1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月十二日(火曜日)
午前十時五十一分開会
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委員の異動
五月十一日
辞任 補欠選任
岡 三郎君 中村 順造君
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出席者は左のとおり。
委員長 中山 福藏君
理事
後藤 義隆君
稲葉 誠一君
和泉 覚君
委員
植木 光教君
田中 啓一君
高橋 衛君
坪山 徳弥君
中村 順造君
大和 与一君
岩間 正男君
山高しげり君
国務大臣
法 務 大 臣 賀屋 興宣君
政府委員
警察庁交通局長 高橋 幹夫君
法務省刑事局長 竹内 壽平君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
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本日の会議に付した案件
○鉄道公安職員の職務に関する法律を
廃止する法律案(中村順造君発議)
○商法の一部を改正する法律案(内閣
提出)
○逃亡犯罪人引渡法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
○刑法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○暴力行為等処罰に関する法律等の一
部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
(道路交通事故対策等に関する件)
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001・中山福藏
○委員長(中山福藏君) これより法務委員会を開会いたします。
本日は、鉄道公安職員の職務に関する法律を廃止する法律案、商法の一部を改正する法律案、逃亡犯罪人引渡法の一部を改正する法律案、刑法の一部を改正する法律案及び暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案、以上五件を便宜上一括して議題といたします。
御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
ちょっと速記をとめて、
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/1
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002・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/2
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003・稲葉誠一
○稲葉誠一君 この犯罪人引渡法の改正案がかりに効力を発するようになるとすると、アメリカとの問に犯罪人引き渡しの条約がありますが、あれはもう要らなくなるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/3
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004・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 不要になるのではございまんで、それは犯罪人を引き渡すかどうかという問題の両国間の合意でございますので、これはその合意を前提としまして引き渡しをする場合の国内法の手続を定めたのが本法案でございまするので、条約は依然として必要でございます。で、条約がない場合につきましての国内法の手続を今回の改正で新たに加えておりますから、条約のない場合におきましては、相互主義によってやるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/4
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005・稲葉誠一
○稲葉誠一君 以前に日本と——どうもはっきりしないんですが、ロシアというんですか、ロシアとの間にも同じような条約があったんだというふうに言われているんですが、これはどんな条約で、現在はどういうふうになっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/5
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006・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 御指摘のように、ロシアとの問に、明治四十四年条約第十二号というので、アメリカとほぼ内容の同じの犯罪人引渡条約がございました。その条約は、その後失効して今日に至っておるのでございますが、その失効をいたしました時期等につきましては、いろいろ議論があるようでございまして、ロシア革命が起こった時期だという説もありますし、また、第二次大戦まではあったのであるけれども第二次大戦で失効したと、こういう説をなす者もありまして、その失効の時期は明確でございませんが、今日失効して両国間に条約がないということだけは確実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/6
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007・稲葉誠一
○稲葉誠一君 この失効したということは、あらためて確認したわけですか。そのロシアの、あれですか、何というのですか、国体というか、国家組織が変わったから当然失効したというふうに見ていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/7
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008・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) いまお話しのような考え方も、まあ説をなす者の意見としましてございます。しかし、ながら、どうも公にこれを確認する解釈もまだきまっておりませんようでございまして、少なくとも第二次大戦後、各国との間に平和条約ができたわけでございますが、ロシア——ソビエトロシアとの問で国交が回復されました場合にこの条約が回復するという措置がとられておりませんので、まずは失効しておる状態だというふうに解しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/8
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009・稲葉誠一
○稲葉誠一君 日本がソビエトロシアを承認したときには、そういう点は問題にならなかったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/9
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010・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) ソビエトロシアを日本が承認したときには、引渡条約については何ら触れていないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/10
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011・稲葉誠一
○稲葉誠一君 きょういただいた資料ですね。三様あるわけですが、これについてちょっと概要を御説明願いたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/11
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012・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 三つの資料をお手元に差し上げましたが、最初の「犯罪人引渡しの状況」でございます。この状況を現在トレースできます資料としましては、司法省刑事局でつくっております「明治四十四年以降大正十一年に至る間に於ける我が国との問に起りたる逃亡犯罪人の引渡に関する事件要領」というのがございます。これともう一つは、「司法研究第二輯報告書集二」というのがございましてこのあとのほうは担当官の研究報告書でございまして、確度等につきましては司法省刑事局の資料に劣ることは申すまでもないのでございますが、ただ、「司法研究」のほうは明治初年から大正十三年までの事件を掲げておりますので、両者重複しておりますが、なお「司法研究」のほうが範囲が広くなっておるという意味で、両者をつきまぜましてここに数字を掲げておるのでございます。なお、ここに書いておりますように、大正十四年以降の統計につきましては、資料が焼失いたしてしまっておりますので明らかでございませんが、昭和十年から以降昨年は、スイス連邦との間の引き渡しが二名あるほかには一件もないということだけはその他の資料によりまして確認をいたしております。
そこで、右の資料に基づきまして統計を見ますると、日本から引き渡しを要求した相手国及び件数でございますが、これは(一)の表のとおり、アメリカ、イギリス、ドイツ、中華民国でございまして、六件六人の要求がございます。
今度は逆に日本国に対して引き渡しを要求してきた国と件数でございますが、アメリカ合衆国二十二件ロシア以下ここに書いておりますようで、合計八十三件九十一人になっております。
それでは、その要求した事件につきましてどういうふうに処理されたかというのが二のものでございます。その最初は、日本国から引き渡しを要求した事件について引き渡しを受けた件数が1でございまして、アメリカ合衆国からとそれから中華民国、これが三件三人の引き渡しを受けております。
それから要求をしたが受けなかった件数が、連合王国——イギリス、それからドイツ、中華民国、三件三人でございます。どうして受けられなかったということの原因がここに書いてありますように、これは、詳しく一々読むのを省略いたしますが、原因はここに書いてあるとおりでございます。
それから外国から引き渡しを日本が要求を受けたのでありますが、それに対して引き渡しをいたしました件数、これがアメリカ合衆国以下合計二十五件でございまして、引き渡しをした人数は二十八人となっております。
今度は逆に引き渡しをしなかった国と人数でございまが、これを見ますると、合計五十八件で六十二名が引き渡しをいたしておらないのでございます。なぜ引き渡さなかったかということの原因調べは、その次の十ページのところから(1)から(13)までに掲げてございます。これを見ましても、これらはいずれも政治犯罪とは何ら関係がないようでございまして、政治犯罪人不引き渡しという原則はこれは確立したものでございますので、受ける場合も渡す場合も政治犯罪人は除外されておることが大体これによって明らかでございます。
三は、事件を年表的に見たのでございますが、日本国から引き渡しを要求しましたのは明治六年から大正八年までに六件、そのうち引き渡しを受けたものが三人と、こういうことになっております。
それからその次は、外国から犯罪人の引き渡しの要求があったものを年表的に見たのでございまして、これは明治五年から大正十四年までの問に八十三件、二十五人の引き渡しを了しておる、かようになっておるのでございます。
それから第二の資料といたしまして、「逃亡犯罪人引渡しの内交渉を行ない、又は事実上犯罪人を引きとった事例」これはこちら側が引き取った事例でございます。それといたしましては、まず、昭和三十五年にニュージーランドに対しまして、いわゆるブース事件でございますが、これはここに書いてありますように詐欺事件の被告人でございまして、これを要求いたしましたところ、ニュージーランド政府におきましては国外退去を命じまして、本人はアメリカに向かったと、こういうことになっております。
それから三十六年にサモア政庁から殺人被疑者を引き取っておりますが、これは海上保安庁の係官がサモアに出向きまして身柄を引き取って任意同行で帰国をいたしております。
それから三十八年度には、シンガポール政庁から、篠田——これはいわゆる石炭がら事件の被疑者でございますが、これの要求をいたしましたところ、下のほうの「措置」に書いてありますように、旅券が取り消されました結果、不法滞在者としてシンガポール政庁の収容所に収容されるに至りました。それを日本の警察官が引き取りに参りまして、商船で任意同行で連れて帰っております。
同じく三十八年度、アメリカ合衆国から盛田松彦を殺人被疑者として引き渡しを受けておりますが、これは海上保安庁の係官がホノルルで身柄を事実上引き取りまして、空路任意同行して帰国をいたしております。
三十九年度になりまして、殺人被疑者の植木賢一をパナマ共和国から引き取ってきておりますが、これは海上保安庁の係官がパナマに出向きまして身柄を引き取って、空路任意同行して帰っております。
それから第三の資料といたしまして、「事実上犯罪人について引渡しの要請があった事例」、外国から要請を受けた事例でございます。
まず、三十二年に、中華民国から、これは中華民国の警察官であるということでございますが、どういう罪名のものかわかりません。これは退去強制令書によりまして自費出国をして、これは中共のほうに帰っております。
それから三十五年、韓国の事件で崔チョン宇、これは韓国の国会事務総長の職にあった者で、選挙を干渉したというのが向こうの言い分になっておりますが、これもどういう罪——選挙干渉という罪があるのかどうか知りませんが、わかりませんので、これは入管令の取り扱いとなっておりまして退去強制によって自費出国でスイスに帰っております。
以下、ここに書いてあるとおりでございますが、三十五年には、ソ連、これも刑事犯罪人ということでございまして、一切罪名等はわかっておりません。これも退去強制によりまして自費出国でドイツのフランクフルトに帰っております。
それから三十六年には、ノルウェー、殺人傷害被疑者、これは罪名ははっきりしておるのでございますけれども、ノルウェーの官憲が羽田に参りまして、事実上任意同行で引き渡ししておるのでございます。
それから三十六年は、中華民国、これは殺人被告人で、台湾において公判中のものでございますが、これは台湾へ強制送還をいたしております。
それから三十七年、中華民国、これはやはり退去強制の措置をとったのでございますが、自費出国で中共の天津へ帰っております。
三十八年には、アメリカのダイグルという者でございますが、横領被疑者ということになっておりますが、これは正規在留になっておりますために、何ら措置をいたしておりません。
それから同じく三十八年、韓国の張キョン根、これは元韓国内務部長官でございまして、これも選挙に干渉したということが理由になっておるようでございますが、これは退去手続中でございまして、現在は仮放免ということになっておりますし、一方、不法入国の点につきましてただいま刑事裁判に係属中でございます。
以上がこの資料のあらましでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/12
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013・稲葉誠一
○稲葉誠一君 政治犯として引き渡しの要求があったけれども不引き渡しであったというのはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/13
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014・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 私どもの承知しておる限りではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/14
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015・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いまいただいたばかりでこの資料を検討してないので、十分な質問はできないのですが、「犯罪人引渡しの状況」の中で、日本国に対し犯罪人引き渡しを要求した国の中に、朝鮮というのが四件ありますね、朝鮮人四名、この朝鮮というのはどこですか、いつごろですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/15
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016・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) これは、日韓合併以前の朝鮮の時代でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/16
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017・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それから日本のほうで外国に対し引き渡しの内交渉を行なったという二番目に説明があった中の、たとえばブースというのがありますが、こういうのは、国外退去を命じて、本人はアメリカに向かってから一体どういうふうになったのか、これははっきりしないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/17
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018・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 仰せのように、ブースはアメリカに行ったわけでございますが、アメリカにも日本と同じように自国民不引き渡しの原則がございまして、そういう関係から結局正規の手続をとらなかったというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/18
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019・稲葉誠一
○稲葉誠一君 アメリカヘブースという人を帰したのか、あるいは国外退去だけを命じたから本人はアメリカに行っちゃったのか、よくわかりませんが、アメリカとの問の逃亡犯罪人引渡条約に関連をしてこのブースの事件を取り扱ったわけですか、全然、関係ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/19
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020・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) これは、ニュージーランド政府に対しまして、条約はないけれども、相互主義で引き渡しをしてほしいという交渉を日本からしたわけでございますが、ニュージーランド政府ではこれに応じませんで、ニュージーランド政府のほうでこれをアメリカのほうに出してしまったと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/20
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021・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いまちょっと勘違いしていましたが、そうすると、ニュージーランドとの間では、いわゆる相互主義に基づいて、もちろん条約はないのですが、犯罪人を引き渡すというふうな一つの国際慣例はないのですか。国際慣例みたいなものはあったのだけれども、それにそむいてニュージーランドは日本へ渡さないでアメリカへ帰しちゃったと、こういうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/21
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022・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) その間の事情は必ずしも詳しくわからないのでございますけれども、承知しておりますところでは、ブースがニュージーランドで滞在期間を渡過してしまって不法残留ということになりまして、また、入管令上の関係で、そういう関係から、われわれのほうの要求を正式に取り上げて審査する以前の段階の処置として退去を命じてしまったというふうに聞いておるわけでございます。ただ、ニュージーランドという国はイギリス系の国でございまして、アメリカ、イギリスという国では、大体できるだけ諸外国との問に犯罪人引渡条約を多く結んでおる国でございまして、そういうことで引渡条約がないというようなことで、あるいは話がさらに一歩進んだ段階にもしなったとすれば、そういうふうなこともあり得るかと思いますが、とにかくそこまで入なない段階で処理されてしまったので、どういう考え方であるかということは、いま推測することがでないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/22
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023・稲葉誠一
○稲葉誠一君 この問題一つとってみてもいろいろな疑問がわくのですが、たとえばアメリカへ行っちゃったということは、日本の政府に具体的にいつごろどういうふうな形でわかったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/23
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024・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) これは正式な手続でございませんので、いつということがはっきりわからないのでございますが、「措置」のところに書きましたように、「九月国外退去を命じ、本人はアメリカに向かった。」ということは、ニュージーランドの日本在外公館でございますね、公館からの公報によりまして私ども承知したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/24
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025・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それはわかりましたが、それでアメリカへ向かってしまって、後にアメリカとの間に犯罪人の引き渡しの条約があるのですから、その条約に基づいて、アメリカに対してブースを日本に引き渡すという請求は条約上はできないのですかできるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/25
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026・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) これは、条約で引き渡し請求をすることはできるわけでございます。しかし、条約の明文が明らかなように、自国民不引き渡しの原則がございますので、要求はしてみてもおそらく引き渡さぬということが推認される状況のように判断されたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/26
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027・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、日本人が犯罪を犯してアメリカへ行ってしまったというときには、日本はアメリカに対して条約に基づいて引き渡しの請求権があるのだと、これははっきりしていますね。アメリカ人が日本で犯罪を犯してアメリカへ帰っちゃった、そうすると、その条約に基づいて引き渡しの請求権は発生しないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/27
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028・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) それは請求権がないのじゃなくて、請求権があるわけでございますが、今度は自国民であります場合に、アメリカがこれを引き渡すかどうかは、条約上の義務となっていないので、引き渡すかどうかは、事件によってきまる一種の恩恵といいますか、そういう形で任意の判断によってきまることになるので、日本国としては権利として引き渡しを要求し、向こうは義務としてそれに応ずるという権利、義務の関係にはならない。これは引渡条約の第七条に「締約国ハ本条約ノ条款ニ因リ互ニ其臣民ヲ引渡スノ義務ナキモノトス但其引渡ヲ至当ト認ムルトキハ之ヲ引渡スコトヲ得ヘシ」と、こう書かれておりますので、義務はないんだけれども引き渡すことがあり得るということを規定しております。まあこの条文の解釈からいたしまして、アメリカへ行ってしまいましたので、引き渡しを受けることは困難であろう、こういうふうに推測されるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/28
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029・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いま言った点は、今度の引渡法並びにその改正とも関係をするのですか、全く関係はないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/29
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030・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 今回の引渡法の改正とは何ら関係がございません。いま申しておる自国民不引き渡しということは、外国と日本国との間においての引き渡しをなし得るかなし得ないかの一つの原則でございまして今度の改正案とは何ら関係はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/30
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031・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、日本人が日本で犯罪を犯しても、かりにアメリカならアメリカに行ってアメリカ人になって帰化してしまった、そういうふうになってしまうと、もう日本としては引き渡しの請求権はなくなってしまうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/31
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032・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 請求権は、さっき申し上げましたように、あるのでございますが、引き渡しを受けることはむずかしくなる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/32
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033・稲葉誠一
○稲葉誠一君 請求権はあるんだけれども自国民不引き渡し——これは向こうも権利があるわけじゃないですか。そういう権利はないわけですか。向こうには渡さなくていいという権利は、アメリカならアメリカにないんですか。ただ、そういうふうな権利とまでは言わないけれども、一つの原則みたいなものがあるという程度なんですか。そこのところがはっきりしないんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/33
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034・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 向こうには引き渡しをしないという権利があるわけであります。こちらでは、その権利の効果として引き渡しを受ける権利はないわけですね。つまり、日本を中心にして引き渡し請求権はあるんだけれども、向こうにまた引き渡さないという権利がありますために、引き渡しの義務はないわけですね、アメリカ側には。そこで、義務はないがそれじゃどうなるんだというと、そういう問題も、ただし書きでアメリカの判断で引き渡すことが相当だと認めるときには引き渡すことができる、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/34
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035・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、日本にいるアメリカの駐留軍人が日本で犯罪を犯してアメリカに帰ってしまいますねそうすると、日本としては、もう事実上手を出すことはできないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/35
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036・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) いまのお話しのは、これは地位協定のほうのカテゴリーに入る関係のものでございまして直接これとは関係がないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/36
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037・稲葉誠一
○稲葉誠一君 アメリカの軍人が公務中に事故を起こしたということなら別として、公務外に犯罪を犯した、そうしてアメリカに帰ってしまった。そういう場合には、この逃亡犯罪人の引き渡しの条約によって、アメリカに対して引き渡しの請求権が日本にあるのですかないのですか。あるんだけれども、安保条約によってその権利が日本は消滅しているんだというなら、そういう解釈もあり得るかもしれませんが、そこのところはどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/37
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038・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 考え方としましては、軍人の犯罪につきましては、安保条約に基づく地位協定によりまして特別な取りきめをしておりますので、その取りきめに従うわけなんで、その取りきめがどういうふうになるかということにつきましては、ちょっと時間をかしていただいてお答えをさせていただきますが、直接この案件とは関係がないわけで、これは軍人の犯罪とは違うわけで、これは一般の犯罪についての規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/38
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039・稲葉誠一
○稲葉誠一君 私の質問もちょっとラフな点はあるんですよ。これは自分もラフだということを感じていて質問しているのですけれども、それは公務中の場合と公務外の場合と違うでしょうが、それじゃ公務外の場合に、実際にたとえば保釈なら保釈になって、それでアメリカに帰ってしまった、軍の移動や何かで。そういう場合には、日本に引き渡しの請求権というものが発生するのかしないのか。発生はするんだけれども、アメリカのほうの自国民不引き渡しの権利か何かがあって、それの反射的な効果というか、結局、日本の権利は消滅してしまうのだということなのか。そこら辺のところが統一したものがちょっとよくわからない。私の質問も、いまちょっと思いついたことで質問しているんで、十分コンクリートしたものではないんですが、これはよく研究してくれませんか。
それから憲法で「政治犯罪」ということばを使っているでしょう。憲法第八十二条第二項で、これは裁判公開の原則のところに関連して出てきているわけですね。政治犯の定義についてはこの前いろいろお聞きしたわけですが、これは別としてこの政治犯罪の概念が引き渡しの場合に問題となるなら、ある程度一般的なものでもいいと思うんです。これはそのときのケース・バイ・ケースできめるべき筋合いのものと思うんですが、憲法の政治犯罪の場合は、公開を禁止することができないというんですよ、八十二条二項で。そうなってくれば、日本の憲法自身が政治犯罪ということをはっきり規定しているのですから、その場合にいまの政治犯罪の概念というものが明確でなければ私はいかんと思うのですよ。これにはいろいろな考え方があるのじゃないですか、客観説と主観説というふうに。そこをどういうふうに法務省当局はとっているわけですか。これもいますぐでなくてもいいですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/39
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040・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 憲法第八十二条の政治犯罪という概念と犯罪人引渡法の政治犯罪というのが全く同一概念で理解していいかどうかということにつきましては、これは、私は、法律概念でございますから、おおむね一致した概念だと思いますけれども、片一方は国内法としての政治犯罪でございますし、片一方は国際間における政治犯罪という概念でございますから、おのずからそこにニュアンスがあるのだろうと思います。したがいまして解釈の基準としては、国内法的な立場で解釈をすべきではなくして一つの国際法的な視野に立ちまして、国際慣行、国際的な通説といったようなものを頭に置いて解釈すべきだと思うのでございます。そういう意味で、きわめてあいまいなような話になりますが、一九五七年の十二月十三日にパリで締結されました逃亡犯罪人引渡に関するヨーロッパ条約というのがございますが、この中にも第三条に「政治犯罪」という規定がございます。この第三条などは、運用解釈にあたりましてやはり大いに参考になる規定でございます。これによりますと、第三条の第一項におきましては、これは定義は掲げてないのでございますが、「政治犯罪又は政治犯罪に関連する犯罪であるとみなされるときには、」と、こういうふうに「政治犯罪又は政治犯罪に関連する犯罪」ということで、政治犯罪の中身については何ら言っておらないのでございます。ただ、その二項、三項と照り合わせて考えてみますと、中身がだんだんはっきりしてくるのでございますが、その第二項におきましては、「普通の刑事犯罪についての逃亡犯罪人の引き渡の請求がその者の人種、宗教、国籍又は政治的意見を理由として起訴又は処罰するという目的のためになされているか、又はその者の身の上がこれらのいずれかの理由によって危うくされるおそれがあると被請求国が信ずる十分な理由のある場合にも、前項と同様とする。」、こういう規定がございます。それから第三項に、そういう犯罪でありましても、「国の元首又はその家族の生命を奪う犯罪又はその未遂は、本条約の適用においては、政治犯罪とみなさないものとする。」、こういうふうな規定がございます。
こういったような一、二、三項の規定をいろいろ考えてみますと、大体通説と申しますか、国際的な通説に近いラインでこの条約ができていることがわかるのでございまして、この辺を解釈の基準といたしましして運用をはかっていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/40
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041・稲葉誠一
○稲葉誠一君 政治犯罪の場合に不引き渡しの原則というのがどのような理由から確立されてきたんですか。なぜ政治犯は不引き渡しなんでしょうか。そういう原則が国際上一つの慣習的なものとして確立されるようになったその理由は一体どこにあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/41
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042・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 国際法のことになってまいりますので、正確なお答えがしにくいのでございますが、おそらく世界人権宣言等の十四条にもございますように、やはり人権という立場から、人道主義、それを基礎とした人権保護、こういつたようなところが基盤になってこういう観念が国際的に固まってきて今日では一つの国際法的な慣習、慣行、こういうふうになってきているものだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/42
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043・稲葉誠一
○稲葉誠一君 国際人権宣言はいつできたんでしょうか。その前からこれは慣習として成立しているんじゃないですか。だから、国際人権宣言以前の問題じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/43
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044・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 国際人権宣言によって新たに定立されたのじゃなくて、あの人権宣言は一つのいま申しましたような人道主義的な人権思想を踏んまえての人権宣言であると私思いますが、人権宣言におきましては庇護権というものは現在いる国の一つの権利として認められておるのでございます。これはまあ慣例でございます。あの人権宣言のほうは、逆に、逃亡者が庇護を受ける権利があるというふうにまで引き上げておるのでございます。そこに人権宣言の意味があると思うのでございますが、人権宣言も突如として生まれてきたんじゃなくて、過去のそういう人道主義の積み上げの上にさらに一歩を進めて権利としてそこを掲げておるところに意味がある、かように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/44
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045・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは、歴史的に言うと、フランス革命以前とフランス革命後によって非常に変わってきたんだということを学者は言っているのですが、これはまあいまここで論議するほどのことではありませんからあれしますが、いま刑事局長が言った庇護権というのは、あれですか、アッサイラムのことですか。アッサイラムというのは、具体的にいまの段階でどういうふうに認められているのですか。日本としてはどういうふうに認めているというふうな考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/45
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046・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) アッサイラムの庇護権というのは、たとえば日本にいる外国人が日本に対して庇護権を請求、保護してほしいという申し出がかりにあったといたしますと、日本の立場として庇護権があるというふうに、これは大体国際的な慣例だと思うのであります。しかし、申し出た人が庇護を受ける権利があるというふうに書いてありますのが人権宣言でございますが、そこまでは国際慣行としては確立していないというふうに私どもは見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/46
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047・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、逃亡犯罪人の引き渡して関連して政治犯の問題が出てきているわけですが、それと政治犯人との問題が、また何といいますかカテゴリーが違うのですけれども、当然関連して出てくるのですが、難民問題は別にこの次にするとして、政治犯と一般犯罪とを区別して、政治犯だけが不引き渡しの原則があるというのがちょっとはっきりしないのですがね、その根拠が。これは人権宣言だけでそれによるのでしょうかね、それだけですか、考え方は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/47
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048・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 人権宣言だけが根拠というのではなくて、先ほど稲葉先生の御指摘がありましたフランス革命以後の人権思想でございますか、特に近代の人道主義、人権思想、こういうものが背景にありまして政治的犯罪を犯した者が、当該国で政治的理由のために処罰されるということになれば、その者を保護して引き渡さない、その国の請求があっても引き渡さないという、こういう国際慣行というものが生まれてきたのだと思うのでございまして、そういう事情を踏んまえての人権宣言でありますから、人権宣言以前にはないというのじゃなくてそういう、思想は近代法律思想の一つの特徴的な考え方だと思うのでございます。そういうので普通犯罪とは——犯罪は社会に対する一つの害悪でございますが、政治犯人といえども害悪であることに変わりはございませんけれども、普通犯罪と政治犯罪とを区別して引き渡すか引き渡さぬかをきめる基準にして、一方は引き渡さぬ、一方は引き渡す、こういうことになるのだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/48
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049・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは理論的には、政治犯は、引き渡し請求するほうの国から見れば重大な犯罪であっても、受けるほうから見ればたいした犯罪でもないこともあるし、それから外交上から言ってそれを帰した場合に、請求国の政権が交代なり革命なりが起きてきた場合に、何と申しますか、かえって逆の結果となって外交上利益にならないとかというそういう現実的な利益とかいろいろな問題がからみ合ってこれはできてきたと、こういうふうに思うんですが、いまこれを審議するあれじゃないんですが、そうすると、いまの日本の法律では、政治犯を引き渡さないというのは、権利としてどこに認められているわけですか、法律の中では。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/49
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050・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) これは犯罪人引渡法——ただいま御審議をいただいております法律の第二条の一号、二号あたりに、一号は、「引渡犯罪が政治犯罪であるとき。」、これは引き渡さない。それから二号は、「引渡の請求が、逃亡犯罪人の犯した政治犯罪について審判し、又は刑罰を執行する目的でなされたものと認められるとき。」、これは引き渡さない。この二つの条文がはっきりその点を明示していると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/50
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051・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、日本の現行法でも、政治犯不引き渡しというのは、引き渡さないというのは、日本の法律上の義務になっていると当然考えていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/51
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052・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 仰せのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/52
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053・稲葉誠一
○稲葉誠一君 政治犯不引き渡しの義務は法律上の義務になっているけれども、それじゃ入って来た者に対しては退去強制は政治犯の場合でもできるというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/53
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054・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) これは入管令上の問題になってくるわけでございますが、請求国に対して引き渡さないというのがこの法律の趣旨でございまして、その対象になっております人物が日本国に保護を求める権利があるということになりますと、これはまあ日本国は退去を命ずることもできぬことになりますが、その権利は今日では国際法上認められでおりませんので、日本国の判断で入管令上取り扱うのでございますが、入管令のたてまえとしては、やはりこの法律の趣旨によりまして、請求国に対して強制退去を命ずるというようなことはなすべきでありませんし、また実際になしておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/54
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055・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、韓国から政治犯罪で日本へ来た。そうすると、韓国から引き渡しの請求があったと。政治犯罪の場合では、日本ではそれは引き渡しの義務はないと。これはまあ韓国はまだ——いや、韓国は承認しておるわけですね。ですから、承認しているのだから、引き渡しの義務は日本にはないんだ。だけれども、韓国へ退去強制して送還するということはできるんだということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/55
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056・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) それは後段のほうが違うわけでございまして、入管令上も韓国に強制退去をするということはあり得ませんし、また、規定も、たしか出入国管理令の五十三条だったかでございますかに退去強制の規定がございますが、その二項によりましてその国に送還されないということで規定がございます。また、実際問題としてもそういうことはいたしておらない、いたすべきではない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/56
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057・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それは、五十三条の第一項では、「その者の国籍又は市民権の属する国に送還されるものとする。」というのが原則じゃないですか。そうすると、韓国から来れば、韓国へ送還するというのが原則じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/57
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058・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 入管令は政治犯ということを考えているわけでございますけれども、五十三条の第一項は、それが原則であって、第二項が「前項の国に送還することができないときは、」と、この「できない」という意味は、いまのような政治犯罪で送還することができないという場合を言っておるのでありまして、そのほかに「できない」場合は、政治犯罪ばかりじゃない、政治亡命的な意見を述べた場合も含むと思いますが、そういう場合には、本来の原則の国に帰すことができませんので、一号以下六号にだんだん書いて、ほかへ出すと、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/58
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059・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、これは、大臣ね、韓国からの政治亡命というか、そういうふうな場合は、出入国管理令によっても日本では韓国へ帰さないというたてまえをとってずっとやってきているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/59
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060・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) 入国管理令によりましては、私の承知しているところは、本人が希望しないところには帰さないという原則をとっております。こういう政治犯人は、おそらく韓国から来ました場合に、韓国へ帰ることは本人の意思でないと思います。だから、意思でないところへは帰しません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/60
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061・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いまの場合、政治犯罪と政治亡命とそれから政治避難というか難民と、概念が三つ違うと思うんですね。三つとも、あれですか、韓国から来た場合に韓国へ帰さないという原則を法務省としては貫いておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/61
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062・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) いま申し上げましたように、本人が帰国を欲しないところには送還いたしません。それで、したがって、強制退去を命じても、本人が希望をするところへ退去をする、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/62
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063・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それは正規に旅券か何かを持って日本へ来たという場合もあるし、密入国の場合などもありますね。密入国の場合でも同じ取り扱いになっていると見ていいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/63
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064・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 問題になるのはこの密入国の場合で、密入国の場合には、入管令上の取り扱いは強制退去ということになるわけであります。そのときに、密入国をした人が、政治犯罪とかなんとかいう、政治的な避難行為とか、あるいは政治亡命の申し出とか、いろいろございましょう、事情は。しかし、それらの事情を全部踏んまえて、本人が、その自分の本籍国へ帰りたくないとい意思表示を強くしておって、その意思が確認されました場合には、その本国へは帰さないというのが入管令上の規定の趣旨であろうと思いますし、入管令の現実の運用もそういうふうに従来扱ってまいっていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/64
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065・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ちょっと概念がこんがらがっていると思うんですが、政治犯罪と政治亡命といわゆる難民と、この三つの相互関係ですね、それをちょっと明らかにしていただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/65
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066・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 政治犯罪は、もうこの法律で明らかなように、本国で罪を犯してそれが刑事手続にのっておって……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/66
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067・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その刑事手続という内容によりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/67
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068・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) これは、司法官憲が令状によって捜査をやって、すでに起訴をされて、公判に係属しているとか、あるいは刑の執行のためとか、この二つの場合でございますが、そういう刑事手続にのって本国でさがしている被告人、犯罪者、これが、その犯罪がこちら側から見て政治犯罪だと見られる場合には、かりに請求を受けてもこれは拒否するというのが政治犯罪人の引き渡しをしない、こういうことでございます。
それから政治的避難の問題と政治亡命とは、これは政治的避難のほうが範囲が広いと思うのでございます。政治亡命はその中の一つの態様だと思うのでございますが、この政治亡命というのは、本国で犯罪を犯しているかどうかということは関係ないわけで、その出入りの状態も、外国へ渡って来る場合に、正規の旅券を持って来る人があるし、密入国で来る人もあるし、いろいろございますし、本国で犯罪を犯して来ている人もあるし、その犯罪は政治犯であることは必ずしも要しないが、とにかく他国へ渡って、その他国で本国へ帰りたくないということを、もしそういうふうに考えが変わった場合に、その事情が政治的な意味を持って本国へ帰りたくないという意思表示をする場合もございますし、その事情は私いろいろあると思うのですが、政治犯罪以外のものについては、法律的な規制は何にもないわけでございます。法律的規制はございませんから、その法律的規制はどうやるかと言えば、一般の出入国人管理と同じように、そういう者に対しましても出入国管理令で処理するほかないわけです。出入国管理令を動かしていきます、運用の段階で。先ほど大臣が申されましたように、本人の強制退去を命じなければならぬ場合に、本人がどうしても自分の生まれ故郷の国へは帰りたくないんだということを言い、その意思が確認されます場合には、その生まれ故郷の国には帰さない「その他の国」に強制送還する、こういうことに取り扱っている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/68
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069・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、いま言う「その他の国」という場合は、韓国から来た場合では、北朝鮮へ帰りたいと言った場合には、その北朝鮮は「その他の国」に入っているんですか。韓国から日本へ来た、いや自分は北朝鮮へ帰りたいと言った場合には、北朝鮮へ帰すんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/69
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070・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) いまの北朝鮮が「その他の国」へ入るかどうかということは、正式には外務省の担当官からお答えを願わぬと困りますし、さらにまた入管令の所管の入管の当局からお話しを申し上げるのが筋だと思いますが、現実の取り扱いとしましては、言うなれば、入管令の解釈としましては、やはり韓国と北朝鮮とは別々の取り扱いにしておりまして、入管令上の「その他の国」の中に入れて解釈をしておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/70
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071・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その点は、まあ入管局長や何かきよう来ておりませんし、大臣がおわかり願えればと思いますけれども、おわかり願えると言っては失礼かもわからぬけれども、これはこの次にもう一ぺんあらためて聞きたいと思うんですが、そうすると、退去強制ということも一つの引き渡しに入るんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/71
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072・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 引き渡しには入りません。引き渡しというのは、こちらが向こう側に対して引き渡し義務を感じて引き渡す場合でございまして、退去強制はわが国の一方的な行為でございます。引き渡すというときには、相互で、日本国としては引き渡す義務を感じ、向こうは権利として受け取るのでございますし、その要件も先ほど申したように、一定の条件のある場合だけでございます。それから入管令上の強制送還というのは、わが国だけの独自の立場で判断をしてやる事柄でございまして、法律的性格は全く違っておる法律行為であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/72
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073・稲葉誠一
○稲葉誠一君 私が抱いている疑問はちょっと整理されなかったんですが、犯罪人引渡法で義務として政治犯は不引き渡しのものが規定されているんだと。ところが、実質的には退去強制という形で、これは別の何といいますかジャンルだということで退去強制が行なわれるということによって、政治犯不引き渡しの義務というものは、形はあるけれども、実質的には全くなくなってくる、ある場合には特定の場合にはそういうように考えられることができてくるのじやないかということが一つの疑問なんですが、同時にまた、政治犯不引き渡しの義務というのは、それは日本が引き渡さないということですから、日本に残留をする権利があるということとはまた別個のものと解釈するんですか。ただ引き渡さないというだけのものか、その国へ渡さないのだけれども、ほかの国へやっちゃうというのは政治犯不引き渡しの義務とは関係ないんだ、義務外なんだ、こういう考え方なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/73
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074・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) この両者−退去強制と不引き渡しとは一応考え方が違うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/74
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075・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それはわかります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/75
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076・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) それはおわかりいただいていると思うのですが、もしその当該対象の人が日本に正規の形で入ってきておりまして、日本に滞在できる立場の者でございましたら、強制退去という問題はないわけでございます。かりにその者が犯罪人、政治犯罪人であって、引き渡しの請求を受けたとしましても、わがほうはこれを断わります。断わって日本にいることができるわけですね、彼は。しかしながら、政治犯罪の引き渡しの点からいいますと断われるのでございますが、もしその人が不法入国をしてはおって日本に滞在することができぬという身分関係にあります者でございますれば、これは入管令上退去を命ぜられるということは当然なことで、そういう場合の退去の際に、本人が希望しない国、つまり引き渡しを請求しているような国は希望しない国でございましょうが、そういう国には強制退去をしないということは五十三条の二項で取り扱い上出てくる、こういうことでございまます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/76
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077・稲葉誠一
○稲葉誠一君 大体政府側の考えていることの概念は整理されてきたと思うんですが、それでは、政治犯不引き渡しの義務というものを法律で義務としていても、ほとんど実際問題として発動するということは考えられなくなってくるのじゃないですか。正規の旅券を持ってそうして日本に入ってくるという場合の政治犯というのはそうたくさん考えられるんですかね。そこは事実問題かもしれませんが、それは私とあなた方の考え方との違いかもしれませんが、どうもよくわかりませんな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/77
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078・賀屋興宣
○国務大臣(賀屋興宣君) これはもう国際的に大体どこでもそうやっていることで、日本だけがそうやっていることじゃないですから、私はもう固まっている問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/78
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079・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、いまの不引き渡しの義務というのは、条約がない場合は、これは国際慣習法的なものとして、すでに改正法がなくても国際慣習法として成立しているという考え方をとっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/79
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080・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) そういう考え方をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/80
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081・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、政治犯罪と一般犯罪であるかどうかということの判定をめぐって争いが起きることがあると思うんです、引き渡し請求があった場合に。そういう場合はどうするんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/81
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082・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 最終的にきめます機関は、この手続法によりますと東京高等裁判所で審判をする、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/82
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083・稲葉誠一
○稲葉誠一君 最終的な審判は東京高等裁判所でやるのはいいんですが、そうすると、認定権というようなものは被請求国にあるのですか。日本が請求された場合に、日本が認定する権限がある、こう見ていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/83
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084・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/84
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085・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それは東京高等裁判所でやるというのですけれども、国際司法裁判所で最終的にきめるという形になるんですか。そこはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/85
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086・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) これはそうは必ずしもならないのでございまして、国際司法裁判所の管轄権の問題は、双方が提訴する、そうしてそれを認諾するという前提がありますので、そういう場合になればあるいは国際司法裁判所の問題になることもあり得るかと思いますが、一般的にはならない、かように考えます。もっぱら被請求国の自主的な判断できまるわけでございます。ただし、自主的な判断できまりますけれども、やはり国際慣行ということになっておりますので、相互主義の立場をとるといたしましても、あまり通念に反する判断というものはこれはおのずから許されないわけでございまして、拒否をするにしても許すにしましても、それ相当な理由をもって相手が納得する解釈に立って判断をしなければならぬ、こういうふうに思うわけでございます。よく社会通念と申しますが、国際通念に従ってこれはきめられるべき問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/86
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087・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これはそういうふうな認定の問題をめぐってもいろいろ争いが起きることはある場合避けられない、こう思うんですが、各国の法制がある程度似ているところもあるし違うところもあると考えられるし、そういようなもの全体を含めて逃亡犯罪人に対する国際条約というようなものを、たくさんな国が入ってそういうふうなものをつくるというようなことは考えられていないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/87
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088・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) あまり私知識がないのでございますけれども、国際連合を中心とした多数国の犯罪人引渡条約というようなものは、現在のところまだ考えられていないようでございますが、先ほど御説明申し上げましたヨーロッパ条約というのは、約十五カ国の国が入っておるのでございます。それからなお、北欧五カ国と申しますか、あの地域の諸国では、国内法を共通にいたしておるようでございまして、二国間の条約、それから多数国の条約と二種類あるわけで、そのほかにケース・バイ・ケースできめる相互主義による引き渡しの取りきめ、こういう三つの態様で現在動いておると思うのでございます。
これは、将来の見通しとしましては、地球が狭くなったと申しますか、人的交流が激しくなってまいりましたので、国際協力を一そう推進するという機運になって、一そうこの問題は多数国の間で共通に処理するという方針が逐次私は確立していくケースじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/88
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089・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これはこの次にお聞きしたいと思っていたところですが、難民問題ですね、難民に関連して難民の地位に関する条約というのがあるのじゃないですか。それに対して日本が加入しているとかしていないとか、そういうことはきょう聞くわけですはないですけれども、それはあるわけでしょう。それで犯罪人引き渡しに関連する条約がないというのはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/89
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090・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 一九五一年の難民の地位に関する条約というのがございますことは私も承知しておりますが、これは先ほど来お話のございました政治亡命の一つの形態——むしろ難民条約にきめてありますほうが範囲が広いのでございまして、政治亡命というのはその一つだと思うのでございますが、これと政治犯罪の引き渡しということは、考え方は同じヒューマニズムに立った考え方だと思うのでございますけれども、法律制度としての成立の経過を見ますと、犯罪人引き渡しというのはもう古くから、非常に古くからそういう考え方、制度は国際的に確立をいたしておるのでございますけれども、政治亡命を含む難民の処遇というものにつきましては、これは必ずしも古くないのでございまして、これと犯罪人不引き渡しの原則の問題とはおのずから取り扱いも違っておりますし、まだ未確定な要素がかなりあるということを考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/90
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091・稲葉誠一
○稲葉誠一君 では、きょうはもう一点お聞きしておきたいんですが、さっき刑事局長が言われました中にあったいわゆる自国民不引き渡しの原則というのがありますね、これはどういうふうなものなんでしょうか。これは国際的にどの程度認められているものなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/91
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092・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) これは、今日では、政治犯罪人不引き渡しの原則と同様に、大多数の国が自国民保護という見地から、国内法におきましても、それから引渡条約におきましても、自国民を引き渡さないというたてまえをとっております。逆にそれが原則でございますが、イギリス、アメリカなどでは、国内法規のたてまえが御承知のように属地主義というものをとっておりまして、その関係もありましてイギリス、アメリカでは、外国で犯罪を犯した自国民に対する処罰をしていくということは、これは社会正義でございますが、その処罰をするのに、属地主義をとっておりますために、自分の国で処罰できない場合が多いわけでございますから、その関係でわりあいに引き渡しをすることを広く認めておるのでございます。現に、先ほど申しました日米犯罪人引渡条約におきましても、自国民は引き渡さないということを原則としておりますけれども、なお被請求国において相当と認めるときはこれを引き渡すものとしておるのでございます。その点が日本などは属地主義と属人主義と両方を刑法のたてまえとしてとっておりますので、その点はアメリカ、イギリスとはやや国情が違うというふうに思っております。ヨーロッパ諸国も大体属人主義をとっておりますので、自国民を引き渡さないで自分の国で処罰する道もできるとこういうことから自国民不引き渡しの原則というものが出てきておるのだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/92
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093・稲葉誠一
○稲葉誠一君 一応きょうは質問をこの程度にいます。
この次は、これに関連するいまの諸問題やそれから法案の内容についてやりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/93
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094・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 本案の質疑は、一応この程度にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/94
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095・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題とし道路交通事故対策等に関する件につき調査を行ないます。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/95
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096・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 速記を再開して。稲葉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/96
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097・稲葉誠一
○稲葉誠一君 国道四号線を中心として近来交通事故が各方面に非常に多いんですが、特に、国道四号線の中でも、東京から栃木県に入りまして、
〔委員長退席、理事後藤義隆君着席〕
野木から間々田、小山、それから桑絹、石橋、宇都宮、それに至る間のいわゆる東京街道の事故がこのごろ非常に多くて、沿道の人も困っておるし、そればかりでなく県民全体としても非常に大きな問題になっておるわけですが、この事故の実態について警察庁のほうでいろいろ調べられたところがあると思うので、ことにことしになってからの事故の状態というものはどういうようになっておるか、御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/97
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098・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 御指摘のように、国道四号線の事故は多いのでございまして、特にこの国道四号線におきますところの関連する府県の中でも栃木県に所属する面は他府県の事故率等に比べてやや多いのでございます。その事故の内容をいろいろ分析いたしますと、歩行者の事故が相当数多いということでございますが、さらには自動車といわゆる自転車といいますか、あるいは自動車と自動車同士のいわゆる事故というものが多いわけでございます。ちょっと私ここに手元にその資料を持っておりませんれども、先ほど申し上げましたように、いわゆる事故率というものは、この路線の区域がほかの区域に比べて相当上回っておるということが言えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/98
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099・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ことにことしの四月以降が非常に多いんじゃないですか。そういう点についての小山を中心として調べたのはございませんか。トラックが家へ飛び込んで、そして店番していた学生さんをひき殺してしまったりなんかした例が非常にあって、家族などはあぶなくてしょうがないからというので一番安全なところでちっちゃくかたまって寝ているというようなことも言われているぐらいです。そればかりではないんですが、毎日のように事故が起きているんですが、もう少し詳しい資料はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/99
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100・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 特にこの路線のところについて特別にその部面だけをとって調べた資料が私のところにちょっとございませんので、明確に申し上げられませんが、私のほうで宇都宮市以南の一級国道四号線の取り締まりを一月から四月までいたしましたところの取り締まりの回数が八十五回でございます。その八十五回いずれも昼夜問でございますが、違反の件数は七千五百八十二件という件数をあげております。その中で、御披露いたしますと、無免許運転が千件、それから速度違反が二千九百件、酒酔い運転いわゆる酔っぱらい運転が十件、一時停止違反が六百七十五件、信号無視が二百五十九件、積載重量違反が千二百件、灯火不備というのが百五十六件、その他千三百八十二件というのが一月から四月まで八十五回にわたりまして宇都宮市以南の一級国道四号線の取り締まりの状況でございます。
したがいまして、これらの違反の状況から考えまして、いま申し上げましたように重量違反等のいわゆるダンプカーの違反が相当にあるということ。さらには、この交通量が二十四時間で一万四千五百九十一台。この中で通りますおもな車種を申し上げますと、バスが二百三十八、大型貨物が三千八百十四、ダンプカーが千九百五十六、普通乗用車が千二百三十四、普通貨物が四千三百五十七、自動三輪が千百十二、その他が千八百八十。しかも、これらの交通量の一番多い時間は十七時から十八時という数字があがっております。特に交通事故の原因の多いものは速度違反と追い越し違反でございますので、先ほど御指摘になりました事故の原因のおもなものは、やはり速度違反と追い越し違反ということであると考えますので、それからの結果御指摘のような事故が多発している、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/100
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101・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その問の死者とかけがした者の統計なんかはわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/101
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102・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 私いまちょっと急ぎましたので手元にございませんが、詳細な資料はございます。一級国道四号線の中で歩行者が幾ら、それから自動車のあれが幾らということで特に事故率を出しました資料がございますので、後刻お手元に差しあげたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/102
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103・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その資料はできればきょういただければいただきたいと思うんですが。
そこでそれらについて原因は一体どこにあるのだろうか、こういうふうなことで原因を調べたことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/103
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104・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) これらの点についていろいろ検討をいたしまして、いわゆる事故の原因が、先ほど申し上げましたように、速度違反と追い越し違反というものが特に多いわけでございます。したがって、これらの速度違反と追い越し違反を防止するための措置はどうであろうかということで、いわゆる全体の交通体制の問題、いわゆる白バイあるいは四輪車によるところの取り締まりの問題、あるいは交通規制。たとえば追い越し違反が多いという場合には追い越し禁止の措置を講ずるとか、あるいは速度制限の措置を講ずるとか、いわゆる交通規制の面からの検討というようなことで、いろいろ現地の栃木県の警察本部では頭を痛めて、いろいろな交通規制の問題とか交通取り締まりの問題等については具体的な措置をとっておるように私ども報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/104
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105・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そこで、これはもちろん警察だけの問題ではないと思うんですが、栃木県の警察本部に対してあなたのほうから徹底的な取り締まりの体制というか、そういうふうなものをしっかりとれと、こういうふうなことを指示したりなんかしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/105
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106・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 私どもは、具体的にそれぞれの路線についてその県にこういう取り締まりの方法をやれというように具体的な指示は原則としていたしておりません。しかしながら、最近は、私ども、それぞれの県というよりは、国道一号線とか、あるいは四号線とか、九号線とか、いろいろな国道の路線に沿うての事故の原因を分析いたしまして、それぞれの路線に関連をいたしますところの各府県の交通取り締まりが斉一であるように、また交通規制が斉一であるようにということで、総合的な交通取り締まりの指示はいたしております。したがいまして、先般のように、全国の一斉取り締まり、あるいは管区隊の一斉取り締まり、路線別の一斉取り締まりというようなことはいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/106
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107・稲葉誠一
○稲葉誠一君 県警本部では白バイ、パトカーだけでも三十七台しかないとか、それから小山の交通係員は九人しかいないというようなんですが、そういう面からも体制として非常に不十分なものがあるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/107
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108・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) この点につきましては、栃木県の県警といたしましても、栃木県全体の交通警察体制を強化するということを昨年来考えておりまして、御承知のように交通部を設けまして、それぞれ所要の課を充実いたしまして、それに見合うところのいわゆる警察官の増員というようなものをいたしております。改正によりまして警察官を三十人増員いたしまして、いわゆる国道五十号線、それから国道四号線それから二級国道百十九号線のいわゆる機動体制を強化するというようなことで警察官の増強をはかっております。したがいまして、特に御指摘のような点につきましては、白バイの増強と申しますか、いわゆる機動警ら隊の小山分駐所というものを設けまして、十分これらに対処するような機動警らの充実というような点については体制を充実しているように私ども報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/108
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109・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは警察の直接の関係じゃないかもわかりませんけれども、ダンプにしろ、何なりの運転手にしろ、労働が非常に過重である。そういうふうなことも一つの原因になっていると考えられるんですが、それは労働基準局とか何とかと連絡をとるなり何なりして、いわゆる実態的な調査をやったことはないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/109
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110・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 最近の交通状況を見ますと、それぞれの営業所といいますか、その発着点というものは、必ずしもその県内にないわけでございます。したがって、栃木県内にある業者ばかりでなくて、この国道四号線に沿うておりますたとえば東京に本社を置くとか、営業所を置くとか、あるいはその他の所要な府県に置いておるものがございますので、私どもはできるだけ各府県の連絡を統一するためにいま申し上げたようなそれぞれの業態をそれぞれの所管をする県において実態を把握していく。たとえば、違反があった場合においては、その違反の態様をその営業所の所在している府県に通報いたしまして、その営業の企業の実態がどうなっているか、あるいは運転者の実態がどうなっているかというようなことにまでいろいろとさかのぼって具体的に検討していくという方向で進めておりますが、必ずしも十分だとは現在言い切れないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/110
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111・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その運転手の人が、大企業に働く人なのか、中小企業に働く人なのか、あるいは単独に自分で営業しているものなのか、こういうふうな点によってもまた違うと思うんですが、いずれにしてもたとえば東京と宇都宮の問を一日三回くらい往復したりしてやっているために、非常に労働条件が悪いというか、疲労があったりする。それに急がなければならないというようなことがあったりして事故が起きるというように、労働条件の問題も本件のような事故に関連をしてくるんだというふうに見ているんですが、これは警察が調べることではないかもわかりませんが、これは基準局あたりでも調べるように、私のほうでもよく基準局のほうにも頼んでみますが、こういう点なども対策を立てる上においても一つの重要なポイントになるのではないかと、こういうふうに考えるわけですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/111
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112・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) ただいま御指摘のとおりだと思うのですが、この点につきましても、道交法の規定の中に雇用者の義務という問題もありますし、それから運行管理の適正という問題についての取り上げ方もございますので、最近は私どもはできるだけやはり雇用者の義務を遂行させる、運転管理者の運行管理を適正にさせるという点に努力をしておりますので、いま御指摘のような点については、稲葉委員からも十分御連絡をしていただきたいと思いますが、私どもも常時運輸省なりあるいは労働基準局なりとも密接な連絡をとって、基本的な運行管理の面からこういうものにメスを加えなければ十分な事故防止はできないというふうに考えておりますので、私どもはそういう方向に向かって施策を進めておる現状であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/112
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113・稲葉誠一
○稲葉誠一君 警察官のあり方にも問題があると思うんですが、刑事警察とか、警備警察とか、交通警察とか、いろいろなものがあるわけですが、これはあなたに聞くのは無理かもわかりませんが、栃木県あたりはまあ警備警察というものはほとんど用はないわけですよ。そんなことを言うと警備局長はおこられるかもわかりませんけれども、まあたいてい組合の事務所に行ってお茶を飲んでいる程度なんですね、ほとんど。そんなことをやるくらいだったら、警備警察の人員をある程度刑事警察に回してもいいし、交通警察に回して徹底的に十分取り締まりをやっていく。まあこれは交通局長としてそうとも言えないし、これは警察庁の長官が来なくてはいけないわけですが、いずれにしても、こういうふうなことをお考えになっていいと思うんですがね。あなたのほうから御答弁があればお聞きいたしますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/113
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114・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 交通局長にとってはたいへんけっこうなお話なんですが、まあ最近御承知の交通警察官一万人の増員がだんだん実現をいたしておるわけでありますが、それらの点につきましても、いろいろ各県の実情を調査いたしますと、既定の警察官をやりくりして交通部門に投入しているというところが非常に多うございます。それから今回の増員もこれをフルに交通警察の部門に投入しているということが非常に多いのでありまして、その被害がいずれに及んでいるかということは、刑事警察なり警備警察なりの方向に相当にその被害が及んでいるというようなことは、私ども警察庁の内部では交通警察ばかりやるなというふうな意見もあるわけでございますが、しかし、現在の問題である交通問題にやはり各県とも非常に積極的に取り組んでおりますので、そういう部面の充実という方向に向かって警察官の増員ははかられているように報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/114
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115・田中啓一
○田中啓一君 関連して。ただいま承っておりますと、違反七千件のうち無免許運転千件というふうにございましたが、一体、そういうような一斉取り締まりをやってみますと、どこでもそういう無免許運転があるものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/115
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116・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 非常に最近の傾向として残念なんでございますが、一斉取り締まりをやった場合においては、大体総件数の一割近く無免許が発見をされるわけでございます。ただ、その無免許の内容でありまして、全然運転免許証のない者、それから携帯をしない者という場合の問題がございますが、しかし、最近の傾向はやはり無免許運転がふえている。これに対しては私ども免許行政の面から、あるいはこれの取り締まりの面からいかに対処するかということで、現在私ども非常に頭を痛めている問題の一つでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/116
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117・田中啓一
○田中啓一君 どうも私は交通取り締まりも非常に形式的のことが多いのではないかどいう気がしてならないのです。まあああやって事故を起こすというようなのは、これは人間だからいろいろ原因はございましょうが、衝突にしても、それからどこかへぶっつけるにしても、故意ということでなくて乱暴だといえばそれも原因でありましょうけれども、ともかく過失のものだと思われるし、中には不可抗力のような自動車の接触があるようであります。だけども、これはどっちかがこういう場合にはこういうかっこうをしたほうが悪いのだ、こういうことは違反になる。こういうことのように思われるのですね。
それからいま私がお聞きしたのは、無免許の話でありますが、なかなか運転はやるが、試験は受けないのか受からないのか、どうも私は本人に欠陥があると思うのです。つまり、筆記試験に受からぬのだと思う。そういう頭なんです。私は反面教育者にも責任がある、そんなことを思うのです。一体、無免許運転のうちの免許証を忘れてきたというのは、これは確かに形は無免許運転になりますけれども、それはそれでもう忘れないようにということでよろしいと思うのでありますが、その他の情状酌量のできないような無免許運転といったものは、あとはどうなんですか。もう再び免許証をやらないで——再びじゃない、そんな者はあぶないからやらないぞとか、それからそこに非行少年のような者がつかまるという端緒にもなりはしないかという気がするのであります。そういった無免許運転をつかまえた結果から、警察の御配慮はないものでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/117
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118・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) いまの私の御説明いたした無免許の中で特に多いものは、原動機付自転車の無免許でございます。この問題について、私ども、無免許は明らかに悪いものでございますが、しかし、また反面私どもとして反省をいたしている点もいろいろございます。つまり、免許をとるまでの間に、相当いろいろな隘路があるということで、ある意味において免許行政のいわゆる不備、欠陥という点もおるわけでございます。特に原動機付の場合におきましては、なかなか原動機付の教習所が完備していないということと、原動機付の練習所等がなかなか完備していないということで、それらの点についての運転免許を受ける機会がともすれば少ない。これらの点については、私どもできるだけ運転免許を受ける機会を多くいたしまして、正しい運転の技術を身につけた者を一人でも多くつくるということで、そういう無免許の機会をなくすような積極的な免許行政の面で努力をしていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
現実につかまえた無免許の者は、これは一年間は次に免許を受ける資格がないわけでありますが、その反面考えてみますと、こういう者が次にまた再び車を引っぱり出して無免許をやっていく。無免許の場合、次に何が起こるかというと、引き逃げが起こるわけであります。私どもはそういう点について配慮をいたしておりまして悪質な無免許者については電子計算機に入れましてそういうリストをつくっておりますが、一年間は免許を受けることができない。こういうことになるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/118
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119・田中啓一
○田中啓一君 私は、今日、時代の風潮でもあり、本来それほどの悪い性格でもない、性質でもない生まれつきの者まで非常に非行少年的になるということで、それが無免許運転等でつかまえることができるのじゃないかなという気がするのです。それだから、やはりただ形式的に一年間は免許をやらないぞというような処置だけではなくて、もう少しその人間をよく観察をして、訓戒を加えて、ひとつ性格を直していくというような教育的立場の配慮も警察としてしていただくわけにはいかぬのだろうかと、こういうことを実は一番言いたかったわけであります。何らかそういう措置を仕事を——これはもう交通局だけのことではないので、当面取り締まりだけのことではありませんので、警察全体のことになると思いますけれども、ひとつお願いできぬだろうかという意見を持っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/119
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120・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) ただいまの御意見、私ども参考にいたしまして、今後検討していきたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/120
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121・稲葉誠一
○稲葉誠一君 内閣委員会から交通局長に来てくれと言っていますから、約束ですから、もうあと一問か二問で終わりますが、いま交通安全旬間ですか、十日間かたしかやっていますね。これは、やっているときだけはやるけれども、終わるというとさっぱりというか、スピードが、全体のあれが落ちちゃうのがいままでのやり方ですが、今後の対策として、こういう問題に対する警察庁全体としての対策もあるし、それから特に栃木県なら栃木県の例をとった場合に、栃木県の警察本部としてはどういうふうな対策を立てて非常に不安におののいている住民の人たちやなんかの要望にこたえるというか。ことにいま県民運動で大きく盛り上がっているんです。これは新聞社だけでなくて、私どもの党も取り上げて大きな県民運動にしようとしておる。十五日に県会の総務・治安常任委員会が全部視察することになっておるんです。そういうふうな関係で、非常に大きな運動として盛り上がっておりますので、今後の全体としての対策、特に栃木県の対策に対して警察庁側もいろいろアドバイスするなり督励するなりしてやっていって、こういうふうな住民の不安というものをなくすようにぜひしていただきたい、こう思うんですが、これに対するな対策どはいま具体的には立っておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/121
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122・高橋幹夫
○政府委員(高橋幹夫君) 先般も栃木県の本部長から私のほうに報告がありまして、ただいま稲葉議員の御指摘になったような点について総合的な事故防止対策を考えたい、と私ども、御承知のように、国家公安委員会において本年度の重点として、交通事故半減、暴力の絶滅ということをうたっております。特に交通事故防止対策要綱というものをつくっております。私どもはいま申し上げたような一級国道四号線の特に交通事故多発点については、交通診断を行なって事故分析をして原因を徹底的にとらえ、それが道路に起因するものであるか、あるいは運転者に起因するものであるか、あるいは企業の経営のやり方に起因するものであるか、多方面から実証的にこれを検討して、とにかく安全運動の問にそこをモデル地区として施設的にも何かひとつやれ、ガードレール一つでもつくれ、あるいは安全運動でとにかくその沿道における歩行者に対する徹底した安全教育をやれというようなことで、モデル地区、モデル路線という構想を打ち出して、栃木県でもおそらくこれをモデル路線として考えておることと思います。したがいまして、私どもはいま申し上げたような総合的な施策を講じる、さらに実現をはかるように私どもも御要望の趣旨を第一線の栃木県の本部長によく伝えまして、具体的な施策、具体的な実行をしていくということを目標にして、できるだけ事故防止対策を立てるように、ただ、私どもは、交通取り締まりの面については、いま申し上げたように体制を強化してできるだけ取り締まりをしていくということをはかっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/122
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123・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これで終わりますが、私のほうの党としても、これは県のほうも全面的に取り上げておりますし、また県会でもそういうことになっておりますから、いま言ったような形で栃木県としても十分やってもらって、その一応の結果を見てそしてまたあらためて質問をしていきたいと、こういうふうに考えて、きょうの質問は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02219640512/123
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124・後藤義隆
○理事(後藤義隆君) 本件の調査は一応この程度とし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十五分散会
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