1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月三十一日(火曜日)
午後零時三分開会
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委員の異動
三月三十一日
辞任 補欠選任
大河原一次君 米田 勲君
柏原 ヤス君 二宮 文造君
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出席者は左のとおり。
委員長 中野 文門君
理事
北畠 教真君
二木 謙吾君
吉江 勝保君
豊瀬 禎一君
委員
植木 光教君
久保 勘一君
斎藤 昇君
笹森 順造君
中上川アキ君
野本 品吉君
秋山 長造君
加瀬 完君
小林 武君
米田 勲君
二宮 文造君
発 議 者 加瀬 完君
発 議 者 秋山 長造君
発 議 者 小林 武君
発 議 者 豊瀬 禎一君
発 議 者 米田 勲君
国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
政府委員
文部政務次官 八木 徹雄君
文部大臣官房長 蒲生 芳郎君
文部省初等中等
教育局長 福田 繁君
文部省管理局長 杉江 清君
事務局側
常任委員会専門
員 工楽 英司君
説明員
大蔵省主計局主
計官 赤羽 桂君
文部省大学学術
局研究助成課長 村上 成一君
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本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
(当面の文教政策に関する件)
○学校教育法等の一部を改正する法律
案(加瀬完君外四名発議)
○義務教育諸学校施設費国庫負担法の
一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○私立学校振興会法等の一部を改正す
る法律案(内閣提出)
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001・中野文門
○委員長(中野文門君) ただいまより文教委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。本日、大河原一次君が委員を辞任され、その補欠として米田勲君が選任されました。
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002・中野文門
○委員長(中野文門君) 当面の文教政策に関する件を議題といたします。
質疑の申し出がございますので、これを許します。小林君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/2
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003・小林武
○小林武君 政務次官にお尋ねをまずしたいわけです。
私の質問は朝鮮人の教育の問題なんでございますが、その問題に入る前に、言うまでもなく朝鮮は長い間わが国に併合されておって、その間において非常にかわいそうな境遇にあったことは、これは政務次官もよく承知していると思います。私も教師をやっておりまして、教育という面からだけではございますけれども、まあ学校に通っておる子供たちが非常にかわいそうな状態におかれており、就職の問題一つを考えましても、はっきり差別を受けるというようなこと。上級学校に進学するというような者はきわめてまれであるというような、そういう状況に置かれておる状態を見て、非常にわれわれとしては気の毒に感じておるわけです。いま朝鮮もそれぞれ韓国なり、北朝鮮なりがあって、そうして帰る人たちは帰ったのですけれども、長いこと日本の国に併合されておった朝鮮人の人たちに対しては、私はこれはほかの外国人と同一視されない責任が日本にあるのではないか。日本人はそう感じなければならないのではないか、こう思うのですが、そういう点について政務次官はどうお考えになっておるか、ひとつまずお尋ねをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/3
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004・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) おっしゃるとおり、あの長い統治期間中、また戦争の期間中、朝鮮人の方々がおかれておった立場というものは、気持ちの上では小林先生もおっしゃるとおり、われわれもできるだけの措置はしなければならないということには全く同感でございます。ただ、いまの御質問の中で、他の外国人と違った特別なものをひとつ考える必要があるのではないかという、その特別な方法というものについて、それでは具体的にどういう措置をしたらいいのか、これは単にいま言った感情、同情、愛情という問題だけで済まされない外交上の慣例というものもありますので、その質問だけでは、それではどういうふうにしたらいいかということについて的確にすぐお答えできませんが、おっしゃるとおり、気持ちの上においては同感であると、こう申し上げざるを得ないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/4
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005・小林武
○小林武君 気持ちの上ではそうお考えになっている。気持ちの上でそうお考えになっておれば、現実にいろいろな問題がある場合には、その気持ちを現実の問題にどう一体反映させるかですね。こういう問題が出てくると思うんです。だから私は、何というか、外交上の論争をいまここでやろうというんじゃありません。これは先ほども、前にお断りしているとおり、教育の問題でお尋ねしているわけでありますから。そういう教育の問題というようなことを考えた場合に、朝鮮の一体子供たちといいますか、青少年の人たちが教育の上でいろいろな不便を感じている。いろいろな差別的な立場を与えられているというような場合においてはですよ。それについてはやはり私は政務次官としては、ただ気持ちだけ気の毒だと思うだけで、これに対してイギリス人や、フランス人と同じ並にしか考えたり、あるいはこれに対して処置を考えたりするというようなことはないわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/5
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006・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) 的確にこういう処置をすべきではないか、こういうことはどうだというふうに言っていただかなければ、ただそう言われただけでは、それはどうしますということは、ちょっと言いかねると思うのでございますが、一つ具体的にこういう差別待遇がある、あるいはこういう愛情の届かない措置をしている、それをこういうふうにしたらどうか、こういうようなひとつお尋ねをいただければ答えやすいんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/6
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007・小林武
○小林武君 いまの政務次官のそういうお話ですね。大体、朝鮮の人たちに対する文部省の考え方というのがよくあらわれていると思うんですよ。特別扱いはもうとにかくしてやれない。とにかく何十年ですか、日本に併合されてさんざ苦労した、そうして現在日本人と同じようにとどまっていながら、まだまだ問題にぶつかっていると思う。そういう朝鮮の人たちに特別の手当てを持っていないということは、いまの答弁でわかったような気がするのでありますけれども、私は、政務次官はこうたいへんものわかりのいいお方だから。具体的な問題はともかくとして、やはり朝鮮人の教育の問題その他の問題については、ほかの外国人とは違うやはり立場で見なければならない、こういうふうにお考えになっているんではないかと思っているが、ないようでありますから、それじゃ別な質問に入りましょう。
お尋ねいたしますが、これはあれですか、これは初中局にお尋ねしたほうがいいのだと思うのですけれども、朝鮮人で小学校に入学をしなければならない子供の数とか、中学校に入学しなければならない生徒の数というのはどのぐらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/7
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008・福田繁
○政府委員(福田繁君) 昨年五月に私どものほうで調べたところによりますと、学齢相当の年齢の朝鮮人子弟が約十二万九千人でございます。その程度のようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/8
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009・小林武
○小林武君 これは小中学校合わせてですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/9
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010・福田繁
○政府委員(福田繁君) 御説明申し上げます。両方でございます。義務教育の就学年齢相当の子弟でございます。その中で、つけ加えますと、大体現在九万三千人ぐらいが就学いたしております。就学というか、小中学校で勉強しているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/10
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011・小林武
○小林武君 これは小中学校別にはわからないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/11
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012・福田繁
○政府委員(福田繁君) 先ほど申し上げました十二万九千のほうは、ちょっと小中学校別にわかりませんが、現在、日本の学校で勉強しております子供の数は、小学校六万一千九百人ばかりでございます。中学校で三万一千でございますから、両方で約九万三千人と、こういうような数になっております。在籍者の数は小中学校別に分かれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/12
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013・小林武
○小林武君 いまの御答弁ですと、この九万三千人の小中学校の児童並びに生徒は日本の学校に通っている、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/13
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014・福田繁
○政府委員(福田繁君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/14
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015・小林武
○小林武君 それでは、朝鮮でいわゆる経営している学校といいますか、これは韓国側でも北朝鮮側でもけっこうなんですけれども、その学校に通っている生徒児童というのはどういうことになっていますか、数において。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/15
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016・杉江清
○政府委員(杉江清君) 私立学校に関係いたしますので、私のほうから御説明申し上げます。朝鮮人のみを収容しております学校、これは正規の私立学校がごく少数ございます。大阪府にあります金剛小学校と建国小学校、建国中学校、建国高等学校、これは第一条の私立学校でございます。このほかに、いわゆる各種学校がございます。で、各種学校は三十三校ございまして、その在籍者数は一万九千人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/16
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017・小林武
○小林武君 この各種学校三十三校というのは、これは小、中、高それぞれあるわけでありますが、大体、各種学校ですから小学校、中学校ということはないでしょうけれども、向こうのほうで一体、大体小学校に見られるもの、中学校に見られるものというものは、大体考えてやっているように思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/17
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018・杉江清
○政府委員(杉江清君) その辺の区別は私のほうで把握できない状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/18
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019・小林武
○小林武君 各種学校、これはどなたでもけっこうですから、ひとつ御答弁いただきたいのですけれども、各種学校であるということは、あらゆる点で不便だと思うのですね。たとえば、上級学校に進学するについても、その他いろいろな点について不便があると思うのですけれども、これは普通の小学校、中学校、高等学校にしてもらいたいというような希望は先方から出ておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/19
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020・杉江清
○政府委員(杉江清君) 現在のところ、各種学校においては、母国語によるいわゆる民族教育が行なわれておるのでありまして、学校教育法に規定いたします内容の教育をいたしておらないのであります。そういう状況から、現在、各種学校を第一条学校にしてくれという要求は出ておりませんし、また、建前といたしまして、そのような内容の教育を行なっている場合に、この第一条の正規の小学校、中学校といたすことは法的にできないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/20
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021・小林武
○小林武君 政務次官にお尋ねをしたいのですがね、ただいまの御答弁によりますというと、民族教育を行なうために、むしろ先方のほうで各種学校であるということを希望しているような意味にもとれるわけであります。私の聞いているところでは、各種学校であるということについては非常に不便を感じておる。たとえば、高校程度の学校を出ても大学へ行く道がふさがれておるというようなこともあるし、それから、小学校、中学校の課程の場合においても、これは各種学校ではまことに困ると、こう言っておる。ところが先ほどもお話しがございましたように、大阪には小、中、高それぞれあるわけであります。これなんかは最も望むところであって、こういうふうに全体を取り扱ってもらいたいという、こういう希望が相当あるように聞いているわけなんです。こういう点について、これはまあいろいろ教育の、日本でそういうものを認めるという場合には、日本の法律を認めないで勝手にやるということはできないわけになりますけれども、私は、文部省といたしましては、積極的にそれらの希望を聞いてやるというのがほんとうではないかと思うのですけれども、先ほど冒頭に質問いたしましたように、政務次官としては、この種の問題についてどうお考えになりますか。希望があれば、これは当然、小、中、高の設立を許すべきだとお考えになるかどうか、その点をひとつお伺いしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/21
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022・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) ちょっと大臣がお見えになったから、いまの課題は大臣からお答えになったほうがより適切にお答えができるのではないかと思いますが、御指摘の大阪の学校は、御承知のように戦前からのものでございまして、いわゆるいま言われておる各種学校とは質的にも歴史的にも相違しておるものでございます。でございますから、戦後、民族教育という表現がはたしていいかどうか、これはまた問題だと思いますけれども、そういうような歴史的なものあるいはその積み上げをしていない、日本国内法に照らして全然趣を異にする各種学校について特別な利便を与えるかどうかということでございますが、御案内のとおり、国内法にある各種学校自体もそういう利便は与えておりません。各種学校の範囲内における同様の扱いをいたしておるということでございます。問題は、そのような各種学校と朝鮮学校に関してのみ特別に学校教育法に基づく普通の小学校、中学校、高等学校に認められるかどうかということの判定というものは、やはりそれらの学校が国内法に照らして合法的な学校になっていただけるということが望ましいのではないか。先ほど民族教育ということばを管理局長が申しましたが、国内法を全然無視したいわゆる独自の教育をやっておるということだけでは、進学指導と言っても、そのコース自体も違っておると思います。なかなかそれはできることでないと思いますので、それができるように先方自身もひとつ考えてもらうということが前提条件になってまいるのではないか。いまのままの姿の中では困難性が多いのじゃないか。こういうふうに思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/22
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023・小林武
○小林武君 時間がありませんので、あまりこれからいろいろなことを質問できないわけですけれども、いまの点について、民族教育をやっているのが工合が悪い。先ほども私申し上げているのですが、もちろん日本で私立の学校をつくったと言っても、これは合法的なものでなければならぬと思うのです。それについては当然先方にそういうことを要求すべきだと思う。こういう条件がそろってなければ、法律的条件がそろってなければ、これは許可されないのだということは幾らでも言えることだと思うのです。しかし、聞くところによれば、そういうことを申し出ても、何か日本の政府というのは、小中学校の私立学校をつくるということについて許可を与えてないというような、こういう受け取り方をしています。それは一体、民族教育をやっているからだということにつながるとすれば、その民族教育というものは一体どこに問題があるのか。私は先ほども申し上げましたように、朝鮮が日本のもとにおいて併合されておって、そしていよいよ自分の国というものを持った、そういう場合には、朝鮮人の自覚をうながすような教材がその中に取り入れたのが悪いというわけには私はいかないと思う。それが一体、非合法的ということになるのかどうか。どうして一体それが許可しないという理由になるのかどうかということがわからない。たとえば宗教というようなものを非常に重んじた、いわゆるミッションというものがあるわけです。あるいは私立の大学でも高校でも、それぞれ教育に対する一つの見解を持っておって、そしてなるべく干渉されないような教育をやりたいと、こう言っている。そのことを合法のワク内でやれることになっている。一体どこがじゃまになるのか。この点を、灘尾文部大臣はおいでになられたけれども、先ほどから質問している都合がありますから、やはり政務次官からお答えをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/23
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024・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) お答え申し上げましたように、ほとんどの時間が、たとえば国内法に準拠して、そうして教えられる。しかし、一部その朝鮮語の時間を持っておるとか、あるいはまた朝鮮の歴史観といいますか、歴史的な立場というものを教えるというような、そういうことで許可をしないというのではない、その民族教育という表現が非常にあいまいでありますから、誤解を受けるのではないかと思いますけれども、本質的に日本の学校教育法というものに準拠しないで、自分らだけで独自に教科課程というものが編成され、そうしてそれを教えられるという姿の中では、いわゆる日本の教育法に基づく小学校、中学校、高等学校というものの資格を与えるというわけにまいらないということでございまして、いまの小林先生のおっしゃるように、朝鮮語を教えるとか、朝鮮のその民族の歴史を教えるというだけの理由でこれを阻止しておるのだというふうには理解しておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/24
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025・小林武
○小林武君 なお、この点については、もっと時間がかかりますので、私の質問はひとつここで打ち切ります。先ほどの予定のあれがあると思いますので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/25
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026・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/26
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027・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/27
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028・米田勲
○米田勲君 この文教委員会の審査の経過に非常な関係を持っている問題が文部省の初中局から発行されている教育委員会月報の三月号に登載されているのであります。その文章の内容は、詳細に私も検討いたしましたか、きわめて重要な問題を含んでおり、本委員会の運営についても、今後慎重に考慮を払う必要があると思われますので、この際、私は質疑を通じて問題を究明したいと思うのであります。
第四十五国会の十二月十二日、この文教委員会で、昭和三十八年十一月二十二日、文部省が招集開催した都道府県教育委員会の人事給与主管課長会議に文部省側から資料という形式で出された、いわゆる分限免職に関する指示事項の内容について、私は福田初中局長に対し質疑を行なったのであります。この質疑応答は約一時間半に及んだものでありますが、その詳細は、第二号の会議録の五ページから十三ページにわたって登載されているとおりであります。当時、出席の各委員は、この経過を記憶されておられることと思うが、この質疑応答は、不適格の問題、いわゆる「しみ」と「色彩」に関連する私の質問に対する初中局長の答弁は、ある段階に至って、きわめて明確を欠く質疑応答が繰り返され、空転するような事態に立ち至ったために、特に中野委員長から、福田局長よく質問に対して表現の的確な御答弁に努力してくださいという注意が促されたことでもわかりますように、福田局長の答弁は肝心なところが全く不明確であって、いわば的はずれの答弁が繰り返される状況となったのであります。これは答弁ができなくなったというよりも、むしろ明確な答弁をすれば、その答弁自体が重大な政治問題を惹起することが予想されるので、的確な答弁を避けたと思われる節があるのであります。
かくて中野委員長と与党の理事は、わが党の豊瀬理事との間で種々協議の結果、この質疑はこの段階で中断をし、今後、与野党間の政治的な話し合いに移してほしいという与党側の要望があり、われわれはそれを受けて、私の質疑はなお多くの問題を残したまま中止されたのであります。そしてその後、与野党間の政治的な話し合いが続けられまして、いわゆる定数標準法案並びに教科書無償措置法案の修正等についてそれぞれ合意に達するとともに、本件、すなわち分限免職の指示事項についても直ちに指示は撤回し、この指示に基づく教育委員会の一切の作業を文部大臣の責任において中止をさせることの確約がなされ、形式としては、文教委員会で私から簡単に質問をし、文部大臣がその旨を答弁するという手続をとり、質疑は中断のまま一応落着させるということになったのであります。ですから、十二月十七日の文教委員会で、第三号会議録の三ページから四ページに登載されているような私の質問に対する初中局長の答弁並びに灘尾文相の答弁がありまして、本件の質疑は多くの疑点を残したまま一応終結をみているのであります。念のために福田局長の答弁をあげてみますと、「ただいま御指摘のありました点については、私ども当時は定数法が成立しないかもしれないというような最悪の事態を予想した事務的な打ち合わせ会でございました。したがいまして、具体的に各府県の事情等を聴取しながらいろいろ打ち合わしたわけでございますが、現在の段階におきましては、その当時の事情とは全く一変いたしておりまして、事態は私は解消するものと考えております。したがいまして、当日指導いたしました資料等につきましては、今後早急の機会におきまして、教育委員会の関係者にその指導を中止するようにいたしたいと考えております。」と答えており、灘尾文相は、「この問題はいろいろ御意見もあろうと存じますが、まあ当時の事情からいたしまして、今から考えれば、かなり事務当局も取り越し苦労をしたものだと、こういうふうな考え方でありますが、そういうふうな最悪の場合の用意ということで相談をしたことと思うのであります。現在の段階に立って考えます場合には、この法案が成立するという見込みがあるといたしまするならば、あのような指導をする必要は少しもなかったということも言えるだろうと思うのでありますから、あの資料に基づいての指導というものは、初中局長の申しましたように、これ以上進行させない、いわゆる中止するということを申し上げて差しつかえございません。」と答弁をされているのであります。
さて、私は当時の本件に関する経緯の概略をただいま申し上げましたが、これを要するに、第一には分限免職に関する文部当局の行政指導、指示に関する私の質疑は、予定せられた全部についてはいまだそれを終わっていなかった、中断されているということであります。ですから、私は末尾の結びで、「きょうは時間の都合がありますのでこれ以上この問題については触れませんが、自後、文部省の役人の側にこういう文書を平気で出す傾向のあることに対して、私は非常に思わしくないと思われますので、日をあらためて、このような態度が是正されるようないろいろな意見を述べたり、大臣のお考えをお聞きしたりする機会は別の機会にいただきたいと思います。その点は留保しておきます。」と、私は申しておるのであります。
第二に明らかにしたいことは、質疑がいまだ終わっていないにもかかわらず、それを中止したのは、文部大臣、政務次官、そして与党の文教関係の諸君との政治的な話し合いの結果、質問を中止してほしいという要望とともに、指示事項についてはこれを撤回するということでもありましたので、中断のまま質疑を終わっているのであります。いわば、文部大臣も私どもも、双方ともこの問題についてはたな上げされたものと言えるのであります。でありますから、文部当局が一方的に本件に関し主張をし、釈明をし、もしくは反論するがごとき行動に出ることは、これらの経過から申しまして許されないことだと私は考えているのであります。もし文部当局がそのような行動に出て、新たに問題を提起するとしますならば、私もまたこの委員会で引き続き質疑を行ない、究明をしなければならない筋のものだからであります。
以上申し上げました経過と私の見解について、文部大臣もこれをお認めになると思いますが、念のため大臣の見解を一応承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/28
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029・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 問題となりました人事関係の資料に関する事柄につきましては、その経過はいま米田委員の仰せになったとおりだと私ども思っております。私としましても、この問題をかれこれ本委員会で繰り返すというようなことはちっとも望んでおるわけでも何でもございません。まああれはあれで片づけていただいた問題として考えておったわけであります。本日、御指摘になりました教育委員会月報の記事につきましては、もうだいぶ前になりますけれども、そういう記事が出ているということを注意していただいた方がありますが、実は私はあまり平生読んでおらないのでございますが、一応通読はいたしました。私どもの所感を簡単に申しますれば、こういう委員会月報でこんなことを何も書くことはないというふうな気持がいたしておりました。精読いたしたわけではございませんので、一々のことは記憶いたしておりませんが、そんな感じがありましたので、その点につきましては、次官、局長にも注意いたしまして、今後このような記事がかってに出てくるというふうなことはやめてほしいということをよく注意もいたしておきました次第であります。はしなくもこれが米田さんによって問題とせられたことは、私はまことに残念に存じておりますが、心持ちは別に他意あってのことではないと存じますけれども、あの委員会月報にあのような形でものが書かれるということは、よほど気をつけなければならぬと思います。将来とも十分注意したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/29
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030・米田勲
○米田勲君 文部大臣は、私がただいま申し上げました本件の経過についてはそのとおりだとお認めになっており、その後、初中局長等に対して注意をしたというお話がございましたが、私は、ただいまの大臣のことばで、大臣の気持自身は理解はできますけれども、それだけでは、この問題をここでわかりましたといって下がるわけにはまいらぬのであります。そこで、私はいままで申し上げました経過と見解の上に立って以下、具体的に質問をしてまいりたいと思います。
まず、最初に、文部省初中局地方課で発行されている教育委員会月報は全国の教育委員会に配付され、また別に市販になっている冊子であることは、以前にもこれが問題になったときに確かめたことがありますが、いまもそのことは変わっていないかどうか。さらに、この発行責任者は初中局長だという答弁が以前になされておりますが、それも間違いないか、念のために福田さんにお聞きをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/30
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031・福田繁
○政府委員(福田繁君) お尋ねの点でございますが、かつて申し上げましたこともございますように、この教育委員会月報は、文部省初中局で発行いたしております教育委員会あるいは学校等にこれが配付されておりますことは、従来と変わりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/31
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032・米田勲
○米田勲君 次にお尋ねしたいのは、この月報の三月号に、今村武俊の署名で、「色彩としみ物語」が掲載されておりますが、この今村武俊という人物の現在の役職は何でしょうか、局長にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/32
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033・福田繁
○政府委員(福田繁君) 初等中等教育局地方課長でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/33
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034・米田勲
○米田勲君 福田局長は、この月報の発行責任者でありますから、月報三月号に載せられておる「色彩としみ物語」の文章を編集発行以前に内容を確かめ、これを掲載することの適否について判断をされたことと思うが、どのような措置がとられたのかお尋ねをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/34
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035・福田繁
○政府委員(福田繁君) 発行の責任者は私でございますが、この刊行物につきましては、従来から公文書のような決裁をして決定するという仕組みになっていないのでございます。この雑誌の編集会議等にまかしてございますので、したがいまして、事前にこの文章を私が読むということはございませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/35
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036・米田勲
○米田勲君 事前にこの文章を登載することの適否については、局長は判断をなされる機会がなかったようであります。編集会議に委任をされたようでありますが、しかし、私はこの文章を書いた人物があなたの所管の今村課長であるという限りにおいては、福田初中局長の統轄下にある人物が書いたのでありますから、当然、文章の内容並びに掲載をさせたことについての責任をあなたは負うべきだと考えるのですが、局長の見解をお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/36
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037・福田繁
○政府委員(福田繁君) これは登載したことにつきましては、もちろん私の責任でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/37
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038・米田勲
○米田勲君 この文章には、冒頭に、十一月二十三日の人事給与主管課長会議で協議したことは、「事務屋の良心に誓って、しごく当然のことをしたにすぎないと、いまなお確信しているのだが、世の中には意外なことが起こるものである。以下、その意外なこと——色彩としみ——物語を紹介して、いまなお誤解したままの方々に事の真相を知っていただきたいと思う。」、こう述べて、以下引き続きその主張を響いているのであります。
そこで、この際、局長にお尋ねをしますが、「いまなお誤解したままの方方に事の真相を」云々とあるが、ここで言う「誤解したままの方々」とは、一体具体的にだれだれであるのか、御説明をいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/38
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039・福田繁
○政府委員(福田繁君) 先ほどお述べになりました中にもございましたように、昨年の十一月の二十三日、人事給与主管課長会議を私ども招集いたしました際には、非常に定数法の成り行きについて懸念を持っておったときでございます。したがいまして、当時としては万全の措置を、備えを一応しておくという意味において指導いたしましたことは、これはすでに申し上げたとおりでございます。そういう事務的な、事務屋の良心を申しますか、事務的な配慮に基づいてこれが企てられたことは、これは御承知をいただけると思います。それに基づいてこの文章を見ますと、「いまなお誤解したままの」人がいるということでございますが、私の聞いております範囲では、地方の教育委員会の関係者の中には、やはり当時のいわゆるしみと色彩という、そういうことばの内容、あるいはこれは、大阪地裁の判決の文章からとったものでございますが、そういうものについていろいろな誤解や何かありまして、質問をしてくる者があるようであります。私の聞いておりますのは、教育委員会関係者でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/39
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040・米田勲
○米田勲君 あなたの言われるようなこともあるかもしれないが、それではお尋ねをします。「いまなお誤解したままの方々」の中に、具体的にわれわれ社会党の文教委員、特に私は含まれているかどうか、それをお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/40
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041・福田繁
○政府委員(福田繁君) これは筆者でないとわかりませんが、私、これを読みまして感じましたのは、皆さんはこの中に入っていないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/41
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042・米田勲
○米田勲君 それは、そういう逃げ口上は私は納得できません。私はこのことに重大な疑義を持って質問したのです。そして、その質問は終わっていない。疑義は解消されないまま中断され、たな上げされている。ですから、私はまだこの分限免職の指示内容について理解をしておらない、これはあなたも認めるでしょう、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/42
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043・福田繁
○政府委員(福田繁君) そのことよりも、私は、この刊行物自体が教育委員会あるいは学校を対象にして出されておるわけでございます。その読者層に対して、そういう誤解があればそれを解きたいという趣旨でそれを書かれたものと考えております。したがいまして、そう私はその点をひねって考える必要はなかろうと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/43
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044・米田勲
○米田勲君 この指示事項は、一番問題になった個所はこの委員会であります。全国のどこを見たって、この委員会ほどこの問題が真剣に論ぜられた場所はない、しかも私は重大な疑義を持ってこの質問をし、その疑義はいまだに解決していない。だから留保してある、ですから、あなたは言いたくないのであれば、私はこの誤解をされた方々の中に私が入っておる、社会党の委員が入っておると答えられなければ答えられなくてもいいです。しかし、事情はそうなっているのだということだけあなたも承知するはずであります。ところが、誤解をいまなおされたままの方々に事の真相を知らそうという言い方で、この文章を月報三月号に載せて全国に、調査によると約一万八千冊配付をしているのでありますが、もし一歩譲って、私どもでなく、全国の関係者で誤解を持っておる者がおる、それに対して真相を理解させるということの目的で登載したとすれば、この文章は、初中局長が客観的に見て、事の真相を明確に伝えておる文章であると判断をいたすかどうか、あなたの見解をお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/44
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045・福田繁
○政府委員(福田繁君) まあ教育関係者に大阪地裁の判例のことばの解釈その他について知らせる意味におきましては、これは内容として間違ってはいないと考えております。しかしながら、この全体を通覧しまして感じましたことは、文章は必ずしもうまくはないというように感じますので、そういった点であるいは御指摘があるかもわかりませんが、私自身としては、これを読みました際に、そのようにまあ直感したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/45
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046・米田勲
○米田勲君 その見解は私と全く相反しております。私はあとで逐一私の見解を述べながら質問をいたしますが、この文章は事の真相を伝えるのにはきわめて不適切な文章であるということを前もって申し上げておきます。
ところで、私はここで一点触れておきたいのは、昨年の五月号のこの委員会月報までは、われわれ文教委員に毎月この月報は資料として配付になっておりました。ところが、私がこの月報問題で教科書無償措置法案に関連をして問題にしたことがあります。それ以来今日まで、三月号を渡されるまでは、全くこの月報はわれわれ文教委員に渡されなかったのであります。文部省のある関係者は私に、文教委員に月報を配付すると追及の種本を渡すようなものですから配付しなかったのです、こう言っております。しかし、そのことは、真偽はとにかくとして、自来今日までわれわれに配付されなかったことは事実であります。今度、秋山委員が特に月報を資料として配付するように要求をしましたので三月号がわれわれに配付された、こういうことであります。ですから、私に言わせると、この文教委員会で非常に問題になり、事が最後まで究明されないままたな上げされているその真相を伝えようとする気持が謙虚にあるなら、当然、積極的にわれわれ文教委員にもこの月報を配付すべきであったのではないかという感じを私は持ちますが、それはこの場合たいした問題ではありません。こちらが請求したから初めてこの月報を見ることができたという事情だけをこの際お話しをしておきます。
そこで、私は次に文部大臣にお尋ねをします。先ほども読み上げましたように、この文章の冒頭に、「事務屋の良心に誓って、しごく当然のことをしたにすぎないと、いまなお確信している」と称してこの文章を書き、その内容も一方的なものだと私は思うが、内容の問題は後刻お尋ねをすることにいたしまして、月報三月号に載せてこれを全国に流したわけであります。さきに、私が本件の経過と見解を明らかにしましたように、文部大臣はその当時、あのような指導をする必要は少しもなかったということも言えるだろうと思うのでありますからとも申されて、指示の撤回、作業の中止を約束され、私も質疑の中断に応じますとなっている。いわば、先ほども申しましたが、双方たな上げの形に処理するという政治的な約束であったと私は今日もなお理解をしておるのであります。このことについて文部大臣に対して見解をこの際お聞きしたいのであります。ところがです、重ねてお聞きをしますが、今回、文部当局がこれらの経緯を知っていながら、その経緯を一方的に無視して、今回この文章を登載するという行動に出たということは、大臣と私どもとの間の政治的な約束を破った行為だと私は思うのであります。少なくもこのような形式と手段によって新たに問題を提起したということは、道義的、政治的に不信行為だと私は思うのであります。大臣は、このような手段を妥当だとお考えになるのでしょうか。また本件は、先ほど申しましたように、政治的な話し合いの結果、双方ともたな上げにしようということになっておるのだという私の考え方、この二つについて端的に大臣の見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/46
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047・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私は、先ほど申し上げましたように、忙しいものですからこれを精読もいたしておりませんが、ただ、先ほどお答え申し上げましたように、ざっと読んでみまして、この月報にこういうものを一体書く必要があるのかどうか、また書くとしても、このような形が一体適当であるかどうかというふうなことに疑問を感じましたので、これは気をつけてほしいということを下僚に申しましたようなわけであります。問題となりました事柄は、当時、皆さんの御協力によりまして政治的に解決した問題で、これをまた蒸し返してかれこれする必要もないことだと私は思っております。ただ、ここに書きました心持ちは、これをまた蒸し返して議論をふっかけるの、かれこれ言うのというつもりではもちろんないと私は思っております。いわゆるしみと色彩ですか、ということでいろいろ論議されておりましたものの、事務当局としての法律的その他の考え方について、何だかはっきりしないままになっておりますから、それをはっきりさせておきたいという心持ちで書いたのではないかと想像いたしておるわけであります。もしこれがその当時の解決に対しましてかれこれ不満があるとか、あるいはまたもう一ぺん議論をふっかけてみようとか、そういう意図に出たものであるとすれば、私は、私自身がこれに対して非常な不満を持つわけであります。そういう心持ちではもちろんないと私は固く信じておるようなわけであります。いずれにしましても、この月報というようなものに対しまして、これはかなりおもしろく書いたつもりかどうかは存じませんけれども、こういうような書き方でやることがいいのか悪いのか。またいま米田さんがお読みになりまして非常に御不満をお感じになられるような調子があるとするならば、これはまあきわめて不適当な表現と言わざるを得ないのでありまして、そういうことでありますので、今後ひとつこういう問題については特に気をつけてほしいということを、私は厳重に注意をいたしましたようなわけでございます。当時の問題それ自身につきましては、あの解決のとおりでありまして、私はこれ以上かれこれ言うべきことはないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/47
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048・米田勲
○米田勲君 私は、いまこの文章の内容がどうこうということでなしに、大臣にそのとおりだと認めていただきたいことは、あのときの話し合いについて、問題は双方ともたな上げにしたのだと、こういう事実をはっきり大臣もお認めになっています、いまのお答えの中で。しかし後半に述べられたことは、大臣の所管をしておる文部省内の人の書いたことですから、立場としてはそういうふうに善意に解釈をして事をお運びになる気持ちはよくわかります。しかし、それはそれだけでは事は終わらないということであります。この月報は、先ほども申しましたように、一万八千冊全国にばらまかれておるという事実は一文部省内だけでこの問題がとどまるものではないという事情にあるということをよくお考えを願いたいのであります。で、私はこの問題をまっ正面から不法呼ばわりをするのではないのであります。また私は言論の自由ということも、みずからふだん主張しておりますからよく承知をしております。しかし、ここで私が問題にするのは、本件はきわめて複雑重要な経過があるということであります。大臣自身もそれを認めておられるように、お互いに話し合いの結果、双方とも行なおうとしたことをたな上げしているのであります。ですから、私は今日すでにもう標準定数法が成立して、これが動き出している段階ですから、あの当時でさえも双方たな上げをしようということであったものを、いまさら何を好んでかこの問題を取り上げて、月報で長々書きつづって全国に流す必要があったかということに対して、私はきわめて疑問を持つと同時に、そのやり方に対してきわめて不当だという結論を持っておるのであります。さらに、私は問題を一方的に取り上げて報道したことが不当だというだけでなく、質疑者の私の立場を無視したこのような形式による文章を全国にばらまいたという行為についても、いまなお誤解をしている方々に事の真相を知っていただきたいとは言っていますが、私はその手段方法において、すなおにこれを大臣のようには理解することができないのであります。先ほども、もしそういうことを考えて出したとすれば問題であるが、しかし、そういう考えではなかったのだろうと考えておるというのは大臣の推測にすぎないのであります。私は後刻この文章の重要な部分に触れて、大臣のその推測は事実と相違していることをよく明らかにしてまいりたいと思います。
ところで、この文章はお読みになってわかりますように、十二ページから書き起こされております。ここで私は文部大臣にはっきり御答弁をいただきたいことは、国会における委員会や本会議で述べられた国会議員の発言は、いかなる場合にもその責任は問われないことを法は定めていますが、このことは立法府における議員の発言の自由を最大限に保障するという精神によるものであります。そのことがまた民主政治の基本となる重要な条件だからであります。このことは大臣も同感だろうと思いますが、念のために承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/48
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049・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 国会における議員の発言というものはあくまで自由でなければならぬ、したがいまして、それに対しましては法が責任を問うということはしておらないと思います。私はそのとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/49
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050・米田勲
○米田勲君 議員の発言の自由を最大限に保障するという法の規定は、その発言が単に法律によって処罰されることがないというばかりでなく、道義的にも保障されなければならないという精神にも通ずるものだと私は理解をしておるのであります。大臣の見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/50
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051・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) どうもおっしゃる意味がよくわからないのでありますが、私は議員の発言はあくまでもその自由を保障するというのが現在のたてまえであると思います。しかし、議員の発言に対しましてこれを批判するのも国民の自由であるというふうには考えております。いま仰せになりました意味がよくわかりませんが、お答えになりましたかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/51
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052・米田勲
○米田勲君 国会における議員の発言、これは具体的には会議録に登載されておりますが、その議員の発言の一部または全部を引用して自己の主張を述べる、文章を発表するということは私は違法でないと思います。したがって、この「色彩としみ物語」の文章の中に私の委員会における発言が引用されていることは法的に見て一応違法ではないといえるでありましょう。しかし、私は違法にはならないからどんな引用のしかたをしてもよろしいというわけにはまいらぬのではないかと思うのであります。この引用のしかたによっては違法とはならなくても、政治的道義的に問題になる場合はあり得るし、また場合によっては不当であるとしなければならぬこともあると思いますが、この点に対して大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/52
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053・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 議員の国会における発言、これは速記録に出ておるわけでございます。その速記録を引用するに際しまして、何か特別な意図を持って妙な引用のしかたをすれば、御本人が迷惑されることは当然のことでございます。そういうような気持ちを持って引用するということは、私はしかるべからざることと思います。御本人に御迷惑がかかるというふうな曲げた引用のしかたですね、そういうことはよろしくない、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/53
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054・米田勲
○米田勲君 法律の正しい解釈や理解を深めるために、立法府における法案の審査過程において述べられた議員の発言を引用し、説明をし、啓蒙することは、従来しばしば行なわれたことでありまして、私はむしろ望ましいことだと考えておるのであります。しかし、議員の発言の一部を抽出してきて、これを組み合わせ、巧みに配列することによって逆効果をねらい、自己の主張を正当化したり、議員の発言を不当なりと直接間接の手法で反論するような内容である場合には、筆者の立場からはきわめて有効であっても、引用のこのようなしかたは、当然、道義的政治的問題となると私は思うのであります。重ねてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/54
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055・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 具体の問題を離れてのお尋ねでございます。そのおことばは私は別に反対すべきものは何ものもない、論者の心持ちがすなおにそのままに伝わるような引例のしかたをすべきである、このように考えておる次第であります。ただ問題は、そういう引用のしかた等につきまして、あるいはあったかなかったか、こういうことはあろうかと思うのでございますが、もちろん論者の心持ちと違ったような印象を与えるような引用というようなことは、適当でないことは申すまでもないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/55
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056・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/56
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057・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を起こして。
暫時休憩をいたします。
午後一時十分休憩
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午後四時三十二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/57
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058・中野文門
○委員長(中野文門君) これより委員会を再開いたします。
学校教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、発議者から提案理由の説明を願います。加瀬完君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/58
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059・加瀬完
○加瀬完君 ただいま議題となりました学校教育法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由と内容の概略を御説明申し上げます。
学校教育におきまして、寮母、養護助教諭、実習助手並びに助手等は、それぞれ重要な職責を持っております。それゆえ、学校においては、これらの職員を置くことができることを明確にするとともに、その身分を確立する規定を設け、法の整備をはかることによりまして、学校教育の運営を一そう円滑にするため本法律案を提出いたす次第でございます。
まず、寮母について申し上げます。近時、特殊教育に対する関心が深まり、これが充実拡大の施策は、着々と進められておりますが、これらの学校の寄宿舎に置かれている寮母の果たす役割りとその教育的効果はきわめて大きいのであります。従来、寮母は学校教育法施行規則によりまして、盲、聾学校のみに置くよう規定されておりましたが、去る昭和三十二年十二月の改正により、養護学校にも置くことに改められました。また、従来、寮母の資格については、何ら規定がなく、その身分につきましては、教育公務員特例法施行令第三条により特例法の準用が規定されていたのでありますが、今回、学校教育法において盲、聾学校、養護学校には、寮母を置くことを規定し、その職務規定を定めるとともに、教育公務員特例法において身分を明確にいたそうとするものでございます。
次に、養護助教諭と実習助手について申し上げます。従来、養護助教諭はその資格に関しましては、教育職員免許法に規定がございます。また、実習助手につきましては、国立学校設置法施行規則第十二条並びに高等学校設置基準第十二条におきまして、これを置く規定がございます。また、両者ともに教育公務員特例法の準用を受けることは寮母と同様、施行令第三条により定められておりますが、特例法に規定する教育公務員には含まれていないのであります。なお、従来両者の職務につきまして、学校教育法施行規則には何ら規定がなかったのでありますが、これも昭和三十二年十二月の学校教育法施行規則の改正によりまして、養護助教諭は第四十九条で、実習助手は第六十四条の三でそれぞれ職務規定を追加いたしておりますが、法律による定めはないのであります。これらの養護助教諭や実習助手が、それぞれの学校におきまして果たしております職務が、それらの学校の教育に欠くことのできない重要性を持っておりますことは、ここにあらためて申すまでもございませんが、特に、近時、科学技術教育の振興のために、実習助手の必要性が痛感されているのであります。したがいまして、先に述べました寮母と同様に、その学校教育法及び教育公務員特例法におきまして、養護助教諭と実習助手を加え、その職務と身分関係を明確に規定いたそうとするものでございます。
最後に、助手について申し上げます。現在、学校教育法には、大学並びに高等専門学校に助手を置く規定がございますが、その身分に関しましては、教育公務員特例法施行令第二条第一項で特例法を準用することになっておりますので、これを改めまして、特例法上の教育公務員にしようとするものでございます。
以上が、改正点の要旨でございますが、これらはいずれも重要な学校教育運営に大事な役割りをになっている人人の職務と責任と身分を明確にしようとするものでありまして、これによりまして、これらの職員の職務についての責任感と自信と希望がより一そう高められ、さらにその資質が向上し、待遇等も漸次改善されますならば、学校教育振興上、きわめて適切な措置であると信ずるものであります。
何とぞ、十分御審議の上、御賛成くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/59
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060・中野文門
○委員長(中野文門君) 以上で提案理由の説明聴取は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/60
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061・中野文門
○委員長(中野文門君) 次に、義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、文部大臣から提案理由の説明を求めます。灘尾文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/61
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062・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 今回、政府から提出いたしました義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
現行の義務教育諸学校施設費国庫負担法は、昭和三十三年に制定され、公立義務教育諸学校の施設の整備に要する経費について国がその一部を負担する制度が確立されたのであります。政府は、この制度のもとに、翌三十四年度を初年度とする公立文教施設整備五カ年計画を樹立し、義務教育諸学校の施設の整備につとめてまいったのでありますが、ほぼ当初の目標を達成して、本年度をもって終了いたすこととなったのであります。昭和三十九年度から新しい計画をもって、公立文教施設の一そうの整備をはかる必要があるのでありますが、この際、かねて懸案となっていた諸点について現行制度を改善し、もって公立学校施設の整備充実をはかるため、この法律案を提出いたしたのであります。
この法律案の内容は、まず第一に、小学校及び中学校の校舎の新築または増築に要する経費について、現在、普通教室の不足による不正常授業の解消をはかる場合に国庫負担を行なうこととしているのに対し、これを特別教室まで含めて教室の不足の解消をはかる場合に広げようといたしたのであります。第二は、小学校及び中学校の校舎の新築、増築または改築にかかる国庫負担金の算定の基礎となる学校建物の必要坪数を、児童生徒数を基準とすることから学級数を基準とすることに改めたのであります。第三は、小学校の屋内運動場並びに小学校及び中学校を統合したことに伴って必要となった屋内運動場の新築または増築に要する経費の一部について、国が新たに負担することといたしたことであります。第四は、近年各地で見られます集団的な住宅の建設に伴って校舎の不足が生ずるおそれがある場合は、校舎の整備を原則として一年前向きに行ない得ることといたしたことであります。第五は、工事費の算定方法の特例につきまして若干の規定の整備をいたすこととしたことであります。最後に、この法律の施行期日を本年四月一日からとし、昭和三十八年度以前の予算にかかる国旗負担金及び国庫補助金につきましては、従前の例によることといたしたことであります。
以上が、この法律案を提出いたしました理由及び内容の概要であります。何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/62
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063・中野文門
○委員長(中野文門君) 以上で文部大臣の提案理由の説明は終わりました。
引き続きまして、文部大臣の提案理由の説明に対する補足説明を管理局長からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/63
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064・杉江清
○政府委員(杉江清君) 条文を追って御説明いたします。まず第二条に学級数についての定義を加えました。ここに学級数とは、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に規定する学級編制の標準により算定した学級の数とすることといたしました。これは、小学校及び中学校の校舎にかかる工事費の算定方法を、現行の児童生徒一人当たりの基準坪数に基づく方法から、学級数に応ずる必要坪数に基づく方法に改めることに伴って、学級数の定義を明らかにする必要があることによるものであります。
第三条第一項では、小学校または中学校の校舎の新築または増築に要する経費について、国庫負担を行なう場合の条件としております不正常授業の解消を、教室の不足の解消と改めたことであります。これは、現行の不正常授業の範囲は、普通教室の不足の場合のみに限られておりますが、今回、普通教室のみならず特別教室をも含めて教室の不足がある場合には、これを国庫負担の対象とすることとしたものであります。また、小学校の屋内運動場の新築または増築に要する経費について国が負担することを新たに規定いたしております。この場合の国庫負担率は、校舎の場合と同様に三分の一といたしました。なお、統合小学校、中学校の屋内運動場の新築または増築に要する経費についても、校舎の場合と同様に国が負担することを新たに規定いたしました。これは、従来予算措置で行なわれていたものを、恒久的な制度として本法に取り入れたものであります。同条第二項では、第一項中の不正常授業を教室の不足に改めたことに伴って、政令で定めることになっております不正常授業の範囲を教室の不足の範囲と改めております。
第五条では、小学校、中学校の校舎にかかる工事費の算定方法を、現行の児童生徒一人当たりの基準坪数に基づく方法から、学級数に応ずる必要坪数に基づく方法に改めております。第五条の二は、小学校及び中学校の校舎以外の義務教育諸学校の建物の工事費の算定方法を規定することとし、その算定方法は、現行の児童生徒一人当たりの基準坪数に基づく方法を踏襲することといたしております。
第六条では、今回、第五条で小学校または中学校の校舎の工事費の算定方法は、学級数に応ずる必要坪数を基礎とすることと改めましたので、その学級数に応ずる必要坪数は、小学校または中学校ごとに政令で定める旨を第一項として規定し、小学校または中学校の校舎以外の学校建物につきましては、従来どおり一人当たり基準坪数を基礎といたしますので、現行第六条と同様の規定を第二項として規定いたしました。
第七条では、第五条の二が加わったことに伴う必要な改正をいたしております。
第八条は全文改正をしておりますが、これは実体的には、従来、校舎の保有坪数のうち教室に使用することかできる部分がきわめて少ないこと等の理由があるため、一般の算定方法で算出された坪数の校舎では、教育を行なう上から著しく不適当と認められるときは、校舎の工事費の算定方法の特例を認めておりますのを、屋内運動場の場合についても、校舎の場合と同様の理由があるときは、この特例を認めることといたしました。また現行の特例の方法は、必要坪数から保有坪数を控除して国庫負担資格坪数を算定する際に、保有坪数から政令で定める坪数を控除することとしておりますが、これを、必要坪数に政令で定める坪数を加算することに改めることとし、特例適用の場合の算定方法の改善をはかることといたしました。
附則一項では、この法律の施行期日を昭和三十九年四月一日とし、二項では、昭和三十八年度以前の予算にかかる国庫負担金および国庫補助金については、なお、従前の例によることといたしております。
以上、この法律案の概要について、御説明申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/64
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065・中野文門
○委員長(中野文門君) それではこれより質疑に入ります。
御質疑のおありの方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/65
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066・加瀬完
○加瀬完君 局長に伺いますが、いわゆる学級数と、ここでいう教室の数といいますか、学級数ですね、違ってくるわけですね。具体的に、たとえば現状六学級、あるいは十二学級、十八学級という、小学校の場合、中学校の場合、政令できめるということでございますが、標準により算定した学級の数ということはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/66
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067・杉江清
○政府委員(杉江清君) お尋ねの趣旨は、たとえば十二学級の場合の新旧基準の坪数のことでございますか、学級数のことでございますか、ちょっとその御質問がはっきりいたしませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/67
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068・加瀬完
○加瀬完君 六学級編制の小学校とすれば、ここでいうこれから政令できめられる算定した標準の教室数というのは幾つになるのですか、そういう意味です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/68
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069・杉江清
○政府委員(杉江清君) ここで言いますのは、いわゆる教職員の定数法の標準によって算定するということで、現にたとえば五十三人のクラスであれば、それを昭和三十九年には四十九人にしていく、こういう考え方で新らしく計算し直した学級数をいうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/69
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070・加瀬完
○加瀬完君 そうすると、新しく計算した学級数と、補助対象になる学級数というのは同じということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/70
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071・杉江清
○政府委員(杉江清君) ここではあの定数法による標準をそのまま適用して計算するわけで、実学級数とは必ずしも一致いたしません。実学級数はあれの上下に多少の変化を見せて、実際に学級数編制が行なわれることがあり得るたてまえになっておりますから、その間完全な一致をみないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/71
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072・加瀬完
○加瀬完君 そうすると、三十九年からは小学校ならば四十五名という基準の数で計算するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/72
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073・杉江清
○政府委員(杉江清君) あの定数法によっては年々その基準が下げられることに予定されておりますが、その定数法で予定しておりますあの標準によって計算した学級数を言います。実際にはそれとやや異なる学級編制をする場合があるわけでございますが、この負担法の対象としては、あくまでもあの標準そのままで学級数を計算いたすわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/73
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074・加瀬完
○加瀬完君 そうすると、五年たたなければ四十五という基準数で計算をするということはあり得ない、一名ずつ減らしていく、それを基準とする、こういうことになるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/74
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075・杉江清
○政府委員(杉江清君) そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/75
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076・加瀬完
○加瀬完君 そうすると、現状をただ児童、生徒一人当たり何坪という計算をすると、実際は児童が減少し、生徒が減少すれば坪数が減る計算になるので、そのマイナス分を教室数ということに置きかえて幾らか防いできたということであって、現状よりも、たとえば特別教室とかいったようなものが新しく補助対象になるというのではないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/76
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077・杉江清
○政府委員(杉江清君) そうではありません。具体的に言いますと、四十三年度には大体四十五名となると思います、定数法の標準でいきますと。そういたしますと、九十五人おる場合には一体何クラスに編制されるかというと、標準法では、これは標準法の理論どおりといいますよりも、標準法そのままを形式的に適用いたしますと、これは三クラスになるわけです、九十五名の場合は。ところが実際には、その場合には二クラスに編制することがあり得るわけなんです。しかし、この負担法の対象としては三クラスとして計算して資格坪数を算出いたしますと、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/77
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078・加瀬完
○加瀬完君 それはおかしいじゃないですか。二学級に編制をすることがあり得ても、それは便法であって標準法ではありませんよね。事実はそういう二学級に編制をしている学校もあるかもしれぬけれども、それは二学級に編制していることが間違いなんであって、標準法から言えば、いまの例ならば三学級に編制をすべきものなんですよ。ですから三学級に編制しているところだってあり得るわけで、それならば何も教室がふえたことにならぬでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/78
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079・杉江清
○政府委員(杉江清君) 標準法ではそういう場合に、それは地方教育委員会の判断を認めて、その学級編制をすることができるようなことになっております。しかし、こちらではいわば理論学級を採用しているわけで、常にあの法律で規定いたしております標準の数そのままを適用する。しかし、そのことは、たとえば九十五人の場合はこちらは三学級編制として計算いたします。そのときの一学級の数はこれは三十一、二名になるわけですね。だからぐっと下回りますけれども、しかしこちらでは三学級として計算いたします。こういうたてまえになっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/79
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080・加瀬完
○加瀬完君 私が伺いたいことは、端的に申し上げますと、現状の児童生徒を一人当たり何坪という計算でやることと、今度の計算でやることと、ただ児童生徒単位にやる計算ではマイナスが出るから、そのマイナス分を何とかカバーするというだけのことなのか、それとも新しく今度の計算のほうが教室数でも何でも補助対象がふくらんできたということなのか、そのどちらなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/80
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081・杉江清
○政府委員(杉江清君) 両方でございます。まず、先ほど申し上げました例をとって御説明申し上げれば、九十五人の場合はこちらは三クラスにして計算いたします。ところが、いままでの基準であれば九十五人に基準坪数が限られてしまうから、基準坪数が五十人編制をたてまえとして計算されておるので、だから百五十人おったときにちょうど基準の期待する資格坪数が出てくる。ところが九十五人の場合も、いままでの基準で言いますと、百五十人おったものと同じ資格坪数になってくるわけなんです。その上、今度は基準を引き上げておるわけなんです。その基準の引き上げは、特別教室分において明らかに顕著な差が出てまいるわけです。普通教室分は従来と同じであります。しかし、特別教室分においては従来よりも相当引き上げております。そこで、では実態的にどういうふうな有利な結果になるかということを私どもの推算で申し上げますと、三十八年度において実際の一学級の生徒数を実態から計算いたしますと、実質には両者合わせて小学校においては三割の引き上げ、中学校においてはやはり三割近い二割七分の引き上げ、この程度に実質の引き上げができる結果になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/81
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082・加瀬完
○加瀬完君 よくわかりました。そこで、次のことが問題になると思うのです。御説明の、それから配付された資料によりましても、国庫負担の対象の割合を七〇%から八〇%に引き上げるということですね。そうですね。七〇%から八〇%に引き上げるということは、一〇%引き上げたんだからこれは悪いことじゃない。しかし一〇〇%対象があるのに八〇%で、あとの差の二〇%というのは相変わらずこれは対象外になるわけですね。いま結局二割なり三割ふくらんだところで、その事業量というものを全部八〇%というワクで含め切れるかというのです。結局、実際は八〇%を予定しても、事業量がふえてくるわけでして、これは各市町村がみんなやるということになったら七〇%以下にもなるという心配が出てくる。ですから、くどくど申しましたが、質問を分けてはっきり二つ申します。一〇〇%があるものを八〇%の限界にとどめておかなければならない理由はどこにあるのか。結局二〇%漏れるのじゃないかということが一つ。相変わらず八〇%というワクをきめておくなら、八〇%も事業量がふえてくれば対象にすることができないのじゃないか、そういうおそれはないか、この二点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/82
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083・杉江清
○政府委員(杉江清君) これは法律の趣旨からいいまして、当然一〇〇%を補助対象にすべきものになります。ただ、従来実際の学校の建築が自己負担で行なわれた実績があるわけでございます。そしてまた、国が補助金ないし起債措置等を認める場合に、自己財源でやるということをある程度予定するのが一般に行なわれている例でもあるわけなんです。そういうことから、このような取り扱いが十年来行なわれてまいったわけです。しかし、これは理論的にいいまして、そのようなことがいいという理由は私はないと思います。そこで、これは漸次改善いたしていくべきものでありますが、私ども要求としては一〇〇%を要求いたしましたが、一〇〇%にいたしますと、それだけでも八、九十億円の予算の増になってまいるのでありまして、いろいろ改善すべきことが多かったものですから、今回はその点は一割の引き上げになったわけであります。しかし、実際じゃ補助金を交付するために、実際は必ずしも八割に、すべての場合に二割を切り捨てているというわけではありません。いわゆる事業計画全体をはかるのにそういうふうな原則がとられておるということ、そしてまた補助金交付の場合にもその原則が加味されていることではありますけれども、しかし、たとえば学校統合のような場合は、どうしてもこれは市町村の負担が多くなるものですから、実際にはこの負担対象率は九〇にいたしております。一割だけを切り捨てて九側を補助対象にしておるわけです。その他の費目におきましても、従来七割は実際には相当それを上回った計算をいたしております。
ところで第二の質問でございますが、このように負担対象率を一割引き上げましても全体の事業量が多くなるのだから、やはり市町村の負担は多くなるのではないか、こういうふうな御質問だと思いますが、それは私はそういうことにはならないと思います。いま申し上げましたように、実際に補助金を交付するときには、今回引き上げられた一割は現実にアップいたしますし、それからその他について改善されているから、その全体の事業量の増は、これは結局その市町村が独自に必ずやらなければならぬということにはなってまいらないわけなんです。結局それだけは後年度に回すという措置がとられる。そうしたらいままで以上に進度がおくれるかということですが、今度の予算では五十億組んでありまして、全体にその進度は、いままでよりもぐっと早まっておるわけなんですから、市町村の負担が、いままで以上にふえるということは絶対にございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/83
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084・加瀬完
○加瀬完君 市町村の負担のことはあとにします。ですが、私も三十八年度よりも三十九年度のほうが一歩前進したことは認めます。確めますけれども、しかし、七〇%が八〇%に上がったにとどまって、まだ二〇%残るのじゃないか。これはあなたがおっしゃるように、事業縮小は後年度に回すか、あるいは自己財源の負担でやるか、いずれかの方法をとらなければ、まだ小中学の校舎は建たないということになる。とすると、九〇%、あなたのおっしゃるように補助をするところがあれば、片一方、七〇%にしなければならないところが当然出てくる。それで、政治折衝や何かいろいろ行なわれて、こういう基準があるのだから、いずれの学校も条件があるならば、補助の対象になるべきものが、なる町村もあれば、ならない町村もあるという現実を解消するわけにはいかないということが一つ。
それから、八〇%に上げたところで、現在までも、危険校舎の解消にいたしましても、あるいは二部授業等の不正常授業の解消にいたしましても、計画どおりには進まないわけですよね。あるいは文部省の計画そのものは、具体的な自治体の計画とはまだズレがあるわけです。そうでしょう。ですから自治体の計画を主体に考えれば、自治体が計画どおり自分たちの不正常授業、あるいはいま育ったような対象事業というものを進めてまいりますと、御説明の計算とは合わなくなってくる、そういう心配がまだ残るのじゃないかということです。そこで、一体早くあげなければならないそうですから、簡単に先に進みますけれども、市町村の超過負担率といいますか、補助対象にならないで負担をしている現状というものをどう負担していらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/84
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085・杉江清
○政府委員(杉江清君) 超過負担の原因は、まず大きいものはいまの負担対象率の問題であります。それと、従来は基準が一人当たりになっておったということで、規格坪数が非常に切り下げられておったということと、特別教室分が非常に少ししか見積もられていなかったということ、そのほかに、いわゆる単価、構造比率の問題が、実際、実情に即さない、非常に低く見積もられておった、これらが相重なって市町村の負担を非常に大きくしているのじゃないか。なお、そのほかに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/85
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086・加瀬完
○加瀬完君 その金額はどのくらいになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/86
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087・杉江清
○政府委員(杉江清君) その辺の詳細な資料は三十六年度の資料しかございませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/87
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088・加瀬完
○加瀬完君 けっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/88
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089・杉江清
○政府委員(杉江清君) 三十六年度について見ますと、国の補助額は百四十三億、それに対して起債額は百四十九億、自己負担額は五百三億です。国の現実の負担は二割にも満たないと、こういうことが昭和三十六年の資料からは言えます。ただし、先ほどの説明につけ加えたかったことでありますけれども、自己負担でやっておりますこの事業は、これは全部国の負担の対象と本来なるべきものとも言えない部分が含まれております。たとえば、いままでは小学校の屋体とか、講堂であるとか、それから基準外の特別教室であるとか、その他のものがここには含まれておる。すべて合わした全体の建築量に対する経費を見積もったものであることをつけ加えておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/89
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090・加瀬完
○加瀬完君 よけいにつくることはけっこうなんですよ。しかし、補助単価が低いとか、あるいは補助対象の捕捉のしかたが幅が狭いとかいうために、当然、増改築をしなければならない危険校舎なり、あるいは不正常授業解消のための校舎なりというものは、条件の悪いために建てられないで、事業が延びているものがどのくらいありますか、坪数にして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/90
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091・杉江清
○政府委員(杉江清君) その資料はちょっとつかみにくくて私ども持ち合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/91
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092・加瀬完
○加瀬完君 小中学校の自己負担というものの何分の一かは、これはほとんど寄付が多いと思うのです。昨年、地方財政法の二十七条を改正をいたしましたけれども、いわゆる高等学校だけに限ってみても、三十六年度決算では、市町村分を住民が負担したものは三十一億二千六百万円を建設事業費として、土地その他を合わせると四十三億四千三百万ということになっていますね。その他人件費、物件費で九十三億七千五百万寄付しているのですね。寄付によってまかなわれている、こういう状態の中で八割で切ったり、あとで単価を申し上げますが、単価も実際の単価よりもいままで低かった、こういうことでは、文部省の不正常援業とか、あるいは危険校舎の解消というのはなかなか計画どおりいかないじゃありませんか。そういう事情が明瞭になっておるにもかかわらず、対象を八〇%で切るということはわからない。これは文部大臣に伺いたいのですが、八〇%で財政の関係もありましょうけれども、義務教育ですから市町村の財源がない、国が補助をしない、それがほとんど父兄のほうに回っているということは、これはおかしいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/92
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093・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) お答えになるかどうかわかりませんが、おかしいといえば確かにおかしいのであります。ただ、この学校施設の整備につきましては、いい悪いは別といたしまして、長い間の一つの慣行といいますか、しきたりがあるように思うのであります。戦前は、私の記憶するところでは、学校施設に対する国の補助はなかった、戦後のことでございますが、まあ従来地元の人たちの教育に対する熱意という面から学校が生まれてきておる例が多いように思うのです。そういう関係で、地方の人の負担というものがかなり大きく増されてきたように思うのでございます。しかし、これは私はいつまでもこのような姿で、いわばすっきりしない姿であります。これは改善すべきものと考えておりますが、長い間そういうふうな実情でもってやってまいった、そのためにこの前の法律のときにも、いまの七・三といいますか、三割ぐらいは自己負担というか、地元負担というふうな形でやってまいったと思うのでありますが、これを一挙に解決するということはなかなか容易でございません。ただ、いまのようなことをやっておりますために、先ほど来御質疑に対してお答えいたしましたところを聞いておりましても、まことにすっきりしないものがあるわけでございます。われわれとしましては、漸次これを改善してまいりたい、このような考え方のもとに、実は来年度の予算につきましては一〇〇%よこせという要求もいたしたのでありますが、そこまで目的を遂げることができませんでしたが、大蔵省の頭の考え方も少しかえてもらいまして、なるべく早く一つこのようなすっきりしない形は直してもらいたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/93
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094・加瀬完
○加瀬完君 そこで地財法の二十七条の内容が問題だと思うのですよ。高等学校は建設事業費について寄付をしてはいけないということになっているけれども、維持補修について寄付をしてはならないとはなっておらない。小中学校は、まあ維持補修といいますか、そういうものの寄付を取ってはならないということになっているけれども、建設事業費については寄付を取ってはならないとなっていない。だから、増改築の事業費は、小中学校は寄付をもらうたてまえがそのまま残っておるわけです。で、高等学校は維持補修については寄付を集めてもいいという点が許容されているわけです。これが、高等学校はいま急増対策や何かで問題になっているところですから、計算がありましょうけれども、高等学校はどのくらいになっていると御認識ですか。この維持補修費をどの程度取っていると御認識ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/94
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095・杉江清
○政府委員(杉江清君) その具体的な数字は承知いたしておりませんが、いますぐに初中局のほうへ聞いてお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/95
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096・加瀬完
○加瀬完君 昭和三十八年に、ある県で施設充当費というものを各学校全部、それから施設充当積み立て金というのを取っている。これを合わせると月額が一億八千二百九十七万、年額にすると二十一億九千五百六十七万——二十二億です、概算。これを十五億平均に計算いたしましたところで、全国になりますと、これは六百億から七百億となりますよ。これは事業量をどんなに押えたって、知事が案外事業量をストップすることに賛成したのは、文句を言わないのは、施設充当費で幾らでも取れますという抜け道があるからですよ。これを今度上げてきますよ、六百億から七百億の。これは有無を言わさず、授業料同様に毎月徴収する金で校舎が維持されているという、高等学校ですらそういう状態です。小中学校になればこの寄付というのはさらに大きいと思う。それを何らチェックする方法を考えないでおいて、そして八〇%に切るということになれば、これは校舎を建てたいですから、自己財源ありませんから、まあ寄付のほうへ持ってくるという形になろうと思うのです。まあ私的に伺っておりますと、学校が建たないよりは、少し無理しても、学校のことだから、少し寄付をもらっても学校を建てたほうがいいだろうという考え方が、どうも文部省のほうにはあるように思われますけれども、これはやはり財源のあるところはりっぱな校舎が建つ、財源のないところはもう危険校舎でもそのまま過ごされるということであってはなりませんので、ひとつ八〇%のワクを広げるという点について、もう一段の大蔵省に対しまして御交渉をいただきたいと思うわけです。
質問を次に移しまして、次は建築単価の問題です。今度、法律改正をなさいましたけれども、この単価のことについて、単価をどういう場合どう変えるとか、あるいは単価が結局物価の変動でもあればひとりでに上がってくるというようなきめ方は、別に従来もなければ、今度もないわけです。で、問題は単価のきめ方ですよね。今度は木造が四万八百円でございますか、それからいわゆるブロックが五万五千円、小学校ですが。鉄筋が七万二千五百円ということでございますか、単価の改定をした値段は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/96
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097・杉江清
○政府委員(杉江清君) ちょっと違います。申し上げますと、昭和三十九年度における小中学校校舎の単価は鉄筋が七万二千五百円、鉄骨が五万五千円、木造が四万八百円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/97
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098・加瀬完
○加瀬完君 いまそう申し上げたはずですけれどもね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/98
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099・杉江清
○政府委員(杉江清君) それじゃ私の聞き間違いですが、これは前年度に比べまして、鉄筋で六分九厘、それから鉄骨で六分、それから木造で七分九厘のアップになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/99
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100・加瀬完
○加瀬完君 昭和三十六年は木造が三万六千五百四十一円、それからブロックといいますか、鉄骨ですか、それが四万七千七百四十円、鉄筋が六万四千四百四十四円ということでしたね。それで、昭和三十六年と、昭和三十九年——といっても、九年の現在の物価をどうこうするわけにいかないから、三十八年の一番終わりごろの物価指数というものと比べてみて、バランスは合っているのですか。——こう聞きましょうか。三十六年でそうであって、三十八年に一応修正して、三十九年にまた再修正が行なわれたわけでございますが、その計算の算定の基礎はどういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/100
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101・杉江清
○政府委員(杉江清君) これはこの従来の経過がかなり複雑でありまして、年々のこのアップの理由は必ずしも一つになっておりません。で、本年度におきましては、昨年度と本年度との物価アップのほかに、その地域的にいろいろなよけいな金がかかります。たとえば寒冷地であれば特別な施設をしなければならないとか、その他地域的に、たとえばシロアリのつくところでは特別な装置もしなきゃならぬというようなこと、そういうような地域的な特別な費用のかかるものをそれぞれの地域について出しまして、そうした特別の経費をそれに付加する、こういうことで要求をし、そういう趣旨が認められて、先ほど申し上げたようなアップ率になったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/101
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102・加瀬完
○加瀬完君 それはまあ一般基準のアップされたものに、特別の条件があったものはさらにアルファを加えるということでなければならないわけですね。シロアリの問題とか、風の問題とか、いろいろの条件をつけたっていったって、それで一般の基準が出てくるわけじゃない。
大蔵省の主計官がおいでになっていると思いますが、いますか。——この問題は昭和三十九年じゃないのです。三十六年のこの三万六千五百四十一円とか、あるいは六万四千四百四十四円とかをきめるときに、大蔵省の——当時のですよ、主計官は誤りを認めているのです、計算の。たとえば大工とか、左官とかという賃金のとり方が、やはり正確でなかったことを認めているのです。だから、今度の三十八年の場合には、三十六年の問題点が修正されて、三十八年の数字になっていなけりゃならないわけですわね。で、私はこの三十八年の数字に問題があると思う。そこで、大蔵省に伺いますが、一体、三十六年に比べて三十八年は、卸売り物価指数を何%アップと見たのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/102
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103・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) この文教教育施設の単価の問題でございますが、この単価は、実はただいま予算単価のほうが実際の単価よりも低いかという御指摘かと存じますが、実は昔からの沿革をながめてまいりますと、予算単価のほうが実際高かった時代もございます。二十八年から三十三年度ごろまでは、予算の単価のほうが高かったわけでございます。それが三十四年ころから若干差がつき出したわけでございます。三十六年度、三十七年度くらいから格差が若干広がってきているような状態であったわけでございます。三十九年度の予算単価を検討いたします際に、ただいま御質問では、三十六年度から出発してどうやったかというお尋ねでございましたが、三十八年度の単価を、一応私らは労務費が幾らでございますとか、鋼材が幾らでございますとか、そういった関係で再検討いたしたわけでございます。で、この物価差だけを三十八年なら三十八年、鉄筋で申し上げますと、六万七千八百円という単価を一応まるのみにいたしまして、物価だけを見るならば、それだけに物価の伸びの予測をかけるというようなことが普通のやり方であるわけでありますが、それだけでまいりますと、実は物価の問題だけ取り上げるということになりますと、大体四%ないし五%ちょっと割るくらいのところが、予算をつくっておりましたときに出た数字かと記憶いたしております。それ以外に、ただいま申し上げましたとおり、一応、単価の中身を再検討いたして、結論的に、大体七%アップというような結果になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/103
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104・加瀬完
○加瀬完君 問題は、資材費と労務費が一番大きく作用するでしょう。資材費は地域によっても、木材なんかの場合は、これは若干上下がありますから、まあ一応資材費は、卸売り物価なんかの指数で押えるほかないでしょう。問題は労務費です。労務費の押え方が、三十六年は実際とは非常に合わなかったわけです。三十六年から賃金が下がっておらない。むしろ非常に上がっておりましょう。その押え方を三十六年の労務費も非常に低く押えたけれども、三十七年に修正されているかどうか、こういう点です。これが修正されておらなかったら、実際、現状七万二千五百円で鉄筋コンクリートができるかどうかというのです。また、昨年は、現実に六万七千八百円でできておったかどうかというのです。計算上できるということであれば、これはやり方が悪いということもありましょうけれども、労務費を正しく計算しているかどうか、算定の中に。その問題です。大工を幾らと見ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/104
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105・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) その単価の中身につきまして、実はいまちょっと資料を持ち合わせておりませんが、ただいま申し上げましたとおり、労務費なら労務費、それから資材貨なら木材、セメント、砂利等につきまして検討をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/105
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106・加瀬完
○加瀬完君 それじゃ、労務費の大工、左官あるいはとび職なんかの賃金というものは、どこの数字で押えましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/106
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107・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) これは、われわれが一般的に事務的に使っております資料で、「物価積算資料」という分厚いのがございます。これは何もこういったものに限らず、全部私らの事務的な資料でございますが、それは全国の主要都市の指数と、それから全国平均とあわせてとっておる資料だと存じております。それを使っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/107
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108・加瀬完
○加瀬完君 政府の統計はどこで出しておりますか。こういういわゆる労務者といいますか、政府の統計は、どこで出しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/108
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109・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) 労働省の賃金基準統計であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/109
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110・加瀬完
○加瀬完君 それを大蔵省は使わないのですね。一番正しい統計は労働省の出した統計でしょう。その統計すら使っていない、これはどういうわけですか。都市といったって、東京都なら東京都で一体調査したものを使うかというと、これもやっぱり使っておりませんよ。基準がないですよ。今度は知りませんが、三十六年度までは基準の取り方が適当でなかった。しかも、それは政府の調査機関が正しく調査した調査よりはるかに下回った数字を押えている。それを基準にしている、これは不合理だと思う。労働省で調査した調査がありましょう、あれはたしか九月ごろ出すのじゃないですか、毎年の。前年の九月のものをいまごろなら押えられるわけです。それを基準にしなければ正しい計算が出てきませんよ。この前もこれを私が指摘したときに、一応当時の主計官は、それを認めることをお約束をしてくれたはずなんですよ。これは文部省にも伺いますがね、初めての問題じゃないのですね。内閣にせっかくいい統計が出ているのに、その統計を基準にすれば単価がもっと上がりますよ。それをどうして政府の統計でありますのに、大蔵省だって承知をしないわけにはいかないはずなのに、なぜそれをおとりにならないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/110
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111・杉江清
○政府委員(杉江清君) 私まことに相済みませんが、その辺の十分な知識を持ち合わせておりません。ただ、考え方といたしまして、毎年物価のアップ率は、私どもといたしましては、これは常に要求し、それについては相当程度認められてきているということと、私どもで率直に言いまして、問題点は基礎となる数字にやはり問題がある、それは三十六年度よりももっと前にさかのぼるのじゃないかという考えを持っておりますが、ただいまの御質問に対しては正確にお答えする知識を持ち合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/111
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112・加瀬完
○加瀬完君 ですから、一番初めの基礎の計算が低いのです。実際価格が違う、単価が実際単価と。それを押えて、それを修正していくというなら、修正の条件というものが的確に出されなければならないので、たとえば、木造なら木造、鉄筋なら鉄筋、こういうものの値段の上下がどう反映しているかという資材の関係がありましょう。しかし、問題が大きくはね返っているのは労務費です。労務費を安く押えてしまうと、これは非常に建築に支障を来たしますね、これは鉄筋であろうが、木造であろうが。それじゃ文部省は大工を幾らと押え、左官を幾らと押え、とび職を幾らと押えているのですか、単価を。それがなければ積算の基礎ができない、計算できないわけです。これは押え方は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/112
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113・中野文門
○委員長(中野文門君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/113
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114・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/114
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115・杉江清
○政府委員(杉江清君) いまのアップ率については労働省の統計を用いて計算いたしておるのでありますが、その基礎になる数字そのものの妥当性については、一応私どもで検討いたしておるようでありますけれども、実際にはそれらの検討が十分生かされていないという実態になっております。その点はそういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/115
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116・加瀬完
○加瀬完君 政府の労働省の統計部ですかが、はっきりと、平均賃金でも、全国常用労務者ですか、その中の大工は幾ら、左官は幾ら、それからこまかくとび職から石工ですか、みんな出ているわけですよね、そういうものを基準にする以外に全国的な基準というものはないでしょう。それはアップ率なんと言ったって、その基準が固まっていなければ、何を基準にしてアップしたのかわかりませんよ。これは大蔵省にまあお伺いよりお願いです。今後の改訂のときには、それは文部省に非常に有利とか、地方団体に有利とかいう問題じゃありませんからね。大工とか、左官とか、あるいはとびとか、こういった労務者の賃金については、一番近い労働省の統計を基準に押えるということをお約束いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/116
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117・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) 先ほど申し上げました積算資料というのは実は内部のもので、便利なものでございますので、つい使ってしまうわけでございまして、御指摘のとおり、政府で出しておりますそういった資料によるのが正しい態度じゃないかと思いますので、今後はそういうふうに配慮いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/117
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118・加瀬完
○加瀬完君 局長に伺いますが、木造四万八百円、鉄筋が七万二千五百円で実際今日できますか。三十九年度事業として、実際単価がそれでできます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/118
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119・杉江清
○政府委員(杉江清君) それについては、私どもの持っている資料によりますと、これは鉄筋コンクリートについて申し上げますが、三十八年度の小中学校校舎の実施例から見ますと、坪当たり七万五千円になっております。で、これは予算単価を九%上回っております。ところで、この中には予算単価に含まれていない特殊工事費も入っているわけで、それを除外いたしますと、坪当たり単価は七万一千四百円となりまして、予算単価との開きは約五%となります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/119
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120・加瀬完
○加瀬完君 三十六年の改訂のときに、東京都の実績調査では、木造が四万二千二百十三円、で、その前の三十何年ですかのときから見ると六二・五%ふえている。鉄筋が七万九千九十八円、四〇・七%ふえている、こういう報告が行なわれたわけですね。ですから、一体そうすると、三十六年でも七万九千円、約八万円かかったものが、大体、東京近県では坪八万円といったら一番安いところじゃないですか。七万一千幾らでできるというのは、全国平均でそういう数字が出るかもしれぬけれども、どうもその計算が実際単価とは違うように思われますけれども、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/120
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121・杉江清
○政府委員(杉江清君) 確かに実際の実績の単価は各地域によってまちまちでございます。ところによっては予算単価以下でやっている事例もあるわけであります。また、それを相当上回っている事例ももちろんあります。そこにまあ国の予算単価のきめ方のむずかしさがあると思いますが、しかし、総体的に見まして、先ほどのように全国平均で見ましても約九%、特殊工事費を除いて五%の開きがあるのでございまして、私どもはこの単価はなお今後高めていかなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/121
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122・加瀬完
○加瀬完君 いや、高めていくための前提としては、適正な単価を改訂のときにはっきりときめなければ、いつでもきめられた単価よりも支出の単価、実質単価というのが上回ってきて、赤字がどうにもあとを引くということに私はなると思うのです。で、七万二千五百円でおできになるというのなら、私は文部省でも大蔵省でもいい、最近、政府でいろいろ鉄筋コンクリートの建物を建てているでしょう。まあ教室とは内容が違うかしれませんけれども、七万円かそこらでできますか。国立大学、どこか改築したところあるでしょう。単価が七万二千五百円あるいは七万五千円ぐらいでできていますか。教育会館は幾らですか、単価は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/122
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123・杉江清
○政府委員(杉江清君) 教育会館の単価を、私、現在承知いたしておりません。国立大学においては公立の場合よりも高い単価を用いております。ただ、国立の場合は、これは付属学校でございますので、やや特別の施設を必要とする実情もまあ加味されておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/123
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124・加瀬完
○加瀬完君 国立でも付属小学校、付属中学校がありますね。最近どこか計画のある付属中学、付属小学校の単価はやっぱり七万二千五百円ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/124
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125・杉江清
○政府委員(杉江清君) いや、七万八千円になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/125
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126・加瀬完
○加瀬完君 文部省の直轄の学校は七万八千円でなければできないし、地方なら七万二千五百円でできるということはおかしいでしょう。七万八千円でもできるかどうかむずかしいと思うのです。大蔵省に伺いますが、七万二千五百円できめられたような規格の建物が建たないということ。——こう言いましょうか、建つという計算がお立ちなんですか。実際は七万二千五百円では一坪の単価にも当たらないで、もっと上回るというような場合には、来年度やっぱり単価の改訂ということについて御考慮がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/126
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127・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) 国立文教施設におきます本年度の単価、たとえば鉄筋の七万二千五百円で建つかというお尋ねでございますが、私らといたしましては種々検討いたしまして、全国平均といたしましては、これくらいの単価でお願いするということに了解がついておるわけでございます。もちろん各地各地によりまして実際の具体的な単価と申しますのは、ただいま文部省から御答弁申し上げましたとおり、いろいろ違うわけでございますが、平均単価としてはこのくらいでよかろうという感じを持っておるわけであります。なお、国立との比較のお話しが出たわけでございますが、国立は予算単価が七万八千六百円でございます。国立の場合につきましては、あまり単価の点は公立の場合と比較いたしまして特に足りないという話を聞いておりません。しからば、国立の場合と公立の場合となぜ単価がこう違うかというお話しが次に出てくるのかと存じますが、まあ公立の場合の七月二千五百円が、それくらいでよかろうという一つの傍証みたいなお話しでございますが、一応、国立の場合の七万八千六百円というのが、まあ適正な単価であるという前提に立ちました場合に、その中の単価の構成要素、たとえば木材とか、セメントとか、砂利、こういったものを比較してみるわけであります。全国一本にして比較してまいりますから、国立の場合は大体傾向といたしまして都会地に偏在をいたしております。公立の場合は全国に広く散在をいたしておるわけでございます。国立の場合につきまして、全国の主要都市の物価傾向と、それから全国平均の物価傾向をながめてみますと、たとえば木材でありますとか、セメントの場合でありますと、国立の場合が高くなっております。反面、鋼材、ガス管等は国立の場合が安くなっております。そういった両者の格差の説明といいますか、そういったものをやってまいりますと、大体平均六%くらいの格差が出ておるという一応の積算になっております。したがいまして、国立の場合の七万八千六百円というのが、一応適当な単価であるというあれに立ちますと、公立の場合の七万二千五百円というのは、一応説明つく単価ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/127
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128・加瀬完
○加瀬完君 鉄鋼なんかは一応三十六年と比べて指数は下がっておりますね、木材もそう上がっておりませんね、しかし、家賃地代なんかになりますと、二十何%も上がっていますね。そうすると、土地の取得をするためには、いままでよりも市町村としては家賃地代が上がるくらいですから、土地の価格も上がっているわけですから、土地の取得のために出す支出というのは、いままでよりもよけいになりますね、しかしこれは補助対象にはならないわけです。自己負担として非常に重くなる、消費者物価指数でも、三十五年を一〇〇とした場合に三十六年が一〇五・二であった増加率が三十八年は一二二・七でしょう、これはやはり賃金が相当上がっていると見なければならない、賃金も相当上がってまいりますよ、三十六年と比べて。そうなってまいりますと、七万二千五百円というものは三十六年度——三年くらい前でも東京都なんか八万円かかったんです。関東の近県でも大体標準は八万円でしょう、非常に安くなってもうかったというところでも七万七、八千円でしょう、八万円をこえていますよ、大体。これは鉄筋コンクリートの校舎なんていうのは、全国的にどこへ行っても、東京が八万円でも地方に行けば五万でできるということはあり得ない、それは木造にしたって、鉄骨にしたって、やっぱりこの単価では相当私は持ち出し財源で埋め合わせなければ建物は実際に建たないと思うのです。事業縮小をせざるを得ないと思う。八〇%に対象をふやしたところで、仕事そのものはできなくなってくると思うんです。これはひとつ計算の基礎を、お互いに文部省の言い分だとか、大蔵省の言い分だとか言わないで、建設省なんかにも相当関係があるんですから、建設省なんかの専門家も入れて、計算の単価を出す基礎をもう少し三者なり四者なりで相談をして、少なくとも現状これで三十九年度できないという場合には、四十年度には解決をして、基礎を固めてから計算をしていくという方法をとっていただかなければ、いつまでたっても地方は単価が低くて、それで途中から八割なら八割で切られる、こういうことでは、七万二千五百円でつくろうとする場合は、ある程度建築そのものを落とさなければならないという形になって、これは文部省や大蔵省のねらっている国庫補助の目的にはずれるわけです。そういう意味からも、七万二千五百円その他の計数というものは、来年度やってみてだめだったということなら、再度、緻密な計算をし直す、し直していただけるというお約束をしていただけますか。そうでなかったら、これはもう少し私は質問しますよ、計算になっていませんよ、これは文部大臣いかがでしょう。もし三十九年度やってみて、いろいろ文句が出たならば、もう少し緻密な計算で単価をきめ直すということにお骨折りをいただけるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/128
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129・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) この単価の問題は毎年実はお互い悩む問題でございます。われわれとしましては、助成をいたします以上は完全な助成がしたいわけであります。さて、やってみますというと、それが単価の関係から満足な助成にならない、こういうふうな場合も少なからずあるわけでございます。これはおそらく予算執行の任に当たるものとしましては、常にそんな悩みを感ずる問題でございます。しかし、また一面からいいますと、予算全体を編成する立場の大蔵省としましては、そうまた各省の言いなりにもなかなかなれないというような点もあるかと思うのであります。しょっちゅうこの問題では実はやり合っていることでありますが、いずれにいたしましても、国が助成をいたします以上は、やっぱり合理的な助成をしなければならぬと思います。その意味におきまして、われわれも単価の問題につきましては実は本年度も努力いたしたつもりでございますが、一そうの努力を傾けまして、なるべくひとつ地方に迷惑をかけないような補助をいたしたいものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/129
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130・中野文門
○委員長(中野文門君) ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/130
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131・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/131
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132・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) 単価の点につきましては毎年々々実情を勘案し、大蔵省におきましても検討を続けてまいる所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/132
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133・加瀬完
○加瀬完君 実情というのは、少なくも統計は政府統計を基準にして考慮をするという意味に解してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/133
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134・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) それでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/134
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135・中野文門
○委員長(中野文門君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/135
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136・中野文門
○委員長(中野文門君) 御異議ないものと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/136
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137・中野文門
○委員長(中野文門君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/137
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138・中野文門
○委員長(中野文門君) 全会一致と認めます。よって本法案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際おはかりいたします。先ほど理事各位と御協議、決定いたしました附帯決議案を便宜私より提案いたします。
まず、案文を朗読いたします。
義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
義務教育水準の一層の向上を図るため、政府はすみやかに次の措置を講ずべきである。
一、公立義務教育諸学校の施設の整備に必要な経費については、小学校、中学校の別なく、国がその二分の一を負担すること。
二、公立義務教育諸学校の校地の購入についても地方財政の実情にかんがみ起債を十分に認めること。
ただいまの付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/138
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139・中野文門
○委員長(中野文門君) 全会一致と認めます。よってただいまの附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決しました。
文部大臣より発言を求められました。これを許します。灘尾文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/139
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140・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) ただいま御決議のありました公立義務教育諸学校の施設整備のことにつきましては、御趣旨を尊重して今後努力をいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/140
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141・中野文門
○委員長(中野文門君) なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/141
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142・中野文門
○委員長(中野文門君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/142
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143・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を起こして。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/143
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144・中野文門
○委員長(中野文門君) 私立学校振興会法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/144
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145・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 次官にお尋ねいたしますが、先委員会から大臣の私立学校助成に対して、その公共性に対する認識とその必要性についてはただしてきたところなんですが、精神論としては、大臣と私の考え方はほとんど一致しておりますが、行政部門としての態度としては、単に精神的に認めるということだけではなくて、やはり一つの措置というか、予算ということが具体的な問題になってくると思う。次官も、御承知のように、大学から幼稚園に至るまで、私立諸学校におきましては、振興会等に対する予算の総ワクの拡大ということを近年特に強く要望されているようですが、幸いに、今年度は若干ふえたのですが、今後とも予算の総ワクをできるだけ多くふやしていくという考え方に立っておられましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/145
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146・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) すでに御承知いただいておりますように、昨年から財政投融資の金も回して、原資をふやすという措置をとって、昨年二十億、本年四十億とふえてきたわけであります。前回に申し上げたと思いますけれども、大学急増対策というものは、昭和四十一年までに完了しなければならない。そうなれば、私学に期待する分野は一そう強まってまいると思います。特に、四十年度の予算というものは、その受け入れのためにも相当思い切って施設、設備の充実をはかっていかなければならぬ。そのためには、現在の、本年の十五億の出資、四十億の財投という程度だけでは、十分にその期待にこたえるわけにまいりませんので、おっしゃるとおり、今までのベースということにこだわらないで、その新事実の前に、思い切った措置をとるように文部省としては考えなければならぬではないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/146
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147・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 大学急増も、その重要性につきましてはさることながら、やはり前委員会から、私、所見を述べておりますように、幼児教育からずっと全体に対してもこのことが必要だと思うのです。だから当面、急増対策に集結するだけではなく、そのウエートの置き方については、おのおの見解を異にするのですけれども、大学急増という観点だけではなく、私学全般に対しての助成の拡大ということについてはどういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/147
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148・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) 大学急増問題が一番大きな課題であったものでありますから、ああいう表現をいたしましたが、本年は幼稚園に対しましても振興会から十分融資の措置をとられるように、特に幼児教育の充実ということと大学急増というものは、ウエートをどちらにかけてよろしいといったようなものではなくして、ともに十分な措置をしなければならぬ課題であり、私立学校全体の施設の整備につきましては、振興会出資金並びに財投の金によって原資をふやすということでいけば、おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/148
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149・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 単に施設あるいは設備だけではなくて、進んで運営費と、たとえば人件費ですね、これらについても早い時期にやはり予算措置を考えていくということを配慮していかないと、私立学校における父兄負担の増大というものは大きな問題だと思うのですね。だから、このことも全体に対してどう助成の拡大を行なっていくか、同時に、施設設備費についても当然検討していくべき段階にきていると思うのですが、所見はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/149
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150・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) 御承知のとおり、ここ累年、入学金並びに授業料の私学における増額は、目にあまるものがあると思います。そのよって起こった原因というものの中には、一つはやはり設備の近代化のために過剰投資と申しますか、過剰借り入れと申しますか、過剰借り入れをしなければならぬ、金利負担という問題が一つある。同時に、一方ではいわゆるベースアップ等に伴う人件費の増高がある。いままで文部省としましては、経常費については基本的に助成をしないのだ。それは私学の自主性、あるいは私学の学問の研究の自由というものにいささかでもタッチするようなことの印象を与えてはならぬという見解のもとに、施設に対する振興会出資というものを重点にやってきた。それに研究設備あるいは理科教育といったような形で、これに助成をしてきたということであるわけでございますが、おっしゃるとおり、父兄負担の限界をもうすでにこえるような結果になってまいっておりますので、経常経費というものについても、何らかの措置をしなければならぬということになってきていると思います。実は、この問題は先年来からの問題でございまして、私学側の意見も徴しております。私学側の意見の中にも、この際、経常経費を助成すべきである、端的にいうならば、私学経営というのは三分の一を国の助成、三分の一を授業料、入学金による収入、三分の一を寄付金といったような原則が打ち立てられるような方向で措置してほしいというような要請をされる向きもあるのでございますけれども、一方において、そのようなことが私学の自主性をそこなうのだというようなこと等もございまして、完全にまだ私学側の意見が固まったというふうには理解いたしておりません。そこで問題は、私学の自主性をそこなわない程度において経常経費の助成は具体的にどのようにすべきであるか、それができるかということを検討しなければならぬのが現在の段階ではないかと思います。そういう前提に立って、特に大学急増というものの私学にかける負担というものを考えるならば、放任できない立場だと思いますので、できるだけすみやかにその問題に対する国の態度というものをきめなければならぬじゃないかと、いま事務当局を鞭撻しながら検討いたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/150
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151・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 第三点の寄付の問題ですが、篤志家による一般寄付等についても、寄付したほうに課税されるという形になっているわけですね。これに対する免税措置等につきましては、すでに検討の時期に入っているとすれば、どういう方向に持っていきたいという方針でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/151
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152・杉江清
○政府委員(杉江清君) 税の減免の上で大きいものは法人税と所得税だと思います。この二つについて申し上げますと、現在、学校法人に対する寄付としては、損金算入の制度がとられているわけでありますが、これは一般のワクのほかに、特別ワクとして一般ワクと同額のものが認められている。それだけ多くのワクで損金算入が認められているわけであります。しかし、このワクの拡大ということが今後一つの課題だと思います。それからもう一つ、いわゆる指定寄付金の問題があるわけであります。これは現在、学校の校地校舎の整備に対する募金について、大蔵大臣の承認を得た場合においては、全額損金算入が認められているのであります。しかし、これについては、その範囲が校地校合に必要な、いわばものの整備に必要な面に限られているわけであります。これを他の研究費等にまで拡大するということがやはり今後の課題であると思います。なお、この指定寄付の制度は、相当手続もなかなかむずかしく、また、その期間が一年に限られているというようなことがあります。これらの手続その他の方法の改善ということが、やはり今後の課題になると思います。それから所得税につきましても、これは税額控除の制度がとられております。この税額控除について、やはり一定のワクがございますが、そのワクは、本年度ある程度拡大されます。ところが、私どもはこのワクをなお一そう拡大するということが今後の課題だと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/152
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153・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 大臣あるいは次官等で、大蔵省とそのことについて折衝しておられるとすれば、その経緯を簡単に御報告願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/153
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154・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) 現在、大蔵省側とこの問題について具体的にこのようにしてほしいという話はいたしておりません。昨年の八月の予算編成以後、いわゆる三十九年度予算を編成する過程において話し合いはしたことはございます。それはいま局長からお答え申し上げましたように、一番やはり出しやすい金というものは、やはり損金算入制度の損金額というものを大幅に見てもらうということが、一番能率的に金が出しやすいのではないか。現在の制限措置の中では十分な配慮ができないから、それを重点的にひとつ考えてもらえないだろうかというようなことを中心に、まあ諸外国の例を考えてみましても、この相続税という問題、いま言った損金算入制度の問題等が一番効率的に運営されておるんじゃないかと思いますので、そういうような方法をひとつ講じてもらえないものであろうかというような見地で相談をいたしておりますが、なかなか遅々として期待するようには進みにくいというような傾向でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/154
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155・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 なお積極的にそれぞれの必要な機関と進めていただいて、一日も早くこういった問題が解決するように御努力願いたいと思う。
もう一点、このことに関しまして、私立学校の中で、大学等におきましても国立学校の教授と比べまして若干給与が低いようですが、特にその差のひどいのは幼稚園教師ではなかろうかと思うのです。しかも幼稚園の場合は国公立に比べまして私立が非常に多いという現象にかんがみて、幼稚園の特に人件費というか、給与ですね、幼稚園教師の給与に対して、まず今日まで少なくとも小学校教諭と同資格を持つ者が同じになるような行政指導を行なってきておられるならば、簡単にその経緯を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/155
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156・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) お説のとおり、現在の幼児教育、幼稚園というものの大半が私学であるというような観点から、これをただ行政指導すると申しましても、やはり限界がいまのところあると思うのです。その意味で灘尾大臣が就任以来、幼児教育の重要性というものを提唱されまして、その幼児教育の振興策としてどのようなことが隘路になっておるかということになりますと、一つは、やはりいま言った従事する教師といいますか、先生方の給料の問題、一つは厚生省のいわゆる保育園とのからみ合いがあるというようなことでございまして、率直に申し上げまして、それではこういうやり方で幼児教育をひとつ完成するんだという、最終的ないわゆる原則というものがまだ確立しておりません。現在の段階ではそれらの隘路を打開するためにはどうしたらいいか、厚生省の保育園との調整をどのようにしたらいいか、私学と公立との関係をどのようにしたらいいのかというようなことで、昨年の夏以来、この予算編成時期の間は、準備の段階で少しはよくなりましたけれども、大きく飛躍するところまでいかないままで現在に至っておりますが、これは当然やらなければならない課題でございますので、具体的にどうするかということは、それぞれの調査問題をひとつ検討した上で措置してまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/156
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157・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 次官も御承知のように、低いところは四、五千円程度の給与しかもらっていないところもありますので、やはりこれは幼稚園の授業料といいますか、月謝といいますか、そういうものに依存することは、勢い父兄負担の増大をはかっていくと思いますので、やはり解決の方針の主眼目は、国の、何といいますか、補助といいますか、そういうことであろうと思います。この面につきましても早急に検討していただき、幼稚園教諭の給与がバランスがとれるように御努力を願いたいと思います。
次に、私大の研究施設に対する今回の措置ですが、これも次官御承知のように、それぞれの私大等の関係諸団体のほうから、研究施設にまでワクを広げてもらいたい、こういう強い希望があっておりますね、これは理屈を言うまでもなく、私学の公共性と、いまの教育の課題にこたえたら当然のことだろうと思います。このことに対しましても、これらの要望が実現できるような方針で努力していただいておる、このように理解してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/157
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158・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) おっしゃるとおりでございます。現在の研究設備というものの巨大化、あるいは重要性を考えるならば、設備だけでなく、それに伴う施設というものの充実と一体にならなければ、その完ぺきな私大の研究施設というものの助成対策といえないわけでございますので、予算の要求のときにも、施設設備一体になって実現すべきであるという見地に立って努力いたしたのでございますが、三分の二の助成をとるということで本年は妥協せざるを得なかったわけでございますが、御指摘のとおり、施設につきましても、当然これはひとつ算入するように努力いたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/158
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159・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 次にお尋ねいたしたいのは、私学振興会の運営の問題ですが、それぞれ機関がありまして措置されておると思いますが、国の予算が使われておることですから、いろいろ実態についてもある程度承知をしておると思いますが、たとえばその幹部、あるいはこれに多年タッチしてきておる有力者、こういったものの恣意といえば誹謗的になりますが、そういう人の強い影響力がある程度片寄っておるというような傾向にありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/159
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160・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) そういうことはあってはならぬと思いますし、私自身そういうようなことで御注意を受けたり、指摘されたりという覚えもありませんので、あるいは私がよく知らないのかわかりませんから、局長のほうからひとつその話を説明さしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/160
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161・杉江清
○政府委員(杉江清君) 私もそういうことがあるということは承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/161
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162・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 地方の私立大学あるいはその他に参りまして、ときおりやはり配分といいますか、それにつきましていろいろな不満を持っておる声を私ども聞くのです。それが必ずしも私学の幹部の恣意独善という批判だけではないのですけれども、何らかの形においてそういう不満といいますか、あるいは憂慮といいますか、そういうものをたびたび聞くことがありますので、こういう点につきましては人口理的にといいますか、行なわれるように御指導願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/162
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163・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) もう言うまでもないことでございまして、少ない原資の中でございますから、最も公平に効率的に配分されなければならぬと思います。御注意の点は十分に注意いたしまして、そのことのおそれのないように指導助言をしていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/163
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164・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 これは局長でよろしいのですが、私立大学研究設備審議会の運営の概略と配分の基準について簡潔に説明をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/164
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165・杉江清
○政府委員(杉江清君) 研究設備のほうは大学局で所管しておりますので、研究助成課長から御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/165
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166・村上成一
○説明員(村上成一君) 私立大学研究設備審議会は四十名以内の委員で構成されておりまして、半数は私立大学の学長、教授、要するに私立大学関係の方でございます。それから半数は学識経験者ということになっております。そしてそれが人文科学、社会科学、それから理工学系と生物系——農学、医学——この四つの部会に分かれて実際の審議会が運営されております。そして配分の実情は、大体申請のありました大学には配分をする。申請のない大学が毎年二十五内外ございますけれども、申請のありました大学には配分されておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/166
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167・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 申請の額と配分の実額との関係は、過去の実績からしてどういうことになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/167
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168・村上成一
○説明員(村上成一君) 昭和三十八年度におきましては、申請の額の約七三%を満たしております。それから補助の物件のほうで申しますと七二%ほどになっておったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/168
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169・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 審議会委員の中に、私学振興会、あるいは私大協、あるいは私立短大協、こういった団体の役員が入っておるといいますか、兼任しておるということが望ましいというお考えですか、それともそういう団体の役員は入らないことのほうが望ましいというお考えですか。これは次官に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/169
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170・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) なかなかそういう答え方では答えにくいんじゃないかと思います。役員をしておっても、やはり研究設備について充分な知識を持っておるならば十分入れていいんではないか。ただ問題は、やはり研究設備ということでございますから、政治的にものを判断するというだけでは済まされないと思うのです。研究されておるものがどういう性格のものであり、どういうふうに運営されるかという知識を持っておられるということが必要じゃないかと思いますので、そこらはそれらの専門家と、それらの高度な判断のできる人と、こもごも入っておってもいいんじゃないかというような感じがいたしますが、私のほうはしろうと意見でございますから、何とも的確な返事になりかねるかと思いますが、そういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/170
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171・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 実際に入っておるのですな。入っておるから、次官としてはなかなか、こう奥歯にもののはさまったようなお答えですが、たとえば、短大協の役員が入っておれば、短大の問題で努力するのが、ある意味においては当然ですね。そういう点から考えて、当然自分のポストの責任に熱心であり、その仕事を進めていくという悪意でない善意の努力というものが、その機関の役員であるために、やはり必ずしも、他から見ると公正な意見、あるいは結論を生み出しにくい結果が出てくると私は判断するのです。そこで私はそういう傾向が生ずるのが当然のことだと思うのです。だからそれぞれの協余ないし連盟の役員は、役員として要望意見を振興会の配分の際に持っていかれるとか、あるいは国に対して助成のワクの増大を努力される、これは当然のことと思うのですけれども、配分等決定していく宿議会のメンバーには、これは入らないことのほうが望ましいと思うのですが、今後、それではいつそれを除くようにしますかということになると、なかなか次官もお困りでしょうが、やはり私は原則として入れないことが望ましいことだ、こう思うのですが、次官の所見はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/171
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172・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) いまおっしゃられました中で、これは大学の研究設備助成でござ ますから、いままでのところ短大は入っておりません。今度、短大問題が解決しますと、どういうことになるか知りませんが、大学連盟並びに大学協会ということになるわけでございますが、それらの方々は、先ほど申しましたようにちょっと入っております。しかし総員四十名でございますから、連盟なり協会の役員が一部入っておったからといって、それによって配分が曲げられるというようなことにはならぬのではないか。かえって連盟や協会の内部というものを知っておって、高い立場に立って御判断をいただくという、示唆を与えていただくといったことも、決して弊害ということではなくて、利点も出てくるのではないかと思うのでございますけれども、豊瀬先生の御意見を傾聴しなければならぬことだと思いますので、正直なところ、その運営の仕方が、細部にわたって私は承知しているということではございませんから、意のあるところを十分に認識した上で、現実の配分方式の中でどういう矛盾があるか、どういう長所があるか、そこらをひとつ勘案いたしまして検討をしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/172
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173・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 このメンバーは、文部大臣が委嘱するのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/173
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174・八木徹雄
○政府委員(八木徹雄君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/174
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175・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 次官もお答えのように、全体のメンバーを見てみましても、それぞれかなり有力な人が入っておるようですね。やはり大所高所で判断するのが、これだけの人物ですからまさか自分の学校にというような、私的な立場が正面に出てくるような、おろかなことはなさらないだろうと私も確信するのですが、やはり一校の経営者であってみたり、あるいは当該団体の役員であったり、あるいはそれぞれグループがあると思うのです。そういう人でない立場の人は、その立場を利用して、あるいは私学振興会の一つの要望なり、正当な意見を反映して配分を決定するのはそこでやらるべきだと思うのです。四十数名と言われましたけれども、やはり第一部会の人文は七、八名ですか、そこの中で論議されておるのですが、その中で会長、副会長、部長、運営委員等もあることですし、そこで一応の試案がつくられ、それから審議されていく、こういう段階になりますと、全体会議ではなかなか全部を抜本的に検討するということでなく、それぞれ部会の意向というものが尊重されて決定されていっていると思うのです。こういう点も十分考えていただいて、いますぐそういう人は皆除いてしまうべきであるという極論ではなくて、それぞれの立場と全体の合理的な公平さというかね合いの問題について再検討をお願いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/175
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176・中野文門
○委員長(中野文門君) 委員の異動について御報告いたします。
本日、柏原ヤス君が辞任され、その補欠として二宮文造君が選任されました。
ちょっと速記とめてください。
〔午後六時三十二分速記中止〕
〔午後七時八分速記開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/176
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177・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を起こして。
他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/177
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178・中野文門
○委員長(中野文門君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/178
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179・中野文門
○委員長(中野文門君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。私立学校振興会法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/179
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180・中野文門
○委員長(中野文門君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、おはかりいたします。先ほど理事各位と御協議、決定いたしました附帯決議案を便宜私より提案いたします。
まず、案文を朗読いたします。
私立学校振興会法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
本委員会は、次の二点について、政府がすみやかに実施すべきことを要望する。
一、私立学校の公共性にかんがみ、これらの学校に対する助成援助の措置をさらに強化するとともに各種学校の整備充実について特段の配慮を講ずること。
二、私立大学の研究設備に対する国庫補助の対象の範囲を拡大するとともに、補助金の増額を図ること。
ただいまの附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/180
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181・中野文門
○委員長(中野文門君) 全会一致と認めます。よってただいまの附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決しました。
文部大臣より発言を求められましたからこれを許します。灘尾文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/181
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182・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) ただいま御決議のありましたことにつきましては、御趣旨を尊重して今後努力いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/182
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183・中野文門
○委員長(中野文門君) なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/183
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184・中野文門
○委員長(中野文門君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/184
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185・中野文門
○委員長(中野文門君) 当面の文教政策に関する件を議題とし、午前に引き続き、質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/185
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186・米田勲
○米田勲君 それでは前に引き続いて質問をいたします。
午前中にも申しましたように、私はこの月報に載せられた文章における私の発言について、その引用のしかたに重大な疑義を持っておるのであります。発言というものは、一部分だけでも全体の主張を誤りなく表現している場合もあります。しかし一般的に言うなら、最初から終わりまで聞いてみなければ、主観的な解釈が入り込む余地が多くなって真意を誤解することが往往あるわけであります。私の本件に関するこの委員会における発言は、御承知のように、相当長時間にわたっていますので、その一部分を抜粋抽出して引用されたのでは、発言の経過も理解できないし、その間に行なわれた答弁内容も知ることができませんから、読者に私の発言の真意を誤りなく理解してもらうことはきわめて困難であります。しかし、この文章の場合は、そのことを十分承知の上で、むしろ逆にある効果をねらっているのでありますから、問題はまたおのずから別であります。原稿の字数に制限がありますのでという一応の言いわけは成り立っても、議員の国会における発言を引用する場合には、引用する者はおのずから一定の道義的な責任を負わなければならないということを免れるわけにはまいらぬと私は思うのであります。特に議員の発言に対する反論か、もしくはそれに類似する主張のために引用する場合は、一そうその道義的責任を感ずべきであって、今回のごとき抜粋引用のしかたは、きわめて無責任であり、不当だと思うのであります。しかもこの場合、引用者が国家公務員であって、また文教委員会に直接、間接に関係を持つ文部省の初中局のメンバーであることを私は一そう重視するのであります。その意味は、本件に関する経緯をよく知っている立場にあること、大臣が必要なしとして撤回、中止を委員会において約束した案件であるということ、質疑者の私の質疑は全部終わっていないということ等々、これらのすべてを知っている立場の今村課長が、このような方式で私の発言を引用しているということは、会議録以外には当時の事情を知ることのできない立場の人が引用する場合とは、おのずから道義的責任の度合いもまた違ってくると思うのであります。大臣の統轄下にある文部当局のメンバーは、このような場合には一そう慎重な配慮と道義的責任を負うという態度が私は絶対に必要だと思うのであります。大臣に見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/186
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187・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) もとより文部省の事務当局の諸君は、私の心持ちを体して仕事をしていかなければならない、さように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/187
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188・米田勲
○米田勲君 次いで、私はこのような文章が公表せられ、しかも私の発言が断片的に引用せられている限り、私はさきに留保していた本件の質疑を、あらためて行なうことのできる自由な立場が与えられるべきであると思うのであります。委員長には、後刻、質疑続行のできる委員会運営について、十分な配慮をお願いしておきます。しかし、いまの場合は、引き続き文章の内容そのものにわたって、また引用された私の発言について、一つ一つ具体的に取り上げて質疑を続けるつもりであります。
さきに、私が分限免職に関する種々の内容について基準を追及いたしましたのは、この指示が教職員の首切りに直接のつながりを持っているものであるがゆえに、特に私は重視したからであります。その首切りの対象となる不適格教職員を具体的に引き出す場合の判断の中に、「色彩」と「しみ」という表現があり、その概念が不明確でありますので、これをただしたのであります。その場合、「しみ」ということばに傍点があり、当局が特に大切だと考えたものだという私の発言は確かにあります。ところが、この文章の中で、この問題を特にとらえてこう書いているのであります。これは「判決文中には「色彩ないし、しみ」とあり、判決要旨には「色彩ないし「しみ」」、さらにその下に、「 」とあるところを、読みやすくするため「色彩ないし、」で点を打ち、「しみ」のところに傍点、「と書きかえて」、傍点を打ってそのように書きかえて「引用したのである。」と述べて、その次に注として、「文部省調査局国語課にただしてみたところ、傍点の打ち方には、目下ルールはないとのこと。地方課課長補佐は、「ないししみ」では読みにくいので」、「色彩ないし、しみ」と傍点をつけたまでのことであった。それが、局長に一言報告しておけば何でもなかったものを、「その報告を怠ったばかりに、問題はアレヨアレヨとばかりに発展した。」、こういう文章で説明をしているのであります。
この説明は、私の発言が根拠のない言いがかりをつけているという意味のことを読者に知ってほしかったのだろうと私は推測するのであるが、しかし、これは内容と形式をすりかえようとする巧みな言辞だと私は言いたい。なぜなら、傍点がたとえ説明のごときものであったと、かりにしても、不適格教員を抽出する判断に関して、「しみ」と「色彩」なるものが出されているのでありますから、アレヨアレヨとばかりに発展したなどというやゆ的な、茶化したような表現で問題の焦点をぼかされてはたまるものではありません。適格性を欠く場合の説明の中に、「色彩ないし、しみの附着している」とあるから、「色彩」や「しみ」の付着している場合の教員とは、具体的に言うならばどんな人物、行為などを指しているのかという疑点は、なお依然として不分明なのであります。それをこの文章は、「アレヨアレヨとばかり」ということばで、私がいわれのない言いがかりをつけているのだという印象を、まずこの文章の冒頭で読者の頭に植えつけ、この文章の末尾の表現に効果的に対応させようとしていることを、私はまず第一の問題点として指摘するわけであります。
問題の第二は、「国会での論議」という見出しで書かれている文章、すなわち、「右の指導資料に対して、十二月十二日参議院の文教委員会で疑義が提出された。速記録の抜すいは、これを物語る。」と前置きをして、次は「〇米田勲君」、そこへ「……」と前略の形をとって、「大体、役人の頭というものはこの程度のものなのですか、けしからぬ次第だ。」というごく限られた私の発言の一部がいきなり引用されておるのであります。この引用された私の発言が出てくるまでに、会議録によりますと、まず私の質問が二十四行、福田局長の答弁が八行、次いで私の質問が七十六行、福田局長の答弁が四十六行、そして私の第三の質問が六十七行にわたっているうち、百五十一行というものを全部カットして百五十二行目から十六行を抽出してここに引用してきているのであります。つまり、この間、本件に関する私の質問は三度、行数にして百六十七行にわたるもので、その間、福田局長の答弁は二度、行数にして五十四行行なわれ、いずれも一連の質疑であり、これに対する答弁なのであります。しかるに、この文章に引用された私の発言は、前の百五十一行をカットし、その次の発言の「役人の頭というものは」云々と十六行を引用しておるやり方であります。この「国会での論議」という見出しで、「〇米田勲君………」と、点を九つ打たれてあるので、確かに前文省略となっていることを読者はわかるでありましょう。しかし、その前の発言の大部分を大幅にカットして、いきなり「役人の頭」云々に入っていますので、この文章の読者には、そこに至るまでの私の発言内容やその経過がいかようなものであったかは全く知るよしもないのであります。そして突如として出された最初のこのことばが、「役人の頭」なる発言でありますから、この発言は読者に特に強い印象を与えるわけです。引用者は十分その効果を承知して引用していると私は見るのでありまして、これは第一の問題点として指摘したと同様に、この文章の末尾に述べられた結びとも思われる主張に対応して、この引用は有効な働きとなるように意図されておるのであります。このような抜粋引用のしかたには、絶対に異議があります。これが第二の問題点であります。
そのほか、私の発言の引用のしかたには、これと同じような手法が使われているので、問題が幾つもあるのでありますが、類似なものの繰り返しなので、時間の関係上、ここに特段に取り上げて申し上げることは省略いたします。ただ、ここで一言触れておきたいことは、中野委員長のことばについてであります。それは先ほども申し上げましたと思いますが、「福田局長、よく質問に対して表現の的確な御答弁に努力してください。」、こういうように、委員長は答弁についての注意を喚起していられるのでありますが、それがカットされているわけであります。もしかりに、この委員長の発言が引用されておれば、相当大幅に前後がカットされていたとしても、福田局長は的確に答弁をしなかったんだという印象を読者にも与えることができたはずだと私は思いますが、このような委員長の発言はカットされておるのであります。そこで、私の発言がこの場合、読者には、むちゃにしつこく行なわれているという印象を与え、そういう感じを起こさせるために、十分なくふうをしてこれを引用しておると私は見るのであります。
次に、私の一つの発言のうち、こういう手法を使っております。途中の二カ所と終わりのほうをカットして、断片的に引用されているというやり方です。そのカットされた部分を試みに申しますと、「ここにいる人だれ一人理解していないでしょう。今までに彼は」——「彼は」というのは、福田局長をさしてこの場合私は言っているんですが、「今までに彼は何べんでも答えているが、だれか一人わかっている人がありますか。わからないでしょう。」、このことばをこの場合の引用からはカットしているのであります。そして次に引用していることばは、「福田君だけだ、わかっているのは。こんなばかな話がありますか、」というところをいきなり出しているわけであります。そして、その次の「一体。答えられないなら答えられないと言いなさいよ。政府委員として不適格だとわれわれは主張しますから。」、こう私は言っているのでありますが、これはカットされているのであります。そして次に、「初中局長答えるまで私はやりますよ。許さぬぞ、そんな、こまかしで渡ろうというのは。委員会が晩までかかろうが、めしも何にも食わないでやる。」、ここは引用されているのであります。相当長い時間、繰り返し繰り返し質問しても、はっきり答えてくれないので、私は確かにじりじりした気持ちであったことは事実であるけれども、その経過のほとんどがカットされていれば、これだけの引用であれば、読者の受ける印象と理解は、もちろん引用されているその部分を通してしかわかりませんから、私は、真実と異なる判断と印象がそこに生まれてくるということを指摘しないわけにはいかないのであります。こういう引用のしかたにも、私は重大な異議があります。
次に、月報の第一七ページ上段終わりから四行目、それと下段と、次の一八ページ上段までのこの文章中には、特に私の発言がこま切れのように断片的に引用され、しかも、その引用のことばの組み合わせがくふうされ、自己の主張をたくみに述べているのであります。具体的に指摘しますと、「まさに米田委員の指摘されるとおり、日本語は」——カッコして注釈を加えてあります。私のことばではありませんが、「(何語でも同じだろうが——)受け取った本人が理解できなければ困るものである。したがって、わたくしは、分限免職の性格の説明に当たっては、」云々と言っているのでありますが、その中の、「日本語は受け取った本人が理解できなければ困る」、ここまでを引用して、その「日本語は」の次に、先ほども申しましたように、「(何語でも同じだろうが——)」と入れてあるのであります。私はこの注釈についてまた異議があります。会議録の私の発言を通して判断してもらえば、ここで「日本語は」と言っているのは、私の真意からいえば、ことばというものはという意味であることは、会議録全体を通じては当然理解していただけるはずであります。しかし、確かに私は「日本語は」という発言をしていることは事実でありますが、そこへわざわざ「(何語でも同じだろうが——)」という注釈をあえてつけているのであります。この注釈は一体、人間が、あることを主張しようとしているときに、何の意味があってつけているのであろうか、私は重大な疑義を持つのであります。このカッコの中のことばは、私の判断からすれば、これは単なる皮肉であり、やゆであり、もっと別な意味をねらった注釈としか考えられないのであります。さらに、「米田委員は〃この文章は、「当人の能力、性格等が教職員となっているのに適格性を欠いておる」と、こう書けば端的にわかる〃と述べておられるが、一般には、それでもなお適格性の意味が分明ではあるまいと思って「……」と省略をして、「その職に適しない色彩ないし、しみの附着している場合」云々と「われわれは念には念を入れたのである。」こう述べておるのであります。その次、私のことばの引用は、「〃この文章は、「当人の能力、性格等が教職員となっているのに適格性を欠いておる」と、こう書けば端的にわかる〃」、ここまでしか引用していないのであります。私はこの発言の抽出引用のしかたは不当だと思うのであります。このことだけであれば、おそらく読者は私の言うことが無理だ、端的に私はわかると、ここで発言しておりますが、読者はむしろ逆にそれではわからないではないかということを感ずるだろうと思うのであります。しかし、私はこの質問の初めころの発言の中にもあって、それが会議録に載っておりますが、八ページの二段目十二行目から十四行目までに載っておりますが、「学校の教職員の身分に関することは、文部省の所管事項じゃない。都道府県の所管事項なんです。」ということばで主張しております。さらにまた、八ページの二段目の二十三行以下に出ておりますが、「教職員としてはとうてい健康上その他の理由で教壇に立つことができないような者を、都道府県の教育委員会がそのままにしておくはずはない。」、「従来とも一そういう該当者がおれば、それぞれ適当に処置されている」ということを私は述べておるのであります。この私の発言が前提に置かれておるのであります。しかし、それらは全部カットされているものですから、この文章を読んだ人には全然私のそういう立論の立場というものは明らかにされないのであります。人事権は都道府県の教育委員会にあるものでありまして、ましてや教職員の分限免職などの人事権に対し、文部省が介入すべきでないと私は主張もし考えてもおるのであります。だから私は、「当人の能力、性格等が教職員となっているのに適格性を欠いておる」という程度の端的な指導にとどめ、権限のない文部省局が微に入り細にわたって介入をし、指導助言をすることは越権である、ましてや問題の起こしやすい「色彩」だとか、「しみ」などという表現による指導はやるべきでないという考えのもとに、この文章に抽出されてあるような私の発言があるのであります。これは当日の私の発言全体を通してそれを読んでいただければ理解できるところであります。このような引用のしかたにもまた私は重大な疑義を持ちます。次に、「まったく米田委員のいわれるとおり〃人の首を切るときは、よほどでなければ切れないという考え方に文部省が立っ〃たからなのである。」、こう述べていますが、そのうちのことばの私の発言の引用は、「〃人の首を切るときは、よほどでなければ切れないという考え方に文部省が立つ〃」というところだけを抽出して、ここに自分の文章を前後にくっつけて表現をしております。次は、「〃役人の頭というものはこの程度のものなの〃である。小心翼々であり、慎重であり、正直なのである。だから、米田委員が、〃役人の頭というものはこの程度のものなのですか、けしからぬ次第だ。〃〃私には考えがありますよ。〃といわれようとも、また〃許さぬぞ、……」、省略をして「委員会が晩までかかろうが、めしも何にも食わないでやる。〃といわれようとも、福田局長は、くりかえし、くりかえし、それは不適格だということを他の言葉で表現しようとしたものだと答弁しているのである。」と、この文章は書いておるのです。この文章のうち、私のことばの引用は部分的でありまして、先ほど指摘したところの次は、「〃役人の頭というものはこの程度のものなの〃」、ここまでで、あとのことばをつけた「小心翼々であり、慎重であり、正直なのである。」というのは全部筆者の文章であります。その次もまた、「〃役人の頭というものはこの程度のものなのですか、けしからぬ次第だ。〃」というところだけが私のことばであります。「〃私には考えがありますよ。〃」も私のことばであります。また次の、「〃許さぬぞ、」、中を省略して、「委員会が晩までかかろうが、めしも何にも食わないでやる。〃」、ここまでも私の発言であります。このいま読み上げました文章のうち、最初の個所は会議録の十ページの四段目二行から三行目までに出ているところを抽出しております。二にあげております私の発言は、同じく会議録の八ページの三段目十九行目にあることばを抜き出してきております。第三の個所は、八ページ三段目の十九行から二十行目までを繰り返しここで使っておるわけであります。第四番目の個所は、九ページの二段の十三行目の私のことばを抽出しておるのであります。五番目は、十ページの五段目、三十一行から三十二行目までを抽出しておるのであります。これらの私の引用された発言は、その発言の場所がそれぞれ別なのであります。したがいまして、単にそのことばが抽出されても、その前後のことばと相伴なって初めて私の真意が明らかになるものでありまして、こういう断片的にあちらからもこちらからも抽出してきて、こういうすらすらと読めるような文章の中に私のことばを引用しておるということは、明らかに作為があると私は思うのであります。このやり方は、ちょうど寄せ木細工のように、あっちこっちから私のことばを断片的に抜粋したやり方でありますから、こういうことがもし許されるとすれば、最も極端な場合は、こういうことすら許されるのでないか。議員の発言の中から、「てにをは」だけを拾って、それで「あいうえお」から全部五十音ができるわけです。その五十音は、お前は「い」と言ったから、お前は「お」と言ったからと言って全部つないで、ある一つの意味を表現できるという極端なことも容認できるということになってしまう。しかし、この文章はそこまでは極端ではないけれども、私はそれに類似した抜粋引用のしかたで今村君はこの文章を書いておるということを、特に皆さんに理解していただきたいのであります。したがいまして、私の言いたいことは、もはや国会における議員の発言の正当な引用のしかたからは全くこのやり方は逸脱しておる。私の立場からいえば、実に不当な扱い方をされておるということであります。ところが、このような組み立てによって、文章は、一つには読者に米田の言い分はむちゃであり、脅迫であるという印象を間接的に与えておることに成功し、二つには、文部省は何と米田に責められようとも初心を貫いて根気よく懇切丁寧に答弁しているという印象と実感を読者に与えるという、一石二鳥の効果をねらってこの文章は作為されておると私は思うのでありまして、実に不届きしごくな引用のしかただと私はこれを重視するのであります。この中にある「〃役人の頭というものはこの程度のものなの〃である。」ということばをこの筆者は使っておりますけれども、決してこのことばどおりでないことは、この文章をよく玩味してごらんなさい、まじめな、すなおなことばではないのであります。きわめてやゆ的な、皮肉に満ちた表現であることが全文を読んでいただければ明確なのであります。そのために私のことばを抽出引用しておるのであります。次に、「小心翼々であり、慎重であり、正直なのである。」、こういうことを引き続いて先ほど申し上げましたとおり、述べておりますが、「だから、米田委員が、〃役人の頭というものはこの程度のものなのですか、けしからぬ次第だ。〃」と、その上、続いて全く別の個所から私の発言を持ってきて、そうしてその次に直ちに、「〃私には考えがありますよ。〃」ということばだけを持ってきておりますが、この「〃私には考えがありますよ。〃」ということは、この発言は会議録によってみてごらんになればわかりますよ。委員長に、あることを要求しているときに使ったことばであります。それをこの文章では全然別な効果をあげるように今村君は使っておるのであります。「〃私には考えがありますよ。〃」といわれようとも。」と続け、ここでもまた全く別な個所での発言の一部である「〃許さぬぞ、……委員会が晩までかかろうが、めしも何にも食わないでやる。〃といわれようとも、」、そのことばを引用してきて、「〃といわれようとも、福田局長は、くりかえし、くりかえし、」、「答弁しているのである。」とこういっておることを重ねて注意を皆さんにしてもらいたいと思うのであります。要するに、この部分的な発言の引用と、たくみな組み立て方式によって、私に言わせると、米田が幾らおどそうとも、何と言おうともわれわれは節を屈せず、繰り返し、繰り返し正しい立場を明らかにするために答弁しているのだという、そのことをこの文章を読む者に理解させようと努力をして編集されておるのであります。さらに引き続いてこの文章は、「そして、最後には「表現が適切でなければ、これは訂正いたします。」とまで答えているのである。」、これは福田局長が答えているのであるということなんです。「それなのに、米田委員は、〃わたくしは、文章全体の意味からして「色彩」と「しみ」をかくかくのごとく理解するが、それは文部省の意図するところか、どうか。〃という形では決して質問せずに、〃「色彩ないし、しみ、」というきわめてあいまいな言葉を使って、それに点まで打って重要ですぞと指示しておった。さァさァ、色彩とは何だ、しみとは何だ。〃と追求されるのである、しかも福田局長が「訂正します。」と答弁した後までも……。」、こういう文章を書いておるのであります。私はここで指摘したいのは、今村君は私の委員会における発言を批判しておるわけであります。これは明らかである。私がこの個所を質問をした当時の記録を皆さんに読んでいただけばわかりますが、こういう今村君の書いておるような文章ではないはずであります。しかも、「「色彩」と「しみ」をかくかくのごとく理解するが、それは文部省の意図するところか〃どうか。〃という形では決して質問せずに、〃「色彩ないし、しみ」というきわめてあいまいな言葉を使って、それに点まで打って重要ですぞと指示しておった。さァさァ、色彩とは何だ、しみとは何だ。〃と追求されるのである、」、一体これはどういう権限があって国会における議員の発言に対して批判を加えておるのですか。私はこの点は最も異議があります。国会における委員がどういう立場でどういう質問をしょうが、官僚である今村君にそれを批判される必要はごうもないし、そういうことに触れてこのことを批判することは、もっとのほかだと私は思うのであります。しかも、ここでたくみに、私のことばを、全然言っていないことばまで組みかえながら、「さァさァ、色彩とは何だ、しみとは何だ。〃と追及されるのである、」、こういうことばはないのであります、一カ所も。一体、「さァさァ、色彩とは何だ、しみとは何だ。〃」という発言が会議録のどこかにあったか、私は明らかにしてもらいたいのであります。これは全部彼の印象で、彼が読者に訴えようとする一つの企画のもとに、こういうでっち上げをしておるのであります。
それから次に、この文章の次に書いてある、「ということは、「色彩としみ」という言葉は米田委員にとって、よほどショッキングな用語だったのだろうか。」と書いてあります。私はこのことば、国会における議員の発言に対して侮辱を加えておることばだと思うのであります。一体、この表現のしかたを皆さんはどういうふうに理解しますか。「「色彩としみ」という言葉は米田委員にとって、よほどショッキングな用語だったのだろうか。」、そんなばかな言い方をされる覚えは私はないのであります。しかし、読者は前のたくみな組み合わせと引用によって、このことを十分理解できる仕組みになっておるのであります。私はこのような議員のことばを、無秩序な、道義も何も無視をした、国会における国会議員の発言を冒涜するような引用のしかたや組み立て方によってこの文章が作られておる。そのことを重大視しておるのであります。結局、彼は、私がいわれのない攻撃をし、むちゃな追及という、そういう態度であったのだということを強く印象づけようとしておりますし、また、この文章以外のことを知らない人たちに、その効果は相当果たされておると私は理解をするのであります。
次に私は、「「表現が適切でなければ、これは訂正いたします。」とまで答えているのである。それなのに、」云云とありますが、一体、今村君の気持としては、訂正をしたのだから、訂正をしたあとまでそんなことを質問する必要はないではないか、もう問題がなくなったのではないかと言いたいのであろう。しかし、私はすでに文部省が指示をした分限免職の指示事項の中にある疑問のある個所を聞いておるのでありまして、適切でなければ、訂正しますと言えば、それで万事済むというような考えであるとすれば、もってのほかであります。訂正するしないは私の質問とは別なのであります。訂正をすると言ったら質疑の要がなくなると彼は考えておるのかもしれませんが、これは私の納得のできないところであります。しかも、私はここのところで、先ほども言いましたように、私の質問を批判をして、そうして、「色彩とは何だ、しみとは何だ。」というふうに表現されておるところについて、私の考え方を申し上げますと、逆に、私は、「色彩としみ」ということばを使ってこの公文書を書いたのは文部省自身であります。今村君、たばこのむのやめたまえ、何だ。この場所はたばこをのんでもいい場所だが、君だけはだめです。そういう不見識なことをするなら出ていきなさい。君は午前中私の発言しているときも、にやにや笑って私の発言を聞いている。君の態度はきわめて不遜な態度だ。何が問題になっているのですか、いまは。横道にそれて申しわけありませんでしたが、「色彩としみ」ということばを使ったのは文部省自身であります。それを逆に、はっきり質問をしないで、「さァさァ、色彩とは何だ、しみとは何だ、」というさかねじを食わしている表現になっておるのであります。だいぶ私のことばが繰り返しで煩瑣になってまいりましたが、とにかく私はこういうような文章をでっち上げ、国会における議員の発言をこま切れに組み合わせて、そうして全国に一万八千冊という膨大な部数を流して、端的に言えば、私の発言を冒涜しておるということを私は文部大臣に特に警告をしたいのであります。
しかも、私はここで申し上げたいのでありますが、「大臣の目からみると「色彩」も「しみ」も事務当局の取り越し苦労のしるしにすぎないのである。」こういうことばを使っております。ここで初めて文部大臣のことに触れております。一体、私は一課長が、しかも本件については大臣も政務次官も含め、与野党の諸君が困難な条件の中で、それこそ徹夜をするような努力をして、この問題に関連する一切のものをまとめ上げて、そして本件に関しては双方とも一方は撤回、中止をする、一方は質問をやめる、こういうのでたな上げされた、そういう重要な経過を知りつつ、この大臣の行動をやゆするがごとく、「大臣の目からみると「色彩」も「しみ」も事務当局の取り越し苦労のしるしにすぎないのである。」、何たる不遜なものの言い方かと私は言いたいのであります。私はここで文部当局の行政秩序が乱れていることの端的なあらわれを指摘したいのであります。一課長がこれほど重大なる政治的な問題になった経過のあるものを、文部大臣を引き出してきて、こういうような表現で国民に文書を流すということは許されてしかるべきことではない。もう公務員としても文部省の役人としても不適格であると私は断定するのであります。
そこで、私は以上だいぶお聞き取りづらいような話の経過でありましたが、一つ一つ質疑を繰り返しておったのでは時間がかかりますので、御迷惑かとも思いましたが、一括全部私の意見を申し上げたのであります。したがいまして、これから質問をいたします。
まず、初中局長にお尋ねをします。いままで、私が午前中と先ほど来詳細にここで申し上げましたが、あなたは初中局長として、月報発行責任者としてどのような責任を感じておられるか、それを明確にしてもらいたい。そしてまた、もし責任を感ずるという答弁をなさるなら、その責任をどのような形で表明をしようとするのかも、つけ加えて御答弁をいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/188
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189・福田繁
○政府委員(福田繁君) 先ほど来、いろいろ問題になりました事柄につきまして、私どもといたしましては、まことに申しわけない次第だと考えております。ただ、お述べになりましたように、今村課長がこの文章を書くにあたりまして、意図的に、あるいは作為的に書いたというようにお取りいただきますと、私どもとしても、いろいろその点はこの文章を通読いたしまして、それほど私は意図的に書かれたとは感じていなかったのでございます。しかし、いま御指摘のありましたような誤解を与えましたことは非常にこれは遺憾でございます。私どもといたしまして、この文章によって御迷惑がかかりました点については、どういう処置をとったらいいのか、ただいまここで思いつかないのでございますけれども、今後かようなことが再びないように十分注意をいたしたいと考えます。また、これについて適切な方法があれば、私どもとしても適切な方法をとりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/189
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190・米田勲
○米田勲君 私は、相当の時間をかけて私の見解をここで明らかにしたのであります。したがいまして、いまの福山局長の前段に述べたことについては私は了解できません。お互いにすなおに認むべきところは認むべきであります。もし、あなたがそのような誤解を受けるものとは判断しなかったということをあえて言うなら、私がいままで述べたことばのどこの部分でもいいですから、一、二上げて、そのような理解は無理である、こういう解釈が成り立つでないかということを説明してもらわなければ納得ができない、私は部分的には、あるいはあなたのような判断の個所もあるいはあるかと思います。しかし、この文章の前から終わりまで、一貫して通して見て、私の判断には間違いがないと私は自信を持って皆さんの前で訴えたのであります。したがって、非を非として認めるというなら話はわかりますが、そういうあいまいなことばでこの問題を表明されては納得ができません。もし、あえてもう一度そういう答弁を繰り返すなら、私はただいま要求しましたような説明を加えて答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/190
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191・福田繁
○政府委員(福田繁君) たいへん恐縮でございますが、具体的にどこということではございませんが、私もこれを一応最初から読んで見たわけでございます。そういう感じからいたしまして、特にこの執筆者が、そういう意図的にこれを書いて、これを宣伝しようという目的で出されたものではないということは、これは私は善意を持って見たわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/191
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192・米田勲
○米田勲君 局長にお尋ねしますが、それでは、あなたは私の国会のこの委員会における発言の引用のしかたについて、さまざまな方式を使っておりますが、妥当な引用の方式をとっておると判断するか、もしくは不当な引用のしかたをしておると考えますか、その点について見解を承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/192
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193・福田繁
○政府委員(福田繁君) けさほどもちょっと申し上げましたように、この文章を読みましても、多少意味の取りにくい点もございまして、まあ、まずい文章だと私は申し上げたわけでございますが、そういった点から申しまして、この引用のしかた等は御指摘のありましたように、私も適切を欠いておるというように感じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/193
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194・米田勲
○米田勲君 午前中にも、あなたの答弁の中に、そんなにひねった考え方をしないでもよいと思うのであります、こういうことばがあります。しかし、私はそんなにひねった考え方を、そんな引用をしなくてもよかったのではないかというような安易な御答弁では納得できないのであります。明らかに、私はこの委員会の私の発言を冒涜されておると断定しておるのであります。ですから初中局長の立場で、自分の部下の書いた文章に対して、それをかばおうとする気持はよくわかります。しかし、問題をここまではっきりしたのでありますから、はっきりした見解を述べていただきたい。こういう引用の仕方は誤りだ、この文章全体は事実と異なる印象を読者に与えておるということを私ははっきり答えられるはずだと思うのであります。それをしも答えないで、何かこの文章がそう誤解しないでもいいんだというようなことになっておるように私は理解をしないのでありますが、引用の仕方とは別に、そういうことについてはいかが考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/194
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195・福田繁
○政府委員(福田繁君) 先ほど申し上げましたように、誤解を与えるような個所もございますし、引用のしかたとしては適切でないということを申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/195
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196・米田勲
○米田勲君 それでは私は局長にお尋ねをします。まず第一に、教育委員会月報の編集方針を根本的に改善をする考えがあるかどうか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/196
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197・福田繁
○政府委員(福田繁君) たいへん恐縮でございますが、いろいろ御指摘をいただきましたようなこともございますので、私どもとしては、こういうことを今後繰り返す意思は毛頭持っておりません。したがって、もう少し編集のやり方を今後改善してまいりたいと私自身は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/197
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198・米田勲
○米田勲君 私は文部省がどういう意図のもとにこの月報を編さん発行しておるのかはわかりません。しかし、この月報を読んでみて、一体こういうことをわざわざ国費をかけて月報に載せて全国に回す必要があるのかと思われるようなものがたくさんあります。なお、このことに関係をして一言言いたいのですが、初中局が発行する文書の中にもそれを強く感ずるものがあります。たとえば、「日教組と階級闘争」というパンフレットを大々的に印刷をして全国に回しております。私はその内容についても詳細調べてありますので、時間の許す時期がくれば、また新たによく質問をしようと思っておりますが、あなたにお考えをいただきたいのは、国鉄の理事者が「国鉄労働組合の内容」とか、「国鉄労働組合の闘争」というようなパンフレットをつくってどんどんまく、郵政省は郵政省で「全逓労働組合の真相」というパンフレットをつくってばらまく、専売は専売、あらゆるところでそういうことをやり出したらどういうことになりますか。私は不幸にしてか幸いにしてかわかりませんが、文部省以外は国費をつかってそういうパンフレットを出しておる省は聞いておらぬのであります。何かしら私は初中局の今日のあり方は、その編さんされる文書の内容、月報の編さんの方針、それが納得できないものが多いのであります。少なくもぼくはこの月報が教育委員会に、国民に渡される限り、公平な立場で真実が述べられ、しかも国費を使うのでありますから、その編集のしかたについても最善の注意が払われるべきでありまして、個人の恣意や個人の希望や作意をこの月報において取り扱うというようなやり方は再検討を要するのでないかと思うのであります。初中局長は、いままで出された月報の原稿をどのくらい事前に目を通しておるかは私はお尋ねをしません。しかし、あなたはおそらくこの問題についてさえ、事前には原稿に目を通しておりません、編集会議にまかしてあると答えられておるぐらいでありますから、ふだんの月報の原稿についても、どういうものを登載するかについても局長自身が指導をしたことはほとんどなかったのではないかという推測をするのであります。私はそこに問題の発生する余地が十分にあると思うのであります。大体、今村君の人物なり行政的な手腕なり、そういうものを局長はどういうふうにお感じになっておられるかわかりませんけれども、今回のこの行為だけ見ましても、公務員として文部省の、少なくもわれわれと一緒に日本の教育の問題をここで論じ合う相手側のメンバーとしては絶対に不適格な人物であります。私はこのようなことを、中野委員長も先ほど休憩になってから憤慨しておりましたが、この三十一日になって、こんなことを声を大にしてわれわれが話をしなければならないような事態が文部省にあるということは、日本の教育のためにはきわめて不幸であります。そういうものを剔抉すべきであります。そういうことが再び起こらないように徹底的な粛清を加えるべきであります。そのことが私は日本の教育のために必要だということを強く局長に申し上げておきたいと思います。
次に、私は局長にお尋ねしますが、この教育委員会月報の三月号に載せた「色彩としみ物語」を完全に撤回する用意があるかないか、お答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/198
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199・福田繁
○政府委員(福田繁君) 撤回と申しましても、これは印刷して出したものでございますから、訂正その他の主要な部分のやり方は、これは研究いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/199
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200・米田勲
○米田勲君 私は納得ができません。もちろんあなたが言われるように、これはもう一万八千部全国に流れているのですから、それをいま集めてどうこうすることはできないことは当然です。しかし、少なくもこの委員会において私がここまで指摘をして、あなたも不適当だという判断に立っておられる限り、少なくもこの文書は、この場所の話し合いとしては、撤回しますということを私は約束をしてほしいのであります。その後の手続きについてはまだ提案があります。お答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/200
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201・福田繁
○政府委員(福田繁君) 何か名案があればけっこうでございますが、先ほど来のお話を伺っておりますと、速記録の引用にいたしましても、全体を引用したわけでもなく、部分的にいろいろ誤解を与えるような引用のしかたをしているというような御指摘がございましたので、そういう点については、また適当な方法でもって誤解のないような措置をとることは、これはできると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/201
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202・米田勲
○米田勲君 それではあなたはこの文書を撤回するという約束はできないですか、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/202
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203・福田繁
○政府委員(福田繁君) 撤回すると申しましても、これはすでに印刷して発売したものでございますから、一部訂正するか、あるいはその引用された部分について、その全貌のわかるような方法を講ずるとか、そういうことはできると思いますが、撤回ということはちょっと私には理解しにくいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/203
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204・米田勲
○米田勲君 局長にはこの撤回の問題ではこれ以上質問しません。あとで文部大臣にお尋ねをします。
それで私は次の要求をあなたに出します。この文書を撤回するとはいま申されませんが、削除だとか、訂正だとか、あるいは注釈を加えるとかというようなやり方では、この流れた文書から受けた読者の印象が訂正できるものではありません。したがいまして、私はここに一つの提案をいたします。それをあなたは実行する用意があるかどうかお聞きします。本日行なわれたこの委員会のこの問題に関する私の発言を、また大臣やあなたの答弁を全文そのまま会議録のとおり委員会月報の特集号をつくってこれを編さんし、一万八千冊同じ数つくって、前に配付したところに配付するという、そういうことを私は要求します、撤回のかわりに。それを受け入れる用意があるかどうかお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/204
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205・福田繁
○政府委員(福田繁君) 特集号というおことばでございますが、これは毎月出ておりますから、適当な号におきましてさようなことを研究してみたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/205
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206・米田勲
○米田勲君 私は後ほどこの問題についての文部大臣の見解をお尋ねしますが、一部分を載せてはまた間違いの上塗りになりますから、この問題をめぐってこの委員会でどういう質疑応答が行なわれたかの全貌を、すでにこの文章を読んで、ある一つの理解に立っておる者に対して理解をさせる必要があります。したがって、私はあくまで本日の本件に関する会議録をそのまま全文登載をした月報を編集発行することを要求いたします。
次に、第三でありますが、——第四になりますか、今村課長の処分についてお尋ねをいたします。私は元来、人の首を切るようなことをしようとした者には必死になって抵抗する、そういう行動を今までとってきました。しかし、私はこのような行為をする文部官僚をこのままの形で放置することには絶対に異議があります。それは私もそれを主張する立場にあると私は思っているのです。なぜかというと、私の国会における発言をこまごまに切りきざんで、それをでっち上げて、一つの文書をつくりあげたというその行為一つだけでも、私は今村課長の処分を要求する立場にあると確信をしておるのであります。このような文部官僚は、すべからく文部省から追放すべきであります。特にあなたの初中局から追放すべきであります。それが最も適切な処分の方法だと思いますが、局長はいかがに考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/206
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207・福田繁
○政府委員(福田繁君) けさほども大臣からお答えございましたように、この問題につきましては、大臣からも御注意をいただきましたし、私といたしましても、今村課長に対しまして厳重に注意をうながしました。今後かかることのないように注意をいたしまして処置をいたしたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/207
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208・米田勲
○米田勲君 それでは文部大臣にお尋ねをいたします。私の質問は、途中ほとんど一問一答の形式を避けて、長時間にわたってあなたに聞いていただきましたが、それらを全部お聞きになって、なおその月報をお読みになって、現在あなたは、その文章があなたの所管である文部省の一役人の手で書かれ、全国に一万八千部流されたことについて、どのような責任を感じておられるか、それとともに、責任を感じておるということを明確にお答えいただけるなら、その責任はどんな形で今後実を結ばしていただけるのか、裏づけをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/208
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209・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) この教育委員会月報に載っております事項につきましては、けさほども申し上げましたように、私も実はざっと目を通したのでありますが、精読いたしたわけでもございませんでしたが、その読後感といたしまして、これは適当でない、こういう文章でこういう月報に載せるということは必ずしも適当でない、かように考えましたから、直ちに下僚に対しまして、その注意を喚起し、今後こういうことのないようにということでいましめておるわけでございますが、先ほど来、米田さんのお話を伺っておりまして、私としましても、米田さんのおっしゃるような印象を米田さんに与えたということであるとすれば、まことに遺憾なことだと存じております。私のほんの通読でございましたが、読んだあとの感じが、米田さんによって一そう強く指摘せられたような気持がいたすのでございまして、この点は非常に遺憾なことと存じ、本人には本人のいろいろな考え方もあるし、思いもあろうかと思いますが、ともかく、そういうふうに米田さんに受け取られるような文章を響き、これを世間に出したということにつきましては、私はこの際衷心から遺憾の意を表したいと思います。このようなことが二度とないように、私としましても努力いたしたいと考えている次第でありますが、何ごとによらず、文部省で起こりましたことにつきましては、すべての責任は私にあるわけでございます。ことに国会の皆さん方に対しましては、国務大臣として、すべて私が文部省に関する限り責任を負わなければなりません。その意味におきましては、私は非常に責任が——そういうふうなことで、きょうこうして長時間にわたっていろいろ御指摘を受け、また御批判もいただいた、そのこと自体に対しまして責任を感じております。ただ、省内の下僚に対する関係におきましては、これが指導監督もこれまた私の任務であり責任がございます。その下僚のやりましたことについての処置ということにつきましては、大臣である私にひとつおまかせを願いたい、私は今後その指導監督について遺憾のないように努力いたしてまいりたいと存じますので、そのようにひとつお考えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/209
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210・米田勲
○米田勲君 私は大臣が率直に遺憾の意を表明されましたので、この問題については、これ以上あまり時間をかけて重ねてお聞きすることは避けたいと思いますが、ただ気になりましたのは、大臣のことばの中に、私にそういう印象を与えさした、私にそういう理解を与えさしたとすればというところが、私は気になるのであります。それは先ほどから私が指摘しましたところは、私も相当時間をかけて、客観的に見て、このことを述べることが正しいかどうかは検討したのであります。したがって、私はできるだけ主観をまじえないで、文章そのものから受ける正当な理解をするために相当の努力をしたということを申し上げたい。ですから大臣にもう一言、これは先ほど来、私が言っていることの中に相当私の主観が入っておるでありましょうか。そのことをお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/210
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211・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) この文章につきまして、先ほど来申しておりますように、私はほんとうに米田さんが検討せられたごとく精密な実は検討を遂げておりません。先ほど申しましたように、通読いたしまして注意をした。はしなくもきょうその点について御指摘を伺ったということでございます。したがいまして、私は、米田さんのことが単なる米田さんの主観であるかどうなのかということについて、かれこれ申し上げようとは思っておらないのであります。十分御検討の結果の御批判でありますので、私といたしましても、この御批判に対しましては耳を傾けているつもりでございます。また、私の読後感というものも、まことに粗雑でございましたけれども、そのような文章で、このような形で月報に出したことは決して適当でない、そういう感じがいたしたのであります。十分御批判の点につきましては、私としましてもよくひとつ考えさしていただきまして、今後間違いないようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/211
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212・米田勲
○米田勲君 それでは最後に一つ文部大臣に要望をしておきます。これはただいまここでお答えをいただくのは無理だと思いますが、先ほど初中局長にお尋ねをした一つは、厳重に文部省の人々に話しをして、月報の編集方針を根本的に改善をしてもらうこと、これが第一であります。第二は、この文章は撤回するということについて私は強くそれを求めておるのですが、このことを検討して、私に後日回答をしていただきたい。第三は、本日の本件に関する文教委員会の会議録を全文、委員会月報に載せて全国に配付をするという、そういう要求について局長は検討してみるというようなことばもありましたが、そのことを真剣に考えて、ぜひ私の要望しておることが実現するようにしていただきたい。私はそのことをもって、どんなに自分の発言が誹謗されたり、また自分の立場としては納得のできない扱い方をされたとしても、そのことをやっていただけるなら、まず私は納得をします。第四に、今村課長の処分問題であります。局長が先ほど厳重に注意を与えるということを申されました。厳重な注意を与える程度のことでは納得をしません。私は国会の問題について、これほどの失態をあえてしでかした今村課長は、単なる厳重な注意を与えたという程度の処分では納得ができません。したがって、私は、こういう行為をした彼にふさわしい断固たる処置を強く要望して、以上、質問を終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/212
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213・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 関連して。大臣は本件の報告を受けられた際に、過ぐる国会で、同じ委員会月報で社会党という用語を使って、社会党の委員会における質疑をとらえて批判をした点について、時の荒木文部大臣が本委員会で、これほどの時間は要しませんでしたけれども、遺憾の意を表し、今後そういうことがないようにしたいという釈明を行なった事実について報告を受けられましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/213
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214・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) まだ聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/214
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215・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 先ほど米田君が指摘した、たとえば「日教組と階級闘争」、あるいは毎年発行されておる日教組の大会の批判資料、この種の文部省資料の意義については、発行される文部省として、それぞれ意図を持っておられると思うのですが、米田委員の指摘をしたように、職員団体の性格とか、運動方針を批判する、こういった書類を定期刊行物として大量に発行をしていくということは、原則としてはやらないほうがよいと私は思うのですが、このことについても、大臣は今回の問題を契機に、省内で再検討する意思を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/215
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216・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 日教組の運動方針でありますとか、大会の決議等は、これは事実として文部省としても知りたいところであります。また、関係者においても知りたいところであろうと思います。客観的事実としてこれを報道するということは、私はこれは格別のことはないと思います。ただ、従来どんな扱いをしてまいりましたか、この際、また十分検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/216
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217・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 第三は、地方課の職務と関連する問題ですが、本日は時間がないので、具体的に指摘いたしませんが、地方課が日教組の地方組織の脱退または分裂の工作を裏面指導しておるという事態について、文部省の地方教育委員会等に対する行政指導として、そういうことが行なわれておるということを、適否はとかく聞きませんが、そういうことを報告を受けられたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/217
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218・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 具体的な報告を受けたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/218
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219・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 大臣はそういう指導が行なわれることが当然であるという見解でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/219
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220・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 具体の事実によって考えなければならぬ問題だと思うのであります。日教組の組合から、文部省が、教師が脱退するようにとか、脱退される工作をするとかということは、文部省の限界をこえた行為だと私は考えます。ただ、日教組の行動につきましては、場合によりましては、文部省としても批判せざるを得ないということはあり得ると、私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/220
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221・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 地方課がそうした役割りを果たしてきたかどうかについても、大臣としては、省内の監督というか、仕事の把握としても調査をしていただきたいと思います。それから同じ行政指導に属することですが、たとえば本委員会で、あるいは国会等で質疑が行なわれ、その結論として、具体的にこういう行政指導をしますという大臣ないしは局長答弁が忠実に行なわれておるかどうかを、主要な問題については、その報告も積極的に、所管局、課は大臣に行なっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/221
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222・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 事に応じて報告しているものと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/222
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223・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 具体的になりますが、主として米田委員が問われた二月の主管課長会議における教科書法の説明について、大臣は取り消すというか、間違った行政指導が行なわれたということを認められたようですが、あの際の大臣答弁は、教科書法の適切な解釈あるいは運営の指導として、地方教育委員会にすでに周知徹底されているという報告を受けておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/223
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224・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) そのとおりに扱っているものと心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/224
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225・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 局長にお尋ねしますが、長々とお答えいただく必要はないですから、そのことについてどういう指導が行なわれておるか、報告をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/225
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226・福田繁
○政府委員(福田繁君) まだ課長会議を開催いたしておりませんので、具体的に全般的な指導はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/226
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227・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 国会における大臣答弁が、指導が行なわれないままに今日まで経過をしてきておりますが、指導を行なわなかった事態に立って、大臣答弁したとおりに前の指導が是正されて行なわれておるという確信を持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/227
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228・福田繁
○政府委員(福田繁君) 新聞等でその問題は相当出ましたので、各都道府県の教育委員会におきましては、疑問の点ある向きは相当聞いてきております。したがいまして、私どもの観測では、各府県とも大体あの線でいろいろな対策を講じておることと考えております。具体的には、四月に開きます主管課長会議の際、十分事情を聞いて指導いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/228
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229・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 大臣にお尋ねしますが、教科書法の正当な解釈、それに基づいた運用ということは、事が直接児童生徒に関係を持つ教科書であるだけに重要な問題と思うのですが、これが新聞に載ったから大体間違いなく進んでおるだろうということで、文部省の責任が果されておるというお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/229
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230・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) これは私の早合点であったのかしれません。私としましては、もちろんお約束したとおりのことはやるつもりでおるわけであります。まだ、いまだにその機会がなかったといたしますれば、私の早合点でございました。間違いなくこの趣旨は徹底するつもりでおりますから、そのようにひとつ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/230
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231・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 当然間違いなく指導さるべきでありますが、いま局長が答弁したような、新聞にかなり大きく載ったから、それでいっているというような判断は、あれほど大きな問題になったこの事態に対して適切と思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/231
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232・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 原局としましては、四月の課長会議で十分説明しようと、こういう趣旨、気持ちでおったもののようでございますが、率直に申し上げますれば、もはや進んでいるぐらいに実は思ったのでありまして、その点は私の思いと若干違っておるわけであります。しかし、おくれたということは、そのようなつもりで——これで四月に話をすれば事足りると、このようなつもりでおったものだと考えます。私もいささか、まだかというふうな気が実はいましたのでありますが、この点はいま局長の申しましたように、課長会議において十分説明をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/232
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233・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 なかなか適切であったかどうか、すなおな回答をなさらぬようですが、地方教育委員会がさきに行なわれた行政指導に基づいて、教科書法の実際の運用といいますか、準備工作にいっていないという自信は、大臣も絶対持ち得ないと思います。これは私どもが調査したところによりましても、やはり一番心配をした広地域採択の指導とか、その他の問題について、従前の指導どおり行なわれておるやに聞いておるわけです。もしこれがどこかの委員会で、新聞に載っておったから、知らないほうの委員会が間違いだという考え方で、そうした運用が地方で行なわれておるとするならば、非常に重要な問題だと思うんですね。この責任についてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/233
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234・福田繁
○政府委員(福田繁君) ちょっと申し上げますが、先ほどの私の申し上げましたことに少し足りない点がありますので、申し上げます。具体的に申しますと、米田委員の御指摘になりました採択に当たっての方法等、当委員会において結論を得ました事柄につきましては、情報として各教育委員会に全部それを流しております。したがって、そのきめられた事柄に従って措置するようにという手配は、私どもとしてはいたしております。しかしながら、四月に主管課長会議を開く予定でございますので、その際に、さらに具体的にこまかい点について、いろいろ質疑応答等を重ねて指導いたしたい、そういう心組みでおりましたことを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/234
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235・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 大臣は部下を大切にして、どうも若干怠慢のそしりを免れないという答弁をなさらぬですが、主管局長としては、今まで指導しなかったのは当然怠慢であると思っておられるでしょうが、いま説明された情報なるものは、文部省の文書としてどういう性格を持っておるものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/235
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236・福田繁
○政府委員(福田繁君) 内簡の形で出したと記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/236
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237・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 内簡は、局長名ですか、課長名ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/237
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238・福田繁
○政府委員(福田繁君) 課長名だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/238
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239・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 その内簡の中に記されておる主たる事項は何と何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/239
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240・福田繁
○政府委員(福田繁君) 採択に関する事柄につきまして、当委員会において御指摘になった点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/240
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241・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 採択に関する事柄だけですか。それとも、本委員会で米田君が主として質疑を行なった点といいますか、もっと的確にいえば、教科書法の正当な解釈、あるいは法の適用等について質疑応答あるいは大臣の答弁等、主要なものは全部入っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/241
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242・福田繁
○政府委員(福田繁君) 法の解釈あるいは法の運用につきましては、次官通達なり、私の名前をもちまして通達が出ております。したがいまして、そういうもの以外に、特に問題になりました点についての、何と申しますか、結論でございますか、そういうものを地方に流しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/242
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243・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 その二つの資料によって、間違いなく適法な地方教育委員会の行政運営が行なわれておるという責任を持つことができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/243
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244・福田繁
○政府委員(福田繁君) 適切に行なわれるものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/244
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245・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 委員長を通じて、いま言われた次官通達と、それから情報なるものを次期委員会に提出をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/245
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246・中野文門
○委員長(中野文門君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/246
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247・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を起こして。
本日の委員会は、これをもちまして散会いたします。
午後八時三十五分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X01919640331/247
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