1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年五月二十一日(木曜日)
午前十時二十四分開会
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委員の異動
五月二十日
辞任 補欠選任
野上 進君 迫水 久常君
青木 一男君 坪山 徳弥君
野田 俊作君 宮澤 喜一君
大谷 贇雄君 鈴木 一司君
五月二十一日
辞任 補欠選任
鈴木 一司君 丸茂 重貞君
石田 次男君 浅井 亨君
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出席者は左のとおり。
委員長 中山 福藏君
理 事
後藤 義隆君
稲葉 誠一君
委 員
植木 光教君
栗原 祐幸君
迫水 久常君
鈴木 万平君
田中 啓一君
高橋 衞君
丸茂 重貞君
浅井 亨君
山高しげり君
国務大臣
法 務 大 臣 賀屋 興宣君
自 治 大 臣 赤澤 正道君
政府委員
総理府特別地域
連絡局長 三枝 三郎君
法務省刑事局長 竹内 壽平君
労働省労働
基準局長 村上 茂利君
建設省道路局長 尾之内由紀夫君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
説明員
警察庁交通局交
通指導課長 片岡 誠君
法務省刑事局参
事官 伊藤 栄樹君
建設省道路局一
級国道課長 蓑輪健二郎君
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本日の会議に付した案件
○鉄道公安職員の職務に関する法律を
廃止する法律案(中村順造君発議)
○商法の一部を改正する法律案(内閣
提出)
○逃亡犯罪人引渡法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
○刑法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○暴力行為等処罰に関する法律等の一
部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
(道路交通事故対策等に関する件)
——————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/0
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001・中山福藏
○委員長(中山福藏君) これより法務委員会を開会いたします。
この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、石田次男君、鈴木一司君が辞任され、その補欠として浅井亨君、丸茂重貞君が選任されました。
——————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/1
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002・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 本日は、鉄道公安職員の職務に関する法律を廃止する法律案、商法の一部を改正する法律案、逃亡犯罪人引渡法の一部を改正する法律案、刑法の一部を改正する法律案及び暴力行為等処罰に関する法律等の一部を改正する法律案、以上五法案を便宜一括して議題といたします。
質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/2
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003・稲葉誠一
○稲葉誠一君 逃亡犯罪人引渡法でこの前からペンディングだったものが二つばかりあるんですが、一つは、国際法上の確立された原則は憲法九十八条第二項にいう「確立された国際法規」だと、こう法務省の辻検事が言っているんですけれども、今度の説明を聞くと、そうじゃないというわけですけれども、そうすると、「確立された国際法規」だという考え方を法務省ではとっていないわけですか。
それから、なぜこういうふうなことを立案者の一人である辻検事が発表したんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/3
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004・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) ただいまの点でございますが、法務省のただいまの考え方としましては、国際慣行ということにつきましては私どもも認めるところでございますが、さらに国際慣行から国際慣習法にまで引き上げられた、今度は憲法の規定で申しますと九十八条二項の「確立された国際法規」というところまでに見ることは、やや行き過ぎであるという考え方を現在持っております。で、現在の辻人事課長が当時「警察研究」にその点の論文をお書きになりましたいきさつにつきまして辻さんからいろいろ事情を聞いてみたわけでありますが、当時はまだ研究の資料が十分でなかったということが一つと、もう一つは、この法律が相互主義に基づく場合いわゆる国際慣行に基づく相互主義で引き渡しをするという問題につきまして、当時もそういうことはあり得るのだということを考えておりましたようでございまして、ただ、条文が「締約国」とありまして、いかにも文理的には条約のある場合だけがこの法律の適用範囲のように条文上見えますので、そればかりでなく、国際礼譲による相互主義に基づく場合でもこの法律で規制できるという解釈が入る余地があるということを説明するためにそういう表現を使ったということでございますが、やはり資料不足の実情のもとにおいてなされたものでございまして、ただいま、本人は、現在の私どもの考え方に同調をいたしておりまして、その点の考え方は彼もただいまでは変えておる、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/4
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005・稲葉誠一
○稲葉誠一君 この「逐条解説」を書いたときは、法案がもう審議されて通ってからじゃないですか。これは昭和二十八年十月十日発行のものに書かれているわけですから、原稿はその前に書かれたのかもしれませんが、実際に衆議院で審議されておったのは七月じゃないですか。具体的な質問が出てきたのは七月にいろいろな面で出ていたわけですね。それが終わってからこれは書いたのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/5
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006・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) そうだと思います。その資料となりましたのは、国会で法案が審議されておるときにつくられましたいろいろな資料をもとにして「解説」を書いたものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/6
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007・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、国会で法案が審議されていたのか、あるいはその審議が終わって成立してから書かれたのか、ちょっとこれではまあはっきりしませんけれども、いずれにしてもその当時は「確立された国際法規」だという考え方を法務省としてはとっていたのか、あるいはそういう点は全然国会では問題にならなかったのか、どっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/7
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008・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 現行法のもとでいま国際礼譲に基づく相互主義で引き渡しを求めてきた場合に、そういうものをこの法律で処理できるかどうかという点につきましては、当時の政府部内の統一見解としましては、それも可能であると、できるのだという見解をとっておったようでございまして、それをできるという根拠がやはり「確立された国際法規」という考え方に立っておったものと思われるのであります。私自身も必ずしも不可能ではないと考えておりますが、それは確立した国際法規というふうに強調しなくても、国際慣行でもそれはある程度いけるんじゃないかという考えを持っておるのでございます。その点の考え方はやや違っておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/8
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009・稲葉誠一
○稲葉誠一君 今度改正法がいま提案されているわけですから、改正法が通ってしまえば、条約のない国に対して引き渡すのは合法だ、こういうことははっきり言えると思うのですが、改正法の通らない現行法のもとにおいて外国に条約のないところに引き渡すのは合法だとかなんとかという問題が起きないわけですか。合法とかなんとかという問題ではなくて、それ以前の、たとえば妥当であるとか妥当でないという程度の問題にしかならないわけですか。だから、どうしても合法だということが言いたいんだ、言いたいためにその根拠を求めるのでこの「確立された国際法規」というものに入るんだ、だからしたがって引き渡すのは合法なんだ、ここへ持っていっているんじゃないですか、論理を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/9
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010・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 辻君の考え方はどうもそういうふうに思われるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/10
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011・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これはそれほどの問題でもありませんから……。
もう一つのペンディングは、この前この法案が衆議院で一部修正になったということを私言ったわけですが、一部修正というのは字句の修正だというわけですか。修正といえば字句の修正にきまっているが、それは内容はちょっと違うんじゃないですか。相当議論があった末での修正だ。ただ、その議論が正しいか正しくないかということは私も疑問があるんですよ、率直な話。あれは佐瀬さんが主張している議論ですけれども、ちょっとぼくもあの問題は疑問がありますけれども、いずれにいたしましても、単なる修正でなく相当理論的な問題として、特に裁判所と法務省との権限の問題というかそういう問題、それから行政訴訟に移行する問題、これらにからんで問題があって修正があったんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/11
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012・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) この前修正はなかったように伊藤君からお答え申し上げましたのでございますが、さらに検討いたしました結果、伊藤君からさらに重ねて答弁さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/12
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013・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 先日資料を持参しておりませんでしたので、たいへんとんちんかんなお答えをして恐縮でございます。正確に調べてみますと、修正はおおむね二つに分けられるようでございます。
一点は、第九条の関係でございまして、現行法の御審議を願いました際の政府原案には、「逃亡犯罪人は、前項の審査に関し、弁護士の補佐を受けることができる。」という規定は、最高裁判所の規則に譲るという考え方で、法自体には載せておりませんでしたのでございますが、それをやはり人権に関する事項であるから法で明記したほうがよかろうということで、その旨の明文が現行法の九条二項として入ったのが一点でございます。それからいま一点は、ただいま稲葉先生から御指摘の点でございまして、たとえば現行法の第十四条の第一項を見ますと、「法務大臣は、第十条第一項第三号の決定があった場合において、」すなわち裁判所が引き渡すことができる場合に該当するという決定をした場合において、以下でございますが、「逃亡犯罪人を引き渡すことが相当であると認めるときは、」となっておりますが、政府原案は「逃亡犯罪人を引き渡すことができ、且つ、引き渡すことが相当であると認めるときは、」と、こうなっておったようでございます。これがただいま御指摘の部分かと思いますが、結局、裁判所が引き渡すことができる場合に該当するというふうな認定をした場合に、法務大臣の裁量権の範囲はどこまでであるべきかということが若干議論になりまして、その辺を明確にするために、「引き渡すことができ、且つ、」と、これだけの字句が修正削除されたというのが事実のようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/13
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014・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは今度の改正案の直接の問題でありませんから、これ以上追及しないんですが、私の疑問は、政府原案と衆議院で修正されたものと具体的にどういうように違うんですかね。どうもよくわからないんですが、これはどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/14
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015・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) ただいま申し上げましたように、第一の修正点は、最高裁判所の規則に課するよりも、法律に課しておる点でございます。あとの点は、政府原案の考え方は、法務大臣で引き渡すことが本来できないものを無理に引き渡してしまうということをチエックするために裁判所が審査をするのだという考え方であったと思われますが、修正後の現行法も同じ考え方であることには変わりありませんが、裁判所の決定の権威をやや重からしめる。引き渡すことができるという裁判所が決定をした以上、それは確定的に引き渡すことができる場合である、そういうふうに政府としては扱えというふうになっておりまして、要するに東京高等裁判所の決定の権威をやや重からしめたと、こういうことになろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/15
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016・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その点は、あとで手続の問題に入るし、それから審査の手続に関する規則に関連してまたお尋ねするかと思いますが、そこで、この前ちょっと質問した中ではっきりしなかったので、これは特別地域連絡局にもおいで願ったのですが、そちらのほうで御答弁願ってもいいし、法務省のほうで御答弁願っても、どちらでもいいんですが、そうすると、この逃亡犯罪人引渡法にいう「請求国」の定義があるわけですが、この請求国は外国をいうんだと、こう書いてあるわけですが、この外国は日本以外の国なんだと、こういうわけですが、これは日本以外に違いないんですが、その場合に、沖繩は一体どうなるんですか。沖繩が日本に対して逃亡犯罪人を請求することが一体できるのかどうかという点なんですがね、これはどういうふうに解釈されておるんですか。これはどちらでもいいんですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/16
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017・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 沖繩につきましては、性格が、潜在主権があるといわれておるのでございまして、沖繩それ自体につきましては問題のある地域でございますけれども、この法律の適用という点から考えますと、日本国の施政権が排他的に及ぶ地域でございませんで、逆にアメリカが排他的に施政権を行使しておる地域でございますので、外国であるアメリカの一地域ということになろうかと思うのでございます。その意味におきまして、沖繩は、この法律の適用においてはやはり外国の中に入れて理解するほかないと、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/17
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018・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、現実に沖繩はまあ外国だ。そうすると、あれですか、日米犯罪人引渡条約のアメリカというふうに見て、日米犯罪人引渡条約が適用になるんですが、そうではないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/18
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019・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) アメリカの一地域であるということになりますと、日米犯罪人引渡条約が問題になってくると思うのでございますけれども、ただ、問題は、沖繩人というのはアメリカ人ではないわけであります。そうすると、その条約から申しますと、自国民不引き渡しの原則が規定してあるのでございますけれども、引き渡しのことだけは条約でやって、自国民の扱いをされない、沖繩人が引き渡されるという結果になるおそれがございますので、私どもとしては慎重にこの問題は検討してかからなければならぬ、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/19
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020・稲葉誠一
○稲葉誠一君 慎重な検討はいいんですけれども、結論として、そうすると、日本と沖繩との間では、逃亡犯罪人の引き渡しは、この法律を日本としては適用する、こういうことになるわけですか、適用されるということに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/20
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021・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 実際問題としてはこの法律で引き渡しを双方で要求したり引き渡したりしたことはないのでございまして、あるいは入管令の規定を活用して事実上引き渡しを求め、事実上引き渡しをしたことはあると思いますが、この法律によって引き渡しを受けるということは実績においてもございませんし、将来の運用におきましてもやはり慎重を期していかなければならぬ、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/21
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022・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いま沖繩人というか、それが沖繩で犯罪を犯して日本へ来てしまったという場合には、どうするんですか、日本で裁判できるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/22
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023・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 沖繩の人たちは、国籍の点から申しますと日本人なんでありまして、日本人が外国で罪を犯した場合に国外犯として日本で処罰し得るのは刑法に規定がごさいますが、この規定の適用を受ける場合でございまして、かつ証拠を収集することができれば、日本で裁判することができる案件でございますので、引き渡しの問題は起こってこないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/23
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024・稲葉誠一
○稲葉誠一君 沖繩の人が日本へ来るのは、入管令の適用があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/24
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025・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 入管令というたてまえから言いますと、いまの施政権が排他的に行なわれているかどうかというような観点から出入りを管理しておる規則でございますので、入管令の適用があると、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/25
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026・稲葉誠一
○稲葉誠一君 この「外国」の中には韓国は入るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/26
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027・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 韓国ももちろん入ると思います。先日もお答え申し上げましたように、国交未回復国でありましても、未承認国でございましても、この法律の適用につきましては実効をおさめるかどうかは別として、外国という概念の中に入る、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/27
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028・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、外国という概念の中には入るけれども、相互主義の適用はまた別個に考えなくちゃいけない、こういうわけでしょう。そうすると、韓国との間には相互主義の適用があるわけですか。あるというか、これからするというんですか、そこはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/28
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029・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 相互主義の行なわれます手続は、この前申し上げましたように、最初の出発点が外交ルートを経由して行なわれるのでございますので、外交ルートを持たない国につきましては、相互主義で引き取り、引き渡すという問題が起きる余地がないわけでございますが、韓国につきましては代表部というようなものも日本にあるようでございますが、逆に日本のは向こうにはないようでございますけれども、その辺は非常に正確に性格を、キャラクターを申し上げるわけにいかないのでございますが、実際問題としては、韓国との間に相互主義に基づいて引き渡しを求められたこともなく、また求めたこともございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/29
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030・稲葉誠一
○稲葉誠一君 現行法と改正法の「新旧対照表」があるんですが、これで見ますと、たとえば第一条の第二項の定義のしかたが違うわけですね。現行法のほうでは、「犯罪人の引渡を請求することができるものとして掲げる犯罪をいう。」、こういう書き方をしているわけでしょう。改正法のほうでは、「当該犯罪人が犯したとする犯罪をいう。」、こういう書き方をしているんですけれども、これは何か意味があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/30
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031・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 現行法は、立法技術的に見ますと、締約国というものを前提にしまして規定されております。すなわち、日本との間に引渡条約のある国から請求があったことを前提に規定する形をとっておりますために、第一条の定義規定も、まず「締約国」を定義する。それから「引渡犯罪」あるいは「逃亡犯罪人」というものの定義を、引き渡しを請求することができる犯罪、あるいは引き渡しを請求することができる犯罪人というように、抽象的、一般的に規定しておったわけでございます。ところが、今度条約に基づかない引き渡しの手続を改正後の本法で行なうといたしますと、この定義ではまかないきれませんので、立法技術といたしましては、「引渡犯罪」あるいは「逃亡犯罪人」という概念を、引き渡しの請求がなされた犯罪人とか、あるいは引き渡し請求にかかる犯罪というふうに具体化するということによりまして、改正部分を必要最小限にとどめよう、こういうことを考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/31
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032・稲葉誠一
○稲葉誠一君 現行法の第三項では、「この法律において「逃亡犯罪人」とは、引渡犯罪を犯し、」と書いてあって、改正案のほうの四項のほうでは、「引渡犯罪について」と書いてありますが、これも同じような考え方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/32
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033・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 現行法におきましては第二項で「引渡犯罪」の定義をしておりますが、これは抽象的、一般的な概念として定義しておるわけでございます。そこで、第三項で「引渡犯罪を犯し、」ということばを使うことによって具体化する必要があったわけでございますが、改正案におきましては、「引渡犯罪」というものがすでに第三項で「当該犯罪人が犯したとする犯罪」というふうに具体化されておりますから、第四項におきましてはただ単に引渡犯罪ということが具体化されておるという意味において表現を異にしただけで、内容においては変わりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/33
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034・稲葉誠一
○稲葉誠一君 引渡犯罪に関連して、日米犯罪人引渡条約ではどういう規定のしかたをしているわけですか。いろいろ列挙してあるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/34
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035・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) そのとおりでございまして、第二条におきまして罰名列挙主義をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/35
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036・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、罪名を列挙しておるんですが、今度の改正案ではそういう形をとらないわけですね。そうすると、その範囲が違ってくる可能性が出てくるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/36
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037・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) たとえば第二十三条をごらんいただきますと、第一項のカッコ内に若干の文言がございますが、そこにございますように、現行法で「引渡犯罪」といっております一般的、抽象的な概念のことを改正案においては表現を改めまして、「引渡条約において締約国が日本国に対し犯罪人の引渡しを請求することができるものとして掲げる犯罪、」こういう表現に言いかえておりますので、この二十三条のカッコ内にあります表現と第一条第三項で「引渡犯罪」といっております表現とは相互に矛盾する場合は起こらない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/37
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038・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、日米犯罪人引渡条約の場合には、ここに書いてあるものの未遂の場合とか教唆の場合は犯罪となるかいなかについては問題があるのだ、そう辻氏は言っておるんですが、問題があるわけですか。これは問題があったのだけれども、今度はこれが改正になってくればその問題は解消する、こういうんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/38
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039・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) ただいま御指摘の点は、日米犯罪人引渡条約第二条の解釈の問題であったわけでございますが、改正法案が成立いたしました場合には、一般的に申しますと、日米条約の第二条に列挙してあるものにつきましては、条約に基づく引き渡しとして、義務として行なう。それから列挙してありません犯罪につきましては、条約に基づかないものとして、前回お答え申し上げました国際礼譲に基づいて引き渡しを行なう、こういうことになるわけでございまして、日米条約二条の解釈として未遂を含むかどうかという議論はあまり実益のないことになってくる、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/39
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040・稲葉誠一
○稲葉誠一君 この日米犯罪人引渡条約に含まれないものがあるとすれば、それは今度の改正法の中に入ってくるというのじゃないんですか。そうでなくて、それは一般の国際礼譲でいく、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/40
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041・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 例をあげて申しますと、日米条約の二条には麻薬犯罪というものが掲げてございません。で、かりにアメリカからわが国に対して麻薬犯罪について引き渡しを要求してまいります場合には、改正法案の成立後におきましては、条約に基づかない引き渡しということで相互主義の保証をして請求をしてくる、こういうことになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/41
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042・稲葉誠一
○稲葉誠一君 第二条に「引渡に関する制限)」があるわけですが、これは改正案のほうでいうと第五号ですか、その中で「日本国の法令により逃亡犯罪人に刑罰を科し、又はこれを執行することができないと認められるとき。」と、こうありますが、これはどういう場合を含んでいるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/42
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043・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 法定刑が三年未満であるという場合は三号、四号でカバーされてしまいますので、ここに入ってまいりますのは、たとえば大赦がございまして公訴権が消滅しております場合、あるいは正当防衛等違法性阻却事由によって犯罪が成立しない場合、あるいは十六歳未満の少年の行為であるために刑罰を科することができない場合、あるいは公訴時効が完成した、あるいは刑の時効が完成したというような場合がこれに含まれるというふうに解せられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/43
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044・稲葉誠一
○稲葉誠一君 現行法の六号は、これは改正法でいうと八号になるわけですね。それと、日米犯罪人引渡条約第三条で、引き渡しは被請求国の随意たるべしと、こう書いてあるわけですが、被請求国の随意たるべしと日米犯罪人引渡条約の第三条に書いてあるのは、どういうふうな経過からこういうふうになってきたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/44
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045・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 現行法の第二条第六号の趣旨は、ここにございますように、逃亡犯罪人が引渡犯罪以外の犯罪をたとえばわが国で犯しまして、これが裁判所に係属しております場合には、向こうの裁判権とこちらの裁判権と両方の裁判権の行使が競合する場合でございますので、さような場合には、まずわがほうの裁判権を行使すべきである、こういうふうにたてまえとしてはなっておるわけでございますが、日米の条約におきましては、さような場合でありましても、被請求国の好意的な裁量によりまして引き渡しをしてもよろしいということを特に言っておりますので、さような場合においては引き渡すことができるという意味において、第二条の各号列記以外の部分におきまして「引渡条約に別段の定があるときは、この限りでない。」、こういうことにしてあるわけでございまして、具体的には、かような取り扱いをします場合には、わが国におきましては公訴を取り消すとかというような措置をとって引き渡すということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/45
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046・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いま、この引渡法と日米犯罪人引渡条約とは、そうすると、まあ矛盾と言うとちょっとことばが悪いかもしれませんけれども、相当開きがあるのじゃないですか。実際は違うのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/46
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047・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 事柄を抽象化して申しますと、第二条各号に列挙されております事柄は、おおむね国際慣行におきましてかような場合には引き渡す義務がない、むしろ断わるべきであるというふうになっておる事項でございます。ところが、今度は条約を相互に結びまして、そのような事項でございましても相互に引き渡すことを認めるということは考え得ることでございまして、たとえば、前回も御説明申し上げましたように、第三号、第四号の関係で、法定刑が若干低うございましても、両国の友好関係という考慮から、特に引き渡すということを条約で定めるということはあり得ることではなかろうか。定めました場合には、そのものは、この法律の第二条の各号列記以外の部分に規定されておりますところによりまして条約が優先するということでございまして、問題は、この現行法の六号、七号の部分は、場合によっては譲ってもいい部分である、条約に特別な定めがあれば譲ってもいい部分であるという考慮が働いておるというふうにも見られるのではないかというふうに思われるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/47
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048・稲葉誠一
○稲葉誠一君 法律が先に出ていて、あとからそういうふうな形で条約を結んだというなら、いまのような解釈もよくわかりますけれども、明治十九年ですか、非常に古い法律で、その当時日本はまだ明治憲法もできていないようなときの条約で、その後新しい法律ができてきているわけですから、当然その条約というものは、この法律にのっとってその点は改廃すべきものじゃないかと、こう思うんです。それでないというと、アメリカにだけ日本は非常に有利なものを与えておって、ほかの国には有利なものは与えておらないという結果が事実的に——それは運用ではいろいろ違うかもしれませんけれども、法文上というか、事実上そういうことが生まれてくるということはあり得るのじゃないですか。どうもちょっと私はっきりのみ込めない点もありますけれども、そういうことも考えられんのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/48
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049・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 仰せのように、日米犯罪人引渡条約の形態を見ましても、二種類あって、古いほうの型に属しておるように私ども見ております。したがいまして、中身について再検討を要するのじゃないかということにつきましては、私どもこれは再検討してもいいのじゃないか。場合によりましてはすべきではないかとさえ思うのでございますが、一応条約としてございますし、これはこれ、それはそれとして尊重していかなきゃなりませんので、この条約が施行できないというような国内法をつくることはできないわけで、これを含めまして法律をつくっている、こういうことでございまして、日米犯罪人引渡条約が非常にいいものであって、それを見ならって、それをもとにした引渡法、こういう趣旨ではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/49
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050・稲葉誠一
○稲葉誠一君 私の言うのは、現実にこういう条約がある以上、そうしてこの法律がある以上、アメリカ人が犯罪を犯して日本に逃げて来た場合と、アメリカ以外の国の人が犯罪を犯して日本に逃げて来た場合と、この条項の適用の結果として違いができてくるのじゃないかということなんですよ。アメリカ人にはいわば有利というか、そういう形ができてきて、ほかの国の者には厳格になってくると、こういう形のものがここから生まれてくるのではないかと思うんですが、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/50
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051・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) そういう結果になる場合があると思います。これはまあ条約があるのとないのとの違いでございまして、やむを得ないことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/51
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052・稲葉誠一
○稲葉誠一君 私は、この法律の改正法ができれば、相互主義の原則というものは日本とアメリカとの問には当然これはあるわけですから、むしろ日米犯罪人引渡条約を廃止したほうがはっきりしてくるのではないかと思うんですが、これは意見の相違だと思いますから、私の意見として述べるだけですけれども。そうでないというと、どうもこれはほかの国との間で均衡を失することになるのではないかと、こう思うので、私は明治十九年なんというこの法律は、廃止するかあるいは大幅に近代化したものに改めるか、どちらかにすべきじゃないかと思いますが、これは私の見解ですから、まああれですが……。
それから「(法務大臣の措置)」のことが第四条にあるわけですが、これは特に何か実質的に改正したことがあるんですか。別にそれはないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/52
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053・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 実体については何ら改正を加えておらないのでございますが、ただ、条約に基づかないで相互主義に基づいてなされる場合につきましては、条約に基づかないという理由からいたしまして、一項の三号あるいは二項等につきまして若干の改正を加えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/53
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054・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これによると、法務大臣は、東京高等検察庁検事長に対して、「高等裁判所に審査の請求をなすべき旨を命じなければならない。」というので、高等検察庁の検事長に対して命令権があるわけですね。これは法務大臣としては直接こういう命令権があるんですか。検事総長を経由しないでやるわけですか。ぼくは法務大臣の権限というものがよくわからないんですがね。法務大臣と検事長との関係はどうなっておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/54
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055・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 検察庁法におきましては、一般的な規定といたしまして「検事総長のみを指揮する」、具体的事件につきましてはそういうことになっておるわけでありますが、それは犯罪捜査についてのことでございまして、これは犯罪捜査というよりも一つの国家行為でございまして、この間申し上げましたように、一つの特別な手続であるわけでございます。したがって、この法律に基づきまして直接の命令権がある、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/55
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056・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、この法律で直接法務大臣が東京高検の検事長に対する命令権が出てきているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/56
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057・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 具体的にはこの法律で命令権が付与されておる、かように理解していいと思います。一般的に青天のへきれきのごとく指揮権が出てくると見る見方もあるかもわかりませんが、やはり法務大臣は検察官に対しまして指揮監督権を持っておるわけでございまして、それは捜査、公判手続等、検察庁法に規定してあります検察官の責務に関しての指揮命令権、監督権でございますけれども、この手続はそれではございませんが、そういう背景を前提といたしまして、この法律によって特に命令権、指揮権を持っておる、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/57
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058・稲葉誠一
○稲葉誠一君 この法律で特にこういう指揮、命令権があるとしても、そういう出る根拠は、やはり検察庁法にあると思うんですがね。現在検察庁法のどこにそういうものがあるんだと書いてありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/58
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059・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) まず、東京高等検察庁の検事長あるいは検察官にこの法律に基づく権限が付与されておる。具体的にはこの法律で付与されておりますが、そのもとをなすものは、検察庁法第四条の「他の法令がその権限に属させた事務」ということを踏んまえましてこの法律で属させているわけであります。検察庁法第十四条で法務大臣の指揮権を若干制限をいたしておりますが、その制限のしかたは、具体的な事件の取調及び処分に関しましては、検事総長だけしか指揮できないということになっておりまして、十四条の反面解釈といたしまして、その他の事務につきましては、法務大臣は全般的な指揮監督権を持っておるということがもちろん解釈として出てくるわけであります。その法の精神を踏んまえまして本法で法務大臣の東京高検事長に対する命令権を規定しておる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/59
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060・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ことばじりを捕えて恐縮ですけれども、そういうようなものを踏んまえてこれが出てきているのか、そういうようなものから直接出てきているのか、多少ちょっとニュアンスが違うと思うんですが、そこはどうでしょうか。ことばじりと言えばことばじりでしょうが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/60
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061・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) ただいまのような検察庁法を背景としてこの規定が出てきておるということは言えると思いますが、直接出てきているのじゃなくて、この法律で新たに与えられる、かように見たほうが私は正しいのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/61
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062・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いまのような点は、前に法案の審議のときには議論にならなかったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/62
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063・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 現行法審議の過程におきましては、ただいまのような点は議論になっていないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/63
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064・稲葉誠一
○稲葉誠一君 「東京高等裁判所に審査の請求をなすべき」だ、こういうんですが、この「審査」というのがちょっとはっきりしないのですがね。これはどういうことなんでしょうか。検察庁法のどこに規定があって、どういう性質のものなんですか、この「審査の請求」というのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/64
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065・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 「審査」と申しますのは、文字どおり審査でございまして、この法律に規定されておる手続は、いわゆる刑事手続ではございませんけれども、刑事手続に似たような性格を帯びておりますので、刑事手続の場合には裁判所の判断にかからしめる。判断にかからしめる場合に裁判所の行ないます判断事務、これをこの法律では「審査」というふうにいたしまして、「審判」とかいうのと区別してまいっておる、こういうふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/65
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066・稲葉誠一
○稲葉誠一君 「審査」ということばは、ほかの法律でも使っているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/66
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067・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) すべての法律にわたって承知いたしておるわけではございませんが、たとえば行政不服審査法の「審査」というように、最近本法現行法のできました後にいろいろできております法律では、行政上の不服に対する審査というような場合に多く用いられておるように承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/67
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068・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、審査も一つの裁判であることは間違いないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/68
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069・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 審査の結果東京高等裁判所の行ないます決定につきましては、裁判所が行ないます判断の意思表示でございますから、一応裁判ということになろうかと思います。最高裁判所の制定しましたこの法律の施行に関する規則におきまして、決定については裁判書をつくらなければならないというふうに書いておりますところからも、その点は一応裁判であるということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/69
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070・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、決定だけが裁判で、決定前の審査の段階は裁判でないということなんですか。何かそういうふうに聞こえるんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/70
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071・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 御説明が不十分だったかもしれませんが、裁判をするための手続というふうなものになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/71
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072・稲葉誠一
○稲葉誠一君 決定だから、書面審査ですわね、原則は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/72
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073・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 原則と例外、必ずしもはっきりいたしておりませんが、書面審査でももちろんできるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/73
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074・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それで、その結果を、これを見ると、検察官だけに通知するわけですね。本人というか、逃亡犯罪人の本人に通知することは法律上の要件になっていないようですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/74
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075・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) もちろん本人にも通知をいたします。これは第十条の第三項にございますように、東京高等裁判所が決定をいたしますと、すみやかに東京高等検察庁の検察官及び逃亡犯罪人に裁判書の謄本を送達するということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/75
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076・稲葉誠一
○稲葉誠一君 私の読み方が悪いのかもわかりませんが、第十条の私の言うのは、この決定が効力を発生するには検察官に通知するだけでいいようにとれたんですがね。そういうふうになっておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/76
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077・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 十条第二項の関係におきましては、ただいまお尋ねのとおりでございまして、裁判書の謄本は、両当事者と申しますか、この場合は当事者双方じゃございませんから、そういう表現は的確じゃございませんが、検察官と逃亡犯罪人に送達されるわけでございますが、審査の結果決定がなされますときに、必ずしも逃亡犯罪人が拘束されておるとは限りません。したがいまして、決定の効力を生じさせませんと、引き渡しのための拘禁状の発付とか事後の措置ができないわけでございます。そういう意味におきまして、一応決定の効力は検察官に主文が告知されたときから生ずるというふうになっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/77
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078・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、それは刑事訴訟法とはだいぶ違いますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/78
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079・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 若干違う面があるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/79
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080・稲葉誠一
○稲葉誠一君 若干違うって——違うんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/80
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081・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 若干と申しましたのは、これと同じような取り扱いになる場合も刑事手続であり得るということでございまして、たとえば被告人所在不明のための保釈取消決定の執行につきまして、たとえばその取消決定が逃亡しております被告人に送達がなければ効力が生じないということになりますと、保釈取消決定に基づく収監はきでないわけでございますが、そういうようなケースと対比いたしますと似てまいりますので、そういう意味において若干というふうにいま申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/81
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082・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、逃亡犯罪人の審査という場合には、弁護士の補佐をつけることはできるとしても、それはいわゆる当事者というものではないわけですね。まあことばは悪いかもわからぬけれども、前時代的でもないけれども、何かそんなふうな印象を与えるわけですね。あまり近代的でないような感じを与えるわけですね。そこまでする必要はないと言えば必要はないと言えるでしょうけれども、そこはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/82
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083・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 仰せのような見方もあるわけでございますが、大体逃亡犯罪人引き渡しの仕事は行政府の責任ということに各国とも理解されておりまして、その行政府の責任を司法的なチェックにかからして公正を担保するというこの手続は大体各国とも現在とっているのでございまして、この引き渡し手続は、先進諸外国の手続法を見ましても、大体これと似通っているのでございまして、特に手続が日本の場合に前時代的な性格を多分に帯びているといったような性質ではない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/83
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084・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いまの場合に、その裁判所の判断にかからしめるというかからしめ方に行政府との関係でいろいろ問題がある、その立法のしかたも大体日本はほかの文明国と同じようなやり方をしていると、こういうわけですか。それはおもにどういうふうにやっているんですか、ほかの国は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/84
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085・伊藤栄樹
○説明員(伊藤栄樹君) 大体いま問題になっておりますわが現行法と同じように、裁判所に審査をしてもらう、裁判所が職権で審査をするというていさいをとっているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/85
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086・稲葉誠一
○稲葉誠一君 きょうはもう一点だけにしておきますが、裁判所の審査の結果を尊重するということの尊重のしかたは、現行法の政府の原案と、それから衆議院における修正との結果で、だいぶ違うというところがある、こういうふうに前に言われたんですけれども、そういうふうに承ってよろしいんですか。違うというのか、実際は違わないのか、ただ多少のニュアンスの違いの程度のものしかないのか、どうなんですか。どうもはっきりしないんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/86
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087・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) これはもう非常に違うというのじゃございませんので、いま仰せのように、ニュアンスのある程度の違いとでも申したほうが適当かと思いますが、修正がありましたのと原案との差異というのは、ニュアンスの程度だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/87
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088・稲葉誠一
○稲葉誠一君 裁判所で引き渡すべきだというふうにやっていても、法務大臣の裁量で引き渡さなくてもいいという場合があり得るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/88
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089・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) これは前回もお答え申し上げたのですが、裁判所が引き渡すべしとか、引き渡すべきでないという判断をするのじゃございませんで、引き渡しの条件に合致しているかどうかの判断でございます。それは条文をごらんいただければわかることでございまして、あくまで行政府の責任で引き渡すかどうかをきめるというたてまえをとっているわけであります。ただ、行政府が法律解釈その他において引き渡しに該当するかどうかということをきめる、その判断を司法の判断にまかせていく、こういうことでございますから、裁判所が引き渡すべきだという判断をするというのではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/89
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090・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いまのような場合で、日本で現実に、裁判所では条件に合致していると。だけれども、法務大臣としては、そういうことは裁量行為で、すべきではない、いろいろな政治的な配慮や何かあって。そういうふうな具体的な例はあるんですか、いままではないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/90
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091・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 法律のたてまえとしましては、法務大臣としましては、条件に合致しておると見ましても、さらに慎重に引き渡すべきかどうかを検討する余地を法律の上では残しておりますが、さような場合は事例としてはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/91
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092・中山福藏
○委員長(中山福藏君) ちょっと速記とめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/92
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093・中山福藏
○委員長(中山福藏君) それじゃ速記を起こして。
本案の質疑は一応この程度にとどめます。
——————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/93
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094・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題とし、道路交通事故対策等に関する件につき調査を行ないます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/94
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095・稲葉誠一
○稲葉誠一君 建設省の方に先にお尋ねするんですが、栃木県下の一級国道の四号線というのがあって、それが近年は交通量が非常にふえたということと関連するんですが、非常に交通事故がふえまして、県下の大きな問題になりまして、県民運動としてこの事故を何とかしてなくさなければならないということになっておるわけです。そのときに、道路の問題、それから労働条件の問題、それから交通の問題、こう大きく三つ出てくるわけです。その道路の問題について、あの四号線の幅員が非常に狭いんだ、そのために、交通量が近年非常にふえてきて、それで事故が起きるんだということが盛んに言われているんですが、その幅員の状況等を含めた道路の状況はいまどういうふうになっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/95
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096・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 四号線につきましては、ただいまお話しの東京から宇都宮地域に至ります間につきましては、一応一次的な改良は終わっておりますことは御承知のとおりでございます。しかし、近年、非常に交通量がふえまして、都市付近におきましてはさらにこれをバイパスいたしまして拡幅することが計画されておりまして、すでに古河地域あるいは宇都宮地域につきましてはバイパスができておりますが、小山市前後におきましてはただいまバイパスの事業をやっておる最中でありまして、おおむね本年中には改良が終わり、引き続いて舗装するという手はずになっております。全般的に申しますと、道路のほうはすべて全線通じまして幅を広くしなければならぬということでございますが、その恒久的な対策といたしましては、長距離用のために別途東京から東北方面に向かいますところの自動電道路という計画に解決をまちたい。ただいまとりあえずそういう市街地周辺におきましてバイパスをやって緩和をはかる、こういうことで進んでおる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/96
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097・稲葉誠一
○稲葉誠一君 幅が非常に狭くて、小山に入りましてから一部が七メートルちょっとぐらいしかないものなんか相当あるわけですね。このために非常に因っているわけですが、この幅員が狭いというようなことは何とかならないんですか。あるいは道路が非常にこわれておるわけですね。で、もっと舗装なりそれを修理しなければならないということが沿線の住民から非常に強く起きておるわけなんですよ。こういう点は何か対策はあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/97
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098・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 幅員の問題につきましては、交通量との関係におきまして狭いところを広くするということにいかざるを得ないわけでございますが、私どもといたしましては、結局は、これは全体の事業費の問題にかかわりますので、非常に緊急を要する個所、すなわち、私どもの技術的な用語でいいますと、混雑の度合いが三以上のものはバイパスを考えていかなければならぬ、三以下のものはとりあえずそれで間に合わせてもらう、あるいは速度制限その他の方法でがまんしていただくよりいたしかたがないのじゃないかということで、混雑度三以上のところはできるだけ二次的な改良をやるように考えているわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、十分と言える状況ではないことは事実でございます。
それから現在の道路の路面につきましては、当然こわれましたものは修繕をし、あるいはこわれる前にそういう措置をしなくてはなりませんが、これも最近非常に重量車両が多いために、とかくすると十分手が回らないという状況でございます。四号国道の御指摘の区間につきましては、これはすべて建設大臣管理の責任のもとにおいて管理いたしておりまして、この管理、修繕、維持、すべて建設省がみずから直轄でやっております。本年度もこれらの区間につきまして必要な個所の修繕をやることになっておりますが、修繕は一年だけでできるものではありませんので、逐次非常に古い舗装につきましては順番に修繕をしていくという手はずになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/98
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099・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いまの混雑度が三以上というのは、どういう標準でいくわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/99
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100・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) これは、道路構造令という政令がございまして、これに道路の幅と自動車の台数との関係が一応基準として規定されております。もちろんこれらは自転車がどのくらい通るかという自転車の混合ぐあいによっていろいろ変わりますが、一応構造令で交通量がこれくらいのときにはこれくらいの幅にしろ、こういう基準が定められております。私どもではそういうものを一応交通容量とか、その道路が持っておりますところの交通を疎通させるための容量と言っておりますが、その容量をオーバーしているものが現実に多いわけです。そのオーバーの度合いが二倍であるとか三倍であるとかいうことによりまして混雑度という数字を使っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/100
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101・稲葉誠一
○稲葉誠一君 この四号線の小山付近のところでは、いつごろ調査して、何ぼぐらいというふうに見ているわけですか。調査の日時によってずいぶん違いますからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/101
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102・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 交通量の推定は、この地域につきましては三十七年ごろの統計によっておりますが、実際に道路構造をつくる場合には、おおむね二十年先の交通量を予想いたしまして、それに見合う幅員を与える、こういうことになっております。現時点において交通量は幾らであるか、ただいま数字を持ち合わせておりませんが、考え方はそういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/102
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103・稲葉誠一
○稲葉誠一君 三十七年の統計を基準としているといいますけれども、あそこは去年からことしにかけて非常にふえているわけです。そのかえ方が異常なくらいにふえているわけですから、三十七年の統計でやると、ちょっと正確な実態が把握できないのじゃないかと考えられますので、あらためてこれはよく幅員と台数との関係やなんかを十分調査をしていただきたい、こう思うんですが、調査してくれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/103
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104・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 全国の交通統計は、大体三年ないし四年おきに全国統計をやりますが、もちろん引き続きやるわけでございます。特にまた一級国道、幹線道路におきましては、常時観測をやらせております。これは毎日の交通量をはからせておりますので、交通量につきましては、私ども、全部ではございませんが、重要な地点については統計を持っております。それと、ただいま申し上げました全国統計を大体三年おきぐらいにやっておりますので、そういう点は十分把握しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/104
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105・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ですから、ここのところの統計はどういうふうになっているんですか。毎日やっているというんですけれども、毎日建設省でやっているわけじゃないでしょう。だから、いつごろのものを基準にしているんですか。ちょっと何か古い統計を基準にしているように考えられるんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/105
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106・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 道路のいろいろバイパスとかなんとかは全国的な計画でございますが、全国的な統計資料があるものをもとにしてやるわけでございます。ただ、こういう幹線におきましては、月変化あるいは年変化というものを調べますために観測機を常置いたしまして、そこで記録をとっております。ただし、それが毎日変わるものを基準にして幅員を変えていくということはございませんので、やはり過去の統計、それから全国平均というようなものをとりまして、そういうものを基準にいたしておりますので、ただいまのところは、三十七年が基礎になっているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/106
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107・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そこで、この地区は、いま言ったように、近年非常にふえているわけですけれども、ふえ方が、くどいようですけれども、異常なわけです。ですから、特別によく調査をしてもらって幅員だとか舗装の修繕だとかいったようなものについて格別の努力をぜひしていただきたい、こう思うんですが、これはそういうふうなことを努力するということは言えるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/107
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108・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 一般的な問題でなく、特にこの地域に見られる異常な現象であるならば、調査いたしまして何かその対策は考えなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/108
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109・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それから小山のバイパスは、これは三十九年度で改良が終わるのですが、何かだいぶおくれているようなことを聞くんですが、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/109
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110・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 小山のバイパスにつきましては、三十九年度内に一応改良を終わります。ただ、改良と申しますのは舗装を含んでおりませんので、引き続いて舗装をやらなければならない。その後の舗装につきましては、なるべく早く着手するように検討したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/110
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111・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その舗装が、何か住民などはどうもおくれているんだということを盛んに言うわけですが、おくれるような懸念があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/111
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112・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) いまのお話のおくれる懸念が現地にあるということは、察しますに、たぶん下水道の事業がございます。その下水道事業は都市計画事業あるいは単独事業として実施されているものと思いますが、これは地元の負担とかそのほかの予算の関係上その下水道事業がおくれている、そのために舗装ができない、こういう懸念ではないかと察しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/112
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113・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、その下水道を、これは起債でやるのか何でやるのかあれですけれども、そのでき上がるのを待っていたのでは非常におくれるわけですね。ですから、場合によっては水道管の埋没ですか、これらをあとにしても、できるところはどんどん進める、こういうことはできるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/113
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114・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 実は、本舗装をやりますと、これをこわしてまた下水をやるとたいへん手間どります。したがいまして、そういう計画があるならば、その計画とタイミングを合わせましてやるのが常道でございます。ただし、それが非常におくれるという場合は、とりあえず簡易的な舗装で路面を持たせるという場合もございますが、ここにつきましては、ただいま実施中のようでございまして、大体四十年くらいにはできるのではないかと思っておりますので、それらとタイミングを合わしていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/114
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115・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いまの点については、建設省のほうと、これは関東地建が直接の官庁ですか、それと小山市とよく相談をして、そしてできるだけ早く小山のバイパスができるようにぜひしていただきたいと、こう思うんですが、これはよく相談してくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/115
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116・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 舗装を促進するような要望が非常に強いようでございますので、そういうふうに措置いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/116
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117・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そこで、小山のバイパスを促進するとすれば相当金が要るわけですが、現在の予算は幾らぐらいになっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/117
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118・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 改良の残事業は八千八百万ぐらいございます。これで大体改良は終わると思います。あと舗装が全部で三億ぐらいでございますが、本年度はいろいろそういった事情がございますので、そのうちの若干は措置できるかと思っておりますが、数字的にはなお検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/118
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119・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ですから、いま言ったように、できるだけ、もし他の事業のところで剰余金でも出れば、そういうふうなものをこちらに回すなり何なりして、早急に小山のバイパスを完備するようにぜひお願いをいたしたい、こういうように要望しておきます。
それからこれはでき上がれば結局——これはあなたのほうの管轄ではないんですね、一方交通かなんかにしなくちゃというふうに考えられるけれども、これは建設省には関係ないわけですね。実際にはいつごろできるんですか、目当ては、小山のバイパスというのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/119
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120・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) 改良工事は八千八百万くらいでございますから、大体ことしの十月前後にはできると思いますが、舗装は来年の予算問題になりますので、はっきりいつごろとは言えませんが、大体来年度中には処置できると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/120
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121・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それからガードレールというのを設ける何か計画があるんですか、四号線のところで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/121
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122・尾之内由紀夫
○政府委員(尾之内由紀夫君) ガードレールは、一般的に国道に全部設けるというものじゃございませんで、非常に危険な個所だけに措置するということで、非常に事故の多い曲がりかどとか、あるいは特に幅員の非常に狭隘の感じのするところ、そういうところに設けることにいたしておりまして、具体的に四号線につきましても数個所計画をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/122
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123・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これはいまどこへ設けるような計画なんですか、それはわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/123
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124・蓑輪健二郎
○説明員(蓑輪健二郎君) ガードレールにつきまして、いま四号線全線でいろいろ事故の多いところを警察とも相談いたしまして設置するところを計画しておるのでございますが、現在計画しておりますのは、栃木県で言いますと、小山の北になります石橋町の一部と、さらに宇都宮の北になります河内村、そういうところに計画しております。しかし、これはさらに今後の交通事故の発生その他を見まして、必ずしもここだけで終わるものではなくて、必要なところに予算の範囲内でやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/124
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125・稲葉誠一
○稲葉誠一君 道路局長に、これは最後の質問というか要望なんですが、いま言ったような状況で、毎日のあそこの新聞などをごらん願えればわかるし、栃木県のほうと打ち合わせをしてもらえばよくわかるんで、どうしてもこの問題を解決してそうして事故をなくさなくてはいかんと思う。非常に多い。困っちゃっておるし、あぶないですから、十分栃木県のほうとも打ち合わせをして、ぜひ住民の要望に沿うようにしていただきたい、こういうことを切に要望しまして、あなたのほうはこれでけっこうでございます。
労働省のほうにお伺いしたいんですが、この国道四号線で最近交通事故が非常にふえておることに関連をして、労働条件が非常に悪いというか、あるいはどういうふうに言ったらいいですか、過重であるとか、あるいは一日に何回も急いで行かなければならない、それによって賃金がふえたりなんかするというような、賃金状態というか、そういうふうなものが一つの原因になっているということも考えられるわけなんですが、あそこのところを走っておる運転手さんやなんかの労働条件のことについて調査したことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/125
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126・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 栃木管内におきますところの賃金の実態調査という特殊なものはまだ正確に把握いたしておらないのでございますが、トラック運送業に対します労働基準監督の方針といたしましては、これは先生御承知かと思いますが、昭和三十六年四月二十日に総理府に置かれました交通対策本部におきまして、安全運行確保対策、砂利採取業、砂利販売業の経営安定対策、第三に砂利採取業及び砂利販売業労働条件改善対策といったようなもろもろの対策を含めました対策が出たわけでございます。これに基づきまして、労働省としましては、砂利採取業及び砂利販売業労働条件改善対策という見地から、昭和三十六年の四月二十四日に通達を出しまして、さらに同年十二月にこれを補完するための通達を出したのでございます。
労働条件からする監督としましては、まず労働時間がどのようになっておるかという観点から、労働時間規制についてのいろいろな監督指導を行なったのでございます。しかしながら、御承知のように、労働時間はかりに八時間であるとしても、いわゆるノルマが課せられまして、一日の作業ノルマが設定されておりますので、同じ八時間でございましても非常に労働密度の高い場合とそうでない場合があるということになります。そこで、いわゆるノルマ制の実施につきましては、労働条件の実質的な問題といたしまして労働基準局では非常に大きな関心を払いまして、その指導の最重点としていわゆるノルマ制の是正ということにつとめてきたわけでございます。
実は、賃金の問題につきましても、労働時間を前提にしましたいわゆる日給制とかそういう形のものと歩合給を中心にしたものとがどのような分布になっているかという点についていろいろ問題があるわけでございますが、いま申しましたように八時間労働というものを前提にしまして賃金を考えておりましても、その実質が実はノルマ制を基準にしておるとかいうからみ合いの問題がございまして、これを統計的に把握しようとしても実態がなかなか困難であるという実情にございます。で、労働省としましても、全国的に調査いたしました数字はございます。ところが、その賃金の形態につきましても、固定給と歩合給との比率を見ますと、固定給の占める割合のほうが平均しましても七六%台になっておりまして、圧倒的に歩合給のほうが少ないと、こういう形になっておるのでございます。そこで、その点につきましても、調査のやり方もございますが、いま申しましたような実態面で非常に複雑なからみ合いという面もございますので、この点については今後監督指導をさらに徹底すると同時に、実態をさらに究明していきたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/126
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127・稲葉誠一
○稲葉誠一君 栃木県の国道四号線を通るところの、主として砂利の場合が多いと思うんですが、そういうふうな人たちの、何といいますか賃金の形態が、歩合制賃金体系が非常に多いんじゃないんですか。一般論としてでなくて、栃木県の場合のそういうふうなことの調査は、これは当然労働基準局として栃木県労働基準局としてもできてなくちゃならないんじゃないかと、こう思うんですがね。というのは、栃木県総合砂利採取事業協同組合というものが七十業者が集まってできているんですが、いろいろ暴走の原因になっておるのが一つは歩合制賃金形態にあるんだから、これを改正しなきゃならないとか、それから月二回は必ず走らない日にしようという完全週休制の実施と、こういうふうなことをやりたいというふうなことをきめているわけなんですけれどもね。ですから、もっと基準局が積極的にこういうふうな業者と話し会うなり何なりしてそういう歩合制の賃金体系の改正とかなんとかに乗り出すことができるんじゃないんですか。そういう点は何かあまり積極性がないんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/127
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128・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 御指摘のように、トラック運送につきましても、一般路線を設定いたしましたいわゆる路線設定のトラック運送の場合と、砂利採取のように必ずしも路線を設定していないというものと、いろいろあるわけでございます。率直に申しまして、労働省が従来指導してまいりましたのは、一般路線貨物自動車につきましてこまかい通達を出しまして規制をいたしてきたわけでございます。一般路線貨物自動車につきましてはかなり成果をあげておると思いますが、砂利トラック、いわゆる砂利トラにつきましてはこれに準じて取り扱うようにいたしておりますが、個別、具体的な指導はやや一般路線トラックに比較いたしまして手薄であるという点がございます。そこで、御指摘のように、栃木県下におきましても、鬼怒川砂利販売協同組合を中心にいたしまして、業者が八十二、これに使用しておる車両数が約二百台という実態もほぼ把握いたしております。そこで、ごく近い機会にこれらの業者を中心にいたしまして具体的な監督指導を行ないたいというふうに考えております。その内容につきましてはまだ確定いたしておりませんが、もちろん労働時間、ノルマの問題、それから賃金体系の問題、各般にわたりまして指導を行ないたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/128
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129・稲葉誠一
○稲葉誠一君 業者を集めてというが、そういうふうな指導をするのはこれは当然やらなければならないんですが、同時に、やっぱり働く運転手の人たちですね、運転手の人たちの労働条件の問題とか、彼らのいろいろの希望とか、いろんな問題があると思うんですよね。そういう方面とも十分ぼくは話し合いをしないといけないと、こう思うんですがね。業者だけの言い分を聞いているというと、結局違ったものが出てきてもいけませんから、そこに実際働く労働者の人とのひざを突き合わせた話し合いの中において彼らの希望を十分聞いて、どうしたらそうしたものを十分是正できるかと、こういう方向にぜひ持っていってもらいたい。ともすると、労働省の関係は業者とばかり話し合ってというんでは意味がないですからね。実際の労働者との話し合いも進めてもらいたいと、こう思うんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/129
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130・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 栃木県下におきましても、一般路線貨物自動車運送の労務管理につきましては、同業者が相寄りまして協定書を作成して、そしてその協定書に定められた事項を厳守するという観点からかなりの指導が行なわれておるわけでございます。栃木県下の一般路線貨物自動車運送につきましてはかなりの成績を見つつありますので、御指摘の砂利トラック運送につきましてもこのような実績を基礎にいたしまして業者の指導を行ないたいと考えております。
その際に、労働者の意見なりあるいは従来の経験をもとにして労務管理の指導を行なうということは当然でございますが、業者を集めて指導するという考え方の前提には、実は自家用トラックの雇用労働者であるかいなかはっきりしないというような者も混在しているわけでございます。そこで、労働基準法の適用を受ける事業であるかどうかというような検討をいたしておりますと、業者ではあるが、家族だけで自動車を運転しているというものがございまして、これは明確に区分できないという問題もございます。したがいまして、指導の方法としては、こういう業者を全部包括いたしまして指導を行なうということを申し上げているのでございまして、繰り返しになりますが、運転手その他労働者側の意向も十分反映するようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/130
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131・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/131
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132・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/132
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133・稲葉誠一
○稲葉誠一君 国家公安委員長がおいでになったので、国家公安委員長としてまた自治大臣として両方含めたような形でお聞きしたいのですが、実は栃木県の、茨城県から入りました小山に近づくところから宇都宮に抜けるところの国道四号線というのがあるわけですが、ここが近年非常に交通量がふえまして、事故が多いわけです。沿線の人家に飛び込んだり、死傷者が出たりして、非常に困っているわけです。もちろんいろいろな原因はあるわけで、それら全体を含めて県民運動として一大運動として何とかしてこの四号線の事故をなくそうじゃないかという運動がいま起きております。これは、一つには、もちろん道路の問題、幅員を広げる、完全舗装にするとか、バイパスを早急につくるという問題もあるけれども、労働条件が悪く、非常にノルマが強化されておったりする。また、一日東京に三回くらい行かなければならないというようないろいろな状況がある。それから交通事故のような問題はいろいろたくさん問題がからんでいるんですが、特に公安委員長として栃木県の警察本部とよく連絡をとって指示をされて、そうしてこの問題に積極的に取り組んでいただきたい、こういうふうに思うわけです。ただ、それは取り締まり強化だけという形では、問題は解決しませんけれどもね。栃木県の県警からどういうふうな報告を受けているか、まずそれをお聞きしたい。そして国家公安委員長としてどういうふうにこの事故をなくするために対処されるかということについてちょっとお聞かせ願いたいと思います。こまかい点はあとでけっこうです。指導課長なり交通局長でけっこうです。大筋だけでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/133
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134・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 県警の本部からの報告は、あとで交通局長がこちらに伺いますから、そのときに申し上げることにします。
実は、あそこの道路のことは、私前から自分でも通って経験をしておりますし、ここで問題になっていることも承っておりまして、私もあそこを通ってみますと、いつでも乗用車の二台や三台がひっくり返って畑に腹を出しているというような道路でもあるし、あそこで砂利トラックの諸君が冗談半分でアベックの車を追っかけてみたり、ことに犬なんかを見ると、あいつひいてみろというような運転をしている。非常に荒っぽいことをやっているのを実は私知っております。そういう非常に危険だということで住民の方々が心配していらっしゃることはもっともだと思うのです。
そこで、これは全国ですけれども、御案内のとおりに、交通がこういう状態なものですから、このための基本問題調査会を政府でつくりまして、その答申も先般あったわけでございます。これは単に取り締まりということだけでなくして、そういう原因が起こるもとを正さなければならん。それには注意力の点もありますから、労働強化が過ぎますというと、どうしても事故も起こりますし、また、交通道徳という点から運転している人たちを相当教育をしなければなりません。また、一方、通行する通行人のほうもやはりそういった面で御協力願わなければならんとか、いろいろな点があるし、車両の整備の問題もあります。しかし、いま一番新聞などでも問題を起こしておるのが砂利トラックでございまして、確かに何らかの手を加えなければまずい。そして、ひき逃げなどということはもってのほかですけれども、とにかく事故防止のために万全の策をいまとろうとしておるところでございます。基本問題調査会の答申には実に広範な問題を含んでおりまして、これが完全に実施されました場合には、こういう事故に対して私は相当見るべき成果があげ得るものを思っております。この取り扱いを政府でどう取り扱うかということを最近きめることになっておるわけでございますけれども、それはそれとして、現に国道四号線の問題は目に余るものがあることも承知をいたしております。これは道路自体の車の容量と申しますか、あそこはたしか四車線になっておると思いますが、それでも、直線コースでもあるし、スピードが出しやすいところでございますから、警察としては取り締まる部面ではずいぶん人員を配置してやっておりますけれども、まあ事故が絶えないという残念な状態でございますので、特に格段の留意をいたしまして、つとめてこういう事故を避けるような万全の措置をとりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/134
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135・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そこで、取り締まりの強化ということだけにどうも少し警察で走りがちではいけませんから、いま赤澤さんが言われたように、基本となる原因がどこにあるかということをいろいろな面から実態的にぜひ調査をしていただいて、その上に立っての早急な万全の策をぜひとってもらいたい、こういうことを私から要望をしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/135
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136・赤澤正道
○国務大臣(赤澤正道君) 実にたくさんの問題が私はあると考えております。たとえば運転手の年齢の問題もありますし、それからいまの労働強化の問題については雇用主の責任問題もありますし、単に取り締まり当局の判断だけではいかない部分にわたっておりますので、こういった問題は政府自体で取り上げまして、総合的な施策を早急に立ててまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/136
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137・稲葉誠一
○稲葉誠一君 基準局長、いま赤澤さんから言われた労働強化の話がありましたが、砂利トラばかりではないですけれども、主としてああいうトラック運転をやっていると、どうしても労働強化になるんですかね。その原因はどこにあるんですかね。一般論ということになりますけれども、ノルマ制ということがやはり大きな原因になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/137
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138・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 一般の工場労働などと比較いたしました際に、同じ八時間労働と申しましても、労働の密度、継続性に多少の差があるわけでございます。そういう特殊性から見まして、各種の労働条件の中でも、労働基準法違反の問題を起こしやすい事故は、労働時間、休日の問題等が過去の取り締まりの結果を見ましても一番高い率を占めておるようなわけでございます。たとえば労働時間についての違反の率を見ましても、全産業では八・五%、自動車運送事業関係では二九・五%、これは三十七年度の数字でございます。それが三十八年度で二七・〇というふうにやや減少はしておりますが、なおかつ全産業と比較しますと、労働時間増高の違反はかなり高い、こういうことになっておるわけでございます。
この点につきましては、基準法に定めますところの例外規定の運用につきましては、たとえば三十六条による労働者との協定を厳格に行なわしめ、その他所定の手続に従って明確に規制していく、こういうことでなければならないと考えております。何ぶんにも、たとえば栃木の砂利関係の業者八十二、その車両数が二百ということでございますから、一軒平均いたしますと二・少々というごく零細な規模が多いわけでございます。そこで、自動車労働の特殊性並びにその零細企業的性格という点に着目いたしまして、個別的指導を行なわざるを得ないというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/138
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139・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それで、労働基準局として、いまの業者との懇談なり指導というか、あるいはそれと別個にそこに働く労働者——もっとも労働者であり同時に企業者であるというものも相当多いようですけれども、いずれにしても、そういうようなものを早急にやって、どこに問題点があるか、どこをどういうふうに改善しなければならないか、こういうふうなことについて早く調査というかそういうものをぜひやっていただきたい、こういうふうに思いますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/139
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140・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) その点につきましては、早急に対策を確立すべきであるという観点から、すでに調査を開始しております。ごく近い機会に改善対策を具体化していきたい、かように考えております。その際におきましては、雇用労働者の意向を反映する、こういう措置をとるべきであると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/140
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141・稲葉誠一
○稲葉誠一君 交通局は、局長はまだおいでになりませんが、指導課長でもけっこうですから。
ことしになりましてからの栃木県下の一級国道四号線における交通事故の発生状況はどういうふうになっておりますか。去年までのはあるんですが、ことしになってからのはどうもあまり出てこないんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/141
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142・片岡誠
○説明員(片岡誠君) 昨年に、国道四号線の宇都宮から南のほうを申しますと、警察で申しますと小山、石橋、宇都宮管内で、発生件数が千百四十件、死者が六十件、負傷者が八百八十八件ございました。ことしの一月から四月までの四カ月間に、すでに発生件数で同じ地域で三百五十五件、それから死者が二十六名、負傷者が二百三十七名出たようでございます。したがいまして、昨年に比べまして、やはり死者におきましては増加の傾向がはっきり出ております。
それから国道四号線、栃木県下全体を見ますと、昨年一年じゅうに千六百三十三件発生いたしまして、死者が八十四名、負傷者が千三百五十三名ございます。ことしの一月から四月までの間に発生しましたのが五百七十五件、死者が三十七名、負傷者が三百九十七名出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/142
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143・稲葉誠一
○稲葉誠一君 今度の交通安全週間はきのう終わったわけですか、その中での取り締まりというか、状況というようなものはわかっていませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/143
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144・片岡誠
○説明員(片岡誠君) まだちょっと手元に届いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/144
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145・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ことしの一月から四月までの取り締まりの状況はわかっておりますか、違反の状況などは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/145
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146・片岡誠
○説明員(片岡誠君) 全国でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/146
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147・稲葉誠一
○稲葉誠一君 宇都宮以南の一級国道の四号線で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/147
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148・片岡誠
○説明員(片岡誠君) 検挙件数を申しますと、ちょっといまの四地区三署関係の集計ができておりませんが、小山署に例をとりますと、昨年一年間で八千五百五十七件、ことしの一月から四月までの間に二千五百六十件の取り締まりをしております。検挙しております。それから石橋署、この管内では二千四百八十六件が昨年の検挙件数でございます。本年の一月から四月までの間に八百六十八件。それから宇都宮署管内では、昨年一年間で一万七百八十件、ことしの一月から四月までの間に三千百二十七件検挙しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/148
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149・稲葉誠一
○稲葉誠一君 交通安全週間の結果が、きのうで終わったので、まだわからないものですから、その結果を待たないとまたあらためた質問はできないわけですけれども、交通安全週間では、ことに栃木県の場合には、おもにどういう点に重点を置いてやったのか、こちらではわかりませんか。また、あなたのほうでは、どういう点を主眼として指導したのか、栃木県県警に対して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/149
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150・片岡誠
○説明員(片岡誠君) 私どものほうは、全国的な規模で、全国的な重点として、その年の安全運動期間中に、警察だけではございませんで、関係省庁と打ち合わせいたしまして、政府としての基本的な方針を各県に出す、各県では、いろいろ具体的に状況が違いますので、さらに地元の特殊性を織り込んでその県の安全運動の方針というものを打ち出す。そういうやり方でずっとやっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/150
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151・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それはそれに違いないんですけれども、栃木県のこの国道四号線の事故が非常に多いというので、警察庁としてもいろいろ指示というか助言というか、そういうのを栃木県の県警に対してもしたんではないですか、電話やなんかで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/151
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152・片岡誠
○説明員(片岡誠君) 私どもとしましては、具体的にどの路線という指示と申しますよりも、その県下で一番事故の多発している問題の路線、その路線をモデル地区として選定しろ、そしてそこに警察だけじゃなくして、関係機関、知事部局をはじめとして、陸運行政なり、あるいは道路行政なり、あるいは労働基準行政なり、そういう関係機関とともにその路線中心に精力的にやれ、こういう指示はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/152
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153・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それは、警察庁としても、全国の中で国道四号線のこの地区が非常に事故が多いということは十分認識されておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/153
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154・片岡誠
○説明員(片岡誠君) 私どもといたしましては、もちろん一級国道が問題である、特に一号線は御承知のように問題がございますが、関東周辺をとりますと四号線と十七号線が最大の問題である、このように認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/154
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155・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、栃木県で十日間やったわけですね。これは全国どこでもやったのでしょうけれども、各県からのその報告というものはいつごろ集まってくるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/155
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156・片岡誠
○説明員(片岡誠君) 一週間内くらい全国から報告が集まってくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/156
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157・稲葉誠一
○稲葉誠一君 栃木県からも当然そういう報告が来ると思うんですが、そうすると、これは集まってきたものを全国的な統計か何かとるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/157
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158・片岡誠
○説明員(片岡誠君) 全国的にその安全期間中の事故とそれ以外の期間との対比の統計をとります。それから安全期間中にどの程度取り締まりをやったかということもやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/158
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159・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それじゃ、きょうは、交通局長がほかへ入っておりますから、それから栃木県からの報告が、きのう終わったばかりですから、これは無理ですから、それが警察庁のほうに来たころに、その結果がどういうふうになってどういう効果があらわれたかとか、将来どういうふうにしなければならないというふうに考えておるか、これをまたあらためてお聞きしたいと思いますから、交通局長や栃木県の県警本部とも十分打ち合わせをしておいて、そして、栃木県県警が行なったこととか、まあその中での何といいますか批判もいろいろあると思いますが、効果があがった点もあると思いますから、そういうような全体を含めて、警察庁として栃木県の県警本部とよく打ち合わせというか、指示、連絡をしておいて、そしてその結果を十分私が聞けるように準備をしておいていただきたいと、こう思います。それができ上がりましてからあらためてお聞きをします。
結局、結論的には、いろいろ事故の原因があると思うので、きょうは、建設省関係で道路の関係、労働省から労働条件を中心として労働基準局長にも来てもらったわけですから、あらためて質問をしますけれども、何とかしてこの事故をなくするように、これは取り締まりだけの問題じゃないんですけれども、私ども県民全体あげて努力しますから、警察庁のほうでも万全の策をとってもらいたい——いま公安委員長も言いましたから、それを特にお願いしまして、私はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/159
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160・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 本件の調査は一応この程度にとどめまして、本日はこれをもって散会いたします。
午後零時十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104615206X02519640521/160
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