1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年三月二十六日(木曜日)
午前十時六分開会
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委員の異動
三月二十三日
辞任 補欠選任
岩間 正男君 野坂 参三君
三月二十四日
辞任 補欠選任
後藤 義隆君 館 哲二君
三月二十六日
辞任 補欠選任
館 哲二君 後藤 義隆君
野坂 参三君 岩間 正男君
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出席者は左のとおり。
委員長 中山 福藏君
理事
後藤 義隆君
迫水 久常君
稲葉 誠一君
和泉 覚君
委員
植木 光教君
鈴木 一司君
高橋 衞君
坪山 徳弥君
中村 順造君
大和 与一君
山高しげり君
国務大臣
法 務 大 臣 賀屋 興宣君
国 務 大 臣 福田 篤泰君
政府委員
防衛庁経理局長 上田 克郎君
防衛庁参事官 麻生 茂君
法務大臣官房司
法法制調査部長 津田 實君
法務省民事局長 平賀 健太君
法務省刑事局長 竹内 壽平君
最高裁判所長官
代理者
最高裁判所事務
総局総務局長 寺田 治郎君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○検察及び裁判の運営等に関する調査
(恵庭における自衛隊通信施設損壊
に関する件)
○商法の一部を改正する法律案(内閣
提出)
○暴力行為等処罰に関する法律等の一
部を改正する法律案(内閣送付、予
備審査)
○下級裁判所の設立及び管轄区域に関
する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出)
———————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/0
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001・中山福藏
○委員長(中山福藏君) これより法務委員会を開会いたします。
本日は、まず、理事の補欠互選についておはかりいたします。
去る三月二十四日理事後藤義隆君が一時委員を辞任されましたため、理事に欠員を生じておりますので、その補欠互選を行ないます。互選につきましては、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/1
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002・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 御異議ないと認めます。それでは、理事に後藤義隆君を指名いたします。
———————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/2
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003・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題とし、いわゆる恵庭事件に関する件について調査を行ないます。稲葉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/3
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004・稲葉誠一
○稲葉誠一君 北海道の千歳郡恵庭町で起きた事件で、野崎美晴、野崎健美、この二人が現在自衛隊法違反で起訴されて裁判にかかっているわけですが、この事件の概要についてちょっと簡単に御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/4
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005・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 陸上自衛隊北部方面隊第一特科団第一〇二大隊第二中隊が、第一特科団長の一般命令に基づきまして、昭和三十七年十二月十一日から三日間島松演習場において実射訓練中、いま言及されました野崎美晴並びに健美、その友人某一名及び野崎和子、この四名が同演習場内に違法に立ち入りまして、演習部隊が敷設した射撃指揮所と戦砲隊本部、同本部と加農砲を結ぶそれぞれの通信線及び音源標定機とマイクロを結ぶ通信線を切断いたしました。
これに対しまして、北部方面総監陸将宮崎は、昭和三十七年十二月二十四日千歳警察署長に対して告訴いたしましたところ、札幌地方検察庁は、本件を自衛隊法第百二十一条違反被疑事件として札幌地方裁判所に公訴を提起したものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/5
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006・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いまの告訴ですね、これは刑法第二百六十一条の器物損壊罪で告訴したのですか、それとも自衛隊法違反で告訴したのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/6
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007・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) 告訴状を読んでみますと、「私は陸上自衛隊北部方面総監であります。この度第一特科団において演習間使用中の通信線が損壊されましたが、此については、現在、私が総理府の物品管理に関する訓令に基づき管理権を有しているので、次のように告訴しますから、被告訴人を厳重に処罰していただきとうございます。」という告訴でございまして、どの条文に基づきましてという条文には言及はしていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/7
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008・稲葉誠一
○稲葉誠一君 特に条文を摘示して告訴しなかったというのは、理由があるのですか、あるいは別に特段の理由はないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/8
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009・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) この事件を検察側があるいは捜査機関がどういう工合に取り扱うかは、これは捜査機関のほうで御判断になることでありますので、特に摘示される条文について言及をいたしまして告訴をするということはいたしていなかったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/9
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010・稲葉誠一
○稲葉誠一君 自衛隊法第百二十一条で起訴したわけですが、この法によるところの「防衛の用に供する物」というのは、これはどういうふうなものをさして言っておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/10
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011・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) 「防衛の用に供する物」と申しますのは、一般的に申しますならば、自衛隊が侵略に対してわが国を防衛するため用いられるものであると、こう一般的には言えるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/11
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012・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは長官にお尋ねするのですが、防衛力漸増とかということで「防衛力」ということばを使っているわけですね。「防衛力」というのはどういう意味なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/12
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013・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 国を守る力を「防衛力」と言います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/13
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014・稲葉誠一
○稲葉誠一君 具体的に言うと何なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/14
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015・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) ちょっと御質問の趣旨がわかりませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/15
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016・稲葉誠一
○稲葉誠一君 国を守る力が「防衛力」だというのですが、具体的にどんなものが入るわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/16
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017・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 自衛隊法第三条に基づきまして自衛隊がわが国を守る防衛任務を与えられておる、この防衛の任務を遂行するための力であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/17
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018・稲葉誠一
○稲葉誠一君 だから、具体的に何を言うかということをお尋ねしているわけですが、そうすると、自衛隊法の八十八条ですか、「武力」ということばがありますね。これとはどういう関係になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/18
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019・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) 自衛隊は、われわれは、わが国を防衛するための一つの実力と考えておるわけでございます。大臣はそれを防衛力あるいは自衛力というふうにお考えになって御答弁されたのじゃないかと思いますが、八十八条は、その自衛隊が出動を命ぜられました場合に「必要な武力を行使することができる。」と、こうなっておるわけであります。したがって、自衛隊は一つのわが国の自衛力、防衛力であるわけです。すなわち、自衛隊がわが国を防衛するために必要な武力を行使することができる。これは、武器を使用するとかそういうようなことを意味しておると解しております。要するに、戦闘を行なうことを中心として考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/19
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020・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、「防衛力」の中に「武力」も含まれるというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/20
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021・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) もちろんさように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/21
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022・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、「武力」でない「防衛力」というのは、具体的にどんなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/22
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023・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) この八十八条は、要するに、外部から武力攻撃がありましたときに、わが国を防衛するために武器等を中心にいたしまして相手を排除するという行為を主として考えたわけでございます。これ以外にわが国を防衛するところの防衛力といたしましては、その部隊が活動できるような調達、補給関係のものもあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/23
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024・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ここにあるのは、「陸上自衛隊法制概要」という一九五九年に大成出版社から出たものがあるわけですが、これによると、「兵力」ということばが盛んに使われているわけですね。この「兵力」と「武力」、「防衛力」というのはどういうふうな関係になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/24
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025・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) 私、それに「兵力」ということばが使われておるかどうかちょっと記憶しておらないのでありますが、おそらく「兵力」ということばを使っていないのじゃないか。私など直接つくった書物でありませんので、何とも申し上げかねますが、「兵力」ということばは使っていないのではないでしょうか。もし使っておれば、国際法規における兵力の問題にでも実質的には言及しているのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/25
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026・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、その「兵力」というのは、国際法上でいう一般論として言っているのだ、こういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/26
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027・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) その「兵力」というのはどういう意味で使っているか私ちょっと正確な知識を持ち合わせておりませんので、単なる憶測でさらに話を進めると、ちょっと話は前提があるいは誤っておるかもしれませんので、その点はお含み願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/27
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028・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それじゃ、「兵力」の問題は、これは一般の国際法上の概念として言っているのかもしれませんが、これは書物はあなたのほうにあると思いますから、あとで研究しておいてくれませんか。私のほうもよく研究しますから。
これは一般論として言っているのかもしれませんけれども、たとえば、十二ページによりますと、「軍備とは、国家が特に将来、不法な武力攻撃を受けるおそれのあることを予想して行う一切の人的物的準備を指すものである。軍備は人に関するもの及び物に関するものに分つ。このように、特に準備した人的、物的の内容は、兵力の潜在的蓄積である。」、こういうようなことを言ったり、あるいは、「武力紛争の場合には、軍備として蓄積された潜在兵力は、転じて現実兵力と化す。」、こういうようなことを言っておるわけなんです。これは一般論を言っておるのかもしれませんが、この「兵力」とは具体的に一体どういうものなのか、これを私は聞いておるわけなんですが、この書物はあなたのほうから出たものですから、よく研究されて、きょうでなくていいですから、お答え願いたいと思います。
それからもう一つの質問は、「戦力」という言葉が使われておるわけです。これは、防衛大臣、「戦力」というのと、いま言った「武力」と「防衛力」とはどういう関係になるのですか。——これは防衛大臣、基本的な問題でしょう。それはあなたが答えてくださいよ。そんなにむずかしくないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/28
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029・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 「戦力」の問題でありますが、これは非常に微妙な表現で、むずかしく定義すればいろいろと立場が迷うと思いますが、俗に言う戦う力でごいますが、憲法に禁じた性質のものではない。防衛力自体は、もっと広範な、いま御指摘のあった物的並びに人的のあらゆる総合的な力を意味する、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/29
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030・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) ちょっと補足して申し上げます。「戦力」ということばについていままで政府の間で政府のこれまでの経過で少しずつニュアンスが変わってきたことは承知だろうと思います。最初は、要するに、近代戦を有効適切に遂行する人的物的な総合的な力であるということを前に申しておりましたけれども、最近におきましては、「戦力」というのは、それは単純に戦い得る力というふうに考えてもいいだろう。しかし、憲法第九条二項というものは第九条第一項を受けてできている規定である。第一項は自衛権というものを否定しておらない。したがって、自衛権の行使の裏づけとなるような自衛力と申しますか、防衛力というものは、憲法が禁止しておるところではないのだという考え方だろうと思います。そういう防衛力をそれじゃ持つかどうかという問題は、これは政策的に考えていい問題ではないかというふうに考えております。したがって、懸法第九条以下で禁じております「戦力」というのは、そういう自衛のために必要最小限度の力をこえたようなものを「戦力」と言っておる。自衛隊として自衛のために必要最小限度内の自衛力でありますので、要するに、悪法で禁止している「戦力」には該当しないというふうに解しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/30
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031・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いまあなたの言われたのは、防衛庁の現在における最終的な見解と承ってよろしいのですか。統一された最終的な見解と。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/31
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032・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) これは、従来政府で大体そういうふうに御説明申し上げてきたのであります。要するに、自衛権は憲法で禁止していない。したがって、自衛のために必要最小限度の自衛力というものは持ち得る、これは憲法第九条第二項が禁止している「戦力」には該当しないのだ。自衛隊は自衛のため必要最小限度内の自衛組織である、これは憲法に何ら違反するものではないというのが現在の政府の立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/32
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033・稲葉誠一
○稲葉誠一君 この自衛隊法違反事件の内容にこれから入るわけですけれども、その前に一つ最終的に防衛大臣にお聞きしておきたいのは、一体憲法第九条で禁止されている行為、これは何と何が禁止されておるのか、これははっきりひとつ統一見解という形で出していただきたいと、こう思うんです。禁止されている行為は何と何か。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/33
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034・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 第九条で禁止されている行為は、国際紛争の解決の手段として武力を行使しちゃならぬ。いわば、裏から申しますならば、いま参事官からもお答えしましたように、厳格な独立国の持つ固有の権利である自衛権の行使の裏づけの範囲内に限る、こう言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/34
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035・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、この前私が本会議で緊急質問したときに池田総理から答えなかったことなんですが、これは総理に質問するチャンスがないのであなたにお聞きするわけですが、たとえばこの前予算委員会で配られたあなたのところで出た「防衛力整備に関する基本的見解、昭和三十八年八月二十三日、航空幕僚監部」というのがございますか、この中に「極東特に朝鮮に武力紛争等が起るとき、その規模によっては、後方支援遮断のため海空輸送路を攻撃し、更に状況によっては支援発起点等攻撃に拡大することがあり得る」、こういうふうに書いてあるんですね。こういうのは憲法九条で許されているというふうに解するわけですか、あなたのほうで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/35
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036・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) ただいま御引用になりました「航空幕僚監部」の名を付した文書でありますが、これは実は本院におきまして御質問を受けまして、私ども実は知らなかったわけでございます。庁に帰りましてさっそく関係者を集めまして調査いたしましたところ、昨年の八月のある会議において航空幕僚監部の一幕僚が自分の私見を書きまして、成規の手続によらないで「幕僚監部」という名を付して配付いたしたということが判明いたしまして、目下その手続を経ないでそういう不当な文書を配付した経緯につきまして、並びに機密を漏洩した経路につきまして、さらにその内容につきまして、厳重に調査中でございます。したがいまして、その内容に盛られたものは、私も見ましたが、きわめて不当また独断の点が多々ございます。一幕僚の私見をあたかも成規の手続を経た航空幕僚監部の意見のごとく伝えられたのは、まことに遺憾に存じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/36
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037・稲葉誠一
○稲葉誠一君 内容に不当な点とか不審な点があるということですね。そうすると、この点はおそらく国会で問題になったのですから、あなたもよくお調べになったと思う、内容を、その経緯なんかも。どういう点が不当なんですか。いまの防衛庁の正式見解に比べてどういう点が不当なんですか、内容が。これに基づいてひとつおわかりな点をお話してくださいませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/37
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038・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) ただいまお答えしましたとおり、これは防衛庁あるいは航空幕僚監部の正式のものではございませんので、その文書を基礎にしての答弁なりあるいは論争は差し控えたいと存じます。ただ、私ども見ましてすぐ感じましたことは、不当の点は、たとえば、池田内閣の経済政策の失敗、あるいは日米安保体制に対する一種の疑惑と申しますか、そういうような点につきまして政治的配属が少しもない、並びに掘り下げて国際的な背景の分析も足りない、きわめて未熟ないしは不当の見解でもあり、さらにまた、厳に戒めております自衛官の政治関与という疑いすら見られる節があるわけでございます。一例を申し上げましたが、あくまで一幕僚の私見ではございますが、それ自体を問題にいたしますと、私どもとして不当ないし行き過ぎであるというところが相当兄受けられたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/38
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039・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは、率直に言えば、あの恵庭の事件とは直接関係がありませんので、別の機会に角度を変えて質問したいと思うんですが、私が参議院の本会議で三月十三日に質問したこと、これは総理も全然答えないわけですよ。私は、いまあなたの言われたように、これができた経路とか何とかいうことは問題があるということを総理がちゃんと答えて、そうしてこうだからと言うのならいいけれども、全然答えないわけですね。私は、これに対して、こういうようなことは「明らかに朝鮮の国内紛争に対する武力介入を意味しているのであります。こんなことを総理は認めるのでありますか。かかることは憲法違反ではないか、はっきりさせていただきたいと思います。」、こう言っているんですが、全然答えないわけですね。やはりこういう態度はよくないと思うんです。答えなければ、答えないという理由をやっぱり明らかにして、そうして答えられないなら答えられないということを言うのが筋だと思うのですが、言わないんですよ。そうすると、いま私が養った「朝鮮に武力紛争か起るとき、その規模によっては、後方支援遮断のため海空輸送路を攻撃し、更に状況によっては支援発起点等攻撃に拡大することがあり得る」というこれは、一体、防衛庁の航空幕僚監部の見解なんですか、あるいは、この中の一人の人の見解なんですか。これはそういう考えを持っていることは事実なんですね、防衛庁の中の人がね。それは、あなた、自分の部下がそういう考え方を持って、少なくともこれが印刷になって、「取扱注意」として外部へ出てきているわけです。いま私が質問したことに対して、これは一体憲法で認められていることなんですか。朝鮮の国内紛争に対する武力介入だと、こういうふうにお考えにならぬですか。それはどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/39
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040・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 先ほどお答えしましたように、これはあくまで一幕僚の私見でございます。全部お読みになればおわかりになると思いますが、たとえば、目下自衛隊は陸・海・空の三部隊がある、究極においては近代戦においては航空自衛隊があればよろしい、陸上やあるいは海上自衛隊は無用であるというような極論をいたしておるわけです。これは常識的に見ましても正式の航空監部の意見であり得ないわけです。防衛部長だけが知っておりまして上が知らなかったというような、まことに残念なできごとであったわけであります。いま御指摘の点につきましては、その意図を本人にまだつきつめておりませんが、その意図なり思想をもう少しつきつめませんと正確には申せませんが、あらわれた表現だけではきわめて憲法抵触のおそれのある部分もあると私は個人的に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/40
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041・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いまの論争は、私はきょうは、あなたも十一時までにほかへ行かれるということですから、別の機会にしたいと思いますが、そこで、この恵庭の事件で野崎兄弟が通信線を切ったというんですが、これは被害としてはどのくらいなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/41
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042・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 政府委員からお答えさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/42
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043・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) 被害の金額については、具体的な金額はまだ正確には出しておりませんが、そう多額のものではないように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/43
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044・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それはベンチで切って、すぐ修理したわけでしょう。そこはどうなっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/44
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045・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) 最初の口に使いましたのは翌日は使わなかったように聞いております。切られた線は使わなかったように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/45
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046・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、これは十二月十一日に切られたものは次の口は使わなかった、こういうんでしょうが、修理したわけでしょう。十二月十二日のものも修理して、幾らぐらい金がかかったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/46
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047・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) 具体的な数字は、いま持ち合わせておりませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/47
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048・稲葉誠一
○稲葉誠一君 具体的な数字は、いまなければ、別の機会でけっこうなんですけれども、これはほんのわずかのものじゃないですか。いまここで常識的に考えても、あれは千円以下のものじゃないですか、あるいはそこまでいかないのじゃないですか、修理に要した費用なんというのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/48
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049・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) ただ、音源標定機のようなものになりますと、音を電流の振幅に変えて、その振幅を電線で伝えるようなかっこうになりますので、電線の破損の数が多くなりますと、抵抗が多くなりまして機能が発揮できないという面があります。したがいまして、全体としていろいろ判断しなくちゃならない点がありますので、どのくらいの被害かということについては、いま具体的な数字はわかっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/49
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050・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは、あなたのほうとしては、一応器物損壊非、財産犯として告訴されたんだ、こう思うわけです。財産犯として告訴されれば、被害金額が幾らかということが当然出てこなければならぬわけだと、こう思う。そういう見方であれば、これは財産犯であるけれども、単にそれだけで被害法益というものを換算するわけにいかない事件なんです。そういう見方もあるわけですね、法律的には。それならそれでもいいと思いますけれども、それなら被害法益を金額に換算した場合に、一体幾らくらいになるんですか。いまわからなくてもいいです。これはもっと質問しますから、それまでに明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/50
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051・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) 先ほどの告訴状には自衛隊法の条文は言及はしておりませんでしたけれども、この事件は、われわれのほうの立場としても、自衛隊法百二十一条にはやはり該当するんじゃないかという考えは持っておったわけであります。ただ、捜査機関のほうでそれをどちらでやられるかということまで告訴するほうで拘束をするというのは不適当ではなかろうかということで、告訴状には何も書いてないと、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/51
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052・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、自衛隊のほうでは、本件を自衛隊法違反で起訴してくれというふうなことについての積極的な要望というか、それは検察庁にはしなかったのですか、されたのですか。おそらく被害者が、これは北部総監ですか、被害者として告訴しているわけでしょう。だから、告訴人として警察なりあるいは検察庁は調べられているわけですね。そのときに、自衛隊法違反として処理してくれという要求をしたのですか、しないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/52
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053・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) 本件が自衛隊法百二十一条違反になるかどうかということにつきましては、法務省の刑事局の関係のほうにも御連絡をいたしまして、その結果、適用されて差しつかえないのではないかということには意見は一致しておったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/53
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054・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、自衛隊としては、北部総監では、本件が自衛隊法違反になるかならないかということについて、告訴するときには十分な確信がなかったんだと、あとで法務省の刑事局に問い合わせしたり何かしてそれが自衛隊法違反になるということがわかったんだと、こういうことですか。どうもそういうふうに聞こえるのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/54
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055・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) この告訴をやります前に連絡がありまして、刑事局とも御相談はいたしております。しかし、この事件をどうするかということで被害者のほうが限定をして告訴状に書くということはいかがと思いまして、これには書いてないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/55
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056・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、これは、法務大臣、きようあなたのほうに通告してありませんから、まだ調べができていないと思いますが、この次でいいですけれども、この事件を、いま言ったように、自衛隊側では、自衛隊法違反ともあるいは普通の刑法の二百六十一条の器物損壊ともはっきりしないままで告訴しているわけですね。それを法務省の刑事局に照合した結果として、自衛隊法違反で起訴しよう、処理しようということになったと、こういうような答えです、自衛隊側の。だから、どういうふうな経過でこれは自衛隊法違反になるとか、あるいは自衛隊法違反で起訴をしたらいいというふうなことを法務省側で見解を示したのか、これを明らかにしてもらいたいと思う。きょう法務大臣のほうでわかればわかるし、わからなければこの次でいいです。いまの点について防衛庁側であなたのほうで述べたいということがあれば、どうぞ述べていただいてけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/56
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057・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) この事件が発生いたしまして、告訴の前にこの事実をわれわれ知りましたので、この事件が自衛隊法百二十一条に該当するかどうかということにつきまして、法務省の関係の当局と御相談はいたしたのでございます。それからこの告訴がありまして、告訴をしてさらに捜査するという段階にまた御相談を受けたというふうに私は記憶をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/57
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058・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) 私、出席がおくれまして、まことに申しわけなかったのでありますが、ふつつかでございまして実は御質問の問題をよく了解をいたしておりません。ただいまちょうど刑事局長がちょっと席をはずしておりますので、また後刻よく伝えまして御返事を申し上げるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/58
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059・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、防衛庁側で、告訴する前に、本件が自衛隊法違反に該当するかどうかということについて疑念があったというか、はっきりしなかったというふうに聞こえるわけですね。あなたのお話は、私の聞き方が悪いのかもしれませんが、そういうふうに聞こえるんですが、そう承っていいですか。それで法務省側の見解を聞いてはじめてはっきりしたんだと、こういうふうに承ってよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/59
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060・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) 疑念ということじゃありませんので、やはり政府部内のことでありますので、われわれだけで判断してもいかがかと思いまして、法務省のほうと御相談をしたと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/60
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061・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ちょっとくどいのですけれども、よくわからぬのですが、そうすると、あなたのほうでは自衛隊法違反ということで、告訴する前に法務省当局との間で了解がついていたと、こう言うならば、自衛隊法違反という形で告訴をはっきりしたらよかったんじゃないですか。そこのところがあいまいだったということは、本件が自衛隊法百二十一条に該当するかどうかどうもはっきりしないのだという点があったので、その点をぼかして告訴した。その告訴した後に法務省当局の意向を聞いたら、いや、これはこれに該当するし、また、これでやったほうが政治的な面からいってもいいだろうということになってこういうような形にしたのだと、こういうような意味なんですか。どうもはっきりしないのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/61
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062・麻生茂
○政府委員(麻生茂君) これは政治的な判断でどうこうというのじゃなくて、法律の適用でございますから、純粋に法律の執行という面から考えまして法務省との連絡を密にするという意味で御相談をしたというだけのことであるわけであります。別に疑問を持ったと、こういうふうな筋合いのものではないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/62
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063・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それじゃ、質問は、本件が起きるまでの経過があるわけですね。いきなり昭和三十七年の十二月十一日と十二日の二日間に兄弟が行ってペンチで切るというのじゃなくて、その前にいろんな経過があるわけですね。そうすると、そこに住んでいる農民たちが防衛庁側にどんなような抗議をいままでしていたわけですか。これは元来アメリカが使用していたところですか。その演習場はどういうふうな演習場なんですか。そこら辺からひとつ御説明を願いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/63
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064・上田克郎
○政府委員(上田克郎君) この演習場は、戦争中は日本の陸軍の演習場であったわけでございますが、終戦後米市が接収いたしまして、三十四年に米軍のあれが解除になりまして、それから陸上自衛隊の演習場といたしまして使用中のものでございます。
御承知のように、向こうには、第十一師団と第七師団の普通科の師団と、それから特科と戦車の集団、その部隊がここを使用しておりますが、きわめて大きな大演習場でございまして、大体の坪数が二千五百六十万坪でございまして、八千メートルの射撃することができる射撃の演習場といたしましては、現在のところ日本で唯一のものでございます。
そこで、米軍がおりました際は、主としてここで飛行機の射爆演習をやっておりました。しかし、わが自衛隊でこれを引き継ぎまして以後は、飛行機の演習射爆場としては使用頻度が米軍の場合に比較しましてはるかに少なく、主としていわゆる大砲、銃砲、特科並びに戦車隊の実弾射撃演習場として使用中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/64
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065・稲葉誠一
○稲葉誠一君 野崎という人の牧場はどこにあるのですか。牧場ですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/65
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066・上田克郎
○政府委員(上田克郎君) 地図を見ますと一番はっきりするわけでございますが、野崎氏の牧場は島松の演習場の東南のほうで、境界線から約一キロ余り離れたところにございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/66
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067・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これはどの程度の牧場なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/67
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068・上田克郎
○政府委員(上田克郎君) 牧場の規模そのものは、私いまここに資料を持っておりませんが、かつて補償したときのことでございますので、なお詳細はあとで御報告させていただければと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/68
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069・稲葉誠一
○稲葉誠一君 自衛隊が入ってきてからいろいろな射撃やあるいは飛行機の爆音ですか、騒音ですか、そういうようなことで、ここに住んでいる酪農民から非常な苦情というか、何といいますかね、抗議というか、そういうふうなことがあった経過ですね、これはどういうふうなことからそういうふうな苦情や抗議が出たのか。その結果として、一九六〇年に駐留軍特別損失補償法によって補償金が支払われましたね。それまでの経過をひとつお話し願いたいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/69
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070・上田克郎
○政府委員(上田克郎君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、米軍が使用中はジェット機の射爆場として使われました関係で、飛来する回数なりその騒音なりはきわめて激しいものがあったようでございます。それで、補償法によりまして当時の調達庁が支払いました金額は、昭和三十年の九月二十九日から三十二年の八月三十一日までまる二年になりますか、その間での被害補償金額は百十八万円余になっております。で、実は乳牛の被害に対しての補償はこの野崎氏だけでございまして、ほかの牧場主に対してはこのような補償はされておりません。ただ、演習地として使用するために、採草の補償というようなことはやっておりますが、演習そのものの音による被害、爆撃による騒音の被害というものは、この野崎氏だけに支払われたわけでございます。これは米軍がやりましたときはきわめて激しい演習でございましたが、米軍がいなくなってわがほうの自衛隊の使用になりました際は、従来境界線に近いところに射的目標がございましたのをさらに奥のほうに移転するというようなことを土地の人たちと約束いたしまして移転もいたしました。また、航空自衛隊が、その際に、将来騒音のためにそのような実害が生ずるような場合には、その請求を待って補償について考慮いたしましょうというような約束をいわゆる協定をいたしましてこの演習場を使用しているわけでございますが、自衛隊になりましてからの頻度が急速に落ちましたために、具体的には地方の人々からその射爆による騒音あるいはそれによる実害というようなことで補償を求められたことはございません。
航空自衛隊の関係はそういうことになっておりますが、ただ、陸上自衛隊の関係では、大砲を撃つわけでございます。その騒音についても右に準じたような考え方で丹羽町長広島村長、そういう方たちと話し合いをいたしまして、演習をいたす際にはあらかじめ連絡した上で演習してできるだけ実害がないようにしたい、実害がある際は町長さんを通じて実情を話してもらって、補償が必要な場合には補償をする、そのような取りきめがいたされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/70
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071・稲葉誠一
○稲葉誠一君 調達庁から補償金が百十八万円支払われたというのですが、これは支払われたのはいつで、だれに支払われたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/71
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072・上田克郎
○政府委員(上田克郎君) 先ほどお話が出ました四人のお子さんたちのおとうさんが野崎健之助という方でございます。その野崎健之助という方に支払われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/72
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073・稲葉誠一
○稲葉誠一君 野崎健之助さんに百十八万円支払われたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/73
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074・上田克郎
○政府委員(上田克郎君) 正確に申しますと、百十八万二百七十二円になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/74
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075・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その数字が出てきた根拠ですね、何に対してどういうふうなことでその数字が出てきたのか。それからそのときに野崎さん側の主張した被害額と非常に食い違いがあるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/75
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076・上田克郎
○政府委員(上田克郎君) 補償の内容を決定いたしました百十八万余円につきまして内わけを申し上げますと、三つの損失ということを考えております。その第一は、爆音によって乳量がどれだけ減量したかということによる損害、これが約四十六万円余になっております。それから早流産、牛が音響のために流産、早産をする、そのための子牛の損失といたしまして五頭分で十二万八千七百五十五円——十二万八千余円ということになっております。それから早流産によります乳量の減、これが五十九万八百三十四円、約五十九万円、そういうような算定になっております。
なお、先方がどれだけの要求をしたかということは、ちょっと手元にございませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/76
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077・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それはまああとで調べていただきたいと思うんですが、大体一割ぐらいしか認めなかったのじゃないですか。普通どのくらい認めるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/77
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078・上田克郎
○政府委員(上田克郎君) 損害額の算定は実情に応じてやることになっておりますので、実際調査いたしましてその結果が要求の何割になるかということは、ちょっと一般の基準というものはございませんから、向こうが幾ら要求しましたかを調べまして、どのぐらいになりますか、考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/78
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079・稲葉誠一
○稲葉誠一君 あなたのお話によると、アメリカ軍がやったときには非常に被害があった、ところが自衛隊によってやるようになうてからはたいしたことはないような話なんですが、その後一九六一年の一月、七月、八月、三回にわたって書面で北部総監あるいは防衛庁に対して被害の要求が野崎氏から出ているんじゃないですか。その点は調べはついていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/79
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080・上田克郎
○政府委員(上田克郎君) いま御指摘の四回出たかどうか、私、二、三回出たことは記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/80
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081・稲葉誠一
○稲葉誠一君 三回です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/81
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082・上田克郎
○政府委員(上田克郎君) 三回ですか。そのために先ほど申し上げましたように射的の目標を移動したりなんかいたしておりますが、航空自衛隊についてはそのようにいたしております。
それから大砲のほうにつきましてもそういう話がありまして、部隊に対して、できるだけ被害を与えないように、たとえば、時間の制限をやるとか、場所の制限をやるとかというようなことで、その要求に対しては実際上の措置でこたえておりますけれども、具体的に被害金額を払ったことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/82
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083・稲葉誠一
○稲葉誠一君 被害金額を払ったことでなくて、いま言った一九六一年の一月、七月、八月、三回にわたって書面で野崎氏から防衛庁に対して被害補償をしてくれという請求していると、こういうんですよ。そのことが、こういう請求があったかどうか、あるいは、防衛庁の本庁にあったのか、北海道のほうにあったのか、その点をお聞きしているんです。その点について払ったかどうかということではないんです。
それともう一つ。時間が十一時までですから、私は約束を守りますから。第二航空団というのはどこにありますか。その第二航空団に対しても何回も騒音が非常にひどくて困るから抗議したのだけれども、ちっとも取り上げてくれないということがいわれている。そういう抗議をしたことがあるのかないのか。それに対して第二航空団がどういう措置をしたか、それをお聞きしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/83
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084・上田克郎
○政府委員(上田克郎君) 第二航空団は千歳にございます。
それから本人からの申請は、防衛庁に直接本人が来られて書面をお持ちになったことを私記憶しております。そのほか二回は、あるいは総監ないし方面隊に出されたと思います。
航空団がこれになぜ補償しなかったか、あるいは取り上げてくれなかったかという問題につきましては、御承知のように、その騒音度が、前に補償いたしましたように激しくて、騒音を立てたこととの相当因果関係といいますか、立てたおかげでこれだけの損害になるということには該当しないという判断を現地でしておったというように聞いております。それで、取り合わなかったということについては、このくらいならがまんしてくれというようなことであったと思います。
なお、少し補足しておきたいと思いますが、そういった申請書を出します際に、先ほど申し上げましたように、丹羽町長あるいは広島村長と、そういった場合の損害についての請求のしかたと申しますか、そういうものを協定をいたしております。その協定に従った方法でやってほしい、そうすると、どのくらいの実際損害があったかというようなものも調査をいたしますし、それによって相当因果関係があれば前に準じて払うということもできようからと、そういう返事をしたようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/84
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085・稲葉誠一
○稲葉誠一君 では、時間が十一時ですから、いま質問をもう一ついたしまして、それに対する答えは次の機会にしてもらいたいと思うんですが、自衛隊のジェット機による被害の補償について、一九六一年の一月、七月、八月の三回にわたって書面で防衛庁に、あるいは直接に防衛庁に抗議に行ったけれども返事がなかった、こう言っているんですが、そういうような事実があったのかないのか。ところが、いま、一回防衛庁に本人が来たと言われましたが、それだけでなくほかにもあるらしいんです。そういうような事実があるのか。あるとすれば、どういうふうな方法で、何をどういうふうにしてくれという要求があったのか。それに対して防衛庁側が、因果関係はないといま言われたように、支払いの責任はないと回答したのか、あるいはそこら辺をはっきりさせなかったのか、いろいろあると思いますが、これは事実ですから、この次までに、いつ質問するか日がさまっていませんが、明らかにしていただきたい、こう思うわけです。十一時までという約束ですから、約束を守って、この点については第一回ですから、これでやめます。この問題については私どもの党としても非常に大きく取り上げている問題です。私も国会が終われば北海道まで行って、党をあげて調査いたします。全面的に取り組みたいと思いますから、あなた方のほうもいろいろ私どもから要求があったらお答えいただきたいと、こういうふうに思います。きょうは、これで一応終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/85
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086・中山福藏
○委員長(中山福藏君) それでは、本件に関する調査は一応この程度にいたします。
———————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/86
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087・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 次に、商法の一部を改正する法律案、暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題とし、順次提案理由の説明を聴取いたします。賀屋法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/87
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088・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) 商法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を説明いたします。
この法律案は、現時の経済情勢にかんがみ、株式の流通を円滑にし、株式会社の資金の調達を容易にする等のため緊急に改正を要する事項について、商法の一部を改正しようとするものであります。
次に、この法律案の要点を申し上げます。
第一に、会社が額面株式と無額面株式とを発行している場合には、株主は、額面株式を無額面株式に、または無額面株式を額面株式にすることを請求できるものとして、株主の便宜をはかることといたしました。
第二に、記名株式の譲渡も株券の交付によってするものとし、記名株式の移転に裏書または譲渡証書の添附の必要がないものとして、株式の流通の円滑化をはかりますとともに、株券の所持を欲しない株主からその旨の申し出があったときは、会社は、株券の発行を停止し、または株券を銀行または信託会社に寄託しなければならないこととして、安定株主の静的安全の保護をはかりました。
第三に、株主の新株引受権を譲渡する道を開き、新株引受権を与えられた株主が新株の払込資金を得るために旧株の処分等を行なう必要がないこととすることができるものとして、株主の利益の保護をはかるとともに、新株の発行が円滑に行なわれるようにいたしました。
第四に、転換社債の転換の請求は、株主名簿閉鎖期間内もすることができるものとし、転換社債権者は、同期間内に転換の請求をすることによって株式を取得して、これを処分する道を開いて、転換社債権者の利益の保護をはかるとともに、転換社債の募集の円滑化をはかりました。
以上がこの法律案の要点であります。なにとぞ慎重審議の上、すみやかに可決されますよう、希望いたします。
次に、暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
近年における暴力犯罪の実情を見まするに、その数において依然減少の傾向を示さないばかりでなく、特にいわゆる暴力団すなわち、博徒、暴力テキヤ、青少年不良団、売春、麻薬暴力団その他の暴力的不良団体の構成員またはその仲間ともいうべき人々による悪質な暴力犯罪が増加の傾向を示しておりますことは、きわめて憂慮にたえないところであります。もとより、政府におきましては、このような事態に対処するため、さきに昭和三十三年には刑法等の一部改正について、また、同三十七年には銃砲刀剣類等所持取締法の一部改正について、それぞれ国会の御審議をわずらわし、法律としてこれらを逐次実施に移しますとともに、法の運用面におきましても、関係政府機関において緊密な連携のもとに暴力犯罪の防圧に努力してまいっているのであります。しかしながら、いわゆる暴力団の構成員等が依然として常習的に暴行、傷害等の暴力犯罪を繰り返し、また、その犯行の手段としてしばしば拳銃、日本刀等きわめて危険な凶器を用いていることは顕著な事実でありまして、この際、この種の社会不安を惹起する暴力犯罪に対して、より一そう強力かつ適切な対策を講ずるために必要な法改正を行ないますことは、単に強い世論にこたえるという、ばかりでなく、国家の刑政から見ましても、きわめて緊要なことと考えられるのであります。これが本法案を提出することといたしました理由であります。
この法律案の骨子は、次のとおりであります。
第一点は、銃砲または刀剣類を用いる傷害を特別の犯罪類型として一般の傷害罪より重く処罰する規定を新設しようとすることであります。この規定を設けます理由は、銃砲または刀剣類を用いる傷害がきわめて高度の危険性を持つ悪質な犯罪であるばかりでなく、すでに述べましたように、この種の危険な傷害が暴力団の構成員等によって多く犯されている実情から見ましても、当面特にその必要性が認められるからであります。なお、本罪については、その犯罪の性質にかんがみ、未遂罪を処罰するとともに、日本国民の行なう国外犯をも処罰することが相当と考えられますので、その趣旨の規定を設けることといたしたのであります。
第二点は、常習的暴力行為に関する規定を整備、強化しようとすることであります。すなわち、現行の暴力行為等処罰に関する法律第一条第二項に規定されている常習的暴力行為に対する法定刑を引き上げるとともに、現在でも右の常習的暴力行為に含まれている暴行、脅迫、器物損壊のほかに、新たにこれに刑法第二百四条の傷害を加え、傷害を含む常習犯について通常の傷害罪より重い刑を定めたことであります。その趣旨は、暴力団の構成員等の多くが暴行、脅迫、器物損壊のみならず、傷害をも含めた暴力犯罪を常習的に繰り返している現状にかんがみ、一面において、この種の常習犯に対する法定刑を引き上げ、その強力な防止をはかるとともに、他面、この種の常習犯人に対して相当期間にわたる適切な矯正処遇等の措置を講じ、その改善更生をはかることが当面最も緊要と考えられるからであります。
最後に、裁判所法の一部改正は、右に申し述べました暴力行為等処罰に関する法律の一部改正によりまして、短期一年以上の懲役に当たることとなる罪にかかる事件については、事案の性質等にかんがみ、地方裁判所は原則として一人の裁判官でこれを取り扱うこととしようとするものであります。
以上が暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案の趣旨であります。
なにとぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますよう、お願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/88
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089・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 以上で両案の提案理由の説明は終わりました。両案に対する質疑は後日に譲ります。
———————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/89
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090・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 次に、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に対する質疑はすでに尽きたようでございますから、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/90
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091・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/91
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092・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賞成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/92
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093・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。なお、本会議における口頭報告、議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/93
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094・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。本日は、これにて散会いたします。午前十一時八分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01419640326/94
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