申し上げました内谷でございます。
次に、四ページの資料は、先ほど申しました農林漁業団体職員共済組合の現在の対象となっております団体数及び組合員数の、制度発足以来の年次経過を書いたものでございます。
そこで、一番右の、三十八年十月末のところの合計で見ていただきますと、関係団体数は二万二千二百八十五ということになっております。で、制度発足当時が二万五千六百八十六でございますから、農協合併その他団体の整理統合等が進捗をいたしましたので、関係団体数はむしろ当時よりも減っております。それに対しまして、対象となります組合員数は、三十八年十月におきまして三十三万一千八百六十六名ということになります。制度発足当時が二十九万五千四十四名でありますから、その後約四万名ほどふえたことになります。
なおこのほかに、いわゆる任意継続組合員、つまりおやめになりましたけれども、引き続いて掛け金を納めて、二十年後に、たとえば二十年に若干の年数が不足のために、退職後も引き続いて掛け金を納めて、二十年になったところで年金としてもらいたいという御希望で、掛け金の継続積み立てをしておる方々が、三十九年一月末で二千二百九十六名おられるわけであります。以上が対象となる組合員の概要であります。
次に、五ページの表は、標準給与の関係でございます。先ほど、在来の最低三千円、最高五万二千円を、六千円ないし七万五千円に引き上げましたと申し上げましたが、標準給与別の組合員数を見てみますと、少さくなりましたが、一番下の欄の、昭和三十七年度末の一番右の計のところで、三十二万六百六十九というのが組合員の総体でございますが、この総体が、三千円ないし五万二千円のそれぞれの格づけをどういうふうに受けておったかという状況がわかるわけであります。制度発足当時は、三千円ないし三千円以下で三千円に格づけられましたものの数が二千七百九名、〇・九二ということになります。それに対しまして、現在では三百七十六名、〇・一二ということで、かなり減っております。今度六千円に上げますのは、当時のカバレージと、六千円にしてのカバレージが見合うということでそういうようにいたしたわけであります。それから最高のほうもそういうことで上げたいのでございますが、最高のほうは、口の表でごらんいただきますように、制度発足当時の、これらの総平均が一万一千百八十五円、それが逐年上昇いたしました、現在では総平均が一万六千四百四十円、この三十二万人の標準給与の平均額でございます。そこで、そのアップ率が四七%で、このアップ率四七%を標準給与の月額の表に当てはめましたのが、大体五万二千円に対応して七万五千円というふうになったわけでございます。
それからあと若干また別途お時間をいただくことにいたしまして省略いたしますが、次の表は、制度発足以来の各種給付の実績であります。ここに書いてございます年金額なり、すべて件数、金額は四半期に一回支払いをいたしますので、これは四半期ごとに出てまいります支給の件数と、その一件当たりの金額、年額としてごらんいただきます場合には、おおむねこれの四倍が年額であるというふうに御理解をいただきたいわけでございます。
それから八ページの表は、農林漁業団体職員共済組合の給付経理の収入支出額の、制度発足以来の概要でございます。収入合計で、三十八年度が二百三十九億に対しまして、支出合計が十九億でございます。約二百億円の決算上の剰余を現在持っておるわけでございます。おおむね年々、ここでごらんいただきますように三、四億円ずつ決算上の剰余を生じ、この主体をなしますものは積み立て金でございます。
それから次に、九ページに財源率の表がございます。これはいろいろと影響いたしますので、申し上げさしていただきますが、これは改正案によるもの、現行と二つ対比をいたしておりますが、これはこの種年金制度の将来に対しまする積み立ての必要額を算出いたしますための一つのモデル計算でございますが、三十二万人の組合員の現実の縮図を、十万人か一万人単位でつくりまして、その縮図の母集団が、今後過去の趨勢値と同じような行動をとるとすれば、何人がいつやめて、年金の支給対象がどうなって、一時金の支給対象が何%になるか、そういう過去の運動法則をそのままその母集団が行なうと仮定をいたしまして、かりに計算をいたす計算の方式でございますが、一方、その母集団の今後の給与の上昇度合いを、やはりこれも過去の給与の上昇度合いと同一と見て、無限大の仮定のもとに計算をいたすわけでございますが、そういたしますと、一方で給与総現価というものが出ます。これがその母集団に支払われる将来にわたっての給付の総額を五分五厘の利率で戻しまして、現在時点に引き直した場合の数値でございます。それから支出現価と申しますのは、先ほど申しましたように、何%がいつやめてというような、そういうモデル計算の結果、将来支給を必要とする年金額、この制度による年金、一時金等の支給所要額の総体でございます。それをやはり五分五厘の利率で現価に修正をいたしたものがこの数値でございます。したがいまして、給与総現価を支出現価で割りましたものが、ここにありますように数理的保険料率ということになります。その数理的保険料率は、現行体系では千分の七十二・〇二、これは千分比でございますが、千分の七十二・〇二でございましたのが、今度の改正におきましては九十・〇九五ということになると予測がされます。これは今後に向かっての所要積み立て率でございます。それに対しまして、現在積んでおります額、現在すでに積まれております額で将来の給付をやります場合の不足額、それを給与総現価に対して千分比であらわしますと、現行法では、十四・六五というものが積み不足ということになります。改正法におきまして、さらにその積み不足が二十・七六八というふうに約千分の六積み不足がふえます。この数理的保険料率、つまり今後についての所要積み立て額率と、過去における積み立て額の不足部分の、その不足部分を将来にわたって取り立てていくとすれば、積まなければならない千分比、いわゆる整理資源率、この合計が総財源率ということで、これをとっていくのが保険的には必要なんでございます。それが現行では千分の八十六・六七、改正法によりますと、給付の内容の改善によりまして千分の百十・八六三ということになります。これだけを、補助がないとすればとっていかなければこの給付が実現できないわけでありますが、これに対して国庫の補助が百分の十五、先ほど申しましたように、原則的にこの数理的保険料率についての百分の十五あるわけであります。その部分が国庫補助の対象になりますので、それを計算いたしますと、千分比に直しますと、過去において十・八〇、今後において千分の十四・四三二というものが補助の対象として組合員なり組合からの負担による必要のない率となります。それを差し引きました現在の千分の七十五・八七というのが計算上の積み立て率でございますが、それに安全率二・一三を見込みまして、千分の七十八というのが現在組合及び組合員から徴集しております現行法における掛金率であります。それに見合うものとして、今後掛金率の対象となります率は九十六・四三一ということになります。千分の九十六・四三一という計算上の数値を、そのまま掛金率として採用し、使用者、組合員が折半負担をするか、あるいは安全率を見て九十七とするか、あるいは四三を切り捨てて千分の九十六とするか、その点は、大まかな幅は政令で定めますが、これは組合の定款で定めることとなっております。以上が掛金関係の資料でございます。
あと引き続きまして、ここに収支の予想表がございます。これは改正法案によりまする掛金を、千分の九十六とかりに置いた場合の、今後四十九年に至りますまでの収入と、国庫補助の予想と、それから出ていきますものの予想を立てまして、積み立て金の累積額が、一番下の欄にございますように、三十九年度では三百三億になる予定でございまして、それが十年後の四十九年には千四百五十一億円というような額が積み立ての累積額になるわけでございます。
それからなお、改正法案で一番最後の表は、改正法案にいきなり説明なしに使われております数値がございます。たとえば三十六条の第二項で、退職年金のところに、最低保障額三万五千五百二十円というのがある。これはどういうふうにして算出された額かと申しますと、現行厚生年金法の基本年金額をベースにとったものでございます。厚生年金は定額給付に重点が置かれておりまして、報酬比例部分のウェートが非常に低いわけでございますが、定額部分が現在は二万四千円、月二千円ということできめられております。それと、報酬比例部分の、最低の場合の三千円の場合で、報酬比例部分が千分の六というのが現在の厚生年金のきめ方でございますから、それを採用いたしまして二十年分を計算をいたしますと、四千三百二十円になります。それに、厚生年金におきましては扶養加給というものがあります。一応平均扶養者数を一・五人と押えますと、それが七千二百円となります。このようにして計算されたものが最低保障額の三万五千五百二十円、この点は、現行の国家公務員、地方公務員、私学、すべてこの数値を最低保障額として使っているわけであります。
以下の障害年金の場合、あるいは遺族年金の場合の最低保障額の数値算出方法も、おおむねこの退職年金の場合と同様、現行の厚生年金の数値を基礎といたしておりますので、御説明は省略させていただきます。
以上がお配りいたしました資料の概要でございます。
なお、衆議院の御審議の過程で、追加して提出いたしました参考資料が、資料のIIとしてお手元に差し出してございますが、それでは、この資料のIIのほうを引き続いて御説明させていただます。
資料のIIの1でございますが、これは、先ほどの標準報酬月額の平均が農林年金の場合、三十七年度男女混みで一万六千四百四十円というふうに御説明申し上げました。それが一番上欄の一番右にございます。万六千四百四十円。これは制度発足当時と比べますと四七%の上昇になっておるというふうに御説明申し上げましたが、これと、他の年金の給付の水準との比較でございます。で、共済年金は一時金でありますから、あくまで在職中の給与が基礎になることは申すまでもないわけでございまして、農林年金のたとえば退職一時金の平均額が低いとかいう問題がございますが、これはやはり在職中の給与ベースが他のものと比べて低いことの反射であるということの御理解をいただきますために、と申しますか、そういう低いこと自体に問題もありましょうと思いまして、それらの関係を御説明するために用意した資料でございます。
そこで、私学の場合には、それらの私学組合員数では約十万人程度であったと記憶いたしておりますが、それの標準給与の平均額は、三十七年度末におきましては二万二千百三十四円となっております。それからその年度平均で二万一千二百八十円、それから厚生年金は、非常に大きな企業から非常に零細な企業まで幅広く含んで、千何百万人の組合員を持っておるわけでありますが、それらの格差はかなり激しいものがあろうかと思いますが、平均でとりますと、厚生年金の場合でも、三十七年度末におきまして平均標準給与は二万ということになります。もっとも厚生年金の場合は、年金支給の基礎となります。報酬比例部分の基礎となります報酬は、全在職期間の平均をとることになっておりますので、年金に反映をいたしますという範囲内では、きわめて報酬比例部分の年金へのはね返り方は微々たるものがございます。それから国家公務員の平均は、この数値によりますと二万五千百五十四円、これが本俸でございます。その他に諸手当がもちろんございますが、これらは、年金計算上は、先ほども御説明いたしましたように基礎となっておらないわけであります。それから地方公務員の関係は、一年度ずれた数値しかございません。かなり高い本俸を示しております。特に府県段階の職員の本俸ほかなり高いものがあります。市町村がおおむね国家公務員のちょっと下ということになりますが、それにいたしましても、私学と地方公務員——市町村がやや似ておりまして、農林年金はかなり低い給与内容でございます。
それから二ページの表は、いまの低額標準給与組合員数と高額標準給与組合員数の表であります。つまり現在の最低三千円、最高五万二千円を、最低六千円、最高七万五千円に定めましたことと、現実の給与との関係の対比をいたした表で、説明資料のIのほうに部分的にございましたが、三千円以下の組合員は、制度発足当時〇・九二%、それが最近では〇・一二%になっております。カバレージが〇・九二のところを探しますと、おおむね五千円以下の辺がカバレージとしてはほぼ等しいものになります。そこで、なお平均の給与のアップ率四七%等から出てまいります数値もおおむね五千円程度のところになるのでありますが、しかし、ここのところで千円引き上げておりますことが、おやめになったあとの年金の額に影響いたしますので、組合員の希望も強くありましたので、査定を六千円に切り上げたわけであります。もちろん、その結果、かけるべき掛け金も実給与のわりには重くなるという難点がございますが、それらの点は彼此考慮の上六千円ということにいたしました。最高は、制度発足当時が五万二千円、今度が七万五千円でございますが、その点は、この最初の表で見ていただきますように、カバレージから申し、なして、制度発足当時〇・三〇四というカバレージであります。それを同じ程度のカバレージをとろうといたしますと、大体七千円と八千円の中間くらいのところに落ちますので、七万五千円という数値が比較的無理のない最高額だ、こういうふうに考えます。これ以上の実給与を持っておられる方は、比較的軽い掛け金率で、そのかわり年金が在職当時の最終月収よりも足切りを受けたところで計算されるという難点がございますが、比較的少数の高給者のために、全体の掛け金率が上がるのもいかがかという御意見がありまして、七万五千円を最高と押えた次第であります。
次に、三ページの表は、そのようなことで、一般的に給与が低い、それから国家公務員との関係におきましては、国家公務員が本俸だけであるのに、農林年金は、本俸プラス手当の、月々きまって支給されるものの総体の三年平均をとっておりますが、それらの非情は、給与規程が画一的に、中央集権的にできていないのは、これは各種団体、二万二千の団体でありますから当然でありますが、給与規程の整備状況等から見て、なかなか三年にすることが骨が折れたわけでありますが、その当時につくった資料で少し古いのでございますが、現在農協の中で給与規程を定めておりますものが、このサンプルでわかりました結果では、百分比にして六二・三%でございます。給与規定は定めてあるが、給与規定どおり支給しているという組合は、この六二・三%のうちの三八・九%でございまして、残余は規程があってもその規程どおりに必ずしも行なっていないという実情があるようでございます。それから全く給与規程の定めてないものが、このサンプリングの中でも三五・三%にのぼっておるというような状況であります。その関係は、次の表でもわかりますが、その下にありますのは、この六百二十のとりましたサンプルの分布を説明したものでございます。
四ページの表でごらんいただきますと、非常に少人数の職場が多いということでございます。団体種別の組合員数十人未満の団体数と、割合というものを出しておりますが、一番下のところの全団体数というところで、総合農協から各種農協にまいりまして、一番右の合計の欄、下から二番目、二万三千二百五十七というのが三十七年度末の数値でございますが、三十八年度末は二万二千何がしということが先ほど申しましたところです。それのうち、十人未満の職場が全体の五六・七四%ございます。一万三千百九十九。それから一人しか雇われていないという組合が九・五二%、二千二百十四組合ございます。五人未満にいたしますと、二人から四人ですが、五千四百二十七組合ございますので、それらを合わせますと、約三〇%余のものが五人未満でございます。そういうような非常に小人数の職場であります関係もありまして、給与規程等の整備状況が他の一般の企業と比較いたしますと悪いといったようなことも事情やむを得ないものがあろうかと思いますし、また、この種年金の中で、農林年金がいろいろと特殊の制約を受けがちである実態の反映であろうかと思います。
それから五ページの表は、組合員の資格喪失の現況でございます。やめていく組合員の状況でございます。三十七年度末というのが一番上の欄にございまして、男女計のところで、三十七年度中にやめて資格を喪失なすった方が三万八千四百三十名とありますが、その中で男女はおおむね半々であります。三十六年と比べますと、若干資格喪失者の絶対数は減っております。その資格喪失者の平均年齢を見ますと三十二歳、男子で三十八歳、女子で二十六歳というのがやめていく方、つまり年金の対象となる、一時金、年金等の対象となる方のやめていかれる場合の、やめていった方の実際の平均年齢、平均組合員期間、つまり年金の掛け金を納めた期間が過去に何年あったかというようなものをとりますと、男女計では四年四カ月であります。したがって、平均で申しますと、なかなか二十年の年金の対象になるというには容易なことではないわけでございます。そのやめていった方々の退職時の標準給与の平均をとりますと、男女込みで一万一千九百五十六円、そのような現状でございます。
それから次の、六ページの表は、いまの資格喪失者を総合農協、開拓農協その他団体別に分類をしてみた資料でございます。平均で御説明申し上げましたから、この表は御説明を省略をいたします。
次に、七ページでございますが、七ページは、新たに組合員資格を取得した方々の現況でございます。同じく三十七年度末の数値が一番上にございまして、この男女計のところで申しますと、三十七年度中に、新規にこの共済制度の組合員資格を取得いたしました者が四万五百十五人あるわけでございます。男女ほぼ同じでございますが、やや女子のほうが比重が高い。前年度よりも若干ふえ方が鈍っております。その新たに取得された方々の平均年齢を見ますと二十七歳一カ月ということで、職場に新しく入られるという常識からいえば、やや平均年齢が高いようであります。標準給与の平均は男女込みで一万六百六十円、男子だけで一万三千三百七十五円というのが、新規に組合員資格を取得された方々の当時の、その年の給与であります。これは前年度に比較しますと約千六百円上昇いたしております。
次の表は、いま申しました新規取得者の各種団体種数別の内訳でございますので、これは省略をさしていただきます。
それから次に、九ページは、この職員共済組合における組合員期間別の組合員数、つまり何と申しますか、いままでに何年おったかという数値であります。これで見ますと、組合員期間が二十年の方は、組合員三十二万人のうちで六百十二人現在おられるわけであります。現在と申しますか、三十七年度末ですが、その平均年齢も四十八・二歳で、その方々の平均標準給与が二万五千四百十七円ということになります。これは旧厚生期間を持っておられる方がどれだけあるかということは、その次の、一〇ページの表になります。
一〇ページの表は、その組合員の中で、組合員期間がゼロ年から二十年に至ります中で、旧厚年期間を持っておる年数別でございますが、一番長い厚年期間を持っておられる方は、制度の関係で当然そうなりますが、十六年というのが一番長い厚年期間を持った方ということになります。これが六百十二人、つまり、わがほうで二十年、厚年で十六年持っておられる方々と思いますが、三十二万人のうちで、厚年期間を持っておられる方が十七万人あるということであります。
それから次に、その一〇ページの下の表は、掛け金の収納状況でございます。これは制度発足当時、組合が非常に多い、まず、零細であり、かつ小人数の組合が多いということから、掛け金の徴収が危ぶまれて、各方面から御注意を受けたのでありますが、実施後の掛け金の徴収状況を見ますと、幸いにしてごらんのとおりきわめて良好であります。これは年金なり、関係団体の非常な御協力のためであろうかと思います。
次の資料は、そのうちの掛け金徴収状況を各種団体別に見た表でございまして、一番最後のところに、最終年度の、三十七年度が最終集計になっておりませんので、いささか落ちておりますが、それにいたしましても、大体各種組合ともおおむね九九%以上の掛け金徴収状況で、この点に関してはあまり心配がないように思われます。
十二ページの最後の表は、現在の年金の積み立て額が約三百億というふうに申し上げましたが、これらの積み立て額の運用状況、三十三年度から三十七年までの運用先別の資料でございます。一番大きな運用先となっておりますのは有価証券で五五、それから預貯金、金銭信託を含めまして二八、不動産は五、八というようなことになります。他経理貸付金というのは、福祉事業に対する貸し付け金でございまして、平均利回りは、一番下に書きましたように、制度発足当時七分七厘、最近では八分一厘五毛というふうに、一般の経済情勢を反映して、やや運用利回りは以前よりもよくなっております。一応理論計算上の平均利回りは、各種年金を通じて五分五厘といたしておりますことは御承知のとおりであります。
以上が概略の資料の御説明でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/4
-
005・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 芳賀衆議院議員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/5
-
006・芳賀貢
○衆議院議員(芳賀貢君) 私は、提案者を代表して、ただいま議題となりました農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明したいと存じます。
農林漁業団体職員共済組合法は農林漁業団体役職員の年金制度を確立することによって、そこに働く人々が、将来に明るい希望を持ち、安心して業務に専念できるようにするため、去る昭和三十三年四月に制定されました。しかしながら、当時、国家公務員共済組合法を全面的に改正して、給付水準を公共企業体等職員共済組合法並みに大幅に引き上げようと審議中であったにもかかわらず、改正前の国家公務員共済組合法を骨子として制定されました。そのため、農林漁業団体職員共済組合法の制定直後、昭和三十三年五月に国家公務員共済組合法が改正され、また、これに準じていた私立学校教職員共済組合法が、昭和三十六年六月に改正され、さらに、昭和二十七年九月に地方公務員共済組合法が、全面的に国家公務員共済組合法に準じて制定されるなど、他の共済組合が給付水準の一元化の方向に向かって改正された中で、農林年令制度のみが、給付水準の面で、著しく立ちおくれているという現状になっております。
さらに、厚生年金も、近い将来に給付水準の大幅引き上げを行なう段階にあります。今日、農林漁業団体職員共済組合法のすみやかな改正を行なわなければ、本制度設立の目的がそこなわれるおそれが強いといわなければなりません。農林年金も発足以来満五年を経過し、この間の実績も十分に把握でき、法改正を行なう準備も十分に整っております。したがいまして、農林漁業団体職員共済組合法を改正し、給付内容等の改正をはかることによって、農林漁業団体役職員が、将来に希望を持って職務に専念し得るようにすべきであると考えるのであります。本案は第四十三国会に提案いたしましたが、残念ながら成立を見るに至りませんでした。ここに再び提案をする次第であります。
まず第一に、標準給与の引き上げを行なうこととし、標準給与の等級及び月額を最低七千円から最高十万円までの三十一等級に改め、平均標準給与月額の算定基準を最終三年間の平均とすることにいたしました。
第二に、退職給付の改善を行ない、退職年金の年金額を、平均標準給与年額の百分の四十に相当する額とし、組合員期間二十年をこえる年数一年につき、平均標準給与年額の百分の一・五に相当する額を加算して支給することにするとともに、最低保障額を九万六千円とし、最高限度を平均標準給与年額の百分の七十に相当する額といたしました。なお、最低保障額は物価値上がりに対応してスライドさせる規定を設けております。また、退職一瞬金の計算の基礎となる組合員期間に応じた口数を十日から五百三十二日までに改めることにいたしました。
第三に、障害給付の改善を行ない、障害年金の支給要件たる廃疾の程度を、一級、二級、三級の三種類に区分し、また職務上の傷病による廃疾と、職務外の傷病の廃疾とに区分し、職務上の傷病による廃疾についてはすべての組合員を、職務外の傷病による廃疾については組合員期間半年以上の組合員を対象として支給することとしました。そして、障害年金の額は、平均標準給与の年額に、職務による年金の場合は一級〇・八、二級〇・六、三級〇・四、職務によらない年金の場合は一級〇・五、二級〇・四、三級〇・三の率を乗じて得た額とし、最低保障額を設けることといたしました。また、組合員期間十年以上二十年未満の者に支給する障害年金は、十年をこえる年数一年につき平均標準給与年額の百分の一に相当する額を、組合員期間二十年以上の者に支給するときは、二十年をこえる年数一年につき平均標準給与年額の百分の一・五に相当する額を加算することといたしました。また、障害一時金は平均標準給与月額の十二カ月分に相当する額を支給することにいたしました。
第四に、遺族給付の改善を行ない、職務上の傷病による死亡についてはすべての組合員の遺族を、職務外の傷病による死亡については、組合員期間十年以上の組合員の遺族を対象として支給することとし、職務による障害年金を受ける権利を有するものが、職務によらずに死亡したときは、そのものの遺族に支給することといたしました。
そして、職務による遺族年金の額は、平均標準給与の年額の百分の四十に相当する額に組合員期間が二十年をこえるときは、そのこえる年数一年につき平均標準給与の年額の百分の一・五を加算することとし、職務によらない遺族年金の額は、組合員期間二十年以上の場合は、その死亡した者が受けるべきであった退職年金の額の百分の五十に相当する額を支給し、組合員期間が十年以上二十年未満の者に対しては、平均標準給与年額の百分の十に、組合員期間が十年をこえるときに、そのこえる年数一年につき平均標準給与の年額の百分の一を加算する額を支給することといたしました。
また、年金額の最低保障額を六万円とし、最高限を平均標準給与の年額の百分の七十といたしました。
また、遺族一時金の計算の基礎となる組合員期間に応じた日数を十日から二百三十二日までに改めることといたしました。なお、年金者遺族一時金の制度は廃止することといたしました。
第五に、国の補助は給付に要する費用の百分の十八に相当する額に引き上げるとともに、掛け金の負担は、組合員及びその組合員を使用する農林漁業団体等が、四五と五五の割合で掛け金を負担することといたしました。
第六に、以上の給付内容の改善にあわせて、従来不十分であった諸規定の整備を行なうことといたしました。
以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容の説明であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/6
-
007・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) ここで午後一時まで休憩いたします。
午前十一時五十七分休憩
—————・—————
午後一時四十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/7
-
008・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) ただいまから委員会を再会いたします。
土地改良法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行なうことにいたします。質疑のおありの方は、御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/8
-
009・櫻井志郎
○櫻井志郎君 非常に膨大な法律でありますので、私はその中で若干お尋ねいたします。
まず第一条第二項の改正で、政令で定める計画基準によらねばならないというのを削除しておりますね。これと同趣旨の規定を云々ということを提案理由の補足説明で述べておるのですが、この考え方について、まずお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/9
-
010・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) お答えいたします。
土地改良事業の施行にあたりまして、どういう立場でその事業を施行するかという問題につきましては、現行法の一条の二項で、「政令で定める計画基準に準拠するものでなければならない」ということで、現行法では政令の第二条で土じょう、水利その他の自然的、社会的、経済的環境上、農業経営を合理化して、農業の生産性を発達させるためその必要があるという必要性の問題、それから、技術的に可能であるという可能性の問題、それから効用が費用を償うという効用と費用の関係、そういう点を政令であげまして、その基準に従ってやるようにという一般原則として書いてございます。で、今回の改正の二項では、御指摘のとおり、政令で定めるという部分を削除いたしまして、御参考に八条の四項を見ていただきますと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/10
-
011・櫻井志郎
○櫻井志郎君 私が尋ねたのは、効用が費用を償わねばならないという従来の政令を、今度の改正でどういうふうに考えておるかという焦点だけにしぼってもらっていいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/11
-
012・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) その点に関しましては、やはり効用が費用を償うという思想は、やはり今後とも政令からこちらの法律にあげまして考えてまいる、こういう思想であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/12
-
013・櫻井志郎
○櫻井志郎君 効用が費用を償うという考え方は、従来農林省がこれを適用する場合に非常にその点をやかましく言い過ぎたきらいがあるのですね。で、農業の近代化、農業基本法の趣旨に沿って、今回土地改良法を改正したということは、これは私ども大歓迎なんです。当然そうあるべきだという考え方に立っておるわけですが、効用が費用を償わねばならないという考え方を、従来のような厳密な考え方で考えておりますと、特に山間僻地等でできるだけ農業近代化、あえて山間僻地に限りませんけれども、農業全体としてできるだけ近代的な農業経営を営んでいきたいという意欲が、その政令の適用で排除されるようなおそれが、相変わらずありはしないだろうかどうだろうかということが、私の聞きたいところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/13
-
014・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 先生御承知のとおり、ドッジ以来、あるいは昭和二十九年の公共投資の引き締め以来経済効果を非常に高く見まして、たとえば投資効率が一以上でなければならないということを厳正に履行せざるを得なかった時期がございます。で、その後最近の実態といたしましては、一を割っても、とるという考えに逐次切りかえております。ただ、いろいろ地区がたくさんありまして、そのうちでどれからとっていくという場合に投資効率の高いもの、こういうものを優先させる、こういう形におきまして運用をいたすというふうに少し変わってきております。ただ、先生御指摘のとおり、その投資効率のほうは、土地に金を出す立場からの見方でございまして、基本法等ができまして、農民の立場でものを考えていく必要が出てまいりました段階において、これらについても、大いに検討を要する問題であると、私どもは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/14
-
015・櫻井志郎
○櫻井志郎君 検討を要するというようなあいまいな考え方では、私は、これは基本法の精神に十分即応した土地改良事業の遂行ということにはなりかねる場合があると思うのです。もちろんそれは、国の立場からいえば、国民の税金を使うのですから、投資効率が高いほど望ましいけれども、農民の立場からいえば、いま局長が触れた問題点でもありますけれども、その問題点について考慮しなければならないとか、検討しなければならないとかいうあいまいな考え方でいきますと、たくさん希望申請がある段階においては、やはり投資効率が高いものから優先順位をつけていく、そうすると、所得の低い農民が、幾らかでも所得を上げていこうという努力目標で土地改良事業をやろうとする場合に、そうした考え方で排除されるおそれが多分にあるのじゃないかということを私は憂えるから、考慮するとか検討しなければならないというあいまいな考え方でなしに、もっとはっきりした考え方がないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/15
-
016・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) たいへんむずかしい問題でございますが、実は投資効率という角度のほかに、土地所得償還比率ということばを使っておりますが、この事業をやりまして生みました収益の増加の一部で、負担部分を返せるあてがあるかどうかという角度から、それを採択するかどうかということをチェックする場合があるわけでございます。そこで、私どもの考え方といたしましては、国の財政支出する立場からする投資効率の問題はあまり厳重に考えないという態度をとって進んでおるわけでございますが、所得償還比率、すなわち増加所得と、その投下された費用の年々の返還分との間が、うまく回るか回らないかということは、土地改良投資をやっていく上で、最終的に非常に重要な問題でございますので、この所得償還比率の問題については、大いにやはり今後とも考慮を要する点であろう。ただ、それにいたしましても、国の負担率、補助率が高ければ、その償還責任部分というものは減るわけでございます。終局的には、国の負担部分あるいは国の補助部分を上げることによりまして、この所得償還比率というものがバランスするという方向に向かいまして努力をする必要のある問題である、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/16
-
017・櫻井志郎
○櫻井志郎君 その点はもう少し考えていくと、農業近代化という段階において、できるだけ労働の生産性を高めていく。農業の中だけでものを考えた場合に、いま局長が答弁されたようなことを農業の、その事業によって起こる農業の所得の向上というだけで考えていくのか、あるいは労働の生産性を高めることによって、できるだけ省力農業をやり、余剰労力で農外所得をできるだけ上げていこう、つまり農家全体の所得が上がるという段階において、この土地改良事業というものを考えていくべきじゃないかということも、私は考える必要があると思うんだが、その点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/17
-
018・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 確かに先生の御指摘のとおり、投下して、物がどの程度とれるとか、あるいは所得がどの程度取れるとかということの面からだけ経済効果を判断していくということは、ちょっと問題があることだろうと、私どもは考えております。経済効果といたしましては、理解のしかたの問題でございますが、その地域の発展とか、あるいは日本の農業全体への貢献というような、もっと広義の経済効果というものを当然考えてしかるべきで、在来の投下された費用と、その個人が生む収益の増加だけで、その事業の効率を判断するというのは、あまりにもこまかく限定された考え方ではないか、したがって、人口の減、労働の生産性の向上という角度から、経済効果というものは見るといたしましても、その見方によっては、もっと広い目で効果を判断してやれるものはどんどんやっていく、こういう思想に立つべきものではないか、かように反省をいたして検討を続けておる段階であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/18
-
019・櫻井志郎
○櫻井志郎君 私は、この問題であまりこれ以上聞こうとは思わぬけれども、どうも局長の言われることは、私の言うことを理解しておられるようでもあり、そこまでまだ踏み切れないというような、ちゅうちょ逡巡的でもあります。どちらにでもとれると思うのですが、私は農家なら農家経済という立場において、農業の中だけでものを考えないで、農業の改良によって農家の所得というものが、どういうふうに他の経済部門からも所得を上げるということに、その土地改良なら土地改良が寄与するという広い考え方で、ものを判断していくべきじゃないか、それがあってこそ、農業の近代化であり、農業の範疇の中だけでものごとを狭く考えておると、いままで——あるいはいままでと言っちゃ語弊があるかもしらぬけれども、かってやっておられるようなきびしい見方でやっていかなきゃならぬ、そういう考え方だと、日本の農業全体というものの近代化、農民所得の、農外所持も含めての農民所得の全体の向上という問題について、十分な配慮ができないんじゃないかということをおそれるがゆえにお尋ねしておるわけなんです。もう少しはっきりした見解が述べられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/19
-
020・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 私も櫻井先生と同じ趣旨のことをお答えしていたつもりだったのでございますが、費用と効用をやはり見るということは必要だと存ずるわけであります。問題は、効用がありさえすれば、費用がどうあっても仕事をするんだというのではなくして、費用と効用は見る、しかし費用と効用を見る見方が、在来のように投資効率が一でなければならぬとか、あるいは所得償還比率を見ます場合に、幾らの水が入ったから米が幾らできたという、農業の純、限定された部分だけで比較をして、効果があるとかないとかいう判断は反省する必要がある。もっとこの事業の持つ効果というものを広い範囲から見直す必要があるという趣旨のことで、そういう方向で検討する必要があるという立場においてお答えをしておった次第であります。私、先生のおっしゃることと同様のつもりで考えておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/20
-
021・櫻井志郎
○櫻井志郎君 同様のつもりの御答弁なら了解いたします。
次に、農用地という定義を引っぱってきておるのですが、たいへんけっこうだと思いますけれども、ここで述べておる草地という範疇は、どういうふうに考えておりますか、農地局長からでもいいし、畜産局長からでもいいし、どちらからでもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/21
-
022・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) まず、土地改良法には二条に定義がございまして、今度農地ということにかえまして農用地としまして、「耕作の目的又は主として家畜の放牧の目的若しくは養畜の業務のための採草の目的に供される土地」という表現をいたしております。この表現は、したがって、この法律は、俗に草地ということばは法律に使っておらないのでございます。この定義は草地と、俗にいう草地というふうに解釈しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/22
-
023・櫻井志郎
○櫻井志郎君 畜産局と農地局で両方、いわゆる、何ですか、草地改良事業ですか、草地造成改良事業ですか、大規模草地改良事業は農地局所管、小規模は畜産局所管と、こういうふうにやっておられるのですが、その草地改良というのは、一体粗放な放牧等を目当てにした草地の改良なり、造成もありましょうし、畑なり水田なりに飼料作物を栽培するのとほとんど同様の草地改良造成事業もあるのではないかと思うのですが、そこで、一体どの程度、草地ということばを法律上使っておらないと言われましたけれども、法律上あるかないか私さがしてはおらないのですが、概念として、いかなるものを草地というのか、いかなる既成田畑に飼料作物を栽培しても、それが家畜の飼料を対象とする限りにおいては、草地という概念に立ってものを言っておるのか、あるいはそうでないのか、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/23
-
024・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) この土地改良法の二条の考え方といたしましては、家畜の放牧の目的のために使う、採草の目的のために使う土地といっておりますので、その土地は、簡単なことばで申しますと、永年牧草地と理解をいたしております。それで、現実に畑がございまして、毎年ローテーションをいたしまして飼料株を植える、あるいは一般的にローテーションをいたしまして次の作物を植えるという形のローテーションによって利用されます土地が、その上にできますものが、いまたまたま家畜のえさになるという形における土地は、この法律の整理におきましては畑と理解いたしております。一言で申しますれば、永年牧草地というものを、造成事業の中に今度農用地として入れようというのがこの法律の整理です。土地改良法における整理でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/24
-
025・櫻井志郎
○櫻井志郎君 永年牧草をつくるのは、これは田畑ではないのだ、こういうような説明のようでありましたけれども、それじゃ、たとえば、田畑でつくっておる永年作物、お茶とか、桑とか、こういうものをつくっておっても畑であるわけですね。飼料作物の種類によって、それは田畑であったり、田畑でなかったりという考え方は、何か私は割り切れないのです。こういうことを言うのは、一つには、草地造成なるものは、非常に粗放な、いわゆる従来の観念の草というものを考えておるのか、できるだけ土地の生産性を上げていくために、必要な限度の草地造成改良事業というものをやって、土地の生産性をできるだけ上げていくという考え方に立てば、粗放ないわゆる草地というものの造成から、もっと効率の高い草地になるか、あるいは農地になるか、それは私はあなた方の定義でははっきりぴんとこないのでありますけれども、そういう考え方が根底にあるがゆえに、草地造成改良事業なるものの進展を一方においてはばんでおるのではなかろうかという感じもするのです。いかがでしょうか。たとえば、草地造成改良事業の中には、畑地かんがいをやって牧草をよりよく育てようというようなことも実際には考えられていないし、やってもいない。あるいは土性改良をやって、ほんとうにいい牧草をつくろうということが行なわれておるのかおらないのか、そういう点も私若干質問を持っておって、従来畜産局が相当前からやっておられるような粗放な草造成に終わっておるのではなかろうかという疑問もあるから、私はお尋ねしておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/25
-
026・檜垣徳太郎
○政府委員(檜垣徳太郎君) 今回の土地改良法の改正で、先ほど農地局長から御説明申し上げましたようないわゆる草地、法律的には採草放牧地の造成改良をこの法律の中に入れたのであるということでありますが、ここで考えておりますいわゆる農用地の開発という中でわれわれがねらっておりますのは、お話にもございましたように、いわゆる粗放の採草放牧地の造成ということではなくて、生産性の高い高度な集約的な土地利用をねらっております永年草地を造成改良していくという考え方で、その法律に包含をするようにいたしたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/26
-
027・櫻井志郎
○櫻井志郎君 草地造成改良事業の反当単価どのくらいに見ておりましたかね、概略でいいです。いただいた資料で割ってみればわかるのですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/27
-
028・檜垣徳太郎
○政府委員(檜垣徳太郎君) 草地造成につきましては、これは規模等によりまして若干違いがあるわけでございますが、ヘクタール当たりの事業費は、ごく大ざっぱな計算でございますが約十五万円程度のものが予算ではなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/28
-
029・櫻井志郎
○櫻井志郎君 反当二万五千円程度で畜産局長がいま述べられたような一体草地造成改良事業というものは、ほんとうにできるのかどうかという疑問が多分にあるわけです。ことばとしてはいいことを述べられておりますけれども、実際の予算平均単価等からいいましても、どうしても粗放な草地造成に堕しておるのではなかろうか。したがって十分土地の生産性、高い土地の生産性というものが期待できない。それがひいては、酪農振興に十分な寄与をしていないというようなことがあるのではなかろうかという疑問を持つのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/29
-
030・檜垣徳太郎
○政府委員(檜垣徳太郎君) 畜産局が従来飼料基盤整備を進めてまいります際に、三十六年ごろまででしたか行ないました牧野改良事業として進めてまいりましたものは、これは自然原野、自然草地の造成改良的な性格を持っておりまして、御指摘のように、必ずしも高い生産性の草地改良事業ではなかったということはいえるのでございますが、最近三十七年から公共事業費に計上いたしまして進めておりますいわゆる予算書に掲げました草地改良事業というのは、これは従来は高度集約牧野と称して土地の耕うん、整地、播種、土壌の改良等を行なって、高度の牧草生産を目標として助成をいたしておるのでございまして、助成の内容なり、あるいはその事業費の積算の問題なりについて、現在の予算が完全なものであるかないかには、検討の余地があろうかと思いますけれども、粗牧な草地の造成あるいは改良をしていくというような考え方には立っておりませんし、造成後の推移というのは、まだ多くの年月を経ておりませんけれども、私どもとしては粗放な草地の造成改良事業を進めておるという気持ちではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/30
-
031・櫻井志郎
○櫻井志郎君 大規模の草地の改良事業、二百町歩以上ですか、これは農地局で所管をしておられる、それから二百町歩以下の小規模事業は畜産局で所管しておる、どうも私はその点について割り切れない感じがひとつするのであります。畜産局で所管しておられる二百町歩以下の草地造成改良率業というものと、農地局で所管しておられる大規模事業との関係というよりは、農地局所管の一般の開拓事業との計画等に両局がまたがって所管しておるために、いろいろなそごが出てきはしないであろうかという点に疑問を持つわけです。畜産局は畜産行政をやっておられるんだから、畜産行政についてどういう飼料作物を植え、どういうふうにやっていくかということを考えられるのは、これは私は当然だと思うんだけれども、農地局が大体土地の問題を扱っておる、その土地の問題を扱っておる中で二百町歩以下の草地造成改良事業が畜産局所管になっておるというところに、開拓行政等との相克摩擦ということがないにしても、あとで出てくる長期計画等においてのあるいは計画の遊離、そごというようなものが出てきはしないであろうかということと、畜産局が所管しておられる事業の末端へおりていく、つまり地方自治体におりていく段階までの経費といろものが、遺憾なく行なわれておるかどうであろうかという問題ですね。たとえば、いろいろな農業生産物について扱っている局部課、あるいは米のことなら米を所管するところ、あるいはくだものを所管するところ、いろいろな局なり何なりがあって、それを生産する土地の問題は、それらの局とは離れて土地の問題に関する限りは農地局がやっておる、ところが畜産局だけがその土地の問題のある程度の行政をやっておる。何か農林省の方針として一貫した方針がないし、方針だけではなしに、一貫した方針がないために実際上の行政にそご、遊離が出てこないか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/31
-
032・檜垣徳太郎
○政府委員(檜垣徳太郎君) この問題は、農地局畜産局両局にまたがる問題でございまして、私の答弁で足りない点は、農地局長からまたお答えをしていただくことにいたしますが、私の考え方としましては、ざっくばらんに申し上げまして、飼料基盤であります草地の造成改良に関する事業所管には、それほどこだわる必要はない。むしろ実情に即して事業の所管は調整されてしかるべしだというふうに考えておるのでございます。三十八年から、御指摘のように大規模草地改良事業、造成事業の実施面の予算及び事業は農地局で所管いただくことにいたしたのでございます。多少その草地の造成改良事業につきまして、他の農地等の改良造成と異なりますといいますか、特色のあります点は、生産されます草自身が最終目的の農産物でございませんで、畜産を通しての迂回生産になるわけでございますから、最終の畜産物生面との関連を、いかに当初から考えていくかということが、非常に重要な問題になるわけでございます。でございますから、この問題につきましては、当初の基本的な適地調査の段階から、地区の計画設計の段階につきましては、これはいわば土地改良のための土木的技術的見地からの調査検討及び畜産経営の立場からします調査検討というものが、相協力して伴わなければならないのであるというふうに思っておるのでございます。この点については、農林省内で意見の一致を見ているのでございますが、あと専業の施行自身をいかにするかという点は、その事業の内容が、それぞれの所管の機能というものによって、どれだけ十分に行使できるかということが問題であろうというふうに考えておるのであります。その点で二百町歩以上の大規模の草地改良事業ということになりますと、おのずからこれには……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/32
-
033・櫻井志郎
○櫻井志郎君 二百町歩以上は要りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/33
-
034・檜垣徳太郎
○政府委員(檜垣徳太郎君) 土木的施設に伴う場合が多いわけでございますが、小規模の場合には、主として地元の増反的な利用のための草地の改良、特に農業土木的な手段というものの困難性が薄い場合に、薄いといいますか、相対的に薄い場合が多いということで、現在は畜産局の系統に予算を計上いたしまして、実施をいたしておりますが、地方農政局を通して指導実施をはかるということにいたしておりますので、地方農政局の総合的な行政機能という中で、農業土木的な関係の観点からの調整も十分に行なって指導が行なわれておるということが大事であるというふうに考えて、当面ただいま申し上げましたような指導所管の分割をいたしておるのでございます。これは私は最終的にそういう姿が一番いいのであるというふうに断定する気持ちはございませんが、現在の見解としてはそのような立場に立っておる次第でござます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/34
-
035・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 私自身も、実は両局を経験いたしまして、この仕事を十分真剣に考えてみた経験を持っておるわけでございます。それで問題は、草地造成は、先ほどちょっと申し上げました永年牧草地を造成する事業でございまして、輪作的に使うのでなくて、もうそこへ草地をつくってしまうと畜産経営をそこにどうしてもアジャストしていかなければならない、こういう制約がございます。そこで計画面は、やはり畜産局にぜひお願いしたいし、またすべきである、畜産立地の問題にからんで。今度は事業面に相なりますと、実態を見てまいりましても、小規模のほうは、ほんとうにその辺の山をかき回しまして、整地と一緒に種をまいてしまうという事業でございます。牧草をつくる程度のものがその事業のほとんど内容に相なっておる。大規模草地は、まだ畜産局でも手がけまして、ほとんど数カ所でございまして、計画段階のものがまだ多いわけでございます。計画を見ますと、やはり相当の道路をつくる必要がある。場合によって水等のため池のような問題も、中に転々とするような計画構想がございますので、したがって土木的工事のウエートというものがどうしても多くなってまいりますので、小規模の線の問題は、今後十分検討する必要がございますが、三十八年に農用地開発興業として開拓事業と草地改良事業が復活されましたのを契機として、いろいろ両局で相談をしました。まず、大規模の事業実施面は、計画に従って農地局でやってみようじゃないかというふうに整理をいたしたわけであります。御注意の点もございますので、この二百町歩のラインがいいかどうかということは、なお検討事項だと思いますが、考え方としては、土木的工事の少ないものは、やはり酪農経営に密着させていく意味におきまして、畜産局なり畜産局の系統にお願いしてもいいのではないか、大きいほうはやはり専門家がやったほうがいいのではないか、こういう整理を両局で相談いたしまして決定をいたした次第でございます。なお今後とも大いに検討して、改めるべき点は改めていきたいと、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/35
-
036・櫻井志郎
○櫻井志郎君 私はあまりこの問題について深く尋ねようとは思いませんが、生産性の高い永年牧草地をつくるのだということを、先ほど局長が述べられたということが一点と、それからいわゆる小規模という名をつけてはいるけれども、小規模の範囲というのは二百町歩以下なんです。小規模というのは、何十町歩というならこれは理解できるけれども、二百町歩以下——二百町歩といえば、昔の村でいえばほとんど全村の六割、七割、普通の村でも半分程度以上に該当するくらいの面積になる。だから、それを小規模ということばにとらわれて、あまり土木的な工事はないのだ、こう言われているようでありますけれども、実際問題としては百町歩、二百町歩というのは、これは大面積です。その大面積を最も効率の高い牧草地に仕上げていくという考え方に立てば、やはり相当の土木的な工事というものが当然伴わなければ十分なる成果をあげる土地にはならないということを、私は自分の概念としても考えるし、いろいろ地方庁から話を聞いてみましても、そういう点はよく指摘されるのです。あなた方農林省一致した意見だと、こう簡単に片づけておられるけれども、ほんとうにそうなのか、どうなのか。線の引き方については将来十分考えてみたいという答弁があるから、私はそれ以上言いたくはありませんが、あなた方考えておられることと地方の実態とは、必ずしも一致しておらないということを強く私感ずるわけですが、もう一度考え方について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/36
-
037・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) ちょっと私どもの説明が不十分で恐縮でございますが、補足さしていただきますと、小規模の採択基準は実は十町歩以上でございますが、実は団地の問題があるわけであります。一団地一ヘクタール以上のものがあって、それが一定の地区で十ヘクタール以上になれば小規模として取り上げる。同様に大規模のほうも、一団地三十ヘクタール以上のものがありまして、それが二百ヘクタールにまとまった場合にという一応採択基準がございまして、団地としては一ヘクタール以上と三十ヘクタール以上の問題でございます。もちろん先生おっしゃるように、一団地で二百町歩というものがあればそういう形に相なりますが、実際いろいろの地区を見てみますと、やはり小さい団地を集めて一つの草地基地をつくろうという計画であるものでございますから、実は団地の問題が非常にやっかいな問題なんでございます。そこで、一応三十ヘクタール以上のものが集って二百ヘクタールの一定の地区が形成されるというこのライン、線の引き方につきましては、御注意もございますし、事業の実態等もなお見まして、この線の引き方につきましては、畜産局と今後相談して改むべき点は改めていきたい、かように私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/37
-
038・櫻井志郎
○櫻井志郎君 開拓計画の問題についてさっきお尋ねをしたが答弁なかったので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/38
-
039・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 失礼いたしました。もう一つこれと見合いまして農地局で開拓パイロット事業をやっておるわけでございますが、大規模、中規模、小規模と分かれましてやっております。この中、これは広義の農用地造成でございますから、いわゆる畑造成、あるいは開田、開畑、樹園地造成等を内容にしておるのですが、これは御指摘のとおり、農地局でその計画を直接承りまして調査もいたし、採択もする、こういう形をとっております。ただこれにつきましても、私ども最近のやり方といたしましては、その御計画が草地造成ではないが畜産を前提とするような御計画、乳牛を前提とするとか、肉牛を前提とされる御計画につきましては、仕事のやりくりといたしましては、畜産局にその計画の畜産行政上の立場から見た妥当性というものにつきましての御意見を積極的に聞いて、採択の際の有力な参考にするという処理をいたしておる次第でございます。組織的には農地局の権限内でございます。これは農林省全体の組織ともからもうかと思いますが、開拓計画の面は農地局でやっております。できるだけ樹園地造成は園芸局とも相談をする、こういう姿勢で今後も進めてまいりたい、かように私どもは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/39
-
040・櫻井志郎
○櫻井志郎君 今度の改正で、ひとつ非常に革新的な改正案である土地改良長期計画の問題ですが、政府部内でも非常に難航したというふうに聞いておりますが、非常にけっこうな改正案だと思うのであります。ありますが、実際に長期計画はどういうふうにして立てていこうというふうに考えておられるか、あるいはすでに法案を提出してずいぶん経過いたしておりますので、長期計画についてある程度の準備ができたかどうか。それから準備いたしたとすればどういう考え方でその準備をしておられるか、まずそれについてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/40
-
041・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 長期計画の作成を法律上の事項といたしましたので、この実施にこれをどういうふうに組み立てていくかということについては、鋭意内部で検討を続けておるところでございます。具体的にいまやっております問題は、御承知のとおり、要土地改良の実態をいかに把握するかという問題でございます。それで御承知のとおり、昭和三十五年から三十七年までかかりまして要土地改良調査というものを実施いたしました。これは集計を終えまして、府県別にも実態を押えておる次第でございます。ところが、この要土地改良面積はこの土地に即しまして排水が要るか用水が要るか、傾斜はどうかという、いわば非常に素材的な調査でございまして、これだけをもって長期計画の基礎資料とするのは問題であるということで、三十八年、三十九年と土地改良総合調査の予算を計上いたしまして、これは先ほどのような物理的な調査ではなくして、多少意欲を加味いたしまして、そういう土地でどういう事業を興こせば排水ができるか、またどういうふうに区画整理をすることを、県なり、村は適当と考えているかという、いわば主体的な多少意欲を含めました調査を全体に対しましてやったわけでございます。目下個票が農林省に農政局を通じまして集まりましたので、現在その集計を急いでいる次第でございます。私どもといたしましては、究極的にこの個票の整理が長期計画の一つの大きなベースになる資料、かように考えて一おります。ところが、それをただ積み上げただけでは、長期計画としての価値の問題がございます。一方、御承知のとおり片方におきまして所得倍増計画のアフターケアの問題が昨年来起こっております。そうしてこのアフターケアの問題から、片方におきまして三十八年から一応四十三年までの間の中期計画を立ててはどうかということが、アフターケアの関係者の中で論ぜられ、いまその作業が一つ進んでおります。そうしてこの作業の中には農業近代化の部会、社会資本投資の部会等がございまして、少なくとも中期計画、その前提といたしまして長期、超長期のある程度の検討を行なっておりまして、それとの関連におきまして、秋までに一つの所得倍増のアフターケアに基づく中間作業というものを片方で進めまして、目下のところ、それに対します農業のあり方の問題を並行いたしまして鋭意検討中でございます。その作業が、対外的の関係におきましては、一つの大きな問題だと存じます。したがいまして、内側の問題といたしましては、いま申しました個々の地区に足をおろしました基礎資料の集計、整理、分析、それが一つ、それから外側の問題といたしましては、以上申し述べました倍増計画のアフターケアの面からの諸作業、これらを二つの大きな柱といたしまして、これを組み立ててまいるという方向で現在いろいろ作業を続けている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/41
-
042・櫻井志郎
○櫻井志郎君 いまの局長のお話だと、そうすると長期計画の第一年度は、いますでに三十九年度ですから、実際的にはあまりやれないわけですから、四十年度を第一年度とするあるいは十カ年計画なり、あるいは超長期計画の中の十カ年計画、あるいはその中における五カ年計画なりあるいは四カ年計画、そういうように長期計画を立てて、閣議決定をし公表しようという考え方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/42
-
043・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 一つは所得倍増アフターケアによる中期計画は、相当精度の高いものが出ると思います。それの前提になる長期、超長期はどの程度のものをつくるか、現在経済企画庁でフレーム・ワークとしての作業中で、まだ明確でございませんが、私どもといたしましては、本法に基づく長期計画はやはり土地改良事業でございまして、あまり短期のものをつくっても、極端にその内容の圧倒的部分が継続事業になってしまうことはいかがであろうかという面もございます。ある程度長くいたしたものを考えませんと、一つの思想というものもなかなか打ち出しにくいという面もあろう。そこで一応十年間のものをつくって、他の部門におきます長期、超長期の精度の問題、考え方の問題がどの程度明確に出てくるかという問題もございましょうと思いますが、これらも参考にして十年くらいのものをつくりたい。なお精度との関係等もございまして、これはまだ決定ではございませんが、これを前期、後期に分けるという考えも成り立つのではないか、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/43
-
044・櫻井志郎
○櫻井志郎君 いまの所得倍増計画のアフターケアとして考えるということばが、先ほどの答弁にもいまの答弁にも出てきておるのですが、所得倍増計画のアフターケアとして考える部分というものは、むしろ長期計画ではなしに、これはさしあたっての問題ということに実際上はなるんではないか。といいますのは、現在すでにたくさんの継続事業というものもかかえておられる。その継続事業をいかに処理していくかということが、どちらかと言えば、所得倍増計画のアフターケアというワクの中では、継続事業の処理をどうしていくか、そしてその中で長期計画の部分の新規事業をどういうふうに処理していくかということになって、むしろ長期計画の性格から離れてくるのではないかというふうにも考えられる。長期計画をそういうふうな考え方で立てないで、やはりたとえば道路計画で三十何年ですか、二十二年とか二十三年とかという超長期の計画を持って、その道路計画では西欧並みの道路にするんだ。がしかし、さしあたっては道路五カ年計画四兆一千億、これだけをその中において財政とにらみ合わせて四兆一千億の計画というものは変更することはあるんだという、そういう含みを持って道路五カ年計画というものをことしから新しく立てた。道路第八部 農林水産委員会会議録筆のほうではそういう相当はっきりした将来のビジョンを持ちながら、そこで長期計画の中の五カ年なら五カ年というものを持っていっておる。土地改良も、法律でこの長期計画という非常に躍進的な方向を打ち出す以上は、もう少しはっきりした考え方を、長期計画の中に持っていってしかるべきじゃないかと思うのですが、もう一度その点について御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/44
-
045・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 所得倍増のアフターケアにおきましても、中期計画の作業をいたそうということになっておりますが、確かにそれは四十三年まででございますから、非常に短い。で、ただ、いま内部でいろいろ議論中のようでございますが、その中期計画を検討するにあたって、当然それより長い長期あるいは超長期をビジョンとして整理をしない場合は、中期計画をつくるのに無理ではないかという御議論が、総合部会の中で非常にあるようでございまして、したがって倍増計画のアフターケアにおきましても長期、超長期の問題がビジョンとして、あるいは方向として議論せられて整理されていくと私ども考えております。農業全体につきましても、そういう作業が行なわれます以上は、農業全体におきましても、そういうことを整理をせざるを得ないことになろうかと存ずるわけでございます。また、事実そういう面におきまして近代化委員会等でいろいろと議論も行なわれておるわけでございます。したがって、そういうビジョンに沿いましてこの長期計画も当然沿った形において組み立てられる必要があろうかということは、先生の御指摘がそういう趣旨でございますれば、私ども全くさように考えておるわけでございます。こういう法律にも書いてございますが、法律の一条も改正いたしまして、かつ長期計画の考え方等につきましても、法律でいろいろ趣旨を書いておりますこととのかね合いで、一つの農業の行くえというものについての検討と並行いたしまして土地改良事業のあり方を考えていく、こういうことになるし、またしなければならない、かように私ども考えております。それで一応十年、もちろんその背後には、もっと長いものの吟味の問題があろうかと思いますが、一応十年計画を立てたらいかがなものであろうかということで、大臣のほうから一応十年ということで、衆議院の段階でお答えをいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/45
-
046・櫻井志郎
○櫻井志郎君 長期計画については、あるいは大臣にまたお尋ねする機会を保留して、あまりこれ以上触れませんが、構造改善十カ年計画というものを一応農林省は立てた。その構造改善十カ年計画の中においても、ある意味でいえば土地改良の部分的な長期計画というものがその中に包含されておるということも言えましょう。それからたとえば、畜産飼料問題、特に酪農飼料問題からいっても、農用地としてこの法律で扱う、そうした考え方からいえば、飼料問題はどうしても長期計画を立てる必要も出てまいりましょう。いろいろなことが言えるわけですが、従来の予算というものにとらわれて、長期計画を、かりにもし農林省がそういう考え方で立てるとすれば、これは長期計画にしてその実体長期計画にあらずということになってしまうので、農林省としては、ほんとうに日本の農業の近代化をどう持っていくか、その中においての土地改良長期計画はいかにあるべきかという観点に立って、長期計画を当然樹立さしていかなければ、この法律の意味が生きてこないというふうに私は考えるんですが、局長はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/46
-
047・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 御趣旨のとおりに私どもも考えております。毎年の予算は、むしろこの線に沿って要求される、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/47
-
048・櫻井志郎
○櫻井志郎君 この改正案と新河川法案との関係、特に慣行水利権の法的地位の問題、そうした問題についてどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/48
-
049・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) まず河川法の問題は、御承知のとおり、河川法の新改正案では、慣行水利権を届け出制をとりまして、一定期間に届けないものは失効するというような内容を持っておったものでございますが、建設、農林省のいろいろな話し合いの結果で、そういうことはしない、慣行水利権は在来の旧河川法における勅令によりまして、法律上の権利とみなす規定になっておったわけであります。その法律関係を新河川法も踏襲をいたしまして、慣行水利権の問題は保護の問題といいますか、河川法上の扱いにつきましては在来と変えない。かつ法律上許可を受けたものとみなすという形で整理されておりました。
それから新河川法とこの土地改良法との関係はどうかということでございます。水の問題は、十分御承知のとおりに、三十年ごろの水制度部会以来、建設省なら建設省が河川というものの利水面まで勝手に関与すべきものでないということで、多目的ダム法あるいは水資源開発法では、関係各省の協議という部分が法律上非常に取り込まれてまいりました。今回の河川法におきましても水利権の、水の占用の許可等につきましては、三十五条等で関係各省の協議の規定が入れられまして、関係各省の協議の上で河川の利水面の調整をはかっていこうという思想に整理をされておる次第でございます。
そこで土地改良事業、水と土地改良法との関係でございますが、農業と水の問題は、最近におきましては、やはり何といたしましても農業と非農業の接点の問題が非常にむずかしい問題でございます。でこの接点の問題は、以上申し述べました新河川法あるいは水資源開発促進法あるいは多目的ダム法等、接点に関する法律の関係各省の協議の面において処理をし、農業水利の安定をはかり、権利を保護する、こういう立場で処理をする。そして農業プロパーの問題といたしましては、むしろ土地改良事業によりまして、農業の水路なり水源なりをみずから造成して、問題のそういう基盤から水問題を解決するという態勢でまいりたい。したがって農業内部の問題としては土地改良事業による水源素地の建設あるいは取り入れ口の合理化、あるいは水路の改善という形を通じて、農業の水の安定をほかるという事業面の解決という立場で土地改良のほうは進んでまいる、こういうふうに一応私どもは整理いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/49
-
050・櫻井志郎
○櫻井志郎君 もうちょっとお尋ねしますが、土地改良法の改正法案の中で、水の問題についての条項というものが、私ちらっと見た範囲では出てこないんですが、この改正案で水の問題をうたわなくても、いま局長が言ったように、農業水利に関する権原、権利というものは十分確保、保障されるかどうかという点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/50
-
051・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 先ほども申した趣旨も同じでございますが、むしろ他種水利に関しましては、河川法その他で農業の権利の確保をはかるという法制面にエネルギーといいますか、努力を払いたい、そういう法制を確立をしてまいる。土地改良法のほうでそれを水調整の権利を考えるという考えは一応とっておりませんので、この法律には入っておりません。むしろ先ほど申したとおり、工事面を前進させることによって、農業水利という問題を当盤的に解決したらいい、こういう立場で水利調整に関しましては、この土地改良法には在来も入っておりませんが、今回も特に入れておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/51
-
052・櫻井志郎
○櫻井志郎君 第何条でありましたか、五条三項でありましたか、農用地の造成事業という中に、未墾地が——第五条でしたか、第六条でしたか、ちょっと私忘れましたが、未墾地が入っておる場合には——既耕地の場合には全員の三分の二以上の同意を得ることによって資格を満たし得るけれども、未墾地の場合には——全員の同意がなければならない。全員の同意がなければ知事のあっせんですか、何かそういう方法によって解決していきたいというふうに書いておるんでありますけれども、それは用途の大きな変更であるから、全員同意ということはとらなかったんだというふうにたしか演繹した説明があったかと思うのですが、農地法との関係等もどうなるか、未墾地に対してなぜ全員同意という方向をとったのか、また全員同意が得られない場合は、知事のあっせん等に期待するという方向をとっておられるようでありますけれども、実際的効果を期待し得るかどうか。まあ期待されると思われるから、そういう法律案になったんだろうと思うのですが、私はその点に多少の疑問を持つのでありますけれども、局長の見解をお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/52
-
053・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) この法律の五条の三項で、一定の場合に農用地外資格者について全員の同意を得なければならないと誓いておりますわけでございますが、これはちょっと御理解を願いたい点があると思うのでございます。と申しますのはこの法律は、まず三条で資格者というものをきめてしまっております。土地改良事業の施行にかかる地域内にある土地について権利を持っている者は資格者だというのが三条にございます。したがって、ある地域の中につきまして土地改良事業を計画いたしますと、自動的に三条資格者に相なってしまうわけであります。そこで、みんながひとつ畑地を改善しようということを三分の二でおきめになったときに、やはり水の事業その他はやはりみんなが同意というわけにもいかないので三分の二の大ぜいに従っていただこう。農業として農地を利用していくことには御一緒していただきたい。こういうのが在来の法制でもあり今回の法制でもあるわけであります。で問題は、その事業を行なおうとする地域の円を未墾地にまでかりに拡げまして、その未墾地の所有者も円の中にあります限り三条資格者になってしまいます。そしてその円の中に知らないうちに極端に言えばなってしまう。そこで林地として使っておりますとか、あるいは牧場として使っておるというものを、他のそれ以外の人の三分の二で、たとえばたんぼにしてしまおうではないかという決定にそれらの人が服するということはいかがなものであろうか。自分は林地として使っていきたいと思っておるのだが、その他の、以外の大ぜいの方々の多数決で、お前は自分の持ち山を畑で使え、たんぼで使えという強制をするというのはいかがなものであろう。したがってそういう場合には、そういう方々の同意を前提とするというのが考え方でございます。全員ということばが入りますのは、円の中でございますので、全員と入るわけでございますが、本来でございますれば、極端に言えば同意しないというか、自分は山として使いたいという方は、その円をいじくれば最初から同意の外の問題に相なる。したがってこのケースは、自分の、未墾地の所有者が、他の三分の二の人によって土地の使用方法を著しく変更するケースについて、やはり同意を前提とするという整理をいたしたわけでございます。一方、いま農地法との関係はどうかというお話でございましたが、農地法の四十四条は、そういう土地を国が買い取ってしまいまして畑なりたんぼにして、それ以外の人に売ってやるということでございますので、その土地と所有権者との間は遮断されまして、国が所有権者になって開発して第三者に売る。その四十四条発動でないこの形におきましては、多数決で林をたんぼに、自分の持っている土地をその持っている姿においてたんぼにするということはやはり問題がある。そこで同意にし、しかし、なるべくこういうせっかく円を引いたわけでございますから、その土地はやりたいという人に売ってもらう、あるいは賃貸借をしてもらう、あるいは地上権を設定してもらうという形のことを、関係者一同で十分話し合う余地を六条の一項で必要な措置としてみんなにやっていただく部分を規定いたしました。それでも話がつかないときに知事のあっせん、調停に持っていくという、二項で持っていく。こういう形で、できれば知事のあっせん調停で所有権を移転するなり、あるいは自分もひとつそれじゃ農業をやってみようかという形に落ちつくなりしていただきたい、こういう法制に整理いたした次第であります。ただあっせん調停でございますから、きかなかったらどうするかということになれば、そこを強制するというわけにもまいらない、こういう関係でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/53
-
054・櫻井志郎
○櫻井志郎君 まあその点もう少し聞きたいのですが、一応やめておきましょう。
第四章に、土地改良事業団体連合会の規定があります。連合会の目的を規定し、費用賦課のことを規定しておるわけでありますが、目的としては、共同組織によって共同の利益を増進することを定めておる、そして加入脱退は自由である、営利事業はもちろんやってはいけない、公益法人だ、こういうことでありますが、実際地方の各県の土地改良事業団体連合会は、その共同の利益を増進する目的で、事業をやっておるわけではありますけれども、加入脱退が自由であり、なかなか賦課金の徴収ということも、十分思うように目的は達成されておらない。で、各土地改良区に対するサービス機関として、非常に財政上困窮をきわめておるのが実態でありますが、こういうことを規定している以上は、国はある程度、たとえば職員費の若干なり何らか国が財政援助をするということは、私、非常に必要だと考えておるのですが、全然政府はその問題を取り上げられておらない。局長は実際地方の土地改良事業団体連合会の実態というものをよく御承知かどうか。どうしても運営が困難であるがゆえに、非常に苦しい県の財政の中から、若干の援助を受けたり何かしてやっておるというのが実態でありますけれども、国としてやはりこうした公益団体、営利は一切やっちゃいけないという公益団体について、ある程度国がてこ入れをしてやる必要があるのではないかというふうに私は強く感ずるのですが、局長のお考え、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/54
-
055・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 各種農業団体が、特に最近におきます人件費の上昇傾向下におきまして、非常に経営が苦しくなる、これは土地改良連合会のみならず、各方面に非常に著しくあらわれて出ておる実態と私ども十分理解をいたしておるわけでございます。で、したがいまして、今度は一方、各法制等に基づきましてできております団体に対します人件費補助の御要請というのは、農林省の各部を通じて、非常にまた強いわけなんであります。で、一方、その任意協同組織体に対しましての人件費の援助はしてもいいではないかという感じを持っておるわけなのでございますが、現実問題としては、なかなかこれは毎年のことでございますが、予算化には非常にやっかいな問題、御承知のとおり非常にやっかいな問題なのでございます。そこで、ストレートに人件費を補助するという方法以外に、その団体の存立目的から申しまして、有益な協同組織として、下部に対する情報提供、調査研究、事業の指導、技術援助の本来の仕事の中で、国が援助をする道を何とかして見つけていくという形において、その団体等に対しまして御援助をしたいということにつきまして、実は農林省各局相当苦心を毎年いたしておるところでございます。土地改良連合会も、ただいまお話がございましたが、確かに経営が困難である、まあ賦課金が大体そうあがるわけではございませんが、人件費がむずかしい、こういう問題でございますので、私どもといたしましては、連合会が連合会員に対しましてするサービスのうちで、国が援助しても妥当だという部分を発見して、これに補助金を出すという方向で努力をいたしたいし、若干努力をいたしてきておるわけであります。御承知のとおり団体営土地改良事業が行なわれる場合に設計等がなかなかできない、これを連合会なり土地改良区なりがやってやる場合にそれを補助するという形の事業もその一例でございます。こういう方向でいろいろと研究はいたしてみたいと思っておりますが、御指摘の直接の人件費補助についてどう考えるかということでございますれば、過去の経験等にかんがみまして、なかなか実現の困難な問題、かように事務的には考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/55
-
056・櫻井志郎
○櫻井志郎君 団体事業の測量設計等に対して若干の補助をしておるというお話でございますけれども、それは私は承知はいたしております。承知はいたしておりますが、県によってそういうやり方をしておるところもあれば、そうでなく、県自体としてその事業を取り上げてしまって、県がやっておる、事業団体連合会は全然関与をさせられる場を失ってしまっておるという県もないでもありません。私はその実例を承知して言っておるわけですが、ほんとうにいま局長が言われたようなことが明確な方針として行なわれるとすれば、いかなる県といえどもそうであるべきだということを、農林省がはっきりこれを規定するということも一つの方法論ではなかろうかと思うのですが、その問題と同時に、局長の御答弁の中に職員の費用が非常に上がってきておる、職員の費用の負担に四苦八苦しておる、こういう過程においてこれに対して補助をすることもいろいろ考えておるが、なかなか実現の段階に至っておらない、まあ局長としては事務的な答弁しかできないとは思いますけれども、ぜひそれは実現されるように今後一そう努力をしてもらいたいというふうに考えますが、その二点に対して、もう一度答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/56
-
057・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 去年六千五百万円、ことし八千万円、団体営調査設計補助費として予算に計上いたしておりますが、これは市町村や、土地改良区や、土地改良事業連合会等、県以外のものが調査設計をやった場合に、県がそれに補助金を出す場合に、その補助金の半分を出してやるという制度でございますので、県がその補助金を使ってしまうということはあり得ないと存ずるわけでございます。かつ具体的な事例でございましたので、調べてみました。この制度がそういう趣旨どおり動くように是正をいたす、具体的なケースについては是正をいたしたいと、かように存じます。
それから人件費補助の問題でございますが、これはまさしく気持ちの上ではそう思っておるわけでございますが、おそらく全農業団体にやや共通いたします問題でございます面がございまして、率直に事務的に申しまして、非常に困難な内容を含んでおる問題であると、かように思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/57
-
058・櫻井志郎
○櫻井志郎君 もう一つ。四十二条に「(権利義務の継承及び決済)」というという項目だったと思うのですが、この土地改良事業をやっておる最中あるいは事業が完了してから、まだ負担金というものが完納されておらない段階において農地が転用されていくという場合においては、法的には一応すっきりした書き方がここでしてあるようでありますが、実際上は、ここで書いておることが行なわれていないように私は理解しておるんですがいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/58
-
059・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 四十二条の決済につきましては、率直に申しまして非常に厳重な運用をするように在来指導されておりましたことは事実でございます。しかしながら最近におきまして、御指摘の転用等の事例が生じまして、要するに建設費等の負担が、やはり現実問題として残った土地改良区として非常に問題であるということが十分意識されてまいっておるわけであります。そして、かつその実態下におきまして、私どもも調査をいろいろいたしておるわけでございます。相当の大きい地区におきまして活発に四十二条の決済を行ないまして、事態の好転をみた地区も具体的にあるわけであります。私どもはこの事業費が決定いたしております限り、この決済でそういう事態を整理するように、残った人が著しく不当に負担をかぶらぬように、こういうふうに今後とも積極的に指導をいたしてまいりたい、かように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/59
-
060・櫻井志郎
○櫻井志郎君 いまの局長の御答弁は、うまくいっているところもあるという御答弁ですね。まあこんなことを、具体的に私は例をあげて言う必要もさらさらないとは思いますけれども、たとえば百町歩なら百町歩の受益面積を持って事業が計画され施行されつつあり、あるいは施行された。その百町歩のために必要な、たとえばかんがい設備なり、排水設備なり、水源設備なりというものをやっておる、あるいはやる。その負担金が完納されないうちに、そのうちの何十町歩かが他に低用された。ことにこういう高度成長の時代においては、農地の転用というものが好むと好まざるとにかかわらずいろんな要素から行なわれていく。残った者が、最初百町歩の受益者でもって負担するというのが、残ったものがたとえば五十町歩になった、六十町歩になった。そういう人たちがその費用を全部かぶっていくということになると、これは先ほどあなたが費用、効用云々という問題を述べられましたけれども、それ以上に実態的にほんとうに農業をやっていこうという人が非常に苦しい場に追い込まれてしまうような事態が発生しておる。この法律条項が完全に実行されておるならば、そういう事態は起こらないけれども、うまくいっておるという例も述べられましたけれども、それはまさにそのとおりでしょう。しかしそれを裏返せば、うまくいっていないところも多々あるという問題ではなかろうかと思うんですが、この法律条項というものを十分生かしていく措置についての農林省のお考えというものを、最後にお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/60
-
061・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 私、最近これが動いている事例がふえておると申しましたことは、決済しなければならないということでなくて、決済できるという規定でございますので、連合会等が次第に決済に関する諸規定を積極的に制定をしまして、制定をしてこれを実行しようという形に入ってきておるという趣旨でございます。やる気がないというか、それほど転用も激しくなかったので、おおらかに考えて、この決済に対する規定等を土地改良区等でも整備をしておらない、まあよかろうというようなことでやっておった面もあろうかと思います。私の申し上げましたことは、四十二条の決済をきちんとやらないと、あとがたいへんだという認識も徹底いたしてまいりまして、土地改良区の中でこの決済の規定を総合その他できめまして、これを運用して、残った人が過重な負担を負わないようにしようという諸規定を制定するケースがふえてまいりました。私どももそういう面に沿って積極的に指導をいたしてまいりたい、こういう趣旨で申し上げた次第でございます。
それから立ちましたついでに、まことに恐縮でございますが、先ほどの冒頭の答弁におきまして私間違えましたので訂正さしていただきますのは、第一条の「政令で定める計画基準」の問題でございますが、第一条では削除をいたしましたが、これは各条項、たとえば八条、四十八条、七十二条、八十七条というふうに、それぞれの個々の土地改良計画の審査なり、決定なりの際に、政令で定める基準に従わねばならないというふうにはめ込んでいったという趣旨でございまして、政令で定める基準そのものは法律にあがったわけではない、政令で同様に考えるというふうなことに訂正をさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/61
-
062・櫻井志郎
○櫻井志郎君 局長に対する質問は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/62
-
063・野知浩之
○野知浩之君 私はいま櫻井委員からいろいろ御質問がありましたが、その中で抜けているものもあると思うので、それについて二、三お尋ねいたしたいと思うわけでありますが、御承知のように先週提案理由の説明があったわけでございまして、これは大体六つの項目に分かれて大きな改正を行ないます。こういうぐあいに説明をされているのであります。それでまず第一にお伺いをいたしますことは、この制度改正にあたりまして、基本方針を一体どういう方針について考えているか。つまり土地改良制度の政策的の位置づけというような問題についてお伺いしたいわけでございます。
それからいまいろいろお話にもありましたように、かん排事業とかあるいは干拓事業、これは生産性の向上に役立たせるというような事業で生産政策というようなことともなると思いますが、それから農業基本法の中で大きく取り上げておられる構造改善、これに期待する構造政策というもの、それぞれの位置づけを一体どういうぐあいに考えているのか、また公共的性格、こういうものについてどういうお考えがあるのか。これは衆議院の段階でも相当議論をされておったと思いますが、この速記録をいろいろ読んでみますと、どうもはっきりしない点があると思います。こういう点について簡単でいいんですが、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/63
-
064・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 現行土地改良法にも書いてはあるんでございますが、農業生産力を発展させるために農地の改良、開発、集団化を行ない、食糧の生産の維持増進に寄与するのだということで書いてございます。法律に書いてありますというのみならず、仕事の運営が何と申しましても、終戦以来増産という面で土地改良が果たした役割りが大きいわけでございますが、同時に増産という角度から事業が行なわれてきたことも、やはりいなめないと存ずるわけであります。そこで基本法もできました際でございますので、そういう考え方そのものを否定するわけではございませんが、それと同時にやはりその農業の生産性の向上の問題あるいは選択的拡大の問題、農業構造の改善に資するという点をもっとこの法律の施行にあたりまして関係者一同胸にして仕事を進むべきであるという一つの立場が、一条の改正の動機でございます。と同時に、法律の改正内容におきましては先ほど来お話も出ておりましたが、草地等は法的にいろいろ疑義もございましたし、法律の手続によらずに造成されておりまして、トラブルもないわけではございませんので、明らかに草地造成も今後大いに進めるという立場に、選択的拡大と関連があるわけでございますが、取り込んで、農用地の開発という法制として整理をしよう。それから、農業構造の改善の問題といたしましては、やはり集団化、圃場の整備ということが非常に重要な問題でございますので、区画整理事業というようなものの概念を拡大いたしまして、まああわせていろんな圃場の整備が一ぺんに行なえるように事業の手続を簡素化、整備しよう。あるいは、ことに換地の問題等につきましては、在来なかなか十分な意識を持って行なわれておりません。少なくとも集団化に関しまして法律が動き出せるように、あるいは関係者がそのつもりになってやれるような法制に直すというような面は、農業構造の改善に資するという立場にからむわけでございますが、なお土地改良計画を定めましたこと、あるいは上からの土地改良事業の道を拡大いたしましたこと等、これらの問題は、この一条の改正と見合って考えられたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/64
-
065・野知浩之
○野知浩之君 そうすると、局長の御意見によると、これは速記録を読んでもわかるのですが、生産政策と構造政策というものを切り離しては考えない、一律的に、一義的に考えていくんだ、こういうことでございますが、大臣の答弁の中には、生産政策のほうをむしろ一義的に考える。従来のいわゆるやってきた土地改良事業、これはかん排事業というものがたいへん大きなウェートを持ってやってきておるわけですが、こういう点に重点を置くのだ、こういうように解釈される向きがあるのですが、長期計画作成という観点から立っても、これは大きな問題になってくると思うわけですが、その点はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/65
-
066・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 大臣も衆議院においてお答えいたしましたし、法律の第一条にも総生産の増大に資するということは、明文をもってうたっておるわけでございます。日本の総生産の増大、あるいは一定の自給率の確保というような問題等は、大事な問題でございまして、このことを一向に否定するわけではございません。その面のほかに、その選択的拡大、農業構造の改善というようなものを、十分必要性がありますので、法律もそれを問題意識として目的に意識いたしますと同時に、それに役立つ法の部分の改正を補強いたしておる。こういうことでございまして、決して生産政策としての土地改良政策は、もはや要らないんだという趣旨では毛頭ございません。あわせて、並行して生産性の問題、構造の改善の問題、選択的拡大の問題等を、土地改良の事業の推進に当たる目的及び原則の問題として鮮明にいたしたというのが、一条の問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/66
-
067・野知浩之
○野知浩之君 まあこの問題について長くやると、時間がありませんから、これはこの程度にして、またの機会にということにいたしますが、ただいま櫻井先生からお話がありました長期計画の問題でございますが、局長の御答弁によりまして、長期計画の作成の内容とか、いろいろ具体的な方針、こういうものについてはいま承って十分わかったわけでございます。そこで、私どもが一番心配するのは、ただこの長期計画というものをつくって、十年なら十年の総事業費だけを出して、これを毎年この中から小割りに予算を要求していく、こういうようなことになると、いままでやってきた事業と同じように、どうもやはり農業の面の予算というものが一向ふえない、こう思うわけでございます。というのは、あとからこれは申し上げますが、いままで団体営事業をやる際に、特殊立法というものがあるわけです。これが七つございます。この特殊立法が二十六年ですか、時限立法でもって五年間の期限で制定をされた、その際に、振興計画というものができたわけでございます。これは二百三十万町歩ぐらいの振興計画があったわけでございますが、この計画を逐年やってまいりまして、その実績を見ますると、これは一回延長して三十六年まで、それから三十六年から四十年までと、こういういま三回日の延長をしておるわけですが、三十六年までの実績というのは、おおむね五〇%程度しかいっていない。これは結局、ただこういう振興計画を立てた、これがいわゆる団体営事業の長期計画だ、こう半面はとれるわけでございますが、十年間に半分しかできないのだ、こういうことになるというと、今度せっかく農林省がいまの局長のお話しのように、個々の表を積み上げて、ただいま電子計算機か何かでもって計算しておる、こういうお話に承ったのでございますが、そうなると、結局最終のトータルが幾らであるということだけを出しておいたのでは、その団体営の振興計画とちっとも変わらないような事態を将来起こし得ると、こう考えるわけです。そこで、私の考えるのは、ひとつこの際、せっかく清水の舞台から飛びおりるような、こういう一章の二というような長期計画の章をつくったのだから、この際ひとつこれは年次計画というものをつくって、その年次計画に基づいてその予算の要求をする、こういうようにしなければ、二の舞いをまた踏むのじゃないか。これは衆議院の大臣の答弁の中にも、とにかく毎年の予算が十年の長期計画、これに見合って、もしこれと著しく違うような場合には、これはもうこんなものつくっても何にもならないのだというように、これは三十六号か何かに書いてあるのです。これははっきり。そういう意味で、特にその年次計画というような問題を強く打ち出すとか、あるいは先ほどのお話にあったように、治山治水五カ年計一画とか、あるいは道路五カ年計画というような公共事業として、強い力でもってこれを推し進める、それとも国の債務負担行為、こういうようなことで継続事業というたてまえをとっていく、こんなようなことにしておけば、振興計画、団体営の計画のようなおかしなことになっていかない、こう思うわけでございます。まあそういうような点について、年次計画を立てていきたいというようなお考えがあるのかどうか。あるいは先ほどお話にありましたように、この所得倍増計画のアフターケアというものを四十三年までに云々というお話がありましたが、この関連は、いま御説明がありましたからよろしいわけでありますが、ほかの省でいまやっておる、建設省とかあるいは通産、こういうところでやっておる国土総合開発計画、あるいはいま申し上げた各種の特殊立法による振興計画、こういうものとの関連性が一体どうなっているのか、もう少しちょっと詳しく御説明願う。それからさらに、現在実施されておる土地改良聖業につきましては、事業量とか、総事業費、これはすでにきまっておるわけでございます。それで、この長期計画の中にこれを含めて考えるのかどうかと、こういうような点について、もう少し具体的にひとつ話を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/67
-
068・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 長期計画につきましては、今後ともいろいろ各方面の御意見を承って具体化していくべきものと存じます。まあ、われわれが何ものかをきめてしまって、これでいくのだということでは、根本的にまずないわけでございます。組み立ててまいります基礎資料、諸要素につきましては、先ほど来申し上げた次第でございます。おっしゃいますとおり計画を立てまして、それが宙に浮きまして毎年の予算なり何なり等無限になっていくということでは、せっかくこの法律に条項を設けました長期計画としては、おそらくせっかくの意味がないという点は、私どもも全くそのように存じて、そういうことにならない長期計画を作成すべきことが法の要請である、かように考えるわけでございます。具体的にお話のございました年次計画的につくったらどうかという問題につきましても、われわれもいろいろ検討いたしてみたわけでございますが、たとえば治山十カ年計画、各種の長期計画でございます道路、港湾、その他いろいろございますが、やはり一つの大きな問題は、予算単年度の原則の問題でございます。やはり予算は毎年国会の御審議の上に予算をつくっていくという大原則がございまして、むしろ毎年の予算をつくっていく場合の基本的な考えとしては、ロングランの長期の計画をつくっておく必要があるという意味のことは、よくわかるわけでございますが、この長期計画で毎年の予算を確定してしまうということは、やはり問題があるという面がございまして、やはり治山、道路等につきましての年次計画を閣議決定して公表するという形はとっておりません。事務的には当然年次計画というものがあるべきでありますし、私どもも考えておるつもりでございますが、年次的な計画として何年間の分を年次別に閣議決定してしまえば、閣議の中には大蔵大臣も入るわけでありますが、それはやはり国の長期計画、立法との関係をいろいろ研究してみましても問題があろうかと存ずるわけでありますが、事務的にその年次計画を持ちまして、その上に単年度予算の獲得、確保を求めていく、こういう考え方に立つべきものと、かように考えております。
それから地域立法、それから特殊立法との関係をどうするのかという問題がございましたが、たとえば北海道の第二開発計画等いろいろ数字的なものもございますが、この四項で案を作成しようとするときは、関係行政機関の長、都道府県知事の意見を聞かなければならないという制約もつけてございます。それぞれの地域立法の計画、それから国全体の財政計画、それから私どもが一番実務的に考えておりますところの総合調査、こういうものを総合的に判断をした案につきまして御相談をする、こういう形に意見を求める、そして閣議の決定を求める、こういう段取りになるべきものと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/68
-
069・野知浩之
○野知浩之君 それからいま一つ落ちているが、いまやっている事業、これに入れるのか、入れないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/69
-
070・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 究極的には、この長期計画を年次に分けまして毎年の予算を確立いたしていくということになるわけでございます。それから土地改良事業等は十分御承知のとおり、継続面が圧倒的に多いわけでございます。計画の中には当然根っこのといいますか、ベースとして計画事業費を入れなければこの意味が成り立たないと存じまして、私どもは当然計画継続事業を入れる。問題は、継続事業をどの程度にあげてしまうかという立場においてこの十カ年計画の内容に取り込んでいく、年次計画にも取り込んでいく、こういう形になるべきものだと、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/70
-
071・野知浩之
○野知浩之君 そこで問題があるのですが、いま農林省の農地局でやっている公共事業というものは七百七十億か何かありますね。そうしますと、あなたのところからもらった資料で「要土地改良調査」という三十九年四月の資料があります。これの中を見てみるというと、三十二ページ、「表15−1」というところに、「要土地改良区面積」というのがあります。これは冒頭、こういうことが書いてあるのですね。「この調査の目的」という(1)の欄に、「この調査は、これから農業経営を改善していくために、どこで、どのような種類の土地改良事業が、どのくらい必要と考えられるかということを、農民の要望をもとに調べて」云々と、こういうようなことで全国的な概要を明らかにしようということをおもな目的として行なう、こういうことで行なった要土地改良面積が15−1になると、そうすると、水田だけをとってみまするというと、三十三ページの一番右の下のほうに三百五十万六千町歩、こういうものが用水改良とか、排水改良、用排水改良、冷水改良、暗渠排水、客土、区画整理、こういうもので三百五十万町歩とにかくあるのだということが、これは三十五年三月の調査と書いてありますが、調べられておるわけでございます。さっき局長は、いま農林省の農政局から個々の表を集めて、集計中であると、こういうお話があったわけでございます。そうしますと、個々の表を集めるもとは、これは県に委託をして集めてきた、こう考えられるわけでございますが、県は、こういう表を何回も書いてつくるというようなことは、ちょっとわれわれの考えからしても、いままでの経験からしても、そう別の表をつくって国のほうに出しますということはなかなかしないですね。これはたいへんにめんどうな調査ですから、一度やると、そのやったものを土台にして、それに多少の手を加えて国のほうに提出すると、こういうようなのが現状なんです。それで水田だけで三百五十万町歩というもの、一体これだけやるのに、どれくらいぜにがかかるのだということを考えてみると、まずことしの三十九年の採択地区で県営が二十六あるわけです。それで団体までかかりまして、総事業費が百四十三億円ということで、面積は二万三千五百二十六町歩、こういうぐあいになっております。それでこれを反当事業費に割り算をしてみると、六万一千円かかるわけですね。百四十三億を二万三千五百町歩で割ればいいのですから、割ってみると六万一千円、県営がその中で六十三億ございます。そういうことで、六十三億を二万三千五百町歩で割りますと、反当事業費としては二万五千六百円かかる。そうすると、いまの三百五十万町のそれぞれの用水改良とか、排水改良、こういうものに見合う反当事業費、たとえばあと二、三年たてば長期計画ができるような時期というと、もっと物価も上がっておるということで、反当事業費の二万五千円が三万円ぐらいになったと、勘定が楽なように三万円ということで、水田改良が一番下にありますが、百七十三万三千町歩とありますが、これにふっかけて、あるいは排水改良を三万円として四十三万八千町にかける用排水改良は、これは用水が排水と重なっておる、こういう関係で、反当たり四万円くらいかかるのじゃないか、こういう想定のもとに十三万六千町にかけてそれぞれずつと適当な反当事業費を考えてかけてみると、一兆三千億くらいの費用を要する、こういうことになっておるわけでございます。それでこの一兆三千億というものを十年でやるということになるというと、千三億円の費用が要るのじゃないか。千三百億の費用で、いま農地局の公共事業費のうちのかん排の費用は幾らかというと、かんがい排水改良全体の予算が三百三十二億と、こういうことで、これは国費ですから、これを事業費にかえると、まあ槽とか、ちょっとそれを上回ると思うのですが、倍になったって六百六十億と、まあたかだか七百億程度だ、こういう事業費だというととても間に合わない。このほかにその裏の表の2というようなものがございますが、こういうものにそれぞれの至当と思われる単価をかけてみても、少なくとも二、三兆というような金が要るのだ、そうするというと、やはり十年でこれ割ってみるというと、二、三千億の予算が、要るぞと、こういうことになるのですね。そうすると、農林省はいままでの予算要求は五〇%程度出しましょう、出しなさいと言われていたんじゃ、これはとても革命的な予算どころじゃない、ますます引っ込んでいってしまう、こういうことになって、まことに憂うべき現象があらわれるわけでございます。そういうようなこと、及びもう一つは、半面いま農林省が水利資産の調査というものをやっておるはずでございます。この水利資産の調査、これをやってどのくらいになるかという金額は、まあはっきりしていないと思いますが、土地改良の全国の連合会で大体推測してみると、三兆くらいある、これはほんとうかどうかわかりませんよ、三兆くらいあるということを言っているのですね。そうすると三兆というものを十年でもってやる、十年でやることがいいかどうかということは、これは別の問題ですよ。コンクリートのダムなどは耐用年限が八十年、コンクリートの水路は耐用年数が農林省は四十年というようにきめておると思いますが、こういうものもあれば、あるいはそのブロックとかあるいは掘りっぱなしの水路、こういうものもあるし、あるいはポンプ、こういうものはつくってから大体十年なり十五年たてば、もう一度改修せにゃならぬというような時期になるのですから、まあ二十年でやったとしても千五百億はその水利資産調査をやるのに必要だ。このほかにまだ構造改善だとか、何か選択的拡大のいろいろの事業を推進していく上において費用が相当要るのですね。そういう点から見て、やはり相当の決意をもって年次計画をおっ立てていかないことには、とてもこの長期計画をつくっても、たいした意味がないじゃないか、絵にかいたぼたもちになってしまうというようなことでは困るから、実は聞いておるのです。これはひとつ——いいですわ。あなたと私と何回やり合っても、なかなかいい答弁をしてくれないと思うから、私が試算をしてみても、そのくらい金が要るのだということをひとつ頭の中に入れて、しかも、この県から出したこの「要土地改良調査」というのは、今度の長期計画においても、こんなものしか出てきませんよと私は思うんですよ。そういうことを申し上げて、その次の質問に移りたいと思います。ひとつよろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/71
-
072・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 一つだけ申し上げたいのでございますが、実は要土地改良調査は、ごらんになっておわかりのとおり、用水改良を要する面積はどれだけあるか、排水を要する面積はどれくらいあるかということで、
一応事業化の可能性、あるいは工事によって改良の可能性を一切査証しております。そこで、そもそも、どういう事業をやったらばどういうふうに改良できるのかという問題が、実はこの調査からは出てまいりませんので、総合調査の面ではこの事業化の可能性なり、どういう事業をどうしてやれば、この部分の中のどれだけが改良できるかという角度の観点からの調査をお願いいたしておる。実態何もかも御存じの野知先生ですから申し上げるまでもないのでございますが、そういう意味での事業化の問題をひとつ査証としてかぶせておりますけれども、これは事務的に御参考までに申し上げさしていただきます。そして、確かにこの長期計画におきまして、日本の農業をりっぱに当盤整備をしようということは、なみたいていのことではないと存ずることは、重々御注意をありがたく承っております。なお、先ほど来所得倍増との関連、その他を申し上げておりますのも、やはり国民経済の伸び、財政の余力というような角度の問題も当然加味してこれをつくりませんと、ある場合には極端な計画になって、やはり実現性の問題についても、いろいろな問題も起ころうか、そういう意味で各方面から締め上げていきまして、妥当性といいますか、納得性のある長期計画を積み上げてまいりますと同時に、土地改良事業の推進に資するというような立場を堅持して積み上げてまいりたい、こういう気持でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/72
-
073・野知浩之
○野知浩之君 それから、次に、私がさっそくお伺いしたいことは、少しこまかくなるわけでございますが、地方の声が非常に高いので、ぜひこの際局長から、いろいろ納得のいく答弁を承りたいと思うことは、現在やっている土地改良事業の実施状況の数点をあげてみたいと思うわけです。先ほど櫻井先生のお話しの中にもあり、また局長の御答弁にもあったのですが、戦後食糧増産ということで、土地改良事業が国家的要請から促進されてきた。しかしドッジライン、ドッジ計画、こういうもので公共投資が圧迫を受けた、それでいささか沈滞したが、まあ、その後食糧不足ということから、また盛り上がって、昭和二十八年あたりが、いままでの予算の最高に達した。こういうようなことでございますが、現在の予算の配分状況というものを見てまいりますというと、どうも予算が少ないという点も大きに影響があると思うのですが、あるいは個々別々の一つ一つの地区の規模が、昔から見るというと、非常に大きくなった、こういうふうな傾向が現在あらわれておりますが、何としても、やはり予算が少ないということが大きな原因であると思いますが、総花的に予算を配分するとか、あるいは同一事業内の国営、県営、団体営、こういう重なった事業間の実施面において、非常にアンバランスがあった、跛行状態では、なかなか経済効果が早期に発揮できない、国家投資の効率的利用が得られないというような現象で、ぐずぐずしているうちに、工事費がどんどん値上がりになり、それからそのために県や農民がよけいな負担もしなくちゃいけない、こういうような弊害を招いておるという批判が各地であるわけでございます。まあ、これについては実例をあげてお話をすればいいのですが、あまり実例をあげるというと、農林省のほうでお困りになるのじゃないかと思うから、その点は一応実例はやめておきますが、とにかく非常に一貫施工というものが欠けている。それで今度の法律改正でいろいろ説明をしております。たとえば、提案理由の第二に詳しく書いてありますが、圃場条件の整備のために必要な事業を一つの施行手続をもって実施できるように手続の簡素化をはかる、事業の総合的な実施をはかるために、相互関連性の深い二つ以上の土地改良手業をあわせて施行するための手続についての規定整備を行なら、申請によらない国県営事業の範囲の拡大とか、特別会計事業として団体事業とあおせて行なう防災事業、これは富山県の小矢部というような事業ですが、こういうものの規定、こういうものを取り入れて、いままでよりもぐっと前向きになったと、こう考えられるのでございますが、しかしこういうぐあいに前向きにしても、はたして早期完成というような問題、一貫施行という問題ですね、跛行施行、こういう問題がどの程度解消できるかということについてひとつお伺いしたいと思うわけでございますが、まあたとえて申し上げますというと、農林省の現在やっておる実施中の事業で、着工から完成までの予定時期ですね、これを調べてみるというと、一般国営の継続地区というものがこういうふうにでかいものがあるのですが、これを見るというと、まず国営について十二地区あるわけですが、その十二地区の総事業費というものが四百二十二億二千八百万円あると、こう導いてあるのですね。それで三十九年度の予算は二十九億三千六百万円であるから、これを割り算してみるというと、平均十四・四年かかる。しかも三十九年以降の残額というものは百九十一億四千七百万円ある。それで三十九年並み予算ピッチでやっていきますというと、あと六・六年かかる、こう書いてあります。さらにこの中で一番古いものの例をあげますというと、新潟県に阿賀野川というのがあるわけですが、これは農地開発営団というものの引き継ぎ事業でありまして、昭和十六年に着工しております。それで農林省の完了予定時期というものを調べてみるというと、昭和四十一年と、ころいうことになっております。さらに、これを昭和十六年に始めたということだから、大体三十九年までに二十四年ですね、昭和四十一年、あと二年を加えるというと二十六年間かかる。こういうことで、そのほかの地区でも相当五年から十年ぐらいかかる地区が非常に多い。それからさらにかん排事業と開拓と一緒にやっている総合事業というものがございます。この跛行というものが相当ひどい。これは例をあげると支障がありますから例はあげませんが、とにかくかん排がすでに完了してしまっておるが、開墾事業はまだ一七%しかできていないというような地区があります。そうなるというと、かん排は、完了してから翌年から費用の償還に入るわけでございます。そういうことで開墾のほうが、開拓がまだまだ一七%、ほんとうに緒についたばかりでかん排が償還に入ってしまった、効果も何にも上がらないうちに金を取られるのだというようなことになると、これは地元も非常に困るわけですね。そういうことのないように特に御注意を願いたい。
それからさらに、いま国営の話でしたが、県営についても同じようなことが言えると思います。詳しい数字はここに書いて持っておりますが、時間がないのでみんなへばっちまうからやめておきますが、昭和三十年以前に着工した地区というものは、これは幾つあるかというと五十八地区あります。その五十八地区について総事業費は三百五十九億あるわけです。これに対しまして、三十八年までに使った金額というものは二百三十三億ですから、引き算をすると残額が百二十五億ある。そうすると、三十九年の県営予算というものが百三十億でございしますから、おおむねこの三十九年の予算を全部持っていって昭和三十年以前に着工したものが完成すると、こういうことで歴史的なとにかく戦争前の地区が五つあると、こういうものをまだ農林省がかかえておるということは、すでにおかしな問題なんですね。これは、われわれもこういうものをずいぶん解消しようと思って努力してきたのですが、この際局長はひとつさらに努力されて、来年はこういうものはまあ全部完了だというようにしてもらわないことには、とてもどうしようもないと、こう思うわけです。そこで、県営事業というようなものは、これはもう着工から五年ぐらいをもってやってもらいたい、こういうことが私の希望だ、それでまた、これに対して局長は一体どういうお考えを持っておるか。いまの跛行状態と、それから早期完成、こういうものに関するお考えをひとつ聞かしてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/73
-
074・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 私、ごく最近農地局長を拝命いたしまして、全地区につきまして非常に良心的に問題を調べあげております。その際に非常に反省をいたしております問題がございまして、それは先ほど櫻井先生の御質問にもありました関連する法一条との関係にもからむわけでございますが、ともかくつくれということで手をつけた。つまり計画面での審査におきまして、誤りといいますか、足らざるところはなかったかというスタートの問題と、それからもう一つの問題は土地改良事業は最終的に農民負担にかかわるものでございますので、地元の同意、ほんとうに納得の上にスタートをしたか、この辺はやはり戦後のやむを得ない事情であったろうかと思いますが、私は事業が先行したのではないか。そこで、先ほど県営等で非常に古いものが残っておりますのは、残るなりにそれぞれ理由のあるものが多いようでございます。つまり相当でき上がってまいりましたときに、地元はそんな話は聞いてなかったという負担関係面からのトラブルが、極端に申しますと事業をストップさせて、二年くらい三年なりストップして、その解決に苦しんでおりますような県営事業も少なくございません。それから国営等におきましても引き続き計画変更、計画変更ということが起こりまして、やはり当初の時期に予算とのかね合いもやはり十分つけ得ない。地元の要請もあったと思うのですが、相当の部分で上のほうで断ち切りまして事業を走らして、計画変更をやはり何度もやらざるを得ないという形におきまして、本来なら、当初計画なら終わっておるものが継続地区として残る、こういう問題もございます。要するに、私、反省と申します問題としては、着工にあたっての計画の面におきます良心的な審査と、それから地元の納得ということが、土地改良法手続の厳正なる履行というこの仕事を、たとえば事業のストップとか、計画変更とかいう意味におきまして延引させることを防ぐ非常に重要な点というふうに考えておりまして、農林省農地局といたしましても、数年前からこの点には十分留意をいたし、新しく着手する事業につきましては、そういうことの起こらないようにというような努力と配慮をいたしておる。それにいたしましても、要はやはり財政の規模、年々の予算と事業の広がりとの間に問題があろうかと存じますが、広げた以上、早く上げなければいけませんので、国費の充実をはからなければならないわけです。まあ、そういう国費の充実をはかるにつきましても、ただ命をよこせということでなく、やはり長期、ロングランの計画の上に、一つの主張を整理いたしまして、競合する社会投資の場におきまして、農業投融資のあるべき位置を獲得する、こういうことを通じまして、この仕事は、やはり最終的に農業に投下されます社会投資の総ワクの拡充という道を通じて解決をしなければならない問題であろう。手続的な問題、事務的な計画面の問題につきましての反省、それから予算面の社会投資の充実への努力というものを通じまして、御指摘のような弊害なり、不ぐあいな場面の是正には最大の努力をいたしたい、かように存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/74
-
075・野知浩之
○野知浩之君 いま局長のお話で、大いに努力するということだからいいんですが、この前のことが、どうも、地元のトラブルだとか、あるいは計画変更によって、仕事がおくれておるというようなことになると、これは時間がないから言わないのですがね、一言大いにあるわけなんです。これは。そういうことは抜きにして、とにかくもう少し、これから長期計画もつくろうというときだから、もっと予算をつけて、早く完成してやるという決意をいま承ったから、ひとつ一段の努力をもって、いまのような跛行のないようにしてもらいたい、こう思います。それはだいじょうぶですか。重要なところだからひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/75
-
076・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 大臣、政務次官もお見えになったら、念押しをしていただきたいと思いますが、私どもとしては、職掌柄当然のことと考えて、激励として承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/76
-
077・野知浩之
○野知浩之君 それから、もう時間がないから、ひとつ簡単に質問をいたします。特別会計の問題でございますが、これは七年完了ということで昭和三十二年に始まって、二十六国会でいろいろすったもんだを起こしたわけです。この特別会計の問題については、どうも現在の事業の進度を見てみるというと、すでに三十二年にとった地区が四地区ございます。これは私が言わなくても、局長よく御存じです。鬼怒川とか、濃尾、それから宮川、道前、道後、こういうものが四地区、昭和三十二年に特別会計地区として採択になって、七年といいますと、昭和三十八年、去年すでに工事が完了していなければならぬような事態になっているはずです。ところが、農林省の日程を見てみますというと、四十年ということになっておるわけです。いまの予算規模では、四十年にはちょっと完成しそうもないと私は思うわけでございますが、ついでだから私は、調査室でもって二十六国会のこれに関する問答を借りてきて、読んでみたのですが、これを読んでみますと、まず大蔵省の中尾政府委員は、こういうことを言っているのです。「財政計画といたしまして、これが工専を七年以内の期間で完成するという計画に沿うように組んであるものでございます。」七年でやるということですね。それから、さらに、「七分の一を本年度組んだということでは決してないのでございまして、ことしの予算の問題からいきますと、これは数字は七年間に完成できない予算になっておるではないかという御質疑でありますが、決してそういうことではないのでありまして」、大きな事業もあり、小さな事業もあり、それでこの七年ということはもう間違いないのだと、しかも、「先ほど御答弁申し上げたことそのままでございます。それからこれを七年で完成するという方針になっております。」と、こうはっきり、七年に完成する方針になっておるということを言っておるのですね。しかも、安田政府委員は、「特別会計におきましては、新規事業も継続事業も、原則として七年で完成をすることを建前としておるのでございまして、これは政府としましては、非常な物価の変動とか、天災等が起きた場合とか、客観的にやむを得ない事情以外は、それで完遂をいたすことを前提といたしております」こういうことを書いてあるのですね。もうはっきり、大蔵省の役人も、七年で終わらせるぞ、こういう方針でやっていくのだと、政府、農林省当局も、七年でやることをたてまえとして、特に非常な物価の変動とかあるいは天災によって、いままでの施設がこわれてしまったというような、こういうときは、七年で完成できないかもしれないということなんですが、一ぺんにことしの物価が、来年、倍になったとか三倍になったとかということはないのです。これは、徐々に、たびたびの本委員会でも言われておるのですが、一ぺんにそんなに大きくなったということは、決してそんなに言っちゃいないのです。そういうようなことを考えてみると、特別会計七年というものが、大体三十二年から四十年とか四十一年とかいうことになると、九年から十年、長いのになると十二、三年もかかる。とにかく国は七年でやる、急行料を二%出しなさい、だから補助率は五八にしますよ、こういうことで補助率を下げて、しかも預金部資金から金々借り入れて、農民に高い負担をさしておいて、しかも一般の国営でも、さっきは十四・四年かかると言ったが、中にはそんなにかからないのがあるのです。そういうことになると、たいへんどうもだましたというようなことになるのですね。こういう点について、局長は、さらに、どういう決意を持っているのか、ひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/77
-
078・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 三十九年度につきました予算ベースで考えますと、八年見当に相なります。
それから衆議院の速記録を読み上げて、大蔵省の中尾次長に御同様の御趣旨の質問がございまして、大蔵省としても、この七年の問題は尊重して、予算の面には格段の努力をいたしておる、今後とも努力をしますという趣旨の答弁がありました。私どもも、そういう経過のものでございますから、当然これを七年と——初年度の問題はございますが、七年程度で完了したい、こういうつもりでやっております。ただ、一つだけ言いわけではございませんが、実は、金をつけて上げちまえと私がやってもだめな事例が多いのでございます。と申しますのは、当初の計画よりもっと水路を延ばしてくれとか、あるいは事業費の改定につきまして地元が紛糾いたしまして、工事をストップせざるを得ない、こういう事態の問題が、実はこの特別会計地区に非常にあるわけでございます。これは金だけつけても実は解決しない、ほかの面におきまして、農林省自身が、あるいは関係当局が、一緒に努力しませんと、金だけつけても上がらない、こういう経過のある地区が、実はこの地区に非常に多いわけでございまして、別に大蔵省を弁護するわけではございませんが、一面にはわれわれの努力の足らざるところ、あるいは当初計画とその後の事業費改定の問題等、いわばわれわれ自身が反省しなければならぬ面の問題もございます。が、ともかく話のついているものは、極力七年ないし八年で上げてしまうという態勢で、最大の努力をいたしておることは事実でございまして、今後ともこの基本線はくずさないでやってまいりたい、さらに一そうの促進をはかってまいりたいと、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/78
-
079・野知浩之
○野知浩之君 ただいま局長の決意のほどを承ったのですけれども、この長期計画が今度できる場合において、特別会計制度というものもやはりその中で行なわれるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/79
-
080・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 私どもは、長期計画ができた際に特別会計制度をやめるというふうには考えておりません。できれば特別会計でやる仕事の分野を、ことしは二本ふやし、昨年も二本ふやしましたが、極力拡大してまいりたいと、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/80
-
081・野知浩之
○野知浩之君 そこで、まああとから話をお伺いしたいと思っていたんですが、ついでだから申し上げますがね、いま局長は、中に計画変更でもっとのばしてくれというような地区がある。そういうような計画変更するのだから、勢い七年が十年になるのだ、こういうようにお話を承ったのですが、そうしますと、今度の長期計画の場合においては、もうすでに、農林省の技術力というものが建設省、運輸省、どこのところへ出しても恥じないような高度な技術屋がたくさんいるわけですね。それで、そういう技術屋さんが設計したものが、なぜそういうぐあいにもつとのばせとか、どうとかというようなことが起こってくるかという疑問が一つあるのです。それからもう一つは、採択基準の問題があると思うんですよ。採択基準によりますと、まず面積のほう、先ほど櫻井委員から目的のところで、いろいろ政令によるということでもって、採択の関係の質疑応答があったですがね、この採択の問題については、もっとお伺いしたいことがあるのですが、これは省きますが、ともかくその採択の際の国営事業は三千町歩以上から五百町歩まで、こういうことになっておりますね。その、五百町までというのは、五百町になっていないと、千町になったり、七百町になったりしている地区が非常にある。そのために、農家の負担が非常に多いから、国営の規制されておる五百町まで末端をのばしてくれ、こういうような希望がこれは当然出ているのですよ、それはね。何もあなただってあれでしょう、商人の生まれじゃなくて、あるいは農家の生まれじゃないかと思うんですがね、ともかく費用のかからないようにするということが、国の農政に対する大きな親心であると思うんです。そういう点から見て、今後の国営事業というものは、もうとにかく規制された五百町までは必ず国営でやるんだぞ、それから下はこれは県営でやるところが、県営は三百町歩以上ということになっておりますから、三百町歩以上になっているのなら、この際もっと勇気を出して、五百町というものを三百町ぐらいまでに下げる、末端面積を三百町まで下げて農家負担を軽くしてやる、こういうようなお考えを持っていただいて、なおかつ、その中の技術的の内容は、いま申したように、農林省の技術屋さんの技術力のたいへんな向上という点から見て、もう計画変更がありません、こういうような長期計画をつくっていただくということが、これは根本の問題だろうと思うんです。そうなれば、七年が十年になったというようなそしりは招かない。何も国会で、私のようなちんぴらに、努力してやりましょうなんて言わなくったって済むわけですよ。そういう点でひとつ、大いに今後は局長の行政指導の面に、長期計画における特別会計事業はもう絶対に計面変更はしません、こういうようにひとつやっていただくと、こういう決意のほどをひとつお伺いしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/81
-
082・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 技術的にぐあいが悪くって計画変更が起こるというケース、私あまり多く見ておりません。問題は、採択の時期におきまして、過去におきまして、先ほどドッジ引き締めとか、三十七、八年の不景気のことを申し上げましたが、土地改良予算が非常に窮屈なときに、末端千町歩ならやってあげるがどうか、それでもいいからやって下さいという形で進行しちゃいましたものを、最近において、やはりいまおっしゃたような事情で、もっと先までやってくれ、こういうケースが過去のものに出ておりまして、三十年ごろからのものは、採択基準どおり大体やっておりまして、過去のものの処理がやっかいな問題になりまして、それを処理することにつきまして、いま、われわれも苦慮をいたし、地区別に特別の事情のあるものは計画変更して、金のつけ直しをやりまして、つけ直しといいますか、増額をやりまして、期限は延びるけれども、御要望に沿うように努力をしている、こういう実態でございます。なお、いまのお話しは、その意気込みをもっとのばして、国営の末端支配五百なら五百をもっと縮めろ、こういう御要望と存ずるわけでございますが、これは補助率の問題、採択基準の改善の問題につきましては、衆議院等でも付帯決議等もございまして、これは不断に努力をいたさなければならぬ問題と存じますが、先ほど来のお話しとの関連におきましてのものは、過去のものが非常に多い、したがいまして、先ほど申したとおり、採択のときの調査なり、同意なりという土地改良法の面におきます納得づくの話というものをきちっとやっていくことによって、今後そういう意味のトラブルなり、是正は極力回避していきたい、前向きには不断の努力を続けたい、かように存じている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/82
-
083・野知浩之
○野知浩之君 そのほかに、団体営についてちょっとお伺いをしておかなければいかぬことがあるわけなんです。団体営の土地改良事業というのが、数の面においては一番多いわけでございまして、現在施行されている団体営事業というものは、万という数をもって数えるぐらいあると思います。しかし、この事業を国が採択するときに当たりまして、ちょっと多いと、たとえば一千万円以下のような工事に対しては、これはもう一本で受け入れていきましょう、ところが、この事業が千万円以上あるいは二千万、三千万、五千万、六千万、こういうぐあいに大きくなっていくというと、一期、二期、三期、四期というふうに分けて採択しております。こういうことになると、勢い団体営の事業というものは、自分たちのほんとうの軒先の工事を、これは改良する事業でございますから、どうしても短日月にやってもらうということが必要になるだろうと思います。まあ早くいって一年、おそくいって三年から四年ぐらい、こういうことが理想であるということは、これは農林省も認めていると思います。ところが、いま申したように、たかだか五千万や六千万程度の団体営の事業が十年もかかっているという実例があるわけです。まあどこの地区ということを言うと局長もお困りになるから、どこの地区というのはたくさんですから、それは私言いませんが、たとえばある地区が六千八百万円の事業費があります。この六千八百万円の団体営の事業は、県営に付帯する事業でございましてさっき申し上げた歴史的な過去を持っている地区の事業なんですね、すでに天龍川から水はもうどんどん入ってきているわけです。県営で、容積改良いたしまして水が入ってきているのです。ところが、水が入ってきているが排水路がない、そこで、末端は尻をつぼめてしまえばどんどん洪水になって水びたしだから、どうしても末端は排水につなげなければいかぬ、そうすれば、いままでなかった水がくるのだから、排水路は大きくなる、こういうことになるのです。そこで、県営の末端として、六千八百万円の団体営の改良事業を三十三年に農林省に採択方を申請をしたと、こういうことなんです。そうすると、農林省は六千八直万円の事業では大きすぎる、これをまず第一期の事業として、千百九十万円の事業として取り上げた、それを三十六年までかかってやりました。それで、次を第二期として、三十七年からただいま実施しているわけですがね、千二百三十万円——こういうような事業で採択をした、それで、これは大体三十九年、ことしで完了ということになるのですね。そうすると、残りは幾らかというと、四千四百万円です。四千四百万円を、いまのような千百万円とか、千二百万円と、こういうことでやっていくというと、まだあと三回かからなければ採択にならぬ、完了しない。こういうことになっていくんで、もうすでに三十三年から三十九年といいますと、どうですか、七年かかっているわけですね。そうすると、同様にしてあと三回やってということになると、平均三年ですから、あと九年かかるのですよ。そうすると、十六年かかるということになるのですね。三十三年から十六を加えてごらんなさいよ。四十九年ですよ。もう歴史的な事業になってきちまうですね。そういうようなことを、これはかん排事業ばかりでなく、農道においても、ありとあらゆる事業においてやっておるのですが、区画整理事業においても、大きな千町歩とか二千町歩の、いま合併して大きくなってますね。そういうような地区においては、大体予算がないからということで、三百町歩くらいで切っちまうわけです。それで、二千町歩のものをやると、七回やるわけですよ。そういうことをやってれば、ほんとうに最後に終わるまでには、もう自分の子供の代になっちまって、親が死んじまうというようなことになりかねないと、こう思うわけです。こういうふうに切って、細分化して今後もやっていくつもりがあるのかないのか、ひとつこういう点について、局長はっきりしておいてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/83
-
084・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 私、実態を最近勉強しまして、悪循環があるような感じを実は一つ持っている問題がございます。それはコントロールをいたしませんと、新規に事業が外円的に横に広がってまいる。新しい事業をどんどん採択していきまして、残事業量がどんどんふえる。そこで、やはり過去におきましても非常に問題になりまして、毎年度とります事業の総事業費というものが、やはり一つの審査の際に問題になっておるわけでございます。そこで、数が多く出てまいり、大きな事業が出てまいりますと、総事業費の壁に引っかかりまして、末端といいますか、第一線では、それでは切って出そうといって、一期工事で出せば入るかもしれぬからということで、切って出ております。そういうことをやりますから、いま御指摘のように一期、二期というような形で出てくる。こういう問題点がある。よく考えてみますと、やはり団体常専業の中で、一つの大きな事業がどかっと食うと、ほかの関係が非常にお困りになるというのが、県なり、何なりの実態から発生した問題ではないか、かように考えるわけでございます。そして、私どものいまの考えといたしましては、団体営の事業の中で大きいものを、御承知の県営圃場整備、これはかん排も、あらゆる吸収し得るものは、県営圃場整備として二百、三百という大きなものはそれで処理することによって、いまの大きな問題を配意してまいりたいということで、県営の事業の圃場整備を、いわゆる県営のかん排興業の外に制度化いたしまして、そういう問題の改善に資したい、かように考えておるわけでございます。が、要は、やはり先ほど来のお話は、せんじ詰めますと、土地改良事業の全体のワクを拡大する。小さい、少ない場合には、それをいかに適正に配分して、事業の効果を一カ所ずつあげていくか、外側に広げて、薄く広くという形を歩むかというむずかしい問題であるわけでございます。要は、やはり総額を拡充していくということが、問題解決の根本的な対案と、かように存ずるわけでございます。要するに、その面におきまして、土地改良基盤整備関係事業の予算の充実に努力するということに邁進をいたしたいと、かように存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/84
-
085・野知浩之
○野知浩之君 いまの点は、これは予算が少なければ勢いそういうことになるということは理の当然で、だれでもわかることですから、今度の長期計画においては、予算が少ないから、わずか五、六千万円の事業を十年も十五年もかからなきゃできないと、こういうようなことのないように、ひとつうまい計画を立ててもらいたいと、こういうのが最後の結論なんです。十分に御注意を願いたいと思います。これは政務次官もひとつ、あなたのほうの県にもこういうものがたくさんありますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/85
-
086・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) ただいまの野知先生の御指摘ごもっともでございます。われわれは、今回御審議願ったこの予算におきましては、ひとつ金融を中心として相当画期的な芽を立てたつもりでありますが、私は、四十年度におきましては、皆さんの御支援をいただきまして、農業基盤整備にさらに力を入れていきたい、ことに四十年度からは、ただいま局長がお話ししましたように、土地改良の長期計画を立てる第一年目にもなっておりますので、これを閣議決定まで持っていって、年度削りは閣議決定にはならないかもしれませんが、おのずからわかることでございますから、この機会に、符に全力をあげてやりたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/86
-
087・野知浩之
○野知浩之君 まだいいですね。さらに、団体営事業のついでに、農道のことについてひとつお伺いして、政府の決意を促したいと思うわけでございますが、農道というものは、これはもう農村にはたいへん必要な事業なんです。いま機械化とか、あるいは近代化農業というものを先ほどからも盛んに言われているのですが、とにかく機械化するにしても、近代農業をやるにも、農道というものが整備されてなければ、これはやりたくともやれないわけです。そういう意味からしても、地方の要望も農道に対してはたいへんに強いのです。特に既耕地も、愛媛県とか、あるいは和歌山県とかああいうような、もう海津に迫った耕地、段々畑、こういうようなところは農道がなければもうほんとうに何ともならぬと、こういうような地帯もあるわけで、今度の構造改善を推進するにも、農道問題というものが大きなウエートを持ってあらわれてくると思います。そこで、時間がありませんから端的にものをお尋ねしますが、いま、農山村振興計画というものを立てるために、部会等でやっていると思いますが、こういう山村には特に農道が必要であるということは私が申し上げるまでもないわけでございます。ところが、農林省の予算を見ますと、農道というものはわずか四億数千万かあがってないのです。しかも、農道が款項目の中の日の細目になっているのです。そういうことになると、ほんとうにもう縁の下に入って、農道というものは見る人がいなくなってしまいます。ただ、要求するときに、陳情に来て、何とか農道をしてくれとか、あるいは国の予算の農道をふやしてくれというような地方の陳情の声はあっても、実際には、農道自体の予算というものは非常に少ない、こういう点を私はたいへんに心配するものでございますが、とにかく細目をひとつこの際上に引き上げて、とにかく日の目の当たるようなところまで柱を立てるというか、押し進めてもらいたいと、この点、来年度予算はひとつ農道に画期的な力を入れる、去年の予算のときにも、特に農道は何とかしなければいかぬという話もあり、あるいはガソリン税の問題もときどきここでもって論議されました。そういうようなことがあるのでございますが、とにかく相当の大きな耕地整備事業というものと対等の農道という一つの柱を立てるという意気込みを持っていただきたいと、こう思うわけですが、これについてどうでしょうか、農林省は来年度予算には、一本の柱で、大きな柱でこれをおっ立てる、事業の予算を取っていって、ひとつ地方の要請にこたえたい、こういう意思を持っておるでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/87
-
088・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 三十九年度予算編成にあたりましては、御指摘のような事情もございまして、私個人といたしましても、農道の予算の拡充と、補助率の改善につきましては、最後まで最大の努力をいたした次第でございます。金額四億ということでございますが、前年度の六億から八億にふえ、補助率もほとんど全般的に、全農林省的にいじくられなかったわけでございますが、大蔵省も、現段階における農道の特殊性を認めまして、若干ではございますが補助率のアップは同調いたしたわけでございます。
で、先ほど柱を立てて要求したらどうかというお話でございますが、実は御承知のとおり予算編成の最終段階で、基盤整備費が総ワクで処理になった。そこで、私は農道にもっと振り向けようかと存じたわけでございますが、国営の、たとえば七年完成、特別会計の七年完成のほうにももっと金を回したい、県営にも金を回したいというそれぞれの担当の切なる要求等もございまして、全体のワクの中におきましては、この農道に二億を振り向けるということは、もともと小さい予算でございましたので、非常にこれでもたいへんな経過が——十分御存じでございましょうと思いますが、経過もございましたが、ともかく農道に重点を置いて持っていく、わずかではありますがふやすと、こういう努力はいたした次第でございます。柱を立てて予算要求をするほうが、予算要求の場合においてあるいはよりやりやすいという点もあろうかと存じますので、十分考えて、必要に応じまして柱を別立てにすることもやってみたいと、かように任じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/88
-
089・野知浩之
○野知浩之君 後段のいまのお話は、まことに私も納得するんですが、前段の話は、もう一向に納得しないんです。それでは。こう言うとあまり何かおかしいことになるから、さらに追及はしませんが、とにかくワクが少ないと、ワクの少ない中で、わずかでも農道はふやしたんだと、こういうことだけでほこれはどうしようもないんで、やはり命がけでもってこの農道の予算を取ってくるというぐらいの元気を持ってやらなければ、あなたがとにかく土地改良事業の総本山である農地局長という立場において、ほんとうに元気がなさ過ぎるんじゃないか、ひとつもっと元気を出して来年はやってもらいたいと、こう思います。これは、政務次官もひとつ同様に元気を出して、いまのように要求が十一億だ、成立が四億何千万だ、こういうことでは、あなたの県の農道だってもう要求の一割しかできないですよ、これは。見てごらんなさい、ことし提出された要求の、あなたのところの県の農道が何ぼになっているか。私のところへは資料がみんな来ていますからね、全部わかるんですよ、これは。そういうことからいって、ひとつ政務次官も元気出すところの御答弁を願いたいんだけれどもね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/89
-
090・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) 農地局長も今回の予算編成に当たっては非常な努力をしたわけですが、われわれも皆さんの御後援を得まして、農道というのは、特に今年度予算においても重視したわけでありまして、そのかわり四分五厘ですか、それぞれ補助率のアップもいたしたような次第でございます。しかしながらまだまだ非常に不十分でありまして、先ほど御指摘のように、ガソリン税の問題に関連しても、これが予算編成のときに問題になったのでありますが、まだ未解決の状態になっておりますので、四十年度におきましては、農道について一そうの努力をいたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/90
-
091・野知浩之
○野知浩之君 私は、まだ農地の集団化の問題とか、あるいは負担、補助金の問題とか、いろいろお尋ねしなければならぬ問題がたくさんあるんです。これは。あるけれども、もう時間がないから、いろいろな点についてはまた次の機会にやりたい。たった一つだけ、ここでお許しを願って、私は、土地改良の代表選手で出て、どうしても土地改良事業については、聞くところまではやはり聞いておかないとぐあい悪いですから、もう一点お伺いいたしますが、先ほど面積の問題が出たわけですが、このときに申し上げたことは、国営事業だけの末端面積の問題を申し上げたのです。ところが、県営あるいは団体営の、ただいまの基準を見まするというと、県営は三百町歩以上であり、末端が百町歩、団体常は二十町歩以上について、末端は五町歩だ、こういうようなことになっていると思います。ところが、東北地方等の非常に拡大な面積をかかえているところは、あるいは低開発地帯においては、三百町歩以上まとまって面積をこしらえて県営として差し出し、要求するというようなことが出ているわけですね。関東から西のほうへいきますと、とてもいまどき、さっき櫻井先生のお話もありましたが、二百町歩まとめるのはたいへんだ、こういうような状態で三百町歩以上まとめるということはまことにたいへんに至難なことになってきているわけです。でありますから、この際、県営、団体営については三百町というワクを、百五十町あるいは二百町、多くとも二百町、こういうところまでひとつ下げる。それから末端支配面積も農家負担を軽くするという意味でもって、県営でやればこれは国が五割、県が二割五分、あとが農家負担、こういうことになるのですから、なるべく二十町くらいまで下げる。それから団体も、山間地帯において、二十町歩の土地をまとめて土地改良をやりたい、こういっても、なかなか二十町歩以上というのは拾えないです。これは。そういう現状ですから、この際ひとつ大いに勇をふるって、団体常は五町以上はひとつ採択します。こういうようにしてもらいたい、こういうように私は思うわけでございますが、まあ採択基準の問題もいろいろあると思いますが、この際特に県営の面積基準を下げ、団体営の基準を下げるということに対する政府の見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/91
-
092・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 事業を早くやりますためにも、事業費が——当年度の事業費がかさみまして国費がふえる。それから末端関係をいじくりますことによって、同じ県営事業でも総事業費がふえまして、したがって国費もふえる。それから補助率をいじくることによって農民負担を軽くするということに考える考え方もございまして、要するに、いろいろの御要請がございまして、私ども一つ一つまことにごもっともなお話と存ずるわけでございます。それぞれにつきまして総合的にやはり考えて、一番効率的に事業を進める方法はどういうふうになるか、こういう角度から十分御指摘の点、私どもも前々から御指摘をいただいて考えている問題点でございます。総合的にどういう形において国費が出っ張ることが、対農民の関係において、あるいは土地改良事業の推准の関係において一番効率的であるのか、こういう角度から総合的に検討さしていただきたい、かように存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/92
-
093・野知浩之
○野知浩之君 それに関連しまして、いまのお話だと、まあ大いに努力してやっていくというようなことでございますが、どうなんですか。山村地帯にはまあこれから大いにやらなくちゃいけないというのが、これは基本法にも、構造改善は山村地帯をやるのだというようなことになっているようでございますが、そういう点から、山村でもって二十町をまとめていくというようなことは、これはできない。だから山村だけでも五山くらいに制限を落とすということに、ことしあたりやるという意思はないですか、すでに割当て、採択がきまってしまったから万やむを得ないのだということで済ましてしまうというような御意見なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/93
-
094・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 山村につきましては、御承知の山村振興法の問題もいろいろ論議されております関係、それから事業費が決定いたしております関係で、私どもやるとすれば四十年度の問題として、山村におきますたとえば末端支配の条件を落とすという角度として考えさしていただきたいと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/94
-
095・矢山有作
○矢山有作君 資料要求をしておきますから、できるだけ早くそろえていただきたい。
第一は、農業機械化鮮議会の答申が出ておりますね、それと、それからその答申に基づいて、次官通達が出ておるというお話を聞いておりますが、それ。それから三十九年の二月末現在で、開拓者の負債調査がやられておるはずですね、それ。土地改良区の負担金の徴収実績、これは計画と対比して、三十二年から三十七年にかけて出していただきたい。それから延滞金の調査、その延滞金の場合は六カ月未満、それから一年未満、二年未満ぐらいに分けていただきたい。それから水系別に国営、県営、団体営別の土地改良の事業着手時期、完成時期、この一覧表。それから土地改良事業別の補助率、負担区分ですね、これは特定と一般、構造改善、開拓、これに分けてやっていただきたい。それから土地改良事業別の融資の現況ですね、それもあわせて。それから農用地の転用、壊廃の状況がほしいのです。その場合に、昭和三十年以降のでやっていただきたい。その場合には、できるだけその伝用の実態が明らかになるようにしていただきたいと思います。それから壊廃については、壊廃の原因ですれ、それができるだけ明らかになるようにしていただきたい。それから農地転用の場合に、第一種、第二種、第三種の区分があるはずですが、その区分ももしわかれば明小していただきたい。それから土地改良事業の長期計画を立てられるというのですが、この長期計画は、もう法案が提出されてかなりの期間がたっているのですから、政府部内としてはある程度の成案があるんじゃないかと思うが、もし成案があるんでしたらそれを出していただきたい。それから農地の造成をやる場合に、どれくらいの経費がかかるか、未墾地の開発、それから干拓、草地改良、樹園地の造成、そういうぐあいに分けて出していただきたい。それから土地利用区分ですね、これをもしおやりになっておられるようなら土地利用区分で、まず第一は、国土の基礎調査資料があるならこれを出していただきたい。それから農用地の実態、田畑、草地これに分けて。それから農用地の造成計画、未墾地、それから干拓、草地、樹園地に分けていただきたい。
以上の資料をできるだけひとつ早急に取りそろえていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/95
-
096・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 間に合わないもの、たとえば団体常等は数千カ所でございますので、水系別にとるということはちょっとできかねますので、できるるものはいまの御要望に沿って用意いたします。できないものは、その際にできない理由を御説明さしていただきます。水系別の団体営は数千カ所ございますのでちょっと御容赦願いたいと思うのが一つと、それから開拓者の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/96
-
097・矢山有作
○矢山有作君 国営、県営はわかるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/97
-
098・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 県営はどう押えるかという問題がございますが、水系そのものが何百という押え方もございますので、ですから水系の押え方でございますが、くふうしてみます。
それから開拓者の負債は、実は二月一日現在のはまだ集計終わっておりません、今月一ばいかかる。それから長期計画は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/98
-
099・矢山有作
○矢山有作君 開拓者のは大ざっぱなまとめでもできないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/99
-
100・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) これは前から調査はあるわけです。二月一日現在の個票の分はあらためてやったわけです。これはちょっと無理だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/100
-
101・矢山有作
○矢山有作君 それじゃ前の分出していただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/101
-
102・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 全体的に見まして、金融機関サイドからの調査はあります。
土地利用区分でございますが、これは、先般安田先生が本会議等で御説明ございましたが、技術会議等で、方法論の研究は数年前三年間ばかりやっておりますので、適用はいたしておりませんので、この種のものはちょっと困難でございます。負担金の徴収状況、農民負担金ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/102
-
103・矢山有作
○矢山有作君 土地改良の農民負担金……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/103
-
104・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 御承知のように農民負担は、国営事業は完了後、県のとっておりますのはいまちょっと集計できておりませんので、とりあえず国営の完了地区の負担金だけでよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/104
-
105・矢山有作
○矢山有作君 ほかはわからない……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/105
-
106・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 県営なんかはちょっと集計いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/106
-
107・矢山有作
○矢山有作君 できるだけのものでよろしい、メモを渡しておきますから、その中で、できるだけのものをそろえていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/107
-
108・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 本日は、これをもって散会いたします。
午後四時三十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X03019640428/108
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。