1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月十七日(火曜日)
午前十一時二十一分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 中野 文門君
理事
北畠 教真君
二木 謙吾君
吉江 勝保君
加瀬 完君
委員
植木 光教君
木村篤太郎君
久保 勘一君
笹森 順造君
野本 品吉君
小林 武君
豊瀬 禎一君
赤松 常子君
発 議 者 加瀬 完君
発 議 者 小林 武君
発 議 者 豊瀬 禎一君
国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
政府委員
文部大臣官房長 蒲生 芳郎君
文部省大学学術
局長 小林 行雄君
事務局側
常任委員会専門
員 工楽 英司君
説明員
文部省大学学術
局審議官 村山 松雄君
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本日の会議に付した案件
○教育職員免許法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
○国立学校設置法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○国立養護教諭養成所の設置等に関す
る臨時措置法案(加瀬完君外四名発
議)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/0
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001・中野文門
○委員長(中野文門君) ただいまより文教委員会を開会いたします。
教育職員免許法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、文部大臣からの提案理由の説明を求めます。灘尾文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/1
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002・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) このたび政府から提出いたしました教育職員免許法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
このたびの改正案は、高等学校教育の充実に資するため、高等学校の教諭の免許状について特例を設けるとともに、小学校、中学校、高等学校及び幼稚園の教員の免許資格を上進するために必要とされている在職年数の取り扱いを改め、教員の資質向上への意欲を助長しようとするものであります。
まず第一に、高等学校の教諭の免許状の特例を設けたことであります。最近に至り高等学校の教育が普及し、その教育内容も漸次改善充実を見つつありますが、高等学校においては、小学校または中学校と異なり、普通教育とあわせて専門教育をも施すのでありまして、技能に関する教育、指導が特に必要とされる分野が多くなっております。これに対し、現行の教員免許状は、教科の全分野について、大学において所要単位を包括的に履修した者に授与されるたてまえになっておりまして、特定の分野のみについて深く指導を必要とする場合に対処するためには必ずしも十分とは申せません。このため、特定の技能に関する分野に限って、大学の教育を受けたかいなかの別を問わず、文部大臣が行なう試験によって、教員として適当な資質、能力を有すると認められた者に対し、教諭免許状が授与されるものとし、現行の包括的な教科の一部に属する専門的な事項の教授を担任できるようにしたものであります。なお、この高等学校教諭免許状を有する者は、中学校におけるこれらの分野の教育を担任する教諭または講師になることができる特例を当分の間認めることとし、中学校における教育の充実にも役立つようにいたしました。
第二に、小学校、中学校、高等学校及び幼稚園の教員免許状について、その免許資格を上進させる場合に必要とされる在職年数の取り扱いを改めたことであります。教員の上級免許状の取得は、良好な成績で一定年数勤務し、かつ、大学において所定の単位を修得した場合に認められることとなっております。この場合、各学校種別に教員の担当する職務の専門性に着目し、修得すべき単位はもとより、必要な在職年数も当該学校に関するものに限ることを原則としております。過般、盲学校、聾学校及び養護学校の各部の教員の在職年数を、その者の所持する小学校、中学校、高等学校及び幼稚園の教員免許状を二級免許状に上進する場合に通算するよう措置しましたが、今回これらの教員の職務の類似性にかんがみ、資格上進のすべての場合に在職年数を同様に取り扱うことといたしました。これにより、教員の資質向上への意欲を助長し、当該教員の利益を保障できるものと考えます。なお、中学校または高等学校の実習教科関係教員の資格の上進の場合においても、実習助手を含めて、さきに述べたところと同趣旨の取り扱いをすることといたしました。
この法律は、公布の日から施行することといたしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。何とぞ、十分御審議の上、御賛成くださるようお願い申します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/2
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003・中野文門
○委員長(中野文門君) 以上で本法案についての提案理由の説明聴取は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/3
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004・中野文門
○委員長(中野文門君) 次に、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/4
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005・小林武
○小林武君 大学院の問題について前回のときにお尋ねいたしましたが、大学院新設設置の申し込みのあったものというのは、どのくらいあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/5
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006・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 概算要求の形で新しく修士課程の大学院の設置の申請のございましたものは、ただいまちょっと正確な数を記憶しておりませんが、約三十件ほどあったように記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/6
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007・小林武
○小林武君 これであれですか、申請のあったものについて三十件くらいというお話でありますが、文部省がこれについて、これは設置の基準に合わないとかということで、の申請を認めなかったもの、許可をしなかったもの、あるいは文部省では認めたけれども、予算の関係といいますか、大蔵省がこれを認めなかったもの、こういうものがあるだろうと思いますが、その点の内容はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/7
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008・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 大学院が設置されるための手続といたしましては、まず第一段階といたしまして、国立の場合ですと、当然、文部省がその議案を取り上げて大蔵省に予算の概算要求をするという手続が要るわけでございます。第二段階は、大蔵省がそれを認めまして、予算の政府原案に載せるという段階でございます。それから次に、大学設置審議会に諮問いたしまして、大学設置基準に照らしまして、可否を専門的に判定するという手続がございます。それと並行いたしまして、予算の政府案に計上いたしました段階におきまして、御審議願っております国立学校設置法に、新規設置にかかわるものは載せまして、法律案を御審議願いまして、最終的には予算の成立、国立学校設置法の成立によりまして認められるわけでございます。その間におきまして、実質的にどういうやり方をするのかと申しますと、文部省といたしましては、まず大蔵省に予算要求をいたします段階に、大学設置審議会の専門的な審査があるということを考慮いたしまして、それに通る可能性のあるものにまずしぼるわけでございます。これは基準がございますので、現在の大学の実情とにらみ合わせまして、基準に適合するかいなかは、大体経験的にある程度見通しがつきますので、それによりまして予算の要求をいたすわけでございます。その見当をつけましたものが、大体約三十件ほどあったわけでございます。大蔵省におきましては、内容的にむしろ予算のワクと申しますか、予算の毎年の実績と申しますか、去年、実は五大学、七研究科が認められたわけでございまして、予算の性質上、去年の実績をやや上回る程度というようなことを申しておったわけでございますが、最後的には十六大学、十七研究科に落ちついたわけでございまして、予算は、大蔵省の査定では従来の実績からいたしますと、かなり大幅なものが認められたわけでございます。現在、大学設置審議会の審査も大体済んでおりまして、目下答申が出るのも間もない段階になっておりますが、内容的に細部の点、たとえば予定いたしました教員組織のうちで、ある方々が弱いとか、あるいは予定しました専攻コースの中でどの部分が若干不十分だというような批評がございましたけれども、一つの研究科が、設置審議会においてこれはまずいというような判定を受けたものはございませんので、法律と予算が成立いたしますれば、予定いたしました十六大学、十七研究科は、設置審議会の設置を可とする答申を得まして発足できる状態に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/8
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009・小林武
○小林武君 大学設置審議会というのはあれですか、法律ができてから審議するという形になるわけですか、いまのお話だと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/9
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010・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 手続きといたしましては、予算の政府原案ができた段階で大学設置審議会に諮問をいたしまして、それで予算や法律案の審議と、大学設置審議会の専門的な審議とは並行的に進んでおるのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/10
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011・小林武
○小林武君 そうしますというと、実質的に大学設置審議会というものは、ここに、これが修士課程であろうと博士課程であろうと、大学院を置いてよろしいのではないかというような、そういう審議ではないわけですね。大体、文部省とか、大蔵省、それから予算の審議の段階に応じて出た結論についてやるということであるならば、これは可否の問題は出てこないんじゃないですか。これは適当であるとか、適当でないとか、そうわれわれは考えるのです。いままであれですか、たとえば法律ができた、予算も通ったという段階で、これははなはだ不適当であるということで、大学設置審議会の意向によって大学院の設置をとめたなんというようなことがありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/11
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012・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 大学設置審議会は専門的な立場から、文部省が諮問いたしました大学ないし大学院につきまして、基準に合うかどうかを判定するわけでございまして、それ以上、大学究をどの程度つくることが適当であるかどうかというような点までは立ち及ぶものではございません。それから従来の実情でございますが、先ほども申しましたように、細部の点につきまして、若干、計画の修正を設置審議会のほうから指摘され、そのように処理した例もございますが、一つの研究科が包括的に適当でないというような判定を受けた例はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/12
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013・小林武
○小林武君 そうすると、大学設置審議会というものがやれる権能といいますか、権限といいますか、下す判定の限界というものは、基準に合うかどうかというようなことを検討すると、しかも、もし基準に合わないというような場合があっても、それはきわめて細部の問題にだけ限っておって、大学院を置くとか、置かぬとか、これは新設されることが適当であるとか、適当でないとかいうような、こういう判定を下すというか、何というか、意見を述べる場所ではないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/13
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014・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 学校教育法上の建前をごく形式的に申し上げますと、大学設置審議会は、文部大臣が大学の設置の認可を行なう場合に必ず諮問しなければならない機関、こういうことになっております。そういうことになりますと、国立大学の設置は、これは認可するわけではなくて、文部大臣がみずから設置するものございますので、学校教育法の法文を形式的に読むと、大学設置審議会に諮問しなければならないという法則は、必ずしも出てくるかどうか疑問がございますが、新制大学発足以来、文部省では国立大学を設置する場合も、公私立大学を認可する場合と全く同様に、大学設置審議会の意見を徴しまして、その意見に基づいて処理いたしております。それから設置審議会によって設置の不可を判定された例は、これは実情としてはないわけでございますが、そういう工合に処理しておりますので、論理的には設置審議会が、ある学部なり、ある大学院なり、全体として基準に照らして不可であるという判定はなし得るわけでございますが、実績としてはまだそういう例はないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/14
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015・小林武
○小林武君 どうもいまの答弁はっきりしないのですね。あなたの先ほどからおっしゃっていることからいえば、大学設置審議会というものは、とにかく新設をするかしないか、大学院を新設をするかしないか、あるいは学部をどうするとかいうようなことについて、あるいは大学をつくるとか何とかいうことについては、特段の何というか、決定する権限も何もないし、またいままでの例を見ても、そういうことをやったことはないということになるわけですね、そういうことになると思うのですよ。私はそれで文部大臣にお尋ねいたしたいのですけれども、大学院を置くとか、学部を置くとか、新設するとかいうそういう決定が、結局、大学設置審議会というものがあっても、それはそれほどの手続上の大事な役目を果たしていないとすれば、だれが決定するのか、これは結局大蔵省とか、文部省の役人が決定すると、こういうことになると、ちょっと何か日本の国立大学の設置について、何といいますかな、間違いでないかというような疑問を持つわけです。もう少し大学の設置とか、大学院を新設するとかいうことについて十分な議論をする場所があっていいのではないかと、こう判断するものですから、こういうことについて文部大臣はどうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/15
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016・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 立法論的に考えますれば、お考えのような御意見もあろうかと思うのであります。現行法のもとにおきましては、国立大学を設置する場合は、国が設置するわけであります。したがってまあ語弊があるかも存じませんけれども、文部大臣が責任者としてこれが設置をきめる、こういうことになろうかと思います。ただ、実際問題としまして、しかし慎重に扱わなければなりませんので、公私立大学について認可いたしますと同様のことを設置審議会に諮問をいたしまして、検討をお願いして、文部省としましては、その設置審議会の結論というものはもちろん尊重してまいらなきゃならぬと思う次第でありますけれども、そういう関係でございますので、設置審議会で従来の実績から申しましても、根本的に不可であるとかいうふうな結論のものはないと思います。それはそれだけに文部省としましても、大学あるいは大学院を設置することについては相当研究して、設置審議会に通らないようなものは予算の要求をしないというぐらいのつもりでやっておりますので、実績上基本的に否定されるというようなことはなかったのではないかと思います。私は現行法のたてまえから申しますれば、従来のような取り扱いで十分ではないかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/16
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017・小林武
○小林武君 まあ心配いたしますことは、大学院並びに学部を新設すると、こういう問題については、私は役人がその案をつくったからといってたいして文句をいうわけではありませんけれども、ただ、文部省内の事情の上だけで判断するというようなこと、あるいは大蔵省でいえば金の上だけで判断して大学の新設設置というようなものを決定するというようなことでは、これはやっぱり趣旨に合わないのではないかと考えるわけです。いま文部大臣がおっしゃったように、大学審議会に諮問してというが、先ほどからの審議官の説明によるというと、これはきまってしまったあとに大体形式的に審議に付すというような、こういうような意味にとれる答弁をしている。したがって、いままでにおいても大学審議会から活発なあるいは積極的な意見が出たような事例もないという話です。これは非常に私は機関を十分重視して活用していないというような気持ちもするんですね。もう一つ文部大臣の学術顧問というのがあるわけですね、この学術顧問などというのは、こういう問題については意見を述べる、あるいは諮問されるというようなことはないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/17
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018・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 学術顧問にこの種のことを諮問をした例はないと存じます。もちろん御意見があれば十分承ってよろしいのでありますが、別にそういう意味の諮問機関としては今日までは扱った例はないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/18
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019・小林武
○小林武君 大学設置審議会についての文部大臣の諮問というのはあれですか、先ほどの審議官の答弁とはちょっと違うと思うのですけれども、たとえば、申請が約三十件くらいあったと、こう言っておる、そうすると、その三十件が全部通るか通らないかわからないわけですから、それについて具体的に一体基準に合うのかどうか、これは設置すべきであるとか、しないほうがよろしいとかいうことを、当初に大学設置審議会にかけていくんではないように言われているわけですね。文部大臣のほうは何かそこに、かけられてから答申を待ってやられているようにも言われているのだが、その間はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/19
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020・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私は審議官のお答えしましたと同じような心持ちでお答えしたつもりでございますが、設置することは、これは国がやるのであります。多少語弊があるかもしれませんが、文部大臣がきめる、しかしお金の相談は大蔵省としなければならないことになるわけであります。そういうたてまえの上に立って大学設置審議会に諮問をいたしておるわけでございます。従来から設置基準というものもございますし、従来の例もありますので、文部省としましては、設置審議会にかけて文句の出るようなものは持ち出さないというぐらいのつもりで、予算等の措置をいたしておるわけであります。その上に立って設置審議会に諮問をしておる、こういうふうにひとつ御了解を願いたいと思うのでありまして、設置するかしないか、こういうふうな問題は根本的には文部大臣の権限にあることであります。これをむしろ技術的に専門的に御検討を願いたいと、こういうふうな意味合いに私は了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/20
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021・小林武
○小林武君 質問の意味もあんまりあなたの答弁と食い違ったような質問をしているわけではないと思うのですけれども、設置するかしないかというようなことを決定するのは文部大臣だ、これはいいですよ、それで。ただ、条件がそろっているかどうか、これについてこういう見解を持っておるというようなことを述べないならば、設置審議会というものは無意味だと私は思うんですね。そういう意味も聞かないということですか、文部大臣の言うのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/21
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022・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 設置することの可否と申しますよりも、設置せんとする大学あるいは大学院についての専門的な検討をお願いする、こういうふうに私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/22
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023・小林武
○小林武君 大学局長にお尋ねいたしますが、大学設置審議会において大学院、学部の新設について具体的にどういうことを諮問するわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/23
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024・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) ちょっとおくれてまいりましたので、経過をはっきり存じませんので、あるいははずれるかもしれませんが、そのときはまた御指摘をいただきたいと思います。
大学設置審議会は、御承知のように、学校教育法に根拠規定がございまして、設置の認可について諮問をするということになっております。これは御承知のように、国立大学だけでなしに公立私立の大学を通じての原則でございまして、国立大学に関しましては、ただいま文部大臣がお答え申しましたように、最終的には設置することについての最終責任者は文部大臣でございます。ただ、おおよそ国立でございましても、公立私立と同じように設置審議会の審議を経るというたてまえになっておりますので、文部省として設置をしようと考えた大学について、大学設置基準に照らして、たとえば、施設なり設備なり、あるいは校地、あるい教員組織が、これで妥当であろうかどうかというようなことでも、設置審議会のいろいろな検討を経まして、その答申を得るということにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/24
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025・小林武
○小林武君 大学局長にもう一ぺんお尋ねいたしますが、先ほど審議官のほうから、大学院を新設してもらいたい、こういう申請のあったものは約三十件くらいあったんじゃないか、こういうわけです。そうすると、その三十件ことごとくが、たとえば、認可すべきかどうかということを大学設置審議会にかけるのか、それともその前に文部省としては大体このくらいというようなことをやって、予選といいますかね、幾つか選んで、そうしてそのことについて審議を要求するのか、これはどちらでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/25
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026・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 大学院の修士課程の新設につきましては、昨年と申しますか、三十八年度からこの問題を文部省として取り上げまして、年次計画をもって整備をしたいというふうに考えたわけでございます。文部省の大体の考えといたしましては、四年制の大学で伝統もあるし、かつ大学自体として教員組織も十分充実されておる、それからまた、そこにおられる先生方のいわゆる研究活動も相当成果をあげておられるというようなところを実は選びまして、この選んだものについて年次計画でつくりたいということを考えておるわけでございます。したがいまして、もちろん私どもが腹づもりしておるもの以外にも、大学院をつくってもらいたいという御希望はありますけれども、私の考えとしては、ただいま申しましたような基準で一応幾つかのものを選びまして、そのものについての予算の折衝をし、また予算が一応予算案として獲得されました場合に、この大学設置審議で御審議を願う、そういう形にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/26
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027・小林武
○小林武君 そうすると、結局は大学設置審議会に諮問されるところのものは、すでに文部省で申請されたもののうちから幾つか選んだそのものに関してでありますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/27
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028・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/28
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029・小林武
○小林武君 そこで私はかなり問題を感ずるわけなんですが、大学側が申請をする場合に、大学院を新設して、これは学部の新設もあるでしょうけれども、大学院の新設が一番適例だと思うのですが、大学院を新設したいというからには、やはり文部省が考えているような基準、また大学自体が責任をもってやれるような体制が整わないのにやるということは、大学関係者としてはまああまりないのではないかと思うのです。そういう大学の意向というようなもの、しかも新制大学であれば、かなり全国的に配置されておるのですから、そこの地方の学問、文化というようなことから関連して、どうしてもという要望があった場合に、文部省がそこですでにこれはだめだというような決定をしてしまうというようなこと、このことは、私ならばあまりいい方法じゃないように思うのです。この点については灘尾文部大臣は、文部省で自由に選んで、選んだものの中から設置審議会に聞くのはきわめて限られた、私から言えば、単に技術的な問題を聞くという程度にとどめたほうが、将来の日本の大学の発展の上からいっても正しいとお思いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/29
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030・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 正しいとか、正しくないとかいう問題ではないと私は思うのであります。どこにどういう大学をつくる、あるいはどの大学にどういう学院を設置するかというふうなことは、もちろん学校側の意見も聞かなければならない。同時にまた国としてその適否を考えていかなくちゃならぬ。ただ実際問題として考えますれば、申請したものを全部通せばそれは文句がないわけでありますけれども、しかし、やはりおのずからそこに財政その他の制約もございますし、一挙に希望どおり解決するわけにはいかない。ことしはできぬが来年まで待ってくれ、こういうふうな場合もあり得ることであります。申請されたものにもっと検討してもらいたいという場合もありましょうし、いまのような財政その他の関係で、この程度でことしはとめておけという配慮もしなければならぬ場合もございますから、一がいにそれが正しい方法とか、正しくない方法とかいうふうにはお考え願わないように、ひとつお願いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/30
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031・小林武
○小林武君 だいぶ正しくないとか、正しいとかいうことにこだわって御答弁になったようですが、私は文部大臣としてお考え願わなければならぬことは、やはり日本の学術の振興ということから大学の問題を考えていただかなければならぬと思うのです。それにはやはり申請があったから全部通せばいいというわけのものでもないということは私も知っておるわけであります。できれば一番いいのですけれども、なかなかできないという状況にあることだけは間違いない。そうすると、その適否という問題が出てくるわけです。あるいは適否の問題は大した区別することはできないにしても、予算上あれからどうしてもというようなこともないとも言われない。いろいろそういう事情はあるとしても、一体適否ということをきめる段階のことは、私はこれは国の権限だからといって、これは単に、結局文部官僚の人がいいとか、悪いとかいうようなことを申し上げておるわけじゃないのですけれども、その範囲のことできめてしまうということはどうか。たとえば大学設置審議会というものもあれば、これは学術顧問というものがどういう役目をするのか、その細部にわたってよくは知りませんが、しかし、学術顧問と言うからには、少なくとも大学の問題を取り扱ったところで、これは間違いじゃないでしょう。そういうものに諮問をしてみる、こういうことが私はやはり大学の教育を振興させるという角度から言えばいいのじゃないか。これは文部省の権限だから文部省がやることは何ら不当でないとか、これは適当であるとかということをお話しになること自体が、少し幅の狭い考え方じゃないかと思って質問したのですが、この点については、そういうものについても、広くひとつ諮問をするなり意見を徴するなりするというお考えはないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/31
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032・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 学術顧問の問題につきまして、私は文部省の仕事の中で、特に御相談申し上げたいというふうな問題を御相談申し上げているわけで、個々の、どこの大学をどうするとかということについて御相談申し上げるつもりはいまのところは持っておりません。ただ、日本の大学制度を一体どうするかというふうな、これはかりの例でありますが、そういったふうな問題について、あるいは御意見を伺うということもあり得るかと思うのでありますが、一々の大学の設置、あるいは大学院の設置等につきまして、少なくとも現在お願いしております学術顧問の方に御相談するようなことは、いままでもございませんし、私ただいまのところそういう考えは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/32
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033・小林武
○小林武君 大学設置審議会にはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/33
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034・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 大学設置審議会につきましては、先ほど来お答え申し上げているとおりでありまして、御意見は御意見として伺っておきますが、今日までの取り扱いというものにつきましては、私は御了承いただいていいのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/34
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035・小林武
○小林武君 たいへんかたくななお考えのようでございまするけれども、申請が非常にたくさんあるということ、三十数件あった。これは全部満たすことができないということは、これはある程度いまの予算の関係から言えば納得できないこともない。そうすると、やはり適否の問題ということになると、そういう問題については広く意見を徴するということは、決して文部省の権限がどうされたからとか、権威が失墜したという問題ではないように私は思います。そういう意味では、日本の大学教育を振興させるという意味で、大所高所から広い気持でもって、ひとつあらゆる方面の意見を聴取されて御決定いただくようにしていただきたいという要望を申し上げておきます。
次に、私は前回のときにお尋ねをしたのですが、教員養成大学には大学院を置かないという御答弁があった。これについては私は一つ二つの疑問を持っているのです。と申しますのは、教育の進歩、学問あるいは技術の進歩というようなものがだんだん要求されるようなときに、教員の養成については、さらに資質の向上について努力をしなければならない。いまの大学の教員養成については問題点がたくさんあるようであります。こういう意味で諮問もされているし、それに対する答申もあれば、あるいは教養審というようなところから、いささか筋違いみたいな、建議というたいへんおもしろい形で意見を述べられているということも考えあわせますと、私はどうしても教員養成大学に大学院を置かないというのは、理屈に合わないじゃないか。もっと教員養成というものについて力を入れなきゃならない、四年制で足りなければ五年にしたほうがいいという意見だってないわけじゃないし、あるいはよその国で五年制にしたところもあると聞いている。それを教員養成については大学院を置かないと、こう言い切ってしまう意見というのは私は納得がいかないわけです。どうも、答申にも建議の趣旨にも合わないのではないか、こう考えますが、そういうかたい決意、絶対置かないというようなかたい決意をお持ちになるのはどういうことか、そのことをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/35
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036・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 新制大学発足以来、教員養成の学部については、ただいま御指摘のございましたように大学院を置いておりません。御指摘のございましたように、国の教育全般の振興ということからいいましても、教員養成関係に力を入れなきゃならぬ、不断の配慮をしなければならぬことは、ただいまお話のございましたとおりだと思います。従来、この教員養成大学につきましては、研究科というようなものを、いわば大学院のかわりに、だんだん設置をしてまいっておったわけでございますが、今後、教員養成大学につきましても、大学院の設置ということについては十分検討しなければならぬと思います。中央教育審議会等で、教員養成制度の改善についての御答申の中にも一部そういう点に触れておるところがございますので、十分検討をいたしまして、その線に将来沿ってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/36
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037・小林武
○小林武君 局長にお尋ねいたしますが、これはあれですか、教員養成の大学からは大学院を置きたいというような希望はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/37
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038・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 従来設けておりませんでした関係もあるかも存じませんけれども、私の知っている範囲ではそういうものはまだ出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/38
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039・小林武
○小林武君 それではいまの局長の答弁ですと、大学院を置くということについて十分検討されると、こういうことでございますね。私の考えますのに、大学院というのは、いまの状況でいったら、新制大学に修士課程のものなら全部できるんじゃないかと思うのです、この趨勢でいくというと。ひとり教員養成大学だけ置かないと、そういうことになりますと、私はやはり教員養成大学の問題を取り上げて資質云々とされている側からいえば、時代逆行的な行き方だと思うのです。だから、この点についての検討は私はなすべきであるし、早期にこの問題の解決をはかる必要もあるのではないかと思うのですが、この点について、ひとつ、あまりのんびりでなく、御検討いただきたいと思うのです。それにつけ加えて申し上げておきますけれども、これは文部大臣にお尋ねするのですけれども、工業教員の養成、これは三カ年でしたかね。あれを一体いつまでもおやりになるつもりなのかどうか。このごろは即席何とかいうのがはやるのですけれども、即席をあまりおやりになると、あとがお困りになるということは、われわれの経験からもたくさんあるわけです。たとえば小中学校の教員が足りないといって、たくさんいろいろなものをつくったあとに、今度はそれの再教育もよくできない。そういうことで、教育の質が低下したというようなことは、逆につくった当人のほうから攻撃するというばかげたことが起こっていることも知っているわけです。あるいは昔こういう臨時教員養成所というような、いわゆる中学校教員ですね、中等教員の養成についても、やはりそういう問題があった。だから、もうそろそろこのことについてはお考えになったほうがよろしいんじゃないか。ほんとうに技術振興ということをお考えになるならば、もっとすなおにといったら悪いけれども、われわれも十分指摘しているわけですから、あるいは入っている学生もたいへんどうも心もとないと自分でも思っているわけですから、とにかくあれを四年制の学部にするなり何なりしてやったらと思うのですが、どんなお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/39
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040・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 当面の必要に迫られてつくったものであります。まあ当分のうちということで出発いたしたものでありまして、実際の状況から申しまして、これを必要としないというふうな事態になってきますれば、これはそのつもりで考えていかなければならぬと思うのであります。そういう時期がまいりますれば、その措置について研究はもちろんいたしたいと存じております。なお、具体的なことは政府委員からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/40
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041・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 現在の国立工業教員養成所は、御承知のように、高等学校の工業教員が非常に逼迫いたしまして、その採用に各府県とも非常に困難をしたという事態に対処して、臨時の措置として発足したものでございますが、この三月に初めて生徒が卒業するという段階でございまして、従来からの、私どもの工業教員養成の計画から申しまして、まだこの需要に対する供給の関係が緩和されたという段階ではないと私ども思っております。ただいまお話のございましたように、この点が十分改善されまして、この工業教員養成所での臨時養成ということが必要でない時代になりますれば、その後の措置については十分検討いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/41
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042・小林武
○小林武君 まあ必要だからつくるという、何といっても足らないことだからつくるというその気持はよくわかるのですけれども、またそうしなければ間に合わぬのですからね、気持はわかりますけれども、私はそういう気持が逆に工業教育を振興させよう、質的にも量的にもひとつ拡大し、高めていこうというようなお考えを、逆に私は足を引っぱっているような結果になっているんじゃないかと思うのです。できれば、私はいまのようなお二人の御答弁でなく、そろそろ改めようとしていると、すなおに言ってもらいたかったのですが、必要あるうちはいつまでもやりますという、そういう御答弁ですと、大体当分の間というのは、十五、六年から、ひどいときになると二十年から三十年かかるわけですから、そういうことになると、私はたいへんだと思うのです。このことについては、いまここで、いろいろなそういうやりとりをやってもしようがありませんからやめますけれども、早急にこの問題のひとつ解決方を御考慮いただきたいということと、もう一つ、私はやはり何といっても力不足であることだけは間違いないと思うのですから、これは。そしていまのような技術の進歩の段階においては、私はやはり教員自体が、そこを卒業した者自体がかなりひけ目を感じているということがあるわけですから、これについては特段の何らかの、将来本人の身分なり給与なり、その他いろいろな問題にかかわることでもあるし、それから一面には学校の中におけるところの仕事の面に大きく影響するところですから、もう出た次から、これについてどういう一体再教育の手当を講ずるのかというような心がまえを持つべきだと思うのですけれども、文部大臣はどうですか、そういう手をいまのうちから打たなければならぬとお考えになっておりますか、具体的にそういうことをやらなければならないとお考えになっておりますかどうか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/42
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043・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 大学局長からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/43
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044・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 先ほど申しましたように、本年の三月に初めて学生が卒業するという段階でございまして、したがって、これがそれぞれの工業学校で教員になるわけでございますが、私どもの考え方としては、他の教員に比べて専門科目についての知識等か特に不足しておるというふうにはまだ考えておりません。したがって、ただいま御指摘のございましたような再教育の方法というようなことについては現在のところ考慮いたしておりません。ただお話のございましたような、身分、給与という面については、十分私どもとしても措置をとらなければならぬという考えでございまして、給与等につきましても、大学の卒業者に劣らないような措置を、大体、人事院等とも話し合いをいたしたわけでございます。たとえば給与の額にいたしましても、一年たった場合に必ず大学卒と同等の給与になるということでございますし、初任給の手当につきましては、大学卒と全く同一の額を支給するという措置をとってもらっておるのでございまして、そういった面ではできるだけの待遇方法を考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/44
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045・小林武
○小林武君 そのことについてはもう言わないつもりでしたけれども、いまのような御答弁であったらもう一言だけ言っておきたいのですけれども、やはりあなたのお考えの中に、三年で大丈夫です、こういうお考えはやはりすなおに、そうでないと御答弁なすったほうがいいと思うのです。学生諸君が僕らのところにきて、心もとなくてしょうがないといって何べんもきたのですよ、文部省あたりにもおそらくそういうことがあったのじゃないですか、三年間、しかも設備は悪い、教官のとにかく定員は少ない、勉強しているのか何かわからぬという状況に置かれて、われわれはいつでもあせっているのだというようなことを言ってるような状況の中で教育されたのが、あなたのお話ですと、ことし出るということになるわけです。そうしますと、しかも四年制の大学でなくて三年制だということについても、非常に彼らは自分の力の足りなさということを考えているわけですから、そういう点は、そういう形式的な御答弁でなくて、やはり弱いところは弱いとおっしゃって、そして次の段階のことをお考えになっていただきたいと思うのです、教育の問題なんですから。そうして、そのあとには、あなたたちは、いま大丈夫ですと言っておきながら、資質ははなはだどうも芳しからぬということで、資質の劣っているのはみんな教員が悪いように、あとになると言い出すような、そういう言い方はやめてもらいたいと思うのです。やはりこういう臨時的な即席的なやり方でやった制度の欠陥というものを十分認められて、その上に立って、ぼくは手当の早いほうがよろしいと思うのです。この点はひとつ私のほうから御要望申し上げておきます。
それともう一つ、いま初任給がどうだとか、いろいろお話がございましたが、私はいま一年や何かのことは問題ないと思うのです。しかし、私も長いこと教員の中におりまして、これは十年、二十年あるいは三十年というような長い目で見るというと、そうでないものなんです。たとえば高等師範を出た者と臨時教員養成所を出た者が、どういう差がついていくかというようなことは、われわれもこの目で見てきているわけです。あなたたちも給与その他について変遷をお考えになって、直接手をつけられた方だから十分おわかりのことだと思うのです。だから、そういう点、私は形式的なことをおっしゃらないで、やはり三年のものについて何らかの現職教育とか何とかいろいろなやり方があると思いますけれども、何らかの方法を講じて、これらの人たちが犠牲者にならないような方途を、やはりお考えになっていただくことが私は正しいと思いますので、その点についても、何もあげ足をとってどうということではありませんから、将来のことを心配して申し上げるわけでありますから、ひとつ御検討願いたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/45
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046・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 いまの問題に関連して小林局長にお聞きしますが、おととし養成所の生徒がストライキをしたのは御存じですか、全国にわたって。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/46
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047・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) そういう動きがございましたが、その際に、授業放棄に出たのは一部であったと思いますが、全般的にそういう動きがあったことは存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/47
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048・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 そのときの不満事項を言ってごらんなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/48
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049・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 書面で持っておりませんので、一々は当たっておらないかと存じますが、一つは施設、設備が全く悪い、これは建てる前のことでございましたからやむを得なかったと思います。それから一つは、現在の養成所の制度では単位が少なくて十分な学力がつかないのじゃないかという不安、それからもう一つは、できれば工業教員養成所を卒業したあとに大学に入れるような方途を考えてもらいたいという、この三点であったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/49
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050・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 養成所の責任者から、あるいは責任者の協議会から、あなた方に、養成所の手当に対する不満について今日まで何も意思表示されておりませんか。あったら答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/50
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051・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 年に数回、養成所長の会議をやりまして、ただいま御指摘にございましたような問題等につきましても、十分責任者たちから意見を聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/51
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052・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 専任の講師等が手当が少ないという理由だけではないでしょうが、忙しいとか、いろいろの理由で割り当てられた時間に講義にこないということも不満の一つであったと、私は直接九大その他から聞いておるのですが、現在、養成所の中で兼任講師等が、理由のいかんにかかわらず講義に欠講することが不満として残っていることは全然ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/52
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053・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 問題の起こりました当時は、この養成所制度の発足間もない時期でございましたので、ただいまお話のような事態があったかと思いますが、最近におきましては、兼任講師が授業にこない、割り当て時間に講義にこないというような話は私ども聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/53
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054・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 どこかの養成所で一年に一度あったという事態なら、私は何も国会で聞きませんけれども、いまは大多数、ほとんど解消されておる実情である、こういう把握ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/54
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055・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 発足当初では定員を埋めるということもなかなか困難な事態でございまして、ほぼ一年かかって大体一〇〇%の充当をしたというような状況でございました。で、その兼任講師の問題につきましても、現在では特に調べたわけではございませんけれども、これについての不満というようなことについては、私ども全然聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/55
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056・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 当時の不満の一つの具体的な現われとして、養成所では大学でないということ、学校でないということに、工業教員養成所協議会ですか、この人たち、それから九大の工学部長ですか、担当しているのは。養成所長はもちろんだと思いますが、学校制度でない、大学でないという不満は養成所の生徒については解消しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/56
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057・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) この工業教員養成所を設置いたしました一つの大きな理由といたしましては、現在、大学の工学部を卒業した者の中には相当教職課程等をとりまして、教員の免許状を授与された者があるわけでございます。それからまた一部の国立大学等におきましては、工業教員の養成課程というものを設置しておりまして、そこの卒業生もあるわけでございます。実際問題としては、産業界等の好況等もございまして、全部免許状所有者がそちらのほうにいってしまう。したがって、四年制の大学で工業教員を養成しようといたしましても、現在の状況では無理ではなかろうかというのが、この工業教員養成所を大学にしなかった一つの理由になっておるわけでございます。もちろん入りました学生は、これが大学じゃなしに養成所であるということは知りながら入ったわけでございますが、入った後にそういうことを言っておられた学生もあるわけでございまして、その点につきましては現在も多少残っておるかも存じませんけれども、だからといって、これを私はすぐ四年制の大学にしなければならぬというふうには現在のところ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/57
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058・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 質問したことは端的に答えなさい。法案の趣旨は私ども審議して国会で取り扱ったんですから、いま三年後にあなたから説明してもらわぬでもいいです。私は大学でないというところに現在もかなり多く学生に不満が残っておるという把握を、学生からも、養成の責に当たっておる人からも、三十八年度についても聞いておるのですが、その不満が大多数解消したと判断するかしないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/58
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059・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 大学でないということについての不満は私どもは聞いておりませんが、ここの養成所を出た後に四年制の大学に編入学できるような措置を、できたら講じてもらいたいという御希望は聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/59
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060・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 初めて設置した年から、毎年、養成所の生徒が途中で失望して大学受験の希望があったり、退学をしたり、また実際に大学に出ていったりしておると思うんですが、各養成所ごとにその数の把握ができておりますか。あるいは養成所ごとにそういう学生の忌弾のない考え方を調査させたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/60
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061・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 私は数字は現在は持っておりませんが、入学した者がこの三年間の間に抜けていったというような状況については調査できると思います。また、いろいろ養成所長会議等でこの問題について意見が出たこともございますので、各養成所ごとに正確なということは申しかねるかも存じませんけれども、大体のことはわかると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/61
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062・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 小林委員も指摘されたように、あなたは教員養成の文部省の中では最も直接責にある人ですからね、単に何人大学に逃げていったとか、あるいは途中退所をしたということだけでなくて、当該学生がどう不満を持っておるか、何を改善してもらいたいと思っているか。特にかなり多くの人が試験に落ちるから大学に逃げ出ていないけれども、いまのままで教員になっては将来肩身が狭いという思いの中で大学等に転学したいという気持がどの程度あるかということは、この法案を審議する際に私どもが将来の教員の資質の問題として強く憂慮したところですね。こういう実情については、緊急にやむを得ないからという理由で変則の養成を行なっておられるんですか。設備、施設だけでなくして、当該学生がどういう気持を持ち、どういう不満を持っておるかは、つど調査されて、それが解消に努力さるべきだと思うのです。このことに対する養成所の抽出でもよろしいですから、特に不満があったところは局長は御承知のとおりですね。そうしてその大学では、たとえば数学等が受験の際に百点満点で二十何点かの者も収容しなければ満たないような状況があったことも御承知のとおりです。私が言いたいことは、せっかくつくられた養成所が人々に歓迎されていないし、望ましい人材の確保ができていないということです。こういう問題につきましては、形式的な調査ではなくて、十分調査をして、具体的に毎年これを改正をするように努力していかなければ、初任給は同じに扱います、将来も大学並みに扱いますということだけでは、教員の質的な確保というのはできないと思うのです。十分調査して、後日そのことに対して答弁ができるようにしておいてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/62
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063・小林武
○小林武君 先ほど教員養成大学の大学院についても十分検討するということでありましたが、先ほども申し上げましたように、中教審の答申とか、あるいは教養審の建議の趣旨からいっても、置かないのはちょっとおかしいのではないかという私の一つの疑問があったのです。もう一つ、それから疑問にするところは、免許法の別表第一にもあるように、高等学校一級普通免許状というのは「修士の学位を有すること。」というのがありますね。そういうことになると、大学院を置かないということになると、一体、高等学校の教員はどういうことになるのか。ぼくはそのことを非常に考えるにおいて、文部大臣のこの前の、ただ開放性を否定するだけではなくということが、ここらに当てはまっているのではないかと、ちょっと勘ぐってみたりしたのですが、そうでもないと思っているのですけれども、やっぱり無理がありませんか、この点なんかも。高等学校の教員というものについて別に考えがあったら述べていただきたいし、無理があったら、やっぱり先ほど言ったように、教員養成大学の大学院というものは早急にこれは考慮しなければならないことじゃないかと思うのですが、どうでしょうか、局長にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/63
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064・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 教員免許法の関係で、高等学校の先生につきましては、一級普通免許状は修士の学位を有する、あるいは大学の専攻科云々ということになっておりまして、この一級普通免許状の関係はいわゆる専門科目の関係でございまして、現在までは、少なくともそれぞれの大学の、たとえば教員養成学部でなしに、文学部なり理学部の大学院を置かれたもののその修士の関係というふうに従来呼んでおったわけであります。教員養成学部自体といたしましては、現在までそういうことがございませんで、結局まあだんだん戦後伸びてまいりましたので、研究科等を設置してまいったのが実情でございまして、将来の問題としては、先ほどお答え申し上げましたように、教員養成学部についても大学院というものを十分慎重に検討すべきものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/64
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065・小林武
○小林武君 将来将来と、将来がどこまでいくのか心配なんですけれども、あんまり遠いことをおっしゃるのであれば、これは適当なお考えじゃないと思うのです。聞くところによりますと、たとえば東京都の高等学校の教員というのは修士課程を終えた者を要求するとか、それからあるいは学科によっては博士課程の者でなければうちの学校はとらぬというようなことを言うというようなことを、若干、これは私が調査に行ったんではないのですけれども、聞いているのです。しかし、これはあながちうそでもないように聞いているのですね。そういうことになりますと、私は東京だけがそういうぜいたくを言っているということではなくて、これは当然教員というものに対する資質の向上というのは、ひとり文部省だけが要求しているのでなくて国民全体が要求しているのですから、だから、まあどこの県でもそういうことが起こってくるのじゃないかということになりますと、あまり遠い将来のことをおっしゃらないで、お認めになるならば、そのほかの大学が全部できちゃってもまだというようなことであっては、これはおかしいと思うのです。ただ、しかし、教員養成そのものについて文部省でいまはっきりしたものをお持ちになっておるか、教員養成についてはかくかくのものを持っておるか、これは灘尾文部大臣に私も質問したのですけれども、大臣の御答弁からはまだはっきりしたものをお持ちでないように私は聞いておる。そうすると、はっきりしたものをお持ちでないとするならば、私はこの問題は早急にあなたのほうで、将来なんていうことでなしに検討の必要がある。また教員養成対策について早急にひとつ案を立てなければならないと思っていらっしゃるのなら、私はとにかくガラス張りの中でひとつやってもらいたいと思うわけです。これは局長に申し上げるのでなくて、文部大臣に申し上げるのですけれども、そういう希望をひとつ申し上げておきます。
それと局長にお尋ねいたしますが、大学院に進学するという者が非常にふえておる、このごろそういうふうに言われておるのですね東大工学部の卒業者の四割が大学院進学だ。応用化学系の者だというと七割近くが大学院を志望しておるというようなことを聞いておるわけです。これは東大は一つの例ですけれども、数字を見ますというと、これは新聞に出た記事ですから間違いないだろうと私は思うのですけれども、昭和三十八年は大体そのくらいのところに、全体としても四割のように見えておりますが、このようにふえておるのですが、これは東大だけの問題でしょうか。それともそのほかの大学にも全般的に見られる傾向でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/65
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066・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 大学院への進学者の傾向でございますが、従来も理工系関係の大学院は人文社会のほうに比べまして率が高かったわけでございますが、その伸び方がここ数年特に非常な勢いで伸びてきております。これは必ずしも東京大学だけでございませんで、それ以外にも京都、大阪、その他の大学院でも顕著な例がございます。工学部あるいは薬学部の関係が一番顕著でございまして薬学部はすでに大学院の入学定員をオーバーしておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/66
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067・小林武
○小林武君 私も腹が減りましたので、ひとつここらで簡単にやりますから……。
そういうふうに大学進学者は非常にふえたのですね。ふえてきたということだが、大学院に専任の教授というのはどのくらいいるわけですか。大学院だけを教える教授というものを持っておる大学があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/67
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068・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 国立大学につきましては、現在、大学院だけを担当して学部を担当しないという教官は制度上認められておりません。私立の大学等では一部そういう形の大学もございますが、しかしこうした大学と大学院との関係について、やはり全般にわたってではございませんけれども、一部の教官については大学院専任という形のものを考えていいのではないかという意見がございますので、私どもとしても、だんだんそういう点については検討をいたしております。ただ、これは大学並びに大学院の制度についての考え方にも非常に大きな影響がございますので、慎重に検討しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/68
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069・小林武
○小林武君 検討しておるところでございますというのをちょっと質問したいのですけれども、先を急ぎますから、それはまたいずれやることにしまして、大学院の進学者がどうしてこのようにふえるかという理由ですね。これが一つ問題だと思うのです。どうしてこんなに増加するのか。その増加する理由が今度明らかになれば、いまの教授陣で一体大学院というものの実績を上げることができるのかどうか。制度上というようなことをあっさりおっしゃったけれども、制度上のことだけでなくて、大学院に入れたからには、これは高度の職業人をつくるにしても、学者をつくるにしても、研究者をつくるにしても、金をかけてやるのですから、また日本の将来のことからいっても能率を上げなくちゃいかぬ。そういうことになると、一体、教授陣もこれでいいのかどうかということになる。そうなると、さらに発展してまいりまして、いまの大学院の学生についての性格がどうもあいまいだという批評があるのです。一体、学生なのか、それとも研究補助員なのか、どちらかわけがわからぬという意見もある。しかし、このことは必ずしも研究補助員であるということが悪いとばかり言われないという大学院の方もあります。そのことによってまた研究者として伸びていっているのだから、一がいには言われないとも言っておりますけれども、それにしても、条件としては教授陣がそろっていなければならぬということになるのですが、この点について文部省自体がはっきりした見通しをお持ちにならないというと、一つの計画をお持ちにならないというと、私は大学院の乱造ですか、乱造の結果、実績は一つも上がらないことになるのじゃないかと心配するわけでありますが、まず第一の点は、大学院進学者がどうしてこのように毎年増加するのか、特にいわゆる理工系といわれるものが多いのかどうか。それから大学院の学生というのは学生なのか、研究補助員なのかといわれておるような現状でとどまっていくことが一番正しいと考えておるのか。文部省は教授陣のことは制度上どうこうと言っておるけれども、そういう問題でなくて、一体いまの教授陣でもって十分なものかどうか。この点をひとつひっくるめてやってください。時間がありませんから簡単にひとつ要領よく御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/69
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070・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 大学院に進学する学生が非常な勢いでふえてきておるというのは御指摘のとおりだと思いますが、このふえる理由でございますが、これは先ほどお答えを申しましたように、いわば理工系の関係の部門における学生の急増でございまして、やはりその原因は、社会的な需要が高級的な技術者として大きいということに一番大きな原因があろうと思います。たとえば薬学の関係等は、これはすでに前から入学定員の一〇〇%を充足しておる実情でございますし、工業関係、理学の関係につきましても、最近は非常な勢いでふえてきておるわけであります。
それから第二としてのお尋ねでございますが、大学院の学生は一体学生なのか、あるいは実際に先生が研究なさる場合の補助者であるかというような御趣旨でございますが、私どもは、身分としてはこれは大学院の学生はやはり学生というふうに考えております。ただし、実際、大学院の修士課程におきましても、博士の課程におきましても、やはり自分の勉強が直接やはり先生の研究とも直結いたしておりますので、自分の個々的な勉強のほかに、やはり先生の研究を補助するという時間が多いのは事実だろうと思います。しかし、この研究補助がやはり学生としての自分の勉強に非常に大きなプラスになっているわけでございまして、まあ私ども本質の問題としては大学院の学生はやはり身分的には学生であるというふうに一応観念をいたしております。
それから現在の教授陣で不足ではないか、やはり制度上十分な考慮をすべきではないかという御趣旨でございますが、私ども、この大学の講座を基礎として大学院が置かれているわけでございますが、やはりこの講座編成上、ことに理工系の部門等につきましては、研究補助的な助手その他の定数が相当やはり不足する状態になっているということは考えております。将来そういった方面については、できるだけ研究補助者の増員をはかっていきたい。なお、大学院を国立で乱造することによって、その責任者たる教官が十分確保できないのではないかというお尋ねでございますが、その点につきましては、やはりそれぞれの大学で修士課程を新設します場合に、十分その根本になる教授、助教授等が充実されたものについて選択をするというたてまえでございまして、新設の場合の教授陣の人員不足ということを来たさないようにつとめてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/70
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071・小林武
○小林武君 最後に一つだけ。昭和四十一年からですか、大学の入学志願者がぐっとふえる年は。それに対する対策としては、文部省としては大体いまの率でもって——いまの率というのは、入学希望者に対する進学をさせる率ですね。この率を持続していきたいというようなことを、何か御意見をお持ちのようなんですが、それにしてもどうなすですか、いわゆる学生がふえて、それに対する教官、教授陣ですか、これは十分間に合うということになっておりますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/71
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072・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 御承知のように、この大学急増の問題、いわゆる戦後のベビーブームの波による大学急増の問題につきましては、高校急増の波が大学に押し寄せてくるのは四十一年度というふうに私ども考えております。この四十一年度以降の大学の志願者の急増問題については、実はいろいろなファクターがございまして、その入学率の問題もございますが、高校卒業者が大学を受験する受験率をどう考えるか、現在のままでいいのか、あるいはやはりそれが年々増加していく傾向もとらえなければならぬのじゃないかというような、いろいろなファクターがございますので、その点について現在関係者が寄り集まりまして相談をいたしているところでございます。教官の不足の問題でございますが、これは御承知のように、理工系につきまして八千人の増募、それから一万六千人、その後修正いたしまして二万人の増募をここ数年の間にそれぞれ実施をいたしましたが、いままでのところでは、特にその責任者となるべき教授、助教授、講師等について不足をしておるという事態にはなっておらなかったと思っております。ただ、若手の助手等については、必ずしも学力の十分でない者が一部入ってきているという傾向もございます。で、大学急増に関連いたしまして、今後この点をどう考えるかということでございますが、やはり私どもとしては、できるだけ従来の合格率というものは最低維持したいと思っております。ただし、この場合にも、それでは大学のワクを広げました場合に、大学教育の水準が下がるというようなことになりますと、これはやはり大きな問題でございますので、その辺のにらみ合わせを十分やりませんと、年次計画の立て方にも非常に関係してくるわけでございますから、にらみ合わせを十分やりたいと思っております。しかし、いままでお答え申しましたように、従来の実績から申しますと特に教官不足で非常に困ったという事態ではなかろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/72
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073・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 あとの審議の都合がありますから、次のことを用意してさておいてください。
小林委員から指摘されたように、国立大学をどう将来設計をするか、いわゆる終着駅をどうするか、これなくして付置研究所の問題についての検討はできないと思います。ところで、日本の国立大学別に大学院を設置しているところ——大学院それから学部名、付置研究所、それから財産種別、それからそれに対する評価、教授、助教授、助手、副手、講師等の構成、それから大学例の予算、これをできるだけ詳しいのを出してください。それから蔵書数、それも人文とかその他分けてください。それから学科別の生徒数がわかりましたら、それも出してください。付置研究所については、特にその職員構成と予算を出しておいてください。それから講座につきましては、既設の——これは既設のものでいいですから、機械科とか、いろいろありますが、その学校別の学科、それに対する生徒定員、それから教職員構成、学校別の予算、それからその学校別の坪数とその評価——これはほとんど地元負担になっていると思います。同時に、こちらのほうから指名したいのですが、有明と新しく設置される久留米、二つをとれば、大体類推できると思いますが、両者の受験の際の平均成績、それから入学者の受験成績の平均——それは受験した者が後に他の高等学校等に行っておる者がありますので、受験者の受験成績の平均点、入学した者の受験成績の平均、それから県別、学校別の入学生徒数、できればその学校——その中学校におった生徒の成績の平均がわかれば出してください。これを私が尋ねているのは、試験を受ける際には優秀な生徒が来ているけれども、入学する際にはそれからレベルダウンをしているのじゃないか、こういう気がしているのと、工業教員養成所に対する県別の資料を要求しているのは、県によってこの制度に対するかまえが違っているのじゃないかという気がしているわけです。その中で有明については、個人別ですね、入学当時の成績と現在の成績のこれは平均でよろしいから出してもらいたいと思います。
それから文化功労年金のほうもきょう審議される予定でしたが、時間がありませんから、これまた次の審議の資にするために、文化功労者の年金と、人間文化財に対して、あれは年金というのか、研究費というのか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/73
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074・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 助成金。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/74
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075・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 ああ、助成金ですか。——それが、もしたとえば陶芸家とかあるいは絵画とか、刀剣とか、それで年金が違うのでしたら、それを種目別に出してもらいたい。それと現在人間文化財に指定されておるのを、一覧表を、もしなかったら出してもらいたいと思います。と申しますのは、この間、新たに昨年指定された宮入昭平さんですか、長野の。この人の状況、その後の製作内容等について長野県の出張所に聞きましたところ、そういう人は知りませんよと、こういう返事でしたので、文化財に指定された人が、県の出張所が生きているのか死んでいるのか、何をしているのか知らないような無責任なことでは、国の文化財の保護について手落ちがあると思う。そういう一覧表を出していただいて、なお文化財全般の角度から、文化功労者、いわゆる人間文化財に対する扱いの考え方ですね。それも同時に出してもらいたいと思います。
工業教員養成所等につきましては先ほども質問いたしました。できれば、私の調査では、試験の成績は、試験問題のレベルを下げておるためにわりによろしいけれども、入学さした当該高等学校等に行って成績を聞いてみると、かなり成績の悪い者等が工業教員養成所に入っておるのじゃないかという疑いを持っておるわけです。こういう点につきましても、今後の養成所の向上のために必要だと思いますので、同時にできるだけ用意していただきたいと思います。
なお、私が申し上げたものの中で非常に資料調製の困難なものもあろうと思いますので、この委員会の席上で、何々についてはむずかしいと思いますという御答弁なくてけっこうですから、個別に私のほうに連絡をとっていただければ話し合いをします。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/75
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076・中野文門
○委員長(中野文門君) ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/76
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077・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を起こして。
本法案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。午後二時まで休憩いたします。
午後零時五十三分休憩
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午後二時二十二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/77
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078・中野文門
○委員長(中野文門君) これより委員会を再開いたします。
国立養護教諭養成所の設置等に関する臨時措置法案を議題といたします。
本法律案については、すでに提案理由の説明を聴取してありますので、これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/78
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079・二木謙吾
○二木謙吾君 ただいま議題となりました国立養護教諭養成所の設置等に関する臨時措置法案について、二、三お尋ねをいたします。
児童、生徒の健康管理並びに衛生保健指導上、養護教諭の必要なことは論をまたないところでありまして、この理由書にもありますとおり、この制度は昭和十六年勅令によって制度化されたのでありまして、特に、義務教育諸学校においては、必ず設置するようにというように法制化されておるのでありますが、実際には、職務の重要性の認識の不徹底と、また、地方財政が貧困であるというような条件が重なって、今日まで遅々として進まなかったのは、提案者同様、私どももまことに遺憾に考えているのでありますが、最近におけるところの養護教諭の充足状況について、ひとつ御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/79
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080・加瀬完
○加瀬完君 御質問の充足状況でございますが、提案説明のときにも申し上げましたが、昭和三十八年度では二千名増員が三百五十名増員の程度にとどまらざるを得なかった。それから昭和三十八年から五カ年間に約五千名増員という文部省の計画でございますけれども、標準法では、さらにそれを上回るわけでございますが、現状では五年間に二千名、すなわち二分の一弱しか充足はできないのではないか、こういう状況のように私どもは把握をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/80
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081・二木謙吾
○二木謙吾君 現在、養護教諭が実際に必要とされている数はどのくらいでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/81
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082・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 現在養護教諭の設置状況は、公立小学校におきまして約七千名、それから中学校におきまして約二千七百名、高等学校におきまして千九百名、合計一万一千七百十名程度でございます。今後の需要といたしましては、先ほど提案者からお話のございましたように、小学校につきましては千名に一人、中学校につきましては千二百名に一人の割合で増員をいたしたいと考えております。これによりまする所要数が、大体五千名ということになるわけでございます。それからさらに、現在一万一千名ほどおりますものの減耗の補充が必要になります。これが最近の状況でございますと二・七%程度減耗いたします。あまり減耗の補充は、たいした数字になりませんので、したがいまして、約三百名程度毎年必要になろうかと思います。五千人の増員計画を五年間でやりますとすれば、一年に千名程度新規需要がありますのに加えまして、減耗補充の三百名合わせまして千三百ないし千四百名が毎年要充足数ということになります。
これに対しまして、養護教諭養成の状況でございますが、養護教諭の養成の方法は、いろいろなやり方がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/82
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083・二木謙吾
○二木謙吾君 いまお話があった一万一千の養護教諭のうちで、一級の免許を持っている者が何名、二級の免許を持っている者が何名、臨時免許を持っている者がどのくらいおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/83
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084・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 現在おります養護教諭の資格別の内訳につきましては、ただいまちょっと資料を持ってまいりませんでしたので、御説明できませんが、おおむね一級、二級の別は、従来の養成の状況から勘案しますと、必ずしも一級の者が多いという状況ではないように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/84
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085・二木謙吾
○二木謙吾君 右のうちで、市町村支弁の職員の資格状況はどうなっておりますか、おわかりでございましたらひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/85
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086・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 市町村費負担の分は、ただいま申し上げました一万一千人のほかに約三千八百名程度養護職員としまして、いろいろに名称が市町村によって違いますが、養護職員として勤務されておるわけでございます。これらの方々につきましては、三千八百名程度のうちで、普通免許状をお持ちの方が大体千三百名程度、それから臨時免許状によるものが二千五、六百名程度という状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/86
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087・二木謙吾
○二木謙吾君 右のうちで三十八年度に何人くらい県費支弁に切りかえられましたか、その状況。それから今後県費支弁に切りかえられる趨勢等について、ひとつおわかりでございましたら説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/87
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088・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 市町村費負担の養護職員の県費負担に切りかえられておる状況は必ずしもつまびらかでございませんが、養護教諭の採用の絶対数が、必ずしも非常に多数という状況ではございませんので、切りかえ状況も、また必ずしもはかばかしくいっておらないのが実情じゃなかろうか、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/88
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089・加瀬完
○加瀬完君 私のほうの調査では、初めの人員をはるかに割りまして、三十八年度は九十二名という数字になっております、切りかえは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/89
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090・二木謙吾
○二木謙吾君 ただいま御説明があったように、市町村支弁の教諭が、県費支弁の教諭に切りかえが、なかなかむずかしいというふうに聞いておりまして、いまお説のとおりに切りかえも三十八年度は九十余名というようになっておりますが、その困難な理由というのはどこにあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/90
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091・加瀬完
○加瀬完君 これは完全に切りかえのための資格等にも問題があろうかと思いますけれども、結局、また通勤状況なんかにも問題がございまして、たとえば市町村に勤務しております者をそのまま切りかえられる条件であれば問題がありませんが、転任等が伴うと、それを本人として承知をしないというような条件も小さい問題ではありますが、ございます。しかし根本的な問題は、基本的な対策が立たないということに問題があるのではないかと思います。基本的な対策と申しますのは、絶対数というものが、やはり地域によっては不足をいたしておりますので、かりに市町村間のアンバランスを直そうと思いましても、先ほど言ったように、転任等の問題等ともからみまして、なかなか個人の希望あるいは都道府県の配置の計画、そういうものがアンバランスになってくることが一つでございます。
それからなお、一応新標準法というものができまして、養護教諭も置かなければならないということにはなりますものの、府県によりましては、この新標準法による養護教諭を設置しなければならない必要性というものも、一般の教諭を置かなければならないような重要さをもって認識をしておらない。認識が足りないというところもありまして、なかなか積極的な教育委員会なり、あるいは府県関係筋の予算担当者などにおいて、どうしてもこれを必置しなければならないという、こういった気がまえというものがまだ他の教諭に比べて見劣りというか、消極的なところがあるんじゃないか、そこらに問題があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/91
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092・二木謙吾
○二木謙吾君 絶対数が少ないということと、それから財政上の事情ということは、あまり関係ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/92
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093・加瀬完
○加瀬完君 説明が少し漏れましたけれども、熱心な市町村は、市町村でそれを持っておりましても、これをたとえば県費に切りかえるというときになりますと、市町村が出しておっただけの支出を県がそのままのみ込むかということになりますと、のみ込めない問題もございます。それから絶対数が足りないわけでございますから、市町村費で置かれておりました養護教諭を、そのまま引き受ければいいわけでございますけれども、引き受けるについては、結局市町村側からすれば、Aの市町村は認めたが、Bの市町村は認めないということは困る。そうすると人数が相当ふくれまして、予算の上にふくらみがくるということになりますと、地方では、そんな財政はいたしかねる。それならば、一つの町村を引き上げて、一つの町村を残すというわけにいかないから、相当研究をしようじゃないかといったようなことで、十二分の予算的措置の裏づけがとれないために円滑に事務的な処理がいかない点もあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/93
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094・二木謙吾
○二木謙吾君 次にお尋ねをいたします。過ぐる四十国会における参議院文教委員会の決議に対しまして、政府は三十八年度から向こう五カ年間に約五千名の増員を行なう旨を言明されたと説明書にもありますが、これが計画の内容並びに現在までにおけるところの経過について、ひとつお話を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/94
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095・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 養護教諭の定数の増加計画は、これは初等中等教育局の所管におきまして財政措置をいたしまして、それを各都道府県に配分する、こういう関係になっております。
それで養護教諭増員のために、従来の国庫負担教員の積算の基礎を改めまして、小学校につきましては生徒数千人につき一人、それから中学校につきましては千二百人につき一人という積算によりまして、今後国庫負担教員の定数を増員していっておるわけでございます。それに対して現実に養成数が伴いませんと、定数をこなせないという事態が起こりますので、定数増による教員所要数に対しまして、供給し得る体制も、現在養護教諭養成につきましては、いろいろな方法があるわけでございますけれども、それらの方法を活用いたしまして、対応的に立てておるのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/95
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096・二木謙吾
○二木謙吾君 次に、お尋ねをいたしますが、第四十五回国会においては、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を政正する法律案が国会を通過いたしまして、養護教諭の標準定数は昭和四十三年度を目途として、ただいまお話がございましたように、中学校が千二百人に一人、小学校が九百人に一人の割合にまで充足するという方針が確定をされ、法律上からも、養護教諭の増員計画は義務づけられたと説明書に書いてありますが、五千人増員計画と、いま申した計画との関係は、どういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/96
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097・加瀬完
○加瀬完君 現在の養成機関で養成されますうちの養護教諭の就職状況を見ますと、四百三十八人と、三十八年の二月二日現在では数字が出ております。それから希望者でございますが、県立の養護教諭養成所、たとえば山形県、埼玉県、愛知県、こういうところを見ますと、三十六年の統計では合計百二十五名あったわけでございます。ところが三十七年になりますと七十五名というふうに希望者が減っております。それから国立養成所の関係の希望者も、また少なくなっております。たとえば、これを募集人員と志願者を見ますと、茨城では十二人に対して十一人、金澤では三十九人の募集に対して二十二人、愛知県十五人に対して八人、神戸では六十六人に対して三十一人、岡山県では三十八人に対して十七人と希望者が減っておるわけでございます。しかも、卒業した者が養護教諭に就職する率も、また必ずしも一〇〇%というわけにはまいっておりません。そういたしますると、たとえば、かりにこれを四百名と押えましても、その所定の期間に計画の数を埋めるということは、ほとんど不可能だと私どもは判断をいたしまして、臨時的ではございますが、当面四十三年度までに一応の補充計画といいますか、適正な配置計画というものをするためには、御審議をお願いをいたしておりまする臨時養成の緊急措置を講じなければならないのではないか、こういう考え方で提案を申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/97
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098・二木謙吾
○二木謙吾君 いま、文部省からもお話がございましたが、政府のこの増員計画に対する養成措置は、まことにあいまいである。同時に、現在のような措置では、増員計画が実行倒れになることは必至である。この理由の説明書にあるのでありますが、それは政府の増員計画では増員ができない、必要に応ずることができない、こういう御見解でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/98
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099・加瀬完
○加瀬完君 現状の養成機関、現状の希望者数をもってしては、先ほど御説明申し上げましたとおり、なかなか困難ではないか。
といいますのは、若干補足をいたしまするならば、養護教諭として確保できる数というものは、これは必ずしも養護教諭だけに就職をしなければならないという条件で養成所ができておるわけでもございませんので、少ない看護婦さん、その他に就職される方も多い。それから入所資格等が、先ほど申しましたように、入所者数も少なければ、入所資格に、看護婦の資格を見なければならないという関係がありまして、こういう意味でも募集人員が限定され、そういうことで、文部省の現状の計画だけでは、これは養護教諭の充当は四十三年になりましてもできない、こういう判断をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/99
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100・二木謙吾
○二木謙吾君 ただいまの御提案者の説明に対して、文部省はどういうふうに考えておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/100
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101・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 養護教諭の需給関係は、御指摘のように、必ずしも明快な状況になっておらないのは事実でございます。
しかし問題は、先ほど来の御審議でも指摘されておりますように、供給面と、それから需要面、特にその採用面に、かなりの問題がございます。定数もさることながら、定数があっても、採用のほうがはかばかしくいかない、供給数がある程度あっても、必ずしも供給と採用とがぴったりいかないというのが養護教諭の需給関係で一番の問題点ではないかと思います。まあ供給必ずしもまだ、これで十分だというわけにはまいりませんけれども、一応、来年あたりの需要数を千三、四百名程度と想定いたしますと、現在のいろいろな養成方法、それから市町村費負担の養護職員からの転換、それを考慮いたしまして、一応数字の上では需給のバランスがとれる、今後ますます採用面において努力することが養護教諭の充足における第一段階の努力目標ではなかろうか、かように思っているわけでございます。
もし、少し詳しく申し上げますと、現在養護教諭の供給といたしましては、提案者から御説明のございました県立の養成機関、それから国立大学に付置しております養護教諭の養成課程、それから大学や短期大学の正規の課程の卒業生の中で、養護教諭の免許状をとる者いろいろあるわけでございますが、それらの者が、必ずしも養護教諭になるだけを目的としておらないことも、国立の養護教諭養成課程を別といたしますと事実でございます。しかし、ある程度の歩どまりを見まして計算いたしましても、一応千三、四百名程度の需要に対しては、供給できるのじゃないか、たとえば指定養成機関は、大体生徒数の三分の一くらいが養護教諭になるものと見込む、それから国立大学につきましては、免許状をとる者の大体二、三割程度が養護教諭になるものと見込む、それから現在市町村費負担の者は、免許状構成は、先ほど申し上げましたように、一、二級免が三分の一、三分の二が臨時免許状の状態でございますけれども、臨時免許状所有者の中で、現職教育等によって、一、二級免許状をとり得る者も半分以上あるものと推定されるわけでございます。養護職員は、したがって、努力をすれば相当数が転換できる。このように考えてまいりますと、一応千三、四百名程度の年間需要数に対しましては、現在の供給体制でも、数の上では何とかなるのじゃないか、こんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/101
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102・加瀬完
○加瀬完君 提案者のほうといたしましては、若干見解を異にいたしておるわけでございます。
理由を申し上げますと、昭和三十七年度のこれは、文部省の統計でございますが、養護教諭養成機関の実情は、定員が大体千百から千二百五十でございます。これに対して、昨年の数は千七十五でございます。この中で、養護教諭で就職しておりました者は四百三十八名でございます。
なぜ、こういう状況になるかといいますと、現在看護婦の有資格者は四十一万四千名、就職者は四〇%、十七万五千名で、一万四千名程度看護婦の不足がございます。なお、保健婦も五千名程度の不足がございます。したがいまして、看護婦なり保健婦なりの有資格者が、好んで養護教諭の養成所に入るという社会的条件というものは非常に薄いわけでございます。また、卒業いたしましても、必ずしも現状で、一人の養護教諭が二千五百名くらい、三つくらいの学校を持たせられておるという実情もございますので、勤務条件も看護婦等から比べれば、劣悪な状態にございますので、養護教諭の希望というものが少ない、こういう状態をそのままにいたしておきましては、なかなか数字を合わせただけの数で千三、四百名の需要と供給のバランスが合うだろうという計算は成り立たないんじゃないか。その証拠には、たとえば三十八年につきましても、あるいは本年度も、三十九年度もおそらく、そういう結果になろうと思いますが、切りかえをいたそうと思いましても、なかなか切りかえの状況が円滑にいかない、これが実情ではないかと思うわけでございます。午前中に、質疑の中に工業関係の教員養成所の問題が出ましたけれども、やはりアンバランスで、臨時的な制度で教員養成所を設けたくらいでございますので、この問題も、やはり臨時的に処置をしないと、問題は特に義務教育等におきましては、体位の問題でございます、保健、健康の問題でございますから、健康教育とか、あるいはまた保健衛生という最低の教育の管理面というものが、結局マイナスされる面が多いのじゃないか、こう思いまして、どうしても臨時的な対策というものを考えなければ所期の目的を達することはできないのじゃないか、こう私どもは判断をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/102
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103・二木謙吾
○二木謙吾君 ただいまお話がございましたとおりに、供給と需要とが、なかなか円滑にいかない、こういうようなお話でございますので、重ねて私がお尋ねをいたすのでございますが、それでは、たとえば資格者がおらぬのか、あるいは養護教諭の定員は、実際に配置されても、それを他の専任教諭その他に食われるのか、あるいは待遇上の条件が悪いので人が得られぬのか、あるいはいまお話のあったとおりに、養成機関が少なくて人がいないのか、その辺の事情をひとつ、もう少し詳しく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/103
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104・加瀬完
○加瀬完君 これは詳しくは、御質問をいただいておる二木先生のほうがおわかりだろうと思いますけれども、資格者がないわけではございません。資格者をせんさくするならば資格者の数というものは埋める数に、これはバランスが合うと思うわけでございます。しかしながら、その資格者が養護教諭の道を選ぶかということになりますと、先ほど申し上げましたとおり、養護教諭の道を選ぶという方は非常に限定をされてまいります。限定をされるのは、一体、待遇の問題かということになりますが、生活上の甲乙も含めて、待遇というならば、その問題も含まれますけれども、問題は私は卒業して養護教諭として立つんだという、そういうはっきりした養護教諭を養成するという目的のもとに養成機関というものが設置をされておらない、こういうところに、やはり原因があるのではないかと思うわけでございます。なお、また看護婦なら看護婦というのが不足しておる状態の中ですから、看護婦で生活ができるものを、また一定の訓練を経て、あまり俸給の違わない養護教諭にわざわざ転換をしなければならないという必要性も、希望をいたすとしても非常に消極的にならざるを得ないじゃないか、あるいはまた、勤務の条件といったものも、普通の学校の先生とは違いまして、病院などにつとめている同じ資格者のものと比べまするならば、設備においても仕事においても、理解度が非常に少ない。そういう点で、また仕事も、雑務もあわせて加味をされまして労働過重になる。これならば養護教諭よりも病院の勤務のほうがいいじゃないか、こういう形にも精神的には動いている点もございます。
で、そういうもろもろの点が、要約するならば、養護教諭として教育の一面をになうのだ、そういう意味合いの養成というものが確実に行なわれておらないというところに帰するのではないかと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/104
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105・野本品吉
○野本品吉君 関連して一、二お伺いいたしたいと思います。それは先ほどのお話しによると、千人まで一人、あるいは千二百人まで幾人というような基準をもって臨んでいるわけですね。千人以下の学校はどういうふうに考えるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/105
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106・加瀬完
○加瀬完君 これは提案者のほうで望んでおるわけでございませんで、三十八年度までは文部省の基準による必要数は、小学校では千五百人というものを単位にしておったようでございます。中学校では二千人を単位にしておったようでございます。標準法等の改正に伴いまして、これが先ほど文部省から御説明のように、中学は千二百人、小学校は九百人になったわけでございます。現状は、この二千人という数を一応押さえておりますと、二つの学校をかけ持ちをしなければならないという問題が起こってまいります。しかし、二つの学校をかけ持ちをすると、合わせると二千五百名になるという当然担当の人員も出てくるわけであります。あるいは五百人ずつであったけれども、千五百人という数字を押さえれば、三つの学校を兼任しなければならないという事態も実情においてはございます。そういたしますと、ちょっと説明が長ったらしくなりますが、三つの学校ということになりますと、修学旅行のときなどは、有夫のお子さんのある養護の先生でも、もう二週間も三週間も子供を残したままで修学旅行に付き添いだけで、もう手一ぱいと、こういう過重労働の条件もあるわけです。あるいはまた、三つの学校を何日かにかけて回るわけですけれども、その養護教諭のいないときには、そこで養護教諭の当然指導を受けなければならない場面があっても、その子供は養護教諭の指導を受けられないという教育上の欠陥も出てまいります。ですから、そういうことはいたしませんで、少なくとも兼任の数というのは、並んでいる小中学校とか、非常に至近な小さい学校二つということならば考えられないこともありませんけれども、一校一人という、やはり原則というものに近づいたことでなければ、養護教諭は配当されても養護教育はできないと、こういう立場を私ども現状として見聞きをいたしておりますので、せめて中学校の千二百人、小学校九百人に一人という割合にまでは、この養護教諭というものを配当する計画というものを先行させなければ、現状を打破するわけにまいらない、こういう立場をとっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/106
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107・野本品吉
○野本品吉君 提案者の御意図は、それでわかったんですが、私はこの問題については、逆にこういう考え方ができるのじゃないかと思うのですよ。それは千人、千二百人という学校というものは、大体、都市あるいはその周辺の比較的文化に恵まれた学校だと思うのですね。ところが、実際の子供の栄養の問題、身体的ないろいろの欠陥を常に親切に見てやらなければならないそういう子供は、むしろ栄養に対する関心が都会ほど高くない。そして実際栄養その他も、身体検査の結果から見てもよくない、むしろ僻地とか離島とか、そういうところにこそ、養護教諭の問題をもっと大きく考える必要があるのじゃないかと、こういう考え方もできると思うのですがね。その辺について、提案者どういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/107
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108・加瀬完
○加瀬完君 私も全く同感でございます。僻地の一般の教員につきましても、僻地はなかなか優秀な方を十二分に配当するという問題が困難だということで、僻地教育等で、いろいろ問題になっておるわけでございますが、養護教育について養護教諭の配当ということになりますと、なお困難な状態になろうかと思うわけでございます。ですから、結局先生のおっしゃられる医者にも、場合によってはすぐかけつけられるような学校に養護教諭はやさしく配当をされまして、養護教諭の指導を得られなければ、給食その他の問題でも、衛生的にも非常に心配だというところには配当が困難になってきておる、こういう状態を正すためにも、やはり基準線にまでは充当できるという配当の基礎を固める意味合いでも、いかにして充足するかという準備手段というものを講ずる必要があるのじゃないか、そういう意味合いも含めまして、私ども提案をいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/108
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109・野本品吉
○野本品吉君 これは文部省には文部省なりの考え方があると思うのですが、一体、養護教諭の仕事は何であるかということをよく考えた場合に、千人だ、千五百人だという、そういうところからでなしに、むしろ一番親切に、一番子供のからだを丈夫に育ててやる。あたたかい手を伸ばすことの必要を認める場所は、どこであるかという点から、養護教諭の問題を考えるべきではないか、こういう気持を強く持っておる。それは文部省どうですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/109
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110・村山松雄
○説明員(村山松雄君) まず、御説明になりますが、養護教諭の問題は、現在、文部省の行政体制といたしましては、その職務内容につきましては、これは児童の養護をつかさどるという観点から、体育局で所掌しておりますし、定数の問題は、これは国庫負担、教職員の定数問題といたしまして、初等中等教育局で所管しております。大学局においては、その養成の問題、資格の問題を担当いたしているわけでございます。ただいま御指摘の件は、体育局所掌事項にかかるかと思いますが、児童の養護をつかさどるという趣旨からいえば、およそ児童のおるところに、養護教諭の配当が単位ごとにあることが、これは究極的な姿としては望ましいということは言えようかと思いますが、やはり、定数を計算する場合にはその職務が一人の専任の教員を配当するだけの仕事の分量があるかどうか。それから全体の職員の中で、重要性の度合いが一人以上の配当を必要とする程度まであるかどうか。それから財政負担が可能であるかどうか。いろいろな観点から積算するわけでございまして、現在改めました千人に一人、千二百人に一人でも、必ずしも理想の姿からすれば、まだまだ十分でないということは言えようかと思いますけれども、従来に比べましては、一段の進歩でございますし、養成の状況、それから実際の採用の問題なども考慮いたしまして、第一目標は、この程度でやっていきたいというのが私どもの考え方てあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/110
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111・野本品吉
○野本品吉君 要するに私の言いたいことは、数の問題その他からでなしに、実際に、養護を必要とする子供は、どこが一番多いか。養護教諭を設置する必要を切実に感ずる場所はどういう場所であるか、こういう考え方をもって、やはりこの問題に臨むことが、必要であろう、こういう、まあそれだけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/111
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112・加瀬完
○加瀬完君 これは野本委員御承知のように、学校教育の管理の面からいいましても、まあ知育の育成、道徳の育成以上に、この身体の育成というものが、これは東西、変わらない一つの中心の原理であろうと思うわけでございます。
ところが、たとえば学力向上というものを文部省は出しておりまして、これは組織も固めるし、財政の裏づけも確固といたしております。あるいは道徳育成ということも、とのごろ非常に力こぶを入れております。それならばもっと大事な一体、体温といいますか、身体といいますか、こういうものの育成というものに対して、どういう対策が講じられているかといいますれば、義務教育諸学校の場合は、養護は必置だといっておりましても、しばらくの間は、任意設置という形で、ほかの知育とか徳育というものに比べて、いわゆる体育というか、身体の育成というものが、やや等閑視されているのじゃないか。これがいま、日本の教育の欠陥ではないかと思う。先生のおっしゃられるように、養護を必要とする対象のおるところに養護を配置すべきだ。こういう意味からいうならば、小学校、中学校、高等学校の生徒のおりますところは、確実に知育の管理や、道徳の管理ができるように、やはり身体の育成の管理というものが行なわれなければならない一それが現状、行なわれておらないというところに問題があるのじゃないかと思う。
これは、提案者が、文部省に質問をするような形になって恐縮なのでございますけれども、教育内容が、この体育局において、どういうことをしなければならないかという、体育局の所管にかかる身体の育成あるいは保健衛生の、その向上ということに養護教諭のねらいがあるというならば、これは必要性が認めているわけです、目的の上で。それならば、必要であるならば、何名なければならないかという定数の問題を初中局では、当然これに文部省としての責任で、何名というものをこれは考えなければならないと思います。それは一応、小学校九百名、中学校千二百名に一人と、私どもは個人的には異論がありますが、きめたわけです。それならば、少なくとも九百名なり千二百名を単位に一名の養護が配置できるような一体資格者があるかということになれば、資格者はあっても、確実に配置をする条件はできない。それならば、それを養成する必要が、義務が当然文部省にあり得るわけなので、大学局としては、どういう養成方法をとれば必置ができるかということを考えなければならない。われわれが提案するまでもなく千二百名ないし九百名に対して一名という必置制を考えるならば、それの穴をどう埋めるかということは、文部省の責任において、これは考えなければならないことだろうと思うわけでございます。そういう意味合いで、どうぞ御協力をたまわりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/112
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113・野本品吉
○野本品吉君 いま提案者からお話がございましたからちょっとつけ加えておきますが、私は、小学校、中学校の子供の全体に、どんなところでも、身体の健全な発達、また健康な子供を育成していくということの必要のために養護教諭の必要は感じているわけですが、ただ順序として、千人いるとか千二百人いるとか、大きいところばかり、このことを考えるのは、養護の本質から見て、いま一応考え直してみる必要があるのではないかという私の考え方を申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/113
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114・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 ちょっと文部省に聞きますが、村山さんは不幸にして、所管外の質問に大体答えておられるようですが、ほかの方を委員の二木先生が多分お呼びではなかったのではないかと思います。その意味で、あなたの呼ばれた政府委員であるということを尊重しながら、ちょっと一、二点聞かせて下さい。
僻地学校が全国数千あります。養護教諭の配当されておる学校は、どのくらいありますか、僻地校で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/114
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115・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 申しわけございませんけれども、その数字を持ち合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/115
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116・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 私の推定では、それはおそらくないと思っているのですが、あなた方の定められた基準がそうですから。そんな大きな僻地というのは、大体ないはずです。
そこで、次に質問したいのは、市町村採用のものにウエートを置いて充足しようという大学局の教員確保の方針というか、養成の方針ですね、当面の……、これに根本的に狂いがありゃせぬですか。五千名増員する、あるいは千名と千二百名に基準を置くことの可否についても、与党の皆さんからも異論が出ている。それは、昭和三十五年、私はときの内藤初中局長に対して、養護を「当分の間」を削除する論争をした際に、私どもの主張は、いま一挙に配置できなければ、むしろ無医村等に配置すべきではないか、こういう主張をしたけれども、文部省も与党の皆さんも反論を出す。いま、それを主張なさるなら、私は、予算の上でぴしりとつけてもらいたいと思っておるのですが、多分そういう主張をなさる与党の皆さん方は、そういう養護の配置が三十九年度予算につくように御努力いただけるものと、善意の質問として私は黙っておきますが、そのことは別にして、五千人増員するというものを、市町村採用のものを切りかえていくというところに教員確保の基本方針が間違ってやしないですか、それはどう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/116
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117・村山松雄
○説明員(村山松雄君) たてまえから申し上げますと、養護教諭の増員数は、新規採用をもって充てたほうが望ましいかと考えますが、実際問題といたしまして、三千八百人——四千名に近い市町村費負担の養護職員の方がおられますし、その方々の中には、現にすでに、一、二級免許状をお持ちの方が三分の一程度ございますし、さらに若干努力をすれば一、二級免許状がとれそうな方も、残りの半数くらいおられるわけでございます。
これらの方々が、何ゆえに市町村費負担の身分であられるのかと考えますと、やはりそれはいろいろ事情がありましょうけれども、主たる理由は、定数がなかったからだと、まあ考える次第でございまして、定数がふえれば、市町村費負担の方々の身分の安定ということも考えなければなるまい。ですから、それに重点を置いて養成計画を立てるというよりは、むしろ市町村費職員の方々が、実際問題として優先的に切りかえられるであろうということを私どもとしては、やや与えられた前提のごとく考えまして、積極的な養成計画を立てたわけでございます。養成計画を——ちょっと論理の遊離のようにおとりかと思いますけれども、養成計画を立てるにあたって、市町村費職員の数を優先的に考えたのじゃなくで、それは実際問題として、身分の安定確保といったようなことから優先的になるであろうから、そういう頭で実際的な養成計画を立てたというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/117
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118・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 いまの措置についてはわかります。そこで、現行の養成所による、午前中小林委員の指摘のように、便宜養成をしていくということよりも、文部大臣答弁のとおり、近い将来に、法改正を文部省自体が考えて、「当分の間」の削除をして、全校に配置するという基本方針は、文部省も了承しているのですから、これに備えるためにも、いま野本委員から指摘されたように、養護の重要性を考えていくと、当然四年制の養成機関を設置して、あなたの前回の答弁では、小中学校約三万人弱、現在が一万そこそこですね、二万人の養護教諭を確保しようとすれば、いまのような一年制の八カ所の養成の中では、数年先を見通しただけでも不十分だということがよくわかる。むしろ野党が教員の養成計画を法案として出すということのほうが、形としてはおかしなものです。文部省自体が、全校必置の方針を出しておれば、正規のできれば四年制の養成制度を確立して、あの計画を、もしこのまま私どもが黙って了承していくとすれば、三十八年から五カ年後には、少なくとも二万数千の養護教諭が配置されなければならぬ。それで望むべくは、僻地等の分校についても、それは別に配置されていくという形については、文部省も基本的には了承しているはずです。そうすると、身分確保という観点から、財務課や初中局で言うような立場での市町村切りかえはよくわかりますよ。しかし、養護教諭の本務から考えた資質という問題、それから全校配置というたてまえをとったら、当然数年後に、少なくとも五年後、そうすると四カ年間の養成計画によって、どう二万人を確保していくかということは、いまから着手すべき課題ではないですか。いまのところ、現行の八カ所の養成所で、できるだけ希望をしてくださいと懇請をしていくという程度の養成増員ということしか考えていないということですか。四年制あるいは二年制の養成、そういう基本的な教員の、養護教諭の確保ということについて、どういう構想を持っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/118
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119・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 養護教諭の養成につきましては、確かに、いま大学局が担当しておるわけでございますか、養成計画の前提となりますのは、やはり職務内容の問題や定数の問題が前提になるわけでございまして、私どもとしましては、現段階の五カ年計画に対応する計画といたしましては、やはり積極的な養成の施策としては、大学付置の一年課程を主力に考えていきたいと思っております。で、かりに八カ所で不足という事態でありますれば、これをふやすことにつきましては、今後の問題として努力いたしますが、従来の経過等にもかんがみまして、四年制の課程で、養護教諭の養成をやるということにつきましては、これは職務内容とか採用の問題とか、いろいろ複雑な問題がからむかと思いますけれども、現在、そういうものがあっても、なかなか教員の需要面に対して有効に働いておらないというような実情も考えまして、現段階では、四年制の課程を主体とした積極的な供給計画ないし、それに沿った対策を講ずるという段階には至っておらないのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/119
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120・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 もう一つだけ。あなたは養成課長当時だったと思いますから、このことをきちんと踏まえて、教員の確保については検討してもらわなければならないのは、いわゆる私どもがあの際に妥協したのは、当面の措置として定数法を改正して正式に充足していきますと、その数は大体、五カ年程度で五千名です。これが一つの柱。これはしかし大体初中局の所管の問題である。あなたのほうで、あなたが、きょうたまたま出てきておられるのが不幸ですか、出てきておられるから言うのは、文部大臣が見解表明をした際には、それが終わったら、法改正を含めて検討しますと、こう言っている。法改正を含めてというのは、定数法の改正ではないのです。学校教育法の百三条を撤廃して全校必置をしますということですね。定数法の改正であれば、五カ年間歩んだ後に、さらにまた一万人ふやしますという改正があるから、徐々にふやしていっても間に合わないことはないのですね。ところが法改正となると、これは定数法改正ではないから、一挙にそれだけ必要数を、たてまえとしては数十年の間、「当分の間」を置いてきたのを排除するとすれば、それは充足されなければならない。このことを第一年度に入った現段階で、少なくとも四年ないし五年後、法改正をして、全校必置を迎えるときに、いま二万名以上の不足している養護教諭を、しかも一年制的なインスタントの養成でなくして、本道として、どう養成を確保していくかということか、少なくとも最低四年前には考えられておかなければ、二万の養護教諭をその時期になって、どうして確保できますか。このことに対する文部大臣回答を私どもは基本的に了承をしたから、漸増方式というのを認めたんですよ。百三条撤廃を撤回して。そういういきさつを踏まえて、きょうはどうも、二木先生の質問が終わっていませんから、とれ以上あなたが答弁しなくても了承しますが、その法改正の際に、現在の定数法で充足した残りの全校必置の養護教諭を、どういう養成方式で、どう確保するかの体系がないとすれば、あの際の大臣答弁というものは、うそをついたことになります。このことをきちんと踏まえて、この次に質問をする際には、答弁できるようにしておいてください。どうも失礼いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/120
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121・二木謙吾
○二木謙吾君 いま豊瀬委員さんからも、養成についてお尋ねがありましたが、私もこれから養護教諭の養成機関について二、三お尋ねをいたします。現在国立、公立、私立の大学、それから短大を含めて十四と、それから文部大臣の指定する公、私立の養成所が二十カ月、それから、国立大学に付設された養成所が八カ所あるわけですが、そのうちで、国立、それから公立、私立の大学で養成をされる生徒が、一カ年何ぼか。あるいは短大で養成される者が何人か、それから文部大臣の指定する公、私立の養成所の二十カ所から何人出るか、それから国立大学に付設せられた八カ所の養成所から何人出るか、これは提案の方でわからなければ、文部省でよろしゅうございますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/121
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122・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 現在の養護教諭養成機関の養成状況でございますが、まず第一に、大学、短大で養成いたしております者は、これは必らずしも養護教諭だけを目的にしたものでありませんので、あるいは家政学科あるいは衛生看護学科等、ほかの目的もあわせて養護教諭の免許状も取り得る者ということになっております。
したがって、ここで養護教諭の供給源として期待し得るのは、現実に、それらの大学で免許状をどれだけ取ったか、それから免許状をとった者が、どれだけ就職するかというところで、初めて具体性が出てまいりまして、従来の実績からいたしますと、まあ大学、短大等十六の中で、免許状を取った者は、大体年間に三百名程度でございます。で、そのうちで現実に養護教諭になっておる者は六、七十名程度、大体、免許状を取った者の二割程度が、現実に養護教諭になっておるというのが実情だと思います。
それから指定養成機関でございますが、これは最近ふえまして、三十九年度には全部で三十九機関になるのが予定されております。三十九年度に新たに十カ所ほどふえることになっております。そういう関係で、従来は、必ずしもあまり多くなかったのですが、これからふえることが期待されます。この指定養成機関には、養護教諭の養成のみを目的とする二級免許状取得を目的とする二年課程のものもございますが、大多数は保健婦の養成等もあわせてやっておるのでございまして、まあこれらのものは、一応ほとんどすべての者が養護教諭の資格は取りますが、やはり現実の問題としては、養護教諭に就職する者は半分以下、まあ大体三十八年度の実績ですと三分の一程度になっております。卒業した者が全部で四百三十名程度おりましたが、そのうちの百四十二人が就職しておるようでございます。就職する見込みでございます。それから三十九の機関に定員が充足いたしますと、大体千二百名程度になります。したがいまして、千二百名程度に充足すれば、その三分の一が就職すると考えれば、これらから三百八十名程度が期待できるということになろうかと思います。それから国立の特設いたしました一年課程の養護教諭養成課程は、これは八カ所、一カ所当たり三十名、計二百四十名の養成を目標としております。これもいままでは、昨年度までは五カ所でありまして、定員からいたしますと、百五十名の定員を持っておりましたけれども、現実には百名内外の卒業生しか出しておりません。これらのものにつきましては、大体、特別の事情がない限り、全員が養護教諭に就職いたしております。今後、少なくとも定員だけは、現在員を確保することにつとめ、これが全員就職を目標として指導するとすれば、これから二百四十名程度が供給源として期待することができる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/122
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123・二木謙吾
○二木謙吾君 いま御説明のとおりに、国あるいは公立、私立の大学から三百名、そのうちで六十名しか就職をせぬと、それから養成所の三十九からも千二百の卒業生のうちで三百八十、八カ所の養成所では全員就職させるという、こういうようなお話でございました。この理由書にも、全体の資格の取得者は二千名、しかしそのうち、ほんとうに養護教諭として就職をする者は二〇%ないし三〇%、こういうふうに理由書にもありますが、そういうふうに資格者は非常に多いが、実際に就職する者は、まことに少ない、こういうのが現状でありますが、それはやはり待遇上の問題ですか、どこに原因がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/123
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124・加瀬完
○加瀬完君 私どものほうとしては、一応資料を持っておりますけれども、文部省では、どういう見込みをしておりますか、先に文部省の御意見をちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/124
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125・二木謙吾
○二木謙吾君 それでけっこうです。文部省にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/125
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126・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 養護教諭の資格を取る者があっても、現実に就職する者が、資格取得者に比べて、はるかに少ない理由は、これは単純ではないと思います。これが理由だと、はっきり根拠を持って列挙できるようなことも、したがいましてむずかしいと思いますが、私どもが聞いたり推測したりするものをつまんで申し上げますと、一つには、やはりこれは女の方でございますので、就職の場所について、一般的に養護教諭になる希望があっても、場所についての話し合いがなかなかつかないというのが、かなり大きな理由ではないかと思います。それから、またほかの大学等で資格を取るのについては、ほかの就職口との競合ということもありますので、これは個人別に当たってみなければわかりませんので、ほかにもっと魅力を感じる就職口があったために養護教諭の資格を取っても行かないということになるのではなかろうかと思います。
それから指定養成機関につきましては、これは主として保健婦と競合するわけでございます。保健婦と養護教諭と、どっちになるかと考えまして、やはり勤務場所、その他ともにらみ合わせて、実情では養護教諭になる者が三分の一程度、こういうことになるわけでございます。養護教諭の養成課程につきましては、これは現在提案されております養護教諭養成所ほど厳密ではございませんけれども、やはり何と申しましても、養護教諭になることを唯一の目標として設置されておりますので、従来も就職に歩どまりが多いし、これからも、できるだけ全員就職という方向で運営してまいりたいと思います。
そのほかにもの根本的な理由としては、やはりこれは養護教諭の職務内容、それから現実に学校につとめた場合の、教壇に立つ方とのバランス、いろんな問題がからんでこようかと思います。一般にこれは、看護婦、保健婦等についても、志願者がだんだん減っておるといったような現象と、何か共通な原因も、養護教諭についてもあろうかと思います。いろいろ複雑な原因がからみ合いまして、資格取得と、それから現実の就職とのアンバランスが生じておるものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/126
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127・加瀬完
○加瀬完君 いま文部省からお述べになった、いろいろの問題もありましょうけれども、私どもは大きく二つの問題を考えてみたわけでございます。一つは、いま文部省の御説明にも含まれる問題でございますが、仕事そのものに権威と責任というものをはっきりと自覚できるような、やりがいのあるような職場というものを与えてやらなければ意味がないのじゃないか。たとえば、責任はいま非常にありますけれども、それじゃその責任を遂行するために、養護指導についていろいろ建言をしても、校長なり教頭なりというものが、それをいれなければ、実際に養護教諭の意見というものは通らないわけですね。そこで養護教諭は養護教諭で、他の管理面とは違った、やはり管理面の責任も権威もあるわけですから、養護教諭の児童生徒の教育上発言力を強めるような立場というものをもっと与えてやる。したがって、待遇あるいは仕事の、労働条件といいますか、内容等も十二分に報いられるものにしてやらなければならないということが根本の問題だろうと思います。
しかし、いま急にこの充足計画を進めるためには、やがての待遇だけを論じてもしかたがございませんので、養成所に入る生徒に対して修学奨励の措置というものを講じて、便法ではございますが、希望者というものを少しでも多く取り入れなければならないじゃないか。大きくこの二つを考えたわけでございます。
少し補足をいたしますれば、保健婦ですと、これは市町村長の指揮命令を離れて、保健婦そのものとして働き得る場所もあれば、また保健婦そのものの働いた効果というものが、はっきりとあらわれるわけでございます。職場あるいは仕事というものが、はっきりときめられておるわけでございます。ところが、二つも三つもかけ持ちをさせられては、どこに責任を置いていいかわからないし、仕事の中心がないわけでございますから、良心的な方は、とてもいたたまれなくなってしまうということも、一つの現象ではないかと思うわけでございます。で保健婦に多く走ったり看護婦になったりするということは、看護婦よりも保健婦よりも養護教諭の立場というものは、仕事のしがいがないということに原因されるわけでありますから、これを解決するということを私どもとしては考えたい。しかし、そういう先のことばかりを言っておられませんから、くどいようですけれども、まずその養護教諭を志望する者に対して、特別な修学の便宜というものを与えるということをまず取り上げたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/127
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128・二木謙吾
○二木謙吾君 ただいま申されました、いろいろ養護教諭の養成機関についての募集人員と、入学希望者というものの比率と申しまするか、状況は、どういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/128
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129・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 大学は、これに性質上養護教諭だけが目標でございませんので、定員に対して二倍ないし三倍程度の、平均いたしまして志願者がおります。それから指定養成機関や、国立大学に設けました養護教諭養成課程になりますと、これは先ほど来の養護教諭の就職が必ずしも容易でない事情を反映いたしまして、募集人員に対する志願者は同じ程度か、やや志願者が上回わる程度にとどまっております。中には志願者が募集定員の半分にも及ばないようなところもございましたので、これらにつきましては、設置個所そのものが当を得ていなかったのではないかというように反省をいたしまして、少なくとも募集人員を上回る志願者は確保いたしたいと思っております。実情は、大体以上のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/129
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130・加瀬完
○加瀬完君 先ほど御説明申し上げたわけでございますが、私の手元にありまする昭和三十七年度の統計によりますと、国立養護教諭養成所におきましては、茨城は募集人員十二人に対しまして十二人、金澤は三十九人に対して二十二人、愛知は十五人の募集に対して八人、神戸が六十六に対して三十一、岡山が三十八に対して十七というように、定員よりも入学者が少なくなっております。それから県立の養護教諭養成所、二年課程でございますが、これの計を見ますと、三十六年は、大体一カ所二十名、三十名の募集人員に対しまして、合計三十六年度で百二十五名でございましたのが、三十七年度は七十五人というように減っている、こういう結果が出ております。ややオーバーしているところもありますけれども、いま文部省の説明のように、希望者は他の大学のように非常に殺到するという状況ではないと申し上げられるのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/130
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131・二木謙吾
○二木謙吾君 次に、この提案の理由の説明書にもありますとおりに、「昭和三十八年度において、文部省が市町村支弁の養護職員を正規の県費負担養護教諭に切りかえることを含めて二千名の増員をはかると国会で答弁したにもかかわらず、わずか三百五十名の増員しかできなかった」、こういうふうに書いてありますが、それはいまお話のあったとおりに、養護教諭の重要性の認識に欠ける、あるいはまた、だいぶ労働条件等が悪い、こういう影響で実績があがらなかったのか、その辺のことを文部省ひとつ、どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/131
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132・村山松雄
○説明員(村山松雄君) ただいま増員の実績が五百名程度にとどまったということでございますが、これもまあ初等中等教育局の問題でございますが、私どもの聞いておりますところでは、増員は、その新しい計算によりまして、増員はやったのだけれども、現実の採用のほうが、必ずしも増員数についていかないという実情だというぐあいに聞いております。詳細は、所掌でございませんので、つまびらかにいたしておりませんが、私の聞いたところでは、そういう事情だということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/132
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133・二木謙吾
○二木謙吾君 「また、昭和三十九年度においては、新標準法の実施の第一年目ということで、文部省は養護教諭の増員を千百名以上、義務教育費国庫負担金において見込んでおりますが、これも実行できるかどうか」怪しい、こういうふうに提案者側は言っておられるのでありますが、文部省として、これは実行できる自信がありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/133
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134・村山松雄
○説明員(村山松雄君) 新年度の計画も、同様に増員としましては千百名程度、これはできるものと思いますが、問題はその増員分が、実際に消化されるかどうか、つまり埋めるかどうかの問題になろうかと思います。これにつきましては、直接には、定員の配当を受けた都道府県教育委員会の問題になるわけでございますが、法律改正の趣旨、それから予算計上の趣旨等にかんがみまして、極力消化するように指導すべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/134
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135・二木謙吾
○二木謙吾君 この見通しについてですね。提案の方と文部省との私は食い違いがあるように思いますが、御提案の方の御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/135
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136・加瀬完
○加瀬完君 先ほど文部省の御説明にもございましたように、養護教諭の定数は、現在で一万一千七百名、高等学校を入れましてね。それで五千名、一応将来はできるということになりますね。で、さらにその新陳代謝と申しましょうか、悪いことばでございますが、一応、入れかわりをする人員というものは、大体三百名程度と押えてあるわけでありますね。これは現状が三百名でございますから、若干ふえれば三百名を上回ると考えなければなりません。じゃ充足数はどのくらいかといいますと、先ほどの御説明の総計を集めましても、これは幾らでもないわけでございます。結局、いままでの養成機関における養護教諭の希望者というものと、それから新陳代謝で補わなければならない数というものは、あまり変わりがなかった。そこへ大幅に需要がふえたわけでございますから、それをどうして埋めるかということになれば、先ほど御説明申し上げましたように、養成機関に対する希望者が減ってきておる。しかも、その就職希望者も非常に少ない。一方、この供給源でございますところの看護婦あるいは保健婦というものが、そちらのほうが減っておるのですから、そちらへ行って、こちらには供出するほどのものが出てこないということになれば、千百名というものを埋めるということは、三十八年度以上に三十九年はこのままでは困難だと踏まなければならないのではないか。私どもはこういう観測をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/136
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137・中野文門
○委員長(中野文門君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/137
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138・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/138
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139・二木謙吾
○二木謙吾君 次に、お尋ねをいたしますが、養護教諭の五千名増員計画では、市町村負担の養護職員のうち、有資格者を優先的に県費負担に切りかえることを予定していると思いますが、本案による新しい計画では、その点はどういうふうにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/139
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140・加瀬完
○加瀬完君 現状におきましても、市町村支弁による養護教諭あるいは養護教諭同様の役割をしている数というものは、三十八年におきましても三千八百名ばかりおるわけでございます。これが簡単に都道府県の職員に切りかえられないのには、切りかえられないそれぞれの状態というのがあるわけでございます。ですから、これだけを切りかえようと考えておりましても、これば三十九年の千百名の不足数を充足するということは困難ではないか。ですから、これはもう当然、文部省のさきの御説明のように、一応身分の安定という点からいっても、待遇という面からいっても、切りかえを進めなければなりませんけれども、それとともに、将来の計画とも相待って、やはり新らしい養成機関による供給源というものを求めていかなければ問題の解決にはならない、こう考えておるわけでございます。
で、さらにこの市町村支弁による養護教諭の内容というものを検討いたしますと、わりあいに地方財政の豊かなところが、こういう方々をかかえておるということも一面言われると思う。そういうところは、理解があってかかえておるわけでありますから、仕事も、先ほど申しました責任分担もはっきりして、わりあいに仕事がしやすくなっておるのじゃないか、養護教諭の立場からすれば。ところが、一体切りかえられて労働条件が悪くなったり、待遇その他が悪くなったり、あるいは仕事そのものに熱意を持つわけにいかなくなるという劣悪な状態というものになるのではなかろうかという心配も生じておるわけじゃないか。ですから、こういう点は、これはもう大学局の養成だけにとどまらず、養成計画をつくる根本として、なぜ一体、市町村関係の養護教諭の担当をいたしておるものの切りかえがきかないのか。あるいは各市町村に、いろいろ配当のアンバランスがあるのは、どういう理由かということを十二分に検討して、千百名の充足というものに具体的な計画というものを、文部省自体が、私はお持ちになっていただかなければ、府県にそれぞれの事情がございましょうといって、文部省がかまえておっては、この問題の解決にはならない。こういう点こそ、指導助言をしてしかるべき問題だと、これは文部省にもお願いを申し上げたいと思っておる点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/140
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141・二木謙吾
○二木謙吾君 この提案理由にございますが、養護教諭の養成と確保ということに重点を置いて、高卒程度の者に二年間の教育を与えて、養護教諭の免許状を与える、こういうことでございますが、養護教諭の任務の重要性ということについては、学部四年の課程の者を養成するということに重点を置くべきじゃないかと私は思いますが、その点、どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/141
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142・加瀬完
○加瀬完君 原則はおっしゃるとおりでございます。したがって、私どもも提案の中でも、将来はやはり養成所を強化して、正規の大学の四年課程として発展せしめることを期待しておると申し上げたわけでございます。
しかし、具体的な現実面になりますと、いますぐ一日も早く埋めなければならぬという必要感もございますので、臨時的に、まず埋める対策を立てようじゃないか。で、臨時的にまず二年の養成所と、こう考えたわけでございます。原則といたしましては、あくまでも将来は四年課程の優秀な養護教諭の方々を養成をして配置をさしていただくというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/142
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143・二木謙吾
○二木謙吾君 もう一つお尋ねをいたしますが、いま、現在ある養成所でございますね。これを拡充して、そうして募集人員を増加をする。それにはいろいろ授業料その他の免除とか、あるいはまた、育英資金の貸与とか、あるいはその返還の免除とかいうようなあなた方の希望しておられることの要項を取り入れて、そして現在ある施設を拡充して、そこで養成をする、新たにあなた方は十カ所施設を設けようと、こういうお考えでしょう。いまの制度を拡充しようということについては、どうでしょうか。どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/143
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144・加瀬完
○加瀬完君 一応、そういう点をも私どもは考えてみたわけでございます。しかし、振り返りまして、現在、これだけの数の養成所がございますのに、一体、養護教諭が充当できないというのは何だろうという点も考えました。そうすると一つは入所基礎資格というものが、単に高等学校の卒業生というだけでは、看護婦の資格がなければならないといったような条件がございまして、入所をする基礎資格が問題である。そのために、だれでも行くというわけにいかぬじゃないか。一定の看護婦さんという資格を持たなければだめだ、資格を持った者は、逆に卒業して養護になるかということになりますと、先ほども申し述べておりますように、養護に確実になるという率も非常に少ない。そこで高等学校から入所基礎資格というものを別に持たなくても、高等学校の卒業生で、そのまま進める、しかも卒業生は全部養護教諭になる、こういうように限定をした賛成所のほうが、目的を達成するのに最短距離じゃないかと考えたわけであります。
ですから、いままでの養成所その他の機関にも養護教諭をたくさん送り出していただくように、これは強く要請を私どもはすることにやぶさかでございませんけれども、もっと簡単に入れて、確実に養護教諭になり得る養成所というものを一応のめどといたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/144
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145・二木謙吾
○二木謙吾君 もう一つお尋ねしますが、昭和三十九年度において、養護教諭の養成機関を十カ所新設するという見込みであると聞いておりますが、その十カ所新設をしても、そのほかにまだ、いまあなたの御提案では八カ所ふやすと、こういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/145
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146・加瀬完
○加瀬完君 文部省が私どものような趣旨で、入所基礎資格というものに限定を加えないし、しかも確実に養護教諭になれる、しかも養護教諭の志望者が多いように、いろいろ修学の好条件を与える、そういう形のものを確実に十カ所作るということでありまして、十八カ所でなければならないか、あるいは十カ所で足りるのかということでございますれば、私ども十二分に話し合いをしてみたいと思います。しかし、いままでの現状のままの姿の養成所という形で作っても、これは確実に養護教諭の養成ということには、ちょっと問題がまだ残るのじゃないかという私どもは疑問をいまだ持っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/146
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147・二木謙吾
○二木謙吾君 御提案の御趣旨、よくわかりましたから、本日の質問はこれで終わることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/147
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148・加瀬完
○加瀬完君 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01519640317/148
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149・中野文門
○委員長(中野文門君) 本法案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
本日の委員会は、これにて散会いたします。
午後三時五十二分散会
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