1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年六月十一日(木曜日)
午前十一時三十一分開会
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委員の異動
六月十日
辞任 補欠選任
二木 謙吾君 鈴木 万平君
久保 勘一君 坪山 徳弥君
六月十一日
辞任 補欠選任
鈴木 万平君 二木 謙吾君
坪山 徳弥君 久保 勘一君
森田 タマ君 鍋島 直紹君
出席者は左のとおり。
委員長 中野 文門君
理事
北畠 教真君
二木 謙吾君
吉江 勝保君
小林 武君
委員
植木 光教君
久保 勘一君
笹森 順造君
鍋島 直紹君
秋山 長造君
豊瀬 禎一君
柏原 ヤス君
国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
政府委員
文部大臣官房長 蒲生 芳郎君
文部省初等中等
教育局長 福田 繁君
文部省大学学術
局長 小林 行雄君
事務局側
常任委員会専門
員 工楽 英司君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○学校教育法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○教育、文化及び学術に関する調査
(産炭地域における公立小中学校の
学級編制等に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/0
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001・中野文門
○委員長(中野文門君) ただいまより文教委員会を開会いたします。
委員の異動について報告いたします。六月十日、二木謙吾君、久保勘一君が辞任され、その補欠として鈴木万平君、坪山徳弥君が、本日、鈴木万平君、坪山徳弥君、森田タマ君が辞任され、その補欠として二木謙吾君、久保勘一君、鍋島直紹君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/1
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002・中野文門
○委員長(中野文門君) 理事の補欠互選についておはかりいたします。
委員の異動に伴い理事に欠員を生じましたので、その補欠互選を行ないたいと思います。
互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/2
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003・中野文門
○委員長(中野文門君) 御異議ないと認め、理事に二木謙吾君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/3
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004・中野文門
○委員長(中野文門君) 学校教育法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。
御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/4
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005・小林武
○小林武君 前回のときに質問をいたしましたが、国立の短大の場合においても、大学の教官の強化をするという角度から、いろいろの点の配慮が必要ではないかというようことも触れたと思うわけであります。いろいろ短大側の事情を調べてみましても、短大の教官の充実のためには、量的な面でも質的な面でも、やはりこれを向上させる努力が必要でないか、このように思うのであります。このことが、提案されました短大を恒久化する一つの大きなささえにもなるわけでありますので、そういう意味でお尋ねをするわけでありますが、きょうはおもにその待遇と申しましょうか、賃金の問題について若干お尋ねいたしたいわけであります。短大が恒久化するということによって、給与表を新たにつくるというような、そういうふうなお考えはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/5
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006・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 国立学校に対しましては、四年制の大学の教官も、また短期大学の教官も、これは同じいわゆる教(一)の適用職員になっておりまして、その間に差等はございませんので、特に短期大学と四年制の大学とを別個に規定しなければならぬというふうには現在のところ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/6
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007・小林武
○小林武君 高専の給与表のことがありますので、実はそういうことも何か起こり得るというような不安を感ずるわけでありましたので、ただいまの質問をしたわけであります。私はただいまの御答弁にきわめて賛成なんであります。別個のものをつくるというようなことは、やはりこの際やるべきではない。逆に高等専門学校の場合も、これはやはり相当考慮するのではないか、このように考えております。そこで、若干これは短大という面からだけではございませんけれども、最近、大学の教職員の給与の問題で非常に教官の間に不満が高まっておるわけであります。御承知でもありましょうけれども、四月の中ごろには慶応大学の教職員組合が二五%、平均約九千円の給与の引き上げを要求してストライキを行なった。早稲田大学が一五%、法政大学が五月二十一日に同じく一五%プラス三千円という要求を出して、これもストライキをやった、こういうような例があるわけであります。大学のこういう賃上げの要求というものは、今回に関する限り全教官の賛成の上に行なわれたと言われておるわけであります。私は短大その他大学を強化するということについて、やはり教官の待遇をよくするということが必要だと思うのでありますが、特に私立の場合を考えますというと、給与費を値上げするということは、直ちに援業料の値上げに通ずるわけであります。こういうことを考えますというと、一体、私立大学に対してどう援助のしかたをしていったらいいのか、どのような援助のしかたをしたらいいのか、国家がこれに対してどう一体援助するかということを急速に立てなければならない問題だと思うわけであります。こういう点について一体どういうお考えを文部省としてはお持ちなのか。給与費の値上げが直ちに授業料の値上げに通ずるような現状からいって、やはり私立大学、ことに短大は私立が多いわけでありますから、そういう点を考えて、どう一体したらいいかというようなことについて御意見があったらひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/7
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008・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 最近この私立大学の教職員の待遇改善、これは昔に比べますとかなり改善されてきておるように聞いております。ことに教職員の中で、上のほうの教授、助教授はそれほどでもございませんが、講師以下の比較的年齢の若い教職員に対する待遇が漸次改善せられてきておられるというふうに聞いております。この待遇改善の財源でございますが、これは御承知のように、私立の高等教育機関では大体その財政ワクの歳入の七〇%以上を授業料に仰いであるというのが実情でございまして、したがって、教職員の待遇改善をやれば必然的に授業料のほうの検討もしなければならぬというつながりがあるわけであります。もちろん国といたしまして、この私大の財政が非常に窮屈であるということも存じておりますし、国としての従来からの援助の方策をさらに検討して、もちろん従来の方策としてのワクを広げていかなければならぬと思いますが、しかし、直ちにこの経常的な経費にまで国として援助すべきかどうか、その点については慎重な検討を要すると思います。私立大学の中にも、そういった経常的な経費の援助よりは、むしろ施設、設備に対する援助の方策をさらに強化すべきであるというような意見もあるやに聞いておりますので、私大制度全体の問題に関連させて、今後、私学に対する国家援助の方策を慎重に検討いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/8
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009・小林武
○小林武君 大学当局ではどのような意見を述べているか、個別に当たったことはございませんけれども、施設、設備に対する経費というのは、これはある程度、私は大学側の意向としては、まあ現状でもう満足できるというような状況にあると思います。ただいまお話しになりましたように、経常費の問題ですね、経常的な経費をどうするかという問題に手を触れないというと、私はなかなかこの私立大学をどう援助していくかということでは、問題の解決にならないと思うのです。私はまあ若干、仲間と一緒に調べました例によりましても、大体いまの私立の大学に入るものというのは、国民の階層からいえば、国立のいわゆる有名な大学へ入る階層よりか低いものが入っておる、この点では逆なんですね。金のかからない国立には、いわゆる階層的には土のものが入るというような、こういうようなことになっておることを考えますというと、やはりこの問題についても、特にいわゆる文部省として、短大の問題を含めて御検討をいただかなければならないと思うのですが、ただいまお話しがありましたように、給与費の七〇%以上が授業料によっているというような現状を考えますというと、どうしても、これはやはり短大の振興という点から考えましても必要な事項だと思うわけであります。
次にお尋ねいたしますが、教官の待遇の問題にからんで、文部省としてのお調べによると、昭和三十七年度に国立大学をやめた人が三百九十六人あるというようなことを見たわけでありますけれども、その点については事実でございますか。しかも、その三百九十六名の方はわりあいに若い層がたくさんあるというふうに聞いているわけでありますが、教授、助教授、講師、助手というふうに分けて、一体、三十七年度にはほんとうにそれほどの数がやめたのかどうか、ひとつお答えを順いたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/9
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010・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 詳細な資料を持ち合わせておりませんので、そのただいまお話しのございました三百九十六という数字が当たっておるかどうか確言いたしかねますが、年々その程度の退職者があるわけでございます。これはその中に、いわば停年退職的なもののほかに、まだ停年以前のものでございまして、民間の研究機関なり、あるいは会社等に就職するために退職された方も入っておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/10
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011・小林武
○小林武君 そこにその正確な資料をお持ちになっておらないというのは、まことに残念なのでありますけれども、それはいずれわれわれに十分正確な資料を提供してもらいたいと思いますが、私が調べたところによりますと、三百九十六人のうち、外国へ行ったものが三十七人、民間企業へ行ったのが三百五十九人、三百五十九人のうち、教授が五名ある、助教授が二十名、講師が五十名、助手が二百八十四名、私はこの点、この数字の上からこういうような判断をしたのです。やはり問題だと思うのは、八〇%近いものが助手の人たちのやめているということなんです。講師の人が一四%、まあ、いま局長のおっしゃった中に、停年でおやめになった、停年間近かというのは教授その他に多い。助手にも相当年配の方があるのはわかっておりますけれども、大体若い層がやめておる。ただし、いま三百五十九名のうち非常な大多数を占めておるのは理科系の人なんです。工業糸の方々。文科はその中に十二名しかおらない。このことの数字も相当問題だと思うのですけれども、こういう七九%のものが、これから何といいますか、大学を背負って立つような若い層である。講師を入れれば約八〇%をこえるものである。このことを一体どうお考えになるのか。私はこういうことではほんとうに日本の学術の発展、科学技術の発展というものの非常に重要な要請と研究の立場を占めておる大学のためにゆゆしい事態だと思うのです。これはかかって、私は何といっても給与のものに問題点があるんじゃないかと思うのです。ほんとうに日本の大学の教官陣は弱体化していく。これでは何のために大学になるかというようなことを考えますと、これは欧米諸国、あるいは分ければ資本主義の社会においても共産主義の国においても非常に高等教育を重視して、そしてこの面について非常な努力をはらっておるということを考えますというと、日本の将来のためにこれは非常に問題があるのじゃないか、このように考えるのです。この点でやはりどうですか、問題はやはり給与にあるというふうにお考えになりませんか。このやめていかれた方々、給与ばかりでもないと思いますけれども、非常に多くのあれは待遇の問題だというふうにお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/11
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012・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) ただいまお話のございました大学の退職者の中で最も多い講師、助手の数字でございますか、しかし、この数字の全部がいわゆる若手の方とは思っておりません。しかし、相当数がそういった方であろうという推察はできるわけでございます。この原因でございますが、ただいまお話しのございましたように、一つには、と申しますか、一番大きなのは、やはり給与問題があろうと思います。この点につきましては、従来から、できるだけ大学の教職員につきましては、そういった若いクラスの講師、助手の待遇改善ということで人事院等とも折衝をしてまいったところでございますが、まだ不十分でございますので、この点については今後さらに努力をいたしたいと思います。なおあわせて、やはり給与の問題と同時に、研究の環境の問題研究条件その他の問題もあると思いますので、そういう点もあわせまして、できるだけの努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/12
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013・小林武
○小林武君 こういう国立大学の現状からいつも問題があるのですね。私立の場合はさらにそれよりか悪い。ある東京の国立の大学の助手から同じ都内にある私立の大学の助教授に、われわれからいえば栄転した。栄転したところが、ふところに入る金は二〇%減ったというような事実があるわけです。これは先ほど来のやはり私立の給与が問題なわけです。しかし、かなり名の売れた大学ですと、給与、本俸だけ見れば大体そう違わないように思われますけれども、研究費その他いろいろなものを考えますというと、相当の収入減になって、この場合はやはり二〇%ぐらい減っていると、こういうことなんでありますが、こういう点、やはり国立、私立ともにかなりの対策というものが必要ではないかと考えますので、今後の努力をひとつお願いを申し上げたい。
そこで、私はもう一つ、お尋ねしたいのですが、国立の大学の教官の不合理というのは直せないかということが一つなんです。それは、完全な職階制になっている、この給与表を見ますと、完全な職階制になっていて、そしていわゆる渡り等級制というか、渡り等級制になっておらないのですね。これは、一体それほど大学の場合に固執しなければならぬものかどうかということですね。私はいじ悪いことを言うわけじゃありませけれども、大学局長さんが適用されるこの俸給表の場合、いわゆる高級官僚という場合には、渡り等級制というものは認められているわけですね。そうでないですか。これはどんな理由があろうとも認められている。これは人事院にも聞いてみたわけですけれども、それは合法的な理由があるそうですけれども、渡り等級制が認められている。それからまた国立の試験研究機関の研究員、これはやはり渡り等級制が認められている。課長でなくとも、役付きでないところの研究員でも、長い間勤めておる場合には、その課長よりも等級において上だ、そういうことが認められておる。大学だけはものすごくきびしく職階制を持してやっていくというようなことが、はたして合理的なのかどうかということですね。先ほど文科の話をちょっと出しましたが、文科は十二名しかやめておらない、十二名しかやめておらないということは、ある意味では、文科系のところとか、それから理工系と言われるところでも、陽のあたらない場所にいる、あまりはやりでないところ、地質学をやってるとか、それから生物学だとかいうような場所には、往々にして、何というか行き詰まっちゃって身動きできない、話を聞きますというと、国文学の、名前は差し控えますけれども故人になった方で、非常な大家であった方が五十九歳まで助教授であった、こういうわけです。それからこれは東大付置の史料編纂所でありますけれども、一番若い助教授が五十歳、中堅どころの、われわれがずいぶんえらい歴史家だなと思われる方でも、まだ助手で四十七、八歳、こういう方々が受けている待遇のことを考えますと、一体どうして勉強しているのかわからぬと思うのです。学会には出なければならぬ、いろいろな論文も出さなければならぬというような中で、給与表を見れば御存じのような給与、それをどうしても職階制を持してがんばっていかなければならぬという理由があるのですか、どうですか。そして、ほかには例外というものがあるのに、行政職の高級官僚の場合とか、あるいは研究職の場合には、国立の試験所のような場合には認められておる渡り等級制が、どうして大学で認められないのか、こういう点についてどうですか、どういうあれを持っておられますか。この職階制を改めて通し号俸のあれに改めるというようなお考えはございませんか、不合理だとお考えになりませんか、この点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/13
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014・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 国立大学の教官の給与でございまするけれども、御承知のように、国立大学の教官組織は、講座制の大学にいたしましても、また学科制の大学にいたしましても、それぞれ学問の分野ごとに講座なり学科というものが置かれておるわけでございまして、教官の定数は大体講座あるいは学科目を基礎として編制されておるわけでございます。したがって、この講座の定員に関連いたしまして、たとえば講師の方が相当高齢者になりましても、上に教授なり助教授がおるということでありますと、その先輩が退官されない限り、その講師の方が上の助教授なり教授になるということは、現在の組織ではむずかしいことになっております。こういう方が集まって、こういう方と申しますか、そういった組織制でございまして、大学の運営は、御承知のように各学部の教授会が中心になって運営をしていくというような現在までの方向でございますので、どうしてもやはり責任者の立場に立っておる教授が、それ以外の助教授、講師というようなものとは給与の上で差等がつけられてくるのはやむを得ないし、従来、制度発足以来そういう形でまいっておるわけでございます。もちろん、現法の職階制に対しまして、いわば奉仕的にそういった教授、助教授、助手といったような資格を全然考えずに、一つの通し号俸的な一表にしたらいいじゃないかという御意見も、一部にあることは存じておりますけれども、先ほど来申しましたような、従来の経過もございますし、大学が特に学問研究あるいは教育という特殊な、一般官庁とは違った性格のものでございますので、一がいにお尋ねにございましたような渡り等級というようなことに踏み切るというのには、よほど慎重な検討を必要とすると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/14
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015・小林武
○小林武君 非常にまじめな答弁をなされる局長のことでありますから、私はあまり悪意にはとらないつもりでありますけれども、いまの話はめちゃくちゃですね。私はあなたの話と逆だと思うのです。必ずしも行政職は職階制をとっているとは考えませんけれども、行政職と大学のいま論じている教官のあれを考えた場合に、特殊であるから職階制をとらなければならぬという理由は出てきますね。先ほどから述べているように、一体、助教授とか、講師、助手というのは、あなたのおっしゃるように、いまの講座制のもとの中においては頭がつかえているということはわかっている。そういう点からいったら、大学の中における研究の実績、さらに大学の中において十分学問的な実績を上げてもらうというたてまえからいったら、その職こそ、私は一般の行政職と違って、これは職階制からはずすべきだという理屈になるのですが、あなたのは逆です、一般の官庁と違いますから。大学は特殊ですから特殊扱いをしなければならぬ、そういう論理が一体成り立ちますかどうか、これはちょっとおかしいと思う。それからあなたのお話の筋であるならば、国立の研究所あたりの研究員をどうして一体渡り等級を認めているのかということも説明のつけようがない。それからちょっとおかしいと思うのは、行政職のいわゆる次官、局長、課長というようなところに渡り等級制が認められておって、どうして大学にそれが認められないのか、これもわからない。どうなんですか、それじゃ行政職にあるんですか、ないんですか、渡り等級は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/15
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016・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 国立の研究所は、御承知のように、教授、助教授というような形でなしに、文部教官一本というようなことで現在来ておりますので、ただいま御指摘のようなことができるわけでございます。ただ、最近は研究所においても、できれば大学と同様に、教授、助教授というような、そういういわば一つの肩書きをつけて大学教官と同じようにしてもらいたいというような要望もあるわけでございまして、私どもはその点については慎重にしなければならぬと思っております。先ほど申しましたように、大学は教授中心の運営がなされており、したがって、もちろんその教授というのは講座制にいたしましても学科制にいたしましても、学問の分野ごとにそれそれのフィールドの責任者になっておる次第でございまして、この教授の定数、助教授の定数ということがはっきり打ち出されておりますので、年齢が相当程度になりましても、講師がそのままの形で教授になるというわけにはまいらぬわけでございます。もちろん年数に応じて講師は講師として給与の上進があるわけでございますけれども、それがそのままの講師の形のまま教授になるというようなことは認めておられないわけでございます。なお、行政職につきましては、たとえば局長は二等級、あるいは課長は三等級というように原則的にはっきりした職階があるわけでございまして、もちろん特殊の例外として、たとえど退官直前に三等級の者が二等級に昇進するというような事例はございますけれども、これは特別の例外ということになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/16
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017・小林武
○小林武君 特別の例外というのは退官する場合だけだと、こうおっしゃったんですか。人事院で聞いた場合はそうじゃなかったんですよ。食い違いがありますが。ぼくは人事院にきのう聞いたばかりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/17
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018・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 文部省の事例を申し上げますと、たとえば国立大学の事務局長等で近々退官する、定年退職をするというような場合、等級に格づけをするということをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/18
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019・小林武
○小林武君 そうすると、何人か私は人数を承っておりますが、その人たちはいずれ退官する人と見てよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/19
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020・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 退官直前ということではございませんけれども、退官を目前に控えて、たとえば明年退官するというようなときに、その上進のワクの活用をしているように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/20
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021・小林武
○小林武君 私はそのようには聞いておらないのです。人事院からは合法的な理由があると承りました。私は合法だとは思っておりませんけれども、人事院からは合法だという説明をいろいろ聞きましたけれども、何人かそういう渡り等級制によって上の等級に行っている方が、いわゆる渡り等級制というのは行政職の一等級、二等級、三等級の中にも相当ある、こういうことを聞いておるわけです。私はそのことを責めようとも思わないのですけれども、ただ、そういうことが許されているし、それからすでに文部省としては旧帝大の学長については特別の措置をとられている、こういう点から考えて、行政職や研究職、研究所が許されているのに、大学に許されないという理由は、あなたが幾ら説明したって私は説明にならないと思う。大学は特殊部落ですというよなことを言われるのは、これはとんでもない話だと思う。大学の能率をどう高めるか、大学の使命であるところの学術、科学技術をどう一体高めるかというようなことを考えた場合、私はその立場に立って逆に考えなければならぬのに、あなたがたそれは考えておらぬというのはおかしい。私はやはりこの大学の給与の不合理性、渡り等級制なるものを認めるというか、もっと一歩を進めれば、私は職階制的な、完全な職階制でやるということでは私は大学というのは発展しないように思うのです。文部大臣にちょっとお尋ねいたしますが、旧帝大の学長の扱いを給与上ああいうふうにしたのは、これはあれでありませんか、大学の教官の給与その他全般について何か手を打つという前提の上に立ってやられたことではないですか。また、そういう必要が現在あるとはお考えになりませんか、いままでの質疑を通して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/21
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022・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 先ほど来、大学関係の待遇に関する御質疑を伺っておりまして、実は私にも非常に参考になったわけでございます。一般的に申しまして、大学の教官等の給与を改善をするということの必要性は、私もあなたと同じように考えておるつもりでございます。まあ思い切った何かというふうな気持ちもあるわけでございますが、しかし、一挙にそういうふうなことが実現し得るような状態にも今日ないと思いますが、とにかく逐次教官の待遇等については私ども改善してまいりたいと考えておりますし、現在の状態に対しまして決して十分とは考えておりません。大学の、ことに旧帝大の学長に対する給与の問題でございますが、これも旧帝大の学長の地位の重要性にかんがみまして特別な措置を講じているわけでありますが、一面において、こういうふうなやり方をいたすことによりまして、これを他の方面の給与の引き上げにも資していきたい、こういう心持ちもございます。要するに、いまの教官の処遇というものにつきまして、私は決して満足し得べき状態とは思っておりません。できることならば、もっともっと改善をする必要があるのではないかという心持ちは持っております。その心持ちにおきましては小林さんとそれほど差異があるとは思わぬのでありますが、しかし、これを実現するということは、なかなかそう申しましてもそう簡単にはいかない。漸次ひとつ改善をしてまいりたい、こういうことを申し上げる以外にはないのであります。なお、処遇の問題について、先ほど来きわめて専門的な御質問もございましたので、私にもたいへん参考になった問題でございますので十分ひとつ検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/22
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023・小林武
○小林武君 特に短大も、それから四年制の大学も、いわゆる大学の急増対策というようなものにやはり関連して、大学の教官というようなものを量的にも質的にも相当高め、広めなければならぬということになるわけでありますけれども、いまのような現状でございますというと、私は外国へ出て行く者がよけいあったり、民間のあれに出ていくのが多かったり、ある短大の例を聞きますというと、一人の教官を失ったところが、何カ月たってもまだてんでそれを補充する見込みが立たない。ある試験場に行って交渉してみたところが、大学へ行くならば民間に行きますというような、それに近いような返事であったということであります。私はこれは当然といってよろしいと思うんです。しかも、そういうものの一番問題点は、何といっても、若い、何といいますか、将来、大学を背負って立つ助手とか、講師とかの若い層に非常に私はあると思うんです。これは週刊誌をにぎわしたような問題にまでなっている。ちょうどこれは埋蔵物文化財と同じですけれども、そういうあれに照らしてみて、実に大学の教授はトラックの運ちゃんよりかも下なんだというような、そういうことで一体急増対策に対処できるのかどうかということを考えるわけです。こういう点を考えまして、十分ひとつこの点については抜本的な対策を——私は当面やるべきことは、とにかく渡り等級制を認めるべきだという考え方、これならいつだってできる。大体、行政職が認めておって、研究所が認めておるのに、何で大学だけ一体そういうことをがんこに守らなければならないのか。大学の特殊性なんていうことをどこから言われるのか。昔からあることですけれども、それこそ上が詰まっておれば五十九歳になっても教授になれない、学問的にはもう堂々たる日本の大家であっても。そういう方だってたくさんあるわけでありますから、そういう点を考えても、この点は急速に解決しなければならない。できれば私は完全なる職階制のもとに大学の給与体系を置くなんていうこうはやめるべきだ、このように考えておるわけでありますが、御検討をいただきたいと思います。
以上で私の質問は、きょうは終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/23
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024・中野文門
○委員長(中野文門君) 本法案に対する本日の質疑は、この程度にとどめます。
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025・中野文門
○委員長(中野文門君) 次に、教育、文化及び学術に関する調査中、産炭地域の公立小中学校の学級編制等に関する件を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、これを許します。豊瀬君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/25
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026・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 まず最初に局長にお尋ねしますが、産炭地における教育の現状といいますか、炭鉱閉山、それによるところの市町村財政の貧困というのが教育にどういう影響を与えておるかということを文部省として調査したことがあれば、簡潔に報告を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/26
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027・福田繁
○政府委員(福田繁君) 御質問になりましたいわゆる産炭地の教育問題としては、非常にいろいろ私どもとしてはあると思っておるわけでございますが、本年の二月の末に、大体おもな産炭地を視学官その他関係官を派遣いたしまして調査したことがございます。そのときの報告等を見ますと、各県によって多少の違いはあるわけでございますが、また、県の中でも特に教育問題としては産炭地特有の問題は考えられないというところもあるようでございます。しかし、特に私ども感じましたのは、その中でも一番ひどいと申しますか、福岡県などは特殊のいろいろの事情があるようでございます。そういった点、やや調査の結果が出ておりますが、まあ通じまして全般的に申し上げますと、最近やはりそういう炭鉱の閉山等によりまして、いろいろ困窮する家庭がふえてまいりました。それに伴いまして、準要保護児童あるいは要保護児童等の関係のいわゆる就学奨励的の対象になり得べき児童生徒がふえてまいった、こういうような傾向はここ数年見られるわけでございますが、最近、特にそういう問題があるように感じております。したがいまして、それに関連いたしまして、やはり学校の面におきましては、学校組織の問題等も、それに伴いましてかなり重要な問題として出てくるようでございます。また、産炭地共通の問題として、いわゆる生徒児童の長欠の問題もあるようでございますが、しかし、これはまあ最近給食の普及等によりまして、それも一つの原因であろうと思いますが、若干ずつ長欠生徒児童の率は低下してきているという事情もございます。その反面、また産炭地の生徒などにつきましてはいろいろ非行化の傾向がある。そういう生従などの非行問題がクローズ・アップされてきているようでございます。そういった点でいろいろ問題がございますけれども、特にそういう生徒児童の就学についての問題、あるいは学校の教育の場におきまして、これをいろいろと他の学校と同じように継続するにつきましては、給食等の問題もございますし、生徒児童の非常に重要な問題として長欠の問題がふえている。長欠非行化の問題等が各地の学校に見られるようでございます。大体、簡単でございますが、そういう問題があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/27
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028・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 二月に調査された地域ですね。福岡県はもちろんおいでになったでしょうが、県はどういうところですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/28
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029・福田繁
○政府委員(福田繁君) 二月の二十四日から月末にかけまして、北海道、福島県、山口県、福岡県、熊本県、長崎県、佐賀県等の、一道六県にわたりまして大体おもなところを概要視察してまいったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/29
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030・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 その調査結果を集計して、文部省として新しい手だてというか、施策というのか、立案されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/30
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031・福田繁
○政府委員(福田繁君) この調査の結果に基づきまして、いろいろ私どもとしても検討しなければならない問題があるわけでございます。ただ、三十九年度予算はすでにきまっておりますので、今後、後年度の問題として予算措置等をしなければならない問題につきましては、これから予算編成の時期を迎えますので、私どもとしては、十分それに生かし得る点は生かしていきたい、かように考えております。また、今年度の予算の執行に当たりましても、そういう現地の事情等にできる限り即したような予算の執行をしてまいりたい、かように考えまして、まあ関係の局課でいろいろ相談したこともございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/31
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032・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 大臣にお尋ねしますが、昭和三十四年、産炭地の急激な貧困化の際に、本委員会では、国会中でしたけれども、委員会として福岡県の産炭地の視察を行ないました。それに基づいて、自民党の劔木委員が本委員会に報告いたしまして、学校給食と応急の手だてをした先例があるのですが、いま局長の報告のように、全国の産炭地が同一状況にないことは私どももよくわかりますが、この調査結果の集約のいかんによっては、三十九年度の予算が決定されてはおりますけれども、事態によっては新たな財政的なあるいは施策的な措置をする決意はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/32
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033・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 産炭地の問題につきましては、いま局長が御報告申し上げましたとおりのことでございますが、その地方のそれそれの事態によりまして、ことしの予算で何か措置ができる、あるいは特別な考え方ができるものについては、これはことしの予算の運用によってやってまいるということはこれは可能であります、同時に、問題としましては、明年度予算の編成に際しまして、いままで調べましたような事情を十分勘案いたしまして、予算編成の際に検討を加えていきたいと、かように考えておる次第であります。御質問の御趣旨が実はよくつかみかねておるわけでありますが、何か特別な措置を講じなければならぬというふうな事態が現実にあるといたしまするならば、政府といたしましては、これに対しましてできるだけ善処することはこれは当然のことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/33
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034・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 時間が不足していますので非常に大まかな聞き方をしておるのですが、局長にお尋ねしますが、たとえば、あなたも指摘されたように、福岡の筑豊地帯の産炭地においては、児童生徒の非行化というのが一つの特徴的な現象として出てきましたね。そうしてその非行の内容が非常に非教育的ですね。教育的な非行というのはあるはずがありませんけれども、いわゆる青少年犯罪を逸脱した非行というものがずいぶん見られておるわけですね。そうして、それが何月何日にこういう事件がありましたといったような週刊雑誌的なことではなくして、それが日常の非行として起こっておるという事態ですね。こういう事態に対しては、やはり三十九年度の予算がすでにきまっておるから、次の年の予算でそれに対する対策は考えるということでなくして、それが正確に把握でき、それの解決策というものが立てられれば至急対策をすべきだと思うのですが、産炭地の生徒児童の非行実態というものに対しても、先ほどの調査に行った人の報告の中には、具体的に件数あるいは特に内容として出てきておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/34
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035・福田繁
○政府委員(福田繁君) 福岡県に参りました視学官の調査によりますと、あまり詳しい数字ではございませんが、非行問題につきましては、各地区とも年々増加してきておるようでございます。もちろんこれは産炭地だけの特有の問題ではなくて、いわゆる都市に最近非常にいろいろな原因をもちまして非行がふえておることは御承知のとおりでございます。したがって、大きな都市を含んでおります福岡県におきましては年々増加しておるようでございますが、福岡県のいわゆる少年事件として福岡県で検挙された数は、中学生でございますが、これは一例でございますが、中学校生徒の二・八%に当たる二千八百人に及んでおる。そのうちで特に多い地域は大牟田、直方、田川、飯塚等であるということで、やはりそういう中学生をとりましても、そういう検挙数など見ましても大牟田地区あるいは筑豊の直方、田川、飯塚というような地区が全般的に多いということは、これは数字が示しおるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/35
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036・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 一つの特定の事件をあげて、だからたいへんだという言い方きわめて不適当と思いますが、私、筑豊地帯の各町村別それぞれのカウンセラー担任の先生が取り扱った事件の生徒非行の問題の具体的の内容を持っているんですが、概括しますと、女教師の家庭訪問あるいは生活指導そのものが、すでに小学校の上級生に対しては不可能になりつつあるということですね。男子の先生がついて行かなければできない、あるいは校長さんがついて行く。かなり年輩の女教師でも不安を感じる。手が届かない状況になってきた。それからもう一つは、そういう生活貧困と非行による生活指導のために正規の授業が非常に阻害されているという事態ですね。いわゆる警察関係の事件としては、あなたがあげられたとおりの数字ですが、警察までいかないで学校の中で処理した事件になるともっと多くなっていますね。そういうことの指導のために一学級に四、五人あるいは十人近い非行少年がいると、ほとんどそれの補導のために、Aがきょうやった、あすはBがやる、そういう事件のために授業が行なわれていない。こういう教師自身の負担過重の問題と同時に、正規の授業が行ない得ないような状態にある。それからあなたの答弁の中にありましたように、生活保護、準要保護等の激増によって、鞍手町なんかは一学級の七〇%近い数が生保あるいは準要保護に該当しておる。そのためにそういう生徒の生活指導、あるいはいろいろな事務的な問題を処理していくために、これまた教師自身の負担過重と同時に授業にも差しつかえてきておる。こういう事態がいま一番ひどい時期にあるし、ある地域、田川地方においては、これからひどくなっていこうとしているわけですね。こういう事態に対してはやはり定数法とか、あるいは現在の就学奨励の補助限界とかこういったワクだけの問題ではなくて、早急に手だてをしないと、当該地域の教育が大きな不安といいますか、不安定な状態に置かれておるし、障害を生じておることも事実だと思うのですね。こういう問題をもう少し、その調査報告を具体的にまとめてもらって、四十年度予算だけじゃなくして、いまなし得ることは早急に対策をしてもらいたいと思うのですが、先ほどの冒頭に聞きました調査報告に対する具体的な施策をいつごろまでにまとめようとしておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/36
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037・福田繁
○政府委員(福田繁君) 私どはそういう問題につきましては非常に憂慮してあるわけでございます。したがって、改善をできる事柄があれば、直ちにでも実施をいたしたいという考え方でおるわけでございますが、しかし、問題は非常にやはり何と申しますか、根本的ないろいろな問題があるわけでございますから、直ちにはできない事柄が多いと思います。したがいまして、やはり来年度予算を待って、就学奨励費あるいは給食費等の十分の手当てをするとか、そういう問題はやはり予算問題になろうかと思います。そういう問題はこれから検討してまいりたいと考えております。ただいま御指摘になりましたように、福岡県としてはいろいろ特有な問題と申しますか、他の地域よりもより深刻な問題があるようでございます。そういう問題に対処するには、やはり生徒指導に力を入れてもらう必要があるだろう。こういうふうに考えまして、県のほうでも今年度の定数のワクの中で、約五十人程度のいわゆる生徒指導のための専任教育を置いたようでございます。それについての財源措置も、私どもは県と相談をしてやったわけでございます。また、そういう問題についてはどうしても指導主事が不足でありますから、特に今年度は福岡県に対しまして専任の指導主事を六名ほど配置をしております。それらの配置される地域はまだ具体的にはきまっていないかと思いますけれども、できる限り産炭地に重点を置いてやってもらいたいと考えております。また、教員がいろいろ生徒の指導に当たりまして非常に手が足らない、忙しいということもあるようでございますが、もちろんそういうことが実情であろうと思います。しかしながら、また一面、調査したところによりますと、この福岡県だけの問題かもわかりませんが、保護事務等を学校に下ろしまして、かなり保護事務を学校で全般的に引き受けてやっているというような実情もわかっておるのでございます。したがいまして、これらの問題は、福祉事務所と今後十分連携をとりまして、できる限り学校の負担を軽くしていくということも、生徒指導のほうにもっと力を入れてもらう意味におきまして、必要なことではないかというように脅えております。こういう問題についても、できる限り教育委員会と今後相談をいたしまして善処してまいりたいと考えております。問題は、そういう事柄を通じまして、できる限り御指摘のような事態がすみやかに解消されていくということを望んでいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/37
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038・豊瀬禎一
○豊瀬禎一君 大体、方向はわかりましたが、産炭地全体の振興ということになると、これは文部省だけの問題でたくて、それが抜本的な解決策であると私も考えているわけですが、それはおくといたしましても、同じ貧困といっても産炭地の場合は度合いが違いますね。畳を入れてやっても、その畳は大体冬になりますと、一カ月もたたないうちに燃料になってしまいますし、障子を張ってやっても、障子の骨もいつのまにかたきぎになってしまっているし、そうして子供たちは、学校にいく日にちは何曜日、何曜日はボタ拾いに行ってそれで賃かせぎをやる。そういう児童のパーセンテージが非常に多いわけで、学校教育の正常な運営というものがかなり大きくいろいろな角度から阻害されておるわけですが、教師自身にもそのことが影響してきておるのですが、何といっても、やはりそうでない生徒にも影響を与えておるということは重要な事態である。そういう子供がおるために、警察から電話がかかってくると、受付け持ちの先生が飛び出していく、その間に、授業中に非行化が進んでいる。校長さんは幾つかの子供を受け持って飛び回っているということがあると思うのです。教頭もそういう仕事を主にしておる、こういう状況をそのまま放置しておくと、他の生徒に対する悪影響というものが三十九年度の現象としてかなり出てきておるわけです。この問題は……福岡に行ったのは長田視学官ですね、かなり詳しく説明しておるわけですが、この当面の事態に対する対策を、次回にはもっと突っ込んでただしたいと思うのですがそれと同時に、北海道にしても大牟田にいたしましても、特に北海道は全体が大きいですが、いまは私の知っている限りでは、北海道の産炭地の状況は福岡の場合から三年ぐらいおくれておると思うのですが、昭和三十五、六年ごろの状況が北海道にいまあらわれてきておる。しかし、これは産炭地振興の問題が的確に進んでいけば、福岡のような状態にならないで救済できる可能性があるのでしょうが、しかし、必ずしもそれは期待できない問題もあろうと思うのです。だから北海道は福岡に比べて度合いがやさしいからということでなくして、福岡県で炭鉱合理化の促進に従って起こった教育上の諸現象という先例があるのですから、これを一つの素材として、他の地域における合理化が進められておることに対する事前の対策というものも同時に検討され、考えておいていただきたいと思うのですね。国の全般の大きな教育の流れから見ていますと、部分的な問題であるけれども、極端に言いますと、学校教育が行なわれていないといってもいいような状態の学校もなきにしもあらずですね。こういう点に対しましては学級編制、教職員、それから生徒に対する就学奨励の問題市町村財政に対する援助の問題、すべてが相まっていかないと、一つの施策だけでは解決できなかろうと思うのです。こういう問題に対しまして、もう少し初中局で、調査報告に基づいて対策を検討しておいていただきたいと思います。
時間がありませんので一応その程度にしまして、次回にその対策等につきまして、もう少し掘り下げて質問したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/38
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039・中野文門
○委員長(中野文門君) 本日の委員会は、これをもちまして散会いたします。
午後零時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615077X03219640611/39
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