1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月五日(木曜日)
午後一時二十一分開会
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委員の異動
三月四日
辞任 補欠選任
坪山 徳弥君 小林 武治君
三月五日
辞任 補欠選任
小林 武治君 坪山 徳弥君
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出席者は左のとおり。
委員長 中山 福藏君
理事
後藤 義隆君
稲葉 誠一君
和泉 覚君
委員
大谷 贇雄君
鈴木 一司君
田中 啓一君
高橋 衛君
亀田 得治君
岩間 正男君
山高しげり君
国務大臣
法 務 大 臣 賀屋 興宣君
政府委員
法務省民事局長 平賀 健太君
法務省訟務局長 青木 義人君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
説明員
大蔵省主計局主
計官 秋吉 良雄君
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本日の会議に付した案件
○逃亡犯罪人引渡法の一部を改正する
法律案(内閣送付、予備審査)
○刑法の一部を改正する法律案(内閣
送付、予備審査)
○不動産登記法の一部を改正する法律
案(内閣提出)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
(国を当事者とする訴訟に関する件)
———————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/0
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001・中山福藏
○委員長(中山福藏君) これより法務委員会を開会いたします。
逃亡犯罪人引渡法の一部を改正する法律案、刑法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、順次提案理由の説明を聴取いたします。法務大臣賀屋興宣君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/1
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002・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) 逃亡犯罪人引渡法の一部を改正する法律案について、その趣旨を説明いたします。
近時交通機関の発達等に伴い、一国で犯罪を犯した者が他国に逃亡して事実上刑事責任を免れようとする事例が次第に増加しつつあることにかんがみますとき、犯罪人の引き渡しに関する条約が存在しない国の相互間におきましても、必要に応じ、逃亡犯罪人の引き渡しが行なわれ、国際的な協力のもと犯罪人に対する適切な処罰を行い得るようにすることが相当であると考えるのであります。
ところで、御承知のとおり、わが現行逃亡犯罪人引渡法は、わが国との間に犯罪人の引き渡しに関する条約が締結されている外国から同条約に基づいて犯罪人の引き渡しの請求が行なわれたことを前提とし、その引渡手続等を規定するたてまえをとっており、引渡条約に基づかないで逃亡犯罪人の引き渡しの請求が行なわれた場合には、これらの規定が類推適用されるものと解釈されているのでありますが、かような取り扱いは、国際的な観点からは必ずしも適当でないと考えられますので、この際、この場合における引き渡しの要件、手続等に関する規定を整備するため、この法律案を提出することといたした次第であります。
この法律案による改正の要点は、次の二点であります。
その一は、わが国に対し引渡条約に基づかないで逃亡犯罪人の引き渡しの請求が行なわれた場合には、(一)当該犯罪人が犯したとする犯罪行為が請求国及びわが国のいずれかの法令により死刑または無期もしくは長期三年以上の自由刑にあたる罪とされていないとき、(二)請求国から相互主義に基づく保証がなされないとき、(三)法務大臣が、外務大臣と協議して、当該逃亡犯罪人を引き渡すことが相当でないと認めるときを除きまして、その他の場合には、これに応じ得ることを明らかにした点であります。
その二は、新たに請求国の定義を設け、引渡犯罪及び逃亡犯罪人の定義を改める等のほか、関係の条文に所要の改正を加え、右の場合における引渡手続は、いわゆる仮拘禁制度を適用しないものとするほかは、引渡条約に基づいて逃亡犯罪人を引き渡す場合とおおむね同一の手続によることを明確にした点であります。
なお、右に伴い、本法案の附則により、刑事補償法の一部を改正し、わが国が外国に対し引渡条約に基づかないで逃亡犯罪人の引き渡しを請求した場合に、当該外国が引き渡しのために行なった抑留または拘禁をもわが国の刑事補償の対象となる抑留または拘禁とみなすこととし、この種逃亡犯罪人の人権の保護をはかった次第であります。
以上が逃亡犯罪人引渡法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますよう、お願い申し上げます。
次に、刑法の一部を改正する法律案について、その趣旨を説明いたします。
今次の刑法の一部を改正する法律案は、いわゆる身のしろ金目的の誘拐罪及びこれに関連する犯罪について特別の処罰規定を新設しようとするものであります。身のしろ金目的の誘拐罪は、近年に至りまして多発化の傾向を示し、また、数名の犯人によって共同して遂行される計画的な事案の発生をも見るに至っております。しかも、過去の実例に徴しますと、誘拐された被害者が殺害され、生死不明となり、または睡眠葉を施用される等の事例が心なくなく、この罪が誘拐罪の中でも特に危険な犯罪であることを示しているのであります。さらに、この種犯罪が誘拐された者の近親等に与える憂慮心痛は、まことに筆舌を絶するものがあり、このような手段によって身のしろ金を取得しようとする犯人の心情は卑劣きわまるものと言うべきであります。このような諸事情、さらにはこの種の犯罪が模倣性の強いものであることを考慮いたしますと、身のしろ金目的の誘拐罪を刑法第二百二十五条によって一般の営利誘拐罪と同様に処罰することとしている現行刑法は、この種犯罪に対処するのに十分でないと考えられるのでありまして、この際、身のしろ金目的の誘拐罪及びこれに関連する罪について、その実質にふさわしい重い法定刑を定めることによって、この種犯罪の未然の防止をはかり、ひいてはこの種犯罪の発生によって惹起される社会不安を除去いたしますことは、単に強い世論にこたえるというばかりでなく、国家の刑政からみましても、きわめて緊要なことと考えられるのであります。これがこの法律案を提出することといたしました理由であります。
この法律案の骨子は次のとおりであります。
第一点は、近親その他被拐取者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じてその財物を交付させる目的、すなわち、いわゆる身のしろ金を交付させる目的で人を略取または誘拐した者は無期または三年以上の懲役に処するものとし、現在の営利誘拐罪より重い法定刑を定めようとするものであります。
第二点は、人を略取または誘拐した者が、身のしろ金を交付させ、またはその交付を要求する行為をしたときも、同様に無期または三年以上の懲役に処するものとし、このような場合に、従来、実務上は単なる恐喝罪として処理されてまいりましたものを重く処罰し得るようにしようとするものであります。
第三点は、身のしろ金目的の略取・誘拐が行なわれた後に、その犯人を幣助する目的で、被拐取者を収受し、蔵匿し、または隠避させた者を一年以上十年以下の懲役に処するものとし、その他の誘拐犯人を事後に幣助する場合よりも重く処罰しようとするものであります。
第四点は、自己に身のしろ金を交付させる目的で、他人が略取・誘拐した被拐取者を収受した者を二年以上の有期懲役に処するものとし、一般の営利目的による収受等の場合よりも重く罰しようとするものであります。
第五点は、被拐取者を収受した者が身のしろ金を交付させ、またはその交付を要求する行為をしたときも、同様に二年以上の有期懲役に処することとするものであります。
第六点は、以上の罪を犯した者が、公訴の提起前に被拐取者を安全な場所に解放したときは、必ずその刑を減軽するものとし、それによって、ひとたびこのような罪が犯された場合、犯人が被拐取者に危害を加えることを防ごうとするものであります。
第七点は、身のしろ金目的の略取・誘拐の予備をした者を二年以下の懲役に処するものとし、ただ現実に略取・誘拐の実行に着手する前に自首した場合には、その刑を減軽または免除することにより、このような危険な誘拐罪の実行を未然に防止し得るようにするものであります。
なお、以上に関連して、右に述べました略取・誘拐及び被拐取者の収受、蔵匿、隠避については、いずれもその未遂を罰するものとし、また、以上の罪はすべて非親告罪としようとするものであります。
以上が刑法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますよう、お願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/2
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003・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 以上で両案の提案理由説明は終わりましたが、両案に対する質疑は後日に譲ります。
———————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/3
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004・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 次に、不動産登記法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。稲葉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/4
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005・稲葉誠一
○稲葉誠一君 きょういただいた「登記台帳事件増加状況調」、これはこの前要求しておいた乙号を甲号に換算した場合の事件数の上昇率や何かですか。ちょっと結論だけ説明してくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/5
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006・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは、昭和二十六年度を一〇〇といたしまして、登記の乙号それから台帳事件を登記の甲号に換算しまして、これを三十七年度の件数との比較、それから三十八年、三十九年度の推定件数との比較でございまして、結論から申し上げますと、事件の上昇率は、先ほども申しましたように、二十六年度を一〇〇といたしますと、三十七年度は二九一、三十八年度は三〇九、三十九年度が三三六、約三倍以上になっておるわけであります。
それから登記従事職員の増加率から申しますと、これも二十六年度を一〇〇といたしますと、三十七年度一一六、三十八年度一一九、三十九年度一二二ということになるわけでございます。
それから職員一人当りの事務の負担量を申し上げますと、これも二十六年度を一〇〇といたしますと、三十七、三十八、三十九年度は、それぞれ二五一、二六〇、二七五と、二倍以上の負担量になっておるという結果になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/6
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007・稲葉誠一
○稲葉誠一君 「三十八年度及び三十九年度事件数は過去三年平均事件上昇率により推定」したと、こうあるのですが、これは、過去三年の平均上昇率よりもだんだん上がっていく傾向にあるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/7
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008・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これはちょっと何とも言えませんので、そのときどきの経済情勢のやっぱり変化でもって増加率が非常に上がったりあるいはそれがゆるんだりということがございますので、一がいには申しかねると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/8
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009・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それから、やめた職員はどういうふうになっているのですか。これには載っていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/9
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010・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) やめた職員と仰せられますと、退職した職員というわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/10
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011・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/11
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012・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 退職はこれは年々ございまして、また新たに新規に採用いたしまして補充をいたしているわけでございます。ここにあがっております事務職員の数字は、法務局の職員数の総数が右のほうに載っておりますが、これは定員であります。その中で登記に従事している人員でございまして、これは定員であると同時に実数にも大体合っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/12
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013・稲葉誠一
○稲葉誠一君 三十七年度は百人ふえた、去年は二百人ふえたと、こういうのですが、定年で退職する人——定年というのはないのかな、それから途中でやめる人もあるのでしょう。そういうのはどういうふうになっていますか。それを引いて従事の人員だけを計算しているのですか。これは当然だと思いますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/13
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014・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 従事職員数というのは、大体これは各登記所について登記従事職員の実数を出したわけでございます。でありますから、年間通じますと出入りがあるわけでございますが、大体これだけの数字の職員が登記に従事しているということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/14
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015・稲葉誠一
○稲葉誠一君 だから、たとえば三十七年度は百人、三十八年度は二百人増員しているのだけれども、実際に途中でやめたりする人がいれば、それだけ減っているのでしょう。実数の増加はどのくらいになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/15
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016・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) やめますというと減るわけでありますが、でき得る限り早い機会にそれをまた補充いたしています。ごく少数の欠員は常時全国的に見ましてもございますけれども、大体一日もゆるがせにできないものでございますから、でき得る限り早い機会にそれを補充するということでやっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/16
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017・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それは補充するのはあたりまえなんで、そうじゃなくて、たとえば百人ふえた、二百人ふえたとなっているけれども、やめる人もあるのだから、差し引きずると実際の増員は何人くらいになるのか、こういうことを聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/17
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018・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) ただいま申し上げますように、やめる人がありますと補充をいたします関係上で、増員百名でありますと、これは百名を登記のほうに回しているわけでございまして、大体百名の増員ということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/18
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019・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/19
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020・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/20
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021・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、いまのこの「増加状況調」というようなものは、当然概算要求などするときには大蔵省のほうに出しているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/21
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022・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 概算要求の際には、資料をつくりましてこういう数字を出しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/22
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023・稲葉誠一
○稲葉誠一君 この前、大蔵省では、乙を甲に換算して三倍ぐらいになっているということを言われましたね。この数字では三三六で、三十九年度の場合は法務省の調べのほうが多いのですが、そこを大蔵省ではコピーとかいろいろなものを使って事務能率をあげていくのだからという話があったのですが、実際にそういうものが機械類や何かを使って事務能率をあげて一体どの程度一人当たり負担量が現実に減っていくという計算になるのですか。ちょっとむずかしいけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/23
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024・秋吉良雄
○説明員(秋吉良雄君) ただいま先生から非常に困難な痛い御質問がありまして、なかなか事務量計算、機械を人間に換算する計算というのは非常にむずかしい問題でございまして、むしろ民事局のほうからもしあれでございましたら御答弁したほうがいいと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/24
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025・稲葉誠一
○稲葉誠一君 私が言うのは、民事局ではなくて、現実にそれでは大蔵省自身も、こういう数字、たとえば三十九年度では事件数が三三六になる、それから従事人員は一二二しか伸びていない、一人当たり負担量は二七五になっておる、こういう事実そのものは認めるのですか、あるいは、法務省の出したのはいやこれは根拠が薄弱だということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/25
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026・秋吉良雄
○説明員(秋吉良雄君) この数字は全く事実でございますから、これについてとやかく言うつもりはさらさらございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/26
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027・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、この計算の結果として、千人ですか、千人というのはほかもまぜて千人ですか。六百何人でしたか、法務局では。それだけの人員が必要だというのですね、法務省としては。そこで、大蔵省のほうでは二百人でいいというのだから、二百人でいいということについては根拠がなければならないわけです。その根拠として考えられるのは、いろんな機械類や何かを入れるから一人当たりの負担量がこれだけ減るのだという計算が根拠になって、それで二百人でいいんだということになるわけでしょう。だから、その間の、機械や何かを入れたので一体どれだけ一人当たりの負担量が減るのか、そこら辺の計算はどういうふうにしているわけですか。それでなければ二百人でいいんだということの根拠が出てこないじゃないですか、大蔵省として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/27
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028・秋吉良雄
○説明員(秋吉良雄君) たいへんむずかしい御質問で、私明快な答弁ができかねるかと思いますが、先ほど来——先般のときにも先生から御質問がございまして、どのような根拠で二百という数字が出たかという御指摘がございましたが、何しろ私どもとしては、また二度繰り返すようではなはだ恐縮でございますが、やはり定員、機構というのは極力抑制するという方針がございまして、こういった特殊な事情のものに限ってのみ定員の増加をはかるという措置をやっておるわけでございます。このように非常に件数がふえておりますことにかんがみまして、これに比例してふやすということは、確かに算術的にも理論的にもそういう主張は大いにできるかと思いますが、そういった政府としての予算編成方針にかんがみまして、それ以外の面で極力過重負担の問題の解消という措置を考慮してまいっておりまして、先般申し上げましたように、能率機具の整備を相当格段的にやっておるわけでございます。
この能率機具の整備といたしましては、特にその内容といたしまして複写機の増強をはかっておりまして、本年度の予算につきましては、昨年よりか約六百万円の増加計上をいなしておる次第でございます。それ以外にもいろいろの点で、たとえて申しますと、制度的には、過去におきましてはバインダーという制度をとっております。これは大福帳式の台帳をバインダー化したわけでございますが、これは三十四年にたしか終了したかと思いますが、その後御承知のように登記台帳の一元化という制度をいま進行中でもございます。ことしの今国会に提案されております不動産登記法の一部改正、御審議いただいていると思いますが、これもそういったいろいろの面の事務の簡素化という点が着目されているように聞いているわけであります。
そういったいろいろの点、それから行政管理庁の意見等、そういうものを総合勘案いたしまして、一応三十七年度百名の増加に対して、三十八年度は倍の二百名、三十九年度も引き続き二百名という予算措置をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/28
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029・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは大蔵省のほうへ、あなたに希望するというよりも大蔵省全体に希望するのは、どうも法務省関係の予算となると、法務省の人は大体非常に正直なもので、あまりかけ引きをしないのですから、ついあと回しにされちゃうという傾向があるわけです。そういう点がありますから、これは、法務省のほうで現実に必要で、一人当たり負担量が二七五になって職員に非常な負担がかかってくるのだから、今後十分にいろいろの面から大蔵省としてもぜひ配慮を願いたい、こう思うわけです。これだけ要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/29
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030・後藤義隆
○後藤義隆君 ちょっとお聞きしますが、抵当権設定の場合に、年賦払いの場合に、たとえば一回でも支払いを怠ったときは期限の利益を失うとか、あるいはまた、利息の率がいままで日歩二銭であったのを今度五銭にするとかいうような特約事項は、登記するのですか、しないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/30
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031・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 期限の利益の喪失約款、これは弁済期に関することでございますので、現行法のもとではそれは登記しているわけでございます。しかし、今度の改正案におきましては、弁済期に関する事項は登記しないことになりますので、それは登記されなくなります。
それから利率を変更したいというような場合でございますと、これは変更届けをしなければ第三者対抗力がないということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/31
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032・後藤義隆
○後藤義隆君 いや、変更届けじゃなく、最初から特約が、利息なら利息の支払いを怠ったなら、年賦なら年賦の支払い弁済期を怠ったなら、従来日歩二銭であったのを今度五銭にするというふうなことを約束した場合には、そのことを登記するのかしないのかということです、今度の新しい登記制度では。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/32
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033・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) それは最初から登記いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/33
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034・中山福藏
○委員長(中山福藏君) それでは、本案に対する質疑は、一応この程度にとどめます。
———————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/34
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035・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題とし、国を当事者とする訴訟に関する件につき稲葉君から発言を求められておりますので、これを許します。稲葉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/35
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036・稲葉誠一
○稲葉誠一君 国が当事者となっていろいろ訴訟なり調停なりあるいは和解なりあるわけですが、その前に、訟務局の中の構成はどういうふうになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/36
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037・青木義人
○政府委員(青木義人君) お答えいたします。
訟務局は一課から五課までございます。それから訟務管理官室が置かれております。
一課では国有財産それから国の債権の争訟に関する事項、二課では国家賠償その他国の債務の争訟に関する事務、三課では農地その他経済関係の争訟に関する事項、四課では労働とかその他それ以外の行政の争訟に関する事項、五課では国税の賦課処分の争訟に関する事務、管理官室では国税の徴収の争訟に関する事務をそれぞれ分担しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/37
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038・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ここ数年来か、あるいは一番新しいところでのわかっている統計、たとえば去年の一月から十二月まではわかっているわけですね。国を当事者とする訴訟の状態はどういうふうになっているでしょうか、概略をひとつお話し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/38
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039・青木義人
○政府委員(青木義人君) 一番新しい昨年度一年の統計の骨子を申し上げますと、まず、本訴事件につきましては、前年までで未済があったのを旧受として受けたのが二千五百七十五件、それから昨年一年の新受が千三百三十六件、その間の既済が千二百八件で、昨年の年末における未済が二千七百三件であります。
本訴以外の保全処分とか、支払命令とか即決和解、強制執行、そういうような本訴を除きましたその他の事件が、前年度の未済として旧受の事件が六百三十件、新受が三千九百四十六件、既済が四千十六件、未済が五百六十件、かようになっております。いまの数字には地方公共団体その他公法人を当事者とする訴訟も若干入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/39
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040・稲葉誠一
○稲葉誠一君 大きく分けると、民事、行政、税務、こういうふうに分けるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/40
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041・青木義人
○政府委員(青木義人君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/41
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042・稲葉誠一
○稲葉誠一君 どれが一番多いんでしょうか。やはり民事関係ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/42
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043・青木義人
○政府委員(青木義人君) やはり民事関係が総数で一番多いわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/43
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044・稲葉誠一
○稲葉誠一君 原告と被告の別はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/44
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045・青木義人
○政府委員(青木義人君) 民事関係のほうは、昨年度、国が原告になっている事件が五百八十七件、被告になっているほうは八百八十一件でございます。統計のほうの全体のやつは、上訴の事件も入っているものですから、そういう数字になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/45
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046・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その国が原告となる場合は、どんな場合が多いんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/46
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047・青木義人
○政府委員(青木義人君) 国有地の不法占拠の事件とか、あるいはまた医療費の債権の取り立てであるとか、開拓資金の貸し付けの取り立てであるとか、そういう国の債権の取り立てのような事件があるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/47
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048・稲葉誠一
○稲葉誠一君 税務訴訟はどういうふうになっておりますか。税務訴訟は、これはほとんど国が被告になる場合が多いんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/48
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049・青木義人
○政府委員(青木義人君) 税務の行政訴訟でありますと、必ず行政庁、が被告になるわけであります。ただ、徴収の面におきましては、滞納者の債権を差し押えてその債権を取り立てるとか、あるいはまた脱税のために名義を他に移しているのをそれをまたもとどおりに戻していくとか、そういうような事件があります。これは国が原告になって訴えを起こしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/49
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050・稲葉誠一
○稲葉誠一君 このいろいろな詳細な内容は、私もこれは個人的にというか、表をいただいたので、内容を検討しますが、きょうは時間がないのでちょっとお聞きしておきたいのは、税金の課税の問題で国が相手方になって訴えられた、それで国が敗訴になったというのが一審で相当あるんですか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/50
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051・青木義人
○政府委員(青木義人君) 税務の行政訴訟で国が敗訴する案件もかなりあるわけであまます。そのパーセンテージはいまちょっとここに出しにくいわけですが、相当数あるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/51
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052・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは、私がいただいた資料でいうと、七ページの行政事件のところにあるのか、あるいは税務事件になるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/52
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053・青木義人
○政府委員(青木義人君) さようでございます。この資料の七ページの右の下の欄の部分がこれに当たるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/53
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054・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いや、どちらのほうですか、行政事件ですか、税務事件ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/54
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055・青木義人
○政府委員(青木義人君) 行政事件で、課税事件であります。賦課事件で九十五件でありますか、九十五件の判決のうち、三十件敗訴しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/55
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056・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その詳細はまた別な機会に伺います。
それから、これはあれですか、大ざっぱにいいますと、どういう点が敗訴の原因になっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/56
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057・青木義人
○政府委員(青木義人君) もちろん各種の形の事件があるものでございますから、税法自体の解釈が税務当局のとっている解釈と違った見解で判決される場合もありますし、また、所得の認定にあたりまして計数的にやはり十分立証がつかなかった、こういうことで敗訴になる、主ととて事実認定の関係から出てくるものもあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/57
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058・稲葉誠一
○稲葉誠一君 もう一つお聞きしたいのは、今度は国家公務員の関係で、非常に超過勤務が多いわけですね。超過勤務が多いけれども、超過勤務について全額支払われていないわけですね。普通五割とか六割とか——むろんこれは官庁によって違うと思いますが、それで当然全額を支払うべきだというので訴訟が起きておるというふうに私聞いておるのですけれども、それはどういうふうな状態になっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/58
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059・青木義人
○政府委員(青木義人君) この訴訟は、宮崎の地方裁判所に三十六年に提起された案件でございます。
その概要を申し上げますと、熊本営林局の高千穂営林署に勤務している職員についての超過勤務手当が一部未払いであるという理由で、その職員五十八名から国を相手にいたしまして、三十五年一カ年分の超過勤務の未払い分として五十一万数千円請求と、さらに労働基準法に基づきます附加金を合わせまして百二万円余の支払いを求める訴えが提起されておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/59
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060・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それ一件ですか、ほかにありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/60
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061・青木義人
○政府委員(青木義人君) 一件であります。これだけ一件であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/61
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062・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それでは、その詳細はまた別の機会にお聞きしたいと思っているのですが、ただ、法務省側の見解としてお聞きしたいのは、超過勤務を命じるわけですね。たとえば、簡単に例をとると、百時間やった、実際には六十時間分しか払わない、あとの四十時間分を払えといってきた場合に、実際に四十時間上司の命令によって働いた証拠があるわけですね。その場合に、あれですか、この四十時間分は法律的に払わなくてもかまわないという見解を法務省側はとっておるのでしょうか、かりにとっておるとすれば、その根拠はどういうふうにしてとっておるのか、そこだけお伺いしたいと思います。そのお考えに対する批判や何かは、私また別な機会にいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/62
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063・青木義人
○政府委員(青木義人君) いま御指摘の問題が先ほど申し上げましたこの事件における中心の争点になっておるわけであります。その争点を簡単に申し上げて……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/63
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064・稲葉誠一
○稲葉誠一君 原告の主張と国側の主張を説明してください、主観を交えないで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/64
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065・青木義人
○政府委員(青木義人君) 原告のほうも被告のほうも、この点については見解が一致しております。超過勤務手当の支払い義務が国として生ずるのは、超過勤務命令が出ており、かつ、その命令に基づいて時間外勤務をした、こういう要件が備わってはじめて超過勤務手当の支払い義務が出る、この点では両当事者に争いのないところであります。ただ、超過勤務命令が出ているかどうか、この点が争点なのであります。
この事件におきまして営林当局側のほうの見解は、超過勤務命令は一般給与法並びに人事院規則、人事院細則に基づきまして所属の長が超過勤務を命令した場合には、超過勤務等命令簿に記載し、それに捺印して、それに基づいて超過勤務時間報告書を作成し、それで給与する、こういうたてまえになっておるのであります。したがって、成規の超過勤務命令簿に登載されておりませんと、超過勤務命令は出ておらない、こう認めざるを得ないというわけであります。本件におきましても、超過勤務命令簿に登載されておる分につきましては全部支払っているわけであります。
ただ、原告側のほうの主張は、超過勤務命令簿というのは、これは予算のワクに基づいて登載されているので、実際に勤務している時間と必ずしも一致しない。それ以上の勤務をする場合だってある。それも、単に個人が任意に好意的に働くというわけではなしに、やはりその仕事の必要上残って働いている。本件では、営林署のことでありますから、その当時、森林手簿というものが各人に渡されておりまして、それぞれ各人が毎日日誌的に記載しているのがあるわけであります。それには現実には時間外に働いているということになるのじゃないか、したがって、その差額を支払えというようなのが原告側の言い分になるわけであります。
行政庁側のほうの見解は、先ほど申し上げましたように、人事院規則以下の規定に基づきまして、成規の超過勤務命令簿に登載されなければ超過勤務命令は出されているわけではない、かような見解であります。そこが本件の主たる争点になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/65
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066・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、超過勤務の命令簿に記載してあれば、かりにそこまでの予算がなくても、それは上司が国の認めた規則に違反なるかならないかは別として、記載してあれば、予算がなくても、当然払わなければならない義務が国として発生するわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/66
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067・青木義人
○政府委員(青木義人君) 超過勤務命令簿に登載されておりますれば、これは当然国として支払う義務があるわけであります。予算がないから支払わないというわけには参らないと思いますし、当然敗訴判決になることは必定であると思います。本件では、超過勤務命令簿に登載された分は全部支払い済みになっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/67
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068・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いまの最後のお答えで私も大体わかるのですが、そこで、いろいろこまかい問題が出てくると思うのです。人事院規則の関係とか、いろいろ問題が出てくると思いますから、私はもう少し研究しまして、別の機会に質問したいと思っております。きょうはそれだけの答えをいただいて私の勉強の一つの手がかりができましたから、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/68
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069・中山福藏
○委員長(中山福藏君) それでは、本件は一応この程度にとどめまして、本日はこれをもって散会いたします。
午後二時五会散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01019640305/69
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