1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月十日(火曜日)
午前十時三十四分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 中野 文門君
理事
北畠 教真君
二木 謙吾君
吉江 勝保君
加瀬 完君
委員
植木 光教君
久保 勘一君
斎藤 昇君
笹森 順造君
中上川アキ君
野本 品吉君
秋山 長造君
小林 武君
豊瀬 禎一君
米田 勲君
柏原 ヤス君
発 議 者 豊瀬 禎一君
発 議 者 加瀬 完君
発 議 者 米田 勲君
発 議 者 秋山 長造君
発 議 者 小林 武者
国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
政府委員
文部政務次官 八木 徹雄君
文部大臣官房長 蒲生 芳郎君
文部省初等中等
教育局長 福田 繁君
文部省社会教育
局長 斎藤 正君
文化財保護委員
会事務局長 宮地 茂君
事務局側
常任委員会専門
員 工楽 英司君
説明員
文部大臣官房人
事課長 安達 健二君
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本日の会議に付した案件
○国立学校設置法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○女子教育職員の出産に際しての補助
教育職員の確保に関する法律の一部
を改正する法律案(豊瀬禎一君外四
名発議)
○高等学校の定時制教育及び通信教育
振興法の一部を改正する法律案(秋
山長造君外四名発議)
○文化功労者年金法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/0
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001・中野文門
○委員長(中野文門君) ただいまより文教委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
三月五日、基政七君が委員を辞任され、その補欠として赤松常子君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/1
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002・中野文門
○委員長(中野文門君) 国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、文部大臣から提案理由の説明を求めます。文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/2
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003・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) このたび政府から提出いたしました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提出理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、昭和三十九年度における国立大学の学部、大学院及び大学付置の研究所の新設並びに図書館短期大学及び国立高等専門学校の新設について規定しようとするものであります。
まず第一は、国立大学の学部の新設についてでありまして、宇都宮大学に工学部を、岐阜大学、神戸大学及び山口大学に医学部を、九州大学に薬学部を、それぞれ設置することといたしました。宇都宮大学の工学部は、科学技術教育振興のため、国立の、宇都宮工業短期大学を母体として創設するものであり、岐阜大学等三国立大学の医学部は、多年、地元県から要望があり、また、所在国立大学の充実のためにも好条件のそろった県立の三医科大学を国に移管するものであります。
第二は、国立大学の大学院の新設についてでありまして、前年度に引き続き、これまで大学院を置かなかった大学のうち、学術振興の観点から、特に重要な分野について充実した内容を有する学部を持つ大学に大学院を設置することといたしました。すなわち、岩手大学に農学研究科を、山形大学に工学研究科を、東京水産大学に水産学研究科を、静岡大学に工学研究科を、名古屋工業大学に工学研究科を、奈良女子大学に家政学研究科を、それぞれ設置しようとするものであります。
第三は、国立短期大学の新設についてでありまして、近年における学術の進歩に即応する図書館の機能の重要性にかんがみ、図書館の専門職員を養成する機関として図書館短期大学を設置することとしたのであります。なお、この短期大学の母体であり、これまで文部大臣の所轄のもとに置かれていた図書館職員養成所は、経過措置として、当分の間、同短期大学に付置することにいたしました。
第四は、国立大学付置の研究所の新設についてでありまして、大学関係者の共同利用に供する研究所として、東京大学に宇宙航空研究所を、東京外国語大学にアジア・アフリカ言語文化研究所を、それぞれ付置するとともに、東京工業大学に原子炉工学研究所を付置することといたしました。宇宙航空研究所は、これまで東京大学に付置していた航空研究所を改組拡充したものであって、宇宙科学、宇宙工学及び航空に関する学理及びその応用の総合研究を目的としており、また、アジア・アフリカ言語文化研究所は、アジア及びアフリカの言語文化に関する総合研究並びにこれらの地域の言語に関する辞典の編製及び教育訓練を、原子炉工学研究所は、原子炉工学に関する学理及びその応用の研究を、それぞれその目的とするものであります。
第五は、国立高等専門学校の新設についてであります。昭和三十九年度から開設することがすでに決定している秋田、富山、米子、松江および呉の五校のほかに、このたびは、苫小牧、一関、茨城、奈良、和歌山、久留米及び都城の七校を追加し、合計十二校の国立工業高等専門学校を設置し、科学技術教育振興の一環として、中堅技術者の育成をさらに推進しようとするものであります。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申しあげます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/3
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004・中野文門
○委員長(中野文門君) 以上で本法案についての提案理由説明の聴取は終わりました。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/4
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005・中野文門
○委員長(中野文門君) それでは速記を起こしてください。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/5
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006・中野文門
○委員長(中野文門君) 女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本法律案については、すでに提案理由の説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/6
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007・中上川アキ
○中上川アキ君 御提案になりました女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、理由の中にお述べになっておりますとおり、「ひとり実習助手のみが除外されておりますのは、こまとに不合理なことであり、きわめて遺憾とする」とおっしゃる点は、私もまことに同感でございます。しかし、私がお尋ねいたしたいと存じますのは、そういう扱いを受けている女子実習助手の数が、現在一千数百名とのことでございますが、国立高校に何名、公立高校には何名になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/7
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008・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 国立諸学校に適用を考えておるわけです。したがって、ひとり高校のみではなくして、全体の適用を考えておるわけですが、私どもの、文部省等からの資料を調査いたしました結果では、国立学校等には、正確な数字を持ち合わせないのですが、二、三名程度と把握いたしております。その他公立学校等につきましては、府県別の、文部省の指定統計による資料がございますけれども、大体そこにあげておりますように、約千三百名程度と推定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/8
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009・中上川アキ
○中上川アキ君 女子実習助手の千二百名くらいに対しまして、男の方の実習助手は何名くらいおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/9
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010・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 男子実習助手につきましては、正確な資料を持ちませんが、少なくとも五、六千名はおるものと判断いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/10
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011・中上川アキ
○中上川アキ君 それから、女子実習助手は比較的若い年齢層というお話でございますけれども、大体何歳くらいから何歳くらいまでで、またその中で結婚している者は何名くらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/11
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012・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 わりと女子の実習助手の年齢は、一般の教職員に比べて若いようでございます。と申しますのは、実習助手の制度ができまして、当初は、女子実習助手の採用があまり行なわれておりませんでした。このことが、この産休法を通過いたします際に実習助手を除外した大きな原因となったわけです。と申しますのは、寮母は無条件に女子だと判断いたしておりましたけれども、実習助手の中に女子が含まれておるということは、提案者でありました私どもも、自民党の皆さんもそうではなかったかと思いますけれども、審議の過程を通じましても、実習助手の中に女子がおるという認識に、少なくとも提案者でありました私どもが欠けておったということは事実です。このことは、実習助手制度ができて、かなり女子の実習助手の採用が行われなかったことを意味しております。その後、いろいろ養成機関等の経緯を経まして、現在、実習助手が、先ほど申し上げましたように、国立において数名、公立等におきまして千数百名おるわけですが、実習助手の平均年齢は、大体推定をいたしまして、三十前後が多いと見ております。その中で、いわゆる有夫と申しますか、結婚をしておる人と、していない人の数については、具体的な資料を持ち合わせませんが、私どもは、少なくとも三−四〇%程度の未婚の人がおる、しかも近年、わりに女子の実習助手の職場拡大という運動を、地方教育委員会も理解をもって進めておりますし、また該当者等も、そのことを強く主張しておりますので、次第に未婚の若い女子実習助手の採用が進められておるのではなかろうか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/12
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013・中上川アキ
○中上川アキ君 ただいま、女子を考えなかったとおっしゃいますが、その女子の実習助手の勤務先は、どういう種類のところが、女が勤めておりますのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/13
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014・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 法律によりまして、実習助手制度を置ける科目が指定されておるわけですが、技術とか、あるいは農業、工業等、こういった専門的な知識、技能を要する場所、あるいは普通高等学校におきましても、理科、物理等におきましては、実習助手を配置しておるわけです。こういう学校の種別、並びに普通高等学校等におきましても、教科の種別によって実習助手が配置されておる。その中で、女性の特技を生かす技術、家庭科等につきましては、わりと実習助手が置かれておりますが、単にそれだけでなくして、私どもの調査によりますと、次第に普通高等学校におきましても、理科、物理等の、いわゆる、従来は男子の実習助手が多かった職場におきましても、女子実習助手の採用が次第に増加しておるように見受けられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/14
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015・中上川アキ
○中上川アキ君 いま伺いました数の女子実習助手の中で、お産をする者はどのくらいの率になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/15
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016・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 全国の一般の女子教職員の、全体に対する出産率のパーセンテージは、大体二%ないし三%として推定してよろしいのではなかろうかと思っております。私どもとしては、実習助手そのものに対して、たとえば昭和三十七年、三十八年度等にどれだけの実習助手の出産が行なわれたかどうかは算定をいたしておりませんが、大体その程度の総数に対して、いま申し上げました二、三%程度の数が出産該当者であると推計してよろしいのではなかろうか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/16
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017・中上川アキ
○中上川アキ君 そういたしますと、お産をする者は年間非常にわずかな数だと思われます。その女子実習助手が休んだときに、千三百人に対して五千人でございますから、二倍半もある男子助手の中から補助ができそうに思われますが、これはどういうわけでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/17
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018・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 御質問ごもっともと思いますが、御承知のように、たとえば普通高等学校の理科の女子実習助手が、大体私どもの調査では、当該学校に一名程度配置されておる状況です。特別大きい学校にはあるいは二名程度配置されておるところがあるかもしれません。したがって、女子の実習助手が配置されておる職場におきましては、ほとんど例外なくその科目、その教科に関する限りは男子実習助手が配置されていないわけです。したがって、当該実習助手が出産いたしました際に、もし、かりにほかの科目におきまして、男子の実習助手が配置されておりましても、それは当然本人の一週間の勤務の時間割というものがきちんときまっておるわけです。したがって、その人を単に授業時間だけでなくて、実習助手の一つの仕事の大きなものは、その授業時間の前の準備行為というものもかなり大きな仕事になるわけですが、それが出産をした実習助手のところに補欠と申しますか、手伝いに参りますと、勢い自分の正規に担当しておる科目のほうがおろそかになるわけです。また逆に、逆にと申しますか、実習助手が一校に二名以上配置されておるところにつきましても、科目の違いによって、補欠に参りましても、単に簡単な生徒でもできるような程度の手伝いしかできず、専門的な技能がありませんので、実習助手としてのほんとうの役割を果たすことができないというわけであります。この専門性と、もう一つは、当該実習助手が別の正規の授業時数を持っておる、この二面から、助手といえども、実習助手が出産をいたしました際に、他の実習助手をもってその補助を行なうということは、現在の制度の中ではほとんど不可能な状態であります。むしろ逆に、現在の実習助手の配当比率を高めてもらって、もう少しふやしてもらわないと、ほんとうに実習助手が教諭の授業を補助していくという立場からいいましても、不十分であるというのが実習助手の切なる叫びであるし、また学校経営者のひとしく認めておる実情でございますから、いま配置されておる数千名の男子を補助に持っていくということは、いま申し上げました専門性並びに正規の授業を持っておる現在でもかなりのオーバーワークになっておる、こういった観点から不可能なことではなかろうか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/18
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019・中上川アキ
○中上川アキ君 この法案を拝見いたしますと、それを改正して補助の助手を入れますと、その実施に伴いましてどれほどの経費が必要となりますのかわかりませんが、この改正によって国と地方公共団体から出すべき経費は、それぞれおよそどれくらいかかることになるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/19
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020・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 国の場合は、先ほど申し上げましたわずかに数名程度でございます。しかし、まことに申しわけないことですが、その数名の方々が、私どもの調査では、どこの学校に在籍し、いわゆる将来出産の可能性のある方かどうかも熟知いたしておりません。しかし、かりにその数名の方が、数字的にといいますか、可能性として出産の見込みがあると推定いたしましても、国がそれに対して補助教員を配当するといたしますと、先ほど申し上げましたような率で配当しますから、国の予算としては、形におきましては一名の実習助手も配当するに足りない金額ですね。実際問題としては一名でも出産いたしますとそれだけ要るわけですが、出産の率をかけてまいりますと、たとえば、かりに五名おりましてもそれに三%かけても一人にならないわけですから、国の予算としては、私どもとしてはこの法案の中に予算をつけていないのはそういう判断からでありまして、実習助手の総数が過小でございますから、国の予算としては新たに見る必要がなく、現在の全体の実習助手の総数として補助教員の配当率を見た。総数の現行既定予算の中から、かりに国立の実習助手が該当するような事態になりましても配当して十分間に合う、こういう判断です。と申しますのは、数万のお産する人の数というのは、必ずしもその前年度の推計によって算定したとおりお産をするわけではございませんので、多くなったり少なくなったりしますので、国の予算としての新たな措置は必要ない。ひるがえって、地方公共団体に参りますと、書かれておりますように一千数百名の該当者がおるわけですが、これにお産の出現率を約三%と見た際に三、四十人になるわけです。これが一応平均給与が二万五千円程度と推計をいたしますと、年間総額が、期末手当等を加算いたしまして三十万少しこすとみれば大体間違いなかろうと思います。これに三十名程度をかけた額になりますが、これにつきましても、法律が通れば当然国におきましてそれぞれ地方公共団体の予算編成前に積算基礎としてみていかれますので、地方公共団体が、このことによってかりに四十数都道府県全県に一名程度の出産該当者ができたところで、地方公共団体の負担ということは私はとるに足らない問題であると、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/20
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021・中上川アキ
○中上川アキ君 女子の出産につきましては労働基準法で休暇が与えられることになっているはずでございますのに、どうしてこの改正をしなければその休暇が得られないような状態なんでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/21
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022・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 このことは数年前に、私どもが従前の産休法を改正した際に強く主張した点ですが、御指摘のように労働基準法によって出産の際の休暇は保障されております。ただし、この産休法が改正をされましても、現在たとえば石川県のごときは産前の補助教員の配当平均日数は一週間をこえておりません。従前はもっと悪い状態にあったと思います。このことは、休暇が与えられておるにもかかわらず、その休暇が行使できないというのは、一般の国家公務員、地方公務員、あるいはその他の民間企業体でありますと、主として対象が事務でございますので、他の者が代行するということも、オーバーワークの問題は別にして、不可能な問題ではないわけです。ところが生きた生徒児童を直接教授しておるという教育におきましては、あいておる先生を配当するということも、準備とかいろいろな都合でなかなか困難なことでございますし、結論から申しますと、補助教員を配置しなければ、少なくとも本人の休暇はとれても教育の授業が円滑に進められていくことができない。言いかえますと、生徒に被害を与えていく結果になる、こういうことが一つの主たる理由で、私どもとしては休暇を取らせるということと同時に、そのあとの補助教員を法律でもって配置するというたてまえをとりましたのは、いわゆる教育という事業に支障を来たすことによって、生徒児童に出産による教育的なマイナスを与えたくない、こういう観点から、労働基準法あるいは従前の産休法等では、休暇の保障、補助教員の配置の一応の規定がございましたけれども、それが実行できずして、やはり休暇もとれていない、こういう点も考えましたと同時に、いま申し上げました点を勘案いたしまして、他の公務員、地方公務員とは異なって、補助教員の配置の必要性があるという立場に立ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/22
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023・中上川アキ
○中上川アキ君 いまのお話よくわかりましたが、この改正案をいたします前に、もうすでに寮母と同様な取り扱いをしている府県があるやに聞きましたけれども、現実にはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/23
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024・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 私どもの調査によりましても、御指摘のように、京都とか、その他十県近い県が、先ほど申し上げましたように、寮母が適用を受けるならば実習助手は当然である、こういう考えから、当該都道府県におきまして、すでに女子実習助手に対しまして、出産の際に補助教職員を配置しておるという県がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/24
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025・中上川アキ
○中上川アキ君 それでよくわかりましたけれども、ついでに伺っておきたいのでございますが、現在の産休法は、女子実習助手以外の教育公務員に対しては、遺憾なくというのでございましょうか、お産に困らないように実施されているのでございましょうか。そこをはっきり伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/25
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026・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 先ほども簡単に申し上げましたように、私どもとしては、従前の産休法でも補助教員を置くことが一応規定されておりますが、それでもなお置かれませんでしたので、休暇を取れば直ちに新たに補助教員を任用して配置するように法律のたてまえをとり、一応、法律的には完全に整備されたと考えまして、これは自社両党の話し合いによりまして共同提案の形をとってその完ぺきを期したわけです。ところが、現在に至りましても、先ほど石川県の例を申し上げましたけれども、産後についてはほとんど支障なく行なわれておると見ておりますけれども、特に産前におきましては、実習助手の産休補助教員の配当が、法律どおり前六週間を完全に満たしておる県のほうがむしろ少ない状況です。その理由を、私ども文教委員会から国政調査に参ります際、あるいはその他いろいろ都道府県該当者に尋ねてみますと、まず第一番には補助教員の確保ができない、したがって、法律では休暇を取ることは認められておるけれども、あなたの担当しておる生徒がかわいそうだからもう少しがまんして出てくれないか、こういう校長等の泣き落としと言いますか、説得がかなり行き過ぎな点がございまして、そのために休みたいと考えましても休暇をとることができていないというのが全国的な情勢でございます。それで私どもとしては、補助教員を定数法の中にワク外としてきちんと当初からワクづけするか、もう一つは、この現行の法律の中にも、自民党の皆さんのお知恵によりまして、新たに私どもが原案の中に追加しましたが、年間産休補助教員の必要数を都道府県委員会が年度初めに採用して、その人たちを適当に、過去の出産の状況に応じて配分をして配置をしておく、そうして出産をされるまでその人人が遅滞なく補助教員として配当されていく、このことも、新たに任用するという建前をとると同時に、そのことも同時に併用してよろしいのだという法律のたてまえをとりましたのです。いま申し上げましたのは、補助教員の確保が困難なために学校の授業に支障を来たしておるだけではなくて、出産前の女子教職員が休暇をとることに支障を来たしておるその結果、いろいろの母体保護の問題が起こってきたり、あるいは死産、異常分べん等が起こっておる、こういう事態がまた現実に起こっておることは、法ができましてもう三年近くになりますのに、そういう事態が各県にまだかなり多く残っておるということは、まことに残念なことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/26
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027・中上川アキ
○中上川アキ君 よくわかりまして、私もお産くらい安心してできるように早くして差し上げたいと思いますことは御同感でございます。私の質問はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/27
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028・中野文門
○委員長(中野文門君) 本法案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
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029・中野文門
○委員長(中野文門君) 高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本法律案についての提案理由の説明は聴取しておりますので、これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/29
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030・野本品吉
○野本品吉君 社会党のこの案に対しまする提案理由の説明の前段は、主として後期中等教育の重要性という角度からいろいろな問題を眺めておられることははっきりわかるわけでございます。私も日本の教育全体を見て、後期中等教育の問題をどうするかということは非常に大事なことだと思っております。文部当局でもこの点はすでに十分考えられて、後期中等教育をいかなる方向へ持っていったらよろしいかということについて、中教審等に諮問をしておるということも御承知のとおりです。で、ここで法案自体についてお聞きする前に、後期中等教育全体という立場から見て、基本的な問題として私が年来考えております点につきまして、社会党の皆さまのお考えをお聞きすると同時に、必要に応じては文部省の方にも御説明をいただきたいと思います。そこで、後期中等教育の問題を考えますときに一番大事なことは、いうまでもなく、何といっても中学卒業生がどういう方向に進んでおるかということ、それぞれ自分の選んだ進路のどこにどういう状態で生活をしておるかということの生活の実態に対する確実な把握をしなければならない。このことなくしては、私は後期中等教育全般の議論を進める上において非常な片手落ちになるであろうと思う。私はここで、これは文部省の統計から拾った数字でありますが、それを元にして申したいと思います。昭和三十八年の三月の中学の卒業生は大体二百四十九万人で、そのうち進学した者が百五十九万人、就職して進学したいわゆる定時制、その他の教育機関に入った者が七万一千、就職だけにとどまっておる者が六十九万、無業というのが十万五千、こういうことになっておる。そこで、私は一番問題だと思いますのは、働きながら勉強するのでなしに、働くだけで勉強の機会にほとんど恵まれておらない六、七十万の中学の卒業生、こういうものをどうとらえて、どういうふうに教育の機会を与えていくかということは、定時制の問題を考える場合に決して忘れてならぬことだと私は思う。この点についてお考えがあると思いますので、その点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/30
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031・秋山長造
○秋山長造君 これはなかなか複雑にして困難な大きな問題ですから、どうしたらよろしいかということを一言で御答弁をするというようなことは困難だと思う。ただ、これは学校のほうを整備し、あるいは教育を受けるいろいろな機会を整備充実していくという方面からの手当、それからもう一つは、やはり家庭の事情、その他いろいろな事情のために、進学したくとも進学できないで就職しているという者も非常に多いわけですから、そういう者に進学でき得るような機会と条件を与えるということ、つまり広い意味での社会保障制度、その他の経済的ないろいろな対策を十分拡充をして、そうして進学できやすいような条件を生活面からつくっていく、この両方面を考えていかなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/31
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032・野本品吉
○野本品吉君 私は、これは与野党とか政府とかの問題でなしに、この層に属しておる諸君に適当な勉強の機会を与えないというと、この六、七十万前後の青年というものは、実は戦争以前よりも教育水準においても、教養においても、技術においてもはるかに低い青年になってしまう。戦争中は青年学校があって、とにもかくにも二十歳までは事務的に就学させて、そうしてむろんいろいろな軍事訓練もやりましたけれども、一般教養もやり、職業等もやっておったのでありますから、この点が非常に大事な点で、中学校を卒業しただけで、どこにもいかない青年の問題についてお互いにもっと真剣に考えていかなければならぬということを年来考えておるわけです。そこで、これは社会党の御提案といまのような点から考えましたときに、これは文部省の社会教育局で年来青年学級というものをやっておる。あるいは最近、青年勤学学校ですか、そういうものをやっておる。その傾向を見ますというと、やはり青年学級の数も、入学というか、勉強しておる数も、減ってきておるし、するのだが、そういうところの数の減ってきておるのをどういうふうに判断されておりますか、これはむしろ文部省のほうのお考えを私は聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/32
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033・福田繁
○政府委員(福田繁君) ただいまの御質問の趣旨でございますが、文部省としては、高等学校に就学している者、あるいは高等学校以外の企業内の訓練施設その他の教育施設等に在籍しております者以外に、かなりな青年が何らの教育的な環境に置かれてないという点につきましては、先ほど御指摘のように、後期中等教育の拡充の問題として、これを中教審で現在鋭意検討いたしておるわけでございます。三十七年の統計を見ましても、十五歳から十七歳の人口の中で、それらの何らの教育施設に在籍していないという者が大体百六十二万人ぐらいございます。中学卒業生については、先ほど御指摘のありましたとおりでございます。したがいまして、これは学校教育だけでなく、社会教育の面においても、こういう青少年に対してできる限り教育、教養の機会を与えるということは必要でございますので、御指摘のように、社会教育におきましては青年学級、これを拡充してまいりまして、あるいは婦人学級も同様でございますが、そういう社会教育施設というものを拡充してまいりまして、一時百万をこえる人数があった。ところで、この青年学級は、御承知のように、ある時期を限って市町村が青少年のために教育、教養施設を開設するという趣旨でございますので、期間によりましては何と申しますか、短期のものもございます。もちろん、一年を通じてやるものもございますが、短期のものは、ある程度ダブっております。一年間の延べ人員にいたしますと、百四、五十万もあったときもございますけれども、最近はそのダブリをなくしまして、青年学級として、ある一定の期間やっておりますものをとらえてみますと、大体、最近では六十万ちょっとをこえる程度だと考えておりますが、そういう工合に、数字としては実際は減ってまいっておりますが、同一人が年間に何らか青年学級において学んでおるという者は、これはもう延べではございますが、そういう趣旨で調査をいたしておりますので、六十万ぐらいがかたいところだと考えております。そのほかに、最近青年学級の中で特にまあ高度と申しますか、期間あるいは内容等についてある程度進んだものを青年学校として開設をいたしております。これはまあごく数が、始めたばかりでございますからわずかでございまして、全体としては非常に少ない数で、今後これを拡充していきたいという考え方でやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/33
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034・野本品吉
○野本品吉君 次に、伺いたいと思いますことは、これは社会党さんの意見はどういうふうな感触をお持ちになっておりますか、極端にいいますと、農村における定時制教育というものが、いわゆる学校教育の形態において、いつまでも続けていくことができるんであろうかと——全国的にですね、私はそういう点に一つの疑問を持っておるんです。たとえば、中学の卒業生の県外就職を見ますと、鹿児島のごときは八一・三%というものが県外へ出てしまう。宮崎が六五、長崎が五八、こういうふうに多数の青年が県外へ流出していった場合に、さなきだに農村にとどまる青年というものが非常に減っておるときに、この傾向が非常に強いんですから、一体どれだけの青年が農村に残っておるんであろうか。したがって、全国一様ではありませんけれども、農村における定時制の将来というものを、全国一律に考えていくことが適当であるかどうかについて、私は少し疑問を抱いておる。この点について何かお考えございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/34
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035・秋山長造
○秋山長造君 おっしゃる点は全くそうだと思います。たとえば、ことしの一月十五日の成人式なんかのローカル新聞を読んでみましても、いなかの町村で成人式に集まった数というものは驚くべく少ない。そういう数字に端的にあらわれておりますとおりだと思います。で、この傾向は当分これは続くだろうと思っております。で一面、従来、農村方面にありました定時制高等学校というものが、農業をやりながら高等教育を受けていくという趣旨からいささかはずれまして、いわば、全日制へ入りたいけれども入れなかった者が、まあ全日制の肩がわりのような考え方で、定時制へ一時籍を置くというような傾向も、これは相当あったと思うんです。で、両々相まって、農村方面における定時制の高等学校というものが、当初のころから比べますと、数も減り、何か全般的な感じとして低調になっておるということはいなめないと思います。しかし、だからこれはもう将来だめだということでは決してないと考えます。そうであれば、なおさらのこと農村というものを近代化し、そして若い優秀な青年がもっと農村にいついて、腰を落ちつけてやっていけるような新しい農村をつくっていかなければならない。これは国家的な見地に立っても、ぜひやらなければならぬと思います。そのためには、ただ、しかし、従来の農村方面における定時制教育の内容というものを、相当やはり新時代に即したように再検討する必要があるのじゃないか。ただ全日制の高等学校の教育内容をそのまま小型にして持ってきたようなやり方、引き写したようなやり方でなしに、やはりいま農業政策の面でも非常に問題になっておりますが、自営農家の育成といいますか、そういう方針に即した、もっとほんとうに農業をやりながら、しかも高等教育を受け、高等教育を受けることが、また農業の近代化あるいは農村における家庭生活の合理化というようなことに役立っていくというような内容のものに切りかえていかなければならぬのだと思っております。いずれにしても、農村における定時制教育の問題というものは、非常にむずかしい一つの壁に突き当たったような点もありますけれども、しかし、新しい見地に立って一そう充実をしていかなければならぬのじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/35
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036・野本品吉
○野本品吉君 私が先ほど来申しました、いま提案者の秋山委員からお答えになりましたように、農村における定時制教育の形、内容、それから運営の方法等は、すでに、今までのような状態を続けていっていいか悪いかということの根本的な問題点に到達していると私は思うのであります。そこで、それらのことについていろいろとお考えを承ったのでありますが、統計の上からも、農村の定時制の高等学校の分教場が一番ふえたときよりも百数十も減っておる。それからして本校も数十減っておる。この事実は、先ほど来問題にしておりますような点を裏づけておる事実なので、これはわれわれ文教に関心を持つ者も、文部省も、当然研究していかなければならぬ問題だと思うので、特にこの点をお伺いしたわけなんです。
それからもう一つ。それとやはり裏腹の問題ですが、大都市に向かっての青年の過度の集中であります。私はこれは文部省の統計から拾い出してみたのですが、卒業生のうち東京へ集まった者は——これはたぶん八年の統計だと思っておりますが、二百四十二万人のうち七万八千、大阪へ五万一千、愛知へ四万一千、合計しますと約二十万近いものが大都市に集まっちゃっておる。この大都市に集中する子供、そのうち高等学校へ上がらないものが大多数、定時制教育も受けないものが大多数、この複雑多岐な職場にそれぞれ配分され、所属して、営々として働いておるそれらの青年諸君の身の上については、あらゆる角度から、できるだけの愛情を注いで考えていかなければいかぬということも、これも言うまでもないことであります。そこで、この大都市に集中しております幾十百万の、教育的には野放しの青年をどうとらえて、どうこれに指導の手を加えていくか、あるいは自発的な勉強の意欲を起こさせるようにしていくかということは、これは非常に大事な大きな問題だと思うのです。で、文部省では三十九年度の予算に、そういう大都市に集中した中学卒業生の実態を調査するための費用を、きわめてささやかではあるけれども、九年度に予算を取ったような記憶がありますね、それはどういうふうに調査を進めようとするお考えがあるか、この際、大体の方向でも知らせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/36
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037・福田繁
○政府委員(福田繁君) これは調査局でやっておりますので詳しいことを私聞いておりませんが、予算は三十九年度に一応計上いたしまして、従来やりましたと同じような方向で実施される予定のようでございます。と申しますのは、教育委員会あるいは学校を通じまして、卒業生が就職した先を実態調査して、それによって都市の勤労青少年の実態をつかまえていこう、こういうようなやり方のようでございます。まだこまかいやり方は決定していないと思いますが、大体そういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/37
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038・野本品吉
○野本品吉君 私は、その中学卒業生の都市に集まった大勢の者の生活の実態、職域の配置、それから教育との関連等々が正確に調べられて、それに対する適当な具体策の立てられることを期待してやまないものです。
その次に一つの問題としてお伺いしたいと思いますのは、最近、御承知のとおりに企業内教育の問題が非常に大きく考えられ、まじめに考えられて、すでに実施に移されつつあるものが相当多数あるわけです。小さいところは別といたしまして、おもな会社、企業体等で企業内教育のやや整った形における着手をしましたところが相当あろうと思うのですが、代表的なものをひとつ、これはもし提案者のほうで御用意があるならば提案者から、もし何ならば文部省から知らせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/38
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039・福田繁
○政府委員(福田繁君) 企業内でやっておりますのは、御承知のように、いろいろなやり方をやっているわけでございます。認定職業訓練所というようなもので企業の中でやっているものもございますし、また御承知のような各種学校をつくりまして一これは大企業などではやっているところでございますが、社員の教育をそこでやるというようなものも相当ございます。また、そういう学校の形態でなく、教養講座と申しますか、青年学級のような形でやっているところも相当ございます。文部省としては、各種学校は従来から一応教育のワクの中で考えておりますが、それは別といたしまして、企業内の職業訓練所等におきまして事業主が単独あるいは共同でやっておりますものの数は、大体九百三十くらいになっておりまして、これに在籍しておりますのが約七万三千人くらいになろうかと思っております。それから、そのほかに先ほど申し上げましたが、青年学級などでは、特に企業内でも青年学級の形で開設しておるものもあり、また中小企業におきましては、市町村の開設する青年学級に共同してそこに通わせるというような措置をとっておりますが、これは企業内の直接のものではございませんが、そういう形で現在行なわれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/39
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040・野本品吉
○野本品吉君 これは私は、今後企業内教育というものをどういうふうに整備、充実していくかということは、後期中等教育の重要な問題点だと思う。そこで、社会党の提案の背景に、後期中等教育の問題が強く言われておりますのでお伺いするんですが、企業内教育の問題について、社会党ではどういうような御見解をお持ちになっておりますか、それをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/40
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041・秋山長造
○秋山長造君 社会党といたしましては、これは前に学校教育法の四十五条、それから四十五条の二ですか、あの改正のあった当時からの社会党の考え方として、企業内の教育ということよりも、やはり労働時間をたとえ短縮をするような措置をしましても、全員できるだけこの本来の定時制教育を受けさせるということが好ましいという考え方で来ているわけです。ただ、そのために労働時間を短縮をするとか、あるいはその他この青少年に定時制教育を受けさせるためのいろいろ企業主に対して負担をかけるわけですから、そういう負担については国がもっと積極的に補助金を出すなり何なりの裏づけ措置というものをやっていく、そしてできるだけこの定時制教育へ収容して、定時制の教育を受けさしていくということを主体にしたいという考え方でおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/41
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042・野本品吉
○野本品吉君 そうしますと、ただいまの考え方は、企業内教育というものが、ややもすれば私的な性格において教育されるのであるかもしれないから、それを公教育の形、その系統において考えたい、こういう考え方でありますか、こういうふうに了解してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/42
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043・秋山長造
○秋山長造君 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/43
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044・野本品吉
○野本品吉君 さらにこの点について文部省に聞きたいと思います。それは、企業内教育機関として相当もうりっぱな設備、それから指導陣営——まあ教育機関として、物の面からも、人の面からも非常によい条件の上に運営されている企業内教育というものが、各種学校という認可ということでいっているのですね。で、いま企業内教育の大部分は各種学校扱いされておりますか、依然として。たとえば、具体的に一つ言えば、丸善の石油学園のごときは、これはもうわれわれの驚くほどりっぱなものを持っておる。ああいうところはやっぱり各種学校という形でいっておるのか、これは文部省に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/44
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045・福田繁
○政府委員(福田繁君) 従来から企業内の教育機関は、大体各種学校として扱ってきております。また、会社自体としても、いろいろ会社の、私校と申しますと語弊がありますけれども、社員のみを対象としてこれをやるという場合におきましては、どうしても教育内容等について正規の高等学校の課程ではやりにくいという面があるようでありまして、したがいまして、技能教育中心になってまいりますと、各種学校になろうかと思います。そういう観点から各種学校が多いわけでございますが、しかし、そこを出ました生徒自身は、これはやはり何らかの形において高等学校の卒業資格を持ちたいという意欲が非常に強いわけでございます。そういう趣旨から私どもとしては先ほど御指摘になりましたように、この学校教育法の改正をいたしまして、四十五条に規定しておりますように、そういった企業内の教育機関と高等学校との橋渡し、連携の問題を考えたわけです。で、りっぱな教育施設におきまして内容の充実した技能教育をやっている場合におきましては、その生徒が高等学校の定時制または通信制の課程に同時に籍を置くというような形になりまして、そうして認定された一定の範囲では連携をはかっていく、そうして高等学校の卒業資格もとれるようにする、こういうようなやり方を考えておるわけでございます。そういうことで私どもとしては企業内の教育機関がいろいろございますが、できる限りこういう連携の方式を拡大してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/45
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046・野本品吉
○野本品吉君 学校教育法を改正して、企業内のいろいろな教育というものを公的な高等学校教育の線の上に持ち込もうとする考えでこれはやったと、そこで、そういう資格というか、高等学校の課程以上の教育をしておる企業内教育であるということの認定はだれがするのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/46
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047・福田繁
○政府委員(福田繁君) これは文部大臣が一定の基準に合っているかどうかを調査しまして指定をする制度になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/47
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048・野本品吉
○野本品吉君 私はこの企業内教育をどのように充実するかということ、その企業内の教育というものが学校教育のようにあらゆる角度からすべての条件が満たされるとは思えませんが、学校教育で、取り上げております科目あるいは課程の相当部分が企業内の教育でも行なわれた場合に、それを定時制教育の高等学校の課程を修了したものとして認めるということの考え方は、現実的に考えた場合に非常に実情に合ったよい考え方だと私は思うんです。そこで、そういう考え方は同時に、単に大企業だけでなしに、私はこれはまあ産業教育と関係を持ってきますが、中小企業対策というものを国がいろいろな角度から考えて打ち出している。中小企業の団地をつくる。団地ということが、これから中小企業の将来非常に大きな問題になってくるわけなんですね。そうするというと、たとえば私の地元ならば、足利市に、何万坪というところへ散点しておりました数多くのトリコットの工場が一ところへ集まって、そうしてやっておる。そういう中小企業の団地というものができるとすれば、そこで働いている子弟の勉学に便利なように、そうしてそれが仕事の経営に役立つようにという角度から、中小企業の団地等においては、共同施設としての企業内教育というものが当然考えられてしかるべきではないかということを私自身は考えておるわけなんです。そういうような点について、これをお考えになっているとしましたならば、どういうふうにお考えになられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/48
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049・福田繁
○政府委員(福田繁君) ただいまお述べになりました御趣旨と全く私ども同じ考えを持っておるわけでございますが、大企業でございますと単独で相当の施設をつくることができるわけでございますが、中小企業の場合は単独ではなかなかつくりにくい。したがって、中小企業が集中してある場合にそこで共同の教育施設をつくる、そういうことは可能な場合がかなりございます。またそれと高等学校との連携をはかっていくことも、むしろ大企業よりこのほうが必要性が強いんではないかというふうに考えるわけでございます。大企業の場合は、ある程度はやはりその従業員に対して一生を保障するということがかなりできるわけでありますが、中小企業の場合はやはり職場を変えるということを考えますと、どうしてもそこに従事しております青少年が、せっかく勉強した以上は高等学校の資格をやはりとっておきたい、こういう希望がことさらに強いわけでございます。そういう点から申しまして、私どもは中小企業の共同施設なり、あるいは共同でなくてもけっこうでございますが、そういうりっぱなものができた場合には、それと高等学校の施設との連携をさらに強化していく、そういう面につきましても十分勤労青少年の希望と申しますか、そういうものに沿うような方法を講じるのが適切ではないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/49
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050・野本品吉
○野本品吉君 私はそういう意味で、これは六日の新聞ですが、東京で都内最初の産学協同学級ということで、日野自動車と八王子高校が、実習と教養とを分担して、そうして高等学校の教育を進めていこうということで発足する。こういう考え方は、将来地についた後期中等教育の問題、産業の振興の問題、いろいろありますけれども、大いに研究に値する問題であろうと、こう考えておるわけです。
それは一応それといたしまして、その次の問題は定時制の問題ですが、これも文部省に先に伺っておきましょう。いまでも定時制の名前で、教育の方法、内容その他は全く全日制と同じような学校があると思うのですが、たくさんありますか、どのくらいありますか、数わかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/50
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051・福田繁
○政府委員(福田繁君) 数はちょっとわかりませんが、定時制高等学校のいわゆる昼間制の定時制につきましては、大部分がそういうものではないかと思っております。定時制の中でも特に農業技術者などの養成に資するような教育をやっておるところもございます。これはまた例外でございます。大部分が昼間制の場合はそういう内容のものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/51
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052・野本品吉
○野本品吉君 もともと全日制の高等学校は修業年限を三カ年とする、定時制の高等学校は四カ年とする、こういうことになってきましたのは、言うまでもなく、一方においては働きながら勉強するんだから、全日制で三カ年間に学習するものは四年かけなければできない。これは現実の問題としては全日制と同じ形で教育をしておって、三カ年たって一方は卒業証書がすぐいただける、一方は一年たって四年がこないと卒業証書がいただけない、こういう事実があるんですね。これはひとつ何とか考えなくてはならぬと私は思う。それについて提案者あるいは文部省はどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/52
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053・福田繁
○政府委員(福田繁君) 御指摘のような点もあろうかと思います。したがいまして、定時制の修了年限につきましては制度の問題になるわけでございます。したがって、内容とその制度というものが必ずしも十分当初の目的どおりになっていないというようなきらいもあろうかと思います。そういった点から、私どもとしては定時制高等学校の教育内容とその修業年限等につきまして、中教審等で後期中等教育の問題の一環として検討してもらっておるわけでございます。したがいまして、今後そういう中教審の答申で方向が出てまいりますれば、それによって十分検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/53
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054・野本品吉
○野本品吉君 いろいろまだお話し合いしたいこともありますが、時間がだんだん迫ってきますから、次に移ります。
この法案そのものについてお伺いしたいのですが、それは法案の第三条の二ですね、「勤労青年を使用する者は、その使用する勤労青年が定時制教育若しくは通信教育を受けることを不当に妨げ、」云々とある。その次に、「当該勤労青年に対し不当に不利益な取扱いをしてはならない。」と、こうある。この「不当に」ということの内容をひとつ。こういう場合だ、こういう場合だと、具体的に一応の御説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/54
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055・秋山長造
○秋山長造君 今日の実態として、特に中小企業の場合に多いかと思いますが、まあ高度経済成長政策の余波でもありましょうけれども、非常な求人難で困っておる。そういう状態の中で青少年を雇わなければならぬわけですから、勢い雇った青少年にどうしてもまあ長時間労働と言いますか、重労働と言いますか、いずれにしても相当重い労働条件というものがかぶさってきているのが実態ではないかと思うのです。そういう中で、しかもその青少年が定時制高校、特に夜間高校なんかに通うということになりますと、そうでなくとも人手が少ない上に、さらにそれがその時間の間、職場から抜けるわけですから、企業自体の都合から言えばあまり歓迎されないわけですね。そこで、たとえばこの労働時間なんかにしても、まあ夜間高校が五時半なら五時半から始まる場合、その始まる直前まで職場にくぎづけにして、あまり早早と仕事をしまって夜間高校へ行くというようなことに対しては、いい顔をしないというようなことが実態ではないかと思う。それからまあその他、たとえばこれは全国の全般的な傾向ではないかと思いますが、たとえば雇用主というものと夜間高校との間にいろいろな連携がいい意味でも悪い意味でもあると思うのです。そういう場合に、えてして、やはりいろいろな寄付の関係だとか、あるいは夜間高校に対する雇用主からの金銭的な援助協力というようなこと、それ自体はいいですけれども、それがまた裏面から言いますと、学校の運営等についてもある程度の発言権を持つというようなことにもなってくる。そうしますと、学校のほうでも平素金銭的なごやっかいなんかにもなっておるものですから、本来ならば雇用主に対してできるだけ青少年が学校へ来て学びいいように便宜をはかってもらいたいというPRを、啓蒙宣伝を平生から雇用主に対して学校は積極的にやるべきだし、またやってもらわなきゃ困るのですが、そういう点あまり雇用主に対してやかましく言えない、学校のほうが。というような反面のやはり弊害が出ているようなケースをしばしば聞くのです。そういうようなことをすべてこの条文に含めてこういう書き方をしているわけです。もっと個々のケースになりますと、ひどい例もないことはありませんけれども、まあそういう特殊な例をこういう場所で公にすることはどうかと思いますが、しかし、大体いま私が端的に申し上げたような傾向というものは、やはり今日これは個々の企業主の事情としてはある程度やむを得ない面もあると思うのです。これは中小企業が非常に苦しいということからくるやむを得ない面もあるが、しかし客観的にこの定時制教育の振興、それから勤労青少年にできるだけ教育を受けいい環境を与えるという立場からみますると、やはり「不当に妨げ、」、あるいは「不利益な取扱いを」、理由はどうあろうともしているという節が相当あるのじゃないか。したがって、こういう規定をぜひ一本入れることが必要ではないかというように考えたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/55
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056・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 私も提案者の一人ですから、補足説明という意味じゃありませんけれども、先ほどの質問と関連してお答え申し上げておきたいと思うのです。今の御指摘の条文は、私ども立法いたしましたものとしては非常に重要な内容を含んでいる問題ですし、それから野本先生の先ほどの質問と重大な関連を持っているのです。先ほど福田局長が、たとえば中小企業の団地が醸成される。その中でもし中小企業が自主的に合同の企業内訓練所等を設ければ、それは勤労青少年の希望にこたえるものである、こういう答弁をしましたね。私どもとしてはこういう思想があるからこそ第三条の二を特に明記しておるのです。と申しますのは、企業内訓練によって修得し得るものはあるでしょう。特にイギリスにおきましても、つい最近はパブリック・スクールのほかにモダン・スクール、あるいはテクニック・スクールというものを正式につくりまして、技術教育というのを重視してまいりました。こういうことを学校制度の中に取り入れるかどうかは、学制の問題として論議の余地があると思いますけれども、少なくともいま日本の企業で進められているところの企業内訓練、企業内教育というものは、先生も先ほど御指摘のように、公教育を受けさせるという角度からの企業内訓練や教育ではないとみているわけです。その事業に必要な当面の技能訓練が主である。それを主としながら若干のほかの一般教養的なものもやっている。そしてそのことによって、そういう便利を与えているという思想によって、定時制の高等学校に通いたいという子供の希望が非常に強く押えられている。このことを私どもとしてはそこでぴしっと押えるために、そのことを、精神規定的になりますけれども、やっているのです。もしその近くに定時制に通う設備があれば喜んで行きなさい、企業内訓練は別にやるのだという思想であれば寛恕できる面もあると思うのです。ところが企業内訓練や企業内教育等が整備されていくという根底の中には、定時制に通うことによって生産工場に阻害が与えられる。それをつなぎとめておきたいという意図が絶無とは一声えないと思うのです。ここが私どもとしては、表現はしにくいけれども、企業者が不当に、当該勤労青少年がそうした教育を受けたいと希望したときに、それを阻害してはならないというところに多分に含めておるわけです。まあ具体的には先ほど秋山委員も説明されましたように、定時制に通うのにも、きょうは忙しいからたまには休んでくれとか、あるいはいろいろな妨害はありましょう。しかし、そういった具体的な妨害と同時に、企業内訓練を受けることによって、企業内教育を施すことによって、せっかく定時制に通って正規の高等学校教育を履修したいと考えておる青少年の意欲というものが、そのことによって経営者から押えられる。また文部省も今言ったように、いみじくもその本質を暴露しましたように、文部省自体が、勤労青少年の意欲をそういう方向に向けていくことに対して、企業指導をしようとしないで、先ほどの法律改正のように、学校長が認定すれば、それが履修の単位に認められるというような、勤労青少年の本質的な意欲を抑制して、当面の小手先の恩典を与えるという方向に曲げられていくということが、勤労青少年の勉学意欲を最もそこなっている問題である。特に先生御指摘の大企業等におきましては、従来もいろいろと企業内教育等をやってみましたけれども、かなり多くのところが失敗しておって、やはりそれは当面の生産向上のための技術陶冶にすぎなくて、ほんとうに将来の有能な生産者となるところの長期的な展望に立った、一般教養に裏づけられた、いわゆる人工資質の向上という性格のものでないということをかなり多くの企業は認めておると思うのです。私どももここに重点を置いて、国がすべての勤労青少年の勉学意欲というものをそういう方向に善導していかないと、企業に迎合する形の勤労青少年の措置ということによっては、先生御指摘のような、かなり多くの人々の全般的な長期の資質向上にはならない、そうしてこれが結果的には、池田総理が経済審議会で言ったように、長期の見通しに立った人間教育にはもちろんならぬことは当然のことですけれども、経済発展の面からは、当面の小手先の措置にしかすぎない、こういう角度から、私どもは全般的に企業内の教育あるいは企業内訓練というものは、すべてマイナスだというきめつけ方ではございませんけれども、本質的には方向がスポイルされていっている、こういう観点から、そのことを特に精神規定としてうたい、文部省の行政指導の従来の欠陥を指摘しているつもりなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/56
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057・野本品吉
○野本品吉君 大体わかりました。そこで、第三条の二の規定というものは、倫理規定というか、そういう表現はとっておるけれども、定時制高校に就学を義務づける、義務づけたい、こういう意図はお持ちになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/57
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058・秋山長造
○秋山長造君 定時制教育が義務教育でないことはよくわかっている。したがって、いきなり義務づけようというのではない。ただ、今日のこの定時制教育の実態を見ました場合に、やはりこういう規定を一本入れておかなければ、今日の程度ですら、さっきも野本委員から数字を御説明になりましたが、あの数字を見ましても、これは定時制教育を受けてない勤労青少年は非常に多いわけです。ほんの一部が定時制教育を受けておるけれども、しかし、それはその一部が受けておるにすぎない、その実態ですら、四年間のうちに約半数近くいろいろな事情で脱落しておるわけですね。しかもその途中で退学した人たちの、いろいろな退学の理由、事情等を調べてみますと、相当数の者がやはり勤め場のいろいろな事情によって、これは雇用主の無理解ということもあると思います。それからまた、直接は無理解とはいえないにしても、間接にはやはり職場の事情の無理解やあるいは仕事の忙しさということから、中途でやめなければならぬというような者も相当数ある。ですからそういうものを、せめて入った以上は、最後の卒業まで貫いてやっていける程度のことは少なくとも考えてやらなければいかぬのじゃないか。さらに、こういう規定を設けることによって相当の効果を私どもは期待しておるわけなんで、そういうことによって中退者が少しでも少なくなる、さらにまた今日いろいろな事情で定時制教育を受けておらない者も、これが呼び水となってもっと定時制教育を受ける、また青少年を使用しておる雇用主のほうも積極的に定時制教育を受けさせるように配慮していくということができたらというように考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/58
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059・野本品吉
○野本品吉君 もう少ですから。そこでそれと関連してお伺いしたいと思いますことは、私はこの条文の倫理的な規定に対する気持ちは十分わかっております。そこで、これが法律で規定された場合に、このとおりやれる場所と、このとおりやったらばたいへんな場所と出てくると思う。それからそれは大企業とか大会社とか、それから官庁とか、そういうところは、この規定ができても不当に妨げたりあるいは不利益な取り扱いをしないようになるでありましょう。しかしながら、生産性の向上の中に、賃金その他の上昇を吸収することがぎりぎりなところでどうしてもできない、むしろ自分から吐き出してやっておるというような町工場、中小零細工場等に働いておる者が、おれは定時制の学校へ行きたいのだけれどもやってくれない、雇用主の処置というものは法律にきめてある不当な処置であると、こういうふうになってくる可能性がないでもない。私は大きなところ、官庁、そういうところは何ですけれども、今ぎりぎりに家じゅう一緒になって働いて、かろうじて事業を経営しておる小さな職場で不当呼ばわりが出てきたということになると、これはたいへんだと思う。そこで、このことを強く要請される、要求されるという立場からは、そのどこかに、そういう場合にどのようにして経営者の、あるいは雇用者のこうむった経営上の、あるいは商売上の不利益、あるいは損害というか、そういうものを見てやらなければならぬという考え方は、当然これは出てこなければならない考え方だと思うのです。そういうことについて、この提案をされるときに何かお考えになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/59
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060・秋山長造
○秋山長造君 この点は当然の御質問だと思いますし、私どもも当然今日の、特に中小企業等のおかれておる苦しい立場というようなことを考えた場合に、この趣旨はこれでいいとしても、その何らかの裏づけを考えていく必要があるということは考えたわけです。たとえばこの勤労青年を夜間の高等学校へやるという場合に、どうしても労働時間の若干の短縮ということは、これはもう考えざるを得ない、そういう場合に、それの裏づけになる、あるいは国からの補助金を何らかの形で考える、あるいは外国なんかで行なわれておる例もあるように聞いておりますが、一種の免税措置というようなことを考えるというようなこと、それからまた給与の点についても、むしろその学校へ行った時間だけは労働時間に食い込むわけですから、その食い込んだ場合の給与というようなものについては、むしろ国のほうで何か考えるべきじゃないかというようなこともいろいろ検討してみたんです。しかし、まだ今日ただいままでのところ、これでいきましょうというきめ手というものが打ち出せるところまで実はきてないわけです。まあとりあえず、当面この三条の二の一項、二項というものを法律の中に掲げて、そしてその裏づけの問題はさらに真剣に検討して、早急に何かはっきりしたものを打ち出したいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/60
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061・野本品吉
○野本品吉君 もう一つ法案と関連のある問題で、私はこの法案を見て、これはどうして落とされたのであろうかなということに疑問を持った項目が一つあるわけです。それは定時制教育の場で、あるいは通信教育で教育を受けている者にとって一番学習意欲、研学の精神をにぶらせる大きな理由は、雇用者、採用者が定時制教育を受けた者は私の工場では、会社では、私の職場ではごめんこうむりますということを最初から言っている工場や会社もあるわけですね、まだ。このことはいわゆる定時制の同じ高等学校の教育を卒業した者に対する差別待遇として、年来われわれはこれを排除すべきであるということを言ってきているわけで、文部省もそういう点について努力してきているわけですが、いまだかつてそれがあとを断たないということを聞いておるわけです。それは事実ですか、どうですか。これは文部省、提案者のほうでお調べになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/61
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062・秋山長造
○秋山長造君 私のほうはその具体的なものを手元に持っておりません。持っておりませんけれども、おっしゃるような、いわば全日制の卒業生と定時制の卒業生との間に、就職の機会において何らかの差別待遇といいますか、差別があるということは、これは認めざるを得ない。御承知のように、昨年の春でしたか、関経連の杉会長が、こういう定時制、全日制の差別をつけるべきでないというような発表をされ、さらにそれに引き続いて池田総理がみずからそういう発言をされて、これが相当大きく報道され、関係者は非常にそれに大きな期待をかけたわけなんです。遺憾ながらその後の実態が、一体それで差別がなくなったかというと、これは差別は今日においてもなくなってないと思うんです。まあその点はこれはおっしゃるとおり、当事者はもちろんですけれども、われわれ関心を持つものとしても非常に困ったことでもあるわけで、同時に何とか努力してこれは改めなければならぬ問題であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/62
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063・野本品吉
○野本品吉君 文部省、何か調べたものありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/63
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064・福田繁
○政府委員(福田繁君) 定時制高等学校の卒業生に対する雇用主の差別の問題でございますが、御承知のように、昨年春にいろいろ問題になったことでありまして、文部省としては四月に、事務次官の名前をもちまして日経連その他の団体にそういう差別的な扱いをしないようにということを申し入れをすると同時に、各傘下の会社等に対しましても、これに対して協力方をお願いしたわけでございます。関西のほうの日経連などでは、そういう差別待遇を今後行なわないという申し合わせですか、決議をしたくらいでございます。しかしながら、実際にその後その効果がどれくらいあったかということを調べて見ますと、三十八年で、こういう趣旨に協力してくれた会社、事業場は約二千二百ばかりふえております。これはいままで定時制は就職の際に試験を受けさせなかったものでございますが、二千二百ばかりは、新たに定時制高等学校の卒業生に対しても門戸を開く、これは新しい点でございます。その以前から、大体全然差別をしないというものが、約四万ぐらいございます。しかしながら、大きな会社、銀行、あるいはデパートといったようなところは、従来から定時制高等学校に対しては、残念ながら差別をいたしておるようでございます。そういった大きな会社等が定時制高等学校に対して門戸を閉ざしているということは非常に残念でございますが、私どもとしては、昨年の趣旨に従って、今後もこういう会社、銀行等に対しましても、団体を通じて、でき得る限り今後も協力してもらうように努力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/64
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065・野本品吉
○野本品吉君 私は採用試験の結果、成績が悪いからこれを排除するというならわかりますけれども、ひとしく高等学校の課程を終了したという同じ卒業証書をもらっているものが、採用試験を受ける際に、こちらはよろしいが、こちらはだめだというようなこの行き方は、もう高等学校教育というものを無視している考え方なんですね、むしろ定時制というものを否定している考え方なんです。これは定時制はだめだ、この考え方を全国的に打ち破っていかない限りにおいては、ほんとうの意味の定時制の振興ということは期待ができないのだということを強く考えているものですから、そこで社会党の御提案の三条の二で、いろいろと相当きつい意味の臨時的な規定が設けられているので、こういう点についてお考えにならなかったのかなということに疑問を持ちましたので、いまの質問をしたわけであります。
それから次にお伺いしますが、これはきわめて具体的なことですが、政令によって除外されている事務職員、実習助手等がある、それはこの提案された法律の施行されます場合に、除外されているもので、この法律で救われるというか、親切に扱われるというか、大体実数どのくらい予定しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/65
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066・秋山長造
○秋山長造君 お手元に資料をお配りしていると思うのですが、その資料の一ページ目の一番下のほう、この点を具体的に書いております。つまり定時制高等学校に勤務しております実習助手の総数が千百三十人、そのうち、すでに手当を支給されているものが六百三十人、あとの五百人が支給されていない。それからさらにその次の欄に事務職員、それから事務職員以外の一般雇用人その他……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/66
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067・野本品吉
○野本品吉君 そうすると、それと関係して現在大学の夜間部があるわけですね。そこで大学の夜間部の、こういうこれと類似の職種におる者の扱いはどういうふうになっておりますか。これは文部省から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/67
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068・福田繁
○政府委員(福田繁君) 手当は出ていないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/68
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069・野本品吉
○野本品吉君 出ていない——そうしますと、この法の実施については、類似の職種との均衡の問題について、さらに一応の考慮を要するということになるように思います。そこで、たいへん長いこといろいろとお聞かせいただいて、私、非常に勉強になったんでありますが、私は、この法案全体を見まして、率直に申しまして、次のような感じがしたわけです。それは、高校、中等教育の制度充実という非常に広い視野からの御提案でありますが、そこに従事している事務職員とか、あるいは実習助手とかの待遇の改善という狭い一角だけから取り上げられて、もっと大事な問題で、この法案に取り入れれば取り入れることのできるであろうと思うことの幾つかの点が落とされているというような感じが実はいたしたのであります。別にまだ賛成、反対の意思を表明する段階ではありませんが、最初に申しましたように、高校、中等教育の問題の重要性、複雑性、その他から考えて、さらに勉強していかなければならぬと思いますので、いろいろとお伺いしたわけです。
これで私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/69
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070・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/70
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071・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を始めて。
本法案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。午後一時半まで休憩をいたします。
午後零時二十五分休憩
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午後一時四十八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/71
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072・中野文門
○委員長(中野文門君) これより委員会を再開いたします。
文化功労者年金法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。
御質疑のおありの方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/72
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073・秋山長造
○秋山長造君 文化功労者の問題について、この前、学士院会員、芸術院会員等との関連でいろいろ御質問したことがありますが、大臣には、わが国の芸術、文化行政のあり方というようなことについてちょっとこの前御質問をしたんですけれども、私もあとで考えてみて十分行き届いた、真意を尽くした質問ができなかったと思うので、きょうあらためてまとまった御質問をしたいと思っております。大臣への御質問の前に、ここに至るまでの事務的なことについて御質問したいのですが、文化財の事務局長にお尋ねしますが、あなたのほうの所管で重要無形文化財の保持者というのが相当数あるはずなんですよ。この重要無形文化財の保持者、俗に人間国宝なんと言っているわけなのですが、この人たちに対する顕彰の方法というものを具体的に御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/73
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074・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 重要無形文化財、いわゆる人間国宝と言われます方々は現在まで五十一名指定をいたしております。これは御説明するまでもないと思いますが、わざ、技術そのものを重要無形文化財に指定いたしまして、そのわざを具現いたしますものを保持者として指定をしておるという形でございます。これらの人々に対しまする顕彰の措置ということでございますが、これらの人々が多年にわたりましてわざをみがいておりますし、また保持しておられる技術からりっぱな作品をおつくりになられ、これがいわゆるわが国の文化という点から見ても、世界に誇り得るような文化の一部を構成するような作品をつくっておられる。こういうようなことから、これらの人々の労に報いる、御功績をたたえるというような意味での顕彰、これも十分考えられるわけでございますが、具体的な形といたしましては、予算といたしまして三十九年度から千五百万円の特別助成金というものを計上いたしまして、国会で御審議願っているわけでございますが、これが新年度から予算になりますれば、その金が具体的な顕彰という方法の一つにもなろうかと存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/74
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075・秋山長造
○秋山長造君 三十九年度に新規に千五百万円、無形文化財保存特別助成金として計上されておるという話ですが、その具体的な内容はどういうことなんですか。やはり年金を出すということなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/75
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076・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) これは年金ではございませんで、予算を要求いたしますまで、過去の考え方といたしましては、そのように考えたときもございましたが、国会にいま出ております予算の中身といたしましては、この助成金の性格は年金ではございません、助成金でございます。それでまあ大きく言えば一種の補助金的なものでございます。それで、しかも文化功労者年金のようなものと違いまして、御本人がわざをみがかれる。それから後継者の養成をされる。そういったようなことでいろいろ経費もかかりますので、そういった重要無形文化財を保存するための経費というのがこの助成金の性格でございます。それから、先ほど言い忘れましたが、五十一名のいわゆる人間国宝の中には十名の芸術院会員、文化功労者年金受給者等がおられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/76
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077・秋山長造
○秋山長造君 補助金、助成金だということですが、それはそれでいいのですが、千五百万円の使途、具体的にどういうような分け方をするのか。やはり一人平均幾らということで個々に金を出されるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/77
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078・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) この助成金は保持者個人に交付する予定でございます。ただその他のいわゆる文化功労年金とか、芸術院年金のように画一的になるかどうか、その点は目下検討中でございます。と申しますのは、いわゆる純粋に顕彰的な意味の年金でございませんので、重要無形文化財を保存すするというその点が強うござます。したがいまして、保持者が自分のわざを練磨、向上するとか、後継者を養っていくという点で、いろいろ保持者それぞれによって異っておりますので、どのような金額でどのように交付するのが一番重要無形文化財を保存するという点で有効適切なものであるか、これを十分検討いたしましてやりたい。ですから、千五百万円を五十で割れば三十が出てくるということで、大体、全然わからないというのもあれでございますが、平均すればそのくらいでございます。それに、先ほど申しましたような観点から、どの程度の金額に具体的にきめていったらいいか、これは十分検討してから決定したい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/78
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079・秋山長造
○秋山長造君 そうすると、私なんかがいままで聞いていたこととだいぶ違うんですね。実はさっきも、私、文化財の事務局長の出席をお願いしたいと言ったところが、文部省関係のどなたか知らぬけれども、どういうことを聞かれるのかといって私のところに見えた人がありますが、その人は、無形文化財の保持者の問題についてちょっと尋ねたいんですがと言ったら、年金のことですか、それは三十万ずつ出ることになっておりますよという話だったんですがね。私らもそう聞いておったし、文部省の人だって金額を私に言いよったくらいだから、皆さんもそう思っていたのじゃないかと思うが、そうじゃないんですね。一人当り三十万円ということで、五十人で千五百万という大体積算をされたわけじゃないんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/79
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080・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 積算といたしましては、もう少し多い金額でそのような積算をいたした時代もございますが、一応千五百万円としまして国会に出されておりますものは、三十万円画一ということじゃございません。これは単純に申しましても五十一名いらっしゃいますので、三十万円ではちょっと足りません。しかし、大体三十万円というものが一つの基準になろうと思いますが、その前後で十分検討してきめたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/80
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081・秋山長造
○秋山長造君 それでわかりました。要するに、まだ具体的にどうするかということがはっきりしていないということですね。しかし、いまおっしゃったのは個人ですね。たとえば文楽にしても、あるいは久留米がすり、結城つむぎとか何とかいうような織物なんかにしても、そういう特殊な技術というものが一個人でなしに、どういいますかね。一つの団体のようなものが保持者になっている例が多々ある。そういうものも同じような扱いになるんですか。やはり補助金とか、助成金という形で幾らか出されるということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/81
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082・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) いわゆる団体指定の御質問でございますが、重要無形文化財の指定といたしましては、いわゆる重要無形文化財といいますのは、雅楽とか、文楽とか、能とかいったようなものが重要無形文化財でございます。それを保持している人がいわゆる人間国宝としての認定を受けているわけでございます。したがいまして、その保持している人を認定します場合に、個人を指定するか、グループとして団体を指定するか、この両方の方法をとっておるわけでございます。で、現在、団体指定をいたしておりますのは、芸能では雅楽、文楽、能楽でございます。工芸では結城つむぎとか、久留米がすりとかいったような三団体を指定いたしております。で、今回の千五百万円の特別助成金はいわゆる団体ではございませんで、個人個人で指定されておられる方を対象にいたしております。で、その他の団体指定におきましては、たとえば文楽の中には個人として指定されておられる方も数名おられます。しかし文楽を演じます——最近では文楽協会のメンバーでございますが、それも指定をしてあるわけなんであります。で、その団体のほうへは別に千五百万円文楽には補助金を出しております。それとその中に数名いらっしゃいます個人で指定してある方は、今度の千五百万円の対象になられる。しかし、団体そのものは別の補助金等で補助、助成をいたしておるのが実情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/82
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083・秋山長造
○秋山長造君 文楽の場合はそうとしても、織物ですね、さっき例示された織物なんかについても、やはりこれには入らないけれども、何か別なワクで補助金を出してやられるということでありますか、そうですか。——それで学士院会員だとか、芸術院会員なんというものには、これはこまかい話になりますけれども、国鉄パスが出ておりますね。これは文部省の学士院会員、芸術院会員等には国パスが出ておるはずなんです。半年分ですか、これも文化功労者にも出ているのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/83
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084・安達健二
○説明員(安達健二君) 功労者にはそういうようなものは出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/84
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085・秋山長造
○秋山長造君 これは功労者にはパスが出ないというのはどういうわけですか。学士院会員なり、芸術院会員は出ていて片方に出ないというのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/85
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086・安達健二
○説明員(安達健二君) 功労者につきましては、この前申し上げましたのでございますが、文化功労者には年金を支給して優遇をする、その年金は賞金的な性格であるということを申し上げましたが、そういう趣旨であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/86
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087・秋山長造
○秋山長造君 重要無形文化財保持者は国鉄パスは出ておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/87
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088・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/88
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089・秋山長造
○秋山長造君 確かにいま人事課長おっしゃるように、一口に年金といいましても、学士院会員、芸術院会員の年金と、それから文化功労者の年金とは多少性格が違うような御説明だし、どうも御説明を聞いておると、なるほどそうかなと思える節もあるのです。あるのですが、しかし、いずれにしても、学士院会員にしても芸術院会員にしても、あるいは文化功労者にしても、無形文化財保持者にしても、こういう方面に非常に功績のあるすぐれた人を顕彰するというか、その労に報いると申しますか、そういう趣旨のものだと思います。厳密にいえば多少性格が違うにしても。ですから大して数が多いわけでもないし、文化功労者あるいは無形文化財保持者に対しても国鉄パスくらいは出したほうがいいのじゃないですか。出したからといって、毎日これを使って乗られるわけでもないでしょうしね。お年寄りが多いのだから年に一ぺんか二へん利用されるくらいじゃないかと思うのですけれども、大した政府に損がいくわけでもないのだけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/89
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090・中野文門
○委員長(中野文門君) ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/90
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091・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/91
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092・秋山長造
○秋山長造君 じゃ、いまの御答弁はあとで。十分でやれるかどうかわからないのですが、一応、私のほうから質問したいことを一まとめにして申し上げますから、ひとつお答えを願いたい。
私この前から御質問をしておること、この前ちょっとばく然としたことだったんですが、こういうことなんです。たとえば美術の関係を考えてみても、古い美術、古美術品というようなものの所管は、大体、文化財保護委員会になっておりますね。ところが近代美術というワクになると、今度は社会教育局のほうの関係、芸術課あたりの所管ということになっていると思うのです。ところが、その境目はどうかということになると、たとえば明治時代のもの、狩野芳崖だとか、橋本雅邦だとかいうような人たちの作品は一体どっちに入るのかということになりますと、あるものは重要文化財の指定を受けて文化財保護委員会の所管になって、いる。ところが、そういう指定を受けていないものはおそらく近代美術のワク内で社会教育局の関係の所管になっているんじゃないかと思うのですがね。そういうことが一つと、それからたとえば博物館にしましても、東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、こういうものは、これは文化財保護委員会の所管になっているんですね。ところが科学博物館、それから近代美術館、西洋美術館、こういうものは文部省の社会教育局の所管です。別に博物館法というものがあるけれども、国立の博物館、美術館は、全部、博物館法にいう博物館じゃないわけなんですね。博物館法にいう博物館というのは公立、私立の博物館だけなんですね。国立の博物館、美術館は、その公立、私立の博物館、美術館に準じた扱いを受けて、何か陳列品の輸送の場合に運賃の割引みたいなことの特典を、準じて受けているというようなことらしいです。それから外国との文化交流、芸術交流というようなことを、文部大臣も所信表明でも大いに強調されましたし、時代の要請でもあるわけですが、一体どこが窓口になって文化交流が行なわれているのかというと、外務省の情報文化局、あるいは文部省の調査局にある国際文化課というような役所が一応あるわけですけれども、しかし、ほんとうに文化交流をどこがやっておるかといったら、むしろ私は外務省でも文部省でもなくて、新聞社がもっぱら専門に引き受けてやっておられるのじゃないかという感じがするんです。これは私ずっと調べてみた一覧表をここに書いているんですが、最近のいろいろな、エジプト美術五千年展、フランス美術展、インド古代美術展、あるいは現代スペイン美術展、版画ビエンナーレ展、ビュッフェ展、ピカソゲルニカ展、シャガール展、それから今度近くくるという、ミロのビーナス、これは新聞社ですね、どこかの新聞がやっているわけなんで、ただ政府のほうは場所を貸しておられる程度、そして何々新聞主催、文部省、外務省後援というような形、しかも、それも手狭な場合が多くて、デパートなんかを借りてやっておる、そうして先日の西武デパートの火事あるいは松屋デパートの火事というような、そういうことが再々起こっておる、これは非常に危険を伴うことなんです。それで結局、本来の陳列館、美術館というものはもう上野の都の美術館しかないわけですね。あとは博物館その他を使う場合には、すでに陳列してあるものを一時ちょっと片づけて、それを使っておるという程度のことなんで、結局、窓口がどうとか、主催者がどうとかとうことと同時に、場所についても非常に不完全、不十分な状態なんですが、やっぱりこれは本格的な芸術交流、文化交流を行なおうとすれば、やはり国立の美術館という、陳列場ですね、陳列を主とした美術館というものがぜひ要るのではないか、こういうことについて文部省に何か計画があるかどうかということです。
それからついでに言ってしまいますが、第三の点は、三宅坂に予定されておる国立劇場は、大体古典的な芸術の保存というような趣旨で、これは文化財保護委員会の所管というように一応されているのではないかと思うけれども、しかし、実際にはそうばかりもいえないので、バレーとか、オペラとか、オーケストラとかというような新らしい文化、芸術部門というものも、当然これは扱っていかなければならないし、当然扱われると思う。そうして、こういうことは文部省の社会教育局の所管ということになりまして、どうもさっきの図書館、博物館、美術館の所管にしても、こういうものの所管にしても、また、古い美術、近代美術の区分にしても、海外との文化交流、芸術交流にしても、一体どこにまとまったひとつの、政府としての、あるいは国としてのまとまった芸術、文化行政の機構なり、あるいは行政そのものがあるのかということを疑わざるを得ない。どうしてもこれは何か従来の機構のあり方というものを再検討されて、そうして何かまとまった強力な機構というものを打ち立てるべきではなかろうか、外国の例なんかみましても、たとえば博物館、美術館というようなものを、フランスあたりはルーブル美術館の中に博物館総局というものを置いて、そうしてこれがまとまった博物館、美術館行政というものをやっておるようです。イギリスあたりは大英博物館というものがすべての博物館を一まとめに掌握をして、そうして計画的な運営をしておるというようなことも聞くわけです。その他、芸術文化省というような役所の看板を掲げたものが西欧諸国にはだんだんありますが、そういうことを十分反省されて、そうして、このままで一体よろしいのかどうか、今後どういうようにやっていかれるおつもりかどうかというような点をまずひとつお考え願って、何らかの新しい、文部大臣としての方針を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/92
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093・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 芸術あるいは文化ということになりますと、まことに暗いのでありまして、十分なお答えがしにくいかと思うのでございますが、ただ、私が平素文部行政というものを考えましたときに、いろいろこの辺が欠けているのじゃなかろうか、この辺が不十分ではなかろうかと思っているような点を御指摘をいただいたような気がするのであります。御承知のように、芸術につきましては、いわゆる文化財の保持、保存、修理というようなものについては文化財保護委員会でやっている、一般的な芸術、文化の向上普及は社会教育局でやっているという一応の分け方になっております。そうして両方がそれぞれ連絡いたしまして、円滑に仕事が運べるようにとやっているわけでございますが、何と申しましても、御指摘にもありましたように、古い時代のいわゆる古美術、そういったふうな、いわゆる文化財に対する行政は、おかげさまでだんだんと進んではきていると思うのでありますけれども、現在の芸術、現在の文化のさらに向上発展をはかる、こういうふうな観点からみました場合には、文部行政まことに乏しいということを感ずるのであります。同時にまた、今日では、外国とのいわゆる文化交流、芸術交流等も盛んになってきたのでありますけれども、これにつきましても、御指摘のように、政府としてこの芸術、文化の交流を行なうのにつきまして、十分なまとまった組織機構がない、欠けているといううらみも私も思うのであります。あるいは外務省、あるいは文部省、その他の所管省におきまして今日までやってまいっておりますけれども、決して十分とはいえないし、同時にまた、むしろ民間の努力によりまして文化交流が行なわれているような姿のほうが多いのであります。私は、やはり国あるいは国のかわりと申しますか、公の性格を持った何らかの仕組みをもって、国際文化交流等もまず本筋としてやれるような仕組みが要るのじゃないかというようなことを感ずるものであります。また、この種の文化財を陳列する場所につきましても、決して十分とはいえないと思うのであります。これは中央、地方を通じまして、やはりこういった施設の充実もはかってまいらなければならぬと思うのであります。
国立劇場がおかげさまでだんだんと目鼻がついてまいりましたが、やはり新しい時代における演劇、こういうふうなものについての場所を考えるということも確かに必要なことだと考えるわけであります。それこれ考えまして、私は、実はいま明確な構想を持っているわけではもちろんございません。そういうふうな点がどうもいままでの文部省の行政からいって手薄いのではないかということを感じておりますので、何かそこに方法はなかろうかということを思い続けているわけでございますが、なかなか手が回りかねているような現在の状況でございます。私、いまはっきりしたことを申し上げる具体的な構想があるわけではございませんけれども、この芸術、文化に関する行政機構というふうな問題について、もっと検討をする必要があるという程度には実は考えているわけであります。だんだんとその方面のことも検討してまいりたいと存じておりますが、何と申しましても、現在は予算面におきましても、もっともっと充実しなければなりませんけれども、組織機構の点において、どうも行政が伸びないといううらみを感じているわけであります。その方向に向かって、将来ひとつ勉強をさしていただきたい、かように思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/93
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094・秋山長造
○秋山長造君 それで、その点についてゆっくり御質問できないのですが、また、あらためますが、そこまで大臣がお考えになっているし、また、大臣なかなか積極的にこの芸術文化行政というものと取り組もうという心がまえのようでけっこうなんですが、何らかの専門家を集められて、そういうところの知恵を借りるという意味で、中教審だ何だというものはあるのですが、そういうものとは別に、こういう方面の深い素養を持った専門家に芸術文化行政のあり方というものについて知恵を借りられる、諮問される、そういうことをお考えになったらどうかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/94
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095・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) そういうことも考えないではないのでありますけれども、まだ具体化するところまで至っておりませんが、適当な方法でもってそういう方面の人の意見等を聞く機会はぜひ持ちたいものと考えております。適切な御示唆だと思いますので十分検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/95
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096・中野文門
○委員長(中野文門君) ちょっと速記とめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/96
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097・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/97
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098・秋山長造
○秋山長造君 さっきの続きですが、これは文部省のほうに聞いたほうがいいと思うですが、文化功労者の選考の手続について、この前文部省にもお尋ねし、大臣にもお尋ねしたのですが、これは選考基準というようなものがあるのですか、どうですか。あるいは選考基準とはっきりしたものでなくても、何か内規のようなものでも文部省は持ってやっておるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/98
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099・安達健二
○説明員(安達健二君) はっきり文書でこういう基準というようなものを定めてはございません。選考委員会の委員の任期が一年でございまして、大体ある程度前の方もお入りになりまして、そして大体の考え方を統一しつつ毎年法的に御審査を願う、こういうことになっておりますので、文書でもってこういう基準というものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/99
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100・秋山長造
○秋山長造君 やはりこの前からおっしゃっておるとおりに、そうすると、何にもない。とにかく一切選考を委員にまかせきり、そしてそれであがってきたものをそのまま認める。こういうことでやっておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/100
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101・安達健二
○説明員(安達健二君) 選考審査会の委員の選考にあたりまして、いろいろな各分野から学術、芸術、あるいは学術、芸術等につきましてもそれぞれ広い分野から委員の方々をお願いいたしまして、それによってまたその選考される方が公正妥当で、しかも高い視野の方をお願いいたしておりますので、大体においてわれわれといたしましても、選考において十分期待にこたえるようなことをやっていただいておるものと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/101
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102・秋山長造
○秋山長造君 文化勲章の受章者の選考をこの文化功労者の選考審査会でやっておられるわけですね。これは別に法的な根拠があってやっておられるのじゃなしに、慣例としてやっておられるのだと思うのですが、何か根拠があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/102
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103・安達健二
○説明員(安達健二君) 文化勲章の制度が戦前からございましたが、昭和二十四年の文化勲章の受章者の選考から、文化勲章受章者選考委員というものを委嘱いたしまして、文部大臣が閣議請議する場合に選考についての御相談をするということを始めたわけでございます。それで昭和二十六年になりまして、文化功労者年金法が成立いたしまして、その法律で文化功労者選考審査会の制度が設けられたわけでございます。その際、文化功労者選考審査会の委員に、同時に文化勲章受章者候補者の選考をもお願いするというような形になって、現在、文化功労者選考審査会の委員の方々は、同時に文化勲章受章候補者の選考をもお願いするという、こういう慣例になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/103
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104・秋山長造
○秋山長造君 結局慣例であるといっておられると思うのですが、これは何ですか、今後もこのまま慣例をずっと踏襲されるつもりですか。あるいは文化勲章については何かあらためて別個の選考機関というものを設けられるようなおつもりがあるのかどうか、どうですか、そういうことは問題になったことはないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/104
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105・安達健二
○説明員(安達健二君) ただいまの制度と申しますか、慣例でいくということ以外に、特に最近これをどうこうという意見は出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/105
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106・秋山長造
○秋山長造君 これは大臣にお尋ねしたほうがいいかとも思うのですが、政務次官も見えましたから、ちょっとお尋ねするのですが、今度、政府のほうで生存者叙勲を実施されるようですが、この生存者叙勲は、閣議決定でおやりになるわけですが、この文化勲章の受章者の選考については一体どうされるのですか、やはり文化勲章についてだけは、これは生存者叙勲とは別に、従来どおり別個にこの選考審査会にまかせきりにして、そうしてその選考審査会の審査をそのまま取り入れてやっていかれるということかどうか、この点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/106
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107・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) おっしゃるとおり、文化勲章についてはいままでどおり、生存者叙勲とは別に、引き続き行なうということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/107
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108・秋山長造
○秋山長造君 それは引き続き行なわれるということは、これははっきり確認されておることですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/108
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109・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/109
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110・秋山長造
○秋山長造君 さっき大臣に大急ぎでお尋ねしたときにもちょっと触れたのですが、博物館行政についてこの機会にお尋ねしておきたいと思いますが、国立博物館、美術館は博物館法の適用外ということになっているのは、これはどういう理由でこういうことになっておるのですか。どなたか説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/110
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111・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) 博物館法は、先ほど先生御指摘のように、公立博物館と私立博物館に関することだけあるわけでございますが、実はこの立て方といたしましては、公立ないし私立の博物館の一定の水準を維持する、人的にも物的にもその水準を維持し、また必要な場合には助成をするという考え方が主でございまして、理論的には先生のおっしゃるような検討すべき点があるわけでございますが、その登録でありますとか、あるいは水準の維持というものは、国が直接設置いたすものにつきましては措置をするであろうという前提もあろうかと思います。しかし、博物館全体を押えますために、現行の博物館法が完全であるかどうかは、なお検討すべき問題があろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/111
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112・秋山長造
○秋山長造君 結局、博物館振興法は、あなたのほうの所管だと思うのですが、博物館法——実質的な博物館振興法みたいなものですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/112
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113・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) その性格が定の水準を維持し、かつ振興するという観点が強いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/113
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114・秋山長造
○秋山長造君 これも齋藤局長にお尋ねしてどうなるものでもないけれども、どうも博物館にしても、同じ国立の博物館にしても、それぞれに所管が違うわけなんですね。これは何かそれ相当の経緯というものがあるのかしらぬけれども、どうももう少しまとまったやり方ができぬものかという疑問を持つのです。
それから、これは文化財のほうにお尋ねしますが、さっきもちょっと触れたのですけれども、明治以降の絵画その他の美術品で、あなたのほうの重要文化財に指定されておるものがどのくらいあるのか、もしわかったらちょっとその種類と、それから幾つあるかという数を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/114
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115・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) いわゆる明治美術品でございますが、これは六件ございます。狩野芳崖、橋本雅邦、菱田春草の作品がそれぞれ二件ずつ、計六件、このように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/115
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116・秋山長造
○秋山長造君 これもついでにお尋ねをするわけですが、例の富岡鉄斎のものは、これはどちらの所管になるのですか。社会教育局の関係とあなたの文化財の関係とどちらの所管になっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/116
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117・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 先ほど大臣への御質問もございましたが、いわゆる文化財保護委員会が所管するのか、社会教育局が所管するのか、これはボーダーフィン辺になりますと、同じく美術の工芸品でございますし、芸術品でございますので、勢い特に年代等でも明治等になりますと、いろいろ問題があるのでございますが、先ほど大臣が申しましたように、文化財といたしましては、文化的な所産であっても、社会教育局の所管でもって、科学博物館等にいろいろ動物の骨等があったりして科学博物館に飾られておりますが、そういうものじゃなく、人工を加えて人工的な所産といったようなものの保存ということを文化財保護委員会は考えている。社会教育局のほうは、芸術的、文化的なそういうものの普及、向上をはかっておられるというようなことで、見方によりまして、同じもので両者に関連する場合もございますが、大体私ども文化財保護委員会と本省社会教育局、それぞれの所管いたします博物館、美術館の保管関係では、大体二十世紀以前は原則として文化財が所管し、二十世紀以降のものは社会教育局のほうでという原則でございますが、大体そのくらいの原則で、両者が従来から連絡、協調して事に当たっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/117
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118・秋山長造
○秋山長造君 二十世紀ということになりますと、明治で言えば三十年前後が境になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/118
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119・斎藤正
○政府委員(斎藤正君) ただいまの文化財事務局長の説明を補足いたしますと、原則といたしまして、十九世紀の古典的なものは国立博物館に、二十世紀のものは近代美術館ということにしておりますけれども、わが国の美術史の中で、明治二十年あるいは三十年というのは非常な変革期でございます。したがいまして、そういう原則は立てますけれども、二十年あるいは三十年、あるいは四十年に少しかかるというようなところの作品は、個々の作家、作品について検討して両者で考えなければいけない点があるというふうに思うのであります。しかし、具体的な問題として、従来、保管につきまして原則も個々の取扱いも連絡は十分でございませんので、最近、美術家に私どもをまじえまして、相互に連絡いたしまして、作品の相互転換ということをはかるように措置しているわけでございます。原則といたしましては、先ほど文化財の事務局長の申したとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/119
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120・秋山長造
○秋山長造君 もう一問だけお尋ねします。これは文化財事務局長にお尋ねするのですけれども、委員が五人おられますね。この方々は、大体役所に何日に一回出ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/120
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121・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 私のほうは、これは法律でも何でもございません。定例委員会といたしまして一週一回の定例委員会は、これは年間を通じまして、ほとんど九分九厘どおり週一回の定例会をいたしております。それから臨時に委員会を招集することもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/121
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122・秋山長造
○秋山長造君 毎週一回の定例委員会への委員の先生方の出席情況はどうなのですか、参考に聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/122
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123・宮地茂
○政府委員(宮地茂君) 出席率は一〇〇%に近い、もうほとんどどなたも御欠席なさる方はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/123
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124・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01319640310/124
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125・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を起こして。
文化功労者年金法の一部を改正する法律案に対する質疑は、本日はこの程度で終了いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後二時三十九分散会
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