1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月十二日(火曜日)
午前十一時八分開会
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委員の異動
五月八日
辞任 補欠選任
鈴木 一弘君 柏原 ヤス君
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出席者は左のとおり。
委員長 中野 文門君
理 事 北畠 教真君
二木 謙吾君
吉江 勝保君
小林 武君
委 員 植木 光教君
木村篤太郎君
久保 勘一君
斎藤 昇君
中上川アキ君
秋山 長造君
加瀬 完君
豊瀬 禎一君
柏原 ヤス君
高瀬荘太郎君
発議者 小林 武君
発議者 加瀬 完君
発議者 秋山 長造君
発議者 豊瀬 禎一君
国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
政府委員
防衛施設庁長官 小野 裕君
防衛施設庁総務
部会計課長 大浜 用正君
文部大臣官房長 蒲生 芳郎君
文部省初等中等
教育局長 福田 繁君
文部省管理局長 杉江 清君
事務局側
常任委員会専門
員 工楽 英司君
法制局側
法 制 局 長 今枝 常男君
説明員
文部省初等中等
教育局財務課長 岩間英太郎君
文部省初等中等
教育局特殊教育
課長 林部 一二君
文部省管理局助
成課長 岩田 俊一君
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本日の会議に付した案件
○理事辞任の件
○理事補欠互選の件
○国立教育会館法案(内閣提出、衆議
院送付)
○公立の盲学校、聾学校及び養護学校
の幼稚部及び高等部の整備に関する
特別措置法案(小林武君外四名発
議)
○教育、文化及び学術に関する調査
(基地周辺の学校の防音に関する
件)
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001・中野文門
○委員長(中野文門君) ただいまより文教委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。五月八日、鈴木一弘君が辞任され、その補欠として柏原ヤス君が選任されました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/1
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002・中野文門
○委員長(中野文門君) この際、理事の辞任についておはかりいたします。
豊瀬君から、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/2
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003・中野文門
○委員長(中野文門君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/3
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004・中野文門
○委員長(中野文門君) 次に、理事補欠互選についておはかりいたします。
ただいまの理事辞任に伴う補欠互選を直ちに行ないたいと存じます。
互選は、投票の方法によらないで委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/4
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005・中野文門
○委員長(中野文門君) 御異議ないと認め、理事に小林武君を指名いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/5
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006・中野文門
○委員長(中野文門君) 国立教育会館法案を議題といたします。
前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/6
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007・加瀬完
○加瀬完君 問題は教育会館の研修の権限でございますので、研修の権限というものが現在の教育関係の法律、命令等の中で、文部省あるいはその他の機関にどのように配分をされ、どのような範囲で権限が付託されておるかという点について、主として法制局に本日は伺いたいと思います。そこで、第一でございますが、教育事務は地方団体の固有事務だと考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/7
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008・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 現在の制度ではそのように考えていいかと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/8
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009・加瀬完
○加瀬完君 公立小中学校の管理権は、地方教育行政の組織並びに運営に関する法律によりますると、当然、地方団体にあると思いますが、それでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/9
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010・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) さように了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/10
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011・加瀬完
○加瀬完君 文部大臣の権限は、地方.教育行政法によれば、指揮監督権はなくて、教育事務の適正をはかるため必要な指道火助言、援助にとどまるべきであると解されるのでございますが、そのように解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/11
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012・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) そのように理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/12
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013・加瀬完
○加瀬完君 ただし、教科に関する事項は監督官庁が定めると学校教育法の二十条にございますし、当分の間その監督官庁は文部省と規定をされておりますので、この学校教育法の授権に基づいて、文部省は、教科の種類や指導要領等、法的な拘束力を保持するものだと解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/13
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014・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) そのように理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/14
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015・加瀬完
○加瀬完君 指導要領は教育課程の国家基準を定めたものであるので、この基準に従わなければ違法である、文部省はこのような見解をとっておるようでございますが、だからといって、従わない場合、文部省に強制力はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/15
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016・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 規定の上で強制の手段を定めたものはないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/16
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017・加瀬完
○加瀬完君 違法行為であるということと、いかなる措置をとり得るかということは、法律上は別個の事項だと考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/17
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018・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 必然に関連はないと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/18
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019・加瀬完
○加瀬完君 学校教育法に、文部大臣が教育課程の国家基準を定めるという規定があるからといって、直ちに行政及び運営上の監督を行ない得る特例が認められていると解することはできないと思いますが、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/19
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020・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) さように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/20
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021・加瀬完
○加瀬完君 このことは、指導要領を守らない者がいるからといって、文部省が、あるいは文部省にかわるべき機関を設けて教師に直接研修をしてよいということにはならないと思いますが、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/21
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022・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) ただいまお話しのような趣旨から当然には出てはまいらないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/22
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023・加瀬完
○加瀬完君 文部省の指導、助言は、地方教育行政の組織並びに運営に関する法律の四十八条、あるいは文部省設置法の五条一項の十九等によりましても、教育委員会等の機関に対してなされることが原則だと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/23
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024・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 法律はそのように現定しておると理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/24
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025・加瀬完
○加瀬完君 そうすると、学校や教師の求めもないのに、積極的に個々の人を対象に指導、助言を行なうことは適当ではないと考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/25
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026・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 文部省の権限が、間接に県や市町村に対して指導、助言としてなされますということは、県市町村から依頼がない場合にはできないという意味にはならないのではないかと存じます。したがいまして、いまお尋ねのように、要求がないのにやることはよくないんではないかというお尋ねが、もし法律的な意味でしたら、直ちにそれが法上よろしくないということにはならないのではないかと、このように理解いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/26
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027・加瀬完
○加瀬完君 前段の私が述べました点は問題の中心ではございません。個々の教職員を対象に文部省が積極的に指導をするということは、法のたてまえからいって妥当ではないではないかと思いますが、この点はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/27
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028・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 積極的にという、少し、ことばじりをとらえるようで恐縮でございますが、積極的にということの意味によって、お答えは必ずしも一義的には出てこないのではなかろうかと存じます。つまり指導、助言として、あるいは援助として行なうわけでございますから、根幹になるものが文部大臣ではないようなたてまえでできておるということはできると思いますが、援助の一態様として行なわれます限りにおいては、それ自身が何らかの意味において積極的であるということによっては、直ちには指導、援助の限界をこえるということは困難になってくるのじゃないかという感がいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/28
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029・加瀬完
○加瀬完君 問題は指導、援助の態様にあると思いますが、この点についてはあとでまた伺いますので、次に進みます。
教育職員の研修責任者は任命権者であると了解してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/29
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030・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/30
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031・加瀬完
○加瀬完君 教育委員会は文部省の下部機構ではございませんので、教委の権限、文部省の権限が明瞭に現行法では区分規定をされておると思いますが、そう了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/31
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032・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) いまのお尋ねの趣旨、十分了解いたしませんでしたが、区分規定されておるというお尋ねの意味、ちょっと私につかみがねるのでございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/32
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033・加瀬完
○加瀬完君 教育行政機関ではございますけれども、地方教育委員会なり、都道府県教育委員会なんというものは、文部省の下部機関ではございませんので、教育委員会の行なうべき任務、文部省の行なうべき任務というものは、現行法上画然と規定をされておると解釈してよろしいか、こういう意味です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/33
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034・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 画然の意味でございますが、つまり、指揮、命令という系統でつながっていないという意味においてでございましたら、そのとおりかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/34
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035・加瀬完
○加瀬完君 教育委員会の権限に対して、国が制限あるいは干渉をなし得るような立法措置は、現行法の体系を乱すと思われますが、この点はいかがでしょう。抽象的なことでございますが、私の言いたいのは、教育委員会の権限、文部省の権限というものは、はっきりしておるわけでございますから、文部省なら文部省が新しい立法をいたしまして、教育委員会の権限に制約を与える、あるいは干渉をし得る道を開くといったようなことは、現行法の体系からすれば好ましいことではないと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/35
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036・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 現行法の体系から、いまお話しのようなことがあらゆる場合において必然に出てくるというふうに考えることはむずかしいような感がいたしております。つまり、そういう一応の体系をくずすのに必要な要請があるかどうか。あるいはそうしてくずしていくことが教育行政上適当かどうかということによってきまってくることではないかと存じますので、これもすべての場合に体系上好ましくないという一般的な結論を出してみることはむずかしいのじゃないかというように感ずるのでございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/36
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037・加瀬完
○加瀬完君 具体的に例をあげましてお答えをいただきたいのでございますが、先ほどお答えがございましたように、教育職員の研修責任者は、これは任命権者でございます。そこで、任命権者であります教育委員会の責任として行なわれねばならなかった教職員に対する研修が、文部省あるいは第三者機関に掌握をされるということになりますと、一つには、中央の方針が任命権者の意図にかかわらず強く教職員の個々に及ぶことになります。また他面は、教育委員会が文部省に対する依存度というものを強めてくる結果にもなってまいりますので、教育活動の面にまで国の方針で統制化されるおそれも生じてくるかと思うのでございます。これは仮定でございますが、もしこのような点が事実化してまいりました場合は現行法を乱すということになりませんか、現行法を乱すおそれが生ずるとは言われませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/37
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038・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 新しい立法によりまして既存の体系に例外を加えますことは、これは一般問題として、法制上の問題としてお答えいたします限りにおいては差しつかえないことと考えておりますので、したがいまして、そういうふうにくずしていくことがいいかどうかということを法制的な立場から判断してお答えすることは困難ではないかと存じます。と申します意味は、ただいまお尋ねのような任命権者の責任というものを純粋に一本に保っておいたほうがいいのか、あるいはある程度の必要によってそれに修正を加えるのがいいかということは、法律以前の、まず立法政策の問題としてきまる問題でございますので、法制上これがくずされていいとかいけないとかという形でお答えすることはむずかしいのではないかというふうに感ずるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/38
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039・加瀬完
○加瀬完君 こういうことは言われますね、いままでのといいますか、現行法の立法の精神とは違った立場で、いまお答えの中にあげられました、たとえば第三者である教育会館なら教育会館に研修権を認めるということになるとすれば、それはいままでの立法の精神とは違った立場で立案がされたものだと解することはできますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/39
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040・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 教育会館そのものを具体的に取り上げてお答えすることが適当かどうか、ちょっとあれでございますので、そういう意味じゃなくて、お尋ねのような方向のもし立法が考えられます場合には、既存の体系とは確かに方向が違うと申しますか、既存の体系にそのまま沿ったことにはならないと、お尋ねのような趣旨に関する限りはそういうことになると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/40
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041・加瀬完
○加瀬完君 そこで、半分具体的なことで半分抽象的なことでお答えをいただくのは恐縮でございますが、教育会館がある方針で教育職員に対して研修を行ない、その内容が教育基本法等に触れる場合が生じたときは、責任の所在はこの教育会館法では明文化されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/41
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042・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) いまのお尋ねは、教育会館法そのものにそういう例があるかということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/42
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043・加瀬完
○加瀬完君 そうです。——それは文部省からお答えいただいてもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/43
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044・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 法律そのものを用意しておりませんので失礼いたしました。
ただいまお尋ねのような点に関しましては、三十二条に、「教育会館は、文部大臣が監督する。」という規定がございまして、したがって、監督上の責任として文部大臣の責任になるという規定があるということは言えるように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/44
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045・加瀬完
○加瀬完君 それじゃさらに伺いますが、教育の政治的中立性あるいは宗教的な中立性が保たれるという保障は条文の中にございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/45
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046・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 条文そのものにそういうことは書いてございませんが、ただ、文部大臣が監督、責任を負うことが直ちに中立性云々に響いてくる問題ということにはならないんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/46
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047・加瀬完
○加瀬完君 文部大臣自身が——具体的に灘尾さんということではございませんから御了承いただきます。文部大臣自身が教育の中立性を犯し得る場合だってあり得るわけです。文部大臣が監督をするから教育の中立性が保障されたということにはならないと思うんです。で、問題は、伺いたい点は、条文の中に、中立性を保たなければならないということは明文化されてはおりませんということは御確認いただけますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/47
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048・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) この法案そのものに局限してお答えいたします限りにおきましては、この法案には、そういうことを明らかにいった規定はないということは申し上げられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/48
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049・加瀬完
○加瀬完君 教育基本法等は、教育の地方分権、教育行政の中央集権化の排除、こういったことを中心性格としていると考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/49
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050・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) さようなことも二つの要点になっておるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/50
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051・加瀬完
○加瀬完君 重要な要点ではございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/51
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052・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) さようであると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/52
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053・加瀬完
○加瀬完君 文部省設置法は、直接、教育活動に対し指揮監督権のない点を強調していると思いますが、違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/53
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054・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 積極的な、何といいますか、文言でもってそういうことを強調している規定は特になかったのではないかと理解しておりますが、あるいは私の記憶違いでございましたら、また訂正さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/54
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055・加瀬完
○加瀬完君 指揮監督権というものは、原則として認められておらないのではございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/55
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056・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) そういうことを積極的に規定した規定はございませんと、これも了解をいたしておりますが、私の記憶する限りにおきましては、指揮監督権があるということを積極的に規定したのはなかったというように記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/56
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057・加瀬完
○加瀬完君 指揮監督権がないことも規定されておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/57
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058・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 失礼いたしました。記憶違いでたいへん失礼いたしました。そういう規定がございます。指揮監督を行なわないという規定がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/58
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059・加瀬完
○加瀬完君 したがって、他の法律で授権をされている項についても、指揮や監督にならざるような配慮が当然あるべきだと読み取ってはいけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/59
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060・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 他の法律におきまして、特に指揮監督権があるということを規定いたしております場合には、これはその特則として、それ自身に関する限りは普通の場合と同じように指揮監督権があるというように、法的には解せざるを得ないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/60
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061・加瀬完
○加瀬完君 いや、指揮監督権があるものを私は問題にいたしておるわけではありません。一応、文部省の行政範囲として、権限として行ない得るものであっても、それはあくまでも指導、助言、援助の域にとどまるべきである。指揮監督という傾向を出すことは好ましいことではない、また、そういう態度であってはならないと読み取ってはいけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/61
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062・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 特に規定の上に指揮監督とありません場合には、それは仰せのとおりと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/62
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063・加瀬完
○加瀬完君 もっとはっきり申し上げるならば、旧文部官僚が持っていたような権限を回復しようというようなことは、文部省設置法の精神にははずれると解釈してはいけないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/63
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064・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) ちょっと、旧文部官僚が持っておったようなというお尋ねに対して、そのままお答えすることが適当かどうか、ちょっと迷うのでございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/64
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065・加瀬完
○加瀬完君 それはあとで質問を申し上げるつもりでございますが、第二国会で教育委員会法が提案をされましたときの質疑に、時の森戸文部大臣がお答えになりまして、不当なる支配とは何だということに対して、不当なる支配というものは、直接的に言えば文部官僚による教育の統制だ、こういうものをなくすることが不当なる支配の排除だということを答えられておるわけです。そういう意味の何か教育の権限をもう一回文部省に集約をしようとする、中央集権化そうとするような考え方というものは、文部省設置法の精神とははずれるのじゃないかと、こういう意味です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/65
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066・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 私の立場上、法制的な見地からお答えいたしますが、そういうことができるような規定のないもとにおいて、したがいまして、現在の一般的な制度のもとにおきまして、そのような方法の行政が行なわれますれば、それは制度の趣旨に反するということになるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/66
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067・加瀬完
○加瀬完君 研修の内容でございますが、勤務能率の発揮及び増進を目的として職員に対して行なわれる教育訓練で、職員の職務上必要な知識、技能、教養の修得を内容とするものだと、こう考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/67
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068・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) そのように考えてよろしかろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/68
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069・加瀬完
○加瀬完君 文部省が原則として指導、助言、援助をなし得る対象は、先ほど若干御説明がございましたけれども、もう一度はっきり伺いますが、何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/69
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070・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の四十八条におきまして、都道府県または市町村が対象でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/70
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071・加瀬完
○加瀬完君 教職員個々に対し強制的に指導をなす権限は文部省にはないと解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/71
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072・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 強制的にする権限はないということになると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/72
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073・加瀬完
○加瀬完君 文部省がかりに教職員に対して研修をなし得るとすれば、それは都道府県または市町村に対する援助の一態様として許容されると解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/73
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074・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) そのように理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/74
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075・加瀬完
○加瀬完君 法律用語上の指導、助言、援助は、あくまでも側面からなされる性質のものであって、直接個々人を対象にある方向づけをする等の直接的なものではないと解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/75
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076・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) すべて直接的であり得ないということになるかどうかにつきましては問題があると存じますが、側面的であることを原則として考えておるかと思います。ただ、その方法の一態様として、時に直接やることが援助になるということもあり得るように感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/76
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077・加瀬完
○加瀬完君 原則としては補充的なもの、側面的なものと考えてよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/77
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078・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) そのようなことだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/78
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079・加瀬完
○加瀬完君 この国立教育会館法によると、教育会館に研修権が与えられることになるのでございますが、こういった正面切っての研修権というものは文部省にすら与えられておらないと思うのでございますが、教育会館法は、文部省にも与えられておらなかった研修権が新しく与えられると解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/79
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080・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 先ほど来お話しに出ておりますようにと申しますか、こちらでまたお答えしました中に入っておりますように、援助のある方法として文部省のやり得る限りにおいては文部省にございますが、主体的なものとして文部省は権限を持っていないということはお話しのようなことになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/80
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081・加瀬完
○加瀬完君 文部省に伺いますが、法人にこの教育会館法によるような研修権が与えられている前例がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/81
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082・福田繁
○政府委員(福田繁君) その前に、文部省に研修をする権限がないというような意味のお尋ねでございましたが、私どもの解釈といたしましては、文部省設置法に根拠を置きまして、第八条にもございますように、教職員その他の関係者に対して専門的な技術的な指導と助言を与えることというのが初等中等教育局の事務の中にございます。それにはどういう方法で与えるかと申しますと、「初等中等教育に関係のある教育職員のための研究集合、講習会その他の催しを主催し、又はこれに参加すること。」、こういうようにございまして、そういう仕事というものは文部省の権限として明瞭に定められておるのでございます。同時に、また先ほど法制局長の御答弁のありましたように、この教育会館というものが特殊法人として研修の主体となり得るという法律上の根拠を置きますことは、これはこの法律によってそういう規定を置けば私どもは差しつかえないと考えておりますが、研修権という表現をお使いになりましたが、これは研修権というようなことが適当でありますかどうかわかりませんが、私どもとしましては、この国立教育会館はこういう教職員に対する研修という事業を行ないますのは、あくまでこれは一般の教職員の資質の向上をはかるためのいわばサービス的な仕事であろうと考えております。したがって、研修権というような表現が適当であるかどうかということは私ども疑問を持っておるわけでございます。他の法人についでこういう規定があるかどうか、これは私も詳しくは存じておりませんが、他の法人をつくる場合にこういう研修の規定を置きましても、それは法律上差しつかえないものであろうというように解釈をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/82
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083・加瀬完
○加瀬完君 地方公務員法によれば、研修する権限というのは任命権者だけに与えられているわけですよ。いま局長の御説明になりました点は、これは文部省が他の法律から授権をされておる範囲においてそれらが生ずるわけです。しかし、その説明をおっしゃるなら、私はあとで申し上げようと思ったが、異論がある。なぜならば、第八条の十三号のロをいま御説明なさったわけでございますが、そこで研究会とか、講習会の主催ができると考えているようでございますが、第五条に文部省の権限がはっきりときめられておるわけであります。その二十二号には、研修については講習会をやったり研究会をやったりしていいとは書いてない。第五条第二十二号には、「教育職員の研修について連絡し、及び援助すること。」と書いてある。何もこれを議論するわけではございませんが、初中局の仕事も体育局の仕事も文部省の権限をはずれることはできない。そうすれば、大きくしぼっているのは研修、文部省の行政権限としての研修というものについては、連絡し援助することなんです。しかし、この第八条の十三号を問題にいたしておりますのは、文部省自体で行なっていい権限が与えられておりますから、そのワクでのみこういうことが生きてくるということであって、ここの十三号のロで、研究集会、講習会その他の催しを主催することもできるから、何でもやっていいということにはならない。そういう解釈なすっていらっしゃるから、私どもはしなくてもいい質問をしなければならないことになる。しかし、あなたに対する質問はあとでゆっくりいたしますので、私はそこだけは異論があるということだけを申し上げておきます。
で、法制局に伺いますが、文部省に講習権限があるかどうかということは、またこれは法制局に別の機会に伺うといたしまして、法人にこのような研修権限を与えている前例はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/83
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084・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) あらゆる法律を調べてはおりませんので、的確なお答えになりますかどうかわかりませんが、少なくとも教職員に対する研修をある法人に与えているという規定は現行法上はないのではないか、これは記憶の限りにおいてはそういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/84
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085・加瀬完
○加瀬完君 そうすると、本法の規定は異例な措置と考えてよろしゅうございますか。いままでの法律上は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/85
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086・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 異例と申しますか、どうですか。新しい立法であるということに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/86
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087・加瀬完
○加瀬完君 文部省に伺いますが、この教育会館法の内容というものは、国立競技場法に準じているのだということを間接的に伺っておりますが、国立競技場法で一体こういった研修権限というものがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/87
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088・福田繁
○政府委員(福田繁君) 先ほどお尋ねいただきましたことにつきましては、私ちょっと資料を見ておりましたが、この国立教育会館法だけでなく、他の特殊法人につきましても、研修なり、その他それに類似の業務を規定しているものがあるようでございます。これを一、二申し上げますと、たとえば日本原子力研究所でございますが、ここの業務の範囲の中には、「原子力に関する研究者及び技術者の養成訓練を行うこと。」というような、一つの研修でございますが、そういう事業が加わっております。それからまた雇用促進事業団という特殊法人がございますが、その業務の範囲の中に、「再就職しようとする者に対して、必要な知識及び技能を習得させるための講習を行なうこと。」というような例があります。これはまさにそういう適例だと思います。まだあるかもしれませんが、申し上げておきたいと思います。
それからお尋ねのございました国立競技場の場合でございますが、国立競技場の場合は、その所有いたしております体育施設あるいは付属施設を利用して、体育の普及振興のため必要な業務を行なうこと、こういう規定がございます。この規定に従いまして国立競技場という特殊法人自体が実技の講習会を主催したり、あるいは他と共催いたしましたり、そういうことをやる根拠はここにあるわけでございまして、そういう仕事を若干やっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/88
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089・加瀬完
○加瀬完君 この法的な性格が全然違うわけです。日本原子力研究所や雇用促進事業団で研修をさせるといっても、それは地方公務員法とか、あるいは国家公務員法で、研修権限がどっかにあるという、そういう規定に属するものを特別集めてここで研修をするということではないわけです。それから、この国立競技場にいたしましても、第一条の目的でも、第十八条の業務の中にも資質向上のために再教育をするということはどこにもないでしょう。ありますか。「国立競技場は、その設置する体育施設を適切かつ効率的に運営し、体育の普及振興を図り、もって国民の心身の健全な発達に寄与することを目的とする。」とあるでしょう。第十八条の業務では、「競技場は、第一条の目的を達成するため、次の各号に掲げる業務を行う。」として、「一その設置する体育施設及び附属施設を運営すること。二体育に関する内外の資料を収集し、整理し、保存し、及び一般の利用に供すること。三その他その設置する体育施設及び附属施設を利用して、体育の普及振興のため必要な業務を行うこと。」、二項として、「競技場は、前項各号に掲げる業務を行うほか、第一条の目的の達成に支障のない限り、その設置する体育施設及び附属施設を一般の利用に供することができる。」とだけでしょう。しかし、今度は違うでしょう。教育会館法は、「教育職員その他の教育関係者のための」というはっきり目的をうたって、「教育関係者の資質の向上を図り、もって教育の振興に寄与することを目的とする。」と、はっきり再教育をすることが目的だということが書かれておりますよ。それを日本原子力研究所や雇用促進事業団で再教育をしているのだから、再教育をするという法律の前例がないわけじゃないとおっしゃっても、その限りにおいてはそうかもしれませんが、私の質問にお答え願ったことにはならない。
もう一回、法制局に伺いますが、国立競技場法で、この教育会館法のように教職員を対象に研修をするんだという権限がどこで規定されておりますか。第一条の目的だけでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/89
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090・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 卒爾として見ましたので誤りがあるか存じませんので御了承いただきたいのでございますが、いまお尋ねのとおりのものにぴったり当てはまるそのままの規定は、ちょっとこの場では見当たらないように思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/90
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091・加瀬完
○加瀬完君 そこで、国立競技場法における主目的は、その設置する体育施設を適切有効に運営することであると考えてよろしゅうございますか、法文解釈でですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/91
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092・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) さように思います。そのようなことによって国民の心身の健全な発達に寄与すると、こういうことが目的として規定されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/92
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093・加瀬完
○加瀬完君 教育会舘法の主目的は教育関係者の資質の向上ということにあると読み取れませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/93
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094・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 第一条にそのとおりのことが規定されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/94
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095・加瀬完
○加瀬完君 したがって、国立競技場法と教育会館法は特殊法人という、形容は一つでございますけれども、研修といったような面については全く異質の内容だと考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/95
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096・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) 異質というふうに申しますか、どうでございますか、分野が違っておるということは言えそうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/96
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097・加瀬完
○加瀬完君 とにかく違っておりますね。似てはおりませんね——文部大臣は衆議院での質問にお答えになりまして、教育会館に研修権を認めることは、研修をすることが主目的ではないんだとお答えになっておりますけれども、主目的として教育会館が活動をするならば、これを違法としてとがめ得る根拠は何にもございませんね、法制局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/97
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098・今枝常男
○法制局長(今枝常男君) そういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/98
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099・加瀬完
○加瀬完君 法制局はそれだけでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/99
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100・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/100
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101・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/101
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102・加瀬完
○加瀬完君 この国立教育会館の収入支出を見ますと、支出の部では、職員給与の中に技能職員と事務職員と分割されて配当をされておるわけです。この技能職員というのはどういう任務でございますか、技能職員二十七名というのがございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/102
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103・福田繁
○政府委員(福田繁君) 技能職員と申しますのは、タイピスト、運転手、電話交換手、電気技術員、機械技術員、エレベーターの要員、それから照明技術者、音響技術者、映写技師、そういうような技術を持っておる者をいうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/103
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104・加瀬完
○加瀬完君 この技能職員の中には、教職員の資質の向上を目的として直接指導に当たる職員は入っておらないと解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/104
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105・福田繁
○政府委員(福田繁君) それはそのとおりでございます。入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/105
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106・加瀬完
○加瀬完君 施設管理運営費として三千百三十一万一千円が計上され、その内訳として諸謝金百十四万円が示されております。内容は教養講座、語学研修講座、視聴覚教育講座のための講師謝礼金のようでございますが、百十四万円はこの三講座の講師謝礼金だと考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/106
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107・福田繁
○政府委員(福田繁君) そのとおりでございまして、これが国立教育会館法が成立いたしまして、自分で会館自体の事業として行ないます研修会等に当たりまして、いま御指摘のありましたような語学の研修だとか、あるいは視聴覚関係の研修とか、そういうものの講師謝金の全部でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/107
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108・加瀬完
○加瀬完君 この教職員の資質の向上のためという目的でございますが、この百十四万円で三講座、どういうようなことをなさる計画でございますか、計画の概要を御説明いただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/108
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109・福田繁
○政府委員(福田繁君) これはまだ具体的に細目はきまっておりません。と申しますのは、もちろん、この国立教育会館ができ上がりましてから、そこで具体的に決定されるものでございますが、一応の考え方といたしまして、語学研修なぞをやります場合に、各教育委員会なぞを通じて、希望する教職員に対しまして年十回程度の語学研修は少なくともやりたいというようなことで一応の見積りをいたしております、一回まあ大体五、六日程度の短期のものでございますが。それから視聴覚関係の研修におきましては、これもまあ年十回程度の研修を実施したらどうか。それから一般の教養講座でございますが、これも大体四月に会館ができ上がるという想定のもとに年十回程度はやれるのじゃないかというようなことで、それぞれに必要な経費を一応見積って百十四万円というようにいたしておるわけでございます。具体的には、会館ができ上がりましてからそういうことを十分検討して実施されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/109
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110・加瀬完
○加瀬完君 百十四万円の予算ということになりますと、講座を平均しますと一講座三十八万円、月額にすると約三万円ということになりますね。これで講師の謝礼というのは一体単価をどれくらいに見積っておるのですか。それから回数が何回ぐらい。いま一回六日ぐらいと言いますけれども、それを十回というお話でしたけれども、それを六十日ぐらいおやりになるということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/110
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111・福田繁
○政府委員(福田繁君) 教養講座におきましては大体講師謝金は単価として五千円程度を見込んでおります。十回でございますから、二人といたしますと大体十万円というものでございます。それから語学研修の場合におきましては、これはまあ時間数にもよるわけでございますが、大体千円ないし二千五百円というのが単価でございます。したがいまして、語学研修の経費がこの中で一番大きいわけでございまして、全体として約九十六万円程度を見込んでおります。それから視聴覚関係のものといたしましては、これも先ほど申し上げましたように、年十回程度考えておりますが、これはまあ単価一人三千円ということで、年間六万円というのが一応の積算でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/111
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112・加瀬完
○加瀬完君 この資質の向上ということが目的でございますが、資質の向上ということで、内容といたしましてはどういう点を研修させようとしておるのですか。ただいま御説明になりました視聴覚教育の講習あるいは語学講座、これだけでは資質の向上ということにはちょっとぴたりとこない、教養講座もございますけれども、結局どういう点を高めようとなさるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/112
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113・福田繁
○政府委員(福田繁君) 語学の研修は、これはもちろん教職員にとりましても語学は非常に大事でございますので、一般に語学研修なぞが行なわれておりますが、私どもとしては、それ以上に充実したものをやっていきたいという考え方でございます。それから視聴覚関係でございますが、この会館にはいろいろと視聴覚関係の設備はかなり充実した設備を設けることになっておりますけれども、そういった点から一般の学校ではできないような視聴覚設備を使いまして、実際学校教育の場合における指導、あるいは具体的な先生方の研究、そういうものにここを使っていきたい、こういう意味の研修でございます。それからまた教養講座は、これはいろいろあると思いますが、いわば講演会式のものでございまして、一般の教職員に対しましても文化講演式の講演会などによって教養を高めていく、そういうのを一応ねらっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/113
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114・加瀬完
○加瀬完君 そうすると、資質の向上といっても、これは文部省設置法の中にある、初中教育のあらゆる面について技術的、専門的な点について指導、助言をするという程度ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/114
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115・福田繁
○政府委員(福田繁君) もちろん資質の向上ということには、一般的な一般教養というものも大事でございます。それからまた、専門的な教養、教師が教壇に立って生徒を指導する場合に、理科教育なら理科のいろいろな指導技術、あるいは視聴覚関係の指導の場合におきましては、視聴覚教育についての具体的な専門的な技術というものも必要でございます。そういうものを両方含むと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/115
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116・加瀬完
○加瀬完君 衆議院での鈴木一君の質問に対し教師としての使命感に燃える人がほしい、国の示した基準というものをもっと生かしてやっていくようにさせたい、こういうことを福田局長は力説しておるわけですね。そうすると、資質の向上という中には、いま言ったような、教師の使命感に燃えるような性格をつくるということが当然含まれてこなけりゃおかしいと思う。それは教養講座でおやりになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/116
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117・福田繁
○政府委員(福田繁君) 衆議院でそういうことばを使ったかどうか、ちょっと記憶ございませんが、あるいはそういうことばを使っておるといたしますれば、もちろん教師としては子供を指導するわけでございますから、したがって、教師が子供に対して、教師自身の使命というものを十分自覚して、十分指導の手が届くというような考え方に立ちまして自分自身も研修を続けていくということは、これは当然必要でございます。そういう意味から、もちろん専門的な技術、専門的な事項についての研修というものも必要でございますが、教師みずからの人格識見を高める意味の一般的な教養というものも高める必要があろうと思います。そういう意味で私は申し上げたつもりでございますが、もちろん、ただ講演会を聞いただけで直ちにそうなるとは思いませんが、絶えずそういう研修につとめていくべきものであるという趣旨で申し上げたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/117
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118・加瀬完
○加瀬完君 きょうは予算の点だけにとどめたいと思いますが、役職員の給与が三千四百三十八万七千円、備品消耗品等のいわゆる管理運営費として二千九百八十五万円、それに対しまして、いろいろお述べになっておりますけれども、講師に対する謝礼の諸謝金は百十四万円。この法律の御提案の御説明の中で拝見をいたします教育会館の任務というものは、少なくも教職員の資質の向上のための諸活動をするということでございますけれども、その中心は百十四万円、役職員の手当は三千四百三十八万円、こういう予算の配分で、いろいろおっしゃっているようなことができるんですか、百十四万円で。職員の資質をまるっきりお変えになるような御説明もありますけれども、どうおやりになりますか、手品みたいなことでございますけれども、ひとつ御説明をいただきたい。この予算の配分で、私にはほんとうに一体資質の向上をさせるようなことを教育会館でやれる予算なのかどうか、疑問なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/118
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119・福田繁
○政府委員(福田繁君) 教育会館がみずから行ないます研修事業に費やす経費としては十分ではないと私ども考えております。しかしながら、これは初年度でございまして、総体の予算が六千七百十四万円というような見積もりをいたしましたのでございますが、まあ当初のことでございますから、もちろん会館等の利用によって収入があるわけでございます。しかし、それも教育界を対象にいたして利用してもらうわけでございますから、あまり多く収入を見込むわけにはまいらない。また初年度でございますから、これらについての利用のしかたというものも十分控え目にしておいて見積もりませんと、見積もりが大きくはずれましても会館の運営としては不健全になります。そういった意味で収入のほうをかなりかたく見積もったわけでございます。また、一般の施設などの利用の場合などよりも、かなり安く、たとえば厚生年金会館などがかなり安いと言われておりますけれども、これよりもさらに四割程度割り引いた値段で利用料金を一応きめようというような考え方でございます。そういった意味から、初年度の六千七百十四万円の中で、施設運営から上がりますところの収入は三千七百十四万円でございます。それと人件費等に対します国庫補助三千万というもの、これは予算できまっておりますので、それとにらみ合わせまして事業というものを考えますと、初年度はこの程度しか残念ながらできないというのが実情でございまして、これはまあ将来は会館自身としてはいろいろ収入の面につきましてもくふうを加えて、もっとできるだけ充実した事業をやっていきたいということになろうと思いますけれども、現状においては、これは初年度としていたしかたなかったものだと、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/119
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120・加瀬完
○加瀬完君 この国立教育会館法案の二十条の二号ですか、「前号に掲げる者のための研究集会及び講料会を主催し、その他これらの者の資質の向上のため必要な業務」ということが書かれておりますね。こういう、先ほど法制局のほうからもお答えがございましたけれども、いままでには例のないような特殊法人に権限を与えて、いま指摘したような研修権限を与えておって、研修を遂行する予算の措置というものが何にも講じられておらない。何にもというのが誤まりだというならば、百十四万だけ。一人平均としてこれは幾らになりますか。義務制だけに限っても、教職員一人平均にして百十四万というのは一人幾らになる。こんな大きなことを掲げたって、内容はないじゃないですか。そういうことを私どもはもう少し問題にしたいと思う。これはだんだん予算はあとでふくらますことができるということでございますか。予算に限ってお答えいただきます。予算はあとで幾らでもふくらますことができるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/120
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121・福田繁
○政府委員(福田繁君) これは二十条の業務の中で、みずから研究集会等を主催しますことだけでなく、もちろん御承知のように地方が主体でございまして、その会館の施設を利用して文部省がやる場合にもお借りするし、あるいは教育委員会などがやる場合にも、団体がやる場合にも貸すというのが第一号の事業でございまして、主体でございます。しかし第二号のほうの事業につきましては、先ほど御指摘されましたように、少ないじゃないかということでございますが、これは会館ができまして、いろいろ会館の役職員によって十分のくふうと研究をしていただいて収入を相当あげていただくようなことになりますと、この百十四万円の事業運営費というものはもっとふえるというふうに考えております。それはやはり会館自体の創意とくふうをお願いするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/121
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122・加瀬完
○加瀬完君 いまの御説明では、第一号が主体のようなおっしゃり方をいたしておりますけれどもね、衆議院では、教育会館の主たる目的は何かという質問に対して、学校教育関係者の資質の向上ということは、何をおいても第一義的にやらなければならない重要なことで、この点で運営していくんだとお答えになっている。しかし、これをやりますと長くなりますから、きょうはこの辺で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/122
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123・中野文門
○委員長(中野文門君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/123
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124・中野文門
○委員長(中野文門君) 速記を起こして。
午前中の会議は、これをもって終了し、暫時休憩いたします。
午後零時十二分休憩
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午後一時五十四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/124
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125・中野文門
○委員長(中野文門君) これより委員会を開会いたします。
公立の盲学校、聾学校及び養護学校の幼稚部及び高等部の整備に関する特別措置法案を議題といたします。
この法案については、提案理由の説明は聴取しておりますので、これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/125
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126・久保勘一
○久保勘一君 ただいま上程されておりまする盲聾、養護学校の幼稚部、高等部の職員あるいは校舎、教材に対する国庫補助二分の一の出資の法案につきまして二、三お尋ねをいたしたいと思います。
まず最初に、盲聾、養護の特殊学校の設置の状況について一特に就学状況等を中心として御提案者のほうから御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/126
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127・小林武
○小林武君 公立の特殊学校の幼稚部、高等部設置の状況は、幼稚部を置いておりますものが、盲学校におきましては七十五校のうち二校、聾学校は百三校のうち五十七校、養護は九十五校のうちありません。それから高等部は、盲学校が六十四校、聾学校が七十八校、養護学校は六校置かれているわけであります。就学の状況でございますけれども、大体、心身障害児童生徒の言及び弱視というようなものは、推定しておりますところの生徒数というのは、これは学齢児童生徒でありますが、一万二千八百七十人、そのうち五千四百十二人が就学をいたしておりますので、四二・一%の就学率、このようになっているわけであります。聾は二万三千九百一人が推定児童数でございます。そのうち一万五千六百八十六人が入っておりますから六五・六%、精神薄弱が七十七万七千六百九十八でございます。そのうち四万一千三百五十九が特殊学級、養護学校には二千六百三十七、したがって、就学率は五・六六%ぐらいのものであります。肢体不自由児が、推定されます生徒児童数が六万二千五百十人、これが特殊学級に二千九百二十八人、養護学校に三千四百七十六人でありますから、一〇%ちょっとということでございます。病弱、虚弱の者が二十八万八千二百一人のうち、特殊学級が四千八百四十五人、養護学校が千四百二十八人でございまして、二・三七%が就学率でございます。このように、まあ就学率は、心身障害の児童生徒というのは、他の一般の児童生徒に比べまして、きわめて低いということが言われるわけであります。なお、幼稚部の就学の率でございますけれども、これがなかなか的確に——この資料をあさってみましても、数がつかめません。推定されますものは、盲が、対象となっているものの推定を千七十五人といたしまして、現在、幼稚部に進学している者が十四人でございますから一・三%くらいな就学率であります。聾は千九百九十七人のうち七百七十九人、幼稚部に進学をいたしておりますから三八・六%。精薄の者は六万五千二百九十二人、幼稚部に在学する者が二十三人でございますから〇・〇四%、なお、これを推定いたしますにつきましては、大体対象になっている者は全部五歳児について推定したものでございますが、若干、実際の数と合わないところもあるかと思うわけでございます。高等部に進学しております者、これは中学部を出たもあのうち、どのくらい進学しているかというと、盲のほうは九五%進学しており、聾のほうは七五%、養護はずっと少なくなりまして、二ないし三%程度ではないかと推定されるわけであります。したがいまして、幼稚部、高等部というのは、特殊学校の一貫した教育によって効果をあげるという立場からいえば、大いにこれから努力をしなければならないように考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/127
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128・久保勘一
○久保勘一君 ただいま特殊学校の特に就学の状況につきまして詳しい御説明をいただいたわけでございますが、承りましても理解できますように、非常に就学の状況がよろしくないと申しますか、従来、政府なり、あるいは地方公共団体の御努力にもかかわらず、あまり就学の率が伸びていないように感ずるわけであります。そこで、これは御指摘のように心身の障害によることでございますが、特に提案者とされて就学が伸びない理由と申しますか、そういうものについてお考えがございましたら承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/128
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129・小林武
○小林武君 就学の伸びない第一の理由は、私は心身の障害のある者が何といいますか、一般の子供に比べて差別をされているといいますか、教育のしがいがないという、こういう誤った考え方がかなり根強く残っていると思うのであります。そういうところに一つは私は問題点があると思います。しかし最近、国におきましても、あるいは地方公共団体におきましても、あるいはこういう子供を持っておる不幸な観たちにおきましても、何とかして社会人として、一般の子供には持っていないところの幾多の障害を持っているわけでございますから、これと肩を並べるところまではいかなくても、社会生活の中に加わっていくようにしてやらなければならないというような、こういう傾向が出てまいりましたので、まあこの点はたいへん私はけっこうなことだと思うわけであります。しかし、一そう今後その面に努力をしなければならないようなことを第一の原因から考えるわけであります。第二の原因は、やはり私は非常に金がかかるということだと思います。金のかかる点から、なかなか地方公共団体におきましても、あるいは国におきましても、この教育の拡充発展ということを願いましても、予算がなかなかこれに伴わない、こういうところにあると思いますし、もう一つは、そういう子供を持っておる親の経済的な事情というものがあると思います。私も自分の住いをしておる付近にそういう特殊な学校があるものでありますから、ここ四、五年の間、そういう子供と朝くるときに一緒になる、親たちと一緒になるわけでありますが、一人の子供の教育をするのに、そのうちの家庭のいまの状況では親たちがほとんどつきっきりの状態なんです。これでは、私は家庭の経済的な負担、時間的な負担というようなものはたいへんだと思うのであります。でありますから、そういうような原因が幾つもからまって、どうしても、何といいますか、教育から見落とされるというような、こういうかわいそうな状態があるのだと、このように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/129
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130・久保勘一
○久保勘一君 この際、いまの点につきまして文部省側にお尋ねをいたしますが、ただいまも提案者から御説明がありましたように、特殊教育の就学状況をよくしていくにはいろいろな方途が講じられておるようでございますが、特に文部省といたしまして、今日この問題についてどのようにお考えになっておるのか、非常に質問がばくとしておりますが、具体的に申し上げますと、三十九年度予算にどのように措置されたか、あるいは今後足りない点をどういうふうにやっていこうと、どこに一体重点を置こうとしておられるのかという点について御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/130
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131・林部一二
○説明員(林部一二君) ただいまの御質問の点につきまして、まず第一は、幼稚部の設置を促進してまいりまして、先ほどお話のございますように、該当幼児をできるだけ収容してまいりたい。これはかねてから私ども考えてまいった点でございます。特に幼稚部の設置につきましては、聾児あるいは強度の難聴児、この子供たちは早期から言語指導をいたさなければなりませんから、聾学校につきまして特に幼稚部の設置を促進したい、こういう考え方から三十九年度から幼稚部の設置促進の意味をもちまして、国が補助金を計上してまいって今日に及んでおるわけでございます。そのほか、盲あるいは養護学校関係につきましては、対象となる子供が幼児の段階ではなかなか学校教育になじまない面もございますし、その世話等についてもいろいろと考慮しなければならない点がございます。なかなかこれはむずかしい問題を持っておるわけでございまして、幼稚部への就学を伸ばしてまいりたいとは思いながら、しかしながら、実際の具体的取り扱いについてなお検討をし、いろいろな措置すべき点があろうかと思いまして検討しておる次第でございます。
次に、高等部就学の問題でございますが、これにつきましては、御承知のように、高等部におきましては職業教育が中心になるわけでございますから、職業教育を中心にして高等部を充実していきたい。そのことによって高等部へ就学する生徒の就学、進学率を増加していきたいという考え方から職業教育の充実に力をいたしてまいっているわけでございます。特に盲聾学校については、三十六年度から新職業を開拓するための補助金を計上いたしまして、盲聾学校それぞれ新しい分野に職業を開拓すべく、その実験的な研究を行なって現在に至っておるわけでございます。なお、本年度からは養護学校に対しましても、この新職業開拓のための補助金を計上することにいたしました。幼稚部、高等部の就学の奨励につきまして、特に就学奨励費においてもこの措置を講ずる必要がございます。先ほど小林先生からお話がございましたように、父兄の負担ということも非常に大きいわけでございますから、この点につきまして、就学奨励費におきまして三十八年度より幼稚部をこの対象といたしてまいったわけでございます。本年度、三十九年度におきましては、新たに同等部専攻科を対象として、これに対しましては教科書費を支給するということにいたしておるわけでございます。そのような措置をもって幼稚部及び高等部の教育振興に資しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/131
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132・久保勘一
○久保勘一君 この特殊学校に入学すべき該当者、これのつかみ方と申しますか、これは非常に実際問題としてはかなり問題があるようでございますので、この点について文部省に意見を承りたいと思うのですが、どういう方法によって現在これがつかまれておるのか、その点をひとつ御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/132
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133・林部一二
○説明員(林部一二君) 昭和二十七年から三年計画をもちまして、実際の特殊教育の対象となる子供たちの実態調査をいたしました。これは全国的な規模においてではございませんで、サンプルをもちまして数地区、その調査の地区を設定いたしまして、そこにおいて学齢児童生徒に対しまして、その中で盲聾養護学校教育の対象となる特殊教育児の状態を調査したわけでございます。その結果、特殊教育の対象となる児童生徒の生まれてくる率、出現率と申しておりますが、出現率を大体その結果におきまして想定をいたしまして、それで現在就学率その他を測定をしておる次第でございます。ただ、この特殊教育の対象となる児童生徒は、身体的あるいは精神的な障害欠陥というものを、正確に医学的にあるいは心理学的にこれを測定をしなければなりませんが、しかし、現在におきましては、それらの測定について、医学の面でも、心理学、教育学の面でもまだまだ研究不足の点もございまして、確実にこれをつかむということにつきましては、私どもまだ自信を持ちかねておる次第でございます。これにつきましては、それぞれの大学その他の研究機関におきまして、そういう面を研究していただくとともに、私どものほうも、それらについて十分検討いたしまして、いずれはもっと医学的にも心理学的にも信頼のおけるそういった調査をしていく必要がある。その上でさらにこの出現率を検討いたしまして、今後の特殊教育のいろいろな施策を立てる必要があるのではないかというふうに私は考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/133
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134・久保勘一
○久保勘一君 ただいま御説明をいただきましたとおりに、対象の該当者の児童についての把握が、非常に常識的と言いますか、科学的でないという点は私も同感でございます。そこで、この際一歩進めて文部省にお尋ねしますが、その結果、現在普通の義務教育の小学校に、かなりの特殊学校に入らなければ教育を受けられないような弱視難聴、その他身心の障害のある子供がかなりの数私は入っていると思うのです。これは実際の小中学校の実態を見てもそうですし、また特殊学校の先生方の意見を聞いても、さような点がうかがえるのであります。そこで、ほんとうに特殊教育の就学率を高めて、徹底的にやろうというからには、どうしてもその基本となる対象の児童を的確に、心理学からいっても、医学的にいっても科学的につかむということが私は大事じゃないか、そういう気持のあることはわかりましたが、具体的にそういう盲聾技術センターというのか、盲聾センターというのか、そういうものでも設けて、積極的にそういうものと取っ組んでみようというような御意思はないのかどうか、文部省の意向を聞いてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/134
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135・林部一二
○説明員(林部一二君) 特殊教育を直接に担当いたしております特殊教育課といたしましては、そういう方向でぜひとも研究態勢を整え、その結果によりまして、いろいろの出現率の問題のみならず、その他の特殊教育の教育内容、方法等について検討を実際に進めなければならぬという気持を持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/135
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136・久保勘一
○久保勘一君 気持を持っていることは承わりましたが、どうかひとつ、これは要望でございますが、ぜひひとつ総合的な、そういうもののできるように御努力を願いたいと御要望申し上げておきます。
次に、提案者にお尋ねいたしますが、今度の御提案は特殊学校の特に幼稚部、高等部の教育に地方の公共団体が直接たいへんな負担をしている、そのために幼稚部、高等部の教育の振興が多少はばまれている、そこで政府として、国として二分の一の助成をして、その振興をはかるべきである、こういう御趣旨でございますので、お尋ねをするわけでございますが、地方公共団体に対して、国はこの特殊教育について交付税の中でどのように裏づけをしているのか、具体的にお尋ねいたします。特殊教育に県が支出をしております経費の一体何%ぐらいが自分の持ち出しになっているのか、何%ぐらいが国から見られているものであるか、もし御調査がありましたら御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/136
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137・小林武
○小林武君 御承知のように、一校あたりにつきまして、基準財政需要額として非義務のものは、この一校あたりというものは七百四十五人と考えまして、その七百四十五人の一校の中にこれは盲の場合でございますが、盲の場合は小学部が百二十人、中学部が六十人、それから高等部が七十五人、計約二百五十五人、聾が幼稚部十人、小学部三百、中学部百二十人、高等部が六十人、計四百九十人で、七百四十五人に合計なるわけでありますが、その七百四十五人の中に非義務の者が幼稚部と高等部を合わせますと百四十五人、これについて基準財政需要額として、二千三百四十万二千七百九十八円が基準財政需要額で、そのうち特定財源が二百十八万六千円、で、一般財源として二千百二十一万六千七百九十八円ということになりますというと、これが百四十五人ということになると十四万百八十二円、一人当たりなるわけであります。この一校当たり、あるいは一人当たりの額が算定されて各県が持っている数に配分されるわけであります。各県にわたっての資料というものはわからないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/137
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138・久保勘一
○久保勘一君 ただいまの点について、文部省に何か資料がありましたら御説明いただきたいと思いますが、私がお尋ねいたしておりますることは、こういうことです。特殊教育学校を経営していくのに、県が自主的に持ち出しておるものが何%、国で見ているものが何%、こういうことが知りたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/138
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139・岩間英太郎
○説明員(岩間英太郎君) ただいま小林先生からお話がございましような計数の基礎で基準財政需要額をはじいているわけでございますが、それと比較いたしますと、まあその県がどれくらいの費用がかかるかという点でございますけれども、最近、養護学校等につきまして建設費がかなり多く要っておりますので、それと比較いたしますと、ただいまのところ県が出しております費用のほうが基準財政需要額を上回っているような状況でございます。具体的な数字をただいま持ち合わせておりませんので、はっきり御説明申し上げられませんが、ただいまのところは県の持ち出しのほうが多いんじゃないかというふうに考えております。しかしながら、たとえば教職員の数等におきまして、財政需要額に見積もっております数が、大体、非義務の関係は千六百六十一名程度、これは三十九年度の場合でございますけれども、さように見積もっております。それに対しまして、教職員数としましては千四百五十三名というような一応推計をいたしております。そういう点を見ますと、教員の面等につきましては、非義務の場合に財政処置をしております額のほうが、国から基準財政需要額に見積もっておりますほうが多いんじゃないかというふうに推計しているような状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/139
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140・久保勘一
○久保勘一君 そこで提案者にお尋ねいたしますが、ただいま文部省側の説明を承りましても、大体給与について考えますと、基準財政需要額で交付されておる額が県の持ち出し分よりも幾らか多いんじゃないか、こういう計算を私も常識的に承っておるわけでございます。そこで今度の御提案の二分の一、国が持つことになった場合に、その辺はどういう、ふうになるのか、どういうふうに御理解なさっておるのか承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/140
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141・小林武
○小林武君 御質問の意味は、おそらく国の負担率がかなり大きいのに、さらに幼稚部、高等部を二分の一国庫負担にするということになると、国の負担がさらに増大するのではないか、こういうような御趣旨だと思うのですが、よろしゅうございますか、違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/141
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142・久保勘一
○久保勘一君 私の申し上げ方が不十分でございましたが、どちらが有利になるのかということ、御提案によりますと国が半分持つわけでしょう。半分は地方が持つわけでしょう。いまは交付税で国が半分以上見ている。当然二分の一になれば交付税の積算から除くでしょうから、いずれのほうが得かと、ごく常識的に考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/142
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143・小林武
○小林武君 どちらが得になるかということを計数的に私もちょっと申し上げられませんけれども、何といって
も、やはりこれが教材費についても、施設設備につきましても、あるいは教員の給与につきましても、義務制並みに高等部並びに幼稚部がなるということになりますというと、私は従来よりかも一そうこの教育の進展の度合いは大きくなると思うんです。これは義務制その他とお考えになれば大体御理解をいただけるのではないかと思うのであります。私はまたそういう国の負担がどうだとか、県の負担がどうだとかということになって、こまかい計算をやるとどうかわかりませんけれども、しかし、私は大体頭の中での考えでは、提案しておるような方法でやったほうか地方公共団体の支出の面では大いに助かるところがあるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/143
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144・加瀬完
○加瀬完君 ちょっと関連して。それは文部省にはっきりお答えをいただきたいんですがね。二分の一補助ということと、交付税で算定するということはまるっきり違いますね。交付税で算定するということになれば交付税が下付されない団体はゼロですよね。しかし二分の一の補助ということになれば、これは特殊な例はありますけれども、一般的には交付税よりはっきりと目的的に財源として使えるということになりますね。交付税はさらにひもがついておらないわけですから、プール計算みたいなものですから、計算をされてあるといえばある。しかし、どれだけ盲唖学校なら盲唖学校として財源的な裏づけの形で計算されておるかというと、非常に不明瞭なものですね。ですから、これは小林委員提案のような形のほうが財政的にはいいのだということをはっきりおっしゃっていただきたいと思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/144
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145・岩間英太郎
○説明員(岩間英太郎君) たいへんむずかしい御質問でございますけれども、ただいま非義務のものを義務制と同じように国が半分国庫負担するというふうになりますと、たとえば人件費の場合で申しますと、金額は八億六千万程度は国で持つと思います。一県当たりにいたしますと、千五百万程度のものじゃないかというふうに考えますが、その府県の経済力はかなり高いわけでございますから、千五百万程度のものはどっちにころんでも大したことはないじゃないかというふうな気がいたしますけれども、交付税の点は、ただいま加瀬先生がおっしゃったとおりであります。これもたよりになるかならないか、これは受け取り方によりましてだいぶ違うのじゃないかと思います。このたびの御提案によりまして一番財政的に大きな違いは、おそらく半分国が持つということになりますと、ただいま御指摘のように、富裕府県のほうに行かない分がそちらのほうに回るというふうな点が非常に大きな点じゃないかと思います。従来、義務教育につきまして、私どもが富裕府県あるいは財政力の弱い府県を通じまして二分の一を負担するということは、これは義務教育については、国と地方というものが責任を分担すべきものであるというふうなたてまえから、そういうふうに従来から主張してきたわけであります。今度の場合、非義務につきましてそういうふうなことをすべきかどうか、これについてはまだいろいろと御意見もあるかと思いますけれども、ともかく財政措置につきまして、各県平均千五百万程度ということでございまして、これが交付税等国庫負担金で、ただいま小林先生から御指摘がございましたように、たてまえあるいは気持ちと申しますか、ちょっとことばはどうかと思いますが、そういう意味で違うか違わないかというふうな点があるのじゃないかというふうに考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/145
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146・久保勘一
○久保勘一君 関連質問がありましたので、多少私もふえんをいたしてお尋ねいたしたいと思うのですが、私がお尋ねいたしましたのは、との御提案によりまして、私どもいろいろ検討してみたわけです。ある特殊な県にどちらが一体計算して得であるか、交付税でもらったほうがいいのか、あるいは半分きちっともらったほうが県の財政として得であるのか、こういうお尋ねをしていましたところが、ある県が計算をしてみまして、交付税のほうが得だ、経済上いいのだ、なるほどひもつきではありませんけれども、県の収入としてはいいのだ、こういう話を聞いたので、文部省に、金の面から見て、一体、地方公共団体としてどちらが余計もらえるのかお尋ねをしたわけであります。そういう気持ちでひとつ御答弁いただきたいと思います。はっきりどっちと言えなければ言えないでけっこうでございます。——お答えないのですか、なければないでいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/146
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147・岩間英太郎
○説明員(岩間英太郎君) 私ども負担金も地方交付税も、やはり財源措置としましては一つの形であろうと思います。交付税だから十分じゃない、あるいは負担金だからいいのだというふうなことじゃなくて、いろいろ国の仕事、都道府県の仕事がございますけれども、そういう面につきまして、財源措置をどうするか、これは負担金でいくか、交付税でいくかという見方の相違といいますか、そういうものがございましても、負担金によりましても、あるいは交付税によりましても、私どもといたしましては、同じように財源措置がついたというふうな考え方をしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/147
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148・久保勘一
○久保勘一君 その点はこれ以上お尋ねしません。次に、提案者にお尋ねいたしますが、特殊学校でありますために、一体どういう待遇上の恩典と申しますか、普通の小中学校に比較して何か措置されておるのかどうかお尋ねをいたします。文部省でもいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/148
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149・林部一二
○説明員(林部一二君) 特殊教育諸学校の教職員に対しましては、ほかの小、中、高等学校の教職員に比べて特に気を配って措置しております点は二点ございます。一つは、小中学部に勤務する教員に対しましても、高等学校の俸給表を適用しているということでございます。それから第二は、俸給調整額を支給いたしております。この点につきましては、特殊教育免許状を持つ者については八%、持たない者については四%というたてまえでございますが、経過的にその者について六年の間に特殊教育免許状をとるべく、単位を修得する計画がございますれば、それをまた校長及び設置者が承認しますれば八%を支給するということでございます。その二点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/149
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150・久保勘一
○久保勘一君 そこでお尋ねいたしますが、ただいま御説明のありました特殊免許状を持たない者で、免許状をとる意思があって、しかも校長が認めれば、その者にも特殊免許状を持っている者と同様に調整額の八%を支給しているという御説明ですが、実際にはどうなんですか、全部、特殊免許状のある、なしにかかわらず、全員特殊免許状をとる意思あるものとして八%支給しているというのが実態じゃないですか、そこはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/150
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151・林部一二
○説明員(林部一二君) 義務教育の小中学部につきましては、義務教育費国庫負担金でその半額を負担しているわけでございますが、この面から申しますれば、特殊教育免許状を持たない教員につきましても現在ほとんど全部八%を支給するということになっておりますので、国のほうでもその二分の一を負担するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/151
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152・久保勘一
○久保勘一君 そこでお尋ねいたしますが、これは文部省でけっこうですが、特殊免許状を持っている者は、特殊学校の先生方の総員の中の何%、したがって、あとの残りが持たない者ですが、その比率は一体どのくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/152
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153・林部一二
○説明員(林部一二君) これは特殊免許状を持たない者でございますが、盲学校においては約三〇%、聾学校においては約四〇%、それから養護学校におきましては七〇%程度持たない教員がございます。養護学校の関係は近年どんどん設置、新設されておりますので、免許状をとらないで養護学校につとめるという関係がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/153
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154・久保勘一
○久保勘一君 文部省に尋ねますが、いまの問題では、持たない者がお説のとおりかなりおられるわけですね。三〇%、四〇%という数は三分の一ですから、かなりウエートは大きい数であると私は判断するわけですが、こういう人たちが実際特殊免許状をとる御努力をなさっているのか、あるいは文部省としてはそういう指道庁というか、奨励というか、そういう研修の機会というか、そういうものはどういうふうに考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/154
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155・林部一二
○説明員(林部一二君) 文部省としましては、文部省主催の盲聾、養護学校関係の講習会、研修会の機会を逐次増加をしてまいりまして、この機会に文部省主催の講習会、これは県教委、地元の大学と共催で行なうわけでございますが、これをブロックで実施をいたしまして、その機会に単位をとっていただく、また一方、都道府県教育委員会にお願いをいたしまして、県下の盲聾、養護学校で特殊免許状を持たない者の講習会を必ず、できるだけ開いていただく、そういう機会を与えていただくというように県教委に対しては勧奨している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/155
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156・久保勘一
○久保勘一君 必ず、できるだけ講習会を開かせることにしているというお話ですが、実際問題としてあまり行なわれていないように私は聞くのですが、どうなんですか、実際問題として。いまお話を聞くとやっておられるようだし、そういう話ですが、実際はほとんど免許状取得のための先生方の研修の機会というものは与えていない、講習会を開いても一県に一校か二校でしょう。それも遠い所からくるわけだから、なかなか旅費その他も十分でないというようなことで、結局何も講じられていない、放任されているというのが実態じゃないですか、率直にいってどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/156
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157・林部一二
○説明員(林部一二君) 従来は、確かにそういう面もございました。したがいまして、各県におかれて、そういった特殊教育諸学校の教員免許状取得の機会を今後ひとつできるだけ与えていただくということで、各県にお願いをしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/157
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158・久保勘一
○久保勘一君 次に、提案者に御意見を承りたいと思いますが、御了承のとおり、調整額の八%についてでございますが、実際に盲聾学校、養護学校の実際の勤務というものは、申し上げるまでもなく、非常に困難な、しかも、精神的にもかなり重い仕事であると私は理解をするわけでありますが、そういう実態からながめまして、私は八%の調整額というものは今日非常に低いのじゃないか、こういうことを考えるのですが、提案者はどういうふうにお考えであるか、承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/158
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159・小林武
○小林武君 御意見のとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/159
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160・久保勘一
○久保勘一君 そこで、文部省にお尋ねいたしますが、文部省はこの八%についてどう考えておりますか。従来これを上げる努力でもしてみたことがあるのか、検討されてみたのか、ひとつ率直に承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/160
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161・岩間英太郎
○説明員(岩間英太郎君) 特殊教育の教員につきましては、だいぶ前には二号俸の調整号俸をつけるというふうなことを措置してまいったわけでございます。最近では八%ということでございますが、ただいま御指摘のございましたように、免許状との関係で八%、四%というふうなこともございまして、私どものほうは八%全員に支給できるようにということで、従来努力してまいったような次第でございます。ただいままで、これを引き上げてほしいというふうな要望は、特に強く耳にしているわけではございませんけれども、ただいま御指摘のございましたように、たいへん困難な職務に従事している職員でございますから、機会があるごとにその増額につとめたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/161
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162・久保勘一
○久保勘一君 これはひとつぜひ努力をしていただきたいと思います。少なくとも今日のいろいろな他の部面の勤務状態、あるいは調整額等と比較してみても、少なくとも一二%程度には増額すべきではないか、これは私どもかねてからそう思っておりますが、ぜひこれは御努力をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/162
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163・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 ちょっと関連して。この前、本委員会で審議しました際に、福田局長は、この調整手当については従来も増額に努力してまいっておるし、なお、今後もやりたい、こういうことに重点をおいて、この調整額と産振手当の併給ということよりも、まず、調整額のほうの増額に努力したいということでしたが、三十九年度予算編成の際に、文部省として何%を至当とみてこの調整額の増額に努力されましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/163
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164・岩間英太郎
○説明員(岩間英太郎君) ただいま久保先生の御質問に対してお答えいたしましたように、四%を八%にするということを主体にいたしまして三十九年度は要求をいたしました。しかしながら、年度はちょっと忘れましたが、従前から一二%というふうな要求もしたこともあるように記憶をいたしております。ただいま御指摘もございましたので、局長とも十分相談いたしまして今後努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/164
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165・久保勘一
○久保勘一君 次に、提案者にお尋ねいたしますが、建物の助成に関連してでございますが、現在、幼稚部、高等部からどれくらいの校舎その他を建てたいという要請と言いますか、要求があるのか、その点がおわかりでございましたらば御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/165
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166・小林武
○小林武君 これは現在の建築にあたっての不足坪数でございますが、三万四千九百坪、小中校合わせてある、このようにつかんでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/166
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167・久保勘一
○久保勘一君 その中で幼稚部、高等部に該当すると言いますか、その分がどれくらいあるのか、おわかりでしたら御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/167
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168・小林武
○小林武君 幼稚部、高等部の不足坪概数というのは一万一千六百三十三坪、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/168
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169・久保勘一
○久保勘一君 文部省にお尋ねいたしますが、いまの点について文部省としてはどういうふうに調査されておりますか。要するに、幼稚部、高等部の不足坪数ですね、それについて御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/169
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170・岩田俊一
○説明員(岩田俊一君) お答えいたします。盲学校の不足坪数でございますが、これは現有の学校を基礎といたしまして私どものほうで計算いたしておりますのは、校舎、寄宿舎、屋内運動場合わせまして盲学校のほうが約一万坪の不足になっております。聾学校でございますが、聾学校の高等部は七千九百坪の不足になっております。学校が高等部五百二十坪の不足になっております。幼稚部につきましては、盲学校につきましては不足が出ておりません。養護学校につきましても不足が出ておりませんで、聾学校につきまして百坪の不足が出ております。こういうことでございます。これは文部省の特殊教育諸学校施設基準に照らしたところの不足坪数でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/170
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171・久保勘一
○久保勘一君 そこで文部省にお尋ねいたしますが、幼稚部、高等部のそういう校舎、屋体等の建築については、現在どういう方法でどういう負担で行なわれておるのか、御説明をいただきたい。というのは、文部省としては、このことについては何ら予算的に措置がないのかどうかということも加えて御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/171
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172・岩田俊一
○説明員(岩田俊一君) 盲聾、養護学校の幼稚部のほうでございますが、これは幼稚園につきまして現在一般的に予算補助という制度がございまして、約三分の一の補助を行なっておるのでございます。しかしながら、この幼稚部についての補助の申請というものが現在までに出ていないという実情でございます。それから小中学校につきまして、これは義務教育といたしまして二分の一の校舎建築についての補助が行なわれておる。それから高等部につきましては、そのうち盲聾分につきましては二分の一の国庫補助が行なわれておりまするが、養護学校につきましては現在補助は行なわれておりません。そういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/172
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173・久保勘一
○久保勘一君 そこで提案者にお尋ねいたすわけですが、ただいま御説明をいただきましたように、幼稚部については現在も予算的に三分の一の助成の道がある。盲聾については、高等部でございますが、高等部の盲聾については二分の一の助成の道がある。にもかかわらず、地方公共団体からは補助の申請がない、こういう御説明なんですが、その点については提案者はどういうふうに御調査なさっておられるのか、どういうふうに考えられておるのか、承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/173
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174・小林武
○小林武君 やはりその点は私どものほうから提案いたしておりますような高等部、幼稚部町方に対して半額負担をするのだということがはっきり打ち出されれば、結局このことは解決できますけれども、従来のような方法だというとなかなか手をつけかねる、というのは、先ほど申し上げましたように、この教育は非常に金がかかるということから、やはりその負担の問題で、何と言いますか、おっくうになるというようなことになるのではないかと思います。それについて、やはりもう一つの角度から、この教育の問題を進展させるためには、どうしてもやはり幼稚部、高等部というようなものを義務制と離した別個のものとして考えた場合においては、いまのような文部省の御説明がありましても、なかなかやはり進展しないというのが実情だと思うのです。そういう点、ただちに全部を、この場合幼稚部、高等部を含めてほとんど特殊教育は義務制にする、こういうこともなかなか不可能な問題でありましょうから、まず提案のような趣旨で進めていただけば、おのずから何と言いますか、義務づけられるというような形がこの中に出てくるのではないか、このように判断しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/174
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175・久保勘一
○久保勘一君 文部省側にお尋ねをいたしますが、現在の幼稚部が三分の一、盲聾は二分の一の予算的には助成の道を講じておる。予算化されておる。ただ、法律がそういうふうになっていないというだけであって、予算的にはそういう措置が講ぜられる。しかも、現在不足坪数は一万数千坪なんです。どうしてそういう申請がないのか。それについてどういうふうに文部省は対処されておるのか。予算は持っておるのに申請がないからそのままPRもしないでおるものか、どういうふうにその点はお考えなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/175
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176・岩田俊一
○説明員(岩田俊一君) これは考えてみまするに、おそらくこういう特殊学校というのは、小中高等部が一体的に運営されているという実態がありまするので、そういう関係で幼稚部の就学率とにらみ合わせまして、比較的に坪数が小さいわけでございますので、おそらく小中高の全体の校舎なり施設の範囲内において運営が行なわれておる。そのため特に幼稚部に限ってこれを補助の対象とするという申請をすることがないものと、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/176
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177・久保勘一
○久保勘一君 次に、提案者にお尋ねいたしますが、教材費の二分の一国庫負担に関連をしてお尋ねをいたすわけでございますが、現在、教材費については特殊学校についてどういうふうな措置が講ぜられておりますか。おわかりの程度でけっこうでありますから、御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/177
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178・岩間英太郎
○説明員(岩間英太郎君) ただいま盲学校につきましては、児童生徒一人当たりの単価でございますけれども、盲学校三千三百円、負担金にいたしまして約一千万円の負担金を計上いたしております。聾学校につきましては三千円でございまして、約二千万の負担金を計上いたしております。養護学校につきましては、肢体不自由児、精神薄弱児、病弱虚弱児、それぞれ使います教材の違いによりまして単価が違ってまいりますが、肢体不自由児の場合は千八百五十円、精神薄弱児の場合は千二百円、病弱の場合は千円というふうな単価でございまして、肢体不自由児には約五百万円、精神薄弱は二百三十万円、病弱のほうは約百万円というふうなそれぞれ負担金を計上しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/178
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179・久保勘一
○久保勘一君 大体、御提案の直接の問題については質問を終わるわけでありますが、いい機会でございますから二点だけ文部省側にお尋ねをいたしておきたいと思います。
小さい問題でございまして恐縮でありますが、教科書無償法に関連をしてお尋ねをしますが、承りますと、特殊学校の教科書の無償についてこういう話を聞くのですが、事実であるかどうかお答え願いたいと思います。小学部の一年生が幼稚部を一年か二年やったために、小学部の一年生が一年生の教科書を使わずに小学部の二年、三年の教科書を使っておる、こういう実態があるようでございます。その場合に、教科書を無償で受けられない、一年生の生徒であるから一年生の教科書を買うのでなければ無償法の適用を受けない、二年、三年の教科書を使ったのでは対象にならない、こういう、取り扱いを受けているということを承るわけでありまして、これはあまりに法律解釈を窮屈にしているのではないかと思うのですが、なおこれに関連しまして、私が聞いたところによると、複式の学校で四年、五年、六年と一学級だとしますと、ある年には五年の教科書を六年生も使う、翌年はまた六年生も五年の教科書を使う、こういうふうに変わっていくわけですが、そういう場合もやはり五年生は五年の教科書、六年生は六年の教科書を買うのでなければ無償の取り扱いを受けない、こういう話を聞くのですが、事実であるかどうか、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/179
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180・林部一二
○説明員(林部一二君) 教科書の問題についてでございますが、特殊教育関係の教科書は、御承知のように、これは小、中、高等学校の教科書と同様でございますけれども、文部大臣の検定済み教科書を使うか、あるいは文部大臣の著作権を有する著作教科書を使うか、さもなければ、この二つがない場合におきまして、学校教育法の百七条におきまして、有益適切な教科書を文部大臣が定めるところによって使う、こういう三本のたてまえになっておるわけであります。ところで、盲襲用学校教科書につきましては検定済みの教科書は一本もございません。したがいまして、適切な教科書を与えるという意味におきまして、文部省では従来から年次計画で著作教科書をつくってまいってきたわけでございます。したがいまして、小中学校の検定済み教科書は百七条の有益適切な教科書とこの場合なるわけでございます。いま御指摘の小学校一年の場合に、幼稚部を経てきた子供たちが言語指導を受けてまいりますから相当言語の発育の程度がよろしい、そこで、小学校の検定済み教科書の二年、三年を使うという場合はこれは従来ございましたし、これが許されております。これにつきましては、次第に私のほうでも著作教科書をそれに適合したものにひとつしていくという努力を従来いたしてまいりまして、現在、著作教科書を持っておりますのは国語と社会と算数でございますが、国語につきましては、言語指導専門の著作教科書を二年がかりでつくってまいりまして、本年度より子供たちに与えるということになっておるのでございます。この教科書ができますれば、言語指導のほうは文部省の著作教科書で、学年指定の教科書を使っても十分にいけるのではないか、こういうふうに考えております。しかし、その場合に、幼稚部を経た子供たちで特に学力が進んでおるという者に対しましては、文部省の著作教科書の濃かにこれは検定済み教科書もあわせて与えるという形をとっております。したがって、その学年、その学級の子供たちの状態に応じて、それに合った教科書を与えるというような仕組みをいたしておるわけでございます。なお、社会、算数につきましては著作教科書がございますが、これも逐次改定をいたしまして実情に合わしてまいりたいと思っております。そういう久保先生からのお話は、一部、東京、大阪等においては私も耳にしておるわけでございますが、全国的には幼稚部の設置もそう進んでおりませんし、全国的な問題として私はそういうことを聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/180
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181・岩間英太郎
○説明員(岩間英太郎君) 複式の場合の教科書の使用でございますが、久保先生が御指摘になりましたようなことが、私、記憶がはっきりいたしませんので、はっきり申し上げられませんが、あったというふうに考えております。その場合におきましても、たとえば一年生が二年生の教科書を使う、あるいは五年生が六年生の教科書を一緒に使うという場合の措置といたしまして、現在、貧困家庭の児童生徒につきましては学用品の支給ができるようになっております。そういうような学用品の購入というふうな形で、それを買う場合には国のほうで補助の対象にするというふうなことを考えておりまして、実際上そういう貧困家庭の児童生徒につきましては、支障がないようにいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/181
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182・久保勘一
○久保勘一君 あまり小さい問題で恐縮なんですが、私はどうも理屈に合わぬと思うのですね。それは当該学年の当該各教科書について云々という文言はあるようですけれども、当該学年に使う教科書はやはり無償でやるべきだというふうに私は思いますね。これはひとつ御検討願いたいと思います。なお、特殊学校の問題ですが、文部省の著作のない教科書云々というお話ですけれども、なくても、実際にそれしかないのですから、文部省の著作以外の教科書しかないのですから、それを使用する場合、やはり当然無償の措置を講ずべきである。これは部分的で大阪と東京だけではないかというお話ですけれども、無責任です、そういうお話をなさることは。かりに小範囲であろうとも、部分的であろうとも、やはり手の届いた措置をぼくはすべきであると、こういうふうに思います。要望を申し上げておきます。
それからもう一点、盲学校の教科書についてこういう実情を聞くのですが、こういうことがあるかどうか。これはお尋ねをして御意見を承るわけです。文部省で盲学校の点字の教科書をおつくりになっている。この印刷を三カ所に分けて印刷をされる。その受け持っておる三カ所の印刷所はそれぞれ点字の表現法が違うのだそうですね。具体的に私はこまかく知らないのですが、端的に申し上げますと、名詞と助詞がくっついているという表現の仕方と、これを離して表現する、たとえばですが。そういう方法があって、三つの会社にそれぞれ分けて注文されるために、同じ小学一年生なら一年生が幾つかの教科書をもらうわけですね。その中には表現法がそれぞれ異なる教科書がある。そのために非常に実際の指導上困っている。こういうことで、何とかこれは文部省で統一すべきである、こういう強い話を聞くのですが、そういうことをお聞きであるかどうか、またお聞きであればどういうふうにお考えになっているのか。結論的に申し上げますと、文部省でこういう教科書をつくって印刷してもらいたい。こういう端的な要望なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/182
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183・林部一二
○説明員(林部一二君) 点字の教科書は御指摘のように現在三カ所でこれを印刷しております。その結果、御指摘のように表記法が違うことは私も存じております。できるだけこの表記法を合わせなければならないということはこれは言うまでもございませんので、従来からもいろいろと検討してまいりましたが、表記法の点は非常にむずかしい問題があるのです。ローマ字における表記法の問題が非常にむずかしい問題があったと同じように、この点字におきましても表記法に各流各派がございまして、これをいまにわかに文部省の力において統一するということは不可能であるというように現在は観測しておる次第でございます。しかしながら、それでは盲学校の子供たちが非常に迷惑するわけでございますので、できるだけそういった表記法の御研究家、あるいは実際の実践家の方々が大同団結をされて、これを一本にされるように望んでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/183
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184・久保勘一
○久保勘一君 それはその点よくわかるのですけれども、一般の問題は別にして、盲学校で使う教科書だけは統すべきである。これは勇気を持って私はやるべきだと思いますので、これは御要望を重ねて申し上げておきます。最後に一点だけ。たいへん時間が長くなり恐縮ですけれども、私は盲学校、聾学校を見まして率直に感じますことは、非常に古い状態のままだということですね、教授の内容にしても教具にしても。したがって、率直に申し上げますと、私どもが期待しておるほど盲聾学校の教育の効果はあがっていない、それが私は一つは就学の進展しない大きな隘路じゃないか、こういうように感ずるわけです。そこで、実際に盲聾学校に勤務されておる先生方のお話を聞きますと、非常に器具がほしいということです。盲学校でたとえて申しますと、子供の点字を何するタイプライターというのがございますですね。子供が扱う、これが一個八千円する。それから点字を指で押さえて読む器具の点字板が一千円する、この二つがあると盲学校の教授が十倍進むだろうと思うのです、オーバーな表現かもしれませんけれども。ところが、実際は一つの学校で一人か二人しかそういう器具を持たない、二つ合わせて九千円ですよ。全国の生徒に私は差し上げてもたいしたことではないのじゃないか、こう思うわけです。それから、さらに私は現場を見て感じましたことは、盲学校に行ってみたのでありますが、目のあいてない子供が食堂の隅に固まって何か耳をつけて食事をしておる。何だろうと思って見ますと、小さなラジオですよ。小さな蚊の鳴くほどの声しか出ないラジオにしがみついて子供たちは食事をしておる。寄宿舎にテレビ、ラジオの施設があるかというと、ないのですね。私は今日、盲学校、聾学校の寄宿舎を見まして、少なくともテレビ、ラジオの一台くらい、あるいはそういう最低の学習に必要な点字板、タイプライターのごときものは、これは現場の要望があるなしにかかわらず、文部省がほんとうにこういうことをやろうとする気があるならできるのではないか、たいへんオーバーな表現ですけれども、そういう感じを持つわけですが、そこで要望申し上げておきますが、どうかひとつ盲聾の特殊学校については、教材、器具ですね、設備をもっと近代化する、そうして教育の効果を高める。たとえば補聴器、子供の耳に当てる補聴器にしましても、一人しか私の見た学校では耳にはめていない。先生に聞くと、二十万円あるとりっぱなものがこの教室に設備できる。それがあると私もこんな大きな声を朝から晩まで張り上げぬでも、小さい声で話をすると、口の形から何まで全部一目りょう然わかって、非常に教育の効果があがるが、その二十万円がもらえないのだと、こういう話を聞くわけでありますから、どうかひとつ、この法案が出ましたのを機会に積極的にこの問題について御努力いただきたい。御要望を申し上げて質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/184
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185・中野文門
○委員長(中野文門君) 本法案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/185
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186・中野文門
○委員長(中野文門君) 次に、教育、文化及び学術に関する調査中、基地周辺の学校の防音に関する件を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、これを許します。豊瀬君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/186
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187・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 まず、文部省の管理局長に尋ねますが、かって本件を審議した際に、荒木文部大臣は、所管が当時の調達庁である、文部省としては学校防音に関してはあまり関心を持たない、こういうふまじめな答弁をいたしまして、追及された結果、今後は教育に障害を与えておる問題を排除していくという意味から、所管外であるけれども努力をします、こういう答弁をしまして、私としては文部省自体が防音についてどういう学校教育に障害を与えておるか、この調査を行なって、所管外であろうと、それぞれ行政担当の省庁に対して強く折衝していく態度をとるべきであると主張し、大臣も了承したのですが、三十九年度予算要求にあたって、文部省としては、全国百数十校にのぼる工事を必要とする諸学校の実態調査並びに防音工事の促進に対してどういう努力をしてきたか、説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/187
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188・杉江清
○政府委員(杉江清君) 基地周辺の騒音防止対策については、文部省としてもかねてから大きな関心を持ち、その研究を進めてまいっております。具体的には、文部省に騒音対策協議会というものをずっとつくってまいりまして、ここで実際にそのような基地周辺の学校を持っておられる地元の教育長その他関係者と、それから学識経験者等集めまして、具体的に実際上、また科学的にこれを究明する作業をずっと続けてまいっております。そしてこの審議会の委員には、ことに学識経験者には、現地への視察をたびたびしていただいております。本年度もこの騒音対策協議会は実質上持っておりまして、その作業を続けておるわけでありますが、この調査を相当、ずっと続けてまいりまして、近くその報告書を私の手元まで出されますけれども、各方面からの相当深い研究がされておるようなわけであります。本三十九年度にあたって、いままでよりも特に重点をおいた調査、研究をいたす、予算はとっておりませんが、いままで同様にひとつ騒音対策協議会を中心といたしまして、この点の実態把握と研究を進めてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/188
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189・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 昭和三十八年度中の騒音対策協議会の調査の結果の出てきたおもな事項は何と何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/189
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190・杉江清
○政府委員(杉江清君) これは実はその報告書の概要のものがいままとまっておるのですけれども、なお、いろいろな資料をそれに付加していただくようにお願いして、まだ十分まとまっておるとは申し上げかねるわけであります。そしてまた、それも私一読した程度でございますが、たとえば、従来の防音工事について具体的に、たとえば木造に対して防音工事した場合にはどの程度の効果があるか。またそれがどの程度その効果が持続されるかというようなことを科学的に研究いたしまして、結局、木造に対する防音工事については効果は少ない、今後は鉄筋化の方向へ進むべきだ、こういうふうな点について相当科学的な資料を添えて報告を出されることになっております。なおまた、この鉄筋の場合の防音工事にいたしましても、いわゆる暖冷房の工事がないとこの防音工事の効果は非常に減殺する。それも具体的に科学的に考察されておるわけであります。そしてその結論として、今後は不快指数等について相当ひどい状態にあるものについてはやはり冷房装置をやるべきだ、そうしないと夏季の授業においてこの防音工事の結果が著しく減殺されるというような点を指摘されております。その他、各般にわたって相当詳細な研究も出されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/190
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191・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 三十八年度に鉄筋防音化の中で防音を完全に施した際に、内温度が高くなるとか、いま言われた不快指数とか、あるいは空気の不純化、こういう調査についてどことどこを先にやりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/191
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192・杉江清
○政府委員(杉江清君) 板付周辺と千歳地区について実施しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/192
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193・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 福岡市において行なわれた調査は私も現地で立ち会っていろいろやっておるところも見ておるんですが。その結果が出てかなりになりますが、その調査報告がまだできていないということですが、お手元にないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/193
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194・杉江清
○政府委員(杉江清君) 一応要点はまとまっております。ただ、それらはやはり今後の資料として十分利用したいために、それに付属する資料をまとめていただいておる段階でございます。手元には持ち合わしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/194
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195・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 あなたがいま言った調査該当地域は文部省独自でやったのですか、それとも施設庁がやったところを文部省が資料をもらい受けてまとめておるという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/195
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196・杉江清
○政府委員(杉江清君) これは文部省に設置されております騒音対策協議会の委員にお願いした調査でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/196
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197・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 会計課長にお尋ねしますが、施設庁でもことしでしたか、昨年でしたか、日にちは忘れましたが、その調査をやったはずですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/197
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198・大浜用正
○政府委員(大浜用正君) やっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/198
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199・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 その結果がすでに資料としてでき上がっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/199
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200・大浜用正
○政府委員(大浜用正君) 担当は施設部でございますが、たぶん資料としてでき上がっておるだろうと思います。なお引き続き各基地を中心といたしまして、各距離がございますから、学校の所在地ごとによりまして測定を目下昨年より引き続き実行しております。測定中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/200
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201・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 福岡市においては東光中学校をやったはずですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/201
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202・大浜用正
○政府委員(大浜用正君) やっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/202
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203・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 杉江さんにお尋ねしますが、板付周辺で文部省がやったのはどこですか。——大浜課長にお尋ねしますが、たしか施設庁でやったのは九大等に調査の具体的な仕事といいますか、調査活動は依頼したはずですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/203
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204・大浜用正
○政府委員(大浜用正君) それは九大に依頼いたしまして、人身被害に対する分だとか、あるいは乳牛の騒音に対する影響だとか、そういうのをお願いしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/204
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205・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 小野長官にお尋ねしますが、率直にお答えいただきたいのですが、私東光中学校で調査に当たっておる九大の人々にお尋ねして、調査結果がいつごろ出るかと聞いたら、一カ月もかからないで出ますと、その結果は知らせてもらえるかと聞きましたところ、私どもが聞いておる範囲内では人身に与える被害の実態がわかってくると、それに対する補償という問題は非常に重大問題化してくる、したがって、調査結果の発表は秘密にするようにと、こう言われていますと、こういう言い方をしたんですが、そういう方針ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/205
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206・小野裕
○政府委員(小野裕君) 私そのような方針のあること、あるいはそういうことを示したこと、そういうことについては全然存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/206
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207・杉江清
○政府委員(杉江清君) 先ほどのお尋ねですが、板付地区については四校を実施したはずでございますが、いま四校が具体的にどの学校であるかの資料を持ち合わせておりませんのでお答えできかねるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/207
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208・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 小野長官に再度お尋ねしますが、まだ大浜さんのお答えでは調査中ということですが、少なくとも福岡市の騒音の少ない、もう一つの学校は忘れましたが、騒音の少ない学校と騒音度のひどい学校と同時期に調査したはずですね。その資料を実際に調査活動に当たった九大の学者その他の人々に聞くと、そうむずかしく時間がかかる問題ではない。私もそばで見ておりましてね。機械を便っての調査を見てみるというと、一カ月もあれば十分、どの程度の疲労を与えておるかという結果だけはわかるとみたのですが、学校関係だけに限定した場合に、三十八年度に実施した調査結果というのはすでにまとまっておるものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/208
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209・小野裕
○政府委員(小野裕君) 三十八年度分の調査もいただくことになっておると思うのでありますが、まだ私どもの手元まではいただいておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/209
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210・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 大浜さんにお尋ねしますが、それは調査を依頼した九大等からきていないというのですか。それとも調査結果の発表を差し控えておるという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/210
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211・大浜用正
○政府委員(大浜用正君) 前者でございます。と申しますのは、当庁の出先が福岡にございまして、一応、出先の施設局でまとめまして、施設部へまいりまして、そしてそれによってわれわれのほうへまいるわけでございます。ただ、先生にちょっとお断わり申し上げておきたいことは、従来、防音工事をやる適格学校の工事をする場合には、あらかじめ当庁がきめましたいわゆる防音工事に値する、いわゆる騒音度が高いというものをはっきりと確かめまして、それによって工事をやっております。ところが、その他のものにつきましてはたくさんございますので、一々、たとえば一月にやります場合には飛行機の飛来が少ないだとか、あるいは四月になりますと相当多いとか、いろいろ時期やあるいは時間によりまして違いますので、一回の資料によってこれが直ちにそうであるという断定についてはにわかに判断がむずかしい、そういうことに対しましてなかなか資料を、出先として自信のある資料として本庁に出すということがむずかしいと、こういうことがございまして、まだまだ当庁に上がっている実情ではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/211
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212・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 大浜さんに再度お尋ねしますが、三十八年度、三十九年度二カ年継続で結論を出すという当初からの方針ですか。それとも三十八年度調査についての調査結果は、出先のほうが結論が出ないのか、事務文教怠慢なのか、早く出たほうがいいという本庁の期待にかかわらず出ていないという意味なのか、当初からまたおくれるのが当然なのか、それとも期待に反しておくれているのか、いずれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/212
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213・大浜用正
○政府委員(大浜用正君) いずれでもございませんし、出先としては一生懸命やっております。やっておりますが、学校が相当ございますので、その学校を一々、一年を通じまして、要するに騒音度と頻度という問題がございますし、頻度と騒音度に対しましても各月、各季節によりまして、相手の飛行機の練習の度合いにもよりましていろいろと違ってまいります。そういうファクターをいろいろ一年を通じまして検討いたしまして、そしてそれを自信のあるものとして報告するものと推定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/213
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214・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 大浜さんは調査が年間どういうふうに行なわれておるかを御存じなんですか。昨年の夏、行なった調査が、三十八年度の終わりの三月まで、たとえば福岡市の学校において継続して調査されておるという自信がおありなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/214
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215・大浜用正
○政府委員(大浜用正君) これは私、昨年から要するに基地周辺の学校と申しますと、騒音度あるいは頻度というものについて十分の資料がない限り、われわれとして防音工事をやるというものについては自信が持てませんものですから、できるだけそういう資料を正確にしてほしいというのが本庁の意思でございます。それで、たびたびやっておるかどうかという問題につきましては、少し不明確の点もございますが、これは確かめてみないとはっきりお答えするわけにはいきません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/215
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216・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 確かめなさらなくとも、私どもが現地並びに現地のあなたのほうの出先並びにそれを受けていろいろ協力している教育委員会ですね。これの資料、調査しておるところによりますと、昨年度、ちょうど私がついてやっておった学校の主として疲労度の調査というのは、昨年までやって、継続してやっておりませんよ、今日まで。そのことはすでに打ち切られておるはずです。そうしてその資料は、昨年の夏やった調査を担当した九大当局はその結論を出しておるけれども、当事者の話では、私が先ほど言ったように、これが三十八年度国会中に、疲労度の心身に与える影響度が出てくるということになると、心身に与える保障というのは、騒音だけで済むことじゃないので、政治的にこれは押えられておる、こういう言い方をして、昨年の夏、行なわれておる疲労度調査が今日まで継続して頻度その他たびたびやられておるために、資料が出てこない、あるいは継続調査中という性格のものでは福岡市に関する限りは私はないと断定して差しつかえないと思っています。したがって、これから先は長官に対する要望ですが、たとえば乳牛とか、その他防音を行なっていない一般民家に対する心身に与える被害度というのは、大浜さんが御説明のように、短期間で科学的な結論が出されるものではないでしょう。しかし、すでに数年前から防音をしておる、しかも天体頻度等が過去三カ年間程度では、学校当局、教育委員会自体の調査ではそう変わらないところの東光中学校その他の生徒に対する疲労度というのは、もう結論が出ているはずですから、早急に取り寄せていただいて、できれば少なくとも、学校生徒に与える疲労度調査については、本国会中に調査結果の報告ができるようにしていただきたいと思っております。これは要望をいたしておきます。それから杉江局長にもう一点だけ尋ねておきますが、対策協議会の三十九年度予算編成に主として重点を置いて努力してきたことをもう少し明確に答えられるものなら答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/216
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217・杉江清
○政府委員(杉江清君) この騒音対策協議会の予算は標準予算の中に入っておりまして、その額はごくわずかなものでございます。おそらく十数万程度だと思います。きわめてわずかな程度でございますが、委員の方々には非常に奉仕的にやっていただいておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/217
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218・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 これは大臣がおりませんからやむを得ませんが、所管は施設庁であろうと思う。直接、国の施設で教育に障害を受けておる事態に立って、文部省自身が施設庁と大蔵省との関係におまかせするという形でなく、もっと積極的に文部省としてもやるべきであるし、今後やってもらいたいと思います。
次に、直接、板付の問題で二、三点お尋ねして終わりたいと思いますが、予算委員会で防衛庁長官あるいは大蔵大臣が答えて、大体、板付基地の方向は決定しておるようですが、地元としては、百数校のうちに三十数校という防音を必要とする学校を持っておりまして、横田に一〇五が移転する、あるいは大体連絡基地程度に板付がなる。だがら継続事業を打ち切られる、あるいは新規の施設については全く目鼻が立たない、こういうことでは。まず数年間、板付にジェット基地が配置されて以来迷惑をこうむりっぱなしで、あとはほったらかし、こういう不平と不満があるわけですね。そこで、まず一番に長官にお尋ねしたいのですが、五、六校の三十八年度から三十九年度にかけての防音工事の継続事業があるのですが、継続事業についてはまだ大蔵省といろいろ折衝がありましょうが、施設庁の方針としては、継続事業については、基本的にはどういうかまえで対大蔵省折衝をしようと考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/218
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219・小野裕
○政府委員(小野裕君) 福岡市内にございます工事の継続校でございますが、五校につきましては、本年度中に完成させるように継続工事ができるように補助をいたすということに内定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/219
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220・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 継続工事につきましては見通しがつきましてありがとうございました。
次に、那珂中、箱中、東住吉中は、いわゆる新規工事の問題でございますが、特に那珂中につきましては、警察学校等が数年前から防音工事をしておるという実態に立って、いわゆる政治のバランスといいますか、そういう面で、地元につきましても、非常な熱意を持って、ぜひとも、完全に板付基地が福岡市民の要望どおり市に返還されるという事態がない以上は新規のものもやってもらいたい、こういう方針を持っておるのですが、新規事業に対しては施設庁の考え方は現段階でどういうことになっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/220
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221・小野裕
○政府委員(小野裕君) 新規の学校につきましては、私ども施設庁だけの考えといたしましても、現在まだ手をつけていない。しかも緊急を要する学校が多々あることを考えますときに、必ずしも無条件でこれに着手するというような考えは持っておりません。ただそう申しましても、今後の板付飛行場の状態がどうなるかということによりまして、新規に着手しなければならないということもあるいはあるかも存じませんけれども、現在の見通しといたしましては、むしろ他のおくれておる地区の必要な学校のほうを光にしなければならないのではないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/221
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222・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 そうすると、たとえば横田に105が転属されるとすれば、横田等については三十九年度予算の中に時期的には入っていなかったわけ、小、すね。新たにそういう騒音度合いがふえるところ、あるいはまだ防音工事のおくれておるところに、一応試算として組まれた福岡市等の新規の学校の予算がそちらに回される可能性が強い、こういうお答えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/222
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223・小野裕
○政府委員(小野裕君) 板付関係の新規に予定をいたしまして一応予算を組みました分が、かりにこれを保留いたしましても、ただいまのところ、すぐに他のほうに振り向けるという考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/223
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224・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 たとえば、F105等が他の飛行場に転属された後に騒音の実態等を調査され、その後に結論を出す、こういうゆとりといいますか、幅を持って新規工事のものについては考えていただいておるというふうに理解してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/224
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225・小野裕
○政府委員(小野裕君) 大体お尋ねのとおりでございまして、ある時期に至りまして、いまの新規校はかりにやめるということになりますれば、そのときはほかへ回すかも存じませんが、それまでは残しておく、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/225
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226・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 大浜さんにお尋ねしますが、大体、横田転属の時期がきまっておるようですが、その直後というと非常にシビアに聞こえますが、転属された後には、一日も早く実態調査をするという予定を立てておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/226
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227・大浜用正
○政府委員(大浜用正君) 横田に板付から転属してまいります105の騒音度の問題は、われわれ測定をいたしますし、同時に、当庁には防音工事をするのにはどれだけの頻度、どれだけの騒音度という一応の基準というものがございますから、その基準を見まして、そしてまた、あらかじめ予想されるところにつきましては、十分検討をいたしまして、防音工事の経費それ自体が財政法三十四条の二に基づきまして大蔵大臣との協議の事項にもなっておりますし、それを事務当局同士が十分了解を得て、それから実行に移す、こういう段取りになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/227
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228・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 私の聞き方が悪かったとみえるのですが、板付から飛行機が去って後に、板付の実態調査はそれから後できるだけ早くやられる予定ですかという意味です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/228
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229・大浜用正
○政府委員(大浜用正君) 板付は105が転属いたしましたその後、基地の運営状況とか、それから基地の運営によって生ずる周辺地域に及ぼす影響等を十分調査いたしまして、そしてただいま長官のお話がございました留保につきましては、そのときの結果で検討をいたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/229
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230・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 大体実態調査をやられるのはおよそいつごろと考えてよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/230
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231・小野裕
○政府委員(小野裕君) 近々に板付から実戦部隊が移るわけでございますが、その直後ということになりますと、おそらくほんとに静かになると思います。そういうときに調査いたしましたのでは当然失格であろうと思います。結局、今後の使用状況でございますから、ある期間をみまして、その間に、たとえば大規模な演習、あるいは移動訓練、あるいは各地からのまあ台風時の待避とか、いろいろな使用方法があるわけでございます。そういうものが数カ月あるいは半年のうちには計画も立ち、あるいは実績も上がってくるかと思うのでございます。そういう意味で、実際に親切に考えれば相当長い目でそれを見なければならぬのであります。同時に、予算の消化ということを考えますれば、あまり年度ぎりぎり、年度末近くになっても困るわけでございまして、大体その年度の予算が消化できるという時期までに見当をつけなければならない。このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/231
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232・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 そうすると、105が転属された後の板付に対する防音対策の必要性あるなしについては、いま言われた二カ条から、大蔵大臣が予算委員会で答弁しましたように、親切というか前向きで対処していきたい、それまでは一応予定されておった一億数千万程度の新規工事の予算については、他に流用しないで確保してもらえる、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/232
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233・小野裕
○政府委員(小野裕君) 一応予算を組みました際に、どこの学校に幾らというような厳格な数字はございません。また、実行計画を組みました際に、各学校について——ほかの学校についても例外ではございません。そういう意味で新規五校なら五校として一応予定されました金額というものがそのとおり留保されるかどうか、これには問題ございます。これは他の学校につきまして最初の積算よりもよけいかかっているという学校もあるわけ、でございまして、そういう意味で原則としては残す。しかし、そのまま残る、同じ金額がぴたり残る、こういうわけではございませんで、その辺のゆとりをもってお考えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/233
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234・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 大体、施設庁のかまえがよくわかりましたが、いろいろ私、理由や条件をあげなくても、施設庁としては理解していただいていると思うのですが、継続事業の継続というのはありがたいことですし、同時に、新規予定されておったところは、いままでしんぼうさしておいて、突然飛行機がいなくなったからといってほっぽらかされるということに対して非常な不安と不満を持っておりますので、私どもも大蔵省に対しましてもいろいろ努力したいと思いますが、いまお答えいただいたとおり、新規学校の際にも実態調査をしていただくことは当然ですが、その際にも板付周辺の三十数校の今日まで置かれてきた経緯というものを十分尊重していただきまして、新規工事についても前向きで努力を願いたい、このように考えるのですが、最後に長官の御意見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/234
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235・小野裕
○政府委員(小野裕君) ただいまお話しのとおり、実際に防音工事をすることが必要であるというデータが出ますならば、当然でございますが、いまお話しの、過去のいろいろな御迷惑というものに対する見合いというだけでは、いまの段階では簡単にはお引き受けいたしかねるのじゃないか。といいますのは、先ほど申し上げましたように、全国各地にまだ相当多数の急を、要する学校がございますので、その状況の比較によりましてどちらになるかと、そういうふうに御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X02619640512/235
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236・中野文門
○委員長(中野文門君) 本件に関する質疑はこれをもって終了いたします。
本日の委員会は散会いたします。
午後三時三十九分散会
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