1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月十二日(木曜日)
午前十時二十八分開会
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委員の異動
三月十日
辞任 補欠選任
田中 啓一君 上林 忠次君
後藤 義隆君 小林 武治君
三月十一日
辞任
上林 忠次君 田中 啓一君
小林 武治君 後藤 義隆君
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出席者は左のとおり。
委員長 中山 福藏君
理事
後藤 義隆君
稲葉 誠一君
和泉 覚君
委員
植木 光教君
大谷 贇雄君
鈴木 一司君
鈴木 万平君
坪山 徳弥君
亀田 得治君
中村 順造君
発 議 者 中村 順造君
国務大臣
法 務 大 臣 賀屋 興宣君
政府委員
法務省民事局長 平賀 健太君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○不動産登記法の一部を改正する法律
案(内閣提出)
○鉄道公安職員の職務に関する法律を
廃止する法律案(中村順造君発議)
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001・中山福藏
○委員長(中山福藏君) これより法務委員会を開会いたします。
本日は、まず、理事の補欠互選についておはかりいたします。
去る三月十日、理事後藤義隆君が一時委員を辞任されましたために理事に欠員を生じておりますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。互選は投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/1
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002・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 御異議ないと認めます。それでは、理事に後藤義隆君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/2
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003・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 次に、不動産登記法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。稲葉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/3
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004・稲葉誠一
○稲葉誠一君 百一条の改正のところで、「不動産の表示の登記のされていない不動産」、こうあるわけですね。現在どの程度あるわけですか、全体のパーセンテージからいって。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/4
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005・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 不動産の表示の登記のない不動産でございますので、登記所では全然これは把握の方法がございませんで、どのくらいあるかということはわかりかねるのでございます。土地についてはあまり例がない、比較的例が少ないわけでございますが、問題は建物でございまして、建物が新築されますと、表示の登記の申請があるはずでございますが、それが直ちに行なわれないでおるという状態でありますと、表示の登記のない不動産ということになるわけで、例としては建物がかなりあるということが考えられるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/5
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006・稲葉誠一
○稲葉誠一君 建物台帳に載っていてそれから表示の登記がされていないのは相当あるわけですか。それはどの程度かということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/6
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007・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは建物台帳に載っておりますがまだ登記がされていない——その登記というのは、表示の登記ではございませんで、保存登記でございますが、台帳に載っていて登記簿に保存登記がされてない建物というのは、これはかなりございます。
それから、ここに表示の登記と申しておりますのは、台帳と登記簿の一元化が進んだところは、台帳がなくなりまして、登記簿一本になります。そして、この台帳の登録に当たるのが、いわば表示の登記なのでありまして、でありますから、一元化後の状態について申し上げますと、表示の登記はされているが所有権の登記はされてないということになるわけでありますが、そういう建物、これは土地も考えられますし、土地は比較的少ないわけでありますけれども、そういう建物がかなりあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/7
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008・稲葉誠一
○稲葉誠一君 私の聞きたいのは、建物台帳に登録されておれば、一元化に従って当然不動産の表示の登記がされるはずなわけですね。ところが、現実には、事業がおくれているために、これがまだされていないものがずいぶんあるわけでしょう。そこはどういうふうになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/8
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009・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは、ただいま申し上げましたように、現在台帳と登記簿の一元化の作業をどんどんやっておりまして、一元化が済みましたところでは、台帳に記載されております建物の登録が全部登記簿の表示の登記になって変わってしまうわけであります。ところが、まだそれが済んでおりませんところは、台帳と登記簿と二本立てになっておるわけで、とにかく台帳に載っておる建物でございますれば、これは所有権の保存登記はされてなくても、台帳がいわば表示の登記にかわる作用を営むわけでございます。ところが、一元化が済みましたところは、台帳に載っておる建物であれば必ず登記簿のほうに移っておりまして表示の登記がされておるということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/9
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010・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それはわかっておるのですけれども、具体的に建物の台帳の登録はされているけれども、一元化が非常におくれているわけでしょう。おくれているために表示の登記にまだ至っていないものが全体の建物の中でどの程度割合があるのだろうか、こう言っているわけです。大ざっぱでいいんですよ。質問の意味がわかりますか。一元化されて表示の登記が全部済んでしまえば、これは台帳がなくなりますよ。これはわかるのですけれども、まだ途中だから、いまの段階で表示の登記まで至らないものは建物の場合どの程度あるのだろうか、こう言っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/10
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011・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) この一元化の作業は、御承知のとおり十年計画でやっておりまして、いま全体の十分の四が一元化が済んでおる、あと十分の六がまだ残っておりますような関係でありますが、大体建物が総個数が二千万個なのでございます。二千万個の十分の四が完了しておりますから、八百万個につきましては台帳と登記簿が一本になりまして表示の登記が済んでおる。大ざっぱな数字でございますが、八百万個は済んでおるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/11
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012・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そこで、私の問題にしているのは、この前民事局長が言われました、建物保護法によって、土地の賃貸借の登記がなくても、建物に登記があれば、第三者の土地の所有者に対抗できるわけでしょう。その場合のいわゆる登記というのは、不動産の表示の登記でもいいのだというお話でしたね、とすれば、この場合に、建物台帳に載っている登録では建物保護法による登記に含まれないのかどうか、ここに問題があると思うのです。これをお聞きしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/12
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013・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 台帳に載っておるだけでは、登記ある建物とは解釈することは困難であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/13
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014・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、その仕事がおくれているために、建物に保存登記があれば問題がないけれども、保存登記がない。土地の所有者は変わってしまった。そうすると、表示の登記がしてあればまあいいとして、国の仕事のやり方がおくれるために表示の登記まで至らないわけですね。その場合に、建物の所有者が非常な不利をこうむることになるのじゃないですか。建物収去明け渡しの訴えを起こされれば、対抗する権限が——台帳には登録されておるけれども、行政事務がおくれたために表示の登記が登記されていないと、結局、建物の所有者が収去せざるを得ない段階に追い込まれてくるのじゃないですか。法律的にはそうじゃないですか。そこが私は問題があるのじゃないかと聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/14
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015・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 確かに仰せのような点はございますが、建物の所有者すなわち借地人といたしましては、台帳の登録がすでにされておるわけでございますから、いつ何どきでも保存登記の申請はできるわけでありまして、保存登記の申請をして登記する道は常に開かれているわけでございます。それをやっていただく。これは登記簿と台帳との一元化の以前にすでにそういうことであったのでありますが、そういう措置を講じていただくということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/15
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016・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それはわかりきっていることで、登記しないのは悪いのだといえば、それはその人が悪いのかもしれませんけれども、表示の登記というのは、本来第三者に対抗するのが登記の要件だ、本質だとすれば、登記という本質的な性格を持っているものとは違うのじゃないですか。そうじゃないですか。これはこの前ちょっと話したところですけれども、一体、登録というものと登記というものと法律的にはどういうふうに違うわけですか、要件なり効力は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/16
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017・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは建物保護法の精神でありますが、それは借地権の登記それ自体ではないわけで、現場に建物が建っておるということがまず前提なんであります。それが登記簿に登記されている建物の登記があれば、借地権自体の登記がなくても、その借地権をもって対抗できるということなのでございまして、この建物の登記をして建物所有権の対抗力を必ずしも持っていなくてもいいのじゃないか、登記は。ですから、これは表示の登記だけでも足りるという解釈になるというふうに考えておるわけでございます。で、表示の登記それ自体では、本来の登記の性質としましては、第三者対抗力がないと私も考えております。その点は台帳の登録と同じでございます。ただ、建物保護法の規定がこういうふうに登記ある建物ということになっております関係で、台帳に登録されている建物ということにはなっていないわけでありまして、その関係で、現行の建物保護法の解釈としましては、台帳の登録だけで足りるということは困難ではないかと思うのでございます。
そういうわけで、稲葉委員仰せのように、早くそれでは建物の表示の登記をしてしまえばいいではないかというお考えが出てくるのは非常にごもっともでございますけれども、何ぶんこれが膨大な事務量でございますので、一挙にというわけにはなかなかいかないのでございます。で、昭和四十六年の三月三十一日までには全部完了する予定でございますので、それまでの間のここ五、六年の間というものがちょっと均衡を失すると申しますか、早く一元化の済んだところと済まないところとで不均衡が生じますけれども、やむを得ないというふうに私どもとしては考えておる次第でございます。
先ほど申し上げましたように、借地権者としてはいつでも建物の保存登記ができるわけでございますので、その措置をとってもらえば借地権の対抗力が生ずるわけでございますから、ここ五、六年の間はそういうことでやっていただくというよりほかはないと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/17
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018・稲葉誠一
○稲葉誠一君 建物保護法のできたときに、その条文にある「登記」の中には、いまいう表示の登記なんということは全然考えなかったわけでしょう。これは明治四十二年ですか、条文を持っておりませんけれども、でしたね。表示の登記なんということは全然考えなかったのじゃないですか、保護法ができたときは。ただ、土地の賃貸借というのは地主の承諾が要るのでしょう、登記はね。実際地主が承諾をしないといたしかたないから、建物の保存の登記なら地主の承諾が要らないからということでやったので、実際行政事務のおくれによって非常に不利益をこうむるので、むしろ一元化のときに表示の登記が行なわれるまでには台帳登録をもって表示の登記とみなすとかいう形の経過規定を設けておけば、その建物の所有者が不利をこうむることはなくなってきたんじゃないですかね。そこまでは考えつかなかったわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/18
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019・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) その点も考えなかったわけではないのでございますけれども、建物保護法それ自体が非常に変則な法律なのでありまして、借地権の登記をしないで建物の登記だけで借地権の対抗力を生じさせようという、非常にこれは無理があるわけであります。借地権の登記である以上は、借地権の対象はどの土地である、その土地の範囲がどれだけである、それから借地権の期間が何年、地代が幾らということまでも十分借地権の内容が登記されていてはじめて対抗力があるということになるわけでありまして、単に建物の登記だけで借地権を対抗するというのではきわめてこれは不完全きわまるものなんであります。いわゆる地震売買なんという言葉がございましたけれども、そういうものに対するためのほんとうにこれは応急的なものでありまして、建物保護法自体がこういうものでいいかという根本問題があるわけであります。これは借地法あるいは民法にからみまして根本的な改正が必要ではないかということで、他面私どものほうといたしましては、この借地権の問題について根本的な改革を検討する必要があるということで、建物保護法にそういう一時的な応急的な改正をするということはこの際するのは妥当でないというふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/19
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020・稲葉誠一
○稲葉誠一君 私が前に言った登録というのと登記というのとは一体どういう要件、どういう効力が違うのですか。登録とは一体何なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/20
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021・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 台帳の登録は、これはそういう土地なり建物が存在する、その現況がどうなっているかということを公に証明するというのが登録の効果だろうと思うのでございます。権利を第三者に対して対抗するという効力はないというのが登録の性質なのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/21
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022・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いまあなたの言われたような登録だとすれば、表示の登記というのは、ことばは登記だけれども、本質的には登録なんだ、法律的な効力から言えば登録なんだ、こういうことになるのじゃないですか。それを登記という形で言って、建物保護法による保護を与えようとしているのはこれは非常にいいことだと思いますけれども、本質的には登録ということになるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/22
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023・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 確かに台帳にかわる機能で台帳の登録的な機能も持つというのが表示の登記の本来の効力だと思うのでございますが、建物保護法の解釈としましては、表示の登記だけでも足りるという解釈が建物保護法の立法の趣旨から言いまして合理的な解釈ではなかろうかというふうに私どもは考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/23
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024・稲葉誠一
○稲葉誠一君 建物保護法は、やはり日本の現状に照らして借地権者をできるだけ保護したい。ことに不動産の借地権の登記というのはあまりないのじゃないですか、日本では。これは地主の承諾が要るわけでしょう。実際どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/24
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025・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 仰せのとおり、土地の賃借権の登記というのは非常に少のうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/25
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026・稲葉誠一
○稲葉誠一君 少ないのはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/26
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027・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは登記請求権がないという法律的にそういう理論的な原因のほかに、借地上に建物を持っている人も、自分が住んでおります限りは別に登記をしなくてもどうということはありません関係で、建物の保存登記自体はなかなかされない。何かそれを抵当に金を借りるとか、あるいはそれを第三者に売るというようなときになってまあ登記をするというのが実情なんでございまして、ましていわんや賃借権そのものにつきましては、地主の承諾なくしては登記ができません関係もございまして、これは非常に少ないのが実情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/27
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028・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その一元化は、どういうふうに行なわれているのですか。これはブロックごとに分けて順々にやっていくのですか。あれはどういうふうにやっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/28
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029・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは、前回も申し上げましたように、非常に膨大な事務量になりますので、十年計画でやる。土地・建物の総筆数・個数を大体十等分いたしまして、それを全国的に適当な法務局なら法務局、あるいは支局、出張所を選びまして全国的に実施をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/29
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030・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それに対する費用というのは、どういうふうな根拠で要求しているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/30
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031・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは、一番最初にこの全体の仕事を完成するに必要な経費というものを総経費を出しまして、そしてそれを毎年十年に分けましてやるわけでございますが、ただ、具体的には、たとえば賃金の単価が上がるとか、用紙代が上がるとかいうようなことで、大体の目安は最初立てましたのに従いますけれども、毎年若干ずつふえていくという傾向になるわけでございます。平均いたしますと、総額は二億七千万前後になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/31
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032・稲葉誠一
○稲葉誠一君 最初は総額で二十一億くらいじゃなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/32
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033・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 最初はたしか総計は二十五億というふうな計算だったと思います。ただ、ただいま申し上げましたように、賃金の単価が年々上がったり、あるいは用紙代が上がったりというようなことで、毎年少しずつふえていく状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/33
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034・稲葉誠一
○稲葉誠一君 百一条の改正というところで、「判決又は収用により直ちに所有権保存の登記の申請をする場合」というのがありますね。判決によってやる場合の判決主文の書き方ですね。判決の主文の書き方が悪くて、判決は確定したけれども、登記所に行くと、こんな主文ではだめだといって突き返されることがあるんです。ことに、判決じゃなくて調停や和解でやる場合があるでしょう。そういう場合に法務局とあれして突き返される場合があるんですけれども、どういうふうな主文がいいわけですか。そんなことを聞くのはおかしいのですけれども、実際問題としてずいぶんあるんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/34
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035・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) この百一条の二項で規定いたしておりますのは、不動産の表示の登記のない不動産についての場合でございますが、そうでない一般的の場合で、せっかくもらった判決を持って登記の申請をしたら受け付けてもらえない。よくございます例は、不動産の表示が間違っている、あるいは登記義務者の表示が、訴訟でいきますと被告になっておる人の表示が、登記簿に載っておりますところの登記義務者の表示と違っておる、そういうようなことで受け付けられないというようなことが多いのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/35
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036・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その主文はどういう書き方をするのが一番正しいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/36
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037・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 主文それ自体はあまり問題はないので、被告は原告に対しこれこれの不動産について売買を許可するから、所有権の移転登記をせよ、そういうような主文でいいわけです。主文の表現自体がどうということよりも、むしろよくあります例は、不動産の表示が違いますとか、あるいは登記名義人の登記と登記簿の記載と合っていない、そういう場合が多いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/37
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038・稲葉誠一
○稲葉誠一君 調停の場合とか和解の場合、よくその主文がいけないとか−調停だから主文はありませんけれども、調停条項でいけないとかいって登記所から突き返される場合があるわけですね。これは裁判所のほうと法務局との間でよく意見が違ったり対立したりして、裁判所の判事がしようがなくて一々法務局に電話をかけてどういう主文にしたらいいかなどと聞いておる場合があるんです。これは質問じゃないですけれども、そういうことがあるんです。
それから共同担保の問題に入るのですけれども、その前にちょっと九十条の改正のところで、土地の一部が河川の敷地になったようなことによる土地の登記の抹消というのがありますね。河川敷の場合は全部嘱託でやるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/38
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039・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/39
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040・稲葉誠一
○稲葉誠一君 河川敷が実際には流れてしまってなくなってしまったというような場合が相当あるわけですね。こういうような場合も全部嘱託がなくちゃやれないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/40
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041・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 河川敷となった場合には、これは河川の管理官庁から常に嘱託をするということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/41
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042・稲葉誠一
○稲葉誠一君 「共同担保目録の制度を改善すること」というのが、どうもここにあるのを読んでみてもごたごたしてよくわからないのですが、どういう点が合理化なんですか。どういう点が簡素化なんですか。これは合理化と簡素化と分けているのですか。全体を一本にしてこうだという意味なのですか。ここがよくわからないんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/42
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043・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 現行法におきましては、不動産を共同担保にします場合に、不動産が五個以上の場合は共同担保目録をつけまして、共同担保目録を見ればこれだけの不動産がこの債権の共同担保になっているということがわかるわけであります。ところが、五個未満でありますと、四個以下の場合は、一々登記簿に——たとえば甲という不動産、それに乙丙丁と四つの不動産が共同担保になっていますと、甲不動産の登記用紙には乙丙丁という不動産の表示をしまして、甲の不動産とともに担保の目的になっている乙丙丁を表示しなければならない。ところが、乙不動産の登記用紙には、さらに甲丙丁の不動産を表示しまして、甲丙丁とともに担保の目的となっている。それを丙の不動産の登記の用紙につきましても丁の不動産の登記の用紙につきましても一々書かなければならないということになるわけでありまして、非常に手数が要るわけであります。ところが、現行法では、五個以上の場合は、共同担保目録で全部共同担保関係がわかりまするので、各不動産の登記用紙には、たとえば甲不動産については共同担保目録記載の物件とともに担保目的になっていると、それだけの記載で済むことになるわけであります。
でありますから、現行法の五個以上というのをやめまして、共同担保の場合には常に共同担保目録をつけて登記の申請もするし、その共同担保目録の提出がありますと、これは登記用紙の一部になりますので、常に共同担保関係の場合には登記簿の記載は共同担保は共同担保目録記載のとおりということで済んでしまうわけであります。これは非常に登記所の手数も省けますし、また申請人にとりましてもそれが便利になるというふうに考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/43
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044・稲葉誠一
○稲葉誠一君 共同担保の目的である不動産が法務局の管轄で分かれる場合があるのじゃないですか。たとえば、東京の不動産と神奈川県の不動産と一緒に共同担保目録として抵当権を設定する場合があるんですね。そういう場合はどうするのですか。抵当権者は、申請する場合に両方やるわけですか、東京と神奈川の両方に出すのですか。申請はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/44
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045・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これはそういう例はよくあるわけでございまして、現行法のもとにおきましても、やはり他管の不動産と共同担保の関係にあります場合には、全部で五個以上であれば共同担保目録を出しますし、五個未満でありますれば一々やはり他管の不動産の場合はその不動産を表示しまして共同担保だということを書くことになるわけであります。今度の改正では、他管の場合も同じことでございまして、合わせて共同担保の関係にある場合は常に共同担保目録を出す。他管のものもその目録の中に一緒に書いてやるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/45
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046・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それはわかるのですけれども、抵当権の申請なんかする場合に、あれですか、たとえば東京へもする、神奈川へもする、両方やるようになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/46
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047・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これはどうしてもそういうふうになります。共同担保関係にある不動産が東京と神奈川に分かれていますれば、東京にある不動産につきましては東京の登記所に、神奈川にある不動産については神奈川の登記所に、これはどうしてもそうならざるを得ないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/47
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048・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それを東京なら東京だけやって、あとは法務局のほうで嘱託かなんかやって神奈川に登記する、そういうような形はとれないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/48
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049・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) それも考えられるわけでございますが、たとえば東京の登記所に神奈川にある神奈川の登記所の所管の不動産について一緒に登記の申請ができるということにしますと、こちらのほうでは、神奈川にある不動産については登記簿も何もないわけでありますから、はたしてその登記が適法なものかどうかということの調査はできない。どうしてもやはり登記の管轄というのは規則は厳重に守りませんと、適法な登記が間違いなくできるということが保証できないわけであります。その関係で、不動産登記法の第四十九条では、管轄に属さない不動産について登記の申請がありますと、それは却下しなければならないということになるわけでありまして、登記所の管轄というものがございます以上は、それはやむを得ないと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/49
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050・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それは、管轄をやかましく言うのはそれなりに理由があると思うんですけれども、いまの例で、神奈川の法務局に適法に登記がされているかどうかわからないというのはそれはおかしいので、その登記簿の謄本をとれば、ちゃんと認証してあるのですから、それを持って来れば、権利の設定がされているんじゃないですか。それでは理由にならないんじゃないですか。手続的にめんどうだとかなんとかいう理屈なら別ですけれども、何か便法はないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/50
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051・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 謄本なんかとってきてやればわかるといえばわかるのでありますが、謄本をとるにはやはりその登記所に普通行くわけでございますので、その際に登記の申請もするというのが筋だろうと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/51
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052・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それは、登記簿の謄本は郵便で申請すればとれるんです。まあそれはいいんですが、ここに書いてある「民法第三九二条の規定の適用又は準用」、これはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/52
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053・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは三百九十二条は共同担保関係の場合の法律関係で、御承知のとおりの規定でございます。立木とか財団だとかその他の不動産とみなされるそういう財産権につきまして三百九十二条の規定がやはり準用になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/53
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054・稲葉誠一
○稲葉誠一君 九十六条ノ二の改正のところで、「本条第一項の改正は、区分所有の目的でない建物の区分の登記をする場合において、」と、こういうふうにありますね、これはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/54
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055・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) いまの御質問の、九十六条ノ二の改正条文の逐条説明の「区分所有の目的でない建物の区分の登記をする場合」と申しますのは、一個の建物がございまして、それがたとえば中に壁で仕切りがしてありまして二個の建物としてもそれぞれ建物としての効用を果たすという場合に、一戸建ての建物を二個に分ける、そういう場合が区分であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/55
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056・稲葉誠一
○稲葉誠一君 アパートの一室なんかを自分の所有権としてそれを登記することはできないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/56
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057・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) まあ本格的なアパートでありますと、それはできるわけであります。建物の区分所有等に関する法律のいわゆる区分所有権の対象になると考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/57
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058・稲葉誠一
○稲葉誠一君 本格的なアパートというのはどういうのですか。本格的でないアパートがあるのかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/58
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059・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 最近ではあまりそういうのはないかもしれませんが、アパートとは名ばかりで、その部屋自体では独立して建物としての効用を果たさない、ベニヤ板なんかで簡単な仕切りなんかしてあるというようなのでございますと、これはちょっと区分所有の目的ということにはなりかねると思いますが、最近建っておりますああいうりっぱなアパートになりますと、これは当然区分所有の目的となると考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/59
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060・稲葉誠一
○稲葉誠一君 建物というか「不動産の分割又は区分により」云々とありますが、分割と区分というのはどういうふうに違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/60
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061・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは、建物の分割と申しますのは、主たる建物と付属建物とあります場合に、付属建物を独立させまして付属建物を分離してそれを主たる建物にするとか、あるいはその付属建物をほかの建物の付属建物にするという場合に分割と言うわけであります。
区分といいますのは、区分所有権の場合のその区分、一棟の建物を区分して区分所有権の対象にする場合を区分と申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/61
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062・稲葉誠一
○稲葉誠一君 「登記官吏が職権で分筆の登記をする」と、こういうふうにありますね、「法律案説明」で。それで、登記官吏が職権で登記できるというのはどういう場合があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/62
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063・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは不動産登記法の八十一条ノ二の第三項に規定がございまして、「一筆ノ土地ノ一部ガ別地目ト為リ又ハ地番地域ヲ異ニスルニ至リタルトキ」、たとえば畑であったものの一部が宅地になるとか、あるいは地番区域が違ってくる——何丁目何番地というふうに何丁目の何番といっておりますその何丁目の丁界、大字界が変更になったりしますと、変更といいますか一筆の土地のまん中を通りまして新しく大字の境界が設けられるということになりますと、これは地番区域が異なってまいりますので、その場合には、当事者の申請があればよろしいのでございますけれども、申請がない場合は職権で分筆の登記を登記所にしなければならない。実際問題として多くの場合に所有者から申請がある場合が多いのでありますけれども、たまにはこういうことがあり得るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/63
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064・稲葉誠一
○稲葉誠一君 登記官吏が職権でやるというのは、例外中の例外になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/64
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065・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは現行の台帳関係と表示の登記の関係におきましては職権でもできるというたてまえでございますが、なかなか実際問題としてはこれは職権でとは申しましても、これを実際に行なう場合はきわめてまれでありまして、大部分の場合は所有者の申請に基づいて行なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/65
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066・稲葉誠一
○稲葉誠一君 「不動産の合併の場合の所有権の登記の簡明化」というのが説明が書いてあるのですが、いままでのやり方と今度のやり方とでは、具体的にどういうふうに違うんですか、ちょっとよくわからないところがあるんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/66
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067・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) たとえば土地について申し上げますと、甲乙丙丁戊という五筆の土地があると仮定しまして、乙丙丁戊の四筆の土地を甲の土地に合併するということになりますと、甲の土地の登記簿がございまして、最初に表題部があって、それから甲区、乙区というふうにございますが、その甲区に所有権に関する事項が記載されているわけでございますが、甲の土地の甲区の所有権に関する事項を記載する個所に、乙丙丁戊の各不動産の所有権に関する登記事項を全部そこに移さなくちゃならぬことになるわけであります。それが非常に手数がかかるわけでございまして、最近の例におきましては、ことに都市の郊外地なんかで宅地造成が行なわれます場合に、多数の土地を合併いたしまして、さらにそれを区画を整地いたしましてそしてそれを分筆をして譲渡する、分譲というようなことが行なわれております。現在の取り扱いでいきますと、まず、合併した場合に、各不動産の所有権に関する登記事項をある一つの不動産に集中しまして全部これを移してまいりまして、それをまた分筆いたしますときには、そのずらりと並んだ所有権の登記事項というものが分筆された個々の不動産にずっとついていくことになるわけであります。でありますから、各不動産の甲区の所有権に関する登記事項は、実に長くなりまして、場合によりましては登記簿の二枚にも三枚にもわたるという膨大なものが出てくる。あまり実益がないそういう所有権に関する登記事項が、非常に長いものが出てくるのでございます。以前でございますと、そういう大規模な宅地造成とか、工場団地をつくるとかいうようなことがあまりございませんでした関係で、そうたいした手数でもなかったのでございますが、最近ではそれが非常に大きな手数になっております。
そこで、この改正案におきましては、その場合には一々合併の対象になりました個々の不動産の所有権に関する登記事項を移してくるということをやめまして、合併によって何某のために所有権の登記をする——ちょうど所有権の保存の登記をする場合と同じような単一の所有権の登記をしようというのがこの改正案のねらいでございます。それによって十分合併の登記の目的を達するというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/67
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068・稲葉誠一
○稲葉誠一君 不動産登記をする場合に、法務局に納める印紙ね、あれはどういう性質のもので、どういう基準に従って納めることになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/68
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069・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 登録税は、登記することによりまして不動産物権の第三者対抗要件が備わるわけでございまして、登記の申請をした者がそれによって利益を受ける、まあ何らかの国の行為によって利益を受けるという場合には税を納めるというのがこれは税法の根本の建前だろうと思うのでございますが、なおそのほかに、やはり手数料的な点も多少加味されているのじゃないか。まあしかし、根本はやはりこれによって利益を受ける、その利益の程度に応じてこれを税金として徴収するというのが、登録税法の建前だと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/69
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070・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その場合、売買価格などを基準にして登録税をかけるわけでしょう。すると、売買価格の算定なんかどうやってやっているんですか。どうもあれが、何といいますかね、あまり基準なしにやっているのじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/70
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071・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは現実の売買価格ではございませんで、その不動産の評価をいたしまして、実際の取引価格じゃございませんで、不動産の評価を基礎にいたすわけでございますが、その評価も、多くの登記所は大体固定資産税の評価を基準にいたしております。ただ、固定資産税の評価は、御承知のとおり必ずしもこれは全国的に基準が一致しておりませんので、かなりでこぼこがあるわけでございます。でありますから、この評価が適正でないと思います場合には、多少これを修正いたしまして適正になるようにということで修正した価格というものを登記所で持っておりまして、それを基準にしてやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/71
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072・稲葉誠一
○稲葉誠一君 まあそのことはまた別の機会に聞きます。それに関連して税通の問題がありますね。税務署に通報する問題があるでしょう。これはいま亀田さんから質問がありますから、私はきょうはしませんけれども、その場合に、あれですか、それはやはり不動産登録税と、こう言うわけでしょう。登記なんだけれども、登記税とは言わないで、登録税と言っているのは、登記という概念はやはり登録という概念の中に入ってくるのですか。そういう考え方なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/72
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073・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 御承知のとおり、登録税法にはいろいろ入っておりまして、不動産登記でございますとか商業法人の登記は、これは登記でございます。そのほか、鉱業権の登録だとか、そういう登録と呼ばれておるものも入るわけでございまして、それを総称して登録税と、こう言っておるのだろうと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/73
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074・稲葉誠一
○稲葉誠一君 だから、広い意味で言うと登録に入るんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/74
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075・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) そこは、登録税法各個の内容を見ますと、登記税に相当するものもあるわけでございます。ただ名称を登録税法と言っておるのかとも思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/75
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076・後藤義隆
○後藤義隆君 ちょっと民事局長にお聞きしますが、不動産の表示の登記をすれば建物保護法の登記ある建物ということに認められるということをさっきあなたは答弁されたわけですがね。ところが、それは裁判所もそれを認めておりますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/76
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077・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これはまあ私どもはそう解すべきではないか、解すべきであろうというふうに思っておりますが、まだ裁判所の判例は私ども承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/77
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078・稲葉誠一
○稲葉誠一君 判例がないのはこの前聞いたのですけれども、法務省が登記に関してそういう解釈をとっているのなら、これはやはり裁判所との間で十分打ち合わせをしてそれを徹底させたほうがいいのじゃないでしょうかね。私は何かあまりその点は徹底していないように考えるんですがね。そういう点はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/78
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079・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) まあこれは稲葉委員に申し上げるまでもないのですが、裁判官はそれぞれ個々独立でございまして、たとえば最高裁判所の事務当局と私どもと打ち合わせましても、それが個々の裁判官を拘束するわけでもありませんし、これは今後の判例にまつよりほかないと思うのでございますが、先ほども申し上げましたように、建物保護法の精神からいきまして、いやしくも現場に建物がある。それから、建物があるだけでは所有者がだれであるかということはすぐわかりませんが、表示の登記におきましても、これはまだ保存登記がされておりませんでも、所有者の登記はあるわけでございます。この建物がだれのものかということはわかるわけでございます。で、建物保護法の精神からいきますと、当然そう解釈するのが正しい解釈ではないかということで、法務省といたしましては表示の登記だけで足りるという解釈をとっておるわけであります。この解釈は、私どもの考えでは裁判所のほうでもおそらくこれを認めてもらえるだろうというふうに信じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/79
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080・稲葉誠一
○稲葉誠一君 建物の所有者はだれであるかということは表示の登記でわかるんだと、だから建物保護法の登記の中に入れていいのだということなら、これは建物台帳法で結局同じ目的を達するんですから、しかもそれが一元化が非常におくれておるというか、初め私ども五年間の計画だと聞いていたんですが、十年計画になったということになれば、おくれるために一般の人が非常に不利をこうむる危険性があるわけですから、その点はもっと考えてくれなきゃいけないんじゃないですか。同時に、一元化ということをもっと早く予算を取るなら取ってやるようにしなければいかんと思うんですがね。これは私のほうの要望ですけれども、前々から話していますからおわかり願えることだと思うんです。私はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/80
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081・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 亀田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/81
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082・亀田得治
○亀田得治君 不動産登記法の一部改正に関して若干お尋ねをしたいと思います。
稲葉委員はじめ非常に詳細に御質問があったはずでありますので、税通関係と登記所の統廃合の問題につきまして少しお尋ねをするつもりです。
その前に、これもすでにこまかな質疑があったと思いますが、しかし、基本的に重要なことですから、かたがた大臣もお越しになっておりますので、重ねてお伺いするわけですが、最近登記事件というものが年々非常にふえてきているわけですが、しかし、その関係の職員はたいしてふえない。増員されないわけです、結果において。現在すでに相当負担過重になっておるわけでして、こんな調子で行ったんでは登記関係の仕事というものがそのうち非常な危機的な状態に突っ込んでいくんじゃないかという感じがしておるわけであります。こまかいことを言うんじゃないですが、大まかに見てその点ひとつもう一度どういうふうな考え方を持っておるのか、お聞きをしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/82
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083・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 登記事務の実情は、ただいま亀田委員の仰せられますとおりなのでございまして、最近における非常な登記事件増と人員の不足、かてて加えまして登記所の施設が非常に貧弱であるという関係におきまして、これは大都市においてでありますが、登記の処理が一週間あるいは十日もおくれるというので、非常に憂慮すべき状態にあるのであります。登記は、本来即日登記されてこそ登記の効用を全うするわけでございまして、一週間も十日もおくれるということはまことに私どもゆゆしいことだと思っておるわけでございます。
一日も早くこういう事態を解消したいということにおきまして、職員の相当数の増加と、それから施設の改善、それから事務能率をさらに向上させますために最近の事務機械やなんかを入れまして、すみやかにこういう状態を解消したいとせっかく努力をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/83
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084・亀田得治
○亀田得治君 こういう状態をきちんと解決するには、なかなか部分的にやってもいかんわけですね。人だけふやしてもだめだ。人が入るところがないわけですね、現状では。だから、物的な関係、人的な関係、双方に手をつけなければいかんわけなんです。そうなりますと、どうしても年次計画的なものをちゃんと持って、そうして社会の需要にこたえることができるようなものをつくらぬといかん。近ごろは、道路でも、河川の改修にしたって、みんな年次計画というものを立ててやるわけでしてね。これほどいろんな不動産関係の移動等が激しくなるということを考えますと、ぜひいまのうちにそのことをやりませんと、破産状態になる心配があるわけですね。これはなかなか民事局長だけ張り切ってもできないわけでして、大臣がその気になって、そうして政府全体がそのことを認識してもらって取っ組むということでなければ進まぬと思うのですね。そういう意味で、大臣のこの問題に対する所見をお伺いしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/84
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085・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) いまの御質問の趣旨は、御同感の点が非常に私も多いのでありまして、登記事務の正確迅速を期するために大いに努力する方面がたくさんなくちゃならぬ。今回の御審議を願います法律案も、その一環をなすわけでございます。事務を正確を欠かんで簡素化できるものは十分に簡素化していく。それから物的設備のうちのいろいろなそのための用具とか器具と申しますか、こういうものはこの方面には大いにそれで簡素化するというウエートが比較的少ないかもしれませんが、これにも尽力いたすわけでございます。それから結局人手が足りないということが大きな理由かと思います。その意味におきまして、近来たいがい毎年二百名定員を増加しておりますが、決して十分とは思っておりません。ただ、ほかのいろんな国の行政上の仕事、こういうものに対しまして、必要の増員の権衡とかいろいろな点から申しますと、決して十分ではございませんが、ある程度にはその権衡論からいけば財務当局でも相当な努力をいたしておるようでございますから、なおこの点につきましては努力を重ねてまいりたいと思います。
ただ、電話とかあるいは特許事務のような過去の停滞件数が非常に多くてこれを何年間に解消するというふうな意味の年次計画は割合にいま必要は少ないかと思いますが、将来の増加趨勢をどう見てまいりますか、これも予測は困難でございますが、人員の増加をもう少し早いピッチでやらなくちゃならぬじゃないかというふうに考えまして、今後もそれについて努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/85
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086・亀田得治
○亀田得治君 いま大臣からも前向きの御答弁がありましたが、問題点が二つ私感じたわけですが、一つは、物的関係の強化というものは、機械器具だけじゃないので、むしろ建物ですね、これが非常に狭隘なんです、どこでも。税通問題なんかでも、ああいうものが起こるのも一つは私はそういうところから来ておると思う。これはいま言うて来年に全部解決といったようなわけにとてもいかんわけでしてね。そういう意味では、やはりきちんと年次計画というものを立ててもらいたいと思うのです。国民の大事な権利書をしまっておくとこなんですから、あまり見すぼらしいところにあると、どうも何か信頼度が、それだけで薄れるというわけじゃありませんが、やはりものごとは限度がありますから、外観だけでなしに、現在問題になっているのは具体的にスペースが少ない、人が働くところが。だから、ぜひこれはひとつ年次計画的なものを立ててほしい。裁判所のように事件がたまっていてそれを解消するのにどうするかといったようなそういう問題は登記にはない。しかし、いま民事局長がおっしゃったように、登記はその日のうちにやらなければ非常な不便なわけなんですから、その日のうちに済ますのが原則なんですね。しかし、一週間なり十日なり延びるというのがあるというようなことを解消しようと思いますと、これはやはり年次計画が人的物的関係でそろってこぬと、そうならないんですよ、どうしても。登記で一日おくれているというやつは、裁判の遅延なんかに比較すれば、二ヵ月三ヵ月の遅延に匹敵するのじゃないかと思うんです。わずか十日ぐらいといいますが、登記の場合の十日といったらたいへんなものです。だから、そういう認識でひとつ何とか計画を持ってほしいですね。大蔵省でも、たとえば道路というようなことになると、現実に道路をつくって皆がそこを走って歩いて便利だということがぴんと来るもんだから、わりあい取っ組みやすいのかもしれぬが、その道路のもとは土地なんでして、しかし、そういうことは書類の上だけのことだから、案外軽く考えている。これは非常にいかんと思うんです。だから、ぜひ計画を持ってほしいんです。民事局長のほうで何かそういう計画の草案といいますか、そういうふうなものがあれば、ひとつ私案でもけっこうですから、こういうふうに考えているというふうなことがあったら、意見を参考にこの際聞かしてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/86
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087・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 登記所の施設の現状、これまた亀田委員の仰せられるとおりでございまして、中にはほんとうに破産状態に瀕しておる登記所がかなりございます。東京都内にもございます。大阪の市内にもございます。各地にございます。非常に頭痛の種になっておるわけでございますが、ただ何ぶんにも登記所の施設が全国に散在しておりまして、総数約千九百なのでございます。その大部分が明治、大正時代に建ったという古い施設が非常に圧倒的に多うございます関係で、私どもとしましても、年次計画を立てまして大量の改築なり増築なんかできると非常にいいと思うのでございますが、遺憾ながら現状はそうはいきませんので、ほんとうにひどいものから逐次にということでやっていかざるを得ない現状で、毎年の予算の現状を見ますと、二十から三十庁ぐらいにつきまして改築の予算が入るというような現状でございます。どうも年次計画を立てるというのにはほど遠い現状なのでございまして、私どもといたしましてはこういうことではいけないと思いながらも、私どもの努力の不足のせいかとも思うのでございますけれども、まだ年次計画まで立てるに至っていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/87
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088・亀田得治
○亀田得治君 それは、担当の民事局長が年次計画の案を持っておらんようでは、なかなか大臣のほうも推進のてこがないわけでして、やはり考えてほしいと思うんです。登記関係というものの責任がこれでは持てないというふうな突っ込んだ立場に立って、職を賭してひとつこの問題は追求してほしい。これは要望しておきます。
ことしの増員がなるほど二百名ありますが、しかしながら、法務省の計算どおりにいきましても、一人当たりの負担量が昨年よりもふえるわけですね、二百名増員になっても。現在すでに過重になって問題が起きているのに、さらに負担がふえるわけなんです。甲と乙とのバランスのとり方をもう少しきびしくやれば、もっと負担がふえる計算が出るのかもしれません。そういう点は別にして、法務省の皆さんの計算どおりにいったって、負担過重で困っている。その負担がさらにふえるわけです。私は来年度のことについては、もう質疑の最終でもありますから触れません。そういうことよりも、抜本的にこの問題と取り組む、そういうことをここで要求しておきます。
そこで、それが一番集中的にあらわれるのは、年次休暇の問題だと思いますが、登記関係の人が年次休暇をとるのは非常に少ないように聞いているわけですが、実情はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/88
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089・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 年次休暇は、御承知のとおり、規定上は年間二十日ということになっているのでございますが、私どものほうで調べまして、約一万人近くの法務局の職員がいるわけでございますが、全国平均いたしまして七日前後の計算でございます。さらにこれをこまかく申し上げますと、これは全国的な調査の例がないのでございますが、仙台の法務局におきまして実地の調査をした結果がございますが、法務局の本局の職員は平均いたしまして年間十日でございます。支局の職員は年間十二日、それから出張所の職員は三日という数字が出ております。
出張所が非常にこういうふうに休暇の日数が少なくなりますのは、どうしても職員が一人とか二人とかという小さい出張所が多うございます関係で、所長が休みますと、ほかの本局なり支局なりから代理をその日は出さなければいかんというふうなことになります関係で、出張所勤務の職員は、非常に気の毒なのでございますが、どうしても休暇がとりにくい。大出張所でございますと、かわりがおりますのでいいのでございますけれども、職員が一人二人ということになりますと、どうも実際問題として休暇がとれない。そういうことで、出張所につきましては年間平均三日しか休めないというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/89
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090・亀田得治
○亀田得治君 一般の国家公務員に比較してどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/90
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091・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 一般の公務員のはちょっと私平均の数字を知らないのでございますが、おそらく年次休暇の日数はそれより少ないのではないかと考えます。たとえば本省なんかと比較いたしますと、法務省本省では、とても一人七日というようなことじゃないと思います。もっと多いと思います。十日あるいは二週間前後の平均しますと年次休暇をとっているのじゃないかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/91
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092・亀田得治
○亀田得治君 これは一例だけその点を申し上げたわけでして、これは一事が万事でありまして、先ほどのような趣旨でひとつ前向きで考えていただきたいと思います。
それから次に本論として税通問題に入るわけですが、昨年昭和三十八年度の税通をやられるときにも私たちここで若干質疑をしたわけですが、しかし、その際にはすでに三十八年の年度に入っていたときでもありまして、多少質疑の時期がおそかったというふうにもあとから私たち感じておるわけですが、しかし、そのときにも、ともかく三十八年度はいま話し合っているようなことでやります、しかし三十九年度についてはよく検討しますと、こういう趣旨のお話を承っておったわけです。
そこで、まだ来年度までには相当日数があるわけでして、すでにいろいろ考えておられると思うのですが、一体三十九年度についてはどういうふうにされようとしておるのか。こちらの気持としては、登記関係職員がこれだけ負担増で困っておるのだから、そんな余分な仕事などを無理やりにやらすということは少し酷じゃないかというふうな立場でおるわけなんです。そこで、昨年の約束もありまするので、ひとつお尋ねをしたいというわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/92
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093・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 国の税務署に対する不動産の所有権の移転の通知は、ただいまお話しのように、三十八年度現在やっているわけでございます。三十九年度につきましても、実は国税庁のほうから本年度と同様引き続きやってもらいたいという要請がございます。私どものほうでは、目下検討をいたしております。まだ最終的に結論は出ておりませんけれども、いまこれを検討いたしておる段階でございます。検討の結果が出ましたならば、大臣に申し上げまして御決裁をいただきたいと考えておるのでございます。まだ、私どもの手元で検討をしておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/93
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094・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、まだやるともやらんともきまっておらんわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/94
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095・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) まだやるともやらないともきまっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/95
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096・亀田得治
○亀田得治君 私も、質問を始める前に、また聞きじゃいかんと思いまして、それにタッチしておる人たちの気持というものを少し聞いて回ったわけですけれども、どこでもきらっているですね。それから実際に仕事をされる人だけじゃなしに、法務局の責任者のような立場の人も、まあ上から言うてくると、法務局長などという立場があるものですから、なかなか民事局長にたてついてというふうなわけにもこれはいかんのでしょうが、腹の中では、職場の現状を知っておるものですから、忙しくやっておるのにそこへまたこの仕事をやれというのはどうもかわいそうだというふうな、どうも実際の腹はあまり積極的じゃない、そういうふうな感じをしているわけですがね。そういう点はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/96
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097・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) ただいま仰せのように、税務署に対する通知につきましては、一部の職員から苦情がございます。私どもも、現実に苦情を聞いて、そういう声のあること、また、それも無理からぬものがあることも重々承知いたしております。
ただ、実情を申し上げますと、不動産の移転がありました場合に登記所から通知をいたしますのは、実は国の税務署だけではなくて、固定資産税、不動産取得税の関係でもちまして市町村にも通知することになっておるわけでございます。これは戦前からこういう通知がなされておったのでございまして、固定資産税、昔は地租家屋税でございますか、その固定資産税の所管庁に対する通知が、これは戦前から行なわれておったのでございます。戦前並びに台帳が税務署から法務局に移管されます以前は、登記所から税務署に対してこの通知をしておりまして、固定資産税が地方税として市町村に移管になりましてからは、これは市町村に通知する。これは現行地方税法にその規定が残ってずっと義務的に登記所の義務になってやっておるわけでございます。実情を申し上げますと、これがずっと戦前から引き続きの仕事でありますために、予算がなかなかこれは入らないのでございます。現在市町村に対する通知の関係で入っております予算は、わずかに用紙代五、六十万円なのでございます。
ところが、いわゆる税務署に対する通知は、昭和三十六年から国家機関相互間の協力ということで始めたのでございますが、市町村に対する通知と全く同一の内容のものなのでございます。全く同一のものを通知いたしますわけで、この通知書の様式なんかもいろいろ工夫をいたしまして、市町村に対する通知書をもう一通同じ内容のものをつくればいい、複写紙を使いまして二通つくるということでもって同じものをつくるということで、できるだけ税務署に対する通知をするために余分の手数にならないように、実質的に市町村に対する通知と同時に、そのために特別の手数を要しないでということでいろいろ工夫し改善をいたしまして税務署に対する通知をやっておるわけでございます。
法務局の職員が一部に苦情がありますのは、国の税務署に対する通知だけではございませんで、実は根本を申しますと、市町村に対する通知が実は非常に負担なのでございます。私どもといたしましても、予算の改善ということを強く必要を感じまして財政当局には要望いたしておるのでございますが、これは戦前から行なっておる仕事であります関係で、なかなか予算の増額ということができないのでございます。そこで、国の税務署に対する通知を国税庁との協力関係ということで行なうようになりまして、国税庁のほうで相当の予算はみると——私どものほうでは法務局の現状にかんがみまして相当の予算を分けてもらう交渉を実はいたしまして、三十八年度におきましては国税庁のほうから総額約千二百万円の予算を分けてもらったのでございます。これは予算執行の形式上は支出委任という形をとっておりますが、ざっくばらんに申し上げますと、国税庁に入っておる予算を千二百万円分けてもらって実は三十八年度におきましては通知を実施してきたわけでございます。この千二百万円というものは、国税庁に対する通知だけに使われるのではなくて、むしろ本体は、市町村に対する通知が予算では五、六十万円しか見ておりませんで、それが非常に実情に合わない予算でございますために、市町村に対する通知をこれでカバーしておるという、ざっくばらんに申し上げますと、そういう実情なのでございます。
そこで、三十九年度も国税庁のほうではぜひ協力してもらいたいという要請がすでにございます。これは国家機関相互間の協力ということで、もし可能なら法務局としては当然協力すべき筋合いのものでございますが、やはり何と申しましても法務局の非常に事務繁忙の現状でございますので、できる限り国税庁のほうから予算を見てもらう。まあ国税庁に入った予算を頼りにするようで、はなはだ情けないことではございますけれども、できる限り国税庁のほうでその予算面において援助をしてもらう。そういう関係で、一体国税庁のほうからどのくらい援助がいただけるかということで目下折衝をしておるわけでございます。これでどうしてもカバーができない、そういうことではどうもだめだということになりますれば、これは三十九年度はやめるということになりますけれども、国税庁のほうで相当の措置をしてくれるということになりますれば、三十九年度もまた三十八年度と同様にやるということになろうかと思うのでございます。
いずれにしましても、私どもとしましては、法務局の事務の現状というものに立脚いたしまして、現実的に考えていきたいというふうに思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/97
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098・亀田得治
○亀田得治君 市町村に対する通知を一枚書くのも複写で二枚書くのもたいして違わんじゃないかというふうに言われますけれども、私も最初はそういう感じもして、実際にやっておる人にそう言うたことがあるんですが、それがまた非常に違うらしいんですね、一枚と二枚では。事務がそれほど混んでおらぬ場合はいいですけれども、そうでない状態、飽和状態にあるときに、一枚だけさっさとペンで書いていけばいいのと、複写で特に書いてそしてさらにそれを仕分けをして間違わんようにするというのは、そう先生が言うように簡単なものじゃないですよと。まあそう言われてみれば、やはりそうかもしれぬと思いますね。こっちが忙しい勉強でもしているときにちょっと子供でも横から要らぬことを言うと、普通ならば何でもないことがびんとくるようなものでして、だから飽和状態にあるということを前提にしてやはり考えてやらんといかんと思うんですね。手がすいているなら、そんなことはたいした問題じゃなかろう、ざっくばらんにそう思うんです。そうでないところに問題がある。それは民事局長もよくご存じでしょう。
そこで、これもわかり切ったことですが、ちょっと確かめておきたいわけですが、この仕事は本来はやはり国税庁の仕事だということは、法務当局も国税当局もその点は確認しているわけでしょう。協力するせぬという問題は別にして、本来は国税庁が取る税金の資料なんですから、国税庁の仕事だ、これははっきりしているんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/98
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099・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは徴税の資料になるわけでございますので、あくまでもこれは仰せのとおり国税庁の所管の仕事であるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/99
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100・亀田得治
○亀田得治君 そこで、そういう税通がなされておるわけですが、実際には国税庁、税務署では何割ぐらいそれを利用しているんですか。つまり、登記所のほうは、所有権移転登記があると片っぱしから書いて送るわけですね。そのうちの何割が国税庁では課税対象になっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/100
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101・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは、国税庁としましては、要するに不動産の譲渡所得を把握する資料になるわけで、所得税の徴税資料ということになると思いますが、現実に譲渡所得があれば、これは申し上げるまでもないことでありますけれども、所得税がかかっていく。譲渡所得がない、費用を差し引けば全然ないということでかからない場合もございましょう。しかし、一応こちらから通知したことは全部向こうで資料として利用していることは当然だと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/101
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102・亀田得治
○亀田得治君 実際にその資料を使ってそして結果としてそれによって徴税していくというものは、半分ぐらいになるのじゃないですか。これはきちんと調べたものがないようですけれども、若干私も聞いてみたところ、多くて半分じゃないか、それは場所によって違うが、二、三割が普通じゃないか、多くて五割までだというふうに聞くわけですが、その点はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/102
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103・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 移転の通知でございまして、これはそういう課税の対象となる機会をこれで通知する。で、もちろんこれのみで課税ができるわけじゃございませんわけであります。あるいは実際不動産の移転がありました場合に、譲渡所得がかかっていくのは移転の総件数のあるいは二〇%とか三〇%というようなことかもしれません。私どもその点はあまり事情をつまびらかにいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/103
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104・亀田得治
○亀田得治君 免税点なりいろいろな関係でそういう数字が出てくるわけでしょうが、そうしますと、忙しいのに登記官吏の人がそういう書類をつくって送ってやっても、たいしてあまり役に立っておらぬ、そういうことも言えるわけだ。ひまならいいんだけれどもね。だから、そういう程度のものなら、税務署の人が登記所に来てそしてずっと書類を調べて、必要なやつだけをとっとっととっていく。向こうはちゃんと国税を徴収する専門家なんだから、見当で大体わかっていくわけだ。ところが、こっちのほうは国税徴収の関係じゃないのだから、だから、とにかくあちらに送るということになれば、細大漏らさずやはり送らぬといかん、自分のほうには選択権がないわけだから。だから、そういう面からみましても、どうも不合理があるように思うんですね。みんなそれが生きるのならいいけれども、半分以上死んでしまう。そういう点をもうちょっと検討してもらえぬでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/104
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105・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 税務署といたしましては、とにかく不動産の移転があったかどうかということは登記を通じて以外には知る方法がないわけでございまして、どうしてもやはり登記された不動産の移転というものを全部把握しまして、その中から一体課税の対象になるものはどれかということを調査して進めていくというわけでありまして、あらかじめ登記の関係を見ないでもって課税すべき事件というものが税務署にはわかるわけじゃないのでございます。でありますから、かりに登記所から通知しないということになりますと、税務署のほうから登記所に参りまして、登記の申請書なりあるいは登記簿を一々調べまして、全部の移転の事件というものを拾い出しまして、そしてそれを元にして個々的に調査をするということにならざるを得ないと思うのでございます。でありますから、実際問題としては、こちらでせっかく通知いたしましても、その通知された事件のうちの二割とか三割とかいうようなものしか実際には課税されないということになるかもしれぬとも思うのでございますけれども、やはり通知は全体としてこれは役に立っているということになると思うのでございます。以前でございますと、税務署から登記所に参りまして登記の申請書を調べておったのでございます。これはもうほんとうにつけたりの理由でございますけれども、ただでさえ狭い登記所の事務室に税務署から何人かやってきて申請書をひっくり返して調べられるということになりますと、狭い事務室がますます狭くなる。そういう不便もございまして、それがもちろん主たる理由じゃございませんけれども、こちらのほうで協力をいたしましょうということにもなったわけでございます。
私どもとしましては、市町村に対する通知ということがないとなれば、もちろんこういう新しい協力はいたすはずはございません。すでに市町村に対してやっているのであります。これも市町村に対する実質は協力であります。地方税法に規定はございますけれども、それは市町村の徴税の便宜のために通知をすることになっておるのでありまして、利益を受けるのは市町村でございます。これもやはり協力なのでありまして、それと全く同じ内容のものを国の税務署にも一緒に一通余分に通知書をつくって送るということでございますので、事務の負担はそのためにそうふえると——ほとんど変わりないと言っていいのでございます。そういうわけで、国の税務署に対する通知に協力することが、国家機関相互間の協力という根本的な、これは法律の明文になくても、そういう義務が国家機関相互間にあると思いますし、国の行政事務を能率的に合理的に処理していくという見地からも、そうすることが好ましいというふうに私どもは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/105
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106・亀田得治
○亀田得治君 だから、その前提になるのは、人が足らぬことと場所が狭いことなんですよ。現在その場所が狭くて困っているところへ税務署の調査員が来て調べたらよけい困るだろうというその点を一つの理由にされるわけですけれども、だから、われわれの立場から言えば、そういう状態を解消してくれと。これがつまり年次計画を立ててちゃんとしなければいかんわけです。実際は、そういう調査でほかから来るような場合には、ちゃんとした部屋くらいあてがって、そこで調べてもらえるくらいにすべきなんですよ。登記関係なんというものはいろいろなところに関係があるわけですからね。税務署だけじゃないんですよ、それは。
一般の利害関係者にしても、ともかく狭いから、しろうとが行ってちょっと調べようと思ったって、じゃま者扱いされて、そういう気持ちがあるわけじゃないけれども、狭いからどうしてもそうなっちゃうんです。だから、そういうことがいかんわけなんでして、それを直さずに、むしろそのことを理由にして今度は協力をしてやるというのは、これは、もう主客転倒なんでね。だから、そこら辺でちょっと開き直って税通というものをもう拒絶してしまうくらいの強い態度をとって、そうして大蔵省のほうでちゃんと人と建物をそろえて、こちらも余裕ができたら、そのときはまたそのときで前向きで相談しようというくらいにやらぬと、これは進まんと私は思う。同じことをいつまでも繰り返して忙しいところによけい忙しくさせるということが非常に職場全体を暗くする、そういう感じを非常に強く受けておるわけです。だから、そういう現状に局長がなれてしまっては、私はいかんと思う。
そこで、次に関連してさらにお尋ねしますが、賃金職員を昨年は税通のために六十名配置されたわけですね。その配置表は私持っておりますが、この六十名が配置されなかった登記所は、結局、税通をやったからといって、費用が少しもプラス・アルファされておらぬわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/106
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107・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) ただいま仰せの賃金の関係でございますが、総額にしまして約九百万円を国税庁から分けてもらっているのでございます。現実にこの九百万円の予算で採用しておりますのは五十九名でございます。で、人数にしますと五十九名という小人数になりましたために、繁忙庁だけをとりましても数百あるわけでありますが、登記所に全部これを配置するということはどうしても不可能でございますので、一部の事務繁忙庁に配置するということになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/107
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108・亀田得治
○亀田得治君 それで、結局、千二百万の中の九百万が人件費関係に回わった。その人員を配置されなかったところは、従来の正規の予算の中でこの仕事もこなしている、そういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/108
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109・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/109
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110・亀田得治
○亀田得治君 それはちょっと筋が通らぬのじゃないですかね。それは、人員の配置されなかったところは、配置を受けたところに比較すると、若干手がすいている場所であろうと私は思うんです。それにしても、配置されないところが大部分であるわけですね。その余分な仕事をしてもそれがちっともプラス・アルファがつかないというのは、どうもこれは不合理なように思いますが、どうなんですか。実際に配置されないところでも、相当に忙しいところがあるのではないですか。だから、そういう実際に忙しいのに五十九人ということのために人が来ぬというようなところは、非常な負担ですわね。ひまだからおまえついでにやっておけというようなところは、これはちょっと理論的な問題になりますけれどもね。そうでないところは、実際にもこれはあなた不合理じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/110
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111・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 仰せのとおりでございまして、そういう関係もございますので、三十九年度をどうするかという点につきましては、十分国税庁ともいま折衝をいたしておるわけでございます。決してこれで十分だとは私ども思っていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/111
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112・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、人員配置のないところでも若干の何かはつくわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/112
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113・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 具体的にどうなりますか、目下検討中でございますので、いまどうなるかということは申し上げることができぬわけでございますけれども、できるだけ法務局の現状に即した措置をとった上でもしやるとすればやりたいということなんでございます。そういうことでもって国税庁とも交渉をしておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/113
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114・亀田得治
○亀田得治君 まあこれは断わってもらえれば一番問題は簡単でいいわけですがね。そんなみみっちいものをぜひつけてくれという意味で言っているわけじゃないので、ただ、昨年度について五十九名では、あまりにも引き受けて実行するにしても少ないし、非常なアンバランスが出ていることを聞くものですから、申し上げたわけです。若干のものを取ってぜひ大いにやってくれという意味じゃないですから、ひとつ誤解のないように願います。
次に、登記所の統廃合の問題に移りますが、大臣に最初一言だけお聞きします。
登記所が全国に数多くあるために、法務省としてはずっと前から登記所の統廃合計画ということをやられたわけですね。逐次実行された。しかし、私はその後社会的な条件が相当違ってきておるんじゃないかと思う。というのは、いろいろな地方の経済開発なり新しい問題がその後たくさん出ておりますわね。そういう関係から、いなかだと思っていたところが案外そうではなくなる。当然、そういう問題が起きてくれば、これは不動産に関係してくるわけですね。だから、そういう条件の変化ということを考えますと、法務省が当初立てられた登記所の統廃合問題というものは、一ぺんきめたのだということでその原案にとらわれ過ぎますと、どうも不自然なところができるんじゃないかという感じがするわけです。だから、ぜひこれはひとつ社会条件がそういうふうに変わっておるなら変わっておるなりにやはり再検討するということが必要のように思っているんです。こまかいことは民事局長にお聞きしますが、大臣の所感を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/114
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115・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) いまの亀田委員の御質問は私は全く同感でございまして、一ぺんきめたからといって、その後非常にその場所に登記事務がふえるような、ことに最近のような経済情勢の変動がある場合には、著しく変化があると思います。ですから、一ぺんきめたからなんということでなく、実情に応じてそれこそ弾力性をもって考えなければいけない、こう深く考えておりまして、その指示をいたしております。
それのみならず、とかく官庁では、私は古いことを申し上げて恐縮ですけれども、戦時中大蔵行政をやっておりましても、省の統廃合などの問題がございました。登記所なら官庁側の利便能率を主にして考える傾向がある。利用者のほうの立場からの検討の足りない面があるんじゃないか。たとえば酒屋の統廃合にしても、統廃合してその店が——そのころは労力問題、政府がおもでしたが、減りますと、今度は消費者のほうからいったら遠方へ買いに行く、こういう矛盾がありましたので、当時は厳に戒めておったのですが、登記所の場合でも十分検討しておると思いますが、官庁側からいえば、先ほど種々お話がありましたとおり、統合して所員の執務が少しでも合理的にできるということや、その他もっともな点がたくさんございますが、利用者のほうの立場を考えない。そのために、非常に交通費を出しましたり、登記所に出向く時間がふえたり、極端な場合には一泊しなければならない。こういうふうな利用者側のロスと官庁側の利益というものをてんびんにかけなければ簡単にきめるべき問題ではないのじゃないか。そういう要素も従来決して考えないわけじゃございませんが、なおそういうほうにもう少し重きを置いて考えていくべきではないかと思います。
それで、地元等におきまして非常に異議のある場合には、決して既定の方針などということでなく、十分に慎重に再検討をし、かつ十分に地元の人が納得してもらうように、そういう段階に到達してやりたい、こういうふうに民事当局でも努力いたしておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/115
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116・亀田得治
○亀田得治君 大臣のほうできわめて明快にお答えいただきましたので、非常にその点了解いたしました。ぜひそういう方針で、一度言うたことだからというようなことにとらわれないで、しかし、ほんとうにやらなければならぬところはやってもらうようにお願いしておきます。
そこで、お急ぎのようですから、民事局長にお聞きしますが、従来、資料を拝見しますと、ずっと統廃合をやられてきておりますが、これは大体小さいところですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/116
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117・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 仰せのとおり、大体小さいところが大部分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/117
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118・亀田得治
○亀田得治君 小さいというと、大中小の分け方の問題があるかもしれませんが、どういうところを小さいところと言っておられるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/118
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119・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 職員の数で申したほうがいいと思いますが、職員が一人二人というところが大部分でございまして、三人以上のところなんかはごくわずかでございます。大部分が職員一人二人という小さい出張所でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/119
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120・亀田得治
○亀田得治君 これは大阪のことを申してたいへん恐縮ですが、あすこで古市、富田林、長野、こういうところにあるわけですね。これがあの辺へ行くといつも問題になるんです。最近あの辺は住宅がぐっとふえてきておるんですね。これから発展していこうというておるのに、そこの登記所を合わせるんだとか、何かそんなような話が出ているわけですね。関係者は非常に心配しているわけですよ。大きさから見ても、ちょっとその点をもしお調べになっておれば、人数なり件数をおっしゃってほしいんですが、そんな小さいものじゃないんですね。相当規模が大きいんです。そうして住民もそれを希望しておるものを、無理やりに取ってしまうというのは、これは一体サービス機関を何と心得ておるのであるか。地元の本元府議はじめいろいろの人々から強い希望を聞いているのでありますが、一体どういうふうになっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/120
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121・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) ただいま御指摘の三つの出張所は、いずれも大阪法務局管内の出張所でございます。古市出張所が中でも一番大きいのでございます。職員が五名おります。それから昭和三十七年度の事件を見ますと、登記事件の甲号が一万件でございます。それから富田林は、職員が三名で、事件数が約五千七百件でございます。それから長野出張所も、同じく職員数三名でございまして、事件数は約三千件でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/121
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122・亀田得治
○亀田得治君 最近ずっと登記事件はふえているんでしょう。その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/122
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123・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) この辺は、仰せのとおり、事件が増加する傾向にあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/123
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124・亀田得治
○亀田得治君 それなら、それを取ってしまうというようなのは、さっきの大臣の御答弁からいきますと、慎重に検討しなければならない部類のものだと私は思うんですが、どうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/124
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125・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 結論から申し上げますと、仰せのとおりに私どもも考えております。
当初この三出張所について、富田林出張所がまん中にございますので、富田林に合わせたらどうかということを考えましたのは、実はこのあたりは非常に交通の便のいいところでございまして、古市出張所と富田林出張所の間は、距離にいたしまして約五キロ、電車で参りますと十分間でございます。それから富田林出張所と長野出張所の間も、これは約七キロ、二里足らずでございまして、電車で十五分くらいで行けるところでありまして、非常に交通が便利なところでございますので、中央にあります富田林に集めまして、富田林の出張所をりっぱな登記所にしまして、近代的な登記所をつくりまして、職員の数もふやし、そこで能率的な事務の処理ができるような体制を整えたならば、結局は登記事件の処理も早く済むことになって、非常に交通の便利がいいところでございますので、申請人の皆さんにもそう御迷惑をかけないで済むのではないかというふうに考えまして、一応統合したらということを考えたわけでございます。
大阪の法務局長に命じまして関係の市町村に交渉をさせたのでございますが、地元のほうにおきましては、ぜひ存置してもらいたい、少なくとも早急に統合するというようなことがないようにという強い御要望がございましたので、私どもも現地の御要望も十分考慮いたしまして、慎重にすべきものである、先ほど大臣が仰せられたこともありまして、私どもも常々大臣からそういうお話を伺っております関係で、決して無理をしてはいけない、地元に十分お話をし、地元の了解を得た上で、統合するとしましてもやっていくという方針で目下のところおるわけでございます。
そういうわけで、この三出張所につきましても、十分慎重にやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/125
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126・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 他に御発言もございませんようですから、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/126
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127・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/127
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128・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。不動産登記法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/128
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129・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本会議における口頭報告、委員会報告書の作成等につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/129
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130・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/130
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131・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 次に、鉄道公安職員の職務に関する法律を廃止する法律案を議題とし、発議者より提案理由の説明を聴取いたします。中村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/131
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132・中村順造
○中村順造君 ただいま議題となりました鉄道公安職員の職務に関する法律を廃止する法律案につきまして、提案の理由を説明いたします。
鉄道公安職員の職務に関する法律は、議員立法として、昭和二十五年八月、第八回国会において成立したものであります。その立法の経緯としましては、終戦後の旅客輸送秩序の混乱、悪性荷物事故の発生、鉄道施設内における犯罪、あるいは輸送知識を利用した犯罪等が増加し、しかもそれが大規模化、集団化するに至ったという特殊事情があったのであります。日本国有鉄道においては、駅長、助役、車掌など特定の職員に従来から司法警察職員の権限が与えられていましたが、その権限は限定的であったので、当時の実情に合わず、かような状況に対処するため、専従者による統一ある鉄道公安維持の制度確立へと進んできましたが、現行鉄道公安職員の職務に関する法律の制定により、当時すでに日本国有鉄道の公安維持に当たっていた鉄道公安職員に鉄道犯罪の捜査権を持たせ、武器の携行を許すこととなり、鉄道運輸の治安確保に万全を期することとなったのであります。
かくて、この法律は、当時の鉄道輸送の公安上の特殊事情に対処するため生まれたものでありますが、今日においては、さきに述べましたこの法律制定当時の特殊事情はすでに解消し、悪質な鉄道犯罪も今日ではほとんど見られず、また、鉄道輸送の秩序も顕著な改善をみているのであります。
さらに、この法律は、鉄道輸送の専門的知識を有する国鉄職員によって犯罪捜査を行なうという意義を有していたのでありますが、今日では、制度的に、次のような疑義ないし欠陥を見せるに至っているのであります。
第一に、この法律における鉄道公安職員は、日本国有鉄道という公社の職員であり、したがって国家機関でもない公社の職員が、犯罪捜査権を制限的とはいえ、全国にわたって持つことは、わが国の法律体系としてはたして合理的であるかどうかという点であります。
第二に、この法律による犯罪捜査に関する職務と日本国有鉄道の職員としての警備に関する職務とが同一人に重複して付与されているという制度的欠陥を示している点であります。すなわち、国鉄職員として警備を行なっている段階において、直ちに鉄道公安職員の職務に関する法律に基づく犯罪捜査権を行使し得るような制度となっている結果、捜査権の乱用のおそれがあるのであります。
以上述べました疑義ないし欠陥が、運用面においては、労働組合運動に対する鉄道公安職員の介入という形で、弊害となってあらわれてきているのであります。
犯罪の発生しない以前から鉄道公安職員が警備に名をかりて組合運動の場に出動することは、組合運動に対する威嚇となり、これが組合運動における労使関係の本来の対等性を破壊する結果となるのであります。
しかも、一たん鉄道公安職員に犯罪ありと思料されるに至れば、直ちに捜査機関として活動するに至るのみならず、どこまでが公社の職員としての警備活動であり、どこからがこの法律による鉄道公安職員としての捜査活動であるのか、実際上客観的に区別もできないのであります。
以上述べましたとおり、事情の変化に加えて、疑義、欠陥、弊害等が生じていることにかんがみ、この際、鉄道公安職員の職務に関する法律は廃止すべきものであると考えられるので、この法案を提出した次第であります。
なお、附則においては、この法律の施行の日を公布後一月を経過した日からとしたほか、施行に伴う必要な整備規定を定めております。
何とぞ慎重審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/132
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133・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 以上で提案理由の説明は終わりましたが、本案に対する質疑は後日に譲りたいと存じます。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01119640312/133
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