1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年六月二十三日(火曜日)
午後零時一分開会
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委員の異動
六月十七日
辞任 補欠選任
野知 浩之君 鈴木 一司君
大河原一次君 鈴木 強君
六月十八日
辞任 補欠選任
鈴木 一司君 野知 浩之君
六月二十日
辞任 補欠選任
大和 与一君 小宮市太郎君
六月二十二日
辞任 補欠選任
鈴木 強君 大河原一次君
六月二十三日
辞任 補欠選任
戸叶 武君 中田 吉雄君
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出席者は左のとおり。
委員長 青田源太郎君
理事
梶原 茂嘉君
森 八三一君
渡辺 勘吉君
北條 雋八君
委員
植垣弥一郎君
岡村文四郎君
北口 龍徳君
櫻井 志郎君
仲原 善一君
温水 三郎君
野知 浩之君
藤野 繁雄君
堀本 宜実君
森部 隆輔君
山崎 斉君
大河原一次君
北村 暢君
小宮市太郎君
中田 吉雄君
牛田 寛君
高山 恒雄君
国務大臣
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
政府委員
農林政務次官 松野 孝一君
農林省農林経済
局長 松岡 亮君
通商産業省軽工
業局長 倉八 正君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
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本日の会議に付した案件
○肥料価格安定等臨時措置法案(内閣
提出、衆議院送付)
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001・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) ただいまから委員会を開きます。
肥料価格安定等臨時措置法案を議題とし、質疑を行なうことにいたします。
質疑のおありの方は、御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/1
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002・大河原一次
○大河原一次君 私は先般、今回出されました肥料新法に対して、特にこれとのいわゆる精神は同じであるという大臣の言葉があったわけでありますが、今日までの、いわゆる現行二法が果たしてきたその役割なり、あるいは成果、実績等に対して、いろいろ概括的な、十分ではございませんでしたが、質問を申し上げたわけでありますが、質疑応答の中で、あるいはまた政府側の答弁の内容を聞いてまいりますると、私は、今日の肥料二法の果たすべき役割というものがまだまだ残されておるのではないか、そのように感ぜざるを得なかったわけであります。本日は、そういった基本的な問題を省略いたしまして、内容に入りたいと思います。
その前に一つ、この前、時間の関係でお聞き取りできなかったわけでありますが、御承知のように、例の赤字処理のための、いわゆる輸出赤字の十カ年繰り延べ償却の、商法の特例が出されたわけであります。この特例法が、今後肥料二法なき後の法律の実態というものはどうなのであるか、ひとつこの一点だけ聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/2
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003・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 通産当局からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/3
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004・倉八正
○政府委員(倉八正君) 昨年御審議願いまして通りました償却の問題でございますが、あれはいわゆる二百十億の赤字を十年で償却するということでございまして、その償却は会社全体の利益金の中から、それを毎決算期ごとに償却するということでございまして、この法律と直接的な関係は私なかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/4
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005・大河原一次
○大河原一次君 私どもも直接的な関係はないと思いますが、しかし、いずれにしても、あれは現行二法のいわば代償と申しますか、そういった建前からああいう商法の特例が出されたと思うのです。したがって、二法なき後は、新法においてやる場合には、今後のいわゆる特例法の実態というものはどうなるかという疑問を持たざるを得ないので、お聞きしたわけでありますが、引き続き、では、この繰り延べ償却というものは続けられる、そういうふうに考えてよろしゅうございますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/5
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006・倉八正
○政府委員(倉八正君) 先生のおっしゃったとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/6
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007・大河原一次
○大河原一次君 そこで私は、需給関係について若干お伺いしたいと思いますが、先般の衆議院の委員会の中におきましても、赤城農林大臣は、需給計画も、需給見通しも、内容においては変わらないんだ、同じ内容を持ったものである、こういうふうに御答弁されておるようにみたのでありますが、しかし、私は、需給計画と需給見通しというものは、本来はやはり当然内容としても変わってくるのではないか、たとえば政府は生産指示とか、あるいはまた出荷指示、調整保管、そういったものは考えていないということでありまするが、しかし、需給計画と需給見通しが、全く内容的に同じだというような、そういう御判断に立つならば、私は、当然この需要見通しの中においても、いわゆる生産指示と申しますか、あるいは出荷指示と申します問題も考えられていいのではないかというように、私は私なりに判断するのですが、しかし、政府としては、生産指示や、出荷指示というもの、あるいはまた調整保管というものは考えていないのだということになると、何か私としてははっきりしないものを感ぜられるのですが、この点はどういうふうに判断するというのでありましょうか、これは赤城農林大臣から御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/7
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008・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 非常に強い統制の、現行二法のもとに置かれておりましたので、需給につきまても、需給計画という字句を使っておるのでございますけれども、このたびは御承知のように、相当緩和された統制というようなことになって、当事者の話し合いというのが基礎になっておりますので、文字の上におきまして需給の見通しと、こういう文字を使っておるわけでございます。しかし、その需給の見通しと需要の計画との内容においては、私はいまのとそう違うものではない。しかし、いま御指摘のように、それから派生するところの出荷の指示とか、地産の指示とか、あるいは調整保管と、そういうものは御指摘のように、今度の法案においては規定しておりません。でございますが、現在の二法におきましても、生産、出荷あるいは調整保管はちょっとやったことはありますけれども、実態としては、実際にはそれを発動したといいますか、こういうことはないのが現状であったのでございます。そういう現状から見まして、そういうことを必要としない段階に入っておるので、内需を優先していけばいいじゃないか。そのための輸出の承認制、その他の規定を設けて、内需を確保する。内需を確保する場合の基礎であるところの需給計画というものを、需給の見通しということにしたほうが、法のていさいからいってもそれが適当じゃないか。しかし、内容的には、数字的なものは、私は計画と見通しとはほとんど同じように考えていいのじゃないかと、こういうことを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/8
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009・大河原一次
○大河原一次君 それは一応輸出をチェックして、内需に十分に応じられる体制にあるからという、そういうお考えもありましょうし、同時に、今日までのこの肥料二法の実施過税における経済のノーマルな事態を見通された場合には、私はそういうことは言えると思うのですが、経済はやはり動いておりますし、特に私は、相当の激動期にあるという日本経済の実態なり、あるいはまた肥料工業をめぐるいろいろな事情というものを勘案いたしますると、いま大臣の言われたようなそれだけの問題で、あるいはまた数字的には確保できたといたしましても、いろいろな部面において需給というものが十分に調和されていくかどうかということに対する心配を私は持つから、そういうことをお聞きしたわけですが、言葉の上では、なるほどというようにうなずけるのですが、いま申し上げたような経済の今後の変動というものを考えますと、出荷指示なり生産指示というものがない限りにおいては、明確にされていない限りにおいては、不安を持つのは当然ではないか、このように考えておるわけで、したがって、お聞きしたわけでありまするが、それに引き続いて、肥料二法をなくして、肥料新法によって今後の肥料供給をますます高めていくんだという、そういう自信に満ちた態度でございますが、しかし、いまも申し上げた問題と関連するんですが、この肥料新法を設定される、法律化されるという前段にあたっては、当然今後の国際情勢なり、あるいはまた日本の国内経済の変動なり、あるいはまた企業各社における企業内部における、いわゆる何といいますか、いろんな事態ということも私は相等考えていただかなければ、いわゆる消費者の立場に立つならば、非常に不安定を感ずるものではないかというふうに考えざるを得ないんでありまするが、政府は、赤城農林大臣は、そういう肥料需給を取りまくもろもろの要素というもの、経済の変動というものを考えられておるかどらかということなんです。やはり、政府が簡単に言うように、需給関係が緩和している、もう十分である、輸出はチェックするから差しつかえないというような、そういう断定のしかたではございまするが、だからといって、もう肥料二法の役割りは終わったんだと、こんなものもう必要ないのだというところまで楽観していいかどうか。やはり経済というものは変動が絶えず行なわれておるということ、あるいはまた企業内部においても、いろんな変動が持ち来たされるということの実態を考えなきゃならぬと思うのですが、そういう情勢の今後の変化に十分に対処し得られるというような自信に満ちた考え方に立って、この肥料新法を策定されたのかどうか、こういう問題がまず私は非常に大事な問題じゃないかと思うんであります。今日まではきわめてノーマルに進んでおったから、加えて、いわゆる肥料の供給も、どちらかといえば過剰状態にもなっているという、それほどまでに進んだ状態であったから、そういうことも言えると思うんですが、一面、やはり経済の動きというものを十分に考える必要があるのではないか、こういうふうに考えておるのですが、これに対する大臣のひとつ所信を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/9
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010・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) いろいろな御指摘ごもっともだと思いますが、国際的に見て、輸出の面等がどうだろうかというような考え、勘案はしたかどうかということでございますが、これは大ざっぱの見方でございますが、私は、ここ数年といいますか、六、七年といいますか、十年といいますか、同じような状況で輸出はある程度ふえるという見通しだと思います。しかし、中共におきましても、あるいはソ連等におきましても、大々的に化学肥料の増産を計画いたしておりまするし、あるいは韓国等でもそうでございますから、十数年後におきましては、こういうものとの競争というような面もあろうかと思いますが、私は、しばらくはいまのような状況が続くんではないかと、こういうふうに見ております。また国内的に見まするというと、アンモニア関係の肥料工業は順調に進んできました。これは大河原さんのおっしゃるように、いまの二法の関係もございますが、合理化なども順調に進んでまいりましたし、肥料会社の数などもそうたくさんあるわけじゃなく、順調に進んできておりますから、企業内部におきましてもいまのような進め方をし、突発的なものがなければ、いままで進んできたような進み方を当分続けていくので、心配ない。数字的なものや何かのことは、通産当局か何かで資料によって裏づけられると思いますが、大ざっぱな考え方から一応いきますと、私はそういうふうに見て、そしていまの二法を、提案している法案に切りかえても当分心配はない、また安心感を生産農家に持ってもらって差しつかえない、こういうふうな立場から、こういう程度の法案を提出したわけであります。
——————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/10
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011・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) 委員の異動について御報告いたします。
本日付をもって戸叶武君が辞任され、その補欠として中田吉雄君が委員に選任されました。
——————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/11
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012・大河原一次
○大河原一次君 私は、いま大臣の御答弁の内容については了解も得られるわけですが、しかし、いずれにいたしましても、大臣は今日の肥料状態というものを現時点においてながめられているから、そういうことを言えると思うのですが、私はあまり先行き不安というような立場で、御質問を申し上げたというような点もあるかもしれませんが、消費者の農民の立場に立つと、やはり肥料二法があったればこそ、いわゆるその中における生産の指示であるとか、あるいはまた出荷指示、それが今日まで発動されずに済んだというきわめて順調な立場であったから、なおそういうことも言えると思うのですが、しかし、二法なき後の消費者の立場に立つならば、相当この新法について不安を感ずるのではないかと、そういう立場に立ってお聞きしたんですが、これに対しても、もう十分である、差しつかえはないという、いわゆる農林大臣の御発言でございまするから、私はそれを了承したいと思います。
ただ、問題は、これは衆議院でも出たように、これまた消費者の心配になるところは、やはり季節的あるいはまた時期的、あるいは地域的にあるいは種目別に、十分に農民一人一人の手に——御承知のように、農民は必ずしも専業農家ばかりではございません、やはり農家というものはどなたも兼業農家であるが、第一種であろうが第二種であろうが、ひとしく肥料に待たなければならぬ問題でありまするから——そういう農村における各層の方々に、ほんとうに間違いなく自分の手元に、自分の欲する量の肥料が、あるいはまた種目の肥料が届けられるかどうかということになると、これまた農民としての新たな心配があるのではないかと思うのです。私はやはり政府の強い何か統制的なものがなければ不安を感ずるのではないかと思うのですが、このようないわゆる季節別あるいはまた地域別に、間違いなく消費者の農家に肥料が届けられることができるかどうか、これに対する自信のほどもひとつ聞いておきたいのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/12
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013・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 御心配ごもっともだと思います。そういう面につきましては、現行法のように生産あるいは出荷の指示等はございませんが、私は、行政的にまあ強力に働き得る余地が、また働かせる余地があると思います。いろいろ肥料工業につきましては、めんどうはみているわけでございます。通産省の方面で、工場のほうには相当行政的な働きかけをいたしまするし、私どもは、農民の立場から強力にその生産者のほうへ働きかけて、行政的な指導をして、地域的あるいは時期的にずれたものでは、これは何にもならぬものでございますから、そういうことがないように、行政的に指導といいますか、指示といいますか、こういうことは、これからもあやまちなきを期し、また十分に動いていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/13
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014・大河原一次
○大河原一次君 軽工業局長のほうからも、ひとつこれに対する御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/14
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015・倉八正
○政府委員(倉八正君) いま農林大臣の御答弁されたのに尽きると思いますが、事務局として、もっと詳しく申し上げますと、出産というのは、これは年中同じペースでいかなくちゃならないものでございます。ところが、出荷は御承知のように、春秋二回に殺到するということで、その間をどう安定した供給をはかるかということにつきましては、輸出承認のときに農林、通産両大臣でやるわけでございますが、農林省と通産省は、毎月の出荷、生産あるいは在庫というのをはっきりとっておおりまして、それに基づきまして、今月はここまでの、たとえば輸出承認を政府としてはいい、こういうことをしておりますから、地域的な、時期的なこともそこまでに十分勘案して、われわれはやっていける自信を持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/15
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016・大河原一次
○大河原一次君 大臣の言うこともよくわかるのですし、この前の場合においても、いろいろそういう心配に対しては、政府はある程度の、二法なき後においても監督その他の機能を保留しておるという、そういうお答えがあったと思うのですが、しかし、一面には、政府はこの新法によっては、業者に対して、メーカーに対して不介入の原則と申しますか、不介入の態度をとっておるということを聞きますと、政府の不介入の度合い、限度というものは、どの程度まで不介入の限度であるか、こういうことも考えられるわけですが、これに対するお答えはいただきませんけれども、一面には、いわゆるメーカーに対するあるいは業者に対する不介入の態度をとっていくという問題が、強く新法の中には出ておるわけでありますから、したがいまして、そういう態度をとる限りにおいては、需給の調整なり、生産の調整という問題に対してどれだけ権限があるかどうかということに対する疑問を持つが故に、お聞きしたわけですが、そういうものが不介入の態度をとっていても、なおかつ大臣のいまのおことばのような、ことがありまするから、私は一応ここでお聞きは申し上げません。
それからいま一つ、大臣も、先ほど突発的、偶発的な問題がない限りはということを申されました点は、これは思いつきで恐縮でございますが、やはり企業各社二十何社がございますが、これは新潟のああいう震災による昭和石油のような問題は、二十社全部に及ぶわけではございませんから、そういう危険度というものは絶対的に考えられない点もあるかと思います。しかし、あるいはまた不測の事態ということも全然ないわけでございませんが、それよりか、私は在庫がどのくらいか、数字を調べておりませんからわかりませんが、たとえば、いま肥料各社におきましてやはり労働組合がございますね。やはり労働組合が今日の合理化に対して反対するという態度をすでに出されております。今日までもいろいろの形態の闘争が行なわれてきたと思います。今後この法案を審議する過程においても、われわれは非常に何か御質問申し上げる中にも心配な点も出てくるのですけれども、今後とも政府は合理化を進めて——私は合理化の内容はどういうものであるかということをまだお聞きしておりませんが、しかし、相当合理化という問題の中には、人員整理なり、配置転換ということも行なう。あるいはまた実質賃金の切り下げということも予想されます。したがって、こういう問題が積み重なってまいりますると、御承知のように、肥料産業の労働組合、いわゆる合化労連であります。大臣も御承知のように、総評の議長は太田薫氏でありまして、彼が中心となって、今日の合化労連を率いてやっておるわけですから、これは各二十何社全部に通ずるいわゆる単一組織であります。内容といたしましては、もちろん企業内組合というような問題もあるけれども、しかし、これは単一組織という形式のもとにおいて、今後のいろいろ労働条件の引き下げなり、首切り反対の闘争を展開されると思います。これは、私はいま在庫というものがどの程度かわかりません。しかし、大体先般の松野次官の話から申し上げますると、今日の硫安の生産量は六百何方トンになっているという状態でございます。一体、今日在庫がどのくらいかという問題とあわせて、合化労連が全国的な産業別単一闘争というもので闘争が展開された中では、私は相当出産というものが低下する。一日の生産量、たとえば二十トンなら二十トンですか、そういったものが得られなくなってしまうわけですから、これは一社ばかりではございませんから、やるとすれば、合化労連によるところの単一闘争が展開されますから、全部に企業の危機というものが及ぶわけですから、こういういわば不測の事態に対する対策というものを、やはり十分考えなくちゃならぬと思うのですが、私は単なる憶測や何かで言っているわけでございませんが、こういう点も十分今後の問題としては考えるべきではないかと思うのですがいかがでしょうか、どなたでもけっこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/16
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017・松岡亮
○政府委員(松岡亮君) まず、そういう事態に対処しまして、どういう用意があるかという点から申し上げますと、在庫は一月ないし一月以上用意するようにいたしております。したがって、計算上は二十何工場が一月からストップしても、簡単な計算で申し上げますと、供給は事を欠かない、こういうことでございますが、大体そういう状態が見込まれる場合には、輸出の承認を停止いたしまして、化産量を在庫に加えていくようにすることができると考えております。まず、よほどの大規模なストライキがございましても、国内の供給には不安を与えないということを私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/17
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018・大河原一次
○大河原一次君 ついでになりまして恐縮ですけれども、今後、この前の軽工業局長のおことばの中にも、大臣のおことばの中にもありましたように、今後さらに合理化を進めていく、こういうことばもございましたし、私も当然肥料の二法の精神を生かしていくという、新法のたてまえから言うならば、合理化も進めなくちゃならぬと思いますが、問題は、私は合理化の内容だと思うのです。どのような形態の合理化を進めていくか、この前は、多少軽工業局長からの発言がございましたけれども、ただ問題は、私どもの考えとしては、この合理化の中に含まれる人員整理であるとか、いわゆる配置転換というそういう問題も、当局としては考えておられますかどうですか。その一点だけお聞き申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/18
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019・倉八正
○政府委員(倉八正君) 整理とか、配置転換というのは、これは政府の問題というよりも、各企業体自身の問題でございまして、われわれ政府としまして、配置するとか、あるいは整理するということは、これは言えなかろうと思います。ただ趨勢として言えますことは、さらに先生のおことばにもありましたように、合化労連という非常に強力な労働団体がありまして、実際問題としては整理は不可能ではないか。また社会上からみましてもそういうことは好ましくない。したがいまして、その企業体というのが、いろいろ最近のように石油化学をやってみたり、あるいは無機のいろいろなものをやったり、そうやって、それを転換していきまして、肥料部門の労務費の諸掛かりを軽くするということが、結論としまして値下がりを、肥料の価格低下を招きまして、土産コストの引き下げを招きまして、農民の方も潤う、こういうことでございまして、そういう意味におきましてはできるだけ新企業に乗り出す、そうして労務者をその面に配置転換して、企業全体としての合理化をはかっていくということが、肥料の合理化にも直接役に立つのじゃないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/19
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020・大河原一次
○大河原一次君 企業合理化の内容について、今後の進め方についてもお話があったわけでございますから、なお、需給の問題についてはいろいろ問題があると思いますが、同僚の方も質問されると思いますので、私はこの程度でとどめます。
次に、私は価格決定の問題、価格の問題について若干お尋ねを申し上げたいと思いますが、その前に、まず価格決定にあたっての、いわゆる自主交渉のたてまえをとっておる新法のもとにおいて、私はどのような要領で、先般も藤野委員から若干御質問があったと思いますが、あらためて私は確認しておきたいと思うのですが、これは松野次官でもけっこうでございますが、自主交渉の場合の要領と申しますか、これをひとつ具体的に説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/20
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021・松岡亮
○政府委員(松岡亮君) 具体的段取りは、これは当事者同士が申し合わせることになると思いますが、やり方といたしましては、双方肥料年度に入ります前に、一月ぐらい前だと思いますが、話し合いを始める段取りをきめて、お互いに資料を出し合って問題を整理して、ことしはこういうものが値上がりしているから、少し上げてもらいたいとか、いやこういう事情があるから下げてもらいたいとか、お互いに資料を出し合って論議を尽くしてきめていく、こういうことになると思うのであります。さらに、その話し合いがなかなか進まない、意見が対立して進まないという場合には、政府に助言を求め、あるいは政府が積極的に助言するという段取りになるんじゃないかと思うのであります。なお、それでもまとまらないという場合には調停が行なわれる、調停の場合にも、できるだけ政府としては両者の言い分を聞き、論点を整理して、その上に立って話し合いをまとめることが通常の調停の形になろうかと思います。しかし、そういう形がとれない場合もある、その場合には、政府側が一つの案を示して両者を説得する、こういうような予想を立てておるのでございます。それからもう一つは、話し合いに両者が簡単に入らない場合もたまにはあります。そういう場合には、政府が、法律にも規定がございますが、話し合いをするように勧奨する、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/21
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022・大河原一次
○大河原一次君 そうしますと、確認いたしますが、資料といたしまして双方出し合うということですけれども、その場合、特にメーカーの出す資料というものは、需給の関係、いわば需給の実勢であるとか、そういったような直接価格決定の中心になる問題ではなくして、直接出る価格を取り巻くそういう実勢であるとか、情勢といったような、あるいはまた条件といったような、そういう資料が出されると、そういうわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/22
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023・松岡亮
○政府委員(松岡亮君) 資料は、両当事者としては価格決定に必要な資料はお互いにすべて出し合うと思うのでございますが、需給の関係等につきましては、生産数量あるいは在庫数量、出荷数量、それから需給見通しというものを政府は持ち合わせておりますので、これは政府が提供をしていきたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/23
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024・大河原一次
○大河原一次君 私は、そういうことではなかなか最終的な価格決定はスムーズに行なわれないのではないかと思いますし、あるいはまた、よしんば価格決定がなされたとしても、相当これによっていわゆる経済の見通しであるとか、あるいはまた需給関係がどうなっているかというような、そういう論議が先に出るだけで、なかなか価格決定の方針にいくには時間がかかるのではないかと思いますが、やはり必要とするものは、価格の基準というんですか、そういう基準的な価格というものが、メーカーならメーカーから出され、あるいは政府からそれに対する助言なり、政府自身のそれを裏づけとすべき資料というものがやっぱり必要ではないかというように考えておりますが、その場合に、たとえば、全工場の総平均の生産費がメーカーのほうから出されるとか、あるいはまた三十八年度、昨年審議会できまりましたようないわゆる価格というものが、あるいはまたバルクラインによって出された価格を多少なり、条件緩和の中で修正というものが出され、それが一つの中心になって出されるというような、そういう基本的な価格決定の基準になるものが明確に出されるということが必要であって、その中心の価格基準をめぐって両者が、これを取り巻く実勢なり、あるいはまた需給の今日の時点における状態というもの、そういうものを勘案しながら、より適正なものがそこで決定される、そういう運びにしていくのが順当じゃないかと私は思うんですね。初めから、ばくとして雲をつかむような資料の中で、暗中模索の中で価格決定をされるということは、私はなかなか容易ではない、そういうふうに考えておりますが、そういう点はひとつもっと具体的にはっきりお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/24
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025・松岡亮
○政府委員(松岡亮君) もちろん非常に重要なポイントでございますが、まず、両当事者で資料をつくって、お互いに相手を説得する努力があると思うのでございます。お互いに提供した資料を十分検討してもらう必要がある。しかし、政府としましても、政府は政府の権限に基づきまして、生産費調査等の価格の決定のファクターになるような資料も用意いたしますので、公正に円滑に話し合いが進むように、問題は合理化メリットがどの程度発生しておるかというところにあるかと思います。せんじ詰めていくと、その配分ということが話し合いの重要なポイントになる、そういう点がわかるような資料は提供してまいりたい、そう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/25
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026・大河原一次
○大河原一次君 話がこまかくなりましてたいへん恐縮ですが、しかし、いま局長が言われましたように、たとえばここに合理化メリットがどのように配分されるか、そういう問題も当然出てくると思いますが、そうであるならば、なおかつ私は明確にひとつ——それは、たとえば先ほど申し上げましたような、いわば全工場における総平均生産費であるとか、あるいはまた、この前もちょっと触れましたように、審議会に前に出されたような、ああいったものが一応目安として出されるということがなければ、初めから合理化メリットをどう配分するかということで、合理化のメリットの配分ということだけが中心には私はならぬと思うのです。どうしてもメーカーならメーカーのほうから明確に、これはもちろん消費者のほうから出すわけにいかぬでしょうから、メーカーのほうから、今年度のやはり中心基準価格というものはかくあるべきであるが、どうしようかということが出されて、その中心になる価格というものを中心としていろいろ論議をかわされ、あるいはまた、当然合理化メリットをいかに配分するかという、両者の論争というものが自主交渉の中で展開されるという順序でなければならぬと、私はそういうふうに考えておるのですが、その点が、いまの松岡経済局長の答弁では明確になっていないが、私の言うことが誤りでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/26
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027・松岡亮
○政府委員(松岡亮君) 先般もお答え申し上げましたのですが、各工場のコストは、これは機密にわたる部分が多うございますので、この委員会にも実は遠慮させていただいているわけでございますが、全工場の平均とか、そういう程度の資料につきましては、できるだけ提供いたしたいと考えております。ただ、政府が政府の判断で資料を加工する、平均したり加えたり、いろいろの理論的な基礎に基づいて加工するということは差し控えたほうがよいのじゃないか、それは政府が直接判断して、これが、政府が妥当だと認める段階においてそういう加工が行なわれるわけであります。両当事者は両当事者の理論的な基礎があるはずでございます。素材は提供いたしましても、それに基づく論議なり算定は、まず両当事者が行なうべき筋合いではないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/27
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028・大河原一次
○大河原一次君 重ねてお聞きいたしますが、全工場の出席資料というものですが、それはどの程度までの生産資料でございますか、それをはっきりひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/28
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029・松岡亮
○政府委員(松岡亮君) いろいろ資料の集計のしかたがございますけれども、最もすなおに、いま申し上げましたように、政府の判断によって加工を加えないものが妥当ではないか、それをどういうふうに、たとえば査定していくか、この項目は幾らであるべきであるとか、そういうことはまず両当事者が論議して考えていくべきである。また前年度からどう変化したか、これは一番合理化メリットに関連するわけでございますが、特定の相手には、どういう原因で上がっているか、あるいは日銀の物価指数でどう変化しているかというようなことは、これは政府から、必要があれば提供いたしますけれども、これは両当事者でも十分わかることである、それだけのスタッフはそろえておると考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/29
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030・大河原一次
○大河原一次君 いまの問題とも関連いたしますが、全工場といいますか、団体交渉に参加される消費者団体あるいは生産者団体ですけれども、特に、生産者団体等においては、代表が参加される、団体交渉の場合参加される代表は、二十一社なら二十一社の全部の代表がこれに参加して価格決定を行なう、そういう方式になるのでございますか。これはわからないのでお聞きするわけですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/30
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031・松岡亮
○政府委員(松岡亮君) 法律の規定によりますと、当事者たり得る資格、当事者として取りきめをやるには、生産者側は生産者側で、生産量の五〇%以上のシェアを持つメーカーが集まる。需要者側は、全取り扱い数量の五〇%以上の取り扱い量を持つ団体が入る、これ当事者たる資格、最低の条件でございます。したがって、五〇%川に満たない人々は集まって五〇%以上になる必要がある。こういうことで複数である。特に、メーカー側は複数にならざるを得ないと思います。需要者側は、全購連だけでも五〇%をこすわけでございまして、これは単独でも当事者たり得るわけでございますが、メーカーの場合には、したがって、十何工場とか、少なくとも七、八工場は参加しなければなりません。ただ、交渉にあたりましては、参加したメーカーの全部が交渉に加わってもよろしいわけでございますが、必要によっては、その十何メーカーなり、七、八メーカーの代表を自分らが選任して、交渉に当たるということは可能であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/31
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032・大河原一次
○大河原一次君 そういたしますと、五〇%に満たない、一面には二十一社なら二十一社のうち、たとえばそのうちの十社が集まる、これは五〇%のあれに達する。しかし、あとのものは五〇%に達しないということになるわけですが、結局そうましすと、そこのあれがよくわからないのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/32
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033・松岡亮
○政府委員(松岡亮君) 少し説明が足りなかったかと思いますが、集まったメーカーならメーカーのシェアが五〇%をこえておれば、それで当事者になり得る。したがって、その当事者になっていない人も加わることもできるわけでございます。要するに、交渉に参加しようとする人々の全取り扱い量が、日本じゅうの取り扱い量なり生産量の五〇%をこえればよろしい、こういう要件でございます。需要者側に例をとって申し上げますと、全購連は単独で当事者になり得る。ところが、もうひとつの中肥連という商人系の団体がございますが、これは単独では当事者になり得ない、取り扱い数量は二〇%かそこらでございますので、したがって、全購連と一緒になって団体交渉に参加することはできるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/33
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034・大河原一次
○大河原一次君 よくわかったような、わからないような問題でございますが、あとに残したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/34
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035・北村暢
○北村暢君 ちょっと関連して。そうしますと、あれですか、消費者側の場合、全購連は五〇%以上のシェアをもっているということで、全購連以外は、そうすると団体交渉をやるのは、どんなに集まってもないということですね。そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/35
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036・松岡亮
○政府委員(松岡亮君) 硫安に例をとればそういうことでございます。単独では当事者たり得ない。全購連と一緒になればなり得る。これは現状においてそうだというわけでございます。今後シェアが変わればまた別でございます。全購連のシェアが落ちていけば、それは全購連も単独ではなれない、こういうことでございまして、現状の事実論として、法律の要件に単独で合致し得るのは全購連だけでございます。こういう事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/36
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037・大河原一次
○大河原一次君 問題があれで、よくわかりませんが、またあとで御質問申し上げたいと思います。
そこでまた、ひとつ価格の問題に触れてお聞きいたしますが、先ほども合理化メリット配分云々の問題が出されたわけでありますが、私は、やはり何といっても合理化メリットの配分という問題が日程になるならば、当然その前に、基準価格というものが一応設定さるべきであるということを主張したわけでありますが、そこで、問題は輸出赤字の問題とも関係するわけでありますけれども、政府は、赤字は転嫁をしない、赤字非転嫁という、そういう方式はとっておりますけれども、残念ながら、いまの新法の中に赤字非転嫁という保障が明確にされていないという現状でありますから、やはり私は、今後そういう自主交渉の中では、ある程度もちろん力関係というものも左右するかもしれしせんが、しかし、正常な交渉を進める場合においては、やはり問題は赤字転嫁という問題が当然乗ってくるのではないか、これが価格に転嫁されるということが必至ではないかというふうに考えておりますけれども、農林大臣もたびたび、衆議院の段階におきまして、赤字転嫁をさすべきではない、これは松野次官も局長も言っておられるようでありますけれども、いま申し上げたとおり、非転嫁の保障はないという今日の状態をながめますと、非常に私どもは不安でありますが、赤字が転嫁されたか転嫁されないかということは、何によって一体証明していいのであるか、もちろん政府は、その際、価格の調停なり、最終的に調停であるとか、あるいはまた是正命令という、最終的にそういう事態も考えているようでありますが、問題は、価格の上に転嫁されたか転嫁されないかという立証はどこでするかということ、これも先ほど申し上げたように基準価格というものが、当初から明確に指示されない限り、赤字が転嫁されたか転嫁されないか、明確な保障ができないか、これはどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/37
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038・松岡亮
○政府委員(松岡亮君) 私どもは、いま御指摘の問題は二つに考えているわけでありますが、当面、三十九肥料年度、これはこの八月から始まるわけでございますが、これについては、少なくとも現行価格より上がるような取りきめができた場合は、いかなる理由があろうと是正命令を出したい、そういう考えでございます。最近においては、かなりコストがいろいろな面で上がる面もございます。したがって、そういった面で、少なくとも現行価格より上がることはないように考えてまいりたい。
第二の問題としましては、要するに、両当事者の話し合いでもそうでございますが、ことしは幾ら下げてもらいたい、その理由はこういうことだ、あるいはそれはちょっと困るというような、いろいろな数字上の論議があると思いますが、その際に、いろいろそういった問題も、当事者も論議すると思うのでございます。政府はそれに対して、これは行政上の問題として、赤字不転嫁の方針をとるわけでありますから、政府自身は自分の調査に基づいて、従来のやり方などを基礎にして、一定の算定をやってみる必要がある。これがどうも不当な配分である。合理化メリットの配分、結局問題は合理化メリットの配分であろうと思います。配分が不当であれば、もののいい方がちょっと、多少飛躍がございますが、そこに赤字転嫁の問題が出てくる、こう考えられますので、その不当な場合、そういう場合には是正命令を出さなきゃいかぬ、こういうふうに考えておるんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/38
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039・大河原一次
○大河原一次君 現行価格が上がるような場合には、これは是正命令なり、あるいはまた云々という問題もあると思うんですが、何かいまのおことばの裏を考えますと、現行価格が上がるということになれば、それは何か合理化メリットが適切に配分されていないのであるという、そういう断定づけもできるようなお考えになっておるようですが、私は、そうだとすれば問題だと思うんですが、必ずしも現行価格が上がらなかったから、したがって、赤字は転嫁されないんだというような断定づけは、私は、これはもちろん合理化メリットがどの程度になっておるか、コストがどうなっておるかという問題に一にかかっていると思うんですが、いまの局長のお話の中では、ただ単に現行価格が上がっていないから、したがって、赤字の転嫁は行なわれなかったというような断定づけはちょっとうなずけない点がございます。それを明確にひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/39
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040・松岡亮
○政府委員(松岡亮君) ごもっともでございます。私の説明が明快を欠いておるようです。現行価格より上げないということは、少なくともまず前提として考える、こういう趣旨で、第二段の問題としては、結局、年々の価格というものは、どれだけ合理化が進行したかというような、まあそのファクターだけでは値段はきまらないと思いますが、生産費というものだけを取り上げていいますと、要するに、どれだけ合理化が遊んだかということに基づいて、その合理化の結果をどういうふうに値下げに向けるか、それから企業に帰属させて、さらに将来の合理化の基礎にするかというようなことでございますから、今後の年々の価格の決定ということはそういうことでございますから、その合理化メリットの配分といいますと、きわめて簡単な言い方ですが、その点の話し合いで、いわゆるそのやり方が不当であると考えられる場合に、赤字の転嫁の問題ということが起こり得る、そういうように考えておるわけであります。したがって、不当な配分である、これはもっと値下げすべきである、あるいはこれはひどい、これは全然企業に帰属させないで、企業の立場は全然考えてないというような不当な結果が出ております場合には、是正をしなければならない、こういうような考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/40
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041・大河原一次
○大河原一次君 まあ、よくわからない点があるんですけれども、やはり赤字が転嫁されたかされないかということは、いまの局長の御答弁だけでは明確なものにならないのではないか、かりに合理化メリットが半々に分けられた場合といえども、半々に分けられたという場合においても、なおかつそこには、半分に分けられた中には、赤字転嫁が何がし入っておるという事態も私はあるのではないかと思うんですが、そういう事態は、もちろん最終的には、自主交渉の中で両者が納得すれば問題はない、何をか言わん問題でありますが、政府が言うところの、赤字は転嫁させないんだ、実際には赤字非転嫁というものの明確なチェックはないわけですからね。したがって、必ずしもそういう半々に分けられたといえども、赤字の転嫁はあり得なかったという断定にはならない、国内価格が多少下がった中でも、なおかつ、一面には赤字のほうに何がしを回しておるという事態もあると思うんです。これは、私は単なる質問になりますけれども、こういう場合もあるんでしょう、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/41
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042・松岡亮
○政府委員(松岡亮君) それは倫理的にはあり得るわけでございます。でありますから、それを、どれが妥当であるかということは、当事者で話し合ってきまる。しかし、その結果がどうも不当であると考える場合には是正をする、こういうことでございます。で、大河原委員のおっしゃることは、実は問題の根本に触れておると思う。失礼な、言い方かもしれませんが、触れておるわけですが、現行の内需バルク方式を前提にいたしますと、企業には理論上、合理化メリットは全然帰属しない、こういうことになっておる。したがって、そこにいろいろ不満もあったわけでございます。合理化を幾らやっても、それは外に出してしまうんで、その利益は全然企業に帰属しない。これでは合理化する意欲も出ないというような批判もあったわけでございますが、そこに御指摘の問題があるのではないか、現行の内需バルク方式をそのままいつまでも踏襲しますならば、これはたてまえ上、すべて消費者価格の値下げに使われるわけでありますから、赤字転嫁というようなことはもちろん起きない。しかし、赤字非転嫁というのは、それならば全部合理化メリットを消費者にだけ与えることであるか、赤字非転嫁ということはそういうことであるかということは、これは根本的に問題がある、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/42
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043・大河原一次
○大河原一次君 もちろんそういう場合には、あなたのほうで積極的に、何といいますか、是正命令なり、何かこういうことをお考えになっておるんでしょうし、同時にまた、それはメーカー側に立ったばかりでなくて、消費者、農民の側に立っても、合理化メリットの配分いかんによっては、あなたのほうで、これまた積極的に是正命令ということを当然お考えになると思うのです。そうでしょう。私はそうでなくてはならぬと思うのです。
そこで、いままでの質疑応答の中で、だんだん明確になってくるのは、合理化メリットの配分の問題、赤字の非転嫁という問題を考えましたときに、やはりこれは当初から、この基準価格というものは明確に、メーカーならメーカーから出して、その出した中で、そういう赤字転嫁が行なわれるかどうかという問題や、合理化メリットの配分がどの程度が正しいものであるかどうかという問題が、当然出てくるのではないかというふうに考えておりますが、もし政府が、両者の交渉がまとまらないで、どうしてもこのような価格においては不満である、もちろん、これは消費者の立場もあるし、あるいはまたメーカーの立場もあるでしょうけれども、しかし、いずれにしても、政府当局みずからがこの調停をする場合、あるいはまた最悪の場合における是正命令を出すといった場合においても、いずれかの時点においては、政府自体が何らかの基準価格と申しますか、そういうものを出させる、政府みずからそれに近いものを出さして、そうして調停をする、是正命令を出すという、いわゆる調停なり是正命令を出す一つのきめつけの手段がなければ、調停にならぬ、是正命令にならぬのじゃないかと思うんですが、それを私は具体的にお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/43
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044・松岡亮
○政府委員(松岡亮君) 御指摘のように、政府が調停をします場合に、政府として案を示す場合もあるわけでございます。これがいいではないかといって、両当事者を説得する必要がある場合がある。その場合はもちろん政府が価格の案を用意するわけでございます。それから是正命令を出しますにつきましても、その根拠となるものは、やはり生産費等から割り出された基準から判断して、これは不当である、こういう断定を下すわけでございます。それは仰せのとおりでございますが、問題を少し広げまして恐縮でございますが、肥料の価格決定で、生産費というものは非常な重要な要素であることは御指摘のとおりでございますけれども、需給の実勢を反映した価格であって差しつかえないんではないか。御承知のように、今日のように労務費が年々相当な率で上がる場合には、生産費に基づいて計算した価格より、需給の実勢を反映させた価格のほうが低くきまる場合が相当あるのでございます。そういうことも考慮いたしますと、話し合いでの生産費はもちろん重要でございますが、需給の自主性ということと、特に供給が十分である状態でございますから、考慮に入れて価格をきめられるということも必要である、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/44
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045・大河原一次
○大河原一次君 私は、よく需給の均衡の価格ということが言われますね、特に米価の問題等が論議されます場合には。よく政府側から指摘されるのは、やはり今日の米価の問題、御承知のようにいわゆる生産費所得補償方式によってきめるという一つの原則が貫かれているわけです。しかし、最近また再び米の統制撤廃という問題が出てきている中で、特にいわゆる需給の均衡という問題がたまたま出されておる。私の記憶するところによると、前の福田農林大臣の時期に、たまたまこの米価の問題で需給均衡の価格という問題が指摘されたということを私は記憶しておるのですが、今回のこの肥料の問題——私は肥料の問題を論ずる場合には、やはり米価の問題もうらはらとなって考えられるのですが、この肥料の問題がいわゆる価格決定をする場合のウエートとして生産費、私どもはとにかく今日の原価主義というもの、これこそ私は大事なものである。コスト主義というものがやはり大事で、これを中心としていかなければならぬだろうし、同時にまた、私はこれを中心として単に農業側の利益ということばかり考えるのではなくて、生産者の立場に立った、このコスト主義の上に立った今後の生産のあり方、企業のあり方を当然考えるべきではないかと私はそう思うのですが、しかし、今回の自主交渉による価格決定の際には、コスト主義は一体どの程度、何%ぐらいのウエートを持って引き上げるかわかりませんが、いま局長の需給の自主性というそういう問題が出ていますが、私は何からしこの価格決定の場合には、強く需給の自主性といいますか、あるいはまた、需給均衡という問題が価格決定に大きなウエートをなしてくるのではないか。そうなりますと、私はいまの肥料の状態、どちらかといえば私は売り手市場的なそういう今日の状態を考えますと、特に私はいまや四〇%以上もこれから輸出が伸びるという現状を考えました際に、そういう需給状態というものが強く、需要の自主性が強く価格の上に反映させられる。したがって、消費者のほうには不利になるのじゃないかと思うし、同町に政府自体が調停なり、あるいは価格是正という問題が出た場合に、政府自身もそういう今日の需要の自主性というものを強くのっけて最終的な価格決定をせしめるのではないかという心配も、これは私なりにあるわけですが、この点をひとつこれは経済局長、軽工業局長、両方からお聞きしたいと思いますす。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/45
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046・松岡亮
○政府委員(松岡亮君) まず輸出のチェックをやらないで放任した場合、輸出承認制をとらないで、内需優先ということをやらない場合に、一体どうなるであろうかということでございますが、今後はあるいは輸出価格は相当なところまでいくかもわかりません。いままで成約した輸出価格というのは、国内価格は五十ドルちょっとでございますが、輸出価格は最近までで一番高いのが四十四ドル、国内市場のほうが問いわけで、したがって、メーカーは国内に売ったほうがいままでのところは有利である。ただ、今後引き合いが活発になるから上がる情勢がございます。したがって今後のことも考えますると、やはり輸出承認制をひいて、それで内需を優先的に確保するという措置をとる必要がある。内需を優先的に確保する場合に、十分にその内需用というものを確保するということでございますが、在庫も含めまして。そういたしますならば、国内市場はやはり売り手市場とか買い手市場とかいうことは、やや表現としては妥当でないと思いますけれども、どちらかといえば買い手市場である、こう考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/46
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047・大河原一次
○大河原一次君 それとちょっと関係があるからお聞きしたいと思いますが、今日輸出が四〇%になっている。今後さらにこれから進む状態にあるということをお聞きしておるわけですが、今後の輸出には、さらに今日の時点において四〇%の輸出の状況を示しておるけれども、今後これがさらに発注に応じて四〇%以上に伸びるかどうかという問題ですが、同時に現在の四〇%というものは、先般の局長の説明の中で、今日の時点におけるいわゆる硫安生産というものは、六百何十万トンと言いましたね。六百何十万トンでありますが、これは現在の繰業度は何%になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/47
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048・倉八正
○政府委員(倉八正君) 操業度はたしか九三・四%くらいだと思います。とすれば、化学工業としては、フル操業でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/48
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049・大河原一次
○大河原一次君 フル操業の中で、いま六百何十万トンの輸出を含めて生産されているのですが、今後さらに四〇%以上の輸出に応じ得られるような態勢にあるかどうかということをさらにお聞きしておきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/49
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050・松岡亮
○政府委員(松岡亮君) それは現在フル操業でございますから、設備能力をふやさない限り応じ得られないで、むしろ減らさなければならぬと思います輸出数量は。内需が年々やはり三%くらいふえておりますので、来肥料年度においては、今肥料年度よりも三%か四%よけいの内需量を確保する必要がございます。したがって、設備が大きくならない限りは、輸出量は減らさざるを得ない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/50
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051・倉八正
○政府委員(倉八正君) 経済局長から申したとおりでございます。私どものほうとしましては、今後アンモニアの増産をどうするかというのは、一つの価格政策として大きい問題でございます。それで、いま輸出の需要が非常に多いから、じゃんじゃん増せばいいじゃないかということがございますが、ただ、先行きがもっとはっきりしませんと、膨大な投資をやって、そしてそれが動かない、あるいは、動きましても、御承知のように、この六年間続いて三十二ドルとかあるいは三十六ドルというようなことでは、とうてい企業としてもプラスではない、こういうことで今後のアンモニアの増産をめぐりまして、今後一つの産業構造的にも大きな問題でございますから、検討しておりますが、現状のままにおきましては、いま農林経済局長が申しましたように、これ以上の輸出というのは、私は不可能だと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/51
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052・大河原一次
○大河原一次君 私は、そういう輸出の現状、フル操業において、これから新しく設備を拡大しない限りには輸出に応じられないというような、そういう現状を考えましたときに、こういうような現象だけでも、私は国内価格が引き上げられるのではないかという、そういう気持ちも持つわけなんです。同時にまた、一面において、やはり今日依然として、私は、価格の問題は輸出の問題と関係がありますから、両方ごっちゃにして聞くのですが、やはり今日においてすら、国内価格と輸出価格の間には相当の開きがある。今日幾らですか。四ドルあるいは五ドル開きがあるというふうに聞いております。ですから、こういうことを考えますと、一面において国内価格を圧迫する形になるだろう、一面において今後とも、先ほどは輸出赤字を転嫁せしめない、こういう事態でありますが、今後の問題を考えますと、やはり輸出の赤字を転嫁せざるを得ない、そういう方向が来るのではないかと思う。ことにこの際における先ほどいろいろことばの上では赤字転嫁はしないし、合理化メリットの配分によって云々ということが言われておりますが、ひとつこの際といえども、そういう際といえども、私は何かしら赤字の転嫁が行なわれておる。団体交渉の中でもこの問題をめぐって解決がつかない。かりに是正命令というものを出されましても、これに対しては、いわゆる仲裁裁定という規定がございませんから、一体政府の出される是正命令というものはどこまでの権限、能力というものがあるかどうかということも私は疑問でありますが、これは私質問の順序が狂いまして恐縮なんですけれども、大臣にお聞きしますが、これは大臣はことしですか、ことしの肥料審議会の中における肥料懇談会の中でも足鹿さんの質問に答えて、肥料輸出赤字は転嫁しないという、そういう確たるところの保証はできない状態である、こういうことを言われたわけです。私は確かに大臣としてはそうあるべきだと思っております。そういうことは私は好ましくないのですが、確かにいまの日本の新法の中には、輸出価格の赤字は転嫁せしめないという保証がないわけですが、かりに相当な、今後も続くであろう、現在もそうでありますが、今後の輸出赤字に対して、赤字が出たという場合に、出るというような情勢の場合には、これはただ単にその問題が価格に転嫁されて是正命令を出したといっても、是正命令のどこまであれがあるかわからない状態、どうしても是正命令を出すというような場合においても、明確な輸出赤字が転嫁されるというそういう事態に対しては、どういうような措置をとったらいいか、これが私どもの心配なんです。大臣にひとつ御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/52
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053・松岡亮
○政府委員(松岡亮君) 是正命令を出しても言うことをきかないというような場合には、これは価格の取りきめが適法性を失うわけでございます。独禁法の違反になって、独禁法の罰則の適用がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/53
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054・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 法律上はっきりと私は赤字転嫁を禁ずるというようなことがありませんから、赤字の転嫁させられるおそれがあろうかと、こう思いましたが、政府が買い入れする場合に、いま局長から話がありましたように、メリットの配分の問題、その他によって赤字を転嫁させないという方途はあり得ると思います。しかし、この長い間において、どうしても私は成り立たない赤字が出てくるというような場合には、別途これはやはり問題として取り上げていかなくちゃならぬ問題と思いますが、当面の問題として、肥料の内需を確保して、そしてこの法案によって措置していく上におきましては、いま経済局長から答弁したような形で赤字は転嫁させない、こういうことができると、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/54
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055・大河原一次
○大河原一次君 大臣は衆議院の中で、どうしても赤字が出ざるを得ない、出たという場合には保証がないから、しかし一面には何か行政措置であるとか、その他の何か措置をとっていきたいということですが、その内容を差しつかえなかったら、ひとつどういうような行政措置なりあるいはまたどういうような措置をとられていくのか、それをひとつお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/55
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056・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) これは通産当局で考えられることと思いますが、私のほうでは、とにかく農民に赤字を転嫁させない原則を守っておって、そうして赤字が出るということになれば、私どもいままでやったようなその面に対する融資の問題とか、いろいろな行政の措置、いままでとったこともあろうと思います。いまのところ、私はそういう心配はなかろうと思いますが、できたときには農民に、とにかく消費者に転嫁させないでやっていくという方法を考えなくちゃならぬじゃないか、こういうふうに申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/56
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057・北村暢
○北村暢君 ちょっとその問題で……。それじゃ赤字を転嫁しないならば、輸出会社の赤字が累積していくという結果になると思いますが、軽工業局長にお伺いしますが、この前のとった特別措置は、今後そういう措置はとらない、いかなる措置もとらないということで輸出会社に対する措置をきめたと、こういうふうに思うのですが、いまの農林大臣の答弁を聞いているというと、輸出価格は、生産コストを割って輸出している、いわゆる輸出赤字というやつが出ているわけですね。それを国内の消費者に転嫁しないということになれば、当然、輸出会社の赤字が累積していくというふうに考えられますが、輸出会社の今後の赤字の累積の見通し、また、この前とりました特別措置以降においてどのくらいの赤字が拡大しているのか、また将来、いまの農林大臣のお話だというと、赤字が累積していくふうに受け取れるのですけれども、これらに対する対策が通産当局でとられる意思なのかどうなのか、私は今度の肥料新法によっては、赤字を消費者に転嫁しないということはどこにも出ておらぬし、前の肥料二法はその点が明らかなんで、原則的にいって、輸出赤字は消費者に転嫁しないというたてまえに立って需給計画なり、価格が決定されておった。しかし、今度の新法ではその保証はないと思う。したがって、いまの説明を聞いているというと、どうも輸出赤字をどういうふうに処置するのかわからないわけです。したがって、赤字の出ることは確実のようですが、その赤字を処理する方針は、通産当局は一体どのように考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/57
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058・倉八正
○政府委員(倉八正君) 二間の御質問がありました。最初の赤字累積がその後どういう過程をたどっておるかという御質問でございますが、昨年の一月一日から、いわゆる従来の赤字はございません。したがいまして、三十八年の十二月三十一日までたまりました二百十五億の赤字きりでございまして、これはさっき大河原先生の質問の、それで償却しておりまして、いわゆるF
○B仕切りということをやりましたから、赤字の累積はございません。
それから今後の措置についてどう考えるかということでございますが、今後の措置については、さっき農林大臣からも御答弁がありましたのですが、たとえば今後の価格というのが、輸出価格なら輸出価格というのが、従来のように、非常にまあ悪化しまして、そのために、企業経営としてはやっていけないというような状態がくるかこないかが、また非常に疑問でございますが、もしもそういう場合が来まして、それが農民に転嫁されるおそれが十分あるというときは、政府としても何かの行政措置をとらざるを得ない、こういうふうな意味でございまして、農林大臣もそのことを言っておられるわけでございます。それならば、いま、どういうことを考えておるかということでございますが、それはまた、そういう事態にも私は立ち至っていないと思いますから、いま具体的にどういう融資を出すとか、あるいはどういう税の対策、あるいは補助金を出す、こういうことは、いまのところ持ち合わせていない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/58
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059・北村暢
○北村暢君 いまの話ですと、行政措置をとるというのですけれども、いかなる根拠に基づいて行政措置をとるのですか。法律的根拠に基づいて行政措置をとるのか、私は法律的根拠はないと思うのです。ただ単なる行政措置をとるということなのか。そしてまた通産当局の言う、いま転工業局長の答弁では、将来も非常にあやふやだと思うのです。現実に輸出価格は出産コストを割っているわけでしょう。それで現在赤字が累積しておらぬ、こうおっしゃっておるのですが、輸出価格が生産コストを割っているのか割っていないのか、ひとつここではっきりさしていただきたい。そしてそれで赤字が累積していないということになれば、これは消費者にすでに転嫁されているというふうにしか理解できないのですが、どうなんですか、その実情は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/59
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060・倉八正
○政府委員(倉八正君) 赤字が累積していないという御答弁を申し上げましたのは、従来は御存じのとおりに輸出価格と国内価格の差を売り掛け代金として輸出硫安会社に積み立てろという仕組みをやってきておったわけであります。それが赤字と一般に言われていたわけです。そういう仕組みは去年の一月一日からやめたわけでございます。したがいまして、輸出硫安会社に対する累積赤字というのはないということを私は御答弁申し上げたわけでございます。ところがいま北村先生は、それなら側々の会社のいわゆる赤字負担はどうなっているかということでございますが、これはあると思います。というのは、いまのバルク・ラインの計算が五十一ドル十九で、最近高くなりまして五十四ドル五十くらいでございます。その差が三ドルか三ドル五十あるわけでございます。しかしそれはマル公をきめますときは、国内に転嫁しないようにすでにマル公できまっておりますから、国内には転嫁していない。そうしてそれは企業の自己負担におきましてそれを処理しておるわけであります。たとえば、ある会社のごときはほかの商品のもうけでそれを消し、あるいはそれを薄める、こういうふうなことをやっておるのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/60
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061・北村暢
○北村暢君 そうしますと、輸出会社のいわゆる従来言っていた輸出会社の累積する赤字はなくなっておる。それは企業ごとになっておるというが、企業ごとで消化しているというのだけれども、その総額は大体どのくらいですか。現在までです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/61
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062・倉八正
○政府委員(倉八正君) 硫安だけで一年に大体十億円でございまして、硫安メーカー十六社の総売り上げ高の〇・三%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/62
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063・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 いまの局長の答弁によると、現行法に拘束されて、最高販売価格に規制されるので、赤字は他の部門にこれを総合運用でしょうから転嫁しているわけですね。しかし、新法ではそういう最高販売価格の規定を取っ払うわけですね。そういう場合には、当然に国内の農家に輸出赤字の転嫁が必然的なものだ、そういう点があるが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/63
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064・松岡亮
○政府委員(松岡亮君) 新しい法律案では、確かに最高販売価格をきめないわけでございますから、そういう意味では制限がないという形になっておりますが、しかし、両方の当事者が話し合いをやって値段をきめるわけですから、その協定はお互いに守るということでございますから、その協定された価格が不当なものである、こう認める場合は是正をすることによって転嫁させないことができる、こう申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/64
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065・大河原一次
○大河原一次君 時間でやめますが、大臣のいるうちにお聞きしておきたいのですが、これは先般の私の質問の冒頭においてお聞きしたかったのですけれども、いまおくればせですけれども御質問申し上げますが、御承知のように、大臣も常に言っておられるように、今日の日本の農業の現状、将来のことを考えていろいろ御苦労されているようですが、今日は御承知のように、農業基本法の実施過程であります。推進過程であると思うのです。この農業基本法によって、日本の農業の画期的な転換を行なっていかなければならぬという、そういう状態にもあるわけであります。したがいまして、いま問題になっているこの肥料の問題が、やはり農業生産資材としてきわめて重大な要素でありますし、これはいかに最近の農家経営費に肥料の占める比率が低下しておると言っておられますけれども、これは一面には肥料であるとか、農機具、農薬等のウエートというものは、相当高まっておるという、そういう比較検討の問題から言うならば、相対的に、肥料の経営費の中に占める率というものは相対的に下がっておるけれども、依然として施肥量なり投下量というものは、今後ますます拡大——選択的拡大なりあるいは構造改善の面からいっても、重要視していかなければならぬ段階だと思います。したがいまして、肥料問題を論ずる場合においても、あるいはまた肥料の場合、農機具等の問題、農薬等の問題を考えた場合といえども、やはり今日は農業推進体制下の時期である、そういうふうに私は判断しなければならぬと思うのです。したがって、いまの肥料の問題も、農業基本法推進過程における重要課題として私はとらえなければならぬのじゃないかと思う。ですから政府が、農林当局が特に肥料新法を考慮される時点にあたって、そういう農業基本法の推進過程における肥料問題であるという、そういうお考えに立って、この法案の作成に当たっておられるかどうかということをお伺いしたい。非常にあと先になりまして申しわけないのですが、大臣に一言お聞きしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/65
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066・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 私もそういうふうに考えておるわけでございます。農業基本法におきましても、農業の総生産を拡大していくということは、一つの大きな目標となっています。そのほかにいろいろございますけれども、そういう意味におきましていまお話しのように、肥料の資材としての相対的ウエートは幾分少なくなっているかもわかりませんが、しかし、これは農業に欠くべからざる資材であるし、全農家が多かれ少なかれ、みな必要とする資材であります。また農業基本法に従っていろいろな方向づけがありますけれども、その方向づけにおいても、なおさらこの肥料というものの重要性は増すといえども減ることはない、こういうふうに考えます。でございますので、肥料の価格及び需給の安定ということは、農業を発展させるために欠くべからざるものだ。ただ現存の肥料の生産状況等から考えて、必ずしも現在の二法のような形でなくてもよろしいという観点から本法案は出ておりますけれども、重要性等につきまして、あるいはまた、これの価格及び供給等に蹉跌を来たすようなことがあってはならない、こういう観点に立っておることはもちろんでございます。一言で言いますならば、基本法の方向を進めていくための重要資材として考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/66
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067・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 関連。私はどうもいまの大臣の御答弁は、大河原委員の質問に対しては、焦点をはずれに御答弁だと思うのです。御承知のようた、現行二法は、農業基本法が制定される前からあった法律です。しかもそのことが、そのあとにできた農業基本法の意を体しておる、こういうふうに理解するわけです。農業基本法の第二条に、「国の施策」ということをうたっておる。その第一項第六号に、当然農業生産に必要な資材の流通及び価格の安定をはかるということをうたっておる。とにもかくにも不十分ながら現行法の果たした役割りは、独占、寡占によって収奪をきれる農民からいえば、この肥料だけは、曲がりなりにも、高度経済成長下にありながら、順次価格の低下をもたらしている。このことが農業年産に寄与した役割りは、高く評価していいと思うのであります。そういう従来の二法の中に、私たちは、どうしても間に合う農産物価格を要求する。決して高いものを望んでおるわけじゃない。投下される生産費の中で、肥料の占める投割りは大きい。だから、それがさらに、法律の保護によって適正価格で購入することができることが、われわれ農家の立場における適正価格要求の大きな要因になっておる。そういう現行二法を、ワクをはずして新しい法律を提案されたというその法律の性格の相違というものは、明らかに政府がみずから制定された農業基本法の第二条、たとえば第一項第六号の精神を、これはむしろ阻害するものであるというふうに理解せざるを得ないのですが、そういう点に対して、なおかつ、新法といえども、独占、寡占の価格から生産農民を守るのだと、守るためには、これだけの財政あるいは金融の、政府としてもてこをかけてやるのだということでもあればともかく、抽象的な行政措置その他云々、あるいは当事者の価格の協定ということでは、脆弱な農民を保護するというわけにはまいらぬと思うのです。その点を、関連してもう一ぺん大臣からお考えを伺いたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/67
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068・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 農業基本法の目的を遂行するに、どういう手続きといいますか、手段がいいかということは、おのずからいろいろ観点が違う面もあろうかと思いますが、いまのお話のように、強度の統制経済で価格も公定価格と、こういうような形でやっていくこが、資材の流通及び価格の安定になるという見方もあろうかと思います。しかし、現実面から見て同じ効果がもたらされるということであるならば、当事者の価格の決定を話し合いによってきめて、それに対して間接的に政府がそれを是正したり、あるいは指導したりして、そうして供給の円滑あるいは価格の安定をはかるというような方向も、これはあろうかと思います。そういう点におきましては、いろいろ立場上違う点もあろうかと思いますが、私どもは、いま申し上げましたような後者の立場において、農民の必要とする資材の流通と価格の安定をはかり得る、こういう観点から、現在の日本のような強度の統制というものを緩和していくという立場でこの案を提出したのであります。したがって、農業基本法の考えておることとは矛盾しておりません。その方法につきまして変えてきておる、こういうふうに御承知願いたいと私どもは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/68
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069・大河原一次
○大河原一次君 いま一言だけ申し上げるわけです。先ほど肥料の問題に関しまして、農業基本法の精神なり、あるいは農業基本法の関連という立場で考えておるという大臣の御答弁に対しては、私はよくわかるのです。同時に私は、いうならば、こういうほんとうに農業基本法に関連して、いわゆる農業生産資材、重大なる資材であるから、こういうような立法措置によって何とかやっていきたいという、そういう気持ちはよくわかるのですが、そうだとするならば、なぜ再びこの五カ年という期限をつけた立法措置を考えたかということもお尋ねしたいのですが、それはいいのですよ。それは衆議院のほうでも答弁されておるのですからお聞きいたしませんが、同時にいま大臣の、肥料に対するそういうお考えをお持ちであるならば、あわせて、やはりこの肥料と肩を並べておる飼料の問題、これはもちろん御承知のようにに、今日飼料需給安定法というものがございますが、しかしまだまだその内容を検討いたしましたときに、価格の問題、流通等の問題を考えましたときに、あの飼料需給安定というようなそういう問題の中では容易に解決されない、まだまだ農民の望むところに届いていないのじゃないかと思いますが、同時にまた、飼料ばかりじゃなくて、農機具、農薬、こうした今日の重要生産資材に対しても、私はいまの肥料新法がよろしいものであると賛成しておるというものではございませんが、やはり何らかの国のそういう保護政策といいますか、そういった立法措置によって、農機具、農薬等のそういう問題についても対処すべきではないか、先ほど言ったような農業基本法のいわゆる今日の推進過税における時代でございますから、農業基本法体制下のいわゆる農業のあり方として、重大なる農業資材に対しては、いま提案されておる肥料新法と同じような考え方、立場に立って、農機具、農薬等に対しても、何らかの立法措置、対策が必要ではないか、こういうことをなされて、初めて私は政府当局の言うようないわゆる革命的な近代化を行ないたいというようなところに沿う問題ではないか、そう思うのですが、これに対しても大臣の御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/69
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070・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 飼料は非常に需要も多くなりまして、いま御指摘のように、飼料需給安定法がございますが、これは輸入飼料だけに限っておりますので、私は飼料全体についてよく考えなくちゃならぬ問題が起きておるというふうに考えております。農機具等につきましても、価格やその他規格等についての、価格の面は別ですが、規格等にはいろいろ法律がございますが、供給面の価格とかというようなことについては、別にきめた法律というものはございません。あるいは農薬等につきましても、農薬の適否というようなことについてはありますが、供給とか価格の面については、別に規制といいますか、そういうものはないと私は思っておりますが、いろいろこういう農業資材等につきまして、なお考えさせられる面があると思います。いまどうこうということを申し上げるような段階には、私ども頭ができておりませんが、よく検討してみたい、こう思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/70
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071・大河原一次
○大河原一次君 もう御質問申し上げませんが、飼料の輸入自由化の問題、輸出赤字の問題等について、なおお聞きしたい点がございますが、午前といいますか、きめられた時間内では一応終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615007X04719640623/71
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072・青田源太郎
○委員長(青田源太郎君) ここで午後二時三十分まで休憩いたします。
午後一時三十九分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕
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