1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年六月十二日(金曜日)
午後二時十四分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 青田源太郎君
理事
梶原 茂嘉君
森 八三一君
矢山 有作君
渡辺 勘吉君
北條 雋八君
委員
植垣弥一郎君
岡村文四郎君
北口 龍徳君
櫻井 志郎君
仲原 善一君
野知 浩之君
藤野 繁雄君
堀本 宜実君
森部 隆輔君
山崎 斉君
大森 創造君
北村 暢君
牛田 寛君
高山 恒雄君
国務大臣
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
政府委員
大蔵省主計局給
与課長 平井 廸郎君
農林省農政局長 昌谷 孝君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
参考人
農林漁業団体職
員共済組合常務
理事 河野 恒雄君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○農林漁業団体職員共済組合法の一部
を改正する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
——————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/0
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001・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) ただいまから委員会を開きます。
農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、おはかりいたします。
本案、審議のため、ただいまから農林漁業団体職員共済組合常務理事河野恒雄君を参考人として出席を求め、意見を聞くことに御異議ございませんですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/1
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002・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 御異議ないと認めます。
なお、手続等は委員長に御一任願います。
参考人に質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/2
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003・北村暢
○北村暢君 参考人に意見を聞けということですが、参考人から意見を聞いてやっていくというものではなくて、質疑の中で参考人にも意見を聞くときに、お答えを願いたい。こういうことで、参考人に初め聞いてということでなしに、取り扱いしていただきたいと思います。
私は、年金の事業運営に関連をいたしまして、農林漁業団職員の共済組合の関係する職員の給与の問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、現在、農林漁業団体職員の共済組合の職員の給与は、他の政府関係機関の給与と比較して低いように私は伺っております。現在のこういう格差が、他の政府関係機関の給与との差ができたのは、一体どのような原因によるものか。まず、この現状について御説明願いたいと思うのですが、差は一体どのくらいになっておるのか。これは局長でもいいし、参考人からでもいいのですが、現状の説明をまずお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/3
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004・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) 農林漁業団体職員共済組合は、御承知のような経過で三十四年に発足をいたしたのであります。御指摘の、政府関係機関と申しますか、他の団体と申しますといろいろございまして、当然それぞれの団体のそれぞれの性格なり、発足の経過なり、あるいは持ちます何と申しますか、必要とする人の種類その他いろいろ事情がございますので、それぞれに給与の現実は分かれておるわけでございます。たとえばこの組合を中心にしてみましても、これよりも高い給与ベースといいますか、必ずしもその比較は簡単でございませんけれども、普通通俗的に高いといわれますものも、それから全く国家公務員と同じ給与表によっておるものもあります。現状としては、この組合の給与表は、参考資料として御要求がありましてお配りいたしましたように、国家公務一員等から比べればかなり高いと思います。たしか私学等は国家公務員と同じ給与表を通用しておるはずであります。ただ初任給の点につきましては、新しい人を確保するという要請等もありまして、おそらく他の政府関係機関とほとんど大差がない、そういうふうになっておろうかと思います。そういうことでございまして、それぞれの団体ごとに、それぞれ特質あるいは沿革を持ってやっておりますから、必ずしも全部がこれより高いというわけでもなし、また全部がこれより低いというわけでもない。どちらかといえば、国家公務員に近い現状であろうことは、大体国家公務員に比較的に近い給与表でありますが、初任給等の点では、先ほど申しましたような次第になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/4
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005・北村暢
○北村暢君 ただいまの説明をお伺いしておると、私学共済の例と比較してのお話のようでございますが、資料の提出を願いましたのも、実は、ほかの政府関係機関の給与との比較がわかるような資料を出してくれと一言ったのですが、そういうものは出ておりません。ここの職員の共済組合の給与ということで、職員の給与だけが出てきて、比較が出てきておりませんが、いま御答弁のありましたように、私学共済の職員の給与との比較というようなことで答弁がございましたけれども、私はそれよりも、まだ農林年金に非常に近い農業団体あるいは農林金融公庫、こういうような農林省の監督下にある政府関係機関の職員、こういうものとの比較は、あなたのほうで監督しているので、その実情はおそらく把握されておるはずだ。それにもかかわらず、まことに不親切な資料しか出ていないのですね。これじゃ比較ができない。あなたのいまおっしゃるように、それぞれのできた過程があって、それぞれの給与の形で独自にきめられる、こういうことであれば、私はそれなりに質問したいと思うのですが、そういう関係機関のできたいきさつからいって、ばらばらな形で給与がきめられていい、このようにお考えになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/5
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006・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) 他の政府関係機関との比較を、資料に基づいて申し上げたいと思って検討いたしましたけれども、なかなか、先生よく御承知のように、単なる給与表と申しますか、規定だけでは実態がわかりません。そこで、どういうふうに比較をするのが正確と申しますか、比較的当を得た比較のしかたであるかということになりますと、なかなかむずかしい問題がありますので、それを資料をもってお示しすることはちょっと差し控えたわけでございます。ただ、従来私学等がそういうことであったという、そういう事情を承知している範囲で、先ほど御説明申し上げました次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/6
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007・北村暢
○北村暢君 それは、ほかはどうかしらぬけれども、それなりに皆わかっているでしょう。それで、あなた一番低い私学だけ出して、その説明をするなんてもってのほかですよ。そんな説明なら聞く必要がない。ほかの高いところのことを言わないで、一番低いところのことを言うって例に引き出すというのは、まことにけしからぬじゃないですか。ほかのものは出せない、比較できないという。
大蔵省の給与課長にお伺いしますが、政府関係機関の職員の給与についての考え方についてお伺いしますが、いま農林省の農政局長は、それぞれのできたいきさつによって、給与が違うのがあたりまえであるというふうな御意見のようでありますが、政府関係機関の職員の給与は、監督官庁と大蔵省が協議をしておるようであります。したがって、いかなる方針に基づいてそういうことをきめ、協議に応じておられるのか、この点について給与課長にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/7
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008・平井廸郎
○政府委員(平井廸郎君) 政府関係機関というものの概念が、実は必ずしも明確ではございませんが、一般的に公庫、公団、事業団というような範囲と、さらに共済組合等の団体、その範囲に限って御説明を申し上げますならば、基本的には、給与の考え方というのは、給与制度全体を通じていうならば、公務員とバランスをとるべきであるという基本的な考え方を持っております。ただ現実の問題として公庫、公団、事業団等につきましては、一般公務員と異なって、昔でございますと、恩給制度の適用がなく、現在は共済組合年金になっているわけでございます。共済組合年金の適用がなくて、比較的水準の低い厚生年金が適用されている、あるいは福利厚生施設において必ずしも十分でないものもある。こういった点を考慮いたしまして、おおむねその発足にあたりまして、一割五分ないし二割程度の格差を一般公務員との間につけるというシステムにいたしているのであります。もちろん歴史的に申しますと、非常に沿革の古いもの等もございまして、必ずしもそういう正確な計算が当初からできておったかどうかということは、先ほど農林省から御説明がありましたように、多少御異論があろうかと思いますが、基本的な考え方としては、そういう考え方をとっているということであります。そこで、これらの職員の給与改定等にあたりましては、私どもといたしましては、公務員に準じて一応ベース改定等が行なわれるのが妥当であるという基本的な観点に立っているのであります。と申しますのは、これらの団体は、多かれ少なかれ出資なり、融資なりあるいは補助金なりという形で、国民の血税に依存しておりますので、基本的な考え方として、公務員に準ずるという形でございますので、その間に、制度全体としてバランスをとるという観点をとっております。そこで、これらの共済組合だけ資料をお出しになった趣旨は、これは先ほど御説明があったところでございますが、性格的に見て、給与体系の比較的似ているもの、つまり一方では公務員と同じように、共済年金制度が適用されておって、その限りにおいて他の公団、事業団と性質が異なっている、したがって、同じような性質のものをお集めになって、私学とかあるいはその他の共済組合の事例をお出しになったのだろうと私どもは推察いたしますが、これらについては、基本的に給与ベースにおいて公務員と変わるべき理由がない、何となれば、基本的には共済年金制度でカバーされ、同じような給与体系で推移している、こういうかっこうになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/8
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009・北村暢
○北村暢君 ただいまの給与課長の説明では、大体公務員とバランスをとるのだ、こういうことで、やはり政府関係機関に対する職員の給与については、いきさつのいかんにかかわらず、ばらばらでよろしいということでなしに、一つの方針というものが、やはりある。このように承ったわけなんですが、そこで、おっしゃるように、社会保障制度の一環である年金制度というようなものであるとか、あるいは厚生関係であるとか、こういうものについて差があるので、一割五分から二割の公務員給与より高くなっておるということのようです。したがって、若干の差はあるのでしょうけれども、大きなつり合いにおいては、やはり大蔵省としてはバランスをとって考えている、こういうことだと思うのですね。そこで、年金の職員については、公務員の給与と同じでいい、まあ端的に言えばですね。公団、公庫、農林漁業金融公庫、こういうものは一割五分か二割高くなっているが、年金はその必要がない、年金の職員については必要なしに、公務員と同じでよろしい、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/9
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010・平井廸郎
○政府委員(平井廸郎君) 基本的な考え方は、私ども先ほども申し上げたように、制度全体を通じてのバランスということで考えておるわけでございまして、その限りにおきまして、年金等の水準において、公務員等と大体同じになるわけでありますが、共済年金制度を適用しているものについては、給与等については国家公務員とバランスをとって考えてしかるべきではないかという考え方をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/10
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011・北村暢
○北村暢君 年金が適用になったからといって、それじゃ、いままで公務員の年金と共済組合の年金と条件が同じだったということにはなっていないんです。
それからまた、厚生年金とこの年金、職員の年金とは差があるから差をつける、この理論は一がいに私は同調できない。年金がこうだから給与が低くていいと、こういうような給与課長の理論には、一がいに賛成できない。社会保障制度の一環とするものと、その月々の生活を支える給与というものと関連をつけて、給与は低くていいと、こういう給与の理論というものは、賃金理論というものは、それなりに考えておるのでしょうけれども、私は関連があまりないのじゃないかというふうに思うのです。そういう理屈で差がつくにしても、従来の例からいえば、公務員と同じ年金ではない年金なんでありますから、当然やはり差があっていい。あなたの理屈からいっても差があっていいと思いますし、また公庫、公団、事業団、こういうものとのバランスをとっていくということは、そういう問題を度外視してやる必要があるのじゃないんですか。大蔵省のほうは、いま給与課長の香ったような考え方でしょうけれども、年金の理事者はそうは考えておらない。やはり政府関係機関の公団、事業団と給与はバランスをとっていったほうがいい、こういうふうな理解をしておる、だろうと思うのです。
それについて、参考人の当事者が見えておりますから、いま大蔵省の給与課長の言ったような、ほかの公団と年金は差があっていいといったような考え方をお持ちのようですけれども、そういうことで、あなたは実際に職員をあずかり、労働組合と団体交渉をやる上において、支障ないとお考えになっておられるのですか、参考人から意見をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/11
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012・河野恒雄
○参考人(河野恒雄君) ただいま私のほうの職員の給与の問題についてお尋ねの点がございましたが、私のほうの職員の給与につきましては、年金が出発するスタートのときには、公務員ベースであったわけでございますが、その後、累次の改定によりまして、今日の状態になっているのでありますが、いろいろ私ども給与の問題について検討いたします際に、ただいま大蔵省の給与課長さんからお話が出ましたような点も、かねて聞いておるわけでございます。私どもといたしましては、政府関係機関として、同じような公的な性格を持ち、同じような条件のもとに仕事をいたしておりまする関係からいたしまして、政府関係機関としては、やはり均衡のある給与体系にしていきたいというふうに、まあ希望を持っておるわけでございます。現在、公庫なり公団なりと比べまして、本給につきましても格差があるわけでございますが、そういうような点につきましては、できるだけそれを縮めて近づけてまいりたい、こういうような希望を持っておるわけでございます。さような方向で御理解をいただくように努力いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/12
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013・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 参考人に、関連して一、二伺いますが、去年の十月からことしの二月にかけて、賃上げの紛争が労使間にあって、その締めくくりとして、経営者側と労働組合側とで、団体協約を締結した。その団体協約の締結の骨格は、一九六四年度中に、他の政府関係機関との本紀格差を解消することを目標に置いて努力する、こういうように協約の第二項に明示をしておる。しかもこの団体交渉の経過を、記録によって見ますと、ここでうたっておる他の政府関係機関というのは、具体的には愛知用水公団というものを対象にして、これらの合意に達しておる。であるとすれば、もっと具体的には、これらの公団なり、公庫なり、あるいは共済組合というものを、抽象的に理解するのではなくて、現実に、それらの中で経営者側が示された、他の関係機関と本俸の格差を一九六四年度中に解消するように努力するという具体的な設定用標は……、愛知用水公団であるということになっておると思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/13
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014・河野恒雄
○参考人(河野恒雄君) 政府関係機関のうちにも、公庫、公団がございますが、その公庫、公団の中にも、いろいろ段階があるわけでございまして、私どもがいろいろ検討いたしましても、かりに公庫、公団と近づけるということにいたしましても、たとえば農林金融公庫であるとか、あるいは他の非常に給与の高い公団であるとかいうようなもの等に、目標ということではなくて、やはりわれわれの手近いところから逐次改善をはかっていくというようなことも考えておるわけでございます。そういう意味におきまして、それが一つのまあ努力目標といいますか、そういった点が出ておるのでありまして、さような趣旨で私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/14
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015・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 そうすると、北村委員から具体的な比較になる、データの資料ということで要求した資料が、さっぱり的をはずれた資料ですから、関連して、政府に具体的にお尋ねしたいのは、この際例として参考にならない私学共済というものじゃなく、いま参考人の話にもあったように、身近な愛知川水公団というものが団体交渉の具体的な目標であって、それが団体協約の具体的な意思表示になっておる。そこで、農林年金と愛知用水公団との初任給から五歳格差で比較すべき資料は、当然監督官庁としても掌握されておられると思うし、当然、主計局給与課からもそういう資料が出ておるはずでありますから、代表として、ひとつそれを比較した数字をお示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/15
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016・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) 私どものほうで、年金の給与についての判断をいたします際に、愛知用水公団と必ずしも対比をして見るということは、あまりやっておりません。したがいまして、愛知用水公団の現在の給与についての正確な資料の持ち合わせがございませんが、私どもの調べました範囲で申し上げますと、一番端的な問題としての初任給で申し上げますと、初任給につきましては、愛知用水公団と農林年金との間では、高卒については全く差はございません。中卒については、むしろ農林年金のほうが、ごくわずかでございますが上。ただし大学卒、短大卒ということになりますと、特に大学卒ということになりますと、愛知用水の場合が二万一千五百円に対して、年金の場合には二万七百円で、短大卒はほとんど差異はない。つまり、新制大学卒の初任給については、若干愛知用水公団のほうが上回っておるというのが現状のように承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/16
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017・北村暢
○北村暢君 大臣にお伺いしますがね。大臣は、いま河野理事がおっしゃっているように、やはり農林省の他の政府関係機関というものがある、それに給与の、バランスをとっていきたいという理事者側の考え方、これについては、私は当然じゃないかと思うんです。したがって、大臣はこの考え方を了とせられるかどうか、これをひとつ、簡単なことですから、お伺いしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/17
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018・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) この年金制度が発足した当時は、民間のものとしては、私学共済というものだけがあったものですから、それと大体ならって、公務員の給与というのを標準としてやってきたと思います。だんだん制度も年月を経てきましたし、また農林関係の共済団体でございますから、農林関係の他の機関等と均衡のとれるような給与体系にできることが、私は望ましいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/18
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019・北村暢
○北村暢君 そこで、お伺いしたいのは、いま局長から、初任給だけを言われたのですがね。初任給はまさしくどこもみな同じなんですよ、いまどきあまり安くしたら来ないですからね。初任給はほとんど同じなんです。ところが、年令が上がっていきますというと、差が出てくる。ここに農林漁業金融公庫と比較したものがあるんですが、二十二歳では約八百円の差がある、公庫との場合。それから二十五歳になりますと二千百円の差が、三十五歳になると六千五百円の差が出てくるんです。そういうふうに年齢が上がってまいりますというと差が開いてくる。これは農林年金とほかの公団、事業団との違いなんです。というのは、どうしてそう
いうふうになってくるかというと、農林年金の職員というものは非常に若い年齢であります。年齢層が若い、比較的低いのであります。それで、平均給与に率を掛けて給与の原資をとりますというと、どうしても原資そのものは低いわけです。したがって、年齢の高い人のほうへは配分がいかないわけなんです。配分できない。そういうことで、実はこういう——いま申し上げましたように給与の大きな——年齢が高くなればなるほど操作ができないんですね。結局押えてしまわなければならない、こういう結果が出ておるんです。ですから、こういう点をひとつ監督官庁である農林省なり、大蔵省は十分理解をしていただかなければならぬ。で、年金なら年金のできたいきさつからいって、ほかとの比較は必ずしも妥当でないと、こうおっしゃるんですが、そうはいかないと思うんです。
いま河野理事も、大臣も認められておりますように、農林関係の各政府関係機関とのバランスをとることは望ましいと、だれが常識的に考えたって、それはそのとおりだと思うんです。それが従来、そういうことで、昭和三十六年ですかに一度このバランスをとった。とったところが、 これは農林省、大蔵省と協議しないで、かってにやったからけしからぬ、こういうようなことで、農林省と大蔵省との間で取りかわしがあるようでございます。今回のはしかたがないから認める、しかしながら、こういうふうに上げるのはけしからぬから、だんだん下げていこう、こういう協約を農林省と大蔵省との間で一札が入っているように承っております。一度、今回はしかたないからというので、差をつけていけ、こういう取りかわしがあるというふうに何っておりますが、これは事実ですか。局長と、それから給与課長にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/19
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020・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) 先ほど来お話が出ておりますように、この年金の給与につきましても、できるだけ事情の許す範囲内で、なるべくいい給与に接近をいたしたいということは、これは当事者の願望でもありますし、直接監督責任のあります私どもといたしましても、そのこと自体を別に、特に何と申しますか、けしからぬことというふうに考えておるわけでも何でもない、ただ政府関係機関と申しましても、その間に統一的な給与の確立した方針が画然とあるわけでもなく、したがいまして、いわば一定の与えられた原資の中で、いかによりよく、内部の職員の実情に合わして、その財源を給与表に組み立てていくかという点での、当事者の御苦労があるものと思います。その結果が、当面若い方が多く、また新しい補充をする必要が特に強いので、限られた原資の中で、一つの給与表上の配分が、どうしても若年齢層にはあまり差がつけにくい、その結果、原資の不足のしわがどうしても上に、高年齢層まで及ばない、また荷年齢層が実際問題として非常に少ないということも、おそらく影響しておると思います。そういうことで、私どもとしても、この年金が公務員と同じ給与水準で発足をいたしましてから今日まで、いろいろの機会に、いろいろの事情の許す限りで多少ともよりよくなるように、随時そのときどきの担当者が苦労をして、今日に至っておるわけであります。もちろん現状においてまだ十分よいものというふうに言うわけにまいりませんけれども、何と申しますか、政府関係機関なるがゆえに、全部均一でなければならぬという主張を、すぐ実現しようと思いましても、これはなかなか実際問題としてそういかない事情もあるわけであります。給与格差というものがその間ある。その辺は先ほど大蔵省のほうから、政府関係機関それぞれについての性格上の一つの制約もやはりあろうかと思います。そういう中でもなるべく改善をはかっていくわけでありますから、私どもとして、過去においても、また今後においても、なるべく客観情勢の許します限り、給与財源を豊かにする、またなるべく職員の御希望に沿うように、それを格づけていくという努力を怠れないと思います。御指摘の、三十六年当時にそういった予算統制上の問題として行き違いがあったことは、私も承知をいたしております。つまり予算統制上の問題として、与えられた原資の中で当然処理すべき問題が、ごく短期間の当該年度についてはそれで済みましても、翌年以降に大きく影響のあるようなことをやってしまいますと、やはり予算統制という見地から見て、必ずしも好ましくないという意味で、何と申しますか、他の政府機関の例外を主張することでなしに、なるべく他の政府機関並みの、与えられる原資の中で、将来にわたって結末をつけていくように努力をするということを、当時の財政当局と、そういう方針をとることを約束したというような事情があったようでございます。しかし、そうは申しましても、その後の現実の動きといたしましては、やはりいま先生が一端をお触れになりましたようないろいろな事情がありますので、そのときどきの事情の許す限り、年金側の御要望に必ずしも十分沿っておりませんけれども、なるべく弾力的に、少しでもよけいの、原資が得られますよう、私どもとしては努力をし、多少のことは前進をしておるというのが現状であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/20
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021・平井廸郎
○政府委員(平井廸郎君) 三十六年当時、 私まだその当時着任いたしておりませんので、また聞きの話になりますから、そのおつもりでお聞きいただきたいと思うのでございますけれども、基本的な考え方といたしまして先ほど私が申し上げましたように、実質的に公平をどこでとるかというのは、私ども数多くの政府関係機関を取り扱っている立場として、問題になるわけでございます。そこで、ベース・アップ原資等につきまして、それぞれ団体交渉でおきめになったものを、財源に組むということになりますと、これは統一的な議論ができなくなるわけでございますし、基本的にはやはり同じような考え方で原資を組んで、その範囲内で御検討をいただくという立場をとっているわけでございます。たまたま三十六年度におきまして、団体交渉の結果として、そういう点について若干の問題が出てきたわけでございまして、その限りにおきまして、将来における原資の問題としては、何らかの形で処理をしていただく必要があろう、そういう意味において、農林省当局と覚え書きをかわしたということは承っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/21
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022・北村暢
○北村暢君 その覚え書きをかわしたことを実施したから、今日せっかく追い着いたものが、他の政府関係機関と賃金の格差ができてしまった、こういう結果になっているのですよ。したがって、私は何も年金がべらぼうに常軌を逸したような形で、非常識な賃金要求をして、それが実現できないということで、どうこう言っているんじゃない。三十六年当時、理事者側との労働協約に基づいて、他と均衡のとれた給与になったものが、その後二、三年の間に、三十六年の給与改訂をした以前の差のある状態に今日戻ってしまった。それは協定に基づいてやったから、こういうことになっちゃったと思うのですが、理事者側が、いま大臣が、ほかの公団、事業団とバランスをとるようにしたいという意欲を持っておる。持っておるのに、結局あなた方が押えているからできないのです。これは協議にいけばはねつけておる。お前たち、かってなことをやったから、みせしめのために低くする、こういうふうにしか受けとれない。そういうことでは、私は労働協約だから、政府関係機関であるのにどうこうということを言っているんじゃない。これをひとつ良識の範囲内において、団体協約できめられたものができないということになると、これは労働基本権を侵害することになるんじゃないか、権力によって抑えつけるということになるんじゃないか、このように思うのであります。したがって、この態度はひとつ改めていただきたい。決して非常識なものではない、主張から言っても何から言っても、農林大臣の意思を聞かれても、御答弁あるとおりおわかりだと思うのです。その線に沿って、ひとつ大蔵省は協議に応じていただきたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/22
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023・平井廸郎
○政府委員(平井廸郎君) まあ私どもの考え方として、俸給だけでバランスをとるという御主張であれば、かなり議論があるわけだろうと思うのでございます。俸給等の制度を、たとえば他の機関と合わせ、そのかわり、たとえば諸制度について再検討するという御議論であるならば、一つの考え方であろうかとは思います。ただこの問題関する限りは、俸給だけを抜き出して、他との。バランス云々ということになれば、私ども全体の政府関係機関をおあずかりしている立場から申しますと、給与問題に関しては相当問題が大きいということを御了解をいただきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/23
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024・北村暢
○北村暢君 給与だけの問題をいま言っているので、あなたは、社会保障制度の年金だの何だのという問題を含めて、給与をきめなければならないという考え方のようでありますけれども、それは、先ほど来私申しておるように、納得がいかないのですし、農林年金というのは、非常に新しくできた職場でございますが他の公団、公社と比べて、厚生施設においても何にしても、特に恵まれているなんということは絶対にない。したがって、私は給与だけで比較して差しつかえないと、こういうふうな考え方を持っておりますので、これは、いまの給与課長の答弁では、私は了承しかねます。したがって、この問題は、私は是正されるまで何回でもこれはひとつやりますから、そのつもりで対処していただきたいと思います。大臣の意思は、答弁されているのは、あなたおわかりでしょうからね。国務大臣が言っているのに、給与課長がそれをひくつり返すようだったら、断じて許されませんから、この点はひとつきつく言っておきますから、今後の処置についてどういう処遇をとられるか、まあ秋のベース改定があるときに、その結果が私は出てくると思いますので、十分見ていきたいと思います。したがって、この点はそれで終わりますけれども、もう一つお伺いしたいのは、すでに労働協約で、先ほど渡辺委員が触れられましたように、他の政府関係機関とのバランスをとると、三十九年度内に努力をすると言っています。したがって、河野理事は、そういう労働協約を結んでおるから、当然、河野理事は大臣とも御相談され、大蔵省とも協議せられるはずであります。そのときにひとつ、いま申したようなことを十分理解をしてやっていただきたい。この労働協約は結んだのはけしからぬと、こうおっしゃられても、労働協約は協約として生きていく、だろう。もっともその労働協約は、河野理事のほうでも配慮をして、バランスをとるように努力するということで言っておりますから、努力が実らなかったのだというふうなことも言えるかもしれませんけれども、それは私は許されないと思っておりますから、十分配慮されて、ひとつ協議に応じていただきたい。大臣もまた、理事者側もそういう協約を結んでいるのでありますから、これをひとつ支援をする意味において、どうも大臣と違った形で、下のほうで、かってな理屈とは言いませんけれども、適当に処理せられる可能性があるようです。したがって、そういうことのないように、十分監視をしていただきたい。このように思うのであります。で、あまり原資は要らないのであります。わずか六百万程度でもってバランスがとれるのであります。二億三千万かの事務費の中で、六百万くらいで給与のバランスがとれるのに、それをいろいろな理屈をつけて、低く抑えておらなければならないということは、私はどうも政策上からいっても好ましくない、あまり無理な要求じゃないのでありますから、大臣はこういうこまかい問題については、あまり下から知らされてもおられないでしょうし、おわかりになっていないのだろうと思うのですが、わずか六百万で済む問題なんでありますから、ひとつ大臣も、こういうこまかいこととは言いながら、年金等においても、労使間の問題が非常にこのささやかな問題でこじれている。ストライキをやるなんというようなことが起こっておるのでありますから、しかも決して非常識な要求じゃないのです。先ほど来言っているように、バランスをとってくれというだけでありますから、ぜひひとつこの点は考慮してやっていただきたいと思います。ひとつ大臣の所見を伺っておきたい。決意のほどを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/24
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025・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 望ましい姿に持っていくことにつきましては、私はその方向に協力いたすといいますか、そういうふうにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/25
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026・北村暢
○北村暢君 私はこのくらいで質問を終わりますけれども、せっかくの大臣の御答弁でございますので、ひとつ農政局長も大蔵省の関係者も、この点を十分尊重されて、次のベース改定の際に、この趣旨が生かされるように御要望を申し上げまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/26
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027・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 いまの労使関係の問題についてでもうかがわれるのでありますが、その発足した農林年金の組織というものの自主性を尊重しなければならないということは、いまの具体的な賃金の紛争の中にも問題が出ておると思うのであります。政府委員の答弁にもありましたように、できるだけ拘束されるワクというものを拡大するという、答弁の中にもありましたが、何しろ現状では、ある一定のワクをはめ込んで、その中で操作するなら自由だけども、ワクはいささかもこえてはならぬなどという、大蔵当局のこういう締めつけというものは、非常に組合の今後の運営の上においても、これは大きな問題を投げかけていると言わざるを得ないのであります。
過般の四・四の公労協のスト宣言のときにもありましたように、経営者側にはこれらの賃金を現実にさばく能力が与えられていない、しかも管理者としての高い責任を追及されている、こういうことでは、この組織の健全な運営にはならないわけであります。
ですから、ただいま北村委員も具体的に指摘をしたように、原資としてはあまり要らないということ、団交の中にも話し合いがあった愛知用水公団並みにこれの格差を是正するとしても、たかだか六百のワクを、格差解消のために付与することによって可能なわけでありますから、そういうものを与えないで、絶えず労使間に紛争をまき起こしている、このことは組織の正常な運営をもう妨げて、いるわけです。これでは今後にまた問題が再燃することが懸念されるわけであります。
五月十三日に発表されました臨時行政調査会の、公社公団等の改善についての作業報告の中にも触れているように、政府が行なっている現行の予算統制というもののこのシステムについては、検討し直して、各団体の経営の自主性を確立すべきことが取り上げられております。したがって、この給与の合理的な措置、具体的には類似の政府関係機関、より具体的には、団交の中で引用された愛知用水公団というものに例をとって、格差をなくしていくということが、今後におけるこの組織の労使の紛争を基本的に解決する課題でもありますから、政府は補助金を出すことと引きかえに、当事者能力は奪っているような、いままでのこういう一つのやり方をあらためて、労使間の自主的決定を認めるということが、私は基本的な問題につながる課題であると考えるのであります。したがって、大臣はそういう一つの格差というものを確認され、その格差の是正のために、組合の当事者が労働者に団体協約で約束をしておる、一九六四年にはその格差を解消するように努めるということが、空文に終わっては、これはもう想像以上の紛争をまた惹起することが憂慮されますが、具体的には、これらの措置というものを通じて、組合の自主性というものを尊重して、自主的な機能というものをこの際明確に付与する方向で、大臣の善処を望みたいのであります。
私は次に、この余裕金運用という問題について、同じ角度からいろいろ大臣並びに関係者の考え方を伺いたいのであります。きのうも大よその計数の報告を承りましたが、もう一度この資料に基づいて数字をお示しを願いたいのでありますが、農林漁業団体職員共済組合における資金運用の実績が、三十七年まで出ておりますが、すでに三十八年度は決算済みでありますから、三十八年度のそれと、それ以降の、わかっておるまでの年次におけるこの資金運用のトータルというものを、もう一度ひとつ教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/27
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028・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) 当共済組合の決算は、御承知のように五月末をもちまして決算をいたしたものを、七月末までに農林大臣に届け出るようになっておりまして、目下作業中と申しますか、まだ三十八年度の数字を私どもも承知をいたしておりませんので、決算報告上確認をされました三十七年度末を、最新の段階での数値としてお扱いいただくことで御了承いただきたいわけです。三十八年度につきましては、いずれ七月になりますれば、七月末には明らかにされてくるわけでございます。それまでの間、三十七年度の数、字で大体の御判断をいただきたいわけでございます。で、その数値につきましては、この資料の一二ページにございますような各それぞれの運用先を持っております。その平均利回りは、三十六年度と比較いたしますと、かなり好転をして、八・一五%ということに?なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/28
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029・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 それでは参考人に伺いますが、三十八年度はまだ完全な締め切りでないにしても、予想がついているはずでありますが、年度末で、どの程度くらいの予想になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/29
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030・河野恒雄
○参考人(河野恒雄君) ただいまのお話でございますが、私のほうといたしましては、一応作業は、まあ第一作業は終わりまして、組合会において議決をされました後に、農林省の御承認を得るという段階になるわけでございます。したがいまして、いまの段階ではまだ組合会に提出いたしておりませんので、そういう意味の数字と御了解をいただきたいのでございますが、三月末におきましては、一応試算として、これは大ざっぱに申しまして、一応約二百三十億ということになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/30
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031・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 なおこれと関連して、運用利回りも大体出ていると思うのですが、三十八年度の平均利回りはどの程度になる見込みですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/31
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032・河野恒雄
○参考人(河野恒雄君) いまの計算では、大体平均利回りが八分強というところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/32
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033・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 それから、これはさらに推定として伺うのでありますが、あまり責任を持ってという固い意味でなくて、お伺いをしたいのでありますが、昭和四十五年なりあるいは六年なりの、五年、六年後のこの余裕金の見通しというものはどういうふうに立てておられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/33
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034・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) 余裕金ということで、見積りは手がかり非常に困難でございまして、実は十分やれませんが、お手元に当初にお配りいたしました資料の、その一のほうの一〇ページのところで、修正前のベースでございますが、改正法の給付を執行していった場合の、三十九年度以降逐年の一応収支の予想を、四十九年度までにわたって立ててある資料をお出しいたしておりますが、この中で、一番下の欄に、積立金という欄を設けております。おおむね、ごく大ざっぱな話としては、この程度の積み立て金が年次を追って累増していくのではなかろうかというふうな見通しを一応立てました。その後の修正の結果によって、数値等も当然移動があるわけでありますが、これで概況を御推察いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/34
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035・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 そうしますと、ただいまの参考人の発表された、三十八年度が二百三十億というものから見ても、すでに三十九年が三百二億ということでございますから、かなりこれは予想を上回るということはいえると思うのですが、その理解はどうなんでしょう。三十八年に二百三十億というものから見れば、三十九年は三百二億をこすんじゃないかと思うのですが、その理解が正しいのか。いやそうじゃない、三十八年が二百三十億とすれば、この収支予想表にある積み立て金のことし一年を終わり、来年三月末は三百二億と書いてあるのは、大体この程度だろうということなのか、その辺をもう少しお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/35
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036・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) 従来の見当といたしましては、大体、年々三十七年度が百六十何億でございますか、まあ五、六十億という私どもは大体見当を持っておりました。三十八年度が二百三十億ということでありますると、むしろ三十七年度との対比では、少し多いような感じを持つわけでございますが、今後、法律改正に伴って、掛け金率もかなり大幅に、昨日もお話しのように、約二割何分か上がることになります。そういうような関係、それから給付水準そのものが上がる関係で、当然その幅はかなり上がるというふうに思いますので従来五、六十億と考えておりましたのが六、七十億くらいになるという、非常に大胆な、大ざっぱな話でありますが、そういう見当ではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/36
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037・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 私も、この収支予想表というものは、今回の改正の給付内容の改善というものは、一応考慮に入れてない予想数字である、なお実態的には、物価の高騰に伴う賃金の引き上げという要素も、従来の傾向から見ればさらにプラス要素として加算されるという諸要素を考慮すれば、かなりこの積み立て金の年度別の予想というものは上回るだろうと、この数字を理解いたすのでありますが、どのくらいということは、にわかにもちろん推定も困難でありますけれども、そういう点からみれば、四十六年で一千四十億という見通しは、一千億台に積み立て金が到達するのは、少なくとも一年くらいは繰り下がる。四十五年には、積み立て金はもう一千億の大台を突破するということが一応考えられても、たいした狂いはないのではないかというふうに考えるわけであります。で、そういう余裕金の今後累増する傾向を一応前提として考えますと、この余裕金というものは、実はこの農林年金に加入しておる従業員の将来の給付に備えて、そして従業員と経営者団体とが拠出した積み立て金にほかならない。これは申し上げるまでもないことであります。したがって、その零細な、経営者並びに従業員が拠出した財源によって構成される余裕金、積み立て金の運用にあたっては、まず第一に安全性、またこれと同じく重要視しなければならないのは有利性、この二つの要素を基本として運用にあたることはもちろんでありますけれども、農林漁業団体の従業員の労働条件というものは、これは政府の提出した資料によっても明らかなように、将来はともかくとして、従来は他のそれらと比較して非常に劣悪な状態に置かれておるということを考えると、この積み立て金の運用の目標というものは、安全性と有利性ということを堅持しながら、組合員の福利増進に役立たせるということで運用するということが、この法律に沿うゆえんでもあると思うんですが、そういう運用上にあたっての基本的な考え方は、どういうふうに理解されるのか。私の伺ったような方向でこれは運用されるべきものかどうか、大臣のお考えを承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/37
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038・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 中心は、いまお話のように、何といたしましても組合及び組合員の福祉の増進のために、余裕金が運用されるべきものだと思います。しかし、その他にも、いま御指摘になりましたように、安全性とか、あるいは有利性と、こういう点も考えまして、あるいは国の財政投融資関係に協力するというような面等もあると思いますが、中心はいま御説のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/38
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039・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 大臣も私の考え方と同様であるということでありますが、この余裕金の運用については、この法律の第七十条と、それから農林漁業団体職員共済組合の財務及び会計に関する省令の特に第七条、ここにうたっていることによって、預貯金、次に金銭信託、第三として国債、地方債、その他農林省令で定める有価証券の取得、第四点として不動産の取得ということで、運用の範囲というものを定めているわけであります。
そこで、私、参考人に伺いますが、これもまだ政府に報告しないなまの、固まらないものであってもけっこうでありますが、三十八年度末の農林年金の余裕金運用の状況というものをひとつお示しを願いたいのであります。政府からは、三十七年度末のものが出ておりますが、三十八年度をひとつ承っておきたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/39
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040・河野恒雄
○参考人(河野恒雄君) ちょっと正確な数字が手元にございませんので、ラウンドで申し上げますので、あるいは若干こまかい点で相違があるかもしれませんが、御了承いただきたいと思います。有価証券といたしましては七五・七というような数字になっております。それから預貯金が四・三、貸付信託が一一・九、不動産が五・一、それから保健経理、宿泊経理等の他経理への融通が二・九八というようなことで、相当の部分が有価証券に回っているのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/40
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041・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 三十八年は、ラウンドで伺いますと、有価証券が七、五・七%、これは三十七年に比べてかなり有価証券に集中の傾向というものが見受けられるわけであります。これは一つの見方でありますけれども、有利性という点から、そういう運用を重点的に有価証券に集中してなされているのだと思うのでありますが、安全性という点についても十分考慮のことだろうと思いますが、この年金の績み立て金は、将来給付すべき積み立て金というものの運用でありますから、今後、逐年発生するインフレに対しては一体どう対処するのか、また景気変動にどう対応させるかということが、特に投資の際の大きな問題だと思うのでありますが、その点は、政府としてはどういうふうにお考えになっておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/41
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042・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) 年金というような、何と申しますか、非常に長期の経済的な安定を前提として成り立っている仕組みと申しますか、そういう長期の循環を、一つの制度の前提に置いておりますものでございますから、当然その資金の安全性なり、景気変動に対する弾力的な対応がし得るということが要点であろうかと思います。私どもが法律の七十条で運用の幅をこのように限定をし、また省令でいろいろとそれをふえんして書いておりますのも、要はそういうことで、そのことが、この省令の余裕金運用の第七条の二項にも、「法第七十条各号に掲げる方法による業務上の余裕金の運用は、安全かつ効率的に行わなければならない。」という、それをこの種年金の余裕金運用の第一義的な一つの原則としてうたっておる理由でございます。そういう見地から見まして、現在許容されております程度の運用先でありますれば、現在程度の資金量であれば、まずかなり有利かつ安全な運用が伴っておるというふうに考えるわけでございます。だんだん資金量も蓄積を加えてまいり、またこの種、先ほど御指摘のありましたように、いわば何と申しますか、公共的資本と申しますか、社会資本的性格を持ったものでありますから、そういう将来への経済界の変動等のことも考えれば、政府保証債等への依存をだんだん大きくしていくことも、必要な配慮ではなかろうかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/42
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043・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 政府保証債の話が出ましたが、これはあとで私は具体的にお尋ねしますが、そこにもつていくつもりで聞いておるわけじゃないが、政府はそういう気持ちがあるから、問わず語りにそういうことを出すわけで、まあそう先を急がぬで、私はひとつ質問をするのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/43
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044・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 急いでくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/44
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045・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 農林年金等、類似した他の共済組合の余裕金運用については、この運用の対象の範囲が拡大されてきておるというふうに私は理解するのですが、この点は政府はどのようにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/45
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046・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) 今回、改正法におきまして七十条の従来の運用先のほかに、蓄積資金がかなり増してまいりましたこととも関連をして、先ほど大臣がお答えになりましたような従来の配慮も加えて、農林漁業団体等への貸し付けであって、しかるべき公共性を持つものというのを、運用先の一つとして新たに加える改正をお願いいたしておるわけであります。他の制度におきましても、本則においてはたとえば全額を資金運用部に集中管理することをうたっておる国家公務員、地方公務員等の例がございますが、これ等もやはり附則である程度全額を資金運用部に集中管理することの例外をうたっておるというのも、御趣旨のような事柄であろうかと思います。また、厚生年金あるいは国民年金等についても、一部しかるべき公共機関のルートを通じていわゆる還元融資の道が逐次金額的には拡大されつつある、そういう実情であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/46
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047・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 大臣はその問題を早く急げということですから、ひとつ余裕金運用について、核心に触れた問題を特に取り上げてお尋ねをいたしますが、きょう提出をみました資料の一つに、二月十日に大蔵省の主計局長と理財局長、農林省の農政局長、三局長の了解事項、「農林漁業団体職員共済組合法の一部改正案についての了解事項について」という資料をちょうだいいたしたのでありますが、これについていささかお尋ねをいたしたいのであります。「昭和三十九年度における農林漁業団体職員共済組合法の改正に当たり、下記のとおり了解する。一は、「改正後の農林漁業団体職員共済組合法第七十条に規定する余裕金の運用については、同法第七十条及び第七十一条の規定に基づく農林省令を改正し、昭和三十九年四月一日以後における責任準備金の増加額のうち、その三分の一を同法第六十九条第三項の規定により毎事業年度の財務諸表等を農林大臣に提出すべき期限経過後二月以内に政府保証債の取得により運用しなければならない旨を定めるものとする。」二として、「昭和三十九年度においては、可能な範囲内において政府保証債の取得により運用するものとする。」こういうまことに重大関心を持つべき役所の局長間の了解事項が示されておるわけであります。
まずこの確認文書でありますが、これは運用の当事者である組合のこれはいかなる了解なりその他を経て、こういうものになっておりましょうか、当事者である組合の責任者は、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/47
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048・河野恒雄
○参考人(河野恒雄君) 法律の、農林年金法の改正にあたりまして、私どもといたしましては、資金運用の一環として農林漁業団体に対する貸し付けという問題もこの法律に織り込んでもらうよう要望いたしておったのでございます。それに関連いたしまして、政府のほうにおかれましても、資金運用部に農林年金の余裕金を入れるように法律で定めてはどうかというような御意見があったように聞いております。私どもといたしましては、資金運用の実情からいたしまして、資金運用部に入れるというような取り扱いをすることは適当ではないのではないかということで意見を申し上げました。その後、政府保証債を購入することによって、ひとつ政府に協力するということではどうかというようなお話があったのでございます。法律改正の段階におきまして農林、大蔵の間で種々話し合いがあったことも承っておるのでありますが、そういう問題が解決いたしませんと、法律の提案なり、あるいは予算なりがなかなか確定しにくいというような事情も承りました。私どもといたしましては、すみやかに法案をおつくりいただいて国会に御提出願うということが最大の願望でございます。したがいまして、早く提案をしていただくというような面から、ある程度やむを得ないのではないかというふうに考えたのでございます。その後、こういうようなものがあるということを政府のほうからお知らせをいただいたのでございます。そういう経過でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/48
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049・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 どうもこれは重大な一つの発言であり、経過であると私は思うのです。先ほども昌谷局長が他の例を買うたように、傾向としてですよ、傾向として、こういう零細な大衆の積み立てた金を、保険その他の制度のもとにこれを積み上げたものを、国の財政投資の資源にこれを集中するという方向は、私は非常に大きな問題を含んでおると思うのであります。いまの参考人の答弁にもあったように、法律を早くつくって国会に出すためには、こういう余裕金の運用の規制もやむを得ないということは、それなりに従来の諸懸案を盛り込んだ法律を早く改正することの必要は、私は河野常務とその要望する度合いにおいてはまさるとも劣らざる関心を持つ一人でありますけれども、だからといって、組合には了解なしに、これらの了解事項をあとで聞かされておる。今後増加するであろう責任準備金の三分の一は政府保証債を二取得させるのだというきめつけは、先ほど私は労使間の紛争を惹起しておる組合の自主性の喪失、そういうものをさらにしんにゅうをかけて、政府の意のままに余裕金の運用は規制をされるということにつながる。これは大きな組合の性格を歪曲する方向であって、断じてこれは認めるわけにはまいらん問題であると思うのであります。河野常務は、いろいろな理由をあげましたけれども、しかしながら、これらの三局長の了解事項というものに対して、これが二月十日に調印されておりますけれども、同じ月の二十六日に、あなたの農林年金の組合会は満場一致でかかる政府の一方的な規制は、農林年金の設立の趣旨に反するものである、そこなうおそれがあるとして、反対の決議をあげておる。これがこの組織を構成しているものの大衆のこれは声であります。この確認文書によりますと、昭和三十九年四月一日以降の責任準備金の増加額の三分の一を政府保証債取得に充てるということをうたっておりますが、この農林省令の改正、すでに法律が国会を通過することを当然と考えて、これらの先付けの約束をしておるという考え方には、まず第一に、農林年金の運営の自主性に対する不当な宣言ではないかと私は思う。公共的な性格を持った年金制度であるから、農林年金法の第七十条に定められているような形での余裕金運用範囲の限定をするというそういう措置は、これはわれわれは当然の措置とこの法律を国会で承認しておる。そういう法律の定めた範囲内では、団体の自主的な運営を最大限に尊重すべきではないかと思うのであります。それを省令によって、本来組合の責任者に、その良識ある経営能力を信頼して、この法律で定めた範囲内で一切をまかすべきものを、監督官庁の一局長がそういう組織の総意を踏みにじって申し合わせをしたということは、これは官僚独善のはなはだしい具体的な一例である。一体、こういうことに対して最高責任者である大臣は、どういう相談を受け、どういう御意見をもってこういう契約を締結さしたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/49
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050・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 組合の財政等につきまして、自主性を持たせなくてはならんというようなことにつきましては、私もそのとおり考えております。ただ政府といたしましても、国庫補助等をいたしております関係上、財政についての監督といいますか、協力といいますか、そういう点を政府の立場として無視するわけにはまいりません。でありますので、私もこれを聞いたのでありますが、他の御承知のように年金、国安公務員共済組合等につきましても、責任準備金の増加額の三分の丁を資金運用部に預託しておるという例もございます。また私学共済組合では、その資産の十分の二・四以内を私学振興のための貸付金に充てる、こういうような例もございます。そういう例もありますので、この農林年金等につき摂しても、いまの有利あるいは安全という面から国の財政投融資政策に協力するということも、これもやむを得ないのじゃないか、その方法としていま河野参考人からも資金運用部への預託というような意見もあったのでございますけれども、預託のほうでは有利性といりか、利回りのほうがあまりよくないので、政府保証債券の取得をすること、こういうふうにしたほうが有利性という点においていいのではないか、こういうような考えから、この覚え書きを私も適当であると、こういうふうに考えます。というのは、形式的には確かに自主性、主体性をそこなっておる形ではございましょうけれども、やはりこの年金制度を健全に伸ばしていくという意味におきまして、こういうような政府の財政投融資に協力する、こういうこともやむを得ない、そういう点で政府保証債を取得するというような指導をする意味におきまして、将来を考える場合には、そういうふうにいたしたい、こう考えましたので、私もこの覚え書きを認めたといいますか、法律が通った場合には、こういうことが適当であろうかと、こういうふうに考えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/50
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051・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 私は結論から、言えば、組合当事者は、余裕金運用にあたって政府保証債を持ったほうがいいというときには持つということを信じて疑わないものです。しかし、それを法律で、省令で三分の一は預けろなどというワクづけをするということは、基本的に私は、この組合の経営者に対する自主性を剥奪するものだと思うのです。有利性を申されましたけれども、ただいま河野常務から答弁があったように、三十七年は資金運用利回りは八分一厘五毛二九であります、三十八年を伺いましても、八分を上回っておる。政府保証横は年利七分、ですからそう平均利回りを下回った分の運用を主体とする差損というものを、政府はこれを特別に補てんする準備を持っておるのですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/51
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052・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) 差益におきましては、客観情勢が比較的に有利でございまして、平均利回りは八分一厘五毛というものが三十七年度の実績からあらわれておるわけであります。しかし、個別に見ますと、福祉還元の場合でありますとか、かなり低いもの、それから有価証券のように九分にも回っているもの、そういうものが相加重されて平均利回りが年八分何厘というふうになっております。御承知のように、この年金制度の設計の基準といたしております標準の金利は、長期のことを考えて一五分五厘というものを、すべてこの種年金の長期的な利息をはじく場合の基準にしております有利であるとか——より有利であることにこしたことはありませんが、あまり有利を追いますれば、安全性ということにまた、ぶち当たるという問題もあります。そこで、余裕金が二百億にも達してきました今日、他のこの種制度がすべてある程度のそういった何といいますか、一種の社会的な責任を財政投融資への協力という形で果たしておる現状、それから、政府保証債が七分ないし七分二、三厘ということが予想されます現状からしまして、特に先生のおっしゃるような措置を講ずるほどの有利性を阻害するものではない。預金部に投入をすることとの比較において、いわばまだ相当の有利性が保持されておるという趣旨で、私としても政府保証債を増加額の三分の一持つということが、年金のためにも決してマイナスではないと判断をし、また、理事者の方々にもそういう趣旨での御了解を得たと思っております。
それから、省令で書くということでございますが、御承知のように、他の制度は法律でこの種の一種の社会的義務が課せられておるのが通例でございます。で、今回の改正の際にも、農林漁業団体への貸し付けというのは、七十条の現在の各項目からは出てまいりませんので、一項相加えた修正をしたわけであります。その際、現行法でももちろんやれる政府保証債の保有でありまするけれども、それを他の年金制度と同じように法律に書くかどうかということは、私どもも関係各省とかなり真剣に討議をいたしました。で、法律に書いてやるというよりも、やはり一種の自主性といいますか、省令段階でそのことの不安のないような措置をとることによって、まあある意味での自主的な保有ということを実現できるのではないかというふうに私は私なりに考えた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/52
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053・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 あなたの答弁にあげつらうわけではありませんけれども、この法律が制定した当時の平均運用利回りは五分五厘である、だから云々ということは当たらないと思うのです。というのは、きのうも取り上げたように、事務費に対する国庫負担の非常な低さというものを、こういう経営者が苦心に苦心を重ねて高利回り運用したのでカバーしている実態ですよ。それを、顧みて他を言うようなそういうものの考え方というものは、私はまじめな答弁とは受けとれない。
それから、比較して資金運用部に預託するよりは有利である。それは説明を聞くまでもなく万々承知のことです。また局長とすれば、経過的には大蔵省から資金運用部にこれを預託せいという圧力がかかったという経過も知っておる。それから見れば、多少の前進であることも認めるにやぶさかでありませんが、しかし、少なくともいまの法律で運用が規定されているこの年金の運用のそういう一つの考え方というものは、あくまでも経営者に全幅の信頼を寄せてしかるもべきものだと思うのです。しかもこの組合の理事者というものは、政府の任命役員です。常勤しておる、いま来ている河野常務は、しかもかってはあなた方の同僚であったんじゃないですか。だから、私は言うのですけれども、運用上ですね、政府保、社債を持つべきじゃないなどということを、言も、考えて言うているのじゃないのです。それは経営者がですね、何百億、一千億をこえるという相当零細な拠出金の積み立ての運用にあたっては、こういう規制を受けなくても当然政府保証債を取得することも考えられてしかるべきなものであるし、現、実にそういう運用もしておると思うのです。それを局長間で申し合わせをして、この法律を大蔵省もまあしかたないから改正案を承知してやるから、農林省令をひとつ一本出して責任準備金の増加額の三分の一は義務的に国家資金動員のワクの中にこれを投入させろ、こういう考え方は非常に危険な思想につながる具体的なあらわれであります。私は繰り返しますけれども、組合の自主性というものをこれ以上そこなうような、こういう方向というものを監督官庁はとるべきじゃない、大蔵省がそういう圧力をかけても、あなた方が監督している面接のこの共済組合を守るために、なぜもっと勇気を持って対処しなかったかということを、私は残念に思うのです。この措置のねらいは、私は何としても承服ができないのです。低い労働条件のもとで働いているこの三十四万人の従業員の福利増進に役立たせる措置が必ずしも十分に行なわれていない、この福利についてはあらためてお尋ねをいたしますが、そういう現状において、この本来の、そういう五十三条に規定しておる福祉事業には片寄った運用をして、本来のあるべき福祉事業に対する余裕金運用というものを、きわめて不十分にたな上げしたままに、これを省令を一本出して強制的に政府保証債に運用を釘付けにするということは、何としてもこれは不適正な今回の措置あると言わなければならぬのでありますが、大臣はその点はいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/53
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054・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) お話の点、筋道として相当ごもっともな点があると思います。この覚え書きは覚え書きとして、私は当分こういうふうにやったらよかろうということでやったのでございますが、その点やり方の点につきまして、お考えの違いはありますけれども御了承願いたいと思います。また福祉の方向に欠くるところがあるじゃないか、これも認めます。でありますので、その方面にはなお力をいたすように指導いたしたいとこう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/54
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055・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 どうしてもこれを省令に出すということを撤回してもらえないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/55
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056・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 省令で出すことをお認め願いたいと、私のほうからまあ申し上げたいと思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/56
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057・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 で、この三局長の了解事項には、繰り返すようですけれども、同じ二月の二十六日に、農林年金の組合会では満場一致で反対の決議をしているのですよ。私が単にここで個人的な意見として申し上げているのじゃない。この関係者全体の総意がこの取りきめに対して反対をしておるのです。私はそれを国会で代弁して大臣にお尋ねをしているのです。それを逆に大臣から何とか省令を法律改正に伴ってやってくれと言われれば、これはこれ以上まあ何とも、水かけ論になってしまうのですけれども、私はその全体の全体の考え方というものを基調にした方向を尊重しなければ、一事が万事で非常にこれは問題だと思うから、くどくお尋ねをいたしておるわけであります。先ほどのこの積み立て金の長期展望を伺いましても、もう四十年度においては、強制的に政府保証債に投下されるであろうものは、約二十四億の巨額に達するわけです。四十一年度では約三十億近いものが、有無を言わさず政府保証債を取得せざるを得ない。これは局長に伺いますが、伺うところによると、この政府保証債は、単に取得だけではなくて、保有を義務づけておるというふうに聞くのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/57
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058・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) 三局長の間で申し合わせをいたしましたのが、ここに書いてありますとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/58
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059・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 書いてあることを言うのじゃなくて、保有ということまで義務づけておるように聞くが、そうじゃないですかと聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/59
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060・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) 私はここで書いておりますように、収得についての了解事項を取りかわしたと理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/60
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061・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 ではただいまの御答弁で取得だけは了解しておる、私の思い過ごしの質問は、その対象の外である、こう理解します。それからもう少し突っ込んでお伺いをしますが、この増加分の三分の一ということでありますが、その場合に、今後生ずる給付金を支払うに必要な年金制度にあっては、現実に積み立てていない部分までが含まれておるのでありますが、責任準備金という解釈は、そういうふうな解釈のもとに現実に積み立てない部分までも含めた責任準備金というものを前提にした増加額の三分の一ということですか。現実に積み立てた分の増加分の三分の一なんですか、それはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/61
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062・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) 相互の間に取りかわした文書で、その点が、文章が若干正確を欠いておるように思います。先ほどの取得の問題といい、その点といい、字句の解釈にかなり今後幅のある論議を必要とする問題を含んでおります。この取得額と申します、責任準備金ということに関しましては、私どもはこの用語では正確ではございませんが、例としてみならいました国家公務員共済組合の場合の方法を頭に描いて、これは文章を起草をしたつもりでおります。と申しますのは、国家公務員共済組合法におきましては、その法律の第十九条では、責任準備金のうち、厚生年金の給付相当の積み立て金額を資金運用部へ出す、その厚生年金の給付相当の積み立て金額というのを、政令で一応責任準備金の額の百分の三十、これは根っこからの百分の三十を、一応本則においては、その法律でいう資金運用部へ持っていく必要がある額として政令で解明をしておりますが、その同じ政令の附則の五条で、当分の間は責任準備金の現実績み立て額の増加額の三分の一に相当する額を資金運用部へもっていくというのが、当分の間の特例として、国家公務員共済組合法へ入っております。その趣旨から申しましても、責任準備金の現実積み立て額の増加額の三分の一を財政投融資に協力することで、一応われわれが給付面で国家公務員共済並みになりたい、すべての点で国家公務員共済並みになりたいという主張をしたこととの均衡は十分とれると、したがって、実行過程では、現実支給額の増加額の三分の一でよろしいものというふうに理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/62
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063・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 時間もありませんから、私はこの問題については、これ以上の質疑はいたしませんけれども、基本的に組合の自主性を尊重するというたてまえから申しますと、先ほどの労使紛争の中にも出ておるように、余裕金運用のこういう規制からうかがい知るように、方向としては、自主性尊重という方向から逆行しておる。ということは、労使間の紛争としても、解決は将来にわたって非常に困難な度合いを増す傾向に入っておるというふうに推量をせざるを得ない、非常に悲観的な要素として受け取れるわけでありまして、きょうは、私のほうの不十分な要求から、大蔵大臣の出席を求めませんでしたけれども、少なくとも政府が任命し、信頼をして、その衝に当たっておる常勤役員が、労働組合と団体協約を結んだ中に、誠意を持って愛知用水公団との格差の解消を約束しておる。年間百万の財源を要する、そういうことについて、政府はこの組合の当事者をカバーして、それだけの必要財源を付加してやるということを強く要請守る。そういう問題のさなかに、逆に自主性を侵害し、余裕金のうちのかなりの部分を占める責任積み立て金の増加額の三分の一は、有無を言うわさず、これを政府保証債の取得に充てさせる、平均利回りは当事者の努力によって八分台を維持しておる。この中には、最高一割もあるでありましょう。そういう中に七分を持たして、出てくる平均利回りの低下に対する保証も、何らきょうの答弁ではうかがえない。また、そういう努力というものは、安全にして有利な大きなワクの中でこれだけ苦労しておることは、一方には、きのう取り上げたような、当然、国家公務員ぐらいは一人当たりの補助単価を引き上げるべきものが明確な答弁も得られない、その不足財源を運用利回りでカバーしておる。それをさらにブレーキをかけるような七分の取得を、大幅な余裕金によって釘づけにする。当事者というものは、責任能力のない立場におかされている。従来は、わずかなことまで一々政府に伺いを立てなければその運用ができないようにがんじがらめになっておる。そういう中で、少しでも自主性を尊重する灯を掲げていかなきゃならないという方向の中に、私は組合会の決議を尊重して、こういう規制をすみやかに撤回することを、この機会に繰り返して強く要請をして、この質問は打ち切ります。
次に、ただいまの余裕金運用の中でも多少触れてきたことでありますが、福祉事業について若干お尋ねをいたします。この農林年金は、他の共済組合と異なって、短期給付、健康保険というようなものをやっておりませんので、組合員がこの制度の恩恵を受けるということは、結局、具体的な形では退職したり、死亡したりと、そういう場合しか、この組合の恩恵を受けないわけです。そこでこういう退職したり、死亡したりして一時金、あるいは年金を受ける場合を除いては、この組合に対する魅力を持つというのは、福祉事業以外にはない。ところが、この福祉事業が真に組合の要望と合致する方向で行なわれないならば、いま加入している組合員のこの年金制度に対する関心は一そう稀薄になっていく。遠い将来のために毎年毎年、毎月毎月、これは掛け金を支払っておるという、掛け金の負担に重圧を感じるというような傾向が出てくる危険性があるわけであります。その意味で、この組合の福祉事業の持つ意義というものは、きわめて重大なものであると考えるのであります。できるだけ現在の加入者の組合員に対する多くの要望に沿うような形で、しかも、希望する者ができるだけ多くの恩恵を受けるという形のもので福祉事業はなければならないと思うのでありますが、そういう考え方で福祉事業はあるべきものだと思うのですが、基本的に法律の五十三条に掲げてある福祉事業はそう理解していいのでしょうか。大臣からまず基本的な考え方をお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/63
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064・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 基本的な考え方は、私が申し上げるまでもなく、いまのお話のように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/64
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065・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 ところが、三十四年に発足してから今日に至るまでの農林年金の福祉事業というものは、義肢の給付と長野県の鹿教湯で血圧の療養所をやっておるという二つを除いては、すべて温泉地を中心とした保養所の設置に重点が置かれております。ところが、この温泉地の保養所を利用するという者は、そのことも他の制度によっても運用されておるから、このことはけっこうなことだと思うのでありますが、この法律の、五十三条に定めておるところの福祉事業のうちで、この保養所設置にかなりのウエートが置かれているという現状には、問題があると思うのであります。基本的には多くの現加入組合員がより多くの恩恵を受けるという福祉事業のあり方を、大臣は五十三条の精神によって背走されるのでありますが、であるとすれば、いま言ったようなわずかに義肢の給付と長野県の鹿教湯温泉の高血圧の療養所以外は温泉地を中心とした保養所になっておる。このことは非常に福祉事業としては片寄った運営になっておるのじゃないかというふうに考えるのでありますが、その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/65
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066・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 発足日なお浅いので、そういう面だけといいますか、そういう御指摘のようなことであろうと思いますが、この五十三条の「福利及び厚生に関する事業」これを見まするというと、そういうことでは足らないと思います。もっとこれに規定されておるような方向で進めるべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/66
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067・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 大臣もおっしゃるように、私もそういうふうに考えてお尋ねをしておるのでありますが、私も、これは間違っておれば訂正をいただきたいのですが、いまの組合が設置している保養所は、料率が他の同種の施設と比較して高いということを耳にするわけであります。これが間違いであればけっこうでありますが、しかもその料率の高い低いはさておきまして、この全国に限られました温泉療養所というものを利用する場合に、特に全国の各市町村段階に働く職員としてはこういう限られた、全国で何カ所かの温泉療養所を利用するという機会は、なかなか一生のうちには恵まれない人が多くあるわけでありますが、そういう現状からいきますと、ここで大臣も肯定されましたように、この五十三条の第一号でうたっておる、「組合員の保健及び保養並びに教養に資する施設の経常」にあまり片寄った従来の福祉事業のあり方を反省して多数組合員は、他の共済組合でも実施しているように、たとえば住宅資金の貸し付けを受けて、ささやかながら自分のうちを建てようという場合の貸し出しの道を開くとか、あるいは自分らのかわいい子供に独力では進学させる資力がない者に育英資金の貸し付けをやるとか、災害にあった場合には生活資金の貸し付けをやるといった貸し付け事業の早期実施ということが、非常に創立早々から組合員に要望されておる点でありますが、一体こういうことに対しては、政府はそういう要望が強いということを御理解なされておられたでありましょうか、どうなんでありましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/67
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068・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) おっしゃいますように、福祉事業の幅を、福祉事業を充実していこうということは、組合の皆さんもお考えのようであります。ただ、先ほどもお話が出ましたように、まだなかなかそこまで手が回らないと申しますか、そういう実情ではなかろうかと思います。またそういういろいろの方向で福祉事業の幅を広げていくということになりますれば、それ相応の何と申しますか、たとえば私学の場合で言えば私学振興会といったような、そういうやはり直営でない方式等も、具体的な手段方法としてはいろいろまた御考慮いただかなければならぬ問題があろうかと思います。それらにつきましては、年金御当局のほうからいま緊急の課題として御考案中と思います。私どももそういったことの具体的な案の御提示があることを期待をしながら、そういう方向へ逐次年金の事業が充実していくことが望ましいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/68
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069・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 昨日もちょっと触れましたように、一般的に見ますと、政府の提出した資料にも明らかなように、この団体に働く従業員の労働条件というものは、他産業のそれに比べて著しく低劣な条件に置かれておるわけです。この点については当事者において改善の努力が払われなければならないということは、きょうの前段における問題の中にも出ておるわけでありますけれども、この法律の五十三条に定める福祉事業の内容というものを、現在の劣悪な労働条件の改善に役立たせることのできるような方向でやっていくということが、非常にこの法律の福祉事業にこたえるゆえんだと考えるわけであります。
そこで、お尋ねをいたしますが、この年金の福祉事業においても、政府は、かなりの細部にわたって監督なり規制を行なっているようであります。そういう組合の必要以上の監督庁の規制という中に、私がいま言いましたような組合員の強い要望のある事業を実施していないのは、これは一体政府の考え方に基づいてやりかねているのか、あるいは組合当事者がそのことの認識が、欠除とは申しませんが、比較的関心が薄いために、これらの切実な要望というものがいまだ実現されないのか。このことをやることが、繰り返しますけれども、長期にわたる掛け金負担をささえていくための大きな機能にもつながるものでありますから、そういう点は一体これらの切実な要請、五十三条の二号には「組合員の利用に供する財産の取得、管理又は貸付」とあります。第三号には「組合員の臨時の支出に対する貸付」というのがあります。第四号には「前各号に掲げるもののほか、組合員の福祉を増進するために必要な事業」とうたっております。この四号のうちの一号が取り上げられたにすぎなくて、あとの三号はまだどれひとつとして具現していない。この具現していない理由は、政一府の方針に基づくものでありますか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/69
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070・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) 先ほどからいろいろろお話に出ましたように、この種団体に対する予算統制の限界なり、あり方なりについてのいろいろ基本的な問題が内在はいたしておると思います。しかし、実際問題として、先ほどお答えいたしましたように、福祉事業の点での事業の拡充という点につきましては、年金御当局としても発足早々、とにかく年金を軌道に乗せることに、まず最重点を置かれた関係であろうと思いますが、まだ十分の具体案の御準備が整っておらぬというのが実情であろう。聞くところによりますというと、現在、福祉対策委員会というようなものを設けられまして、いま御指摘のような点を含めて、いろいろと持つべき福祉事業の具体策を御検討中のように聞いております。これが具体化してまいりますれば、当然私どものほうへも予算の執行の問題として、あるいは予算のワクづけの問題として、いろいろ具体的な御相談にあずかることになろうかと思います。その際、なるべく年金のそういった御要求には、制度の精神からいって、当然伸ばすべきものは、私どもも極力御援助を申し上げたい、さように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/70
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071・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 そうしますと、組合当事者ではまだそういうところまでいってなかった。しかし、この事業を取り上げるための組織をいま持ってどうこれに対応するかという検討中である、いずれ成案があれば政府としてはこれを積極的に実現することにやぶさかではない、こういうふうな御答弁と承りましたが、それでは、組合当事者が一体これをいままでやらなかった理由。これからやるとすれば、どういう内容を構想の中に立てておられるか、いつごろから、どういう条件で実施されるか、そういう点をひとつ説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/71
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072・河野恒雄
○参考人(河野恒雄君) 先ほどから渡辺先生からの福祉事業に対する考え方がいろいろ開陳されましたが、私どもといたしましても、組合員の大多数の希望する施設について中心的にやりたいということについては、全く同様の考えでございます。
私どもが福祉事業をやりますにあたりまして、組合員の意向を聴取するためのいろいろな方法で、それぞれの事業につきましての意向を取りまとめたのでございますが、それらのものにつきましても、多数の希望するものからやっていきたいということを考えたからでございます。現在やっておりますのは、先ほど御指摘がございましたように保養施設等が多いわけでありますけれども、現在福祉協議会というものを持ちましてそこで二つの問題を実は取り上げて検討いたしたのでございます。
一つは、職員の子弟が入学をいたしまして、その学生が泊まる施設というものがどうも不足をしておる、そういうことに対する対策はできないかということで、学生寮を設置するという議がまとまりまして、本年及び来年にかけてこの施設を設置いたしたいということで予算を組んだのでございます。
それから貸し付けの問題でございますが、個人に対する貸し付けにつきましても、かねてから組合員からの要望が強く出ておるのでございますが、これにつきましては、それぞれの手続が必要でございます。貸し付けの方法あるいは保証の方法等、いろいろ問題点がございますので、それらの点につきましてこの福祉協議会で検討を重ねてやっておるわけでございます。なお近くさらにこの協議会を開催いたしまして、この問題についての検討ももう一段進めるということにいたしております。したがいまして、結論が出れば、できるだけ近い機会にこの問題も発足をいたしたい。なお貸し付け等につきましても、全面的に貸し付け事業を行なうということについては、いろいろ困難な点もございますので、身近な点、たとえば災害貸し付けであるとか、そういうようなものから逐次広げていくというようなことが妥当ではないかというような議論が出ておるわけであります。したがいまして、そういうような点も十分検討いたしまして成案ができますれば、これを福祉事業計画に生かしまして、また関係方面とも打ち合わせをするという段階に相なろうかと思っております。その他いわゆる保養施設以外の施設、教育施設というようなものについてもいろいろ出ておるのでございますが、あるいは職員の健康管理のための運動の施設というような問題も出ておるのでございますが、これらのものにつきましては、不動産取得というような面と考えあわせてやってまいりたい。また教育、研修というような問題が出ておるのでございますが、これらのものについても、なお具体的に検討を進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/72
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073・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 この詳しいことについてさらに私は伺うつもりはありませんが、実はなくなった初代の荷見理事長は、この年金の福祉事業の中で、退職した場合に住宅に困らないように退職金をそのままそっくり別の用途に積極的に使うように、この組合員のための宅地を取得し、できれば住宅建設等にも資金的な措置を講じて、老後の、安定させるような福祉事業を考えたいということが、理事会の中でも主張されたことがあるわけでありますが、個人貸し付けの中に、とりあえず災害から取り上げることは緊急性からいって当然だと思うのでありますが、いま言ったような初代理事、長の意思というものは、あらゆる点からいって、いまの従業員の劣悪な条件をこういう福祉事業の活用によってカバーしていく上においても、非常に大きな貢献を果たすのではないか。特に住宅建設のネックになっている宅地取得の困難性等からいって、そういう点にまで積極的に、これは荷見理事長は考えておられたわけでありますが、これは希望でありますが、これから検討される中には、そういう初代理事長の意思もひとつくみ入れて、この福祉事業の活用をはかっていくということを期待をいたすわけであります。
で、ただ一点いまの内訳の中でお尋ねいたしますのは、学生寮の設置だけでは、具体化しているようでありますが、これは一体どういうような規模で、何カ所でというような規模で何か所でというようなことになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/73
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074・河野恒雄
○参考人(河野恒雄君) ちょっといま数字を持っておりませんので、あるいは聞違いがあるかと思いますが、今年度の予算といたしましては、約六千方円程度であったかと思うのでありますが、今年及び来年も引き続き予算化いたしまして、現在のところは東京にその施設を設けたい。それから、宿泊と申しますか、収容員数等につきましても、全国から多数の学生を収容するというわけにはまいりませんので、当初はまあ、たいした大きくない規模から出発をいたしまして、漸次これを要望によっては他地域に広げていくというような考え方で進めてまいりたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/74
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075・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 それでは最後にもう一点だけを伺って質疑を打ち切ることにいたしますが、この法律の第一条にですね、目的をうたっておるわけですが、第一条では「農林漁業団体職員共済組合は、次に掲げる法律に基き設立された法人(以下「農林漁業団体」という。)の職員の相互扶助事業を行い、その福利厚生を図り、もって農林漁業団体の事業の円滑を運営に資することを目的とする。」として、「次に掲げる法律に基き設立された法人」を列記して、十一法人をあげておるわけでありますと、ころが最近、この十一の法律に基づく農林漁業団体以上の政府関係機関及び公益法人であって、農林漁業の発展に資する事業を行なっておる団体がかなりあるのであります。一体私は、その十一の法律に基づく農林漁業団体以外の団体というものは、その目的にかなう団体というものは、どれだけあるかはわからないので、お尋ねをまずするのであります。そういうものは、具体的にどの法律に基づくどういう団体があるのでしょうか、まずこれをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/75
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076・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) この法律ができましたあとで発足いたしましたもので、この趣旨に加うべきものとして考えられますものは、本国会で、たとえばお願いいたしております法律にも、そういう事例があったかと思いますが、なるべく新規に生まれますもので、こういう趣旨に沿うものは加えていけるように、そのつど措置を講ずるという方針でおります。すでにありますものでこの趣旨から見て中に入れたほうが適当ではあるまいかというようなものが一体どのくらいあるかというお尋ねでございます。私どもとしては、一応現在では該当するものを全部拾い上げたつもりでやっております。ただ一、二のところから、非常に類似のものであるから入ることはできないだろうかと、入れてはどうだろうかというような積極的な御意見を伺っております。たとえば民法の公益法人で、やはり農林漁業の発展に寄付をし、かつ農林漁業者を直接の組合員としておるものがあると、そういうところは入れたらどうだろうかという御意見がございます。民法法人の中にありますそういうもののこの制度への拾い上げ方ということが、技術的にもまた実体的にも非常に困難なので、引き続いて検討をさしていただいております。たとえば中央畜産会あるいは各府県にあります地方畜産会といったようなものがそういう意味合いでありますし、また共済関係の農業保険の関係をやっておられます団体の中に、その種の御希望の強いところがありまして、私どもも累次にわたって御要望を聞いております。御承知のように、この制度ができましたときに、対象と申しますか、範囲に含めましたものは、自主性を伴った自主的な、農林漁業の発展のために寄与する自主的な団体であって、かつ農林漁業者とのつながりが、相当程度面接的であるもの、つまり何と申しますか、農林漁業者のために面接役立つということを一つの基準として選ばれたように聞いておりますので、そういう意味合いでいろいろと困難をきわめるわけです。また民法法人につきましては、限定的に拾い上げることの困難さ等も伴いますので、なかなか検討の結果、直ちに法律を改正して範囲を広げるということに踏み切るまでに、まだ今日の段階では至っておりません。衆議院の附帯決議でもその点が強く御希望として表明されまして、政府としても、今後至急引き続いて検討を続けて、成案を得次第、対処するということをお答え申し上げて今日に至っておる次第でありますし。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/76
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077・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 ちょっと私語をしたりして、全部を伺い落したのですが、いままでこの該当する団体は全部拾い上げたと、しかし類似のものについては、民法上の特殊法人その他をこれに列記する、整理をするというのは、なかなか困難であるということですか、要約すれば。——それでは伺いますが、これはどうもちょっとそのことばにけちをつけるようになると思うのですが、たとえば、林業信用基金法という法律がその後誕生しておる。そうしてこの法律に基づく林業信用基金というものが団体として発足されておる、こういうものがその後出たのに入っていない。こう私は法文を解釈するのですが、いまのあなたの説明から言えば、当然今度の改正案にも入れてしかるべきものじゃないかと思うのですが、その点はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/77
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078・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) 先ほどお答えいたしましたように、今国会でお願いをいたしております例の漁業災害補償法に基づく漁業共済組合、これはその法律の附則で、この年金に新規に加入と申しますか、含めることで立法措置が講ぜられております。含めておりませんものは、まあ解釈が非常に窮屈で御趣旨に沿わないことになるので恐縮でございますが、この制度がつくられた当時に対象団体を特別法に基づいておって、しかも自主性の強いものであって、かつ非営利法人、それから直接または間接の構成員が農林漁業者である、またその業務が農林漁業者の社会的、経済的地位の向上に直接直結したところの仕事を持っておるというふうに限定して拾ったと申しますか、対象とした経過がございます。そこで何と申しますか、国の代行機関あるいは政府機関、国の行政を展開するために生まれた機関だ、確かに広い意味での農林漁業団体ではかるけれども、自主性なりあるいは農山漁村の居住者とのつながりぐあいが、その団体として直接的でないというようなものについては対象としないという方針が、当初の立法のときに貫かれたようでございます。そのことで非常に御希望のある団体と、その団体の性格上いま申しましたような一つの原則と申しますか、一つの方針との間に十分の調整がつかずに、希望がありながら、まだ実現を見ていないものが数個ございます。その例として、先ほど民法法人で、たとえば畜産会というようなことを申し上げたのでありますが、特殊法人と申しましても、そういうものが御希望の表明せられたものは幾つかございます。その辺の立法当初一条で対象とする、つまりこれは単に団体に奉職する職員でなければならぬということよりも、ひいては農山漁村ということに非常な力点が置かれたと承知をいたしております。その意味からいって、入れることについてまだ結論を得ておりません。で、私どもとしては今後も引き続きそれらの団体の性格づけをどう理解をすれば対象とし得るか、あるいはどうしても対象とする理由に乏しいのかという点をさらに引き続いて検討さしていただき、また特に民法法人につきましては、自由設立と申しますか、自由に名前を使える、同じ名前で社団法人なら社団法人がつくり得るわけでありますから、そういう種類のものについてどういうふうな限定方法をとれば、この特殊年金制度に加えることが可能になるかというようなことを、さらに技術的な面も含めて検討を含めた上で、なるべく早急に結論を得て善処いたしたい、さように思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/78
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079・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 私が具体的に伺った点は答弁がないのですが、たとえば林業信用基金法によって誕生した林業信用基金というのは、この法律の目的に合致した団体の一つであると思うのですが、それが設立され、法律が制定されて今日に至るも、この団体が入っていないのはどういうわけか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/79
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080・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) 林業信用基金につきましては、先ほどの立法当初の趣旨からして非常にむずかしい難点がございます。と申しますのは、これは全国に一つの独立の何と申しますか、保証機能を営む団体であると同時に、これには御承知のように政府の出資が加わっております。そういった政府出資が加わっておる、いわゆる広義の政府関係機関といったような性格のものを、ここでいう自主的な農林漁業団体ということに含めて理解し得るかどうかという点に、非常に大きな難点を持っております。そういう意味でまだそこの問題をどう理解するか、十分の結論を得ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/80
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081・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 中小漁業融資保証法なり、農業信用基金協会法なりとこれは同列に理解すべきものじゃないかと思ってお尋ねしたのですがね、政府も関与しておる、政出府出資もしておる。それを林業の信用保証の機能を発揮しておる、まあこの団体が加入の希望があるかないかは別として、私はあなたが言ったように、希望があるものといつても、加入がもうむずかしいのだということで、希望が内在的にあっても、意思表示しないものがあるし、だから希望があるという表現でこれをどうこうするのではなくて、少なくとも大きくそれらの対象を、積極的にむしろ法律の対象にして加入させるくらいの前向きに処理をしていくべきではないか。したがって、中央畜産会等、そういう具体的な例が出たが、これもできるだけ法律の適用を広く解釈して、これを参加させて、そこに働く従業員の身分の安定というものを確保して、それぞれ農林漁業の発展に寄与させ、職場に対するエネルギーを集中させるような方向で私は質問しているわけです。その点はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/81
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082・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) 私もお答えしておりますとおり、主として今日までの検討の経過と実情を申し上げ、御理解を得ようとしておったわけでございますが、強い御要望もあり、また解釈をどの時点で解釈をするかによって、多少必ずしも明確でない点も率直に言ってあるように存じます。そこで、御希望のあるなし等も関係いたしますけれども、解釈をひとつ展開することによりまして、そういう対象を広げる余地をつくりたいというのが、私の本意でございます。ただ、残念ながら、今日までの段階では先ほど来申しましたような幾つかの事情で結論を得るに至っておりません。したがって、引き続いて検討さしていただいた上で、できるだけ早急に問題の解決をはかりたいというのが、私の気持でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/82
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083・堀本宜実
○堀本宜実君 関連して、質問をいたしたいと思うのでありすが、いま渡辺委員から質問になりました、いわゆる一条に掲げております十一の国体、すなわち「法律に基き役立された法人の職員」を対象とするという立場に立って、三十六万人の人たちが加入を許をされておるわけでございますが、私はこの法律の中で、農林漁業団体という一つの団体というものが規制をされておる。この団体というもののあり方が、どういう団体であるかということが法律の上でも書いてございます。その団体というのは、要するに私は職域共済であるというような理解をいたしておりますが、団体は農林水煙の生産力の増強と、農山漁村民の経済的、社会的地位の向上をはかり、あわせて国民経済の発展に寄与するために設けられた農山漁村の団体である、こういうふうに理解をいたしております。これは農林省も認めておいでになる。農林省のつまりこの法律を改正するに当たって、法案の説明に伴いてございます。ちゃんとそういうことであるというふうに私は考えておるわけでございます。これには問題いないと思う。そういう考え方からいきますと、いま言う農業共済協会というようなものは、共済組合の末端の組合員は皆入っておる。ところが、共済組合は入ることができない。そうしてもう一つ、いま皆さんが例にあげられましたが、中畜の問題ですね、これはどういうふうに理解をされるか知りませんが、中畜に今度予算をつけて、コンサルタントが相当数設けられる、各都道府県に設けられる。コンサルタントというものは、一つの高い指導相談相手であるという意味であると思いますが、そういう人たちは相当実情といいますか、現実に指導力を持つ人でなければなりません。それがために、学校を出た、直ちに学校を出た人が採用されるとは考えられませんが、あるいは農業協同組合、あるいは畜産組合等において、実態の研修を積み、経験のある人が、一つの倒産に基づいて就職をするのである、こういうふうに理解をするのであります。そういう場合に、団体の、いままでの居住をしている団体にはその恩典があるが、今度はそのコンサルタントという職になるために、その恩典をこの共済という制度からはずれていくということは、私は不合理である。これは私ははなはだ言いにくいことを申し上げて恐縮なんですけれども、少し農林省は消極的といいますか積極性が足りぬと私は思う。何となれば、言いたくはないが、いま御提案になって審議をされておりまする農林漁業団体のこの共済組合法でも、今度大幅に改正されましたが、大幅に改正されたがその大幅に改正される元の、原案というのをお出しになったのと、それから厚生年金等が改正になることにおいて、今度自動的と言いますと語弊がございますが、改正をされなければならなくなったというこのいきさつから考えてみると、原案はきわめて私は何といいますか、不十分であったように考える。そういう世論にこたえることができなくて、他の共済組合というものが前進し、進歩したということにおいてそれに右へならえをしたというようなふうにも考えられるのでございまして、その点でも私は積極性が欠けておった。また本日参議院の本会議におきまして通過をいたしました法律がございます。この法律はもうすでに御承知でもございましょうが、地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律案というのが通過をしたわけでございます。この地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律案というものの中で何を改正したのかということになりますると、地方団体関係団体職員共済組合の新設である、こういうふうに提案理由で説明をいたしております。その地方団体というのはどういうことかといいますと、都道府県、市または町村長または議長が設けておる、私設というと語弊がございますが、これは公法人に基づかないいわゆる組合でございます、団体でございます。それが今度地方行政委員会でこれが法律が認められたということ、ですから、私はこれもいま局長がお話になりまして、何かむずかしげにお話になるのですが、それから考えるとこの都道府県がつくっておるもの、あるいは市町村長がつくっておるもの、あるいはまた都道府県が、あるいは市がつくっておる一つの団体、これは私はなるほど自治大臣が認可許可をするのかもしりませんが、内容はよく知りませんが、そういうものが今度共済の資格を持って出てくるということなんです。そうしますると広く解釈するのと言いましても、狭く解釈するのと言いましても、考え方は一つでございまして、やはり農業のそれぞれの団体に関係があって、生産力の増強をはかり農山漁村民の経済的な社会的な地位の向上をはかるということで、なかば公的に認めておりまする団体というものは、少なくとも私はこの制度の中に包含されるべきではないか。何かこうあとからあとからついていくような気がしてならないのでございますが、どうかひとつこの問題も、前向きでひとつ御検討いただけませんか。これはたいへん熱望している問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/83
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084・昌谷孝
○政府委員(昌谷孝君) 渡辺委員にお答えいたしましたように、私どもも狭く解釈することを能としているつもりはございません。ただ民法法人の場合、どういうふうな表現でねらっている団体をとらえるかということの技術的困難さという問題で、実は当惑をいたしております。私どもが知恵が足りないというおしかりは甘んじて受けますけれども、都道府県知事会とか市町村会はなるほど民法法人でございます。しかし、これは自治法に根拠を持っておりまして、地方自治団体の長の組織する団体というものをそちらですでに引用しておる。また長が組織する団体ですから、長がそう幾つも幾つも何じような団体を組織する懸念等もあまり持つ必要がない。非常に法律技術的に把握が可能なわけであります。したがって、まことに知恵のない話でおしかりを受けてもやむを得ないのですが、農林関係の民法法人で、いまお話に出ましたような性質のもの、確かに機能的に言って入れたらいいと思いますし、入れたいと思います。それをどういうとっかかりで入れてまいるか、その点を前々から検討をしておるのでございます。まだまことに申しわけないのでございますが、結論が出ておりません。それだけの理由で事が進まないということは、私としてもはなはだ不本意でございますけれども、ありように申し上げてそういう実態でございます。今後できるだけ早くもう少しくふうをこらしまして、御期待に沿うように努力いたしたいと思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/84
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085・堀本宜実
○堀本宜実君 よくわかりましたが、とにかく民法法人といいますか、そういう意味では今度できた拡充された地方公務員のつまり団体につきましても私は似たり寄ったりのものだと思うのです。これも一足先に行っていると思う。いろいろ理屈はありましょうけれども、理屈とこう薬はどこにでもつくといいますが、これはものは考えようで、私はそうそのものがやろうという、まるっきり異質なものを、やろうというのではないので、ほんとうに中央畜産会にそんなコンサルタントをやれといって補助をして、そうして人をかかえてそれはやるのですから、これはもう私が基本的なことを申し上げることは、人の質問をしているところを関連質問をやっているわけですから、私は相すまぬと思って中を飛ばしましたけれども、ほんとうに農業の職長というものは弱いのですよ。だたいして金をとっていないのですよ。給料は低いのですよ。これは私が一々額を示して、例を示して申し上げる必要はないと思う。そこで優秀な人材を確保することがどうしてできるかということです。そうしますと、この共済組合に加入のできる者とできない者とが同じところで同じ仕事をしているということが、 これは私はたいへんな誤差が出る。そこにコンサルタントなんというものを雇おうとしているところへもってきて、それにはこの恩典がないぞというのは、何となし残念なんだ。局長が前々からたいへん御努力をいただき、御検討をいただき研究をしておいでになることは、私もよう知っておる。ところが、いつまでも研究をしておられたのでは、この要望を持っている者にはたまりませんので、どうぞひとつなるべく研究を早く打ち切って、現実に前向きでいかれますように、きょうもいい例が国会で通っておりますので、これはいろいろ内容は違います。違いはしますけれども、理屈を言えぱ、私はよく似たものだということが言えると思うのであります。どうかひとつ重ねて申し上げますが、なるべくひとつ御決定をいただきますようにお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/85
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086・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 私ももう時間が、よその会派でも大臣にぜひ質問をされるそうでありますから、もう質問をやめて締めくくりの希望を大臣に申し上げまして、特にきょう取り上げた労使関係の紛争の問題、あるいは余裕金の運用の問題、ここにあらわれましたように、きわめていま組合の性格からいって危機に立たされていると感じるわけです。ですから、労使の紛争をこの面からそれを解決し、経営者に経営の機能を付与し、その経営者に経常意欲を与え、自主的な責任によって組合を運用するという自主性の強化については、逆行するいまの考え方を、できるだけすみやかな機会にこれの姿勢を直してもらいたいということを大臣に強く要請して私の質問は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/86
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087・高山恒雄
○高山恒雄君 時間がありませんので、大臣もせいておられるようですから、私はいままでに出ていない問題をちょっと申し上げて、大臣の御答弁を願いたいと思うのです。この年金法の問題について、日が浅いという点については、私も十分理解できるのであります。しかし、いま一番農林また漁業ということで困る問題は、私はこの若い青年の定着、これがやっぱり基本になろうかと思うのです。しかもまた、先ほどの答弁の中にも出てきましたように、非常に年少者が多いということです。それにもかかわらず多少前向きの姿でこの改正を今度されたということについては、これは認めざるを得ないと私は思っておる。しかし一番大事なことは、そういう重大ないま時期にある農村の問題を、私は日ごろから大臣の答弁をよく聞くのでありますが、大臣は非常な熱意を持って御答弁なさっておる趣旨も私はわかります。しかし実際には、局上長の答弁を聞いておると消極的だ。すべてがそういう感じを私は持たざるを得ないのです。きょう北村委員からもいろいろ資料の質問もございました。私はここに資料を持っておるのでありますが、昨日局長は、三十六年の調査で農林共済組合の平均賃金が一万四千三百六十円、こう言っておられます。私は三十七年、八年をとらえて他の業種と比較して見たのです。これは出ておりませんから私が申し上げますが、厚生年金が約千六灯が人、それで平均賃金が二万二一百五十八円、それから船員が二十四万六千人、二万八千三百一円、さらに国家公務員の給与は二万五千二百十円。なおまた公共企業体の賃金が、これは国鉄は二万六千二百六十二円、さらに電電が二万三千九百五十一円、専売が二万四千三百九十八円、地方公務員の給与が二万六千九百二十八円。そうしますと、大体この三十七年度現在をとって見ましても、全く四割安い。これでもってして保険の一部の改正をしようといっても、私は実際にはここに掲げておられるような優秀な人材を確保するということは全く困難だと考えております。さらに、これは先ほどもこの年金にからんでの給与の問題の御質問がございましたが、その答弁の中でも、本給のこと以外のあらゆる諸給与という問題があるから、一がいに言えぬという答弁をしておられる。しかしそれなら私は年収でいくべきだ。ところが私が持っておりますこの資料は、これは農林年金と全購連、住宅公庫、農林金融公庫、愛知用水公団、これの年令別の基準が出ております。なるほど十八才のポイントを押えれば初任給はほとんど一万五千円です。これには間違いございません。ところが二十二才のポイントを押えて見ますと、この年収からいきますならば六万、五千円の相違がある。さらにまた三十のポイントを押さえますと、大体全購連の立場から言うならば十四万六千四百九十五円という差がございます。これを愛知用水にとっても四千八百六十五円、これだけの開きがあります。なおまた三十五才のポイントをとってみますと、これまた年収では全購連に十八万一千九百二十二円安い。さらに愛知用水をとりましても五千七百五十六円。四十才のポイントをとって見ますと、これまたむちゃくちゃです。いわゆる全購連では二十万四千三百三十八円、これだけ農林年金の労働者よりも多いということです。これを一番最低だと見まして愛知川水をとりましょう、これにしましても、五万六千百九十円相違があるのです。これだけの年収の相違があるということは、私は、一部の保険の改正をここでされる一つの皆さん方の趣旨というものは、十分御理解ができておるのだろうと思うのです。しかし局長もきのう否定しておられましたように、みずから給与が安いと、こう言っておられるのですから、きょうの答弁では、私は、もっと局長自体も均衡をとりたいのだ、どういうところに隘路があるのだというような、そういう点がお聞かせ願いたかったのですが、その質問に対しての答弁もなされておりません。そこで私は、大臣が先ほどの北村委員の質問に対して、そうした問題の均衡をとることに努力したい、こう言うっておられましたが、私は、努力だけではなくて、ほんとうにこれだけの格差があるということは、農林行政あるいは漁業行政に対してもっと根本的な問題として、そうして社会並みの水準に持っていく。たとえて申しますならば、先ほど私が申し上げましたように、厚生年金保険は千六百五十一万九千人です。それでも平均貸金は二万二百五十八円です。それよりも約四千円安いのです。これはもう中小企業も大企業も入っておりましょう。幾ら農林共済組合員が年が若いといっても、日本の今日の年功序列型の賃金だからといっても、これはおよそ常識では考えられない賃金です。この格差は何からできたかと申しますと、これが私が調べておる範囲内では、必ず七・二%とか六%とかいうこの率での予算を組まれております。したがってそれに対して原資のワクというのは、もとがこまかいのですから、その率ではこれは原資が少ないのがあたりまえです。そうすれば、毎年同じようなそうした同じ率の値上げをするということになりますと、ますます格差が開く一方だろうと私は思うのです。したがって特別の原資を私は考慮していただいて、この給与の均衡をまじとる、その上に立って他の共済組合の規定も大体社会水準に合わせていくという努力をしていただくことを、私は大臣に強く要望いたしておきます。大臣の決意もひとつまたお聞きしたいと思います。時間がありませんからなんですが、いままで出なかった要点だけを申し上げて私の意見といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/87
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088・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 問題が二つあると思います。先ほどの北村さんからの質問は、いまの農業共済団体の職員の給与が愛知用水並みにふえなければいかぬ、こういうようなことであったと思います。もちろんこの団体の職員の給与等をそういうふうに均衡のとれたものにもつていかなければならぬという問題が一つございます。それからいま高山さんがお話しのように、全国三十二万の農業団体の職員の給与が非常に低い、こういう御指摘、まことにそのとおりに私ども認識いたしております。これは深く考えますならば、農業あるいは漁業、林業、こういうものの収益性といいますか、非常にしばしばここでも問題になっておりますように、所得の格差が違っておる。他産業と比較してよくないと、こういう人々の組織しておる、組合員となっておる団体でございますので、その団体の何といいますか、団体そのものの利益といいますか、収益といいますか、財政といいますか、そのものも十分でない、こういう点から給与の面にしわ寄せをされておるということもあろうかと思います。でございますのでお話まことにごもっともでございまするし、これはまあ少し抽象的になりますけれども、農山漁業の振興といいますか、そういう面から出発していきませんと、なかなか十分な解決は得られないと思いますけれども、それはそれといたしましても、各農業団体に働くところの人々の給与がよくなるように、積極的に私も指導、協力をいたしたいと思います。同時に、いまの共済関係におきましても、給与ばかりでなく、共済の面におきましても、特に農業関係の団体の職員のいろいろな年金その他がなお一そうよくなるように改善を加えていくということにつきまして、再々この席で申し上げているような努力をしていきたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/88
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089・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) これにて本法律案についての質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/89
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090・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 御異議ないと認め、さように決定いたしました。
本日は、これをもって散会いたします。
午後五時十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04519640612/90
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