1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十九年六月九日(火曜日)
午前十一時七分開会
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 中野 文門君
理 事
北畠 教真君
二木 謙吾君
吉江 勝保君
小林 武君
委 員
植木 光教君
久保 勘一君
中上川アキ君
野本 品吉君
秋山 長造君
加瀬 完君
柏原 ヤス君
国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
政府委員
文部政務次官 八木 徹雄君
文部大臣官房長 蒲生 芳郎君
文部省大学学術
局長 小林 行雄君
事務局側
常任委員会専門
員 工楽 英司君
説明員
文化財保護委員会
事務局次長 平間 修君
—————————————
本日の会議に付した案件
○学校教育法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○教育、文化及び学術に関する調査
(埋蔵文化財に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/0
-
001・中野文門
○委員長(中野文門君) ただいまより文教委員会を開会いたします。
学校教育法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。
御質疑のおありの方は順次発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/1
-
002・小林武
○小林武君 前回の委員会におきまして、提案の中にございます「明確な目的、性格を有する短期大学制度を確立し、より一そう充実した教育の展開をはかろうとするもの」であるという、この提案理由の内容についても若干の質疑が行なわれたわけでありますけれども、この質疑によって、必ずしもそういう点が明らかにされたとは私は率直に言って申されないと思うのです。しかし、一面考えますというと、なかなかこれは口で説明して納得のいくというような問題でもないように思うわけです。そういたしますというと、短大の恒久化というのは、中教審の答申に基づく高等教育の抜本的な改善までの暫定的な措置にすぎないのではないかというような見解が、またやっぱり頭を持ち上げてくるというふうに考えるわけです。また、われわれもそういうことを非常に心配するものでありますので、私はやはり少なくともこの法律案が提案されて短大の恒久化ということをわれわれが賛成をするということになりますというと、やはりもっと積極的に短大の教育恒久化ということを実質的に確立するような方途を、いまのうちに議論しておく必要があるのではないかと思うわけであります。私はその点では提案理由の中にございますところの「四年制大学に比べ短期間の修業年限を持つ高等教育機関として、父兄、学生の経済的負担を軽減しつつ実際的な専門職業教育や女子の高等教育を施す点において、社会の要請に沿ったものであるからと考えられます。」と書いてあります。これは短期大学が暫定措置として置かれたものであるにもかかわらず、このような実績を示した理由を述べているわけであります。私は、やはりわれわれが今後短大を強化するという、そういうたてまえに立つためには、これらの点をかなり重視する必要があるのではないか。経済的負担の軽減をするということも、一つの私は重要な項目であると思いますが、特に専門的職業教育でどんな役割を果たすか、女子高等教育というようなものについてどんな短大は役割を果たすか。さらには、短大というからには、さらに四年制の大学に編入されるというような問題も含めまして、これらの点をわれわれが制度的に確立していくということができれば、短大というようなものは、必ず恒久的なものとして将来一そう充実した教育を展開することができるのではないかと考えます。そういう意味から、ひとつお尋ねをいたすわけでありますけれども、その第一に、私は女子高等教育のことについてお尋ねをいたしたいわけです。提出されました資料を見ましても、昭和三十八年の調査で、男の学生の割合、女の学生の割合、女子学生の割合というものを見るというと、七対三になっている。さらにその科目を見まするというと、家政学科とか、文科系の学科が六〇%を女子短大の場合においては持たれている。まあ端的にいえば、花嫁学校的傾向に陥っているのではないかというような心配もあるわけでありますけれども、私はこういう点から考えて、文部省として、この短大の出発の当初に持っておりました考え方、女子高等教育機関として、独自の高等教育としてはどうかという実験的意図があったと、文部省の課長が談話を発表しているのが、あるものに出ているわけでありますけれども、実験的な意図があったとするならば、私はいま提案理由によって、女子教育に果した役割というものを高く評価しているということになると、これが大体、文部省の女子教育に対する見解なのかどうか、女子教育というものに対する期待というようなものは、これであるのかというふうなことを、やはりこの際明らかにしてもらいたいと思う。この点について、女子高等教育が一体どうなければならないのか、こういう点について御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/2
-
003・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 短期大学の制度は、新学制である六三三四が発足いたしました後に、当時の特別な事情からつけ加えて新たに制度ができたものでございまして、ただ、その発足の当時は、必ずしもそれ自体の明確な目的というものをはっきりいたしておりませんでしたので、御承知のように、学校教育法の附則でその根拠規定を置いたというような実際の状況でございました。しかし、その後、この短期大学の制度が、この法案の提案理由で申し上げましたように、社会のいわば父兄の要望に沿いまして、経済的にも社会的にも技術者養成等の要請、あるいは女性に対する教育機関として非常なまあ大きな功績を持ちまして、その数におきましても、また学生の数におきましても、顕著な発展をたどっておるわけでございます。ことに、ただいま御質疑の中にもございましたように、短期大学が女子の高等教育機関としまして非常に顕著な実績をあげておる、この点は短期大学だけでありませんで、四年制の大学のほうでもそうでございますが、学制発足の当初、私どもが考えました以上に、予想以上に女子の高等教育は拡大しておると思います。ことに、四年制に比べまして、短期大学のほうが実際顕著な発展をしておるわけでございまして、短期大学の学生のうちの、約十二万でございますが、その七割は女子の学生であるという状況でございます。私ども、やはり今後社会が発展していきます際に、単純に家庭に入るにいたしましても、あるいは社会的な活動をするにいたしましても、いずれの場合でも、やはり社会の進歩に見合った高等教育を女子の方が受けられるということは非常にいいことであり、今後やはり期待すべきものと思っておるわけでございまして、従来、暫定的な制度であったものを恒久化するということも、短期大学制度の将来の発展のための一助になる、そういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/3
-
004・小林武
○小林武君 私の質問のしかたも十分に御理解をいただくようなしかたでなかったかもわかりませんけれども、いまのお答えに、さらに私ははっきりしていただきたかったのは、女子の短大というようなものが、たとえば学科によって見ますというと、文科系が非常に多い、それから家政系が非常に多い。文科系は二万一千四十七、家政系は四万二千五百三十、九万八千九百四十四のうち、それだけの比率を占めておる。文部省でお示しになったように、この両者を合わせるというと六〇%だ、こういう一つの傾向ですね、短大にあらわれておる傾向というもの、この傾向は、あなたの見解からすれば、女子の教育を施す点において社会の要請に沿ったものであると考えられているわけでありますが、これは提案理由の中にあります社会の要求に沿ったものと考えておられると見られるわけであります。そこで、私はまあ短大出発の当初に戻りまして、短大というのは、一つは、専門学校の救済措置であった、新制大学なりの。もう一つは、独自の女子高等教育機関として、実験的な意図を持ってこの短大を出発さしたということを、文部省の責任ある者が言っておるわけですから、そういう実験的な意図のもとにこれらの短大のあり方を見て、これでよろしいとお考えになっておるかどうか、女子教育はこれでいくべきであるというふうにお考えなのかどうか、その点をお尋ねしたかったわけです。女子高等教育のあり方について文部省の見解、少なくとも十余年間実験的なあれをやってきたわけですけれども、私はもうここらで結論を出さないということはないと思うわけでありますが、その点をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/4
-
005・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 女子の在学者の中の比率は、ただいま御指摘のございました文科系並びに家政の系統がきわめて多いわけでございます。そのうちの文科系は、いわばこれは女子に対する一般教育的なものと見ることができると思います。なお、家政系の中には純粋に料理その他のものもございますが、なお保育その他のものもございまして、これはかなりに、まあ社会に出て、独立してその生計の資にするというようなことも行なわれておるわけでございます。いわば一種の一般教養に対する専門職業的な意味がかなり強くなっていると思います。その他、これは比率は必ずしも多くございませんけれども、看護、厚生とか、あるいは教育、保育、そういったものもあるわけでございまして、一般教養と同時に専門職業教育ということに大きく分布しておるということが言えると思います。やはり女子の高等教育、ことに短期大学における女子の高等教育のたてまえから申しますと、大筋はこの二つに分かれていくものと思っております。もちろんこの学科別と申しますか、系統別の分野ということは、社会の希望する向きによって、そのフィールドの比率がきまってくるものでございまして、やはり現状、短期大学のことに女子教育の学生数の比率等は、現在の社会の御要望に沿っておるもの、ことにこれを意図的に分野別を計画的に変更するというようなことは、特別に検討する必要はないんではないか、現状にまかせて私は差しつかえないものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/5
-
006・小林武
○小林武君 ただいまの御答弁を聞いて一面もっともだと思います。社会の要請というようなものがあって、それによって一つの学科系統別の傾向があらわれたわけでありますから、そのことを統制しようとか何とかというようなことは、これはやるべきじゃないし、また、そのことは計画の変更の必要もないことであると、私も同様に考えるのですが、ただ、私が心配いたしますところは、短大がいわゆる花嫁学校的傾向におちいってしまって、そうして女子教育というのが即——非常に短大の高等教育における比重が大きいわけですから、女子教育即これがもう花嫁学校であるというような、そういう傾向の排除は別の形でのいろいろの指導があってしかるべきだと思うのです。特に、たとえば看護、厚生関係の者が非常に不足しておるというような現状があるわけであります。このことは、いろいろな事情がそれをそうさしておるのでありまして、上からの号令や統制でそれが直ちにどうなるというものでもありませんし、そうすべきものでもないと思うのですけれども、私は少なくとも女子教育を考える場合において、文部省としてはどうしたら一体女子教育を正しく位置づけることができるか、女子教育というのは必ずしも花嫁学校のような傾向のものでないということについても、私はやっぱりはっきりした見解だけはこれは持つべきであると思うのです。そうでないというと、独自の高等教育の実験的意図に立ったというやつがうそだと思うのです。そういうあいまいな態度に立っておりますというと、どうも短大というものは、私はほんとうに充実し発展をするというような道をたどらないのじゃないかということを心配するから申し上げるわけであります。なお、この際ちょっとお尋ねをしておきますけれども、四年制大学に在学中の女子学生というのは、一体どのくらいの比率を男子学生に対して持っておるのか、あるいはおもにどういう学科、系統に一体入学しておるのか、これについてちょっとお尋ねをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/6
-
007・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) ちょっといま手元に数字の持ち合わせがございませんので、調べまして、数字がわかればお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/7
-
008・小林武
○小林武君 それでは次の問題に入りますけれども、私は二番目として、やはり短大が専門的職業教育を充実させるということが、やっぱり短大を充実させるという意味に通ずると思うのであります。そこでお尋ねいたしたいのは、国立の工業短大であります。この国立の工業短大というのは、ほとんどが国立の四年制大学の併設であると聞いておるわけです。この施設、設備というようなものは、私の聞いている範囲では、たいへんどうも貧弱で、適正な教育ができないという現状であるということを当事者は訴えておるわけであります。この点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/8
-
009・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 国立の工業短期大学並びに短期大学につきましては、これは二通りあるわけでございまして、一つは、現在すでに社会で働いておる勤労青年に対して夜間に専門教育を行なうというのをたてまえとしておるものでございまして、他の一つは、これとは別個に独立の工業短大というものでございます。先に申しました夜間の短期大学部は、これはそれぞれの大学に併設されておるということでございまして、それぞれの学科に応じまして多少の教員組織を持っておりますが、多くは昼間の大学のほうの教官を併任するという形で授業をしておるわけでございます。もちろんこの形のものは、夜、昼あわせて授業するということになりますので、その併任の教官に限っては相当労務も大きくなるということがございます。で、専任の教官をできるだけふやしてもらいたいという要望があることは事実でございます。なお、建物につきましては、これはたとえば工業関係等の中におきましては、昼のいろいろの学生の実験等が残っておる場合に、夜の実験を始めるというようなことが不可能の場合もございますので、特別の実験室をつくってやっておるというような実情もございますが、それ以外の、たとえは人文社会系のものにつきましては、大体昼間の施設、設備を使うということでやっておるわけでございます。なお、今日の工業短期大学は、一部すでに工業高等専門学校に切り変わったものもございますが、切り変えつつあるものもございますが、なお発足の当初の形態そのままに現在も工業短期大学として当初の目的どおりの事業を行なっておるというものがあるわけでございます。これらにつきましては、施設、設備あるいは教官等、必ずしも私は不十分とは言えないと思います。かなり技術者養成その他の面から財政的な裏づけも行なわれておりますし、また、地元の応援等もありますので、教官の数にいたしましても、施設、設備等にいたしましても、ある程度整備されておるというのが実情であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/9
-
010・小林武
○小林武君 夜間の工業短大というのは、いまお話にもございましたように、勤労青年の教育という私はきわめて重大な仕事に携わっておると思うのですが、そこで、結局、専用施設というものが少ないということは、これはもう短大ができましてから、ほんとうに何年となくこれは言い続けられてきたところだと思うのです。これは当事者に話を聞いてみましても、専用施設がとにかくやっぱり制約があるものだから、実際、教育の上においては非常な不便を受ける。たとえば実験等を行なう場合においても、別個に実験の施設、設備を持っていればいいのですけれども、昼間と夜間で、昼間のものがずっとおくれるというと夜間のものが実際にできないという場合が、これはたびたびあるというようなことは、そういう訴えがあるわけです。これについて、私は短大の当事者がもう適正な教育ができないという現状であるというようなことを訴えていることを見まして、まあ、これは短大の中のすべてではございませんけれども、職業的な教育、専門的な教育をするという場としてはきわめて重大な場だと思うわけでありますが、それについて、この際、恒久化を機会に大幅にこれらの予算の増額、設備の充実、拡充というようなことをやる御意思があるのかないのか。これは私は文部大臣がどんなお考えをお持ちなのか、ひとつお伺いしたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/10
-
011・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 大学に併設いたしております短期大学についての問題ではないかと思うのであります。先ほど局長もお答えいたしましたが、実情として不十分な点があるように承ったのでありますが、今回、短期大学の制度を恒久化せられるということになりますれば、もとより短期大学は短期大学として、その目的、使命というものを達成するように文部省として考えるのは当然なことだと思うのであります。したがいまして、従来、不十分な点につきましては、これを逐次充実するために努力するということは当然なすべきことだと思います。そういうつもりでひとつ十分検討させてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/11
-
012・小林武
○小林武君 私は短大の恒久化ということを出したからには、やっぱり私立もあるわけでありますけれども、私立はまた私立の学校の充実ということについて、政府のやることもあるわけです。特に国立の場合、この際やはり思い切った施策を講じてもらいたい。特に夜間の工業大学とか、夜間のその他の短大というようなものは、勤労青年の教育を受け持っておるわけでありますから、これにはやはり十分な措置をしていただきたいと思うわけであります。そこで、私は教員の問題についてお尋ねするのですが、これは先ほど大体のお話がございました。やはり短大の二つの問題点といえば、専用施設の制約による教育が適正にできないということと、もう一つは、やはり専任教員の教官の定員の制約ということが問題だと当事者は言うわけですが、これは一体、昼間、夜間の間にどういう差があるのか、教員の配置において、定員において。それをお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/12
-
013・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 夜間の短期大学の場合には、昼間の四年制の大学の教官を併任するということがたてまえになっておりますので、この夜間の短期大学の学科一学科について一人の専任教官を昼間の教官にプラスする。したがって、それ以外の教官は併任の教官ということで教員組織を従来まとめてきておるわけでございます。御承知のように、昼間の四年制の大学では一学科当たり四学科目ということで、それぞれたとえば工業等の場合には、一、一、一という、いわば一つの組織を予算的にはとってきておるわけでございまして、その一、一、一の教官は一学科につき四学科目ということでございますので、その十二人の教官の相当数のものを、やはり夜間の教育に併任してそれを活用するというたてまえでございまして、新たに夜間の学科を増設する場合には、専任の教官は一人を増すというたてまえで、従来予算を計上しておるわけでございます。これが必ずしも十分でございませんので、やはり夜間の短期大学のほうからは、この専任教官の増、あるいはさらに部外からの非常勤の講師の増という御要望がございます。できるだけ、そういった御要望には今後沿うていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/13
-
014・小林武
○小林武君 そういう要望についてはこたえたいというただいまの御答弁でございますから、私もたいへんけっこうだと思うのですけれども、考えてみますと、昼間の大学の先生が兼務するという場合、これはやはり限界があると思う。だから、昼間の大学の率でもって夜間の大学が教授をそろえるとか、教官をそろえるということは、これは無理であって、併任する者の数を相当減らしていかないというと、大学の当局の話によると、時間表が組めないというようなことも起こっているということを訴えるわけです。私は何度もしつこく繰り返すのですけれども、私はやはり昼働いて夜勉強しようという人間には、やはりもっとあたたかい気持ちも必要でありましょうし、短大の性格からいっても、十分教育を充実させるというたてまえからいえば、やはり時間表が組めないというような、こういう状況は一日も早く克服すべきである、これは文部省の責任であると思う。それから、夜間の教官に対して夜間の手当というものはないと聞いておりますが、事務官の場合にはあるが、夜間の教官にはないと聞いておりますが、こういうことは事実ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/14
-
015・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 夜間の短期大学の教官の中で、専任者は本来夜間で授業するということがたてまえになっておりますので、普通の昼間の教官と同じことでございまして、特にその上に夜間勤務であるからというので特別の手当は従来支給をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/15
-
016・小林武
○小林武君 事務官があるというのはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/16
-
017・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 夜間の場合、昼間の教官を併任する場合には、それは夜間勤務の手当がつくことは当然でございますが、夜間の専務者の場合は、それが勤務の本体でございますので、特別の手当はつけておりません。なお、夜間だけの事務職員というものについては、これもやはり教官と同じでございまして、特別の手当はつけておりません。ただ、事務官が夜間短期大学の仕事をするという場合、昼間の専務者が夜まで残るような場合には、超過勤務手当をつけておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/17
-
018・小林武
○小林武君 これは私の聞き違いであるか、あるいはあなた方の誤りであるかは、これはひとつ調べていただいて、はっきりしてもらいたいのですが、私は少なくとも大学の人たちから聞いているのは、教官にないことは明らかである、事務官にはあるのだということです。それから、なお、その事務官に対する夜間の手当というようなものは、全額、事務官の手に入るのではなく、何か八分の一程度しか入らないということを聞いているわけです。その間のことは正確に私は突き詰めてあれしたわけではありません。その点はひとつ明らかにお調べいただいて、こういう点についてひとつすっきりしていただきたいということ。もうひとつは、ちょっとしゃくし定木だと思う。夜が主体だから夜間手当はやらぬでもいいという、こういうことはどうですか、ほかのものに全部通用しますか、あらゆる学校に、しないじゃないですか。これは全部そうなっておりますか、夜間勤務の教官に全部夜間手当は与えないということになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/18
-
019・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) すべての態様を思い浮かべるわけではございませんけれども、夜間勤務が本来の職務の方は、通常の昼間の職員の給与のほかに夜間手当を加えるということはいたしておらぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/19
-
020・小林武
○小林武君 それでは次に、短大の主事というものは、これは昼間の学部長が兼任する場合が多いというのですが、これは事実ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/20
-
021・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 従来、国立の短期大学、夜間の短期大学では、昼間の学部長が兼務する事例が多いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/21
-
022・小林武
○小林武君 この点もどうですか、考慮する余地はありませんか。昼間の学部長は昼において学部長としての仕事は私は十分あると思います。夜間の工業短大というものの一種の独立的な経営をやろうとすれば、私はやはり夜間の大学の主事というものは兼任であるということがほんとうに能率を高めるということにはならないと思います。ちょっと考えれば、昼間の施設とか、教官のお世話になるとか、いろいろな点において、これは昼間との関連が深いから兼務であったほうがうまくいくだろうというのは、私はこれはやはりいささか短大側を軽くみた考え方だと思います。多少摩擦が起きても、短大側のほうからやはり独立的な立場で経営するという意図がはっきり出ることと、それから昼間の大学についても、相当やはり短大側の意向として注文をうんと出すというくらいのことでなければ、私はほんとうの効果というものはあげられないように思います。成績をあげられないと思います。うまくいくだろうというなれ合いはこの中に生まれましても、私はほんとうの短大の教育の充実発展ということは、兼務という場合は不可能であると考えるのです。この点はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/22
-
023・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 前の御質問でお答えいたしましたように、確かに夜間の短期大学のほうは、専任の教官が十分ございません。したがって、夜間の専任の教官が短期大学の主事になることが私どもも望ましいこととは思いますけれども、この主事のほかにさらに専務者をあわせて定員の増加をはかるというようなことは、なかなか現実の問題としてむずかしい点がございますが、御指摘の点もごもっともだと思いますので、今後できるだけ配慮をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/23
-
024・小林武
○小林武君 短大の主事というのはどういうことできめられるわけですか、どういう手続で、これは短大内の選挙ということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/24
-
025・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) これは各大学によって多少違うと思いますが、専任の教官並びに兼任の教官で組織する教官会議でいろいろ話し合って、主事の候補者をきめて、学長から文部省へ申請する事例が多いように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/25
-
026・小林武
○小林武君 いまの点ですけれども、これはあれですか、短大側の教官が自主的に主事を決定して、そうして、これは短大から文部省にこういう人事になったということを申請して、そして文部省が発令すると、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/26
-
027・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 夜間の短期大学は、これは御承知のように、四年制の大学に併設された短期大学部の主事の候補者を選考いたしまして、大体の候補者がきまりますれば、学長を通して文部大臣のほうに申請をする、任命の申請をするというのが従来の手続でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/27
-
028・小林武
○小林武君 こういう点につきまして、短大主事の決定等につきましても、民主的な方法で選ばれるということと同時に、先ほど来申し上げましたように、昼間の学部長が兼任するというような点については、将来やはり短大をほんとうに充実させるという意味からは避けるべきだと思いますので、その点については、そのような指導なり助言なりがあってしかるべきだと思うわけであります。そこでちょっとお尋ねいたしますが、短大では卒業生を十一回出しておるというのですね、卒業生を十一回出して、採用後の評判はたいへんよろしい、こう聞いておるんです。私立大学の工学部に比較して決して劣らない、まさっても劣らないというような、こういう業界からの評判をとっております。こう言われるんであります。かつて文部省が高専をつくるときに、短大は科学技術者の養成に不便であると思っている、高校のカリキュラムと短大のカリキュラムは別々であるから、これでは科学技術者の養成にはまことに不便であると、「まこと」という字までついているのです。こういう考え方が文部省の中にある。しかし、事実はどうであるかというと、先ほど言ったように、学校側の就職あっせん、その後の就職後の状況等から見て非常に評判がよろしいということを聞いておるわけですけれども、いまでも短大についてあれですか、やはり高等専門学校には卒業生は劣るというような考え方を持っているんですか。科学技術者の養成については、これは完全なものではない、いわゆる不便であると、文部省的な表現からすれば。そういうふうにあなたたちお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/28
-
029・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 夜間の国立の短期大学、これは御承知のように、現在すでに実社会で働いている勤労青年に対する教育機関でございまして、これは年限も三年ということでやっておりまして、非常にそこで教育を受ける学生も熱心でございます。これがやはり卒業後産業界へいく場合に、ただいま御質問の中にもございましたように、社会的に相当高く評価されておるのが事実だと思います。なお、一般的に申しまして、これは単に国立だけということではございませんで、私立を含めた昼間の二年の短期大学の場合、工業関係の技術者を養成するような場合には、御承知のように、現在の短期大学制度が、現在のと申しますか、従来の短期大学は、やはり四年制の大学のいわば一種の縮図と申しますか、縮刷版のようなものになっておりまして、半分は一般教育をやる、半分は専門教育をやるということのたてまえから申しますと、やはり工業技術者を養成するというような場合には、必ずしも実社会の期待するような卒業生が出ないといういろいろな批判を聞いたわけでございます。高等専門学校は必ずしもこれに対する批判にこたえるということだけではございませんけれども、やはり中学校の卒業者を入学資格者とする五年制の教育機関、しかもこの五年間に一貫教育をやろう、もちろん一般教育を軽視するわけじゃございませんけれども、専門教育について五カ年間の一貫教育をやろうということで制度が発足したわけでございまして、まだ現在、国立で申しますと三年生どまりでございまして、今後、卒業生の出るのは二年先になるわけでございますが、従来、この工業の中堅技術者の養成の点から申しますれば、やはり専門技術については短期大学の卒業者より、幾分まあ力のまさった者が出得るんではないかというふうに期待をいたしておるわけでございます。しかし、これはまあ実際に出て、社会が評価しなければわからぬことでございますが、私ども、制度を発足させましたときにいろいろ御質疑等もございまして、そういうふうに私どもの考えておるところを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/29
-
030・小林武
○小林武君 まあ私が工業短大の方たちと会って話したところによるとそうではないんですね。あなたは逆なんです。まああなたもいまお認めになったように、働きながら勉強するというような意気込みもあるせいか、たいへん成績がよろしい。で、やはり就職してから一番の問題点は、専門的の技術とか何とかいう問題の欠陥ではなくて、やはり基礎教育に関係するんだ、それから語学に関係するものがやっぱり弱点を持っているということです。特に中小企業等に就職した場合等においては、相当早く昇進をして、かなり責任の立場に立たされる。そうすると、いまの科学技術の非常に進歩した時代ですから、外国の文献等についても、これを読んで一応こなすというようなやはり資質を要求される。こういう角度からいって、やっぱりその面の不足を訴えるということが短大当事者の中から出ておるわけです。で、いわゆる一般の、あなたがいま御心配になったような技術的な面については、これは先ほども申し上げましたが、ただし、これは自画自賛も多少ありましょうし、自分の育てた学生がよく見えるのはあたりまえですから、その歩引きは多少いたしましても、私立の四年制の大学を出た者に、業界としては決して見劣りがしない、むしろまさった面もあるというようなことも評判として持っているというようなことを言われておるのでありますが、こういう点は、私はいま高専の論争をここで蒸し返そうとは思わない、そんなときじゃないんですから。高専は高専としてひとつしっかりやってもらいたいと思いますけれども、短大を、いまの局長のような考え方、先入観があって、短大というものは高専よりか、やっぱり職業、専門的教育においてはだめなんだというようなあれは持たないようにしてもらいたいと思う。そうでなくて、私は短大の教育というものをうんと充実させるんだ、そこにある問題をとにかく極力文部省が解決してやるように、施設、設備、教員の配当その他いろいろな教育条件の整備については全力をあげてひとつやってやるんだというようにお考え願いたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/30
-
031・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 私は高専の教育を通じての技術者養成のことを申し上げましたが、だからといって、短期大学での技術者養成がこれはだめだというふうな考えは持っておりません。ただいま御指摘のございましたように、短期大学は高等学校で三カ年の一般教育をやってきておる。しかも、短大で最近は教育課程の改定等も行なわれまして、基礎教育にも力を入れてきておるので、高専とは違った特徴があるのは事実だと思います。ただいまお話のございましたように、今後この短期大学制度が恒久化されることに従って、一そう短期大学の現在ある学校についての当然充実をはかって、その教育もしっかりしたものができるようにいたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/31
-
032・小林武
○小林武君 文部大臣に一つお尋ねをしたいわけですけれども、まあ金がかからぬということが提案理由の中でも短期大学の一つの特徴といいますか、と言っております。これは私は四年が二年だから、半分しかかからぬだろうという、そういう式の算術ではだめだと思う。ほんとうのことを言うと、私はいわゆる花嫁学校的に、きらびやかな女子の教育の場合なんかは、案外かかっているんじゃないかと思います。だから、そういう式の、二年だから金がかからないという、そういう簡単な割り切り方では私はまずいと思うのです。短期大学は、やはりなるたけ金がかからぬほうがよろしいと私は思うのです。これは父兄の立場、学生の立場から金のかからないほうがよろしい。そういたしますと、その点で一番提案理由どおりだと思われるのは国立の短期大学、特に昼間働いて夜間勉強するというような、こういう大学は、まことに勤労青年のためには有効な施設になっていると思うのです。私はこの前のどなたかの質疑の中に出ましたお答えの中に、文部大臣としては、あまり国立の短大についてはふやすという、いま気持がないというようなお話があったのですが、私はそうではなくて、もっとやはり、特に勤労青年を対象にして、向学心に燃えているところの人たちを大いに満足さしてやるような短大を、積極的に国立でつくるべきだという意見を持っているのです。このことは、必ずしも私はとっぴな考え方ではないように思います。いわゆる技術者の不足ということが、三十万であるとか、四十万であるとか、五十万であるとかいうことが言われている。また、日本の実情だけではなくて、たとえばアメリカにおいても、あるいはアメリカとは違った立場のソ連とかいうような共産圏の場合においても、夜間の学生の占める比率というものは非常に大きいのです。そういうことを考えますというと、ことに、文部省として国立短大を増設するといいますか、そういうことがほんとうにやりぬかれたときに、私は何といいますか、経費の軽減というようなことが短大の特徴になるような気がするのです。短大といったら、とにかく私立にまかしておけというようなやり方では私はうまくないと思うのですが、文部大臣は、そういう点についてはどうお考えになっておるのか。短大は恒久化したけれども、まあ国立をふやすというのは意味がないというような、そういう消極的な御意見なのかどうかということなんですね。これについてお尋ねをしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/32
-
033・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) お話の御趣旨はよく了承をいたしました。ただ、あまりはでなことを御答弁することはできないのでありまして、文部省としましては、四年制大学について、もっともっと充実していかなきゃならぬ大きな仕事もございますし、また、新しく国立高専というようなことも出てまいりました。これについても充実してまいらなければならないいろいろな問題がございますので、この際、短大をうんと拡充するというところまで、大きな御返事を申し上げるだけの勇気はないのでありますが、しかし、事柄といたしましては、お話の御趣旨はよくわかるわけでありまして、短大として恒久化いたしております以上は、短大は短大としての特徴を発揮して、国家社会のお役に立つようにしなければならぬはずのものでありますから、私は短大の充実ということについてももちろん十分留意してまいるつもりでおります。なお、父兄負担の問題から考えますと、現在はまさしく国立のほうが、いわば安上がりになっておるという状態でございます。これはひとり短大だけの問題じゃなくて、一般的に考えなければならぬ問題でございますが、同時に、非常に困難を伴なう問題であるということは御了解いただけるだろうと思うのでございます。私はやはりその点を考えて、国立の問題も考えますけれども、同時に、私学の方面のことについて、このまま放置はできないのじゃないか、そういう意味でいろいろ検討してまいりたいと思うのでありますが、勇敢な御返事をできないことはまことに遺憾でありますが、決しておろそかにするつもりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/33
-
034・小林武
○小林武君 おろそかにされたらたまらぬわけでありますが、私は急に威勢のいいことを言って短大をあっというほどたくさん増設するというようなことも、これもなかなか可能でないということはよくわかっておるわけです。しかし、方針としては、私は短大を私立にまかしておけばいいというような考え方がもし国にあるならば、私はこれは大きな間違いだと思うわけです。それは予算の制約もいろいろあるわけでありますけれども、先ほど申し上げたような趣旨からいっても、短大を恒久化するということのためには、少なくとも政府もその点についての非常な努力を要するのだということをまずお考えおきを願いたいと、こういうことなんです。それから先ほどちょっと触れましたけれども、短大の卒業生がやはり基礎的な学力において若干の問題があるとか、あるいは語学の力において多少おくれておると、そういう点を痛感していると言われました。高専の卒業生といえども、そういう問題が、やはり将来職場に出ていろいろな立場を得た場合に私は出てくると思うのであります。そこで、短大の場合は、四年制大学に編入するという一つの道筋がはっきりしているわけであります。これは一体どのくらい年間四年制大学に編入されているかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/34
-
035・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 従来の実績から申しますと、大体卒業生の六%ないし七%の数が四年制のほうへ編入学されておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/35
-
036・小林武
○小林武君 その場合は、一体、科目系統のほうからいったらどういうものが、女子とか男子とかいうあれは別にないわけですか。いまなければ別にお答えしなくてもけっこうなんですが、それをお尋ねするという理由は、やっぱり大学に、四年制のほうに進めるのだということをうたっている限りは、道は開かれでなければならない。その場合のやはりいろいろな計画もあることでありますから、お尋ねをするわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/36
-
037・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) やはり数から申しますと、文科系、それから法商系、それから工業系あるいは家政系いろいろな分野にわたっておりますが、実数から申しますと、これは去年の六月の調査でございますが、文科系で約八%の七百十八というのが四年制に入学しております。それから法商系では一一・二%の六百九十六という数字でございます。それから工業系では一五・六%、六百三十九人、それから家政の系統では二・五%で四百四十人という数字でございます。なお、それ以外の分野にも多少ずつございますが、大体大きな数字から申し上げますと、以上申し上げたような現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/37
-
038・小林武
○小林武君 その点については、私は一応短大側の実情というふうなものをちょっと聞いたことがあるのでありますが、だんだん年々狭められていくというような、こういうことを申しております。これはただし国立の場合であります。年々やはり狭まる傾向にあるというふうに聞いているのでありますが、これはひとつ、もしそれが事実であるとするならば、そういうことにならないように、短大の一つの特徴点としてやはり十分に生かしていただきたいと思うわけであります。それから、これは高専の場合はどういうことになりますか、四年制のほうに入るという場合にはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/38
-
039・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 御承知のように、工業高等専門学校が創設されましたときには、制度として、この工業高等専門学校を袋小路にしないというたてまえから四年制の大学への編入学の道を開いております。学校教育法の七十条の八にその根拠規定がございますが、ただ、具体的に、高専の卒業生をどういう学部でどういう学年に編入するかということにつきましては、各大学の意見、あるいは国立と公私立等の意見がまとまっておるというわけではございません。しかし、だんだんこの卒業の時期も近くなってまいりますので、今後、文部省として、各高専なり国立大学と連絡をとりながら、その制度の問題を検討したいと思っておりますが、ただ原則として、とにかく高等専門学校の卒業生が大量に四年制の大学に入るということは、制度創設の趣旨から言って、必ずしも本旨ではございません。特に特殊のすぐれた学生で志望のある者に、そういう機会を与えるというようなことは考えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/39
-
040・小林武
○小林武君 それでは、本日の学校教育法の一部改正に関する法律案の質問はこれで打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/40
-
041・中野文門
○委員長(中野文門君) 本法案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/41
-
042・中野文門
○委員長(中野文門君) 引き続きまして、教育、文化及び学術に関する調査中、埋蔵文化財に関する件を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、これを許可いたします。小林君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/42
-
043・小林武
○小林武君 大阪府の茨木市将軍山古墳というのは、四世紀の古式古墳として非常に重要なものだと言われておりますが、これについて文部省では御調査なすったことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/43
-
044・平間修
○説明員(平間修君) いわゆる将軍山古墳につきまして、文部省としてまだ調査というものはやっておらなかったわけでございます。直接いろいろな事情から、茨木市の教育委員会、大阪府と一緒になりまして、こういう調査があったというような事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/44
-
045・小林武
○小林武君 それは何かの間違いではありませんか。斎藤技官が調査においでになっておるのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/45
-
046・平間修
○説明員(平間修君) いろいろ茨木市のほうにおける調査、これに対しまして文部省としての意見というようなものを聞かれたことがございましたので、私のほうとしては、斎藤調査官をして現地に派遣いたしまして、いろいろと指導助言を行なったという事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/46
-
047・小林武
○小林武君 それは発掘調査という、こういうことはやっておらないという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/47
-
048・平間修
○説明員(平間修君) 文部省自体が主体になって発掘調査をしたのではない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/48
-
049・小林武
○小林武君 たいへん専門的な御意見でおそれ入ります。それでは斎藤技官が府の考古学者によって将軍山古墳を調査いたしまして、その結果、発掘に当たりました結果を報告されて、文化財保護委員会の斎藤技官があそこにおいでになった。その結果についてはどういうような御報告をなさっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/49
-
050・平間修
○説明員(平間修君) 俗に、この古墳はいまお話にありましたように古墳前期に属するものだと言われているわけでございますが、斎藤調査官の報告の要点をかいつまんで申し上げますと、古墳前期にありがちな葺石というものが大体取りまいて出ておるようである、それから一部遺物が、剣とか石鍬とかというものが一部出たわけであって、調査の結果は、わずか斎藤調査官が見たところでは、現地にいたのは二日くらいのように聞いておりましたので、特に取り立ててこれといったようなものはない、しかし、比較的数の少ない古墳前期のものであるというような意味から、もう少し綿密な調査を行なうようにという指示をしてきた、大体以上が斎藤調査官の報告の概要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/50
-
051・小林武
○小林武君 直接おいでになったのではないから、こういうことを責めるということは悪いけれども、ちょっと雑だと思います、そういう答弁は。葺石があったように思いますとか、少々あったように思いますなんて、そんなことは写真を見ればわかるのです。そういうようなお話だというと、黙って聞いていると、そんなものは三文の値もないような話にだんだん発展しそうな気がするのです。少なくとも斎藤さんという方はその道の権威でいらっしゃると私は聞いている。そういう方が報告されたものとは私は納得ができない。一体、将軍山古墳というものがどういう価値があるのか、そのことが明らかにされなければならぬし、発掘調査をされているのですから、現在。しかも、これはもう破壊されようとしているわけです。そういう状態の中でこれを保存するかどうかという問題もその中に出てくるわけです。それに対していまのような程度のお考えだというと、まことにどうも残念だと私は思います。これはあなたは専門家でもないし、私も専門家ではないわけですけれども、この古式の古墳というものは四世紀の古墳、古墳としては一番古いのですね。古墳の発生期のものです。だから、あなたもおっしゃったように非常に数が少ないのです。しかもその規模が非常に大きい。先ほど葺石の話が出ましたけれども、葺石が出て初めてその規模が自分たちの推定よりも大きかったといって発掘者がびっくりした。それから七十メーターのものと考えておったのが百五十メーター程度のものとわかったということで、さらにびっくりした、そういう考古学上重要なものであるから、斎藤さんがわざわざ現地の考古学者の報告によっておむもかれたわけですから、たったそれだけしか報告がないというのは私は納得がいかない。これは文化財保護委員会としてはどんな態度で文化財を保護しようとしているのか。埋蔵物文化に対する考え方が一体どうなのか、疑いを持たざるを得ない。このごろは週間誌にまで書かれているの御存じでしょう、あなたたち。大体、週間誌に書かれるというようなことになったらろくなことないですよ。たったそれだけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/51
-
052・平間修
○説明員(平間修君) 御承知かとも思いますが、四月下旬から発掘調査にかかったわけでございまして、斎藤調査官がまいりましたのは五月の中旬だったと記憶しておりますが、その間二週間ちょっと経過したような状態でございますし、まだもちろん調査の途中でございましたので、斎藤調査官としても詳しいその結論的なことはなかない言い得なかったというような状態で、私が、つまり斎藤さんに聞いた点の要約は先ほど申したとおりなんでございまして、もちろんその発掘調査の進展いかんによって、もちろん調査は詳しく聞く必要もございますし、その後に対する措置も考えなければならぬというふうに考えておったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/52
-
053・小林武
○小林武君 どうも話があまりに粗雑なんでびっくりするのです。六月九日です。期限が来ているのです。元来、六月九日を期限として前方部の発掘調査を終了して、そうしてこれを取りこわして、取りこわしたあとには日通の研究所をつくる、寮をつくる、こういうようなことになっているのです。それを現地としては二十五日まで何とか延ばしてもらいたい、こうせっぱ詰まっている。きょう六月何日ですか。部分的でございますからなんという、ほんのわずかしか調査しておりませんので何とも申し上げられないという、いまの段階ではそういうあれじゃないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/53
-
054・平間修
○説明員(平間修君) おっしゃるとおり、最初の調査期間というものは六月十日、その後延びまして二十日ということになっておったわけでございますが、たいへん詳細な記録調査を、保存のための調査をするためには期間が足らないというような話も承りましたので、私のほうといたしましても、その後、委員会と協議いたしまして、大体前方部の調査というものは七月の一日、六月一ぱいというところまで調査期間を延長すると、こういうように話が会社のほうとも協議の上進んだというような報告を受けておりますし、後円部にありますところの、前に調査発掘しました結果出ておりますところの石室、これも今回の調査におきまして移転し、復元するというような計画になっておるわけでございますが、これのほうの移転のほうは七月一ぱいまでにやってもらえばよろしいと、こういうように話し合いがついたというふうな報告を受けまして、調査期間のほうはまあ一応調査に遺憾のないようなところまで延長できるようなふうになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/54
-
055・小林武
○小林武君 調査期間が月一ぱいまでは認めるというところまではいったわけですね。そうすると、あれですか、文部省の保護委員会としては、それを終わったならば、これを破壊してもいいという、こういう態度を決定しているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/55
-
056・平間修
○説明員(平間修君) この古墳の措置につきましては、いろいろいきさつもございまして、初め私たちとしましては、できるだけこのような古墳は保存すべきではなかろうかというようなことで、大阪府及び茨木市の教育委員会のほうへお話したのでございますけれども、まあ指定も現在されておらなかったというような事情、それから類似のものも数個ほかに存するというような事情もありますし、なお土砂くずれ等による災害の危険というようなこともありまして、そのまま残しておくことにこしたことはないけれども、いま申し上げたような事情によりまして、むしろこれは地元の意向もそういうふうに一致してなりましたので、完全な、できるだけ詳細な記録保存をしておこう、こういうような腹をきめたわけでございますが、その結果、地元の方々もそれを納得して、調査員の方も納得して調査にかかったというような経緯がございますので、これを調査して、私どもとしてはできるだけ詳細な記録を保存しておくというような措置に、残念ですけれども、そういうように踏み切ったということでございますけれども、今後、記録保存と、それから地元の考えております石室の復元というようなことで、この古墳はそういう形で保存しておく、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/56
-
057・小林武
○小林武君 非常に私はびっくりしたわけです。文部省がこの破壊に踏み切ったということは、先ほどのあなたの話だというと、斎藤技官もまだはっきりした見解を持たないような御答弁でありましたけれども、そうすると、斎藤技官もこれに賛成をされたわけですか、いま斎藤さんは技官ではないかもしれませんけれども、斎藤さんもそうお考えになった、それから文部省の文化財保護委員会もそれを認めた、それから現地の考古学者は、私の聞いている限りでは、第一級の古墳として保存すべきだというのが、関西の保存委員会の結論だということを聞いておりますが、現地のあれも納得した、そうして破壊はすでに文部省によって踏み切られた、こういうような御答弁だと聞いたのですが、それは間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/57
-
058・平間修
○説明員(平間修君) 先ほどちょっと申しましたように、まあこういう埋蔵文化財で相当価値の高いというものは、私どものほうとしては、できるだけ保存していきたいというのが基本方針ではございます。したがって、私たちとしましては、現地に対しまして何らかの方法を講じて保存できないかというような指示もし、場合によっては、国の相当の援助ということも、あらゆる面で援助もいたそうというようなことをサゼストしたのでございますけれども、先ほどのような事情で、茨木市教育委員会、それから府の教育委員会、それからこれをやはり地元としても、いろいろな事情から完全な記録保存をすることもまたやむを得ないというような意見がございまして、むしろそういう意見を受けまして、文化財保護委員会としても、それならば、残念だけれどもやむを得ないというふうに踏み切ったという事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/58
-
059・小林武
○小林武君 あなたの御答弁の中でことばじりをとらえるわけじゃありませんけれども、事が事だから、やっぱりはっきりしておかなきゃいかぬと思うのですよ。あなたの見解では、将軍山古墳には類似のものがほかにあると言うんだが、どんな類似のものがありますか。私はそんな類似のものがどこにもここにもころがってるというようには考えておらないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/59
-
060・平間修
○説明員(平間修君) 現在史跡に指定されておる前期古墳のものを二、三申し上げますと、山梨県に銚子塚古墳、同じく、銚子塚古墳と名称は全く同じでございますが、福岡県にやはり同じ名称の古墳、それから兵庫の処女塚古墳、それから滋賀県の瓢箪山古墳というものが、この時代の古墳に属しておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/60
-
061・小林武
○小林武君 私はあまりこの面についての知識はないものですけれども、古墳のあれですか、古墳を山梨県にあるとか、福岡県にあるとか、兵庫県にあるとか、それがいわゆる前期の少なくとも古墳の大体発現期に出たものであるからというような判定で、それがあるからぶちこわしてもいいということになると、一体、文化財保護委員会の使命というのはどこにあるのですか。また一体、古墳を保存しなきゃいかぬという意味がなくなるじゃないですか。大和朝廷というようなものと、この古墳との関係というようなことはどうなるわけですか。私はそういうものの言い方をしていったら、前方後円墳が一つありゃいいんで、あとのものはみんなぶちこわしてもいいんだというような話だって、乱暴な話だけれども成り立つのですよ。そういう非常に飛躍したあなたたちの論理です。体一つをもって全部を推察できるというような、そういうものの考え方で、文化財保護委員会というものは、埋蔵物ばかりでなく、その他の一般の文化財に対してお考えを持っているとしたら大間違いでありませんか。私はそういう答弁を文化財保護委員会のほうから聞くということはまことに心外なんですよ。私は必らずしも全部残されるものだとは思わないです。あなたのおっしゃるように、記録調査をし、発掘し、調査をして記録にとどめるとか、学問的な研究を十分やって、そしてやむを得ないというものだって国土の開発の中から出てくる。しかし、そのうちでも第一級というようなもの、代表的なものは、これはやはり日本の文化財として、民族として残さなきゃならぬ問題だと思う。そういうたてまえに立って文化財保護法もあるし、委員会も私は存在するんだと思うのですけれども、そういう乱暴な言い方で、一体それはあれですか、考古学者の間で通用しますか。われわれしろうとの中でも通用しない議論だと思いますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/61
-
062・加瀬完
○加瀬完君 関連。私も専門家ではありませんから、またあとで間違ったら御指摘をいただきたいと思いますが、福岡とか、山梨とか、兵庫とか、兵庫は同じ近畿で近いにしても、福岡、山梨と、この地域の違った古墳が、時代が大体同じだからといって、この埋蔵されている内容が同一形式のものである、あるいは同一内容のものであるという推定はちょっと無理ではないですか。私は先ほどお話を伺っておって、同一地域、同一年代と推定される古墳がもっとたくさんその近所にあるので、これは一つこわしてもがまんができるというお話しなのかと思って伺っておったのです。そうじゃないのです。同一時代、同一地域ということでなければ、しかも、それは発掘して非常な価値のある内容だということが明らかにされたんでしょう、それをただ記録にとどめるというだけで、あるいは石室を何かどっかに持って行って復元するというだけでこわしてしまって、文化財保護というものは成立しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/62
-
063・平間修
○説明員(平間修君) おっしゃるように、その場所にあると同じ時代のものでも、同じ場所にごく近傍にあるというようなことで、まあ他の事情によってこわすという場合は、一番わかりやすいという気はいたします。したがいまして、私たちもこの将軍山古墳というものは、やはり残しておくことにもちろん越したことはないのだけれども、その他の事情によって、まあ端的に申せば、公共事業との調整ということを考えて、この場合はやむを得ず、残念だけれども、やむを得ずそういう措置をとったし、地元のほうもそういう意見に一致し、今後の保存ということについても、地元ではそれほど積極的でなかったという事情も加味されまして、今回の措置をやむを得ずとらざるを得なかったというような事情でございまして、いま小林委員のおっしゃるように、すべてがそういう考えでいくということはもちろん毛頭ないわけでございまして、この場合はこういう措置をとらざるを得なかったという事情を先ほどから申し上げておったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/63
-
064・加瀬完
○加瀬完君 その公共性といいますか、先の小林委員の御指摘のような事情だということになりますと、公共性が非常に高いということになりますか、そこの地域を何か特別工作をしなければ、付近の生活が非常に危険にさらされるとか、あるいはその地域の開発のためには、その点に何かをしなければ必要欠くべからざるところだというようなことのようには受け取れなかったのですが、地元がどうこう言いましても、文化財保護委員会としては、残すべきものならば、地元を説得して残さなければならないという使命というものがあるのです。ただ、地域の要望だからといいまして、地域の要望というのは、これはしろうとの希望が大部分です。考古学者とか、あるいは歴史の専門家というものが、特別にその開発について意見を申し述べているということは少ないわけです。文部省も予算も出して、残してもいいという考えがあるならば、当然これは地元にもっと文化財というものに理解を与えて残すように協力をさせる、それが指導、助言ではないですか、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/64
-
065・平間修
○説明員(平間修君) 最初のほうの話の公共性と申しましたのは、一般的な場合も含めましたわけでございますけれども、この場合は、先ほど小林先生からお話しがありましたように、日通不動産株式会社という会社が、ここの土をとったあとに、その住宅と業務研究所をつくりたいと、こういうふうなことで、もちろんその土地は日通不動産会社の所有物になっているわけでございます。それに、その丘陵のすそのほうに五、六軒の民家があるわけでございますけれども、たびたび土砂くずれ等によってうちの中に土砂がめり込んできたというような事態もあったそうでございますし、その住民の方たちは、今後の大雨というようなものによっては、人命にも関係するというおそれが多分にあるというような事情もございまして、そういう事情のときに、私たちとしましては、その辺の、市あるいは府における買収なり、あるいは買収ばかりでなくて、もちろん土砂どめと申しますか、そういうような工事もすべきじゃないかというようなことで、相当、おっしゃるような指導、助言はしてみたわけでございます。もちろん文書でもそういうものを差し上げ、そのほか、もちろん電話等によってもそういうことを何回となく話したわけでございますが、先ほど来申し上げているような緊急性やらの事情で、地元としてもずいぶんこれは協議したようでございますけれども、やはり記録保存というものでまあやむを得ないという結果になって、私たちの話に対するそういうまあ答えもあったというような事情でございます。ですから、おっしゃるとおり、私たちとしては、やはり第一に、相当の価値あるものならばそれは保存するというのが大事じゃないかということで、従来からもずっと指導及び助言はやっておってまいっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/65
-
066・小林武
○小林武君 私はね、やっぱりもう少し、保護委員会だからね、まともなひとつ答弁してもらいたいと思うのですよ。これに類似するものがあるというなら、同じ茨木市に紫金山の京都大学が発掘をしたものがあるのですね。それがあるにもかかわらず、これはさらにそれを上回る第一級の古墳であるというところで、この古墳の重要性が言われておるわけです。それを、山梨県にあるとか、福岡県にあるとかと、そういうようなことは、私は今後あなたたちのほうでは言ってもらいたくないのです。ほかの、しろうとの方だとか、それから無関心な人が言うならばけっこうですけれども、文化財保護委員会の方がそういうことをやったら、建設省にしても道路公団にしても何にしても、みんないまいろいろ文化財をこわさなければならぬような立場の人がたくさんいる。そういう人たちにどれほど悪影響を及ぼすかわからぬと思います。あなたたちは保護委員会じゃなくて破壊委員会になっちゃう。そういうものの言い方はしてもらいたくないし、もう一つあなたの緊急度の問題だけれどもね、私はあまりしっこく言いたくないのだけれども、ここにがけくずれがあったことは事実だ。ここにも写真はあります。そのうちの、あぶないというのはほんの一軒か二軒だった。それも、石垣を組めば、決してあぶないというような、あぶなくて人命にどうするというような問題ではない。手当てを加えれば幾らでもこれは防げる問題である。そういう事情もあって、しかも先ほどあなたもおっしゃったけれども、発掘したところが葺石があらわれて、あまりにも規模が広大なもので、文部省に公文書でもって市立の博物館から、府教委からきているわけでしょう。それによって斎藤さんが出かけた。私はそういう斎藤さんの一体報告が、どんな報告であったか知らぬけれども、大体いままであなたのおっしゃるようなことで、報告でもってこの取りこわしを認めたということになると、きわめて不明朗だと思うんですよ。あなたは一体この発掘調査のために、一体だれが金を出していると思っているのですか。どこが金を出しているんですか。この金は文部省からも、府教委からも、教育委員会からも一銭も出ていないで、日通から四百万円、地主から百万円と、たしかこのくらいの金を出しているのじゃないですか。初めからこいつはもうとにかく——もっともこのことだけではありませんからね。私はまあ文化財保護委員会のやり方、それからこれからの運営のしかたに重大な問題だと思うのはここなんですよ。一体そういう埋蔵物の文化財を持っているところの人たちが、自分で金を出して調査するということは、破壊を認めるということの前提みたいなものなんです。そういうやり方をあなたたち自体がやらざるを得ないというのは、もうあなたたちの罪じゃなくて、もう根本的な法の欠陥というか、あるいはもう運営の欠陥というか、とにかくもう問題点です。弁天山の古墳の場合には、丸紅飯田が一千万円の調査費を出している。そうしてそのあとが団地、ゴルフ場です。これももう考古学界ではきわめて明らかな事実じゃないですか。金さえ出して、調査費を出せば、調査をしたらこわしてもよろしいのだということになって、どんどん破壊されていくようなことになるのじゃないですか。私はそういう点が非常にもう問題だと思うのですよ。まあ悪く言えば、金を持っているものは、史跡に指定されたり、あるいは史跡を含んでいるところ、古墳を含んでいるところ、そういう埋蔵物文化財を持っているような地主をたたいて、たたき買いをして、そのあと調査をして、結局軽く調査をして、あとはこわせばいい、こういうやり口でいったら、日本の埋蔵物文化財なんていうものは一つもなくなっちゃう。だから週刊誌にもそういうことを書いている。これは週刊誌が興味本位に書くようになったらもう私はおしまいだと思う。この点については、一体こういうやり方を今後も認めていくつもりなのかどうか。大体調査費をとってしまって、調査費をもう承諾して調査をやるなんということは軽卒でありませんか。重要なものであるならば指定をするとか、手当てを講じておいてやるべきじゃないですか。これはもうあなたを責めてもしようがないということはわかっているのですけれども、あなたは係だからしかたがない。あきらめて聞いてもらわなければならぬと思うのです。結局あれですか、そうすると、これはあなたのほうではもう手のほどこしようがない、日通から四百万円、地主から百万円出してもらって調査をやったのだから、もうこれは破壊を前提とした調査で、調査した記録が残ればやむを得ないという、こういう結論ですね、文化財保護委員会、そう確認してよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/66
-
067・平間修
○説明員(平間修君) もちろん調査費とかというようなことについて、不足というようなことがあれば、国でもそれは補助金というようなことも考えるというような考えは初めから持っておったのでございますが、そういう調査費については、中の振りかえ等によって目下のところまあ十分であるというような報告がまいりましたので、その調査費五百万円、総計五百万円、その中に復元費が百八十万ばかり含まれているわけでございますが、それでもって完全な記録を保存し、そして遺物等についての今後の調査、遺物の出ぐあい、従来の遺物のそういうようなものを保存するというような場合には、保存後に対する国の助成というようなことも考えたいというような考え方で、この古墳の措置はいたしたいというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/67
-
068・小林武
○小林武君 文部大臣にお尋ねしたいのですがね。一体いまのようなやり方というものはどうですか、考慮の余地がありませんか。一体、調査費をこわすほうの側から取って、これはもう弁天山のときには丸紅飯田が出している、一千万円。これを改めないというと、なくなる、私は一切の文化財が破壊されるという気がするのですが、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/68
-
069・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 先ほど来お話を伺っておりまして、実は私はこの問題については事実を聞いたこともございません。承知いたしておらないので、先ほど委員会へ出てくる途中、廊下で社会党の亀田さんからちょっと話を伺ったようなことでございまして、事実を承知いたしておりませんので、具体の問題について意見がましいことを申し上げることは差し控えたいと思います。ことに文化財保護委員会のほうの問題でございますだけに、私自身といたしましては、これについての意見というものは、ここでかれこれ申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。ただ、一般的な話として考えます場合に、ちょうどこのような問題ある意味におきましては、日本の文化財というものが、ことに近畿地方あたりになりますというと、まあ受難時代といってもいいのじゃないかというような気持ちもするのであります。いろいろな文化財を持っておる地域が、そこに新しい時代の新しい要求に従っていろいろなものが開発せられます。それとの間にどういうふうに処していったらいいものかというところが、おそらく文化財として最も悩みの多い問題じゃないかと私は思うのでございます。今回の問題につきましては、文化財のただいま話を聞いたところでありますが、調査をし、または記録をとるべきものはとり、復元すべきものは復元して、一応この点は文化財のほうの何といいますか、負けたといいますか、そういう形になっておりますが、そのように考えるわけであります。その判断のよろしいか、よろしくないかということについての私の意見は、ひとつ差し控えさせていただきたいと思います。また、いまお話になりました調査費等の関係につきましては、これはよほどわれわれといたしましては気をつけなければならない問題じゃないかと思います。ただ、調査費をもらったということはすなわち破壊することだ、こういうふうな姿において私は調査費という問題が取り扱われるということはいかがかと考えます。調査した結果、まさしく保存すべきものということになりますれば、保存しなければならぬということになるわけでございます。それがもう破壊の前提であるかのごとき姿において調査費というものが出されるとか、受け取るとか、こういうようなことについては、文化財保護委員会のほうとしても、十分ひとつ考えていただきたい問題だと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/69
-
070・秋山長造
○秋山長造君 大臣にちょっとお伺いしますが、文部省の関係で大臣の権限と、それから文化財保護委員会の権限とがどういう仕組みになっておるかというような問題もありますけれども、しかし、そういう問題は、いわば外部から見れば単なる行政官庁内部の問題だと思うのです。やはり一国の文化財保護行政ですから、終局的にはこれは文部大臣のところへ問題が持ち込まれてくることになるだろうと思うのです。そうでなければ、また文化財保護委員会だけでやれと言われましても、それもいろいろな面からいって非常に弱体だと思うのです、気の毒だけれども。御承知のように、いまどこもかしこも開発ブームで、しばしば狂気じみた開発ブームですね、日本全国津々浦々まで。ですから、この開発ブームというものと文化財の保護行政というものは、これは必然的にもう至るところでかち合い、抵触したということになっていると思う。それでいまおっしゃるとおり、ほとんどの場合、これは文化財のほうが負けているんじゃないかと思うのです。事実上、地域開発ブームに押しまくられて、資本の力に押しまくられてしまって、文化財保護委員会のほうは、結局いろいろやってみても泣き寝入りというようなことで、みすみす貴重な文化財がこわされていっているということが、もう偽らざる実情じゃないかと思うのです。この点は、これはもう文化財保護委員会だけにまかしておくべく、あまりにも相手の力が強力過ぎると思うのです、開発ブームの圧力というものは。ですから、これはやはり文部行政の最高責任者としての文部大臣が、この問題については、これは一言強力な発言があってしかるべきじゃないかという感じを持つわけです。例の高度経済成長政策ですか、こういうものの、いい半面もあるでしょう、あるでしょうが、しかしまた別な面として、いま問題になっているような、そろばん勘定には上がってきませんけれども、どれだけの損失かというようなことは金目で計算することはできぬけれども、しかし深く考えてみると、これは少々の銭金にはかえられない、きわめて重要な問題、同時にまた、まじめな教育的な問題、学術的な角度から考えますと、これはやはり日本のわれわれの先祖が残した貴重な偉大な遺物なんですから、ですからこの点はやはり内閣におられる文部大臣として、何か文化財保護委員会あたりが文化財を保護していこう、地域開発ブームに立ち向かって保護していこうというような場合、そのうしろだてになるような一つの強力なよりどころといいますか、そうした方針を強くアピールするような打ち出しをやっていただきたい、またやるべきじゃないか。話がちょっとわき道にそれますけれども、共産圏の国を見ても、それから西欧諸国を見ましても、それは至るところにそういう古代の遺物というようなものもよく保護されて、整理されていますし、それからまた、たとえば博物館のようなものでも至るところにあるのです、共産圏や何かでも。ところが日本の場合、これはほんとに外国から来た人にでも見せる価値のある博物館は、東京と京都、奈良ぐらいしかないんじゃないですか。ですから、これでは二千年以上の歴史を持ち、古い貴重な古代文化を持った日本の文部行政といいますか、芸術行政といいますか、文化財行政といいますか、はなはだおさみしい限りだというような気がするのです。芸術行政その他のことまで言えば、またわきにそれてまいりますから、そこまで言いませんが、何かひとつ、いまの小林委員の御質問等もあるので、これは小林さんの御質問はいまに始まったことではない、再々こういう同じような問題について、文化財保護委員会なり文部当局の注意を喚起してきていられるわけですから、私どもも非常にこの点、ちょっといまの政治といいますか、いまの文部行政といいますか、そこがエア・ポケットというか、抜かっている点じゃないかというような気がしてならないのです。ひとつ、これは何か強いうしろだてになるような方針を打ち出していただきたいと思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/70
-
071・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 非常に御理解のあるお話だと思います。そのとおりだと思うのです。私は現在の制度のたてまえ上、文化財保護委員会のやることにつきまして、文部大臣がかれこれ専門的な問題についてものを言うことはいかがであろうかということで考えておりますけれども、しかし、文化財の保護という問題が重要であるということは申すまでもないことであります。また、文部大臣がその問題について関心を持ち、文化財保護委員会と協力すべき立場にあるということも申すまでもないことだと思うのであります。その点につきましては、御激励を受けましたとおりに、私どもますます努力してまいりたいと思うわけでありますが、ただ先ほど来申しておりますように、今日のような非常に日本がいわゆる近代的な発展の途上にあるとでも申しましょうか、そういうふうな場合に、この種の問題がしばしば起こってくるわけであります。文化財の保護として、何でも、これは文化財だからどこまでも保存しなければならぬという一本やりではいけない場合もずいぶん出てくるので、その辺の判断をどういうふうにやっていくか、どういうふうに調整をとっていくかというところに非常に悩みがあると私は思うのでございます。われわれとしましては、もちろん先人の遺物というものを、ことに価値のあるものを保存していくということが文化財保護委員会の使命であります。その使命を達成する上において、あくまでも保存のために努力するということは当然のことでありますけれども、別の要素というものについていかなる調整をはかっていくかというところに悩みの多い問題があるわけでございまして、お心持ちは私どもよく理解をいたします。また、そのとおりでなければならぬと思いますが、具体の問題に当たりましてどう処理するかということで、非常にむずかしい困難な場面に遭遇することがしばしばあるということは御理解をいただきたいと思うのであります。申すまでもなく、文化財保護委員会におきまして最終的にはやはり私が責任を負わなければならぬ問題であります。十分関心を払って努力してまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/71
-
072・秋山長造
○秋山長造君 くどくは申しませんが、やはり文部大臣は非常に行政に明るい人だし、そういう道を歩いてこられた人だから、それだけにこういう問題について用心をされて、非常に用心深くやっておられるように見えるのです。それはけっこうな一面もあるけれども、しかし、こういう問題はほんとうにもうこれはいつも至るところで起こっておるのですね。文化財保護委員会、特に府県段階にいくと非常に弱いのですよ。全然弱い。これはもう何にも、突き詰めたところはっきりした権限も何も持っておるわけではないのですからね。ですから片一方の資本の力でがむしゃらに押しまくられると、ブルドーザーに押しまくられるのと同じようになってしまって、何だかんだといってぶすぶすいうだけでやられてしまうのですね。何もそういう所管争いとか何とかというのじゃなしに、やはり歴史教育というようなことも、それは教科書の内容をどうこうというようなことも一応考えなければいけませんけれども、しかし、幾ら学校で歴史を尊重するような教育をせいと号令をかけたところで、現実の世の中で行なわれておることは、とにかく金を持っておる人間ががむしゃらに押しまくって、古墳であろうと、墓陵地であろうと、お寺であろうと、お宮であろうと、歴史的な非常な価値を持ったものであろうと何であろうと、もうすぐそのそばに大きな何か団地をつくったり、道路をつくったり、観光ホテルのようなものを建ったり、それは私そう言わなくても、皆さんよく至るところで目にされておる。ほんとうに民族文化とか何とかいうような、これはもう取り返しのつかぬことじゃないかと思うのですね。これはやはりうだうだ言うても、われわれ結局はただぐちを言うて終わるようなことになるのでは意味がないのですよ。ぼくは政府全体としては、もちろん当面、文部大臣の発言なり考え方なりというものは非常に比重が大きいわけですから、こういう問題については、ひとつがむしゃらなくらい勇敢に発言し、勇敢に行動していただきたいと思うのですね。用心をして慎重にやっていただかなければならぬことも多々ありますよ。ありますけれども、こういう問題は相当、相手がブルドーザーですからね。だからそれを圧倒するといったら、よほどそれは強力なやはりうしろだてというものが文化財保護委員会には要ると思うのですね。ひとつそれ気合いをかけてやってくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/72
-
073・小林武
○小林武君 いまの点についてもう一つお尋ねしておきますが、文化財保護委員会では、道路公団とか、建設省とかその他、こういう関係の方面に文書をもって協力方を依頼したことがありましょう。その回答は全部参りましたか、どことどこがきましたか。私は一カ所くらいしかこないという話を聞いておりますが、これはどうですか、事実ですか。どことどこにそういう協力の申し入れをし、回答を得たのは一体どこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/73
-
074・平間修
○説明員(平間修君) 建設省、農林省、運輸省、厚生省、通産省、北海道開発庁、首都圏整備委員会、近畿圏整備本部、公社等に入りまして国有鉄道、住宅公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、帝都高速度交通営団、電源開発会社、東北開発会社、水資源開発公団、こういう主として公共事業等に関係するところが網羅されておるわけであります。こういう実情でございますが、実は一々これについてのぜひ回答をもらいたいという照会ではございませんで、こういう趣旨でやっていただきたい。そしてなお道路公団等については、すでに私たちとの話し合いによって、原則として、事業計画のときには文化財地域は避けるということ、その次には、どうしてもそこを計画に組み入れなくちゃならないというような場合は、文化財に事前協議をしてもらいたい。それから事前協議の結果どうしても計画を遂行するという場合は必ず事前の調査を行なうこと、こういうような道路公団との何といいますか、協議の結果の書類を添えまして、そういうことに今後やってくれというようなことで、返答はしたがって一々きておるというわけではございませんが、先ほど言い落としましたけれども、名神高速道路につきましては、こうしようじゃないかということで、実際問題としてそのケースに遭遇した場合は相談しておる、こういうような状態になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/74
-
075・小林武
○小林武君 あなたの立場とすれば、そういう答弁もしなければならぬと思いますけれども、端的に受け取れば、返答のきたのは道路公団だけだ。ぼくもそう聞いておる。そのほかのところも、具体的に文化財保護委員会からそういう依頼協力を受ければ、当然その依頼を受けた立場からは、一つのやはり協力についての具体的な面がなければならぬという問題、その点は道路公団は、やり方はともかくとして、模範的だと思うのです。そのほかのところはさっぱりなしのつぶてなんです。私はやはりそういう点についても、これは保護委員会の中で文部大臣のひとつ強力な政治力を発揮していただく場所だと思うのです。どうぞひとつ今後そういう点について、道路公団だけ相手にしておってもしようがないのですから、全般的な御配慮をいただきたい。
それから加曽利貝塚のことについてお尋ねをいたしますが、加曽利貝塚はすでにこの前質問をいたしまして、その際、事務局長からこういう御答弁があった。半分は買ったわけですから、残りの分についても調査をして、重要性があるとみれば保存するという、こういう御答弁をいただいたと記憶しておりますが、このたびその部分についての調査が始められ、これも総額何か六百万円くらいの予算でもって調査にあたるということでございますが、この調査は、先ほど私が将軍山のところで申し上げたように、少なくとも加曽利貝塚は破壊するという前提で調査したのではないと思いますが、その点は間違いありませんか。前の事務局長の御答弁では、重要であれば保存する、この線は変えておらないかどうかということを御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/75
-
076・平間修
○説明員(平間修君) 七月一日からというふうに私聞いております、調査いたしますのは。その調査というのは、ほんとうは私たちは一種の破壊になる場合があるというふうに考えられる場合があると思いますが、先生のおっしゃるような、それはあとはどうでもいいのだという考えではなくて、その結果いかんによっては措置を考えるということを前にこの委員会で申し上げたであろうと思いますけれども、現在もそのとおりに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/76
-
077・小林武
○小林武君 ちょっといまの答弁気にかかるね。端的に言っていただければ一番いいけれども、残りの部分は破壊されるおそれが十分あると思う、買い上げるどころではない、そこを調査する、この前の御答弁ではそこを買い上げておらないけれども、調査して、それは学問上、文化財の面からみて重要であるとするならば、これは保存するという、そういう御答弁であった。だから、このたびの御調査というのは発掘調査するということ、そういうことを学者に依頼したということ、一体、先ほど将軍山でいったように、これは調査をして記録を残して、ここから出たものについて何か手当てをして、あとはそこのところを使うのだ、そういうやり方ではないということを言ってもらいたい。これは前者のほうでしょう、重要であれば保存するという御答弁に間違いないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/77
-
078・平間修
○説明員(平間修君) この前、局長の答弁のとおりだと思いますし、そのおっしゃるとおりだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/78
-
079・小林武
○小林武君 大体、重要度がはっきりするといいますか、何といいますか、調査の結果が明らかになってくる時期は大体八月の下旬ごろか中旬ごろという話を承っているわけでありますが、大体、調査、発掘はそのころをめどにしてやっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/79
-
080・平間修
○説明員(平間修君) 先ほど申し上げましたように、大体夏休みを利用してやるという計画でございますので、ただ、相当地域が広大でございますので、ちょっと現在聞いている話では、相当期間を長く要するのではないかというふうに聞いておりますので、あるいは八月中旬になるのか、あるいは下旬になるのか、ちょっといまのところ見通しははっきりいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/80
-
081・小林武
○小林武君 考古学協会の中に加曽利特別委員会というのが設置されたということを聞いているわけです。その委員長は一体どなたですか。それから発掘する実行委員長のような方もきまったというが、その氏名をちょっとお尋ねしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/81
-
082・平間修
○説明員(平間修君) 実はまだ私そのことを正式に聞いておりませんので、はっきり申し上げかねるのでございますが、実行のほうは早稲田の滝口先生が中心となってやるというふうに聞いているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/82
-
083・小林武
○小林武君 その重要度、重要であるかどうかということを決定するのは一体どなたが責任者になるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/83
-
084・平間修
○説明員(平間修君) やはりその遺跡の価値そのものは、何と申しましても発掘調査した人たちが価値というものを判断する最も重要な方ではないかと思います。ただ、別の面からみて、それをたとえば指定するかどうかというようなときには、他との比較とか、いろいろな面からまた指定という面でもちろん発掘調査担当者の意見というものは重きをなしますことは言うまでもございませんが、これを指定するかどうかということになりますと、やはり文化財保護委員会の中心の方たちの意見というものが中心になる、こういうような状態にあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/84
-
085・小林武
○小林武君 専門家の意見をひとつ十分尊重していただいて、この発掘にあたっては、結果の処理にあたっては慎重を期していただきたいと思います。そうして特に本委員会において答弁があったように、きわめて重要なものである限りにおいては、保存をするという態度は保護委員会としてははっきり持っていただきたいと思います。
次に、もう一つ、院塚古墳については、前回質問したわけでありますが、これは現在どういう状況になっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/85
-
086・平間修
○説明員(平間修君) 結論から先に申しますと、三十九年の二月下旬付で土木工事に伴う発掘届けが提出されました。四月中旬付で県の教育長から、種種折衝を行なった結果、このまま保存するということは困難であるというような報告がございましたので、県教育委員会としても、次善の策として、やはり記録保存というものを計画いたしまして、発掘届けを申達してまいったというような事情でございますので、その詳細な記録保存というようなことも、この場合まことにやむを得ないというふうに認めまして、国としても相当の、ある程度の緊急調査費の補助を出しまして、発掘調査をしているわけでございます。石室等は、熊本大学に移して復元、保管したいというような、大体概略でございますけれども、現在の状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/86
-
087・小林武
○小林武君 これは前にも申し上げましたとおり、埋蔵物文化財関係の担当のその土地の方々で保存を希望した。院塚古墳の重要性を述べて、これを保存することを希望したのですけれども、結論的にはいまのような結果になった、私はこういう結果を生んだことについて、やはり先ほど来、秋山委員からも御指摘があったように、やはり保護委員会が積極性を持たなければだめだと思うのです。ざる法とか何とかという悪口を言いますけれども、これはざる法だといって、法律をどのようにしても、結局、委員会そのものに文化財保護に対する熱意がないというとどうにもならないと思います。皆さんのほうからいえば、県から申請がなかったからしかたなかったとか、あるいは地方自治体のほうからいえば、国さえそういう手を打てないものが、いろいろそこに工業団地をつくるとか、工場誘致をするとか何とかいうことになると、地方自治体とすればそんな強力な力を発揮することができないわけですから、やはり力に押されて、多少そこにそういう希望がありましても、うまくいかないということになるのですから、この点は前の問題とダブりますけれども、保護委員会はやはり相当真剣にこの問題に取り組んでいくべきだと思います。法のことをかれこれ言う前に、法の運用にあたってもっと積極性を持つべきだ。ほんとうに文化財を生かさなければならぬという気持をもって運営をしていただきたいと思います。
最後に、これは大学局長にお尋ねをいたしますけれども、いまも申しましたように、法律が悪いというような議論は相当あるのです。売春禁止法に次ぐざる法だという話が何か出ておりましたけれども、そういうざる法とか何とかいうことも一つの原因だといいますけれども、私はこの問題もさることながら、そのほかにもつと原因がたくさんあるように思う。その一つの中に考古学関係が、いわゆる研究者、専門家というようなものが不足しておるという現状は見のがせないと思う。これは週刊誌で見た資料でありますから、どれほど正確であるかよくわかりませんけれども、関西において調査資格のある人が数人、調査主任級が十人前後、大学で考古学をとにかく勉強して二、三年の発掘歴を持っておる者が四十人程度だ、こういうようなことが書いてあるわけです。私はそういう考古学に対する専門家が少ないということから考えて、現在、考古学の講座を持っている大学というのは幾つあるのか、それから申請中のものは一体幾つあるのか、講座を持ちたいという。これは国立の場合ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/87
-
088・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 突然のお尋ねでございますので、正確に答えられるかどうか存じませんが、私の知っている範囲内では、国立では考古学の講座を持っておるのは四大学でございます。東京大学、京都大学、東北大学、九州大学、この四大学だけに考古学の講座が現在ございます。なお申請中と申しますか、希望を申し立てておるものについては現在私記憶がはっきりいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/88
-
089・小林武
○小林武君 何か聞くところによると、名古屋、広島、岡山、大阪などというのは講座を持ちたいという希望があるように聞いておりますが、そういう事実はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/89
-
090・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) ただいまお話しのございましたような大学は、年々非常な数の講座増設の要求がございます。かなり多数のものの中にあるいは考古学が入っておるかも存じませんけれども、その点は私いまのところ記憶がはっきりいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/90
-
091・小林武
○小林武君 その点についてはお調べをいただきたいのですけれども、講座新設の申し出があったならば、この際やはり国としては認めるべきだ、こういうふうに考えるわけです。私立の場合考えましても、明治とか、国学院というものがありますけれども、国学院の場合は講座を持っておるわけではないと思います。明治も学科ですか、科目ですか。しかし非常に大量の卒業者を出しておることでは明治は非常に有名だと思いますけれども、そういう点からいっても、なお先ほど申し上げたような考古学の専門家が少ないという点を御考慮いただいて、新設の申し出はひとつ認めていただくようなふうにしていただきたい。それからもう一つだけですが、考古学講座を実験講座にする必要があるということを、これは考古学者の間でいま言われているのですが、そういうことについてのお考えというものは別にありませんか、あるいはそういう申し出のあったとかという事実はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/91
-
092・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 大学の講座増設について申し上げますと、これは年々多数の講座増設の要望が出てくるわけでありますが、私どもはできるだけ大学の、いわば特別の事情というものがございますので、それを尊重して、できるだけ大学の順位というようなものを尊重して、この講座増設をはかっていくということにいたしております。したがって、もちろん考古学に関する講座の順位が高いところでは、当然それは取り上げていくようにいたしたいと思いますが、なお御指摘がございましたようなことがございますので、できるだけ講座増設の際にはそれぞれの大学とお話し合いをしてまいりたいと思います。なお、考古学の講座、現在お話もございましたように、非実験になっております。非実験の講座を実験にするということについては、年々少しずつ努力をいたしておりまして、たとえば本年度におきましては、心理学の講座を非実験から実験にしたということもございます。また、数学を非実験から実験に切りかえてまいったというようなこともございますので、できるだけその点もただいま御質問のございましたような、御要望の線に沿って努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/92
-
093・小林武
○小林武君 これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/93
-
094・吉江勝保
○吉江勝保君 質問じゃないのですけれども、希望を私から申しておきたいと思うのです。
文化財について非常にきょうは熱心な質疑が行なわれておりまして、また大事な御発言があったのであります。きょうは最初の文化財の質疑があるときに、文化財の一番責任者というのですか、そういう委員長の出席は最初に要求があったのですか、これは委員長どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/94
-
095・中野文門
○委員長(中野文門君) 私のほうからは直接……。けさ、きょうの質問の通告を知りまして、質問者と委員部の間で折衝したようです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/95
-
096・吉江勝保
○吉江勝保君 それじゃ質問者のほうから要求がなかったのであればやむを得ないのですが、質問者のほうからこういう重要な問題についての質問で文化財の責任者、委員長の出席を要求されておったのであれば、私なども、委員長ができるだけ出席をされて、ことに大臣はこういうふうにして長い時間聞いておられるのですが、第一のやはり責任者としては文化財保護委員会の委員長なんですから、委員長がここに来て終始お聞きになるのが私はいいのじゃないか。きょうの発言の中には非常に私は大事な問題が相当あったと思うのです。まあ要求がなかったのであればやむを得ませんが、しかし、それでも文化財についてのきょうは参議院で質疑があるということがわかれば、係の者もできるだけ委員長の方に出席をされるようにされて、国会で文化財の問題についてどういう論議がされているかということを、次長とか、係の者がそれを伝えるという程度でなしに、直接やはり委員長がここに来て聞いておられるということが一番大事なことではないか。前にもこの参議院の文教委員会の国政調査の報告を問題にしたときも、この参議院の報告を十分にお聞き取りになったかどうかわからないような実は話を聞いたこともあるのですが、文化財保護委員会の行政力というか、力が弱いというのは、やはりもっと国会との接触を持ち、保護委員会がどういうような文化財保護政策をやっているかということを、進んで機会を設けて、本日ここへ来てお話しになるぐらいの熱意があっていいんじゃないかということを感ずるのですね。まあ、私のほうからこういうことを言うと少しおかしいようでありますけれども、参議院の文教委員会というのは非常に文化財保護については熱心にいつも討議をされておるので、問題がかかりますときは、できるだけ保護委員会の委員長みずから出席をされて、そうして委員の人たちと質疑応答をかわされるようにしていただきたいということを希望申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/96
-
097・中野文門
○委員長(中野文門君) ただいまの吉江委員の御発言、私も同感でございまして、きょう実は質問者の質問の内容を全部私承っておりませんということが一点と、きょうの文化財保護委員会の当局の出席関係は、質問予定者の御希望と申しますか、名ざしと申しますか、というようなことで運んだと思いますが、きょうの委員会を、結果からただいま判断いたしますと、非常に重要なやりとりと申しますか、御発言の応酬であったように思いますので、こういう話は文部大臣もさることながら、文化財保護委員長みずから終始聞いてもらいたかったように思います。なお、委員会の運営につきましては、それぞれまた皆さんと御相談申し上げたいと思います。
本日の委員会はこれをもって散会いたします。
午後一時三十二分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03119640609/97
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。