1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月七日(火曜日)
午前十時四十一分開会
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委員の異動
四月三日
辞任 補欠選任
小沢久太郎君 近藤 鶴代君
四月六日
辞任 補欠選任
近藤 鶴代君 宮澤 喜一君
四月七日
辞任 補欠選任
鈴木 万平君 山本 利壽君
迫水 久常君 川野 三暁君
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出席者は左のとおり。
委員長 中山 福藏君
理事
後藤 義隆君
稲葉 誠一君
和泉 覚君
委員
川野 三暁君
田中 啓一君
山本 利壽君
亀田 得治君
中村 順造君
大和 与一君
岩間 正男君
山高しげり君
国務大臣
法 務 大 臣 賀屋 興宣君
政府委員
法務省民事局長 平賀 健太君
法務省入国管理
局次長 富田 正典君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
説明員
法務省入国管理
局参事官 池上 努君
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本日の会議に付した案件
○遺言の方式の準拠法に関する法律案
(内閣提出)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
(在日朝鮮人の法的地位に関する件)
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001・中山福藏
○委員長(中山福藏君) これより法務委員会を開会いたします。
この際、委員の異動について御報告申し上げます。
本日、鈴木万平君、迫水久常君が辞任され、その補欠として山本利壽君、川野三暁君が選任されました。
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002・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 次に、遺言の方式の準拠法に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/2
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003・稲葉誠一
○稲葉誠一君 第四条で共同遺言の問題が出ているわけですが、これは許す国と許されない国があるというのですが、それは具体的にはどういうふうになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/3
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004・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 共同遺言は、これは日本の民法では禁止いたしております。それから他の国におきましても共同遺言を禁止するところが多いのでございますが、国によりましては、たとえばドイツなんかのように夫婦に限っては同一の証書で遺言をしてもよろしい、あるいは、北欧の諸国におきましては、夫婦に限らないで、兄弟なんかの共同遺言も許すというような国もございます。
それからなお共同遺言につきましては、実は、これは方式の問題であるか、遺言の内容、遺言の実質に関する問題であるかという問題が別にございまして、これも、国によりまして、共同遺言は遺言の方式の問題ではない、遺言の内容、実質の問題であるというたてまえをとっておる国と二つございまして、そういう関係で、この条約のもとにおいてもそうでございますか、この条約並びに法律におきましては、共同遺言が方式の問題かあるいは実質の問題かということはきめずに、ただ方式に関してはこの条約あるいはこの法律の適用があるというだけをいっておるわけでございます。日本の日本法の解釈としまして、しからばこの共同遺言は方式の問題であるか実質の問題であるかという点でございますが、日本の日本法の解釈といたしましては、共同遺言を許すか許さぬかという問題は遺言の実質の問題であるというふうに解するのが正しいと思うのでございます。学説もそういう争うに理解しておるのが多数であるようでございます。そういうわけで、この第四条の規定は、遺言の実質に関しまして共同遺言ができるということになる場合に その方式につきましてはこの法律の適用があるという解釈になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/4
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005・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ヨーロッパでは、夫婦間の遺言ですね、こういう形から遺言制度というものは発達してきたんじゃないですか。非常に広く夫婦間の場合に行なわれているんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/5
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006・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 夫婦間と申しますか、夫が妻を遺者にする、あるいは妻が夫を遺者にする、そういう遺言が多いと思うのでございますけれども、共同遺言が非常に多い。同一の証書で夫婦が一緒に遺言をするということから始まったということではやはりないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/6
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007・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、同一の証書でしなければいいわけですか。同じ財産に対してはないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/7
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008・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 別々に、夫が妻を遺者にする、あるいは妻が夫を遺者にする、自己の財産につきまして遺者にする、そういう遺言が非常に多いわけでございまして、仰せのとおりであります。ただ、同一の証書の中で夫婦が一緒に遺言をするということは、これは禁止するところが多い。これを許すのがむしろ例外ではないかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/8
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009・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、同一の証書でこれをすることがいけないというのは、どういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/9
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010・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは、遺言の本質が、やはり遺言者の単独の意思表示であるというところからくるのではないかと思うのでございます。ことに、たとえば、夫婦が、第一条は夫、第二条は妻だということになりましてごっちゃに一緒になられて署名なんかしますと、非常に法律関係はわからなくなってまいります。遺言がやはり単独の意思表示であるというところからくると思うのでございます。それから共同遺言なんかをいたしますと、遺言を取り消したいという場合にはどうなるのかというふうな問題も起こってまいりますので、そういう趣旨から、遺言者の自由意思をできるだけ尊重するという趣旨から、同一の証書で遺言をすることを禁止するということだと思うのでございます。日本の民法の考え方もそうだと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/10
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011・稲葉誠一
○稲葉誠一君 第五条で、たとえば「方式の制限や証人の資格は、方式の範囲に属する問題であるかどうかについて疑義を生ずるおそれがある」と、こう言っておりますね。これはどうしてそれが疑義を生ずるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/11
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012・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これもやはり単なる方式の問題なのか遺言の内容の実質に関する問題なのかということで見解が分かれるわけでございまして、これは四条とは違いまして、五条の関係では、この条約もそうでございますが、これをはっきり方式の問題であるというふうに割り切ったわけでございます。争いをなくして、そしてもっぱら方式の問題だということにして、できる限り遺言を救済しよう、方式のゆえによって無効になることを防ごうという思想なのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/12
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013・稲葉誠一
○稲葉誠一君 実質の問題か方式の問題かということは、法律で明文で別こ規定してあるわけではないですか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/13
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014・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは、一般には法律の文句では規定していないところが多いようでございます。ただ、この五条に関しましては、これは今後の疑義を避けますために、明確に方式の問題であるというふうに割り切ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/14
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015・稲葉誠一
○稲葉誠一君 第六条の「遺言者が地方により法律を異にする国の国籍を有した場合」、これはどういう例ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/15
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016・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは現行法例の第二十七条の第三項に「地方ニ依リ法律ヲ異ニスル国ノ人民ニ付テハ其者ノ属スル地方ノ法律ニ依ル」という規定がございますが、ただいま仰せの「地方により法律を異にする国の国籍を有した場合」というのと同じで、この例を申しますと、アメリカ合衆国のように各州によって私法が違っておる、そういう場合であります。それからイギリスなんかにつきましても、スコットランドとイングランドは法律が違うというふうに、不統一法国と申しておりますが、そういう場合でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/16
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017・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いま前にあげたのはアメリカの例でしょう。アメリカはこの条約には入っていないんじゃないですか。だから、この条文とは関係ないんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/17
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018・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) アメリカは、前回も申し上げましたように、こういう国際私法、それから国際私法の適用によって適用されることになる実質私法と申しますか、これは各州法できまっているわけで、連邦法でこれを規定する権限が合衆国の憲法上ないわけでございます。そういうわけで、アメリカが当事国になりましてこの条約に加盟いたしましても、その条約は州に対しましては拘束力がないということになるのみならず、アメリカとしては、連邦としては、こういう私法については立法権は各州にあるのでございまして、連邦にございません。そういう関係もありまして、アメリカはこのヘーグ会議のメンバーにはなっていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/18
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019・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それはわかったんですが、私の聞きたいのは、条約に入っていようがいまいがこの第六条というのは適用があるんだと、アメリカが問題になった場合にも適用はあるんだと、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/19
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020・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは第五条に掲げてあるこういう事項については、これは方式の問題でこの法律の適用があるということになるわけでございます。たとえば第二条で適用される法律が掲げてあるわけでございますが、たとえばアメリカのある州の法律であってもこれはいいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/20
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021・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、実質的にあの条約に入らなくても、この法律があれば別に差しつかえはないということになるんじゃないですか。そこはどうなんでしょうか。特に条約に入らなければ不便があるのだというところは具体的にどこにあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/21
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022・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) アメリカはこの条約に入らないわけでございますが、入りませんでも、この二条の関係でアメリカ方法が適用になることがあることは、ただいま申し上げたとおりでございます。ただ、アメリカが入っておりませんと、アメリカはこの条約の拘束を受けませんので、アメリカの裁判所で遺言の方式が問題になりました場合には、アメリカの国際私法によりまして独自の判断をしていいということになって、この条約の拘束を受けないことになるわけでございます。でありますから、たとえば遺言をしようとする者がアメリカで遺言しようという場合には、アメリカは大体住所地法、ドミサイルの法律あるいはそれの統一法ということになっております関係で、非常に準拠法の範囲が狭いわけでございます。遺言する場合にはよほど注意してやっておきませんと、あとで方式上無効になるというようなおそれが出てこないとは限らないわけでございます。ところが、この条約に加盟しておる国が非常に多うございますと、とにかくたとえば遺言をしようとする人に関係のある国というもののほとんど全部がこの条約に加盟いたしておりますから、遺言が方式上無効になるというようなおそれはまずないということになるわけで、やはりこの加盟国ができる限り多いことがこの条約の庶幾しておりますところの遺言をできる、たけしやすくしようという趣旨に合うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/22
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023・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それはわかるんですけれども、現在しかしこの条約に加盟しているのは十二ですか。日本が入って一十二ですか。日本が入らなくて十二ですか。いずれにしてもきわめて少数の国ですね。しかも入らない国も相当あるし、私が聞くのは、特にこの条約に加盟することによって具体的に、どういうふうな利益が日本にあるのか。これは行為地法と住所地法に法例でもよっているわけですから、特段に考えられる場合というものはないんじゃないかと思うんですが、そこら辺はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/23
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024・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) まず加盟国でございますが、署名した国が日本を含めまして十一カ国で、現在すでに加盟している国は三カ国、日本が今度加盟しますと四カ国になるわけでございますが、日本にとっての実益と申しますと、まず法例の規定が現行の二十六条が準拠法の範囲が非常に狭過ぎる。遺言者の遺言当時の行為地法と住所地法と二つでございまして、これでは狭い。何としても狭い。よその立法例なんかを見ましても準拠法連結点を多数認めまして、多数の準拠法を認めているわけでございまして、日本の法例自体としてもこれは狭過ぎる。これを改正する必要があるわけでございます。
それからこの条約に加盟いたしますと、日本で渉外的な遺言の問題になりました場合にはこの法律の適用があるということになりますから、これは日本の国あるいは日本国民の直接の利益というわけではございませんが、遺言者にとりましては非常にこれは利益になる。なお、遺言者は、日本人であることもございましょうし、あるいは外国人であることもあると思うのでございます。
要するに、国際的な私法関係をできるだけよりスムーズに規制していくということに役立つということになると思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/24
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025・稲葉誠一
○稲葉誠一君 署名国数というのは、十一と言われたが、十二じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/25
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026・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 失礼いたしました。十二カ国でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/26
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027・稲葉誠一
○稲葉誠一君 「本国のいずれの地方に属したかについてその本国に依るべき規則があるときは、」云々と言っておりますが、朝鮮の場合ですね、あれはどういうふうに見ているわけですか。二つの国と見るのですか、二つの地方と見るのですか。どういうふうに見るんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/27
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028・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) おっしゃる趣旨は南北二つの政権に分かれているという御趣旨だと思うのでございますが、この六条にぴたりと当てはまる場合かどうか、これは非常に疑問でございまして、私どもの考えといたしましては、この六条には当てはまらないと思うのでございます。やはりこれはどうしても統一国家の内部におきまして、アメリカ合衆国あるいはイギリスなんかのように、統一国家の内部において法律を異にする地域が幾つかあるという場合であろうと思うのでございます。朝鮮のような場合は、この六条には当たらないように私は考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/28
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029・稲葉誠一
○稲葉誠一君 十一時から大臣が来ますから、法的地位の問題を一時間ちょっとやりますから、その中で質問しますけれども、大阪の家庭裁判所の審判の中では、朝鮮の問題は「二つの国家があるかの観を呈しているけれども、なお一つの国家とみるのが相当であるから、一国内に数法が存在する場合と類似しているものというべく、法例第二七条第三項を類推して」云々と、こういうふうに大阪の家裁の昭和三十七年八月二十二日の審判が「ジュリスト」の今度の三月一日号に出ているのですが、これは裁判所のあれかどうかは別として、そういう見方もあるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/29
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030・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 裁判所の判決では、現在の朝鮮の事態を、不統一法国と申しますか、違法地域の問題だというふうに、それにぴたりじゃございませんで、準じて考えるという考え方もあるようでございますが、私ども少なくとも法務省の民事局におきましては、戸籍なんかの取り扱いにおきましては、そういう考えをとっていないわけでございます。むしろ戦前の朝鮮というものを考えますと、これは明らかにこれに当たると思うのでございます。共通法下におきましてはひとしく日本の内部でございましても、朝鮮、台湾は内地とは異なった法律が施行されております違法地域であるわけであります。それはまさしくこの六条にぴたりと当てはまる場合だと存じますが、現在の朝鮮の事態をそれに準じて考えるという考え方がはたして正しいかどうか、非常に疑問でございます。少なくとも法務省の民事局におきますところの戸籍の取り扱いにおきましては、そういう考えはいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/30
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031・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは前にも質問したことがある法的地位の中でも出てくる問題ですから、遺言のところではこの程度にしておきます。
それから第八条の「公の秩序を理由とする外国法の適用排除に関する規定というのですね、これは具体的にはどういうふうなことなんでしょうか。これは方式の問題だから、ちょっとこういうことはない。「公の秩序を理由とする」ということになると、これは内容の問題ですね。具体的には、こういうことはないんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/31
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032・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 第八条は、全く仰せのとおりでございまして、ちょっと具体例がどういう場合があるかというのをあげるのに困るような状態なのでございます。ただ、条約では、万一の場合にそなえまして、条約でもこれと同一の規定がございます。それからヘーグ会議の最近の条約を見ますと、いずれもこの第八条にあるような規定があるのでございます。まあほんとうにこれは万一の場合の安全弁でございまして、ちょっと具体的にどういう例かあるかということになりますと、はなはだこれは例をあげることがむずかしいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/32
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033・稲葉誠一
○稲葉誠一君 この中にあります「公の秩序に反する場合というのは、わが国が維持しようとする私法的社会秩序が破壊される場合をいうのであって、」と、こういうふうに書いてありますね。「公の秩序」というのは、具体的に何を言うわけですか。「私法的社会秩序」というのは何ですかね。「公ノ秩序」、「善良ノ風俗」ということばで並べているわけですが、これは九十条の解釈にもよりますけれども、「公ノ秩序」「善良ノ風俗」というものとどう違うのかもあいまいだし、全体を含めて「公の秩序」という一本の形で書いてあるのかわかりませんが、ここで言う「公の秩序」というのと「私法的社会秩序が破壊される」というのは、これはどういうふうなことを言っているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/33
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034・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは私法的社会秩序に抵触するというように説明されておりますが、現行の法例の第三十条に「外国法ニ依ルヘキ場合ニ於テ其規定カ公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ニ反スルトキハ之ヲ適用セス」とございますが、これと同じ内容の規定でございまして、まあ国際私法では公序良俗略してよく公序と申しております。英法では、御承知のように、「パブリック・ポリシー」ということばを使いますし、国際私法ではフランス法が非常に普遍的に使われておりまして、「オルドル・ピュブリ」というようなことばを使うわけでございます。そういうものに該当する場合でございまして、まあ条約の文句をそのまま持ってきたわけでございます。実質的には法例の第三十条の「公ノ秩序」「善良ノ風俗」というのと内容は同じというふうに考えてよいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/34
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035・稲葉誠一
○稲葉誠一君 法例の第三十条では「善良ノ風俗」が入っているでしょう。ここで善良の風俗というのを省いたのは何か特別の理由でもあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/35
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036・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは、ございません。これは条約が「オルドル・ピーブリ」ということばを使っております関係で、なるたけ条約に忠実にしたいということで持ってきたわけでございますが、実質は法例の三十条と違ったものではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/36
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037・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それじゃ、ここにある「私法的社会秩序」というのは、具体的には何なんですか。これはちょっとはっきりしませんね。あまりむずかしいことばを使い過ぎているからわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/37
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038・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これは稲葉先生のほうがもう御専門家でございますから、もう御説明をすることもないと思うのでありますが、例を申し上げますと、たとえば法例三十条に関するものでよく引かれる例でございますが、たとえばイスラム教徒、これは三人まで妻を持てるという一夫多妻を認めているわけでございますが、すでに妻を持っておるイスラム教徒が日本におきまして二番目の妻を迎えたい、日本で結婚したいというような場合に、これは一夫一婦制という日本の私法秩序の根幹をなす法律秩序に抵触するということで、そういう結婚は日本では認めない。たとえば市町村役場に婚姻届が出ましても、それは受理しない。例としてはそういうことが引かれるわけですが、要するに日本の私法秩序の根幹をなすそういう基本、プリンシプルに抵触をする外国法を適用した結果そういうものが日本で行なわれるということになっては、日本の社会秩序、私法秩序というものが乱れるという場合というふうに説明されているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/38
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039・稲葉誠一
○稲葉誠一君 大臣が来るのがちょっと十分くらいおくれるので、ちょっと質問をしておきますけれども、私法的社会秩序というのと公法的社会秩序というのはどう違うわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/39
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040・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 公法的社会秩序とおっしゃるのは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/40
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041・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そういうのはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/41
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042・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 公法的社会序秩というのは、どういうことになりますか、要するに、国際私法でございますので、私法秩序の規制ということが私法の目的である。その私法秩序を乱すという意味で私法的社会秩序というようなことばが使われると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/42
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043・稲葉誠一
○稲葉誠一君 この逐条説明書によると、「法例第三十条と同趣旨であるが、この規定の方が表現がやや厳格になっている。」と言っていますね。これはどういうことなんですか。表現だけの問題ですか。内容はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/43
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044・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 第八条におきましては、「明らかに」ということばが入っておるのであります。「その規定の適用が明らかに公の秩序に反するときは、」と。これは最近のヘーグ条約におきましては「明らかに」というのを入れまして、以前は「明らかに」というのが入っていない「その規定の適用が公の秩序に反するときは、」というような条約が多かったのでありますが、「明らかに」というのを入れたわけであります。と申しますのは、この公序を理由にしまして条約の趣旨を回避するということか行なわれがちでございますので、だれが見ても明白に公序に違反するという場合でなければ条約の適用を回避することができないという趣旨をはっきりしたいという精神から「明らかに」というのが入っているわけであります。第三十条と比較いたしますと、字句の上ではこの「明らかに」が新しい法律案では入っておりますが、法例には入っていないということで、この法律案のほうがより厳格だとも言えるのでございますが、解釈としては三十条と同じでございまして、三十条を乱用いたしまして外国法の適用を排除することは許されないことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/44
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045・中山福藏
○委員長(中山福藏君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/45
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046・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 速記を起こしてください。
他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。
御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
遺言の方式の準拠法に関する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/46
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047・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本会議における口頭報告、議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/47
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048・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
———————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/48
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049・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題とし、在日朝鮮人の法的地位に関する件につき調査を行ないます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/49
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050・稲葉誠一
○稲葉誠一君 法的地位の問題で大臣にお尋ねするんですが、この前外務大臣が本会議で報告したわけです。あのときにはもう在日韓国人の法的地位という形で報告しているわけですが、あれはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/50
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051・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) いま問題になっておりますのは韓国人でございまして、日韓交渉で在日韓国人の法的地位の問題、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/51
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052・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、在日韓国人というのは、いまいるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/52
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053・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) いると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/53
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054・稲葉誠一
○稲葉誠一君 在日韓国人というのはいるというんですが、入管はそういう回答でいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/54
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055・富田正典
○政府委員(富田正典君) 御承知のように、講和条約の発効によりまして、以前から引き続き日本に在留していた在日朝鮮人は、日本の国籍を失ったわけでございます。日本の国籍を失いまして、しからばいかなる国籍を取得したかということに相なるわけでございますが、当初平和条約の第二条によりまして朝鮮の独立を承認した。そこで、対人主権、領土主権、そういうものも放棄いたしたわけでございまして、その結果、在日朝鮮人につきましても、日本国籍を喪失したものと政府は解釈しているわけでございます。
そこで、いかなる国籍を取得したかという問題でございますが、外国人の特定の個人について、その者がいかなる国籍を持っているかということのまず証明の問題は、その外国の政府の問題でございます。また、いかなる国籍を保有するかということは、その外国人の本国法が決定することでございます。したがいまして、一般的に昭和二十三年の国連総会によりまして韓国が合法政権として承認されております関係上、その韓国の国籍を持っている者がおることは抽象的にわかるわけでございますが、特定の個人についてどの者が韓国の国民であるかということについては、本国法が決するところであり、かつ外国政府の証明が必要である。そういう見地から、ただいまの大臣のような御答弁に相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/55
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056・稲葉誠一
○稲葉誠一君 在日韓国人というのが抽象的にいるというんですけれども、どのくらいいるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/56
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057・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) その数字ははっきりつかめないのでございます。現在までに、在日朝鮮人で朝鮮に帰りたいという場合に、韓国政府が旅券を発行しますと、日本から見てこれは韓国人だと一応考えられているわけであります。しかし、そういう以外には、外国人登録令等によりまして登録しました者には、あるいは朝鮮と書いたり、韓国と書いてあります。それは国籍を厳密に区別する意味で登録したものではないのでございますから、いろいろ推定はできるかもしれませんが、いま法的に確認がまだできない人数が相当あると推定されますので、はっきりした人数はわかりにくいのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/57
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058・稲葉誠一
○稲葉誠一君 在日韓国人というのが抽象的に日本にいれば、在日朝鮮民主主義人民共和国民という者も抽象的にはいるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/58
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059・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) そのほうは、抽象的にはいるということは否定はできません。これはわかりませんです。そのほうは、いまのような、その本国から、その人が自分の本国だと思うところから別に有権的な証明の方法がないわけでございましょうから、やはり何人あるということはわからないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/59
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060・稲葉誠一
○稲葉誠一君 よくわからなかったんですけれども、在日韓国人というのは、これは韓国の代表部の旅券を持っているから在日韓国人だ、こういうふうなことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/60
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061・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) そうだと思います。韓国の政府側から、韓国人と認めて、そういう査証と申しますか発行しておりますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/61
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062・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすれば、そういう人たちは何人ぐらいいるかわかるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/62
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063・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) それは、いまのように韓国に帰りたいとかなんとか旅券の発行を請求した者はわかりますが、請求しないで、自分は韓国人だと思い、韓国政府も自分の国民だと思う者もあろうと思いますから、そのほうはまだこちらにははっきりわからないという状態にあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/63
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064・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、いつ韓国人と北朝鮮のあれとは分かれるんですか。日韓会談でそれがはっきりするんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/64
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065・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) おそらく相当はっきりしてくるのは、日韓会談が法的地位が事実上合意ができまして、それが条約にでもなりますと、今度は永住権の問題がはっきりするわけです。それで、そのときに日本に永住したいという意思のある人は、韓国人なら韓国人と名のりをあげるわけでございます。同時に、それは韓国政府が自分の国民であるということを認めることが必要で、日本のほうから独自の見解できめるわけではございません。そうすると、そこで相当大きな数が出てくるのじゃないか。しかし、永住権の希望がない人もあるかもしれません。それから、あっても手続がおくれたりする人もあるかもしれません。また、韓国籍を選択しない、北鮮のほう、そういう人も在日朝鮮人でありましょうから、そういうものが残ると思います。残った人は、全部韓国人でないとも断定できないわけでございます。そこで、やはり相当不明な——よほどわかってくるが、いまのように全部はっきりわかるというところまではいくということも言えないのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/65
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066・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、いま大臣の言われたのは、相当大幅に韓国人というのは出てくるのだというふうなことを言われましたが、そういうふうに日本の政府としても期待しているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/66
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067・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) いまのように、こちらできめるわけじゃないのですから、わかりませんが、いま大体六十万近く日本に朝鮮人がおりますが、大体韓国が郷里だというのが非常に多いのでありますから、相当多数じゃないかというふうに一応考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/67
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068・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そこで、いま永住権の問題というのが出てきたわけです。永住権というのは、具体的には何なんでしょうか。永住権永住権というと、わかったようなわからないようなんですが、具体的にはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/68
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069・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) これは政府委員からお答え申したほうが適当かと思いますが、いま外国人が在留しますと、旅行者として在留しましたり、あるいはいろいろ在留の目的によりまして何カ月とか、また、学生とか技術者が来ましたら、何年ときまっておりますけれども、そうでない、日本に生活の本拠を持つといいますか、期限を切らないで一生おれるというようなもので、ほかの滞留者の権利とたいへん期間的にも違い、また、内容も相当違う面があると思います。これは、詳しくは政府委員からお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/69
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070・富田正典
○政府委員(富田正典君) 永住と申しますのは、入管令上の在留資格の一種でございまして、普通の場合、観光客でございますと、観光客という在留資格とその期間は六十日、あるいは留学生の場合は、留学生という資格でその期間が一年といったような、資格と期間の定めがございます。永住の場合には、その期間の定めがなく永住できるという入管令上の資格でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/70
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071・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、永住権を持っている場合でも、やはり外国人登録が必要なんですか。それからその切りかえは必要なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/71
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072・富田正典
○政府委員(富田正典君) 外国人登録とは無関係でございます。永住資格を持ち、期間の定めがなく永住することができるわけでございますが、外国人登録令上は、現在も、かりにきまりましても、三年に一度の登録の切りかえが必要である。ただ、将来の問題といたしましては、この三年がいいかどうかという検討の余地はあろうかと思いますが、外国人登録令上の切りかえの適用は受ける。現在のところはそうなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/72
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073・稲葉誠一
○稲葉誠一君 現在のところは、外国人登録は三年切りかえだけれども、日韓会談の結果与えられる永住権は、そういうふうな切りかえなどは要らなくなるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/73
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074・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) そういう細部は、いまからの交渉できまるのじゃないかと思います。合意が——あるいは合意の範囲外に残るかもしれませんが、合意ができまして条約がきまりましたら、その実行のために法律の御審議を願うようになるのじゃないかと思います。そういう際に明確になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/74
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075・富田正典
○政府委員(富田正典君) ただいま大臣から御答弁がございましたように、まだ検討中の問題でございまして、外国人登録令の期間をどうするかというようなことはまだきまっておりません。将来の問題としてあるいは出てくるかもわかりませんが、現在のところは未定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/75
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076・稲葉誠一
○稲葉誠一君 法的地位の問題は、煮詰またっというか、ほとんど合意に達したということが再三言われているんですね。これは政府が発表したのか新聞が書いたのかはっきりいたしませんけれども、そういう点はきまっているんじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/76
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077・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) 大筋が大体きまったということで、何と申しますか、登録令とかそういうことはいまからじゃないかと思います。たとえば、大体こういう範囲の在留朝鮮人に永住権を認めるとか、その範囲はこうである、永住権の内容につきましてあるいは生活保護であるとか、義務教育の学校には無償で入れるとか、それも法的にどういう形になるかということもまだ煮詰まっていないのではないかと思いますが、大体実質はそういうふうにしていこうという程度には話し合いが一応交渉していく人の間にまとまっていると、こういう状態だと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/77
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078・稲葉誠一
○稲葉誠一君 現行法でも永住権というものは与えられているわけですね。それを与えられているのは、日韓会談の結果与えられる永住権とそこに違いが出てくるんですか、同じなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/78
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079・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) 現行法ですと、一口に言って、永住権を与える条件というかコンディションがなかなかやかましいわけでございます、外国人を日本に永住せしめる場合。いわゆる在留朝鮮人の場合におきましては、桑港条約が発効しますまでは日本人としておったわけなんです。ことに終戦までは、明瞭に日本人だと思って日本におって、日本に生活の基礎があって、それから言語風俗と申しますか多分に日本化している人たちが多いわけであります。それが自分の意思がどういうわけであるかにかかわらず、桑港条約の結果、日本人の地位を失ったものでありますから、そういう条件を考えまして、普通の永住権を与える場合より寛大と申しますか、在留朝鮮人の利益と申しますか都合のいいようにそういう形で、別の言葉で言えば条件がだいぶ緩和される、こういうことだと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/79
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080・富田正典
○政府委員(富田正典君) ただいま大臣が申し上げましたように、許可の条件が、現在、独立生計であるとか素行善良であるとかという条件がついておりますが、これを大幅に緩和するということも従来の永住権とは異なった取り扱いになるわけでございます。また、その内容につきましても、退去強制等の面におきまして従来の永住権よりも緩和した形のものにする、そういう面で異なってまいるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/80
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081・稲葉誠一
○稲葉誠一君 一九四五年の九月二日以前から日本に引き続き在留している者、これは法律一二六号の者、これは日韓会談がどうなるか別として、その結果としての永住権によっても全然影響を受けないわけですか、変化はないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/81
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082・富田正典
○政府委員(富田正典君) 現在のいわゆる一二六と呼んでおります昭和二十七年の法律百二十六号によりまして、当分の間在留資格を持たないでも在留できるという規定によって在住しております朝鮮人、台湾人がございます。今回の日韓交渉によりまして特殊な永住権というものがきまりますれば、それが一つの在留資格になってまいるわけでございます。その特殊な永住権を取得した者については、これは法律百二十六号からはずれてまいるということになるわけでございます。百二十六号からはずれて在住資格を持った在日朝鮮人というものが浮かび上がってまいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/82
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083・稲葉誠一
○稲葉誠一君 百二十六号で、これはいわゆる暫定的法律として考えられていたわけですね。そうすると、日韓交渉の結果の法的地位の問題としてこの百二十六号というのは廃止されるんですか。そしてあらためて永住権を与える者と与えない者とが出てくると、こういう形になるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/83
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084・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) 日韓交渉ができまして、条約ができ、さらに国内法ができまして、韓国人として永住権を与える者がまあ相当数できるわけでございます。で、それ以外に引き続いた前からの在留朝鮮人としては残ると思います。それはどのくらいの数になるかわかりませんが、それに対しましては、いまの昭和二十七年の法律をすぐ適用しない、そういうことはしない、当分このままで行きたいと、そう私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/84
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085・稲葉誠一
○稲葉誠一君 百二十六号を適用しないというんですか。はっきりちょっとしなかったんですが、これを廃止しないというんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/85
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086・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) 適用しないということを考えないで、現在のような状態で続ける。それは別の言葉で言いますと、韓国人の場合はそういう条約的、法的に一応確定しますが、片っ方のほうは確定できない。韓国人でも、今の登録手続を受ける人もありましょうし、そういう状態の人を急に状態を変えるということは適当でない。まあ大体いまの生活関係の内容は、今度の協定ができました場合に今と違いませんのですから、生活保護の適用とか義務教育とかは違いませんから、そういう状態を続けていくのが適当じゃないかというふうな考え方をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/86
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087・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いまの百二十六号から特別在留に変わる場合がいままでもあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/87
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088・富田正典
○政府委員(富田正典君) 法一二六該当者が犯罪を犯しまして退去強制事由に該当しますその者については、最終的に法務大臣の裁量権によってこれの在住を認めるということに相なるわけであります。その場合には、新たに現在の入管令上の在留資格を与えてまいっております。その面では一二六から抜け出て在留資格を持った者も若干あるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/88
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089・稲葉誠一
○稲葉誠一君 特別在留に百二十六から変わったという者は、いままでどのくらいあるんでしょうか。いまわからなければわからないでもいいんです、あとでもいいんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/89
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090・富田正典
○政府委員(富田正典君) 正確な数はただいま承知しておりませんか、現在在留資格を持って在留する在日朝鮮人が一万数千名あると記憶しております。その中には密入国してきて特別在留資格を持っている者もありますので、全部がただいまの稲葉委員のお尋ねの数字には相ならないと思いますが、その中に相当部分そういう者が含まれているのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/90
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091・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、永住権の付与の申請は、これは日本の政府にするわけでしょう。その場合は、いわゆる韓国の国籍の証明書か何かをつけなくちゃいけないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/91
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092・富田正典
○政府委員(富田正典君) 先ほど申し上げましたように、特定の個人についてその者の国籍を証明することは、もちろん所属国の権限でございますので、われわれはそれを期待して現在種々交渉しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/92
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093・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、結局、韓国の国籍証明をつけなければ永住権申請はできないということになるわけですね。これは当然かもしれませんがね、法律論からいえば。そういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/93
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094・富田正典
○政府委員(富田正典君) われわれとしては、そういう方法を期待しておりますが、国籍証明という形でなくても、何らかの形で確認するというふうな方法もありはしないか、その辺の点はまだ交渉中でありまして、確定いたしておりませんので、正確には答弁いたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/94
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095・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いま韓国政府は国籍証明書というものを出しているのじゃないですか。それを相当持っておる韓国人というか、在日朝鮮人の中で韓国政府の出している国籍証明書を持っておる人も相当いるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/95
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096・富田正典
○政府委員(富田正典君) 韓国へ日本から行って往復するいわゆる再入国の申請をいたします場合には、韓国の代表部から旅券を発給してもらって、往復しております。それらの者についてはそういう国籍証明があるということに相なると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/96
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097・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それからたとえば船員などの場合も、韓国無で韓国の証明書がないと船員になれないのじゃないですか。ちょっと変わりましたけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/97
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098・池上努
○説明員(池上努君) 船員法で船員手帳を交付する対象といたしまして、従来韓国領事の証明書を要求していたのでございますが、たしか昨年、正確なことはちょっと存じませんが、昨年あたりの改正で、それがなくても船員手帳が出せるようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/98
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099・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは運輸省ですね。運輸省が来なければ正式なことはわかりませんかもしれませんが、沿岸の船で二十トンまでのものは船員手帳は韓国籍の証明書がなくても出せるようになったんで、やはり外航船の場合にはいまでも依然として韓国籍を持っていないというと船員手帳をもらえないのじゃないですか。そこまではおわかりになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/99
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100・池上努
○説明員(池上努君) 大体そのように存じておりますが、正確なことはちょっと担当のあれでございませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/100
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101・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それじゃ、法務省の関係では、たとえば農地やなんかの移転登記する、日本にいる在日朝鮮人が。そういうような場合でも、韓国籍でないとそれができなかったのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/101
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102・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) そういうことはないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/102
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103・池上努
○説明員(池上努君) 財産取得に関する政令で、通産大臣と大蔵大臣が連名で指定する国の国民は主管大臣の承認が要らないということになっておりまして、それでは大韓民国という指定がなされております。したがいまして、大韓民国の方は主管大臣の承認なしに所有権が取得できるわけでございます。そういった面では多少相違はあるかと存じますが、主管の省でございませんので、ちょっと正確にお答えできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/103
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104・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いや、主管の省というのは、入管は所管じゃないかもしれませんが、民事局はこの点は主管のはずですから、よく調べてくれませんか。土地の移転、ことに農地の所有権移転の場合に、韓国籍の証明がないというと、在日朝鮮人が所有権の移転ができないんですよ。ここ二、三年ちょっと変わりましたけれども、前はそうだったわけです。非常にそこら辺かおかしい。具体的にどういうふうなことからそういうふうになっているのか、これは法務省は知らないのかな。いまの大蔵と通産の承認を韓国の場合は要らないんですか。そういう形になっているんですか。よく調べてくれませんか。
それから、もう一つ、やはり相続による登記のような場合でも戸籍謄本が要るわけでしょう。その場合、戸籍謄本が、韓国へ本籍があるので送ってくれと言っても、韓国は送ってこない。焼けちゃったりなんかしてわからないわけですね、実際問題として。そういう場合に、駐日代表部へ行って国籍証明をもらってやれば、戸籍謄本をもらえて登記ができるんだ、こういうようなことになっているのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/104
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105・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) いまのは登記に関することでございますが、登記につきまして戸籍謄本が要るという場合は、おそらく相続登記ではないかと思いますが、相続人がだれかということを、はたして相続人なりやいなやということを確認する必要がございますので、韓国、朝鮮には昔の朝鮮の戸籍法がございまして、現在でも残っておるようでございますが、その戸籍謄本があれば、それによって相続関係がわかるわけでございます。戸籍謄本の提出を要するということになるわけでございます。ただ、韓国の駐日代表部の証明が要るかどうか、ちょっと私その点はいま詳細承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/105
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106・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは相続ですから、戸籍謄本が要るのですけれども、韓国に本籍がある場合がありますので、そういう場合、直接韓国へ郵便かなんかやって戸籍謄本を送ってくれと言っても、焼けちゃったりいろいろな理由で送ってこないわけですね。そこで、駐日代表部を、通じてやるとすぐ送ってくる。そのために、駐日代表部を通ずるときに国籍を韓国の国籍に登録をしないというとその戸籍謄本を送ってこない。結局、そういう形では、韓国籍というか、証明書を在日朝鮮人が得なければ困っちゃう状態に追い込まれて、そうして韓国籍を持っておるという場合が多い。これは法務省の所管ですから、よく研究してくれませんか。
それから労働者の関係ですが、遺族補償のような場合でも、戸籍謄本の添附がないとできないんですが、それもなかなか取れないんです、韓国の場合は。そうすると、結局代表部を通じて代表部で国籍を韓国に変えないというと送ってこない。そういうような形で結局在日朝鮮人が代表部で韓国籍をとっている場合が多い。
それから前にちょっと出た韓国に帰りたいというために在日朝鮮人が一々韓国の国籍証明書をもらう場合がある。それで韓国に一ぺん行ってくるわけですね。いま入管の次長も言われたように、韓国へ行って帰ってくる再入国の場合には、韓国の国籍証明がないというと日本は許さないんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/106
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107・富田正典
○政府委員(富田正典君) 旅券でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/107
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108・稲葉誠一
○稲葉誠一君 旅券ですか、旅券というのは外国に通用しないんじゃないですか。日本だけの問題じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/108
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109・富田正典
○政府委員(富田正典君) 外国政府の発行する旅券でございます。それを駐日代表部がおそらく代行しておるのだろうと思いますが、そこで韓国旅券を発行するわけでございます。その韓国旅券を持って、それに日本政府の再入国の許可をもらって往復するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/109
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110・稲葉誠一
○稲葉誠一君 韓国政府の旅券がないと、韓国へ行って再入国する場合の許可、これは法務省の所管でしょう。その場合に、与えないんじゃないですか。あるいは質問がちょっと食い違っておるかわかりませんが、韓国の代表部が、韓国の国籍証明がないというと旅券を出さないんだということになっているわけでしょう。その結果として、再入国の許可のときも、韓国の国籍があり韓国の旅券がある者でないと法務省は許可しないという形になっているんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/110
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111・富田正典
○政府委員(富田正典君) 韓国代表部かいかなる場合に韓国政府の旅券を出して、いかなる場合に出さないかということは、われわれとしては直接承知しておらないのでありまして、向こうの政府の権限に、属するわけでございます、その場合に、国籍証明とおっしゃいましたが、韓国の代表部自体でつかんでいる者のことで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/111
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112・稲葉誠一
○稲葉誠一君 旅券ですか、何なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/112
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113・富田正典
○政府委員(富田正典君) おっしゃいましたその辺、私のほうにもどういう基準で区別しておるかはよくわからないわけでございます。向こうでおやりになっておることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/113
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114・稲葉誠一
○稲葉誠一君 向こうでやっておることはわからなくても、それは別として、あなたのほうは、再入国の許可は法務省の入管でやるわけでしょう。そのときに、韓国の国籍証明があり、韓国の代表部が出している旅券があるということが前提なんでしょう。それがなければもちろん韓国政府は旅券を出さないかもわかりませんが、当然なんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/114
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115・富田正典
○政府委員(富田正典君) 国籍証明書と旅券を要求しているわけではございません。旅券だけを要求しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/115
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116・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それはそうなんですけれども、ただ、韓国政府のほうで旅券を出す場合に、国籍証明を韓国にしないと旅券を出さないわけです、現在は、そこら辺はわかっていないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/116
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117・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) いまのお話はこうじゃないかと思います。韓国籍なら再入国を必ず許しているたてまえじゃないのです。再入国は、日本の利益に害がないと見た場合には許すわけです。それで、旅券がない場合には、いままで正式にそういう事例もありませんでしたし、ケースは起こっておりませんが、再入国をすることについての日本側から見ました判断が困難ですから、認めることはむずかしいケースじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/117
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118・稲葉誠一
○稲葉誠一君 再入国の許可は政府の裁量行為だと。これは別の問題として、私がお聞きしているのは、ちょっと質問がわかりにくいかもわかりませんが、在日朝鮮人が韓国に本籍がある場合があるわけですね。韓国へ一たん帰ってまた日本に来たいといういわゆる往来したいという場合があるわけです。その場合に、韓国の代表部か何かに行って旅券をもらわなければならない。旅券をもらう前提として韓国の国籍に登録をしないというと、韓国政府は旅券を出さないわけです。その結果として、それが法務省へ来て、法務省のほうで再入国を許可するしないという問題になる。だから、そういう韓国籍の旅券があったからといって必ずしも全部再入国を許可するということを言っているわけじゃないわけです。これは別のことですけれども、前提としては、そこで在日朝鮮人が韓国籍に登録しないと、韓国へ行って帰ってくることができないわけです。これはもう事実なんじゃないですか。ここらは法務省は知っているんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/118
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119・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) それは、韓国籍の者につきましては、出た者について事実上再入国を認めるのが適当だ、またその人にとっても必要だ、こちらから見ても害がないという場合には許す方針でございます。それで、いまの御質問の趣旨がどうかと思いますが、韓国人でない場合には、事実上いままで申請はないと承知しております。そして、ほんとうに打ちあけた話を申しますと、昨年の鮮人自由往来ということがありましてから二件ばかり話しに来たことがあるそうです。しかし、申請がないのですから、事実問題として起こっておりません。起こっておりませんが、ではそういうときにどうだろうかというお話になりますと、再入国は私はいま困難だ、こう思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/119
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120・富田正典
○政府委員(富田正典君) 手続面の問題だと思いますので、私からも……。韓国の代表部がどういう形でわがほうの国民であるとして把握しておるかどうか、把握しておるとすれば、それに基づいてそこに把握しておらない者に対しては韓国の代表部が旅券を発給しないかどうか、その辺のところは私のほうも承知しておらないわけでございます。ただ、考慮できることは、外国人登録証書の上で韓国、朝鮮というような差異、こういうものを基準にしておるかどうか、また別な方法で向こうが把握しておるかどうか、それによってどう処理しているか、その辺のことはわからないわけでございます。ほんとうのところ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/120
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121・稲葉誠一
○稲葉誠一君 大臣、私は朝鮮のいわゆる自由往来の問題、あのことを質問しているのじゃないんですよ。いやに先ばしった答弁を大臣されましたけれども、それは聞いていないんです。そうじゃなくて、いまの韓国の問題を聞いているんです。
そこで、私の聞きたいのは、いま言ったように、たとえば船員になりたいとか、あるいは農地の移転の場合とか、相続の問題、遺族補償の問題、その他あるんですが、韓国に本籍があるわけです。在日朝鮮人であって、北朝鮮を支持しているけれども、本籍が韓国にあるので、一たん行ってきたいというような場合があるわけです。そういうふうな場合に、韓国の国籍を取得——つまり国籍証明をもらわないと韓国政府が旅券を出さないものですから、韓国籍に登録するわけです、代表部へ行って。そういう者が相当いるわけですよ。ところが、それを、今度、ああいう特別な事情でいわば便宜のために韓国の国籍を登録したんだ、だけれども、それはもともとどおり韓国籍でないほうにしたいんだということを言う場合が非常に多いわけですね。そういうふうな場合は、日本の政府としては関係ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/121
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122・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) 日本政府としましては、本人が韓国人であると称し、韓国政府がそれを認めた場合に韓国人と認める。まあそれだけのことなんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/122
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123・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いわば便宜のために韓国籍というのを形の上だけでとっているわけですよ。そういう人が非常に多いわけです。それで、韓国籍はいやだというので、前々どおりいわゆる在日朝鮮人という、これは韓国だか朝鮮だかわからないもの、未分明の形の在日朝鮮人というのがいるわけですね、そこに返りたいというわけですよ。それを日本の市町村役場に行っても認めないわけなんですよ。これは日本の政府としては関係ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/123
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124・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) それは、前申しましたように、本人が韓国人だと言い、韓国が認めた場合は日本が韓国人と認めるのですが、そういう客観的事実がなくなった場合の処置なんですが、それがなくならないで本人がおれは違うと言っても、それはすぐそうというわけにはいかんでしょうね。向こうの韓国籍を離脱したということが客観的に証明されてからの問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/124
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125・稲葉誠一
○稲葉誠一君 まあそこら辺のところはよくわかりませんが、むずかしい問題かもしれませんが、韓国にきわめて便宜的に——私はもっと今度詳しくお聞きしますけれども、韓国籍でなければなれないようないろいろな制度が実際問題としてあるわけです。だいぶ変わってきましたけれども、あったわけです。現在でも残っているわけです。ですから、しょうがないから韓国籍の形をとるわけです。ところが、日韓交渉の結果がどうなるか別として、韓国ではいやだから韓国籍を離脱する、前のような状態になりたいんだと、こう言っても、それを日本政府としては認めない。それは日本の政府としては全く権限外の関係ないことだというんですか。そこら辺がはっきりしないんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/125
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126・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) 本人だけがおれは韓国籍はいやだと言っても、本人が以前に主張し、そして韓国政府が認めたのですから、本人がきらったってすぐ認めなきゃいかんかどうか、そういう国籍の変更の条件、それを第三国がどう認めるか、これは私もよくわからないので、研究いたしましてお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/126
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127・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、外国人登録法の第九条で、何か「変更を生じたことを証する文書」というのがあるわけでしょう。この書面は一体何を言うわけですか。第九条第一項です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/127
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128・富田正典
○政府委員(富田正典君) 「登録原票の居住地以外の記載事項に変更を生じた場合には、その変更を生じた日から十四日以内に、」云々とございます。したがいまして、居住地以外の身分関係、あるいは在留資格、在留期間、こういうものが変更になりました場合は、九条の規定によって変更届けを出すということに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/128
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129・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ここの「その変更を生じたことを証する文書」、外国人登録法の朝鮮という国籍欄の記載から韓国に変えるのには、こういう文書、これは韓国の代表部が出した証明書のようなものが要るのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/129
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130・富田正典
○政府委員(富田正典君) 国籍欄における朝鮮という記載からこれを韓国という記載に直したいという場合には、代表部のただいま御指摘の証明書を要求いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/130
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131・稲葉誠一
○稲葉誠一君 だけど、外国人登録法の国籍欄の記載というのは全く意味がないというんでしょう。いままでの説明では意味がないということを言っていながら、ここで国籍証明書を必要としているというのはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/131
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132・富田正典
○政府委員(富田正典君) これは、御承知のように、最初は朝鮮一色で記載されておったのでございますが、それが韓国として記載を希望する者については韓国の記載を認めるということに相なったわけでございます。その後、韓国から朝鮮に戻りたいというその場その場の都合でこれが自由に行なわれますと、現場の窓口も非常に混雑いたしますので、一応そういった乱用を制限する意味におきまして、そういうものを要求したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/132
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133・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その混乱というのは、昔はちょっと生じたことがあると思うんですが、その後は全然生じていないわけですね。いまは、ここにいうところのあれでは、朝鮮という記載があるわけですよ、外国人登録法の国籍欄に。それから韓国というのに変えるのは、韓国代表部の国籍証明みたいのがあれば自由に変えているわけです。ところが、逆に韓国という欄から朝鮮というのに変えようと思うと、これは日本の政府が受け付けないわけです。そうでしょう、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/133
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134・富田正典
○政府委員(富田正典君) 相当の理由がある場合には受理いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/134
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135・稲葉誠一
○稲葉誠一君 だって、国籍欄の記載は全然意味がないというのでしょう、いままでの答弁は。何ら意味がないというのなら、相当の理由があるならば変えるとか変えないというのはおかしいですよ。それは聞こえないな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/135
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136・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) 全然意味がないというのではなくて、初め朝鮮で一ぺんにやったものですから、それをあといまの手続を経て変える人もあれば変えない人もあるし、それを朝鮮だと言うから韓国でないとか、韓国だと言うから朝鮮でないとかというふうに厳格にそれをとって言うほどのものではない。それはしかし登録をしたのはかってに始終変えられても困るのですから、それは本人に意思がなくちゃいけない。同時に、韓国政府の承認とか同意というものはこれはやっている、こういうことじゃないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/136
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137・富田正典
○政府委員(富田正典君) この問題につきましては、昨年でございましたかも御質問ございまして、われわれといたしましても、そういう性格のものでございますから、一切変更を認めない、意味がない——意味がないと申してはあれでございますが、実質的に国籍をあらわすものとも考えておりませんし、そういうような性質のものでございますから、それを変えろ変えないということでいろいろなごたごたが無用な紛争が窓口で起こるといたしますれば、この変更というのを認めないようにするか、あるいはもう自由に認めるようにするか、その辺をいろいろ研究いたしたいということを申し上げた次第でございます。そういう程度のものであると御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/137
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138・後藤義隆
○後藤義隆君 ちょっと関連してお聞きいたしますが、韓国とあるのを朝鮮と変えることは無意味じゃなくて、意味があるのじゃないですか。たとえば何か犯罪かなんかやっておって送還する場合に、韓国とあれば韓国の政府のほうに受け取ってもらいたいという交渉ができるが、朝鮮とある場合には相手がないのじゃないですか。それを韓国のほうに言うわけにいかないのじゃないですか。それで、韓国とあるのと朝鮮とあるのと登録にあるのは、非常に意味が違うのじゃないですか。自由に、そうかってに変えていいものかどうか、私は非常に考慮の必要があるのじゃないか、こう思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/138
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139・富田正典
○政府委員(富田正典君) 登録証明書の国籍欄の記載は、朝鮮と書いてあり、あるいは韓国と書いてございましても、それによってこれは国籍を意味するものではないということを、外国人登録法が施行されまして第二回目の切りかえの際でございますか、昭和二十五年ごろに当時の法務大臣が談話を発表しておられます。そういうわけでございまして、われわれといたしましては、その記載いかんにかかわらず、本人が帰住地の選択の自由があるわけでございますから、韓国へ送還すると決定いたしましても、北朝鮮地域を帰還地に選択いたしますれば、そちらのほうへ出国せしめるというようなことで、実務的には何ら問題はないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/139
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140・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは、最初は朝鮮と書いたわけですね。そうしたら、韓国代表部かがアメリカへ運動して、当時、占領中かな、アメリカのほうから、これは韓国なり大韓民国というふうに書くのも認めなければいけない、こういうふうなことで、それから当時の法務総裁談話か何かで、そして各市町村役場か何かへ通知したのじゃないですか。その結果として、最初朝鮮だったものが韓国というのがだいぶ出てきたのじゃないですか。経過はそうだったのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/140
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141・富田正典
○政府委員(富田正典君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/141
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142・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、朝鮮から韓国に変えるのには、代表部の国籍証明ですか、何が要るんですか。大韓民国国民登録証というのが要るんですか。何が要るんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/142
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143・富田正典
○政府委員(富田正典君) 駐日韓国代表部の証明書の添附を要する。で、その内容がどういう名称のものであるかどうか、詳細までわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/143
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144・稲葉誠一
○稲葉誠一君 韓国から朝鮮というふうに変えるのは、これはもう特別な事由というのだけれども、要するにたいしたことではないのなら、特別な事由といって厳格に制限する必要はないと思いますが、なぜ韓国から朝鮮へというのを変えるのはやらないのですか。これは韓国の代表部のほうからそういうことをしないでくれという要請でもあったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/144
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145・富田正典
○政府委員(富田正典君) そういう要請があったとはわれわれ聞いておりません。ただ、考えまするに、登録証明書の国籍欄の記載については、われわれは重大な意味を持たないと考えておるわけでございますけれども、われわれのほうは、何と申しますか、この記載が在日朝鮮人の間の一つの勢力抗争と申しますか、そういうものに利用される傾向がございますので、できるだけそういう無用なごたごたはさせたくないという意味で、最初朝鮮一色であったものが韓国に移っていくのはやむを得ませんが、その後韓国に移った者がまた戻る、戻った者がまた韓国に戻るというような常時往復を繰り返しておりますと、非常に事務的にも煩瑣でございますし、また、そういうことがいろいろそういった政治的紛争に利用されるということも好ましくないので、これを差し控えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/145
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146・稲葉誠一
○稲葉誠一君 どうも朝鮮から韓国に変えるのはどんどん認めていて、逆なほうはさっぱり認めないというのは、どうも具体的なはっきりとした理由がつかめないわけですね。これはどうもよくわからないですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/146
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147・中山福藏
○委員長(中山福藏君) ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/147
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148・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/148
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149・稲葉誠一
○稲葉誠一君 永住権というものを与える範囲として、講和発効前に生まれた者が二十歳になったときに、成人に達したときに永住権を与えるかどうかをきめるという考え方をとっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/149
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150・富田正典
○政府委員(富田正典君) 協定永住を与える範囲につきましては、韓国側は戦前から引き続いて住んでいた者及び子々孫々までほしいということを言っておるわけでございます。これにつきましては、わがほうといたしましては、現在の法律一二六に当該する者、戦前から引き続き在留する者、あるいはその者の子で講和条約発効までに生まれた者、これは当然はいってくるわけでございます。したがいまして戦後講和条約発効までに生まれた者は、二十年の後云々ということなしにこれは協定永住権の対象になるわけでございます。さらに講和条約発効後に生まれた者をどこで区切るかというようなことについていろいろ論議しておるわけでございます。そこで、かりにある時点がきまったといたしまして、協定永住権者というものかきまるわけでございますが、その者の子をどうするかというのはまた別に問題になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/150
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151・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは、そこにいる池上参事官が「在日朝鮮人の法的地位について」という論文を「外人登録」という雑誌に書いておるのですが、その中でたとえば在日朝鮮人の国籍の問題が書いてあって、これは非常にむずかしい問題がありますから、あらためてお聞きいたしますが、この中で八ページの上段の左のところですがね。「このようなことから、日韓両国間に国交が回復された暁において、韓国政府発給の旅券又は国籍証明書を所持している朝鮮人については、これを大韓民国の国民と認めなければならないことはいうまでもない。」と、こういうふうにあるわけですね。旅券を持っておったり、それから国籍証明書を持っておっても、私が前に言ったようなきわめて便宜的な理由からそうせざるを得なくなってやったんだ、だから、自分としては韓国籍を持ちたくないのだという人がたくさんいると思うんですよ。そういう人々は、その人の意思にかかわらず、一たん便宜的にしろ国籍を取得したようなかっこうになっているからだめだと、こういうわけですか。韓国籍を離脱して、前のような形の在日朝鮮人なりあるいは北朝鮮のあれになるということはできないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/151
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152・富田正典
○政府委員(富田正典君) その八ページの前段にも書いてございますように、「特定の個人についてその者の国籍を証明することは、その者の所属する国の専属的権限に属している。他の国はその証明を否認することはできない。」、こういうたてまえに立っておりますから、自分は韓国民であるということで韓国政府に保護を求め、その証明書をもらっている人間につきましては、日本政府としては韓国国籍の人であるというふうに認めざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/152
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153・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それは一般の場合には確かにそうだと思うんですが、在日朝鮮人というより、国籍がまだ未分明というか、そういうふうな形のものならば、日韓交渉の効力がどうなるか別として、その発効前に、いや自分は韓国の国籍を形の上でとったけれども、これはためなんだ、離脱するんだと通告した場合にも、やはり日本政府としてはそれは韓国人として認めるわけですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/153
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154・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) それは、御当人の腹の中はこっちじゃわかりません。それは腹の中の話で、自分が合法的に韓国人と称し、韓国人と認めた、そういう状態が変わらない限りは、日本政府はそう認めざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/154
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155・稲葉誠一
○稲葉誠一君 自分が韓国人と主張していない場合、自分は韓国人という一時的に便宜的にそういう形をとったとしても、それは離脱したんだと、こう主張している場合です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/155
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156・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) そういうふうな——前に申しましたように、客観的に国籍を離脱する条件、どうもこれは私もいまわかりませんが、それにはまればよろしい。ただ、自分がその希望しておるからこれは韓国人でないというふうに日本政府が認めるわけにはいかないと思います。客観的にその国籍を持たす要件が備わりますれば、国際法的に見ましてそれはそういうことになりましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/156
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157・稲葉誠一
○稲葉誠一君 国籍法上国籍選択の自由というものは認められておるわけですから、本人は便宜的な形で韓国籍を取った、それを離脱し、韓国政府に通達すれば、韓国民でないという意思を中心に考えるのが妥当なんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/157
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158・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) 国籍選択の自由ということはございましょうが、いまのように、それじゃほかの国籍におれは属すると主張しましても、その国が認めないということもございます。しかし、自分の離脱のほうは自由で、それはそういうことも考えれば考えられますけれども、いま申し上げましたように、それはそれだけで国籍離脱が客観的に成り立つかどうか、実は私もまだ、ほんとうのところ存じません。成り立てばそういうこともございましょう。客観的に国籍離脱の条件がそろったらそれはよろしいわけでございましょうが、具体的にどうかということは、取り調べて御返事を申し上げることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/158
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159・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いまの問題は、私もよく研究してみたいと思います。非常にむずかしい問題でありますが、韓国へ一時帰るために便宜的にやったとか、船員手帳をもらうとか、登記の関係やなんかでやったのが、在日朝鮮人の中に少なくとも五千名くらいいるらしい。これは数字の見方はあるかもしれませんが、私どものほうでは五千名くらいと聞いているんです。これはまた法律的な問題などよく研究して次に質問したい、こういうふうに思います。
それからもう一点、これは便宜的にお聞きしておくのですが、指紋ですね、外国から入ってくる場合の指紋の取り扱いはどうなっておるでしょうか。特に中国の場合非常に——その点どうなっておるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/159
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160・富田正典
○政府委員(富田正典君) 一年以上在留する者について指紋をとっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/160
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161・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それはあらゆる外国人ですか。もとは全部とったのじゃなかったですか、もっと短い期間でも。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/161
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162・富田正典
○政府委員(富田正典君) 現在は、あらゆる外国人について一年以上在留する者についてとるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/162
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163・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/163
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164・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 速記をつけて。
本件の調査は一応この程度にとどめまして、本日はこれをもって散会いたします。
午後零時二十一分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X01719640407/164
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